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1951-03-29 第10回国会 参議院 文部委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)    午後二時五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○文化功労者年金法案内閣提出) ○小委員会設置に関する件   —————————————
  2. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) それではこれより文部委員会を開会いたします。  文化功労者年金法案を議題といたしますので、これについての継続質問をいたすことにいたします。御質疑のあるかたは御発言を願いたいと思います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡單な御質問を申上げますから、要点だけ御答弁願いたいと思います。  先ず現在文化勲章という制度があつて精神的な優遇をしているわけでありますが、ここに年金を支給しこれを顯彰する、文化勲章精神的援助をしておつたのに、ここに年金というものが支給されるということになる。この年金を入れられた理由でございますね、つまり年金性格と申しますか、そういうものについて提案者としてはどういうふうにお考えになつておりますか、所見を承わりたい。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは文化功労者年金法案というのは、文化勲章とは直接の関係がないのでございます。この文化功労のあつた人たちに対して年金を出そう、併し文化勲章をもらわれた人がこの中に選び出されるということは当然であると思いますけれども、文化勲章とは別のこれは法案だと理解しております。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は提案理由はつきりしておりますし、わかつているのでございますが、これは大臣の構想としてこういうものが生れて来たわけでございますが、その出発当時は、やはり文化勲章というものがあつたと思うのです。それが憲法の第十四条に牴触するという立場から、いろいろ紆余曲折を経てこの原案のような形に到達した経過を持つているわけでありますが、私は年金というものをここに支給するということが出て来た、その大臣のお考えと言いますか、その点について承わりたいと思います。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はやはり、学者で以てまだ研究もできる人々が、非常に生活も何もできなくなつてしまつているというような人もありますから、そういう人も含めて、一方ではその功績を顯わすと同時に、そういう意味も含めてこういう案を考えたわけでございます。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣気持としては、やはり芸術学術その他文化の交流を図るためには、そういう人の生活を安定させるというお気持も相当強くある、こういうように了承してよろしいわけですね、
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その点については政府委員ちよつと答えさせますから……。
  9. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 年金性質は、やはり一つのこれは文化発達に関しまして非常に功労のあつた者に対する顯彰の方法と言いますか、内容と言いますか、物質的にこれはなすものといたしましております関係上、やはりこれは根本的に言いますと、賞金制度に当るのであります。けれどもこれが、只今大臣から言われましたように、非常に研究とか或いは芸術方面その他の方面にいろいろ功労あるにかかわらず非常に生活に困つているというのも多いのでございますので、実際においてはこの年金を支給いたしますことが、そういう生活の面にも非常によくなるということはございますが、根本の性質としては賞金というふうになつている次第であります。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この文化勲章制度憲法第十四条との関係もありまして精神的な優遇にとどまつておりますのに、ここに文化功労者年金法としてこういう功績顯彰するという意味と、それから年金を支給するということは、やはり年金には今大臣なり政府委員が御説明になりましたが、やはりこういう学術芸術その他文化発達に寄与されたかたの老後の生活安定、こういう意味も多分に含んでいるという点は私は了承するものであります。これにつきましても、やはり我が国の文教、科学の振興という立場から私は大臣に、日本学術会議生活擁護委員会の出されたあの結論というものを十分御検討下さつて、そしてやはりこの文化功労者年金法年金という言葉が出て来たが、その精神を一貫して頂きたいということをここに要望申上げる次第です。もう少しお伺いいたしますが、それは日本学術会議学士院がありまして、学士院会員が百五十人、学術会議で推薦するようになつておりますが、あの学士院会員に対しては予算範囲内において内閣総理大臣年金を支給する。こういうふうになつておりますが、それとは直接関係ないことは、わかつておりますけれども、あの年金というものは、現在どのくらい出されておられるのか、それを承わりたいと思います。
  11. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 年金といたしましては、只今お述べになりました日本学士院会員に対しましては、年に八万円を出しております。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あの学術会議の規則にある通りに、百五十人に対して、一人当り年八万円出されているわけですね。
  13. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) その通りであります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど私が申上げましたように、その経過から申しまして、文化勲章、それから学士院賞、こういうものと直接関係ないということは、提案理由から申してもはつきりしているわけでありますが、この提案の中で文化勲章受賞者がまあ大部分になるんじやないかという印象を受けるわけでございますが、やはり文化勲章を受けられたかたとか、学士院賞を受けられたかた、そういうかたの中から文化功労者をピック・アップする。こういう形になるんでありましようか、大体の見通しでございますが、その点伺いたいと思います。
