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1951-07-19 第10回国会 参議院 文部委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月十九日(木曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教育予算に関する件) ○理事の補欠選任に関する件   —————————————
  2. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) それではこれより文部委員会を開会いたします。
  3. 岩間正男

    岩間正男君 これは或いはお聞きするのも何かと思いますが、一昨日の新聞によつて見ますと、池田蔵相向うへ参りまして、向うとの折衝が八月に遡及してやるということに了解が付いておる、こういうふうに報道されておる。ところが今日になると、八月に遡及できない。そこで年末手当の問題でやるのだと、この間の変更、これは新聞だけの情報の変化なんですか。この間にどういう一体内的な折衝過程変化があつたのですか。これはおわかりでございましようか。
  4. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 甚だ申訳ありませんが、その辺の経緯については私全然存じておりません。
  5. 岩間正男

    岩間正男君 これは希望条件になるわけですが、昨日も山下人事官の出席を求めて、この委員会ベース改訂の問題について相当聞いたわけです。当然この物価との、殊にインフレ要素が非常にはらんでいる、こういう情勢の中で物価賃金ベースとの間に非常にズレが来るわけです。そのズレをどういうふうにすればカバーすることができるか、これは原則としては人事院のほうでは当然遡及方針をとらなければならん、それが原則です。そういうことを言つているんですが、今までのベース改訂を見ますと、一度も遡及されたものがない、ここに現実的に国家財政の問題だということを理由にやつていない、ところがどうも政府が一方で努力をして、例えば池田蔵相がわざわざ向う行つて折衝したところを見ると、八月一日に遡及したい、米価を改訂して、一方では今度は補正で八月に遡及というようなことをやりたい、こういうことなんですが、こういう方針というのは、そうすると、向うからの折衝で全部切られて来る、政府方針では、やはり遡及方針という一応腹の底に持つているということが裏付けとしてはつきり考えられると思うのですが、そういうふうに了承してよろしいのですか。
  6. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 問題は財源の点にあつたようでございますが、財源只今申上げましたように、既定費の節約の問題も今盛んに検討いたしております。そのほか予想されるいろいろな補正予算要求等とも睨み合せて、全体として今年度の補正でどうなるかということが一番問題なのであります。従いまして私は大蔵大臣がどういうことをされたか、今わかつておりませんがこれを想像だけで申上げるのは大変恐縮でありますが、まだ確定的に財源の確たる見通しという点においては、補正予算の問題もありますので、まだそれほど具体的な問題としてと申しますか、どれだけの財源があるからということで、はつきりした折衝に入つてつたかどうか私はよくわからんのでありますが、いささかその点については疑問があるのじやないかと思つております。補正予算の問題が非常に大きく財源にも影響すると思いますので、遡及してやるかどうかという問題は、遡及財源があれば遡及もしてやりたいということを私も気持としてはわかるのであります。ただどのようになつているか、その辺は私としては今わかつておりません。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 これは政治的な問題になるので、あなたにこの点は突つ込んでもしようがないと思いますが、併し財源があれば遡及したいというような問題じやないと思います。当然これは遡及すべきだということで大蔵省も動くとしか解釈されない、そうしないと逆にトリツクをやつているとしか考えられない、政府米価を八月一日から引上げ根拠として、ベース改訂というのは当然理論的に出して来なければならんということになる。それで努力しているがごとく見せて、実際においてはこれはできないのだ、向うからの意向もあるしできない、そういうことで年末で考えよう、こういうことで米価だけは上げてしまう、これをトリツクだというふうに解釈されても仕方がないと思います。こういう点については、あとで主計局長なり、蔵相なりに我々は予算委員会でこの問題は討論したいと思いますから、それをここで質問しても酷だと思いますからやめます。  その次の問題ですが、地方公務員ベース改訂の問題、これはまだ国家で何ら見ない、平衡交付金で見ない。この前第十国会の予算委員会の論争の中で非常に大きな一つの課題になつた問題はこの問題でありますが、そうすると、又同じようなことが、而も今度の千五百円というような、この前の約五〇%上廻つたようベース・アツプをやろうとするときに、ここに又同じように地方財政に見させる。こういう事態が起つて、これは過誤だと考えておられるかどうか。どうも根拠かどういうこれは計算によつて、こういうことが可能だと考えられるのか。我々非常に不明なんです。と言いますのは、教員給だけをとつて見ますというと、大体この前は平衡交付金百九億切つたことによつて教員給が、これは五、六十億の不足が出て切られておつたわけであります。平衡交付金の中にベース改訂と年末手当を含む五、六十億であつたのです。ところが実態調査をして見ますと、昨日文部省のほうからはつきり聞いたのでありますが、百七十億不足しておるという実態調査の結果わかつておる。この実態調査が、まだ財源的に地方の現在の情勢では問題にならない。ここに持つて来て千五百円のべース・アツプを再びやる、こういう事態が起つたときに、これは我々の見当でありますが、教員給だけの面においても四百億近くのこれは財政欠陥が出て来る。そうすると、これは地方財政に全部押付ける。こういう形で一体現在の地方財政の状況を見て、これは成立つというふうに文部省では事務的にそう検討されて知るのであるかどうか、恐らく岩動さんの立場になりますと、文部行政関係だと言われるかも知れませんか、これは重要な問題で、地方財政の半分ぐらいのウエイトを占めるところの教育財政の問題なんです。この問題がこういうふうに軽々しく大蔵省のほうで決定して来ると、この問題は非常に私は今年度の下半期には重大問題として、これは当然表面化して来る問題であります。こういうふうに考えられるのでありますが、これはどういうふうに考えておられるのでありますか、あなたの立場から事務的にでもいいのです。これはどうです。大蔵省のほうはこういうことは実現可能性があると、こういうふうにお考えになりますか、この点伺いたいと思います。
  8. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 地方財政の問題は私直接やつておりませんので、何とも責任のあるお答えができないのでありますが、ただ又先ほど千五百円のベース・アツプの話もありましたが、これもまだ確定いたしておるわけでもないのであります。まあ国のほうの公務員給与を上げれば、地方も自然に上げなければならないということは常識的には考えられるのでありますが、ただ地方財政全体として更に財源をどう調達するかという問題は、やはりこれも補正とも睨み合せて考慮されるということになるものと私は考えております。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 教育財政のほうを担当されておるというのですが、地方財政余り詳しくないというお話でありますが、まあ地方財政の、先ほど申上げましたように半分くらいのウエイトを持つているので、当然地方財政の問題との関連でこの問題を考えないと、私は單にそういうことを上のほうで決定して押付けられても実現不可能だ。どこにしわが寄せられて行くかというと、末端の教育の具体的な運営の面に大きなしわになつて出て来る。そういう方面、これはどうなんですか、あなたの立場として、これは事務的に検討されたことはないのですか。こういう方針をとつてそれで大体今までの百七十億の欠陥が新たに起つて来る。こういう問題、これは全部地方財政に押付けて来る。これで一体切り抜けて行けますか、これは事務的な見解で結構なんです。この点承わりたい。検討してどうなるかということが考えられますが、大枠として大体今ぐらいのことは検討しなければならんと思いますが、これで教育財政を担当してもらつても我々不安でしようがないのです。その点承わりたい。
  10. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今文部省のほうで百十億の赤字になつておるというようなお話があつたのでありますがそれは私ここで初めて伺うので、文部省からまだ正式に何も話を承わつておりません。従つてそういう問題とも絡み合せて、なお実際の地方実情財政を、殊に教育関係のものについてはよく話を聞いて検討いたしたいと思います。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 これは矢嶋君がこの前予算委員会でこの点を文部省当局と、それから大蔵省当局と出てもらつてそうして両省で調べて頂いた。その実態によつて、もう少し我々は突詰めて見る必要がある。こういうことで文部省のほうでやつておる。地財委のほうでもやつておる。地財委と大体文部省見解とは殆んど同じような形が出ている。大蔵省でも実態調査を出されておると思うのですが、どうなんですか、これは出ていないのですか、どうも少し今の答弁では何かどうも頼りないのですな。これはどうなんですか。
  12. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 実は甚だ申訳ないのでありますが、私半年ばかり外国に行つてつて帰つて来たばかりで、余り細かくいろいろな問題についてまだ触れておりません。従つて、或いはそういつた資料も出ておつたかと思いますが、今のところ私が帰つてから開いておりません。
  13. 岩間正男

    岩間正男君 ここに文部の財務官いないようですが最速今引張つて来ますから、早速始めてもらいたい。大体問題を出されて鵜呑みにしたらとんでもないことが起るのですから、大蔵省でも事務的検討をされて呑ませようとする、こういう方針そのものについては我々は又別のところで問題にします。予算委員会で問題にすべきである。これは国家財政金融経済政策のやり方が、こういうところにしわが大きく来ておつて、事務的にこれを検討して、現状かどうであるか、そこで千五百円のべース・アツプというものか出て来たらどうなるか、これははつきり検討して、主計局長なり、蔵相なり、当然大きく条文に反映してもらいたいと思うのですが、そういう方針はとられますか。
  14. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今お話実情検討ということは早速取りかかりたいと思います。
  15. 岩間正男

    岩間正男君 もう一点でありますが、起債の問題であります。起債の問題につきましては、本委員会が三日前に開かれましてから、あらゆる、殊に公共事業の六三教室建築問題について、ここに陳情のかたがたくさんお見えになつた。まあ連日押し寄せて来ておるわけなんです。一様にして起債の問題を言つているわけなんです。この起債は当然今までの、つまりこの前の予算において六百七十五億でしたか、これかまあ四百億に切られたわけです。そこから大体出ておるのだと思いますが、六五%でこれは抑える。こういう形のために、つまり補助金は出ても一々の金額が起債の面で行き詰つて、そこに單価の非常に値上りの問題があつて、工事が六三校舎の場合は非常に停滞しているという実情なんです。こういう問題、これもまあ結局実情把握というものが非常に重要になつて来るのですが、この問題が一つと、新たにもう一つはここでは当然單価値上りの処置と、それから現在の教室不足がまだまだ解消されていないので、少くともまあ四十万坪ぐらいはここで文部省としては補正で何とかしなければならない。これとの関連で、当然起債の問題が出て来るわけです。こういう問題について、四百億で抑える。これはまだそういう方針については我々聞いていない。これは平衡交付金は増額しないのだということについては、新聞で見たわけなんですが、大蔵省としてはこの起債は單に教育予算だけじやなくして公共事業のそういうような面からも非常に起つて来ると思うのですが、こういう要求をこのままでここで見過して行かれる気であるか、それともこういうような現実の要請に従つて、どうしてもここで補正で何とか考えざるを得ない、こういうふうになつておるか、これは大体どういう方針になつておりますか。この点伺いたい。
  16. 岩動道行

    説明員岩動道行君) これはまあ私の所管外、まあ非常に役人らしいことを申上げて恐縮でありますが、起債の問題につきましては、四百億の配分が非常に窮屈で、従つて六三のほうに予算で組んだだけの裏付けができないで、約六五%ぐらいになつているという話は私もかたわらから聞いておるのでありますがこれについては私といたしましては四百億の分け方について再検討をもう一度地方財政のほうにやつて頂きたいことを希望いたしております。そしてその問題がどう解決されるかということにも絡んで補正の問題も起るかと思いますが、ただ物価値上りということだけで補正予算を直ちに組むかということはまだ検討中であります。
  17. 岩間正男

    岩間正男君 あなたの立場としては、これは余り多くを要求しても酷になると思いますけれども、今から地方財政に四百億を検討してもらうというようなことではどうも問題にならん。検討の結果出て来ておるわけです。ここに毎日並びましてね。各県の代表が……そうして小さい起債ではとても問題にならない、これはまあ、教育に関する、殊に六三に関する、六三の校舎建築に関する限りだけでもこんなに非常に要求が出ておるわけです。事実我々が見ましても、この問題は起債のそういう裏付けをする方法を一方でとらなければどうにもならない、こういうところに来ておる。この四百億の枠でコンクリートしてしまつて、何とも補正考えないということになれば非常に大きな問題になつて来ると思うのですがね。この点は今まで文部省との折衝余りないのですがか。先ほど聞きますと、百七十億の問題も余りない、の起債の問題については全然今までありませんか、文部省はしてないのですか。
  18. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 私実は帰つて間もないので、そういう話をまだまとめて伺つておりません。
  19. 岩間正男

