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1951-02-09 第10回国会 参議院 文部委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月九日(金曜日)    午前十一時三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公立学校教育公務員地方公共団  体の議員との兼職について臨時措置  に関する法律案荒木正三郎君外十  名発議) ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の委員会を開きます。  この際皆さんにお諮りいたしたいと思いまするが、議員荒木君ほか十名から議員提出立法として、公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案提案になりました。本日本委員会に付託されましたので、本日の議事日程に追加して審議をいたしたいと思いまするが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本件律案は緊急を要するものでありまするので、この前より引続き審議いたしておりまする教育公務員特例法の一部改正に関する法律案に先立つてこの法律案審議を始めたいと思いまするが御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは提案者の御説明を願います。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今本委員会審議を付託されました議員提出にかかります公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案について発議者といたしまして提案理由説明させて頂きたいと思います。  この法案内容は先に政府より国会に提出されました、そして現在本委員会において審議中になつております教育公務員特例法の一部を改正する法律案附則第四項に出ているものでございます。でこの法律案内容は、「この法律施行の際現に公立学校教育公務員地方公共団体議会議員を兼ねている者は、地方自治法第九十二條第二項の規定にかかわらず、その議員残任期間中、なお議員を兼ねることができる。」というのでございます。附則といたしまして、「この法律は、昭和二十六年二月十三日から施行する。」というのでございます。併し現在本委員会審議中の教育公務員特例法の一部を改正する法律案附則第四項の一部改正する法律案案議状況から勘案をいたしまして、この法律案が二月十三日までに審議を完了することは相当困難な事情にあるように思われます。若しこの法律案が二月十三日までに成立しない場合を考えますると、現在地方公立学校教育公務員地方公共団体議員を兼ねておる者は二月十三日以降兼任ができないという結果になり、これは既得権を喪失することにたるわけでございます。そのためにこの既得権を擁護するために、この附則第四項を単独立法をいたしまして、たとえ教育公務員特例法を一部改正する法律案が十三日までに成立しない場合でも、何ら遺漏のないようにして置きたいということがこの提案理由骨子になつておるのでございます。  非常に簡單でございますが発議者といたしまして提案理由説明を申上げた次第でございます。御審議をお願いいたします。
  6. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 只今法律案提案理由を承わりましたが、これに対して御質疑のあるかたはおつしやつて頂きたいと思います。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 動議を提出いたしたいと思います。この問題については、すでに本委員会の問題にもなり、懇議会におきましても今までこの必要性については十分に話合をされた問題でありますから、審議はこれで打切りにして討倫に入られるよう勅議を提出いたします。
  8. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 只今岩間君の動議に御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  9. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本案に対する質疑は終了したものと認めて討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。  御意見もありませんければ採決に入ります。公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案、これを議題といたします。本案を可決するほうに賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立
  10. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 全会一致でございます。よつて公立学校教育公務員地方公共団体議員との兼職についての臨時措置に関する法律案全会一致を以て可決することにいたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において本案内容、本委員会における質疑応答要旨討倫要旨及び表決の結果を報告することといたしまして御承認願うことに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  11. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告につき、多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可決することに賛成のかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名    加納 金助   成瀬 幡治    若木 勝藏   木内キヤウ    川村 松助   平岡 市三    荒木正三郎   高田なほ子    波多野 鼎   和田 博雄    矢嶋 三義   岩間 正男
  12. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御署名洩れはございませんか。……御署名洩れないと認めます。    〔委員長退席理事木内キヤウ委員長席に着く〕
  13. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 引続き総括質問に入りたいと思いますが、ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  14. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 速記を始めて下さい。それでは逐條のほうの御質問に入つて頂きたいと思います。
  15. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) それでは朗読いたします。   教育公務員特例法の一部を改正する法律案   教育公務員特例法昭和二十四年法律第一号)の一部を次のように改正する。   目次中「雑則(第二十一條・第二二條)」を「雑則(第二十一條—第二十二條)」に、「附則(第二十三條—第三十四條)」を「附則(第二十三條—第三十三條)」に改める。
  16. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 御質疑ございませんか。    〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕    〔關口政府委員朗読〕   第二條第四項を次のように改める。  4 この法律で「専門的教育職員」とは、指導主事及び社会教育主事をいう。   第五條第三項から第五項までを次のように改める。  3 大学管理機関は、審査を受ける者が前項の説明書を受領した後十四日以内に請求した場合には、その者に対し、口頭又は書面で陳述する機会を與えなければならない。  4 大学管理機関は、第一項の審査を行う場合において必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、又はその意見を徴することができる。  5 前三項に規定するもののほか、第一項の審査に関し必要な事項は、大学管理機関が定める。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 審議の仕方について動議を出すわけです。「第五條第三項から第五項までを次のように改める。」という、この項目の本質的な質問大臣に対する総括質問を終らなければこれはできんと思います。ここでは本当の形式的な、つまり事務的な質問だけにとどめて、内容に亘る質問大臣に対する一般質問終つてから更にやるということを保留して置いて、この会議を進めることを私は審議動議として提出いたします。
  18. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) それではそういうふうにやります。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その観点からここで一、二お伺いします。  この條項では大学管理機関をどういうふうに構成するかということが非常に重要だと思うのですが、大学管理機関構成をどういうふうに考られているかという点が先ずお伺いいたしたい点であります。
  21. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 現行教育公務員特例法の第二十五條第一項第四号でありますが、第五條については「学長にあつては『協議会』、教員にあつては『評議会』、部局長にあつては『学長』」、こういう規定がございますので、まあこの條文にある通りでございます。一般大学教職員につきましては評議会がこの管理機関に当つております。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在の教育公務員特例法の二十五條による読替えのところはそこではつきりするのですが、将来大学管理法ができたときに、どういうふうにそれに対して構想を持つておりますか。
  23. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) やはり現在予想せられておりまする国立大学管理法規定におきましても、評議会がこうした主たる大学管理機関になるわけであります。即ち学部長及び学部から選任せられた教授研究所の長、及び大学協議会できめまする適当と考えられる職員によつて構成せられる評議会がこの管理機関に当るわけであります。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大学のほうで適当と認める人を構成に入れるわけですが、その全構成員に対する割合はどのくらいになるわけですか。
  25. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) やはり各大学において、最初には評議会構成必要職員と申しますか、條文が明らかになつております。そのかたがたが集つてどういう人をどの程度入れるかということを自主的に相談されるわけであります。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自主的に相談されると申されるが、これは各大学に完全に任して……。大学を管理する文部省とか、或いは法律によつてそれを制約するというようなことはないですか。
  27. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 只今考えられております案におきましては、例えば病院長を入れるとか、指導主事を入れるとかいうような点は全く自由にその大学最初構成せられました協議会においてきめることになつております。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これに関連してもう一つ事務的なことを伺つて置きたいのですが、それは現在新制大学において教授会はどの程度構成されているか、なお教授会構成されていない大学においては人事の取扱いをどういうふうにやつておるかという点についてお伺いしたい。
  29. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 今日新制大学につきましては、御承知のように形成過程であります。つまり大体に申しますると、一般教育から進行いたしまして、漸次上級学年において専門教育に進行する、年次的に充実して参ります関係上、大体の大学におきましては、自然一般教育に関しまする教育職員を先ず構成いたしまして、だんだんに専門関係職員を以てこれに充てるということになります。それらの職員のかなり多くの部分は旧制専門学校、或いは高等学校師範学校から転換して入つて来るわけであります。従いまして新制大学最初に任命せられました教授だけを以て教授会構成して、人事その他重要なことを扱わせるということになりますると、学部全体の教育を見渡しました場合に、或いは一般教育のみに片寄るとか、その他種種不都合な点がありますので、この形成過程にあります新制大学におきましては、いわゆる教授の会、予定教授の会と申しますか、種々の名称を用いておりますが、任命せられました新制大学教授、及び旧制学校教職員であつて新制大学教員たるべき予定のある者等を加えまして、然るべき機関をそれぞれ作つておるわけであります。又同時にこの経過的の措置といたしまして、新制大学教授資格があるかどうかということの判定につきましては、大学設置審議会に特別の部会を設けまして、資格審査をいたしております。これらは国立大学管理法実施になりましても、各大学完成年度において、或る程度教授が充実いたしまするまで、現在の大学設置審議会人事に関しまする審査は継続して行くというふうになつたわけでございます。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨年来の大学人事行政にからみまして、新らしく生れた大学では、教授会というものがはつきりと構成されずに、なお教育公務員特例法新制大学に対する適用というのが徹底していなくて、大学によるというと、相当学長が独断的な人事をやつて、面白くないことがあるように聞いているのでありますが、新制大学人事が現在の教育公務員特例法精神に副つて民主的に人事行政が行われるように、文部省としては如何なる助言指導されているか、その点を伺いたいと思います。
  31. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) いわゆる大学自治と申しまするか、大学教育職員人事行政がその大学自主的立場において、最も民主的に行われまするということは、旧制新制を問わず大学の最も重要な性格であると考えております。これらにつきましては今更文部省から指導助言いたすまでもなく、各大学におけるすべての教職員がそういう点については十分な自覚を持つて大学行政に参画せられておるとまあ信じておるわけであります。文部省といたしましてはそうした大学自治が完全に運営せられますように、諸法制の整備ということを努めるべきだと考えております。そういうような意味合いにおきまして、一般公務員に対する国家公務員法一般地方公務員に対しまする地方公務員法に対しまして、只今審議頂いておりまするような特例も設けたいと考えておりまするし、又更に現在法案整理中でございますけれども、国立大学管理法念願いたすところ、公立大学管理法念願いたすところの、そうした大学自治をより完全ならしめるという意図において、各教授会構成、或いは協議会構成及びその職能とを勘案している次第でございます。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 構想というのは非常に立派なのでありますが、私旧制大学あたり教授会の伝統があり、そうしてがつちりと構成されているところは今局長から話されたようなことが実際に行われておりますが、新制大学あたりでは昨年来のレツド・パージあたりと関連して、教授自身信念に基いて行動するという点が薄くなつて迎合主義になる。言うべきことも言わずに卑屈な教授根性というものが出て来ておる傾向があつて、それに乗じて一部の学長というものは、こういう特例法精神を蹂躙して、独断的な人事行政をやつておる面もある。助言指導を全くせずに手放しにして置いても、新制大学においても立派な人事行政が行われるのだという、こういう見解は事実とかなり相違しておるということを私はこの際に局長に申して置きたいと思うのであります。まああとに譲ります。  もう一つお伺いして置きたいことは、この條項提案理由に、運用上疑義がある、或いは実施上往々支障を来すから、この改正案提案したと、こういうふうに提案理由に述べられておるわけでありますが、どういう疑義があるか。又実施上どういう支障があつたかということにつきまして具体的に承わりたいと思います。
  33. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 御質問の点はこの第五條改正の根本の趣旨でありますので、従いましてその全体的の理由を一応申上げないと今の御質問のお答えにはならんと考えますので、暫くお許しを頂きましてその点を申上げたいと存じます。大体この国家公務員に対しましても、地方公務員に対しましても、勿論その中には大学教育職員も含まれておるわけでありますが、身分保障の方法といたしましては、国家公務員法の八十九條乃至九十二條地方公務員法におきましては四十五條から五十條の規定がありまして、その意に反する任命権者処分或いは懲戒権者懲戒というものに対しましては、国家公務員におきましては人事院と公平委員会地方公務員におきましてはそれぞれ人事委員会或いは公平委員会審査の請求ができるということによつて身分保障はあるわけであります。ただ特に大学に関しまする教育職員に対して従来の五條規定が設けられました趣旨を考えますると、これは処分権者或いは懲戒権者が独自にこうした処分なり懲戒をやるということでなくて、その処分に対しましては前提として大学管理機関審査を必要とするところにこの五條趣旨がある。つまりこれによつて先ほどお話しの大学人事に関しまする自治というものを尊重するというところに意義があるように考えられます。而してその際大学管理機関審査いたしまするにつきましては、審査の適正を期する意味において、被処分者弁明陳述を聞いて、それを審査一つの材料として審査をするということがこの五條趣旨であつたかと考えております。従いましてこの五條法文はただに本人身分保障という一点のみから考えるベきものではないと考えます。同時に反面大学教育大学行政が円滑に而も能率的に運用せられるということが五條念願とするところであると考えるのでありまするが、今までこの五條を適用いたしまして、大学において審査を受けております状況を見ますると、或る場合におきましては現行のこの五條規定によつて証人参考人弁護人の陳情を許しておるという点を非常に広く無制限に解釈するというようなきらいがないでもない。その意味において非常に審査が回数多く継続しても落着しないというのが実情であるようであります。従いましてそれらに対しましては、この審査というものは、決していわば争訟法廷における争訟形式によつて行うべき趣旨のものでなくて、これはいわゆる聴問主義と申しますか、大学管理機関審査をする上において一応本人弁明陳述をする機会を與えるのだという趣旨を明らかにすることによつて、この五條念願とするところの精神を誤解なく実施に移したいという点を考えたわけであります。又従来の規定において、この公開審査ということを規定いたしておるわけであります。ただこれも今までの審査実情を見ますると、大学という学園におきまして、あらゆる場合にこの審査を公開して行うということは、果して教育上害があるかどうかというような点について、疑いなきを得ない事実もある。大学の一部職員管理機関学園において、学生の面前において、論争、抗争するというようなことは、ときとしてこれは教育に対して悪影響を及ぼす、で改正案は一切公開しないというのではなくて、如何なる場合にどういう範囲で公開するかということを大学管理機関自身がその良識において、教育的見地において決定して頂きたいという意味で、それらの問題を大学管理機関自体がきめることに委したわけであります。只今申しましたのが大体この五條改正しました趣旨でございますが、御質問の中にありますように、従来一、二の大学において審査をいたしておりますのは、従来の規定の解釈からか、余りに審査が長く経続いたします。行政部面における人事行政というのは一面愼重を期するということも勿論大切でございますが、一般行政の原則から見まして、一定の能率と速度を要求することも馬鹿になりがたい要求でありますので、それらに対する行き過ぎを是正いたしたい、こういう考えかた改正いたしたわけであります。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点はこれ以上掘下げることは次の機会譲つて、もう一つだけこれに関連してお伺いして、私はこの項に関する質問を打切りますが、この第五條の三項、五項にこの審査條項を適用したのは、資料に出されておるような二件だけでございますか。それともほかにございますか。
