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1951-02-02 第10回国会 参議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二日(金曜日)    午前十時十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第九号   昭和二十六年二月二日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第七日)  第二 外航船腹緊急増強に関する決議案山縣勝見君外八十六名発議)(委員会審査省略要求事件)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。鈴木文四郎君から病気のため二十七日間請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、国務大臣演説に関する件。(第七日)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。青山正一君。    〔青山正一登壇拍手
  6. 青山正一

    青山正一君 私は講和條約と漁業問題との関係などにつきまして、総理大臣外務大臣農林大臣並びに大蔵大臣に対しまして、少しくお伺いをいたしたいと存じます。(「大蔵大臣どうした」と呼ぶ者あり)  最近講和問題に関する論議が漸く活溌化しつつありますことは、我が国運命にかかわることでありますからして、誠に当然のことがあると考えられます。然るに海洋国としての日本にとりまして極めて重大な役割を持ちますところの漁業問題と講和條約との関係につきましては、余り関心が拂われていない感がいたすことを誠に遺憾とするものであります。我が国戰前から、人口食糧問題に悩まされていたことは、これは周知の事実であるのでありますが、戰後の今日におきましては、領土が小さな四つの島に縮小したばかりでなく、海外への進出が許されないので、一層深刻な様相を示すに至つているのであります。これに対する方策といたしましては、先ず海外移民のことが考えられるのでありますが、現在のごとき国際情勢ではそれが許されるか否かすら誠に疑わしいのであります。況んや二千万人なり或いは三千万人と言うが、ごとき厖大な人口の移住などは、これは到底不可能と申さなければならないのであります。果して然らば、この狭隘な国土に八千三百万有余の大人口を擁しまして、これを給養しで行かねばならぬということになり、先ず第一に問題となることは食糧政策でなければならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに食糧政策と言えば農業食糧政策と即断せられるのでありますが、栄養学的基礎に立つところのもつと合理的な総合食糧政策確立いたしまして、食糧輸入のごとき、海外への依存を極力緩和すべきではないかとさえ考えるので、あります。  信ずべき調査によりますと、アメリカでは動物性蛋白質植物性蛋白質との配合は六五対三五、イギリスでは五五対四五、ドイツにおきましては五〇対五〇、イタリーでさえ三〇対七〇ということであるのであります。然るに我が国の場合は、動物性蛋白質が僅か一五の貧弱さに対しまして、植物性蛋白質は八五ということであるのであります。いわゆる一升飯の栄養不良というのが我が国食生活現状であり、而もこの線に沿うがために海外からの多量の米麦を輸入してまでも主要食糧の需給に苦心惨澹たることが我が食糧政策の実体であるのであります。このように植物性蛋白を偏重した食生活を改善いたしまして、一方におきましては食糧海外からの輸入を抑制し、他方におきましては国民保健の増進を期するがためには、動物性蛋白質の大増産りを図ることが先決問題なのであります。牛豚というがごとき、いわゆる畜産業の大きな発展に期待できない我が国といたしましては、海洋国としての独特の性格から、漁業こそは動物性蛋白質唯一最大の給源であると確信するものであります。(拍手)  それでは我が国漁業生産現状のままでそのことが可能であるかといえば、現在のごとき制限せられた海区、マッカーサーライン範囲内におきましては、残念ながら不可能といわざるを得ないのであります。御承知通り戰前におきましては、西方では朝鮮沖支那東海黄海北方に、おきましては北海道沖千島沿岸オホツク・ーリング海というがごとき、世界大漁場二つまでもが我が漁船の活動に開基放されており、而もその漁獲物「さけ」、「ます」、「かに」といつた類のものは、生糸に次いで我が国輸出額の第二位を占めていたのでありますが、終戰後の今日これらの国際漁場への進出を許されていないのであります、かような次第から、折角優秀卓越いたしました技能を持ちますところの多数の漁民がこの狭隘なる漁区に閉じ込められておるがために、最近各地漁業上の紛争が絶え間ないばかりでなく、船主はもとより漁業従業者家族に至るまで深刻な生活難に陥る岩も決して少くないのであります。申すまでもなく、節度のない、漁獲資源枯渇を顧みない漁業は、断じで抑制されなければならない。然らざる限り、国際漁場への進出は、我が国総合的食糧政策確立の上からは勿論、経済自立の上からも、是非とも許されなくてはならない切実な問題であることを信じて疑わないのであります。  かような見地から、西部海域漁場支那東海黄海については中共、北鮮北方海域漁場オホツク・ーリング海につきましてはソ連との友好関係確立を前提としない限り、国際漁場への進出ということは事実上不可能ではないかと考えられます。(「その通り」と呼ぶ者あり)漁業問題の解決のためには、少くとも漁業に関する限りは全面講和以外に対策があり得ないことを確信せざるを得ないのであります。(拍手)併しながら仮にかかる期待が実現されないとすれば、漁業問題に関しまして何らかの方策を講ずる余地はないものであろうか。我々の切に聞かんと欲するところであります。  最近この西部海域におきましても、或いは北海道方面海域におきましても、漁船拿捕事件が頻々として起つておるようで、その案件でも百件になんなんとしておるのであります。占領下殊に現在のごとき国際情勢におきましては避けがたいところでありましようが、そのために漁業者一般に対する不安を無視しがたいのみならず、かかる事件のために損害を受くる漁業岩に対する救済的措置につきましても、政府としては当然考慮せらるべきであると考えるのであります。又かかる事態の発生を防止するがために、海上保安に関して何らかの措置が速かに講ぜられなくてはならないことを切言いたしたいのであります。  なお伝えられるところによりますれば、講和條約と関連いたしまして漁業協定なるものが用意されておるやに承わつておるのであります。その内容をつまびらかにする由もありませんが、沿岸から百五十海里以内の漁業禁止がその基本的なものと相成つておると噂されておるのであります。若しかようなことが事実となりますれば、公海における漁業の自由は前例を見ない高度の制限を受けるものであることは、これは多言を要しないことと存ずるのであります。申すまでもなく公海なるものは領海と粗表裏する国際法止の観念でありますが、私の承わつておるところでは、領海範囲に関しましてはイギリスは三海里、ノルウエー、スペインなどは六海里、ソヴイエトは十二海里、南米諸国は二百海軍説を主張しておつたようであり、我が国としては三海里設を採用しておつたのであります。現に曾つての日ソ漁業協約に当りまして、ソ連側の十二海里説にすら反対し、漁業協約に関する限り三海里説を承認せしめた事実をこの際想起いたしたいのであります。勿論今後の漁業協約におきまして或いは三海里は望むべくもありませんが、政府は、伝えられる漁業協約締結に当り、噂によるアメリカの百五十海里をそのまま鵜呑みになさろうとするか、どのような見解を以て対処せられるかに、私どもは多大の関心を持つものであります。(拍手)  以上のことに関連いたしまして、なお二、三の重要問題に言及いたしたいと思います。その第一は、水産資源枯渇防止乃至は保護の問題であります。近年各地に頻発いたしますところの漁業上の紛争は、その動機は必ずしも一律ではないといたしましても、煎じ詰めれば、この峡隘なる海区に多数の漁民漁獲を相争う深刻な様相であり、その結果、水産資源をも枯渇荒廃せしめつつあることは誠に悲しむべき事実であります。今にして強力な資源保護根本対策確立しなければ、その前途寒心に堪えないのであります。又かかる対策の実施は多数漁民犠牲を生ずるのであります。推定される犠牲漁船が六千隻以上にも達するのでありますが、これに関しまして国家補償の裏付けが必要であり、転業、転職につきましても万全の措置を要するであろうことを切言いたしたいのであります。  第二の問題は水産金融政策であります。明治政府以来無視されていたと申すも決して過言ではないこの水産に関する特殊の金融機構が、最近世評に上ぼつておるようであります。或いはいわゆる廣川朗報かも知れませんが、とにかく水産金融には、いろいろな問題はあるにいたしましても、海洋国日本に確乎たる水産金融機構確立されないことは誠に心外千万であります。政府はこれに関しまして如何なることが準備せられ、如何に解決するものであるかを、先日の緑風会小林議員或いは藤野議員に対するような杜撰な一答弁ではなく、もつともつと具体的に知りたいの、これは徒らに三百万漁民はかりではなかろうと確信するものであります。(「よく聞いておけよ」と呼ぶ者あり)  最後に一言いたしたいことは、水産用資材の問題であります。水産用資材主要部分海外からの輸入に待たねばならないことは御承知通りであります。従いまして、国際情勢の急激なり変化に対応いたしまして適切な措置が講ぜられないならば、資材の価格は暴騰いたしまして、遂にはその確保に大きな不安が起るであろうことはこれは必然であります。果して政府ではその対策として補給金の復活を考えているかどうか。現下の深刻な金融難と相待つて水産業を崩壊の危機に追い込むことのなからんことを強調いたしたいのであります。  私は以上申述べました論旨を要約いたしますれば、第一に、全面講和のみが公海における漁業の自由を確保する唯一の途であること。