運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-23 第10回国会 参議院 文部委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十三日(金曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○宗教法人法案内閣送付) ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 開会に先立ちまして参考人としてお見え頂いたかたに御挨拶申上げます。  本国会に提案になつておりまする宗教法人法案は、今回の法案の中でも非常に重要な法案一つになつておりまするので、衆議院も参議院も愼重に審議を進めているのでございまするが、重要な法案であるだけに、我々が審議を進めます上において、この方面関係のあるかたの御意見をお聞きして、我々の参考に供したいと、こういう考えから宗教団体で御関係のあるかたがた、又学識経験のあるかたがたに御無理申上げましたところが、御快諾頂きまして、公私非常に御多忙中にもかかわらず、本委員会のために御出席頂きましたことは、我々として大変幸福に思う次第でございます。御遠慮なく御意見をお述べ頂きまして我々を啓蒙して頂き、我々が民意を得て審議を進める上において御協力を願いたいと思いまするので、その点お含みの上御意見の御開陳をお願いいたしたいと思います。  時間は別に制限をいたしませんが、皆様お忙しいことと存じまするので、お一人大体十分乃至十五分見当でお述べ頂きまして、お述べ頂いたあとに一括して委員から皆さんの御意見に対し、或いは何かお尋ねをすることもあろうと存じます。その点をお含み頂きたいと思います。お述べ頂きまする順序は公報に載つております順序お願いいたそうと存じます。その点もお含み置き頂きとうございます。  それではこれから参考人のかたの御意見を拜聴することにいたします。神社本庁理事冨岡盛彦君
  3. 富岡盛彦

    参考人富岡盛彦君) 私富岡でございます。先般来宗教法人法案についての審議に当りまして、あちらこちらで論議されておりますように、神社神道法案の中に入る、つまり根本から申しますと、神社宗教論というようなことがございますが、私ども神社関係者といたしまして、神社日本固有のものでありまして、他の一般宗教とは若干異なつた特性を持つております。相成るべくはその特性を活かした、何と申しますか、神社法というようなものが望ましいのでありますが、併しこれを広く見ますと、広義に解釈しますと、もとより宗教範疇に入るものと信じております。今回はあらゆる宗教を一本にした法案で行こうという御当局の御趣旨から見ますれば、若干の便、不便がございましても、この御立法の御精神に対し、御協力を申上げ、又尊重して行かなければならんという気持でおります。小さい点につきましては如何かと思う節もないではございません。併しさしたる大きいこれに対して反対意見も聞いておりませんので、大体これで了承していいように考えております。この法案がいよいよ法律になつて現われて施行いたしますことになりますと、或いは不便の点というようなもの、或いはいろいろ意見などが出て来まして、他日御改正を願わなければならんというようなことに相成るかとも考えまするが、そういう節にはどうぞ一つ適当に御改正を願うようにいたしたいと存ずるのであります。今日この法案に対しては概略的に見まして速かに通過いたしまするように御配慮願いたいという一般気持でございます。又小さいことにつきましては一つ……。
  4. 堀越儀郎

  5. 今泉眞幸

    参考人今泉眞幸君) 基督教連合会は、日本基督教団日本聖公会、それから天主、正式の何といいますか、カトリツク教会、それから日本聖教会、俗にいうニコライのほうと、その四つ教団が連合しておる会でございます。  それで只今お話になつておる通りに、細かなことになりまするというと、四つ教団の利害が多少異なつておりますものでございますからして、それぞれ注文があるだろうと思いますけれども、大体におきましてはもも四つ教団皆この法案賛成をいたしまして、そうしてこの通過を希望しておる次第であります。そのことを申上げて置きます。ところが日本基督教団のほうからは、根本の問題ではありませんが、四カ所におきまして修正はできるならばして頂きたい、こういう希望がありますので、それをちよつと簡單に御紹介申上げて置きたいと思います。  次にその四点であるのでございまするが、そのうちの三点につきましてはプリントにしたものがありまして、それは先ほど委員長に差上げて置きましたが、一点はそのプリントのうちに含まれておりまして、四点を簡単に申上げます。実は衆議院公聴会の結果、こういう法文のほうには私は至つて縁の遠い者であつて、それに精通した代りの人を出したのでありますが、こちらへもその人に出てもらおうかと思いましたが、昨日電話で衆議院のほうに出た人と違つた人に出てもらいたいということでございましたので、是非私に出てもらいたいというお話でしたから、私が参りました。それで日本基督教団のほうで注文がありますところを申上げたいと思います。  第一は、この五頁の第五條、「宗教法人所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。」こうありますのを、文句は成つておりませんから意見だけを申上げます。一つ教派宗派或いは教団に属する個々神社寺院教会宗教法人は、ここにありますように都道府県知事とするのは結構ですけれども、その一つ教派宗派教団というものの宗教法人となるものはその所轄庁はやはり文部大臣とすることに修正をして頂きたい。いやしくも一つ教派宗派教団となるものは直接に文部省所轄としてもらいたい。その下に属する個々神社寺院教会は地方庁で構いません。それが一つです。それから第二は六十六頁の、これはプリントに刷つたものに書いてあります。八十四條の五行目に「信教の自由を妨げることがないように」と、信教の自由という言葉があります。それに信教の自由と平等という言葉を、平等という言葉を添えたいというのがそのプリントのほうに書いてあるようでありますが、併しこれはちよつと文句としておかしいことであると思いますので、信教の平等ということは意味がありますけれども信教の平等ということはちよつと言葉がおかしいので、それで信教の自由を妨げることがないように留意しなければならない、その取扱いは公平でなければならないということを、公平ということを入れて頂きたいという、信教の自由と平等というのはちよつと文句がおかしいので、信教の自由を妨げないよう、その取扱は公平でなければならない。それからその次に第三は三頁の三條を修正をして頂きたいが、プリントに書いてありますが、先ほど承わりますというと、その修正法文上別修正する必要がなかつた修正精神修正せなくとも通つておるのだというお話でありますからして、ここでもう説明を申上げません。それから第四は第二十六及び二十七の附則でございます。これも先ほどのお話ではそれも修正せんでも、修正精神は通つておるというお話でありますから、それならば結構でありますからして、もうそのあとの二つのことはプリントに書いてありますけれども、ただ御覧を願つたのであります。  で、第一と第二、その所轄庁の問題と、それから一つは各宗教を公平に取扱てもらいたいという文句を入れて頂きたい、こういう希望でございます。
  6. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは神道修成派本長
  7. 新田邦達

    参考人新田邦達君) 神道教派連合会、これは神道十三教派で結成している会であります。この神道教派連合会はこの法案については全面的な賛成をいたしております。何か文書を以てこちらに差上げておると思います。かようなわけで私としては別に意見も申上げる必要はないのでありますが、私個人の考えを一、二申上げてみたいと思います。この法律のいいところの一つとしては、何か非常に前の宗教法人令より実情に即しておること、それから何かしら温か味があるというような感じをこの法律で見る。これは申上げるまでもなく御承知のように、昭和二十年十月四日に総司令部から宗教団体法信教の自由に反するというので、日本政府に廃止の命令がありましたが併し文部省では宗教団体法を廃止することによつて寺院財産などの散逸の危險があるというので、総司令部宗教団体法のうちの法人に関する規定の存置を要請したわけです。そのときにダイク大佐宗教家代表会つて意見を聞いた上できめようというので、私もダイク大佐に会わされたのです。それで宗教家代表が必要を認めるというので、宗教法人令が出たのですが、まあそういう時代であつたのですから、結局何かしら宗教法人令がアメリカとしては大して好まない。非常に強度自由主義の国の考え方から行くと、宗教法人令というものが不必要だという前提の考えがあるだけに、何か不親切なところがあつたのではないか。で、殊に私そのときに憂えたのは、宗教法人が届出一本でできるということは、免税範囲が非常に拡がつて行く、この先日本はどうなつてしまうかと、私の小さな教派にしても、農村の教会でありながら、農家でありながら同時に教会であるものもある。そういうようなものが宗教法人になつて免税をされるというようなことになつて行くと、どうも不都合が生じやしないか、というような危惧を持つてつたのですが、それが今日一つ認証制度になつたということは、これはやはり一つの経過的な意味から言つて必要なことだと思うのです。それからこの法の立て方が、立法技術と申しますか、そこに非常によくなつた点を私は考え、まあ法律専門の人から言うと非常に冗漫だとかいうような考え方をされるかたがあるかも知れないが、私は十年ほど日本大学宗教科宗教行政をやつてつたこともある、坊さんも多いし基督教の人も多いのですが、法律ということに非常に無関心なんです。ですから私どもダイク大佐にお会いしたときにも、宗教団体法について何か欠点を認めるかという質問を受けましたので、とにかく民法準用規定をできるだけ少くしてもらいたいと言つたんですが、法律だからそういうことはできんと言つてタイク大佐の叱責を受けた。私の考えとしては、とにかく余り民法規定準用するということは、法律知識にうとい人に、むずかしい法律を示して、何年たつてもそれが実際に行われない、住職も理解もできなければ、一般拡ろまらんということがあつては、これはいいことじやないと思う。できるだけ普遍的に平易なもので法律知識のない宗教家が日増しに読みつつ理解しながら完熟して行くということが、法律というものが徹底するゆえんだろうと思うのです。そういう点から考えて見ますと、宗教法人令のときより今日のほうが準用に関する規定が非常に減つた、主に手続に関するようなことなんですが、この前の殊に宗教団体法などですと、宗教法人権利能力とか、行為能力とか、不法行為能力というようなものが、皆たしか準用されていたと思うので、随分法律知識がなければ理解ができなかつたのですが、そういう点が非常にきれいになつた、さつぱりしたという感じを持つのです。特別代理人などというような言葉が、何か仮代表者ですか、というような平易な言葉にもなつたようでありますし、そういう点が私としては非常にいいと思うのです。連合会といたしましては、もう非常に喜んで歓迎しておりますから、この法案が早くできるように連合会としてもお願いをしたいと思います。
  8. 堀越儀郎

  9. 白山亮一

    参考人白山亮一君) この法案につきまして、実は二、三日前に常務理事里見達雄の名におきまして、諸先生がたにお手紙を差上げたのでありますので、御一読願つていることと存ずるのであります。我々仏教側といたしましては、一年有余に亘りこの法案成立に当りまして、再三再四の意見聴取等もありましたために、我々といたしましては、現在のところ各宗教団体を網羅した法案といたしますれば、これにましたものはないと思つているくらいなのであります。かるが故に、よろしく諸先生がたの御配慮によりまして、この国会内において通過し、我々の予定しております四月一日より実施というようなところへおこぎつけ願いたいと思うのであります。只今申上げました手紙によりまして、内容に対する仏教連合会としての意見、又仏教全体としての意見を述べておりますので詳しくここで申上げることを差控えたいと思うのであります。どうぞ先生がたの御熱意によりまして、この四月一日より実施の運びに至りますよう重ねてお願いしたいと思うのであります。
  10. 堀越儀郎

