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1951-02-01 第10回国会 参議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月一日(木曜日)    午前十時二十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第八号   昭和二十六年二月一日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第六日)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件。(第六日)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。江田三郎君。    〔江田三郎君登壇、拍手
  4. 江田三郎

    江田三郎君 日本社会党を代表いたしまして食糧及び農業政策について質問いたすものであります。  第一は、昨年の十一月ドツジ氏から手きびしく詰問をされ、これに応えて、安本大蔵農林の三相会議決定をいたしましたところの食糧管理統制改変に関する事項に、果して変更の必要はないかという点であります。本年度食糧輸入計画は二百八十五万トン、うち百万トンはガリオア資金によるということでありますが、一九五一年度ガリオアは一億四千万ドルに減額の予想がなされており、而も食糧以外の原材料を多量に輸入すべき要請があるわけでありまして、百万トンの輸入日米両国間の予算年度の時間的ズレを考慮いたしましても到底不可能なはずであり、残る商業勘定分価格及び運賃の急激なはね上りと、各国の買付競争船腹不足等からいたしまして、これ又予定量輸入は困難と考えられるのでありまして、政府が確信があるというならば、その具体的内容と、予算に計上された補給金で操作ができるかどうかという点を、農林大臣一括的答弁でなしに安本長官答弁を求めるものであります。  一方、国内産については一割増産運動を進められておりますが、増産の成否は生産農民意欲にかかつておるのでありまして、このために問題になるのは価格政策であります。政府が従来とり来たつた価格パリテイ方式は、生産費を遙かに割るものとして農民団体の強い反対を受け、二十五年の産米価格決定に当りましては、政府も遂にその非を認めて、価格ハリテイ・プラス・アルファ方式に変更されましたが、このアルフアなる数字は、決定に至るいきさつを見ても明らかな通りに、農民の立場或いは生産費出発点としたのではなくして、補給金打切りを目指す大蔵省財政的理由から算出されたものであります。すでに政府はこの方式によりまして二十六年の産米価格を六千百六円と発表されておりますが、パリテイ指数は最近の傾向からすれば予想を遥かに上廻ることが必然であり、こうしたときにはアルフアは固定したものとして六千百六円を改訂するのであるか、或いはアルファを財政的理由によつて圧縮して六千百六円を押し付けるのか。出発点出発点だけに、農民といたしまして大きな不安を感ずるのであります。若しも政府が真に食糧増産を、従つて農民生産意欲を願うのであれば、財政的理由に左右さるるところのかよう不安定な方式ではなくして、全農民団体の主張するところの生産費方式に切替えるべきでありまして、生産費の算出が困難であるという理由で逃げることは無責任な詭弁なりと信ずるものであります。(拍手)  価格についてのいま一つの問題は麦の対米価比率であり、先ほど申しました三相会議は、従来の小麦比率八一%を、最近の麦配給辞退に鑑みまして、戰前同様の六四%に引下げるというのでありますが、戰前食糧事情は、日本米に近い朝鮮米台湾米良質米が自由に輸入されたのでありまして、今や情勢は一変し、輸入は麦が主であつて、少量の米の輸入があつてもこれは日本人の好みに合わない南方米であります。従つて食生活におけるところの麦の地位が本質的に異なつて来ておるのであります。これを無視していきなり戰前比率に押し下げますならば、現在麦作は赤字経営であることから、勢い他の換金作物への転換、或いは休閑地の増加となつて農業構造に変革を與えることが必至であり、而も六四%の比率外国小麦についての数字であつて日本産は更にそれ以下に、即ち戰前よりもなお下げられるといたしましてたならば、問題は全く重大であります。かかる価格政策によつて、米六千五百万石、麦二千五百万石の目標量を確保しようというのであれば、供出に当つて一方的な数字を押し付けて、生産農民の飯米をまでもぎ取る以外に方法は残らぬはずでありまして、そもそも政府事後割当とは具体的にどうするのであるか。作報職員予算によりますというと千五百人の大量首切りが予定されておりまして、収穫量の正確な捕捉は今までよりもなお困難であり、従つて農民としましては事後割当なるがために逆に不安を持つておるのであります。以上の諸点からいたしまして、三相会議決定事項農民を不安に陥らしめ、増産とは逆の減産に進ましめるものでありまして、貧乏人に麦を食わすのではなくして、逐に麦さえ食べられぬ状態に落し込むものなりと憂慮いたしまして、関係大臣答弁を求めるものであります。(拍手)  日本農業は、昭和二十三年秋、吉田内閣の成立と奇しくも時を同じうして赤字経営に転落したのでありまして、昨年の農業センサスによれば、専業農家減つて兼業農家が殖えるという極めて憂慮すべき状態にありますが、これに対する政府農業政策中心である興農運動とは何ぞやということを次にお尋ねいたすものであります。少くとも価格政策に関する限りは何ら興農の名に値いしないことは只今糾明したところでありますが、農林省の発表されました興農運動要綱には、価格及び供出制度のほかに、土地改良災害復旧経営及び技術の向上等、立派な対策九つも並べてあります。対策が如何に立派でありましても、この実行には経費を要するのでありまして、資金がなくしては單なる机上プランに過ぎません。現在農家経済は完全に行き詰つて、再生産のための新らしい投資は殆んど見られないのでありまして、昭和二十三年以降はむしろ固定資本を食い潰しており、資本構成内容が悪化いたしまして、労働生産性が低下しつつあるということは、農林省の調査によつても明らかであります。而も価格政策赤字の強要でありまして、仮に私どもの主張いたしまする生産費方式が採用されましても、これは單純再生産が可能になるだけのことでありまして、興農というような拡大再生産のためには公共的援助が絶対的條件になるのであります。然るにこの興農運動九つ対策には財政援助として取上げるべきものは何らなしという有様であります。(拍手)  第一に公共事業費を見ますというと、前年度に比べて若干の増額はありますが、工事單価値上り考えると、増額は微少言うに足らずであり、農林省の最初の計画でありまする土地改良及び開拓に七百五十億円を支出して三百四十一万石を増産するという計画は、僅かに二割二分六厘方の予算化に過ぎないのであります。一体、大蔵大臣及び安本長官は、農業というものを公共事業費対象としては不適当と考えておられるのかどうかということであります。我々は断じて否と答えたいのであります。ひとり農産物だけが国際価格よりは遥かに低く釘付けされているということ、更に緊迫した国際情勢下食糧自給度向上の重要なことからいたしまして、農業こそ今日の段階において公共事業費を大きく支出すべきものと信ずるものであります。(拍手)  一方、耕地等災害復旧については、要求額二百七億円に対しまして、半分にも達しない八十三億円とされております。そもそも災害復旧政府国民に負う借金であります。然るにそれが年々引続いて一万三千町歩前後の復旧未了が加わつておるのでありまして、終戰前災害が今なお復旧されないで残つておる状態であります。耕地の新らしい造成とは逆に、年々一万町歩をマイナスにするこの状態で、何が一体興農かと問いたいのであります。