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1951-02-06 第10回国会 参議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月六日(火曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会教育法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは本日これより前回に引続き文部委員会を開会いたします。  上程になつております社会教育法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。
  3. 若木勝藏

    若木勝藏君 前の委員会において私が質問した事項についてまだ政府当局の御答弁が明確でなかつたので、重ねて私はその点を質問したいと思うのであります。  それは第九條の三の項になるのでありまするが、先日も質問申上げたようにこの第九條の三の法文は第十一條法文矛盾を来たす、どう考えても私はそういうふうに思うのであります。その点について重ねて質問したいと思うのであります。先般の御答弁ではどうも私にまだ納得いかないところがある。私としてはこういうふうに考えるのであります。十一條の場合は、これは社会教育心事立場としては当然これは教育委員会構成人員でありますからして、社会教育関係団体求めに応じてこの専門的な自主的な助言指導を與えなければならん、こう考えるのであります。ところが九條では、求めに応じようが応じまいがそういうことは何ら明瞭にしておらない。直ちに指導助言を與えることができるようにできておる。ことに法文上の矛盾がある。社会教育主事というものは教育委員会別個のものではない。この間の御答弁では教育委員会は消極的な立場であつて求めに応じてその指導助言を與えるということにも考えられるが、併し社会教育主事はそれと別個に積極的にできるのだというような御答弁があつたように思うのでありまして、この点が私は了解がいかないのであります。どこまでも社会教育主事というふうなものは、教育委員会に包含される構成人員であるから同一立場でなければならん。それを分離して別個のものであるというふうに考えることはこれはおかしい。そう考えるのであります。この点について九條と十一條関係はつきり答弁願いたい、こう思うのであります。
  4. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 只今若木委員の御質問に対しまして先般私がお答え申上げましたことが言葉が足りませんでしたが、非常に不十分な点がございましたので、本日御質問に対しましてお答え申上げます。只今の御質問は御尤もでございまして、私たちもその通りに考えておるのであります。即ち社会教育法の第十一條と今般の改正案の第九條の三は相補うて一つ意味をなすのであつて、即ち第十一條規定教育委員会社会教育関係団体に対して助言する場合の発動の方法、形態でありまして、第九條の三はその場合の内容のことでございます。教育委員会助言するというのは、これは建前でありまして、実際には専門職員でありますところの社会教育主事がやるわけでありまして、その場合に内容の個々については社会教育主事に任されるわけでありますが、例えば団体助言指導を受けるときには教育委員会助言指導求めて、初めて教育委員会社会教育主事助言指導をさせると、こういうことになるわけでございます。従いまして只今若木委員の本両條に対する御意見には我々も同様な解釈をいたしておるのであります。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁で私は大体はつきりしたのでありますが、そういたしますというと、今の御答弁によりますと、当然これは第九條の第三の運用というふうなものは、いわゆる求めに応じない場合でも積極的にますます出て行つて指導助言を與えるというようなことがないということになると思うのでありますが、それでようございますか。
  6. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 御意見通りでございまして、社会教育主事は、この十一條規定にございますように、指導助言団体から求められた場合でなければ、団体指導助言をする権限はございません。その他公民館図書館等につきましても、その法令でそれぞれ指導助言求めるということになつておりますので、そういう法令に書いてあります点につきましては、指導助言のない以上は、積極的にやらないわけであります。それでは法令に書いてないものは積極的にやつてもいいかということになりますと、まあ社会教育主事といたしましては指導助言求める場合に発動するということが、これは原則的に、又実際上さようになるわけでありまして、特に団体でありますとか、或いは公民館図書館等指導助言求めた場合に発動するというのは、その団体なり或いは図書館なり公民館自主性を非常に重んずる意味で特に明記しただけでありまして、お説の通り指導助言求める場合に発動するのだ、かように解釈して差支ないと思うのであります。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般の委員会で御質問申上げました点で、もう少し明確にしたい点につきまして更にお尋ねいたします。  私の質問趣旨学校教育指導する指導主事と、社会教育指導する社会教育主事並びに主事補の、おおむね同一に扱う、歯車を合せるという立場からお尋ねするのでありますが、第一点は先般社会教育主事定員は各県できめるというよう答弁があつたと思うのであります。ここにつけられているこの資料を見ますと、県によつて現在随分と差等があります。社会教育振興している県は選挙のときにも投票率がよく、供米にしても成績がよろしいし、青少年犯罪あたりも非常に少い。こういうように具体的にはつきりと現われているわけでありまして、やはり社会教育振興するにおいては、今一番欠除している指導者確保ということが大きな問題である。そういう線に沿つてこの改正案が出されているわけであります。この定員を完全に府県に委せるのか、それと関連して現在の学校教育に携わつている指導主事定員というのは、大体文部省で標準を示して枠を與えているように思うのでございますが、それはどういう枠を與えられているのか。その関連性をもう一遍お伺いいたしたいと思います。
  8. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 只今矢嶋委員の御質問でございますが、社会教育主事の現在の定員並びに現員につきましての表は、先般御説明申上げましたように、社会教育主事乃至は文部主事或いは嘱託と、いろいろな名称の下に各府県がやつております関係上、的確にこの調査でつかむことができなかつたので、非常に不揃いになつたわけでありますが、併し大体においてこの傾向は、多少の差があるということは否みがたいことであります。特に只今御指摘になりましたように、その人数の多い所が非常に社会教育的な実績を挙げておるというお褒めのお言葉を頂戴したのでありまするが、私たちもできるならば地方財政の許す限りにおきまして、相当数社会教育主事乃至は主事補が置かれまして活躍することを希望するわけであります。併しこの定数につきましては、勿論我々がこれを強行するわけに参りません。で、地方自治庁と十分連絡いたしまして、或る一定数定数確保に、今後とも努力をいたしたいとかように考えております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さつきお尋ねしました学校教育に携わる指導工事定員のほうはどうなんでありまするか。
  10. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 昭和二十三年に教育委員会法施行されました当時、国のほうで各府県六名ずつの指導主事人件費を、当時は只今よう平衡交付金制度がございませんで、配付税という制度がございましたので、配付税の中に織込みまして中央財源措置をいたしました。現在ではそれが引続き地方平衡交付金の中に入つておるわけでございます。指導主事につきましては当時はそういう手当をしたわけであります。各府県六名ずつ全部中央のほうで人件費を見たということになつております。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それとこの社会教育主事との関連性をどうするかという点を一つお尋ねしたい。
  12. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 只今総務課長から御説明申上げましたようにその当時六名ということがありまして、それから平衡交付金制度ができましたわけでありますので、平衡交付金制度の中に或る程度社会教育主事の枠を作つて貰うということが必要となつて参りますので、その点地方自治庁と今連絡交渉中でありましてそれによつて定数確保したいと思います。私たちの今申し自治庁にいろいろ主張しておりますのは、大体の理想は学校関係指導主事同数というところまで行きたいと、この表で御覧頂きますように大体平均四、五名というようなふうになりますので、同数目標にいたしまして、考えかたによりましては学校より一般広い大衆を相手でありますから、勿論学校指導主事の数倍を要求すべきであるかも知れませんが、いろいろ財政関係目標同数程度に置きまして努力いたしたいと思います。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点了解いたしました。  次にお尋ねいたしたい点は、この今度の改正案社会教育主事のその身分取扱を、教育公務員特例法教育公務員として取扱う。これもよくわかるのですが、社会教育主事補教育公務員身分取扱かたをされない理由はどこにあるのですか。