  15. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 文化勲章を受けられた人が主となることと考えております。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、文化勲章を受けられたかたが、今まで何人あるかという点と、それからこの法案通過と共に、予算を何人分予定しているかという点について承わりたい。
  17. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 文化勲章只今までに受けました者は只今三十四人でございます。それからこの文化功労者年金予算といたしましては、これは郵政省の所管に恩給及び年金という予算がございまして、その中に、この文化功労者年金予算を見込んでございます。これは実際には選考審査会を構成いたしまして、いろいろ選考審査をいたしましたその結果きまるのでございますから、本年度何人というふうにはつきりあらかじめ具体的にきまりません関係上、一応予定といたしまして組みましたものでございまして、一応予算といたしまして、三十四人分を計上いたしております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その三十四人分を予定いたしたときには、三十万円程度の見通しじやなかつたのでございますか。五十万円にその後なつたようでございますが、そうなりますと、人員が変つて来るのじやないかと、こう考えるのですが、如何でございますか。
  19. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) お話通りその予算を計上いたしましたときは、政府原案年金三十万円ということで立案いたしまして、いろいろ免税等につきまして大蔵省と折衝いたしたのでございます。そのときに予算のほうは、予算の確定のときに至りました関係上、お話通りに一人三十万円といたしまして三十四人分を計上いたしたのであります。そのまま予算として確定いたしたのでありますが、その後大蔵省といろいろ折衝の結果、この年金に対しましては免税は非常に困難である。一応できないということで、それならば五十万円に増額してもらいたいということを折衝いたしました結果、五十万円に増額になつたわけであります。従つてこの実施の際には、予算運用の問題につきまして、更に大蔵省或いは郵政省等とも折衝いたしまして、この実際に支給いたします際に、予算の運営に遺憾のないようにいたしたいと考えております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点お伺いいたしますが、それは先ほど大臣から文化勲章特別関係はないが、文化勲章受章者が恐らく主になるのであろうという御答弁でありましたが、その点私了承するものであります。それにつきましてもう一点お伺いするのでありますが、これは單なる新聞報道でありますけれども、七十歳以上のかたに適用するのではないか、年齢的制限が加えられるのではないかというようなのを、これは単に新聞紙上で見たのでありますが、そういうお考えがあられるのかどうか。若しあるとすればどういう見解からそういうことになつたのか、それを承わりたいと思います。
  21. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そういう考えも持つておられる人があります。私はいろいろな人の意見を聞いて見たのですが、たくさんございます。そこで六十歳前で十分働けるかたは、まあそういう年をとつた、そうして学術上非常に功績もあり、又有力なかたのほうに譲るほうがいいのではないかというような意見も世間にはあります。そういうことも反映して来たものと思いますが、差当つて私は年齢のことはいずれ審議会を作りますから、そこの御意見に従いたいと思つております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣自身はどういうお考えでございますか、個人の……。
  23. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 個人としては私は六十五歳ぐらいまでの人はまだ働けるのですからして、ここに個人としての意見を述べろということですから個人としての意見を述べるのでありますが、片方ではこれは確かに表彰するという意味を持つておるのですが、と同時にそれが人の生活を助けて行く、そうして年をとつても有力な研究者もありますから、そういうかたにも研究してもらうという意味もありますから、私は六十五歳以上ぐらいの人がいいのではないかという私見は抱いておりますけれども、併しそれは私のただ個人的な見解であります。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう細目については、政令できめるようにこの法律案ではなつておるわけでございますが、私はここに大臣是非そのお考えを変えて頂くように強く要望いたしておきます。これはやはり生活の安定ということもありますけれども、やはり広く文化功労のあつた人を顕彰するということがありますし、日本文化に非常に私は貢献するところ大きいと思うわけであります。支給された年金というものは或る人にとつてはそれは生活に対する資、或る人は基金にして更に研究を飛躍するという場合も私はあり得ると思います。それで余り養老年金的な性格を織り込むことに私は反対でありまして、文化勲章というような立派な制度があるし、更に今度の年金文化功労者年金法につきましても、ここに十人から成るところの審査会を設けて、而もその諮問によつて大臣が責任を持つてきめると、こういうように非常に愼重な態度をとられておりますので、私はその該当者はたとえ四十歳であろうが、五十歳であろうが、私はこの功績顯彰する、併せて生活の保障というような点を考えるときに、私は大十五歳とか、七十歳とか、そういう年齢的な制約をされることには、これは意見になりますが反対でありまして、大臣にもう一度その点について私は御熟考をお願いいたしたい、こういうように要望しておきます。
  25. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 今矢嶋さんのおつしやつたことも確かに御尤もで、そういう論も非常にあります。これはいろんな人の意見を聞いて参考にしていますがございます。で、やはりこれは本筋から言えば、矢嶋さんの言われる通りでいいのですが、今の時勢が全然事情が変つて来ておるために、今私の考えるような考えも出て来るわけでございますが、併し本筋矢嶋さんの言われる通りでございますから、私もよくその点を考えて間違いのないようにいたしたいと思います。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 第三条に委員の数が十人になつておりまして、そして高い識見を有する者のうちから文部大臣が任命すると、こうありますのですが、実際問題として文部大臣独断でこういうおかたから選ばれるのか、それとも何か適当なかたに相談してやろうというような御意思があるのか、その点一つ伺いたい。
