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1951-02-16 第10回国会 参議院 文部委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)    午前十時五十七分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○参考人の選定に関する件 ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の会議を開きます。  審議に移ります前に皆さんにお諮りいたしたいのでありますが、先日の会議岩間委員より提案がありました第五条の問題に関連する大学事前審査の問題について、事実を我々が参考に調べるために参考人を呼びたいと思うのでありまするが、その日程及び人数などのことについては理事にお任せ頂ければ結構と思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではさように取計らいまして、日程は明日になりまするか或いは月曜日になりまするか、後ほど連絡いたしまして公報に記載することにいたします。  それでは逐条審議に移りまするが、本日は二十一条の二から始めます。二十一条の二を朗読して下さい。
  4. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 朗読します。   (公立学校教育公務員職階制)   第二十一条の二 職階制は、国立学校教育公務員の例に準じて、すべての公立校教員公務員について実施するものとする。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はこの第二十一条二についてちよつとお尋ねしたいのですが、この二十一条の二のいわゆる政府原案の、提出局長の御説明のところを読んで見たのですが、提案の側といいますか、趣旨といいますか、或いは根本態度といいますか、そういうふうなものに非常にあいまいさがあるように思うのでありますが、まあ提案理由説明の中には、二十一条の二については教育公務員職階制を実施すべきか、又可能であるかどうかの根本問題がありますが、国の場合一応実施する建前になつている関係上、これにならうことにしたいのであります。極めて私はこの提案理由といいますか、そこにあいまいさがあつて迷つてつたのじやないか。だけれども国として一応異施しているからその場合にならうというふうにとれるのでありますが、これについて政府委員の御説明を願いたいと思います。
  6. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 二十一条の二につきましては私の説明冒頭に申上げました、実施すべきかどうか、又可能であるかどうかというところに根本問題があると、併し国の場合一応実施する建前になつているからそれに従うことにした、これは根本的な態度が極めてあいまいではないかという御指摘だと存じます。この点につきましては、現在国家公務員につきましては、来年の三月一ぱいには一応格付を終了するという手筈になつて目下研究中でございます。その場合に果して教育公務員について適当であるかどうかということについては論議があるということをここに最初に申述べたのでございまして、論議は事実あるのでございます。併しながら論議はありますけれども、全く教育公務員については職階制というものは妥当でない、又不可能であるという確たる結論を下す段階には勿論ありません。論議は、ますます可能であるという議論、適当であるという議論との間には、不適当であるという議論が適当であるという議論を打消してしまうほど強いものではないのでございますが、併しながらやはりそういう議論はあるからして、そのことを説明の中に申述べたのでございますが、その申しかたが文章或いは言葉の調子で少しあやふやのように聞えたかも知れません。併しながら、教員につきましても職階制を布くことは可能性があるという論のほうが強いと申しますか、強いと思われます。なおその点について、それでは実際にどういう職階制を布いたらよいかということについて、目下文部省及び人事院の間において研究中でございます。その一例を過日の冒頭説明の際に申述べましたが、それは先生がたについては、例えば大学についていえば教授助教授といつたような身分的な段階に応じて分けて行くということも一つであると同時に、又他方学部長とか、学長とか、或いは分校主事であるとか、病院長であるとか、研究所部局長であるといつたような、いわば管理面という要素をも考慮に入れまして、双方を組合せてそこに職階制を作るということはこれは可能ではないか。なおその点の細目について目下研究中である。こう申上げて置きます。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、今のようなお考えで以て、大体国立学校教育公務員についての職階制ということについては、或いはその骨子になるというものはできているのでしようか。その場合においては、国立学校の例に準じて公立学校の場合も作るというふうなことがあるようでありますか……。
  8. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 今私が申上げましたことは、そんなよう考えかたで以て目下研究中であるということを申上げたのでありますが、いつ頃でき上がるということについてはまだはつきり申上げる段階にないと思います。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 この職階制というものは、なかなか私は一般公務員の場合でも如何ようにこれを作るかということは面倒なものであろうと思うのであります。先ず第一にどういうふうな一体職種にこれを分けるか、それから職種に分けた場合におのおのの職種についてどういうふうな職階を設けて行くか、これは非常に面倒なことだと思うのです。いわんやこれが教育公務員になつた場合においては一層困難性が伴うと思うのであります。先ほどお話がありましたよう教授であるとか、助教授であるとか、或いはその他のものというふうな一つの分けかたというものになるのかならないのか、私は疑問があると思うのですが、その点について伺いたいと思う。
  10. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 現在文部省人事課中心として研究を進めておる段階においては、教育公務員の中で職種を分けるということは考えていないで、全体を一つ職種として考えているので、そのほうがよいのではないかということになつております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると、一つ職種というふうなことになりますというと、その職級というふうなものは、いわゆる職務責任とかなんとかいうふうなことから、実際において国立学校においてもどういうふうに分けて来ることになるでしようか、分け得ることができるかどうか。
  12. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 現在御承知のように、給与に関連しましては級別推定表というようなものをこしらえて給与の一応の神付考えておるようなわけでありますが、ああいつたものをなお合理化して整理したようなものに具体的にはなつて行くのではないだろうかというふうに考えております。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、職種について、責任度合について職級というふうなものを考えてて行く場合には、給與というふうなことを中心にしてこれは考えて行くということになりますか。
  14. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 給與中心にして考えると申上げたのではございませんが、でき上つたものは恐らく現在の給與について考えられておりましたような、ああいつたものと似たような結果が出て来やしないかと、あの枠付きと似たような形のものになつて来やしないだろうかと、それは給與から割出して行くのではないけれども、結論的にはそういう形になつて行くのではないだろうかということを申上げたのであります。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 現在の給與をきめる場合においての行きかたというようなものは、国立学校の場合には学歴勤続年数、こういうふうなことが基本になつておるのではないかと考えますが、どんなものでしよう
  16. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 職種の中での職級をきめまして、その職級につきまして教授助教授、或いは教諭助教諭というふうな身分のかたがその仕事の困難さ、責任程度ということを勘案して或る枠の中に或る幅を以て配置されて行くというよう結論になつて来るかと思いますが、現在も給與の場合には、学歴、或いは資格、或いは勤続年数というようなものを以てきめて参りましたが、それと同時に一方ではやはり教諭助教諭とかいうよう建前というものも取入れてできておりますから、裏返して見ると双方同じよう結論になるのではなかろうかと、こういうふうに申上げたのであります。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、私はこの職級をきめることにおいては、職務責任度合ということが中心になることが職階制の重要な事項だと思うのであります。そうなりますといよいよ国立学校のいわゆる教育公務員も面倒であるし、更にこれは公立学校に来た場合においては一層面倒になるとこう考えるのです。今まあ給與の面から言いましても公立学校においては勤続年数学歴基本にしてやつておる。ところが職務責任というふうな方面に参りますと、これは名前のほうから考えますれば教務主任であるとか或いは庶務主任であるとか或いは学年主任であるどかいふうな名前がくついておりますけれども、やつていることがすべてこれ教壇において子供教育して行くということに尽きるのです。責任というふうな場合においては殆んど変りがないわけです。それに対して責任度合からここに職級考えて来るということはこれは容易ならざることなのです。どうして一体決定するか、こういうふうに私は考えます。その点について伺いたい。