  11. 富屋五郎

    参考人富屋五郎君) 私は宗教法人惟神会代表者富屋五郎であります。いわゆる慣習上呼ばれておりまする既成教団でなく、新興教団範疇にあるものと思いまするが、今日の私の立場は、いわゆる新興教団、他の教団と寄り寄り協議をいたしておりまするが、その全部の代表という立場は持つておりません、少くとも私の申上げますることは、いわゆる新興教団人たち考えに遠くないということは言えると自信しております。宗教明治年間以来いろいろこの法案議会に提出されましてから、いつも簡單に行つたことがない歴史を有するようでありますが、私ども教団としましては、今から二十三年前に発生したのでありまするが、過去の官僚統制と申しますか、これは必ずしも快い印象を現在持つていないのであります。又これは議会に望むことではありませんが、ジャーナリストは昨今徒らに新興宗教というものを批判して、さも過去の公認宗教、いわゆる既成教団新興教団との間に一線が画されておるかのごとき印象があるような言辞を弄する、こういつたこと自体は、すでに過去意識の尊重であつて、現行の宗教法人令において全部そういつたところの、いわゆる既成教団新興宗教というふうな意識はとられているはずなんでありまするが、勿論数多い教団の中には社会機能として顰蹙を買うものがなきにしもあらずと存じますが、これは別に過去の宗教統制時代においても見られた現象でありまして、今日のみの現象ではない、かように私は考えるのであります。今回ポ政令の当然の時期による改廃と、この宗教法人法が立案されまして、私どもも重大な関心を持ちまして在来から研究をさして頂いております。この法案の御選付を受けまして私も逐條拝見をいたしました。会の機関にも諮り、又一、二いわゆる新興教団代表者とも話合いまして、むしろ今回の法案法律として成立しました上は、先ず国会においていわゆる不正教団であるとか新興教団とか、そういつた宗教の本質上言うべからざる概念を一掃して頂きたい、そうして新らしい現下社会現象に応じて、宗教というものを、正しい国民が正しく行ずるものであるという見地から眺めて頂きたい。その意味において今回の立法宗教の自由と政教分離の線を倉重しつ誠に妥当なる法律案であるということを考えるのであります。我々は宗教法人として社会機能を果しつ、又その能力を得せしめられ、免税の得点を得られます以上は、ここに一つの規則の下に義務付けられるということは、これは当然のことであり、むしろ認証制度がまだ微温的であるといつたような感じすら受けるのであります。なお又宗教法人として社会の福祉に背反するような行為があつたものに対しては、この法人法によらなくてもほかの団体等規正令とか、或いは検察官の立場からいろいろの方法を以てこれを抑圧する方法もあるかと思います。派生的にいろいろこれを検討いたしまると、元来が宗教というむずかしい社会現象を否定するのでありまするので、疑義を生じては参りまするが、これはこういうために、一つ法律ができまする以上は、止むを得ない現象で、ひとり宗教法人法のみの現象ではないと、かように考えます。大体において非常に妥当であり、私どもいわゆる新興教団に立ちまする者としては、今回の法律成立を以て、ますます宗教人としての自重と、なお加護的の一つ意識は、一層に官民共に努むべき法規であるというふうな感じを持つております。要は今後の妥当なる運用を希いまして、私はこの法人法を全面的にこれを支持するものであります。一言申上げます。
  12. 堀越儀郎

  13. 下村壽一

    参考人下村壽一君) 私はこの宗教法人法というものの制定が、本来ならばもつと早くしなければならないと思うのであります。というのは、新らしい憲法によつて信教の自由が大変強度に保障され、それに伴うて当然この宗教団体に対する法令というものが、早く制定されなければならないと考えておつたのであります。現下現状として、最も大きなものとして、又国民精神生活に非常に重大な影響を持つところの宗教に関する法律が出て来ない。他の教育に関する諸般の法令、或いは労働、産業等に関する法律はだんだんと出て来ておるのでありますが、宗教に関する法律は依然として、国家最高の意思の法律範囲の中に入つて来ない、そうして勅令というような形式、或いは省令というような形式制定されておつたということは、おかしなことだ、もつと早く出なければならないと思つてつたのでありますが、いろいろな政府の御都合や機運が熟さなかつたのでありますが、ここに顔を出して来たということは大変結構なことでありまして、成るべく早くこの法案実施されることを希望するものであります。殊にだんだん只今の各宗教団体のかたの御意見を伺いましても、殆んど皆双手を挙げて賛成をされておるようである、如何にも尤もでありまして、この法案内容信教の自由ということが、よほど強度に保障されておることが随所に見えます。それから政教分離精神の徹底ということも各條によく現われておるのでありまして、そういう点から、宗教団体のこの法案を迎えられるところのものと思いまして、大体この宗教に関する立法というものはむずかしいもので、どこかで反対の起るものであるのでありますが、今度は各宗教団体殆んど皆賛成と、反対の声は聞かないということでありますから、どうか速かにこの法案成立するように御盡力をお願いいたしたいと考えます。ただ併し、世間のほうでは、今度宗教法人法ができるというと、いわゆる淫祠邪教と言いますか、或いはインチキ宗教と申しますか、そういうようなものが、これによつて排除されるということを期待しておる向きが大分多いようであります。併し私の見るところでは、この法案適用によつて、必ずしもその効果を挙げることはできない、さようなことは無暗に法の力によつてなすべきものではないと考えるのでありまして、このたび幸いにしてこの法案が両院の決議によつて成立することになりましたならば、これと同時に、是非お願いしたいことがあるのであります。それはいわゆるこのインチキ宗教と、この社会人心に非常に大きな動揺をもたらすと思うのでありますが、それらに対しては、先ほど富屋さんのお話があつたが、いろいろこの刑罰の適用等で取締ができましようけれども、現在のこの国民に、宗教の何たるかをよく知らせなければならん。それに対しては、宗教教育の問題でありますが、それがとんと忘れられて、成るほど教育基本法等には、宗教を重んずべきこと等も書いてありまするけれども、これが一向実行に移されておらん。各学校の内容を調べて見ましても、宗教に関する適当なる教材は非常に少い、殆んどないと言つてもいいくらいなのである。又宗教に関する教師の養成というようなことも殆んど無関心に放任されている。こういうことでは、幾らこういう立派な法律ができましても、やはり淫祠邪教インチキ宗教跋巵を制することはできないのでありますから、願わくば、この法案成立せしむると同時に、車の両輪と申しますか、一面に宗教教育に関する問題と、これの国民精神生活には昔から深い関心を持つておるところでありますから、何とか一つお願いを申上げたい。これは私希望であります。  それからこの法案につきまして、非常によくできておると思うのでありまするが、ただちよつと、できれば修正して頂きたいような点が一、二あります。それは第三條の「境内地」の規定でありますが、これはずつと一から七までその範囲ができておりますが、できれば各宗教団体において、現に公益事業のために使用する土地というものを境内地の数に加えて頂きたい。なぜ私はそういうことを申すかと言いますと、これは現在の境内地無償讓與に関する法律、これは新憲法制定後できた法律でありますが、その前の同様の法律にも、やはりこの一行を加えております。現に公益事業を行なつているときは境内地に入るものとして認める、こういうことになつておると思うのであります。それとの均衡もあるのでありますが、大体宗教団体には成るべく公益事業はやつてもらいたい、この法案にもそのことがあります、第六條に。これは直接間接宗教団体公益事業というものは、宗教的意識強化育成ということを目的としておるものでありますから、宗教本来の目的なんです。法規を行うということは、そういうところの範囲は、これは境内地に入れて、そうして免税の場合にも、これは控除すべきではあるまいか。こう思われるので、第八号に、できればこの宗教団体において現に公益事業のために使用する土地という一項を加えて頂いたらどうであろうかと思うのであります。それから第二十二條でありますが、役員資格欠格條項の中に破産者というものが加わつておらん。これは加えたほうがいいのではなかろうか。宗教団体幹部役員というものは世間のすべての方面において信望のある人が当るのが当然である。破産者は現に教員にはなれない、教員資格からは排除されている。そのほかいろいろの公式の制限を受けているものでありますから、これは欠格條項の中に一つ加えたほうがいいのじやなかろうか、こう思うのであります。或いはこれは宗教団体の良識に任せて、まさかそういうようなものを役員にすることはあるまいという考えかとも思う。これも一つ考え方でありますが、法文としては一つそれを欠格條項に加えたら適当であろうかと、こう思います。その他の点におきましては先ほど新田さんからもお話のありましたように、誠に親切にできておつて一々引用しなくてもわかるようになつておる。考え方によると余りその点が思いやりが過ぎておる。そのために冗長になる、却つてわかりにくくなるというような感じのする点もありますけれども、大体においてそういう点が非常に親切によくできていると思います。要するにそういうわけでありますから、私はこの法案には全面的に賛成をいたします。その條件ではありませんけれども国会において宗教教育の問題を真剣に取上げて頂きたい。そうしなければ龍を画いて晴を点ぜざるの憾みがあるということを一言申上げたいことと、それから一、二気の付いた点を申上げて終ります。
  14. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) これで一通り参考人のかたの公述は終りました。参考人のかたの公述に対して、委員のから御質疑があれば……。
  15. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 ちよつと富岡先生今泉先生に一点ずつ一つお伺い申上げます。  今富岡先生お話の中の神社という特異な歴史を持つて発達をして来たものがここに宗教団体として指定をされている。この点については私もやはり同じように幾多の憂慮を持つておるうちの一人である。そこで今お話の中で、でき得れば別個の神社法を作つてもらいたいのだが、宗教一本で行くということで別に異論はない。併しこれをやつて行く間に将来において又別に御考慮を願いたい点もあるかも知れないという意味の御発言があつたかと思うのであります。そこで現在の宗教法人令において、神社現状におきましてお困りになる点、又こうありたいと希望せられる点を、ありましたらお聞かせを願いたい。これが一点。  それから今泉先生にお伺いしたいのは、修正の第三條に、これには平等という字を使つてありますが、今泉先生の話によると宗教取扱を公平にしろ、こういうふうにおつしやつたが、この点でお伺いしたいのは、今の法人令の上におきましても、何か宗教取扱に公平を欠くような杞憂すべき点があるかどうか、これを一つお伺い申上げたいと思うのであります。
  16. 富岡盛彦

    参考人富岡盛彦君) 只今の御質問でございますが、御存じの通りに神社神道は、従来各種の宗教の信者が又神社を崇敬いたしておるのであります。それで神社宗教に、こうきめますと、何だか二つの宗教を信仰するような気持がして来るというような声をちよちよい聞いております。これは恐らく、今後こういう法案ができましてもあらゆる宗教を信じておりますかたがたも、依然としてこの神社を崇敬する、尊敬するとは思いますけれども、そういうような点においてもちよつと私如何かと思うのであります。
  17. 今泉眞幸