  27. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 勿論これは私の独断でやるのではなくして、文化関係のある団体首脳者とか、そういうような人たち意見を聞いて、公平で且つ派閥的なことのないそういう人たちを選んで、絶対公平な一つ審査会を作りたいという考えであります。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 只今大臣答弁は非常に是とするものであります。私たちの心配しておつたことは、実際この十人の委員によつて非常に派閥的な或いは何というのですか片寄つたことがあると、非常に面白くないと、こう思つて質問しましたが、只今文部大臣答弁は非常に是とするものですから、是非広く民主的な、例えば日本学術会議代表者とか、そういう民主的に組織され、運営されておるものの代表者とか、或いはほかにもあると思いますが、是非そういうようなかたと相談して、委員が選ばれるようにして頂きたいと思います。もう一点お伺いしたいことは、先ほど矢嶋君の質問に対して、文化功労者……文化勲章を受けておる者が三十四人ある、そしてこの人たちが有力なる候補者であるというような御答弁があり、そうして、こういうような者が受けるのじやないということを言われておつて、なお且つ予算が一応三十四人分であるということは、取りも直さず文化勲章を受けた者に今年度は全部やつてしまうというようなことに陷つて来やしないかと思つているのですが、その点どうですか、もう一度はつきりと一つ伺いたい。
  29. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その点は、やはりこれは初めの起り文化勲章ということから起つて来た。今矢嶋さんも言われたような線で来たということ、そういう文化功労がある人を顯彰するということから起つて来たのですから、そういう意味では、文化勲章を受けられた人が先ず第一に考えられなければならないという点から、文化勲章を受けた人が私は主になるものと考えております。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私たち非常にどう言つたらよいか、限られたる予算範囲内においておやりになるということは非常に困難だとは思いますけれども、実際問題として先ほど文部大臣が言われましたように、生活の困難な人であるとか、或いは研究を続けて行くのに非常に困難な人、いわゆる所得面ですね、所得面からも一応どうこうということを考慮する。こういうことを言われたのでありますけれども、私はこの答弁は非常に適切だと思うのです。実際問題として文化勲章をお受けになつたおかたを第一に取上げなくちやならないということもわかるのですが、そういうおかたにおいて生活も非常にいいし、研究資金も非常にふんだんにあるというようなおかたに、文化勲章で表彰されておる上に、なお文化功労者として上げるというまあ段を積むわけでありますが、本当に限られたる予算範囲内であるからして、私はできるならばそういうような研究に非常に困難なおかたとか、或いは実際清貧に甘んじてその道にやつておいでになるというようなおかたも、十分一つ考慮して上げて行かなければならないのではないかというふうに考えますが、この点もう一度文相の御意見を伺いたい。
  31. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) そこに、私が先ほどから申したのですが、この表面の原理的に言えば矢嶋さんの御議論通りなんです。けれども先ほども申したように、今の時代というものが普通の時代ではなくして、インフレの時代においてはそこにただ表面からばかり考えられないものがあるというのが成瀬さんの御議論ではないかと思います。ここにそういう一つの簡単な原理で行かないものがある。それが私は今申すようにできるだけ公平な一つ審議会委員会作つて、そういう人たちのいろいろな御意見をよく聞いて善処したいという考えです。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、そういう要望は今の意見で大体盡きておるから重なるのでやめますが、もう一点、委員の十人の中へこういうような人が入られるかどうかということを念のために明らかにして置きたいと思いますが、文部省で現に関係しておられるかたたちはこの中に入らないわけですか。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) それは入りません。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それに続いて、例えば前文部大臣であるとか、それから前次官であるというようないわゆる文部官僚言つてはいけないが、そういうようなかたをこの中に入れられようとして……、まあ私は個人的な意見としては、官僚かたがそういうところに入られることは非常に好まないと思うが、これに対して文相はどうお考えですか。
  35. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 前文部大臣というものは、私はそうすると自分も関係して来るから困ることですが、それは必ずしも入つてはいかんという狭いのではないから、やはりそういう点は只今申しましたように中央の文化団体とか、そういうふうな人たち意見を聞いてきめたらよいのだろうと思います。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 官吏はどうなんですか、文部省の役人は……。
  37. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 官吏とか、そういう或いはただ元官吏であつたとかいうことだけでは委員選考の中には入らないと思います。要するに各方面の人であつて文化に関し相当な識見を有する者の中から選ぶということになります。
  38. 山本勇造

    山本勇造君 今のに関連して……、今のはそれほどの問題とは思いませんけれども、人数を選びます場合に私が申上げたいことは、成るべく党派関係のない人を選んで頂きたい。党派のほうの人はその党派の人を撰ぶということが起り得ないとは限らないと思いますから、まあ大体こういう文化のほうの問題は党派のほうに入つておる人は比較的少いとは思いますが、これはどうか党派に煩わされないようにしてもらいたい、これは要望だけ申上げます。ところで私質問ですが、先ほど予算が三十四人で、そうして又文化勲章を受賞されたかたが現在三十四人あるというようなあれがありまして、若しそのまま三十四人の予算に対して受賞者の三十四人がそのまま入つて行くというようなことになりますと、この法案起りはとにかくといたしまして、起りはどうであろうともこの法案自体から言うとそこにちよつと問題があるのだろうと思いますので、その点で私特にここでお伺いをいたしておきたいと思うのですが、文化功労者年金法というこの法律を御提出なつたこの文化という言葉意味はつきりさせておかないと、さまざまな意味あと選考する委員人たちがお困りになると思いますので、この点をはつきりさしておいて頂きたいと私思うのです。その上で又申上げたいと思いますが、取りあえずそのことを大臣にお伺いいたしたいと思います。