  18. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) お話ように名称が或いは教諭である、或いは助教諭である、或いは教務主任である、或いは学務主任であるとかというよう区別はあるけれども、本質的な点においてはひとしく児童の教育或いは生徒の教育に従事するのであつて、その点について責任の軽重はないではないかという御意見だと思うのでありまして、私のほうでも初めから申上げておりますよう議論があると申上げておつたのでございますが、それは今お話ような点から議論があるので、併しそれに対しまして又もう一つの現在の考えかたでは、そのようにいろいろの本質的に一緒であるとはいいながら、事実やはりその中に幾つかの段階幾つかの程度というものは考えられるのであつて、そのようなものが同じような級に分配される、格付されるということが可能ではないだろうか。そういうことはどうも可能に思われるという結論に現在達しておりますので、それで職階制は行うこととするという原則にいたしたい。併しながらこれは実際にでき上るのにはまだ相当研究も要りますし、又研究ができた上で実施になりまするにはなお相当の期間がありますので、慎重に研究を重ねまして理論的にも実質的にも筋の通つた適当なものを発見したいというふうに考えております。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで今のお話が可能なものがあるのではないかというふうな非常な何といいますか、疑問をもつた或いは不確実なそういうふうな建前にありながら、直ちにこの職階制を実施するというふうなことを法文に決定するということに非常に私は納得いかない点があるのです。私、まあ実際において教育携つた者から考えますと、同じ学年主任であつても、それから学級主任であつても、教壇において子供を教えるというふうな点のいわゆる職務内容というふうな方面、或いは責任という方面から言つたらどうしても区別が付かないのです。どろして一体そこに区別を付ける可能性があるか、ここなのです。これは非常に私は重大なことだと思う。付かないものに対して無理に、そこに責任度合によつて職級というものを付けていつたら、これは教育の実際方面から見ましては非常ないろいろ支障が起つて来るのじやないか、こういう点が懸念されるのであります。可能であるというふうなことについてそういうふうなお見通しがあるならば、その点について明らかにしてもらいたい。
  20. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 研究中であるということを重ねて申上げて恐縮でごいますが、余りに細かな級をたくさん作るということになりますと、お説のように分けられないものを無理に分けるという無理も或いは生ずるかも知れませんのですが、併しながら校長とか、それから先ほど申上げ集した学部長であるとか分校主事とか、研究所の長であるとかというようなことを考えに入れて、余りに細かな線に分けようと無理をしなければ、その間におのずから段階をつけて差支ない程度まとめかたというものは、これは可能ではないだろうか。私この点についてはその方面かたお話もいろいろと伺つたことがございますが、まあ一部のかたは教員職階制はできないのだと言うかたもありますが、併し伺つてみますとアメリカでもやはり職階制のできている所もあるようです。できている所のを見せてもらいますとそうむやみに細かなものではない。かなり大まかな形にまとめてあるように存じました。ああいつた種類のものだつたら私はそう無理のないものではないか、又理由もあるものではないかというふうに考えております。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 他のかたの御質問があるようですから一応私はこの辺で。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国家公務員である大学教職員についての職階制はちよつとここで述べません。ここでは私、地方公務員の場合について主として、地方公務員法の出た現在少しお伺いしたいと思うのです。教育の現場において教師段階を作るということは、私は果して教育の面からいつてプラスかマイナスかと考えるのですがね。現在学校に働いている人、大ざつぱに分ければ校長先生とそれから先生と小使、つまりそういう学校現存教育が続けられておるのだが、どこに支障があるかというこですね、公立学校教育公務員についても職階制を実施するということになりますと、さつき若木委員からも言つたように、或いは教務主任とか或いは学年主任とか学課主任とかいろいろありましようけれども、これは学校規模というものが種々雑多でありますし、そういうことを考えるときに私はそうしなければならない理由というものを伺いたいと思うのです。それが一点です。  それからそれに理由付けてもちよつと申上げますが、教育の場において階級を作るということは面白くないのです、子供に対する影響からいつても。まあ軍隊だつたうちのお父ちやんは大尉で、君のところは中尉じやないかというようなことでいいでしようけれども、学校で近頃、なんですよ、父兄がみんなうち子供先生仮免許状だ、うち子供は何だ、二級だ、いやうちのは一級だということで余計なことを、皆先生と思つて尊敬して、子供教師という権威の下にくついて行きおるのに、次々と階級を作る。今度職階制を布いて、うち子供先生のほうが格が上だ、だからあの先生に変えてもらわなければならないというような余計な考えを起すわけです。実際やろうとしても若木委員から言われたように不可能なことだと思うのです。それでどうしてこれをしなければならないか、現状においてどういう支障があるかということをお伺いすることが一点と。  もう一つ、私は政府委員の肚をお伺いいたしたいのですが、国家公務員である教育公務員が、職階制があるから体裁上今日本の置かれている立場からこういうことを書かにやならんという程度なのか、本当に地方公務員の場合には職階制を布けるという自信の下に、こういうことを出されているのか。私は日本の政治に自主性でも与えられたらこんなのは取止めるべきことではないか。ここに明文を書いてもこれを研究してやるのに何年もかかるだろうし、そのうちに実情に即したものになるからいい加減放つとけばいいわというような気持でおるのですか。政府委員としては本当にこれを地方公務員にこういうものをやれる、そうしてそれが現状より以上に教育の向上に寄与するものだ、こういう信念を持たれているのかどうか。若しそうだとすればどういう点に現在欠陥があつて、こうすればどれだけのプラスがあるかというふうにお考えになつているのか、そこを率直に承りたい。
  23. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 現在のままでは非常に支障があるかどうかというお話ですが、職階制を布くことによつて現在の制度に寄与する、プラスするものが多くなるということは言えるというふうに考えられます。なお地方公務員法の第二十三條で、地方公務員については全面的に職階制を布くという原則がございますので、その原則を完全に除外してしまうだけの積極的な、強い反対理由というものは如何かと思われます。  なお職階制を布いたほうがよりよいのではないかという考えかた一つには、地方公務員全体を通じて、そこに各種の職があつて、その職についてそれぞれの責任の重さ、又その困難性ということを睨み合せて全体に一つ体系考えて行く、そういう体系ができますと教育の職と他の職との比較検討をした上で、それに相当したところの枠に当てはめて行くということになります。そうするとそこに地方公務員全体としての一つプランが立ち得る。特に給与の点につきましても相互比較検討して適当なところへそれぞれ位置させるという、全体的な給与プランを作るについても非常な力になるのではないか。但し若し作りかたが大変悪ければお話通り欠陥が目立つて来るでありましようが、併しながらよく研究をいたしてそうしてさような間違いのないようにいたせば、それだけ必ずプラスするところがあるというふうに考えており、私どもも体裁だけ考えておるのではなく、実際に勉強をいたして教職員に適当な職階を作りたいというふうに考えておるので、そのために努力いたしたいと思つておるのであります。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点についてはもう多くお伺いしませんが、もう一つお伺いしたいのは、寄与すると信ずる、と、こう言われるわけですが、職種は皆同一でしよう高等学校以下はこの前言つたように。で、職種同一である。職務難易責任度合で差がある。どういう差があるか、一つ例を挙げて見て頂きたいのです、どういうのがあるか。一つ学校だけ考えたら駄目ですよ、日本全国学校規模というものは種々さまざまなんですからね。それらを一本の法律できめて難易責任度合とを区別するような所がどこにあるかということを一つ例を挙げて頂きたい。
