○河井彌八君
議題となりました両案の内閣
委員会における
審査の
経過並びに結果を御
報告申上げます。
先ず
新聞出版用紙の割当に関する
法律の一部を
改正する
法律案について申上げます。
委員会は四回開会いたしまして、一昨二十七日に多数を以て本案を可決すべきものと議決いたしました。
新聞出版用紙割当に関する現行の
制度は、
昭和二十年十月二十六日附の連合国軍の最高司令官から
日本政府宛の覚書に基きまして
実施せられているのであります。法制上から申しますれば、臨時物資
需給調整法に基く指定
生産資材割当規則によ
つて基本が定められておりまして、そうして、この
法律はそれに基いて制定せられているのでありまして、内容といたしましては用紙割当の基準
方法が
規定せられているので、そうして、その当時から現在まで引続き施行せられているのであります。この割当
制度は三月三十一日限り効力を失うこととな
つているので、
改正点は二つあるのであります。即ちその一つは用紙割当制の存続をば一カ年延長すること、これは本案の附則第三項の
改正であります。第二の点は、
新聞出版用紙割当審議会の性格を、決定機関であるのを改めまして諮問機関となすこと、これであります。これは本案の第一條、第三條と、第五條、第七條の
規定である。諮問機関といたしますから、執行機関であるところの
新聞用紙割当局というものば審議会の議を経ずして割当を行うこととなり、割当証明書の発行或いは取消を行い、
陳情書、異議申請書等を処理することができることとなるのであります。又諮問機関たる審議会は、割当に関する一般事項について審議をなし、又その事項に関して必要と認めるときは内閣総理大臣及び
関係大臣に建議することを得ると、ここに
規定されているのである。更に又内閣総理大臣は、割当に関する一般
方針と割当基準の作成については審議会に諮問をしてその
意見を聞かなければならないという
規定が入
つているのでありまして、これが本案の大要であります。
用紙割当
制度の存在は、言論自由の精神に照しまして望ましからぬことでありますが、何分にも用紙が
不足てしおりまする現状においては止むを得な
いものと認められるのでありまして、
従つて用紙の
需給関係が
調整せられるようになりますれば当然
廃止せらるべきものであるのであります。本案は
日本の文化に最も深い
関係を持
つておる大切な議案でありまするからして、内閣
委員会は只今申上げました
改正の二点について
愼重なる審議を盡したのであります。そして只今その点につきまして
質疑応答及び賛否の
意見の大要を申上げます。
第一に用紙割当制の存続を一カ年延長するという点。
政府は用紙の
需給関係が改善されれば、この一時的
措置法は当然
廃止されるということを
言明しております。而してその時期はいつであるかということにつきましては、あらゆる
方面から検討を加えまして適当の時においてするという説明でありました。次に沿革的に用紙割当の
統制はどうかと言えば、種類別に行われておりまして、現存の
統制は、
新聞用紙、印刷三十五号、三十六号及び教科書用紙について残
つておるのである。而もこれとても、できるだけ速かに適当な時期に
廃止しようという
意向を漏らしておるのである。然るに最近の実情を見ますると、
内外の
情勢がどうしても来たる四月から
廃止するということは不可能と認められるのでありまするから、ここに一年延期案を提出したのであります。そういう主張の下に、
昭和二十一年以来のこの紙の
生産、
消費、それの数字を示して説明をいたしたのであります。そこで、然らば一年延期すればそれでよろしいか、一年以内に必ず
撤廃できるようになるかとの質問に対しましては、これは確答ができなかつたのであります。
委員会におきましては更に通商産業省の当局の出席を求めまして、用紙の
生産事情、その輸出
増加及びこれが抑制の
実施等のことを確かめまして、更に林野庁当局から、最近
日本の森林資源の急激なる窮乏の
状況、パルプ
輸入困難なる実情等を聞きまして、更に木材、薪炭・紙類、衣類等の
消費の節約、合理化の必要等まで検討をいたしまして、そうして最後にどうしても造林が急速に徹底せられなければならんという問題にまで入つたのでありまするが、要するに用紙の
統制廃止は容易に実現し得ないであろうということを
心配いたしまして、この一年延期ということは止むを得ないことと認めたのであります。(「
統制を
撤廃すべきじやない」と呼ぶ者あり)第二、割当審議会の性格を決定機関から諮問機関に改めるという点であります。これにつきまして、