第二に、万が一、全面講和が望めない場合におきましては、公海における漁業の自由を如何にして確保せんとするか。第三に、漁船拿捕事件に対してどんな対策がとられるか。第四に、講和條約と関連して漁業協定が準備せられ、百五十海里以上の漁業制限内容とするやに伝えられているが、国際法上の領海範囲を含めて、これに対してどんな解釈をし、如何なる態度をとるか。第五に、水産資源保護水産金融政策水産用資材問題の三点に対し、どんな対策をとられるかということに帰着するのであります。私は日本社会党を代表いたしまして、政府の明快なる所信を、内閣総理大臣外務大臣大蔵大臣農林大臣から明らかにせられんことを希望いたすものであります。  これを以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  7. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  現在講和條約の内容については何ら示されておりません。従つて漁業問題について百五十海里を領海とするか否かというような具体的な問題についでは、何ら今日は、私も知らないのでありますが、問題になつておりません。いずれ講和條約の内容が示されたときに、そのときに交渉の目標となると思いますが、今日のところはそういう問題はまだ問題になつておりません。併しながらここに申さなければならぬことは、只今魚族保護濫獲についてお話がありましたが、これは近海についての話でありましようが、併しながら同時に、これが公海漁業についても、或いは世界漁業保護濫獲に対する防止ということは、これは御承知通り国際條約の目的内容なつてしばしば論ぜられておるところであります。又日本漁民漁業上の知識において、技術において優れておるだけ、それだけ濫獲問題に関する日本漁業或いは日本漁船濫獲ということは問題になつておるのであります。日本近海においてのみならず、公海においてもこの濫獲が進められますれば、結局魚族が絶えることになるのでありますから、これを保護することは世界的に各国が考えておるところであります。又日本水産国としてこの問題ば軽々に取扱うべきものでないのみならず、日本漁業家一般注意を私は今日改めて喚起いたしたいと思う。この濫獲がやまない限りは日本漁業に対する制約は自然生ずることであり、又漁業地域拡張ということはしばしば論じられており、又この拡張範囲については昨年も広地域に亘つて拡張せられたのでありまするが、支那海その他について同じような問題があるので、境界、マッカーサーライン以外にしばしば出るためにいろいろ問題を起す。お話のような漁船が中国その他からしてつかまつて、そうして問題になつておるということは、御指摘通りであります。これに対しては総司令部日本漁船保護のために又監視のためにもいろいろな方法を講じておりますが、適当な措置が講じられて、筋が立つた場合においては釈放はされておるのであります。  その他の問題については主管大臣からお答え申上げます。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  8. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 食糧政策人口問題とに関連いたしまして、日本人口がどんどん殖えて参りまして軍に植物性蛋白質ではどうしても補うことができない、動物性蛋白質を増強しなければならん、その意味において水産業が非常に大事であるというお説には私も同感であるのであります。只今漁業現状をいろいろお話のようでありましたが、あなたの御指摘通りであります。又マッカーサーラインその他については総理が御答弁通りでありまして、これに附加える必要はございませんが、ただ私どもといたしましては、この限られた漁区内において如何に有効に労力を使つて大きな結果を持つかということで今やつておるのでありまして、この指導方面につきましては、指導脂を出し、或いは又監視船を以てこれを国際上に日本漁船法律をまく守るということを示そうとして努力いたしておるのであります。法律をよく守ることが、いわゆるマツカーサー・ラインを撤廃し、或いは今後の漁業協定を結ぶ上において、非常にそれが有効な基礎になるのであります。そのために、我々といたしましては予算が大体終つたあとでも大蔵省に頼みまして、この監視船増強の金を出してもらうくらいに重要に考えておるのであります。(「予算がきまつたらそれで金を出してもらうのか」と呼ぶ者あり)それから漁船指導はそのようでありまするが、又この領海内における魚族保存につきましても、單にこれを取締のみでなく増殖方面に非常つに力を入れておるのでありまして、この国際協定の上においても、日本でどんどん魚族を殖やして置くということになりまするというと、又この協定を結ぶ上においても非常に有利になりまするので、その辺まで注意をいたしまして、農林省といたしましては、来年度予算両を通じてたくさんな増殖をするために養魚場を作るというようにいたしておるようなわけであります。  それから最後水産金融のことでありまするが、これは御存じのように、農地改革と相待ちまして、漁業改革の大きな二つ改革日本に行われるのでありますが、農地改革において一番最終目的なつ金融面考えなかつたことが非常に農村を疲弊いたさしたのでありますが、今回どうしてもこの弊をなくそうと考えまして、漁業改革と同時にこの金融を付けようという考えで進んでおるのであります。御存じのように、農地改革漁業改革との違うところは、漁業改革は完全にこれを就労させなければならんのであります。ここに大きな問題があるので、就労させるためには金融を付けなければならんのであります。百七十億以上に達する漁業証券が出るのでありますが、これに完全に金融を付けること、並びにそれと並行いたしまして、目前に迫つておる現在の漁業の問題を考えて、どうしてもこれは特殊な金融機関を付けなければなりませんので、政府といたしましては現在種々な方面から検討いたしておるのでありますが、要するにこれを同一系統組合出資にするか、或いは又一般出資によるか、或いは政府財政資金を入れた金融機関にするか、二様の方法があるのでありますが、そのいずれも長短ありまするので、この点について目下検討中でありまして、但し今国会においてめどを付けて提出いたしまして、そして完全に金融を付けると同時に、この漁業関係最終目的を達成させるようにいたしたいと考えておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人登壇拍手〕    〔「答弁に食い違うな」と呼ぶ者あり〕
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 水産金融機関につきましてのお話でございます。お話通り、この明治時代から特に水産金融機関というものが設けられなかつたことは、そのこと自体が非常にむずかしいのであります。只今廣川農林大臣からいろいろな御検討をしておるというお話でございます。私も検討しておりまするが、なかなかいい智慧が出ません。従いまして問題のところは、今度御協賛願いますところの農林漁業金融特別会計の金を十分使うと同時に、農林中金債券発行その他によりまして、できるかけの手を伸ばして行きたいという考え方でおります。併し又、別に機関のいいのができれば、それに越したことはございませんが、特殊金融機関を設けましてもこれは漁業組合出資する。併しその出資だけではなかなか金融機関たるの成立ができない。誰かが預金しなければならん。併し漁業関係で預金ができるほどの金融が潤沢かということになりますとなかなかそうはいかん。そこで私どもは、農林漁業特別会計を十分使い、農林中金を使い、そして特に今問題になつておる漁業証券をどう換金するかということ、漁業証券換金につきましては金融機関でなくてもできる方法があるのではないかというので、今検討いたしておるのであります。水産金融機関のいいのができればこれに越したことはありません。できない場合においても漁業証劵換金等につきましては適当な措置を講ずる考えでおります。(「答弁が食い違うぞ、再質問、」と呼ぶ者あり)     —————————————
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 高良とみ君。    〔高良とみ君登壇拍手
  11. 高良とみ

    高良とみ君 口に平和を唱えて、その実行には暴力革命を示唆しておる、我々の知つておる限りにおける共産党の欺瞞政策偶平和主義には、(「違う」と呼ぶ者あり)私どもは再び騙されたくないという決心を持つておるのであります。(拍手)それと私の申す平和主義とは違うのであります。又他方、一吉田首相がしばしば言明されておりますように、軍備はしたくない、できない、求められてもしたくない、基地も貸したくない、憲法財政軍備を許さないという御信念には深く敬意を表するものでありまするが、又これにも失望させられたくないのであります。婦人たち、母の願いとして、実に切実な要望は、生命を産み、育て、はぐくむものが、戦争を嫌い、破壊、圧制を憎むのは当然であり、又権利であると思うのであります。(拍手政府の行為によつて再び戰争の惨禍が起ることのないようにすることを決意すると、私ども憲法で約束をいたして、堪えがたき々堪え、涙の日を送つておる同胞はまだたくさんあるのであります。この上の戰争、この上の軍備などということは、まだ海外にある夫や息子も帰らず、その生死さえわからぬ数千万の家族の心にどういうふうに響くかということは、首相は賢明なる御洞察をしつておると思うのであります。これを特定の政党等に悪用さすべきでないことは勿論のこと、これら政治の基盤に立つて、真の積極的健全な日本独得平和指導考えておられるかどうかを伺いたいのであります。元来、平和を愛好し、又気骨のある日本民族でありまするから、その独立自尊心は、講和後における日本の立場について了解さえいけば、翕然たる愛郷心となり、又民族に対する愛国心となることを信ずるのであります。日本講和後において東洋のスイスとなるのか。或いは第二の、朝鮮、第二のフイリツピンの運命に進みつつあるのか。