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1951-03-23 第10回国会 参議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)    午前十時二十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十七号   昭和二十六年三月二十三日    午前十時開議  第一 低性能船舶買入法の一部を改正する法律案(山縣勝見君外四名発議)(委員長報告)  第二 低性能船舶買入法の規定により国が買い入れた船舶の外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案(山縣勝見君外四名発議)(委員長報告)  第三 少年院法の一部を改正する法律案(宮城タマヨ君外三名発議)(委員長報告)  第四 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 公認会計士法の一部を改正する法律案(平岡市三君外九名発議)(委員長報告)  第六 再評価積立金資本組入に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)  第七 資産再評価法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)  第八 保險募集の取締に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)  第九 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 在外公館等借入金の返済の準備に関する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 社会福祉事業法案内閣提出)(委員長報告)  第一五 教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)  第一六 昭和二十六年度に入学する兒童に対する教科用図書の給與に関する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一七 積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案衆議院提出)(委員長報告)  第一八 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一九 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二〇 電信電話料金法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二一 国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第二二 電気通信職員特別給與表制定に関する請願(委員長報告)  第二三 国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の延長実施等に関する請願(委員長報告)  第二四 国立病院医師採用難打開に関する請願(委員長報告)  第二五 医師および看護婦の待遇改善等に関する請願(委員長報告)  第二六 京都府乙訓郡の地域給に関する請願(委員長報告)  第二七 愛知県岩津町の地域給に関する請願(委員長報告)  第二八 愛知県永和村の地域給に関する請願(委員長報告)  第二九 愛知県立田村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三〇 愛知県吉江村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三一 愛知県神守村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三二 愛知県七宝村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三三 愛知県八開村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三四 愛知県佐屋村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三五 愛知県十四山村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三六 愛知県美和村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三七 愛知県飛島村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三八 愛知県鍋田村の地域給に関する請願(委員長報告)  第三九 岐阜県高山市の地域給に関する請願(委員長報告)  第四〇 岐阜県中津町の地域給に関する請願(委員長報告)  第四一 鳥取県倉吉町の地域給に関する請願(委員長報告)  第四二 岐阜県笠松町の地域給に関する請願(委員長報告)  第四三 岐阜県陶町の寒冷地手当に関する請願(委員長報告)  第四四 北海道函館市の地域給に関する請願(委員長報告)  第四五 北海道豊平町の地域給に関する請願(委員長報告)  第四六 三重県上野市の寒冷地手当に関する請願(委員長報告)  第四七 愛知県岡崎市の地域給に関する請願(委員長報告)  第四八 愛知県豊川市の地域給に関する請願(委員長報告)  第四九 福井県の地域給に関する請願(委員長報告)  第五〇 香川県観音寺町の地域給に関する請願(委員長報告)  第五一 宮城県気仙沼町の地域給に関する請願(委員長報告)  第五二 三重県亀山町の地域給に関する請願(委員長報告)  第五三 愛知県小坂井町の地域給に関する請願(委員長報告)  第五四 高知県後免地区の地域給に関する請願(委員長報告)  第五五 福知山市の地域給に関する請願(委員長報告)  第五六 広島県忠海町の地域給に関する請願(委員長報告)  第五七 奈良県大宇陀町の地域給に関する請願(委員長報告)  第五八 名古屋市の地域給に関する請願(委員長報告)  第五九 香川県善通寺町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六〇 香川県内海地区の地域給に関する請願(委員長報告)  第六一 香川県池田町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六二 京都市の地域給に関する請願(委員長報告)  第六三 兵庫県川西町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六四 富山県氷見町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六五 愛知県南陽町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六六 愛知県富田町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六七 愛知県甚月寺町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六八 愛知県奥町の地域給に関する請願(委員長報告)  第六九 愛知県大治村の地域給に関する請願(委員長報告)  第七〇 愛知県豊明村の地域給に関する請願(委員長報告)  第七一 愛知県東郷村の地域給に関する請願(委員長報告)  第七二 京都府亀岡地区の地域給に関する請願(委員長報告)  第七三 長崎県川棚町の地域給に関する請願(委員長報告)  第七四 山梨県石和町の地域給に関する請願(委員長報告)  第七五 兵庫県西脇町の地域給に関する請願(委員長報告)  第七六 広島県安芸津町の地域給に関する請願(委員長報告)  第七七 三重県山郷村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第七八 三重県十社村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第七九 三重県白河村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八〇 三重県水沢村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八一 三重県桜村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八二 三重県西藤原村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八三 三重県坂下村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八四 三重県千種村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八五 三重県白瀬村の寒冷積雪地手当に関する請願(委員長報告)  第八六 映画、演劇入場税軽減等に関する請願(委員長報告)  第八七 地方税法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第八八 映画の入場税軽減に関する請願(委員長報告)  第八九 宿泊料に対する遊興飲食税減免の請願(委員長報告)  第九〇 遊興飲食税撤廃に関する請願(二件)(委員長報告)  第九一 旅館の宿泊に対する遊興飲食税撤廃の請願(八件)(委員長報告)  第九二 遊興飲食税の軽減に関する請願(委員長報告)  第九三 教育映画入場税減免に関する請願(委員長報告)  第九四 ニユース映画入場税免除に関する請願(委員長報告)  第九五 映画、演劇の入場税軽減に関する請願(委員長報告)  第九六 狩猟者税軽減に関する請願(委員長報告)  第九七 旅館の宿泊に対する遊興飲食税撤廃に関する請願(二件)(委員長報告)  第九八 地方税法中一部改正に関する請願(二件)(委員長報告)  第九九 市民税の新年度徴收処置に関する請願(委員長報告)  第一〇〇 法人に対する市民税の適正化の請願(委員長報告)  第一〇一 在外公館等借入金緊急措置に関する請願(委員長報告)  第一〇二 在外公館等借入金支拂促進に関する請願(四件)(委員長報告)  第一〇三 比島における戰犯者の死刑助命に関する請願(委員長報告)  第一〇四 阿波丸代船取得援助措置に関する請願(委員長報告)  第一〇五 小笠原島の日本復帰に関する請願(委員長報告)  第一〇六 絹・人絹織物に対する物品税課税反対の請願(委員長報告)  第一〇七 絹織物の物品税課税反対に関する請願(委員長報告)  第一〇八 絹織物に物品税課税反対の請願(五件)(委員長報告)  第一〇九 喫煙用具の物品税免税点設定に関する請願(委員長報告)  第一一〇 喫煙用ライター物品税法中丁類とするの請願(委員長報告)  第一一一 芋あめの物品税撤廃に関する請願(委員長報告)  第一一二 ラジオ受信機等電機器具物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第一一三 彫刻の物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第一一四 揮発油税軽減促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第一一五 揮発油税軽減に関する請願(三件)(委員長報告)  第一一六 織物消費税の廃止に伴う損失補償の請願(委員長報告)  第一一七 所得税の適正賦課に関する請願(委員長報告)  第一一八 被災害農家に対する所得税適正賦課の請願(委員長報告)  第一一九 農民課税に関する請願(委員長報告)  第一二〇 水産業協同組合に対する免税等の請願(委員長報告)  第一二一 冷凍業固定資産耐用年数改訂の請願(委員長報告)  第一二二 納税準備預金利子引上げ等に関する請願(委員長報告)  第一二三 財団法人日本製鉄八幡共済組合年金受給者年金増額に関する請願(委員長報告)  第一二四 閉鎖機関整理委員会等職員退職手当制度確立に関する請願(委員長報告)  第一二五 国内塩業対策確立に関する請願(委員長報告)  第一二六 ソーダ用原料塩輸入確保に関する請願(委員長報告)  第一二七 たばこ事業民営移管反対に関する請願(十一件)(委員長報告)  第一二八 江戸川改修工事に伴う土地買收代金免税の請願(委員長報告)  第一二九 豪雪地方の減税に関する請願(委員長報告)  第一三〇 大蔵省所管の故銑拂下げに関する請願(委員長報告)  第一三一 葉たばこ耕作保護対策確立に関する請願(委員長報告)  第一三二 高知県須崎町の地域給に関する陳情(委員長報告)  第一三三 岐阜県多治見市の地域給に関する陳情(委員長報告)  第一三四 京都市の地域給に関する陳情(委員長報告)  第一三五 映画、演劇入場税軽減に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一三六 事業税の課税標準算定に関する陳情(委員長報告)  第一三七 在外公館等借入金支拂促進に関する陳情(委員長報告)  第一三八 講和條約に関する陳情(委員長報告)  第一三九 海外抑留戰犯者日本内地移管等に関する陳情(委員長報告)  第一四〇 絹織物に物品税課税反対の陳情(委員長報告)  第一四一 高級織物物品税課税反対の陳情(二件)(委員長報告)  第一四二 印紙税法中一部改正に関する陳情(委員長報告)  第一四三 家畜を滯納処分の対象物とすることに関し善処の陳情(委員長報告)  第一四四 中小企業に対する租税軽減の陳情(委員長報告)  第一四五 税制改革に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一四六 民間資本蓄積促進のための租税政策に関する陳情(委員長報告)  第一四七 古書籍業者に対する課税適正化の陳情(委員長報告)  第一四八 公務員の退職給與金免税に関する陳情(委員長報告)  第一四九 信用保証協会の保証額の再保証に関する陳情(委員長報告)  第一五〇 たばこ事業民営移管反対に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一五一 アルコール添加による果実酒実現の陳情(委員長報告)  第一五二 寒冷地住民所得税軽減に関する陳情(委員長報告)  第一五三 鳥取県日野上村生山に山陰合同銀行支店設置の陳情(委員長報告)  第一五四 徴税整理期中小企業金融対策に関する陳情(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程第一、低性能船舶買入法の一部を改正する法律案日程第二、低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案(いずれも山縣勝見君外四名発議)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長植竹春彦君。    〔植竹春彦登壇拍手
