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1951-02-06 第10回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月六日(火曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣送付) ○理事補欠選任の件   ―――――――――――――
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより予算委員会を開きます。先ず最初に講和問題を中心とする国際情勢につきまして、外務次官から説明を聴いて質疑に入りたいと思います。
  3. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) ダレス特使が訪日されましてから、対日講和に関しまする、講和問題に関しまする点が内外におきまして相当注目の的に相成つておるのでありまするが、対日講和問題に関する関係情勢について申上げたいと存じます。  御案内のように、昨年九月十四日トルーマン大統領が対日講和促進を声明されましてから、アメリカ国務省ダレス顧問中心にしまして、対日講和促進を期しながら、極東委員会加盟国とそれぞれ單独会談を非公式に進められて参りまして、十月二十六日マリクソ連代表との会見を最後といたしまして、これらの国々とも会談を一応終り、いわゆる第一段階を終了したように思われるのであります。この会談アメリカは七項目からなりまする提案関係各国にそれぞれ提示をしながら、それを中心にして各国様子を打診いたしておつたのでありまするが、十一月二十日マリクソ連代表アメリカ提案に対する説明を求める覚書を手交いたしたのでありまして、これにつきましては、ソ連政府がその翌々翌日の二十三日にモスクワ放送アメリカ提案の七項目並びにこれに対するソ連覚書を公表し、引続いてアメリカ国務省もこれを公表いたしましたので、周知いたされておる通りであります。ソ連のこの覚書に対しまして、アメリカ政府は、十二月二十八日にマリクソ連代表覚書の形で回答を行なつたのでありまするが、この回答国務省から発表された通りであります。  一方、朝鮮におきまする戰乱は、中共が介入をいたしましたために、国際連合中心とした平和回復努力が妨げられて、その解決がだんだん遅延して参り、対日講和の問題もその影響を受けまして遅滞するかに見られて参つたのであります。又アメリカ政府部内におきましても、国務省、国防省の両省間に対日講和に関する対立が、再び見られるように相成つたとも伝えられるに至つたのであります。ところが本年に入りまして、トルーマン大統領年頭教書、並びにマツカーサー元帥年頭声明にも触れましたように、対日講和を積極的に促進するというアメリカ政府の決意が明らかにされまして、伝えられておりました国務、国防両省対立も解消された模様でありまして、十一日にはダレス国務省顧問トルーマン大統領特使として日本に派遣することが公表されまして、今回の来訪となり、その後の動きにつきましては、御承知通りであります。  七項目提案に対しまする各国態度についてこれを見ますると、ソ連におきましては、先ほど申上げました通りアメリカ提案に、七項目に関する提案回答を求める形を以てソ連が数項目に関する説明覚書を提出いたしたのでありまするが、この覚書を通じて見られまする点は、第一に一九四二年一月一日の連合国の、いわゆる單独講和に関する共同宣言解釈、第二には、領土問題に関しまするいろいろな諸協定解釈、第三には安全保障の問題、こういう問題につきまして、アメリカ側相当の懸隔があるようであります。  中共につきましては、周恩来外相北京政府成立以来初めて昨年の十二月四日に対日講和問題に関する公式声明をいたしたのでありまするが、この内容を検討いたしますると、第一には中共政府中国唯一合法的政府であつて、対日講和には当然参加しなければならないので、北京政府の不参加会議は無効であると主張いたしておりまする点、又カイロ宣言ヤルタ協定ポツダム宣言及び極東委員会の広規模な対日基本政策は、対日平和條約の重要な基礎をなすものであるが、アメリカ政府はこれを公然と放棄しておるという点、或いは領土問題に関するアメリカ提案は、諸協定に違反であると述べておりまする点、又占領軍の撤退、日本再武装の反対、こういう点を主張いたしておるのでありまして、ソ連態度と大体軌を一にしておると見られるのであります。  英連邦諸国動きにつきましては、本年一月四日から十二日まで九日間ロンドンにおきまして、英連邦首相会議が開催されました際に、対日講和問題について積極的に討議された模様でありまして、これによつて従来の態度が一層明瞭に相成つたと思われるのでありまするが、会議そのものが非公式でありまするために、詳細にその内容を了承することが困難ではありまするが、終了後の最終コミユニケにおきまして、会議ではほかの諸問題と並んで、対日講和問題及びこの対日講和條約に含まれるべき保障処置の問題を検討したと発表いたし、又共同宣言におきましても、日本及びドイツと速やかに講和條約を締結する必要があると宣言いたしておりまする点から見まして、これらの点に対して各連邦首相意見が一致したと見るべきであると存じます。又消息筋の報道として伝わつておりまするところを総合いたしますると、中共ソ連両国を含めて対日戰参加したすべての国家が対日講和会議参加すべきであるということ、次には中国政府として中共政権参加せしめることが必ずしも中共政権そのものを承認する意味ではないということ、又ソ連中共会議参加を拒みまする場合には、両国参加なしでも対日平和條約は速やかに起草されなければならないという点で意見が一致しておると言われておるのであります。又日本の再軍備につきまして、大部分の連邦首相は米国と同調する用意があるが、その際には次のもろもろの保障を要求するものと見ておるのであります。第一は日本の兵力を非共産圏に固く結び付けるという点、第二はアメリカ日本軍隊を駐留させる権利を持つべきであるという点、第三は対日講日調印国は、将来日本がその一カ国を攻撃した場合には、日本に対抗することに同意するということ、次は将来日本海空軍の中で攻撃的性質を持つものを制限するという点、又講和後の日本経済的地位につきましても日本の産業に一定の制限を設くべきであるかどうかという点につきましてイギリスとインド或いはパキスタンとの間に意見対立があると伝えられておるのであります。  その他の国々態度を見ますると、中国政府におきましては、いわゆる台湾政府におきましては、台湾、膨湖島の処理に関するアメリカ提案以外は、アメリカの今回の提案に対しては異論がなく、自衞のためにする日本の再軍備アメリカ軍日本駐在に関する日本アメリカ両国個別協定にも別に反対しない意向と伝えられております。フイリピンにおきましては、早くから賠償要求日本軍事力復活を防止する主張相当強く主張され、この強硬な対日態度を緩めていないようでありますが、日本防衞の必要はこれを認め、そのためにいたすべき処置に関しましては、細心の考慮を拂つておると伝えられておるのであります。大体以上であります。
  4. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 御質問がありますればどうか……。
  5. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 中共のほうは日本アメリカ單独講和をした場合に、それを認めないというお話でしたが、ソ連のほうはその点はどうなんですか。
  6. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) ソ連はこれに対するいわゆるアメリカの七項目に対しまするソ連の更に覚書の形における質問を出して、それにアメリカが、只今申上げませんでしたが、場合によつては四十二年一月一日調印された四十七カ国全部の講和は困難という場合には、止むを得ず同調する国々としなければならないという、回答後におきまする態度はまだ示していないようであります。
  7. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 そうすると我々はソ連の方は仮にアメリカ單独、多数講和ができた場合には、意見が保留してあるわけですか。
  8. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 保留ということは如何かと存じまするが、正式な質問並びに回答の応答の中には、その後は現われて参つておらない。今後のことは存じません。只今段階はさようになつております。
  9. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 次官は今後そういう何かはつきりした回答が現れるであろうという見通しは持つておりませんか。
  10. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 更に具体的な進捗が今後アメリカソ連におきましても続けられると思いますから、そういう際に更に具体的な進捗を見るのではないかと思います。
  11. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 中共をアグレツサーとしての決議案が通過する前後の経緯についてもつと詳細な説明を願いたいと思います。
  12. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 余り詳細な様子は実は新聞報道以外にはわかつておりません。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体新聞切抜き程度の御報告は伺つたのでありますが、我々非常に今国際問題を注目しておるのは西ドイツの再軍備の問題ですね。これはその結果が日本にどういうふうに現われて来るか向うの現れ方もこつちにも参考になり、それともう一つ朝鮮戰局なんですが、この二つの点について成るべく詳しく御説明を願いたいと思います。
  14. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 西ヨーロツパ北大西洋條的十二カ国加盟防衞の問題に併せまして西ドイツの再軍備の問題が昨年初秋以来盛んに検討されて参つてそうして今日に至つて参つたのでありますが、昨年末に統一軍を結成した。これに西ドイツ一部分的軍として編成させるということを決定して、そして西ドイツ意向を打診しながら進んで参つたようでございます。このことは御承知のことと思います。併しその後更に具体的の決定は現在まだそこまでは進んでいないようでありまするが、一応の状態は只今申上げました西ヨーロツパ統一軍の中に西ドイツ加盟せしめる。こういう北大西洋條加盟十二カ国はその意見に一致し、更に最近、今年に入りましてからアメリカ、フランス両巨頭の会談におきましてもこれを確認しながら進んで参つておるようであります。  又朝鮮戰局は去月の二十五日から新らしい国連軍攻撃の展開によりまして現在は相当国連軍の有利な態勢を以て展開されて参つておるようでありまするが、昨今京城中心にした進撃が相当強く展開されておるようでありまして、中共共産軍のこれに対する攻撃相当積極的のようでありまするが、共産軍の損失が相当大きいようでありまするので、恐らくはここ数日の戰局におきましてその大体の様相がはつきりして参るのではないかと考えるのであります。大体以上であります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は今までの経過については、大体いろいろな報道がありますのでお話通りだと思うのですが、一番お伺いしたいことは、先ほど西ドイツの再軍備の問題でも、統一軍の下に西ドイツ軍隊を入れるということに対してアデナウアーその他が平等権主張しておるわけです。又ドイツでも輿論調査をやりましてだんだん再軍備反対のあれが強くなつておるのです。それで外務当局としては見通しですね、どういうふうに見ておるか。英米はそういうふうに決定しましたが、又前の北大西洋理事会でそうきまつて、その線はきまつておるんですが、ドイツにおけるアデナウアーその他の、又国民の再軍備に対する反対、或いは又やるにしても平等権を非常に主張していますが、その見通し外務当局としてどういうふうに見ておるか。それからもう一つ朝鮮戰局につきましては最近又連合軍攻勢が始まりましたが、これは我々としては今までずつと退いたのが又再び攻勢に転じる、これはどういう意義を持つているか。朝鮮動乱の終局というものとどういう意義を持つているか。我々前は局地的な解決になつて行くのではないかというふうに見えましたが、どうもそうでもないようですし、最近の又攻勢というものの意義国際政局上における意義というものを外務当局としてはどういうふうに見ておられるか。それとまあ関連して結局朝鮮動乱解決の方向をですね、そういうものを何かヒントが得られるかどうかと思いましてこの二つを重ねてお伺いするわけであります。
  16. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 前のお尋ね西ドイツの再軍備並び北大西洋條加盟国の問題との関連においての今後の見通しは、一体外務省はどう思つておるかという御質問と拝承いたしましたが、実は今後の見通しをここではつきり申上げることが困難であろうと存じますが、大体は北大西洋條加盟十二カ国の一応の様子を現わしまして、これが西ドイツ国民との同調の方法、時期というものにおいての今後の動きが強く見られるのではないかと考える。又朝鮮動乱についての先月末からの新しい攻勢の持つ意義なり或いは今後の朝鮮動乱見通し、これ又にわかに即断いたしますることは誠に困難であろうと存じますが、本質は国連軍は、朝鮮平和解決のために全力を注ぐ、そのためには、にわかに朝鮮から撤退するというようなことはいたさないという観点の下に、且つ又、最近の国際連合中共侵入非難決議等中心といたしまして、朝鮮平和解決のためには相当積極的に進んでおるという態度の現われであろう、かように思考いたしておる次第であります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今まで御説明を伺いましたが、その程度お話でしたら新聞雑誌により詳しく出ておりますので、御質問しても意味ないと思いますので、これで私はやめます。
  18. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の木村さんのお尋ねに関連するのでありますが、将来の朝鮮戰乱見通しという問題で極く新聞程度お答えがあつたのでありますが、私が従いましてこれに関連してお尋ねしたいと思うのは、外務省情報をどういうふうにして取つておるかということであります。それが一つであります。それから、それと関連してでございますが、たしか中共軍が介入する少し前だつたと思いますが、長春会議というものが開かれたように聞いておるのであります。それには、ソ連中共北鮮大官連中並びに、軍の最高責任者等が出席をしたということを聞いております。ソ連からは陸軍の総司令、名前は私は一々覚えておりませんが、海軍の総司令、参謀といつたような連中中共軍の同じく朱何んとかいう総司令官、それからソ連人軍事顧問北鮮では金日成、それから北鮮ソ連軍事顧問といつたような最高連中集つて長春長春会議を開いたということを聞いております。この会議がどういうことを協議し、そしてその会議の中で日本に対して今後どういうことをしようということを相談したかというようなことが大体わかれば、朝鮮の今やつておるソ連の、中共軍出方等が自然今後の見通しにもわかる。こう思うのでありますが、その情報がどういうふうに外務省では取つておるのか。それに対する考え方をどういうふうに従つてつておるかというふうなことを詳細に知りたいと思います。
  19. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) (第一の外務省にどういうふうにして情報を取つておるかというお話でございますが、実は現在いつも総理も申しますように率直に申しますと、つんぼさじきと申上げるほうかいいと存じます。いわゆる在外公館の正式な情報を取るという現在地位にありませんので、誠にこの点は遺憾でありまするが、大体在外公館としては、在外事務所を少し持つている程度であります。而もこれには相当の制約を受けておりまして、政治上の動きということはなかなか困難な情勢にありまするので、一般新聞情報その他によつて受ける以外には情報がないと申上げるのがこれがはつきりしたことだと思います。従つて第二のお尋ねの或いは長春会議、或いはその他九月初めに行われたといわれますような委員会、その他いろいろなこれに関しまするいわゆる情報は伝わつておりまするが、その具体的内容なり、その確実性につきましては、これを詳らかにする具体的な方法がないのでありまするので、この点私どもただ想像として検討いたしておるに過ぎないことを御了承願いたいと思います。
  20. 永井純一郎