国は小さくとも、アイルランドやスイス、デンマーク、スエーデンのように、大国の間に狭まれながら権力闘争を避け得ている国がたくさんあるのでありまして、これは中立といい、或いは垣根に腰かけて景気のいい方に片寄るというような政策ではないのであります。如何に貧しい弱い国になつたからと申しましても、私ども世界史上において、保護を求めるところに自由も平和もないという事実を知つております。吉田総理の言われる他力本願でない、武力以外の自主自衛方法という言葉をしばしばお繰返しになりますが、これは何を指されるのでありましようか。私ども一般大衆に対しまして御明示願いたいというのが私の切なる要望でございます。国内治安に当りましては、よく自衛権という言葉と混同されて使われていることを非常に遺憾に思うのであります。  警察予備隊に関しましては、それが初めポツダム政令で発足したために、国民との結び付きが少しもはつきりしておりません。(「その通り」と呼ぶ者あり)超国家的軍隊のようでもあり、国連へ協力する人的資源のようでもあり、(拍手借用品装備による軍の卵であると海外のニユースは批評し、東亜諸国に声いては相当な恐怖を呼び起しておるのであります。私ども罪悪感からいたしましても、向うが防備して恐ろしいのと同じく、私どもがすることに対しても向うも恐れを感じます。この海峡あつてなきがごとき現状に対しては東亜諸国世界が注目しておるのであります。(拍手)一月十七日某市におきまして警察予備隊が参りましたところ、小学校は学校を休みまして校長の命令によつて旗を振つてこれら予備隊の諸君に万歳を浴びせかけたそうであります。(拍手)これは一体、国民を守り国民に仕え、国民を真に保護する警察予備隊なのでありますならば、私ども国会に所属させて、国会に、治安委員会或いは法務委員会の中に特別なる監督機関を置いて、命令系統を明らかにして頂かないと、(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)幼ない子供たちは又一般国民は、どういうものかよくわからないのであります。  さて、次に国外からの侵略に対する安全保障のために、第一、私ども国連加盟するのでありましようか。或いはその武力協力條件を満たすために、求められれば軍隊作つて国連軍へ参加するのでありましようか。或いは地域安全保障のための西太平洋軍事同盟というものに参加する、そういう状態になつて行くのでありましようか。講和條件を初めといたしまして、事細かに、さような橋のそばまで来たときには、国民へ相談をかけて頂きたいのであります。まだ決定しない国の進路について臆測からする世論は迷惑なのであります。無用の刺激によつて人心を撹乱することは徒らに神経戰の援助をなしつつある現状であります。  次に、どんな完璧な防備をいたしましても、原爆時代には私ども安全保障になるとは思えないのであります。(拍手)元来、国連平和維持のための機構であります。規約第五十三條及び第百七條という国連規約におきましては、講和締結後も日本は旧敵国として法律差別待遇を受けると信ぜられる節が多いのであります。第一、旧敵国安全保障には任じないと規定し、又加盟に際し、安全保障理事会拒否権が明記されております。第三には強制行動中の軍事援護義務がありまして、いわば軍隊のない、兵力を持たない日本が入ることに困難があります。又第四には、無條件加盟義務がありまするので、対日講和カ條日本加盟に努力するとありまするからといつて、極めて幸運な場合には例外加盟がこの世界家族の集まりに許されるかも知れないのであります。併し日本国連に入りますことによつて世界諸国に負担をかけることになるのか、或いは平和への一つの力となり、支柱となるのかは、日本の性格によつて定まると思うのであります。そこで、私ども国民として生き残らねばなりませんけれども、正しく名誉を以て生き残りたいのであります。(拍手)原爆の洗礼、焦土の灰燼の中から立ち上つた日本には、相当数の人道的、宗教的非戦論者があります。日本の文化の立場からいたしまして、不殺生に徹しようという決意を明らかにしておる人たちがあります。朝鮮の現実を見ても、相互殺戮は東亜を挙げて共産化する近道を開いておることであります。むしろ日本こそ、軍拡競争と武力脅喝に脅やかされる代りに、人頭に訴える特別な使命を持ち、これを持つて国連に行くことが私どもの新らしい任務ではないでありましようか。国際社会に名誉ある地位を得たいと誰つておりますが、それは前途遼遠であるからといつて、この使命を変えて、世界日本に期待をいたしておりまするこの新らしい性格を失うことには、余りに大きな犠牲だと思うのであります。  次に、利己主義原理に立つた曾つての国家主義を脱却いたしまして、積極的に、この崇高な理想を誓つて、国家の名誉にかけ、全力を挙げて達成することを誓うと、私どもはもうすでに手形を出してあるのであります。(拍手)この平和国家を生み出したことが、これを指導した国々の又名誉でもあらせたいのでありまして、国際情勢は確かに変りましたけれども、国の性格を変更するような再軍備論や憲法改正論は、たとえ野党といえども軽々しく申し出されることは、世界各国に深甚な誤解を招き、私どもの深く憂慮いたすところでもあります。(「わかつたか」「その通りだ」と呼ぶ者あり)否、むしろ世界各国の間には日本憲法の性格が次第に知られて参りまして、この原爆時代の人類の破滅を防ぐ最良の方法の一つとして、世界有数の主導国民の間で、日本憲法戰争放棄に深い敬意を表して、どうか自分たちも進んで日本のごとく交戦権を放棄し、これを世界各国の條約として国連へ信託しよう、而してその批准に関しましては、主要国が相当数できるまでは勧誘これ努めて、日本にのみ犠牲を拂わせて置くべきではないという熱心な運動が起り、近くアメリカ合衆国議会にこの案が上程されようといたしております。今日のような縮まつた世界の中で、拒否権によつて主権を固執する国連規約が悩んでおりますが、これは十年目に自然解消いたしますので、世界憲法を制定してこれに代えて戰争防止しようとする人民会議は、すでに発足いたしまして、その第一回会議に我々の同僚議員も出席いたしたわけであります。つまり国連の努力は平和への努力であり、只今軍備の声は大きいとは申しますものの、世界は挙げて平和を維持しようと努力しておる力が如何に大きいかを思いますときに、私ども日本の性格を変えず、世界立法の道に対して貢献すべき特権を持つておると思うのであります。(拍手マッカーサー元帥も、日本憲法制定に当りましてかかる世界法ができなければ日本憲法は未だ不完全なものである、或いは画龍点睛を欠いておるものであるという書簡を寄せられまして、世界連邦運動に賛意を表しておられるのであります。このような世界法への道を開き、日本憲法がその最初のものといたしまして、最初に明記いたしましたものとして、重要な柱の一つとなるように努力される考え吉田首相においておありになるか、或いはこれが日本の名誉ある地位の一つであるとお考えになるかどうかをお伺いしたいのであります。  次に、人口の圧力と貧乏の圧力につきまして厚生大臣にお伺いいたします。我々の人口は二十六年度において八千五百万となり、三十年には九千万となり、或いは十年後においては一億になつて、毎年百七十五万以上の人口が殖えつつありますことは、世界の脅威であります。而して農村や都市の婦人の中におきましては、この貧乏とこの子だくさんに悩んで、どうか悲惨な、二百人のうち一人は死亡し或いは重病にかかるところの妊娠中絶法を施行されるような運命に行かないために、適当な薬品及び指導を要求しておる声が翕然として全国に起つておるのであります。これに対しまして、現在行われておりますところの妊娠中絶は次の早期妊娠を招きますから、これらの悲惨な方面へ行かないために、人口問題審議会はすでに首相の御委嘱を受けまして答申しましたが、その人口対策はどこまで採用され又予算化されつつあるかを伺いたいのであります。或いはこれを以て人口問題の解決の一助であるから放置して置くというようなお考えがあるやに伺うことは、自由党の名誉のために、又有権者であるところの多数の婦人のために、実に放置されぬ状態を訴えて、厚生大臣の御明答を頂きたいのであります。  教育立法に関しまして文部大臣にお伺いしたいのでありますが、最近は微に入り細を穿つて非常に組織化いたして参りましたけれども、今日の教育内容を以ていたしましては、非常に浅薄な、何の人生観もない、或いは宗教もなく、慾望充足のためには手段を選ばないというような、教育ある唯物主義者、教育を受けた悪魔を育てつつある所と考えることが苛酷でありますならば、むしろ幸福と思うのであります。極めて実利主義であり享楽主義である青年男女を養成しつつある今日の教育制度及びその内容につきまして、天野文相は深き憂慮をいたしておることと信ずるのであります。日本文化に対する無哲学であり無宗教である今日の社会教育の実情、社会文化の実情を見ましても、商業主義の滔々たる勢いに押されまして、ただ教育環境が悪いという程度でなく、輸入及び国産映画の内容、あくどい売らん哉の出版図書、娯楽機関、それらのものに流れておりますところの投機主義というものが日本の文化の明日の姿でありますならば、実に文化の自殺は国民の自殺であると考えるのであります。文教は、政治、政党の争いに先んずるばかりでなく、誠に生存の根本でありまするので、あえて私は教育問題について文相の御苦心のあるところを伺いたいのであります。  次に、大多数の教員は四五千円の俸給から六千円平均の俸給に甘んじて特に平衡交付金におきましては紐付きでありませんために、非常な苦難の状態を経而も要求はあとからあとからと、検定講習であるとか、或いは上、中、一、二、三、仮免状というような組織によつて、お尻を叩かれ、苦悶をいたしております。吉田内閣は、自立精神を盛んにし、愛国心を養えという要求はございまするけれども予算上におきましては、今回増額せられました教育費におきましては、これは大多数の教員にとつては何らの、雀の涙ほども実情に潤おつて行かないのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)もつと教育を重視いたしまして標準教育費を設定し、地方財政における教育費の負担をはつききりとさせる御意見があるかどうかを伺いたいのであります。