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1951-05-29 第10回国会 参議院 農林委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十九日(火曜日)    午後二時十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○森林法案衆議院提出) ○森林法施行法案衆議院提出)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会開会いたします。
  3. 小林孝平

    小林孝平君 只今北海道開発法の一部を改正する法律案内閣委員会に付託されまして審議中でありまするけれども、この法律案北海道開発に関しましては極めて重要であるばかりでなく農林関係にとりましても重大な影響がございますので、是非本委員会においてもこれを審議の必要を認めますので、内閣委員会連合委員会を開催することを申入れて頂きたいと存ずるものであります。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今小林議員の発言により連合委員会を申入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それじやさように決定いたします。    —————・—————
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは前日に引続きまして森林法案並びに同施行法案について質疑を続行いたします。
  7. 鈴木強平

    鈴木強平君 私途中から農林委員に代りまして森林法施行法等については余り聞いておらないので、遅く参りまして御質疑して甚だ失礼ですが二、三質問したいと思います。  政府は事あるごとに森林国家管理にしないと言明しておつたし、両院議員においても常にさようなことは国家管理にしてはいかんと言つております。併し今まで民間がやつてつたのを代つて行政庁がやるということは一つ国家管理であると思いますが、これについて提案者はどのよう考えておられるか御意見をお尋ねしたいと思います。
  8. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 従来森林組合が編成して参りました施業案を、このたびは行政庁責任において森林基本計画を立てるということに相成りまして、これが只今の御質問趣旨はいわゆる国家管理ではないかというような御心配伺つたのでありますが、政府責任を持つて基本計画を立てるということ自体が国家管理という強い意味を持つとは思わないのであります。実は森林法によりまして森林組合が自発的に編成いたしました施業案におきまして、森林経営が合理的に行き森林資源の保続、培養が行われまして林業振興発展、又同時に国土保全が保たれ、国家公共のために役立つという一つの姿を理想として考えておつたところが、施業案は御承知通りあの戰争の最中におきましては殆んど計画した通り行われない事情がございました。又戰後におきましても国家的な復興のための要請であるとか或いは人心の弛緩混乱等もございまして、思うよう施業計画によるところの実行ができない。特に伐採の方は非常に進んでいるけれどもそれに対しての十分な植栽が伴わないというようなことで、折角民間団体としての組合が編成いたしました施業案なるものは殆んど計画に終つてしまいまして事実は行われないというよう段階になつてしまいました。この状態を繰返して参りますと遂には全く恐るべき山林の崩壊が起る、森林資源の枯渇ができてそのために必要とする木材薪炭の需要が満たされないばかりでなく、大きくいうならば治山治水の面においても心配が起る。率直に申しまして日本森林資源はこの状態を繰返して行きますと今後三十年とは持たないというような危機に逢着したのでございます。従いまして私どもは、いろいろと御議論もありましようけれどもその所有形態等議論はさておきまして、現実の事態におきまして森林現状、特に民有林に対しましては何とかしてそこにもつと強く国家的な要請、そうして又それによるところの森林復興林業振興のために具体的な施策が行われなければならん、そのためにはどうしてもこれは国の責任ある施業計画によりまして、いわゆる基本計画によつて伐採に対して造林が行われる、或いは又林道が作られて実際事業が行われるというような方向に持つて行かぬと、国内の森林維持培養はできない状態なつたものと、かよう考えまして、そのためには個人の持つております森林経営につきまして、ある程度経営上の制限と申しましよう制約が行われるのでありますが、併しそれは飽くまでもその森林所有されている林業経営者のかたたちのそれが利益のために行われるという形で行きたい。つまり国家管理というような形で個人利益を全然無視した国家目的のためにのみするということは、私ども林業経営という立場からそういうことは全然考えていないのであります。一面においては国家の大きな目的のためにこういう山を活かし、又同時に個人経営の上にも十分役立つという、二つ目的が十分に達成し得るよう目的を持つところの森林法でなければならん。さよう考えましてこの森林法案作成に当りましてはそういう点を十分勘案いたしまして作成をしたつもりでございます。従いまして鈴木さんのおつしやるようないわゆる国家管理という形のものでは毛頭ないという点を御了承願いたいと思います。
