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1951-05-24 第10回国会 参議院 文部委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)    午前十時五十三分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教科書用紙割当撤廃後の教科書の  需給状況及び配給検定等に関する  件)  (教育行政問題に関する件) ○民間学術研究機関の助成に関する法  律案衆議院送付) ○産業教育法案衆議院提出)   ―――――――――――――
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。  先ず文部教育関係についていろいろ問題の多い教科書のことについて質疑を通告されておりますので、この質疑を許すことにいたします。
  3. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はこの際この教科書配給並びに検定の問題につきまして文部省側並びに教科用図書検定調査審議会、それらの方面質問したいと思います。先ず教科書配給について質問したいと思うのでありますが、私北海道の者でありますが、北海道の現地に帰つて状況をいろいろ聞いたのでありますけれども、四月の配給につきましてはまだ教科書が来ておらないというのが大分あつたのであります。なお又新聞投書等を見ましても、これに対し非常に子供学習配給が遅れているために困つているというふうな、こういうふうなことを見ておつたのでありますが、この実情につきまして審議会並び文部省側では、いろいろ調査されておるだろうと思うのでありますが、それを伺いたいと思います。先ず審議会方面から……。
  4. 石井一朝

    説明員石井一朝君) 教科用図書検定調査審議会石井でございます。私ども審議会は、只今質問がございましたような問題につきまして、文部大臣の諮問に応じ且つ具体的な対策につきまして建議をするという審議会でありまして、そういう意味でお聞きりを願いたいと思います。  問題の只今質問下さいました、この供給の問題につきましては、文部省でも詳細な調査をいたしておりますが、先ず総括的に申しますと供給は必ずしも不完全ではないのでありましてでありますが、同時に又完全に満足すべき状態でもございません。従つて四月の初めに教科書が間に合わなかつたと、或いは注文した教科書が間に合わないだけでなくて、将来入手できないというような実情もございます。間に合わないのは現在に至りましてもまだ学校の手許まで届いていないという教科書もあるようであります。これは実情はすでに御指摘下さいました通りでございますので、むしろ私どもの方ではその原因調査し且つその原因を取除く画策を検討しておるわけであります。そのことを簡単に申上げますと、こういうこの四月に教科書が間に合わない、ないしは間に合わないだけでなくて将来入手できないという状態になりましたのは、発行業者発行不能者ができたという原因一つあるわけでございます。それから発行遅滞者が生じたというのが一つ原因発行不能者と申しますのは、その教科書を作り得なかつた発行会社遅滞者は四月の定時に供給し得るように教科書生産ができなかつた会社なんです。これは教科書発行業者のこの過度の金融難から起きて来た現象なんです。これは何故さような発行不能者ないし発行遅滞者を生じたかということにつきましては、詳細なる調査並びに対策研究しておりますが、最大の原因教科書会社に対する金融が過度に逼迫したことによるものであるというふうに我々は把握しておりまして、発行のできましたものについても同様の条件がございますので、総括的にこの対策を如何にすべきかということにつきまして只今研究をいたしておりますというような段階でございます。なお詳細なことは文部省の課長さんが見えておりますので御説明下さると思いますが、簡単に申上げますと以上の通りでございます。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 概略今承わりましたので文部省のほうから一つ
  6. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 今年度の教科書がうまく行つているかどうかということにつきまして、教科用図書分科審議会石井会長からお話があり、その中で大体はうまく行つていると思うけれども中に発行が不能になつたものと、遅滞というものがあつて遺憾であるが、その原因については十分調査して対策を講じたいと思うということでありますが、やはり文部省におきましても審議会調査答申によりまして善処いたしたいと思いますが、文部省側からいたしまして現在調査いたしましたところにおきましての状況お話申上げますると、全体的には逐年うまく行くようになつたというふうに考えております。何分新らしい制度が発足いたしましてから二十四年度、二十五年度の二カ年を経過いたしまして今年は三年目であります。非常に根本から変りました教科書制度であるにかかわりませず、然も発行者も七十社を算え、教科書の種類は小、中、高を合せまして千六百種に及ぶ、かような厖大な仕事を、又根本から変りました制度におきまして今日の供給状態に至るということは各方面の非常な御同情、御協力の賜であることは勿論でありますが、発行者においても又学校側におかれましても非常な御協力の結果、今日の状態では私といたしましては必ずしも悪い状況ではないというふうに考えております。数学的に申上げましてもこの四月に間に合うべき教科書につきましては、各発行会社が発送いたしました数量必要数量と比べまして上廻つておるという状況でありまするから、全国的に見ますると大体うまく行つているという判定ができるわけでございます。併しながら何分にもこの各学校で御報告になりました数量と申しますのは約十カ月前に御調査になりましたものでありまするので、その間におきまして生徒の転入学学校等移動等がありまして特に過不及ということが行われましても、このことは勿論明治の初めから教科書過不及というものは多かれ少なかれ実際問題としては事実あつた問題でありますが、これを如何に早く調節する、不自由なく手だてをするかということが問題であると准じます。只今状況におきましては各発行者とも不足であるという声を聞けば直もにこの対策を講じまして、学校に御不自由のないように教育が支障を来たさないようにということに折角努力中であると考えておりさす。新聞、ラジオその他文部省へも或いは発行者へも手紙等で通知いたして参つております分につきましては直ちに調査いたしましてすぐに手配をいたし、御り不自由な点はできるだけ早く片付けるということに努力いたしております。なお今年は特に山間僻地又は島嶼等におきまする学校に御不自由をかけていやしないかというような点につきまして、実は文部省といたしまして先般約千七百校ばかりに対しまして往復著書を持ちまして供給実情調査を抜打ちにやつておるという状況であります。まだその結果は出ておりませんが教育委員会にも連絡いたしまして今後の供給上の改善に関しまする意見を徴すると共に、同時に目前の問題といたしまして不自由なる所は早く始末をつけるということに目下鋭意努力中でございます。大体以上のような状況でございます。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 大体のところわかりました。私は今の御答弁からいろいろ考えるのでありますが、この発行不能というような方面は主として金融難原因しておる、これに対して文部省といたしましては何か心配してやるというふうなことはないかということが一つと、それからもう一つ子供の手に教科書が渡らん、こういうふうなことについて私はこういうことを考えるのです。用紙十分出版者に渡らないために、そういうふうなことが起つておるのじやないかということが考えられますので、実際においてはどれだけの紙が教科書用としてこれまで割当てられておつたか、それが事実その割当通り行つてつたか、こういうふうなことにつきまして伺いたいと思うのです。  それからなお遅滞しておるという配給が、この原因として供給機構に何か不備な点がないか、こういうふうなことも考えられます。そういうふうな点について伺いたいと思います。
  8. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 第一点の教科書金融の問題でございますが、教科書金融上の特徴といたしまして非常に多額お金が長く寝るということに、非常に普通でさえも金融難でありますのに金融上更に困難が予想されまするので、両三年前から関係当局特に大蔵省、日銀とも協力を願いまして、実は重要産業なみ教科書製造運転資金につきましては優先的に斡旋をして頂くということになりまして今日に及んだのでありますが、今年度の教科書を製造するに必要といたしまする金額は諸物価の上昇と同時に非常な多額になりましたために一層今年は困難を感じたのでありまするけれども、重要な教科書のことであるということと、各金融界協力を得ましたために今日におきましては大体におきましてどうやら切り抜けて参つたのでありまするけれども何分にも対象がいろいろ信用事情或いは経営状態も個々の会社になりまするといろいろございまるので、その信用程度なり或いは事業能力の点に対しまして、金融界がいろいろ調査いたしました上で金融措置をして貰つているような状況でありまして、その折衝に手間取りましたために遅滞を生じたというようなこともございますが、この点につきましては文部省としてはできるだけそういうようなことのないようにできる限りの援助努力をいたした考えでありまして、この方法が一番有効と考えられますので今後とも努力をいたして参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから用紙につきましては、やはり金融と密接に関係がございまして、用紙数量生産割当につきましてはやはり皆様方の御鞭撻のお蔭を以ちまして関係各省及びメーカーのほうも非常に大事な教科書のことであるというので協力をして下さいまして、数量の確保につきましては御心配ない程度になつておると存じます。何分引取りにはお金がかかることでありますので、このお金の問題について更に努力を重ねたいというふうに考えておる次第でございます。なお供給の問題につきましてここ二、三年経験をして参りましたので、幸い先ほど石井会長の、審議会におきましても各地方からの代表者が出ておられまするので、只今懸案事項といたしまして過去二、三年の経験と実績をよく調査されまして、これに改善をすべき点がないかどうかということについて慎重に御研究でございます。文部宵といたしましてもこの協議会審議会と力を合せまして制度の上の改善ということにりきましても今後慎重に且つ早急に改善を図るようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の制度上の改善というような、配給機構の面ですね、今お話がありましたが、これは実際において審議会或いは文部省でどういうふうに考えられておるかこの点を一つ
  10. 石井一朝

