○三浦辰雄君 私もこの
議題にな
つておる両案に対しては賛成の意を表するものでありますけれ
ども、これの実施上についての希望を
一つここにまとめてお願いを申上げたいのであります。
この
審議に当りまして提供されました資料のうちにもこれを明らかにしておりまする
ように、恐らく日米経済
協力或いは
日本経済の実質からいえば、この資料にありまする
ような
木材九千六百万石、木炭百八十万トン、普通薪六千五百万層積石、ガス薪四十三万トン、このぐらいは要る。これは立木に直しますとおよそ二億三千四百万石という大きな数字になりますけれ
ども、同じ資料の中を見ますると、現に既発の全
森林の成長量は八千二百万石、それから
林道を延長して
開発をこれからし得るというものが六千二百万石、これから新たに
林道を新設をして初めて
開発ができるというものが二千三百万石、合計がそれを入れた全部で一億六千八百万石しかないということは、いわゆる正常
伐採量に比べますと、四割以上なお且つこの際伐らなければ今日り需要を充たすわけには行かないという問題でございます。こうい
つた需要、こうい
つた供給は、それぞれの角度から当然理解される尤なことなんでありますが、この
二つの互いに矛盾するところの要望の間に立つのがこの
森林法であります。この
法案は、この難関に立
つて私は必ずしも十分とは言えないと思う。肝腎かなめの点はこれをことごとくと言
つていいほど
森林審議会の諮問に逃げ隠れていると言われても仕方がない。この
法案の
目的達成の成否というものは、
森林審議会を重視いたしまして愼重に
考慮をするところは愼重に
考慮し、そうして勇猛果敢に行うところはこれを行うという
行政運営の巧稚に任されているとい
つていいと思います。長い伝統のありまする
基本計画区の問題にしても、
森林計画の決定の問題にいたしましても、適正伐期齢の決定のごとく
本法の死活を左右するとまで
考えられるあの問題にいたしましても、これは特に愼重に
審議会等において
民間の
意見を十分尊重して
考えなければならん。又
林道の
開発については大いに助長を約束さるべきものである。従来と違
つて施業案が
国土計画的なあらゆる産業構造の各方面を
考えた上に立
つて、
政府の
責任においてこれを作らせそうして実施をするという建前をと
つているのに、大事な
林道の
開発については最も助長の言葉がない。従来のごとく必要量に対して財政当局が三割乃至四割しかくれなか
つたということだけで今度はその
責任は免れるはずはないのであります。又あの
法案を見ましても、
森林所有者が金がなくて
政府の補助金の
造林の
関係或いは保安林の
関係において、金がない場合には予定を変更することができるとあるけれ
ども、
政府の努力が足らないでそういう変更を再々やらなければならんというなら、これ又
政府みずからがこの
法案をうちこわすものだ、私はこういうふうに
考えるのであります。是非こうい
つた国家の助成については、あの第一条に助長とあるのを
現実の
行政において強く大きく生かしてもらう覚悟を是非お願いしたいのでございます。それにいたしましてもそれに関連いたしまして先般も出ている税金の問題でございます。
森林の実質に合う
ような、或いは林産物の業務の実質に合う
ような税というものを再
検討してここに確立してもらわなければならん。又金融についても拡大を是非してもらわないと、この
法律が狙
つておることができないことは明らかだと存ずるのであります。なお一方においては冗費の節約であるとか、或いは企業の合理化というものを図らなければ何としてもつじつまが合わない。この点を至急に研究しそれを普及するところの機関というものを是非
考えてもらう必要がある。
又もう
一つこの
法律の狙
つておりまする
組合の
関係でございますが、この
法律が実際にうまく行われるかどうか、この
法律の対象となる受入の口は
森林組合、今までの強制加入、
経済行為のできた
森林組合でなくして、名は同じであるけれ
ども、新らしい協同
組合の精神によ
つた森林組合がうまく成長する
ようにうまく
培養して頂かなければ、折魚の
政府側の努力もこれがその効果を発揮するわけに行かない。是非この
森林組合をしつかりうまく育ててもらいたい、このことを
森林法についてはお願いをするのであります。
なおこの施行の問題、施行法についてでありまするが、かねて私は
審議の途中でも随分しつこいほどこの移り替りにおきますところの不便、不自由、そうして要らざるところの悪評というものを
政府側は恐れなければならないということを申上げておきました。私はこの施行法の第二条におきますところの省令をお作りになりまする際に、今まですでに着手しておる山でそうしてこの新らしい
法律によれば許可を必要とする
ような所は、もう少し長い期間を置いてこれを善処してもらいたい。私は法をこわすのじやなくて法を大いに尊敬してもらい、法を大いに信頼してもらわなければ、どうも今日の
日本としてや
つていけないという
考え方から、この点については是非無理のない
ようにこれを持
つて行
つて頂きたいということを強くお願いをするのであります。
なお伐りたくもそれは適正伐期齢に達しないという人
たちに金を貸すという
措置、誠に私はこの点この
法案に敬意を表しておるのであります。ですからどうか道はできたがなかなか金を貸して興れなか
つたので道ができなか
つたと同じだという
ようなそしりを受けません
ように、若しそういう
ようなことであれば、如何にそれを守らせ
ようといたしましても生きている人間はそれが守られないのが常であります。どうかそうい
つたような諸点を十分御注意になりまして、どうか円滑な実施、そうしてこの
法律の狙うところを達成します
よう希望いたして賛成いたします。