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1951-05-23 第10回国会 参議院 法務委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年五月二十三日(火曜日) 午後三時二分開会 ————————————— 本日の会議に付した
事件
○
民事調停法案
(
衆議院提出
) ○
訴訟費用等臨時措置法
の一部を
改正
する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院提出
) —————————————
鈴木安孝
1
○委員長(
鈴木安孝
君) 只今より
委員会
を開きます。 本日は先ず
民事調停法案
について、
提案者
より
逐條説明
を承わりたいと思います。
鍛冶良作
2
○
衆議院議員
(
鍛冶良作
君)
民事調停法案
について
逐條説明
をいたします。 第
一條
、この
法律
の
目的
、
民事
上の
紛争
の究極的な
解決手段
としては、
民事訴訟制度
の
利用
が何びとにも保障されておりますが、
社会情勢
の
変化等
によりまして、
法規
をそのまま
適用
することが
社会條理
に反する場合に、多くの日時と費用とを犠牲にして
法律
のみによる黒白を法廷に争うよりも、当時者の
互讓
により、具体的に妥当な
解決
が得られますならば、それは一層望ましいことであります。
本法
は、かような見地から、公正な
裁判所
をして
当事者
間の
紛争
を
斡旋調停
をさせ、正しい
内容
を盛つた円満な
解決
に導くについての
手続
を
定め
たものでありまして、
本條
は、以上のような
調停制度
の本旨を明らかにいたしたものであります。 第
二條
、
調停事件本條
は
調停
の
対象
が
民事
上の
紛争
のすべてに及ぶこと、
調停
を行う
権限
が
裁判所
に属すること及び
紛争
当時者に
調停
の
申立権
があることを
定め
、主体及び
対象
の面から
調停事件
の概念を明らかにいたしたものであります。
調停
は
借地借家調停法
により、先ず
借地借家関係
の
紛争
について認められ、その後
小作調停法
以下
各種調停法
の
制定
により次第にその
対象
が拡げられ、
戰時民事特別法
の
制定
に上り遂に
民事関係
の
紛争全般
に拡充されて今日に及んでおるのでありますが、
本法
はこれらの
各種調停規
を統合した
一般法
として、第一章通則中の
本條
において
調停
の
対象一般
を
規定
し、従来の借地、
借家
、
小作
、
商事
及び
鉱害
各
調停
に相当する
紛争
の
調停
につきましては、
特則
として第二章各節に
規定
いたしております。従来の
金銭債務臨時調停
及び
民事特別調停
はいずれも
臨時立法
において
定め
られたものでありますが、
前者
は
制定
当時の特殊な
経済事情
に基くものでありまして、現在としましては特に別異の
取扱
をいたす必要がないものとして、
後者
は元来が補充的な
一般民事調停
の
性格
を有し、
本法
の
通則規定
中に発展的に解消されるべきものとしまして、いずれも
特則
の
規定
を設けておりません。なお
家事調停
につきましては、その
対象
の
特異性
に応じまして、
一般
の
裁判所
と系列を異にします
家庭裁判所
の
管轄
とされ、
家事審判
とも寧接な関連があり、むしろ
家事審判法
において統一的に
規定
することが
取扱
上も便宜でありますので、
本法
におきましては統合の
対象
から除外いたすこととしました。附則第十
一條
によります一部
改正
の外、
家事調停
に関します
現行規定
は、そのまま存置されます。即ち
本條
が
本法
の
民事調停
に関する
一般法
たる
性格
を明らかにしておりますのに対しまして、
家事審判法
の
家事調停
に関する
規定
は
特別法
の
意味
を持つこととなります。 第三條、
管轄
、
本條
は
調停事件
の
土地管轄
の
原則
を
定め
たものでありまして、現在の
民事特別調停事件
の
管轄
を
定め
ました
戰時民
時
特別法
第十四條と全く同
趣旨
の
規定
であります。即ち
簡易裁判所
の
性格
、当時者の
利害等
を考慮いたしまして、
調停事件
は特別の定がある場合を除いて、
相手方
の住所又はこれに準ずる場所の
所在地
の
簡易裁判所
の
管轄
といたしなお
合意管轄
をも認めることといたしました。
土地管轄
に関する特別の定といたしましては、
宅地建物
、
農事
、
鉱害
、各
調停
について
本法
第二章中に、又
家事調停
について
家事審判規則
中にそれぞれ
規定
されております。 第四條、
移送等
、
本條
は
当事者
の便益を考慮いたし、
管轄違
の
事件
及び
管轄
に属する
事件
の
移送
を認めます外、
土地管轄
につきましては広く
裁判所
に
裁量
による
移送
又は自
庁処理
の
権限
を認めて著しくこれを緩和いたしたものでありまして、すでに
家事調停
につきましては、
家事審判規則
第四條に同
趣旨
の
規定
があり、その
運用
の
実績
に徴しましてこれを
一般
の
調停
にも採用いたすこととしました。なお従来は
各種調停
がそれぞれ別個の
根拠法
に基いていたため、異種の
調停事件相互
の
移送
は認められず、
当事者
の不便を免れなかつたのでありますが、
調停法統合
の結果、
本條
によりこれらの異種の
調停事件
