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1951-02-13 第10回国会 参議院 文部・地方行政連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十三日(火曜日)    午前十一時三十一分開会   —————————————  委員氏名   文部委員    委員長     堀越 儀郎君    理事      加納 金助君    理事      成瀬 幡治君    理事      若木 勝藏君    理事      木内キヤウ君            川村 松助君            木村 守江君            工藤 鐵男君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            波多野 鼎君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            高橋 道男君            山本 勇造君            深川タマヱ君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出)   —————————————    〔堀越儀郎委員長席に着く〕
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより文部委員会に提案になつておりまする教育公務員特例法の一部を改正する法律案について文部地方行政連合委員会を開会いたします。  通告順によつて質問を許可いたします。
  3. 相馬助治

    相馬助治君 私はこの際文部大臣に逐次五つほどの点について質問するのです。先ず第一に、地方公務員法の成立に伴つて教育公務員特例法の一部を当然改正しなければならん状況に立至ることは私も認めるところでありまするが、この機会を利用して、教育公務員特例法をして、より反動的な方向にこれを改悪せんとするのではないかと思われる点が二、三あることを遺憾としておるものであります。そこで私は第一点としてお尋ねいたしたいと思いますることは、地方公務員法が本日より実施されることに相成つております。ところがこの特例法は本日までに通過成立しておりません。従いましてこれは一体どういうことになるのであろうかということを我々は考えるのでありまして、地方公務員法が施行されたにもかかわらず、教育公務員特例法の一部が改正されない今日、如何なる実際的不便があるのであるかどうか。この点について先ず質問をいたします。
  4. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは今日までにすでに成立するようにこちらでは早く提案しておつたのですけれども、いろいろな都合からして成立しなかつたということは、私は遺憾としておるところです。どういう点に不利があるかということにつきましては、政府委員答弁させます。
  5. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 本日より地方公務員法が施行されますと、それに基きまして地方公務員給與であるとか、或いは勤務條件、或いは職員団体等に関する條例制定いたされることに相成りますので、その中に、その條例は当然地方公務員であるところの公立学校教員をもこの條例で規律されることに相成りますので、一日も速かに教育公務員特例法改正案制定されることが必要となつて来るわけでございます。
  6. 相馬助治

    相馬助治君 相良君にお尋ねします。私が聞いておるのは、そういう希望的意見大臣答弁でわかつておるのです。一体私はこれを藪から棒にこういうことを言つておるのでなくて、地方公務員法制定に当つて私は声を大にして、述べたことは、これに伴うところの教育公務員特殊性に鑑みて、これに連関する法律を連繋して我我の議案に供さなかつたならば、これは恐るべき結果を来たすことがあると思うが、これに対して一体文部大臣責任を負えるのかということを私は先の国会において質問をしておる。で、さようなることはないようにいたしますと言つておるが、もう御覧の通りです。私の杞憂したことが杞憂でなくなつておる。そこで私が相良君にお聞きしたいと思うことは、地方自治体給與その他についていろいろな條例を出して、そうしてこの際に地方公務員であるところの教員一体取扱いについてどうするのであるかというような、このデリケートな問題が起る危険性なしとしないと思う。従いましてそういう場合を政府は予想するかどうかということを相良君に聞きます。そういう場合を予想するとしたならば、そういう事態が起きたときにはその責任は、どういう方法で救済するのであるか。この二点についてお伺いいたします。
  7. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 只今申しました通り地方公務員法実施に伴いましてその條例制定されますと、その中で公立学校先生も適用されましてその條例の適用を受けると、多少不利になる点がございますので、それなればこそ一日も速かにこの教育公務員特例法改正が実現することが必要となつて来るわけでございます。勿論今日から地方公務員法が実施されますので、直ちに條例制定されるということが予想されますが、この教育公務員特例法改正案が成立いたしましたら、教員に関してはその條例から外すというような措置をとつてもらいたいと考えております。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 それは文部省側意見だけであつて、私は嚴密の意味で、法的な観点からこれをお聞きしておる。具体的な問題としては、本日から地方公務員法が実施されたからと申しまして、明日にも地方議会が開かれて條例ができようなんていうことは私は考えてもいないのです。いないのですが、我我立法府に列なる者としては、首尾一貫した仕事をしなければならぬ。そういう立場で私はお聞きしたいことは、誠に遺憾であるというくらいなことをおつしやる筋ではないと、こう思う。私ども責任だけを追及しておるということでなくて、そういうことを私ども速記に残して置きたいということは、これは一体問題というようなものは、紛争というようなものは予測しないところに発するわけなんです。従いまして私は多少不利益になる。多少不利益になるというその具体的事項は何何かということを先ずお尋ねしておる。そうしてその不利益になるようなことが現実の問題としてあとで表面化した場合には、文部省としてはどういうふうにするつもりなんでありますか。こういうことを尋ねておるのです。その後段の問題については、頼んで、地方自治体に頭を下げちやつて、我々のほうでこういう法律を作らなければならなくなつたから、誠に工合が悪いからそれは外してくれと言えば、それはうんと言うかも知れないが、それは満足すべき答弁ではないが、よしとして、多少不利益になるということをどういうように具体的にお考えであるか。それをお尋ねしておるのです。
  9. 相良惟一

    政府委員相良惟一君) 不利益になるという一つの実例を申上げますと、御承知の通り公立学校先生給與は、今のところ都道府県負担となつております。然るに公立学校教員給與に関する事項が市町村の條例で定められるということに地方公務員法によりますとなつておりますので、さようになりますと不利の点も生じて来るわけでございます。で、先ほど申します通り、本来これは地方公務員法制定と同時に改正をすべかりしであつたのでございますので、私ども事務的にもさような準備を進めて、昨年地方公務員法案国会に提出されると同時に、教育公務員特例法改正案国会に提出し、御審議願いたいと存じておりましたが、関係方面その他のいろいろの事項がございまして、この休会明けの第十国会までになつてしまつたというわけでございます。この点につきまして甚だ私どもといたしまして遺憾に存じております次第でございます。
  10. 相馬助治