    永井純一郎君 只今お答えでありまするが、そういうふうに外務省がつんぼさじきでありまして、情報なり知識というものは單に内外新聞程度であるということだとすれば、今日まで総理初め政府当局講和の問題についていろいろな主張をし意見を述べておるのでありまするが、それはただ單にそういう極く基礎のない、はつきりした基礎のないものの上から判断して言つておるのか。或いは主として司令部との話合いによつて司令部から種々の情報を得て、或いはその指図といいまするか、そういうものによつてただつておるのかという点を更に知りたいと思います。  それからもう一つは、在外事務所の機能は主として経済的なものに限られておつて軍事政治等に関する詳細の情報政府のほうに持つて来ることはできなくなつておるのかどうか、その点を更にはつきり知りたいと思います。
  21. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 第一の問題は、具体的に申上げると、今の内外通信、或いはその他の情報ということによつて得ておりまする程度でありまするが、併し外務省自体におきましては、それらの上に立つて持ち得る限度最高を発揮しながら、世界動きの把握に努力をいたしておる次第であります。そこが大変、かような情勢にありまする日本といたしまして誤りなき情勢判断を下すというとに苦労しながら努力をいたしておる点であります。従つてそういう際には或いは司令部等相当情報の入手により具体的な指示を受けておるかどうか、それによつてつておるかというお尋ねでございまするが、そうではなしに、情報なり、世界情勢判断外務省自体における情報キヤツチによつていたしておる次第でありますから、その点もさよう御了承願いたいと思います。  又在外事務所の中には主として経済的な問題が中心で、軍事政治という問題はいたさないことになつておりまするのは、皆さんの御協賛による在外事務所設置法の中に現われておりまする仕事だけをいたしておるからであります。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 只今永井委員質問非常に重要な問題に関連していると思うのであります。只今お聞きしますというと、世界情報を正確に取る機関がない、それで大体新聞情報程度のものしかない。そこで外務省でこれを判断する、こういうことになつておるのであります。そうしますと、その判断根拠というものが非常に稀薄であるということが第一に考えられると思う。そうするとそこに相当な主観が入つて判断が成立しているというように考えられるふしが出て来るのではないか。例えばこの前の外交白書昨年でありますか出されました外交白書のようなものは、今次官がここで話された程度つまり情報によつて作り上げられたものであるとすれば、これは重大な問題を持つのではないかというふうに私は考えるのでありますが、私はそこでお聞きしたいのでありますが、外電はどの程度つておるのでありますか。例えばいろいろなUPとかAPの外電は入手されておると思うのでありますが、そのほかに少くともタスとか新華社等外電は入つておるのでありますか。それから入つておるとすれば、そういう資料はこれは外務省にあるはずであるから、これは外務省だけが握ることでなくて、これを例えば国会の審議の場合には我々が非常に重要でありますから、そういうような資料をこれは外務省に、少くとも今日本機関のうちでは何といつて外務省が一番そういうふうな情報機関を持つていると我々は考えざるを得ないのでありますから、そういうような資料がもらえるのであるかどうか。いやもらえるのであるかどうかということでなくて、これはもらいたい。そうしなければ我々は職責を果すことはできない、こういうふうに考えるのでありますが、こういう点は外務省にはそういう資料があつて、いつでも議員の請求に対してはそれを出す考えを持つておられるかどうか、その点先ず伺いたい。
  23. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) お尋ねのようにただ單なる外電或いは通信等でどの程度外務省に入つておるか。公式に日本に入りますのは大体入つておると御了承願つて結構であります。非公式のものはこれは別でございますが、従つて又いろいろそういう情報から朝鮮動乱とそのほかというようなものを書いては誠にきりがない。これも今申上げましたような情報限度でございますが、併しそれぞれの会議なりそれぞれの場合に一番よく把握し得るのは正式発表でございますが、この正式発表は現在は通信網、或いは新聞その他には相当キヤツチされておりまして、それがただ重要度において日本新聞に載るのと載らんのとはありましようが、最も公式な……或いはコミユニケ、或いは共同宣言等は、これは最も正確なものであります。そのそれぞれの会議或いはその他における世界動きは、そういうもので発表されておりますので、決して主観的な判断ばかりではなしに、それらのものを中心にして進んでおりますことを一つ御了承を願いたい。従つて又これらの情報、いわゆる公式情報に対しまして御入用の際はどうぞ御覧を願いたいと思います。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 公式の場合はまあ新聞に出る、だからそれで大体間に合うじやないかというような御返答だと思うのでありますけれども、やはり外務省がどういうふうに判断しているか、そうしてその根拠はどうであるかというところがやはり重要であります。これは外務省判断そのものを一応まあ信頼しておればいいのかも知れませんけれども、併しそうばかりもいかない。やはりこれは国会はもつと広い視野に立つて、むしろ外務省そのもの判断そのものをも判断するところの重大な責任を持つているのでありますから、そういうような根拠になるものを我々が少くとも資料として要求すれば、これはもらえるだろうというように我々は確信しております。その点が非常に重要であります。  それからもう一つ、なぜそういうことをもつと言わなくてはならないかといいますと、今の新聞報道機関成るほど公式なものについては一応発表がありますが、併しそれは例えば三つの新聞を比べて見ればはつきりわかるのでありますけれども、或る場合には一部省略になつており、或る場合には一部非常に過大に宣伝になつておる。或いはタイトルを見ると、そのタイトルが非常に大きくいろいろな性格を出しておる。つまりそこに性格が、必ずニユアンスが出ておるのです。こういう形のつまり情報だけでは、我々はただ信頼の度合がやはり薄らいで来るということはこれは事実であります。従つてそういうような我々は目隠しをされ、つんぼさじきに追いやられるということが、何といつて日本のこれは一番大きな不幸であると考えざるを得ない。何故かといいますと、これは屡々繰返した論議でありますけれども、日本が何故あのような馬鹿げた侵略戰争をやつたか、そうして日本を今日のような敗戰地位に落したかという一番大きな点は、何といつて世界的視野を持たなかつたということ、世界の客観的な情勢を正しく把握することができなかつた国民的判断が十分確立できなかつたというところに一番大きな欠陷がある。従つてポツダム宣言を受諾して、今後再びあのような過誤を繰返さないという、日本人としては飽くまでも前轍を履まない、こういう深い決心を持たなければならないのでありますから、できるだけこれは目隠しのないところの公正なものを持ちたい。こう考えるのはこれは日本人の今考えておるところの当然なさなければならないところの責任でもあり、又義務でもあると考えます。その点は私は外務省そのものがつんぼさじきに追いやられて、世界情勢がよくわからないというその態度が実はおかしいので、できるだけ努力し、あらゆる世界関係国連合国各国に対しましてそういうような要請をしてその道をむしろ開くべきものが外務省の最大の任務であるとさえ我々は考えていたのでありますが、そういう点からしましてそういうような努力を一体今までやられておつたか。或いは今後そういうことを考えられるかということ、それから資料のほうで、資料をもらえるかということについて具体的な答弁を願います。
  25. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 私がさきにいわゆるつんぼさじきというような、今の御質問のような内容を申上げましたのは、いわゆる日本在外公館を持たないために自主的な資料を得られないということであります。従つて仮に現在のいろいろな世界動き、公式その他の情報を正しく判断いたしまする場合には、決してそのことがつんぼさじきではないと存じます。でこういう世界動きに対しまして、外務省は一体努力しておるかという点でございますが、これは持つておりまする力の最大を発揮しながら努力をし、又今後も努力をいたす覚悟でございます。従つていろいろな正式な情報等は必要があつたら十分御覧願つて結構だと存じておる次第であります。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 私の努力といいましたのは、つまり今持つておる機関のなかで、できるだけの努力というのではなくして、そういうことを各国日本の決意として、むしろそういう道を打開するように関係各国にむしろそういう点を要求し、そういう道を開く、そういう点について申上げたつもりであります。  資料につきましてはこれは適宜我々は必要なものを外務省の持つておるそういう資料について殊に外電でありますけれどももらいたい。今次官からそういう話がありましたからそれをもらいたいと思います。  なお先ほどの前議員のかたがたの質問に連関してお伺いしたいのでありますが、この西独の再軍備の問題でありますが、これについて大体一応の殆んどこれは新聞常識程度のことを言われたのでありますが、西独の国民の輿論というものについて、これはどういうふうに外務省はつかんでおるか。つまり我々の耳にしたところによりましても、殆んどこの再軍備反対の声が多い。そうして又アデナウアー首相は、場合によつてはこれを国民の投票によつて軍備の可否を問いたい。こういうことを一方において声明しておるような情報が出ておるのでありますが、これについて再軍備に対する反対は非常に強い。こういうふうにつかんでいるのでありますが、外務省はこれをもつと明細にどのようにつかんでいるか、これを承りたいと思います。
  27. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今申上げましたような又只今質問にありましたような程度でありますが、再軍備に対します西ドイツ国民の輿論は、ただ單なる再軍備というものににわかに賛成するのではなく、その基本的な問題をよく掘下げた上の問題として強く取上げているということに承知いたしております。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 どうもその強く取上げているといつても、非常にこの反対の輿論が強い、もう圧倒的である。むしろこれはこの前報道されたのでも、これはもう七八%ですか、それくらい反対の声が強いというようなことが新聞紙でも報道しているのであります。而もここに再軍備に対するところの反対輿論がどういう形で現われているか。例えばドイツの、これはつい最近の選挙、殊にアメリカの占領治下におけるところの地方選挙におきまして、この再軍備の工作を進めているところのアデナウアーの党が、再軍備反対を表明して選挙に臨んだところのシユーマツハーの社会民主党に大敗したというふうな実例が出ている。大敗した原因は、これは再軍備に対して飽くまでその方針を進めようというようなことが国民から非常に反撃を喰つた。こういうふうな情報なんかも我々はたくさん聞いているのでありますが、こういうような実情についてもう少し外務省に細かな資料があるかどうか。  それからもう一つお伺いしたいのは、実は西独のことだけ話しているのでありますが、日本の再軍備に対する各国の輿論はどうか。例えばイギリスにおける輿論、それから濠洲における輿論、それからフイリピンあたりにおけるところの輿論、こういうふうなものも新聞紙にちよこちよこ出ているわけでありますが、外務省はこういうものをどれだけつかんでいるか。日本の再軍備の問題は非常にやはり世界一つの輿論の標準をなしていると考えられますので、これは誠に非常に重要な問題だと思うのでありますが、外務省はどのようにつかんでいるかこれを承りたいと思います。
  29. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 西ドイツの再軍備に関しまする輿論の大勢は、結局再軍備というものは一つの現われであつて、根本は西ドイツの安全、その安全の上から、安全を守るためにはどういう方法でやるかということが再軍備の論点の中心だと考えます。従つて重なる同じ再軍備にしても、その安全を守り得る程度の再軍備でなかつたら、却つて不十分だという議論が相当占めているかのように情報等で私どもは考えております。日本に対しまする再軍備は、先ほど例えばイギリスその他英連邦諸国の間におきまする輿論が実は最初申上げた通りでありまして、或いはフイリピンにおきまして、ニユージランドにおきましても、濠洲におきましても、インドその他の英連邦におきましても大体只今御報告申上げた程度で、その他には方式の部分的な議論は相当出ております。相当出ておりまして、いろいろと或いは賛成なり、或いは強い意見なり、反対なりというのは現われでおりまするが、全体としてまとまりましたのは只今申上げました程度であります。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 それじやまあ最後に今の御答弁に対しまして、やはり正式な政府のそういう意向というものも必要でありますが、やはり国民輿論がどうなつているかということも今後の世界動きに対して見逃すことができないと思うのですが、私はそういう政府が公式に代表した輿論というものについては、一応わかつておるのでありますが、国民輿論が果してそのうしろでどういうふうに動いておるか。そういう点の把握こそ最も重要視しなければならない問題だと思うのでありますが、こういう点まで細かに外務省情報機関努力しておられますか。又そういう事実がありますか、持つておられますか。
  31. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御指摘のように十分そのつもりで努力をいたしております。
  32. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 先般来の各委員の御質問に対する草葉政務次官の御答弁を承わつておりますと、大体国民の誰もが日常の新聞紙を通じて熟知しておりますることを述べていらつしやるに過ぎないのでありまして、新制中学の生徒が社会科で知つているくらいの程度のことで、甚だもの足りなく思うのでありますが、先般来の西ドイツの再軍備の問題についていろいろ御質問がありました。甚だもの足りない御答弁があつたのでありますが、言うまでもなく西ドイツの再軍備問題と、日本の再軍備問題とは、いろんな点において関連性を持たせて我々は考えて行かなければならない問題であると考えております。それに関連いたしまして、西ドイツの治安の維持の対策のことについて、外務省が知つていらつしやるところの情報で、我々は新聞ではそれは承知いたしておりませんので、承わりたいと思うのであります。  第一は、日本の警察予備隊と同様なるものがドイツにもあるということを承わつておるのでありますが、そういうものが西ドイツにおいてどういう装備を持つて、どれくらいの数で、どういうような編成をされておるかということについての外務省が持つていらつしやる情報についてお教えを願いたいということが第一点。  それから第二点は、やはりそれと関連いたしておりまする、特に西ドイツにおけるところの産業施設の警備、産業施設に対するところの治安の維持に対して、特殊の警察隊のようなものが編成されておるということを承わつておるのでありまして、最近映画館におきましても、そうしたニユース映画を見たのでありますが、日本におきましてもそういう議論が今やあちらこちらで大分主張せられておるのであります。それで今申しました西ドイツにおける産業警備隊というような、特殊の警察組織に関するいろんな内容、編成装備、数、その他についての情報をお教え願いたいとお願いすることが第二点。  それから第三番目には、曾つて、これは政府側から警察行政のことを担任いたしておりまする地方行政委員会において承わつたのでありますが、大分前のことでありまして、記憶が、私にもはつきり細かいことは薄らいでおるのでありますが、中共軍の中に少からざる日本の兵士、日本人が加つておるということ、その数は万を数えるものがあつたことを今記憶いたしておるのでありますが、主に火砲、或は航空軍であるとか、そういう特殊の機械的技術を要するところのものに、捕虜になつたところの日本の兵士が相当数加つておる。殊に軍医、衞生の方面におきまして、医療の技術者、看護婦等が多数加つておるというようなことを、法務庁のほうからの教示であつたと思うのでありますが、そういう情報を去年でありましたか一昨年でありましたか、特に聞いたのでありますが、現在それはどうなつておるかということを、当然外務省はそういう情報をお持ちになつておるだろうと思いますから、最近のそうした情報について、御教示が願いたいということが第三点であります。  それから最後に第四点といたしましては、朝鮮事変勃発後のアメリカ新聞を見ておりますと……と言つても、私はニユーヨーク・タイムスのウイークリーしか見ておりませんが、北鮮軍の中に日本人が加つておるという記事があつたのでありますが、果してそうであるといたしまするならば、それに関する情報についても、外務省ではお集めになつておることと思いますので、それを一つできるだけ詳しく、具体的に集められた情報について一つ我々に御教示を願いたいのであります。草葉君以外に事務当局の外務省の諸君も当然来ていらつしやることだと思いますから、政務次官お答えしにくい点は、事務の外務省の当局からこの機会に以上四つの点について、詳細にして具体的なる御答弁をお願いいたします。
  33. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今の御質問の第一、第二は、大体西ドイツの治安の立場からの警察軍、いわゆる産業の治安確保のためになされておるという警備隊を含んだ……
  34. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 いやそれは再軍備に関連性があるから特にお尋ねいたします。
  35. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) この点は特に西ドイツのほうも相当治安のためには、只今お話なつたような方法を講じておるようであります。今案は手許に東ドイツが何人に一人、西ドイツが何人に一人というような実は数字は持つておりませんが、併し治安のためには相当そういう方法をとられておるというのであります。これに又他日その数等は、私どもの持つておりまする資料は、差上げて結構だと思います。  それから中共軍の中に相当日本人の捕虜が或は技術方面、或は殊に航空、衞生方面、或はその他の近代兵器の操縦方面に入つておるのではないか。こういう情報は私どももたくさん聞きまするが、併し具体的にこれを確認するまでに至つておりませんので、單なる情報として只今の御質問程度に私も承知をいたしております。  ニユース・ウイークリーの中に、北鮮軍の中に日本人相当多数入つておるのではないかということが伝つておるということでありまするが、私どもは現在北鮮軍の中に日本人が多数入つておる。従軍しているということは実は考えておりませんし、さような情報は持つておりません。従つて日本軍が今北鮮中共軍の中に相当部隊入つて参戰をしているとは実は考えておらないのであります。
  36. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 私が要求いたしておりまする御答弁は少しも得られないのでありまして、全く茫漠としてつかみどころのないような御答弁で、非常に不満足であるということを申上げて置きたいと思うのであります。西ドイツの治安維持のための警察予備隊用のもの及び産業用警察予備隊用のものの編成、数、装備というようなことは、申上げましたように当面いたしておりまするところの日本の再軍備問題、それに関連するところの西ドイツの再軍備問題と不可分に考えて行かなければならない大きな問題であると考えますから、今の御答弁にありましたような、わけのわからないような御答弁でなくして、もつと具体的なはつきりとしたことを、外務省としては当然にお調べになつていなければならないはずであるから、それをできるだけ具体的に詳細に知らしてくれということを要求いたしておるのであります。  それから第三番目の中共軍内におけるところの日本人の数、その他に関する具体的なるところの御答弁も又得られないのでありますが、私は今その節の資料をここに持つて来ておりませんけれども、その節法務庁からは、相当具体的な数字、その他を挙げての答弁を得ておるのであります。法務庁が持つておりますその数なり、或いは去年でありましたか、一昨年でありましたか、我々に指示いたしましたようなそうした具体的な情報は、当然に外務省が私は持つていらつしやるものだと思うので、特に最近のそうしたことをばお伺いいたしておるのでありますから、お帰りになつて一つ外務省で十分よくもう一度調査をして頂きたい。あなたの下僚がきつとそういうものは持つているだろうと思うのであります。  第四番目には、私はニユーヨークタイムスのウイークリーについて申上げておるのでありまして、あなたがお聞き間違であつたかと思いますが、ニユーズ・ウヰークという雑誌のことを言つておるのではありません。これも又重要なことでありますから、あなたはよく御承知がないようでありますが、お帰りになつて下僚からそういう情報を、我々が満足できるだけのものを一つ集めて、午後の会合で結構でありますからもう一度はつきり御答弁が願いたいということを要求いたして置きます。
  37. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 西ドイツのいわゆる警察軍につきましては、私只今申上げたように数字の具体的なものは手許に今持つておりませんが、装備は大体相当な装備を持つておるというのでありますが、数字の具体的なものは只今持合せませんので、後刻お知らせを申上げます。
  38. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 相当だけではわかりませんね。もつと詳しいことを我々は要求しておる。
  39. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) それから北鮮中共軍日本人が入つておるという点は、私の省におきましても私が今申上げた以外にはないのであります。具体的に或いはその他には出ておりましようが、現在私どもといたしましてはこれに日本人相当加入をして参戰をしているという事実を認めておりません。
  40. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 法務庁で調べて御覧んなさい。
  41. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 又中共の領土内に日本人相当いる、これは政府が正式に六万三百余者まだ残つているということを発表いたしておる通りであります。併しこれによつて或いは衞生、或いは航空或いはその他の中共軍の編成を具体的にいたしておるという点につきましては先ほど申上げました通りであります。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私先ほど質問はやめると言いましたが、従つて一つ希望意見を申上げたいのですが、我々予算委員会国際情勢その他を外務当局からお聞きするのは、この予算の審議の基礎として参考にするためにお伺いしているわけなんですが、実は外務当局国際情勢判断に重大な間違いをおかしたのであります。そのために日本の国に非常な大きな損失を與えたことは御承知であろうと思う。私は本会議で吉田首相にその点をお伺いしたのです。朝鮮動乱見通しが誤つてつた、この前の国会のときにこれは急速に終熄するのだ、こういう施政方針演説をされているのです。それに従つて日本のいろいろな貿易計画とか、その他の経済政策はそれが基礎になつて作られているのだ、又予算もそういうものが基礎になつておるものと思つた。一番大切なときに一つの重大な誤りをおかしたのです。外務省なども情報をしよつちゆう取る、それは少しくらい間違つていてもいいと思います。併し一番重大なときに情勢判断を間違うと非常な損失を来すと思うのです。又政策も根本から間違つて参ると思う。そういう意味で我々は今度の予算審議においてほそういう外務当局朝鮮動乱の一応の見通し、或いは国際経済或いはドイツの再軍備というような、詳しいいろいろな資料は事務当局からお伺いするとして、一応その大きな見当というものをつけて置かなければならないはずです。それでこの二十六年度予算の編成に当つて朝鮮動乱をどういうように見て、国際経済をどういうように見て、ドイツの再軍備をどういう見当をつけて編成されたか。その基礎がなければならないはずです。それを我々はお伺いしているのです。ところが只今の御答弁では、これは事務当局がおられないから無理かと思うのですけれども、それにしても余りに心細いのです。参議院としてもこの程度国際情勢判断を予算審議の参考資料としてお伺いしているのだというのでは余りに情けない。従つて重大な誤謬をおかした。いやこの前おかしていなければいいのです、おかしているのですから、今後よほど褌をしめて外務当局国際情勢判断を間違わないように一つしてもらわなければならない、非常な大きな損失をされている。そこで私は今日御質問しても無理でございますから、今後我々はこの二十六年度予算の審議の基礎として国際情勢その他を聞いておるのでありますから、今後折に触れ、そういう心がまえで御質問しますから、あいまいでなく、わからなかつたらわかりませんから事務当局から具体的なものを一つ調べてお答えする、こういう責任ある答弁をするように用意されたいと思う。参議院予算委員会国際情勢について皆さんの質問には一応何とか答えて置けばいい、こういうような程度では我々は満足しないのです。我々はもつと真劔に考えて今日は予算審議の上に相当参考になる御答弁があると思つて期待して来たのです。遺憾ながらそれは無駄になつたような気がして、甚だ失礼ですけれども実際のところそういう感じがするのです。こういう意味において今後よほどしつかりした勉強をして頂いて、しつかりした資料に基いて、わからなければ專門の事務当局を引連れて来て責任ある我々の参考になるような答弁をして頂きたい。それから重ねて今後情勢判断については非常に重大なんですから、その点を一つ今後外務当局としては努力されるよう希望しておきます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  43. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 トルーマンのいろんな教書というもの、それからこの間の、ダレスの講演にもあつたのですが、内外からの侵略、直接の侵略、間接の侵略、相当いろいろな侵略が予想されるし、従つてそれに対する対策を考えなければならないのだとしていろいろ具体的な論議をなさつていると私たちは承知しているのですが、それならば、今特に日本をめぐつて内外の或いは直接、間接の侵略なるもの、それを具体的にどういうふうに考えておられるか、どういう形において、どういう方式においてそういうものが襲いかかつて来ていると想定されているのか。その点について先ず外務省の御意見をお聞きしたい。
  44. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 日本内外からの侵略というのは、どういう具体的な姿で現われて来ているか。これは現在はつきりとしたこういう具体的な姿というのは、朝鮮動乱中心にした姿においての形で現われておつて、それが一つには国内の治安に対して、いわゆる共産主義勢力が日本国内治安に対する撹乱工作の形で現われて来るという、こういう一つ情勢の下に進んでおることは、しばしば申上げておるところであります。
  45. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 朝鮮の場合においては、具体的に内からは二つの政権の交渉の問題として、外からは北鮮軍、或いは中共軍のああいう形での問題が具体的に提起されて来ている。これは我我よく承知しておりますが、こういうものを考えながら、日本にもそういうものが直接にあるのだということをお考えになつて、いろいろな対策を考えておられるのだと思う。従つてその日本をめぐるそういう方式を、具体的にどういうものとして想定されておるかということをお聞きしているのです。
  46. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 外務省といたしましては、日本の具体的な様相は、それぞれ日本の治安の点について処置をいたしまするが、これが対外的に関連して、そうして対外的な動きをどう国内的に繰つておるかという点に中心の観点を置いで検討してかかつておるのであります。従つて、或いは昨年十一月十六日から二十二日まで世界平和会議においてなされました世界動きが、これが日本の共産主義勢力の上にどういう形で現われて来るか、現われて来るということを予想するかというような、世界との関連性の上から具体的にこれを観るという見方をしております。
  47. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは世界平和会議一つの思想戰が国内において何らかの形で現れて来るだろうというような漠然とした問題であつて、そういう問題をもつと具体的に、国内のそういう侵略の問題とか、思想戰の問題とか、経済政策の問題とか、そういう面においてどういうふうにそれが現れるとお考えになつておるのか、そこの具体的な方式をお聴きしておる。或いは又外からの侵略とおつしやるが、どういう形で、そうして今のような国際情勢の進展から考えれば、いつ頃それが侵略のあれとして実現して来るというようなことをお見通しになつているのか。それらをはつきり具体的にお示し願うことによつて安全保障の問題をどうするかという問題の回答が出で来るので、そつちのほうをはつきり言わないで置いて、ただ安全保障が大事だとか何とか言つたつて、我々にはそれを判定する基礎がない、資料がないと言わざるを得ないのですが、そこらをもう少しはつきりお示しを願いたいと言つてるわけです。
  48. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは、世界動きから関連しました日本の治安に現れて参りまする動きは、相当重大な動きを呈して来るという観点で考えております。従つてそれがまあいろいろな形で現れて参りましようが、この反面になれば、或いは産業面、或いは一般的な治安面に具体的に相当現れて来るのではないか。従つてその様相は決して一応の楽観ではなく、相当重大にお互いに考えながらこれが治安の対策を立つべきである。又対外的な動きはいつ頃いわゆる外敵による侵略という形がとられるかという点でございまするが、これはよほどいろいろな情勢判断しながら捉えて来ないと誤りを来すと思いまするが、その上におきまして、朝鮮動乱がその解決のスピードを早める、遅れるということによつてもいろいろ形が変つて来ると存じまするが、朝鮮動乱そのものが日本に対する外的な侵害の姿に直ちに転換するとは私どもは考えておりません。むしろ日本に対する侵害は違つた観点と一連の関連はあるけれども、違つた関連と姿において現れて来る。従つて單に朝鮮動乱がそのままの姿において延長して来ることではなく、いわゆる日本に対する対外侵略は、同時に或る意味においては第三次世界大戰と言われておる様相をとつて来る姿になつて来るのであります。従つてこの様相はただ簡單に近いうちに直ぐに現れて来るとは必ずしも判断をしておらない次第であります。
  49. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、日本に対する外からの侵略というような問題は、朝鮮のああいう形でなくて、第三次世界大戰というようなものが起きた場合の問題であるというふうにお考えになるのであれば、トルーマンを初めダレスでもそうだと思うのですが、第三次世界大戰は起らないし、これを絶対に避け得るのだという信念の下にいろいろ対策を講じていると思うので、そういう見地からすれば、先ほどの議論と結び合せて、今日本はそういう意味での外国からの直接の侵略の危機はないのだという結論をしていいのじやないかと思うのですが、その点をどういうふうにお考えになつているか。
  50. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 今世界動きは、一方におきましては強く軍備の拡充強化というものが、世界各国動きの中には最も顕著に現れておりますることは御承知通りであると存じまするが、その根本目標は、第三次世界大戰の回避というのが少なくともアメリカその他の自由諸国の中心の観点である。従つてその努力なしにはなかなか避け得られない。日本におきましても同様であると存じます。日本の安全ということの十分なる方法を考えずに、單に第三次世界大戰がある、ないということを予想しながら進むということは、これは相当な危險がありはしないか、従つて第三次大戰の起らないように努力をするということが世界一つ動きであつて、又日本も侵略のないようにするということが日本人としての努力の必然的な点ではないかと思います。
  51. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 従つてその点ではさつきのお話だと、第三次世界大戰にならなければ、直接の侵攻ということは考えられないのだというお話だから、まあそういう議論になるとして追及しておるのですが、その問題はむしろ後刻総理なり、外務大臣にお尋ねするといたしまして、前の問題、内からの侵略の問題ですが、それに対してはまあいろいろそういう危險があるので治安対策を考えているというようなことをおつしやるのですが、直ぐどうもそういう危險があるから治安対策、警察の拡充強化をやるのだというような対策のほうが先走つてしまつて、一体どういう形でどういうことを問題にし、どういうことを根源にしてそういう内からの侵攻、侵略が行われるか、それが又効力を持ち得るかというようなことのせんさくをちつともしておられないのじやないか。従つてただ内から危いぞ、危いぞというようなことばかり言つて、警察力でそれを抑えるというような見当違いなことをお考えになつておるだけで、もつとそういう問題がどこを基点にして、どういう問題からどれを基本的な原因として起つて来るかということを、もう少し冷静に、具体的にお考えになれば、問題はおのずからダレス氏も言つておるように警察国家を作ることではなくて、健康にして安静な、平安な社会を、従つてその問題は国民大衆の生活水準を引上げて行く、確保してやるというような対策でなければならないという結論がはつきりと出て来るのだと思うのですが、それらの問題については、或いは外務省の所管外かと思いますので、私はこれ以上この問題については追及をいたしません。ただそれじや今後の国際的な経済交渉の問題として、一体いろいろな経済自主権を回復しなければならないと思うのですが、その経済自主権の中で先ず関税の自主権をどういうふうな形で回復するというふうにお考えになつておるのか。講和條約を締結すると同時に関税自主権をやられて、そうして講和條約においてはその問題については何らの拘束なしに関税自主権が得られて、従つて拘束を受けることなしにそのまま国際関税機構の中に参加して行けるというようなお見通しであるか。或いはそういう方向として努力をしておられるかどうか、先ず第一点にその点をお尋ねしたい。
  52. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御質問のようにいわゆる治安対策の根源は、二日にダレス特使が演説されました中にも言われましたように、私どももこういう点につきましては、勿論日本自体の経済力も充実しながら国民の生活の安定ということに十分なる主力を注いで行かねばならないし、従つてそこから起つて参りまする問題として、どうしても講和という問題に帰着して来るわけでありますることは同様であります。従つて講和一つの大きい主眼は日本の経済自立の問題に観点を置くべき点でありまするから、この問題につきましても十分なる日本国民の意思が汲取られまするように政府只今努力をいたしておる次第であります。
  53. 山田節男