    参考人今泉眞幸君) 只今のお尋ねにお答えいたしますが、従来の宗教に関する法令などにおいても、不平等に取扱うというふうな点などは私ないと思つております。ところが都会ではどうか知らんが、地方のいろいろな役所で、基督教に対してとかく継子扱いをするような取扱いをする。それで、それがためにそういうわけはないじやないかというので抗議を申しますと、せいぜい取調べるというようなことで、つまり一旦役人がやつたことを取消すというようなことになります。そういうことがしばしばあるとうるさいですから、それで、各宗教は平等に取扱うべきものであるという明文があるというと、すぐ役人に持つてつて、こういうふうに書いてあるじやないかと、こう言うと余まり面倒なくして済むというのだそうです。それたけのことであります。平等に取扱うべきものだとどこかに明文があるというと、それを突きつけるとお役所で早く解決ができると、こういうのだそうです。或いは弱いもののひがみがも知れないのですが……。
  18. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 今泉さんの御心配の点は、これは戦争中の出来事が主であつたのじやないですか。これに対して文部省の荻野説明員がおられますから、ちよつとそれについて何かお考えがあれば……。信教の自由ということは公平に取扱わなければならないという御心配があるのですが、その法文だけで十分それが解決できるかどうか、御説明願いたいと思います。
  19. 荻野勉

    ○説明員(荻野勉君) この法案におきましては、信教の自由というのは第二條でも言つております。それから只今の八十四條でも出ているわけでして、この信教の自由は憲法で保障するところの信教の自由でございます。憲法第二十條の規定精神がこの法案にも受けられておるわけでございまして、これは憲法第二十條にも出ておりますように、この自由というものには宗教に対する平等、無差別ということがかなりはつきり出ておるのであります。従つて八十四條の信教の自由に対する留意ということにつきましても、当然各宗教に対する平等無差別というふうなふうに解釈さるべきものでございまして、只今今泉先生の御答弁にございましたような、そういうこともなお平等といつたふうな言葉をはつきり使えば一層その点がはつきりするというふうなことにつきましては、無理からんことと思うのでございますが、この点につきましては、この法の運用におきまして、通達その他によりまして、十分にその趣旨を徹底する、周知するように計りたい、こういうふうに考えております。
  20. 今泉眞幸

    参考人今泉眞幸君) 常識で考えますと、宗教の自由というときには、どんな宗教でも信じて差支えない、それから官庁や何かで宗教に対する、宗教というよりはむしろ宗教団体に対して平等に取扱わせなければならんということと、ちよつと違うように、自由の中に含んでおるでしようけれども、それをはつきりしてもらうというと便利だと、こういうわけなんです。
  21. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 富岡先生ちよつと重ねてもう一つお伺いいたします。今おつしやつた神社が過去の明治時代一つの政策というか取扱として、宗教神社にあらずという建前をとりまして、そうして国家い倫の大本を守る国家的な機関として取扱い、国民の全体が氏子になつておるというふうにやつて来たのが明治時代における一つ歴史的な現象であるのであります。そこで私が先ほど申上げたそういう特異な歴史を持つておるために、今宗教団体として指定せられることには相当に御困難があろうということは同感であります。その困難点として挙げられた一つ神社を崇敬しておる人と宗教を信じておる人と、二つの宗教を信じておるというような妙な変態的な現象がここに起つて来るであろうかということは、これは誰が見ても心配をする点であろうと考えておるのであります。そこで官署のほうからも過去の御社の取扱いでなしに、宗教として取扱うということは通達もしておりますが、一般の民衆のほうでは、やはり神社宗教であり、氏子はその宗教信者であるという意識を持つているものが少くない、ということが私は現状であろうと思うのであります。そこで私がお伺いする点は、つまりあなたがたの立場かたがたがあらゆる宗教を信じておるものであつても、神社という宗教を別に信じるように仕向けて行こうと考えておいでになるのか、又神社宗教であるから、それはそういうふうに行くべきものでない、在来の氏子というあり方を再編成すべきである、若しくは神社という形体も在来とは違つた形において国民に再認識せしむべきである、こういうふうにお考えになるか、又神社現状に都合のいいように特別な法令か、若しくは特別な修正を要求しておられるのか、進んで新らしい現象の中で再編成をせられるのか、或いは現状を維持してこの法の上に何ほどかのゆとりを要求しておられるのか、その点を一つ簡単にお伺いしたいと思います。
  22. 富岡盛彦

    参考人富岡盛彦君) 誠に御尤もな御質問でございますが、神社が俄かにこの法律が出ましたからと申しまして、改めて組織を大々的に変更して行くというようなことは幾多の困難があろうと存じまするし、又私ども個人としましてもそこまではしたくない、こう思つております。又地域的と申しますが、今日はやや自由だという気持の者も出ておりますけれども、大部分はやはり従来のような氏神というような信仰崇敬の状態で参りたいというような希望も強いのであります。そういうような実情からいたしましても、神社の行き方は従来のような方向で参りたいと、こう考えております。
  23. 高橋道男

    ○高橋道男君 今泉先生にお尋ねしたいのですが、包括団体の所轄庁文部大臣にしたほうがいいじやないかということは、第五條の二項にはその趣きが出ておるのであります。今言われた意味は、その同一都道府県内においても包括団体の所轄庁文部大臣にすべき、つまり第一項のほうの修正の御意見であろうかと思うのでありますが、その点を先ずお伺いいたします。
  24. 今泉眞幸

    参考人今泉眞幸君) その通りでございます。いやしくも新たに一つ教派或いは宗教を立てて、そうして認証してもらいたいというようなものは、地方庁で取扱うよりもつと丁重に中央で取扱つたらよかろう、こういうふうに、新たにできるのですから教会が二つか三つしかないかも知れんけれども、それでもやはり新らしくできた教派宗派教団というようなものは中央で取扱うほうがよかろう、こういうふうに考えております。
  25. 高橋道男

    ○高橋道男君 次にお尋ねをいたしたいのは、今梅原委員からのお尋ねがございましたが、信教の自由について公平平等に扱うべしというような、條文を修正すべしという御意見につきましては、私は荻野説明員の御解釈に従いたいという考えを持つておるのでありまするが、仮に公平平等に扱うような條文に修正いたされましても、只今今泉先生のおつしやつたような実情でありまするならば、その扱う人の頭が変えられなければ條文だけの修正によつてはその趣きが達成できないのではあるまいかと、こういうように私は見るものであります。荻野説明員が言われたように、これは憲法の條章によつて信教の自由、これは国憲によつて、侵されないということもありますので、私はこの條章が適正に扱われるならば当然公平平等に扱われるのが建前であると、こういうように思うのですが、取扱う公務員のほうの頭が変らなければ、或いは更に冨岡先生もおつしやつたように、社会人の見方、宗教に対する考え方というものがもつと正常を得なければ、條文だけの修正によつてはこれを適正公正に扱われることは困難であるというように私は考えるのですが、その点條文の修正だけによつて、こうなつておるじやないかということで以て、そういう目的が達成されるものだろうかどうかということを、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  26. 今泉眞幸

    参考人今泉眞幸君) 只今の御意見は御批評ですから、別にお答え申すこともないと思います。それでただ戦時にのみあつただけでなくて、現在でもある。その例が二、三あるのですが、それを私もらつておりませんからしてここで申上げられません。併し只今の御意見は御批評として承わつて置きます。
  27. 高橋道男

    ○高橋道男君 次にこれも私見を伺うようなことになると思いますが、新田先生と富屋先生とにお伺いいたしたいと思います。  富屋先生のほうの御意見として、いわゆる新興宗教というようなことによつて新旧の差別がつけられるような考え方があるとおつしやつたのでありまするが、私も宗教関係の深い一員として差別して考えるわけではありませんけれども、そういうように一応分けて呼称することが話をする上に便利なようなことがあるために、新興宗教というような呼び方をすることがあるのであります。これは別に今申したように、差別をして申すような考えはないのでありまして、そういう言葉が使いやすいために使うというようなことになつておるのでありますが、たまたま今度の法人法案におきましても第二條でございますか、第一号と第二号に分けて宗教団体を掲げておるのであります。つまり第一号のほうは單位団体であつて、第二号のほうは包括団体である。その包括団体に対する名称として従来使われておりました教派宗派教団というような名前を使つておるのでありますが、これを考えますときに、教派宗派教団というものは以前から使い慣れておつた慣習上の名前ということも言えるのでありますけれども、これは従来の教派神道というものはやはり教派という名前を使つて行かれるだろうと思います。これに対して戦後生れました教派神道系と思われる包括団体は同様に教派という名前を使われるだろうが、その場合に、言葉が当らんかも知れませんけれども、新旧という名前によつて、或いは既成教派と新生教派という名前によつて呼ばれるならば、その相互間に教派という言葉を使うことによつて、或いは感情的な好み、或いは嫌いというようなものがお互いに起るのではないかという懸念を私は持つておるのでありまして、この点昨日も審議に当つて政府側に質問をしておつたのでありまするが、その点についてのお考え、私は包括団体も教法、宗派という名前でなしに、包括団体一本のほうが却つてはつきりしていいじやないかというふうに考えておつたのでありますけれども、自分の意見を申しながら御意見を伺う次第であります。
  28. 新田邦達

    参考人新田邦達君) これは連合会の人も恐らく私と同一意見だと思うのです。二、三年前文部省宗教研究会と宗教連盟とそれから時事通信で宗教便覧という本を出しております。そのときに私に教派神道を書けと言われて、再三辞退したのですが仕方がなくて引受けた。で、宗教便覧を御覧になるとおわかりになりますが、私の教派神道の説明では、新興教派も同じく従来の十三教派の中に加えて教派として扱つて書きました。こういう考えは恐らく十三派の人も同じであろうと思います。決して新興と我々のほうを法文の上ではつきり区別しろ、などというような要求はないと思います。
  29. 富屋五郎

    参考人富屋五郎君) 明治時代新興宗教のチヤンピオンであつた天理教に所属される高橋先生から、誠に含みのあるお話を承わりまして、私がさつき申上げましたことは言葉が足りなかつたかも知れませんが、この法文における教派とか教団とかいつたことに対しましてこだわつてはおりません。これは慣習上の表現でありまするからこのままでよろしいと思います。ただこの法案成立を契機に、過去的ないわゆる新旧といつたふうな概念を何かの形で拂拭して頂きたい。これは法律案そのものに要求するのではございませんが、現在のジャーナリストは、新興宗教であれば悪であるといつたふうな一つ印象国民に植付けるということは、先ほど下村先生が言われたように、私どもは国家機関で以て今後国民大衆に宗教批判力をつける、これが宗教をよりよくするための本質的な問題でありまして、これは一つの営利事業に対する免税に対する特権といつたような言葉で形だけを考えておる、宗教の本質を規定したものではございませんが、私どもはこういう機会に過去の悪い印象が、そういう新興が悪なりという印象付けが新興というものをますます悪ならしめるという一つの法則を持つておると思いますから、こういう機会にどうか過去のいろいろ皆さん、私どももにがにがしい体験を持つておるのでありますが、この機会に国民に正しいものである、宗教は正しいものである、徒らに、新興宗教がどういうことをしたとかいうことはありますけれども、それは微々たるものでありまして、それよりも大きな意味精神的に今回の宗教法人法成立を機として、国民宗教観念を植付ける、或いは宗教に新旧の本質的な差異があるべきでないということを、何かの機会に私は国家機関で表現して頂きたいこと、それから国民宗教批判力をつけさして頂くべく適当な啓蒙運動を一つ国家として助長して頂きたい。  それから甚だこれは只今の高橋先生の御質問に対する答えに当らないのでありますが、先ほど荻野説明員から、現法令においても公平に扱つておるし、今後も運用においてはそうあるべきであるというお答えがございまして、これはどなたに伺つてよろしいのかわかりませんから委員長に伺いますが、例えば東京の新宿駅の構内で聖書を売つておる。この事実は、私どもは国家の建物であり、国家機関である構内で聖書のみを売り得るというこの事実、これは政教分離が、今泉先生の杞憂された公平の精神現状は反しておるのじやないかというふうに、私が神道者流でありますから申すわけでなく、ああいう現象はどういうふうなものであるか、この際に質問するのはいささかどうかと思いまするが、参考資料として質問を申上げたいと思います。
  30. 荻野勉

