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1951-06-02 第10回国会 参議院 本会議 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月二日(土曜日)    午前十時五十七分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第五十号   昭和二十六年六月二日    午前十時開議  第一 全国選挙管理委員会委員指名  第二 日本国有鉄道貨物輸送力整備増強に関する決議案高木正夫君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)  第三 教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会成案協議委員議長報告)  第四 医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第五 産業教育法案衆議院提出)(委員長報告)  第六 住民登録法案衆議院提出)(委員長報告)  第七 日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の譲渡の制限等に関する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第八 税理士法案衆議院提出)(委員長報告)  第九 商法の一部を改正する法律施行に伴う銀行法等金融関係法律整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第一一 ニツケル製錬事業助成臨時措置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 緊要物資売拂に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 秋田県鷹巣町に簡易裁判所設置請願委員長報告)  第一四 熊本県隈府町に簡易裁判所および区検察庁設置請願委員長報告)  第一五 宮城県角田町に簡易裁判所設置請願委員長報告)  第一六 薬品等による慢性中毒症治療対策促進請願委員長報告)  第一七 元戰傷病者に対する募金制度反対請願委員長報告)  第一八 東京吉祥寺引揚寮在住者援護に関する請願委員長報告)  第一九 社会福祉事業法施行に伴う義務的経費財源措置請願委員長報告)  第二〇 生活保護法等公的保護事務費国庫負担に関する請願委員長報告)  第二一 生活保護法最低生活基準額引上げに関する請願(四件)(委員長報告)  第二二 結核療養所早期退所者保護措置に関する請願委員長報告)  第二三 京都市に結核コロニー建設請願委員長報告)  第二四 札幌市にアフタケア施設設置請願委員長報告)  第二五 国立京都療養所附近モデル国立保護施設設置請願委員長報告)  第二六 結核コロニー建設に関する請願委員長報告)  第二七 アフタケア施設確立に関する請願(七件)(委員長報告)  第二八 結核患者に対する作業療法確立等請願(五件)(委員長報告)  第二九 兒童福祉法中一部改正に関する請願委員長報告)  第三〇 兒童福祉法による措置費国庫補助復元請願(二件)(委員長報告)  第三一 兒童福祉法第十九條第四項による措置費の区分に助産婦加入請願委員長報告)  第三二 乳幼児保育施設増設に関する請願委員長報告)  第三三 保育所措置費増額に関する請願委員長報告)  第三四 保育所保母養成機関設置等に関する請願委員長報告)  第三五 社会保險診療に対する国庫補助増額等請願委員長報告)  第三六 国民健康保險事業危機突破に関する請願(五件)(委員長報告)  第三七 完全看護完全給食内容向上に関する請願(四件)(委員長報告)  第三八 社会保障制度審議会勧告案立法化促進等に関する請願(三件)(委員長報告)  第三九 社会保障制度実施に関する請願委員長報告)  第四〇 農山漁村社会保障制度に関する請願委員長報告)  第四一 東京都亀有町特殊飲食店街に関する請願委員長報告)  第四二 戰争犠牲者遺族国家補償に関する請願委員長報告)  第四三 戰争犠牲者遺族に年金又は見舞金支給請願委員長報告)  第四四 戰争犠牲者遺族援護立法化に関する請願委員長報告)  第四五 戰争犠牲者遺族援護強化に関する請願(三十件)(委員長報告)  第四六 世田谷郷用水堀埋立に関する請願委員長報告)  第四七 鉱毒災害防除費国庫補助に関する請願委員長報告)  第四八 鉱毒災害防除費国庫補助早急交付に関する請願委員長報告)  第四九 石油および可燃性天然ガス資源の開発および確保に関する法律案中一部修正に関する請願委員長報告)  第五〇 岡山県総社町に簡易裁判所および区検察庁設置陳情委員長報告)  第五一 札幌市に結核保護施設設立に関する陳情委員長報告)  第五二 兒童福祉法による措置費国庫補助復元陳情委員長報告)  第五三 兒童福祉行政関係事業費国庫補助金制度復活に関する陳情委員長報告)  第五四 佐世保市に国立教護院設置陳情委員長報告)  第五五 国民健康保險事業危機突破に関する陳情(四件)(委員長報告)  第五六 戰争犠牲者遺族に対する補償陳情委員長報告)  第五七 戰争犠牲者遺族援護強化に関する陳情(二件)(委員長報告)  第五八 結核病床増設に関する陳情委員長報告)  第五九 輸出産業合理化に関する陳情委員長報告)  第六〇 沖繩日本すぎ材輸入陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、全国選挙管理委員会委員指名。  全国選挙管理委員会委員海野普吉君が辞任せられましたので、その補欠として日本社会党から同予備委員莊原達君を推薦して参つております。日本社会党推薦通り全国選挙管理委員会委員莊原達君を指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて日本社会党推薦通り指名することに決定いたしました。(拍手)      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) つきましては、只今莊原達君の委員指名により、同予備委員に欠員を生じましたので、この際、日程に追加して、同予備委員指名を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  全国選挙管理委員会予備委員柏正男君を日本社会党から推薦して参つております。日本社会党推薦通り全国選挙管理委員会予備委員柏正男君を指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて日本社会党推薦通り指名することに決定いたしました。      ——————————
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更し、日程第二をあとに廻し、日程第三、教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会成案議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず協議委員議長報告を求めます。協議委員議長堀越儀郎君。    〔堀越儀郎登壇拍手
  10. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今から教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本院の協議会議長には不肖堀越儀郎、副議長には矢嶋三義君が互選されました。なお、衆議院側議長石田博英君、副議長には倉石忠雄君でありました。  協議会は、五月二十六日、二十八日及び三十一日の三日間に亘り開かれたのであるまするが、先ず本院側から、衆議院回付案に同意せず、且つ両院協議会を求めるに至つた趣旨について説明を行い、次いで衆議院側から、衆議院において修正議決した要旨説明がありましたが、詳細は速記録に讓ります。  かく協議に入りましたところ、第一の結核療養期間の問題については、さしたる議論なく、第二の教育公務員職員団体組織單位について両院意見が対立いたしましたので、この両院意見の相違を調整するためにしばしば懇談会を開き、更に協議を重ねた結果、本院側から次のような提案をいたしたのであります。  即ち教育公務員結核性疾患療養のための休職期間規定につきましては、本院は衆議院案に同調すること。次に職員団体組織單位につきましては、目下政府において審議会を設けて地方教育委員会設置範囲について教育委員会法改正を検討中であり、その結果が本年七、八月ごろ答申され、それに基きまして、政府教育委員会法の一部を改正する法律案を次の通常国会に提出する予定の下に諸般準備を進めておりますが、次の通常国会は大体来年五月十月頃終了するものと予想されますので、その時期までには右の法律案も何らかの結論を得ると考えられまするから、その時期まで都道府県單位職員団体組織を認めるというのであります。  この提案に対しましては衆議院全面的同調が得られました。よつてここに次の所案全会一致を以て成立いたしたわけであります。即ち、    教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会成案   第十四條第一項の改正規定については、衆議院議決案通りとする。   参議院議決案附則第四項、第五項及び第六項中「昭和二十七年十月三十一日」を「昭和二十七年五月十日」に改める。   その他は、参議院議決案通りとする。  右御報告申上げます。
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより成案採決をいたします。教育公務員特例法の一部を改正する法律案両院協議会成案全部を問題に供します。成案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて成案は可決せられました。      ——————————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第四、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長山下義信君。    〔山下義信登壇拍手
  14. 山下義信

