○河井彌八君
只今議題に供せられました
日程第三から
日程第十四までの各
法律案の
内閣委員会における審査の経過並びに結果を御
報告申上げます。先ずこの各案につきまして全体に共通することを申上げまして、それから
日程第三から
日程第十二までの
法律案につきまして順次簡單にその
内容と経過を申述べるつもりであります。而して更に第十三及び第十四の
日程に掲げてありますものはそれぞれ続いて
説明を申上げるつもりであります。
これらの共通の点について申上げますれば、これらの
法律案、特に
日程第三より十二までの十件の
法律案は、いずれも総理府を初めといたしまして各省庁等の各
行政機関に置かれております
審議会の
整理を主としたものであります。そこで、その
整理に関する問題を
報告いたします。
内閣委員会におきましては、今日まで
行政機構の整備に関して
調査の歩を進めて参つたのでありまして、
審議会等の
整理ということをその
調査項目の一つとして重きを置いて参つたものであります。
審議会、協議会等につきましては、国家
行政組織法第八條によりまして、これらの
審議会又は協議会を府省庁等の
行政機関に特に必要があ
つて置く場合には、必ず
法律で以て
規定しなければならないという明文があるのであります。然るに従来この
法律の明文がありまするにかかわらず、
政府が
法律の手続によらずして、或いは閣議決定であるとか或いは省議決定であるとかいう形を以ちま出して、
審議会又は協議会を置いておるものが次々と現われておるのであります。その数のごときも最近三十ばかりあるということにな
つております。
内閣委員会におきましては、かねてこの
政府の措置を
行政組織法の観点から誠に遺憾であるということに
考えておりまして、そしてこれらの
法律に基かない
審議会、協議会をば速かに整備すべきことを
政府に要望いたしたのであります。去る三月二十九日の
内閣委員会におきましては、廣川国務
大臣は、従来閣議決定等の形で設置されておる
審議会等は
法律の
規定に牴触するものであるから、これらのものは速かに
整理をする。而して将来内外の情勢に基いて
審議会を設けなければならないような事態が生じたる場合には、而もそれが国会の閉会中であるような場合であ
つても、単なる閣議決定のような形ではこれを作らない。必ず立法手続によ
つて設置するという方針を言明いたしたのであります。
内閣委員会は一応この言明によりまして
政府の意の存するところを了承いたしたのであります。又他方におきましては、本年一月総司令部から
政府に対して
審議会の整備に関する指令がありましたので、
政府におきましてはこれに基いて本年二月十六日に
審議会等の設立基準等に関して閣議決定をいたしたのであります。この閣議決定のうちで
只今議題とな
つておりまする
法律案に
関係する部分を一応ここに御
報告申上げて置くことが必要であると
考えまするので、これを申述べます。
その第一の項目といたしましては、
審議会等の設置に関するものでありまして、
審議会、審査会、いろいろ名称はあるのでありまするが、これらのものは、これが附置せられる
行政機関の所掌事務に関して一般的政策、方針等について、当該
行政官庁の職員のみからは得られない参考的乃至勧告的な
意見を聴取するために置かれるものとするのであります。従
つて審議会等は原則といたしましては個々の特定の事項について
審議することができない。又
審議会等を設ける場合は
法律によらなければならない。これが第一の項目であります。第二の項目といたしましては、
審議会の
委員に関するものでありまして、特に
委員の任期に関するものであります。即ち
経済関係審議会等の
委員の任期は原則として六カ月を超えない期間といたし、そうして必要によ
つては更に一回を
限つて更新することができるものとするのであります。第三の項目は
審議会の運営に関するものでありまして、
経済関係審議会等の勧告、
意見、或いは助言は、
政府を公的に拘束する効果を持つものではない。又
経済関係審議会等は個々の特定事項について
審議してはならない。こういう運営に関するものであります。第四の項目といたしましては、現在あるところの
審議会をどう措置するかというものでありまして、これらの現存の各種
審議会等につきましては、
行政簡素化及び経費節減の見地から大幅にこれを縮減すると共に、只今申述べた基準に従
つて所要の改組を行うということになるのであります。それは今期の国会に提出するということにな
つておるのであります。かような閣議決定に基きまして、本年三月二十七日の閣議において、現存の