  5. 植竹春彦

    植竹春彦君 只今議題となりました低性能船舶買入法の一部を改正する法律案及び低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案につきまして、本委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  両法案とも山縣議員外四名の提案にかかるものでありますが、先ず低性能船舶買入法の一部を改正する法律案について申上げます。  低性能船舶買入法規定に基きまして、政府売買契約が締結され、近く政府へ引渡さなければならない船舶のうちには、帰還輸送船等として現在使用されているものがありますが、同法は、政府買船舶につきまして、売主による保管大蔵大臣による売拂い解撤又は破棄及び買受人による解撤について期限を定めておりますので、本法案は、これら船舶につきましては、売主による保管期限等をそれぞれ現行法より一ヵ年延長すると共に、政府への引渡しの期限昭和二十七年三月三十一日としようとするものであります。  次に、低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案につきまして御説明いたします。  昨年末以来、国際情勢の変化に伴いまして、我が国外航船腹需給に逼迫を来たしましたので、低性能船舶買入法規定による政府の買入済船舶でありましても、改造して外航適格船となし得るものは、この際、解撤してスクラツプとすることなく、改造の上、外航船舶としての船級を取得せしめて就航させることが必要でありますので、本法案が提案されたのでありまして、その要点は、買入船舶改造の上、外航適格船とすることを條件として、政府売拂い得る途を開きますことと、売拂いに際しましては、旧船主優先権を與え、その価格は買入価格相当の利息を加えた価格とし、旧船主への売拂いが困難なときは一般の国有財産讓渡の例により売拂うこととすることであります。  本委員会におきましては、これら両法案につきまして愼重審議を重ねましたが、我が国海運実情に鑑み適当なる措置と認め、両法案とも全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。     —————————————
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第三、少年院法の一部を改正する法律案宮城タマヨ君外三名発議)、日程第四、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。    〔宮城タマヨ登壇拍手
  10. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 只今上程されました少年院法の一部を改正する法律案委員会におきましての審議経過並びに結果を御報告申上げます。本法案は、本院議員宮城タマヨ長谷山行毅伊藤修一松定吉の四名が共同発議いたしまして提案したものでございます。その要旨を簡單に御説明いたしますと、先ず第一に、現行法におきましては、少年院在院者が二十歳に達しますれば原則として退院させる建前をとり、ただ本人が二十歳に達しても入院後六カ月を経過しておりません場合に限り、少年院長はその者を入院の日から数えて六カ月間引続き在院させることができることになつておるのでございますが、最近の実績に徴しますれば、保護少年少年院在院期間は平均九カ月余りになつておりますので、この一月からの少年法適用年齢引上げによりまして、二十歳近くで収容されるところの少年も増加することを考慮いたしまして、この際、この六カ月を一カ年と改め、少年院矯正教育実情に即したものといたしたことでございます。第二は、少年保護鑑別所特別少年院及び女子の医療少年院施設が現在なお不足しておりますので、従来その代用に当てておりました諸施設を、更に二年間、即ち昭和二十八年三月末まで利用することができるものとしたことでございます。第三に、先に矯正保護管区本部設置されるまでの経過的な措置としまして、少年院の運営に関し矯正保護管区長の行います職権を法務総裁が行うことになつていたのでございますが、その設置を見ております今日、このような措置は必要がなくなり、従つてその規定も不要となつたので、これを削除することにいたしましたことでございます。  以上の三点でございますが、委員会におきましては、須藤、羽仁の各委員より、特に代用施設の利用を二年間延長する点に関しまして熱心な質疑が行われましたが、詳細は速記録によつて御了承願うことにいたしたいと存じます。別に討論はなく、採決いたしました結果は、原案を多数を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。  次に、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案委員会における審議経過及び結果を御報告申上げます。  犯罪者予防更生法によりまして全国八カ所に設けられております地方少年保護委員会及び地方成人保護委員会は、おのおの三人の委員によつて組織せられ、それぞれ青少年又は成人につきまして、仮出獄、仮出場、仮退院処分をいたし、又保護観察を掌り、その他犯罪者犯罪予防及び更生のため必要な所掌事務を遂行しておるのでございますが、その管轄区域には大小の差異がございます。従つて委員会事務員にも相当差異があるわけでございます。犯罪者予防更生法によりますれば、この委員会が仮釈放や仮退院処分をする場合におきましては、その決定をする前に、委員はみずから刑務所少年院に出向きまして、収容者に個々に面接しなければならない建前になつておるのでございます。ところが関東地方少年保護委員会及び関東地方成人保護委員会は、その管轄区域も広く、刑務所少年院の数も他の地方に比べまして多いにもかかわりませず、その委員の数は両委員会とも他の地方と同様におのおの三人となつておりますのでございますが、各委員事務負担量は特に過重となつており、所掌事務の遂行上困難を感ずる実情にございますので、特にこの両委員会委員数を二人宛増加しまして、おのおの五人ずつに定め、その事務を円滑に遂行しようとするのが本法案改正の趣旨でございます。委員会におきましては愼重に審議をいたし、討論を省略いたしまして採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました次第でございます。  右報告申上げます。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず少年院法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第五、公認会計士法の一部を改正する法律案平岡市三君外九名発議)、日程第六、再評価積立金資本組入に関する法律案日程第七、資産評価法の一部を改正する法律案日程第八、保険募集取締に関する法律の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出)、日程第九、所得税法の一部を改正する法律案日程第十、法人税法の一部を改正する法律案日程第十一、租税特別措置法の一部を改正する法律案日程第十二、在外公館等借入金返済準備に関する法律案日程第十三、保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上九案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長小串清一君。    〔小事情一君登壇拍手
  17. 小串清一

    小串清一君 只今上程せられました公認会計士法の一部を改正する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、次の諸点について改正を加え、公認会計士制度改善充実を図ろうとするものであります。即ち第一に、財務書類監査証明の業務を営む者を、公認会計士外国公認会計士及び計理士に限定し、第二に、公認会計士試験の第三次試験の科目に新たに税に関する実務を加えると共に、試験委員の定数を増加し、第三に、特別試験施行期間を二カ年延長し、第四に、公認会計士試験の第三次試験受験資格を緩和し、その他罰則を整備するものであります。本案審議の詳細は速記録によつて御了承を願いたいと存じます。質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に再評価積立金資本組入に関する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、株式会社の再評価積立金資本への組入の手続及び方法について必要な事項を定めると共に、これに伴いまして商法特例を設けようとするものであります。その主なる内容について申上げますならば、第一に、再評価積立金資本組入株主総会特別決議によることとしたこと、    〔議長退席、副議長着席〕 第二に、再評価積立金資本組入れた場合には、組入と同時に又はその後随時に株主総会特別決議によつて株主に対し新株発行することができることとしたこと、第三に、この新株株主に対して無償で交付することを原則とするが、新株発行価額の一部を株主拂い込ませることを認め、併せて引受けのない新株処理方法及び新株を引受けない株主引受権の譲渡又は金銭分配請求権について必要なる規定を設けたこと、第四に、再評価積立金資本組入による新株発行の場合における会社の資本金額及び資本準備金積立について商法特例を設けたこと、第五に、税法所得計算に関し特例を設けたことなどであります。本案につきましては、格別の質疑もなく、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定をいたした次第であります。  次に、上程せられました資産評価法の一部を改正する法律案委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、前回資産の再評価を十分に行わなかつた企業に対して、おおむね前回と同様の基準によつて更に再評価を行い得る機会を與え、企業経理を合理化して、健全な資本蓄積を図りますと共に、再評価積立金を早期に資本組入れ得るようにしまうとするものであります。その概要について申上げますと、第一は、今回の第二次再評価の時期でありますが、これは法人につきましては、原則として本年一月一日又は一月一日から九月三十日までに開始する事業年度の初日現在で行い得ることとし、ただ、電力、ガス等の公益事業を営む法人につきましては、再評価の時期を一年延長することを認めております。又個人につきましては本年一月一日現在で再評価を行い得ることとしております。第二は、再評価の対象になる資産でありますが、これは前回評価を行うことのできた資産で最高限度まで再評価を行わなかつたものとし、ただ株式は今回の再評価から除外せられております。第三は再評価の基準でありますが、これは原則として前回通りの物価倍数によることとなつておりますが、再評価後に減価償却を行なつている資産につきましては、その償却額だけ減額したものを今回の再評価の限度額としております。なお、陳腐化資産につきましては、稼働率、収益率等の向上に基く増額を認めております。第四は再評価税でありますが、これは前回と同様、再評価差額に対しまして百分の六の税率によつて課することとなつております。その納付の方法はおおむね前回通りでありますが、延納の最終期限は、これを一年延長して今回の再評価後五年となつております。第五は、再評価積立金資本組入の時期でありますが、これは本年七月一日以後においては再評価積立金の四分の三の範囲内で資本への組入を許すこととなつております。なお、このほか社債発行限度の特例等を設けますと共に、商法の一部を改正する法律の施行に伴いまして規定を整備しております。さて、本案審議に当りまして、委員諸君から熱心なる質疑があり、これに対して政府からも詳細な答弁があつたのでありますが、それらの詳細は速記録によつて御了承を願いたいと思います。かくして質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたわけであります。  次は、保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本案は、生命保險募集人などに登録制を布くと共に、不正募集行為の取締を行う見地から、昭和二十三年七月、保險募集取締に関する法律を制定いたしましたが、今なお生命保險会社と契約者との間の契約上の紛争が見受けられますので、今回悪質の募集に対する取締を強化するために、現行法の不備なる点を改正いたしまして、保險契約者の保護と保險事業の健全なる発達を図ろうとするものであります。  次に、本案の主なる改正点を申上げますと、第一点は、現在、生命保險会社の役員及び使用人の登録と区別して、生命保險募集人の登録を行なつておりますが、事務の簡素化を図るため両者を統一いたそうとすることであります。第二点は、現行法では下請生命保險募集人は届出制となつておるために、登録をなすべき生命保險募集人らがこれらの制度を濫用いたします弊害がありますので、届出制を廃止して、すべて登録制としようとするものであります。第三点は、会社の使用人などの與える損害については民法の規定によつており、本法に特別の規定がなかつたのでありますが、この際、本法において統一的な規定を設けようとするものであります。第四点は、既存の保險契約を不当に消滅させて新たな保險契約の申込をさせるなどの契約の不当なる乗換募集を禁止するほか、登録の抹消に関する規定を設ける等、所要の改正を行おうとするものであります。  さて、委員会審議に当りましては、各委員政府委員との間に熱心なる質疑応答が交されましたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終り、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定をいたした次第であります。  