○
政府委員(
佐々木義武君) それでは
只今の政務
次官からの
お話に引続きまして、
報告書の
内容を御
説明いたしたいと思います。
お
手許に
自立経済審議会報告書という簡單なパンフレツトがございます。それを御覧願いたいと思います。目次をお開き願いますと、一番初めが
自立経済計画策定の
必要性、二番目が
自立経済計画の
基本構想、三番目が
自立経済計画の規模と
構成、四番目が
自立経済達成上の
問題点と
対策、
最後に
結論ということに
なつております。三番目の
自立経済計画の
規標と
構成が本論でございまして、大体
結論的に
計数のみをここに盛
つてありますが、その
背後には各
部会から出ました
答申並びにそれを
調整しました
最後的なかずかずの
調整資料がございますが、その
計数的な面は印刷の
都合等によりまして今日はお
手許に配付できなかつたと思いますが、この
背後には
厖大なそういう積上げ
作業があるということをお含み願いたいと思います。それからこの
計画は
次官のほうからも
お話がありましたように、こういう
経済態勢でございますので、
計数的な
計画は勿論そのまま総合的な
調整はとりましたのでございますが、まだ下揃い、或いは不十分な
点等でございまして
計数的には必ずしも満足した
数字ではございません。併しながら
計数そのものよりも、そういう
計数をいろいろ算定する際に生じました
問題点なり、或いは
対策等をここに提示いたしまして、今後の
日本経済が
自立経済を
達成する上において必要な諸点を指し示すほうがむしろ妥当な措置ではなかろうかと
考えまして、第四のほうに問題の
重点を移してこの
作業を終
つているような次第であります。
一
香取初の
自立経済計画策定の
必要性に関しましては、
只今次官のほうから
お話がありました通りでありまして、大体
問題点は三点でございますが、第一点は
講和も近付きまして
政治の
独立というものが近く予想される際にいての表裏一体となりまする
経済の
自立性を早く確立して、この
政治の
独立の裏打ちをしたいという
必要性から、
政府としてはこの
自立経済審議会を設けまして、そこでこの問題の
解決策を検討したのだということであります。
第二点は、こういう混乱した非常に
世界情勢のめまぐるしい
変化の間でこういう
基準計画を策定するということは非常に冒險のようにも
考えるのでありますけれ
ども、一応この
審議会といたしましてはむしろこういう際にこそこういう
基準計画を作
つて置きまして、爾後
情勢の
変化に応じまして弾力的に
調整を加えて行つたらどうかという
建前を堅持する
意味から、こういう
基準計画を敢えて
作つたのであります。
第三点は、本
計画は実施可能の
計画であ
つて、決して実施不可能な架空な
計画のつもりで
作つたのではないのだ、そこで
問題点なり或いは
対策等を
十分施行に移すならば、
自立経済の
達成は可能だということをはつきりと
必要性の中で謳
つております。
以上が大体
必要性の主たる
内容でございまして、次に二頁に
自立経済計画の
基本構想がございまして、一番初めは
目標でございますが、この
目標は大体三カ年を
目標にしておりますが、ものによりましては、例えば農業とか、或いは電気だとか、もつと
長期の
見通しを必要とする問題に関しましては一応もつと
長期の
計画を立てまして、その中で前期を三年というふうに組んでおります。それから次の
自立経済の
意義でございますが、
自立経済の
意義に関しましては、従来ともいろいろ議論のありました問題でございますが、この
審議会といたしましては大体三点を
意義の主たる
内容としております。その第一番目の点は勿論
国際收支の均衡という点を最も大きい
内容としておりますが、それのみを以てしてこの
自立経済の
内容としますと、ややもしますと、去年の例えば八月或いは九月頃は瞬間的にはそういう定義でありますと
自立経済が
達成されたということになりまして、非常に滑稽な
結論になりますので、そうでなくて、飽くまでも
国際收支は均衡するけれ
ども、その均衡した
状況を長い間持続して行く、継続して行くという、
継続性に問題の
重点を更に移しまして、従いまして均衡した
状況を継続するためには、
一つには
生活水準をできるだけ高めまして、国の
経済の
内容を豊富にし、同時にそれと裏腹になりまする
生産力の拡張を行いまして、
輸出或いは
特需等に応じても国の
経済自体に混乱を起さんような強いと申しますか、大きい
内容を持つた
経済態勢をその中に
考えて行きたいという点が第二点であります。第三点に関しましては、今の
国際情勢を
考えまして、
日本の
経済の、
海外依存の非常に高い
日本の
経済を少くとも安定さしたい、
安定度を高めたいという
意味から、
国内の
自給度をできるだけ向上さすという、この
三つの
内容を
基本線にいたしまして、この三本の線に従いまして
作業をそれぞれ展開いたしまして
結論を出した次第でございます。それから第三番目は
前提條件でございますが、この
前提條件といたしましては(イ)(ロ)に主として
国際情勢の判断の
條項がございまして、これは去年の九月
政府の想定でございまするので、或いはいろいろその後
変化等もございましようが、一応
作業をやる上におきまして各
作業に
