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1951-05-23 第10回国会 参議院 本会議 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十三日(水曜日)    午前十時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十四号   昭和二十六年五月二十三日    午前十時開議  第一 国有林野法案片柳眞吉君外九名発議)(委員長報告)  第二 国有林野整備臨時措置法案片柳眞吉君外九名発議)(委員長報告)  第三 食糧政府買数量指示に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 国土調査法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 地方自治法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第六 高圧ガス取締法案内閣提出)(委員長報告)  第七 保險業法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第八 外国保險事業者に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第九 船主相互保險組合法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。議席第二百十五番、地方選出議員、愛媛県選出玉柳實君。    〔玉柳實起立拍手〕      ——————————
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第一、国有林野法案日程第二、国有林野整備臨時措置法案(いずれも片柳眞吉君外九名発議)、日程第三、食糧政府買数量指示に関する法律案、(内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  6. 羽生三七

    羽生三七君 只今議題となりました片柳眞吉君外九名の発議にかかる国有林野法案農林委員会における審査経過及び結果を御報告申上げます。  御承知通り現行国有林野法明治十二年の制定にかかわる極めて古い法律でありまして、制定後の諸情勢の変化に伴い、今日では国有林野管理処分に関する根拠法規として妥当でない部分が生じておるのに加えて、明治四十一年の一部改正により削除條文が極めて多く、法律体裁上も適切を欠いておりますので、今回全文改正案として本法案提出せられたのであります。  以下本法案内容を申上げますと、先ず第一は、国有林野境界確定に関する規定を設けたのであります。これは従来の強権的な境界査定処分を廃して、相手方との協議が整い、或いは相手方同意があつた場合にのみ境界確定される旨を規定したものでありまして、民主的な方法に改められたのであります。第二は、国有林野の貸付、使用又は売拂の場合の條件及び優先順位を定めたもので、現行法規定とおおむね同様であります。第三は、国有林野について国以外の者に造林させ、その造林木を共有とし、收益を分收するいわゆる部分林制度に関する規定でありまして、部分林契約内容及び存続期間造林者権利義務契約解除條件その他を定めたもので、これも現行法規定とおおむね同様でおります。第四は、現行法委託林制度に代わる共用林野制度の新設でありまして現行委託林制度は、保護の必要な国有林野について市町村又はその一部に保護を委託し得るものとし、その代償として受託者自家用薪炭林その他の林野産物を讓與するという考え方でありましたが、共用林野制度国有林野経営地元利用とを調整し、土地高度利用を図るため、農地調整法農用林制度の構想にならい、これとおおむね同様の使用收益権利を得させるという考え方で、使用收益権利内容共用林野契約内容存続期間解除條件、対価の免除の條件共用者の地位の得喪その他を定めたものであります。  以上が本法案骨子でありまして、委員会におきましては、境界確定の際における協議不成立或いは不同意の場合の措置部分林における收益分收基準契約期間現行簡易委託林取扱、その他名條項亘つて慎重審議を行なつたのでありますが、その詳細は速記録によつて承知願いたいのであります。  かくして昨二十二日討論に入り、三浦委員より、この法案国有林が民主的になる一つの方向ではあるが、管理処分に対する確たる基本方針を確立して、地方出先機関の処置に遺憾なきを期せられたい旨の希望を付して賛成討論があつた後、採決の結果、本法案全会一致を以て原案通り可決すベきものと決定いたしました。  