  35. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 資料には、東京大学と神戸大学の事例だけお目にかけておると思います。その前にたしか山形大学でもこの審査にかけた事実はあつたようでございます。併しながらその後に審査と申しますか、その処分をせられたかたが、教育委員会に立候補するというようなことで、すぐその問題が中絶したという例があります。それから今一つ佐賀大学であります。やはりこの審査が開かれたと思いますが、被処分者が別にこれは占領政策違反ということで別の処罰を受けることになりましたので、自然この審査が中止した。私の記憶いたしておりますのはその四件であります。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 殊にこの問題について内容的な、それから総括的な問題は今文相が欠席中でございますから、技術的な面についてお伺いしたいと思います。実はこの法案趣旨から言いますと、評議委員会構成そのものが明らかにされないと、具体的にはこの第三項の内容がわからないわけです。大学管理法は結局これはいつ出されるのですか。我々の審議の都合から言えば、当然大学管理法を見ないと、この條項が明らかにならないように思うのですが、この点どういうふうになつておりますか。
  37. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 国立大学管理法につきましては起草委員会からの答申が出まして、目下その答申に基いての法文の技術的な整理をいたしております。関係方面了解を得次第速やかに国会に提出いたしたいつもりで運んでおります。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 そうするとこの構成内容ですね。そういうことはもうはつきり決定されておるのですか。
  39. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) すでに現在実施いたしておりまする教育公務員特例法において、この評議会なる字句を用いておつて、その点につきましては、この改正法について何らの修正を加えてない。評議会内容が明らかでありますのは、教育公務員特例法実施以来今日すでに明らかになつた問題だと思つております。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 その構成内容変化はないのですか。この評議会そのものの名前でなくして、構成の……。
  41. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 各大学ごと学部代表教授の数が変わるとか、或いは従来の主たる構成員に加えて特殊な職員を加えるというようなことは今後変わり得ると思いまするけれども、評議会の大体の構成分子、及び評議会職能につきましては現在あるところと別段変わることはないと考えております。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 先ほどのお話では大学の適当と認める人と、こういうものが入るということでございますね。そういうウエイトとか、そういう問題については、これははつきり実際の法案が提出されていないと明らかでないと思う。この法案がですよ、仮に特例法通つてしまつてから内容について変わるというようなことがあると、これはやはりこの法案との連関において影響を持つ。こういうふうに思うのですが、そういう点はどうなのですか。
  43. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 最初構成せられました評議会において新たに加えまするものとして想像せられまするものは、すべての研究所長評議委員会のメンバーとするか、或いは小さい研究所は除くかというような問題とか、補導部長事務局長或いは病院長或いは附属学校主事当りを加えるかどうか、そういう点だけが未定の問題であつてあと評議会構成は現在考えられまする評議会構成とは大差ないものと考えております。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 その骨子だけでもこの法案審議過程に出してもらうということが必要だと思われるのですがこれはどうですか。これなしにはおかしいのですが、やはりそういう前提的な條件が一方に伏せられておいて、そうしてこの法案審議が十分にできるか、而も非常に第五條改正問題というのは、やはり大きな関心が関係者において集められている、こういう中においてやはりその点が明らかにされることは、本法案審議にとつて実に重大な関連を持つ、こういうふうに思うのですがどうですか。
  45. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 政府から法案として提出しようとする予定の草案というものは、先ほど申上げましたようにまだ国会にお目にかける段取りにはなつていないと思います。併しながら国立大学管理法起草委員会政府答申いたしましたもの、その大体はすでに公聴会等において世間に発表いたしておりますから、それらの起草委員会答申いたしました案というものは、その性格は明らかにして御参考に供することはでき得ると思います。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 その後に大きな変化はないわけですね。
  47. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 今までのところは大きな変化はございません。ただこれから関係方面了解を得まする間において、或いは変化を生ずるかも知れないと思つております。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 そういう前提だと非常に本法案審議そのもの根抵を持たないということになつて来ると思う。そういうことになるとこの法案通つた場合と、通らない場合において、これは内容が果して今後変化があるかないかということは予測できない。こういう不安定の形の上に立つてこの法案の最も重要な一つのポイントになりますけれども、こういうものは非常に審議におぼつかない形が出て来ると思う。そういう点はどうなんですか。文部省は少くともその点はつきりした見解を述べなければこの法案審議に差支える。
  49. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 評議会というものが若し国立大学管理法によつて果して置かれるものでありますれば、お話のような御疑念もあろうかと思います。併しながら評議会につきましては、すでに法律の根拠におきましても、現行教育公務員特例法にも引用しておりますように、評議会と申せば、いわゆる社会通念上如何なる職能を持ち、如何なる構成を持つかという、その性質はもうすでに明らかになつたことだと考えております。その限度においてこの改正法についても御審議頂いて、別にそういう不定とか或いは未定という要素がないのじやないか。先ほど申上げましたように評議会において各部局の長をどのくらい各大学において余計加えるかどうかということが、今後の実際問題として問題になるのでありますけれども、その場合そうしたどの部局長をどのくらい、特殊な部局長を加えるかというような問題が、この評議会の根本性格をそう動かすものであるとは私ども考えないのであります。そういう意味におきまして今日まで御審議頂いてすでに公布になつておりまする教育公務員特例法において御了解になりましたその評議会性格を以て、この五條改正を御覧頂ければ有難いと思います。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 まあ政府委員としては有難いでしようが、我々としては余り有難くない、こういうことを言いたい。看板は出して届く、すでにこの法案にも看板として出ておる。その看板が内容がどんどん変えられておるのは今の日本の現実だ、だから、この問題は非常に重要になつて来るのである。骨子を出されて、その骨子に対し或る程度文部当局が責任を以て、我々に説明されることを要望したい。それからいろいろさつきの御説明があつた点については、これは非常に問題があるのです。身分保障のみでなく円満に、能率的にやらなければならない。争訟主義の方向でなくて聴聞主義くらいで参考意見を聞くんだ、こういうことも日本の今の現実、こういうことを考えまして果して一体どういう形になつておるか。真に大学が民主化されておるとは我々は考えられない。現状では……。そういう曙光が、光がさして来たということはこれを感じたことがあります。それは入梅のあの日ざしみたようなもので消えてしまつた。こういうことを考えて聴聞主義になつて、そうして更にこれによつて今まで三十日以内を十四日に限定されておる。それから今度は機会を與えなければならない、それについてどういうふうにするかということは、單に機会を與えること、こういうことになつておる。そういうような問題、更にこの次の第四項なんかになりますと、これは弁護人の選定とか、いろいろな点で大きな変化をされて来る、こういうことがなぜ起つたか、今まで二つの例があります。さつきも御説明のように四つあつた。そのうち二件が著しい例と思いますが、二件の例が果してなぜそういう事態にまで起らざるを得なかつたか。最初にそもそも無理がなかつたかということについては、我々もいささか聞いておる。文部省でもそういう事態を具体的につかんで、形の上からだけ見たんでは話にならないと思うのでありまして、先ほど本法案が成立された趣意についてお話があつたのでありますけれども、このなぜ一体今言つたような点について大きな変化を加えなければならなかつたか。これは円滑で能率的に人事をやりたい、こういうことが本旨でありますが、その前提條件であるところの、そもそも最初にこの大学教職員に対する身分の保障について、そもそも今度の今問題になつておるそういう問題がですね、無理がなく進行されたか。その点が非常に重大な問題、現実的な判断をお願いしなくちやならん。そういう点を感じます。併しこれはまあ今局長と論争するつもりはありません。併し私は今のお説では不満だけれども、不満の意を表明して置いて、まあこれはこの辺でとめて置きます。
  51. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  52. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは速記を始めて。それでは午前はこれで休憩いたしまして、午後一時半から再開いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後二時九分開会
  53. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは午前に引続き委員会を再会いたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  54. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて。本日地方行政委員長のほうから、現在本委員会審査されておりまする教育公務員特例法一部改正についての法案に対して連合委員会の申込みがありましたので、明日議事散会後行いたいと思いまするが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  56. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて。文部大臣がお見えになりましたから、総括的の質問を始めます。すでに総括的な質問と、逐條と両方に入つておりまするが、一時逐條を中止して総括的の質問に入りたいと思います。質疑があるかたはお願いいたします。
  57. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私はこの際教育公務員特例法の立法の根本精神について第一に伺いたいと思います。  終戦以来の日本の民主化は、御存知の通り目ざましい進展をしておるのであります。そういう目ざましい進展の裏に何があるかということを考えて見たときに、それはいろいろの諸制度の改廃ということもあるでありましようけれども、最も力強いところの推進力になつておることは労働組合法の制定によつて、労働者が政治的、或いは経済的に或いは社会的な地位の向上が見られた。そこに非常に私は大きな推進力かあると思うのであります。ところがこれはまあ一般労働組合法におけるところの、いわゆる労働者階級になるわけでありますけれども、特にその中において、いわゆる一般の公務員又は教員、そういうふうな面の人たちが労働組合を結成して、自分の経済的な地位とか或いはその他の地位を向上させつ、一方においては官僚主義を打破して行政の民主化に寄與したところがあるだろうと思うのであります。又教員のほうにおいては、組合を結成して教育の封建性を拂拭して、教育の民主化を図つて来たこの力は、日本の民主化の上に非常に大きなものを持つておると私は考えるのであります。ところがその後において、政令二百一号なるものが出まして、これによつてこれらの組合の団交権であるとか、或いは協約権であるとか、或いは罷業権であるとかいうものが失われるに至つた。それが非常に私は日本民主化の上に一つの大きなブレーキをかけたことになつたのではないか、そうなつて参りましたときに、労働組合法によつて、いわゆる労働者の立場を保護しておるところのものに変わるべきものが、私は再び言いますが、教員なり一般公務員の地位を保護することに変わるべきところのものが、いわゆるこの国家公務員法であり、或いは地方公務員法なり、又教育公務員特例法でなければならない、そういうふうに考えるのであります。ところが事実はこれらの諸法律によつて全く労働組合法による保護を再び受けるというような立場が失われておるのではないか。先般来この文部大臣に対する質問の中に、これは一体保護規定なのであるか、或いは拘束規定なのであるか、そういうふうな質問がたくさん出たようであります。或いは又教育公務員法の中に給與の面については、事務的な一面しか出ておらない。最も大事なところのいわゆる教育者の地位を護るべき給與方面について何らの保護規定がないのであります。こういうふうな質問もあつたようであります。こういうことは、当然私はこの教育公務員特例法性格から出て来るところの、一つの批判でないかとこう考えるものであります。そういうふうに私が考えましたときに、この教育公務員法の特例法なるものの制定の根本精神において、文相はそれに対してどういうふうにお考えになるかこの点をお伺いします。
  58. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はですねこの教育者というものは、ただの労働者ではな、という考えを抱いております。ただの労働者でない教育者というものが、ただの労働者に比べると、概念的にその内容が豊富になつておる。ということはですね、又一方に行くと概念的に活動が狭められるということにもつて来るということは当然の話です。だからして自分は教育公務員特例法によつて教員を保護しようという考えは勿論でございます。けれども保護とか、自由とかいうことはいつもですね、規律とか、制限ということを離れてそういうことはあり得ないということは、この前ここでお答えをした通りであります。一般の根本において私は教育者というものは、ただの労働者ではないのだ。特殊な労働者なんだ。労働者という一般概念にある一つの限定を加えた、言い換えれば一つのそこに徴表を余計増しておると、そういう存在だとこう考えております。
  59. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、そういう立場から、いわゆる国家公務員法なり、地方公務員法文は教育公務員特例法というようなものが、まあ特別に一般労働者と変つて用意せられなければならないこういうことになつて参りましようか、この点を伺います。
  60. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞君) 一般の労働者と申しましようか、同時に一般の公務員ですなあ、公務員と違つたところが出て来る。これを保護しようというのがこの教育公務員特例法と考えております。
  61. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点はまあわかりましたが、そこでですなあ、重ねて伺いたいのはですなあ、この国家公務員法、或いは地方公務員法というようなもの、特例法の母法ともいうべきところのものの制定によつて、従来労働組合の結成によつていわゆる団交権或いはこの協約権などが認められて、そうして自由な活動をして来た場合と比べまして、それらの国家公務員法などによるところのこの枠付けが、日本の民主化というふうなものに対して同等の力を持つておるように考えられておるか、或いはその点どうお考えになつておりますか。
  62. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 民主化という言葉なんですが、民主化という言葉は、一般の国民を手放しにしてしまうということではない。まして教育者というような重要な位置におる人を手放しにして何もなくしてしまうということが民主化ということじやないと思う。いつでも自由というものは、殊に政治的な自由というものは、いつでもそこに規律とか制限というものを伴つて初めてあり得るものだと思います。どこに制限を置くかということが、民主化ということにとつて非常に必要なことであり、民主化といえば何もかにもなくしてしまうという考えは間違つた考えであると私は思つております。
  63. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私の伺つておるのはその点でないのです。労働組合法の結成によつて活動しておつた一般公務員なり、教員の場合と同等の力を以て、この国家公務員法、或いは地方公務員法教育公務員持例法などにおいてその活動ができるのかどうかということについて伺つておるのです。
  64. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 只今の御質問はこういうことかと思うのですが、やはりこの教員という職分も一般公務員なんですからして、公務員が受ける制限は当然受けて行くということだと思います。
  65. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうも私の質問のあれにはぴつたりと言葉が来ないのであります。私は今の国家公務員法なり、或いは地方公務員法なりというふうなものが出ない前のいわゆる労働組合法の適用によつてこの活動しておつた公務員、或いは教員の立場が、より自由なる働きを以て日本の民主化に努力したと考えておる。それが公務員法のできた場合において非常に束縛を受けて来ている。いわゆる戦前の官吏や教員というような方向に進めておるのではないか、一体労働組合の適用を受けた場合と同等な一つの立場を與えられておらないのじやないか、それに対して文相はどうお考えになるか……。
  66. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私の答弁がうまく壼に入らないというのは遺憾とするのですが、私も思うにはこういうようにお答えするより法はないのですが、教育者としえどもやはり公務員なんですからして、そうして公務員法によつて公務員が一つの制限を受けたんですから、教員もそれに準じて制限を受けて来るというのは仕方がない。けれどもそれが民主化に反するのだということは私はわからないのです。民主化ということは、今も申しておるように、適当な規律の下に我々が自由を持つということだと思う。手放しに自由を持つということが民主化ということではないと、こう考えているのです。
  67. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 再三繰返して私が質問……、私の質問に対する御答弁はどうも私にはぴつたりと来ない。私はただ野放しにして置けば民主化ができるとは一向考えておりません。ところが労働法によつて動いておつた場合と、公務員法というふうなものによつて動く場合とにおいて、甚だしいところの差がないかどうか、同等に考えておるかどうかということを聞いておるのであります。
  68. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私の答はどうもあなたの壺にはまらんから、大変済まないですから、今度は政府委員にお答えさせて頂きたいと思います。
  69. 相良惟一