厖大な人数がここに参加したわけでございますので、それぞれ
違つた立場で
作業いたしますと、全体の統一がつきませんので、一応こういう
国際情勢の算定の
前提を作りまして、その一本の頭で
作業を進めて行くというふうな体制を
とつたわけでございます。従いましてこの想定しました
国際情勢を、その後変りました
国際情勢に応じまして、今後、
先ほど申しましたようにいろいろ
情勢に応じて、この
計画そのものに弾力的な
調整を加えて行くというふう
なつもりでこの
自立計画を立てております。第一点は第三次
大戰は起らないという点と、それから
米ソの両勢力間の緊張は今後も世界的な
軍拡傾向というものは発展して行くのだという
二つのラインで進めておりますが、二十六
年度に関しましては昨年の暮に生じました対
中共貿易等の
変化を一応織込みまして、
先ほど次官のほうから
お話申上げましたように、来
年度の
予算その他と
調整をとりまして、この
計画ができております。次に三番目の
国内インフレの
政策は回避して、同時に
為替レートは変えないという
前提を
とつておりますが、この「
国内」のという
意味は
赤字公債等を発行してまでこの
政策を遂行するという
意味ではないという
意味で「
国内」という字を使用しております。それからもう一点は
国際物価は
為替の
レートを変更する等によ
つて調整しないで、
国内で埋まるというふうな
建前でこの
計画が立てられております。それから次は
生活水準の問題でございまして、これは二十五
年度は大体八〇ぐらいだというふうに想定しておりますが、それを逐年上げて参りまして、
最終年度には八九%まで上げたい、
基準年次は九—十一年でございます、という
建前にして
作業ができております。それから
人口の問題に関しましては、最近になりましてここに掲げてあります
人口に若干の
誤差が生じて参ります。これは
終戰直後からございますが、或いは
正式発表でもありますれば、その
計数で更に再
調整が必要かとも思われるのでありますが、取りあえず去年の秋に想定いたしました
人口指数をそのまま採用いたしまして、この
作業を
終つた次第であります。そういう
前提に立ちまして以下の
計画に入
つたのでございまするが、
計画全体の要約といたしましては五頁の
総括表を御覧願いますと大体ございますので、この
総括表で一応御
説明申上げたいと思います。この
総括表には実は二十五
年度、二十四
年度の
計数が載
つておりませんので、現状からの繋りがどういうふうになるのか
ちよつと理解しにくい点がございまして、
最後のところで二十四年から二十八年までの品物を出しておりますが、三十九頁以下でございます。併し
便宜ここにあります
計数の中で主な点だけを、一応の御理解のために申上げますと、
国民所得は二十五
年度が三兆二千六百五十億、次の
産業活動指数は二十四
年度が九六で、二十五
年度は一一六でございます。次の
鉱工業生産指数は二十四年が八〇で、二十五
年度は一〇〇・九でございます。それから以下の
数字は若干飛ばしまして、
農林水産の数は二十四
年度が九四・六九、それから二十五年が九六・八七でございます。
国内造船量ですが、これは
着工分が二十四
年度分には約二十四万総トンと予定しております。それから
輸出に関しましては、純粋の
輸出は八億九千二百万でございまして、
特需の
サービス分を除きました
物資のみの
特需を見ますと一億三千五百万
程度になるのではないかと思いますが、合せましてこの
輸出は十億二千七百万ドルというふうに想定しております。
輸入に関しましては大体十一億ドル
程度にしております。それから
設備資金に関しましては千四百九十八億、
運転資金は三千二百七十九億、
人口は八千四百十七万。それから
完全失業者が四十五万六千というふうに
なつております。そこでこれを御覧願いますとおわかりのように、大体二十五年で以て或る
程度生産関係は
戰前の
水準に近付きまして、或いはそれに大体到着いたしまして、二十六年以降は次第に
戰前の
水準をオーバーして行くという
傾向が見られます。但し従来までの回復の率から見ますと、非常に
生産の
伸びが、カーブが弛みまして、二十六、二十七、二十八等におきましてはそれほどこの
生産は上昇しないというふうなことに
なつております。その
原因等につきましては後ほど御
説明申上げます。それからもう一点はこの
輸入の点でございまして、
輸入の点に関しましては、今
年度が十一億ドルで、来
年度が十五億ドルと非常に大きい差が二十五年から二十六年に亘
つて出て参りまして、
ちよつと奇異の感に打たれますが、この点に関しましては、この十一億ドルと申しますのは年間の平均の
数字でございまして、十億ドルのほうは九月末の価格を
基準にして大体立てておりますので、今
年度の
上半期と申しますか、二十五
年度の
上半期に入
つて来た
輸入物資は、大半はそれ以前に安いときに契約いたしました
物資がそのまま昔の値段で入
つて来ておりますので、年間平均いたしますとこういうふうに非常に
誤差ができるようなかつこうに
なつております点が第一点と、それから去年の八、九、十月ぐらいが相当物量的にも
輸入量が減退いたしましたので、そのカバーが本
年度中にはなかなかつきかねるような状態でございますので、そういう両面からいたしまして、こういうふうな
