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1951-02-20 第10回国会 参議院 文部委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)    午前十一時二十八分開会   —————————————   委員の異動 二月十九日委員上原正吉君及び深川タ マヱ君辞任につき、その補欠として木 村守江君及び大隈信幸君を議長におい て指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○義務教育費の無償促進問題に関する  件   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) これより文部委員会を開催いたします。  本日は二十八条、九条からになつておりますが、職階制の問題について人事院総裁質問したいという御希望のかたがありますので人事院総裁がお見えになつております。次に文部大臣質疑を要求しておられるかたがありますが、閣議が終り次第見えますから人事院総裁に先に質問をいたすことにいたします。御質疑のかたはどうぞ。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この前の本委員会におきまして文部大臣教職員待遇改善のためには別表作成する考えである、こういう意向を明らかにせられたのでありますが、これはまあ文部大臣意向を明らかにせられるまでもなく、昭和三十三年の一般公務員給与に関する法律においてこのことが規定されているわけであります。続いて二十四年最近は昭和二十五年の十二月の一般公務員給与に関する法律の中にもこのことがはつきりと規定されているわけであります。この別表作成国家公務員においては人事院がその衝に当られるものである、かように考えでおるのですが、この別表作成が今日まだ実現をされておらないということにつきましては、私もその困難性についてはいろいろお聞きをして知つておるわけなのですが、併しどういう点に困難があるのか、そういう点を第一にお伺いしたいと思います。それからいつ頃この別表勧告ができるような段階が来るか、お見通しの問題です、それを先ず人事院総裁にお伺いしたい。
  4. 淺井清

    政府委員淺井清君) 荒木さんにお答えをいたします。お示しのごとくこの只今の御指摘になりました条項は国会の修正によつて特に加えられたものでございまするから、人事院といたしましては御趣旨を尊重いたしまして、できるだけ速かに教員別表作成のつもりでかかつてつたのでございます。ところがその間におきましてこの給与ペース改正というような問題が入つて参りまして、先ず一般俸給表教員をも含めての一般俸給表を引上げるということに努力をいたして参りました関係上、遅れておることは事実でございますが、それ以前に級別推定表、或いは十四級の増員等できる限りやり得ることは、教員優遇に努めて参つた次第でありまして、残るところはお示しのごとくこの別表作成ということになつておりまして、只今その進行中でございます。併しこれはこの国会には提出するというようなふうにはまだできかねるかと思つております。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私もいろいろ人事院級別推定表作成等について御努力をなさつた点についてはその御努力に対して敬意を払つておるものでございますが、やはり教職員給与の体系というものを一日も早く確立するということが非常に必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。いろいろ御研究もなさつておるだろうと思いますが、やはりその研究の結果特別俸給表を作るのに何か特別な困難な問題があるというのであれば、そういう点を明らかにして頂きたいと思うのでありますが、ただ今の総裁お話でありますと、一般公務員給与ペースの改訂及び級別推定表等の問題のためにこれが多少延びておつた。そういうお話でございますが、そういう理由だけでございますか、或いは外にもあればおつしやつて頂きたい。
  6. 淺井清

    政府委員淺井清君) もう一つございますが、それはいずれ荒木さんのほうから職階制どの関係について御質疑があるだろうと思つて少し保留をいたしました。この現行制度における教員別表というのは、結局お示しのごとく一般職職員給与に関する法律、あれの別表でございます。然るところこの法律は近き将来において給与準則に切換えられなければならん運命に到達して参つておる次第でございます。でございまするから只今ここで別表作成するといたしましても、遠からずしてそれは給与準則の中に溶け込むようなことに相成ります。そこで給与準則は即ち職階制を基礎にして作成をいたす、そこで只今直ちに今の現行法別表作成いたしまするか、それともも今少し待つて給与準則してやりまするか、その辺が問題になる。即ち職階制教員に対する適用ということが問題でございます。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 実はお話のように、この特例法の第二十一条の第二項に職階制の問題が出ておるわけでございます。私はこの職階制別表との関係というものがどういうふうになるのか、その点をお伺いしたいと思つてつたのですが、そうすると別表というものは、やはり職階制が確立されてその上に立つて作らないと、非常に寿命の少いものになつてしまう。その点を考慮しておるのであるというふうにとつていいわけでございますね。
  8. 淺井清

    政府委員淺井清君) その通りでございます。但しその職階制が少し遅れるというよなことになりますれば、人事院といたしましては現行制度に基く別表作成したい。只今実は両方の準備をいたしてはおります。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこでこの第二十一条の職階制国立学校教育公務員の例に準じて、すべての公立学校教育公務員について実施するものとする、こういうふうにありまして、公立学校教育公務員職階制は、国立学校教育公務員職階制に準ずるというふうな規定になつております。  そこで問題になるのは、国立学校教職員職階制というのはどういうふうに考えられておるかということが問題になるわけであります。そこで私は国立学校においても教職員職階制というのは非常にこれは困難である、一般公務員に比べて特殊な事情にある教職員については、この職階制を立てるということは非常に困難であるというふうに考えているわけなんです。人事院の方ではいろいろ御検討をなさつておると思うのですが、この問題についてはどういうふうな見解を持つておられるかお伺いしたいと思います。
  10. 淺井清

    政府委員淺井清君) 荒木さんのお言葉の中に教職員と仰せられましたが、職員のほうは先ず除けてよろしいのではないか、教員という意味お答えをいたしたいと思います。お示しのごとくそれは職階制というものを如何に考えるかという問題でございましよう。併しながら如何に考えましようとも職階制職務内容責任の度に応じて職級をこしらえる、これ以外には職階制というものはないように考えております。然るところ、御承知のごとく教員責任の度合というものは、一般公務員のように係長、課長、局長というようなふうに参るものではございません。そこで一般行政公務員と同じような職階制教員にこしらえるということは、これは不可能であろうと思つております。併しながら、職階法によりますれば別に一般公務員に一つの職階制しかないというふうには考えておりません。そこで教育公務員に対しましては、それにふさわしいような職階制というものを考案し得るであろう。こういうふうに考えて、人事院といたしましては、只今のところは一応教員に対しましても職階制を当てはめるつもりで考えております。但しその職階一般行政官吏職階制とは上ほど違つたものになるだろうと思つております。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 淺井総裁の今のお話教職員職階制教育公務員職階制は、一般公務員職階制とはおのずから異なるものであるというふうなことはよく分るのでありますが、それでは教育公務員職階制を御検討になるに際しまして、一体どういうふうな大まかな考え方、どういうふうに分類すればいいという大まかな考え方について、大体きまつておる点があれば、お話を願いたいと思います。
  12. 淺井清

    政府委員淺井清君) 今度荒木さんは教育公務員というお言葉をお使いになりましたが、今回私の承知いたしておりまするところでは、教育公務員特例法修正案が出ておるように思つております。改正案が出ておると思つております。これによりまして従来よりも若干教育公務員の範囲が広くなつておるのじやないかと思つております。即ち研究所等をもその中に含まれておるというように思つておりますが、そうなりますと今度は研究に従事する者と教授に当つておる者と二種類が入つて来るように思つております。この辺も将来職階制をこしらえます際に違う点になるであろうかと思つております。又国家公務員は大部分は殆んど大学の公務員でございます。従いまして教授、助教授或いは助手というような区別におきましてはそこにおのずから職務内容責任の度が違つておるのじやないか。こういうふうに考えておりますが、まあそういろいろな点を考慮いたしまして無理のない職階制只今研究中でございますが、その詳しい内容はまだ本当のところ結論に達してはおりません。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほども申しましたように人事院作成せられる職階制というのは勿論国立学校教育公務員であるわけでありますが、この特例法によりまして公立学校教育公務員もその例に準ずるということになるのでございますので、その影響というのは非常に大きいと思うのです。ただ国立学校だけを限定して考えてお作りになれば、多少事情の違う公立学校のほうに非常に無理が起つて来るのではないかということを私は心配しておるわけなんです。それで人事院総裁のほうで国立学校教育公務員職階制実情に即して作られるという御自信があれば結構なんですが、私どもの聞いておるところによると相当困難な問題があるのじやないかというふうに聞いておりますので、若し非常に困難な点があればこの際明らかにして頂くことが、この箇条を審議するのに非常に都合がいいがというように考えておるわけなんです。
  14. 淺井清

    政府委員淺井清君) 困難な点と申しますのは、一般行政に当つております公務員と同じような職階制を当てはめようとすればこれは困難と申すよりむしろ不可能だろうと思つております。併し職階制というのは巾の広い観念でありますからそれは別箇に取扱う、又さようにいたしましたほうが私は教員優遇趣旨にも或いはよくかなうのじやないかと思つております。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではこれで私の質問は終ります。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと恩給のことについてお尋ねしたいのですが、実は小学校或いは高等学校先生で三十何年になられたものはぼつぼついわゆる停年というようなことで自分の退職などを考えておられる。これが三月どうしようかという人が相当あるわけなんですが、それに関しまして恩給がどうなるかというふうなことで非常にその態度を決するに困つておられるから、その点を一つ明瞭にして頂きたいと思います。恩給が早急に改正されて来るようなふうに人事院として何か準備をしておられるか、そうしてこの改正をあなたのほうでこのマイヤーズ勧告などを標準にしていつ頃という時期をふんでおられるか、その時期を先ずお伺いいたします。
  17. 淺井清

