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1951-03-29 第10回国会 参議院 本会議 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)    午前十時四十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十二号   昭和二十六年三月二十九日    午前十時開議  第一 食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第四 厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 教育職員免許法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第六 教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第七 宗教法人法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 市町村立学校職員給與負担法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 物品税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 中小鉱山対策に関する請願委員長報告)  第一三 中小企業銀行法制定に関する請願委員長報告)  第一四 中小企業信用保險法中一部改正に関する請願委員長報告)  第一五 中小企業等協同組合法中一部改正に関する請願委員長報告)  第一六 中小企業等協同組合危機打開に関する陳情委員長報告)  第一七 産業機械設備近代化法制定に関する陳情委員長報告)  第一八 関税ならびに貿易一般協定参加促進に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  一昨二十七日、本院において可決せられました電気事業編成実施に関する決議に関し、松永公益事業委員会委員から発言を求められました。この際、発言を許します。松永公益事業委員会委員。    〔政府委員松永安左ヱ門登壇拍手〕    〔「嘘を言うなよ」「正直に白状しろ」「悪ければ謝まれ」「謝まれば男が上るのだから」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  4. 松永安左ヱ門

    政府委員松永安左ヱ門君) 今回電気事業の再編成に当りまして、当委員会としては、当初より各方面意見を参酌し、最も公平且つ適正なる結論を得べく(「ノーノー」と呼ぶ者あり)努力いたしましたが、極めて短時間でありましたため、不幸一部の意見の一致を見ない点について、作成の方法を変え、三月一日に一応指令案を公表した次第であります。併しながらその後、法律所定の手続に従つて聴聞会を開催し、利害関係人等意向を十分に聽取すると共に、目下愼重指令案を再検討し、更に指令案適正妥当を期し、併せて電気事業の健全なる発達を図るべく鋭意努力をいたしておる次第であります。先に国会に出席し御質疑に応じ、今回又本決議を煩わし恐縮いたしておる次第でありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)御趣意に鑑み善処を期したく、この上とも御鞭撻を賜わらんことを願うてやまない次第でありますから、(笑声)何とぞ御了承相願いたいと存じます。(「了承」と呼ぶ者あり、拍手、「鞭撻してやるぞ」「やめればいい、やめれば」と呼ぶ者あり)      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。農林委員長羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  6. 羽生三七

    羽生三七君 只今議題となりました食糧管理法の一部を改正する法律案農林委員会における審査経過及び結果を御報告いたします。  報告に当りまして、先ず農林委員会における食糧統制に関する調査について一言触れて見たいと存じます。主食供出流通及び価格を自由とすべきか、或いは統制すべきか、又統制するとせば如何なる方式によるべきかは、一つは以て農業生産農家経済に切実な影響を與え、他は以て国際貿易国民生活に重大な関係を及ぼすものでありまして、誠に国家経済自立の根幹をなす極めて重要な問題であると言わなければなりません。農林委員会におきましては、かねて院議の承認を受けて行なつております農林政策に関する調査一環として、特に小委員会を設けて、食糧管理方式に関する調査に力を盡し、従来の調査の結果に基き、去る二月二十一日、農林委員会の総意を以て、政府に対し、食糧管理方式に関して大要次のごとき申入れを行い、以て政府善処を要望したのであります即ち  一、食糧需給見通し、特に本年一月乃至六月の輸入計画の達成と、七月以降の輸入計画の策定及び実施につき、内外の諸情勢に即応し、改めて愼重な考慮を拂い、今後の見通しについて希望的楽観に堕することを嚴に戒しめ、周密な再検討を遂げ、食糧管理方式転換に遺憾なきを期すること。  二、右により総合勘定の上、食糧確保の確実な見通しの下に、今後麦類統制廃止せんとする場合は首尾一貫政策を確立することとなし、すでに自由販売を建前としながら、何ら具体的計画性のない強制供出制度を併用するがごときことについては再検討すること。  三、麦類統制撤廃する場合、麦類主食以外に転用せられて、主食不足を来たすような危險を招来し、又価格の騰落を惹起するがごとき事態を発生せしめないよう、飼料確保等万全の策を立てること。  四、麦の対米比価を、最近の食糧事情において麦の主食として果すべき役割の重要性に鑑み、且つ又物価の現勢、特に肥料事情等を勘案して、これを適当に引上げると共に、この引上げ負担消費者に転嫁せしめないよう処理し、これに関連し、この際、肥料及び飼料等価格調整についても適当な措置を講ずること等であります。  然るところ、政府は三月六日、只今議題となりました改正法律案国会に提出いたしたのでありますが、この政府原案の主眼とするところは、  第一に、政府はすでに「いも」類、澱粉及び雑穀流通及び価格統制廃止したのでありますが、麦についても、現在生産者はその生産した麦を政府に売渡さなければならないことになつておるいわゆる供出方式を改めて、売渡しを自由とし、而して生産者所定方法従つて政府に売渡しを申込みましたものについては、政府は必ずこれを買わなければならないこととなさんとするのであります。併しながら政府国民食糧確保のため必要な場合は生産者に対し政府に売渡すべきことを命ずることができることとなし、供出制度を再現せしめることとなさんとするものであります。尤もその発動は收穫見込高の判明前に政令でその旨を明らかにすることとしてあるのであります。  第二は、食糧配給公団存続期間の終了によつて、これが廃止に伴い不要な規定を削除改変し、廃止後の措置を整えんとするものであります。  委員会におきましては、昨日当院において可決せられました農業委員会法案審査と相関連して、食糧国内自給方策国内における食糧需給現況及び今後の見通し外国食糧に対する見解及び期待、食糧配給機構及びその運営、農家保有食糧の意義及びその確保米価及び麦価の決定方法及びその適正化米価審議会に対する方針食糧管理法関係政令の効力及びその取扱、食糧確保臨時措置法失効後における同法第三條が規定している政府奨励措置及び責任事項に関する政府方針等に関して、政府当局との間に質疑が行われたのでありますがこれが詳細については会議録に讓ることといたしたいのであります。ただ右の質疑の際、片柳委員から、新聞の伝えるところによれば、万一、本歌正法律案が不成立となつた場合においては、政府はすでに雑穀についてその例を見たように、食糧管理法の定める命令によつて、実質上、麦の統制廃止する措置を講ずる意図であるとのことであるが果してそうであるかと、政府の真意を確かめられたのに対し、農林省食糧庁長官は、法文の解釈上は可能であると考えられるが、併し麦の国民生活上に及ぼす重要性に鑑み、法律改正によらずして統制廃止することは適当でないと考えているとの趣旨の答弁があり、この点はここで附言いたして置きたいと存じます。  かくて三月二十七日午後の委員会における小林委員の動議によつて、二十八日を以て質疑を打切り、討論に入り、先ず小林委員は社会党を代表して、政府は、国民経済食糧問題並びに価格体系に関する認識を欠き、食糧輸入に自信もなく、且つ又生産に対しても確信を持たず、而も麦の統制廃止せんとしているが、この事の起りは朝鮮事変勃発前の事情に基いたものであつて、その当時の事情と現在とを同一視していることは暴挙というべきである、米麦が相互に補つて国民食糧に彈力性を持たせているとき、麦の統制廃止すれば、その結果は米作農家負担物心両面において過大となる。食糧輸入が不安なとき麦の統制を外すことは中間商業資本の思惑に乘せられるのみで、農家経済には何らの潤いをもたらさないばかりでなく、却つて混乱を招くこととなる。現段階においては統制廃止しても再統制は必至であつて国内における食糧を手放しにしておいて外国食糧輸入を要望することは矛盾であり、自主性を欠くものである。