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1951-02-22 第10回国会 参議院 文部委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午前十一時二十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案教育及び文化に関する一般調査の件  (青少年ヒロポン中毒患者の問題  に関する件)  (教育予算に関する件)   —————————————
  2. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) これより本日の会議を開きます。  本委員会に提案になつております教育公務員特例法の一部政正案、一応総括及び逐條に亘る質問は終了したことになつておりますが、修正案の問題について多少疑義の出た点もありまするので、もう少しその点を明らかにして置きたいと思いますし、又その他一般文部関係予算のことについて一応御説明も承わりたいと思いますので、そういう意味で本日本委員会を進めて参りたいと存じます。その他緊急に御質問のある方、文部大臣の御都合がつきますれば来られるようになつていると思いますので、その点もお含みの上で進めたいと思います。御質問のある方……。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨日の懇談会におきまして、私ども考えておりまする修正案のうち、第十四條の教職員の結核療養期間を、現在二カ年のところを三カ年に延長したい、こういう問題につきまして、いろいろ当局説明を求めたのでございますが、この間文部当局説明については私十分了解しがたい点がありますので、本日改めて明らかにして頂きたい、こういう趣旨の下に若干の質問をいたしたいと思います。かように考えております。その前にお伺いしたいのは現在の結核休養者予算的措置はどういうふうに立てられておるのか、一応御説明を願いたいと思います。
  4. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) その前に、荒木さんに御質疑頂きましたのですが、この問題の、この箇條に関する問題は一応全部質疑を打切つておりますから皆さんにちよつとこの点をお諮りいたしますが、質疑は全部終了し、討論のところまで終結のところまで行つておりますが、修正案について多少疑義がありますので、荒木委員質問差支えございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) それではどうぞ。
  6. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今荒木委員結核教員予算措置の問題についての御質問でございますが、これは従来は御承知通り義務教育費国庫負担法によりまして、都道府県が小中学校教員給與費を拂つておりますので、金額拂いましたものに対して国はこれを清算の補助にいたしまして、教員は採用した分については無條件に二分の一を国が補助して参つたのであります。そこで本年度予算不足が生じた場合は、翌年度予算の中に過年度支出という形において支拂をしておつたわけであります。それが昭和二十四年の一月から御承知通り定員定額制が施行されましたので、国の補助する限界というものがきめられまして、一定の定員給與の額の平均給を定めまして、その範囲内におきましてこの問題を処理したわけであります。ところがこの昭和二十四年度予算が御承知通りドツジ予算で非常に削減を受けたのであります。私どもは当初大蔵省と二十三年度予算編成に当つては、大体の打合せとして定員はきめるけれども定額のほうはきめないということでおつたのですが、これが定員定額制が逐に施行せられるようになりまして、更にそのときの話合いでは小学校は五十分の一・五、中学校は五十分の一・八まで充足できるような財源措置をしたわけであります。ところが二十四年度予算に入りまして、ドツジ予算のあおりを食いまして小学校は五十分の一・三五、中学校は五十分の一・七というふうに削減をされまして非常な混乱が起きたわけであります。そこでこの際私ども文部省としては、教員の整理をしないという方針で参りましたので、過剰教員の二分の一をあとで処置するから、成るべく自然退職によつて処理するようにという通牒を出したわけであります。このときまでけ結核教員は全体の枠の中でありまして、而も結核教員については特別の措置を講じてなかつたのであります。ところが一・三五と一・七の枠が余りにも窮屈なので、地方に非常な混乱が起きましたので、私どもはこの枠の緩和に努めたのであります。そこで二十五年度予算編成に当りましては、小学校五十分の一・五、中学校五十分の一・八に復元するように努力したわけであります。