    岩間正男君 どうもだから洋行というやつは余り好きじやないのだ。  どうもそれじや困るのです。実際にそういうふうなことになつて来るから……。こつちの問題としては実に重要な問題なんです。これをもう少しあなたのほうからも文部省折衝して少しやつてもらいたいと思う、積極的に……、実際問題は大変なんです。この問題は全部文部省で引受けるというわけに行かない思う。それがだんだんはつきりして来れば、やはり大蔵省財政経済政策というものが批判される。こういう点で私が今御質問しまして非常に失望を感じたわけです。第一明らかにされたことは、今年度のそういう平衡交付金が少ないことによる財政欠陥の問題はわからない。それから給与ベースを千五百円上げるのだということは、これはまだ何ら決定されておるのじやないということがわかつた。それから起債に対する要望が下から非常に起つて売るのに、まだ大蔵省当局文部省当局折衝していない、こういう事態がわかつて非常に頼りないと思うのです。これはまあ早急に努力されるように我々は文部省のほうにも大いに要談したいと思うのですが、大蔵省のほうでもこういう事態が越つておるのですから、これは大蔵省の中のこととしないで、もう少上やはり下から起つておる実態についても大蔵省でも成るだけ把握するという、そういう形で行かないと、これは目下下からそういう問題が起つておるだろうが、これ一国の財政で補助したいがどうにもならん、こういう判こで押したような極り文句は……、四年か、五年来大蔵省でやつておるが、これではまずいと思う。こういう点は打開してもらいたい。これはあなたの非常にやりにくい仕事に属しますか、大蔵省事務官とかいつた人がそういうことまで出て来てやるということは非常に官庁内部の問題にされるのですか、日本の官僚機構について伺いたい。
  20. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 大変むずかしいお話になりましたが、只今自身が知らないことが直ちに大蔵省自体が知らないということにおとりになつたようでありますが、その点については私まさに帰つてから不勉強で、そうして今日ピンチ・ヒツターに立つのも、そういう資格がなかつたかと実は考えておるのであります。従つてその点は主計局長でも参ればもつとはつきりしたお話もできるかと思いますが、その点一つ御了承願います。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は具体的に要望なり質問を申上げておきたいと思うのですが、あなたがお帰りになつて日が浅いから、それでお知りになつていないというお言葉でございますが、少くともこの教育財政に関する大蔵省責任立場におられて、だからここにおいでになつたわけでございますが、そのあなたがお知りにならないということと、それから文部省からの要望大蔵省に届いてないということは、文部省も不熱心であると同時に、あなたかたのほうでも教育予算について至大の関心を持たれていないやに私はとれるわけであります。その最も問題とするところは、この前の予算審議のときに地方財政について非常に問題になつて、そして大蔵地財委文部との見解も違うので、三者で十分調査して、そして対策を講じてほしいという質問に対して、大臣地方財政はなかなか把握できないが、鋭意努力する、そうして打開点を見出すということを約束なすつたわけであります。そして今も起債の増額についての質問にも、今度米価値上り伴なつ起債の枠の拡大が必要かどうかということを検討されると申されますが、米価生産者価格並びに消費者価格引上げを待つまでもなく、現在地方におけるところの起債の枠の縮小というのは教育のみならず、あらゆる点において單独事業は殆んど実行停止の状態である。而も現在なさなければならない、今なすのが最も能率的であると百の前に見ながらも、政府もなし得ないというこの地方財政の事情というものが十分把握されていないということについては、私は非常に遺憾に思うものであります。先ほど調査を約束なすつたわけでありますが、補正予算編成も目の前に来ていることですし、今から調査するというのでは私は余りにも時を逸しているのではないか、こういう点について早急に御研究下さるように私は特に要望いたしておくわけであります。承わりますというと、あなたは教育財政のほうについても、地方財政に含まれるところの教育財政については、余り所管でないやに今承わつたわけでありますが、従つて私はそういう角度から若干お伺いいたしたいと思うのであります。先ず六三建築について、御承知と思いますが、今年度の予算では木造單価が坪一万六千円、それから鉄筋が坪三万八千円、こういう單価で組まれているが、この單価ではどうしても予定の事業量はやり得ない従つて單価引上げというものが非常に要望されているわけでありまして、文部省としても適当な、木造坪二五三千円、鉄筋坪五万七千円というのを補正予算に細みたいという結論を出されているようでありますが、そういう交渉を受けられているかどうか、又この文部省折衝に対してそれを受入れるだけの用意を持つておられるかどうか、それを先ず伺いたいと思います。
  22. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 六三の補正予算については、まだ私のほうといたしましては、正式の予算要求というものを受けておりません。併しこれは只今すでに補正予算全体の問題を主計局といたしましても、取扱いを始める段階になつております。従つて勿論これは文部省としても第一に持つて来ることを予想されるのでありますが、とにかく私どもとしては、それを検討することに勿論十分の力を盡すつもりでおります。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点については十分御検討願うといたしまして、結局さつきの起債の問題にしましても、六三建築予算というのは相当に多額を占めるわけでありますが、いわゆる六三制による地方財政の圧迫という立場から、大蔵省では財政的な立場から六二制が適当ではないかという財政的な立場から六二制を検討しているやに承わつているのでありますが、事実ですか。
  24. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 私のほうではまだそういう教育内容実態について立ち至つたことを申してはおりません。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に教育財政立場からでありますが、地方におりますというと、政府直属の例えば郵政省関係とか、或いは厚生省関係、法務府関係、例えば刑務所とか、そういう部類の建物は続々と鉄筋のすばらしいのが建つている。ところが地方財政の貧困さか、学校というものは、文化国家の中心となるべき学校教育施設というものは殆んど建つていない、こういうような実情をお知りになつておられるかどうか、こういうものについて、小さな町村に行けば行くほど愛町、愛村の立場から、非常に重税であるところの地方税を歯を食いしばつて納めています。小さな町村に行けば行くほど納税率は非常によろしい、それだけ納めながら、而もそういう現実を目の前に見せつけられた場合に、私はこの地方財政をカバーするような政策をやらなければ、私は今にも大きな問題か起つて来やしないかという立場で見ているわけであります。資金運用部資金法改正あたり一つの例ですが、随分零細の金というものを国民は積立てて来て、それらの金というものは他のほうに流れてしまつて自分らのところには廻つて来ない。こういう金融財政政策に対しては国民相当不満と疑惑の眼を以て見ているわけでありますが、こういうことについて、あなた様は事務官でございますけれども、そういう実態をお知りになつているかどうか、それらに対してどういうお考えを持つておられるかどうか伺いたい。
  26. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 主として預金部資金預金か集まつて、それが十分に地方に還元されていないという点に問題があるかと思うのでありますが、これは政府といたしましても、十分に今までいろいろな点から、それを地方に還元するという方向努力もいたしております。勿論今後も努力して、できるだけそういう方向預金部資金を使いたいということは考えております。これは私の專門外でありますが、併し起債問題についてもそういう点から枠の拡大ということについても私自身一つつてもらいたいという希望を持つております。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどあなた様から承わつたように、起債の問題にしても、或いは地方教職員給与に関する財源の問題にしても、まだ文部当局からお聞きになつていない。ほかのかたはお聞きになつているかも知れないが、責任立場にあるあなたのお耳に届いていない、こういう態度文部省のほうは皆様に対する要望というものはすべて控え目控え目で遠慮がちの態度をとられているのだろうと、こういうふうに私は推察するわけであります。そういうものが、例えば天野文部大臣は、科学の振興というものを就任以来非常に文部政策に掲げているわけなんでありますが、研究所費用につきましても、他の省の所管研究所費用は、文部省所管大学研究所費用に比べて相当の差がある。実際視察して施設を見ても、殊にああこれは厚生省所管研究所だ、さすがに立派だ、文部省所管は格段に落ちる。こういう実情を、こういうものがあるということを、私はあなたにお耳に入れたいわけなんでありますが、そういうことをお認めになつてるかどうか。まさか認めているとは答弁なされないと思うのでありますが、そういう実情があるのであります。従つて今後の予算編成についても、そういう点十分考慮して頂きたいと思うのでありますが、昨年科学研究費のほうは五億円に押えられて、非常に科学研究というものは支障を来たしておるのでありますが、特に補正予算なり、来年度の国家予算については、相当文部省から要望があるのだと思うのでありますが、これを受入れるだけの用意があられるか、方針として受入れられる用意があるかどうかということを承わりたい。
  28. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 最初の文部省が割に不熱心、非常に控え日のために大蔵省に対する要求或いは説明が不十分であろうというようなことを推察されたとの、私の当初のお話からそういう御発言があつたのでありますが、それは先ほどもお答え申上げましたように、今日は突然にピンチ・ヒツターであつて誠に申訳ない立場でありますが、主計局長或いは大蔵大臣は十分にお聞きになつておられるかも知れない。又確かにお聞きになつているだろうというふうに私は考えております。その点誤解をされないようにお願いいたしたいと思います。研究所研究費が他の省と文部省相当の内容の相違かあるということがございましたか、これは確かに以前に脇いてはそういう差もございました。又私どもはその点を認識して、できるだけ文部省系統の研究所研究費も、できるだけ物件費を増額して研究を十分にやつてもらえるように努力いたして、年々その方向で進んでおります。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質問はこれで打切りますが、事務担当のかたでありますので、仕事をする立場から私の御質問申上げた点を、要点をまとめて要望に代えておきますが、結局地方財政については十分の御検討を願いたい。御検討頂かないから、ベース・アツプ財源地方に任せるというような、ああいう事実かどうか知らないか、大蔵省としての見解として新聞に報道されるような事態か起つて来ると思うのです。絶対に今度のベース・アツプ財源地方に任されても、現在でもできないのですから、地方財政では絶対に賄えるものではない。これは一つの例でありますが、十分御検討願いたい。それから当面の問題としては、これは平衝交付金の増額、起債の枠の拡大というものを検討されなければならない段階にあるのだということと、それから国土関係教育予算につきましては、取りあえず問題は大学の設備拡充、そういう問題がいろいろ起つておりますけれども、科学の振興を図つている我が国として、科学によつて生きようとする我が国としては、余りにもそれが貧困である。そういう立場から予算の面から十分御検討を事務当局として願いたいということを要望しまして、私の質問は終ります。
  30. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 文部大臣がお見えになりましたから、文部大臣一つ質疑を始めることにいたします。御質問のあるかた……。
  31. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 では大臣に二、三お尋ねしたいと思いますが、その前に大臣の所見を伺いたいと、かように思うのでありますか、それはこの間の委員会におきまして、大臣は六三制の基本は変えないけれども、これに付随する問題については相当思い切つて改革したい、こういう発言があつたのであります。その際具体的にどういうことを考えておられるかということをお聞きしなかつたのでありますが、大体大臣もいろいろ具体的にお考えつているだろうと思いますので、その後新聞などに大臣の所見が出ておりますが、そういう点について先ずお考えのところを私どもも聞きたい、かように考えておるわけであります。それからもう一つは、来年度の予算編成に当つて、文教予算として特にどういう点に重点を置いていろいろお考えになつておるのか、そういう点を明らかにして頂きたい。それからこれは従来非常に問題になつていた教育財政をどういうふうにして確立して行くか、こういう問題について大臣にお考えがきまつておれば、そういう点も私は伺いたい。一応こういう重要な問題について大臣の御意見を聞いて、その上で御質問を申上げたい、かように思つております。
  32. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 第一の点につきましては、私は六三、三、四という基本線を変えないほうがいい、そういう考えでございます。六三の義務教育を六二にしたほうがいいという論も聞きますが、私はこの三は変えてはいけないという考えでございます。それならば細部に亘つてどういう点を変えたらいいかということは、一、二まだ研究はできておりませんから、私見に過ぎませんけれども一、二のものを申せば例えば道徳教育のことであるとか、或いは現在の社会科というものに含まれておる歴史、地理という科目はあのままでいいかどうかというようなこと、又高等学校並びに大学等における選択制というものも現在の通りでいいかどうか、或いは現在は六三、三、四というその線は変えてはいかんと言いましたけれども、併し六三の次の三というようなものは、実業教育等においてはこれは四としてもいいというふうにきまつておりますから、そうきまつておることを活用するのも一案ではないかというようなこと、又大学等に関しては六三、三、四というシステムは変えないけれども、併しすべての大学が七学部を持つた従来の大学を模範として進むということでなしに、それぞれの大学が特色を持つように考えて行く、そして大学に学問を主とする大学と、むしろ職業を主とする大学という差別ができて来てもいい、私は現在あるものをそうしようというのでは決してないのですけれども、教員養成の場合に四年が原則ですけれども併し二年の大学というものもこれを検討する必要がありはしないかというような点でございます。そういう点をいろいろなお改むべきものがあつたら改めてもいいということか第一でございます。第二の予算については、私は初めから義務教育の充実ということ、それから学術の振興ということ、育英資金の増額、この三を掲げて来ておるのですけれども、職業教育の振興ということも今度それに附加えると言いますか、それと同時に考えて、この四つの項目について進みたい。もつと詳しいことが必要ならば述べてもよろしいが、大体そういう線で以て行きたいと思つております。殊に義務教育の充実、学術の振興、育英資金の増額というようなことは、どうあつてもやらなければいけないという考えでございます。それから第三番目の教育財政の問題ですがこれは従来から御承知のように標準義務教育費の確保であるとかいうことをやつて来たのですか、それが十分まだ成立しませんでしたので、何らかの形でそういうことをやるほうがいいのではないか、併し全額国庫負担というようなものも新らしく出て来ましたから、これも検討したいと思つております。いささか文部省の内情に亘つて恐縮ですが、実は内藤課長にアメリカに行つてよく研究して来るように言つたのですが、最近帰つて来たのですが、私が留守だつたためにまだ十分聞くことができないのですがよく聞いて、そういう問題についても近くもつとはつきりしたことをお答えしたいと思います。
  33. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 この学制改革に付随いたしまして、二、三お尋ねしたいと思いますが一この間の新聞を見ますと、学制を広般に改革したい、或いは検討したい、こういうふうな記事が出ておつたのですが、これは政令諮問委員会、私はよく内容を知りませんけれども、政令諮問委員会において学制の改革を広般に検討して行きたい、こういう記事が出ておりました。これは大臣としてはどういう関係で審議されるのか、そういう点をお開きしたいと思います。というのは、この諮問委員会大臣の諮問にも答えるようになつているのか、全く無関係のものか、文教の最高責任者としての文相との関係ですねそれを先ずお聞きしたいと思います。
  34. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私とは全然関係がございません。
  35. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 これは意見になりますがこれは相当私は問題があるのじやないかと思うのです。少くとも文教の一番の責任者は文部大臣です。従つて文部大臣の諮問に応ずる意味において学制の問題が検討されるということであれば、私ども十分了承することができるわけなんです。ところが全く関係のない筋合においていろいろ検討をされて、それが又どういう形によつて実施されるのか知りませんけれども、そういうものが出て来るということは、文教全般の政策を二本建てにして行くような心配があるのではないかというふうなことを感ずるんですが、そういう点について大臣は何かお考えになつておりますか。
  36. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 或いは総理にお答えすることになつてつたと思いますが、文教について……総理から私は承わることになると思つております。且つこういうことは私が申していいかどうか知りませんが、ここで申せば、あの委員の中の中山伊知郎君にしても、田中一郎君にしても、又近く帰られる前田多門氏にしても、皆文教については非常に明るいかたがたですから、そういつた間違つたことはおきめにならんと信じております。又自分らの意見と違つたことをおきめになつたら、そのときはあのかたがたの言うことは必らずやらなければならんことはないのでありますから自分の意見をどこまでも述べようと思つております。
  37. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 それで先ほどお伺いをして、六三制の基本は揺がない、又細部の問題については検討する。それらの挙げられた問題については、私は別にここに意見があるわけではございませんか、この学制改革に関連して教職員の人員を減少しようと、こういう記事が新聞などに出ておるのですか、大臣は現在の教職員の数を更に少くすることが可能であるというようなことをお考えになつておるのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
  38. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は可能でないと思つております。
  39. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私はこれは正式に聞いたことではないのですが、一割の減員をしようとか或いはそれ以上の減員をしようとか、こういう考えが政令諮問委員会とか、そういう方面にはあるというふうにまあ聞いておつたのです。併し大臣がそういうことは不可能のことであるというふうにお考えになつておれば、これは非常に結構なことであつて、更に御質問を申上げる必要はないと、かように思うんです。それから学制の改革については、私どもこの終戦以来の改革というものは、日本の経済から考え相当困難なものかあつたということは感じておりまするけれども、今月すでに出発をして、その困難な間にも非常な努力をして来たのですから、非常にこれは飽くまでも今後とも堅持するように、大臣においても努力をして頂きたいということを感じておるわけなんです。ただ教員の養成機関については二年制の大学を考える必要があるのじやないかということでございましたが、これについても十分愼重にお考え願いたいと思います。この前私ども国会として地方に視察に参りましたときに、このような話を聞いたわけです。それは短期の二年制を終了した者か殆んど中学校に志願して小学校に志願する者がないので、小学校教員の確保には困つておる。こういう話をどこでも附いておるわけです。これについはいろいろ理由があると思うのですが、今の学芸大学の教育の点数制のああいうやり方が非常に禍いをして、そうしてそういう結果になつて来ておるのじやないかと思うのです。或る一つの科目の点数を多くとつて、そうして中学校の教員になるということは非常にやさしいと思うのです。ところか点数は少いけれども、多くの科目をとらなければならんという小学校教員については非常にやりにくい。そういうことから、私はそういう結果が来ているのじやないかと思う。だから二年制という問題が検討されることは非常に結構だと思うのですが、教員養成機関の教育のあり方というもの、そういうものを検討しないと義務教育の、特に小学校教員というものか確保できないような結果をだんだん起して来るのじやないかというふうな私は感じを持つたのです。これは私は一部分の学校しか視察して来ませんから、全国的にどういう傾向にあるのか、こういう点はわかりませんけれども確かにそういうことが相当全国的にあるの、じやないかというふうに思われる。こういう点についてはどういうふうにお考えになつておられるか、或いはその実情はどういうふうになつておるのか、全国的にわかつておればおつしやつて頂きたい、かように考えておるようなわけであります。
  40. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 初めに私が大体のことを述べましてあと詳しいことは局長から述べさして頂きます。私は本当の理想を言うならば、小学校の教諭は全部大学卒業者が理想なんですけれども、今日本で忽ちそういうことを実現しようとしてもできない。実情を見れば全国に実に多くの不十分な先生がおるのです。そこで今までのようなジユニア・コースの二年というのでなしに、もつとカリキユラムを十分整備して、そうして二年出たらもう一応小学校で働ける人を作つて、そこまでは現在はしておりますが、奨学資金等によつて優遇して、そうして作る。そういう人が出て社会で一遍働く、そうして働いたうちの又或る人たちはそれぞれの県で以て留学生として……長野県のように……これをシニアー・コースにやるとか、いろいろやれるだろうと思う。とにかく何かして、小学校にもつとしつかりした先生がたを作るにはそういうことも一つのやり方ではないか。私は決して全部の学校にというのではありませんが、そういう今までのジユニアー・コースというのでなしに、二年で完結した一つ教育をやるということも必要ではないか、もつとそれを検討したいということを申したのです。それから四年の学芸学部又は学芸大学等のカリキユラムについては、又これも十分検討する必要があるのじやないかと思うのです。私は幾らか模倣的なやり方があるのじやないかというふうに考えております。そのほか何か細かいことについては局長から……。今日は稲田局長はいないようです。
  41. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 学制の改革については文部大臣考えておられる程度のことであれば、私は別に更に質問をする必要は大して現在はないと思います。それから教育財政の確立については、しなければならんということは考えておるか、具体的には考えがまとまつていない。こういうことであります。従つてこれは私は單に要望として、教育財政が今の平衡交付金の制度では確立しておるとは言えないということから、至急に具体的に考慮してもらいたいということを要望して置きたいと、かように考えます。次に来年度予算、これは補正予算ともくるめてですが、先ほど文部大臣お話なつた四点については御尤もであると、かように思います。ただ昨日官房長官に会いまして公務員給与ベースの問題についていろいろ質問をしたわけですが、その際に地方公務員財源をどういうふうに措置する考えであるかという点になると非常にあいまいであるわけなんです。この点については昨日の閣議においては、余剰財源をベースアツプに優先的に充当するということをおきめになつたそうです。  又財源としては大体八百億円の自然増収もあるし或いは小麦協定に参加したので補償金か相当つて来る、いろいろな関係相当の金があるのだ、こういうまあ話であつた。併し国家公務員に対する財源措置はそういうものでできるとしても、地方公務員ベース・アツプに伴う財源措置は一体どういうふうにお考えになつておるか、私は特に教職員のことについて大臣にお尋ねしたいと思います。
  42. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは局長から一つ
  43. 辻田力

