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国務大臣(
増田甲子七君)
北海道の
振興開発について従来健闘されておりまする
木下さんの御
質問についての御熱意に対して、私は先ず以て深く敬意を表するのであります。併しながら、御意見に対して私は遺憾ながら御
同感の意を表することができないのであります。そこで、この
機会におきまして、
参議院の
各位に
是非とも
北海道の
用発の問題は愼重に御考究を願いたいという
意味合いにおいて、私の卑見を一応申上げます。
先ず以て御
質問の第一である
行政調査委員会議の
調査の方向と、
北海道の国の
行政並びに
自治行政との
関係はどうな
つておるか。この御
質問にお答え申上げます。
地方行政調査委員会議においては鋭意過去二年間研究をされておることは
皆様の御
承知の
通りでございまするが、大体の
結論と申しまして私
どもの拝聽いたしておるところを、仄聞いたしておるところを申上げますと、
行政調査委員会議におきましては、国の
行政は国の
機関が行う、
地方自治は
地方自治の
機関が行う、こういう二つの系統に明瞭に区分して、而も相互協力して行く、こういう形がいいじやないかという
結論に到達しつつある模様であります。まだ全然
結論というわけではないようでございまするが、私
どもの仄聞したところはさようでございます。そこで、先ほど申上げました、私
どもの
決定をいたしました
閣議決定の
要綱は、国の
直轄事業は国で行う、こういうことを一応きめたに過ぎないのでございます。即ち
地方行政調査委員会議の動向と決して背馳するものではございません。
それから第二に、
北海道開発審議会というものに対して、この
閣議の
内容について
諮問をする
意向があるかどうか。御
承知の
通り北海道開発審議会は
開発庁長官の
諮問機関でございまして、
只今のところ私は、いずれ
諮問をいたしたいと思いまするが、まだ
諮問するかどうか、
意思決定を私自身いたしていないところでございます。
それから、なお、この
閣議の
決定を実施に移す場合は、
法令の上に所要の
改正が必要であろう、その
具体的内容を示せという
お話でございますが、その前段、即ち
法令の
改正が必要であることは御所見の
通りであります。併しながらどういう法規をどういうふうにいじるかということは、或いは
関係各省間並びに法務府の
法制局の間において
検討中でございますから、私からはまだ申上げる段階にな
つておりません。
それから、
北海道というのは非常に重要である。
明治初年以来
北門の
鎖鑰と言われて、
開発には全
国民がこれに力を集中し、努力したものである。これは全然御
同感でございます。でありまするから、
黒田清隆さんが
開拓使庁を
設置され、
開拓使とな
つて、今日例えば都市
計画と申しましても、札幌或いは旭川都市
計画は、戰災都市百十の現在の都市
計画の上の模範にな
つている。こういうような立派なことが行われておるのも、
開拓使庁の時代の大
事業が基礎にな
つておるからであると私は
考えております。そこで、今日といえ
ども、私は或いは終戦後の今日は、従来以上にここに力を入れる必要がある。むしろ四つの島のうちでただ
一つ残されたるホープは
北海道である。こういうふうに私は
考えております。
皆様の御
議決を経て
北海道開発庁というものが
設置されたのも、又ここに胚胎いたしておる。即ち
北海道は特殊性があるということを、すでに衆参両院の
皆様において御認識、御認定に相成
つたのが、
開発庁という形に象徴化されておる次第でございます。即ち
自治行政という部門よりは、国の
行政という部門のほうが、
北海道には遙かに、歴史的に見まして、このことは終戦後の今日は特に多いのでございます。そこで我々は
地方自治についてかれこれ言
つておるわけではございません。あなたの御指摘の
通り、
北海道の道民
諸君が
地方負担として
負担する
部分が相当ございます。これは国が
補助費として出しておる
事業に属する部門でありまして、国が
補助費として出しておる
事業は、すべておしなべて申しますと、まあ概論的でございまするが、
自治行政の部門でございます。国の
直轄事業ではございません。国の
直轄事業は、むしろ
北海道の
事業量は、中国、四国及び東北全部を加えたくらいでございます。これらを内地はどうしておるかと申しますと、それぞれ国の
直轄事業でございましても、或いは三分の一、或いは二分の一という
負担をいたしております、
地方が……。ところが漁港につきましても、或いは港湾はもとより、河川も、道路も、いやしくも国の
事業であるならば全額
国庫負担といたし、又我々の出先の官憲であるところの
地方技官、
地方事務官が直接
事業を執行しておる。むしろお説によりますと、内地こそは
地方建設局をやめろ、何となれば三分の一
地方で
負担しておるではないか。或いは
地方農地局をやめろ、何となれば二分の一
地方で
負担しておるではないか。こういうような御意見があ
つてもまあ然るべきでございますが、これはまあ寝てる子を別に起す必要はございませんと思いますが、まあ国で直轄してやる必要もあるのでございます。併し
北海道におきましては、
直轄事業と申せばすべてこれ全額
国庫負担である。
地方で
負担する
部分は
補助事業である。その
補助事業は
地方自治行政であり、今回の
閣議決定の
内容は決して
自治行政には寸毫も触れておるものではございません。
而して今度は問題を別にいたしまして、
補助事業につきましては然らば知事の仕事になる。
北海道は総合的に
開発する必要がある。どういう
関係で
関連を付けるか。そこは先ほど御指摘の
北海道総合
開発審議会がございまして、審議会の法律上のメンバーとして
北海道の知事並びに道議会
議長が列席いたしております。
自治行政と国の
行政との密接不離の調和ある
関係において
北海道の
開発をしなくてはならんという点は全然御
同感でございまして、御趣旨は今の機構によ
つて達成できるというのが我々の確信でございます。(「名
答弁」と呼ぶ者あり、
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