ところが大蔵当局は頑として私どもの要望に耳を藉さなかつた。そこで最後に漸く妥協したのは結核教員の、当時結核教員で発令されたもの、これが丁度一・三三に当つてつたので一・三三だけは枠外に見ようと言つて、その枠外という意味小学校一・三五、中学校一・七に加えて一・三三%だけを別に見ようという意味であつて、これは單に結核教員の別に見るという、別枠で見るという趣旨ではなくて、枠の緩和、つまり教員数、その枠を緩和するという趣旨に過ぎないと私どもは解釈しておるのであります。そこでその後漸く総司令部との予算折衝の過程において、文部省は遂に小学校五十分の一・五、中学校五十分の一・八を獲得しましたので、その枠にプラス結核教員の枠として大蔵省が当時認めた一・三三の枠が加わつたわけであります。相当教員の数の上においては余裕ができたわけであります。当時の計算におきまして昭和二十五年度は約五、六万の新規採用ができるはずであつたのであります。ところがこの平均給單価地方單価と国の單価が違います関係で、すでに地方のほうの給與が非常に上つておりますので、私どもが国の基準よりは地方教員給與のほうが相当高まつておりますので、それに追い付けないために約五、六万採用できる教員が採用できないで、その枠の中で給與の引上げに使われておつた。又一つ結核教員の分が勿論一・三三では足りませんので、全体の枠のうちからそれも拂つておる。こういうような実情でございまして、結核教員についての特別な予算措置というものをしていないということを申上げて置きます。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、今の内藤氏の御説明で私も十分了解するところがあるのでございますが、昨日関口局長お話によりますと、平衡交付金を七億乃至八億増額しなければ、この法律を作ることができないかのような印象を私は與えられておつたのです。そういたしますと、只今説明と矛盾を来たして来ると思いますので、関口局長からその点は明瞭にして頂きたいと思います。勿論私どもも二年を三年にすることによつて平衡交付金のうちからできるだけこういう金を配分する際に見てもらうようなことは私も要望いたしますけれども、これを三年に改めるということが直接今政府が提出しておる、平衡交付金を七億乃至八億増額しなければ成立しない、こういうことにはならないと思うのですが、そういう点について一応御答弁をお願いいたします。
  8. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 只今の御質問に対してお答えいたします。私昨日申上げましたことは、若し全額給與をしつつ休職にする期間が二年を三年に改めるということであると、そのためにどのくらい費用がかかるかという御質問に対してお答えした際のことだつたと思いますが、その際に私ども計算では一応六千五百人程度と見て、それで一人年間十一万円というくらいの概算で行くというと、七億をちよつと超えるというような計算になるのではないかと思うのです。然るところ実数がはつきりしていないのでこれは概算である。次にこの制度を改めてとらなくとも現在何とかかんとかということで支給しておるものがあるではないかということであつたのですが、そういうものはいろいろな方法であると思われる。ところがそれがどういう形で行われて、どういう費目でどれだけ出ておるかということは、実は実数が掴めないのである、従つてその七億乃至八億というものから何か差引いたものが純支出増だと思われるけれども、差引くべき金額というものはわからない。それでまあその辺ではないか、こうお答えするほかないのだ。このことは法律改正するについて地方財政に及ぼすという点から見れば差引額幾らかを、七億乃至八億をマイナス・アルフアーという形において地方財政上の負担は増すものと思われる。従つてその点に対する手当をすることなしに、この法律案を改正するということについては、いささか問題があると思つている。これはこの改正案に対する意見として申上げたのではなかつたのであつて、私どもが三年案を提出しなかつた理由ということで御説明申上げたと思う。なお、ちよつとこれに補足しまして、内藤説明員のほうからその点についての、技術的な点をお差支えなければ御説明申上げたい。