    政府委員(相良惟一君) 御承知の通り国家公務員或いは地方公務員は、国家公務員法や、地方公務員法の制定される前には、労働組合法による労働組合結成の自由が與えられていたわけでありますが、国家公務員法地方公務員法諸法の制定によりまして、労働組合法によるところの労働組合の結成の権利は奪われて、要するに職員団体というような団体を結成するだけの権利を與えられるということになつたわけでございます。教員についても同様であると言えるのであります。
  70. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういうふうになつた場合の労働組合法の適用を受けた場合と比べまして、この適用におけるところの保護を以て十分なる働きができるようになつたと考えているか。或いは非常な束縛を受けるようになつたと考えているか、この点を……。
  71. 相良惟一

    政府委員(相良惟一君) その点につきましては、労働組合法による労働組合と、両公務員法の職員団体とは多少自由が束縛されているということは認めざるを得ないと思います。
  72. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その点を私はいわゆる教育公務員特例法を作る場合に根本に考えて置かなければならない。これは当然束縛を受けるものだということになれば、教員なり一般の公務員の活動というものは非常に縮減されてしまう。それが日本の民主化というふうなものに非常な打撃を與えることになるのだということが、私の先ほど来述べたところなのであります。そこでこういうふうなものの改正なり、或いは制定なりというような場合においては、相当その点を労働組合法に代るべきこれは保護を十分持つてつて、そういうふうなものの活動を十分伸長させるにあるという立場を以つて作られなければならない、そういうふうに私は考える。そういうような点から、まあこれ以上私はここで議論をいたしませんけれども、なぜそういうふうなことを考えますかと申しますと、先般来のいろいろな議論がそこから出ておるのだという、そういうところからそういう質問をしたのであります。そこでその根本的な態度から、私はいよいよ今度の特例法改正において、どうもその点が一層進められて来たんではないかということを、第五條のところにおいて考えるのであります。第五條を考えて見ますというと、この第五條は、「学長教員及び部局長は、大学管理機関審査の結果によるのでなければ、その意に反して転任されることはない。」とここに示されておるのであります。そこで審査の方法でありまするが、教育公務員特例法の、従来のいわゆる現行法に示された場合には、審査を受けるときにおいて、その規定はこの審査を受ける者の権利といいましようか、その立場からこれを規定しておるのである。「審査を受ける者から、前項の説明書を受領した後三十日以内に」云々とこうなつている。第四項におきましても、「審査を受ける者は、すべての口頭審理を出席し、」云々といつて、こういうふうに審査を当然受けるところの権理を持つておる者が、こういうことの要求ができるというふうな、こういう規定になつているのであります。ところが、今度この改正されるところの法律はそうじやない、全く逆なんです。審査する者のほうからこういうものを提出させる、或いは必要のあつたときにはこういうふうなことを認める。こんなふうに逆になつている。こういうところはむしろ先ほど来私の言つている公務員なり、或いは大学教授なり、そういうふうなものが自分の基本権を守るべき立場に置かれておるということよりも、拘束規定によつていわゆる審査する者の規定によつて動かされるような状態に入つて来ておることは、これは労働組合法あたりの適用によつて保護された時代とは全く変つて来たところの一つの行き方ではないか、こう考えるのであります。それでその点から更に質問したいと思うのは、何故に一体第五條審査を受ける者の立場でなしに審査をする者の立場に置き替えたか、この点を伺います。
  73. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは審査をする者の立場というよりも、むしろ審査をされる者も、する者もみんな大学学園の一員なのです。だから大学学園というものが本来の使命を達成するのにはどうしたらいいかということが私は一番の問題だと思うのです。そういう大学というものはどうしたつてこれは学問をするところであつて、学問しない大学というものは矛盾した大学だと思います。そういう学問研究というようなことがどうしたらよくできるかということをするのが、審査される者も、する者もみんなそれに従つて行かなければならない。そういう立場からいうとこれは絶対必要だと自分は思つております。
  74. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうするというと文相のお考えから言つたならばこの法文はおかしくなつて来ないでしようか。両者相含んだ学園自治というようなことになつたらこの法文は非常に私は不備なものになつて来るとこう考える。大学管理機関の立場を強調しておるのであります。
  75. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) そういう法文のことは政府委員にお答えさせます。
  76. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 只今大臣からお答えがありましたように、この第五條規定は必ずしも処分せられた者の権利保護という立場のみから解釈し得ないものだと考えております。と申しますのは、大体この特例法がよつて来ります基、これは例えば地方公務員法に見ますれば、第五十七條の規定には職務と責任の特殊性に基いて特例を設ける法律を制定してもよろしいが、それは地方公務員法一條精神に反してはならない、こうあるのですが、国家公務員法に関しましてもまあ同様な規定があるわけであります。ところで国家公務員法なり、地方公務員法の第一條の本旨とするところを勘案いたしますれば、要するに行政の民主的且つ能率的な運営を保障するというところにその精神がありますので、特例法を制定いたします場合にもそれが人事行政の面でありますれば、今事行政が能率的に運営せられるということを考えて制定しなければならない。勿論人事行政は一面において愼重を要することは申すまでもないのでありますが、面において又その能率を考えなければならない。ところで第五條が特別に設けられましたのは、任命権者、或いは懲戒権者が独自に処分をやらないで、その前提として必ず大学管理機関の愼重なる審査を必要とする。この慎重な大学管理機関審査のためには本人の申立を聞いてやる機会が與えられる必要がある。こういう趣旨に解釈いたしますれば、この改正規定はその趣旨を明らかにいたしまして、そこに解釈のあいまいさから審査が徒らに延引いたしましたり、或いは学園の内部に管理機関と一部教員との対立抗争の場面を露呈することを防ぐことが、大学行政、或いは教育のために非常に必要だと考えてこの改正をやつたわけであります。
  77. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 條文についての穿鑿になりますからして、これは逐條審議の場合に譲りまして、私は根本性格を考える場合にこういう点が非常に重大な関係を持つて来るものであるということを質問いたしまして、これで私の質問を打切りたいと思います。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず吉田内閣の一閣僚としての文部大臣に先ず一点お伺いいたします。それはこの特例法の母法である地方公務員法地方公務員の能率向上並びに身分上の保護規定として出されたわけでございます。そうなりますと、教職員についてはこういう教育公務員特例法の取扱方の提案がなされているわけなんですが、あの地公法の制定のときに問題となりましたガス、水道、電気、交通と、こういういわゆる公共企業体の従事者に対する特例の法規、或いは單純労務者に対する取扱方、そういうものの特例法とどうして緒にその際出されないで、教育公務員特例法だけを一つピツクアツプされたか。而もその特例法改正の中に母法である地方公務員法から必然的に改正しなければならない技術的な面から更に一歩飛び出して、そうしてさつき若木委員からも問題を提示された、そういう問題まで進めて来られたか、そういう点をどうなのか一つお答え願いたい。
  79. 相良惟一

