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1951-02-03 第10回国会 参議院 予算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月三日(土曜日)    午後二時二十分開会   —————————————  委員氏名    委員長     波多野 鼎君    理事      石坂 豊一君    理事      野田 卯一君    理事      羽生 三七君    理事      伊達源一郎君    理事      藤野 繁雄君    理事      櫻内 義雄君    理事      東   隆君    理事      木村禧八郎君    理事      岩間 正男君           池田宇右衞門君            泉山 三六君            大島 定吉君            小野 義夫君            工藤 鐵男君            中川 以良君            長谷山行毅君            一松 政二君            平井 太郎君            深水 六郎君            安井  謙君            山本 米治君            岩崎正三郎君            内村 清次君            河崎 ナツ君            佐多 忠隆君            下條 恭兵君            原  虎一君            山田 節男君            吉川末次郎君            若木 勝藏君            飯島連次郎君            楠見 義男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            前田  穰君            菊田 七平君            鈴木 強平君            中井 光次君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   委員異動 十月十日委員深川タマヱ辞任につ き、その補欠として一松定吉君を議長 において指名した。 一月十九日委員中川以良君辞任につ き、その補欠として平岡市三君を議長 において指名した。 一月二十七日委員羽生三七君辞任につ き、その補欠として永井純一郎君を議 長において指名した。 一月二十九日委員平井太郎辞任につ き、その補欠として山縣勝見君を議長 において指名した。 一月三十日委員河崎ナツ辞任につ き、その補欠として加藤シヅエ君を議 長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣送付) ○農業共済組合連合会事業不足金に関  する件   —————————————
  2. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) それではこれより予算委員会を開きます。先ず二十六年度予算につきまして、大蔵大臣説明を求めます。
  3. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和二十六年度予算の大綱につきましては、過日、本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、改めて御説明申上げます。  昭和二十六年度予算は、飽くまでも堅実な経済施策の基調を保持しつつ、内外の諸情勢に対応し、経済自立達成に向つて着実に邁進することを基本構想として編成いたしたものでありまして、その主なる特色は、第一に、総合予算の均衡を確保したこと。第二に、二十五年度に引続き財政規模を縮小し、財政国民経済との調和を図つたこと。第三に、大幅な減税を行い、国民負担を軽減して、国民生活の安定と資本蓄積に資するよう考慮したこと。第四に、民生の安定、文教及び科学の振興等ため積極的な施策を講じたこと。第五に、政府資金産業金融面に対する積極的活用を図つたこと。等であります。これら特色内容につきましては、過日の本会議において申述べましたので、本日は予算内容について御説明いたします。なお、計数につきましては、便宜上億円單位にて申上げます。  先ず一般会計について申上げます。昭和二十六年度一般会計歳入歳出予算総額歳入歳出とも六千五百七十四億円でありまして、これを前年度歳入歳出予算額六千六百四十五億円に比較いたしますと、七十一億円を減少いたしております。先ず、歳出予算の主なる経費について申上げますれば、公共事業千百五億円、政府出資及び投資関係経費として、外国為替資金特別会計資金繰入五百億円、農林漁業資金融通特別会計へ繰入二十億円、中小企業信用保險特別会計へ繰入十億円、緊要物資輸入基金特別会計へ繰入二十五億円、国民金融公庫出資金二十億円、住宅金融公庫出資金五十億円、日本輸出銀行出資金五十億円、其の他百三億円、計七百七十八億円、国債費二百九億円、特別会計等損失補填金六十七億円、輸入食糧価格調整補給金二百二十五億円、地方財政平衡交付金千百億円、社会保障関係経費として、生活保護費二百十二億円、社会保險費三十七億円、結核対策費七十五億円、失業対策費百四十三億円、同胞引揚費三十六億円、計五百五億円、国立学校運営費百四十七億円、育英事業費二十四億円、終戰処理関係経費千三十八億円、警察予備隊経費百六十億円、海上保安庁経費五十五億円、等が主なる経費と相成つております。以上のうち、前年度に比べて減少いたしました主なる経費は、価格調整補給金におきまして四百十五億円、国債費におきまして三百七十七億円、終戰処理関係経費におきまして七十三億円等であります。一方前年度に比べて増加いたしました主なる経費は、出資及び投資関係におきまして五百二十六億円、社会保障関係経費におきまして百十九億円、公共事業費におきまして七十四億円、国立学校運営費及び育英事業費におきまして四十二億円等と相成つております。以上申上げました重要経費のうち、地方財政平衡交付金に関しましては、地方財政平衡交付金法第六條第二項の規定によりまして、地方財政委員会内閣に勧告いたしました地方財政平衡交付金総額は千二百九億円でありますが、内閣はこの総額を変更いたしまして、千百九億円と決定いたしましたため地方財政平衡交付金法第六條第四項の規定に基きまして、歳入歳出予算にその算定の基礎及び比較の詳細を附記いたしました次第であります。  次に、歳入予算について申上げます。政府は、昭和二十四年並びに昭和二十五年度を通ずる相当大幅の減税に引続き、先般の第九回臨時国会において、暫定的措置として本年一月より相当額減税を行なつたのでありますが、今回所得税における基礎控除扶養控除の引上げ、その他各種控除制度の創設、税率の引下げ、資産所得合算制度廃止等の広汎な改正を中心といたしまして、法人税印紙税等各税の改正を行い、以つて国民負担の軽減を図ることといたしております。その結果、昭和二十六年度租税及び印紙收入予算額は四千四百四十五億円でありまして、これは改正前の税法を適用した場合に比較いたしまして、七百四十三億円の減税となつており、前年度予算額に比較いたしまして五億円を減少いたしております。主なる租税予算額を申上げますると、所得税二千二百二十七億円、法人税六百三十六億円、酒税千七十二億円、物品税百二十六億円と相成つております。次に、專売益金は千百三十八億円を計上いたしておりまして、前年度に比較いたしまして八億円を増加いたしております。このうち「たばこ」につきましては昨年の値下げに次いで、本年四月より更に相当値下げを実施いたすことを予定しております。その他の歳入の主なるものを申上げますれば病院等官業收入八十三億円、政府出資收金等收入百四十一億円、公団等整理收入九十一億円、日本銀行納付金五十一億円、復興金融金庫政府納付金四十五億円、前年度剩余金受入百九十五億円、等であります。  次に、特別会計予算について申上げます。昭和二十六年度特別会計予算は、外国為替資金特別会計外三十二の特別会計に関するものでありまして、二十六年度より従来の外国為替大蔵省預金部不正保有物資等特別措置貿易の四特別会計を廃止し、外国為替資金資金運用部農林漁業資金融通緊要物資輸入基金郵便貯金の五特別会計を設置することといたしました。