  25. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) だんだん中味に入つて来るので、研究中ということを繰返して申訳ないのですが研究中でございます。なおその際に一つ学校が例えば定員が非常に多い、一つ学校では定員が少いというようなことで区別することにはいささか困難があると思いますが、併しながら非常に規模の大きい学校学校長規模の小さい学校学校長、或いはもつと小さいよう学校、そういつたような場合にはやはり私には、それぞれ違いがあるのであつて、ただその違いの分けかた格付の問題になつて来るのでありますから、格付をきめるについてはやはり実際の職務というものを分析してそれに基いてきめて行けばよろしいのではないかというふうに申上げたいと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはともかくよほど慎重な研究をするというだけを申上げて置きたいと思う。今これ以七ここでいたしませんけれども、今局長の言われた言葉の中に一つ拾い上げても、私は大きな学校、小さな学校とを考えると、これは教育機会均等立場からいつて心夫校長が大きい所に行つて、小さな学校に力の弱い校長が行くということになりますと、今問題になつております学校差というものがますます大きくなつて行きますし、職階制とからんで教育機会均等、そのうち学校差撤廃というような点が却つて逆の方向に行つてますます困る事態が起るのじやないか。そういう価も私は内蔵しでおるのだと思うのです。これは国家公務員である大学についても勿論そうでありますが、それにも倍して高等学校以下の地方公務員である教育公務員職階制の適用というものは、よほど丹念に研究なさつてやられることを希望してここでは質問を打切ります。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 研究中という話があつたのでありますけれども、研究中のものをなぜこんなに急いでやらなければならなかつたかということを最初に端的に御質問いたします。
  28. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 地方公務員法の二十三条が、地方公務員を通ずる全般の原則でありますからして、従つて教育公務員であるところの地方公務員かたがたも当然にこの原則は被つて行くという関係であります。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 これは問題にならないと思うのですが、そういう考えかたじや。つまり教育を、教育をですよ、この真にまあ終戦教育民主化ということを目指して方針が立てられた、それを一体文部省が守る考えがあるのかどうか。若し守るという考えはつきりあるなら、職階制というものが一体どれだけ民主的な教育を破壊するかという面について、これは相当研究されなければならないはずです。それが研究されていると言うのですが、そういう点で地方公務員法では一応きまつた国家公務員法でもきまつた、だからそれを適用せざるを得ないのだ。こういうような、つまり受身のそういう立場だけとつて来ているなら、結局これでは教育は守れないと思うのです。文部省ではそれをどれだけ主張したのですか。最初いろいろ主張はしたがそういうものを原則から除外して、特例法の中で特にこの教員職階制が必要でないということを主張したか、具体的にお開きしたい。どれだけ主張されて、又どこでそういうことを主張されて、そうしてどんな議論の結果がこういうことになつたか伺いたい。
  30. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) お答え申します。今のお話ですと、文部省職階制を布かないつもりで交渉したが、公務員法原則をくつがえす論拠がなかつたために止むを得ず承認したのではないかというふうにお聞きとりになつたのじやないかと思います。私の繰返し言いましたのはそういうことを申したのではないので、職階制を布くという原則が一応あつた、その原則に対して教育公務員も黙つておけば当然職階制は布くことになる、その場合に教員については地方国家との間に非常な違いがあるのではないし、実際の釣合という点から考えても、一方は国家公務員である先生地方公務員であるところの先生との間に大変な違いがあるというようなことが起つては困る。又教育委員会を置いてある市町村の学校と、置いてない学校との間に別々の職階制ができてしまつて、それが大変違うものであるということであつても困る。そういうわけで教育公務員については地方公務員職階制原則を承認すると同時に、而もその間に全国を通じての客観的な又一つ釣合のとれた標準というものが設けられなくちやならないという意味でここでは特例を設けた。さてその特例を設けた内容については、合理的なそして筋の通つた、実際にも困ることのないようなものを十分に研究したい。その研究の過程においていろいろの場合を想定して考えますから、それで一部の議論としては全く必要ないではないかという議論もあるのであつて、その議論職階制そのものを否定せんがためのものではなくて、よい職階制を作るための反省の資料としてそういう意見が出て、それを総合して研究をいたしたいのだ、なおいたしつつあるのだということを申上げたわけであります。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 そうであればもつと重大な問題だと思うのです。大体終戦後の日本のこれはやはり教育行政まで遡らなくちやならないのですけれども、一体教育という活動、これはどういうふうに考えておるのですかね。つまり一般公務員と分けなくちやならない点の一番大きな……、教育公務員という名前で呼ぶのがいいかどうかさえ我々としては疑問なのですが、つまり教育者とそれから公務員を我々は分けなくちやあならない大きな差別があると思う。その一番大きな根拠としてやはり活動内容が違う。教育活動とそれから公務員がいわば一つの……、公務員についても問題はある、今公務員法が行われているような形では我々も承認しないのでありまするが、併し一応そういうよう一つ国家の公僕としこの系統を仮に認めるとしても、そういう活動内容で非常に根本的に私は違うと思います。それは何かというと、教育はやはり人格を形成するというこことが非常に必要になつて来るわけであります。子供人格をやはり教育を通じて形成させる場合、これは非常に大きい仕事だと思います。そういう場合にやはり教育者人格の独立ということが前提条件として非常に私は要求される問題だと思います。これは教育洋上一つの問題になることですけれども、この点は文部省としてはどう考えておられるのですか、どうなんですか。つまり教育者の人格の独立という点を認めておられるのか、認めておらないのか。これは認めておられるのかどうか、この点をお伺いしたい。どうなんですか、イエスかノウか。これはどうなんですか。
  32. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教育が他の一艘の行政職と違つていろいろな特徴が、特質がある、違つた点があるということは御尤もだと存じますのでありますから、教員につきましてはこの現在の段階においても教育公務員特例法というのを定めておると同時に、又将来の問題としてたびたび問題になつておりますよう教育公務員法といつたような独立の法律というものも十分考えられることである。併しこれはなお研究中であるので、現在差迫つた問題として、この段階においてはこの法律を以て一応進めて行きたいという趣旨だと思います。教員教育について人格的な自由と申しますか見識というものがある。又それが必要であることはお説の通りでございます。私どももそういうことを期待しておりますが、併し同時に又教員は定められた或る一定の責任というものを持つておりまして、それが過日大学学術局長から縷々御説明申上げましたような制約も受けなければならない、これは又責任上当然のことであります。その両者の度合、睨み合せの問題がここで問題になつておるのであります。その点についてはここでこの条項を置いたからといつで、教員の自由なり、人格を束縛し、教育支障を来すようなことは、原則として来すものであるというお説はどうも私にはよくわからない、正直に申してよくわからない。職階制作りかたが大変妙なものであつたならば或いはそういうことになるかも知れませんが、そのために目下慎重に研究中であると申上げておるのでございまして、どうか一生懸命に研究いたしまして、いいものを作りたいと思つておるということをお聞取り願いたいと思うのであります。
  33. 岩間正男

    岩間正男君 どうも文部省の御答弁はここで少し……。大臣の答弁からそうなんですが、一般に傾向的に指摘したいと思いますが、少し煩雑して来たので、答弁をもう少し整理してもらいたい。私が聞いておるのは人格の独立を認めておるのかどうかということを簡単に承わりたいと言つたのですが、それがどうも細かい点は……、これはどうも天野さんに実は引廻されているような形があるのは、そういうところから出ているからこれは天野さんにも申上げたいと思つていますが、そういう傾向を少し排除したいと思います。私が聞いているのは、一体人格の独立ということをほかの方面なんかよりも教育方面に非常に重要に考えておるかどうか、こういうことをお聞きしているのですが、この点はどうですか。