    山下義信君 只今議題となりました医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案厚生委員会におきまする審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  この法案は、三月二十四日、本委員会に付託となり、三月三十日、厚生大臣から本案提案理由説明を聽取いたしまして以来、十一回に亘り委員会を開きまして、毎回極めて熱心な審議を続行して参つたのであります。  先ず最初に提案理由大要を申上げますと、終戰後国民医療の問題につきましては、医療向上のために諸施策が取上げられ、著しい進展を遂げて来たのでありますが、明治初年以来懸案となつておりました医薬制度につきましては、なお、その解決を見るに至つていないのであります。一昨年アメリカ薬剤師協会使節団が来朝いたしまして、医薬制度合理化についての勧告がなされたのであります。その後、医、歯、薬三団体からなりまするいわゆる三志会におきまして、自主的におのおの專門分野においてお互いに協力してこの問題を解決すべく種々協議が重ねられたのでありますが、遂にその結論は得られなかつたのであります。そこで厚生省は三団体代表者医療を受ける側の代表者及び学識経験者からなりまする臨時診療報酬調査会臨時医薬制度調査会とを設けまして、適正なる診療報酬医薬制度に関する諮問をいたしましたるところ、両調査会は約半歳に亘つて審議いたしました結果、厚生大臣に対しましてそれぞれの答申がなされたのであります。政府はその答申に基きまして、医師歯科医師及び薬剤師についてその專門分野を明確化し、それぞれの分野において医療向上に寄與し、公共に奉仕するようにするために、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正することといたしましたのが本法案提出理由の概要であります。  次に本法案内容について申上げますと、先ず医師法及び歯科医師法につきましては、それぞれその第二十二條及び第二十一條を改めまして、医師及び歯科医師は、診療上、患者薬剤交付を受ける必要があると認めましたときは、処方箋を発行しなければならないことといたした点であります。次に薬事法につきましては、その第二十二條を改めまして、薬剤師による調剤原則とし、例外として、医師歯科医師は、診療上特に必要がある場合及び薬局普及が十分でない地域におきましては、それぞれ省令の定めるところによつて自己処方箋によるみずからの調剤を認めることにいたしました点であります。次に、薬事法第二十二條改正に伴いまして、薬局における調剤は正当な事由がない限りはこれを拒み得ないこと、及び薬剤師は、医師歯科医師又は獣医師処方箋によつて調剤すべきことを明らかにいたした点であります。なお、本法案実施につきましては、諸般準備考慮いたしまして、薬事法第二十二條改正規定昭和三十三年から、その他の改正規定昭和二十八年から実施することといたしておるのであります。  以上が政府提出の本法案内容大要でありますが、医薬分業の問題は何分多年の懸案でありまして、解決の甚だ困難な歴史を持つておるものであります。医薬両者利害関係もさることながら、現下の社会情勢に鑑みまして、国民に與える影響の重大さを痛感すると共に、国民の立場、国民福祉の観点から審議せらるべきものとの見地から、厚生委員会におきましては、審議は特に愼重を期しまして、数回に亘り政府に所信を質し、質疑を重ねましたことは勿論でございます。五月八日には公聽会を開催いたしまして各界各層公述人意見を徴し、広く国民の声に耳を傾けました。五月十一日には、臨時診療報酬調査会及び医薬制度調査会会長、副会長及び委員数氏を証人として喚問し、両調査会における審議の模様について証言を求めたのであります。五月十五日には、日本医師会日本歯科医師会及び日本薬剤師協会代表等、数氏を証人として喚問し、本法案に対する意見を聽取いたしたのでございます。更に五月十六日には、全国医科大学及び薬科大学学長、教授、医学部長等、数氏を証人として喚問いたし、主として大学教育内容より見まして、医師調剤能力の有無、分業の可否、その他につきまして証言を求めたのでございます。更に五月十九日には仙台市、五月二十一日には名古屋市にそれぞれ議員を派遣いたしまして、医薬分業について意見を聽く会を開催いたしまして、広く国民各層意見並びに要望を聽取いたしたのであります。なお五月二十四日には、法政大学長大内兵衛君ほか社会評論家日赤社長社会保障制度審議会委員中央社会福祉協議会長等学識経験者証人として喚問いたしまして、医薬分業に関しての証言を求めましたほか、法制意見局長官等より憲法上の疑義につき意見を聽取の上、質疑応答を重ねたのでありますが、政府に対する質疑内容、各証人証言内容及び証人に対する質疑応答内容仙台市、名古屋市に派遣した議員報告内容等の詳細は、速記録により御承知を願いたいと存じます。  かくのごとく極めて熱心且つ愼重審議が行われたのち、六月一日の委員会におきまして質疑を打切り、討論に入りましたところ常岡委員より修正動議が提出せられたのであります。その修正点並びにその理由を申上げますと、  第一は、医師法第二十二條において例外を設けることが適当であるとの考えから、処方箋交付することにより特に治療支障がある場合には処方箋交付しないことといたしたのであります。なお、この例外の場合は、医師の判断のみによることなく、省令でその基準を定め、而もこの省令を制定し又は改正しようとするときは審議会意見を聞かなければならないことといたした点であります。第二には、歯科医師法第二十一條において前項医師法の場合と全く同様の修正をいたしました。  第三には、薬事法第二十二條でありますが、国民の長い習慣から来ている医師に対する信頼感即ち国民感情並びに緊急の場合を考慮いたしまして、医師及び歯科医師又は薬剤師のどちらからでも薬剤交付を受けることのできるよう国民自由選択権を認めたのであります。即ち患者又は現にその看護に当つている者が特に医師又は歯科医師から投薬を希望する場合には、医師又は歯科医師調剤し得ることといたしたのであります。  第四には、附則におきまして本法施行昭和三十年一月一日といたしました。これは諸般社会情勢から本法案実施には今後四カ年の準備期間を置くことが適当と認めたからであります。その他は右の修正に附随した関係條文整理であります。  以上の諸点修正案内容であります。  これに対し各委員より本修正案賛成意見が開陳せられました。先ず谷口委員よりは、政府に対しまして、修正案医師法第二十二條但書の場合には、緊急治療を要する場合、或いは重症の場合等の八つの場合を考慮せられたいこと、薬事法第二十二條第二項の審議会構成は片寄らないとと、即ち少くとも中数上は医療関係者を任命せられたいこと等の希望を附して修正案賛成するとの意見が述べられました。次いで中山委員よりは、本修正案は、医師歯科医師薬剤師の各專門分野が明確にされたこと、修正案医師法第二十二條但書で、医師治療支障がある場合に拘束されないこと、薬事法修正患者自由選択権が認められたこと、この修正案医薬関係者の納得が得られたこと等の点から特に欣快に堪えないとの賛成意見が述べられ、松原委員よりは、修正案医師法第二十二條但書の場合の省令を定めるに際しては、第一條の主目的である薬剤師調剤原則医師処方箋交付原則がそこなわれないよう嚴正な考慮を拂うこと、医師以外の者の調剤嚴重取締ること、薬剤師の無診投薬嚴重取締ること等の要望を附して修正案賛成する旨の意見が開陳せられ、河崎委員よりは、政府に対しまして、現行法でも国民生活と遊離していて国民医療の問題に関して国民が無関心であるから、本法案主旨内容十分国民に周知徹底するよう啓蒙に努力し、国民福祉向上を期すること、適正な診療報酬を速かに決定するには、医薬両者の理解と協力を得て万全を期せられたいとの要望を附しての賛成意見が述べられ、藤森委員よりは、政府に対し、審議会において省令を定める際には、国民医療の本旨に立つて、その組織構成、運営については、学問的、專門的考慮を拂い、なお省令制定前に本委員会意見をも徴ずることを要望して修正案賛成するとの意見が述べられました。石原委員よりは、適正なる診療報酬を決定する際には国民医療費の急激な増嵩を来たさないよう十分考慮を拂うこと、本法案実施の暁には社会保險経済に重大なる影響を及ぼすととも考えられるから、悪影響を及ぼさないよう十分に工夫且つ愼重に配慮せられたいとと等の要望を附して修正案賛成するとの意見が述べられました。なお井上委員より、国民衛生知識が低いため今日の分業問題の困難さがあつたのであるから、今後国民に対する啓蒙が十分になされなければならないと共に、薬局医療機関整備拡充に格段の努力を拂い、專門化による医療向上、延いて国民保健向上を期せられんことの要望を附して修正案賛成意見が述べられました。草葉委員より、政府に対し、修正案医師法第二十二條但書の場合は嚴格に解釈すべきである。又審議会構成委員については国民の納得するものでなければならないこと。薬事法第二十二條の一の場合において、患者薬剤交付を受けることの自由選択が何ら妨げなく行われるよう考慮が拂われること。本法案実施されて医療行政充実されるよう十分考慮がなされなければならぬこと等の要望を附して修正案賛成する意見が述べられました。最後に有馬委員より僻地における薬局普及および内容充実整備拡充強化策を講ぜられたい旨政府要望して修正案賛成するとの意見が述べられました。  かく討論を終りまして採決に入り、先ず修正案について賛否を諮りましたところ、全会一致を以て修正案は可決せられました。次いで修正案を除く他の原案につきまして採決をいたしましたところ、これ又全会一致を以て可決せられました。よつて法案全会一致を以て修正可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上本法案厚生委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五、産業教育法案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。文部委員長堀越儀郎君。    〔堀越儀郎登壇拍手
  18. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今議題となりました産業教育法案につきまして、文部委員会審議経過並びに結果について御報告申上げます。  我が国の新教育制度現状を見ますと、現在一般職業教育は甚だ萎靡沈滯いたしております。その原因は多々ありまするが、問題はやはり主として財政的の面に存するわけでありまして、窮迫した地方財政現状を以てしては、一般の六三教育確立或いは充実にさえ非常な困難を見ていまする現在、到底多額の費用を要する職業教育にまで財政的措置の手を伸ばす余裕のないことは当然であります。本法案はこの点に鑑みまして、職業教育について、国が直接財政的補助を與え、その振興を図り、以て将来我が国経済自立に寄與する有為な国民を育成しようとするものであります。  法案の構想を申上げますると、国は学校設立者と協力いたしまして、学校における職業教育施設設備充実を図り、実業教育の教員の養成等を図るため、財政的措置を講ずるわけでありまするが、その際、国と学校設立者である地方公共団体等との関係は、学校設立者のほうで、これらの費用を支出しようとするときに、国もこれに補助するという建前になつておりますが、その補助率は実情に応じ適宜に決定されますことになつておりまして、別に法律では定められておりません。なお、法案によりますると、国と地方にそれぞれ産業教育についての諮問建議機関といたしまして産業教育審議会を設けることになつております。  文部委員会におきましては、法案教育制度及び地方財政に種々の関係を持ちますことを考慮いたしまして、五月十四日には各方面から十七の参考人を招き、法案につきまして意見を聽取いたし、更に五月十八日には地方行政委員会連合委員会を開き、愼重審議を行いました。本法案に関しまして数回の委員会を開き、各委員から提案者に対し熱心な質疑が重ねられましたが、主として問題となりました点は、一、本法案のいわゆる産業教育というのは、我が国教育制度の二大体系である学校教育及び社会教育と、どのような関係にあるのか。この体系を乱して、戰前のいわゆる実業教育復活を考えているものではないか。二、産業教育を授ける対象及びその主体は何か。三、中央産業教育審議会構成の仕方は官僚独善の途を開く嫌いがあるが、更に民主的構成をとる必要がないか。四、財政的援助の方法は、例えば地方公共団体産業教育設備一定基準にまで高めるために支出をした場合、初めて国が補助するということで  は、財政的に窮乏した地方は結局国の補助を受け得ないことになり、教育均等性をいよいよ害することになりはしないか。五、短期大学や各種学校産業教育を現実に担当しているのに、なぜ補助対象としないのか。六、本法案予算的措置如何等諸点であります。これらの質疑応答の詳細は委員会会議録に讓ることといたします。  かく質疑応答を終り、討論に入りましたが、権原委員ほか十八名から修正案が提出され、梅原委員から同案の趣旨説明がありました。修正案要旨は、一、法案の名称を産業教育振興法と改めること。二、第一條に、「教育基本法の精神に則り」という言葉を挿入すること。三、本法教育対象を主として生徒及び学生に限定すること。四、中央産業教育審議会委員構成本法の中で更に詳細に規定すること。五、補助対象として短期大学を加えること等の諸点であります。  修正理由会議録に譲りまするが、加納、矢嶋、荒木、高橋の各委員より賛成討論があり、一、本法案の立案進行の過程において、教育界において多額の運動費が徴集されたこと、教育家がその職場を放擲して陳情に專念したことなどは、勿論立法府の一員としての責任を感ずるが、余り喜ぶべきことではないと思う。将来において文部大臣から教育者の立場を堅持するような配慮がなされたい。二、職業教育振興によつて、従来のような徒弟教育若しくは速成教育的の弊に陥り、物質的、功利主義的人間を作るようなことのないよう、飽くまで人間教育の一環としての職業教育でありたい。三、職業教育振興に必要な経費の支出によつて、六三制の経費の枠の削減を生じないよう、文部当局は特に留意努力されたい等の強い要望がありました。  かく採決に入りましたが、先ず修正案について全会一致賛成を見、次に修正の部分を除く原案に対しても全員の賛成を得ました。よつて法案全会一致を以て修正可決いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  20. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は日本共産党を代表して、本法案並びに修正案に反対いたすものであります。  先ずこの法案が提出されるに至りました経過を見まするのに、それは極めて不明朗であります。即ちこの法案の推進のために、昨年十二月職業教育法制定推進委員会なるものが全国職業高等学校協会並びにそのPTA連合会によつて組織されたのでありますが、この運動を起すに当りまして、全国二十万の生徒から一人当り約三十円の運動資金を集めておる。又関西では資本家がそのために醵金をしておる。これらの総額は積り積つて四百八十万円ということになつておる。これは誠に大きな金と言わなければなりません。このことに関しまして、我が党の岩間議員委員会で責任者の言明を求めたのでありまするが、それによりますと、従来惠まれなかつた勤労子弟のために職業教育振興を図るためには、この法案の制定がどうしても必要であつたと説明いたしておるのであります。併しこの法案の制定の運動資金が、こうした、いわば貧しい階級の子弟の血の出るような醵金、又は資本家の寄附金によつて賄われておるということは、これに明らかな矛盾であり、教育的に見ましても政治的に見ましても、決して黙過することのできない由々しい問題であります。文部大臣は又これに対しまして極めて遺憾であると答えております。勿論こういうことが発生いたしましたのは、その根本は予算の貧困が根源になつておる。けれども政府はそれに対して何一つ手を打たないで、遺憾でございますと言明しただけで押通しておつて、何らの措置に出ようといたしません。この態度こそ甚だ遺憾であると申さなければなりません。本案はこうした暗い影をあとに引きながら、いつもながら衆議院では国会がまさに休会に入ろうといたしました去る三月三十一日の午後突如として提案し、この重要法案に対して、僅か一時間余りの審議によつて委員会を通過させ、同日夕刻の本会議に上程して即刻通過の上、本院に押付けて参つたのであります。これこそは国会の審議権を侮辱するも甚だしい態度と言わなければなりません。現在日米経済協力が云々され、日本の労働者の奴隷的な低賃金が、或いは奴隷的な労働條件が、国連の経済社会理事会においてさえ非難を受けている。又ダンピングが再び世界各国の疑惑の的となりつつある。こういう状態で、これと切つても切れぬ関係にありますところの青少年の労務動員と見られるこのような法律案が、こういう暗い影の中に、こういう衆議院の乱暴なやり方で国会を通過するということに対して、私は断乎として反対せざるを得ないのであります。而も以上申述ベましたような性格はこの法案の至る所に現われております。例えば第一條にはこの法案目的が謳われておりますが、それには「勤労に対する正しい信念を確立し」とか、「日本経済自立に貢献する」ことを規定いたしておりますが、ここで、この第一條に謳つております「勤労に対する正しい信念」とは一体何でしようか。それは言うまでもなく資本主義的な労資協調の勤労奉仕の精神にほかならないのであります。極東委員会の労働に関する十六原則や労働三法が完全に無視されておつて、労働者の団結権、罷業権が全く蹂躪されております日本の現状から考えますならば、こういう勤労奉仕というような資本家奉仕の卑屈な考え方は、奴隷的な労働教育に終るということは火を見るより明らかなんであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)このことは、過日行われました公聽会におきまして経営者代表の述べられておるところから明白であります。又如何に経済自立を唱えましても、日本の産業、政治、財政、経済が挙げて外国独占資本の従属下にあり、アメリカの軍拡経済の一環として編入されておる現実におきましては、そういうことは口で言うだけであつて全く不可能であることは明白と言わなければなりません。殊に最近朝鮮事変に対する吉田内閣の国連協力政策、これが如何に我が国の平和産業を破壞させ、国民生活の水準を低下させたかということは、これは議論の問題でなくて事実でございます。それは民族の利益のために経済を自立させるどころの騒ぎではなく、日本の植民地化が一層推し進められておる。  このようにして、産業教育法案は、今問題になつております日米経済協力の下準備として労働態勢の整備のために使われることは明々白々であります。即ち過剩低廉な労働力がこれによつて組織され、資本に奉仕され、内外二重の資本に奉仕されることを要求されておるのであります。原案の十九條には、中学卒業後、産業に従事し、又しようとする青少年の短期教育規定されておるのであります。この短期教育の問題について提案者はこういうふうに説明しております。即ち「中学卒業後直ちに社会に出る者でありまして、戰前にはこれらの者は青年学校、その以前には実業補習学校において働きつつ学ぶ体制がとられておつたのでありますが、新制度においては全然置き去りとなつたのであります。一カ年およそ百六十万の中学卒業者中の大部分、大体百万人に及ぶ数を占めております。これらの者は職業的には殆んど丸腰のまま社会に出まして、而も卒業後二カ年は労働基準法に制約せられまして正規の就職も不可能なのであります」云々、こういうふうに述べて、これら青少年の組織教育化の必要を主張しているのでございますが、この戰時中の青年学校とか実業補習学校を非常に懐かしいと述べておる、この説明は何を意味するでありましようか。言うまでもなく、それは学校という名を借りた青少年の戰争協力、動員機関、これを戰争協力に動員するための役割を務める以外のものではございません。そのために、春秋に富んだ多くの青少年が、こういうきれいな名前の下に苛酷な犠牲になつておるということは、我々がこの無謀な大東亜戰争の過程において十分見て来たところであります。今や再びその誤まりを繰返そうとしておる。これを防ぐために不完全ながらも戰後は労働基準法が制定された。この不完全な労働基準法でさえも今や資本家の目にとつては邪魔な保護規定であるということを述べておるのであります。本法は、つまり太平洋戰争時代のさような状態に逆行させようといたしておるのであります。(「馬鹿なことを言うな」と呼ぶ者あり)つまり労働基準法の裏を潜つて教育の名において、再び青少年を戰争協力のための低質金、苛酷な労働條件にこれを投げ込もうとしている。(「ノーノー」「誰も聞いてない」と呼ぶ者あり)この推測を誰が否定できるか。(「よく聞いておけよ」と呼ぶ者あり)提案者は一方において青少年が不良化するということを歎いておられる。併しこういつた膏薬貼りの教育で、本当に青少年を豊かに養い、これを経済的な科学的な十分の基礎知識を與えないで置いて、そうして徒弟的な古い技術的なものを與えて置いて、そうして不良化を歎くということは自己矛盾であります。(「とんでもないことだよ」と呼ぶ者あり)我が国が当面いたしております現下の情勢を考えますときに、この法案の持つておりますそういつた面のほうが急速に拡大強化され、いわゆる学徒動員が再現されるという危險性は極めて明瞭であります。この法案の戰時立法的な性格は(笑声)ここに明らかに隠されておるのであります。  更に私がこの法案賛成できない理由は、この法案の持つております教育政策並びに教育体系、このシステムが非常に混乱しているということであります。御承知の通り六三制の実施はまだ極めて不十分である。新制中学の校舎の建築が足りない。小学校は自然増による兒童さえ吸收することができない。いわんや新制高校、大学の設備内容に至つては誠に名ばかりで、学力の低下、青少年の不良化は誠に憂うべき状態になつておる。而もその原因の最も大きなものは教育予算の絶体的な不足である。その結果、学生を豊かに養い、安心して勉強ができる、そうして基礎的な学習と科学的に十分研究するというような、そういう土台が與えられていない。この欠陷を埋めんとする努力も又とられていない。政府はこの欠陷に対して、今回産業の技術的教育をこういう形で與えようとしておる。技術の向上が必要ならば基礎的な学力の向上が前提されておらなければならない。そうでなければ、それは單なる封建的な技能に終る。六三制が危殆に瀕しておる現実を無視して、手取り早く産業に役立つこの教育体制を而も極めて貧弱な予算の枠内でこれを行おうとしておる。これこそ完全な教育を破壞するものでそると言わなければなりません。而もこれが崩壞に瀕している地方財政補助を名としてこれを出しますけれども、いよいよこれが地方財政を破綻させるということはこれは明々白々であります。  このような、教育的にも財政的にも矛盾に満ちているところのこの法案が、今後如何に日本の教育界を混乱させるかは、今後の事実が証明することでしよう。我が党は、民族の独立の基礎が経済である、経済の独立の根拠として建設と生産を重要視し、そのためには科学的な技術教育が必要であることは何党にも劣らず主張しているものであります。(「立派な政党だ、共産党は」「不足がない」「その通り」と呼ぶ者あり)それは、この法案に出ているような貧弱な、こまかし的な産業奉仕の、一歩誤まればドイツ流のアルバイト・フユーア・ヒツトラー的なこの技術教育などで、科学の基礎を無視してできるものではないのであります。我々は飽くまでも経済を保障し、科学を基礎とするところの総合的な技術、この技術が戰争のためでなく、平和を愛する勤労人民の生活を無限に発展させるという角度から教育が行われなければならないということを主張するものであります。現在多くの批判を受け、その欠陷を示しつつあるアメリカ式の六三制教育では、決して目的を達成するとはできません。六三教育の美名の下に、一国の教育予算がかくも貧弱であり、かくも表面を糊塗しているということは、これは日本が植民地的な條件に置かれており、その支配者が外国のために戰争協力の政策をとつているという当然の帰結であります。(「時間時間」と呼ぶ者あり)我々は全額国庫負担による教育費の大幅な増額を裏付けられなければ、真の科学教育はできないということを主張したい。(「終り」と呼ぶ者あり)そのためには、そのためのキイ・ポイントは、一千億可以上の終戰処理費を先頭とする軍事的な或いは人民を彈圧するような費用教育費に転換して行かなければならない。(「拜承しました」と呼ぶ者あり)そのためには、全占領軍が撤退し、あらゆる交戰国と平和を約束するような全面講和のみが唯一の出発点であります。(「何を言つているのだ」と呼ぶ者あり、笑声)これなくしてただ末節な(「時間々々」と呼ぶ者あり)法律を推進し、教育法を出すということは、何らの問題を解決するものではない。これは砂上の楼閣に等しいものであるということを主張し、そのために我が党は今後とも如何なる犠牲を惜しまず鬪つて行くと同時に、真に祖国を愛する教育諸君との提携を望むものであります。  各党の提案になつております修正案は、非常に原案よりはよくなつております。これは同僚各位の努力でありますが、併し以上述べましたような根本的な欠陷は何ら解決されておらないために我が党は原案並びに修正案に反対するものであります。(拍手
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 高田なほ子君。    〔高田なほ子君登壇拍手
  22. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 只今上程されました本法案並びに修正案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期す」といこうとが、教育基本法によつて教育の根本理念として明確になつているにかかわりませず、新学制実施の度合は極めて緩慢であると共に、これにプラスしまして勤労人としての重要な要素である職業教育の面については、殆んど手放しの状態で今日まで放置されて参つて来たのでございまして、新制中学校卒業兒童の約三分の二を占める百万に上る兒童の教育の機会均等は殆んど考慮に入れられず、その将来こそ誠に暗澹たるものを覚えるものでありまして、これこそは現在の新学制実施の上の一大欠陷と言わなければならないと思うものでございます。過般、京浜工業地帶の某県立工業学校の視察をいたしました節にも、誠にその荒廃振りはお話にならない状態でありまして、さながら、あんこの入らないお饅頭を見るような感じをさせられたのでございます。その実験実習に要する施設の大半町の有力者の寄附によつて賄われておりました。こういうことは、單に勤労と責任を重んずる教育の目標に外れているばかりでなく、個人的財源の援助の下において教育はみずからその権力の前に屈服せざるを得ない、こういう環境に追い込まれておるものでございまして、これが教育の本来の姿を失わしめる重大なる要素となつていることは、ひとしく否み得ない事実でございましよう。  本法案内容につきましては、すでに新学制発足と同時に考究され実施さるべき筋合のものでありますのに、本日までこの問題が等閑視されたということは、むしろ遅きに失するものであり、政府の文教政策に対する怠慢とすら断ぜざるを得ないのでございます。  講和後における日本の経済自立への道は、産業経済の振興と密接不可分の関係を持つということは今更申上げるまでもないのでありますが、世界の軍拡経済の波に押流されて、本法案の精神が歪曲され、教育の本質を失い、産報化の危險性を孕むこと、十分に警戒しなければならない点でございます。曾つての太平洋戰争は教育の名において幾多の青年学徒を国家の意思によつて勤労動員を強いまして、苛酷な労働力を搾取したあの惨たる過去の歴史を、我々は再び断じて繰返してはならないのでございます。本法案の最も重要な点は、ここにかかつておるのでありまして、産業教育の範囲は極めて漠とした産業経済を包括した概念であつたのでありますが、その第二條中「学生又は青少年その他の一般公衆」という條項を「又は学生」と改めまして、学校教育たる産業教育であることを明確に規定したわけでございます。従つて高等学校のシステムの中に職業教育を入れたかつたが、システムの実施が不十分であるので、新学制の実施の上に産業教育振興法それ自体の意味を持つのだという文部大臣の御意見通り、一元化された教育体系の中において多くの恵まれない兒童が教育の機会を與えられるということは、極めて重大な意義を持つものであるのでございます。  学校運営の苦しさから、諸経費捻出のために、農学校においてはその收益依存の悪弊風、或いは実験実習の美名の下に教育が收益目標の生産手段の具となる弊風は、おのずからこの基本的な考え方によつて排除されるでございましようし、産業技術者の養成に対する基本的な態度も、生産手段としての教育ではなく、飽くまでも全人的完成への教育本来の姿にあるべきことが明らかにされました以上、極めて期待の大なるものを信ずる次第でございます。  更にこれが実施に当りまして、大学の自治と地方の自主性が尊重され、国の画一的統制を避けなければならないという理念の裏付けといたしまして、中央審議会の民主的運営が規定され、地方審議会は権限の行使に当りましては、国で定める総合計画に準拠するという條項を削除いたしましたので、地方の自主性の尊重が明確に打ち出されたわけでございます。このことによつて、恐らく疲弊のどん底にある市町村の産業教育は、地方の自主性に基いて振興され、青少年の労力を搾取するがごとき誤まつた産業界へのサービスを未然に防止することができることを信ずるのでございます。  次に最も重要な問題は財政的援助に関する点でございます。義務教育におきましては半額国庫負担法の廃止によつて全面的な地方移譲となつたにかかわりませず、標準義務教育費は未完成のままに放置されまして、六三建築の危惧は増大し、最低〇・七坪完成に要する費用だけでも二十三億を必要とするのみか、理想案を実施するに当りましては約四百三十億の厖大な財源の必要に迫られておるのでございます。義務教育の教科書の無償給與、更にこれに加わる物価の高騰、教科用の図書用紙の統制撤廃による予算の膨れ上りは、地方財政に必然的に圧迫を加えるのみか、最近次々と議員提出の件案などによりまして地方財政圧迫の傾向がいよいと強まるとき、六三予算への食い込みが憂えられるのでありますが、これは飽くまで平衡交付金外の国の助成金によつて地方財政に圧迫を加えないという点は再々明確にされたわけでありますから、新学制完全実施への教育財政確立の一環として、この問題は取扱われなければならないのでございます。総額二百億に上る厖大な予算は、五カ年計画の下に立案されました以上、自由党の欺瞞政策などと馬脚を現わすことなく、大自由党の威力を、子供たちの上にこそ、正直に愛情を以て発揮してもらいたいということを痛切に思うものでございます。  最後に附加えたいことは、本法案審議過程におきまして、恵まれない教え子たちのために終始当該教育界のかたがたが非常に熱烈な意思を国会に示されましたことは、衷心より敬服する次第ではございますが、本法案を通過させるために全国の不遇な高校生の子供たちから一人当り三十円の金を集め、巨額の促進費用が使用されたと聞くのでありますが、その使い途が如何に公正妥当でございましようとも、少くとも漸く政治にも耳を傾ける年頃の兒童に與える教育的な影響は極めて重大でございまして、自分たちがお金を出せば法律はいつでも通過させることができるのだというような誤まつた印象を與えないと誰が断言できるでございましようか。このことは民主政治に対する深い冒涜であり、教育を守り抜く者のあえてとらざる態度でございましよう。私はこれのみを責めようというのではございません。こうしたところにまで教育を追い込んだことは、一に政府の文教政策に対する怠慢であり、(拍手)愚劣な教育行政に対する誤まつた民衆の抗議の姿と見るべきでございましよう。教育を守る者は、ひとしくこの悲しむべき現実を謙虚に直視すると共に、政府は衿を正して多くの子らの前に深く謝すべきでございましよう。希わくは、本法案の盛る精神を生かし、教育の機会均等と勤労と責任を重んじ、飽くまで真理と平和を希求する人間育成の力点を凝視し、これが運営の妙を発揮されまして、よい子らの上に、より高い理想の実現を深く期待いたしまして、賛成の意を表するものでございます。(拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 矢嶋三義君。    〔矢嶋三義登壇拍手
