○
政府委員(
辻田力君)
産業教育の振興について
文部省でどういうふうに
考えているかという先ず
最初のお尋ねにお答えいたします。
産業教育の振興については、その不振の原因を突きとめなければならんということは勿論でございます。それにはいろんな
事情が輻湊いたしまして、今日のような状況にな
つているのでないかと思
つております。例えば人の問題にいたしましても、
産業教育に従事する人について特別の
考慮を余り払わなか
つたということもあ
つたのでありましようし、又従
つて現在におきましては、御承知の
通り産業教育に従事する
学校の先生を特に養成する機関も全然ないというふうな状況でございます。でそういうふうなこともございまするし、又戦災或いは転用というふうなことで
施設、設備が非常にこわされたとか、なくな
つてしま
つたというふうなこともございましようし、又新らしい
教育内容と申しますか、
方針につきまして、正しくそれを把握すればいいわけでございますが、場合によればそれが誤ま
つて、いわゆる一般教養を重視すればそれがいいんで、こういうふうな技術的なものであるとか、或いは
職業知識というふうなことは第二、第三であるというふうな
考えかたも、或いは新
教育方針を誤ま
つて解釈する場合には
考えられたのじやないか、そういうこともやはり影響しているのじやないかと思います。いろいろな面がその他一般に、これ今はから勿論始ま
つたことではありませんが、
産業教育或いは
職業教育ということに対しまして比較的軽視するという弊風が一般にございまするが、そういうことに対する是正ということも
考えなければならんのじやないか、かようなわけでございます。従
つてこれらのいろんな原因を探究いたしまして、それに対する根本的な施策をしなければならんと思
つているわけであります。従
つて先ず
文部省といたしましては何とい
つても人の問題が大切でございまするので、教員の養成、特に
産業教育に従事する先生がたの養成につきましては懸命に
努力をしているわけでございます。本年から例えば総合農業科を設置いたしまして、農業
教育に従事する先生を特に養成するというふうな
施設を設けましたのもこの現われの一端でございます。併しこれは農業に限らず、工業におきましても商業におきましても、水
産業におきましても同様なことを
考えなければならんことだと思
つております。なお
教育の
内容につきましても人格の完成と申しますか、これもただ抽象的な、一般的な、観念的なことだけでは必ずしも人格の完成はできない。むしろこういう仕事というか、技術というふうなものを通じて人格
教育ということも
考えられなければならないのじやないかというふうに
考えております。従
つてそういう面からも
教育内容、或いは
方法についても十分これを研究して、よくして行かなければならないように思
つております。併し最も困
つております点は、今の
施設、設備の点でございまして、戦災或いは転用というふうなことによりまして非常に
学校では困
つておる次第でございます。こういう点につきましては特別の国家的な
措置をいたしまして、国で
補助するというような点を強くいたさなければ、その振興は期し得ないのでございますので、従
つて今回の
産業教育法案におかれましてその面が強く出ておるということも肯かれることだと思
つておるのであります。又育英の方面からも特にこういうふうな
産業教育については、比較的今までの実績によりますと、貧困な子弟がほかの場合よりも多いようなことも
考えられますので、育英
関係についても
考えなければならん。又一般の世間的な風潮といたしまして、
大学まで出るのが一番いい
方法だというふうな、而もそれが一般の教養的な面を重視して、そういうふうに
考える傾きがございますが、そういうことはだんだんに改めて行かなければならんというふうに思います。従
つて先ず一般の
職業教育、或いは
産業教育を軽視するという弊風を、これをいろいろな
方法で改めて行かなければならんというふうに
考えておる次第でございまして、これらのことを逐次実行化する、或いは又
予算化するというふうにいたしまして、
産業教育の進展に尽したい。従
つて又日本の再建に貢献したいというふうに
考えておる次第でございます。
第二の問題の総合
高等学校の運営の問題でございますが、これも先般のこの
文部委員会におきましてお答えいたしたことでございますが、この総合
高等学校の運営につきましては、いろいろな問題がここに伏在しておりますが、必ずしもこの総合性ということにつきまして真意を理解していないという点から起る不振ということもあるのであります。併し真意は理解しているが、実際具体的に運営する場合に非常に困るというふうな場合も
考えられるのであります。そこで我々といたしましては、この点について研究を進めておるのでありまするが、現在の段階におきましては、これを直ちに改めるという結論に達していないのでございます。この
内容をよく改善いたしまして、本当の
意味の総合性を実施したい、その理想を実施したいというふうに
考えておる次第でございます。