  9. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今局長からお話があつたように、政府としては、やはり二年を三年にする場合にはそれだけの所要の財源を組む必要があると思います。そこでこれは、今までは確かに荒木委員の御指摘の通り、やり繰りして賄つてつたけれども、併し今度のベース改訂の問題もございまして、ベース改訂だけでも恐らく百五十億程度の二十六年度財源措置をしなければならない。その際に、どうしても今の結核を、二年を三年にするという場合にはそれだけの手当をしませんと、結局今の現職の教員との関連においてこの問題が当然考えられて来ると私は思います。それからもう一つは、給與ベースをどの程度にきめるかという問題とも関連して来るのですから文部省としては、これだけの財源地方財政平衡交付金教育費基準財政需要額の中に織込まなければならないという考えを持つておるのであります。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の説明及び昨日の私は地方財政委員奥野課長さんの説明もよくわかります。だから当然この法律が通れば、政府としてはその財源措置を見て行かなければならない。それは追加予算で見るか、来年度予算で見るか、そういうもので私はしなければならんことだと思います。併し昨日問題になつているのはそこにあるのでなく、この立法措置をする以上は、今提出されている平衡交付金増額を必然的にしなければ、同時に解決しなければこれが成立しない。こういう印象を與えていると思う。そういう点について解明したい。当然これは文部省としても、或いは地方財政委員会としても、この法律が成立した以上、できるだけ早い機会にやはりそういう努力はなさなければならん。併しそのことと、この立法とは別に手続的に考えることができるということを言つてつたのです。その点についてこれ以上御答弁を求める必要はないかも知れませんが、ちよつとはつきりして頂いたらよろしいかと思います。
  11. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この問題が、実は財源措置の問題を絡んで来るわけですが、地方財政委員会が、政府及国会に提出した意見書の中には、これに関する財源措置を講じてないわけです。ですから地方財政委員会が同時に意見書国会に提出して、現在の百六億の不足額に更に七億何千万円かのものを追加して意見書の中に織込むことに同意するならば、私どもとしてもこの問題は解決できるのである。併しながら同意しない限りにおいては、あとで結局教育費の中で共食いになるという結果になりますので、私どもも実は非常に苦慮しておるわけであります。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それはむしろ逆であると思うのですが、この法律ができたら、地財委は当然勧告書の中に盛られて来るのであつて、できていないのであらかじめそういうことをすることは私は地財委はできないと思う。その点はだから逆になると思うのですが、まあ以上の質疑において明らかになつた点は、結核教員給與をいわゆる全然別個な粋に設定していないということです。総合的に中において賄われておる。こういうことが今日の内藤氏の説明によつて明らかになつた。だから昨日の説明が十分補足されておると思いますので、この質問はこの程度で終ります。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変に文部省関口さんの御発言がいろいろな誤解を招いたことは私は非常に遺憾に思うのです。それは只今説明で概略わかつたのでありますけれども、計数上の八億又は九億の不足ということは、定員を完全にきめて、而もその上に科学的にこの結核休職者の数というものを出して、そして科学的に入院患者の数も出して、そしておやりになるならこれは別問題ですけれども、現在今やられておることは、予算がなくてもやられておるということに相成るので、その点についての私は説明をしてもらいたかつたのです。ところが一、三三というこの枠外不足という数字にしても、この一・三三という数は如何にも科学的でない数で、累積的にこれは毎月上つて来ておる。二十四年度結核休職者にしても、こういうデータは御覽になつておると思うのですけれども、一月には〇・五であり、十二月はもう一・四というように休職者の数が累積的に上つて来ておる。こういうふうに上つて来ておるにもかかわらず一・三三というこの数字をずつと前年度から踏襲して来ておる。而もこの一・三三の数字の中には、昨年の暮にも問題になつたように、お産で休んだ教員の数までこの中に捲込まれておつたわけです。私からそれを痛烈に衝かれて遂に産休が入つておるということになつたように、ことほどさように文部省のこの数字というものはでたらめである。(笑声)こういうでたらめな数字を基礎にして、それを今やれば直ちに八億又は九億要るというような印象を與えるということは誠に以てけしからん。定員定額の問題だつてその通りです。一・五とか一・八という数字が出ておるが、現在は一・五、一・八になつていない。それはならない理由は、定額というもので縛られておるからならない。東北のほうの小学校では一・五といつても、そのうちには校長さんも教頭さんも養護先生もおる。現に授業をしないような先生もそのうちに加えておる。