  14. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 教育専門職員といたしまして、学校教育のほうでは指導主事というものがその取扱を受けることになりますが、先般も御説明申上げましたようにその待遇は一級及び二級の待遇になつております。社会教育主事と名のつく者或いはその仕事をやつておる者は一級、二級、三級に亘りまして、若しも三級の者までもこの指導主事と同様に取扱うということは、バランスの問題で一つは考慮しなければならないのじやないかという点が一点であります。  それからもう一つ社会教育主事の場合には、主事補という、非常に広い又高度の専門的のところに行かないけれども、その勉強をしておりますところの非常に広い意味勉強と申しますか、枠を設けまして、而も高度の研究をした者、或いは高度の技術を身につけた者を専門的にしたいというその二段階にしたほうが適当であろうと考えたのであります。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 成るほど社会教育主事補は三級に格付けされるわけでありますが、その教養と経歴の差はあつても、その携わる教育内容というものは主事であろうが主事補であろうが同じでありますね。それから今度の特例法改正では、文部省設置法によつて設置されている研究所におけるところの所長並びに職員の中で、教育並びに研究に携わるかたまで教育公務員取扱をするよう改正案が出されているわけです。そういう一貫した筋から考えるときに、この学校教育主事が一級二級で社会教育主事が一級二級だから、その点だけを教育公務員取扱かたをして、この三級の主事補だけを仕事内容同一であるにもかかわらず、これを教育公務員特例法による身分取扱をしないということは了承されないのですが、その点如何ですか。
  16. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 社会教育主事補には本特例によりまして資格を要求しておりません。従つて非常に広い範囲の人々がいるわけであります。それから又現在各府県に存在しておりますところの社会教育関係者の中には、資格を今まで言わなかつた関係上非常に種々雑多の人が主事という名義で入つておるのでありまして、従いまして本條に規定されましたよう資格を備えておる一級二級の者を主事といたしまして、そうしてそうでない人を、つまり三級の待遇を現在でも受け、そうして現在でも主任であるところの上の主事を補佐しておるよう仕事をしておる者を三級にいたしたいと思いますが、そういう人を主事補にするのが適当であろうと考えたわけであります。  それから又地方庁の公務員として考えた場合に、やはり他の学校教育指導者との関連ということも相当重要視いたしまして、不公平にならないようバランスを取ることも必要と考えました次第でございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうも私その点納得しないのですがね。社会教育主事補資格規定しておりません。併しこの選考権者選考を委しておりますしね。この社会教育主事補を何年かすると、それが基盤になつて社会教育主事になれるようにもこの規定はなつております。選考権者社会教育主事補を選ぶ場合にはよほど心して私は採用しなければならんと思います。従つて立派な人が主事補に採用されて来て、社会教育主事をたすける者とこう考えられるのですね。  それから又資格という点を言われますけれども、今度の教育公務員特例法に掲載されておるところの研究所教育に携わつておる人は、必ずしも免許状とか資格を持たないのではないかと思います。それとの関係はどうなります。もう少し詳しく。
  18. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 今の矢嶋委員もおつしやいますように、社会教育主事補になる者の中には見習的に社会教育主事仕事をたすけまして資格を十分備えておつて、而も一年以上社会教育主事補の職にあつたという者で主事になる者も考えられますし、それから例えば大学に二年以上在学して六十二單位以上を修得したような人でなく、先ず半永久的に社会教育主事職務をたすける主事補という、まあ二通り出て来ることになると思うわけでございまして、今般の社会教育主事補というものが、すべて社会教育主事になる立派な資格を持つて、而も手腕のある人と考えるのは適当ではないのではないかと思います。又事実現在の実情から見ましても、社会教育関係者の中ではそういうふうに二色に分れると思います。  それから博物館等研究者関係でございますが、これも経歴上考えますと、いやしくもそういうことで研究に携わる者の資格は、この社会教育主事資格に相当するような、まあそれ以上の人々ばかりでありまして、その点のバランスでも理論的に考えますと成るほど矢嶋委員のおつしやいますようにも考えられますが、実際問題といたしましてはそういうような心配はないと思つております。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではこれにつきまてはその程度にいたします。  次にお尋ねする点は待遇の件でございます。現在確かにこの指導主事社会教育主事はその資質において格段の差がある。その点が学校教育に比して社会教育が非常に振わない一つの大きな原因になつていると思うのですが、この改正法を執行されることによつてよりよき人が得られるようになると思うのでありますが、その大きな要素として私やはり待遇の問題が又出て来ると思うのです。現在の職階制による級別格付ですね。それには指導主事社会教育主事にはたしか差等があつたと思いますが、あつたか、ないか。あつたら級別格付をどうされるつもりか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  20. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 只今の御質問の点は非常に重大なことだと思います。折角法令を完備いたしましても、待遇の点において学校関係者差等ができるということは、これは人材を得ることにもなりませんので、是非只今質問になりましたよう趣旨学校関係指導者と同格にそれぞれの待遇をいたしたいと考えます。その点に関しましてははつきりこういうふうにするという成案を得ておりませんので、只今文部省のほうで折角研究中でございますので、御趣旨に副うように我々は実現を期したいと思つております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ではもう一点についてお尋ねいたします。それは資質向上を図るために行うところの講習の件であります。この講習の件につきまして教育学科、或いは教育学部のある大学文部大臣が委嘱してそうして行うとあるのでありますが、この講習は各府県大学でやられる予定か。それともブロツク別くらいにやられる予定か。それからそれをいつやられる予定か。それからなお社会教育主事講習主事研修費用ですね、その予算はどうされるおつもりか、具体的な点について少し承わつて置きたいと思います。
  22. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) 只今の御質問でありますが、大体来年度における同趣旨予算といたしまして百六十万ほど計上されておりますので、それで実施を取りあえずいたして行きたいと考えております。  それから文部省が委託いたしますところの大学につきましては、先般も御説明申上げましたように、社会教育的なことに関心を持つて、それに関係の講座が置かれており教授なり助教授なりがおるというような所を狙わなければなりませんので、大体東京で申しますならば或いは東大、教育大学、広島の大学、京都の大学というふうに主な所でないとむずかしいかと思います。そのやります状態は恐らくはいわゆるブロックといわれておりますところのものが全部一齊にやるということになりますとできないかも知れませんが、大体ブロツク別のことを考えまして受講者の便宜を図つて実施いたしたいと考えております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よくこの講習が行われるわけでありますが、教育職員免許法に伴いますところの講習は御承知の通り大分問題が起つたわけでありますが、これは希望でありますか受講者余り負担が重くならないようにという点と、飽くまで実質的に資質向上が図られるような計画をされるよう希望いたしまして私の質問を打切りたいと思います。
  24. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  25. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 教育公務員特例法との関係でありますが、附則の第一項「この法律は、教育公務員特例法の一部を改正する法律昭和二十六年法事第   号)施行の日から施行する。」こういうふうな附則の第一項があるのでありますが、教育公務員特例法がまだ審議にも入つておらないよう状態でありますが、この附則の第一項をこういうふうに決めておつてこれを採決してこれが成案なつたとすると、法律はこういうふうに一応できたけれどもその施行の日がいつだかわからん、こういうふうなことになるのではないか。こういうことが考えられる、その点はどうですか。これでよいのですか。