次に、同じく片柳眞吉君外九名の発議にかかる国有林野整備臨時措置法案農林委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  現在の国有林野あり方は、その成立の歴史から申しまして、国土保安森林資源の維持、培養その他国有林野事業経営観点から、必ずしも合理的であるとは申されませんので、その整備を図る必要が認められるのでありますが、その根本的な整備国有林野の本質に触れるばかりでなく、国土総合利用の問題にも関連いたしますので、愼重検討の上決定すべき性質のものでございます。併しながら根本の問題は一応別といたしましても、直ちに措置し得る部面も存在しておりますので、国有林野整備上当面必要な売拂交換等措置を講じ、以てこれが円滑な実施を促すため本法案提出せられたのであります。  その内容を申上げますと、国有林野であつて、一、孤立した小団地の国有林野、二、搬出系統関係により現に孤立した施業を行なつている小面積の国有林野、三、民有林野との境界が入り組んでいるため経営に支障がある国有林野、四、国有林野で、その所在する地方の住民に対し、その自家用に供する薪炭の原木を供給する慣行があつたため、現に特別な施業を行なつているもの、以上のいずれかに該当するものを地方公共団体又はその地方の適当な者に売拂い、又は交換し或いは民有林買上を行なつて国有林野経営事業の運営を有利にすると共に、その地方経済向上に資することを日目的としているのであります。  而してその売拂相手方地元市町村を第一順位として、地方財政に寄與するところ多からしめようとしており、又売拂に際しては十カ年の代金延納の特例を認めて、都道府県又は市町村の便を図つておるのであります。  又その收入金国有財産の減少を阻止するため、交換差損隣接民有林買上代金国有林野経営への投資等に使途を限定しており、更に整備期間を三カ年に限定して、本法案臨時措置であることを明らかにしておるのであります。  以上が本法案骨子でありまして、本委員会におきましては、各條項亘つて愼重審議を重ねたのでありますが、その詳細は速記録によつて承知を願いたいのであります。次いで討論に入り、江田委員は、一、拂下、交換等に対し、政治的に利用され、或いは不公平を来たすことのないように審議会利用すること、二、拂下後にその林野経営を低下せしめないこと、三、根本的に治山治水国土保全のために、将来国有林野整備愼重且つ可及的速かに樹立されることを希望して賛成せられ、三浦委員は、一、将来の国有林野あり方につき、地方ごとの偏在を矯正すること、二、整備による利権をめぐつて相当の混乱が予想されるので、確固たる方針を樹立し、政治的圧力等利用されざることを希望して賛成せられ、かくして討論を打切り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。  続いて、食糧政府買数量指示に関する法律案農林委員会における審査経過及び結果を御報告いたします。  この法律案は、去る三月六日政府から予備審査のため当院に提案せられ、同日農林委員会予備付託、続いて三月二十四日衆議院から送付せられ、同目当委員会付託なつたものでありまして、当委員会におきましては、三月八日政府から提案理由説明を聴取して直ちに審査に着手いたしたのでありますが、本法律案は、別途今国会に政府から提案せられ、三月二十七日当院を通過いたしました農業委員会法、及び同じく政府から提案せられ、三月二十四日衆議院から送付、三月二十八日本院において否決、直ちに両院協議会に付せられ、遂に成案を得るに至らず、廃案と決定いたしました食糧管理法の一部を改正する法律案と極めて密接な関係にあり、特に後者との関係は不可分でありまして、同法案廃案と決定するや、これに即応して必要な手続によつて修正案を決定し、本日ここに報告するに至りましたことをあらかじめ御了承頂きたいのであります。  さて、米麦等主要食糧政府買数量指示、即ち普通割当と言われておりますが、その割当食糧確保臨時措置法が施行せられましてから、最近までこの法律によつて作付前に生産数量と併せて行われて来ていたのでありますが、食糧確保臨時措置法は今年三月三十一日限りで失効いたしましたので、今後における割当に関する方針及び実施手続、その他必要な事項について法制的措置を講ずる目的を以て本法律案が提案せられたのでありまして、その内容骨子とするところは、第一に、前に述べました食糧管理法の一部を改正する法律案に列を併せて、割当米穀についてのみ行うこととなし、大麦はだか麦及び小麦については特別の場合を除いては原則として割当しないことを規定しております。