  9. 鈴木強平

    鈴木強平君 只今提案者から御説明がございましたが、この形は誰が見たつて国家管理と認めて差支えないと思いますが、行政庁民間変つて施業計画を立てるのですからこれを国家管理と称するのですが、あなたはそうじやないとおつしやいますがその点をたしかめてから聞きたい。当時この法案を提出されるに当りましては衆議院側も恐らく考慮したと思いますが、政府側はどういうお考えでかよう国家管理に類するよう法案をお出しになつたか、その心がまえをこの際聞きたいと思います。
  10. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今提案者からお話のございましたように、私どもといたしましては国家管理というようなことを成るべく避けたいという方針でありまして、荒れた所では従来森林組合施業案を編成いたしまして、これを都道府県知事の認可を受けて実行するという従来の形でありますが、これを国及び都道府県責任におきまして施業案を編成してそれを実行させる、こういう如何にも国家管理的な臭が出ているようでありますけれども、我々といたしましては森林所有者団体でありまする森林組合を中心といたしまして、でき得まするだけ森林所有者の各個人意見を尊重いたしまして運用をして参りたいと考えておるのであります。
  11. 鈴木強平

    鈴木強平君 御承知よう幼齢林伐採せられた戰後におきます最大の原因は、森林田畑と同じよう国家管理になるだろう、そうなれば伐れないじやないかということで、あのよう幼齢林伐採された大きな原因になつたのであります。これは政府提案者も、議員諸君も十分おわかりであろうと思います。従つてような危惧の関係もあつたために終戰後特にはげしい乱伐が行われたのでありまして、結局それでは政府は今まで常に声明したこと、それから又議員各位は、森林国家管理はけしからんとつねづね政府に要望して政府がこれに答えておるが、その言うそばからかよう法案が掛ることについては我々納得ができないのですが、どうしてかよう形態をおとりになつたか。私たちが希望するところは国有林すらも、これを民間解放しなければならん、国有林全部を。なぜなら日本はあのような新らしい憲法によつて民主的な経済組織に立ち返らなければならない、それには日本の大きな財産である森林形態から先ず解放しなければならん。如何なる見地からこれを解放するかといえば、先ず以て国有林を少くとも自治団体に管理させなければならん、いわゆる自治管理でなければならん。言い換えるならば、山間僻地におきましては森林以外に生活の糧がない、田や畑を耕すに当りましては、毎年同じ畑でこやしをやれば毎年とれる、ところが山は伐つてつて来るためには林道も作らなければならん、それがなければやはり苦労します。さよう見地からでき得るなら、国有林山間流域関係山村数カ村又は一つ山村、いわゆる地方自治団体にこれを委譲して管理せしめる。山火事が起れば村民が出てそれを消さなければならない、山が崩れれば村民がやらなければならん、かようなことでは到底山の緑化はできない。従つて若し大きくこれを緑化しようと思うなら国有林すらも解放してそうして数カ村の流域関係に委譲してその責任においてやらせる。従つてたちこの法案についてはその点で納得できないと思うのですが、そういうよう考え方においてなぜお考えにならなかつたか。この形態はもつとよいのだという点に対してもう少しわかりやすく皆さんの提案なされた理由を御説明願いたい。
  12. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) この森林法案は先ほど申上げましたよう趣旨の下に提案したのでありまして、終戰後過伐、乱伐原因になりましたものは只今御指摘になりましたような、いわゆる農地解放と関連したところの、いわゆる第三次農地解放と申しましよう山林解放が行われる、若しそうなつては、折角父祖伝来の長い間の苦心によつて山林を守つて参りました方たちが、結局再分割されてしまつて自分のものにならないという、その山林所有の不安な状態、安定できない状態が非常に当時の民主主義の姿として、或いはそういう時代が早晩来るのではないかというような、非常な不安の念に駆られて、そのために山林に対して落ちつきのある経営、長い将来に亘つて造林であるとかそういうよう事柄に対する気持が薄らいでしまつて、そうして結局山林は過伐、乱伐されるというような形になつたということも全くお説の通りでありまして、そういうよう事柄も非常に多かつたのであります。