誤差といいますか、開きができているのですが、後ほど御
説明申上げますように、
輸入の
見通しと申しますか、
主食獲得をどうするかという問題がこの案のキー・
ポイントに
なつております。併しこの
審議会の
答申といたしまして、少くとも十億ぐらいは来
年度是非確保する必要があるという
建前で希望的な要素を相当織込みましていたしておる点を御承知願いたいと思います。それからもう一点は、
完全失業者の数でございますが、見られますように
余り減つておりません。
生産が一方どんどん
伸びているのに
完全失業者が減らないというのは非常におかしな結果に
なつておりますが、これに関しましても後ほど御
説明申上げたいと思います。で、この
計画を進めます
一つのコースと申しますか事務的な
手順を申上げますと、この表をあとで御理解頂く上に非常に御
便宜じやないかと思いまして、
作業の
手順を申上げますと、一番初めに
貿易の面を先行させまして、先ず
輸入の量と
輸出の量を算定したわけでございます。そういたしまして、
輸入のほうは
ベース・
ポイントの面と
輸入原材料の面と
二つに分けまして、
輸出原材料のほうは
輸出の
伸びを見ました上で、大体まあその
原材料が出ますので、それを取り、
ベース・
ポイントのほうは、
人口の増加或いは
先ほど申しました
生活水準の
上昇率を兼ね合せまして、その上で出て来た
数字を見まして
輸入の
数量が出て来るわけでございます。それを
基礎にいたしまして、それに見合う
国内の
鉱工生産或いは
農林生産或いは
建設部門等の
計算をして参りますと、それぞれ各
部門は到底その
貿易に追つかないような
制約條件が出て来るわけでございます。そこでそういう
制約條件を克服しながら、いろいろ
調整をとりながら、その
調整を
とつた上の
数字を
交通量で彈きまして、
国内交通量並びに
貿易の
物資量を彈きまして、
造船その他を彈くわけでございます。そこで大体
貿易並びに
生産、
交通の
調整を
とつた上で、それを
基礎にいたしまして
国民所得を彈きまして、その
国民所得からこういう
計画達成に必要な
財政資金或いは
産業資金等を一方
供給量として出し、同時に
先ほど申しました各
部会、
生産部会の
所要資金量とを出しまして、その
調整を
とつて、
生産と
財政金融との
調整を一方ではとり、同時に一方では各
生産の
伸びと雇用の問題との
調整をとりまして、
生産と
人口との
調整を
とつて、大体
総括いたしまして、先ず全体の
計画としてこのくらいあれば
経済循環がそう不
合理でなしに運行できるであろうという一応の
見通しをと
つたのがこの表でございます。
一つ一つの
内容は逐次御
説明いたしますので、
総括上の
説明はこれで終りたいと思います。
次は
貿易でございますが、
貿易に関しましては全体的な見地といたしましては、
輸出の面は極力
市場性を吟味いたしまして、各
物資別或いは
国別或いは
資金別等に班を分けまして、業界の本当のエキスパートからそれぞれ御参加を願いまして、先ずこのくらいの
見通しであるならばシユアーな
見通しであるという点を押えまして、
輸出に関しましては
割合に堅く押えてございます。それから
輸入に関しましては見通される可能のもの、例えばスクラツプとか
パルプ等の
割合にこれが
入手が困難と見通されるものはそれを勘定しておりまするが、全体の
見通しといたしましては、
先ほども申しましたようなこの
生産規標を少くとも確保するためにはこれくらいの
輸入量が必要だと、
要求量を満足させるためには必要だというその
期待量をそのまま載せておりまして、従いましてこの
期待量は非常に無理な
期待量でございますが、
先ほど申しましたようにそれほど無理な理窟ではないというような
考え方から、どうしてもこれくらいのものは確保すべきだという要請を持つた
数量をそのまま採用いたしております。
それから
中国市場の問題に関しましては、二十六
年度に関しましては、
先ほど申しましたように今展観しました
数字をそのまま、展観したまま出しておりますが、二十七
年度、二十八年に関しましては
香港は載
つておりますけれ
ども、
香港以外の
中国市場は一応期待しないという
建前でこれを作成しております。それから
国際收支の推移の
状況でございますが、六頁の中間にございまして、御覧の通わの
数字に
なつておりますが、註の二に
援助を
米会計年度に換算いたしました
数字が載
つております。それによりますと二十六年に相当いたします五一、五二
米会計年度では約一億から一億五千万ドルの
援助を期待し、二十七年に相当します五二、五三
米会計年度には一億ドルを期待いたしまして、二十八年には大体
援助なしにや
つて行けるという
結論に
なつております。それから註の三番目にあります
投資勘定の問題でございますが、
民間外資の導入問題或いは
日本側が
南方等に将来投資するであろう
量等に関しましては、予測がなかなか困難でございますので、ここでは一応省いてございます。それから
貿易の
單価に関しましては昨年の九月を大体
單価の
採用年次にいたしまして
計算をしております。それから次は
通貨別の
国際收支の
見通しでございますが、初めこの
作業にかかります際には、現在もそうでございますが、恐らくポンドが非常に不足するだろうという