    相馬助治君 その一番あとでおつしやつたことが私どもには大切なんです。こういうことを我々は心配したから言葉を極めて地方公務員法のときにこれに連関した一連の法律を出してくれ、出しなさいと言つたのではなくて出して下さいと、こういうふうにお願いもし、且つ又あまり文部省のほうでぱつとしないから要求した。こういう経緯に鑑みましてこれだけのことを私はどうしても聞いて置きたいし、文部省意見をこの際率直にお願いしたい、こういうふうに聞いたのでありまして、それは大臣も同感であることと思いますから、大臣如何お考えですかという野暮つたい質問はしません。そこで具体的な問題についてお聞きして参りたいと思うのですが、今度の改正案によりますると、第五條についての問題でございまするが、審査手続を著しく簡易にしているように見受けられるのです。併しこのことは文部省側意見を聞きますと、大学自治を尊重するという理由公開による口頭審査を削除すると、こう申しておりまするが、私どもから考えまするというと、大学教員身分保障精神を著しく薄弱にしておるのであつて、どうにも適当でない、こういうふうに思うのです。従いまして私はこの際お聞きしたいということは、どうしてこのような改正案を出さなければならないのか、その具体的な理由を示して、この際納得の行くように大臣から一つお示しを願いたいと思います。
  11. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) この法律そのものが、大学任命権者に対して一つの自由を持つておるという点にこの五條精神が私はあると思う。ところが実際大学がそれをやつて見ると、今度の法律でも、大学がやりたければやつていいのです。けれどもそれをやらなければならんということにして置くと、事実それができない、実際問題として例えば東京大学であつても、或いは神戸大学でさえもこの事実はできないのです。まして法学部などのないほかの大学で、これをやれと言つたつてやれないのです、事実において。そういうことのために私どもはこれを簡單にすることが、大学使命を達成するゆえんだと、こう思つておるのです。附け加えて申しますと、私は大学の最も重要なことは、学問研究ということにあると思うのです。ところが大学の主な人たちが、評議員というような主な人たちが、こういう複雑なことに幾カ月も引張られ、現に東京大学は六カ月ぐらいかかつておる。而も何も進行しないというようなことをしておつたのでは大学使命を達成できない。だからこれはもつと簡單にして大学の自由に任せたほうがいい。必らずやらなければならんというのではない。自由に任せたほうがそれはいい。何も当人の人権を否定するわけでも何でもない。当人は人事院に提訴するという普通の方法で以てやればいいのであつて、この法律自体は、大学を主体として考え法律で、そこに精神があると私は思つておる。
  12. 相馬助治

    相馬助治君 本問題について大臣になお意見を申上げたいのですが、その前に予備的に相良政府委員に二、三の点を質問して置きたいと思う。先ず改正案によりますと、口頭又は書面陳述せしめると、こうありまするが、不利益処分口頭陳述を認めないような場合が生じまするかどうか。即ち大学側の、管理者側意思によつて口頭又は書面陳述せしめるというのだから、これは書面を出しなさい、口頭の申出は聞きません、こういう場合があり得ることを、これは意味しているかどうか、これをお尋ねしたい。
  13. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この第五條三項の趣旨といたしまするところは、大学管理機関審査に当りまして、その審査の適正を期するという意味合いにおいて本人陳述を聞くわけであります。従いまして大学管理機関において、本人書面陳述がなお事実を把握するのに不便であると考えますれば、勿論口頭陳述を求めましようし、或いは又逆に口頭陳述のみを以て不十分と考えれば書面陳述を求める。要するに大学管理機関審査が適正になりまするように、大学管理機関において本人からそうした資料の提供を求める、こういう趣旨でございます。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 只今政府委員説明するようなことは私もわかりまするし、さよう了解しているのです。併しこういう法律が出て、それが実際に適用されるときになりまするといと、あなたたちの善意は必ずしも下部に徹底しない場合が多いことを、私は歴史的事実として知つているわけであります。それでこの法律案を率直に読みますとそうなるのです。今の政府委員説明のようになるのです。ところが又これを意図して読んだ場合には、「口頭又は書面陳述する機会を與えなければならない。」とあるから、どうもこの場合としては書面で出してもらいたい、と、本人は、おれは口頭でそれを言いたい、口頭では困るからこれを書面で出してもらいたい。こういう強制権があると解釈しても、全然それは間違いであると突込めないような文案になつておるのです。従つて私は尋ねるのでありまするが、もう一度これについて稲田政府委員説明を求めます。
  15. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 或いは前に申上げたことを繰返すことになりましては恐縮でございますけれども、とにかくこの第五條の設けられました趣旨は、先ほど大臣が申述べられましたように、大学がそれ自体任命権者に対しまして大学の人事を保護する立場に立つて規定でございまするので、大学管理機関がその趣旨においてこの審査を行いまする以上、大学権威において十分この審査というものの適正を期するということは、当然だろうと思うのであります。本人陳述を求めなければ事実が把握できないにもかかわらず、この大学管理機関が、その際において單に簡單書面だけで審査を始めるというような事柄は、大学管理機関性質そのものから考えてあり得な  いことだろうと考えます。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 仮にあなたの意見が正しいどいたしまするならば、文部大臣意見と極めて食い違いを来たす。即ち現行法によりますれば、真に大学において学問の自由を守り、大学の機能を円滑に発揮するためには、誠に現行法では困つている、それはなぜかというと、大学教授その者の身分保障が強いからであるということを大臣は申されている。それであなたの解釈したような場合は、何でもないときの法律解釈なのです。この法律が活きるときには、その教授が極めてうるさいと思つたら、お前は書面で出せ、書類で出せ、こういう選択権があると、大学はきつと強調すると思う。そういう危險性がある。従いましてこの問題につきましては政府委員説明を以ては了といたしませんので、さようなことは絶対ないと大臣が言い切れるかどうか。又それはこの問題については、かく考えるというふうな御意見がありましようか。これをお聞きしたいのです。
  17. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はすべてこれは大学自治を尊重するということ、大学が自己を主張するということから出ている法律案なんだから、大学自分でそれをきめたらいいと思うのです。そう考えております。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 天野文部大臣のおつしやる通りなんです。天野文部大臣のおつしやる通りであるから私は心配している。いわゆる大学の自主的な意見によつてきめればいい。その通りであります。この法律はそういうふうに書いてある。稲田さんの説明のほうが間違つておる。これは大学意思によつて書面だけでお前は陳述しろということがあり得るのですよ。だから私は心配して、そういうことはあるのかないのか、あつた場合にはどうするのだと、こういうふうにお尋ねしておるのです。稻田さんの説明を求めます。
  19. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 私、どこが大臣お話と食い違つているか、どうも了解しがたいのでございますが、勿論條文それ自身にございまするように、審理手続大学管理機関できめることになつております。それを勿論否定しているのではありません。ただ実際問題として、又この審理性質大学管理機関がどういう手続をきめるかということも、又その手続を適用いたしまして実際の審理に当ります場合におきましても、大学それ自身良識権威においてこの審査が行わるべきものである。従つて口頭審理だけでは足りないと大学管理機関考えれば、書面でも求め得るし、書面で不十分であれば口頭陳述を求めるであろう。こう申上げたわけであつて、どこに食い違いがあるかは私にはちよつとわかりません。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 それは稲田さんが頭が良過ぎるからわからないのです。私の聞いたことは非常に簡單なんですよ。不利益処分口頭陳述を認めない場合が生じはしないかということを先ず聞いている。口頭陳述を認めない場合が生じないかと、こう聞いておる。そうするとあなたは、それは大学書面で取つたり、口頭で取つたりしましようと、こう言つておるが、普通はそうだが、現実の問題として、例えば私みたいに極めて口汚なく、而もうるさくつてしつこい奴の場合には、(笑声)目の前に引つ張つて来てものをしやべらしたらうるさいというので、書面で書いて出せと、こう言うて口頭陳述を認めない場合が生じないかと、こう聞いているのです、これで……。こういう場合はどうだ、ああいう場合はどうだとむずかしく聞いているのでない。こういう場合は生じませんかと、こう聞いている。
  21. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この字句に即しまして非常に文理的に考えますれば、「又は」という選択的字句をとうておりまするから、或いはそういう場合もあろうかと思いますけれども先ほどから申上げておりまするのは、第五條の本旨から考えまして、又大学管理機関の本質から考えまして、実際問題といたしましては、大学良識権威によつてお話の御懸念のような陳述を求めなければ事実の把握ができない場合、陳述を求めざるがごとき事例は生じ得ないであろう、こう申上げておるわけであります。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 只今政府委員の御答弁通り文部大臣よろしいですか。
  23. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) よろしうございます。
  24. 相馬助治