    説明員(辻田力君) 地方の教員の給与の問題を確保するということでありますが、これにつきましては、文部省といたしましては教育財政の確立の重要な項目の一つとして考えているわけです。平衡交付金地方財源の確保ということについて努力をするということにつきましては昨日申上げた通りであります。現在では昨日申上げましたように、財源措置がしていないものは約百七十億でありまして、それについて目下交渉中でございますが、この問題は解決すれば一応現状といたしましては給与関係がうまく行くように考える次第であります。なお将来の問題につきましては別途の先ほど大臣からお話ございました全額国庫負担の問題、或いは又一学級当りの、一学級單位で教員を出すというふうなことについての再検討をしてみたいと思います。或いは又欠格教員の問題いろんな問題を総合して考えて、ここに一つの結論を見出して推進して行きたいというふうに考えている次第であります。
  44. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は今お尋ねしておるのは、近くベースの改訂が行われるであろうというふうにみておるわけなんです。まだどのくらいベースが改訂されるのか政府のほうでも態度がきまつていないし、人事院の勧告もございませんので、それは具体的にわからないのです。併し若干の改訂をするということは大体確かであろう、その場合にやはり平衡交付金の中でその財源を確実にみるのかどうか、この点はつきりして頂かないと相当現実の問題としてはその場合に平衡交付金に組まれなかつたとか、いろいろの問題が起つて来て困ると思うのです。
  45. 辻田力