の間にも
移送
の道が開かれることと
なつ
たわけであります。 第
五條
は
調停機関
。
本條
は
裁判所
において
調停事件
を
取扱
う機関を
定め
たものでございます。
調停
は
法律
の
適用
に当り
社会條理等
をも加味した具体的妥当な
処理
を必要といたしますので、
原則
として
裁判官
のほかに良識のある
民間人
をも加えた
調停委員会
で行うものとし、例外として事案によ
つて裁判官
だけでも行い得るものとしたわけであります。なお
調停
の長所の一つは
民間人
の關與する
調停委員会
の運営にありまして、当時者もその良識による
解決
に期待するところが大きいのでありますから、その
申立
があるときは必ず
調停委員会
を開かなければならないこととしたわけでございます。 第六條、
調停委員
の組織。
本條
は
調停委員会
の構成を
定め
たものでありまして、
現行
の
各種調停法
のいずれにも同
趣旨
の
規定
があるわけでございます。第七條は
調停主任
・
調停委員
、
本條
は
調停主任
の
指定
、
調停委員候補者
の選任及び
調停委員
の
指定
についてで
定め
たものであります。
現行
の
各種調停法
にほぼ同
趣旨
の
規定
があります。ただ従来
調停主任
となる
裁判官
の
指定
は毎年あらかじめすることを要するものとしている点は、
裁判官
の
一般事件
に関する
事務分配
の
措置
との権衡上
調停事件
のみについて特にこれを
法律
に
規定
する
実質的理由
に乏しいので、その点の
定め
を除くことに改めました。 第八條、
調停
の
補助
、
本條
は
調停委員会
が
紛争
の円満な
解決
を図るについて、
調停
の
補助者
として適当な第三者の協力を求められることを
定め
たものでありまして、
現行
の
各種調停法
、
小作調停法
では「
勧解
」の
名称
を用いております、に同
趣旨
の
規定
があるわけであります。 第九條は旅費、日当、
宿泊料
、
本條
は
調停委員
及び
調停
の
補助者
に対する
旅費等
の支給について
定め
たものであります。従来の
各種調停法
においても、その額の
定め
は
経済事情
の変動に応じ容易に改定し得るよう勅令又は政令に委ねられていましたが、
本法
は
家事審判法
に倣いまして、これを
最高裁判所規則
に委任することといたしたわけでございます。 第十條は
手数料
。
本條
は
調停
の
申立手数料
の納付とその額の基準について
定め
たものでありまして、その具体的な額の
定め
は前條と同
趣旨
によ
つて最高裁判所規則
に委任することといたしました。
ただ国
の
收納金
は
法律
で
定め
るものとする
財政法
の精神に従い、
手数料徴收基準
の
最高限
のみは
本法
に
定め
ておるのであります。なお価格算定不能の場合の
基準額
は、同様の場合における
訴訟物
の
基準額
に従つたものでございます。これはついでに申上げておきますが、原案は
價格千円
について二十円を超えないということにな
つて
おりましたのを十円に下げました。三万一千円というのはこれは
簡易裁判所
と
地方裁判所
の区別のところで標準をとつたわけであります。 第十
一條
、
利害関係人
の
参加
、
本條
は
利害関係人
が任意的に
調停手続
に
参加
することを認めますると共に、
紛争
の
解決
上必要な場合には
調停委員会
がその
参加
を強制し得るものとしたのであります。
任意参加
については従来
小作
、鑛害、
家事
各
調停
についてのみ同
趣旨
の
規定
がありましたが、その他の
調停
においても実務上同様に
取扱
われておりました。
手続
の
経済
と
利害関係人
の利便とから当然のことでございます。
強制参加
については従来の
各種調停法
に
利害関係人
の
参加
を求め得る旨の
規定
がありますが、その
効力
については文理上疑問の
余地
もありますので、
本條
は
家事審判法
第十
二條
に倣いまして、その強制的な
効力
を有することを明らかにしたのであります。
利害関係人
の
参加
を得て初めて
紛争
を完全に
解決
し得る事例が少くないのでありまして、その
参加
を強制することによりまして、一層
事件
の妥当な
処理
を期待し得るわけであります。 第十
二條
、
調停
前の
措置
、
本條
は
調停委員会
が
調停
を
成立
させるためその
手続
を進めて行くことについて特に必要がある場合には、
手続終了
に至るまでの仮の
措置
として、
事件
の
関係人
に対し必要な
事項
を命ずることができる旨を
定め
たものでありまして、例えば
調停手続
中に
当事者
の一方が
調停
の
目的物
を処分する等の行為によ
つて調停
の
成立
を
事前
に妨害する虞れがあるような場合に、
調停
の
成否確定
に至るまでその行為を禁止することによ
つて紛争解決
のための基盤を保全することができるわけであります。同
趣旨
の
規定
は
現行
の
各種調停法
にもありまするが、本来この
措置
は
執行力
を伴わないものでありますが、第三十
五條
の罰則の裏付により強化された点をも考慮しまして、
調停委員会
は
当事者
の
申立
を待
つて
特に必要な場合に限りこの
権限
を行い得るものとしまして、なお
命令事項
を例示してその
運用
の適正を期することといたしたのであります。 第十三條、
調停
をしない場合、
本條
は
紛争
の
内容
が
調停
に適せず、又は
調停
の
申立
