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1951-03-19 第10回国会 参議院 文部委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十九日(月曜日)    午後二時十八分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十六年度に入学する兒童に対  する教科用図書給与に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○教科書の発行に関する臨時措置法の  一部を改正する法律案衆議院提  出)   ―――――――――――――
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開会いたします。  日程第一、昭和二十六年度に入学する兒童に対する教科用図書給与に関する法律案を上程いたしまして質疑を開始いたします。
  3. 高橋道男

    高橋道男君 義務教育を受ける兒童に対して教科書が今般無償で配布されるということは誠に結構な試みでございます。ところがその目標について先ずお伺いいたしたいのでありまするが、この無償配布ということは学校主体としてやられるのか、学校基準としてやられるのか、或いは義務教育を受ける子供主体としてやもれるのか、そのどちらかを先ずお伺いいたしたいと思います。
  4. 辻田力

    政府委員辻田力君) 義務教育を受けまする兒童並びに父兄に対する無償という意味でございます。
  5. 高橋道男

    高橋道男君 兒童が狙いでありますならば、私はこの第一條にもはつきり出ておりまするが、公立学校に入学する兒童給与するということでなしに、義務教育を受ける子供全部に給与するのが建前でなければならん、こういうように思うのであります。政務次官の法案提出理由説明の場合にもございましたが、公共団体、或いは国からの恩恵のもとに教育を受けることができるというような意識を子供に与えることが、将来の国民観念養成の上に非常に重要であるという意味のことをおつしやつておられたと思いますが、公立学校子供だけがそういう公共団体、或いは国の恩恵を受けておると認識すべきであつて、それ以外の、公立学校以外の子供はその恩恵を認識しなくてもいいというようなことは毛頭ないのであつて、将来国民たるべきものすべてが世間のお世話を頂いて学問に精進することができるのだというような観念を養成すべきものである、こういうように私は考えます上から、何故に公立学校生徒に限られなければならないのであるか、極論いたしますれば、これは憲法第十四條に掲げられておりまする国民平等の原則にも或いは反する盧れがあるのじやないかとさえ思うのでありますが、その点に対する御所見をお伺いいたします。
  6. 辻田力

    政府委員辻田力君) お話は御尤もと思つておりますが、今回の法律を作案いたしました趣旨から申上げますと、憲法の二十六條を受けまして教育基本法におきまして義務教育無償が規定してございます。この義務教育無償につきましては、国又は地方公共団体の設置する学校では、授業料はすべて無償とするということに規定してございますが、現在のその国立又は公立学校に入つておる兒童に対しては授業料無償にしておる現状でございます。従つてその線から考えまして、私立の場合におきましては、只今高橋さんからお話がございましたような御意見は十分尊重しなければならんと思いますが、その線に沿つて教科書についても公立学校兒童に限つたわけでございます。言うまでもございませんが、学校教育法によりまして市町村におきましてはその地域内の義務就学をすべき兒童を収容しなければならない設備を備える義務があるわけであります。又父兄の側から申しますと、その地域内の父兄はその兒童をその公共団体の設置する学校に収容しなければならない一応の義務があるわけであります。併し特別の場合におきましては、承諾書を添えて国立なり或いは又私立などの学校に入学することができるような建前になつておる次第でございます。従つてこれは少し法律的に如何かと思いますけれども、併しいわば一種の当然行つてもよい所に入れずに、ほかの所へ自由に行かした次第でございますので、その際におきましては、公立学校兒童に限ることにしたのでございます。併しお話がございまするので、我々としましては、この私立学校の問題、或いは国立学校の問題については十分今後、二十七年度以降の場合に考慮いたしたいと思つておる次第でございます。
  7. 高橋道男

    高橋道男君 御当局の御説明でほかのところは大体了承できるのでありますが、子供差別感を与えるということは私は非常に大きな問題だと思うのです。そういう点についてのお考えが伺えませんのですので、その点を更に念を押してお伺いいたしたいと思います。
  8. 辻田力

    政府委員辻田力君) この法律の意図するところは、兒童の相互間、公立学校に入るものと私立学校に入学するものとの間に差別的な気持は全然ないのでございまして、先ほど申上げましたような趣旨からこういうような法案なつた次第でございます。併し先ほどお話がございましたように、公共心の涵養というような意味におきましても、又その点は十分考慮しなければならぬと思つておる次第でございます。なお、この法律は、この法律の表題にございますように、昭和二十六年度に入学する兒童に対してその試みとして実施するわけでございますが、二十七年度以降におきましては、今回の法律実施の結果を、若し幸いに法律案が成立いたしますれば、その実施の結果を十分に検討いたしましてこれをどういうふうに改正して行くか、どういう方法があるかというようなことを十分研究した上で、改めて又二十七年度のことを考えたいと思つておる次第であります。そのためには、関係各庁並びに学識経験者によつて構成いたされます審議会を組織いたしましてその審議会によつて十分案を練つて行きたいと思つております。その場合に、いろいろ只今お話のございました問題も検討したいと思つておる次第でございます。
  9. 高橋道男

    高橋道男君 もう一つお伺いいたしますが、この法律の施行上の予算として、一意三千九百万円のものが計上されておることを伺うのでありますが、この法案を見ますると、公共団体全部が二十六年度において就学兒童教科書給与するということではなしに、その給与するのも任意のような意味に解せられるのでありますが、そういう公共団体が任意にこれをきめるというようなことに考えてよろしいでありましようか、これをお伺いいたしたいと思います。
  10. 辻田力

    政府委員辻田力君) お話通りこの條文から考えまして、このことを強制するのでなく奨励するのでございますので、地方公共団体立場から申しますると、希望する所がこれを実施するということになる次第でございます。
  11. 高橋道男

    高橋道男君 若し希望する所に実施するということでありまするならば、希望しない所もできて来ると思うのであります。私の見るところでは、若し希望しない所がありまするならば、それだけ予算の剰余が出て来ると思うのであります。私は二十六年度において、小学校において義務教育を受ける人数がおおよそ二百万、それから私立学校なり国立学校において義務教育を受けるものがその一%の二万以下というように私は見るのであります。ですから、若し一部公共団体において図書給与しないものが仮に一割以上あるといたしますれば、そういう国立学校なり私立学校に入学する子供に対しての教科書を配布するだけの予算の余裕は出て来ると思うのであります。そういうようなことを考えますならば、私は当局の意図次第でよつては二十六年度からでも兒童にこういう恩典を与えることができる、こういうように思うのでありますが、そういう点の御見解、こういう法律であつて公共団体が全部その義務教育子供に、公立学校において義務教育を受ける子供給与するものでありますか、そういうところの御見解を伺いたいと思います。
  12. 辻田力

    政府委員辻田力君) ちよつと速記をとめて頂きます。
  13. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  14. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて……。
  15. 高橋道男

    高橋道男君 只今の御説明によりますと、法案趣旨は任意的になつておりますけれども、大部分は、大部分というはりも全部が公共団体においてその公立学校生徒図書を無料配布するというような御見解でございますので、二十六年度においては国立学校、或いは私立学校生徒にはそういう恩典が受けられないというような見通しのようでございますが、それならば先ほどからお話のように、二十七年度においては是非とも何とかして小学校に入学する生徒全部にこういう恩典を与える措置考えるというようなお約束ができるかどうか、これを念のために伺つておきたいと思います。
  16. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今の御意見は誠に御尤もな点が多々ございますので、我々といたしましては是非そういうふうにいたしたいと思つておる次第でございますが、審議会にかけまして、十分その点を考慮して、できるだけ実現をするように計らいたいと思います。
  17. 高橋道男

    高橋道男君 これは私は兒童教育上非常に重要な影響があると思いますので、悪くすればやはり官尊民卑というような観念も与えないとも限りません点もありまするから、是非小学校に入学する全児童に対してこういう恩典が与えられるような方策を考慮して頂きたい。又我々もそういう考慮をいたしたい、こういうことを附加えてこの点の質問は終りたいと思いまするが、もう一点、第二條について伺いますが、学年の中途においてほかの学校から転学した兒童はその恩典が受けられない、これは尤もだと思います。併しこれは誠に極端な例でありますけれども、学年の当初において自分の行くべき予定をしておつた学校には行かれず、ほかの学校へ早速転校しなければならないという子供も多い中にはあるだろうと思います。そういう場合に、お前は転学したのだから恩典を受けられないということがあつては困ると思います。公立学校においてそういう懸念はあるまいかということについてお尋ねいたします。
  18. 辻田力

    政府委員辻田力君) 申すまでもないことでありまするが、四月一日に学齢が来ればいずれかの学校に入学しなければならぬことになつておりますが、その場合に登録されたものはその最初学校において教科書給与するわけです。特に公立学校については給与するわけでございますので、その場合に一カ月か二カ月か、何カ月かたつたときに止むを得ない事情で転校したという場合には、甚だ転校した人に対しては気の毒でありますが、それに一つ一つ新らしく給与して行くということになりますると、財政上の観点から言いましても相当の負担になるわけでもありまするし、又それを予算上積算して置くということも非常に困難な事情もございますので、この際は止むを得ずそこまで手が及ばないというふうなことで、最初に入つた所給与を受けるということにいたした次第でございます。
  19. 高橋道男