財政措置と文教対策をはつきりいたしますることが、赤色教授の追放などでこの精神内容を力によつておどしますよりも先に施すべき思想対策の根本ではないかと考えるものであります。(拍手)特に私立率校に関しましては、今日の銀行局は、利率が少いところを理由といたしまして、銀行、保険会社等が学校債を持つことを禁じ、僅かに十億の私立学校金庫で何百枝の復興を援助される御意思であろうかということを思いますと、吉田内閣の教育に対する、文教財政に対する御熱意がしばしば池田蔵相によつて誇大に宣伝されまするけれども、そうして文部大臣の御苦心は了承いたしまするけれども、教育の自立自主に対しまして、国民全体に一つの精神的生き甲斐を與えるまでになつておらないということを訴えるものであります。殊に社会の実利主義或いは商業主義の指導者、或いは実業家、或いは経営者等を更に教育の面に引入れまして、この国をして真の文化平和国家が立つて行きまするような、正しい文化社会一般の政策ができますることについて、天野文相はどういうお考えを持つておられましようか。私ども同憂の士と共に日本の教育を静かに見詰めて深き憂いをなすものであります。  これを以て私の質問といたします。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  12. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  講和條約によつて日本が独立を回復いたしたその後において、みずから独立を守り、みずからの安全を守ることのできないような国でありましたならば、独立の実がないのでありまして独立いたした以上は、その国の安全、その国の保護は、国民みずからの手によつてなされるということはこれは原則であり、又そうあるべきものであることは申すまでもないのであります。(拍手)そこで、問題が安全保障はどうかということに自然重点が置かれて、現在これが議論の焦点になつていることは当然なことであります。さて、その国の安全保障はどういう形において行われるかと考えてみますれば、先ず第一、国内における秩序、国内における安全が如何にそれが保護されるか、国内から生ずる危險を如何にして防衛するかということが第一でありましよう。即ちここにおいて警察予備隊、警察組織の完成を現在期しておるものであります。警察予備隊は、しばしば私が申上げまするが、これは警察予備隊であつて、再軍備の始まりではないのであります。唐軍備の発端ではないのであります。これは全然警察隊であります。始終いろいろな議論は、或いは想像はありましようが、警察予備隊、警察組織の本体は、即ち国力の安全を守り、日本国民自身の力によつて守る、その趣意において警察組織、警察予備隊が設けられているのであります。これは決して再軍備の始まりでもなければ、再軍備のために置かれたものではないということは、私はしばしば申して、なお今後もそう考えるのであります。(笑声、「空念仏だ」と呼ぶ者あり)この予備隊については、警察については誤解のないように、先ず日本国民自身の誤解がないようにいたしたいと思います。更に国外から来る危險はどうするかという問題になつて、ここにおいて再軍備ということになるのでありますが、今日どこの国であつても、一国の力だけで以て……共産主義国の侵害、自由民主国家と共産主義国との間の対立の状態において、いずれの国においても、イギリス或いはアメリカのごとき富強なる国においてむ、共産主義の侵入に対してみずから一国だけの力を以て守るということを考えている国はないのであります。即ち集団的保障といいますか、いわゆるコレクテイブ・セキユリテイの考えでいるのであります。この趣意からして国連という思想が現われ、国連という組織ができているのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)私は即ち日本が自力を以て共産主義国の侵入に堪えるということは直ちに考え得ることができないので、そのために、強大なる軍備を持つということは、国外から考えて見ても、国外からの日本に対する疑惑から考えて見ても、日本が再び軍備を整えて侵略に出るというようなことがありはしないかというような余計な誤解を生ずるところであり、国内においても、過去において夫を失い、子供を失い、又親を失つた、この戰争の記憶のなお新たなる今日において、喜び武装をなすということになれば、日本国内、国民自身において非常な不安を生ずると思うのであります。内外の形勢から考えて見て、再軍備という議論は、かるがるしくなすべからざるものであるということは、私は常に強調いたしておるのであります。  そこで国連加入という問題になりますが、国連加入の條件はどうであるか、如何なる條件で加入を許されるかということは、現在まだ具体的に示されておらないのであります。これは講和條約或いは講和後において、如何なる條件日本国連の中に加入を許すかという具体問題ができたときに、国民が愼重に考うべきものであつて、あらかじめ今日において、その加入條件内容が示されない今日において、あらかじめ、こうであろう、ああであろうと、想像に立脚をいたして議論をいたすことは、いささか早計と考えますから、この点については私はここにお答えいたしません。(拍手)    〔国務大臣黒川武雄君登壇拍手
  13. 黒川武雄

    国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。  只今お尋ねの人口問題に対しましては、政府といたしましては、かねがねその重要性に鑑みまして、厚生省に人口問題研究所を設けまして、いろいろその方策について研究しておるのでございます。昭和二十三年に優生保護法ができましたのも、この問題解決への一歩を進め得たものと言い得ると考えるのでございます。只今お尋ねの人口問題審議会は昭和二十四年六月に発足しまして、同年十一月に内閣に対し建議があつたのでございますが、誠に適切な建議でございまして、厚生省といたしましてはこの建議の線に沿うて、受胎調節の普及及び徹底による人口増加抑制のため、優生結婚相談所、保健所の整備拡充等に努力して参つたのでございます。又受胎調節指導の現況及びその予算措置はどうかというお尋ねについてでございますが、人口妊娠中絶はお説の通り母体の健康上悪影響を残しますので、健全な受胎調節の知識を普及し、そうして目下そのために保健所に附設されました優生結婚相談所が二百二カ所、独立の相談所が十四カ所、合計二百十六カ所、そのほか各保健所におきましても相当医師が指導に当つておりまして、その相談件数も激増して参つておるのでございます。これらの仕事に携わります職員の指導教育、一般国民に対する啓蒙指導にも目下努力中でございます。ただ予算面におきましては、諸般の事情からまだ十分とは申せませんが、今後ともその増加に努力いたして参りたいと存じておるのでございます。  以上お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣天野貞祐君登壇拍手
  14. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 高良議員の教育に関するお考えについては私も全然同感でございます。で、この教育費が平衡交付金の中へ入れられてしまつたために非常に不安定になつて来た。そのために標準義務教育費確保の法律案というものが必要になつて来るわけでございますが、それが成立しないということは非常に残念なことでございます。併し私はそれを何らかの形において成立させたいと思つて、今関係方面と交渉中でございます。又教員の待遇の悪いということも私が常に痛感いたしておるところでございまして、昨年末の級別推定表によつて幾らかよくなりましたけれども、決してこれに満足するものではなくして、俸給の別表を作りたいという考えも抱いております。  又教育使節団、第二次教育使節団によつて示された学区とか教育税とかいう問題も、これは地方税とか地方財政に重大な変革をもたらすことですからして、急にすることはできませんので、今文部省内に委員会を作りまして、審議会を作りまして、研究をいたしております。  一般に申しまして、高良議員が申されたような日本の青年を今支配しておる一種の享楽主義とかそういうようなものは、実に憂うべきものだと私も思つております。これが私をして、道徳教育を振興しようとか、何らかの意味において一つの基準をもつと示したいとかいう考えを抱かしめておる次第でございます。(拍手
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 周東国務大臣から、昨日の江田三郎君の質疑に対する答弁のため発言を求められております。この際、発言を許します。周東国務大臣。    〔国務大臣周東英雄君登壇拍手
  16. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 昨日の江田さんの御質問にお答えいたします。  現在の国際情勢の下におきましての輸入食糧の確保についての御心配は、誠に御尤もです。御承知のように昨年は、昨年と申しますか、二十五年度の食糧輸入につきましては、当初計画を途中で変更しまして三百十万トンの輸入計画を立てておつたのでありますが、朝鮮の動乱によつて朝鮮からの米の輸入がやや減つたこと、その後における種種の国際情勢を反映いたしまして、仰せの通り十二月までの輸入は昨年同期に比較いたしましてやや少くなつております。併し米、大麦、小麦等によりまして百七十万トンは入つておるのであります。その後の輸入計画におきましても外貨を特にこの点に増加いたし、船等についての割当等も考えております。多少減るかと思いますが、大体二百七十万トンまでは今確実にはつきりわかつております。輸入し得る見込みであります。その上に最近におきましては、更にバーター地域等におきまして、ドルの現金決済を認めてもらうことになりましたので、新たな地域における輸入計画を立てておりますので、三百十万トンは行かんでしようが、大体三百万トン近くは行く見込であります。、この点については、是非国民生活の安定の上から、食糧輸入確保については万全の措置をとる考えでおりますから、御了承を願います。(拍手