が権利の濫用と認められる場合に
調停委員会
が
調停
を拒否し得ることを
定め
たものでありまして、従来の
各種調停法
にも同様の
規定
があります。
調停
に適しない場合とは、権利の行使が
法律
上義務付けられて
性質
上
互讓
の
余地
がないものとか、請求が理非明白で道義的にも
互讓
による妥協を不可とするような場合を言うのでありまして、
申立権
の濫用の場合というのは、
訴訟
の遅延や執行の回避のみを
目的
として
調停
の
申立
をするような場合を言うのであります。なお従来の
調停法
には同様な場合に
裁判所
が
申立
を却下し得る
規定
がありましたが、
本法
は
家事調停
の
法規
に
倣つて調停委員会
の
権限
に関する
本條
の
規定
を第十
五條
により
調停
を行う
裁判官
にも
準用
することとし、
実質
上これと重複する
趣旨
の
申立却下
の
規定
は設けないこととしたのであります。 第十四
條調停
の
不成立
、
本條
は
調停不成立
による
事件終了
の場合を
定め
たものであります。
紛争解決
について
当事者
の
合意
が得られない場合には従来もいわゆる
調停
不調として
事件
を終了させる
取扱
でありましたが、
現行
の
調停法規
の明文上はこのような
取扱
に関する
規定
を欠き、
事件終了
の時期等について
解釈
上の疑義を生ずる
余地
もありましたので、
本條
を設けてこの点を明かにしたのであります。なお当時者間に
合意
が
成立
してもその
内容
が違法又は不当であ
つて
、
調停委員会
としてこれを承認し得ないような場合にも同様に
調停不成立
の
措置
を取り得るものとしていますが、これは
調停委員会
が單なる機会主義的な
紛争
の
仲介機関
ではなく、飽くまで具体的妥当な
解決
を目指すものであることを示すものであります。 第十
五條
、
裁判官
の
調停
への
準用
、
本條
は
裁判官
だけで
調停
を行う場合に、
調停委員会
の
手続
に関する
規定
(
調停
の
補助
、
補助者
に対する
旅費等
の支給、
利害関係人
の
参加
、
調停
前の
措置
、
調停
の拒否及び
調停
の
不成立
に関する
規定
)を
準用
する旨を
定め
たものであります。なお附加え申上げまするのは、こういう場合はほんのもう
法律
的に誰が見てもすぐこうすればいいじやないかというようなときだけということにな
つて
おります。 第十六條、
調停
の
成立
、
効力
、
本條
は
調停
が
成立
する場合と
成立
した
調停
の
効力
について
定め
たものであります。従来の
各種調停法
では
調停委員会
の
調停
において
合意
が
成立
した場合と
裁判官
だけの
調停
において
合意
が
成立
した場合とでその
取扱
を異にし、
後者
の場合は直ちに
裁判
上の和解と同一の
効力
を認めたが、
前者
の場合は更に
裁判所
の
認可決定
を待
つて
初めて右の
効力
を與えられるものとしていたのであります。これは
民間人
を
構成員
とする
調停委員会
によ
つて
成立
した
調停
については
強制執行力
を付與するに先立
つて
、
法律的見地
からその
内容
を審査するためであつたが、
調停委員会
の
構成員
には
裁判官
が加わ
つて
いるので
法律的審査
の点に遺憾はなく、実際上の
取扱
として
裁判所
が不
認可決定
をした事例は殆んど皆無でありましたところから、すでに
家事審判法
においては
家事調停
についてこの
認可決定
の
制度
を廃止しているのであります。
本法
においても同様の
趣旨
からこの
制度
を廃止することとしたのであります。そのほかの点については
従前
と大体変つたところはございません。 第十七條、
調停
に代る
決定
、
本條
は
調停委員会
の
調停
が
成立
の見込みがない場合に、
裁判所
が
調停
に代る
決定
をなし得ることを
定め
たものであります。一方の
当事者
の頑固な恣意により、又は僅かな意見の相違によ
つて調停
が
不成立
に
終つた
ならば、それまでの
手続
は徒労に帰し、
調停制度
の
実効
を收め得ないことになりますので、このような場合に
裁判所
が
調停條項
が代るものとして、
事件
の
解決
のために必要な
決定
をなし得る
措置
を開いたのであります。この
制度
は、当初
金銭債務臨時調停
について採用され、やがて
戰時民事特別法
によ
つて鉱害調停
を除く
各種調停
に拡大され、
家事審判法
でもこれを採用しておりまするが、
本條
はこの
家事審判法
第二十四條に
傚つて
規定
したものであります。なお
当事者双方
の
申立
の
趣旨
に反しない限度でと言
つて
おりまするのは、
紛争
について
当事者
のいずれかの主張する
解決方向
の範囲内でという
意味
であります。この
決定
の本質は
裁判
の判決でありまするが、同時に財産上の給付を命じ得ることは当然でございます。
調停委員会
を開かないで
裁判官
だけで
調停
を行う場合には
本條
の
決定
はできないことといたしております。 第十八條は
異議
の
申立
。
本條
は前條の
決定
の
効力
及びこれに対する
不服申立
の方法を
定め
たものでございます。
従前
の
各種調停法
においては、
調停
に代る
裁判
に対しては
即時抗告
を認め、確定した
裁判
に
債務名義
の
効力
を與えておりますが、
調停
の
対象
となる
紛争
は大体
訴訟
の
対象