    政府委員淺井清君) 恩給につきましては国家公務員法規定がありますように、人事院が調査研究しなければならないということになつておりますから、ずつと前から調査をいたしております。併し私の見通しでは早急に恩給法改正がなされるとは考えておりません。  それから第二にマイヤーズ氏の勧告は巾のあるものであるということを御承知置きを願いたい。我々はあの勧告は非常にすぐれたものでございまするが、同時に我が国の実情によく即しまするように考え合せてやりたいと思つております。  第三の点におきまして、現在の受給者恩給を受けている者及び現職者に対しましては十分その既得権と申しまするか、既得権的利益侵害しないように考慮いたしたいと思つております。いずれにいたしましても早急に恩給法改正勧告されるという時期にはまだ達しておらないのでございます。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その時期は早急にはとこうおつしやいますが、いわゆる三十七年の三月三十一日までには改正されるような見込は全然ないと解釈していいですか。
  19. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは私確言はできないのでございますけれどもまずないと思つております。なぜないかと申しますと、この予算上の措置が必要になつて参る。そこで二十六年度の予算はすでにきまつている。これはまあ国会できまつているという意味じやないのでありますが、大体きまつている。そういたしますと、これに恩給法による予算を今加えるということはよほど困難であろうと思つておりますから、その一点を見ましてもこれはないんじやないかと思つております。
  20. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 国家公務員地方公務員のほうの恩給が準じて来るから、二十七年度に改正されないといえば先生は安心してやると思うんですが、併しながら若し改正された場合に悪くなるような見通しがあるなら私は大変だと思う。既得権がいわゆる侵害されるようなことがあつては、今やめてもらつている人は得になる、こういうようなことになると、そういうことを聞きますと既得権侵害されないんじやないかというようなことを伺つたわけですが、何か総理庁恩給局のほうの考えていられるのはベースアツプのことがしてあるのですが、これは私らとして当然なことだと思うんです。  それから小学校教員については十七年以上やつた者については百五十分の一の特別の加算があつたわけなんです。それが今度の改正で何かぶつた切られるというようなふうに聞いているわけです。この点についてあなた何か御存じであればおつしやつて頂きたいと思います。
  21. 淺井清

    政府委員淺井清君) 現行法のことに関しては人事院関係いたしておりません、今のところ。そこで人事院といたしましてはこれから先のことの、あのマイヤーズ氏の勧告に基く将来の制度についてやつているので、現行法改正等について私は存じておりません。
  22. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が言うのは現行法が悪いほうに改正されて来ればあなたが言う既得権侵害されないということと私は食い違つて来ると思うんです。そこの点何かお聞きになつていませんか。
  23. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私の既得権侵害云々と申上げましたのは人事院で或る程度研究をいたしておりまする恩給についてでございます。ただ現行恩給と将来の恩給との一番根本的な差は、御承知のように保険数理計算によるかよらんかという点でございます。これは全然別のものでございます。
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一点、これはあなたのほうで関係ないといえばそれまででありますが、御意見として伺つて置きたい。  今申しましたように百五十分の一を切るというようなことは私たちとしては既得権侵害である。こういうふうに解釈するんですが、浅井さんもこれに対しては御同感が頂けるものと、こうまあ思つているわけなんです。併しこういつたものが人事院に対して全然連絡なしに切られるということは私はないと思うんです。この際において一つ積極的な御意思の表現が願いたい、こういう点を一つお願いしたい。  もう一つお尋ねしたいのは二十四年に特例法が布かれて以来恩給がどうなるか、ぼやんとしているわけです。はつきりきめられていないわけです。地方条例が布かれればはつきりするわけですが、今二十四年以降二カ年ほど勤務された人たち恩給がどうなるか、さつぱりわからないわけです。そこで各県の実情を調査いたしまして恩給準備金というようなものを県と教員との話合において集めまして、そしてあなたのほうが改正をされれば、それに準じて地方条例においてそれが決定する。その場合には今までブランクになつているけれども、その人たちは当然勤務したものは恩給年限に加算されるわけであり、そういうような解釈の下に今申しましたような手続をやつて来ている。これに対してはあなたのほうとしては、これも当然加算されるというふうにお考えになるものと思いますが、どうですか。
  25. 淺井清

    政府委員淺井清君) ちよつとそのような具体的な問題はまだ人事院としてきまつておりませんので、この席ではおよつと申上げかねるかと思つております。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじやこれだけ。あなたが言われる既得権侵害したくないという点は、あなたにおいては全然変りはない、この点は再確認してよろしゆうございますね。
  27. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは確認いたしてよろしいと思います。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 さつき荒木君の質問に連関して二三点お尋ねしたいのでありますが、職階制のほうがはつきりきまらないので、教員別表作つて期間が短かいものになる。こういうことなんですが、それは職階制の問題は教員職階制の問題が決定しまして、そしてこの日教の精神もとり入れて、そしてはつきりそういうものができるのはいつ頃の見通しですか。これはこの本国会中に間に合うのですか。
  29. 淺井清

    政府委員淺井清君) ちよつと御質問の御趣旨がわかりませんが、今期国会中には間に合わないと思つております。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 そうなりますと、やはりずつとずれて又時間が経過するということになるというとやはりまずいのじやないか、その間の措置はどういうふうになりますか。やはり別表を一応作つておいてそうして次の段階に行く、こういうふうにやつたほうがいいのではないかと考えますが、大臣答弁では別表を作る、こういうことが言われているのですけれども、その間の食い違いはどうですか。
  31. 淺井清

    政府委員淺井清君) さつき荒木さんにお答えをいたしましたように、教員別表作つても短い期間になる、併し人事院といたしましてはその間教員優遇の方法を決して忘れてはいなかつたということを御承知おきを願いたい。この間現行法の上でできることだけはやつて参りましたし、又一般公務員給与ペース改正も先ずなされているのでございますから、その点は御了承願いたいと思います。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 その問題とは問題の性質は違うけれども、かねてそういうような別表というもので保護されて、更にそれを検討してその内容如何によつて、現在の待遇問題に対して我々は意見を持つものですが。  それからこれはどうなんですか、丁度この法案を我々が審議して行つて、この職階制を適用することは、根本的に我々は教育公務員の場合は大きな反対意見を持つものなんですが、政府委員の説明によりますと、職階制は必ずしも教員に不利になるものではない、併しこれについて研究中だ、こういうことを言われる。そうして仮にこの法案が二、三日中に通るということになりますと、丁度委任立法みたいなことになるのです。この点は我々は職階制骨格くらいだけでも示されなければ、この法案審議に差支えるのではないか、そういう点が今までにある。結局委任立法みたいになりまして、そうして実際出たところのものを検討してみると、どうも最初の希望にそぐわない。こういうことがしばしばあるのですけれども、この点で非常に今のお話だと随分延びるようなことになるのですが、どうなんですか。研究が進んでいない点に問題があるのですが、大体やはりこの法案が一方出されているのですが、それは關口政府委員にお伺いしますが、人事院とこういう点について折衝されたのですか。この前のお話研究というのは文部省内だけの研究を指しているのですか。結局これは人事院とも折衝されて、その問題を解決される努力をされなければいけないと思いますが、どうなんですか。
  33. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) お答えいたします。文部省人事課というものがあります。人事院職階課のほうと文部省人事課のほうとで技術的専門的な見地からのお話合は久しく続いているというふうに聞いております。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 大体見通しだけでも……、そうすると、今の人事院総裁答弁によると、本国会では大体間に合わないということですが、文部省も大体そういう意見ですか。大体どうなんですか、この法案通つてから空白が出てくると思うのですが。
  35. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 今国会では無理ではないかと思つております。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 どういうところにそんなに……、一方でこんな法案を出して大まかにやつておいて、我々に審議する余裕を与えないでおいて、今国会といつても五月何日まであるのですから、その間に提案不可能、今非常に研究だ、大体日がこれからますます長くなるわけです、こういうことになると、荏苒日を送るつもりですか、文部省は。これは何ですね、本当にやる気があつたら早くやれるのではないか。どういう所に難関があるか、少くとも我々はこの骨格だけでも示してもらわなければ、この法案審議に差支える。それなしに審議はできない。当然これは示すべきものだ。こういうやりかたはまずい。大体どうですか、だんだん毎日二秒くらいずつ時間が延びておりますから。
  37. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) だんだん日が延びて行く、だんだん暖かくもなつておりますが、(笑声)併し私どもも日が長くても居睡りをするつもりはないのでございますけれども、今岩間委員荒木委員から前から繰返しておつしやつておられるように、教育公務員特に先生の分についてなかなかむずかしい点があるとおつしやつたが、その通りにむずかしい点がいろいろあるかと思うのです。熱心に勉強いたしまして、一日も早くできるようにいたしたいと思つております。この際ことで今期中に間に合うという御約束をする自信はないことを正直に申上げておきます。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 人事院総裁にお願いしますが、やはりこれは非常に文部省側とは困難だ、その困難の原因に何か無理があるのじやないか。教員職階制を適用することに無理があるのじやないか、そこから来ているのではないのですか。
  39. 淺井清

    ○蔵府委員淺井清君) 岩間さんにお答えを申上げますが、この法案審議するときに、なぜ職階制を一緒に出さんかとの仰せでございますけれども職階制を適用するということは、これは職階制法を御制定になりましたときに、すでにきまつておることなんでございます。それに従つてつておる。若しこの法案職階制を適用しないということでもございますれば論議がございますけれども、一応国家公務員に対しては、職階制は全面的に適用するという断定の下に立つておるのでございます。その点は問題はないように思います。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 それはおかしいのです。我々は特例法として審議しているのです。だからこの特例法そのものが、—体保護規定であるか拘束規定であるかということが。そもそもこの審議の劈頭に、これは我々が大臣に対し総括質問したところが、若しも教員に対して職階制を適用することが必要でなければ、一応本法がきまつていても、この法案を外すことが可能なんだ。だからそういう関係で我々は論議を進めて来たのですが、教員職階制がなかなかきめるに困難だ、日が近ずいているけれどもなかなか困難だ、こういう情勢になるのですけれども、これはそこに無理があるのじやないかということをお聞きしているのですが、これはどういうようにお考えになりますか。
  41. 淺井清

