運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-28 第10回国会 参議院 本会議 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)    午前十時四十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十一号   昭和二十六年三月二十八日    午前十時開議  第一 昭和二十六年度一般会計予算委員長報告)  第二 昭和二十六年度特別会計予算委員長報告)  第三 昭和二十六年度政府関係機関予算委員長報告)  第四 不動産登記法等の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第五 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第六 競馬法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第七 農業委員会法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 食糧配給公団清算経費財源に充てるための剩余金の使用に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 関税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、公共船員職業安定所設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第一四 前橋地方裁判所桐生支部甲号昇格請願委員長報告)  第一五 北海道弟子屈町に区検察庁および簡易裁判所設置請願委員長報告)  第一六 高知県赤岡町に簡易裁判所区検察庁庁舍建築請願委員長報告)  第一七 高知県佐川町に簡易裁判所区検察庁および家庭裁判所出張所設置請願委員長報告)  第一八 宮城古川拘置支所庁舍改築に関する請願委員長報告)  第一九 島根県芦尾災害復旧に関する請願委員長報告)  第二〇 神戸港第七突堤建設に関する請願委員長報告)  第二一 鉄道專用電気動力電気信号保安両設備に対し二重監督排除請願委員長報告)  第二二 小名浜海上保安部陸上無線通信施設設置請願委員長報告)  第二三 北九州国鉄電化促進に関する請願委員長報告)  第二四 能勢電気軌道株式会社路線延長許可促進に関する請願委員長報告)  第二五 深浦避難港修築に関する請願委員長報告)  第二六 舞鶴港機雷問題に関する請願委員長報告)  第二七 鹿折駅、鹿折浜地先埋立地間臨港線敷設に関する請願委員長報告)  第二八 有家港災害復旧工事費国庫負担に関する請願委員長報告)  第二九 北九州地区国鉄電化促進に関する請願委員長報告)  第三〇 御殿場線電化促進に関する請願委員長報告)  第三一 武豊線延長工事施行に関する請願委員長報告)  第三二 尻内駅構内こ線橋架設に関する請願委員長報告)  第三三 三陸沿岸鉄道敷設促進等に関する請願委員長報告)  第三四 海難防止に対する施設充実請願委員長報告)  第三五 北陸、上越両線連絡鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第三六 宮崎、小林両駅間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第三七 日南鉄道開通促進に関する請願委員長報告)  第三八 日向長井、三重町両駅間鉄道敷設等に関する請願委員長報告)  第三九 岩手県綾里みさき燈台霧中信号施設設置請願委員長報告)  第四〇 後志西海岸鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第四一 甲府、長野駅間鉄道電化促進に関する請願委員長報告)  第四二 中央線新宿長野駅間急行列車増発等に関する請願委員長報告)  第四三 與野改築拡張に関する請願委員長報告)  第四四 二俣線輸送強化に関する請願委員長報告)  第四五 平倉駅員無配置駅の昇格等に関する請願委員長報告)  第四六 京都市内国有鉄道高架式改築に関する請願委員長報告)  第四七 野岩羽線全通促進に関する請願委員長報告)  第四八 武豊港の重要港湾復活に関する請願委員長報告)  第四九 郡山市に郵政省地方簡易保險局新設促進請願委員長報告)  第五〇 郡山郵便局郵政健康管理特別局指定促進請願委員長報告)  第五一 郡山市に郵政省逓信病院又は分院設置促進請願委員長報告)  第五二 福島県小野新町駅前に簡易郵便局設置促進請願委員長報告)  第五三 福島須賀川郵便局舍等買上げ促進に関する請願委員長報告)  第五四 逓信従業員結核対策に関する請願委員長報告)  第五五 簡易生命保險および郵便年金積立金運用再開に関する請願(八件)(委員長報告)  第五六 鹿兒島県求名村狩宿に簡易郵便局設置請願委員長報告)  第五七 大阪市此花区に郵便局再建請願委員長報告)  第五八 農産種苗カタログ郵送料引上げに関する請願委員長報告)  第五九 山形県醍醐村に郵便局設置請願委員長報告)  第六〇 郵便の日曜、祭日配達廃止反対に関する請願委員長報告)  第六一 仙台地方貯金局縮反対に関する請願委員長報告)  第六二 巡視艇常置に関する陳情委員長報告)  第六三 鹿児島港、琉球間船荷運賃を距離に比例した單独運賃設定陳情委員長報告)  第六四 三陸沿岸鉄道敷設促進に関する陳情委員長報告)  第六五 生山駅待合室拡張に関する陳情委員長報告)  第六六 大糸線全通実現に関する陳情委員長報告)  第六七 長野県内国鉄列車ダイヤ一部改正に関する陳情委員長報告)  第六八 宮原線開通促進に関する陳情委員長報告)  第六九 仙台霞目飛行場改修拡張に関する陳情委員長報告)  第七〇 簡易生命保険あよび郵便年金積立金運用再開に関する陳情委員長報告)  第七一 仙台地方貯金局縮反対に関する陳情委員長報告)     —————————————
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程の順序を変更して、日程第一より第三までをあとに廻し、日程第四、不動産登記法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。    〔宮城タマヨ登壇拍手
  5. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 只今上程されました不動産登記法等の一部を改正する法律案に関しまして、法務委員会におきましての審議経過とその結果について御報告申上げます。  本法案は、不動産登記法工場抵当法及び立木に関する法律のそれぞれ一部を改正せんとするものでございます。不動産登記簿の様式及び調製方法は古くからのものを踏襲しておりまして、非常に不便且つ複雑なのでございます。そこで今回の不動産登記法改正におきましては、登記簿バインダー式の帳簿に改め、必要に応じて用紙の加除を行うこととし、この趣旨の下に登記簿調製登記番号登記用紙の閉鎖、共同人名簿登記用紙継続等に関する諸規定を改廃整備いたしておるのでございます。  次に、工場抵当法及び立木に関する法律改正におきましては、登記関係のある二、三の規定につき、不動産登記法と同趣旨改正を行うことといたしておりますほか、立木に関する法律中、所有権保存登記の申請に関する不備がありますので、その整備をも行わんとするものでございます。  委員会におきましては、数回に亘り慎重審議をいたしましたが、特に登記簿バインダー式に改めると、登記簿の真正を害する不正行為を誘発する慮れがあるという点について論議されました。これらの詳細は速記録に譲ることといたしますが、この点も登記簿に施錠することなどによりまして、防止できると考えられるに至りました。討論におきましては、別に意見の開陳がございませんでしたので、これを終結し、採決いたしましたところ、全会一致を以つて原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  右御報告申上げます。(拍手
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五、漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。    〔木下辰雄登壇拍手
  9. 木下辰雄

    木下辰雄君 只今議題となりました漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、水産委員会における審議経過並びにその結果について御報告を申上げます。  この法案衆議院提出法案であります。この法案内容並びに法案提出理由について簡單に申上げます。過ぐる新漁業法が成立いたしましたとき、瀬戸内海におきまする漁業調整並びに水産全般重要問題審議のために、瀬戸内海連合海漁業調整委員会というのができました。その当時この九州有明海におきましても、これと同様な連合委員会を作るべしという意見が非常に多かつたりであります。併しそれはその改正は後日に譲りまして、新漁業法ば成立いたしたのであります。それで過くる第七国会において、この参議院から有明湾の海区漁業調整委員会を作るという案が出まして、満場一致可決せられまして、衆議院に送つたのであります。ところが衆議院におきましては、例の紀伊水道の問題と関連いたしまして、非常に多大の修正がされまして、参議院参つたのであります。ために、参議院においては遂に不成立に終つた案であります。今回は衆議院提出として、この前参議院が付議したと同じようなものを持つて参つたのであります。それは九州有明湾、熊本県と福岡県、佐賀県と長崎県に包まれておるあの海であります。この海は常に紛糾が絶えませんので、この漁業調整して、この海における重要水産問題を審議するという有明海連合海漁業調整委員会というのを作る。こういう案であります。そして水産庁設置法の一部を改正して大牟田市にその事務局を作る、こういう改正案であります。  それで水産委員会においては、曾つて十分審議した案でありますので、別に質疑もなく、討論を省略いたしまして、採決の結果、満場一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告いたします。
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第六、競馬法の一部を改正する法律案衆議院提出)、日程第七、農業委員会法案日程第八、農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案日程第九、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長羽生三七君。    〔「農林大臣出ておらんぞ」「農林大臣どうした」「大臣出なけりや意味ないじやないか」「待て待て」等と呼ぶ者あり〕    〔羽生三七君登壇拍手
  14. 羽生三七

    羽生三七君 只今議題となりました競馬法の一部を改正する法律案農林委員会における審査経過及び結果を御報告いたします。  現在国営競馬場全国に十二カ所ありまして、そのうち四カ所はいろいろな事情で使用できないことになつておりまして、現実に使用せられているものは八ケ所となつております。而してその開催回数原則として各競馬場ことに年三回以内でありまして、特別な事由のため一競馬場において年三回開催することができないときは、その隣接競馬場において年四回開催できることになつておるのであります。  ところが地方競馬提案者の説明によれば全国を通じ競馬場七十八、開催主体百六十九、年間連続開催しても日なお足らない情況でありまして、国営競馬に比べて競馬場ごと開催回数が実質的に増加せられている結果となり、そのため国営競馬馬主経済は悪化し、国営競馬繋養馬として地方競馬に移動するものが多きを加え、従来我が国競馬最高水準として健全な発達を遂げて来た国営競馬の危機であり、且つは競走馬資源維持涵養という畜産上の観点からも憂慮に堪えないので、これが打開の一策としてこの際現行規定を改め、開催することのできない国営競馬場開催回数を、その他の競馬場において開催できることとなさんとするものでありまして、委員会におきましては、先ず提案者及び政府との間に競走馬資源、現在使用不能の競馬場の存廃、本改正法律案競馬会計に及ぼす影響及び競馬の馬産改良に及ぼす効果等の問題について質疑が行われたのでありますが、これが詳細については会議録に讓ることにいたします。  続いて討論に入り格別の発言もなく採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について、農林委員会における審査経過及び結果を御報告申上げます。  従来單に補助規程によつて実施されておりました農林水産業施設災害復旧に対する国の補助事業を制度化するため、第七国会において現行法の制定を見たのでありますが、これが施行後の経験と、一般土木災害復旧事業において公共土木施設災害復旧については、地方公共団体財政力に適応するように、国の負担を定めて災害の速かな復旧を図ることとなさんとする制度改正方向とに鑑みまして、現行法に大よそ次のごとき改正を行わんとするものであります。第一、現行法において不明確であつた原形復旧事業超過事業との区分を明確にして、災害復旧のため必要欠くことのできない原形復旧を超えた、いわゆる超過事業に対して新たに一般改良事業と同率の補助を行うこととすること。第二、林道災害復旧事業に対する補助率は、現在事業費の十分の五一本でありますが、これを奥地幹線林道分と共の他分の二本建となし、前者の補助率を高めて奥地林開発に資することとすること。第三、水産業協同組合維持管理する漁港施設に対する補助率を、一般港湾に対する均衡上引上げること。第四、林地荒廃防止施設及び漁港施設中、地方公共団体又はその機関維持管理に属するものの災害復旧については、一般土木災害復旧事業における公共土木施設災害復旧事業の取扱となし、本法の適用を除外すること。第五、地方財政の実情に鑑み、現行法規定せられている地方公共団体義務負担制廃止すること。以上が改正の主要なる点でございます、  委員会におきましては、地方公共団体義務負担制を廃山することによつて被災者負担を加重し、延いては復旧事業の進捗に支障を来たすことなきやにつき政府の所見を質し、或いは予定せられている公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案歳立までの空白期対策について政府方針を確かめ、その他災害の定義、災害防止及び超過事業限界等について政府当局との間に質疑が行われたのでありますが、これが詳細は会議録に譲ることにいたします。  続いて討論を省略し、直ちに採決に入り、全会一致を以て政府原案通り可決せられました。  次に農業委員会法案並びに農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案の、農林委員会における審査経過及び結果を報告いたします。  先ず農業委員会法案について、これが提案趣旨として政府大要次のように説いております。即ち農地改革の成果を確保するためには、農業生産力の発展と農業経営合理化を促進し、農民地位向上を図ることが不可欠であつて、そのため種々の方策を講じなければならないのであるが、幾多の問題の解決のためには、先ず以て農民の積極的な意欲と自主的な活動に待たなければならないのであつて、これが根本をなすものは、農業政策農民から盛上がるものとし、都道府県或いは市町村等地方自治体の行う施策を農民の希望するものと一致せしめるため、農民の声をして直接これら地方自治体の行う農業行政の上に反映せしめるため、民主的な組織が必要である。而して従来民主的な農民代表機関として農地関係について農地委員会食糧供出関係について農業調整委員会が法制上の機関として、又農業技術改良について行政措置によつて農業改良委員会が設けられていたのであるが、時の経過と共に所掌事務性質や分量が相当変つて来ており、且つ各委員会それぞれその範囲が限定されて相互に関連を欠いておるので、全体としてこれに再検討を加え、農業経営全体のための総合的な農民代表機関としての実を挙げ得るように組織簡素化を図り、且つ機能の上に総合性を與え、真に農民のための民主的組織に再組織することが望まれるわけであるというのであります。  次に、本法律案内容の骨子をなすものは、政府原案においては概略次のようであります。第一は、農業委員会設置でありまして、原則として市町村市町村農業委員会を、都道府県都道府県農業委員会を置くことになつております。第二は、農業委員会組織についてでありまして、本委員会は、耕作の業務を営む農民民主主義原則に従つて組織し、運営する農民代表機関とし、自作農及び小作農意見が公平に代表され得るように原則として階層選挙によることとし、選挙権及び被選挙権市町村の区域内に住所を有する成年耕作農民に平等に付與し、且つ選挙農民によるリコール制度を設けたのであります。なお、選挙による委員のほか、一定数を限り推薦による選任委員を置くことができることになつているのであります。第三は、農業委員会機能についてでありまして、執行機関として自作農創設及び維持農地等利用関係調整小作調停農地交換分合に関する事務等を処理し、諮問機関として農地開発改良、その他土地の生産條件整備農業技術改良、その他農業生産増強農畜産物の加工、流通等農業振興のため必要な事項に関する総合計画の樹立及びその実施について地方公共団体の長に建議し、又は諮問に応ずることになつているのであります。なお、別途食糧供出割当に関する諮問機関として指定せられることに予定せられているのであります。第四は、農業委員会に対する行政庁監督についてでありまして、本委員会農民の民主的な代表機関であることに鑑みまして、その自主性を尊重する建前から行政庁監督は極力排除することにしてあるのでありますが、ただ本委員会執行機関として処理する自作農創設及び維持並びに農地等調整等に関する事項については、事の性質行政庁監督権限を留保してあるのであります。第五は、農業委員会に要する経費についてでありまして、本委員会地方公共団体機関であり、従つて委員も、又書記も身分的には地方公務員であり、又その所掌事務についても地方公共団体事務と考えられるものもあるのでありますが、政府として、行政事務及び財源の再配分について未だ方針が確定していないので、従来の農地委員会及び農業調整委員会倣つて、本委員会所要経費原則として国が負担することにしてあるのであります。  かかる政府原案に対して、衆議院においていわゆる小作農及び自作農区分による階層選挙制を取りやめて、かような区分を取り除いたいわゆる全層選挙制に改めるように修正が加えられて、当院に送付せられたのであります。  次に、農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案についてでありまして、これは農業委員会法が成立いたしますと、現行農地委員会農業委員会に改組せられることになりますから、現行諸法令中「農地委員会」とあるのを「農業委員会」に改めなければならないので、かような整理を行うため関係法令改正を行わんとするものであります。  委員会におきましては、本法律案我が国農業及び農村の将来を制するに至るとも言うべき甚だ重大な事柄であると考えられ、その審査は極めて愼重でありまして、農業委員会の本質に関する問題は勿論、これと同時に農業委員会をめぐる基本的或いは客観的な諸情勢についてもいろいろな角度から検討が加えられ、しばしば委員会を開き、大蔵大臣農林大臣及び経済安定本部長官初め政府の各関係当局、並びに原案修正を加えられた衆議院議員代表等との間に農業政策根本方針食糧事情の見通し、食糧管理方針農業協同組合再建整備農業災害補償制度刷新強化農地改革の現況に対する見解及び今後の方針、特に階層選挙廃止可否、従来設置せられていたおのおの性格の異なつた三委員会、特に農業改良委員会一つ委員会に総合することの真の理由及びその適否、これと関連して部会制とすることの可否農業改良事業及び農業改良委員会性格、これに対する期待及びその対策経費予算適否経費国庫負担限界及びその影響農業委員会委員兼職関係調整農業委員会農業協同組合との関係農業調整事務処理からする都道府県委員会委員数適否、延いて農業委員会農業調整事務との関連選任委員定員適否選挙権及び被選挙権資格適否代行者会議性格及び衆議院農林委員会における附帯決議実施等について質疑が続けられたのでありまして、これが詳細については会議録について御承知を願いたいのであります。  かくして三月二十六日午後の委員会において、岩男委員から、資疑を打切り、翌二十七日討論採決に附すべき旨の動議が提出せられ、江田委員から反対意見が述べられ、採決の結果動議が成立したのであります。よつて翌二十七日質疑を打切り、討論に入り、先ず三輪委員から、日本社会党を代表して、本法律案は現在の農地委員会農業調整委員会及び農業改良委員会の全く性格の異なつ三つの独立した委員会を單に予算節約関係から一つに統合し、而も書記二人を一・二人に縮減せんとすることは、結局において何物もなし得ないこととするものであつて農地委員会廃止は未だなお進行途上にある農地改革を逆転せしめ、海外食糧の供給に楽観して農業調整委員会廃止することは、食糧不安を醸成することとなり、特に甚だしいのは、これらの委員会農業改良委員会とを合併することであつて、これは政府がみずから定めた農業改良事業に対する方針をみずから破壊せんとするもので、本法律案目的とするところは羊頭狗肉も甚だしく、又従来認められていた議決権を剥奪し、階層選挙を廃して全層選挙とし、多年農地改革及び農業調整に盡して来た功労者を離職せしめんとするがごときは、農村民主化を抑制して保守富農的性格たらしめんとするものであつて農民地位向上等は到底望むべくもないという趣旨を以て反対せられ、次いで宮本委員ば自由党を代表して、農地改革も一応完了し、食糧事情も好転した今日、農業政策の重点は生産増強経営の改善及び農民地位向上に指向せられなければならない、而してこれがためには総合的検討を行うことが必要であつて、本法律案はその方向において認めらるべきで、従来経過的に三つ委員会がばらばらに設けられているが、農村から見れば委員会一つのものであつて一つ委員会に統合することは一時的には障害があつても、併しこれが本然の姿である。而して一時的な支障行政措置によつて克服せられることを期待するという趣旨によつて賛成せられ、次いで岩男委員国民民主党を代表して、書記の一・二人では本法律案目的の達成は不可能であり、而して衆議院における本法律案に対する我が党の、この場合我が党というのは民主党であります、この附帯決議に関し、当委員会における大蔵及び農林両大臣の言明を信頼し、條件附を以て賛成せられ、次いで岡村委員は、農村経済の不安に当面して本法律案農村に対する貢献を期待し、而して農業政策、特に自作農創設維持資金の確保について政府の善処方を要望して賛成があり、次いで赤澤委員は緑風会の農林委員を代表して、性格、構成、運用及び経費の点についても未だ十分了解することができないが、農林大臣が当委員会意見を尊重して運用の妙を得たいとの言明に信頼し、且つ農林省機構の整備及び都道庁県農業委員会の定員の画一性に対する検討を要望して賛成があり、これを以て対論を終了し、採決の結果、多数を以て衆議院送付案の通り可決せられました。  右御報告申上げます。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 討論の通告がございます。発言を許します。江田三郎君。    〔「農林大臣どうした」「農村を無視する農林大臣」「農政局長」と呼ぶ者あり〕    〔江田三郎君登壇拍手
