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1951-05-16 第10回国会 参議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十六日(水曜日)    午前十時三十八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十号   昭和二十六年五月十六日    午前十時開議  第一 遺失物法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 競馬法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告朗読を省略いたします。
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。野溝勝君から病気のため会期中請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて請暇の件は決定いたしました。      ―――――・―――――
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、潰失物法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐登壇拍手
  6. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました遺失物法の一部を改正する法律案につきまして、委員会審査経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案衆議院提出でありまして、自治体警察警察署長が保管する遺失物について、交付を受ける者がない場合の所有権帰属問題等遺失物法に対し、現在の警察制度に即応して若干の改正を加える必要が感ぜられますので、今回の提案と相成つたのでございます。  改正の第一点は第十五條を全文改正するのであります。只今までは民法第二百四十條によりまして、遺失物は、特別法の定めるところに従い、公告したのち一年内にその所有者の知れないときは、拾得者がその所有権を取得するのでありますが、更にこの遺失物法の第十四條及び第十五條規定によりまして、その拾得者が更に六ケ月内に警察の保管する物件を引取らなければ、所有権を喪失して国庫所有権が帰属することになつているのであります。併し自治体警察署長遺失物を保管している場合には、その警察署の所属する地方公共団体にその物件所有権を帰属させることが妥当でありますから、そのように改正するのであります。なお、右改正伴つて附則経過規定を設けまして、この改正法律施行の際において、改正前の遺失物法第十五條規定の適用を受け国庫に帰属した物件で、現に自治体警察署長が保管しているものは、国が当該警察の属する地方公共団体に無償で譲渡することとし、これに対し地方公共団体が支出した当該物件保管費公告費その他の費用は、当該地方公共団体負担とすることとしております。  改正の第二点は、第二條第四項の出訴禁止規定を削除するのであります。現行法では、警察に保管する遺失物が滅失又は毀損の虞れがある等の場合には、警察において売却処分することができますが、その場合、売却処分に対しては出訴することができない規定になつております。併しこのような出訴は新憲法條章の上から当然国民に認められた権利と考えられますから、憲法違反の虞れのあるこの出訴禁止規定を削除するのであります。  改正の第三点は字句の修正でありまして、自治体警察が設けられた今日、「警察官署」及び「警察官」の用語は、自治体警察の署又は署長を含まず、不十分又は不適当でありますから、これをいずれも「警察署長」に改めたのであります。  地方行政委員会におきましては、提案者を代表する前尾衆議院議員政府委員等との間に質疑応答を行い、五月十五日、討論採決の結果、全会一致を以て本法案は原案の通りこれを可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決いたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ―――――・―――――
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二、競馬法の一部を改正する法律案衆議院提出)、日程第三、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員会理事西山龜七君。   (西山龜七君登壇拍手
  11. 西山龜七

    西山龜七君 只今議題となりました競馬法の一部を改正する法律案農林委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  現行競馬法によりますと、競馬を行うことができるものは、政府、都道府県又は著しく災害を受けた市町村内閣総理大臣が指定したいわゆる指定市町村に限られているのであります。ところが指定市町村でない市町村競馬場が所在する市町村は、みずからは競馬を開催することができないのにかかわらず、他の市町村の催しにかかる競馬が開催せらるたびごとに、警備及び道路の破損修理等のために多額の支出を必要といたしまして、市町村財政に大きな負担となつているのであります。従いまして、かような負担の救済に資するため、指定市町村でない市町村でありましても競馬場が所在する市町村につきましては、地方財政委員会財政状態及び地方競馬開催状況等を十分勘案して適当であると認めましたものは、指定市町村同機年二回以内開催できるように改めんとするのが本改正法律案の要旨でありまして、競馬の秩序と権威を維持するため競馬開催機会を拡大することについては幾多の問題が残されているのでありますが、併し現行競馬においては右の改正は止むを得ない措置と認め、委員会においては多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。  次に只今議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件について、農林委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  輸出品の品質の改善に努め、声価の向上を図り、以て輸出貿易の健全な売達を期するため、先に輸出品取締法が制定せられ、これに基いて輸出品検査を実施して参つているのでありまして、輸出食料品につきましては、これが検査機関として、現在東京都に輸出食料品検査所を置き、静岡市、神戸市及び門司市に支所を、又小樽市及び横浜市に出張所が設けられてあります。ところが食料品輸出数量は年々増加し、特に長崎地方において生産される罐詰及び乾製水産物等が、今後英国、アフリカ及び南方諾地域に相当多量に輸出される見込でありますが、この地方には検査機関がないため、今のところ必要がある場合は門司支所から出張検査を行なつているのでありまして、いろいろな不便がありますので、検査業務を円滑にするため新たに長崎市に出張所設置せんとするもりでありまして、右は適応の措置と認め、委員会においては全会一致を以て原案通り承認すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず競馬法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ―――――・―――――
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。委員長報告通り本件承認を與えることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件承認を與えるととに決定いたしました。      ―――――・―――――
  16. 木村守江