第二は、割当やり方として、先ず農林大臣米穀都道府県別收穫見込高が大体明らかになつたとき、米穀買審議会及び都道府県知事意見を聞いて、都道府県別割当を定めて、これを都道府県知事指示し、而してこの指示を受けた都道府県知事都道府県農業委員会意見を聞いて知事が定めた区域ごと割当を行い、次いでその区域内の市町村農業委員会代表者会議意見を聞いて市町村別割当を行うか、或いは又直接市町村別割当を行うか、いずれかの方法によつて市町村別割当を行なつて市町村長指示すると共にこれを公表し、続いて市町村長知事指示により市町村農業委員会意見を聞き、速かにその管内に住所を有する生産者別割当をきめて指示し、公表するのであります。而して若し指示せられた割当について異議ある者は異議を申立てることができることになつております。第三は、割当は今までは作付前、即ち事前割当によつて行われて来ていたのでありますが、これを收穫見込高が大体明らかになつたとき、即ち事後割当に改め、なお割出をせられた後において、実收高割当基礎なつた收穫見込高と変つた場合、又は割当最終決定後災害その他やむを得ない事由の生じた場合は、規定手続によつて割当変更ができることとなし、第四は、生産者保有数量確保、即ち保有優先規定を設け、第五は、米穀買審議会を法制化するというのであります。  政府原案はまのまま衆議院を通過して本院に送付せられ、当委員会付託なつたのでありますが、当委員会の大勢は、原案に対して大要次のような修正を加えることを適当と認めたのであります。即ち第一は、先に述べましたように食糧管理法の一部を改正する法律案廃案となりましたことに伴つて大麦はだか麦小麦等麦類は当然米穀と同列に割当が行われなければならないことになりますから、そのように修正し、なおこの修正伴つて米穀買審議会の名称を食糧買審議会と改める。第二は、先に失効となりました本法案の前身というべき食糧確保臨時措置法におきましては、割当都道府県農業調整委員会地方農業調整委員会及び市町村農業調整委員会議決を経で行われなければならないことになつておりまして、これらの機関はすべて議決機関として取扱われていたのでありますが、本法案においては割当都道府県農業委員会市町村農業委員会代表者会議及び市町村農業委員会意見を聞き、その意見を尊重して行われることとなり、これらの機関諮問機関として取扱われることに変更せられているのでありますが、これは食糧確保臨時措置法におけるように議決機関に改めると共に、都道府県知事及び市町村長の代執行の規定を設け、第三は、都道府県知事割当やり方が直接市町村別割当を行わず、先ず区域を定めて区域ごと割当を行い、その後区域内の市町村別割当を定める場合において、各区域ごと割当の適正円滑を期するため、都道府県農業委員が各区域ごと割当を決定するに当つては、各区域市町村農業委員会代表者会議代表者意見を聞かなければならないことに改め、第四は、実收高割当決定基礎なつた收穫見込高をこえることが明らかになつたとき、農林大臣がすでに行われた割当事後において増量変更する場合を、主として天候その他の自然的要因によつて作況が好転した場合と明確にし、第五は、農林大臣都道府県知事から、都道府県知事市町村から割当変更承認を求められた場合、原案では農林大臣又は都道府県知事は單独で処理することができることになつているのでありますが、その承認請求取扱の適正を期するため、承認するか否かをきめるに当つて食糧買審議会意見を聞き、又は都道府県農業委員会議決を経なければならないことに改め、第六は、種子用米麦については食糧割当の際特別の取扱をとることとなし、第七は、食糧買審議会委員の数を原案では総数二十人以内、うち農業者又はその団体を代表する者十五人以内とあるのを、それぞれ二十五人以内及び二十人以内に増員する等が修正の主な点であります。而してこの割当問題につきましては、その根本に幾多の問題が残されているのでありますが、委員会といたしましては、差当つて政府提出衆議院送付案を右のように修正可決すべきものと多数をもつて決定いたした次第であります。右御報告申上げます。
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず国有林野法案及び国有林野整備臨時措置法案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 久に、食糧政府買数量指示に関する法律案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。(拍手)      ——————————