(拍手公共事業費以外の興農対策費としては、例えば單作地帯対策として淵床苗代の油紙の補助金を一坪三十円にしたという程度であります。目新らしいものとしましては、消極的な減産防止対策でありますところの病虫害防除薬剤補助金二億六千八百万円ただ一つである。畜力及び機械力高度利用のごときは看板だけでありまして、中身は全然ないという状態であります。(拍手)  更に、財政的援助と表裏一体をなすべき金融措置についても、農林漁業金融公庫法案も流産し、自作農創設維持資金融通法案も消えております。飛行機で種を播く大農経営のドツジ氏のアメリカにおいてさえ、農業一般金融対象とさたることが困難でありまして、農務省国家直接の長期低利信用事業を行うほかに、特殊金融機関による融資を斡旋しておるのであります。それに比べて、銀行に見向きもされない過小経営のこの日本農業金融公庫さえ設けられないとは、まさに不可解でありまして、(拍手大蔵大臣見解を承わりたいのであります。農林中金債の消化にいたしましても僅かに三十億前後に過ぎず、農業金融は、勧業銀行農工銀行活動した戰前よりも却つて低調なのであります。或いは金融公庫に代うるに六十億円の農林漁業長期資金融通法案の用意があると農林大臣は逆襲されるかも知れませんが、我々はこの案の実体を究明しなければなりません。ということは、二十五年度に始められた農林建設両省の見返資金による事業に対しまして、二十六年度融資が中止されるということであります。ダム建設等長期継続工事資金が中途で供給を打切られるということにつきましては、その計画の杜撰さ(拍手)について関係大臣責任を問うものでありますが、これには尻拭いが必要でありまして、農林省関係では、この六十億円から支出する以外に方法はないはずである。さようなことであれば、この長期資金対策は大いに割引いて評価しなければならんのであります。若しそうでないと言われるならば、六十億円の融資計画内容を明確に示して頂きたいのであります。  更に、興農運動資材対策もできておりません。一つ覚えの自由経済のラツパを吹いている間に、(笑声)石油、肥料、農機具等、いずれも恐ろしい値上りを示し、自由の名の下に拱手傍観しておるのが政府態度であるかも知れませんが、(拍手農民は不安におびえておるのであります。興農運動とは以上の通りでありまして、何ら農を興すものではなくして、朝鮮動乱に関連した單なる思い付き効能書に過ぎない。(拍手会議とポスターに終る欺瞞政策であると、こう断定するものでありますが、大風呂敷を拡げられました農林大臣は如何なる所信を以て当られておられるのか。(「答弁々々」「笑つておつちや駄目だぞ」と呼ぶ者あり)米価の決定に当りまして、大蔵省にきりきり舞いをさせられて、大蔵省農政局の観のある農林省は、日本農業を一体どこに持つて行こうという基本的構想を持つておるのか伺いたいのであります。若し無責任旅先放言だけが農林大臣の仕事でありますならば、我々は全農民の名において、口に金輪を嵌めた犬の玩具を廣川弘禪氏に贈りたいと思うのであります。(「農政局長頑張れ」と呼ぶ者あり)  先に我々は救農臨時国会開催要求をいたしましたが、その理由は、現在の農村状態が、片々たる思い付きを以てしては、もはや如何ともすることができず、根本に触れた究明と対策を必要とすると考えたからであります。増産によつて食糧自給度を高めることの大切なことは言うまでもありませんが、問題は農民を奴隷の状態に置いて一割を叩き出させることではなくして、国際水準から邊かに遅れたこの過小農経営を如何にして世界のレベルに追い付かすかということでありまして、一割増産もかような根本的構想の一段階として計画推進されなければならんと信ずるものであります。戰争に勝つためとか、日本経済再建のためとか、国民食糧確保のためとか、美しい名の下に農民は常に光栄ある犠牲者にされて来たのでありますが、もはや犠牲に供される余力が残つていないのであります。ドツジ氏の忠告によつて日本経済竹馬の足は切り拂われましても、人口の四割を越える農民がかように半身不随に陷つたのでは、日本経済竹馬以上に危險片足立ちで走らなければならなくなるのであります。(拍手日本農業の前進のためには、先ず第一に新らしい土地が必要であります。工業による農村人口の吸収に大きな期待の持てない今日、二男三男潜在失業者に新らしい土地を與えなければなりません。国土の七割が林野であるということを考えますならば、その方法に誤まりなき限り、曾つて開拓計画百五十万町歩以上の可能性があるはずであります。或いは、山は荒れ果てており、森林資源壽命は二十数年に追つており、治水を危からしめるという反対論があるかも知れません。開墾適地を單純に傾斜度だけできめるような方法をとるならば、成るほどその通り危險であります。そこに我々は流域別総合開発計画が必要だというのであります。而もここに我々の言う土地というのは、單に澱粉生産開田開畑だけを指すのではなくして、畜産、果樹、特用作物等総合食糧生産目標適地々々を生かす開発計画であります。森林資源が枯渇しつつあるのは、土地不足ではなくして、單位面積の蓄積が乏しいからでありまして、せめて国有林レベルにまで集約経営が行われ、同時に奥地林開発がなされるならば、多くの面積を農業に割き得るはずでありまして、計画的に行われる限り、治山治水開拓とは両立し得るはずであります。流域別総合開発は、当然、土地改良用排水電源開発等を含むものでありまして、治山治水食糧自給、過小農対策等、一連の難問題はこれ以外に解決の途なしと信ずるのでありますが、総合開発について、ややもすれば見解の異なるかのごとく見受けられる、建設農林大臣見解を承わりたいのであります。かかる総合開発計画の推進には、大きく国家投資を行うことが必要であると同時に、森林法農地調整法等改正を必要といたします。即ち開発計画に基いて、造林すべき場所農業に振向けられる場所とが分たれ、前者は森林法改正いたしまして、国家管理若しくはそれに近い精神を以て、植林、維持管理、伐材を計画的に行わせ、後者は我々のいわゆる第三次農地改革を断行して耕作農民に開放しなければならぬと考え政府見解を問うもので、あります。今日までの政府態度は、少くとも農地改革については打切りをもくろんでいると見受けられるのであります。政府は先に自作農創設特別措置法及び農地調整法ポ政令によつて改めたのでありますが、その際、総司令部天然資源局農政課長から廣川農林大臣宛書簡には、土地台帳法改正に厚い農地価格基準が無効になつたことに対する措置の必要を認めただけのことであります。然るに政府は、この書簡に基いて、農地価格統制を外して自由にした上に、書簡に示されていないところの政府買収打切り小作料値上げとをこれに便乗して行なつたのであります。明らかに書簡趣旨に反しておるのであります。農地価格統制を外せば、過小農経営必然の帰結として、経済価格とはかけ離れた高い土地価格が生れ、而も政府買収が打切られた結果は、土地購入資金が一時拂いとなるために、貧農は新らしい土地を持つことが事実上不可能になつて来るのであります。これを補うべきところの自作農創設維持資金融通法案が、第八国会における農林大蔵大臣の公約にもかかわらず、今なお関係方面の了解を得られないということは、政府行なつたことが、関係方面と連絡がなく、書簡趣旨に反したとの印象を一層強くせしめるのであります。(拍手)更に近くは農地委員会農業委員会に解消せんとしており、その結果は農地改革事業が実質的に停頓逆行することが必然でありまして、昭和二十四年十月二十一日、マツカーサー元帥書簡の「農地改革の成果は日本農村に恒久的に存続せられなければならぬ」という言葉に全く背き去るものと解釈されるのでありますが、農林大臣見解如何を承わりたいのであります。(拍手)  最後に、農村の振興には、上からの掛声ばかりでなく、下から盛り上る組織が必要なことは、今更多言を要さぬところであります。