  16. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題に供されました農業委員会法案及び同法の施行に伴う関係法令整理に関する法律案反対の意思を表明いたすものであります。(拍手)  農業委員会法案は従来各独立して組織されていましたところの農地委員会農業調整委員会農業改良委員会三つを一本にして、総合的な働きによつて農業生産力の発展及び農業経営合理化を図るというのでありまして、甚だ以て適切な看板が掲げられておりますが、その内容を堀下げて検討いたしますならば、世にも奇怪な羊頭狗肉法案なりと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)即ち三つの働きを総合化するのではなくしてそれぞれを無力にいたしまして、加うるに農村民主化を逆行せしめるものであります。そもそも封建的土地制度の民主化を使命とするところの農地委員会と、食糧の強権による供出制度を民主的な粉飾によつて農民に押付けるために、半ば政府の御用機関の役割を宿命的に負わされておりますところの調整委員会と、供出事務と一緒にされたり利用されたりしないで、下から自主的に盛り上げた組織農業経営や技術の改良を図ろうとする改良委員会、この三つ性格が本質的に異なつておるのであります。これを政府の機構の面から見ましても、この三つ委員会はそれぞれ農地局、農政局、改良局の三局が主管いたしておるのでありまして、この点は農業委員会になりましても何らの変りはないのでありまして、一つ委員会にセクシヨナリズムの強い三つの局で関係をして、而も委員会の旅費及び事務費は三つ委員会のやつていた事業別に三等分して使わせるのであり、又本委員会は或る場合には決議機関となり、又或る場合には諮問機関となるという妙な形をとるのであります。若し農業委員会が真に総合的な一本の仕事をするのでありますならば、当然政府一つの局が関係し、予算も一本で使われると共に、決議機関であるか諮問機関であるかは、どちらかに一定をされるべきことが誰しもの常識であり、そうしたことが実現できぬことは、この三つ委員会の一本化が根本的に無理であるという何よりの証拠と信ずるものであります。  衆議院は本法案を成立せしめるに当りまして、農業改良事業については、部会を設けて運営するよう措置を講ずることという一項を議決いたしておるのであります。一つ委員会で別に部会を作らなければならんこと自体が、一本化を旨とする本法案を実質的に否定していることにほかならんのでありまして、(拍手)而もこの決議が政府與党たる自由党の発議によることは全く皮肉なことであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  かかる辻褄の合わない立法を何故政府は企図したのでありましようか。その一つの狙いが経費の節減にあつたことは明らかであります。即ち昭和二十五年度において調整委員会及び農地委員会に三十億円を支出いたしましたものを、今後平年度十七億円の予算に削り去ることでありまして、金融資本への奉仕者の正体を露骨にした大蔵当局の命に、農林当局が屈服したのがそもそもの始まりであると思うのであります。(「然り然り」と呼ぶ者あり、拍手)我々はこのことをこの法案に限られたこととして見ることはできんのでありまして、今後いよいよ農民収奪の強化される前哨と見なければならんのであります。(拍手)  更にこの法案一つの狙いは、戰後日本農村民主化のために基本命題として取上げられていましたところの農地改革の、実質的な打切りであることを指摘しなければなりません。(拍手)この点は、政府の本法案提案理由説明の中にも、農地改革はほぼ完成を見たので、新らしい委員会を作ると明らかにされておるのであります。農地改革は果して政府の言うがごとく完成を見たでありましようか。断じて否であります。長年の夢を実現いたしまして折角自作農なつ農民諸君が、農村の急激な行詰りからして土地を手放すに至る件数は次第に増加いたしまして、特に昨年の九月の農地改革に関するポ政令以来その数は飛躍的に増加いたしまして、再び土地の集中が起りつつあるのであります。政府自作農維持資金については何らの考慮を拂わず、結果的にはむしろこの傾向を助長しているのでありまして、農地改革を逆行せしめているのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)而も農地改革は新らしい課題を持つており、先般政府の発表いたしましたところの経済自立三カ年計画によりましても、昭和二十八年度までに十六万四千町歩の開拓が行われるはずであります。更に国土の利用の高度化を目的としますところの国土調査法案が成立いたしまするならば、なお多くの開拓地が取上げられるはずでありまして、このことは食糧自給度を高め経済自立を確立するための絶対緊急事であります。而もこういう仕事は申すまでもなく農地改革の仕事であります。交換分合もまだこれからでありまして、農地改革は決して完成はしていないのであります。  併しここに一つの別な観点がございます。即ち資本家的立場であります。この立場からいたしまするならば、農村が真に民主化されまして資本の收奪に抗して蹶起することは戰慄すべき事態でありまして、これを抑えるために農村の封建的勢力と結托して反動支配を強化せんとする態度であります。農地改革は完了せられたりと称してこれを打切らんとするのは、まさにこの資本家陣営に奉仕する見解にほかならんと思うのであります。(「それが自由党だ」と呼ぶ者あり、拍手農民も本能的にこのことを知つております。本法案反対請願及び陳情が二百万の多数を超えたというこのことに対しまして、我々は深く考慮をしなければならんと存ずるのであります。  申すまでもなく農地改革は極東委員会の基本的使命の一つでありまして、各国の注目するところであります。まさにこのために政府もこの打切りに若干の合理的な粉飾を必要といたしまして、本委員会選挙を階層別に行わんとしたのであります。然るに階層別選挙というこの一点さえも、衆議院における政府與党によつて削り去られてしまつたのであります。農地改革が完成いたしまして小作農が無視し得べき小数になつた曉には、もとより階層別選挙の必要はありませんが、政府の調査によりましても、小作農家戸数は今なお一七%を超えているのでありまして、かかる小作農家が現存する限り、長年の封建的慣行によつて社会的地位の低いこの小作農家に、公平なる発言権を確保せしめるためには、階層別選挙の抹殺につきましては、廣川農林大臣自身も本院農林委員会におきまして遺憾の意を表せられたのでありますが、このことが(「それはごまかしだ」「八百長だ」と呼ぶ者あり)與党によつて行われたということは、我々は、何か猿芝居の感じを受けておるのでありまして、かかる茶番狂言の中に、農地改革は最後の一線まで削り取られ、農業関係組織の一体化の美名によつて、ここに幕を閉じられるのであります。  数日前の新聞によりますというと、イギリスの輿論は、日本の農地改革は、一部反動勢力によつて逆行しつつあることを指摘いたしまして、日本の民主化に疑いの眼を向けておるのであります。我々は如何なる講和條約が成立するかについては、日本の民主化に対する関係各国の認識如何に左右される点大なりと信ずるのでありますが、この農地改革を打切ろうとするところの本法案の成否を、かような国際的角度からも、我々は反省をして見なければならんと思うものであります。(「大丈夫だよ」と呼ぶ者あり)  なお、農林委員会における討論に当りまして、本委員会の予算について、平年度九億円の増額補正を早急に行うべきことを條件に賛成意見もございました。この点につきましては農林、大蔵両大臣から、実現に努力する旨発言があり、(「空手形だ」と呼ぶ者あり)併しながら、この両大臣の公約には、單なる放言に終ることが従来しばしばの例でございまして(拍手)我々は今回のこの公約につきましても、嚴重監視の必要がありと思うものでございますが、仮にこれが実現したとしましたところで、九億円と引換えに農地改革を打切り、調整委員会改良委員会の事業を、官僚セクシヨナリズムによりまして、もみくちやにされることに同意はできないのであります。(拍手)予算を殖やしまして、町村委員会書記を、一・二人を二人に殖やし、その身分を保障することは大事なことでございましよう。併しながら、もつと大事なことは、日本農業を発展さすか否かということであります。日本農村民主化を図るか否かということであります。失う代償は、余りにも大きいことを私は指摘したいのであります。  重ねて申しますが、この法案成立によりまして、農地改革は打切られ、供出関係等に左右されない、下からの事業として出発した改良事業は、今やその本来の性格を一変するのでありまして、供出事務と同じ機構の中に投げ込まれ、今後町村財政の窮乏からして、いずれは現在の改良普及員も、戰時中の農業会技術員のごとく、いつの間にか事務員に変質されるのが運命であると思うのであります。ここに発足早々の、今なお弱体でありますところの改良事業も、農地改革と共に幕を閉じられてしまうのであります。最後に残りますところの食糧調整関係の仕事にいたしましても、政府が別途に、食糧政府買入数量の指示に関する法律案、この法律案によつて企図しておりますところによりますというと、従来の決議機関から諮問機関に変質せしめられるのであります。供出の罰則は残されるが、委員会は決議機関たることを失うのでありまして、御用機関性格をいよいよ強めて来るのであります。すべてを失いまして、残るものはただ一つ、供出の御用機関たるこの本委員会の成立に対しましては、我々は農民の名において、断固として反対せざるを得ないのであります。(拍手、「農林大臣どうじや」「どこへ行つた」と呼ぶ者あり)
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したるものと認めます。  これより採決をいたします。先ず競馬法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、農林委員会法案及び農林委員会法の施行に伴う関係法令整理に関する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕    〔「農民の敵自由党」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十、食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案日程第十一、食糧配給公団清算経費財源に充てるための剰余金の使用に関する法律案日程第十二、関税法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長小串清一君。    〔小串清一君登壇拍手
  25. 小串清一

    ○小串清一君 只今上程せられました食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案の大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。農業災害補償法によりまして、農業共済組合の組合員が支拂うべき農作物共済掛金の一部を負担し、更にこの負担金を食糧消費者に転嫁することとなつておりますが、価格政策の見地から、昭和二十二年度以来、臨時的の措置を講じまして、昭和二十六年度においても、この負担金を一般会計負担といたしております。これに伴いまして、食糧管理特別会計から農業共済再保險特別会計に繰入れます。四十一億六千百六十四万五千円を限り一般会計から繰入れ、この特別会計に生じます歳入の不足を補てんしようとするものであります。さて、本案審議に当りまして、各委員政府との間に熱心なる質疑が交わされたのでありますが、その詳細は速記録によつて御了承を願いたいと存じます。かくて質疑を終り、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。次に食糧配給公団清算経費財源に充てるための剰余金の使用に関する法律案委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。本案は、食糧配給公団が本年四月一日に解散し、本年度中にその清算事務を終える予定になつておるのに鑑みまして、同公団の国庫に納付すべき昭和二十五年度の剰余金が十四億五百八十一万九千円と推定されますので、これを同公団の清算に要する経費二十三億余円の財源の一部として使用しようとするものであります。さて本案審議に当りましては、食糧配給公団の不正事件の内容及び処置について、又麻袋、布袋等の手持品を処分する場合の評価等について、各委員より種々熱心なる質疑が行われ、これに対して政府からも懇切鄭重な説明がありましたが、その内容速記録によつて御了承を願いたいと存じます。かくて質疑を終り、討論に入り、油井委員より、本案については一応賛意を表するが、麻袋等手持品の処分についてその評価が明確でないと思われる際、かかる措置は適当でないこと、又不正事件によつて生じた損失の清算を促進すべきであると共に、今後監督官庁の十分なる監視を要するとの希望を附し、賛成意見が述べられ、次いで松永委員より、公団の損失については、従来より国民の負担において処理される通例があるが、同公団についても種々の不正事件が認められるので、今回の措置は妥当なものとは考えられないとの反対意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。最後に、関税法の一部を改正する法律案委員会における審議経過及び結果を御報告申上げます。本案の主なる改正点を申上げますと、第一点は、戰時中行政簡素化趣旨によつて廃止されました外国貿易船、輸出入業者に対する許可、認可事項について、最近の外国貿易の正常化に鑑みまして、必要最小限度の取締規定を復活しようとすることであります。第二点は、税関の執務時間外の臨時開庁等の手数料徴收の根拠を法律規定しようとすることであります。第三点は、輸入業者の利益保護のために関税訴願審査制度を整備しようとすることであります。第四点は、最近の密貿易の傾向に即応して、犯則貨物が漂流物又は遺失物として拾得された場合に、水難救護法及び遺失物法の特例を設ける等の改正をしようとすることであります。その他密貿易取締の強化を図るため、第三者通報制度の報償金の増額、港域法の改正に伴う開港名の変更等、所要の改正をしようとするものであります。  委員会審議に当りましては、各委員より熱心なる質疑があり、又政府委員より懇切な説明がなされたのでありますが、これらの詳細につきましては速記録によつて御了承願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上三案につき御報告申上げます。(拍手
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず食糧管理特別会計歳入不足を補てんする場ための一般会計からする繰入金に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致をもつて可決せられました。      ——————————
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、食糧配給公団清算経費財源に充てるための剰余金の使用に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、関税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十三、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、公共船員職業安定所設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長植竹春彦君。    〔植竹春彦君登壇拍手
  33. 植竹春彦

    ○植竹春彦君 只今議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、公共船員職業安定所設置に関し承認を求めるの件について本委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本件は、最近における船員の需給が盛んになりましたので、船員職業安定業務が増加いたしまして、既設の公共船員職業安定所を以てしては、その業務の円滑なる運営を期することは困難となりました。そこで新たに室蘭ほか十一カ所に公共船員職業安定所を増設するため、国会に承認を求めたものであります。  本委員会におきまする審議の結果、全会一致を以て承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本件を問題に供します。委員長報告の通り本件に承認を與えることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。      ——————————
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十四より第十八までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。    〔宮城タマヨ登壇拍手
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 只今上程されました請願第百九十二号、前橋地方裁判所桐生支部甲号支部に昇格請願ほか四件につきまして、法務委員会におきます審議経過及び結果を御報告申上げます。先ず請願第百九十二号、前橋地方裁利所桐生支部を甲号昇格の件、請願第二百四十三号、北海道弟子屈町に区検察庁及び簡易裁判所設置の件、請願策四百九十二号、高知県佐町に簡易裁判所区検察庁および家庭裁判所出張所設置の件、以上三件の請願はいずれも当該地方におきます地理的諸條件、交通の便否等を理由とする次第でございます。  請願第四百九十一号、高知県赤岡町に簡易裁判所区検察庁両庁舎建築の件、及び請願第六百五十八号、宮城県古川拘置支所庁舎改築に関する件の二件は、これらの建物がすでに大変朽ちていて使用に堪えないので、至急建築又は改築してもらいたいという趣旨のものでございます。  委員会におきましては、以上の各件につきまして、政府委員又は最高裁判所側の意見を聞き、慎重に審議いたしました結果、いずれも尤もな趣旨請願と認め、採択いたしまして、これを議院の会議に付すると共に内閣に送付すべきものと決定いたしました次第でございます。  右御報告申上げます。(拍手
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十九より第四十八までの請願及び日程第六十二より第六十九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員会理事高田寛君。     —————————————    〔高田寛君登壇拍手
  43. 高田寛

