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1951-05-18 第10回国会 参議院 法務・地方行政連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)    午前十一時二十五分開会   —————————————  委員氏名   法務委員    委員長     鈴木 安孝君    理事      伊藤  修君    理事      宮城タマヨ君    理事      鬼丸 義齊君            北村 一男君            左藤 義詮君            長谷山行毅君            山田 佐一君            棚橋 小虎君            三輪 貞治君            岡部  常君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○住民登録法案衆議院提出)   —————————————    〔鈴木安孝委員長席に着く〕
  2. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 只今より法務地方行政連合委員会を開きます。  先例によりまして法務委員長の私が委員長を勤めさせて頂きます。これから住民登録法を議題といたして質疑を行います。御質疑のおありのかたは御発言を願います。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 鍛冶さんにお尋ねいたしますが、住民登録法案を拝見いたしますと、住民登録ということを市町村事務とされまして、国家事務市町村長に委任をするという建前をとつておられないように見えますが、その通りであるか。その通りとすればなぜそういうふうにしたのか、お尋ねしたいと思います。
  4. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) 市町村自治強化という憲法の精神に基きまして、並びにシヤウプ勧告及び最近の地方行政調査委員会議勧告等に鑑みまして、市町村でやつてもらう。事務市町村固有事務とするほうがよろしいと、こういう考えからいたすのでございます。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 市町村固有事務にするのである、そういうことでありますれば、実行するのは市町村でありますから、市町村における現実の必要と、事務上の便宜を中心にせられる方針をとられるべきであろうと思うのでありますが、これについて市町村側にどれだけの意見希望を反映させる方法をおとりになつたか、その点をお尋ねしておきたい。
  6. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) 本法案立案基礎は、地方市町村からの要望がもとになつておりますのであります。従いまして法務府としましては、地方制度改革ということについてこれは昭和二十三年十一月から審議会を設けまして、これら関係者意見を十分聽取し、この審議会においてできました要綱に基いてこれを立案いたしたわけでございます。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今市町村側要望に基いてこの法案ができたという御答弁でありますが、実は私のほうに対しまして、全国市町村会から、この法案違つた要望が大分出ておるのであります。その一二を申しますと、寄留選挙配給納税等に関しては本法一本で事足りるよう、本法にその趣旨を明示すると共に、これに対応して関係法令改正を加えてもらいたい。殊に選挙人名簿住民票に基いて調製するものとし、該票に記載されないものは選挙人名簿登録される資格ないものと明記してもらいたい。それから本法案の第三章の戸籍附票作製事務に基く事務の増加は町村に測り知れない負担を課するものであるにかかわらず、本法はそれに要する経費裏付けをしていない。本法が新たに本事務町村固有事務として規定する以上、当然本事務財政措置を講ずべきである、こういうふうに言つております。これに対する御見解を承わりたい。
  8. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) 第一の御質問でありまする寄留及び世帯台帳の廃止の点はこれは明文には現われておりませんが、当然そういうことを目的として作つてありまするので、又これができまする以上は、さようなものは必要のないことになりまするから、当然のこととして明文は挙げてありませんが、その方針でできたわけでございます。  それから第二の選挙人名簿につきましては、これは勿論選挙人名簿基礎となるものでありまして、これによつて選挙人名簿を作られるものとして考えてこれはできましたもので、併しこれに出ておる以外の資料を取つてはいかんというところまではどうかと思いまするが、選挙人名簿基礎になるということも本法を作りましたる大きな原因の一つであることは間違いありません。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 で第三章の附票の問題、戸籍の問題ですが……。