今般政府の企図する麦の統制廃止は誤まれる自由主義の破綻である等の趣旨によつて反対せられ、次いで西山委員自由党を代表して、第一に、国民統制の弊に懲りて統制撤廃を要望している。第二に、食糧統制経過は、先ず米の統制に始まり、次に麦、雑穀、い同類というように漸次強化せられて来たのであつて従つて統制廃止は逆のコースを迫ることは妥当であつて、昨年は「いも」類の、過ぐる三月一日から雑穀の、続いて今回麦の統制廃止するのは健全なやり方である。第三に、統制廃止によつて予算を節減して国の財政に寄與し、農家増産意欲を増進し、更に又消費者生活の安定に資することとなる。この事実は昨年の「いも」類の統制廃止が明瞭に証明しているところである。麦の価格も、統制廃止によつて生産者に対しても又消費者に対しても適正なところに落ちつき、配給は円滑となる。食糧需給状態について云為するのはただ不安感によるものであつて需給は好転していて、今回の措置農村に利益をもたらし、消費者生活の安定を来たすのであるとの趣旨を以て賛成を表明せられ、次いで片柳委員緑風会所属農林委員全部を代表して、輸入食糧が果して計画通り確保できるかは政府言明にかかわらず、事実について見ても甚だ不安なきを得ない。国内において食糧統制を廃し自由放任して置きながら、外国に対して優先的に輸入を要請することは何としても非論理的である。統制を外して自由にすれば、用途的に又量的に需要は予期以上に増大を来たし、これがため更に輸入増加を必要とし、国家経済自立に逆行することとなる。戰後の国民主食は、米半分、麦半分でありて、米麦を一体として考え、同一歩調を以て処置しなければならない。農家地域的関係から見ても米作地帯との不均衡を来たしてはならない。統制廃止によつて一時的の値上りを差すことがあつても、農家手取り増加とはならないのであつて農家は再生産を保証する安定価格をこそ望んでいる。再統制規定食糧に対する不定見の暴露で、農家の迷惑はこの上もなく、この事実は昨年の麦の補正にその例を見るとこである。関係方面意向も積極的な同意があるわけではないことは、再統制條件付けられていることによつても窺うことができる。かような事情を考え合せるとき、政府今回の措置に対して更に愼重を要するものとして反対せられ、次いで岩男委員国民民主党を代表して、この問題は当農林委員会においては特に小委員会を設けて愼重検討を加えたものであり、政府食糧政策は信念を持たず、一貫性を欠き、国際情勢現況において暴挙というべきである。統制廃止農家にとつて消費者にとつても糠喜びに終り、ブローカーと資本家を利するに過ぎない。すべてに亘つて統制撤廃はわれわれの念願であるが、併し政府今回の措置は現段階においては到底許されない。時期尚早であるとして反対せられ、最後に岡村委員は第一クラブ農林委員を代表して、この問題については初めから強い反対を表明していたものであつて、今は統制を廃すべき時期ではなく、單に昭和二十五年の食糧輸入によつて直ちに統制を廃するがごときは軽卒であつて経済についても又生活についても敗戦の事実が反省せらるべきである。なお、本法律案農家を愚弄するものというべきであつて遺憾であるとの趣旨によつて反対せられました。  かく討論を終了し、採決の結果、多数を以て本法律案否決と決定せられました。  以上御報告申上げます。(拍手
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。片柳眞吉君。    〔片柳眞吉登壇拍手
  8. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私は緑風会所属議員の一員といたしまして、只今上程されました食糧管理法の一部を改正する法律案に対しまして反対をいたし、委員会否決結論に対しまして賛意を表するものであります。  食糧行政が一刻もゆるがせにできないことは言を待たないところでありまして、朝鮮動乱以来の内外情勢ただならぬこの時期におきまして特にその感を深くするものであります。  先ず国民全部が関心を持つておりますところの外国からの食糧輸入確保の点でありまするが、昨年の七月以来本年六月までの最低輸入量は、政府計画によりますれば米換算約二百八十万トンであるのであります。これに対しまして昨年の暮までの上半期の輸入実績は九十二万トンであります。更に本年に入りまして一月—二月の廻着数量は四十七万トンでありまして、昨年の七月以来本年の二月までに計画数量の半分を入れたのに過ぎないのであります。残る四カ月間に半分を入れなければ計画数量に達しないのでありまして、これはなかなか容易でないと存ずるのであります。政府はしばしば三月以降は輸入は好転をすると称しておりまするが、私の調査したところによりますると、この三月の実績も大体三十万トン内外廻着に過ぎないのでありまして、今後の見通しは誠に深憂に堪えないのであります。しかのみならず、最も情勢の波瀾を予想されておりまするところの本年の七月以降の輸入見通しは、現在何ら具体的な計画が立つておらないのであります。現在のような国際情勢の下におきましては、輸送船腹の点から見て参りましても、或いは輸入価格の点から見て参りましても、更に又買付可能性の点から見て参りましても、食糧輸入が困難を増して来ることはこれは極めて常識的な見方だと思うのでありまして、而もその見方が現実化しておるのであります。特に最近の情勢から総合しますると、七月以降のガリオア資金も頗る見込薄でありまして、又外貨資金の点から見て参りましても必ずしも楽観を許し得ない状況であると思うのであります。政府委員会等におきまして今後の食糧輸入は大丈夫だということをしばしば言つておりまするが、食糧問題は単なる言明では解決ができないと思うのであります。(拍手食糧問題は毎日々々の現実的な問題でありまして、計画上の数字だけでは食糧問題は何ら解決をされないのであります。食糧の足りません日本国内で麦の統制を外しまして、要するに自由販売自由消費にし、アメリカその他の連合国側に対しては食糧優先的供給を主張することは、まさしく矛盾だと言わなければならんのであります。(拍手国内食糧を最も有効に、最も計画的に管理いたしまして、その上に足らないものを外国から輸入を仰ぐということが、日本経済自立観点から見て参りましても、又食糧優先輸入確保の点からも必要だと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)国内の麦の統制はこれを外しまして、外国食糧確保を主張することは、全く私は本末顛倒と思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)幸いに我々の心配が杞憂となりまして、今後輸入食糧が順調に入つて来ますれば、これに越したことはないのでありまして、その場合におきましては、これを備蓄をいたしまして、その上で食糧管理方式転換を図るべきだと思うのであります。  次に、観点を変えまして国内的事情から見て参りますと、昨今の動物の餌なりその他澱粉質食糧農産物に対する需要は非常に増大をしておりまして、値段も非常に上つておるのであります。このさなかに、やがて収穫されまする麦を自由販売にいたした場合を想定いたしますると、今年の麦がどこへ行つてしまうかということは非常に明瞭でありまして、一「そうそう」と呼ぶ者あり)人間の食糧以外の他の用途に相当流れることは極めて明瞭だと思うのであります。政府農家希望がありますれば米に換算いたしまして八百八十万石までの麦は買入をする、こういう方針でありまして、すでに予算も通つておりまするが、併しその麦の政府買入価格米価に対して極めて割安にしておるのであります。例えば昨年の小麦の価格米価に対しまして八一%強でありましたが、今年の麦は米価に対しまして六四%と、十数パーセント割安な価格にいたす方針であるのでありまして、これでは到底政府に麦を売る者はないのであります。米換算八百八十万石の数量全国配給量の丁度二カ月分に該当するわけでありまして、この八百八十万石の国内食糧政府が握るかどうかは今後の需給調整に重大な影響があると思うのであります。麦の買入ができませんで今後食糧輸入が悪化を来たした場合を規定しますると、誠に心配でならないのであります。政府は十月までは米麦で二合七勺の配給を続けると言いまするが、麦は大体六月頃から出廻るのでありまして、二合七月の配給に加えまして、麦の自由販売自由消費というような、配給自由消費が並行するというような、かような措置を認めますることが、現在の日本の国情から見て参りまして果して適当でありましようか。統制撤廃への移行の代償としては余りに高価なものと言わなければならんと思うのであります。かようにいたしまして、二合七勺の配給プラス麦の自由勝手なる消費ということになりますれば、その結果は、麦の主要食糧以外への、換言しますれば、動物の餌なり或いは工業用等消費増大を招来いたしまして、やがて要輸入量増大となることは必至であります。これが我が日本自立経済の方向と逆行することは言を要しないところであります。  更に問題の視野を変えまして、これを農家の側から見て参りますると、この点から見て参りましても、麦の統制撤廃はにわかに賛成し得ないのであります。