    ○高田寛君 只今上程になりました請願及び陳情につきまして、詳細は委員会速記録に譲りまして、その審議経過並びに結果を御報告申上げます。  これらの請願陳情は大別いたしますと、鉄道電化促進に関するもの、鉄道の建設促進に関するもの、鉄道のサービスに関するもの、制度の改正に関するもの及び海運に関するものに分類することができます。  先ず第一に、鉄道電化に関するものについて申上げます。請願第七百八号及び八百十四号は、いずれも北九州地区の鉄道電化に関するものでありまして、その要旨は、北九州地区は全国有数の鉱工業地帯であり、人口の密度も極めて大きく、現在の鉄道の能力では不十分であるから、速かに本地域の鉄道を電化して欲しいというのであります。又請願第八百十五号は、御殿場線の電化促進であり、請願第千二十五号は、甲府、長野両駅間の電化促進に関するものであります。  第二は、鉄道建設促進に関するものであります。即ち請願第八百十六号は、武豊線の延長工事促進、請願第八百四十六号は、三陸沿岸鉄道及び青森県大畑町、大間町間の鉄道敷設促進、請願第八百六十二号は、北陸、上越両線を直江津、六日町間、又は直江津、越後湯澤駅間で結ぶ連絡線敷設の促進、請願第八百六十三号は、宮崎、小林両駅間の鉄道敷設促進、請願第八百六十四号は、日南鉄道の開通促進、請願第八百六十五号は、日向長井、三重町両駅間の鉄道敷設、請願第九百八十一号は、北海道岩内線岩内駅から函館本線黒松内駅に至る後志西海岸鉄道の敷設、請願第千七十八号は、栃木県今市から会津若松を経て米澤を結ぶ野岩羽鉄道の全通促進であり、又陳情第百四十五号は、三陸沿岸鉄道の敷設促進、陳情第二百八号は、大糸線の全通促進、陳情第二百四十一号は、大分県宝泉寺駅から熊本県宮原に至る宮原線の敷設に関するものであります。以上は国有鉄道の建設に関するものであります。なお、請願第七百九号は、能勢電気軌道株式会社路線の延長でありまして、国鉄福知山線池田駅と山陰線亀岡駅を結ぶ路線の実現促進であります。  第三は鉄道のサービスに関するものでありまして、請願第七百八十三号は、宮城県の大船渡線鹿折駅から鹿折村浜地先間に臨港線を敷設して、背後地と気仙沼港とを結び、全面的利用の途を講じて欲しいというのであります。請願第八百四十五号は、東北本線尻内駅構内に跨線橋架設の要望であり、請願第千四十二号及び陳情二百十号は、中央線の急行増設、その他ダイヤ改正に関するものであり、請願第千七十四号は、東北木綿與野駅、陳情第百五十一号は伯備線生山駅の駅舎の問題であり、いずれもその現状が狭隘であるとし、駅舎の増築に関するものであり、請願千七十五号は、二俣線の改善並びに輸送力増強に関するもの、又請願第千七十六号は、釜石線平倉駅の昇格に関するものであります。請願第千七十七号は、京都市内は国有鉄道が高架線になつていないため、有形、無形の損害を受けているから、他の大都市同様に高架式に改めて欲しいというのであります。  第四は、制度に関するものでありまして、請願第五百二十一号は、鉄道専用電気動力及び電気信号保安両設備に対する二軍監督の排除に関するもので、その要旨は、現在電気鉄道事業者は、鉄道専用電気動力、電気信号保安設備については鉄道法規の下に運輸大臣の監督及び検査を受けており、又電気法規の下に通商産業大臣の監督、検査を受けているが、その検査は輸送の安全という見地に立つて同一のものに対して行われるものであるから、これが監督及び検査を運輸大臣一本にして欲しいというのであります。  第五は、海運に関する請願及び陳情でありまして、請願第百九十三号、島根県芦尾災害復旧に関する請願請願第七百九十三号、有家港災害復旧工事費国庫負担に関する請願、右はいずれも災害復旧工事完成促進に関する請願でありまして、政府当局はいずれも本年度において実施すべく考慮中とのことであります。委員会におきまして審議の結果、願意は妥当であると認めました。  それから請願第三百九十号、神戸港第七突堤建設に関する請願。神戸港における外国貿易貨物取扱の現状が揚げ場の不足によつて混乱状態にあるので、第七突堤を建設せられたいというのであります。政府においても本年度には着工の予定であるというのであります。請願第七百十号、深浦避難港修築に関する請願。同港は避難港に指定されたのを機会に港湾設備を完備せられたいというのであります。請願第七百二十号、舞鶴港機雷問題に関する請願。舞鶴港附近の機雷浮遊が誇大に宣伝されて船舶出入が皆無となり、同地一帶の関係産業が崩壊の危機にあるので、その善処を要望しているのであります。以上の請願三件は、委員会において審議の結果、願意は妥当であると認めました。  それから請願第六百九号、小名浜海上保安部陸上無線通信施設設置請願請願第八百四十八号、海難防止に対する施設充実請願請願第八百九十三号、岩手県綾里みさき燈台霧中信号施設設置請願、右三件は、いずれも航海の安全、海難防止のために施設整備を図りたいというのであります。委員会におきまして審議の結果、いずれも願意は妥当であると認めました。  次に、請願第千百四号、武豊港の重要港湾復活に関する請願、本港は港湾法によつて重要港湾として指定されなかつたが、当港の沿革と港勢に副うべく重要港湾に復活せられたいというのであります。政府当局は本港の港勢を考慮し重要港湾に追加指定すべく努力中であるというのであります。陳情第三十六号、巡視艇常置に関する陳情。秋田県船川港に巡視艇を常置し、海難救助に万全を期せられたいというのであります。陳情第六十八号、鹿児島港、琉球間船荷運賃を距離に比例した單独運賃設定陳情。現在日本—琉球間の船荷運賃は一本の運賃で定められているがため、距離に比例する等差運賃に訂請正せられたいとの陳情てあります。陳情第二百五十八号、仙台霞目飛行場改修拡張に関する陳情。民間航空再開に伴いまして仙台市内にある当飛行場を早急に改修拡充の上使用せられたいという陳情であります。以上請願一件、陳情三件は、委員会におきまして審議の結果、願意は妥当であると認めました。  以上の請願陳情は、いずれも審議の結果、願意を妥当と認めました。なかんずく鉄道の新線建設につきましては、すでに第九国会におきまして本院において決議をいたしているところであり、委員会におきましては、鉄道建設予定線を初め、殊に工事に着手し、その後中止となつておるもの、又はその後の事情の変化によりまして必要と認めますものの敷設はこれを促進し、交通来路を整え、産業の開発、文化の向上及び民生の安定を図るべきものとして、その願意を極めて妥当と認めたのであります。よつて以上請願三十件、情陳八件は、これを議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定いたしたのであります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第四十九より第六十一までの請願日程第七十及び第七十一の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。郵政委員長大野幸一君。     —————————————    〔大野幸一君登壇拍手
  48. 大野幸一

    ○大野幸一君 只今議題となりました請願及び陳情について、郵政委員会における審査経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず簡易生命保険及び郵便年金積立金運用再開に関する請願八件及び陳情一件は、第二国会以来多数提出せられた請願陳情と全く同一趣旨のものであります。昨年十一月ドツジ氏から大蔵大臣に手交された書簡に基き、政府から政府資金の統合運用に関する資金運用部資金法案及びこれが関係法案が今国会に提出されておりまして、本請願の願意と背馳する措置がとられようとしているのであります。併し右のドツジ書簡は勿論国会審議権を拘束するものではないとの政府の言明もありますので、本委員会は、曾つて第五国会において本院が郵政省における運用再開の決議をなした事実と、保険年金事業の経営の本資に鑑み、これらを院議に附して内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定いたしました。  次に、郡山市に郵政省地方簡易保険局新設促進の請願郡山郵便局郵政健康管理特別局指定促進請願郡山市に郵政省逓信病院又は分院設置促進請願福島県小野新町駅前に簡易郵便局設置促進請願福島県須賀川郵便局舎等買上げ促進に関する請願逓信従業員結核対策に関する請願、鹿児島県求名村狩宿に簡易郵便局設置請願、大阪市此花区郵便局再建請願農産種苗のカタログ郵送料引下げに関する請願、山形県醍醐村に郵便局設置請願郵便の日曜祭日配達止反対に関する請願仙台地方貯金局縮反対に関する請願及び陳構等であります。以上の請願及び陳情はおおむね郵政施設の改善、利用の増進等、郵政省の措置を要望する請願陳情であります。  委員会におきましては愼重審議の結果、いずれも願意を妥当と認めて、これを採択し議院の会議に付して内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  これにて午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ——————————    午後一時四十五分開議
  51. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、日程第一、昭和二十六年度一般会計予算日程第二、昭和二十六年度特別会計予算日程第三、昭和二十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。予算委員長波多野鼎君。    〔波多野鼎君登壇拍手
  53. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今議題となりました昭和二十六年度一般会計予算昭和二十六年度特別会計予算及び昭和二十六年度政府関係機関予算につきまして、その内容並びに委員会における審査経過及び結果を御報告申上げます。  先ず昭和二十六年度予算の内容でありますが、便宜上、億円単位でその概略を御説明いたします。昭和二十六年度一般会計の歳入歳出予算総額は、歳入歳出共六千五百七十四億円でありまして、これを前年度歳入歳出予算額六千六百四十五億円に比較いたしますと七十一億円を減少いたしております。  歳出予算の主なる経費について申上げますれば、先ず公共事業費千百五億円は前年度に比べて七十五億円の増加となつておりますが、二十五年度においては見返資金特別会計から公共事業に百十億円が支出されましたので、実際は差引三十五億円の減少となります。併し二十六年度は、災害復旧事業費全額国庫負担制度の廃止によりまして、地方負担をも含めた公共事業費の総額におきましては二十五年度に比べて百四億円の増加となる見込であります。次に政府出資及び投資関係経費七百七十八億円は、前年度に比べて五百二十六億円の増加となつておりますが、これは主として外国為替資金特別会計におきまする円資金の不足を補うため一般会計より五百億円を繰入れることといたしたためであります。次に、社会保障関係経費五百五億円は前年度に比べて百十九億円の増加、国立学校運営費及び育英事業費百七十一億円は前年度に比べて四十二億円の増加、地方財政平衡交付金千百億円は前年度に比べて十五億円の増加となつております。この最後の地方財政平衡交付金に関しましては、地方財政委員会が内閣に勧告いたしました交付金の総額は千二百九億円でありますが、内閣はこの総額を変更して、只今申げました千百億円といたしたのであります。二十六年度において前年度に比べて減少を見ました主なる経費としましては、価格調整補給金が二百二十五億で四百十五億円の減少であります。国債費が二百九億円で三百七十七億円の減少、終戰処理関係経費が千三十八億円で七十三億円の減少、特別会計等損失補填金が六十七億円で十一億円の減少、警察予備隊経費が百六十億円で四十億円の減少、海上保安庁経費が五十五億円で三十億円の減少などとなつております。次に歳入予算であるますが、税制改正を行います結果、昭和二十六年度の租税及び印紙收入の予算額は四千四百四十五億円でありまして、これは改正前の税法を適用した場合に比較いたしまして七百四十三億円の減少となつており、前年度予算額に比較いたしますと五億円を減少いたしております。専売益金は千百三十八億円を計上いたしておりまして、前年度に比較しまして八億円を増加いたしております。次に昭和二十六年度特別会計予算について申上げます。特別会計の歳入歳出予算総額は、歳入一兆二千七百五十七億円、歳出一兆二千四百五億でありまして、前年度予算額に比較いたしまして、歳入において八千七十八億円、歳出において八千八億円を減少いたしておりますが、この減少の主なる理由は、従来の外国為替特別会計に代えて新たに設置されます外国為替資金特別会計におきまして、従来予算に計上されておりました外国為替の売買を歳入歳出外として処理する制度といたしたこと等によるものであります。  次に昭和二十六年度政府関係機関の收入支出予算総額は、收入四千五百五十六億円、支出三千四百十四億円でありまして、前年度予算額に比較いたしまして、收入において九千五百億円、支出において九千五百二十一億円を減少いたしておりますが、この減少の主なる理由は、各種公団の業務が廃止せられますこと等によるものであります。  さて本案審査に当りましては、予算の国民経済に占むる地位を明らかにするという見地から、あらかじめ周到な計画を立てて、先ず予算をその経済的基盤との関連において検討いたし、次いで、この基礎の上に立つて政策的な論議を盡すという方式で、終始計画的に審査を進めたのであります。二月三日、審査開始以来、委員会を開くこと三十一回、なお、このほか三月五日、六日の両日には公聴会を、又十九、二十日の両日には分科会を、更に二十二日には地方財政平衡交付金に関する小委員会を開催いたします等、審査の完璧を期するために最善の努力を拂つて参りた次第であります。委員会における極めて広汎多岐な質疑応答の詳細につきましては会議録によつて御承知を願うことといたしまして、ここでは、そのうち日米経済協力問題、物価問題及び地方財政平衡交付金問題の三問題を重点的に取上げて御報告するにとどめたいと存じます。  先ず最初に日米経済協力の問題であります。第一に、日米経済協力問題は今後の日本経済のあり方に決定的な関連を持つものと考えられる。政府はこの際その構想を明らかにすべきではないかとの質疑に対し、吉田内閣総理大臣より、米国政府としては日米親善を経済的に裏付けるため、日本の経済を援助上、アメリカ経済の一環としてこれを進めて行きたいという考えであることは明白であり、又日本としてもアメリカ経済の一環として互いに助け合つて行くということが経済復興のために必要であると思うから、できるだけ協力をして行きたいと考えている。併しながら政府は日米経済協力の問題については現在何ら正式の交渉を受けていない。従つて具体的な内容はわからないとの答弁があり、第二に、日本経済がアメリカ経済の一環として、その軍拡の要請に応じて日本の産業経済力が軍需生産に向けられるということになれば、結局日本は準戦時体制に入るのではないかとの質疑があり、これに対し、現在世界の各国とも軍備拡張をしておるために軍需原料等が非常に欠乏しつつあるので、原料及び食糧の確保に政府が相当苦慮しておるのは事実であるが、併し現在又は近き将来、準戦時体制に入るとは考えていない。又成るべく準戰時体制に入らぬように努力するのは勿論であるとの答弁がありました。第三、日米経済協力と日本の自立経済計画との関係について。この両者は或る部分において相一致するし、又或る部分においては相反すると思うが、この協力と自立との調整をどういうふうにする考えか。又日米経済協力の具体化に伴い、昭和二十八年度までの三カ年間でやろうとした自立経済計画を、二十六、二十七のニカ年間に短縮して遂行するというようなことが伝えられておるが、果して事実かとの質疑に対し、周東経済安定本部長官より、資源的に恵まれていない日本が経済自立を達成するについてアメリカの援助協力を必要とするのは当然であつて、この協力と自立との調整は勿論日本国民経済の維持安定ということが中心である。我々が恐れるのはこれが軍事協力というふうに誤解されることである。又自立経済計画は、その前文に調つてある通り、前提條件が変化すれば計画自体もそれに従つて修正変更されて行くべきは勿論であるが、二カ年に切上げるというような具体的なことろまで話は進んでおるわけではないとの答弁がありました。第四、日米経済協力態勢の強化に偉い生産規模の急激な或いは相当大幅な拡大が当然に要請されると思われる。それに関連して特需或いは輸出の増大、又それに伴う資金の需要増大があり、これらすべてに伴つてインフレーシヨンの問題も考えられるのであるが、今後における財政金融政策はどうなるかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、日米経済協力の問題についてまだ具体的な問題に我々は接していないのであつて、従つてそれによる生産の規模がどうなるか、資金の問題をどうするか、或いはインフレの関係はどうなるかというようなことは、今の段階では、はつきり答えられない。こういう問題について論議するのはまだ少し時期が早いのではないかとの答弁がありました。第五、いわゆる日米経済協力態勢として昨今頻りに伝えられているいろいろな経済構想などから考えると、日本経済の大きな方向について非常に重大な変化が生じつつあるように見受けられる。日本経済の実態が国際情勢の変化によつて非常に変つて来つつあるように思われる。今我々の審議しつつある予算案は、もはやすでに現実から遊離したものになつておるのではないかとの質疑に対し、周東経済安定本部長官より、現実と遊離しておるというようなことはない。只今のところ我々もまだ具体的な話を受けておらないし、又新らしい立場で方向を変えるというような具体的な構想にはまだ進んでいない。将来いろいろな條件なり事柄が確定して予算を補正する必要があることになれば、そのとき改めて御審議を願うということは起るかも知れないが、只今のところでは別に大した変化はないとの答弁がありました。  次には物価の問題であります。第一に、二十六年度予算は昨年十月頃の物価を基準として、編成されたもので、その後における非常な物価騰貴によつて、輸入食糧補給金であるとか、公共事業費であるとか、或いは電気通信事業及び国有鉄道などのように、多量の資材を必要とするものなどは、到底計画通りの事業量を遂行することが不可能と思われる。而も我が国の物価は国際物価の騰貴率を上廻つて高騰し、なお且つ上昇傾向が強い。従つて本年度予算は、物価関係においてすでに現実から離れておるが、今後どういう方針で行くのか。事業量を減らすという方向で行くか、或いは予算を殖やすという方向で行くのかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、予算編成当時に比し、今はかなり物価の上昇を見ておるのは事実である。が、この予算で一年間通せるかどうかということについては、なお暫らく情勢を見た上で判断したい。物価については、できるだけ輸入を促進し、生産増強することによつて、成るべく国内の物価が国際物価を上廻らぬように努力しておるとの答弁があり、第二に、国際物価が上るならば、それにつれて国内の物価も上るのであるが、それでも差支ないと、考えておるか。又そうでないとすれば、どういう物価対策を用意しておるのかとの質問に対し、周東経済安定本部長官より、輸入原料の値段が騰貴すれば、これを原料として再生産され輸出される鉱工業生産品も当然に値上りするが、国民生活に及ぼす影響は憂うるほどのことではない。併しながら食糧、衣料勢の国民生活必需物資については、その数量の確保を図ると共に、価格についても適当な措置を必要とする。従つて物価対策としては、国民生活必需物資と然らざるものを区別して考え、前著については数量の確保手段と共に財政支出等による価格措置をも考慮しているとの答弁がありました。第三、輸入食糧補給金は、予算編成当時に比し騰貴した現在の輸入価格で計算すると百億円以上不足するとの政府側の説明があつたが、政府は、補給金を増額するつもりであるか。又国民は消費者米価の引上げを心配しておるが、政府引上げないと言明できるかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、輸入食糧補給金が幾ら足りないかを計算することは実際問題として困難である。輸入食糧の今後の値上り程度、運賃の趨勢、小麦放定への参加がどうなるか等について見通しが付いてから、足りない場合には増額するとの答弁があり、又廣川農林大臣より、消費者米価の引上げ影響が大きいので愼重に考えたい。又その半面、生産者たる農民にも迷惑をかけないようにしたい。はつきり二重価格とは申さないが、それに似たようなことも研究中であるとの答弁がありました。第四、補給金については政府は成るべくこれを外して行く方針であるにもかかわらず、燐鉱石についてだけは、補給金を考慮しているとのことであるが何故であるか。燐鉱石に限らず、物価を押える一つの政策として今後補給金というようなものはどうしても増額せざるを得ないと思うが、政府は補給金制度についてどのような考えを持つているかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、原則として補給金は望ましくない。今までのような補給金は成るべくやめて行きたいという方針には変りはない。併し補給金制度は絶対にいけないというのではない。そうして又その補給金についても、生産者価格の引上げを成るべく避けるという日本流のやり方もあるし、又生産者価格を高くして消費者のほうに補給金を出すというイギリス流のやり方もある。即ち燐鉱石に補給金を出すか、或いは補給金は外してしまつて肥料も米価も上げる代りに、消費者のほうに補給金を出すか、いろいろ考え方があるわけで、目下検討中である。併し燐鉱石以外の品目については、補給金は考えていないとの答弁がありました。第五、最近における内外の情勢に鑑み、物価その他について統制は不可避と思われるが、統制はどういう方法でやるか。弊害の多い官僚統制でなく、自主的統制をやるといつても、実際問題としてそれが可能かどうか。又統制の時期としては、早くやればやるほど効果が挙るのではないか。遅れれば遅れるほど実害が大きいのではないかとの質疑に対し、周東経済安定本部長官より、統制はでき得る限り避くべきものと考えておる。物価についても、上るからといつて直ちに統制すべきものとは考えていない。併しながら重要物資については国際的な割当というようなことが起るのは必至であるから、物によつては、用途の指定、使用の制限というような形において統制を加える必要か起り得ると思う。そのために、臨時物資需給調整法の有効期間を一カ年延長することとし、又統制を行う場合、官僚統制の弊を除くために、原則的には中心を政府に置いても、その発動に至る際において、できるだけ民間の意思を尊重するという方法がとれないかという見地から、事業者団体法及び独占禁止法の改正についても目下検討中であるとの答弁がありました。第六、本年一月になつて消費者物価指数は急騰し、前月に比べて五・七%も上つておる。このような消費者物価の騰勢から見て、公務員の標準生計費の差はすでに五%を上廻つておると思われるが、人事院は給與ベース改訂を勧告する用意があるかとの質疑に対し、浅井人事院総裁より、標準生計費について只今利用し得べきデータは昨年十一月までのものであるが、大体三・五%くらいの標準生計費の上昇であつて、まだ御告すべき時期に至つていないとの管外があり、これについて資料を整えるのに数カ月もかかつておるようであるが、これをもつと早く且つ正確にやつて、国民に不当の負担を負わせることなく、而も公務員に対しても無益に犠牲を強いることのないように努力すべきではないか。又それができないならば遅れた期間だけ遡つて給與を支給するような勧告すべきだと思うがどうかとの質疑に対し、できるだけ速かに集計しておるが、正確なる統計は決してすぐにできるものではなく、又スライド制をとることができない限り、必要な手続のために勧告が遅れるのは止むを得ないとの答弁がありました。第七、二十六年度予算は、すべての政治経済情勢から見て、殊に物価関係だけから見ても、全く現実と遊離して、適正な執行が不可能となつている。補正予算は出すか出さないかの問題ではなくて、ただ時期の問題に過ぎない。