    相馬助治君 私それで了解するのです。そういうことによつて、誠に説明は不十分であるが、口頭陳述を認めないような場合は恐らくないだろう、こうおつしやつておるのであつて、私どもは、これはないのだ、そういうことはないのだと、こういう建前に立つてこの法律案を眺めると同時に、これを嚴粛に速記に残して置きます。
  25. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 只今の点につきまして、こちらが只今お答え申上げましたのは、必要があるにかかわらず、いずれかの形式をとらない場合はなかろうと、こう申上げたわけでございます。
  26. 相馬助治

    相馬助治君 そうして来ますと、又ぐらぐらして参つたのですがね、私はこれはどういう意味合いでこのことを申しておるかと申しますると、如何なる矯激な思想を持つとは言え、相手は大学教授である。大体我々が、こういう問題が出て来まするのでは思想問題であることが想定されます。そういたしますると、我々はこういう思想問題にかかる審議につきましては、本人陳述公開原則、この二つが飽くまで中心にならなければならないということを考えておるのであります。曾て美濃部教授貴族院において天皇機関説というもので国賊のごとく罵倒された。そうして国賊のごとく非難されたときにおいてすら、教授は最後のあの貴族院の壇上において、みずからの立場をはつきりと表明して、而もその上に立つて教授は辞職しておるのであります。即ちあの反動の嵐の中にあつた日本においてすら、それは美濃部先生貴族院議員であつたからではありますけれども、堂々とみずからの立場を述べて、そうして辞職されているという我々は事実を知つている。そういたしまするというと、少くとも思想問題においてです、教授の首を切る、こういうような場合には、どこまでも公開原則本人陳述を十分にして且つ満足すべきところの本人陳述、これが前提にならなかつたならば、我々はこういう解釈が右にも左にも付くというような法律を作るということは、将来狂人刃物を與えるような事態を生ずることを虞れますが故に反対せざるを得ない。そういう立場に立つて私はこの問題を述べておるのでありまして、不利益処分に当つて口頭陳述を認めない場合が生ずる危険性があるとするならば、私はこの法律案に対しては徹底的に反対しなくちやならん。これだけのことをこの問題については申上げて置きたいと思います。
  27. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 相馬さんのお考えに私は了解できないことがあるのですが、大学の創設ということについては、すべて大学設置委員会という非常に公平なものがあつて、そうして大学を設置するについては非常に厳密に調べて大学というものを設置しているものなんです。それをあなたは狂人だと、大学にそういう権利を持たせるのは狂人刃物を持たせるのだ、そういう意味にこの大学というものを解釈されたのでは、てんで問題にならないように私は思うのです。やはり同じ日本人で、日本大学なんですから、もう少し私は大学というものを尊重して頂きたい。大学を尊重するからこそ、大学はただ文部省が任命するというのではなくして、大学自体においてこれをきめて行こう、こういう考えなんでございます。そういう点について私は相馬さんの狂人刃物を持たすという表現は甚だ不穏当な表現で、私ども文教の府に職を置く者には承服しがたいということを申述べて置きます。
  28. 相馬助治