    政府委員(相良惟一君) 地方公務員法第五十七條にございます公営企業体の職員及び教育公務員につきましては、前者のほう、即ち公営企業体の職員に関する特例法に関しましては、私の聞いておりますところによりますと、近く国会に提出になるようでございます。なおこの教育公務員特例法という法律は、これはもともと国家公務員法特例として考えられ、制定されたものでございますが、地方公務員法の制定に当りましてこれがやはりその地方公務員法五十七條の教育公務員に関する特例として結び付きを考えて今回教育公務員特例法改正案を提出した次第でございます。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題についてはもうこれ以上お尋ねいたしませんが、併しただこの地方公務員の保護をするという立場を重視すれば、公営企業体の職員の取扱をするところの特例法というようなものは、私はここではこれ以上申上げませんが、政府としては一刻も早く出すということが私は至当だと思うのです。そういう立場から言えば、政府がこれを未だに提案されないということは私は政府の怠慢だと、こういうふうに考えるのですが、ここでこれを主題とすることは当を得ませんので、この点の質問は打切りまして、次にお尋ねいたしたいと思います。  それはここに教育公務員特例法改正案提案されたわけでありますが、これの及ぼす影響というようなのは私は非常に大きいと思うのです。どういう意味においてそれが大きいかと申しますと、例えば大学教授教職員の任免、懲戒それらの取扱方が変つたとか、或いは教職員の団体である教職員組合の取扱方が変つて来る、非常に簡單なようでありますけれども、変つて来るということですね。それが国民に及ぼす影響というものは私は非常に大きいと思う。もう少しはつきり申しますと、講和も控えて我が国の文教政策というものはどう行くんかという大きな筋金をここに私は見せなくちやならないんじやないか。どうもこれは天野文政に対する質問になるかと思うのでありますが、一貫性がないんじやないか。曾つては保護し、こういう取扱をして、労組に対してこういう取扱をして来た。ところがこういうふうに変つて来ますと、次々に今後こういうふうに変わるのだと、こういうふうな印象を私は国民に與えるということはこれは重大な問題だと思う。そういう立場から私はこの際に我が国の文教政策というものはどういう筋金で行くんだ、講和を結ぶまではこういう態度で臨む、講和もこういうところで行くんだというはつきりした筋金を国民に明示し、そうして教育者は勿論のこと、国民も安んじてついて行くというような私は態勢というものをここに確立することが大事じやないか。そういう点をはつきりしないで、こういう特例法の中の重要な点が変わるようなことが提案されるということは、私は国民に及ぼす影響は非常に大きいとこういうふうに考えるわけなんです。勿論日本の政治というものは、世界情勢に左右されることはいたし方ないし、又日本の政治の一環としての日本の文教政策というものもその影響を受けることはいたし方ないとは考えますけれども、私はこの一国の文教政策というものだけは、一つの流れ、その波に余り私は簡單に乗つてつてはならないと思う。それは曾つてのいわゆる東條の施政にはつきりと現われております。当時私は、日本の教育者、或いは学者というものが本当に自由を堅持できて、そうして責任あるところの、信念あるところの行動をとり得たならば、今日の日本の悲境というものはもたらされなかつたのじやないか。そうして現在朝鮮事変あたりをきつかけといたしまして、我が国におきましても軍国調が非常に高まつております。事大主義的な国民というものは、その波に乗り勝ちです。このときに私はこの文教政策が簡單にそれに乗つてはならないのじやないか。例えば南原総長が講和の問題について、或いは学内の問題について、あの人の信念のあることを発表されるというと、政治家が南原は怪しからんというような輿論を作る。それでもまあ南原さんみたいな信念のある人はそれに邁進しますけれども、大部分の人間というものはそういう外部からの不当な圧力によつて自分の信念というものを抂げる、それでは私は再び我が国は誤りを侵すのじやないか。国民の間には新制大学ができたけれども、これが短期大学に又なるらしい、高等学校は、総合高等制というものは無理であつたけれども、ぐんぐん又分立して行つておる。学校名はかくかくでなくちやならん、こういうけれども、次々に又元の名前に変つてつておる。或いは教育機会均等から高等学校には学区制というものを布いて、そうして学校差というものをなくしようとしたけれども、学区制は次々に乱れて行つておる。特例法も又変つて来る、修身が復活するというし、柔道は来年の四月から復活する。又劍道とか、或いは弓道も来年の四月から復活するそうだ。君が代も歌つたらいいんだ、国旗も立てたがいいんだ。それじや年の初めの歌を歌おうかと言つたら、それはまかりならんと、こういうふうに来た。こうしたことでは私は清和でも結んだら現代の日本の新教育制度は又バツクするのじやないか、六・三制というものも消えるのじやないかといつたような地につかないような気持で日本の国民がおり、教育者が携わつているということでは、いやしくも文化国家を私は標榜している我が国として、ましてやこの講和を前にした我が国の文教政策としては、私は非常に遺憾だとこう考える。先ほどから特例法五條に関連して大臣の異常な決意も見られたわけでありますが、結局国内情勢の分析というものが人によつて意見が違つて来るのじやないか、こういうふうに考えます。その立場から私はこの際大臣は日本の文教政策というものはこうして行くのだと、講和に臨むに当つては飽くまでも自主自立の日本の文教政策を堅持して行く。講和が結ばれた後といえども我が国の文教政策というものは変化がないのだ。具体的に言えば新教育制度というものは変りがないのだ、飽くまでも民主々義というものを育成して行くことには変りがないのだというような点、そういう点を私はここではつきりと責任ある立場において、表示することが必要ではないか。それに対する大臣見解、それから更に私がお伺いいたしたい点は、大臣大学は一生懸命研究するところにいたしたい、本当に研究するようにしなければ学術の向上というものはないのだという気持はよくわかります。併し現在の私は大学大臣がどういうふうに把握されているかということを、お伺いいたしたい。昨年学生運動というものが随分問題を起しましたが、その後の学生運動はどうなつておるか、大臣はこれをどう把握されておるか。  それからいわゆるレツド・パージと呼ばれたものがそのままになつておるわけですが、大臣はやはりレツド・パージは必要だと考えておられるのか。やろうとされておるのか、それとも吉田総理は衆議院の予算委員会で共産党員といえどもこれは日本人である。だから反省の機会を待つておるのであつて、必ずしも共産党を非合法化するというような考えはないというように私は答弁されたと聞いておるのでありますが、現在の学園が静穏化した現在においては、そういうものは必要でないというふうに情勢を分折されておられるかどうか。そういう点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  81. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今の御質問は御意見が私は非常に多いように思つておるのですが、私のやつておることが、東條大将のやることと比較するというのでは、何をか言わんやと言つた自分は気持であります。自分はそういうつもりはないので、その点は自分は微力ながらそういうことなく、自分たちがいろいろな圧迫を蒙つてもしておつたときに、私は教員諸君に非常に呼びかけても、更に教員諸君は僕らを助けてくれたことはなかつたのです。そういう意味で自分はどこまでも日本の民主化、そういうことはどこまでもやりたいという精神は、私のやることのよい悪いにかかわらず、その精神は諸君の御了解を得ておることだと自分は今日まで考えておりました。決して東條大将のあとを継いで行こうというような考えは私の毛頭持つておらないところでございます。  ただ何も変えてはいかんというお言葉でありますが、この日本の教育の変革でも何でも、大方針は自主的にきめましたけれども、小さい部分になれば必ずしも自分たちが自主的にきめたというものじやないと思う。それを自主的に変えて行くということは、何もそれは答むべきことではなく、私どもは何もかも自主的に変えて行きたいという考え、従つて或るところに変りができて来るということは何も信念のないということではなくして、却て信念がある人間においてこそ、そういうことができると自分は信じておるものでございます。その他の点につきましては、私は特にお答えをいたさなければならないというような積極的なものを見出しません。多くは矢嶋委員の御意見だと自分は思いますが、大学というものがどれだけ学問をすることにむつかしいか、今の日本においてそういうことは私は身を以て体験して来た人間として、学問というものを大学がしなければ、日本は文化国家も何もあつたものじやないという考えから、この第五條改正ということは是非必要だと考えておるわけであります。
  82. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今大臣のお言葉で、東條の真似をしておるというようにとられたのですが、私の発表のしかたが悪かつたかも知れませんが、私は天野文部大臣が東條の真似をしておるという意味で申上げたのではないからその点お断りして置きます。  それから今大臣の御答弁を承わりますと、今のままでは日本の大学は学問ができない、こういうふうに把握されておるようにとられたわけなんですが、先ほど私が御質問申上げました昨年における大学の学生運動だとか、或いは教授の動向と現在の実情をどういうふうに把握されておるかという点と関連されまして、今の大学実情では学問はできないというように判断された根拠というものを御説明願います。
  83. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は今の大学では学問はできないとは言わないつもりであります。学問が非常にしにくい点がある、こういうようなことでは到底欧米の学問をしのいで行くというようなことはできない。この際できるだけ大学というものは学問をし易いようにすることが必要だという趣意でございますが、これは一昨日ですか、岩間委員の御質問に対してすでに答えたことでありますから、ここで詳しく述べません。今の学生運動につきましては、私はこれを以てすでに終息しておるものとは考えておりません。今後も学生をよく指導して、そうして若い人たちに本当に自分らの考えるところを理解してもらいたいと考えております。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教授の動向については。
  85. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 教授のことは申し落しましたが、教授は私はレツド・パージというのは、何も私がつけた名前ではないのであつて、世間でつけた名である。私は初めから共産主義者だから直ちに追放などということは考えるものではない。殊にいろいろな人を探し出して、それを追放しようなどと考えているのではない。大学自治、自由を確保するのには、場合によつては余儀ない処置だと、そういうことをするのが私の止むを得ざる義務であるということをここで度々繰返した通りであつて、今後といえども大学自治大学の独立を脅やかす行動があるならば、それは除外することが私の止むを得ざる義務であると感じておるわけであります。
  86. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は、現在幼稚園から大学に至るまでの学園においてですね、その教育をやるのに支障があり、又大学でいえば自治でありますが、そういうものが脅やかされるような事態があると、こういうふうに把握されておられるのでありますか。私はこの国際情勢に関して、吉田総理がよく神経戦に陥つてはならないということを言われますが、私は学生と或いは教職員の問題について、政府は私は少し神経戦に陥つておられるのじやないかというような見方をしているものでありますが、大臣の情勢把握は如何でございますか。
  87. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今の御質問は、私が答える必要はないかと思いますので、答えません。
  88. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの教育公務員特例法大臣から提案理由を承わつた以上は、大臣は今の生徒とか、職員とか、学園というものがどういう状況にあるという情勢の分析、その把握されたその上において、私は大臣提案されたものと考えますが、御答弁願いたいと思います。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)
  89. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) いや、神経戦にかかつているか、かかつていないかという御質問樹だと思つたから、私は神経戦にかかるとかからんとかということを言うのは、自分にはあまりばつとしないので答えなかつたのですが、今のような御質問ならお答えいたします。私は今小学校やなんかではいろいろな困難がある。その困難は専ら財政面とか、様々な点に困難を持つている。大学に関してはやはり思想的な面にも多くの困難を持つていて、ただこれを楽観し、安穏というわけにはいかない。できるだけよく学生を指導しなければならないと考えております。
  90. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣は先ほどですね、この自主性に返すという、日本のまあ教育制度なり、或いは教育に関する法律が、日本の置かれているところの国際的な立場から、必ずしも自主性のものがなかつたという前提の下に、この際我々はしつかりした自主性の下に返すこともあると、こういうふうな内容のことを答弁されたわけですが、ということはですね。今日本の文教政策はある枠にはめられて、或る程度の制約を余儀なくされておる。これが解かれたあとにおいては、全く自主性の立場に、具体的に言えば教育制度、或いはそれに関連するところの法律、そういうものを或る程度自主性の立場から、こう改めるという意思が大臣にあると、こういうふうに私は聞いておつたのでありますが、間違いございませんか。
  91. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は先ほどこういうふうに申しました。この大本は、まあこれは自分らがきめたことなんです。例えば六・三制というふうなものは、決してどこから強いられたわけでもなく、大本はそのままきまつているけれども、その他の細かい部分になるというと、必ずしも強いられたとは言いません。やつてみてもうまくこの日本の実情に適しないという面もあると思うのです。私は一遍きめたことは決して変えてはいかん。勿論我々が軽々しく変えてはいけませんけれども、例えば六・三制の一環をなすところの高等学校教育でも、私どもは高等学校教育というものはいわゆる人文的な教育というものを主にすることがよいという考えであるのですが、現在も決してその考えは捨てておりませんけれども、そういう考え方が極端になつて、職業教育というものを必ずしもうとんずるというのじやないけれども、そういう面が稀薄になつておる。だからこの面を改めようということを諸方から言われれば、成るほどそういう面も改める点がある。その他小さい部分になれば、例えば選択制というようなものでも、これが過ぎておりはしないか、やはり前の学級というものが教育上よいのではないか、様々なそういう細部にわたつては自分はある。そういう点は改めて行きたいと考える。併し大本はこれは決して改むべきものでないと信じております。
  92. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の文化国家を建設して行こうという意欲と信念に対しては私敬意を表するものでありますが、先ほどから研究或いは教育がし易いようにしたい。その一環として特例法を出されて、それから又本会議においても或いは衆参のあらゆる委員会大臣は随分とそういう線を御発表になつておられるわけでありますけれども、私は教育を振興させるための施設、それから人、そういう面に対する政治というものが実践を伴わない。まあ失礼ですけれども、哲学、高遠的な文教政策に立たれてはいないか、こういうような感じを持つのです。ここに出されたのは、人の面の、身分の点ですが、待遇については大臣がいつも申されます、或いは初任給の問題とか、或いは結核とか、或いは研修費の問題とかいろいろ非常に理解のあることを言われたのでありますが、実践が伴わない。吉田総理が大臣と同様に愛国心を説かれて、この国、この郷土を愛し守るのだ、こういう点に勿論異議はないわけですが、そのためには單に軍備だげで守れるものじやないのた。ということは、吉田総理が言うところの経済自立というものと文教政策の振興というこの二つの柱の一つとして文教政策のことを言われておるのだと思いますけれども、その筋を進めるための、具体的に言えば待遇、或いは施設、そういうものが伴わないで、失礼ですが、一つの空念仏に終つておる。これと裏表てになる職員の身分というものが又非常に重大である。現在の日本の民主化の過程、それから教職員の事大主義、こういう点から私は近視眼的でなくてずつと将来を見通したときに、例えば第五條とか、或いは職員団体あたりの改正というものが非常に目前の事象に促われ過ぎる。先ほどから申上げましたが、やや神経戦に陥つたような形でおられるのじやないか。もう少し日本国民の祖国愛とか、愛国心、そういうものを信頼し、それから教職員のいわゆる特殊的な任務、その責任というもの、その基本人権というものをしつりかり根本に置いて、図太い、線の太い、私は立場で法律を作つて行つたらどうか。こう、これもしちやいかん、これもしちやいかん、こうあつちやいかんぞ、こういうような消極的な面が強くて、これをやつてみろ、これは非常にいいことだ、それをやつてみろというような、引立てて行くというような、そういう面が薄くて、特例法の今度の提案にもそういうような生路が出ていると思うのですが、これはいかんぞ、これはいかんぞと縛つて教職員が萎縮して、十二分に教職員がその職務を果し、又新しい日本を建設するのに、教育を通じて寄與するという点に私は欠けているのじやないか。端的に申せばどうもその目前の事象というものに囚われ過ぎて、教職員の信頼感というものが薄いのじやないかというような感じがするのでありますが、そんな点については大臣はどういうふうにお考えになつているか。
  93. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 只今私の答弁は哲学講演的だという御批評を受けましたが、矢嶋さんのを聞いていると教育講演的な気がいたします。やはり教えることが多くてどういうことが質問だかということが私にしつかり来ないのです。で私は自分の考えは殆んど今まで述べたところで内容的には盡くしておりはしないか。神経戰にかかつているかと言つて、私はかかつていますと言う人間もいないだろうと思う。そういう意味で私は私の教育に対する熱意は矢嶋委員もお認めになつていることです。私も矢嶋委員の熱意は認めておりますが、その考えに幾分の違いがあるということはこれは余儀ありませんが、私の考えは今まで述べたところで殆んど盡くしているのではないか。新しくここに御答弁をしなければならないような問題を只今のお話からつかめないことを遺憾とするものであります。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 質問いたします。道義の感覚ということについて天野先生いつも御指摘されておるわけでありますので、質問が少しくどくなるかと思うのですが、私はこのたびの教育公務員特例法改正案を拝見いたしまして、先生が常におつしやる道義の感覚というものから非常にずれているような幾多の点を発見いたしまして、甚だ遺憾に堪えない点なんです。それは先ほど若木さんも指摘されたのでありますが、本法律の面に現れている保護の面と拘束の面を比較した場合に、極めて拘束の面が大きい、かようなことを指摘されておるわけです。私も全くそれと同感でございますので、一応大臣のおつしやるように、日本の民主化の段階に副いながら、法律が改廃されるということは当然のことではございますけれども、その改廃の最も基本となす、この進歩的な、科学的な、近代的なという言葉の陰に、果して基本的な人権がどれほど尊重されているかということが私は一番問題ではなかろうかと思うのです。それで世界の歴史を私がここで申上げるまでもないのですが、国家が或る方向に向つて進む場合に必ず法律がその方向に向つて改正されていることを私どもは知つています。ナチス・ドイツにおいて然り、イタリアのフアシズムの擡頭において然り、又日本のいわゆる軍国主義時代における治安維持という名をかりての国民の人権を全く無視したようなあの治安維持法、そういつたようなものを取上げて行つた場合に、法律の改廃ということの根本的な條件が国家の進む方向にのみ考えられて、最も重要な要素が忘れられておるということを、ここで私どもは深く考えなければならないのではないかと思うのです。そこで一番私がここでそういう点を指摘したいことは、まあ五つの点があるわけです。あとで又時間がありました場合には、その細部に亘つて質問申上げる用意を持つておるのですけれども、学問の自由、教育の自主性ということ、これはもう私が申上げるまでもないのでありますけれども、事前審議のこの法案も、これは全く時代に逆行するような改正ではないかと考えられる。適当な規律の下に自由があるということ、これは一応わかるのでありますけれども、今までよりもなお且つ窮屈にこれを縛つて行かなければならないという理由を私は見出すことができないのです。滝川教授にしましても河合教授にいたしましても、あの教授が真理に対するはけ口をはつきりと解いて置いたならば、もつともつとみじめな太平洋戦争というものに対する国民の考え方が或いは変つておつたかも知れないが、あの滝川、河合両教授共全く真理への叫ぶ道を遮断されて、ああいうような状態になつたことと、この改正とは丁度その流れを一つにするように私は考えられる。飽くまでも人事行政は民主的に公平に、而も伺うところによれば、大学の中においては非常に学閥鬪争が頻繁であるやに聞き及んでおるので、そういうような権力に左右されないような人事が行われるためには、従前通りの公開審査というようなものが当然行われなければならないのに、それが突如として消えておるような点、或いは戰後における教員組合の活動というようなものが、教育の官僚統制という殻を破るために非常に大きな推進力を示したということは、これは認めざるを得ない点ではないかと思う。その教員組合の実態というものを十分に把握されないで、單に町村單位に団体を組織して、そうして地についた交渉権というものを全く消失させるような改悪の仕方、こういうような点から考えてみても、この法案が必ずしも近代的な、科学的な方向に進んでおるというふうには私には考えられないのでございます。これは文相は恐らく見解の相違であるという御答弁をなさるかも知れませんけれども、いずれにしても私たちは、適当な規則ということは必要であろうけれども、それ以上の拘束ということは、教育者が真の能力を発揮し得ない段階に至ると共に、日本の民主化を更にブレーキをかけるような結果になることを極めて恐れる者でありますが故に、私の見解に対する文相の御意見を伺いたいと思うのです。  もう一つ質問でございますが、私は昨日福島に参りまして街頭演説をした折に、東北帝大の学生が私に呼びかけてくれました。このときに学生は先生は街頭に立つて、勇敢に平和ということを言われて誠に仕合せである。併し私たち学生が学園の中において日本の平和、民族の独立ということを本当に素朴な声で叫んでおつても、これを押えられてしまう。これは全く情けないことであるということを訴えておりました。私は曾つてきけわだつみの声という映画を見ましたときに学生青年諸君が、本当に戦争の惨めなことを説いて、飽くまでこの戰争に対しては自分たちは反対の態度をとつて行くのだというような演説をしているときに、多くの警官がこれを断圧している。まあその場面を見まして誠に胸の寒くなる思いがしたのでありますが、現在も又そういうような傾向が出ているように考えられるのです。で私は一番憂えますのは、日本教職員組合でも、再び戦争に対して彈丸の代りにするなというように、教員たちもはつきりとした決意を持つておりますので、青年諸君のこの段階における思想的な方面の指導、並びに大変に突つ込んだ質問でありますけれども、再び青年を弾丸に供さないという固い決意を私は文相から伺いたいのであります。ちよつと問題が二つズレるかも知れませんけれどもお答えを願いたいと思います。
  95. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) この法案が何か非常に束縛するということでございますが、併しこれは逐條審議のときによくやつて頂きたいんですが、束縛する面よりもそういう有利になる面が多いのではないかと私は思つております。勿論束縛ということも先ほどから申しておりますように、自由ということが成り立つためには、或る程度の規律というものがよんどころないとそういう考えでございます。  それから又大学のつまり五條に関する大学の問題でございますが、これは私は多年大学におつて大学のことをよく知つておるのですが、若しも現在のようなふうにやるというと、大学の有力な教授がそういうことにかかつていて、而も少しも進展しないということは、東京大学の事例がこれを証明しておるところだと思うのです。やはり私はこの社会には、それぞれの持場にそれぞれの任務があると思うのです。そういう意味大学にはやはり大学の使命というものがあると思うのです。それに到達するにはどうしたらいいかという、そういうことが私どもには重大な問題なんです。でそのためには人権を何も束縛するものではない。その人は人事院に提訴したらいい。又大学も自分がそれをしようと思つたらしたらいい。そういうことをすることが学問研究を盛んにして行く、又大学の使命を到達するのに是非必要だというふうに考えております。  最後の点につきましては、私は人間をただ一つの彈丸とか、そういう一つの方便とする、人間の人格を無視してただの方便にするということは今後はあり得ないのではないかと考えております。
  96. 高田なほ子