  34. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 人格の独立ということについては、私はあえて何の異論も唱えてないと思うのですが、ただそれと同時に弁を弄するとおつしやいますけれども、併しその人格の独立を認めると同時に、又その職務の、任という面も考えなければならないのではないかと附加えをいたしたのですが、その附加えではいけないのでしよか。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 いや、そうじやないのです、私がお聞きしていたのは。これは文部省でも当然、その点は非常にやはり重要視しなければ、教育活動というものは実際行われないというのが事実だと思います。やはり独立した人格を認めるということが常識の理論の、殊に今の日本教育の大きな眼目になつて来なくちやならないでしよう。元来の教育活動というものはそういうものだと思います。教育学的にも。そうすればそれを守つて行くという面が非常に私は重要になつて来る。ところが職階制という形で以て一体これは守り切れるかどうか。逆にこういうものによつて破壊されるという面が日本の現在では多いのじやないか。というのはこれは具体的に今までのやはり終戦前、それから終戦後の教育の状態をよく考えて見ると、いつでもここに頭をやつて行かなければ、こういう法案というのは形式論で頑張つてもしようがない。我々も教壇の経験からしまして、一つ教育における階級性というやつは非常にやはり教育を破壊しています。これは問題にならないと思います。戦争中なんか見ると全く一つの権力の末端機構として視学とか、又その視覚の責任校長が負いまして、校長がやはり教員と対立するというような形になつて、監督機関みたいになつて、もう戦争中なんかには全く一挙手一投足これに縛られるような形があつたと思います。それでそういうものに対してもつと教師、それから生徒、こういうもののやはり人格の独立というものを認める判断力をはつきり確立するということが非常に重要になつて来たのです。又これは極東委員会の教育指令なんかを見ましても、教師並びに生徒はこの独立不鶴の精神を養わなくちやならないということさえはつきり銘記しなければならない。そういう必要性は当然のことである。なお銘記しなきやならないほど必要性が現実的にあつたのであります。こういうものが果して終戦後いろいろ教育改革が形の上においてなされて来ましたが三年、四年を通じまして、完全にそういうものが獲得されたと考え得られるかどうか。我々の見る、ところでは非常に微弱なものである。その萌芽は出て来たけれども、そこにもうそのあとからこれに対する拘束が始まつて、そうしていろいろな自由をむしろ抑圧するようないろいろな法案が作られて、又昔の状態に立還らされているというのが現状であります。ところがまだ成長しない、これはやはり中野重治がいつか国家公務員法の討論の中で言つたのでありますけれども、これは労働階級の例を取上げて言つたのですが、日本の労働階級は今はまだ赤ん坊だ、これから冬を迎えるからむしろ重ね着をしなくちやならない、ところが春が来たからという名目に立つて先に着物をひつペがすというようなことを言つていますが、これは教育者についても同じようなことが言える。一体独立した人格が、立派に独立して教育活動の自由を、本当に如何なる不当な権力の中であつても断乎としてこれを主張してやつて行こう、そこまでこれは到達しているかどうか。そういう体制に来たならば職階制というものも或いは止むを得ないかとも考えられる面もあります。併し現在は一体そこまで行つていますか。殊に生活権が確立されていない段階にあつてひじように未だ微弱である。まだまだはつきりしたひとりのそういう毅然としたものではない。そこに持つて来て又職階制というものを押し被す。現在におきましても資格、年齢、給与、こういう上から身分のいろいろな差別があるのです。これについてはさつきもいろいろと挙げられたように、これは先生の鼎の軽重を父兄に問われたりして教育上面白くない結果が生れている。こういうようなところに又職階制というようなものを適用しなければならない。そういう必要があるかどうかということです。だから日本教育の民主化ということを眼目に掲げた一つ教育改革の立場から考えるときに、この職階制というようなやりかたで、自分をますます拘束して来る。そうして一つの何というか、上から来るそういう官僚機構みたいな原則に縛られている形が確立されるということになつたら、教育は全く昔に戻つてしまう。こういう点が非常に大きいのですけれどもこういう点は議論されなかつたのですか。そうして公務員法では応職階制を適用するということがきまつたからといつて止むを得ず、その前に文部省は何も主張せずに止むを得ないんだ、それはきまつたのだというので受身の形でこれをやろう。こういうふうに今の御説明ではなりますがそういうことをされたのですか、これはどうですか。そこの教育活動の特殊性ということについて主張されたかどうかということです。
  36. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教員人格の尊重という点は誠に御尤もなことでございまして、我々も全く同意見でございます。併し又同時に責任という点からいいまして、責任度合ということは考えられえるし、又仕事困難性というものはどうしても考えられるのであります。なおお話によりますと、職階制がきまると先生の中で偉い先生と偉くないよう先生ができるような印象を与えてよくないではないかというお話ようなのですが、この点については、現在の職階制全体が、人の尊卑と申しますか、そういうことを考えているものとは私どもは思つておりません。若しそういうような印象を与えるのであつたならば、これについてはなおよく事情を説明して、職階制が偉い人と偉くない人とを区別する、そういうものでないということをこれはよほどわかつて頂くような努力を重ねなければならないと思つております。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 やはり日本の民主化の現状というものを客観的に見ること、それから教育の民主化がどこまでやられているかということをよく見ること、こういうことなしに頭の上で職階制というものはそういうものではない、こういうふうに言つたつてアメリカと日本を同じような条件に置くわけには行かないのです。アメリカはそういう訓練を何年かやつて来た。又経済的な又社会的な基盤も違う。或る程度そこにできておるから職階制というものはそういう形では受取らないでありましよう。併し日本にはそういう基盤がありますか、ないんだ、全然。それをちよつと今から作ろうと思つているときに、逆にこれは大雪が来て、そうして交通が全くとまつたといつた恰好、こういう形のときに、あなたたちは現実を見ないでそういうものはそうではないんだ、こういう精神ではないと言つたつて、現実的にそういう役割を果すかどうかということ、これが一番大きいのです。  一体私はもつと、これは文部省はやすやすとこういうふうにざれたけれども、もつとこの中に意図があるというふうに考える。それはなぜかというと、やはり教員が非常に自由な判断、そうして自分の立場よりも本当に人民の教育、これはつまり民主的な教育を確立する、民主的な教育の問題になるのですけれども、人民の自由意思というものはどこに今日においては教育の姿で表現されておりますか。教育委員会が一応作られておるとか、そういう形は如何にも形はそうなんだけれども、本当に人民の意思が実現されていますか。これは例を挙げればきりがないことですけれども、実にそういうところは無視されているんですよ。一つの今の基礎が強化されたとか六三制とかそういう問題ではない。それから小供たちの就学状況とか、それから貧困の状態、こういうものは本当に人民の意思が尊重されているなら、これは具体化するために文部省は闘つてもらわねばならない。そうして又教員たちもそういうものについて実現のために努力するはずなんであります。そこに当然教育内容に対する批判もあろうし、文教政策に対する批判も出て来る、今それがなされなければ人民の教育の確立はできない。ところがそういうことが起つたのでは非常にこれは政治上差支えがある、殊にこういうような現在の置かれている情勢の中では、教育からそういうよう一つの自由精神が起つて来て、物を批判的に考えるというよう立場になつたら非常に工合が悪い。飽くまでやはむ国策を遂行するその教育者としての末端のそういう任務を果すという面が非常に強くなつて来て、つまり上から強化して来る面が非常に強くなつて来た。そういう点でそれを易々とやらせるためには一つのやはり職階制というようなものを押し付けることが非常に重要になつて来るのであります。ここにこそ狙いがあります。今日職階制の狙つておるのは、これは国家公務員にも関連しております。併し教育の上においては今の教員活動そのものの特殊性から考えて、もつと重要な形になつているのであります。この点をはつきりこれは具体的に現われて来ますが、こういう事態で職階制の狙つているところに易々文部省は、そういうものに協力した形で以て、実は教員の自主的な一つ教育活動というものを粉砕しようとしている、どうなんです、そのところ、具体的にそういう形が必ず現われます。私は断言しますけれども、そういう点については文部省はどういうふうに対処するつもりですか。人民の教育の確立、下から上へ伸びる、そういう民主的な教育、それから今言つた古い官僚統制の教育と、この二つの面で一つの断崖の上に置かれている形になつておりますけれども、この問題を一体文部省はどういうふうにお考えになつておられるのですか、この点承りたい、これは尤も大臣に承りたい問題でありますが。
  38. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) どうも私のお答えすることが十分御満足の行くようなお答えはこれはちよつとできそうもないのですか……
  39. 岩間正男

    岩間正男君 現実を見ていないから……