又同時に未墾地開拓等によつて山林解放されるということもございました。又経済界のインフレーシヨンのさ中で非常な混乱がありましたので、植林というような非常に長い将来に収穫を期待するがごときものに対しては投資をする人はない。いろいろなことが原因となり結果となりまして結局植伐の不均衡がますます著しくなつたと思うのであります。そういうようなこともございまして、私どもは何とかしてこの民有林経営を安心して着実に、伐採跡地には造林ができる、そうして立派な山としてこれを仕立てて行くということのできるように、所有観念等につきましても安心を頂くということが何より必要であるというふうに考えておつたのでありますが、たまたまこのたびの森林法の改正をしなければならんという段階になりまして先ず以て考えましたことは、いわゆる第三次農地改革ということによつて従来山林解放されるということに対する不安等は、この法案におきまして別にはつきりと書いておるわけじやありませんけれども、そういうイデオロギー的な将来の解放というようなことは全然前提としてはいないのであります。即ち飽くまでも現実において、森林管理経営者として、その所有者がまじめに立派に御自分山林としてこれを経営して頂く、又そのことが同時に国家及び社会に対する公共のために十分に役立つ。山林特性といいましようか、経営者というものが、御自分の山であり自分利益のために山林を立派にするのであるけれども、それは同時に国家社会公共のために非常な貢献をし、役立つのであります。そういう特性もございますので従いまして御自分山林ではありまするけれども、今日の日本山林の現情から見ましてこれを従来のごとき経営状態で置きましたのでは、まあ先ほど申しましたように今後三十年とは持たない。そうなりましては治山治水の面からいいましても国土の荒廃は必至であります。或いは又国民生活のために必要とするところの木材薪炭、その他の林産物というものは全く供給が途絶えるというようなことも心配されるのでありますので、この際は先ず以てまじめに森林経営する方たちの、そうした第三次農地改革というような陰の声に怯えるようなそういう不安を除きたい。又同時に立派な山林としてこれを経営するならば、又山林として必要であるならばこれはみだりに他の用途のためにこれが乱伐されるような不安がなくなる、そういう点を明らかにしたい。又山林経営国家のために十分役立つのでありますから、その経営におきましては政府が、いろいろと規定にございますけれどもその山林のいろいろな施設等に関しましては政府はこれに対して十分なる補助を與える、或いは経営上、技術上の指導をするというようなことも法案の中に織込んで、そうして山林を持つておる方たちの共同の利益、又立派な山林として振興するための、その目的達成のために森林組合を強化するということを内容としてこの森林法案は成立つておるのであります。只今お説のようなこれが何か山林解放や、そうして又農地改革と同じような形のものになる虞れがあるとか、なお又山林国家管理であるとかというよう考え方でこの森林法をお考え下さることは、むしろこれは当を失するのではないか。成るほど国家責任を持つて行いますところの森林基本計画を立てますのでありますから、個人山林といえども国家目的のためには成る程度経営上の制約を受けるのであります。それはむしろ山林の持つ本来の特性と申してもよかろうと思うのであります。それあるがためにむしろ政府は、行政措置において山林経営に対して特別な保護助長施策を講じなければいかんという又一面の理論が成り立つわけであります。私どもはこの立案に当りましては、いわゆる山林国家管理して個人利益所有を不当に制限するというふうな考え方を、毛頭持つていないことをここにはつきりと申上げておきたいと思います。
  13. 鈴木強平

    鈴木強平君 提案者説明は私のお問いするのと違うので、国家管理を実施するのが個人利益を失するものではありません。国家管理が全部悪いというのではありません。経営形態におきましては他にも国家管理というものはたくさんありますがそれが全部悪いというのではない。ただ山林形態農地解放にからんで言つたのは、農地解放ようなことがあつて森林をとり上げるんじやないかというよう考え方があつたためにお尋ねしたので、国家管理はしないんだと言われても、国家管理政府所有することも国家管理一つであるが、所有権を持つておるのをこれを国で管理するのも国家管理である。この形態は、誰が見ても国家管理なんです。国家管理国家管理でないと言いわけをなさつても始まらんです。ただ過渡期のことで止むを得ない理由からかような形をとつたというのであれば又我々も納得しないわけではないが、この形は如何にも国家管理である、これは森林維持育成に当つてもつと民間人自治管理をやらせるなりすることがいいんじやないかと、こういう考え方を持つでいるのでありますが、これはたとえてみれば小さな山林所有者に対しては三十万円なら三十万円の金を平均に貸すと、従つて伐れないから金を貸してやるというよう一つの逃げ道を持つておる明らかな国家管理であると思う。而も自由党民主党の多くの議員たちがかような案を立てることはふだんの話と結果が違つておる。かような点でお尋ねしておるのですが、その点は如何ですか。