    相馬助治君 敗戰日本にこの人が文相であるという意味で私は喜びます。それだけの権威を持つて下さい。私の言つているのは、こういうあいまいな解釈のできるものを作つて置くというと、将来狂人刃物を持たせたがごとき危険性を生むことがあるのではないか、こういうことをあなたに相談的に申上げたのであつて、(笑声)こういう法律を作ることは狂人に男物を持たすことだなどと私は申していないのです。従つてこれは速記録一つ調べて頂きたいと思う。併し事情はともあれ、かかる問題に憤然として大学並びに学問の自由を護られんとする文相のその気持を私は壯とします。ただ私が先ほどから申しているのは、そういうことになりはしないかと、こう申しておるのであることをくれぐれも一つ了解して頂きたいと思うのです。そうしていつでも考えて見てわかるように、えてして教育というものは、常に何と言いますか、世の中が反動化するときには政治家よりも、一般社会人よりも、どうしてもその職能からして教育の府に連なる者がその反動化の先頭に立たせられる悲劇的運命を持つている。私も長い自分教員生活について考えます故に、みずからを責める意味においてああいう辛辣な例を引いたのであつて、他意はないのです。文部大臣も私の気持を了とすべきであろうと、こう思うのです。その問題はいいです、それでやめて置きます。  次に私は十五條の削除について一つ意見を持つておるものであります。教育公務員はどうしても他の一般地方公務員よりも特殊な義務と責任とが要求されておることは論を待ちません。だからこそ大学機関による事前審査というものが、国家公務員であるところの身分を持つておる教育公務員に保障されているのでありますと共に、特に教職員に対しましては教職員適格審査というものが、一般公務員の場合と区別して行われておるのでありまして、かかる事実に照しまして、当然地方公務員たる身分教育公務員に対しても又事前審査規定が謳われなければならないのではないか。こういうふうに原則的に我々は考えておるのでありまするが、これに関しまして特に政府委員説明を求めます。
  29. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) お話のごとく教育の部面において、あらゆる面において学問研究の自由を守らなければならないという点につきましては、誠にお言葉通りでありますけれども大学における場合と初等、中等の教育関係におきまする場合と、そこに質の相違と申しますか、少なくも相当な程度の差があるのではないかというふうにまあ考えます。第五條が設けられておりますことは、先ほど大臣も話されましたように、いわゆる大学自治を守る意味におきまして、任命権者の処分の前提として大学それ自身審査をまあ設けたわけであります。初等、中等の教育関係におきましては、勿論教育の自由、研究の自由という点もございますけれども、機関としての学校の職能がまあ教育であります。この点は大学教育と研究と両方を目的とするという点からも異なつております。従いまして教員が研究いたしますといたしましても、学校教育に関連する必要の範囲において機関活動としては考えるべき、だと思います。併し初等教育、中等教育におきましては、御承知のごとく教育は学習指導要領の基準によりますと、或いは教材は検定教科書を用いますとか、そこにおのずから一定の基準がございます。又個々の教員教育活動、研究は、相互一体的な関連において行われる、従いまして学校における教員教育方針も或いは研究活動も、学校長において統轄するという力が強いことは、これは大学とは違う関係があるわけであります。又地方教育委員会は、教育委員会法の職能を、與えられました職能によりまして、その地方教育の水準を維持し向上しなければならない、つまり教育委員会の教育方針に従いまして大量な人事を、教育委員会の見地において主動的に行われなければならない、これは大学の人事とは本質を全く異にする点だろうと思います。そうした場合に、教員の意図等を一々個人の意思に出発して考えられない。この点では質的の相違が相当あるというふうに考えられます。そういう意味におきまして、勿論地方公務員法規定によりまして、身分保障規定、いわゆる処分がありました場合には、更に審査を請求できるのでありまして、事前におきまする審査について、大学管理機関考えましたような制度は初等教育、中等教育の関係におきましては、適当ではないというふうに考えております。
  30. 相馬助治