  39. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 初めの点、つまり党派的とかそういうことについては山本委員のおつしやるような点を十分考慮いたすし、注意をいたします考えでございます。又文化ということの意義をきめておくことが必要であるということも、如何にも御尤もなことでありまして、文化という概念が一方では自然に対する文化という非常に広汎な意味もございますから、これはきめておかなければいけないと思いますが、私のここに理解する文化というのは、学術芸術思想教育宗教というような、普通我々が文化という概念で理解しておるような意味文化ということでございます。
  40. 山本勇造

    山本勇造君 今のお話からいたしますと、実際言うと私この法案文化という意義を実は広いほうの意味で解釈して行きたいと思つてつたのでありますが、併し文部省提出の案でありますし、又予算等関係もあり、かたがた今の大臣の御答弁のように、学術芸術宗教教育、或いは言論思想というふうなところに今のところはこの文化というのは限られるというので、大体了承いたしましたが、それと共にさつき申上げましたように、三十四人の文化勲章を持つておられる人があるのがみんなそれに入ると思いますけれども、すぐに今度は全部がそこに入つてしまうのだというようなことになりますと、憲法のほうに触れて来る問題になると思いますから、これはあなたのほうの問題ではなく、選考委員のほうの問題でありますけれども、選考委員のほうのかたがたにおかれまして、憲法に違反されないように、この法律は違反していないのですが、選ぶ場合にそれに紛れるようなことがないように御注意を願つておきたいと思います。それからもう一つは、何人くらいの人を、今度は大体三十四人の予算を持つておいでだということでありますが、何人くらいかということは、この法律に出ておりませんが、およそ何人くらいのところをお考えになつておるか、或いはこれは確実に何人にしろということは私要求してはおりませんが、無制限にどこまでも行けるものなのか、およその範囲考えておられるのか。それから又ここの法律の中にはやはりありませんけれども、日本人でなくても、外国人のような場合にも、日本の今言つたよう意味文化に貢献されたようなかたがあつた場合には、それをも考えられるのか。その点もお伺いいたしておきます。
  41. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 数につきましてははつきりした考えも、何人ということはございませんが、大体十人或いはそれより二、三名殖えるというようなことを考えております。
  42. 山本勇造

    山本勇造君 毎年ですか。
  43. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) ええ、十人ぐらいということを考えております。併しこれは必ずその数によるということではございませんか、そのくらいできればしたいという考えを持つております。それと外国人のことは、この法律内でできることでありますから、問題が起つたときに考えたいと思います。
  44. 山本勇造

    山本勇造君 三十四人の予算を取つておいて十人くらいなんですか。
  45. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 先ず文化勲章受賞者につきまして、果してそのうちからどれだけのものに授賞するかというようなことが起るかと思います。併しながら先ほど申しましたように、必ずしも文化勲章受賞者と一致するというように予定されたものでもありません。併しながら大体においてそれが非常に有力な候補になるということもございますので、先ず本年或いは来年あたりはそれらのものが主として選ばれるということは当然考えられますが、その後になりますというと、新たに年金を支給するものは大体十名か或いは十数名というくらいに考えております。その後は毎年殖やして行くというふうに考えます。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 私は三、三お伺いしておきますが、これは具体的に名を挙げてはいけないかも知れませんが、例えば牧野富太郎博士は入つておられますか。
  47. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 入つておりません。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 私は少しここで個人名前を出すことは問題もあるところだと思いますが、こういうようなかたについても非常に考慮されることが、むしろこの法案必要性から言つて重大であると思いますですが、先ずそういうかた牧野博士だけを指すのではございませんが、そういうかたがある場合には、優先的に御考慮になられるかどうか。
  49. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私もここで名前を挙げて申すことはいかんかも知れませんが、そういうことを頭においておるわけであります。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 それから性格として、大体受賞者範囲でありますが、これは矢嶋君から話されましたが、これに対して生活扶助的な意味顯彰意味とこの二点で与える。更に研究助成、これは年齢との関係さつき質問もあつたのでありますが、今後選ぶときのやはり対象として研究助成的な意味、或いは文化創造の仕事を助成する、こういうような意味も加えられる。こういうようにもう一つそういうような目標のようなものをはつきりと考えてよいわけですか。
  51. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) そのような意味考えております。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 それから選考委員ですけれども、選考審査委員の中に民間の代表と言いますか、大衆的な関連を持つ人或いは又そういうような動向についてよくわかつておるような人を加えられる意向を持つておられるかどうか。