以上三十三の特別会計歳入歳出予算総額歳入一兆二千七百五十七億円、歳出一兆二千四百五億円でありまして、前年度予算額に比較いたしまして、歳入において八千七十八億円、歳出において八千八億円を減少いたしておりますが、この減少の主なる理由は、従来の外国為替特別会計に代えて新たに設置せられます外国為替資金特別会計におきまして、従来予算に計上せられておりました外国為替の売買を歳入歳出外として処理する制度といたしましたこと等によるものであります。  次に、政府関係機関予算について申上げます。昭和二十六年度政府関係機関予算日本專売公社日本国有鉄道連合国軍人等住宅公社公団復興金融金庫国民金融公庫住宅金融公庫日本輸出銀行商船管理委員会持株会社整理委員会閉鎖機関整理委員会証券処理調整協議会に関するものでありまして、このうち公団につきましては、二十五年度において、配炭公団ほか三公団清算が結了し、昭和二十六年度においては価格調整公団ほか六公団もすべてその業務を廃止し、清算段階に入ることとなつております。以上の政府関係機関昭和二十六年度收入支出予算総額收入四千五百五十六億円、支出三千四百十四億円でありまして、前年度予算額に比較いたしまして、收入において九千五百億円、支出において九千五百二十一億円を減小いたしておりますが、この減少の主なる理由各種公団業務が廃止せられますこと等によるものであります。  以上を以て昭和二十六年度予算説明といたします。なお、詳細につきましては、政府委員をして説明いたさせます。何とぞ御審議をお願いいたします。
  4. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 政府委員から詳細な説明があるのでありますが、その前に藤野委員から大蔵大臣に対しまして、緊急質問が出ておりますので、藤野君の発言を許します。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農業共済組合連合会事業不足金に対する政府の方針は、一月三十一日の本会議において、岡村委員質問に対し、大蔵大臣から答弁があつたのでありますから、大体は了承したのでありますけれども、これについて今少しくお伺いしたいと思うのであります。農業共済組合連合会は、この法律規定するところによつて業務を執行して来たのでありますが、最近数年間に予定以上の災害があつたために、二十数億円の不足を生じたのであります。このように多額に上る不足金があつても、法律に定めておられるところの保險金連合会支拂わなくちやならないのであります。然るに連合会は、法律で定められたところの二百億円を支拂うところの金がないのであります。従つて支拂うことができないのであります。農業共済組合連合会に関する根本的の問題は他日研究するといたしましてでも、取りあえずの問題は二十億円の金をどうするかという問題であるのであります。若しこの金が支拂うことができないということだつたならば、農業保險制度は根本的に破壊され、そのため農業手形影響を及ぼし、農村金融重大影響を及ぼして、農村金融混乱状態に陷らなくちやできないのであります。こういうふうな重大な問題か眼前に横たわつておるのでありますから、大蔵大臣はできるだけ早くこの二十数億円の金を何とかの方法で融通して、農村金融混乱を防止し、食糧増産に寄與するようにせなくちやできないのでありますが、大蔵大臣はこの点を如何に処理せられるお考えであるか、お伺いしたいのであります。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 農業共済組合連合会に二十億円余りの不足金があることは承知いたしております。これの解決策につきまして、農林省並びに主計局において只今折角研究中であるのであります。今これをどうするかということをここでお答えする段階にまだ至つておりませんことを御了承願います。
  7. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 藤野君ちよつと注意しますが、衆議院の予算委員会でさつきから待つておるのですから、どうぞ簡單にお願いいたします。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 研究中であるということでありますから、速やかに解決して頂くようにお願いして、私の質問を終ります。
  9. 波多野鼎

  10. 河野一之

    政府委員河野一之君) 大蔵大臣説明に引続きまして、私より事務的説明を申上げたいと思います。お手許に昭和二十六年度予算説明というのが配付してあると思うのでありますが、これを御一読頂けば、大体のことはおわかり願えると思うのでありますが、又別の立場から申上げて見たいと思うのであります。  先ずこの予算毒編成いたしますにつきましての基礎的な諸條件或いは前提というようなものについて申上げて見たいと思います。先ずこの予算編成に当つて物価の問題でありますが、つまり予算單価の問題になるのでありますが、この予算は昨年の秋頃の物価事情を参酌して編成いたしておるのでございます。その後におきまして、物価指数等によりますると、多少物価が上つておるものもあるのでありますが、全般的に見まして、現在の程度でありまするならば、これがため予算基礎を動かすというふうなことはないかと私どもは考えます。人件費でありますとか、或いは事務費というようなものについて、物価の問題で非常に異動が生ずる、調整を要するというようなことはないのでありまするし、官庁において使用いたしまする物資は、原料物資もございますが、大部分というものは複合的な物資でありまして、官庁内部で作るものもありますし、或いは外注するものもあるのでありまして、物価がそのまま直ちに響くというわけでもないのであります。ただ電通省通信機材でありますとか、或いは国鉄のレールというものになりますと、相当影響を受けるのでありますが、レールにつきましては、一トン二万七千円程度でやつておるのでございます。前年度予算單価に比較いたしまして、大体五割増程度であります。通信機材につきましては、前年の予算單価に比較いたしまして、三割増程度で一応予算を見ております。以上のような建前からいたしまして、今後これがため予算の変更を来たすということはないものと考えております。  それから第二は、明年度において予定いたしております貿易計画の問題でありますが、明年度外貨の受取りを十四億六千万ドル、支拂いを十三億八千二百万ドル、これに相応いたします今年度数字即ち二十五年度補正予算に組みました数字は、外貨の受取りが十一億四千六百万ドル、支拂いが九億五千五百万ドルであつたのであります。明年度受取外貨の内訳は輸出が十一億ドル、特需が一億八千万ドル、貿易外が一億八千万ドル、計十四億六千万ドルということに一応見込みを立てております。支拂い側のほうでは、輸入が十三億二千七百万ドル、貿易外が五千五百万ドル、計十三億八千二百万ドルということで外為会計予算その他を組んでおるわけであります。只今数字でもおわかり願えますように、七千八百万ドルの外貨受取超過、そのほか日銀のユーザンス関係におきまして、明年度末は本年度末に比較いたしまして、四千三百万ドル程度外貨の手持ちの減少があります。従つてその分は外為会計が買取るという建前になるわけでありますが、これを基礎としまして、五百億のインベントリーを計上いたしておるわけであります。  第三には、明年度におきまするアメリカの対日援助でありますが、明年度予算は一億四千八百万ドルということで予算を組んでおります。二十五年度は三億二千五百万ドル、御承知のようにアメリカ会計年度は七月から六月までになつておりまして、去年の七月から今年の六月まで、即ち一九五〇年乃至五一年度援助相当するものが、アメリカ予算で一億八千二百万ドル、その分が明年度に入りますのは、その十二分の七、時間のズレ会計年度ズレもありまして十二分の七、即ち一億六百万ドル、それから今年の七月から来年の六月までの分を一億ドルと予定して、その十二分の五、四千二百万ドル、合計いたしまして一億四千八百万ドルということで予算に予定いたしております。御案内の通り、今年初頭アメリカ議会に提出さられました援助予算は一億五千万ドル、沖繩の分を含めまして一億五千万ドルということになつております。併しこれは沖繩の分が入つておるので、つまりそのうち一千万ドルは占領地行政費その他の関係沖繩関係が約二千万ドル、従つて一億二千万ドルが対日関係の分だということに言われております。