政府は、現に中央行政機関に置かれてあるところの審議会、協議会第二百三十六もあるのであるが、これを整理して、その七十を
廃止し、且つ審議会の権限を
調整いたしまして、すべてこれは諮問機関とするの
方針であることを
言明いたしたのであります。而して用紙割当審議会は、現在は決定機関であるのであるが、これを諮問機関に改めるということを説明したのであります。然らば何故にこの審議会の決定機関であることが不可であるかということに関しましては、一般的に物資の
統制に関しては当業者が行政権に関與することは不可であるということと、又行政上の責任の所在を紛更することがよろしくないということを述べたのであります。併しこの審議会につきましては、諮問に付した事項についてはその答申を尊重するということを
言明したのであります。なお又割当
方法については毎月各社について割当量を決定するから、この
改正がありましても不当な変更を生ずることはないと説明いたしたのであります。割当の公正は決定機関でなければ公正は保たれないという
意見、即ちこの大切な審議会をば諮問機関に変更するということは結局審議会をして無力のものと化せしむるものであ
つて、(「その
通り」と呼ぶ者あり)官僚独善の弊がここに生じて来るであろう。
かくては言論機関の民主的発達を阻害するものであるという
意見を述べて
政府の説明を求めましたところが、
政府は審議会に諮問する一般事項及びその基準について説明をいたしまして、この基準に基いて割当をなすが故にさような弊害はないと申したのであります。更に又大
新聞社とか、或いは大出版業者に対してこれは有利になるが、小
新聞社とか、小出版業者にとりましては、不利な結果になるではないかという
心配に対しまして、そうではないという事由を挙げて説明をいたしました。
かようなわけで、第一点につきましては、一年延期するということは、これは止むを得ないということを認めつつも、この審議会を決定機関から諮問機関に改めるという点につきましては、これを不可とする、否とする委員の
意見が相当に強く主張せられまして、結局
討論におきまして修正案の提出を見たのであります。
その修正案はカニエ委員から提出せられました。
新聞出版用紙の割当に関する
法律の一部を
改正する
法律案の一部を次のように修正する。
第一條、第三條、第五條及び第六條の
改正規定を削る。
即ち修正を加えて現行法
通りに戻すのだという趣意であるのであります。その理由は審議会の権能を変更しでみたところで何らこれは意味のないことである。むしろ進んで審議会を
委員会とする、
委員会と改めることのほうが妥当と信ずるけれども、
委員会に
改正するには立法上に困難な点があるから、この程度にとどめるという趣意をその理由といたしたのであります。そこで、これに対しまして竹下委員から
反対の
意見が陳述せられ、審議会を諮問機関とするに
賛成だ。即ち原案に
賛成である。決定権を有する審議会というものは現在においてはこれが一つである。もうその必要はない。又審議会の答申が正当であるならば内閣総理大臣はこれを尊重することは当然であるのだ。又審議会の権能を強くして決定権を與えて総理大臣を拘束することはよろしくないという
意見を述べられたのであります。これに対しまして修正案
賛成の
意見を梅津委員から述べられたのであります。用紙量が
不足である。それだから
需要者はあらゆる手段を用いて強く割当を要望して審議会に迫るであろう。そのときに審議会が決定権を持たないということは間違
つておるのだ、そういうふうな弱体な審議会というものはよろしくないのだということを梅津委員は主張せられまして、この修正案を支持せられたのであります。更に郡委員から修正案に
反対の
意見がありまして、結局採決をいたしましたところが、修正案は
賛成が少数のために
否決となりました。次いで原案について採決をいたしましたところが、
賛成多数となりまして、これが可決いたした次第であります。
次に
厚生省設置法の一部を
改正する
法律案を御
報告いたします。
内閣
委員会は予備
審査と共に三たび
委員会を開会いたしまして、
愼重審議いたしました結果、昨日の
委員会で全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。
先ずこの
法律案の
政府の提案の理由を御紹介申上げまして、次に
改正の要点を説明したいと存じます。現在、所要の地に検疫所が置かれておるのでありまするが、通商貿易の発展に応じまして、検疫事務の迅速な処理を図るために、この検疫所の支所と出張所とを設け得ることとする。もう一つは、麻薬類の取締業務を円滑に推進するために、