而もその上に事務局もそのうちに加えておる。そして実際に教壇を守る教員というものは、一・三、一・二で、一・一ぐらいのところも現在ある。この一・一ぐらいのところで先生結核でお休みになつた場合はお互い信義と友情を以てカバーしながらやつておる。こういうような、非常に窮屈な枠の中で、教員が本当に信義と友愛に基きながら結核先生方をカバーしておるという、こういう実態を無視して、あたかも一・三三というものが科学的な数字であるかのごとく印象付け、而も現実のこの姿をくらまして、そして説明を求めれば八億要るとか、九億要るとかいうような説明に対して私は甚だ遺憾に思うし、今後もうちつと文部当局はこの数字というものに科学性を持つてもらいたいということを要望するわけであります。とにかくこれは文部省一つインチキ性の暴露だと思うのです。
  14. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今高田委員から御意見が出ましたが、私は別に文部省インチキ数字を用いているわけでもございません。と申しますのは、この五十分の一・五とか、或いは五十分の一・八というのは單にこれは予算上の数字でありまして、学校が実際に一学級一・五を置くという意味では毛頭ございません。そこで今お話のありましたように、勿論この中には校長も含んでおりますし、或いは副校長も入つております。それから養護教員も入つております。そういうようなものを積算して私ども考えでは一学級に少くとも一人の先生がいなきやならない。そのほかに校長とか或いは事務職員とか、或いは養護教員とか、それから産前産後の産休の者とか、或いは結核教員の者とか、こういうような実数を以て一・五という数字を彈き出したわけです。一・五というのは別に科学性があつたわけではないのです。むしろそういう実態のほうから来た予算上の便宜の数字であつて、で教員数が一学級に私ども小学校では一人あればいいという考え方を持つておる。大きな学校ですと級外教員を何人か置かなければならん。例えば六学級を増すごとに一人置くというような基準を私ども考えておる。  そういう数字が逆に一・五ということになつたわけなのです。今お話の一・三三というのは、これは私どもは科学的な数字とは申上げていないので、二十四年度の実際の発令者実数からとつた数字を逆算しますと一・三三になるとこういう意味でありまして、この点は先ほど私が御説明申しましたように、一・五という枠或いは一・三五の枠を若干でも拡げたいという文部省の熱意からこれはきめた数字でありまして、少しでも全体の枠が拡がればそれだけ教員数が豊富になりますので教育上運営がうまく行くとこういう見解からでございまして、予算上の数字と実際の数字との食い違いということはこれは当然私はあると思うので、又学校の実際に即したような定員につきましては改めて学校編成に関する基準というような法案を目下準備しておりますから、その際十分御審議をして頂きたいと思います。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体説明で了承するのですが、今後やはりいろいろな問題に科学的な数字を以て教育の建設に当るという態度こそ望ましいので、現状ということも勿論あるかも知れないけれども、飽くまで文部当局は科学的なデーターによつて建設して行つてもらいたい。特に私は結核先生の問題については、これは教員精神というものははたからお考えになつてちよつとわからないくらいに教壇を死んでも守るというような固い決意を持つている教員が非常に多いわけです、少しくらい熱があつても、少しくらい食欲不振であつても断じて教壇を守つて行く、こういうような精神の上に立つておりますために、軽くして入院して療養すればそれだけ早く治るものを、そういうような精神と、もう一つは経済上の問題が絡みまして結局先生方結核は入院する以上は相当進行されてから入院されているというような現状であります。血を吐きながらでも教壇を守つているような先生も今までにもございましたが、そういうような同志が現に今二年になるか三年になるかというので毎日のように陳情に来ておられますし、今朝もそれらの先生方の切々たる訴えを聞いて私はこの場に臨んだわけでございますけれども、いろいろと問題はあるでしようけれども、これらの多くの人たちが二年ででも切られるか、三年で切られるかというような中で療養をされておる気持考えましたときに、三年になつたというその気持療養されるのはこの治り方にも非常な私は違いがあるように思うわけです。いろいろと問題も残ると思うのですけれども、こういうような多くの同志の今までの実績、それから今後のこの先生方の一日も恢復の早からんというようなお気持を持たれましてどうかこれに本当にそれらのかたの期待に副うように善処されんことを要望するわけでございます。   —————————————