    説明員(辻田力君) 平衡交付金を算定いたします場合の基準財政需要額の算定につきまして、ベース・アツプの場合には当然考慮しなければならんということであります。
  46. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 この問題は私は今の答弁だけでは安心ができないのです。実は官房長官に会うと相当な難色を示しておつたのです。ですから大臣においてはこの問題は格段の努力をして頂きたいと思うのです。そうしないと平衡交付金の中に教員のベース・アツプ財源が組まれない心配が起つて来る、組まれても非常に少額であるという場合が起つて来て困る場合がある。今から一つしつかり肚をきめてやつて頂きたいと考えるのです。私はいろいろ質問したいことがあるのですが、ほかのかたの質問もあるようですから私はこれで終ります。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は先ずその教育制度の学制の問題について、もうちよつと突込んでお伺いしたいと思うのですが、大臣、大学院の設置というものはどういうふうにお考えになつていますか。
  48. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 大学院は私は本来ならこれは本当に学問を研究するという者でなくては大学院に入つちやいかんと思うのです。ところが現在のようなことをイージー・ゴーイングでやるなら或いは学年の延長になり、修学年限の延長になるという虞れが非常にあると思いますので、これは国立に関してはできるだけ制限してしまう、大学院について……そうして本当にただ資格をとるのじやなくして学問をするということを專ら志す人を入れるようにしたいと、こういう考え方でございます。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 制限ということについてもう少し具体的にどの程度お考えになつておりますか。
  50. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これはまだはつきりとどの大学に許すということは言いかねます。言いかねますが、一例を挙げれば従来学位を授けておつた大学には許可するとか、これはまだきまつておりませんよ、ただ一例です。私はそういうような何か制限の下にきめるということで、どこでも作りたいと言つて作るということはできない併し将来の理想としては私は大学本位でなくして、これは学部本位に、もつと進むなら講座本位にしたい。そうしてどんな小さい大学でも優秀な教授がいて、そして立派な業績を示すところならそこには大学院は置いていい、けれどもどんな広大な大学でもその中の或る学科或る講座はそういう優秀な人がいないと十分な業績を示さんというところには大学院を作らない、そういうようなことを理想的には考えていますが併し差当つては従来そういう学位を与える資格を持つていたところに出すとか、作るとかいうようなことが一つ考え方ではないかというように思つていますが、まだ確定的ではございません。これは一個の私見と御了解して頂きたい。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 終戦後発足した六三三四の学制の四は形としては残るが、大臣先ほどつた見解では、実質的には私は崩壊するものと考えるのですが、大臣そうお考えになりませんか。
  52. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 六三三四の四は崩壊するということはないと思つております。ただ若し本当にこの日本が財力が将来豊かになつて来て、国が非常に平穏になつて来るということがあつたら、この六三三四の四というものは専門学というよりもむしろリベラル・アーツの学校になつて、本当の学問は大学院でやるということに将来はなねと思うのです。併し差当つては日本にはそういう余裕はありませんから、四年でもつてすでに専門学をやつて、そしてここで一定の職業が身につくようなそういう教育をここでやるべきだ。四が崩壊するということは言葉をその通りとるとないと思つております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは教育の中央集中だつたのを地方分散という或いは均等という立場から出発して行つたわけだつたわけです。そこで私もう少し突込んでお伺いしますが、大臣のお考えで学問研究を主とするものと、それから職業を主とする大学とこういうふうに分けるということになりますと先ず施設の充実している曾つての帝国大学ですね、こういうところは実質的には学問もやるし、職業もやるというような大学になつて、七十一の中から残る大学は学問はやらんが職業だけをやる、実質においては曾つての専門学校、こういう形に私はなるとどうしても考えられる。更に大学院をお伺いすると、殊に学部本位或いは講座本位まで行きたいというお考えになりますと、例えば近くは千葉県のような例をとりますと、その中で曾つて学位を授与しておつた千葉医科大学、そういうような医学部だけは大学院を置くが他は置かないということになりますと、結局六三三西という形はあつても実質においては曹つての総合大学とそれから専門学校から昇格する大学というものは実質的においてははつきりと差等を付けられた。全国の学徒から言えば均等でもなければ教育施設地方分散でもない、そういう立場から私実質的に六三三四の新学制の大学に関する理念というものは崩壊すると考えるのですが、大臣は如何ですか。
  54. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 六三三四というのでこれはもう完結するものであつて学校教育としてはもう六三三四でおしまいになるのです。大学院というのは特に学問をやるためにやるところなんです。だから六三三四さえ充実すればそれでもう大学の新学制の義務は盡きておるのです。だからそういう意味において何も新学制の六三三四の四が崩壊するということは決してございません。ただ学問、研究を主にするといつても学問が教育を離れるわけでもない。又教育をやるから学問を離れるわけでもない。そこで比較的のことでございますが、大学院を置く大学と大学院を置かない大学といつてもいいのです。そういうような区別ができて来る。地方の大学を一挙にして従来の帝国大学のような大学とか或いは従来古くからある大学と同じにせよと言つたつてできないことだと思うのです。私は教育は重要だと思い、どんなにも国家予算を欲しいけれども、併しそれにはおよそ限度がある。だから一挙に七十の大学を皆同じようにしてしまえといえば悪平等になつてしまつて、大学としての機能を営むことができない。そこに差別があつていい、又差別だけでなく特色があつていい、そうすれば七十大学があつても決して多過ぎるということはない、併し皆同じにするというならばこれはもう非常に大学の過剰だということになるわけです。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 確かに大臣のお言葉の中には了解できる点がございますけれども、私は基本的には均等ということと分散ということはこの基本線は絶対外れないようにして頂きたいということが私の切なる要望であります。  それからもう一つは学問研究の大学と地方実情に即した特色を生かしたところの職業大学、非常に言葉はきれいでございます。併しこれの運営を誤まると学問研究の大学ということは学問もやる、職業もやる、そうして特色を生かした職業の大学は学問をすつぽかした格段落ちたところの大学というような形になつて、学生というものは非常に特別な大学に又その激甚に競争して集中するという形になり、延いてはそれが受験準備教育ということになつて、今の新教育を又昔のようにあと返らして私は崩壊するのじやないかという懸念を持つておりますので、これらの実際の運営について十分愼重な態度をとつて頂くことを要望いたします。  更にこの大学について、私はこの教員養成について、一つお伺いいたしたいのですが、先ほど一部お伺いいたしたわけですが、大学の新学制から再編成をやつて大臣どういうふうにお考えになつておるか、それは教員養成を目的とするところの学部を一つの大学の中に教育学部として入れておるところのその養成の施設機関と、それからこれを離して別に教員養成を目的とするだけの学芸大学と申しますか、そういうような独立の大学を作つた場合とどちらがうまく言つておるか、更に大臣としては、一部にはこの教員養成の学部というものは一般の大学から引離したほうがいいのじやないかというふうな声も一部にあるやに聞いておるのですが、それらに対して大臣どういうふうにお考えですか。
  56. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今矢嶋さんから均等ということを頻りに言われましたが、均等とか、平等とかいうことは皆同じこするということとは私は考えません。そういうのは同様に悪平等だと思つております。本当の意味の平等とか均等ということは、内に差別を含んだものでなければ本当の意味の均等とは言えないと思います。だからして、皆の大学を同じにするということはできもしないし、しなくともよいという考えでございます。  それから又只今の学芸学部と、それからして学芸大学とどちらがよいかというこういうお話でございますが、私は実は自分はこの場合にも学芸大学と学芸学部というものの中の或るものはやはりその機能が違つてよいのでないかということを思つております。学芸大学というのは專ら実際の教育を教える、それに必要な範囲において理論的に研究をするのですけれども、大学の教育学部というふうなものは、もつと理論的な研究、学問的な研究というものをも進んでする、従つて大学院を持つとか、そういうような点で両者が必ずしも同じでなければならんことはない、両方それぞれ特色があつて、両方とも必要だというふうに考えております。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私のお伺いの仕方が悪かつたので、大臣質問の趣旨が通じていないのですが、一つの大学にあるところの教育学部のやつている事柄と、独立した学芸大学のやつておることは同じことをやつておる場合のことを言つておる、例えば例をとりますと、具体的な例をとりますというと……おわかりでしようか。
  58. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) わかりました。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その見解を伺つておるわけです。
  60. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はその場合にはやはり学芸学部のほうがよいのではないか、従つて学芸大学だけを独立させるということよりも学芸大学を他のものと一緒にするというほうが教員の養成ということからよいのではないかという考えを持つております。言換えれば、教員になる人がほかの職業の人と一緒に学ぶというようなことがあつたほうがよいのではないかと考えております。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に学制の立場で、まあその前に申上げますが、政令諮問委員会ができて先ず追放解除というのをとり上げたわけですが、こういうものが非常に心理的影響というものは私に一つの怒濤のごとき作用をして、極く愼重な態度をとらなければならんと思いますので、併せて学制のことについてお伺いするわけなんですが、これは新聞で私拝見したのですが、青年学級を法制化する、そうしてこれにその上級の学校へ行くための資格賦与の單位も与えるような法制をするかも知れないというような記事を見たのでございますが、事実かどうか、どういうふうにお考えになつておるか。
  62. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は一体この教育において最も重要な点は六三、それからその次の高等学校そういうようなことに我々は非常に力を注がなくちやならないと思います。勿論私は前から学問研究というようなことは盛んにしたいと思いますが、併しこの少年の大多数がそこで終るようなところは特に力を注いで行かなくちやならない、ところが六三の三を出た人たちがいわば放置されておる、だから青年学級というようなものを充実してこの人たちの教育に努めたい、それにはできるならば定時制高等学校にも行けないような人たちにはその学んだだけで何か單位を与えて、その単位が高等学校に行くときとか或いは大学に行くときとかに何らか通用するような道はないか、そういうことを工夫したいというので、まだはつきりこれこれをどうするという意味じやありませんが、構想を抱いておるということを申上げます。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 六三を終えた人に対して只今教育の機会を与えるというお考えは同感でありますが、更にこれについてお伺いいたしたいのは社会教育としてやるところの成人学級に勉強してから例えば学級に進む、或いは資格を賦与するところの単位を与えるということ、これが同じ学齢暦でありますが、学校教育でやつているところの定時制高等学校との関連がどうなるか、私は社会教育としてやるところの青年学級というものを設け、そういう措置をすれば定時制高等学校というその学制のなかの一部はその立場から崩れて行くのではないか、こう思うのですか、その定時制高等学校との関連はどういうようにお考えになつておりますか。
  64. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 定時制高等学校にも行けないような人たち、そういう人に定時制高等学校ならとにかく年数もほぼきまつて行かなければならない。これは幾年かかつても何でもよいということが私は若い学生を励ましはせんかと思つたのですが、併しこういう点については私より矢嶋さんのほうがいろいろお考えがあると思いますから、よく伺つてこういうことをきめようと思つて、自分で独断的にこれをきめようというのじやない。ただそういうことも一つ考えじやないかと私は思つたのです。実はほうぼうで陳情もされましたので、そういう考えを私は持つたのであります
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一言だけその点について申上げておきますが、定時制高等学校の発足のときを顧みますというと、これは強いて卒業を前提としているのじやない、或る一つの単位だけを取りたいという人が来るのだ、こういうような立場で定時制高等学校というのは出発して、勤労青年に対する教育機関として非常に結構なことだけれども、定時制高等学校で単位を与えることはダブつて来るのじやないか。それについて愼重に検討する余地があるように私は考えているのであります。それと、次にもう一段下りまして、やはり学制の問題で、最近東京の足立区に夜間中学ができるということについて、近くできるように、事実のように聞いているのですが、全国に六十万の不就学児童がある。すべて新学制……教育基本法、学校教育法が出たときには夜間の中学というのは許さない。高等学校の夜間は許すが、中学における夜間は許さない、こういう前提に学校教育決はそういう事実を受けて出発したわけでありますが、全国に六十万の不就学兒童があるということになりますと、いろいろ事情もありましようが、何らかの方法で六三三を完全に実施し、国民教育水準を上げるためにその教育の機会をすべての国民に与えるという立場からは何らか考えなくちやならんじやないかということを考えるのでございますが、大臣はこの夜間中学の問題、どういうふうにお考えになつているか。
  66. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 原理的に言つて、義務教育に対してそういう夜間中学があるべきでないということは問題でないと思いますが、併し六十万の不就学の児童がある、私はこれについても地方行つていろいろ聞いているのですが、こういうのは実際困つて学校にやらないという人は少いということを言つているのです。私の聞くところではみんな何か子供を本当にやつてやれないというのじやないけれども、やらないというような数が相当多いのじやないか。だからそういうのもよく調べ上げて、そして是非学校へやるようにする、そして行けない子供は何かこれに方法を講ずるとか何とかいうようにすべきだというふうに思つております。だからしてこれをこのまま放置してはいけないが、そうかといつて直ちにそういう夜間の学校を許すということが果してよいものかどうか、ここに非常な問題があると考えております。よく研究してこの点については改めて御答弁したいと思います。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は結局学校にやるようにする、又学校にやれるようにするということは大きな他の面に繋がる政治の問題だと思いますので、ここだけじや解決できんかと思いますが、ここでこの点は打切りまして、予算は岩間君にやつてもらうとして、もう一点について私は質問いたしたいのです。  それはやはり、新学制というものは、教育基本法と学校教育法と教育委員会法、この三本足で支えられて来たと思うのですが、教育委員会法の改正ということが巷間伝えられているわけでして、この問題について大臣見解を承わりたいと思います。
  68. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 世間では、教育委員会というものはもうやめたほうかよいというような論もありますが、私はこれはやめてはいけないと思つております。けれども、現在のままで果してよいかどうかということは、これは問題でありますから、現に文部省内に教育委員会協議会というものを作つて検討してもらつておりますから、その結論が出なければ私は何とも言えないわけでございますが、或いは先日車中談に、私の考え新聞に誤り伝えられておりますから、この機会に訂正さして頂きます。あれには、私が任命制をよいと育つたというように出ている新聞もありますが、併し、正しくそうは書いてない新聞地方にはたくさんあります。決して任命制でなければならんとか、そういうことを言つたわけではございません。こういうことを私は、これは皆さんもお考えでしようが、考えております。義務教育ですら二年にしようかというほど財政か非常に窮乏して、地方財政なども非常に困つておるときに、ただ公選だけで考えても一どきの選挙に七億くらいの金が要る、若し実際の費用をいつたならばどれだけあるか、非常な金がいる。それを今の通りに金を使うということはどんなものだろうか。従つて或る意味の間接の選挙とか或いは任命制というようなものも十分問題になろうという趣意でこれを申したのであります。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この教育委員会法の大臣の諮問機関として協議会がある、この答申を待つておるということを大臣毎回言われておるのですが、これを政令諮問委員会のほうでもやつておるようですが、その関連はどうなんですか。
  70. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 面接には関連は別にございませんです。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私この教育委員会法の改正については、新教育の大きな筋金をなすものだけに非常に重大関心を持つておるわけですが、先ほど私か申しましたように、政令諮問委員会発足以来のいろいろな国民の心理的な影響も大きくていろいろ不用意な発言その他によつて世論が起りつつあるわけでして、殊に大臣の車中談については今若干の釈明を聞いて幾らか安心したのでございますが、全国の大新聞に全部ああいうふうに報道されまして、その影響性、指導性というものは非常に大きいと思うのですが、これらについての今後の大臣としての発言は、私差し出かましいようですが、十分愼重を期して頂きたい、誤解を与えるような発言をして頂きたくな。まあ先ほど文部大臣は選挙費用が七億円くらいかかる云々と費用の点からお考えになつておるようですが、議論はすれば限りがありませんし、議論をするあれでもないので申上げませんが、事教育に関する而も根本の問題に関することでございますので、十分愼重に御検討願いたい。又大臣のお言葉も愼重にして頂きたい、それだけ要望いたしておきます。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 今の教育委員会のことですけれども、公選か任命か、この問題ですね、これは一応我々の見解として大臣聞いておいて頂きたい、そのことから申上げたいと思います。やはり現状を見て任命制度というようなことに変更される可能性も非常にあるわけです。大体教育委員会制度を作つてそうして教育の運営をそのほうに主として任せるということになつた大きな原因はやはり教育の徹底的な民主化、この線に沿つたと思う。そうしますと、やはり今までの戦争前の教育との反省から出て来る問題ですが、どうも教育がやはり一部の人たちに握られておつた、こういう実態がまああつたわけなんですが、従つて貧しい階級とか、それから一般の、中学校の例を引きますというと、上級に行けるのが大体二〇%、八〇%は中学校、女学校に行けなかつた。こういうような人たちの意見を大きく反映させる、こういうような意味で公選という制度は非常に活かされて来たと思う。費用の程度とかそれから技術的には幾分問題はあつたと思いますけれども、まあ任命というようなことになつて、そうして教育が、どうしても現在の形を見ますと、そのほかの委員会の任命制度なんか見ますと、どうしてもこれは一部的な傾向を辿つて来る、こういう点があるので、こういう点と引合して考えますと、今の任命制度というものは教育の民主化という線からやはり逆転して行く危険性が十分あるわけです。この点はやはり最初の教育委員会が作られたそもそもの精神から考えて、この点をむしろ徹底させるほうが重要なんじやないかと思いますが、もう一つ公選の問題でありますが、公選はやはりその持つておる意味は、仮に現在において本当に十分に望ましい人が得られないというような理由も一つの理由になつているかと思うのです。併し選挙そのものの持つておる大衆に公約するというような意味からいつて、やはり教育の民主化の線では私は公選制というものはこれは当然取るのが本体じやないか、こういうふうに考えているのでありますが、これは矢嶋君の質問に連関した意見として、是非大臣のほうでも考えて置いて頂きたいと思うのであります。  そこで私は今学制改革の大体の構想についてお聞きしたいのでありますが、これは本ぎまりにまだなつていないようであります。併しこの問題と当面しております二十七年度の予算編成の問題というものは非常にこれは緊密な関係を持つて来る。こういう形で今この作業が事務当局のほうで進められているのでありますが、まだまだいろいろな決定線が出て来ない、こういうふうに思われるのですが、これはいつ頃大体この学制改革の見通しというものかできてそれを具体化するような予算化の方向ができ上るのですか。二十七年度の予算と学制改革の関連は、これは文相はどういうふうに把握しておられますか、その点をお伺いしたい。
  73. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は先ほど来申しておりますように、学制改革といつてもシステムそのものは変らんという考えを抱いております。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 それではそういうことを前提として一つお伺いするのですが、その第一の問題で二十七年度の予算編成の問題について考えられる二、三点、この点についてお伺いしたいと思います。  第一の問題は先ほど荒木委員から質問があつたのですが、教員確保の問題、この教員確保の問題については、すでに結論的に文相から教員の人員を現状よりも削減するというようなことは考えていないというような点を御答弁になつたと思います。この点につきましてこれはそういうような前提が与えられたのでありますが、現状の動いておりますいろいろなその後の動きを見ますというと、その点を文相としては堅持して行かれる上にいろいろな問題に遭遇されるんじやないか、こういうことを考えるのであります。こういう点でやはりいろいろこれは事務当局からもこういうような資料は、文相はいうまでもなくこれはそこを理論付けるものはつかまれると思うのでありますが、我々としての意見から言いましても、これは無論現状を変更するというようなことは、最低限度において全然これは不可能である。むしろ要求としてはこれはもつと拡大すべき要求が今までも起つておる。それから教育実態を見ますと、そういう要求は非常に起つておる、こういうふうに思います。大体昨日もこれは事務当局から伺つたのでありますが、小学校のごときは一・五の大体の定員が一・一五或いは一・二というような現状になつておる。そこに非常な人員のこれは欠員がある、予算定員と実数の間に非常に開きがある。そういう形であつて現状はそうなつておる。だから従つてそれで賄えるじやないか、こういう議論がいつでも発生する、それが私は非常に大きな問題だと思いますが、それでは現状はどうかと言いますと、これはしばしば問題になりました結核とか三級の補助教員の問題、こういうようなものが十分にまだ確保されていないというような問題もありますが、それよりももつと全般的な大きな問題はやはり一学級の兒童数の問題であるというふうに我々は今把握しておりますし。一学級の兒童数を仔細に検討する、このことが非常に重要だと思いますが、これは定員定額制なんかが一昨年あたりにとられたのでありますが、こういうような影響も完全にまだ払拭されていない、その結果これは候補者が不足である、それとも関連する問題でありますが、一学級の兒童数の人員はますます増加の傾向を辿つておるというのが現状だろうと思います。従つてこの問題をやはり我々ははつきりつかんで、そうしてこの問題を解決することなしにはやはり教育の徹底的な民主化の線というものは打ち立てられていない、ところが何とか間に合うじやないか、それから或る場合には教員室で授業をしないで遊んでおる先生も現実にいるじやないか、授業をしない人もおる、余つておる人もおるじやないか、こういうような表面的な現象面を捉えて言つておる人もありますが、これは私は我々が近付かなくちやならん線、つまり現在文部省が堅持しておりますところの一学級五十人の生徒、こういう線が実質的には非常に破られて、そうしてこれは東北、北海道あたりの例でありますけれども、七十人、八十人というところに追い込まれておる線が非常に多いわけであります。こういうものを実際は具体的に解決するということがやはり文部行政の今後の動向として大きな私は教育内容とも関連して当然の課題であるというふうに考える。これは文部省としてそういう意欲は持つておられると思いますが、それが予算面で非常に不可能で、そういう壁に突き当つておられる。そういうところに逆に今度は人員が一方行政改革というような大きな上から来た枠によりまして、大体一般公務員には三割減員というものが考えられる。教員のほうではそれは一割或いは一割五分というような減員をしなければならないというようなお附合的な形で以てそれが押して来られる。これが非常に一般の官庁やそれから教育実態、殊に日本の今の教育、当面しておる一学級の児童数の問題、この問題は非常に大きな問題なんですが、この問題と関連して非常に実態は私は違う、こういう点についてこれは閣議なんかで文相は十分にこれは力説して頂きたい。若しこの線が確保されなければ、教育の形は一応できたというふうになつても、教育一つ一つの單位、教室におけるその單位が崩れて行つて、そうして御承知のようにこれは戰争前から問題になつておりますところの多数生産的な教育ができる、当然今個性を尊重してそうして本当にこれを伸すというような教育のこれは世界的な輿論でもあるところの、どうしてもこれは一学級の兒童数は少くして、そうして一人々々に手が十分廻るようにするという方向から逆な方向にこれは行く。そうしてそれが日本の現在の財政的な立場から止むを得ないんだというような、一つの見通しのない議論のために圧倒されてそれで以てどうしてもお附合いをさせられるというようなことになつたならば、これは私は非常に教育の体系のために恐るべき禍根を残す、こういうふうに思うのでありますけれども、その点について文相はどういうような決意を持つておられますか、先ずこの点を伺いたいと思います。
  75. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は先ほど来言つておる六三を三として堅持するとか、或いは又荒木委員の御質問なつベース・アツプについてそれを差支えなくその金が出るようにするとか、或いは今の定員の確保とか、そういうことを生やさしいこととは私は考えません。そういうことについては微力ながらできるだけの努力をしたいという考えを抱いておるのです。  なお私は附加えて矢嶋さんにちよつとこういうことをお答えに補足さして頂きます。先ほど矢嶋さんが学問をすると大学と職業の大学という言葉を用いられたように思いましたが、私は学問の研究を主とする大学と、それから職業教育を主とする大学と言いましたが、職業教育をするということは学問をしないというのではちつともないのでありまして、学問を主とするか、むしろいわゆる職業教育を主とするか、こういう意味であつて、どちらの大学といえども学問をしない大学というものはないのでありますから、世間で若し又あなたの言われるように文部大臣の言辞が誤解される虞れがあるといけませんから、私はこれを強いて言つて置きたいわけでございます。
  76. 岩間正男