    説明員石井一朝君) 先ほどの供給の問題、教科書生産その他の問題につきましては、私ども審議会ではこれすべて循環関係を持つている現象であるというふうに把握しております。循環一齣から申上げますと、例えば統制が撤廃されまして紙の値上りがあります。そういたしますると自然教科書が高くなります、高くなりますと子供が大体買えないということになるわけであります。現在の教科書最高価格は七十幾円、平均は四十円程度であると記憶しておりますが、用紙値上りを見込みますと、これがかなり多額教科書代金になるというふうに私どもは見ておるのでありますが、百円近い教科書も現われて来る可能性がないとも言えない。そういたしますと、現在でも我々の推定パーセントによりますと約三割近い子供教科書が買えないでおるというような実情でありまするのに、更に高い率になつて現われて来るのではないかというふうに思つております。買えない子供古本で間に合わせるということになります。今循環一齣を申上げますと、古本で間に合わせる、又は全然買わないということになりますと、現在のやり方で行きますと残本返本ができるということになる。学校供給の方では在籍児童数を以て各発行会社に注文をいたします。買えない子供を見込まないで注文するもんですから残本返本ができる、この残本返本がひどいのになりますと、所要数量の六割見当にもなる。いいのでも二分三分の残本返本のない教科書というものは今ないわけです。これが教科書会社のすべて欠損になつて現われて来るわけであります。この残返本のために倒産の寸前まで来たという会社もある。そういうふうにこの循環関係から極めて不健全な経営に各発行会社が追込まれているこれを金融機関が見ておりましてこれに対する金融を渋り金を貸さないというふうなことから、先ほど最初の御質問にございましたように、発行不能者も又は遅滞者というものが生じて来る、それが又更に新たなるこの不利益、且つ不公平な状態学校の方へ伝播して来るというようなわけでありまして、この悪循環的に日本の教科書の在り方というものが非常に不健全な方向へ進んで行く可能性がちらちらと見えて来たというふうに私ども考えているわけです。それでありますから、抜本的な対策を現在あるより以上に特に政治的な力で作り出さない限り、高い教科書で買えない子供ができ、発行業者が苦悶するというような状態が長く続く可能性があるというふうに審議会では考えております。それらのものを一括して根本的に解決する方法などを現在考えているわけであります。  先ほどの供給機構の問題でありますが、発行業者がさような非常に苦しい状態にありますために、金融機関が大体所要額の六、七割見当金融しかしない、申込みました金額をとても金を貸してくれないというふうな状態であるようであります。従つてその差額を何とかしなければ教科書生産ができないわけです。自己資本はすでに食い尽して無いというところから金融教科書供給業者に頼るという傾向が非常に顕著に現われている、教科書を取次いで販売する業者発行業者が金を借りる、従つて供給業者が一種の金融機関化して来るという状態がここに起きて来ているわけです。このために教科書を作る者が配給をする者よりも上位に立つて指導的でなければならないのに、その位置が転倒いたしまして非常に供給業者に媚びたいろんなやり方が生じて来るのであります。その結果が知らず知らずの間に供給などの心理的、精神的な遅滞を招いているという、つまり調節作用などが迅速果敢に且つ適切に行われない、こういう状態が生じて来ているように私は考えているわけです。つまり教科書供給するという公共的な仕事が次第に公共性がむしばまれて行きつつある。これをやはり教科書発行に関する金融上の諸難関と共に併せて解決したいと考えまして文部省などと御相談をいたしながら抜本的な対策を現在検討しているわけであります。以上でございます。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の審議会の御答弁で極めて私は教科書の問題について重要な問題があるということがわかつたのでありますが、結局これは教科書が高くなつて買えない子供が三割も出て来ている、そのために残返本が六割に達するというような現象も出て来る。そうなつて参りますというと、今度は製造元では或いは発行者の方では手控えというやつも起すのじやないか、大体内輪に見積つてこのくらいやる、そうすると実際に使うところの子供の数に合わないところの印刷しかしないものであるからして配給遅滞なつたり、不能になつたりする状態に陥りやしないか。そういうふうなことを総合して見ますというと、極めてこれは重大な問題であつて文部省といたしましてもなおざりにして置けないところの問題じやないか、何とか子供教科書配給するということに対する一つ根本的な是正法とでもいいますか、対策を講じなければならないように思うのでありますが、この点について文部省としてはこれまで何らかの計画を持つておられたか、或いは今後これに対するどういうふうな対策を持たれているか、この点について。
  12. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 只今の御発言誠に適切な御発言でございまして、私どもといたしましてもさようなことが起きてからでは間に合わないという考えを持ちまして前々から心配いたしておつたのでありますが、今日におきまして只今石井さんの会議の方におきまして文部大臣からも諮問いたしまして、今折角各地方からの資料も集めまして検討をいたしております。現在までに申上げるまでの案はできておりません。今後できるだけ早く審議を進めまして御期待に副うようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 この問題は文部省側としてそういうふうに今後の対策を急いで立ててもらうと同時に、私は文部委員の一人といたしまして、文部委員としてもこの問題は相当大きく取扱つて、今後それに関する法案の作成とかいうようなことについても考えて行かなければならん、こういうふうなことを考えております。  その問題はそのくらいにいたしまして、次に教科書検定問題について伺いたいと思うのであります。これは教科書検定教育委員会法によつて本質的には、原則といたしましては教育委員会で以て検定することになつておるのでありますが、いわゆる地方検定になるのが原則のようでありますが、ただ紙統制が撤廃されるまではこれは文部大臣の方で検定を続けるということになつておるのであります。それで現在においては紙の統制が撤廃されておるはずでありますが、そうなつて参りますというと、当然これは地方検定に移らなければならないと思うのであります。この点について実はどういうふうになつておるか、文部省側にお伺いしたい。
  14. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 只今お話の中に用紙撤廃というお言葉がございましたのでありますが、教科書用紙に関しましては今月、五月一日付の通産省初め関係各省の共同の名前を以ちまして出されました省令によりまして教科書用紙に関しまする統制停止という処分でございまして、法律的には変りはないわけでございます。従いまして教育委員会法にございます地方検定が始まるというところにはまだ参つておらないのでございます。併しながら教育委員会法にもございますように、用紙撤廃になりました後におきましては地方検定が始まるわけでありますが、この問題につきましては御承知のように文部大臣の定むる基準によるということになつておりまして、この基準解釈検定基準も勿論ございまするし手続上の問題もございましよう。かような意味におきまして、この基準につきましてはこの教科書用図書分科審議会におきまして案を検討いたされておる状況でございます。  それから各地方教育委員会におきましても、それぞれ具体的に研究を進められておる状況でございますが、何分にもこの問題は具体的な問題となりますると、種々研究を要する部面が相当に重要な問題があるように考えられますので、特別委員会におきましてもその実施上につきまして教科書制度上の大きい問題でありまするので只今慎重に検討をされておる次第でございます。従いまして用紙撤廃後におきしまする地方検定の問題につきましては、恐らく用紙撤廃ということが行われまする前に十分な研究が尽され、且つ十分な準備が行われて、そうして実施ということになるものと私どもは見通しといたしまして考えておる次第であります。現在におきましては只今先ほどに申上げましたように、教科書用紙につきましては統制停止状況にありますので、法的にはまだ地方検定の適用というところまでは至つておらないという状況でございます。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁で私非常に面白い言葉を聴いたのでありますが、用紙統制撤廃ということはかねがね私らは聞いておつたのですけれども、それに似たようなもので統制停止ということがあるわけなんですね、これは何か一体法的な根拠があるのでしようか、或いは今回改めて作つたようなことなんですか。これをちよつとお伺いしておきたいと思います。
  16. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) これは、法律はそのままにして適用しない、具体的に申上げますというと、いわゆる臨時物資需給調整法によりまするマル公を設定したり、或いは通称いわれておりまする切符で物を配給したり、こういうことであつて法律的にはそれを廃止したのではなくて、一応運営を停止したということになるんだそうでございます。法律解釈といたしましては大体その程度しかお答えできません。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、それは教科書用紙にだけ限られておりますか、統制停止というものが。
  18. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 教科書停止にだけ限られておりまして、省令の中にそれがはつきりと謳つてございます。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは教科書用紙にだけ停止ということを適用するという理由はどういうところにあるのですか。
  20. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 私申し落しましたのですが、只今統制停止という事柄につきましては、用紙だけでなくて又はかの重要物資、いろいろ例はございまするのであります。教科書用紙だけに限られた理由は、一つ用紙の銘柄を維持し、且つ教科書用紙が相当数量が多いものでありまするから、その数量の維持を図るために停止、何と申しますか、全然野放しにしないということが最も法律的な手だてといたしましても行政的な事務上もよろしいのではないか、というところから考えられた措置というふうに承わつております。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 あなたに事務担当立場から伺いたいのですが、学習指導要領がしよつちう変るのですが、これは相当発行者の方でも編集とかなんとかそういうものにかかる。そういうことのために教科書が非常に高くなつたり、先のように供給不活溌になつたりするような原因考えられるのです。あなたの立場からどういうふうにお考えになりますか、しよつちうこういうふに変つて、実際においてそういう影響がないかどうか。
  22. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 学習指導要領がしよつちう変るという全く御意見通りでございます。併しながら何分初めの学習指導要領昭和二十二年に初めてできたものでありますが、六三制に合せまして、新らしい教育のあり方に対しまして学習指導要領をいわば慌てて作つたという状況でございます。従いまして試案という立場に立ちまして一応適用してみる。併しながら適用してみると誠に杜撰なようでありまするけれども、実は短日月で許される範囲内で又できるだけの努力をいたしまして、基礎調査もいたしまするし、又社会調査或いは児童の生活、或いは能力興味等調査をできるだけいたしました上で組立てたものが学習指導要領でございまするし、昭和二十二年の試案何分にも短日月の間に十分な検討はいたしたつもりでありまするが、まだ欠けるところが相当あるであろうということが予想されましたので一応適用いたしましてそうして二十三年度一カ年聞及び二十四年度に亘りまして、その計画実施されました学校からそれぞれの立場からの研究及びこちらから詳細な調査事項を示しまして実施した結果につきましての批評なり、或いはいろいろな資料を集めまして、そうしてそれを元といたしまして改憲に着手いたしましたのが今回の学習指導要領でございます。まだ全部でき切らないのでございますが、このために教科書側の方から見ますると、折角初めに検定制度を布いたときには前の二十二年度試案によりまして検定をいたしたのでありまするが、学習指導要領が今後漸次変る、この間に中間報告等をいたしまして或る方向を与えましたので、各著作者はその方向に基きまして改訂に着手いたしました。時目的に見ますると僅かな三、四年の間にかように学習指導要領が変つたために教科書を改訂しなきやならん。そうでなくてさえも編集にいろいろなお金がかかるという事情になりましたことは誠に遺憾でありまするけれども教育の発達の上から広く考えましてこれもやむを得ない事情ではないかというふうに考えられますので、その点は御同情を頂きたいというふうに考えております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣はいつ来ますか。
  24. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 午後来られます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は大臣お出でになつてからやるのだろうとこう思つておりましたが、大臣お出でになつていないのでやるのは非常に不満でございます。私は結局この事務的な技術的操作だけでは解決できないものがあるのでして、大臣から聞いて頂いて延いては本年我々なんかが作つたところの新入生に対する教科書の無償供与、あれはどういうふうに行われたか、それから用紙事情というものは来年はどういうふうに予想しているか、そういうことを尋ね、更にそれに対する対策というものを、すでに予算編成期も入つて行くわけですが、それを我々が本国会が終る前に大臣にはつきり一応その決意を承わつて置きたいというのが私は目的だつたと思うのでございます。それで大臣がお見えにならんで今まで進んで来たわけですけれども、ここにおいでになれば質問するのですが、まあ大臣がお見えになつたそのときにお伺いするとして、事務当局のかたがここまでお出でになることが非常に事務上不都合だとあらば、私はここで一二点折角おいでになつておりますからお伺いして置きますが、教科書用紙統制停止ということをまあ聞いておりましたが、用紙統制撤廃と同時に生産状況はどうなつておりますか、統制以前と生産状況はどうなつているか。それから統制前の闇価格と統制後における価格との関連はどの程度になつているか。それから次に教科書用紙確保に対してどういう現在考えを持つておられ、又どういう手を打つておられるか。それから本年度の教科書用紙というものは勿論統制前に確保されているわけであるが、今後の殊に来年の四月発行されるところの教科書用紙の価格をどの程度に見ておられるか、それらについて事務当局に伺つて置きたいと思うのです。
  26. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 教科書用紙統制停止後におきまする紙の生産状況のお尋ねでございますが、私直接紙の係りではございませんが、連絡をいたしまして折衝いたしておりまする状況から申上げて、私の存じておる限りにつきまして申上げて見たいと存じます。生産状況につきましては所要用紙の銘柄と数量は確保できる見通しの下にあるというふうに考えております。それから用紙の価格でございますが、市場価格につきましては前の銘柄と単一な銘柄でなくて、いろいろな種類の同じような質のいろいろな種類の銘柄が出て参りまして、各メーカーにより、又各銘柄によりまして値段は現在の市場価格はまちまちであるというように承わつております。物によりますると四割程度値上りのものもありまするし六割程度値上りのものもあるように承わつております。併しながら何分にも教科書は非常に数量の多いものであり、且つできるだけコストを安くいたしまして供給しなければならないという立場から考えまして、只今文部省と通産省と安本物価庁等及びメーカーのほうと協議いたしまして、今後少くとも四半期ごとにはさような会議を持ちまして、銘柄の維持と数量の確保ということにつきまして会議を持ちましてその確保を図ると同時に、値段につきましても只今の市場価格の野放しではなくて相談の上でこの市場価格よりもはるかに下廻つた値段、即ち教科書の定価にできるだけ紙の値上りから来る大きな大幅の影響が少くなるように、併しながらそのために紙質銘柄を極端に落すということのないようにというような立場から十分検討をすると同時に、その実施を図つて行くという手だて只今講じている状況でございます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単にお伺いします将来のことをお開きするのも無理だろうと思いますが、ですから過去或いは現在のことをお伺いしますが、不合理な統制が非常に生産を低下した、メーカーの生産意欲というものを低下させたということで統制撤廃したわけですが、その後生産状況はどうなつているかということをもう少し端的に承わりたいと思います。
  28. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 紙全体の状況から申上げますと、パルプの値段が国際価格の水準に、自由になりましたために近付いて参つたので、パルプの事情が前よりはよくなつたのではないか、従いましてここ数カ月或いは一年くらいの間はやや混乱するかも知れませんけれども、各メーカーともその得意とする紙質銘柄の点におきまして工夫をすると同時に値段でも競争をすることになると思われる、従いましてここ数カ月乃至一年の中には紙の値上りというものはそう不当には上らないで、むしろ一般出版社は教科書面に対しましてできるだけサービスをするという立場を取るようになると思うから、それで恐らく数量は勿論のこと値段もそう上るものとは思われないというようなことを私は間接に聞いておるだけでありまして、私の知る限りにおいての責任のあるお答えということにはなりませんけれども、さように承わつているということだけを申上げるにとどめたいと思います。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 通産省でないからどの程度生産向上状況にあるかということをお聞きするのは無理だと思いますから、それを切りまして次にとにかく統制を撤廃してあるわけですが、現在におきまして教科書用紙がどの程度つておりますか。先のことをお伺いしません。現在教科書用紙がどのくらい市場において上つておりますか。
  30. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 値段ですか。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ええ教科書用紙の。
  32. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 教科書用紙の値段につきましてはここ一両日物価庁のほうが中心になりまして先ほど申上げました関係各省及びメーカーと相談を進めておりまして、教科書用紙に対する値段が恐らく参考値段というような点で落ち着くところに落ち着くのじやないかというふうに考えております。即ち先ほど申上げました市場価格はいろいろまちまちで四割乃至六割上つているものがあるけれども教科書用紙につきましては、それを下廻る程度において参考価格として落ち着かせたいということで或いは今日も会議を進めているのじやないかと考えております。そういう状況であります。はつきり何割上つたということはまだ申上げるときに至つておらないのであります。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点お伺いします。新聞用紙統制撤廃であるが、教科書用紙統制撤廃でなくて停止なつた、この停止なつたということについては用紙確保のために利用しようとお考えになつておるかその点をお聞きしたい。
  34. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 停止という処分にいたしましたときに、次官会議におきましても又関係省である通産省及び安本、それから物価庁と相談をいたします場合においても停止ということの裏付といたしまして教科書用紙は必ずその紙質も又数量も確保しなきやならん、その行政事務上の立場として大変適当であるというのでそういうふうな措置をとつたというふうに承わつております。又通産省設置法の中にも紙の消費及び割当に関する調整をするというような事務がありまするので、これをまあ活用いたしまして、只今申上げました少くとも毎期ごとに教科書用紙の種類と或いは数量というもの及び値段というものの確保並びに適当なる運営に資するというふうにいたすことができたのはやはり停止という処分がもたらした効果じやないかというふうに考えておる次第であります。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点。もう少し端的にお伺いしますが、停止としてあるのは、量を確保できないとか、或いは非常にその他の用紙の価格高騰につられてやはり教科書用紙が不当に上るというような場合には停止だから更に教科書用紙だけは統制をして確保すると、そういうような行政的な手を打つというような含みを持つているのですか、いないのですか。その点まあ端的に承わつて置きたい。
  36. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 停止というところから直ちにはそういう問題は出て来ないと思いますけれども、少しでもできそうなものは手がかりなり足がかりなりにして用紙の確保を図りたいという、この気持は文部省も通産省も同じだと、こういうふうに考えております。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も二、三点お伺いして置きたいのでありますが、先ほどこの発行不能者、或いは遅滞者とこういう者ができて今度の教科書供給が一〇〇%行かなかつたと、こういうお話であつたのでありますが、これは何ですか、こういうことについては調査ができておるでありましようか。まあ不能者がどれだけあつてそれが全体のどれだけになつて、それから遅滞者がどうだ、特に遅滞した教科書はどういう種類のものが多かつたか、こういうデータがありますか、こういうデータについてこれは頂けますか。
  38. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 不能に陥りましたものにつきましては一件だけ届出がありまして、これは直ちに教育委員会を通じましてこれはもう極く少数の採用者の会社でありますが、すぐに教育委員会を通じましてその本を使うための授業表を出された学校には手配をいたしまして、これに代る教科書を出させるという措置をとりました。これは一件でございます。  それから遅滞と申しましても全国的に全部が遅滞したというのではなくて、先ほどの金融措置などが遅れたために或る所は勿論完全に行きましたが例えば北海道、九州というふうに遠い地域、又島嶼などがございまして供給に非常に日数がかかる所、こういう所に対しまして遅配をいたしたというような所があつたのでありますが、この遅配の点につきましては発行者といたしましてもすぐに手当をいたし、又発行者の中には案内状を学校に出しまして、こういう事情で遅れたけれども必ず不日行くからと案内状を出したりなどいたしまして学校の支障のないような手段をしておるように承わつております。遅配につきましては現在のところはもうないと思います。ただ過不及の調整に今大わらわになつておるところもございますので、この点につきましては至急に解決できるという状況にあると存じます。全般的な調査につきましては只今調査中でありまするが、資料といたしまして、今日持つて参ることはできませんでしたが、まだ調査中という状況でございます。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 その調査ができましたら成るたけ早く頂きたいと思うのです。それでこれはこのデータの中に必要なのは、去年の状況、できたら一昨年あたりの状況と比較してどういうふうに進んでいるか、そういう傾向の見えるようにできていれば工合がいいと思うのです。  次にお伺いしたいのは金融難の問題でありますが、これも金融に対していろいろな要求があつて、それで銀行と折衝したと思うのでありますがその要求と、それからそれに対して実際それが受付けられた具体的な状況、こういうものについて調査ができておりますか。こういう点はどうですか。
  40. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) まだ発行者側から報告を受取つておりませんですけれども発行者七十社につきましての報告は受取つておりませんが、その中で中間報告等に見えましたものの概数を申上げてみますると、金融の山といたしましては十二月、一月、二月を頂上といたしまして、約三十億くらいの金が出入りしたのではないかと考えております。そのこれが実数でありまして、実際には約、製造資金といたしまして、全体に対しましては五十億ちよつと越すくらいの金が要つたのではないかというふうに考えております。確実な資料をまだ集計できておりませんので又各発行会社からの報告もまとまつておりませんので申上げかねますが、大体そんな見当ではなかつたかと考えております、
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどからのお話にありますように、この面がまあ一番教科書発行の円滑を期する上において困難な問題だと思うのであります。それで若し先ほど若木君から出ました、これを我々が国会といたしまして取上げて対策考えるということになりますと、これに対しては当然今の問題を打開するという点が一番急所になると思うのです。それについては具体的な材料、先ほども金融難の問題としては経営状態とかそれから教科書の資本が長く寝るとか、こういう理由を挙げられたのですが、そのほかにもいろいろまあ細かに分析してみるとあると思うのですが、こういう点についてできるだけ早く調査して、やはり資料的に欲しいと思うのですが、これは如何ですか。
  42. 石井一朝