ともなり得るものでありますから、簡易な非訟
手続
に基く
裁判
によ
つて訴権
を終局的に奪うことは不当であります。又かような
強制的解決
は
調停
の本旨にも反するので、
本法
では
家事審判法
に
傚つて調停
に代る
決定
は
相手方
の
異議申立
により失効することとし、
異議
がない場合にのみ
裁判
上の和解と同一の
効力
を認めることとしたのであります。結局
当事者
が不服である限りこの
決定
は所期の効果を生じないこととなるわけでありますが、
家事調停
における
運用
の
実績
に徴すればこの
制度
はなお相当の
実効
を收めているので、
一般
の
調停
にもこれを採用することしししたわけでございます。 第十九條、
調停不成立等
の場合の訴えの提起、
本條
は
調停
の
申立
をしたものが出訴期間を徒過し又は出訴に伴う
時効中断等
の利益を失うことを防止しまして、
調停制度
の
利用者
の保護を図つたものでありまして、
家事審判法
第二十六條第二項と同
趣旨
の
規定
であります。即ち
調停
の
不成立
及び
調停
に代る
決定
の失効の場合に、
調停
を求めた請求について二週間内に訴えを提起した場合には、
訴訟係属
の効果を
調停申立
の時に遡らせることとし、附則第十
二條
による
民事訴訟用印紙法
の一部
改正
と相待ちまして、
調停
の
申立人
の訴権の実行を容易ならしめ、延いては
調停
を軽視する不誠意な
相手方
の
調停
に対する協力を促すことともなり、
調停制度
の
実効的運営
に資するものと思われるのであります。
当事者
が
調停
の
申立
を取下げた場合には
本條
の
適用
はございません。これは従来随分長く主張せられて来ておつたところ、このたび実現したつもりでございます。 第二十條は
受訴裁判所
の
調停
、
本條
は
当事者
の
申立
がなくとも
受訴裁判所
にその係属する
事件
について
調停手続開始
の
権限
を與えた
規定
であります。かような
権限
は
現行
の
各種調停法
においても認められております。ただ
本條
においては新たにその第一項但書で
受訴裁判所
が
裁量
で
事件
を
調停
に付し得る時期を制限いたしまして、又第二項で
調停手続
により
紛争
が
解決
した場合における
訴訟事件
の当然終了を認めることといたしたのでございます。
前者
は先般の
訴訟促進
のための
民事訴訟法
の
改正
をも考慮し、
訴訟
がすでに
準備段階
を
終つて
、いわゆる
継続審理
をなし得る段階に
至つた
後
事件
を
調停
に付するには、
当事者双方
の同意を要するものとして、
裁判所
の恣意によりこれまでの準備を徒労に帰せしめ、
訴訟
の遅延を招く結果を防止しようとするものであります。
後者
は
紛争
の
解決
により
実質
上
訴訟
の
対象
が失われるので、取下げの形式を待たずに
事件
を終了させることとし、
手続
の
経済
を図つたものでございます。これは随分ややこしい
規定
なのですが、
訴訟進行
の
意味
からこういうことが入れられたわけでございます。よしあしは相当議論があると思います。 第二十
一條即時抗告
、
本條
は
家事審判法
第十四條と同
趣旨
の
規定
であります。次條において
準用
する非
訴事件手続法
第十
二條
によりますれば、
裁判
に対し
普通抗告
が
一般
に認められることとなりまするが、本来簡易迅速な
処理
を建前とする
調停手続
上の
裁判
に対しては、特に認める場合に限り、而も
即時抗告
のみを許すことが適当であるとし、如何なる抗告を許すかについては、
本法
に基きまして
最高裁判所
の
定め
る具体的な
手続
と関連して、これを
最高裁判所規則
に委任することといたしたのであります。なお
調停委員会
が行う処分、例えば第十
二條
の
措置
は
裁判
ではないということで
本條
の
適用
がないと心得ております。 第二十
二條
非
訟事件手続法
の
準用
、
本條
は
調停事件
の
性質
が本来非
訟事件
であるところから特別の
定め
がない
事項
については補充的に非
訟事件手続法
第一編の
規定
によらしめることといたしましたものであ
つて
、
従前
の
各種調停
においても
解釈
上同様に
取扱
われておりましたが、
本法
は
家事審判法
に
傚つて
この点を
規定
上明らかにしたものであります。
従つて調停手続
における調書の作成、事実の採知、証拠調べ、
裁判
の
方式等
はすべて非
訟事件手続法
の
規定
によ
つて
賄われることとなるわけであります。なお
本條但書
は
準用
の有無に関する
解釈
上の疑義を除く
趣旨
にほかなりません。 第二十三條、この
法律
に
定め
のない
事項
、
本條
は近時の
立法例
に傚いまして、憲法第七十七條が
最高裁判所
に
手続
に関する
規則制定権
を與えた
趣旨
を尊重し、
本法
に
定め
るもの以外の必要な
事項
はすべてこれを
最高裁判所
の
規則
に委任することを
定め
たものであります。従来の
各種調停法
に
定め
られておる
事項
のうち、
本法
に別段の定のないものについては
最高裁判所規則
においておおむね
現行法
と同
趣旨
の
規定
が設けられることと思います。 第二十四條、
宅地建物調停
、
本法
は
宅地建物
の
利用関係
の
紛争
に関する
調停事件
について
土地管轄
の特例を
定め
たものであります。このような
事件
はその
性質
上
紛争
の
目的物
の
所在地
の
裁判所
に
処理