これを一応予算上一億と見て組んでおるのでありますが、この点はアメリカ議会に出した予算は、従来議会におきまして相当の削減をこうむつております。それから物資が調達せられまして、国内に入つて来まして、これを見返資金のほうに積み立てまするのは、到着の翌々月の末までということになつておりますので、そこで更に二カ月のズレがある、従いましてそういう関係でこれがために今予算を動かすというような必要はないというふうに考えております。  その次は食糧の問題でありますが、食糧の今年度末の持越を三百八十六万トン、明年度中の買入れを国内食糧で五百七十六万トン、輸入で二百八十六万トン、合計いたしまして、八百六十万トン程度の供給であり、需要は九百万トン程度でありまして、明年度末の持越、即ち現在量は三百四十五万トン程度従つて四十万トン程度減少するということに考えております。それから食糧の買入価格の問題であります。二十五年産米は御承知通り一八二・二のパリテイで、これに従来ありました供出奨励金分を加算いたしまして、石当り五千五百二十九円で買つておるわけであります。明年産の米は、予算上は一九五のパリテイで、これに奨励金分を加算いたしまして、六千百六円で買うという予算にいたしております。早場米奨励金は三十億、これを全体の石数に直しますと、一石当り九十五円程度になります。麦は今年の春麦は六十キログラム当り千五百三十五円、大麦は四十五キログラム当り九百七十一円ということでありまして、前年と大体大差のない価格になります。こういう買入価格によりまして、一応今年中は消費者価格改訂を行わない、一年を通じて食糧收支がバランスする、この建前の下に消費者価格をきめておるのでありまして、精米におきましては五百十五円、これは従来の価格は四百四十五円、これは十キログラム当りであります。それから外米は四百六十五円、従来は四百四十五円、内地米に対して一割低い価格にいたしております。従来は両方とも同じ価格であります。米は上げますが、小麦粉につきましては、四百二十五円という従来の価格をそのまま踏襲しております。大麦につきましても四百円でありまして、この価格は据置であります。その結果食糧全体を通じまして、主食の値上りが八・五%、標準的な世帯におきまする生計費に及ぼす影響は一・三%程度と思われます。この影響減税及び塩の値下げ等によつて十分吸收されて余りあるということに考えておるのであります。食糧輸入食糧国内食糧と合せまして、買入れ八百六十二万トンということにいたしておるのでありますが、先ほどの数字はいわゆる玄米換算EREと申しますか、米に換算したトン数でありまして、これを玄米石で申上げますと、二百八十六万トンというEREトンは三百二十万トンということになります。米を九十万トン、小麦を百七十万トン、大麦を六十万トンの輸入計画であります。価格は、米が百三十ドル乃至百五十ドル、これは地域によつて違います。平均して百四十ドル程度であります。麦は八十四ドル乃至九十七ドル、これも地域によつて違うわけでありますが、平均して九十ドル程度考えております。大麦は七十一ドル乃至七十七ドル、こういう価格輸入補給金の計算をいたしておるわけであります。その結果輸入補給金は二百二十五億円ということに相成るわけであります。  大体以上が予算編成上の基礎的な諸前提でありますが、かくして編成せられた予算について、多少の特色というようなものについて更に詳細に申上げまするならば、先ず第一は、財政規模の縮減の問題でありますが、歳出総額六千五百七十四億円というものを解剖いたして見ますと、終戰処理費が千三十八億円、平衡交付金が千百億円、公共事業費が千百五億円、価格調整費只今申上げました通り二百二十五億円、外為関係が五百億円、国債費が二百九億円ということでありまして、合計いたしますと、四千百七十九億円ほどに相成ります。その他の経費が二千三百百九十五億円、約二千四百億円でありまして、これが大体一般行政費ということにお考え願つていいと思います。前年の予算に比較いたしまして、七十一億円総額減少いたしておるのでありますが、只今申上げました終戰処理費平衡交付金公共事業費価格調整費外為国債費、これを合計いたしまして、二十五年度の額は四千五百五十五億円程度でありまして、この関係において三百七十六億円ほど減つて、その他の行政費関係が二千九十億円でありますので、三百億ほどここで殖えて、その差引計で七十一億円減つております。二千四百億円程度の中に人件費が七百億円程度物件費が五百七十億円程度補助金が五百億円程度、その他特別会計入等の金額に相成るわけであります。一般行政費等におきまして、三百億円ほどを増加いたしましたのは、社会保障制度関係で百二十億円、文教関係で五十五億円、給與改訂が平年化したことによつて約九十億円、それから貿易会計残務処理ために約三十億円、それから出資投資で百二十億円、そういつたもので殖え、一方警察予備隊関係で四十億円の減少海上保安庁で三十億円減つております。明年度国民得所はまだ確定的な数字ではありませんが、目下検討中でありますが、三兆七千億円、本年度は三兆二千六百億円ということに一応推定されますので、国民経済に対する財政規模というような意味から言いまするならば、二十五年度は約二〇%でありますが、明年度は一八%程度で、財政国民経済に対する比重というものが減つて来ておるということに相成るわけであります。  次は、減税の問題でありますが、これは主税局長からいずれ詳しく御説明願うわけでありますが、税法上の減税といたしましては七百四十三億円、この数字関係予算説明の十九頁にあるのでありますが、七百四十三億円のうち、言うまでもなく一番大きいのが所得税でございまして、所得税で六百十四億ほどの減税をしておるわけであります。源泉申告おのおの三百億円程度減税に相成ります。基礎控除で約百九十億円、扶養控除で二百四十億、税率改正で百五十億円、その他で三十億円程度減税をすることに相成つておるのであります。なお「たばこ」につきましたは、「たばこ」の專売益金は千百三十億円と計上いたしておるのでありますが、これは前年度に対して三十億円ほど殖えております。「たばこ」はピース、光について四月から十円程度値下げをすることに相成つておるのでありますが、値下げにもかかわらず專売益金が殖えますのは、「たばこ」の販売数量の増加のためでありまして、前年度は七百八十億本の販売教量を、明年度は八百二十億本と予定しております。  次は、資本蓄積の問題でありますが、この資本蓄積には三つのものがあろうと思うのであります。先ず最初は税制の問題でありますが、減税資本蓄積に相成ることは、特にこれは申上げるまでもないことでありますが、そのほかに税法の理念、理論というようなものは別にいたしまして、成る程度資本蓄積を目途として税制調整をやつておるわけであります。例えて申しますれば、現下特定の施設の特別償却或いは預金源泉選擇課税制度、或いは生命保險料控除であるとか、或いは資産再々評価の問題であるとか、こういうようなことを予算の中に織り込んでおるわけであります。それから一般会計歳出によつて、即ち税金を財源として相当資本蓄積資本の供給をやつておるのでありまして、国民金融公庫に対する二十億円の出資農林漁業資金融通特別会計への資本繰入れ二十億円、或いは開拓者資金融通特別会計への資金繰入十四億円、或いは日本輸出銀行に対する一般会計からの出資五十億円、こういつたものであります。こういつた一般金融機関のコンマーシヤルベースではなかなか供給ができないような資金財政資金を以て供給しようとするものであります。  第三は、見返資金と預余部資金の問題であります。明年度の見返資金総額は千百九十四億円であります。本年は千五百八十一億でありまして、約三百八十億ほど減少するわけであります。この見返資金のいわゆる積立ては五百八十三億円、そのほかに前年度からの繰越金が五百二十七億円、それから運用利子が七十億円、新らしい回收金が十三億円というようなことで、新らしい積立てはちよつと減るのでありますが、前年度剩余その他で、このような千百九十四億円という金額に相成るわけであります。見返資金は従来公企業、私企業施設及び債務償還ということに相成つてつたのでありますが、二十六年度においては債務償還は一切いたしておりません。公企業につきましては日本輸出銀行に対する出資五十億円、農林漁業金融特別会計への繰入に四十億円、これだけでありまして、大部分を私企業に中心を置いております。私企業投資は三百五十億円でありまして、そのうち電力に百五十億円、海運関係、即ち造船が百十五億円、中小企業が四十億円、その他四十五億ということに相成つております。  