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1951-02-06 第10回国会 参議院 郵政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月六日(火曜日)    午後三時三十一分開会   —————————————   委員の異動 一月十九日委員森田豊壽君辞任につ き、その補欠として城義臣君を議長に おいて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件郵政事業運営実情に関する調査の  件  (明年度予算案に関する件)  (日曜日郵便配達業務廃止の件)  (年賀はがきに関する件)  (外国郵便為替に関する件)  (私設郵便局に関する件)   —————————————
  2. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 委員会を開きます。  本日会議に付する事件郵政事業運営実情に関する調査といたしまして、郵政省所管事項についての政府側からの先ず説明をお聞きすることにいたします。
  3. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) それでは私から所管事項につきまして概略説明を申上げ、委員各位の御参考に供したいと存じます。先般第九臨時国会の本委員会業務概況につき一通り説明申上げたので、本日は本国会に提出しております明年度予算案と、その後起りました二、三の問題につきまして御説明申上げたいと存じます。  先ず最初に、昭和二十六年度郵政省所管予算について概略の御説明を申上けます。先ず郵政事業特別会計予算につきまして申上げますると、歳入予算におきましては総額五百七十億六千四百余万円を計上いたしておりまするが、その内訳は第一に、切手、葉書等郵便業務收入におきまして百六十億四千三百余万円、第二に、郵便振替為替貯金等為替貯金業務收入におきまして十七億一千六百余万円、第三に、他会計からの受入金といたしまして二百九十一億四千余万円、更にこの他会計からの受入金内訳を申上げますると、郵便貯金特別会計からの受入金が七十三億八千九百余万円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの受入金が百七億二千八百余万円、電気通信事業特別会計からの受入金が六十一億一千三百余万円、貯金業務におきまして、厚生保險船員保險日本專売公社等現金收納事務取扱つておりまするために、これらの特別会計から受入れまする経費が一億一千二百余万円、国税金收納事務恩給支給事務等のために必要な経費として一般会計から繰入れられる経費が十二億一千三百余万円、二十六年度郵政歳入不足補填のために一般会計から繰入れられる補填金が三十五億八千三百余万円となつておるのであります。第四には、寄舎貸付料病院收入広告收入等雑收入といたしまして九億三千六百余万円、第五は、郵便局舎等建設財源に当てるために郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計等から設備負担金として受入れる経費が二億九千百余万円、第六は、郵政事業財政現状に鑑みまして二十六年度におきましては、郵便局舎等建設に必要な経費財源に当てるため公債の発行を予定いたしておりまするが、この公償金の受入れとして五億円を計上いたしておりまするが、その他に郵政省といたしましては、一般会計及び失業保險特別会計委託による收入印紙失業保險印紙売捌き收入として八十四億三千六百万円を予定いたしておるのであります。  以上歳入予算概略を御説明申上げたのでありまするが、次に歳出予算について説明いたしますると、歳出予算総額は、歳入予算と同額の五百七十億六千四百余万円となつておりまして、その内訳は、郵政事業運営上必要といたします管理事務共通業務医療施設維持等に必要な経費といたしまして百億四千五百余万円、郵便業務維持運営に必要な経費が百六十二億九千余万円、為替貯金業務運営に必要な経費が七十九億一千余万円、保險年金業務運営に必要な経費が八十億六千三百余万円、電気通信省からの委託により取扱つている特定郵便局における電気通信業務運営上必要な経費が四十一億二千五百余万円、恩給負担金失業退職手当負担金借入金利子等をそれぞれの会計に繰入れるため必要な経費が八億六千八百余万円、郵政局舎及び郵便局舎等建設に必要な経費が十三億一千三百余万円、予備費として一千万円を計上いたしておるのでありまするが、更にこのたび業務外支出といたしまして、收入印紙失業保險印紙売捌き代金をそれぞれの会計に繰入れるための経費として八十四億三千六百万円を予定いたしておる次第でございます。  以上申上げました歳出予算のうち、業務外支出経費は別にいたしまして、事業費四百九十億九千四百万円を使用目的別に大別いたして見ますると、一、俸給給料手当共済組合交付金等人件費が三百十二億五千五百余万円、二、自転車、被服、局舎の修繕及び借料、用紙類、旅費、賃金、集配逓送費等物件費が百六十二億三千二百余万円、三、その他の経費として恩給負担金借入金利子等が十一億四千百万円と相成るのとございますが、これらの経費の比率は、人件費が六四・二%、物件費が三三・五%、その他が二・三%となつておるのでございます。併しながらこれらの歳出経費はいずれも最低限度のものでありまして、今後の経済情勢の動きの如何によりましては、相当窮屈な予算ともなると考えられるのであります。なおこれらの各業務運営して行くための人員は、二十六年度におきましては、事務量増加もありまするが、郵政事業財政現状に鑑みまして極力自粛いたしまして、前年度定員法定員の二十六万六百四十人に対しまして、二十六年度は二十五万九千八百七十四人、前年度より七百六十六人の減を要求いたしておる次第でございます。  次に今次の国会法律案を提出し御審議を願いまして、二十六年度から新たに発足いたします郵便貯金特別会計予算について申上げますると、歳入におきましては、資金運用部に預入れる郵便貯金資金利子收入等が百一億二千七百余万円、一般会計からの繰入金が十五億二千五百余万円、合計百十六億五千三百余万円を計上いたしておりまするが、これに対しまして歳出予算におきましては、郵便貯金預入者に対する利子支拂に必要な経費は四十一億一千四百余万円、郵便貯金業務運営に必要な経費として郵政事業特別会計へ繰入れる経費は七十五億三千八百余万円、合計百十六億五千三百余万円を予定している次第でございます。  