    高橋道男君 今のお答えで少しはつきりしないのは、極端な場合においては、入学するなり直ちに一月も二月もせずに、一日か二日で他に転校しなければならないという例もこれはあるのです、事実上……。そういう場合に最初入学した学校において配給を受けられるのか、或いは一日、二日の場合ならば転校したほうにおいて受けられるのか、いずれにしても無償で受けることができるかということを念のためにお伺いしたいのであります。
  20. 辻田力

    政府委員辻田力君) 四月一日から転校するまでの期間の問題に影響すると思いますが、比較的近い期間、即ち翌日とか、或いはその二、三日おいてというような場合には、まだ恐らく教科書も廻つていないような場合が多いだろうと思います。そういう場合にはこの趣旨教科書をやらないということを趣旨にしているのではないので、できるだけ給与したいというのでございますから、最初にもらわなかつたというような場合には、新らしく変つた所でもらえるということにいたしたいと思います。
  21. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ほかに御発言はございませんか。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 今まではどういうような御質疑が繰返されたのか、私はちよつと出席しておりませんので、重複した点は御了解頂きたいと思います。  先ず第一に伺いたいのですが、この義務教育無償、こういうことは憲法にも謳われているのでありますが、その一部分をとにかくできる範囲内でやる。こういうことでこの法案が出された趣旨のように、これは説明されておると思うのでありますが、併しそれにしても、この義務教育という大きな課題、これは日本の終戦後に当然教育機会均等、それから平等な教育、これを確立する立場から大きく問題にされ、憲法にまではつきり規定されて来たわけなんですが、そういうものがこういう形で、殆んどこれは言うに足りないような形でまあ着手されて来た。それで法案を見ますと、これの説明では義務教育無償実現端緒、こういうことで大きく謳われ、今までもこれは池田蔵相天野文相の御説明の中にも出て来ているのでありますけれども、そこでお伺いしたいのですが、義務教育の大体無償というようなものをどの程度までこれは果すべきものだと考えておられるのでありますか。そのためにはどれだけの一体予算的措置が本当は理想的に言えばなされなければならないか。これとの関連で、この教科書の問題を我々はやはりここで明かにして置きたいという観念からお聞きしておるのであります。憲法に規定されておるところの義務教育無償というものをどの程度まで一体お考えになるのか。立法案のほうではこういうような案をお出しになつているのであるが、その全体の構想、そういうようなものについて先ず最初に伺いたいと思います。
  23. 辻田力

    政府委員辻田力君) 憲法に定められておりまする義務教育無償をできるだけ早く広範囲実現いたしたいということは、政府としての根本的な考え方でございます。併しこれは国力と見合わなければならんことは当然でございますが、現在では御承知の通り国庫補助の面における義務教育につきましては、授業料をとらないという形で無償ということになつております。で、我々のほうでは普通の生活のための費用以外の、要するに義務教育教育として実施する場合に必要な経費はこれは公共のほうから出しまして、義務教育を受ける立場からはこれは無償とすることといたしたいというふうな理想を持つておるわけでございます。即ちその内容といたしましては、現在は授業料でございますが、そのほかに教科書とそれから学用品学校給食費というふうな、なおできれば交通費というふうなことも考えておりますが、それらを一時に全部やるということは到底現在の財政上ではできませんので、止むを得ず今回は教科書、而もそれも一部分だけ実施するという試みにして、その結果によつて又次の飛躍を期するというふうに考えておる次第でございます。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 私お伺いしたいのは、大体そういうようなものは、文部省でこの義務教育範囲内で教科書給食費学用品交通費、こういうようなものまでやらせる、やりたいと考えている。今までこういう問題について財政的に検討せられたことがありますか。そうして今申したこういうものを給与する、無償でやるという場合にはどれくらいの一体予算が必要かということについては、これは検討された事実がありますかどうか。
  25. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部省のほのにおいては現在の……現在と申しますか、この前に、昨年の予算編成期における単価でございますが、それを基準といたしまして計算をいたしたことがございます。併しその額は相当厖大な額に上りますので、先ほど申しましたように種々研究、折衝の結果、今回のような案が出た次第でございます。例えば教科書について申上げますと、予算を編成いたしました当時におきましては、小学校におきましてその当時の最底単価基準といたしまして計算いたしますると、二十八億六千七百六十五万三千円、中学校においては十九億九千九百三万五千円。盲学校におきましては二百三十七万三千円、聾学校におきましては三百四十一万七千円、合計しますと、四十八億七千二百四十七万八千円というふうな、教科書について申しますとそういうふうな計算になるのであります。その他学用品並びに給食費、これらにつきましては、どの程度その範囲を拡げるかということで計算が随分変つて参りますが、一応の計算はいたしております。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 実はこういう計算内容、これは我々の実は怠慢であるかも知れませんが、この資料について以前に文部省から実は欲しかつたわけであります。少くとも憲法でとにかく誰つておるのです。無償にしたい、すべきである。そういうことから当然憲法謳つてある事項を果たすにはどれだけ要るのかということは、文部省自身教育財政を確立する上からの資料としてもこれは非常に重要なことなんです。それは実情に合わない、理想的の状態であるからというので、そういう点はやつても余り効果はなかろうという、そういう点でこれは今まで余り着手されないのかも知れませんが、これは非常に重要だと思う。と申しますのは、今言いましたように少くとも憲法謳つて、而もそれがなかなか実現されておらないという点があると思う。これに対して一歩近付いて行くというためには、文部省がそういうことを恐らくされることが必要であると思う。併しその全貌については示されていないのですが、大体わかりますか。給食費とか、それから学用品とか交通費、こういうもうについて大体の大枠については去年算定されたのでわかつておりますか。そうしてそれらの総額ですね。
  27. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今申しました教科書計算につきましても、昭和二十五年度におきます当時の実際発行されておりました教科書最低単価をとつて、それを単価として計算した次第でございますので、これを何年間でやるか、一挙に小学校中学校全部やるか、或いはそれを三カ年計画でやるか、或いは九カ年計画でやるかといういろいろの案を私どものほうでは作つたのでございますが、それが今回のような案になつたわけでございますが、そこでその何年間でやるかということによつて計算が非常に違つて参ります。例えばこれを九カ年でやるというと、九年先の物価を通して計算するということは非常に困難でありますので、二十五年の単価計算したような次第でございます。学用品給食費計算を立てたかということでございますが、計算はいたしておりますが、これは今回の法律に直接問題になつておりませんけれども、これをいろいろその当時の単価として申上げるのは今意味がないと思います。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 その当時の単価で結構です。大体の物価指数が出ておりますから、それを調べればわかりますから……。
  29. 辻田力

    政府委員辻田力君) それでは折角のお話でございますから申上げますと……。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 大筋でいいです。
  31. 辻田力