    岩間正男君 今の人員を確保するということは生やさしいことではない、全くその通りだと思うのであります。その問題につきまして当然これはもう少し具体的にこの問題をお伺いしたいと思いますが、当面する補正予算の問題について、すでにこの前第十国会の予算委員会にも文相の出席を煩わして、地方財政委員会検討した問題であります。あのとき大体平衡交付金が百九億総体で切られた、その中で教育関係がこれは五、六十億切られたと思うのであります。それでこれは矢嶋委員から、この実態地財委においても、それから文部省においてもこれを調査してもらうと。一体どれだけの平衡交付金を切られたことによつて財政欠陥が起るか。その後調査してもらつたのでありますが、昨日事務当局のほうから伺いますと、それは六十億でなく百七十億、こういう数字が出ておるのであります。これはベース改訂の、つまりこの前行われましたベース改訂、或いは年末手当、或いは共済組合のそれに伴う負担金、或いは恩給金、こういうようなものを附加えて百七十億ということになるのですが、その大部分はベース改訂と年末手当、こういうものでこういう大きな欠陥が出て来た。そうしますと、先ず私はお伺いしたいのは、これをどういうふうに今度の補正において処理されるところの考えを持つておられるかという問題であります。これはまあここにこの問題を取上げても生やさしい問題ではないが、この百七十億という財政欠陷を一体どういうふうに考えるか。先ほど大蔵省の主計官が参りましてこの問題について伺つたのでありますけれども、大蔵省ではやはりそういう実態をつかんでいるかどうかわからない。それから文部省側のそういう意向も大蔵省側には伝わつていないという、こういうような答弁でありましたので、非常に頼りなく感じたわけであります。補正において百七十億というのは、どんなかの形においてこれはもう問題としてはつきり処理されなくちやならん。これと関連しまして、すぐ追つ付け起つて参ります問題は、今問題となつておるベース改訂の問題、米価その他の物価の引上に伴つて当然補正で以つて千五百円程度のペース改訂、この額についてはまだ決定されていないようでありますが、そういうことが、これは昨日あたりも文相の出席された閣議で大体話をされたと思います。そうなるとこの財源措置でありますが、これにつきましても、この前第十国会に起つたと同じような問題がもつと拡大した形において、額においてはこれはもつと大きな形で出て来る。ところがこれに対しましては、大蔵省方針としまして、これは今朝の毎日新聞に出ているのでありますが、それによるというと、「地方公務員給与ベースについては地方公共団体が独自で検討すべきで、平衡交付金を増額するような措置はとらない。」この点についても先ほど主計官から伺つたのでありますが、大体こういう方向が出ている。そうしますと、かれこれこの前の百七十億と、今度のベース・アツプというようなものを見ますと、これは約四百億ぐらいの大きな額になつて出て来る。これを地方財政だけに任したのでは、恐らく現在の地方財政を見てみますというと、とてもこんなものを教員給だけで四百億なんというこういう欠陷を埋め合わせるということは不可能だ。そうすると、文相は昨日閣議に出ておられたと思いますが、こういうような話は出たのでありますか、どうですか。これは大蔵省の意見でありますが、出たとすれば、文相はこれに対してどういうふうな態度をとられるか、若し出なかつたということであれば、大蔵省態度に対しては今後どういうふうに、或いは地財委に対してどういうふうに折衝されるか、この問題だけでも非常に重大な問題でありますが、この問題に対しての対策をお聞きしたい。
  77. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その問題を重大だと考えることにおいては、私も岩間さんと何も劣るわけではございません。非常にその問題を心配しております。併し今これは以前の補正予算の額は事務当局が地財委のほうと話合つていることでございます。そういう今は段階におるということを申上げます。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 辻田局長が見えておりますから関連して伺つて置きます。文部省のほうから大体詳しい資料は出ると、未だこういう折衝は現在やられていないのですか、これはどうなんですか、まだ始まつておりませんか。辻田局長に伺つて置きます。
  79. 辻田力

    説明員(辻田力君) 交渉中でございます。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 交渉中だとすると、どうですか。地方財政委員会としては平衡交付金増額の問題として出ておるわけですが、これの一つ見通しはどうか。それからこれが困難ならば、それをどういうふうに打開して行くお考えですか。関連してお伺いして置きます。
  81. 荻田保