次は簡易生命保險及び郵便年金特別会計予算でございまするが、この会計歳入といたしましては、保險勘定におきまして、保險料收入は三百九十六億六千四百余万円、積立金及び余裕金運用によつて生ずる利子收入等が二十一億七千万円余、合計四百十八億六千五百万円余となつておりまして、これに対しまして歳出予算といたしましては、保險金支拂に必要な経費が十七億六千七百万円、保險契約の失効、解約等に伴つて必要といたします還付金が八十億九千百万円、簡易生命保險業務運営のために必要な経費財源充てるために郵政事業特別会計へ繰入を必要とする経費が百八億一千八百万円、予備費五億円、総額二百十四億七千五百余万円計上いたしているのでございます。  更に年金勘定歳入といたしましては、年金の掛金及び積立金利子等が五億百余万円、これに対しまして歳出予算年金支拂等に必要な経費が三億五千九百万円余、郵政事業特別会計へ繰入を必要とする経費が二千五百万円、予備費八百万円、合計三億九千二百余万円を予定いたしている次第でございますが、この会計におきましては、歳出経費に比較いたしまして一億八百余万円の歳入超過なつているのでございまするが、これは法の定めるところに従いまして積立金として処理いたすことに相成つたわけでございます。  次は、郵政省所管一般会計予算につきまして申上げまするが、この会計予算総額は百二十三億四百余万円となつておりまして、この内訳郵政省基幹職員に必要といたします経費が百三十六万六千円、郵政事業特別会計歳入不足補填のため同会計へ繰入を必要とする経費が三十五億八千三百八十三万五千円郵便貯金特別会計への繰入金が十五億二千五百四十二万七千円、年金及び恩給支給に必要とする経費が七十一億七千三百九十六万八千円、簡易生命保險事業損失補償のため同会計へ繰入を必要とする経費が二千万円と相成つているのでございます。  以上で郵政省所管の各会計昭和二十六年度予算概略説明申上げたのでありまするが、若し更に詳細の説明が必要でございましたならば政府委員をして説明いたさせます。  次に、今国会郵政省として提出予定をいたしておりまする法律案は五件ございます。郵便法の一部改正と、為替貯金関係の四法律の一部改正でありまするが、このほかに簡易郵便局法の一部改正議員側から提案される模様でありまするから、これを合せまして全部で六件となる予定でございます。改正案内容は、いずれも事業整備充実を図り、サービス向上して利用者の利便をより一層増進しようとするものであります。その具体的内容につきましては、郵便法の一部改正は一応関係筋の御承認を得ましたのでありますが、その他の改正案につきましては、目下折衝中でありまして、成るべく速かに提案いたしまして、御審議を願いたいと折角努力いたしております。詳細の説明はその際申上げたいと存じます。  次に、日曜日の郵便配達業務廃止の問題につきまして申上げます。前回も申上げたかと思いまするが、郵便事業は来年度におきましても相当の赤手が予想され、而も赤字の一原因考えられます郵便料金については、適当な調整を行うことも諸種の事情から困難でありますので、その不足分一般会計から繰入れるということで進んでおりまするが、かかる事業経理現状に鑑みまして合理的、経済的経営を図るため、比較的影響の少いと思われる日曜日の配達を一部やめたらどうかと考えまして研究に着手したのであります。欧米各国ではすでに久しい以前から実行していることではありまするが、我が国では何分にも日曜配達は七十数年の長い間続けて参つたものでありますから、これを廃止するには、利用者及び業務運営上に與える影響や効果を十分に検討する必要があると思われますので、先ず全国から二百数十局を選びまして、テスト・ケースとして一月十四日の第二日曜日から試みておるのであります。いずれその結果を見ました上で全面的に実施するかどうかを愼重に検討して、決定したいと考えております。  次に、お年玉つき年賀はがきにつきましては本年度は四億枚発行し、昨年の十一月十五日から発売いたしましたが、各方面の御協力と従事員努力によりまして一月九日に完売となりました。ただ配達遅延その他取扱いにつきましていろいろ批判を聞いたのでありますので、かかる点につきましては十分利用者の声を尊重し、でき得る限りその線に沿つて改善を加えまして、より親しまれ、愛される年賀はがきを作りたいと思つております。  次に、外国郵便為替について、その後の状況を申上げます。外国郵便為替前回も申上げました通りアメリカとは一昨年の十二月から、又カナダは一年遅れて昨年の十二月から再開せられ、その到着高累計は、アメリカからは百三十三万ドル、カナダからは米貨で千七百三十ドルに達しております。目下のところはいずれも戎が国に拂い渡すだけのいわゆる片為替でありまするが、先に加入を認められた万国郵便連合為替約定及び振替約定が昨年十月二日に公布せられ、為替業務については先月二十三日総司令部民間通信局から覚書が参り、我が国振出業務についても開始準備をするよう勧告がありましたので、目下連合加盟各国との交渉及び国内法令の制定のため準備を進めておりますので、広く為替相互振出が実現されるのも遠くないと存じます。  最後に、郵便法五條違反事件摘発について申上げます。御承知の通り郵便法五條事業の独占に関する規定でありまして国営の郵便事業は、均一料金で平等のサービスを提供することを経営基本方針としておりますので、近距離の便利な機関だけ民営でやられることは、この経営の基礎を脅かすことになりますので、この規定が設けられているのであります。今回の私設郵便局はこの規定に違反し、事業再建復興に支障ありと認めましたので、思い切つて全国的な取締りを実施したのであります。申すまでもなく我我といたしましては絶えず郵便事業整備充実に心掛け、サービス向上に努めて参りまして、昨今では経済状態安定化と相待つて終戰後の一時的混乱状態を脱却し、漸く戰前に近い状態まで立ち直つて来たのでありまするが、今なおこの種違反行為が跡を絶たず、かなりの組織を持つた私設郵便局が生まれ、それがともかくも成り立つているという事実は、我々の郵便事業におきましてまだまだサービス向上のため、改善工夫余地が残されているということを示唆するものであると考えますので、業務運営上更に一段と改善を加えまして、私設郵便局の存立の余地を残さないところまで充実して行く覚悟であります。  以上で私の最近の業務概況につきましての説明を終ります。
  4. 大野幸一