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、外航船腹緊急増強に関する決議案山縣勝見君外八十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。  本決議案につきましては、山縣勝見君外八十六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。山縣勝見君。    〔山縣勝見登壇拍手
  20. 山縣勝見

    山縣勝見君 只今上程されました外航船腹緊急増強に関する決議案に関しまして、発議者を代表いたしまして提案の趣旨説明をいたしたいと考えるのであります。  本決議案は本院各党の共同提案に相成るものでありまして、両院の海運関係の議員を以て組織いたしております海運議員連盟の発意によつて同趣旨の決議案が衆参両院に提出されておりまするのであります。本院におきましては各党の八十七名の発議者によりまして超党派的にここに提出されましたものであります。  今や講和成立の日の近きを迎えんといたしておりまするのでありまするが、日本の自立、日本経済の自立の最も基本的な問題でありまするこの外航船腹の緊急増強に関しまして、この際、国会においてこれに対する強い意思表示をいたしまして、なお又これに関して政府に向つて早急且つ適切な施策の要求をいたさんとするものであります。  先ず決議文案を朗読いたします。    外航船腹緊急増強に関する決議   最近における世界情勢の緊迫と待望の講和成立の日近きに対処して、日本経済の自立を図り、国民生活の安定を期するために現下最も緊要なるは、食糧その他の生活必需物資並びに重要産業の原材料を速やかに確保するにある。   しかもわが国の地理的経済的事情ことに朝鮮動乱を契機とする極東情勢の変化により、重要物資はすべて遠隔地よりの海上輸送による輸入に求めなければならない現状である。しかしてわが国の現在保有する劣弱なる外航船腹をもつてしては到底所期の輸送を完遂し難い。   よつて政府は外航船腹増強に関し資金の確保等必要なる諸方策の急速且つ円滑なる実施に遺憾なきを期すべきである。   なほ、政府はその結果に関し速やかに本院にこれが報告をなすことを要求する。   右決議する。  というのであります。  国民待望の講和はまさに近付きつつありまするが、米国大統領が本年の初頭において、自由国家社会の一員としての地位に日本をして速かに復帰せしむべしと声明いたされているのであります。なお又只今来朝されておりまするダレス氏は、その来朝の第一声において、日本が完全なる自主権の行使をなし得る新らしき時代を日本のために見出すために来朝いたしたいと申しておられるのであります。  ただ、ここに我々といたしまして深く思いをいたさなくちやいかんと考えますることは、日本の独立、日本民族の自立と申しましても、單に政治的に主権を回復いたしまするだけではその全きを期しがたいのであります。経済の自立を待つて初めて真の日本の完全主権の回復を期待し得るということであります。殊に現在の激動いたしまする世界情勢の中にあつて日本の自立、日本経済の自立を期しまするためには、おのずからこれに処しまする平時と異なりました緊急の施策が、政府において当然にとらるべきものと考えるのであります。  朝鮮の動乱を契機といたしまして世界情勢は日にその緊迫の度を加えておりまするが、殊にこの世界情勢の重大なる要素は、先に米国大統領が、十二月の十六日でございましたか、この事態に対処いたしまして非常時宣言を発布されましたが、昨年の九月公布せられました国防生産法によりまして、米国は現にその工業を全的に動員をいたして戰時体制を整えておるのでありまするが、かような米国の戰時体制は單に米国だけのことではありませんので、現に世界は挙げて軍備拡張に対しまして、その緊要でありまする、殊に食糧の問題、或いは重要産業の基礎材料でありまする原材料等の戰略物資の確保に、その全力を傾倒いたしておるのでございます。かくのごとき世界情勢のこの変化は、当然に日本つて日本経済にその影響を及ぼしたのでありまするが、あの資源の豊富な米国を以ていたしましても世界経済よりの孤立は許されなかつたのでありまするが、殊に資源の貧困でありまする日本といたしましては、この世界経済の変化の影響は当然に受けざるを得なかつたのであります。由来我が国といたしましては、その土地は極めて狹小、その資源は極めて貧困であります。これに対してその八口は極めて過多であります。従つて我が国といたしましては、外国より食糧等を輸入し、殊に重要産業の基礎原料を輸入いたしまして、これによつて国民生活の安定を期し得たのであります。従つて我が国といたしましては、我が国の経済といたしましては、貿易に依存する度合が極めて戰前におきましても高いのでありましたが、殊に例えば羊毛にいたしましても、綿花にいたしましても、殆んど一〇〇%外国に依存しておつたのであります。鉄鉱石といえども戰前においてすでに九割、穀類におきましてもその半分は外国よりの輸入に依存いたしておつたのでありまするが、いわんや敗戰後の今日におきましては、ボーキサイトにいたしましても、ゴムにいたしましても、殊にこの製鉄の材料でありまする強粘結炭にいたしましても、殆んど一〇〇%外国よりの輸入によつておるのであります。なお又重要でありまする石油類にいたしましても、現在すでにその八割は外国よりの輸入に仰いでおるのであります。かような我が国の地理的、経済的事情よりいたしまして、国民生活の最低限を維持いたしまするためにも、殊に我が国経済の自立のための再生産を確保いたしまするためにも、なお又現在問題になつておりまするインフーレーシヨンを回避いたしまするためにも、どういたしましても必要原料の職入を確保いたしまして、我が国の経済の再建に誤まりなきを期せなければならないと考えるのであります。  殊に最近におきましては、有効需要の増加にもかかわりませず、ややもすれば生産の彈圧性を失わんといたしておるのであります。これによつて生産率の低下の兆さえ窺われる次第でありまするが、これは全く輸入の困難に原因をいたしておるのであります。八幡、広畑等におきます備蓄の鉄鉱石、強粘結炭の備蓄のあの状態のごときは楽観を許さない現状であります。而もかかる輸入の困難の原因は、もとより貿易條件その他いろいろな困難の事情に原因がございましようが、主たる原因は現在の日本におきまする船舶、殊に外航船舶の不足による輸送力の減少貧困によるものであるのであります。戰前におきましては、御承知通り我が国といたしましては六百三十万総トンの船舶を保有いたしまして、世界第三位であります。而も当時におきましては年々七千万円或いは八千万円の輸入超過を見まして、国際收支の均衡に非常に頭を惱ましておりました際に、海運收入一億数千万円を以て当時の国際收支の均衡を計り得た、あの戰前におきまする海運の力というものは、第二次世界大戰によりまして無慮八百八十方総トンの船舶を失つたのであります。終戰直後におきまして僅かに百三十万ドン、世界第十三位の海運国に転落いたしたのでありますが、而もこの貧困な日本の海運力を以て戰後における日本経済の再建に対する一番基本的な重大な使命を課せられて参つたのが現状であります。  今や朝鮮動乱の結果、殊にこの中共よりの輸入が杜絶したのでありますが、昭和二十六年一月から三月まで即ち昭和二十五年の第四四半期は、中共よりの輸入の計画は大体五十数万トンでありますが、鉄鉱石、塩、石炭、大豆等を合せまして約五十三万トンでありますが、これは殆んど中共よりの輸入に仰ぐことができませんので、遠く北米等にこれを仰いでおるのであります。遠く地中海等に仰いでおるのであります。而も昭和二十六年度におきまする中共よりの輸入の計画は大体三百万トンと算定されておりまするが、これのごときは同様に遠く北米、地中海その他より鉄鉱石、塩、石炭、その他日本の工業の原材料の多くを、殆んど全部を仰がなければいけん現状であります。殊に昭和二十六年度におきまする我が国の経済の根幹をなしまする輸入物資でありまするが、昭和二十六年度におきましては、大体算定されておりまするのが、この羊毛とか或いは綿花とか、そういうふうな定期物資、定期船によつて運びまする物資、又はタンカーによつて運びます石油類を除きましても、鉄鉱石或いは塩、石炭、ボーキサイトその他の重要原材料だけでも千四百万トンを算するのであります。この千四百万トンの日本の経済にどうしても欠くことのできない原材料を運びまするに必要な船舶が約三百三四十万トンと算定いたされます。と申しますのは従来におきましてはそれほどの船腹量は要らんのでありまするが、最近におきましては、中共よりの輸入の杜絶によつて多くは遠距離輸送によつておりまするので、この千四百万トンの重要物資を運びますためにはどういたしましても三百三十四万トンの船腹を要するのであります。而も現在の日本の船腹量の現状を以つていたしますならば、今後新造或いは改造等の施策を講じましても、なお且つ昭和二十六年度におきまして平均百十万トンがやつとであります。現状におきましては、外国船舶は、この国際情勢の変化によりまして、多く東洋、極東の市場より廻船せんといたしておりまするが、仮に日本船舶と東洋の百万トン乃至百十万トンの外国船舶が東洋市場に回航し得るといだしましても、なお且つ百万トン以上の不足を生ずるのであります。その際、日本船舶を以て日本の最も重要な原材料を運びます率は僅かに三割三分であります。而も最近におきまして輸入のズレを考慮に入れまするときには、更にその船腹の不足量は増大いたすのであります。