    説明員(荻田保君) 御承知のように、昨年の補正予算のときから本年の当初予算を通じまして、不幸我々の地方財政に必要と認めます地方財政平衡交付金の額が政府の、政府と申しますか、閣議においても或いは国会においても認められませんので、非常に地方財政は困つておる状態になつております。二十六年度において申上げますれば、あの当時大体大きな数字でありますが、平衡交付金は百億、起債が二百億ということであつたのであります。その後今の給与ペース引上げによる計算の間違いを補正いたしますと、どうしても四百億以上のものが不足しておるのでありまして、これを新らしく見込み得る税の自然増収等を見ましても、相当額を地方財政の増額と平衡交付金の増加に求めなければならんと思います。従つてその際の自然増額等を全部見るならば、今後に起りますベース改訂財源というものは全然ない。これは到底地方財政だけでは処理できない。従いまして今年度において、年度途中において税制の根本的改正ということができるものでもありませんと思いますので、当然今年は平衡交付金において処理されるものだと考えて、目下数字を検討いたしまして、政府要求したいと考えております。
  82. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 文部大臣がお忙しいので、大臣質問を先に願います。
  83. 岩間正男

    岩間正男君 では大臣に先にお伺いしたいと思います。今の地財委の事務局長の答弁ではそういうような意見で、我々も誠に同感だと思います。この問題を突破できなかつたら大変なことが起ると、こういうふうに考えておるのですが、これは飽くまでも文部省のほうからも、こういうような現状に即した事態をもつと地財委とも十分に打合せをして、しつかりしたデータを一つ大蔵省折衝したあとで出して頂きたい。それが一つと、もう一つの問題は、これはやはり大臣折衝の問題、閣議でこういう問題を大きくこういうところに落しておるのは、やはり現在の財政並びに金融政策、こういう政策と非常に関連があると思いますので、是非こういう観点から大所からこういう問題を解決する御努力をして頂きたい。これは大臣の当然の任務ではないかと我々は考える次第であります。  その次にもう一つ伺いたいのは、六三制の校舎建築の問題であります。この問題はこの委員会が今度始まりましてから、非常に各地からこもごも訴えられておる。これは大体集約して見ますと、單価の問題、起借の問題、それから自然増の問題、或いは認証外工事に対する補助の問題、こういうような問題になつておると思いますが、單価値上り、こういうものは具体的に事務局から伺つておりますから、これはまあ申上げません。その中で最も今問題が起つておりますのは、單価とも関連して起債の問題ですね、起債が殆んど六五%切られた。この前久保田監理局長にも第十国会の終り頃にここで私は質問したのでありますが、何とかこれは賄つて行けるのじやないかというお話があつたわけであります。ところが実際陳情された問題を見ますと、決してそういうものではない。こういうふうに思うのですが、こういう問題についてもこれは今後どういうふうに処置されるのでありますか。恐らくこの起債が現在の補助金裏付け程度のものはここで完全に遂行されなければ、いろいろな面で工事中止とか、そういう姿が出て来ると思います。その問題が一つと、それから文部省で今考えられておりますところの補正予算において、約これは四十万坪くらいの校舎建築を新たに要求する、これと関連とした問題として起債の問題が又起つて来ると思います。これは單に教育だけの問題ではなくして、土木事業関係なんかで、ほかの方面におきましても起債要求が非常に多く出ると思いますが、こういう問題に対してもつと具体的にこれはどういうふうに文相として解決策を持つておられるか伺いたい。閣議なんかで文相はどういうふうに御努力なされますか、この点を伺つておきたいと思います。
  84. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 監理局長からお答えいたさせます。
  85. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 起債関係が窮屈になることはかねがね申しておるところでありますが、單独起債のほうの枠を十五億ほど別に持つておりますのと、先ほど御指摘の六五%の分とのトータルを適当に操作しまして、大体前の御質問のときに申したと思いますが、六五%は全体の平均の問題であつて、單位々々の学校建築そのものの原則でないということから、事務費なり又は非常に小さい起債関係のものを整理しまして、まだ六三制の補助金がきまつたばかりでありますので、單位單位の建築工事についての起債の承認ということはまだ決定しておらんわけであります。従いましてその間の操作で大体六五という基本線はありますが、大きい都市にはそれだけ持つて行かないで、財源の非常に困るところに起債財源を与えるという地財委方針と合せて、六五%という窮屈な線ではありますが、單位々々のところには決して六五%が原則的に当てはまるわけではありませんから、大きく例えば東京都のごときところの起債はどうするという問題が残りますが、單位々々の工事には余り影響をさせないようにしたいというつもりで地財委のほうにもお願いをしておりますので、そういう意味での御協力を得ておると考えております。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 その点はどうも議論のあつたところと思いますが、例えば十五億の問題、これについては非常に腐朽しておる学校、そういう小学校あたりの要求もこれは非常に出ておる。それから東京あたりのやつを別のほうに廻す。これも併し実際の今までのやり方では非常に困難だという問題が出て来ておる。併しそれにもかかわらずこれはなぜ全体の枠として、とてもこれは六五%では間に合わないという問題が出ておると思います。そのところを今細かいことを言つておる余裕はありませんが、どうしても増額ということは、二十六年度の本予算における起債の増額、府県に対するそれに伴つた増額というものを同時にここで相当努力して考えなければならんと思いますが、これは大臣は、大体事務当局の意見は伺つてつたのでありますが、この点はどういうふうに御努力になりますか、これはよほど容易なことではないと思います。
  87. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その問題は要するに地財委のほうと協力いたしまして、そうしてできるだけこれが成り立つように私も努力をいたしたいと思つております。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 地財委のかたは見えていないのですか、これは荻田さんどうですか、こういう問題に対して意見を述べてもらいたいと思いますが、如何でしようか。
  89. 荻田保

    説明員(荻田保君) これは是非我々も初めから申して参おりますように、相当額の起債の増加をしなければならないと思つております。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 努力したいということを前のほうで繰返して、それでさて本予算を見ますと全然何もなかつた、こういう形なんです。これは今度はやらないで欲しいと思います。どうしても本当に容易でないということを是非打開して頂きたいと思います。なぜこういうことを申しておりますかというと、この前予算委員会で、これは文相は、そういう問題について我々は細かに質問しましたら、これはどうしても今後において努力したい、こういうふうに御答弁になつたと思う。併し今後における努力ということなんですが、今の百七十億に対する、これは財政欠陷の問題についてはまだ何ら解決していない。それなのにあとからあとから問題が押寄せて来る、そこに六三制のこういう問題がかぶさつて来ると、これはもう財政問題、教育財政の問題が山積みになつておるので、よほどこれは單にそのとき善処するというような一つのこれは答弁用語でなく、この辺で一つ御決意頂きたいと思いますが、如何でございましようか。
  91. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 岩間さん、私もこれが非常にむずかしい、又その努力もしておるつもりなんです。けれどもなかなか簡單にこれが解決できない。我々がやはり敗戰日本の重さを背負つておるからそう行かんと思うのですけれども、行かんといつたのじや駄目だから、できるだけの努力はいたしますが、そういうことを決して軽く考えておるわけでないということを申しておきます。
  92. 岩間正男

    岩間正男君 それと六三制の建築で、やはり連関してこの前も申上げたと思うのですが、自然増の問題ですね。これはやはり教育行政の中で絶対無視することはできない問題だと思います。殊に六大都市あたりに最近起つておるのです。東京の例を挙げますと、この前私は八万小学校生徒の自然増というふうに申上げたのですが、今度関係者が来て話したところによると十万です。それに対して二千の教室が当面必要である。ところが今年度の計画は九百何がし、そういうことになりますから、計画の面だけにおいても、すでに千百学級というものは二部、三部に追い込まれておる。ところが九百そのものがどうかというと、九百も実際は工事が遂行できない、こういう事態財政的に起つておるわけです。そうしますと、この皺がこういうことになるわけです。六三制の校舎建築をも含めまして、そうして全部建築するのが仮に九百としましても、二千幾らの、自然増によつて学校生徒が殖える面だけで二千の教室が要る。ところで九百が解決できない、そうしますと、千百だけの教室が新たに二部、三部に追い込まれて、それと六三制の中学の問題と関連して考えて見ますというと、現在の六大都市あたりに起つておる現象としては、六三制の校舎建築を以てしては、小学校、中学校全部含めて考えるときには問題は全然解決しない。逆に自然増をも吸収することができない形で以て二部、三部という教授が強化されて、こういうところに私は非常に大きな問題があると思う。これは先ほどの文相のお話によりますと、六三制は堅持するのだ、飽くまでも六三で行くのだ、こういうようなお話があるのですが、一方におきましては、一方では校舎がそのように現実事態に沸いては殆んど間に合わない形になつておる。そうして一方では又人員が整理されなければならないというような一つの大きな要請も出て来ておる。こういうものが絡んで来るというと、固持したいと言われましても、それをやはり具体的に裏付するために財政経済の面で、教育財政の面ではつきりこれが裏付されていなければ、私は堅持したいという言葉が非常に空転してしまうのじやないか、こういうふうに考えるわけです。こういう点から私は六二制というようなものが起つて来る危險性が非常に出て来る、どんなに六三制は堅持するということをたくさん看板を掲げられても、これに伴つたところの教育財政がこれと並行して行かなかつたならば、私はそこから大きな欠陥が出る、こういうものが間に合わない、だからこれは仕方がないから六二でも仕方がない、こういう形が出る。これは丁度産業教育のときがそうであつたと思います。六三制が完全に実施されなかつたために起つた欠陷、その欠陷に対しまして、職業教育をしなくちやならんと言つたのと同じような事態が当然発生して来るのじやないかと思いますけれども、これは文相は六三制を飽くまで堅持するということを財政的にはどういうふうに努力してそれを裏付するとお考えになつておりますか。私たちは一つの声明だけでは、この声明はしばしば破れることがありますので、この点は非常に父兄なんかも心配しておりますから、この点やはりもう少し聞かして頂きたいとこう考えますが、この点は如何でしようか。
  93. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 勿論財政上の裏付けなくしてできないのです。だから六三の三を堅持するということは、先ほど申しました通り非常にむずかしいことだけれども、あらゆる面においてなくても済むものはどうか減らしちやつて、ここに財政を集中してやるようにしたい。又岩間さんの考え方は自然増でも何でも含めて全部解決してしまえ、こういうお考えだけれども、私は今の歴史の動きではそういう考え方ではうまく、歴史はつかまらんと思うのです。やはり追いかけ追いかけやつて行く、殖えれば殖えるでやつて行くというやり方でなければ今の時代はつかんで行けないと私は思うのです。これは札をぽつと返しては実際何もなくなつてしまうということはできないから、だからこういう時代になつたら不完全なことでも我慢し、どんないいことでもいよいよ仕方がなければもつと倹約をしてみて六三の三とかそういうところは堅持して、少なくとも少年の六〇%以上がここで学校を要するのですからこれは教育をして行きたい、こういう考え方なんでございます。
  94. 岩間正男

    岩間正男君 最後にもう一遍伺いますが、今のお話は大分、私の申上げようが悪いのか、文相が聞き違いをされておるのですか、私は自然増の問題さえ現状より悪くなつておる、自然増をここで全部吸収しなければならんというふうには申していない。東京の例としましても六三の校舎建築をやつておるわけですけれども、一方ではどんどん六三校舎工事をも含めても、なお且つ自然増の問題さえどんどんはみ出して六三の三は追いやられておる。こういう姿が出ておる。六三の建築をもつともつと急速に而もここに努力を集中してもこの問題を先ず解決しなければならん、こういう例として申上げたつもりであります。  もう一つ、これは六三の問題ですが、認証外工事ですね、この問題についてはやはり地方なんか廻りますというと非常にこの問題が起つておるわけであります。これは事務当局から聞いたのですが、認証外直よる自己資金で賄つた工事、建築が今まで補助金起債や、それからそれに伴うところの寄付なり、こういうもので建てられたものも大体六〇%から七〇%近くあるということが、これは具体的な数字で示されております。そうしてそれがこの前、一昨年あたりだと思いますけれども、認証外工事については、なかなか補償する余裕がない。従つてこういうものは見てやることはできないという形で放置されておる、ところがこれが戰災都市のような、殊に松山に私参つたのですが、松山あたりでは全部焼けてしまつた町で、それでその校舎のあつた所に何とか急に建てなければならん、こういう形で認証外の工事というものがやられた。そこで財政的にはいろいろな借金等あらゆる方法、農協あたりから借りる、市中銀行から借りる、いろいろな方法を以てあらゆる手を使つた、それが年度別にだんだんこれが補償されるだろうというので起債で以てやつた。ところがそういう途が塞がれたために非常に財政的に混乱を起した。そうしてこれが大きく、市の理事者殊に市長さんの責任問題にもなつて来ておるわけです。責任問題はいいとして、これによつて財政が運転できない、こういうところに追込まれておる。こういうような問題が起つておるのですが、認証外の工事に対して一体どういうふうに今後処置されるのか、それとも全然ここで放置して、何らこれは見てやらないという形になるのか。そういうことになりますというと、非常に私はやはり正直者は馬鹿を見るというような形で、何とか早く学校を建てたい、こういうような形で一生懸命やつたところが何ら補償されないので非常な困難に遭遇しておる。こういうことは一つ教育的な、道義的な立場から考えましてもうまくない。こういうふうに考えるのですが、こういう点は考慮をいたしておられるのですか、殊に戦災都市のような場合、これに対してどういうような補償を考えられておるか。そういう場合には段階でも設けて、特にひどい所、そういう所を先ず真先に取上げて補償するという方法もあり得るわけであります。こういう点について伺つておきたいと思います。
  95. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 認証外を補償したいということは、六三の予算の当初から私ども悩んでおる重大な問題でございます。殊に今おつしやるように、正直者が馬鹿を見たというような形がこの点に出ておりますことは誠に遺憾に思つております。少くとも昨年までは確かにそうしたことを行う余裕がございませんでしたろうが、少くとも昨年あたりからはそれに着手したいという意味で、これの事業の性質上あとからそういう金を補償して行きたいというようなやり方はできませんので、設備の関係にこれを形を変えまして、先ほど御指摘のように段階的に補償して行きたいという考え方を強く持つております。昨年はいろいろな関係で最後まで残つた問題でありましたが、実現いたしませんでしたが、本年は先ほど申上げましたように、正直者が馬鹿を見たということを解消する意味で段階的にこれを解消する方式を考えております。
  96. 岩間正男