    委員長大野幸一君) この間本委員会から生田勝矢專門員及び倉澤調査員をして、二月一日より三日間東京郵政局管内廃止実施局七局、普通局五局、特定局二局について、今政府から説明になりました日曜休日における郵便配達廃止影響に関する調査をいたしました。その結果はお手許に印刷してお配りしてありまするが、ここで生田專門員からその概況説明して頂くことにいたします。
  5. 生田武夫

    專門員生田武夫君) 委員長の御指名によりまして概況を御説明申上げます。廃止を施行しておりまする局のうち、東京郵便局管内から七局を選びまして、浦和外七局でありますが、二月一日から三日間に亘りまして詳細調査いたしたのであります。その結果といたしまして判明いたしましたことは、日曜日に配達しないために月曜日における配達部数相当増加しておるのであります。その増加の割合は局によつて違いがございますが、普通局五局を平均いたしますと八八%、特定局これは湯河原と結城でありますが、二局を平均いたしますと六〇%の増加なつております。而して右部数増加のために月曜日におきましては郵便局におきましては、平常に比べまして郵便外勤員の月へ出まする時間を早めておるところもありますし、又平常通り出局時刻にしておるところもございます。併し、概して一号便配達出発時刻は若干遅れておるところが多いのであります。その結果、外務員服務時間は或る程度延伸されております。ここに局別状況が書いてございますが、服務時間延伸の程度は最短が三十分、最長が二時間、大体まあ一時間乃至一時間半くらい服務時間が延伸されておるようであります。一般公衆郵便の日曜の配達廃止に対しまする意見なり態度なりは、なかなかつかみにくいのでありますが、いろいろ調べて見ますると、結論的に申しますと余り大きな苦情非難もないようであります。又地方新聞等にも余り載つておらないのであります。概して官庁方面責任者が日曜日におりませんために、従来も月曜配達が多いのであります。従つて官庁その他は余り苦痛を感じておらない。それから会社、銀行等は従来も郵便私書函の制度を利用いたしまして配達を待たずに自分のほうから取りに来るというようなところが相当あるのであります。又一般市民は割合関心を持たないような状況でありまして、概して配達廃止に対する反響がないようであります。ただ関係局従業員組合品側意見だけを聽取いたしましたところ、各局それぞれ多少ずつの違いはありますが、大体大同小異であります。即ち今後全面的の廃止が断行される場合には相当数人員整理があるであろうし、その結果馘首される危険がありはしないかということをどこの組合でも恐れておるようであります。  第二は、従来郵便のスピード・アップその他サービス向上を本省としても叫ばれ、各局においても実施の面に非常な努力をしておつたにかかわらず、今回の挙は全く逆行でありまして、一般社会の反感が恐れられるのみならず、従業員の志気の上にも如何かというような点もあります。  それから第三は、現在でも電力節約のために休電日以外の他の日を、休日に指定されておる工場等相当あるのでありまして、今後これが増加するような情勢におきまして、これら工場方面から非難が起りはしないか。その次に、かような消極的な節約よりも、積極的な増收利用増加を図り、特に料金合理化、例えば郵便葉書料金の引上というような合理化を促進すべきであるというようなこと。  第四といたしまして廃止に伴いまして、月曜日の服務時間が延長される。これに対しては、人員の増配を要するし、又超過勤務手当増加しなければならんからして、結局こういうような増加面を差引けば一部伝えられているような、巨大な節約というようなものはどうしても期待できないと思うし、仮に休暇定員を極度に減らすということになれば、服務過重なつて、非常に苛酷になるというようなことで、大体組合側としては反対意見が多いようであります。以上概略だけ御報告申上げます。
  6. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 政府説明に対して、委員のかたから何か質疑がございましたらどうぞ。
  7. 石坂豊一

    石坂豊一君 先ほど大臣から郵政省に関する予算説明伺つたのですが、私は今この説明を初めて耳にするのでありますが、これについて感じますることは、他会計より繰入れる金、これは一般会計より繰入れるものと、それからその他各種の会計から繰入れられるものとの取扱に区別か何かありませんか。又何か自分所管にある会計から繰入れて、足らん分一般会計から繰入れるというようなことになつておるのでしようか。その点が一つと、それと種々の特別会計から繰入れる場合には、利拂関係はどういう方法でおやりになつているのであるか。そういうことと、今一つ郵政事務につきましても、やはり独立採算制に向つて何かの御計画が立つべきものではなかろうかと思いますが、それについて年度計画でも一応立てておられるでありましようか。その点を一つお伺いします。
  8. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 今の第一、第二の問題は主計課長からお答えするほうがはつきりすると思います。第三の独立採算についてはどう考えるか。こういう御質問でございますが、でき得れば独立採算で行くということは望ましいことでございますが、郵便事業は單純に原価計算だけではやり得ない点もあるのであります。そこで例えば山の中の一軒家でも、新聞を一枚、地方新聞なり東京新聞なりとるとすれば、八十銭でそこまで配達しなければならない。これは余り原価計算には出て参りません。併しそれは例えば新聞公共性だとか、文化運動の面からいつて、そういうものは或る程度国家負担する。そういうような意味も立ちまするので、それを郵政一般会計から足らない分を繰入れるということも成立ち得るのであります。でありまするが、そうかと申しまして、ただ著しく不当に郵便料金が安いということは、国民負担の公平の上からいつて、必ずしもとるべき道ではないのであります。でき得れば独立採算になるようにする。そこで今の郵便の一番大きな赤字の出る原因は、大体郵便物戰前に比べると半分ぐらいに減つたということ、これはいろいろ台湾だとか、朝鮮だとか、樺太というようなものがなくなつたという関係もございましようし、又その他郵便物が戰争のあとで検閲を受けるというようなことで、非常に郵便物に対して多少億劫になつた。こういうような関係もございましようか、郵便物が大体半分ぐらいに減つておるのであります。最近では、併しこの回復はだんだん目覚ましく回復状況にございますので、これが相当数まで回復もいたし、又料金も余りに負担の不公平があつてはいけないし、或る程度調整もされることも考えていいのではないか、こういうふうにいたしまして、全然一般会計から補給なしでやるということは、或いは困難かも知れませんけれども、少くともその額を減らすと、大体独立採算に近い線まで持つて行くということは、私ども努力しなければならんところでありますし、一面において收入増加を図り、一面において経費節約も図る。こういうようなことについて検討いたしておるのでありますが、理論的に独立採算かと言われると、必ずしもそうではない。併しでき得るならば独立採算で賄うようにして行きたい、こういう希望で努力いたしておりますようなことであります。
  9. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 他会計繰入れのことについて御説明申上げます。他会計繰入れの金額は、先ほどお手許に配りました表にございますように、上から三枚目のものにございますが、二百九十一億四千万円であるのでございます。そのうち郵政省で扱いますところの貯金事業につきましては、全部郵便貯金特別会計から、人件費物件費実費を繰入れるということになつております。それから簡易保險郵便年金事業につきましては、すべて同じ郵政省内でございますけれども会計が違いますので、その人件費物件費実費を、保險会計から郵政事業特別会計へ繰入れるということになつております。もう一つ特定局におきまするところの、電気通信事業電気通信省から委託されております。その人件費物件費電気通信省から繰入れるということになつております。そのほかのこまごましたたくさんございますものは、すべて国庫金取扱金を、私のほうでは貯金局の系統で引受けておりますから、それの取扱い人件費物件費実費をもらつておるということになつておるのであります。なおお話のありました一般会計から四十七億九千七百万円の繰入れをいたしておりますが、そのうち三十五億八千三百万円だけは、これは郵便事業赤字でありますために、料金値上げに代りますところの、補給金という性格を持つておるのであります。そのほか一般会計国税金恩給支給等の繰入れ金は、これは他会計からの先ほど申しましたのと同じように、国税金取扱事務というものは、郵政省で引受けております。それから恩給支給事務も引受けておりますから、それに要しまするところの人件費物件費実費の繰入れをしておる、こういうかつこうになつておるのでございます。それからさつきの利拂いは、というお話でございますが、そういう工合で実費取扱費はもらつておりますので、一応利拂いということは起つて参りませんが、実際問題として国税金でありますとか、それから国庫金取扱いをいたしておりますその金は、歳入歳出外現金といたしまして、この予算面には出ておりません。その実費を全部他会計歳入歳出外現金として納めておる、こういうことになつております。
  10. 石坂豊一