審議会二百三十六、この中に
法律の
規定に基かないものが三十ある。これを個々別々にそれぞれ
検討いたしました結果、
整理することに決定いたしたものが七十あるのであります。そこで
只今議題とな
つておりまする
法律案十件につきましては、この閣議決定の趣旨に基きまして各
行政機関に置かれておるところの
審議会を
整理せんとするものであります。
そこで只今の
日程の順序に従いまして、各
法律案について最も簡単にその
内容を
説明申上げるつもりであります。
第一は
審議会等の
整理のための
総理府設置法の一部を改正する
法律案、この
法律案は只今
説明申上げました
審議会等の
整理基準に基きまして、従来総理府に設置されておつたところの身体障害者製作品購買
審議会をば廃止し、又従来閣議決定で
内閣に設置されておつた失業対策
審議会をば法制化することといたしたのであります。身体障害者製作品購買
審議会は、身体障害者福祉法に基いて、身体障害者の製作品の購買の事務について
調査審議する
審議会でありまするけれ
ども、身体障害者の福祉に関する事項の
調査審議のための機会といたしましては、別に同じく身体障害者福祉法に基く中央身体障害者福祉
審議会が厚生省の附属
機関として設置されておりまするので、この際、
行政機構簡素化の見地から、身体障害者製作品購買
審議会の権限を中央身体障害者福祉
審議会の権限に含ましめて、そうしてこれを廃止することといたしたのであります。又、失業対策
審議会は、
昭和二十四年三月に、その当時の急迫した失業事情に対処するために、失業対策閣僚会議に代えて急いで設置したものであります。
我が国の失業問題の
解決は、その根本対策たる雇用量の増大という見地から、
財政、金融、産業、貿易等、各分野に亘る総合的の施策を樹立する必要があるばかりでなく、失業者の救済対策につきましても一般社会保障的各種政策との総合的な調整を必要とする
状況にありまするので、これらの事項について
調査審議の任に当るべき本
審議会は、今後当分の間存置することがどうしても必要であると認めましたので、その設置につきましては
行政組織法の第八條に基きまして
法律的根拠を與えようとするものであります。
次に、
審議会の
整理等のための
農林省設置法等の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案の
内容を簡單に申上げますれば、第一点は
審議会等の
整理に関するものでありまして、農林本省において農林金融改善特別融通損失審査会、中央農業調整
審議会、中央農地
委員会議及び作況
報告審議会を廃止いたして、又林野庁
関係におきまして社寺保管林処分審査会を本年十月一日から廃止せんとするものであります。第二点は、農事改良実験所及び農業機械指導所を廃止せんとするものでありまして、農事改良実験所の廃止につきましては、すでに昨年来試験
研究機関の
整理統合に伴う既定の
計画によるものであります。それで今回農事改良実験所の一部の事務を国立の地域農業試験場に移し、残余の事務をば都道府県農業試験場に移管するものでありまして、又農業機械指導所の廃止は專ら
機構の簡素化と経費節約の見地からするものであります。第三点は輸出品検査所の統合でありまして、従来輸出食料品検査所と輸出農林水産物検査所の二本建にな
つて運営されて参つたのでありますが、今回これを統合して、輸出品検査を総合統一せんとするものであります。第四点は林野庁内の内部部門の所掌事務の
整理でありまして、昨年薪炭の
政府買上げを廃止いたしましてから以来、本年三月一ぱいを以てその清算事務も大かた終了を見るに至りましたので、庁内部門の所掌事務の必要な調整を行わんとするものであります。第五点は公団の解散等に伴う
関係規定の
整理でありまして、昨年七月には肥料配給公団が解散せられ、本年三月一ぱいを以て食糧配給公団及び油糧砂糖配給公団が解散となり、すでに清算段階にありまするので、この際、公団に関する
関係規定を削除せんとするものであります。その他漁港
審議会の
委員の任期を三年から二年に短縮する等の
規定もあるのであります。
次に
日程の第五の
審議会等の
整理のための
建設省設置法等の一部を改正する
法律案について申上げます。第一点は、
建設省設置法の一部を改正いたしまして、土本
審議会を廃止し、測量
審議会は明年三月三十一日限りで廃止せんとするものであります。第二点は、
建設業法の一部を改正いたして、
建設審議会の権限を
整理し、且つ
委員の任期四年を短縮して六カ月といたし、