政府は直ちに予算を補正する意思はないかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、本年度予算がその後世界情勢の変化により現実の事態と或る程度の食違いを予想されるに至つたことは事実である。併し、だからといつて直ちに総合予算全般について補正するということは、予算編成の技術上からいつてもとるべき策ではない。個々の補正はあり得るが、全般については、やはりもう少し情勢を見極めた上で適当な措置をとるのがよいと考える。補正の時期はわからないが、この予算で相当期間賄つて行けると思うとの答弁がありました。  最後に地方財政平衡交付金の問題であります。この問題につきましては、本院の地方行政委員会及び文部委員会並びに全国知事会議及び全国教育委員会委員連絡協議会等より、本委員会に対しまして、地方財政平衡交付金増額方について適当な措置をとられたいとの強い要望の申入れがございました。本委員会といたしましても、本件の重要性に鑑み特に愼重に審議を重ねましたのみならず、更に地方財政平衡交付金に関する小委員会設置して審議の周到を期した次第でありますが、今、本委員会及び小委員会における質疑応答の主要点を申上げますと、  第一、教職員を含む地方公務員の給與改善に必要な経費、即ち年末手当支給に要する経費、給與ベース改訂による増及び教職員給與の級別格付基準改訂による増に対する大蔵省の査定額は、地方財政委員会の勧告額に比しそれぞれ五十億円、十七億円及び九億円の削減となつているが、これで果して地方公務員の給與改善ができるかとの質疑に対し、地方財政委員会より、年末手当の支給や給與改訂を実施するためには、事業の繰延べ、支拂延期等重大な支障が起ることを免れないとの答弁があり、又天野文部大臣より、地方財政平衡交付金は一旦閣議できまつたことであるからいたし方ばないが、機会があれば増額方努力するとの答弁がありました。  第二、失業対策事業費に伴う地方負担額の増加に対する大蔵省の査定額は、地方財政委員会の勧告額に比し二十四億円の削減となつておるが、これで失業者の救済ができるか。又国庫から資材費を補助して失業対策事業の質的向上を図るという既定方針は実現できるかとの質疑に対し、労働省より、予定雇用人員年間を通じて一日平均十六万七千人の数は滅らないが、資材費の不足から事業の内容は変らざるを得ないだろうとの答弁がありました。  第三、厚生施設費補助その他、国の施策に伴う地方負担額の増加に対する大蔵省の益定額は、地方財政委員会の勧告額に比し十七億円の削減となつており、このうち厚生省関係のものは十二億円もあるが、これだけ削減されても大した支障はないのかと質疑に対し、黒川厚生大臣より、国家財政上止むを得ないと思う。併し地方財政平衡交付金の増額についても努力はしているとの答弁がありました。  第四、平衡交付金に関する地方財政委員会の勧告案は最近における物価騰貴を織込んでいないが、物価騰貴による予算の不足はどういうふうに賄うつもりかとの質疑に対し、青木地方財政委員会委員より、地方財政平衡交付金の総額千二百九億円を認めてもらう必要があるばかりでなく、予算補正の場合には更にその上に物価騰貴に伴う増額を認められなければ、地方財政の窮乏は非常なものとなり、重大なる結果を来たすだろう。勿論地方団体としては更に節約に努力する必要はあるが、併し独力でこの窮境を切り抜けることは困難だとの答弁がありました。  第五、二十六年度予算の補正に当り、先ず地方財政平衡交付金を増額する意思があるか。又起債の枠を拡大するつもりがあるかとの質疑に対し、池田大蔵大臣より、補正予算に際し先ず第一に平衡交付金を殖やすかどうかは約束できぬ。又起債の枠については相当弾力性があるが、これも年度の経過を見てからのことで、金額等も申上げかねるとの答弁がありました。  よつて委員会は次の結論に到達いたしました。一、昭和二十六年度地方財政平衡交付金の総額については、地方財政委員会の勧告額千二百九億七千五百万円を妥当と認める。二、これはもとより最善のものではないが、差当り必要な最少限度の額であつて、内閣決定額に対しては百九億七千五百万円を一増額することが必要である。三、なかんずく年末手当支給に要する経費、給與ベース改訂による増及び教職員給與の級別格付基準改訂による増等については、特に地方財政委員会の勧告額を下らない増額が必要で、大蔵省の査定は不当である。四、地方債の増額は地方財政委員会の勧告通り二百七十五億円とすべきである。  この小委員会の結論は本委員会において過半数を以て賛成されたのであります。大体以上のような経過を以て質疑を終了し、討論に入りました。先ず佐多委員より日本社会党を代表して原案反対、次に一松政二委員より自由党を代表して原案賛成、次に深川委員より国民民主党を代表して原案反対、次に藤野委員より緑風会を代表して原案賛成、次に東委員より第一クラブを代表して原案反対、次に木村委員より労働者農民党を代表して原案反対、最後に岩間委員より日本共産党を代表して原案反対の旨述べられました。  かくて討論を終局し、採決の結果、本委員会に付託せられました昭和二十六年度予算各案は多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  54. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。永井純一郎君。    〔永井純一郎君登壇拍手
  55. 永井純一郎

    ○永井純一郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、本二十六年度予算案に対しまして反対意見を述べるものであります。(拍手)  先ず私が最初に申上げたいことは、私どもがこの予算案を審議するに当りまして、国会議員といたしまして責任の重大なることを痛感しておつたのであります。それはなぜかと申しますと、この予算の大綱が決定した後におきまして国際情勢並びに国際経済に激変が起きておると思われるからであります。そこで我々予算委員が当然求めるところのものは、この予算を組むに当つて政府は如何に国際情勢の見通しを付け、又国際経済の変化を予定したかということであります。従つてこの大前提となるこの問題に対する我々の特に総理に対する答弁の要求は、切実なる而うしてまじめなるものがあつたのでありまするが、総理は何らこれに対しては見識も思慮もなく、又誠意さえも認めることができなかつたのであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)というよりも、むしろ政府はこの根本の問題につきまして重大なる誤謬を犯しておるがために、答えることができなかつたということが言えるとも思うのであります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)即ち私は先ずここに本予算案が殆んど審議の対象となる価値さえもないものであるということを遺憾ながら指摘したいのであります。即ち政府は去る第九臨時国会に補正予算を提出いたしたのでありまするが、その際この二十六年度予算はいわゆる十五カ月予算として組んでおつたと見られるのであります。而してそのときの編成方針といたしまして、即ち本予算編成の前提條件となる国民経済の見通しといたしまして、政府は、国民所得は大体一割程度増すであろう、物価は而して大体横這いを続けるであろう、従つて朝鮮動乱の予算面への影響は外為特別会計以外には直接的にはないであろうといつたようなことを前提として想定いたしまして、そして、この基礎の下に、米価は六千一百円程度、給與は千円上げ、而して価格差補給金は食糧等に限つて、できるだけ少くするといつたようなことを本二十六年度予算の内容とし、この米価と給與を骨格といたしておるのであります。即ちこれらを通ずる政府の見通しは、朝鮮動乱はあつたけれども、内外の物価の動向は大体動乱前の趨勢をそのまま辿りながら生産力は増大して行くであろう、従つて物価水準の不変にもかかわらず国民所得は相当程度増して行くという考えを持つておつたと思われるのであります。ところが、ここに最も重大なるポイント、物価は大体横這いするであろうという前提が根本から崩れているのであります。即ち朝鮮事変直後を一〇〇とすれば、予算の大綱が大体きまつた十月が一二四、二月初旬で一四四、今日はすでに一六〇を突破しておるという暴騰振りであるのであります。又予算編成の基本をなしまするところの米価にいたしましても、本予算案ではそのバリテイ指数を一九五として計算をいたしておるのでありまするが、今日すでに二〇〇を遙かに突破いたしまして二三〇にも達しようとしておるのであります。即ち政府は十五カ月予算編成当時において国連協力予算といつたようなことを言いながら、朝鮮動乱が示唆するところの国際的客観情勢の変化を非常に甘く見過ぎた感が深いのであります。(拍手)即ち輸入の困難、世界的な軍拡インフレ、中共貿易の杜絶等々、内外情勢のこういう激変に伴いまして、遂にこの十五カ月予算はこの根抵から今やなだれを打つて崩れつつあると言わなければならないと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)  以上のごとく、根本的の問題といたしまして、すでに本予算案が審議の対象となる価値さえもないものと申さなければならないと思うのでありまするけれども、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)更に組まれたところの内容について仔細に検討いたして見ますると、多くの矛盾と虚偽をさえ含むのであります。私どもの到底賛意を表することのできないものであるのであります。即ち政府は本年度予算案の特色と称しまして、中心点、重点という四つほどのものを出しておるのであります。その一つは均衡予算と財政規模の縮小であり、二つは減税と資本の蓄積の点であります。三つは民生の安定と文教の刷新であり、四つは国内自給度を高めるための生産の増大、特に食糧の増産の点であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  第一のこの均衡予算と財政規模の縮小並びに減税の問題は一連の関係を持つと思われるので、これを一括して検討をして見ますると、先ず一般会計の歳出六千五百七十四億円という数字は前年度と殆んど同じ数字であり、何ら財政規模の縮小をしたとは別に言えないと思うのであります。このことは何を意味するかと言えば、今日の情勢下、すでに歳出面において、公共事業費を初め、財政資金による投資や出資によりまして産業の育成合理化或いは経済基盤の充実等を図らなければならないのであるし、更には公務員の給與改善或いは社会保障制度審議会の勧告に基く社会政策費の増加等、必要不可欠のものが多数あることを意味するのであります。従つて、財政規模の縮小はせずに置いて、一方におきましては減税という公約を果すために減税を相当しなければならないという弱目に政府は陷つたと見られるのであります。即ちこの二つが両立するはずはないのであります。その証拠には、ここにもおいでになるところの農林、建設、大蔵、安本の四大臣は、この予算編成当時におきまして長い間論争をやつております。何について論争をやつたかといえば、公共事業か減税かという題を掲げて長い間論争をせられていたようであります。併し政府は遂にこの問題を解決したと見えまして、この議会に予算案を提出して来ておるのであります。ところが、この解決の内幕を覗いて見ますると他愛もないことでありまして、次のようなごまかしにもひとしいものであつたと思われるのであります。即ち政府は七百四十億円以上の大幅減税と言つておるのでありまするが、これには意地悪くも但書を付けております。即ち税法上の減税であります。尤もこのことにつきましては一般世間のほうがよく承知しておるのでありまして、世間ではこれを水増し政策と称しております。米の供出以来政府の奥の手といたしまして国民が広く承知しておるところであります。即ち政府が最初九月に発表いたしました歳出総額は五千九百八十億であつたのであります。ところがその後一挙に五百九十四億を増加いたして参りまして、国会に提出して来ておる額は六千五百七十四億となつておるのは御承知のところであります。而うしてその増加の内容は御承知の通り外為特別会計初め貴金属特別会計等へのいわゆるインベントリー・フアイナンスがその大部分であります。ここでいわゆる均衡予算は一挙にして破れ去りまして、遂に我々の言うところのいわめる超均衡予算となりおおせてしまつておるのであります。而も一方では右のごとく一挙に約六百億近いところの経費増を組み込みながら、他方では、地方選挙が近付いたためかどうかは知りませんが、公約の減税をしなければならぬという羽目に陷つておるのであります。そこで政府は遂に歳入に、税金に手を付けたと見られるのであります。即ち当初発表した租税收入よりも約五百六十億円も大きく税收を机の上で見込んだと思われるのであります。即ち五百六十億円を増加して、本国会に出しました税收は四千四百四十五億という数字を国会に提出して来るに至つておるのであります。即ちこれだけ余分に租税收入を増すため、国民所得を水増ししまして辻褄を合せたというに過ぎないのであります。こういう内幕を知りますと、大幅減税も誠に頼りのない單なる水増しであつたと言わなければならないのであります。要するに本年度の予算というものは、財政規模の縮小はなくて他面公約の減税のためにむりやりに国民所得に水増しをやつただけの、全く事務上の計数いじりに終つておると言わざるを得ないのであります。(拍手、「縮小されておる」と呼ぶ者あり)  次に第二の点であるところの資本の蓄積と民生の安定の問題について見てみまするに、蔵相は財政演説においても資本の蓄積について力説しておられるのである。それはそれでよろしいといたしまして、問題は、政府の意図している資本の蓄積は單に法人企業等の大きな資本企業を大体の目標として考えておるに過ぎないと思われるのであります。(拍手)即ち法人企業の資本蓄積の促進につきましては、積立金課税の廃止を初め、種々至れり尽せりの厚遇をいたしておるのでありまするが、これに関して政府は、産業の復興、経済再建のため、国民は徒らに租税の公平理論にのみ囚われるなということを殊更におつかぶせて言つておるのであります。私どもの考えでは、一方国民一般の民間資本の蓄積を図ることこそ重要であり、経済民主化の線にそれこそが沿うものであると考えるのでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)本予算には僅かばかりの中小企業融資なり農林漁業への特別融資等の財政資金の供給以外には、何ら中小企業、農業等に対するその資本蓄積を促進する施策はなく、全く等閑に付されているのであります。(「わからないのだろう」と呼ぶ者あり)これらの大衆企業者の経営合理化等は夢にも考えられない。即ちこれらの大衆企業者の経営合理化は殆んど考えることができないという状態が今日の状態であります。(「もう少し勉強しろ」と呼ぶ者あり、拍手)而もかくのごとき状態に置きながら徒らに租税の公平理論に囚われることなくなどと申すに至りましては、中小企業者に対する曾つての暴言や、(「それは社会党だ」と呼ぶ者あり)前国会において、富者は米を食い、貧者は麦を食つて、食習慣を古来の風習に返せと言つた(拍手)あの非近代的な政治感覚、お話にならない古い考え方を、地方選挙があることでもあるし、表現を変えて言つたものと断ぜざるを得ないのであります。(「それが社会党だ」と呼ぶ者あり)即ち農民や中小企業者にとりましては、資本の自己蓄積どころか、未だ税が生活費を食い込んでおるのであります。農家に例をとつて見まするならば、蓄積の源泉はいわゆる農家経済の余剰に求められるのでありまするが、この余剰から租税公課が支拂われ、その残余が純蓄積分として順次蓄積されて行きまして、家畜や優良農機具或いは土地改良等にも投資され、合理化生産、拡大再生産へと進むことになるのでありますが、今日の農家経済收支の状況は、政府のデフレ政策の重圧を受けまして二十四年度から急激に悪化いたしまして、一万四百円の赤字となり、二十五年度はこれを更に大幅に上廻ろうとしておるのであります。このことが、如何に農家の資本蓄積が困難であるかというよりは、むしろ不可能であることを示しておると思うのであります。中小企業者又これと揆を一にしておるのであります。而して政府は資本の蓄積と民生の安定とを大きな看板として掲げておりますが、この看板には僞わりがあると言わざるを得ないと思うのであります。(拍手政府の施策におきましては、この資本の蓄積と民生の安定、国民生活の確保の二つを両立させることは不可能であります。否むしろ卒直に申し上げて、国民勤労大衆の生活を犠牲にするにあらざれば政府の意図する資本家の資本の蓄積はできないという結果になると思うのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)即ち、すでに、現に国税、地方税を通じてかくのごとき一方的資本の蓄積が強行されつつある今日であります。即ち昨今、町や村に諸君が行かれて見ましても、税務署や庁県の税務課の差押え用のトラックが走り、農民や中小企業者の心胆を寒からしめておるのであります。心ある人々をして悪政の世の中かなと歎かせており、他面、徒らに共産主義者の活動を容易ならしめて、総理が如何に力を入れて日米防衛協定を作つて御覧になつても、肝腎の祖国の防衛線は足下からごうこうと言をたてて崩れつつあるということに気付かないとすれば、誠に愚の骨頂と申さなければならないと思うのであります。(拍手)  次に、第三の特色として掲げられておるものは文教の刷新であります。言うまでもなく今日平和国家建設を願う我が国によりまして、この教育の問題が最も重大な意義を有するものであることは勿論であります。従つてこの教職に従事する教職員の待遇の改善、生、活の安定、これを図ることが刻下喫緊の要務である。(「社会党内閣は何をやつた」と呼ぶ者あり)従つてこれと関連いたしまして地方財政平衡交付金が委員会におきましても最も重要な論議の中心をなしたのであります。(「社会党何をやつた」「木村黙れ」と呼ぶ者あり)即ちこの地方財政平衡交付金において、教職員初め地方公務員の給與改善、年未手当関係費用の見積りにおいて、政府案と地財委案との間に大きな食い違いがあります。而してこの食い違いの原因には二つあるのであります。それは新規増加人員数の違いと引上げ單価の算定方法の違いであります。後者の引上げ單価の算定につきましても、若しこれに誤まりを犯しまするときには、実際上待遇改善ができなくなり、文教刷新上重大なる支障を来たすこととなるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)即ち、実際上待遇改善をなさんとすれば、職種別の実支給額を基礎といたしまして、教職員の場合であれば格付基準の改訂による増加分を加え、更にこれを七九八一べースに基く新俸給表に切り替えて、引上げ單価を出すべきであるのに、政府はただ旧給與に一律に千円を加えたものを算定の基礎とするといつたような、実に杜撰極まる計算をいたしておるのである。(「余り悲しい声を出すな」と呼ぶ者あり)又五十億も大きく開いておりまするところの年末手当のごときは、全く政府でこれを見る気持がなく、窮屈な地方財政に全く押し付けているといつた投げやりな大蔵省の態度が見えるのであります。このような結果が結局どういうことになるかと申上げますると、今日各府県の二十六年度当初予算はすでに編成されておるのであるが、それによれば到底給與の改訂などは不可能であつて、究極のところ、人員を整理するか、府県の事業を縮小するか、或いは給與の改善をやらないか、これらのいずれかになる虞れがあるという由々しい事態を引き起しているのであります。すでに一部の府県におきましては、この府県の二十六年度の当初予算をめぐつてごたごたを起している実情であります。  更に、文教の刷新、文教政策上重大な問題は義務教育についてでありまするが、憲法はその二十六條に義務教育は無償とするという規定をしておるのでありまするが、尤も現政府のごとく、平和憲法の中心をなすところの戰争放棄であるとか非武装といつたようなこういう條項についてもはつきりしないくらいであるから、憲法に義務教育について無償と規定しておりましても、これを少しも尊重しないのかも知れませんが、少くともこの規定を尊重するといたしますならば、教科書代であるとか、教材費くらいは国庫が当然全部負担するとしなければならないと思うのであります。(「社会党は何もやつてないじやないか」と呼ぶ者あり)ところが僅か一年生の教科書の一部を見るに過ぎないのに、これを蔵相のごとく如何にも手柄顔に吹聴されますのは、むしろ我々には奇異の感に打たれるのであります。(「社会党内閣は何をしたか」「それよりいいじやないか」と呼ぶ者あり)又六三建築費にいたしましても前年より二億の減という始末である。今日の六三制実施の状況は、二部授業、三部授業、甚だしきは馬小屋教室まである実情であります。ために不就学児童の増加を来たしまして、延いて青少年の不良化を来たしている悲しむべき実情であります。(「社会党は何をした」「黙れ」「うるさいわね」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)然るに政府はこの義務教育に対して殆んど熱意を持つておらないのであります。第四番目の特色として、政府は国内自給度を高めるための生産の増大、特に食糧の増産を語つておるのであります。即ち終始一貫いたしまして政府がとつておるところの政府は消極政策に陷つておるのでありますが、この政府が二十六年度における唯一の積極政策であると言つて宣伝をしておるのがこの食糧増産対策であります。(「そうだ」「農林大臣はどうした」と呼ぶ者あり)そうして仔細にこれを検討して見ると、むしろこれも單なる一つの彌縫策と言わざるを得ないのであります。即ち食糧増産政策には二つの方法が考えられる。一つは価格政策によつて拡大再生産を図る方法であり、他の一つは国やその他のものが資本を直接生産に投入してやるという方法であります。ところが政府はこれらの前審の価格政策による方法につきましては全然これを抛擲いたしまして、今日まで終始低米価政策をとつて来ておるのでありまして、    〔副議長退席、議長着席〕 従つて後者の国等が直接資本を生産に投入してやるという方法をとるものと考えられるのでありますが、これにつきましても、例えば公共事業費等は僅かばかり廻しておる。