  40. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) やはり私どもは、併し職階制教員に適当な職階制を探そうとして努力している、併し絶対できないということではない、できるように努力している。さよう内容は大体今まで御説明申上げましたような趣意の線に沿つて努力しおる、できたものが非常に非民主的なものである、或いは非常に機械的なものである、教員の自由を束縛するものである、そういうようなものを作ろうとは全く考えておりません。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 そう言うから少くとも骨子ぐらいは説明してもらわなければ、我々が今までの文部省のやりかたを見ていると、これは白紙委任にするわけには行かない、この法案を作るときに非民主的なものじやない、職階制というものはむしろ逆に教員活動を十分ならしめるものという名目の下にあなたたちは考えておられることでしようが、そういうことは観念的なこと、頭の中で考えていることだが現実は何を要請しているかという問題です。一昨日も私は例を挙げましたけれどもすでに工場に対する動員みたいなものが行われている。アルバイトか何か知らんが行われ、そうして或る女学校校長は、これは昔の戦時動員みたいなもので、これを一生懸命やれば勉強のほうはあまりやらなくても、これに対してまあ卒業点数を与えるというようなことを言つている。こういう状態ができているのですよ。だから否応なしに今の日本の置かれている、再軍備が問題になつている日本の態勢を見ても、更に又日本が今の対立の中に否応なしに追込まれて、文部省のそういう善意なことがあつたとしても問題にならない。この点どうお考えになりますか。文部省はそれほど強力なものを持つておられるのか、これは私たちはそれを信用することができない、なぜもつとそんならそういうものを研究してここに少くとも示してもらわなければ、我我はそれを検討しなければ十分でないと思うのであります。ただ漠然と職階制を出している、これはさまつたものだからやらなければならない、……併し逆にこれを取払つて教育の特殊性を大いに主張して、そうして教育活動の自由を本当に確保する、そこが文部省のやる仕事じやないか。これは一昨日も天野さんに申したのでありますけれども、どうなんですか、そういう点は。これは文部当局としてどう考えていられるのですか。
  42. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 職階制をきめることが何か文部省の白紙委任することになつて、そして当面文部省が微力で、文部省考えていることと全く違つた結果を来すことが見えているのに、(「見えている、はつきり」と呼ぶ者あり)そういうお話なのですが、これに対しては私としてはどうも答弁することが不可能のように思われるので、御勘弁願いたいのであります。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について、現段階で第二十一条の二に職階制を実施すると、こういうふうに出されたということは、質問者は納得できんというわけですね。政府委員としては将来非民主的なものにならんよう研究中だと、こういうわけですね。我々から今いういろいろな意見が出たし、恐らくその意見を尊重して非民主的にならんような案を検討されるでしようし、その検討が出た後に又やることにして、今出されたことに対する意見が対立しているわけでして、質問は大体盡されたかと思うのです。ただ私としてはさつきも申上げたように、職階制を布くということは教育界の官僚化以外の何ものにもならないのじやないかという懸念を持つているわけであります。十分我我の意見というものは出たのですから、お聞きとりになつたと思うのですから、その線に沿つて十分検討されることを希望して、この項の質問を一応打切つたらどうかと思うのであります。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 矢嶋君、なんですか、大体の職階制の何を聞くというのですか、この審議の終りまでに。どうなんです。職階制内容が今民主的なものを検討中だ、それなら職階制を実施する……。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点が、ここに出した以上は大体の腹案を持たれているだろうというのがこちらの予想したところで、それを聞きたかつたわけなんだが、政府委員としては今研究中で具体的な案を提示できんというわけです。それなのにここに提案されたことは我我納得できない。そこが意見の相違になつているわけであります。腹案も政府は持つていない。それだのにそれらのことを出したということは、我々了承できんわけで、そこが意見の対立になつているわけで、ここで質疑を打切つたらどうか、こういうわけであります。
  46. 高橋道男

    ○高橋道男君 職階制について研究中である、場合によつては悪くなるかもしれん、併し極力教員立場をよくしたい、こういうような御意向のように私は伺つておるのですが、非常にあいまいな点にもかかわらずこういう条文が出て来たことについては、私も納得の行きかねる一人でございます。併しあえてそういう中にもかかわらずこの条文を置かれるということは、若しこの条文がなければ地方公務員法の実施に伴い、それに伴う職階制の実施にいわば強制されて、教員立場が我々の念願或いは現状のままで置いておくより以上に不利益になる、であるからその教員立場を守る上から地方公務員法の実施に伴う職階制とは別に教員を守るために特別の職階制とを布くのだ。つまり教員のより以上な利益のために別の特例職階制を設けるのだ、こういうためにこの一条を起した。こういうように私は極めて観念的ではありまするが、解釈をして、教員の利益のためにこの条文を置くというふうに解釈していいかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  47. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教員の利益のためばかりに職階制を作るということは、ちよつとこれはどうかと思うのでございますが、職階制を作るについて教員の利益が阻害されることがなく、加えて教員の利益を増すことができるようなそういう職階制研究中であるのだ、お説のように若しこの規定が全然ないものだとすれば、全国的にばらばらな、教員にとつては甚だ適当な職階制ができないということが言えるのでありますから、そういう点から見てもこの規定をして置く必要があるというふうに考えた次第であります。
  48. 若木勝藏

    若木勝藏君 これは先ほども私指摘したように、提案の趣旨が極めてあいまいなんです。文部省迷つておる。というのは、地方公務員法に比べて、教員立場は、教育公務員特別法の第一条にある教育公務員職務とその責任の特殊性に基づいてここに特例法というものを作つておられる。そうすると、その点から推して行きますと、職階制地方公務員法にあるからそのままここにならつてこれを出すということは、非常にここに特例の意味を失うことになるのじやないかと私考える。特例法を作るところの趣旨に反するのじやないか、先ほど来の御答弁についていろいろ私も考えておるのでありまするが、そういう点で極めて我々としては納得の行かないものがある。今や研究中だ、見通しがないようにも思われるのであります。そういう点にありながら、ここに職階制を実施するものとするという条文を載せるということは、どうしても我々は納得行かない。特例法第一条の立場から考えても納得行かない。これについては今後の審議に当つてもう少しその点を明確にして下さらなければ、我々の審議はつきりして来ない。こういうふうに私考える。適当な機会に骨子なりとも明瞭にして、どうしても職階制というふうなものが特例法の中に法文として現われることが妥当であるという線の御説明を願いたいと思います。
  49. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 次の項は関連しておりますので、続いて二十一条の三。
  50. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 朗読いたします。   (教育長の給与等)  第二十一条の三教育長については、地方公務員法第二十三条から第二十五条まで(職階制及び給与、勤務時間その他の勤務条件)の規定は適用しない。  2 教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件については、他の一般職に属する地方公務員とは別個に、当該地方公共団体の条例で定める。
  51. 若木勝藏

    若木勝藏君 教育長について一般公務員と特別な取扱をして、一般公務員の場合の規定を適用しないということは、教育長というふうなものの職務はいわゆる教育公務員職務に非常に似かよつておるからであるということに私は考える、その点如何ですか。
  52. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教育長の職務教育委員会に対して専門的な立場からする助言をいたすという建前になつております。その建前が本旨でありまして、今のお話にありました教員と似かよつているというのは、教育的専門的なという点において似かよつておるというふうに考えられますが職務そのものは教授をするのではない、又先生がたに対してなお教育委員会としては教育長としても指導をし助言をする責任を負つておるという点で、関連はあるが教員職務内容教育長の職務内容とが似かよつておると直接に言うことは困難じやないかと思います。
  53. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは指導助言の機関であるから、それで何故に一般公務員の規定を適用しないのであるか、その点を伺いたいと思います。
  54. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) この点につきましては第十七条と関連がありますので、十七条のところでこの点について一応の御説明をいたしたと思います。それは教育委員会というのは公選による委員で構成されておる会議体としては運営されて行く。そしてそれは常時集つてつておるのではないので、月に一回とか二回とかいう定例の会議を持つてそこで根本的な方針を決定して行くのである。その際の助言的な専門的な機関として教育長というものを置いておる、その点において教育長は他の一般公務員とは非常に性格も違うものであるということを十七条のところで御説明申上げましたが重ねて申上げます。
  55. 若木勝藏