    説明員石井一朝君) 只今の事柄につきましては、審議会の方ですでに昨年頃からこういう状態が生ずることを懸念いたしまして、全体的な而も合理的な助成方法考えるという意味におきまして、特殊法人を設立して、丁度最近承わつております教育映画の助成であるとか、映画文化法の起草なども伝えられておりますが、教科書は映画に劣るところのものではないからそういう意味で特殊法人を設立いたしまして、金融上の諸困難を排除するというふうな着想から種々具体策を検討いたしまして、案を作りまして関係方面などへも提示いたしまして、CIEなどでは全面的な賛意を得ておつたのでありますが、いろいろな事情で以て関係方面の了解が得られないで挫折している。前後二回に亘つてそういう問題を提起したことがございます。現在なおその願いは捨てていないのであります。昨年などに比べますと更に事情が悪化していると申さなければならないような次第でありますから、なお続けてその案を練つております。そういう段階でございます。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 特に日銀や大蔵省、こういうところに折衝して他の重点産業なみに優先する、こういうような一つの公約のようなものを得られた、こういうことなんでありますが、そういうことについて実際それは円滑に行われているかどうか、そういう点については、日銀あたりとその後の実施状況については事情調査されたか、そういうことをやつておられますか、これは如何ですか。
  44. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 大蔵省からは、先ほども御説明申上げましたように二、三年以来非常に重要産業なみに扱うというふうにやつて頂いているということを申上げましたが、具体的に申上げますと、銀行局長から各財務局長、及び各銀行宛に教科書につきましての金融措置を優先的に扱うようにという通達を四回ほど出されているのであります。のみならず日銀に対しましてもたびたび助言して頂きまして、又日銀におきましては融資斡旋部というものがございまして、この融資斡旋部は実際は今年は他の産業についてはやらない、ただ融資斡旋部があるだけで、機能は一応公け的には停止するのだというふうな話がありましたにもかかわらず、教科書の融資につきましてだけは融資斡旋部が中心になりまして非常な努力、それから協力をいたして下さつております。その具体的な報告は文書ではございませんが、大きな問題につきましては、その都度人が参りましたり或いはこちらからも出向きますし又電話その他で報告がありますが、全体的には先ほど石井さんも言われましたように要求額の六割程度でありますが、実績としては他に比較してはよい方であるというふうなお話であります。併しながらそれで満足いたしませんで、文部省といたしましては更に各方面協力を得まして、金融による支障が生じないように今後も努力をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり日銀から通達が行くというようなことになりますと、これを扱うところの市中銀行とか直接これに関する面はやはり経営面を一番これは優先的に考えると思うのです。そこでなかなかそれが行われない。殊に文化面に対する融資というのはなかなか採算がとれないことが多いのです。そういう点からやはり金融難というのは局地現地においてはなかなかそれが打開されない、こういうふうな問題がきつと起つているのだろうと思うのです。こういう面についてもう少しこれはまだ大臣ともいろいろ話合おうと思うのですが、この対策文部省としては当然これはもつと具体的な措置としてもつと突込んだ方法をここで考える必要があるのじやないかと、こういうふうに考えるのですが、この点どうですか。
  46. 近藤一唯

    説明員近藤一唯君) 全く仰せの通りでありまして、私どももそういうふうな考えの下に今後も努力いたしたいというふうに考えております。   ―――――――――――――
  47. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言がなければ、続いて日程第二、衆議院議員若林義孝君外八名提案の、民間学術研究機関の助成に関する法律案の提案理由を提案者を代表して長野長暦君から伺うことにいたします。
  48. 長野長廣

    ○衆議院議員(長野長廣君) 若林義孝君に代りまして御説明を申上げます。  ただ今議題となりました民間研究機関の助成に関する法律案につきましてその提案の理由を御説明申し上げます。  文化国家の建設を唱えるわが国において、学術研究の振興がいかに重要な課題でありますかは今更申上げるまでもありません。又学術研究の振興を図るためには、先ず研究機関の振興が必要であることも説明を要しない点であろうと存じます。  この法律案の対象としております民間学術研究機関は、民法の規定によつて設立される公益法人の経営する研究機関でありましてわが国の学術の向上と産業の発達に寄与するという純粋な公益目的を遂行するために設立されたものであります。又これらの研究機関は、国または公立の研究機関と異なつた特色ある研究分野を開拓して長い歴史を輝かしい業績を有し、わが国学術の進歩に貢献し、その研究成果が広く社会に活用せられたものも多くあるのであります。  然るにこれら研究機関の状態を顧みますると、戦前においては財産より生ずる果実を主財源とし、寄附金、研究委託金等を副財源として比較的安定した状況のもとで経営されていたのでありますが、戦後においては各種の経済的変動の悪影響を受けて、安定した経済力は根底からくつがえり、その機能を停止し、或いは事実上業務を停止するという悲境に立ち至つたものもあり、研究活動を継続していても、その多くは人事の整理、土地、建物、機械器具等を売却、或いは貸与して当面を切抜けんと苦慮している現状であります。以上のごとき状態でありますので、国家においでは昭和二十二年度以降毎年民間研究機関事業補助金を交付して、優秀な機関の維持改善に資して来たのでありますが、十分その目的に副い得ない憾みがあつたのであります。  一方昨年以来日本学術会議をはじめ各方面において、これらの機関が戦前のごとく活溌な研究活動を開始して、公共の福祉に貢献するという本来の目的を十分に発揮させる必要のあることが強調されて来たのであります。これらの要望に応えるため、種々の観点より調査研究いたしました結果、我が国の学術上重要な地位を占めているこれら研究機関の活動を振興させることは時宜を得たものであると認め、ここに本案を提出する次第であります。  次にこの法律案の大要を申上げますと、第一に民法第三十四条の規定により設立された法人で、学術の研究を目的とする研究機関に対しては、その維持運営に資するため国は予算の範囲内で補助金を交付することができることを規定いたしたのであります。  これは従来国が行政措置として実施してきたことを立法化したもので、問題の重要性に鑑み、これらに対する補助は法律の裏付けをもつて行うことが適当であり、且つ又、これら研究機関の運営に安定性をもたらすゆえんでもあります。  第二に地方税法の改正を図り、従来行われなかつたこれらの研究機関に対する市町村民税と固定資産税の免除を図ることにいたしたのであります。  何とぞ御審議の上速かに可決せられるようお願い申上げます。
  49. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 長野さん御説明ありますか。
  50. 長野長廣

    ○衆議院議員(長野長廣君) 必要がありますればこのあと専門員によつて説明させたいと思います。
  51. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) それでは私から条文の一々につきまして大体の御説明を申上げて参ります。  第一条の目的でございますが、これは現下の経済情勢に鑑みましてという条件の下に、財政的援助を研究機関に与えようということでございます。只今提案者から御説明申上げました通り、経済事情が戦後急変をいたした、こういう問題から出て来た法案でございます。  第二条はこの研究機関と申しまするものの定義でありまするが、民法二十四条の規定による法人、即ち公益法人だけに限つて行こう、こういう考え方であります。法人の学術研究を目的とするものに限るということにいたしております。  そうして第三条の、法人たる研究機関に与えます補助は予算の範囲内でいたしますが、目的はその研究機関の維持運営に要する経費ということに目的をおいております。なお序でに申上げつておきますが、この予算は現在の二十六年度の予算に、三千六百五十万円ほどのものがすでに計上されておるのであります。  第四条補助の申請、主務大臣宛にその補助を受けようとする機関から申請をするということになつております。  第五条、その申請がありました場合に、主務大臣におきましては次の三つの要件、一口に申しますると、その研究をその機関が果すに足るかどうか、又そういう補助をする必要があるかどうかということを審査して補助するかしないか、その額を如何にするかということを決定するのでありますが、第二項にありますように、この場合に行政官庁だけの問題としないで、日本学術会議において、その審査の方針及び対象の範囲をあらかじめ決定してもらうということにいたして専門家の意見を十分に基礎にしようという考えでございます。  第六条は只今の主務省において決定がありました場合に、それを必ず本人に通知しなければならない。  第七条はその目的の事柄にのみ使用する、それ以外のことに使用してはならないという当然の制限でございます。  なお第八条はその補助金は他の収入支出とはつきり区別をして経理を明らかにしなければならない。  第九条はこの金を受けた研究機関は、その研究の結果を公表しなければならないという規定でございます。  第十条は補助金を受けたものが次にありますところのいずれかの、即ち第五条に言いましたところの三つの要件のうちのどれかを欠くに至つた場合、或いは第三条に規定しますところの維持運営の目的にのみ使うというようなその約束に違反した、このいずれかの起つた場合に補助金の還付をさせる。但し還付の場合にはやはりこの日本学術会議意見を徴するという規定でございます。  第十一条は主務大臣が、こういう金を補助を与えるために、その機関の事業についての報告をさせる。又或いは必要に応じて主務大臣の方から帳簿その他の物件、これはその経費によつて買入れましたところの備品、薬品その他の消耗品、そういうようなものを意味しているのであります、要するに会計状況をいつでも検査ができるというような途を開いたのであります。その次はその検査に行く場合には必ず身分の証明のできる証票を持つて行くということであります。  第十二条は、その補助金の交付を受けた研究機関は、すべての収支決算を毎会計年度において主務大臣に出さなければならない。  次の十三条の委任規定、これは交付の手続、或いは備えつける帳簿というような細かいことにつきましては、これを主務省の省令に譲ると、こういう規定でございます。  附則のところは、「公布の日から施行する。」  それから地方税法のところは、提案理由で御説明がありました通り、住民税とそれから固定資産税等の事項でございます。以上でございます。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の提案理由の補足説明は、本法案審議に間に合うよう  にプリントして要点を配つて頂くよう要望いたします。
  53. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。なければこの法案質疑は明日より始めることにいたしまし  て、午前はこれで休憩いたします。    午後零時三分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十六分開会
  54. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは午前に引続き文部委員会を再開いたしま  す。文部大臣に対する緊急の質問、通告順によつて発言を許すことにいたします。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は今当面しております日本のこの情勢、殊に講和を控えましてそれと関連しまして日本のこの教育行政の問題、殊にその裏付でありますところの予算の問題、これらにつきまして大臣からこの際所見を伺いたいと思うのであります。と言いますのは、日本の教育改革は一応まあ形の上では六・三・三が実行されていると、こういうことになつているのでありますが、併し実際はどうかというと、これと関連しまして今までも問題になりましたように予算の絶対的な不足、こういうことのためにいろいろな難関に逢着していると思うのであります。殊にまあ一番当面しておりますところの中等学校の教室を作る、こういう基礎的な問題さえ片付かない、こういう事態が発生していると思うのであります。殊にまあこれは昨日の東京新聞あたりの報ずるところによりますと、六・三予算が起債の面から非常に又制限されて来る、何か地方財政委員会では四十三億の裏付としての起債が三五%ほど切らなくちやならない、こういうような通達が来ておつて文部省としては非常にこの対策に腐心されておるということを聞いておるのでありますが、こういう形か一番六・三・三制の発足に当つて問題になりました校舎建築の見通しさえ立たない。これは一例でありますけれども、こういう事態がいろいろな面で起つておると思うのであります。大学のこの内容の問題、又科学研究の問題、そういうような面でもいろいろな非常に困難が起つておるのでありますが、その原因は全部やはり帰一するところは予算の問題、そういうふうに思うのであります。この際新らしい態勢に即応して改めてこの教育予算の問題というものをここで検討する必要があるのじやないか、殊にまあ二十七年度の予算のこれは枠を大体きめるような時期にいよいよなつて来たのでありまして、これに対する大臣の基本的な態度を私はお伺いしておきたいと思うのであります。  そこで問題を二つにまあ分けまして、いわばこの六・三制の当面した対症療法的に起つておりますところの、先ほど申しました起債が切られたと、こういうような問題、それによつて約三万の教室の不足が今年度は一万くらい建造されるはずであるのであるがそれさえも不可能になつて来た、そうしますと大きなここに穴があくのでありますがこの問題をどうするか。更にこういうような対症療法的な問題だけにいつでも目を奪われておりますと、根本的なこの予算の問題、つまり国家財政との関連におきまして、基本的な教育予算というものをどういうふうにこれは大きくくさびを打込んでそうして平和の裏付であるところの教育を確立するために邁進するか。このためには文部省としてはここに新たな決意を持つてそうして従来の終戦後五カ年間陥つておりましたところの教育の弊害というものに対しましてこれを排除する、こういう問題を解決する方向に、基本的なやはり態度を私はどうしてもとられることが必要だと思います。歴代の文相においてはこれはで宮なかつたのでありますが、天野文相においては、こういう一つのいわば日本の場転換期におきまして決意を新たにされてこの問題を大きく取上げられて今から大きな運動をされる必要があるのじやないか、こういうように思うのであります。この二点からお聞きするのでありますが、先ず当面したところの起債が三五%削除される、こういう問題についてはどういうふうに取扱われますか、この点からお聞きいたしたいと思うのであります。
  56. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 起債のことはただ新聞に出ただけであつてまだそういうことは文部省には何ら知れておらないところであります。だからその点はそういうことが事実になつたというなら、今からそのようによく準備をしたいと思つて、それに対することをよく調べて適当に善処をしたいと思います。なお詳しくは監理局長に申させます。  それから第二の点については、これは私も岩間さんと実に同感なんです。で、どうかこの際その教育予算というものをもつと確立したいと思うのです。一体この六・三制についても〇・七坪というものに何も満足するわけではなくして少くも〇・九坪と、中等学校なら一・二坪というものを目標としてやろうと、今年の予算のときにも大蔵大臣にこれで六・三建築をよすというわけじやないので、これからも毎年続けてやるのだという了解の下にあの予算は組まれておるものなんです。だからそれはどこまでやろうということで考えたのでございますが、その根本において一体この日本の国家の収入からいえば、どれだけが教育予算として妥当なものであるかということの研究が足りないということは私も認めておることでございます。いくらよいことでも国にその力がなければためなんです、一体どれだけをやることが妥当なんだと、それは大学に対してはどれくらい、高等学校、或いは義務教育に対してはどれくらいというようなことを、何かもつと合理的な根拠を持つた主張ができるように私もしたいと、そのためには一つ教育財政審議会というようなものも必要であろうかと考えてみたりしたんですが、審議会というものはできるだけ減らすという今方針になつておりますので、何か私はそこにもつと合理的な根拠を得たいと今考えているような次第でございます。
  57. 岩間正男

    ○岩間正男君 今監理局長から今の三五%起債の切捨の問題につきましては伺うことにするのでありますけれども、併しここでこういう相当なこれは根拠があつてこういうことが問題になつているのだと思うのでありますが、全然大臣においてはこういう地財委の動向に対しましては御承知ないのでありますか
  58. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今の起債のことについては何も聞いておりません。
  59. 岩間正男