これは昭和二十一年、二十二年、二十三年、二十四年等において公共事業費に占めた農業費の比率を遙かに下廻るという程度に過ぎないのであります。又一般の増産の経費にいたしましても、今日増産のためには最も肝腎と思われるところの秋落ち対策の費用は一文も組んでおらないというような手落ちをいたしておるのであります。又農林漁業資金特別融通にいたしましても、相当の高い利子で、農民がこれをどういうふうに受入れるか、もう一歩進めて、農民がこれに手が届き得る融資の対策を立てる必要を痛感せざるを得ないのであります。  このように考えて見ますると、政府が本年度における唯一の積極政策と称する食糧増産も、どうやらこれは幾ばくかは増しておりますけれども、結局それもまあまあというところの数字でありまして、これは結局のところは自由党政府の看板娘といいますか、廣川農相の顔を立てなくちやならないという程度の、(笑声)どうしても極く真險味を欠いたところの、全くの彌縫策を見られるのであります。(「何を言つてるんだ」「時間々々」と呼ぶ者あり)  以上のごとく、本予算案の内容につきまして最も重点と思われるところの財政規模の縮少の点と減税、資本の蓄積と民生の安定の問額、文教の刷新、食糧の増産等、そのいずれをつかまえて検討して見ましても、(「社会党にはできない」と呼ぶ者あり)実質的検討をして見ますれば、いずれも満足すべきものはないのであります。ただ徒らに目に付くのは、通貨安定の消極的な線が目に付くだけであります。今日の情勢下にある予算としては何といたしましても寸足らずの脆弱さを感ぜざるを得ないのでありまするが、(「寸足らずの演説だ」と呼ぶ者あり)又同時にこれとは反対の矛盾をも感ずるところの、即ち国民の側から言えば非常な不安を伴つた予算でもあると言わなければならないと思うのであります。即ち一般会計では超均衡的予算であるのに、総合予算から見てみますると、見返勘定における経済再建費の七百五十四億円を初めとして、資金運用部の余裕金やインベントリー・フアイナンス等々、およそ二千億近いところの予備的な経費が存在するのであります。これは前年度においては債務償還費がこういう予備的な役割を果して、警察予備隊、海上保安庁等の経費に移用されたのは御承知の通りでありまするが、本年度も又このような不生産的支出が行われるのであれば、そこには又相当のインフレ要因が内在するということとなり、我々国民といたしましては予盾と不安を感ぜざるを得ない予算であると言わなければならないのであります。ここにおいて私どもは、かくのごとき予算の組み方には真向から反対せざるを得ないのであります。即ち私どもは、今日の情勢下においては、平和と国民生活を確保するための積極性ある予算に根本的に組み替えるべきものであると考えるのであります。(拍手)  即ち今日の場合、大衆の苦しい血税で賄うインベントリー・フアイナンスは廃止し、輸入促進の方法は他に求むべきであるし、又農林漁業特別融資、住宅金融公庫、国鉄車輌増産のための貸付、輸出銀行の出資等々は、見返資金から出せるでありましようし、又予備隊費等は終戰処理費から工面ができるでありましよう。(拍手)このような工夫をいたしますれば忽ち千億程度の財源は出て来ると思うのであります。(「時間だ」と呼ぶ者あり)これで六・三制の完全実施、給與改善、農業対策、中小企業の振興対策地方財政平衡交付金対策等、相当今日の情勢に適合した平和と国民生活維持の合理的且つ積極的な予算の編成ができると考えるものであります。(拍手)  これを要しまするに、政府の二十六年度予算案を概括して一口に言うならば、これを貫く一つ原則は上に厚く下に薄いものであると言えるのであります。即ち最初に申上げました通り、本予算案の骨格は、労働者農民を踏み台とするところの低米価であり、低賃金であり、又中小企業者を犠牲とするところの集中生産方式の採用であります。我々労働者、農民、中小企業者等、働く勤労大衆が占領下の苦しさに堪えて、忍びがたきも忍んで来たのは、いわゆる経済民主化を達成しようと思い、且つこれを達成することができると思つたからであります。(「選挙演説だ」と呼ぶ者あり)即ち講和の曉には、我々のみずからの手によつて作り出される我が国の経済社会は、都市におきましては中小企業者と多くの中小の株主であり、(「街頭でやれ」と呼ぶ者あり)地方におきましては自作の耕作農民が中心となつて経済社会が構成され、従つて国家の経済諸政策の根幹は、これらの(「時間だ」と呼ぶ者あり)人々を中心として、我が国の産業経済の発展、貿易の伸張を図ることでなければならないと考えておる次第であります。(「常識がない」と呼ぶ者あり)然るに何ぞ、政府は経済の復興が順次行われるや、これに便乗いたしまして、全く経済民主化と逆行して今や進まんとしておるのであります。即ちすでに農地改革については前年ポ政令で以て農地の譲渡並びに価格につきまして逆行の線を辿つております。又昨今は、政府は独禁法の緩和等について極力努力しつつあるところを見ても明らかでありますと共に、政府が経済政策の基本として昨今作り上げましたところの経済自立計画のごときは、明らかに独占形態への移行を意図するものであり、更にこれが進んで近き将来具体化するであろうところの日米経済協力の協力の仕方如何が政府の反経済民主化の線を決定的なものとするであろうということを、国民は恐れておるのであります。(拍手)かくのごとく見ますときには、本二十六年度予算案は明らかに反経済民主化への一途を辿ろうとしておるものであると見られるのであります。我々が断然これに反対せざるを得ないところであります。  以上の理由によりまして、私はここに日本社会党を代表いたしまして、(「わかつた」と呼ぶ者あり)本予算案の根本的(「落第だ」と呼ぶ者あり)組替えを要求いたしまして、反対討論とする次第であります。(拍手
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 山本米治君。    〔山本米治君登壇拍手
  57. 山本米治

    ○山本米治君 只今議題に上つておりますところの昭和二十六年度予算案に対し、私は参議院の自由党を代表いたしまして賛成意見を表明するものであります。(拍手)もとより併し、如何なる時代、如何なる政府といえども、あらゆる観点から満足なる予算というようなものは組めるはずがない。(「馬鹿を言え」「白状したな」と呼ぶ者あり)いわんや今日のごとく複雑な国際情勢下においてそれは非常に困難でありますので、私が只今賛成と申しましても、これは絶対的にこれが完全であるという意味ではなく、相対的な意味であることはお断わり申上げるまでもないのであります。(「遠慮するな」と呼ぶ者あり)  元来、一国の予算は国民経済のあらゆる分野と密接な繋がりを持つておるものでありまして、その批判はあらゆる角度からこれを行うことができるのであります。政府は新年度予算案に対し、総合均衡的な規模の縮小その他二三の特色を挙げておるのでありまして、こういう観点から果してその通りになつておるかどうか(「なつていない」と呼ぶ者あり)ということも批判することもできましようが、時間の都合もありまするし、(笑声)「、瞬間はある」と呼ぶ者あり)私はむしろ端的に、過般来予算の審議におきまして特に問題となつた観点からこれを討論して見たいと思うのであります。(「政府が迷惑だ、君の賛成は」「大蔵大臣が頭をかいているぞ」と呼ぶ者あり)  今次予算案の審議過程において、予算に直接関連して最も問題となりました点は、予算と物価情勢との関係、換言しますならば、いわゆる予算と物価とのズレの問題であつたろうと思うのであります。即ち曰く、との新予算は昨年の十月頃の物価を基準として作られておる。(「お先真暗だ」と呼ぶ者あり)然るにその後、物価は相当上昇しておるのみならず、又今後も更に上昇するであろうから、この予算案はもはや客観情勢とズレておる。使いものにならないから根本的に組み直せ。若しくは返上するというような議論でありました。(「当り前じやないか」「暴論だよ」と呼ぶ者あり)成るほど朝鮮動乱の勃発以来、物価は相当に上昇しております。殊に生産財において上昇の傾向が甚だしいのであります。併しながら、そもそも予算を編成せんとする以上、或る時期を画しまして、それを基準とする以外に方法は絶対にない。勿論その後、物価は変動するでありましよう。併しその見通しは誰にもわからないのであります。(「馬鹿を言え」「大蔵大臣はわかつておると言つたじやないか」と呼ぶ者あり)現にずつと上昇の一途を辿つて参りました国際商品が、最近におきましては、ここもと頭打ちと申しましようか、むしろ一部のものは反落しておるのであります。又先般来民間の備蓄輸入の問題と関連いたしまして、物価反落の場合に対する保証を業者が要求しておるのでありますが、若し上るときまつておればその必要は全然ないのであります。このように今日の情勢におきましては、如何に今日物価の先行者見通しが困難であるかということを、これは例証するものだと思うのであります。もとより一般情勢から観察しますならば、なお物価の先行きは上る、じり高であると見るのが常識であるかも知れません。よろしい、それを承認しましよう。併しそれにいたしましても、今後半年なり一年なりの問に、果して二割上るか、三割上るのか、或いは五割上るか、二倍になるか、誰がはつきりこれを確言し得ますか。こういう情勢におきまして、或る基準時に対し例えば二割増しで予算を組むということは却つて根拠がないのであります。その意味におきまして、私は現在この予算を組替えるとか或いは補正するとかというよりは、むしろ一定時期の経過後、そのときに、果して客観情勢が真に要求するならば、そのときにおいて補正予算を提出するのが妥当ではないかと思うのであります。更に申しますならば、或る程度の物価上昇が現実になりましても、單に単純にこれに応じて予算を増加するという態度を是認すべきでありましようか。それは取りも直さずインフレに対する屈服であるのみならず、却つてこれを助長するゆえんでもありますので、我々はこの際多少の物価上騰があろうとも、できる限り予算を増額せしめないで、むしろ財政をしてインフレに対するブレーキたらしめようという気魂、心構えが必要であると確信するのであります。(拍手)いわゆる物価とのズレの問題はあらゆる支出項目についてあるわけでありますが、特に例えば公共事業費の問題であります。新年度予算は千百五億であります。本年度に比べ七十五億の増加、又地方負担をも加えますと、公共事業総経費は千六百七十一億円でありまして、本年度に比べ百四億円の増加となつております。ところが、こんなことではとても足りない。これを増額しなければ到底予定の事業は遂行できないという批判があります。成るほど予算編成当時の単価に若干のゆとりが見込んであつたといたしましても、物価がそれ以上大幅に上昇するならば計画通りの事業の遂行はできませず、従つて予算を増額するなり或いは事業量を減らすなりしなければならないのであります。併しながら先ほども申しました通り、物価の前途は予断を許さないのみならず、仮に或る程度の物価上昇が必至であるといたしましても、これに応じて予算を増額するばかりが能ではない。場合によりましては事業量を若干減らす余地も絶無ではありますまいし、又いよいよの場合には補正予算を提出すればいいのであります。ただ最近の物価情勢だけから見て今直ちにこの予算を訂正せよとかというがごときは妥当でないと想うのであります。又仮に訂正して見たところで、それで一年間又々訂正する必要が起らないと誰が保証できましようか。(「給與ベースはどうした」と呼ぶ者あり)  更に同列の問題でありますが、価格調整費即ち補給金予算の問題であります。その金額は二百二十五億円でありまして、輸入食糧のみを対象とすることになつておるのでありますが、輸入食糧の予算單価と現在の実際輸入価格との間にはすでに相当の幅があるのみならず、この幅は更に今後一層拡大されるであろうから、三百二十万トンの食糧輸入が計画通り行われますならば、これでは少くとも一、二百億ほど足りないであろう、こう言うのでありますが、この議論に対しまして、政府は、近く国際小麦協定に入る見込であるから、これによつて相当安い小麦を買えることができるのみならず、又日本船の使用によつて船賃も安くなるであろうという答弁をしておるのであります。それはいずれも見込である、希望であると称するならば、それならば今年度の年間を通じたこの予算上の基準価格というものが、果して今後のものよりも低いということ、これ又見込だけの問題であろうと思うのであります。更にこの点は、これは事実そうなつては困るのでありますけれども、食糧の輸入が三百二十万トン実現するかどうかさえもこれは特来のことでありまして、はつきり言えない事実であります。勿論大事をとるならば、価格調整費を今少し多く見込んで置くということも或いはいいかと思いますけれども、只今申しますように、今日の物価の前途はわかりませず、又情勢の発展如何によりましては価格調整費そのものを再び爼上に乗せるという時期が来るやも知れず、要するに今日の事態は目まぐるしく動いておるのでありますから、單に目先の多少の物価の上騰のみから、この金額に今手を着ける、変えるという必要はないと私は思うのであります。  新年度予算において、インフレの立場から私が最も注目しておるのは、一般会計から外国為替資金特別会計への五百億円の繰入れ、即ちいわゆるインベントリー・フアイナンスの問題であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)政府の見積りによりますと、昭和二十六年度における国際収支は外貨の受取十四億六千万ドル、支拂十三億八千二百万ドル、差引き受取超過七千八百万ドルでありまして、これに日銀の外貨貸付制度の関係等を加え、外国為替資金特別会計における円資金の不足見込額は五百億円、これを一般会計から繰入れようというのでありますが、諸般の情勢、特に貿易外の収支等の見込等を総合いたしますと、年間を通ずる外貨の受取超過がこの程度でとどまるかどうか、もつと多くなりはしないかという疑いがありまして、若し多くなるとするならば五百億の繰入では足りない。この点からインフレになる懸念があるのであります。無論、輸入促進等に対しまして全力を盡さなければなりませんが、それにいたしましても、過去数カ月の推移その他の事情から見まして、今後貿易インフレこそ私は最も警戒を要するところだと思うのであります。現に今年度予算の場合におきましても、当初は政府資金の引揚超過約一千億近くを見込まれておつたのでありますが、警察予備隊の関係もあるにもせよ、主として貿易の関係から、逆に六七百億円の支拂超過が見込まれておるのであります。即ち差引一千数百億円の違算を生じておるのであります。然るに何ぞや、あたかも政府に対して声を大にしてインフレを警戒しておるところの諸君が、このインベントリー・フアインナンスの五百億円を削除して、これを他の用途に使おうというのである。(「そうだ)と呼ぶ者あり)そうして外為資金における不足資金に日銀の通貨増発によつて賄おうというのでありますから、その矛盾たるや実に呆れ返つてものが言えない。曾つて第一次大戰当時、政府は合計十七億円、今日の金にしますならば、恐らく数千億円の財政資金を使つて輸出超過によるところの外貨を買上げた。それにもかかわらず、なお、貿易インフレが防ぎ切れなかつた。この事実を想起する必要があると思うのであります。(「忘れたか」と呼ぶ者あり)  なお、地方財政平衝交付金一千百億円の問題につきましては、予算委員会の小委員会におきまして、地方財政委員会の勧告額一千二百九億、これを妥当と認めるという結論を出し、(「その通り」と呼ぶ者あり)そうして予算委員会にこれを付議したのであります。その採決に当りまして、我々は(「賛成」と呼ぶ者あり)今直ちに予算の変更を行うとか或いは将来行うことあるべき予算編成に当りまして金額的の制約を加えては困るという、こういう立場から我々は反対したのでありますが、政府も、小委員会の結論は、その精神においても毫も反対するものではなく、できる限りその趣旨に副うように最善の努力を盡すとはつきり申しておるのであります。この意味におきましては我々も全面的に賛成なのであります。(「よしく」「忘れるなよ」「終戰処理費もお願いしますよ」と呼ぶ者あり、笑声)  次に歳入面におきましては、政府はかねて減税に対し異常な努力を拂つておるのであります。昭和二十四年度並に昭和二十五年度に亘る画期的な減税に引続き、今回も又七百四十三億の減税を予定しております。ところが、かねて、いわゆる税法上の減税に対し、それは減税でないという議論も行われておるのでありますが(「その通り」と呼ぶ者あり)これは甚だ奇怪なことであります。(笑声、「地方税を忘れたか」と呼ぶ者あり)論者は、税法上の減税があつても、物価騰貴等によつて生活が楽にならないから減税ではない、或いは税の絶対額が減らないから、減税でないなどと申しておるのでありますが、これは中学生の場合にもあるまじき観念の混淆と言わねばならないのであります。(「何を言うか」「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)勿論、インフレともなれば、税金は只になりましても我々の生活は苦しくなると思うのであります。それだからこそインフレ防止が必要であると思うのであります。(「程度の問題だよ」と呼ぶ者あり)こんな理窟がわからないはずはありませんので、恐らこれは嫌がらせの議論であると思うのでありますが、(「その通り」と呼ぶ者あり)それはともかく、卒直に言つて我が国の税金は、(「高い」と呼ぶ者あり、笑声)政府の数次に亘る減税にもかかわらず、今なお高いのであります。(笑声)誠に今日の日本におきましては、減税以外に善政はないと、こう言つても過言ではなく、この意味におきましては、(「高い高い」と呼ぶ者あり)現政府がかねがね減税を最大目標の一つとして勇敢に邁進して参つたことは、誠に我々は多とするものであります。(「何を言つているか」と呼ぶ者あり)然らば、一体どうすればもつと税金を安くすることができるでありましようか。(「自由党は一千億の減税をすると言つているぞ」「税金は安くなるか」「そうだ」「大蔵大臣に聞け」「自由党がやめればいい」と呼ぶ者あり、笑声)申すまでもなく、予算の圧縮、歳出の削減以外に方法がありようはずがないのであります。政府昭和二十四年度以来、総合予算の均衡を図りつつ、そうして、その規模の縮小に努めているのでありまして、国民所得に対する財政收支の割合は漸減しておるのであります。それだからこそ減税ができたのでありまして、誠に結構なことでありますが、慾を申しますならば、昭和二十六年度予算案のごときも、もつと圧縮すべかりしものと私は思うのであります。(「地方税はどうした」「どこを圧縮するか」と呼ぶ者あり)然るに予算審議における議論を聞いておりますと、あれも足らない、これも足らない、あれも殖やせ、これも殖やせ、こういう声ばかりであります。(「余り少いからだ」と呼ぶ者あり)不思議なことに、たつたここに一つの例外がありまして、これは要らないから全額削れとおつしやる。何かと申しますと、あたかも増額の必要こそあれ絶対に削つてはならないところのインベントリー五百億円であります。こういう見当違いの議論を除きましては支出を再検討せよという声はないのであります。それでいて、一方、税金は高い、減税にはなつていないと、こう言うのでありますが、これを一口にまとめて申しますと、どういうことになるか。(「選挙区へ行つてやれ」「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)もつと少く取つて、もつと余計に出せ、(「取る程度がある」と呼ぶ者あり)誠に結構な御意見でありますが、(「取り方が違うのだ」と呼ぶ者あり)同時に又、これ以上の非論理、不合理はないのであります。正直なところ、気分の上から申せば、そう言いたくなるのが今日の日本財政の現状であります、日本財政の姿でありますけれども、さすがに敏腕の池田大蔵大臣も、(笑声)財政上の魔術、財政上の手品は御存じないと承知しておるのであります。(笑声、「穴があつたら入りたいだろう」「わかつたわかつた」と呼ぶ者ありそこで、結局支出を増額せよという要求と、税金を負けろ、低くしろという要求との調和点といたしまして、一般会計の歳出入六千五百七十四億は、まあまあ然るべきところじやないかと思うのであります。諸般の情勢を考えまするに、今後も予算の圧縮ということはなかなかむずかしい。それならばせめて私は、今後予算を膨らませる、増額をさせることをしないように万全の措置を尽すよう、政府に強く要望するものであります。(「政務次官になれ」と呼ぶ者あり)  細目に亘り討論する時間がありませんので、ほんの二三の問題点を取上げただけでありますが、要するに昭和二十六年度予算案は、内外に亘る複雑な情勢下において、インフレの再現を警戒しつつ、減税、資本の蓄積、生産増強、民生の案定等の目標を盛り込んだものでありまして、勿論十全とは言えないが、大体において妥当のものではないかと私は考えるのであります。(「公務員の生活はどうした」と呼ぶ者あり)我々は一日も早く我が国経済を自立させ、国力を増強せしめて、そうして国民の誰もが(笑声、「いいぞ」を呼ぶ者あり)喜ぶどころの減税、誰もが喜ぶ予算、即ち負担は極めて軽く、そうして必要な事業はどんどん着着行われるような、こういう予算の(「言うことだけじやないか」と呼ぶ者あり)編成せられるような時代を待望しつつ、差当りは十分満足ではないながらも只今上程されております昭和二十六年度予算案に対し賛成意見を表明するものでありまする(「君は併し良心的だ」と呼ぶ者あり、拍手
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 櫻内義雄君。    〔「しつかりやれ」と呼ぶ者あり〕    〔横内義雄君登壇拍手