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は本法案修正案並びに修正部分を除く原案に対しまして、第一クラブを代表いたしまして賛成討論をなさんとするものであります。只今共産党の兼岩君並びに社会党の高田君が、それぞれの立場において反対並びに賛成討論をなされたのでありまするが、私も、この法案は、この運営如何によつては、戰後打ち立てて参りましたところの新教育の動向に重大なる関係がある法案と考えまするが故に、あえてここに意見を述べ、賛成討論をなさんとするものであります。  本産業教育法案が国会に提出されるや、報道機関国民的輿論並びに私個人も、この法案について若干の危惧を抱いた次第であります。それは、戰前の我が国教育体系におきましては、先ず義務教育の六年があり、続いて高等小学校課程の二年がある。それに続くものには、曾つては実業補習学校あり、その延長としての青年学校、最後にはこれはいわゆる軍事訓練所の性格を帶びて参りましたが、こういう体系であつた。そうして義務教育の六年を終えたところの生徒中、僅かに二〇%程度が当時の中等学校に進学し、残る国民大衆の子弟であるところの約八割というものは、高等小学校或いは実業補習学校、青年学校というこの袋小路の中に追い込まれましてそうして、ここにいわゆる徒弟教育実施され、その低賃金と労働強化によつて資本の蓄積に奉仕させられた過去の教育体系を思い出さざるを得なかつたのであります。終戰後教育体系というものを、この曾つて教育体系に一歩近付けしむるような危惧があるのではないかという点に重大関心が拂われたことは、疑う余地はないと思うのであります。確かに現在において我が国教育界におきましては職業教育は不振であります。自立経済の再建にも支障を来たしておる。併しながら新教育というものは断じて職業教育を否定しているものでない、尊重しているのであるということは、文部大臣も委員会において確認いたしたところであります。即ち終戰前の教育というものは人間としての育成というものを考えない。学習年限を短かくして、国民の税金をできるだけ少くして、早くともかくハンマーの振り方、鍬の使い方を教え込み、そういう人間を育成して、その人的資源を動員しようという教育であつた。こういう考え方に対しまして、(「そんなことは委員会で言え」と呼ぶ者あり)いわゆる新教育というものは、広い基本知識と教養を持つたところのいわゆる人間教育を育成して、その上に技術を教育して行く、いわゆる人間性に立脚したところの職業教育を極めて重視したところの新教育であるのであります。(「委員会と同じじやないか、話すことないのか」「謹聽」と呼ぶ者あり)併しながら教育財政の貧困ということが職業教育の不振を招いたということを、私たちは改めてここに確認いたさなければならないと思うのであります。(「新らしい話をしろ」と呼ぶ者あり)私はここで皆様方に申上げまするが、最近文部省から公表されました教育財政白書によりますというと、教育行政機関が使用したところの教育費は実に千二百十八億三千七百万円である。その千三百何がし億のうちの僅かに国庫は二一%である。そうして終戰後、新教育の推進に貢献を期待されておるところのPTAの支出した教育費というものは千二百何がしのうちの百三十三億、実に一一%を占めておるということ、これは私たちはしつかりと頭に入れなくてはならないと思う。このためにPTAは自主性を失い、新教育の方向というものを誤まらしめておるということを私たちはここに考えなければならないと考える次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)実業教育振興に当りまして、実業教育費国庫補助法というものがありまするが、全く有名無実になりまして、二十六年度の予算にもゼロの状況であります。かかる状況下、職業教育の第一線に働いておるところの先生がたは、何とかして世の中に出て不自由しないで働けるところの人物を作りたい、送り出してやりたい、こういう教育の愛情から一生懸命になりますが、何ともならない。そこで第一線の教育諸君は、何とかしてこういう法案を通して政府の反省を促し、教育財政の裏付けをして頂かなければならないという意味において、全国職業教育に携わる諸君が立ち上つた次第であります。そうして先ほど委員長報告の中に、学校長は職場を捨ててこういう運動をやるということは好ましくない、注意を與えなければならないという意味の委員長報告がありましたが、私は今日といたしましては、かくのごとき苦境に教育者を追い込んだ責任というものを最も強く痛感するものでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)その先生がたは、何とかして教育の実情というものを国会に聞いて頂き、国会に反映して、そうして子供に対して世の中に出て不自由をしないところの職業教育を授けたいという教育界の真情こそは、私たちは肝に銘ずべきであると考え、私はあえてこの法律推進のために努力された学校諸君に対して、その行動を追及することは情として忍び得ない次第であります。(「八百長をやるな」と呼ぶ者あり)勿論この運動費に、三十六年四月三十日現在、全国から集められたところの運動費は実に四百四十八万三千七百円、その費消したる額は二百四十五万二千百円と文部当局は責任報告をいたしております。同時に、この法案提案されるや、いわゆる推進委員会におきましては、この法案を通すためには五百万の運動費が要るという目標の下に金を集めたということを、我々が召喚した証人は言つておるのでありまするが、私は法案を通すに当つて、税に悩み、生活に困窮しておる国民大衆から、法案通過のための運動費を集めるがごとき政治の動向に対しては、常々反対意見を持つておるものでありまするが、特にかくのごとき教育立法に当つて五百万という金を目標に金を集めたということ、これは何人かの指導があつたのではないかと、私は一応の疑念を持つた次第であります。従いまして委員会におきまして、これを追及し、証人喚問をいたしましたところが、集めたところの金額は四百四十八万何がし、費消したものは二百四十五万何がしということが明確になり、而もその用途に特に非難すべき点がなかつたことは、さすがは教育者であると私は敬意を表したものであります。そうして、この残つた金額というもの、産業教育振興の需要に割当てたいということを関係者は述べておりまするが、一応集めた金は誠にいたし方がありません。(「学校へ行つてやれ」と呼ぶ者あり)その残つたお金の用途については関係者の十分の配慮を私は要望するものであります。なお、この点につきましては(「言論に敬意を拂え」と呼ぶ者あり)責任当局の文部大臣は、一般立法もそうであるが、特にこの教育法規の立法に当つてかくのごとき多額の運動費を集めるということは、教育上誠に遺憾千万である。然るべく地方教育委員会に助言と指導を與えるということを明言されておりまするが、この処置を的確に文部大臣がなされますよう私はここに要望するものであります。(「賛成」と呼ぶ者あり、拍手)  次に、私は修正意見に対する私の意見と、並びにこの法案運営についての要望を申上げたいのであります。この法案が提出されるや、文部大臣は徹頭徹尾文部委員会におきまして、この法案の運営に当つては深甚の注意を拂わなければならない、運営を誤まるならば、私が目頭で申上げましたような危惧も又あるということを、文部大臣自身、しかと確認せられておるわけであります。(「時間だ時間だ」と呼ぶ者あり)審議の途中におきまして発議者に質問し、並びに我々が修正したことによつて、決して現在の教育基本法、その下にあるところの学校教育法、社会教育法、この二大教育体系というもののシステムを壞すものでなくて、それを飽くまでも推進し、その足らざるところを補う意味においてこの立法がなされ、而もその対象は青少年或いは一般公衆というのでなくて主は飽くまでも学校教育法の第一條に謳われるところの学校を通じて行う学生生徒を対象とし、そうして社会教育法で謳われておるところの学校教育の場としてやるところの社会教育、これを従とする、その主従の関係が明確化されたということは、現代の教育体系を破壊するものでないという点が確認され、誠にこの修正は適切であると私は考えるものであります。  次に、財政の件につきましては先ほど高田委員が申されましたので触れません。先ほど私が申上げましたように、文部省の教育財政白書から申しましても、如何にPTA、父兄大衆が教育費に困難を来たしておるかということは、それが延いては教育の自主性に悪影響を及ぼしているということはおわかりになつていると思いまするが、のみならず、六三建築一つとりましても、これから建築しなければならない校舎というものは実に三万教室あります。而もこのたびの予算に当つては、木造建築で一坪一万六千円、鉄筋で三万八千円といろ従来通りの予算を計上いたしておりまするが、最近の工賃並びに資材の高騰によつて、三万教室というものを建設するためには国庫も又地方財政も極めて困難であるということを考えるときに、(「脱線するな」「本論本論」と呼ぶ者あり)この七カ年間に二百億を費すところの産業教育、而もそのうちの百億というものは、およそ地方財政に待たんとするところのこの法案の運用に当つては、地方財政を圧迫することなく、更には現在の六三教育予算、こういう所にしわ寄せすることのないよう、他の教育水準を絶対低下しないで、この産業教育振興を図るという意味において財政的な措置を十分とられるように切に希望するものであります。(拍手)更に私はここで申上げたいことは、職業教育、これを振興しなければならない。卒業して来た者を使つて見まして役に立たない。その実業的な面だけが我々の目に映つておりまするが、併し我が国教育を考えるためには、その根抵において、基礎学力の低下、基礎科学力の低下ということを考えなければならない。戰時中或る日本の有力なる学術会議において、或る学者が原子学の発表をなさんとしたところが、その学術会議において、現在我々は太平洋戰争をやつている。そんな原子学のような発表は我が国の現在の国策と何の関係があるか。こういうふうに権威ある学術会議において原子学の研究の発表に対して罵言を浴せたということを私は戰時中聞いておるのでありますが、その間にアメリカにおいては孜々営々として原子学の研究をいたし、広島、長崎に最後の一彈を浴せたではないか。この基礎学力と基礎科学の振興というものは決しておろそかにしてはならないということを私たちはここにしつかりと考えなければならない。更に私はこの点について申上げまするが、研究機関費用というものは、(「わかつた」「もう時間だ」と呼ぶ者あり)四十三億三千六百万円、その中で大学附置の研究所は五十五ありますが、五十五もある大学研究所の研究費というものは四十二億のうちの僅かに五億七千九百万円。これを当事者に聞いてみますと、当事者はこういうことを言つております。大学附置の研究所というものはおおむね基礎的な研究をやつている、すぐに役に立つような研究所にはたくさん政府から金が出るが、大学研究所のように基礎的な研究をやつている所には、家に五十五の研究所があつて僅か五億七千九百万円しか出ないというのであるということを申されておつたのであります。かくのごとき教育行政をやつてつて、果して科学の振興ということを叫んでおる我が国が科学の振興を期し得られるかということを、私はここに意見として申上げたいのであります。(「教育者は時間を守れ」と呼ぶ者あり)  次に審議会の運営につきましては、委員長報告並びに先ほどの高田委員報告によりまして、如何にこれが重要であるか、従つてこの委員構成についても参議院は適正なる修正をやりました、誠に結構なる修正であつたと賛意を表するものであります。時間が参りましたので私は多く申上げません。ただこの地方産業教育審議会審議過程において、現在私立の学校教育委員会の所管でなくて知事の所管になつております。従いまして、地方産業教育審議会が知事にも教育委員会にもどちらにも建議すると、どちらの諮問にも応ずるというような、教育委員会法立法の精神から考えましたときに、両股にかかつているような変な恰好になつているのでありまするが、これは参考人意見聴取の場合に栃木県高橋教育委員が、私立の高等学校以下は地方教育委員会に所属させたほうが地方教育行政はうまく行くということを発表されておりますが、今後の研究問題であると考える次第であります。  最後に私は申上げます。産業教育振興と言つておりますが、(「長いな」と呼ぶ者あり)これは私も提案者が申されているように労働意欲の旺盛な士たらんとするところ青少年を教育したいと申しておりまするが、根本的には働く者を尊重するところの政治をやる政治感知に転換しない限り……この前の宮城前の広場を何が故に使用させなかつたかという質問に対して、吉田総理は汚ないものには使わせたくないという意味のことを申された。その吉田総理の感覚というものは、労働者は汚ないものということを意味している。かくのごとき政治感覚の下に教育行政を行うからして職業教育は毛嫌いされ、予算が不十分であり、振わないのもここに根本があるということをはつきりと私はここに申上げまして、私の賛成討論を終る次第でであります。(拍手、笑声)
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告ございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。(拍手)      ——————————
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第六、住民登録法、日程第七、日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の譲渡の制限等に関する法律案、(いずれも衆議院提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。    〔宮城タマヨ君登壇拍手
  29. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 只今上程されました住民登録法案につきまして、委員会審議経過及び結果について御報告申上げます。  本法案は現行寄留法に代るものとして立案されたものでございまして、市町村は届出又は職権によつて世帶單位の住民票を作りまして、これを戸籍と連関させますことによつて、その正確を期し、而も届出の手続はできるだけ簡略にいたしまして、住民の負担を軽くいたしまして、届出の励行を図。まして、現行寄留制度の欠陷と認められます市町村の常時人口の状況の明確化と各種行政事務の簡易化を図ろうといたしますものでございます。  本法案審議に当りましては、地方行政委員会から連合審議の申入がございましたので、二回に亘りまして連合委員会を開きました。なお、このほかに單独で六回委員会を開き、慎重に審議をいたしましたが、その詳細は速記録によつて御了承願うことにいたします。  討論に入りまして伊藤委員から、原案中の市町村は、住民票の法定記載事項以外に、なお條例を以て記載事項を定めることができる旨の規定を削除する趣旨修正案が提出せられました。次いで須藤委員より修正案及び原案のいずれにも反対の意見が述べられました。採決の結果は、修正案及び修正部分を除くその余の原案全部につきまして、いずれも多数を以て可決すべきものと決定いたしましたのでございます。  次に、日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の讓渡の制限等に関する法律案について、法務委員会における審議経過と結果について御報告いたします。  この法案は、先般の商法改正により、株式会社及び有限会社の株式及び持分の譲渡制限等ができなくなつたのでございますが、日刊新聞が社会の公器たる責任を果すためには資本の独立を重要な前提要件としますので、この譲渡の制限等ができるようにしようとするものであります。法務委員会におきましては慎重審議いたしまして、伊藤委員、羽仁委員等より熱心な質疑がございました。討論を省略いたし、採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと決定した次第でございます。  右御報告申上げます。(拍手
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 先ず住民登録法案討論に入ります。討論通告者の発言を許します。須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇拍手
  31. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、只今上程されました住民登録法案に反対するものであります。  本法案目的には、「市町村においてその住民を登録することにより、日常生活の利便を図り、各種行政事務の適正で簡易な処理に資する」というように規定されております。私たちは国会議員といたしまして重い責任を持つているのでありまして、法案一條一條を十二分に検討しなければならないと思うのであります。成るほど、この法案の第一條だけを見れば尤もらしいのであります。併しながら法務委員会における質疑を通じましてはつきりいたしましたことは、この法案目的はそのような所にはないということであります。実にこれは日本人を馬鹿者扱いにした法案であり、日本人民を強制登録し、戰争に動員することを容易にしようという、徴兵、徴用、徴税のための肉彈登録法、戰争準備法と断ぜざるを得ないのであります。なぜ我々はかく主張するか、以下具体的に意見を述べてみたいと思います。  先ず最初に第四條について一言したいと思います。衆議院において可決送付されて参りました原案におきましては、住民票への記載事項といたしまして、氏名、性別、住所等八項目のほかに、條例で以て市町村が自由に追加できるようになつていたのであります。この條例によつて加えられるものにつきましては、提案者も行政当局も見通しについて明確な答弁をせず、又予定されているものも今のところはないとの答弁でありました。ところが去る二月宮城県におきまして、十四歳以上の全県民に対しまして強制的に適用するという指紋條例なるものが国警宮城県本部の要請に基いて県議会に上程され、紛糾を重ねているという事実は、我々の危惧が正当であるのを証明しているのであります。更に二月五日の時事通信の伝えるところによりますと、「政府国民指紋登録法を提出すべく準備を進めているが、指紋というと、国民が罪人扱いにされるという印象を抱くのではないかということを極力恐れ、指紋登録をやるなら、住民登録に含めて施行すればよいとの意見も生じている」と報じているのであります。本法案提案者も、又、立案の際、指紋が問題として取上げられたことを委員会において答弁しているのであります。現実に全国各地において半強制的に指紋を要求したり写真を写したりしていることは隠れもない事実として知られているところであります。故に私たちは第四條における白紙委任の項は極めて危險なものを予定しているものであると指摘いたしたのであります。幸い参議院の法務委員会におきまして、この危險な條項は削除されたのでありまして、この修正により右に述べました危險は当面なくなつたのであります。併しながらこの点の修正のみで、この法案の持つている性格、即ち悪い性格が変更されたとは思えないのであります。即ち第一に問題となる点は、法務総裁に市町村に対して勧告又は助言をする干渉権を與え、又中央行政機関が記載事項に関し報告を求める権限が與えられていることであります。市町村の利益のためと言つていることと全く矛盾しているのでありまして、このことは、本法案目的が別の所にあり、隠されていることを現わしているのであります。  第二の点は、第三十一條と、これと関連する第三十三條の罰則でありますが、ここにこの法案の本質が端的に現われているのであります。即ち地方行政機関に警察権を持たせていることであります。市町村の吏員は漠然とした規定の「関係人」に質問し文書の呈示を要求することができ、そして、この質問に対し陳述を拒んだり、忌避したり、虚偽の陳述をし、又文書の呈示を拒んだり妨げたりした者には、五万円以下の罰金刑を科するというのであります。これは基本的人権に対して汚物をかけ、国民全部を犯人と想定しているという言語道断の條項と言わなければなりません。憲法第三十八條に次のように明記されていることを忘れているのではないでしようか。即ち「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という点であります。これは日本国民の基本的な権利であり、犯人でさえ認められている権利であります。一片の法律でこれを踏みにじることは断じて許し得ないところであります。  参議院法務委員会における審議を通じまして、私たちは提案者並びに政府委員の答弁に自信のなさを感じ、どのようにしてこの法案が提出されるに至つたかという経過について全く疑わないわけには行かなくなつたのでありますが、この黙秘権に関しても、提案者である衆議院の鍛冶良作君は次のように答えているのであります。即ち、積極的に拒否する、例えば私は言わないといつて拒むのはいけないので、ただ黙つているのはよいのですと答弁されている。これは詭弁というものであります。私は言わないぞと声を出して黙れば、現行犯として市町村吏員に逮捕されるという危險が常に存在するのであります。これでは明るい国であるべき日本は、「もの言えば唇寒し秋の国」、秋の暮ではありません、秋の国となつてしまいまして、沈黙の、灰色の国になつてしまうでありましよう。このようなことは植民地の行政機関だけがやり得ることでありまして、又やつて来たところであります。曾つて日本帝国主義が満洲、台湾、朝鮮で行なつたことが同じことが、今この法案が通過することによりまして実施されようとしているのであります。  さて、以上のように私は三つの点を重点に意見を述べて来たのでありますが、このように随所に疑点を有し、もろもろの基本的人、個人の自由を踏みにじつてまで、なぜ強制登録をしようとしているのでありましようか。この法案からは、市町村民の大多数の良心を信じて行くという根本精神は、かけらほども感じられないのであります。では、これはなぜでしようか。曾つてナチス・ドイツがフランスに侵略し、フランスを支配したとき、彼らはフランス人民を傭兵にして無慈悲に強盗戰争に引きずり出し、又最初の約束を破つてフランス人民をドイツに連れ去り、強制労働にこき使い、そして、このような悪魔の支配を拒否したところの良心ある、誇りを失わなかつたフランス人を投獄し、死刑にしたのであります。そして、このために利用されたのが即ち住民登録身分証明書であつたのであります。現在世界の各資本主義諸国は軍備の拡張を開始し、平和を心から願い世界の各民族が平和的に共存することを求めている人民に向つて、戰争は全く不可避であるという信仰を信じさせようとしているのであります。そして日本国民に対しては、戰後僅か六年しか経つていない今日、もう一度侵略戰争のいけにえになり、過去の悲劇を一切忘れさせようとしているのであります。併し日本人民は戰争は一部の者の利益のために計画されるものであるということを知つております。笛に踊らされ戰争にかり立てられた過去を再び繰返すなという声は日一日と高く激しくなつております。我々に過去を忘れよと言うのは、親の墓を忘れよということであります。だからこそ、戰争を欲し、奴隷の道に我々を追いやろうとする者には、人間を四方から監視し、日本至上を監獄にするような強制住民登録が必要なのであります。再軍備と單独講和を急いでいる平和の敵は、同時に住民登録法案を急いで通過させようとしているのであります。例えば一昨年アメリカのフオーチユーン誌は罷免されましたマツカーサー元帥と論戰を交わしたのでありますが、その発端となつたフオーチユーン誌は、四月号の中で日本を諮りまして、桜の花と八千万の従順な奴隷の国と批評しております。これを読んで何ら感じない人は少いでありましよう。住民登録法案を見ながら、私はこれを今更のごとく思い出したのであります。まじめな日本人はこれを見送ることはできないと思います。私は、この住民登録法案が卑屈な法案であり、恥ずべき法案であることを再び強調いたしたいと思います。日本共産党は、日本人民としての誇りと恥とを忘れていない、その人間としての誇りを持つておる人々と共に、この法案に断乎反対するものであります。(拍手)    〔「議長、定足数を欠いておりますよ」「進行々々」「定足々々」「向うの端から番号をかけよ」「五十六名だ」「採決々々」「四分の一」「ノーノー」と呼ぶ者あり〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ——————————    午後三時三分開議
  33. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  これより住民登録法案議題といたします。休憩前の会議におきまして、委員長報告後、討論に移り、須藤五郎君から反対討論がなされ、議長は、討論終局を宣告したのでございます。  これより住民登録法案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  34. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  35. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の讓渡の制限等に関する法律案討論に入ります。討論通告者の発言を許します。羽仁五郎君。    〔羽仁五郎君登壇拍手
  36. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私は本案に反対するものでございます。  言論の自由を理由として、ここに特に新聞社のために新らしい商法において唯一の除外例を設け、新聞社に限つてその株式の讓渡の制限又は禁止を許そうとする本法案に対する私の反対のすべての理由は、現在我が新聞社が言論の自由を飽くまで守る確証を我が国会及び世論に対して與えていないからであります。本案発議者は、現在日本の新聞において言論の自由が守られていると説明されました。果して然らば私は喜んで本法案賛成したいのであります。併し、最近イギリスにおいても新聞の自由の危機について世論及び国会に深刻の問題が発生している。かく、新聞の自由において輝ける伝統を有するイギリスにおいてさえ現在深刻の問題を生じているのに、我が日本において新聞の自由が確保されているとして、我々が安心していることができましようか。而も現在イギリスにおいては、この危險を直視し、その対策が講ぜられているのに、本法案は、この危險に目を蔽い、そうした危險がないもののように装つて、事実を欺き、事実の虚偽の上に立法しようとしているのであります。昨年十一月、イギリスの有力紙ピクチユア・ポストの名編集者ホプキンス君が突然解雇された。その理由は、同紙上に、現在イギリスの新聞記者として最も卓越の一人として知られているジエイムス・カメロン通信員が、南朝鮮軍の残虐行為について報道し、国連がこれを阻止すべきことを求めた記事を掲載すべきか否かにつき、同紙の編集者と、同紙の所有者、経営者であり編集長であるエドワード・ハルトン君との間に見解の不一致を生じたということであります。而もハルトン君は、新聞の所有者として経営者として知的の識見を有し、聰明を以て知られていた人物である。更に又ここにおいて、ザ・ニユー・ステイツマン・アンド・ネイシヨン紙のごときは、その十一月十一日、その社説を以て「今や、イギリスの新聞記者、編集者は、何ものをも恐れるところなく真実の報道の任務使命を果す確信を失わねばならないか」と警告し、新聞の経営権と編集権との正しい関係の回復を要請しておるのであります。  本法案に対し、我が国会がこれを可決すべきか否決すべきか、諸君がこの判断の基礎とされなければならない具体的の問題がここにあります。即ち新聞の自由のためには、新聞の経営権と編集権、読者が真実を知る権利、この三つの権利が最も正しい関係に守られなければならないという要件であります。イギリスにおいて、新聞についての識見を以て知られているフランシス・ウイリアムズ君が、ザ・ニユーステイツマン・アンド・ネイシヨン紙の去る十二月二日紙上に、編集者への書簡において、新聞の自由は、新聞の所有者と、新聞記者と、読者と、この三つがすべておのおのの権利と責任とを対等に認められて新聞に参加するときにのみ成立することを明らかにしております、これらの点について現在日本の新聞の現実はどうなつているか。少くとも朝日、毎日、読売、東京、そのほかの東京の大新聞について、これらの点について、即ち果して新聞の自由が、経営者と、新聞記者と、読者と、この三者の権利と責任との対等の正しい関係の確保の上に保障されておるか。一言にして言えば、それらの新聞において、良心的の新聞記者が、果して何ものをも恐るるところなく真実を報道することができているか。この点について我が国会が確信を持つて判断するに足る資料を示されることを、私は繰返し繰返し懇切丁寧に提案者に求めたのでありますが、遂にこれを與えられることが今日までになかつたのであります。この確証があるならば、何故にこれを示されることを惜しまれるのか。この確証を示されない限り、その確実の保障なきものと判断せざるを得ない理由があります。そうしてこれが私の本法案に反対する理由であります。  新聞の自由という点において、新らしい商法の一般株式会社及び有限会社に関する規定から新聞社だけを外すということが、その新聞の自由の確証なくして行われることは、新らしい商法の一般の信頼に対する悪い影響をも考えねばならないことであります。新聞のみが特権的取扱を受けるその理由が薄弱であるならば、今後、放逸事業そのほかさまざまの株式会社などがそれぞれ薄弱の理由で新らしい商法の適用を免れようとすることをも防ぎ得ないかも知れません。そして、現に本院の法務委員会において、これらの点に関する私の質疑に対し、本案発議者、押谷衆議院議員は、将来において新聞の性質を規定するに法律を以てすることもできようと、頗る危險の答弁をされました。新聞に対する法律が、新聞の自由を守るという美名の下に、新聞の自由を窒息させた伝統の存する我が国において、新聞を法律によつて規定することには、実に重大なる危險があります。本法案はそうした危險の立法をも招く慮れがあります。新聞の自由は、新聞がみずから多年の不断の努力と鬪争とにおいて事実の上にこれを確立し、その確証を以て国会及び社会の承認と信頼とを得らるべきものであることが忘れられてはなりません。  然るに今新聞の自由につき確証が提出されない。そして、その他方、昨年における我が新聞記者の多数の解雇が、新聞の自由につき疑義を生じているところがあります。この五月の雑誌「人間」の誌上に、文学ではありますが事案に基いて、昨年の新聞記者レツド・パージの際、東京の大新聞の一人の記者が何らの思い当ることもなく突然無残に首を切られ、家に帰つてこれを妻に告げると、乳児を抱いていた妻は忽ち生活の不安に顔面蒼白となり、乳がとまつてしまつたという悲惨を述べています。このような恐怖に新聞記者をさらすならば、良心的の新聞記者といえども、どうして何ものをも恐れるところなく絶えず読者に真実を報道する任務を全うすることができましようか。この点につき、今日、日本の新聞記者は、一般株式会社の又は有限会社の社員と何ら異なるところがないのみらならず、新聞記者は、その職務の性質上、政治の問題、平和の問題、戰争の問題などに触れなければならないので、今日の日本では一般会社員よりも却つて更に不当の処分の危險にさらされているのであります。医師薬剤師、会計士などが、その職務によつて社会に対して負うている公共の義務に反するような命令を拒否したために解雇されるというようなことが起るならば、如何なる恐るべき結果を招くこととなるでありましようか。然るに新聞記者においては却つてかくのごときことがあり得るのが日本の現状ではありませんか。現在日本の新聞社は、明らかに新聞記者の職務の倫理エテイクスであると考えられているところを固く守ろうとする勇気を有する新聞記者を忽ち解雇し、その椅子に数時間又は数分後にほかの誰かを補充するに何らの困難をも感じていないのではありませんか。その証拠に、最近の日本の新聞記者諸君の意気沮喪した見るも痛ましい姿が諸君の眼にも映つておりませんか。新聞の自由、社会の木鐸、無冠の帝王、何ものをも恐れず、国民が真実を知る権利に対して真実を報道する新聞の自由、これらの誇りに輝く新聞記者の姿はどこに行つてしまつたのでありましようか。然るにこの現状に対して我々の眼を蔽い、この現状をそのままにして、日本に現在新聞の自由の現実があるとし、これを守るために株式の譲渡の制限のみに頼ろうとすること、その危險誠に測り知れません。  諸君、日本の新聞はすでに久しく戰前前から株式の讓渡制限を認められていたのであります。併し、その際、日本においては事実上において新聞の編集権が確立されず、事実上において経営権がすべてを支配していたがために、経営者は大量の紙を手に入れたいために遂に軍部に屈し、新聞編集者及び記者は何ものをも恐れず真実を報道する保障がなかつたために、我が新聞は、支持すべからざる戰争を支持し、敗北を勝利と報道したのであります。いわゆる新聞の社内株保有の制度だけによつて守られていたという日本の新聞の伝統には、かくのごとき危險があつたことを何人も忘れてはなりません。殊に我が国の大衆が、朝日、毎日、読売などの大新聞に、親、子、孫と、久しく深い信頼と愛情とを寄せて来た。この新聞の自由をいわゆる社内株保有の制度だけでは守り切れず、読者の絶対的の信頼をみごと裏切つて、平和主義を排撃し、日本をあの戰争犯罪と悲惨とに導いたのが。朝日、毎日、読売そのほかの日本の新聞であり、放送局でなかつたと、誰が断言することができますか。  我が国会が飽くまで民主主義を守り、再び如何なる武力がこの国会議事堂に乱入支配することをも許さず、平和のうちに社会の進歩の要求実現させるためには、我が国会は実に言いがたきほどに新聞の自由によつて援助されなければならないのであります。我我があの犯罪戰争とあの悲惨を二度と繰返さないために、我々が国際世論を尊重するならば、日本の新聞、朝日、毎日、読売そのほかの有力紙は、第一に、社内に、新聞の所有者と新聞記者と読者との三者の権利が最も正しい関係に置かれている事実を確認し、第二に、殊に新聞記者が何ものをも恐れるところなく、新聞記者の天職を果して真実の報道をすることができるために、不当の圧迫に対し新聞記者の個人を守る新聞記者の労働組合の団結権、団体交渉権、争議権の基本権を確認せねばならないのではありますまいか。ほかの何ものでもなく、ただ我が新聞の自由が守られるために、單に新聞社の株式の讓渡制限だけでなく、それに先だつて、事実の上に、この第一、第二の点を確認せられることを絶対的に要求するが故に、本院議員として私は現在この重大の二点の確証を日本の主なる新聞がなし得ていない事実を内外に向つて深く警告するために、我が新聞を愛すればこそ、本法案にあえて反対するものであります。(拍手
  37. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の讓渡の制限等に関する法律案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  38. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  39. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際お諮りいたします。本日、大野幸一君から郵政委員長を、赤松常子君から労働委員長を、波多野鼎君から予算委員長をそれぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。いずれもこれを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決定いたしました。      ——————————
  41. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) つきましてはこの際、日程に追加して、常任委員長の補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
  43. 江田三郎

