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1951-03-13 第10回国会 参議院 文部委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十三日(火曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   委員の異動 三月十二日委員左藤義詮君辞任につ き、その補欠として工藤鐵男君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○文化功労者年金法案内閣提出) ○昭和二十六年度に入学する児童に対  する教科用図書給与に関する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。  本委員会提案なつておりまする文化功労者年金法案提案理由説明をお聞きすることにいたします。
  3. 水谷昇

    政府委員水谷昇君) 今回政府から提出いたしました文化功労者年金法案について御説明申上げます。  我が国は終戦以来文化国家として着着その歩を進めて参つたのでありますが、日本が真に文化国家として世界の諸国に伍して行くにあたりましては、国民の全部が文化国家であるという自覚を持つて進むことが必要でありまして、政府といたしましても種々の方策を講じているのでありますが、その一つとして文化発達に関し特に功績顕著な者に対して、これを顕彰する方途を講ずることも極めて重要な意義を有すると信ずるものであります。現在の制度としては文化勲章制度が存在するのでありますが、これは精神的な優遇ともいえるものでありまして、文化功労者に対して何らか物質的な優遇方法を講ぜられたいとの要望は極めて多いのであります。  一時金的な性質を有するものとして日本学士院恩賜賞学士院賞等のごときものが学術に対する顕著な貢献を奨励するものとして交付する金品の制度があるのでありますが、これらは主として特殊の限られた研究を表彰するにとどまり、本法案のごとく政府として広く文化発達に関し特に功績顕著な者を表彰する制度ではないのであります、ここにおいて字術芸術その他文化発達に関し特に功績顕著な者を文化功労者としてこれに対して年金を支給し顕彰する制度確立するために本法案を提出することといたした次第であります。  次にこの法案骨子について申述べます。  第一に、本法案天皇栄典授与行為に基く文化勲章制度とは別個の全く新らしい制度であるということであります。即ち学術芸術その他文化発達に関し特に功績顕著な者を文化功労者として、これに年金を支給し顕彰する制度確立にあるのであります。  第二に、文化功労者に終身支給する年金の額は五十万円であります。  第三に、文化功労者文部省に置かれる文化功労者選考審査会選考した者のうちから文部大臣が決定することになつております。  第四に、文化功労者選考審査会組織及び運営細目並びに年金支給方法につきましては政令で定めることにしてあります。  以上本法案提案理由とその内容骨子について御説明いたしましたが、これが成立いたしますことは文化国家として誠に望ましいことであります。  何とぞこの法律案必要性を認められまして、慎重に御審議の上御賛成のほどをお願いいたします。
  4. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 文化功労者年金法案について水谷政務次官の行いました提案理由説明を補足いたしまして、その大綱を御説明申上げます。一、この法律学術芸術その他文化発達に関し特に功績顕著な者を文化功労者として、これに年金を支給し顕彰することを目的としておりまして、天皇栄典授与行為に基く文化勲章制度とは別個の新らしい制度確立にあるのであります。文化国家として再建途上にある日本において、かかる制度を設けますことは誠に意義深いことと存じます。   而して文化功労者となるには学術芸術その他文化発達に関し特に功績顕著な者でなければならないのでありますから、文化勲章受賞者が有力な候補者となることはいうまでもありませんが、必ずしも文化勲章受賞者と一致するものではありません。  二、文化功労者決定権者文部大臣でありますが、文部大臣諮問機関として文部省に置かれる文化功労者選考審査会選考した者のうちから決定することになつております。 三、文化功労者に終身支給する年金の額は五十万円(所得税込)であります。  四、(1)文化功労者選考審査会は十人の委員を以て構成され、その委員は、学術芸術その他文化に関し高い識量を有する者のうちから文部大臣が任命することになつております。  (2)委員任期は二年といたしまして、その半数を一年で交替させることにいたしてあります。この選考は毎年行うこととなりますが、委員任期を一年とすることは選考方針が断絶的になる虞れがありますので、二年を適当と認めた次第であります。  (3)文化功労者選考審査会には会長、副会長を置くこととし、その職務内容任期等を明瞭にしてあります。  (4)文化功労者選考審査会組織及び運営細目については、本法に定めたもののほかは政令に譲つてあります。  五、年金支給方法については政令で定めることにしてあります。  六、附則において文部省設置法の一部を次の二点において改正いたしております。   第一に、第七条第二項第一号として「本法に基き文化功労者選考の他文部省に属せしめられた事務を処理すること」を加えて、本法所管文部省であることを明確にしたこと。   第二に、第二十四条第一項(審議会)の欄の冒頭に本法による文化功労者選考審査会を加えたことであります。以上が本法案要旨であります。
  5. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) これは、参議院が先議になつておりますので、成るべく早く審議を進めたいと思いますが、本日は更に今一つ提案なつておりまする昭和二十六年度に入学する児童に対する教科用図書給与に関する法律案、これについて提案理由説明を求めます。
  6. 水谷昇

    政府委員水谷昇君) 今回政府より提出いたしました昭和二十六年度に入学する児童に対する教科用図書給与に関する法律案について御説明いたします。  申上げるまでもなく、義務教育我が国教育の根幹であり、我が国の将来は、その振興の如何にかかつていると申しても過言ではないと思います。この義務教育重要性を認識して、我々は新憲法の下に、多大の困難をおかして義務教育の年限を延長したのでありますが、同時に憲法第二十六条第二項におきましては、この義務教育国民負担なしに行われるように、義務教育無償とするという理想が明らかにされているのであります。この義務教育無償ということは、国民がその子弟義務教育を受けさせる場合に、特にそのことによつて国民負担をかけないことを理想としているのでありますから、我々といたしましては、常にこの理想のより広範囲実現に努めるべき責務を負つているわけであります。現在は、御承知のように、国立及び公立学校義務教育につきましては、授業料を徴収しないことになつているのでありますが、義務教育無償は、これを超え更に拡大ざれなければならないことは、いうまでもありません。この意味で、明年度におきましては、義務教育無償範囲拡大する一つ試みといたしまして、国が、地方公共団体に対して、市町村立小学校並びに都道府県立盲学校及びろう学校小学部に新たに入学いたします児童に対しまして、国語算数等教科用図書給与することを奨励することにいたしたわけであります。又、教科用図書は、新らしい教育の観点からいたしましても最も重要な教材でありますが、特に経済的に恵まれていない日本児童にとりましては、これが殆んど唯一の図書なつている場合も少くないのであります。従つて教科用図書児童給与することによりまして、児童が国及び地方公共団体の一員として、その援助の下に教育を受けているという意識を明確にいたしますことは、公共心涵養という見地からいたしましても、極めて有意義なことと考えるのであります。  以上がこの法律案提案いたしました理由でございます。  次にこの法律案骨子について御説明いたします。  第一に、国は、市町村が、昭和二十六年度に市町村立小学校に入学いたします児童に対して、国語及び算数教科書用図書給与いたしますときは、予算範囲内におきまして、その給与に要する経費の二分の一を補助することにいたしております。  第二に、国は、都道府県が、昭和二十六年度に都道府県立盲学校及びろう学校小学部に入学する児童に対して、国語算数その他の教科用図書給与いたしますときは、予算範囲内におきまして、その給与に要する経費の二分の一を補助することにいたしております。  以上、この法律案提案理由及びその骨子について概要を御説明いたしましたが、昭和二十七年度以降のことにつきましては、関係各庁の職員及び学識経験者を以て組織する審議会において義務教育振興見地から、この制度実施の結果を検討し、その改善方策について研究したいと考えております。  何とぞこの法律案必要性を認められ、十分御審議の上、速かに御賛成下さるようお願いいたします。