次が預金部でありますが、これは明年度から資金運用部ということに相成りまして、政府関係資金を総合的に一手にここで運用するということに相成るのでありまして、資金運用部はそれぞれの資金の供給源であります郵便貯金であるとか、或いは簡易生命保險、厚生年金などは五分五厘の確定利子を拂いまして、この資金を運用するわけであります。従来は郵便貯金には資金マストを償う程度の利子を拂つてつたのでありますが、これが一本になるわけであります。明年度における原資の総額は千五百五十億程度になります。そのうち預金の増加は七百二十九億、回收が百五十五億円、前年度からの繰越が六百六十六億、この数字予算説明の二十五頁にございます。運用は従来国債と地方債等に限られておつたのでありますが、明年度におきましては、このほかに金融債四百億を見込んでおるわけであります。国債では二百七十億、住宅公庫に対して五十億、地方債で四百億、金融債は今年度補正予算では二百億、明年度は四百億ということに相成つておるわけであります。両会計を通じました收支関係でありますが、二十六年度におきましては、見返資金関係は百六十二億円の揚超、預金部、即ち資金運用部では二百二十六億の放出超過でありますが、差引きまして、七十四億の散超ということになります。前年度に千二百億円程度の引揚超過があつて、これがいろいろな議論を提供いたしておつたと思うのでありますが、明年度において改められることになります。勿論千七百八十億円の今年度の両会計における引揚超過の一部は、外為会計における資金の放出と見合うのでありましてこのことだけでいい惡いは論じられないわけでありますが、少くとも明年度においては両会計の姿は著しく変つて来るというわけであります。  次は地方財政でありますが、地方財政平衡交付金明年度千百億ということに予定いたしております。これは予算説明書の十頁にあります。つまり当初予算、二十五年度の当初予算に対して五十億の増加に相成るわけであります。この数字に対しまして、地方財政委員会財政平衡交付金法の六條の規定によりまして、今年度の当初予算に対して百五十九億円の増加を必要とする意見書が出ております。これは平衡交付金法の規定によりまして、予算書にその意見を附記しなければならんというようなことに相成つておるのでありまして、そういうふうな措置をとつております。負担の増加として、内閣側の考え方といたしましては、五百八十億の負担増加が見込まれこれに対して八十億の節約、百七十八億の地方税の増加、地方債九十億の増加、これは二十五年度当初予算では二百十億であつたものが、九十億増加して、三百億になるという考え方を出しております。地方債全体としては四百億程度でありますが、そのうち百億は公企業関係というふうに考えられますが、雑收入で百八十一億、従つて平衡交付金で当初予算に対して五十億の増額、こういう計算をしているのであります。  それから民生の安定或いは文教の振興というような問題でありまするが、先ほど食糧価格の騰貴を減税によつて吸收したという点は、この民生の安定の一つの問題でありますが、そのほかに社会保障制度関係につきましては、明年度五百六億円、前年度に比しまして百二十億円程度を増加いたしております。社会保障の関係の中心は保健衞生に重点を置いたのでありしまて、特に結核関係におきましては、病床を五ケ年計画で十九万床にいたす計画にいたしております。現在十九万四千床ほどあるのでありますが、これを五ケ年計画で十九万床に持つて行くというつもりで、一万七千二百床の病床を増加を計画いたしております。それから結核の特効薬であるストレプトマイシンを国家で買上げまして、輸入の分と併せまして、マル公三百三十円程度で必要とする患者全体供給することにしております。約十七万六千人分程度であります。それから整形手術等につまましても、国が補助をいたして患者の負担を軽くする、こういう考え方で保健衞生の問題を中心として、社会保障につきましては積極的な措置をしておるわけであります。癩療養所につきましても、現在一万床あるのでありますが、更に千床殖やすような予算も計上いたしてございます。生活保護費も、前年度に比して五十億円程度増加いたしております。  文教の問題につきましては、六三制は四十億円でございますが、義務教育関係の教科書を無償配付する。或いは育英関係におきましては、二十四億円でございまして、前年度に比しまして五割程度の増加であります。それから各種研究機関その他学校関係研究費を大幅に殖やしておるわけであります。  以上一般会計でありますが、特別会計については、簡單に申上げますれば、特別会計の数は四つ減りまして、五つ殖えますので、合計差引三十三ということに相成ります。尤も外国為替特別会計が、外国為替資金という新らしいものになりますが、これは両者殆んど同一のものであります。ただ従来外国為替の会計におきましては、為替の売買というものをそのまま予算に載せておつたのでありますが、これが予算的に制約を受けるということは適当でもありませんので、明年度は売買関係資金の運用といたしまして、予算には計上しない仕組みをとつておるわけであります。大蔵省預金部特別会計をやめまして、新らしい資金運用部という特別会計を作ることにいたしております。それと共に郵便貯金特別会計も作つております。郵便貯金のコストは六分三厘程度でございまして五分五厘の確定利子をもらいましても、なお赤字を生じますので、一般会計から十五億円程度の繰入金をいたしておるわけであります。郵便貯金明年度の平均残高千八百四十億円程度でありますが、これが二千五百億円程度ということになりますと、五分五厘でペイするということになると思います。  それから農林漁業資金融通特別会計でありますが、これは一般会計から二十億円、見返資金から四十億円、合計六十億円の資金で緊要なる農林漁業関係資金を供給するものでありますが、主としてこれは農林中金で扱うことに相成ります。期間は十五カ年程度、利子は最低四分五厘、最高一割、平均六分程度に相成るかと思つております。それから緊要物資輸入基金でありますが、これは一般会計から二十五億円を入れまして、この基金の廻転によりまして、特需その他緊急必要な物資の売買をいたすものであります。  政府関係機関は、公団が殆んど廃止になるのでありまして、今年の九月を以てすべての公団は解散するという仕組みに相成つております。油糧及び砂糖配給公団というのが、これも解散するのでありますが、砂糖の関係は、これはそのまま民間に移すわけには参りませんので、食糧管理特別会計が砂糖の買取り、売渡しをするという建前で、食糧管理特別会計予算ができております。これによる経費收入支出は約三十億円程度であります。  以上を以て大体御説明申上げました次第であります。又御質問によりまして申上げることにいたします。
  11. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) 御質問がありますれば、この際どうぞ……。では主税局長説明を聞いてから、減税問題がありますから……。
  12. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 歳入予算の概要につきまして、御説明申上げます。その基礎をなしますところの本年度税制改革の内容につきまして、最初に申上げまして、その次に歳入予算の算定の基礎につきまして、御説明申上げたいと思います。改正の要綱につきましては、只今お手許にございまする予算説明書の十八頁に載つておるのでございますが、これによりまして御説明申上げたいと存じます。  税制改正案につきましては、目下法律案の大部分は閣議の決定を経まして、関係方面に提出いたしておるのでありまして、承認の手続中でございます。近々承認を得まして、国会に提出する運びに相成るかと思つておりますが、まだ提出し得るまでには至つておりません。ことを御了承願います。今年度におきまする税制改正内容は、大体三つの点に盡きるかと思います。第一点は、先ほどからも説明ありましたように、減税を行うという点でございます。その必要性その他につきましては、御説明申上げる必要はないかと思いますが、できるだけの減税を行うということであります。それから第二の点は、税制につきまして補正的な改正と申しますか、二十五年度におきまして国税、地方税を通じまして、全般的な改正を行いました直後でございますので、この際更に根本的な改正を行うのは如何であろうかと考えましては、むしろ二十六年度といたしましては、昨年の改正に引続きまして、補い正すような意味の改正を行いたいというのが第二点でございます。