    ○江田三郎君 只今の常任委員長の補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  44. 高橋道男

    ○高橋道男君 只今の江田君の動議に賛成いたします。
  45. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 江田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて議長は郵政委員長に岩崎正三郎君を、労働委員長に中村正雄君を、予算委員長に和田浦雄君をそれぞれ指名いたします。(拍手)      ——————————    〔森崎隆君発言の許可を求む〕
  47. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 森崎隆君。
  48. 森崎隆

    ○森崎隆君 私はこの際、日米経済協力に伴う労働政策等に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  49. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 只今の動議に賛成いたします。
  50. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 森崎君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。森崎隆君。    〔森崎隆君登壇拍手
  52. 森崎隆

    ○森崎隆君 日米経済協力に伴いまするいろいろな問題につきましてお聞きいたしたいのでございまするが、與えられた時間が非常に短こうございますので、簡單に質問の要旨だけ申述べまして(「簡單々々」と呼ぶ者あり)時間に制限なく総理以下大臣各位の懇切丁寧なる御答弁をお願い申上げたいと思います。  第一に総理に一つだけお尋ね申上げたいと思います。日米経済協力体制のことにつきまして、最近の新聞報道等から私の心に生じました一つの疑念を解いて頂きたいのでございます。日米経済協力は、これによりまして日本経済の健全なる自立体制を打立てるものであるということは、これまで私どもが随分お世話になつて参りましたアメリカ政府も明言されているところでございます。ただ日本経済自立は実にこの日本再建の基盤でございまして、結局は日本国即ち日本国民の民生安定ということが終局の目標であると私は信じます。そのためには、経済自立の方式には、第一に恒久性を持つた計画が打立てられなければならないこと、第二には平和憲法の精神に則りまして世界平和に貢献する平和産業に基礎を置かねばならないと私は信ずるものでございます。ところが今回の日本経済自立の方式は、戰争或いは又戰争準備といつたようなことを必須の條件としているような性格が窺われておりますることを、最も私は遺憾に存ずる次第でございます。若し然りといたしますれば、日本経済自立の将来において大きなる不安が生ずることは明らかでございまして、戰争危機が世界の全人類の誠の気持を以て排除された暁におきましては、日本のこの方面が半身不随の状態に陷るのではないかと憂えるものでございます。かかる不健全な方式では絶対に安心できません。この点につきまして総理より政府の基本的な方針を簡明に御説明を頂きたいと思う次第でございます。  次に安本長官にお尋ねいたしたいと思いまするが、第一は産業の合理化という問題でございます。これにつきましては、アメリカではいわゆる安く買付ける方針、又産業採算が強調されておりまするということ、又世界的な軍拡インフレの傾向が非常に強く、アメリカの国防予算実施のその余波は今年の秋頃からは日本にもつ及ぶであろうということ、又設備、資金、資材の保証がないということ、又合理的なためには原料を安くしなければならない。ところが例えば鉄鋼産業等にいたしましても、その一番大切な要素である石炭の価格等につきましても、中共貿易の杜絶等によりまして、この価格は未だ未解決である。例えばインド炭にいたしましても、山元では六ドル三、二千三百円程度のものでございまするが、アメリカ炭になりますと山元で八ドル、二千九百円程度で、工場では十ドル、三千六百円程度、日本に輸入いたしまするとこれが二十七ドル半、九千九百円程度、大体国内炭より五割高ということになつて参る次第でございます。これで以て価格の国際さや寄せということが言われておりまするが、政府はこの産業の合理化ということについて一体目算があるのであるかどうか。結局は、私たち心配しておる問題は、この生産者の利潤確保の鉄則、これが、これまで資本家によつて守られて来ております。いやでも利潤だけはどうしても天引という、こういうような鉄則の面から考えるとき、又特需という方面の合理化のためには、設備、技術の近代化ということは絶対に必要なんです。ところが、これには二、三年はどうしても要しなければならないという観点から考えましても、結局こういう問題が全部労働者の労働條件の悪化というようなところへ結論付けられて来るのではないか。これを私は憂うるものでございまするが、この点につきまして御所見を伺いたいと、思う次第でございます。  次には、香港中心に現在でも各国のいわゆる対中共貿易がやはり行われておるようでございまするが、私たちは、この対中共、対中国との貿易等は非常に重要に考えておりまするが、これにつきましてはどういう御方針でございまするか。次には従来のトツプ・レベルの生産拡充長期計画の方式、これによりまして生産業者も一応の安定感を持つてつて来たのでありまするが、この甘い夢は、発注の方式、條件等の具体化がはつきりしましてから一挙に崩れて行つたのでありまするが、これにつきましては、どういう方針を現在立てられておられまするか。又立てられつつあるか。又こういう面に伴います従来からの日米経済合同委員会といつたようなもの言か随分新聞にも出ていましたが、最近は音沙汰ございません。これはその後どうなつておるのか。こういう点につきましても安本長官に御説明を願いたい次第でございます。  次に労働大臣にお尋ねいたしたい。政令二百一号以来皇居前広場の事件に至る一軍の労働組合彈圧という政策は、我々といたしましては誠に遺憾千万に考える次第でございまするが、これにつきましては、何と弁解されましようとも、このことは明らかに日本労働組合の民主的な発展を真向からぶち壊そうという方策でありますることは、去る二月国際連合社会経済理事会におきまして、日本政府に対し労働組合の権利侵害に関する警告を発する決議がなされておりますことによつても明らかでございまするが、今又リ声明に伴います政令の改廃の一環といたしまして労働三法の改悪がなされんとしておりますことは、特に我々としましては遺憾に堪えない次第でございます。特に労働基準法につきましては、私、政府の肚の中はわかりませんが、日経連等の案を見ますると、相当徹底的にこれを改悪しようという企らみがはつきりと見えております。例えば労基法の二十條で解雇の予告が三十日に現在なつておりまするが、日経連の案におきましては、これを十四日に変更しようとし、又同法二十七條におきましては時間外勤務の割増賃金の件につきましてこれを改悪しようとしている。更に六十二條において女子の深夜作業の制限緩和をしようというような提案、これには、女子労働者の生理休暇の全廃ということすら、この中にちやんと現われております。特に最近特需関係に働いておりますところの臨時工の給與の問題、又は時間外労働賃金等につきましての労働基準法が非常にふみにじられて、違反が調べたならば随分たくさんある。このままに放置して果していいのか。労働大臣としての責任がこれでいいのかどうか。私は何とかこういう点につきましては、積極的に、労働者の生活擁護、その健康保持、文化生活の確保というような面から、もう少し積極的な関心、又施策を打つてもらいたいというのでございます。こういう点につきまして、果して労働三法等の改正におきまして、本当に労働者の味方として彼らの健康なる彼らの生活のすべての面をはつきりと確保するような観点に立つて改正をなされる肚かどうか。これをお伺いしたいと思う次第でございます。  時間ございませんので、次に大蔵大臣に一、二お伺いしたいと思います。現在米麦価格の改訂が問題となつておりますが、これはもはや單なる農業問題にとどまらず、全物価体系、更には賃金体系に大きく関連をしておるものでございまして、当面の問題はパリテイ指数上昇に伴うところの米麦価格値上げの解決でございまするが、従来の算定方式では食管会計赤字九百三十億ということになつております。あなたのほうにおきましては、特別加算額の一五%の削減を考えておられてまして、これによつて三百二十億程度が軽減を当ておるように漏れ承わつております。これは明らかに農民の生産意欲を減退せしめることでございまするし、更には、我々が毎日忘れることのできない国際食糧依存、その依存の率を一日も早く少しでも多く切下げなければならないということが急務である現状と考え合せまして、絶対に賛成はできないのであります。併し一方この赤字を消費者の負担といたしますれば、例えば七月に消費者価格を改訂いたしまするといたしますれば、二九・二%の消費者価格水準の引上げとなります。十一月に引上げるといたしますれば実に五二・六%の引上げとなり、勤労者の生活安定を脅かすことは誠に明らかでございます。従つて一般財政の支出によりまして二重価格制を私たちは維持いたしまして、急激な生活水準の変動を避けることが必要だ。而もこれに伴いまするところの財源は、大衆課税によらず、特需利得税の創設等も考えて頂きたい。こういうふうに自分たちは考えておりまするが、この問題は、労働者の賃金、公務員の給與ベースと不離一体の関係を持つておりまするので、この観点から政府の御方針を特にお伺いいたしたいと思います。  次に民間賃金と公務員の給與水準との落差は、今や余りにも大きくなり過ぎておりまして従つて公務員の給與の改訂は絶対必要となつてつております。でありまするから、政府ではこういう趣旨からだと私は信じまするが、ベース改訂のことを選挙中にも大きく掲げられまするし、又ときどきこの公約もされて参つておりますが、今度は口先だけではなくして実際に合理的な改訂をなされるというお肚のうちだと私たちも御信用申上げる次第でございますが、ところが一方におきましては、政府では公務員の三割程度の首切りの問題すらすでに新聞に発表せらております。この首切りの問題とバース改訂の問題とが果して関連があるものかどうか。これをはつきり御答弁頂きたいのでございます。若しこの二つが関連を密に持つというようなことでありまするならば、まさに重大なことであると、私たちは考える次第であります。又政府はベース改訂を公言する限りは、それに伴う予算につきましてもはつきりとした見通しを持たれての上だと私たちは信じまするので、公約の裏付けにつきまして、大体近き将来補正予算も組まれましようから、そういう見通しも伺いたいと思います。  との手続上の問題は別にいたしまして、政府のとの積極的なベース改訂に対する御方針には心から敬意を表する次第でございまするが、これにつきまして、実施期日の見通しの問題、更には新ベースの水準等につきましては、さぞかし、はつきりとした、又はつきりとしないまでも、大体の御構想、御計画を持つておられるだろうと私たちは信じております。この点をお漏らし頂きたいと思います。現在御存じのごとく、軍拡インフレの余波を受けまして、又その余波を十分に受けない現状におきましても、すでに例えば非民主的に分断された電力会社は、すでに非民主的に電気料金の大幅値上げを国民の前に強制しようとしておりますし、国鉄の赤字は九百億、これでは運賃の値上げは必至であるというような噂も飛んでおります。ただでさえ低賃金に喘いでおる公務員の実情は、これを一日もゆるがせにできない事情に立至つておると私たちは考えております。そして更に十二月のベース改訂につきましては、御承知のごとく科学的な一応体系をなしておるところの人事院のあの案が踏みにじられまして、乱暴な政府案が押し付けられて参りました。ところが今度勤務地手当の問題につきましては、これは逆に人事院の案、あの勧告案は実にいろいろな不合理と矛盾を包蔵しておるのでございまして、これにつきましては、私たちは何とかいち早く合理的な最低限度の修正を期待するものでございまするが、政府はこの勧告案に従いまして、やがて地域給に対しするところの法律案を出されることだと思いまするが、これは一体人事院の勧告通りのものでございましようか。或いは私たちが期待しておるように、合理的に修正をした法律案を出されるおつもりでございましようか。又去る十七旧に勧告されまして以来今日まで未提出のまま二週間以上を経つておる今日、依然としてこの勤務地手当の支給地区の決定に関するところの法律案が出て参らないのは誠に残念でございまするし、これは端的に申しまするならば、昨年八月の給與ベースの改訂に関しまするところの人事院の勧告以来、これに附随いたしました大事な問題として、全公務員が一年間待ちに待つて今日まで来たところの問題でございます。一体この問題につきまして未だに法案が出ないところの理由、又出ないことに対しまして何とか出そうという親心がありましたならば、如何にどういうような努力を傾けられたか。こういうことにつきましても、千葉議員の質問に対します御答弁のごとく、誠に遺憾であるというぼやけた御答弁では、とても承服できないのであります。どうぞ責任のある御報告説明を願いたいと思います。  時間の関係でこれで打切りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣周東英雄君登壇拍手
  53. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 森崎さんの、お尋ねにお答えいたします。殊に総理に対してのお尋ねでありますが、便宜私から代つてお答えを申上げます。  第一の総理に対するお尋ねの要点は、日米経済協力の結果、軍需産業等の協力が主になつて、自立経済ということが脅かされはしないかという要点であります。この点は森崎さんの御心配誠に御同感でありまして、私どももどれを心配し、国民もこれを心配しておりますが、併しマーカツト声明にもありましたように、又政府は絶えずこの点については注意をいたし、連絡をいたしておるのでありまするが、今日まで現われたところ、そういうことは絶対にないと申上げてよろしいと思います。殊に私どもは、経済の自立については、たとえいろいろな形において協力の形が立ちましようとも、日本国民の国内における民需を減らして、そうして国民生活の水準を下げて行くようなことはしないという話でありまするし、私どもも是非そのことはそうあらしめなくてはならないということで努力いたしておりますので、この点は御安心を頂きたいと思います。  第二の点は、私に対しての質問でありますが、日米経済協力の結果、どうしても物価を下げるために合理化が行われるだろう。それに対しては、すべてのしわが労働賃金に及んで、これが圧迫になるんじやないかという御心配でありますが、これに対しても誠に御尤もな御心配でありますが、私どもは今日の場合におきまして労働搾取をいたして行くというつもりはございません。私どもも是非協力の実を挙げるためには、今後日本の輸出せらるべき商品の価格というものは、国際的な価格よりも上廻らないように努力しなければならんということは勿論でありますが、それに対しては、何といたしましても、日本の遅れた設備、機械の能率化、新設ということが問題であります。これに対しましては、特に政府は能率的な機械の購入、設備の新設に対して、見返資金等の融通等によつて、できるだけ早くこれを実現いたしたいと思つておりますが、多少の時間的ズレが起るととは勿論であります。而もこれに対しては、マーカツト声明にありますように、遠い地域からの原材料の輸送ということが船運賃等におきまして非常に影響を受けすますので、速かに東南アジア地区の開発をいたし、そこの資源を開発して原料材料を日本に供給してでき得る限り近い所から運賃の安ものを役立たせるようにしたいということ。この点については先ほど申しましたように、長く我が国経済自立のために支是非近い東南アジア地区の開発については政府は死力を盡す考えでありますので、こういう点はコストの引下げに十分役立つのではないかと思いますし、又差当つての問題といたしましては、国会に協賛を願つておりますニツケルの問題のごとき、これは政府が特殊なものについて輸入を直接いたしまして、これを時価にかまわず拂い下げる、こういうことの法律案の御協賛を願つておりますが、このことも、できるだけ中間的な卸売等のマージンを少くして有効需要者にこれを拂い渡して、価格を下げる一つの現われと御承知を願いたいと思います。  それからもう一つ、対中共貿易に対する方針ということでありますが、これは残念ながら表向き只今とまつております。併しお話のように政治と商売とは違つていると見えまして、香港を通じていろいろな品物が輸出入されております。私どもも今いろいろな関係でとまつておりますけれども、何と申しましても民族同士の間に敵対関係はないはずでありまして、日本といたしましても将来できるだけ早く何とかこの地域における貿易を伸ばすことができればよろしかろうと考えております。  それから今度の協力について発注方針の問題でありますが、これは私ども心配をしておりますので、いろいろの部門々々に、日本にばらばらに注文をされることは困りますので、これはいろいろと申入れておりましたが、今度マーカツト声明にもありますように、アメリカの内部におきましても、陸、海、空、ECAというものの関係におきましての発注の統一を政策的にいたしております。我が国といたしましてもできるだけその線に沿つて、受入れる方面におきましてもできるだけ政策的には統一をいたしまして、そのものから流れ出る個々のものにつきましては、できるだけ発注の迅速を期する上から止むを得ぬと考えております。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇拍手
  54. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) お答え申上げます。  現内閣といたしましては、自由にして民主的な労働運動の助長、殊に労働者のための労働運動の発達発展を希いこそすれ、決してこれを彈圧するなどという意図は毛頭持たないととは、もうしばしば申上げている通りでございます。(拍手)国連経済社会理事会の御決議云々ということで御引用になつて我が国の労働政策が非常に反動的であるかのごとき誤解を持たれておられるようでございますけれども、私どもは国連のその理事会において如何なる決議が行われたかということは、公式にも非公式にも、直接にも間接にも、政府としては何らの通知を受けておらないのみならず、御承知のように、日本の現内閣の労働政策は、極左勢力によるその影響下の労働運動がどうかして労働者のために真に健全化せられることを希つてつておることからいたしましても、さような御決議が行われたとは、実は私はどうしても信じ得ないのでございます。そういう意味からいたしまして、労働関係法の問題につきましても、私としては最も愼重に検討いたしておりますが、特に御指摘の労働基準法の問題につきましては、我が国国民経済の消長が今後国際的信用にかかつて参ります上から申しましても、できるだけ労働條件の国際的水準を、維持して参るということは非常に必要であると信じております。併しながら、又日本の産業形態の実情からもこれを検討する必要があろうかと存じまして、只今検討はいたしておりまするけれども、未だ結論を申上げる時期に至つていないことを御了解願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  55. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申上げます。  御質問の点は米価の問題と公務員の給與引上げの問題でございまするが、米価は予算面につきましては私に関係がございますので、それを中心にお答え申上げたいと思います。米価につきまして問題になつた点は、二十五年産米で行いました特別加算額を置くか置かないか、置くとすればどの程度かという問題が第一。第二に、生産者価格が上つた場合に消費者価格を上げるかという問題であります。  第一の点の特別加算の問題につきましては、御承知の通り、私は従来米価はできるだけ国際価格に鞘寄せするという方針で進んで来たのであります。而して昨年の米価をきめます場合におきまして、パリテイの上昇割合と卸売物価の状況を見まするというと、パリテイが常に卸売物価指数の相当下廻りをいたしておるのであります。そこでパリテイに疑問を持ちまして、少くともパリテイで米価を判定する場合におきましては、卸売物価指数の上昇も加味しなければならぬ。こういう点から、私はあえて特別加算という制度を設けたのであります。然るに今回二十六年産米の米価算定に当りまして、最近の状況では、去年とは逆に、物価指数の上昇よりもパリテイ指数の上昇が非常に多いのであります。常にここ三、四カ月はパリテイのほうが物価指数よりも上廻つてつております。こういうことから考えますると、理論的に言えば、本年は特別加算をやめるべきであり、極端に言えば、やめるべきではなしに、物価指数までおろすべきではないかということも考えられるのであります。併し一旦行なつたことはなかなかやめるのはむずかしうございますので、この加算につきましては只今検討いたしておるのであります。  生産者の米価がどれだけになるかわかりません。財政的に見ますと、生産者の米価が上れば輸入補給金が少くなつて、歳出はそれだけ減るのであります。ここが痛し痒しであります。米価を上げれば農家はお喜びになるし、大蔵当局は輸入補給金が減るので非常に楽なのでありますが、消費者価格が上つて参ります。而して消費者価格は食管会計の費用だけを加えて参りますると相当上るのであります。殊にこの夏の麦の値が上つて来る、米が上つて来ます場合におきまして、消費者価格を上げることが一月遅れますと、月に五十億赤字が出ます。七月から上げる、十一月から上げるという議論がございますが、我々は只今十月頃から上げたらどうかという考えを持つております。そういう場合におきまして、七月から上げる場合に、損をどの消費者価格に持つて行くかという問題があるのであります。これは相当な額になります。こういう点を考えまして生産者価格と消費者価格をきめ、而もできるだけ財政に影響を及ぼさないように、即ち財政から出して行くということになりますると、今問題になつておる減税に影響をいたしますし、公務員の給與引上げに影響いたしますので、減税とか或いは公務員の給與の問題、一般財政経済にできるだけ影響の少いような点を見付けようというので、農林大臣、安本長官と相談申上げておるところであります。而して財政負担を緩和するために増税をしたらどうか、臨時利得税的のものを設けたらどうかというお話でありまするが、私はまだアメリカなんかでやつておりまする臨時利得税、特別超過所得税等を日本で行うことは早過ぎる。又日本の経済の基盤を強くする上から見まして臨時利得税等の非常特別増税はやりたくないと考えておるのであります。  次に公務員の給與改訂につきましては、口先だけではございません。米価の問題が上れば、当然公務員の給與も引上げなければなりません。殊に又米価の問題がなくても、公務員は一般労務者に比べて非常に給與が低いのでございまするから、これは何をおいてもできるだけ早い機会に引上げなければならぬ。その程度につきましては、いろいろな歳出と考え合せまして、できるだけたくさん上げるように努力いたしておるのであります。(拍手)    〔政府委員岡崎勝男君登壇拍手
  56. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 公務員のベース引上げにつきましては只今大蔵大臣から申上げた通りでありますが、これについては人事院も研究中のことと思いまするが、政府としてもいろいろ資料を収集して研究はいたしております。まだ新べースとか或いは実施期日を申上げる段階には達しておりません。地域給につきましては政府は先の人事院の勧告をそのまま受入れることといたしまして、これを法律案として国会に提出する心組みであつたのであります。併しながら、残念ながら未だ関係方面との折衝が完了しておりませんために、只今のところ法律案を一提出する運びに至つておらないのであります。今後できるだけ速かに実施しようと、只今努力中であります。(拍手)      ——————————    〔カニエ邦彦君発言の許可を求む〕
  57. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) カニエ君。
  58. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 私は、この際、綱紀粛正に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  59. 千葉信

    ○千葉信君 私は只今のカニエ君の動議に賛成いたします。
  60. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) カニエ君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。カニエ邦彦君。    〔カニエ邦彦君登壇拍手
  62. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 私は日本社会党を代表いたしまして、綱紀粛正に関する質問をいたすものであります。  第一次吉田内閣成立以来、自由党内閣が一枚看板として来たものは綱紀粛正であつたのであります。吉田首相は、この議場においてもしばしば吉田内閣の第一に取上げることは綱紀粛正であり、断乎たる決意の下にこれを行うということを言明して来たのであります。特に現内閣の閣僚の決定に当りましても、この問題に留意して、種々のスキヤンダルに関係ないと見られる清廉な人を選定したと聞いているのであります。綱紀粛正は国民のひとしく望むところであり、如何なる内閣がこれを実行しようとも、勿論異議のあるはずはありません。併しながらそれが單なる空文に終るどころか、逆に綱紀を紊乱し、吏道地に落ちるに至りましては明らかに国民を、愚弄するものであり、而も吉田内閣成立の根本精神が失われたものとして、重大な政治的責任を負わねばならないと思うのであります。(拍手)  では如何なる綱紀紊乱の事実があつたか。先ず第一には、薪炭特別会計のあの空気木炭であるとか冷凍木炭事件によるところの五十余億円の赤字の補償であります。次いで食管特別会計におけるところの輸送費その他の濫費であります。更には各種公団の廃止に当つて行われましたところの火事泥的な横領その他の極無行為により、国に厖大な損害を與えた問題であります。かような国費の濫費の中には、政府が頭をよく冷やして考えなければならない重大問題が潜んでいると思うのであります。(「頭をよく冷やせ」「自由党は公団の精算に反対か」と呼ぶ者あり)それは生活に喘ぐところの労働者、農民、中小企業者に対しては、自殺者が続出するまでも苛酷な徴税をあえてする政府が、一方ではこれらの人々の血と汗の固まりであるこの税金を、湯水のように或いは浪費し、或いは横領しているということであります。而もかかる目に余る破廉恥的な事件が続出しているのにもかかわらず、政府はこれに処するに、臭い物に蓋をするような態度を以て臨んでいることは、誠に遺憾に堪えないのであります。そのほか問題は山積しております。昨年度、自由党政府関係したと見られているところの事件だけでも、五井産業事件、小滝炭鉱事件、競輪続行に関するスキヤンダル、日発分断に関するところのスキヤンダル、四つも大きなものがあります。五井産業事件は、御承知の通り吉田首相及び現建設大臣であり自由党の新幹事長である増田甲子七氏らが関係し、その裏には特高グループの暗躍までもあるという複雑怪奇なる事件であつたが、これはいつの間にか、うやむやに消してしまわれ、又小滝炭鉱に対する不正融資問題では、当時の殖田法務総裁が関係したのでありますが、衆議院の考査特別委員会で爼上に乗せて、ほんのちよつと触れただけで、そうしてはつきりとしたところの線が出ているにもかかわりませず、これ又尻切れトンボとなつたのであります。(「国会議員が惡いのだ」と呼ぶ者あり)競輪の問題に至つては單なる噂として葬り去られてしまつたのであります。これのみではございません。あの日発の大疑獄でさえも、調査不十分であるという、本当にお役目的証人喚問によつて、事件の鍵を握るというふうなところの重要な人物の喚問もせずに、そうしてお茶を濁して、泰山鳴動して鼠一匹出ずと、うそぶき、その間隙を縫つて、遂に強引に電力を九分断するという暴挙をあえてしたのであります。これのみではありません。最近では、桜木町国電不祥事件のその後の処置は一体どうなつたのか。又海上保安庁の事件は泥沼の様相を呈して、今なお続々と検挙されつつあるのであります。そうして豚箱の増設をしなければならないとさえ言われておるのであります。少くとも海上保安の任に当るところの役所の高給官僚が、自分のふところを肥やすのみに専念するというに至つては、何をか言わんやであります。この問題は、更に保安庁内部の旧軍人グループ、旧逓信官僚等の醜い争いと、帝国海軍再建の運動にも連なるものであると言われているものであります。これは重大なる問題として、綱紀粛正の見地から徹底的に究明することを要求するものであります。(拍手)このような例を挙げて見ますると、恐らく二日や三日しやべり続けても盡きるものではないと私は思うのであります。  私は綱紀紊乱の代表的ケースとして、第十回国会以来愼重審議されて来た現法務総裁大橋武夫君をめぐるところの二重煙突事件を取上げ、これに徹底的にメスを入れることを要求するものであります。いわゆる二重煙突事件といわれる特調をめぐるところの不正事件は、御承知のように、昨年の十一月以来八カ月に亘つて愼重審議を重ねて来た結果、特調伏魔殿の乱脈な経理と、これに関連するところの大橋法務総裁等の構領僞証容疑の事実ありとして、次のようなるところの結論を出したのであります。  特別の前身であるところの戰災復興院が、二重煙突二十五万フイートを受注能力のない足利板金に随意契約で発注しているが、(「それは片山内閣だ」と呼ぶ者あり)はつきりしているか……。足利工業の二重煙突納入は著しく退廷し、この間一旦キヤンセルになつたが、当局では使用実績のないものを(「責任者はだれか」「片山哲どうした」と呼ぶ者あり)強引に継続製作せしめ、而も現品の検收に当つては納入しない数量をも含めて納入したことにし、二千数百万円の過拂いを生じたのであります。而もこの過拂金の支拂に当つては、同社高橋專務は大橋武夫氏を通じて働きかけた形跡がある。(「身のほどを知れ」と呼ぶ者あり)その後、その過拂いが発見されるや、特調では、同社田中社長、高橋專務を招致いたしまして、この過拂代金の(「社会党内閣はどうした」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)返納方を図つて来たが、返納は遅々として進まず、二十六年四月までに七百余万円を回收したに過ぎず、なお千五百万円を残しておるのであります。この返納遅延の理由は種々あるが、この返納に関係した足利工業の顧問であつた大橋武夫氏のとつた処置も相当重要なる一因となつておるのであります。先ず大橋氏の関係したと思われるところの主なる問題は、自動車の処分と株券の処分の金百数数十万円を、当然特調に納入すべきであるものを入しなかつたことである。而もこの問題について大橋氏は僞証の疑いが濃厚であり、その法律的、道義的、政治的責任は重大であると思うのであります。(「それは勝手な解釈だ」と呼ぶ者あり)このように、吉田内閣の枢要なる地位にある国務大臣として、而も綱紀粛正の総元締である現職法務総裁の大橋武夫氏が、国会においては僞証をなし、更に又横領罪、(「何が横領罪だ」と呼ぶ者あり)政治資金規正令違反、税法違反等の重大なる罪状を持つとの疑惑を持たるるに至つては、言語道断と言うほかはないのであります。(拍手)    〔副議長退席、議長着席〕  仮にこれらの事柄が刑法上有罪になるか無罪になるかは別といたしまして、(「そういう無責任なことを言うんじやない」と呼ぶ者あり)道義的責任は逃れられないと思うのであります。(「証拠がないじやないか」「うるさい」と呼ぶ者あり)かような容疑を持ちつつ、一国の国務大臣として、而も法を司る法務総裁の地位に今なおとどまるところに、(「恥を知れ」と呼ぶ者あり)上が上であれば下これに見倣うというところのゆえんが存するのであります。(拍手、「恥を知れ片山内閣」と呼ぶ者あり)このような事実は、国民をしてますます法の尊嚴を疑い、違法の精神を沒却する因を作るものとして、その理非を徹底的に究明して国民の前に明らかにしなければならないのであります。我が党は勤労大衆を代表いたしまして、かかる事態を惹起したところの吉田反動内閣に対しては、その責任を見逃すことはでき得ないのであります。(拍手)かかる見地よりいたしまして、吉田首相のこれに対する所見、これに対する処置について、又その他の事件につきましてはそれぞれ主管大臣の所見を伺い、(「片山内閣の責任はどうした」と呼ぶ者あり)今後は一銭たりとも国民の血税がかように濫費されないよう、現吉田内閣に対し特に綱紀粛正を強く要求するものであります。(拍手)    〔国務大臣山崎猛君登壇拍手
  63. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お答えいたします。私に対しては海上保安庁の点と桜木町駅構内における国鉄電車火災事件について御指摘があつたのであります。  今回の海上保安庁の不祥なる事件に対しましては、私としては誠に遺憾であり、恐縮に堪えないと考えておるのであります。(「木村さん、どうしたい」「片山内閣どうした」と呼ぶ者あり)而して海上保安庁創設の特殊の使命から考えて参ります場合には、実に怪しからんことを起したものだと憤慨をいたしておるような次第であります。今回のこの事件を契機として、海上保安庁全職員に対して綱紀の粛正を強く要請しまして、特に最たる者は率先垂範すべきことを要望し、その徹底を期しておるような次第であります。海上保安庁は申上げるまでもなく極く新らしい役所でありまして、従つて各方面から系統の異なつた人を集めており、その素質などを吟味いたして見ますれば、必ずしも優秀という者ばかりではないのであり、殊に急激な膨脹をいたして参るつた関係などからして、統率上には種々困難な点があつたのが実情であります。併しながら、それにもかかわらず、綱紀の弛緩は断じて許すことはできないのでありますから、今回は部内に大奥勤を行いまして、人事を刷新し、体制を整えつつある次第であります。特に先月の二十三日には、その異動について、未だ赴任、着任せざる間であつたのでありましたけれども、全保安本部長を招集しまして、嚴重なる訓示を與え、長官以下首脳部一同も綱紀の粛正につきましては固く誓い合つて、下部末端までこの趣意を徹底するということに心構えを定めたような次第であります。更に監察制度のごときも、米国のコースト・ガードの例に倣いまして、これを設けて、再び過まちの起らないことを期しておるような次第なのであります。申上げるまでもなく、不正事件に関係しました職員につきましては、目下司直の手にあるのでありますから、ここに言及を差控えるのでありますが、司直の取調べと並行をしまして嚴重なる処置を講じたいと考えておる次第であります。  更に、桜木町駅構内における国鉄電車の火災事件につきましては、先般もこの議場において事情を御報告申上げて置いたのでありますが、その後、事故の責任については、まだ司法当局の決定も見ていない今日でありますから、運輸大臣といたしまして、ここに結論を申上げるわけには参りかねますけれども、今日まで、運輸当局、国有鉄道当局、それらにおいてそれぞれの角度より研究もいたしておる次第でありますが、この過まちの原因が、列車防護の連絡、火災発生後の救い出しの処置というようなことについて十分この上の調査をして、将来の安全を期せなければならないという狙いを付けておるような次第なのであります。これらの点につきましては、平素の従事員の心構え及び指導者の教養訓練というようなものが根本でありまして、事故発生後において、従事員の中からの自発的に将来事故絶滅運動をしなければならぬというような気運も盛り上つており、国鉄当局におきましても安全委員会を設置して、災害を再びせざらんことを期しておるような次第であります。(拍手)    〔政府委員岡崎勝男君登壇
  64. 岡崎勝男