  27. 西崎惠

    政府委員西崎惠君) お説の通りでございますか、本案が成立いたしましても若しも教育公務員特例法の一部を改正する法律案が成立いたしませんでしたならば、その施行だけは一年でも二年でも延びるという関係になつて参ると思います。実はこれだけを單独にやつてはどうかという意見もあつたのでありますか、非常に関連がございまして教育公務員特例法がやはり出ませんとこれは都合が悪いのであります。例えて申しますならば教育公務員特例法の中の学校関係指導者と同じよう社会教育主事補主事にいたしますが、若しもこちらのほうが遅れて向うが先に出ますと、これは現在の社会教育主事が全部その特例法の中に入つてしまうというようなことになつて参ります。それから又こちらのほうが先に出まして向うのほうがあとになりますというと、附則第六項の三号中の採用志願者名簿を作成するとあるという所が読めなくなつてしまうよう関係がありますので、これはどうしても合せて一本にならなければ都合が悪いのであります。その点はこれだけを單独に切離して採決を願う点に多少の不安が残るのでありますが、理論上、これが成立いたしまして一方が潰れたならば、一方の成立するまでこの法案実施が延びるということで御了承願います。
  28. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はそういう方面の法的な根拠もわかりませんのですが、それで差支えないものであるならばそれで了承いたしますが、若しそこに法的な何か欠陥が生ずるということになれば採決について又ここに考えなければならん、そういうふうに思つております。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと速記をとめて下さい。
  30. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  31. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは速記を始めて下さい。それでは社会教育法の一部を改正する法律案質疑をこれで終了したものと認めて御提議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  33. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は次の二点を強く政府に要望いたしましてこの案に賛成する者であります。  第一は政府社会教育振興のために従来の社会教育主事資格身分職務、これに関するところの法令規定を設けて、設けたことは一応了解するところでありまするけれども、それがために本来自主的、民主的であるべきところの社会教育を統制支配するようなことがあつてはならない、こういうことが考えられるのです。この見地から特に本法律案の第九條三即ち「社会教育主事は、社会教育を行う者に専門的技術的な助言指導を與える。但し、命令及び監督をしてはならない。」この條項運用については第十一條規定を逸脱して官僚統制の弊に陥るというようなことがあつてはならない、この点が私は非常に危惧されるのであります。この点につきましては、先程政府委員から御答弁がありましたが、第九條の法文は、第十一條法文において、教育委員会社会教育団体方面求めに応じて助言指導を與える、この中に包含されて実際その発動が行われる場合に、第九條三の趣旨で以て行くのであるということの御答弁があつたので、私はその点を了解したのでありまするが、このことは十分これは文部当局地方教育委員会方面にその点を明らかにして、いわゆる官僚統制の弊に陥るというようなことを十分これは防止しなければならない、こういうことを強く政府に要望したいのであります。  次には社会教育主宰資格規定したことに関しては、附則第二項から第八項までの規定運用に基きましてこれをよく運用いたしまして、現在勤務しておるところの社会教育主事資格規定のために失職することのないようにして頂きたい、この二点を要望いたしまして賛成いたします。
  34. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は若干の希望を申述べましてこの法案に賛成する者であります。その第一点は、社会教育振興を図るために、その指導者資質向上適材確保のためにこの法案を提出されたことは誠に時宜に適したものと思うのでありますが、その提案趣旨を貫く意味におきましても学校教育を担当するところの指導主事と、幅の広い社会教育を担当するところの社会教育主事待遇というものを全く同一扱いにして、そうして指導主事にもまさるところの人材社会教育面指導者として得られるように措置される点。  それから次に社会教育振興には適材を得るということが最も大きな問題でありますが、従来もその意味から社会教育研究会とか或いは青少年指導者講習会というような、指導者の養成に当局は盡力されてきたようでありますが、今後も研修費というようなものを獲得されて、この線を推進すると共に、この法案に盛られているところの講習実施に当つては、講習員に過分の負担をかけないように考慮すると共に、形式的講習に流れることなく実質的に資質向上を期されるよう、その講習運営実施の面に十分の考慮を拂うこと。  更に文化国家の建設の立場から、学校教育振興と同時に、社会教育振興が必須のものであることは、私が今さら申上げるまでもないのでありますが、その他の一つの大きな要素としては、やはり施設の整備という点に当局は更に努力しなければならない。特に文化程度の低いところの農村とか漁村における公民館施設、この適切なる運用というものは、社会教育主事を得てそうして社会教育振興するという狙いと同様に、重点を置かなくちやならないのではないか。更に最近の世相、青少年犯罪状況からいつてみましても、社会教育の担当する青少年教育というものが特に重大である、こういう方面の施策。それからその指導に当るところの社会教育主事並びに主事補の適切なる指導育成というものに当局が更に盡力をされまして、この法案提案趣旨を百%挙げられるよう要望いたしまして、私はこの法案に賛成するものであります。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 私は日本共産党を代表してこの改正案反対であります。  反対理由はいろいろありますが大体次の三点に帰することができると思います。大体政府のこの提案理由を見ますと、社会教育主事身分を今日において確保しなければならない。このために新たに第二章を設けたのでありますが、果して現在の社会情勢を見てこの程度改正を以て所期の目的を達成することができるかどうか。このようなものは單にこれだけの改革で、如何にも社会教育に対して政府が熱意があるように見せかけておるやりかたは、むしろ欺瞞にひとしいと思うのであります。我々はこの法案に対しまして、最初提案されました一昨年におきましてこの法案反対をしたのです。この反対理由としましてはいろいろありましたが、先ず第一に財政的な裏付けがないということ。次にこの法案の中にひそんでおる精神に官僚統制向う点がある。この点を挙げたのでありますけれども、そういう点につきまして、殊にこの財政的な裏付けを十分にするということによつて社会教育をもつと質的に内容的に改善するという方向が、その後二年間のこれは内閣の政策によつてとられたかどうかということを検討して見ますと、殆んどこれは皆無と言つてもいいというよう状態であります。成るほど部分的にはこれは実に問題にならないよう予算を取つて名目的なものが遂行された面があるようでありまするけれども、併し我々の問題にしたい社会教育委員というものは、社会の広範な教育の問題なのでありまして、今申しましたような部分的な改革では何ら目的を達することはできない。むしろこの社会教育法案が実施されたにもかかわらず、社会の生活の実情、又殊にもうこの中に大きく問題にしなくちやならない青少年の一体生活状態、道義の状態、こういうものはどうなつたかというと、むしろ悪化の方向を辿つておることは、これは犯罪統計なんかで事実か歴々として出ているのであります。だからして根本的に言うならば、現在の内閣の政策そのものがもつと徹底した社会政策が行われて、その上に立つて社会教育というものが実施されるのであつたならば、これは意味を持つと思うのでありますけれども、逆な方向に行つて何ら社会的な政策というものはこれはない。こんな人民生活の破綻が大きく出、そうしてそれが青少年の犯罪、或いは道義の廃頽という形になつて現われておるのであります。だからしてこれは社会教育主事資格確保しなければならないというような論拠を立てておるのでありましようが、先ほど申しましたように、そのような問題でこの問題は解決されない。むしろこういうことは名目であつて、現在はこのよう社会教育主事というよう制度を法的な裏付けをすることによつて一つ官僚統制の線をますますこれは濃厚にする、こういうような意図が隠されておる。こういうことを我々は考えることができるのであります。それは最近のいろいろな国際情勢並びに国内情勢を考えますときに、そうして日本が今置かれておる現状についてはくどく触れませんけれども、これから考えるときに、むしろそういうような危險のほうが遥かに多い、こういう点から考えまして、私はこのよう一つの糊塗的な改革は何らの意味を持つものではない、こういうふうに思うのであります。  