    高田なほ子君 大学の使命をどういうふうにして到達して行くかということについて、やはり大臣と私の間にはズレがありますので、具体的に御質問を申上げたいのですが、それは次に譲りましてこれで打切ります。
  97. 岩間正男

    岩間正男君 私はこの前、文相に質問をいたしておりまして中絶したのでありますが、この前、口頭審理をなぜ一体こんなふうに簡略にしなきやならないかということに対しましてお伺いしましたら、只今高田君に返答されたようなことが言われたわけであります。そうしてそこで私はそれに対しまして、学に沒頭するのが大学のこれは先生の任務だ。そこで飽くまでそういうことをやればいいのであつて、そのためには最近みたいな公開審理というようなことにわずらわされては、能率が挙がらない。こういうお話だつたのでありますが、それに対しまして私は一体今の大学教授が学に沒頭できるようなそういう條件ができておるかどうか。この條件につきましては一つの面はこれは経済的な條件であります。待遇の面で果して保障されておるかどうか。それからもう一つは一体それほど学内の自主というものが確立されておるかどうか。そういう点について伺つたと思うのであります。併しこれに対しまして大臣はやはり飽くまで日本の学を世界的なレベルまで上げるためには、どうしてもこれは大いに沒頭することが必要である。それでマルキシズムの例を挙げられて、これは資本論一冊一体完全に読み、これを十分に咀爵しておる先生がどれだけ何人あるかという、こういうことまで話が出たのであります。私はそういう前提に立つて質問を継続したいと思うのでありますが、これは先の諸君によつてもいろいろな角度から触れておられますから、そういうところはなるたけ省いて行きたいと思うのでありますが、先ず私はここでやはり一番、今までも文相と何回かこうした質問、それから応答を頂きまして感ずることなんですが、一体新らしい学のあり方ということについて文相はどういうふうに考えておられるのであるか、この点私は非常に根本的にやはり疑問を持つのであります。というのは古い学はどうであつたかということになりますけれども、つまりこれはもう文相は最も直接体験されたことだと思うのでありますが、あの戰争時代のいわゆる学者、それからそれに連なる知識人、こういうものがどういうようなあの軍部の暴圧なり、フアシズムの嵐の中でどういうことを一体やつたか、これはよく我々はこの人たちのやつて来た跡について見るわけであります。そういうものをどのように文相としては現在ああいう誤つた過去のいわゆる知識人の姿、つまり権力に対して実は抵抗心を持たなかつたわけじやないが、その抵抗心がいつでも消極的であり、或る場合にはあきらめとなつて、そうして何らそれが表面に表明されなかつた。又そういうような力が大きく結集されて、そうして一つの暴力に対して鬪う、こういうような決然とした態度がとられなかつた。つまりこれは思惟と行動が分離しておつた。そういうところに日本の大学の姿が追込まれたのであります。つまり学問に沒頭するということの中に私は非常に危険に思うのはその点であります。学問に沒頭する、併しいろいろなもう社会の事情もわからなくなつて来る、又自分の置かれている立場もわからなくなつて来る。大きく言えば日本の民族の運命、それが現実的にはどういうことになつているか、こういう問題についてもこれは実に何といいますか、専門的な片輪になつて分らなくなつて、そうして判断力もない、そういうことのために一つの、これは外部の大きな権力の前には非常に無抵抗であり、弱かつた、何ら声もあげなかつた。そうして滔々として大東亜戰争に持つて行かれたのでありますが、これに対して一体文相はどういうふうに考えておられるか。考えておられるところだけじや足りないのでありまして、これを今の新らしい一つの日本の現実に処してどういうふうにこういうような過去の欠点というようなものを除去して、発展させるというふうにして、そうしてそれをはつきり組織の上に確立されようと考えておられるか。この点が私は非常にこの法案審議の上に重要だと思います。なぜかというとそういう先ほどから問題にされました今度の改正の焦点というものと、今私が質問している点は非常に関係を持つと思うのでありますが、この点はつきり聞かして頂きたいと思います。
  98. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 岩間さんの御議論を聞いておりますと、今の大学教授などは本当に研究に没頭するような條件に置かれてない、その一つは経済的にだというお話ですが、確かにそういう点はあると思うのです。研究に沒頭できない條件にあるものを、こういうことで煩わしたら、なお一層できなくなつてしまうと思うのです。だからせめてこういう点だけでもという点でも、改正できる点は改正して行くのがよいのだと私は思うのです。実際やつて見て、いけないのです。これでは学者の労力を学問以外のことにひどく取つて、学問研究を煩わすから、それでこれを除きたい、改めたいと、こういうわけでございます。その他の点については、学問研究ということが、そんなにあつちを見廻し、こつちを見廻していたのでは、これはできない。学問というものが、どれだけこれをやるにはむずかしいことであるか。これには本当に自分の精力を傾注するというのでなければ、本当に学問なんというものはできないと思うのです。それならば、まるで社会と遠ざかつてしまうじやないかというお話かも知れませんが、我々の置かれている現実は、そんなに山の中に入つているようなふうにはして置かないのです。我々は十分学問を研究しながら、いつでもそれを社会生活に媒介させつ、研究をして行くことが必要だと思つているのですが。とにかくにそういうしなくてもよいことに煩わされていたのでは、大学が本来の使命を達成することはできないと私は考えているのでございます。
  99. 岩間正男

    岩間正男君 私が一番お聞きしたかつたのは、大体戰争前の学のあり方はどうであつたか。これに対してどういう批判を持つているか。そうして若し批判を持つておられるならば、この批判をどういうふうに現実の文政の上に活かされようと考えておられるか、この点が重要であります。この点についてお伺いいたします。
  100. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) この大戦前には、ひとり学者だけでなく、日本国民全体です。教育者も、岩間さんなども当時のことは知つておられるでしようが、教育者といえども、皆が本当に日本の歴史の真価ということを十分に把握しなかつた。これはひとり学者に限つたことではなくして、日本の殆んど全部の人がそうだつた。極く少数の者だけがこれに反対して、これを堰止めようとしたけれども、少数のために力及ばなかつたというのが私は事実だと思うのです。
  101. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことはあります。何人か抵抗した大学教授の話については、我々も当時から知つておるわけなんでありまして、併し大部分の教授はそうでなかつた。だからして、一つはやはり知識階級としての任務があつたと思うのです。あの時代に、フアツシズムの嵐が吹いた時代に、知識階級としての任務があつたと思うのです。はつきりそういう形で現われているのですから、それに対して、今お話のように、日本全体がそうであつたから、だからこれは止むを得ないのだというような御答弁では、私は非常に知識者としての自己批判としては足りないと思う。それをどう考えておるか。だから日本の学の今後の建設のためには、どういうふうな一体一つの方向を打ち出そうと考えておられるか。この点を私はお聞きしたのでありまして、どうも今の御答弁では少し足りないのであります。
  102. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 当時我々の仲間でも、これでは日本はいけないと思つていた人もたくさんあるのです、けれども一旦国家がそういう決意をしてしまつたために、学者の力ではどうもいかなかつたという点も非常にあるのです。岩間さんは学者だけを責められますが、あなたがた教育者もどうしておられたかと私は聞きたいのです。私は教育者よ団結せよと言つて、幾ら言つても、どなたも私を声援してくれた人は当時なかつたのです。それだから、これは何も当時のことを今から言い出して誰が悪い、彼が悪いという筋のことでは私はなかろうと思う。とにかく大学の使命は学問研究にあるので、学問を研究したから、それで社会というものがわからなくなるとか、そんなことはあり得ないと自分は思います。
  103. 岩間正男