次に、上程せられました所得税法の一部を改正する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず本案の内容について申上げますと、政府は昨年中央地方を通ずる税制の根本的改正を行い、国民負担の軽減合理化を図つたのでありますが、今日の国民の生活の実情から考慮いたしますと、国民の負担はなお相当重いものがありますので、本年重ねて減税を断行し、国民生活の安定、資本蓄積に資することとなり、先に酒税、砂糖消費税及び揮発油税等の引下げ、物品税の改正を実施すると共に、給與所得に対する源泉徴收税額の暫定的軽減措置を講じたのでありますが、今回更に所得税法その他の改正を提案いたしておるのであります。今回の税制改正の基本方針は、第一に、国民負担の軽減合理化を図り、第二に、税制の簡素化を図り、第三に、資本蓄積に資するの三点にありますが、今回の所得税法の一部改正も又この方針に則つて行われるものであります。  今、改正の主要なる点を申上げますと、その第一は、基礎控除、扶養控除及び不具者控除の引上げ並びに税率の改正であります。即ち基礎控除を二万五千円から三万円に、扶養控除及び不具者控除を一万二千円から一万五千円にそれぞれ引上げると共に、低額所得の所で累進税率の上昇が急激になつておりますのを緩和し、所得階級区分のうち、八万円を超える金額と十二万円を超える金額との二つの段階を撤廃し、最高税率の適用限度を五十万円から百万円に引上げることとしたことであります。その第二は、老年者、寡婦、勤労学生及び生命保險料の控除の新設であります。即ち老年者、寡婦及び勤労学生の所得から一万五千円を特別に控除すると共に、生命保險料については二千円を限定として所得から控除することといたしたことであります。その第三は、資産所得及び扶養親族の所得の合算制の廃止であります。その第四は、申告期限及び納期の改正であります。即ち一般に申告期限及び納期が六月、十月及び翌年一月の三期となつておりますのを、農業所得者の場合と同様に、七月、十一月及び翌年二月の三期に改めることといたしたことであります。その第五は、更正決定をなし得る期間の制限であります。即ち更正決定をなし得る期間は一般の時効期間の適用を受け、申告期限後五年となつておるのでありますが、原則として申告書提出期限から三年後は更正決定を行うことができないようにしたことであります。その第六は、青色申告の特典の拡張であります。即ち青色申告者が再調査又は審査請求をしている間は督促又は滞納処分を行うことができないことといたしたことであります。その第七は、改正商法の施行に伴う規定の整備であります。以上申上げましたのが、今回改正の主要点であります。  さて、本案につきましては、他の税制改正法案と共に、二月十七日公聽会を開きまして、一橋大学教授井藤半彌君ほか四名の公述人から意見を聽取いたしまして、愼重に審議いたしたのであります。その審議に当りまして、委員諸君から種々熱心な質疑があり、これに対し政府から詳細懇切な答弁がありましたが、その主なものを申上げますと、新聞紙上などで、今回の減税は單なる税法上の減税に過ぎないとの批判が行われているが、このことは明らかに、法規の上では減税が行われても、一般消費物資等の価格が上昇しつつあつて、折角の減税も負担の軽減にはならない、家計は潤わないということを言つておるのではないかと思う。本当に実質的な負担軽減になるのか、それとも單なる税法上の減税であつて、実質的には家計は潤おつて来ないのか。はつきりした見解を承わりたいとの質疑に対し、国民所得に対する税の負担割合は、国税、地方税を通じて、昭和二十四年度は二七・四%、昭和二十五年度は二三%と下つておるが、今回の改正によつて、更に昭和二十六年度は二〇・二%ぐらいに下る計算であつて、この点から言つて相当の負担軽減となり、又国民の所得も実質的に増加して担税力が増すわけであるが、この税の自然増の部分を今回の改正によつて減らすことになるので、結局国民の手取り所得も殖え、実質的な減税となると考えるとの答弁があり、又先般昭和二十五年度の補正予算で税收入の組替えが行われたのであるが、最近国税庁長官の話によると、申告所得税は更に補正予算に比べて百五十億円程度の滅を来たすのではなかろうかとのことである。若しそうだとすると、昭和二十五年度は一千億円の徴収も疑問とせられることになる。又近く国税徴收法を改正して無理のない徴収方法をとるとのことであるが、この適用を受けるのは申告所得税が一番多いのではないか。かれこれ総合勘案すると、昭和二十六年度の申告所得税の歳入見積りはやや過大に失しておるのではなかろうかとの質疑に対し、予算編成の技術的な関係もあつて昭和二十五年十月を水準として計算したものであるが、当時の現状を基礎とする限り適当なものと考えるとの答弁があり、又生命保險料を二千円を限度として所得から控除することは、一面資本蓄積の見地から、又一面大衆的な保險契約者の負担軽減の見地から行われるものであるとのことであるが、そうだとすると、もつと大衆性を持つた健康保險その他の社会保險については、もつと重要に考慮すべきではないかとの質疑に対し、今回の保險料の控除は資本蓄積措置の一環として行われるものであるのと、若し社会保險にまで控除を認めるとなると更に約三十三億余円の減収を来たすこととなるので、この際は、保險会社の生命保險、簡易生命保險及び郵便年金の三つの任意の保險に限り控除を認めることとしたとの答弁があり、更に又資本蓄積のために生命保險料の控除を認めるというならば、この控除を所得税法規定するのはおかしい、むしろ租税特別措置法規定すべきではないかとの質疑に対し、租税特別措置法規定すると当分の間控除するということになつて、将来どうなるかわからないという心配もあるので、恒久的な制度としたいと考えて所得税法規定したとの答弁がありました。このほか青色申告の優遇措置、物価の上昇と基礎控除及び扶養控除との関係、退職所得金に対する所得税軽減措置、証券の売買差金に対する課税の問題、農地の不等価の交換の場合の課税の取扱、農業所得と自家労力との関係、漁業権補償金及び農家の保有米に対する課税の問題、国税と地方税の納期の調整などについて質疑応答が行われたのでありますが、これらの詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終了いたし、討論に入りまして、松永委員から、物価が上昇して一部には非常な利益を得ておる者がある半面に、生計がだんだん苦しくなつて行く者が存在する、この法律はこの両者に対する考慮が十分に拂われていないという理由で反対の意見が述べられ、又油井委員からは、この程度の減税ではまだ国民の担税能力にマツチしない、将来地方税とも併せ考え、国民負担を一層軽減合理化してもらいたいという希望を付し、賛成の意見が述べられました。採決の結果は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、上程せられました法人税法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告を申上げます。  本案は、改正商法の施行に伴いまして、これとの調整を図るため、無額面株式を発行した場合の発行価額のうち、資本組入れなかつた金額を、額面株式を発行した場合のプレミアムと同様、益金に算入しないこととするなど、規定を整備すると共に、法人税法規定する同族会社に該当する会社でありましても、その親会社が非同族会社であるときは、その会社に対しては積立金課税を行わないこととし、併せて青色申告の特典を拡張し、課税標準等の更正決定をなし得る期間を短縮するなどの措置を講じようとするものであります。  さて本案審議に当りましては、委員諸君から熱心な質疑があり、これに対し政府から懇切な答弁がありましたが、その主なるものについて申上げますならば、シヤウプ勧告に基く現行税制は根本的に再検討の要があると考える。問題はいろいろあるが、最も顯著なるものは法人に対する課税の考え方である。譲渡所得の完全な把握を前提として法人を個人の延長と見て課税する考え方は、実際には譲渡所得が完全に把握せられないために課税が不公平となり、中小商工業岩、農業者、漁業者の負担過重を招来しておる。この点をどう考えるかとの質疑に対し、税制を改正して見てうまく行かぬ点もあるので、経済界の変化も考えて実情に合うようだんだん改めて行きたいと考えている、根本的な税制改革については、今後の経済界の動きなどを見てとくと研究したいという答弁があり、又特別法人資本の充実を期する意味で、この税率を元のように或る程度一般法人に比べて低くするのが適当ではないかとの質疑に対し、よく検討してみたいという答弁がありました。そのほか種々質疑応答が行われたのでありますが、これらの詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入り、松永委員から、法人の担税能力は著しく増大しておるので、税率をもつと高めて然るべきものと考える、この法案はこの趣旨に則つていないので不満足であるとの理由で反対意見が述べられ、又油井委員からは、法人税の三五%という一律課税は再考すべき段階に入つている、資本蓄積も至極結構であるが、不公平のないよう税法改正を更に検討せられたいとの希望を付して、賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に、上程せられました租税特別措置法の一部を改正する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本法案の主要点を申上げますと、その第一は、貯蓄の増強を図るために、公債、社債及び預貯金の利息等に対する所得税の課税に当り、源泉選択を認め、その税率を百分の五十としたことであります。その第二は、我が国経済の再建上緊要と認められる特定の機械その他の設備及び船舶について、取得後三年間は法定償却額の五割増の特別償却を行い得ることとしたことであります。その第三は、会社の社内留保を増加して資本蓄積に資せしめるため、積立金に対する百分の二の法人課税を廃止することとし、ただ同族会社に対しては、五十万円を超えるものについて現行の百分の七の税率を百分の五の税率に改め、課税をすることとしたことであります。その四は、資金コストの低下に資せしめるために、見返資金で保有する銀行等の優先株式又は優先出資に対する配当は、所得の計算上これを損金に算入することとしたことであります。その第五は、最近における砂糖消費の事情に顧み、輸入砂糖等に対する免税措置を廃止することとしたのであります。  さて、本案審議に当りまして、委員諸君から熱心なる質疑があり、又これに対し政府から懇切なる答弁もありましたが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了し、討論に入り、松永委員から、物価は次第に上つて来ているが、この対策も講じないで、この税法改正を進めて行くことは、甚だ遺憾であるとの理由から、反対の意見が述べられ、又油井委員から、砂糖などについては将来相当課税を考慮して、国民生活に適応する消費税を設けるよう今から検討せられたいとの希望を付して、賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に、議題となりました在外公館等借入金返済準備に関する法律案委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。本案は、在外公館等借入金整理準備審査会法の規定に基き、国の債務として確認ざれた在外公館等借入金返済について、昭和二十六年度中に開始するために必要な措置を講ずることを約するほか、借入金を表示する現地通貨の評価基準、返済方法等、借入金の返済に関し必要な事項を定める法律案を、この法律施行後最初に召集された国会に提出することを規定いたそうとするものであります。又この準備のため、最も重要且つ困難な問題であります借入金を表示する現地通貨の評価につきまして調査審議を行う諮問機関として、大蔵省に在外公館等借入金評価審議会を設置しようとするものであります。さて、本案審議に当りまして、各委員より熱心なる質疑が行われまして、これに対して政府からも懇切丁寧な説明がありましたが、その詳細は速記録によつて御了承を願いたいと存じます。かくて質疑を終り、討論に入り、油井委員より、海外引揚者の困窮せる現正状に鑑み、速かに予算措置を実施し、借入金の返済を図られたいとの賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致、原案通り可決すべきものと決定をいたした次第であります。  最後に、上程をせられました保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案は、保税倉庫及び保税工場の正規の利用を助長し、貿易の発展に資せしむるために、私設保税倉庫の庫主に対し、災害によつて滅失した貨物又は税関長の承認を経て滅却した貨物については、その責任を免除し、庫主の供託する輸入税の担保範囲を税関長の確実と認める社債にまで拡張しようとすること、又、従来政令で規定せられております保税倉庫及び保税工場の特許手数料の徴収根拠を法律規定し、加工貿易振興のため必要ある場合には特許手数料を低減又は免除できる規定を設けようとすること、更に、違反行為取締の確実を図るために罰則の規定を整備する等、所要の改正をしようとするものであります。さて、委員会審議に当りましては、各委員諸君政府委員との間に熱心な質疑応答が交されたのでありますが、それらの詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて質疑を終了いたしまして、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  18. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇拍手