    ○岩間正男君 これと関連して当然この来年度からの六・三建築予算、この問題も出て来るわけでありますが、これは大体文部省の従来持つておる〇・七坪の問題ともう一つ関連してこの前もしばしば問題になつたのでありますが、自然増が相当多い、東京の場合におきますと大体八方くらいの自然増の児童がある。そこで約千六百教室が必要である。ところが今年度資材の値上りなんかで約九百教室しか造れない、そうして七百教室というものは、これは自然増の面においても解決できない。  こうういうことになりますと従来の六・三の教室を建てるということだけやつてつたんでは、私はやはり大きなこの小学校の面において自然増さへ吸収できないというような問題が起つて来るのじやないか。そうしますとこういう問題についてもこの際大きく検討して総合的にもつとやはり校舎建築の方式というものを確立する必要があると思うのです。そうしますと、四十三億というような大体予算の枠を何年かでやる、そうすると六・三の教室においては一応何年の後に解決がつくかも知れませんが、その間にいろいろな小学校の面あたりにおきまして大きな欠陥が出て来るのではないか。どうしてもこれは総合的に検討する必要があるじやないかとこういうふうに考えられるのでありますけれども、こういう点につきまして、来年度の校舎建築費においてはもつと大幅に取ることがどうしてもこれは必要な情勢になつておるのではないか。こういう問題につきましては、大臣はどう率考えになつておりますか、この点の御所見を伺いたいる
  60. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はその点について、大体岩間さんと同じ意見でございます。自然増というようなことがありますから普通のやり方では到底これは解消できないと、だから何かここに大規模な一つ考えをしないとできない。けれども今申しますように、国家全体のやはり財政の力ということがありますから、それに対してこれがどういう割合になつて行くものだろうか、そこをもつと十分研究して十分の案を立てたいというふうに考えておるのであります。
  61. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは当面した問題につきましては、大体それくらいにしますが、なお一つやはりこの基本的な予算が不足していることから今大きな問題になつております産業教育法案のような問題も出て来ておるじやないかと思う。これらも帰一するところはこれは要するに根本的に予算が足りない、そうして六・三制が非常に欠陥を出した。それに対する対症療法的な法案として、その穴を埋めるという形で出されておる。私この前も大臣に伺つたように基本的にはこれはこういうような生産に対する、技術とか、知識、又新らしい勤労観、こういうようなものを本当に確立するためには、もつとこれは全面的に現在のこの教育体系の中にこういうような生産と結びつけて総合的にこれを取入れるということが必要になつて来ると思う。従いましてこれもやはり予算の問題、こういうような所で大きな解決をしないと、問題が産業教育というような焼石に水のような法案の上に目を置き換えられて、基本的な土台の面において非常に大きな欠陥が出て来るように考えられるのでありますが、これは例を挙げるとそのほかにたくさんありますけれども一つのそういう例を挙げたわけでありますが、こういう点につきまして、どうしてもこれは予算をどういうような方式で取るかということを大きく検討しなければならない段階に達しておると思うのでございますが、で、これは只今大臣お話によりますと、国家財政の面において、どれくらい取るべきであるか、こういうことについての検討がまだ十分なされていない。又大学も、中学も小学校においてどれくらいの配分比例を持つべきであり、どういうような要求が必要であるかというようなことについても基本的な検討はできていない。これは無論必要であります。こういうような科学的検討は非常に必要でありますが、同時に又大雑把に考えて現在の教育の体制を大きく見ますと、予算の分布状態は、大体国家予算から三分の一出されて、地方財政は後の三分の一を賄つておる。後の三分の一というものは大衆負担で殆んどこれは父兄の寄附、PTAの会費というような形で出されておる、これは大雑把な見方であるが。大衆負担の方がますます重くなつて来ておるじやないか。従つてこれらのものを総額、これは全部国庫から出すというような方策を大雑把に作つても、予算編成のようなときに、そういうような大きな主張をしても成立するんじやないか。それと併行させていろいろこれは科学的な研究をやつて行かれて基礎を固められると、こういうような方式が出るんだと思うのでありますが、先ず研究ができてそしてはつきりした数字がなければそういう評価はできない。これではやはり時間が非常にかかつて現在のこの窮迫した態勢には間に合わない。最低とにかく現在の国庫負担の分を三倍くらいに殖やすというような大きな考えで、そういうような何といいますか、国民に対するアツピール、世論に対してもそういうような大きな運動が必要じやないか。こういうように考えられるのでありますが、現在吉田内閣のとつておりますところの教育財政の方向では、これはやはり民間父兄の負担ということを非常に考えておるわけであります。  併しこれでは教育の破壊がますます大きくなつて来る。又大衆負担が現在の生活状態ではなかなかなしがたい。そこで教育の機会均等が破られてこういう現象が起つておる。こういう点から考えると、どうしても現実の要請から見ますときに、やはり国家財政の中にこの教育予算の要求を大きく貫徹するために文相としては努力される必要があるんじやないか。その点について私は考えるのですが、これはいろいろな立場によつて意見もあると思うのでございますが、現状のこの予算を先ず第一に教育生産費にということは、これはしばしば言われたんですが、第一次教育使節団が参つたときもそのことを言つておる。こういう点からこれは大きく主張する一つの根拠が出て来ておる。  もう一つ考えられるのは日本の財政経済の中で、現在の態勢を見ると終戦処理費のようなものが一番大幅に削減されておる。これは今まで戦争の処理、或いは又戦争協力というような形で相当この金は使われておると思うが、こういうようなものに対して平和の裏付であるところの教育に、こういう予算を大幅に廻すべきである。こういうような主張は恐らく国民もそういうことを希望しておる。日本の態勢にとつても又日本の憲法を本当に貫徹するという立場からいつても非常に重要じやないか、具体的な論議になるんじやないか。そういうふうに私は考えるのですが、例えば終戦処理費のごときを、これは今後の閣議とかそういうような機会において、文相は教育予算に廻すというような主張をなされるおつもりでございますか、どうですか。こういう点についてお伺いしたいと思います。
  62. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 大体において私は岩間さんのお考えに全く同感です。私は只今もつとこう科学的に一つ十分根拠を作りたいと申しましたけれども、それが直ぐただ役に立たないと、それは勿論原理的に必要だけれども直ぐに役に立たないので、もつと大々的な見通しからこれは予算を要求することがよいのではないかという御意見には同感でございます。若し終戦処理費というものが、これがどういうようになるものでございましようか。国費に使えるか、普通に使えるということなら、当然これは私は教育費に要求してよいものだと思つております。とにかくに何かここで機会があるなら、そこにそういう可能性があるなら一つ教育費のためにそれを大幅にとるように私は全力を盡したいと考えております。大体の主張においては私は岩間さんの今言われたことは全部同感でございます。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ終戦処理費についていろいろ議論のあるところだと思うのでありますが、併し飽くまで終戦処理費は終戦処理費で講和態勢と連関して問題になつて来ると思うのです。終戦の仕事はこれはまあ殆んど終つていることはアメリカ側の論議においてもしばしば明らかにされていることと思うのです。そうしますと、この終戦処理費をほかに使うというようなことでなくて、これは全額になるかどうかわかりませんが、少くとも大部分のものを教育文化の方に廻せという主張においては、非常に私は当を得たそして日本の憲法の精神を貫くところの主張であると、こういうふうに考えられるのでありますが、只今文相の御意見によりますとどう使われるかわからないと、こういう御意見が非常にやはり私は頼りなく感ずる。文相としてはこういう主張を強く主張される立場をとつておられますかどうですか、この点御意見が伺いたいと思います。
  64. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 終戦処理費というものは、どういうようにこれが処理されるものか、そういう点について私があわていに言つて十分知識を持たないので、知識を持たないことをここで何でも教育にとるんだというようなことを言つても無責任になりますから、よく検討してみてそれが普通の国費として使われるということであるなら、それは当然教育費にその余ほどの部分が使われてよいものだと私は考えるわけでございます。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点がやはり問題だと思うのでありまして、やはり閣議なんかで主張される場合にも、相当従来の大蔵省の方の国家財政のやわ方では、こういう点が文化面なんかは切捨てて来ている方式をあらゆる面にとつておる。これに対してやはり大きく主張する、終戦処理費の性格なんというものは、これはやはり文相としては当然もうすでに検討ずみになされていい問題だと思うのであります。それは又それを言つてもしようがないのですけれども、これは当然この日本の占領政策というものはほぼ終結して講和の段階ということがいわれておるのですから、それが終ればどう使われるか、それをほかの方に使われたのではまずい。これはほかの方といつても平和産業とかそれから公共事業費とか、こういうような面でありましたならば、日本の民生或いはそういうようなものにありましたらいいと思うのでありますが、これは下手すると又この駐屯費であるとか、或いは日本の再軍備費とかそういうものに使われる危険性がむしろ多く出ているのであります。そういう場合に文相の立場としては飽くまで文化を発展させて平和の裏付にするこういう立場から終戦処理費をこちらへ廻したらどうかという主張を私は明らかに叫んでこれは何ら差支えないというように思うのでありますが、大体大ざつぱな議論になりますけれどもこういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。この点ちよつとお伺いしたいと思います。
  66. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は只今申したことでお答えをしておるつもりでございますが、ここでただ私が大ざつぱに勇ましく言つてみるということは無責任になりますからして、よくそれを検討して本当にこれが私の考えにおいて教育に使うべきものだと思えば、どこまでも自分は主張する考えでございます。
  67. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは御検討を願うことにしましても、併し今度の教育予算を取る建前、その歴代の文相を見て参りますと、これは殆んど国家財政というような立場で大蔵省が切つて来る立場に従属させられて来た。併しここでやはり文部省としてはあらゆる世論を喚起するなり、方法をとつて大臣は大きな決意をして、このいわば大きな転換期に当つて大きくこれを積極的に推し進められることが重要だと思います。そういう意味では私はやはり一番具体的なこの問題として主張する根拠のあるものは終戦処理費じやないか、こういうふうに考えておるわけなのであります。  で、殊になお連関してお聞きしたいのでありますが、教育財政の確立の問題で、この前六・三制の現学制については変更を加えない、飽くまでもこれを守つて行くのだというようなことを荒木君の質問でありましたかそれに対して文相は答えられたと思います。併しながらそれを守つて行くと言いましても、先ほど申しましたように予算の面から崩れて行く。殊に先ほど申上げました、三万もまだ新制中学の校舎が不足しておる、それに自然増も吸収できない、こういう形になりますと、予算の面で崩れている、土台が崩れておるのでありますから、そうすると六三制は守るということをおつしやつても、又掛声としてはおつしやつても、これは実際は守り切れないのじやないか。どうしてもこれを充足するためにはこれの裏付としての予算をはつきり確立するという努力を十分にされなければいけないと思いますが、学制を飽くまでもこれはこの前御答弁なつたように守り切つて行くとして、裏付としての予算確立に対してやはり二つの関連におきまして文相はどういう決意を持つておられますか、この点是非これは聞かして頂きたいと思います。
  68. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はこの、六・三制というこういうシスアム、殊に六・三の義務教育というようなものはこれを決して動かしてはいかんという考えなのですが、それには予算の裏付がなければそういうたとえ考えを持つてもそれは事実できないではないかという御質問又御意見は御尤もだと思うのです。私もこれが是非できるだけの推持、できるだけの予算の確保ということは自分はどうしてもしなければならんという考えでございます。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 文相は先ほど申しましたように、どういうふうに声明されましてもこの基礎が崩れて来てそうしてうまくない。そういうことで例えば産業教育法案が作られているような情勢から見ても明らかなように、本当にこの体制を推持するに足るだけの財政的な裏付がなければ必ずこれはこういうものに対して再検討とか、何とかいうような形でこういう基本的なものは崩されて来る危険性が十分にあると思うのです。殊に現在のこの国内の情勢を見ますというと、相当日本の民主化という名前で進められたものが元へ戻されている。こういう態勢の中で六三制に対するいろいろな再検討、或いはこういうものを別に作り直さなければ日本の事情に合わない。こういうような意見が非常に多く出て来ているのでありまして、文相としましてもこれを必死に支えるためにはそれだけの財政的確立ということが目下の非常な急務でなければならん、こういうふうに考えられるわけです。この点についてこの今がもう機会としては絶好の機会なのであります。徹底した方式においてここで十分の予算確立のために努力されることを私は切望したいのであります。  先ほど残つておりましたところの監理局長から三五%の起債切捨の問題、これをちよつと伺つてみたい。
  70. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今六・三制の補助金に伴つた地方負担額の従来一〇〇%が起債として承認されるという方式を取つて来ておりますそのことに対して、去年までの大体の実績が八〇%に大体納まつて来ておりまする事実からして、今年の起債関係が非常に窮屈なために、平均六五%見当地方負担の起債を地方が立ててくれるようにという通牒を事務局長の名前で以て各府県の総務部長、又は起債関係を処理します係のところに話を願い、このことについて東京新聞がどの程度の教字を出したか知りませんが、大体幾らかの圧力を受けておるという意味のことを出にしおると思いますが、事実六五%にしてくれろということを地方に向つて促したことは事実でございましよう。私どもは大体狙つておりますところの、先ほど申上げましたように、従来の実績と合わして大体八〇%を基本にいたしたい。これは実際の実績がものを言つておりますのと、又非常に小さい単位、例えば一カ村の補助金が仮に三十万といつたような場合の補助金三十万に対して起債も勿論三十万つけなければならんかという問題になるわけでありますが、それらの累積したものが特に大きな計数をなして来て、トータルのところ大体二〇%くらい不用額が残つておるという事実があります。そこで本年度の数字について申しますと、大体四十一億に対する六五%というところで約三十億、単独起債の方で小学校が焼けたとか、改築しなければならんような状態になつておるとかいつたような単独起債の関係の枠で十五億、合計四十五億あたりが大体の自治庁の押えております額と関係の枠という形になつておりまして、自治庁の今現在の申し分では、そのトータルした四十五億の操作で以て大体八〇%を賄えるような仕事にいたしたいというのであります。私どもはただそれだけではまだ少し満足するに至りませんので、十五億は十五億として或る程度これは仕方ないとしましても、三十億そのものは極く僅かの復活要求で片付く問題でありますので、まだ盛んに私どもとしては六・三それ自体で以て八〇%に行けるように枠を戻せということ、それから同時に個々の起債を処理します場合に、特に六三の関係について、積算の基礎としての六五%は止むを得なかつたとしても、そこに認証を与えて行く事実の問題としては、八〇を割るようなことのない形を作つてもらいたい、又個々の問題については必ずしも八〇ということもおかしい話でありまして、実際五%必要なやつには五%をつけなければならんわけですからつけるという建前で今現に個々の査定にかかつております。それを私ども或る程度参考にしながら結局のところトータルを平均しましたところ八〇%程度に実際解決したいということで今努力いたしている次第でございます。
  71. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると積算の基礎では六五%で実際は八〇%くらいのところで解決したい、そうするとなんですか、最初の見込みよりもこれは工事量は減るわけですか、そういうことを文部省は予定されておるのですか、これはどうですか、そこのところがちよ  つとおかしいようですが。
  72. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) これは工事量そのものに直接響かせるということはむしろないのでありまして、と申しますのは、公共事業費の枠の中で、例えば、府県に向つて一億なら一億と  いう起債の公共事業関係の枠を取るわけです。その中で教育関係にどれだけ取るか、土木関係にどれだけ取るかといつたような分け合いが始まるわけでして、それの一番簡単に申して成るたけ早く起債の枠を解決したものが実は勝つというのが事実の配分になつておりますから、できるだけ早くこの問題を解決して行くようにして、この際小学校の起債なりそうしたものを全部合せて府県単位では数字をこしらえますから、その時分に、いやこれは六・三の分だからたまたま自治庁の積算の当事には六五の平均で枠を持つておるけれども、全体としては六三の関係については八〇見当に納まるように、できるだけ個々の問題は一〇〇%どんどん取つて行くわけです。そうして一番最後に圧迫される関係のものは単独起債の方に流れて来る危険がございます。危険はございますが、これは或る意味で特に記録的に私ものを申したいというのでなくていささか憚りますが、これからは小学校関係の分はできるだけ新らしい予算で賄つて行きたい。従つて今年或る程度無理があつても今年一年は辛抱してもらつて、来年の予算に私どもが小学校関係のものを是非取らなければならんと思つておりますが、そうした時分に着手させるようにして、従来の認証工事の関係でひき起しましたような、先に骨を折つてつた者が馬鹿を見るといつたような形の起らんように進めて行きたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局まあやりくり財政なんですね、今の御説明では。そういうところからその小学校の方の例えば自然増も吸収できないというような事態が起るので非常に私は頼りないと思う。そういう点でもう一つ聞きたいのは、工事で資材の値上りなんかによつて去年は大体八〇%のものが六五%というように切下げられた、これはまあ地方財政の方で、今度の起債が約二百七十五億でしたか切捨てられた、こういうところからあらゆる影響が教育の方に来ておると思うのですが、こういう点についてこのままの対策で大丈夫最初の立てたプランが支障ない見込があるのですか、これはどうなんですか。
  74. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今の御質問はむしろ単価増をどう処理するかという問題であると私ども考えておりまして、単価増の問題は補正予算の一番中心にすべき問題だと考えておりますので、昨日あたり文部大臣が何か説明をしておられるように伺いますけれども、今私どもの承知しておりますところでは、現在この六月の又五月の或る時期に押えた数字よりは、補正予算を現実にものにしまする時期を押えて単価増の問題を解決したいと思つております。そのときに起債の問題も又同時にそれに当然絡んで解決しなければならん問題でありまして今単価増の問題を大五、八〇%といつたようなそういう数字を細かいところで解決するようなことは、私どもこの建築の全体の工事量、岩間さんの一番御心配になる工事量を解決する問題として一番まずいと考えておりまするので、そのときに一緒に解決すべき問題だというふうに心得ております。
  75. 若木勝藏