  10. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) 附票については御尤もでございまするが、要するに今までの寄留簿並びに世帯台帳とを兼ねて一つにするというところから考えますると、特に大きな負担にもならんかと思いますが、要するに戸籍事務のこれに対する附帶事務として取つてもらうつもりであります。経費については勿論これは来年度予算考えまするが平衡交付金の際にはこれに対する費用として特に項目考慮してやつてもらいたい、こういうふうなことを考えております。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 法務府のかたにお尋ねするのですが、この町村財政が非常に窮屈であるということは、法務府のかたも御承知であろうと思うのであります。それで我々地方行政委員会の立場に立ちまして、府県なり又市町村なりの財政を実際に調査をいたして見ますと、官庁でいろいろ市町村にやらされる事務と、それから又今度はこの規定によりまして住民登録というものを市町村個有事務としてやらされると、こういうことになるのでありますが、そのときにこの財政的の裏付けがうまくできていない。各官庁ともそういうきらいがあるのですが、殊に法務府のかたは一番財政におかまいなしに市町村に仕事を押付けるということが激しいのです。これは非常に皆弱つておるのです。今度も住民登録町村事務としてやらされるというとになりましたときに、財政的の裏打ちを準備してもらわなければいけないと我々は深く考えるのであります。我々が市町村行つて小言を聞く第一は、官庁から押目けられる事務が非常に忙しいのはいいとして、それに要する件費、それからいろいろの手数、こういう裏付けがちつともされていない。されておつても極く僅かだという不平を聞くのであります。この住民登録実施費用は、承わるところによりますと、初度調弁費が四億乃至五億、それから平年度十九億、こういう計算をされるそうでありますが、果してそうであるかどうか。又それだけの費用を本当に地方に任せるのかどうか。それからその四億乃至五億を初度調弁費とし、平年度を十九億と計算しておられる、その基礎はどういうふうな基礎に立つておられるか。初度調弁費においてどうも余り少な過ぎるように考えるのですが、その点を一つ明らかにして頂きたいと思います。それが果して私が今言つた数字間違つていないとするならば、又その計算基礎、それから初度調弁費が非常に少いように思うのだがなぜか。そういつたようなことを……。
  12. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 法務府におきまして住民登録制度立案に着手いたしましたのは昭和二十三年頃からでございますが、その動機は、市町村から  の要望が非常に強かつたからでございます。と申しますのは、市町村といたしましては、大正三年以来寄留法施行されまして、寄留事務をやつているわけでありますが、御承知通り寄留制度がいろいろの欠陷のためにうまく  行かない、住民把握資料としては非常に不便がある、然るにもかかわらずこの寄留事務のために多額の経費市町村としては負担しておる、この寄留制度改革して、同じく経費を出すならばもつと完備したものにすべきであるという声が非常に強かつたのでございます。この市町村要望に応じまして、寄留制度改革といたしましてこの住民登録制度立案着手至つた次第でございます。現在市町村におきましては、その寄留事務のほかに大抵、昭和十五年頃からでございますが、食糧配給便宜から所帯台帳というものを作つておるのでございます。現在のところはむしろこの寄留よりも世帶台帳のほうが住民把握資料として大いに用いられておる。而もこの世帯台帳ひとり配給事務だけではなくて、例えば選挙人名簿調製なんかにもこの世帯台帳が大いに利用されておるという実情なのでございます。そこで法務府におきましては立案の過程においていろいろの方法を用いまして、一体市町村でやつておりますこの寄留事務世帯台帳事務につきましてどのくらいの経費を支出しているかということを調べたのでございます。一番最後に先年の五月でございますが、五月、六月の両月に亘りましてこの全国市町村約二百カ所を選びまして、法務府の出先機関でございます法務局及び地方法務局を通じまして実態調査をいたしたのでございます。でその調査方法は、人口五千前後の村、人口一万前後の町、人口五万前後の市、人口十万前後の市と、なおそのほかに東京都内の区、それから五大都市の区を選びまして実態調査をやつたのでございます。その結果得ました数字全国  に引直しまして、一体この寄留事務世帯台帳事務にどのくらいの経費市町村としては支出しているかを調べて見たのでございます。