    岩間正男君 どうも文相のは、私もう少し積極的な意味で御質問申上げておるのであります。そのときのことをどういうふうに弁解するかということではなくて、我々も今言われたように、教育者としての自己批判は終戰後にしたわけだ。非常にやはり弱かつた。権力の前に我々も相当抵抗はした。併しながら最後にやはり弱いところがあつて、これが十分に貫徹できなかつた。そうしてその結果我々の預つておるところの多くの子供たちをああいう戦禍にさらした。これが我々の教員組合運動に対する一つの波及的決意とさえなつたのであります。私は文相がその点について十分な批判がありませんから、私自身はこう考えて来たわけであります。それはこの弱さというものを再び繰返してはいけない。あのような無自覚な、権力の前に迎合するような教員であつてはならない。我々は再びあの錯誤を繰返すようなことがあつてはならない。もつとはつきりした自覚を持つた人間にならなければならない。而もそれは個人の力ではできないから、全体の力によつて、もつと団結した力によつてこれを確立しなければならん。そうしてそのことは、單に私一人、或いは教員だけの問題ではなくして、むしろ民族の問題である。こういうようなはつきりした一つの方向を打出して置かなければならん。つまりはつきり言いますと、行動力のない人間、そうして頭のなかではいろいろなことを考えておる、抵抗心も持つておる、併しながら最後の段階になるというと、敢然としてこれに対して、或る場合には相当な犠牲、或る場合にはもう身命を顧みないでこれに突き進むという、そういう気高いところのものだけが本当に必要なのであつて、そういうものを回復しなければ絶対に日本の再建というものはあり得ない、こういう確信から我々は教員組合運動に立つたわけなんです。やはり学の体系もそういうような方向が打出されなければならん、こう考えておる。だから観念的な思弁哲学というものはどんなに日本を毒したか。行動力を與えないで、單に思弁的なものに追いやる、書斎主義に追いやる。その結果があの戰争の原因になつたということを、我々は深く反省したわけであります。従つて、この大学のあり方についても、そういうようなむろん学そのものの形から言いましたなら、純粋に没頭しなければならない時間もあるでありましようけれども、その態度としてはやはりもつと学そのものの現実との交流、社会との交流、更に体験によつて学ぶ、更に行動につながる、この一連の形態が備わらなければ、もうそんな学問というものは余り意味がないという点を深く反省したわけでありますが、そういう点について文相はどうお考えになりますか。文相は今まで一つの言訳みたいにだけ聞えるのでありますが、その点はどうですか。
  104. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は別段言訳をする考えはございません。今のことになりますと、これはやはり見解の違いになつて、思弁哲学というものがどういうものだとか、一体国家というものはどういう理想を持つて行くべきものか、そういう根本的な議論になつて来ると思うのです。だから、今私はそういうことについてここで詳しく論議をする暇がないと思うのです。でありますから私の今まで述べて来たところで大体の私の今日この法案に関する考えは盡きておると思いますので、私はこれだけにして置きたいと思います。
  105. 岩間正男

    岩間正男君 その点のつまり思弁哲学と、それから学と行動の問題についてやつていても、まあ時間もないでしようから、この点は打切りますけれども、先ほどの文相の御答弁によりますと……。
  106. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 岩間君もう五分はかりで……。
  107. 岩間正男

    岩間正男君 それではもうこれで打切ります。
  108. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは引続き逐條に移ります。逐條の場合にも、質問技術の上で総合的の御質問があつてもよいかと思いまするが、午前に引続き第五條のところを審議することにいたします。御質疑のある方お願いいたします。なければ次に移ります。
  109. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 読みます。   第十一條に次の一項を加える。   公立大学学長教員及び部局長の服務について、地方公務員法昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十條の根本基準の実施に関し必要な事項は、同法第三十一條から第三十八條まで及び第五十二條に定めるものを除いては、大学管理機関が定める。
  110. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 第十一條のこの点御意見ございませんか。…なければ第十五條。    〔関口政府委員朗読〕   第十五條を次のように改める。第十五條削除
  111. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御意見ございませんか。
  112. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 先ず第十五條を削除した理由を簡單に伺います。
  113. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この国立学校の校長及び教員任命権者に関する條項でありますが、その中の第一項の規定教育委員会法第四十七條の第五号に明らかになつておりますし、又その第二項は地方公務員法第六條に明らかになつておりますし、第三項は従来暫定的に校長や教員身分保障のために設けられたりでありましたが、地方公務員法によりますと、このことについて人事行政を取扱うための専門機関として人事委員会又は公平委員会というものが設置されまして、その人事委員会又は公平委員会審査の請求ができるということになりましたから、従つてここでは削除いたしたということになります。
  114. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 第十五條につきまして、これは見出しは任命権者になつているのでありますが、ここで以て非常に重要な問題は、第三項の任命権者が、校長又は教員に対し、その意に反して降任し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、こういうふうな重要な問題だと思うのです。これをそのまま地方公務員法の方面に移したことになるわけですか。一般地方公務員と同じように……。
  115. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 地方公務員法のほうで規定されましたから、こちらのほうは取つてしまつた、そういうことになります。
  116. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 この点は従来はどういうふうになつておつたか、それについて説明してくれませんか。
  117. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) お答えいたします。従来は教育委員会が事後審査を行うということになつておりました。
  118. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 事前審査はどういうふうになつておつたか。
  119. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 事前審査はございませんでした。
  120. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると今度は事前審査というものはあるようになつているか、ないのか。
  121. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この件につきましては事前審査はないことになつております。行わないことになつております。
  122. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういう点が非常に教育公務員特例法を制定する場合に根本的な性格に触れて来ると思うのです。これは、先ほどの文相のお話などを聞くというと、学問に熱心にさせるためには煩わしいことは除いてしまいたい。こういうふうに聞えたのでありますけれども、これは併し一個の教授なり、それから一個の公立学校教員なり、その個人の身分を守るというような方面から考えると重大な問題だと思うのであります。そこで何故にかかる重大なことを事前審査の方法を考えなかつたかこれについて伺いたい。
  123. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 公立の学校でありましてもそれが大学でありますれば、第五條によりまして大学の先生がたでありましたならば事前審査はございます。大学でない高等学校以下の学校の先生がたにつきましては、国の学校の先生がた、要するに国家公務員である教育公務員のかたについても事前審査ということは別に規定しておりませんでした。今回もその点については国についても、地方についても大学以外の教育公務員については、事前審査という制度は考えられておりません。前と同じ考え方でございます。何故大学以外のものについては設けなかつたかという点になると思いますが、大学は先ほど所管の稲田局長から御説明申上げておりますように、大学自体の自主性、大学自治という原則に基いて、大学職員人事については大学自体の意見を重んずることからして事前審査の事柄が行われていると私どもは思つております。大学以外の学校につきましては、それと同じ取扱いをいたすということについてはいささか疑義があると思われます。従前通りの規定というふうに、御了承解願いたいと思います。
  124. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の御答弁の中で、一体如何なる疑義を持たれたか、事前審査をするということについては疑義があるという……。
  125. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この点につきましては或いは議論のわかれるところかと思いますが、同じことを繰返して申しますと大学それ自体の自治という点について大学の学問の自由、大学のアカデミツクフリーダムということからこの規定が設けられたと同時に、又大学におきましては、事前審査等を行うことが適当であるという考え方でありますが、他の学校につきましては必ずしもさようなことが必要ではないのではないか。又実施するについてもいろいろの問題が起る、必ずしも適当な組織等を持ち得るかどうかについても疑問があると思います。こういうふうに考えております。
  126. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 これは非常に私は重大なことだと思うのであります。大学教授の方面にはそういうことが必要であるかも知れませんけれども、この大学以外の学校の教員はそういうことをする必要がないという、全く何といいますか、簡單に大根でも切るような恰好に考えて差支えないというふうに響くのでありますが、この点どうでありますか。
  127. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 私が申しましたのは、大学大学自治という観点からさようなことが必要であるということを申上げたのでありますが、他の先生がたにつきましては、大根のように云々ということを考えたわけではございません。
  128. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうもその辺が御答弁によつて、私は更に考えられるのでありますけれども、これが従来のような教育者が非常にそういう考えの下に簡單に不意打を喰らつたり、或いは休職を命ぜられたり、しばしば個々において我々から考えると人権が尊重されない場合が出ておつた。それを大学自治とか何とかいうことで区別をして更にそのまま続けて行くということになつて、而も在来においては任命権者の方面においてそれを十分、この事後の審査をやつておつたものを、直ちに今度は事前審査なしにこの人事委員会或いは公平委員会にそのまま移してしまうということになることは、これは非常に私は前よりも危険性があると思う。いわゆる公立学校職員任命権者というものは、相当教育の方面に理解もあるし、それからわかつている人が多いと思う。ところが今度の場合においての人事委員会或いは公平委員会構成というものは、素人でも誰でもいいようになつている。そういうところに直ちに移されるということは向う自身も困る、こういうことが考えられる。而も人事委員会公平委員会ができるまでの六カ月かの間は、公共団体の長がこれに当るというふうに読替えるものだと出ているのですが、間違いないでしようね、その点は。そういうふうに非常に教員にとつては身分の保障というのは重大な問題だと思う。それについてどういうふうにお考えになりますか。
  129. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) お答えいたします。事後審査の場合でございますが、先ず第一に従来も先生がたが非常に無造作に、不利益な審査を受けて、不利益な処分を受けるということがあり得たという点につきましては、曾つて教育行政の体制と、教育委員会制度との差、そういう点につきましてはいささか改善されておる方向に目指しておるというふうに思つております。なお教育委員が素人のかたが多くなつたというお話でございますけれども、成るほど素人ではあるが併し住民の直接選挙によつて選ばれたかたであつて、そして数名のかたで御議論になるのでありますから、一人の知事なり、或いは一人の教育部長なりがおやりになつたときとはいささか身分の保障の点についてはその方向に向いたものというふうに考えたつもりでおります。なおその際に委員が勝手に個々の教員の不利益な処分をおやりになるのではなくして、やはり教育に関する専門的な指導助言機関としての教育長の意見というものを重んぜられるのでありますので、曾つての制度に比べればやはり十分身分保障の線に向いた制度を目途として行われているというふうに思います。なお教育委員会でやつておつた審査公平委員会人事委員会に移すというと、よくわからない人の手に移るために却つてよくないのではないかというふうな疑問、意見というものも私ども研究してみたことがございます。この点につきましては、併し国家公務員の場合を考えて見ますというと、任命権者であるところのものが処分をしたあとで、その任命権者が又審査をするのではなくて、これは公平な第三者の機関である人事院のほうに移して事後審査をするという規定、建前になつておる。この度の地方公務員法では、例えてみれば人事院に相当するような機関として特別の専門的な公平な機関として人事委員会及び公平委員会ができることになつておりますので、こちらのほうに委ねることがそちらと平仄が一致する、建前上平仄が一致するということが言えるのではないが。なお若し教育委員会処分をして、そして教育委員会が又事後審査をするということは、処分したものが審査するという結果になりますので、若し処分自体が公平でないのだ、或いは何か別に考えるところがあるのではないかという場合であつたら、その同じ機関審査したということでは、その点は除き得られないという欠陥も出て来るので、人事委員会なり公平委員会に任せるという建前に従つて、格別そのために悪いということはないのではないか、こういうふうに考えた次第であります。
  130. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 あとのほうの御答弁は一応私は理由があると思うのです。ところがそうなればなるほど教育委員会において事前審査というものをした後に、即ちこの事前審査をしてそしてこの任命権者が行なつたその後において、この事後の審査人事委員会、或いは公平委員会に譲るというのであれば、私はまだ意義があると思う。その点についてどういう工合いに  今のは事前審査なしにやつて、そして人事委員会に移す、ところがそうなつて来ると私は問題があると思う。事前審査の手を経てその後に処分し、人事委員会なり、或いは公平委員会に移す、こういうことについてお考えを聞きたい。
  131. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 先ほどの御質問のうち一つ残したのでございますが、この前のお答えですが、なお従前の例によつて長がやるのではないかという御質問でしたが、あれは長ではございません。
  132. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それでは人事委員会なり公平委員会の……。
  133. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 教育委員会でございます。
  134. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 教育委員会はこの場合だから、教員の場合だから、そういうことになりますね。
  135. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 只今の御質問でございますが、理論上処分する前に教育委員会が事前審査をするということを重ねて行なつた上で、なお処分をして然る後に人事委員会又は公平委員会にかけるほうが、より身分の保障という見地からよいではないかというお話については御尤もだと存じます。併しこの場合先ほどから繰返し申上げておるように、大学以外の先生がたについての事前審査という制度自体が前から考えられておらなかつたのでありますので、この際の改正については大体前の行き方そのままを踏襲しておるということが附け加えられていない。その点につきましては改めて研究をいたしまして、教育公務員法というようなものを研究したいと申上げておりましたが、さような根本的な改正の際に十分考慮してみたい、研究してみたい、こういうふうに思つております。
  136. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこなのですが、私の考えておるのは……。この特例法というようなものを、教員の身分を保護するというふうな方面が非常に多く出ているのじやないかということを文相が言われましたが、そういう精神であるならばなぜ従来そういうふうになつておつたものまで、その保護という立場を一歩進めてその点を改善するようなことを今回の改正案で以て出されなかつたか、そこなのです。やはりそうでなくてどこまでも拘束規定であるから簡單に処置してしまえという考えかたが強く働いて来るからして、そういうところに気がつかなかつたかも知れないけれども、気がついておつても知らん振りをしておつた、こういうわけですか。研究されるという御答弁であるから……。
  137. 岩間正男