また私のこの反対の論点としたいところは、この社会教育主事の権限は成るほどこういうふうに認められて来るという形になりますけれども、一方作られておるところの社会教育委員、こういうものは一体現在どういうふうな形になつておるか。これは教育委員会の諮問機関ということになつておりますけれども、殆んどその職責を果していないというのが現状ではないか。或いはこれは盲腸的な存在になつて、ただ日本民主化の一つの飾り物、こういう形になつて、この社会教育委員の機能というものが十全に活用されていない。こういうような点から考えますときに、むしろ社会教育主事の権限身分というものが保障されることによつて、ますます今後社会教育委員というものが軽視される方向を生み出すことは、これは恐らく明らかな事実であろう、こういうように考えるのでありまして、いわゆる官僚統制の面からしましてこの危險を十分に考えるものであります。その例は遠いことでありません、教育委員会の実態を見れば分るのであります。現状で大きく問題になつておりますように、教育長の権限というものは法案に謳われておるものよりは実は大きくむしろ過大になされておる。又教育委員会法案なんかの改正によつてもそういうような傾向が現われておる。そのときの事情におきまして教育委員というものは実は有名無実な方向に追込まれておる。こういうような実情がやはり同じよう社会教育法案の中にも大きく出て来る、そういう根拠が今度の改正によつてますます進められると私は考えるのであります。  第三としましてこの社会教育主事をなぜこういうよう一つ官僚統制的な機構にしなければならないか、これは現存はそうだから言うのでありますけれども、若しも本当に政府に日本民主化に対する徹底したところの要求と情熱があつたならば、もとより日本のそういうような一般的な民主化というものに力を入れる、そうしてその中から真に正しいところの社会教育主事というような人たちを生み出して行くというような方向を取るべきであつて、それをそういうふうな面の努力というものは殆んどなされないでいて、そうして現在はどうもうまく行かないから社会教育主事を十分身分付けなければならない。そういうような簡單に一つの日本民主化の方途をかような形においてこの改正案がなされておるというところに、元来これは單に文部省の政策だけではありませんけれども、現在とつておる吉田内閣の一連の政策が具体的に末端に現われておるということを私は指摘せざるを得ないのであります。  このような三つの観点から考えまして、私はこの欺瞞的な糊塗的な改革を以てしては社会教育の実績を挙げるということはできないのである。そうしてむしろそれによつて得る利益というものは微々たるもので、このよう官僚統制により更に日本の再武装の問題、更に戦争に巻込まれるというこの危険の中に果す今後の役割のこの危險のほうが、日本の民族並びに人民大衆に與える被害を大きく考える故に、私はこのよう法案に対しましては飽くまで反対するものであります。
  37. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 外に御発言ございませんか。
  38. 梅原眞隆

    ○梅原眞隆君 私はこの法案に賛成を表するものであります。社会教育が今後展開をせらるべきことはこれはすべての人のはつきり認識しておるところである。單にこの教育主事身分確保するとか、人材を集めるとかいうことでこれができるとは考えないが、今後社会教育を発展して行くべき第一歩としてこういう社会主事の法的な確保をして人材を集めるように努力せられることは、今後の社会教育の発展する第一歩であると私は想像してこの法案が十分な効果を挙げられるように運営せられることを希望してこれに賛成をするものであります。
  39. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 民主党も大賛成をしてこの案に賛成をするものであります。
  40. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御意見も盡きたようでありますから討論は終結したものと認めて御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれから採決に入ります。  社会教育法の一部を改正する法律案、これを議題といたします。本案を可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者多数〕
  42. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 多数でございます。よつて社会教育法の一部を改正する法律案は多数を以て可決することに決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則の第百四條によりましてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、それは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしましてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を付することになつておりますから、本法案を可決することに賛成されたかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名     荒木正三郎  若木 勝藏     高良 とみ  木内キヤウ     川村 松助  平岡 市三     山本 勇造  梅原 眞隆     矢嶋 三義
  44. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) これにて休憩いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後二時三分開会
  45. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより午前に引続いて文部委員会を開会いたします。  本日は教育公務員特例法の一部を改正する法律案の一般質問に入りたいと思いますから、そのつもりで御質疑を願います。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず政府委員のかたに資料をお願いいたしたいと思います。  その第一は、国家公務員である大学の教職員職階制の一覧表ですね。職階制による級別格付の一覧表がございますね、それと、それからもう一つは国家公務員並びに地方公務員の結核患者数ですね。罹病率並びに総員現在何名療養しているかというような資料をお願いいたしたいと思います。  先ずお伺いしたいことは、教育公務員特例法法律趣旨に、教育公務員職務とその責任の特殊性に基いて、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修について規定してあるのが教育公務員特例法である、こういう趣旨を述べられているわけであります。申すまでもなく国家公務員法が制定された当時に、その特例法としてこれが出されたわけであります。確かに教育公務員職務とその責任は特殊性があるし、又教育というものは如何なる不当なる支配にも服することなく、自主性を私は保てるようにしなければならない。八千万国民が現在こういう塗炭の苦しみをなめているのも、教育というものを或る時代に官僚の手に委ね、或いは軍閥の手に委ねて、教師自身も自主性のない、教育をレコード化してやつてつて、信念もなく正義に基いて堂々たる言動をとれないというその教育の隷属性というものが、やはり今日の日本を招来した一つの大きな原因だと思うのです。それで教育が如何なる不当なる支配にも屈服しない自主性を堅持して行く、飽くまで理想というものを追求して行く、その線に沿つて人間を国民を育成して行くのだ。こういう見地から考えるときに私は、教育公務員職務とその責任の特殊性からここに立法化するということは非常に大事なことであるし、それだけに私はその筋金を太くぶち出した法律としなければならない。  もう少し具体的に申上げますならば、教育公務員に関する限り、任免、分限、懲戒、服務、研修、それから不利益処分あたりの取扱も、他の公務員と切離して、その特殊性を一〇〇%活かすというよう趣旨で進むべきではないかと考えるわけであります。そういう立場からこの地方公務員法の特例法としてここに改正をされたかどうか、その根本的な見解について承わつて見たいと思います。
  47. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 御質問にお答えいたします。お話のよう趣旨で立法に当つたつもりでおります。ただ併し御承知のように、地方公務員である教育公務員につきましては、この地方教育行政單位であるところの教育委員会制度というものがございますが、その制度につきましては御承知のようにいろいろの問題もございますし、差当つて来年二十七年から現在の法律のままで行けば各市町村に教育委員会を設ける規定になつておるわけでありますが、そのことついてはいろいろと問題もありますので、その問題を含めまして急速に地方教育委員会制度研究と調査と、そうして立案をいたしたいということで準備中でございまして、従つて今回の教育公務員特例法改正は、地方公務員法の制定に伴つて是非とも必要だと思われます最小限度のものを根幹にいたしまして、それにその他の理由から急速に必要のあるものと思われるものを附け足したのでございまして、根本的な問題につきましては次の機会までに十分準備して研究をいたしたい、こういうふうに思つております。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 特例法そのものは教職員身分取扱つておるものでありますが、教育をあるべき姿に持つて行くためには、私は教員の身分の安定ということが最も大事じやないか、保障ということがですね、その立場から考えるときにこの本改正案で最も問題点とされているところの五條の改正を眺めますときに、国家公務員である大学の教職員に保障されておつた民主的な取扱かたというものが落され、又この特例法地方公務員にも、その身分の安定と保障という立場から保障されておつた第十五條というようなものが落されてしまつている。こういう点は私先ほどから申述べました教育自主性の確立、如何なる不当なる支配にも服さない、屈従的にならない、而も教育に携わる者に責任ある自由というものを與えてその身分の安定と保障を図る。そうなければならないこの教育公務員特例法趣旨から言つて、一番肝腎かなめになるところが抜けているのではないか。どういうわけでそういう方向にこの特例法の性格というものが変つて行くか、そういう提案を政府はされるかという点について私はお伺いいたしたいと思います。