統制撤廃直後は或いは一時的には麦の価格は上昇するかも知れませんが、現在の農家経営状況なり或いは農業協同組合経営不振等の実情から見て参りますると、消費者価格は上るかも知れませんが、必ずしも農家手取り増加はしないと思うのであります。特に政府方針は当初と変りないと称しておりまするが、家は重大な変更があるのであります。即ちこの法律案の第三條ノ二の第二項におきまして、国民食糧確保上必要あるときは、いつでも一旦外した麦を再統制をなし得る規定を新たに設けたのであります。これはまさに方針の不統一でありまして、司令部の指摘したように、政府食糧政策一貫性を欠いているのであります。(拍手)一旦統制を外して、又、必要があれば再統制するというのでは、必要量確保ができないばかりでなく、農家の迷惑はこれに如くものはないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手政府方針は、統制を外すと言い、又必要あれば再統制をすると言うのでありまして、丁度梶原景時の逆櫓の議論に等しいと言わなければならんのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手農家は再生産を償い得る安定した価格を欲するのでありまして、価格の不安定を最も恐れるのであります。又全国農村の地域的な点から見て参りましても、米は依然として強力な管理を行い、麦の統制を外すとしますれば、米單作地帯二毛作地帯との不均衡を招来する結果となるのであります。今後の日本食生活は米と麦と半々でやつて行かなければならんのでありまして、米麦は同じ歩調でこれを統制するということが農家経済の点から見て参りましても又消費者の側から見て参りましても適当であると思うのであります。去る十三日の司令部からの覚書が新聞にも発表されましたが、私の理解するところでは、何も無條件に且つ積極的に政府の案に賛成したのではないと思うのでありまして、情勢に応じ、国民食料確保上必要がありますれば何どきでも再統制をなし得ることを最低條件として、これを承認したものであります。これ以上の判断は日本政府なり国会がみずから決定する趣旨だと思うのであります。いずれにいたしましても、食糧問題は多分に国民大衆の心理の問題でありまして、食糧問題の一の不足国民大衆には百なり万の不足として現われて来るのでありまして、問題が起きましてから手を打つのでは事は遅きに失すると思うのであります。而も食糧政策は大きな政治問題でありまするけれども、又半面に極めて現実的な問題でありまして、政府言明が如何にありましても、その実績は、毎日々々家庭の配給なり、或いは神戸、横浜への船の発着で実績がわかるのでありまして、單なる言明方針の問題では解決が付かないのであります。私は以上の点を以ちまして、本法案反対をいたしまして、農林委員会におきまするこれが否決結論に対しまして賛成をいたすものであります。(拍手
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 西山龜七君。    〔西山龜七君登壇拍手
  10. 西山龜七

    西山龜七君 私は自由党を代表いたしまして、食糧管理法の一部を政正する法律案賛成をするものであります。その基本的な賛成理由につきまして以下説明を申上げたいと思います。  第一に、本法律案の目標とするところは、一、食糧自給独立一環といたしまして、七月より麦の供出制度撤廃して、麦は農家希望する価格によつて自由に処分ができるということであります。その上、政府は、本年は八百八十万石を限度といたしまして政府の定める価格を以て農家希望に応じて買入れする方式であつて農家は自由にも売ることができるが政府へも売ることができる。従つて農家経済はこれによつて確立して大いに増産に励むことになるのであります。消費者におきましては、十月までは現在の通り配給を続けるのでありますが、七月よりは農家が自由に処分する麦類を買うこともできる。十一月以降は米のみ一合勺の配給を続けまして、米以外の麦類は一切消費者自由選択に任せて、数量を限定せず買うことができるのであります。現在麦類配給は大体三分の二内外輸入の麦であると思うのであります。この大量の政府手持ち麦類は、国民に不安を與えないように拂下げいたしまして、国民食生活を安定することになつておるのであります。大体以上のような目的でありますので、本法律案は民意を尊重した法案と信ずるのであります。  第二点は、我々の生命を繋ぐ食糧統制は、昭和十四年、米の統制から始まりまして、現在まで十数年間の長きに亘り、主要食糧は勿論、生鮮食料品その他あらゆる食糧全般統制せられておりましたので、統制の善悪は八千万国民は身にしみて体験して来たのであります。従つて現在までの官僚統制方式につきましては、国民大多数がこの制度嫌つて統制が緩和せられること、事情が許すならば一日も早くすべての統制撤廃を要望しておることは、本法案反対する人々といえどもこれを認めておるところであります。  第三点は、過去における食糧統制経過より見ましても、統制の初めは米のみを統制したものであつて、次に麦類雑穀、その次に甘藷、生鮮食料品を初め、味噌、醤油、その他あらゆる食糧全般に及びまして、年と共に順次統制を強化したものであつたのであります。従つて統制を緩和し又は撤廃せんとするならば、この逆コースを迫ることが最も妥当なやり方と信ずるのであります。主要食糧のみについて見ましても、政庁のやり方は、昨年は甘藷の統制撤廃実施し、その結果は非常な成果を収めておるのであります。本年は三月一日より雑穀を外し、次に七月より麦類統制撤廃する本法律案は、食糧行政上最も時機を得た健全なる食糧政策と言い得ると確信するのであります。  第四点は、統制の緩和と撤廃による利益は、国の予算を節減することができる。需要と供給を円滑にすることができる。農村においては農家増産意欲を高揚し、農家経済を確立する。消費者階級につきましては食生活を安定する。以上のような事実を証明する一例を挙げますならば、昨年の甘藷の統制撤廃によりまして、数十億の予算の節減ができておるのであります。従つて麦の統制撤廃した場合におきましては莫大なる予算の節減が可能となるのであります。昨年甘藷の統制撤廃に当りましては、御承知の通り農村団体は急先鋒となつて反対を唱え、今回の麦の統制撤廃に全面的に反対していると同様であつたのであります。一般国民も又、食糧不安が習慣的になつておる矢先でありましたので、非常な不安のうちに反対したものであつた。然るにもかかわらず、その結果は農村に多大な利益を與え、消費者も又何らの不便も不利もなかつたのであります。この事情よりいたしまして、本年の甘藷は昨年よりは一段と増産となることは明瞭であります。雑穀類の統制は三月一日より撤廃となりました。僅か一カ月足らずの事実から見ましても、北海道産の雑穀のごとき、農家は最も有利に処分ができているのであります。消費者はこれまで容易に口にすることができなかつた雑穀類を統制時代よりも自由に必要に応じ買い得るようになつた。従つてこの雑穀類も官僚統制による莫大なる中間経費は要らないこととなるのでありますので、いずれこの経費は農家消費者に配分利益を與えまして、雑穀類も又増産必至と見るほかはないのであります。  第五点に、麦の対米価格の比重は現下の食糧行政上の一大関心事となつておるのであります。政府の定めた麦の対米価格六四%大麦五四%、これは麦の増産の意欲を阻めまして、農家経済を不安に導き、食糧政策上憂慮に堪えざることは一般の認めておるところであります。政府は特にこの点に留意いたしまして、委員会におきましては、農林、安本、大蔵の各大臣は、品を揃えて麦の対米価格引上げに努力すると言明したのであります。(「言明だけしたつて因るじやないか」と呼ぶ者あり)従つて法案通過の暁は、政府最低買入価格は現在の比率以上に引上げられるであろうと思うのであります。(「予算どうなつているか」と呼ぶ者あり)その上、本法案が通過し、麦の統制撤廃が実現いたしましたならば、麦の対米自由価格は必ずや七〇%或いはそれ以上になるであろうと思います。従つて農家は、最低価格自由販売価格、いずれを選択するも最も有利な立場となり、本来の目的たる麦の増産意欲を一段と増進するのでありまして、半面、消費者も又統制撤廃によりまして、中間経費の削減、食生活自由選択によつて、決して不利とはならない。これは甘藷や雑穀の実例によつて証明できるのであります。若し本法案不成立によりまして米麦統制方式が続行され、麦の対米価格を若し七〇%又はそれ以上に決定することともなりましたならば、農村側は納得ができるかも知れませんが、併し消費者側は配給辞退が続出いたしまして、配給機関は混乱せざるを得ないこととなると思うのであります。麦の対米価格のパーセントは、政府農村消費者が如何に頭を悩まして研究せられましても、二重価格制度を採用するか、或いは麦の統制撤廃、麦の主産地より麦の消費府県に麦が自由に流れる方式に改めない限り、麦の対米価格パーセントの引上げは至難であろう。この困難なる米と麦との比重を適正にするためには、麦の統制撤廃を断行するほかはないと信ずるものであります。  本法案反対する人々の委員会におきまする反対意見に対しまして一言して見たいと思います。緑風会、民主党、第一クラブの委員のかたがたは、今先輩の片柳先生からも仰せられたように、食糧問題は愼重にしなければならぬということで、時期尚早論で反対せられたようであります。