  14. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 只今の御質問でありますが、確かに一面においては国家管理と申してもよかろうと思います。併しそれはいわゆる先ほど来申しますように、飽くまでも山林所有者個人利益をより一層確保する、守るというためのものであり、同時に又それが国家公共のために十分役立つということのために実はこれ以上うまい方法はないと、私どもいろいろこの法案をめぐりまして検討検討を加えたのでありますが、結論としてこういう姿を以て行くことが今日の日本山林現状からいたしまして誠に止むを得ないことであると考えておるのであります。その意味合からいたしましてもこれは恐らく全国の山林所有者各位の全面的な御協力を得られるものであると私は考えております。又私も家は自由党の一人でございます。提案者として民主党の方もおり社会党の方もおる。いわゆる政党政派を超えた国家百年の大きな民族としての課題をここに解決して行くという立場に立ちまして、私どもが従来から唱え来りましたいわゆる自由主義経済であるとかいろんなこともございまするけれども、その問題に関しましてはやはり今日の山林現状が手放しの状態で置けないというところに、やはりかかる法案を出してそれによつて山林所有者各位の御協力によりまして、又政府の積極的な施策によりまして、この山林現状を漸次打開して立派なものに育て上げて行くというために、止むを得ない措置であるという点を御納得頂きまして御協力を願いたいと思います。
  15. 鈴木強平

    鈴木強平君 私もこの案の持つている内容として、いわゆる伐採を制限して、そうして森林を真に生かそうということについては勿論私もその主張者の一人であります。それどころではありません。我々は山の頂上まで守り暫くの間は燃料としては地下資源たるコーライト或いは石炭によつて行かなければならん、かよう考え方を持つておるのであります。ただやり方についてどの方がよろしいかという点になると、国有林さえこの際解放して民間に委讓して行く、そうしてこれを自由に治めるものに任して責任を持たして行きたい。曾て戰争中におきましては、決して民間だけじやありません、国有林についてもその施業計画が十分行かなかつたことは明らかな事実である。だから必ずしも国家管理もうまく行つているわけじやない。そこでこれを具体的に申上げるなら、我々の念願するところはいつも山を治める者はその山間の者である、山間の者がこれを植えてそうしてこの不断の防衛をして、そうしてできた場合はこれらの人が優先的に自分が伐つて幾らかでも自分生活の糧になる。丁度平坦地におりまする農家が自分田畑を耕してそうしてそれから生活の糧を得るのと同じように、山の者がこれを持たなければならんという考えでおるのです。併しながらここにいろいろな業者が森林にありますが、おおむね山がよくなると無関係者が飛んで行つて山を取つてしまう。伐採した後におきましては涙をのんでその山間僻地の方がその伐採した跡に植樹をしたり或いは砂防の工事の手伝いをしたり、こうしたことが、非常に山間方々自分のものである、人のものであつて自分のものだ、この山が成育すれば自分らが伐つて自分らの生活が保障されるんだと、こういう観点に立たなければならんと私は思つておる。だから飽くまでも一面から見れば国家管理は差支えないと思うが、どうしてもこれはまあ過渡期であるから止むを得ないと思う。只今民主党議員総会におきましても特にそういう点を質してくれと言われたので、それが納得が行けば賛成しようじやないかというので代表として自分意見を吐いたわけであります。従つて今後の森林育成に当る方法といたしましては、これはこの際行政庁たる林野局長にお尋ねするのですが、国有林さえも解放して民間と合して、それらを不断に見守つている方々に、それが完全に育成した場合、言い換えるとでき上つた場合の木材とか燃料というものは、山間のものが余らなければ他に行かない、山間のものがこれを利用し得られるという観点に立つてこの国有林さえも民間に委讓したらどうかと私は考えておりますが、そういう点におきまして、過去におきまするいろいろな入札関係その他におきまして、なかなか山の近辺の方々納得できない点が多々あるのでありますが今後どのようにおやりになりまするか、この法律施行に当りましてのお考えを……。
  16. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 山林経営は常に地元産業経済と緊密なつながりを持つております。従いましてその山林経営します場合には飽くまでも地元産業経済に役立つようなものでなければならないという点で、実はこのたびこの森林法案の中にはつきりと謳いましたのは、森林組合育成いたしましてその森林組合がかなり大巾の、広範の経済行為をいたしまして、そうしてそれがお互いの零細な山林所有者協力によりまして、そうして十分なる経営上の成果を收める、そのことはとりもなおさずその山村産業経済が振興できる元である、さよう考えますので、その森林組合育成強化するということがこの法案の中にも特に盛り込んである次第でございます。