  16. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) この点に関する質問は終了いたしまして、文部大臣が見えましたから、時間がお急ぎですから、すぐに御質問願います。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣にお伺いしたいと思うのですが、戰後青少年犯罪というものは非常な数に上つておりまして、私どもお互いに心痛をいたしておるところであります。これに関連をいたしまして、この青少年犯罪理由につきましては、いろいろの理由がありまするけれども、その一つ理由に最近発育盛り青少年ヒロポンを相当服用しておる、服用と言いますか、そういう注射をしておるということを聞くのであります。で、私は統計的には正確な数字は持つておらないのでございまするけれども、この発育盛り青少年ヒロポンの使用がその心身の発育に非常に悪影響を與えるのみならず延いてはこれが犯罪原因になつている事例も少なからずございます。このことは大臣もよく御存じだろうと思うのでございますが、我々は曾つて教育界に従事し、今日又文部委員として議席を占めております一人といたしまして、この青少年発育を守るためにも、又青少年犯罪を防止するためにもどうしてもこのヒロポン製造を禁止して、そうしてこういう麻薬から青少年を守らなければならない。こういうふうに考えておるのでございますが、大臣はこの問題について如何ような所見を持つておられるかということをお伺いしたいのでございます。  前に競輪問題が出ましたときに大臣は閣内にありながら率先して競輪は廃止すべきであるという意見を持たれ、我々は非常な敬意を表したところでございます。併しあの競輪問題もなお今日競輪法を廃止するに至つておらないことは非常に残念でございますが、このヒロポンの問題については、どういうふうに大臣はお考えになつているか、明らかにして頂きたい、かように考えておる次第でございます。
  18. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 戰後非常なこの不健康な状態が蔓延しておるということについては、私も荒木委員と共に憂えるものでございます。それはどういう方法かでこれを一つもつと青年が本当に精神も身体も健康になるようにということを考える点においては全く同感でございます。ただヒロポンという薬をすぐこれを中止するということができるものであるかどうか、そういうこの点については私にはつきりしたことがわかりませんから、今差当つてはわかりませんから、政府委員からお答えさせます。ただこの私の聞いておりますところでは、これを使用している者は大多数浮浪の青少年であつて学校に行つてるものがそれを用いるということはないとは言えないのですけれども、非常に少いのではないかというふうに聞いております。とにかくこういうようなことが行われているというこことは残念なことですが、そういう薬の製造をすぐ止めてしまうというようなことが果してできるものであるかどうかは私ははつきりいたしませんから、政府委員からお答えさせることにいたします。
  19. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 只今荒木さんの御質問に対してお答えいたします。  青少年の間にヒロポンが非常に濫用されてそれが種々の犯罪原因になつているということにつきましては、只今お話通りでございますが、大体昨年警視庁の調べによりますと、青少年ヒロポンを濫用し、それが犯罪原因なつたために検挙されたという数が二十九百名で、大体都下にその約十倍三万名の青少年ヒロポン中毒者があるだろうというようなことを聞いております。で、このヒロポン只今お話のように製造を禁止するということが最も考えられるいい方法と思うのでございますが、これにつきましては目下国会でお取上げになつているそうでございます。現在の薬事法の法規によりますと製造禁止をすぐやるということは、なかなか補償その他の問題で困難があるそうでございますけれども、現在のところでは製造を極度に制限しようというこういう行き方を今としているそうでございます。将来はヒロポンというような余り有用ではない覚醒剤の製造を全然禁止する、こういう進み方に行きたいというように聞いております。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 製造を禁止するということになりますと、いろいろの関係上考慮しなければならない問題があると思いますが、少くともヒロポンが非常な害悪を流す原因になつておる。特に青少年に相当大きな悪い影響を與えておるというような立場に立つて考えた場合、これを少くとも全然使用せしめないようにする、或いは製造を禁止するということは、趣旨においては大臣も御賛成でございますか。