  49. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 只今の御質問の中に五條の改正に関しまする部分につきまして、改正の意図を一言御説明申上げたいと存じます。お話のよう公務員について身分保障ということが非常に大事なことでありますことは申すまでもないのであります。その点につきましては国家公務員法の第八十九條から九十二條まで、地方公務員法の第四十九條から五十一條までの規定において、すべての国家公務員地方公務員に対して身分の保障の規定が設けてあります。この点につきましては教育公務員といえども異ならない保護を受けておるのであります。然るに従来の規定におきまして、第五條のいわゆる事前審査の規定を設けました趣旨を考えますると、大学職員につきましては任命権者、或いは懲戒権者が処分を行うについては、大学管理機関の愼重なる審査を前提とするという趣旨であると考えます。即ちそういう大学職員身分上の処分につきましては、いわゆる大学の自治という建前を尊重いたしまして、任命権者のみが行うことなく、その前提として大学管理機関の審査を必要とする、そこにこの五條の置かれた意味があつたと考えております。然るに実際の運営その他から考えまして、大学教育行政が円滑に進展する、殊に行政事務の一種でありまする人事に関する行政が円滑に運営するというような点から見まして、現在の規定を更にその趣旨を明確にすることによつて、いろいろ従来起りました支障を排除することが適当だとこう考えましたので、第五條を立法の趣旨に即しまして内容を整理いたした次第でございます。従いまして第五條の改正は、別段教育公務員についての身分保障を薄くするという趣旨に出た改正でないことを御了解頂きたいと思います。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 五條そのものに対する質疑は追つてあとでさして頂きたいと思います。その程度に承わつて置きます。  次にお伺いしたい点は、教育公務員特例法を出され、又今度改正案をここに提案されたわけでありますが、国家公務員地方公務員の中で教育に携わる教育公務員の特殊性を十分活かして、その人の身分がより安定し保障されるように保護するという立場から改正されておるのか、それとも制限法規として改正ようとするのか。その点を承りたい。
  51. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 只今第五條に関連して申上げましたように、教育公務員というその仕事及び職種の性質上から見まして、教育公務員教育について国家に対して奉仕しやすいよう特例を開くというのが教育公務員特例法趣旨であることは申上げるまでもないのでありまして、今回の改正におきましてもそういう点についてますますその特色を発揮すると共に、支障を排除しようという意味改正をいたしたのでございます。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的に一つお尋ねいたしますが、日本教育の民主化のために全国五十万の教職員によつて結成をされておるところの曾つての労働組合としての教職員組合というものの残した功績というものは、私はこれは否定できないと思うのです。民主政治を確立して行くに当つても、民主教育を通して民主国家を建設して行くに当つても、私は民主的な労組の育成強化というものは相当考慮して行かなければならないものと考えるのでありますが、この特例法の中で教職員団体、そういうものの組織並びにその運営については、これを育成助長するというよう立場から改正されておるか。それとも少し行過ぎもあるようだがこの際少し引締めようというよう立場政府は立案されたか。保護政策を布かれるのか、彈圧政策を布かれるのか、政府としてはどちらに立たれておるのか。その点はつきりお尋ねしたいと思います。
  53. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答え申上げます。ちよつと私からお答えするのが果して適当であるかどうか疑問でありますが、私のお答えできる疑囲においてお答えいたしたいと思います。  御承知のように教員の職員団体につきましては、国立学校職員の場合には国家公務員法、公立学校職員については地方公務員法、この二つの法律で以て職員団体を作ることができることになつております。ただ公立学校の教職員の中で、市町村立の学校職員の人事管理については、その身分は市町村立でありますからして市町村に帰属はしておりますけれども、実際にはその市町村に教育委員会ができていない所が大変に多い。そういう所では都道府県教育委員会が任命権者になつておる。又市町村立の学校職員で俸給その他の給與はその市町村ではなく、都道府県のほうが負担しておるというような複雑な関係がございますから、そこで地方公務員法でいつている地方公共団体ごとの職員団体のほかに、改正案の第二十五條の六にありますように、都道府県当局と交渉のできる特別の職員団体を教員に限つて設けたいということをここに考えたわけなのであります。このことは組合を尊重しなくてそういう民主的な活動を抑圧するのではないので、健全にして而も民主的な職員団体が市町村以外に府県を單位として結成されて、連合されて、それが都道府県と交渉ができるようにいたしたいということでございますので、私どもといたしましては彈圧とか抑制とかいうことではなくて、健全なる発達を期待するという趣旨に基いているものと考えております。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 職員団体に対して育成助長の保護政策を布かれるという点はつきり承わつて心強く思つた次第であります。  もう一点一般的なことをお尋ねいたしたいと思うのですが、本会議でも大臣は議員の質問に対して、教職員を十分優遇してその生活安定を期したい、延いては教育界に人材を吸收してそして教育文化の興隆を期して行きたい、誠心誠意努力いたしたい。こういう答弁をなさつておられるわけでありますが、そうするために教職員の特殊性から相当他の国家公務員並びに地方公務員と違つた立場から法律並びに條例というものをきめて行かなくちやならんことは私はたくさんあると思うのです。そのうちの一つをとつて申上げてみますと、この中に盛られている職階制の問題なんかもそれに該当すると思うのです。果して教育界に職階制を布いた場合に、民主教育というものがより以上成長するものかどうかという私は根本的な立場を考えられたかどうかという点をお尋ねいたしたいのであります。国家公務員法というのができて職階制が布かれた、一つここに鉄環というものができたこういう枠ができたから、だからその中で教育公務員のときもこうしようというような事務的な考えかたからやられたのではないか。本当に根本的に国家公務員地方公務員たる教育公務員に対して職階制というものが適当であるかどうか、更にどういう職階制が適当かというような根本的なことを考えられて、この特例法改正案を出されたかどうか。これは一つの例でありますが、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  55. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答えいたします。  教育公務員職階制につきまして今お話がございましたが、その点について先に申上げます。お話のように国家公務員法では来年の三月一杯までには一応職階制を作る、それによつて格付が終了するという建前になつておるわけであります。国家公務員についてそのうちの教育公務員の分の職階制はできるかできないかということにつきましては、今お話のよう趣旨で両論があるのでございます。併しながら教育関係職員については職階制というものは全然できない、作ることは不可能であるという結論には達していませんし、むしろその否定的な論というのは急速にしつかりした教育に適当な職階制というものはなかなかできないのじやないか、いい加減なものを作るくらいなら作らないほうがいいんじやないかというようなことのように考えております。私どものほうとしましては目下人事院と協議をして研究中でございます。若し国家公務員である教育公務員につきまして妥当な職階制というものができるならば、地方公務員であるところの教育公務員についてもできないということはあり得ないということになつておりますので、そういうふうに考えられますので、国家公務員であるところの教育公務員職階制ができればそれに準じて作る、そのことができるかできないかについては目下研究中であるということをお答えいたしたいと思います。  