    相馬助治君 大臣、非常に時間的な都合でお忙しいらしいと聞いたので、二点だけお伺いして、あとは政府委員質問をいたします。  第一点は、私やはり一番問題であろうと思うのは、この五條改正でございます。これは率直に申しまして、一昨年来のいわゆるレツド・パージに関連してこの改正がなされようとした、こういうことは世上疑いがないところであつて、私もはつきりさように推測いたしまするし、先ほど大臣答弁もそれは明瞭であります。そこで私どもかしみじみと感じますことは、こういう一時的現象に祝われて直ちに法律改正に及ぶということは、法の権威を害うことになりはしないかということを考えるのでありまするが、これに対しまして大臣の御見解を簡単で結構ですから伺つて置きたい、それが第一点。  第二点は、地方公務員法の成立によりまして、教員組合が任意的な職員組合として再出発することになります。御承知のように教員組合の日本の民主化途上における功績というものは、実に大きく深いのでございまするし、又併しそういう大きな変動期でありましたので、絶えず識者に指摘されておりますように、教員組合を持つた結果、教員組合の功罪というものが、これはおのおのの角度から論じられるということは、率直に認めるわけであります。併し将来やはり真に教育を民主化するがためには、この教員組合の組織というものを確立し、よりこれを民主化し、そうしてこれが真実に教員五十万の大衆の意思を代表するだけでなくて、この教育振興の途上にある日本国民の総意をも代表するような立派なものにまでこれを育てなくちやならないということも、これは論を待たないと思つております。そこで私の思いますることは、そうして又大臣にこの際お尋ねして置きたいことは、この地方公務員法の成立によりまして、教員組合というものが各町村ごとに作られ、その連合体のみが県に許されることに相成つて参るのです。ところで、私は一体今までの教員組合の活動の面において、中央にいらつしやるかたは、日本教職員組合だけが大きな功績を挙げておるように錯覚しておりまするが、そうでなくて、実際のところは各府県にある教員組合というものが実に大きな仕事並びに大きな、重大な立場を占めておるのであります。その例といたしまして、或る單位県に立派な最も民主的な教員組合のできておる所は、今日においても非常にがつちりとした教育上の体系が成立しておるんです。そこで私思いますることは、どうしてもこの際各府県にできまする教員組合が、各町村の連合体などというものでなくて、各府県に一つの單位組合を作るような法律を、法律の面において明らかにして置く必要がなかろうか、こう思いますので、それらに対する文部大臣の見解を以上二点について承わつて置きたいと思うわけであります。
  31. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 第一点につきまして、初めからレツド・パージというものは私が言つたことじやなくて、世間でそういうことを言うのであつて、私はこれは非常に消極的なのでありまして、実際何か不都合な人を探し出してそれを追放しようとか、誰が赤で誰がシンパだと、そういうことを私が言おうという主義でないことは相馬さんもよく御存じだと思うのであります。そうでなくて、実際問題として大学が困ることがある、そういう人、少数の人は、これはどうも大学自治大学の独立を維持するために退いてもらうより仕方がない。それならばどういう方法でやるかということについては二つの方法がある。一つは私がたびたび説明いたしたような点であり、第二は普通の国家公務員としての規定による方法である。こういう二つの方法がある、その二つによつてそういう場合は退いてもらうより仕方がないと初めから考えておるわけなのです。ところが事実は、私がああいうことを申したためでありましようか、割合学校の教職員、まあ教授がたでももつぱら、非常に自粛されておられて、私の心配したようなことが非常に少いために、今日まで何もしないのであつて、ああいうことを言つて置いて、今度ここで改正してやろうというような、そういう下心を持つて何もやつておるわけじやないのです。その点は一つ考えを頂きたい。ただ私も多年大学におつた者として、大学というようなものは第五條のこういう規定では到底やれないのである。これは一つ相馬さんが一党一派の立場を離れて、本当に公平に大学というものを少し研究して見て頂きたいのですが、極く公平な大学教授、或いはあなたの党派にも大学出身のかたもおられるのですから、そういうかたの御意見を極く公平に聞いて見て頂きたい。私も一個の国務大臣であるように、あなたも一個の国会議員であるから、一党一派の立場を離れて、物事を客観的に公平に考えて頂きたい。そうすればどうしてもこのままでは成立たないと私は考えております。それから第二の点につきましては、これは相馬さんのおつしやる通り実際この教員組合というものは私は必要なものであるということを、すでに昭和十二年以来述べておるのであります。教員諸君が団結して行くことはこれはいい。けれども、これは併しあなたも功罪があるとおつしやいましたが、今のままでこれはいいとは言えないと思う。なお改むべき点もある。勿論いい点もあります。これはどうか相馬さんなどの御指導によつて、本当に健全な、五十万教職員を本当に代表するように私は教員組合がなることを切望してやみません。それについては今度の改正ということは、これが本当に組合を発達させるのにむしろいいのではないかという考えでございます。併しこの点につきましては、若し御必要なら詳しいことは一つ政府委員に聞いて頂きたい。要するに、私はこういうことを相馬さんなどに特にお願いしたいのです。教育というものはどうか一党一派を離れて、本当に客観的立場で以てきめて行きたい。それでないと、本当にこんな敗戰の打撃をこうむつておる国が、本当に立上つて立派な国になつて行けないと思うのです。それには教育が元だということは同じ考えなんですから、その一番国を立てて行く元になる教育が、一党一派の考えに左右されるということでは、到底日本の将来は望みがないと言つてもいいと思う。どうか私はこういうような問題に遭遇することに一つ本当に客観的に、今の問題が大学の問題なら大学人たちについて研究いたしてもらいたい。それでやれるものか、やれないものかということを研究して頂きたい。私予算委員会に呼ばれておるものですから、大変済みませんけれども……。
  32. 相馬助治

    相馬助治君 文部大臣がこの委員会を通じて教育というものについての見解を述べたという意味で、今おつしやつたこと全部私了承しますが、ただその中にある、相馬さんは一党一派の精神を離れてとおつしやることは、これはお取消なさるほうが、私は今後の審査を円滑ならしめる途であろうと思うのです。と申しますのは、私は極めて一党一派に捉われていないつもりなんです。現に現われているこの法律、法文、嚴粛なる……、そういう言葉をそこに附け足すと、ほかのことに連関して笑われますが、この法律の文は嚴粛なる事実だと思います。このものをとう解釈するかどうかと、こういう私は客観的な素材についていろいろ述べたので、思いは大臣と等しうしておるのであつて、一党一派に捉われないからこそ私は第五條精神等についてもいろいろお尋ねして、そうしてはつきりさせたいと、こう思つてつたのであります。一党一派に捉われるなという、そういう説教じみた一句だけは除いて、あとの大臣のお言葉はすべて了承します。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) これは相馬委員は国会議員なのですから、党派に属されておつて、それが何もどうだということはないのです。ただ比較的教育者はすべて一党一派に捉われないということが必要なのですから、この問題は一つ客観的に考えて頂きたいという趣意を述べたわけでございます。どうぞ……。
  34. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 文部大臣の質疑はよろしうございますか。
  35. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 文部大臣に関係あるかどうか知れませんけれども……。
  36. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 順位が、通告順がありますから……。
  37. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 大変残念ですけれども、予算委員会に呼ばれておるものですから……。
  38. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 通告順になつておるのですか。
  39. 相馬助治