    政府委員辻田力君) 学用品等必要最小限度でございますが、二百三億一千百三十四万五千円、給食費二百三十三億五千六百三十万八千円というふうな計算であります。交道費はこれはスクール・バスを使うかどうかというふうなことや、定期を買つて一々渡すということいろいろ違つて参りますので、ここに計算は持合せておりません。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 学用品はどんな範囲考えておつたのですか。学用品について大体でよろしいのですが……。
  33. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今局長が挙げました数字に基きました学用品内容は相当広範囲なものでございまして、その中には鉛筆、ノート、クレヨン、用紙そのほかに定規、コンパスというふうな学校で使うところの教材は全部網羅しておるのでございます。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 無論具体性はすぐにない問題ですから、文部省としてもこれに本腰を入れてもらえない気持はよくわかるのですが、併しこれは憲法に規定されておる重要なことですから、一応こういうようなことは必要でないかと思うわけです。これをお伺いしたのは、大体今文部省から出された数字で見ましても、教科書学用品、それから給食、その三点を義務補償の対象として考えても、これは五百億に近いと、こういう予算になるのではないかと思います。そうしますと、これにはそのほかに大きく問題になつて来るのは、子供のこの貧富の差が非常に甚しいのですから、服装の問題であるとか、或いは雨具の問題であるとか、誠にこれは際限のないわけですが、最低今の問題で考えても五百億、こういうことになりますと、今度の教科書臨時措置法によりまして一年生に算数、国語と、これがまあ市町村と半額というようになつておりますが、半分だけ国家で金を出す、これで一億九千万円ですが、こういう形で出されますと、仮に最低義務補償をするとしてもその三百分の一程度、こういうことになつて来ると思います。こういう形で憲法に保障されておる義務補償、これを果たすのだと、こういうふうに言われてやるわけでありますが、成るほど全然出さないよりも出したほうがいいと考え方もあります。併し我々の言つておる少くとも義務教育無償という問題はこれは大きくやはり父兄である大衆の生活問題とも関連し、又経済の不平等によつて教育の不平等が惹き起されておる現状に対して、相当大きくこの問題をどう解決するかという政策面としてこれは論ぜられて来ておるわけです。又そういう解決に対して一つの相当なこれはくさびが打込めなければ、私たちは余り意義を持たないと思います。逆に全くこれは何というか、つまみ食い程度で、大きな目標として掲げられている義務教育無償、どこに出しても恥しくないようなそういう大きな政策が僅かにこんな形で、而も最初政府の、文部省の構想した小学生に全部やるという案は駄目になり、それが今度は一年生に三冊やるという案も駄目になつた、物価の値上りでそれを二冊に落し、更にそれが半額という形で地方負担がこれによつて大きく出されて来るのです。そういうふうに考えますときに、こういうやり方というものは問題の本質を全くはぐらかしてしまう、すりかえる方向である。こういうふうに思われるのでありますが、一体文部省はこういう形でこういうような重大な大きな課題である義務教育無償の問題を果している。無論果しているとは言わないでしようが、端緒だけ作つたのだ。こういう形で果してこの日本文教政策の中で一つの大きな課題となつている問題についてこういうタッチの仕方で一体これから先にどうされるつもりであるか。殊に今年だけの臨時措置というふうな形になりますと、一体我々はこの法案を出されて実は戸まどつている。この法案そのものの性格よりも、今言つた教育無償の大きな政策というものを一体どこでどう果すか、この問題の方が十分に検討され、その一環としてこの教科書問題が逆に論じられなければならない。本末転倒じやないか。或る場合にはこれは羊頭を掲げて狗肉を売るという欺瞞的なものになると根本的な実に重大な義務教育無償本質というものが忘れられてしまう。ここに問題のすりかえが出て来ていることについてやはり大きく考えて見なければならないと思うのですが、文部省はどういうふうに将来義務補償の、文部省自身の不完全な統計によりましても昨年度の予算において五百億でありますから、今年度の物価指数から見れば約七百億、こういうものをどういうふうにして果そうと考えれらるか。それとも教科書の……鼠が噛つたようなことをやつて放棄する考えであるか。これをどういうふうに考えておられるか。これは第一義的にお聞きしたかつたのですが、この点局長からできる程度にでも明らかにして頂きたい。
  35. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先ほど申しましたように、憲法の定める義務教育無償理想をできるだけ速かに、できるだけ広範囲実現いたしたいというのが我々の願望でございます。併し一方に国力全体の立場から財政上のことも十分考えなければいけませんので、種種我々といたしまして具体的に案を持つておりましたが、併し今回の法律案ではこういうふうな結果になつたわけでございます。我々としては一歩々々この国力といいますか、国家事情を十分考慮してこの実現教科書だけにとどまらず、義務教育無償実現を期したいというふうに念願し、又努力いたしたいと思つております。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 何だが訓示を受けているような感じがするのでありますが、そういう答弁ではどうもならんと思うのです。これは併し今文相がおられないのにそういうことを言つて苛酷かも知れませんが、只今国家財政云々ということがあつたのですか、これは何ですか、政府答弁用の中に何かそういうことを書いておられるのですか。我々は絶対そんなことでは承服できない。国家財政とか何とか言つておりますけれども、少しでも分析して見れば、その金がどうして向けられないのかというような金がたくさんある。これはインヴエントリー・ファイナンスの問題でも予算委員会で問題になつている。見返資金の七百五十億の経済再建費だつて問題になつている。預金部資金の四百三十億の予備金来年度繰越し、こういうものだつて大きな問題になつている。更に大きく問題になつているのは終戦処理費の性格である。こういうふうなものにしろ、果して現在の段階であのような一千億を超えるようなものが、これが果してこれでいいのであるかどうか。これについては、ドイツあたりでは終戦処理費のやはり使い方について国会が大きく問題を起し、そうしてそれについて国会で調査委員会を作つて調査した結果半分になつた。こういうような例もあるのです。日本の国会では、残念ながら我々がそう考えていても、一般の機運がそこまで行つてないので、非常に厖大なものになつて来る。併しこういうような問題、そのほかいろいろやつて来ますと、これは教育予算全体の問題でありますけれども、これはもつとそういうようなことができるのだと思う。ところがそれに対して国家財政の見地からといつて池田蔵相みたいなことを言われても甚だ迷惑なんで、文部省としてはそういう点をもう少しはつきり何してもらいたいと思うのです。少なくとも分析してどういうふうに…、池田さんの下請けじや困る、こういうふうに考えるわけなんですが、それならこれを何とか一歩ずつでも払わすということでありますけれども、今のようなやり方で一億円程度のものをやつて行きますと、なお七百億やつて行くのに何年かかりますか。こういうふうなことは一例に過ぎないのであつてここに欺瞞性が出ているのです。憲法にまで保障していながら何ら現実的にやれない、来年はこれに対して是非やりたい、これは文部省は言つてますけれども、現在ではできないし、本年度だけはやるというのですが、来年はどういうふうにしてこれを確保するというような見通しを持つておられるのでありますか、この点だけでもせめてお聞きしたい。
  37. 辻田力

    政府委員辻田力君) 二十七年以降の問題につきましては、関係各庁、学識経験者によつて構成されます審議会川を組織いたしまして、本年度の実施した結果も十分これを参酌いたしまして、又種々財政上その他もいろいろ研究して、二十七年度以降についてはよりいい案を作りたいというふうに思つている次第であります。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、いい案を作りたいから臨時措置にしたのでありますか、そうなんですか、そういう目的でこれは臨時措置にしたのでありますか。これは今年だけなんでしよう。  この法案は。今法案に調われていることはですね、来年の分については触れないのですか。
  39. 辻田力

    政府委員辻田力君) 本年、二十六年度限りであります。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、文部省はそう考えているかも知らんが、又国家財政立場から駄目だというようなことが起つた場合、どうなんですか。来年は駄目だ、こういうことが起らないとも限らない、あなたの御説明ですと、国家財政立場から止むを得ない、こういう事態がしばしば起つて来る。来年あたりは、やつて見たが効果がなかつたと……。それから一番大きなことになつて来るのは、実際の財政需要が殖えている、こういうところに又新たな財政需要が増して来る、そうすると平衡交付金が非常に大きく削減されて来る、こういう問題があると、なかなかこういうものを素直に受入れられない。そういうふうなことが起つて来ますと、来年はどういうようにしてここのところを突破して行く見通しを持つておられるのか。ただ今年だけと、今年だけやつて見たがうまくなかつた、そうして配給した教科書も一番最低の価格だ、こういうようなこと、つまりその額は僅かに七十二円程度である。そういうことでこの前も例を挙げたのですが、入学のときに最低五、六千円くらいは父兄負担しなければならない。PTAのほうを含みますと場合によつては八千円から一万円、その一万円のうち七十二円だけ国家が出して、名前だけは無償だ、こういうふうな制度が果して本当に正しい政策であるのかどうか、ここが大きな問題になつて来るのでありますが、そういう輿論が当然起つております。そうしますと、来年これを継続してやるかどうかということについては問題がある。こういうものを継続的な仕事をしないで、試しにぽんと池の中に石でも放つて見るようにやるというのであります。そういうことでは、私たちはますますこういう法案というものの性格を疑わざるを得ない。これは今度の四月の選挙を狙つてつている、こういうふうに極論することができる。そういう性格を持つているとも見られるのでありまして、来年までどのようにして継続して行く見通しを持つてこれを拡充するか、こういう点についてここでお伺いしたい。残念ながら文部省を信じたいのでありますけれども、今までの実績では信ずるわけにも行かん、こういうふうに思うのでありますから、念のために伺つて置きたいのであります。
  41. 辻田力

    政府委員辻田力君) 二十七年度の今の問題につきましては、今度の法律には触れておりませんが、これを継続するのみならず、より拡大いたしまして、よりいい案を作りたいと思つております。従つてそのためには本年の実績によつて十分見通し、又文部省だけで考えるということでなしに、関係各庁、或いは学識経験者の御意見も十分参酌した上でいたしたいという考えの下に審議会を作つて、そこで案を練るということにいたしております。従つてこれを本年限りでやめてしまうというような意味臨時措置にしたのではないのであつて、今後よりいいものにしたいという考えであることをこの際はつきりと申上げて置きたいと思います。  なお、先ほどお話ございました本年の問題で、国語、算数は最低価格をとつたのだというお話がございましたが、その点については説明をさして頂いて置きます。これは最初昨年の四、五月の頃に予算を積算する場合におきましては、只今お話がありましたように、算数国語以下の当時出ております教科書全部に亘つて克明に調べまして、その最低価格をとつたわけでございます。併しその後諸種の事情物価等も高騰いたしまするし、従つて教科書の値段も高くならざるを得ないというふうな事情の変更がございましたので、その点もこれは考慮し、又地方財政に及ぼす影響というものも考慮いたしまして、できるだけ地方に実際に御迷惑をかけるようにしたくないという考え方から、この最初の案を多少変更いたしまして、今日におきましてはすでにどの教科書をどこの学校で使うということもわかつておりますので、そこで国語については発行会社が七社ございますが、算数については九社について個々の教科書を具験的に調べて、その需要部数をよく調べまして、それぞれの実質上の平均単価をとつて計算したわけでございます。その結果国語と算数について、これは無理が行かないようにという結論に達したために理科を外しまして、国語と算数の二課目にしたような次第であります。この点だけは最低単価ということでございましたので、説明させて頂いて置きます。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 説明があつたようですが、どうも私はわからないのは、来年は準備してやるのだから今年は臨時で、今年だけの法案だと……、これは来年補償がなくなつて、どうなんですか、やめろというようなことになつたらやめになる、こういうことをやつていいのですか。私はこういう無計画な杜撰なやり方は問題だと思うのです。なぜこんなに一体こういうことをここで急いでやらなくちやならないか、これ自身も問題になつて来るのです。来年も文部省側では希望しているにかかわらず駄目だということになつたらどうなるのですか。この点……。  それから地方負担の点ですね、そういう問題については、これはやはり地方財政委員会なり自治庁なりにこれは意見を求めたのでありますか。今まで当委員会としては委員長にお聞きしますけれども、ちよつと意見を聞いてみる必要があるのじやないか。文部省を通じた意見としてだけじやはつきりしないことがありますけれども、こういう点は如何でしよう。
  43. 辻田力