考えでお
つたのでございますが、
先ほど申しましたような
輸入量を確保するという
建前にして参りますと、どうしてもやはりドルが足らないというような
結論に
なつております。それから
輸出の
品目でございますが、
輸出の
品目に関しましては
纎維が
最終年度がやはり大
部分でございまして、五〇・六%の
纎維でございます。それから鉄鋼、
機械類等を合せまして二四%ぐらいでございまして、依然
纎維並びに鉄綱、
機械類関係の
輸出が殆んど大
部分を占めるようなことに
なつております。それから
地区別の
伸びに関しましては、オープン・アカウントが
伸びまして、それから
輸出資金には余り
伸びがないということになつております。
輸入に関しましては、
物資的に申上げますと、
纎維原料が三六%でございまして、
食糧が従来
割合に大きいウエイトを占めてお
つたのでございますが、この
計画では
先ほど申しましたように、
国内の
自給度を高めるという一番
主眼点に、
食糧の米麦の増産を徹底的に今
考えておりますので、
半面輸入は逐年
主食は減らすという
計算に
なつておる
関係上、
食糧の
輸入全体に占める地位は逐年減少するというふうなことに
なつております。
それから次の
鉱工業生産でございますが、
鉱工業生産に関しましてはABCとありまして、
制約條件が
三つ掲げてありますが、
電力の
供給面からの問題と、それから特に
輸入原材料の
入手の
状況、或いは
長期資金の調達の問題、この
三つの問題が非常に
鉱工業の
生産の
伸びを
制約する大きいフアクターに
なつて参りまして、
日本の
産業はキアパシテイはまだまだございますが、特に
電力等の問題から
制約が非常に強うございまして、
先ほど申しましたように
伸びそのものには
弾力性を用いないというような
見通しでございます。大ざつぱに申上げますと、
鉱工部会で出しました
基本的なと申しますか、
結論に対しまして、主として
電力の面或いは
輸入原材料等の面から一割
程度生産を規制いたしまして、この
調整的な
結論を出した次第でございます。その結果出ました
数字が
先ほど述べましたように、
最終年度約三割増というふうな
建前を
とつております。その
鉱工業部会の中で分科会を作りまして、相当深く研究したものは
電力、鉄鋼、
纎維、化学肥料でございまして、この四つの問題に関しましては何遍も分科会を開きまして検討して行きまして、その他の諸
物資に関しましては、こういう根幹
産業に附帯し、それぞれバランスを
とつて
生産の
伸びを見ております。初めに
電力の点を少し申上げますと、
電力は三カ年で、水力を合わせまして七十七万キロワツトの電源を開発するという
建前に
なつております。半面ロスの軽減を図りまして、これは送配電の損失でありますが、ロスの軽減を
考えまして、現在三〇%
程度のロスでございますが、これを二五%
程度までロスを落すということでございまして、一方
生産を伸ばし、半面そのロスのほうを軽減いたします。結果、二十五
年度に比較いたしまして平水で約四一キロワツト・アワーぐらいの
電力の供給力を増すという
建前に
なつております。この九十七万キロワツトの電源開発でございますが、そのくらい電気が不足であつたならば、なぜもつと電気の開発というものに
重点を置かないのかという御疑問も或いは湧くかと思いますが、九十七万キロワツトと申しますと、これを金で、所要資金で換算いたしますと、大体四百億から五百億くらい毎年必要だという
計算に
なつて参ります。そうしますと、来
年度の
電力に対する見返資金を仮に百五十億というふうに今決定しておりますが、それくらい見ましても相当
厖大な所要資金に
なつておりまして、先ず
日本の現状からいたしますれば、このくらいが最も望み得る最大の量じやなかろうかというふうに
考えまして、A案、B案と
二つの案があ
つたのでございますが、B案である九十七万キロワツトの案を採用いたしました次第であります。こういうふうに
電力を極力増しましても、
先ほど申しました三割の
生産を増強する場合に、毎年豊水で十億キロワツト・アワーずつ需要に対して
電力が足らないという
結論に
なつておりまするが、その十億キロワツト・アワーの毎年の不足分は、何とかいろんな
対策を講じましてカバーして行くという
考えで、その
調整はそのままとらずに十億キロワツト・アワーを豊水の場合不足だという
建前でこの
計画ができております。
それから次は鉄鋼でございますが、鉄鋼に関しましては、主としてスクラツプ並びに鉄鉱石の
入手の
状況を考慮いたしまして、特にスクラツプの問題を
考えますと、殆んどスクラツプは
輸入の面では期待できませんので、
国内スクラツプの回收
状況等を勘案いたしまして本案では成るべく来
年度から二十八
年度まで
計画をそう伸ばさんけれ
ども、急にスクラツプの面から蹉跌を来すことのないように、ならして使
つております。併しこの原料
入手の如何によりましては、二十六
年度四百万トン、二十八
年度四百二十万トンというふうな原案が当然可能なわけでございますが、本案といたしましては今言つたような点から、二十六
年度三百六十万トン、二十八
年度三百九十万トンというふうに押えております。
次は
纎維でございますが、