    政府委員淺井清君) 適用するに無理があるというふうには考えておりません。我々は成るべく教員というものの職務内容及び責任を重んじて、いいものをこしらえたいと思うからこれに努めておるが、ただここで申上げたいと思いますが、国会に対して或る種の定義は提出することに相成つておりますからして、その折は十分御覧を願えると思つております。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 我々の意見では、教員に対して職階制というものを現状の中で適用しようと、こう考えるところに、昔の教育官僚統制に陷る危險が非常にある。むしろ日本の教育民主化を阻害する方向に役立ちこそすれ、教育の当然の本来の機能からいつてそれを却つて拘束こそすれ、これを本当に助ける面が少いと、こういう意見を大きく持つている。これは私だけじやございません。こういう点について、これは十分に今までも検討されたと思うのですが、この際ちよつとどういう御見解を持つておられるか承りたい。
  43. 淺井清

    政府委員淺井清君) これはどうもちよつと御趣旨が了解しにくいのでございますが、一体給与をその職務内容責任とに応じて正しく受けることこそ我々は民主的であり、公正であると思つておりまするからして、職階制を適用することが民主化を妨げるというのは、私は了解することができないのでございます。若し職階制というものを適用しないで何が何だかわからない給与を受けることこそ私は民主的でないと、かように考えております。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 これは人事院総裁が若し逆なことを言つたとしたら大へんなことになりますから、それはそう答弁されるのは当り前と思います。この点で議論しても仕方がないから、この点は打切つておきましよう。当然の御答弁でしような。それ以外に答弁したらとんだことになる。(笑声)併し我々は了承することはできないというのです、そういうことは。
  45. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 浅井人事院総裁に御質問ございませんか、なければ文部大臣がもう間もなく見えますけれども、それまで少し速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  46. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 速記をとつて下さい。  それでは本日は二十八条。二十九条
  47. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 朗読いたします。  第二十八条及び第二十九条を次のように改める。  第二十八条及び第二十九条削除
  48. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) それでは三十三条。
  49. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) では、  第三十三条を次のように改める。  (教育委員会の置かれていない市町村の社会教育主事に関する規定の読替)  第三十三条 教育委員会の置かれていない市(特別区を含む。以下同じ。)町村の社会教育主事については、第六十六条第一項及び第四項並びに第十九条第二項中「当該教育委員会教育長」又は「当該教育委員会」とあるのは、「当該市町村の長」と読み替えるものとする。
  50. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 第三十四条。
  51. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 読みます。第三十四条を削る。
  52. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 附則第一項。
  53. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 読みます。   附 則 1  この法律、公布の日から施行する。
  54. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 附則2。
  55. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 朗読いたします。  2改正後の教育公務員特例法第五条第三項から第五項まで(同法第六条第二項及び第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律施行の際現に  大学管理機関において審査中の事案についても適用する。但し、改正後の教育公務員特例法第五条第三項(同法第六条第二項及び第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定による請求をすることができる期間は、大学管理機関から説明書を受領した後三十日以内とする。
  56. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 第二項のいつとう最後の「大学管理機関から説明書を受領した後三十日以内とする。」、この点について説明を願いたいと思います。
  57. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 本法の公布即日施行の日に説明書を受領して十五日以上たつてつて、而も三十日以内の場合、そういう場合にまだ審査の請求をしていないということからこれは論理的には起り得りることでありますが、かような場合には、曾ての規定のように三十日以内としておいたほうが、御本人のためにも事務進行上にも、双方にとつて好都合であるというふうに考えますので、この場合については三十日に、前通りにしておこうという趣旨でございます。
  58. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと趣旨は、他のものは現に審査にとりかかつている場合もこのほうでやるけれども、この日数の点だけは三十日、手続上こういうふうな恰好になるということですか。
  59. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) さようでございます。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この附則によつて、現在東大その他で行われておる審査は、根本的にやりかえるというふうになるわけでありますか、そうなるのですか。
  61. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 根本的に全部やりかえるということにはならない、その日からは本法の規定通りに進めて行くということになります。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 併し現在東大その他でやつておる公開審理ですね、これはやはり継続してやることになるのですか、具体的におつしやつて頂きたい。
  63. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学管理機関が決定することになります。東大の場合ですと東大の管理機関が決定することになります。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、折角今まで審査をやつて来たのが全く無駄になるという結果も起つて来ますね。
  65. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 今東大の例が出ましたから申上げますが、東大の管理機関としては従来の審査を無駄にしてしまうような方法を、管理機関としてお考えになるとはちよつと思えないのであります。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は審査にかけられておる人の立場からものを考えてみたいと思うのでありますが、従来は公開審理において十分その人の立場を弁護して行こう、そして法律に基いてそういう方向に来たのが、この法律の施行に伴つてそういうことができない場合が予想されるのじやないかと思うのですが、そういう心配は全然ありませんか。
  67. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 昨日の参考人のお話を私どもも伺つてつて、東大としてはやはりそれは非常に重要な事柄であるということを考えられて、非常に慎重な審査を続けて来られておりますので、そうして真理の究明という点については双方ともに、一方論争しつつ、一方ではそこに何らか合理的な方法というものを案出しようというので非常な努力を続けておられるように伺つたのでありますが、そのような努力をしておいでになるところへ急に何か手のひらを返すような方法をお考えになるかどうか。その点については審査機関も大学自治という精神を堅く守つて行かれておるのでありますから、私は賢明な御処置をなさるものだろうというふうに想像しておるのであります。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 何ですか、そういう希望的なことを述べてこの場を過ぎて行くわけですか。そういう説明では問題にならないと思う。なぜかというと、昨日本委員会で我々は参考人を呼んで聞いたのですが、そのときの事務局長の意見によると評議員とか、管理機関の人たちは殆んど大部分公開審査には不賛成だ、こういうことを言つておるのですから、そういう点からするというとこれは打切られるほうの危險が甚だ濃厚なんです。そうすれば一つの既得権みたいなものも全然認めない。そうして遡及してもやるわけなんですか。それでは非常に苛酷だというふうに考えられる。而もこれは日本で現在神戸大学と二つやられておるのですが、それが一つも完了しない間に、期間が少し長くかかつたからというので殆んど完結を見ないで途中で打切つてしまう。こういう事態が必ず発生するというふうに思われるのですが如何ですか、それでいいんですか。
  69. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 昨日の参考人の御陳述、お話の中に東京大学事務局長の側から非常ないろいろのことがあつて、困難ではあるが一生懸命になつてこの仕事はやつておるのだ、併しいろいろの困難がある、かようなことは例えば法学部がない大学とかそういうようなところでこれと同じようなことがあるとしたらば、非常に無理じやないかという種類の御発言はありましたが、東京大学としては公開でやることが絶対できないと思つておるということは一言も言つていなかつたように私は聞いておつたのですが。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 昨日の速記録を見ればわかるのですけれども明らかにそういつておる。私があとで第五条の第三項ですか、管理機関でこれを決定するというふうになつておるが、この決定する中には公開審理の問題も入つて公開審理を仮にやることが必要だと認めるときにはこれをやることができるのではないかと、こう質問をしましたところが、そうすると必ずしも公開審理を否定しておるのではありませんと言い直しております。言い直しておりますが、さつきつた事務局長の意図は明らかにそういうことがある、事務局長がどういつたかということはそれほど問題じやないと思う。管理機関がどういう意図を以てどういうふうに動いておるか。或る場合には非常に憶測的に考えると、むしろ東大のああいうやりかたが邪魔だからこういう法案が出て来たというふうにも考えられるから、そういう点でこれを保護して行くという、少くとも現行法でやられていて審理が展開する、その先をも見届けないでそうしてもうこれで打切りになつて行く、こういうことにこの法案が使われるということは非常に重大な問題である。こういうふうにすでに行われておることをこれは別に扱つて行くことはできないのですか。それを保護して行く立場、むしろそういうところに立法の精神があると思うのですけれどもどうなんです。何ら結論を見ないで途中で無惨に切つてしまう、こういうことが学園の自治を守ることになりますか。日本の民主化に対して何か悲惨な感じを与えないといえますか。
  71. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 私が申しましたのは大学管理機関が懸案の事案について非常に慎重にやつて来ておられる、対立した意見意見としてなおその間に解決の方法を双方協力して探しておられる。さような経過を伺つておるにつけても、その点については大学に対してどう思うかと言われるならば、私はやはり大学は賢明な処置を取られるものだと思うとお答えいたすよりほかないと思うのでありますが、但し大学自治ということは大学自体が主張せられて来た点でありますからして、なおこの点も附加えて考えて、私は大学自治の建前をとられておる大学において、懸案中の事案をおつしやるような無造作な或いは無茶な解決の仕方をお図りなるとは思わない。慎重に御研究の上で御決定になるものと思つております。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 併しあなたはそういうことを言われても何にもならん、そういうことを大臣が何らかの方法で勧告するとかやらなければ。何もあなたというそういう職責についてそういうことを言つておるのではありません。文部省がそういうことを言つたつて駄目なんですよ。途中で打切られることに対してどう思いますか、具体的にお伺いします。
  73. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学管理機関が大学の自由を守ると同時に、大学管理機関としての職責を努めるために十分慎重に考慮の上で決定されるということについては、私として格別何とも申上げることはないと思います。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府と岩間君との質疑応答が筋違いになつておるのじやないかと思いますので、具体的に明らかにしたいと思います。  問題は、既得権侵害されるかどうかということ、私ども考えからいえばあらゆる法律既得権侵害しないと思います。そういう立場でこの問題を考えて行きますと、現在東大では公開審理が行われておるわけです。そうして「その者から請求があつたときは公開して行わなければならない。」という法律に基いて公開して行われておるわけなんです。弁護人も出しておるわけなんですね。これは明らかに既得権で現在の法律によつて行われておる。それがこの附則によつてこの既得権侵害されないが、侵害されるようにも私らには受取れるのです。そういうことになれば矛盾だと私は思います。
  75. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この改正法案において公開の審理を否定してしまつた、公開の審理はしないものとするということに若しなつてつたならば、お話のように既得権侵害法律だという御見解も或いは成り立つかと思いますけれども、併しこの法律では公開審理はしないのだということはどこにも謳つておりません。ですからそういう意味法律としては既得権侵害しておるとは私は思わないのであります。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは明らかに念を押しておきます。そうすると、この第五条第三項にある「審査を受ける者から、前項の説明書を受領した後三十日以内に請求があつたときは、大学管理機関は口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その者から請求があつたときは公開して行わなければならない。」この法律の条項によつて現在大学においてこういう審査が行われておるところがあります。この既得権はこの附則によつて侵害されないと、こう解釈して差支えございませんね。
  77. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この法律改正によつて直ちに侵害されるということにはならないと思います。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 直ちにということで、公開審理を一回か二回やる。併しどうも将があかない。途中でこの法案によつて公開は打切りだということが一方的に管理機関のほうから強行手段で行われるという事態も起り得るということですか、直ちにという解釈は。
  79. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学管理機関が大学の自治とそれから大学の公けに対する責任という見解から、賢明な考えの上で或る時期においてそういうことが起つたならば、これは大学自体の問題であつて、直接にこの法律既得権侵害ということには私はならないと思います。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 本法案の提案の趣旨が最も端的に現わしておるのです。確かに局長は苦しい綱渡りの答弁をなさつておると思いますが、私はただ一点この立法技術について、法制局のかたがいらつしやいませんが、お伺いしますが、こういう法律を制定するときに現行法で施行しているものまでもそこで一応御破算にして新らしい法律に切換えるという、そういう立法技術というのはあるのですか。普通は新刑事訴訟法あたりが行われたときでも前の刑法によつて実施されているのはやはりそれで最後までやるというような形で普通は立法というものはされていると思うのですが、こういう立法技術というものがあるのですかどうですか。
  81. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) これは手続規定でありますから、手続規定につきましては最近の立法事例によつてもかようなことは他にも例があることだと思います。
  82. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は關口局長の説明をそのまま了解することができないのです、この附則を読むと。だから私がここで局長の言質をとつて置いても無意味な結果になると思うのです。というのはここにはつきり書いているのです。「改正後の教育公務員特例法第五条第三項から第五項まで」私が言うのは三項ですね。「この規定は、この法律施行の際現に大学管理機関において審査中の事案についても適用する。」と書いてあるのですよ。現在東大において審査中のものは第三項に属する分があるわけなんです。その第三項についてもこれを適用すると書いてあるのですから、今までの既得権がこれでおしまいになるようにこれを見るとどうしてもなるのです。ところが關口局長はその既得権法律的には侵害されないのだという答弁をされておりますが、その点非常に矛盾しているように思うのですね。
  83. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) どうも第三項に謳つてある事柄も、この改正の附則によつて新らしい行き方で新らしい改正の手続によつて進行して行くことになるということが、要するに新法による、言葉を換えれば、ということは既得権の直接に侵害ではないかと、かうおつしやるのだと思うのです。それは既得権内容が公開審査を規定しておるのに対して、新法の中で公開審査というものを絶対にしてはならない、できないということにしてしまつたならばそれはお話通り既得権侵害という考え方も成り立つでしようけれども、そうなつていないのですから、直接に侵害にはならないのではないかと、こういうふうに考えておるわけです。
  84. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこのところ事実に即してもう少し考えて貰いたいと思うのですがね。例えば「審査を受ける者は、すべて口頭審理に出席し、自己の代理人として弁護人を選任し、陳述を行い、証人を出席せしめ」というようなことがあるのです。現にやつているわけです。これは何といいますか審査せられておるものの意思によつてこういうことができるわけなんです。今度の改正によると、その審査せられておる者の意思如何にかかわらず管理機関がそれを認めなければすぐになくなつてしまうわけです。そうするとこの法律によつて若し管理機関がそういうものを認めないと言えば、今まで弁護人を出しておつた弁護人が出せなくなるわけです、施行すると。そうすると私は既得権侵害になるのじやないかとこう言うているのです。
  85. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 繰返して申上げますように、法律上の既得権侵害には私はならない、事実上において既得権侵害と同じような結果が出るとこう言わせたいのじやないかと思いますが、法自体としては私は直接に既得権侵害にならないという見解をとつて私は間違いないのじやないかと思うのですがね。
  86. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ここは随分苦しい答弁だと思うのです。第三項は、次になるのですけれどもそうおつしやればこの第三項の所で述べられておる局長説明の第二項の所と一致しないところがあるのですが、そこをどういうように御説明されますか。第三項の所にはこういう言葉を使つてあるのですよ。  教育委員会において現行法により審査中のものにつきましては、旧制度と当然審査の方法も変つてくることでありましようし、折角審査中にもかかわらず、直ちに人事委員会等に事件を引継ぐことは不適当と思われますので、引続き教育委員会がそうした事件のみは最後まで審査してしまうということにしたいのであります。これは勿論地公法が、八カ月後に人事委員会が成立するということはわかつておりますが、今まで審査をしておるものも審査の仕方を急に変えないと折角やつておるのでそのままやつて行くのが適当だと、こういう趣旨ですね。その趣旨で行けばこちらの第二項もそれで行くほうが筋が通るわけですね。それは局長は管理機関に責任を負わせておるわけであつて、まあ綱渡りで法律上は既得権侵害されない云々と言つても事実というものははつきりして来るのであるから、だからそこの二項と三項のところは局長説明が精神分裂的なところがあると私は思うのですが(笑声)どうですか。
  87. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 三項も一緒にやりましようか、三項も一緒に朗読して貰つて
  88. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) では、   3、地方公務員法第四十九条から第五十一条までの規定施行の際既に改正前の教育公務員特例法第十五条第三項(同法第十八条第二項において準用する場合を含む)の規定により教育委員会が審査の請求を受理している事案に関する審査については、地方公務員法第四十九条から第五十一条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。  只今の御質問に引続いてお答えをいたします。印刷してお配りいたしました私の説明書の中に大体二つの事柄、今お話の出ました、人事委員会は八カ月先にできるということが一つ、非常に先の話であるということが一つ、その次にすでに実行しておるものは折角審査中にもかかわらずという文句が入りましたので、その文句を辿つて行くというと、前項の説明と矛盾しはしないかというお話でございますが、これはその直ぐ後に直ちに人事委員会に事件を引継ぐことと言つております所に、なお説明としては、全然新たにできた全然別個の機関であるところの人事委員会という気持であつたんですが、それを印刷の場合に書いてなかつた点が私のほうの手落だつた。で大学管理機関の場合は引続いて同じ大学管理機関がその仕事を担当するのでありますが、人事委員会の場合は現在まで教育委員会でやつてつた、それが人事委員会とは別個の機関ができた、それも八カ月先にできることになる。若しできたとしてもそれは勿論店開きしたばかりのときである。そこへそつくり事案を移すということはこれは却つて教育公務員の立場を放棄することにならないではないか。具体的な例にからんで考えて見ても教育委員会のほうで審査をやつたほうが教員のためには有利でありやしないかというふうにも考える。いずれにしても機関が違うのであるから同一の機関の場合とは話が違う、建前はそこから来ておるのであります。
  89. 岩間正男