    ○説明員(荻野勉君) 只今富屋さんからお話のありました点につきましては、なおその事実につきまして一度私のほうで調べて見ました上で、若しそれがそのような御懸念のあるものであるとしますれば、適当な方途を講じたいと思いますが、これは実情如何によりまして、恐らくこれはこの法案自体の問題というよりは、神道指令の解釈の問題にも関連するかとも思いまするが、聖書の販売だけを許して、認めておるというのか、或いはほかの仏典をもそういつたふうな、別に差別して、意識的に差別してやつて、そういうふうな便宜を與えておるのかどうかというふうな点についても、なお実情をよく聞いて見ないとわからないと思うのでございます。それから今の公共の建物というお話でございましたが、広い意味の公共の建物であるかも知れませんが、現在新宿の駅でございますから、国有鉄道のまあ管理になつておる。そうすると、日本国有鉄道というのは直接の政府の機関では現在ないのでございます。そういつた点もございますから……。
  31. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に参考人のかたに質問のあるかたは……。
  32. 高橋道男

    ○高橋道男君 もう一遍、これは下村先生にお尋ねしたいのでありますが、下村先生は従前から長く宗教団体を庇護するお立場に立つておられ、再三従前の法律についても、この立案の衝に当られたかたでございますので、今日この法案審議されておりますることは誠に感慨深いものをお持ちだろうと思うのであります、ところで、先ほど御意見のありました三條の境内地に、宗教法人が現に公益事業を営んでおる土地を加えたらどうかという御意見でございましたが、これは第六條において、別にこの公益事業を営むことを認めておりまするので、私は昨日も実は政府委員にお尋ねをしたのでありますが、公益事業というものは、今日大体においては別の法律において法人となり、或いは国の保護助成を受ける建前になつておりまするので、そういうものは別の法人として、無論この宗教法人が深く関係し、或いは直接に経営しておることもございましようけれども、その関係関係として、その団体法人間において明らかにすることにいたして、別の法律によつて宗教法人に対する保護以上の保護助成が得られるのであるならば、これは国家的見地から別の方法によつて別の法人とすることのほうが、もつと有意義ではあるまいかというように私は考えておるのでありまするが、下村先生は別の法律にせずに、依然宗教法人の名において、その法人の直接経営下においてやつて行くほうがよいと、そういうお考えでございましようが。この点をお伺いいたします。
  33. 下村壽一

    参考人下村壽一君) 只今お話の通りでありまして、社寺のやつておることで、社会事業法の適用を受ける、或いは学校教育法の適用を受けるというのは、それぞれの法の適用によつてそれらの特権も得られるということになりますが、それほどのものでなくして、例えば社寺とか教会でその境内地一つ部を開放して児童遊園地を作つておる、或いは農閑期に臨時託見所を作る、或いは青年ボーイ・スカウトの道場とか何とかいうものを作るとかいうことが多々あると思うのです。又そういうことは成るたけ宗教団体にやつてもらいたい。ところがそういうところは境内でない、従つて免租もせんということは酷だと思うのです。堂々たる病院をこしらえておる。これは社会事業法の適用を受けて免租になる——境内地でなくても——ということもありましようけれども、そこまでに至らんものが相当にある。又そういうことは成るたけやつてもらいたいという意味におきまして、私はやはりこれは現にその他の法令におきましては、その社寺等において公共のために使用する土地というのが境内も入つておりますから、まあそうしてもらつたらよかろうと、こう思うのであります。大きなところは只今高橋さんのおつしやるような点がありますからそれで結構だと思います。それからなおこれは委員長の御許しを得なければならんのでありますけれども、平等の取扱云々のことでありますが、これは私荻野説明員のなされることは全く正しいのであると思います。大体この信教の自由の中には、荻野先生特に御承知だと思いますが、各宗教団体を平等に取扱うということは当然に包含されておるのであります。それを殊更入れますと、どこにも入れなければならない。第二條にも入れなければならない。どこにもその信教の自由、各教平等ということを入れなければならんということになりましておかしいことになります。大体信教の自由の中には、各宗教団体取扱を公平にする、いわゆるパリティーの原則というものがはつきりこもつておるという解釈で作られておるわけでありますから、只今荻野説明員の御説明にもありましたように、実際の取扱上十分注意するように、訓令その他の措置でなさるということが適当であろうと思うのであります。御参考までに。
  34. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御質疑もなければ本日の参考人に来て頂いての公述は終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) では終了に当りまして、委員長として参考人のかたに御挨拶申上げます。本日は公私御多端の中を、柱げて本委員会の要請に応じて、我々の審議を進める上において非常に参考になる御意見をお聞かせ頂き、我々も非常に裨益するところがあつたのであります。皆様の御意見を十分に参考にいたしまして、この法案審議に資したいと存ずる次第であります。大変お忙しい中をおいで頂いたことに対して、厚く御礼申上げます。  それではこれを以て午前の会議は終了いたしました。午後は二時から再開いたします。    午前十一時五十九分休憩    —————・—————    午後五時三分開会
  36. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは午前に引続き文部委員会を開催いたします。  議事日程に掲げて置きました教育公務員特例法の一部を改正する法律案を議題に供します。この法律案の質疑は一応終了しておりまするが、発言はございませんか。……それでは本案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正の御意見がございましたらこの際お述べを願います。
  38. 木村守江

    ○木村守江君 私は教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案を提出するものであります。その趣旨は結核療養休暇の教職員に対しまして現在の、二十四年一月十二日を以て発布されました教育公務員特例法によりますと、二年になつておりまするが、その但書といたしまして、「任命権者は、特に必要があると認めるときは、予算の範囲内において、その休職の期間を満三年まで延長することができる。」と附加えしたいと考えるものであります。この修正案を提出いたします事情のものは、曾つてこの法案政府から提出されました際に、社会党より現在の教育予算の枠内において結核療養休暇を二年であるのを三年に延長することができるということによりまして、渉外当局のOKを得たものとして本委員会において論議されたのであります。併しながら私は現在の教育予算の枠内において結核療養休暇を二年であるのを三年にすることはでき得ないと考えるのであります。若しも結核療養休暇が二年であるのを三年であると現在の予算内でいたしまするならば、それは必ず教育費の一部分に非常な圧迫を加えることになると考えるのであります。かようなことなくしては、現在の教育予算の枠内においては療養休暇を三年とすることは絶対にでき得ないと思うのでございます。特に結核療養休暇で困つておる人々を俎上に上げまして、而もこれを一つ国民を、而も教職員諸君を欺瞞するような態度をとるようなことは我々の首肯し得ざるところであります。ところが常に社会党の人々の申しておりますることは……。
  39. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 発言中ですが……。
  40. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ちよつと発言を……。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  41. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。
  42. 木村守江

    ○木村守江君 現在の態度はいわゆる教職員の結核療養休暇を二年より三年にするというような、表面誠に結構なような政策でありまするが、その内面におきましては、教育の低下を来たし、而もでき得ないことを申出まして、而して教職員の歓心を買うという以外に何物でもなく、社会党の常にとつておる欺瞞政策の一つの現われであるということを断ぜざるを得ないのであります。若しもこれに対しまして社会党の皆様方が異議があつたならば正々堂々と反駁をして頂きたいと考えるのであります。若しも現在の教育予算内におきまして結核療養休暇を二年のものを三年にできるといたしまするならば、今後本当に二年の結核療養期を三年に延長するための予算を計上し、これを要求することができ得ないということになると考えております。そのような矛盾をどういうふうに考えておるか。私は社会党の人々が提案される根拠につきまして、誠に結構至極に考える次第であります。而も社会党の提案いたしました荒木君のごときは、日教組の委員長をしておりまして、その日教組の委員長であつて以来、小学校一・五、中学校一・八の教員の定数がなければ最低の教育はでき得ないということを常に申しておりながら、実際の全国の教員の定数は如何なる状態にあるかと考えまするならば、小学校におきましては一・一或いは一・二ぐらいが現在の平均であります。かような状態におきましてこの定員に圧迫を加えまして、而して現在の予算内において、結核療養休暇を、二年のものを三年といたしますることは、私はみずからが主張しておることに矛盾をしておると考えるのであります。かような矛盾をあえてして、而もみずからを欺瞞して世間を欺瞞することは小くとも日教組の委員長をしておつた荒木君が申すまじき言ではないかと考えるのであります。(「提案理由だ、討論じやないか」「委員長、侮辱だ」「だまれ」「提案理由だ、つべこべ言うな」と呼ぶ者あり)
  43. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 提案理由だけ……。
  44. 木村守江

    ○木村守江君 かようなことをこの委員会におきまして、私は荒木君に申しましたが、荒木君は私の意見に対しまして全く口を緘するに至つたのであります。それは勿論荒木君といえども現在の予算内において結核療養休暇を、二年のものを三年とすることはでき得ないということを自覚したのだろう、荒木君の、良心に咎めてこれを是認したものと私は考えるのであります。ところがこの修正案に対しましてここに提案されました、いわゆる修正案なるものがありまするが、私は本委員会の全部のかたがたが現在の教育予算におきましては結核療養休暇を二年のものを三年とすることはでき得ないということは誰しも是認しておることであると考えるのであります。ところが成る一部の運動によりまして、或る一部の策謀によりまして修正案なるものを構成いたしたのであります。私は参議院に参りまして、少くとも我々は良心的に国家、国民のために立法しなければならないと考えておる次第であります。ところが、大体におきまして(「委員長、この修正案は出ていないのだ」「余計なことを言つているのだ、」「提案理由を……」「委員長、しつかりしなければいかん」「参議院の権威のために……」「委員長、説明だけに限つたらどうですか」と呼ぶものあり)
  45. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 提案理由の説明だけ簡單に……。討論ではありませんから……。
  46. 木村守江

    ○木村守江君 私は大体におきまして現在の政治家が、自分の選挙のために、自分の選挙地盤を守らんがためにややもすれば自分の良心に反した政治行動をしているのではないかと考えるのであります。このことを是正して参りますのは、これは参議院でなければならないと考えております。特に私は先日大隈君等と話しまして、参議院の正しい道を行くべき一つの大綱を知つたのであります……。
  47. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 木村君に御注意いたします。提案理由の説明を成るべく簡單に、提案理由の説明だけ……(「委員長は議事の運営を知らない、責任がある」「何もできやしない」「それが故に修正案を出すんだ、もう説明に入つている」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  48. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) お靜かに願います。
  49. 木村守江