  53. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 持つております。現に文化勲章についてもすでにそういう人を加えております。そういう考えを持つております。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 やはりアカデミツクなほうにこういうものが今まで運用されておる面があると思うので、是非そういう点をなお大きく考えて頂きたいと思います。その次にちよつとこれと関連しない問題でありますが、遺族、例えば文化のために一生を捧げた人の遺族で、そのかたが亡くなつあと、殆んど遺産がなくて悲惨な境涯に追い込まれておるというかたが相当あるわけでありますが、現在の段階でここまで考えることは無論むずかしいので、そういうものについてはお考えになつておられないと思いますが、こういう文化功労者年金法案などというものと関連して、これは清貧で亡くなられたらこれは継続されないと、こういうことになるのでありますか、将来のこれは心構えだけをお聞きしたいと思いますが、こういうこと等についても考慮される御意思がありますかどうか、これは文化のために一生を捧げて、実際はその遺族が相当犠牲になつておるということが起つておる。こういうことについても本当は手が伸べられるように考えるのが至当だと思うのでありますが、そういう点について伺いたい。
  55. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 確かに文化国家のためにそういう功績があつた人なんですから、その遺族もその恩典を受けるということが私はよろしいことだと思います。将来はそういう時期が来るのではないかと思いますが、差当つてはこれは御本人のことしか考えておりません。
  56. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 大体において了承いたしましたが、一つここで私の正確な理解を確かめておきます。先ほどからのお話を聞いておりますと、ここに「功績顯著な者」、こういうことを書いてある、この中に養老的な意味、若しくは研究補助のような意味があるというふうなことも出ましたが、私はそういう問題は別個に考慮すべきものであるということを考えたいのです。実はここはやはり功績顯著な者としては、私はこういうものに関する幾つかのことを要求したい、それの私は第一歩としてこれを承認したい肚を持つている。そこでやはり功績顯著な者という点を私かなり明確に考えて行きたい、これがあるからと言つて将来研究補助をするとか、或いは岩間君から話のありました、遺族とか養老とかいうようなことに関しては、もうすでにこれにあつたからと言つてもらいたくない、別個の立場でこういうものを立案してもらいたい。そういう点におきまして別個のそういう見地でもうちよつとやるべき仕事が残されておるのだということを明確にして頂きたいと思います。第二番目はこの法案ができたという内的事情において説明されることにおいては、一応理解しますけれども、これは文化勲章というものと別個にやつて考えるべきである、これは文化勲章の副賞ではない、こういうふうに私は解釈をしたい、従つて私は文化勲章をもらつた人もこの選考の内容の一つに入ることは認めます。ただ文化勲章の副賞的な意味にこれを考えられることは、この法案としては変である。従つて文化ということの上においても、先ほど岩間さんの話がありましたが、解釈のしようにその点考えなければならん。将来においても、その点において私は副賞的な解釈をしたくない、従つてここに文化勲章をもらつている人を選ぶならば全然審査委員は要らない、従つて文化勲章を持つておる人は、この内容に入ることが予想されるが、もうちよつと違つた角度から功績顯著な者をはつきりする場合がたくさんある、今申された名前を入れて見るとか、この文化ということには狭く解釈されまして、この狭き解釈の中におきましても、普通言う芸能家、学者という名前の中に、相当今言われた狭き範囲文化におきましても、私は開拓すべき場所があると信じておる。そういう点において私は文化勲章の副賞的な性格を持たしたくない、文化勲章を持つた人も、その中に入られることを認めますが、これはやはり白紙にして文化に関して功績顕著な者の立場において詮議せられるべきものだと理解をしておりますが、その点をはつきりして頂きたいと思います。
  57. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 第一点にお尋ねになりました点は、この年金は特に功績顯著なる者に対する賞金というように考えております。従つて或いは生活保障とか、或いは研究費というような実際の効果もございますが、それは主なるものではないと思います。従つて只今おつしやつたように、研究費その他の点は又別に考慮しても差支えないと思いまして、この年金を受けました者でも、褒賞、栄誉等をダブつて受けること、そういうことにしても差支えないと思いますので、別に考えたいと思つております。それから第二の点は、これは政府といたしまして文化勲章制度そのものとは別に関係ないことは、只今申上げました通りでありまして、ただ実際において受賞者が選に入る、主に入つて来るということは結果から出て参りますが、政府といたしましては別途に考えております。従つて文化勲章といたしましては、従来非常に狭い、例えば学術芸術に対しまして、特に功労ある、この学術芸術という点に非常に重点をおきまして、その他の文化面については殆んど従来保障していないのでありますから、この制度はそれにとらわれません。先ほど大臣がおつしやいましたように、文化発達に関しまして功績顯著な者に対して年金を与えるというようなことでございますから、その点も別に考えておる次第でございます。
  58. 山本勇造

    山本勇造君 先ほど岩間さんからおつしやり、又梅原さんからおつしやられた点と関連いたしまして、申上げたいと思いますが、先ほど大臣文化に対する御定義は、この文化という字は二通りに解釈せられておりまして、大臣の解釈は狭いほうの意味に解釈せられる、文部省としてこの狭いほうの意味に解釈せられるのは当然であつて提案者としては僕は無理ないと思つておりますが、併しこのくらいでありますと、今大臣が言われたような意味文化功労者は大変いいのでありますが、少し広い意味文化からすると大分落ちる人が出て来ますので、社会事業のために働いた人であるとか、自治体のために働いた人であるとか、そういうほうの人にも非常に立派な人があり、又年金を差上げてもいいと思うのでありますが、それを一どきにするということはさまざまの意味で僕は困難があると思いますから、今すぐ私はこれをここで要求はいたしませんけれども、そういう意味の公平を期するために今後において、政府としてはそれらの点についてもお考えを持つておられるのかどうか、そういうことを一つこの際大臣から承わつておきたいと思います。
  59. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 誠に御尤もなお考えかと思います。政府としては将来只今私が申しましたような意味文化のみでなく、もつと広い意味の他の文化功労者をも顯彰しようと考えるべきだと私は思います。従つて今回の文化功労者年金というのはその第一歩をなすべきものだと自分は考えております。
  60. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) ほかに御発言ございませんか。