    若木勝藏君 大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、先般のリツジウエイ総司令官の声明に基いて政府はいろいろなこの占領に関するところの法令の検討をやつておるということを聞いておりますが、そういうことから教育関係方面の法令についても、いろいろ民間においても臆測が行われておるわけであります。その中の一つ教育委員会法について、これは存置する方がよいか、或いは(「簡単々々」と呼ぶ者あり)簡単にやります。それで結局存置したらよいというふうな考えを持つておるのか、或いは廃止したらよいというふうに考えておるのか、先ず存置の方面についてそういうふうないろいろな臆測が行われている。それから更に任命制度にした方がよいか、或いは今までの通りに公選にしておいた方がいい、こういうふうな問題があると思われる。それから存置する以上は財政権を持たせなければならん、こういうふうな問題が起つている。これに対して大臣教育委員会制度についてはどういうふうなお考えを持つておりますか。
  76. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 教育委員会制度というものは今のままではどうしてもこれは行けない。何かこれをやはり改める必要があるのではないか。それについては今問題にされました点ですね、選挙をどうするか、又財政権をどうするかというようなことが私は重要な問題だと思います。だからそれを今協議会で以て研究してもらつておりますから、その研究の結果によつて処理したいという考えでございます。
  77. 若木勝藏

    若木勝藏君 殊にそのうちの財政権を付与する問題については、これはもう余ほど前から問題になつてつたのでありますが、これについては常に大臣は今研究中であるというふうな御答弁であつたようでありますけれども、その研究経過についてどういう状態にあるかということを伺いたいの出あります。それはアメリカの第二次使節団の勧告もありますので、或いは文当然教育費問題もありますので、その辺が今研究中であると言われておりますけれども、相当の期間経過しておられますので大体の荒筋でもどういうふうになつているかお考えをお伺いたい、こう思うのであります。
  78. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今研究中というのは如何にも言い逃れのようでありますが、現に今協議会がやつておるのでありますから、そのやつておる結論が出ないことが事実なんですからその出るのを待つておるわけであります。
  79. 若木勝藏

    若木勝藏君 その協議会の今研究の大体の様子についてはお話できないですか。それではこの質問は保留いたしまして、これはなぜ私はそう申しますかというと、しよつちう出ておりますけれども少しも見通しが我々につかない、その点をお伺いしたい。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は結論的なことけ承わりたいと思います。大蔵省の方から来年度の予算要求をいつ頃まで出せというような指示が文部省に参つておりますかどうか承わりたい。
  81. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 今のどころ何とも言つて来ておりません。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省としてはいつまでにまとめるつもりでございますか。
  83. 相良惟一

    ○政府委員(相良惟一君) 大体例年七月頃一応各局で原案を作りまして、八月頃大蔵省へ出しまして、九月頃査定がある、こういうふうに思つております。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例年の例からいうと、文部省はいつも要求が立遅れる傾向があるように考えるのでありますが、そういうことはありませんか。
  85. 相良惟一

    ○政府委員(相良惟一君) 特に文部省だけが立遅れるということはございません。これは各省みな同時に大蔵省に提出して殆んど時を同じうして大蔵省の査定がある、こういうことになつております。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が申すのは書類を出す期日じやなくて、事前交渉、その点については、要するに文部省の省議決定というものが時期的にずれるために、その点において遺憾の点を反省なさる点はないかどうかということをお伺いいたします。……それはよろしうございましよう。  それでは次にお伺いしますが、最もエキスパートである久保田監理局長のデーターをもう信ぜざるを得ないのでございますが、繰返してお尋ねしますが、私生国的な調査がしてないから自信がないから申上げられないのでございますが、いろいろ新聞雑誌とか教育関係者あたりのデータを見るところによりますといわゆる〇・七坪までの建築のあとの工事量ですね、六、七十万ぐらい少くともどこでも踏んでいるようですが、監理局長はこの前の答弁で私の質問に対して二十三億で〇・七坪は完了するのだということを地方行政委員会の連合委員会で明言されたわけです。それから木造が坪一万六千円、鉄筋が三万八千円、昨年の単価と金く同じ単価を組んで、物価は上つたけれども工事は順調に行つておる、工事量の縮小を考慮する心配はないということを甲されておりますが、重ねて私はお尋ねしますが、その結果によつては私責任を追求する場合があるかも知れませんが、確かにあと二十三億あれば〇・七坪は完了するのでございますか、はつきりここで承わつておきたいと思います。
  87. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 〇・七坪の完成に一十三億必要だ、又逆に二十三億あれば一応〇・七坪の完全、が期せられるのだということを先般の御質問に対して確かに申し答えております。と申しますのは、矢島先生の御質問の中には〇・七坪の計算の仕方がいろいろあるということから、例えば今現在使つている建物が非常に怪しい、従つてこれを捨てて新らしい建物を作ろうとしている村がある、又場合によると今使つている分を小学校に譲り渡しておいて、その代りに新らしい中学校を作つて行こう、高等学校を作つて行こう、現に高等学校の一部を借りておるがその分を高等学校の方に、もともと借りたものであるからそれを返して新らしい中学校を作つて行くのだ、そういう要素をずつと並べ挙げますと〇・七坪の計算も非常に大きくなりまして五十坪、六十坪はすぐ出て参ります。ところが私どもの一応〇・七坪の完成のために、昨年度大臣が所轄庁を監督しようと御心配下すつた七十億の問題の基礎になつておる数字のところに、一つの妥当性を置くか置かぬかということになるわけでありまして、その部分に一つの妥当性が認められ四十五億と、その残りが二十三億という形になつているわけであります。これはその後鉄筋の補正の分が建築取締法の意味からいつて増加されて来なければなりませんし、又実際にはよりよい建築をしたいといつたようなことのために、計数的な意味で申しますと二十三億が非常に動いて参りましよう。その二十三億そのものの基本的な考え方そのものは別に変りありませんし、昨年の単価で一応計算すればそういうことに相成りますと申上げたわけであります。  第二の大体順調に工事が進んでいると申しましたのは、そのときの御質問で非常に怪しいと思いましたので、再三念を押して二十五年度でございますな、再三念が押してございます。二十六年度の工事がまだ順調に行つているという時期でございませんし、先ほども申しますように私ども補正予算を主体としての仕事考えておるわけでありまして、補正予算なしに今年の工事が無事に完了できるとはゆめゆめ思つておりません。二十五年度のことを土地問題などで造れているものを除いては順調に進んでいると申上げたわけであります。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点については大体趣旨はわかりましたが、二十五年度について途中から物価が上つたために建築が遷延している、そこに起債が六五%になるというような風説があれば二十六年度の継続が非常にできなくなるというようなことで、陳情を若干私受けておりますので、相当二十五年度の工事も遅延しているのじやないか、こんな感じがしたからこの前お正伺いしたわけなんでございますが、それから〇・七坪については局長としての立場はそうかも知れませんが、少し遠慮しすぎはせんかと思うのであります。実際に私は昨年大阪を視察さして頂きましたが、大阪の都市の真中に、この前の大風水害のときにできたという、それこそこんなものが大阪市内にあるかという建物がございますが、これが学校かと思うような学校がございますがこれがやはり〇・七坪の中に入つているというわけなんですね、あまり御遠慮なさつて二十三億という何では私は困ると思うのでありますが、私は希望として申上げておきますが、昨日も衆議院の予算委員会で大蔵大臣は補正予算の編成方針なり時期というものの大枠を答弁しているようでございますが、具体的に現実の問題として、二十六年度の六・三の補正をこの補正予算に要求する考えでございますか、どうでございましようか、これを大臣なり或いは監理局長なりにお伺いいたします。
  89. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今申しましたように、今年の予算の枠から申しますと大体木造建築でも五割見当の増を来しておりまして大体五割の計算で単価増をやらない限り、六・三の建築は順調に行かない。私はそう信じておりますので又文部省の中で御決裁を頂いたわけではありませんけれども事実そうであります以上予算要求をせざるを得ないと考えておつります。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に大臣にお伺いいたしますが、大臣が教職員の別表をこしらえて優遇いたしたいとつねづねお話になつておりますので、先般の新聞では学校長の級付け云々というような、人事院の浅井総裁に交渉に行つたというような点を新聞で拝見したわけでありますが、近くベース改訂が行われるやに人事院の方では放送いたしております。その機会までに別表が間に合うものかどうかその点と、間に合うとならば補正予算の要求というものが出て参りますがその点と、それから二十六年度の予算の審議で非常に問題になりました例の平衡交付金でございますが、あの中に削減された年末手当の五十億という数字が入つておるわけでございます。これは年末になれば相当問題になると思いますが、この平衡交付金の増額についての要求又その政治折衝、そういうのは大臣の決意なり、又現在の政治折衝をどういうふうにされているか、その点を伺つておきたいと思います。
  91. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その初めの給与べースの改訂のことは私も是非やりたいと思いますが、併しそれが果して間に合う程度に行つているかどうか、あとで人事課長に答弁させます。ただ私は小学校校長でも中学校校長でも、そういう方の俸給が非常に低いというようなことではよくない。これはやはり大学学長と同じに取る。みんながそうなくてもよいのですが可能性だけはなくてはいけない。日本中の小学校校長の幾人かは大学学長と同じ待遇を受けるということが必要だという趣意で交渉したわけであります。併しそれが今すぐ実現するかどうかということはむずかしいことと思いますが、浅井総裁も私の趣意には全然同感だということを言つてつたようであります、  それから平衡交付金のことはこれは今後よく大蔵省、大蔵大臣とも話合いたいと思つております。そうしてできるだけのことをそごにしたいと自分では考えております。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 予算委員会における平衡交付金の増額の決議についても大臣は御承知と思いますが、この点については特にお骨折り願いたいということを要望いたしておきます。  それと今のと関連いたしまして少し小さくなりますがお伺いしますが、教職員を優遇なさるという点は非常に私結構だと思いますが、校長だけを考えて教員という言葉が見られないのはどういうわけですか、小さくなりますけれども
  93. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 教員は当然でございます。教員は当然今別表で以て優遇したいという考えを持つております。これはもうきまつたことだから言わなかつたのであります。ただ校長のことは今まで出ていないからそれで言つたのです。教員は当然のことであります。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教職員の別表をこしらえるということになりますとそれは教員も学校長も入つているわけですね、教職員だから、
  95. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 別表で入つているのですけれども、ただそのものにして置けば教員の方は別表で改善されても校長の先がとまつていると思う、だからそれを改正する際に先をとめないようにするということ、こういうのです。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると私は校長が先がとまらなければそれに続いている教員も先がとまらない、そういうふうに了承いたしますが、そうでございますね。
  97. 岡田孝平