委員は引続いて二回以上再任されることができないことといたしたのであります。第三点は、建築士法の一部を改正して、建築士
審議会の
委員の任期三年を二年に短縮したこと等であります。なお附則を以ちまして、現に
建設業
審議会の
委員である者に対する
委員の任期計算につきましては、この
法律施行の日から起算することとしておるのであります。
次に
経済安定本部
関係の
法律について申述べます。この
内容を要約して申上げますると、
経済安定本部設置法並びに企業再建整備法、金融
機関再建整備法及び企業再建整備法の一部を改正する
法律の一部を改正して、
経済安定本部の附属
機関として置かれておるところの
審議会のうちで、
経済再建整備
審議会、
国民食糧及び栄養対策
審議会並びに
河川総合開発調査協議会を廃止して、一方新たに物価庁の附属
機関として米価
審議会を設けることとしたのであります。米価
審議会は、従来單に閣議決定に基いて運営せられて参
つておるのでありまするが、今回これを法制化いたしまして、国家
行政組織法に基く
審議会として存置しようとするのであります。この
審議会は、物価庁長官及び農林
大臣の諮問に応じて、米価その他主要食糧の価格決定の基本事項を
調査審議することを
目的とするものであります。なお各種公団が本年三月一ぱいを以て全面的に廃止せられたことに伴いまして、
経済安定本部設置法及び国家
行政組織法の一部を改正せんとするものであります。
次に
国立世論調査所設置法の一部を改正する
法律案について申述べます。この
法律案の要点は、
審議会等の
整理基準に従いまして、従来総理府に置かれておつた世論
調査審議会が従来持
つておりました一般的決定
機関たる性格を改めようとするものであります。即ち国立世論
調査所が
昭和二十四年六月に総理府の附属
機関として置かれて参りましてから今日に至るまで、世論
調査審議会は、
調査研究の方針、
調査の
実施計画及び
調査の結果の発表方法等について決定権を持
つており、なお且つその決定権は
調査所の一般
事業方針及び
調査所の分野にも及んでいたのでありまするが、今回の改正によりまして、その権限を諮問的なものにするということに改めたのであります。そうして、これによ
つて調査研究の独立性を保障いたしまして、その固有の機能を強く発揮させようという
目的に出ているものであります。
次に
審議会等の
整理のための
地方自治庁設置法の一部を改正する
法律案について申述べます。この
整理は、やはり前に申述べました原則、基準に従いまして、従来
地方自治庁に置かれておつた
地方自治委員会議の
委員に二年の任期を設けんとするものであります。即ち
地方自治委員会議は、
地方自治庁設置法第七條の
規定に基いて
地方自治庁に設けられている諮問
機関でありまして、
全国知事会、
全国市長会、
全国町村会、都道府県議会
議長会、
全国市議会
議長会、
全国町村議会
議長会がおのおのその代表者として推薦した者六名並びに学識経験者二名を加えて、
内閣総理
大臣が任命した八人の
委員から構成されておるのであります。
委員の任期につきましては従来別段の定めがなかつたのでありますが、これを一般的に任期のない
審議会の
委員に任期を付するという
政府の方針に基きまして、且つ又
地方自治委員会議の性格、権限、
委員の
選出方法などを勘案いたしますると共に、他の
審議会の
委員の任期との
関係を考慮いたしまして、二年の任期を付するということにしたのであります。なお現に在任中の
委員の任期につきましては、この
法律施行の日から起算するのが適当であると
考えられますので、これに関する所要の措置をとつたのであります。
次に
審議会の
整理等のための
厚生省設置法等の一部を改正する
法律案について申上げます。第一点は、医師歯科医師実地修練
審議会、
日本医療団清算監理協議会及び
地方食品衛生
調査会を廃止することに
なつた点であります。第二点は、薬事
審議会が
委員会のごとき性格のものとして一定の
行政的権限を持
つていたのをば今回改めまして、純然たる諮問
機関にいたす点であります。最後に第三点は、
審議会の
委員数並びに任期等について適宜減少或いは短縮するために、厚生省設置法その他
関係法律について所要の改正を行うことにしたのであります。その
関係法律と申しまするのは、社会保険
審議会、社会保険医療協議会、社会保険審査官及び社会保険審査会の設置に関する
法律、
昭和二十五年の
法律第四十七号でありますが、これらにつきまして所要の改正をするのであります。
次に
日程第十にありまする