然るに社会党におきましては、如何にイデオロギーにとらわれておると言いながら、(「舌を噛むな」と呼ぶ者あり)この麦の統制撤廃することは自由党が地方選挙に大勝を博するがためにこれを出した法案である、かように申されておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)その通りであるならば、全国民の喜ぶ政治を民主自由党が行うことが、これは非常に結構じやないですか。(「民主自由党とは何党だ」「騙してはいけない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)これは、その国民の全部が喜ぶ法案に社会党が反対することは、社会党は民意に副わないで、イデオロギーにとらわれて、国民の要望に反する反対をしておると言わなければならないのであります。(拍手)(「詭弁を弄するな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)片柳先輩の反対意見を聞いて見ますると、輸入食糧は非常に不安である、順調に入つておらない、かように申しておりますが、私は片柳先生が食食糧管理局長官をしておらるるとき、即ち終戰直後、久邇宮内閣の当時、澁澤大蔵大臣が、この輸入状態においては一千万人の餓死者があると言われた。然るに数百万トンの輸入の違算がありましたにもかかわらず、一人として餓死者がなかつたことを思いますときに、(「上野の地下道や有楽町を見ろ」と呼ぶ者あり)現在の食糧事情は一変しております。我々の日常の食生活においてそれが証明できると思います。かような意味におきまして、決して三十万トン、五十万トンぐらいの輸入食糧のために、この食糧の問題は不安になるものでないと信ずるものであります。  私は以上の意見を申上げまして、本法律案賛成する意見の一端としたいのであります。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 小林孝平君。    〔小林孝平君登壇拍手
  12. 小林孝平

    ○小林孝平君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題となつております食糧管理法の一部を改正する法律案反対の意を表するものであります。(拍手)  先ず第一に、我々の現在の情勢下において国民生活の基礎をなしておる食糧の問題に関する基本的な態度であります。言うまでもなく、我々はこうした生活の軸をなしておる食糧問題に関しては、いやしくも一党一派の政治的目的に使われたり或いは又過去の行きがかりにこだわつたりするようなことがあつてはならないと考えるのであります。(「その通り」「よく聞いて置け」と呼ぶ者あり、拍手)この問題は、飽くまでも全国民経済的な見地から、生産者消費者生活を守るという立場を考慮して行かなければならないということを前提として置きたいのであります。(「自由党の言う通りだ」と呼ぶ者あり)  第二に、以上の前提に立つて現状を見るときに、我々は昭和二十四年以来の食糧事情の一時的好転にもかかわらず、昨年六月の朝鮮動乱を契機といたしまして食糧問題が相当窮迫しつつある現状を見るのであります。この点につきましては、すでに政府もみずから認めている通りでありまして、今更改めて言うことはないものと考えられますが、過日各種農民団体によつて結成された緊急食糧対策実行委員会食糧問題に関する質問に対しての政府の回答によつても明瞭であります。即ち政府は、今後食糧事情は必ずしも現在より好転するものとは考えていないと言つている通りであります。詳しい数字については先ほど片柳氏からお話がありましたから、ここに一々申上げませんけれども、一例を挙げますれば、政府昭和二十五年七月から二十六年六月までにおける輸入計画、米に換算して二百八十五万トンのうち、昨年七月はり本年の二月までの輸入量は約百三十九万トンであり、この輸入計画達成のためには、三、四、五、六の四カ月間に残りの百四十六万トンを輸入しなければならないことになるのであります。それにもかかわらず、政府は三月には四十万トン輸入をなし得るとして楽観しているのでありますけれども、これも計画通りには行つておらない現状であります。その上、四、五、六の、この三カ月の配船が未だにきまつていないという状態でありましては、その前途は全く頼りないと言わなければなりません。更に本年七月以降の輸入計画が全く立つていないという実情でありまして、加えて、本年六月を以て打切られるがガリオア資金のことを考えれば、誠に憂慮に堪えない次第であります。これは一層外国食糧輸入に不安をもたらすものであり、且つ世界を挙げての軍備拡張の影響を反映する輸入食糧の値上りも考慮しなければならないし、又、各国の輸出の拒否の点も考えなくてはならないのであります。即ち絶対量の不足の我が国が、国内において主要食糧たる麦類統制撤廃して置きながら、他方において、その足らざるを理由として輸入を懇請するなどは、全世界に我が国政府の非自主性を暴露するものであつて、それは世間に通用しない理窟であると思うのであります。(「しているじやないか」と呼ぶ者あり、拍手)  更に第三点といたしましては、以上のような海外輸入見通しの不安定は、その必要食糧の二割以上を海外に依存しなければならない我が国の食糧政策全体に強い影響を與えることは明らかでありまして、その結果は従来麦類と共に主要食糧の支柱をなして来た米作農家に対して強い圧力が加わるということであります。何となれば、麦類統制撤廃されれば配給量は米一本ということになりますが、政府は現在の米の配給量平均一合五勺を確保すると言つておりまするけれども、今日までは米麦二合七勺で、米麦はその豊凶を相互に相補つて配給量を維持して来たのでありまして、これによつて相当の彈力性が保たれて来たわけであります。併し米一本にすると、一たび凶作があつたとき、特に現在のような不安定な輸入の状態の下におきましては、米作農家に対しての供出強化は必然であります。中でも、特に米作地帶である東北、北陸等の單作農家の受ける犠牲は極めて大きく、麦類統制撤廃は全く米作農家の犠牲の上に強行されると言つても過言でないのであります。(拍手)これは又今後この供出の上にも非常な大きい影響があると考えておるのであります。  第四として、我々はかかる不安定な基礎の上における統制撤廃は、農民のためでもなく、又消費者のためでもなく、一部の中間商人である商業資本と食糧ブローカーの思惑を助長せしめるに過ぎなくなるものであると考えるものであります。「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手)即ち政府は、統制を外しても、外国輸入によつてこれを備蓄して、必要に応じて放出し、市場操作を行なつて価格の安定と需給の調節を図つて行くと言つておるのであります。併しそれはすでに述べ来たつたような事情では到底不可能であると言わざるを得ず、結局商業資本等の中間商人に暗躍の場を與え、不要な混乱を起すことになるだけであります。  第五といたしましては、以上の現状では麦類統制撤廃ということは根本的になし得ないことであることは、現にこのたびの法律改正に当つても必要に応じて強制買入れを行うという旨の逃げ道の條項を設けざるを得なかつた点を見れば明らかであります。して見ると、このたびの麦類統制撤廃は近付きつつある地方選挙に対応する自由党の人気集めのスローガン的意味を持つものであると言つても言い過ぎではないと存ずるのであります。(拍手)誠に国民大衆を愚弄するも甚だしいと言わざるを得ないのであります。(「然り然り」と呼ぶ者あり)右のような次第でありますから、一たび統制を解除して見ても、やがて再び統制をせざるを得ないことは明らかであります。従つて政府の今とらんとしている措置は、結局農村の秩序を破壊し、徒らな混乱を巻き起す以外の何ものでもありません。このことは現在の政府が如何に農業政策に対して熱意と誠意を欠いているかということを端的に現わしているものだと思うのであります。(拍手)  最後に、麦類統制撤廃に関する我我の基本的な立場を申上げて結論といたしたいと存じます。我々は前提で確認したごとく、国際的危機を前にして、特に食糧問題については全国民的な立場から愼重な態度をとるべきことを主張いたしましたが、問題は現政府がこの重大な食糧問題について余りにも外国依存主義であるということであります。我々は我が国経済自立と安定を図るという立場から、食糧に関しては、国内生産力を増大し、その自給度を高め、できるだけ外国からの輸入を避けるべきであるということを従来から強く主張して来たのでありますが、政府はこの点の解決について何らの一貫性ある政策を持つていないことは誠に遺憾に堪えないところであります。我々といえども徒らに統制の継続を主張するものではありませんし、又農民も従来のごとき天降り的な統制を望んでいるのでありません。従つて今後供出制度を徹底的に民主化しなければならないことは勿論でありまして、更に生産過程における経営の合理化を図ると共に、価格の問題については、米価審議会を法制化し、麦類の対米比価を上げると共に、他面、消費者に対しては二重価格制度によりましてその消費者価格を補償するという一貫した方針がとられなければなりません。これを要するに、現政府のごとく古典的自由主義経済をあえて強行するの余り、国内生産を無視し、不安定な外国食糧に必要以上の期待をかけるということは、自由党の公約自身がすでに全く誤まれる公約であつたことを立証し、その破綻が今ここに麦類統制撤廃を通じて行われたものと見なければなりません。(拍手)かかる誤まれる、正しい認識を欠いた食糧政策、農業政策に対しましては、私は全日本農民の名において断乎これに反対するものであります。(拍手