  19. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、只今上程になりました所得税法の一部を改正する法律案、それから注入税法、それから租税特別措置法の一部を改正する法律案に対して反対をするものであります。  反対の理由につきましては、細部に亘りましてはたくさんあるのでございますが、これを要約すれば二つの点に帰着できると思うのであります。  その第一は、先ほど委員長報告にございましたように、二十六年度予算の裏付けとなるこの税制改革政府の狙いは、第一に、減税をするということ、第二に、租税の負担を公平ならしめる、税制を簡素化するということ、第三に、資本蓄積に役立つような租税措置を講ずるということ、こういう目的を以て税制改革を行い、これを二十六年度予算の裏付けにしているのでございますが、このうち最も重要な、又多くの議論になりましたところの減税でございますが、これは実質的の減税か或いは税法上の減税かで、非常に議論のあつたところでありますが、我々具体的に検討したところによれば、成るほど法人とか高額所得者は或いは実質的減税になるかも知れません。併しながら勤労者、国民の大部分は、これは実質的な減税にならないので、税法上の名目的な減税である。この点は私は大蔵大臣或いは政府委員とたびたび議論をいたしましたけれども、これは抽象的には結論が出ない。従いまして、これを具体的に数字を以て、それが税法上の減税であるか或いは実質的な減税であるかを決定しなければならないと思います。それで私でき得る限りの具体的な資料を基にして検討いたしましたのでございますが、どうしてもこれは形式的な、名目的な減税で、実質的な減税でないという結論に到達したのであります。  その第一の理由は、これが七百億の減税になるという根拠として、平田主税局長は、財政経済弘報、これは大蔵省の機関紙だと思うのでありますが、その中で、はつきりと、こういうことを述べておる。「消費者物価指数は昭和二十五年の十月現在において昭和二十四年の平均に比べればなお九三%程度の低位にあるのである。而してこの水準が相当大幅に変化するものとは考えられないのであつて、昨年即ち昭和二十五年の暮頃の物価水準は横這いと見て計算して、それぞれ相当の国民所得の増加が期待し得られるのである。いわばこのような意味における国民所得の増加は担税力の増加を物語るものである。若しも單純に物価の名目的な高騰に伴つて国民所得が名目的に膨脹したに過ぎない場合においてだけなら、税の自然増收分を減税したからといつて、実質的な減税にならないかも知れない。」こう言つておるのです。それで、政府の七百億減税の基礎になつた物価は、昭和二十五年暮頃の物価水準なんです。これを横這いと見ておるわけなんです。この物価が変動すれば実質的な減税にならないということは、主税局長みずから述べておる。それならば物価はどうなるか。政府みずから調査しておるところの総理庁統計局のCPIを見れば明らかであります。CPIは、昨年十月予算編成の基礎になつた当時の物価、CPIは、十月におきましては、東京都のCPIは一二一・三であります。ところが本年一月のCPIは一三四・六でありまして、その間に一〇%のCPIの騰貴になつておるのであります。これは動かすことのできない事実であります。而も政府がこの前の国会におきましてこの租税改正案を出されたときに、これは実質的に減税になるという証拠といたしまして、我々に資料を出したのであります。その資料は「税制改正及び米価改訂等の勤労者の生計費に及ぼす影響」と題する資料であります。そうして「昭和二十五年十二月に対する昭和二十六年四月以降の比較」と題しまして我々に配付しました資料であります。この資料によりますと、年収十二万円即ち月收一万円の夫婦二人の世帶の租税改正による減税の程度はどうであるか。この資料によりますれば、中央の税制改革によりまして二・五〇%の減税になる。これにつれて地方税が〇・一〇%の減税になる。更に間接税の減税が〇・七二%、合計して三・三二%の減税になる。こういう調査であります。併しながら主食の消費者価格の改訂によつて騰貴がありますから、これを一・五五%と見込んで、差引一・七七%の減税になる。これが政府の説明でありました。生計費に対しては一・七七%、月收一万円、夫婦子供二人の人に対しては、こういう実質的に減税になるということを、政府は我々に資料を出したのであります。それも先ほど申しましたように、CPIは昨年十月から今年一月までにすでに一〇%、一〇%の騰貴を示しております。これを以て見ましても、一・七七%の減税であるというが、これに対しCPIは一〇%も上つてしまつておる。これでも、なお、政府はこの税制改革による税負担の軽減が、これが実質的であると、こういうふうに言い得るかどうか。これは抽象論を闘わせば水掛論でありますが、実質的に数字がこれを示している以上、我々はこれを以て政府は七百億減税ということは、国民に対してこれは本当のことを言つておるのではない。但し減税になる面は、それは確かにあります。それは高額所得者或いは法人であります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)これが私はこの所得税改正法案にどうしても賛成することができない理由であります。政府は具体的な資料を以て我々にこれを、若し政府がこれを実施せんとすれば示さなければならぬ。その具体的資料は政府は我々に示しておりません。具体的に、こういうふうに、これが名目的な減税であるということが明らかである以上、我々はこれに賛成することはできない。国民をこれは僞わるものであります。  第二の反対の理由は、資本蓄積を名目として、資本蓄積に便乗いたしまして、そうして著しく負担不公平の税制を実行しようとしていることであります。先ほど委員長大蔵委員会における公述人の公述として、この税制が必ずしも名目的な減税でない、或いはこれが必ずしも不公平でないというお説もありましたが、大蔵委員会における公聽会におきまして商科大学の井藤半彌氏は、明らかにこの点を、殊に法人税の改正がこれが不当である。不公平であるということを指摘しておるのであります。法人税の改正資本蓄積のため三つの措置を講じようとしておる。即ち特別償却、それから積立金課税の廃止、源泉選択の問題。成るほど日本経済の実情からいたしまして、資本蓄積の大切なことは、これはもう議論の余地がないところであります。問題は租税負担の公平の理論、これと資本蓄積の問題、これをどう調整するかという点にあると思います。池田大蔵大臣は経済演説におきまして、徒らに租税公平の理論にとらわれることなく税を取れ、こういうことを言つておる。こんな無茶な話はない。一体何のために租税理論を学生に勉強させるか。租税の負担の公平、この原則は絶対に曲げることはできない。そうでなければ民主国家とは言えません。(「その通り」と呼ぶ者あり)問題は、これと資本蓄積、緊急な資本蓄積。これをどう調整するかにあつて、租税の公平の理論を、これを曲げてよいという理窟はない。(「それは池田放言だ」と呼ぶ者あり)これは池田大蔵大臣の非常な失言だろうと思う。国民所得は殖えましたけれども、その国民所得の実質的増加は、この所得配分はどつちのほうを向いておるか。これは法人、高額所得者のほうに行つておるのであります。これは政府が我々に出した資料によつても明らかでありまするが、時間がございませんから一々数字に亘つて実証できませんが、株式の配当或いは利益金、積立金、たくさんある。非常に増加しておる。而もこの積立金に対して課税を免除する。これは合法的な脱税を認めることであります。日本の株式会社は成るほど商法上は株式会社かも知れませんが、大体において多くは個人的な会社が多いのであります。こういう経済上においては個人会社に等しい会社に対して積立金を課税しないということは、これは合法的脱税を認めることに等しい。政府資本蓄積資本蓄積と言つて、強制的な資本蓄積方式であるところのドツジ式の強制資本蓄積を大衆に強要しておる。高額所得者及び法人に対する減税によるところの資本蓄積は、これは高額所得者及び法人に対してあらゆる面においてこれを優遇して資本蓄積が行われておる。(拍手)実に不均衡極まるものと思うのです。而も合法的な脱税を、これを公認しようとしておる。(「そうじやないよ」「そうだ」と呼ぶ者あり)これは大蔵委員会における公聽会におきましても常に問題になつた。政府は減税と租税負担の公平と資本蓄積と、この三つを以て税制改革の裏付けとしておりますが、そのうちの負担の公平ということは資本蓄積の犠牲になつてしまつた。具体的に検討すればするほど、あらゆる面においてこういうことを我々は指摘することができます。特に法人課税においてはそうであります。この前の税制改革において、累進課税でないところの三割五分の法人税にしてしまつた。而も配当所得に対しては二割五分の控除を行う。殊に地方税においては法人に対して所得割をやめてしまつた。而も今度は積立金に対しては減税をする。更に又資産評価における利益の資本組入れについては、三カ年これはできないことになつておつた。それがいつの間にか、シヤウプ税制改革でそういうふうになつておつたのを、資本蓄積を機会にこれ又資本組入れる。そうして又これが配当を付けて更に分配するのであります。そんなに資本蓄積が大切ならば、なぜ前にたくさんの儲かつた利益を社内に蓄積しないか。なぜこれを資本組入れて、株式配当としてどんどんこれを配当してしまうのであるか。私は配当は制限すべきだと思う、そんなに資本蓄積が大切ならば……。そうして国民に対しては、ドツジ強制資本蓄積の方式として、そうして名目的な、実質的には増税である、こういうことを強いておる。池田大蔵大臣は決してこれは名目的な減税でないと言つておりますが、税金が物価の騰落と関係があるのはおかしいということを大蔵大臣は言つておりますが、税金が実質的に重いのは基礎控除その他の控除が最低生活費を賄うに足りないからだ。その控除は物価の騰貴によつて食い込まれるから、そうなるのでありまして、税金が絶対的に重い根本的の原因は控除にあるが、これが物価に左右される。物価騰貴と関係のない税制ということはありつこない。而も池田大蔵大臣はそんな税制はないと強弁しておるのであります。私はこういう意味で、政府が七百億減税と言つておりますが、それは法人及び高額所得者に対する減税であつて、一般勤労大衆に対する減税ではないということを、これは政府が国民を欺しておる、これは計数的に実証できるということ。第二は資本蓄積の美名、これに隠れて、非常に不当な、実に不公平極まるところの税制改革を行おうとしておる。この二点から我々はこの税制改正案に対して絶対に反対するものであります。(拍手)    〔「議長大蔵大臣の出席を求めて下さい」と呼ぶ者あり〕
  20. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 佐多忠隆君。    〔佐多忠隆君登壇拍手
  21. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私は日本社会党を代表して、(「大蔵大臣どうした」と呼ぶ者あり)ここに上程されております租税三法案に対して反対を表明するものであります。  政府大蔵委員会において繰返し説明するところによりますると、昭和二十六年度の税法改正したために、旧法によるよりも租税收入は七百四十三億円だけ減る、即ちそれだけ減税になると言つております。成るほど、所得税で控除額を引上げ、税率を引下げ、法人税で積立金に対する課税をやめ、特別償却を認めるなど、いろいろな減税措置をやるのでありますから、その意味で減税になることは勿論であつて、この点は誰も否定をいたしません。問題は、あらゆる面から見て、真に減税となり、生活が少しでも楽になるかどうか、租税の負担は重くないかどうかということであります。  政府が国会に出しました資料によりますと、租税及び印紙收入は、昭和二十五年度の四千四百五十億円に対しまして昭和二十六年度は四千四百四十五億円で、即ち五億円の負担減になつております。政府は、税法上は七百四十三億の減になつていると、計算的には彈き出しておりますが、我々が租税負担として負担している、現実に負担している負担額は、昨年と比べて殆ど差異がないのであります。又昭和二十五年度專売益金をも含めて国税の負担を見てみますと、昭和二十五年度が五千五百八十一億円に対して、二十六年度は五千五百八十三億円、負担が減るどころか、むしろ殖えているのであります。政府は所得が殖えたからだと言いますが、予算上税負担が殖えている事実だけは絶対に否定できないところであります。更に地方税と併せて考えて見ます場合に、地方税は昨年も増税でしたが、今年も又、百七十九億円だけ殖えます。中央、地方を通じて見れば、まぎれもなく百八十億以上の増税であります。池田大蔵大臣が如何に計数に明るくとも、この数字による租税負担増加の事実だけは否定できないのであります。政府は、所得が殖える殖えると、口を酸つぱくして強調をいたしております。成るほど、朝鮮動乱以後いわゆる特需が起り、輸出景気が出たためにそれに関係のある部面は儲かつてしようがないくらいに儲けております。併し労働者や、農民や、中小企業者は、殆んど儲けておらないことは、我々自身がよく体験によつてつている通りであります。政府の計数によりましても、昨年に比べて、二十六年度の所得は、勤労者が八%、農業者が一二%、商工業などの営業者が一五%増加することになつております。然るに法人所得の増加は実に五〇%に達しているのであります。ところが、政府が減税措置をやる場合には、資本蓄積を推進するという名の下に、所得の多い部面を非常に優遇して、思い切つた減税をやつております。積立金に対する法人税を廃止したり、特別償却を認めたり、預貯金利子に対する課税に当つては源泉選択制を考えたり、至れり盡せりの配慮をいたしております。それだのに、農漁民や中小企業者に対する特別控除の問題は、シヤウプ勧告にもちやんと述べてあるのに、政府は取上げようといたしません。政府はこれに対して、我々のこういう追及に対して答えて曰く、だから基礎控除や扶養控除を引上げてやつたのだと言うのであります。併し現在の控除額、即ち基礎控除額現行二万五千円を三万円に、扶養控除額現行一人につき一万二千円を一万五千円に引上げるだけでは、なかなか最低生活すら保障して行けないことになります。例をとつて言えば、勤労者の夫婦と子供二人、その四人家族では、年額八万八千円に基礎控除がなるからいいじやないかと言いますが、これは四人の一年の飲食費にも足らないものでありましよう。現在でも租税は、最低生活費どころか、飲食費にすら食い込んでおるのであります。こんな事態を放つて置いても、法人に対して、高額所得者に対して、特別に減税すべきだという政府の減税措置を、我々は全く了解に苦しむものであります。加うるに物価はどんどん上つて参ります。朝鮮動乱以後すでに消費物資も、従つて生計費も相当上りました。そうして、これらの騰貴は、むしろこれからだとさえ言われております。生活水準は朝鮮動乱以後日立つてつて参りました。昨年の今頃に比べても下つております。生計費の上りは、今度のくらいではなかなか追い付きません。夫婦と子供二人の四人で月額一万二千円の世蔕では二百八十円だけ税が安くなりますが、仮に生計費を非常に内輪に見積つて一割だけ上つたといたしましても、支出は一千二百円殖えるのでありまして、二百八十円くらいの減税ではなかなか追つ付かず、生活は非常に苦しくなることは明らかであります。