その一つであり、農民経済的結合体でありますところの農業協同組合は、全国約三分の一が経営不振に陥りまして、地方自治体におきましてもこの再建援助を重ねておるのでありますが、政府は果して如何なる対策を持つておられるか。不振の理由には、経営に人を得ず、当を得なかつたということもございますけれども、最大の理由は、旧農業会から不良資産を引継ぎされたこと、更に引継ぎの認可が遅れたために、ドツジ政策による経済界の激動期に際して迅速なる資産の処分ができなかつたために損害を受けたこと、この二つの点が中心でありまして、この二つの点は資産処理認可に当つた農林省に大きな責任があるはずでありまして、少くともこの部分につきましては政府は補償の途を講ずべきと思うのであります。更に、理由はどうあろうとも、こうした農業協同組合状態では、共同化、電化、機械化その他日本農業を前進さす母体を欠くのでありまして、とにもかくにも一応の活動を整備さすための緊急措置が必要と思うのであります。  いま一つ農民組織、即ち專ら経済活動を行う農業協同組合に対しまして專ら農政活動を行う農民組合に対して、どう考えておられるか。労働者団結権団体交渉権が認められる限りは、農民に対しましても当然同様の権利があつて然るべきでありまして、昭和二十三年十二月、極東委員会が発表いたしました農民組織十六原則には「日本労働組合に関する諸原則は、必要な修正を行なつた上、農民組合にも適用されるべきである。」と、はつきり書かれておるのでありまして、今なお、この十六原則は嚴然と生きておるのであります。然るに政府が今日まで農民組合法の制定に努力しないのは如何なる理由によるものであるか。或いは本国会に提出の用意ありや否やをお尋ねしたいのであります。  農地改革を初めといたしまして進歩的な制度一つ一つ抹殺することが自由党内閣の使命でありますならば、(「ノーノー」と呼ぶ者あり、拍手)又何をか言わんやでありまして、我々は政府根本的反省を求める一線に全農民の力を結集するであろうと申上げまして、私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手〕    〔「謹聽々々」と呼ぶ者あり〕
  5. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 農民の声を卒直にお伝えを願いして、感謝に堪えません。大蔵省農政局長でなく農林大臣としてお答えいたします。(笑声、「頼みます」と呼ぶ者あり)輸入食糧についてのだんだんの御心配のようでありますが、これはこの前の孤立した経済のときを考えて、軍艦や潜水艦によつ食糧を運べなかつた当時を思い起しての非常な心配と思いますが、現在日本はどことも戰さはいたしておりません。而も又日本を了解しておる連合国がおりまするので、あなたの御心配のようなことはないと考えておるのであります。又貸付けその他金繰り等につきましては御必要とあらば詳細に書類を以てお答え申上げます。  一割増産のことについてのお話でありましたが、一割増産については現在のようなことが考えられると思うのでありまして、昨年から皆さんがたに相談をいたしまして、着々やつておるのでありまして、農民諸君はこの線に沿うて懸命に日夜努力して頂いておるのであります。又これについての予算は、現在提出いたしておる予算案並びに前年度補正予算において十分賄い得るようにいたしておるようなわけであります。又これについての農村から産出される農産物価格についてでありまするが、これはあなたのおつしやることが少し違うのでありまして、あの当時我々に陳情されたのは、五千二百円程度にどうかしてもらいたい、この程度ならば農民諸君が満足するという、いわゆる農民代表諸君の大半の声であつたのでありまして、(「嘘を言え」と呼ぶ者あり)これを上廻つて五千四百円以上になつておりますので、これはあなたのほうがあの当時のことを考えると無理であるのであります。而も又このことは全国農民が非常に喜んでおりますので、(「嘘だ嘘だ」と呼ぶ者あり)或いはあなたがたの傘下にある農民団体闘争目標が或いは消えるかも知れんと思つて私は心配しておるようなわけであります。(笑声)又この来年度の六千百六円のこのベースにつきましても、決して我々は無理をしない考えでおるのであります。又麦の問題等でありますが、麦の価格もこれは七月から外すのでありまるが、たびたび申上げるように、「いも」の価格を外しまして、あの通り農民は喜んでおるのでありまして、必ず麦の最低価格をきめました以上これより下廻ることはないのであります。下廻ればどしどし買付けるのでありますから、これに刺激されて必ず価格は上つて参りまするので、あなたがたの本当の支持さるる農民は喜ぶことだろうと、今から私は喜んでおるのであります。(笑声)  それから今年の供出のことでありますが、これはあなたがたの力によつて農民が自治的に今年初めて供出を完了するのであります。何らの外部の力を借りずに、農民自治的態度によつて自治的に喜んで供出されておるのでありまして、極く一部を除きましては、保有米が非常に残つた言つて、私の所に皆農民から感謝いたして参つて来ておるのであります。(〔農民を喜ばすなよ」と呼ぶ者あり、笑声)これも心配がないように思つておるのであります。  それから興農運動のことであります。この興農運動はちつとも興農運動じやないと言うのでありますが、これこそ農産物をどんどん作り、その価格もどんどん値が上つて行きまして、農家経営を潤おしまして、農家の再生産に十分間に合うようにしたいと思つておる運動でありますから、これこそ農民最終目標運動であると私は考えておるのであります。それから公共事業費の問題でありまするが、この公共事業費の問題も昨年より多いことは予箕面でよくわかるのであります。それと六十億の長期資金を加えまして、これによつて十分賄えると思うのであります。私はこの六十億の長期資金をでき得べくんば上半期に使い果して、下半期には又六十億を、これを補うくらいまでにいたしたいと考えておるのであります。(「池田さん大丈夫かね」「はつきり聞いて置くぞ」と呼ぶ者あり、笑声)  それから農村産業における、原始産業における金融の問題であります。これはあなたの言葉が正しいのでありまして、どうしてもこの間言つた一律に全部の何と言いますか、あれと……助成金と言いますか、何とかむずかしい戒名が付いておりましたが、(笑声、「まじめに答えて下さい」と呼ぶ者あり)こういうものを一律に、原始産業を打切ることについては、決して私も賛成いたしておらないのであります。併しあのようになつたのでありますから、これに対しては金融を付けなければならんのでありまして、その意味においてこの長期資金を作り、なお又農林中金等を通じて特殊な金融を付けようと思つておるのであります。そのほかに同じく原始産業である水産業に対しましても金融を付ける考えでおるのであります。それから新らしく土地を求めなければならんということでありますが、これはそのような考えを持つて予算面に現われております通り開拓その他干拓等十分力を注いでおるようなわけで、特に国有林野のことについての一家言を御提示になつたようでありますが、これはあなたの考え通りでありまして、国有林野の再編成は、もうどうしてもやらなければならぬ段階に立つているのであります。これと同時に、又地方民有林野育成助長についても十分力を盡さなければなりませんので、これに関する法律案は今国会に提出する目途を以て目下進めておりまして、極く最近に皆様がたの御協議を願いたいと思つておる次第であります。  それから農地改革に関しての、私に関する所管の問題でありますが、これは時代に適応するように、我々のほうで農民の納得するように、満足するようにやつたわけであります。さよう御承知を願いたいのであります。  それから農業委員会の問題でありまするが、これは農業委員会にすべてのものを包含いたしまして、そして農村をうまく運営して行くようにやりたいと考えておるようなわけであります。協同組合の問題でありますが、これは人と組織資金とが相一致しなければならんのでありますから、その資金の問題について御指摘のような、引受資産等についていろいろ問題がありまするので、これは利子補給その他を含めまして、協同組合を再建整備するための法律案を作成いたしておりまするので、これも今国会に必ず提出いたしまして、皆様がたのお力を借りたいと思つておるのであります。  それから最後に農民組合の問題でありますが、これは飽くまで政治問題でありまするので、下から盛り上つて来ることが一番望ましいのではありまするが、農林省といたしましては、これに対応いたしまして、非常な力を以て検討いたしておる最中でございます。    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手