    木村守江君 私はこの際、公職選挙法改正に関する調査のため二十五名より成る特別委員会設置せられんことの動議提出いたします。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は只今木村君の動議賛成いたします。
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて公職選挙法改正に関する調査のため二十五名より成る特別委員会設置することに決定いたしました。  本院規則第三十條により議長が指名いたしました特別委員の氏名を参事朗読いたさせます。    〔海保参事朗読〕  公職選挙法改正に関する特別委員   池田宇右衞門君  石村 幸作君   上原 正吉君   川村 松助君   北村 一男君   楠瀬 常猪君   堀  末治君   安井  謙君   大野 幸一君  小笠原二三男君   金子 洋文君   相馬 助治君   中田 吉雄君   吉川末次郎君   岡本 愛祐君   柏木 庫治君   小林 政夫君   西郷吉之助君   鈴木 直人君   有馬 英二君   林屋亀次郎君  前之園喜一郎君   松原 一彦君   千葉  信君   細川 嘉六君      ―――――・―――――
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、久松定武君の議員辞職により欠員中の檢査官適格審査委員会予備委員補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
  22. 木村守江

    木村守江君 只今検査官適格審査委員会予備委員補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議提出いたします。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は只今木村君の動議賛成いたします。
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長検察官適格審査委員会予備委員杉山昌作君を指名いたします。      ―――――・―――――    〔木下源吾発言の許可を求む〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木下源吾君。
  27. 木下源吾

    木下源吾君 私はこの際、社会党を代表して緊急質問をする動議提出いたします。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今木下君の動議賛成いたします。
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木下君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 佐藤尚武

    ○謹呈(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。木下源吾君。    〔木下源吾登壇拍手〕    〔「総理大臣どうした」「建設大臣駈け足」と呼ぶ者あり〕
  31. 木下源吾

