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1951-03-26 第10回国会 参議院 郵政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十六日(月曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○郵便法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○派遣議員の報告 ○郡山市に郵政省地方簡易保險局新設  促進請願(第一七号) ○郡山郵便局郵政健康管理特別局に  指定促進請願(第一八号) ○郡山市に郵政省逓信病院又は分院設  置促進請願(第一九号) ○福島県小野新町駅前に簡易郵便局設  置促進請願(第六〇号) ○福島須賀川郵便局舎等買上げ促進  に関する請願(第六一号) ○仙台鉄道郵便局山分局鉄道郵便  局に昇格請願(第一八二号) ○山形宮沢郵便局集配事務開始の  請願(第二六四号) ○逓信従業員結核対策に関する請願  (第二七五号) ○福島市五老内町に郵便局設置請願  (第五二号) ○鹿児島県求名村狩宿に簡易郵便局設  置の請願(第五四三号) ○神奈川県秦野町に特定郵便局設置の  請願(第五六七号) ○福島徳沢簡易郵便局昇格等に関  する請願(第五九七号) ○岡山県宇甘西郵便局集配事務開始  に請願(第七一一号) ○大阪市此花区に郵便局再建請願  (第七六二号) ○農産種苗カタログ郵送料引下げに  関する請願(第一一〇三号) ○山形県醍醐村に郵便局設置請願  (二通)(第一二〇〇号) ○郵便の日曜、祭日配達廃止反対に関  する請願(第一三三九号) ○簡易生命保險および郵便年金積立金  運用再開に関する請願(第三三二  号)(第一三五五号)(第一三七四  号)(一三七九号)(第一三九六  号)(第一三九七号)(第一四二八  号) ○仙台地方貯金局縮反対に関する請  願(第一四二七号) ○仙台地方貯金局縮反対に関する陳  情(第二七六号) ○簡易生命保險および郵便年金積立金  運用再開に関する陳情(第二七五  号)   —————————————
  2. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それではこれより委員会を開きます。  本日は議題となつております郵便法の一部を改正する法律案ほか三件につきまして審議を継続いたします。本日は法案に対する質疑をいたしたいと思います。お諮りいたしたいと思いまするが、郵便法の一部を改正する法律案には罰則規定がございまして、法務委員会との連合委員会を開催することもできるのでありまするが、法務委員会のほうから特に所管の問題について、專門員をして一応質疑をさしてもらいたい、こういう申出がございました。ところで、先例においてもこういうことはあるそうでありまするし、便宜を図りまして、連合委員会を開く代りに專門員をして政府質疑させることにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それでは長谷川法務委員会專門員質疑をお願いいたします。
  4. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) 郵便法の一部を改正する法律案の第八十一條の二について、二、三質疑をいたしたいと思いますが、この提案理由によりますと、郵便犯罪目的利用することを、これを不正利用として、不正利用の中で詐欺、恐かつ、脅迫目的を以て真実に反する住所氏名などを記載した郵便物を差出すとか、或いは差出させた者を罰する、こういうような趣旨のようでありますが、若しこういうような意味不正利用を禁遏するというような趣旨があるならば、犯罪目的を以て郵便利用するすべての場合を包含させるのが筋ではないかと、こう考えられるのですが、なぜ本法においては詐欺、恐かつ、脅迫目的を以て郵便を出すという場合に限つたのか、何か特別の理由がないならば、権衡上、殺人でも強盗でも、傷害、暴行、誘拐などのような目的を以てする場合でも、やはり本條の中に含ませてよいのじやないでしようか、又郵便物犯罪目的利用する、こういうことを罰する趣旨であるならば、何も特に住所氏名通信文などが真実であらうと、真実に反していようと、そんなことは特に必要がないように思われるのですが、なぜ本條ではこの記載が不真実であるということを要件としたのですか、この点について提案者の新意見を伺いたいと思います。
  5. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 只今の御質問の二点につきましてお答え申上げます。  第一点はなぜかような八十一條の二、郵便を不正に利用する罪を罰する規定を設けたか、而もその罰する罪において詐欺、恐かつ、又は脅迫目的のみに、なぜ限つたかというお尋ねのようでありますが、この本條の立法をいたします趣旨は、詐欺、恐かつ、脅迫等のいわゆる刑罰上の犯罪そのものを罰するという目的ではないのでありまして、これはむしろ一般刑法法益の範囲に属すると思うのであります。本條は飽くまでかような行為によつて郵便法益が侵された、郵便法益を侵されるのを守ろうという趣意からこれを立法いたした次第であります。  そこで、それでは郵便法益というものは一体どんなものであるかということでございますが、これにつきましてはかように考えられるのじやないかと思うのであります。御承知のように人間生活におきまして自己意思を発表するということはこれは人間本能であると思うのであります。而もその自己意思、感情を遠隔の相手方にこれを伝えようとします場合には、通信手段を以てこれを行うということが、人類社会の当然のことでありまして、従つてこの人間生活上、この通信というものは絶対的に必要なものであるわけであります。従いまして新憲法におきましても、通信の自由、信書の秘密という基本的な人権を保障せられているのでございますが、併しながらこの基本的人権そのものは、飽くまでもその人間本能の自由が、人類社会の進歩、発展……、人類社会を営んで行きますために、害を及ぼさないということが前提でなければならんということは当然考えらるのであります。従いまして、この通信手段が行われることによりまして、これが仮に、この通信手段が不正な目的利用されましたならば、その結果は、人類社会生活上大きな支障をもたらすわけでありまして、かような観点からいたしまして、飽くまでこの通信が円満に行われ、又通信利用される人々が安心してこの川伝を相互に利用し合うということが、最も根本的な要件であると思うのであります。この通信の本来の使命、本来の本旨と申しますか、これがいわゆる私は郵便実質的な法益であると申上げても差支えないのじやないかと思うのであります。もう一つは、郵便というものは誰でもたやすく公平に利用されなければならんものであります。従いまして郵便というものはその取扱数量が非常に多いのであります。而もこの通信というものの本質からいたしまして少しでも早くこれを送達するということを使命といたしておりますので、従つてかような大量の通信を、最も早く正確に届けますためには、その取扱方法というものができるだけ機械的に簡便でなければならんと思うのであります。これは当然なことでありまして、従いましてこの郵便事業の仕事の本来の使命からいたしまして、これを郵便の形式的な法益と申しても差支ないのじやないかと思います。かようなこの郵便そのものの持つております本質的な法益、又形式的な法益というものを守りまして、そうして国民全部の人が安心して郵便信頼してこれを利用して行かれるようにするということが又当然に必要になつて来るわけであります。そこでいわゆる犯罪を行わんがための手段としまして郵便利用されますと、いわゆる先ほどから申上げました郵便の持つております本質的な法益、或いは又形式的な法益というものが侵害される慮れがありますので、これを守りまして、そうして郵便事業信頼を高めたい。そうして郵便利用される人が安心して平和的に気持よく郵便お互いに交換されるようにしたい、こういう趣旨からこの八十一條の二を設けた次第であります。然らばそれではお尋ねのようになぜそれでは詐欺、恐かつ、脅迫のみに限つたか、むしろ犯罪手段として行うならば、或いは誘拐、或いは傷害強盗殺人等の場合においても郵便利用されることがあるから、そういう場合において郵便法益を侵されたならばこれを罰する必要があるのではないか、こういうお尋ねのようでありますが、併し最初申上げましたように、この郵便というものは、通信というものは、同時に意思お互いの交換によつて行われるわけでありまして、その犯罪態様におきまして、最も詐欺、恐かつ、脅迫等、その行為そのものは大体意思伝達によつて行われる犯罪行為である場合が非常に多いわけでありまして、殺人傷害等行為というものは、むしろこれは事実行為の場合が非常に多いのではないかと考えられるわけであります。従いまして最もこの通信という一つの形態に利用されがちである、又本質的にこの意思伝達の形を以て行われるところの詐欺、恐かつ、脅迫等のみを一つの代表的なものとしまして、これを行わんがために郵便法益が侵された場合は、これを罰するということが最も郵便本質に合しておるものと考えまして、この三つに限りまして規定をいたした次第でございます。  第二のお尋ね犯罪行為を行わんがために郵便不正利用した場合に何も住所居所、或いは通信文等不実の事柄を記載するということのみを條件とする必要はないのじやないか、むしろ犯罪行為そのもの條件とすればいいじやないかというようなお尋ねでございますが、やはりこの郵便におきましては、詐欺、恐かつ、脅迫等犯罪行為目的を以て郵便利用される場合も、形式的な通信利用條件と申しますか、そういう場合は必ず住所居所又その通信文内容というものが虚偽不実なものでありまして、そうしてそれによつてこの郵便法益が侵されるということになるわけでありますので、やはりこの犯罪構成要件としましてやはりこの通信内容をなしますところの居所住所及び通信文そのもの虚偽のことを記載されたために従つて郵便法益というものが侵されやすい、こういう観点からこういう一つ犯罪構成要件規定した次第でございます。
  6. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) ちよつと今の新答弁につきまして、本條詐欺、恐かつ等の実質犯を罰する意味ではないのであつて郵便の持つておるところの法益を守ろうとするために規定したのだという新趣旨でありましたが、今お尋ねいたしました主要な点は、詐欺、恐かつ、脅迫などの目的を以て不実郵便を差出す場合が本條の守ろうとする法益であるとするならば、強盗誘拐目的を以て郵便を出す場合もひとしくこの守ろうとする法益の中に入るのではないか、なぜ同じくそのおつしやるところの法益を守ろうとする本條文において一部のみを取上げ、他を除外しているのか、こういう趣旨であります。それから又新答弁の中にこの規定は事実行為を罰するのでなく、普通郵便使命とするところの意思伝達というやつを目的として、それを処罰対象としたものである、こういうこともございましたが、この点につきましても、やはり詐欺、恐かつ、これが成るほど意思伝達が主になつていましようが、その詐欺とか、恐かつというものを本法で罰するのではないのであつて詐欺、恐かつの場合は郵便を差出す、この行為を罰しているのでありまして、そういう観点からいたしますると、この強盗なり、殺人なり、或いは誘拐目的を以て、例えば友人の名前で以て或る場所に相手方をおびき出すというような場合に全く同じ範疇に入るのじやないか、そういう点をなぜ別々にされたであろうか、何か特別にそこに、ほかに理由があるんでしようか。それから第二点は、処罰対象が、今のような郵便によつて守られるところの法益侵害であるということになりますると、犯罪目的で以て郵便を出した場合は一般にそれに入るのではないか。なぜそれに郵便氏名住所通信文などにおいて真実に反することが別に要件として加えられなければならないか、こういう点でございましてちよつともう一度この御説明を願いたいと思います。
  7. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 私がお答え申上げたのは、多少抽象的であつたかも知れませんが、要するに殺人強盗の場合と違つて詐欺、恐かつ等におきましては、通信文そのものが或いは事実を曲げ、或いは相手に恐怖心を與えるような内容を持つたものが多いわけであります。然るに殺人強盗等におきましては、仮に殺人強盗せんがためにおびき出しをやりましても、その通信文自体には殺人強盗意思が現われてないんじやないか。むしろ殺人強盗は物を盗んだ、或いは人を殺したという事実行為一つ要件になるのでありまして、多少私はこの詐欺、恐かつと殺人強盗の場合とにおきましては、通信利用される態様におきまして違うように感ぜられるわけでありまして、従いまして最もこの通信そのもの一つ犯罪構成をなしますところの一つ内容が盛られる、こういう観点から詐欺、恐かつだけに限つた次第でございます。而もこの詐欺、恐かつ、脅迫等刑法において処罰されておりますので、殊更にこの別な法律において罰する必要もないのでございますが、要するに国民郵便利用せられます場合に、とにかく安心して、郵便信頼して利用させるということが最も大切な要件であります。来た郵便が、或いは自分は、この来た郵便の中にはそれによつて自分は欺されるんじやないか、又おどかされるのじやないかというような常に不安の気持を持つて国民郵便を受取り、又は利用されるということになりますれば、結局郵便に対する信頼感というものがなくなつて来るわけでありますので、かような点から言つて、要するに木條郵便信頼性を確保したい、信用性を確保したい、かような詐欺、恐かつ等の通信を持つた郵便は罰せられるということによつて、できるだけこの詐欺、恐かつを行わんがために郵便を使用される場合を極力防止して、そうして郵便信用を高めたいというところに狙いを持つてる次第であります。
  8. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) ではその点はそのくらいにいたしておきまして、第二に移ります。提案理由によりますと、犯罪手段として最も多く郵便利用する慮れのあるものは、詐欺、恐かつ、脅迫などの目的真実に反する住所氏名通信文などを書いた郵便物を差出す場合であるからこれを処罰するという、こういう御趣旨のようでありますが、殺人傷害強盗、窃盗、誘拐などの目的を以て真実に反する住所氏名などを記載した郵便物を差出す場合などは、恐かつ、脅迫などの目的を以てする場合に比べまして、犯罪手段として郵便利用する虞れが少いと言えるものでしようか。例えば宛名人友人の名義でおびき出しの手紙を郵送する場合のごときは、詐欺、恐かつ、脅迫目的郵便利用されると同様に、殺人傷害誘拐などの目的郵便利用されるのではないでしようか。こういう観点から見ましても、詐欺、恐かつ、脅迫の場合のみを本條不正利用罪であるという意味が何だかはつきりしないような気がいたすのでありますが、この点を御説明願いたいと思います。又仮にこの詐欺とか、恐かつとか、脅迫目的を以て出す場合と、殺人だとか誘拐とかいうような目的を以て手紙を出す場合と比べまして、後者のほうが不正利用の慮れがより少いというように見ましても、仮にそういうほうが少いのだということにいたしましても、この八十一條の二は、郵便不正利用の危険を罰する趣旨ではなくつて、実險不正利用する者を罰するという趣旨であることは、これは疑のないところであろうと思われますので、殺人傷害誘拐などの目的を以て真実に反する住所氏名などの記載ある郵便物を差出す場合も無論あるのでありますから、かような場合を本條処罰対象から除くという理由が肯けないのでありますが、これを省いた理由はどういうわけであるか、この点について御説明願いたいと思います。
  9. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) お説のように、殺人強盗等犯罪を行わんがために、その予備的な手段として郵便利用する場合があり得ると思うのでありますけれども、併しながら殺人或いは又傷害そのもの行為は、通信という手段によつて行われるのではなくして、先ほど私が申しましたような一つの事実行為として行うのではないか。併しながら、詐欺、恐かつ等は、相手方を欺し、相手方脅迫するのでありますので、通信方法によつて行うという場合が非常に多い。又事実最近の例におきまして、郵便利用によつて詐欺等を行なつた実例もありますので、最も態様としては一番この詐欺、恐かつ等が利用される可能性があるから、先ずこれを罰しようというところに狙いを持つておる次第でございます。
  10. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) 最後にもう一点だけちよつと伺いたいと思います。詐欺、恐かつ、脅迫などの目的を以て不実を記載した郵便物を差出せば、到着とか、開披とかの瞬間に詐欺なり恐かつなりの刑法犯が成立するわけでありますから、特に本條を設けてそういうようなものを罰する必要はないというようなことも言えるのではないかと考えられます。仮にそうだといたしますると、本條は、結局かような目的を以て不実を記載した郵便物を差出しましても、刑法上の犯罪に発展する可能性のない、即ち差出人主観では詐欺脅迫等目的があつても、客観的にはその目的が現われていないというような、いわばたあいもない、嫌がらせの偽手紙であるとか、或いはおびき出しの手紙であるとかいうようなものの類を罰する必要のために、本法は設けられたということになろうかと思われるのです。実質上の意味でありますが……。このたあいもない手紙といううちのものにつきまして、例えて見ますと、一万円の金を送り届けよ、応じなければ裁判所に訴え出るとか、或いは脅迫目的を以て、今日お前は雨に濡れるであろうというような偽手紙を出すとか、或いは落手後三日以内に友人三名に同文の手紙を差出せば幸運に会うし、然らざれば災難に会うぞというような、いわゆる幸運手紙であるとか、或いはあなたの愛を失えば自分狂い死をするであろうというようなラブ・レターのようなものが考えられますが、こういうようなものを狙つて取締るというのが本法実質的の狙いになるというようなことになりはしないかと思います。かような手紙を差出すことは郵便事業の円滑な運営を阻害するものであるということは、無論言えないことはないと思いますけれども、かような郵便物を差出すことの惡性とか危険性とかはかなり稀薄なものであります。併し又かような郵便物は、差出しても、差出しの目的が表現されていないため、その罪が殆んど発覚することがないというようなこと、それからこれを罰する制度を定めることによつて通信の自由が過当に制限される慮れがあることなどから考えまして、この種の郵便物をも本條処罰対象とすることはどうかと思われますが、提案理由によりますれば、郵便は公共の福祉増進目的とする文化的な事業で、国民日常生活に欠くことのできないものであるから、犯罪目的利用されることは許されぬというようなことになつておりますが、この筆法で行きますれば、食糧の闇買いとか、掏摸を働く目的で汽車に乗り込むとか、阿片を製造し、殺人目的で以て国会図書館の蔵書を借覧する場合も、これと同様の理由処罰の必要があるということになるわけでありますが、かような行為に対する罰則構成する理由のないことは、その惡性とか危険性等が稀薄であつて、その表現性とか発覚性が乏しいためであると思われるのでありまするが、脅迫などの目的差出人主観だけにあること、郵便も殆んど同じようなものではないかと考えられるのでありまするが、本法は果してかようなものをも罰しようとする趣旨なのでありましようか、この点一つ伺いたい。
  11. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 本條郵便物不正利用の罪は、先ほど申上げましたように、二つ要件を以て構成されるわけでございまして、即ち詐欺、恐かつ又は脅迫目的を以てということと、住所居所或いは又通信文等不実の、真実に反するものを記載した郵便を差出したという、この二つ要件を持つておるのでございますが、その一つ要件詐欺、恐かつ又は脅迫目的を以てということでございますが、飽くまでこれは主観的にかような郵便を出した人がそういう目的を持つておるかどうかということが一つの大きな要件になるわけであります。そこで只今いろいろ例を挙げて御質問がありましたのでございますが、例を挙げられましたような場合において、これは飽くまでこの目的刑法上の詐欺、恐かつ、脅迫の罪になる行為目的でございますので、具体的な例をつきまして、果して刑法上の詐欺、恐かつ又は脅迫目的をその人が主観的に持つてつたかどうかという具体的な場合々々において認定をせられる問題であると思うのであります。そこで例を挙げられました幸運手紙等のものにつきましても、果して幸運手紙を出した人が相手方脅迫を與える目的を以て出されたかどうか、これは相当事実の認定においてむずかしい問題でございまして、むしろこれは廻り廻つて、とにかく自分も受取つたから出さざるを得ない。成るほど文句は客観的に脅迫になるような、或いは又事実に反する通信文が記載してございまするけれども、果して出した人がその目的を持つてつたかどうかということにつきまして、認定が甚だむずかしいとも考えられますので、恐らくこの本條からいたしましたならば、幸運手紙等はこの本條の違反となり得ないのじやないか、こういうふうに考えられる次第であります。  なお本條を設けたために、却つて通信の自由というものが阻害されるのではないかという御懸念のようでありますが、むしろかような郵便不正利用郵便を不正に利用するようなものは、通信の自由から排除すべきものでありまして、却つてこれらの郵便が排除せられることによつて健全な、善良な通信というものは、ますますその自由が伸張、拡張せられるものと私どもは考えておりますので、根本的にこのために通信の自由が阻害されるのでなくて、むしろいい意味通信というものがどんどん伸張されて、要するに国民が安心して平和のうちに郵便をどんどん利用ができるということになるのではないかということを私どもは考えておる次第であります。
  12. 大野幸一