  61. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私の質問したいことは前者が大体御質問になりましたから、それは省略いたしますが、私の考えではこういう種類の年金に対しては税金をかけないようにするのがいいのではないか、こういうふうにまあ考えておるわけであります。それに対して文部省のほうではどういう考えであるかをお聞きしたいと思います。なお年金五十万円というのですが、現在の税率から言つて差引きされると手取りどれぐらいになるのか、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  62. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) この年金には是非税金をかけないようにしたいと思いまして、大蔵省に対しましてたびたび折衝をいたしたのでありますが、年金に対しましては現在免税をしておるものはないということで、遂に大蔵省といたしましてはそれは免税はできないというようなことになりましたので、先ほど申上げました通り、額を三十万円を五十万円に増額いたしたものであります。五十万円の年金に対して税金を引きますと、どれぐらいになりますかということを申上げますと、いろいろな場合があるのでありますが、仮にほかに全然所得がないで、この五十万円の年金だけで、それから税金を引きますというと、国税を十五万八千円差引きます関係上、差引き三十四万二千円というふうになるのであります。それに対して地方税は国税の一八%でございます。これは前年度の国税ということでありますので、はつきり厳密に計算はできませんが、一応十五万八千円の一八%と仮定いたしまして、二万八千四百四十円ということになります関係上、国税と地方税と両方差引きまして、手取りが三十一万三千六十円というようなことになります。その他の所得がいろいろあります場合になりまして、その税金が違つて参りますが、いろいろありますが、大体におきまして三十万円、或いはそれ以下になるかと思いますが、国税といたしまして二十七万円以下にはならないというようなところでございまして、勿論これはいろいろな所得によりまして違いますし、又所得の性質によつて違いますが、大体の点は……。
  63. 高良とみ

    ○高良とみ君 只今のこういう年金に対する税金のことについて大蔵省を煩わしたいと思つたのでありますが……、それに関連してお伺いしたいのですが、今後とも賞金及び年金等に対しては、国が出すものについても税金を取るということになりますと、実例を申しますれば、湯川さんのノーベル賞金を得たというような場合、これは額が非常に大きな場合は殆んど手取りがなくなつてしまうというような形になるかと考えられますが、それについてお聞かせ下さい。
  64. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 詳しい税率はここに只今つておりませんが、少い場合でも四五%を下ることはないと只今記憶しております。
  65. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 他に御発言はございませんか。……それでは本案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。なお修正の御意見もございましたら、この際お述べを願います。
  67. 山本勇造

    山本勇造君 私はこの法案に賛成をいたすものでございまするけれども、併し修正の意見を持つておるものであります。併しこの修正意見は私個人でございませんで、実は各党各派共同のものでありまして、それを私代弁する形で申上げるものでございます。  先ず最初にその修正案を朗読いたします。   文化功労者年金法案の一部を次のように修正する。   第一条中「学術芸術その他文化発達」を「文化の向上発達」に改める。   第三条第二項中「学術芸術その他」を削る。   第四条第一項中「二年」を「一年」に改める。   第五条第四項及び第五項を削る。   附則中第二項及び第三項を削り、第四項を第二項とする。  これが修正案でございます。幾つもございますが、要点は実は二つだけでありまして、第一条の中の「学術芸術その他」という言葉がございますが、ここのところに「その他」とあつて文化」とありますと、非常に言葉があいまいになる。先ほど質問の中にも申上げましたように、文化という言葉は非常に範囲の広い言葉でありますから、「学術芸術その他」といつて文化を指しますと、どの文化を指すことになるかわからなくなりますから、むしろその言葉を取つてしまつて文化という言葉にしたほうが非常にすつきりすると思うのであります。それから又文化意味にも先ほどの狭いほうの意味文化と解釈するとしましても、その狭い意味文化をできるだけ広く解釈したいと、こういうふうに思いまして、発達だけであるというと、何か学術の特に顯著な発明のようなものに限られる慮れがあると思いますので、「向上」というような字を入れて置きますると、宗教とか、教育とか、言論とか、思想とかいうふうにも非常に拡かつて考えて行けると思いますので、「文化の向上発達」というふうに改めたいと思うのであります。それが第一点であります。  それから第二点は第四条の第一項の中に委員の任期が二年になつておりますけれども、まあ普通委員の任期は二年とか、三年とかいうのが普通でありますが、この選考委員の場合におきましては、むしろそういうふうに長くしないで、短かいほうが我々はよくないかと思うのであります。ということはこういうようなものでありますると、曾つて売勲事件というようないやな問題がございましたけれども、勿論今度の委員人たちにそういう問題が起るとは思つておりませんけれども、どうも何といいますか、多少そういうふうな利権めいたものに関係する者はさまざまないやな問題が起らないとも限りませんので、こういうようなのは一年ごとに変えて行つたほうかずつといいし、又選び方もフレッシュなものが出て来る。而も一年であるために前のことを知らないで、その委員が戸惑いをするというようなことはこの委員会においてはないので、非常な特別な経験を持つていない人にはできないという性質のものではなくて、文化に対して広い識見を持つておる人であるならば、突然出て行つても決してできないことではないのでありますから、そういう意味におきまして二年を一年にするという修正案を提出した次第でございます。私の修正案の説明は以上の通りでございますが、この修正案によりましてするならば、私はこの法律文化発達向上の上において一つの役目を果すものと思いますので、私はこの案に賛成をしておきたいと思うのでございます。
  68. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 私はこの文化功労者年金法案に対する修正案に賛成をするものでありますが、同時に一つこの際私は希望なり要望を申上げて、賛成する意思を明らかにしたいと思います。ここでは文化のことに関する特に功績顯著なる人に贈られる賞金的な性格を持つておりますが、先ほど申上げましたように、これは研究費を補助するような意味制度、若しくは文化功労者生活、老後を養うような方途、更に広い意味文化における功績顯著なる人たち顯彰するというような方法が、今後拓けるべきものであるということを考えまして、そういうものの私は端緒として、この法案に賛意を表しておきたいと思うのであります。賛成をする意図を私は明瞭にしておきたいと思うものでございます。
