運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-21 第10回国会 参議院 文部委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)    午前十一時二十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開会いたします。教育公務員特例法の一部を改正する法律案質疑は大体終了いたしましたが、附則の二と三の問題について大臣に対する質問が残つておりますので、今日これからこれを始めたいと思います。なお大臣は十二時になりますと、やむを得ない用事で一旦退席されますが、二時には又来られますので、十二時までと二時以後と、こういうお含みの上で御質疑を願いたいと思います。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 昨日参考人の出頭を求めまして、いろいろ大学公開審理の問題について意見を徴したのでありますが、その中で公開審理に当りまして、大学側意向が正式に文部省によつて十分に把握されていないのじやないかというような事態が明らかになつたのでありますが、これは無論必ずしも事前に立法するに当つて意見を徴さなければならない、こういう規定のものではありません。ありませんけれども、大学自治ということは非常に尊重する、こういう建前で文部省はあらゆる場合にこの法案説明に当つてそういう説明をされておるのであるし、又文部大臣もいつでも話されておるところであると思うのでありますが、そういう点から申しまして果して公開審理そのもの大学関係者、広くはやはり学生たちをも含めたそういう大学関係者たちの間に、どういうようなこれに対する意見を持つておるか、それからこれに対して、公開審理に対してはどういうような関心を持つておるか、殊に公開審理が今度の法案でも殆んどやれない、実際問題としてはいろいろな説明はありますけれども、実際問題としてはなかなかやれない、こういう事態になることについて、どういうような一体意見を持つかということについて、十分にこれは文部省としては調査される必要があつたのじやないかと思うのでありますが、こういう点、これは大臣としては事務局の話は聴いたでありましようけれども、どの程度までそういう御努力をなすつたか、そうしてそういう大学側意向というものがどの程度反映されておるか、伺いたいと思います。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 御尤もなことで、私も平生から大学自治権というものを尊重しておる人間として大学側意見を聞かないで以て、こういう話をするはずはございません。ただ公文書で問合せるということは私はいたしませんでしたけれども、大学学長の諸君と意見の交換をした結果、こういう提出をいたしたわけであります。なお事務当局においても、大学事務当局或いは学長等々と十分話合をしたいと思つております。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 それは主に東京大学とか、東京の手近にある大学でありますか。
  6. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 東京だけではございません。まだほかの学長などとも話合をいたしております。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 その協議された場合に、大抵大臣がなされたのは大学管理機関のそういう立場におる人というふうに思うのでありますが、それはそうですが。
  8. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私の直接話をいたしたのは学長がた教授がた意見事務当局が聞いております。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 そのとき、この前の事務局長の証言によりますと、そういう公式なものは聞かれていないが、いずれ又そういうような評議員のかたなんかが意見をいろいろ述べておられる、こういう話だつたし、やはり一番問題になるのは、この立法に当つて適用を受ける側、つまりいろいろ大学関係には助教授立場、講師の立場、それから助手、そういうようなたくさんの人がいると思うのですが、そういう適用を受けるほうの側の人の意見はお聞きになつているか、その点をお聞きしたい。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは大学が主体となつてやることで、それがどういうふうにやるかということが重要な問題だと思うのですが、それを受けると言えば、教授がたも皆受ける立場にあるわけですから、教授がた意見も聞いておるわけです。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 その点もう少しやはりこの立法の場合に当つて、殊に先ほども申しましたような、大洋の自主というものは非常に尊重されなければならないという立場から、もう少しむしろ文部省がこれに対して何とか学内意見を統一させる、学内意見というものを大きく反映させる措置をとつて頂きたかつた、こういうふうに思うのですが、どうもやはり管理機関学長、そういう人たち意見はこれは大きく反映されておるのですが、やはり問題は教育公務員全般の問題でございます。ですから、いろいろ立場に立つて意見が違つて来るだろうと思います。公開審理をする場合そういうする立場とされる側の立場では、又意見は違つて来る、こういうふうに思うのでありますが、主にされると言いますと、管理機関の以外の人、そういう人の意見、而もその人たちが非常に多く大部分を占めておると思うのでありますが、そういう人たち意見を十分に反映される措置をとつて頂きたかつた、こう思うのであります。そういう意見を一昨日の参考人の陳述の中から私たちは発見したのであります。なお又直接文部省を通してでなく、殊に東京の場合、こういう事例がありますから、南原総長などの出席も求めまして、直接どういう御意見であつたかお伺いしたかたのでありますが、そういうことが委員会ではまとまらなかつたのであります。ただここでもう一つ問題に私はしたいと思いますのは、この公開審理の問題ですね。これを文相としてはどういうふうに掴んでおられるか。個人的な身分を処理する、そういう技術的な問題というふうに考えておられるか、或いは公開審理そのものが設けられた一つの大きな眼目、更にこの公開審理をやることによつて、いわば戦争前から非常に問題が起りました。滝川事件や、河合教授事件が起りましてあの一つ思想統制、フアツシズムの中で非常に学の自由が奪われた。こういうものに対して、明らかに、これは民主的な立場から、こういう問題を公開で決定するというところに大きな眼目があるのが一つと、更にそういうような公開審理一つ仕事を通じまして、同時に学園の自由も守り抜くという一つの教育的な仕事がこの中に含まれておるというふうに私は考えるわけでありまして、單にこれは技術的な一つ身分上の処置をするというような問題だけではないと、その影響するところは非常に大きい。従つてこれに対しては学内関係者が全部大きな関心を持つているし、そのことは学の自由を守れるかどうかということにも繋がつておるのだと、こういう広い意味考えるのでありますけれども、文相はそういう点についての公開審理に対する、何と申しますか、認識の度合ですね。これはどういうふうにお考えになつておられますか。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この公開審理の性質につきましては、これまでだんだん申して参りましたように、もともと大学任命権者に対して、自分たち自主権を守るというのがこの第五條根本精神なんです。