    岩間正男君 今の若木君の御質問に関連してお伺いしたい。大学自治の建前から大学の事前審査を認めるが、どうもほかの高等学校の場合には認めないということになるのですか。大学だけに事前審査を認めるということですか。ほかの学校は自治を認めないのですか。文部省の一体大学に対する考えかたを承わりたい。どうもそう聞こえる。非常に階級性がある。大学というものはえらいもので、何かそこだけ認める。高等学校は認めない、こういうふうに聞こえたのですが、これはどうなのです、認めないのですか。
  138. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学自治、アカデミツク・フリーダムということについては歴史的に世界共通の一つの原則が確立されておる。この原則に我が国も従つております。その点については他の教育機関大学とはやはりいささか違つた点があると、そういう場合そういう自治の権利と責任を負つている大学については、その大学職員の任免等については大学自体の考えを重んずること、その重んぜられた大学自体の考えをきめるについて事前審査の手続きをとつて大学として遺漏のあることをしてはならないという大学自体の考えを確立するためにその手続きを加えているというふうに存じております。なお然らば大学以外の学校は、自由に何にもなくてもよいのかというお話でございましたが、そういうふうに考えているのではないのでございまして、それぞれの学校についてもそれぞれの自由というものは認められて然るべきものではございましようが、併し大学の自由ということについては、そういつた歴史的な一般的な通念と申しますか、そういうものがあつて、それによつておるものだということだけは御了承願いたいと思います。あとはやはり程度の問題になつて来るのじやないかと思います。
  139. 岩間正男

    岩間正男君 そういうふうに一つの歴史的な事実或いは通念というような説明なんですが、それが大体文部省に伝統的に持たれておる考えで以て、これがまだ日本の教育が本当に民主化されない一つの原因だと我々は考えております。今議論をやつてつても仕方がないのですが、今のお話だと、大学自治が都合のいいときには大学自治を言う。それから説明の工合の悪いときにはそうでないと言うので、大学自治を本当に守るならどうしてこの第五條のような改正が必要であるのかどうか。大学自治はだんだん切り崩されておる。都合のいいときにはこういう改正をやつてつて、そうして今度は一般公立学校説明をするときには、これに対しては歴史的な一つの通念、こういうことを言う。少くともやはりそういうところを統一して御返答願いたいと思うのですがね。我々はそういうところをやはりそのままに受取れないのです。それからなぜそういうことを申すかというと、これは実際公立学校自治というような形がどんどん失われておる。自由はあるとか何とか一応論明にはなつておりますが、実際はどんどん切り崩されて来ておる。それから大学とそのほかの学校の持つておる性格はいろいろ違いますが、問題は今教員の問題で、子供とかそういう問題は抜きにして、教員という問題を考えても、今度の新らしい法案による教員なんかについても考えなくちやならんと思いますが、そういうことになつて来ると、そんなに身分の開きもないのです。だから高等学校、中等学校とか、小学校とか、そういうところにはやはり自治が與えられていいのではないか。そういう一つの教諭会のようなものに自治を與えられていいのではないか。ところがそういうところが全く末端機関のように下積みにされて、大学というものの下積みにされておる。こういう感じが非常に濃厚じやないか。こういう現実が横たわつておるのじやないかと思います。そういう点どうも今の御説明だけじや、何かほかに説明のしようはないのですか。そういう説明じや我々は了解いたしません。
  140. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学のほうは自治だと言う、その場合そういうことから始まつた部分について一言申上げますが、今度の法律改正大学自治を取つてしまつて、どこの大学でも法律で定めた通りこの通り必ずやれというような規定ではなくて、むしろその反対にその大学々々の個々の考え方によつてその学校での公開審査の仕方をきめたらよい。その場合にはその大学自体の考え方できめればよいのだということでありますから、大学自治を尊重してこそおれ、格別大学自治を奪つたということにはならないのではないかというふうに立案者のほうではそういうように考えるのであります。むしろ一概に全国どんな大学でも皆同じやり方でやれというようなことをきめてしまうのでしたらこれはいささかどうかと思いますけれども、その大学に適した方法をそこでとることができるようになつておる。一番問題にお取上げになりました公開審査の問題も、その大学でやれば、やろうときめればやれることになつておる。次にその大学自体が内部が民主的であるかどうかという問題になりますと、これはやはり大学に任せて、大学がさような権限と責任と自由を持つた大学が内部的にそれにふさわしい立派な機関になられることを我々は期待すると申上げるよりほかないと思います。
  141. 岩間正男

    岩間正男君 何ですか、公開審査がやれるならやつてもよいということはどこに書いてありますか。
  142. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 公開審査はやれないということは書いてございませんから、その大学が定めることができますからして、やろうとその大学でおきめになれば、公開審査はできないということは言えません。
  143. 岩間正男

    岩間正男君 そういうような消極的な規定でここでやつたつて、実際それがどう行われるかということはもう少し研究して頂きたいと思うのです。だから今の法案の立案に対して現実を把握することが非常に重要だと思う。こういう法案で以て、これでやつて差支えないのだ、やれるならやつてもよいのだ。こういうことで実際行われるかどうか。今までの解釈は……解釈というものは苛酷になるものです。そんなら必ず公開審査をやつても差支えないとなぜ謳わなかつたのですか。そういう意図があるなら、なぜそうやらないのですか。そんならこういうものは要らない、自治と言つたつて自治に皆頭から任せるなら……。これはどういうことです。非常にそういうところはあいまいだと思う。我々議員何人かの質問をここで済ませば問題は解決するというものではない。なぜそういうことをここに規定されないのか。公開審査をやることは妨げるものではないとか何とか一項入れれば……。我々がこんなに騒いでおるのは、公開審査ができないとどうなるのです。これを規定する意向がありますか。この法文はそこまで行かなければ保護規定になんか絶対になりません。殊に今の現行法では公開審査をするということを書いておるのですね。それを切つたんですからね。
  144. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 御答弁申上げます。第五條の五項「前三項に規定するもののほか、第一項の審査に関し必要な事項は、大学管理機関が定める。」でありますから、審査をするについて必要な事項は大学管理機関が定めるのであります。
  145. 岩間正男

    岩間正男君 それがなぜ原案に、今現行法で公開審査があるというのを、こういうものをここで落してしまう必要があるかと言うのです。その必要な事項というのは、これは内容になつて来ますが、なぜ定めてよいということになりますか。これは非常にあいまいになります。こういうことではきつと必ず紛争が起る。こういう恰好、形では先の現行法にあるのを切つてしまつたのだから、今度はこういうものはこれらの中には含まないのだ、一方にこういう解釈ができますれば、そういうことによつてこれがやられるのです。フリーにフリーにと解釈されるのは、今のこういう時代の法案の解釈の仕方です。これはどうなんですか。現行法にあるのを切つておる……。
  146. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 第五條の三項に「大学管理機関は、審査を受ける者が前項の説明書を受領した後十四日以内に請求した場合には、その者に対し、口頭又は書面で陳述する機会を與えなければならない。」、陳述する機会を與えて、陳述する際に必要がありと認められた場合には公開することもできると、手取早く申せばそういう結論になります。第五條の三項に陳述する機会を與えなければならない、その場合に「必要な事項は、大学管理機関が定める。」となつておりますから、公開する、しないということは大学管理機関が必要に応じて定めるということになりますから、公開ができないということではないということになります。
  147. 岩間正男

    岩間正男君 依然として今もこれは疑問が残ります。この法律の解釈によつてはつきりしないと思います。それからもう一つは、具体的に言うと、大学管理機関性格を私はさつきから問題にしておるのは、こういうことにかかつて来る。これは法律精神からいえば私は公開なんてこう言い切れない方向に行くことは明らかだと思います、この解釈からすれば……。だからここだけの説明をするということは困る、いつも違つておるのだから。我々が速記録を持つてつても承知しないのですから。ちやんと政府委員が答えた、大臣がこう答えたのを持つてつても通用しないのです。そういう形になつておるのです。何ぼでも例があるのですから……。国会速記録は本当に権威があるものですが、それがもうこういうふうにちやんとそういう権威を持てればいいのだがなかなかそうは行かないのです。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと関連して、進行の仕方について……。その問題は大臣と稻田局長はつきりその公開審理は学問研究をいたしておるからできん、公開審理はやらないのだと、その意味提案したということをはつきり言つておる。同じ政府委員の開口局長がこの文書を弄んで奇怪なことを今言つておるから、あなた方は室廻りするのであつて、あつさり言つたらいいのですがな。政府提案意思というのは公開審理というものは否定するということにはつきりあると思います。それが必要か必要でないかというところに提案者である政府とあなたの意向が食い違つておると思うのです。政府委員の答弁が、關口さんと大臣のかたと食い違いがあると思うのですが、どうですか。
  149. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) どうも誤解を招いて申訳ございませんが、大臣と稻田局長が申上げたのは、やる能力のあるところでやるのだつたらちつとも差支えないのだという意味で言われておると思います。そうして、なお、絶対にどこの大学でもできる能力がないから、だからしないほうがいいということは言われていないと思います。
  150. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではお尋ねしますが、やはり公開審理というものは民主的な措置として、やる能力があれば必要だということをお認めになるわけですね。
  151. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) やる能力があり、そうして又やる自信がある大学ではそういう事件について公開ということをおきめになる場合があり得るとこういうふうに思います。これも文部省のほうは、どの場合には公開でやれとかそういうことは言えないという趣旨でございます。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それほどはつきりしておるならば、これは我々の考えとしては、公開審理は非常に結構なことだし、これに該当するような場合というのは先ほど発表されたように今まで二件しかない、滅多にないことだし、教育の自主性を保つ上からいつても、身分を保障するという立場からいつても、安心させる意味においても伝家の宝刀だと思うのです。そういう公開審理なんかというものをしよつちゆうやるものでない。過去の実績が示しているように今まで二件しかないわけです。それだつたら、そういう制度を育てるという立場から、今あるのをわざわざ落して提案されるということは、提案者の意向がわからないのですがね、如何ですか。
  153. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 従来の規定はどこの大学でも、どんな場合でも請求があれば公開審理をしなくてはならない。今度のはそうでなくて、必要がありと大学管理機関で認めたならば、そうして本人が希望したならばそれができるのであるという点で、前と今度のは違つている。前のは一概に、すべての大学について如何なる場合でも本人の申立、希望があつたならば、公開審査をしなければならないというので、一概に定めておつたと思います。その点が違つておる。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いよいよわからないのですがね。例えば第五條の第四項ですね。大学管理機関は、この審査を行う場合において必要がありと認めるときは参考人の出頭云々とこうあるし、こういう言葉が私は残つていなくちやならんと思うのですね。今までは必要がありと認める認めないにかかわらず請求すれば公開審理をしなければならなかつた。それから一枚下つても、必要があると認めるときには、公開審理をするのだということが明文化されておれば、私は大学管理機関が定める場合でも相当民主的な措置というものは定めてあると思うのでありますけれども、こういうような提案の仕方をすれば、提案者の意向というものは通じないで、まあ現在の立場から言つたら、殆んど公開審理をやる能力があつてもこれは切る。その赴くところは恐ろしいのですから、先ほどからこういう点について我々もお尋ねしているわけであります。それはどういうわけですか。必要がある認めるきはこれこれというふうになるのですか。何も残さなかつたのですか。
  155. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) この前の四項のほうは参考人とその意見の問題で、そのことに限つております。それから五項はそのほかに一切合財という、一切合財ですから、必要ありと認めた場合はということは必要ない。一切合財自分できめればいいという規定になつておるわけであります。そういうふうに読んで頂けると思います。
  156. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 併しこの第五條で一番重大というのは、その証拠書類を出すとか、或いは参考人を呼ぶとか、そういう点にもまして、公開審理をやるというところに第五條の今の特例法骨子があつたわけであります。その改正案参考人の件のところの、必要があると認めるときはとある以上は、それ以上に大事な公開審理については当然そういうものが謳われなくちやならんと思うのであります。でなかつたらこの第五條の、一切合財大学管理機関が定めるということについては、そういうものは出て来ません。
  157. 岩間正男