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第四、国土調査法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。    〔佐々木良作登壇拍手
  12. 佐々木良作

    佐々木良作君 只今議題となりました国土調査法案につきまして、経済安定委員会におきまする審議経過と結果を御報告申上げます。  政府提案理由説明は省略いたしますが、要するに国土の総合的な開発及び保全基礎を確立するために、国土を実態的且つ総合的に調査しようというのであります。  次に本法案内容につきまして御説明すべきでありますけれども、本法案は六章三十八カ條から成つておる厖大なものでありますので、極く主な点につきましてのみ簡單に申上げることを許して頂きます。第一に国土調査と申しますのは、基本調査土地分類調査水調査及び地籍調査のことでありまして、そのうち基本調査は国の機関都道府県が行い、土地分類調査水調査は国の機関地方公共団体が行い、又地籍調査地方公共団体等が行うこととなつておりまして、国と地方公共団体とがそれぞれ適当な部面を担当して、この事業完遂を図ることになつております。二番目に、国土調査に関する業務は経済安定本部で統轄することといたしまして、そのために経済安定本部国土調査審議会を設け、国土調査に関し総裁諮問に応じたり、或いは総裁を通じて関係行政機関の長に意見を申し出る等、国土調査に関する重要事項について調査審議するのでありますが、調査実施関係各省庁が、それぞれその所管に応じて行うことになつております。三番目に、国土調査が行われる都道府県には、都道府県国土調査委員会を設置いたしまして、都道府県区域内における国土調査実施のため必要な連絡及び調整を行うことになつております。第四番目に、安定本部総裁又は主務大臣意見に基いて国土調査計画の一部を変更した者及び主務大臣の勧告に基いて国土調査を行う者に対しましては、国は予算範囲内で補助金を交付することができるようにもなつております。第五、最後に国土調査の結果作成されました地図及び簿冊につきましては認証の制度を設けまして、国土調査の結果の精度を確保すると共に、この成果によつて土地台帳などの訂正を行うことができるようにしてあります。このほかに、計画及び実施とか、その他立会、出頭、障害物除去土地使用制限土地等の一時使用或いは損失補償等規定がありますが、以上極く簡單内容だけの報告にとどめたいと思います。  さて本法案につきましては、建設委員会及び農林委員会との関係も深いことでありましたので、建設及び農林委員会連合委員会を開きまして、愼重審議を重ねたのでありますが、その審議の詳細は速記録によつて了承して頂くことにいたしまして、質疑のほんの主なる点二、三を整理して申上げることにいたします。第一は、本法案国土総合開発法との関係はどうか。それから第二番目に、国と地方公共団体等との経費の関係はどうか。三番目に、本法案が施行されました際、政府は責任を持つて調査完遂に努力するかどうか、その決意のほどはどうだという意味であります。これが主なる質疑でありまして、これらに対しまして、政府からはそれぞれへ次のような答弁が大体ありました。第一の点につきましては、国土調査法案と、国土総合開発法とは表裏一体の関係であり、むしろ国土調査のほうが総合開発に先行し総合開発のための資料となるのが理想でありますけれども、現在では国土調査総合開発の仕事を並行して行くよりほかないので、そのように行いたいと思つておるということ。第二点につきましては、国土調査全体については国及び地方公共団体等、合せておおむね三百億円程度と考えられるのであるが、そのうち国の負担する部分は約二百億で、地方公共団体などが国土調査のための計画変更した部分についてのみ予算範囲内で補助金を交付するものでありまして、国土調査自体のためにのみ地方公共団体が負担する部分は、まあそれほど大きい部分ではないと考えられるとの答弁でありました。第三点につきましては、政府は、本法の趣旨を全うするために、できるだけ努力をするという強い意思表示が一応あつたわけであります。その他連合委員会におきましては、緑風会赤木委員から、技術的な問題につきまして、特にそのうち、この法案提出がされておるけれども、準備が非常に不足だという点について鋭い追及がありましたし、又経済安定委員会に移しましてからは、藤野委員から、各條文に即しまして、詳細なる質疑が行われましたことを附加えて置きます。  討論に入りましてから、野田委員から本法案施行期日昭和二十六年四月一日からとなつておりますので、すでに期日経過しておりますから、公布の日から施行するという旨の修正案提出され、又兼岩委員からは反対意見が述べられたのでありますが、この兼岩委員反対意見につきましては、恐らく本人から討論があると存じますから省略いたします。かくいたしまして、採決の結果、野田委員提出されましたところの修正案通り修正議決されました次第であります。  以上簡單でありますが、本法案につきましての本委員会におきます審議経過と結果の御報告であります。(拍手