なお研究の途中でいろいろの意見が出ておるわけでございますが、例えば教授だとか助教授だとか講師だとかというようなことは、大学について一応の大まかな基準が成立つのではないかという考えかたとか、似たような考えから、大学以外の学校ではそういう養護教諭、助教授というよう免許状の種類によつたもの、そういうものを或るグループにして考えて行くこともできるのじやないか。その他学長とか校長とか部局長とかというような、いわば行政的な立場に立つかたがたについては、それはそれとしての又考えが成立つのではないか、これらの事柄が今論議されておる途中でございます。まだ確たる見当はついておりませんが、こういう状況であるということを申上げておきたいと思います。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あとでほかのかたの一般質問もあつてこの特例法の審議に入るわけでありますが、これを審議するに当つて我々の質問政府委員から丁寧に御答弁頂くわけでありますが、私は次の感覚を要望いたしたいのであります。  どうも終戰後日本の教育を打立てるために、教育基本法から学校教育法と結構な法律が出て来たことはよろしいのでありますが、次々に法律というものが出て来てどうも教育を縮こまらせる、教職員に鉄環をかぶせるというような感じがしてならないのです。例えば公職追放の解除、ああいう戰時中に日本の軍国主義を指導した大臣級のかたが解除になつても、教育界では洗濯とか飯焚きくらいしておつた人が教職の追放解除にはならない。給與のほうでは優遇といつても調整号俸は落されて行く。或いは最近社会教育法改正案が出ましたが、随分子供が不良化され、教師は八時間労働というものを超越して家庭訪問なんかをしつかりやらなくちやならんというてやつてつても、勤務時間の範囲がわからないとかいつて超勤も出されない。そうして教職員免許法というものが出て非常に高い資格というものを要望して行く。更に地方公務員法あたりで問題となるところの政治活動の制限までする。大学の教授になつても学問の自由、その言論行動が、責任を裏付けとした自由さえも與えられない。而も生活保障の面では一流の大学教授でも赤貧洗らうがごとき状態である。こういうような一般的な情勢では、最近問題になつておる日本の平和とこれに集約されるものですが、日本の平和から世界の平和を確保して行く、これに集約されるものだと私は思うのですが、そういう線に副つたところの教育文化というものを我が国から打立てて行くということは、これは不可能じやないか。文化国家の建設ということを唱えておりながら、これが單なる空念仏に終るのじやないかというようなことを懸念しておるものなのです。  これからこれを審議して行くわけでありますが、飽くまでもそういう状況下におかれている日本の教育界、それに従事しておるところの教育公務員をそういう惡環境から少しでも引抜いてやる、保護してやる、育成してやるという感覚、そういう角度から政府委員のかたも今後御答弁願いたいし、そういう線に副つた公務員特例法改正ができるように格段の私は御盡力を要望いたして一般的な質問を一応打切る次第であります。
  57. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 今日は若干の質問だけしておきたいと思います。第一の問題は教育公務員特例法の問題なのですが、これの母法は何であるかということですね。わかり切つた問題ですがおつしやつて頂きたいと思います。
  58. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 国家公務員法と地方公務員法が母法といいますか、主として関係の深い法律であります。
  59. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 主としてですか。そうするとまだほかにありますか。
  60. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) ちよつと続けて申上げます。教育基本法とか学校教育法とかいうような一般的な法律がございますから、それで主として関係の深い法律だというふうにお答いいたしたいと思います。
  61. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私には今の御説明は少しおかしいと思うのです。国家公務員法の中に教育公務員の特殊性に鑑みて特例を設けることができる、こういう規定はあります。それから地方公務員法の中にもそういう規定があつて、併し教育基本法などには全然そういう規定がないわけでありまして、当然この特例法一つは国家公務員法であり、一つ地方公務員法であると私は思うのです。併しこの母法が二つあつて、その特例がその二つの母法から一つに生まれて出て来るという問題について立法上の疑義を持つておるわけなのです。私どもの普通の見解に従えば地方公務員法による特例特例として一本出すべきである。それから国家公務員法の特例特例として一本出すべきである。それぞれの母法を一つ持つた特例でなければならないというふうに考えておるわけなのです。普通の常識に従えば母法が一つ特例がそれから二つ三つ出て来るのは考えられまするけれども、特例一つで母法が二つあるということはどうもおかしい。そういう点の見解ですね。こういう立法に当られたときの見解を承りたいと思います。
  62. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 国家公務員法と地方公務員法とこの特例法関係とは、前者が一般法であり後者が特別法である、これは言うまでもないことだと思います。然らば教育公務員についてなぜこうした特例法を設けなければならんかという精神は、今關口政府委員からお答え申上げたように、その根元は教育基本法から求められるだろう。教育基本法におきましては、例えば第十條において「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」この精神から教育委員会法その他の行政的の法規も出て参りますけれども、一つの行政機関でありまする教員の性格もこの点から考えるという意味において、教育基本法はやはり教員に対するこうした身分関係規定を作ります場合にも、一つの母法的性格を持ち得るものだと思つております。
  63. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私が質問しておる主体はそこにあるのじやないわけです。それは文部省の説明によつて附随して起つて来た問題なんで、私の考えによればこの特例を立法するに当つては国家公務員法による特例を一本立てる、地方公務員法による特例を一本立てる、こういうふうにして行かないと立法上に疑義を残すのじやないか、こういうことを思つておるわけなんです。その点でどういうふうにお考えになるか。
  64. 稻田清助

    政府委員(稻田清助君) 御質問の点よくわかりました。お話のように国家公務員法に対する特例法を作り、地方公務員法に対する特例法を作るのも一つの方法であり、又立法技術であろうと思うのでございますけれども、ただ教育公務員という、教員という特殊性から眺めまして、一般的なこういう人事行政の基本法に対して特例をどう置くかということを考えました場合に、両者に対する特例が共通であります部面が殆んど大部分である。そういうような観点から一つにまとめまして、それぞれ異なる部面については異なる規定を設けるという方法を我々といたしましては便利であると考えて、こうした教育公務員特例法という一本の特例法を以て二つの一般法に対する例外法といたしたわけでございます。
  65. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 今の説明のよう考えかたで行くならば、私はむしろこの教育公務員法という一本のものを作つたほうが更に便利ではないかと思うのです。そういうふうな措置に出ないで、内容の異なる国家公務員法と地方公務員法から一つ特例を導き出すということは非常に立法的に無理があるんじやないか、かように考える。  それで私は内容的にこれを一本にすることに反対意見を持つておるのではないのです。実質から考えると一本にするほうがいいわけなんです。ということはこれをもつと推し進めて行けば国家公務員、或いは地方公務員から外して、教育教育公務員として一本立てるようにしたほうが更に完備したものができるという見解を持つておるわけなんです。そういう立場から言えば、もつとこれを推し進めて教育公務員法にまで発展をなぜしないかという点まで及んで来ると思うのですが。
  66. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答えします。今。教育公務員については地方と国家とこの二つに区分しないで、一本にして教育公務員法というよう法律を考えたらどうかという御質問であつたと思いますが、そういう意見は我々のほうにも前からありまして、その問題については多少の研究をいたした。併し又一方にそれと全く反対一つ法律についてそれぞれ別々の特例法を作つたらいいではないかというような今お話に出たよう意見もございますし、又大学なら大学については外して又別に作つたらいいのではないかというような、分けて行くほうの考えかたをとつた議論も一応成立つわけでございます。それらのところを彼此研究した結果、現在の段階においてはこの程度の立法措置をいたして、次の研究課題として研究を続けて行きたい、こういう状況になつております。  先ほどもお話の通り地方、国、それぞれの特例法という名前をつけたこういう法律でなくて、教育公務員法というようなものを考えてはどうか、こういう意見は私どものほうにもあつて、なお研究はしているが決定的という段階にはなつていないということをお答え申上げます。