それは主といたしまして、簡素化或いは一層の公平化等を期しまして、改正しようという点でございます。それから第三の点は、最近特に緊要性を帯びて参りました自立経済の確立に伴う資本蓄積に関しまして、税制上できる限りの措置を講じたい、こういう改正でございます。  大体以上の三つのグループに入るかと思いますが、以下内容につきまして若干御説明を申上げたいと思います。詳細な点は法律案提出後、更に御説明申上げたいと思いまするが、大体を申上げますと、すでに御承知通り、間接税につきましては、前国会におきまして、大部分減税法案が成立いたしまして、これはいずれも恒久的な改正となつております。即ち酒税の引下げ、ガソリン税、物品税の引下げ、砂糖消費税の引下げ等が主なものでございますが、これらは勿論前国会にありましたが、本年度減税計画と併せ考えまして、実行いたしたのでございます。従いまして間接税につきましては、後に述べまする微細な点を除きますれば、大部分前国会で終了したということが言えるのであります。今度の国会に提案されますのは、大部分直接税の関係でございます。而もその中で最も大きいのは所得税改正でございます。所得税につきましては、御承知通り、一月から三月までの給與に対しましては、暫定法によりまして軽減を行なつております。今回はこれらの軽減を吸收いたしまして、本格的な改正を行おうという点でございます。先ず所得税内容を若干申上げますと、基礎控除につきましては、二万五千円を三万円に引上げる、扶養控除につきましては、一万二千円を一万五千円に引上げる、不具者控除も一万二千円を一万五千円に引上げる、それから税率にきましては、先般要綱でお示ししましたように、中間の階級を少し削除いたしまして、順次税率を上のほうにずらすことによりまして、相当の軽減を図ろうというのでございます。即ち現在ありまする八万円の所得区分と、十一万円の所得区分を削除いたしまして、新たに三十万円を超える金額と、百万円岸超える金額の二階級を設けまして、それぞれ税率を上にずらすという改正でございます。それによりまして、今後の中間階層の税率は、相当軽減されるということに相成るかと思つております。以上申上げました四つの点は、すでに給與所得につきましては、暫定措置法に盛りしこんでおるのでございまして、その内容と、今回行いますものとは同じでございます。ただ給與所得につきましては、端数を若干切捨しております関係上、新法律によりますと、不足の分が若干軽減になるという点はございますが、大部分は同額と御了承願つてよいかと思います。今回所得税につきまして、新たに附加えようと考えております点は、以下これに述べまする点でございまして、一つは新たに各種の控除制度を設けようという点でございます。その第一は、未亡人につきまして、所得から一万五千円の特別控除を行おり、但し未亡八の中には扶養親属のある未亡人に限る予定でございます。と同時に、他方未帰還者の婦人等、夫の生死が不明なものにつきましては、これはやはり未亡人と同様な控除を行おうと考えておるのでございます。それからその次は六十五歳以上の老年者につきまして、一万五千円の特別控除を行おうという点でございます。この二つの控除は、いずれも所得金額の種類、額の如何を問わず、すべての該当者に控除しようという考えでございます。第三は、勤労学生につきましても、やはり一万五千円の特別控除を行おうというのでございます。但しこれにつきましては、所得金額が大体十万円以下であり、且つ資産所得が五万円以下という、この制限を設けまして、これに該当する勤労学生につきまして、一万五千円の控除を行おうと考えておるのでございます。勿論大部分の勤労学生につきまして、この控除が行われるということに相成るかと思います。それらの点はいずれも資力が乏しいものに対する、いわば社会政策的な考慮も入れまして、特別控除を行おうという点でございます。それから次は生命保險料につきまして、二千円まで特別控除を行おうという点でございます。これは主として生命保險の奨励と言いますか、資本蓄積等を考えまして、特に考慮しようという制度でございます。勿論加入者の年齢その他によりまして違いますが、大体普通の場合でございますと、五万円前後の保險金額まで控除される、保險料を控除されることに相成るかと思います。二千円は所得控除でございますので、それ以上の所得者につきましては、相当な勿論軽減になるかと思います。下のほうにおきましても同様でございますが、所得税が下るだけ保險料を割引するのと同様な結果になりまして、相当保險の促進に役立つものと考えております。それからその次は資産所得の合算制と、扶養親属所得の合算制をやめようという点でございます。それで御承知通り二十五年度改正所得税の合算は相当大幅に整備してしまつたのでございますが、現在なお残つておりますのは、未青年の子供と奧さんの資産所得、配偶者の資産所得、資産所得と申しますのは、配当利子、それから地代、家賃といつた純粋の資産所得でございますが、そういう所得につきましては、同居親族の所得を合算する制度を存置しておりましたが、これをやめようというわけでございます。それからなお扶養親属につきましても、一万五千円以上の扶養親属の所得がある場合は、これは扶養親属として控除いたしませんで、資産所得以外の所得は分離課税しておるわけでございますが、一万五千円未満の所得があります場合には、その所得を扶養親属の控除を行います反面、所得を合算して課税することにいたしております。これもこの際やめようという考えでございます。これは主として簡素化等の見地を重んじまして、こういう改正を行おうという考えでございます。それからその次は預貯金の利子に対しまして、源泉課税選択の制度が、我が国におきましては久しく認められていたのでございますが、二十五年度改正で、総合課税の建前を貫きましてやめてしまつておるのでございます。併しながら最近の貯蓄の状況等から顧みまして、この制度は是非存置して欲しいという強い要望もございまするし、この際貯蓄奨励、資本蓄積という点を重視いたしまして、今までありました制度をこの際再び設けようという考え方でございまして、税率は百分の五十程度税率といたしたい。所得階級三十万円を超える場合におきましては、選択したほうが有利だろう、こういうことになるわけでございます。そういう制度の復活を考慮するというわけでございます。それからその次に書いてあります青色申告者に対しましては、従来も若干の優遇をいたしておるのでございますが、この際特に青色申告者に対しまして、更正決定を行なつた場合は、異議の申立をして、而もそれが再調査、審査という行政処分の段階にまだ繋続中である、こういう場合におきましては、差押え、競売等の強制措置による徴税は停止する、やらないということにいたしたい、そういう改正考えておるのでございます。  それからその次は所得税の納期でございますが、御承知通り、現在は、所得税は六月、十月、一月、こういうふうになつております。農業は七月、十一月、二月で、差当り本年の確定申告だけは御承知通り臨時措置で一月延しまして三月にいたしておりますが、これは諸般の事情を考えまして、やはり納期につきまして、確定申告は今後恒久的に二月にしたほうがよろしいという考えでございます。それに応じまして、予定申告の納期も、簡素化等の見地と併せ考えまして、農業所得者と同じように七月、十一月、二月の三期にいたそうという改正でございます。これは勿論農業徴税の便宜と簡素化という点を考えまして、このような改正をなしたのでございます。その他所得税につきましては、源泉納税者が確定申告をしなければならない限度も、現行法によりますと、給與所得の場合は三十五万五千円からでございましたが、これを五十万円程度に引上げる、その他間接税等の簡素化のための諸改正を行いたいと考えております。  以上が所得税改正の大要でございますが、次は法人税でございます。法人税につきましては率直に申上げまして、二十五年度改正で実は相当大胆且つ根本的な改正が行われたのでございます。即ち超過所得税を廃止いたしましたのと、配当所得税に対しましては、従来の源泉課税を取り止め、そのほかに更に配当所得を個人に総合しまして課税する際に、配当所得の二割五分を税額から控除する、こういう根本的な改正を行つておりますので、この際法人税について更に再び一般的な軽減等を行う必要がないと考えたのでございます。