    政府委員辻田力君) この法案計画いたしましたときからずつと関係各庁には連絡をいたしております。現在の案につきましても、例えば地方財政委員会或いは地方自治庁については完全に了解を得ている次第であります。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 これをあなたはそう言われるけれども、我々はやはり地方財政委員会のほうで問題になつていることについては……問題になつたでしよう。この点はやはり聞く必要があるのじやないかと思います。それから来年やるとすれば、来年やれば二年、三年というふうに殖すというやり方ですか、ずつと漸次学年を上げて殖して行くというやり方を文部省考えているのですか、それはどういうやり方ですか。そうすると財政の需要額がずつと大きくなつて行くわけですね、そういう点はどうなるのですか。
  45. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先ほど申上げましたように、二十七年度以降については審議会において十分案を練るのでございますので、その結果どういうふうになるか、今あらかじめ明言をすることはできませんが、文部省といたしましては、一年生は勿論、二年、三年とこう進んで階段的に行くように是非実施したいと思つております。併し審議会を設けて各般の方面のかたがたに御意見参を聞きたいと思つておりまするので、その結果についてはまあ予測することはできません。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 ところが審議会を今まで持たれなかつたわけなんですね。どういう形でこれは出て来たのですか。六三制の前轍を繰返すわけですか。とにかくやつて見ろ、それでも財政的な検討とか、計画を全部十全にやつてその一環として出て来たのならば話はわかるが、全部とにかくやつて見ろ、それで当つて見ろ、これで食い付いて来るかも知れない。食い付いて来てからこれについて検討しよう。こういうような一体文部行政というものはあり得るかどうか、六三制で十分我々はにがい味をなめたのです、関係者は全部……。そういう形で出された法案だということは今の御答弁でこれは裏書するのです。どうして一体こんなことを別に急いでやらなくちやならないのですか。もつとこれは十分研究して審議会を設けるなりして、財政的な検討もして、計画をやつた限りはですよ、これは決して撤回したりするようなぶざまなことをしないで、もう少しやはり無償計画とマッチさせて、相当くさびを打込める点について相当考えないと逆効果になると思う。具体的に言いますと今年はもらえた、だけど来年になると、来年の子供はもらえないと、こういうことになつて来れば、大野さんによると、こういうものはとにかく国家の親心で以て教科書を出すということは、そういうものは問題ではない、飽くまでも精神が問題だと、こういうことを言われておりますが、来年になつて見ていよいよやつて見たが、これは駄目だ、来年になればそれだけ財政需要が二倍になつて来るから三億、四億と、物価高になつて来ればもつと要るわけです。四、五億要るでしよう。そういうふうになると、もうそういうことになつたとき来年は駄目だと、そういうふうになつたとき天野さんが今言われているような気持、これについて我々はさつぱり同調しないのですけれども、仮にそうなつたとしても来年になつてこれが与える影響についてはまるで逆効果が起つて来るのであります。まるでこれは六三制と同じだと、そう我々はとつているのですが、全く何らの計画なしにこういうことがやられている、重大問題だと思う。この行政は、今日日本の文政は、こういうふうなときにまるで噴火山上の踊りみたいにしている。何の計画があるのですか、重大問題だと思うのです。これをやつて見てから審議会を作つてどんどんやつて行く、これは一つ学校試みにやるのならばまだいいでしよう。而もこれは一つの国策だが、而も重大な画期的な文部予算であるということを池田蔵相は本会議においてしばしば断言しておる。画期的なこの内容について予算を明日の分科会で当つて見るのでありますが、その内容は何かと言うと、育英資金のことであります。それから科学研究所のこと、それからこの教科書、これはこれらの三大行政として挙げているその一つだ、こういうようなものが十分に検討をされないで思い付きみたいに、そしてこれは四月選挙を前にするような恰好で大急ぎでここで提案されて、そしてこれはもう禄に質疑もしないで通つてしまうような形でやつてしまつたらこれはどうなるか、こういう点について文部省自身は甚だ杜撰だと言わざるを得ないと思うが、どうですか。この点はどうですか。
  47. 辻田力

    政府委員辻田力君) 憲法実施されまして以来、文部省といたしましては義務教育無償の拡大について研究を重ねて来たわけでございます。昨日今日の思い付きで急に出したというつもりではありません。我々といたしましてはできるだけ速かに国情の許す限りこれを早く実現いたしたい。而も広い範囲にこの無償の配布にいたしたい考えで研究して参つた次第でございます。時あたかも又昨年アメリカの第二次教育使節団が参りまして、義務教育無償、特に教科書無償については重大な勧告をしておるわけでございます。そこで我々といたしましては、従来の研究、又使筋団の勧告ということも加味いたしまして、そこでこれを実施し、これをできるだけ範囲を広くしたいのでありましたが、今回のような形にいたしたのでありますので、ただ思い付きでやるとか、或いは又はかの意図でやるというような気持ではございません。義務教育無償理想を一時も早く達したい、そのために考えて出したような次第でございます。(「了承」と呼ぶ者あり)
  48. 岩間正男

    岩間正男君 義務教育無償ということは、これはまあ何回も使われておるわけでございますが、これは甚だ憲法に明記してあることをこんた形でやられることは、私は賛成できないものですから意見を述べておるわけでございます。それでこれは私はまあどのようにして継続の保障があるかということ、これは先言つたのを繰返すようでありますが、六三制で我々はにがい味をなめておる、こういう無計画、全く無計画と言わざるを得ませんよ。なんぼこれは説明しようと思つても事実こういう形になる。何ら来年のその見通しもないんですか、これをどういうふうにして確保して行くのであるか。  それからもう一つ、この勧告というようなことに力を入れられておるようですが、これは勧告まで受けてもしようがないのですか、勧告を受けたら同時に財政的な措置一つ文部省ではどうです、この使節団にもつと話してもらつたらどうです。勧告に予算を付けてもらつたら…。こんなことじやしようがないのです。勧告なら誰でもするのです。それは欺瞞です。これは今言つたように七百億要るところに一億何千万でやつてしまう。こういう馬鹿化たことを、名前はいつでも義務教育無償、何です、これは……何百分の一の義務教育無償ですか、これは甚だ人を馬鹿にしたやり方と言わざるを得ない。だから当然そういう点について、これは文部省もこういうような羊頭を掲げて狗肉を売ることはいつまでもやらず、おやめになつたらどうですか。むしろこのように考えるのですが。差から、そういう点からこれは文部行政全体のことで、辻田さんに申上げてもはつきりしない問題ですが、我々はせめてこの教科書をどういうふうに確保するかということについて、もう少し具体的な構想をこれはどうしても出してもらわなければ、これについて我々は賛成か不賛成かということを決定することはできない。賛成して置いたところが、来年になつてこんなものは駄目となつて、この責任を問われるということではとてもやれない。もう少し裏付のある話を……、これでは来年審議会を設けても、その審議会なるものはいつでも大して有力でない。最後には予算の問題ですから、審議会を設けていろいろやつて見たところで予算の問題ですから、これをもう少しどういうふうにして食込んで確保するか、こういう点について相当裏付のある、我々を首肯させるだけの材料を出してもらいたい。こう思うのですが、如何ですか。
  49. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部省といたしましても先ほど申上げましたように、教科書或いは学用品学校給食に至るまで理想として義務教育無償の線に沿つて実施したいと思つているのでありますが、併し先ほど申しましたように、国の財政、地方の財政等々と見計らつてこれを可能の範囲内において実現して行かなければならんことは当然であります。それで計画といたしましては、教科書につきましても小中の両義務教育につきまして、一カ年一挙にこれは無償にするという案も計画をいたしました。又小学校についてだけ小学校六年までについてこれを無償にするという案もありました。又この九カ年間の義務教育の年限を三カ年で教科書無償実現するという計画もいたして、それぞれ研究或いは又折衝をいたしたのでございますが、財政上の都合等によりまして、今回のように一年生、而もそのうちで二科目というふうな結果になつたわけでございます。併し我々としてこれで満足しているわけでは毛頭ございませんので、今後努力を重ねまして、又皆様がたの格別の御支援を得まして、この範囲の拡大、速かに範囲を拡大するということについて澤身の努力を続けたいと考えておる次第でございます。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 これは折衝を続けたというのですが、関係方面ですか、それから大蔵当局と二つあつたのですが、例えば六年一遍に行くという最初の案が駄目になつたというのは、主としてどういう原因なんですか。二つの原因ですか。
  51. 辻田力