  7. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 只今水谷政務次官のいたしました昭和二十六年度に入学する児童に対する教科用図書給与に関する法律案につきまして、条文を逐つて説明申上げます。  義務教育無償につきましては、憲法第二十六条第二項に規定されているところでございますが、二回に亘つて来朝し、わが国の教育について有意義な勧告を残しました米国教育使節団も再度義務教育無償範囲拡大を勧告いたしております。そこで我々といたしましても、かねてからその範囲拡大について研究して参つたのでありますが、このたび児童公共心涵養という点を考慮いたしまして、国が、地方公共団体に対して、昭和二十六年度に市町村立小学校並びに都道府県立盲学校及びろう学校に入学する児童教科用図書給与を奨励するという方法により、義務教育無償理想のより広範囲実現試みたのであります。  先ず、第一条は、教科用図書給与の奨励が、昭和二十六年度における義務教育無償理想のより広範囲実現試みであることを明らかにしております。昭和二十七年度以降のことにつきましては、何ら規定はございませんが、政府においてこの制度実施の結果を検討し、その改善方策その他の必要な措置について十分研究いたしたいと考えております。  第二条第一項におきましては、国は市町村市町村立小学校の第一学年に入学する児童に対して教科用図書給与する場合には、予算範囲内においてその給与に要する経費の二分の一を補助することを規定してあります。この場合において、この児童のうちには、いわゆる委託児童を含むことは当然でありますが、学年中途において入学する児童は含まないことにしてございます。その理由は、すでにこれらの児童が他の学校教科用図書給与を受けたものであること及び転学の多い都市において財政負担が大きくなることが予想されるからであります。  次に、児童に対して給与する教科用図書種類は、国語及び算数に限るわけでありますが、この教科用図書が、検定又は国定教科書であること及び教育委員会昭和二十六年度に小学校の第一学年の課程におきまして使用する教科用図書として採択したものでなければならないということを政令で定めたいと考えております。  第二条第二項におきましては、国は、都道府県が、都道府県立盲学校及びろう学校小学部の第一学年に入学する児童に対して、教科用図書給与する場合には、予算範囲内において、その給与に要する経費の二分の一を補助することを規定してあります。この場合において、児童のうちには、学年中途において転学した児童を含まないことを規定してございますが、これは、小学校との均衡上規定を設けたに過ぎず、事実上該当者は殆んど予想されておりません。  次に、教科用図書は、現在盲学校につきましては、国語算数のほかに、音楽、また、ろう学校につきましては、理科を加える予定でありますが、身体に故障があり、又、多くは貧困家庭子弟でありますので、更に予算範囲内で児童学習能力を助長するために適当な教科用図書があれば、これを教育委員会が加えることができるように政令で定めたいと考えております。  なお、補助金の額は約一億四千万円でありますが、残りの二分の一は全国的にこれが案施されることになりましたときは、地方財政平衡交付金法に基く教育費基準財政需要額のうちに算入するように交渉したいと考えております。  第二条第二項は、補助金交付の手続きについて政令に譲つてありますが、政令では、都道府県教育委員会がその都道府県の区域内にある市町村に対して交付すべき補助金の算定及び交付に関する事務を取扱うこととか、補助金を四月において概算で八割程度交付するとかいうことを定めたいと考えております。  最後に、第三条におきましては、都について、地方税法及び地方財政平衡交付金法におきまして特例が設けられているのに対応して特例を設けてあります。即ち、特別区のある地域につきましては、都が教科用図書給与について責任を負うおけであります。  以上がこの法律案要旨であります。
  8. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この法案予算を伴いまするので、予備審査でありまするが、できるだけ早く審議を進めたいと思いますので、後刻理事会を開いて日程を定めまして御審議を願うことにいたします。この教科用図書給与に関連いたしまして用紙統制撤廃という問題がこれにも非常に大きく影響して参りますることと思いまするので、ここへ新聞出版用紙割当局長がお見えなつておりますので、この問題に関して質疑を許すことにいたします。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の緊急質問はよいのでございますが、私も今日遅れて参りましたから、最初どう出発したかよく知りませんが、今後のこともありますから、公報に載せていない日程をやる場合には一応やはり連絡とつて頂かないと困ると思うのです。今日時間があれば国立学校設置法の一部を改正する法律案をやられるやに聞きましたが、公報に載つておりませんから今後の例もありますから、公報以外の日程をやられる場合には是非連絡とつて頂きたい、こう思います。
