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委員長(
大野幸一君) 御
異議ないものと認めます。これよりその報告書を朗読いたします。
派遣議員調査報告
郵政委員の現地調査第一班(三重県、愛知県——大野
委員長、三木委員)は二月二十五日より三日間、同第二班(大阪府、京都府——柏木理事、中川理事、石坂委員)は二月二十五日より四日間出張したが、調査の結果概要は次の通りである。
一、郵政
事業の独立採算割について郵政従業員の殆んど一致した意見として、郵政特別会計の独立採算制は、
郵便料金の適正化を前提
條件とするに拘らず、現在
料金適正化が実施されていないため、徒らに従業員の犠牲負担を強いる結果となり、給與予算の不足から
実質賃金の低下を来し易い実情に鑑み
郵便料金の適正化を行うか又は一般会計よりの繰入金主義で行くか、何れにせよ速かに根本方針を樹立すべきことを希求している。右については、
郵便事業の
目的が「
郵便の役務を成るべく安い
料金で、あまねく、公平に提供することによ
つて、公共の福祉を増進する」(
郵便法第
一條)に在る以上、
郵便事業の所要経費全部を受益者負担主義で支弁せずに、一部を
国民の税負担で賄う理論も成立する訳であ
つて、現に二十六年度予算はこの建前で編成されている。併し
料金適正化の必要性は之を否定すべきでないから原価計算作業完了の上は、成るべく速かに
料金制度に再検討を加え、物価状勢及び財政政策とも睨み合せて独立採算制を完全実施に移すか否かを決定することが必要であると認める。
二、日曜休日の
郵便配達休止について
現に試行中の日曜配達休止については、試行局数が集配局全数の三%程度であるため、公衆の
反対は左程強く感じられないようであるが、これを全面的に恒久化する段階に立ち至れば、公衆の非難抵抗は予想以上に熾烈化するであろう。現に名古屋市において代表的市民約三十名を招いて非公式公聴会を開催したところ、商業関係者及び婦人会代表より強い
反対意見が開陳せられた事実から考えても全面的配達休止の実施は時期尚早であると認める。
三、簡易保険及び
郵便年金積立金運用権の移管について
調査当時においては、未だ
政府から資金適用部資金法案の正式提出がなか
つたのであるが、近く提案予定であることを伝聞した郵政従業員は、もし
本法案がそのまま通過するにおいては、保険、年金募集上の士気は全く沮喪せしめられ、資金蓄積上においても逆作用を招来すること必至であることを憂えてをる。また公共団体側においても資金還元の期待を失うものとして、運用部への資金統合に強く
反対している。(名古屋市非公式公聴会における名古屋市会議員意見の如きその一例である)簡易保険、
郵便年金の如き任意加入の保險
事業において、第一線従業員の士気如何は
事業の消長に直接響くものであることは勿論であるから、資金法案に修正を加え、成るべく近い将来において、運用権を郵政省に復元して
運用再開を為さしめることは絶対に必要であると認める。
四、
結核対策と非常勤賃金の増加について
郵政部内における結核性疾患による要休業者及び要注意者は漸増の傾向にある。これは早期発見施設が次第に充実した結果とも見ることが出来るが、問題は要休養者に対する後補充のための非常勤賃金が確保されておらないため、充分療養の機会が與えられず、延いて要注意者に対しても労務の負担軽減を図ることが困難であることである。殊に特定
郵便局の会計事務を
普通郵便局において集約処理することと
なつたため、所謂指定局における事務は飛躍的に増加し、これが処理のため関係課においては、連日深夜迄居残り執務し、休日にも執務しなければならない実状である。かよう々過労が結核の蔓延に拍車を加えることとなるのは見易い道理である。而も超過勤務手当の裏付けは、予算不足によ
つて、完全に行はれない状態である。右の実況に鑑み、要休養者の後補充のための非常勤賃金の増加並びに超過勤務手当の増加を急速に解決してやらねばならないものと認める。
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