  6. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 米価の問題につきまして、パリテイから算出したものにアルフアを加えたのは、これは財政的理由のみによることだと、こういう御断定でございまするが、そうではございません。実際に副うように私は米価をきめたいというのであります。單に補給金を減らすことのみを以て私は事足りるといたしておりません。従つて財政的理由によつてつたのではございません。  次に農林漁業金融についての問題でございまするが、これは公共事業費でいわゆる農産物或いは水産物の増産を図りますと同時に、農林漁業金融特別会計の六十億円を有効に使います。又農林中金の債券を発行してこの方面へ金を出す。三段階でやつて行くつもりであります。六十億円の内容につきましては只今検討中でございまして、三月までには案をこしらえて、来年度におきましては、農林大臣の言われるように、できるだけ早くこの金を使つて行きたい。而して又足りなくなつたら六十億円というのは、これはお約束できません。(「農林大臣は約束したぞ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣増田甲子七君登壇、拍手
  7. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 江田さんにお答え申上げます。  国土の総合開発は、総合的に、且つ調和的に又一貫性を持つてしなければならん——これはお説の通りでございます。そこでセクト主義ということは取分けこれを絶対に避けなくてはならないのでございまして、私は建設大臣になる前に、総合国土開発法の制定についてはいささか力をいたしたつもりでございまして、皆様の議決によつて先般総合国土開発法ができまして、これに基いて中央にも地方にも総合開発審議会ができましたし、又地方の総合開発につきましては建設省が窓口に相成つております。私どもといたしましては、できる限り調和のとれた総合性のある、且つ一貫性のある開発をいたしたい、こう考えておる次第であります。(「一向できていないじやないか」と呼ぶ者あり)  それからダムの建設でありまするが、見返資金は本年は見込が少くなりました。併しこれも依然として我々は努力を継続いたしておりまするが、従来見返資金を以て開始したダムの建設事業は飽くまでこれを継続いたします。本年は幸いに予算額も相当計上されておりますから、去年以上の事業量はこれを実施し得る見込でございます。なお砂防のごときは去年の倍額に近い予算を計上しておりまするから、どうぞ御了承を願います。(拍手
  8. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 周東国務大臣は渉外関係のため出席できませんので、他日出席の際、答弁される趣きであります。  通商産業大臣から、昨日の藤野繁雄君及び油井賢太郎君の質疑に対する答弁のため発言を求められました。この際、発言を許します。横尾通商産業大臣。    〔国務大臣横尾龍君登壇、拍手
  9. 横尾龍

    国務大臣(横尾龍君) 昨日余儀ない事情で欠席いたしましたので、今日御答弁を申上げます。  先ず藤野議員に対して御答弁申上げます。  食糧増産のため最も必要なる肥料につきましては、極力増産によりまして、そうして価格の上昇しないようにして行きたいと思うのでございます。現在におきまして、二十六年度内には、硫安は百七十五万トン、石灰は四十五万トン目標増産を進めつつあるのであります。幸いに昨年末におきましても或る程度増産を得ましたので、この際、原料の確保等をいたしまして、極力増産することにいたしたいと思うのであります。農機具の確保はこれはお話の通りでありまするから、これに対しましても極力努力をいたすつもりであります。  緊急物資の輸入につきましてのお話でありまするが、これも最も重大なる問題でありまするので、我が国にない原料の輸入に対しまして努力中であります。ただ船腹が足らないので、輸送の面について支障がありはせぬかと思いますが、これにつきましても極力船腹の確保に努力をしたいと思うのであります。  次に油井議員の御質問に御答弁いたしますが、綿花、パルプ、その他鉄鉱石等の輸入に対しましては極力努力中でありまして、大体は二十六年度には支障ないつもりでおるのであります。食糧、ニツル等につきましては、農林大臣安本長官から御答弁があつた通りでございます。備蓄につきましては、目下、品目、方法等について検討中でございまするが、重要物資の輸入につきましては、先刻申上げましたように、必要でありまするので、或る程度のストックは必ず確保したいという考えで今努力中でございます。さように御了承願います。     —————————————
  10. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 結城安次君。    〔結城安次君登壇〕
  11. 結城安次

    ○結城安次君 私は総理大臣並びに建設大臣にお尋ねいたしますのでありますが、総理大臣は本日止むを得ざる用事で御出席になつておりませんので、林副総理から御答弁を下さるそうでございまするので、そのまま質問をいたします。  先ず第一に、官公吏の綱紀粛正を徹底せしむるため行政監察制度を強化拡充するお考えはありませんかということであります。第二は、行政簡素化を強化し、制度手続の簡易化と人員の整理をなす御意向の大要をお伺いいたしたいというのであります。現行行政監察制度は、大体その主要なる目的は、行政機構の調査研究とその運用とに関するものでありまするが、更にこれを押し拡げまして、官吏の綱紀粛正と同時に、行政の末端における取扱が妥当なりや否や、又各省に割当てられましたる国費の使途が正当且つ所期の目的を達しおるや否や、更にその年度々々の事業の成績が計画通り進捗しおるや否やの状況をできるだけ早く発表いたしまして、広く国民に知らしむることを目的といたすものであります。近年官公吏の不正事件の続出は誠に遺憾に存ずるところであります。官公吏の不正と申しましても官吏全部が悪いのではありません。その一部でありますることは勿論でありまするが、近来上司の監督その他によりまして漸次改善のあとを見つつあるこの際、私が特にこの点を指摘いたしまするのは、近頃統制復活という声を聞くからであります。官公吏の不正事件は如何なる時代においてもありました。併し近年特に多くなつたのは、いわゆる全体主義という声の下に統制経済に入つた時からだと申して間違いはないと存じます。終戰後、物資の不足時代に、統制の衝に当る者、又公団、営団等が、事務の不慣れと上司の監督そのよろしきを得ず、下僚が相当自由に仕事をなし得る状況を悪用いたしまして、民間の不良なる業者と結託し、だんだんと抜きさしならぬ状態に踏み込んだというのが実相であります。近年、特に吉田内閣成立以来、統制並びに公団、営団の多量廃止によりまして、やや改善のあとを見まして、国民も又その結果を期待しておりましたところ、近頃時局の急変危機に応ずるため統制復活の必要ありとの声が閣僚の中からも出ております。