最近自立経済審議会から政府に答申されました案によりますると、昭和二十八年の日本経済の自立達成の年度において、大体人口八千八百万に対して十七億程度の規模において国際收支の均衡を図る、それによつて戰前の生活水準の八割九分、九割程度の生活水準に回復せしめる、そのためには鉱工業生産の指数を百三十一にする、そのためには百九十三万総トンの外航船腹量が必要であるという答申をされておりまするが、仔細にこの答申の数字を検討いたしますると、昭和二十六年度において日本の経済再建のために必要とする輸出入物資の数量が、約千八百万トン、昭和二十七年度において二千万トン、目標達成の昭和二十八年度におきまして二千二百万トンでありまするが、その際に、日本の今後政府の施策によつて、現在大体において想像策定されておりまする計画量によつて達成し得る、日本の保有し得る外航船腹量を以ていたしますると、昭和二十六年度において漸く日本の全輸出入物資の三割、昭和二十七年度におきまして三割四分、日本経済の自立達成という目標を置いておりまする昭和二十八年度において漸く全数量の三割八分しか日本船舶を以て運び得ないのであります。いわんや現在におきまして、世界における船腹の不足、御承知でありましようが、あの強大な海運力を持つております英国におきましても、米国炭を輸送いたしますためには現在百万トンの傭船をいたしておるのであります。あの戰後におきまする非常な強力な輸出力を持つております米国におきましても、殊にあの戰路用のリザーブ・フリートとして、予備船隊として、一般のコンマーシャルに使いません、あの千四百万トンのリザーブ・フリートのリバテイを、先般百数十隻を普通物資輸送のためにリリースいたしておるのであります。かような情勢において、殊にこの極東の情勢の変化、この險悪な情勢に対して、どうして外国船舶が日本の物資を運ぶために恩恵的に回航し得ますかどうかということにつきましては、当然に結論が出るところであります。而も自立達成の昭和二十八年度において、漸くあらゆる施策を講じて、日本の必要とするあらゆる物資の三割八分しか日本船舶を以て運び得ないというふうな自立経済の計画で他、誠に寒心に堪えないところでありまするが、これは達成しようと思いましても日本の現実が許さぬのでありまするから、いたし方ありませんけれども、少くとも日本経済の達成を期しますためには、少くとも五割、或いはそれ以上の日本船舶によつて運び得まするようにいたしませんことには、昭和二十八年度における経済自立とは申し得ないのであります。  殊にあらゆる日本の生産計画の基礎をなしまするのは、今詳細に申述べませんが、現状におきましては結局船腹量の問題に相成ると思うのであります。通産省その他においていろいろな輸入計画等を立てておられますけれども、船腹量の問題を解決せずしてはあらゆる計画が立ちません。かような情勢でありまするが、戰後におきましては、従来日本の必要とする輸出入物資は大体二割乃至三割を日本船舶を以て運んでおつたのであります。只今申上げましたように、自立経済審議会の答申案におきましては、(「簡單々々」と呼ぶ者あり)最終年度において三八%を企図いたしておりますが、只今の国際情勢を以ていたしますならば、今後日本の船舶を以て一〇〇%運び得るようにいたして、初めて本当の日本のこの経済的の自立、従つて日本の完全なる自主権の確立ができるのであります。現在我が国の船腹量は御承知通り百八十万総トンでありますが、そのうち外航に就航し得ます船舶は僅かに五十数万トン、本年の六月末におきまして八十数万トンが予定せられております。而も昭和二十八年度の自立達成の年度において三八%の日本船による積取り率を獲得して、なお且つそのときには百九十万総トンの船腹量を必要とするのでありまして、百九十万総トンの船腹量を得て初めてその年度において三割八分日本の貨物が日本船によつて運び得るのでありますから、今後少くとも両三年の間におきましては、毎年四十万トン乃至四十五万トンの船腹を拡充いたして、初めて先ほど申したように僅か三割八分の積取り率を確保し得るような現状であります。先般日本の賠償問題に関して来朝されましたストライクミツシヨンが米国政府に報告されました中にも、日本経済の自立のために、どうしても日本に強力な商船縁を保有せしめる必要がある、そのためには少くとも三百四十万総トンの船舶を日本に保有せしめて初めて日本の経済の自立は可能であるということを報告いたしておるのであります。なお又先般日本の対日援助に関して、グレー委員会が政府に報告いたしております。その答申案の中にも、日本の当面いたしている最も重大なる障害は日本商船隊の規模の無用なる縮小にあるということを断言いたしておるのであります。かようなふうに、現在日本経済の自立を達成いたしまするために最も基本でありますところの外航船腹の拡張の必要に関しましては、一時、日本商船隊の拡充に対して非常に批判的であり非常に危険視いたしておりました英国におきましても、その輿論は非常に好転をいたしております。  かようにいたしまして内外におきましては、日本における外航船腹の拡充に関しましては殆んど異論なき状態に立ち至つたのでありまするが、さて、これに対する日本における政府の施策におきましては、まだ我々といたしましては遺憾なきを保しがたいのであります。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)一月の五日における閣議におきましては、この問題に関して船舶増強のいろいろな閣議決定がされております。この詳細につきましては、ここに述べませんが、我々は政府政策に対して信頼を置いて、政府がこれに対して強力にして迅速なる施策を講ぜられんことを期待いたしておりまするが、ただこれに関しまして一言触れたいと考えますることは、現状におきましては、この戰後におきまして、すべての船腹を失い、八百八十万総トンの船舶を失い、二十二億に達しまする戰時補償を失い、これによつて第一声よりその最も緊要なる日本船縁の拡充に邁進せざるを得ない立場にありまするが故に、この国家的の見地を持つておりまする船腹の拡充でありまするから、それに対する資金の問題につきましても、国家的見地から、特に海上金融に関しましては、強力にして適切な施策を政府において至急に講ぜられんことを要望いたしたいのであります。その他の点につきましては、のちほど申上げまする通り、この本決議案に対しましては、政府も迅速にして早急な適切な施策を講ぜられて、本院に対して報告されんことを要求いたして置きます。  ここにこの昭腹増強の緊要なるゆえんを申し、政府に対して強力なる施策を迅速果敢に講ぜられんことを要望いたしまして、この趣旨説明を終りたいのでありますが、なお、この点に関しましては、本件の重要性に鑑みまして、は各位の御賛成を得んことを切に希望いたしまする次第であります。(拍手
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。小泉秀吉君。    〔小泉秀吉君登壇拍手
  22. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 只今上程されました外航船腹緊急増強に関する決議案に対し、私は日本社会党を代表して賛意を表するものであります。  去る第七国会におきまして満場一致を以て可決されました外航配船促進に関する決議案の賛成演説におきまして、私は、日本はその国情からいたしまして、海運による立国を国是としない限り、経済的自立は不可能であり、従つて政治的自由は望むことができない、世界平和に寄與するゆえんではない旨を強調したのでありまするが、最近における世界情勢の変化は、外航船舶の急速なる増強を当面喫緊の要務としておるのであります。御承知通り外航船舶不足のために、食糧、屑鉄、鉄鉱石、粘結炭など必需物資の輸入につきましては大量の外国船舶を利用いたして参つたのでありまするが、最近における国際情勢の急変によりまして運賃市場は急激に値上りをいたしまして、これらの重要物資の船腹手当が困難となつております。而も国際情勢の緩和を期待し得る徴候は何ら認められないばかりでなく、むしろ逆に、軍事力強化のため西欧諸国が自国船舶を自国貨物輸送に振り当てることによつて、極東方面に利用し得る外国船舶が次第に窮屈となることが憂慮せられるのであります。しかのみならず、中共政府が輸出禁止の措置を適用することとも相成りますれば、これまで直接中国本土から、或いは香港経由で輸入して参つた鉄鉱石、粘結炭、大豆、塩、桐油などの重要物資は、他の遠隔地域よりの輸入に振替えなければならなくなりましよう。これらの事情は、大量の外航船舶の急速な確保を必要としておるのであります。今にしてこれが用意なくして推移するならば、重要物資の輸入計画も画餅に帰し、日本の経済的自主性、従つて又政治的自主性の確保に重大なる支障となる虞れがあるのであります。  右に述べました事情を考慮に入れますると、日本輸入貨物の約半分を自国船舶を以て積み取るといたしましても、現在大よそ百万トンの船腹不足と計算されまするので、政府におきましても、船舶の新造、改進、沈没船の引揚、修理、外国船の購入並びに傭入れなどの施策を決定しているのでありますが、これらの施策の円滑に実施され得るか否かは、一に金融措置がどのように行われるかにかかつておると存じまするので、この点について切に政府の誤まらざる施策を望むものであります。  即ち第一に、先ほど申述べました船舶増強施策の実施のためには、実に数百億円に上る多額の資金を必要とするのであります。例えば一万トンの船舶一艘を建造するのに約十億円に近い資金を必要とするのであります。第二に、船舶増強の担い手である船会社の資産内容を見ましても、又昨今における資本市場の状況よりいたしましても、船会社が自己資金による船舶増強の余地は誠に少く、所要資金の大部分はこれを他に求めなければできがたいことであります。第三は、船舶建造資金は、その金額が莫大であるばかりでなく、長期間固定する性質を有しておりまするから、一般市中金融業者の融資の対象になりがたいのでありまして、世界の海運諸国におきましても、殆んど例外なく海事金融につきましては特別の金融施設を講じているのはその理由に基くのであると存じます。日本におきましても、終戰前までは、船舶建造融資補給とか損失補償法などによる特別の海事金融の制度を持つておりましたことは、諸君の御承知のところであります。  以上に亘りまして、私は第一に、最近におきまする世界情勢の変化により急速に外航船舶を増強せねばならないこと。第二は、船舶増強策の成否は金融措置如何にかかつていること。第三は、海事金融については特別の施設が必要であるゆえんを申述べたのでありますが、結論といたしまして、私は外航船腹緊急増強につきまして全幅の賛意を表すると共に、これが円滑なる実施に十分役立ち得る海事金融の施設の急速なる確立を強く要望する次第であります。これを以て私の賛成演説に代えます。(拍手