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 須藤五郎君。    〔須藤五郎君登壇拍手
  14. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は日本共産党を代表しまして、只今上程されました食糧管理法の一部を改正する法律案反対するものであります。  この法律案は、昨日通過いたしました農業委員会法及び現在委員会で審議中の食糧政府買入数量の指示に関する法律案と密接に関連しているものでありまして、日本食糧政策の上に極めて重要なものでありますので、あえて反対討論をする次第であります。  本法案は三月六日衆議院の農林委員会に付託になつたものでありますが、十分な質問の時間を與えず、熱心な委員たちの希望を無視して討論を打切り、参議院に送付して来たものであります。自由党の諸君がこれを急いでいるのは十分理由のあることであります。(「わかつたか」「わかる」と呼ぶ者あり)それは去る三月十五日の全国農民諸君の代表者大会におきまして示された、麦類統制撤廃に関連する政府食糧管理制度改正に対する強硬な反対決議にも明らかなように、日本の農民諸君がすべて反対の意思を表示しているからであります。顧みますると、廣川農林大臣の委員会の答弁のように、今までに納得する値段で日本の農民から米でも麦でも買つたことがあると言うのでしようか。廣川農林大臣は朗報や失言の大家のようでありますか、まじめに真劍に農民の幸福を考えてもらいたいと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)去年は日本の農民諸君が日本の米はどうしても一石八千円から一万円以上で買つてもらわなければ困ると主張しました。これが日本の農民諸君の本当の意向であります。それを日本政府は四千二百五十円という低い値で買上げた、否、むしり取つたのであります。三月二十日食糧庁が発表しましたところ仁よりますと、二十五年度産の米の供出状況は三月十日現在で、なお、九九・七%にとどまつております。ここまで供出させるために如何なる方法全国的にとられたかは日本の農民諸君は皆知つているのであります。強権供出ですら手をやいた政府はジープの力を借りて供出させたのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)大体、米でも麦でも農村では出るものであります。それを出ないように、出さないようにしているのが日本政府であります。農民は米や麦を売るために作つているのであります。地方新聞を見ればそのことはよくわかります。新聞を見なくてもよくわかるのであります。一つ例を挙げて見ますると、秋田におきましては、闇米を台所まで届けますと一升五十二円の米が五十五円になるのであります。僅か三円のためにお百姓さんは自分で売り歩くようになつたと書いてあります。供出したい食糧を出さないようにしているのが日本政府なのであります。政府食糧輸入政策を見ますと、アメリカの米麦、タイの米、ビルマの米に対しましては、平気で惜し気もなく高い金を拂つて置きながら、日本の農民の作つた米には金を出すのをいろいろと理由をつけて出し澁つているのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)廣川農林大臣が如何に日本の農林大臣のような顔をしましても、農民諸君はもはや信じはしないのであります。(「そうだそうだ」「どこの農林大臣だ」と呼ぶ者あり)初めに申しました三月の十五日に開かれました全国農民代表者、大会の決定しましたスローガンの中には、はつきりと、輸入食糧依存政策を倒せ、食糧国内自給態勢を確立せよとというスローガンがあります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)日本食糧不足しているので外国が親切に援助してくれるのだと如何に宣伝しようとも、もはや日本の農民は又労働者は騙されてはいない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)高い値段で買わされている食糧が、その上、念が入つておりますことに、臭い匂いが付いていたり、最近では小石が入つていたりしているのであります。そのために町では廣川農相はエジプトから石を輸入しているということまで言われておるのであります。(笑声)廣川農林大臣は衆議院の農林委員会で、ただ、石の入つたのは検査の粗漏或いは又契約の間違いで、この問題は飽くまで追及すると答弁しておられるが、單なる間違いでは済まされないほどしばしば起つて日本の勤労者の非難を浴びたことではありませんか。なぜこのように日本政府が本末を転倒した政策をとつているのか。ここに農業政策の根本があります。自由党の唱える自立経済、民族の独立がまやかしものであることは、この農業政策一つを見ても明らかであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり、拍手政府は、農民は統制にあきあきしていると言つている。一体誰のやつた統制なのか。低賃金と低米価のためにとつたところの諸君たちの飽くなき利潤慾の政策ではなかつたか。(「そうだ」「然り」と呼ぶ者あり)現在大量の輸入食糧確保ば廣川農相の楽観するごとく簡單ではないのみならず、資本主義諸国の戦争挑発による軍拡の激化から国際的にインフレの趨勢にある。かかるときにおける麦類統制撤廃は徒らに混乱を招き、対米比率切下げ、低価格政策による価格操作によつて、農民経済を窮乏化せしめ、消費者生活を混乱せしめることは火を見るより明らかであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)又仮に政府が放言するように輸入が順調であるとしたならば、二百二十五億の補給金を背景とした麦の価格操作は麦の価格を切下げ、激しく農民を窮乏化させ、生産力を縮小させることは又明らかであります。而も騙されてはならないのは、供出制度を緩和するかのように見せながら、こ農民収奪のために買入数量を指示して徴発する途をちやんと講じている点でありまして、米麦どもに徹底的に安く買い叩くための今までより更にひどい收奪政策であります。一「そうだそうだ」と呼ぶ者あり輸入食糧を最少にとどめ国内の農業の生産力を高めるという、我々の主張する日本の農民のための食糧政策反対の方向をとつている自由党政策の破綻は、二百二十五億に上る莫大な補給金が外国の農産物価格の値上りからすでに補正が必要になつている点にも現われております。タイ米は昨年七月百二十九ドルであつたものが本年一月には百五十一ドル、アメリカ小麦は九十一ドルから有四ドルにそれぞれ値上りしているのであります。カナダの小麦、ビルマ米又然りであります。このように、日本の農業を破壊し、農民を貧乏にさせることは、低米価、低賃金により帝国主義支配のために安い労働力を供給するためであり、そうして更に論を進めるならば、アメリカ国内で公然と言われているように、安い軍隊を作つて極東の防衛に使う、即ち外国の傭兵として肉弾を供給するためであります。(拍手日本評論の四月号を見ますると、W・L・ワーデン氏は、「日本人は再び行進する」と題して、予備隊の訪問記を書いておりますが、その中で、全体の六割は戰後の不安定な時期に百姓をしていた者であると書いているのであります。このアメリカの武器を持つたヒナの軍隊、これは私の作つた言葉ではなくて、ニユーズ・ウイークの写真の説明の言葉でありますが、このヒナの軍隊に入つて行く青年は働く土地のない農村の子弟なのであります。極東の軍需工場で武器を作るためにも働く場所のない農村の失業者の安い労働力が必要なのであります。  我が日本共産党は、日本農村を收奪し盡す自由党の農業政策に断乎として反対し、日本の農民諸君の要求する本当の民族の独立のために闘うと共に、安い農村の労働力を中国侵略と反ソ戦争のために使おうとする戰争政策の温床を培おうとする本法案に対しまして、これに反対される多くの会派の議員諸君と共に、(笑声)絶対に反対するものであります。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岡村文四郎君。    〔岡村文四郎君登壇拍手