    岩間正男君 これは本予算に組んでいるのですか。
  97. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 本予算に組むようにしてあります。
  98. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 大臣は総理と会見される時間が追つておるのですか。
  99. 木村守江

    ○木村守江君 先ず第一番に国立の歓楽街の問題なんですが、明後日文部委員会では現地に行つて見るのです。文部省ではすでに調査済みだろうと思いますが、その調査を通じて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  100. 久保田藤麿

    説明員(久保田藤麿君) 只今の国立の問題は私どもの方からも調査をやつておりますし、殊に又今問題になつております焦点が、文教地の指定をするかしないかというところに問題がかかつておるように思います。ところがこの文教地区の指定というものは当該市町村の申請によつて建設省がやるという形になつております。その主体が飽くまで現地の市町村ということになりますので、私の方としては丁度そこにあります国立の一橋商科大学の学長さんを中心として一応の御連絡をいたしておるという実情でございます。ただ東京都が最後に出て来なければならん形になるのでありますが、東京都の委員が先月の二十七日かと思いますが、漸く人選ができてこれから委員の任命をなさるというような段階にあるようでありまするので、その方の固まるのを待ちましてよくこれと協議して行きたいということで進めておる程度でございます。ただ時期として今まだ多少感情論が強かつたりしておる部分も残つておりますものですから、積極的に文部省が乗り出して文教地区の指定をお願いするというような点ではまだ時期尚早かと見ております。
  101. 木村守江

    ○木村守江君 只今の御説明のことは私よく承知しておりますが、この問題が教育上にどういうような影響があるかというような、教育的見地からの問題の御意向を拝聽いたしたいと思います。
  102. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 教育上は非常に好ましくない、そういうものはなくするということを熱望するということであります。
  103. 木村守江

    ○木村守江君 次に只今岩間君から御質問があつた問題ですが、六三制補助の補正予算並びに起債の問題、これはまあ文部大臣地方を行脚されましてその実情がよくおわかりだろうと考えまして特段の御盡力をお願いしたいと考えております。  それからベース・アツプによる地方公務員の問題ですが、新聞に発表されたような状態で、地方財政のやりくりによつてこれを解決するということになつて参りますと、これは大きな都道府県の重要問題となつて中央には陳情が殺到して参ると思うのです。ところが地方公務員の三分の二が教職員であるということを考えましたときに、これを文部省において教職員のことを考えれば、このベース・アツプによる地方財政の問題も解決する問題だと考えまして、そういう点から特に文部大臣がこれに対して御協力をお願いしたいと、私はこれは希望条件を述べます。  それから次にお伺いいたしたいのは、最近の新聞においてたびたび伝えられておるのでありますが、これは行政機構の改革が必至の状態になつてつております。ところが最近伝えるころによりますと、文部省と厚生省とが合併いたしまして社会教育省となるのではないかというようなことを伝えられておりますが、これに対しまして文部大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  104. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそういうことを聞いておりませんし、そういうことは決してないと信じております。
  105. 木村守江

    ○木村守江君 私は文部大臣がないということは、あり得べきことではないと、これには反対だというような意見に了承いたしますが、私も教育というものは、やつぱり行政と司法と立法とが画然と分立をしておるように、一般行政から独立して行かなければならないものじやないか、特に終戰後の新憲法による教育は一般行政から分離して独立した体系をとるべきであると私は考えて売りますが、大臣の御意向は如何ですか。
  106. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) お答えいたします。私はそういうことを事実ないと思うと言つたんです。事実そういうことはないと思うのです。が併し今おつしやつたよう教育というものも行政の中に含まれていますが、併し特殊性を持つべきものだという考えでございます。
  107. 木村守江

    ○木村守江君 只今のないと思うということですが、これは実際問題で行政機構の改革ということが行われなければならない、行われて来るのじやないかと思われますので、実際問題として文部省と厚生省が合併する、いわゆる文部省がほかのものと合併されて併置されたような恰好になるということに対しまして、文部大臣の私的な御意見でも結構でありますからお伺いしたいと思います。
  108. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそういうことはないと申しましたが、事実もないし、又反対でもございます。
  109. 木村守江

    ○木村守江君 それから次に誠にこれは質問申上げて大臣に申訳ないと思うのですが、この間の新聞を見ますと、文部省内の人事の異動が述べられてあつたように思いますが、あの人事の異動は実際にあのように行われますかどうかお伺いしたい。
  110. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 人事は私の責任でやることでございまして、それがきまらない前にこういう席で述べるのは妥当でないと思います。
  111. 木村守江

    ○木村守江君 その人事の問題ですが、勿論これは人事は大臣責任においてなさるべきものでございまして、我々が容喙すべきものではありませんし又容喙しようとは考えておりませんが、ややもすればあの人事が局長が二人もぽかから入つて来るというような恰好も見せられますと、何か文部省に人無きかの感を与えますが、そういうような感じはお持ちになられませんか。
  112. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 文部省は人材林のことしと思つております。併し又ときには人事の刷新ということも必要であるかも知れません。
  113. 木村守江

    ○木村守江君 重ねてお伺いいたしますが、現在文部省としては非常に大きな問題が山積しておると思うのです。特に六三制の補助の問題、或いは起債の問題、或いはベース・アツプに伴うところのいろいろな他省との折衝の問題、それから明年度の予算の問題と言いますと、現在文部省は非常に大きな仕事を持つて、これを今年こそは決行して、そうして国民要望に応えなければならない重大なときだと考えるのです。そういう時期に人事の異動をなさいますことは、現在の人事においてはこの大きな問題を解決できない、人事の刷新以外に方法がないというようなことで決行なさるのでしようかどうかお伺いしたいと思います。
  114. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 木村さんのおつしやいますように文部省の任務というものは、非常に私も重いと思つております。そうしてこれを私などがやるというのには非常にこれは困難な仕事と思つている。実は今も皆さんからして財政のことなど言われて実にもう今後これをどうして解決して行こうかと自分は思う次第でございます。ただ人事のことは、こういう所で御質問なつたのに対して答えるということが私はどうも適当でないような気がいたしますので……。
  115. 木村守江

    ○木村守江君 よくわかりました。
  116. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 簡單に御質問いたします。荒木さんの質問関連するのでありますが、二十七年度の教育予算編成の重点として四つの点を挙げられたと思うのでありますが、その四項目の産業教育の新興というのは六三教育完全実施と並行してこれは行わなければならない、こういう御発言があつたと思うのであります。私はこの御主張に対しましては極めて尤もなものを感ずるのでありますが、曾つての、簡單に申しますので要を得ないかも知れませんが、曾つての軍国教育というものが今日私たちの深い反省の上に立つておるときに、戰後の教育は飽くまでも平和というものに徹しなければならないということは、たびたび文相もこれは御発言になつた点であろうと思うのであります。併し昨日の監理局長の六三予算に対する説明の中にも漏れたのでありますけれども、六三教育というものについての考え方というものは非常にぐらついて来たように見られるのであります。それは六三の整備というものも産業教育振興の一環として行うというような発言があつたということは極めて重大なことだと思うし、又過日の東北の或る新聞によりまして、図らずも天野文相の御発言が載つてつたのでありますが、これは真か僞かはわかりませんが、産業教育を振興させるためには現在の国家財政の上においては極めて困難であるから工場などを利用してこれを行う。丁度昔の学生動員のような形において産業教育が振興されなければならないというような極めて重大な御発言があつたわけであります。従つて私の質問する要点は非常に世界の軍拡経済の波に乗つて日本の教育が今どういうふうに行くかということ、これは非常に重大な問題でありますので、この点についての御見解を承わりたいというのが一点でございます。
  117. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 本筋が六三制であつてそれを補充する意味に産業教育をやるのかということは、皆さんとすでに論議を盡したことでございますから繰返しません。なお私も平和を尊重する意味においては人後に落ちない考えでおります。ただ幾ら産業教育をやるといつてもすべての学校にみな設備をしよう、そうしてみんなが旋盤を作るとかみんなが工場を持つとかすべてのことをするということは私はできないと思うのです。そういう予算というものは到底あり得ない。そうすれば私の言うようなみんな悪平等に陷つてしまつてどこでも駄目だ。それよりも共同に一つつてそうして共同の場所でやつたらよくないかということを言つたのです。或いは場合によつては共同の場所が作れなければ現にある工場を借りてそこでやるとかそういうことを言つたのであつて、その手段方法を言つたのであつて、それを曲解して何か産業教育という名前から元の産業なんとかいうものと結び付けたりいろいろするということは私は人の論を曲解するものだと思つて甚だ不服に思つて知る次第であります。
  118. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 了承いたしました。文相がそういう御意見の下に、先ほども岩間先生の御質問に対して教員の定数を確保するということは極めて困難ではあるけれども、これはどうしても努力したいという御意見があつたわけでありますが、これと並行して考えられる問題は、先ほどから問題になつておるように非常に教員定数の確保が困難な中で産休の補助教員を獲得するということは、これは論外の問題として付される傾向が私はある危險性を考えるわけでありますが、これは前々から文相も産休補助教員の問題についてはなかなか深い御理解を持つて具体的措置を講じられて来ておつたと思うのでありますが、今日ベース・アツプ並びに百七十億の赤字というようなものが出て参りますと、この問題が尻切れとんぼになる危險性があるわけであります。内藤庶務課長は産休補助教員の獲得については近いうちに立法化してこれを実施するという大変立派なことを言われたのでありますが、これについての見通しをお知らせを願いたいと思います。
  119. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はこういう問題はすべて非常にむずかしいと思つております。だからしてそれに対して努力するということを言えば、いつもきまり文句を言われるというので甚だ私も困るのですが、併しどうもそういうことに対して、できるだけの努力をすると申上げるほかないと思うのです。
  120. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 続いてこの産休の問題は時間のあつたときにあとで詳しくお話したいと思います。  続いて問題になるのは教員の質の確保と共に量の問題だと思いますが、これに附随して起つて参りますのは教員の優遇の問題であります。これは以前から教員優遇については、文相は非常に深い御理解を持つておられまして、曾つて別表作成のときに当りまして、教員の優遇としてこの別表作成の精神をそこに置くのだということはお互いに承知しておつたと思うのであります。そして山下人事官の話によりますと、極めて文相のこうした考え方とはかけ離れた考え方を持つておられるのを発見したのであります。教員の、地方公務員給与に対しては、物価値上りとは別個に民間の給与水準を主体にして考えるというようなことを言われておりまして、別表作成の曾つての優遇するという精神とは非常に離れた方向の発言があつたわけでありまして、私は甚だこれは腑に落ちませんのでもう一度別表作成についての文相の精神をここで承わりたいと思うのでございます。
  121. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) なぜ別表を作るかと申しますれば、これは教育者というものが特別な性質を持つているということから別表を作るのです。従つて別表を作るということは合理的なんです。合理的なことが即ち教員にとつては優遇になる、こういう考えであります。ただ裁判官であつても検事であつても、ただ合理的に表を作つたということに過ぎないわけではなくて、合理的に作つたことが裁判官や検事の優遇になるように、教員の俸給を別表において合理化すればそれが即ち教員の優遇になるのだ、こういう考えでございます。
  122. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 その合理化の問題でございますが、山下人事官は職階制を実施するまでの暫定措置として別表を作るのだというようなことを言つたわけでありますが、私は教員の職階制という問題については、これは前にも論議された問題であると思うのですが、現在の認定講習、或いは免許法というものとからんで非常にそこに教員の職階制というものが問題になつて来ていると思うのですが、教員の職階制をどういうふうに一体お考えになつているのか、こういう意見を承わりたいと思います、きめるのが正しいのかどうかという点について。
  123. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 教員の職階制につきましては、先般の国会におきましても相当議論されたところでありますが、結局これは人事院といたしましては、教員に職階制を付けべきかどうか、勿論付くとすればどういう職階制をするかどうかということを目下研究しようということで、人事院に教員職階制研究協議会というものを設けまして、そこでいろいろ目下研究されている状況であります。従つて只今のところ果してどういうものができるかということはまだ何ら見当はついておりません。
  124. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 教員職階制研究会というもので、今当面の一番大きな問題になつている点はどういう点でしようか。
  125. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 只今は職務実態調査をやつておりましてまだ本論に入つておりません。具体的にまだ調査をやつておりません。
  126. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 それでは大臣にこの点一つ承わりたいのでありますが、学績種別によつて教員の職階に一つ関連づけようとするような動きがあるやに聞いておるのであります。同じ学校を出て同じ経験年数を持つた者でも、一方は高等学校に勤め一方が中学に勤めている場合には、中学校や小学校に勤めている先生のほうが階級が下のように考えられて、高等学校に勤めている教員のほうが遥かに立派なもののような考え方がされているように聞くのでありますが、これは誠に私がくどくど申上げるまでもなく不合理極まるものと思うのでありますが、文相はこの点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
  127. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 教育者として、大学でもどこでも小学校でも上とか下とか本来ないのが私は理想だと思つております。まして小学校、中学校、高等学校などにそういう差別をつくべきものでは本来ないというふうに自分は思つております。ただその人の働く性質によつて、俸給とか給与とかということになると又いろいろな問題ができるかも知れませんが、私は差当つてそういうものに差別があるべきものではないと思つております。
  128. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 差当つて基本的なそういうものに差別があるはずがないという御意見と了承いたします。  最後にお伺いいたしますことは認定講習の問題であります。これは教育の質の向上にとつて私どもとしては決してこれが不当なものであるとは考えておらないのであります。ところが近畿ブロツクの教育委員会において、文部省から上野事務官がこれに出席されて重大な発言をされているのでありますが、現在の経済状態の中で非生産的な教育予算というものは当然圧縮されて来る、従つてもう本年度以降は認定講習に対する旅費は一切組まない、そうして而も給与というものはこれから職階制に結び付けて行くのだから、としても今年中に認定講習を受けなければならないと考えられる、その認定講習を若し教員組合の方で拒否をしたならば、むしろ教育委員会の方でこれをやめてしまつて、それで赤恥をかかせてやればいいというような御発言があつたという情報が入つております。それはその当時の発言が速記になりまして近々私の手許に来ると思つておりますが、こういうようなことは誠に私は文部大臣の免許法に対する精神と反するものがあると考えられますけれども、一体こういうことは文部大臣としてどういうふうにお考えになられるか、御意見を承わりたいと思うのであります。
  129. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私はそこのところつまびらかにいたしておりませんからよく聞いてみる考えでございます。
  130. 高田なほ子