  10. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 実は先ほどあなたがお見えになる前に懇談会で話をしたのであります。採決をする法案は一両日延ばして、公報には載つておりませんが、緊急上程して、そうして説明をということでやつたのであります。その前に懇談会を開いて打合せをしたのであります。連絡があなたのところに届かなかつたかも知れないが、公報の問題は私のほうでは遺憾に思つて事務局に注意をしておきます。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 教科書無償配付ということが非常に大きく取上げられており、而もすでにその法案が用意せられておるのでありますが、突如といたしまして、政府当局では近く用紙統制撤廃措置をとるやに伺つておるのでございますが、若しこういう措置がとられたとした場合に、非常にこの教科書用紙獲得についてはいろいろな支障を来たすことが考えられるのでありますが、一部仄聞するところによれば、新聞紙はこの統制の枠から外れるということを聞いておりますが、新聞用紙が非常に必要であるということは、これは誰しも認めておると同様に、教科用図書に使おれる用紙も又これに次いで、若しくはこれ以上に必要であるということが考えられておるにかかわらず、教課用教科書用紙統制だけが枠の中に縛られるということについては、誠に今後いろいろな問題を残して来ることになり、極めて日本教育の将来に重大な崩壊を来たす虞れがございますので、これらの問題の起つた経緯、並びに教科用図書に使われる用紙統制撤廃なつた後の政府考え方というものについて、あらましお答えを願いたいのでございます。その次二、三について御質問を申上げたいと思います。
  12. 鈴木政勝

    政府委員鈴木政勝君) 只今の御質問お答え申上げます。今朝ほど新聞出版用紙の問題に関連しまして御質疑があるというお話が出て参りました次第でございますが、只今の御質問に対しましては、私総理府の新聞出版用紙割当局長としては職務権限外のようなふうに解釈されます次第でございまして、或いは又別個機会にこの所管経済安定本部産業局長、或いは通商産業省雑貨局長がむしろ只今の御質問に対する御答弁をすべき立場にあると思われます次第でございます。ただ私が折角今月出て参りました関係もございますので、私がかねがね私の仕事を通じまして聞いておりますことを御参考までに申上げたいと思つております。御承知通り政府といたしましては、新聞出版用紙に限らずすべての紙の統制撤廃しようという考え方は、一昨年の六月頃からそういう方針とつて、逐次紙の種類別統制撤廃して参つた次第でございます。そして現在統制が継続されておりますものは新聞用紙、つまり新聞巻取紙と、印刷三十五、三十六号、これは常識的に下級印刷紙と称しておりますが、三十五、三十六号の紙、それから教科書用紙、こういつたものだけが現在統制が継続されておるわけでございます。政府といたしましては、この残つた紙につきましても、できるだけ早い機会統制撤廃したい、かように考えて努力いたしておるという点については間違いのない事実でございます。ところで教科書用紙の点につきましては、実は私どもの扱つております新聞出版用紙割当配給、これは只今参議院に提出されておりますが、この根拠法律といたしまして、新聞出版用紙割当に関する法律というものがございまして、それに基いて新聞出版用紙割当配給をいたしておりますが、教科書用紙、それから学習ノート等につきましては、これは文部省が御所管なつておりますので、私ども仕事とは別個建前なつております。従つてその新聞出版用紙割当に関する法律とは別個建前で、教科書学習ノートというような配給が行われている、こういつたようなことでございまして、そこで、一体それでは全体的に用紙そういつた残つた用紙統制撤廃することが果して可能であるかどうかということ、適当であるかどうかという問題でございますますが、これは全般的に申しますと、一番問題がむずかしいのは、問題がむずかしいと申します意味は、いわゆるこの統制をしております意味が、需給関係が円滑に行くということならば統制撤廃するということが筋道だと存じますが、需給関係から見まして一番むずかしい状態にありますのが、いわゆる新聞巻取紙でございます。御承知通り最近の毎日の日刊新聞は四頁の回数が逐次殖えて参りまして、現在週五回の四頁というものが実現されて参りました。私どもの考えとしては、この三月には毎日四頁の新聞が出し得るということを目標にして、通産省その他とも協力いたしまして努力いたして参つたのでありますが、この用紙生産がその程度に至らないので、毎日四頁の新聞が出し得るという限度までまだ行つてないというような状況、そこで結局新聞用紙につきましてはかなりまだ需給のバランスが突はとれていないということが、大体の結論的なものとして言い得ると思うのであります。併しながら新聞用紙といえどもこれもよく御存じの通り一昨年の暮から大新聞夕刊統制外の紙で、統制の外れたような紙で夕刊を出し始めまして、新聞界がえらい競争を始めておるような状況で、従つて現在新聞界が今使つております全体の紙の約四分の一程度のものは統制が外れた紙を使つて新聞を発行しておる。