生活安定のための減税であるならば、現在及び今後一カ年の物価騰貴を十分に考慮に入れて、基礎控除や扶養控除を更に大幅に引上げなければならないのに、この点については政府は何らの考慮も拂おうといたしません。又、我が国の農漁民や中小企業者は、経営者であると同時に労働者であるという二重性格者でありますが、むしろ現在の状態においては労働者的性格が非常に強いことは明瞭であります。とするならば、シヤウプ勧告に待つまでもなく、これらの農漁民や中小企業者は勤労者なみに勤労控除すべきが当然と思うのでありますが、この当然過ぎるくらい当然なことに対してすら、政府は一願だに與えようといたしません。又先の委員長報告にもありました通り、その年に拂込んだ生命保險料のうち二千円までを控除することとしながら、健康保險料その他の社会保險料に関しては控除の措置を考えようといたしておりません。ここにも下級所得者・勤労大衆に対する配慮の欠けておることが余りにも露骨ではありませんか。政府は、そんなに下層所得者の減税をやれば租税收入が足りなくなるから、そんな減税はできないと答弁いたしたのであります。併し特需や輸出によるいわゆる朝鮮景気のために、儲けておる部面は非常に儲けておることは余りにも明白であります。法人税収入はすでに現在において予算額を突破いたしております。来年度法人税六百三十六億円も余りに手堅過ぎる見込であります。そのことは大蔵委員会審議で明瞭になつたことであります。そこで法人に対しては、むしろ或いは法人税率を引上げるとか又は臨時利得税を新たに設けるとかして、これらの万両における所得を吸収することが現在最も必要な措置であります。これこそは現在の思惑買その他の投機を封ずる最も適切なインフレ対策であると思われるのに、政府法人税法改正にこの点を何ら考えておりません。税法改正、特に減税を考える場合は、この税負担の公平を最重視すべきであります。大蔵大臣は、税法改正案の説明のときにはこれを謳つておるのでありますが、我々の追究に会つて、その答弁では、必ずしも租税の負担の公平を考えないのだ、否、むしろ負担の公平はこの際犠牲に供することも止むを得ないという本音を吐いております。政府のこのような税法改正の態度に対しては、我々絶対に反対をせざるを得ないのであります。(拍手)ここに我々は繰返し反対の意思をはつきりと表明をいたす次第であります。(拍手
  22. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。  先ず所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  23. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  24. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  25. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  26. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に公認会計士法の一部を改正する法印案、再評価積立金資本組入に関する法律案及び資産評価法の一部を改正する法律案、以上三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  27. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて三案は可決せられました。      ——————————
  28. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  29. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  30. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に在外公館等借入金返済準備に関する法律案及び保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  31. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  32. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第十四、社会福祉事業法案内閣提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。厚生委員長河崎ナツ君。    〔河崎ナツ君登壇拍手
  33. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 只今議題となりました社会福祉事業法案につきまして、厚生委員会における審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず本案の提案理由につきまして説明申上げます。現下の社会情勢によりまして、社会福祉事業は、公的扶助制度の確立とその専門技術化の促進が強く要望せられ、先に生活保護法の全文改正及び社会福祉主事の設置に関する法律が制定せられたわけでございます。而も約二百億円の経費を要する公的扶助その他児童及び身体障害者等の福祉に関する行政は、今や一層の強化を要請されつつありまする次第でございますが、その運営の合理化と能率的組織の整備がますます要求せられているのでございます。他方、民間の社会福祉事業の分野におきましても刷新拡充の必要が痛感されておりますことは、御承知の通りであります。なお又、社会保障制度審議会からの勧告のうちにも、社会福祉事業を能率的、科学的に運営する民生安定所の設置が謳われ、特別法人の制度確立により、民間社会事業に自主性を與え、公共性を高めることと述べられております次第でございます。ここにおきまして、昭和十三年に制定せられました社会事業法を廃止して、新らしい社会福祉事業の全分野における共通的基本事項を定め、生活保護法等の既存立法と相待ちまして、社会福祉事業が公明且つ適正に行われることを確保し、以て社会福祉の増進に貢献いたしたいというのでございます。以下本法案の内容の要点を簡單に申上げます。第一に、社会福祉事業を分けまして第一種事業及び第二種事業とし、そのおのおのについてその事業内容を具体的に定義いたしております。なお、更生緊急保護法に基く事業及び一定の基準に達しないものは、この法の対象から除いております。第二に、社会福祉事業の経営主体についての規定でございますが、第一種事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則といたしておりますが、宗教法人、その他個人であつても、許可を受ければ経営することができる途を開いてあります。第三に、事業経営の準則を定め、社会福祉事業を経営する者のそれぞれの責任を明確ならしめ、公私の関係を確立することにいたしてあります。第四に、社会福祉事業に関する共通的基本事項その他重要事項を調査審議するため、中央に社会福祉審議会を設置することになつております。第五に、福祉に関する事務所の規定を設け、都道府県及び市は、福祉に関する地区を定め、その地区ごとに事務所を設けて、生活保護法、児童福祉法及び身体障害者福祉法に定める援護、育成又は厚生の措置に関する事務を掌るものといたしております。なお町村及び一部事務組合も福祉に関する事務所を設置することができることになつております。第六に、社会福祉主事に関する規定を設け、社会福祉主事の設置に関する法律を吸收することになつております。第七に、指導監督及び訓練の規定を設けまして、行政の効果的遂行を企図いたしております。筋八に、社会福祉法人の制度を創設し、その組織及び運営について一定の基準を定め、災害時における緊急復旧に際しては、公の支配に属する社会福祉法人に対しては補助の途を講じ得るよう規定いたしてあります。第九に、社会福祉事業の経営と寄附金募集の規定を設けまして、これが適正に行われるようにいたしております。第十に、共同募金及び社会福祉協議会の組織及び運営について規定し、共同募金会と、その区域内の公私社会福祉事業関係者の協力による社会福祉協議会との密接な連絡により、社会福祉事業の組織的活動を図ることといたしてあります。第十一には、従来の各種の課税除外に加えて新たに登録税の課税除外の規定を設けようとするものであります。  以上がこの法案の提案理由及びその内容の概略でございます。  厚生委員会におきましては慎重審議を盡しまして、政府当局との間に幾多の重要な質疑応答が交されたのでございますが、そのうち要点を申上げますと、  山下委員から厚生大臣に対しまして、この法案は社会福祉事業全般に関する基本法案である、近来の社会福祉事業は著しく公共性を帶びて来たが、政府は本法案成立後如何なる政策を実施する方針なりや。即ち一、国の責任に属する社会福祉事業は将来如何にして実施するか。二、地方公共団体経営の社会福祉事業に対しては如何なる方針で望むか。三、民間社会福祉事業に対する態度如何という趣旨の質問に対しまして、厚生大臣から、社会福祉事業の経営については、国又は地方公共団体は十分責任を持つてこれを実施する、民間経営の社会福祉事業に対しては指導監督を強化し、公明適正に行われるようにしたいとの答弁がありました。  次に、国自体の責任に属する社会福祉事業を民間に委託しているが、その現状は頗る消極的であり、民間社会福祉事業の特性を減殺している、事業委託に際しては十分なる費用を支出すべきだと思うがどうかとの質問に対しまして、民間社会福祉事業経営者へ事業を委託する場合は、十分なる成果を挙げ得るよう責任を持つて実施し、且つその自主性を十分尊重して行きたいとの答弁がございました。  又社会福祉事業の振興を図るには人の問題が最も大切であるが、社会福祉事業従事者の養成及び処遇並びに社会福祉事業功労者に対する処遇問題等についての所見如何との質問に対しまして、社会福祉事業従事者の養成には昭和二十六年度予算にも相当な額を計上してあるので、極力これが養成に努めるつもりである、又社会福祉事業の功労者に対しては藍綬褒章を授與することになつておりますが、文化勲章授與等の措置についても善処いたしたいとの答弁でございました。  次に、民生委員法及び民生委員の取扱方を如何にするか、民生委員地方議会議員兼職等は差支なきや、日本赤十字社も社会福祉事業を経営しているが、本法と日赤との関係如何との質問に対しまして、民生委員法の取扱方については、目下研究中である、民生委員は本来のボランテイーアとして存続せしめることとし、民生委員地方議員選挙に立候補するのは差支ない、本法は日本赤十字社にも適用されるとの答弁でございました。  次に、本法案の内容につきまして、同じく山下委員から木村社会局長への質問に対しての局長の答弁の要点を申上げますと、  先ず社会福祉審議会につきまして、これを設置する必要があるのか、ただ名目的のものならば無意味である、設置するとすれば権威あるものでなければならぬが、如何なる事項を審議するか、又児童福祉審議会、身体障害者福祉審議会等との関係如何との質問に対しまして、社会福祉審議会は、社会福祉事業全分野における共通的、基本的事項その他の重要事項を調査審議する、本審議会を中心として他の審議会との調整を図り、できるだけ権威あるものにいたしたいとの答弁がございました。  次に、福祉に関する事務所につきまして、福祉に関する事務所は、都道府県及び市のみならず町村も設置することができるようになつておるが、その結果濫設して複雑化する慮れはないか、又事務所の長に保護の決定権がないのは甚だ遺憾に思うがどうかとの質問に対して、町村が福祉に関する事務所を設置せんとする場合には、真によく運営し得る見込があるものに対してのみ都道府県知事は設置の承認を與えるよう指示して、濫設、混乱を防止することとし、保護の決定権は一応事務所の設置者に與えるが、これを事務所の長に委任する形式をとらしめたいと思うとの答弁がございました。  又社会福祉法人につきまして、本法により設立された社会福祉注入に対しては、災害時一のみならず、平時においても十分補助の途を講ずべきであると思うが如何との質問に対しまして、社会福祉法人に対する補助を災害時のみに限定したのは関係方面の意見を勘案した結果であり、これにより憲法第八十九條の問題は一応解決したことになるとの答弁がございました。  次は共同募金の問題につきまして、共同募金の配分を受けた者は、受配後一年間はその事業経営に必要な資金を得るため寄附金を募集してはならないことになつているが、これはその配分金が事業経営に十分であることを前提とするもので、実際は配分金は僅少で、事業経営に不十分であるから、この規定(第八十一條)は不当だと思うが如何との質問に対しまして、これは共同募金の性質上一応かように規定したので、若し自発的に寄附を申出る者があれば、これを受入れることは少しも差支ないとの答弁でございました。  次に社会福祉協議会につきまして、社会福祉協議会の下部組織について何らの規定なきはどうか、又更生保護事業は社会福祉事業から除外してあるにかかわらず、社会福祉協議会の構成メンバーとなり、且つ共同募金の配分を受け得るものとしてある理由はどうかとの質問に対しまして、社会福祉協議会は地域社会の組織化を基調とするものである、共同募金会との関連上、都道府県を單位として立案したのであるが、町村も任意に協議会を設置することができる、  次に更生緊急保護法に言う更生保護事業を社会福祉事業から除外した理由は、更生保護事業は刑事政策的色彩が濃厚であるため、法務府の意見を尊重し、社会福祉事業から除外するを至当と認めたからであるとの答弁でございました。  次に石原委員から、共同募金会の役員問題につきまして、共同募金の配分を受ける者はその共同募金会の役員にはなれないことになつておるが、これは或る程度認めては如何との質問に対しまして、木村社会局長から、従来の実績に徴し、利害関係の密接な者は一応共同募金会の役員にはなれないことにいたしたのである、共同募金を実施するには、あらかじめ社会福祉協議会の意見を聞くことになつている、本法施行後の結果を見て、将来考慮することにいたしたいとの答弁がありました。  その他、社会福祉主事の資格、養成及び処遇問題、本法施行に伴う財政問題その他についても質疑応答が交されましたが、その詳細は速記録によつて御覧願いたいと存じます。  