    木下源吾君 私は社会党を代表してこの際質問を試みますが、質問北海道開発に関してであります。  政府はこのたび北海道開発について、従来北海道行政一体にやつてつたものを、開発行政である開拓並びに建設土木、こういうものを分離して、出先機関を設けて国で直接これを実施することとし、昨日の閣議でその要綱決定されたということを聞いておるのであります。その案の骨子内容等を詳細に御説明を願いたいと思うのであります。  次の点は、そのことが事実とすれば、それは地方自治の逆行であるし、特に北海道の場合は、自治基盤培養のために行なつて来た開発事業が分離することにおいてその総合性を失い、且つ国全体の見地から見ても、能率又は人事等の点において幾多の不経済を来たすと考えるし、かかる立案は行政事務分配の線でやつておるのか。又は政治的政策としてやるのか。政治政策としてやるとするならば、その政治的基本的な態度、即ち地方自治充実強化と国政の民主化の一元の上に行うというような態度であるのか。又は中央集権主義官治行政主義の復活を目途としてやろうとするのか。そういうことについて一つ答弁を願いたい。これは首相から答弁をしてもらいたいと思うのでありますが、なお、この問題については、建設大臣農林大臣等が重大な関係を持つておられるので、そのいずれかからでも一つ答弁を願いたい。若しもその答弁首相考えと違つておる場合においてのみ、首相からあとで一つ答弁をして頂く、こういうことにしたいと思うのであります。先ずこの御答弁を承わつて然る後に再質問を保留したいと思います。(拍手)    〔国務大臣埴田甲子七君登壇拍手
  32. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道開発につきましては、木下さんの御質問もございましたが、従来国の直轄事業が八分でございまして、地方自治行政としての開発行政は、予算面その他事業量から申しましても二分であつたのであります。この機会において私は参議院各位是非とも御了解を願いたいと思いますととは、従来、明治或いは大正、昭和に亘りまして、北海道開発官治行政として行なつてつたのであります。これが北海道庁長官がなくなりました四年前までの現象でございまして、要するに、どういうわけで官治行政で行われたかと申しますと、事業量から即しましても、或いは予算面から申しましても、国の行う部分が八割を占めておつたからであります。即ち開発事業といろものは自治行政プロパーではないのでありまして、北海道庁長官が、国の機関として従来行なつておりました。然るところ自治法改正になりまして、そのとき政府におきまして本当は愼重考慮を加えるとよろしかつたのでございまするが、時間のない関係自治行政を担当する公選知事に或る程度委任した形になつております。全然包括的に委任でも何でもございません。というのは、土木部職員等は四千五百名でございまするが、これはすべて総理府の国の職員でございました。我々開発庁長官として、或いは建設大臣その他省大臣といたしましては、直轄事業としての北海道開発行政を、直接総理府職員たる北海道庁におりまする地方技官地方事務官等を指揮監督いたしてやつてつたものでございます。そこで包括的にでもございませんし、ただ北海道庁という一つの屋台なり或いは庇の中へ家を借りまして、そこで直轄行政を行つでおつた変態的な現象が過去四年間あつたわけであります。私どもは四年間検討いたしました結果、どういたしましても、北海道行政全体のうち、国の行政占むる部分は八割である。この八割の結局皆様議決にかかる北海道開発行政予算を、皆様の御意向を受けて忠実に執行するためには、我々が直接監督する機関を作つたほうがよろしい。こういう結論に到達いたした次第であります。従来北海道庁長官の時代は、御承知のごとく政府委員というような者もずつと出て参りまして、皆様議決にかかる北海道開発行政皆様の御意向を受けて忠実に執行する意味合いもあり、連絡もとれておりましたが、今回公選知事になりまして、そういうような調査機関もできにくくなりましたから、我々が直接指揮監督するところの出先機関を設けたい。こう考えておる次第であります。細かい点はまだ検討中でございまして、要するに自治行政を侵犯するものでは全然ございません。東京都知事或いは大阪府知事、こういつたような状態にいたしたい。そうして我々が直接やはり皆様の御意向を受けて忠実に皆様執行機関として北海道総合開発を行いたい。こういう趣旨にほかなりません。(「選挙前にやれ」と呼ぶ者あり)この機会参議院各位の御了解を得たいと存ずる次第であります。(拍手
  33. 木下源吾

    木下源吾君 閣議における要綱一つ承わりたい。    〔国務大臣増田甲子七君登壇
  34. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 要綱を申上げます。要綱三つございまして、その第一は北海道において従来行いつつある国の直轄事業は国において直接これを行うこと、これが第一であります。第二は右事業を行うため特別の総合開発機関を現地に設けること、これが第二であります。第三は、右機関北海道開発庁即ち内閣に設けられておりまする北海道開発庁関連を保たしめつつ、それぞれの事業については、農林大臣運輸大臣建設大臣が直接機関の長を指揮監督すること、この三つでございます。(拍手
  35. 木下源吾

    木下源吾君 再質問をいたしたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木下源吾君。    〔木下源吾登壇
  37. 木下源吾