  67. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私の質問している要点は結局前に戻りますが、それぞれの特例法を出すのが常識的であると、こういうふうに考えるのです。国家公務員法による教職員特例、それから地方公務員法による教職員特例というものは、当然私は考えなければならないと思います。ところがそう考えないでこれを一本にまとめてここに教育公務員特例法とせられた理由、その理由の主な点を挙げて頂きたいと思います。
  68. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 任用或いは職務内容、先ず第一に職務内容、次に任用、分限、懲戒、給與、これらのものについては殆んど区別することはできない、同一でよろしいというふうに考えられる。そういう論点からして先ほど申上げましたように、もつと一歩進めて教育公務員法となつてできる分ではないかという考えが出て来るということになつておりますので、今申し上げました職務内容同一で、それから任用、分限、懲戒、給與等が同一考えかたでいささかも差支えない、これがまあ理論的な理由じやないかと思います。  なほ今までの経過的と申しますか、今までの関係から申しますと、却つて国家公務員法ができて、そのあとにこの特例法が生れて、その際にまだできていなかつた地方公務員法というものもやがてはできるのだという予想があつて、その際に地方公務員である教育公務員については一緒に取扱つて行こうという考えかたで、そういう取扱いをするように途を開いておるということもあります。あの際に若し地方公務員法がやがてできるだろうから地方公務員であるところの教員については、全然ノータツチでこの際行こうということではなかつたわけでありますから、そういう今までのいきさつと申しますか、趣旨もそこにあつたように思うのであります。
  69. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 只今の説明を聞けば、職務内容が国家公務員法並びに地方公務員の教職については同じである、それから又任免、分限、懲戒、服務、研修等においても大体同じであるというお話であつたと思うのです。そういうことをお認めになるならば、これは先ほどお話にあつたように、どうしたつて教育公務員法というものに発展しなければならんと思うのです。併しそうしないで一は国家公務員法で規定し、一は地方公務員法で現在規定しているのです。規定しているのですからやはりそういう説明が完全に了承せられていない結果だと思うのです。一は国立学校の教職員は国家公務員法で規定しているのです。地方の教職員地方公務員法で規定し、全くこの二つの法律は異なる法律である。若し異なる法律を決定しておる以上は、私はそれぞれの特例法を制定すべきではないか、こう言つておるわけです。この法律の建前から言つてそうなるべきではないか、こう言つておるのであります。それを別口にしないで、ここに一本にまとめられておるのには理由があるじやないか、その理由は何であるか、こういうことを言つておるのであります。
  70. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) どうも同じことを繰返すようになつて失礼のように思うのですが、併しどうも正直に申しますと今までのを繰返しておることになつてしまう。今おつしやいましたような二つの母法の一つ一つ特例として二つの法律を立てるか、さもなければ全然新らしくここに国家地方を通じての教育公務員法という全然新たな法を一つ立てるか、その両極端の間に他の方法を考えるということは、立法技術上妥当ではないという御意見よう向うのですが、併しながら今申上げましたような経過的に考えても、そういうことになつて来ておりますし、それから今の又一方に徹底した教育公務員法という、全然独立な新たな法律を立てるということについては、なおまだ研究が熟しておらんのだ、手続としてそこまで至るのには甚だ不十分であるということからして、現在の段階においてこういう立法措置を講ずることは、私は少しも不当ではないではないかというふうに考えておるわけであります。
  71. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 それではこの問題は私は十分納得することができないわけなんですから、又重ねて質問するかも知れませんが一応省いて置いて、もう一つ問題になるのは、この特例を設ける五十七條に、職務と責任の特殊性に基いて、この特例を必要とするというふうに書いてあるわけですね、職務と責任に基いて。この間の本会議においても緑風会の或るかたの質問演説にもありましたが、教職員職務と責任の特殊性に基いて給與の問題についても当然考えなければならんという趣旨の発言があつたわけです。これに対して大臣も全く同感であるという恩恵の表明があつたわけです。そういう点から考えると、この特例法をこしらえた趣旨が、その職務と責任の特殊性に基いてできておるのであれば、そうして本会議でも問題になつように、そういう点から考えて給與の問題も考えなければならんという発言があり大臣も同意された。そういう点から言えば私はこの特例法に給與の問題が入るべきだと考えるですがね。ところが職員職務とその責任の特殊性に基き教育公務員の任命、分限、懲戒服務及び研修だけが規定されておるが、給與については全然触れておらないということを私は不思議に思つておるですがね。この非常に問題になつておる教職員身分安定、生活安定を図るための給與の問題が全然記入されておらないという点については、どういうふうにお考えになつておるのですか。
  72. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 今の御質問によりますと、給與のことについて特に特例法のなかで規定しておくべきだというお話でございましたが、今の法律改正案の中には給與については、国家の公務員であるところの教育公務員の給與基準とするといつた種類のことは書いてありますので、まあ触れてないということではないのですが、ただ併し特殊性を重んじてということであるから、どこかで教員の俸給はかくかくでなければならん、非常に高くなくちやならんとか、何とかいうそこにそういうものを入れたらいいんではないかというようなことになつて来るんでしようか。そういうことをなぜ書かんかというふうになつて来るんでしようか。今の御質問ちよつとお尋ねしたいんですが。
  73. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は先ほど言つているようにその職務と責任の特殊性ということを、言い換れば重要性と言つてもいいかも知れませんが、重要性に基いてこの特例法というものはできておるわけなんです。それならばそこから当然引出される問題は單に任免とか分限、懲戒、服務だけでなしに待遇の問題にも当然触れて来て然るべきではないか、こういう私は考えを持つておるわけです。ところが待遇の問題については全然触れていない。先ほど矢嶋君から質問があつたように、この法律は教職員を彈圧するための法律かというふうな質問があつた。そういうやはり給與の問題、当然考えなければならない問題が落ちているためにそういう印象を受けるわけです。私は丁度二年前の国会において、教員の待遇については特例俸給表を作成しなければならないという法律が国会において通過したことを知つておるわけです。ところがその法律に基いて特別俸給表というものが今日なおできておらないわけです。こういう状態である現状においては特例法においてこの面をやはり規定すべきではないか。こういう見解を持つておるのですが、そういう面に全然触れておらない原案についてはどういうお考えを持つておられるかということを聞いているわけです。
  74. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) ちよつとこう無味乾燥なようになるかも知れませんが、この点御了解願つて申上げます。この地方公務員法の中で給與に関連した事項、二十四條だと思いますが、この二十四條は御承知のように給與、勤務時間、その他の勤務條件の根本基準というところです。そこで一様に給與の規準を定めるについての原則的な條項が謳われているように思うわけです。この辺は教育公務員であつたからといつてそういつた事柄について別なことが格別あるとは思われない。併しそうだからといつて教育については一般地方公務員と全然別個取扱うものではないというふうに思うという点で、先程申上げましたように国家公務員であるところの教員についての給與、それを基準にするのだという種類のことが改正法律案に謳い込んであるということになりますので、とど国家公務員であるところの教育公務員についての俸給、給與の体系というものがきまつて来ると、自然それに連続してきまつて来るということになると思うのです。そのことについてはこの法律に謳うべきか否か、どうもそうではなく別に給與体系に関する別の準則というものが考えられて、それが別の法律を用意してそれで以て定めたらどうだろうかという考えかたが私どものほうにあるわけです。  これは研究中だから申上げかねるのですが、端的にいえば教員、教育職員については一方に先程申上げました特別の立法をすると同時に、それに即して或いは特別職というようなことにでもなりますか、さようなことを考えに入れて別個の俸給の基準というものを研究し、それに基いた法的な処置を講じたらどうかということもあつて、目下その点は考究中でございます。