    ○山田節男君 ちよつと私から議事進行で申上げますが、実は予算の審議が来る一カ月間行われるわけであります。昨日から始まるべき予算の審議が外務省国際情勢説明が昨日都合でできないというので今日に延びて、今日午前から始めたわけであります。先ほど木村委員も言われ、佐多委員も言われましたが、二十六年度の予算の審議の根本なるものは、何と言つたつてやはり今我々が当面しておる国際情勢講和條約を当面に控えてどうなるか。その見通しが立たない限りにおいては予算の審議ができない。そういう意味でまあ佐多委員が言われたわけでありますが、これは委員長一つお聴きしたいのでありますが、今まで草葉政務次官からいろいろ応答がありましたけれども、これは結局責任あることが言えない。單なるこれは抽象的な質問をし、抽象的な返答を求めるだけのものでありまして、意味をなさない。で委員長一つお聞きしたいことは、吉田総理が外務大臣としておられるのでありますが、やはり現にダレス氏といろいろ相談しておられるということであります。そういう責任のある外務大臣がここへ来てはつきりと責任のある、我々納得のできるような説明がない上においては、いくらこんなことを話しておつても審議にならない。でありますから委員長にお願いしたいことは、吉田総理がいつ外務大臣としてここへ出てくれるのかどうか。そうしてやはり先ほど申上げたように二十六年度の予算の審議は、これはもう当面しておる国際情勢見通しと、それから日本の、少くとも吉田内閣がどういう二十六年度の見通しを持つて政策を行うか。この見通しが立たない限りにおいては我々は非常に厖大た資料を持つてつても審議のしようがない。でありますからして、吉田総理が今日午後でも来てもらえるのかどうか。若し今日来れない。明日もダレス氏と第三回目の会見をするというので、明日も来れないということになると、ますます予算の審議が遅れてしまう。一応このスケジユールきめられた、昨日から来日の四日までのこのスケジユールにおいてどうするかということを一つ委員長は、ここで理事会を開くなり、或いはここで各委員に聞かれて一つ即急にこのスケジユールに載つけた審査ができるようにお取計らい願いたいと思う。
  54. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 吉田外務大臣の出席を先週来要求しております。大体我々の予定では、月曜日に今日のようなことをやつて、今日、火曜日、本日は吉田総理の出席を見るつもりでおつたのです。ところが昨日外務省のほうでは非常に忙しい仕事があつて、どもしても出て来られないというので今日に繰越したわけです。で吉田総理に今日出てもらいたいということは先週来の我々の希望として申し伝えております。ところが総理のほうでは今日はどうしても出れない用事があるから頼むという話なんです。そこで先ほど政務次官と打合せまして遅くても九日までの間には、十日、十一日にはダレス氏も帰るらしいので、その前に参議院の予算委員会における講和問題についての意見をダレス氏の耳に入れて置くことが必要だと考えておりますので、九日までの間に是非吉田総理に一日出てもらうという話を今ここにおられる外務次官に頼んであるわけなんです。まだその交渉をされる余裕がありませんけれども、私は九日までには出て来るものと期待いたしております。どうかその点御了承願いたいと思います。  それからこのスケジユールに組んだ日程の進行の仕方なんでありますが、今日実は各委員から言われたように外務当局の答弁は甚だ遺憾だと私も思つております。問題にならない。で実は先ほどから午前の委員会は一時休んで、準備を整えて午後出て来てもらうというようにしようかと考えておつたところなんでありますが、幸いそういう議事進行の動議が出ましたので、皆さんにお諮りいたす次第でありますが、午前はこの程度で打切りまして午後二時から外務省、非常に多くの資料を整えて、もつとしつかりした答弁ができるような態勢で出て来てもらうということにしたいと思いますが、即ち二時まで休憩したいと思いますが、如何でございますか。
  55. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちよつと希望として……。若し大臣が出て来られないで事務当局のかたがたがおいでになるならばそれで結構ですから、それでは事務当局らしく、直接の関係の局課長全部帯同して、而も今委員長からおつしやつたように資料もちやんとお持ちになつて出て頂きたい。事務的な質問をいたしますから……。どうぞその点を事務的にお運び願いたい、切に希望しておきます。
  56. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると今委員長の言われたことは、五日と六日のスケジユールが大体国際情勢説明と、それから吉田総理の外務大臣としての質問となつている。今日午後そういつた事務的な質問で、吉田総理の九日というのはこのスケジユールの番外、特別として入れるというのですか。
  57. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 九日までの間に一日このスケジユールを抜きまして講和問題だけを論議する日を作りたいと思います。
  58. 山田節男

    ○山田節男君 今委員長の取計らいで午後主管の事務官が来るようでありますから。それが来れば今のような午前のような愚問愚答に終らんだろう。それから若しそれができないとなつたら、午後は流してもらいたいと思います。若し相当責任ある局長部長というようなものが来て、我々の質問に対して具体的な返答ができるならばこれは続行して頂きたい。さもなければむしろ午後は中止して頂きたいと、單なる時間の浪費に過ぎないと思います。
  59. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは休憩に入る前に一つお諮りいたしたいと思いますが、先に本委員会理事の羽生三七君が予算委員を辞任されましたので、従つて理事が一名欠員でございます。つきましてはこれから理事補欠の互選を行いたいと思います。
  60. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 理事補欠の互選は成規の手続を省略して委員長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  61. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 只今の櫻内君の動議は御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 御異議ないものと認めます。それでは佐多忠隆君を理事に指名いたします。  それではこれを以て休憩いたりします。    午後零時三分休憩    ―――――・―――――    午後二時十三分開会
  63. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。  午前中外務省の事務当局の御出席がなかつたために、質疑応答が十分行われなかつたきらいがありましたので、午後は事務当局の御出席を求めておりましたが、出て来ておられます。どうか御質問をお願いいたします。  なお午前中の御質問のうちで答弁を留保しておられた問題がありますが、それは後刻答弁するそうであります。
  64. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 講和條約締結後、或いはその前でも問題になると思いますが、経済目主権を回復するという問題が一つの重要な問題になると思うのですが、その一つ一つについて少し具体的にお尋ねしたいと思います。  先ず第一に関税自主権の問題、これは講和條約締結と同時に関税自主権を回復するというような処置ができるかどうか、或いは関税自主権については、講和條約では何らの制約を受けることなしに、すぐそのまま国際関税機構に加入できるのかどうか。加入するとすればどういう形で加入するのか。その辺を外務省としてどういうふうにお見通しであるかお示しを願いたいと思います。
  65. 島津久大