  59. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 私は国民民主党を代表いたしまして、只今議題に供せられております昭和二十六年度予算案及びそれに関連する諸案件につきまして反対の意思表示をするものであります。(拍手)  先ず第一に指摘いたしたいことは、朝鮮動乱を契機といたしまして、占領管理下にある我が国の実質的な立場は著しく変動したのでありまして、特にダレス特使が一月二十五日、訪日の第一声として、日本は相談すべき相手であり、戰勝国によつて支配さるべき被征服国でないと言われたことを想起し、かかる見地に立ちまして予算案を検討いたしたのであります。委員会において講和に関する幾多の論議が行われましたが、現在の情勢下にあつて我が国の安全保障については、総理も言われるごとく、財力を考えて自衛すべきであり、間接的侵略から自国を守るためには治安の万全を期すべきであります。直接侵略に対抗するには地域的集団安全保障の方針をとるべきものであつて、国連に安全保障を求めんとすれば国連に対し義務を負うべきものであり、且つ国連加入以外の安全保障は米国との提携によらざるを得ない立場となると考えるのであります。  予算面に現われております終戦処理費一千二十七億円、予備隊経費百六十億円、海上保安庁経費五十五億円、計千二百四十二億円は、歳出六千五百七十四億円に対する二〇%以上の大きな国民負担でありまして、政府の言う実質的な費用なりとせば、單なる占領費と治安維持費ではないのであつて、占領に伴う費用と治安維持の費用、朝鮮動乱に伴う自衛費を明らかにして協賛を求むべきものであると考えるのであります。更にこれらの歳出を真に国民の多数の支持によつて行わんとするならば、その前提といたしまして戰争犠牲者に対する援護を十分いたさなければならないのでございます。満洲事変以来太平洋戦争に至る、この間の戰死者の概数は二百一万と言われております。このうちの生活困窮者は百四十万であり、戰争未亡人は五十万であると言われておりますが、誠に残念の極みであります。これらは全くの概数でありまして、その行政担当官庁であります厚生省におきまして詳細な数字をつかんでおらないのであります。戰死者とその遺家族の総数、戦争未亡人数、傷痍軍人の数とその生活状況、生活に困難なる家庭の数、或いは原子爆彈の被害や戰災を受けた生活困窮者が明らかでないということは、多くの犠牲者のかたがたに対しまして誠に申訳ないと存ずるものであります。現在は御承知の通り、司令部の指令に基きまして、これらの犠牲者が特別の取扱を受けてはならないということからいたしまして、標準家庭の生活扶助費五千四百七十円を受けておるのに過ぎないのであります。この生活扶助費を受けております数は二百三十三万二千人に及んでおるのでありますが、この中に含まれておりまして、これらの戰争犠牲者が明らかでないということは、誠に残念に考えるものであります。更に現在抑留されておりますところのかたがたが三十六万九千有余と言われておりますが、御承知の通りこれらのかたがたも詳細な消息を知ることができず、死亡の概数が二十万人に及んでおると聞いておるのでございます。これらの引揚を要する人々のその留守家族におきましては、未復員者給與法におきまして給與を受けております。これらの人々は二万九千百五十三件、又軍人以外のかたがたが三千十一件となつております。誠に留守家族の数に比較いたしますならば僅かな数でございまして、而も御承知の通りにこれらのかたがたの給與は誠に僅かな、二千円と、そうして家族一人増すことに六百円、四百円ということになつておるのでございます。或いは傷痍軍人につきましては障害給奥といたしまして、六千九百七十七件の数のかたがただけが給與を受けております。御承知の通り傷痍軍人の年金は、失明、両眼失明、或いは両脚切断のかたがたが僅かに二千四五百円ということでございまして、我々といたしましては、本年度取りあえず五十億円くらいの援護費を計上いたしまして、推定できますところのこれらの戰争犠牲者に対して幾分なりとも援護をいたしたいということを考えるものでございまして、この対策に万全を盡さねば日本をみずから守らんとする愛国心が高揚できないことは当然であると考えるのでございます。  次に指摘いたしたいのは、世界的な臨戰経済の影響によりまして、本予算案が盛られましたところの諸政策の遂行は不可能であると言わなければならない。朝鮮動乱による特需は二月末現在二億四千余力ドルに及んでおりますが、このうちの需品関係は一億五千八百六十万ドルでありまして、食糧、繊維等、内需に影響のありますところの需要は七千万ドル余になつております。鉄鋼、機械、非鉄金属等は八千八百万ドル余でありまして、これがために我々が生活上にも非常な影響を受けておるということは日々体験しておるところでございます。六月二十五日を基準として一〇〇と見た場合に、諸物価は二月二十三日現在、精米一升が一一五であり、綿糸二十番手一棚一七〇であり、銑鉄一トンは二四五であり、鋼材一トン二五四、杉角材一六四と、非常に指数が上昇しておるのでございまして、公共事業費一千百五億円の政府目的とするところの事業の遂行に一大支障を来たすものであると考えるものでございます。又世界の軍需生産拡大は、原料獲得競争に伴つて、資材獲得の困難性と国際物価高の影響は顯著であります。例えば基幹産業であります鉄鋼業の一例を挙げますならば、本年二月の政府の資料によりますと、二十五年度におきまして、鉄鉱石二百五十万トン、強粘結炭百四十万トンの輸入計画に対しまして、大体年度内に七〇%程度しかこれが獲得ができないと言われております。本二十六年度の鉄鋼鋼材三百六十万トン計画に対しましては、鉄鉱石三百五十七万トン、強粘結炭百七十四万トンの輸入計画の遂行が必要でございますが、船腹との関係、或いは輸入先を睨み合せるならば、これが可能性は幾多疑問があるのであります。その上、従来香港や中国で買付けておりましたこれらのものは、主としてアメリカから買付けなければなりません。然るが故に、価格におきまして香港や中国から鉄鉱石は十二ドル、強粘結炭は十二ドル三十セントで買付けておつたものが、鉄鉱石のほうは、アメリカにおいて二十ドル、マレーにおいて十八ドルであります。又強粘結炭のほうにおきましてはアメリカにおいて二十七ドルのCIFの価格となつておるのでございます。その上、四月一日より補給金を撤廃すると共に価格統制を外して野放しにいたすのでありますから、他の諸物価に対する影響は甚大であると言わなければなりません。吉田総理は、各国とも軍備拡張をいたしておるために、食糧とか必要原料等が、殊に軍需原料等が非常に欠乏しつつある。又需要に対してその供給が逼迫しつつあることは事案である。この原料の確保或いは供給の不十分を補うのにどうしたらよいか、政府は苦慮しておるのでありますと、委員会において答えられております。国際的な影響について速かに予算を全面的に検討すべきであると考えるのでございます。更に本予算案審議中に日米経済協力の問題が我が国経済政策に重要なる影響を及ぼすものとして論議せられましたが、総理の答弁からは、この経済協力は軍事協力でないこと、アメリカ政府の考え方として日米親善をなすために、経済的にもこれを裏付けなければ日米関係が確立できない。又日本が各種の産業或いは工場等を持つてつて、これが遊んでおる、いわゆる遊休施設なるものが相当ありますから、これを生かすためにも米国経済の一環をなして、そうして互いに助け合つて行くということになれば日本の復興にも役立つと考えますというように答えられております。即ちこの日米経済協力と世界の臨戰経済との関係は経済自立計画を根本的に変更せざるを得ないのでありまして、同時に、如何に占領下とは言いながら、六ヵ月前に立案せられました本予算案を、かかる重大な情勢の変化に頬被りをして、このまま成立せしめるのに忍びない点があるのでございます。  第三には、国民生活の安定、なかんずく食糧対策に対する不安について指摘をいたしたいと思います。只今申上げました国際情勢を考えますときに食糧対策の重要なことは言うまでもありませんが、本予算案では、一つ、価格調整費が不足であるがために輸入食糧を量的にどうするかという問題がございます。又一つには、積極的な計画通りの増産ができないといたしますならば国内食糧の確保はどうするか、この二点に欠陷があると考えるものであります。カナダ、ビルマ、タイ、インドシナに対するフランス、英国の買付け競争がありまして、又非常事態宣言後の米国の食糧問題に対する一つの転換によりまして、買付け先の情勢は楽観を許さないのであります。輸入食糧に対する価格調整費については二百二十五億円計上されておりまして、その輸入量は三百二十万トンと言われております。オーストラリア及びカナダ各四十万トンの輸入計画でございますが、現在これらのCIFは百ドルに及んでおります、併しながら予算両におきましては八十四ドル乃至八十六ドルとして計算をせられておるのでございます。即ちごの程度の価格調整費を以ていたしましては、輸入量の減少をするか或いは消費価格の値上りをせしめるかで、国民生活に最も関係の深い食糧に対する不安を與えることは、政治の衝にある者として考えなければならない問題であると思います。  本年の食糧増産計画は米におきまして六千三百三十六万石であります。麦は二千四百七十六万石でございますが、これに対する増産のための費用といたしまして、土地改良費は五十八億円、開拓費は六十三億円、食糧増産として二十六億円、計百四十七億円を予算面に計上されておりますが、物価高による事業量の減少はその増産に非常なる影響を及ぼすものであると考えるのであります。又、食糧増産に関係ある肥料につきましては、麦作に必要な過燐酸石灰に要する歳入燐鉱石は、絶対必要量九十六万トンでございますが、(「時間がないぞ」と呼ぶ者あり)昨年のCIF十五ドルに対しまして現在の二十七八ドルいたしております。即ち補給金七十五億円余がなければ現在の価格を維持することができず、十貫日時価三百七十円は六百円以上になるのでございます。このような価格調整費の不足については、速かに補正予算に計上し、一日も早く国民の不安を除くと共に、国内食糧増産のために、灌漑排水、秋落田改良、耕地の区画整理等、直ちに増産に寄與できる、或いは明年の作付に間に合う土地改良費の国庫補助四十五億円余を増額計上してもらいたいのでありまして、国際情勢の変転に対応し、太平洋戦争中の悲惨な食糧事情に思いをいたして、積極的な、万遺漏ない食糧対策を樹立し、この面からの国民生活の安定を図るべきであると考えるものであります。  次に税制改革につきまして指摘いたしたいのは、大蔵大臣は、その目的といたしまして、一には減税、二には負担の公平化、課税の適正化、三には資本蓄積等を指摘いたしておりますが、朝鮮動乱後の物価高と補正予算必至の現状から、政府の言う税法上の七百四十三億円の減税は、逆に二十六年度中に実質的には国民の負担の増大にならざるを得ないのであります。大蔵大臣は、(「大蔵大臣はどうした」「大臣は怠けているじやないか」と呼ぶ者あり)非常に米価が上つて、所得税の軽減以上に暮し向きが惡くなつても、これは減税は減税なんですと、うそぶいているのであります。  次に負担の公平化、課税の適正化に一言触れたいのであります。法人税については、一月末五百七十二億円の予算に対し五百九十二億円、一〇三%の税政になつております。然るに申告所得税につきましては、一千一百七十一億円の予算收入に対して五百三十五億円、四五%しか確保しておらないのであります。このような傾向に対し、大蔵当局としては、二十六年度收入予算に際しては所得税、法人税の見積りは、これは十分考慮したと言うが、法人税六百三十六億円については相当な自然増收があることを指摘せざるを得ません。  最後に特別会計について注意すべき点は、昭和二十五年度において見返資金と資金運用部資金特別会計において千七百億円の引揚超過があつたに対し、外国為替特別会計におきましては一月末二千四百五十八億円の撒布超過となつております。特別会計の運用が拙劣であることを顯著に現わしておりまして、本二十六年度の計画遂行について危惧せざるを得ないのであります。見返資金特別会計で、経済再建費七百五十四億円の内容が含まれております。又、私企業施設三百五十億円中、電力や海運に百五十億円と百十五億円と計上されております。昨年度におきましては、大幅にこれが使用残が出ておるのであります。資金運用部資金は、翌年度への繰越四百三十億円であり、運用資金として起地方債の枠を地財委の勧告通り四百億円を五百八十五億円にすることは、さして至難でないと考えます。  次に外為替会計の五百億円繰入れについては、外為の受取超過二百八十億円と日銀ユーザンスによる資金不足分とで五百億円見込み、通貨膨脹、即ちインフレ防止の一策としてとられる措置であると言われますが、我が党従来の主張通り、これは日銀借入金による金融操作に行くべきであり、インフレ防止については輸入に対する積極政策をとつて外為会計の收支、バランスをとらせるのが、現下の日本の置かれておる状況から当然であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)輸入に必要な金融については正常なる金融操作によるべきであつて、国民の血税によつて輸入に対する無策をカバーすることは反対であります。この五百億円を財源といたしまして、他の一層効果ある、緊急なる食糧増産、争犠牲者の救済とか、地方財政委員会の勧告通り平衡交付金を千二百九億円とすべきを主張するものであります。  以上の諸点により本予算案に対して反対の意思表示をするものであります。(拍手
  60. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 藤野繁雄君。    〔藤野繁雄君登壇
  61. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今議題となつております昭和二十六年度一般会計予算、同特別会計予算並びに政府関係機関予算に対し、私は緑風会を代表し、次のごとき要望を付して賛成いたします。  緑風会は昭和二十六年度予算について、その編成の根本方針並びにその実施の途上において惹起すべき支障等に関して重大なる危惧の念を抱くものでありますが、本予算が年度内に成立を必要とする事情止むを得ざるものあるを考え、これに賛成するものであります。    〔「それじや反対じやないか」と呼ぶ者あり)  本予算に対し我々の最も危惧するところは、第一に、朝鮮動乱とこれに伴う世界情勢の緊迫化に基因する政治的諸要請、並びに講和條約の締結とこれに関連する国内体制の整備等に対して、この予算が果してよく現実に適応し得るか否かということであります。即ち、世界的軍備拡充情勢並びに対日講和條約締結等に伴う我が国経済体制の調整及び国内治安体制等が、この予算の変更を当然に必要とするのではないかということであります。  第二の点は、国際情勢の激変により、海外物価は継続的に騰貴し、又これが波及して国内価格の高騰を招来しておりますが、これがために、この予算編成当時の予算單価と今日の物価との間には相当大幅な開きを生じており、政府が当初予期した均衡予算は、その実施に当つて重大な支障に直面するであろうという点であります。かくのごとき本予算の非現実性については、政府も十分そのことを認識しておられるはずでありますから、この際、補正の必要を卒直に認めて、その補正方針を明らかにすることが、政府の当然の責任であると思考せられるのであります。然るに政府はこれについて何ら明確な見解を示さないことは甚だ遺憾であります。政府は速かに全予算に亘つて愼重な検討を加え、現実に即応し、且つインフレ促進の虞れのない予算補正を実行することを強く要望するものであります。  第三に、審議の過程において最も論議の焦点となりました地方財政平衡交付金の増額、食糧増産対策並びに農業協同組合再建整備その他農業関係費、中小企業振興、社会保障関係及び文教関係費の増額等については、その重要性と緊急性に鑑み、その早急なる実現が強く要望されております。特に地方財政平衡交付金の増額と地方起債の枠の拡大等については、緑風会はその実現を極力要望し、努力したのでありますが、遂にこれが実現を見るに至らなかつたことは甚だ遺憾とするところであります。これらの要望に対して、政府は近く予算の補正を行い、その実現につき最善の努力をすることを強く期待するものであります。  我々は以上のような要望を付して本予算案に賛成するものであります。(拍手
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 東隆君。    〔東隆君登壇拍手
  63. 東隆

    ○東隆君 私は第一クラブを代表して、只今上程されている昭和二十六年度の各予算案に対し反対の意思を表明するものであります。(拍手)  我々は二ヵ月以上をこの予算案と取組んで来たのでありますが、時がたつに従い、審議を重ぬるにつれ、大蔵大臣が自信満々我々に説明をされたことがわからなくなつて参つたのであります。(「そうだ」「頭が悪いからだ」と呼ぶ者あり)恐らくそれは猫の目のごとく変る国際情勢の変化を考えないで、昨年十月頃の物価水準その他を基準とされて編成されたこの予算案を、非常識にも変更無用、補正無用と強く支持するところにあると思います。蔵相は言つている。「今度の予算案は今まで自分が手をかけた五回の予算のうちで一番満足できる予算と思つている、(「本当かな」と呼ぶ者あり)減税は七百億円確保し、価格調整費も二百五十億円に圧縮し、文教、社会保障費も充実した。」このようなことは、この本議場においても、又予算委員会の席上においても、質疑を通してたびたび言われたところであります。そこで私は、大蔵大臣が五回の予算編成のうちで一番満足されているとい今回の予算案を説明されるに当つて本予算の特色として誇示されている事項がありますので、それについて批判をしつつ反対理由といたします。  蔵相がお得意になつて御披露されているところの第一点は、総合予算の均衡、財政規模の縮小ということであります。政府一般会計から外為会計に五百億円繰入れて総合予算の均衡を図り、価格調整費を大幅に削減して財政規模の縮小をやつたと説明をしていますが、政府の本当の考え方は一体どこにあるのかわかりません。そこで、政府がたびたび自由党と共に国民に公約をした減税をやり公共事業費を大きく奮発する考え方を卒直に盛つている原案ともいうべきものが、昨年の九月二十日の閣議で決定をしております。これはその後に来ましたドツジ氏に煩わされないところの政府快心の原案であると私は思うのであります。そこで、これと二十五年度の予算及び今回のものを比較をすると、政府の真意が奈辺にあるかを分明にすることができると考えるのであります。即ち一般会計について見ると、二十五年度は六千六百四十六億円、二十六年度の原案は五千九百八十一億円、二十六年度の案は六千五百七十四億円であります。二十五年度と二十六年度原案とでは六百六十五億円の減になつているのでありますが、二十五年度と二十六年度の予算では七十二億円の減にしかなつておらないのであります。六百六十五億円の減ならば二十五年度の総予算の一割に相当をいたしますが、七十二億円では一%ちよつとの減にしかならないのであります。補正必至であるところのこの場合に、こればかりのものでは私は忽ちオーバーしてしまうだろうと、こう考えるものであります。決して財政規模の縮小ではないと私はあえて言うのであります。そこで政府は苦肉の策を考えて、国民所得との比率において財政規模が縮小したと申していますが、国税と地方税と物価高騰による代金を同じ財布から出しているところの国民は、政府のようには考えないであろう。(拍手政府はドツジさんに原案をいじくられて気が動転したのではないかと私は思うのであります。(拍手)余り得意になつて誇示すべきものではなく、正直に中身をおつしやつたほうが私はよいと思うのであります。  第二の特色は、国民負担調整軽減及び資本蓄積の促進を目的とした大幅な減税、これであります。これも前例にならつて歳入の眼目である租税について見ると、はつきりいたします。二十五年度四千三百六十億、二十六年度の原案は三千七百九十一億、二十六年度は四千三百六十億、二十五年度と二十六年度原案の差のように減が五百六十九億円ならば、人も我も、成るほど減税をしたな、さすがは池田大蔵大臣であると考えるくもあるかも知れませんが、(「残念」と呼ぶ者あり)二十五年度と二十六年度の差引ゼロの減では、如何に税法上の減を誇称されましても国民は納得しないのでありましよう。これも公約の手前、すりかえ説明をやつていると言わざるを得ません。次の資本蓄積の促進を目的とした大幅な減税という点に至つては、政府はいよいよ露骨にその性格を現わしているというべきでありましよう。池田蔵相が、法人は個人の延長であるから、法人に課税することは二重課税だから減税をするのであると説明をされているのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ここでは法人論をやる私は時間を持つておりませんが、法人には営利を目的とした法人と営利を目的としない法人とがあります。典型的なものは、営利を目的とした法人は会社であります。営利を目的としない法人は協同組合であると思います。会社に課税をすることは二重課税にはなりませんが、協同組合に課税をすることは二重課税になるのであります。利益のないところに課税すれば二重課税にならざるを得ませんが、利益のあるところに課税してどこに二重になるのでありますか(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)蔵相は完全にこの点を混同をしておるのであります。(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)国や地方自治体の仕事は営利を目的としておりません、それに税金をかけるのは不合理なのと同様なのであります。これがわからないようなのは頭が混乱していると私はあえて言うのであります。(「君の頭が混乱しているぞ」と呼ぶ者あり)更に営利法人に減税し、償却の年次を早めて社内留保を増加させ、資本蓄積をさせることは、資本蓄積には成るほど役立つが、これは税金逃れには都合がよいが、この資本蓄積の方法は明らかにコストを上げる。従つて大きな独占的な企業がこれをやり、その製品を公々然と高く国民に売付け、おまけに税金は拂わなくてよろしい、これでは国民こそはいい面の皮であると言わざるを得ないのであります。(「そんな理論はないぞ」と呼ぶ者あり)よろしく国は利益を上げている法人から適正に取立て、個人の負担の面においては控除額を引上げるとかして減税の措置を講ずべきであると思うのであります。  第三の特色は、民生の安定、文教及び科学の振興についてであります。先ず前例によつて、社会政策的経費即ち民生安定の政府の積極的な意図は如何ように変更をされて来たか。これを見ますと、二十五年度は三百八十六億円、二十六年度の原案は五百四十四億円、二十六年度は五百六億円、二十五年度と政府原案では百五十八億円の開きがある。それが二十五年度と二十六年度では百二十億円の増になつているが、原案と比較をするとマイナスの三十五億円であります。