    ○木村守江君 私はこれに対しましてさすがに明治の元勲の後裔であると考えまして、非常に敬意を表しておつたのでありますが、実際でき得ざることも一方の宣伝によりまして、一方の暗躍によりましてかくのごとき悪法を作り、而もこの悪法のために如何に多くの人々が苦しむかということを考えまするときに、かような案は提出すべきではないと考えるのであります。(「提案理由の説明だぞ」と呼ぶ者あり)
  50. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 木村君、提案の説明を……修正案はまだ出ておりませんから……(「討論した後こういうふうになつたのだ、それでこういう修正案を出すのだから……」「そんなことはない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  51. 木村守江

    ○木村守江君 かような悪法を作ることは(「提案していないのに悪法か」と呼ぶ者あり)いわゆる地方の教育行政者に対して、地方の自治体に対しまして而も大きな圧迫を加え、而して教育行政官は非常に施行困難を来たすと考えるのであります。私は法律は、法律を行い、法律に従うものが喜んでこれに従い得るところの法律を作ることが我々の任務であると考えるのであります。ところが法律によつて非常に教育行政者が困るようなことを法律化することは我々のとるまじき態度ではないかと考えるのであります。勿論私は結核に因つているところの教職員に対しては心から同情に堪えないのであります。ところが心から同情に堪えないということを法律化して、而してこれを自治体の教育行政官に強いることは、私は非常に矛盾した方法ではないかと考えるのであります。かような観点から私は教職員の結核患者に対しまして二年のものを三年にすることが若しもでき得るならば、それは予算の範囲内においてでき得るというような、その枠を設けまして、而して地方教育行政官に対しまして、一つのやすらかに従い得るような法律を作らなければならないと考えるのであります。かような観点から私は、実際に地方の教育行政官がかような法律を作られることによりまして非常に困却して参るのであります。私は曾つてみずから教育委員長をし、又先般山形の教育視察に参りまして教育委員長並びに教育長と種々この問題につきまして懇談して参つたのでありまするが、その折りに教育長並びに教育委員長はかくのごとき悪法を作られるならば、今後の教育行政官が常にこの法律に縛られまして、(「政府原案だ」と呼ぶ者あり)教育のスムースな運行はでき得ないということを申しておつたのであります。かような観点から私はあえて教育予算の範囲内においてという字句を差加えまして、而して地方の教育行政官に便宜な法律を作るべきであると考えるのであります。  これから修正せんとする修正案を一読申上げます。   教育公務員特例法昭和二十四年法律第一号)の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第十一條の改正規定の次に次のように加える。   第十四條第一項に次の但書を加える。    但し、任命権者は、特に必要があると認めるときは、予算の範囲内において、その休職の期間を満三年まで延長することができる。  私はこの修正案を提出いたしまして、真に地方の自治体の教育行政を考えまするときに、而も日本の教育の将来を考えまするときに、徒らに感情、徒らに地方の陳情等に惑わされまして、自分の正しき道を履み誤まるならば、今後の国家の教育のために、地方自治体のために大きな禍根を残すと考えるのであります。皆様方にあえて御賛成お願いいたしたいと考える次第であります。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今の木村委員の説明なるものは、これは委員長において内容をすでに規定されて言われておると思うのです。つまり修正案の提案理由があつたら説明して欲しい。ところが修正案の提案理由というようなところから逸脱しておると思うのであります。先ず第一に内容に亘りますと、渉外云々の問題、これは甚だ本委員会の討論内容にはふさわしくないものであると私は確信いたします。第二点としましては、未提案法案を、未提出修正案をこれは予想してやつておりますが、これは速記録を見た場合に、実に滑稽極まる醜態が出て来る、出されていない案を攻撃してみたつてこれは話にならない、こんな討論の方法はあり得ない。従つて只今木村君が攻撃した案は、これは原案、政府原案だということになるのでありまして、この点は甚だ面白くない。(「その通り」と呼ぶ者あり。)第三点は個人攻撃の問題でありますが、このような委員会において個人攻撃の言をなすがごときは、私は非常に嚴に慎まなければならないのであります。従いまして木村君が本修正案提出以前の分は全文削除、これこそが本委員会の権威において、これは委員長に要求さるべき問題だと思いますが、この点本委員会の権威においてお諮りを願いたい。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  53. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 正式に修正案、第二の修正案が出ておりませんが、お手許に出ておりますので、正式にこれに対して御意見云々は別として、多少それに触れられても、これは止むを得ないのじやないかと思つておりますので、その点多少(「議題になつてない」と呼ぶ者あり)討論ではありまするけれども、提案の理由の説明を逸脱されたかもわかりませんが、その点はあとで速記録をよく読みます。他に御意見ありませんか。
  54. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは今後のことも私はあると思うのです。委員長委員会を運営する相当の権限を持つております、又責任もあるわけでありまして、やはり若干他の案に触れることもいたし方ないとは申しながら、提案は提案、討論は討論、じつくりやつたほうが私は委員会の権威の上から言つてもいいと思うのです。今木村委員のあの提案理由を委員長が見送られたことについては、私は遺憾の意を表明するものであります。で今後の例もありますので、委員長としては委員会の運営については十分に注意をして頂きたい。こういうことを要望いたしておきます。
  55. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは他に御意見ありませんか。
  56. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 本員はこの教育公務員特例法の一部を改正する法律案修正意見を持つておるものであります。それの詳しいことはプリントとして皆様方に差上げてありますが、私はこれを三つに区切りまして、説明を申上げます。   教育公務員特例法昭和二十四年法律第一号)の一部を改正する法律の一部を次のように修正する。   第十一條の改正規定の次に次のように加える。   第十四條第一項に次の但書を加える。   但し、任命権者は、特に必要があると認めるときは、その休職の期間を満三年まで延長することができる。  これは任命権者が特に必要があると認めるときには、という重要な一つ制限を加えて置いたのであります。又すべてこういう事柄をやる人たちが予算措置というものに対して無感覚でないことは言うまでもないのである。こういう点におきまして、任命権者は特に必要があると認める、ということの中には相当の含みがあると信じます。そういう点におきまして、休職の期間を任命権者が必要があると認めるときには、その休職の期間を満三年まで延長することができるという幅を持たして置いたのであります。  それから第二には、   附則第一項に次の但書を加える。   但し、第二十一條の三、第二十三條第二項、第二十五條の四及び第二十五條の五の改正規定は、昭和二十六年二月十三日から適用する。  これはこの審議が愼重に愼重を重ねられまして期間が延びましたので、この二月十三日まで遡源をしようとするものであります。  第三には   附則第四項を次のように改める。  4 都道府県内の地方公共団体の設置する学校の職員は、昭和二十七年十月三十一日までの間、当該都道府県又は当該都道府県内の他の地方公共団体の設置する学校の職員とともに、給與、勤務時間その他の勤務條件に関し都道府県の当局と交渉するための団体を結成し、又はこれに加入することができる。同項の次に次の四項を加える。  5 前項の教職員団体は、昭和二十七年十月三十一日まで存続することができる。  6 策四項の職員団体については、昭和二十七年十月三十一日までの間、これを地方公務員法第五十二條第一項の規定に基く都道府県の設置する学校の職員の職員団体とみなして、改正後の教育公務員特例法第二十五條の六第一項の規定適用する。  7 地方公務員法第五十三條から第五十五條までの規定適用については、第四項の職員団体は、同法第五十二條第一項の規定に基く都道府県の職員の職員団体とみなす。  8 地方公務員法第五十二條第五項及び第五十六條の規定適用については、第四項の職員団体は、同法第五十二條第一項の規定に基く職員団体とみなす。  これに一言説明を附加して置きます。ここに昭和二十七年十月三十一日までの間と、この期間を挙げましたのは、これは職員団体は給與、勤務時間等に関して当局と交渉するための団体でありますので、現存は県單位になつておるためにこれが対象の存するまでをここに見たのであります。これは教育委員会法が各市町村に亘つて設置するという期間がこの二十七年の十月三十一日でありますので、そのときに地方教育委員会が各地方の市町村に成立するという予定の下にこの日を決定した次第であります。  以上簡單ながら修正案提出の理由の説明といたします。
  57. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御意見がありますか。
  58. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 修正案発議者として補足してよろしうございますか。
  59. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 修正案に御意見を述べて結構であります。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 堀越儀郎委員以下五名でここに修正案を提案しておるわけでございます。ただ只今代表いたしまして梅原委員から詳細に御説明ございましたが、一点について補足させて頂きたいと思います。それは昭和二十七年十月三十一日までの間、この時期的な問題につきましては、本修正案を作るときに発議者において非常に研究論議されたところでありまして、梅原委員から御説明がございましたように、昭和二十七年十月三十一日に一応市町村教育委員会ができることになつておりまするが、併し現在の市町村教育委員会が給與支給の責任者でもなく、更に給與、勤務時間その他の勤務條件に関する條例の制定権が市町村長になく、現在では県給與、勤務時間その他の勤務條件に関する條例を制定する権限が県当局にあり、なお且つ給與の責任者は県当局であります。従いまして、現在その責任者に対して、県を單位としての職員団体において、給與、勤務條件その他について交渉しておるわけでございまするが、この十月三十一日に市町村教育委員会ができまして、そうして給與に関しての責任的立場に置かれ、なお給與、勤務時間その他の勤務條件に関しての発言権を市町村教育委員会が持つ時期を併せ内容として含んでいるものであることをここに私は補足いたして置く次第であります。
  61. 平岡市三

    ○平岡市三君 只今梅原委員修正案の提議の説明をなされましたが、第十四條の但書でございますが、「特に必要があると認めるときは、」ということには含みがあるというお話でございました。法律の條文というものは、これが適用の際に疑義があるようでありますと極めてその適用に困る、こういうふうに感ぜられますので、含みがあるということをもう少しはつきり御説明を願いたいと思います。
  62. 梅原眞隆