そのほか多数調査項目もあつたのでございますが、問題となつております寄留世帯台帳だけについて申しますと、寄留事務につきましては約四億二千万円、それから世帯台帳事務につきましては約十五億五千八百万円、合計いたしますと、十九億七千八百万円、約二十億という数字が出て来たのでございます。これは二十四年度にも、これは調査方法が完全じやなかつたのでありますが、東京都内の或る区を調べまして、それを基にして全国に引直して見た非常に大ざつぱな調査でございましたけれども、その調査の結果もやはり余り遠くない数字が出て来たのでございます。で法務府といたしましては、昨年のこの調査の結果に基きまして約二十億の経費がこの寄留世帯台帳事務市町村が支出しておるという実情にあると推測されるわけでございます。ところがこの寄留につきましても、世帯台帳につきましても、実は経費裏付けというものを国のほうでは実質的にはしていないという実情にございます。寄留事務につきましては、戸籍事務と共に現在建前戸籍寄留も国の事務と、それを市町村に機関委任しておるという法制の建前になつておりますので、曾つて全額国庫負担という地方財政法趣旨に則りまして予算を組みまして要求したことがあるのでございますけれども、どうしても当時の国家財政実情で以て法務府の希望は容れられなかつたのであります。現在は戸籍事務平衡交付金によつて賄なわれておるという実情になつております。寄留にしましても、世帯台帳にしましても、建前としてはやはり地方財政平衡交付金で賄われておるということになると思うのでありますが、実際上におきましては、実質的な裏付けがなされていないのじやないかと我々は考えておるのでございます。従いまして現在の寄留にしましても、世帯台帳にしましても、国からは実質的には財政的裏付けを得ないで市町村負担としてなされておる、こういう実情にあると思うのであります。そこで当初鍛冶さんからお話になつたのでございますが、昭和二十三年に法務府内寄留制度改革審議会を設けました際には、この住民登録制度は現在のやはり戸籍寄留などと同じように、国の事務としてこれを市町村に機関委任するという構想で進んでおつたのでありますが、その間地方自治強化ということが叫ばれ、シヤウプ勧告がなされ、更に最近におきましては地方行政調査委員会議勧告もありました関係で、市町村固有事務というふうに考えられるべきものではないかという結論に達したのであります。そこで経費の点でありますが、固有事務といたします以上は、やはり市町村負担すべきものではないか。経費市町村負担すべきものであるということになると思うのであります。そうなりますと、やはり住民登録制度に要する経費住民登録事務費というものは、地方財政平衡交付金算定基準として、明確にやはり法律の中に一項目を立てるべきじやないかというふうに我々は考えておるのであります。そうなりますというと、質的には現在よりも、より市町村としてはよくなるのじやないかというふうに考えるのでございます、ただこの制度創設いたしますにつきましては、成るほど寄留事務と、それから世帶台帳事務はこの住民登録事務に吸収されましてなくなるのでありますが、この登録後の様式なんかもまるで変りますし、この制度創設につきましては、とにかく市町村が今まで支出していなかつた特別の経費というものがやはり必要になつて来るわけでございます。これはまあ初度調弁費というわけでございまして、これは市町村負担すべきものであるところの経常事務に要する経費とは別個のものであります。これはこの制度実施初年度に限つて必要な経費なのでございます。で、この初年度に限つて必要な、本制度創設に必要な特別の経費がどのくらいになるかということは、まだこれは昭和二十七年度予算の問題になりますので、法務府といたしましてもその数は全くはつきり出していないのでございます。現在のところこれを幾らというふうにまだ申上げるまでの段階には至つていないのでございます。ただこの経営事務に要する経費につきましては、今の市町村におけるところの寄留事務並びに世帯台帳事務実態というものと、それから住民登録制度実施の曉における市町村において取扱いまするところの事務の内容というものを検討いたしますと、ほぼ現在の寄留事務世帯台帳事務を合せたものに匹敵するのじやないかということが考えられるわけでございます。でありますから、この両事務に要しておりますところの経費は約二十億でございますが、約二十億の経費を以て住民登録事務というものが賄えるというふうに一応考えられるのでございます。なお尤も住民登録におきましては、戸籍附票という制度がございます。これは寄留にもあるのでございますれども寄留よりも少し大規模にこれが動きます関係で、その点で多少事務が複雑化いたしますので、場合によりましては寄留事務世帯台帳事務と合わせたものよりも、少しオーバーするということも予測できないわけではないのであります。併しながら他方この住民登録制度実施になりますと、これを基礎にしまして、例えば選挙人名簿調製簡易になる。