以下申上げますのは、特別な見地からそれぞれ考えようという改正でございます。即ち第一の点は積立金に対する法人税でございますが、これは二%軽減する。この課税を廃止しよう。但し同族会社につきましては、現在七%の積立金課税を行つておりますが、その二%の分だけをやめまして、五%は残して置こうという考えでございます。これは主として会社の社内留保の増加を図るという考え方に基きまして、特別措置として、行なおうというのでございまして、その点は租税特別措置法の改正によりたいと考えております。  次は償却でございますが、償却の問題につきましては、ここに書いてありますのは、普通の償却のほかに特定の機械設備等に対しましては、三年間特別の割増償却を認めようというのでございます。通常の方法で計算しました償却額の五割増に相当する額を特別に償却させようというのでございます。大体機械等は十五年乃至二十年くらいの耐用年数のものが大部分でございますが、十八年くらいの資産でありますと、これによりますと、三年目には取得価格の半分が償却できる。つまり帳簿価格が三年後には半分くらいになるかと思います。大体その辺のところを標準にいたしまして、このような特別償却制度を法文化いたしたいと考えております。機械設備の内容は、通産省で考えております機械の近代化の必要に基く特別の機械並びに船舶等身予定しております。その細目は政令等で細かく規定いたしまして、妥当を期する考えでございます。なお償却につきましては、このほかに一般の耐用年数を全面的に改正いたしまして、最近の事態に即応するような新たなものにいたしたいということで目下研究いたしております。これは政令事項になつておりますので、併せて研究いたしまして、少くとも本年の四月一日以後終了する事業年度分から適用するようにいたしたいというので、目下具体案を取りまとめ中でございます。それを附加えまして申上げて置きたいと思います。  その次はこれは見返資金が所有しております優先株、勧業銀行、農中等の優先株を引受けておりますが、この株式の配当につきましては、社債の利子等に準じまして、損金に見ようという改正でございます。これは主としてその資金コストをそれだけ低くいたしまして、こういう特別の資金による金利負担を軽減しようという考えでございます。  それから次は相続税でございますが、相続税につきましては、生命保險につきまして特別の考慮を拂おうというのでございます。即ち相続人の死亡により支拂われます生命保險金のうち、十万円までの金額を特別に控除しよう。受取人が相続人の場合でございますと、新らしい相続制は相続人ごとに課競いたしまするので、子供が三人おりますると、三人がそれぞれ別々に受取人といたしますと、三十万円までは相続税がかからない、こういうことになるのであります。この措置も相当保險の奨励に役立つものと考えております。  それからその次は通行税でございますが、これは航空機の乗客に対しまして、現在課税してございませんが、最近航空機の輸送が始まろうという情勢でございますから、それにつきまして、普通の汽車並に課税しよう。その反面汽船の二等乗客につきましては、先般の国会等でも大分問題になりましたが、二等は汽車の三等に大分近いじやないかという点を考えまして、課税を廃止しようということにいたしております。それから砂糖消費税は、先般の国会にも御説明申上げましたように、今まで輸入砂糖に対しましては免税をいたしておるのでございますが、この臨時免税の制度をやめまして課税いたそう。税率は先般の国会で相当大幅に引下げましたので、引下げました税率をそのまま適用する考えでございます。大体小売価格に二割響くものと考えております。百斥について千円の市中の砂糖の税率でございます。その他間接税にきましては、先般の改正で少し洩れた分につきまして、補正的な改正を行おう。印紙税、骨牌税等につきまして、軽微の改正、引下げを行う考えでございます。以上が歳入影響ある主なる事項でございますが、なお国税徴收法、税務代理士法等につきましても、全面改正を図るつもりで、目下案を取りまとめ中でございます。但しこれらの法律案は若干遅れて提案することに相成ろうかと思います。  最後に資産再評価でございますが、再評価につきましては、昨年全面的に実行いたしたわけでございまするが、その後の情勢によりますと、動乱以後、企業の整備状況が大分よくなつておるのがあるようでございます。それに初めてのことでございましたので、周知徹底、企業者の研究等が不十分な点があつて、再評価を行わなかつたという向きもあるようでございます。この際再び再評価を行う機会を與えたらどうかというので、今年度におきましても、新たに再び再評価を行うことを認めよう。條件は大体前回と同様にする見込でございますが、ここにも書いてあります通り資産再評価積立金の資本への組入れを早期に認めるという趣旨で、現行法にありまする三年後、三年を経つまでは組入れをしてはならないという規定を削除いたしまして、四分の三まではいつでも資本金に組入れることできるようにいたしたい。そういう点を改正いたす考えでございます。以上の点が主なる改正内容でございます。  次に、この歳入の積算の概要を申上げたいと存じます。この点につきましては、後ほど目下細かい計数を整理中でございまして、近く印刷いたしましてお配りするつもりでございますので、本日は要点だけを申上げまして御参考にいたしたいと思います。先ず所得税でございますが、所従税におきましては、大体課税所得の増をどう見ておるかということを申上げますと、給與所得、勤労所得税でございまするが、勤労所得税におきましては、二十五年度に比べまして、二十六年度の所得の増を八・二%と見ております。それによりまして、それぞれ現行税法を当嵌めまして計算しました税が、なお若干過年度から当年度分に増額される、過年度から繰越した増がございますが、その二つを合計したのが現行法による收入見込額千三百六十一億五千二百万円でございます。当年度の分がそのうち千三百三十七億六千三百万円、それから前年度からの繰越の分を三十八億八千百万円ほど見込んでございます。これらの計数はすべて後ほどプリントにいたしまして、提出する見込でございます。給與所得以外のものを五十一億円ほど見込んでおります。それから申告所得税につきましては、所得の増を二十五年に比べまして、二十六年は大体次のように見込んでおるのでございます。農業が一〇・四%の増、営業が一五・二%の増、その他事業が一〇・二%の増、合計いたしまして、一二・一%の所得の増加を見込みまして、それにその数字によりまして、それぞれ二十六年度の課税見込額を計算し、それに現行法を当嵌めて計算しましたのが現行法による見込税額でございます。その内訳の詳細も近く資料といたしまして提出いたします。それによつて詳細御覧願ひたいと思うのでございますが、当年度分の賦課見込税額が推定千六百十九億一千五百万円に対しまして、二十六年度中に入つて来る率を七・五%と押えまして、千二百十四億三千六百万可と見ております。それに過年度分の、二十五年度以前の分の繰越收入額を合計いたしまして、二百六十五億七千二百万円見まして、合せまして千四百八十億八百万円と現行法による税額を見込んでおるのであります。それに改正法による税額は、それぞれ基礎控除扶養控除或いは税率改正等をそれぞれ計算いたしまして算定いたしましたのが改正法による税額でございます。その内訳は、減税の内訳は後ほど申上げます。  それから法人税につきましては、二十六年度中の平均資本金、拂込資本金、補償積立金、それを三千九百十六億四千二百万円と見込みまして、それに対する利益率を最近の状況からして五二%と見ております。それで所得を二千三十六億五千四百万円、それに若干の——減価償却の年数等の改正による減を差引きまして、二十六年度の課税所得見込金額を一千九百十九億三千七百万円と押えております。そのほかに特殊法人等の課税所得を二十一億七千八百万円、合せまして課税所得金額の合計を一千九百四十一億千五百万円、それにそれぞれ税法を適用いたしまして、当年度分と過年度分を計算いたしまして現行法による税額を算定いたしたのであります。更に改正法によります積立金の課税の廃止、その他の改正による減を差引きいたしまして、計算いたしましたのが当年度における收入見込額六百三十六億四千五百万円と相成る次第であります。  なお、このほか相続税、富裕税等につきましても、それぞれ最近の資料を基にしまして、二十六年度の増加割合をそれぞれ適用いたして計算いたしまして、算定いたしたのでございます。