    梅原眞隆君 私の言葉の表現が適当でなかつたかとも思いますが、私は大体こういう日本の法律によつて規定せられたものは、どんな場合にも予算ということに対しては無感覚な人が処理をされるはずがない。そこで任命権者が特に必要と認めるという、そういう認識の根底には、当然そういうものがあるという常識を私は意味した。すべての法律に予算の範囲内ということを入れてないということもこれは参考すべきであつて、それで私は言葉としてはこの法律に含みがあると言つたようにお聞き取りになつたとすれば私の説明がまずかつたのであります。これを取扱う任命権者というような人たちが、国家の法令に基いて行政をする場合には、予算というようなものに無感覚であるというようなことはないという点を私は申上げたのでありまして、この法令それ自身に含みがあるということを言つたのではありません。
  63. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御意見のあるかた……。  この法案修正案全部とそれから原案を含めて討論を願います。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は堀越儀郎委員以下ここに提案せられました修正案並びにその修正部分を除く政府原案に対しまして賛成の意を表明するものであります。併し私はこの法案そのものにつきまして若干の意見を持つておりますので、意見を申述べ、討論を暫らくいたしたいと思います。  それは先ず第一番に申上げたいことは、教育公務員特例法そのものは、母法である地方公務員法第五十七條によりまして、教職員の職務と責任の特殊性によつて、ここに特例法なるものが生れるわけでございまするが、法案を大観したところ、その母法の五十七條の精神に副つた教職員に対する特例法である、特例であるという意味の私は性格が十分でない点には遺憾の点を感ずるものであります。例えば身分の保障の問題とか、或いは教職員なるが故の特別の待遇の問題、そういう面について特例法の趣意精神が十分発揮されていないという点に遺憾を感じます。次にこの改正案というものがやはり私は時代の流れに非常に便乗しておるような感じを受けるものでありまして、教職員の身分の安定と生活の保障、延いては教育の復興に挺身させるという意味において、設けらるべき特例法が、やや時流に乗つた形で制限法規的な性格を帶びておるという点にこれ又遺憾の意を感じておるものであります。例えば具体的に申上げまするというと、第五條第三項の改正によりまして、大学の教職員の身分保障に重大関係あるところの公開審理というものがここに削除されております。それに反しまして、母法の地方公務員法第四十四條によりまして、教職員の退職年金及び退職一時金の制度というものが速かに実施されなければならないというような、そういう方面立法というものは今日まだなされておりませんし、更に二十一條におきましては、教職員のその職柄からして、兼職を禁止しておりますが、兼職を現在教職員は相当実際にやつております。この兼職をやらなくても十分生活をして行く、自分の教職に心身を投入できるだけの、それだけの給與は與えずに、二十一條によつて一方的に兼職禁止をするというような点に、私はこの法律の全般的な立場から遺憾の意を表するものであります。そこで私はこの修正案について意見を申上げますが、この第十四條第一項の改正において、「任命権者は、特に必要があると認めるときは、その休職の期間を満三年まで延長することができる。」と、こういうふうに謳いました。そもそも現在の教職員の結核罹病率、その実情並びにそれが生徒児童に及ぼす影響等を考えるときには、私はこの二年というものは三年にして然るべきである。と申しますのは、政府職員の結核対策要綱によりまして、一年の休養が認められ、更に特例法の現行法によりまして二年の休養期間が認められておつたわけでありますが、施行法の実施と共に施行法第二條によりまして関係法令に施行法が優先するという條項によりまして、結核対策要綱も消滅いたしました現在、各地方公共団体においては実質的に三年の休養を必要と認めて実施している県も十都道府県に上つているわけであります。従いましてこの二年を三年にすることは妥当と考えるのでありますけれども、地方自治体の財政逼迫の現在、必要以上に地方財政を圧迫してはならないという懸念からと、それから先ほど木村委員が提案理由のときに申されましたように、現在の結核罹病者というものは現在の予算の枠内で実施されておることでありまするので、そういうことを併せ考えまして、ここに「任命権者は、特に必要があると認めるときは、」という添書をいたしまして、ここに修正案を作つたわけであります。併しこの問題は現在の教職員の定員とか、或いはその定員の不足から来るところの教職員の過重労働、延いては結核罹病、それが生徒へ及ぼす影響を考えるときに、将来におきましては十分その実情というものを調査いたしまして、国と地方とにおいて然るべき財政負担をするように解決すべき将来の問題がここには残されておる、こういうふうに考えるものであります。そういう意味におきまして私は現段階においては小くともこの修正案で満足すべきものである、又これを通すべきものである、こういうふうに確信し、ここに賛意を表すものであります。  次に問題となりますところのこの職員団体の件でありまするが、原案によりますというと、市町村軍位に職員団体を構成しなければ、県当局に交渉するところの団体を結成することができないようになつております。それは私が以下述べる事柄によりまして、教職員の特例法なることを全く無視した、私は考え方だと考えるものであります。と申しますのは、一体職員が職員団体を構成するのは何のために職員団体を結成するか。それは地方公務員法の五十二條に職員は給與、勤務時間その他の勤務條件に関し当該地方公共団体と交渉するために結成するということを謳われておるのであります。そして教育公務員特例法の二十五條の四では、給與、勤務時間その他勤労條件についての條例は都道府県がきめる、こういうふうになつておるのであります。そしてその議案の作成は誰がするかと申しますと、県の教育委員会がやる。その際に若し市町村教育委員会があつたならば、その意見を聞かなければならない、こういうように謳われておるのであります。これを要しますというと、職員団体は給與、勤務時間その他の勤労條件について交渉するために結成されるのでありまして、その教員への給與の責任者は誰が、勤務條件をきめるのは誰か、それは挙げて県当局にあるわけであります。市町村教委というものは給與支給の責任者でもなければ又勤務條件の條例を制定する権限も何もないのであります。従いまして市町村単位にここに職員団体を結成しても意味がないわけであります。そして地方公務員でも町村役場の吏員は給與は市町村から出ます、更に勤務條件につきましては市町村がきめます。併し同じ地方公務員で教員ではありますけれども、その点全く違うわけでありまして、特例法の精神をここに活かし、教職員の職員団体というものは、当然給與責任者であり、勤務時間その他勤労條件に関する條例を制定するところの県に交渉するものでありまして、それを対象としての団体結成というものが当然許さるべきであると思うのであります。併しながらこれを無制限に許すということも、母法の精神から若干の遺憾の点がございますので、修正案にありますように、昭和二十七年十月三十一日に地方教育委員会、即ち市町村に教育委員会が設置されることになつております、その市町村教育委員会が給與責任者としての実権を握り、なお教職員に対する給與、勤務時間その他の勤務條件に関する條例の制定が市町村教育委員会にできるようになつたそのときには、明らかに職員団体というものは市町村單位に構成さるべきものである、こういう見解でこの修正案を提出したわけでありまして、全く私は実情に副つた適切なる改正、こういうふうに考えるものであります。  最後に私は本修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成するのでありますけれども、ここに若干の要望を申上げて置きたいと思うのであります。それは第一点といたしまして、第五條第三項の改正であります。これは本委員会審議の過程において最も討論されたところでありますが、大学の教職員への事前審査の公開審理を削除した、これは大学の教職員の身分の保障、延いては学問の自由という立場から相当重大視さるべき改正点でありまして、従いまして討論が集中されたわけであります。政府委員の答弁によりますというと、公開審理というものは否定したのではない、大学の自治というものを尊重し、大学管理機関の自由に任せたので、決して公開審理というものを否定したものでない、こういうことを説明されております。従いましてこの改正案通過後におきましては、この第五條三項の改正の部分の運用に当りましては、大学管理機関が大学教職員の身分の保障と学問の自由という立場がら公開審理の原則をとられるよう文部省としても助言指導されることを私は要望するものであります。第二点といたしましては、これも本委員会審議の過程におきまして問題となりました二十一條の二の教職員に職階制を実施するという点であります。提案理由で、果して職階制が実施できるかどうかという点について疑点を持つものであるけれども、国家公務員に一応の職階制を布いているので地方公務員にも職階制を実施することにしたと、こういうふうに政府委員は説明されております。この職階制の実施に当りましては、よほど慎重に十分研究され、教育の民主化のために妥当なる結論を慎重に出されて実施せられるよう要望いたします。第三点といたしましては附則第二項におきまして第五條第三項の改正を現在東大並びに神戸大学におきまして実施されているところの現在審査中の事案につきましても適用するという点につきましては、折角モデル・ケースとして長い年月を費し立派な民主的な法令実施をされている現在、これを途中で打切ることなく現在進行中の公開審理というものを最後まで続けるよう私は両大学の管理機関に要望すると共に文部省の然るべき指導を要望いたすものであります。公開審理につきましてはいろいろと政府委員から答弁がございましたが、ともかくこれが民主的な方法であることはこれは何人も否定できないと思うのであります。ただ民主主義の理解とか或いは実践において十分でない我々がこなせないだけでありまして、お互いにこういう民主的な法令を十分こなし得るまでに生長しなければならない。その立場から私は若干の支障があつたからといつて面も審議中の、現在途中で打切ることのないようにこの附則二項については強く要望いたすものであります。  最後の要望といたしましては、冒頭に私申上げましたように、この特例法改正案の全般を眺めるときに、やはり制限法規的な匂いが多分にする点に遺憾の意を表するということを申上げたのでありますが、教育の復興を図るに当りましては、大学以下幼稚園に至るまでの教育従事者の生活安定と身分の保障ということを十分確保しない限り私は特例法の精神は十分活かし得ないと思うのであります。従いまして政府は施行法四十四條に基くところの退職年金並びに退職一時金、こういうものの法令化、更に二十一條におきまして兼職禁止をいたしておりますが、これに対する対策というものを早急に具体化するよう要望いたしまして私は、本修正案並びに條正部分を除く政府原案に賛意を表明するものであります。
  65. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は日本社会党を代表いたしまして堀越儀郎氏ほか四人のかたがたが発議されて出されました教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成の意を表します。同時に加納金助氏ほか四氏の発議になる修正案に対しまして反対の意を表するものであります。  次に若干賛成の理由を申上げたいと、かように考えております。  先ず第十四條第一項に但書を附して「特に必要があると認めるときは、その休職の期間を満三年まで延長することができる」と、かように改正された趣旨は教職員のその地位の重要性を認め、教職員の保健を図らんとする趣旨に出でたものと解するからであります。申すまでもなく教職員は生徒児童学生を対象といたしておりまして、この休職の内容になつておりまするところの結核患者が若し教壇に立つことがありまするならば、その影響するところは誠に甚大でございます。過般の新聞紙に伝えておりましたように、その担任する教員が結核に罹つてつて而もみずからそれを知ることがなかつたためにその害毒が多数の生徒に及び遂に集団結核というような憂うべき事態をも発生したということを報道しておるのであります。このことはしばしば見られたところでございまして、かくのごとく教職員の地位から考えましてその影響するところは誠に甚大でございます。その故にこの結核患者に対する療養期間をできるだけ延長してそうして教職員の保健と療養の機会をできるだけ十分に與え、そして生徒児童を守ろうとするその趣旨に出た改正案でありまするために私は衷心より賛意を表するものでございます。なおこの機会に申し上げて置きたいと思いますのは社会党といたしましては二年を三年に延長すると、そういう意向を持つてつたのでございます。併しながら私どもはできるだけ多数のかたがたの御意見の御賛成を得てそうしてこの問題を処理したいと考えておりましたので、この趣旨も又私ども考えておりました趣旨に合致いたしますので、私どもは当初考えておりました二年を三年にするというのをこの改正案に賛成するに至つたのでございます。併しながら私はこの際政府に要望して置きたい点は、できるだけ近い機会に予算上の考慮をせられて、そうして更に三年にまで無條件に延長できるような法案を本国会に提案せられることを切望しておる次第でございます。  次に附則第四項の改正案に対しましても梅原氏より提案理由の際述べられましたように、都道府県の当局と交渉するための団体を結成し、又はこれに加入することができるというふうに改正をせられたゆえんは給與、勤務時間その他の勤務條件につきましては都道府県の教育委員会がその責任者でございます。従つて都道府県の教育委員会と交渉するためにはどうしても都道府県單位の教職員組合を結成しなければならないのでございまして、かかる趣旨に基いて行われた改正案は、地方公務員法の本法に照らしましても当然の措置であると考えるのでございます。又昭和二十七年十月三十一日という期限を附されておるのも、提案理由の中に説明ありましたように、これは一応現法規によりますれば、昭和二十七年十月三十一日には、町村にまで教育委員会が結成されることになつておりまするので、それに基いてこの期限を附されたものでございます。従つてこの趣旨とするところは、その給與その他の件につきまして、都道府県の教育委員会が、その後においても責任者となる場合には、当然この期限についても考慮されるという趣旨がありまするので、この改正案は適切であるというふうに考えておる次第でございます。  以上申上げまして、私が賛成いたします理由を終りたいと思いますが、この機会に申上げたいことは、社会党といたしましては、そのほかにいろいろこの特例法については、改正したいという意向を持つてつたのでございます。その一つを申上げますと、第五條の政府原案の改正に対しましては、しばしば委員会においてもその所見を述べましたように、反対をいたしておつたものでございます。この政府改正案は、学問の自由を阻害するのみならず、教職員の地位を不安定にするものであるというような見地に立ちまして、この改正には反対をいたしておつたものでございますが、先ほど申上げましたように、私どもはできるだけ多数のかたがた意見の一致の上において、少しでも原案を修正したいと、かような意思を持つておりましたので、遂に独自の修正案を出すことを差控えまして、この二項目からなる修正案に賛成をいたしておる次第でございます。なおこの機会に一言申して置きたいことは、先ほど木村委員より述べられた内容は、私どもの真意を歪曲するのみならず、社会党を誹謗するものであると考えまして、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)甚だ遺憾に堪えないところでございます。特に(「その通り」と呼ぶ者あり)渉外部云々の言は、誠に聞くに堪えない暴言であると私は感じております。私どもは木村委員が述べられたように、二年を三年にしたいという考えを持つてつたのでございます。これは(「ごまかすな」と呼ぶ者あり)従来審議の機会においてもしばしば明らかにいたしましたように、予算の範囲内において行うことは、立法上何らの差支えがないという考えを持つてつたのでございます。(「インチキだ」と呼ぶ者あり)又今以てその考えを持つておる次第でございます。併し二年を三年にする場合は、当然この法律規定に、この考えが若し達成されるならば、当然政府においても予算的措置はできるだけ早く講じてもらいたいということは、申しておつたのであります。(「違うではないか」と呼ぶ者あり)それを社会党の考えは渉外部(「野次はやめましよう」「嘘言うな、ごまかすな」と呼ぶ者あり)云々の言葉によつて、聞くに堪えない暴言を吐かれたということは、誠に遺憾に堪えないところであります。私の考えるところは、全く日本の教育の復興以上に何物もないのでございまして、できるだけ教職員の生活と(「ノーノー」「社会党の宣伝だ」と呼ぶ者あり)地位の安全を図り、そうして民主的な団体を結成し、そのことによつて日本の教育を復興して行きたいという念願にほかならないのでございます。(「それは社会党の宣伝だ」と呼ぶ者ありと私はかかる意味において、先ほどの誹謗は、本委員会において取消して頂きたいということを切望しておるもので、(「自分のを取消せ」と呼ぶ者あり)以上非常に簡單でございましたが、堀越儀郎氏ほか四民からなる修正案に対しまして、賛意を表すると共に、木村委員の暴言を甚だ遺憾とすることを申上げて終りたいと思います。