或いは学齢簿調製簡易になるということで、多少の経費節減も可能だと予測できるのでございます。その点を考え併せますと、経営事務につきましては、市町村負担というものが、現在よりも実質的には殖えないということが言えるのじやないか、そういうふうに考えているのであります。でありますから法務府といたしましても、市町村財政現状には十分考慮をいたしておるのでありますが、以上に述べましたような事情を以ちまして、この際住民登録制度実施いたしましても、市町村に対して現在より以上に経費負担をかけることにならないのじやないか、そういうふうな結論に達している次第でございます。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今縷々答弁がありましたが、大阪市のほうから地方財政委員会のほうに出しております意見によりますと、本制度をとられるならば、やはり相当新規動員がいるということを言つて来ております。そうして本制度実施に当つて、経営的に節約ができる経費を差引いても、なお大阪市だけにおきまして年額一千百三十万円の経営費新規増を必要とする、こう言つております。そうするとこれを八千万の人口引延ばして見ると、相当経費を必要とするということになりはしないかと思うのであります。それから更に本案実施に要する初年度経費の増というものは、三千六百八十六万円に上ると、こう言つておるのですが、これも全国引延ばして見ると、相当の増額になる。いつも法務府のほうで計算なさるのは低いものですから、結局実施する市町村が非常に困るということになる。殊に平衡交付金の問題で話がありましたけれども平衡交付金の中に今までも寄留、それから世帶台帳、これが入つておるはずだしと言われるけれども、今御説明があつたように基準財政需要額の中には入つてないので、入つているはずだと、こう言われても入つてない。そうすると、そこでまあ、市町村でいつも不平を言うのでありまして、国家から別に今までだつて補助金というか、実費弁償が不足だということを絶えず言つて来た。それが入つている前提の下に、今度入つたつて大してできない。お釣りが来るくらいだと、こう言われるのでありますが、これは非常に間違つておるのです。そこで市町村のほうでは全額と言つている所もありますが、又三分の二ぐらいは国において別途負担をする方法にしてもらつたらいいじやないかということも言つておる。その点についてもう一度考えを伺いたい。大阪市のほうで言つて来ているのが間違つているのか、あなたがたのお考えになつておるのが……、いつものあなたがたのほうは低く見積られる、それで困つているのです。今までの議院立法が、とかく市町村財政にしわ寄せをされて来るのです。非常に困つている。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 委員長答弁の前に委員長にお願いがあります。只今の問題が私たちの関心の的でありますから、地方財政委員会責任者を是非ここへお呼び寄せ頂くようにお手配願いたい。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 岡野国務大臣も呼んで下さい。
  16. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 承知しました。
  17. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 大阪市からのそういう御意見がありますことは、私ども承知いたしておるのでございます。それから大阪市以外におきましてもやはり経費の点について懸念をしておられる市町村があるのでございます。併しながら又他方経費節減になるという見解を述べる市町村もあるのでございまして、この大阪市の御意見も私どもなお計算基礎をはつきりして頂いて、そうして十分検討いたして見たいと思つておるのであります。私どもが昨年いたしました実態調査というものも、これは勿論完璧なものではないのでございまして、大阪市の意見も十分我々尊重いたしたいと思つておるのであります。とにかくこの住民登録実施いたしますにつきましては、市町村財政というものと十分に睨み合せてやらなければなりませんので、大阪市のみならず、その他の市町村の具体的な意見を十分これは斟酌、考慮に入れまして、来年度予算要求並びにこの平衡交付金算定基礎になりますところの基準財政需要額計算に当りましては愼重を期したいと思つておる次第でございます。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 地財委のかたや岡野さんかおいでになる前に、今のことについて私も疑問がありますので、伺つておきたいのですが、大体これが国の固有事務であつたのが、委託事務ではなくて市町村固有事務に移したのだから、国は財政的にも、却つて金がかかるという意向の市町村もあるが、何ら考慮する必要がないやに聞かれる点があるのでありますが、又そうでない、考慮するということであるならば、私の聞き違いでありますから、この点ははつきりして頂きたいというのが第一点であります。  