    政府委員(島津久大君) お答えいたします。関税自主権がどういうふうに解決されるであろうかというお話でございますが、これは常識的に考えまして、講和條約の際にあらゆる経済上の自主権を回復するのが当然だろうと思つております。併しながら関税に関しましては、御承知のガツトという国際的な機構がございましてこれに入るということが問題なんでございますが、これは必らずしも講和ができなければ入れないという問題でもないと思います。又場合によつては、講和後も機会がなければ入れないという場合もあり得るのであります。ガツトの総会は昨秋英国のトーキーで行われました。その際にまだ日本の加入というものが上程されるに至らなかつたのであります。次回はいつになりますか存じません。成るべく早い機会に加入できるようになることを勿論希望しておる次第でございます。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 講和條約が締結される際には、そうしますと関税自主に関しては何ら拘束なしに、そのまま自主権を回復して、その後に適当な機会にガツトの加入その他の問題が具体化して行くというふうに考えていいのかどうか。
  67. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 先ほど常識的と申しましたのは、大体大まかに申しまして経済上の自主的な権限、権能を回復するのが当然だという意味で申上げたのであります。具体的に内容がどうなりますか、それは只今申上げるのは尚早であります。
  68. 山田節男

    ○山田節男君 午前中に草葉外務政務次官から、国際情勢説明があつたわけですが、極めて簡單であり、又抽象的なことが多かつたため、実は午後に事務関係の人の御出席を願つたわけですが、これは主要な問題に入る前に、やはり根本的な予算審議の基礎一つまとめる意味で、午前中の草葉政務次官国際情勢説明をもつと詳しく、もつと体系的に、予算委員に提供すべき的確な資料説明が願えれば結構ですが、できなかつたならば……、それを第一にやつて頂きたい。それができた後にいろいろな問題に入るのが順序だろうと思います。ですから外務省予算委員会の要求している国際情勢説明並びにそれに対する資料の提供が今できるのかどうか、一応それを確かめて見たいと思います。
  69. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 今朝ほど最近の国際情勢の荒筋につきまして政務次官から申上げたはずでありまして別に私から附加えて申上げることはないのでありますが、具体的な問題で御指摘の点をお答え申上げるよりいたしかたないと思います。
  70. 山田節男

    ○山田節男君 なぜ私はそういうことを申上げるかというと、この二十六年度の予算に外務省として十二億二千何がしかの金を要求しておるわけです。而も今のような講和條約が成立するという、もうすでに二十六年度に入つて、真近に控えておる。何か見通し基礎を持たなければ、この予算審議もできない。そこにこの予算の予備審査において国際情勢説明というスケジユールを私は作つておると思うのです。ですからこれは質問があればやるというのでなくて、外務省としたら、責任者としてやはり我々の手許に資料なり或いは説明をしなければいけないと思うのです。これは私は午前、各委員におかれてもそういう御希望があつたように思うのですが、これは一つ委員長の下で、我々の希望を是非適えるように一つ手続きして頂きたいと思います。
  71. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 政務局長に申上げますが、午前中次官から講和問題を繞る国際情勢について極めて簡單な、極めて常識的な説明があつたのです。これは聞いた各委員は、そんなことは全部新聞に出ていることである、そんなことを聞いているのじやない、もう一歩突込んだところを聞いているのだという御批評があつたわけなんで、で、実は事務当局のかたに午後来てもらつて、ここで説明を聞こうというのは、今山田君が言われたように、外務省としても相当厖大な予算を要求しておるのだから、それを我々が審議決定しなければ通るものじやない。そういう意味からも外務省としては進んで所管の事項については、ここで説明して了解を求めるという態度をとるべきだと思うのです。山田君はそういう趣旨で要求しておられるのだと思うのです。それで午前の説明はなかつたものとして差支えないのでございますが、あつたとお考えになると誤解が起きる。家はなかつたと皆は思つておる。委員の諸君も聞いたと思わないと思うのです、あれでは……。ですから改めて説明をなさることは、重複はしないと私は思います。どうかそういうことをお考えの上で御説明を願いたいと思います。
  72. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 国際情勢全般の説明をするようにという御要求でございますが、非常に問題が広汎な問題に亘りまして、短時間で、而も新聞に出ていないようなことを申上げるということは甚だむずかしいのでございますが、併し只今委員長からお話がございましたように、外務省のほうからも進んで御説明を申上げるべきであるという御趣旨は、誠に御尤もでございまして、できるだけ御説明をいたしたいと思います。ただちよつと準備の時間がございませんでしたので、大事な点を落しましたり、或いは詰らぬところで長くなるというようなことになるか心知れませんので、その点はお許しを願いたいと思います。  大体講和問題の現状、こういうものは、新聞に出ていない、突つ込んだところという御注文でございますが、これは話合いの途中で、その話合いの内容に触れるということは避けるべきものだと存じます。で突つ込んだ御説明ということはいたしがたいのでございます。ただ全体の動きがどういうふうになつているかということになりますと、御承知のように昨年の六月にダレス氏が見えまして、その直後に朝鮮事変が起りまして、一時講和問題が棚上げになつたように見えたのでありますが、九月に入りましてから、はつきりとトルーマン大統領の声明がございました。爾来ダレス特使中心となつて、御承知のように発表になりました七原則を中心として、関係国との話合いが進められて来ておるのであります。大体一応の話合いが済んだようであります。これに関しまして、一番注目すべき点は、ソヴイエトからアメリカ政府に対しまして、質問のような形で意見をまぜた覚書が出されました。これに対して米国政府回答というものが年末に発表になつております。大体その七原則とソヴイエトの質問、これに対する米国政府回答、この三つを併せて御覧になるというと、大体のこの講和の問題に関する動きということの考え方がわかると思います。この点を詳しく説明する時間もございませんので省略いたします。  その他の国につきましては、中共では周恩来外相の声明で、ソヴイエトの意見、或いは質問同様の意味の声明がなされております。民主陣営の中の動きといたしましては、英連邦関係では英連邦首相会議がございまして、これによつて講和を早くしたい。できれば共産陣営も入れてやりたいが、できなければ多数講和でもいたしかたないというような趣旨のコミニユケも出ておる、これも御承知通りだと思います。大体民主陣営の中でフイリピン、濠洲方面では、相当きつい対日講和意見も出ており、そういう意見が数年乗出ているのであります。最近一、二年だんだんと緩和されて来たように思うのであります。今日に至りましては、共産陣営以外では、余り大きい意見の相違がないというところまで来ているように考えられるのであります。併し今度ダレス顧問日本に見えまして、声明にもございましたように、交渉ではなく、コンサルテーシヨンという表現でございますが、そこで日本側の首脳部の意見をよく調査されまして、その上で帰路はフイリピン、濠洲方面にも立寄られるように聞いております。又帰られてからも、すぐに又ソヴイエトとの話合いもあるように承知しております。現在の段階は、米国政府中心として、関係各国との間に対日講和の体様について下話が進められることと考えております。内容につきましては、これ以上御説明を省略さして頂きたいと思います。  それから外務省関係の国際情勢の御説明はちよつと先に譲りまして、外務省関係の事務の大要につきまして極く概略の御説明を申上げます。  御承知のように終戰以来、外務省は出先を一切持つておりません、国内で他日に備えて調査研究に従事しておつたわけであります。昨年度におきまして、極東委員会でも決定できませんでしたことを、アメリカ政府が率先してやつてくれた、例の在外事務所の設置ということが行われたのであります。先ずアメリカに五カ所事務所が設置されまして、昨春から活動を開始しておりまして、めくら貿易の打開に相当寄與しておると思われるのであります。その後漸次他の国もアメリカと同様な措置をとつてくれまして、南米ではすでにブラジルに二カ所、ウルガイに一カ所できております。東南アジア関係ではインドに三カ所、パキスタンに一カ所、近くタイにも設置されます。ヨーロツパではフランスのパリー、スエーデンにも一所設置されました。極めて最近の機会にベルギーとオランダにも設置されることになつております。そういたしましてこのような事務所が主として経済、通商の伸張ということに寄與をなしておるのであります。御承知のように講和ができません前でありますので、その機構、権限に多くの制約があるのでございますけれども、全然出先を持ちませんでした外務省として、非常な発展であります。殊に米国につきましては、司令部もこちらにございますことでありますし、いろいろなことが割合に運びが早い面もあると思うのであります。そうでない第三国になりますというと、現場に人を送りました効果は、目に見えて来ておるようであります。関係国との間に貿易協定、通商金融協定、そういうような協定ができておりまして、貿易を只今促進しておるのであります。そういうような協定の交渉自体は、事務所では取扱つておらないのでありますが、実際上はその協定の実行を非常に容易ならしあるというような働きをやつて来つあるのであります。今後ますます事務所を増置いたしまして、目下緊急の問題となつております貿易の促進、殊に輸入の促進というような方面に力を注ぎたいと考えるのでございます。勿論講和條約ができまするというと、在外公館が多数規模を大きくしてできるはずでございます。それまでの間にも、一カ所でも多くこういうような事務所を設置したいと考えております。  次は国際條約、国際機関そういうような関係の事項でございます。これにつきましても国際條約に漸次加入をして参つておるのでありまして、国際條約について申しますならば、終戰後方国郵便條約、郵便に関する五つの約定、国際電気通信條約、関税表刊行国際連合に関する修正規定、こういうようなものに加入をいたしております。
  73. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ちよつと申上げますが、そういうことを聞いておるわけではないのですよ。そうでなくて、我々が予算を審議する上において国際情勢の把握を我々が的確に持たなければ、審議に差支えがあるというのが、あらゆる委員の言われておるところなんです。そこで外務省はいろいろの、不十分ではありましようけれども、我々よりはより多くの情報を持つて、そして国際情勢見通しについて一定の見解を持つておられるに相違ないと思うのです。そういう国際情勢見通しなどについて御意見を承わりたいこいうのが眼目なのであります。午前中からその点が問題になつておるわけであります。午前中はそういう点についての説明がなかつたものですから、午後事務当局から、ここはそういう一種の研究会のようなものですから、今はそういう研究のための資料なり見通しなりを提供してもらつて、そうして我々委員の間で討議しようということになつておるわけなんですから、だから少し見当外れのようなことで時間を取られるのは、非常に我々迷惑なんです。そういう見当外れの御説明ならば聞かないほうがいい。ポイントに嵌つた説明をして頂きたい。
  74. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 国際情勢見通しと申しますと、非常にこれはまあむずかしい問題でございまして、一言にしていつ戰争が起るか、或いは起らんかというようなことは、なかなかきめにくいような関係にございますし、そこで只今私予算に関係のあります外務省の仕事というものを、極く概略御説明申上げました上で、できる限り国際情勢を御説明いたしたいと思つたのでございますが、御要求の点がなかなかこれは重要な問題と考えまして、準備なしに軽卒なことも申上げられないと存じますので、できますならば資料で提出いたしますとか、或いは又暫く時間を頂きたいと考えます。
  75. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 実はこの参議院の予算委員会は、衆議院の予算委員会をいろいろ言うわけじやないのだけれども、参議院は参議院としての使命があるから、予算委員会でもその使命を十分果したいと考えて、先週来すでにこのプログラムを作つて予算審議の、予算委員会における審議の日程表を作つて、あなたがたのほうにも連絡をしてあるはずなんで、すでに昨日あなたがたからこの国際情勢説明を聞くという連絡をして置いたはずなんです、先週中……。ところが昨日はどうしても出られないからというので今日に延ばしたわけなんです。我々の日程は、一日すでに狂つたわけなんです。で、そういう準備なしで一体どうして出て来られたのか、私怠慢じやないかと思いますがね。そういう点は、或は我々のほうから連絡が十分付いてなかつたのですか。非常に今朝からのこの委員会の進め方は、甚だどうも意に満たないものが私ども感ぜられる。若し時間を貸せと言われるならば、何時間貸せばいいのですか。
  76. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 三十分ほど頂きましたらまあ……。
  77. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは今のような事務当局の意見なんですが、三十分間休憩して、三十分後に開くことにいたしましようか。
  78. 山田節男

    ○山田節男君 これは今委員長が言われたように、今朝来の委員会の委員の輿論を今申されました。でこれはもう外務省が、貧弱ながら情報あたりは持つておるわけです。のみならず、去年外交白書を出して、相当はつきりしたことを言つておるし、又あの引用を見ても相当なことをやつておるようですから、これは外務省として貧弱だけれども、今委員長の言われた、我々の要求しておる資料が最大限度に何すれば、やや具体的にも出るに違いない、私はこういうふうに信ずる。ですから時間的に三十分でできなければ、これは一時間かかつても、少くとも総理大臣兼外務大臣に質疑する前に、資料を提供してもらうということを確約してもらうことが第一だと思う。若し今日これから議事を続行するとすれば、外務省としては、ここに来て我々に提供する資料を持つていないのでありますから、ここに或いは情報その他の関係の事務官が来ておれば、各委員の各個別の質問に答える形式によつて、その希望を今日満たすように一つお取計い願いたいと思います。皆さんの御意見を聞いて頂きたいと思います。
  79. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) その点についての議事の進めかたについてですね……。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今、局長のほうから、三十分時間を貸して頂けば、適当なものが準備できるというお話だから、一応それだけの準備をして頂いて、そうして報告を願つて、更に山田さんの御提案のよう々方法で審議を続行するということで如何でしようか。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も佐多君の御意見に賛成なんですが、その場合に又ピントはずれた報告では困りますので、これは私個人の意見ですが、今度報告して頂く場合、二十六年度予算を編成する場合に国際情勢をどういうふうに見通して、どう分析して二十六年度予算の編成の基礎にしたか、そういう点を聞きたいのです。例えば第三次戰争にならないと想定して二十六年度予算を編成したとするならば、どういう根拠によつて、こういう要素にによつて戰争にならないのだ、又朝鮮動乱見通しは、こういう根拠によつて第三次大戰にならない、今後はこういう推移を迫るであろう、こういう想定があると思うのです。我々としては、二十六年度予算については非常にたくさん彈力性があるわけでして、二千億といわれ、三千億といわれる大きな彈力性があるその予算が、今後の国際情勢によつてはどう使われるか。警察予備隊の増強の費用がどうであるか、或いは二十六年度にも来るのではないか、こういうようなことが問題になつて来るのでして、従いましてそういうような方向で、ピントを合わして報告して頂きたい、これを要望するわけです。
  82. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ほかにございませんですか。  それでは三十分間休憩して、報告を待つということにいたしましようか。
  83. 山田節男

    ○山田節男君 その報告を待つと言われるのは、我々が要求しておる、一時間、二時間、三時間かかるかも知れないが、国際情勢が三十分後には必ず我我が聞き得るという下においてのお話ですか。
  84. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうです。その通りです。
  85. 山田節男

    ○山田節男君 もう一度島津政務局長に確かめて頂きたい。
  86. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今ここで各委員の発言の趣旨は聞いておられますから、その趣旨に副うような報告があるものと期待いたします。
  87. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 如何でございましようか、できるならば具体的な問題をお出し願いまして、それにお答えする形で、できるだけ情勢を御説明いたしたら如何でございましようか。非常にはつきりした根拠のある、割切つた説明を御要求と存じますけれども、正直なところ占領下にあります日本として、在外公館等の関係もございまして、国際情勢判断ということが非常に困難でありまして、これは総理からもたびたび国会で御説明があつたこととおもいます。従いまして国際情勢につきまして、政府において確信のある説明を公表するというようなことはなかなか困難なことではないかと考えられます。
  88. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) そうすると三十分間の余裕があれば、我々が希望しておるような報告ができるというのは、まあ嘘であつたということですか。
  89. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 嘘を申上げたわけではないのでありますが、だんだんお話を伺つておりますと、非常に困難と考えますので、三十分頂きましても到底御満足を得るような、割切つたものは出ないのではないかということを正直に申上げます。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 割切つたというのでなく、そういう結論は、私は頂かかぐてもいいのです。それは我々が又おのおの結論を出しますから。大体二十六年度予算を編成するときに、これはもう先ほどからもお話があるように、一番大きい問題なんですから、どういうふうに国際情勢を想定して編成せられたか、その経過、その事務当局としてのいろいろな調査とか作業があるわけですから、そういうことを只今報告して頂ければいいのだと思うのですが、そういうことを聞いておるわけなんです。
  91. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) いろいろとお答え申上げましたように、国際情勢を皆さんがたに御納得の行く報告ということは、大変むずかしいのだと存じます。従つて何か御質問を頂いて、それに対する調査をしておつたり、或いは事務当局として持つておりますような資料の立場から御説明申上げるという段取りでお運び願うと、それぞれ今日待機しておりますから、そのほうがむしろ御納得の行く場合が多いのではないかと思います。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはそれでいいのですが、一応先ほど委員長が言われたことは、二十六年度の予算を編成するときに、外務当局としては一応の国際情勢見通しというものがあるはずだ、それをここで先に説明して頂いて、それから又我々質問する。先ほどそういうことになつたと思いますので。そういうお取計いを願いたいと思います。
  93. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 概括的な説明は、私が午前中に申上げたようた説明になります。だから具体的になりますると、只今申上げたようなお運びを願うことが、具体的に進んで来る。概括的に申上げますと、もう俺はそれは知つておるという程度になつて来ると思います。この点を御満足の行くようにするには、やはり具体的に進んで、そうして事務的に持つております資料等を御説明申上げるほうが、御納得の行く場合が多いのではないかと思います。
  94. 山田節男

