○伊藤修君 私はこの際
衆議院のかたに一言申上げておきたいと思います。本案が
衆議院の議員立法として御提案に
なつたその
趣旨については別に異論があるわけではありませんが、会期末においてこういう基本的な問題の変更に関する
法律を御提出になるという止むを得ない事情もあつたことと存じます。著しそうであるとするならばいろいろな事情があ
つてそういうことに止むを得ず来たという御理由ならば、少くともこの
法案を起草さるる相当な時日があつたことと思うのでありますが、その当時において参議院に私はいろいろ御相談あ
つていいのじやないかと思うのですが、勿論提案がずつと早ければ何も御相談なくいつでもお出しにな
つてもかまいませんが、会期末にならなければ出せないという事態があるときには事前において、相当の專門家が皆おるのですから專門家同士でお打合せにな
つて参議院においても愼重にこれを
調査し、そうして必要のあるゆえんを究めておきたいと思うのです。成るほど御提案理由の中には專門員を派遣して全国に亘
つて調査したとおつしやる。それは一院だけの
考え方であ
つて、参議院はどうでもよいのだ、会期末に持
つて行
つて押付ければいいのだという
考え方は私はよくないと思う。
こういう点は今後少し
考えて頂きたいと思うのです。それは両院が独自に立法権を持
つておるのですから、いつ何時お出しになろうと、又相談せずにお出しになろうとそれは御自由でありますが、少くとも我々法務
委員会といたしましては従来からの慣例からいたしましても、或る新らしい立法をしようというときにおいて、お互いの
考え方というものは事前に通達いたしまして、そうしてお互いに研究する時日を與えておるのが、今日までの行き方であるのであります。本案に対しましてはそういうようなことは今日まで私は聞いておらない。たまたまこういう会期末に、すでに本来ならば本日を以て終了する、その終了する間際にかような
法案を出して我々にうのみにしろという扱い方はこれは
納得できない。この間全国のこの
法案に
関係なさる方のいろいろな御
意見を伺いました。その際たまたま参議院はいつも
法案に対して揉むとこういうようなお説があつたのですが、これは私は聞き流してはおきましたが我々決して
法案に対して操むというのではありません。少くとも
憲法の上において二院
制度を設けている以上、お互いによき
法律を作るために十全を盡すことは当り前なことです。疑義のあることは疑義を質すのは当然なんです。研究されることも当然です。
憲法六十二条において国政
調査権が與えられているのはそれがためです。だからかような私は見方、
考え方ということは我々として
納得できない。その点に対する今後のこともありますから
衆議院の態度を
一つお聞かせ願いたいと思います。