    委員長大野幸一君) ちよつと私から一点、あらかじめお聞きしたいと思いますが、この小包葉書に対しては私製を許さないと、これは必ず官製だという理由を御説明願いたいと思います。
  13. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 現在この郵便種別体系、又その種別体系に応じまして郵便料金というものは設けられておるのでありますが、大きな種別体系としては、通信文と物件の送達とこういう二本建によりまして、そうして料金というものがきめられておる次第でございます。そこで現行法におきましても、小包通信文を入れてはならないということがはつきり規定されておりますのはかよう趣旨から出ておるわけでございますが、併しながら実際問題としまして、国民皆さん小包相手方に送られる、そういう場合に、小包を送つた趣旨をやはり何とか相手方通信をしたいということは当然であるのでありまして、従つてかような場合には、現在の建前におきましては通信文小包は別な体系になつておりますので、別々にお出しを願う。従つて小包一緒自分小包に関する用件というものが相手方に届けられないと、こういう御不便があるわけであります。そこで実際のかような国民皆さんがたの御不便等から考えまして、何とか小包一緒にこれに関連しましたところの通信文というものを一緒に届けられるような方法がないものかと考えまして、今回小包葉書というものを制定いたしたのであります。従いまして、この小包葉書は、飽くまで小包とは別個に通信せられるのではなくして、小包にくつ付いて、同時に、小包一緒相手方に届かせるというところに狙いを持つておる次第でございます。而もこの小包葉書は、小包の外部に貼付して頂きますので、要するに一つの荷札の役割を結果的にすることになるわけであります。小包自体にも一つ小包郵便物として宛名を書かれますし、又それにくつ付いておりまする小包葉書にもやはり一つ郵便物として宛名を書かれますので、従つて現在この小包等に荷札を貼られます場合に、やはり荷札に宛名を書かれますので、従つて小包葉書というものがやはりこの荷札の役割をいたす結果になるわけであります。そこでお尋ねのこの小包葉書をなぜ私製を認めないかという点でございますが、かように郵便利用の建前が、通信と物件送達とは別にしておるという根本の建前は変らないのでありますが、この小包葉書におきましては、とにかく同時に二つ郵便が行くという建前をとりまして、そうして先ほど申上げますように、荷札、葉書の役割をいたすわけでございますので、仮にこれを私製を認めますと、結局現在の荷札、葉書とかような役を同時に果すことができるということになりまして、結局現在の建前の小包通信文を同封してはならないという原則がとかく誤つて利用される心配がありますので、従つてこの小包葉書だけは官製のもの、いわゆる官で作つた一つの型のもののみがかような場合に利用ができるという制限的にいたしましたほうが、濫用をされる虞れがないものと考えましたので、今回の改正法においては私製を認めなかつたのであります。併しながら将来におきましては、この利用が正道になりまして、そうして私製を認めても差支えない、こういう時期が参りましたならば、又再考いたしまして、したいと思つておりますが、とにかく初めて試みる問題でございますので、この小包に信書同封の惡用をできるだけ防止し、又いわゆる一般の荷札と混同、濫用されないようにしたいという考えから官製のみに限つた次第でございます。
  14. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それでは速記はこのまま中止して下さい。    午後二時四十一分速記中止    —————・—————    午後三時四十二分速記開始
  15. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 速記を始めて下さい。  これより先ほどの長谷川專門員から質疑を続行すべきものがありましたら、成るべく簡單に、法務府の答弁を聞くようなところがありましたら……。
  16. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) ちよつと先ほどの問題につきまして一言伺いたいと思うのですが、この詐欺などの目的を以て郵便を差出すことが本條の不正に利用する罪に当るというのであるならば、理論上はどういたしましても、ほかの犯罪目的を以て出した場合に同じく本條目的になるのじやないか。現にこの提案理由によりますと、郵便犯罪目的利用することを不正利用することを防ぐ、こういう趣旨でありますから、この立法の趣旨を貫いて行きますと、そういう解釈に陷るのじやないかと思われるのですが、この点を法務府のかたからちよつと御説明願いたい。
  17. 高橋勝好