    政府委員辻田力君) 国内の財政事情でございます。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 それでいてこれは池田蔵相に言わせると、非常に画期的な予算だそうです。第九国会でも私は質問したのですが、画期的な予算で架空ではない、正確だ、成るほど正確だ、こういうぼろ教科書みたいなものをやる、一番最低基準の何かを集めて来て、それをだんだん減らしてそういうことをやる、そうしておいてどうかというと、義務教育無償ということが語られている。それで辻田さんの今希望的な観測というものは非常に私もそういうことをなさらなければならないという気持に対しては同情するわけですけれども、併しそのまま割引なしに頂くわけに実際問題としていかない、現実はどうかと申しますと、文部省はそういう努力をしても努力が足らないことが大体において多い、いつでもそうなのです、我々が予算の問題を突くといつでも今辻出さんの言われたようなことを聞く、我々ははあ……と言つて、それで多分そうやるだろうと思つていると、いつもがちやんこになつている、それで最後になるとまるで違つた形になる、私はここでどうしても警告せざるを得ないのは、六三制の小型なことを繰返すことにならないかということです。これは、何らの計画がない、そうしていて財政の裏付はない、こういう形でも名前だけは欲しがる、義務教育無償という名前だけは欲しがる、こんなことを使うべきことじやない。子供が一人入るのに五千円も一万円もかかる。こういうような負担で悩んでいるときに、義務教育無償というのは何百分の一、実はここで大体計算して見ると、今言つた教育費、給食費学用品費、これだけでも文部省最低計算で約七百億、今の物価の値上りを考えると七百億要るとすると、これを出さなければ全部これは父兄負担になつて来る、そこへ持つて来て大体国家と地方財政と合せて三億八千何がしの一体負担というものは、成るほどないよりはいいかも知れない、併しこれは焼石に水です。こんなところに問題の本質があるのではないか。それなのにそこのところを突つ込まれるというと池田蔵相のごときは何と言つているかというと、架空ではない、正確だ、こういうことを言つた、戦争前にも同じことを繰返して来た、それで日本教育はどんどん観念的に流れて行つて名目だけは残つている。私は天野さんにも是非聞かなければならんと思う、この前の予算委員会で聞きかけたのですが、十分でないのです。こういうことで一体本当にこれをやつていいのかどうか、そうして問題の本質はまるで氷山の下に沈んだような、そうして氷山の上の一角のところをちよちよろとなぜているというような程度でいいのか、だからして日本教育というものは一方でどういうことになつているかというと、どんどん崩壊しつつある。見て御覧なさい、我々はこれはここで事実を挙げることができる、一昨日も話したのでありまするが、最近の私学における腐敗の事実なんか実際なんですか。子供が入るためにどのような賄賂が行われ、試験の答案がどのように家庭から家庭へ私学の教育の手を通じて事前に見せられておるか。そうしてこの報酬は何万円だ、こういうところに追込まれているのです。こういうようなことがこうした政策の現われなんです。こうした欺瞞的なものをやつて国民をごまかそうとしても駄目です。これ対して文部省はこういう事態に対してまるでそんな上のほうだけごまかしておいて、大切なそういう重要な問題、これは大衆の生活に深く結ぶのであつて、今苦しい、とにかく重税と物価高、こういう苦しい生活において、教育費の負担というのは、参議院の予算委員会の公聽会で聞いてもはつきり出ております、一父兄のかたが出て来て、少くとも小学校では一人五百円ずつはかかつている。子供を二人も三人も出した場合には相当生活費の大きな部分を占める。こういう問題に対してもつと突込んで入つて行つて、それが又日本教育の平等、貧富の差によつて教育を受けたり受けなかつたりするそういう事態を廃止して、飽くまでも教育の平等を守り拔くというそういう気高い一つの闘い、そういう闘いをはつきり打ち出すために努力するなら、義務教育無償ということはわかるのであります。その精神においてこそ義務教育無償ということはわかるのであります。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)この提案がまるでむちやくちやなこういうような形で、全くこれは鼠が南京袋の一角をかじるようなやり方でやられることについては我々は了承することができないのであります。この点ですね、再びやはり六三制のような形を繰返さないという保証をはつきりさせる必要があるのじやないか。どうも頼りない次第であります。私はこれは重要だと思うのでありますが、どうでしようか。
  53. 辻田力

    政府委員辻田力君) 義務教育無償を画期的に、大幅に、できるだけ速かにこれを達するということは岩間委員と全く同感でございます。我々といたしましても、その線に沿つて努力しているつもりでございますが、今後とも努力を継続してその実現を図りたいと思つている次第であります。格別御協力のほどをお願いしたいと思います。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 それじやその問題は、これは辻田さんに大体今御質問申上げても無理な点もありますし、それからここは議論に亙ることになりますから、討論の際に申上げるとしまして、もう一つ、これによつて起る統制的な面ですね、どういうことになりますか。大体教科書内容の問題ですね、内容に対してこれはやはり影響を及ぼすというような面は考えられないのかどうか。どうしても国家の補助というような形でやつて行きますと、これは全部の教科書に対して補助を与えるという形はとれなくなつて来ます。例えば高いものに対してはどういうことになるのですか、そのうちの幾分でも補助する、そうしてあとの部分はこれは父兄負担、こういう形で持つて行くつもりでありますか。この七十二円の倍の百四十四円ですか、そういうことで算数と国語二冊買える、そういう本だけを作つて与えるのか。それとも現在行われている教科書の中で今のきまつた法定の額だけを補助するという形でやるのでありますか。その点のやり方、配分の仕方、この点はどうなんですか。
  55. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先ほどちよつと単価の問題について御説明をいたしましたのでありますが、一年生の国語を発行しておる会社は七社でございます。算数を発行しておる会社は九社ございます。この十六社につきまして、それぞれ発行しておりまする具体的な教科書の需要部数は、今日ではもうわかつておる次第であります。従つてその需要部数によりまして定価もきまつて来るわけでございますので、現在では個々の教科書の定価がはつきりいたしております。又その需要部数もはつきりいたしておるわけでございます。我々といたしましては、最低単価を見て予算編成をいたしたのでございますが、この計画は変更いたしまして、具体的な予定定価と、それから兒童の使用する量とを睨み合せまして、それから一つ一つ所要の金額を積算いたしまして、それに基いて平均単価を出したわけでありますので、いわば実質的な平均単価になつております。従つて最初計画のように、最低単価ではありません。高い教科書を使うところには、その高い教科書の半額を補助するというふうに御了承願いたいと思うのでございます。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、高い教科書を使うのには高い教科書の補助をするようになつて、例を挙げますと、百円だと、併し補助金の分は七十円だとこういうときにはやはり百円ということで全額補助するということになるのですか。それより安いものもあるわけですな、六十円とか……。これは平均単価なんですか。
  57. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今お話通り、百円の教科書を使うところについては五十円補助金が行くわけです。五十円の教科書を使うところには二十五円行くという形になります。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 そうしたら、これは高い教科書ばかり使うところが出て来ませんか。
  59. 辻田力

    政府委員辻田力君) 教科書の値段の高いということが必ずしも教科書内容がいいというわけでもないと思います。と言いますのは、先ほど申しましたように、需要部数をとつて、そのうちで単価がきまるのでございますので、たくさん需要があるところには従つて製造価格も安くなりますので、安かろう悪かろうというようなことでなくして、そこには逆に言えばむしろ需要部数の多いところは却つていい教科書だとも言い得るような次第でございますので、その点は高いから、安いからということで教科書の良否をきめるということはできない。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 今の資料ちよつともらいたいのですが、我々の聞いているところでは、二十五年度は大体算数だけで二百一円三十銭になる。これは三冊でありますが、二十六年度では二〇%の物価の値上りを見ても二百四十一円五十六銭、こういうふうに言われているのでありますが、今の数字と食い違いがあると思いますが、七社なんかの所の資料的なものが出ておるのですか。
  61. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先ほど申しましたように、七社、九社について出しております教科書の具体的な一つ一つに基いて計算した次第でございます。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 これは資料はもらえますか。
  63. 辻田力

    政府委員辻田力君) 資料は今私は持つておりますが、御必要ならばあとで差上げます。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 それからこれによつて今七社、九社というふうに進められておるのですが、どうですか。操作の面において先に行つてやはりこれについていろいろの何は起つて来ないのですか。一方に偏在するというような形でだんだん独占的になつて行くというような傾向は起らないのですか。操作の面においてですね、これはどうですか。どういう補償がされますか。
  65. 辻田力

    政府委員辻田力君) 二十六年度に使用いたします教科書につきましては、御承知の通りそれぞれ学校から申出がありまして、どの教科書を使いたいということははつきりいたしておりまして、それを今変更するということはできないわけでございます。そこで二十六年度の問題としては偏在するというようなことは勿論ございませんが、将来どうなるかというふうな御質問だと思いますから、その点について申上げますと、御承知の通り現在教科書行政は検定と国定の教科書がございますが、この頃は大部分は検定でございます。文部省で検定をいたしました教科書或いは国定教科書を全く差別なく平等にこれを一般に展示いたしまして、展示したものを実際使用される学校の先生がた、或いは教育委員会のかたがたがこれを見られまして、内容等を十分検討の上で、どの教科書を使うということをおきめになるわけであります。正式にはそれぞれ教育委員会において採用を決定されるわけであります。この決定されたものを需要部数と共に文部省に報告されまして、文部省におきましては一々の教科書についてこれを数字を取まとめて、そのまとまつたものを発行会社に対して発行掲示をするわけであります。そこでなおそのときに用紙等のことにつきましても裏付のあるようにいたしておるわけであります。発行会社におきましては、その指示によつてこれを製造し、それぞれの学校に配給するいろいろなルートがありますが、それによつて配給をするようにいたしておる次第であります。従つて只今のような制度が続く以上は、文部省で特別統制をするわけでもございませんし、又特別干渉をするわけでもございませんので、全く地方の実際教科書を使われる先生がたの自主的な意思によつて決定されておりますので、特に意識的に偏在するというようなことは起らないだろうと思つております。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 これはまあ今年度はそういう形になるかも知れませんけれども、来年のことはこれは先のことですから別にしまして、継続されるというようなことになると、そういうふうな傾向に行くことが相当多いのじやないかと、こういうふうに考えられる節があるわけです。それから物価の値上りが非常に著しいのですが、文部省が今見られておる単価はいつ現在ですか。最近これは補正されて三冊が二冊になつたわけですね、そのときはいつですか。それからこれが実行のとき、今もうすでになつておるのだと思いますけれども、併し非常に物価変動が激しいですが、そういうものからの損失補償とか、そういう問題についてもこれは伺つておきたいのですが、これはどういうふうになつておりますか。
  67. 辻田力