    若木勝藏君 いや、四年間の任期を定めたり、或いは臨時的な採用とか、条件的な採用は不適当であるというようなことは私にもわかるのであります。そういうこととここの二十一条の三とは私は少し意味が違うと思うのであります。指導助言の内容はいわゆる一般の官庁事務の内容とは違う、教育そのものに直航関係のあるところのものであつて、従つてそういう一つの資格を備えたところの人が教育長になつておる、そういう教官長というふうなものに何故に一体職階制というふうなものを適用しないかということは、直ちに二十一条の教育公務員職階制を実施するということと私は矛盾を生ずるのではないかと思います。こういうふうに考えるのであります。教育長にこれを適用しないのであつたならば、その趣旨はやはり同一に、教育公務員においても同様に考えられるべきではないか、この点如何ですか。
  56. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) お答え申上げます。地方教育行政機関の中では一つ一つ教育委員会について教育長というのは一人づつおるのであります。ところが学校長或いは先生がたといもものは一つの市町村の教育界に、学校界に大勢おられるのであつて、従つてそこに一人一官であるというのとは違うのでありまして、従つて職階制先生がたに布くことは可能である、教育長をその中に一緒に分類してしまうというものではない、一人一官という点に又特徴があることも御了解願いたいと思います。
  57. 若木勝藏

    若木勝藏君 いや教育長は一般地方公務員であつて、いわゆる教育公務員でないことは明らかであります。そういうふうに私は考えておる。特別職でもなく、そういうふうになつておる。その点どうでしよう、私はそういうふうに解釈します。
  58. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 御答弁申上げます。教育長は教育公務員であります。
  59. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは私はその点を間違えておりました。ようでございます。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 これは結局若木君のさつきの質問にも関連するのでありますが、教育長をやはり特殊なそういうものと認めて、それで教員なんかとは非常にこれは違うものである、こういうことと相成ると思うのであります。そうするとやはりこの点こうならざるを得ないか、その理由ですね、これを具体的に聞きたいのです。私はさつき挙げました教育活動の特殊性、こういう面から見ればむしろこちらは一つの官僚機構の中に属すべきものでしよも。こういうところのほうが自由が非常に與えられていて、更に一般公務員のほうは飽くまでも職階制を適用する、こもいうふうになつて来るのはどうしてこもいう立場をとられるのですか、この目的はどこにあるか。
  61. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教育長は専門的な、即ち言葉を換えれば教育的専門と申しますか、教育的専門的な委員会に対しては助言の機関であり、先生がたに対しては指導し助言する機関の事務上の責任者になつておる一人一官である、そういう点から職階制を布くことは妥当じやないというふうに考えております。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 私は教員教育活動の特殊性と関連して教育長と比較して言つたのですがね、教員職階制を適用されるというときに教育長がむしろ官僚系統というようなものでは、現実はですよ、これは一つの体制の上では優先的にやつております。実際の還境からいつても一昔の教育局長ですか、地方なんか課長ですか、そういう人たちと同じ仕事をやつておる。全く同じ仕事をやつておるのですよ。こういうほうが外されて何か特別職のような形でされていて、教育の、さつき申しました特殊な一つの制度からいつて教員のほうは職階制を適用する。ここに明らかにそういう一つの、官僚機構のほうは非常に優先的に優遇して、教員は一般のやはり公務員の方向に追込んで行く。こういう方向があるように思われるのですが、これを若しそうでないとするならば、そうでないという根拠をもつと具体的な事実に即応して、これは話して頂きたい。
  63. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 先ほど来繰返して申上げておりますように、教育長は教育委員会におけるたつた一人の特殊な立場における職員であつて、一宮について職階を布くということは、職階制というものの意味からいつてどうも受取れないことじやないか。なお教員の指導助言をするという官は、教育委員会の中に指導主事或いは社会教育主事がございますが、これらのものはそれに適応した職階制を布くという建前になります。職階制は私ども承知しておるところでは、同じ職員構成の中に似たような人が相当数がたくさんあるような場合に、それを系統立てて格付をし分類をして行くということでありますから、たつた一人きりということになりますと、これは職階制というわけには行きかねるのではないかと考えております。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 どうも説明が、一つの前提が肯定されておると思うのです。それはやはりどうしても今の説明を聞いても、官僚機構を非常に復活してそういうものがやはり何か高しとするような妄思想の現われだと思うのです。教育長が一人だろうが、教員が一千人だろうが、二万人だろうが、むしろ教育の一番重要なところは教員子供が接触するところにあると我々は確信しておる。教育長はそれの附属物でいいのだ。実際問題として教育の事務をいろいろ指導するとか何とか言つておりますが、その指導するものがずつと権力の末端機構的な指導をして来たところに大きな弊害があつた。ところがいつの間にかそういうものが復活されておるという歴然たる事実があります。そうして一方では教員はどうしても職階制に汲々としていなければならんということで、一人の立場で、あつてそういう任務を持つておるのだからこれは職階制を外さなければいけない、だから教員教育長と比較しているのですよ。教育活動の実際的な質から考えてどつちを一体これは文部省としては重きを置いてやらなければいけないのか、教育長をなぜそんなに優遇し、これを大切に考えなくちやならないのか、これが私にはわからんのです。なぜなら教員子供が火花を散らすところに本当の教育の最も尊重されなければならない部面があるので、ここを守るというのが文部省終戦後における民主教育確立の根本精神じやないかということを私はお聞きしておるのです。ところが今の関口さんの答弁には、もうそういうよう一つの指導形態というものを、上から来るものをちやんと前提として認めておられるから何の不思議も起らない。私が不思議とすることがあなたには却つて不思議に思われる、そういうことがおかしいと思うのです。どうなんですか。
  65. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) どうも職階制を布くことは何か圧迫することであるというふうな考え方、それから教育長については職階制から外すということは非常に優遇することだ、そしてその優遇した教育長というものは教員を圧迫して行くのだと、こもいうふうに考えないのはけしからんという。わからないのが不思議だとおつしやるのですが、教育長を職階制から外すのは優遇のために外すとは考えておりませんので、職階制建前一つの組織の中にたつた一人しかないものを職階制を充てて行くということが、職階制そのものからいつて妥当でないから外すのであつて、優遇のために外すとは考えておらないのです。  それから又先生がたに職階制ができるということは、先生がたを圧迫するために作るとはどうも私には考えられないのです。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 どうもそれは一人だからと言つておりますけれども、これは先生がただけが、県庁なら県庁の機構を見るときに、教育長というものはやつぱり一つの成るほど構成的にはそうなつておるかも知れんけれども、実際見て御覧なさい。一人というのはないと私は思われるのですね。ほかとの連関があつて、仮に今教育長は外してもいいとするならば、教育的にはもつと自由に活動しなければならない教員をなせそんな職階制の中に追込まなくちやならないか、こうお聞きしているのです。そこがわからないのです。どつちが一体必要だと思つておられますか。教育活動として、それからどつちが本当にそういうものに縛られないでいなければならないと考えておられますか。教員教育活動をするそのときの自由と、これらの教育長が何と言うつても官僚機構の一つの中に入つておる、こういうよう教育長を職階制から外しておる場合と、具体的にどう考えておられ、どつちが必要だと考えておられますか。そういう点の検討ですね、もう既成観念ではだめなんですよ。
  67. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教員について教育上の識見等に基く自由を認めるということが、職階制を布けばその自由を認めないことになるというお話が私にはそう納得が行かないのです。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 おかしいですね。具体的にそうなるのですよ。職階制というのはうんと締められるのですよ、何と言つたつて。だから問題になつておるでしよう。どうもそれが適当でないとお考えになる、そこが私にはわからない。簡単に申しますと教育長を外しておるのになぜそれよりももつと自由がなくちや成り立たないところの教育活動、そういうよう教育活動の質からいつても当然それを要求している教員に対して職階制を外さないのかと聞いておるのです。その根拠を挙げて頂きたい、こう言つておるのです。