    ○説明員(高橋勝好君) 只今の御質問にお答えいたします。御指摘の通り詐欺、恐かつ、脅迫或いは殺人強盗、いろいろの目的を以て犯罪をすることが考えられますが、ここに詐欺、恐かつ及び脅迫、この三つを取出しましたのは、二つ意味がございます。第一点はこれら三つの犯罪につきましては、郵便を不正に利用するということが非常に多いということ。第二の点につきましては例えば殺人強盗、これにつきましては予備罪の規定がございますので、にせの郵便を以ておびき出して人を殺した。或いは強盗、暴力を以て財物を奪取する、むりやりに奪い取ると、こういうことをいたしました場合に、その郵便を差出した行為強盗或いは殺人行為と、行為の予備罪に該当するのではないかという懸念もありますし、又他の犯罪を考えますというと、或いは牽連犯になる慮れもありますので、そういうふうに刑法本條犯罪と混同を来たさない明らかなものだけ、詐欺脅迫それから恐かつ、この三つを引出し、その刑法本條犯罪構成する以前の行為を処罪する。こういう考え方であります。
  18. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) 殺人強盗については予備罪があるからとおつしやいましたけれども、予備罪を罰するということは、即ち本條目的だということではないかと考えられるのでありますが、結局、本来は犯罪目的手紙を出す、それ自体でその行為刑法に言いますところの殺人強盗などの予備罪に当らない場合であつても、本條で罰する趣旨だろうと思いますし、又、誘拐などのとき脅迫の場合に比べて見ますと、実際問題といたしましても脅迫のためにおびき出すという場合よりは、誘拐のためにおびき出すといつたような場合が多いのじやないかと思いますし、この点については先ほどおつしやつたように、予備罪というものもございませんので、これは当然本法などによつて若しやるとすれば、律すべき場合ではないかと思います。重ねてお伺いいたします。
  19. 高橋勝好