させるのが適当であるとの
理由
によるものであることは言うまでもありません。ただ現在では
借地借家関係
の
紛争
のみについて
借地借家調停法
に
本條
と同
趣旨
の
管轄
が
定め
られておりますが、
使用貸借関係
、相
隣関係等一般
に
宅地建物
の
利用関係
の
紛争
についても同様のことが言えるので、
本條
では
借地借家調停
の
名称
を廃し、広く
宅地建物調停
としてこれを
規定
したわけでございます。 第二十
五條
、
農事調停事件
、現在の
小作調停
の
対象
の範囲は
小作調停法
による
小作関係
の
紛争
のほか、
農地調整法
により、
農地
その他
農家使用
の
薪炭林等
の
利用関係
の
紛争
にも及んでおりまするが、
本法
ではこれを
農地
又は
農業用資産
の
利用関係
の
紛争
として一括し、
小作調停
の
名称
もその実体に即して
農事調停
と改めたのであります。
農業経営
に附随する土地、
建物
とは、例えば
農業者
の居住する家屋及びその
敷地等農業経営
を維持するについて直接必要な
農地
以外の不動産を言うものであります。
農地等
の
利用関係
の
調整
については
耕作者
の保護、
農地
の
利用増進等国
の
農業政策
とも密接な関連があります。その他
紛争
の
性質
上
現行
の
小作調停法
中にも
一般
の
調停
と異る
特則的規定
が少くないので、
本法
においても以下数條に必要な
特則規定
を設けることといたしました。なお
本法
に
定め
るもの以外の従来の
小作調停
に関する
特則的規定
は、おおむね
最高裁判所規則
に
定め
られることとなりますが、
農地委員会
の
勧解
前置については、これまでの
運用
の
実績
や
農地委員会
に代
つて
新たに設けられる
農業委員会
の実体に照らし、その廃止が予定されておるわけでございます。 第二十六條、
管轄
、
本條
は
宅地建物調停
に関する第二十四條と同
趣旨
によりまして、
農事調停事件
の
土地管轄
の特例を
定め
たものでありまして、ただ
農地等
の
利用関係
の
紛争
は
一般
に複雑深刻なものが多いので、従来の
小作調停
と同様に
原則
として
地方裁判所
の
管轄
としたわけでございます。 第二十七條、
小作官等
の
意見陳述
、
本條
は
農事調停
について
農業政策的見地
をも考慮いたしまして、それとの
調整
を図るために、国又は都道府県の
関係行政庁
の職員でありまする
小作官
又は
小作主事
に
調停委員会
に対する
意見陳述
の
権限
を與えたものでありまして、
現行小作調停法
にも同
趣旨
の
規定
がございます。 第二十八條は、
小作官等
の
意見聽取
、
本條
は
調停委員会
に対し
調停
の
事前
における
小作官
又は
小作主事
からの
意見聽取
を義務付けた
規定
で、その
立法趣旨
は前條と同様でございます。 第二十九條、
裁判官
の
調停
への
準用
、
本條
は
裁判官
だけで行う
農事調停
についても、
小作官
又は
小作主事
の
関與
に関する前
二條
の
規定
を
準用
する旨
規定
したものであります。 第三十條、
移送等
への
準用
、
本條
は
農事調停
につき、
裁判所
が
管轄
に関する
裁量的措置
として
事件
を
移送
又は自
庁処理
する場合及び
調停
に代る
決定
をする場合にも第二十八條を
準用
いたしまして、
事前
の
小作官
又は
小作主事
の
意見聽取
を要するものとした
規定
でありまして、
立法趣旨
も同條と同様であります。なお現在の
小作調停
には
管轄
に関する
裁判所
の
裁量的権限
は認められていないので、その場合についての
本條
のような
規定
はないわけでございます。 第三十
一條
、
商事調停事件
、
調停委員会
の
定め
る
調停事項
、
本條
は
商事紛争
について、
調停委員会
を
実質
上の
仲裁的権限
を與える
趣旨
の
規定
であります。本来
商事紛争
はその
性質
上長期に
亘つて費用
を要する
訴訟的解決
よりも、
専門業者
の
合理的打算
の上に立つ迅速な
自主的解決
に親しむものでありまして、
現行
の
商事調停法
も
商事調停委員会
に
当事者
の
合意
に基いて
仲裁判断
の
権限
を與え、欧米における
商事仲裁制度
と同様にその活用を期待したのであります。併しその
仲裁判断
の
手続
や
効力
が煩わしい
民事訴訟法
の
規定
によりますためか、国民の
利用
するところとな
つて
おりません。その
規定
は
有名無実
の観を免れなかつたのであります。
本條
は従来広く国民に親しまれて来た
調停手続
上の簡易な
措置
として
実質的仲裁
の機能を営ましめ、その
利用
を促進しようとするものであります。特に
当事者
の書面による
合意
を必要としたのはその
愼重確実
を期したものであり、
合意
の
成立
の時期は
調停申立
の前後を問わない
趣旨
でございます。 第三十
二條
、
鉱害調停事件
、
管轄
、
本條
は
鉱害調停
についての
土地管轄
の
特則
を
定め
たものでありまして、その
理由
は
農地調停
につき第二十六條で述べたところとほぼ同様でありますが、
鉱害紛争
は通常その規模が大きいので、
合意
による
簡易裁判所
の
管轄
は認めないのであります。なお
現行鉱業法
では
損害発生地
以外の
地方裁判所
に
合意管轄
を認めておりますが、必要の場合には第四條の
裁量的移送
によれば足りるものとして、これを