    岩間正男君 この問題は非常に重要だと思うのです。併し關口局長がですよ、公開審理が十分できるのだというようなはつきりした見解を示されて、それが政府の風見に統一されて来ればこれは別ですが、どうも何だか希望的観測なんです。私はなぜそういうことを言つておるかと言えば、さつきから東京大学、東京大学ですよ、東京大学のようなところでも公開審査をやれば大変だと言う。併し我々もまあ知つているところでは、東京大学が一番規模といい、組織といい、完備したものだと考えておりますが、間違いありますか。そういうところでさへも困る。現実に困るから公開審査はできないということを答えておるのですね。それに対してそれ以下の、ましてこの頃高等学校に毛の生えたような、看板をかけ変えたような大学がたくさんできている。こういうところで公開審理がやれますか、現実的にお話頂きたいのだが、どうなんです一体……。どうも不統一ですね、何という大学でやれるとお考えになりますか。
  158. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 当該の大学は、管理機関が自分でやれると思つたら自分のところで規則をきめることができます。
  159. 岩間正男

    岩間正男君 さつき文相の説明の中で、そういう公開審理のようなものをやると煩わしくて能率が上らない。学者というものは学問はかりやつておればいいのであり、裁判官の真似のようなことをやつていると非能率になり、それだけ運営が円滑に行かない、だからしてこういうような方針で、多くの制限を加えたのである。その制限を加えた一番大きな問題は、公開審査の問題だと思うのです。けれどもそういうところでも今度は公開審査をやれればやれるのだ、やつてもいいのだとこういうふうに解釈するのです。どうもそこは非常に食い違いがあるので、やはりこういうところは統一してもらつたらどうでしよう。そうでないと局長意見大臣意見が対立して重大な問題になると思うのですが、いいのですか。
  160. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) どうも私の答弁では余り御信用にならないようでありますが、私の今まで申上げておりますように、当該の大学管理機関が、この件について公開審査をやろうというふうにおきめになればやることができるという法文に間違いはないと思います。
  161. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 第十五條よろしうございますか。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 十五條のこの削除のところで、国家公務員法の八十九條から九十二條の二項までを準用するとあつたのが削除されたわけですね。そうなりますと、この国家公務員法の八十九條から九十二條の二項までを教育公務員に適用することは、政府としては結構だと考えているのですか、それとも適用したくないとお考えになつておるのか、先ずそれを伺います。
  163. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 先ほど私お答えいたしましたように、この規定地方公務員法にできましたから、従つてこの際この規定をとつてしまつて差支えないというのでは、御質問に対してお答えにならないのでしようか。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではお尋ねしますが、この国家公務員法の八十九條から九十二條の二項まで、その内容地方公務員法のどこに出ておりますか。
  165. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 地方公務員法の四十九條から五十一條まででございます。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これに公開審理を規定してありますか。
  167. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 第五十條に「前條第四項に規定する請求を受理したときは、人事委員会又は公平委員会は、直ちにその事案を審査しなければならない。この場合において、処分を受けた職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。」と、こういうように段を遂つて書いてございます。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点はつきりいたしました。そうなりますと、地方公立学校教職員は公開審理を受けられる、大学教職員は公開審理を受けられないと、こうなるのですか。
  169. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 今の第五十條は事後の審査でございます。事後の審査が、請求すれば公開口頭で行うことができるという点でございます。大学の先生がたは、今の問題は事前のことであります。事後のほう本今度は人事院のほうへ提訴した場合には同じようなことができるわけです。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第八條の四項ですね。六頁です。四項の「人事院規則又は公平委員会規則を制定することができる」というここの規則はどういうものが予定されるのですか。今の五十條方面とは関係ありませんか。地方公務員法の第八條の四項です。これはどういうことをお考えになつておられるわけですか。
  171. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) これは四項それ自体で中味を示しておるのではなくて、ここではそういう規則を作るという権能があるのだという、権能を示すことを規定しておるのだと思います。ですから自然関係がないということはございませんが、その中味は、ここでは、規定を作る権能があるのだということを明かにしてある、そういう種類の規定だと思います。
  172. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例えば五十條が事後処理審査であれば、墓前審査をやろうと思えば、こういうところへ規則を制定される、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  173. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 失礼ですが、質問……。
  174. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 五十條のほうは事後審査になつていますがね。例えばさつき国家公務員の場合に事前公開審理のことを申されましたですね。やる能力あればやつてもよろしいのだ、そうなると、公立学校教育公務員ですね、そういうものに事前公開審理でもやろうというような場合には、ここの規則第八條の第四項の規則を制定することができるというのでできる、こういうふうに思つてよろしいのですか。
  175. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 制度としては事前審査のことは考えられておりません。でございますから、そういう規則を人事委員会公平委員会は作ることはできません。事後のことだけがここに規定されております。それにからんでの規則をきめることはできる。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなれば、先ほど若木委員からも出ておりましたが、国家公務員である教育公務員地方公務員である教育公務員によつて事前審査の有無ということがはつきり区別つけられておるということになるわけですね。
  177. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 事前審査大学だけでございます。
  178. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地方公務員である教育公務員には認めないというわけですね。
  179. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 公立大学の場合には、その大学で事前審査をすることができます。
  180. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではつきりして来たのですが高等学校以下にはそういうことを認めない。却つて高等学校以下のほうがそれが必要なんじやないですか。(「その根拠」と呼ぶ者あり)大学教授のほうは比較的身分も保障されておつて高等学校以下が過去においてもそうであつたし、今後も予想されるのじやないですか。そういうふうに考えられる理由はどこにあるのですか。(「法的根拠、それは重要だ」と呼ぶ者あり)認めたほうがよろしいのじやないですか。
  181. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学教職員については事前審査を認めるが、高等学校以下の先生については事前審査という制度がない。それは逆さまじやないかという話でございますが、併し従来の公務員法の特例法規定から申しましても、大学については、大学の学問と研究の自由ということから、大学自治という二点から大学教職員については事前審査をするということになつておるが、今後もその方針を踏襲しておるというのでございますから、高等学校以下の先生については事前審査はやはり将来の研究に委ねたいということであります。
  182. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従来まではどういうしきたりで来ておつても、よりよいものであつたらそのときに改正するのが当然じやないでしようか。高等学校以下の教員ほど非常に事大主義的であり、迎合的であり、自主性のない者はないわけなんですね。だからこの際このなかにどうして高等学校以下の教員の事前審査というものを織り込まなかつたのですか。織り込んだほうがよろしいのじやないでしようか。
  183. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) その点につきましては先ほどからくり返し御説明申上げた通りでございます。
  184. 岩間正男

    岩間正男君 今の根拠はどうなんですか。これはくどいようだが、非常に重要と思うのですね。認めない、つまり大学では事前審査は認めるけれども、それ以外のところでは認めない。認めない明白な根拠が示されていない。さつきのお話では大学のほうは歴史的なそういう一つの慣例があるということだが、そういうことは根拠にはならん。私は今の日本の教育実情から見て、大学の先生だけは保護されていてもこつちは保護されていないという、これはどういうことでありますか。区別する根拠をやはり示して頂きたい。これはどうなんですか。
  185. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学につきましては事前審査をする理由が明らかであつて、そうして長い従来の経験に基いてやることができると申上げたのであります。ところが高等学校以下については事前審査をするという規定は従来にもなかつたのであつて、若しそれをするならば、ここに大きな改革になるわけでございますから、そのような根本的な改善はなお研究の上、教育公務員法というようなものを考える際に併せて解決したい。こういうように申上げたのであります。
  186. 岩間正男

    岩間正男君 先に持越すというわけですか。特例法はさつき文相は……、我々は拘束の面は多いけれど保護の面は非常に少い。保護というより殆んどさつぱりやられていないじやないかということを言つたのですが、逆に文相にそれに反撃せられて保護のほうが多いのだということを言われたのだが、特例法というのはやつぱり地方公務員法に拘束された面で……。拘束されては工合が悪いところをむしろ保護するというような文相のさつきの説明はそういうふうに考えなくちやならないと思いますが、そうしたら当然大学の先生は或いはそうでしよう。公務員法に、地方公務員性格から別に保護する規定でもつて当然大学の先生もやるとするならば、これは高等学校以下の先生もそういうふうに事前審査の権利を獲得するというのこそ、これは特例法のこれは保護的な精神だとこういうふうに思うのですが、これはどうなんですか。それを先に行つて解決するという話なんですが、これは先というのはいつなんです。とても我々は考えられませんね。どうもそこのところは根拠がないのだ。さつきから言われておるが根拠があるということを、その根拠を示されたい。根拠があるということをその根拠を示して頂きたい。だからそこの根拠ですね、説明だけ言葉の上の根拠だけですね、だからその根拠はどうなんです。どうなんです根拠は。これは実は非常に多い。適用を受ける人からいうとこれは何十倍になるのですからね。大学の先生は一部なんです。教員の全体の数から見ますというとこれは非常に少い数です。併し地方公務員法の適用を受けるそういうようなかたたちの先生は非常に多い数なのですからね。この点どうなんですか。
  187. 關口隆克

    政府委員關口隆克君) 大学につきましては、大学管理機関というものが規定されておりますが、大学以外の高等学校以下の学校については、大学管理機関に当るものは地方教育委員会とか、教育委員会であるとか、その教育委員会処分を行うについて愼重な調査研究によつて処分を行うものと思われますが、同じ機関でありますからこの教育委員会審査が妥当公平に行なわれるものだというふうに了解されます。なお爾後の審査については教育委員会の手を離れて人事委員会公平委員会に移ることによつて公平を期することができる。両建ての立場をとつておるから、これによつて身分保障が特に害されるということはないというふうに心得ます。
  188. 岩間正男

    岩間正男君 それはどういうふうに……。そういうふうに説明されたつて我々は何ぼでも反駁する事実はあるんです。だから困ると思う。本当を言えばやつぱり文部省のそういう説明をされるかたと地方にこれはやつぱり十日も一しよに旅行して、これはどうだ、これはどうだ、そうしてこうすれば一番明らかだ。国会のことは大所から離れたような、雲の上のようなことを説明に使つたつて駄目なんですよ。現実を知つておられるんですか、一応そうだろうということじやだめなんですよ。その点私はやつぱりもう少し法案の立法に当つて文部省はそういうところまで調べて頂きたいと思うのですね、そういうことになつておるのじやないんです。今お話のように教育委員会が公平にそれを最初にやるだろう。成るほど法案ではそういうような目的だからそういうようにやつておる。そこに問題があるのですからね、いつでもそうなんだから、さつきからも天野文相に対する質問を……。私の言つておることと文相の答弁の食い違いがそこにある、いつでも現実はどうかというと、言葉の上に関する食い違いです。今の説明ではそれは満足……誰も了承しないと思うんだ。実際の職にある人から見たらですね、それに反駁する事実がたくさんあるんですから。何ぼでもありますよ。
  189. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も地方公務員である教職員については事前審査を認めていないという点については十分了解できないわけなんですが、大学教職員について事前審査を認めておるのは、やはり任免とか徴戒とかいうような問題についてはできるだけ愼重にして、そうして本人の事情もよく詳細にして、そうして愼重を期するということによつて教育者の身分の保障をできるだけ図つて行こう、こういう趣旨から出ておるのです。これは教育者が持つておるところの政治的な中立性を維持したい、或いは不当な権力の圧迫から排除するために考慮せられたものだと思うのです。そういう立場から考えますと、ひとり大学教職員だけについて事前審査が行われ、高等学校以下の教員については行わないというふうな考え方については了解しがたい点があるから、これはできるだけ教職員には、いろいろ一般公務員も要望されておる点もあるのですけれども、教職員については特に要望されておる点が強いわけです。当然そういう点から考えて私は同様に扱うのが普通の常識ではないかというふうに考えておるわけであります。ところが先ほどからしばしば文部省としてはそういうことは将来の研究に待つんだというふうに答弁されておりまするけれども、これはこの法律が出されたときに、やはり研究をされておらなければならないと私は考えるわけなんです。そうしてこの際にその研究の結果をここに出す必要があるんじやないかというふうに思うわけです。将来の研究に残すということが私どもの耳にはどうも言い逃れのように受け取れて仕方がないのですが、もう少し若し高等学校以下の教員には事前審査をする必要はないのだというようなお考えがあるならば率直にお話をして頂きたいと思うのです。私どもは今までの説明では、やはり十分納得しがたい点があるのです。
  190. 岩間正男

    岩間正男君 どうでしようか少しさつきの文部省の答弁なんかも不統一のような点があると思うのですが、もう少し考えて来てもらつたらどうでしよう。
  191. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本日はここまでにして、明日地方行政委員会と連合審査会を議事散会後行いまして、終了次第單独の文部委員会を開催いたしますから、それまでに政府の答弁を統一されて答弁されることを願います。本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治者            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            波多野 鼎君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    文部省大臣官房    会計課長事務代    理       相良 惟一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君