  66. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御意見ございませんか。
  67. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表しまして、原案並びに二つの修正案に反対するものであります。一昨々年国家公務員法の特例法として本法案が初めて国会に上程されましたときに、我々は本法案が、教員の特殊性に鑑み、その地位、待遇等に特別の考慮を拂える保護規定であるべきにもかかわらず、むしろ身分上の拘束や、服務上の義務を強化する拘束規定に終つているという点を指摘して反対したのであります。然るにこの只今上程された改正案なるものを見ますとき、この傾向は何ら改められないのみか、ますますその意図が露骨にされておるのであります。即ち教員の給與、研究費の問題並びにその職業病ともいうべき結核の療養期間の延長については、これは何らの顧慮が拂われることなく、一方第五條の改悪による大学教員の公開事前審査に対する著しい制限と、既得権の剥奪、第二十一條による職階制の押しつけ、第二十五條の六による教員組合の分断、機能剥奪等物凄く弾圧が強化されておるのであります。これこそは客観情勢の変化に便乗して、人民から人民の教育者を奪い、憲法や極東委員会教育指令によつて認められている学問の自由、教育の自由を奪わんとする吉田内閣の反動的文化行政、戦争協力政策の現われであることは余りにも明らかであります。(「何を言つている」と呼ぶ者あり)面もこれは軍に法案内容がそうであるばかりでなく、法案成立過程の中にもはつきり現われておるのであります。即ち本法案の上程に先立つて政府は、本改正案の最も骨子である第五條の改革のみを切離して急遽上程し、いわゆるレツト・パージに間に合せようとした形跡があるのであります。而もこれは学生や、進歩的教職員など大学当事者間の猛烈な反対を予想して遂に実現せず、昨年末地方公務員法の通過を見るや、その関連改正に名を借りて、漸く今日ここに上程を見たのであります。而も如何に事を急いでいたかは、改正條項の一点である地方議員の兼職問題に名を借りまして、本法案の通過期限を二月十五日と限定したことにもよく現われておるのであります。我が国の文教政策上これほど重大な法案が僅か十日間そこそこの審議期間を以て両院を通過せしめねばならんなどということは、明らかに国会審議権の軽視であり、到底我々の許容しがたいところであつたのであります。即ち政府のこうした陰謀的小策に対しては参議院は全会一致を以て地方議員の兼職延長の條項を單独立法化し、過日その通過を見たところであります。このような経緯によつても明らかなように本法案の内包する今日的意味は極めて深刻であり、その影響するところ又極めて重大であると言わなければならないのであります。大野文相一個人の主観的意図が如何ように陳弁されようとも、問題はその背後の力であり、日本の置かれている政治的、現実的情勢であります。歴史の進展は明らかにこのことを我々に教えるであろうし、事実教えつあるのであります。私はこうした意味において本改悪法案に絶対に反対するものであります。  先ず修正案について言えば、我々は原則的に言つて、第五條の改悪について、闘わない如何なる修正も認めることができないのであります。なぜならば、先にも述べたように、政府のそもそもの狙いとする本改正案の最大の眼目は第五條にあるからであります。従つて如何なる修正案も第五條を抜きにしては意味が薄いのであります。やすやすと外濠を埋めさせて置いて、どんな内濠を守らんとする一体鬪いがあるでありましようか。従つて、こういう修正点について苦心のあるところは一応は了解される点もあるのでありますが、原則的な意味から私はこの修正案をとらないのであります。殊に自由党の提出した修正案のごときは実にこれは問題にならない、これははつきり申上げて置きます。ところで私は第五條の改悪について論を進めたい。即ち大学の事前審査は、従来は三十日以内に当人から請求があつた場合に、大学管理機関は公開して口頭審査を行わねばならなかつた。それを政正案は十四日以内と限定し、而も公開の原則はこれを削除しているのであります。更に代理弁護人の選任、書類、関係記録その他あらゆる資料の提出を制限し、僅かに必要があると認めるときは、参考人意見を徴することができるとしているのであります。そもそも大学教員の人事に際して公開口頭審査を認めた趣旨は、飽くまでその身分を守り、学の自由と権威を擁護するところにあつたのであります。又大学の自主性を尊重して、如何なる外部の権力にも盲従させぬところにあつたのであります。然るに本法案改正に当つて、かねがね大学の自主尊重を口にする文部省は、学内の民主的に統一された意見を何ら徴することなく、僅かに二、三の管理者側の意見に基いて、かかる改悪を一方的に強行しているのであります。これが果して大学の自主性を尊重することになろうか。立法の経過そのものがすでに甚だ非民主的であると言わねばならない。而も改正の理由とするところを天野文相に質したところが、「大学は純粹に学問研究に没頭すべき機関であり、裁判所のような煩雑な事務にわずらわされるべきではない。」と答えているのであります。だが一見尤もらしいこれらの理由が如何に現実に背反するものであるかは、次の事実が何よりもこれを雄弁に物語つているのであります。先ず第一に文相の言う「学に沒頭する」に足る條件が現在の大学教員に與えられているかどうかという問題であります。日々の商業新聞はよくこのことを伝えているのであります。最近の毎日新聞によれば、全国大学教員の平均収入は、年額約十四万円でありまして、最高で十六万円、最低に至つては五、六万円に過ぎない。而も全然別途収入の無い者が全体の四六・二%に当り、別途収入があるにしても殆んどその大部分、即ち八五%が年額六万円以下という実にこれは僅少なものになつておるのであります。これを外国の例に徹しますと、フランスでは大学教授の年収が約百四十四万円、戦敗国のドイツやイタリーにおいても約百万円というような数字が出ておる。こうして日本の大学教員の殆んど大部分は、研究費は愚かその最低限の生活にも事欠き、半カ年、一カ年分の赤字に苦しみ続け、納税にも事欠いて、かの原因教授のごとき悲惨な自殺者をさえ出しているのであります。日本学術会議科学者生活擁護委員会は、こうした事態の解決のため、広くその実態調査に着手し、又事あるごとに世論に訴え、政府に要望しているのであります。このような隠れもない事実を天野文相は何と見るのでありますか。それでもなお「大学教授は研究に沒頭すべきである」と主張されるつもりであろうか。研究に沒頭するには沒頭するに足るべき條件をこそ、先ず第一に整えるべきであると思うのであります。それこそが文相として政治家としての天野氏に要望されている第一の任務ではあるまいかと私は思う。ところでかかる重大な基礎的條件の解決に殆んど無関心な当局が、大学教員の身分上の制限にのみ狂奔しているのは明らかな自己矛盾である。否、かかる劣悪な待遇條件を一方的に押しつけるためにこそ、下からの叫びや運動を抑圧せんとするりのが本法第五條改悪のねらいであると言わなければならない。現に東京大学において行われている公開審理のごときも、一昨年の年末給與要求闘争に端を発しているのであります。大学教員の生活改善と研究の自由とはもともと表裏一体であります。その当然極まる多数の要求を提げて当局と交渉した職員組合の委員長、副委員長がここでは裁かれているのであります。果して然らば裁かれるべきものは組合の役員であろうか、為政者であろうかを私はここで伺いたい。次に文相の言う純粹なる学問とは如何なる学問であるか。日露戰争時代には研究室に閉じこもつて戰争の勃発をさえ知らなかつた学者が美談として伝えられております。だが、このように社会から隔絶され、現実を無視して、象牙の塔に閉じこもつたところにこそ元来日本の学問の悲劇があつたのであります。こうした学の体系と学者たちのあり方が国を亡ぼしたとも言えるのであります。今現に目の前に起つている重大な事態から目隠しされ、国家の運命や民族の将来と深く結び付かない学が何になろうか。学の権威、学者の真の良識は、これら民族の水先案内であり、啓蒙的、指導的役割を鬪つてこそ、その本来の機能が発揮されると思うのであります。そのためにする人民への献身こそがその任務でなければならない。然るに太平洋戦争前後においては、著しくその機能を喪失したのであります。一たび軍部の暴圧が始まるや、彼らは本来の任務を放棄し、徒らに権力に盲従し、盲従しないまでも右顧左眄し、韜晦したのがその姿ではなかつたか。かの滝川事件、河合事件のごときは、この間に起つたいたましいレジスタンスの記録として我々の記憶に今なお新たなるものがあります。ポヅダム宣言を肯い、再び戦争の惨禍を繰返さないことを誓つた敗戦日本の文教政策のあり方は、学者をして学問の自由を守り、飽くまで真理の追究に忠実ならしめ、常に道義的勇気をふるい立たせることになければならないと私は思うのであります。それ故にこそ、占領直後に発せられた連合軍の日本教育管理政策には、「議会、政治、国際平和、個人の権威の思想及び集会、言論、信教の自由等の基本的人権の思想に合致する諸概念の教授」をしようし、特にこれら「実践の確立を奨励」しておるのであります。又そのためには「学生、教師は教授内容を批判的、理智的に評価することを奨励さるべく、政治的、公民的、宗教的自由を含む各般の事項の自由討議を許可」しておるのであります。又その後発せられた極東委員会教育指令には、特に「教師及び学生は独立不覊の精神を養うべき」ことが規定されておるのであります。然るに今日では政治的意見の相違、平和論議、講和論議、現実的な政治批判のために幾多の進歩的教員が彈圧され、或いは不当な追放に処せられておるのであります。現に昨年の夏東大南原総長の全面講和論議が吉田首相によつて不当なる圧迫をこうむり、「曲学阿世の徒」と誹謗されておる。この事実が何よりもこれを物語つておるのであります。これこそは学問に対する権力の圧迫の尤なる実例であるということが言える。又小中高等学校等でも同じことが起つておるのであります。社会科の憲法教授において、日本民主憲法の骨格である戦争放棄や平和保持の精神を熱心に教授して来た者が、今や再軍備論の壁に突き当り著しく教育の矛盾に苦しんでおるのが実情であります。これに対しまして、過般の衆議院予算委員会において、天野文相は教室では政治を論ずるなと答えておる。これは併し政治の問題じやない、社会科の問題であります。今まで信念を以て教えて来たこの平和に対する確信が今日ここで時局に便乗し、権力の力によつて左右されてその説を変えなければならないというがごときはまさにこれは精神的自殺と言わなければならないのであります。これは又政治上の自由論議を奨励した占領政策の違反ではないかと思うのであります。又新憲法に対し信念を以て多年教授にいそしんで来た教職員の政治上の自信と理念を根本から覆えし混乱せしめる暴言であると言わなければならない。西ドイツ再武装問題に当つて、西ドイツの神学教授カール・バルト氏は「再武装は新たなドイツを主職場にするばかりでなく、同胞相食む悲運に陥れる。戦後平和主義を教育し、子供の玩具からも武器を取上げて置いて、今日再び武装に駆り立てるのは精神的自殺である。」と烈々と反対の叫びをあげているのでありますが、このような暴言は教育者に精神的自殺を強いるものであると言わなければならないのであります。  これを要するに本法案の改悪は、表面いろいろな言辞によつて襲われていようとも、それが来たるべき国際帝国主義の手先としての戦争協力態勢の整備強化、再軍備の地ならし工作、即ち民族の独立と自由を守り全面講和と世界平和を擁護し、戰争と再軍備に飽くまで反対せんとする民主的教育者の追放と教員組合の解体弱体化を目指していることは紛れもない事実であります。面してこれは文部の代弁者が如何ようにチンドン屋的陳弁に浮身をやつそうとも、彼らの主観的意図とは何らかかわりなく、背後のそうして国際的帝国主義者の力が明らかにこれを要請しているのであります。かの瀧川事件、河合事件のあとに一体何が起つたか、我々はこの歴史的事実の中から想起を新たにして、過去の経験からもよく学び、民族の叡知と直感力を働かして、破滅と暗黒から民族を守り抜くために我々は断乎このような悪法に対して反対せざるを得ないのであります。
  68. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御意見は……。大隈君。
  69. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 私は国民民主党を代表いたしまして一言申上げますが、教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する修正案が、緑風会、社会党、第一クラブ、民主党共同の修正案が出ております。この修正案は非常に時宜に適したものと思いまして賛意を表すると同時に(「だら幹」と呼ぶ者あり)この修正案の部分を除きますところの原案にも賛意を表するものであります。(「だら幹」と呼ぶ者あり)その賛成の理由等につきましては、梅原委員並びに荒木委員、矢嶋委員からお述べになりましたので、あえて繰返すことを避けまして、ただ一、二の希望を附しまして賛成いたしたいのでありますが、第一は結核療養の問題でございますが、これは結核罹病者が十分に安心してその療養に終始できるように(「予算を取れ、予算がなくてできようがあるか」と呼ぶ者あり)教育者の特殊性に鑑みまして、この二年を三年に延ばすということは最も必要なことであると存じますので、政府は直ちにこれが予算的措置ができるように至急にお手配を頂きたいということを強く要望いたしますと同時に、我々として反省しなければならないのは、すでに罹病しておる者をして安心して療養させるということは勿論必要でありますけれども、罹病させない、病気に罹らないようにする、このような環境を整備して行くというほうが、むしろ根本的に重大な問題でありまして、特に我々文部委員といたしましては、この点を十分に考えまして、教育者が担つております非常に貴重なる使命に鑑みまして、教育者の待遇を改善いたしまして、今後病気にならないで本当にその使命が果せるように、我々としても大いに考え、今日まで長い時間を費やしてこのような修正案を論議したその努力をむしろそのほうに向けるべきではなかつたかと私どもは反省しなければならないと思うのであります。(「よく反省しろ」と呼ぶ者あり)そういう点は十分政府においても考慮されて、今後この方向に邁進して頂きたいということを希望いたします。なお第二の希望といたしましては、職員団体につきまして修正案が出たわけでございますが、この教育委員会の問題につきましては、目下教育委員改正議会と申しますか、そのようなものがすでに政府の下において協議を開始しておられる。日本の現状に適したような教育委員会のあり方というものを御検討中と聞きます。一日も早くその結論を出して、そうしてこの問題をもつと妥当に解決できるように政府は努力をして頂きたい。この二つの点を希望として述べまして賛成意見を終ります。
  70. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 加納委員
  71. 加納金助