  16. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 第一クラブを代表いたしまして、食糧管理法の一部を改正する法律案政府原案反対をするものであります。(拍手)  反対いたしまする理由につきましては、同僚諸君から縷々詳細な説明がありましたので、重ねてくどく説明をいたしますることは却つていかんと想いまするので、反対をする大要、その骨子だけ申上げます。日本政府は、今回、食糧が非常に豊富なりとしてその政策を変えようといたしたのでございますが、甚だ軽率であり、誠に遺憾であります。我が国の食糧は、二十四年度の米穀年度から持越米が殖えて参りまして、二十五年度になり、なお、殖える見込と、輸入食糧が初めてどうにか順調に入つて来る見通しの下に、麦の統制撤廃しようという意図なのであります。よく長い間苦労して参りました日本食糧は軽々しく政策転向をすべきでないのであります。我々農民は長い間虐げられては参りましたが、需要者のことを考えまするならば、如何なる困苦も堪え忍びまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)日本国民食糧を與えることが日本農業者の義務であると考えております。然るに政策のために甚だ軽率に扱われますることは誠に遺憾であるのであります。政府輸入食糧が二十五米穀年度でどうにか見通しが付いたから、この際、麦も撤廃をしようということは、誠に遺憾であり、その後の見通しはさつぱり付いておらんのであります。我が国の国民、八千万以上の国民を養いまするのには、島国でありまする関係で、国内食糧需給に万全を期し、細心の注意を拂つて行かなければならんのであります。殊に我々は米と麦は日本国民主食であるということを徹底させなければならんのでありますが、国民多数の中には米のみが日本主食と考えておる向きにがないでもありません。これは日本の国といたしましては、どうしても半々くらいの麦と米とは食べてもらいませんと、日本国内食糧の確立には非常な困難がありまするが、如何せん、政府は、主食は米でありて麦はその次だ、こういうようなお考えをいたしておりますることは誠に遺憾であります。(拍手)我々百姓は絶対にそれを見逃すわけには参らんのであります。そこで、輸入食糧のことを考えて見ましても、三月一日以降はアメリカは穀物の輸出は許可制になつております。そうして優先輸出をすることになつておりまするが、日本はその仲間に遺憾ながら入つておりません。優先的に認められまするものは、インド、ユーゴー、ギリシア、トルコの四カ国であります。その次にありますれば日本にくれると思いまするが、そんなことで安心をしておるわけには参りません。私ども百姓はどんなことをいたしましても、百姓自身が食うだけは確保いたしまするが、八千万の国民に対してそれでは相成らんのであります。絶対にこの政府政策には承服はできません。そこで、統制撤廃いたしますると生産者はどうなるかと申しますると、雑穀撤廃いたしまして、これは非常にその後、高値を呼んでおりまするが、これは一時的な現象で、絶対に日本農家の将来のためになることでありません。我々はそのことにおいて喜んでおらんのであります。今雑穀でも、大豆は高い価格に売れぬことになつておりまするが、これが本当であります。單なる商人であるとか、これが主食でないために贅沢に使うものが高いのでありまして、これを目標にして外せば高くなるということは当らんのであります。それから麦を統制を外しますると、政府が保証価格のような価格をきめまして、八百八十万石買入をする、こういうことを言つておりまするが、その保証価格の目標は、小麦、裸麦で六四、米との比率、大麦は五四にきめております。それでは絶対に百姓は売つたのでは割に合わんのであります。そこで商人がそれから少し上廻つた価格買入をされます。そうして生産者は採算に合わないし、消費者は高く売られて困るということであります。若しこれが今政府計画通り参りますると、今まで長い間誠に堪え忍んで参りました百姓をこれ以上にまだ困らそうといたしておるのであります。そうして法律改正の部分に、第三條の尻に、今は自由にするが必要があれば供出を命令すると書いてあります。その一言は絶対にまかりならんところであります。若しそうなりますると、又百姓は、再統制をしまする時分のやり方は無理を強いられるにきまつておりまして、そういうことは一切まかりならんのであります。  これが私の反対をしまする理由であります。(拍手
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これよ本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。(「政府席は誰もいない」「おつかなくて来られないのだ」「総辞職しろ」と呼ぶ者あり)氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票漏ればございませんか……。投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕    〔「農林大臣逃げたか」「大臣一人もいない」「農林大臣辞職したのか」「内閣総辞職だね、これは」「今辞表を書いているのか」「自由党は退席したほうがいいぞ、みつともないから」「今相談しているらしいぞ、しようかと」「どう辞表を書くか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数百九十票、  白色票、即ち本案を可とするもの六十四票、  青色票即ち本案を否とするもの百二十六票、(拍手)  よつて本案は否決せられました。      ——————————    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名 六十四名    田村 文吉君   島村 軍次君    柏木 庫治君   加藤 正人君    楠瀬 常猪君   長島 銀藏君    宮本 邦彦君   秋山俊一郎君    高橋進太郎君   宮田 重文君    草葉 隆圓君   大谷 瑩潤君    九鬼紋十郎君   深水 六郎君    加納 金助君   平沼彌太郎君    大矢半次郎君   城  義臣君    植竹 春彦君   岡崎 真一君    小野 義夫君   鈴木 安孝君    寺尾  豊君   黒田 秀雄君    石坂 豊一君   岩沢 忠恭君    黒川 武雄君  横尾  龍君    徳川 頼貞君  中山 壽彦君    小串 清一君  工藤 鐵男君    小杉 繁安君  中川 以良君    廣瀬與兵衞君  野田 卯一君    大野木秀次郎君  加藤 武徳君    長谷山行毅君  松平 勇雄君    古池 信三君  杉原 荒太君    平井 太郎君  白波瀬米吉君    山縣 勝見君  山本 米治君    岡田 信次君  愛知 揆一君    瀧井治三郎君  石村 幸作君    入交 太藏君  島津 忠彦君    石原幹市郎君  鈴木 恭一君    大島 定吉君  郡  祐一君    川村 松助君  山田 佐一君    西山 龜七君  堀  末治君    大屋 晋三君  泉山 三六君    平岡 市三君  小林 英三君     —————————————  反対者(青色票)氏名 百二十六名    村上 義一君  溝口 三郎君    前田  穰君  堀越 儀郎君    藤野 繁雄君  波多野林一君    野田 俊作君  西田 天香君    徳川 宗敬君  常岡 一郎君    伊達源一郎君  竹下 豐次君    高橋 道男君  高橋龍太郎君    高田  寛君  高瀬荘太郎君    高木 正夫君  杉山 昌作君    新谷寅三郎君  西郷吉之助君    高良 とみ君  小林 政夫君    小宮山常吉君  木下 辰雄君    河井 彌八君  片柳 眞吉君    加賀  操君  奥 むめお君    岡本 愛祐君  岡部  常君    尾崎 行輝君  梅原 眞隆君    伊藤 保平君  赤澤 與仁君    赤木 正雄君  山崎  恒君    紅露 みつ君  深川タマヱ君    木内キヤウ君  竹中 七郎君    谷口弥三郎君  有馬 英二君    油井賢太郎君  鈴木 強平君    西田 隆男君  林屋亀次郎君    櫻内 辰郎君  一松 定吉君    鬼丸 義齊君  中田 吉雄君    村尾 重雄君  青山 正一君    金子 洋文君  門田 定藏君    清澤 俊英君  カニエ邦彦君    藤原 道子君  島   清君    野溝  勝君  加藤シヅエ君    若木 勝藏君  永井純一郎君    三橋八次郎君  原  虎一君    齋  武雄君  高田なほ子君    片岡 文重君  吉川末次郎君    小林 孝平君  松浦 清一君    荒木正三郎君  菊川 孝夫君    赤松 常子君 深川榮左エ門君    菊田 七平君  山田 節男君    三輪 貞治君  成瀬 幡治君    田中  一君  松永 義雄君    大隈 信幸君 前之園喜一郎君    岩男 仁藏君  伊藤  修君    小笠原二三男君  吉田 法晴君    駒井 藤平君  羽生 三七君    江田 三郎君  大野 幸一君    曾祢  益君  中村 正雄君    細川 嘉六君  須藤 五郎君    岩間 正男君  兼岩 傳一君    千葉  信君  木村禧八郎君    水橋 藤作君  鈴木 清一君    梅津 錦一君  重盛 壽治君    岡村文四郎君  東   隆君    森 八三一君  佐多 忠隆君    岩崎正三郎君  相馬 助治君    千田  正君  三浦 辰雄君    松浦 定義君  椿  繁夫君    松原 一彦君  内村 清次君    栗山 良夫君  山下 義信君    矢嶋 三義君  佐々木良作君    木下 源吾君  棚橋 小虎君    和田 博雄君  下條 恭兵君    河崎 ナツ君  上條 愛一君    森崎  隆君  平林 太一君      ——————————