    政府委員辻田力君) この教科書のなかには前期用と後期用とございますが、現在前期、後期を通じて大体九〇%近くまで教科書の値段がきまつております。そこでその値段のきまつた教科書につきましては、それによつて現実の値段を取上げて計算をしておるわけであります。あと納品〇%くらいはまだ定価がきまつていないものが後期用のなかにありまするが、それにつきましては、只今お話にありますような値上りによる損失ということが起るわけであります。併し文部省といたしましては、そういう場合にできるだけ地方財政に御迷惑をかけないようにいたしたいという趣旨から、その具体的の場合に当つてできるだけの財政的な措置をいたしたいと、あと一〇%のものについては考えておる次第であります。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 具体的に言えば、補正でもするということになりますか。
  69. 辻田力

    政府委員辻田力君) 補正予算を組まれるかどうかということについては私たちわかりませんが、補正予算を組まれるというような機会があれば、そういうような要求をいたしたいと思つております。
  70. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は本法案審査に初めて加わりましたので、重複する面があると思います。重複したならば、簡単にお答え願いたいと思います。  私の先ずお伺いいたしたい点は、この法律案を提案された以上は来年度も継続する、更に一年も二年も年次の進むに従つて進められるという、少くとも現内閣の内部には大体の意向がきまつているものだと私はまあ想像するわけなんですが、それについて承わりたいと思います。と申しますのは、若しそうでないとすれば、これは私は問題だと思うのです。確かにこの義務教育無償推進の立場からこれは出されたことは結構でありますが、ただそのときの流れによつてこの法律案を出されたということになつては、私は立法府の問題だと思うのです。と申しますのは、この経過をざつと考えてみても、天野文部大臣はこういうことを言われておるのです。三年生までやりたい。けれどもできないので明年度は一年生だけにして逐次進めて行きたい。こういうことを或る時期に我々の文部委員会で言われたのです。それで政府与党も非常にこれは風呂敷を拡げて国民に出した。そうしているうちにこれはうまく行かなくなつたから、行掛り上自然に、来年のことは海のものとも山のものともさつぱりわからないが、今年だけは行掛り上二冊でも三冊でも国家でも出そうということでは、私は問題があると思うのです。来年まで今の政府が継続するかどうかは別問題として、少くとも出された以上は、文部省は根本のこの政府部内にまで通して、こうして今は出すけれども、来年度は万難を排して継続する意思があるものだということを前提にして出されたものだと私は思つているのでありますが、それに対して御答弁願いたいと思います。
  71. 辻田力

    政府委員辻田力君) お話通りでございまして、万難を排してこれを継続することは勿論、なお上級学年にも及ぼして行きたいという考えであります。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 少くともこの法律案を出された以上は、私は文部省においても、政府においても、来年度の決定如何においては大きな私は責任が伴うと思うのです。私は曾つてもう……長く申上げませんが、文教政策に一貫性がないというようなことを私はこの委員会の席上で言つたことがありますが、さつき岩間君から縷々述べられましたこの問題もその域に入ると思うのです。どうして私はそういうことを懸念するかと申しますと、最近は自由党のあたりのかたは……自由党の所属の議員のかたで地方に行かれて六三制はもう体よく廃止するのだと言われておる人があるのです。建築一つとりましても、国立の文教施設、或いは公立の文教施設にしましても、学校年次が進むに従つてどういう結果になるか、非常に学校は焼ける。この焼けるに対しては鉄筋コンクートにする、そういう計画に対して或る年次計画というものをはつきり立てて、その計画の下に進められているかどうか。こういうことを考えて行く必要がある。或いは六三制の建築にしましても、私は今数字は持てますけれども挙げませんが、人口の増加、昭和十九年から二十年、二十一年、二十二年とずつと人口は増加した。現在でも一年に百六十万の人口増がある。この人口増加とそれから建物の火事のために焼失する、そういうものを通して本当に六三制を実施するのならば、それに対しての年次計画というようなものが果して立つて、その政策の上に乗つて今の文教予算というものが組まれて行つているかというようなことを考えるときに、一方に講和を結んで自主権が回復されたら、六三制はやめるのだという、まあデマでありましようが、そういうことと相待つて私は非常に懸念するわけです。それとこの教科書義務教育を推進するということは同一のものかと、こう考えておるのでお尋ねしたわけなのです。  具体的に一つお伺いしますが、監理局長は用紙の統制撤廃のときに、来年度の教科書についてはすでに確保されておるので、たとえ用紙の統制が解かれても二十六年度に関する限りは現在の予算で狂いはない。支障がないとこう言われたことを再確認されるかということが一つと、それから天野文部大臣が三冊が二冊になつた。その二冊になつたので、これだけの費用で今後の物価の高騰によつて足らなくなつた場合には大蔵大臣が処置してくれることに約束ができておる、決して地方財政は圧迫しない。こういうことを文部大臣は曾つて申されておるわけですが、これを再確認されるか、この二点であります。と申しますのは、中央で法令の改正を次々にやつておる。そうして地方公共団体にそれに伴つて義務的支出をたくさんさせております。そのために地方財政は増加して、地方財政は平衡交付金増額に血の叫びを挙げております。ところがそれがなかなかできないものがあります。だから私は再びこの問題で地方財政を更に圧迫することがあつてはならないと思います。従いまして、監理局長の曾つて答弁されたこと、それから文部大臣がここで答弁されたことは、今でも相違ないかということを確認願うわけです。
  73. 辻田力

    政府委員辻田力君) 監理局長の話をその場にいませんので、具体的には私存じませんが、只今お話にありました用紙の割当制が撤廃された場合に予算上この問題についての増額ということは起らないかということでございますが、それにつきましては、先ほど岩間委員の御質疑に対してお答えいたしましたように、現在は二十六年度において発行されます教科書の前期後期を通じて約九〇%はもう定価がきまつておるわけです。従つてそれにつきましては又用紙の裏付もそれについてあるわけでございまして、特別増額というようなことは起らないわけであります。が併し後の一〇%についてはまだ教科書の値段がきまつておりませんので、その場合に今後用紙の値上りというようなことが用紙の統制の撤廃によつて仮に起るとしますれば、その場合には若干予算の増額ということが必要になつて来る場合もあり得るかと思いますが、この用紙割当制自身が撤廃されるかどうかということについてもまだ確実なことは聞いておりませんし、従つてその結果についてどういうふうに影響があるかということについては只今申上げた程度でございます。それからなおその場合において、大臣から説明があつたと言われました地方財政を圧迫しないように努力するということにつきましては、大臣がお話された通りであります。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次にお伺いいたしたい点は、この法律案説明という二枚目の裏側に、盲学校並びに聾学校生徒については、多くは貧困家庭の子弟であるので、国語、算数以外にも支給されるような意味のことが書いてあります。これは就学奨励費の千八百万円との関係はどうなりますか。確かに家庭が貧困のために盲聾の教育機関に子弟を就学させることができないということが非常に多いと思うのでありますが、この就学奨励費の千八百万円と、それと今度県が処置するのと、それから政府補助金と合せれば、盲聾学校の一年生には全教科書が配布できませんか。この千八百万円との関係について……。
  75. 辻田力

    政府委員辻田力君) 盲聾学校につきましては、国語と算教のほかに音楽の教科書がございます。それから聾学校におきましては国語、算数のほかに理科の教科書がございます。なお点字等を不馴れな者がございますので、点字を習うための手引書というようなものも盲学校については考えておりますが、その場合に現在どういうふうなものを使うかということについては、盲学校関係の先生方のお集りを願つて、最も適当なものを選んでもらうように今委員会を開いてやつている最中でございます。
  76. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その就学奨励費の千八百万円とは全く無関係ですか。これと合せれば全部支給できるのじやないかと、私はそういう感じがするのですが、如何ですか。
  77. 辻田力