纎維に関しましては、綿紡のほうは原綿の
入手状況と紡機の製作能力が
一つの
制約條件でございまして、この両方から見まして
最終年度百億ポンド出したい、それから人絹、スフ等の化学
纎維に関しましては、主として本案では
電力の面で
調整したのでございますが、そのほかパルプの
入手状況或いは現在の塩等の
輸入の
見通しから、ソーダ
関係の需給
関係等を考慮いたしまして
調整をした次第であります。
それから合成
纎維に関しましては、これは実は資源が殆んど
日本にございますので、技術的にも解決した問題でございまするから、極力
自給度を高めるという
意味で、この
産業を伸ばしたか
つたのでございますが、電気の
関係から日産五十トンを三十五トン
程度まで落しております。
それから化学肥料に関しましては、
最終年度硫安が二百万トンに
なつておりまして、これも電気の
関係で、去年の秋ですか閣議を通りました
最終年度二百二十万トンというあれを、若干スケール・ダウンしておりますが、その削減しました二十万トンに関しましては、
輸出面で
調整いたしまして、
国内の
食糧増産には差支えないようにしてございます。
それからそれ以外の石炭、銅、アルミ等の
物資に関しましては、十一頁に表がございますので、それを御覧願いたいと思います。
それから次は農林、水
産業の
生産でございますが、従来までの農林、水
産業に対する
考え方といたしましては、資本の効率の問題を
考え、或いは
輸入食糧との競争等の問題を
考えまして、どちらかといいますと、コストの切下げの問題、農業の
合理化の問題が非常に
政策の
重点じやなかつたかと
考えられますが、本案ではその
考えに更に
国際情勢を勘案いたしまして、もう一度
数量的な増産という面に
重点を指向いたしまして、米麦におきまして、
最終年度千二百万増産したいという
計算にしております。
最終年度と申しますのは、農業は投下資本が次
年度に大体行き越すという
考え方で、千二百万石は二十九
年度の増産になります。従いまして二十八
年度には九百九十三万石
程度米麦にして増産したいというふうに
考え、ております。それに対しますいろんな諸
施策等は、その次の頁がそれであります。その結果出ました
結論が十四頁の初めにございますように、相当
程度一般消費者の消費量を増しても、逐年
食糧の
輸入量を減らし得るという
計算に
なつて参りまして、二十六
年度に三百二十万トンの来
年度の
輸入計画が、最終年次には二百五十万トンまで減少し得るという
建前にしてございます。
それから次の畜産、林業、水
産業等に関しましては、大体
合理的に伸ばし得る線をそのまま伸ばしまして、
国内資原の活用という面で、その伸張を図りまして、
部会で出しました原案を多く
調整せずにそのまま採用しております。
それから次の
交通部面に関しましては、
先ほど申しましたような
生産量並びに
貿易量を確保するために必要なサービス
水準というものを弾きまして、それに必要な
対策を並べております。大体
交通部会で一番問題の中心になりましたのは、申すまでもなく商船隊の拡充の問題でございまして、去年の十二月一日現在でございますが、
日本の保有しておる商船の量は百七十万総トン
程度でございまして、
戰前の約六百万総トンに比較しますと、非常な減退でございます。而もそのうち航洋船を見ますと、四十三万総トンしかございません。大体
戰前が四百万総トンぐらいでございますので、十分の一ぐらいに減じております。そこでこれを二十八
年度の全
貿易物資量の約五〇%邦船で積み取るというふうに
計算して参りますと、二百万総トン
程度保有する必要がございますので、今
年度から約三十五万総トンを毎年新建造いたしまして、同時に沈船の引揚或いは旧型の改造等をいたしまして、この
計画では
最終年度百三十三万、やや必要な
数量に近い船舶を保有するように仕組んでおります。がその後
情勢の緊迫化に伴いまして、この三十五万総トンをできれば四十万総トンまで新建造を上げたいという点と、もう一点は三年後にこの必要量を満たすのではなくて、現在からすでにこれくらいの船舶を必要とするのではなかろうかという
考え方から、傭船或いは買船等に関しまして、本案につきまして別途措置を
とつているような
状況でございます。
商船隊の拡充の問題に続きまして一番
交通問題でもう
一つ問題になりました点は、外国
貿易港整備強化の問題でございまして、外国
貿易港は、皆さんも御承知のように、大
部分優秀な港湾は接收されております。従いまして今後邦船で以て、
日本の船で
貿易をするというのが
基本的なラインに
なつて参りますと、どうしてもこの
貿易港の整備強化という問題が艀或いは倉庫等の問題と一緒に大きい問題として出て参りますので、これに対する
対策等もこの中に織込んでございます。
それから国鉄に関しましては鉄道電化の問題と貨車の整備の問題が資金面から競合いたしまして、貨車の新造の問題が大きい問題に
なつておりましたのでありますが、本案では大体両案を、鉄道電化もやるし、或いは車輌の建造も可能なように両方勘案いたしまして作
つております。
それから電話サービスの問題に関しましては、これは非常に問題がございまして、なかなかこの案で作りましたような
程度ではおさまらないような需要量でございましたのですが、資金等の