    岩間正男君 もうこの法案は我々は通さないつもりで頑張つておるから……。仮にこれが通つたというような場合に、若しあなたの精神を生かすなら、大臣から管理機関のほうに何とか意思表示しなければならないと思うのです。もう一つは、あなたの説明で公開審理を拒否するとはどこにも書いてないのですが、これは小学校の一年生の読み方ですか、どうしてそうなんです。大体この前から非常に論争してこれは解決つかない問題です。必要な事項というところに、公開の審理も必要な事項と認めれば、これは管理機関でやれるのだ。ただ全く風前の燈火のようなところを頼りにして文部省は説明しておりますが、これは第五条の三項、四項というものが大きい。これが大きいのですから、これから読んで来れば公開審理ということは殆んど不可能になつたということは争えないので、文部省はそういうものが一体希望的観測と法文の読みかたというものははつきり建前を変えなければならないと思います。どうして公開審理機関が打切られるということにならないという解釈になるのですか。この点を伺つてさつきの、これはやはり文部大臣はつきり管理機関に対して、そういう意思表示をするとか、そういうことなしには私は恐らく駄目だと思います。現実的には昨日の説明なんか聞いてみてもはつきりしていると思います。進藤さんの言うには、多くの人がこれを望んでおる。多くの人とはどういう者であるかというと、これを聞いてみますと、結局は進藤さんが使われているような立場の人なんです。そういうことがわかつたわけです。併し多くの人というからもつと具体的に言うと大学関係者も全部かと聞いてみると、或る点は違つているわけですね。今の二点お答え願います。
  90. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 文部大臣が何かこのことについて意思表示をしようというお話、それはちよつと大学管理機関に対して自治の原則を守つた建前であるからして、そういうことであるということしか結局言えないのではないでしようか。
  91. 岩間正男