なお、本委員会におきましては、本法案は日本におきましても最初の相当重要性を持つておる法案でもございまするので、特に小委員会を置きまして、本法案の取扱方並びに政府に対する要望事項等の決定方を付託いたしましたのであります。で、小委員会は、松原一彦委員を小委員長といたしまして二回開会し、愼重審議の結果、政府に対する要望事項を決定して関係当局の所見を質し、且つこれが実現方を要望いたしました旨、小委員長から報告がございました。次にその概要を申上げます。先ず政府に対する要望事項といたしまして、小委員会は次のことを決定いたしました  一、政府は国民にあまねく社会福祉事業の重要性を認識せしめ、その協力態勢を確立するよう努めること。  二、政府は社会福祉事業の振興に関する根本計画を樹立すると共に、地方公共団体をしてその地区の実情に即応した社会福祉事業振興計画を樹立せしめること。  三、不良社会福祉事業の粛正を断行すると共に、優良社会福祉事業の助成を図り、且つ公的社会福祉事業施設の改善向上に努力すること。  四、社会福祉事業関係者の処遇並びに社会福祉事業功労者の表彰について特別の措置を講ずること。五、社会福祉事業経営者に対する国又は地方公共団体の事業委託費を大幅に増額すること。  六、社会福祉事業施設に対する免税を更に拡大すること。  七、戦争犠牲者に対して速かに適切な方途を講ずること。  八、本法案成立後適当な時期に左の通り條文を改正すること。   (1)第二條第四項第一号を削除す  る 即ち更生緊急保護法に言う更生  保護事業は、この法律における社会  福祉事業にこれを含める。   (2) 第六條第二項中「監督に属し、  その」を削除する。即ち第六條第二項において「社会福祉審議会は、厚生大臣の監督に属し、」とあるが、文句が妥当でないから、この「監督に属し」という文句を削る。  (3) 第十三條第四項及び第五項を削除し、関係條文を整理する。即ち町村及び町村の一部事務組合は、福祉に関する事務所を設置することができないことにする。  (4) 第五十六條中「緊急にこれを復旧する必要があると認めるとき」の次に、「又は、国若しくは地方公共団体が、要援護者等に関する収容その他の措置を委託したことによつて、社会福祉法人その他の者の経営する社会福祉事業施設の改善をする必要が生じたと認めるとき」を加える。即ち国又は地方公共団体が要援護者等に関する収容その他の措置を委託したことによつて、社会福祉法人その他の者の経営する社会福祉事業施設の改善をする必要が生じたと認めるときにも補助金を支出する等のことができるようにする。  (5) 第七十三條第三号を、「当該共同募金の配分を受ける者が役員又は評議会の総教のそれぞれ五分の一を超えないこと。」に改める。即ち共同募金の配分を受ける者が役員又は評議員に含まれないことが共同募金会の設立の認可の條件になつているが、これを共同募金の配分を受ける者が役員又は評議員の総数のそれぞれ五分の一を超えないことに改める。  (6) 第八十一條を削除する。即ち共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後一年間はその事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集してはならないことになつているが、これを緩和して、特別の事情があつて第六十九條により都道府県知事の許可を受けた場合は寄附金を募集できるようにする。  以上が政府に対する要望事項でございまして、これに対し木村社会局長からは、この要望事項に対しては、将来関係方面ともよく協議して、成るべく御趣旨に副うよう善処したいとの答弁がありました。  又社会福祉事業に対する法人税の減免問題につきましては、大蔵省当局から、社会福祉事業に対する法人税については、これを全面的に免除するわけには行かぬが、でき得る限り御趣旨に副うよう努力いたしたい旨の答弁があり、又地方税の減免問題につきましては、地方財政委員会事務当局から、市町村民税の法人の均等割については運営の面で善処することとし、附加価値税及び入場税の減免問題については、これは消費者負担の税である関係から減免困難とは思うが、研究善処いたしたいとの答弁がございました。この税の減免問題は社会福祉事業の育成発展に重大な関係がありますので、極力善処するよう特に強く要望いたしました。これが小委員長報告の大要であります。そうして本委員会におきましては、小委員長のこの報告を全面的に承認いたしました次第でございます。  かくて質疑を打切りまして、討論に移りましたところ、中山委員から、本案については小委員長報告中の要望事項の実現方に関し政府の善処を期待して原案に賛成の意を表されました。次に、日本社会党を代表いたしまして私から、この法案は、(1)社会福祉に関する責任は国家社会にあることを明確化し、且つ国、地方公共団体及び民間社会福祉事業の分野をそれぞれ明白にしてある点、(2)社会福祉事業を二大別して、公私の協力を必要とする事業種目と民間社会福祉事業家の活躍に期待すべき事業種目とを画然区別し、且つ民間社会福祉事業に対する国又は地方公共団体の補助の途を開いてある点、(3)従来一般事務的に処理されていた福祉行政が、福祉に関する事務所の設置、専門職員の配置、指導訓練の制度等により一段の発展を期することとし、且つ地域社会を基礎とする社会福祉関係者の協議会が組織されて協力態勢を整えた点、(4)共同募金を法制化してある点等々、その構想は時宜に適したもので、社会保障制度の一環をなす社会福祉部面の公私の活動組織を確立し、その活動の一歩前進を促すべき法案といたしまして、賛意を表するものでありますが、まだまだ完璧なものとは言えない、政府はよろしく小委員長報告の要望事項の実現方に関し最善の努力を拂うべきことを要請いたしまして、本案賛成する旨を申述べた次第でございます。次に松原一彦委員は、小委員長報告中の要望事項実現方その他に関し政府の善処を要望して、原案に賛成の意を表せられ、又谷口委員は民主党を代表して、本案のごとき重要法案は最も慎重に審議すべきもので、この意味において特に小委員会を設けて審議せしめたことは適当な措置と考える、小委員長報告中の要望事項の実現方を強く政府に要望して原案に賛成する旨を述べられました。  かくて討論を終り、採決いたしましたところ、全会一致を以ちまして本案政府原案通り可決すべきものと決定いたしました次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手
  34. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  35. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  36. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第十五、教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案衆議院提出)、日程第十六、昭和二十六年度に入学する児童に対する教科用図書給與に関する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文部委員会理事加納金助君。    〔加納金助君登壇拍手
  38. 加納金助

    ○加納金助君 只今上程されました教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の文部委員会における審議経過並びにその結果を御報告いたします。  本法案提出者である衆議院議員佐藤重遠君ほか十四名の提案したる理由及び法案の内容とするところは、教科書発行に関する臨時措置法規定により、教科書の発行者から徴する保証金の額は、教科書の定価の三分に相当するものでありまするが、教科書発行者は、厳格なる定価算定方式によつてその定価が制約され、且つ資金の調達に多大の苦心を重ねている上に、教科書用資材の値上り、営業費の増加等により、教科書の定価が高騰したため、資金の調達は更に困難となり、過重な負担となつているので、保証金制度の趣旨を害しない程度に、即ち従来の定価の三分を一分に減額してその負担の軽減を図り、以て教科書の値上りを適度に抑えると共に、その円滑なる発行に資しようとするものであります。  文部委員会における荒木、高田、若木、木村、岩間等の各委員質疑並びに応答の大要を申上げます。保証金の三分を一分にするというよりも、むしろこれを撤廃したがよくはないかとの質問に対し、発行義務の履行を強制する方法としてこの程度のものは存続する必要があると思うが、将来考慮さるべきであるとの答弁がありました。用紙及び資金の確保について政府の施策について質したのに対し、文部当局は、教科書用紙の統制は撤廃しないようにすることを考慮中であるし、二十六年度分の教科書用紙についてはその九〇%までは確保してあるので懸念の要はない、なお将来の問題につきましては、用紙及び資金の確保に関し具体的に各種の施策を講じつつあり、又講ずるつもりであるとのことであります。三分を一分にすることにより定価が他の諸物価なみに上ることを防ぐというようにすべきであるが、更に積極的に他の諸方策を講じて、その定価の高騰を能う限り抑制する必要があると思うがどうかとの質疑に対しましては、提案者は政府をして十分その趣旨に副うよう努力させる考えであるとのことであります。又文部省当局も十分趣旨に副うよう努力するとのことであります。保証金を三分を一分にすることにより発行者の負担は相当軽減されるから、教科書代金を前拂いさせるというような従来の弊は断乎中止すべきではないかとの質問に対しましては、提案者は政府をして御趣旨に副わせるようにするとの答弁があり、大臣及び文部当局も又さような弊害は除去するに万全の方途を講ずるとの答弁がありました。  かようにいたしまして質疑を終了し討論に入りましたが、その大要を申述べます。先ず高田委員よりは、第一、保証金を三分を一分にすることにより従来の教科書代金の前拂いというような悪弊を除去すべきこと、第二、用紙の高騰などのため大資本による発行者が実権を握る結果とならないようにしなければならないこと、第三、検定制度の助長を図ること、第四、教科書用紙の統制の撤廃はしないことの要望を付して賛成しました。矢嶋委員よりは、第一、適時正確に配給すること、第二、前拂いの弊害を除去することの要望を付して賛成し、岩間委員からも前拂いの弊害除去を強調して賛成し、木村委員よりも賛成の意見開陳があり、かくて採決に入り、全員一致、本案賛成決定いたしました。  次は、昭和二十六年度に入学する兒童に対する教科用図書の給典に関する法律案についての文部委員会における審議経過及びその結果を御報告申上げます。  政府の提案の理由とするところは、義務教育費無償という理想の、より広範囲な実現への試みといたして、地方公共団体に対し昭和二十六年度に公立学校に入学する兒童の教科書の給與を奨励し、以て兒童が国及び地方公共団体の一員としてその援助の下に教育を受けているという意識を明確にするため、教科書給與に要する経費の二分の一を国が補助することとしたいということであります。本法案の内容とするところは、第一に、国は、市町村が昭和二十六年度に市町村立の小学校に入学する兒童に対して、国語及び算数の教科用図書給與するとき、予算の範囲内においてその経費の二分の一を補助すること、第二に、国は、都道府県が昭和二十六年度に都道府県立の盲学校、ろう学校の小学部に入学する兒童に対して国語算数その他の教科用図書給與するときに、予算の範囲内においてその経費の二分の一を補助すること、この二点であります。  委員会における高橋、岩間、矢嶋、木村等の各委員質疑に対する政府当局の応答の主なるものを申上げます。  私立学校、官立学校の兒童を除外したのは法案提出の理由の根本に反するものであり、兒童に差別感を與えるものではないかとの質問に対し、一応学校教育法による設置義務に基く公立の学校の兒童に限つたが、将来私立学校にも及ぼすよう努めたいとのことであります。二十七年度以降は他の教科用図書に及ぼすことは勿論、漸次上学年に及ぼすよう考慮すべきであるがとの質問に対し、審議会に諮り適切なる方策を立てると共に、財政上の諸点を十分考慮し、能う限り希望に副うよう努力するとのことであります。義務教育費無償の原則に則り、政府はその根本的施策を講ずべきであるのに、かくのごとき低度の施策、即ち最低七百億円を要するのに対して僅かに三億円程度の予算を以てして、而も臨時的のものとして立法するがごときは理解に苦しむとの質疑に対し、現在の国家財政の実情を以てしては一挙に広範囲に亘ることは困難であるから、差当りその試みとして二十六年度のみの臨時的なものとしてあるが、審議会等に諮り、将来具体的計画を立て、より広範囲の義務教育費、無償の原則の実現に努めるとの政府の答弁であります。地方財政については適当な措置がしてあるかとの質疑に対し、関係当局と十分打合せがしてあるとの答弁であります。補助の形では教科用図書の定価を自然制約するため、質的低下を来たす虞れはないかとの質疑に対しまして、地方公立学校で採用に決定したものを具体的に調査して積算してあるから、大体予算に不足は生じないが、若し必要があれば予算増額を考慮するとのことであります。就学奨励費及び生活保護法、児童福祉法に基く予算により、貧困家庭の兒亜に対しては教科書その他の給與をしてはどうかとの質疑に対し、関係方面と連絡して善処するとの答弁であります。  かくて討論に入り、高田委員は、第一、本法案の根本の趣旨を生かすため、義務教育を受ける者の全部に及ぼすよう基本的実施計画を樹立すること、第二、予算の裏付けを科学的、合理的にすると共に、教科書用紙の統制を廃止しないようにし、これによつて用紙の確保を期し、併せて教科用図書の質と量の保全に努めること、この希望を付して賛成し、岩間委員は、第一、本法案は義務教育無償の原則を達するためには極めて低い程度のもので、根本的実施行計画もなく、従つてこの理想には極めて遠いものであり、單に一時的に糊塗しているに過ぎないものである。第二に、予算的裏付けが極めて少額であつて、教育を受ける者の貧富の差による階級性を改めるに至らないこと等の理由を述べ、本法案に反対し、矢嶋委員は、第一、この法案は理想への第一歩であること、第二、今後教科書行政を根本的に検討し、理想に達するようにするため、町年度は更に範囲を拡大すると共に、検定制度を助長し、固定制度を速かに廃止すること、第三、国庫補助に不足を生じたるときは政府は速かに予算措置を講ずること等の意見及び要望を付して賛成し、加納委員は、第一、国家財政窮乏の折柄、理想への第一歩を踏み出したことは十分に価値があること、第二、来年度以降は漸次上学年に及ぼすべきこと、第三、教科用図書の質と量を確保し、価格についても値上りを極力防止するよう努むべきこと等の要望及び意見を述べて賛成し、高橋委員は、第一、来年度以降は私立学校児童にも及ぼすよう政府は善処すること、第二、本法案は理想への第一歩であること等の意見を述べて賛成しました。  かくて採決の結果、多数を以て政府原案賛成決定いたしました。なお詳細は委員会会議録の御参照をお願いいたします。  以上を以ちまして、報告を終りといたします。(拍手