  21. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はこのヒロポンというものが、他の医学上何か他にどういう有利な点があるかということを私はつまびらかにしませんが、これを全部禁止することが差当つて必要だということを教育立場からは言いたいのですけれども、その薬自体の、私はそういうことをよく知りませんからすぐ断定的に言うことはできませんが、ただこれが教育上非常に悪い影響を及ぼしているのですからして、これは何か非常に嚴重取締つて、たとえその製造を許すにしても非常に嚴重取締つて、是非そういう青少年の手に渡らんようにするとか、そういう方法より私は差当つて仕方がなくはないか、ただ私がその薬の性質を十分研究しておりませんから断定的に今申上げることがちよつとできないようでありますが、併しなおよくこれは研究をさせて見たいと思つております。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題に関して私の質問を終わります。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 それに附随いたしまして、ヒロポンは非常に問題だと思うのですが、大臣はまだ製造禁止というところの気持まで行つておられないのですが、この間浅草六区の活動写真館に行つて実情を伺いましたところが、休憩時間或いは映画の撮影中に休憩室に来てヒロポンの注射をしておるのは殆んど学生である。それが而も中学生或いは高等学校くらいの、或いは大学ぐらいの学生です。そうして現に、椅子を向うに押し除けて見ましたところが、アンプルが椅子の下からたくさん出て来た。それが皆ヒロポンだというところから見ましても、非常に今学生諸君がヒロポンを使つておるということは、これは全く憂うるに足る点だと思うのでありますが、手に渡らないようにするには相当むずかしい技術的な面があるのだと思うし、現在は何ですか支那そば屋だとか、それからおまんじゆう屋だとか、そういうようなところでも、ともかく子供が飛んで行けば幾らでも買える。それから医者の診断書がなければ売れないものを、薬剤師のところに行けば医者の診断書とかそういう証明がなくてもどんどん薬剤師が売つている。家庭の母親も全くこれには困つておると言つて泣き崩れた母親のその言葉も私は聞いて来たのですが、私は是非これは大臣としましてはこういうものは医学的にどういうふうに役に立つか知りませんけれども、断乎として製造禁止という、青少年を守つて行く立場から、もう製造禁止をするというところまでの断乎たる御態度を願いたいということを要望するのであります。それからそれに附随いたしまして、近頃私が陳情を受けた中に、大学生が寮費というものを取られるそうですが、これは大臣の御答弁でなくてもいいのですが、その寮費というものはどういうふうに使われるとかいうことは私は知りませんが、それに附随してその寮費を納めるためにアルバイトをしなければならん……。
  24. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) 大臣が退席されてよろしうございますか。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 ええ。……その寮費を納めるためにアルバイトをしなければならん、そのアバイトするときに眠くて眠くて疲れてしまつてしようがないから、ヒロポンを打ちながらアルバイトしてそうして寮費を納める、こういうことを訴えておりますけれどもヒロポン関連として来たわけでそういう質問をするのですか、寮費というのは一体何に使われて、それが国庫に納められて、どういうような方向にそれが持つて行かれるのか、又それはどれくらいまで、一体値上げされるものか、ずつと一年間に三倍か五倍か六倍かというふうに値上げされた、現在千二百円取られているということをちよつと聞いたのですが、寮費というものの性格、それからそれを納めたものがどういうふうに使われているか、それを廃止する意向はないか、この三点お伺いしたいと思います。
  26. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 国立の大学におきまして寮費というものは果して取つておりますか今のところ私もここですぐお答えするだけの材料を持つておりませんが、よく調査しました上で又お答えしたいと思います。
  27. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) それでは本年度文部省予算について大体の説明を承わりまして、今日はそれにとどめて……。あとで又詳しく質疑をする機会があると思いますが、本日は大体の説明を承わるだけにいたしたいと思います。