    岩間正男君 第二点のお答え願います。
  92. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 第二点につきましては、稲田政府委員が見えましたから正確にお答え頂けると思いますが、なお私が岩間委員の御質問が出たときにどうも私にからんでよく出て来るのですが、これは一番初めに私が、公開審査ということは大学でやろうと思えばできるのですということをはつきり申上げたところから出て来ておる。このことについて大臣或いは稲田政府委員と私との間に何か食い違いがあるのではないかという御懸念がありまして、そうしてその問題は速記を調べたりも或いはその後大臣及び稻田政府委員から御説明申上げて、今の条文において決して公開審査というものを否定してしまつているものではないのだということは、説明がもう盡されたのではないかと思つております。
  93. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の問題私も初めから疑問に思つていた問題でありますが、いろいろ答弁を聞いても了解の行かない点があるのです。それで私はこういう各度から一つ聞いてみたいと思うのでありますが、それは立法の際に現行法によつてつておる、今の東大のような実際審理をしている実状にある場合は、この附則に謳つておるような恰好になそうとしなければ、特にこれを附則にわざわざ入れる必要がない。現在審理中のものも従前の通りしておくということになれば、言い換えると、これを変えるという意思がなければ附則においてこういうことを謳うはずがない。その立法するときの考え方について伺いたい。
  94. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 若しこの附則というものを特別に置かずにおいたというと、新法と旧法との関係は全然出て来ない。従つて二項というものを起して新法と旧法の関係を明らかにしたということだと思います。
  95. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それは甚だ了解されない言葉ですね。そういうことは何ら法律改正法を作つても私は関係しないと思う。特に今実際審理にかかつておる事案があるから、それでそのものを今度の改正法の適用によつて処理するという考えがあつた場合に、これが出て来る。
  96. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この規定が入つて来るのには、それはやはり現在の事案を処理するのにどう処理したらいいかということをきめなければなりませんからそれで入つて来る。併し若し現に事案がなかつたとしてもやはりあつた場合ということを考えなければなりませんから、やはり法としてはその新法と旧法の移り変りのところについては何らかの規定が要るのだろう、こう思います。
  97. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それであなたの考えはつきりしたのでありますが、そうすると今かかつておる事案をどう処理するかということは、改正法によつて処理するという意向はつきりわかつている。そうすると改正法の場合は現行法とこの間から論議されているように非常に変つておる。この変つておるところのこの法によつて今かかつている事案を処理するということは明らかだ、私はそう考えるのですが、どうでしよう。
  98. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) その点は間違いでございません。
  99. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 間違いないですね。
  100. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) はい。
  101. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますというと、先ほどの御答弁がおかしくなつて来るのじやないですか。全然変つた改正された立場においてこの事案を処理するということになつたら、先ほど来言われておるところの現行法の第一項から第五項までが全然認められない、こういうことになつて来るわけです。その点如何ですか。
  102. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 私先ほど申上げましたのは、現在継続中の事案について新法が適用されるということは、直接に既得権侵害にはならないと思つております。何となれば、前の法で認めてある公開審査の問題について、本新法においてはこれは排除していないからである。簡単に問題はそう申上げ得ると思います。
  103. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御答弁ならばですね、わざわざこの附則に第二項を入れる必要がないと私は考えるがどうでしよう。わざわざこれによつて適用するという項目は不必要になつて来る。私の質問は、既得権侵害するということがないということになれば、第二項をわざわざ入れる必要がないということです。全然この審査の方法を変えてしまうという意図があればこの附則に入つて来るわけです。そこを言つているのです。
  104. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 新法によることになる。要するに前の法にはよらないということについては私申上げた通り、又今の御質問通りだと思います。然るところ新法によれば、旧法によつて得られているところの既得権を剥奪するのではないかというふうな御質問だと思いますから、新法は直接に旧法によつて授けられているところの既得権というものを奪うということにならないのではないか、こういうことを申上げたのです。
  105. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうなれば法律的に考えて見ると、わざわざこの附則にそれを謳う必要がないというのです。
  106. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 只今關口委員から御答弁申上げましたように、五条が改正になりますれば、五条の改正というのがいろいろ現状からみてその必要があるという趣旨改正いたすのでございますから、本法実施と共に速かにこの第五条改正の手続を管理機関の審査に適用したいというのが趣旨でございます。でこの附則三項がそういう意味合いにおいて、その間疑義あるのを避けて明らかにいたす意図を以てここに入れたわけでございます。  既得権侵害という点についてのお話でございまするけれども、こういう手続規定が変りました場合に、変りました新らしい手続によりまして、行政各般のことを実施するということは、一般の通例であろうかと考えます。
  107. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 文部大臣がお見えになりましたから。
  108. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしたら私も非常に疑義があるのです。これは速記録を調べであとでやろうな。
  109. 岩間正男

    岩間正男君 今のは非常に重要な疑点ですから。解釈上の疑点が非常に大きい。
  110. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 私は文部大臣質問したいのは一点に限つて質問します。義務教育の促進費の問題でありますが、無償促進費、文部省は義務教育の無償促進費といたしまして一億三千万円を計上したのでございまするが、この内容について非常に単価が低廉に見積られているのでありますが、これで以て完全な義務教育無償が促進されると考えられるかどうか、こういう点について先ずお尋ねしたいと思います。
  111. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 高田さんのお尋ねは完全な義務教育無償ができるかというお話でございますが、それでは遺憾ながらできません。完全なということはできません。
  112. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 遺憾ながらできないというお話でありますが、併しながら一応ここに名目としてまあ出したというように受取つてよろしいかどうか。
  113. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 完全なという意味は、私は高田さんが誤解したかも知れません。義務教育というものを無償にするということを前に申したような三科目ですね。そういうことを完全にやれるかというお尋ねだと思つたから、私はそれはできないからそれで二科目にしたということです。そういう意味で完全にはできないということを申上げたのであります。二科目はできるということです。
  114. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 二科目だけできると、この二科目だけ完全にできるということでございましようか。
  115. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 二科目は一億四千万円、又平衡交付金から一億四千万円出ますと、殆んど幾らかの端数は出るか知れませんができる考えでございます。
  116. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 御質問は現在審議しておりますこの法案に関連して……、違うのですか。
  117. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 いやいや緊急の質問なんです。
  118. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) これに関連ないのですか。
  119. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 関連のあることだけのわけですか。
  120. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 併し皆さん御異議なければ続けてよろしうございます。
  121. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 如何でございましようか。
  122. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 これに直接関連なかつたらあとにして下さい。  先ほど私も、荒木さんなり若木さんなりのおつしやるのと、政府の人の聞いておられるのと、私食い違いがあると思う。私もどうも納得できない。これは改正法の附則を見ますと、これを制定なさると審理期間中のものに適用するというのだから、現在のものには私は適用されると思う。そうしてこの中に十四日と出ておるからこの期間だけでは無理だから三十日までと、あとのものはこれでやつて行くと、こういう附則であると私は解釈をしたい。そこでただそこにいろいろな問題の、大学がどう処理するかという話になつて来たから、關口政府委員がそういう大学の自治体としては民主主義に反することはやるまいということを表明された。この条文の趣旨を見ますと、現在にも適用するものだと解釈した。ただその中で期間だけを三十日としたのが第二とこう理解したのですが、この理解は正しいでしようか念を押します。話が混乱して管理委員がどうとか、既得権がどうとかいう話が出たから混雑したと思うのです。私は今の話は別としてこれを審議するのときの理解はこれは私が話したように解釈するのが法文を正確に読んだものだ。あとの大学の管理の問題はどうやるかとかそれがどうなるかという話は別といたしまして、この文句を読んで、今の審理中のものにも適用する、この前のようになお従前の例によつてという行きかたとは違うのであつて、ここはそういうふうに私は第二項を理解しておりますが、その理解が正しいかどうか政府委員のほうで説明してもらえば今の問題はきまると思います。
  123. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 私の説明がいろいろな問題とからんで来たためにそういう誤解を生じたとしたら私の説明が悪かつたと思います。それについてそれ自体としてはお説の通りだと思います。
  124. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 その上に立つて審議して行かなければならんと思う、私の読んだ通りであると。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつと大臣に伺いたい問題があるのですが。そこで私ども質問をしておつた要点はそこにあるわけではないので、第二項において、現に継続中の事案についてもこれを適用して行く。第三項については現に継続中のものは従前のようにやる。こういうふうに二項と三項は違うわけです。それが第一点です、これにはいろいろな理由があるということで説明されておりました。それは私は一つはこじつけであると思うのです。というのは東大において現にやられておるのでも手続を確立するにも七回公開審理をして、そうして漸く手続が完了してこれから審査に入ろうというのでしよう。それはここまでやつて来たから継続してやつても何ら差支えはない。第二項、第三項の考えから行けばそういうふうになる、それが第一点。  第二点は現在施行されておる法律によつて証人とか或いは弁護人というものは、審査されておるものから請求して立つておるわけですから、こういう既得権をここで剥脱するということは不当じやないか、こういう二点を追及しておるわけです。この法律解釈で言えばこういうものはとられてしまうということになるから、それをとられないように、既得権は擁護すべきではないか、こういう論点を二つ言つておるわけです。
  126. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 第二項、第三項の趣旨につきましては關口政府委員の御答弁があつたと窺えるのでありますが、この第三項のほうにはこれは管轄移譲が起るわけであります。審査の主体が異なつて来る。そういたしまするとその間新らしい審査主体において全く最初から審理をしなおすという点におきまして非常に相違もあるし、又行政上の事務能率という点から見ましても、非常に遅延を来たす虞れがある。そういうような意味合におきまして第三項のほうは管轄移譲を避ける特例を設ける。第二項のほうは主体は依然として大学管理機関でございまして、ただ審査の手続が違つて来る。その点につきまして只今荒木委員は、今まで非常に苦労してそこに審査方法が確立したと仰せられたのでありますけれども、この点につきましては昨日両参考人からの陳述があり両者においても争いのなかつたように、一応ああいう方法でやつておるけれども、そのやつていることは別に両者完全に了解したことじやないのでまだ問題が残つているのだ、こういう状況でございます。この問題の残つておりますことは、今後の審査においていつ如何なる支障を生するかもわからん、こういう状況なんであります。そういうような意味合からいたしまして、新らしく改正せられました手続を改正趣旨によつて速かに適用することが我々といたしましては必要だと考えているわけであります。それから弁護人、参考人等を今まで審理いたしまして、事実上把握いたしました点から比べて更にどの程度喚ぶかどうかという点につきましては、新らしい改正法におきましても、大学管理機関が必要があると認めますれば、そうした方法は取り得るわけでございまするから、その点につきましては關口政府委員から答弁申上げましたように、大学管理機関が良識と誠実とを以てその辺遺憾なく措置せられることと我々は期待いたしております。
  127. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題についてほかのかたで特に大臣に御質問あるかたがあれば私遠慮をしたいと思います。私が大臣に御質問したい点はほかの問題ですから、若しあれば先にして頂きたいと思います。
  128. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) これについてほかに御質問がなければ……
  129. 岩間正男