    ○説明員(高橋勝好君) 御指摘の通り、虚偽のことを記載して郵便を差出す。これが必ずしも強盗殺人の予備罪に限るわけでもございません。予備罪はそのほかたくさんのことがあるわけでございます。例えばピストルを買う、合口を買うということも強盗の予備罪であるということは申上げるまでもないことであります。併しながら、犯罪目的を以てこういうにせの郵便を差出すということの一番何としても多い事例は、詐欺、恐かつ、或いは脅迫、この三つあたりがその大きなものと考えておるのであります。御承知の通り、この條文は英米法に見えますところのメイル・フロード、郵便利用する詐欺罪を処罰する規定に型どつたものであります。と申しますのは、英米におきましては、通信販売、これが非常に盛んになつておりますし、又その通信販売を利用して詐欺をするということも又見逃しがたい事実であります。我が国におきまして、いろいろ経済事情が安定し、又郵便が町民の信用を得るに至る、こういうことになつて参りますと、やはり通信販売も相当大きくなつて来るのではないかと思うのであります。これは戰前にありました事例に徴しても明らかな事実であります。こういたしますと、何かこれに手を打つ必要がないか、例えば通信販売の広告をいたしまして、相手が代金を払つて、そうして品物は故意に違つた宛名に送りつけて、受取人がないから品物が返つて来る。而も若しこれを書留郵便にいたしますというと、いつ、いつか、こういうところから、これこれの品物を送つたという証拠が残りますから、本人といたしては詐欺罪を追及されました場合には、右の受取書を突きつけて、それで弁解して結局逃げてしまう。それらの点を防ぐためにはやはり郵便を不正に利用する、この簡單な証拠収集の方法、これを利用することによつて十分犯罪防止の目的が達せられるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
  20. 長谷川宏

    專門員長谷川宏君) もう二点ほどお伺いします。それではその犯罪目的利用する場合で、最も見やすいような場合を取上げたのだと、こういうふうに承知いたしまして、であるならば何もその通信文とか住所氏名などに真実に反するような記載があつてもなくても、そんなことは問題にならないのじやないかと思われるのですが、これを特に附加えましたわけを御説明願いたいというのが第一点。それから第二点は先ほどもここで御質問がありましたように、これはその発見の後において刑法の罪に当るような場合がありますれば、刑法罪として幾らか罪が覚くなります、加罰されます。けれどもそういうものは又一面の見方からいたしますれば、刑法で罰せるのですから罰則などの規定を設けて、重い懲役十年以下の刑法規定もあるのですから、それを本法で特に引き出して罰する必要はないというふうな見方もあろうかと思われますが、そういう分を除きますと、それでは本法で以て罰せられるやつはどういうものが残るかと申しますと、愚にもつかんような、本人だけはおどかしの手紙だとか、恐かつの目的だとかいうようなことを考えているのかも知れませんけれども、よそから見ましては、くだらない何もそんな目的も何もわからない、現われてもいないといつたようなものか残るわけでありまして、結局本法は直接にはそういうもののみを罰する目的で以て作られたというようなことに陷るのではないでしようか。そこでそういう分が実際におきまして、ではいつそんなことが知れるのかという問題になりますと、先ほどの御答弁ではこれが宛名人のほうに到着して、その人が実際に見たときにはわかるのであろうというような御趣旨の御答弁がありましたけれども、今申しますように、その文面それ自体には何も脅迫とか詐欺目的が現われていないのですから、見てからだつてもわからないのです。どうしてこれを実際において検挙し、処罰を求めるといつたような手続ができるのでしようか。それは実際問題としては、何だかおかしい、ひつぱり出して、ひつぱたいて、実はわしは、あいつをおどかすつもりで出したのですと言わせておいて、そうして結局差出人の腹の中にあつたところの考えを浮き出させて、そうしてこの目的で出したのだということを認めるわけになるのでしようけれども、実際問題といたしましては、そんなようなことは殆んど今日の制度の下では行われがたいことでありまして、突き詰めますれば、本法が狙つておるところの犯罪というものは、單に紙の上で書かれたことだけで、実際において活用されるというような場面はまあ殆んど想像しにくいのであります。果してこういうようなものを本法は狙つておるのであろうかどうか。先はどの第三の問題なのでありますが、その点重ねて御答弁願いたいと思います。
  21. 高橋勝好

    ○説明員(高橋勝好君) 只今の御質問の第一点、真実に反する住所居所、所在地、氏名、こういうようなものを記載した郵便物は大際に当つて触れていないではないかと、こういうようなお尋ねのように考えるのであります。御承知のように八十一條の二の犯罪につきましては、これは郵政監察官がその管轄権を持つておる。詐欺罪或いは恐かつ罪に参りますというと、郵政監察官は管轄権がありませんので、仮に発見いたしたにいたしましても、どうすることもできない。郵政監察官は、直接いろいろの国民からの不平を聞く、或いは部内から、例えば甲の店で出しておる書留郵便が非常にたくさん戻つて来る。これは何かおかしいというような話を聞き込みますと、先ず簡單に八十一條の二を適用いたしまして、犯罪の捜査にかかるというふうな便宜があるものと考えております。  次に第二点の問題でありますが、御指摘の通り、例えばこれを殺人罪或いは放火罪についても、この規定を適用することにいたしたといたします。併しながら例えば偽装をいたして人を殺したい……、人をおびき出すことにつきましても、第八十一條の二の犯罪がある。殊に殺人罪の法定刑は死刑若しくは三年以上の懲役と、こうなつております場合に、監察官の監察権の行使の実際問題といたしまして、大きな犯罪に関連する極く小さな犯罪というものは、法律上それが成立することが明らかでありましても、それを取上げて起訴するということはいたさないのであります。人をおびき出して、その留守に火をつけて家を焼いてしまつたという場合でも、住宅放火罪が成立することで、八十一條の二も成立することになると思いますが、そういう場合にも八十一條の二の罰則は関係ないと、即ち起訴する事実にはそれを入れないというのが監察権行使の実体であります。さような意味合いからいたしましても、やはり殺人或いは放火というような大きな犯罪にこういう小さなものは入れない。又入れても実益がないというようになるわけであります。そういたしますと、ではこの八十一條の二の働く余地はないではないかという第三点の御指摘になると思いますが、その点は先ほど郵務局長から御答弁がありました通り、郵便国民に対する信用性というものを保持することは非常に重大なことでありまして、国民信用を失つた郵便というものは、殆んど存在の価値がないと申しても過言ではないと思うのであります。そういたしますと、どうかして郵便の権威を保持したい。それにつきましては、国民信用を失わせるようなことはしたくない。十分のいろいろな配慮をする必要があると思います。その配慮の一つの現われといたしまして、八十一條の二の規定が設けられる。こうお考え下さつても誤りはないと考えております。そういたしますると、詐欺、恐かつ、脅迫目的を以て云々とする八十一條の二の規正は、その作用するところは小さいようでありますが、郵政監察官がいろいろの職権上本條によつて捜査を開始する、その蔭に隠れたその大きな犯罪を引出すことも又実際においては必ずしも不可能ではない。そういたしますと八十一條の二の働く余地も小さなものではないのではないかと、かように考えております。
  22. 大野幸一