  69. 岩間正男

    岩間正男君 私は本案並びに修正案に賛成をいたします。賛成の要点につきましては、さつき質問の中でも述べたことにも触れておりますから、多くを要しないと思うのでありますが、ただ一点梅原さんから問題になつたようでありますが、一般の国民の生活というものが、本当にこれは保障されているという、そういう基礎の上に、こういう年金が行われるということになりましたら顯彰の面というものは、これは大きな性格としてこれだけ謳つていいのだと思うのでありますが、現実的には、非常に文化的には自他共に認める優秀な人であつても、生活の保障面という面が非情に欠けておる。或いは又研究もそのためにもつと進めることができるのにできない。そういうようなこれは勿論程度問題でありますけれども、そういうかたもあると思うのであります。だからそういうような意味で現状では今言つたような観点からそういう人が選ばれるということも止むを得ないのであつて、そこにこの文化功労者年金というものが日本の国民の生活水準の問題と関連しまして、現在現実的な性格が出ておるのだと、こういうふうに思われるのであります。そういう点からまあ現状論と、理想論と、こういうものがやはり現実的な基礎的な欠陷のために、やはり調整されるということで、この法案が施行されることも運営の面では仕方がないものがあるだろうと、こういうふうに、私としては考えるのであります。以上を以ちまして私の賛成討論といたします。
  70. 加納金助

    ○加納金助君 私は本案の修正案に賛成すると共に、爾余の法案につきましても賛意を表するものでありますが、ただ一言希望を申しておきたいのは、本案において最も重要なものはいわゆる選考審査会ですが、これが本案の極めて重要なものであろうと思います。而して審査委員を選びますことは文部大臣の権限であります。従いまして文部大臣が審査委員を選ぶにつきましては、先ほど来各委員からいろいろの御注文もありました。いずれも適当なものと存じますが、併しながら一たび選ばれたところの審査委員そのものに対しまして、さつきから聞いておりますと幾多これに対して注文的の問題も持つているように伺つておりました。私は選ばれた審査委員はいわゆる趣旨に副いまして、自由闊達に、何ら文部大臣からこういう意図の下に審査してくれといつたような制約的の気持は毛頭ないように願いたいと思う。自由自在な、この本案の本旨に副うような立派な人を選ぶことにつきまして自由にお委せする。かようにありたいと、こう思いまして、これを私は要望いたしまして本案に賛成するものであります。
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は只今議題となつております修正案並びに修正案を除く政府原案に賛意を表するものであります。但し終戦後日本が真に文化国家として世界に伍して云々というふうな、この法案提案理由の中にもありましたように、本当に日本文化国家の建設に邁進して行く場合に、その基礎をなすような政策というものがたくさんなければいけないと思います。その頂点としてこういうふうな文化功労者年金法案というものも一つのものだと思います。この基礎をなすものと、こういうものとが、車の両輪だと思います。従いましてこれで以て文化国家として発展して行くというふうには考えられないと思います。従つて政府として、文部省としましては、もつと基礎をなすような問題がたくさんあると思いますから、そういうものを、十分一つ予算とか、政策というようなものをお考えになることを要望いたしまして賛成するものであります。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本法案文化の向上発達に顯著な功績を残したかた顯彰する制度を確立する意味におきまして、文化国家再建を方向としている我が国にとつて誠に適当な法案と存じまして賛意を表するものであります。併しここで私は若干意見を申上げますが、こういう法の運用というものは、先ほど加納委員からも言われましたように、公正な選考ということが、而もそれに権威あらしめるということが最も私は重大だと思うのであります。そういう意味におきまして、先ほどから文化とは如何なる範囲を指すかというような質問も出て来たのでありまして、私の賛意を表するこの修正案におきましても、広く「文化の向上発達」と、こういうふうに字句を修正したわけでありますが、かくのごとく範囲を広くすればするほど、私はこういう選考審査会におきましては委員の主観というものが大きく入つて一つの基準点がつかみにくいところに選考の非常な困難さがあると思います。そういう意味におきまして選考審査会委員の十人の選定につきましては、大臣としては特別の考慮を他の如何なる委員会委員の選定以上に私は深く考慮を払うべきである。と同時に、構成した審査会というものは、私は権威のある公正な選考によるようにならなければ、こういう法律ができましてもそこに誤りをもたらしますというと、私は却つて結果はマイナスになつて来るのじやないか。こういう点を深く考慮し、強く要望申上げる次第であります。先ほど質問の途中でも出ましたが、少くともその狭い学術芸術の面における表彰者というものは、やはり私は今まで制度としてあるところの文化勲章受賞者というものは重く用いられて然るべきである、こういう見解を持つているものであります。ただそれのみに限らずに、更にそれを広い意味文化ということが加わつたのでありますから、文化勲章受賞者だけに限るのではないという政府提案理由を了とするものであります。それから次に申上げたい点は、飽くまでも私は賞金であるべきである。その功績顯彰するという点は重く見るべきである。文部大臣が仰せられるように、現在の我が国の国民生活の実情、我が国の経済状況から、理想論ばかり考えられないという点もわかりますけれども、それは極く軽く見て、どこまでも私は賞金であるという立場を堅持すべきである。そういう意味から言いまして、巷間伝えられるような受賞者選考に当つて年齢的制限を加えるというようなことは排除すべきである、こういうふうに考えるものであります。従いまして年金の支給方法は政令で定めるようになつておりますから、この政令の制定に当りましては、どこまでも広く意見を聞かれまして、十分愼重を期して頂きたい。こういうふうに考える次第であります。  最後に申上げたい点は、確かにこの法案がここに提案されて参る過程におきましては、我が国の文教、科学の発達のために、そういう方面に非常に功績を残されたかた顯彰すると同時に、その生活の保障ということも考えなければならないと、こういうお気持があつたことは、私は争えないと思うのであります。この法案は、私今まで申上げましたように、どこまでも賞金であるべきであると主張すると同時に、やはり根本的なものは、現在の我が国の科学者が非常に研究費に困窮し、更に私生活においても困窮しておる。