    石坂豊一君 一応了解いたしましたが、この郵政事務に関する、殊に末端の事務につきまして、最近私どもの感ずるところでは、非常にサービスがよくなつて来ておる。終戰後の当時の乱脈時代から見ると、今日は非常に国民に対する感情……、国民に対する親切も大変によくなつて来ておるということを私どもは痛感します。これは非常に喜ぶべきことだ、ただこの場合に郵便事務に従事する人の健康状態はどういうことになつておるか、余り過労なことになつておるのではなかろうかと思われる節がないではない。ついては私どもが一番感ずるのは、局舎に非常に惡い局舎が多い。どこの国に行つて郵便局というと、度胆を拔くような大きな郵便局があるのに、我が国においては郵便局というものは、余り目立つた建物がない。これについては終戰後どの建物といえども、非常に戰災をこうむつたわけでありますから、一挙にして改善されることは到底望むべくもないことでありますが、何かこれに年次の……、建物局舎設備改善をというようなことについて、一定の御方針が立つておるのでありましようか。この表によりますと、局舎の貸付けとか、借入れとか、人に建ててもらつて借りておるものもあるように考えられるのでございますが、その点に対する大臣のお考えはどういうふうになつて、又事務的にどういう計画ができておるか、御説明を願いたいと思います。
  11. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 大変御尤もなお話でございまして、外国におけるように郵便局というものは、その町の誇りであるというくらいな建物を建てるようになつて行きたい。こういう考えを持つておりますが、何分戰災で非常に荒廃いたしまして、それから戰時中においてこれらの改築もないがしろにされて来た、こういうような関係もございますので、殊に昔の三等郵便局、それから特定郵便局が、そのまま引継がれて、その家の主人が末だに局長をやつておるところもたくさんにある。それらの家が古くなつて来ておる、戰災でこわれたが補修できない。こういうような実情でありますので、非常に痛いところを突かれたわけでありますが、これについては或る程度計画を立てまして、そうしてひとり国だけではなく、或る程度までその地元の人たちからも協力して頂いて、どうかその土地の誇りとなるように改築計画を立てて行く。これは必要なことだと考えております。まだ今のところでは具体的に何年後にどういうことにするというはつきりした計画をお示しするまでに至つておりません。御注意もございますので、その点を今後検討して参りまして、一日も早く余り不健康な、不体裁な郵便局のなくなるように一つ計画を立てて、改築、新築して参るようにしたいと考えておりますわけでございます。
  12. 石坂豊一

    石坂豊一君 大臣の御方針によつて、だんだんこの計画を立てて、逐次設備をよくして頂くということを承わつて安心をいたしましたが、どうぞ一層その点に御注意下さいまして、局舎設備というものは、事務の能率に直接影響、するので、それと又従業員の健康に非常に影響があると思いますので、私は地方の小さい局舎を見ますと、どうしてこんなところで仕事をしておるのかと思うようなところがよく見受けられるのであります。どうかその点一層の御配慮を願いたいと思います。  もう一つ伺いたいのは、最近新聞紙上に私設郵便局か何かがほうぼうにあつて、どうとかという、それを検挙されておるという、そういうようなことはこれは綱紀の弛廃と申しますか、何か一種のもぐりで、郵便事業を私しておるというように思うが、その本当のことは私どもに余りわからなかつたが、新聞で見て驚いておるのですが、それに対しては今どういうふうにお取締りになつて、又今後安心すべき状態かどうか、一つ説明願いたいと思います。
  13. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 御承知のように、終戰後の非常に混乱した状態でありましたために、或る程度、便利屋とか、そういうような意味の私設郵便式のものが行われているということを知りましても、或る程度止むを得なかつた。こういうような点もあつたのでありまするが、御承知のように、郵便法といたしましては当然これは政府が行うべきで、而も平等のサービスを全国民にやると、こういう建前で進んで来ておりますのも、一部の人が一部の一人のために特別の私設郵便局を作つてやるというようなことは穩当でないのです。実はさようなものがあつて、而も一般の郵便の秩序がだんだん直つて来ておるにかかわらず、なおその跡を絶たない状況にありましたので、それとなく新聞等でも警告を與えておつたのであります。併しなお依然としてそれを改めない人もありまするので、そこで今度全国的にそういう、これを営業としてやつております者に対しまして、取締をせざるを得なくなつて検挙したわけであります。併しこういうものがとにかく存在するということは、又一面我々のサービスの点にも不十分の点があると、こういうことも考えられるのでありまするので、一面十分の取締はいたしまして、今後恐らくさようなものは大体なくなるつもりでおります。おりますが、同時に郵政省といたしましても、十分みずからのサービスをよくするということによつて、そういうものの存在の必要がなくなるまで行こう。こういう考えで、現在例えば東京大阪間の商売用の郵便物を夕方出したら朝早く配達ができると、こういうようなことも現にやつておりますし、なおその設備も、もつと十分に一つ運用しようと、こういうようなことも考えております。又今度郵便法改正で、小包の料金改正も距離式によつてやるとか、或いは又重量も今までよりは少し大きい重量まで扱うようにするとか、そういうような自分たちのサービスの点もできるだけ一つよくして行くことにしたい。併し御心配をかけております私設郵便局自体は、今度の取締によりまして大部分はななつて参ろうと思いますので、これ以上の大きな取締をするほどのことは多分なかろうと考えております。
  14. 三木治朗