    委員長大野幸一君) ちよつと私からお尋ねいたしますが、先ほど速記のない時に御答弁がありましたように、これは本犯との関係において羽併合罪である。こういうことにお聞きしましたが、さよう心得てよろしうございますか。
  23. 高橋勝好

    ○説明員(高橋勝好君) 八十一條の三の犯罪と、刑法二百四十六條に揚げておりますところの詐欺罪、恐喝罪、脅迫罪、この関係は刑法第四十五條の併合罪の関係にありまして、五十四條の牽連犯若しくは想像的競合犯という関係にはないと確信しております。
  24. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 本件は利慾犯罪に伴うので、罰金は五万円以下とあるは軽きに失するように思われるが、この点についてはどう考えますか。
  25. 高橋勝好

    ○説明員(高橋勝好君) 例えば虚偽の記載をした郵便物とか、詐欺目的を以ちまして虚偽の記載をした郵便物を差出した。これが相手方に到達し、相手方がその詐欺にひつかかつたといたしますと、犯罪といたしましては、刑法二百四十六條一項の詐欺罪、それから郵便法八十一條の二の郵便を不正に利用する罪の二罪になるわけであります。詐欺罪は法定刑が十年以下の懲役、こうなつておりまして、郵便法八十一條の二の犯罪は五万円以下の罰金、そうしますと、刑法四十五條の併合罪に立つ関係上、この二つの法定刑は十年以下の懲役及び罰金五万円以下、こういう二つになりますので、裁判官が実際判決を下す場合には、罰金刑が低きに過ぎるというようなきらいがある場合には、体刑のほうを考慮することによつて只今御指摘のような不都合は救済できる、こう考えております。
  26. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 先ほど政府委員の説明の中に郵便の保護と、こういう言葉がありましたが、この八十一條の二によつて国民郵便に対する信頼信用性についての保護だとも解釈されますが、そう心得ましてよろしうございますか。
  27. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 御説明の通りであります。
  28. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 中川委員及び三木委員、先ほど速記のない時に御質問になつて答弁を得られた中で、速記にとつて置きたいという御希望がありましたが、今ここで質問を繰返されて、後日のためにどうか質問をして頂きたい。
  29. 中川幸平

    ○中川幸平君 先般私設郵便局の摘発を見ましたが、これらの事業が成り立つということは、現在の郵便事業に何か欠陥があるためにかような事業が成り立つのではないか。尤もその後大きな市間に特別速達郵便が実施されましたが、これによつてこれらの私設郵便局が再度、事業の発達を見るようなことはないと信じられるか。これらの点についてお尋ねいたします。  なおこの改正法によりますと、二以上の個人又は法人に雇われている者が継続してこれらの信書を持つて歩く場合には、やはり営業とみなすということになつている点をはつきりして頂きたいと思います。
  30. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) お答え申上げます。第一点は現在のいわゆる私設郵便等が起つたことは、何か郵便のサービスにおいて欠陥があるのじやないか、こういうお尋ねのようでございますが、成るほど戰争中以来、業務運営上の関係から郵便利用を規制したこともございます。又戰災等によりまして郵便の事務運行が多分にうまく円満に行かなかつた点もございましたので、自然郵便の速達を希望せられる向においては、自己郵便自己手段において送達されたという傾向も見受けられておつたのであります。併しながらこれがだんだんと広まりまして、いわゆる第三者が、かような需要に対して一つの営業として、郵便の送達をやるという傾向になつて参りましたので、かような私設郵便を摘発するということになつたのでありますが、併しながら、郵便のサービスそのものは、最近におきましてはだんだんと復旧いたしまして、御承知のように戰前と大体同様の程度まで参つておりますので、全般的にいたしますと、さしたる御不便をかけないところまで参つている次第でございます。従つてかような私設郵便等の存在があるべきではない、かような私設郵便等が存在することは全然許し得ないというようなことも申上げて差支えないのでございます。併しながら事実かような私設郵便等を利用しておられる向、特に大都市間におきます商業通信におきましては、一定の時間までに是非とも通信を届けたいという需要もあるようでございますが、これにつきましては昨年から速達郵便の中で、特に六大都市間の速達郵便につきましては、特に特別速達制度といたしまして、夕方の六時頃までに局に差出されたものは、必ず翌朝の午前十時までに届けるというサービスをやつている次第でございますが、かような需要の向についてはこの制度を御利用つたならば十分目的を達せられるのじやないかと思います。なお又この私設郵便におきましては、現行の郵便制度は個々の差出人の所まで一々取り集めに行くという建前をとつておりませんが、私設郵便利用者におきましては、やはり自分の会社なり事務所に取りに来てくれることが非常に便利である、こういう点もあるように見受けられますので、この点につきましては現行の郵便法の制度としまして私設郵便差出箱制度というものがございますが、これを御利用願いますと、そこまで郵便局から取り集めに行くことにいたしますので、この制度を更に十分に取入れまして、近い将来、四月に入りましたら、この特別速達制度を、取り集めに行くという制度を十分取入れまして、かような方面の需要に十分に沿いたいと考えている次第であります。  第二のお尋ねの点でございますが、この点は今度の改正法におきましては、他人のために信書の送達を業としてはならないということをはつきり明記いたしたので、この範囲におきましては個人の、自分通信自分の使用人、或いは自分自身がこれを持つて行かれるということは何ら差支えないわけであります。併しながら今まで挙りましたいわゆる私設郵便なるものの形態をよく検討して見ますと、いわゆる郵便法の第五條にひつかからないように、要するに会社等の、数個の会社の直接の使用人のような形をとりまして、いわゆる自己通信自己手段によつて送達するというような形をとつておられる向があるようでございますが、併しながらこれが、同一人が数個の会社に雇われて、そうして数個の人の信書を送達するということは、実質においては何ら業としていると変りはないわけでございますので、特に今回の改正におきましては、かようなものも禁止する意味におきまして特に明記いたした次第であります。
  31. 中川幸平

    ○中川幸平君 今回の郵便法の改正によつて小包を地帯制に改正されて、近距離は安く、遠距離は高くというような制度で、非常に合理的のように思いまするが、一面郵便事業の公共性の点から考えますと、非常に採算本位のように改惡されたように感じられまするが、この点についてお考えを承わりたいと思います。
  32. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 小包郵便料金を均一制から距離制に改めましたことは、これによつて小包料金の全般的な値上げをするとか、或いは又これによつて小包郵便料金の收入を殖やそうということが第一の目的ではありません。ただ小包のような物件の送達におきましては、相当距離的に経費が違いますので、飽くまで料金そのものの体系を合理化しようということが狙いであるわけであります。従つて距離の刻み、並びに距離によるところの料金のきめ方も飽くまでも全体的に現行の料金を値上げ上ないという検討の下に、それぞれ地域別の料金を決定しておりますので、このために特に小包料金が増収になるということはございませんので、距離別の料金を作りました関係上、而も距離別の小包利用状態というものが違います関係上、結果的には或る程度の收入増加があり得るのではないかという検討をして見まして、私どもとしましては一応百万円程度の、この度の料金改正によつて百万円程度の、結果的に收入の増収はございますが、全体的にこのために料金の増収を図るということを第一の目的としたわけではございません。
  33. 中川幸平