  75. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 どうも私には了解できないのですが、この第四節に規定されている給與その他の問題について、これは公務員一般の問題が規定されているわけです。ここからその特殊性に基いて特例法規定する必要があるんじやないかと言つているのが私の意見です。大臣の答弁から考えても、当然やはり教職員に対する職務の重要性から、この待遇の問題についても特別な考慮が拂われなければならん。特別な考慮が拂われるということならこの特例法以外にはないと思う。それをここに規定しておらないということについてはどうも政府考えかたが一貫していない。特別に考慮をしなければならんと一方では言いながら、この特例法には規定しておらないという点を明らかにして頂きたい。この問題は今更私は研究中だと言つて済ますことができない問題である。なぜならば国家公務員法において二年前において教員の特別俸給を作らなければならない。これは一般職よりも低くするという意味で作れというのではなくて、あのときにはつきり出ておるようによくしなければならんという意味であれが出ておるわけです。そうしたら二年越になつておる問題を、この特例法を制定する際に又今度改正する際に、どうしても一本入れで置くのが常識だと思う。(岩間正男君「それから先やつてもらおう。それをやつてもらわなければ審議はできん」と述ぶ)私はやはりこの問題において矢嶋君が言つたように本当に教員を締めて、締めて、鉄環をはめて行く法律であるという印象を受けるというのも、こういう当然待遇改善でも考慮しなければならん問題を、全然考慮の外に置いておるというところから私は来るのじやないかということを深く感じておるわけです。なぜ給與の問題、待遇の問題をここに入れられないのか。入れられないならば入れられない理由はつきりおつしやつて頂いたら私は勿論納得するわけです。(岩間正男君「ざつくばらんに」と述ぶ)これは私單に法律をいじつてつておるのじやない。この前の国会においても問題になつて給與ベースが改訂になつたときに、若し五十万の地方公務員についてこれが適用されると財源があるかということが文部委員会で議論になつた。果せるかな青森県においては未だに給與ベースが改訂にならない、財源がないというので、そういうひどい目に会つておる所もあるわけです。だからこの予算の裏付けのないこういう法がいくらできたつて、決して教育は所期しておるように挙がつて来ない。その予算財政措置というものの裏付けがない限りこういうものは所期の目的は達しない。そういう点からいろいろ給與の問題を公正に確保するところのものがどうしても欲しい。こういう考えも立つておるわけです。現実に給與ベース改訂すらできないという事態も起つておるわけです。
  76. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) どうも同じようなことになりますが、予算措置については先達てから別途に非常な審議もし、いろいろな折衝も繰返されておることはもうよく御存じのことだと思うのです。そういつたことと別にこの際この法律の中に教職員の給與について、端的に言えばより高くするというようなことを書くべきだという御意見、成るほどさような御意見もあるかと思われますが、併しこの法律にそういうことを書入れることは、どうもさような建前で行く法律であるかどうかということが疑問があると思うのです。  別途に先ほどから繰返し申上げておりますように教員に関しては全然別個の立法を何か考えて、それによつて教員の身分取扱なり、その給與の点について新らしい観点から一般の公務員からはずした表というようなものを考えて行くという、これは別途のほうで研究いたしておるつもりであります。この法律でなく別の方法でさようなことはできるのじやないかというふうに研究しております。
  77. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 この問題は私は大臣にお尋ねしたいと思います。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 結局大臣が出て来られなければ……、実は政治的な問題を非常に含んでおるわけです。さつきから矢嶋君の質問もそうです、今の給與の、こと。それから一つの拘束規定みたいなこういう法案を出されているのと給與の変更はしないという問題についても、これはやはり政治的な問題がからんでいると思います。いずれこれはこの次大臣に出て貰いたいと思うわけです。実は政府委員のかたのいろいろと技術的な答弁がありましたけれども、その意見もやはり何だかどうもあんまり文部省のこれは統一した意見であるか、どうかわからない面がありますので、まだ研究中などというようなことでは、大臣でも見えなければこれは駄目ですから是非そういうふうな措置をとつて貰いたい。私は今日あまりやりません。どうしても天野さんにやつぱり、この法案が出されたつまり現実的な意味、それからその性格、こういうものについてこれはどうしても解明して貰わなければ納得行かないものですから。  それと連関してどうせこれは政府委員にも質問が、技術的な問題、事務的な問題についてなされなきやならないと思いますが、ここで考えて来て貰いたいことは、課題としてこれは出して置いていいと思う、むしろ答弁を用意して来て貰いたい。  一体この法案は拘束規定であるか、保護規定であるかということです。恐らく両方であるというようなことに答えられると思うのですが、そんなら保護規定であるならばこの前初めてこの法案が出されて制定されましたときにいろいろ問題になつた。やつぱり今の給與の問題も一つの問題であります。それから結核の三年のやつを二年にした、この問題も一つ大きな教員の待遇の問題になります。研修所を、どうする。これは論議された中心問題でありまして、結核と給與と研修所の問題、つまり法案などを出されても裏付がなければ何にもならんというのが我々の見解でありますし、この点が大きい問題になつた。併しこれは努力をしてそのうちに是非そういうことを実現したいということを各政府委員は答えておる。然るにそれはどうなつたかということ、我々はこの法案に対する二年後における政府の熱意を検討するためにも非常に必要なんです。だから結核問題についてはどうなつたか、それから研修所については果してこの法案に盛るのか盛らないのか。いわばこういう予算関係した方面はそつちのけにして置いて、実に拘束を、先刻鉄環をはめたというお話がありましたが、孫悟空の鉄環みたようなものをどんどん教員にかけておる。どこで呪文でとるかわからないがそういう形で教員を締めておるから、法案の性格として非常に大きく浮んで来る。そこでしよう。ここに問題になつて来る日本教職員組合か組合としての性格を失うということ、一方においてレツド・パージの準備段階であるということは明らかなことである。こういう問題のほかにいろいろこの法案で逆に締められて来てますよ。先ほど教育基本法の中で教員は不当なこの権力の支配に属さない、この精神をむしろ敷衍して作つたのがこういう特例法案であるということを一方では言いながら、実はまるで反対にその言葉と裏腹なやりかたを進めておるのが、この法案の姿ではないかと思う。だからつまり我々は具体的にこの法案を通じてこういうものが必要であろうけれども、むしろ具体的に現実の問題として文部省では答弁を用意をしておるのか、この点を突つ込まれるということを考えないでここへ臨んでおるかどうか、これは天野さんにも伝えて貰いたい。この問題については十日も二十日も論議を展開されなければ通せない。我々は納得しない。腹を据えてやつて貰いたい。こういうふうに思うのですが。  さて動議ですが、どうでしようか、この辺で今度は一つ天野さんに出て頂いて正論を展開しなければ、これは先刻の答弁ようなことではいかない。それで委員長のほうでもそういうような何をして貰いたい。而も只今出席議員は四人である。
  79. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  80. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれを以つて散会いたします。    午後三時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            平岡 市三君            荒木正三郎君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            山本 勇造君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   政府委員    文部政務次官  水谷  昇君    文部大臣官房会   計課長事務代理  相良 惟一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省社会教育    局長      西崎  惠君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会專門    員       石丸 敬次君    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君