  39. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 昭和二十六年度に入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律案に対し討論の通告がございます。これより発言を許します。岩間正男君。    〔岩間正男君登壇拍手〕    〔「簡單に願います」と呼ぶ者あり〕
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 日本共産党は只今議題となりました法案に反対するものであります。謳われているところは義務教育の無償である。それを一部分果すものであるとして、その趣旨が冒頭の第一條に記されているのであります。それによりますと、「義務教育の無償の理想のより広範的な実現への試み」云云と、大層立派なことが述べられております。だが、その内容はどうであるかと見ますと、これは小学校の一年生の教科書、そのうち国語と算数の二冊を国庫からその半額だけ補助してこれを児童に與える。その額はどうなるかと言いますと、一人分大体七十六円ということになるのであります。而も予算の削減や物価の値上りのため、最初文部省側で計画されました計画の三分の一、五分の一というようにこれは縮小されておるのであります。その結果は窮迫の一路を辿つておりまするところの地方財政を圧迫することになるのであります。これでは義務教育無償の美名が泣き出す始末であると我々は思うのであります。天野文相は、これでも、ないよりはましである、温かい政府の親心の班われであると述べていられるのでありますが、我々の眼から見ますれば、これは本末顛倒と言わなければならない。私はその理由を挙げたい。なぜなら、憲法の第二十六條に「義務教育は、これを無償とする。」ということを規定しております。この規定をこのように安直に解釈して、まるで、つまみ食いをするようなことは全く許されない。そもそも新憲法が特にこの一章を設けまして、このようなことを規定しておる理由というものはどこにあるか。これは日本教育の真の民主化を図ることである。そのためには教育の機会均等を確立するという、それを徹底させるところにあつたのであります。ところで、その理想は現在においてどうなつておるか、根本からこのような理想が果されておるかと言いますと、事実はむしろ逆であります。  これの手近かな問題としまして、先ず六三制を取上げて見ましよう。例を足下の東京都の場合にとつて見ます。そうしますというと、東京都では、この二十六年度の学童の自然増加数を見ますと約八万であります。これに必要な教室は当然千六百教室要ることになるのであります。然るに東京都の今年度の予算を以てしましては、六三校舎の新築数は僅かに九百教室に過ぎないのであります。従つて残りの七百学級というものは、当然、二部、三部教授を強化せねばならないというようなところに追い込まれておる。これを要約しますと、これは取りも直さず、現在の教育予算を以てしては年々の自然増加の兒童数をさえ吸収することができない。そうしてその結果は、却つて馬小屋教室、青空教室を増加せしめているような実情であります。つまり今年度の六三制……政府が計上しておりますところの四十三億を以てしては、当然殖える人口数だけをも吸収することができないのであります。その結果が、当然これは小学校に実は、しわ寄せされて行くのであります。従いまして、二部、三部教授はおろか、一学級の兒童数が七十人、八十人というような、実に戦争前のような大量生産的教育を行わなければならないという結果に行くのであります。このようにしまして、予算が不十分なために、これに対するところの六三制校舎建築に対する建築費の増額希望は実に澎湃として起つているにもかかわらず、このような問題につきましては何ら根本的な解決を與えていない。そうして、このような、実に一億三千万円で果せるような、而もこれで総花的に、名目だけはいいところの法案を出しているというようなこの矛盾を、我々は徹底的に指摘しなければならない。  又、昨日の予算委員会でも、つぶさに審議されたところでありますが、このたびの地方財政平衡交付金の削減によりまして、教員の給與ベース改訂、或いは年末手当、或いは級別推定表による待遇改善にも大支障を来たすのであります。教員給は、この削減によりまして約五十億円不足することになります。この影響するところが如何に深刻であることかということをよく物語つておるのであります。その結果は、当然、教員の首切りとか、労働強化とか、或いは旅費の削減というような、芳ばしくない状態を来たすのであります。そうして正常な教育の運営はとても覚束ないところに現在の教育の実態は追い込まれておる。こうして教育予算の絶対不足は、今や日本の義務教育を破綻に瀕せしめているのであります。その結果は地方村政を極度に圧迫し、又、父兄の寄付行為をますます強化せしめているのであります。百億はおろか、二百億、三百億というような厖大な寄附が二十六年度の予算においては強化されることは、火を見るよりも明らかであります。重税と物価高で苦しんでいる大衆の生活が、こうして教育費の負担の面からも生活破壊をもたらし続けておるのでありまして、これは單なる教育問題というよりは、実は社会問題であります。毎日新聞の伝えるところによりますというと、PTAを通じて月乃父兄が学校に徴收されておる金は、小学生で一ケ月約五百円であります。その結果は、学校に子供をやることができない。長期欠席者が著しく増加して、或る学校では五人に一人というような数を数えております。或いは集団家出とか、不良化等が頻々として新聞の社会記事を賑わしておる。この実情は実に悲惨なものと言わなければならない。この原因は、全くこれは経済的な原因であります。だから、よく父兄は、今日は日本には税務署が二つあるということを言つておる。税務署の一つは税金で我々を攻めて来る税務署であるが、もう一つはPTA税務署である。この税務署はじわじわとやつて来て、子供が泣きつくから、何としても苦面して、借金しても、或いは配給のために残して置いた金でも、これを與えてやらなければならない。こういう形で、実は全教育予算の三分の一以上がこのような父兄負担によつて賄われているというのが、日本の教育のまぎれもない実情であります。  我々は、このような経済的な問題に、はつきり楔を打込むことなくして教育を論ずることは、全くこれは欺瞞であると言わなければならない。日の丸であるとか、或いは君が代の問題であるとか、修身科の復活とか、こういうことだけに憂身をやつしておるというと、文部省の足下では、このような財政的破綻のために、日本の教育は深刻な頽勢にさらされておるのであります。このようにしまして、地方財政や父兄の経済負担によつて教育が賄われるところに、どうして一体平等な教育、貧富の差によつて左右されない教育の実現が期待できましようか。憲法の義務教育無償の規定こそは、戰争前のこのような不平等をなくし、教育を大衆に均霑しようとする意欲から出発したものであります。然るにこうした基礎的な教育財政の確立に対しまして一向に冷淡無策な政府が、僅かに一億三千万円程度の、全くポケット・マネー程度のものを以ちまして、殆んど問題にならぬ予算を以ちまして、名目だけは、はなはだしい教科書の無償配給を実施せんとするものであります。これこそは、私が先に述べました文部行政の逆立ちであり、本末顛倒であると言わなければならない。いわば政府はみずからの無策を大衆の目からごまかそうとして鳴り物入りで宣伝しておるのが本法案であります。池田蔵相のごときは現にこの演壇を……この参議院の演壇を通じまして、文部行政の画期的な変革、日本の四大政策の一つとして、この教科書の無償配給を呼号しておる。誠に滑稽と言わなければならないのであります。これは又、口に愛国心、独立ということを宣伝し、目の丸や国歌や、修身科の復活に憂身をやつし、再び軍国調を鼓吹せんとする吉田内閣の大衆欺瞞の政策の現われと言わなければならない。或いは又、国家予算の大半を、国連協力、大資本擁護のために収奪し、民生、教育、文化のためには正当な支出よ怠つているところの、他出財政の麻酔的政策と断ぜざるを得ないのであります。  小学一年生、一人当り七十六円の国庫支出が如何に欺瞞に満ちたものであるかは、又次の事実を検討すれば足ります。即ち文部省の資料によりますと、義務教育無償の最低予算として、小中学校の教科書全額は約四十九億、給食費が二百三十三億、学用品代が二百十億、総計約五百億であります。これを最近の物価高によりまして考えれば約七百億が必要であります。このたびの措置は、これから見ますと、この七百億に対しましては、僅かに五百分の一に過ぎない。これに被服代とか、履物とか、雨具とか、交通費とか、こういうような費用を計算すれば、実にこれは八百分の一、千分の一にも過ぎないのであります。一人の新らしい小学生、これを入学させるために父兄は一体どれだけの費用を負担しているか。これも毎日新聞の調査によりますと、先ず一人宛九千円を下らないと伝えられているときに、七十六円でもつて羊頭を掲げて狗肉を売る、このような政策に対しまして、我々は断じて賛成することはできない。我々は心から無論義務教育の無償を願い、その実現を叫んで来たものである。貧しき者も富める者もひとしなみに教育し、いわゆる教育の機会均等を確立して、新らしい日本の人材を国家がその予算を以て作り出す、そのためにこそ根本的な施策が十分に要求されねばならないことを主張して来たのであります。建物の骨組みさえもまだ十分にできないうちにネオン・サインを飾ろうとするような、この馬鹿げた法案を我々は許すことはできない。教育費の全き保証、これこそは全人民の要求であり、その実現のために我々は挺身せねばならぬのであります。最近ソ連の軍事費が一九形から二一%へ増額したことに目を皿のようにしてデマを放つている人々も、実はその社会文化費が全予算の二六・七%であり、軍事費に優ることまさに五・四%、額にしまして二百四十四憾ルーブルの増額であることを隠しているのであります。人民のための人民の教育は、こうしてこそ、全き無償の教育によつてのみ保証付けられることを知らなければならないのであります。資本主義社会における教育は支配階級のものであり、それは贅沢な消費や飾りものを意味しているときに、社会主義社会の教育は、真に人民のものであり、生産の原動力である正しい労働力の再生産を意味し、文化の根源を形作るものであります。こうした意味におきまして、我々に真に正しい教育の在り方を求める故にこそ、かかる欺瞞的、宣伝的、つまみ食い的法案に対しましては、あえて反対せざるを得ないのであります。
  41. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  先ず昭和二十六年度に入学する児童に刻する教科用図書給與に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  42. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  43. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 次に教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  44. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  45. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程第十七、積雪寒冷單作地帶振興臨時措置法案衆議院提出)、日程第十八、農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長羽生三七君。     —————————————    〔羽生三七君登壇拍手
  47. 羽生三七

    ○羽生三七君 只今議題となりました積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案の農林委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  ここで御報告に当つて、一言、本法案の先駆ともいうべき参議院農林委員会における水稲單作地帯対策に関する調査について想起してみたいと考えます。かねて食糧の絶対的不足と制限貿易という特殊な條件の下に我が国の農業経済は温存せられていたのでありますが、併し世界的に農業生産が復興し、且つ我が国が漸次国際経済上の自由を回復して、やがてその一員に列することとなれば、我が国の農業は海外農業と激しい競争を余儀なくせられ、厳しい試煉を受けなければならないこととなり、この際、真先に打撃を蒙らなければならないのは、経済的に彈力性を欠いている水稲單作地帯であることは、過去の事実が証明しているところでありまして、我が国の農業はこの一角から崩れ始めることが懸念せられるのであります。よつて、これら地帯の対策に遺憾なきを期するため、農林委員会は、第五回、第六回及び第七回国会において院議の承認を受け、水稲單作地帶対策に関する調査を行い、輿論を喚起し、対策確立の推進に努め、その間、漸次この問題の進展を見たのでありますが、今回ここに衆議院議員諸氏によつて法案の提案を見るに至りましたことについては、誠に感なきを得ないのであります。  この法案の目的とするところは、自然的及び社会的に恵まれない積雪寒冷單作地帯における農業生産の基礎的諸條件の整備を促進して、穀倉的役割を果して来たこれら地帯の農業生産を増強すると共に、経済的基礎の確立を期せんとするものでありまして、これが内容は、一応昭和三十一年三月末まで約五カ年の期限を以て総理府に積雪寒冷單作地帯振興対策審議会を置き、農林大臣はこの審議会の決議を経て道府県の区域に積雪寒冷單作地帯を指定し、その指令に基いて道府県知事は市町村の区域に積雪寒冷單作地区を指定し、市町村、道府県及び国のおのおのの段階において、農地の開発、改良、保全、その他土地の生産條件の整備及び土地利用の高度化、農業技術の改良、その他農業生産の増強、農畜産物の加工、販売その他処理改善、その他農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する諸事項を内容とする農業振興計画を策定し、これら計画の実施に関して、政府は毎年度、国の財政の許す範囲内において助成なし、且つ必要な資金の融通又は斡旋をなすことを規定せんとするものであります。  