これも減額をされておるのであります。政府は百二十億円の増額を説明して曰く、生活困窮者の保護、健康保險その他の社会保險、結核対策を初めとする保健及び衛生、失業対策、同胞引揚援護等に関する経費は、二十五年度に比較して約三割、百二十億円の増額を見ている、かく申していささかお得意でありますが、自由主義経済を主張している自由党諸君、そうしてその支持の下にある政府の当然の考え方は、歴史が明らかに証明しているように、社会政策的な経費、特に社会保險のごときものは、その時代を支配しておる階級のお慈悲から出発しているのであります。日本の現実のこれらの経費は止むを得ずして出しておるものであつて、積極的な社会保障の費用ではないのでありますから、逆説的に若しこれを言いますならば、好ましくない社会状態が現出しておるのに対して止むを得ず増額をされている経費だと考うべきであります。(「ひねくれているな」と呼ぶ者あり)文教費について見るならば、その公共事業費のうち、即ち文教施設分として二十五年度には五十七億五千万円、二十六年度の原案においては七十六億一千万円、二十六年度は五十六億七千七百万円になつております。政府原案は二十五年度に比較して十八億六千四百万円の増であり、吉田首相の編成当時文教費に増額をせよとの鶴の一声で以て増額をされたところの這般の事情がよくわかるのでありますが、二十六年度になりますると、どうしたことか二十五年度よりは七千三百万円の減になつておるのであります。これでは文部関係委員諸君が超党派的に決議をして我が予算委員会にその増額方を申込んでおるところの理由がはつきりするではありませんか。これでは文教に熱心な吉田首相の庇護の下にある文相は完全に大蔵大臣にオキユバイせられていると言わざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)憲法によつて保障されているところの生活権、義務教育を受ける権利、さては教育の機会均等など、この手近な再建日本のための基本的なものを培養するためのこの経費は少いのであります。そこで、これでは足りないのである。(「もう時間だ」と呼ぶ者あり)為政者としては甚だ申訳ないと国民に向つて了解を求むべき代物であると思うのでありますが、それを何ぞや、かく宣らせられるのは如何なる理由であるか。  次に第四の特色であります。政府資金の活用による資源開発、産業の有成合理化等のための資金供給の確保という点であります。自由主義経済の原始的な害え方はレゼ・フエーアである。御承知のように国家は国民のことには成るべく介入しないで、最少の経費で因を維持するというのであります。この意味において、自由党と今の政府が統制を外すことは、この原則に極めて忠実でありますから、アダム・スミス君のあの世からの御冥助があると思いますが、時代は変つておるのであります。この考え方も次第に進んで参りますと、国家の力を利用して一部の産業資本家が資本の蓄積をやるようになる。つまり介入しなかつた国家が逆に国民のことに介入するようになりますが、而も特定の人間に支援をするようになるのであります。このことは高度の資本主義国家を形成した日本といたしましては当然その経験を持つておるのであります。政府資金が長期産業資金として供給されることは、表面は極めていいのではありまするが、それが公的独占形態の企業に投ぜられまするならば、国民大衆はそこからお話のような福祉を得られるのであります。けれども、それが誤まつて私的独占の企業形態に導入されるときには、国民大衆の福祉にはならないで、却つて国民の不幸を招く原因となると思うのであります。戰後幾多の法律が出ております。独占禁止法、過度経済による集中排除法、事業者団体法等は、如何にして私的独占を禁止して、経済の民主化、産業の民主化を徹底させるかのための法律なのであります。この精神から、明らかに政府の産業資金の出し方は、公企業と協同組合に対するもの以外は誤まつておると思つております。而もそれが見返資金とか或いは預金部資金である場合には罪惡であるとさえ言いたいのであります。国の再建は我我の望むところであります。併し前轍を繰返してはならないと思うのであります。国が集めた資金は、国みずからの仕事か、国民大衆の福祉を増進するために使わなければならぬことはもとよりであります。従つて今日のように農業が国によつて行われているような様相を呈しておりますときには、農業の基本的な條件を整備するために国の資本を投入し、国費を以て助成すべきであると思います。それによつてこの国の生産は上り、農業者も自家労働に対する報酬を十分に得られ、日本の自立もできるというものでありますが、特定の産業資本家に投入することは、表面は理由があるようでありましても、国民全般の福祉には絶対ならないと思うのであります、事業が公益事業であつたといたしましても、私的独占の場合には、我々は十分に心してこれをやらなければならんと思うのであります。  以上で私の反対理由は終るのでありますが、何とかして少しでも改善をいたそうといたしまして地方平衡交付金の増額と地方公共団体の起債の枠の拡大とをするために努力をして参つたのでちります。併し遺憾ながら関係方面からのOKを遂にとることができなかつたのであります。(「当然」「時間時間」と呼ぶ者あり)このことに関しては我々の痛恨事であると同時に、一縷の望みを嘱されておつたところの天下の国民大衆の私は大きな嘆きであると思うのであります。ここに私はガリレオの法廷で述べた最後の言葉を思い起すのであります。「だが、地球は動いておる)(「いい男だぞ」と呼ぶ者あり)政府が如何ように二十六年度の予算を快心の作だといたしましても、近く政府は補正予算を余儀なくせしめられるであろう。このことを附言して、第一クラブを代表して強く反対の意思を表明して討論を終ります。(拍手
  64. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  65. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして昭和二十六年度予算各案に反対いたすものであります。  反対理由はたくさんございますが、その主なる点を要約いたしますれば二つであります  先ずその第一点でございますが、これまで二十六年度予算各案につきまして各党の議員諸君が、大まじめ、中まじめ、小まじめに賛成反対討論をされましたけれども、我々参議院は、実質的に参議院の意思を政府提出予算案に反映できない状態の下において予算案を審議せざるを得なかつたのであります。この点が原則的にこの予算に反対せざるを得ない点なのでございます。(拍手)言い換えれば、我々は政府提出の二十六年度予算各案に対しまして、実際上修正もできなければ否決もできず、そうかといつて審議未了にもできないという、誠に不合理の状態の下で審議を余儀なくされたのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)これは明らかに憲法第六十條の不備欠陷を現わしたものだと思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)これまで憲法第六十條のこの不備欠陷が現実に現われなかつたのは、衆議院を通過した予算案が参議院に回付されてから年度末までにその期間が三十日以内であつたからであります。ところが今回の昭和二十六年度予算各案は、初めて年度末までの期間三十日以前に参議院に回付されて来たのでありまして、本日、三月二十八日を経過してしまえば、参議院衆議院と異なつた議決をしようが、否決しようが、審議未了にしようが、実際問題として衆議院議決の通りに予算案が成立してしまうのであります。(「それでいい」「何がそれでいいんだ」と呼ぶ者あり)このために、この二十六年度予算の審議に関して著しい不合理と弊害が現われたのであります。先ず第一に、自由党が絶対多数を占めている衆議院におきましては、年度末までの期間二十日以前に強引に予算案を通過せしめようとしましたために、野党の審議が十分盡されないうちに多数を以てこれを打切り、国民生活に最も重大な影響のある予算案に対しまして国民代表として十分に審議をせしめなかつた、こういう事態が生じたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)第二の弊害は、参議院に予算が回付される以前に、すでに実質的に予算案が成立してしまつたと同様であつたために、政府は現実と全く遊離してしまつておるこの予算案を涼しい顔で参議院審議させて置いて、少しも責任を感じていないのであります。(「その通り」「なめてるぞ」と呼ぶ者あり)このため、政府は勿論卒直に申上げまして予算委員自体も審議に対して熱が乗らないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)特に政府の態度は、総理を初めといたしまして関係大臣の出席が著しく惡かつた。答弁は簡に過ぎ、或いは総理のごときは委員の質問中退席してしまつたのであります。又本日もここに総理は御出席がない。重大予算を審議しておりながら、おりません。(「連れて来い」と呼ぶ者あり)而も総理は非常に重大な今後の講和問題に関して、ダレス氏との会談、この内容については国民は知りたかつたのでありますが、参議院においては内容は言えないと突つぱねておる。併しながら昨日の財界との懇談会では、ダレス会談の内容に対して話したと伝えられる。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういうような状態、これは参議院を軽視するものではないでありましようか。更に又再軍備については、総理は軽々に言つてはいけないと言いながら、これについても予算委員会においては、社会党の山田節男氏の質問に対しまして、総理ほ、今でも再軍備はやりたいんだけれども、憲法が許さないからできない、こういうことを言つております。(「本論本論」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)これに対して、総理はそれでは現在の憲法が惡いと考えておるか、こう言いましたらば、自分はそんなことを絶対に言つたことはないと言いますから、私は速記録を示しながら、そうしてその事実であることを総理に申入れた。総理は、それが事実であるならば取消します、こういうことを総理は言われた。そうして国民に対しては、再軍備は軽々に言つてはいけない、こういうことを言つておるのです。明らかにこれは二重人格であります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)又参議院においてこういうことを言うのは、もう参議院を軽視しておる。実質的に予算が通つてしまつておる。だから情熱を傾けて参議院で国民の代表に答弁する熱意がない。その現われを我々は見なければならないと思うのであります。  このように非常に遺憾の点が多かつたのであります。こういう実情の下にあつて、我々は国民に対して二十六年度予算を真劍に十分納得行くように審議することができたということを言えるでありましようか。で、今回現われましたような予算審議上の惡例は、今後の予算審議の上にも重大な暗影を私は投ずると思います。我々はすでに占領下であるために、予算編成並びに予算審議の上に制約を受けておることは周知の通りであります。池田大蔵大臣は、この本年度の予算案は、これまで自分が手がけた五つの予算の中で一番上出来であると言われましたが、これは池田大蔵大臣は九月に五千幾らの別の予算を作つておつた。ところがこれは大蔵大臣が責任を持つて満足すべき予算であると言つたのに対し、違つた予算を作つた。これは大蔵大臣が手がけたんではなくて、ドツジさんが作つた。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それをもう満足すべき予算である、前に作つた予算は満足すべきではない、大蔵大臣として責任を持つてみずから作つた予算を満足すべきでないと言つておる。これは明らかに二重人格であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)このような重大な国政を、二重人格の総理、二重人格の大蔵大臣によつて運用されて行くことは、我々は不幸であります。我々国民は不幸であります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)こういう実情の下に、更に憲法第六十條の不備から、又参議院においては自主的に予算をこれを審議できないとなつて、二重に我々は予算審議について自主性がないんであります。予算審議に関する自主性は地を拂つて空しい、こういう状態になつておるんであります。こういうような状態の下で審議せられましたこの二十六年度予算に対して、我々は原則としてこれに賛成することができないのであります。これが反対理由の第一であります。で、御注意がありますので、本論に入ります。  反対理由の第二は、これまで社会党、民主党、第一クラブの諸君が指摘されましたように、この予算案が現実と全く遊離してしまつておる。更に又今後ますます遊離の度合を深める公算が大きいという点にあるのであります。この予算案が現実から遊離しているという理由は四点あると思います。  第一は、言うまでもなくこの二十六年度予算案は、政府のいわゆる自立三ヵ年計画を裏付けとしているんでありますが、この三ヵ年計画が崩れてしまつておるんであります。先ほど山本君は非常にまあ良心的な、自由党の弱点を良心的にまあお話になりましたが、(拍手)米三百二十万トン輸入というのは見込だから、これは実現できないかも知れないと、こういうことをおつしやいましたが、成るほど政府の見込では、二十六年度の、バルキー・カーゴ、嵩む荷物の輸入計画、これは千四百万トンでありますが、これに対して船は三百三十六万トン要るんでありますが、すでに通産省の調査でも三三%の不足なんです。もうすでに三百二十万トン輸入できないということは通産省によつて実証されておる。この意味で山本さんは非常に良心的に言われたんでありますが、併しそれによつて三ヵ年計画は崩れておる。輸送計画量も崩れておる、これが崩れますと、周東安本長官が心配してたびたび言われるところの国民生活水準、これは政府の計画通りに行かないのです。二十五年度は昭和九—十一年平均の八〇%、二十六年度八三%、二十七年度八六%、二十八年度八九%は実行できない。すでに現在において崩れております。このようなこの二十六年度予算の重要な裏付けとなつております自立三ヵ年計画がもう現実に崩れているにもかかわらず、これに対して政府はあたかも計画が実行できるがごとき状態の下で二十六年度予算を我々に承認させようとしているんですが、それは無理であります。  又この予算案が現実から遊離している第二の点は、これはすでに社会党或いは民主党、第一クラブの諸君が指摘されましたから、私は重複を避けて簡單に申上げますが、政府は総合收支の均衡を保ちつつ財政規模の縮小に努めたと言つておりますが、総合收支という場合に地方財政を含めることが当然でありますが、大蔵大臣はこれを含めなかつたということを言つております。地方財政を入れればもつと殖えております。又総会收支の均衡といつておりますけれども、これも先ほど山本氏が指摘されましたが、これは一般会計においては非常に引揚超過でデフレ的でありますが、外為特別会計を入れますと、総合收支におきましては一千億以上の支拂超過になるのであります。非常なインフレ的な予算であると我々は見ておるのであります。従いまして均衡を保つておらない。財政規模の縮小にも、これは最初政府は絶対金額の縮小を言つておりましたが、それがぐらついたために、国民所得との比率が低下することを以て財政規模の縮小ということにすり替えて来たのであります。これも実際と違うのであります。現実から遊離しておる。更に国民負担調整、軽減、資本の蓄積の促進を図るための大幅の減税を行うということも、これは現実と違つております。国民負担の軽減と資本蓄積のための大幅な減税はこれは両立するはずがない。併しながら仮に資本蓄積のために政府が社内積立金に対する税金を免除したり或いは償却の期限を短縮したりして会社の内部に保留させるという一連の租税処置を講じたことを是認するとしても、蓄積された利益を会社がどんどん配当してしまつていいという法はない。配当してしまえば、これは真の蓄積にはなりません。最近の時局に便乗した時局的な会社の配当は非常に殖えております。一割五分、二割、三割五分、四割、四割五分、どんどんと配当を殖やしておる。これは真の資本蓄積ではありません。資本蓄積に便乗して、高額所得者或いは不労所得者、額に汗して働かない人たちに対するこれは優遇措置であります。而も勤労者に対する税金はどうでありましよう。政府は七百億減税といつておりますが、実際は減税してないことは明らかであります。減税は高額所得者、法人、併しながら国民大衆は減税にはなつておらない。いわゆる税法上の減税は減税に違いないと言いますけれども、これは国民負担を軽減するための減税ではない。国民はそんな減税を望んでおるのではないのでございます。一例を挙げますれば、物価が騰貴しましたのに基礎控除とか扶養控除をそのままにして置いたならば、これは明らかに増税であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)インフレになつたとき、基礎控除、扶養控除をそのままに据え置いたら、これは明らかに増税であります。こういう点において税金は考えなければならぬ。ですから勤労者の生活を考えないから、基礎控除、扶養控除と物価騰貴との関係を無視しておる。減税というのはただ税率だけの問題ではないのであります。税金が一番多く、一番大衆が重いと感じておるのは控除の問題だ。最低生活を保障するに足るところの控除の問題なんです。この点、先ほど專門の山本氏が、これは中学生の議論だと言いましたけれども、山本さんは金融のほうには明るいようでありまするけれども、どうも税のほうについては、やはり身を以て体験されていないせいか、(「拂つたことがない」と呼ぶ者あり、拍手)これはお間違えではないか。とつくり又あとで議論をいたしたいと思います。  更に、二十六年度予算が現実と遊離している点は支出の面に現われております。この点につきましては、すでに各議員が述べましたから、詳しく申述べません。朝鮮動乱後物価は安本調査によつても市場物価は三月十日現在で六割六分上つた。又予算編成基礎のパリテイ指数は一九五が三二〇ぐらいになる予想であります。このように物価は非常に上つている。更に輸入食糧価格は現在においてさえ予算單価よりもトン当り十ドル上つている。これは政府委員がはつきりと答弁している。従つてこのように非常な物価事情に変化が生じたのに、この予算をこのまま遂行しようとすれば、各方面に非常な障害が生ずる。予定の事業ができないことは明らかであります。(「給與がとまる」と呼ぶ者あり)  更にこの予算案が現実と遊離しているところの第四点は歳入面に現われております。物価騰貴によつて根本的に国民所得の分配関係は変つている。時局的な産業、輸出産業、そういう方に面には、うんと国民所得が偏在しまして、他方の勤労者のほうには相対的に所得が減つて来ているんです。こういうように質的に国民所得の分配関係が変つているのに、これまでのような税制では、これは明らかに負担の非常な不均衡になるんであります。政府が言うような負担の公平或いは税金の軽減ということにはならない。これも現実と全く遊離しているのであります。  我々のほうの党としましては、二十六年度予算編成方針として、先ず第一に総合的なインフレ防止対策を立てなければならない。そのために海外インフレを遮断する方策を至急これを講じなければいけない。第二には、財政、金融、経済面に亘る社会主義的な、計画的な統制を断行しなければいけない。第三に、輸出、民需、特需、特に今後日米経済協力体制の推進によつて現われる新特需、こういうものと国民生活水準との調整を図つて、国民生活水準を低下しないように、政府の公約する八三%を確保するような、こういう措置を講じなければいけない。、こういう根本方針の下に予算を編成されなければならぬ。  更に歳出対策としては、新物価情勢に応じた予算の組替、地方財政平衡交付金の増額、給與ベースの引上げ、  歳入対策としましては、資本の蓄積に便乗する法人税の減税、高額所得の減税に反対するものであります。そうして超過所得税を徴收しなければならない。時局に便乗してうんと儲けている方面から超過所得税を徴收すべきである。又物価騰貴に基く国民所得の変化に応じて低額所得者に対する税の実質的な減税、  こういう方針において二十六年度予算各案は編成されなければならないと我が党は主張するのでありますから、ここに上程されております二十六年度予算各案は、これまで討論いたした通り、我が党の基本方針と絶対に相容れないものである。従いまして、以上の論拠から、労働者農民党は、政府提出の二十六年度予算各案に対し絶対に反対をいたすものであります。(拍手
  66. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手