  17. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今お話の、国有林等におきまする地元の者の造林をする所がなければならんじやないかという御趣意の御質問よう伺つたのでありますが、それにつきましては先般当委員会において御審議を願いました国有林野整備臨時措置法というもので、国有林等の或る程度のものは地方公共団体拂下をするという途も開いたのであります。これは三年間を限つた法律でありまするが、その法律を実施いたしますると同時に、この森林法におきまして設置いたしまする中央森林審議会におきまして、国有林民有林あり方等につきましても根本的に検討をして頂くという予定になつております。又先ほど申上げました国有林野整備臨時措置法以外に国有林野法を改正いたしまして、部分林という制度が現在ございまするがそれを更に拡大して運用を図つて参りまして、地方方々国有地に木を植えてそれを伐期ごとに分收をするという方法を講じますし、又共用林という制度を設けまして特に自家用の薪炭その他につきましては特に地元方々に確実に拂下をする、売拂をするという方法をも講じておるのでありまして、お話ように山を育てる者は山の附近におられるいわゆる地元方々でありまするので、その方々に対しましては国有林の現在の運用におきましても十が考慮をいたしまするし、只今申上げました二つ法律によりまして更に従来よりもまして地元方々に寄與するようにということを考えておるものでございます。
  18. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 森林法案森林法施行法案の二案につきましては、二十二日以来鈴木さんの心配するようなことを小林、三浦、片柳その他の委員から極めて熱心に御質疑をいたし、当事者又これに答えまして本案はすでに一週間余に亘つて愼重審議を進めて来たのでございます。なお鈴木さんの御質問はあと継続されることでありましようけれども、前申上げたようないきさつでもございますから鈴木さんを以て質疑を打切り、更に討論採決に入る動議をこの際提出いたします。
  19. 瀧井治三郎

    瀧井治三郎君 只今動議に賛成いたします。
  20. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今池田さんの動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  21. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは只今動議の御了承を得ましたので、森林法案並びに森林法施行法案の両案につきましては質疑を終了いたしましてこれより討論採決に入りたいと思います。  森林法案並びに同施行法案を一括して議題といたします。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  22. 小林孝平

    小林孝平君 私は日本社会党所属農林委員を代表いたしまして本法案に賛成するものであります。  我が国の森林は多年過伐、乱伐傾向が強かつたのでありますが、特に近年に入りましてこの傾向が極めて顕著になりまして、治山治水その他の点からこれをそのまま放置するわけには参らないよう状態にあるのであります。こういうようなわけでありまして、この際何らか強力に積極的な対策を樹立しなければならないと考えておりますが、この意味におきまして只今議題になつております森林法案は、民有林について伐採を調整いたしまして森林資源保全を徹底させるという内容でありますので、私は右の目的を達成するのにこの法案が貢献するところは大であると考えまして賛成するものであります。  併しながら本法実施に当りましては、次の諸点に十分考慮を拂う必要があると考えるものでありまして、先ず第一点は、伐採適齢期以上は全然本法では自由になつておりまするから、その適齢期決定に当りましては十分愼重に行なつて頂きたいというふうに考えておるものでございます。  第二には、一部には本法森林資源保全に、片寄つておりまして、需給関係林業経済の強化に対する考慮が欠けておるという批判が一部に強いのでありまするけれども、この意見に押されまして、本法の運営に当つてこれがそういうよう運用されますとこの法律趣旨がゆがめられる慮れがありますので、十分そういうことのないようにその運用に愼重を期せられたいということでありました。この点に関連いたしまして特にパルプ材の今後における需要の増大に対処いたしまして木材の輸入に更に力を入れなければならない、このために政府は積極的な努力をしなければならないということであります。  第三点は、本法は、民有林について民有林伐採の調整を規定しているのでありますけれども、この実施に当つて民有林伐採調整と国有林伐採計画というもののバランスをとらなければならないと考えるのでありまするから、十分この点をお考え頂きたい。特に民有林の方に圧力がかかるのでありまして、いたずらに民有林所有者を圧迫するというようなことのないように嚴重に政府は注意して頂きたい。  以上の三点を私は希望いたしまして、本案に賛成するものであります。