    ○山田節男君 今、草葉政務次官からのお話は、私は変だと思います。というのは、この二十六年度の予算案が我我の手許に出て来て、二十六年度の予算案は、来るべき一九五一年度における吉田内閣の政策の数字的表現であります。その数字に示されておる吉田内閣の政策というものを、全般的に予算委員会で審議して、殊にあらゆる国策の根本が、やはり占領下にある、又講和條約云々の問題に我々直面しおつて、この吉田内閣の数字によつて示しておる来るべき来年度の政策を、如何に我々がアプルーヴするかということは、これは重大なことであります。それを外務省の政務次官が、そういつたような無責任なことを言うことは、我我は外務省の予算案はもとより、この吉田政策の来年度の予算全般に亘つて非常に根拠の薄弱な審議をしなくちやならん。衆議院と参議院は、第二院として違います、そういう誠意の欠けた準備でここに向うということ自体が少しおかしい。今、草葉政務次官が言われることは、これは事務上の問題はどうあろうとも、少くともこの予算委員会に対してそういつたようなことをすることは、非常に不誠意である。むしろこれは取消してもらいたいと思います。のみならず、重ねて申上げますか、我々予算委員として来年度の予算を審議するということは、これは金の問題でない、国策でおります。その点やはり根本認識を持たないと、今のような言が出る、これは一つ私は取消して頂きたいと思います。
  95. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 私が申上げましたのは、国際情勢見通しというのが、一つの予算審議の基本になる。政策の大綱は、すでに総理或いはそれぞれの立場からすでにお聞き取りの通りであります。大体外務省の考えておるこの国際情勢が、来年度の、二十六年度の予算審議の一つの大きなるポイントになるからという問題からの御論議だと存じます。そういう意味におきまして、然らば外務省はこの問題についてはこういう方針と、こういう解釈とを持つておるということについて実は先刻私が御報告、御説明申上げました荒筋の、対日講和中心にしました国際情勢動きを御説明申上げましたが、そうなりますと、先ほど申上げましたように具体的の、この問題はどういうふうな々状態かという問題になる。場合によりますると、事務的から離れて、政治的な観察ということも勿論必要であると思います。でその政治的な観察は先ほど、むしろ我々が判断するのだ、従つて事務的にもう少し掘り下げて行きたいというので、午後は事務のほうを呼べというお話で、実は参つた次第であります。
  96. 山田節男

    ○山田節男君 これは何遍も申上げるようですが、外務省、これはまあ外務大臣として私は出されたのだろうと思うが、外交白書というのは相当割切つた結論を出しておる。その後すでに半年以上経つておりますから、やはり吉田内閣としては、国際情勢の分析としての一つのまとまつた意見がなければならない。それを我々は聞きたい。客観的な国際情勢説明ということは、これは事務的なものでありますから、それを我々の参考として聞きたい。これは今日外務大臣おられませんから、外務大臣としての今後の動向に対する……、吉田内閣の主観的といいますか、吉田内閣見通しを聞く機会があるだろうと思いますから、それは今日は求めません。先ほど来何度も繰返して申上げるように、今日の国際情勢を、外務省はどういうふうに分析をし、どういう判断をしておるか、我々はその割切つた結論を求める。ですから外務省において、それ以上は我々に対して説明できないということは……、秘密事項があれば秘密会を要求いたします。ですからこれは隠さない、或いはもつと卑屈にならないで、勇敢に国会に対しては、参議院に対してはもつとオープンに話してもらわなくては、いつまで経つてもこんな工合では、審議は進行しないと思います。ですからこれはできないというならできないで、個々の質問に移りますが、一応委員長においてこれをまとめで頂きたいと思います。
  97. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 今皆さんお聞きの通りなんで、委員が何を希望しておるか、何を要求しておるかということは、もう十分おわかりのことと思います。その要求なり希望なりに一〇〇%答えることはできないという場合もあるかと思うのです。それは止むを得ないのだが、とにかく予算を編成するに当つての、日本政府の一部としての外務省が、国際情勢をどう見ておるか、又どう見てこの予算の基礎資料としたかどいう点だけの説明をこれは重大問題が幾つもあるのだから、我我が言わなくてもあなたがた十分御承知なんだから、この問題についてはこう、この問題についてはこう、この問題についてはこういうふうな見通しの上にこの予算は組んであるのだということを説明すればいいわけです。三十分間休憩いたしますから、準備して一つつて頂きたいと思います。それでは三十分間休憩いたします。    午後二時五十五分休憩    ―――――・―――――    午後三時三十二分開会
  98. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 休憩前に引続いて予算委員会を開きます。
  99. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 先の吉川委員の西ドイツの警察力と申しますか、それについての御質問お答えを後刻に延ばしておりましたので、この機会に御説明さして頂きたいと思います。西ドイツの警察の数は占領地区によつて、いわゆるアメリカ、イギリス、フランス等によりまして、おのおの少しずつ違つておるようでございますが、アメリカの占領地区におきましては、総数四万五千七百七十五人でありまして、大体人口四百人に一人の割合であります。その内訳は、自治警察二万一千五百四十一名、地方警察が一万五千三百八十四名、境界警察が四千二百十四名、鉄道警察が四千六百三十六名でございます。イギリスの占領地区におきましては、総数四万八千二十一名でありまして、人口五百人に一人の割合に相成つております。その警察の種類は、保護警察が三万六千七百八十一名、刑事警察が四千二百十四名、婦人警察が五千二百一名、水上警察が一千九十三名、騎馬警察が二百五十一名となつております。それからフランスの占領地区におきましては、警察の総数は七千五百六十四名でありまして、人口六百五十人に一人の割合に相成つております。その内訳は、婦人警察が四千三十五名、地方警察が二千二百二十一名、刑事警察が五百八十名、関税警察が二百三十四名、河川警察が百七十九名、水上保護警察が二十六名、その他二百八十九名でございます。  更にお尋ねの装備につきましては、軽火器を携用いたしておりまして、或いは騎馬警察につきましては機銃、普通は小銃、ピストル、更に連発ピストル、但しドイツ製の火器は一切使用を禁じられておるようであります。なお弾薬の消費につきましては、占領軍の管理の下に置かれておるようでございます。以上であります。
  100. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 只今説明を承わりましたが、私が主として聞きたいと思つておりますることは、日本の警察予備隊に該当するところのもの、日本の警察予備隊は、原名ではナシヨナル・ポリス・リザーヴといつておるようでありますが、そのナシヨナル・ポリス・リザーヴに該当するところのものが一般の警察、警官以外に存在いたしておると考えておりますので、それを主としてお聞きいたしたいので、私の質問の目的に副うようなナシヨナル・ポリス・リザーヴについてその存否、及び、私はあると思つておりますが、それについての今のような編成、装備及び人員、それから午前それに附加えて質問いたしました、特に日本でも今問題になりかけておりまするところの産業経済に関する施設を特に警備いたしまするところの特殊の産業経済警邏隊、ドイツ語で何と言いますか、私はニユースで見たので、先ほど申した通りでありますが、それはやはり小銃を肩にかけまして、鉄兜を被つておる写真が映りましたが、そのものについての今のような具体的な内容を併せてお示しを願いたい。
  101. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) いわゆる警察予備隊は少しはあるように情報ではあるわけでありますが、具体的には、相当数まで進んで行くが、現在は極くまだ一部分である。併し詳細な情報はより調査をいたしましてお知らせ申上げたいと思います。産業警備隊につきましても、よく調査をいたしましてお知らせいたしたいと存じます。ただ現在私の記憶いたしておりまするところでは、数万警察予備隊の編成を計画しながら、現在は極くその一部分を着手しておる程度であつたと記憶いたしております。
  102. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 それは再軍備の編成の問題に関連いたしまして重要であるばかりでなく、又我々が予算におけるところの警察予備隊の予算を審議いたします上においても重要なことでありますから、一つ確信あるところの返事が頂きたいのでありまして、十分誠意を持つて一つ御調査を願つて予算委員会に他日御報告願えるようにして頂きたいと考えます。  なお島津局長にも先ほど個人的にお話して置いたのでありますが、なお二項目それ以外に私は質問いたしておりますので、政務次官からでも結構でありますが、成るべく直接その衝に当つていらつしやる事務当局から、なお残つております二項目についての御答弁を願います。
  103. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 私先刻の御質問におきまして、中央地区においての在留同胞六万三百有余のこれらの者を以て或いは特殊部隊、衞生、それから航空の技術その他の部隊を編成しているということが言われているが、これについて極く最近の外務省情報はどうかという点と、北鮮軍の中共部隊に日本人相当参戰しているが、この実情はどうかという御質問であつたと存じます。そのとき一応お答え申上げました通りに、満州を中心とします中共地区におきまする新らしい日本人だけの部隊が編成されたような情報相当あるようでありますけれども、現在私ども外務省といたしましては、これを確認する何らの資料も持つておらないのであります。いずれ私の申し足らないところは、ほかの説明員からでも又御説明いたしまするが、現在ではさようでございます。殊に北鮮中共軍の中に日本人が多数入つているということも、私ども現在ではそれの何ら確証を持つておりませんし、同時にそうでないであろうという考えを持つておるような次第であります。  私の不十分な点は又それぞれの説明員から一つ説明いたさせます。
  104. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 今の質問に対する御答弁の事項中、前半の中共地区に数万の日本人が火砲、飛行機の操縦その他のこと、及び衞生の軍務に服しているということにつきましては、午前中私が申上げましたように、曾て法務庁から極めて具体的にして可なり詳細なる、数字を挙げての報告を得た記憶が私にあるのであります。それで外務省で当然に御所管になつておるところの事務の範囲内であろうと思いますので、お尋ねいたしたのであります。殊にその後のそれについての情報、最近の情勢等が承わりたかつたのでありますが、草葉政務次官は、確たる資料を持つておらんということでありますから事務当局から更に政務次官の答弁の不十分でありました点を、私の質問に照応してできる範囲のことをお答えを願いたい。ともかくも法務庁にはそういう資料があるのでありますから、同じ政府部内において、法務庁の持つておるところの資料に基いて、更に外務省の集められたるインフアメイシヨンをその上に加えたものを御答弁願えるはずだと思うのであります。  それから後半の北鮮軍内に日本人がいるということは午前中申しましたし、ニューヨーク・タイムズのオーバー・シーズ・エデイシヨンのウイークリーにそういう記事がありましたのでお尋ねいたしたのであります。草葉次官から一応の御答弁がありましたが、更に事務当局から最も自信のある御答弁をもう一度伺いたいと思います。
  105. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 今の御質問でございますが、事務当局からというお話でございますけれども只今政務次官から御説明申上げましたように、この点について何ら附加えるだけの資料を事務当局も持つておりません。いろいろな噂の程度のことは我々も十分知つておりますが、先ほど政務次官から申しましたように、何らこれを確める方法もございませんし、我々が正式に知り得る方法としましては、その噂を裏附けるとか、或いはそれを何か少しでも臭いを嗅ぎ得るような資料がない。むしろその噂はいろいろなデマではないかと思うようなふうな程度でございまして、それ以上の事務的のものも何ら持つておりません。
  106. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 只今の御答弁中、後半の北鮮軍内に日本人がおるということは、ニユーヨーク・タイムズのニユースの一節でありますから、今の御答弁以上に私は要求はいたしません。併しながら前半のほうの中共地区内において、数万の日本人中共の軍務に服しておるということにつきましては、さつき申しましたように法務庁に相当具体的に数字を挙げたるところの詳細なる資料があるのでありますから、急遽法務庁からその資料をお取寄せになりまして、そうして私が要求いたしておりますように、最近の情報をそれに附加えて、只今すぐに御答弁が願えないようでありますが、この予算委員会に、他日で結構でありますから、ともかくも法務庁からその資料を取寄せて、そうしてそれを基礎にしてもう一度御答弁を願いたいということを要求いたして置きます。
  107. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今の吉川委員のお尋ね承知いたしました。法務庁とよく調査をいたしまして、又他日にお知らせいたします。
  108. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 先ほど御要求がございました、事務当局としての国際情勢に関する見解を申述べろということでございましたので、取りまとめて簡單に申上げたいと思います。朝鮮動乱でございますが、朝鮮における戰局がだんだん安定し参つておるということは、御承知通りでございます。我々といたしましては国連軍の活躍に信頼しまして、国連軍朝鮮撤退というような事態には立到らないものと希望いたしますと同時に、又そう信じておるものでございます。現に国連軍が再び三十八度線を突破するか、或いはここでとどまるか、いろいろ臆測されておるような情勢でございます。朝鮮動乱の平和的解決見通しにつきましては、まだ確たる所見を申上ぐる段階に来ておらないのであります。これは相手かたもあることでございますから、その出かた如何によることが多いと思うのであります。我々といたしましては、国際連合における平和的の解決努力が、できるだけ早く結実することを念願しておるものでございます。いずれにいたしましても朝鮮動乱そのものは、局地的に落着するものと考えております。  一般情勢に関しましては、現在の国際情勢は、朝鮮動乱を繞りまして世界の民主主義勢力と共産勢力との間の深刻な対立の様相を呈しておりまして、果してこれがいつどのような形で解決されるかは、にわかに予断することは困難でございますので、現在の国際関係の緊張から直ちに第三次世界戰争ということに発展することはないと考えます。民主主義諸国のほうから戰争をしかけるという可能性のないことは、更めて申上げるまでもございません。他面共産主義諸国のほうでも、差当り世界的な規模における戰争を始める用意も、又その決意もないものと考えております。これは共産陣営の総合的な国力、戰力、そういうようなものから判断しての結論であります。問題の性質上理窟の上だけで割切れる問題では勿論ないのでございますけれども、事務当局としまして、集められるだけの資料に基いて合理的に判断する限りにおいては差当り問題とすべき期間においては第三次世界戰争が勃発するというようなことはないと考えております。  講和の問題でございますが、対日講和問題の将来は、以上のような国際情勢の成行き如何にかかるところも多いと思いますが、我々といたしましては、この問題の解決のために米国政府が示している非常な決意からしても、遅くとも本年中には何らかの解決を見るものと期待をいたしております。  以上申上げましたことの基礎となつております国際情勢の個々の問題につきましては、御質問がございましたならば、具体的にできる限り御説明を申上げたいと考えております。
  109. 山田節男

    ○山田節男君 そうするとこれで大体外務省側の事務的な国際情勢の報告は終つたとみなしてよろしうございますか。若し終つたとすれば、二、三質問したいと思います。
  110. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 終つたようです。質問して下さい。
  111. 山田節男

    ○山田節男君 いずれ吉田外務大臣が見えて、責任者である大臣から聞きたいと思いますから、これは今日は省略しまして、事務的な、いわゆる外務省として今日までいろいろ情報を集め、結論に達しているものは結論を、又結論に達していないものは、客観情勢を率直に一つ我々に示してもらいたい。  それからもう一つ、これは外務大臣に質問すべきでありますが、事務的な意味で第一に質問申上げたいことは、今回講和條約の問題で日本に来られたダレス氏、新聞の報ずるところによると、大使の資格を受けて来ているということでありますが、去る二月二日の工業クラブにおける演説を聞きますというと、自分はネゴシエイシヨンに来たのではない、協議のために来たのではない、いわゆる相談、コンサルテーシヨンのために来た。いわばこれは打診すること、日本の輿論を打診するために来た。併しトルーマン大統領はダレス氏に対して少くとも全権大使の資格を與えている。そうしてその人が一方国会、各界の輿論を打診されると同時に、吉田総理は兼外務大臣としてダレス氏に数回会見しておられる。新聞の報ずるところを見ましても、来るべき講和條約の日本側の希望等を述べておられるやに聞くのでありますが、これが果たしてネゴシエイシヨンであるか、コンサルテーシヨンであるか、飽くまでこれは打診のためにやつておられますと思いますが、少くともダレス氏がかような講和條約の重要な任務において、全権大使として来て、吉田総理が外務大臣としてそういつたような相談をするということになつた場合にでも、私はダレス氏が外交官として来ているからには、そういう相談をするに信任状を当然日本政府に示すべきだと思いますが、そういうようなダレス氏が総理大臣に対して相談をする、全権を委ねられたという信任状を提示された上いろいろな話をしておられるのかどうか。これを一つ明らかにして頂きたいと思います。
  112. 島津久大

    政府委員(島津久大君) お答えいたします。只今の御質問は、現在のダレス大使と日本側との話が交渉ではなくして相談であるという説明であるが、実際交渉でないかという御趣旨と思いますが、これは先ほども講和問題をあらまし申上げたと思いますが、その際申上げたつもりでありますが、現在の講和段階からいたしまして、関係国との交渉というものは、ほかの国とも交渉というようなことで、いわゆる下準備、下話程度と了解をいたしております。今回来られましての話も、全然ネゴシエイシヨンという性質のものではないと思います。又大使の資格の問題、信任状というようなお話がございましたが、交渉でもございませんし、又日本に駐剳を命ぜられたかたでもない、信任状の問題は起らないと思います。
  113. 山田節男