審議会等の
整理のための
大蔵省設置法等の一部を改正する
法律案であります。先ず
審議会等の廃止につきましては、特別融通損失審査会、産業設備営団損失審査会、
国民更生金庫損失審査会、復興金融
審議会、
地方特定契約審査会、財産審査会及び財産
調査会は、この
法律の
施行の日から廃止することにな
つております。又社寺境内地処分中央審査会及び社寺境内地処分
地方審査会は
昭和二十六年度末限りで廃止することにな
つておるのであります。次に廃止しないものにつきましても、專売
事業審議会の
委員の任期を三年から二年に短縮し、又資産再評価
審議会の
委員の定数を四十人以内から三十人以内に減少し、更に
財政制度
審議会、資産再評価
審議会、
全国資産再評価
調査会及び
地方資産再評価
調査会の
委員の任期を新たに二年と定めたのであります。
次に
通商産業省設置法等の一部を改正する
法律案について申述べます。これには三つの点があるのでありまして、第一点は通商産業省設置法の改正についての
規定であり、第二点は工業技術庁設置法の改正についての
規定でありまして、第三点は鉱山保安法を初め六つの法令について
審議会に関する部分の改正
規定であります。第一の通商産業省設置法の改正に関しましては、本省、
資源庁、工業技術庁及び特許庁に置かれておる
審議会等について
整理統合を行
なつたほか、従来通商企業局において所掌しておつた特需
関係の事務を通商振興局に移管すると同時に、すでに清算段階に入
つておる貿易公団及び産業復興公団について、国家
行政組織法上の
機関としての機能を失
つておりますとの見地から、これらの公団に関する根拠
規定を削除するの措置を
規定しておるのであります。次に第二点の工業技術庁設置法の改正においては、工業技術運営
審議会を工業技術協議会に統合したのであります。第三点の鉱山保安法を初め六つの法令の改正につきましては、鉱山保安法及び工業標準化法の改正においては、
委員の任期又は定数についての改正であり、又臨時鉄くず
資源回收法、輸出信用保険法、商品取引所法及び連合国人工業所有権戦後措置令の改正につきましては、
審議会の所掌事務等について整備をいたすと同時に、
関係條文の
整理を行
なつたのであります。なお、このほか本則における法令改正に伴いまして、国家
行政組織法の改正及び商品取引所法に関する経過
規定を必要といたすので、附則においてこれらに関して
規定をしたのであります。なお電気
事業主任技術者検定
審議会に関する
規定がこれまでは省令によ
つて設けられておつたのでありまするが、これを立法化して、ここに改正として現われておるのでありますが、電気自動車充電技術者資格検定
審議会となすことに関しましては、いろいろ異論がありましたけれ
ども、結局原案を認めることといたしたのであります。
次に
運輸省設置法の一部を改正する
法律案につきまして、これについて改正点が二つあるのであります。第一点は先の臨時物資需要調整法の改正に伴う
整理であります。即ち従来臨時物資需給調整法に基く臨時の権限といたしまして、物資の輸送命令及びこれに伴う
工事の
施行に関する命令をなし得ることとな
つておつたのでありますが、今回この
法律の改正によ
つてこの権限
規定が削除せられましたので、これに伴
つて運輸省の権限及び所掌事務の
規定中、当該條文を
整理いたす必要が生じたのであります。第二点は
審議会の
整理に関する事項でありますが、先に
政府において存続することと決定した造船業合理化
審議会及び廃止することと決定したホテル
審議会について、国家
行政組織法第八條の
規定に基いて、附属
機関の
規定中前者即ち造船業合理化
審議会を追加し、後者即ちホテル
審議会を削除する必要が生じたのでありまして、この改正を行な
つておるのであります。
以上
説明を申上げましたが、これらの
法律案十件につきましては、
委員会は三度開会いたしまして、各
法律案について
愼重に
審議いたしたのであります。その結果明らかになりましたことは、
政府が今回各種
審議会等の
整理を断行いたしました結果、七十の
審議会が廃止となりましたが、又
政府職員の数の異動につきましては、これは何ら増減がないのであります。なお経費の
関係におきましては、これから次に二つの
法律案について
報告申上げますが、即ち
特別調達庁設置法の一部を改正する
法律と、それから
外務省設置法の一部を改正する
法律と、これをも引つくるめまして、そうして全体
予算上は、これらの
整理によりまして、およそ千五百万円、年額千五百万円の節約となるということであります。結局