規定
しなかつたわけでございます。 第三十三條、
農事調停等
に関する
規定
の
準用
、
本條
は
鉱害調停
について、
農事調停
の
小作官等
の
関與
に関する
規定
及び
商事調停
の
調停委員会
の
仲裁的権限
に関する
規定
を
準用
することとしたものであります。
鉱害賠償
の
紛争
の
解決
に関しては單なる私的な
損害填補
の
関係
だけではなく、
鉱山企業
の維持、
育成等
に関する
経済政策的見地
との
調整
を考慮する必要がありますので、各地方における
所管行政庁
の長である
通商産業局長
に
意見陳述
の機会を與えると共に、
企業経営
に関連する
社会的規模
の
紛争
として、その
性質
上やはり
仲裁的解決
に親しむものとして
調停委員会
の
特別権限
を認めたものであります。 第三十四條、不出頭に対する制裁、
本條
は期日に呼出を受けて出頭しない者に対する過料の制裁の
規定
であります。
調停
は
調停委員会
と
当事者
とが期日に会合し、説得の機会を得て初めてその機能を発揮し得るものでありますが、不誠意な
当事者
は、呼出に応じないことによ
つて
調停制度
を全く無視し得る結果となるのであります。然るに
現行
の
各種調停法
では僅かに五十円以下の過料を課し得るにとどまり、物価の変動に伴
つて
制裁
規定
として殆んど
有名無実
に帰していたので、その額を三千円以下に引上げました。なお
本條
では
家事審判法
に
傚つて
当事情者以外の
事件
の
関係人
に対しても制裁を課し得るものとすると共に、
裁判所
の呼出に応じない場合についてもこの制裁を課し得るものとすると共に、
裁判所
の呼出に応じない場合についてもこの制裁を認めることといたしたのであります。この点の
改正
は事実調査等のため
当事者
以外の者の出頭を必要とする場合があり、又
裁判所
の呼出について制裁を不要とする特別の
理由
が認められないのからでございます。第三十
五條
、
措置
違反に対する制裁、
本條
は第十
二條
の
措置
に違反した場合の制裁
規定
であります。右の
措置
が
調停
の
運用
上必要であることについては前に述べた通りでありますが、
現行法
では
農地調整法
第十
一條
の
規定
による
措置
について違反に対する過料の制裁が認められている以外には
一般
に何らの強制力をも伴わず、この
措置
を無視する者に対しては全く
実効
性を欠いていたのであります。このことは徒らに不誠意な
当事者
を利する結果となり、かような
措置
を認めた意義を不徹底に終らせるばかりでなく、
裁判所
の威信という点にも好ましくない影響を及ぼすので、
一般
の
調停
についても同様の制裁を認めることとし、この
措置
を間接的に強制し得る手段を講じたわけであります。第三十六條は過料の
裁判
、
本條
は前
二條
の過料の
裁判
及びその執行について非
訟事件手続法
の過料の
一般
規定
に対する特例を
定め
たものであります。即ち前
二條
の過料の制裁は、
裁判所
が
事件
処理
の職責を遂行するに当
つて
みずから
手続
の円滑な進行を図るための手段ししして認められるものでありまして、その
性質
上検察官の
関與
を認めることは適当でなく、その執行についてもこれを
裁判官
の
権限
に委ねることが一層その
目的
にかなうと考えたからでございます。 第三十七條、評議の秘密を漏らす罪、
本條
は
調停委員会
の評議の秘密を保つことによ
つて
、
調停主任
及び
調停委員
が外部に対する顧慮なしに安んじてその所信を述べることを担保する
趣旨
の
規定
であります。現在
金銭債務臨時調停
法及び
小作調停法
にだけ同
趣旨
の
規定
がありますが、評議の秘密を保持する必要は上記の
調停
のみに限らないので、これを
一般
規定
化すると共に、物価の変動に応じて罰金の額を引上げたのでございます。 第三十八條、人の秘密を漏らす罪、
本條
は
調停手続
を密行とし、
当事者
その他の
関係人
が安んじて実情を述べることを担保する
趣旨
の
規定
でありまして、従来の
各種調停法
にはこのような罰則
規定
はなかつたのでありまするが、
家事審判法
には同一
趣旨
の
規定
が設けられておりまして、刑法上の弁護士、医師等の秘密漏泄罪や国家公務員法の
定め
る公務員の秘密漏泄罪等との権衡上からも、
調停委員
についてかような刑事責任を認めるのを適当としたものでございます。 附則第
一條
は施行期日、これは本年の十月一日とな
つて
おりますが、我が国最初の
調停制度
である
借地借家調停法
が施行
制定
されてから三十周年に当るいい日を施行日にしたいいう意向であります。 第
二條
は、
借地借家調停法
の廃止、これはもう当然廃止になりました。 それから第三條から第十條までは、
本法
の
制定
に伴いまして、
関係
法律
中
調停
に関する
規定
の削除その他條文の整理でございます。 第十
一條
は、
本法
で
定め
た
事項
のうち
家事調停
についても採用することが適当であるものについて、
家事審判法
中に
本法
と同
趣旨
の
規定
を追加する等の
改正
を行
なつ
たものであります。 第十
二條
は、
調停申立
人の訴権の行使を容易にし、その保護を厚くする
趣旨
から
本法
及び
家事審判
に
定め
る
調停不成立
の場合の訴えの訴状にはすでに支出した
調停
申立手数料
額との差額だけの印紙を貼用すれば足りるものとし、
民事訴訟用印紙法
の一部を