  67. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、只今上程された昭和二十六年度予算三案に反対するものであります。  敗戰以来すでに五ヵ年を経過し、日本人はその完全なる主権の回復と平和確立のために、一日も早く講和が結ばれることを熱烈に要望しておるのであります。(「共産党の宣伝だ」と呼ぶ者あり)ところで、この講和には二つの道があります。その一つは、日本の自衛と安全保障の名の下に、国際協定を破り、ソ同盟、中華人民共和国を敵として單独講和を結び、日本に外国軍隊の駐屯を認め、更に日本みずからを再武装に駆り立てるところの道であります。これはダレス吉田会談以後次第に具体化されつつありまして、吉田自由党内閣の根本政策となつておるところであります。だが、これは講和ではない、戰争と奴隷化への道であるということをはつきりと我々は考えなければならない。他のもう一つの道は、ポツダム宣言の基本方針に副いまして、ソ同盟、中華人民共和国を含む四大国の会議協調による全面講和を結び、(「拒否権はどうだ」と呼ぶ者あり)日本から全占領軍の撤退を求めまして、日本の民主化、非武装化を飽くまで守り拔かんとするところの道であります。これは我々日本共産党の根本政策でありまして、平和と独立への道であります。然るに吉田内閣は秘密外交を固守しまして、人民を欺き、国際帝国主義者のための單犯講和を推し進めようとしておるのであります。それ故にこそ吉田総理は、予算委員会審議の席におきましても、口では全面講和が望ましいということをたびたび言つておりますが、実際は却つて言論、出版、集会の自由を剥奪し、全面講和運動を彈圧しておるのであります。本予算案はかかる吉田政策の集中的な現われである。これは日本人民のための予算ではなくて、むしろ外国のための予算と言つたほうがいい。(「研究しろ」「そうだ」と呼ぶ者あり)  先ず第一に私の指摘したいのは、予算案を通じまして、日本は外国の作戰基地とされ、日本人民は外国の傭兵とされるということであります。(「何を言つているのか」と呼ぶ者あり)その第一点としまして終戰処理費一千二十七億を挙げることができます。今日までこの重い負担も、日本民主化のために必要な経費と思えばこそ、歯を食いしばつて国民は耐えて来のであります。併し終戰後すでに六ヵ年、講和が今まさに近付きつつある今日、国家予算の約一六%にも当る一千二十七億もの莫大な占領費が一体なぜ必要でありましようか。政府は予算委員会における私の質問に対しまして、終戰処理費は日本政府の責任と自主性において組んでおると答えておるのでありますが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)その細目については何らこれを明らかにしないのであります。そうして二十五年度と殆んど同じだと繰返すのみであつたのであります。併しそれならば、その二十五年度の予算の様相を見ますと、朝鮮事変以後、終戰処理費の支拂は非常に増加し、この費用で建設され補強されました基地からは爆撃機が飛び立ち、軍艦が出動しておることは周知の事実であります。日本人民が終戰処理費は占領費のみでなく作戰費にも使われておるのではないかと疑問を起すのほ当然のことと言わなければならない。若しそうでないというならば、政府は先ず国民にその内容を明らかにすべきである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)然るにそれをしていない。それだけではないのであります。最近米国の州兵二ヵ師団が日本に派遣されるということが新たな日程に上つております。これは何のための、如何なる性格を持つた軍隊であるか。外人記者ロバート・マーチンの伝えるところによりますと(「予算をやれ」と呼ぶ者あり)州兵派遣は過日のダレス吉田会談の結果であり、その目的としましては大略次の四点を挙げているのであります。即ち一、新兵の訓練には日本が最も好適地であるということ、二、緊急の事態が起つた場合、日本を、満洲、中国本土若しくはソ連の原爆施設地帯の爆撃基地として確保しなければならないということ、三、第三次大戰が起り、米軍が朝鮮から撤退せねばならぬ場合、戰術上、日本の基地を飽くまで確保する必要があること、四、中国が台湾を攻略する場合、必要があれば州兵をその防衛のため移動させること、などであります。ロバート・マーチンのこの指摘のようでありますれば、これは明らかに占領軍ではなくて戰略軍であるのであります。(「予算の問題をやれ」と呼ぶ者あり)言うまでもなく、目下、日本はポツダム宣言による占領下にあり、日本に駐屯する外国軍隊は(「予算をやれ」「終戰処理費の問題だ」と呼ぶ者あり)日本を民主化し非武装化するための占領を行うのみであつて、断じて防衛軍、戰略軍などであつてはならないのであります。而もこの州兵駐在の費用がどこから出されているか、これらの問題につきまして私は吉田総理に質したのでありますが、総理は終始、答えられないの一点張りであつたのであります。これは日本人民のために甚だ不忠実な態度と言わなければならない。吉田秘密外文の正体がまさにこれであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)総理は二言目には侵略とか防衛とか言つているのでありますが、そもそも日本は今どこから侵略の脅威を受けているのでありますか。(「共産党」と呼ぶ者あり)それはソ同盟であるか、それとも中国であるか。(「共産党」と呼ぶ者あり)先ず何よりも明らかなように、これらの国は日本に軍事基地を持つていない。又軍事基地を要求していない。(「日本共産党じやないか」と呼ぶ者あり)それどころか、人民生活の無限の向上と平和政策を一九一七年の革命以来一貫して堅持しているのがソ同盟であります。(「嘘つけ」と呼ぶ者あり)然るに外国の侵略に名を借り、自衛確保の名分を以ちまして兵を大陸に押し進め、遂に野蛮な侵略戰争に人民を駆り立てたのが日本の帝国主義者どもではなかつたか。(「呆れて聞いておられん」と呼ぶ者あり)よく聞いていなさい。(笑声)現に第九十帝国議会の新憲法論議におきまして、吉田総理は、「近年の戰争は多くは国家防衛権の名において行われたことは顯著な事実であります。故に正当防衛権を認むることがたまたま戰争を誘発するゆえんであると思うのであります。」と答えまして、帝国主義侵略戰争のよつて来たるところを明らかにし、みずから進んで戰争放棄の確信を語つたのであります。ところがどうでしよう。今同じその総理大臣が外国侵略を説き、自衛のための外国軍隊の駐屯を、人民と国会には何ら諮ることなく、独断的な秘密外交によりまして暗々裡に推し進めているのは、何という矛盾かと言わなければならない。(拍手、「寝言を言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)「この道はいつか来た道」という歌があります。果して然らば、吉田総理とその内閣は、又自由党は、国際帝国主義者の命ずるままに、曾つて日本の帝国主義者どもが歩いたあの破滅の道を再び歩まんとするものと断ぜざるを得ないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、(拍手)  而も問題は終戰処理費だけではない。公共事業の名の下に、軍事目的を持つと思われる道路、港湾、レーダー基地などが建設されておるのであります。(拍手)更に又警察予備隊及び海上保安庁があります。今日これが日本陸海軍の復活であるということを疑う者は誰もいない。街を歩いている彼らの姿を見るがよい。どこの国の兵隊かと疑わざるを得ないのであります。ただ違うことは、その給與がアメリカの兵隊さんの十二分の一に過ぎないということだけであります。(拍手)吉田内閣は、国際帝国主義者のための人的資源として、この安上りの軍隊を更に増強しようとして、その費用がすでに予算の中に隠されておる。即ち使途不明の見返資金経済再建費七百五十四億円その他いつでも流用できる資金は実に三千億近くにも達するのであります。  本予算案の特徴的な性格としまして第二に我々の指摘したいのは、日本の産業が西欧の軍拡経済の一環として編入され、アメリカ経費の下請となることであります。現在日本の軍需工場や旧軍工廠がポツダム宣言や極東委員会の諸決定に違反しまして続々復活され、朝鮮作戰のための兵器廠と化しておるのであります。すでに一億四千万ドルに達する特需の多くは、鉄條網、ロケツト彈部分品、兵舎、軍用自動車そり他兵器の修理加工費等であります。最近の報道によれば、この軍需生産は更に拡大され、いわゆる日米経済協力の名の下にアメリカ軍拡経済の下請にしようとする動きが進められておるようであります。ダレス氏が帰国後アメリカ国務省に宛てた報告書の中で、砲の照準器双眼鏡、パラシユートなどを製造するために日本の労働力と生産設備を利用することは、西欧にとつても重要であり、このような日本の軍事的寄與の基礎となる日本の経済力はできるだけ速かに復興さるべきであると言い、又三月十日のワシントン発UP通信の伝えるところによりますれば、インドシナで戰つておるフランス軍に供給するため日本に貨物自動車その他の軍需資材を製造させることになるであろうと言つておるのであります。(「何のことだ」と呼ぶ者あり)最近、総司令部では、日本産業の生産能力調査を政府に命じ、又日本政府も緊急経済政策なるものを立案しておるということであります。これによりますと、日本の生産計画は、安本の自立経済三ヵ年計画の最終目標を遥かにオーバーするのみか、太平洋戰争の最高生産水準にも匹敵するものがあるのであります。政府は予算委員会における私の質問に対しまして、この事実を頭から否定しておるのでありますが、戰時中爆撃によつて大量破壊されたのは、むしろ大衆の住宅であつて、軍事潜勢力となる産業設備は、その一部分を除き、大部分が温存されておるのであります。更に終戰後歴代内閣の反人民的な政策の結果、労働者、農民、中小企業を犠牲にして、生産は上昇し、生活水準はまだ戰前の七〇%にも達していないのに、生産指数はすでに一一五%を突破しておるのであります。而も本予算を検討すれば、かくのごとき日本産業の軍事的復活を大幅に助長する支出が大量に計上されておるのであります。即ち見返資金の私企業投資三百五十億は、主として電力、造船、鉄鋼等、その他重要産業に投ぜられ、資金運用部資金のうち、金融債引受四百億、特別会計貸付二百七十億等を緊急時局産業に振向けております。政府は更に百億円を投じて開発銀行を創設し、これによつて資金資材面の受入体制を強化しようとしております。その他、緊急物資輸入基金或いは輸出銀行出資などは、これらの目的に使われることは明らかであります。又一方、電力開発その他の重点産業のための外資受入れのため、目下外資導入法その他関係法の改正を急いでおります。又、労働力の受入体制につきましては、青少年の技術養成を目的とする産業教育法が着々準備されております。これらの一連の計画を総合して考えれば、いわゆる日米経済協力の国内体制は刻々進められつつあるものと言わなければなりません。而してその真の狙いは何であるか。吉田総理は、ダレス氏の帰朝後、しばしば今は再軍備をやるときではない、日本の経済が許さないということを言われております。併し問題は再軍備よりも日本の産業構造にかかつておる。すでにアメリカ経済の一環として、日本の産業がますますその軍需的下請工業の形を以て戰時中にも匹敵すそ規模に突入するとすれば、当然平和産業は圧迫される。民需は昭和二十五年度の線で抑えられると言われておりますが、これは不可能であります。従つてそこには生活必需品が欠乏し、物価は物凄く高騰し、いわゆる戰時インフレの様相を現わすことは明らかであります。当然実質賃金は低下し、それが苛酷な税負担、労働強化とも絡んで、これによつて人民の生活はますます窮乏に追い込まれるのであります。曾つてあの馬鹿げた太平洋戰争により、闇とインフレの苦悩を嘗め盡した日本の国民は、こうした戰時、準職時体制には懲りごりしているのであります。ところが今又このような体制が秘密裡に推し進められて、大衆がそれと気が付いたときには、もうすでに遅い。そのとき再軍備を論じても、もはや役に立たない。もはや再軍備は必至である。近く單独講和を控えた今は、刺戟の多い軍備論はやめて経済協力で行こう、これが吉田内閣の真の狙いと言わなければならない。だからこそ政府は、盛んに日本がアメリカの下請工場となり、兵器廠のアジア支部と化することによつて、多額の援助を受け、それによつて日本の経済は栄えるのだということを宣伝しています。だが、これはむしろ反対である。朝鮮事変後、帝国主義者の恐慌を回避するため、戰後未曾有の大軍備拡張に乗り出したのでありますが、世界最大の資本主義国であるアメリカにおいてさえも、すでに一部の生産が頭打ちとなり、原材料も又逼迫しているのであります。而もソ同盟を先頭とする世界民主勢力の平和攻勢によりまして、ウオール街の株はしばしば大暴落を演じ、錫、ゴム等の重要戰略物資さえも暴落している有様であります。(「反対討論はどうした」と呼ぶ者あり)これは皆さんも新聞で御覽になつていると思うのであります。日米経済協力というものは、これらの不安と矛盾を日本に転嫁し、日本人民と産業の犠牲によつてこれを解決せんとするものであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これは皆さんの仲間の賢明な業者はすでに気が付いている。関西の資本家団体は、アメリカは大量の肉を調理させてくれるが、果して腹の空いた調理人にどれほどの肉を食わせてくれるかと嘆いております。最近では、経団連の石川会長ですら、余り有頂天になつて生産設備の拡張に狂奔しないほうがよいと警告を発しております。従つていわゆる日米経済協力とは、如何なる美名に飾られようとも、それは日本にとつて植民地的略奪経済を意味し、その前途には地獄の劫火が燃え盛つておるのであります。  第三に、私の指摘したいことは地方財政破綻の問題でありますが、これはすでに委員会並びにその他の論議を通じまして詳しく申述べましたので、時間の関係上ここでは略します。  以上で明らかなように、昭和二十六年度予算は徹頭徹尾軍事的予算であり、反人民的な予算でありまして、このような予算に心ある人間が反対し、この予算の底を流れる單独講和と戰争への道を阻止し、民族の独立と平和のため、全面講和を求めて起ち上ることは当然である。然るに吉田内閣は、これら民族的目覚めによる人民の行動を間接侵略なりと誹謗し、治安の撹乱と喚いて、警察予備隊、特審局、刑務所、税務署等を拡充強化しております。(笑声)これらの費用は全国家予算の約一〇%に及んでおります。最近、警察では人民彈圧のために催涙ガスをさえ使用せんとしておるのであります。これは何であるか。言うまでもなく、これは吉田自由党内閣がみずからの売国的政策が人民の手によつて暴露され攻撃されることを恐れ、これをごまかさんとする手段であることは、余りにも明らかであります。殊にこれらの戰いの先頭に立つ日本共産党を仇敵視し、最近は非合法化の企みを推し進めておる。併しこれこそは、あらゆるデマを放つて、人民の手から共産党を切り離して、やすやすと民族と国土を外国に売り渡さんとする企みでありまして、これはすでに日本人民の大かたが気付いておるところであります。若し我々の言動にして非なりとすれば、堂々と国会の論議を通じて人民大衆の前に明らかにすればよいのである。然るに本予算の審議に当りましては、首相を初め関係閣僚の出席が非常に惡く、問題が人民の代表として聞かんとする要点に触れれば、或いは黙秘権(笑声)を行使し、或いは中途にして退場するなどの非礼をあえてしているのである。これこそは憲法並びに民主主義の否定の自殺的行為と言わなければなりません。我々は権力の暴圧の前に断じて卑屈であつてはならない。これこそは太平洋戰争を無謀にも許した曾つての日本人のあり方であり、又再びこれを繰返すほど日本の人民は愚かではないのであります。(「共産党に馬鹿にされないよ」と呼ぶ者あり)  更に、最後に指摘しなければならない問題としましては、この予算の基礎が崩れておるということ、これはほかの党のかたがたによつても指摘されましたので私は省きます。併しここで、なぜ吉田内閣が補正予算を地方選挙前に出すことを恐れて、選挙後に出そうとしておるか。これは現内閣の不安と動揺を如実に示しておるものであり、自由党内閣の信望が地に落ちておる証拠と言わなければなりません。  従つて日本共産党はこれらの反人民的予算に断乎反対し、次のことを要求するものであります。即ち終戰処理費の大幅削減、警察予備隊、海上保安庁、その他人民彈圧機関廃止、インベントリー・フアイナンス五百億の繰入れ中止、再軍備のための予備費全廃、これらによりまして浮いた財源を、地方財政、公務員のベース引上げ、教育、文化、厚生、社会保障、失業対策及び大衆課税撤廃等、人民生活の向上と平和産業の拡大に振向けること。このようにして、今日このような予算を編成してこそ、国民の生活は豊かになり、日本の進路は切り開かれるのであります。我が党は、かかる軍事的、反人民的予算を人民のための予算に組替えることを強く要求して、本予算に断乎反対するものであります。(拍手
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案の表決は記名投票を以て行います。三案に賛成諸君は白色票を、反対諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を参事に計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。  投票総数二百十五票、  白色票即ち三案を可とするもの百十九票、(拍手)  青色票即ち三案を否とするもの九十六票、  よつて三案は可決せられました。(拍手)      ——————————    〔参照〕  賛成者(白色票)氏名  百十九名    結城 安次君  山川 良一君    山本 勇造君  山内 卓郎君    村上 義一君  宮城タマヨ君    溝口 三郎君  前田  穰君    堀越 儀郎君  藤野 繁雄君    早川 愼一君  波多野林一君    野田 俊作君  西田 天香君    徳川 宗敬君  伊達源一郎君    竹下 豐次君  高橋 道男君    高橋龍太郎君  高田  寛君    高瀬荘太郎君  高木 正夫君    田村 文吉君  鈴木 直人君    杉山 昌作君  新谷寅三郎君    島村 軍次君  西郷吉之助君    高良 とみ君  小林 政夫君    小宮山常吉君  木下 辰雄君    河井 彌八君  片柳 眞吉君    柏木 庫治君  加藤 正人君    加賀  操君  岡本 愛祐君    岡部  常君  小野  哲君    梅原 眞隆君  楠瀬 常猪君    尾山 三郎君  長島 銀藏君    木村 守江君  宮本 邦彦君    秋山俊一郎君  高橋進太郎君    仁田 竹一君  宮田 重文君    上原 正吉君  草葉 隆圓君    石川 榮一君  大谷 瑩潤君    九鬼紋十郎君  深水 六郎君    加納 金助君  平沼彌太郎君    大矢半次郎君  城  義臣君    植竹 春彦君  岡崎 真一君    西川甚五郎君  小野 義夫君    寺尾  豊君  黒田 英雄君    石坂 豊一君  岩沢 忠恭君    中川 幸平君  一松 政二君    黒川 武雄君  横尾  龍君    徳川 頼貞君  中山 壽彦君    小串 清一君  工藤 鐵男君    小杉 繁安君  中川 以良君    飯島連次郎君  伊藤 保平君    赤澤 與仁君  赤木 正雄君    松本  昇君  廣瀬與兵衞君    野田 卯一君  重宗 雄三君   大野木秀次郎君  加藤 武徳君    長谷山行毅君  松平 勇雄君    古池 信三君  杉原 荒太君    平井 太郎君  白波瀬米吉君    山縣 勝見君  安井  謙君    山本 米治君  岡田 信次君    愛知 揆一君  瀧井治三郎君    石村 幸作君 池田宇右衞門君    入交 太藏君  島津 忠彦君    石原幹市郎君  鈴木 恭一君    大島 定吉君  郡  祐一君    川村 松助君  山田 佐一君    西山 龜七君  堀  末治君    團  伊能君  大屋 晋三君    泉山 三六君  平岡 市三君    左藤 義詮君  小林 英三君    平林 太一君     —————————————  反対者(青色票)氏名  九十六名    山崎  恒君  紅露 みつ君    深川タマヱ君  木内キヤウ君    油井賢太郎君  櫻内 義雄君    櫻内 辰郎君  一松 定吉君    鬼丸 義齊君  村尾 重雄君    青山 正一君  金子 洋文君    門田 定藏君  清澤 俊英君    カニエ邦彦君  藤原 道子君    島   清君  野溝  勝君    加藤シヅエ君  若木 勝藏君    永井純一郎君  三橋八次郎君    原  虎一君  齋  武雄君    高田なほ子君  片岡 文重君    吉川末次郎君  小林 孝平君    山花 秀雄君  松浦 清一君    荒木正三郎君  菊川 孝夫君    赤松 常子君  菊田 七平君    山田 節男君  三輪 貞治君    成瀬 幡治君  田中  一君    松永 義雄君  小泉 秀吉君    大隈 信幸君  岩男 仁藏君    伊藤  修君  波多野 鼎君   小笠原二三男君  吉田 法晴君    駒井 藤平君  小川 久義君    木内 四郎君  羽生 三七君    江田 三郎君  大野 幸一君    曾祢  益君  中村 正雄君    細川 嘉六君  須藤 五郎君    岩間 正男君  兼岩 傳一君    千葉  信君  木村禧八郎君    堀  眞琴君  水橋 藤作君    鈴木 清一君  堂森 芳夫君    梅津 錦一君  重盛 壽治君    岡村文四郎君  東   隆君    森 八三一君  佐多 忠隆君    小林 亦治君  岩崎正三郎君    相馬 助治君  千田  正君    三浦 辰雄君  石川 清一君    松浦 定義君  森下 政一君    椿  繁夫君  堀木 鎌三君    松原 一彦君  羽仁 五郎君    内村 清次君  小酒井義男君    栗山 良夫君  山下 義信君    矢嶋 三義君  佐々木良作君    木下 源吾君  棚橋 小虎君    和田 博雄君  三木 治朗君    下條 恭兵君  河崎 ナツ君    上條 愛一君  森崎  隆君      ——————————
  71. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第四 不動産登記法等の一部を改正する法律案  一、日程第五 漁業法及び水産庁設置法の一部を改正する法律案  一、日程第六 競馬法の一部を改正する法律案  一、日程第七 農業委員会法案  一、日程第八 農業員会法の施行に伴う関係法令整理に関する法律案  一、日程第九 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十 食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案  一、日程第十一 食糧配給公団清算経費財源に充てるための剰余金の使用に関する法律案  一、日程第十二 関税法の一部を改正する法律案  一、日程第十三 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、公共船員職業安定所設置に関し承認を求めるの件  一、日程第十四乃至第十八の請願  一、日程第十九乃至第四十八の請願  一、日程第六十二乃至第六十九の陳情  一、日程四十九乃至第六十一の請願  一、日程第七十乃至第七十一の陳情  一、日程第一 昭和二十六年度一般会計予算  一、日程第二 昭和二十六年度特別会計予算  一、日程第三 昭和二十六年度政府関係機関予算