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇
  14. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 本案昭和二十二年以来経済安定本部資源調査会を中心といたしまして、日本の復興を念願する科学者技術者及び専門家の諸氏によつて愼重審議されて来たものでございまして、その主観的意図において何ら反対すべきものはないのみならず、我々と念願を同じうするのでございます。併しながらこの法案が極めて反動的な吉田内閣の手によつて実行に移されます場合、如何なる政治的な効果を持ち来たらすであろうかこれが日本国民経済に如何なる影響を持ち来たすであろうかという観点に立ちますと、日本共産党は遺憾ながらこれに対して反対せざるを得ないのでございます。以下具体的にその反対事項を申述べて見たいと存じます。  この法律案意図しております調査は四項目でございます。第一は基本調査、第二は土地分類調査、第三は水の調査、第四は地籍調査となつております。この四つの調査の果すであろう役割をこれから指摘いたしましよう。  先ず第一に基本調査、これは基準点測量をしようとするものでございまして、一切の今後の測量、ばらばらに行われます測量を全部四等三角点にまとめ、これを三等、二等、一等というふうに全国土測量を合理的に統一して行こうというところにありまして、その意図するところは極めて科学的であります。併しながら日本経済発展でなくて崩壊、繁栄でなくて荒廃の派を辿ります以上、これらの善良なる意図に基く科学的な測量調査も、実際的に経済に役立つことなく、これが單なる測量技術の温存として役立つであろうという点を指摘せざるを得ないのでございます。  それから第二に土地分類調査、これは林野農耕地の現況を調査し、且つ土壌の性質を深く究めようとするところの意図を持つておりますが、日本農業は肥料及び米価の悪い政策と、外国からの食糧の高価なる押付け輸入、それから工業関係独占価格の挟み討ちに会つて荒廃の一途を辿つておりますので、善良なこの調査意図にもかかわらず、この調査の結果は、将来の日本歴史において、吉田内閣が如何に国土荒廃させたかの科学的な記録となつて残るにとどまるでありましよう。  第三に水の調査、即ち治山及び治水及び利水、なかんずく水力発電開発意図するところの水調査は如何なる効果を挙げるでございましようか。関係者は恐らく一九三二年、三年にかけて着手され非常な成功を改めましたアメリカテネシー渓谷系の総合的な水力開発TVAを夢見ているでありましよう。併しながらこれはルーズベルトの極めて進歩的なニユー・デイール政策及びこの政策成果として、最も反動的なヒツトラー、ムツソリーニ及び東條の反動的なフアシスト軍を倒すために役立つという、世界歴史的な進歩的な意味において大きな役割を果したのでありますが、この植民地的、隷属的な日本の持つ資源が、およそこのTVAなどというような形に進むのでなくて、全くこれと反対に、日米経済協力の名の下に、外国外資導入を名として、そうして外国のために大切な資源を売渡すのみならず、これから得られました水力電気平和産業の無制限発展に使わないで、アメリカ史上空前な大軍備拡張に照応するところの軍需産業の下請にこれを利用することによつて、一方において農業荒廃させ、一方において平和産業を破壊させて、日本を一層困難な状態に陷れるところの調査を果すにとどまるであろうということを指摘せざるを得ないのでございます。これはこの法律案全体、国土調査、この国土調査というのがヒツトラ・ドイツの国土計画に範をとつておりますが、この国土調査はむしろTVAに進まないのみならず、反対ヒツトラーのやりました、同じく一九三二年から三三年にかけて全世界を揺り動かしましたヒツトラー国土計画、あの自動車道路築造を思わしめるものがあります。同時に日本の全技術者のみならず、世界技術者ヒツトラー自動車道路網国土計画基礎を置くところの自動車道路網築造に目をみはつたのでありますが、この自動車道路網意図するところが、国内の労働者運動を彈圧し、国外的には二正面作戰を解決するための軍事的な目的であつたために、歴史が証明するがごとくヒツトラーは惨敗を喫し、ゲルマン民族を今日の崩壊に導き入れ、今日ドイツでは、あのヒツトラー自動車道路ヒツトラーの墓場と呼ばれておるそうでありますが、かような悲惨な方向に導くところの調査になる危險性がある。