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 駒井藤平君。    〔駒井藤平君登壇拍手
  24. 駒井藤平

    ○駒井藤平君 只今上程されました外航船腹緊急増強に関する決議案に対し、私は国民民主党を代表して賛成の意を表するものであります。  諸君、最近における世界情勢は、朝鮮動乱勃発を契機として、とみに急迫の度を加えて参りました。一方我が国が久しく待望して来ました講和條約の締結も近く実現する見通しも極めて明るくなつて参つたのであります。この講和の成立は、即ち我が国が今までの被占領国から独立国に生れ変ることを約束するものでありまして、誠に諸君と共に慶賀に堪えない次第であります。併しながら現在の我が国が、外は世界情勢の急迫に対処し、内は日本の独立を維持します上には、何と申しましても、日本の経済の自立を図り、国民生活の安定を期することがその前提條件でありまして、この前提條件を満たすために現在長も緊要なことは、生活必需物資並びに重要産業の原資材を速かに確保することであります。すでに御承知通り戰争によりまして国土は縮小され、資源は貧困に陷り、而もその上に入口は却つて増加しておる。我が国国民経済が海外貿易に依存する度合は戰前にも増して更に強くなつた次第でございます。即ち生活物資或いは重要産業の原材料はどうしても外国から大量に輸入せねばならないことは必然であります。而も我が国は四面海を以てめぐつております。これらの海外貿易はどうしても海上輸送即ち船によつてなされねばならんことは今更私が申上げるまでもありません。  従来これら必需物資のうち、中国、満洲、台湾、朝鮮など隣邦諸国から仰いだ部分が多いのであります。これが海上輸送には比較的中型乃至は小型の船で間に合つておつたんであります。併しながら中共の朝鮮動乱介入、米国大統領の非常事態の宣言を契機として、遂に対中共貿易は実質上禁止の状態であります。これがために我が国がこれまで中共地区から輸入して参りました原資材は、米国を初めとして遥かに違い国々から仰がねばならないという現状に立ち至つたのであります。又戰後我が国の外国貿易は主として外国船によつておつたのでありますが、昨年末以来世界的準戰体制に突入し、英、欧の石炭不足、印度の食糧不足によりまして、船腹の不足は世界的の規模において現われて参つたんであります。従来日本の輸出入貿易に従事いたしました外国船は一遍に引揚げたのであります。この面におきまして、日本船によつて我が貿易を間に合わして行く必要が急激に生じて参つたのであります。加うるに海上輸送の長距離化のために大型の船が必要となつて来たのであります。  前述のごとく大型船を急速に整備する必要が生じて参つたんでありますが、然らば我が国の外航船舶の現状はどうであるか。昨年の十二月末現在では貨物船が八十二隻、六十四万総トン、油糟船が十隻、十四万七千総トン、計九十二隻、七十八万七千総トンに過ぎないのであります。若しこのまま推移いたしまするならば、今後遠洋方面からの輸入貨物の五割を日本船に横取ることにいたしましても、本年度上半期には約百七万トン、下半期には約百万トンの船腹不足を生じて参りまして、我が国経済の自立も根抵から脅かされ、最も憂うべき実情に立ち至りております。  我が国におきまして現在かくのごとく外航船舶が不足いたしておるのであります。これが充実増強は刻下最大の急務であります。我が国民民主党は、本決議案我が国現下の要請に即応した極めて時宜を得たものとして双手を挙げて賛成するものでありますが、この決議案をして真に実効あるものたらしむためには、又参議院お権威のためにも、この決議を單に決議しただけにとどめず、この決議をして実行に移してこそ効果があるのであります。一日も早く日本経済の自立をし、国民生活の安定をいたしますよう、外航船腹を増強するための具体的方策について若干の意見を開陳いたして、政府の誠意ある善処を要望するものであります。  けだし我が国における外航船腹の不足は、決して将来の抽象的な問題ではなく、今現に我が国民経済の上に乗つかかつている極めて重大な焦眉の問題でありまして、本決議案は然らば如何にして外航船腹を増強するかという具体的な方策の裏付けがあつてこそ初めて実現されるものであります。これにつきましては我が国民民主党は、去る一月二十日の大会におきまして特に海運力増価に関する決議をいたし、現下我が国民の熱望する国民生活安定に到達する基本的前提に関する方策を闡明いたした次第であります。  この内容を若干簡單に申上げまするが、外航船腹増強の具体的方策といたしましては、先ず外航船腹を直接に増強しまする対策は、第一に第七次新造船大型五十万総トンを本年度内に建造完成せしめること、第二には、戰時標準昭大型十五万総トンを改造し、国際船級を取得せしめること、第三に、沖縄等に沈んでいる船を引揚げてそうして十七隻十四万総トンを修理して活用すること、第四に、差当り大型外国船約五十方総トンの購入又は用艦に努力することである。  併しこれらはいずれも莫大な金を要するのであります。特に新過般の建造費などは、今回追加許可ありました六次船の例を見ましても、大型船一隻で七億再、或いは八億可もかかるのであります。これに要する資金の調達ができなくては、どうしても本決議案目的は達成できない。これが対策の実現に必要な資金の確保という間接的な対策の裏付けが必要であります。第一に造船用見返資金の増額、第二に長期造船融資機関、例えば海事金融金庫を速かに設立すること、これらは、復興金融金庫の融資、船舶公団との共有による船主の自己調達の不可能なる部分に対する補充が廃止されましたから、見返資金の利用が海事金融の大宗をなしている実情でありますので、当然かくなるべきものでありまして、二十六年度におきましては可能な範囲において、海運関係に融資することを速かに図るべきものと考えるのであります。又現在の海運界の一般の情勢におきまして、かかる長期資金の自己調達は困難であります。市中銀行の貸付、社債の発行による資金調達も極めて限定されておりまするから、この際、仮に海事金融金庫を設立して、船舶の建造、改造、外国船の購入、船腹雇用増強の所要資金を、これを調達するということは急務であります。  以上私は国民民主党を代表して、本決議案に対する賛成の裏付けとして具体的方策につき意見を申上げた次第であります。政府は現下急迫な状態に鑑み、外航船腹増強に関し必要な施策を緊急に講ずると共に、これに必要なる資金の確保その他有効適切なる方策の円滑而も実施に遺憾なきことを期せられんことを切望して、本決議案に賛成するものであります。(拍手
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 高木正夫君。    〔高木正夫君登壇拍手
  26. 高木正夫

    ○高木正夫君 私は緑風会を代表いたしまして、本決議案に対しまして最も熱心なる一人として賛成の意見を述べたいと思うのであります。  本決議案提出の理由につきましては、すでに発議者山縣君を初め、小泉、駒井両君から縷々述べられまして、私の意見も大体これと大同小異でありまするし、又恐らく満堂の各位もすでに十分なる御理解を得ておることと存じますので、ここに詳細に申上げることを避けまして、極めて簡單に要領だけについて私の賛成意見を述べたいと思うのであります。  外航船腹増強の問題は、戰前よりすでに我が国海外貿易増強のために必要であつたのみならず、貿易外収入といたしまして実にすばらしい大きな役割を演じておつたことは御師承の通りであります。ところが終戦後今日に至るまで、我が国経済は外国経済に依存しなければ存立できない情勢に立ち至りまして、延いては国民生活の安定もこれに左右せられること極めて大なる状況に相成つて参りまして、ここに外航船腹増強の必要性というものは新たに一層重大なる意味を持つに至つたと思うのであります。特に最近世界情勢の緊迫と、待望の講和成立の日がだんだん近付きまして、日本経済の自立が当面の緊急課題となるに及びまして、これがいよいよ焦眉の根本問題となるに至つておるのであります。即ち日本経済自立のために、国民生活安定のために、これに欠くべからざる食糧その他生活物資並びに基本重要産業の原材料確保のためにも、外航船腹の増強ということは何をおいても先ず第一に実行せねばならぬことと確信いたしておる次第であります。  もとより政府におかれましても、これに対し相当の関心を携われまして貧乏世帯のやりくりをせられておる事実は、率直にこれを認むるにやぶさかでないのでありまするが、私はあえてここに「相当」なる言葉を用いたのでありまするが、現在の実績並びに二十六年度の計画に徴しまして、遺憾ながら政府の熱意なり努力なりが未だ十分であるとは考えられないのであります。、(拍手)私のいわゆる「相当」の域を脱しないと切に感ずるものであります。即ち本年度第四四半期においては、約百万トンの需要量に対しまして、約六十万トンの供給、差引きしますると四十万トンの不足となつておりまするが、更に最近の急激なる情勢の変化によりましてとみに需要量が増加いたしまして二十六年度は各四半期ごとに約百八十万トン乃至二百万トンの船腹が必要であると考えられるのでありますが、その計画供給量は僅かに七十万トン乃至九十万トン、即ち毎四半期ごとに実に約百万トンぐらいの不足量となつておるのであります。政府はこの程度で以て果して経済自立を図り国民の生活の安定を図るということに十分であるとお考えになられるのでありましようか。この問題は恐らく超党派的に、国民有識者のひとしく熱望するところのものであつて政府の実行せんとする諸政策の中でも、最も緊要度並びに緊急度の高いものであることを徹底的に御認識を頂いて、この際、重点的に思い切つた財政金融措置をとられるよう、切にお願いを、希望を申上げる次第であるのであります。(「わかつた」と呼ぶ者あり)  そうして最後に我々はその成果に対し大なる期待と強き関心を以て凝視せんとするものであることを申添えまして、私の賛成意見といたす次第であります。(拍手