    ○三木治朗君 今年度予算のこの表を見ますというと、一般会計から四十一億ですか繰入れることになつております。前年度には大蔵省預金部から六十一億ですか、前年度は預金部からもらつておる形になつておる。ところが問題は、預金部の金というものは郵便局郵便貯金の金を向うへ廻しておるので、本来郵便局がそれを運用すれば当然大きな利益が上つて来るべきものを大蔵省の預金部に入れてあるわけなんだから、大蔵省の預金部から金を貰うということは当然なことで、大きな顏をしてもらえるわけです。ところが一般会計からもらうということになると、何か財政的に政府に迷惑をかけておるという感じになるのじやないかと思うのです。而も昨年あたり預金部の金の運用の問題について、相当今まで議論があつたのが、それが実現ができない。今年度予算で以て預金部から何ももらわない。一般会計からは出して行くということになると、何か郵政省で働いておる人々の肩身の狹くなるような感じを持つのですが、どういう理由でこういう、前年度は大蔵省預金部から出してもらい、今年はそれがゼロになつたかということの事情を一応お伺いして見たいと思うのです。
  15. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 細かい点は主計課長から御説明いたしますが、今の一般会計から入りました三十五億何がしかの金ですね、この金は郵便事業自体が赤字になる。それだからそれに対して一般会計から出してくれる。こういうことなのでありまして、そのほかに建設勘定で十二、三億になりますが、十二、三億の中の五億は預金部の金を借りまして郵便局舎の改造とかいうふうに使つておる、こういうわけであります。今の預金部が金をたくさん持つているからその金を、というお話がございましたけれども、それは皆今日それぞれの特別会計なつておりますので、預金部の金はこちらでお預りします金を、大蔵省の預金部で今までは運用している。こういうことで、それに対して郵政省としては預金者に対して利息も拂います。経費もかかる、こういうことであります。それを大蔵省の預金部のほうでは、今まではかかつた経費をそのままこちらに対して補填している、こういうわけであります。それから保險のほうの、保險の積立金の再開というものはしばしば国会にも御決議を願いまして、今度も私どもは是非一つ郵政省の手でしたいと考えたのですが、昨年の暮に、ドツジ氏のメモランダムが出まして、その金をすべて、今までやつているように大蔵省の資金運用部に、一つの池にまとめまして、その池から必要な産業資金とかいろいろの方面に資金を出せばいい、こういう意味で、今まで折角国会の決議を願いましたけれども、そのまま大蔵省に金が行きまして、大蔵省の資金運用部で金を運用する。それに対しましては私どものほうは、郵政省としては金を上げるからその利息をもらい、その利息で一般の保險事故が起つた人には保險金をお拂いしたり、又いろいろの経費を賄う。こういうことで、つまり保險関係にしましても、貯金関係にしましても。それぞれ特別の経済になつておつて、それから金をもらうとか、取るとかいう勘定はないのでありまして、ただ今申上げましたが、五億円の金は預金部、いわゆる資金運用部から来年から借りまして、建設のほうに使う、こういうわけで、そこで郵便のほうは料金の値上げで、それで賄えるかも知れませんけれども料金の値上げをしないでするのだから、それに対して一般会計補給するのが当然だということで、一般会計から三十五億何がしを補給して行く、こういうわけなのであります。尚又細かい、おわかりずらい点は主計課長から説明させますが、それにてよろしうございましたら、まあ御納得を頂きたい。
  16. 三木治朗

    ○三木治朗君 いえ、大体お話はわかるのですが、前年度にはこれが六十一億ですか、大蔵省預金部から入れたというようなものが、二十六年度ではゼロになつているわけはどういうわけかということをちよつと……。
  17. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 前年度に預金部から入れましたのは、郵便貯金の取扱いに必要な経費を取つたのでありまして、今度もそういうつもりで進んでおりましたのが、昨秋のドツジ・メモランダムによつて、預金部から郵政省に直接入れないで、途中で郵政事業特別会計というのを作りまして、預金部からは郵便貯金特別会計に一応現在高に対して五分五厘の金を入れる。郵便貯金特別会計から入れるというのですから、今度新たに郵便貯金特別会計より繰入れというのがあるわけであります。これが肩代りしておるわけであります。
  18. 三木治朗

    ○三木治朗君 わかりました。
  19. 城義臣

    城義臣君 大臣もお見えですから、この際二、三伺いたいと思います。先ほど来郵政行政が非常にサービス改善されたということは、国民兵にひとしく喜ぶのでありますが、先ず第一点として伺いたいのは、先ほど来お話にちよつと出ておりましたが、従来役所仕事というものが極めて非能率的で、サービスが惡いというような点もよく指摘されるところでありますが、この三等郵便局ですね、ああいう姿でこの請負制度をやらせるということのほうが非常にサービスもよりよくなるだろうし、又請負という建前から非常に能率もよくなるのじやないか。今のような赤字に苦しんでおる際には、拔本的にこういうことを考えてもいいのじやないかというふうに考えられるのです。特に戰災地等でいわゆる特定郵便局というものが復活できないのは、予算が要るからだとよく言われますが、こういうものについても昔のような請負制度があれば、本人の住宅なり店舗なりを提供して、そこに業務を開始すると、国家的な財政の負担というものは非常に軽くなるというようなこともよく指摘されておりました。一体日本の行政制度各般について見ましても、いわゆる紐付きの役所なり、あちらさんからの指図によつていろいろな制度ができておりますけれども、只今ダレス使節団も見えておりまして、この日本の行政機構、制度全般について、その講和を受け入れるという建前からするというと、そういう日本の国情に合わない点、人情にぴつたり来ない点、乃至は財政的に負担に堪えないのであるから行き過ぎであるというような点について、我々もつと自主的によくその欠陷を指摘し、この際こそよく検討して、本当の日本の国情にぴつたりと合つた制度を考えて見てもいいのではないか。まあそういうふうに私ども見るのであります。そこで一応紐付きであろうが、向うからのメモランダムその他の形式でできたものについても、よく終戰以来五年もたつておる今日から見まして、批判し、検討すべきものは……、十分それらに取入れて、率直にこれを国情に合うようにするというようなことは、日本経済自立態勢の面から考えましても、極めて私は適当な時期に際会しつつあるということを前提としまして、私はこういう郵便局というようなものにつきましても、やはり政府としても又国会側としても愼重に考えて、本当にこの赤字を克服するための拔本的な制度というものは、こういうことであるというようなことも、これは当然考えられるべきではないかと思うのであります。そこで折角大臣お見えですから伺いたいのは、先ほど申上げた戰災地における郵便局の復活が非常に遅れているために、窓口が少くなり、非常に国民大衆が困つておるという現実は、これは動かし得ない事実なんであります。さらばといつて財政的に直ちに復活できないという点、或いは又今後ますます能率を高めるためには、いつそ昔のような姿の三等郵便局の請負制に持つてつたほうがよくはないかというような点について、どういうふうにお考えになるのか。その点を先ずお伺いいたしたいと思います。
  20. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 今の郵政会計赤字の大きな原因一つとして考えられることじやないかという、在来の請負制度のものを皆直轄にして、如何に経営を合理的に、民業的にやろうと思つても、なかなかできない。そのままでいたのでは郵政会計に大きな影響が依然として残るのじやないかと、こういうお尋ねだと思うのであります。至極御尤もの御意見でありまするが、いわゆる終戰後におきまして、特にいわゆる民主的という言葉から始まつて、封建的な色彩をできるだけ早く拂拭するという点から在来の方法がかなり封建的でないかと疑いまして、大体こういうような制度になつて来ておるのであります。無論在来の制度は家族式、温情式のやり方でありますが、今日の企業形態としてそれは修正すべき点がたくさんあるということを十分に考えられるのであります。ありますが、いわゆる企業経営の上から行きますというと、或る程度まで請負制度によつて各人の最大の能力を発揮するということを、長所として考えなければならんのでありますが、その辺が終戰後において当局の大いに考えられたところであると思うのでありますが、現在の事情としましてはさような事情にありまするので、今までそれをどうこうと言つてすぐどういうふうに変えるということの考えはありません。ありませんが、そういう点の過去の歴史を考えて見て非常に欠点がある、そういう点は私も十分認識いたしておるつもりであります。なお、この問題は今後暫らくの間検討を続けて行きたいと思います。ただ一つ、この問題とは関係ないのでありますが、誤解するといけませんが、今の山間地等で郵便局がないので非常に困る。さりとて普通の郵便局を作るということは、人件費その他の経費がかかつて到底行われ得ない。それでは郵便局はなくてもいいかと、こういうことになりますので、昨年簡易郵便局という制度が始まつたのでありますが、これは公共団体、或いは農業協同組合というようなものに限つてやることができたのであります。個人の経営は許されていなかつたのであります。今度国会のほうでも御検討の上で、今後殖やすものに対しては個人の経営でもできるようにしたらどうか。こういうことの御研究をお進め頂いておりますので、そういうことになりましたならば、その法案が通りますれば、大変便利になる。それで今御指摘の問題に直接の関係がございませんけれども、この経営によつてどういう結果になるかという結果だけは、少くともわかつて頂けると思います。
  21. 城義臣