    ○政府委員(岡田孝平君) ちよつとそれは、先ほどの御質問の第一点についてでありますが、給与ベースの改訂につきましてはまだ人事院、大蔵省から正式に何らの話もない。新聞にはいろいろたびたび出ておりますがまだ何らきまつたという話は出ておりませんただいろいろ大蔵省等におきまして目下研究中であるとのことでありまして是非一日も早くその実現を願いたいというふうに期待してふるわけであります。  なおこれに関連して教職員の別表の問題でありますが、これはもう数年来の問題でありますので、私どもといたしましてはかねてから人事院にその実現方を折衝いたしておりますが、なお最近特に申入れをいたしまして早急なる実現をお願いしたいということをいたしております。そういう意味におきまして最近特に研究を始めておるということでありますので更によく折衝を重ねて速かに実現いたしたいと思いますが、ベースの改訂に間に合うかどうかということはちよつと只今断言できかねると思います。できるだけ速かに御趣意に副いたいということで努力いたしております。  それから只今質問の校長だけを優遇して、教員はどうして優遇しないとおつしやいますが、この別表の問題といたしましては当然に校長も教員も全部含める別表を実現したいのだとこういうわけでございます。先ほど大臣が校長についてもつと上の地位まで行けるようにという話は、これは現在小学校の校長は十二級どまりでありましてこれが十三級にまで実施できるようになつておりますが、それがまだ人事院の指定がありませんために目下のところ実現していないわけであります。さような状態でありますのでこれは校長といえども人によりましては上のクラスまで行けるような途を開いて貰いたい、こういう意味大臣が申されたのでありまして、決して教員と校長とを分けて別々にやるわけではないので別表の際にはすべて一つの問題として包含される、かように考えてこれをやりたいと思います。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に大臣にお伺いいたしますが、大臣がリッジウエイの声明から政令毒検討、それに関連して六・三制の新学制の基本方針を変えない、併し国情に合わないとか、実情に副わないところは大胆率直に改めなければならん点もあると思います。こういう御発言が今度の委員会でありまして、今日の委員会で大臣教育予算が国としてどれだけが妥当であるかどうかということについては、科学的研究がないので研究して行きたい、こういう御発言もあつたわけであります。更に先般おいでになつた第二次教育使節団が、我が国の大学がどの程度の数の大学と、どういう単科の大学が必要かという点について日本は検討する必要があるのじやないかというような含みのある報告書を残して帰られたわけですが、それらと合わせて考えるときに、例を挙げれば六・三・三・四と大学院というものはこれは新学制を堅持して行く、けれども今七十一国立大学がありますがそういう数とか或いは学科のことについては相当大胆にこれを取扱われるような含みがあつて大臣はこういう御発言をなすつておるのじやないかという点を感ずるのでございますが、その点について大臣の御見解と方針というものを承わりたいと思います。
  99. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) あれは全く抽象的に申したのです。若し改むべきものがあるならば改めるに躊躇しない、けれども根本の組織は決してこれを動かしてはいけない、こういうことを抽象的に申したのであつて、その内容がどうだということは何にも考えて言つたわけではございません。又すでに成立つておるものを新らしくここにものを作るときのような考えでやることができないということは私がしばしば申述べた通りでございます。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういたしますと、大臣は、例えば大学についてはこれは整理廃合するとか、或いは四年制の大学のものも短期大学の方に格下げにするとか、そういう形における修正などする方針は全く持つておられない、こういう意味でございますね。
  101. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今申しました通り、内容のことは何も含めて言つたことではないのです。内容は十分私がどう考えたということでできることじやなくて、この学術経験者と申しましようか、そういう人たちの考えによつてここでやるべきことだと思つております
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは只今一つの問題に限定いたしまして、大臣個人の御見解を承わりたいと思います。
  103. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私個人といつても、大臣たる天野と天野個人というのを分けることは非常にむずかしいと思いますから。
  104. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから天野個人のことで結構でございます。
  105. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 天野個人の説は、私もよく人の話も聞かないと個人の考えも固まりませんから、よく人の意見を聞いた後に天野個人の意見を述べたいと思います。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは追及いたしません。もう一つ当面の補正予算について大臣にお伺いいたしますが、この前文化功労年金法というものを通したわけでございますが、それについてどういう委員を任命してどういう選考になつているか、方法を承わつていないわけでございますけれども、当初の出発の時は、御承知の通りに、税込みと三十万円と五十万円の問題で、まあ三十万に組んであつたものですから税込みの五十万円になつたために非常に少くなつて従つて選考にもお困りになつているのじやないかと思いますが、この際三十万円を組んだ当時に大体予想しておつた人数ぐらいにその賞金が亘るよう、補正予算を追加された方がいいのじやないか、こう思うのであります。この点について大臣考えになつていらつしやいませんか。
  107. 岡田孝平

    ○政府委員(岡田孝平君) 文化功労年金の予算の問題でありますが当初は三十万円といたしまして三十五人分というふうに組んでおりましたが、その五十万円に変更になつたために総額において当初の額に充たないわけでああますが、その点につきましては大蔵省、郵政省といろいろと只今折衝いたしておりまして、予算の流用といいますか、それらについて、或る程度の見通しを得ておりますので、これらのとにつきまして実施につきましては羊支えなく……。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よく聞えなかつたのですが、補正はやらんというわけですね。
  109. 岡田孝平

    ○政府委員(岡田孝平君) 必ずしも補正追加をいたさなくても予算の流用その他でできる、予期の効果は上るというふうにしたいと思つております。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 財政の問題について長くなりますからもう一点だけ、これは大学学術局長にお伺いいたしますが、あの対日援助資金の打切り、それらにまあ終戦処理費の関係あたりでさつき岩間委員から質問があつたのですが、留学生でございますね、あれは対日援助資金の打切りとどういう関係になりますか。更には具体的には正月に選考いたしましたあの留学生というものはもうすでにアメリカに渡つたのか。今後そういう人の留学の費用というものは確保されておるのか。今までやつて参りましたのはアメリカの費用でやつてつたわけですが、将来対日援助資金の打切りと留学生との関連はどうなるか。
  111. 稻田清助

    ○政府委員(稻田清助君) すでに確定いたしておりまして、本年度渡米いたしまする者につきましては、その人が帰るまで従前の計画及び従前の経費を以て終了することは確実であるようであります。その後における問題につきましては外務省所管において恐らく関係各国との間に話が進められることだと思つております。ただ聞くところによりますれば、米国におけるフル・ブライト法の適用といつたような面が或いはこの問題について考えられるのじやないかと考えられます。
  112. 高橋道男

    ○高橋道男君 私は教員の給与問題の一部として国立大学の附属学校教員の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。これは公立学校の教員と比較して見たときに、現状におきましては概して同じ経験年数の人が公立学校の教員よりも下位におるというような事実にあるのであります。ところがその経過を聞いてみますると、国立大学の附属学校の教員の給与をいろいろな変動時期において変えるときには、公立学校の教員より上に置かないようにというような指令を文部省が発せられたことがあるのだそうであります。その考慮の上から公立学校よりも下廻る程度においてきめておいたところが、その後地方公共団体の方はしばしばこれを上げて行く機会があつた。ところが国立学校関係においてはその機会があつたにもかかわらず抑えられておつたのが、現在しわ寄せされて公立学校よりは一号も二号も或いはもつと低い段階においてとめ置かれておる。ところがこれに関してしばしばこれらの国立学校でありまするから責任区署は文部省であると思いまするが、しばしば陳情をするけれどもどうしてもその打開の方策が今まで立たない。私は同じ経歴を有する者につきましては少くとも同じ標準において給与されるのがこれはもう言わずとも知れた当然のことであろうと思うのでありますけれども、いろいろな考慮が払われているならばそういうことが行われずに円満に行くはずであるけれども、これが円満に行つてないところには考慮が払われ尽されていないということがあると思うのであります。先ほどお話にあつた教員の給与に関する別表が人事院との間で話がつくまでは、そういうものは解決されないものかどうか。私はこれは文部省の断によつて簡単に片付けられ得るのじやないかというふうに見るのでありますけれども、殊にこれに関しましては第八国会において若木議員の御紹介によつて給与改善の請願も行われておるように記憶しておるのでありまするが、そういうことに関連してでも如何なる解決策がとられておるのかを伺いたいのであります。なお今年度の文教関係の予算が大蔵大臣は去年よりは殖えたということで以て得意がつておられますけれども、これは去年と今年の関係においては殖えておるかも知れませんが、全体のバランスからいえばどうしても文教予算はネグレクトされておるということを言わざるを得んと思います。来年も勿論そのままでよいとは大臣としてはお考えになつていないと思いますけれども、その後或いはこの点に関しても文教予算の途年増ということに関して、或いは大蔵関係者と閣議などにおきまして内談的にも政治折衝が進められておるのかどうか、これも併せてお伺いいたしておきたいと思います。
  113. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その国立学校と公立学校の教員の給与のずれにつきましては本来高騰さんの言われる通りであるべきだと思いますが、それが切替の際にそういうずれが起つたのだと思いますが詳しいことは政府委員からお答えいたします。  第二の点につきましては教育予算がネグレクトされておると言つては私はやはり言い過ぎておるのではないか。これで私は決して満足はいたしませんけれども大蔵省当局も決してこれをネグレクトするという考えはない。けれども到底そういうことでは満足できませんから来年度においては私ももつと、もう一段と一つ努加して何かよい成績を示したいと考えております。
  114. 岡田孝平

    ○政府委員(岡田孝平君) 附属学校とそれから公立学校の職員の俸給の問題でありますが、これにつきましてはかねてから何とかして是正して貰いたいというお話は全国各地からいろいろあるわけであります。それにつきましては種々対策を講じたのでありますが、附属学校のほうは何としてもこれは国家公務員であります関係上、国のきめました給与法並びにそれの実施基準通り実施しなければならん。従つて何らそれ以外のきめ方はあり得ない。然るに公立学校のほうは国の基準に従いまして地方公共団体できめます関係上、府県におきまして非常に凸凹ができまして、或る県では国家公務員よりも高い給与水準にありますが或る県では又低いというような状態がどうしても起り易いのでありまして、その公立学校のほうが高いという県におきまして特にそういう問題が起るわけであります。併しながらこれは県によりましては附属の方が高いという県も相当あるのでありまして、必ずしも全部が附属のほうが低いというわけでもない。又平均給与の計算等も見ましても必ずしも国が低いというわけではないのでありまして、国のほうはその職員構成の関係上年齢なり学歴なりその他の関係からそういうふうないろいろな場合があると思います。でこれにつきましては俸給そのものといたしまして特に附属学校の先生を一般の国家公務員よりもよくするというようなことは只今の現状ではちよつとできません。その他の方法で、例えば附属学校は特殊な勤務もいろいろあることと思います。ただ普通の公立学校と違いましていろいろな指導的な事務その他の点があるから、これらの点を考慮いたしまして、特殊の勤務といたしまして、これらに対する手当というものが考えれば考えられ得るのでありまして、そういう点につきましてもいろいろ研究いたしましてこの問題を何とか一つ考慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。人事院等に対しましてもかねてからこの問題は詳しく御説明いたして解決方をいろいろ要望いたしておる次第でございます。
  115. 高橋道男

    ○高橋道男君 岡田政府委員にお聞きしておきたいのですが、いずれ何らかの方法によつて成規の給与の体系によらずして何らかの方法によつて穴埋めができる見込だという意味のお考を伺いましたが、これは私はできることたら早急に実施して頂くのが教員の給与をよくする一つの具体的な問題になるだろうと思うのであります。そういうような御用意が予算問題措置も含めてやつて頂いているのかどうか、これを更に念を押しておきたいのであります。
  116. 岡田孝平

    ○政府委員(岡田孝平君) 只今申上げましたような方向で予算の問題といたしまして是非関係省に折衝したい、こういうふうに考えております。
  117. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の高橋委員からの御質問に関連するのでありますが、この点は非常に附属小学校経営上重大問題でありまして文部省もよくわかつているだろうと思いますが、今の給与の問題ともう一つは附属の小中学校の学級増加の問題とございまして、この二つの問題についてはすでにこの文部委員会を通して請願が政府に廻つているはずであります。この請願に対してどういう措置をとられたかお聞きいたしたいと思います。
  118. 稻田清助