  28. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 目下私会計課長の事務を代理しておりますので、私から昭和二十六年度文部省所管予算の大要につきまして概略申上げます。お手許に皆さん委員のかたお持ちだと思いますけれども、厚い予算書、あの大要について申上げます。  その予算書にございます通り文部省所管の予算額は二百六十九億五千八百七十四万七千円でございますが、前年に比べますと五十四億四千九百三十八万千円を増加いたしております。その重要なものにつきまして申上げますと、義務教育施設の児童に対する教科書の無償配付に必要な経費でございます。これは小学校、盲学校及び聾学校兒童のうち、第一学年生に対して、国語、算数等の教科書を無償配付するに必要な経費一億三千九百二十六万八千円を初等中等教育局に計上いたしました。  第二は現職教員教育講習会出席旅費補助に必要な経費でございます。これは「教育職員免許法」の施行に伴います認定講習、或いは現職教員教育講習会に出席する旅費の補助に必要な経費でございます。一人当り八十円、旅費の三分の一を国家が負担する、それが一人当り八十円でございますが、一億五千五百四十五万五千円を初等中等教育局に計上しました。  第三は育英事業の拡充に必要な経費でございます。日本育英会法に基きまして、優秀であるけれども経済的な理由に上つて修学困難な学生、生徒に学資を貸與いたします事業を行なつております日本育英会に対しまして、その事務の補助に必要な経費二十四億二千六百七十万二千円を大学学術局に計上いたしました。これは二十五年度に比較いたしますと九億円の増加になつております。  それから第四は科学研究の振興に必要な経費でございます。科学研究費交付金、科学試験研究費補助金等に必要な経費五億円を大学学術局に計上いたしました。これは二十五年度と同額でございます。  第五は私立学校の振興に必要な経費であります。私立学校教育の振興を図るため、戰災等によつて損害を受けました私立学校に対してその復旧に必要な資金の一部を貸付ける等の経費十億六百八十二万千円を監理局に計上したのであります。  第六は文教施設の整備に必要な経費であります。戰災を受けました国立学校その他の建物を復旧するため、国立学校等の施設整備に必要な経費六億三千四百七万九千円、公立学校その他の施設整備に必要な経費四十四億五千四百六十四万千円、文教施設災害復旧に必要な経費五億六千百五十八万八千円をそれぞれ監理局に計上したのであります。   第七は直轄学校運営に必要な経費であります。国立の大学、大学附置研究所及び同附属病院の運営のため必要な経費百四十八億七百八十八万二千円のうち、百十億三千六百三十九万七千円を国立学校に、十億四千九百四十四万千円を大学附置研究所に、二十七億二千二百四万四千円を大学附属病院に計上したのであります。  第八は文化財保存に必要な経費であります、国宝その他の重要文化財を保護するため、その施策を講ずるに必要な経費三億五百二十万六千円を文化財保護委員会に計上したのであります。このほか中等教育の振興、教科用図書の編集、改訂、発行検定、体育並びに保健対策、学徒の厚生援護、学術資料の整備、現職教員教育講座、社会教育及び芸術文化の振興、教育文化の統計調査、学校給食の普及奨励その他、文部行政及び学術振興上緊急欠くべからざる諸般の施策を講ずるため、それぞれ必要な経費を計上したのであります。  以上は文部省所管に属する昭和二十六年度予算の大要につきまして御説明申上げた次第でございます。なお詳細につきまして御質問がございましたら御説明申上げたいと思います。
  29. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今日は説明だけ聞いて置くことにしたいと思います。
  30. 塚越儀郎

    委員長塚越儀郎君) それでは本日は大体説明だけで承わりまして、次の機会に更に質疑を続けることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     塚越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            荒木正三郎君            高田なほ子君            高良 とみ君            高橋 道男君            大隈 信幸君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部省大臣官房    会計課長事務代    理       相良 惟一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君   説明員    文部省初等中等   教育局庶務課長  内藤誉三郎