    城義臣君 ちよつと只今のに関連いたしておりますので、電報の問題ですが、郵政業務と掲げておりますが、曾つての逓信時代から考えますと、すべての郵便局で電報というものを受付けてくれる。これは非常に国民としては馴染みが深いのみならず、今日の現状から見ますと非常に便利だと思います。それがまあああいう改革で、今日この電報については郵便局というものが切り離されて、非常に不便になつているということなんですが、この問題については只今日曜郵便配達廃止の問題も出ております。著しく国民というものは不便を感じている。そこで私は簡單に申上げますが、曾つての電報の取扱いと、今日只今の現状と比較するときに、これは非常に改惡されているというのが私率直な結論だと思います。そこでこの辺についての国民の苦情、国民の切実な希望を大臣としてはどういうふうにお扱いになるか、その御抱負でもあるか。この際、念のためにお伺いしたいと思います。
  22. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) この問題は、私両省の大臣に就任いたしましたときから苦慮いたした問題でありまするが、両省の幹部は非常にその点については理解を持つておられるのでありますが、一応職制の上からはつきりと分けられた関係上、又お互いにそれによつて予算を組み立てて参ります関係上、つい思わざるまずい結果が起つたりいたすのであります。現に先般も、電報を普通のあれじや扱わないという、又電話料金郵便局は扱わないということで苦情も出たようなこともありますが、その点は早速修正いたしまして、郵便局で従前通り扱うということにいたしたのでありますが、ややもするとそういう気持でなくて、職制の都合上そういうふうになる。若干そういう点もございますので、でき得る限り両省が分れておりましても、いわゆる国の大きな経済という点から考えますときには、お互いに無駄をなくするということの方法について、常に両省の幹部諸君に申上げているようなことでございます。御趣旨に十分従つて参りたいと思つております。ただ現在のところでは二つの省に分れたものですから、これが根本的に又今後検討される時期があるかとも思いますが、一応はそういうような工合で、思わざる国民に御迷惑をかけている点もあろうかと心配いたしております。せいぜいその弊害をなくするように、運用の面でやつて参りたい、こう考えております。
  23. 城義臣

    城義臣君 問題は少し角度が小さくなりますが、郵便年金取扱い方についてでございます。戰後勧誘をして加入したものに対して、例の一万円を超ゆるものについては、これをすべて打切る措置を講じたようでありますが、これは政府事業として、国民は一般の銀行その他の金融機関とは又異なつた信頼感を持つておるのであります。それに政府が、こういうような措置を講じたために非常な不信をかつておる。これは甚だ遺憾なことで……、併し終戰後のあの経済的な大混乱の際に、止むを得ないものであるとは考えておりますが、果してそれによつて経済的、財政的に見てどれほどプラスになつたのか。或いは又それに対して、その損害を及ぼしたものに対しては何らかこれを緩和する措置をも講じてやるべきではないか。こういうお考えがあるかないか。その辺について御意見をお伺いしたいと思います。
  24. 金丸徳重

    政府委員(金丸徳重君) 郵便年金の問題につきましては、契約いたしたものの古い何といいますか、まあ貨幣価値の非常に高い時分に入つたものが、低くなつた今日同じ名目の金額をもらうということについては、非常に不公平があるのではないかというようなことをたびたび耳にしますし、それらの是正、改正方についても請願もありまするが、只今御質問になりましたような打切りの問題につきましても、同じような考え方から何とか国家事業としての信頼感を確保する意味においても、方法を講ずべきであるということをたびたび承わつているような次第であります。私どももできますればかような措置が講じ得るようにと、いろいろ検討もいたし、折衝もいたしておるのであります。如何んせん他の一般の、同じような問題の扱いと同じにされております関係上、政府事業なる意味を以ちましても、この要望に副いかねる事情であります。勿論どつちが得なのかというお尋ねに対しましては、私どもは若干事業の損害がありましても、事業のむしろ将来に対する信頼こそ惜しむのであります。その意味におきましては只今御意見のような措置ができますればしたいと考えております。一般的な金融的措置と申しますか、そういう国の大きな方針の下に今服しておるわけであります。
  25. 城義臣