第二点としましては、少くとも我々は平衡交付金算定基礎の中には、こうした関係のものは現行においては入つておらないと考えるのでありますが、市町村固有事務であるから、市町村財政負担でやつたらいいだろうという、このことは理論的には正しいと思うのですが、現行地方財政ということが平衡交付金制度というものでカバーせられておる地方財政である限りは、固有事務であろうがなかろうが地方がそれだけの負担の増になるという部分については国が平衡交付金で見るというのが論理的に正しい、私はそう考える。従つて少くとも平常の年度における経費というものは、これはいろいろどうなつて行くかということについては、先ほど来疑問の点がありまするからこれを保留しましても、初度調弁費四億乃至五億というものが、これは又実際上はどれだけかかるかはつきりせんのでありますが、この金だけはこの法律施行によつて地方負担する金でありまするから、少くも平衡交付金の中にこれだけの金を準備するか準備することができないとするならば、国自体予算において、特定なる調整、或いは補助の金を出すべきじやないか、そうでなかつたら円滑にこの法律施行ができないのじやないか、地方財政をやはり圧迫するという問題になるのじやないかと考えるのであります。無論法律によつて国地方に義務付ける問題とは、問題は相当固有事務でありまするから違うと思うのでありますが、義務付ける場合には、地方財政法第十四條によつて国がその経費負担しなければならないという明文があるのであつて、その精神から言うても、只今の御答弁は私納得できない。従つて以上二点についてお伺いしますが、あとで聞く必要から、技術的に第三点の諸度調弁費四億乃至五億かかるという計算根拠資料を示して頂きたい。
  19. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 先ず第一点でございますが、私先ほど申上げましたのは、寄留事務並びに世蔕台帳事務につきましては、実質的に見まして国のほうから市町村に対して財政的裏付け現状の下においてはなされていないと私は申上げたのであります。でありますから寄留にしましても、世蔕台帳にしましても、事実上全額、或いはそれに近い額が市町村負担になつておるという現状であるということを申上げたのであります。で住民登録経費は先ほど申しましたように、この寄留事務世蔕台帳事務を合せたものでほぼ賄えるのではないかという観測なのでございます。それは経営費であります。でありますから経営費につきましては現状を改めまして、明確にこれは平衡交付金算定基礎として取入れらるべきものじやないかということを我々は考えておるのでございます。  それから初度調弁費でございますが、これは今までにない新らしい制度創設となりますので、これは初年度限り必要な経費でございますが、これを市町村負担にするということは、現在の市町村財政現状からいいまして非常に無理があると法務府としても考えておるのでありまして、この初度調弁費、この数額幾らになるかということは、これは結局二十七年度予算要求の問題になりますので、まだ予算の折衝も始めておりませんし、法務府としてもその数額ははじき出していないのでございます。準備はいたしておりますけれども、まだはじき出していないので、ここでまだその数額を申上げるまでの段階になつていないのでございます。併しながらいずれにいたしましても、この初度調弁費というものは、これは経営事務に要する経費とは別個の性質のものでありまして、これは国が直接に負担すべきものであるというふうに法務府としては考えておるのであります。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大変我々の考えに合うお話を一部分承わつたのでありまするが、昨日私たち委員会で、警察法の一部改正に関して、やはりこの地方自治体警察が定員の枠を外された場合に、治安維持上自由にこれが増員をするということの場合には、国が平衡交付金によつて増員分を見るということについて、法務総裁は、これを保証することができるか、そういうことをやつてくれるかという質問をしました場合に、そうしたいという、まあ努力したいという気持は持つておる、併し確かなことは言えないというのでありますが、只今のあなたの御答弁では、この初度調弁費幾らかかるか知れないが国で負担すべきものであると考えるし、法務府としては国で負担するようにしたい、こういう御確言があつたわけです。そうしますと重ねて申上げまするが、これだけは地方には迷惑はかけないということをこの際言明できますかどうか、重ねて御答弁を願いたいと思います。