    岩間正男君 ちよつと、大臣途中から来られてわからないかも知れませんけれども、結局今度の新らしい法を現在起つている審査にも適用する、こういうことが附則に述べられているわけなんです。そうしますと、従来のこれは何といいますか、既得権といいますか、公開審理でやつて来たわけですね。これはどうも法の遡及といいますか、精神に違反するようなそういう形になつて来るのじやないか。そして折角進められているものが、日本では事例があつたのですけれども、東大の事例が非常に大きいのですが、この事例がなんら一つの法案で解決も見ないので、そうして実は新らしい改正法によつて処理されてしまうというようなおかしな形になる。ですからそこで実際審理を受けている立場から見るというと非常に何か、これは陰惨な感じを受けるのじやないか、こういう点についてこれはどういうふうにお考えになつていられるか、この点をお聞きして置きたいと思います。
  130. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは従来のようなやりかたでは到底できないということを東大や神戸の例が示しておるので、新らしくこういうことを改正しようというのですから、今度のやり方でやるほうが実際上はいいということは明らかだと私ども思つているのですが、併し必ずこれでやれというのではなくて大学にはその自由を許して置くのですから、大学が適当にやるということで私は差支えないのじやないかと思つております。
  131. 岩間正男

    岩間正男君 文部大臣質問しておるのは、そういう一つの希望的解釈じやなくて法案そのものが実際現実的にこれははつきり拘束して来る、こういうことについて言つておるのです。希望的な条件については随分關口さんからあきるほどお聞きしたわけです。はつきりこの点をお聞きしたい。
  132. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 岩間さんのようなお考えも私はあり得ると思います。けれども併しこのほうがよいということからこういう法案を提出したわけでございます。
  133. 岩間正男