    ○政府委員(稻田清助君) 本年度の予算におきましては、各附属小中学校を通じまして一学級平均の学級増をいたしております。
  119. 若木勝藏

    若木勝藏君 給与の方面は先ほどの答弁にないのでありますが。
  120. 稻田清助

    ○政府委員(稻田清助君) 給与を予算の面から考えますと平均俸給の問題になるわけでありますが、平均俸給といたしましては国立の学校と公立の学校を比較した場合に、国立の学校が必ずしも公立よりも低くない、つまりこれは先ほど大臣からお話になりましたように、職員構成として附属小中学校には年数を経た先生が非常に多いということであります。それを現実に申しますれば平均給としては中学校よりも小学校の方が遥かに多い。これは如何に小学校に長年勤務されたかたがたが多いかということであつて、これは一面附属学校の職員構成というものについてもう少し公立学校との間の交流をいたすことが必要だと考えられますが、それ以上予算措置をいたすということになれば、附属小中学校における教育が特別な勤務の状況にあるということ、矯正指導その他附属の公立学校以上の仕事をしているという面から特別の勤務手当なんかを出すなり、又職階職級という面から見てそういう面を引つくるめた、他の国家公務員と違うという理由が基礎付けられれば予算化することができると思います。そういう面は今後鋭意研究いたしたいと思つております。
  121. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 大臣にお尋ねいたしておきます。女教師に対する退職勧告の問題でありますが、本年の三月の定期異動に際しまして、年令四十五歳以上、或いは勤続年数二十五年以上、或いは夫婦共稼ぎの者というような特定な条件をつけまして女教師に対して退職勧告をした県が非常に多数に上つているわけであります。婦人教師はこれに対してはつきりした見解も持ちえない、これは婦人の封建性に基くものであろうかと思いますが、その封建性に乗じて自然退職の形を無理にとらせてそうして女教師の生活権を奪うというようなことは、これは誠に基本的人権を侵害するものであると共に、現在の日本の教育民主化の途上にあつて極めて由々しい問題であろうと思います。併しこのことは単に女教師の転退職ということではなしに、全体的な教育予算の圧縮によつて教育軽視のやはり一つの風潮というものが教員の定員定額制というものをきめて、その枠内においてベースの改訂或いは給別推定表の実施と、こういうことになりまして、予算のバランスをどういうふうにとつて行くかというような問題になるときに一番弱い層の婦人を目がけてここに圧縮されて行く、こういう犠牲を婦人に強いるということは誠にとんでもない問題だと思う。  そこで大臣にお伺いしたいことは、この問題の本質的な解決をどういうふうになさるおつもりであるか、それを先ずお伺いしたいと思います。
  122. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は、女性だからそれでそれを圧迫して免職さすということは、そんな不当なことはあり得ない話で、若しそういうことがあるならばそれは何とかして私どももそうならないように十分努力する考えでございます。ただあなたの方が私よりそういう事情はよく御承知であるから私の言うことが間違つていたら失礼いたしますが、私は今日本中の教員の中に実際資格として不十分な人が、戦時中人のいないために採用されていて、片方では立派な資格を持つている、学芸学部などを出た方が職にいないということがありはしないか、そういう場合にはやはり男女の差別をつけてはいけない。けれども若し資格の不十分な方にはやはり退いて頂いて、そうしてちやんとした正教員を遊ばせておくというようなことは国家全体の立場からはよくないのではないかという考えを持つております。だから退職ということが男女によつてそこに差別があるというのでは断じて私どもは反対しなければならんけれども、資格が不十分なるが故に退いてもらつて資格の十分な人に教育してもらおうというのであれば、あながちこれを排斥するわけに行かないのではないかという考えであります。
  123. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 教育界に新鮮な空気を作り上げて行くということは大臣も私も全く同意見だと思う。ところが熊本、愛媛、静岡、秋田、長崎、福島、佐賀、山形、宮崎、鹿児島、香川、島根、三重、京都、兵庫、岐阜、滋賀、富山、山梨、これらの十九県の教育委員会では、資格のある教員にかかわらずはつきりとその停年制というものを実施するような傾向にあつてこのことは誠に遺憾な点でありまして、停年制の復活ということが定員定額の線に沿つて現実に出て来ているということは、教育界に新鮮な空気を作り上げて行くということとは別個にその停年制が強行される。そこでこの停年制というものに対しての考え方は、社会保障制度審議会の五十五歳という年令というものと、今度具体的に出て来た四十五歳で停年制を現実に引いておるという問題は、これは非常な問題であろうと思うのです。大臣はこの停年制というものに対してはどういう一体お考えを持つておられるのか。それからもう一つはすでに通牒を発して、そういう態度をとつた各県の教育委員会に対してはどういうような御指導をなさるつもりであるか。この二点を伺いたいと思います。
  124. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私も大学を停年退職した者ですが、大学などは停年制は是非必要だと思つております。その理由はいろいろ申上げるまでもないかも知れませんが、小学校の場合にどういうことになるかはそれはすべて教育委員会に御承知のように任せてあることで、文部省が殊に今のような関係の下において教育委員会をどうこうということはできないと思うのであります。これは教育委員会に直接任せてあることでありますからそう御了承頂きたいと思います。
  125. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 御趣旨はわかるのでありますが、私の伺いたい点は教育委員会に任せてあるとは言いながら、やはりこの文教の任にある文部省というものが相当指導的な役割を果さなければならないということは当然であつて、今まででも教育委員会に任せてあるとは言いながら実際にはいろいろの指導がなされて来たと私は考えております。そういう点でこれは大臣が積極的にけさも全国婦人校長会議においでになつて女性解放論を一席述べられて大変みんな喜んでおるのですから、大臣がそういう積極的な御意思をお持ちであるならばやはりそういう指導的な役割をも十分果して、封建的な日本の現状においてはやはり特定の指導の下にこの婦人の職場というものを守らなければならない。こういう観点に立つてそういう点を一つ是非御指導を願いたいと思うのであります、これは意見ですが。  もう一つ先ほど本質的な解決の問題ということも御質問申上げたのですがそれには触れられなかつたので甚だ不満でありますが、これは勿論平衡交付金の増額というようなことに帰結すると思うのでありますが、これは多分前質問者が級別推定表の実施、或いはべースの改訂の実施というようなことについても大臣より篤と努力をなさるということも多分御回答になつたろうと思いますのでこれは避けますが、そのように了承してよろしうございますか。
  126. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) ええ。
  127. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 もう一つ伺いたいのでありますが、学校の学童給食の問題についてお伺いいたします。学童給食は極めて大切な問題であるのですが、今までも文部省の学童給食対策というものは非常に膿の出たところに膏薬を張るというような大変に補足的な対策きり立つておらなかつたと思うのであります。ところが五月二十二日の毎日新聞学校給食の継続の問題についてガリオア資金が六月三十日で打切られるために、この資金で賄われておつた学校給食資金をどうするか、こういう問題について次官会議で取りあえず見返資金をこれに充てて今まで通り継続するということが了解を求められた、こういうような記事が出ておりますが、これについて文部省の学童給食に対する基本的な対策を伺いたいと思うのであります。
  128. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) お答えいたします。私は学童給食ということは教育の上からも又学童の健康の上からも非常に必要なことだと思つております。そこで是非これは継続して行きたい。差当つて只今申されましたような見返資金をそれに向けて続けて行くということに閣議の了解を得たわけであります。
  129. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 継続という基本線がはつきりして参つたわけでありますが、現在の貧困家庭児童の給食については相当に問題があるようでありますが、この学童給食の理想とするところは義務教育の一環として全額国庫補助というここになることが理想だと思うのであります。それがまだ縁が極めて遠いというのであれば、貧困家庭の児童についての国庫負担ということについていささかお考えを持つておられるのではないかと思うのでありますが、現在の要保護世帯の、これは基準外でございますけれども、家庭の事情と給食費をどうしても納入できないというのが現在東京都の北区のPTAの調べで約一校に三十人以上おるわけであります。これは非常に教育上看過できない問題でありますので、貧困家庭の児童に対する国庫補助の問題についてはどういうようなお考えをお持ちになつていらつしやるか、それをお伺いしたいと思います。
  130. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は是非そういう国庫補助をするというようなことにしたいと思つておりますがその実際のことは監理局長からお答えさせます。
  131. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今御指摘の非常に貧困な子供たちの分をどうするかという問題と、全体を国家で賄うという質問の二点に伺つたわけでありますが、目下のところ学校給食の殆んど大半はガリオア資金で賄つておる品物で賄つておるわけでありますから、全体を国家で賄うとか賄わんとかいう問題に入ります以前にまだ問題があるのであります。そこへもつて来て丁度六月の末でガリオア援助資金が切られそれに対する関係通牒が来ておるわけであります。それに対する対策を立てて学校給食をどうするかということが一つの問題であります。なお遡ればこの点が固まつてからそういう問題に発展させるべきだと考えております。  それから貧困児童関係の分については大体私たちの持つております材料でもやはり各学級とも二割ということになつておりまして、その二割の人たちを賄うに必要な生活保護の方面から用意されております予算は、大体二割を賄うには事を欠いておりません。むしろ実際の問題ではその二割の上にある二割の人たち、その人たちがいろいろな社会的な関係から実際は相当苦しいのだけれどもその下の今お話の二割の人のようにはつきり始末がつかない。二割と申しましたの二%の間違いです、二%の最低貧困者がおる。その次の二%の人たちが、先ほど申す非常に貧困な意味ではつきりこれは給与の形を受けておる人たちの上にある二%の人たち、この人たちの始末が一応問題になるわけです。この二%の人たちの給与のために従来の生活保障の行き方で行きますと方面委員或いは民生委員……
  132. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 もう一つあるのですが。
  133. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) というようなことのために非常に手続上恵まれない者が多かつたために、昨年からそうした関係について学校長なり担任の先生なりの承認といつたものがものをいつて、又その金の始末もその家庭なり子供なりを直接煩わさないで学校で簡単に始末のできるように方針を立てたい。その分の利用の仕方、問題はむしろそこにかかつておると思います。これを上手に賄つて頂けば予算面からは必ずしも不足だからできないのじやなくてむしろその分の利用度、その分の啓蒙が足りないのじやないかという問題が存しておると思います。
  134. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それからあとには又予算の面では足りないのではないという非常に重大な発言がありましたからあとで質問いたしますが、大臣がお急ぎでございますので、もう一点別な問題でありますがお伺いしたいと思います。それは産休補助教員の問題であります。この問題は大変御親切に文部省から通牒を出して頂いたお蔭で多少緩和されておる面があるのでありますが、御承知のように極めて地方財政が逼迫しております。そのために地方財政の許す範囲内において云々ということだけでは決してこの産休補助教員は採り得ないということがはつきりしたわけであります。現実の大変によいデータもたくさんここに出ておるのでありますが、産休補助教員が採れないために今の先生方が補欠授業をしておる。これは大阪あたりでは実にその四四%を占めておる。それから学級を合併して授業しておる、こういうのが一八%を占めておる。又産後の休養をとれないものが実にその六〇%近いというような驚くべき数字が出ておるわけであります。このことはやはり教育上極めて重大な問題であつて、教員自体の問題であるばかりでなく教育の崩壊の線を一つここにはつきり出しておる問題。これは結核教員の休養の問題と産休の教員の休養の問題は同じような意味において取扱われなければならなかつたのでありますが、予算の関係上産休の教員は後廻しというようなことでこれまで非常に忘れられておるのでありますが、これはどうしても国家予算として出してそして産休の補助教員をとつてそして教育を守つて行く、こういうふうな線をどうしてもとらなければならん。こういうように考えるわけでありますが、大臣は今度の補正予算にこの産休の補助教員をとるための国家予算を組まれる意思がありやなしこれをお伺いしたい。
  135. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 折角の御質問、急ぐようで悪いのですが、実は高等学校長の会議があるといつて呼ばれているので……。産休のことは私も前からこれは粗末にしてはいけない、是非そのための処理をしなくてはいけないといつて教育委員会に警告といいましようか、アドバイスといいましようか何かを出してもらつたのでありますが、それを予算化して行くということはできれば私もたいへんよいことだと思います。ただ私が今ここで簡単に事務当局とまだ話合いをしていませんのに補正予算を出すということになりますとちよつと言いかねますが、私はその方法でできるだけ行きたいと思つている。
  136. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 どうもありがとうございました。まだ次があるんですよ、学童給食のことが。そんな御答弁じや満足行かない、財政問題、事務のほうにまだ質問があるのであります。
  137. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) この前伺つたときは教育委員会に警告を発したのですから……。今日は新らしい予算のことですから、それを大臣が勝手に予算に組むとか何とか言つても又いかんと思いますから、組む方向だ、こう申したのでありますから、そこだけ……。
  138. 和田博雄

    ○和田博雄君 非常に急いでおられるようでありますかこの次に……。
  139. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 三時まででしたら伺つておきます。
  140. 和田博雄

    ○和田博雄君 若しもほかの委員のかたがお尋ねになつてお答えになつていたらお答え下さらなくて結構であります’。今このリッジウエイの声明がありまして何かわけのわからん委員会ができていろいろなことを政府でやつているようでありますが、行政全般に亘る例えば文部省なら文部省の所管の事項について、一体講和ができたき或いはその他のときにどういう形で今後の文教なり何なりを持つて行こうとするようなことについて、各賓大臣というものがそれぞれ腹案を持つて閣議なんかでも相当に話をして今後の方向というものをはつきりときめつつあるのか。そういうことについてはもうまだ具体的には何ら進行していないのか。それらの点について文部大臣として文教教育の点についてどの程度のことまで一体考えられて、そしてやられておるかということだけを簡単に伺つておけばそれでもいいのです。
  141. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) それはここが一つの切換えだ、ここではつきりしたことをきめなければいけないと自分も思つています。文部大臣考えだけでそれをやるわけには行きませんから勿論省内にも相談している。なおそのほかにも私は私的に私の平生知つております公平な立場におられるかたがたにも集まつてもらつて意見を聞きつつあります。閣議にはまだ何も言つておりません。その点一つ
  142. 和田博雄