  21. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 只今申上げましたのは法務府の見解なのでございまして、昨日警察法改正に関しまして法務総裁が言われたのと結局同じような趣旨になるわけでございます。ここで私確信するというわけにはこれは勿論参りませんし、仮に確言いたしましたとしても、それがどういう效力を持つものか、何らの效力のないものになるだろうと思うのであります。要するに法務府としましては、この制度を作つたために市町村財政的な負担をかけてはいけない、そういう方針で来年度予算の折衝もいたしたい、そういう気持でおるのであります。それから要するに来年度におきますところの国家財政全般の問題でありまして、如何なる結果になりますか、今のところ全く予想もつかないのでありますが、予算の状況によりましては、この初年度におきまするところの実施方法につきましても、いろいろ考慮を加えまして市町村負担を増すことのないように十分努力したい、それだけを……、それ以上はここでは私としましても申上げかねる次第であります。     (「空手形は駄目だ」と呼ぶ者あり)
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると私たちも聞きつ放しになつた形でどうも審査をする目的を果すことができないのでありまするが、提案者である衆議院側にお伺いしますが、これは政府與党である自由党の諸君も御発議になつておられるのでありまするが、政府與党としましては地方財政強化ということは最も大きな政策として掲げておるのでありまするが、現実にこういう問題が起るような法案が国会に出されるというような場合に、政府、特に大蔵当局等との間にこの財政的な分担の問題等について考慮せられて、地方財政に迷惑はかけない、こういう形でおやりになつてこそ私は議院立法として誠に地方民に裨益する点が多いだろうと考えるのでありますが、この点について発議者から政府側との間にどういう交渉があつたのであるか、現段階においてはどういう結論を得られておるのであるかお伺いしたいし、法務関係におきましても、この法案施行に当つていつかは金のかかる問題でありまするから、財政当局とどういうお話合いがあつたのであるか伺つておきたいと思うのであります。
  23. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) 只今の御質問御尤もと思いますが、我々は大蔵当局と直接折衝はいたしておりませんが、法務府が今まで大蔵当局と折衝したるところを聞きまして、それで今あなたのお説の通り地方に準備費と負担をかけないで済むのだ、こういう考えから提案したわけであります。というのは大体二十六年度において施行しようとして、相当予算が取れるかということを法務府で折衝したそうです。二十六年度ではいかんと、こういうので、それでその折衝は、勿論準備費は全部国庫において負担すべきものだという前提から折衝しました。そこで二十六年度において、二十七年度七月一日からこれは施行するということになりましたが、それには二十六年度において準備しなければならん、こういうので先ずそれでは二十六年度の準備費は出すから、こういうことで、本年は千八百万円ということになつております。従いまして予算に上つておるのであります。従いまして本年度においては施行するだけのものをどうしても出してくれ、それは法務府の最初に出した額は出せんか知らんが、それはできるだけ節約はしなければならんけれども、要るものは負担しなければならん、こういう前提の下に二十六年度でそれを認めてくれた、こういうことでありますから、高は分りませんが、大丈夫方針だけはやれるものという見通しで以て我々は提案した次第であります。
  24. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 二十六年度予算のことは只今鍛冶さんからお話なつ通りでありますが、もつと正確に申しますというと、二十六年度予算に入つておりますのは千八百十三万八千円でございます。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 内容は……。
  26. 平賀健太

    説明員平賀健太君) そのうち千二百四十万四千九百円というものが戸籍附票の用紙印刷代、それからその他の六百万円というのは、旅費であるとか、会議費であるとか、その他の雑費なのでございます。で何と申しましても、これだけではとても実施は勿論できませんので、当初二十六年度、即ち本年度から実施の予定でおりましたけれども、更に一年延すことにいたしまして、この制度実施に必要な経費の本体は二十七年度予算において要求をする、そういうことになつたのでございます。二十七年度予算要求すべき初度調弁費、これは先ほども申しましたように、まだ予算の折衝の段階には大分間がございますし法務府としてもまだ数字を出していない実情で、勿論大蔵省との間に住民票なんかについては話合いをまだ全然いたしていないのであります。併しながらこの法案が今度の国会に出るということにつきましては、大蔵省としても了解を得ていることであります。それからなお地方財政委員会との関係でございますが、地方財政委員会見解といたしましては、やはりこの初度調弁費、本制度創設に必要な経費は国が負担すべきものであるという見解を持つているわけであります。