    政府委員(岡崎勝男君) 只今綱紀粛正につきまして、だんだんのお話がありましたが、政府としてもその根本方針については全くカニエさんと同感であります。それで、いろいろ言われた中でまだ事実と確定していないものもありまするが、中には事実であるものも無論あるのであります。政府としては勿論臭いものに蓋をするような考えは毫もありませんので、疑いのあるところは徹底的に取調べるつもりであります。但し公団とかその他の薪炭特別会計とか、こういう点につきましては、制度そのものも、ややもすれば関係者を誘惑するような傾きもあるのでありますので、政府としてはできるだけ速かにこういうものを廃止する方向に向つて来たのは御承知の通りであります。なお疑いのある点を徹底的に調査し、嚴重なる処分もいたすことはこれは勿論でありまするが、同時に、濫りに清廉の人に疑いをかけてその人の信用を故意に失堕するような措置は、これは当然避けなければならぬと考えて、愼重にいたしております。(拍手)      ——————————
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、日本国有鉄道貨物輸送力整備増強に関する決議案高木正夫君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本決議案につきましては高木正夫君外十四名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕
  66. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。高木正夫君。    〔高木正夫登壇拍手
  67. 高木正夫

    高木正夫君 只今上程になりました日本国有鉄道貨物輸送力整備増強に関する決議案につきまして、その趣旨を極く簡單に申上げたいと存じます。  先ず決議案を朗読いたします。    日本国有鉄道貨物輸送力整備増強に関する決議   日本国有鉄道はわが国陸運の根幹をなし、その輸送の良否はわが国産業経済に至大なる関係を有する。最近日本国有鉄道に対する輸送要請は増大の一途をたどりつつあり、このすう勢はわが国自立経済達成の道程においてますます強く現われるものと認める。然るに日本国有鉄道は未だ充分復興の域に達せず、激増する輸送要請に対し輸送力これに伴わず、各地に滞貨を生じつつある状況であり、これがため、荷主の損害はもとより国民経済の全般に及ぼす影響頗る大なるものがあると認める。   よつて政府は速やかに日本国有鉄道の貨車の新造その他輸送力の整備増強並びにこれに関する資金の確保等必要な諸方策を実施し、わが国の産業経済の発達に遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  昭和二十五年度の鉄道貨物輸送実績は、関係各方両の御努力によりまして、一億三千六百万トンという終戰後最高の成績を收め得たのであります。このことは、鉄道貨物の輸送というものは、あらゆる物資流通の手段といたしまして経済再建の根本的基盤であるのみならず、同時に国民全体の消費生活に直結いたしまして重大なる影響を及ぼすものであるという観点からいたしまして、誠に国家国民のために御同慶の至りに堪えない次第であります。併しながら、以上の実績を見たからと申しまして、私どもは決してこれに満足していないのであります。否、すべきでないとさえ私は思うのであります、なぜかなれば、これは朝鮮動乱を契機とする特需及び特需誘発物資の増加、或いは各種統制撤廃その他によりまして漸次強調を示して来ておりますところの貨物輸送要請に常に応じ切れないのでありまして、駅頭夥しき滯貨を見るに至つておるからであります。而もその滯貨は月を逐うて増加の一途を辿つておるのでありまして、即ち昨年の八月には一日平均五十五万トン、十月には百三十万トン、十二月には百五十万トン、二月には百八十万トンでありまして、これは一日平均のことでありまするが、実際は日によつては二百万トンを突破する日もあるのであります。過日の新聞紙におきましても、最近は二百五十万トンと称しておる次第であるのでありまして、かかることは貨物輸送上誠に由々しい問題であるのでありまして、真に私は憂慮に堪えない次第であるのであります。以上申上げました厖大な滯貨のために、貨物が発送されないで駅頭で放置せられているところの日数がだんだんと増して参つておるのでありまして、甚だしいのは、田舎のほうに参りますと三十日にも及ぶことがあるのであります。この駅頭で貨車を待つておる二百万トンという夥しい貨物の価格は一体どのくらいするものかということを調べて見ましたが、もとより詳しい計算はできませんが、昭和二十二年の六月の調査による貨物全体の数量を以ちましてその当時の貨物全体の価格を割つて見ましたその平均価格に対して、本年の三月の物価指数を掛けましたものが大体一トン五万三千六百円ということになるのでありまして、或いはこれを仮に五万円といたしましても、二百万トン滯貨いたしますると、駅頭で実に一千億円という金が寝ておるということになるのでありまして、この金利だけでも相当の額に上りますし、單に便利が惡いというような簡單な問題ではないのでありまして、金融上多大の支障となり、又取引の円滑を欠くこと甚だしいのでありまして、更に物資生産上多大の障害を與うることとなりまして、延いてはインフレの素因ともなり、国民の消費生活にも重大なる惡影響を及ぼす結果となると存ずるのであります。私の手許に参つておりまする関西方面からの陳情書を見ましても、約三百五十という有力会社の署名があるのでありますが、これは全国的に見まするというと、恐らく数千或いは万余の有力会社並びに商社がそのために非常な苦痛を受けておると存ずるのでありまして、更に声なき各種業者並びに荷主のこの苦痛というものは一層大きなものがあるということを想像するにかたくないのであります。  以上は現在までの実情でありまするが、将来の見通しにつきましては、我が国の自立経済は万難を排してもこれは達成しなければならないし、又更に日米経済協力の実施もあることであるのでありまして、我が国の生産は飛躍的に増加せねばならぬ関係からいたしまして、輸送の要請は更に更に強くなることは恐らく何びとも疑わないところでありまして、各方面の専門家の調査を総合いたして見まするというと、二十六年度においては少くとも一億四千六百万トン、今までよりは約一千万トン多いわけになります。二十七年度は一億五千二百万トンを下らないだろうと、こう言われておるのであります。右のような実情からいたしまして、国有鉄道のみならず、政府当局においては、この際、従来のごときお茶を濁すような程度の弥縫策ではなくて、思い切つた処置をこの際とらなければ、折角軌道に乗りましたところの我が国の経済が再び後退するようなことにならぬとも限らないと思うのであります。然らば貨物輸送増強策如何ということになりまするが、我が国国有鉄道は近来著しき、皆さん御承知の通りに、復興振りを見せておるのでありまするが、まだ線路その他の施設等の増設とか、改良とか、不十分な点が多多あるのでありますが、差当りこの目前に開陳されましたところの、この難関を突破するということが最も大事なことであるのであります。それには、手取り早い解決策といたしましては急速に貨車の増強をするほかないと信ずるのであります。  そこで御参考までに現在国有鉄道の貨車状況を簡單に申上げますならば、現に動かし得る、稼働し得る貨車数は約九万四千両でありますが、その中に車齢が三十年を超えたものが約二万両もあるのであります。中には五十年以上のものさえあるのであります。で、列車の運転上多大の危險を感ずるものであるのでありまして、かかる状態に放置いたしておきまして戰慄すべき重大な事故が惹起しないと誰が保証できるでありましよう。  以上申上げました輸送要請並びに貨車状況からいたしまして、政府並びに国有鉄道においては、議員各位の御協力を得まして、二十六年度におきまして四千六百両を新造する計画を立てたのでありまするが、これは昨年の七月の物価ベースによつて計画せられたために、その後の物価、特に材料資材の値上りのために、約二千六百両しか新造できないのであります。一方、殆んどこれと同数の老朽車を廃止しなければならぬ実情でありまするから、これではちつともプラスにはならないのでありまして、国有鉄道ではいろいろ困られて、非常な苦心の下にやりくり算段をして、僅かに千二百両を追加新造しようと思つて、目下のところ、もがいておるような様子でありますが、こんなことでは燒石に水であり、九牛の一毛であり、誠に心細いことであると思うのでありまして、ひとり国有鉄道に任せつ放しにせず、政府として急速に手を打つべき段階であると私は痛感いたす次第であるのであります。論者の中には、或いはいま少しこの貨車の使用効率をよくしたらいいんじやないかとおつしやるかたもあると思うのであります。即ちこの配車技術、各駅に車を配る配車技術の向上を図るとか、或いは貨車の停留時間を短縮するとか、或いは又貨物列車の引き不足のないようにするとか、いま少し創意工夫をこらしてはどうかということであります。成るほどこれは御尤もなことでありまするが、是非又やつて行かなければならぬことでありまするが、元来我が国の配車技術その他は、者から幸か不幸か貧乏国のいわゆるやりくり上手ということでありまして、世界各国でもその比を見ない使用効率を挙げておるのでありまして、最近では特にその限界点に達しておるとさえ言われておるのであります。或いは又次の論者は、他の輸送機関、自動車輸送或いは海運のほうに転嫁したらどうかということもあるのでありまするが、これは一応思いつきの議論としては誠に結構であろうと思うのでありまするが、実際はなかなかそう転嫁はできないのであります。先ず自動車輸送では、何分にもその單位が甚だ小さいのでありまして、これを転嫁するには莫大なる自動車数を要することになりまして、到底急速なる増加は望み得ないのみならず、現在のこの我が国の道路の状態では又一つの大きな隘路となるわけであります。又海運転移の問題でありまするが、これも又荷物の性質の関係、即ち海運に転嫁し得ない貨物もあるのであります。又只今のような自由経済では、運賃の関係がありまするし、地理的の関係から、港湾荷役その他小運送の関係等いろいろ勘案いたしますると、なかなかしかし簡單に行くものではないのであります。畢竟いろいろのことが考えられまするが、いろいろ考えて、結局貨車新造の一途あるのみとの結論に達するのであります。  以上によりまして貨車急速増備の必要性を御認識頂いたと存じまするが、然らば一体何ほどそれでは車を造つたらいいかということになりまするが、これは一万両でも一万五千両でも、多いほど結構であります。と申しますのは、多いほど、多く老朽車を廃車することができるからであるのであります。併し目下の我が国並びに国鉄の財政から考えまして、到底多くを望みますことは無理な話と存じまするが、運輸省或いは国有鉄道、貨物協会等の調査研究をいろいろ総合いたしまして、本年度少くとも六千両を縄対増備せねばならぬ。同時にこれを実施するためには、至急財政的処置を講ぜなければならぬ。こういう結論に達したのであります。若し然らざれば我が国経済再建に支障を来たすのみならず、輸送上いわゆる瘤というものをこしらえまして、ひとり貨物輸送のみならず旅客輸送の大混乱を来たし、取返しの付かぬ莫大なる国家的損害を生ずる虞れなしとしないのであります。  以上を以ちまして、貨車新造の必要を掻い摘んで申上げたのでありますが、新造するにも相当の日時がかかりまするから、この際成るたけ早い機会におきまして、補正予算等の財政的措置を講ずるか、或いは又国会の御承認を得ているところの鉄道債券発行を実行に移すための政令、これはまだ出ておりません、政令さえ出せばできることになつているのでありまするが、この政令を出すか、いずれか早い方法によりまして、荏苒日を送ることなく急速にこれが整備充足を図られんことを、私どもは同感同憂の士と共に政府に対して切に切に希望する次第であるのでありまして、又議員各位におかれましても以上の事情をよく御賢察頂きまして、何とぞ本提案に対しまして満場一致を以て御賛同賜わらんことを切にお願い申上げまして、私の提案理由説明を終りたいと存じます。有難うございました。(拍手
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて決議案は可決せられました。  只今の決議に対し運輸大臣より発言を求められました。山崎運輸大臣。    〔国務大臣山崎猛君登壇拍手
  70. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 只今日本国有鉄道の輸送力の増強に関しまして、誠に時宜を得た適切な御決議がありましたが、鉄道輸送力増強の必要性は御趣旨通りでありまして、政府といたしましても、我が国産業経済発展の上から是非ともこの輸送を完遂すべく、車両の増備、要員の確保、施設の増強、電化の促進等、各般の措置を強力に推し進めなければならないと考え、すでに種々具体策を検討中であるのでございます。併しこれがためには相当の予算、資金を必要とするのでありまして、この点につきましても種々研究中であります。更に陸海の輸送分野につきましても、本来海送によるべきものが陸送に転移されているものを見受けられる実情に鑑みまして、適宜合理的な調整を図りたいと考えております。  以上只今の御討議に対しまして政府の所信を述べた次第でありますが、国会におかれまして今後とも御支援を頂きたいと考える次第であります。(拍手)      ——————————
  71. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、現業職員の特別俸給表制定に関する決議案(千葉信君外十名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。本決議案につきましては千葉信君外十名より本委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。千葉信君。    〔千葉信君登壇拍手
  74. 千葉信

    ○千葉信君 私は只今上程せられました現業職員の特別俸給表制定に関する各派共同提出決議案提案理由を御説明申上げます。  先ず案文を朗読いたします。    現業職員の特別俸給表制定に関する決議案   郵政、電通、厚生、建設、農林等の現業職員は、現在一般職員と同一の俸給表を適用せられているが、現業は多く晝夜を分たず運行せらるる複雑な職務であり、且つ特殊の技能の習熟を要するため、職員が永く同一職務に従事することが必要である。   然るに現行制度は右特殊性に合致しないばかりでなく、同一職務に永く留まると級の昇格をしない限り給料が頭打ちとなり、現に郵政、電通等はその該当者が職員の二七%にも達し、志気及び勤労意欲を著しくそそうしつつあり、事業の効率に大きな惡影響をもたらす虞があるのは、まことに寒心に堪えない。依つて本院はこの際、現業職員に対しては他の一般職と異なる特別俸給表を制定し速かにこれが実施を図るよう特に政府要望するものである。   右決議する。  本決議案提案理由として、次の三点を私は強調したいのであります。  先ず第一の理由は、現在、郵政、電通、厚生、農林、建設等の現業職員は、一般職に属する公務員として、一般俸給表の適用を受けておりまするけれども、本来は、その職務の状態からすれば、むしろ公共企業体職員との均衡上から考慮されて然るべきであるにかかわらず、他の一般行政職と同じ枠内に扱われておるために、いろいろの不利益、不都合を生じておる。而も同じ一般職である警察、税務等は、特別俸給表による待遇を與えられており、何としてもこれらの現業職員に対しては片手落のそしりを免れないと言わざるを得ないのであります。  理由の第二は、私ども人事委員会の調査によりますれば、公務員の一般的な中堅と言われる七級職の職員を調べて見まするに、一般事務官庁にあつては、その年齢構成は二十八歳乃至二十九歳でありまするが、現業である郵政、電気通信等の場合には、三十五歳乃至三十六歳の者が大多数を占めておる。そうしてその勤続年数は、前者は八年乃至九年であるのに、後者は十七年平均である。勿論この差別は一方は、大学、高專等を出ておるという事情、一方は、小、中学校卒業が大多数を占めておるという学歴がこの現象を生んだ大きな原因でもありまするが、何としても現在の職務の級の格付基準が、主として一般事務官庁の実情に即応せしむる考慮に囚われ過ぎて、学歴の高い者のみ有利な結果を生じておるのでありまして、このために殆んど專門的な知識技能を必要とする通信現業等の職員が永年に亘つて同一職種の職務に従事しなければならない事実を考慮しまするならば、明らかに学歴偏重のこの方針は、郵政或いは電通、厚生等にあつて例外の措置が必要になるゆえんでございます。而も專門的職種に従事しておることから起つて来る最も大きな不利な條件は、長く同一職務に勤続しておるために、職務の級の定員数がいつでも溢れて、頭がつかえる。つまり俸給の頭打ちの現象が特に多くなるということであります。各級ごとの幅の狭い一般俸給表で資格條件を押えられるために、職務の級が上らない限り何年でも昇給を押えられる。この頭打ちの憂き目を見て昇給をいつまでも押えられておる人員は、郵政の場合には総人員の二割五分、六万三千四百八人、電通の場合には総人員の三割、四万二千六百六十一人、計十万六千六十九人が、幾ら働いても昇給は一切見送り、指をくわえて同僚や他官庁の昇給を眺めていなければならないという実情であります。これで現業事務の能率化を口にする者がありましたらナンセンスであります。これらことごとくが一般俸給表を現業官庁に押付けておることから起る矛盾と不合理の結論であります。  理由の第三といたしましては、一般事務官庁における職員の格付けの要素は、主として、第一に職務の複雑困難性を評価する基準として、その職務遂行に必要とされる学歴経験等の一般的な素質、第二に責任の度合を評価する基準として、管理者又は監真者としての責任の二点を取上げて、これにより職務の級がきめられております。然るに郵政、電通現業職員等の場合、殊に電信作業に従事する者等にありましては、直接通信内容の伝達に関與し、複雑微妙な機器と符号とを駆使してこれに当る困難な精神労働でありまするが故に、労務者としての個人責任、労働の強度と不規則、作業環境という点も格付けの重要な要素として考慮されなければならず、又現業管理者にありましては一般行政的な監督責任のほかに、企業の経営責任分担者としての責任、労務管理上の困難性などを考慮する必要があるのであります。  これら現業特有の諸要素は当然本俸に加味されるべきものでありまするけれども、現在は僅かに零細な特殊勤務手当で若干考慮されているに過ぎない実情でありまして、この点は給與の本質に鑑みても、このまま教員さるべきものではなく、現実は即した俸給表を制定する必要がありまするけれども、以上の要素は現業職員の場合だけに限られるものであるから、一般俸給表における格付の要素として取上げるよりは、むしろ特別俸給表を以て考慮することが最も妥当であることは議論の余地がないのであります。  以上の諸点から、この際、政府としては、特に人事院当局の良識ある措置によつて、郵政、電通を主とする現業職員に対して特別俸給表の設定を一日も早く実現せられることを望むものであります。  最後に一言したいことは、その作業の状態から言いましても、いつになるか見通しの立たない職階制度或いは給與準則への切替を理由として、問題をすりかえるがごときことをやめて、現下必至の情勢にあるところの給與ベースの引上げに際して、すなおにこの決議に従わんことを特に政府要望いたしまして、私の提案理由説明を終るものであります。  何とぞ満堂の御賛成をお願いする次第でございます。(拍手
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  77. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事に報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日議員油井賢太郎君外十二名から委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。  国民金融公庫の拡充強化に関する決議案 本日委員長から左の報告書を提出した。  農林物資規格法の一部を改正する法律案可決報告書  モーターボート競走法案可決報告書  北上川開発法案可決報告書  戰傷病者等対策審議会設置法案可決報告書  電話設備費負担臨時措置法案可決報告書  植物防疫法の一部を改正する法律案可決報告書  司法書士法の一部を改正する法律案修正議決報告書      ——————————
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国民金融公庫の拡充強化に関する決議案(油井賢太郎君外十二名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては油井賢太郎君外十二名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。油井賢太郎君。    〔油井賢太郎君登壇拍手
  81. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今議題となりました国民金融公庫の拡充強化に関する各派共同提案決議案につきまして、その提案趣旨を御説明申上げます。  先ず決議案の全文を朗読いたします。    国民金融公庫の拡充強化に関する決議   零細事業資金が極度にひつ迫している現下の状況にかんがみ、本院は、政府が、国民金融公庫の機能を拡充強化するため、すみやかに次の措置をとり、もつて国民大衆の生活の安定を期すべきことを強く要望する。  一、公庫の資本金を五十億円増加し、貸出資金の充実を図ること。  二、公庫に対し資金運用部等からの借入の途をひらくこと。  三、公庫の役職員の国家公務員たる身分制限を撤廃し、勤務條件の改善等により事務能率の向上を図ること。   右決議する。  以上が決議案の全文でありますが、以下その内容について御説明申上げます。  御承知のごとく、国民金融公庫は、国家資金を以て国民大衆のために零細な事業資金の融通を行う特殊金融機関でありまして、開設以来本年三月末までの一年十カ月間における普通貸付の実績は六万二千件、実に五十三億二千万円に達しており、その業績は途次上りつつあるのであります。併しながら小規模零細事業における金融の逼迫は御承知の通り極めて深刻であり、右の貸出実勢に対し同期間の借入申込額は約三百億円に上つており、貸出の比率は大体二割程度に過ぎない状況であります。本年度におきます公庫の資金計画によりますと、貸付金額は年間五十億円、月平均にいたしまして約四億両でありますが、毎月平均借入申込の金額の実績が大体二十億円に達し、そのうち貸付適格と認められる借入申込金額は約八億円でありまして、現在の資金計画のままで参りますならば、貸付適格と認められる借入申込者の半分にも達しない状態になつておるのであります。  このような事態は、中小企業の擁護と国民大衆の生活安定のため、到底このまま放置できないところであります。つきましては、この貸付資金の不足額五十億円を充足いたしますため、速かに公庫の資本金を五十億可だけ増加し、全国中小企業者の心からなる要望を満たすべきことを痛感するのであります。これが決議案の第一点であります。  第二点といたしましては、本年度における公庫の借入金につきましては、更生資金の貸付のために一般会計から三億円の借入が認められているばかりでありまして、普通小口貸付資金のための借入金は全然許されておらないのであります。併しながら只今申上げましたように、中小企業金融の実情から考えますというと、資本金の増加と共に借入金による資金の充実がこれ又必要となつて参るのでありまして、これがため資金運用部資金等の借入の途を開くべきであると存ずるのであります。  第三点といたしましては、公庫の事務能率を高めまして、その機能の強化を図りますため、公庫の役職員の国家公務員たる身分を廃止することを要望いたす次第であります。現在公庫の役職員の身分は国家公務員とされ、その給與は、一割の特別手当を除きましては、一般職の国家公務員と全く同一であり、又国家公務員にあります恩給制度も適用されておりません。更に旅費につきましても国家公務員と同様でありますため、貸出調査及び貸付金の回收のための勤務地内出張の場合も、一律に八十円の日当しか支給されません。このように、公庫の職員の職務の特殊性を無視いたしまして、国家公務員の一律の身分取扱をいたしておりますため、種々の不合理な結果を生じ、事務能率を著しく阻害しておる実情であります。このような現状を根本的に改善いたしますためには、公庫の役職員の身分を国家公務員から外して、公庫予算の範囲内で、その職務の内容と責任とに応じ、民間の給與その他の條件を考慮して適当な給與及び旅費を支給し得ることとする必要があると考えるのであります。  以上三点の実現につきまして政府の積極的な努力を強く要望する次第であります。  何とぞ中小企業の維持振興国民大衆生活の安定擁護のため、この決議案に御賛成あらんことを切にお願い申上げまして、提案趣旨説明を終ります。
  82. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案全会一致を以て可決せられました      ——————————
  84. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第八、税理士法案衆議院提出)、日程第九、商法の一部を改正する法律施行に伴う銀行法等金融関係法律整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長小串清一君。    〔小串清一君登壇拍手
  86. 小串清一