若し又統制を復活するようなことがありましたならば、統制経済そのものが、過去の経験からいたしまして悪の発生地、温存地帯となる危險を十分に持つものでありますから、不正事件の発生を事前に防止するという意味を以ちまして、監察制度を制定し、官公吏の行為並びに責任を監視する必要があると存ずるのであります。又綱紀の粛正の一部としまして、近来官公吏の責任感の軽視ということも見逃すことのできない事実と存じます。例えて申上げまするならば、一億円つまみ食い事件と称せられます鉱工営団の早船某なる者が、すでに司直の手に移つておるにかかわらず、これに退職手当を出したというようなごときは、額そのものは極めて小でありましようが、ただ單に犯罪人としては確定しておらないから退職手当を出したというがごとき、形式一点張の常識外れのことをして、営団の長としましても、又これを監督する官庁としましても、何ら介意することなしというがごときは、誠に官公吏の常識と責任感のありや否やを疑うものであります。  これらを過去における我々の先輩が曾つてつた数多くの責任感に比べまして、誠にその相違の甚だしきに驚くものであります。(拍手)いやしくも部下を監督するならば、その不正は自己の責任であるという観念を以て指導監督し、更に行政監察の制度を以ちまして側面よりこれを監視しまするならば、不正事件の絶滅は不可能でありましようが、非常に少くなるだろうということは予測されるのであります。  又国会において審議決定せられました法律や、各省の規則等が、その実行に際し国民に不利不便或いは不均衡のようなことはないはずになつておるのでありますが、その実行に当り、その末端即ち国民の側から見ますると、その手続において、或いは他の法規との関係において、誠に想像し得ざる困難と手続の煩瑣に苦しみつつあることは多々あることであります。これらの点につきましても、行政監察制度を以ちまして、法規が如何に運用せられますか、又その実行に際して如何に不便ありや等を調査いたしまして、直ちにその不便煩瑣を除去し得るよう改善いたしまして、国民をして喜んで法規を遵守せしむるということも又必要と存ずるのであります。又国政を運用しまする費用といたしましての納税の重要なることは、国民すべて承知しております。併し国家予算の使途が公正且つ所期の目的を達しおるや否やということが問題となるのであります。国民は納税の苦労は訴えますが、公正妥当に使用せられますならばその苦は堪え忍ぶものであります。世の中には、納税の重きに苦しみながら、なお且つその義務を果さんとして非常に苦労をしておる者があります。又中にはその義務を果し得ずして一家心中というような悲惨ことも新聞にたびたび散見するのでありますが、官公吏の一部若しくは公団の一部におきましては、数千万又は数億を越える巨額の損失を国家に與えて悟として恥ずるところのないのは、誠に了解に苦しむところであります。会計検査院は事後の調査機関であり、誤まりを未然に防ぐという機関ではありません。これらを行政監察制度によりまして、国家予算の収支又その用途において十分査察いたしまして、これを国民の前に示して疑いを除去し、安心感を與えまするならば、納税に関する苦情を一掃し、思想的にも緩和することが非常に多大なりと信ずるものであります。更に行政監察制度の任務といたしましては、行政監察の結果、即ち財政に、産業に、教育に、又土木に、それぞれその年度内の事務の進捗状況の大要を発表いたしまして、国民をしてそれを批評せしむるならば、政府の信用を増し、又国家再建に寄與するところ非常に大きなものがあると信ずるのであります。これが行政監察制度拡充を必要とする理由であります。  第二は、行政整理の問題であります。行政整理、行政手続の簡素化ということは、歴代の内閣これを口にいたしますが、成果意のごとくならずというのが過去の実情であります。ただ吉田首相の下に一昨二十四年にやや見るべき整理をなし得たことは、皆様御承知の通りで、国民の多数が感謝いたしておるところであります。行政整理というと殆んど国民のすべてが無條件に共鳴賛成いたしますのは、官吏の数が多過ぎるというばかりでなく、人件費が多過ぎるということも又非常に大きな理由となつております。官吏の待遇改善は主張いたされますが、国民の担税能力は殆んど限界に達しております。待遇を改善するには結局官吏の数を減らして増給するという以外には方法はありません。行政整理については、過日来の質疑応答において、殊に総理からも、又昨日は岡野国務大臣からも、それぞれその必要性を開陳せられましたので、私からはその必要性は述べませんが、ただ不思議に思いますのは、行政整理の声が出ますと、各官庁ともすべて声を揃えてその不可能を叫ばれますが、そのかたがたが一たび官庁をお引きになるとう、忽ち言葉を飜えして、官吏の数が多過ぎる、半分、甚だしきは三分の一でもよろしい、人間が多過ぎるから手続が煩瑣になり、自然国民が迷惑するのだというような声を聞きますが、この辺のことは総理においては十分御承知なのでありまするから、この際、範を垂れるような思い切つた整理と、又各種委員会の廃合等もなされんことを切に希望するものであります。(「いい加減な根拠で言うなよ」と呼ぶ者あり)総理はこのことに関しましては非常に関心をお持ちになり、閣僚をして立案せしめておるということを伺つており、国民も多大の希望を以てその結果を期待しておるのでありまするから、この際その大綱でもお漏らし願えれば仕合せと存じます。(「失業はどうする」と呼ぶ者あり)  次に建設大臣にお伺いいたします。私は、国土荒廃を救済するため、治山、治水、利水を一丸とする特別会計のごとき制度を確立し、今後永年に亘り計画的に国土の荒廃を救済する事業を遂行する意思なきやをお尋ねするものであります。申すまでもなく、近年山河の荒廃は甚だしく、連年、暴風洪水に悩まされますことは、御承知の通りであります。暴風と申しましても、特に近年甚だしいというわけではありません。過去においてもたびたびこういうことはございました。併しその惨害の甚だしいのは洪水のためであります。その原因はどこにありますか。降雨量は今までとてもたびたびこれくらいのことはありましたが、洪水量は全く桁違いであります。洪水量の桁違いとなつたのは、山が荒れて水と砂が一緒に流れて来るためであり、治山行政の面において欠くるところがあつたがためであります。この頃の河川の氾濫は、水ばかりではなく、降雨に伴う水と砂が一緒に流れて来るということ、河床の上つたということであります。利根川を例にとつてみましても、栗橋において洪水量の約四割、更にその下流の取手において約二割前後の土砂が含まれております。それだけ洪水量が増加するので、自然河床の上つたことも又驚くべきものがあります。山岳地帯から約三十里も下流にありまする取手におきましても、明治時代に比べて三メートル乃至三メートル半河床が上つております。常盤線の鉄橋のごときも二回も橋脚を上げなければならないという状態に立至つております。今のような勢いを以て参りまするならば、第六号国道は架橋による通過は困難となり、結局利根川の底を掘つて通らなければならないというような奇観を呈することも或いはあるかとも存ぜられます。このようなことは全国河川同様でありまして、沿岸の年々の被害は増すばかりであります。現在までの河川行政、洪水対策は、ただ一時凌ぎであり、膏薬張りであります。公共事業費を以てする約二百億足らずの改修費では到底問題になりません。復旧に追われてますます川は悪くなり、もはやそういう姑息の手段は許されない状態に立ち至つておると存じます。根本策を樹立いたし、徹底的に改修しなければならない時期に到達しておる。否、遅過ぎるかと思うほどであります。治水の要諦は治山であり、治山あつて治水あり、治水つて利水が可能となるのでありますが、治山、治水、利水は、三位一体となつて国利民福上離るべからざる関係にあります。