だからそのやり方も大学に任せるというので、私は又実際問題として、これではできないということを事実が証明していると思うのです。又私も多年の経験によつて、これでは到底大学学問研究というものが十分発達することができない、それを阻碍するという考えからいたしているのでございます。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 その点に対しまする意見の点は、今までしばしば述べましたから省きます。ただ問題は、このような改正が行われて、これは文相確信を持つて無論この原案提出者としてはなされるつもりでありましようが、どうも我々の見るところでは、そこに相当な齟齬があると思う。学園のいろいろな関係者、殊に職員組合人たち、或いは学生立場から、こういうような意見を徴しますと、この法案に対するいろいろな反対意見を聞いておる。そうしますと、これはまあ文部省認識程度でございますが、大臣は非常にこれは適正だ、公平だ、どうしてもこれでなくちやならんということで通されても、これは非常にやはり私は今後問題を持つのではないかというふうに思うのでありますけれども、こういう見通しは文相はどうお付けになつておられますか。我々はいろいろな輿論を聞き、そうして判断したところでは、どうもそういうことで折角公開制をやつても、先に行つて問題を多くはらむのではないか。こういう点について、そういう問題をはらまないように、できるだけ適正に改正するのが公開制の一番大きな眼目でなくちやならんと、こう考えるのでありますが、どうも現状の認識を以てしては我々は納得できないのでありますけれども、この点は文相はどういうふうにお考えになりますか。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その点につきまして、私もしばしば申して参りましたように、こうしたから大学自主権がなくなるというのではなくて、大学自主権を尊重するから、こういうことをしようというのであります。これは大学事情を知つている者にはもう殆んど自明のことだと思うのであります。私はこれは決して党派心などによつてつておることではなく、あなたのほうのかたでも、大学関係のあられた、大学事情を知つておるかたの御意見を伺つて見られたら御参考になるではないかと思うのです。又現在の大学で、すべての人の意見が一致するというようなことは不可能なことであります。だから或る人たちがこれを不当としたつて、これはよんどころないという私は考えでございます。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 我々いろいろできるだけ広範囲にそういう意見を聴取したわけであります。併し残念ながら、どうもそういう結果にならないのであります。又そういう意見の分れるところは、さつき申しましたように、これは適用を受ける側と、それから又管理機関なんかの立場で、非常に大きく違うのではないかと思いますが、どうもこの前特例法ができまして、公開審理が始まつた。ところがこれはうまく行かなかつた。そこでなかなかこれは事務的に処理されないで長引いた面がある。こういうことに対しても、この立法の当初に当つて十分なやはり輿論を掴むとか、それを技術化して十分にそういう点まで考慮をめぐらされるという点が足りなかつた面があるのではないか。その結果、無論この長引いた一つの原因にもなつております。併し長引いたそのものの中には、單にそれによつて法が不適当だと、こうばかりは言えない面があるので、この法の不備なところ、そういうようなところから、技術的な手続の面で時間が非常にかかつたとか、それから又新らしくこの法案適用されて、そのために運用に慣れていなかつた、こういう点から長引いて、そこに漸くテストケースの段階から、一つの形が出て来るという段階なつたと思うのでありますけれども、それが又こういう形で大きく変更される、そういうことよつてやはりこの運用が、必ずしもこれは大臣考えておられるようにうまく行かない面が今後において発生するのではないかと、こういう点を考えるわけなんでありますけれども、こういう事態が発生しないで、そういうことは必ずうまく行けると、こういう確信を大体はお持ちなんでしようか。
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その点は、昨日もお答えしたことでございますのが、私は行けると思つております。一体私どもはこういう法を改正するということを好んでいたすわけでは少しもないのです。私は多くの大学長とか或いは教授のかたともいろいろ話しても、一人でもこれを改正してはいかぬという教授学長に出会つたことがない。だから岩間さんに、どうか大学事情を知つておられるかたがあなたのほうにもおられるから、そういうかたの御意見をお聞きになつて頂きたいと自分は思うのです。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 この程度にして置きます。
  18. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に文部大臣に対する質疑はありませんですか。この法案について文部大臣質疑があれば……。文部大臣は十二時に退席されますから……。なければ、文部大臣に対する質疑を打切りまして、退席して頂きます。  それでは附則の二、三項を保留してありましたが、御質疑ありますか……。なければ、附則その他一般質問を終つたことにいたします。追加いたしまして、附則に次のような條項を加えたいと思いますが、條正案であります。「教育公務員特例法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。附則第一項に次の但書を加える。但し、第二十一條の三、第二十三條第二項、第二十五條の四及び第二十五條の五の改正規定は、昭和二十六年二月十三日から適用する。」それから附則第四項、これは單独法で出しましたから、これは削つたのであります。これだけの修正をしたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それについて御了解を得たいと思いますが。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それはなおほかにも修正案というものがあるわけですから、若し修正案が御同意を得れば入れなければならん條項があると思いますから、それをも含める意味において御了解して頂ければ結構と思います。
  21. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この修正案提案者理事会で相談いたしまして、岩間さんを除いた委員全部の名前で提案しております。これも御了承頂きたいと思います。  それではこの法案に対する質疑を終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。  それでは懇談会に移りますから、本日の委員会はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            左藤 義詮君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高橋 道男君            山本 勇造君            大隈 信幸君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    (文部大臣官房    会計課課長事務    代理)    文部事務官   相良 惟一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省調査普及    局長      関口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君