この事態を解決するところの施政をなさざる限り、我が国の文教、科学の振興というものは期せられない。そういう意味におきまして、私はそういう方面にも政府は努力すべきものであるということを強く要望するものであります。繰返して申上げますが、この文化功労者選考に当つて生活困窮というような面を多く取上げることは絶対に私は反対であります。いやしくもこの文化勲章を受けるレベルの人が国から顯彰され、年金を受ける場合に、生活云々というような要素が微塵も入つてないことを、恐らく私は希望するだろうと思うのであります。そういう意味におきまして、私は或る程度そういう学術芸術、広く文化に非常に蘊奥を極められたそういう人に失礼になるような感じさえ私は持つておるものでありまして、どこまでもこの法案は、広く文化の向上発達に寄与されたかたへの顯彰賞金という立場において支給方法に関する政令を制定されるよう強く要望いたしまして、修正案並びに修正部分を除く原案に対して賛意を表するものであります。
  73. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 他に御発言ありませんか。……別に御意見もないようでございますから、討論は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。文化功労者年金法について採決をいたします。  先ず討論中にありました山本勇造君ほか四名の修正案を議題に供します。山本勇造提出の修正案に賛成のかたは御起立を願います。    〔総員起立〕
  75. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 全会一致と認めます。よつて山本勇造提出の修正案は可決されました。  次に修正の部分を除いた原案を議題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立〕
  76. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 全会一致と認めます。よつて文化功労者年金法案は全会一致を以て修正議決されました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可決することに賛成されたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     加納 金助  成瀬 幡治     木内キヤウ  平岡 市三     荒木正三郎  梅原 眞隆     高良 とみ  山本 勇造     矢嶋 三義  岩間 正男
  78. 山本勇造

    山本勇造君 ちよつと事務手続について一言したいと思うのですが、只今この修正案が通過いたしましたとしますと、この法案の最後の理由のところが「学術芸術その他文化発達に関し」とこうなつておりまして、前の第一条と同じ書き方をいたしておりますが、そこが今度は変つて来ておるのでありますから、理由書のほうを、「学術芸術その他」を削つて、「文化の向上発達に関し」、そういうふうに理由書のほうをお改めになるほうが妥当であると思いますので、ちよつと委員長までこのことを申上げておきます。
  79. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) これに関して政府委員から……。
  80. 岡田孝平

    政府委員岡田孝平君) 参議院の事務局のほうで、これを事務的に処理することと思いますから……。
  81. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 今のは事務的処理ですから参議院事務局に任しておいて差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  82. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) それでは次に請願、陳情が百十六件あるのでありますが、これについての審議に入りたいと思いますが、如何いたしましようか。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 請願、陳情がたくさんあるようでありますから、小委員会を構成して審査して頂いて、後刻委員会へその結果を報告して頂くようにして頂きたいと思います。
  84. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 小委員会で以て審議するという御意見が出ておりますが、そういうふうにいたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) それではそういうふうにいたします。小委員の数はどうしますか。    〔「理事会一任」と呼ぶ者あり〕
  86. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) 委員長、理事にお任せ願えますか。
  87. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 理事会に任せることにいたしましよう。
  88. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) どのようにするかということを任せるわけですね。
  89. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 小委員会を作らずに理事会でやつて下さい。
  90. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) それではどういうふうにするかということを委員長並びに理事会で決定して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 若木勝藏

    ○理事(若木勝藏君) それではそういうふうに取計らいます。  本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後三時十九分散会  出席者は左の通り。    理事            若木 勝藏君            加納 金助君            成瀬 幡治君            木内キヤウ君    委員            工藤 鐵男君            平岡 市三君            荒木正三郎君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部政務次官  水谷  昇君    文部大臣官房会   計課長事務代理  相良 惟一君    文部大臣官房人    事課長     岡田 孝平君   事務局側    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君