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます「運輸委員長植竹春彦君。    〔植竹春彦君登壇拍手
  21. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 只今上程になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、運輸委員会におきます審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本法律案の要旨は、昭和二十五年法律第百五十九号、運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律の第二條によりまして、日本国有鉄道法第十二條第二項を第四項とし、同條第一項の次に第二項、第三項を加えたのでありますが、その際、同法第二十一條及び第二十六條第二項の字句の整理漏れを生じたのでありまして、本法律案は右條文の字句の未整理を是正しようとするものであります。  委員会における質疑の詳細につきましては委員会速記録を見て頂くことといたしまして、主なる質疑を申上げますると、先ず菊川委員より、第九国会政府より提出された日本国有鉄道法の一部を改正する法律案には地方公共団体の議会の議員を認める案を含んでおつたのに、今回は何故その点に触れなかつたかということ、及び現行法では鳥取市会議員選挙の際の事例もあり、兼職可能との解釈も成り立つが、政府はこの点をどう考え、現実の問題を生じたときはこれをどう解釈するかとの質問に対しまして、政府委員より、今回は取りあえず字句の整理をいたした旨、又兼職の件については、現行法では直接通商條文を欠いているが、これに関して法制意見長官へ照会したるところ、意見長官としては、沿革から見て何人も容易に判断し得るがごとき誤謬に対しては立法者の意思のあるところに従つて解釈する、従つて兼職禁止の法意である旨の答弁があり、現実の問題を生じた場合の適用については選挙訴訟により裁判所が決定する問題であるとして、政府意見としては明らかにされませんでした。次いで内村委員より、職員が議員を兼ねた場合、業務に支障を及ぼすかどうかという質問に対しましては、大体支障を認めないとの答弁がありました。  これにて質疑を打切り、討論に入りましたるところ、高田委員より、本改正法律案によれば日本国有鉄道の職員は地方議会の議員にもなれない結果になるが、これは専売公社と比べて見ても妥当性を欠くものであり、市町村によつては現にその住民の大部分が国鉄職員である地方において、その地方の議会に一人の議員も出られないのは、民主政治の本旨にも副わないものであると思う。そこで、どの段階まで認めるかとなると、都道府県議会議員についてはなお検討を加える余地もあるけれども、特別区を含め、市及び町村議会については是非議員の兼職を認めるほうが適当と認める旨の意見の開陳があり、次のような修正案の提出がありました。即ち、   日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。    第二十六條第二項の改正規定を次のように改める。   第二十六條第二項中「第十二條第二項第三号に該当する者」を「第十二條第四項第三号に該当する者(市町村(特別区を含む。)の議会の議員である者を除く。)」に改める。  という修正案が提出されました。これに対して小酒井委員より、現状に最も即したもので、全面的に賛成の旨の意見の開陳がありまして、これにて討論を終り、右の修正案につき採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定し、更に修正の部分を除いた原案について採決の結果、これ又全会一致を以ちまして可決すべきものと決定し、よつて法案は修正議決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申上げます。
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第三、新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)、日程第四、厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  26. 河井彌八

    ○河井彌八君 議題となりました両案の内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。  委員会は四回開会いたしまして、一昨二十七日に多数を以て本案を可決すべきものと議決いたしました。新聞出版用紙割当に関する現行の制度は、昭和二十年十月二十六日附の連合国軍の最高司令官から日本政府宛の覚書に基きまして実施せられているのであります。法制上から申しますれば、臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当規則によつて基本が定められておりまして、そうして、この法律はそれに基いて制定せられているのでありまして、内容といたしましては用紙割当の基準方法規定せられているので、そうして、その当時から現在まで引続き施行せられているのであります。この割当制度は三月三十一日限り効力を失うこととなつているので、改正点は二つあるのであります。即ちその一つは用紙割当制の存続をば一カ年延長すること、これは本案の附則第三項の改正であります。第二の点は、新聞出版用紙割当審議会の性格を、決定機関であるのを改めまして諮問機関となすこと、これであります。これは本案の第一條、第三條と、第五條、第七條の規定である。諮問機関といたしますから、執行機関であるところの新聞用紙割当局というものば審議会の議を経ずして割当を行うこととなり、割当証明書の発行或いは取消を行い、陳情書、異議申請書等を処理することができることとなるのであります。又諮問機関たる審議会は、割当に関する一般事項について審議をなし、又その事項に関して必要と認めるときは内閣総理大臣及び関係大臣に建議することを得ると、ここに規定されているのである。更に又内閣総理大臣は、割当に関する一般方針と割当基準の作成については審議会に諮問をしてその意見を聞かなければならないという規定が入つているのでありまして、これが本案の大要であります。  用紙割当制度の存在は、言論自由の精神に照しまして望ましからぬことでありますが、何分にも用紙が不足てしおりまする現状においては止むを得ないものと認められるのでありまして、従つて用紙の需給関係調整せられるようになりますれば当然廃止せらるべきものであるのであります。本案は日本の文化に最も深い関係を持つておる大切な議案でありまするからして、内閣委員会は只今申上げました改正の二点について愼重なる審議を盡したのであります。そして只今その点につきまして質疑応答及び賛否の意見の大要を申上げます。  第一に用紙割当制の存続を一カ年延長するという点。政府は用紙の需給関係が改善されれば、この一時的措置法は当然廃止されるということを言明しております。而してその時期はいつであるかということにつきましては、あらゆる方面から検討を加えまして適当の時においてするという説明でありました。次に沿革的に用紙割当の統制はどうかと言えば、種類別に行われておりまして、現存の統制は、新聞用紙、印刷三十五号、三十六号及び教科書用紙について残つておるのである。而もこれとても、できるだけ速かに適当な時期に廃止しようという意向を漏らしておるのである。然るに最近の実情を見ますると、内外情勢がどうしても来たる四月から廃止するということは不可能と認められるのでありまするから、ここに一年延期案を提出したのであります。そういう主張の下に、昭和二十一年以来のこの紙の生産消費、それの数字を示して説明をいたしたのであります。そこで、然らば一年延期すればそれでよろしいか、一年以内に必ず撤廃できるようになるかとの質問に対しましては、これは確答ができなかつたのであります。委員会におきましては更に通商産業省の当局の出席を求めまして、用紙の生産事情、その輸出増加及びこれが抑制の実施等のことを確かめまして、更に林野庁当局から、最近日本の森林資源の急激なる窮乏の状況、パルプ輸入困難なる実情等を聞きまして、更に木材、薪炭・紙類、衣類等の消費の節約、合理化の必要等まで検討をいたしまして、そうして最後にどうしても造林が急速に徹底せられなければならんという問題にまで入つたのでありまするが、要するに用紙の統制廃止は容易に実現し得ないであろうということを心配いたしまして、この一年延期ということは止むを得ないことと認めたのであります。(「統制撤廃すべきじやない」と呼ぶ者あり)第二、割当審議会の性格を決定機関から諮問機関に改めるという点であります。これにつきまして、政府は、現に中央行政機関に置かれてあるところの審議会、協議会第二百三十六もあるのであるが、これを整理して、その七十を廃止し、且つ審議会の権限を調整いたしまして、すべてこれは諮問機関とするの方針であることを言明いたしたのであります。