    ○山田節男君 信任状の問題は起らないという意見でありますが、勿論日本が今占領軍政下にある、マツカーサー元帥最高司令官としての占領軍政下にあることは、これも勿論私は承知するのでありますが、併しわざわざトルーマン大統領が、日本に来るために大使の資格を與えた、而も問題が対日講和の問題である。そうして今日日本政治最高責任者に向つて、たとえこれがコンサルテーシヨンであつても、これは従来の外交上の儀礼と申しますか、慣行上からいつても、当然信任状を出して話をすべきものである。若し今政務局長の言つたような工合に、こういうものを出さない、單なるこれはコンサルテーシヨン、下打合せであるというのであれば、我々としては、今回の会談において吉田総理がいろいろな希望條項を述べるにしても、これは何ら来るべき講和條約の成立條件として束縛されるものではないと、了解していいのかどうか、そういう意味で政務局長は言つたのかどうか、この点をはつきりさして置きたい。
  114. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今の御質問のように現在の相談が講和の成立條件であるか、ないかという御見解に対しましては、先ほど来のお答えを繰返すだけでございまして、講和の話合いというものは、交渉の段階に今ないということだけ申上げて置きます。
  115. 山田節男

    ○山田節男君 交渉でないということは勿論私承知しておるのでありますが、今のように、向うが大使の資格を持つて来て下話をしておるわけです。そうしていろいろな條件が示される。文吉田総理がいろいろ希望を述べるわけでありますから、その拘束力というものが、たとえ占領軍政下にあるといえ、講和条約の問題に対して、別箇に全権を委任された人が来ておるとすれば、これは後日のために私ははつきりさして置く必要があると思うのであります。信任状が提示された上での吉田総理とダレス氏との相談でないということは、これは明確にそういうように確信して差支えありませんか。
  116. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 信任状を持つて来られたという話は聞いておりません。
  117. 山田節男

    ○山田節男君 信任状が提示されていないということが事実であるということをはつきりされましたので、それで私は了承いたします、  それでこれは事務的な方面の質問二つだけはつきりいたしたい。先ほど政務局長から第三次世界大戰等は起らない。こういう大体見通しということを言つておられる。これにいろいろな要素があるということは了承するのでありますが、御承知のようにインド或いはアラビヤの諸国を入れての、いわゆる第三勢力というものがあることは御承知通りであります。それからこの第三勢力、アジアを中心にして民主主義陣営と共産主義陣営の中間にあるようなこの第三勢力を、どういうように評価しておるかというこの点を一つお伺いしたい。  それからもう一つは、オスートラリア、ニュージーランド、フイリピン、これがこの対日講和條約についてもいろいろな意見があることは、我々よく承知しております。この三カ国の日本に対する感情というか、対日感情というものが、いろいろな原因があると思う。原因が違うのじやないだろうか、度合が違うというような次第でありますが、この点を、今の講和條約が本年中にできるという見通しをするためには、この三カ国の対日感情というものを、どういう評価をしておるのか、この点をもう一つお伺いいたしたいと思います。  更にもう一点でありますが、台湾の問題、やはり第三次世界大戰が起らないという見通し一つのフアクターとして、台湾のいわゆる国民政府といいますか、台湾をいわゆる民主々義陣営の一メンバーとし、或いは語を換えて言えば反共的勢力として、我々はどのくらいこれを評価していいのか、この点を一つ極めて客観的な事実を一つ説明願いたいと思います。
  118. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 御質問の第一点の第三勢力の問題でございますが、これは只今のところは第三勢力として、いわゆる米ソ両陣営のほかに三角関係のような確固たる地位があるというふうには考えていないのであります。いわゆる第三勢力も同じく民主主義に則つた国柄だと思います。
  119. 田付景一

    政府委員(田付景一君) フイリピン、オーストラリア、ニュージーランドの対日感情につきまして御質問がございましたのでお答えいたします。只今質問がございました通りにフイリピン、オーストラリア、ニュージーランドの対日感情というものは、必ずしも一様でないようであります。フイリピンにおきましては、御承知通り日本が占領しておりました当時のやり方に対する国民の反感というものが、非常に根強いのでありまして、只今でも日本人がフイリピンあたりに上陸いたしますと、殺害されてしまうというような話もあります。国民的感情といたしましても、日本に対しては非常な惡感情を持つておるようであります。従つて日講和あたりでも、これが余りやわらかいと申しますか、温和な講和條約ができますということになりますれば、フイリピンとしては日本に対する感情上、非常に面白くないというふうに考えておるようであります。又日本が戰争中にたくさん破壊しました経済的な問題に対しましても、賠償等を要求しておりまして、外務大臣を初め大統領にいたしましても、フイリピンのほうは、どうしても賠償というものは譲れないということをたびたび宣言しておりますし、最近はダレス使節がフイリピンに廻られるときにおいては、アメリカ日本に対する講和態度というものについて、十分フイリピンと検討してもらいたい、フイリピンは最初から今に至るまで、自分の態度は変えておらんというような相当強硬な態度のように見ております。オーストラリアも同じように日本に対しまする感情といたしましては、余り面白くない感情を持つておるようであります。が併しフイリピンに比べますれば、幾分まあ政治的と申しますか、考慮を拂つておるような気がいたします。ただオーストラリアは、日本の再軍備ということについては非常に関心を持つておりまして、再び日本が太平洋における脅威になるということを心配しておるようであります。従つて軍備の点につきましては、オーストラリアは、日本の再軍備ということを注意しておりまして、今以て余り賛成という態度を示しておらないようであります。  ニユージランドも大体オーストラリヤと同じ態度をとつておるように見受けられます。  それから台湾につきまして、先ほど台湾の勢力はどうかというお話がございました。これは我々のほうも台湾情勢というものが余りよくわかつておりませんし、且つ又台北あたりの情報というものは、必らずしも真相を報道しておらないという点から申しまして、割引しなければならん点もあると思うのでありますが、大体におきまして、今のところ台湾というものは、やはり中国本土から懸け離れておるという意味から、余り大した勢力を持つておらないように感じるわけであります。
  120. 山田節男

    ○山田節男君 今の第一問の第三勢力に対する評価でありますが、非常に簡單にこれは結論だけ言われたと思うのであります。御承知のように、この中共を侵略者と見るかどうかという問題に関しても、相当第三勢力が示しておる態度というものが、これは私は将来の日本講和條約というものに対しても相当一つのウエイトを持つのじやないか。こういう私は見通しを持つておるから質問したのでありますが、今の外務当局のそういう結論だとすれば、現在のまあ第三勢力の中心とも言うべきインドのネール、こういうような動きは、結局民主々義陣営に入つて来るという、そういう結論でありますが、ここは見解の相違になると思いますが、要するにその結論の意味は、結局インド或いはアラビヤその他のアジア諸国、ヨーロツパの一部、そういつたものは民主々義陣営に入つて来る。こういう結論は、いわゆる第三次世界大戰争が近く起らないというその判断と、どういう関係にあるのか、この点一つ……。
  121. 島津久大

    政府委員(島津久大君) お答えいたします。先ほど申上げましたのは、山田委員が御指摘になりました国々が、第三の勢力、つまり米ソ両陣営いずれにも属したい一つの固まつた別の勢力ではないということを申上げました。その意味から申しまするというと、これから第三勢力が民主々義に入つて来る、入つて来ないじやなくて、これらの第三勢力も元々民主的な国であるという意味で申上げたのであります。ソヴイエトのほうから申しますというと、中立はないようでありまして、ソヴイエト側からいうと、共産主義国以外は全部敵であるという見かたがある、これは確かにございます。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど朝鮮動乱見通し講和問題についての御答弁があつたのですが、この二つについてちよつとよくわからない点がありますので、お伺いして置きます。先ほど朝鮮動乱は、局地的に解決すると思うという見通し伺つたのでありますが、それはどういう形なんですか。
  123. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 先ほど申上げましたのは、如何なる形で解決するかということまでは見通しはついていない。言い換えますと、朝鮮動乱そのものが、すぐ第三次大戰に発展するとか何とかというようなことはないと思う。朝鮮動乱朝鮮動乱としてあそこで解決する、され得るものと考えるという意味なんであります。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことと、それから先ほどその前にお話なつた、国連軍が撤退しないように希望するというようなことを言われた、希望すると信ずるということを言われたのですが、そこがどうもよくわからない、例えば円満に解決して撤退しないということになれば、局地的にも解決が困難ではないかと思われるのですが、最近再び国連軍攻勢に出たということは、従来のこの局地的解決方法が別な方向に転換することを意味するのではないですか。何かそこに朝鮮動乱見通しについて政務局長の見通しと、我々別の、全く別の、反対見通しがどうも感ぜられるのです。そこで最近の戰局が非常に重大視されるのですが、従来はずつと局地解決で来ていたのですが、その第三次戰争にならないという意味での解決でなく、まあ前にエデル・スミスとかコリンズという人が来られてから、ずつと戰局が変つているようで、そこでお伺いしているわけです。ですから政務局長が言われるのと少し様相が変つておる。それで見通し相当重大になると思うのですが、その点は又対日講和が非常に急がれておる問題と関連して来ると思うのです。さつきのお話では、非常に常識的なお話なんですけれども、その点が少し違うように思うのですが、そんな簡單なものじやないのじやないですか。もう少し具体的に撤退の問題と局地的解決の問題、それから希望されるということは少し事務当局として言い過ぎではないかと思うのですが、例えば円満に解決した場合、撤退する場合もあり得るかも知れないですが、見通しとしてはいいが、希望するというお言葉があつたようですが、それはどういう意味なんですか。
  125. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 先ほど申しましたのは、国連軍朝鮮撤退というような事態には立ち至らないものと希望して、又そう信じておりますというふうに申上げたわけでありまして、現在の戰局からしまして、朝鮮撤退というようなことが今すぐ起るというふうにはないというふうに信じておるという意味であります。又局地的解決云々というところは、国際連合におきましても、中共を侵略者税するという決議が採択されましたのでありますが、にもかかわらず依然として平和的解決にも努力が続けられておる。そこでそういうような努力ができるだけ早く結実することを希望しておる、こう申上げたのでありますが、局地解決云々のところは、局地的に落着するものと考えておるというふうな表現をしておるのであります。現在のところ、私こういう見方は正しいと考えております。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それがね、私は矛盾しておると思うのです。そのお話は、国連軍が撤退しないであろうと、希望の点は問いません、しないであろうという見通し、これは従来の見通しと非常に違つている見通しだと思う。それが事実であるとすれば、これは非常に重大な問題で、そうなりますと、局地解決ということが非常に困難となる、こういうふうに見るのが当然だと思うのです。従つてそれが非常に国際的な大きな、大きな国際問題として解決されなければ解決されないような方向に行くんではないか、ですから朝鮮動乱見通しというものは、そう簡單に考えるわけには行かないんじやないか、こういう想定に立たざるを得なくなるのじやないかと思う。最初の見通しの御出発の……撤退しないだろう、まあいろいろなデマか知りませんが、説が伝えられた、併し今の見通しはしないだろうという結論、そうなると、局地的解決の問題が、従来と又別な局面になつて来ておると、従つてそれは対日講和も引つくるめての大きな世界的な解決によらなければ、又新らしい問題も起つて来るかも知れない。そういうような形における解決に向わざるを得ないのではないか、そういう想定に立たざるを得ない。そうしますると非常に変つて来ると思うのです。その点がですね。ですからその点はどうも撤退しないということと局地的解決とは矛盾して、局地的解決は困難になるであろうという見通しはわかる、併しそれがすぐ第三次戰争という意味じやなく、今までと違つた国際的な解決方法でなければ解決されないであろうという想定ならばわかるのですが、その点もう少し明確にして頂きたい。それから第三次戰争に発展しない、総理もしよつちゆう言われておりますが、その根拠、総合的戰力等々より判断して、そういうように立たれたと言われますが、何かそういう資料がありましたならば、箇條的でもいいですが、そういうものを箇條書でも、こういう想定……一つ、どういう点、二つ、どういう点でもいいと思うのですが、こういう点から先ほど山田さんから御質問がありましたように、その一つとして、印度が第三国的立場にあるから、それがエレメントになる、ソ連の兵力がこうだから、アメリカの兵力がこうだから、そういう項目別でもいいのです、その根拠、そういうものを若しできたら知らして頂きたいのです。それを御答弁願いたい。
  127. 島津久大