    政府委員辻田力君) 今の盲学校の就学奨励費とは直接関係ございません。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この就学奨励費千八百万円の中で一部今まで支給しておつたのではございませんか。
  79. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 就学奨励費の千八百万円の内訳は、これは主として交通費、面会の旅費等でございまして、教科書学用品に対する費用はこの中に見込んでおりません。ただ生活保護法の教育扶助の中には勿論教科書学用品、通学用品給食費、こういうふうなものが見込まれておりますが、これは厚生省所管の経費に計上されているのであります。総額で大体十六億程度計上されております。ですから結論的に申しますと、この就学奨励費の金と、只今義務教育無償の方に計上されております補助金とは性質が違うということだけを御了解願いたいと思います。ただその額が盲聾唖の場合には、大体盲学校ですと九百三十円程度聾学校ですと二百五十円程度が大体見込まれておりますので、現在発行されている検定教科書は殆んど全部買い得る、そのほかになお余裕があるのじやないか、若干あるというふうに私どもは見積つているのであります。只今の御心配の点はそれで解消されるというふうに申上げたいと思います。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今生活保護法による教育扶助ということが出ましたので、それに関連してお伺いして置きたいと思うのです。確かに盲聾学校のようなものは貧困家庭の子弟が多いだけ生活保護の規定が適用される者が多いかと思うのでありますが、我々が地方に参りますと、生活保護の適用を受けて、教育扶助の給食扶助とか、学用品の補助、あの経費が足りない、生活保護法によつて完全給食の保護を受けている兒童と、生活保護法は適用されないで困つて、毎月の給食費が出せないという生徒が大体同数ぐらいある、もう少しどうかして欲しいという声を聞くのでありますが、この前監理局長は金が余つているということを言われたのですが、真相はどうなのか。若し余つているとするならば、第一線では足りないというのは宣伝か、指導かが不十分じやないかと思うのですが、今丁度出たのでお伺いしたい。
  81. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この点は監理局長がどういう点で余つているというふうにお話つたのか、私もよく存じていないのでありますけれども、今矢嶋委員のお話のように、私どもの調査の結果によりますと、生活保護法のほうで見ている分と、それから実際に扶助を受けないで困つている分が大体同数程度というふうに見込んでいるのであります。この点は余つているという根拠についてはいずれ監理局長とよく相談したいと思います。
  82. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次にお伺いしたいのは、この説明の最後のところに出版会社が資金に困る関係も考慮し、支払の遅延することを恐れて補助金を四月において概算で八割程度交付するとかいうことを定めたいと考えております。こういうふうに書かれておりますが、補助金の交付を四月にして、会計年度は四月から始まるから四月と書かれたと思いますが、四月にされるのではやはり現在行なわれておる教科書の前払ですね、これは行われるのじやないか、こういうふうに懸念するわけですが、これは文部省のせいでもないのですが、とにかく現実には各都道府県とも大体教科書の代金というものを生徒から年度初めに一年分集めているのですけれども、これは私は何とかして考えたいと思うのです。その一つの対策として保証金の三分を一分にされたのだという点も了承しますが、この補助金の概算支払を、生徒教科書代を前払いしなくてもよろしいような何か適当な方法はございませんか。
  83. 辻田力

    政府委員辻田力君) 説明の中に申しましたように、できるだけ地方に迷惑をかけないと同時に、発行をする会社のほうにも迷惑をかけたくない。新らしく制度ができるときにいろいろ事柄が起りましようが、そういう点もできる限り考えまして、補助金については四月の初めに、これは矢嶋委員のお話にございましたように、会計年度が四月からでございますので、できるだけ早い機会に八割程度出すという処置をすると同時に、一方に大蔵省銀行局、或いは日銀、勧銀等にそれぞれ折衝いたしまして、この従来の金融状況と今回の実施による金融状況との多少のギヤツプができますので、その関係を支障のないように交渉を続けておる次第でございます。大体の線におきましては意見が一致しておるのでありますが、細部について目下折衝中でございます。従つて金融問題も解決付くだろうと思います。
  84. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点については資本主義経済下で金の動ける方面ばかりに国家の資金というものを流させないで、こういう義務教育生徒に支給する教科書あたりを製作するに当つては、国家財政金融で十分保護するような方向に進むよう御努力願いたいと思う。  もう一点お伺いしたいのですが、それは先ほど岩間君が、使用する教科書が一方に片寄つて、延いては思想統制の虞れなきやという質問をしたわけでありますが、私はこれについて考えるとき、国定は私は現段階ではやめたらどうかと思うのです。その理由は民主主義の理念も徹底しないし、又実績も少いし、更に非常に事大主義的な国民並びに教育界においては私はこういうことで進んで行つた場合に、検定というものが非常に影をひそめて国定へ国定へと、国定の方が膨脹して、或る年限の後には再び国定教科書というものに大部分が流れて行くのじやないか。そうなりますと、国定である特定の教科書を使うということになりますと、私は過去の轍を踏むのじやないか、こう考える。思想的な立場から現段階において国定というものを一応なくしたらどうか、まあそうお伺いすると、局長としては国定もあり検定もある、そうして展示会をして実際に教育する教師自身に採用されるのだろうそれで結構じやないか、こういうふうに答弁されるかと思うのでありますが、先ほど局長お話では国定があるというようなお話でございます。あるとすれば私はそうされてはどうか、こう考えるのであります。
  85. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 今回問題になつております小学校の一年生の国語と算数について申上げますと、算数につきましては、国定のものは全然ございません。で国語につきまして、ただ一種類国定教科書を採用することになつておるのがありますが、これはまあ全部で僅か七万艇の程度であります。我々としましては国定も検定も同等に扱つておりますが、文部省の方針としては国定はだんだん減らして行くと申しますか、検定を中心としているわけでございまして、国定については、従来出しておりまする教科書の中で需要部数が一万以上になつた場合に初めてそれを確保し、一万以下の場合には国定を出さないというような方針でやつておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。なお国定については編集を中止しておりまして、ただ間違つたところを直すとかいうような程度にしております。
  86. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この問題については質問を打切りますが、政府としてはこの重大性について責任を十分痛感されまして、勇気を振つて邁進されることを要望いたしまして、質問を打切ります。
  87. 岩間正男

    岩間正男君 国定と検定の割合はどうなつておりますか。今の国語の教科書のみでどんな割合ですか。
  88. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 全部についてでございますか。
  89. 岩間正男

    岩間正男君  一年だけ。
  90. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 一年だけですと、今局長さんのおつしやいました国語で七万冊でありますから総数の〇・七%です。一%に足らない。
  91. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。
  92. 木村守江

    ○木村守江君 ちよつと矢嶋君の質問に関連して、就学年齢に達した兒童で就学費に困窮しておるというようなのが実際には相当あるだろうと思うのであります。それに対して丁度給食費を、あの厚生省の兒童福祉の費用その他で以て七億万円ほどありますが、あれから生活保護法に該当しなくて、実際に学校の校長が認めて給食費を支出してやつていいというような便法をとつております。そういうような方法で就学児童のいわゆる学資の不足、いわゆる教科書を購入することのできないというようなものは生活保護法に該当していない家庭にも相当多いと思うのしであります。そういうものはやはり校長の責任においてこれを民生委員に申出て、そうして民生委員がいろいろ或いは証書を書かしたり調査をしたりしますと、本人の気持の上からも又世間体からも工合が悪いということもあると思うので、そういうふうなことのないように校長一存の考えでこれを使用し得るというような恰好にして行つたならば非常にいいじやないか。実際問題であの児童福祉法にとつてある金は相当消化し切れないで残つておるというのが事実であるようでありますが、これは要するにいわゆる生活保護法に該当する者が非常に面倒なために、これに該当する人が実際にあつてもそれが救われてないという点にあるだろうと思うのであります。そういうところをもう少し延ばして、これは義務教育というような観点からこれは兒童福祉の大きな役割を兼ねておると思う、むしろこういう問題は厚生省にあるというよりもこういう義務教育費のほうに持つて来て、そうして教育関係に使つて行くことが私は非常に兒童の将来のためにいいことじやないかと思う。如何お考えですか。
  93. 辻田力

    政府委員辻田力君) 現在兒童福祉法の施行に要する経費として、厚生省所管の予算のなかに相当多額の経費が計上されております。特に教育扶助として言われておりまするものが約十六億円もあるような次第でございます。それが完全に実施といいますか、円滑有効に実施されておるかどうかにつきましては、いろいろ御努力のあるところだろうと思います。ただ前の矢嶋委員からの御質問のなかに、監理局長の話として、そういうものが残つておるといいますか、だぶついておるというようなことのお話が関連してございましたが、それは現在やつておるやり方が必ずしも児童の心理状況から、或いは又父兄の心理というものを十分考慮してそれが実施されないというような関係があつて、我々としては只今お話がありましたように、できればこういうことは文部省の所管、縄張争いの気持ではございませんが、むしろ文部省のほうでこれを実施したほうが実際の事情がよくわかつておりますので、実情にマッチするのではないかと実は考えておるような次第でございます。先ほど明年度以降のことについては審議会に十分お諮りしたいと申しましたが、審議会はこの教科露の問題だけでなしに、そういうような問題を含めまして義務教育無償という観点から、そういうふうな今の生活保護の施行による経費等についても検討したいという考えで実はおるような次第でございます。
  94. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言がなければ、本法案は討論採決を残して質疑は盡きたものと認めてよろしうございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではさよう取計います。   ―――――――――――――
  96. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは日程第二、教科脅の発行に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、これは質疑を続行中でありますが、本日で成るべく打切りたいと思いますので、御意見のあるかたは御質問を願います、
  97. 岩間正男