最近各地におきまして河川総合開発計画せられ、その運動が着々活溌になりつつありますることは誠に欣快に堪えないところであります。私は右河川総合開発計図に対処して、政府としても、治山、治水、利水を一丸とする特別会計のごときものを創設いたしまして、五年、十年の長期に亘る計画とこれに要する費用の支出を確立いたしまして、計画的の改修を進行するということが絶対に必要な時期に到達しておると思うのであります。年々に起る災害復旧費とは別に、かくのごとき巨大な費用を支出しますることは、非常に困難ではありましようが、荒廃せる国土を救済するためには相当長期に亘る苦労は堪え忍ぶべきではないでしようか。殊に将来の繁栄を期待し得る仕事につきましては、これこそ歯を食いしばつてもこの際辛抱すべきであろうと思うのであります。而も河川総合開発のために特別会計のごときものが樹立され、植林、砂防、又ダム等が完成し、流量の調節が可能となりまするならば、林産物、食糧の増収、又洪水による道路、橋梁、家屋、田畑の損害並びに災害復旧費の減少等、更に利水の面におきましては、近頃盛んに叫ばれまする発電事業による国益等、積極、消極に国家国民の受くる利益は数千億に達するのではなかろうかと想像いたされます。幸い各地において河川総合開発の戸が強力に起つております。この際、治山、治水、利水の事業を先途するために、特別会計のごとき制度を創設して、強力に推進するということが絶対に必要だと信じておりますが、建設大臣のお考えは如何でありましようか。この点をお伺いいたすのであります。  私の質問はこれで終ります。(拍手)    〔国務大臣林讓治君登壇、拍手
  12. 林讓治

    国務大臣(林讓治君) 総理大臣はよんどころなく出席ができませんので、代りましてお答えをいたします。  只今 結城議員からのお話の通り、行政監察の制度といたしましては、現在におきましても、政府におきましては、行政管理庁に監察部というものがありまして、大体御質問の御趣旨に副つて監察の実施はいたしております。併しながら御指摘のように未だ徹底せざる点も幾らかあろうかと察しまして、今後ともこの制度を更に強化いたしまして、これが実行をいたしたいと考えております。なお、そのうちに監察の結果を一般に発表するかどうかということにつきましては、その問題々々によつて幾らか考慮すべきものではなかろうかと考えまして、更に今後如何にすべきかということを研究をいたしたいと考えます。  それから行政を簡素、合理化し、人員を整理いたしまして、そうして減税を図る一方、公務員の待遇を改善するということにつきましては、私どもも全く同感であります。併しながら、なお、省の合併についてであるとか、或いは府県、市町村の統合などの問題につきましては、今後如何に取計らうべきところのものであるかということについては、研究をいたしておるわけであります。なお、総理も行政整理の問題についてはお示しの通り鋭意これに努めておりますので、今後将来を見て頂きたいと考えます。(拍手)    〔国務大臣増田甲子七君登壇、拍手
  13. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 結城さんにお答え申上げます。  河川或いに治山、治水、利水、こういうような方面について開発については特に特別会計を設定せよ、こういう御意見でございまするが、その前提をなす御卓見に対しましては、私は非常に敬服いたしております。併しながら只今のところ特別会計ということは考慮し得る段階にはございません。私といたしましては、継続費を以て是非とも継続的に治山なり或いは治水なり、利水なりの事業を総合的に実施して参りたい、こう考えておる次第でございまするが、只今のところ、客観的情勢その他から見ますと單年度事業でございます。併しながら單年度事業ではございまするが、いやしくも、例えば利根川なら利根川に十億なら十億の金をかけておる、然るところ次の会計年度においては九億になる、こういうようなことは絶対いたさないつもりでございます。だんだん事業量或いは予算増額の一途を迫る、こういうことにいたしたいと思います。そこで、特別会計というわけではございませんが、それに類似した一種の制度を去年皆様の御議決によつてつて頂いた次第でございます。即ち先ほど江田さんにお答え申上げました通り、国土総合開発法が制定された次第でありまして、中央においては内閣に国土総合開発審議会が設けられ、又、府県にはそれぞれの府県の国土総合開発審議会が設けられております。これらの審議会が調査し決定した計画は必ずこれを実施して参る。而も予算面においても、事業量におきましても、逐年逓増して参りたい、これが建設大臣としての所信でございます。何とぞよろしく御了承願います。(拍手)     —————————————
  14. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 高橋道男君。    〔高橋道男君登壇、拍手
  15. 高橋道男

    ○高橋道男君 私は緑風会の一員として、ややともすれば取残されがちな文教問題の若干について政府の所信をお伺いいたしたいのであります。  政策を分ければ、精神的、文化的なものと、物質的、経済的なものと、この二つに分けることができると思いまするが、あとの物質的、経済的な面は、感覚に訴えやすいがために、それに重点がとられがちでございます。政府の方針について見ましても、物質面である財政、経済、産業等のものに対しましては、極めて周到多様であります。総理の施政方針演説に続いて、安本長官大蔵大臣、二経済閣僚からの懇切なる御説明が加えられたほどであります。併し精神面の対策は誠に單純且つ不十分と言わなければなりません。総理は演説において強く、国民の道義を高揚し、国民の自立精神を振興することが根本であつて政府は文教の振興に一段の力をいたす考えであるという旨、抽象的に言及されている程度に過ぎないのであります。講和を前にして自立経済が確立されつつある今日、政府の方針、一応御尤もであると言われるかも知れませんが、真に経済を自立させ、更にそれを発展させるためには、單なる財政経済政策だけでは不十分であります。この際、私は、ダレス大使が文化問題に関して、特にロツクフエラー氏を帯同されたことに敬意を表すると同時に、このことは我々に深い示唆を與えるものであるということを附言いたしたいのでございます。而して我が国将来の発展は、今後成長して来る次の世代の人々の力量如何にかかるものでありまして、これを思うとき、我々は、眼前の月に見える対策のみならず、一層の明確なる意図を以て百年の計の礎を打ち据えなければならないのであります。これが方策の一つとして、学校教育、社会教育の拡充強化が必要であると信ずるのであります。  来年度予算案を見ますれば、この教育面を担当すべき文部省の所管経費は合計二百七十億円となつております。本年度より増額されたことは誠に結構でありますが、一般会計総予算額と比べますと僅かに四%にしか当らないのであります。かかる予算案を以て総理が言われる文教振興の目的送行に確信があるのかと言いたいのであります。(「ないない」と呼ぶ者あり)総理は、独立国家として頼むべきは国民の独立自由の愛国的熱情であると明言しておられますことは、誠に同感であります。終戰後、荒廃した我が国が今日の復興を見ましたことは、連合国の好意ある経済的、物質的援助によることは改めて申すまでもなく、我々はその点、衷心感謝のほかはないのでありますが、その中核にあつて、我が国民精神があらゆる苦難に堪えて復興を推進して来たからこそであります。醇乎たる日本精神、曾つての全体主義や軍国主義ではない、極めておおらかな、正しく、明らかな、清らかな、素直なる国民精神の民主的成長こそが、我が国を護持して行くものでありますが、文教政策は、かかる国民精神育成への環境を與えることだと存ずるのであります。