ただ経営費につきましては市町村負担で行こう、併しながら衡交付金の中に織込む、これを法律改正いたしまして明確に住民投録事務費として出すかどうか、そこまではまだはつきり話がついていないのでありますけれども、少くとも実質的にこの住民登録事務費というものを平衡交付金算定基礎の中に織込むということについては、地方財政委員会事務当局も十分了解をいたしておるのであります。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今戸籍簿の附票代金一千何百万円というものを計上しているということですが、そのほうがわかつてつて住民票のほうの初度調弁費がわからんというのが、私のほうは素人でわからんのですが、片方のほうの計数がはじき出せるならば、片の住民票の計数のほうも、又それらに要する経費の類推計算もできるのじやないかと思うのですが、このあたりはどうでしよう。
  28. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 戸籍附票がわかつておりますのは、本年度予算に載つているから、はつきりいたしておるのであります。住民票につきましては、これは来年度予算であります関係上、まだ数字をこちらとしては出していない。結局用紙の問題になりま。用紙を如何なる質にするかという題もございまして、まだこちらとしてははつきりした数字を今のところ出していない、そういう実情なのでございます。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも私素人ですから……戸籍簿の附票というものの予算は出ているからきまつてわかつているのだというのですが、これは予算の出る根拠の資料というものがあつて予算が出たものなのだろうから、そうしますと、住民票のほうの根拠もいろいろな類推で出て来て、予算の概括的な計数というものははじき出せるのじやないか、そういう意味の予算なんで、予算書に載つていないからわからんということを聞いているのじやないのですから、その辺のところを一つお伺いしたい。
  30. 平賀健太

    説明員平賀健太君) それでは御参考までに、昨年度予算要求の際出しました数字を申上げます。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それは二十五年度ですか。
  32. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 二十六年度予算要求の際にはじき出しました数字であります。住民票の用紙代が約三千八百万円となつております。それからその印刷費が千二百万円、でありますから合計して約五千万円に相成ります。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうして五千万円で、その他の諸経費を加えると、初度調弁費幾らになるか。
  34. 平賀健太

    説明員平賀健太君) それは先ほど繰返し申上げましたように、結局来年度予算になります。而も国家財政全般というものを考慮してきまつて来るのでありまして、今数字をまだ申上げる段階になつていないのでありますが、御参考までに申上げますという、と、これも昨年、二十六年度予算とい  たしまして、当初約八億円を、この初度調弁費として要求した事実があるの  でございます。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 他の財政問題は、地財委が出席しましたとき質問することにして保留します。
  36. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私は小笠原君と同じような質問でございますが、特に発議者たる鍛冶さんにちよつと弁明を求めておきたいと思います。この問題がだんだんと微に入り細に行きましたらば、ここで八億円というような金が出て参  つたのでございますが、この金が二十六年度では出なかつたために、一年延ばされまして、来年の一月からやられる、こういうことと我々は了承します  が、そういたしまして、そういう経費の問題は発議着たるあなたは必ず国庫で持たせるように今後努力せられるか、経営費に対しましてこれを補助制度でやるか、或いは平衡交付金の中にはつきりと織込んでやるか、そのために御努力せられなければ発議着たるの責任が取れんじやないか。私は議員提出というものに対しましていつも疑義がありますのは、あとはその官庁に任してやつて、出すだけは自分たちが出す、こういうことでは折角の今後議員提出の案が出ましても、議員同志でいろいろの論争をするということになりますことは非常に遺憾に思います。特にあなたは自由党の幹部でいらつしやいますから、大蔵大臣と折衝せられるのにおきまして、ほかの官庁事務的折衝よりも政治的折衝をせられまして、地方財政の今困窮しておりまするものを助けてやる、そうしてこの住民登録というものは私は非常に賛成でございますので、はつきりしたものを作つて頂く、こういう点を只今速記録にしつかり書いて、こういうあれで御答弁願いたいと思います。