  69. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 繰返して同じことを申上げなければならなくなるのですが、教育長については只今のお話で御承知願えたと思うのですが、一人一官のものを職階に入れるということが職階建前からいつて妥当でない、又適当でないということを申上げた。教員につきましては先ほど来申上げておるように、教員に適当な職階制を布いては悪いということにはならない。又職階制を布くことが圧迫することであるとは思いません。職務の困難さ、重さ要、責任の重さというようなことからそこに分類をして行つて他の教育公務員以外の公務員についてでき上つて行く職階制と睨み合せて更に一般の客観的な一定の基準を作つて、それを裏付けにして成るべく給与についても比較して合理的な地位にはめ込んで行く、地位を発見して行く、こういうことだと考えております。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 そんなに職階制というのはあるのですか。あなたの頭の中でだけあるのじやないですか。現実にあるのか、あるということを前提にしなければ今の話が成り立たないのであります。そんなに適用を受けたほうが非常にいという職階制というのがあるのならば見せて頂きたい。見せないできめてしまつたあとで観念的に言われたつてようがない。そんなにいい職階制といつて、あるのですか。
  71. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 先ほど来のいろいろの御希望、或いは御注意、質問うちにありましたそれらの点を十分考えに入れて、それらのことを取入れてよい職階制教員のために作るために努力いたし、研究もいたしたいとこう申上げるのであります。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は今政府委員教育長は一人だからこの職階制を必要としない、こういうよう説明を聞いて一応わかつてつたのがわからなくなりましたから質問申上げるのであります。教育長を職階制から除いて教職員職階制をされる根拠如何ということで両者の意見は別れると思うのであります。併しここの提案内容というのは職階制及び給与、勤務時間その他の勤務条件、こういうふうに幅が広くなつておるのでありますね。私はあなたが教育長は一人だから職階制は云々と言われるけれども提案の趣旨は次のようなものじやないかと思うのでありますがね。即ち教育というものを一般地方行政から分離して並立にする、将来としては財政面も独立して、教育行政と一般行政というものが並立の形に行くべきものである。現段階考えるというところの県議会は決議機関、教育委員会は決議機関や行政機関と少し性格が違います。県議会というものは県議会の上に執行部として知事がある、教育委員会では知事に相当する教育長というものがおる、こうなつておりますね。ところが知事並びに県議会並びに議員というものは全部特別職で除外されておる。教育長というものが一般行政と分離しておりながら非常に軽く扱われておる。それで教育長というものを私は一般知事とのバランスにおいて公選がいいのだけれども、教育委員を公選して一つの間接選挙になつておる。いわば公選のような形になつておおるから、そのバランスの意味で教育長は給与、勤務時間その他について外したらいい、そういう意味に了承した。続いて教育公務員もやはり職階制を除くようになれば更にそれに教育体制というものが確立されて将来の線としていいから、そういうふうな線に進めたいものだとこういう意味で一応了承しておつたのでありますが、教育長が一人だから職制階を布けないから云云と言われるから、そこのところがわからなくなつたのでありますが、今私が言つたような意味が提案理由一つつておるのじやないのでありますか。
  73. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 御答弁申上げます。教育長の地位が知事に相当するという点についてはちよつと疑義があるが、むしろ教育委員会というものが知事に相当する立場にあるのじやないか。教育長は知事の立場相当する教育委員会の職員であつて、そうしてそれは専門的な立場から教育委員会を補佐し助言をして行くというそういう機関である。さてその教育長というものが一人きりであるということで、分類という点では職階として並べるというよりは、むしろ一つの一人一官独特の官吏である、独特の地位であるというふうに考える。従つてそれに相当するところの給与及び勤務条件というようなものを条例で別に定めるのだ、こういうふうに切離して独特に定めて行くんだと、たつた一人でありますし、そういう特別の立場にありますから、切離して別に条例で定めるのだ、こういうことをここで述べているのだと思います。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 相当問題があるですね、やつぱり。(「問題だよそれは」と呼ぶ者あり)それは一つの、政府としては、職階制を布くという前提に立つてつているからだけれども、だからそういう見解が出て来るのですね。まあ意見の相違になるかも知れませんが、私らの考えから行くと非常に官僚化して来る慮れがあると思うのですね。教育長のその職階制を外すことは諒とするが、それとやはり教育委員会の下僚であるところの一般教職員ですね。それにさつきからお尋ねしたように、この職階制内容はわかつているから、ここで問題にならないわけですが、如何なる職階制を布かれるか、同じ教育公務員である教育長と一般教職員の間の職階制についての基本的な考え方に、却つてズレがあると思うのですね。あまり妥協的じやなくつて筋が通つていないと思うのですね。
  75. 岩間正男

    岩間正男君 やつぱり教育長が教育を指導し助言するというようなことは、これは変つたわけですか。教育委員会がそういうことをすることは、私はたしか法案の審議のときに私たちはこれは了承しております。教育長というのは事務屋です。事務をやるだけでしよう。いつ、そう変つたんです。
  76. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 私先ほど申上げました際に、教育長は直接に指導し、助言するとは申上げていないのであります。教育委員会教員を指導して行くのであつて、そのことについて専門的、指導的な立場から教育委員会に助言をして行くということが、具体的には教育長は専門的立場に立つて、反射的に教員を指導し、助言をして行くということになつて行くのです。教育委員会の機能としてそういうものがある。そうしてそのために指導主事とか或いは今度できます社会教育主事というようなものがその専門的な職員としてあるのだということをここで申上げたんです。
  77. 岩間正男

    岩間正男君 教育委員会法の四十九条によると、学校その他の教育機関について、指導と助言ですね、これを求めることができるのであつて教育長からこれを積極的にやるといつた機能上のあれはない。ところが具体的にはですよ、いつの間にかそれが、委員会法ができてから一年後の様子を見ますというと、まるで教育委員会というものは、ロボツトになつてしまつた。実質的には教育長にしつかり握られてしまつた。まあ文部省はどこを通じて教育行政をやつて行くかというと、教育長を集めて講習なんかして、そこでいろいろな又文部省の意思をそこから実現するようになつた全国教育委員会というものはロボツトになつている。だからそういう考えが出て来ているのではないか、そこで教育長を非常に過大評価しておる。若し構成の上から当然の職責からいうと、そういう積極的なものであつてはならない、事務屋である。それを過大評価している、だからこれを一般職から外すと言つている。そして一方では教員職階制にぶち込もう、こういうことになつておるから、これは法制上の解釈からいつても非常に今日現実では逆に運用されている。そこから来ているのではないのですか。
  78. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 教育長を一般職から外してしまつているということは、この法律にはございません。
  79. 岩間正男

    岩間正男君 その職階制は……。
  80. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 職階制教育長が一人一宮であるから当てはめなかつた。その職務の性質上妥当でないから外す。外すけれども野放しにしておくのじやないので、そういう一人一宮の特別の職員という意味において条例で定めることにするという点が一つ。それからもう一点は、御質問の中に、教育長が独特に自分自身で直接に学校を指導し、学校先生を指導し、助言するということはおかしいとおつしやいますが、そういう、とは規定されてない。指導を求め、助言を求められる場合には、指導をし、助言をすると同時に、又教育長は教育委員会そのものに対して、専門的な立場から或いは助言し或いは推薦して行くと、こういうふうに申上げていると思います。
  81. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題を私は非常に運用の仕方において問題があると思うのですが、これは疑問として残して置きたいと思います。
  82. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは二十二条、簡単に。
  83. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 二十二条を続けて申上げます。  第二十二条中「職務を行う者」の下に「、文部省設置法(昭和二十四年法律第百四十六号)(第十三条に掲げる機関(日本芸術院を除く。)並びに文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)(第二十条に掲げる国立博物館及び研究所の長及びその職員のうちもつぱら研究又は教育に従事する者」を加える。