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案は全会一致を以て可決せられました。  只今の決議に対し、政府より発言を求められました。林国務大臣。    〔国務大臣林讓治君登壇拍手
  29. 林讓治

    国務大臣(林讓治君) 我が国国民経済の維持発展には健全な日本商船隊の保有が不可欠の要件でありますことは、今更申上げるまでもございません。然るに最近における朝鮮動乱の情勢及び米国大統領の非常事態宣言を契機といたしまして、    〔議長退席、副議長着席〕 世界的に船腹は不足を生じましてその上に我が国の中共地区買付物資の他地区への振替え等によりまして、日本商船隊の整備充実は焦眉の急を要する問題となるに至つたのであります。この時に当りまして、当院において外航船腹緊急増強に関し決議をせられましたことは、極めて時宜に適したものと考える次第であります。政府におきましても、目下この不足船腹は、新進を中心といたしまして、改造及び沈んだ船の引揚げ、修理並びに外国船の買入、用船によつて補充する計画を立てておる次第であります。もとよりこの計画を具体化いたしますがためには資金の手配に相当の障害が予想せられるのでありますが、この決議の御趣旨に副いまして最善の努力公盡す決意であります。どうか各位におかれましても政府の意のあるところを酌み取られまして、積極的な御協力を切にお願いを申上げまして、政府の決意を披瀝いたします。(拍手
  30. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 池田大蔵大臣。    〔国務大臣池田勇人登壇拍手
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外航船の増強があらゆる面から考えまして只今のところ一番重要な事柄であると考えておるのであります。政府におきましては、昭和二十四年度見返資金から八十四億円を出しまして、七十二隻の五十万トン近い船を造つたのであります。二十五年度におきましても百二十五億円を出しまして、二十四年度の計画を遂行すると同時に、第六次船として二十万トンの計画を先般来立てて、そうして融資を図つておるのであります。今後におきましてはこの問題を早急に解決しなければなりませんので、二十六年度におきましては百十五億円の見返資金を計画いたしております。このうち六次造船に五十余億円を使いますので、あとの金は六十五億円程度しかございません。六十五億円と申しますると、民間のほうから半分出しましても大体十万トンしかできないのであります。併しこれでは足りませんので、私はこの六十五億円を着手の金だけに使つて、あと完成のほうはあとから考える。こういう考えの下に直ちに第七次造船を計画いたしまして、二十万トンの新造並びに二隻の改造を計画いたしておるのであります。最近発表できると思います。又新造船ばかりでなしに改造にも相当に力を入れなければなりません。改造は大体トン当り相当安くできるのでございまして、只今のところ改造に三十億円程度の金を出しまして、二十ばい程度の改造を早急にやりたい。又先ほど副総理からお話もありましたように、沈沒船の引揚も計画いたしております。併し早急にやるのには、何と申しましてもやはり外国の船舶の買入れ、又用船でございます。又買船の問題につきましても議論がございましたが、私は早急にやらなければいかん。そうしてこれが金融につきましては、外貨は十分あるのでありまするから、国内的の円金融につきましても準備をいたしておるのであります。御決議は誠に結構であり、我々もその線に沿つて第一次の仕事として熱心にやつておるのであります。(拍手
  32. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 周東国務大臣。    〔国務大臣周東英雄君登壇拍手
  33. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 船腹緊急増強に関する御決議の趣旨は誠に御尤もであり、最も時宜に適したものと考えます。只今副総理及び大蔵大臣が申上げました通り政府は全力を挙げて関係省協力の下に実現に努力いたしたいと考えます。(拍手
  34. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 關谷運輸政務次官。    〔政府委員關谷勝利君登壇拍手
  35. 關谷勝利

    政府委員(關谷勝利君) 最近における国際情勢の緊迫化に伴いまして、世界的に船腹不足は著しくなつて参りました。従前のごとく貿易物資の大部分を外国船に依存することは極めて困難な事態となつて参つたのであります。過去、政府におきましても、日本海運の国民経済に占める重要性に照らしまして、鋭意外航大型船の整備充実に努めて参つたのでありまするが、未だに国際船級を取得いたしておりまする船舶は百四隻、約六十万総トンを保有しておるに過ぎないのであります。このような船腹を以ていたしましては、到底国民経済の維持発展に必要なる食糧及び工業用原材料の輸入確保は期待し得ないのであります。政府は、このような情勢の変化に鑑みまして、既存計画船舶の竣工を促進いたしまして、更に新造を中心に改造及び沈沒船の引揚、修理並びに外国船の買用船を計画し、具体化を急いでおる現状であります。  このときに当りまして、当院において、船腹増強について決議せられましたことは誠に慶賀に堪えない次第でありまして、この強力なる御支援に背かざるよう、今後懸命の努力を拂う所存であります。各位におかれまして、政府の意を酌み取られまして、積極的な御協力をお願いする次第でございます。  簡單でありまするが、政府の所信を述べまして御挨拶といたします。(拍手)      ——————————
  36. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、装蹄師法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長羽生三七君。     —————————————    〔羽生三七君登壇拍手
  38. 羽生三七

    ○羽生三七君 只今議題となりました装蹄師法の一部を改正する法律案の農林委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  現行装蹄師法は昭和十五年に制定せられ、現在に至つているのでありまするが、その間、学校教育法の実施に伴う学制改革によつて、規定の一部を改正する必要が起つて参りましたので、この機会に更にその他の不備な点をも補正して完全を期することとしたものが本改正法律案であります。  而して改正の主な点は、第一に、装蹄師の免許を受ける資格についてでありまして、現在その資格は、装蹄師試験に合格した者、獣医師たる者又は獣医師の免許を受ける資格のある者、陸軍部隊において削蹄及び装蹄に関する学理及び技術を修めた者、実業学校又は実業専門学校において所定の学理及び技術を修めた者、並びに外国において同機な業を修めた者で命令で定める者と規定せられておるのでありますが、学校教育制度の改革に伴つて、獣医関係の新制大学においては装蹄に関する教科が不十分でありますので、かような新制大学を卒業して獣医師となつた者、その他獣医師の免許を受ける資格のある者に対しては、従来の無試験免許の資格を取りやめ、同時に曾つての陸軍関係特修技術者に対しても同様な取扱をすることとなさんとするのであります。併し装蹄師の養成を目的とする実業学校で所定の課程を修めた者には、従前通り無試験で免許を受ける資格を與える途が残されることになつておるのであります。併し学校教育法の改正に伴つて、実業学校又は実業専門学校の卒業生とあるのは、当然高等学校又は大学の卒業生と改められることとなるのであります。尤もこの改正法律施行の際、現に獣医師である者、旧制大学又は専門学校の卒業生等であつて獣医姉の免許を受ける資格のある者、及び本法律による改正前の陸軍関係特修技術者及び装蹄関係実業学校又は実業専門学校卒業者等に対しては、昭和二十八年十二月三十一日までは無試験免許の資格を存続せしめんとしているのであります。  第二は、装蹄師の状況の把握に資するため、装蹄師をして毎年定期的に所要事項を農林大臣に届け出でしめることとなさんとするものであります。  第三は、行政処分の範囲を拡げ、本法の規定に違反した場合は、すべて農林大臣は、免許の取消又は一定期間業務の停止をなすことができることとなさんとするものであります。  第四は、農林大臣が装蹄師の免許の取消をなし又は業務の停止をなさんとするときに、その処分の公正を期するため、公開による聴聞を必要とすることなさんとするものであります。  第五は、経済状況に適合させるため罰金の金額を増額せしめんとするものであります。  委員会におきましては、先ず質疑に入り、政府に対し現行装蹄師法並びに本改正法律案の内容及び立法の体裁、特に本法律案と一脈相通ずる関係にあり且つ最近の立法にかかる獣医師法との関連性、装蹄及び削蹄の実需者の便益の増進、装蹄技術の向上維持及び装蹄師資格者の既得権の擁護等について、その方針が質されたのでありまして、これが詳細については会議録に譲ることと、いたしたいのでございます。  かくして質疑を打切り、討論に入り、片柳委員から、装蹄師法の内容及び体裁の改善について政府の善処方を期待し、又岡村委員から、装蹄師資格者の既得権の擁護について要望があり、続いて採決の結果、全会一致を以て政府原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  39. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  40. 三木治朗

    ○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第七日)  一、日程第二 外航船腹緊急増強に関する決議案  一、装蹄師法の一部を改正する法律案      ——————————