  37. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) 御趣旨は勿論その通りでございまして、我々は微力ながら責任の及ぶだけは盡したいと考えております。それから地方負担にも勿論余計になれば国庫として出すべきものですから、これは先ほども申しましたが、平衝交付金の決定の際に、これに対する項目一つ設けるべきものである、この点は我々も委員会で論議したのですが、ただそのように了解ができていると思いますし、又あらねばならんものですから、それならよかろうということで引受けました。将来においては微力ながら努めますることは当然でございます。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 他に財政的な質問がなければ、他の質問をいたしたいのですが、衆議院側にお伺いしたいのですが、第二十九條、第三十條の修正並びに追加挿入の條文についてですが、国の固有事務か、市町村固有事務なつたというのに対して、国並びに中間機関、その行政機関がこれらにさまざまな形で關與するということについては、世上いろいろ論議のあるところでありまするが、如何なる理由で二十九條が修正され、三十條が追加挿入になつたのであるか、その経緯についてその趣旨を御説明願いたい。
  39. 鍛冶良作

    衆議院議員鍛冶良作君) この二十九條は前のと異なりまして、修正いたしたのでございますが、大体において同じ趣旨であります。最初の原案は、住民登録事務の取扱に関して疑義を生じたときには、市町村法務総裁にその意見を求めることができる、こうなつております。この趣旨は、主として成るべく各市町村でまちまちでなくて、でき得るものなら全国に統一して、お互いに変つたことでないことを希望するというところからであります。そこでその趣旨でありましたが、その他この今変更しました二十九條、それから三十條を附加えましたのは、公聽会と申しますか、参考人として専門家の意見を聞いて、やはり市町村固有事務といえどもわからんときにはこれを聞き、又間違つたようなことがあれば注意してもらう、この程度のことがよかろう、こういうことです。それから三十條は必要のないことでもないし、こういうことがあれば非常に何かと仕事をする上において便利である、又なくちやならんものだと思う、こういう要求がありましたので、それで加えたわけでございます。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この点は御意見のあるところだろうと思いますが、御質問申上げる前に一つわからない点を聞いておきますが、三十條の「住民票の記載事項に関して報告を求めることができる。」というのですが、住民票の記載事項に関してとは、内容は何です。
  41. 平賀健太

    説明員平賀健太君) これは現在でも世帯台帳に基いてやつておることなので、住民の人口、それから男女別人口、それから年齢別人口、或いは住所の移動関係、転出入の数、そういうようなものを大体予定いたしておるのであります。結局人口の動態統計が主たる内容になつておるのであります。
  42. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 岡野国務大臣は目下所在がわかり度せんから、判明次第お知らせいたします。(「怪しからん」と呼ぶ者あり)それから地方財政委員長、又は委員は目下交渉中であります。地方財政委員会の直接担当事務官は目下出張中であります。只今の間に合いませんから、次回に呼ぶこととして如何でしようか。    〔「異議なし」1と呼ぶ者あり〕
  43. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) なお御質疑がおありのことと思いますが、本日はこの程度で散会いたします。次回は追つて公報でお知らせいたします。    午後零時二十六分散会  出席者は左の通り。   法務委員    委員長     鈴木 安孝君    理事      伊藤  修君    委員            長谷山行毅君            山田 佐一君            一松 定吉君            須藤 五郎君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   衆議院議員            鍛冶 良作君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川 宏君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   説明員    民事法務長官総    務室主幹    平賀 健太君