    ○小串清一君 只今議題となりました税理士法案の大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  現行の税務代理士法は昭和十七年に制定せられたものでありまして、税務代理士は、所得税、法人税等の租税に関し納税者の代理等の業務を行なつて参つたのでありますが、租税制度に根本的な改正を見、申告納税制度及び青色申告制度等が実施せられまして、税務代理士の職責がますます重加して参りましたので、その素質の向上を図る必要が強く要請せられているのであります。本案はこの要請に基きまして、現行税務代理士法を廃止し、新たに税理士法を制定するものでありまして、試験制度及び登録制度を採用して、人格及び能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務に当り、納税者の信頼と国民の期待とに応えて、租税負担の適正化を図りつつ申告制度の適切な発展に資せしめようとするものであります。  以下本案の概要を申上げますと、第一に税理士の業務の範囲を定めたことであります。即ち現行税務代理士法では、税務代理士の取扱う業務の範囲は、所得税、法人税等の国税の税務代理及び税務書類の作成並びに税務相談となつておりますが、この法律では、更にこのほかに、市町村民税、附加価値税等の地方税に関する事務をも取扱うこととせられております。  第二に税理士の資格を定めたことであります。即ち現行税務代理士法で税務代理士となる資格を有するものとせられておる弁護士及び公認会計士は、この法律でも税理士となる資格を有するものとせられておりますが、それ以外の者は、税理士試験に合格した者、及び税理士試験における全科目の試験の免除を受けた者であつて、税務又は会計事務に二年以上の経験を有する者に限られることとなつております。併し無能力者、刑罰又は懲戒処分を受けてから一定の年数を経過しない等の者は税理士の資格がないこととせられております。  第二に税理士試験を行うこととしたことであります。即ち、新制大学卒業者、税務又は会計事務に一定の年数以上の経験を有する者、その他これらに匹敵する学識又は実務経験を有する者を受験資格者とし、税法のうち三科目と会計学のうち二科目とについて、実務の応用能力に重点を置く試験を行うこととせられておるのであります。尤も相当の学識又は経験のある者は試験科目の一部を免除することとなつております。なお、この試験は国税庁に置かれる税理士試験委員が行うこととなつております。  第四に、税理士となる資格を有する者が税理士となり、その業務に従事するには、国税庁に備える税理士名簿に登録を受けなければならないこととしたことであります。即ち現行税務代理士法では、税務代理士となろうとする者は国税庁長官の許可を受けることになつておりますが、この法律では、税理士となるには、税理士名簿に、氏名、生年月日、事務所の所在その他の事項の登録を受け、税理士証票の交付を受けなければならないこととなるのであります。但し弁護士は、税理士の登録を受けなくても、所属弁護士会を経て国税局長に通知するととにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士の業務を行うことができることとなつております。  第五に税理士の権利及び義務を明確にしたことであります。即ち税務職員は、税理士が青色申告書を代理する権限を與えられたことをあらかじめ書面を以て申出たときは、その代理する事項に関し、その納税者について調査するために通知するときでは、同時にその旨を税理士にも通知し、又協議団の協議官が、代理委任状を提出した税理士の代理する事項について協議するときは、税理士に意見を述べる機会を與えなければならないこととする半面、現行税務代理士法に定める脱税相談の禁止、事務所設置の義務、業務に関する帳簿作成の義務のほか、税務官公署に提出するために作成した書類に署名押印の義務、信用保持の義務及び秘密保持の義務等を加えると共に、その受ける報酬は国税庁長官が定める額を超えてはならないこととしたのであります。  第六に税理士の責任について規定したことでありまして、国税庁長官は税理士に対し懲戒処分を行うことができることとしたことであります。即ち税理士が、真正な事実に反して税務代理又は税務書類の作成をした場合、脱税相談をした場合、その他、税理士の義務に違反した場合等には、戒告、一年以内の業務の停止又は登録の取消処分をすることができることとしたのであります。第七に、税理士は、国税局の管轄区域を基礎として、民法第二十四條の規定による社団法人たる税理士会を設立することができ、又税理士会は、民法第三十四條の規定による社団法人たる税理士会連合会を設立することができることとしたことであります。即ち現行税務代理士法では、全員加入制の税務代理士会を設立することになつておりますが、この法律では、税理士会は任意加入制のものとし、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的として設立することができるものとせられておるのであります。  第八に、罰則の規定を現行税務代理士法よりも一層強化整備したことであります。なお、この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行せられることになつておるのでありますが、この法律施行の際、税務代理士である者等については、税理士試験を受けないでも税理士の資格が與えられるよう特別の考慮が携われております。  さて、本案につきましては、委員諸君提案者及び政府委員との間に質疑応答を重ねまして、横車に審議いたしたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  かく質疑を終了し、討論に入り、油井委員から、弁護士は当然税理士の事務を行うことができることになつておるにもかかわらず、この法律によると、弁護士で税理士の登録を受けなければならない者ができたり、或いは又、国税局長に通知して、随時税理士の業務を行わなければならない者ができたりなどして、極めてあいまいなことになる。次の機会に、このあいまい不備な点を除くよう條文の整理をせられたいとの希望を附して賛成意見が述べられ、次いで小林委員から、油井委員と同様の意見である、この法案には不満足であるが賛成するとの意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て衆議院修正の原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)  次に上程せられました商法の一部を改正する法律施行に伴う銀行法等金融関係法律整理に関する法律案委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案は、改正商法が本年七月一日より施行せられることになつておりますので、銀行法、貯蓄銀行法、信託業法、無盡業法、担保附社債信託法、銀行等の債券発行等に関する法律、証券取引法の七法律、及び先に今国会において可決せられました相互銀行法案、信用金庫法案の二法案につきまして、商法を準用している規定、商法の改正に関連する規定整理しようとするものでありますが、金融機関につきましては、その特殊性に鑑みまして、銀行、相互銀行、信託会社及び無盡会社には無額面株式の発行を認めないこと、又これらの金融機関について、改正商法の規定によつて作成される計算書類の附属明細書の記載事項及び様式は主務大臣が定めること、銀行、相互銀行及び預金業務を営む無盡会社については、株主の会計の帳簿書類の閲覧又は謄写に関する規定は適用しないこと等、商法の規定の特例を設け、更に銀行等の金融債発行限度の基礎となる自己資本について、改正商法によつて、株式のプレミアム発行差額及び資産の再評価差額等が資本準備金として経理されることとなつておりますので、この資本準備金を自己資本に算入できることとし、又銀行等の優先株式は主務大臣の定める消却計画によつて消却することとなつておりますので、この場合の資本減少については株主総会の特剔抉議を要しないこととする等、それぞれ所要の規定整理しようとするものであります。  本案審議経過速記録によつて御承知願いたいと存じます。かく質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て衆議院修正原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  89. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。建設委員長小林英三君。    〔小林英三君登壇拍手
  90. 小林英三

    ○小林英三君 只今議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会におきまする審議経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  住宅金融公庫法は第七回国会におきまして成立したのでありまするが、施行後の実績と現下の経済情勢に鑑みまして、今回、次の点を改正しようとするものであります。即ち第一に、住宅の建設費又は土地取得費に融資する資金につきまして、貸付限度を七割五分から、木造等につきましては八割、簡易耐火構造並びに耐火構造につきましては八割五分までに引上げる。第二に、貸付金の対象となる住宅の床面積を十八坪から二十坪にいたしておるのであります。第三には、償還期間を、木造簡易耐火構造及び耐火構造につきまして、それぞれ十五年、二十年、三十年でありましたものを、十八年、二十五年、三十五年に延長いたしまして、負担の軽減を図ろうとするものであります。  以上が本法案改正趣旨及びその内容でありまするが、本委員会におきまする質疑といたしましては、木造の場合の償還期間を三年延長することは担保価値に不安を招くことになるのではないか、又改正に伴いまして、第四十九條の罰則規定が主務省令できめる構造の技術的規定に違反して貸付けた場合に適用となるが、これは苛酷な取扱になる嫌いはないのであるか等に関するものであつたのでありまするが、詳細は速記録にお讓りを願いたいと思うのでございます。  かくいたしまして質疑を打切り、討論に入りましたところ、田中委員より、この本案には賛成ではあるが、この改正に伴つて第四十九條第五号の罰則規定が第二十條第二項に適用される場合において、当該規定省令による技術的規定であるに鑑み、その運用の適正を期しがたいのではないかというような発言があつたのであります。次いで採決に入りましたところ、全会一致を以ちまして可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  93. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十一、ニツケル製錬事業助成臨時措置法案日程第十二、緊要物資売拂に関する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。    〔深川榮左エ門君登壇拍手
  95. 深川榮左エ門

    ○深川榮左エ門君 只今議題となりましたニツケル製錬事業助成臨時措置法案についての当委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず本法案提案理由について申上げます。御承知のごとくニツケルは、特殊鋼、電気通信機初め、種々なる重要用途に不可欠な基礎物資でありますが、遺憾ながら我が国の国内資源的には至極貧弱であつて、輸入に待つところ大なるにかかわらず、現在のところ米国初め各国ではニツケルの持つ戰路物資的性格から嚴格なる輸出統制が実施されており、従つて十分なる輸入は困難を極め、昨年下半期以降需給の甚だ不均衡を来たしているのであります。かかる状況下において、ただ幸いなことには、我が国は戰時中、セレベス、ニユーカレドニア等のニツケル鉱石を処理した経験と技術を有し、且つ当時の設備を残しておりまするし、原鉱石の輸入についても現に当該地区を初め相当な引合いが参つておるのであります。併しながら、只今申上げました経験、技術或いは設備を利用して輸入鉱石による国内製錬を実施いたしまする場合は、カナダ等の場合に比較して、生産量においても生産原価においても格段の相違があるため、将来情勢の変化によりまして低廉な外国産ニツケルが十分に輸入されますようになつた際には、我が国の製錬業者が如何に努力しましても到底立ち行かぬという競争上の不利と危險があるのでございます。かかる事情から、今日、ニツケルの国内市場価格が高騰しているにかかわらず、新規の企業は勿論、過去において十分の経験と技術を有する製錬業者といえども、あえて事業の再開をし得ない状態にあるのであります。以上の事情に鑑みて、ニツケル製錬事業に対し助成措置を講じ、緊急にニツケルの増産を図りたいとの意図から、本法案が提出せられたのであります。  次に本法案の骨子につきまして申上げます。その第一は事業者の指定についてでございます。即ち通産大臣は、本法で定める一定の基準に従つて、申請のあつた事業者のうちから助成の対象となるべき製錬業者を指定することにしておるのであります。第二点は販売価格についてでございます。これは指定を受けた業者に対しては、その生産したニツケルを政令で定める価格を超えない価格で販売しなければならぬと規定しているのであります。第三は特別積立金と政府補償金に関する規定でございます。即ち指定業者には、その生産したニツケルを販売したときは、その一トンごとに政令で定める金額を特別に積立てる義務を課し、この積立金が製錬設備の復旧及び必要な原料鉱石の買付のために投下した資金の額に達するまで積立てられたならば、企業の危險は完全にカバーされたわけであるが、積立の途中で国際情勢が一変し、低廉な外国産ニツケルが十分に輸入されるようになるか、若しくは鉱石の輸入が杜絶するか、その他これに類するような事態が発生して、止むを得ず事業を廃止せねばならぬことになつた場合には、廃業による損失額、即ち製錬設備、附帯設備及び手持鉱石については、本法案で定める方法により評価損を算定した上で、これを先ず業者みずからの積立金で補充させ、不足する部分を国家補償金として交付することにしてあるのでございます。従つて補償の條項は万一の場合にのみ必要なものでありまして、積立金が投資額まで積立てられました後は勿論補償する要はないわけになつておるのであります。なお、その他指定業者に対しましては、本法案によつて最惡の場合の危險負担を国が保障するわけでありますから、事業計画の内容の重要な部分の変更を認可制とするほか、違反の場合の指定の取扱、必要な報告の徴収等について監督をなし得る規定を設けてあると同時に、政府の処分に対し不服のある場合には異議の申立の機会を與えるようにしてあります。以上が本法案大要であります。  次に本法案についての質疑応答について御報告いたしたいと存じまするが、その詳細は速記録に讓るといたしまして、論議の中心となりました三、四点について概略申上げます。先ず第一点は、一事業者の指定の條項についてでございます。即ち本法案において助成を受ける対象事業者は申請により通産大臣が指定することになつているので、特定の企業体は明記されていないが、我が国の実情から勘案するに、結果的に見れば助成対象となる企業体はおのずから明白である。本法案は特定企業体の助成対象ではないかとの質問でございます。これに対しまして、政府は、本法案の意図するところは飽くまでニツケルの増産とその必要性にあるのであつて、そのためにはニツケル生産の経験と技術が指定の基準の最大要因であるが、生産の経験と高度の技術を保存している者は限定されており、その結果、指定されるであろう企業体の範囲も自然狭められて来ることは止むを得ないところである。而も法運用の適正化により成るべく国家補償等は実施せずとも済むごとく万全の措置を講ずる旨の答弁がございました。第二点といたしまして、本法案第六條の販売価格は政令で定めることになつているが、政府が提示した原価計算見積書は正確性を欠き、又政府が一つの基準として採用しようとしている市価なるものは現在異常なものであり、かような不確定の要素を基準として政令で販売価格を決定することは危險ではないかとの質問でございます。これに対して、政府は、販売価格の正式決定は、ニツケル生産がまさに開始されんとする時期に諸般の経済事情を勘案して決定し、その情勢の推移により適宜変更するごとく彈力性を持たせる旨の答弁がございました。第三点は、本法案の適用対象はニツケル事業のみであるが、フエロ・ニツケル製造業に対しても助成政策を講ずる意思はないかとの質問に対しまして、政府は、将来適当な機会に原料鉱石の確保並びに税制上の特典等について考慮するとの言明でございます。なお、本法案運用の公正を期するため、通商産業大臣の諮問機関として審議会等を設置し、本法案二條の事業者の指定、第六條の販売価格、第七條の特別積立金の額等の政令の立案、第八條の補償金の決定等について、当該機関をして審議させ、その意見を尊重する意思ありやとの質問がございました。政府はこれに対して、早急に御趣旨通りに実現したい旨の答弁があり、又当該審議会構成メンバーに指定業者以外の学識経験者を加入せしめ、その公正なる運営を期する意図ありやの質疑に対して、これも同じく了承する旨の答弁がございました。その他、補償と予算措置、製造原価の問題等々について相当突込んだ質疑応答があつたのであります。  かく質疑を終了し、討論に入りましたるところ、国民民主党を代表して境野委員より、本法案が單に特定企業体のみのためでないよう運用面において適正を期し、フエロ・ニツケルの助成と審議会の設立を特に要望して本法案賛成するとの賛成意見の開陳があり、次いで日本社会党を代表して栗山委員より、本法案についての種々なる問題点については、審議の途次において政府要望したので、政府はこの点を十分考慮の上、法運用に善処を希望するが、特に第二條第三項第三号の生産原価、第六條の販売価格、第七條の特別積立金等の決定については、必ず当委員会報告されたい。又審議会を権威あるものにして、本法案が單に一特定事業者の利益を図るためのものでないということを明確にされんことを要望して本決案に賛成するとの賛成意見の開陳がありました。以上を以て討論を終り、採決いたしましたるところ、全会一致を以て可決すべきものと決定した次第でございます。  右御報告申上げます。  次に議題となりました緊要物資の売抑に関する法律案について、委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  最近、我が国に輸入されます稀少物資乃至は緊要物資の国内価格が騰貴いたしました結果、いわゆる特需の調達価格が高くなつて、特需の提供が困難或いは不可能となるような状態でありまして、そのために国内における貿易外收入の減退を招き、他面には日米経済協力の障害ともなりますので、この際、先に制定を見ました緊要物資輸入基金特別会計法を適用して、特需の適正な価格による調達を可能ならしめて、特需の受注を円滑にする必要があると考えられるのであります。このことは、緊要物資輸入基金を以て取得する物資については、必要に応じて時価よりも低い価格で拂い下げ得る途を開こうとするのでありますが、国の物品を時価よりも低い価格で売拂うことは、財政法及び物品の無償貸付及び讓與等に関する法律規定によつて、他の法律に定められる場合のほかは許されないことになつておりますので、その例外的措置を規律する法律として、今回新たに本法を制定しようというのであります。  本法案は僅か一條に過ぎない簡單なものでありますが、その要旨は、緊要物資輸入基金によつて輸入される原材料物資について、その売拂いの場合、時価よりも低い価格で特需の受注者に売拂うことができる。但し、その価格は輸入原価に諸掛を加えた額を下つてはならないというのであります。  本法案について、本委員会におきましては極めて愼重審議いたし、種々質疑応答が重ねられましたが、その重要なものを申上げますと、特需用として安い価格で供給された物資が政府の意図に反して他に横流れをした場合の措置はどうするのか、又そういうことを監視する機関を設けるのであるかとの質問がなされましたが、これに対し、現在のところでは臨時物資需給調整法を適用して取締つて行きたいとの答弁がありました。その他、緊要物資の拂下げ方式、或いは国内価格と国際価格との調整の問題等についても熱心に質疑が交わされ、特に差当りこの法案対象となる物資がニツケルであるということから、別に提案になりましたニツケル製錬事業助成臨時措置法案との関連もあり、愼重なる審議が行われました。かく質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て本法案は原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告を終ります。(拍手
  96. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  97. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  98. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、植物防疫法の一部を改正する法律案(瀧井治三郎君外七名発議)、農林物資規格法の一部を改正する法律案衆議院提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  100. 羽生三七

    ○羽生三七君 只今議題となりました植物防疫法の一部を改正する法律案の農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。  現行植物防疫法は、輸出入植物検査のための国際植物検疫、新たに国内に侵入し又はすでに国内の一部に存在している病害虫の蔓延を防止し、優良な種苗を保全するための国内植物検疫、及び新たに国内に侵入し若しくはすでに国内の一部に存在している病害虫が蔓延して、有用植物に重大な損害を與え、又は有用植物の輸出が阻害される慮れがある場合における緊急防除の規定を主とし、現実に各地各所に亘つて広く分布して農作物に対し大きな損害を及ぼしている稻のいもち病等のような、一般病害虫の防除に関する法制的措置は殆んど講ぜられていないのでありまして、これは先に現行植物防疫法の法案審議の際においても指摘せられていたところであります。従つて、かような欠陷を補い、かかる一般病害虫に対しても有効適切な防除措置をとることができることとなさんとするのが本改正法律案趣旨でありまして、その内容の骨子とするところは大要次のようであります。  即ちその第一は、一般病害虫の中で、稻のいもち病のように、その分布が広範囲に亘り急激に蔓延して農作物に甚だしい損害を及ぼす慮れのあるものを指定し、所定の防除計画に基いて防除を行なつた者に対し、農薬又は防除用機具の購入費を補助すると共に、これら指定病害虫の異常発生に備えて、国において常時農薬の備蓄及び防除用機具の備付を行い、必要に応じて農薬の譲與、讓渡又は防除機具の無償貸付を行うことができることとなし、第二は、指定病害虫の防除を的確にするためには、これら病害虫の発生予察の完全を期することが極めて必要であるとの見解を以て、発生予察事業は都道府県の協力を得て国においてこれを実施することとなし、第三は、病害虫の防除を適切且つ効率的に行うためには、現地における防除体制の整備を図ることが肝要であるとの趣旨の下に、都道府県において管内適当の地方に病害虫防除所を設置して防除のローカル・センターとなし、又條例で定める区域ごとに非常勤の病害虫防除員を置くこととなし、これら施設のため必要な経費に対して所定の基準に従つて補助金を交付することができることとなす等であります。  委員会におきましては、江田委員より予算の確保について希望を附して賛成があり、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に農林物資規格法の一部を改正する法律案の農林委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本法律案内容の骨子は大要次のようであります。即ち第一は、現行法においては、農林物資について日本農林規格によつて格付を行い、規格証票を付けることができるものは、都道府県及び農林省機関の両者に限られているのでありますが、これを農林大臣が定めた登録基準に従つて登録を受けた、営利を目的としない法人、いわゆる登録格付機関も行うことができることとなさんとし、第二は、農林物資規格に関する調査審議機関として設けられている農林物資規格調査会の所掌する事項を整理すると共に、学識経験者から任命せられた委員の任期を短縮せんとする等のものでありまして、委員会におきましては妥当の措置と認め、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  101. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず植物防疫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  102. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  103. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に農林物資規格法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  104. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  105. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、戰傷病者等対策審議会設置法案(千田正君外三十一名発議)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長千田正君。    〔千田正君登壇拍手
  107. 千田正

    ○千田正君 只今議題となりました戰傷病者等対策審議会設置法案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申上げます。  御承知の通り戰傷病者戰歿者遺族等の処遇に関しまするところの問題は、これが論議に付せられることすでに古く、第二回国会及び第五回国会、更に今期国会におきましても、去る三月三十日、院議を以て三たび決議を行い、なお且つ去る五月二十五日には内村清次君より政府に対し緊急質問を行い、政府を鞭撻して参つたのであります。然るにもかかわらず、或いは盛り場において、或いは交通機関の中におきまして、現に皆様がたが見られるような、白衣の傷病者の哀れな現況、更に又幾たびか皆さんの目に見、又耳に聞かれるところのいわゆる遺族の悲痛なる要求等に関しましては、非常に我が国政府の施策が遅れておるということを示すもので、この問題を未解決のままに置けないという誠に緊急なる解決の必要を認めましたので、これが、このたびこの問題が提出された理由になるのであります。  先般来、在外同胞引揚問題に関する特別委員会全国地方庁等に報告を求めて調査いたしましたところによりますれば、戰歿者約二百万人に対しまして、その未亡人の数は約五十五万人、十八歳未満の遺族は約八十五万人、老父母約二百二十万人に及び、更に傷病恩給に該当する戰傷病者約二十万人と相成つておるのでございます。これらの人々に対する国家的処遇が殆んど放置されたかに見えます現況におきましては、誠に暗澹たる気持に打たれ、むしろ憤激の念さえも禁じ得ない状況であるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)併しながら、私はここで、歴代政府の努力の不足、熱意の不十分のみを責めんとするものではありません。と申しますのは、昭和二十一年以降、軍務に基く惠與の禁止等の鉄則等をも併せ考えざるを得ないからであります。然るに去る五月三日、リツジウエイ最高司令官の声明もあり、在外同胞引揚問題に関する特別委員会厚生委員会と緊密な連絡を保ち、この際、戰傷病者及び遺族に関する問題解決の機たることを確信いたしまして、相協力して、関係の覚書及びこれに基く法令の改廃、懇請等につきまして協議を重ねまして、その結果として、戰争による遺兒の教育費国庫負担に関する法律案要綱を得るまでに至つたのであります。併しこの案は遺憾ながら成案を得るまでの了解点に達しないのでありますが、只今議題となつておりますところのこの審議会の設置法案のみが漸く成案を得た次第でございます。即ち過去の戰争による遺兒の問題、戰傷病者の問題等の具体的法案作成のため調査審議する機関の必要を認めまして、この法案が提出された次第であります。  本法律案要旨は、本法の第二條に謳つてあります通り、第一は、過去の戰争に起因して負傷し又は疾病に罹つた者、及び終戰後国外に抑留されておる間に負傷し又は疾病に罹つた者に対する補償、第二は、今までの戰争に起因して死亡した者、及び前号に規定する抑留中に死亡し又は抑留中の負傷若しくは疾病により死亡した者の遺族に対する補償、第二点は、終戰後国外に抑留されておる者の留守家族に対する補償、以上三項目につき調査審議し、その結果を実現するよう内閣総理大臣及び関係大臣等に勧告するの任務、権限等を有するのでありまして、その委員には、関係大臣、衆参両院指名する各五名の議員及び学識経験者等から構成されるものと規定されておる点でございます。  本法案は、在外同胞引揚問題に関する特別委員会委員と厚生常任委員会委員のかたがたの共同提案でありますが、昨日在外同胞引揚問題に関する特別委員会に付託され、早速本日委員会におきまして審査いたした次第でございます。  委員会におきましては、本問題につきましてはすでに十分審議をいたしておりましたが、更に慎重審議いたしました。詳細は速記録に譲りたいと存じますが、特に御報告申上げたい点は、本法がどこまでも再軍備とは全く関係がなく、純粋に人道主義の理念の上に立てられていることを明らかにすべきことが各委員より要望せられた点であります。私が法務府にお願いして調査した結果によりまするというと、刑務所にある囚人に要する国費が一人当り年額四万一千八十円四十銭に対して、両眼の視力を失つたところの戰傷者の受くる恩給額が、本年の五月一日の改正においてすら僅かに一カ年最高六千四百円なりというごとき不合理を速かに是正し、傷病者と遺家族に対し国家当然の施策を実行すべしという点にあつたのであります。このように、本法案は飽くまで人道主義の立場に立ち、文化国家としての体制を整うべきであるという観点に基くものでありまして、再軍備とは何ら関係のないことを重ねて御報告申上げます。(拍手)なお、本法案すら覚書の趣旨に触るるのではないかと政府部内においては多少議論があつたのではありまするが、厚生委員会及び在外同胞の引揚特別委員会におきましては、慎重検討の結果、覚書に牴触しないとの確信を得まして、関係方面と折衝を続けて参つた次第であります。幸いにも関係方面においても多大の好意を以て本法案の検討を加えられ、最後に了解を得た次第でありまして、政府部内の一部の杞憂もこの際一掃されたことを御報告申上げます。(拍手)  委員会においては、本法案が再軍備等とは何ら関係なきことを確認いたしました後、別段討論もなく、採決の結果、全員一致を以ちまして原案通り可決すべきものと決定した次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  108. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  109. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます、よつて本案全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————
  110. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、理容師法の一部を改正する法律案衆議院提出)、兒童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員会理事小杉繁安君。    〔小杉繁安君登壇拍手
  112. 小杉繁安