委員会におきましては、従来行われて来た早場米奨励金の性格、本法案施行の場合、財政支出の必然性とその限度及びこれが見通し、積雪寒冷地帶対策に対応して温暖地帶対策確立の必要性その他について、提案者及び政府当局と質疑が交されたのでありまして、これが詳細については会議録に譲ることといたします。  続いて討論に入り、片柳委員から、本法案実施のため早場米奨励金が大幅に減額せられた事情をも考え合せて、十分な財政支出の実現を期待して賛成があり、小林委員から、早場米奨励金は早場米奨励金として存続せしめ、本法律施行のために必要なる経費は早場米奨励金とは別個に予算が要求せられるべきであると主張して賛成があり、三橋委員から、国内における食糧の自給度を向上せしめるための財政投資は、積雪寒冷單作地帯に対するほうが効果的であるか、或いはその他の地帯に行なつたほうが能率的であるか問題があるが、積雪寒冷單作地帶以外に、これとは別ないろいろな意味における劣悪條件の地域が存在しているから、かような地帯の改善振興に対しても十分な考慮が拂わるべきであつて、経費の支出を十分にして所期の成果の達成を希望して賛成があり、江田委員から、本法律の第一條に規定せられている、積雪寒冷が甚だしく、経済的に遅れたいわゆる積雪寒冷單作地帯は、北日本及び裏日本以外の各地にも点在しているから、積雪寒冷單作地帯及び地区の指定に当つては、かような事情を考慮して遺憾なきを期すべきであることを警告して賛成せられ、岩男委員から、食糧増産上大局的観点から、本法律規定しているような事柄の実施が東北地方だけに限られることは適当ではないのであつて、その他の地方においても劣悪條件の地帯が存在しているから、かような地帶の関係者がこれが改善振興に関する立法を計画する場合は、その成立に対しても協力方を希望して賛成せられ、討論を終り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。  引続きまして農業災害補償法の一部を改正する法律案の農林委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。  農業災害補償制度のうち、蚕繭共済につきまして、この制度が制定せられた当時におきましては、その共済掛金の一部を製糸業者等が繭の取引数量に応じて負担し、この負担金を生糸等の販売価格のうちに織り込み、生糸等の消費者に転嫁することができる仕組になつていたのでありますが、その後、蚕糸に関する諸統制の廃止に伴いまして、かような措置は実行が不可能となりましたので、取りあえず昭和二十四及び同二十五両年度においては、右の製糸業者等の負担、即ち生糸等の消費者に対する転嫁分に相当する共済掛金の一部を一般会計において負担することになされており、又家畜の死亡廃用共済につきましても、取りあえず昭和二十四及び同二十五両年度においては、これに関する共済掛金の一部をこれ又一般会計において負担する措置が講ぜられておつたのでありますが、これらの措置昭和二十六年度においても継続実施するように規定せんとするのが本改正法律案の内容であります。  農林委員会におきましては、これらの措置は、従来とつて来た臨時的措置を取止めて恒久的なものとなすべきであるとの意見が大勢でありまして、この点については政府もこれを認め、現行農業災害補償制度について根本的再検討を行いたいと考えているので、その際、併せて考慮したいとの意向でありますので、これを諒とし、現段階においては右は一応の措置であるとして、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。
  48. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  49. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  50. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程十九、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。労働委員長赤松常子君。    〔赤松常子君登壇拍手
  51. 赤松常子

    ○赤松常子君 只今議題となりました労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本改正案の提案の理由並びにその内容を申上げますと、労働者災害補償保険法は、業務上災害をこうむつた労働者に対しまして公正な災害補償を行うと共に、保險方式によつて事業主の経済的負担を分散軽減することを目的として、施行以来三年余りを経過したのでございますが、最近災害の発生が増加し、保険給付金額が漸増の傾向にありますので、この際、現行保険料金に対しまして直ちにメリット制を採用せんとするものであります。現行法ではメリット制が過去五カ年の実績により発動し得るよう規定されておりますが、本法施行以来三年余を経過いたしておりますので、三カ年の実績によりメリット制を採用し、災害の多数発生しております事業主に対しましては、これによる負担をすべて同種の事業主に転嫁負担せしめることなく、或る程度自己の負担を加重せしめ、半面、災害の少い事業主に対しましては或る程度その負担を軽減して保険料負担の公平を図り、延いては災害防止に対する事業主の関心を高めて、以て災害の減少を図らんとするものであります。  委員会におきましては愼重に審議を重ね、熱心な質疑応答が繰返されました。質疑の主なるものを御紹介いたしますと、原委員より、メリツト制を現在直ちに比較的災害の多い百人程度の中小企業をも含めて実施するときは、経営困難で災害防止を十分に考えるいとまのない中小企業、特に鉱山においては、保険料金の負担に堪えられない結果、労働者の賃金に悪影響を及ぼす慮れはないか、又災害防止は労使双方の協力に待つところ大なるものがあるから、メリット制の実施により俄かに災害防止が強化されるものと速断してはならないとの指摘があり、これに対し政府委員より、保険料金の負担の増加は最高で従来の料金の三〇%高でありますから、賃金に影響を及ぼすほどの額とも思われませんが、今後中小企業の災害防止に一層の努力を拂い、労使協力してその減少に努めるよう指導監督いたしたいとの答弁がございました。  かくて質疑は終了し、討論を省略、直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  52. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  53. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  54. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第二十、電信電話料金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。電気通信委員長寺尾豊君。     —————————————    〔寺尾豊君登壇拍手
  55. 寺尾豊

    ○寺尾豊君 只今議題となりました電信電話料金法の一部を改正する法律案について、電気通信委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず本案の提案理由といたしますところは、電話の加入又は移転の際の装置料等を引上げると共に、近く業務開始を予定されております一般放送事業者に対する市外電話の専用料金を新聞社及び日本放送協会と同額に引下げるために、所要の法律改正をしようとするものであります。  その内容といたしますところは、電信電話料金法の別表二に定めてあります加入電話の装置料は、現在の千五百円では実費に比較して甚だしく低廉でありますので、これを四千円に引上げようとするものであります。これと同様の理由によりまして、構内移転、附属物品、増設機械の装置料金等をそれぞれ実費を賄い得る程度まで引上げようとするものであります。又、右別表の市外線専用料中、日本放送協会とありますのを放送専業者と改めまして、近く業務開始を予定されております一般放送業者を新聞社及び日本放送協会と同等の取扱をいたし、いずれも来たる四月一日から実施しようとするものであります。  当委員会におきましては、本法案が去る三月五日予備審査として付託されまして以来、三回に亘つて委員会を開きまして、愼重審議をいたし、各委員から、この装置料の算出根拠、この引上げによる増収見込額、電信電話料金の決定に関する根本方針、電話の拡張及びサービス改善等について熱心且つ綿密なる質疑が行われました。政府からこれに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かくて三月二十二日質疑を終え、討論を省略し、直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  御報告申上げます。(拍手
  56. 三木治朗

    ○討議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者号数〕
  57. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  58. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 日程第二十一、国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。外務委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎君登壇拍手
  59. 櫻内辰郎

    ○櫻内辰郎君 只今議題となりました国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件につぎ、外務委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  先ず本件の内容を申上げます。現行の国際捕鯨取締條約は、一九四六年十二月二日、ワシントンで、米、英、ソ及びノールウエ一等を含む十五カ国によつて署名され、一九四八年十一月十日効力を発生したものでありまして、従来の捕鯨に関する国際的取締がこれによつて一層徹底的に恒久的な制度として確立されたものであります。この條約は本文及び捕鯨取締の細目を規定した附表とを以て構成されておりまして、この條約を遵守することにより、鯨族の濫獲を防止し、永くその最大の漁獲量を確保し、以て捕鯨産業の秩序ある発展に寄與せんとするものでありまして、特定の鯨の捕獲禁止、捕鯨の区域や季節の制限等が規定されておりますが、條約の詳細については、お手許に配付の文書につき御承知を願いたいと存じます。  なお現行條約の基本となつております條約は、一九三七年ロンドンで締結されたものでありまして、爾来一九三八年、一九四五年の二回の修正を経て現在のものに改正されておるのでありますが、日本に種々の事情のため、従来の條約には参加いたしておりません。戦後に至つて我が国は、連合軍総司令部の許可の下に、一九四六年以来毎年南氷洋に出漁し、事実上この條約の規定従つて捕鯨を行なつておるのでありますが、この條約に正式に加入いたすとなれば、国際捕鯨界における信用が確立され、又捕鯨取締の細目について発言権を持つことになる等の積極的利益もありますので、政府においては、かねて総司令部に対し加入の申請をいたしておりましたところ、本年一月十七日許可せられましたので、この加入について国会の承認を求めるというのが本件の趣旨でございます。  本委員会は、三月十四日委員会を開き、愼重審議を行い、討論採決の結果、全会一致を以て本件は承認を與うべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  60. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件全部を問題に供します。委員長報告の通り本件に承認を與えることに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  61. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決しました。      ——————————
  62. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 低性能船舶買入法の一部を改正する法律案  一、日程第二 低性能船舶買入法規定により国が買い入れた船舶外航船腹需給調整のためにする売拂に関する法律案  一、日程第三 少年院法の一部を改正する法律案  一、日程第四 犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案  一、日程第五 公認会計士法の一部を改正する法律案  一、日程第六 再評価積立金資本組入に関する法律案  一、日程第七 資産評価法の一部を改正する法律案  一、日程第八 保險募集取締に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第九 所得税法の一部を改正する法律案  一、日程第十 法人税法の一部を改正する法律案  一、日程第十一 租税特別措置法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 在外公館等借入金返済準備に関する法律案  一、日程第十三 保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律案  一、日程第十四 社会福祉事業法案  一、日程第十五 教科書の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案  一、日程第十六 昭和二十六年度に入学する兒童に対する教科用図書給與に関する法律案  一、日程第十七 積雪寒冷單作地帯振興臨時措置法案  一、日程第十八 農業災害補償法の一部を改正する法律案  一、日程第十九 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案  一、日程第二十 電信電話料金法の一部を改正する法律案  一、日程第二十一 国際捕鯨取締條約に加入することについての承認を求める件