    木下源吾君 只今建設大臣から御答弁願つたのですが、我々の聞いておりました通りに、やはり政府北海道開発官治開発行政でやろう、こういうことに承わつたのですが、さて、そうしますというと、現に地方行政調査委員会議地方事務分配についての調査を行い、これが答申をしておるのであつて、その中で北海道に関する特例は後日勧告するということを昨年十二月に言われておるが、これとは関係なしに行おうとなさるのか。この点も一つ承わつて置きたいと思います。なお、やはり政府機関である北海道開発審議会が設けられておりますが、これに対して何らかの諮問というようなことをせらるる考えがあるのかどうか。これも承わつて置きたいと思うのであります。只今お話では、国費を使つておる部分は国の直轄事業において国においてこれをやるのであるが、そういたしますると、地方財政法の第七條関係、これらについての財政法改正等が必要だと思うのでありますが、法並びに規程の改正はどの程度におやりになるのか。この点も一つお聞きして置きたいと思うのであります。而して若しも地方行政調査委員会議、或いは又北海道開発審議会等に諮らずに、政治的に、つまり官治行政に持つて行くんだ、こういうのであるならば、この機会に少しく申上げて、且つ承わつて置きたいのですが、政府考えは、現に国費北海道に投じておる部分が非常に多いからして、これは国で責任を負つてやるんだ。こういうふうに言われておるが、北海道開発の歴史的の過程、こういうものについて十分に検討を行なつておるのかどうか。御承知通り北海道開発は、明治初年に、当時の露国との関係からして、明治初年に北門鎖輪として非常に重要な地であるという詔勅が出てそうして開拓使長官、それから北海道長官、それから開発面においては第一次計画、第二次計画というものが行われた。そうしてその後終戰後において自治法が布かれて、北海道状態においては成るほど国費部分が多いけれども、この国費北海道の現在の自治状態から見てこれを培養する一つ総合関連がある。こういう意味で現在北海道自治が行われておると考えておる。これを切離してしまうことにおいて北海道自治がどうなるかということは重大な関係があると思います。北海道地方自治との関係なしということをお考えのようでありますが、そういうことで一体北海道地方自治行政というものが行われるかどうかということについては、十分考えておられると思うのでありますが、そういう点について一つ考えを承わつて置きたいと思うのであります。言うまでもなく、北海道の場合においては、国で行う場合の国費部分開発に要する事業だけにとどまらない。これは單なる開発骨子に過ぎないのであつて、実際にこれにつまり肉付けをして行くのは皆地方負担になつておる。現に二十五年度予算においても、これらの負担が、一戸当り八百円近くもの負担を、地方北海道住民が全国よりも特にこれを負担しておるようなわけであります。正確に言うならば七百七十八円というものを北海道住民負担しておる。これらのつまり地方負担に関する部分、言い換えるならば政府補助、そういうもののつまりつておる事業に対してはどういろような一体構想を持つておられるのか。こういう地方負担というものを全然考慮しないで、そうして骨組だけは政府でやるということになるのか。それらの点についてもこれは重大なその道民に関係がある。殊に開発の成果というものが国全体の経済復興に対して非常に関係を持つておるのであります。この点について一つ承わつて置きたいと思います。  なお、このことはいわゆる農林関係においても同じことであります。ただ農林関係で国で行う事業というものは骨子だけであつて、実際の土地改良であるとか或いはその他の移民の政策の中に肉付けをしなければならん問題というのがたくさんあつて、これらの点はやはり国で全部を賄おうとするのか。つまり補助政策でやつておる部分も全部やろうというのか。こういち点一つ承わつて置きたいと思います。殊に人事の問題でありますが、この人事関係で、私は今日道庁の行政から切離して国の出先機関を作るということは、それは一つ構想でありましようけれども、これは非常に、シヤウプ勧告による地方自治強化等から見ましても、    〔議長退席、副議長着席出先機関を少くするということに逆行しておるのであるが、なおそれでもやらなければならないという建前に立つてこれを実施する場合において、屋上屋を重ねるような機関になりはせぬか。これは人事の面においても、或いは経費の面においても、非常な国全体としての損害が行くのではないか。こういうふうに考えられるのです。この点についてどういうようなお考えを持つておられるか。特にお伺いして置きたいことは、現在北海道道知事にこれを、国の事業を委嘱してやらしておるという形になつておるのであるが、政府考えでは、北海道或いは道知事というものにはこれを任して置くには余りにも仕事が大きいとでも考えておられるのか。こういう点についても一つ親切に御答弁を願いたいと、こう思うのであります。    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  38. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道振興開発について従来健闘されておりまする木下さんの御質問についての御熱意に対して、私は先ず以て深く敬意を表するのであります。併しながら、御意見に対して私は遺憾ながら御同感の意を表することができないのであります。そこで、この機会におきまして、参議院各位是非とも北海道用発の問題は愼重に御考究を願いたいという意味合いにおいて、私の卑見を一応申上げます。  先ず以て御質問の第一である行政調査委員会議調査の方向と、北海道の国の行政並びに自治行政との関係はどうなつておるか。この御質問にお答え申上げます。