内閣委員会といたしましては、
審議会等の
行政機構を簡素化すると共に、従来ややもすれば乱脈に流れんとした
審議会の濫設、これをば、この際、国家
行政組織法第八條の明文によ
つて整備するという、この
政府の意のあるところを諒といたしたのであります。
討論に入りまして、各
委員はことごとくこれに
賛成いたしましたが、併し
政府は折角この
整理を実行しようとしておる以上は、今後もどうかその趣意を十分に徹底して嚴守してもらいたいということ、特に最近総理
大臣の諮問
機関でありますか、名義は
はつきりいたしません、又名前もくつ付けておらんようでありますが、法制上の
整理のために有力者の一つの何と申しますか
審議会のごときものができておるということな
どもありまするので、それらの性格につきまして相当鋭い
質問を各方面からいたしたのでありますが、これはこの
法律とは全く違つた自由なものであるという
意味の
説明を得たのであります。併しこういうことによ
つて、この国家
行政組織法の第八條の精神が崩れて行くということは甚だよろしくないという
考えを以て、そういう
意見が出たのであります。そうしてこの十件の
法律案は、
採決に入りましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決せられたのであります。
次に
日程第十三に掲げてありまする
特別調達庁設置法の一部を改正する
法律案について
報告をいたします。
本案につきましては
委員会を開くこと二回、一昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしたのであります。この
本案に
規定してあります改正点が四つあります。第一は、連合国軍に対する施設その他不動産の提供、その使用を解除せられた財産の管理、返還並びにこれらの業務に附帯する補償及び求償等、以上申しましたごとき、いわゆる不動産業務が講和を控えて極めて重要とな
つて参りましたのに鑑みまして、このような業務に関する
機構を一段と強化いたしたことであります。即ち従来不動産業務と連合国軍に対する労務者提供の業務を併せて所掌しておりました労務管財部を、労務部と管財部に分割いたし、そしてこの新設の管理部においては、不動産業務のほかに、広く調達に伴う補償、求償並びに解除物件の処理に関する事務を掌ることにしておるのであります。第二の点は、従来、
工事、役務及び需品の調達に関する契約、技術、促進及び監督の事務を分掌しておつた契約部をば、技術監督部と統合いたしまして業務部を新設いたしたのであります。そしてこれで以て事務の的確と迅速を期すると共に、
機構の簡素化を図つた点であります。この二つの点は内部部局の改正であります。次に第三点といたしましては、この巨額な終戦処理費の
執行を担当する特別調達庁といたしましては、
予算執行の適正であり且つ万全であることを期さなければなりません。これがために監察官を設けまして、業務の監督に関する事務を分掌せしむることとしたのであります。第四点といたしましては、本庁の附属
機関である調達役務
審議会、調達芸能
審議会及び中央調達不動産
審議会の三つの
審議会のうちで、調達役務
審議会と調達芸能
審議会の両
審議会を統合して、
行政機構簡素化の趣旨に副うことにいたした点であります。これが本改正案の概要であります。
委員会におきましては、この案について
質疑応答を重ねました結果、只今申しましたこの特別調達庁の
現状においては適切なるものと認めたのでありまして、一昨日の
委員会におきまして
討論を省略して
採決いたしまして、全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。
最後に
外務省設置法の一部を改正する
法律案について
報告をいたします。
この
法律案につきましては、外務
委員会と
連合委員会を一回、
内閣委員会を二回開きまして慎重に
審議を重ねまして、一昨日全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。主なる改正の点を
説明いたしますれば、第一には外務省に新たに国際
経済局を設置すること、第二には外務省の
地方支分部局として従来置かれておつた京都連絡調整
事務局を廃止すること、第三には従来連絡調整
事務局に置かれておつた
地方連絡協議会を廃止すること、この三点であります。
第一に、外務省に新たに国際
経済局を設置する
理由につきましては、