大蔵大臣が、来年度予算編成の四つの特色の一つとして、文教予算増額を得意気に語られるのは、誠に結構でありますが、インベントリー・フアイナンスの半額にしか当らない程度であります。一部の教職員をして、教育の主目的でない彼等の賃金闘争や或いは組合運動に走らせておる今日、昨日の文部大臣の御答弁において、現在の教員の給與では不十分であるということを仰せられておる今日、この比重の軽い予算を以て長い将来の日本を守るべき国民養成の目的に対処することができるかどうか。これを文部大臣にお伺い申したいのであります。  次に学校寄附金の要請が相変らず跡を絶たぬことであります。学校自体の名義は避けて、同窓会とかPTAとかの名義が用いられておるようでありますが、その寄附金の用途を調べますと、その会自体の経費にとどまらず、むしろ多くは学校の施設の整備或いは教職員の生活費補助等に充てられておるのであります。これは明らかに学校予算不足を証明しておるものでありまして、この傾向は、国立学校に限らず、公立学校もその例に漏れないのであります。十日ほど前の報道によりますと、東京都の小学校、中学校だけの年間の寄附金総額は、およそ十億に達するそうであります。勿論自発的な寄附金を抑える必要はありませんけれども、半ば強制的な割当式の多い現状では、政府が折角減税を声明し、或いはシヤウプ傳士の勧告を容れて寄附金募集を戒められても、事実上国民に対して減税感を與えないばかりか、学校に子弟を送つている父兄に対しては、負担の過重或いは悪平等ともいうべき感じに苦しませておるのであります。むしろ政府は、計画通りの減税が行われなくても、国立学校は一切国費を以て、又公立学校はおのおの市町村の費用と国庫補助とを以て賄うようにするのが妥当且つ明朗だと思うのでありまするが、この点、文部及び大蔵当局は如何にお考えになるかを伺いたいのであります。  次に私立学校の教職員の問題についてお伺いをいたしたい。教育関係の法律に基いて設立されている私立学校が将来の日本を背負うべき青少年の育成に当つていることは言うまでもございません。然るに、終戰後の社会情勢、なかんずく経済状態は、私立学校の経営を著しく困難にいたしております。私立学校の経営について当事者みずからが苦心するのは当然でありますけれども、今問題といたしたいのは私立学校教員の待遇でございます。将来の国民を養成する目的については、その学校が国立、公立、私立による区別はないと思います。従つて各学校の教員は、その奉職する学校の如何にかかわらず、教育共通の目的に向つてその職責の完遂に努力しているのであります。現在給與制度における職階性の年数計算に当りましては、教員である場合、公立、私立の差異が認められていないことは当然且つ公平な措置でございます。然るに教員退職後の措置につきましては、私立学校の関係は問題にされていないのであつて、恩給年限の計算には私立学校勤務の年数は全く除外されておるのであります。学校経営上の差別は止むを得ませんが、教員間にも差別を求めることは人間に差別を求めるようなもので、全く不当であると考えるのであります。教育は、先日も油井議員が仰せられた通り、利欲を離れた、ときには自分自身の生活や生命までも捧げる聖職であることを私も固く信ずるものであります。而して教員間に人間としての差別があるべきはずでないことも私は併せ信ずるものであります。憲法第十四條の国民平等という建前は暫らくおくといたしまして、教育基本法第六條に、法律に定めてある学校の教員は全体の奉仕者であるということがありますが、この精神から申しましても、同じ聖職を奉じる教員の、少くとも退職後については、これを一に帰して国家が遇するのが至当であると考えるのであります。この意味において、恩給制、年金制を検討して、同じ聖職を奉ずる国民の基本的人権を尊重する上から、教員であるものを共通平等の観点において考慮すべきであると思うのであります。各種学校を除く全国の学校教員はおよそ六十五万人、そのうち私立学校の教員は一割の約六万人となつております。この方策が立てられるならば、関係教員の厚生安定の一助となり、殊に延いては私立学校の特色ある教育を助長し、併せて教育国策に貢献することになると思うのでありまするが、この点、当局は如何にお考えになるか伺いたいのであります。  次に、文化国家建設に学校教育が基本方策の一つであることは勿論でありまするが、人間練磨のためには社会教育がこれを補うべき大切な問題であります。この社会教育を充足する一つとして、社会教育法、図書館法が制定され、公民館、図書館等の施設が設けられておるわけであります。昨春、図書館法が審議される当時、公立図書館はおよそ一千四百、公民館はおよそ九千三百五十となつております。当時独立建物を使用していた公民館は全体の半数に満たず、又使用面積の一館平均は九十余坪となつております。又一方、公立図書館の使用面積の一館平均は約三十坪、蔵書は平均約五千冊という、誠にその数字を疑いたくなるような状態でございます。私は文化国家を標榜する我が国がこんな民度であることを憂うるばかりであります。民主主義というものは、外からの強要なしに理想に向つて多数の人が動いて行く建前でございましようが、民度の低い段階におきましては、ときには第三者の忠告奨励の必要なこともあり、国家や公共団体の場合には、法律等による適当な制約がなければ、却つて民主主義運営を停滞させ、延いては、いつまでも民度を高めない虞れがあると思うのであります。公立図書館、公民館はそれぞれ法律の定める施設でありまするが、任意制である現状のままでは拡充発展を期待することは頗る困難であります。私は図書館や公民館は、青少年の成育に深い関係を持つのみならず、成人の教養にも大きな影響を持ち、一般の精神補導にも大きな役割を持つ重要な社会教育施設であると思うのでありまするので、この図書館又は公民館或いはその合体した施設を各市町村が一つ以上を有すべきことを原則とし、一定年限内に設備するよう法律を改正しては如何かと思うのでありまするが、当局にその御用意があるかどうかを伺いたいのであります。  次に、政治と宗教との問題について一つお尋ねしで置きたい。憲法第二十條に「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」とあり、又宗教が国権に影響すること、国が宗教を支配することを禁じております。いわゆる政教の分離であり、明治憲法に比べますると信仰の自由が確立されたと言われております。明治憲法においては「日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務二背カサル限二於テ信教ノ自由ヲ有ス」とあつたのでありますから、この信教自由は明らかに枠を作られていたのでございまして、事実、終戰までは限度を越えた信仰の統制や干渉が行われておつたのであります。併し新憲法においては、信教の自由を保障するだけで、何ら制限或いは條件を付けておる文句がないことを以て、端的に信教の絶対自由を肯定していいのでありましまうか。私は若干疑問なきを得ないのであります。何故ならば、新憲法は民主主義を大前提とするものでありまするが、宗教が民主主義に副わないことが起る場合、或る種の宗教運動と称せられるものが社会秩序を濫りにするがごときことが起る場合、宗教は、国家国民を律しておる憲法、法律にはお構いなしだと考えてよろしいでしようか。ブルンナーというヨーロッパの神学傳士は、東洋宗教の教義に民主主義を発見することはできないと、誠にひどいことを言つておるそうであります。仮に彼の言葉が肯定されるならば、東洋に含まれておるこの日本の宗教は、本質的に我が新憲法の精神には合致しないということにさえなるのであります。