    相馬助治君 岩木さん、都合があるから政府委員に私一応聞いてしまいますから……。  只今文部大臣とここに意見のやり取りしました教員組合の問題ですが、御承知のように今の段階では当然県の教育委員会というものを相手として給與のことやその他いろいろ勤務條件等が交渉されることは、政府委員御承知の通りであります。  ところが地方公務員法によりますと、各町村ごとに教員組合というものを作つて、そうして県は連合体にしかならない、こういうことは逆に申しますと、県の教員組合には個人の加入を認めていない。こういうことでは実際問題として各府県においてこの円満な組合の発達が望まれないと思います。これは先に超党派的云々の問題もありまするが、ここにおるかたで民主党のかたも自由党のかたも、少くとも教育の実態を知つておる人は、これはとにかく県を單位とした一つのそういう組織を認めてやらなかつたならば、却つて問題は複雑である。こういう見解を我々にも個人的に示されておるのであります。従いまして文部省としては、この際進んでそのような意味の立法をする用意があるかどうか、こういうことをお尋ねして置きたいと思います。
  40. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 只今の御質問につきまして答弁申上げます。  御承知のように職員団体は当該地方公共団体の職員を以て構成して行くというのが建前になつております。ところで市町村立の学校の先生がたが、教職員のかたはその市町村の職員であることには間違いありません。従つて身分が都道府県、或いは市町村に帰属しておるのでありますから、そのうち市町村のほうの町村立の学校のかたがたは、原則的にいつて飽くまでも身分、規律、財政についての責任の主体は各地方公共団体である、こういう建前になつております。然るところ、現行の制度におきましては市町村については教育財源は、財政の関係からしまして都道府県が、市町村ではなく都道府県が費用を負担しておるという関係からして、給與及びその勤務條件等について都道府県と交渉すべき内容が相当あるということは、これは当然認められておるわけでございますが、それはいわば現在の建前からすれば経過的な問題であつて、市町村が市町村の学校を立てて維持して行くというのが建前であるということは、やはり一方認められなければならないと思います。従つて全部が全部都道府県と交渉すれば足りるのではなくて、厚生的な部分、或いは社交的な目的、或いは給與の上で財源負担が市町村の負担となつているような問題について、さようなことについてはやはり市町村立の学校の先生がたは市町村と交渉すべき内容があるというふうに考えられます。従つて先ず第一には、市町村立の学校の先生がたは市町村立の組合を作つて、その市町村当局と交渉をなさるということは必要でもあり、建前上当然でもあるというふうに考えまする  さて、然るに先ほど市上げましたように、又よく御存じのように都道府県とも交渉すべき重要なる事項がございますので、その單位組合が連合をして都道府県と交渉することのできる連合体を構成するという建前、これをとれば都道府県との間の交渉もできますし、又市町村との間の交渉も両方できることでありますから、そういう両建をこの際することが可能である。併し市町村の組合が單位になつて、その連合体として都道府県と交渉されることでさしたる支障もなく、又原則がそこで成立つて行くという点で、当分の間原案といたしましては、当分の間連合体を認めて交渉することができるという建前をとつて「おります。併し若しこれが都道府県の負担でなく、地方自治が徹底して、仮に全部市町村が負担するということになつて参りましたならば、これは又別の話になつて来るかと存じます。そういう意味で連合体を作ることは、趣旨として原則的にも、又現実の問題にも当て嵌つた丁度いい解決法ではないかと私どもとしては考えております。
  41. 相馬助治

    相馬助治君 私は今の説明が、一応の話の筋としては通つておりまするし、よくその内容はわかるのですが、二つの点から反対なんです。なぜと申しますと、教育の費用が全部町村に委ねられた場合には話が別だと、こうおつしやつておりますが、私が問題にしたいのはこれなんです。先ずこれを基本的な面から眺めて見ますと、今の日本教育を真に発達させるためには、せめて義務教育費ぐらいは、これは国で見てやらなければいけない、国で全額見てやることができなかつたからこそ、前の国会においていわゆる義務教育費半額国庫負担法というものができて、余分は国、半分は県で支弁されていたのでございます。それが一部の考え方によつて教育費は全部市町村費で賄わせるのがいいのだということが大きく論ぜられておる。地方税も又その趣旨に副つて直されて来ていることは、お互いがよく知るところなのでありまするが、文部省自身がそういういわゆる教育の費用は市町村に将来委ねられるほうがいいのだ、委ねられるほうがいいのだという立場をとつてこういう法律案を作つているというその気持が、私にはどうしても了解できない。それについて改めて基本的な問題として、これは大臣がいれば大臣にお尋ねしたいところなんですが、あなたに一つお尋ねして置きたいと思います。  第二点は、市町村の費用によつて賄われるからして、市町村を相手にして交渉する面が多いから、そこには教員組合の団体の組織を認めると、こうおつしやつておりまするが、それは文部省のほうの言としては全然受取れない、今の日本の国、そこにあるところの教育の体系を考えて御覧なさい。給與の面も任用の面も、免許の面も、その他の懲戒の面も、修練の問題も、全部これは国としてきまり、そうしてそれが実行に移されておるのは府県の段階なのです。一体各村に教員組合ができて、何を交渉しますか。俸給未拂のときに早く金を拂つてくれ、十日では困るから三日に繰上げてくれ、そのくらいの交渉しがこれはありはしない。従つて私は本当に教育の民主化を図るならば、そうして教育の振興を図るならば、あなたの考えを逆にして、府県に單位を認めて、單位組織を認めて置いて、そうして各町村に起きた或る特異な事態には、それを府県の組織を以て交渉すれば足りると、こう思うのであつて、今の考え方には首肯しがたいものがありまするが、再度一つ答弁を求めます。
  42. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 御答弁申上げます。先ほど申上げました言葉がちよつと誤解を招いたようでありますから、この際申上げて置きます。若し方針が定まつて、そうして教育のことは全部市町村のほうに移つて、そうして俸給等の経費負担の主体が移ることがあつた場合には、それは今の話は話が別になるのだと申上げたのであつて、そういうことは私どもは希望しておるのである、又文部省として希望しておるということを申上げたつもりはないのです。第一点についてはそれで御了承願いたいと思います。
  43. 相馬助治

    相馬助治君 積極的に希望しておるとは私も聞き取らない。そういうことをあなたがたのほうから言うことは、これは黙許の形です。事と次第によつてはそのときの心理的環境によつては、黙つておるということを承知の場合が日本人には多いのです。特に女性の場合には……、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)今までは、今まではですよ。(笑声)今までは。だから私はそういう具体的の事情に鑑みて、文部省のあなたがたが市町村に教育財政を全部隷属させるというようなことを反対しないならばおかしいと思うので、それで聞いたのであつて、積極的に賛成しておるなんとは私は思つていない。併し消極的賛成をしておると思つたからこそお尋ねしたのであつて、もうその問題についてはよろしいです。(笑声
  44. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) もうよろしいですか。
  45. 相馬助治