    岩間正男君 これは具体的に二分のやつを一分にしますと、これはどれだけの金融面で余裕ができるのですか、そういう資料はありますか。
  98. 佐藤重遠

    ○衆議院議員(佐藤重遠君) 数字に関することでありますから、説明員をして代つて説明させることを御了承をお願いいたします。
  99. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 昭和二十六年度、この四月から使いまする教科書が概数といたしまして、三億五千万冊でございます。三分と計算いたしますと、保証金の総額が二億三千七百万円、端数を削りまして大体そのくらい、二億三千七百万円ぐらいの概数になると存じます。それが一分に軽減いたしますと約八千万円ぐらいでございます。丁度製造資金の非常に嵩む時期に納めなければならないということを考えますと、相当大幅に軽減される、従いまして金融上相当いい影響があるのではないか、こういうふうに考える次第であります。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 今までの実績で伺いたいのですが保証金はこれが実際法定の行為が実施できないで保証金が没収されるとか、そういうふうな例は今まであつたのでありますか。
  101. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 今日までのところは、過去三年、法が実施されましてから三年になります。私どもといたしましては、発行がすべて円滑に参りますう注意いたしまして、ずつと取計らつて参りまして、今日までのところにおきましては、没収を受けたという実例は一つも起つておりません。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 次に伺いたいのは、検定教科書とこういうことになるのでありますが、こういうものは検定の内容の問題にも一つ問題があるし、それからやはり実際それを実現するために資金面ですね。そういう面で制約されて、そういうような意図を持つていながら実際実現できなかつたり、そういう面も相当あると思うのでありますけれども、こういう点からいつてだんだん今聞きますというと、一面何か国語七社、算数が九社というふうにだんだん限定されて来ると思うのですが、全体としましてこういうものをもつと民主的ないろいろの要求を入れるために新らしい教科書をどんどん作つて行く、こういう対策についてはどういうふうなことを考えておりますか、それを伺いたい。この法案ではこういう現在の既存の会社に対する一つの金融面の援助にはなると思うのでありますが、やはり民間では新らしい要求を盛つた教科書、そういうものを作りたいというものもあると思う。それは今申上げました検定の制約の面、もう一つは資金面においてなかなかそれが実現できない、こういうことのためにもつと優秀な教科書が生み出さるはずであるにかかわらず、非常にそこに限定去れて来る。そうして殆んど三年後の現在では固定してしまつた、こういうような面があると思うのですが、こういうものに対する対策はどういうようにして新らしい面の教科書を作るということに助成を与えるか、こういう対策について伺いたい。
  103. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 過去三年間の実績を初めに申上げて、一つのお参考に供したいと存じますですが、二十四年度用の教科書から新らしい検定制度によりまして、自由に志のあるかたはどなたでも著作できるし、又出版社に限らず、個人でも検定を受ける人達に自由な門戸が開かれました当時におきましては、これは日時の関係等もありまして、非常に無理だつたかと思いますにもかかわらず、確か六十五点の新らしい教科書ができまして、その後今日におきまして昭和二十六年度用につきましては、千六百七十点ばかりの新らしい教科書が出て参つた、而も初め教科書会社といたしましては、二十二社であつたものが五十五社に殖え、更に二十六年度用につきましては、七十社を超えるという状況になつて来ました。これは全く新らしい教育制度、教科書制度に対しまする各方面の熱心な熱意のある御努力の結果であると存じまして、非常に私ども事務をやつておる者といたしまして喜んでおる次第でありますが、この傾向からいたしまして、各社それぞれの立場におきまして、資金繰りをいたしまして、今日までのところはかような盛況を呈するに至つたと存ずる次第でございます。今後の助長方針につきましては、私ども実は検定教科書が検定済になりましてから発行いたす仕事に従事いたしております者でありまして、検定助長の面につきましてどういう対策を講ずるかということにつきましては、実は文部大臣の諮問機関といたしまして、教科用図書分科審議会というものが設けられておりまして、この審議会には各地方からの代表者が集つて構成されておる審議会でありまして、この助長方針につきましては、常に検討をいたしておりまして、今後如何にすべきかということにつきましても、只今案を調査審議中になつております。只今ここでこういうふうな助長方策があるということを申上げるまでに至つておりませんが、さような状況でありまして、二十七年度用の教科書に対しましても、今の受付状況は数字を以て申上げることはできませんけれども、非常な数量の申込申請の手続者があるように伺つておる次第でございます。
  104. 岩間正男

    岩間正男君 これは二十二社から五十五社というのは全部小学校、それから中学校、高等学校とこういうものを含めてですか。全体の教科書のですか。
  105. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 小学校中学校、高等学校全部を含めてでございます。
  106. 岩間正男

    岩間正男君 全部を含めた内容内訳の資料というものは、ございませんか。明日あたりでもいいのですが、資料として頂いて置きたいと思います。  その次に、こういうような保証金の減額ということになりますと、金繰りにも相当これで一億四、五千というような相当な余裕金が出るわけです。そうしますと、今まで配給機構の中で問題が起つた、代金を先に集めてとる、こういうことが実際に下のほうで行われておる、こういうところが緩和されてそういうことはやめさせるというようなことになりましようか、その点。
  107. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 教科書代金をまだ現物を頂かない先に一年分なり、或いは前期用なりの代金を先へ払うということにつきましては、これは巌にさような取計いをしてはいけないということを数年前から発行者側に対しまして注意をいたしておる次第でございます。併しながら現物が渡りましたならば、お払いを願いたいということは、これは差支えないのじやないかという考えでおります。今の前金ということにつきましては、巌に私どもといたしまして注意しておるところであります。なお今後ともその点につきましては格段の注意を払いたいと存じます。
  108. 岩間正男

    岩間正男君 注意をしたがどうも行われないというのが実情だと思うのです。併し私はわざわざ法案まで改正してそれで金繰りの点について思いやりをやるのですから、当然下部ではそういうことは行われていかん、こういうことが我々は原則だというふうに思うのです。そうでなければ国会でこういうような法案参の提出もいたずらに業者を利する面だけが多くて、実際はこれが適用を下のほうで受ける面ではこういうことが行われるのでは非常にまずい。そういう点からどういうふうにしますか、そういう通達なり、これは省令なりそういう形でいいのですが、この法案には語われていないわけなんですが、そういう点をここで嚴重に、やる方法についてはどうお考えになつておるか、この点私は非常に重要だと思う。こういうふうな保証がなければ、従来の非を改めるというような保証がなければ、いたずらに保証金を減しても意味をなさんこういうふうに思うのです。この点は如何ですか。
  109. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 誠に御尤もなことでございまして、特に今回を契機といたしまして通牒は勿論のことでありますが、教育委員会その他あらゆる方法を講じまして、かようなことが絶対に起らないというふうな方法を考えて参りたいというふうに考えております。
  110. 岩間正男

    岩間正男君 無論そういうことが違反なんかした場合には。それに対して保証金の問題を……むしろ我々は法案でそういうことを語いたいくらいに思うのですが、そういうことまでお考えになつていらつしやいますか、これは非常に重大な問題です。実際復金あたり大きな問題になつておりますが、先に金を払つて、併しなかなか教科書が来ない、今までの不円滑な時代にはそれが非常に三カ月も半年も遅れるという事態が起つたんです。その間の金利の問題、これは莫大なものがある、これは業者の配給機構のどこでこれを儲けておるか。大衆の零細な金を集めて、実際の配給面の一つの機構が正しく運営されていないためにとんでもないところで金繰りをされたり、或いは利廻りをするという事態が起つてくると思うのでです。これについて少くともこの法案の改正について嚴重な処置をされる、できたら法案にそれを謳いたいと思うくらいですが、徹底される確信をお持ちでございましようか。
  111. 近藤唯一

    説明員(近藤唯一君) 私といたしましては徹底させる確信を持つておる次第でございます。殊に発行業者を以ちまして連絡をする機関を組織いたしておるものに教科書懇話会というのがございます。これに対しまして嚴重な警告と、お互いの何と申しますか、嚴重な申合せをして実行を行うというようなことをさせることは可能かと存じております。
  112. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この点に関連して委員長から御質問いたしたいと思います。只今岩間君が質疑され、且つ有望されましたが、実際問題において、地方において、岩間君が心配されるようなことを現実に聞きもし見てもおるのであります。こういう機会に、又こういう機会でなくても、教科書が到着しないのに前以て前金を払込みさせるという向きが相当多いのであります。父兄においても非常に負担が加重され、非常に迷惑を蒙つておるところが多いので、こういう機会に政府としても十分責任を持つてその点を通達され、その点を明確にされたいと希望いたします。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 特に提案者にその点の御決意を伺つて置きたいと思います。
  114. 佐藤重遠

    ○衆議院議員(佐藤重遠君) 消極的ではありまするけれども、相当な保護を与えるわけでありまするが、従つて当然十分に監督を励行したい。御承知の教科書に関する臨時措置法という法律が現存しておるのであります。その中には相当な処罰規定等もございますから、十分に御趣旨を体しまして励行しようということをこの際申上げて置きます。
  115. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言もなければ、本法案は討論、採決を残して質疑を終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではさよう取扱います。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            木内キヤウ君    委員            大谷 瑩潤君            木村 守江君            工藤 鐵男君            高田なほ子君            高橋 道男君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員            佐藤 重遠君   政府委員    文部大臣官房会    計課長事務代理 相良 惟一君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省初等中等    教育局庶務課長 内藤誉三郎君    文部省調査普及    局刊行課長   近藤 唯一君