地方行政調査委員会議においては鋭意過去二年間研究をされておることは皆様の御承知通りでございまするが、大体の結論と申しまして私どもの拝聽いたしておるところを、仄聞いたしておるところを申上げますと、行政調査委員会議におきましては、国の行政は国の機関が行う、地方自治地方自治機関が行う、こういう二つの系統に明瞭に区分して、而も相互協力して行く、こういう形がいいじやないかという結論に到達しつつある模様であります。まだ全然結論というわけではないようでございまするが、私どもの仄聞したところはさようでございます。そこで、先ほど申上げました、私ども決定をいたしました閣議決定要綱は、国の直轄事業は国で行う、こういうことを一応きめたに過ぎないのでございます。即ち地方行政調査委員会議の動向と決して背馳するものではございません。  それから第二に、北海道開発審議会というものに対して、この閣議内容について諮問をする意向があるかどうか。御承知通り北海道開発審議会開発庁長官諮問機関でございまして、只今のところ私は、いずれ諮問をいたしたいと思いまするが、まだ諮問するかどうか、意思決定を私自身いたしていないところでございます。  それから、なお、この閣議決定を実施に移す場合は、法令の上に所要の改正が必要であろう、その具体的内容を示せというお話でございますが、その前段、即ち法令改正が必要であることは御所見の通りであります。併しながらどういう法規をどういうふうにいじるかということは、或いは関係各省間並びに法務府の法制局の間において検討中でございますから、私からはまだ申上げる段階になつておりません。  それから、北海道というのは非常に重要である。明治初年以来北門鎖鑰と言われて、開発には全国民がこれに力を集中し、努力したものである。これは全然御同感でございます。でありまするから、黒田清隆さんが開拓使庁設置され、開拓使となつて、今日例えば都市計画と申しましても、札幌或いは旭川都市計画は、戰災都市百十の現在の都市計画の上の模範になつている。こういうような立派なことが行われておるのも、開拓使庁の時代の大事業が基礎になつておるからであると私は考えております。そこで、今日といえども、私は或いは終戦後の今日は、従来以上にここに力を入れる必要がある。むしろ四つの島のうちでただ一つ残されたるホープは北海道である。こういうふうに私は考えております。皆様の御議決を経て北海道開発庁というものが設置されたのも、又ここに胚胎いたしておる。即ち北海道は特殊性があるということを、すでに衆参両院の皆様において御認識、御認定に相成つたのが、開発庁という形に象徴化されておる次第でございます。即ち自治行政という部門よりは、国の行政という部門のほうが、北海道には遙かに、歴史的に見まして、このことは終戦後の今日は特に多いのでございます。そこで我々は地方自治についてかれこれ言つておるわけではございません。あなたの御指摘の通り北海道の道民諸君地方負担として負担する部分が相当ございます。これは国が補助費として出しておる事業に属する部門でありまして、国が補助費として出しておる事業は、すべておしなべて申しますと、まあ概論的でございまするが、自治行政の部門でございます。国の直轄事業ではございません。国の直轄事業は、むしろ北海道事業量は、中国、四国及び東北全部を加えたくらいでございます。これらを内地はどうしておるかと申しますと、それぞれ国の直轄事業でございましても、或いは三分の一、或いは二分の一という負担をいたしております、地方が……。ところが漁港につきましても、或いは港湾はもとより、河川も、道路も、いやしくも国の事業であるならば全額国庫負担といたし、又我々の出先の官憲であるところの地方技官地方事務官が直接事業を執行しておる。むしろお説によりますと、内地こそは地方建設局をやめろ、何となれば三分の一地方負担しておるではないか。或いは地方農地局をやめろ、何となれば二分の一地方負担しておるではないか。こういうような御意見があつてもまあ然るべきでございますが、これはまあ寝てる子を別に起す必要はございませんと思いますが、まあ国で直轄してやる必要もあるのでございます。併し北海道におきましては、直轄事業と申せばすべてこれ全額国庫負担である。地方負担する部分補助事業である。その補助事業地方自治行政であり、今回の閣議決定内容は決して自治行政には寸毫も触れておるものではございません。  而して今度は問題を別にいたしまして、補助事業につきましては然らば知事の仕事になる。北海道は総合的に開発する必要がある。どういう関係関連を付けるか。そこは先ほど御指摘の北海道総合開発審議会がございまして、審議会の法律上のメンバーとして北海道の知事並びに道議会議長が列席いたしております。自治行政と国の行政との密接不離の調和ある関係において北海道開発をしなくてはならんという点は全然御同感でございまして、御趣旨は今の機構によつて達成できるというのが我々の確信でございます。(「名答弁」と呼ぶ者あり、拍手
  39. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次会の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十一分散会      ―――――・――――― ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一 遺失物法の一部を改正する法律案  一、日程第二 競馬法の一部を改正する法律案  一、日程第三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、輸出食料品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件  一、公職選挙法改正に関する特別委員会設置の件  一、検察官適格審査委員会予備委員補欠選挙  一、北海道開発に関する緊急質問