    政府委員(島津久大君) お答えいたします。先ほどの御質問、私ちよつと誤解をいたしておりましたと思いますのですが、私が朝鮮から国連軍が撤退しないと申しましたのは、これは戰闘の上での話、戰局から言つておるのでありまして、仮に話合いがつくという場合、そういう場合の撤退ということは含んでいない。茫洋としたような戰局ではないという御答弁を申上げたつもりであります。  それから只今質問の国力の点でございますが、極く概略申しまして、例のソヴイエトの重工業に重点を置きます五カ年計画、これによりまして、現在ソ連基礎生産力は戰前の水準を突破しておるようであります。それでも米国の生産力に比べますと、大きな開きがある。非常に大ざつぱのようでございますが、鉄、石炭は三分の一、電力は四分の一、石油は八分の一乃至九分の一というような差があるようであります。戰力につきましては、これは外電根拠ではございますが、ソヴイエトの陸軍の兵力が百七十五個師、約三百万、装備は優秀であると認められます。併しながら戰闘機を除く空軍力、潜水艦を除く海軍力におきましては、米国と非常な差があるだろうと考えられております。原子爆弾につきましては、その性能乃至保有量、これは米国に比して著しく劣つておると見られております。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると第三次戰争にならないだろうという見通し根拠は戰力の差違、そういう点からもたらされたわけですか。
  129. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今申上げました国力乃至は戰力だけではないと思います。その他いろいろの要素があると思つております。先ほど申しましたように、戰争を進んで始める用意がないではないかというのがこの戰力という点にあると思うのでありますが、それ以外に今戰争を起すことが不利である、或いは不適当である。乃至はもつと別の意味で戰争をしないでも共産主義活動の目的を達し得るという判断があるかも知れないと思います。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから先ほど結論ですね、局地的云々というあれは最初の撤退しないという事実、それは了承しました。希望という問題はここであえて問いませんが、そういう局地的な解決が困難な段階になつて来た、事実上撤退しないだろうという段階になつて来たから、前と違つた新らじい戰局段階に入つたからそう簡單に局地的に解決しない、もつと大きな国際的な政治問題としての解決以外にはなくなるのではないか、そういうふうな見通しと、先ほど政務局長の局地的に解決するという御見通しとは非常に差があると思うのです。そういう場合にやはり日本に対する影響というものは非常に違うので、若しかそうなると対日講和という問題も本年中には何らかの解決を見るというようなお話ですが、そういう局地的な解決が簡單にできないとすると対日講和の時機、形、そういうものも非常に変つて来るのではないかと思われますので、この見通しが非常に大切と思うのです。どうも先ほどのお話は抽象的ですが、余り甘く見ておるのはないかというふうに感じられますが、撤退しないだろうというふうに想定して置きながら結論が非常に甘い、撤退しないだろうという想定に立てば結論は非常にむずかしくなるだろうと思うのですが、この点はどうでしようか。
  131. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 局地的落着と申しておりますのはこれは時間的に非常に早く簡單に局地的に解決するという意味ではないのでありまして、ただこれが直ちに第三次大戰に発展するとか何とかいうことはないという意味なんです。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはもう質問と答弁は食い違つておりますからあえて質問をしても無意味と思います。そこで少し具体的な数字的な問題をお伺いしたいのですが、今後日本の貿易計画に非常に重大な影響を及ぼすと思われますのは、例のトルーマン、アトリー会談ですが、あのときに世界の重要資源の割当についてのいろいろな協議が行われたと思いますが、その具体的な内容なんかおわかりであつたら、この際すぐ御答弁願えなければ資料として、非常にこれは重大ですから、成るべく具体的にお伺いしたいと思います。
  133. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 内容発表されておりません。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 発表されておらないのですか。それは私はおかしいと思います。例えば安本の資料なんか見ましても、それからグレー報告ですか。ああいうものを見ましても、この会談の結果日本に非常に大きな経済的な影響を及ぼすであろうということを言われておるのです。従いましてわからんというのでは余りに頼りないと思います。随分これは重要な影響があるのですから、何かお調べになつておるのじやないですか。発表されなくても、大体どういうことが重要資源でも問題になり、日本にどんな影響があるのか。これはまあ外務当局だけは私は情報キヤツチしておると思つて質問したのですが、無理なら通産省や或いは安本とも連絡をとられて、資料的でいいからわかりましたら成るべく具体的にお示し願いたいと思いますが、如何でしようか。
  135. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それに関連しまして、その問題については更にすでに国際的な重要物資割当機構の設定についての折衝があつた各国間において行われておるはずだと思いますので、もう少しそういう点を具体的にお示し願いたいと思います。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 如何ですか、御答弁願いたいと思います。
  137. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今資料を持つておりませんので、できる限り調査いたしまして、できるだけ御要望に副いたいと思います。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからもう一つ伺いたいのですが、私国際法とかそういうことは余り知らないのですが、外務当局の專門的な立場のかたにお伺いしたいのですが、最近国連協力ということをまあ周東長官なんかも経済的な面からやる、例えば鉄鋼を三百何十万トン作つた場合に、国内の消費を切りつめても国連協力の形でそれを輸出する、そういうようなことがしばしば言われるのです。経済的な国連協力ということ、これはまだ日本は国連へ入つていないのですけれども、そういうことは何か国際法上とか何か根拠があるのですか。そういうことをやれるのですか。それはそういうことでかまわないのですか。どんどんやろうと思えばやつてもかまわないのですかどうか。何か法的な根拠があるから国連に入つていないが、そういう経済的な協力をするということは可能であるか。何か法的な根拠があるのでしたらお示し願いたいと思います。
  139. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 法的な根拠と申しますよりは、現在日本が置かれておる立場で、できるだけの国連協力をするということは従来からの方針であります。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国連に入つていないのですけれども、そういうことでいいのですかどうか、或いはこういう占領下であるから指示に基いてというのでしたらわかるのです。併し国連協力、国連協力と言つて、これは日本の国内物資を確保する上においても生活水準の問題とも非常に関連して来るので重要だと思うのです。そういう形で、入つてないのにどんどんやれるのかどうか。何か合理的な説明の仕方があるのじやないですか。何か根拠を示して頂きたいのです。
  141. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 経済問題の具体的なことになりますと、我々のほうの担当ではございません。ただ国連に入つていない国が国連に協力をしていかんということはないかと思います。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうじやなく、それはいかんことはないでしようけれども、どういう根拠でやられておるのか。これはまあ押問答になるからこれでやめます。  それでは更に調査の要求ですが、在外資産の調査、これがどういうふうになつておるのか、資料を後日でいいですから、在外資金の現状、それを資料としてお示し願いたいと思うのであります。  それから賠償工場、賠償に充てられたいわゆる管理工場ですが、それはどういうふうになつているか。これはまあ外務省だけではわからないかも知れませんが、或いはダレスさんにそういう資料を提出したかも知れませんから、ほかの省と御連絡の上そういうこと、数字です。具体的の資料ですね。在外資産と賠償工場がどうなつているか、そういう資料を御提出願いたいと思うのです。  それからもう一つお伺いして置きたいのは、講和は本年中に何らかの解決を見ると思うというお話ですが、そうしますと講和に関連してですね、或いは警察予備隊とか、そういうようなこの費用ですね、こういうものが本年中に出て来るかも知れない、そういうことは外務当局としてお見通しになつていますかどうか。この点をお伺いしたい。
  143. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 今の御質問の中の在外資産の資料の問題についてちよつと私お答え申上げますが、在外資産の関係では現地から引揚げて来られた同胞の報告が最も貴重な資料一つになりまして、そのほかの資料も入れた調査が行われたことは事実でございます。そしてその資料も一応まとまつておりますが、まだ最後的にその発表とか、議会のほうへ提出するとかいう段階にはまだなつておりません。それはその在外資産と申しますのは、主としてこれは東亜の各国の関係の今申上げた……、それからその他の例えば米国――北米、南米その他の国につきましては、その国々で戰時中の取扱がいろいろまちまちになつておりまして、現在司令部を通じて各国政府にその財産の処分されたいろいろな方法並びに現状というようなものを各国から今集めております。まだ併しながらいろいろ多数ございますために、これもまだ集まつて……全部集まるに至りませんので、遺憾ながら極く近い機会に御希望に副うという段階にはまだならないと思います。
  144. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 賠償工場の現状に関する資料ということでございますが、これは賠償庁と連絡をとりまして提出いたしたいと思います。最後の御質問は予備隊の予算の関係と承知いたしましたが、この点は外務省の所管外の問題でありますので、ほかの省からお答えいたします。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 予算はそうなんですけれども、その予算に関連がありますので、そういう情勢になるかどうかということです。それを見通しておりますかということですね。
  146. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 国内の治安の関係でございますから、私から申上けられません。
  147. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 私ちよつとほかに用事がありまして席を外しておりましたから、ほかから御質問があつたことでございましたら別に何でございますが、実は朝鮮事変についてただ戰闘行為……表面に現われた戰闘行為だけを見ておつては非常に表面的な観察しかできないのであります。その点で第一にお聞きいたしたいと思いますことは、この前の臨時議会の初めに総理大臣が施政演説で、先ほど木村委員からも言われましたように、朝鮮は間もなく統一国家としてできるだろう、マツカーサーは前線にあるのだ、こういうような期待的なお話があつたと思うのでありますが、そうするとすぐ中共軍が或いは百万以上と称せられるところの大軍が北鮮に侵入して参つた。でその真意が一体どこにあるか、どういう考え方から中共軍の侵入が起つておるか、こういう点について外務省はどう御覧になつておるかという一点が聞き失いのであります。爾後戰局国連軍に非常に不利な状態になりまして、非常に釜山の周辺にまで撤退せざるを得なかつたのでありますが、その間にアラブほか十二カ国がいろいろな斡旋、調停に出まして、停戰についての種々なる提議をいたしたわけでありますが、と同時にアメリカは先ほども御議論のありましたように、中共を侵略者として非難する決議案を提出する、そうしてそれが国連を通過する、そうして国連軍は今や又再びカムバツクいたしまして京城の近くまで参る。こういうような国際情勢の分析をこの戰鬪行為と結び付けて外務省のほうはどうお考えになつておるのか。或いは先ほど申された朝鮮の問題は局地的の解決となつて、第三次大戰にはならないだろうというような判定につきましては私どもも或る程度うなずけるのでありますが、その局地的解決は如何なる形において結ばれるのであろうかということについての何らかの情報を得ておられるならば、それらについてのお見通し、こういうものについて外務省資料から見ました観察を御披瀝願いたい、こう考えます。
  148. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 最初の御質問中共の意図如何という御趣旨と思います。これは各種の観測並びに議論があるわけであります。大体民主陣営では予想していなかつた事態なんであります。真意がどこにあるかということは我々として見解を申述べる問題ではございません。  あとの問題でございますが、何か特別の判断基礎になる資料はないかというお話、格別特ダネは持つていないのであります。
  149. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう少し御親切に、そうして詳細にお話願うことはできないものか、こう考えるのであります。例えば我が国の安全が脅かされておるということは、その実際の軍が戰つておる真意によつて考えられる問題である。若しも我が国の安全保障というものを考えないで、それと結び付けないで考えるならば別でありますが、少くとも中共が介入いたしましたときに、水質ダムの問題であろうとか、或いは水豊ダムを中心とする北鮮の工業地帯というものに対する権益を守るためだろうというふうな観測が最初行われたことは事実であります。併し、その観測ならば、北鮮軍が三十八度を越して釜山の周辺まで参るはずがなかつたはずだということも考えられるのであります。そういう問題について、どういう国際的意義を以て入つて来たかということによつて初めて我が国の安全保障と結び付けた考え方になり得るのだと思う。それから一方におきましては、アラブほか十二カ国の非常な熱心な斡旋にもかかわりませず、国連軍が更に北上いたし、そして中共が侵略者として断定されるという決議案が出る。そういうことと結び付けて考えて、初めて実際の我が国の安全保障というものが更に考えられなければならないとこう思うのであります。この点について、全然情報もわからないという考え方では、日本の国の安全保障と直接関連して結び付くほかの資料で以て日本の安全の問題をお考えになつておるのかどうかということを疑わざるを得ない。それらはただ朝鮮で起つている両方の国の行為だ、日本と全く関係のない行為だ、じや日本の国の安全保障はほかのどういうことで結び付けて考えておちれるのか。こういうことを更にお尋ねしなければならなくなつて参るわけであります。私は恐らく前段について何ら関係なしということで、それについて何も知らないとおつしやるわけには行くまい、外務省としてそれについて考え方を何ら持つていないのだということを言うわけには行くまいと考えるのでありますが、重ねて御答弁を願います。
  150. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 日本の安全の問題に朝鮮の事態が関係なしということは勿論ないのでございます。先ほど私、資料が、特別のタネがないと申上げましたのは、大体新聞報道その他でよく御承知のこと以外に資料がないということを申上げた次第でございますが、朝鮮の事態が日本の安全に非常な関連を持つておることは申すまでもないと考えるのであります。ただ朝鮮の事態からすぐに日本に戰禍が及んで来るというふうには考えておりません。
  151. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 講和に際しこの中共政権の立場についてお尋ねしたいのでありますが、中共意向につきましては、先ほど次官からちよつと触れられたのでありますが、アメリカ中共政権をどう考えておるか。又イギリスは中共政権をこれを認めておりますが、対日講和に際してはこれをどう扱うか。又中共に対して対照的である国民政府はどう考えておるのか。こらの情報につきまして知りたいのであります。
  152. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 中共の取扱につきましては、米国はこの講和の問題につきまして現に国民政府と下話をしているという状況でございまして、中共を承認するというような意向はないように考えられます。米国は中共と対日講和の話合いができればいいというような意向も伝えられておるのでありますが、肝心なことは承知いたしておりません。
  153. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 太平洋戰争に参加いたしました主要なる各国間において、中共政権について未だはつきりした意思統一がないように今の御答弁では受取れるのでありますが、この場合におきまして今吉田政府としては多数講和を考えておられるが、併しながら多数講和を考えるにいたしましても、中共政権に対しての考え方、これについてはおのずから外務省当局においていろいろ御研究されておられることと思うのでありますが、国民政府中共政権との関係、又中共政権が、昨日次官日本に対する中共の考え方を述べられておつたのでありまするから、そこで外務省の考え方を承わりたいのであります。
  154. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 中共に対して日本外務省はどう考えるかという点でございますが、これはここで日本外務省はこう考えますというようなことを申上げることは困難だと存じます。ただ先に申上げました、又私どものほうの関係委員から申上げましたように、イギリス連邦関係はできるだけ中共の対日講和への参加を希望しておりますることは一月の連邦会議にも現われております。又この中共の対日講和の問題に対するアメリカ態度は、実は中国に対しまする下交渉の相談は十月中にあつたようでありまして、これに対してソ連から質問意味における覚書内容によりますると、中共はどうするかという意味であつたと思いますが、今アメリカ国際連合、対日講和の問題については極東委員会加盟国中心に話を進めている。いわゆる国連に結ばりを持つている国々との話に進んでいるので、従つて中共は御案内のようになお国際連合加盟しておりません関係から現在のような態度をとられていると存じまするが、日本といたしましてこれらの問題に対してここでかれこれ批判をすることは妥当でないと考えます。
  155. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 いずれ機会があると思いますので次に話を移しますが、ソヴイエトの関係についてでありますが、外務省において次のような点を御調査になつておられるか、或いはお考えになつておられるかということを御参考のために聞きたいのであります。これは飽くまでも私の意見ではなくて、その当時の経緯を若干外務省として御検討願いたいという趣旨で申上げたいのでありますが、このソヴイエトが今回の太平洋戰争に参加した期間は極めて短かくて、而も当時一方的な宣戰布告によつて行われております。その当時日本はこのソヴイエトの宣戰布告に対してどう対処したのかという点であります。当時日本はこれに対して対抗的ないろいろな措置を講ぜられたかどうか、これは非常に重要な問題であると思うのであります。先ずその点を一つお聞きしたいのであります。
  156. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今の御質問の点につきましては正確な事実に基いてお答え申上げたいと思いますので、只今その資料を持つておりませんので、後ほどお答えさして頂きます。
  157. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 それではもう一つお願いしたいのでありますが、こういうような極めて短期の戰争であり、而も一方的な戰争であつた、こういう場合、今まで歴史の上において講和がどういうふうに行われて来たか。これはポツダム宣言が発せられた当時にソヴイエトは参加しておらない。その後にこれが参加して、現在その枠の中において講和が論議せられておるようでありますが、その中からソヴイエトの立場だけを一つ抽出していろいろ検討する必要があるのじやないか。それは今までの日本情勢、置かれておる立場からいたしますると、なかなか困難な問題であつたろうと思うのでありますが、すでに敗戰相当な期間も経ておりまするし、講和の問題が具体的になつて来るに従いましては、こういう点の御検討があつて然るべきと思うのでありますが、この点の御見解を開きたいと思います。
  158. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今の御質問に対しましてはお答えを申上げかねます。
  159. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 最近の情勢から行きますと、従来の講和とは出遅いまして、日本日本の立場からいろいろ当然これは検討し用意して置くべきことではないかと思います。そういうことから考えますと、先ほど申上げた中共の場合、或いはソヴイエトの場合におきまして、あらゆる角度からこれを検討すべきが外務省の役目ではないかと思うのでありますが、どうも只今の一、二の御答弁の中にはそれらの適格性が外務省に欠けているんじやないかと、かように考えられるのであります。この点につきまして政務次官からお答えを願います。
  160. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは実は検討しておる、おらないということよりも、講和日本の自立としての関門といたしまして、最も大事なことであります。十分なる方法外務省は講じておりますことを御了承願いたいと思います。
  161. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 今の政務次官お答えでありますならば、我々が予算審議に伴つて必要である限りにおきましては、外務省が御見解を表明すべきであると考えるのであります。この点如何でございましようか。
  162. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 御説の通りできるだけ十分御説明を申上げることが当然であると思います。
  163. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 それではいずれそれらの問題につきまして、具体的に資料或いは御見解を後刻承わりたいと思います。次にこの点を、丁度ダレスさんが間もなくお帰りにもなりますので、承わりたいのでありますが、ダレス特使の二日の演説というものは、これは我我として非常な関心を持たなければならない。併しながらこのダレスの公開演説に対する世界各国の世論というものも又つかんで行かなければ、我々としての心がまえを作る上においては万全を期しがたいのじやないかと、かように考えるのであります。かような意味合からいたしまして、この公開演説後におきます主要なる各国の世論、そういうものの情報というものをお聞かせ願いたいと思います。
  164. 田付景一

    政府委員(田付景一君) お答えいたします。  ダレス特使の演説に対しまして今のところ各国からの反響というものはまだ入つておりません。ただアメリカからだけは入つておりまして、これは共和党にしましても、民主党にしましても、非常にダレス特使の演説に対して賛成である、同意の意を表しております。なお各国から追々入つて来ると思いますので、入りましたならばここで御紹介いたしたいと思います。
  165. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 それではそのようにお願いいたしまして、ダレス特使の今度の演説につきましては、あの演説全般を繙いて参りますと、日本国民意向というものを非常に参酌されておる。又ダレス特使はそのために各界のかたがたといろいろお会いになつておられますが、外務省が、或いは外務当局ダレス特使より日本国内の世論はどういうふうに見極めたらいいか、こういうような若しダレスの質問のあつた場合に、これは当然外務省としては国内の趨勢というものを見極めて置かなければならないと考えるのでありますが、例えば集団防備の問題であるとか、或いは間接侵略に対するダレスの見解に対するその答えであるとか、そういうような点については外務省はどういうふうに情報を收集されておられるか、伺いたい。
  166. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) その問題につきまししは、むしろ外務省がかれこれ申上げるということよりも、それぞれの関係者に対して現在懇談が進められておるようであります。それで多分この日本のいろいろな意見をつかんで行かれるという情勢にあろうと思います。
  167. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 吉田外務大臣は数次に亘つてダレスにお会いになつておられますが、その場合に当然これは事務当局である外務省は、その根底となる資料を提供されておると思うのであります、そうでなければ吉田首相はただ一人勝手なことをしやべるということになるのでありますから、そこでその資料の收集と情報の收集がどうなつておるか、どういうことを吉田総理が言つておられるかということは、これは吉田総理に我々はお聞きしたいと思うのです。吉田総理がダレスに会われておつて、その会見内容が詳細にならない、我々が知りたくてもいわゆるワンマンとして呑込まれておりまして、衆議院の委員会におきましても、又参議院、衆議院の本会議におきましても、その内容が詳細になつて行かないのであります。その場合において外務省総理に対してはどういうふうな資料の提供をされておるか、外務省としてはどういうふうに情報を收集されておるかということが国民として知りたいと思います。
  168. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これは別にここで改まつて申上げるような方法というのはないのでありまして、ただ従来から外務大臣として十分そのほうを掌つておられますから、その立場において進めておられると存じます。
  169. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 実は非常に私どもが惧れておるのであります。それは総理が国内情勢の把握の仕方が、我々は信頼をいたしております、併しながら若し誤つてつたとするならば、この重大時期に際会して我々は非常に懸念するところなのであります。そこで今外務省の事務当局にお尋ねしておるのでありますが、今の政務次官お答えからいたしますならば、総理がただ一人呑込んでおるというふうに受取れるのであります。併しながらこの重要問題につきましては、私は当然外務大臣として事務当局にも連絡あり、事務当局もその連絡に万全を期しておると思うのでありますが、その点は如何ですか。
  170. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 総理は現在外務大臣を兼任いたしておりまする関係から、平素外務省の事務につきましても、又只今いろいろお話になりましたような点につきましても、十分平素の外務省の事務を統轄いたしております。その点によりまして常に進んでおりますことを御了承願いたいのであります。
  171. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 非常に抽象的なお答えでありまして、私は総理にこの点は突つこんで聞きたいと思うのでありますが、ただ申上げたいのは、例えばダレス特使総理が会見されたその会見というものが、本来ならば或る程度でもこれが正確なる報道が行われなければ、当然国民が臆測をする、いろいろと邪推をするというようなことになつて来るのであります。これは戰争中におきましても、知らしめなかつたという点が大きかつたと思うのでありますが、今の外務省の行き方からいたしますと、どうも知らしめないという点が多いのじやないかと思うのであります。でありますので、先ほど来我々委員が真剣にいろいろと事務当局の見解を質しておるのでありますが、できますならば先ほどダレス特使の公開演説に対する各国の世論については今後わかる場合においてはお知らせ願いたいということでありますが、同時にダレス特使に対してのいろいろの外務当局が御準備になつ資料というようなものも我々は参考に拝見したいということを申上げたいのであります。
  172. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) これはいろいろお話の都度使節団等のスポークスマンがそれぞれ発表をいたされておりまするが、実は外務省はこれこれの問題についてこちらからこういう問題を話して行くという立場ではないのでありまするから、従つてスポークスマンのかたがたの今までの発表というものが最も正しい、且つ正確なことと御了承をお願い申上げたいと存じます。
  173. 岩間正男

