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岩間正男君 私はなぜこういう点を強調しておるかと言いますと、つまり
外務省の、過去の終戰前の
外務省の任務というのは、
日本の
敗戰の中でどういう役割を担
つたか、こういう問題をここでやはり反省せざるを得ないのであります。つまり本当に
外務省の役割が正しく果されたかどうかということであります。そうしてその中には、やはり
情報が正しくつかまれて、
国民に正しくそれが伝えられたかどうか。これは無論單に
外務省ばかりを責めるわけには行きません。当時の
日本のフアツシスト、軍部勢力というものがどんなに横暴であ
つたかということもこれに関連して考えなければなりませんが、同時に
外務省にもあ
つたと思うのであります。これを打開いて行くという迫力と、そういう信念において欠くるところがあ
つたのではないかと思うのであります。私は今新らしいやはりこういうような事態に立
つて、新らしいそういうような質的な変化というものを十分に見て頂きたい。ただ
各国の政局の
動き、それだけの結論というようなものだけでは、やはり我々は本当に
世界を見るということにはならないのであります。最後にはやはり底に流れているものを見てもらいたいと思うのであります。
只今の
次官の
説明を聞きますというと、成るほど
アメリカも戰争に子供さんたちをとられて、そういう戰争の惨苦は嘗めておる。こういうことを私は否定するものではありません。併しながら、何回か頭の上に爆彈の雨を降らされ、そうしてあらゆる町、民家が破壊され、又は大衆が逃避のために家財をまとめて、そうして家族が手を携えて逃げる。
日本ではまだそういう経験はないのでありますけれども、何回かそういう悲惨な経験を味
つた者と、それから比較的少数の人たちが戰争に狩り出されるのとでは、非常に違うと思います。
日本も爆撃される前と、された後とでは、戰争に対する感じは非常に違
つて来ておる。併しまだまだ
日本人は、西欧なんかに比べて深刻でないということが言えると思う。こういうような質的なことが大きく今度の問題について、殊に
トルーマン大統領の爆彈の使用も辞せないというような声明に対して、西欧とそれから
アメリカ側の
意見に
相当な食い違いが出て来ておる。そうしてイギリスの労働党の議員百数名のごときは、これは
朝鮮から即時兵隊を引揚げるべきだ、こういうような強硬な議論さえ出て来ておる。こういうように、私は戰争に対する考え方が非常に違
つておると思う。そういうことについてもつと具体的に深く入
つて、そういうものをつかんで、
情報として
キヤツチされているのでなければ、我々は
国際情勢の上つ面だけを見て、つんぼ棧敷の愚を繰返しているということではいけないと思う。そうして同じことが
アメリカについてもどうか。
アメリカは西欧と比べまして戰禍のこうむりかたは少いけれども、併し平和を望んでいる勢力はやはり非常に多いのである。そうしてそのために、例えばプラーグの署名運動に対しましては、三百万の署名が集ま
つておる、こういう事実があります。又これは昨晩の夕刊紙が伝えておるのでありますが、大抵の夕刊紙が出しておりますけれども、今度の
朝鮮事変に対しまして、これはAP電の伝えるところで、皆さんも多分御覧に
なつたところであろうと思うのでありますけれども、「併し或る筋、特に
国務省筋では、
政府の
朝鮮政策は十分に理解されておらず、且つ多くの支持をも受けていたいため困惑している。
政府筋による世論調査及び議員への投書によれば、何のために
朝鮮で戰
つているのかよく知
つておらず、
国連軍の撤退を望んでいることが明らかにされたと言われている。」、こういうような
情報が、これはAP電によ
つて伝えられている。これは読売を除いたほかの大きな
新聞には出ているところの記事であります。こういうような
情報なんかを見ますというと、必ずしも我々がここで考え、そうして
アメリカがそうだろうと思
つている、つまり
朝鮮に対する考え方と、必ずしも同一でないところの
動きが底流として流れておるのではないか、こういうことを我々は推測するにかたくないのである。こういうことは、実は單にそれが了解されないのであるか、或いはこの
朝鮮事変そのものに対しては
国民が
国民的な感情を以てこれを深く理解することができないような状態にあるのか。この戰争の本質については、例えばこれは
中共と
アメリカの場合では非常に違うと思うのです。簡單に言えば、
中共は自分の国境まで攻められた場合である。而も、自分の産業地帯というものが爆撃されておる場合である。若しも仮にこの位置を顛倒いたしまして、
中共がメキシコに攻めて行
つたならばどうなるか、
アメリカはやはりこれに対して安閑として見ていることができるかどうか、こういう單純なる
一つの例を引きますならば、今度のやはり
中共軍が侵略したとか何とかいう言葉によ
つて我々が單純に
一つの世論の尻馬に乗
つておるような見方はできないだろうと思う。こういう観点をもう少し客観的に冷静に見て行く、このことが
世界の真の正しい姿をつかむモーメントであると思うのであります。然るにどうも
外務省筋の先ほどからの話によると、希望するとか、信ずるとか、こういうような言葉が余りに多過ぎる。これに太平洋戰争時代に流行した言葉であります。例えば先ほどの政務局長の、撤退を希望するとか、信ずるとか、こういう言葉は、どういう
根拠によ
つて日本の
外務省として……、あなた個人がそういうことを言われるならば、そんなに問題にする必要はない。個人の希望や願望についてまでここで触れようとは思わない。併し
政府機関を代表して答弁されるその答弁の中において、今まだ
講和をしていない、独立していないところの
日本、そうして
連合軍の治下にある
日本の一体
政府機関として、こういうような主観的な
意見を吐いてよいのであるか。そうしてそのことが、平和、その平和の最も大きな裏打でありますところの全面
講和、この要望を破壊するところの実は
一つの工作にな
つていやしないか。事実そういうようなほかを刺戟して、そうして全面
講和を達成するそういう方面の意図を逆に阻害しておる、こういうような事態にあるとするならば、非常にこれは
責任重大であると、こういうふうに考えるのでありますけれども、どういうふうな資格においてそういうことが一
政府委員によ
つて吐かれるのであるかという
日本の現実、
日本のこの不様な現実に対しまして、私はこれは非常な反省を促さざるを得ない。こういう点について、
次官並びに局長の答弁を求めます。