    ○中川幸平君 郵便事業の独立採算制という点から見まして、封書が八円、葉書が二円ということは非常に釣合がとれないから、葉書を四円にしたらどうかという声もあるのであります。まあ国民として安いほどいいとはありませんけれども、月に三枚や五枚利用する人は、たとえ四円になつたところでさしたる苦痛はないと思う。その苦痛のあるところは大口需要者は苦痛であろうと思いますので、これら大口需要者に対して割引制度を考えるといたしますと、あえて葉書を四円にしても、輿論としても国民としても、やかましくないような感じがいたします。なおこの頃の請願農産種苗のカタログの郵送料金の引下げを請願しておる向がありまするが、これらも小口の輸送のために値下げを願つておるのでなくて、大品にこれを出す性質上値下げを請願しておることと考える。かような葉書なり或いはかような量産種苗の大口利用者に対して割引するような制度をお考えになる必要はないか。これらの点について当局の御見解を承わりたい。
  34. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 葉書の郵便料金の値上げの問題1につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたので、この点は私から申上げることを差控えますが、ただ多数出すものについては割引をしたらどうかという御意見につきましては、御承知のように書状とか葉書等のいわゆる純粋の通信文につきましては量の如何を問わず、一通について幾らという料金を頂くことは、これは郵便法の建前上又世界各州の例からいたしましても、かような方法をとつておるのでございますが、ただ印刷物につきましては、いわゆる第四種に該当するものでございますが、お話のカタログのようないわゆる印刷物につきましては、常時多数きまつて出されるようなものにつきましては、我が郵便制度におきましても過去において約束郵便制度というようなものがあつた次第でございます。この約束郵便制度を復活採用いたしましたならば御要望に副うものではないかと考えられるのであります。併しながらこの約束郵便制度を復活するかどうか。これは現在の郵便事業の収入の状態からいたしまして、結局事業収入が減収になるということになりますので、現在の段階においてはまだその時期ではないと考えております。併し将来においては十分検討いたしまして、かような一緒に多数出される印刷物等につきましての低料料金制度をとるということについては考えて行きたいと考えております。
  35. 大野幸一

    委員長大野幸一君) では私からちよつと……。先ほどの小包葉書の官製問題についてお尋ねしますが、先ほど説明された以外に、官製にする理由としては紙質、大きさ、一定の規格を必要としなければ郵送中に破毀或いは破損するということもあり、或いは切手を貼るに切手が途中ではがれるというようなことがあるために、官製にするというのが便利だ、こういう理由もあると思いますが、この点については、どうでしよう。
  36. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 先ほど私が申上げました理由以外に、只今委員長からの理由の点も多分に考えまし出て、官製にするということにいたした議でございます。
  37. 大野幸一

    委員長大野幸一君) そこで若しその理由、私の申上げた理由だとして御尤もでしようが、運輸省においては一定の規格を省令で定めて、これを私製することを許しておるようでありまして、そのサンプル等を調べて見ますると、比較的紙質がよく、十分に荷札の効用をなしておるようであります。鉄道のような破損しやすい個所においてもそういうところは規格を一定標準化し、これを法制化することによつて不便を感じていないように思いますが、この制度の創設された機会に、一般国民が荷札に対しても切手さえ貼れば通用ができるんじやなくて、荷札では小包葉書にならないんだという知識が一般人に普及すれば運輸省のような例に倣つて私製することも考えられるというように解しまして差支えありませんか。
  38. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 鉄道の小荷物等に貼りまする荷札は飽くまで荷札であります。別に荷札自体が別の存在はいたしていないのでありますが、この小包葉書は飽くまで小包と葉書は別なものでありまして、たまたま同時に添附して差出し得るというところに妙味がある次第であります。従いまして、小包葉書の紙質或いは又形状その他、何ら鉄道の荷札と同じように立派なものができたならば私製を許しても差支えないのじやないかという御意向につきましては、やはり今度は初めてかような方法をとります関係上、その紙質の点以外に第一の点として私が申上げましたこの小包通信文とを同時に利用するという、その濫用を防止したいということが一つ目的でございますから、取りあえずは、その濫用防止をいたします関係上、官製にいたした次第であります。併しながら小包葉書のようなものの利用に、いわゆる小包に同時に通信文を添附して、而も間違いなく郵便料金を納めて行くという国民の習慣ができましたならば、かような時期において十分私製の点も考慮して行きたいと考えております。
  39. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 荷札業者から国会に請願が来ておるようでありますが、この制度によつて荷札業者が直ちに非常な打撃を受けるということを請願して来ておるようでありますが、これは官庁において印刷するものであるか。時と場合によつては一般の競争入札に付して、今までの業者に対しても請負わせることを考えておられるのですか。どうですか。
  40. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 小包葉書を同時に小包に添附して出せるということになりますると、小包葉書自体が結果的に荷札の役割をいたしますので、別に荷札を貼る必要がなくなる。従つて一般の荷札の利用が少くなる、こういうことはあり得ると思うのでありますが、併しながら小包葉書を添附したからと言つて荷札を小包に添附してはいけないということはございませんで、小包葉書を添附しても、更にその上に荷札を貼つて下さつても何ら差支えがない次第であります。併しながら小包葉書自体が荷札の役割をいたしますので、この点においては多少なりとも民業のいわゆる荷札の需要ということについて支障があるかと思いますが、大したことではないと私どもは考えておる次第であります。そうしてなお、この小包葉書の調整を民間に請負わせるのであるかと言う点でありますが、一応これは官製葉書でありますので、官製葉書の一種でありますので、印刷庁において調製したいと考えておりますが、印刷庁のほうの印刷能力において十分に応じ切れないという点がありましたならば、或いは民業の印刷にも託しても差支えない次第であります。これはそのときの情勢で処置いたしたいと考えております。
  41. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 私製させるとそれだけのものが国家に対して経費が節減できる、而も民間人は官製によるか私製によるかは自由選択で、民間人の自由選択に委ねてある以上は国民を苦しめるということにはならないので、絵葉書に切手を貼つて出す場合と異ならないで、むしろ国はそれだけ利益するところがあるように思うのですが、この点はそういう国民の知識普及徹底と共に、そういう方針を成るべくとられるように希望したいと思うが、この点は如何ですか。
  42. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 御趣旨御尤もでございまして、十分考慮して行きたいと思います。   —————————————
  43. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それではこの間派遣議員、国会から派遣されまして第一班といたしまして三重県、愛知県、これは私と三木委員、二十五日から三日間。第二班といたしまして大阪府、京都府。柏木理事、中川理事、石坂委員が二十五日から四日間出張して調査をいたしました。その調査の概要を「派遣議員調査報告書」と題しまして皆さんのお手許にお配りいたしましたが、これを速記録に載せまして報告に代えることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないものと認めます。これよりその報告書を朗読いたします。    派遣議員調査報告   郵政委員の現地調査第一班(三重県、愛知県——大野委員長、三木委員)は二月二十五日より三日間、同第二班(大阪府、京都府——柏木理事、中川理事、石坂委員)は二月二十五日より四日間出張したが、調査の結果概要は次の通りである。 一、郵政事業の独立採算割について郵政従業員の殆んど一致した意見として、郵政特別会計の独立採算制は、郵便料金の適正化を前提條件とするに拘らず、現在料金適正化が実施されていないため、徒らに従業員の犠牲負担を強いる結果となり、給與予算の不足から実質賃金の低下を来し易い実情に鑑み郵便料金の適正化を行うか又は一般会計よりの繰入金主義で行くか、何れにせよ速かに根本方針を樹立すべきことを希求している。右については、郵便事業目的が「郵便の役務を成るべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進する」(郵便法一條)に在る以上、郵便事業の所要経費全部を受益者負担主義で支弁せずに、一部を国民の税負担で賄う理論も成立する訳であつて、現に二十六年度予算はこの建前で編成されている。併し料金適正化の必要性は之を否定すべきでないから原価計算作業完了の上は、成るべく速かに料金制度に再検討を加え、物価状勢及び財政政策とも睨み合せて独立採算制を完全実施に移すか否かを決定することが必要であると認める。  二、日曜休日の郵便配達休止について   現に試行中の日曜配達休止については、試行局数が集配局全数の三%程度であるため、公衆の反対は左程強く感じられないようであるが、これを全面的に恒久化する段階に立ち至れば、公衆の非難抵抗は予想以上に熾烈化するであろう。現に名古屋市において代表的市民約三十名を招いて非公式公聴会を開催したところ、商業関係者及び婦人会代表より強い反対意見が開陳せられた事実から考えても全面的配達休止の実施は時期尚早であると認める。  三、簡易保険及び郵便年金積立金運用権の移管について   調査当時においては、未だ政府から資金適用部資金法案の正式提出がなかつたのであるが、近く提案予定であることを伝聞した郵政従業員は、もし本法案がそのまま通過するにおいては、保険、年金募集上の士気は全く沮喪せしめられ、資金蓄積上においても逆作用を招来すること必至であることを憂えてをる。また公共団体側においても資金還元の期待を失うものとして、運用部への資金統合に強く反対している。(名古屋市非公式公聴会における名古屋市会議員意見の如きその一例である)簡易保険、郵便年金の如き任意加入の保險事業において、第一線従業員の士気如何は事業の消長に直接響くものであることは勿論であるから、資金法案に修正を加え、成るべく近い将来において、運用権を郵政省に復元して運用再開を為さしめることは絶対に必要であると認める。  四、結核対策と非常勤賃金の増加について   郵政部内における結核性疾患による要休業者及び要注意者は漸増の傾向にある。これは早期発見施設が次第に充実した結果とも見ることが出来るが、問題は要休養者に対する後補充のための非常勤賃金が確保されておらないため、充分療養の機会が與えられず、延いて要注意者に対しても労務の負担軽減を図ることが困難であることである。殊に特定郵便局の会計事務を普通郵便局において集約処理することとなつたため、所謂指定局における事務は飛躍的に増加し、これが処理のため関係課においては、連日深夜迄居残り執務し、休日にも執務しなければならない実状である。かよう々過労が結核の蔓延に拍車を加えることとなるのは見易い道理である。而も超過勤務手当の裏付けは、予算不足によつて、完全に行はれない状態である。右の実況に鑑み、要休養者の後補充のための非常勤賃金の増加並びに超過勤務手当の増加を急速に解決してやらねばならないものと認める。   —————————————
  45. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 次は本委員会に付託されております請願を議題に供します。本日の公報に掲載されております第十七号から十九号、六十号、六十一号、これだけを一括して議題に供したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないものと認めて、それではそういたします。  この最初の十七号、十八号、十九一号、六十号はすでに前国会におきまして採択しておりますが、この請願趣旨は、前の請願趣旨促進してもらいたいという請願でありますから、六十一号と一括して議題に供したいと思います。これを前国会の趣旨に鑑みまして採択したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  次に第百八十二号、仙台鉄道郵便局山分局鉄道郵便局に昇格請願、紹介議員石原幹市郎議員、この点について政府の御意見を伺いたいと思います。
  48. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 鉄道郵便局の仕事の範囲、その管轄区域は必ずしも郵政局の管轄区域と完全に一致さしてやつておるのではないのでございまして、飽くまで鉄道郵便によります郵便物の輸送の條件から考慮しまして、それぞれ全国において鉄道郵便局が設置せられ、その管轄区域がきめられておる次第でございます。御請願仙台鉄道郵便局山分局を本局に昇格して欲しいという御請願でございますが、この点につきましては、現在の郡山分局の所掌範囲等から考えまして、鉄道郵便本局に独立させますということは、鉄道郵便輸送全体の観点からいたしまして、尚早ではないかと考えておる次第でございます。
  49. 中川幸平