    城義臣君 今の御説明でできればしたいというお話でありますが、貨幣価値の変動に基くこの受取る金額の実質的損害といいますか、これを私が言つておるのではない。それも当然考えるべきはずでありましようが、例えば具体的に申しますというと、二万円の契約をした、それを一万円に打切つたために、一万円は全然何といいますか、本人からいえば損をしたというものについて、相当財政的に逼迫している今日、何らのこれに対する補償をしてやらないということはひどいことではないかと思います。特にそれが戰前の契約であるならばいざ知らず、戰後勧誘しておきながら、而も間もなくそういう措置をしたということは、余りにも政府が無定見である。極端にいうならば、一般の商業的な金融機関のやつておることと何ら区別はない。これは甚だしく私は政府事業としてこの点については反省すべきである、こう思うのであります。特にこの年金は養老の意味を加えて加入するものが甚だ多いので、一般の恩給年金などについては一つの組織を持つておるので、陳情、請願あらゆる政治的な活動を展開して、その圧力によつて闘い取つておる。併し個々の組織を持たないこういう人たちは、特に婦人などにはそういう人が非常に多いのですが、これに対して組織的に一つの具体的な運動を展開されないからといつて、これを等閑に付するということは、いわゆる声なき民に耳を傾けることが政治の要諦であるとするならば、私は放つておくべき問題ではない。進んでそういうものに対しては何らかの補償をするというだけの親心というか、当然国民に補償すべき立場にあるものが……、適当に立案されたのを、国会がむげにこれを退けるということは理論的に成立たないと思う。どうぞその辺を十二分に御理解を願いたい。将来の郵便年金の発展のためにも、又現実にいろいろな実害をこうむつておる、声を出し得ない多くの人たちのために、この際一つ責任ある御覚悟のほどを抽象的でいいのだが聞きたいと思います。
  26. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) そういう点の研究については、十分お話の趣旨を伺いまして検討いたして参りたいと思います。
  27. 大野幸一

    委員長大野幸一君) ちよつと私からお尋ねしたいと思いますが、先ほど三木委員に関連してお答えになつたのでありますが、このドツジ覚書による簡易保險特別会計積立金等を、資金運用部に預託せしめる方針ということは、ドツジ覚書にあるようでありますが、大臣といたしまして、政府といたしましてはこれは恒久的な方針として解されておるか、或いは又この日本の経済自立に至るまでの過渡的方針として解されておるか。具体的に言えばまあ占領政策の一環としてのこれは覚書である、こういうふうに解釈されるか、どちらであるか。大臣の御見解をこの際承わつておきたいと思います。
  28. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) そのいきさつにつきましては十分御承知になつておりますようですから、ここに繰返しませんのでございますが、この問題につきまして最終にドツジさんとお目にかかつていろいろお話伺つたのですが、そのときの考え方はやはり今日日本の状態は非常時の状態である。こういう点を強調されておつたと思います。それで今御承知のように、物の統制はなくなりましたけれども、金融についてはかなり国家が強力な統制をやつておるのであります。そういうことをせざるを得ないほどインフレに対し心配しておる。こういう事情にありまするために、今かようなメモランダムが出まして、私もそれに従つて進まざるを得ない。こういうことなんでありまするので、私としてはこれは現在は飽くまでも非常時である、この国力の充実と相待ちまして、国会で御決議になりましたようなことを、再び回復して、再開をするようなことになるだろうと、又したいと、こういうふうに考えておる次第であります。
  29. 大野幸一

    委員長大野幸一君) では、それは了解いたしましたが、その次に、預金部資金運用審議会というのが今までありましたが、それが今度廃止されるように聞いておりますが、預金部資金の大部分というものは、郵便貯金及び簡易保險積立金が御承知のように占めておることであります。この二つの事業を主管される郵政省として、郵政大臣、又郵政省側が運用上について発言の機会がないということは面白からぬことと思うので、この審議会を存続することが、或いは又預金者とか、保險加入者の利益の擁護という点にも重大なる点があると思います。新規募集するにも、現場においての従業員の意欲が減退するというようなことから、これはまあ絶対的必要であるように考えられますが、この点に対する見解は如何でありますか。
  30. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 御尤ものお尋ねでございますが、預金部の資金にいたしましても、保險の保險料にいたしましても、零細な金が集まつておりまして、それを郵政省において扱つております。その金を運用されるのでありまするから、それに対しては少くも監査、監視をするというようなことにして行きたいと思う。こういうつもりで目下大蔵省側と折衝いたしております。が、その結果についてははつきりとした見通しは持つておりません。大体かようなふうにして行くのが普通の常識であるというふうに考えて、その線に進むべく目下交渉を進めております次第であります。ただ、運用のことは余りに会議会議で延び延びになるというようなことで、運用もうまく行かないというような虞れがあつては又困るでしようから、そういう点がない限りにおいては、いわゆる監査、監視する意味におきましても、そういうふうな協議にあずかるというような形には持つて行きたいと考えております。
  31. 大野幸一

    委員長大野幸一君) それと関連いたしますが、そうすると簡易保險積立金の管理権は、いわゆる運用部が若し設置せられても依然として郵政大臣にある、この運用方法が運用部に委託されるということに過ぎないのであつて管理権は飽くまでも郵政大臣が掌握しておるという見解を持つても差支えないと思うのですが、この点についてはどうですか。
  32. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 管理権の有無という問題になりますと、かなり複雑した問題になると思いますが、問題はやはり運用であると思うのであります。無論国家の保障の下に貯金或いは保險の金を預かつておるわけであります。而もその担当者は郵政省であります。こういうことには間違いないのでありますから、いわゆる管理権と申しますと、管理するからには運用もやはり管理権の中に入るように考えられます。運用は一応大蔵省が運用する。ただその運用の場合に協議に入る、或いはこれが監視をする、こういうような程度に解釈しておいたらどうか、こういうふうに考えております。
  33. 大野幸一

    委員長大野幸一君) これはまだ臆測になるかもわかりませんが、資金運用法が制定されても、簡易保險法及び郵便年金法中の積立金は、公共の利益のために確実有利に運用すべしとの條文がありますが、これは保險事業運営上における政府方針を宣言したものでありますから、簡易保險法、郵便年金法はこのままに存置しておいたほうがよいように思いますが、これを廃止するような考えがあるようにも考えますが、この点については大臣の見解は  どうでしようか。
  34. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) そのほうがよいと考えております。
  35. 大野幸一