    岩間正男君 時間が余りないようですから、ただ一点だけ伺います。先ほどの政務局長のお話によりますと、第三次世界大戰が回避されておるところの一つの大きな理由として、戰力が劣つておる、こういう点を挙げられたようなんであります。現在戰争をやれば非常に不利である。だからしてこれが延ばされておるのだ、こういうような見解に立つておられたようでありますが、私はこの見解というものは非常に一つの大きな問題を見逃しておる、こういうふうに思うのです。ということは、この前の第一次大戰後、それから第二次大戰になつてつたときと、今度この世界情勢がこういうふうに非常に緊迫しておりますけれども、この質的に非常な相違がある。この相違をやはり我々がはつきり見なければ日本のそういう外交を指導する立場においては非常な片ちんばになるのじやないか。それは何であるかというと、戰争をいやがるところの、いわゆる平和を飽くまで守るというところの人民の勢力が非常に澎湃として世界至るところに起つておる、こういう事実に対して一体外務省はどのようにつかんでおられるのであるか。世界平和擁護委員会におきまして、曾つてプラーグのアツピールによりまして原子爆彈を絶対に使わない、若し最初にこれを使うものは戰犯としてこれを告発する、こういうような戰争を回避するところの、平和を飽くまで求めるところの大きな人民の要求によりまして署名が展開された。そうしてこれが大体現在におきまして世界で約六億のこれは署名が達成されておる。こういうような勢力が非常に大きく戰争を回避しているところのゆえんであると考えるのでありますが、例えばこの世界平和擁護大会、こういうものがどのようにして構成され、どのような人民の要求によつて作られ、そうしてそれがどのように各国において展開されているか、こういう実情につきまして外務省は果してつかんでおられるかどうか。若しその資料があるならば、これは是非我々は出して欲しいというふうに考えるのであります。若しこのような一つの大きな質的な相違について我々が目をふさいで、そうしてこれを見まいとして一つの政策が進められて行くというようなことは、少くとも現実的には大きなこれは過誤を犯すゆえんになるのじやないか、こういうふうに思うものでありますから、先ず第一にどういうふうにそういう点をつかんでおられるか、お伺いしたいと思うのであります。
  174. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今御指摘になりましたような平和運動というものが共産主義の見地から強力に行われているという事実は承知しております。
  175. 岩間正男

    岩間正男君 第一今の答弁は非常に事実に反すると思う。共産主義の見地から行われておるというようなことは少くとも世界平和擁護運動に対して一つの何か意図を持つて考えられておる見方としか考えられない。そういうことが、一つの何と言いますか、まあ世界に流布されておりますけれども、もう少しやはり真相を真実に調査して、そうしてこの実態をつかむということが非常に重要だと思うのでありますが、而もなおこれが共産主義の立場から行われておる運動であるというふうな……。なおこの実態を知ることが外務省としては重要であると思います。だからそういう実態について、そういうことについては全然真相をつかんでいない、こういうことでは私は非常に怠慢だと思うのでありますが、これは実際つかんでおられないのですか、おるのですか、そういう点は如何ですか。つまりそういうような性格をどう見ているとか、そういうことは問題ではない。客観的にどうなのですか。
  176. 島津久大

    政府委員(島津久大君) 只今質問の点に関する資料は極力收集いたしております。
  177. 岩間正男

    岩間正男君 そう言いますとそれに関しての資料は本委員会に頂けますか。構成とか、運動の展開されているいろいろ情報ですね。それは如何でございますか。
  178. 島津久大

    政府委員(島津久大君) できる限り御要望に副うように措置いたします。
  179. 岩間正男

    岩間正男君 次にお伺いしたいのでありますが、とにかく我々は戰争を回避する、回避するというような方向に実は議論を向けなければならないと思うのです。どうも現在のこの国内の議論を見ますというと、戰争をだんだん構成するような方向に、第三次大戰はどうだ、それからその危機はどうだ、こういうふうに煽るような方向に行われておる。これは非常に重大な問題であると私は考える。逆にこの日本一つの、ああいうような戰争をやつて、そうしてここまで落ちた日本しては飽くまで又新らしい憲法、或いはポツダム宣言を我々は守り抜くという日本の立場においては、戰争を避ける、飽くまで平和を守る、これを前提として論議しなければならないと思う。従いまして私は特にその点を今強調して、外務省にも伺つておる点なのでありますが、もう一点私はこういう点からお伺いしたいのでありますが、例えばアメリカ国民の戰争に対する感じ方、それから西欧におけるところの国民の感じ方というのは非常に相違があると思います。これが今日やはり朝鮮問題その他この日本講和問題なんかを中心としまして現われて来るところの意見の相違である、こういうことを考える。つまり二回の激しい、物凄いところの戰争を体験したところの欧洲大陸の国民の戰争に対する考え方と、恐らく一発の爆彈に見舞われたことのない、而も東亜におきましては約八千キロの海を隔てておる。或いは又大西洋は、これは六千キロあります。こういうような海を隔てた大陸の中に一つの安全地帯を持つておるアメリカ国民の場合というのは、非常にこれは違つておると、こういうふうに思うのでありますが、この観点をやはり外務省としてはつかむことが非常に重要である、こういうふうに思うのでありますが、こういう点について外務省はこういうところの質の相違をどういうふうにつかんでおられるか、そうしてそれが最近の一つの政局の中に、国際政局の中にどのように現われておるかということをつかんでおられるか。これは日本の外交を指導する外務省としては非常に重要な観点と思いますから、これは次官に承わりたいと思います。
  180. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 只今岩間委員のお話のような状態もあろうかと存じますが、併しこれは一概にただ簡單にこの情勢を把握するということは困難であろうと存じます。従いまして勿論西欧諸国におきましては数回の戰争の経験をいたしておりまする関係で、それは随分体験をいたしておりましようが、同時に又アメリカも自分の子弟なり或いは肉親なりを戰線に出して苦い経験をいたしておりまするから、決してそれが西欧だけが強くて、アメリカが弱いというようなことは、これは考えられないのであります。戰争を回避したいというのは、これは全世界国民の強い平和的希求であろうと存じます。
  181. 岩間正男

    岩間正男君 私はなぜこういう点を強調しておるかと言いますと、つまり外務省の、過去の終戰前の外務省の任務というのは、日本敗戰の中でどういう役割を担つたか、こういう問題をここでやはり反省せざるを得ないのであります。つまり本当に外務省の役割が正しく果されたかどうかということであります。そうしてその中には、やはり情報が正しくつかまれて、国民に正しくそれが伝えられたかどうか。これは無論單に外務省ばかりを責めるわけには行きません。当時の日本のフアツシスト、軍部勢力というものがどんなに横暴であつたかということもこれに関連して考えなければなりませんが、同時に外務省にもあつたと思うのであります。これを打開いて行くという迫力と、そういう信念において欠くるところがあつたのではないかと思うのであります。私は今新らしいやはりこういうような事態に立つて、新らしいそういうような質的な変化というものを十分に見て頂きたい。ただ各国の政局の動き、それだけの結論というようなものだけでは、やはり我々は本当に世界を見るということにはならないのであります。最後にはやはり底に流れているものを見てもらいたいと思うのであります。只今次官説明を聞きますというと、成るほどアメリカも戰争に子供さんたちをとられて、そういう戰争の惨苦は嘗めておる。こういうことを私は否定するものではありません。併しながら、何回か頭の上に爆彈の雨を降らされ、そうしてあらゆる町、民家が破壊され、又は大衆が逃避のために家財をまとめて、そうして家族が手を携えて逃げる。日本ではまだそういう経験はないのでありますけれども、何回かそういう悲惨な経験を味つた者と、それから比較的少数の人たちが戰争に狩り出されるのとでは、非常に違うと思います。日本も爆撃される前と、された後とでは、戰争に対する感じは非常に違つて来ておる。併しまだまだ日本人は、西欧なんかに比べて深刻でないということが言えると思う。こういうような質的なことが大きく今度の問題について、殊にトルーマン大統領の爆彈の使用も辞せないというような声明に対して、西欧とそれからアメリカ側意見相当な食い違いが出て来ておる。そうしてイギリスの労働党の議員百数名のごときは、これは朝鮮から即時兵隊を引揚げるべきだ、こういうような強硬な議論さえ出て来ておる。こういうように、私は戰争に対する考え方が非常に違つておると思う。そういうことについてもつと具体的に深く入つて、そういうものをつかんで、情報としてキヤツチされているのでなければ、我々は国際情勢の上つ面だけを見て、つんぼ棧敷の愚を繰返しているということではいけないと思う。そうして同じことがアメリカについてもどうか。アメリカは西欧と比べまして戰禍のこうむりかたは少いけれども、併し平和を望んでいる勢力はやはり非常に多いのである。そうしてそのために、例えばプラーグの署名運動に対しましては、三百万の署名が集まつておる、こういう事実があります。又これは昨晩の夕刊紙が伝えておるのでありますが、大抵の夕刊紙が出しておりますけれども、今度の朝鮮事変に対しまして、これはAP電の伝えるところで、皆さんも多分御覧になつたところであろうと思うのでありますけれども、「併し或る筋、特に国務省筋では、政府朝鮮政策は十分に理解されておらず、且つ多くの支持をも受けていたいため困惑している。政府筋による世論調査及び議員への投書によれば、何のために朝鮮で戰つているのかよく知つておらず、国連軍の撤退を望んでいることが明らかにされたと言われている。」、こういうような情報が、これはAP電によつて伝えられている。これは読売を除いたほかの大きな新聞には出ているところの記事であります。こういうような情報なんかを見ますというと、必ずしも我々がここで考え、そうしてアメリカがそうだろうと思つている、つまり朝鮮に対する考え方と、必ずしも同一でないところの動きが底流として流れておるのではないか、こういうことを我々は推測するにかたくないのである。こういうことは、実は單にそれが了解されないのであるか、或いはこの朝鮮事変そのものに対しては国民国民的な感情を以てこれを深く理解することができないような状態にあるのか。この戰争の本質については、例えばこれは中共アメリカの場合では非常に違うと思うのです。簡單に言えば、中共は自分の国境まで攻められた場合である。而も、自分の産業地帯というものが爆撃されておる場合である。若しも仮にこの位置を顛倒いたしまして、中共がメキシコに攻めて行つたならばどうなるか、アメリカはやはりこれに対して安閑として見ていることができるかどうか、こういう單純なる一つの例を引きますならば、今度のやはり中共軍が侵略したとか何とかいう言葉によつて我々が單純に一つの世論の尻馬に乗つておるような見方はできないだろうと思う。こういう観点をもう少し客観的に冷静に見て行く、このことが世界の真の正しい姿をつかむモーメントであると思うのであります。然るにどうも外務省筋の先ほどからの話によると、希望するとか、信ずるとか、こういうような言葉が余りに多過ぎる。これに太平洋戰争時代に流行した言葉であります。例えば先ほどの政務局長の、撤退を希望するとか、信ずるとか、こういう言葉は、どういう根拠によつて日本外務省として……、あなた個人がそういうことを言われるならば、そんなに問題にする必要はない。個人の希望や願望についてまでここで触れようとは思わない。併し政府機関を代表して答弁されるその答弁の中において、今まだ講和をしていない、独立していないところの日本、そうして連合軍の治下にある日本の一体政府機関として、こういうような主観的な意見を吐いてよいのであるか。そうしてそのことが、平和、その平和の最も大きな裏打でありますところの全面講和、この要望を破壊するところの実は一つの工作になつていやしないか。事実そういうようなほかを刺戟して、そうして全面講和を達成するそういう方面の意図を逆に阻害しておる、こういうような事態にあるとするならば、非常にこれは責任重大であると、こういうふうに考えるのでありますけれども、どういうふうな資格においてそういうことが一政府委員によつて吐かれるのであるかという日本の現実、日本のこの不様な現実に対しまして、私はこれは非常な反省を促さざるを得ない。こういう点について、次官並びに局長の答弁を求めます。
  182. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) お話の中にいろいろありましたが、十分に御質問の点がはつきりいたしません点もありましたので、或いはお答えにそぐわん点もあるかとも存じまするが、トルーマン大統領朝鮮戰域において原子爆彈を使用するということすら言つたという意味のことを前提としての御質問であつたと存じまするが、これは私どもの情報なり知り得ておりまする範囲では、さようなことはなかつた、そういう声明はなかつたと存じます。又朝鮮動乱見通しという問題で政府事務当局の見解を求められましたので、見通しでありまするからさように申上げたのであります。これが一つの現実の科学的なものでありますると、必ずしもそうじやなしに、お話のような場合も多いかとも存じまするが、見通しとなりますると、断定は誠に困難でありまするから、さような言い廻し方を当然持つて来ることは、御了承を願いたいと存じます。  又原子爆弾の使用についてのいろいろな御意見なり、或いは世界平和運動についての問題なりについて御意見を含んだ御質問があつたようでありまするが、むしろ私どもはアメリカ朝鮮国際連合軍の一員として加わつておりまする点につきましては、世界平和のために国際連合軍の一員として真剣に平和を希求する余りに、多大の犠牲を拂つて現在行動をしておると存じております。従つて、その犠牲たるや、全面戰争、全体戰争を起さないための大変大きな犠牲を担いながらも、世界の平和のために進んでおると、かように存じております。且つ又原子爆彈の使用につきまして、平和運動等におきましては、常に第一に原子爆彈を使用するような国が、事の如何を問わず、侵略者であると断定をするという、いつでも、こういつたような言い廻し方をしておりまするが、併し現在世界平和を持ち来たしており、戰争の危險の一つの防波堤になつておるのは、やはり最も進んだ武器の十分なる強化による安全を築いて行く……、こういう方向に向われて行くと存じております。決して戰争の準備のためになされておるとは考えておらないのであります。以上外務省の見解を申上げました。
  183. 山田節男

    ○山田節男君 一応これは私は今までのいろいろ質問、或いは外務省当局の回答をまとめて、これは我々としても非常に不満な点も多々あるわけであります。勿論午前中に草葉外務政務次官が言われたように、外務省は今日つんぼ棧敷である。この事情はよくわかるのであります。ただ終戰以来今日こういう講和問題が起きるということは、これはもうはつきりしたことでありまして、今日まで相当な国庫を、外務省の存続のために金が拂われておるわけであります。ただ私の申上げたいことは、今日の話はこの質疑応答で、外務省の見た国際情勢の分析というものを時間的に聞けなかつた。時間も大変たちましたので、今日のスケデユールになつている国際情勢説明というのはここで終えて頂いて、来るべき機会に吉田総理が外務大臣として出席されるだろうと思います。そのときにいわゆる今度は政府責任者としての国際情勢見通しによつて、こういうような方針で行くというこの質問が私は必ず考慮されていると思いますから、今日はここで一つ打切つて頂きたいと思います。動議を提出いたします。
  184. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) ではちよつと政務次官に聞きますが、九日までに吉田総理に出席して貰うような交渉はあなたのほうからしてくれますか。
  185. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) はあまだはつきり……。
  186. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 重ねて申して置きますが、九日までのうちに是非一日を割いて頂かないと困るということを伝えて下さい。
  187. 草葉隆圓

    政府委員草葉隆圓君) 申し伝えて置きます。
  188. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それでは今日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            泉山 三六君            大島 定吉君            小野 義夫君            一松 政二君            安井  謙君            山本 米治君            山縣 勝見君            岩崎正三郎君            内村 清次君            永井純一郎君            山田 節男君            吉川末次郎君            原  虎一君            高橋龍太郎君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   政府委員    外務政務次官  草葉 隆圓君    外務省政務局長 島津 久大君    外務省政務局情    報部長     田付 景一君    外務省管理局長 倭島 英二君    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君