無論私はこの神学者の説に同調するものではありませんが、教義そのものは宇宙の真理を蔵し、その布教は民主的に展開し、衆生を済度するはずでありましても、これを組織化し、制度化して行く途上、極めて善意に、或いは意識することなしに、民主主義に副わないような、例えば封建的な、独裁的な、専制的な要素が取入れられ、延いては社会生活の秩序や民主主義の発展に好ましからざる影響を及ぼす虞れがある場合にも、政治はこれに無関心であつていいのでありましようか。個人の信教については或いは絶対自由が許されると思いますが、組織体である宗教団体が、国民生活を規制しておる憲法に優先したり或いは憲法から遊離することが許されるであろうか。それはあたかも学問や思想の自由は認められても、それが発展して行動となり国民生活を脅かすようなときには、然るべき制肘を受けねばならぬのと同様ではあるまいかと考えるのであります。信教に関する明治憲法と新憲法との精神は全く異なるものだと私は思つております。併し、実際の政策としては、以前のような極端な干渉彈圧が行われるはずはないと思つておりますけれども、国家国民の秩序が、信教の自由、少くとも宗教団体の行動に優先するのではあるまいか、こう思うのでありまして、この点、憲法の解釈と実際上の問題とについて政府のお考えを伺いたいのであります。  以上、私は主として文部大臣に御所見を伺いたいのでありますが、併せて関係大臣からも御所見を伺うことができますれば誠に幸いとするところであります。  御清聽有難うございました。(拍手)    〔国務大臣天野貞祐君登壇、拍手
  16. 天野貞祐

    国務大臣(天野貞祐君) 教員の待遇等の不十分なこと、或いはPTAが今なお多額の金を出さなければならないこととか、ということにつきましては、お説の通りだと思つております。教員の俸給等につきましては、できれば別表を作りたいというようなお考えを持つております。  それから私立学校教職員の恩給のことでございますが、これも是非必要なことだと自分も考えております。現在でも私立学校には、中学校において恩給財団を作つてつて政府から二百万円年々それを補助いたしております。又或る一部の大学とか府県にもそういう団体がございますが、併しいずれも不十分であつて、更にそれを充実しなければならないことは明らかだと思つておりますが、それで政府といたしましては、この恩給制度も加えた共済組合の制度を確立したいと考えておりますが、併しまだそれも不十分でございまして、僅かに二百八万円を計上しておる次第であります。これはどうかしてこの共済組合制度をもつと充実して、私立学校に勤められる教職員の福祉、延いては私立学校の教育の発展に寄與したい考えでございます。  それから社会教育の重要なこともお説の通りでございまして、それについては、公民館、図書館というようなものが非常に大きな役割を演ずることは当然でございますが、併し、これを義務付ける、必ず作らねばならん、いつまでにということは、私はどうかと思つております。今のところそういう考えを持つておりません。地方のそれぞれの事情によつて、地方が自分からそれを作つて行くということのほうが現在の経済事情においてはよいのではないかと思つております。  それから宗教のことに関しましては、信教の自由ということは憲法の保障している基本人権でございますが、併しそれは公共の福祉を害しない範囲のことであつて、そうでない宗教というものは認められてはならないわけでありますが、併しどういう宗教が一体公共の福祉に反するかということをきめるということが私は非常にむずかしいことだというふうに思います。若し我々が軽々しくそれをきめるならば、やはり宗教の彈圧ということにならざるを得ませんけれども、併し明らかに公共の福祉に反する宗教であるならば、それは行政庁とか又裁判所等において、団体等規正令とか宗教法人令等によつてこれを処理することは明らかにされているところだと思います。更に又、この国会に提出を予想されております宗教法人法によりまして、なお一層そういうところや明確にしたいという考えでございます。大体そういうわけであります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手
  17. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 文教予算につきましてお答え申上げます。  お話の通り、文教の大切なことは全く同感でございまして、来年度予算作成に当りましても、社会保障制度、文教には最も力を入れているのであります。予算の全体に比べて四%だと、こうおつしやいまするが、これ以外に六三制の建築費とか、或いは平衡交付金に義務教育費の関係の職員の俸給を相当見ているのでありまして、予算の四%ということは当らないと思います。今年二百六十九億に文部省の予算がなりましたのは、五十四億円、即ち二割以上の増加があるのであります。全体の予算は減つて参りましたが、社会保障制度と文教には二割或いは三割の増加をいたしているのであります。少しく詳しく亘りまするが、この文教予算につきまして、最も力を入れたのは先ず義務教育費でございます。義務教育費につきましては、憲法の精神等から考えまして、今年の四月からは、四月にお入りになる生徒には教科書を無料でおあげすることにいたしまして(「えらいものだ」と呼ぶ者あり)又お話のように寄附金が非常に多いので、PTAの寄附金を少くするために、教育の再教育費の金を国庫から相当部分出そう、こういうようにしてやつているのであります。又育英資金につきましても、御承知の通り師範学校、或いは大学、高等学校のほうも拡充いたしまして、前年度の五割増に、倍額にいたしております。八億の増をいたしているのであります。それから国立学校運営費につきましても三十三億円を今年殖やしております。今までこういうものはございません。殊に私立学校に対しましては従来二億七千万円の補助であつたのでありますが、それを十億六百万円にしたのであります。四倍近くにしたのであります。お話の何と申しますか、恩給財団につきましては、二十三年度は七十万円、二十四年度以降は、これを二百万円にいたしております。(「大したものだ」「偉いぞ偉いぞ」と呼ぶ者あり)今度新たに私立学校の教職員の共済組合を設けさせまして、そうして新たに二百万円を出しておるのであります。これを今後拡充するつもりでありますが、こういうふうに文教についてはできるだけの力をいたし、又今後もいたす考えであるのであります。誠に御尤もなお話でございまして、その線に沿つて今後も努力いたしたいと思います。(「偉いぞ偉いぞ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣大橋武夫君登壇、拍手
  18. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 憲法の保障いたしておりまする信教の自由は、決して絶対的なものではなく、公共の福祉に反しない範囲においてその限界があるものであるという点につきましては、只今文部大臣からお答えになりました通りでございます。これらの宗教団体が、その教義、教説の宣布その他の活動におきまして、軍国主義や極端な国家主義を鼓吹宣伝いたしましたり、暴力的傾向を帯び、反民主主義的性格を現わすものと認められまする場合におきましては、民主主義の健全な育成発達を妨げるものといたしまして、これを除去しなければならないことも当然でございまして、今日まで、団体等規正令によりまして解散の指定をいたし、その主管者等を追放いたしましたるこの種宗教団体は、九団体に及んでおるのでございます、  次に又、宗教法人令によりまして公益を害する行為をなしたる宗教法人に対し、裁判所が検事の請求により又は職権を以てその解散を命ずることができることに相成つておるのでございますが、現在まで検事の請求によりまして裁判所が解散を命じた例が同じく一件ある次第でございます。(拍手
  19. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第六日)