    ○和田博雄君 それからその考え方で行けば、今度の予算、来年度の予算については少くともある程度のものがそこへ入つて来なければいけない。来年度の予算というものは私は本格的の予算ではないだろうと思います。これはあらゆる文教方面のみならず経済一般についてもそうだと思うのですが、そういう点になつて来るとまあ相当お急ぎになつておるので、この次の予算にはやはりこの本当の切換時であれば、その切換時に何かきめて置くことが必要ではないかという感じがいたすのですが、そういう点について一つ、まあ今日は質問よりも希望ということにいたしたいと思うのですが、がつちりしたことを一つつておいて頂きたいと私は思います。
  143. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ちよつと、今教育公務員特例法が、法律がはつきりきまらないわけでありますが、きまらない先に文部省から各教育委員会に大変御丁寧な御通牒を出しておるということを聞いておりますが、文部省がその法律がまだきまらない先に法律解釈をしたような通牒を出す権限があるのでありますか、ないのですか、それを伺いたいのであります。
  144. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそり甚だ急ぐようなことを言つて自分では不本意ながら用があるから急ぐのでありますが、今の教育委員会にアドバイスするという問題は文部省の責任ということを先ほど高田さんがおつしやいましたように、何かのアドバイスをしたかも知れません。私は何にも聞いておりません。ただアドバイスすることはいいじやないかと思つております。
  145. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 アドバイスはそれは認めるのでありますれけども、その法律解釈文部省で勝手にしたアドバイスといつたようなものはこれは許されていいものかどうか、私は非常に疑問に思うのであります。
  146. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その内容によることでしようが、文部省が勝手にしたと高田さんおつしやいますけれども文部省で勝手にものをやつたりなどしないと思います。やはり客観的にそうあるべきものだということを文部省が命令するということはできないのだから、文部省はこう考えておるから参考にしてほしいといつたかも知れません。私はその内容を聞いておりません。
  147. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それでこれはどうかその通牒の内容を示して頂きたいということを申上げておるのでありますが未だにそれをさつぱり示されません。どうかこれは自治庁並びに文部省では法律がまだ成立しない先にそういう通牒を出したということについては私は非常な関心を持つものであります。どうぞ文部省の通牒を各委員の手許までお配り頂けますように特にお願いいたしたいと思います。  それから大臣の御答弁にありますように、学童給食は継続してやつて行きたい、このためにはやはり予算の裏付ということが極めて必要な条件になつて来るわけでありますが本年度の内示額は八百二十五万六千円というように承知しておりますが、内容を簡単に要点だけ説明して頂きまして、又これが何カ年計画でおやりになるのかということ、そういう点について一応説明してもらいたい、簡単でよろしうございますから。
  148. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今の御指摘の数字は多分府県単位に給食のモデル施設をやります施設について、その一部を補助する補助金があるのであります。それの数字かと思います。
  149. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 モデル施設ということは結構でありますが、そのモデル施設にはこれは私の間違いかも知れませんが十五坪という基準数が出ておるのでありますが、モデル施設とあるからには少くとも一校の学童給食施設にその十五坪のものでモデル施設ができるかどうかということは非常に問題があると思うのであります。この十五坪という数字を出された根拠について御答弁願いたい。
  150. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今の御指摘の点は十五坪は十五坪そのものがモデル施設という意味ではございませんで、こういう施設の補助額の枠というか、それを学校によつて八百とか、六百の学校に対して十五坪で、そのものがモデル単位であるというのではございません。
  151. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 続いて伺いたいのでありますが、工事費の分ですが、この工事費は普通の常識でもわかる通り、非常に値上りを来たしているわけですが、この工事費の基準額を一体どのくらいに組んであるわけですか。
  152. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 単価ですか。
  153. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ええ、単価です。工事費の単価、一坪今二万円とか一万円とかいうふうにあるわけです。その予算の基準は一体幾らに組んであるか。
  154. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) それはあの前の単価と同じ計数だつたと記憶しておりますが、はつきりしませんから後ほどはつきりした数字を差上げます。
  155. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 これは資料一つ頂けませんか、こういう資料ですね、一坪の単価或いは今年度やる坪数はどのくらいであるか。
  156. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 今の八百万円についての資料でございますか。
  157. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 そうです。
  158. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 承知しました。
  159. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それでは以下三点かいつまんで御質問したいと思うのですが、講和を前にして連合国側からの小麦粉の無償給与が六月三十日で打切られたでしよう。それで給食の予算措置について見返資金を以て充てるということが閣議で決定されたということが報道されているわけですが、それは大体どのくらいの額か、それを知らせて下さい。
  160. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今のところ本年度の七月から二月までの問題、そのうち特に十二月までの問題というところで二十七億少々の額でございます。
  161. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 二十七億。
  162. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) はい。
  163. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それから第二点は製粉する場合の諸経費この製パン加工費といつたようなものが今だんだん高くなつている。現在の物価高から見ましてこれは相当の割高となつて来るということが考えられますけれども、そういつたような算出基準は再検討されておるのかどうか、これを伺いたい。
  164. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 食糧関係の官庁なり物価関係の官庁なりと協力いたしまして、その予算を十分調べております。
  165. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 その資料がありましたら頂けません。  第三点、学校給食、これは社会保障制度の見地からやはり立法化しなければならないことは去年から御意見があつたと思うのですが、その立法化が具体的にどんなふうに一体進んでおるのか、それを一つお聞かせ願いたい。
  166. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 立法化の必要な問題、教科の内容としての給食という感覚から見た一面と、財政上の問題をどうするかという問題とからんで、その二点が焦点でなければならないと私は考えておるわけであります。第一の点についても丁度先ほどからお話が出ておりますように、全体の額についての問題ともからんで参りますし、第二の点についても先ほどのお話と全体にからむ筋合の点がございますので、むしろ幸いに見返資金で賄えるという面がはつきりいたしますれば、下手に法律を組んで、或いは法律による場合にはむしろ見返資金の場合よりも非常に不如意な始末をせんならんような状態考えられますので、余り取急いでこれをしますことがいいのか悪いのかといつたところで今又再検討いたしております。ただそういうことを推進めて行くについては法制化が必要だということについては、従来よりももつと痛感をいたしているわけであります。
  167. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 漏れ聞くところによると、文部省は学童給食に対する四カ年計画を立てているということを聞いているのでありますが、そういう遠大な計画を持つているならばこれは当然立法化しなければならないと私は思う。この四カ年計画というのは一体どういうところからどういう方法で出て来たのですか、お聞かせ下さい。
  168. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 四カ年計画とかいうものは私は全然聞いたことがございませんので、全然そういうことはわかりません。
  169. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 わかりませんか。それではこれは非常に急ぎますので打切りますが、もう一点別な問題でありますが養護教員の問題について伺いたいのです。関係のかたに伺いたいと思うのです。この養護教員の配置の問題については、今この健康教育ということが非常に高く叫ばれておるわけでございます。併しながら現実においてはこの養護児童の養護という面については何らの国としての具体的な手が打たれていない、これは全く手放しの状態である。で大体今小中学校の数が三万二千ある。そこへもつて来て養護教員の数が大体七千人くらいきりしかない。こういうことになつて来ますと一校一人の養護教員が学校に当らないということになれば、これは養護教員のない所はもう殆んど手放しの状態で置かれておる。こういうことは甚だ私は遺憾だと思うのでございますが、この養護教員の配置について具体的な方策を今持つておられるならばそれを伺いたい。どなたでもお答え下さい。
  170. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 養護教員の問題でございますが、その前に養護学級或いは特殊学級の問題を語うまして、その上でそれに配置する養護教員をどういうふうにするかという問題を今研究中でございますが、できればこの関係をできるだけ早く充実したいと考えて目下計画立案中でございます。
  171. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 養護学級並びに特殊学級の問題は、これは特定な養護施設であつて、一般の児童の健康管理という問題とはこれはやはり二本建にして考えなければならない問題だと思う。従つて児童を千人も八百人も収容しておりながら、そこに何らそれに対する手が打たれないなんていうことは、これはもう文明国家としてあり得べからざることである。このことはすでに去年あたりから問題として私は質問して具体的な手を打つことになつておるという御答弁を頂いたと記憶しておりますが、その後何にも具体的な手が打たれておらないと思うのですがこれを一体いつどういうふうになさるお考えですか。お聞かせ下さい。(「それは教育委員会の問題だ」と呼ぶ者あり)
  172. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) この委員会におきましていろいろ御質疑或いは御意見ございましたことは実は知つておりますが、文部省におきましては学校設置基準と申しますか設備基準、その他基準関係の法律案を準備して関係方面に折衝を続けておる次第でございます。その中に養護教員の定員の問題だとかそういうものを織込んでおるわけなんでございます。我々といたしましてはできるだけ早くこれを立法化いたしましてその基礎をはつきりいたしたいと考えておるわけでございます。
  173. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 これは木付さんのおつしやつたように決して教育委員会の問題ではございません。教員の定員定額の問題の枠の内に置くのか外に置くのかというような非常に重要な文部省それ自体の問題であろうと思う。従つてこの定員の枠の外にこれを置くのか、今までのように一千三百名について一名の養護教員を置くというような、こんなデスク・プランで終始するというようなことをまだ文部省は持つておるのかおらないのかということを私は伺いたい。もう少し詳しく説明して下さい。納得が行きません。
  174. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 只今申しましたように学校施設並びに設備の基準法案を準備中でございますが、その場合に生徒当り何名というようなことをきめたいと思つております。このためにどういうところに落ちつくかということについては今はつきりしたことを申上げかねるのでございますが、財政関係の裏付けを必要といたしますので、我々としましてはお説の通りできるだけ養護教員をたくさん得てその間に遺漏なきを期したいと思つております。
  175. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 具体的な御答弁が得られないのは甚だ不満でございますが、更にこの養護教諭の講習や何かが行われておるようでありますが、こういうような講習などではとても児童の健康管理をして行くというような重大な職責を果すということにはちよつと縁が遠いと思うのであります。それで児童の健康教育というような面からも恒久的な養成機関というものがこれは当然考えられて来なければならない問題だと思います。これについてどういうふうな考え方を持つているか。  更にそれに附随してお答え願いたいのは、学童給食の際の栄養士の養成機関をどういうふうに考えているか、これはちよつと問題が違いますけれども、同じく教育を守る養成機関の問題でありますからお答え下さい。
  176. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 養護教諭の養成機関をどうするかということでございますが、これも養護教育が今までいろいろな方面にいわれておりますが、これを正式に養護教諭として養成するということにつきましては、現在大学で若干、まだ計画的ではありませんが、養成しておる次第であります。併し今後はつきりした数字が出ますれば多少これを計画的に養成して行きたいというふうに考えております。  なお栄養士の問題につきましては現在はそこまで手が及んでおりませんが、この点は十分研究して行きたいと思つておる次第であります。
  177. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 どうも不満足ですがそれ以上出ないんでしよう。もう一点一つお願いします。幼稚園の保育所への転換の問題でありますがこれは極めて現下の急務だと思うのであります。この幼稚園の関係の方がいらつしやいましようか。この幼稚園の経営が非常に困難だということは、文部省もすでに御存じだと思うのであります。このために廃園或いは保育所にこれが転換しているわけであります。これを昨年の十二月末で十四県のものを調査したところが、もう幼稚園から保育所に転換したというのが二十二カ所ある。これは誠に幼児教育にとりましても、文部省としてやはり一本基本的なお考えを持たないところにこういうようなことが続出して来るのだと思います。なぜ幼稚園から保育所に転換して来るかというといろいろ理由はあるわけですけれども、保育所には助成金が出ます。それから共同募金がある、それから給食がもらわれる、いろいろなララ物資の配分が保育所にはあつても幼稚園にはない、そういうような結果名前だけを保育所に換えて行つてしまう。併しこのことはやはり日本の幼児教育にとつて、幼稚園があり、保育所がある、それで保育所にだけは特典を与える、幼稚園には特典を与えない。教員の資格だけは又ちぐはぐにしておくというようなことになりますと、これは日本の幼児教育の基本的な計画についての問題が論議されて来ると思うのでありますけれども、この保育所転換の問題について文部省はどういうふうに一体考えておるのか、基本的な考え方だけお聞かせ願いたいと思います。
  178. 久保田藤麿

    ○政府委員(久保田藤麿君) 幼稚園と保育所の問題でありますが、これは極めて大切な問題でありまして、我々といたしましてもこの関係ははつきりしたいと考えております。と申しますのは、例えば保育所に入れるべき幼児と、幼稚園に収容する幼児、この関係が今現在では錯雑しておりますので、只今お話がございましたような補助金の関係で両者混淆いたしておりまして保育所に幼稚園が転換するというふうな傾向があるのでございます。それに対応いたしまして幼稚園に補助金を出すということは考えられないわけではございませんが、併しもつと根本的にこの点は収容すべき幼児の問題を先ず解決しなければいかんし、又その他施設等につきましても考慮しなければならんと思います。目下厚生省といろいろ打合せをいたしまして、たしか生活保護法だつたか社会福祉法の改正によりまして、保育所に収容すべきものはこういう法にあるということを明瞭にいたしまして、その関係をその面からはつきりするように最近はいたしたわけでございます。なおお話がございましたように、補助金の問題或いは施設、設備に対する援助の問題と、又いろいろこれらにつきましては問題がたくさんありまするので厚生省といろいろ打合せをしておる次第でありまして、できるだけ早く解決いたしたいというふうに思つておる次第であります。
  179. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本日の質問はこれで終了いたしまして前に問題になつておりました産業教育法案関係者が運動資金を集められたということ、これに対しては文部大臣が遺憾の意を表されて今後かかることのないよう教育委員会にも注意するということで我々大体了承いつたしましたが、この運動が正式に刑法にかかるかどうかということについて一応研究してもらおうということになつておりましたが、幸い奥野法制局長がお見えになつておりますので参考までに御意見をお伺いいたすことにいたしたいと思います。
  180. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 政治資金規正法によりますと、政党と政党以外の協会その他の団体についての政治資金についての規正をいたしておりますが、政党域外の協会その他の団体につきましても政党と同じように会計責任者を設けて届ける。それから又四月或いは八月、十二月相当長期に亘つて会計の報告をとつておる。或いは又会計帳簿の備え付を明示しておるというふうなことになつております。これを見ますと協会その他の団体というものは大体政党に準ずる取扱になつておりますので、従いまして、その組織なりその政治活動という面から見て大体政党に類すると思われる程度の、いわば高度の組織力並びに政治活動力を持つておるものであることを予定しておるのではないかと思われます。そこで軍に或る特定の法案のためにまあ陳情の運動をするとか或いは希望を表明するといつたような団体は、この中に入らないのではないかというふうに考えるのでありまして、今問題になつておりますその団体につきまして、果してその組織なりその活動なりを十分つまびらかにいたしませんと、これが単なる陳情団の適用であるか、政治資金規正法の適用を受けるべき協会若しくはその他の政治団体と見ていいかということは具体的にちよつと判断いたしかねると思うのでありますが、若しこれが問題になりますれば、裁判所等において具体的な事実に徴して判断されるものと思われるのでありますが、ただ形式的に法律論といたしますれば、只今申上げましたように解釈すべきじやないかと思うのでつあります。
  181. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) よろしうございますか、
  182. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は素人だから参考に、まあ私もよくわかりませんですけれども、例えばそういう誤つた考え方でこういう法案を立案し、或いはこれを担当するというような人と一緒に行つてそこで一杯飲んだというようなそういうものに使つたのじやないか、こう疑われるようなことをした場合にそれはどうなりますか。
  183. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 具体的な問題になると甚だあれでありますが、更にそういう団体を作つてその中からまあ議員を推薦して出すとか或いは又議員に対して相当影響力のある政治活動をするという団体であればまあそれも入るんじやないかと思います。単に陳情とか希望の表明というだけであれば入らない。結局そこの境が非常に微妙なむずかしいものであろうと思いますが、概念的に、単に陳情希望の表明のための団体であれば入らないというように考えております。
  184. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この程度で如何ですか。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これはいいつわけですな。法律案に対して陳情の限界が具体的に問題になるのはりここで言つてもしようがないけれども資料を集めてどんどんやるということは何ら差支えないわけですか。
  186. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 現在実際問題として、特定の法案を議院に陳情するために地方から来る場合に、多少やはり旅費等が要りますから、やはり使つて、そういうふうなのが実際あるのでありまして、それについて別に届出もしてないようでありますし、又選挙管理委員会のほうでもそれを摘発するとかいつたよなこともない。まあ大体その陳情の程度であれば、入らんような考えのようであります。
  187. 岩間正男

    ○岩間正男君 額によつてこれは左右されるのか、性格としてどうなるか。例えば炭鉱国管の場合に問題になつたわけでありますが、それはまあ額が非常に多かつた、こういうことで問題になつたのですが、額で左右されるのですか、今の政府は……。
  188. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) それは政治活動の規模、影響力の大小によると思いますが、例えば地方公務員法を反対するために、日教組が或る一定のその期間だけ届出をしたいということを聞いております。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一つだけ……。法制局長の言明していることは非常に重要だと思いますので、一言だけ追加えたいと思います。それは今度の場合ですがね、私あえて多額というのではないのですが、私は非常に不当に多額な金を集めていると思うのです。動機のよしあしは別でございますよ。そうしてともかく或る法律を或る政党が政策として掲げて、その政党が掲げた政策のその施策ですね。それに共鳴してそれを推進するために不当に多額の金を集めて、そして議院内外の運動をするという、こういうあり方ですれ、これは望ましき形でありますか、どうですか。
  190. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) これは非常に高い金額の規模を以てやるということになると、自然その政治的影響力も強くなつて参るので、その団体の規模及び組織、その政治活動如何によつては、政治資金規正法の適用を受けることになろうと思います。
  191. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 この問題は我々文教の問題として取上げておるのであつて、政治活動云々というようなことが法律に触れるか触れんかということは、本文部委員会が取上げるべきではないと思う。ただそれがああいう運動をしたことが文教的な意味においてどういうことを考えなければならんかという、その点だけが問題だと私は思います。どうかこの問題はこの程度で打ち切りにして頂きたい動議を出します。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは教育的な問題でもあると同時に、やはり関連で今まで騒がれた、例えば日教組の運動についても問題が起つておるのですから、明らかにすることが必要なのです。それでこれは非常に法制局長の発言というのは重要になると思うのです。例えば大体我々は具体的な内容は皆知りません。大体聞いておりますが、これくらいのことが許されるということになりますと、今後この影響については相当考慮して考える必要がある、その点は検討済みなのです。我々はこういうことが許されましたら、同じことが起つても何でもない、とんでもない、違うのです。問題が……。それからもう一つ伺いたいのは、小学校児童は、これは学校の構成員ということになつていると思いますが、普通の業者、団体なんかの場合と同じに取扱われますか。例えば業者が金を出す、こういうような場合、学校の構成員ということにはなつてはおりますけれども、性格が違う、こういう学校の生徒が金を集めだという場合、同じにこれは考えられますか、この点伺いたい。単に教育的問題ではない。うるさいですよ、少し……。
  193. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 現在の今問題にされているのが、政治資金規正法の団体になるかと見るべきかどうかという点は、私は具体的に活動なり、組織なりを研究しておりませんので、それが該当するとかじないとかいうことは、私はちよつとわかりかねます。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 子供ですよ。その子供というのは一体どういうふうな立場になるか、法的に言えば学校子供、それから業者なんかの場合は、業者がそれ自身経営者ですが、併しそこに多少構成の仕方が違う。自分が経営している場合の業者が出るという場合と、何も子供経営者でもない。構成員という意味では構成員になつているかも知れないが、非常に性格が違つたもの、こういうものはどうですか。
  195. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この辺で打ち切つて、本日は散会いたします。    午後三時三十分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            工藤 鐵男君            平岡 市三君            高田なほ子君            波多野 鼎君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            高橋 道男君            山本 勇造君            大隈 信幸君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員    文部委員長   長野 長廣君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部大臣官房人    事課長     岡田 孝平君    文部大臣官房会   計課長事務代理  相良 惟一君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省管理局長 久保田藤麿君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   衆議院事務局側    常任委員会専門    員       石井  勗君   説明員    文部省調査普及    局刊行課長   近藤 一唯君    教科用図書分科    審議会会長  石井 一朝君