酒税も同様でございますが、酒税につきましては、酒の原料米六十万石、麦三十万石、甘藷一億九千万貫といたしまして、製造される酒類についてそれぞれ改正前と改正後と倉出し石数を算定いたしまして計算いたしたのがこの税額であります。大体石数を申上げますと、改正後におきましては、総石数来年四百十万石の見込みでございます。自由販売酒が三百六十万石、配給酒が五十万石でございます。で配給酒の五十万石は現行法による場合も同額でございます。現行法でございません先般改正になりました前の旧税法による石数でございます。それとの差額をそれぞれ計算いたしまして、新旧の差額を計算いたしたのでありますが、ここに歳入の表にありますものの中で酒税と物品税、揮発油税、それから砂糖消費税は両者がございますが、この中には先ほど申上げました前国会ですでに通過しておる分も合せて計算いたしておりますことを附加えておきたいと思います。その他もそれぞれ同様な方法で計算いたしたのであります。関税收入でございますが、関税收入につきましては、二十五年度は十五億計上しておりますが、これを五十億計上することにいたしたのであります。これは先般から関税定率法につきまして全面的な改正を目下立案中でございまして、大体におきまして関係方面の内諾を得まして、国会に提出し得る運びになる見通しが付きましたので、このような見積りをいたしたのであります。主なる内容は香油類、それから化学製品、油脂類、機械類等の関税が大部分でございます。その内訳も後ほど資料にして提出する見込みでございます。なお、この際御参考までに、先ほど申上げました改正による減收見込額だけの内訳を申上げてみたいと思います。これも後ほど資料として提出する見込みでございますが、要点だけ申上げます。先ず所得税においては基礎控除の引上げで百八十五億六千九百万円、細かい端数は省略いたしますが、扶養控除の引上げで二百四十三億七千四百万円、税率改正によりまして百四十七億三千二百万円、合せまして五百七十六億七千五百万円というのが、大体扶養控除基礎控除税率改正減税になる分でございます。その他未亡人控除の分が五億五百万円、老人の控除の分が五億円、学生の控除の分が三億千七百万円、合算制度の廃止によりまして七億四千四百万円、生命保險料控除によつて十六億七千五百万円、これは先ほど申上げました簡易生命保險等もすべて入りますので、すでに二千円以上拂込み、保險に入つておる人の場合におきましては基礎控除を二千円引上げたと同じ効果を持つわけであります。頭数が相当多うございますので、歳入におきましても相当響くようでございますが、十六億七千五百万円の減收でございます。合せまして三十七億四千百万円でございます。それと税率等の改正の五百七十六億を加えまして、六百十四億千六百万円が所得税減税による減收額でございます。それから法人税につきましては、積立金をやめることによりまして五億四千万円、それから特別償却によりまして七億四千五百万円、このうち特別償却は順次二年目、三年目になるに従いまして累積して増加することになりますが、初年度は七億四千五百万円という程度になります。それからさつきの見返資金の優先株の分が一億三千万円、それに再々評価を行うことによりまして償却が増加することによつて十五億四千三百万円、合せまして二十九億五千八百万円の減になります。それで相続税のほうは一億八千万円その他印紙收入におきまして一億八千三百万円、その半面資産再評価を行うことによりまして再評価税の増額でございますが、これは十五億千四百万円でございます。それから砂糖消費税の改正によりまして六十億の増加、これらのものとそれから先ほど申上げましたすでに国会を通過しておりまする間接税の減、全部合せまして七百四十三億千六百万円に相成るのでございます。これらの資料は整理いたしまして、後ほど提出する見込みでございます。  以上甚だ概略でございましたが、御説明申上げた次第であります。
  13. 波多野鼎

    委員長波多野鼎君) この際、銀行局長から金融情勢についてお話を伺うことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 明年度予算の金融との関係につきましては、いろいろ問題もあることでございますが、産業資金その他資金需給計画につきましては、現在安定本部を中心にいたしまして案を作成しております。いずれ主管省から御説明があることと存ずるのでありますが、本日は私一応最近の金融の基調並びに来年度予算と金融との主なる関係といつたようなことにつきまして、一応大要を御説明申上げたいと存じます。  昭和二十五年度予算は当初千二百八十億の債務償還を予定しておりました。これが市中金融機関、或いは預金部に如何に実行されたか、それから民間に対して資金が如何に環流されるかということによりまして、民間資金を圧迫する問題も起つて参るのでございまして、この年度開始以来積極的な金融施策を講じまして、いわゆるデイス・インフレの線を守ろうとしたようなわけでございます。然るに六月に至りまして朝鮮動乱が起りまして、これを契機といたしまして、金融の基調は大きな変化があつたということができるのであります。  即ち特需の発註並びに海外情勢の変化によりまして輸出が非常に進展いたしまして、国内相当資金が出廻ることになつたわけでございます。特に年末に近付くに従いましてアメリカの軍備拡張というものが活溌に行われるに伴いまして、この傾向が大いに促進されて参つたわけでございます。一、二の例をとつてみますると、一月から六月まで一ケ月平均の輸出高は五千四百万ドル、これを邦貨に直しまして百九十四億円でございましたものが、七月から十一月につきましては、一ケ月平均七千六百万ドル、邦貨に直しまして二百七十三億円というふうに増加しておるわけでございます。こういう結果、一言にして申しますれば、輸出及び特需の増加、それからこれと並行して輸入の促進のために講じましたユーザンスの制度、この実施に伴いまして外国為替特別会計支拂超過が非常に殖えて参りまして、国庫金の撒布が多くなつたわけでございます。このため四月から十二月までの国庫金の対民間の收支の実績は八百四十八億円の支拂超過となりました。別にこの間におきまして日本銀行の貸出も五十七億円増加、日本銀行の国債オペレーシヨンも二百七十四億円が実行されまする等、日本銀行の信用を膨脹したのでございます。御承知通り、年末におきまして日本銀行券は四千二百二十億円でございまして、一昨年に比べまして六百六十七億円上廻ることになつておるのでございます。  そこで従来の一月——三月の国庫対民間收支の予想を見まするに、昨年度においては九百二十七億円の引揚げ超過でございましたが、今年は輸出関係資金が依然として撒布せられまするので、最近の計算におきましては一——三月におきまして三百五億円程度の引揚げ超過という計算も出ておるのであります。更に今後の見通しといたしましては、この引揚げ超過はもつと減るという見込が付いておるわけでございます。  こういうふうに金融の基調はその頃と違いまして、非常に緩んで来たということを申さざるを得ないのでございます。これの対策といたしまして、先ず根本的に、政府といたしましては、輸入を促進するということに努めておるのでございます。大体ユーザンスの制度を実施いたしましたのも輸入促進のためであります。二月一日現在二千百二十一億円に達しておるという状況であります。輸入促進の機運あるに鑑みまして、スタンプ手形制度の拡張は従来原毛、原棉、原油に限られておりましたスタンプ手形制度を鉄鉱石、石炭、マンガン鉱、銑鉄及び原皮にも拡張じたのでございます。ところでこのユーザンスの制度は一面輸入を促進することを狙いといたしたのでありますが、又同時にそれがインフレ要因にもなるというジレンマもあるのであります。ユーザンス制度自体については現在三カ月乃至四カ月という期限を、品目によりまして或るものは延長する、併し或るものにつきましてはこれを短縮するといつたような措置を講ずることも必要と思いまして、目下その品目、項目等について検討をしておるような次第でございます。これは別途ポンドにつきましてもユーザンスを実施する予定が成立しようとしておるのでございます。それから輸入の促進につきましては、物資の輸送等につきまして船腹の不足が大きなネツクになつておることに鑑みまして、傭船とか、買船とか、或いは改造とかいうことによりまして、船腹の増強を企てるということをいたしておるのでございます。