  23. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私も数個の要望事項を附しましてこの両法案に賛成いたすものであります。  要望事項の第一は、只今小林委員からの発言と大体同趣旨でありますが、林業経営が元来非常に利廻りが低いのであります。この林業に対していろいろな制限をこの法案で加えておるのであります。その意味からこの委員会でもいろいろ各位からも御意見がありましたように、特に利廻りの低い、或いは企業としての独立性を保しがたいよう林業の特殊性に対応いたしまして、できるだけ国家立場からの助長、援助を強く要望するのであります。率直に申上げますると、従来の林野行政の仕事がややもしまするとさような方面に関心が薄いような感じもいたすのでありますので特にこの点を強調いたします。  第二には、これ又小林君と同様のラインでありまするが、伐採制限、植伐の均衡を得るということに私は非常に賛成でありまするが、併し多年木材の利用も相当強いわけであります。従いまして国内的には、私も御質問いたしましたような奧地林道の普及につきましては、予算も或る程度殖えたようではありますが、更に奧地の林野を開発するよう林道の、もつと大々的な普及を強く要望いたしたいのであります。又全体の需給関係を見通しますると、やはり或る程度の不足量が出るようでありまして、これを放任しますればやはり折角の計画にも無理が入るきとになると思うのでありまして、従いまして、今後木材の外国からの供給等につきましても、これは私はやはり積極的な考慮が必要ではないか。勿論国際価格の方は高いというような事情はありましようけれども併しその辺をよく勘案せられまして、特段の考慮を希望いたすものであります。  それから第三には、極めて卑近なことかも知れませんが、この法案にも火入の規定はありますけれども、昨今の情勢から見て参りますると山火事が非常に多いのでありまして、従いましてこの山火事の防止につきまして特段の一つ御配慮を頂きたい。  以上三点を要望いたしまして賛成をいたすものであります。
  24. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 私は自由党を代表しまして、只今提案になつておる一案に対して条件を附して賛成いたします。  この森林法につきましては、すでに三年以前から改正に対して当局はいろいろと苦心されたのでありまするが、初めは随分国家管理的な強烈なものでありまして山林所有者も非常に不安に駆られておつたのでありまするけれども、その後十数回のいろいろな修正によりまして又いろいろな裏付もだんだんできて参りまして、まあこういう公共的な意味を含んでおるのだからこの辺で山林所有者も先ず我慢すべきだというような点に来たような感じがしますので、賛成の意を表する次第であります。  ただ今片柳委員が言われましたように、この法案には奧地林を開発すべき林道というふうな条項が含まれておりません。旧法案には林道のことが入つておりましたのに、最もこの伐採を制限されていろいろな利用面が非常に供給の枯渇において苦しいのに、それに対する奧地林の開発というのは最も有用な途でありながら、これが法案から抜けたことは非常に遺憾に感じます。是非ともこの奧地林を開発すべき林道については、たとえ法案になくても当局は十分予算を以て、この里山の休養をさせるよう一つ心掛けて頂きたいと思います。  それからなお森林組合のことについて二、三希望いたします。再建整備法については六月中にその趣旨徹底のための会議を開催してその実施を推進して頂きたい。もう一つ森林組合は至急改組を望んでおる者が非常に多いので、森林法の施行を七月一日から十日の間に願いたい。なおそのための説明会その他は七月中に完了するよう取計らわれたい。それから今一つは改組する森林組合というものは、その移行の手続、提出書類及び定款さえあればできるのだから、これらの事務的な書類形式を七月十日頃までに公表せられたい。こういうふうな希望条件を附して賛成いたします。