全国八カ所に麻薬取締官事務所を設けることといたしましたほかに、二三の点について所要の
改正をいたすというのがこの提案理由であります。
その
法律案の
改正点を申上げますれば、第一は厚生省の権限を
規定しておるところの第五條第二十四号と第五十一号とを
改正したことであります。即ち従来都道府県知事が船舶、汽車、電車の検疫を行うについては厚生大臣の認可を受けることを必要としておつたのでありまするが、他の法令の
改正、即ち
昭和二十五年三月の厚生省令第七号によりまして、この認可が不必要となつたのと、又昨年薬事法の一部が
改正せられまして、特定の医薬品のほか、特定の用具及び化粧品についても、厚生大臣がその規格を定め又はその検定を行うことになりましたので、それらの
改正に照応いたしましてこの
法律に
改正を加えようとするのであります。その第二点は、現在厚生省には十三の附属機関が置かれてあるのでありますが、その附属号機関の一つであるところの国立健康保險療養所を
廃止するということであります。第三は、所要の所に検疫所の支所又は出張所を置くことができることとしたことであります。その第四点は、厚生省の地方支分部局として置かれておる北海道地区駐在防疫官事務所を
廃止いたしまして、北海道をば東北地区駐在防疫官事務所の管轄区域に入れたことであります。第五点は、麻薬類の取締を強化するためい、新たに厚生省の支分部局として地区麻薬取締官事務所を置くことといたしたのであります。そうしてこの
改正法律は本年の四月一日から施行することにな
つておるのであります。
委員会におきましては、この
法律案について種々活溌な
質疑応答があつたのでありまするが、その結果明らかになつた点を大要申上げます。その一つは、この
改正案によ
つて廃止せられるところの国立健康保險療養所は、千葉市内にあるもの一カ所だけであ
つて、これは社会保險の被保險者及び被扶養者の結核患者の療養施設でありまするが、今日ではこの種の療養施設は都道府県その他民間の団体経営のものが漸次
全国に普及して参
つておるので、
政府は、国立のものを一カ所だけを置く必要はない、これを厚生省の外郭団体であるところの社会保險協会で経営させることが至当と考えておるのであるから、これを
廃止することに決したのであるということが明らかになつたのであります。そうして、この療養所の職員の定員は九十五名ありまして、これらの職員は移管後においても引続いて勤務することとなるというのであります。その第二は、現在検疫所は
全国十四カ所に置かれてあるのでありまするが、我が国の自主的貿易も漸く軌道に乗りつつありまする現状におきましては、この数の検疫所では貿易の促進の上からも反船舶運航
経済の上からも不十分でありまして、
予算の
関係等から検疫所を今すぐに
増加することはできない実情にありまするので、差当り横須賀、大阪、岩国に支所三カ所を設け、初出、呉、四日市、若松に出張所四カ所を置く予定であるというのであります。その第三は、北海道地区駐在防疫官事務所を
廃止するのは、発疹チフス等、防疫上の見地からいたしますれば北海道の
重要性があるのでありますが、今日それが大変簿くな
つて来たということと、交通
関係や行政機構簡素化の見地から、北海道を東北と一体として取扱
つても差支がないという理由で、これを北海道を
廃止して青森に移すということにしたのであります。第四は、麻薬及び大麻の取締は国、際的にも又
国内的にも重大な問題でありますので、これらに関する事務を分掌させるために地区麻薬取締官事務所を
全国八カ所に置くというのであります。この事務所設置のためには従来の定員の範囲内で賄
つて、特にこれがために増員はしないというのであります。そして麻薬類の直接の取締は各都道府県に配置しておる麻薬取締官に行わせて、その締め括りの仕事を事務所でやろうというのであります。そして事務所一つについて平均四、五名ずつの職員を配置する見込であるという説明であつたのであります。
委員会は、この
法律案につきまして、
政府の提案理由とその説明によ
つて、この
改正案は必要なものであるということを了承いたしましたので、
討論を省略し、採決いたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。(
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