  84. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 二十三条。
  85. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 読みます。第二十三条第二項中「国家公務員法」の下に「又は地方公務員法」を加える。
  86. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 二十五条第一項。
  87. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 読みます。  第二十五条第一項第八号中「文部大臣」を「任命権者」に改め、同条の次に次の五条を加える。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 二十五条の二。
  89. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 読みます。  (分限、懲戒及び服務)  第二十五条の二 教育委員会が置かれていない地方公共団体の設置する学校大学を除く。以下この条及び第二十五条の三において同じ。)の職員の分限、懲戒及び服務については、地方公務員法第二十七条から第二十九条まで、第三十一条、第三十二条、第三十五条、第三十六条又は第三十八条に規定する条例、地方公共団体の規則又は地方公共団体の機関の定める規程(同法第三十八条に規定する人事委員会規則を含む。)で定めるものとされている事項は、都道府県の設置する学校の職員の例によるものとする。
  90. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 二十五条の三。
  91. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 読みます。  (不利益処分に関する審査機関)  第二十五条の三 教育委員会が置かれていない地方公共団体の設置する学校の職員に対する不利益処分に関する審査については、地方公務員法第四十九条第四項及び第五十条に規定する人事委員会又は公平委員会の職務は、都道府県の人事委員会が行い、同法第五十一条の規定により人事委員会規則又は公平委員会規則で定めるものとされている事項は、当該都道府県の人事委員会の規則で定めるものとする。
  92. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 二十五条の四。
  93. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 読みます。  (給与、勤務時間その他の勤務条件)  第二十五条の四 市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)(第一条及び第二条に規定する職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第二十四条第六項の規定により条例で定めるものとされている事項は都道府県の条例で定めるものとする。  2 前項の都道府県の条例に関する議案の作成及び提出については、教育委員会法(昭和二十三年法律第百七十号)(第六十一条に規定する事件の例によるものとし、都道府県の教育委員会は、その議案の原案を作成する場合において、市町村に教育委員会が置かれているときは、当該教育委員会意見を聞かなければならない。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第二十五条の四の二行目の職員の給与ですね、この給与の件でよく問題になりますところの公務災害補償の件ですね、あれは現在どういうふうになつておりますか。
  95. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 現在は市町村負担になつております。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 弱小市町村の経済力からいつてそれでは困まるから、昨年あたりは随分問題になつて、平衡交付金の中にぶち込んで県に交付して、実質上は県のほうから交付するというような形をとつてつたと思うのですが、市町村負担でそのままでいいとお考えになつておるか、実際の運営上今後それをどうされるかお聞きしたいと思います。
  97. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 財政的に困難な事情にある市町村がこれを負担することにはお説の通り問題がありまして、そのことについては文部省といたしましても研究をいたしております。なお府県が実質上において市町村に対して何らかの緊急の措置を講じたいというようなことについて、今お話がございましたが、さようなことも聞いたことはございます。なお将来の問題としてはこの点についてはいささか研究もいたしておりまするが、又別の機会に当該の政府委員等から御説明を申上げる機会も或いはできるのではないかと思つております。将来の問題として文部省研究をしておるという点を附加えて置きます。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次々にいろいろ法律が出て来ますので、そしていつも議論になりますように保護法規か制限法規かというような問題が出て参りますので、而も教職員の身分の保障とか、或いは生活安定の問題もこれは真剣にお考えを願いたい。公務災害補償については非常にこれは問題が起きておりますし、それと関連して学校医あたりの公務災害をどういうふうに扱うかということは、学校衛生と関連して随分大きな問題がありますので御研究願いたいと思います。  もう一つお伺いしたい点は地公法も出て、さつきも申されたよう職階制を布くということになると教職員は制限が加わるし、先般の給与法改正においても調整号俸あたりも崩れまして教職員の特殊性というようなものも相当落した点もあると思います。ところが日、宿直料にしても、或いは超過勤務の件についても、そういう点は教職員の勤務時間なり拘束時間というものがつかめないからだというような恰好で、一般の公務員教職員の場合切離して、数が多く余計金が要るというようなことも考えられるかと思いますが、それをどういうふうに扱うか。この際私は職員の給与の件についても教職員の超過勤務というようなものもはつきり法制化する必要があるんじやないか、現在どういうふうに努力されておるか、又交渉の結果というものはどうなつておるか、又文部省としてどういう考え方を持たれておるかという点をここで承わつて置きたいと思います。
  99. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 災害補償の点については別途に今研究をして相当の準備をいたしております。なお教職員の待遇については全般的にお説の通りだと思います。そのために努力せよというお話でございますが、努力は続けていたしております。どうか皆さんの御後援を得てその努力の効果が挙るようになるようにお願いいたしたいと思います。なお但し超過勤務の点については根本的に多少御承知のような問題がございますので、まだ結論を申上げる段階にはちよつと達していないと思います。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部省かたは御承知と思いますが、超過勤務の制度というものがはつきり確立しないと、調整号俸を落されて来た今日としては非常に困るわけです。地方公共団体においてこの一般公務員は超勤制度がある、教職員には超勤制度がないというのが、これが癌となりまして随分とその待遇上にでこぼこができるのですよ。それで常にこれが問題になつているわけなんですが、教育公務員特例法というようなものを設けるとなれば、反対に教職員には超勤を出さんというようなそんな特例法を出されちや困るわけで、一般公務員よりも劣つているような、そういう待遇の面も積極的に一日も早く解決して頂かんならんと思うのです。どういう努力をなさつているのですか、超勤の問題については。
  101. 関口隆克

    政府委員関口隆克君) 超過勤務のことについては超過勤務というものを教員についても認めるという立場をとつて文部省も主張をし、折衝をしております。なお財政的な点についての手当については了解を得るにまだ至つておりません段階でございます。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今日はここまでにして又明日続いて質問いたします。
  103. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。明日は二十五条の四から続けます。    午後零時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            成瀬 幡治者            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            左藤 義詮君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高橋 道男君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省調査普及    局長      関口 隆克君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君