    ○中川幸平君 この鉄道郵便局は国民大衆とどういう直接の繋がりがあるのですか。ちよつとお尋ねいたします。
  50. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 鉄道郵便局は直接公衆の郵便局の利用には関係はたいのでございまして、これは飽くまで郵便輸送上の内部的な問題でございますので、例えば、所在の都市と郵便利用上直接の利害関係はございません。
  51. 中川幸平

    ○中川幸平君 保留にして置いたらどうですか。
  52. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それでは本件は一時保留にいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  次に二百六十四号の山形宮沢郵便局集配事務開始請願、紹介議員小林亦治君、政府の意見を伺います。
  54. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 本件につきましては施設の効果が郵便の送達上大してございませんし、而も宮沢局に集配事務を開始するために定員の増員を要しますので、現在の予算事情の関係からいたしまして、早急の実現は困難かと思います。
  55. 大野幸一

    委員長大野幸一君) この請願は如何取計らいましようか。
  56. 中川幸平

    ○中川幸平君 保留にしては……。
  57. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それでは本件は保留に決定いたします。  次に二百七十五号、逓信従業員結核対策に関する請願、紹介議員村尾重雄君、この請願についての政府の御意見を……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 大野幸一

    委員長大野幸一君) これは採択ということに決定いたします。  それでは順序を変更いたしまして五百十一号、福島市五老内町に郵便局設置請願、石原幹市郎君紹介の分、政府の御意見は……。
  59. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 御請願の土地に郵便局を置きますということは、現在あります附近の局との距離は余りに近うございまして、即ち附近の腰浜局との間が僅かに四百二十米に過ぎないものでございますし、又ここに置ました場合の利用の予定されまする人口等も少うございますので、設置いたしますことは不経済なことと考える次第であります。
  60. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それではこれも留保することに決定して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めます。  次に五百四十三号、鹿児島県求名村狩宿に簡易郵便局設置の請願、佐多忠隆議員紹介の分です。政府の御意見を……。
  62. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 本件につきましては設置の必要が認められまして、受諾者としまして村が契約をいたしまして大体五月一日頃に設置をいたす見込みでおる次第であります。
  63. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それではこれは採択することに決定して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めます。  次に五百六十七号、神奈川県秦野町に特定郵便局設置請願、石村幸作議員紹介の分であります。政府の御意見を……。
  65. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 御請願は従来秦野町にあつた郵便局が他に移転して、そうしてもとあつた所には分室が置かれたので、非常に利用不便だから特定郵便局を設置して欲しいというような御請願のようでありますが、秦野局は普通局でございまして、普通局の分室が従来ありました所にございますので、特定局に比較してさほど特定局を置いた場合と何ら御利用上において御不便がないかと存じまして、実現は困難かと見ておる次第でございます。    〔「保留」と呼ぶ者あり〕
  66. 大野幸一

    委員長大野幸一君) では保留に決定いたします。  次に五百九十七号、福島徳沢簡易郵便局昇格等に関する請願、石原幹市郎議員の紹介の分であります。政府の……。
  67. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 現在の徳沢簡易郵便局を集配特定局にいたしますことは、この現在の簡易郵便局の取扱事務量からいたしまして、なお実現は困難かと存じておる次第でございます。    〔「保留」と呼ぶ者あり〕
  68. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 保留にいたすことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 大野幸一

    委員長大野幸一君) さよう決定いたします。  第七百十一号、岡山県宇甘西郵便局集配事務開始に関する請願、加藤武徳議員紹介の分であります。政府委員の御意見を……。
  70. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 岡山県宇甘西局の集配事務を開始いたしますと、受持区域が余りに小さくございまして、却つて郵便物運送等のために要する経費が増加を要しますので、早急実現は困難かと思います。
  71. 中川幸平

    ○中川幸平君 村一つ二つなんですか、受持区域が。
  72. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 一村になるわけでございます。現在の建部局と甘西村これが一村ずつ分れるわけであります。非常に小さくなります。    〔「保留」と呼ぶ者あり〕
  73. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 保留に決定いたします。  七百六十二号、大阪市此花区に郵便局再建請願、村尾重雄議員紹介の分であります。政府委員の御意見を……。
  74. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 大阪市此花区には戰前においては郵便局があつたのでございますが、戰災によつてこれを廃止した次第でございますが、最近のこの地区の復旧状況から考えて、此花局を復活する必要を認めておりまして、先ず何よりもこの郵便局舎を建設しなければなりませんので、二十六年度の予算におきまして局舎建築の敷地の買収費を計上いたしまして、将来局舎ができましたならば郵便局を復活したいと思つておる次第であります。
  75. 大野幸一