即ち関係科学者技術者及び專門家の善良なる意図にもかかわらず、この法案はむしろヒツトラーの二の舞を踏み、破滅的な意味において、さような方向のための基礎調査になるところの危險性を持つておるのであります。  最後に地籍調査とは、土地の繩延び及び林野に多くありますところの所有関係のあいまいさを正確にしようとするのでありますが、これはそうでなくてさえ苛斂誅求、重税に悩む国民に、重税の合理化としての土地地籍調査に帰着するところの危險性が極めて大であります。  以上を総合いたしまして、大臣のこの提案の説明にございますように、経済自立を達成するために生産水準を向上させ、貿易規模を飛躍的に拡大させ、国土資源を最大限に活用するために、天然資源を我が国国民経済発展に寄與するよう開発するための基礎調査だと、こういうふうに大臣は説明いたしておりまするが、この言葉は全部裏返しにいたしますと、この法律案役割をすつきりと説明するのであります。即ち我が国経済を自立させるのでなくて、外国の隷属化、そうしてこれが單独講和によつて仕上げをされるのでございますが、この経済の隷属化、植民地化、生産水準の向上とは、軍需産業のみについていささかこれが当てはまるとしましても全平和産業の水準の下落、貿易の飛躍的拡大とはこれは真つ赤な嘘でありまして、中国との貿易の切断によりまして、日本の貿易の荒廃と転落、国土資源最大限の活用、これは利根川初め北上川、あらゆる問題になつております全河川が崩壊の一途を辿つておるということで証明されるがごとく、国土資源を最大限に活用するのでなくて、国土資源の無限の荒廃、そうして我が国国民経済の充実でなくて、我が国国民経済を崩壊させて行く、こういう吉田内閣の政治的役割基礎調査になるであろうということを私どもは見通しますが故に、この法案に対して反対をするものでございます。
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五、地方自治法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員会理事堀末治君。    〔堀末治君登壇拍手
  18. 堀末治

    ○堀末治君 只今議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案衆議院提出にかかり、東京都は條例で主税局及び港湾局を置くことができる旨を定めようとするものでありまして、その理由は、現在東京都においては税務行政は財務局の主税部で、港湾行政は建設局の港湾部でそれぞれ処理していますが、いずれもその行政の性質、分量、人的組織、事務機構等各般の実情に鑑み、その円滑な処理と目的達成のために、各独立の局を設ける必要があるというのであります。  委員会においては、先ず発議者の一人たる野村衆議院議員から提案理由説明を聞いた後質疑に入り、各委員と野村議員及び政府委員並びに参考人春都副知事との間に質疑応答が行われました。二つの部を局に昇格させる必要如何との問に対しては、税務については、地方税法の改正に伴い二十三カ所に都直轄の税務事務所を設けて遺漏なきを期しているが、都税收入の都財政上に占める地位と、三千数百名の職員を擁する税務機構を一層効率的に運営するために、主税局を設けようとするものであり、港湾行政については、従来港湾局を設けて運営したが、終戰後これを部に改めたところ、最近海運復興の機運に対応し、又港湾法の制定に伴い重要港湾に指定され、都が管理者となつたので、ここに再び部を局に昇格して運営の完璧を期せんとするのであるとの答弁がありました。更に各委員から道府県の部制についても、この際條例に一任するように法律改正すべきではないかとの質疑が繰返されましたが、これに対し政府委員から、行政事務の再配分の解決と相待つて適当に処置したいとの答弁がありました。なを詳細は速記録によつて御覧を願います。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、相馬委員から、政府は将来成るべく速かに抜本的改正を行うべきことを希望する旨を述べて原案賛成し、岩木委員も又新局長以下昇格に心おごることなきよう善処することを要望の上賛成の意を表明しました。次いで採決に入りましたところ、全会一致を以て原案は可決となつた次第であります。  右御報告いたします。(拍手