金融措置といたしましても、これらにつきましては見返資金の動員、預金資金の動員、或いは市中銀行に対する融資の勧奨といつたことに努めておる次第であります。こういうふうな金融情勢が続いておりますほかに、一——三月は物税期でありまして、相当の納税資金が必要でございます。それから何と申しましても物価の先高を見越しまして、相当の買付資金、思惑資金が動いておるのでありまして、もう証券取引所方面におきましてはレギユラー・ウエイの実施をしておるのでありますが、これについても若干の資金が必要なのでございます。そこで政府資金の揚超の緩和ということによりまして、市中はために潤つたのでありますが、なお、一——三月におきましては、日銀貸出は若干増加するのであろうと思つておる次第でございます。こういうふうに見て参りますと、大体三月末の日銀券は或いは四千億を超えやしないかというふうに予想されるのでございます。元来年末から三月末までの銀行券の收縮と申しますか、これは昭和六年から十五年くらいの実績を見ますと、一五%乃至一八%であります。それをそのまま一応本年度に適用して見ますると、少くとも三千六百億円——三千七百億円程度になる計算になるのでありまして、いろいろ取引の事情も変つておりますので、これを上廻ることも止むを得ないのでありますが、いずれにせよ年度末の通貨は只今申上げましたような見込みを持つておる次第でございます。  そこで金融施策といたしましては、このインフレ的な気構えによりまして、相当資金信用の收縮を図らなければならないということになるわけでございます。先ず税法その他におきまして預貯金の優遇を思い切つて実行する、主税局長説明のありましたような諸方策によりまして、預貯金の増加を図るということもその一つでございます。それから市中銀行が日銀からの借入れに依存するという態度をますます少なからしめるという意味におきまして、日本銀行に関する高率適用の制度、或いは法定金利の制度、或いは歩合というものにつきまして再検討を加える時期ではないかと考えております。一方預金の増加情勢でありますが、昨年は何と申しましてもやや低調であつたのであります。これを一昨年に比べますと、四月から十二月までの預貯金の増加額は昨年の一部推定を加えまして二千八百八十六億円でございます。前年度の同期間が三千百九十五億円で、その割合は大体九〇%、約一割減ということになつております。一面経済界の好況によりまして、資金の殖えておる面もありますが、預貯金の増加ということは急務と考えております。  さて、来年度予算と金融政策との関係でございますが、来年度予算は、これまで説明がございましたように、従来いわゆる超均衡予算と言われていたような性格を持つておりません、殆んど中立的な均衡予算でございます。この時期的なこの金融に対する影響におきましては、政府資金支拂、引揚げは大体においてとんとんということができるわけでございます。こういう財政のうらはらをなす金融政策といたしましても、従来超均衡予算と言われておりました予算に対して、金融が相当積極的に補完作用として、政府資金の引揚げ超過の財政と一体となつて運用されて来た考え方を、趣きを変えなければならないのであります。むしろその他のインフレ要因を金融政策によつて相当消して行かなければならないことかと考えております。諸外国におきましても、アメリカ政府におきましても、韓国の動乱以後中央銀行の金利を上げておるものが多いのでございます。市中金利等も上げておる例が多い模様でございます。今後この方針で進めて行くわけでありますが、ただ財政問題といたしましては、市中金融機関がその自主的な金融では賄つて行けない、而も緊要な金融の方面につきましては、適正な資金配分を実施するため政府資金の活用について配慮を拂うことになつておるのであります。そのうち量的に一番大きな影響を持ちますのは、申すまでもなく見返資金、それから預金資金でございまして、先ほど主計局長の説明もございましたが、見返資金につきましては、前年度からの繰越が千二十八億円、二十六年度中の收入が六百六十六億、二十六年度支出が千百九十四億、この支出の中には、再建及び安定の七百五十四億というのを含んでおるのでございます。そこで、この七百五十四億を全部使いますれば、この見返資金は来年度においては散超になる、若しこれが使われないということであるならば、全額使われないということになれば二百二十六億の揚超となる性格を持つております。  それから預金部が改組せられます資金運用部につきましては、これも先ほど主計局長から説明がございましたが、二十六年中の資金増加額は八百八十四億と見込んでおります。これについて二十六年度中の運用は千百二十億ということで、散超の予算でございます。尤もこれには四百億という金融債が全部扱われるということを前提といたすものでございます。その他の政府金融とも目すべきものにつきましては、それは輸出銀行に対しまして一般会計から五十億、見返資金から五十億という問題、農林漁業金融特別会計に対しまして、一般会計から二十億、見返資金から四十億を出資する問題、なお、中小企業信用保險特別会計には一般会計から十億の支出、国民金融金庫に対しましては二十億円々増資するという問題、住宅金融公庫に対して一般会計から五十億、なお預金部で以て五十億の債務引受けを行うということがございます。これらの金融政策を実行いたすに当りまして、所要の金融制度改正というものも必要なのでございます。その第一は、預金部を改組いたしまして資金運用部といたすのでございます。これによりまして相当いろいろの改正がなされるのでありますが、待望せられておりました金融債への投資ができるということが非常な進歩であろうと考えております。それから次の制度の問題といたしましては、日本開発銀行ともいうべき長期金融機関の設立を研究しております。このインフレ要因を避けますために、差当つては見返資金及び復興金融金庫の回收、この両者の回收金を以てその運転資金に充てるということが適当かと考えておりますが、併しこれはまだ関係方面とも折衝中でございまして、まだ現在のところ相当の懸隔もある次第でございます。  それから次に、市中金融機関の制度改正問題につきましては、銀行法は過去一年近くに亘りまして、関係方面とも折衝し一応の試案を得たのでありますが、これは大体において経済が完全に安定した場合を前提とするものでありますので、現在のような広汎な制度改正をすることは如何かとも考えておるのであります。或いは本国会には提出されないことになる見込みが多いと考えております。    〔委員長波多野鼎君退席、理事石坂豊一君委員長席に着く〕  併しその金融制度のらち、ほかの無盡会社及び信用協同組合につきましては、目下緊要とせられます改正を部分的な改正を行いまして、そうして必要とせられております中小企業えの支出に資することが一応考えられます。この両者につきましては、衆議院議員提出の法律案となる見込みがあることを窺えるのでございます。いろいろ他にも問題があろうかと存じますが、あとは御質問によることにいたしまして、一応大体の御説明を終ります。
  15. 石坂豊一

    理事(石坂豊一君) お諮りいたします。本日はこの程度において散会して如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 石坂豊一

    理事(石坂豊一君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時五十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            野田 卯一君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            小野 義夫君            平岡 市三君            安井  謙君            山本 米治君            山縣 勝見君            岩崎正三郎君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            山田 節男君            吉川末次郎君            若木 勝藏君            高橋龍太郎君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君