関係から一応本案といたしましては、
戰前水準に復帰するという
建前で、旺盛な需要を抑えてこういうような
結論を出した次第でございます。
次に建設
部門でございますが、これが公共事業に相当する
部門でございまして、本案では、
先ほど申しましたように、
食糧の
自給度を極力高めるという
意味合からいたしまして、建設事業の中で農業
生産力の拡張という点に
重点を置きまして、特に土地改良或いは土地造成等すぐ農業
生産の増加に役立つような点に主眼を置きまして、それに必要な範囲でそれに
関連させて治山治水その他災害復旧等を
考えてございます。建設
部門にあります諸項目、言い換えますと
農林水産施設、それから治山治水施設或いは
交通施設、道路、港湾、或いは都市
関係の施設、これは戰災都市の復興問題とか或いは上下水道とかでございますが、或いは住宅建設或いは公共事業の建設という建築
関係並びに災害の防上或いは復旧の問題等ございますが、この詳細はお読み願うことにいたしまして、
説明を省略いたしたいと存じます。その結果二十頁にございますが、公共事業費は非常にかさばりまして、二十六
年度は来
年度の
予算通り千九十二億
程度載
つておるのでございますが、二十七
年度が千五百八十億、二十八
年度には千七百五十五億というふうに、非常に大きく
なつております。これに対する
考え方等は後ほど又資金の問題のときに
お話申上げたいと思います。
次は雇用の問題でございますが、
先ほど申しましたように、
生産が
伸びるにもかかわらず
完全失業者の減少率は非常に微々たるものでございますので、その理由を御
説明申上げたいのでございますが、
一つは
人口が非常に増加いたしまして、従
つて労働
人口が殖えるという点が一点でございます。それからもう一点は、極力
産業の近代化をこの三年間で図りたいという
建前に
なつておりますので、労働の
生産性を非常に上げております。大体七—十一年を
基準にいたしまして
考えて参りますと、
鉱工業の、マイニングのほうは二十五
年度は七八・九四というような
数字に
なつてお力ますが、二十八
年度は九九、七三まで上げたい。それからインダストリーのほうは二十五
年度七三・
○八でございますが、
最終年度は一一一・八というところまで上げたいという
計算に
なつておりまして、マイニングに関しましてはほぼ
戰前水準、インダストリーに関しましては
戰前の
水準を遥かに抜きたいというような思い切つた近代化の措置を
考えておりますので、
生産が
伸びる半面、完全失業の率はそれほど減らないという
計算に
なつております。が併し逆に
考えますと、低所得就業者或いは不規則就業者等の不完全就業者の面に関しましては、逐次
内容が
生産の上昇と共に充実して参りまして、そういう潜在失業の面の改善は相当期待できるのではなかろうか。従いまして全体としましてはまず雇用の面ではそれほど心配なしにこの
程度の
生産水準を上げますと救済できるのではなかろうかというふうに
考えます。
それから
最後に資本蓄積の面でございますが、
生活水準及び
国民所得の量に関しましては、
先ほど申上げました通りでございまして、
最後に
国民経済予算の表がございますので、これを簡單に御
説明申上げますと、所得の面では
国民所得と、それに減価償却或いは間接税、海外收支差を合せまして、国民総
生産の市場価格と申しますか、総收入
部門を出しまして、それを個人償却
部門、財政蓄積
部門、
民間資本形成
部門、この三本のルートにそれぞれ配分したのでございますが、個人消費の支出に関しましては、二十四
年度を大体
基準年度にいたしまして、その後における
人口の増加並びに
生活水準の
上昇率をかけまして今後の消費支出の消費性向を見たわけでございます。それから財政の支出に関しましては、間接税或いは直接税、專売益金等を合せまして財政の規模をまず
考える、同時に
国民所得の増加に伴います自然増に関しましては、三分の一を減税に充て、三分の二を公共事業に充てるという
考え方でございまして、その結果財政の規模が、ここに書かれたような消費支出
部門、財政から行く資本形成
部門、それから補助金
部門というふうに三本に分れておりますが、このようなトータルが出て来た次第でございます。そういたしますと、総收入の面から個人消費支出或いは財政支出
部門を引きますと、残りが全部
民間資本形成の中に本当は入るはずでございますが、
民間資本形成のほうは別途これ又詳細にやりました結果、どうしても現在或いは過去の
傾向等を見ますと、二十六
年度以降はここに掲げられましたような
計数くらいが恐らく限度じやなかろうかというふうな
数字が出て参りましたので、それをそのまま採用いたしまして、そういたしますとどうしても不釣合のものが出て参ります。配分未済所得というものが不釣合に相当する
部分でございまして、これは
計算の
誤差の結果こういう
数字が出たのか、或いは一部は消費支出なり或いは
民間資本形成等にそれぞれ配分されて行くものなのか、
内容ははつきりしませんが、いずれにいたしましてもこういう未済所得
部門が仮にあるといたしますと、何とかしてこういう問題を資金ルートに載せて建設のために使いたいというふうに
考えられます。以上が大体
国民経済予算の概要でございますが、それに引続きまして次に