    岩間正男君 荒木君のあとの質問と私の質問と関連があるから、この点は先ず一応このくらいにしておきます。
  134. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣の私は信念をお伺いしておきたいと思いますが、私どもの恐れておるのは、こういうふうに第五条を改正すれば将来政治的な意図をもつて大学の人事を、とにかく何といいますか、左右するというような事態が将来において起らないかどうか。昔瀧川事件がございましたがああいう事例が起らないという信念を持つておられるかどうか、そういう点を大臣にお伺いしておきたいと思います。
  135. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は起らないと思つております。これだけの規定があれば起らないと思います。
  136. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは私は前に大臣質問したいということを申しておりましたのは、第二十五条に関連した問題でございます。大臣は常日頃から教職員組合の健全な発展を期待する旨の意見をしばしば述べておられまして、私ども大臣教職員組合について深い関心を持つておられることに対しまして敬意を払つておる一人であります。併しこの第二十五条の教職員組合の組織についての考え方を見るときに、これで大臣の期待しておられるような健全な組織を育成して行くことができるかどうか、私は多少の疑問を持つておるものであります。と申しますのは、教職員組合の健全な発達のためにはいろいろな要素が必要であるとは思います。併し何と申しましても、如何ように組織が作られるかという点が私は大きな要素になつて来ると思います。その意味において、この組織が如何ように作られるかという問題を重要視しておるわけなのです。今度の政府のこの改正案によりますと、市町村単極に單位組合を結成するということがあります。勿論單位組合が都道府県において連合体を作るような組織を認めておりまする点は甚だ結構でございますけれども、市町村ごとに單位組合を作らなければ府県の連合体が作られないよ方な組織にしておくことは、これは教職員組合の健全な発達のためには私は決して有効でないという考えを持つておるのです。  その理由は第一に教職員組合を作るということにはいろいろの理由があろうと存じます。この地方公務員法に制定されてある目的は、給与並びに勤務時間並びに勤務条件ということがありますが、少くとも現在の教職員組合でやつておる仕事はそれだけではとどまらない。いろいろな教育予算の問題につきましても、その他の問題についても、広い方面に亘つて活動しておるわけです。ところが市町村内においてこういう組合を作らなければ更に大きな連合体が作られないということになれば、一体市町村内においてそれではどんな仕事をするのか、組合としてどういう仕事をするのかという問題が起つて参ります。そうすると現在市町村においては給与並びにその他の勤務条件については殆んど決定する能力がないわけです。そういう能力のないところに組合を作ることによつて、その組合が今後組合運動をどういうふうに展開して行くかということを考えましたとき、こういう組合の細分化によつて組合がいわゆる能力のない市町村長を代表者として組合活動が展開されて来た場合、それは私は正常な組合活動から逸脱する虞れが多分にあると思います。逸脱するかどうかはよくわからないにいたしましても、そういう可能性は十分にあるのではないか、こういうふうに私は考えておるものであります。そういう点からいつてむしろ組合というものは必要に応じて作れるようにして置くほうがいいのじやないか。例えば給与とかそういういろいろの問題について交渉する相手が府県にあれば、府県の単位に作る。或いは現在においては市などにおいては相当必要性がありますから、市町村においても作れるようにして差支えがないと思いますが、それに固定しないで市町村にも作れる、或いは府県単位にも作れる。必要に応じて作れるような規定にして置くほうが、組合が正常なる発展をする本になるのじやないかとこういう見解を持つているわけです。非常に細部に亘りましたけれども、私は日頃の大臣考えておられる考え方がこれによつては決してよくはなりません。こういうふうに私の経験からそういう感情を持つておるのですが、この際大臣の所見を承りたい。こういう点をお伺いいたします。
  137. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は皆さんとはいろいろな点で考えを異にすることがあつて非常に遺憾に思うこともありますが、ただ私が教員組合というようなものを本当によく発達させなければならんという、そういう気持を荒木委員が御承認頂いたということは私は非常に有難いと思うのでございます。ここにおける発言についても、すべてそういうふうにあなたがたとは考えが違うかも知れませんけれども、そういう趣旨で述べておるということに対して御同情を頂くということは非常に自分の仕合せだと思つております。ただ私はこのなぜ市町村にそういうものがあつてはいけないのか、それを連合体を作れば大きいものが作れるのですから、連合体を作つてはいかんというように言われれば連合体も作れん。市町村にもあるということは、市町村に義務教育職員として属しているのですが、そこで先ず本を作つてそうして更に連合体を作ると、それが教員組合の発達を阻害するという御議論はどうも私にはわからないのです。一体私はこれは荒木さんと考えが、如何でしようか、教員組合というのは一方においては確かに給与とかそういうことが重要なことですけれども、同時にやはり文化的な面というものも考えなくちやいけないのじやないか。文化のない給料生活というものもなければ給与生活のない文化生活というものもないのですから、教員組合のあり方としてはやはり文化面というものも相当今後強く発達していいのじやないか。そういう立場からいうとそれぞれの町村に一つの組合があつて、皆がしよつちう寄つてそうして一つの文化的なことを考究するということも必要なことではないか。ただこれを給与とかそういう観点のみから考えるということがすでに私の承服し得ないところでありますのと、たとえその観点から考えても、連合体ではいかんと、市町村に作つてはいかんという論が私に納得できないところであります。
  138. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の考えは市町村に作つてはいけないという考えでないのです。市町村に作つてもいいのです。併し市町村に作らなければ連合体ができないというところに私は問題があると、こう私は言つておるのです。ですから市町村に必要があれば作つて差支えがないのです、又市町村にできたのが連合体を作つてもいいのです。だからこの政府案全体に反対しているのじやないのです。併しこれによると市町村に作らなければ府県単位のものが全然できないわけなんで、それじや一体市町村にそれだけの必要があるかというならば、殆んど私は市町村には実際的には必要がないと、それを市町村にどうしても作らなければ、それ以上のものがどうしても全然作れないと考えているところに問題があると言つているのです。
  139. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は荒木さんが市町村に作つても何も差支えないと言うのなら、併し今私の言つた文化面ということを考えると、市町村にあるほうが私はよいと思う。而も何も連合体を作つてはいかんというものではないのですから。なぜ市町村に作つてはいけないというのでないならばそれに御反対になるかということがどうも私は十分納得ができないのです。
  140. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は先ほども申しましたように、市町村に作つて何ら差支えがないわけです。ところが市町村に作らなければ一切連合体も作れないようなこの規定になつておる。そこで市町村に作つて文化活動をやる。それはやります。それは組合を作らなくてもやれるし、やつておる問題です。併し組合を作るということは地方公務員法によればやはり給与その他の問題が主体になつておるわけです。そういう問題についてやはりその市町村当局はその能力がないのであるから、強いてここで作らなければならないと規正することが、一方では矛盾しておるし、実際にそぐわない点がある。こういうふうに言つておるのであります。
  141. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) どうも荒木さん、その点になるというと、私はこういう言葉は好まないのですけれども、やはり考え方が違うというようなことで、原理的に私はあなたを納得させることができないのでありますが、あなたによつても私は原理的に納得させられるということができない。連合体を作つてもよいのですから。市町村に作つてもあなたはちつとも差支えないと言うなら、差支えないのです作つても。そうしてそのほうが便利もあるわけです。作つて行くということは、この地方公務員法といものを素直に考えると、私はどうも私の考え方のほうが素直な考え方ではないかということで、あなたの御意見に服し得ないことを遺憾とするものです。
  142. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 作らなければならないという、そういう理窟は私も納得が行かない。文部大臣は何か文化的な行事をやればよいのだ、そちらのほうを大きくクローズアツプして来る。こういうことは何も組合を結成しなくとも現にやつておることです。あなたがこれを特に押付けて来るということは、組合の性格を非常に文化的な仕事をやるのに都合がよい組合がこれをやる。こういうようにあなたの考えを組合に押し付けて来る。或いは組合の性格を全然違つた方向に持つて行こう。こういう意図でこれを押し付けておるのではないか。こういうように私は解釈しております。
  143. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はあなたの言われたような趣意で言つたのではないのであります。それも同時に有り得る。作つて置いたからといつて何も悪いことはないと思う。荒木さんのようなかたがおつしやるのですから。作つて置いても差支えないから、それによつて又得る利益もあるのだから、作つてもよいではないかと思います。
  144. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も実はやつてつたのですが、作つてもよいということですが、これは経済的な要求面もあればこれはよいと思います。併し町村に我々の経済的な要求が働きかけるということは一つもない。一つもないものを作らなければならんと、これはねばならんですが、作つてもよいとか、そういう事情だというのならば私どもはわかります。これは作らなければならんと言つておる。そこがどうしても納得できない。
  145. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) どうも私は今まで述べた以上に新らしい趣向もございませんから、何かそういう点について—法律的な考えとかそういうようなものでしたら、私は政府委員から聞いて頂きたいと思います。自分はどうもこの点お互いが素直に考えて見ると、なぜ市町村に作つてもよいというものなら、又作ることが便利なものもあると思うのです。だからそれを作るということを規定して置いても何が悪い。あなたは連合体を作つてもよいというなら、どこへ連合体を作つてもよい。こう言うのなら差支えないのではないかというように思えるのです。
  146. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは我々の給与を、組合は連合体を作らなければ交渉はできないのですから、連合体を認めないということになれば、組合を認めないことです。これは当然なことです。ところがくどくど同じことを何遍も言つておかしいことですが、町村に我々の組合を置いてやるべき仕事は一つもないのです。文化的なことは組合でなくてもやれるのだしこんなことは問題ではない。ですからその一つもないものを作らなくてはならない、こういうふうに規定するところにおかしいところがある。我々のどうしても納得できない点がある。こう申しておるのであります。
  147. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は、成瀬さんがそういうのも、やはり少し極端ではないかと思う。厚生施設とか社交的なこととかそういうことになれば、勿論そういうものがあつて何も差支えないのだからして、あつてもいいのではないか、それを強いてこれがなぜいかんと言われるか、私など分らないのです。連合体を作るのは当然だと言いますが、それは当然作つていいのですからただ市町村にそれがあつてはいかんというのは私はどうもわからない。社交的な意味にもなりましようし、厚生施設を要求するという場合もありましようし、又私の言つたような何か団体とするならば文化的なこともありましよう。私は文化的に終始しろという、そういう何か意図を持つてつておるわけでは少しもないのです。
  148. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これはそういうふうにあなたのほうがおつしやつてやるならいいのですが、私たちも全体の二〇%ぐらい或いはそれ以下のものは、今言う厚生的なものであるということは強いて言えば私もあると思う。強いてこれは言うことです。実際問題として市町村などでそんなことをやつている所は、全国で数え上げて指の上に乗つかるぐらい程度しかない。それをあなたがそうおつしやればこれは止むを得ない。或いは市町村がそういうふうにやつてくれることは我々も希うわけですが、併し荒木さんも先ほど非常に心配しておる点は同じことなのですが、そういう運動目標もないような団体を結成しても、何を目標としてやるかというような目標もぼやつとしたようなものを作らなければならない。こうあなたのほうで法律規定して来るとどうしても組合は結成されるのです。ところが目標がないのですからそこで誤つた方向に行くような、逸脱するような憂えがないかこういう点も私たちはより心配しておる。ですからあなたが日頃考えておられることをやることによつて、誤つた方向へ行くのではないかということは我々は誠に憂えておる。それでここで論議しても仕方がないから私はやめます。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣はなかなかおわかりにならんと思うのですが、今の地方公共団体の、弱小地方公共団体は特にそうであります、都道府県或いは中央への依存度の非常に高い経済状態、こういう立場から参りますというと、市町村ごとに作らなければ連合体を作れない、この行きかたでは結局弱体化するものがあるのですね。教員の経済闘争又教育振興のための教育予算闘争も、今の日本の実情から行けば、市町村ごとに作らなければ連合体を作れないというこの体制というものは、そうい点からいつて教員の経済闘争により以上プラスにならないわけです。それで我々は問題点としては連合体を作つてやる。それはいいのですけれども、市町村ごとに一応単位団体というものを作らなければ連合体を作ることができないというところに疑点を持つておるわけですが、これは大臣御存じないと思うのですが、私はこれは次の点をお尋ねするのですが、結局これは組合の細分化による組合の弱体化を狙う自由党内閣の性格の露呈されたものと、こういうふうに私は考える。その点大臣御存じないと思うのですが、そんなことを閣議で方針をきめられたのではございませんか。如何ですか。
  150. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は、ただこれが地方に公務員趣旨に合うということで言つておるので、何かそういう政策なんということは聞いたことも何にもございません。又そういうことが本当に悪いことだということであるなら私は承認いたしませんです。そんなことを聞いたことは私は全然ございません。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは一言だけ申上げて置きますが、先ほど申上げましたようにこの内容ちよつと申上げましたが、地方公共団体の区画の再編成とか、或いは中央、地方を通じての業務の再配分、或いは真の意味における地方財政の確立、こういうことが布衍されていない我が国の現在の地方公共団体の実情から参りますると、昨日荒木氏も言われた、元権力闘争をやつてつた当時の、そういう傾きのあつた日教組ならいざ知らす、現在非常に日本の民主化労組の中枢として指導的役割を果し、民主化されて今後もその方向に進みつつある日教組が、真の五十万教職員の経済闘争をやることによつて生活を安定し延いては教育の振興と、それを通じて経済の興隆に寄与すると同時に教育予算獲得についても、世論の振興などに努力することによつて日本の教育の振興を図る。こういう立場から現代の実情考えるときには、今の組織で毫も差支えない。今のほうがよほど能率を上げ得る。こういうことを私は確信をもつて申上げることができると思うのです。それで連合体を作ることは結構ですが、市町村に一応単位団体を作らなければ絶対に連合体を作つてはならないんだという、この行きかたというものは荒木氏もさつき伏線として指摘されましたが、今後の私は教育復興闘争に非常に大きなマイナス面が現われて来るということを私は確信をもつて申上げるわけです。そういう意見もあるということを提案された文部大臣として御承知置き願いたいと思う。恐らく私は或る方面においては、私はさつき少し露骨に申上げましたが、そのはつきりした伏線の下にこの問題が出ておる。こういうことを私は信じて疑わないのです。