こういうような極めて複雑なような事情なつておりまして、新聞用紙の全体の紙が不足しておると言つても、せいぜいあと、月の量にいたしまして、三百万ポンド程度のところが問題であるように私ども考えておるわけであります。従いましてもう少し紙の全体の事情がよくなれば全面的に新聞用紙印刷用紙撤廃できるのではないかという考え方で、実はするわけであります。ところで教科書用紙という問題になりますと、これは私ここで以てはつきりとしたお答えをいたしかねるわけでありますが、御参考までに関連的に御説明申上げまして、責任のあるお答えは先ほど申上げましたように、経済安定本部産業局長か、通産省雑貨局長はつきりとしたお答えを願いたいと思うのでありますが、関連的に私知つている限り申上げますと、教科書用紙というものは、只今教科書用紙として統制の枠に入つておりますものは、いわゆる上ざらと称する統制が外れた紙を教科書用紙割当てておるというのが実情でございまして、特別に教科雷用紙という特別な銘柄のものができておるわけでは実はないのであります。ところで、上ざらという紙全体はこれは昨年の一月だつたと思いますが、統制は外れておるわけなんです。その中で教科書用紙というものを、その上ざらの中から教科書用紙の分量を確保して統制をしておる。こういうような実情でございまして、従つて非常に統制という見地から言うとやや不安定というと、語弊がありますが、はつきりとした建前がないように私ども感じられるわけなんでございます。併しながら紙全体の生産関係から申しますると、先ほど申上げましたように新聞用紙が若干の需給関係懸念があるという程度でございまして、印刷用紙、つまり只今申上げました上ざら教科審用紙を含めた上ざら上級紙というようなものは相当生産が上つておりまして、むしろ昨年の六、七月頃の状況から申しますと、相当需要を遙かにオーバーしたような生産ができたのであります。従つて相当の売れ残り、滞荷ができたというような実情さえ昨年の六、七月、八月頃までは出たわけなのです。従つて政府といたしましてはむしろこれを輸出に振り向けるという措置を積極的に考えまして、かなり輸出を奨励するような政策を今日まで実はとつて来た次第です。ところが最近海外の紙の吸引というものは相当日本国内価格よりも、国際価格のほうが非常に値段が高くて、むしろ日本国内価格よりも海外価格のほうが倍以上でもあるということ等から、相当国内の紙が国外に輸出ざれるという状況が、昨年の九月頃からは非常に顕著に出て参りまして、これが相当な量に上つて来た。そこで国内的に、今年の一月頃から相当紙飢饉国内的に出て来た、こういつたような状況でございます。それから現在の紙飢饉原因といたしましては、そういつた原因だけではなしに、御承知通り、最近の選挙を控えまして、相当の量の選挙用紙というものの手当、それから季節的に教科書用紙需要というものが原因したということ等から、現在現われておりますような紙飢饉というような状況が出ているわけでございまして、最近政府はとにかく輸出を先ずとめなければいけないという見地から、三、四日前に通商産業省令を以ちまして、紙の船積禁止という措置をとりまして、紙の輸出を制限する措置を法的にとつた次第でございます。又教科書用紙も一応の時期的な期間を過ぎれば問題は緩和いたしまするし、又選挙用紙というような面も最近聞くところによりますれば、一応の手当終つたようでありまするので、今後はそう一月から今日まで我々が経験したような苦しい紙の不足状況というものは、今後は幾分でも緩和し、逐次よくなつて行くというふうに私ども関係通産省経済安定本部からも聞いておるような次第でございます。そういつた全体の状況でございまして、果して輸出制限並びに只今申上げましたような選挙用紙、それから教科書用紙の一応の手当終つたあとの紙の需給関係というものが、どういうふうになるだろうかという点が一番御懸念の点だと存ずるわけでありますが、大体紙の生産状況から申しますと、教科書用紙を含めた、印刷三十五、六の下級紙中級紙上級紙生産というものは、むしろ需要を遙かにオーバーした生産というものが現在できておるわけでございます。これを数字的に申上げますと、大体印刷用紙の月の生産量といいますものは、五千万ポンドが大体の平均した基準なつておるわけでございまして、この需要関係から申しますと、せいぜい四千万ポンドが四千五百万ポンドがせいぜいの有効需要じやないかというふうに関係当局でも見ておるようで、その間に五百万ポンドなり、千万ポンドなりというものの余剰というものが数学的には考えられるというような状況でもございますので、そう著しい御懸念というものはちよつと考えられないというふうに生産関係を担当する当局としては考えておるような次第でございます。