自立経済達成上の諸問題、
問題点と
対策でございますが、
問題点は大きく言いますと今まで申上げましたように規模の
自立経済の
内容を持つた
経済構成をとるといたしますと大きく
三つの問題が出て参ります。
一つは
輸入確保の問題、
一つは
自給度の向上の問題、
一つは資本蓄積の問題でございます。
そこでその三
部門を中心にいたしましてそれぞれの諸
対策を
重点的に大きい問題だけを提示いたしましてございますのですが、第一点は
輸入の確保の問題でございまして、本案の
達成のためには
輸入を
計画通り確保するということが絶対條件だというふうに
なつております。でその
輸入に関しまする諸
対策といたしまして二十四頁以下にそれぞれ項を分
つて書いてございますのでお読み願いたいと思います。項目だけ申上げますと、一点と二点は資金の問題でございまして外貨資金の運用の問題、それから
輸入金融の問題でございます。それからその次は機構或いは組織等の問題でございまして、
貿易協定の改善の問題、或いは備蓄
輸入の推進の問題、或いは在外買付機構の充実り問題等でございます。その次には
輸入力の背景をなす外貨の獲得、或いは
輸入原材料を確保するための対外投資の問題、
最後に船舶の問題というふうに分けまして、そのそれぞれの
対策を提示しております。
その次にはこの
輸入を確保する上に必要なる船舶の拡充の問題でございますが、船舶の拡充の問題につきましては、
先ほど申述べましたのでその
内容は省略させて頂きたいと思います。
それから次は
自給度の向上の問題でございまして、
自給度の向上の面に関しましては、
先ほどから申上げましたように主として本案では米麦の増産を主体にしてございます。それに伴いましてできた
食糧の貯蔵の問題、それから同時に鉱工
部門では地下資源の開発の問題と、それから合成
纎維工業の振興の問題を問題として取上げまして
答申しております。それからもう
一つは
電力の問題でございまして、この
電力の問題は
先ほど申上げましたようにあれほど思い切
つて電力の増強をやりましてもなお且つ
電力というものは逐年豊水で十億キロワツト・アワーくらい不足するというような
建前に
なつておりまして、更に一段と
電力の確保のために諸
対策を講じなければならんということをまあここで語
つておるわけなんでございますが、いろいろこの
作業をやります上で
先ほどから申上げましたように、一番苦労した点はこの
電力の問題でございまして、仮に
輸出を今より以上に伸ばすといたしましても、
電力がありますればまだまだアルミにいたしましても、化学肥料にいたしましてもどんどん伸ばし得るのでございます。それから仮に
自給度を向上したいという面を
考えて見ましても、まあ
食糧の面では塩、衣料の面では化学
纎維、或いは合成
纎維、それからその他地下資源の点では非鉄
関係、或いは鉄
関係の電気製錬
関係といつたような
国内の
自給度を高めますためにどうしても
電力数というものが一番根本に
なつておりまして、今後とも
情勢の
変化、如何なる場合がございましても
電力の徹底的な開発という問題が
日本産業を伸ばす上において最も必要ではなかろうかというふうに
考えられます。
電力の
達成、
先ほど申上げました資金等の
達成の問題に関しましては、後ほど
ちよつと簡單に触れたいと思います。
それから次に
物資の需給
関係でございますが、
物資の需給の
関係は
先ほど申しましたような
輸入量が仮にこういう手段を講じまして確保できる。又相手国でもそれぞれ応援してくれましてこういう工合に
輸入が確保できるということになりますと、大体需給
関係は
物資的に見ますとそれほどアンバランスな点はないように
考えられます。勿論鉄
関係の特定品種、或いは非鉄金属の一部等は若干逼迫された
状況は
考えられますが、全般的に見ますとまずまず需給バランスというものはとれるのではなかろうかと思います。但し戰略
物資と言いましようか、世界的な、国際的な稀少
物資、特に国際的な割当等を近くやられるであろう諸
物資に関しましては国際的な問題も
関連もございまして、何とかして
輸入を増すというばかりでなしに、
国内的にも消費規制の問題、或いは
輸出の
調整等の問題が当然緊急な問題として必要ではなかろうかというふうに
答申してございます。
それから各
物資に関しましては、鉄鋼、肥料、
纎維、木材、石炭等にそれぞれ
問題点として指摘してございますが、これは省略いたしまして、ただ木材の点でございますが、木材の点に関しましては
鉱工部会並びに建設
部会から出ました住宅或いは建設用諸木材、その他
パルプ等の所要量と農林
部会から出しました適正伐採量との間には非常に大きい差がございまして、この差を
貿易部会で
輸入等で
調整しようといたしましてもとても不可能なくらい大きい
数字でございますので、この三者の
調整は非常に問題が複雑でございまして、時間の
関係もあ
つて遂に
最後的に
調整をとるまでに至らなか
つたのでございますから、止むを得ずそのまま二千万石という未
調整の
数字を出してこの
答申をしております。
それから
最後に資本蓄積の問題でございますが、資本蓄積の問題に関しましては、この
計画を
達成します
一つの一番大きい柱と申しますか、要するに
計画を
達成するための手段といたしましては