    ○小杉繁安君 只今議題となりました兒童福祉法の一部を改正する法律案並びに理容師法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず兒童福祉法の一部を改正する法律案について申上げます。先般制定されました社会福祉事業法におきまして、社会福祉事務所の制度が創設せられ、兒童福祉行政についても第一線機関として活動することに相成りましたので、この福祉事務所と従来の兒童福祉機関との活動領域の調整を図ると共に、兒童福祉法自体の規定中若干の改正をいたそうとするのが本改正法案提案理由であります。  次にこの改正法案の要点につきまして概略御説明申上げます。第一は、社会福祉事務所及び社会福祉主事に対し一定の兒童福祉行政事務を行わせることであります。第二は、法人の設置する兒童福祉施設に対して、その修理、改造、拡張又は整備に要する費用に対して補助する途を開くことであります。第三は、身体に障害のある兒童に対して、保健所長が相談に応じ、必要な療育の指導を行うほか、盲人安全杖その他の補装具を交付し若しくは修理することができるようにすることであります。第四は、兒童福祉施設の長の親権の規定を整備すると共に、兒童相談所長が家庭裁判所に対して、親権の喪失及び後見人の選任又は解任の請求をすることができるようにすることであります。第五は、兒童の事後補導の万全を期するため、義務教育を終了した兒童を預つて保護し、自立に必要な指導をすることを目的とする保護受託者の制度を設けようとすることであります。第六は、教護院の教科に関する事項について、教護院の目的の特殊性に鑑みて、教護院の長が文部大臣の御告の範囲内で必要な学科教育ができ得るような規定にしようとすることであります。  以上が本改正案の主要点でありますが、厚生委員会におきましては、政府当局より詳細なる説明を聽取いたしましてから、逐條的に愼重審議をいたし、種々熱心な質疑応答が交わされたのでありますが、その詳細は速記録によりまして御承知願いたいと存じます。かく討論を省略いたしまして採決いたしました結果、本案全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に理容師法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。先ず本決案の提出理由を申上げます。理容師法が第一回国会において制定せられまして以来の実績に鑑みまして、理容師及び美容師の知識技能を向上し、且つ衛生上の措置に万全を期することによつて公衆衛生の向上を図り、公共福祉を増進するために、今回所要の改正が必要となつたのであります。  その改正案の内容について簡單に申上げます。第一点は、従来理容師及び美容師の免許は、養成施設で一年以上知識技能を修得し、更に一年以上実地習練を終えた者に対しこれを與えていたのでありますが、過去の実績に鑑み、監督庁においてその知識技能を検定することは公衆衛生上欠くべからざるものと考えられますので、この際これらの者に対し都道府県知事の試験を課するようにいたしたのであります。第二点は、理容師及び美容師の営業は原則として理容所又は美容所において行わなければならないことといたしますと共と、行政庁の指導の完璧を期するため、その開設に当つては事前届出を必要とするように改めたことでありますが、止むを得ない事情で理容所又は美容所に行くことのできない者のために、例外として、省令の定めるところによつて出張営業をも認めることといたしたのであります。第三点は、これらの営業者に対する指導監督を民主的に行わしめるために、都道府県において必要と認めるときは理容審議会又は美容審議会を設置することができるようにすると共に、これらの業者の技術の向上施設の改善その他相互の指導連絡を図るために、理容師会、美容師会、又はそれらの連合会を組織することができるようにいたしたことであります。第四点は、この法律の題名を理容師美容師法と改めたことであります。なお、この題名の変更に即応して、この法律全般に亘り「理髪」を「理容」と改めるため字句の修正を行なつたのであります。  以上が理容師法の一部を改正する法律案大要であります。  この改正案は衆議院が先議でありまして、五月三十一日、衆議院より修正可決の上、同日、本院に送付になりましたのでありますが、原案の修正点を申上げますと、都道府県において必要と認めるとき理容審議会又は美容審議会を設置する規定を削除いたしたのであります。よつて改めて衆議院の送付案を原案といたしまして、六月一日の委員会において愼重審議いたしました結果、原案通り全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上を以て御報告を終ります。
  113. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  114. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  115. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 決算委員長から、特別会計、政府関係機関及び終戰処理費の経理に関する調査について報告のため発言を求められました。この際これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより決算委員長報告を求めます。決算委員長前之園喜一郎君。    〔前之園喜一郎君登壇拍手
  117. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 昭和二十三年度決算検査報告批難事項第三百九十七号、いわゆる二重煙突事件が、社会的、政治的関心の極めて大きいことに鑑み、その審査に関して去る三月二十六日の本議場において特に中間報告をいたしましたが、本件に関し愼重且つ詳細に審議し、その審査を終了いたしましたので、審査の結果を御報告いたします。本件の概要につきましては、前回の中間報告におきまして詳細に御報告いたしましたので、この点は省略いたしまして、本件に関する小委員長の審査報告を先ず御紹介申上げます。  一、調査結果の要約  (一) 二重煙突の受註及び納品の経過   (1) 昭和二十一年九月二十日附LD三五に基き、戰災復興院は同年十二月九日、田中及び高橋の共同事業たる足利板金工業組合に対し、二重煙突二十五万フイートを発註した。併し受註者たる足利板金工業組合は、かかる大量の物件を短期間内に生産するには、その企業形態、資力等から見て適当でない。かかる業者に対し随意契約によつて発註しているが、同組合に対する資格調査が極めて不十分であつたと認められる。   (2) その後生産及び納入は遅延著しく、当初の最終納期たる昭和二十二年三月から一年九カ月を経過した昭和二十三年十二月に至るも五分の四強を納入し得たにとどまる。而もその間、当初より現品を点検せず、数量不実の検收調書が作成されていたものと推定せられ、生産及び納入に関する特調側の監督は杜撰であつたとの批難を免れない。   (3) 昭和二十三年七月二十九日附LD八〇によつて本件二重煙突はキヤンセルせられたにかかわらず、当局は、足利工業側の生産進捗し、資材の入手も済んでいるからという理由に基く例外的生産継続を黙認している。併し事実は生産状況極めて不良であつて、当然業者に対しても、解約の上、生産中止の措置をとるべきであつた。その原因は特調側関係官の調査と連絡の不十分にあるものと考える。殊に漫然再三に亘つて納期延期を承認して、使用実績の少い本件煙突を生産させ、ために、その価格も当初の二倍半にまで増額承認したことは妥当でない。  (二) 過拂発生の原因及び経過   (1) 足利工業は昭和二十三年十二月十四日附で最終の五万フイート分の納入代金四千百七万余円の支拂請求をして、同月二十八日決裁となり、二十九日その支拂を受けた。   (2) ところが、この五万フイートの検收調書は不実で、現品を全く見ず、足利工業の社員の言葉だけで作つたもので、調書作成時までの出荷実数は七千フイート弱しかなかつた。そして当時としても年内に納入することは到底不可能な客観的事情にあり、高橋正吉はこのことを熟知していたはずである。田中も大体知つていたものと考えられる。検收担当者藤原英三も、結局完全に納まるものと信じていたにしても、未だ納品完了していないことを大体感付いていたと考えられるし、特調側係官も、かかることもあり得ると感じていたものと推定できる。   (3) これより先、高橋正吉は、同年十月頃から本件代金の支拂を受けるため、相当盛んに運動していたものと認められる。みずから又大橋武夫を通じて、加藤経理局長、滝野庶務部長に依頼しており、その他にも依頼している形跡が見られるのである。   (4) かくて本件では、(イ)経理局で事実上請求を受付けた十二月二十八日のすぐ翌日に支拂つており、(ロ)価格の増額も十二月十六日に決裁を受けたにかかわらず、別に十二月五日附の増額承認書もあり、(ハ)更に前記のことく本件契約は形式上キヤンセルになつているので、別個にその支拂根拠をLD五七に求めて、十二月二十八日の午後追加注文の決裁を受け、その日附を十二月十六日附に遡らせている。尤も現実にこの発註書が回付されたのは翌年の一月になつてからである。(ニ)次いで支拂直前に検收調書の日附を納期たる九月三十日とし、LD五七による追加註文と訂正している。これらの不当な措置に関し、滝野、横田、佐野等が相当積極的に上司を説得して盡力しているのである。それにしても納期と増額承認と変更発註の日附が喰い違つているまま支拂つているのも甚だ不穏当である。   (5) 次に十二月六日附で加藤経理局長名義の新価格による支拂証明書が発行されているが、そのときには未だ検收調書も作成されておらず、増額承認も決裁せられていなかつた。それ故かかる支拂証明書の発行は如何なる意味でも不当であるが、同証明書を何人が発行したか明らかでない。   (6) 次に本件煙突代金中に物品税が五〇乃至六〇%含まれている。然るに足利税務署では、本件煙突は課税対象にならずとして徴税していない。それ故、高橋及び田中は、この税金相当額を特調より騙取したものといわねばならないし、特調当局にも過失あるものと考える。   (7) 昭和二十四年一月中旬に至り、中村副総裁が本件二重煙突の生産継続の当否に関して疑いを抱いた。そして石井技官をして足利工業に赴かせ、生産状況を調査させたところ、たまたま前記未納入のため、当時としては約金二千数百万円の過拂となつていることが発見されたのである。  (三) 過拂金回收の経過   (1) 過拂が発見されるや、直ちに特調側では、田中及び高橋を招致して、これが返納方を協議し、両名も個人的に連帯責任を負うことにし、具体的な返納財源を明らかにさせた。そして当初は昭和二十三年会計年度内に返納させる計画であつたが、両名の履行状況は遅々として、殆んど見るべきものがなかつた。そこで所管を苦情処理課に移し、法務府と協議して訴訟的解決によることとなり、その間数回に亘つて返納計画を提出させ、結局昭和二十五年十月二十日足利簡易裁判所で半年々賦による三カ年間完済という即決和解調書を作成したものである。   (2) その間の現実の返済状況は、昭和二十四年四月十六日から昭和二十六年四月六日までの間十六回に約金七百余万円を回收し、現在残額は約金千五百万円ある。大体三分の一回收したわけで、このうちには有体動産に対する強制執行による配当金約三十万円が含まれている。而してこれら返納金の財源は、先に田中及び高橋両名が任意提出した返納計画書記載財産の一部であつて、それ以外の財産による回收は殆んど行われていない。   (3) かように現実の返済状況が当初の計画に反し不成績であつた理由は四つある。第一に、返納計画中に事業收益によるものが相当大きい比率を占めているが、実際にはドツジ政策の強行によるデフレ傾向のため、事業自体が收益どころか欠損状態に陷つたことである。第二に、当然返納に充てられていたはずの高橋名義の東武鉄道株式三万五千株、及びモリス自動車売却代金の大部分が未だに物調に支拂われていないことである。第三に、その他の財産も時日の経過によつて減損著しく、大幅な値下りを来たしたためである。機械設備及びトラツク等において最も甚だしい。第四に、返納計画に計上された以外の会社及び個人財産による回收に関し、最近に至るまで何等の措置がとられていなかつたため、田中及び高橋がこれを他へ処分したり、消費減耗したり、著しい値下りを生じたことである。   (4) 本件過拂金回收方法は、結果的に見て、前項の四つの原因を事前に予見して、これを防がなかつたということにおいて妥当でなかつたと断ぜざるを得ない。従つてこれを突き詰めていえば、第一に、会社及び個人の財産状態、並びに営業の実情に対する当初の調査が極めて不十分だつたことである。そのため返納の財源捕捉が十全でなく、回收時期及び方法の見通しを誤らせるに至つた。第二に、急速徹底的な回收方法を講ぜず、温情主義をとつたことである。若しそれ、当初から会社及び田中、高橋個人の財産状況を詳細に調査し、これに対して急速徹底的な回收方法を講じたならば、総額の三分の二以上、即ち現在の回收実績の二倍を下ることはなかつたと推測できる。  (四) 自動車の売却委託及び売却代金の処理について。当時、特調の三浦監事の依頼によつて、本件過拂金の回收方に関し協力していた大橋武夫は、昭和二十四年六月一日足利工業株式会社代表者田中平吉から、形式上高橋名義で実質上会社所有にかかる一九四〇年型モリス自動車一台の売却及びその売却代金を特調への過拂金返納に充てられたい旨の依頼を受けた。そして大橋はこれを同年六、七月頃、山下茂をして金百数十万円で売却させ、その代金を受領してから、高橋及び山下等と相談の上、高橋名義の預金として三和銀行日比谷支店に預入れ、山下をしてその運用の衝に当らせて来た。而して同人の運用よろしきを得ず、結局現在までの間に、そのうち昭和二十四年八月四日金三十万円、昭和二十五年十二月二十九日金三十万円を特調に対し過拂金返納として支拂つたのみで、残額七八十万円は未だに支拂つていないのである。それ故、かかる行為は、明らかに委託者たる田中の委託の趣旨に反して自動車売却代金を処分した疑いがある。然るに大橋は、証人として当委員会において、第一に、本件自動車の所有者が高橋正吉であること、第二に、売却の委託者も高橋であること、第三に、委託の趣旨は、売却代金を直ちに特調へ納めるのではなく、高橋の利益のため有利に運用して、漸次その利益で特調への支拂に充ててゆくことであると証言している。  (五) 東武鉄道株式の提供売却及び売却代金の処理について。   (1) 昭和二七四年三月八日、田中は特調の川田経理局次長に対し、東武鉄道株式高橋名義分三万五千株、田中名義分一万五子株を有利に換価の上、その換価代金を特調に対する過拂金の支携に当ててもらいたいという趣旨で預けた。その後、同年五月六日、高橋が自己名義分三万五千株を有利に処分して特調に納めるというので、川田はこれを高橋に返却した。然るに高橋は、間もなく、これを金百六十二万円で売却したにかかわらず、その金を特調へ支拂わず、自己の用途に消費してしまつて現在に至つている。   (2) 田中は株式を川田に預ける際、自分以外の者には絶対渡してくれるなと念を押したと言つているが、それはともかく、川田は、田中、高橋間の覚書によつて、本件株式が会社所有で、而も田中のみに処分権があることを知つていたし、本件過拂の責任の大半が高橋にあるため、高橋を信用しがたいという空気が特調内部でも強かつたのである。従つて、川田が漫然これを高橋に渡し、遂にその売却代金を回收できない状況に立至らせたことは、極めて軽卒で不当な措置であつたといわねばならない。   (3) 更に、この株式売却代金中、金五十万円を前記大橋の監督の下に山下が管理する高橋名義の預金に預け入れている。それ故、大橋は、この株式の売却やその売却代金の処理には全く関知せずと述べているが疑わしい。  (六) 大橋武夫と足利工業その他本件との関係   (1) 昭和二十三年三月頃、大橋は復興院時代の部下である特調契約局石破次長や丸事務官の紹介で、足利工業株式会社の顧問弁護士となつたという。本件二重煙突の発註があつた昭和二十一年十二月頃には、大橋はその関係局たる復興院計画局長であつた。   (2) 大橋は足利工業の顧問に就任後、昭和二十四年三月本件過拂問題発生によつて自然解任となるまで約一年間に、金三十三万円ほどを顧問料として会社から受取つている。然るに会社側もこの顧問料に対し所得税の源泉徴收をせず、大橋も所得の申告をしていない。   (3) 高橋正吉は、大橋代議士の秘書であると称してその旨の名刺を使用しており、大橋もこれを黙認していたものと考えられる。そうして高橋は昭和二十四年一月の総選挙に際し大橋に対し金二十万円を渡しているが、それは大橋の選挙費用に当てたものと推認される。   (4) 大橋は、前述のごとく、高橋正吉の依頼で加藤経理局長や滝野庶務部長に対し、本件二重煙突代金の支拂方に関して口添えをなし、佐野課長に対しては強硬な申入れをしている。石破契約局次長、横田経理第二課長その他の者に対しても口添えをしたのではないかとの疑いもある。その口添えは抽象的なものであつたと想像されるが、大橋が曾つて彼等の上司であり、何かと面倒を見た関係もあるので、事実上相当強力な影響を與えたであろうと想像される。(拍手)   (5) 次いで、本件過拂問題が生ずるや、大橋は三浦監事の依頼によつてこれに協力することとなり、その間、回收に関する大橋の協力は、結果において温情主義に基く緩慢な回收となつて、回収成績を低下させることとなつており、更に前記のごとく、自動車売却代金及び東武鉄道株式の売却代金処理に関係している疑いもあつて、その責任たるや重大であると考える。  (七) 本件関係者の法律的、道義的、政治的責任及びこれに対し特調側のとつた措置の当否。   (1) 田中平吉及び高橋正吉に関しては、本件過拂金の支拂請求受領が詐欺罪を構成する容疑が極めて濃厚である。すでにかかる容疑が濃厚である以上、事件の真相を徹底的に明らかにするためには、特調当局としては当時速かに刑事告訴をなすべきであつた。   (2) 嘱託検收員たる山口総男及びその補助者藤原英三は、最後の五万フイート分について現品を現認せず、これを現認した旨の検収調書を作成し、更にその後この検收の日附を事実に反して納期たる昭和二十三年九月三十日に行なつたことく訂正しているのである。而も前後の事情から考えて、真実五万フイートの製品が完成していないことを感知しながら、近く完成するものと誤信して、かかる検收調書を作成したものとの容疑が強い。この検收調書が過拂の直接原因となつたものであるから、その法律的責任を全く不問に付することは妥当でない。   (3) 最後に、本件過拂及び過拂金回收に関與した特調側職員に対する問責方法は、甚だ微温的に過ぎたと考える。殊に、虚僞公文書の作成に関し指示を與え若しくは重要な影響を與えたものと推認せられる横田経理第二課長及びこれに関係ありと推認せられる滝野庶務部長の責任は軽くない。当時両名に対し、刑事的手続はともかく、何らの行政的処分をもしなかつたことは妥当でない。更にその過拂金回收に当つて、事実上返納金に代るべきもの又はその履行の担保の意味において預つた東武鉄道株式三万五千株を、返却すべき相手方でない高橋に対して軽率に返還し、遂に高橋の支拂分中約金百六十万円余の回收を今日に至るまで実現し得ざるに至らせた川田経理局次長の責任も不問に付せらるべきでない。法律上正式に保管し得べき性質のものでなかつたということは、この責任を全く無にすることではない。これに対し、特調当局が当時何らの行政的処置を講じなかつたことも妥当ではない。  二、本件調査による結論として次のごとく判断する。  (一) 特調当局においては、当時、本件二重煙突の生産状況を把握する方法及び検収の正否を監督する手段に関し著しく欠けるところがあつた。そして、内部的連絡不十分のため、キヤンセルとなつた本件二重煙突の生産を継続させ、遂に過拂を生ぜしめるに至つたことは、特調の内部組織と監督に関し根本的改革を要するものがある。  (二) 当時、特調においては、文書作成日附の遡及その他軽微な点に関する虚僞公文書の作成が半ば慣行的に行われていた。このことは、本件のごとき巨額の過拂を生ぜしめた一因をなしていると共に、特調内部の秩序紊乱と一部職員の腐敗を示すものである。よつて嚴重なる警告を発すべきである。(拍手)  (三) 足利工業株式会社、社長田中平吉及び専務取締役高橋正吉に対する詐欺罪容疑に関する刑事事件の告訴、並びに当時の横田経理第二課長、滝野庶務部長、川田経理局次長の行為に対する懲戒手続をそれぞれ特調当局において当時行わなかつたことは、その措置緩に失し、不当である。(拍手)  (四) 大橋武夫は自動車売却等に関し、高橋正吉は上記事項のほか最終納入数量等に関し、田中平吉は財産隠匿等に関し、山下茂は東武株式代金の処理等に関し、横田廣吉は検收調書の訂正方指示等に関し、滝野好曉は変更発註依頼書の発行方の盡方等に関し、川田三郎は昭和二十四年二月二十三日附覚書作成過程等に関し、それぞれ当小委員会において宣誓の上証言するに当つて偽証をした疑いがある。(拍手)  右審査報告は、決算委員会におきまして全会一致を以てこれに異議がないと議決いたした次第であります。(拍手)申上げるまでもなく、委員会は、捜査権、検察権がありませんので、最終的断定を下すに至らないことは誠に遺憾の次第でありますが、(拍手委員会としては人的並びに物的証拠等により、でき得る限り慎重に且つ詳細に審議いたしまして、事実の糺明に努力した次第でありまして、その結果、以上申述べましたような幾多の不当事実が存在するものと認められますることは慨嘆に堪えないところであります。特別調達庁としては、本件過拂金の回收については最善の措置を講ずると共に、本件関係職員に対する行政処分、事務処理の改善等について特別の考慮を拂うべきであります。又法務総裁の地位にある大橋武夫氏については、或いは偽証の点において、或いは自動車売却代金の処分等の点において、幾多疑惑の存することは、前回中間報告の際、申述べて置きましたが、本件審査の結果、これらに対する疑惑が解消するに至らなかつたことに対しては、大橋氏は深く反省せらるべきものと認めます。(拍手)  以上御報告を申上げます。(「おかしいぞ少しと」呼ぶ者あり、拍手
  118. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 決算委員長報告に対し質疑の通告がございます。発言を許します。小林亦治君。    〔「告発しなければ駄目じやないか」と呼ぶ者あり、拍手〕    〔小林亦治君登壇拍手
  119. 小林亦治

    ○小林亦治君 私は只今の決算委員長の御報告に関しまして、日本社会党を代表いたしまして若干の御質問を申上げます。(「やれ」と呼ぶものあり)  国務大臣であり、而も一国の司法権を管理する最高の地位である法務総裁というからには、必ずしも神様のような立派な者でなければならぬということは申上げません。併しながら、少くとも何人からも法的な非難を受くるがごとき者であつてはならないはずであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)然るに法務総裁である大橋君は、いわゆる二重煙突に関し数千万円という莫大なる国損をこうむらしめたところの足利工業株式会社の曾つての顧問であり、その会社並びに重役との間に詐欺或いは横領に絡まる幾多の疑惑が存するのみならず、当の国務大臣大橋君が、国会の委員会におきまして宣誓の上証言をなすに当つて僞証をなしたことの疑いが顯著になつたのでございます。(「顯著じやない」「事実だ」「認めているのだ」「非国民だ」と呼ぶ者あり)先ほどの報告にある通り、疑いがあるということは、偽証の事実が認められるが故にこそ疑いの存することを明瞭にいたしたのであります。(「そうだ」「違う」「その通り」と呼ぶ者あり)もはや單なる疑惑ではございません。(「疑惑でなければ何だ」「そうだ」「事実である」と呼ぶ者あり)議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律の第八條には、委員会は、証人が偽証の罪を犯したものと認めたときは、委員会はこれを告発しなければならない(「そうだ」と呼ぶ者あり)と規定してあるので、いやしくも本件のごとき場合は、決算委員会は、好むと好まざるとにかかわらず、断乎告発をなさなければならないのでございます。(「その通り」「当然だ」と呼ぶ者あり、拍手)  本件二重煙突に関しては、さなきだに血税の重圧に喘ぐ全国民より澎湃たる非難の声がすでに輿論となつてる今日、権威ある国会の委員会が、この国民の怨嗟の声に耳を塞ぐようなことになつたといたしましたならば、うやむやにこれを葬むるようなことに相成つたといたしましたならば、国の唯一の立法機関である国会は、みずから作つた法律に泥を塗り、国法の権威をみずから蹂躪するの結果に相成るのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)これを要するに、決算委員会は、国民の疑惑に応えるためにも、法律上当然の義務として、捜査官憲に対する告発権を断行すべきものと考えるのでございまするが、これに関しまして決算委員長の御意見と御決意を簡單に伺いたいのでございます。(拍手)  なお、時間がございまするので、決算委員長の御答弁の如何によりまして再質問或いは再々質問をしたいつもりであります。(拍手、「しつかりやれ」「答弁の必要なし」「答弁」「はつきりしておるじやないか」「答弁を求めたのだよ」「答弁を要らないとは何だ」「それで議員か」「辛抱して聞きなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)    〔前之園喜一郎君登壇拍手
  120. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 私に御質問をなさいました小林議員は、本件の小委員をしていられるので、事件の内容はむしろ私よりよく御存じのはずであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)議院に於ける証人の宣誓及び証言等に関する法律第八條にこの大橋法務総裁の偽証容疑が該当するかどうかという御質問のように私は拜承いたしたのでありますが、このことは、この條文にもありまするように委員会でおきめになるべきものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)「委員会又は両議院の合同審査会は、」ということをはつきり言つておるのであります。これは決算委員会において委員各位の十分に討議研究されて御決定になるべきものであると私は信じます。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つてここに私の委員長としての個人の意見を申上げることは如何かと存じまするので差控えたいと存じます。(「その通り」「名答弁」「個人じやない、委員長だよ」と呼ぶ者あり)  なお、この第八條の解釈につきましては、私どもも相当の見解を持ち、研究もいたしておりまするが、小林議員御本職であられるように、この法律には多少の疑問があるように考えます。私ども個人として参考にするために、法制局のかた、或いは委員部のそれぞれの人の意見も聞いたのであります。この條文は、ここに示されてあるその通りである。即ち「証人が前二條の罪を犯したものと認めたときは、告発しなければならない。」こういうことに解釈するのが相当である。何らの意味はないので、その通り解釈したらいいのだという御意見のようでありますが、この点についても私個人の意見は申述べないほうがよろしいかと思います。いずれにいたしましても、この問題をとり上げて告発するかしないかということは、一に決算委員会の決議によらなければならないことでありまして、私の意見によつて如何ともしがたき、することのできないものであるということと御了承を願いたいと思います。  以上簡單に御答弁申上げました。(拍手
  121. 小林亦治

    ○小林亦治君 只今の決算委員長の答弁に対し再質問をいたしたいと思います。
  122. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 再質問を許します。小林亦治君。    〔小林亦治君登壇拍手
  123. 小林亦治