ただ問題は、実は今朝ほど、私のほうの、只今申上げました新聞出版割当に関する法律審議を内閣委員会で行われておるわけでありますが、その際に、いわゆる紙の原料である原木、パルプの需給というものが相当問題になつたというような、いろいろな御質疑もありまして、林野庁、通商産業省の課長にも出て頂いて、いろいろ御答弁も願つたような次第でございまして、つまり簡単に申上げますと、日本の森林資源という現状から見て、今相当の木材の過伐をやつておる。それを何らかの教的に年間の伐採量を制限しなければならないというような考え方が非常に或る方面では強い。そうしますと結局製紙用に廻ります原木、パルプというものが制限される。そうすると勢い紙の生産量も減つて来る、そうすれば又統制撤廃ということが考えられないというようないろいろな事情もその間には考えられるというような御質疑相当つた次第でございます。その点につきましても関係当局からも、差向きはそう別に心配もしていない。本年度程度の紙の生産は十分確保できる、こういうような御答弁もあつたような次第でございまして、大体におきまして、新聞出版用紙に関する限り輸出をとめるという措置がかなり効果的に今後現われて来るとすれば、かなり国内需給関係というものは緩やかに楽観できるのではないかというふうに思われるわけであります。従いまして先ほど御質問新聞用紙だけ残すというような考え方があるという御質問のようでありまするけれども、実は私新聞出版用紙割当という出版、新聞両方の割当をやつておりますけれども、決してそういう考え方自体私としては実は持つていないのであります。これを切り離して新聞用紙統制だけを残すという考え方は、これは誠におかしな実は考え方でございまして、むしろ、教科書用紙も現在残つております……印刷三十五、三十六の統制新聞巻取紙統制を若し撤廃するとすれば、これは同時に撤廃すべき性質のものだというふうに、私割当局長としてはそういう見解を持つておる次第でございます。ただ問題は紙の生産を確保するという立場から言つて統制撤廃の技術的な点から申しまして、印刷三十五、三十六から先に外して行つて新聞用紙或いは教科書用紙を外して行くという考え方も、これは行政技術、統制撤廃の技術士からは考えられる問題であると、私は思うのでありますけれども、筋道からすれば少くとも統制撤廃方針をきめる関係から言えば、新聞用紙だけを未解決で残しますということは、全然これは考えられない問題だと私は考えます。それは何故かと申しますと非常にこれは技術的な問題になりますが、印刷三十六号、この紙は普通に雑誌に使つておる紙でございまして、印刷三十六号という紙と新聞巻取紙という紙というものは、これは全然同じものなんでございまして、この巻取という状態で商品としてレツテルを貼りますと新聞巻取紙になりますし、これを裁断して平版の紙にいたしますと、印刷三十六号という紙になる。こういつたようなことでございまして、これを切り離して撤廃を考えるということは、これは恐らく常識的にもちよつと考えられないことだと私は思うのであります。ただ統制撤廃の技術上の観点から一、二カ月或いは統制を先に延ばすとか、撤廃を先に延ばすとかという程度のことは、私は考えられると思うのであります。まあ以上申上げましたような極めて雑駁でございますが、政府といたしましてはまだこの紙の統制撤廃、つまり撤廃という意味は、割当統制撤廃という意味と、価格統制撤廃という問題、まだ最終的に決定した段階でもございませんし、まあ今後十分全般的な事情を考慮いたしまして、決定されるものであると私ども考えておるわけでございます。この点は経済安定本部責任を以て判断する立場にある次第でございますので、なお御懸念、その他御質問がありましたら、経済安定本部責任者よりお聞き取り願つたほうが適切ではないかと考える次第であります。
  13. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記をとめて。    午後二時二十二分速記中止    —————・—————    午後三時五分速記開始
  14. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて。それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君    委員            木村 守江君            工藤 鐵男君            荒木正三郎君            高田なほ子君            梅原 眞隆君            高橋 道男君            山本 勇造君            大隈 信幸君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    総理府新聞出版    用紙割当局長  鈴木 政勝君    文部政務次官  水谷  昇君    文部大臣官房会   計課長事務代理  相良 惟一君    文部省管理局長 久保田藤麿君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君