    ○加納金助君 我が自由党におきましては、堀越儀郎氏ほか四名の提案によります教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する修正案に対しまして、遺憾ながら反対の意を表する次第であります。その理由を極く簡單に申上げます。  提案の示すところによりますれば、第十四條の但書に「任命権者は特に必要があると認めるときは、その休職の期間を満三年まで延長することができる。」面して提案者の説明するところによれば、「必要があると認めるとき」という言葉の中には幾多の含みがある。かように解説されました。面して我が平岡委員の質問に対しまして、この必要あるという中には予算というものも相当考慮しているという説明でありました。果して然らばこの「必要がある」といつたような誠に如何ようにも解釈のできるような、頗る疑義を将来に残すような文字を改められまして、そうしてはつきりした「予算の範囲内において」こういうふうにされたほうが為政者の運営の上に誠に適当ではないかと、かように考えるのであります。即ち予算の裏付なくしては到底この休養の期間を三年に延ばすというようなことはできないのであります。面して今申しましたような誠に疑義を含んだこの「必要がある」というようなあいまいな文句でなくしてどうか私は我が党の提案した、予算に余裕ある場合とこれははつきりしたほうが、当局の運営において誠に適当と思うのであります。我々自由党におきましても、教職員の使命に深く同情をいたしましてこれを三年に延長するということに対しましては、皆さんと少しも異なるところがないのであります。併しながらこれがために県或いは市町村の財政をいよいよ窮境に阻らしめて、その他必要なところの施設をするがために出すことができないというような、いわゆる余りに偏重したことをとることは適当でない、かように考えまして、只今申しましたように我が党は飽くまでもここに予算の範囲内にと、かように明記することを要望するものであります。第二点のいわゆる職員団体でありまするが、この市町村の教職員もこれ又市町村の公務員であります。他の公務員はやはりその範囲に属するところの市町村の職員団体を作ることが原則である。教員といえども又その原則に従つて行くべきものでありまするが、併しながら教職員の特質性に鑑みまして、若し必要ある場合におきましては、連合団体を結成して、而うして県当局に交渉をするということに原案は相成つておる。私はどこまでもやはり教職員といえども原則としては、地方公務員とその一般の原則に従い、而うして教職員たる身分、特殊の身分によりまして、而うしてこの連合体を作つて、以てこの交渉団体にするほうが妥当なものと信ずるのであります。即ち政府原案に対しまして賛成し、只今修正案に対しまして反対する次第であります。
  72. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ほかに御意見ございませんか。別に御意見もないようでございまするから、討論は盡きたものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  教育公務員特例法の一部を改正する法律案、これについて採決をいたします。  第一に加納君ほか四名の修正案を議題に供します。加納君ほか四名提出の修正案に賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者少数〕
  74. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 少数でございます。よつて加納君ほか四名提出の修正案は否決されました。  次に梅原君ほか四名提出の修正案を議題に供します。梅原君ほか四名提出の修正案に賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者多数〕
  75. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 多数でございます。よつて梅原君ほか四名提出の修正案は可決されました。  修正の部分を除いた原案に賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者多数〕
  76. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 多数でございます。よつて法案は多数を以て修正可決されました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとしまして御了承願いたいのでありまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可決することに賛成されたかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名    成瀬 幡治   若木 勝藏    木内キヤウ   荒木正三郎    高田なほ子   和田 博雄    梅原 眞隆   高良 とみ    高橋 道男   大隈 信幸    矢嶋 三義
  78. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 議事進行について……。
  79. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) これで議事は済んだのであります。
  80. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 ちよつと動議を出したいと思います。  先ほど岩間委員から、木村委員のいわゆる修正案提出の前の論議が個人攻撃に亘つて、或いは渉外、或いは未提出の法案について触れている、こういうことで、それを削除するところの提案をされて賛成の声があつたのであります。それに対して委員長は何らの意思表示をしておらない。ただ未提出の分は、幾分そこに提出されてあるからして、これについてまあそれでもよかろう、こういうつもりであつたのであります。  それから更に、特に荒木委員は討論に附加えまして、木村委員の暴言について非常に遺憾の意を表し、取消を要求されておるのであります。それについて委員長は速記録を調べて、委員長の権限において善処する御意向がありますか。
  81. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それは速記録を見た上で委員長が適宜計ります。それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後六時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            大谷 瑩潤君            木村 守江君            工藤 鐵男君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            高橋 道男君            大隈 信幸君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    文部政務次官  水谷  昇君    文部大臣官房宗    務課長     篠原 義雄君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部大臣官房宗    務課      荻野  勉君   参考人    神社本庁理事  富岡 盛彦君    基督教連合会委    員長      今泉 眞幸君    神道修成派本長 新田 邦達君    仏教連合会庶務    部長      白山 亮一君    惟神会委員長  富屋 五郎君    日本宗教連盟理    事       下村 壽一君