    委員長大野幸一君) 最後に、既往の積立金中投資済みで……、すでに簡易保險特別会計に帰属しておるというのは、今まですでに投資してある部分でありますが、この有価証券及び貸付金まで運用部に帰属する必要はないと思うがこの点どうでありますか。ドツジ氏の覚書によつてもさようなことは言つていないように承知しておるのですが、この点は如何ですか。
  36. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) すでに運用郵政省でいたしております金を、この際大蔵省に引継ぐか、引継がないで従前通りやるかという問題だろうと思います。在来やつておりますものと、将来又再開の見込みがあるということを考える場合に、強いて大蔵省に移管する必要はない、こういうふうに考えて、そういう意味を以て今大蔵省側と折衝いたしております。
  37. 大野幸一

    委員長大野幸一君) もう一つ附加えまして聞いておきたいことは、日曜の郵便物配達廃止問題ですが、これは全国的にやるつもりであるかどうかというようなこと、一体これによつて予想されておるような節約ができるのか、人員及び経費においてできるのかどうかという点ですが、この点については政府側としてどういうお見込みを持つておいでになるか。
  38. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 先刻もお話申上げたかも知れませんが、日曜日にやめますと月曜日に混雑いたします。そういうような点もありまして、人員の配置等は果してどのくらい節約になるかというような点が目下調査中なんであります。この調査が終了いたしました上で方針を決定したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  39. 大野幸一

    委員長大野幸一君) これは大臣でなくても、他の政府委員のかたでもよろしいのですが、郵便法改正案というのは国会へいつ頃提出される見込みでありましようか、又航空の開始はいつ頃になる込みでありますか。
  40. 田村文吉

    國務大臣田村文吉君) 郵便法は成るべく、すでにもう関係方面の御了解も得ておりますので、あと法文の整備等をいたしますので、二十日頃までには遅くも出したい、こういうふうに考えております。  それから航空の問題はまだ私のほうで所管でもありませんので、実はいつ再開されるやわかつておりません。むしろ新聞紙で民間航空は日本側に許すというようなことも今日新聞に出ていたようなわけでございまして、今のところ私どものほうは予定ができませんのでありまするが、この国会に間に合いましたらば郵便法改正の中に、航空郵便の問題もきめて行きたい、こう考えております。或いは法律を別にいたしましてきめるか、こういうような点で今情勢を睨んでおるような状況でございます。
  41. 大野幸一

    委員長大野幸一君) もう一点お年玉つきはがきの関係でありますが、これは共同募金委員側で売捌いたものが極めて少数であつて、むしろ郵便局側が非常に努力をして売捌いたというような実情にあるようであります。にもかかわらず郵便局側に対する報労が非常に少いようで、これは何とかならないかという声があるのですが、この点については如何ですか。
  42. 浦島喜久衞

    政府委員(浦島喜久衞君) お年玉つきはがきの消化に対しまして、共同募金側の協力が非常に少かつたのじやないかというお尋ねと、郵便局側か非常に努力しましたから、これに対する報労はどうかという御質疑でありますが、今回のお年玉つきはがき四億枚を発行いたしまして、而も前回におきましては時日が相当切迫しておりましたので、十分共募側の協力の点について遺憾な点がありましたが、今回は相当時日の余裕もありまして、年度初頭から十分にこの消化の方針につきまして打合せはして参つてつたので、あります。従いましてその打合せの線に副いまして共募側も積極的に協力をされたのでございますが、何分共募側の末端の、いわゆる地方の末端の共募側の担当者におきまして、その協力方が十分でなかつたという点が多々あつたように見受けられるのであります。併し相当共募側としても協力はして頂きましたので、この点は感謝しておるわけであります。併し四億枚という多数のはがきを売捌くにつきましては何といつて従事員の、現業の第一線の郵便局長を初め、従事員の全部の人が街頭に進出し、その他いろいろな点で努力をされまして、お蔭を以ちまして四億枚を完全に消化した、こう我々は考えます。この従事員に対する報労でございますが、この点は何枚売つたから幾らという一つの出来高拂い式の報労は現在の俸給の建前上許されておりませんが、非常にたくさんのものを売捌き、又差出されたところの年賀郵便取扱うにつきましては、相当現業の従事員におきましては、或いは超過勤務手当、或いは又夜間におきます勤務に対しましては補食費等を出しまして、その面において十分に報労をいたしておる次第でございます。なお予算におきまして報償費というものが二千万円取れておりますが、この金も又十分使いまして、実際の各局並びに従事員の売捌きの実績に応じまして、或いは表彰規程に基きまして、優秀な者に対して表彰金をやるという方法を講じて現在の郵便事業收入状態において可能な限り十分に私どもはいたしておるつもりであります。
  43. 大野幸一

    委員長大野幸一君) そこでこの共同募金委員側へ交渉して、同じ政府としてでなく共同募金委員側から郵便局に対する何か好意的の処置をしてもらうように、交渉するわけに行かないものですか。
  44. 浦島喜久衞

    政府委員(浦島喜久衞君) 共募側は共同募金の建前といたしまして、募金に従事或いは関係した者に対して報労をするということはいけないというような建前になつておりますので、かようにお年玉はがき売捌きによりまして、お金が集まつたから直ちにその取扱われた人に、それで報労するということはできかねる状態でございます。併しお年玉附きはがきの売捌きにつきましては共募側が積極的にこれが周知宣伝その他いろいろ協力して頂きましたので、できるだけこの売捌きが容易になるように協力をして頂きましたので、その意味におきまして十分私のほうも協力をいたしたいと思います。
  45. 中川幸平

    ○中川幸平君 先ほどの大臣予算説明は速記録に載るのでありますけれども、一応プリントして配付して頂きたいと思います。
  46. 大野幸一

    委員長大野幸一君) はい、承知しました。  本日はこれを以て それでは散会いたします。    午後四時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     大野 幸一君    理事            中川 幸平君    委員            石坂 豊一君            城  義臣君            三木 治朗君   国務大臣    郵 政 大 臣 田村 文吉君   政府委員    郵政政務次官  山本 猛夫君    郵政事務次官  大野 勝三君    郵政省監察局長 成松  馨君    郵政省郵務局長 浦島喜久衞君    郵政省貯金局長 白根 玉喜君    郵政省簡易保險    局長      金丸 徳重君    郵政省経理局主    計課長     佐方 信博君   事務局側    常任委員会專門    員       生田 武夫君    常任委員会專門    員       勝矢 和三君