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六、高圧ガス取締法案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。    〔深川榮左エ門君登壇拍手
  22. 深川榮左エ門

    ○深川榮左エ門君 只今議題となりました高圧ガス取締法案に対する当委員会審査経過並びに結果について御報告申上げます。  従来より危險物としての高圧ガスの取締は、大正十一年に制定せられました圧縮ガス及び液化ガス取締法によつて運営せられて参つたのでありまするが、同法によりますと、取締機関は内務省であり、而も同法は旧憲法下の立法であるため、形式的にも、実質的にも現情勢にそぐわぬので、これを全面的に改正して、高圧ガスの製造、販売、貯蔵、移動、その他の取扱及び消費或いは容器の製造及び取扱を規制し、高圧ガスによる災害を防止し、公共の安全を確保することを目的として本法案提出されたものであります。  次に本法案の要旨について申上げます。その第一点は、新憲法の施行に伴う法体系の整備についてでございます。現行法である圧縮ガス及び液化ガスは、先にも述べたごとく、旧憲法下の立法でございますので、全面的委任立法に近いものであり、且つ不当な行政処分に対する救済も認めていない等、法制的に不備があるのであります。本法案は新憲法に即応した法体系を整備し、取締対象、権利制限、義務設定、行政救済等を法律自身に規定しているのであります。第二点は、技術上の基準について再検討を加えているのであります。現行法制定以来の高圧ガス工業或いは容器製造工業の進歩より見て、製造施設、製造方法の規制或いは容器の検査制度、製造作業の監督者である作業主任者の資格、その他高圧ガスの貯蔵、消費、廃棄、輸入高圧ガスの規制等について所要の規定を設けているのであります。第三点は、取締担当機関の明確化の問題であります。これについては内務省の解体、地方自治体制の確立、警察制度改正後における取締機関としての通商産業省、都道府県及び警察のそれぞれの権限、所掌事務の範囲を明確化して、運用上の疑義をなからしめているのであります。  本法案につきまして、当委員会におきましては、その審議に万全を期するため、関係業界の団体及び企業或いは学識経験者を参考人として出席を求め、本法案に対する意見を聽取したのであります。その結果、業界或いは学識経験者の意とするところが明確になり、本法案審議に遺憾なきを期し得たのであります。  次に本案に対する質疑応答でございますが、その詳細は速記録に譲るといたしまして、論点の主なるものは、第一には審議会に関する点、第二には技術基準に関するもの、第三は取締機関及びその区分についてでございます。その他本法案と鉱山保安法或いは労働基準法との関係等にも質疑があつたのでございます。特に保安審議会については白熱的な質疑応答が政府との間に行われたのであります。その一、二の点について申上げますと、先ず本法案第七十條の保安審議会の構成メンバーにある学識経験者の任期が六カ月であり、一回に限り再任を妨げないと規定してあるが、再任したとしても一カ年しか構成メンバーとしての職責を果すことができない。これでは政府意図する審議会に民間の声を反映するという立案の趣旨に反しないかとの質問でございます。これに対し、政府は差当り一年程度の任期ならば、政府意図する審議会運営に支障がないとの答弁がございました。その他当該審議会に関し経済審議会なりと断定した理由について質疑がありましたところ、政府審議会等に関する閣議決定その他の内容を引用する等、極めて懇切に説明されたのでありまするが、当委員会全般といたしましては、参考人各位から、本法案の死命を制するものは保安審議会の活用如何にあるとの意見に全く同感であるために、本條の規定ではこれを全面的に了承できんという空気が濃厚であつたのであります。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、栗山委員より、政府原案第七十條の、「一回に限り」を削るとの修正動議が提出せられたのであります。その理由といたしますところは次の通りでございます。即ち本修正案により、審議会委員中高圧ガスの保安に対し学識経験のある者の二回以上の再任を認め、一年以上継続的に保安に関する重要事項審議させることに法律規定することは、民間人も含めた学識経験者の発言力を強化し、審議をして効果あらしめると同時に、責任ある態度で審議に加わることができる関係上、結論的には、政府も業界も意図する審議会の本来の目的を達成することができるというのであります。  