而して用紙割当審議会は、現在は決定機関であるのであるが、これを諮問機関に改めるということを説明したのであります。然らば何故にこの審議会の決定機関であることが不可であるかということに関しましては、一般的に物資の統制に関しては当業者が行政権に関與することは不可であるということと、又行政上の責任の所在を紛更することがよろしくないということを述べたのであります。併しこの審議会につきましては、諮問に付した事項についてはその答申を尊重するということを言明したのであります。なお又割当方法については毎月各社について割当量を決定するから、この改正がありましても不当な変更を生ずることはないと説明いたしたのであります。割当の公正は決定機関でなければ公正は保たれないという意見、即ちこの大切な審議会をば諮問機関に変更するということは結局審議会をして無力のものと化せしむるものであつて、(「その通り」と呼ぶ者あり)官僚独善の弊がここに生じて来るであろう。かくては言論機関の民主的発達を阻害するものであるという意見を述べて政府の説明を求めましたところが、政府は審議会に諮問する一般事項及びその基準について説明をいたしまして、この基準に基いて割当をなすが故にさような弊害はないと申したのであります。更に又大新聞社とか、或いは大出版業者に対してこれは有利になるが、小新聞社とか、小出版業者にとりましては、不利な結果になるではないかという心配に対しまして、そうではないという事由を挙げて説明をいたしました。  かようなわけで、第一点につきましては、一年延期するということは、これは止むを得ないということを認めつつも、この審議会を決定機関から諮問機関に改めるという点につきましては、これを不可とする、否とする委員の意見が相当に強く主張せられまして、結局討論におきまして修正案の提出を見たのであります。  その修正案はカニエ委員から提出せられました。  新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第一條、第三條、第五條及び第六條の改正規定を削る。  即ち修正を加えて現行法通りに戻すのだという趣意であるのであります。その理由は審議会の権能を変更しでみたところで何らこれは意味のないことである。むしろ進んで審議会を委員会とする、委員会と改めることのほうが妥当と信ずるけれども、委員会改正するには立法上に困難な点があるから、この程度にとどめるという趣意をその理由といたしたのであります。そこで、これに対しまして竹下委員から反対意見が陳述せられ、審議会を諮問機関とするに賛成だ。即ち原案に賛成である。決定権を有する審議会というものは現在においてはこれが一つである。もうその必要はない。又審議会の答申が正当であるならば内閣総理大臣はこれを尊重することは当然であるのだ。又審議会の権能を強くして決定権を與えて総理大臣を拘束することはよろしくないという意見を述べられたのであります。これに対しまして修正案賛成意見を梅津委員から述べられたのであります。用紙量が不足である。それだから需要者はあらゆる手段を用いて強く割当を要望して審議会に迫るであろう。そのときに審議会が決定権を持たないということは間違つておるのだ、そういうふうな弱体な審議会というものはよろしくないのだということを梅津委員は主張せられまして、この修正案を支持せられたのであります。更に郡委員から修正案に反対意見がありまして、結局採決をいたしましたところが、修正案は賛成が少数のために否決となりました。次いで原案について採決をいたしましたところが、賛成多数となりまして、これが可決いたした次第であります。  次に厚生省設置法の一部を改正する法律案を御報告いたします。  内閣委員会は予備審査と共に三たび委員会を開会いたしまして、愼重審議いたしました結果、昨日の委員会で全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。  先ずこの法律案政府の提案の理由を御紹介申上げまして、次に改正の要点を説明したいと存じます。現在、所要の地に検疫所が置かれておるのでありまするが、通商貿易の発展に応じまして、検疫事務の迅速な処理を図るために、この検疫所の支所と出張所とを設け得ることとする。もう一つは、麻薬類の取締業務を円滑に推進するために、全国八カ所に麻薬取締官事務所を設けることといたしましたほかに、二三の点について所要の改正をいたすというのがこの提案理由であります。  その法律案改正点を申上げますれば、第一は厚生省の権限を規定しておるところの第五條第二十四号と第五十一号とを改正したことであります。即ち従来都道府県知事が船舶、汽車、電車の検疫を行うについては厚生大臣の認可を受けることを必要としておつたのでありまするが、他の法令の改正、即ち昭和二十五年三月の厚生省令第七号によりまして、この認可が不必要となつたのと、又昨年薬事法の一部が改正せられまして、特定の医薬品のほか、特定の用具及び化粧品についても、厚生大臣がその規格を定め又はその検定を行うことになりましたので、それらの改正に照応いたしましてこの法律改正を加えようとするのであります。その第二点は、現在厚生省には十三の附属機関が置かれてあるのでありますが、その附属号機関の一つであるところの国立健康保險療養所を廃止するということであります。第三は、所要の所に検疫所の支所又は出張所を置くことができることとしたことであります。その第四点は、厚生省の地方支分部局として置かれておる北海道地区駐在防疫官事務所を廃止いたしまして、北海道をば東北地区駐在防疫官事務所の管轄区域に入れたことであります。第五点は、麻薬類の取締を強化するためい、新たに厚生省の支分部局として地区麻薬取締官事務所を置くことといたしたのであります。そうしてこの改正法律は本年の四月一日から施行することになつておるのであります。  委員会におきましては、この法律案について種々活溌な質疑応答があつたのでありまするが、その結果明らかになつた点を大要申上げます。その一つは、この改正案によつて廃止せられるところの国立健康保險療養所は、千葉市内にあるもの一カ所だけであつて、これは社会保險の被保險者及び被扶養者の結核患者の療養施設でありまするが、今日ではこの種の療養施設は都道府県その他民間の団体経営のものが漸次全国に普及して参つておるので、政府は、国立のものを一カ所だけを置く必要はない、これを厚生省の外郭団体であるところの社会保險協会で経営させることが至当と考えておるのであるから、これを廃止することに決したのであるということが明らかになつたのであります。そうして、この療養所の職員の定員は九十五名ありまして、これらの職員は移管後においても引続いて勤務することとなるというのであります。その第二は、現在検疫所は全国十四カ所に置かれてあるのでありまするが、我が国の自主的貿易も漸く軌道に乗りつつありまする現状におきましては、この数の検疫所では貿易の促進の上からも反船舶運航経済の上からも不十分でありまして、予算関係等から検疫所を今すぐに増加することはできない実情にありまするので、差当り横須賀、大阪、岩国に支所三カ所を設け、初出、呉、四日市、若松に出張所四カ所を置く予定であるというのであります。その第三は、北海道地区駐在防疫官事務所を廃止するのは、発疹チフス等、防疫上の見地からいたしますれば北海道の重要性があるのでありますが、今日それが大変簿くなつて来たということと、交通関係や行政機構簡素化の見地から、北海道を東北と一体として取扱つても差支がないという理由で、これを北海道を廃止して青森に移すということにしたのであります。第四は、麻薬及び大麻の取締は国、際的にも又国内的にも重大な問題でありますので、これらに関する事務を分掌させるために地区麻薬取締官事務所を全国八カ所に置くというのであります。この事務所設置のためには従来の定員の範囲内で賄つて、特にこれがために増員はしないというのであります。そして麻薬類の直接の取締は各都道府県に配置しておる麻薬取締官に行わせて、その締め括りの仕事を事務所でやろうというのであります。そして事務所一つについて平均四、五名ずつの職員を配置する見込であるという説明であつたのであります。  委員会は、この法律案につきまして、政府の提案理由とその説明によつて、この改正案は必要なものであるということを了承いたしましたので、討論を省略し、採決いたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。(拍手
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に厚生省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  議事の都合により本日はこの程度で延会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、電気事業編成実施に関する決議に対する政府の所信  一、日程第一 食糧管理法の一部を改正する法律案  一、日程第二 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案  一、日程第三 新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第四 厚生省設置法の一部を改正する法律案