    ○小林亦治君 決算委員長に対しまして再質問をいたします。只今の答弁では、只今決算委員長がお読みになつたところの報告は、あれは決算委員会の意思ではないように伺つたのでありまするが、牽強附会も甚だしいと存ずるのでございます。小委員会は決算委員会の委嘱によりまして、その同意を得まして、小委員会が調査した結果が只今御朗読の報告書になつたのであります。然らば小委員会で決定いたしましたのは、昨日の本委員会の承認の途端に、それは決算委員会の意思表示になつた次第であります。そこで、この只今お示しの第八條の問題でありまするが、これは私どもは司法権を持ちませんので、「何々をしたり。」という最終有権的判断の権利を持ちません。そこで、これは謙讓的に、疑いが存するという字句を用いたのでございまするが、事実が認められたればこそ疑いが存するという結論をなしたのでございます。もはや決算委員会といたしましては断乎これは告発をしなければならないのでございます。却つて、告発をなさらぬというお考えで、告発をおやめになりたいならば、却つて更に別途の、告発をなさない旨の決議をなさなければ違法であります。この点に関しまして決算委員長の再度の御答弁を願います。(拍手、「委員会でやれ」と呼ぶ者あり)委員会でやつても埓があかないからやるんだ。わからんか。    〔「うしろ暗いか」「顔色なしだぞ」「委員長なめられるな、心ゆくまで討論してみろ」「そうだ、そのための議会だ」と呼ぶ者あり〕    〔前之園喜一郎君登壇拍手
  124. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 重ねての御質問でありますが、只今私が御報告申上げました決算委員会の二重煙突に関しまする中間報告は、小委員会報告を本委員会において全会一致承認して決議したものであるということを申上げておるのであります。これは小林委員よく御承知の通りであります。ただ、ここに、はつきり申上げて置きたいことは、これを告発するかどうかということ、又これが告発するに値いするかどうかということは、一に決算委員会において御決定になるべきことである、委員長が左右できるものではないということを極く簡單に申上げて答弁といたす次第であります。
  125. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。      ——————————
  126. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十三より第十五までの請願及び日程第五十の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。    〔宮城タマヨ君登壇拍手
  128. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 只今上程されました請願三件、陳情一件について、法務委員会審議経過並びに結果について御報告をいたします。  以上の四件は、いずれも簡易裁判所等を設置してもらいたいという趣旨のものでございます。委員会におきましては、右各件につき政府委員又は最高裁判所側の説明を聞きまして、愼重審査いたしました結果、いずれも尤もな趣旨のものと認めまして、採択いたしまして、これを議院の会議に付すると共に、内閣に送付すべきものと決定いたしました次第でございます。  右簡單に御報告申上げます。(拍手
  129. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  130. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  131. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十六より第四十六までの請願及び日程第五十一より第五十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。厚生委員会理事有馬英二君。    〔有馬英二君登壇拍手
  133. 有馬英二

    ○有馬英二君 只今上程せられました請願並びに陳情九十五件に関する厚生委員会の審査の結果について御報告申上げます。  これらの請願陳情は、社会福祉、社会保險等に関するものでありまして、いずれも願意は妥当なものと認め、日程第十六より第四十六までの請願八十三件、及び日程第五十一より日程第五十八までの陳情十二件は、    〔議長退席、副議長着席〕  いずれも院議に付して内閣に送付すべきものと審査決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手
  134. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  135. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  136. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第四十七より第四十九までの請願日程第五十九及び第六十の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。    〔深川榮左エ門君登壇拍手
  138. 深川榮左エ門

    ○深川榮左エ門君 只今議題となりました請願三件及び陳情二件につきまして、通商産業委員会における審議の結果を御報告申上げます。  請願第千六百五号、鉱毒災害防除費国庫補助に関する請願請願第千七百九十五号、鉱毒災害防除費国庫補助早急交付に関する請願請願第千八百五十六号、石油および可燃性天然ガス資源の開発および確保に関する法律案中一部修正に関する請願、次に陳情第三百五十七号、輸出産業合理化に関する陳情陳情第四百八号、沖繩日本すぎ材輸入陳情。以上の請願三件及び陳情二件について、本委員会におきましては、政府当局の意見をも徴して愼重審議の結果、いずれもその願意をおおむね妥当と認め、これらを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付を要すべきものと決定いたしました次第であります。  右簡單に御報告申上げます。(拍手
  139. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  140. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  141. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、北上川開発法案(川村松助君外八名発議)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。建設委員長小林英三君。    〔小林英三君登壇拍手
  143. 小林英三

    ○小林英三君 只今議題となりました北上川開発法案につきまして、建設委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、北上川の我が国における重要性に鑑みまして、累年の災害を急速に根絶し、未開発資源を最大限に開発するため、北上川流域に総合的且つ基本的な開発計画を樹立し、これに基く事業を強力且つ迅速に実施することを企図するものであります。  審議の詳細は速記録によつて御了承願うことにいたしますが、提案者からは、本邦第三位の大河川である北上川の重要性と、同流域の逐年の災害状況並びにこれに対処するための北上川流域の総合治水事業は、国土の保全と共に積極的に土地生産力の増強を図らんとするものである旨の説明があつたのであります。  これに対しまして赤木委員その他より熱心なる質疑が行われたのでありますが、詳細は速記録によりまして御了承願いたいと思うのであります。かくいたしまして、質疑を打切り、討論に入りましたところ、赤木委員から、本法案には反対である。北上川開発法案は利根川開発法案とは内容が異なるべきことは当然であるにかかわらず、内容が同一であることは両河川の実態に反するものである。自分は本法案に対し、北上川のほかその他の国内の重要河川を包括して総合開発を企図することがより適当であると考えるので、修正したい意思であるが、手続の関係上これを提案することができなかつたことは遺憾である。これらの諸点から勘案して、本法案は本院の継続審議に移し、更に愼重なる審議を期すべきである旨の発言があつたのであります。次に小川委員から賛成討論、田中委員からは條件附で賛成討論があつたのでありまするが、かくいたしまして討論を終結、採決の結果、多数を以て原案の通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  144. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  145. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————
  146. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、モーターボート競走法案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないものと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長植竹春彦君。    〔植竹春彦君登壇拍手
  148. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 モーターボート競走法案について、運輸委員会における審議経過及び結果について御報告申上げます。本法律案衆議院議員坪内八郎君外四十九名より提出されたものでありまして、この競走は自転車及び小型自動車競走とおおむね同一の仕組で勝舟投票券の発売を認め、その施行者を地方公共団体としておるのであります。その目途とするところは、モーターボートの性能を向上し、その製造事業を振興し、同時に海事思想の普及と観光事業に資すると共に、地方財政の改善にも寄與することにあるとせられております。法案内容は、不正防止に関する新規定のほかは他の類似の法律とほぼ同様であります。  本委員会におきましては、審査の万全を期し、地方行政委員会とも二回に亘り連合委員会を開催し、更に提案者及び本法案の主務大臣たる運輸大臣並びに関係当局に対しても活溌なる質疑が行われたのであります。主なる質疑応答として、第一に、本法案趣旨は結構であるが、勝舟投票券の発売という射倖による点に問題がある。この点に関する所見如何ということでありました。この質疑に対する答弁として、射倖も、時代の思想、民情、風俗、文化の程度を勘案して、而も今日の我が国の場合としては、本法の狙いとするその目途を推進するため、国民に潤いを示し、ゆとりを持たして政治を進めて行く場合もあるのであつて、三十カ條に及ぶこの本法案の條文の大部分は、レースの実施に関する監督規定と処罰規定であり、類似法令を広く斟酌して立案せられたものであるから、射倖の方法を用いても、嚴格なる規制によつて運用のよろしきを期し得るという答弁があつたのでありました。(「OK」と呼ぶ者あり)第二の質疑は、射倖を用いないでモーターボートの向上を図る途はないかという質疑でありまして、これに対する答弁は、研究施設に多額の費用を投じることにより、モーターボートの性能改善を図る途はあるが、現在実施困難であるばかりでなく、更に本法案は、海事思想の普及、観光事業、地方財政への寄與をも企図している点が強調せられたのでありました。  第三の質疑は、モーターボート・レースにおいては、最優秀の性能のボートは常に優勝し、たとえ勝舟券を発売するとしても、番狂わせはないのではないか、又レースに生命の危險は伴わないかという質疑でありまして、これに対する答弁は、このレースは單にボートのスピードのみによらず、スタートの技術、ターンの操作、浮流物のよけ方等に大きな関係があり、且つ現に国際的にも相当活溌に行われている実況より見て、優秀艇常勝の懸念薄く、レースは水面で行われるが故に、安全度については殆んど心配なきことが答弁せられたのであります。第四の質問は、競走の実施目的とする競走会は民法の公益法人として設立されることになつているが、競走会は都道府県に一つを限り設立されるものであるから、一般の公益法人設立の例によらず、本案に特別規定を設けるべきであると思うが、運輸省の意見如何という質疑に対しまして、運輸省側は、公益法人設立に関する内規を再検討の上、十分整備し、又競走会の設立許可については、先ず地方海運局をして審査せしめ、更に本省において諸般の事情を考慮し、愼重審議の上、行うこととするという答弁がありました。  次に討論に入りましたところ、岡田信次委員より、本法律案に対する非難の要点は勝舟券の発売に伴う弊害にあるが、主務省たる運輸省の監督取締方針によれば、従来競輪やオートレースのそれらに比して格段の改善が加えられ、むしろ嚴重に過ぎるほどであるから、弊害は極めて少いものと認められる。一方、交通の動力の先端を行くエンジンの改善に寄與するところ甚大であると認められるという賛成意見が述べられ、次いで菊川、鈴木、松浦の各委員よりそれぞれ反対意見が述べられました。以上を以て討論を終り、次いで採択に入りましたところ、多数を以て本案は原案通り可決すべきものと決定せられたのであります。  以上御報告申上げます。(拍手
  149. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。小酒井義男君。    〔小酒井義男君登壇拍手〕    〔「しつかり反対せい」「ばくちで国を亡ぼせ」「ゆつくりやつて下さい」「簡單々々」と呼ぶ者あり〕
  150. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今上程をされておりますところのモーターボート競走法案に反対の意見を申述べます。(拍手)  先ず先立つて申述べたいことは、反対意見の前提となるべき我が国現状を如何に把握するかということであります。戰争による物心両面の深刻なる打撃によつて虚脱と混乱にあつた我が国が、六年間の長きに亘る占領政策から解放されて、自主独立の平和国家として新らしく出発すべき待望の講和條約を締結すべき時期を迎えようとしておるのであります。誠に重要な歴史的段階にあると言わなければなりません。このような重大な時代を迎えるに当つて、国政を運営する我々の任務こそ極めて重大であるということは皆さんも十分お考えになつておるところでございます。従つて我々の論議も、又我々の判断も、この基盤に立つて事を行わなければならないことを忘れてはならないのであります。  私が反対の理由とします第一の條件は、我が国現状より考えて、かかる法案を可決すべきでないという見地に立つておるからであります。前にも申上げましたごとく、講和條約の締結後の我が国の政治的自主権の確立と自立経済達成のために、国民こぞつて奮起しなければならないときであります。かかる重大時期を目前に控えており、なお且つ国民感情の安定を見ることができておらない現状において、本案のごときを成立させるということは時期的にも妥当でないと信ずるのであります。私は、我が国の経済が安定し、国民生活にも精神的にもゆとりのできる時期になりました際には、本法のごときものが或いは制定をせられても止むを得ない事情もあり得るかとも思うのでありまするが、現在競輪によるところの国民生活の受ける弊害、これに関連して本競技によつて派生するところの弊害も私どもは考えなければならないと信ずるのであります。本法案におきましては、成るほど競輪と比較いたしますと数段その弊害が制約せられることには相成つております。併しそれだからといつて、これを行うことによつて、これらの持つところの弊害を少くするものとは相成らぬのであります。過去において国会が可決した競輪が、その存廃を再検討されなければならない時期に、本法案審議する我々の態度は冷静でなければならないと思うのであります。競馬競輪に原因を発する紛争や家庭生活に及ぼす弊害、又青少年に與える憂うべき影響は見逃すことのできない問題でありまして、現状は既存の賭博行為の伴う競技の存廃を考慮すべきことであつて、既存のものを足がかりとして、これらの行為の伴うものを増加すべきことではないと信ずるのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)  次に、私は本案内容について意見を申述べたいと思います。本法は第一條において、モーターボートの性能の向上或いは品質の改善等、モーターボートの製造に関する事業の振興に寄與し、併せて海事思想の普及宣伝による観光事業への寄與、更に地方財政の改善をまで図らんとするところの目的を持つております。私もこれらに関する限り、もとより反対をするべき論拠はないのであります。併し問題は、競走実施の暁に、果してこのような趣旨が達成される可能性があるであろうかということでありまして、出発後未だ日時の浅い我が国地方自治体は、財政的に多くの不十分な問題を残しておることは、我々もひとしく認めるところであります。併しながら、本法によつて果し得る地方財政への寄與には、その金額が多ければ多いほど、当該地方の住民の受ける弊害が大きいということを忘れてはならないのであります。(拍手国民生活に不健全な影響を與えて財源の一部を賄い得たといたしましても、それは当該地方の住民生活全体から考える場合に、害のみ多くして、得られる益の余りにも少いことを私はここで断定をいたすものであります(拍手地方財政確立は、かかる不健全な手段を選ぶべきでなく、国家財政全般を検討して、平衡交付金の増額等の方法によることといたしまして、根本的な対策をなすべきであろうと信じます。更にモーターボートの性能向上や、品質の改善をなすためには、我が国経済の一環として、その重要度に応じた適切な助成の方途を講じ、その発展と振興に対処することが必要であると信じます。特に海事思想の普及に至りましては、その対象となる青少年に及ぼす影響は甚大でありますから、特段の注意を拂われるべきであると信じます。  反対の第三点は、法案内容の不完全なことと、その及ぼす欠陷についてであります。本法は第四條におきまして競走会の設立を規定する條章を定めております。これによりますと、競走会は各都道府県内に一個を限つて設立するものとされておりまして、更に同條第四項におきましては、競走会を民法第三十四條による公益法人として設立されるものであることを規定しておるのであります。御承知のように民法第三十四條にある公益法人と申しますのは。祭祀、宗教、慈善、学術、技芸等、営利を目的としない公益団体を指すものであります。これらの目的に合致をする団体なれば、それは同一都道府県におきましても数個のものが設立されることのできることに相成つておるのであります。本法におけるところの都道府県は、ただ一つのみを限定して競走会を認めるという、こうした公益法人は、その他の法人とは、いささか趣きを異にいたしております。又一般に株式を公募する法人とも異にいたしておりますので、民法の三十四條をこれに援用するごとの適否についても我我は検討の必要があると思います。(「時間々々」と呼ぶ者あり)若し仮に数個の法人から同時に設立願が出された場合には、何を基準としてこの設立を許可するかが明確にされておらないのであります。このことは、競走会の設立をめぐつて種々なる問題を発生させる原因と相成る要素を持つておるのでありまして、これが政治的な利権や或いは関係官庁における認許可とからんで、不純な結果を招来する危險性も予断することができるのであります。最近においても、海上保安庁における問題のごとく、官吏の汚職事件は跡を絶たない実情であります。かかる実情にあるときに、本法のごときを不完全のまま可決することは、内容そのものの問題といたしましても公正なる結果をもたらし得るものでないということを我々は十分考えなければならないのであります。本国会において制定されましたところの道路運送法を見ましても、事業の許可には一定の基準を設けております。これを法文といたしまして、而も各地には道路運送審議会を設置して、設立或いは請願の場合の適否を判断することが規定されておるのであります。然るに本法には何らかかる考慮が携われておりません。このことは、相次いで発生する汚職事件を防止するために綱紀を一層粛正して、国政を担当するところの責任ある態度を国民に対して明確にすべき政府のとるべき意図とは相反することとも相成ると、私どもは信ずるのであります。(拍手)これらの点からも本法が極めて不完全であることも指摘しなければならないのであります。  更に本法案に反対する一つの理由は、第八條において、施行者は一口五十円又は百円の勝舟券を発売をさせるという條文であります。これによつて国民は更に新らしき賭博心理を刺戟されて、結果的には、折角第一條において規定されたような、我々といえども賛成し得べきところの趣旨とは凡そ相反する結果をもたらすであろうということが予想されるのであります。又別の観点から論じても、ボートレースに賭博行為が伴うことを公然と行なつている国は、世界広しといえども未だ私はその前例を聞かないのであります。伝統的な歴史と誇りを持つスポーツとしてのボートレースにまで賭博行為を行わしめることは、如何に我が国の民度が低いとはいえども、諸外国に対しても誠に恥ずべきものであると私は信ずるのであります。(拍手)又、本国会には、別に議員提出法案としまして畜犬競技法案なるものが衆議院より送付されておるのであります。先に競馬あり、競輪あり、今新らしくモーターボート競走法案が成立を見るということになりましたならば、そのすぐ後に畜犬競技法が登場することは火を見るよりも明らかであります。(「その次は何だ」と呼ぶ者あり)今や自転車も、ボートも、犬も、挙げて賭博行為の手段となり、やがては牛も、鶏も、豚も、猫までも、美しい目的を掲げて射倖行為の道具に使われるということを(拍手)私は断言しなければならないと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)アジアの一角に公認賭博国を作るのではないかという私は錯覚をさえ覚えざるを得ないのであります。つまり本法案の通過を機会に飛び出すであろうところの犬や鶏が虎視眈々としておる。(笑声)つまりこれを通過させることは、それらの法案を同時に通過させる前提になるということを私どもは忘れてはならないと思います。(拍手、「ワンマン内閣」と呼ぶ者あり)私は何故に政府(「もう時間だ」と呼ぶ者あり)並びに国民の選良であるはずの議員の各位が、この種法案の提出や成立に憂き身をやつすのか。その心事を予測することができません。(拍手)このような憂うべき現状を阻止して、政治のあるべき姿を守り得る所は、衆議院を通過し、当院委員会において僅か一名の差なりといえども多数によつて可決されました以上、残されているのは本会議場のみであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)各員におかれましては、我が国現状国民大衆の実際を考慮されまして、本院の果すべき任務と、その権威とを国民の前に示し、第十国会におけるところの本院の光栄ある歴史を残されんことを期待する次第であります。(拍手)私の申述べましたこれらのことは、すでに皆さんにおいて熟知されておりますところの一般的な(「わかつておる」「長いぞ」と呼ぶ者あり)常識論の域を出ないものでありますが、(「時間々々」と呼ぶ者あり)併しながら、それをあえて繰返さなければならないことは、私自体も誠に遺憾とする次第でございます。(「そんなのわかつているよ」と呼ぶ者あり、拍手)幸いに全国民の輿望と信頼に副うべく議席を有せられるところの各議員は、そのお持ちになるところの知性と良識によつて必ずや(「くどいぞ」と呼ぶ者あり)この法案を否決せられるであろうということに、私は期待と敬意を拂いたいと思つております。(拍手)モーターボート競走法案に対して、(「時間時間」「議長どうした」と呼ぶ者あり)私、以上甚だ簡單でございますが、社会党を代表しての反対意見といたします。(拍手
  151. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案賛成諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  152. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  153. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百六十票、  白色票即ち本案を可とするもの六十五票、  青色票即ち本案を否とするもの九十五票、(拍手)  よつて本案は否決せられました。(拍手)      ——————————    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名  六十五名    村上 義一君  前田  穰君    藤野 繁雄君  高田  寛君    長島 銀藏君  宮本 邦彦君    秋山俊一郎君  高橋進太郎君    仁田 竹一君  宮田 重文君    森田 豊壽君  草葉 隆圓君    石川 榮一君  九鬼紋十郎君    加納 金助君  平沼彌太郎君    城  義臣君  植竹 春彦君    小野 義夫君  鈴木 安孝君    寺尾  豊君  石坂 豊一君    北村 一男君  中川 幸平君    横尾  龍君  中山 壽彦君    小串 清一君  小杉 繁安君    中川 以良君  廣瀬與兵衞君    重宗 雄三君 大野木秀次郎君    加藤 武徳君  古池 信三君    平井 太郎君  白波瀬米吉君    安井  謙君  岡田 信次君    愛知 揆一君  瀧井治三郎君    石村 幸作君 池田宇右衞門君    入交 太藏君  島津 忠彦君    石原幹市郎君  山崎  恒君    鈴木 恭一君  大島 定吉君    川村 松助君  竹中 七郎君    谷口弥三郎君  有馬 英二君    油井賢太郎君  山田 佐一君    堀  末治君  大屋 晋三君    泉山 三六君  小林 英三君   深川榮左エ門君  菊田 七平君   前之園喜一郎君  小川 久義君    境野 清雄君  木内 四郎君    稻垣平太郎君  反対者(青色票)氏名  九十五名    山本 勇造君  宮城タマヨ君    溝口 三郎君  堀越 儀郎君    藤森 眞治君  野田 俊作君    徳川 宗敬君  伊達源一郎君    高橋 道男君  高橋龍太郎君    高瀬荘太郎君  高木 正夫君    杉山 昌作君  新谷寅三郎君    島村 軍次君  小林 政夫君    小宮山常吉君  楠見 義男君    木下 辰雄君  片柳 眞吉君    柏木 庫治君  加賀  操君    奥 むめお君  岡本 愛祐君    岡部  常君  木村 守江君    上原 正吉君  飯島連次郎君    伊藤 保平君  赤木 正雄君    三好  始君  櫻内 義雄君    一松 定吉君  鬼丸 義齊君    中田 吉雄君  金子 洋文君    門田 定藏君  清澤 俊英君    カニエ邦彦君  藤原 道子君    島   清君  永井純一郎君    三橋八次郎君  高田なほ子君    片岡 文重君  吉川末次郎君    小林 孝平君  山花 秀雄君    松浦 清一君  菊川 孝夫君    赤松 常子君  山田 節男君    三輪 貞治君  成瀬 幡治君    田中  一君  小泉 秀吉君    伊藤  修君 小笠原二三男君    羽生 三七君  江田 三郎君    大野 幸一君  曾祢  益君    中村 正雄君  細川 嘉六君    須藤 五郎君  岩間 正男君    兼岩 傳一君  千葉  信君    鈴木 清一君  堂森 芳夫君    重盛 壽治君  岡村文四郎君    森 八三一君  佐多 忠隆君    小林 亦治君  岩崎正三郎君    相馬 助治君  三浦 辰雄君    石川 清一君  松浦 定義君    椿  繁夫君  岡田 宗司君    堀木 鎌三君  松原 一彦君    羽仁 五郎君  内村 清次君    小酒井義男君  栗山 良夫君    山下 義信君  矢嶋 三義君    木下 源吾君  棚橋 小虎君    下條 恭兵君  河崎 ナツ君    森崎  隆君      ——————————
  154. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて午後八時まで休憩いたします。    午後七時十九分休憩      ——————————    午後九時十二分開議
  155. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、会期延長の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。議長衆議院議長協議の結果、国会の会期を今月五日まで三日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  157. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。(拍手)よつて会期は本月五日まで三日間延長することに決定いたしました。      ——————————
  158. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際お諮りいたします。本日、櫻内辰郎君から外務委員長を、深川榮左エ門君から通商産業委員長を、前之園喜一郎君から決算委員長を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれもこれを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決定いたしました。      ——————————
  160. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の補欠選挙を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
  162. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 本員は、只今の常任委員長の補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  163. 木村守江

    ○木村守江君 私は只今の油井君の動議に賛成いたします。
  164. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 油井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、外務委員長に大隈信幸君を、通商産業委員長に竹中七郎君を、決算委員長に岩男仁藏君をそれぞれ指名いたします。(拍手)  次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時十六分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 全国選挙管理委員会委員指名  一、全国選挙管理委員会予備委員指名  一、日程第三 教育公務員特例法の一部を改正する法律案   両院協議会成案  一、日程第四 医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案  一、日程第五 産業教育法案  一、日程第六 住民登録法案  一、日程第七 日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の讓渡の制限等に関する法律案  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長の選挙  一、日米経済協力に伴う労働政策に関する緊急質問  一、綱紀粛正に関する緊急質問  一、日程第二 日本国有鉄道貨物輸送力整備増強に関する決議案  一、現業職員の特別俸給表制定に関する決議案  一、国民金融公庫の拡充強化に関する決議案  一、日程第八 税理士法案  一、日程第九 商法の一部を改正する法律施行に伴う銀行法等金融関係法律整理に関する法律案  一、日程第十 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 ニツケル製錬事業助成臨時措置法案  一、日程第十二 緊要物資売拂に関する法律案  一、植物防疫法の一部を改正する法律案  一、農林物資規格法の一部を改正する法律案  一、戰傷病者等対策審議会設置法案  一、理容師法の一部を改正する法律案  一、兒童福祉法の一部を改正する法律案  一、特別会計、政府関係機関及び終戰処理費の経理に関する調査の中間報告  一、日程第十三乃至第十五の請願  一、日程第五十の陳情  一、日程第十六乃至第四十六の請願  一、日程第五十一乃至第五十八の陳情  一、日程第四十七乃至第四十九の請願  一、日程第五十九及び第六十の陳情  一、北上川開発法案  一、モーターボート競走法案  一、会期延長の件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長の選挙