日本政府在外事務所はすでに十七ケ所に開設せられておるのでありまするが、このほかにラングーン、リマ、メキシコ、ワシントン、オタワ、ロンドン、ジヤカルタ、スラバヤ等の開設が目下進捗中であります。リマ以下七カ所の新設については、この次の第十五の
日程に
日本政府在外事務所設置法の一部を改正する
法律案として
委員長報告があるのでありまするが、更に引続いてその他の国にも在外事務所が開設せられる見込であるのであります。従
つてこれに対応する外務省の
経済関係事務は今後ますます複雑となり、且つこれらは最も早く充実する必要があるということにな
つておるのであります。そういう
説明であります。一方、関税及び貿易の一般協定への加入、平和條約、講和條約
成立後の通商航海條約の締結、国際
経済機構及び條約への加入等のための諸
準備をなす必要が非常に急速に増大しておるのであります。これらの事態に対処するために、現在の政務局
経済第一課及び
経済第二課と、なお別に新たに二課を増設いたしまして、合せて四つの課からなるところの国際
経済局を設置せんとするのであります。新設される国際
経済局の所管事務は、現在政務局の所掌事務とされておるもののうちで
経済関係のものでありまして、特に従来の外務省の権限に変更を加えるものではなく、又他省の権限との
関係におきましても問題を生ずることがないという
説明であります。なお、国際
経済局の定員につきましては、
予算その他の
関係上、当分の間従来の外務省の定員内で賄うことといたし、京都連絡調整
事務局の廃止による剰員及び他局部からの人員の移し替えをいたすことによりまして、この事務に支障を招くことのないようにするという
説明であります。第二に、京都連絡調整
事務局の廃止の
理由といたしましては、現在十二カ所に連絡調整
事務局が設置されてあるのでありますが、この中で京都連絡調整
事務局は、従来主として現地駐屯部隊との連絡事務の処理に当
つておりましたが、
行政機構の簡素化の趣旨に基きましてこれを廃止し、その所掌事務を近畿連絡調整
事務局に引継ぐこととせんとするものであります。第三に
地方連絡協議会の廃止についてでありますが、これは先ほど
説明いたしました
審議会等の
整理に関する
政府の方針に基きまして、
行政機構の簡素化と経費の節減を図るために、
地方連絡協議会を廃止せんとするものであります。なお、附則におきまして
行政機関職員定員法を改正いたしまして、外務省本省に八十人の定員増を
規定しているのでありますが、これは近い将来に設置を予想されるところの在外事務所、近い将来と申しましても、多分本日
法律案が通過すると
考えますが、在外事務所の派遣要員に充てんとするものであります。
委員会におきましては、この
法律案の審査に当りましては熱心な
質疑応答が行われたのであります。その要点を申しますと、第一に、従来政務局と通商産業省の通商局とは緊密な事務連絡をと
つて来て、幸い今日まで円滑に事務が運んで来たのであるが、この際、国際
経済局が新設された曉においても、その点は何ら変るとにろがないという
説明であつたのであります。第二に、講和が
成立した曉においては、講和に即応する必要から外務省の
機構も全面的に改革する必要があるのであるから、このような国際
経済局の新設はそのときまで見送るのが適当ではないかという
意見も出たのでありまするが、この際、国際
経済局の新設の狙いは、最近増大して来ておるところの国際
経済関係の事務を処理するために、差当り講和の態勢に応じ得る
準備的の局を新設する必要があるということでありました。第三には、国際
経済局の要員は九十八名であるが、これは現在の外務省の定員の配置転換によ
つて賄う方針であり、従
つて国際
経済局の新設によ
つては人件費の増加はないという
説明でありました。第四に、目下この最近できるであろうところの
日本政府在外事務所の開設に伴いまして、その事務所の要員に充てるため
行政機関職員定員法を改正して、本省の定員を八十名増加することとしたのでありますが、これらの在外事務所の増設に伴う経費は、これらの在外事務所の増設を見越しまして
大蔵省に保留されているところの予備費二十億円の中から支出されることになるのでありまして、別に改めて
予算的の措置をとらないということが明瞭と
なつたのであります。かような経過を辿りまして、一昨日の
委員会におきましては、これらの
機構改正は現在の事情の下においては止むを得ないものと認めまして、
討論を省略して、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。
これを以て
報告を終ります。(
拍手)