    相馬助治君 第二点がある。逆にしろ、組織を。
  46. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 市町村と交渉すべき内容は極く稀であつて、主たる交渉内容は都道府県にあるではないか、従つて逆さまに組合の作り方を、原案を逆にしたらいいではないかというふうに伺いましたですが、市町村と交渉すべき内容もあるということはお認め願えておると思います。なお市町村にでき上つた單位団体が、それが連合して都道府県と交渉することでは絶対によい交渉と言いますか、意味のないことになつてしまう、よい交渉はできない。意味のないことになつてしまうということについては、私どもどうもよくわからないのであります。連合体で私は十分交渉ができる内容もあるし、実効が挙がるのではないかというふりに思うのであります。  それからもう一つ、これも率直に申上げますが、若し都道府県の直接加入の職員団体というものを作るという場合を仮定いたしますと、登録についての審査という手続が必要になつて来るかと思うのです。若し仮にこれで府県、一万人とか、二万人とかいうたくさんの先生がおられる所があつて、たくさんの申込者があつた場合、その審査の事務量というようなことは相当のものになつて来るのではないか、都道府県の審査委員会のほうで審査して行くというようなことになりますと、相当の事務量になつて来るのではないか、なかなか簡単に登録の手続が終了できないのではないかというようなことも考えられる。若しこれが市町村にできますというと、市町村ですれば、五大都市のような大きい所もありますが、大体のところはそう大勢ではございませんし、手続はどんどん進行して行く、思つたほどこの連合体の登録手続というものは手間取らないで、場合によつては却つて直接の都道府県單一団体のほうが、そういう登録確認の審査手続については却て時間がかかるのではないか、この際一刻も早く都道府県の連合体を作るということによつて一つの経過的な、御心配というものは案外ないのか知らんと私どもは想像、考えてもおりますが、この点はちよつと余計な附け加えかも知れませんが、一言申上げて置きます。
  47. 相馬助治

    相馬助治君 事実問題の把握がまるつきり違うものですから、この問題は文部委員会の同僚議員をして意見を述べさせることにいたします。私がこの問題をあなたにさつきからしつこく尋ねた理由は、本法によると教員組合を作るためには先ず町村において教員組合を作るということが強制されるということになる、作るためには、そういう意味で重大関心がありますために質問したのでありますが、文部委員会の同僚の議員をして毎度質問させることにして、私は以上を以て私の質問を打切ります。
  48. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私は二、三お尋ねしたいと思います。第一のこの第二十五條の五の問題でございますが、これによりますと、「当分の間、国立学校の教育公務員給與の種類及びその額を基準として定める」こういうことになりますというと、この教職員のかたがたの給料は上るのでございますかどうかという問題、いわゆる職階性ができますというと、今までの給料よりもずつと上つて参るではないかと我々は考える。然る場合におきまして、一般平衡交付金は二十六年度の政府の予算におきまして千百億ということになつております。その範囲においてこの教職員の給料その他が出ますと、不足が出て来る、その場合におきましてはその問題は、どういう関係で予算のほうをお取りになるか、それはそういうことはないと、こういうふうにお考えになりますか、その点をお伺いしたい。ということはこの一千円ベース、これは教職員のかたにちよつと恐縮でありますが、アツプになつておりますが、教職員のかたにおきましては年限の関係その他におきまして千五百円から二千円になつております。こういうところは一般地方公務員特殊性から出ておるとは存じますが、この点について予算上の措置、それから今の問題の上らないか、或いはどうだという関係を明確に一つ答弁願いたい。それから順次……。
  49. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 二十五條の五項について御質問がございましたのですが、国立学校の教育職員一般につきまして、現在人事院が一般職の職員の給與に関する法律によつて研究いたしまして、その結果を国会、内閣に勧告するという建前は御承知の通りでございます。なお公立学校教員給與については、財源額について御承知のようにいろいろ問題もございます。そして地方公務員給與体系が確立することに並行して、この国家公務員であるところの教員給與の基準というものも作らなくてはいけないというふうに努力中でございます。その結果総額として金額が上るかどうかという点についてはまだ確たる結論に到達しておりません。はつきり申上げることが現在できない状態であります。若し高くなつた場合にそれではどうするかという点が残るかと思いますが、その場合には御承知のように地方財政に対する平衡交付金の問題、基準財政需要額の算定の問題に問題が移つて行くというふうに心得ております、現在のところではまたどういうふうになるか、総額として上る結果になるかどうかということについては、はつきりお答えできない段階にあります。御了承願いたいと思います。
  50. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題で、甚だ不安定のことをあなたがたのほうでやられますが、この点をはつきりしなければ、この点が実際は我々は承服ができないのであります。そういうふうなあなたのほうで予算の問題に対しまして確たるあれがわからない、こういうことに対しましては、私が申上げましても何もなりませんから保留して置きましよう。  次にこの教育委員会におりまする部課長その他の問題でございますが、これは教育公務員法のほうに入りますのか、地方公務員法の問題になりますのか、いわゆる教育委員会が任命しますほかの者は、全部教育公務員法のほうに入りますのか、その点をお伺いいたします。
  51. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 教育委員会の職員も地方公務員法規定を全般としてかぶるというふうになつて参りますが、その中で特に教育長、それから指導主事、社会教育主事等はこの特例法規定で律して行く、地方公務員法に加えてこの特例法規定で律して行くということです。
  52. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題で実は非常に先生連中が困るのは、若しも公吏になりますというと恩給その他が打切られちやう、そうしてその間五年なりやつて、今度は課長に出て来るというと、こういうのは気の毒な立場になりますが、この点は文部省としてはもう少しお考えになつて頂きたいと思うのであります。この法案におきましてはこり問題は、これは優秀な人が県の教育委員会に入りまして、或いは課長になる、或いは中に入つて、その間五年の間恩給の年限が切られる。これは元の問題にも関連して来ますが、この点はあなたがたお考えなつたかどうか、こういうことですね、これを一点お伺いいたします。
  53. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) 恩給の点につきましては、新らしい恩給制度が目下これは準備中でありますことは御承知の通りであります。そのほうについて私ども文部省意見といたしましては、さようなことのないようにということでいろいろと折衝中でございますから、成るべくそういうことがなくて済むように、我々の主張が通るようにいたしたいということを努力中であるということをお答えいたします。
  54. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 先ほどちよつと問題になりまして、民主党も自由党もというようなお話がありましたが、組合の今の問題であります。これは私たちは今の政府原案が妥当である、さように考えますので、相馬君のお考えに対しましては私たちは異議がありますから、その点、民主党の或る人と言われますから、私たち或る人になつていないという観念でございますが、この点は相馬さんたちはさようにお考えになりますが、我々は町村組合がありそれから県の連合会ができましても少しも差支えない、さように考えますので、この点は相馬さんの御意見とは違う、こういうことだけは申上げて置きます。これで終ります。
  55. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私新まいでわからんので、今飛び入りで見当が付かないのですが、或いは重複したら御勘弁願いたいと思います。今相馬氏なり私のほうの竹中氏などの論及した点であるのですが、職員同体の件でありますが、これは政府の意図するところはよくわかるし、する点もあるのですが、ちよつと私はお聞きいたしたいのは、條文の審議に入らないと思うのですが、地方公務員法の第五十二條なるものの職員団体の構成する基本的観念というものは、五十二條の本文に謳われてありますような工合に、職員は給與勤務條件とかいうようなものに関して当該地方公共団体の当局と交渉するための団体ということなのであります。そこでこの法文を審議したときにも私記憶があるのでありますが、学校のような場合に、その設立が例えば市町村である、併し給與とか勤務條件とかいうようなものがそれ以外の場合には、例えば教育委員会であるとか、或いは都道府県であるとかいつたような場合の団体構成の基本的観念というものは、職員の給與とか勤務條件とかいうような職員自体の経済上の問題に関しては、これらに直結する公共団体、例えば教育委員会或いは都道府県というものを單位に構成されるという解釈、観念を持つておつたと思うのです。ところが政府のこの條文及び今ほどの相馬君との応答の内容を承わりますと、設立は市町村であるが、そういう職員の経済的な問題については都道府県であるから、都道府県に連合会をこさえるということで交渉する途も開けておる。併し設立は、設立しておる当該公共団体ごとに設立するのが妥当あるとしう解釈には疑問があるのですが、給與とか待遇改善とかいつた問題以外の要素を以て職員団体が結成される場合には、文部省の御解釈も妥当だと思うのですが、職員の給與勤務條件を改善するための交渉団体をこさえるというのは、教育委員会又は都道府県單位でもかまわんという解釈も持つて来ると私は解釈されますが、その点はどうでしようか。
  56. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答えいたします。只今の問題につきましては地方公務員法そのものの解釈の問題になりますので、私或いはお答えするのに十分でないかと思いますが、私の了解する範囲においてお答え申上げますと、五十二條の「職員は、給與、勤務時間その他の勤務條件に関し当該地方公共団体の当局と交渉するための」となつておりますので、「職員は、」と「当該」という関係は事件に関してではなぐ、所属の団体というふうに私ども解釈しておるのでございます。  それからなお「給與、勤務時間その他の」という勤務條件でございますが、同時に又五十五條では「登録を受けた職員団体は、條例で定める條件又は事情の下において、職員の給與、勤務時間その他の勤務條件に関し、当該地方公共団体の当局と交渉することができる。なお、これに附帯して社交的又は厚生的活動を含む適法な目的のため交渉することを妨げない。」ということになつておりますので、やはり社交的又は厚生的活動についても交渉はできるのではなかろうかというふうに解釈しております。従つて総合しまして当面の交渉相手は自分の所属しておる、その職員であるという事柄の発生する、即ち身分の所属しておる当該の公共団体と交渉するのだと解しております。
  57. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この五十五條の「なお、これに附帯して社交的又は厚生的」は、いわゆる附帯事項であつて、本旨ではないので、直ちにそれに直結するというのはどうかと思うのです。それは解釈の相違かもわかりませんが、それから身分が当該公共団体に所属するという意味合いで、当該市町村ごとに設立するという意味は、その考えかたは一応わかるのです。但しここで職員団体、教員団体が団体を結成しようという主要目的は、なお社交的何々ということは附帯事項であつて、本旨、本論とするところは給與改善が主である。給與改善をするために団体を結成するという、給與改善に関する所管地方公共団体は教育委員会、又は都道府県にあるのでありますから、この附帯事項を直ちにこれに直結するということはどうであろうかと思うので、主要目的が給與改善にあるから、給與改善に直結する地方公共団体單位ごとにすべきであるとする解釈は私は付くと思いますが、これは明確にして置かないと、私は公務員法の改正の立法精神において、その場合にも私が発言したか、他の人がしたか確かに記憶があるのでありますが、こういう場合にその解釈でおつたのでありますが、然るに政府は特にこの場合に「当該都道府県内の地方公共団体の設置する学校の」という、「設置する学校の」と、こういうことを殊更附加えて謳つたということは、どうもそこに私は疑義があると思うのですが如何でしようか。
  58. 關口隆克