  25. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私もこの議題になつておる両案に対しては賛成の意を表するものでありますけれども、これの実施上についての希望を一つここにまとめてお願いを申上げたいのであります。  この審議に当りまして提供されました資料のうちにもこれを明らかにしておりまするように、恐らく日米経済協力或いは日本経済の実質からいえば、この資料にありまするよう木材九千六百万石、木炭百八十万トン、普通薪六千五百万層積石、ガス薪四十三万トン、このぐらいは要る。これは立木に直しますとおよそ二億三千四百万石という大きな数字になりますけれども、同じ資料の中を見ますると、現に既発の全森林の成長量は八千二百万石、それから林道を延長して開発をこれからし得るというものが六千二百万石、これから新たに林道を新設をして初めて開発ができるというものが二千三百万石、合計がそれを入れた全部で一億六千八百万石しかないということは、いわゆる正常伐採量に比べますと、四割以上なお且つこの際伐らなければ今日り需要を充たすわけには行かないという問題でございます。こういつた需要、こういつた供給は、それぞれの角度から当然理解される尤なことなんでありますが、この二つの互いに矛盾するところの要望の間に立つのがこの森林法であります。この法案は、この難関に立つて私は必ずしも十分とは言えないと思う。肝腎かなめの点はこれをことごとくと言つていいほど森林審議会の諮問に逃げ隠れていると言われても仕方がない。この法案目的達成の成否というものは、森林審議会を重視いたしまして愼重に考慮をするところは愼重に考慮し、そうして勇猛果敢に行うところはこれを行うという行政運営の巧稚に任されているといつていいと思います。長い伝統のありまする基本計画区の問題にしても、森林計画の決定の問題にいたしましても、適正伐期齢の決定のごとく本法の死活を左右するとまで考えられるあの問題にいたしましても、これは特に愼重に審議会等において民間意見を十分尊重して考えなければならん。又林道開発については大いに助長を約束さるべきものである。従来と違つて施業案国土計画的なあらゆる産業構造の各方面を考えた上に立つて政府責任においてこれを作らせそうして実施をするという建前をとつているのに、大事な林道開発については最も助長の言葉がない。従来のごとく必要量に対して財政当局が三割乃至四割しかくれなかつたということだけで今度はその責任は免れるはずはないのであります。又あの法案を見ましても、森林所有者が金がなくて政府の補助金の造林関係或いは保安林の関係において、金がない場合には予定を変更することができるとあるけれども政府の努力が足らないでそういう変更を再々やらなければならんというなら、これ又政府みずからがこの法案をうちこわすものだ、私はこういうふうに考えるのであります。是非こういつた国家の助成については、あの第一条に助長とあるのを現実行政において強く大きく生かしてもらう覚悟を是非お願いしたいのでございます。それにいたしましてもそれに関連いたしまして先般も出ている税金の問題でございます。森林の実質に合うような、或いは林産物の業務の実質に合うような税というものを再検討してここに確立してもらわなければならん。又金融についても拡大を是非してもらわないと、この法律が狙つておることができないことは明らかだと存ずるのであります。なお一方においては冗費の節約であるとか、或いは企業の合理化というものを図らなければ何としてもつじつまが合わない。この点を至急に研究しそれを普及するところの機関というものを是非考えてもらう必要がある。  又もう一つこの法律の狙つておりまする組合関係でございますが、この法律が実際にうまく行われるかどうか、この法律の対象となる受入の口は森林組合、今までの強制加入、経済行為のできた森林組合でなくして、名は同じであるけれども、新らしい協同組合の精神によつた森林組合がうまく成長するようにうまく培養して頂かなければ、折魚の政府側の努力もこれがその効果を発揮するわけに行かない。是非この森林組合をしつかりうまく育ててもらいたい、このことを森林法についてはお願いをするのであります。  なおこの施行の問題、施行法についてでありまするが、かねて私は審議の途中でも随分しつこいほどこの移り替りにおきますところの不便、不自由、そうして要らざるところの悪評というものを政府側は恐れなければならないということを申上げておきました。私はこの施行法の第二条におきますところの省令をお作りになりまする際に、今まですでに着手しておる山でそうしてこの新らしい法律によれば許可を必要とするような所は、もう少し長い期間を置いてこれを善処してもらいたい。私は法をこわすのじやなくて法を大いに尊敬してもらい、法を大いに信頼してもらわなければ、どうも今日の日本としてやつていけないという考え方から、この点については是非無理のないようにこれを持つてつて頂きたいということを強くお願いをするのであります。  なお伐りたくもそれは適正伐期齢に達しないという人たちに金を貸すという措置、誠に私はこの点この法案に敬意を表しておるのであります。ですからどうか道はできたがなかなか金を貸して興れなかつたので道ができなかつたと同じだというようなそしりを受けませんように、若しそういうようなことであれば、如何にそれを守らせようといたしましても生きている人間はそれが守られないのが常であります。どうかそういつたような諸点を十分御注意になりまして、どうか円滑な実施、そうしてこの法律の狙うところを達成しますよう希望いたして賛成いたします。