改正
したものであります。 第十三條は、
本法
施行の経過的
措置
に関する
規定
でございまして、
本條
では
本法
施行前に係属した
調停事件
についてはすべて
本法
附則による廃止又は
改正
前の
調停法規
に従うこととして、
手続
の簡明を期したわけでございます。 第十四條は、
調停委員
となるべき者の選任についてでございますが、
本條
第一項は、
本條
施行の際改めて
本法
による
調停委員候補者
を選任する煩いを避けるため、第二頁は、前條の
従前
の例によるべき
事件
について
従前
の
各種調停法
による
調停委員候補者
を選任する煩いを避けるための
規定
であります。第三項は、
調停主任
の
指定
に関る同一
趣旨
の
規定
でございます。 第十
五條
は、
本條
は
従前
の
法律
による罰則の
適用
に関する経過的
措置
をきめたのであります。
本法
施行前の行為についてはすべて
従前
の例によるものといたしまするほか、
本法
施行後の行為について
従前
の罰則を
適用
する場合については、
本法
の罰則
規定
との権衡を図る
趣旨
から、
従前
の
規定
中罰金及び過料の額を
本法
を同じ程度に引上げ、なお過料の
裁判
及びその執行については特に
本法
の
規定
を
適用
することとしたものでございます。 以上を以て説明を終ります。
鈴木安孝
3
○委員長(
鈴木安孝
君) 本案に対する質疑は次回にいたしたいと存じます。 —————————————
鈴木安孝
4
○委員長(
鈴木安孝
君) 次に、
訴訟
質用等臨時
措置
法の一部を
改正
する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。御質疑のおありのかたは御発言を願います。
中山福藏
5
○中山福藏君 これはちよつと
関係
当局に私お伺いしたいのですが、この恩給というものはいろいろな謝恩とか、慰安とか、養老とか、いろいろな
意味
からこれは出発したものだと思うのですが、そういう
関係
から恩給というものを支払う上におきましては、一応
執行
吏というものの行動についての観察を行うということが必要だと私考えるのでありますが、私は元来弁護士でありまして、いつも
執行
吏の行動についていろいろ考えさせられるところがあるのでありますが、近頃の
執行
吏の行動は、
関連
事項
としてお尋ねするのですが、特にその点私申上げておきます。行動についてはいろいろ世評がありまして、私みずから体験したところによりましても、その言動というものが全くごろつきが子分に対して用いるような言葉を往々にして使用しているということがあるのであります。それからもう一つは先般こういう
事件
がありました。紀州において
執行
吏が債務者と結託して、而もその後ろに村長というものが介在して、そうして債権者をうまく錯誤に陷らしめて、現金を持
つて
来なくても債権が存在しているのであるから、今日の競売というものは必ずうまく行くのだというようなことを申しまして、現場に到着しまするというと、債務者の友人がそこに参
つて
お
つて
、そして現金でなければいかんと言
つて
、十万円ばかりのものを二千円で横取りしてしま
つた
という
事件
があるのであります。こういうことがまま行われますと、恩給の問題についても
国民
は非常に考えさせられるということになりますが、こういう
執行
吏の行動についてはどういうふうな監督、指導をなさ
つて
おられるか、その点について一つ
関連
事項
として伺
つて
おきたいと思います。
位野木益雄
6
○政府委員(位野木益雄君) お答え申上げます。只今の御質問は
裁判所
の当局のほうからお答えいたすほうが適切なことになるのではなかろうかと考えるのでありますが、政府の立場といたしましては、
執行
吏の
制度
、この
制度
全体をもう少し
運用
の実態なるものを調査いたしまして、現状を改善する必要があるのではなかろうかということを前から問題といたしておりまして、研究に着手いたしてはおるのでありますが、まだ十分なる成案を得ていないのでありますが、御
趣旨
の点を十分に承わりまして、将来の参考にいたしたいと、こう思います。
中山福藏
7
○中山福藏君 これは早急にや
つて
頂かなければならん。私はそれを三年前から痛感している人間でありますが、例えば弁護士が
執行
吏に電話をかけましても、その応待というものは何と申しますか、権柄ずくで問題にならん。特に
執行
吏の屯所が各所に分散してお
つた
ものが統一せられてからなおその弊が甚しいのであります。そういうような次第で
国民
は非常に困
つて
おりまするので、恩給を支払うにいたしましても、これは非常に私どもはいわゆる司法
関係
に携
つて
おる人間といたしまして、到底看過することのできない大きな問題だと私は思
つて
おります。それでいわゆる
国民
全体の謝恩的な
意味
を含めたのが私は恩給だと思
つて
おります、従
つて
そういうような現在の
執行
吏の態度では
国民
は相当考えなければならんと思います。他の官吏との勿論比較対照から恩給を支払う、善意の官吏に対して恩給を支払うということはこれは
国民
挙
つて
賛成する問題でありましようけれども、行動を監視して頂かなければ、私どもは徒らに国費というものを不愉快を感じながらこういう方面に流すということは考慮すべき点があると思いますが、早急にそういう処置をと
つて
頂きたいということをお願いしておきたい。
野木新一
8
○政府委員(野木新一君)