以上を以て討論を終り、先ず栗山委員提出修正案採決いたしましたるところ、全会一致を以て可決、次いで修正点を除く政府原案全部を可決いたしましたるところ、これも同じく全会一致を以て可決いたしたのであります。よつて法案全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたした次第でございます。  この際特に申上げて置きたいと存じますることは、委員会における修正は、形の上に現われたところは頗る簡單なものであります。併し内容的には、政府が立案過程において直面したいわゆる客観情勢なるものを、国会独自の立場からこれを是正したものであり、情勢の推移と相まつて、ここに意義と重要性が存するのであります。その点を特に申添えて報告を終ります。(拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第七、保險業法の一部を改正する法律案日程第八、外国保險事業者に関する法律の一部を改正する法律案日程第九、船主相互保險組合法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員会理事大矢半次郎君。    〔大矢半次郎君登壇拍手
  27. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 只今上程せられました保險業法の一部を改正する法律案外国保險事業者に関する法律の一部を改正する法律案船主相互保險組合法の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告いたします。  先ず保險業法の一部を改正する法律案について改正の要点を申上げます。第一点は、いわゆる保証保險事業保險業法上の保險事業として認めようとするものであります。即ち保証保險事業は、保險会社が物品納入者、被用者又は工事請負人等の一般契約上の債務者から保險料を受入れ、物品注文者、使用者又は工事発注者等の債権者が契約の履行に関してこうむる損害を補填する事業でありまして、厳密には保險事業とは申しがたいのでありますが、諸外国の実例もあり、我が国においてもつとにその実施が要望されておりますので、この事業の性格に鑑み、損害保險会社に行わせることといたそうとするのであります。第二点は、商法の改正に伴いまして保險相互会社については商法の株式会社に関する規定を全面的に準用しておりますので、相互会社の特殊性を考慮しつつ準用規定に所要の改正を行おうとするものであります。又保險株式会社につきましても、改正商法の規定が適用されるわけでありますが、無額面株式の発行を認めることは、その資本の金額を不確定にするものでありますので、無額面株式に関する商法の規定の適用を排除しようとするものであります。  更に又資産の評価純益を資本準備金として積立てるべきものとする改正商法の規定につきましては、すでに保險業法に、財産の評価及び売却純益を特別準備金として積立てることを強制している特別規定がありますので、保險会社についてはその適用を排除しようとするものであります。このほか現行法の罰則規定についても相当程度強化を図り、実情に印するよう改正いたそうとするものであります。  次に、外国保險事業者に関する法律の一部を改正する法律案について申上げますと、外国保險事業者につきましても、新たにいわゆる保証保險事業日本において営むことを認めると共に、商法の改正に伴い、この法律中商法の規定を準用している部分について整備するほか、罰則の強化を図ろうとするものであります。  次に船主相互保險組合法の一部を改正する法律案は、今回の商法の改正に伴い船主相互保險組合の特殊性を考慮しつつ所要の改正を加えようとするものであります。  以上三法律案審議に当りましては、各委員政府委員との間に熱心なる質疑応答が交わされたのでありますが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、討論採決の結果、三法律案とも全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、新議員の紹介  一、日程第一 国有林野法案  一、日程第二 国有林野整備臨時措置法案  一、日程第三 食糧政府買数量指示に関する法律案  一、日程第四 国土調査法案  一、日程第五 地方自治法の一部を改正する法律案  一、日程第六 高圧ガス取締法案  一、日程第七 保險業法の一部を改正する法律案  一、日程第八 外国保險事業者に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第九 船主相互保險組合法の一部を改正する法律案