    政府委員(關口隆克君) お答えいたします。私どもはそういうふうに解釈し、そういうふうであると了解しておりました。
  59. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 これは教育委員会と都道府県というものが、給與改善及びこれらに伴う歳入歳出の予算の編成の立案は責任機関である教育委員会、これを決定乃至は執行するのは都道府県であるというような問題にも関連して、私はこれは非常に前から問題点だと思つてつたのですが、これは委員長においても明確な政府の態度を質すべき責任があると思うのでありますが、又文部省が特にこういう工合に「設置する学校の」という字句を特に五十二條なんかに基くということを言つて置いて、「設置する学校」というふうに、五十二條の主要目的に設置するということを謳つて置かない、給與改善を目的とするための要素になる設置するという問題と団体の何とは違うと思うのですが、問題はここにあつて、私は五十二條が絶対政府の、文部省のお考え通りというならば文部省のお考えもいいけれども、別個の解釈が私は成立ち得ると思いますから、これに疑義があると思う。その辺を明確にして行かないと、ちよつと私たちの態度を決定する上に重大な問題が発生すると思うのですが、委員長においてこの問題は御検討を必要といたします。
  60. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この点は文部委員会で検討いたします。
  61. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 文部省でもそういう見解を持つておられるのだが、私は疑義がある。これは地方行政でも検討すべき問題だと思いますが、この問題はどう処置しますか。
  62. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) この問題は十分文部委員会で検討します。あなたのほうでも検討して下さい。他に御発言ございませんか——それではこれで文部、地方行政連合目委員会を閉会いたします。    午後零時五十分散会  出席者は左の通り。   文部委員    委員長     堀越 儀郎君    理事            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            高良 とみ君            高橋 道男君            山本 勇造君            深川タマヱ君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            安井  謙君            相馬 助治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    文部省大臣官房    会計課長事務代    理       相良 惟一君    文部大学学術局    長       稻田 清助君    文部省調査普及    局長      關口 隆克君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       福永與一郎君