貿易の問題と資本蓄積と申しますか、資本の動員をどういうふうにしてこの
計画達成に活用するかという問題が手掛りの一番最大のものでございますので、この資本蓄積の面に相当
重点を置きまして
作業を進めたのでございます。その結果一応
建前といたしましては、従来の
民間資本蓄積を助長するという
基本ラインはそのまま強く踏襲いたしまして、従いましてその中に含まれます個人の貯蓄増加の問題、或いは企業の自己蓄積の増大の問題、或いは証券市場の育成の問題等、これにつきましてそれぞれ
対策を
考えまして、その詳細な点は三十六頁に別表へ一応出しておりますので、後でお読み願いたいと思います。そういうふうにいたしまして極力
民間資本蓄積を先ず図るという根本原則をそのままとることにいたしたのでございますが、どうしても
民間の資本蓄積のみではこういう
計画を
達成する上におきまして強さの点、或いは早さの点で追いつきませんので、同時にこの
財政資金の効率的な運用の問題と同時に、もう一点はどうしてもこの
長期金融機関というものを何かの形で作
つてもらいたい。これは開発銀行のような形式でもいいし、或いは復金の回復のような形でもいいし、或いは興銀なり、勧銀なりの特殊銀行に対する、勧銀の問題でもいいですが、この
部会では何が一番いい
長期金融機関かというそこまでの
結論は勿論出しておりません。それは今後の問題だと思いますが、いずれにいたしましても今申しましたような何かの形で
長期金融機関というものを確立して、こういう必要な
産業には必要な
長期資金をつけるようにしてもらいたいというのが最終的な
結論に
なつております。それから
産業の
設備資金に関しましてはいろいろ問題がございましたのですが、どうしても国の
経済全般から見まして放
つて置くとなかなか資金がつきにくい。併しながら
経済の全般の
伸びを
達成するためにはグルンドになる
産業を選びまして、そのグルンドになる
産業に関しましては別途何かの適切な措置を講じてもらいたい。
電力の問題、海運
対策の問題、農林
対策の問題、
三つに分けまして
対策を練
つて来たのであります。
電力の問題に関しましては極力自己資金を増さすということが一番いいのじやなかろうかという
結論に達しまして、早く再編成を終えまして、この
電力料金の
合理的な改訂を行いまして、自己資金を、建設資金を持たせたいという点が一点と、それからもう一点はダムの大規模の電源開発、例えば只見川とか或いは熊野とか琵琶湖とかいつたような大規模の電源開発というものは、とても
日本の資金のみを以てしては非常に無理がある。今の資本蓄積力から見まして非常に無理がある。こういうことはどうしてもやらなければならんということはわか
つておるが、
日本の資本としては無理なんで、できたら
民間外資等を仰ぎまして、これによ
つて建設を一刻も早く図
つて頂きたい。若しその
二つの問題が、特に現在の
電力料金の改訂等の問題がなかなか困難な場合には、さつき申しました
長期資金金融機関から何かの
長期資金を提供するとか、或いは見返資金等からの枠を増すとか、或いはできますれば減税等の措置を
考えてもらえんかということにこの
答申では
なつております。海運の問題に関しましては自己資金蓄積の問題がなかなかそれほど期待できませんので、專ら見返資金の枠の拡大と同時にさつき申しましたような
長期金融機関、或いは何かの
財政資金というものを直接、間接的に提供せられることが必要でなかろうかということでございます。それから農業に関しましては、農産物の価格を
引上げましてこういうドラスティックの増産を図るという方法をとらないで、価格の面はその増産の手段として用いないで、專ら公共事業費等の国家資金の金融によ
つて増産又は増加を図
るというような
建前に
なつております。
それから次の公共事業、公企業、外資導入等に関しましては一応省略いたしたいと思います。
それから次の
輸出促進、或いは労働
対策等に関しましてもお読み下さればおわかりになりますので、一応省略いたしますが、ただ労働
対策に関しましては、
先ほど申しましたような資本蓄積の貧弱な
日本といたしまして、なかなか資本の面から、特に国家財政の面から失業等の改善を図るということが非常に困難な要素が多うございます。で專ら
生産を上げまして、それによ
つて分配乃至は労働條件の改善というものを図
つて行くというほうに本案では主力を注いでおるのでございます。
それから
最後の
結論といたしましては
先ほど申しましたように、このくらいの
経済の規模というのは、少くとも
日本の
国民経済の
合理的な循環というものを維持し、同時にこの民主的な
基礎というものを確保するためには、最大の限度ではなくてこれは最小限度なんだ、そこでこれくらいの限度というものはどうしても確保しなければいけないという点と、併しその最小限度の規模が
輸入の価格の問題、或いは
自給度の向上の問題、或いは資本蓄積の問題といろいろ諸困難な問題がございまして、その強力な
対策の実現によ
つて初めてこういう規模の獲得ということが可能なんだという点、更に問題が
変化して参りますればそれに応じた彈力ある
調整というものは望ましいということで
結論に
なつております。以下附表等ございまするが、大体大略を御
説明申上げました。
〔委員長退席、理事石坂豊一君委員長席に着く〕