  152. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣は組合運動について、失礼な言分ですが、御経験がないから、現在日本教職員組合で町村単位に組合を作つている所は一つもないということだけは考えておいて頂きたい。今現在作つてもいいのです。組合はどういう形で作ろうと自由なんです、教職員組合は。ところが全国に何万という町村がありますけれども、ただ一つとして作つておらないということだけは十分考慮して頂きたい。なぜそういうふうになつたか、別にこれは規定があつて或いは誰かがきめてしているのではない。自然発生的に考えてもそういう気運が生れて来ないという実情をよくお考え置き願いたいということだけ。私は議論を申しては先ほど考えが違うというお話でしたから申上げませんが、私はこの問題は相当反対するのです、どうしても。
  153. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 文部大臣はいつも考えが違うといことで、納得の行かないままに地方公務員法も通過したような始末ですが、私が一番納得が行かないのは今の組合の問題もそうでありますが、大変に重ねてくどいように思うのですが、やはり第五条の問題がどうしても納得が行かないままにこれが通過するような傾向にあるので、私は最後に文部大臣はつきりとした所信を伺つて置きたいと思うのです。  一番私が考えられますことは、学制発布以来日本の教育というものは世界最高の就学水準を示しているというふうに、量の上では世界最高の水準を行つたかも知れませんけれども、質の問題ということについては、今新らしく考えられなければならないと思うのです。そこでこの第五条の削除の問題は質をどういうふうに変えて行くかというところに大きな問題点があるように私には考えられるのです。そこで法律というものは本当に新らしい教育の目的のためにはつきりとして立てるならば、あえて私は納得の行かない点はないと思うのですけれども、一昨年来のレツドパージに関連してこういうような法律改正されるということを考えますときに、将来の日本の教育というものに対して一抹も二抹もの杞憂を感ぜざるを得ないわけです。こういうような一時的な現象で法律が変えられ、そうして教育の真の姿が又打消されて行くというようなことになつたならば、日本の民族の将来ということを考えるときに、全く憂えざるを得ないわけであります。特に公開審理ということが抹殺されて行くということになれば、一番大事な青年たち教育される大学教員の身分の保障というものが極めて不安定になつて参りまして、本当の正しい意味教育教育者というものの確信の上に立つて行われない、こういうようなことになつて、果して日本の教育が守られるかどうか、これを非常に憂えるものです。文部大臣はそういうことはないということをいつも言つておられるのでありますが、昨年の東京都におけるレツド・パージに便乗いたしまして、私の勤務しております品川区の教員たちは、何らそれに該当しない者までがレツド・パージの便乗によつて二十六名も馘首されたというような事実から考えて見ましても、法律というものが正しく運営されない場合に大きな悪影響をもたらす、特にそれが教育界であれば、なお更そういうことを考慮しなければならないのではないかということを非常に私は考えさせられてならないのです。ローマは亡ぶるの日に亡ぶるにあらず、深い根を張つてその根がローマを亡ぼしたということを考えるときに、この法律の、私は改正と言いたくない、改悪が、日本の青年たちを正しく生かして行かない方向に行くとするならば、これは文部大臣として相当に考えられなければならないのではないかと、こういうふうに思うわけであります。  特にこの間も私は発言したのでありますけれども、これに関連する学生運動の弾圧というようなものは、全く目を蔽うばかりです。私の長男も早稲田に行つておりまして学生が平和運動、真の意味の平和運動をする、そういうときに警官が入り込んで来て有無を言わせず学生たちを引張つて行く、こういうようなことに対して非常に純真な青年達が疑義を持つて来ておる。なぜこうしなければならないか、なぜああされなければならないか、そういうような非常な疑義を持つて来ておるわけでありますが、こういうようなことは単に早稲田のみならず、いろいろの大学で以て現に起りつつあるのであつて、結局それは日本の国内に起つておるところの一つのフアシズムの擡頭と私は考える。又この法律の改悪はやはりフアシズムの擡頭に一連の連関性を持つことを考えますときに、常に良心的な立場において青年を守ろうとされ、或いは教育を守ろうとされる天野文部大臣が、将来フアシズムに対して教育は絶対にそれと隔離して行く、青年たちも又フアシズムの弾圧の下にあらせないで、本当に日本の将来を背負う青年のあり方に進めて行く。こいうようなはつきりとした確信をお持ちになつていらつしやると思うのですけれども、もう一度私は大臣はつきりとした所信を伺つてやまないわけであります。
  154. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は見解の違いというようなことはできるだけ言いたくないと思つて、そうたびたび言つておるつもりではございませんが、只今高田さんは、何か言えば考えが異うと言うということをおつしやいましたが、私はもう非常にそれは使いたくない言葉で、どこまでもお互いに納得して行きたいという考えでございます。けれども併しいたしかたない、これはよんどころない、私は教員諸君と共に本当に同じ考えをもつて行きたいとしよつちう思つております。自分も一個の教育者のつもりでおりますから。けれどもいたし方ない、大学のことなどは私から言わせればそんな問題のないことなんで、高田さんは警察を非常に悪く言われますけれども、現在警察は大学が要請しない限り決して大学へ行かないのです。私は警察といえばすぐ悪く言うような考え方では高田さんおありにならんと思うけれども、併し警察が出たからすぐ弾圧とかいうふうに言われてはどうかと思うのです。要するに私は日本の教育が本当によくなるためにと思う点においては、高田さんと同じだと思うのです。本当にこれがよくないのだ、こんな五条など改正することは将来のためによくない、私もみづから瀧川事件を体験して来た人間として、これは将来非常にいかんのだというのに私が晏如としてこの内閣にいるはずもない。私はそれなら一時もとどまる考えはありません。けれども私はこれがいい。これが日本の大学のためには是非必要なんだ、そういう考えでございます。どうかそういう点は御了承頂きたいと思います。
  155. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 御所信を伺つて一応安心するわけでございますけれども、更にくどく申上げますけれども、今日大学の中に警官が入り込むという、そのこと自体がすでに私には不安です。それは学生の行動が行き過ぎであるというようにお考えになればこれは別問題でありますが、映画の「きけわだつみのこえ」のカツトをこの前も申上げましたが、学生たちが太平洋戦争が起りますときに、本当に戦争に反対をして、この戦争は日本の民族の将来にとりて極めて恐ろしいものである、こういうような戦争にはどうしても反対をして行かなければならないという、全く純真無垢な青年たちの叫び声に対して、明らかに警官が弾圧を以てこの声を抑えて行きました。そうしてあの青年たちがみんな肉弾の代りに使われて、今日多くの青年たちが死んでいるわけです。そういうような歴史を再び今日繰返すという危險は私はないとは断言できないと思う。でありますが故に、学園内における学生の純真な行為に対して警官を動員するなどというようなそういう方向に行くことがないように、特に私は大臣の善処かたを望むと共に、新らしい教育を守るために本当に文部大臣は命をかけて闘つてもらいたいと思う。歴任文部大臣教育のために死なれたということを私は聞かない。日本の今の非常な微妙な国際情勢下において、日本の青年たちのために本当に命をかけて大臣が守つてやる、守つて行く、こういうようなはつきりとした観点の下に今後善処をして頂きたいということを、くどくありますが、要望いたして意見を終ります。
  156. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) それでは附則の2、3、まだ質疑を保留した方がありますので、明日いたしますが、4はすでに単独法として出ましたので、これは削除することになりまするが、削除するについての更に又修正案を出さなければいけません。更に又ギヤツプができておりますのでそれを補う修正案をやらなければいけませんが、明日原案を提出いたしまして皆さんにお諮りいたすことにいたします。一応これで区切りをつけることにいたします。高田さん、緊急質問があるのですか。
  157. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それでは簡単に申上げます。さつきどこまで申上げましたか、ちよつと切れてしまつたのですが、私の伺いたいことは、義務教育費の無償促進の問題でありますが、特に今日の新聞あたりに堂々と算数、国語の本が一年生に無償で配給されるということが出ておるわけでありますが、併しいろいろ伺つて見るところに上ると算数と国語が完全に一年生に配給されないようにも伺うのでありますが、その内容についてお知らせを願いたい。
  158. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は以前には三課目できると思つていたのですが、算数と国語はできると思つております。併し少しの端数が出るかも知れませんが、これは先ほどお答えいたしましたようにそれは極く僅かなことでありますから差支えないのではないか。もともと教科書はどこの家庭でも自分で買うもりなのですから、要らないものをこつちから押し付けるという意味のものじやないのですから。それを二課目でも公共の方面から児童に渡すということは私は非常にいいことではないか。子供が今度学校へ初めて行くときにたとえ幾冊の本でもそれを国家乃至公共から貰う。自分たちはただの私の人間ではなくして国家の一員なんだということを親も自覚し、又子供もだんだん自覚して行くということは非常にいいことではないか、そう考えるのでございます。ただ財政上の都合から自分たちの十分なることができないというのは残念ですけれども、併しこれはどうも現在のところいたしかたがない。不安全だからやらんというよりは、やはり不完全でもこれをやるほうがいいのではないかという考えでございます。
  159. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それじや結論的な質問を一つしたいのですが、一億三千万円というものはこれは大臣がお考えになつてもすでに不足であるということを言つていらつしやるわけでございます。単価の百幾らですか、百五十二円ですか、こういうような低廉なものでまあ大臣のおつしやるように憲法の精神に副うてこれが実施できるとはどうしても考えられないので、恐らく文部省もこの百五十二円という低廉なる単価をきめるときには相当な苦悶をされたのではないかと考えるわけであります。実際に二十五年度の教科書の実際の費用を考えましても、これは二百円をオーバーしているし、今日物価の値上りによつてそれよりも更に二割の値上げがされなければならないということがわかつておるにかかわらず、百五十二円というようなこれは常識的に考えられないような値段を出して行く、こういうようなことは恐らく私は良心的にこの百五十二円というものをきめたのではなくて、一億三千万円という一つの無償促進費の総額を出して行つて、そうしてそこから逆算して行つたようにも考えられるわけでありますが、そういう逆算をしたというようなことに対しては、これはどういうふうにお考えになるか。それは理由は私が申上げますのは算数は上下あるはずでございます。上下と三つあると思うのです。算数は上下が果して子供たちに配給されるような予算になつておるのか、上きりやれないのか、或いは下のほうはこれをかまわないでやつて行くか、こういうことでございますが、どうなのですか。
  160. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 高田さん私はこういうところに出てもいつも感ずることは、何でも政府のやることの意図を悪くお考えになつてそうしてやられる。もう少し自分らもできるだけまじめに教育のためにやろうとしておるのですから、そういう例えば逆算したとか、そんなことはあり得ない話であつて、とにかく一番低い値段で計算をすつかりしてそうしてこれが出た数なのです。けれども物価の値上りとかいうようなことから自分たちの思う通りのことはできない。できなければそれならばやめちまえというようなのも一つの考えかも知れませんが、私はそうは思わないので二課目でもやつたほうがいいというので、そういう趣旨に出ておることでございます。
  161. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 私はそういう意地の悪いことを考え質問をしておるわけじやないのでございます。半額はこれは地方負担になるわけでございましよう。そうするとその半額というのは一千百億の中に入るわけでございますが、地財委のほうではこういう教科書の分の半額というものは入つていないというようなことを聞きますので、それでそういう質問を私はしておるわけでございます。地方負担がそれに堪えないような予算であるならば、これはもう一度考え直してもらわなければならないし、そういうような点がございますから質問しておるのです。
  162. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういう点はやはり事情がまだ十分高田さんのほうに徹底しておらないのであつて大体一億四千万円というものは国から出す、あとの一億四千万円というものはこれは平衡交付金の中へ特に繰入れて、そのために繰入れておくと大蔵大臣もそう言いますし、地財委のほうでも或いは岡野大臣あたりでもみんな私と同じ考えなんですから、その点には何も不明瞭なことはないのです。二億八千万円というものはもう必ずできるのです。ただそれでも物価の値上り等によつて幾らかの端数が出るということは、私は出ないということは言えないかと思いますが、併しそれは町村に対して何も大きな負担にならないと、こういう考えなんでございます。
  163. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 お時間の都合もございますから今日はこれで打切りますが、そうすると算数は上下両方出ることになるわけですね。そこだけ一つお伺いしておきたい。
  164. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 算数はそういうつもりでございます。
  165. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それじやこれで打切りますけれども、又あとでこれに関連して質問をしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
  166. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと大臣に私もずつと質問していろいろやりたいんですけれども、お急ぎのようですからこれだけお願いしておきたい。ということは今恩給法が一部改正されて参りまして教員の十何年以降の特別加算であるところの百五十分の一が落ちるように聞いているわけなんです。そういうのと、それから在外に勤務しておつた、いわゆる外部というつのですが、朝鮮初め満洲、台湾、そういうところに勤務しておつた人たち恩給加算というものがあつた。こういうものがどうなつておるかというようなことについて、あなたのほう文部省に対して私は総理庁のほうから連絡があつたと思う。そういうようなものはどういうふうに文部省は態度をきめておるのか。或いは全然文部省意向を無視して総理庁が案を出そうとしておるのか。そういうような点について私がお願いしたいことは、一つそういう既得権侵害されないように文部省は一つ教職員の利益代表者として大いにこの点で努力がして貰いたい、こういう点をお願いして私はやめたいと思います。
  167. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 岩間君の文部大臣に対する質問は明朝の予定でありましたが、明朝予算と衝突いたしますので、引続き岩間君の文部大臣に対する質問を続けたいと思いますが、如何でございますが。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  168. 堀越儀郎

    委員長(堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            左藤 義詮君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            高橋 道男君            大隈 信幸君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    文部大臣官房会    計課長事務代理    文部事務官   相良 惟一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏男君