  26. 鈴木強平

    鈴木強平君 私は民主党委員を代表いたしまして本案につきまして意見を開陳したいと思います。先ず我々は数個の希望を附しまして本案に賛成の意を表するものであります。  先ほど私一、二につきまして質問申上げましたが、如何にもこの法案国家管理の臭が相当するのではないかと思いますので、この点については将来法律の施行開始に当りまして、提案者から十分森林所有者及び森林利用者に納得できるよう説明がして欲しい。今現内閣は講和条約を目の前に控えまして将来我々日本の経済人が諸外国と十分な取引をするときにおいては、国内の態勢を整備しなければならない、先ず第一に行政を簡素化整備をしまして減税をしなければならん、資本の蓄積をしなければならんということは不断から言われております。かようなときに一つ森林計画行政庁に任して、ここに人員を必要とし且又予算を必要とするならば、政府考えるところと逆の効果があるのではないかと思うのであります。従いましてこの点につきましては現在の営林局を利用するなり、万一人を使用するならばその山の近辺の自由な人を使用するというような形をとらなければならないと思うのであります。片柳、三浦両氏から発言がございましたが、この法案につきましては現在の総合経済の上に立つておらん、総合経済計画が十分行つておらない。例えて言えば立木の燃料を少くするというならば代つて地下資源を如何に利用するか、石炭を如何に増産するか、木材を制限するならば従つてセメントをどのように増産するか、かような点につきましては一つ法律は一波万波日本の総経済に影響する。然るにその他の観点については一つも研究がなされておらない。連合委員会におきましても、通産委員会におきましても、建設委員会におきましても、この法案については相当関心を持つておる。もつと研究して欲しいということを我々に申入れておる。従いまして、本案が施行されるまでに十分横の連絡をとられまして総合計画を立てられまして、セメントの増産なり或いは燃料地下資源に変えるにはどういうふうになつておるかという点についても十分お考えになり、この法案施行と同時にやつて欲しいと思う。  又本案施行に当りましても、現在海上保安庁があの通り底知れぬ我々の納得できないような事件が多々起つております、かようにこの計画行政庁基本計画が立てられるための審議会があつたといたしましても、或いはこれか関係ないボスと手を握りまして、これらの森林の利用に当りまして一方森林の生産者側から非難のないような十分な注意がして欲しいと思うのであります。  又、これらの森林の制限につきましては、奧地林を開発しなければならない。これらの諸施設につきましても、只今片柳或いは三浦両氏の言われたよ)な十分な諸施設が、この施行と共に伴つてつておらなければ、断じて本案所期の目的が達し得られないと思うのであります。肝腎な点に留意を願いまして本案の施行が完全に行くよう方法をとつてもらいたい、かよう考えまして、民主党を代表いたしまして、賛意を表します。
  27. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もなければ討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決をいたしたいと思います。森林法案並びに森林法施行法案を原案通り可決することに賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立〕
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて両案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は先例に従つて委員長に御一任を願います。なお多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名   池田宇右衞門   平沼彌太郎    瀧井治三郎   宮本 邦彦    西山 龜七   鈴木 強平    片柳 眞吉   門田 定藏     三浦 辰雄   三好  始     三橋八次郎   加賀  操     岡村文四郎   小林 孝平     溝口 三郎
  29. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            鈴木 強平君            三好  始君            三浦 辰雄君   衆議院議員            野原 正勝君   政府委員    林野庁長官   横川 信夫君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    林野庁経済課長 武田 誠三君