    委員長大野幸一君) これは採択することに決定いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 大野幸一

    委員長大野幸一君) さよう決定します。  その次に、千百三号、農産種苗カタログ郵送料引下げに関する請願、大野木秀次郎君外四名のかたの紹介にかかる請願であります。政府委員の御意見を伺います。
  77. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 御請願趣旨は、農産種苗のカタログを第三種郵便物として認可してもうか、或いは、戰前あつたような約束郵便制度を設けて、郵送料の負担を軽くして欲しいというような御請願のようでございますが、第一の第三種郵便物の認可の点につきましては、このカタログは農産種苗の主に広告を主たる内容としておりますので、第三種郵便物の資格において欠けるようでございます。なお併しながらこのカタログの編集の仕方によりまして、いわゆる一般の農産物に関する記事等を掲載されまして、そうして第三種郵便物の認可條件に合うようになりましたならば、当然これは第三種郵便物として認可してよろしいと思いますが、現在のこのカタログの内容からいたしましたならば第三種郵便物の認可にそぐいませんので、認可することはむずかしいのではないかと考えております。なお約束郵便のような低科料金制度につきましては、先ほどもお答えいたしましたように将来の懸案として十分に検討いたしたいと考えております。
  78. 中川幸平

    ○中川幸平君 かようなものを、約束郵便制度を復活するか、或いは第三種郵便物になるように政府のほうで一つ考えてもらう意味において採択して政府へ出すことにしたらどうですか。
  79. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それは、この問題について農林委員長からも口頭でこの請願趣旨を採択するようにという希望もありましたので、採択することにいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  第千二百号、山形県醍醐村に郵便局設置請願が二通ございます。一括いたしまして小杉繁安議員の紹介の分であります。政府委員の御意見を求めます。
  81. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 御請願の御趣旨尤もでございますが、現在ある附近の局から行つても相当の距離にございますので、設置の価値はございますが、郵便従事員の定員、その他予算の関係上早急に実現は困難かと考えます。併しながら郵便利用上の御不便を救済するため、簡易郵便局の設置等にも十分考慮いたしたいと考えております。
  82. 中川幸平

    ○中川幸平君 止むを得なければ簡易郵便局にでも早急にしてもろうという意味において、この請願を採択することにして頂きたいと思います。
  83. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それでは採択することにいたします。さよう決定いたします。  次に千三百一十九号、郵便の日曜、祭日配達廃止反対に関する請願、これは私の紹介にかかるものでございますが、これは今までの従来の経過に鑑みまして、一応採択することに御承認願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。  それから三百三十一号、千三百五十五号、千三百七十四号、千三百七十九号、千三百九十六号、千三百九十七号、千四百二十八号、以上七件はいずれも簡易生命保険及び郵便年金積立金運用再開に関する請願で、紹介議員、田村文吉、木村守江、楠瀬常猪、石原幹市郎、松平勇雄、山本米治、古池信三氏らの紹介にかかるものであります。従来の経過に徴しまして、本件は一括して採択することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 御異議ないと認めます。  次に千四百二十七号、仙台地方貯金局縮反対に関する請願、愛知揆一君ほか一名の紹介にかかる分であります。並びに二百七十六号、仙台地方貯金局縮反対に関する陳情が一件ございます。一括して議題に供したいと思います。この点に関する政府の御意見を伺います。
  86. 浦島喜久衛

    政府委員浦島喜久衛君) 仙台には東京都の記号のものと、千葉県の記号のものとがある。疎開の意味であるのでございます。御承知のように原簿所管庁と、それから郵便局との距離は近いほうが預金者の便利になると同時に、又事務取扱の簡素、合理化の意味からいたしましても望ましいのでございます。預金者の面、サービスの面から申しますと、例えば通帳の発行なり或いは現在高の証明なり、又通帳に預けたものよりも誤記があるというような際におきまして、成るべく早くこれを直したり、或いは通帳の発行を早くしたり、現在高の証明を早くするという必要が強いのでございまして、例えば東京都を例にとりますと、仙台にもある、甲府にもある、東京にもあるというような現状でございまして、預金者のかたがたが、或いは通帳の誤記、或いは現在高の証明が遅いということで、東京地方貯金局へわざわざおいでになつて、照会して、その間の事情を聴取に参られるかたがたもあるのでございますが、その際におきまして、例えば仙台にあるからとか、或いは甲府にあるからと言うことで、その即答もできないので、お気の毒にわざわざおいでになつているかたがたに対しまして御希望に副うような措置を事業上できない問題も相当あるのでございます。事業的に申上げますと、事故の処理の面からいたしましても、犯罪の起る素因を成るべく早く見つける意味から申上げましても、原簿とそれから取扱局が近くにあることが望ましいのでございます。さような意味におきまして終戰以来そういう例えば東京都の原簿のごときを成るべく早く東京へ返したい、そうして預金者の希望に副いたいとは考えておるのでございますが、さればと言つて冗員の余りたくさん出るのも原局が不安に駆られるだろうし、又移替えも十分できないのに、速急にやるということも如何かと存じまして、一部仙台から東京の原簿を移しておるのはすでに実施済でございますが、今後の実施につきましても、できるだけ一挙に冗員が出たり、或いは受入態勢ができないにもかかわらず、強行するということをやめまして、徐々に、余り原局に不安を與えず除々にやつて参ると同時に、又病舎の用意等も十分やりまして場合によりましては、例を仙台にとりますと、東京へ来て勉強したいという人に対しましては、希望があればこちらへ来ることをお奨めする。併しながら強制的な配置転換とか、或いは冗員があるからというので、行政整理をするとか、こういうことは全然考えていないのでございます。さような意味で、できるだけ徐々に、而も余り波乱の起らないように実施いたしたいと存ずるのでございますが、地方貯金局の、例えばこの請願にありますように、仙台の地方貯金局の規模を縮小されては困るというような御趣旨でありますと、これには実は請願者に御了承して頂きまして、お気持は十分酌むべく、時期、方法並びに移替えの程度につきましては、十分愼重に考えて参るのでございますが、全然縮小は反対であるというようなことは実は私のほうといたしましても、事業上又預金者に対するサービスの改善の面からいたしまして、困難であろうかと存ずるのでございます。
  87. 中川幸平

    ○中川幸平君 今政府のお話を聞きますと、東京のものは東京に持つて来るということは、合理的で、尤もでありますが、管轄区域が縮小になりましても、従来の仙台地区の事業が発達すればあえて縮小にはならんことになりますから、今政府からいろいろお話がありました方針の下にやつてもらうことにいたしまして、この縮小反対というようなことは尤もこの従業員としての希望であろうと思います。さような意味においてこれを採択しておいてもあえて差支えないように思いますから、さような意味で採択してやつて頂きたいと思います。
  88. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 只今政府から説明されましたように、その時期について、或いは又諸般の事情については十分考慮しておる、こういう意味を了解いたしまして、これを前提としての請願政府の立場をよく理解しての請願ということにいたしまして、一応採択することに御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それではそのような趣旨に基いた請願を採択することにいたします。  次のこれに関する陳情も同一に取扱いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 大野幸一

    委員長大野幸一君) そのほかに簡易生命保険及び郵便年金積立金運用再開に関する陳情一通が二百七十五号といたしましてありますが、これも前の請願に準じて取扱うようにいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それでは本請願のうち、採択になつた部分はすべてこれを内閣に送付すべきものと決定し、本会議に報告することにいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それではさよう決定いたします。  本日はこれを以て委員会を終ります。    午後四時四十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     大野 幸一君    理事            中川 幸平君    委員            石坂 豊一君            三木 治朗君            深川タマヱ君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  田村 文吉君   政府委員    郵政省監察局長 成松  馨君    郵政省郵務局長 浦島喜久衛君    郵政省貯金局長 白根 玉喜君    郵政省簡易保險    局長      金丸 徳重君   事務局側    常任委員会專門    員       勝矢 和三君    常任委員会專門    員       長谷川 宏君   説明員    法務府検務局勤    務       高橋 勝好君