    ○高田なほ子君 ただここではつきりして頂きたいことは、これからの教員の給与というものが職階制に結びつけて、而も認定講習というものと全く密接不可分な関係にあつて、而も早急にそれを獲得しなければならないというこの見解に対して、一体工作が省内でなされているのか、それを私は知りたい。
  131. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 職階制の問題は先ほど申しました通り、まだ何ら本論に入つておりませんので、只今教職員の実態調査、職務調査をやつておる次第であります。只今お話ははつきりわかりませんが、職階制と免許状の関係だと思いますが、それは直接には何ら関係ないことだと思います。
  132. 岩間正男

    岩間正男君 関連して、別表の問題ですが、別表は優遇のために飽くまで作るのだということは確認された、若し今後の情勢で、優遇しないような形で別表が作られるような場合には、文部大臣としてそれを拒否されるお考えがありますか。当然そういうふうになると思いますがそのことが一点と。もう一つ学校種別によつていろいろ差等は見ないけれども、併しいろいろな勤務なんかの方で、待遇なんかの方でここに差等があるかも知れんという発言なんかありましたが、その待遇が非常に問題だと思います。これはどうなつておりますか。これはやはり飽くまでもそこのところは同じような条件でやるという原則が確認される必要があると思いますが、如何ですか、その二点について。
  133. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 初めの、別表はそれによつて何か教育者が待遇の上において利するところがないならば、私は作つても意味がないと思います。  第二の点については、教員という職務においてはこれは何ら変るべき筋合のものでは少しもない。併しその仕事の性質によつて給与に或る差等が起るということも考えられるのではなかろうかと、それはなお研究を要すると思います。
  134. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 私は今の問題が重要だと思います。教育の問題ですね、それは義務教育に携つて泊る、或いは高等学校教育に携つておろうとそこに軽重はない。これは一般論として教育だけに限らず、あらゆる仕事において貴賤の差別はない。そういう立場を論じておるのではなしに、私の心配しているのは、現に別表を作ることについて、義務教育に従事している者と、或いは高等学校に従事しておる者と待遇上に差等をつけるのが、つけてもいい、こういう考えがあるわけです。そういう考えに対して非常に腑に落ちないものを持つている。ところが今の大臣の意見を開くと、或いはつけてもいいような、そういうことも考えられるような見解なんですが、非常に差別的な考えを持つておると意外に感じておるわけですが、これは実際上考えてもいろいろ申上げたいと思いますがそれは今日は省きます。併し義務教育に従事している者と、或いは高等学校に従事している者と待遇上、或いは給与の上において差等を付けてもいいというようなことは私は差別的な考えである、こういうふうに思つて意外に感じておるわけですが、その点はもう少しはつきりして頂きたい。
  135. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) それは待遇に直ちに差別を設けるというのではありませんが、仕事の性質によれば或いはそういうことも考える可能性がありはしないか、私はここでないと断言することはできないと思います。それでよく研究しよう、そういうことですが。
  136. 荒木正三郎

    ○荒木正三郎君 仕事の性質ということであれば私も了解し得る点があります。但し学校種という観点から差別をつけてもいい、こういうことであればまだおのずから問題があるべきであると思います。
  137. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 差別をつけていいということは決して私は申しません。差別をつけるかつけないか、それがむずかしい問題だからなおよく研究しよう、こういうことです。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の給与に対する職階制が問題になつていますが、岡田人事課長の発言では、職階制研究協議会で研究中であると、その一点張りで答弁されているのですが、この職階制研究協議会というのは人事院だけで持たれているのですか、その中にも文部省関係から係官なんか入つておるのですか。
  139. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) それは文部省関係官と、それから主として在京のいろいろの学校の教官或いは事務の代表者、そういうものが入りましてやつております。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうしますと、そういう会議に臨む以上は、最も実情を知つておる文部省としてはどういう職階制が最も適当であるとか、或いはさつきから問題になつ給与に関しても会議に臨む以上文部省見解というものが私は先んじて研究してもらうべきだと思いますが、これはどうですか。
  141. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 職階制の問題は、実は先ほどまだ全然未定と申しましたが、仮に職階制を作るといたしましても、これは一般の事務の職員とは違いまして、非常に簡單なものになろうかと思います。仮にできまして、それは現在例えば教授、助教授、教諭、助手というようないろいろのそれぞれの職務があります。それは現在あるわけですが、それはやはり一つの職階制といえば職階制といえないことはありません。或いは校長とかいろいろありますがそういう極めて常識的なものであつて、それ以上に非常に詳しく一般の公務員と同じようなものができるということは私は余り考えておりません。従つてそれが将来できましても、要するに給与の基準にそれが直接に役立つであろうというような意味に了解しております。只今問題になつております教員の別表につきましては、そういう根本問題は一応除けにいたしまして、それは将来職階制ができれば、そのときにはそれに基いてやはりこんなものを作りますが、只今の別表といいますのは、非常に問題になつておるように、教員のやはりこれは先ほどから大臣からお話がありましたが、その職責に比較して報いられていない、従つてこれを何とか合理化してこれを優遇しようということが年来の問題になつておりますから、その線に沿いましてやりたい、むずかしい本格的な職階制云々ということは一応関係をつけないでやつております。
  142. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは委員会に入られておると思うのですが、その委員会に出て行かれるときに、倒えば職階制については綿密のことはできないから大ざつぱにやる、こういう意見を持つておるでしよう。それから学校種別の問題も問題になつておりますが、これらの問題についてどういうふうな御発言をなされておるのですか。
  143. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 教員の別表はこの委員会には全然関係ありません。先ほど申しました職階制研究協議会、これは将来の問題で今職務調査を始めたばかりです。そこでは教員の給与はやつておりません。これは別の人事院の部局でやつております。そこで人事院において極秘にいろいろ研究されておりますが、近く大体人事院の考えがまとまれば我々の方と協議しようということになつておりますので、そのときに我々の意見を具体的に述べて一日も早く別表を作りたいと考えております。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 職階制の作り方と別表とは関連があると思いますが、それは別々にやつておるならそれでいいとして、別表について最も実情に通じておると文部省は或る見解を意思表示すべきじやないですか、それは意思表示すべき段階に来ていないのか、人事院にリードされておるように感じますが。
  145. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 別表につきましては二、三年前から文部省としては案を出したりあらゆる資料も出しておりますが、それによつて人事院でいろいろその後の情勢等も勘案して最近更に研究をしております。
  146. 岩間正男

    岩間正男君 二、三年前からやつておる申入というのは、先ほど大臣の答弁された優遇ということを目標にやつておるのでしよう。あの精神を大いに生かして下さい。あの精神を没却されたら我々は承服できません。
  147. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 予算の問題は大体今日で終るようですが、地財委の総務課長が黙つてつたが今後はそういうことのないようにして頂きたい。午前中大蔵省の主計官に伺つたのですが、それによると昨日局長より承わりました百七十億の赤字や起債についてなんにも知らないということですが、一体どういう交渉をされておるのですか。
  148. 辻田力

    説明員(辻田力君) 地方財政平衡交付金の問題につきましては地方財政委員会所管庁でありまして、地方財政委員会と交渉すべき筋合になつております。地方財政委員会におきましては各省の要求等を勘案して大蔵省とやつております。この場合必要があれば文部省行つて十分説明をするということになつておりまして、現在では地方財政委員会折衝の段階にあるわけであります。なお起債のことは私の方とは関係ありません。
  149. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 行政機構はそうなつておるでしようが、大体今の政治が、分取り政治をやつておる。現実においては私は文部省として地財委に十分説明地財委に了承してもらつて地財委地方財政要望機関として先頭に立つて、そうして大蔵当局の方と交渉して頂くと同時に、これは文部省地財委に当ると同時に、肝心かなめの大蔵省にも十分資料を提示して早目に説得するという形でなければ予算の確保というものは私はなかなか成し遂げられないと思う。それで或いは地財委或いは大蔵あたりから聞いてみますというと、文部省の対大蔵、対地財委或いは今の給与の問題に対する対人事院、こういう点について私は文部省態度余り公式的なものになり過ぎておるのじやないかと思う。その公式は公式として、それ以外に更にやるべきことはやつて、三者一体となつて、やるといような解決の仕方をしなければ、私は今の分取り予算政治をやつておる現段階においては、予算の確保というものは大臣の言明にもかかわらずなかなか成し遂げられないと思いますので、この点特に強く要求しておきます。
  150. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか……。それでは二十日、二十一日は文部委員会を開催して引続き視察に出ますが、二十三日は地財委を含めて更に質問を続行して、続いて委員会としての態度について協議をしたいと思いますので、閉会後懇談会を開きたいと思いますので、さよう御了承願いたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕、
  151. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 速記を始めて下さい。日程に追加して理事の互選を行いたいと思いますが、理事若木勝藏君、同じく成瀬幡治君が理事を辞任されましたので、只今より理事の補欠選挙を行いたいと思いますが、互選の方法は如何いたしましようか。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 理事の選挙については、成規の手続を省略して理事の指名を委員長に一任せられることの動議を提出いたします。
  153. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 只今の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) それでは私から指名いたすことにいたします。高田君を理事にお願いいたします。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後一時十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            高田なほ子君    委員            川村 松助君            木村 守江君            平岡 市三君            荒木正三郎君            山本 勇造君            櫻内 辰郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君   説明員    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    大蔵省主計官  岩動 道行君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省監理局長 久保田藤麿君    文部大臣官房    人事課長    岡田 孝平君