執行
吏の
制度
につきましては、そのよるべき
法律
も非常に古い
法律
にな
つて
おりますので、これらの
改正
につきましては十分考慮しなければならないのでありますが、何分強制
執行
の
制度
などと
関連
しておりまして非常に複雑でありますので、研究はしておりますがまだ成案を得るに至
つて
おりません。今後も
最高裁判所
事務当局とも連絡いたしまして研究を進めて行くつもりでおります。御質問のところにつきましては、なお新
制度
を立案する際におきましては十分考慮いたすつもりでおります。
中山福藏
9
○中山福藏君 私は最後にもう一つお願いして置きます。この
執行
吏の言辞が非常にどうも先ほども申しましたように乱雑で、全くごろつきのような言葉でやられるかたが多い。これは
国民
う債務支払いのできるかたは喜んで払うという気持であると私は思うのですが、中には勿論ずるい人がありますけれども、その中にはどうしても金ができない人もあるのですから、そういう人に対してもう少し丁寧な言葉でやるように
裁判所
と御交渉下す
つて
、何とか注意を與えて欲しいですがね。余りに乱暴な言葉を使
つて
おられるので、時にはそのために社会思想なんかが悪化するのじやないかというようなことも考えております。どうかお願いいたします。
野木新一
10
○政府委員(野木新一君) 只今のお尋ねは誠に尤なことだと存じます。指導のところは
最高裁判所
の事務当局のほうにも十分伝達いたしまして、注意を喚起いたしたいと思います。
伊藤修
11
○伊藤修君 この
執行
吏の国庫
補助
基準額
令というのが政令でできておりますが、二十六年の一月一日から施行するという政令でありますが、八万一千円というのはどこから出て来るのですか。この基礎をお聞かせ願いたい。
野木新一
12
○政府委員(野木新一君) 八万一千円は大体
執行
吏の給與につきましては、
一般
官吏の五級四号に相当して従来から計算されて来ております。その本俸及び扶養手当、勤務地手当等をずつと計算いたしますと、月六千七百十円になりまして、これを十二倍いたしますと、年額八万五百二十円になるわけでありますが、これをならして八万一千円といたしたわけであります。
伊藤修
13
○伊藤修君 そうすると、この
基準額
は第
五條
によ
つて
政令に委託しているのですから、政令はいつも変更できるのですが、政令でどんどん上げてしまういつもこちらの
法律
を変えなくちやなりませんね。
野木新一
14
○政府委員(野木新一君) さようでございます。
伊藤修
15
○伊藤修君
法律
のことともう少し調和がとれませんか。政令がどんどん先ばし
つて
、
法律
があとで追
つて
行くということでなくして、もつと調和がとれませんか。
野木新一
16
○政府委員(野木新一君) この
執行
吏の国庫
補助
基準額
のほうは、いわば
執行
吏に対する俸給に類するものでありまして、これは
一般
の官吏の俸給が上るとそれに準じて考えて行くわけであります。そうして今度は
一般
官吏の俸給が上
つた
場合におきまして、前にやめた官吏の恩給もその後の新らしいベースに直す場合には、恩給法の
改正
をいたしておりますが、その恩給法の
改正
ではこの
執行
吏のほうは含まない建前にな
つて
おりますので、今度の
改正
案のような
法律
を作りまして恩給法のほうだけを手当をして行く、そう考え方にな
つて
おるわけであります。
左藤義詮
17
○左藤義詮君 先ほど中山委員からお話がありましたが、私ども実際に民間のいろいろな声を聞いて、
執行
吏というものに対してもう少し反省して欲しいと思います。本当に民主的な公僕としての仕事をして欲しいということを私は非常に痛感しているのでありますが、只今政府委員としては、
裁判所
のほうへ連絡をしてということですが、また聞きでは私どもぴんと来ないと思います。一度
裁判所
からそのことについてはつきりした意思表示をして頂いた上で採決をして頂きたいと思います。
伊藤修
18
○伊藤修君 一体この
改正
によ
つて
どのくらい俸給は増額するのですか、国庫の負担は……
野木新一
19
○政府委員(野木新一君) 増額分は三十四万九千七百六十七円ということにな
つて
おります。
伊藤修
20
○伊藤修君 執達吏の恩給を受ける人数はどのくらいですか。
野木新一
21
○政府委員(野木新一君) 昭和二十三年十二月三十一日までに退職した者は九十六名でありまして、昭和二十四年一月一日から二十五年十二月三十一日までに退職した者は三名でありまして、合計九十九名という
関係
になります。
伊藤修
22
○伊藤修君 今の三十何万円というのはその増額分だけでありますね。
野木新一
23
○政府委員(野木新一君) さようでございます。
鈴木安孝
24
○委員長(
鈴木安孝
君) 左藤委員の御質問に対する答弁をする必要もありますから、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。 午後四時三分散会 ————————————— 出席者は左の通り。 委員長 鈴木 安孝君 理事 伊藤 修君 宮城タマヨ君 委員 北村 一男君 左藤 義詮君 齋 武雄君 岡部 常君 中山 福藏君 須藤 五郎君
衆議院議員
鍛冶 良作君 押谷 富三君 政府委員 法務府法制
意見
第四局長 野木 新一君 法制
意見
参事官 位野木益雄君 事務局側 常任
委員会
專門 員 長谷川 宏君 衆議院事務局側 常任
委員会
專門 員 小木 貞一君