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1951-03-27 第10回国会 参議院 農林委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十七日(火曜日)    午後二時零分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○競馬法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○農業委員会法案内閣提出衆議院  送付) ○農業委員会法施行に伴う関係法令  の整理に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○農林政策に関する調査の件  (電柱の敷地手当金に関する件) ○食糧管理法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  最初に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 国庫の助成を得まして災害復旧をいたします場合におきましての補助金の交付が、相当時間的に遅れるわけでございますが、その間、施行主体でありまする公共団体その他におきましては、繋ぎ資金を必要とするわけなのであります。その繋ぎ資金融資を調達をいたします場合に、常にその事業施行者といたしましては困難を感ずる場合が多いわけなのでありますが、これらに対しまして、政府当局におきまして、今後どういう工合にお考えになつていらつしやいますか、この際お伺いしたいと思います。
  4. 川名進一

    説明員川名進一君) 補助金を出すまでの繋ぎといたしまして、実は一昨年から、この繋ぎ融資を出しておるのでありますが、御承知のように災害が起りましてから実際の数字を把握するのに相当暇がかかるのであります。それで大体政府といたしましては、県からの刻々の報告をまとめまして、それを基礎にしてやつてはおりますが、それが、水が引くまで実情がわからないとか、或いは山間僻地被害がなかなか集まらないというような事態もありまして、昨年、一昨年あたりも時期的に或る程度遅れておつたように思います。そういうような点につきまして、今後できるだけ県並びに農地事務局技術者を督励いたしてもらいまして、事務的にも少しでも早く繋ぎ資金が現地に着くようにいたしたいと、こういうふうに考えております。
  5. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 この法律案を見ますというと、林地荒廃防止施設又は漁港施設中、地方公共団体それから公共団体のその機関、そういつたものの維持管理に属しているものはこの法律のうちでできないようなふうになつておるのですが、仄聞するところによりますというと、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法律考えられておるように承知しておるのですが、その間にブランクができるということに相成るのでございますが、こういうものに対してどういうふうに政府考えられておるか。もう一つはこの法律が今どの程度進捗しておられるか、政務次官にお伺いいたしたい。
  6. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 現に提案いたしておりまするこの法律案関連を以ちまして、只今お話公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法別途提案をする予定にねつておりまするが、関係方面との手続がまだ完了いたしておりませんが、完了次第提案をいたしまするので、従つて三月中には提案し得る見込みで折衝を進めております。この法律案によりますと、只今お話になりましたような問題はこの中に規定されておるのでありまして、若しこの法案が三月中に成立せないというようなことがありましても、従来取扱つておりましたように、行政措置によつてこの補助予算が確定しますれば出し得る方法がとり得ると考えております。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 改正法律案でなしに元のこの法律についてちよつとお尋ねしたいのですが、それは昭和二十五年度において特例として南海震災融雪地の地すべり、こういう所に対しまして特別な補助率を適用されたわけでありますが、この南海震災の範囲につきましては、二十五年度に挙げられましたところの高知和歌山徳島三重香川、このほかにも例えば愛媛のごとく或いは岡山のごとく相当な被害を受けておる所があるわけであります。ただこういうような震災によるところの地盤沈下等の問題は、これは急激に来ないのでありまして、年々或る程度地盤沈下が続きまして、そうして今日になつて見るというと大変なことになつているわけです。そういうときにこの災害ということの定義が問題になるわけでありまして、災害というのは、極めて限られた短時間のうちに一定條件が変るということでなければ災害でないのか、或いは或る程度のものが一遍に災害ではないけれども、そういうものが年々積み重つて、そうしてその條件変化が来た場合には、やはりそれも災害とみなすのかどうか、というような問題も出て来るわけですが、そういう問題につきましては、安本長官も、或る量が積み重つて災害という質に変わるということは、これは認め得るということを言つておられたのでありまして、政府方針はそうだと思うのであります。そうしますというと、現に非常な地盤沈下を来しておりまするところの愛媛とか、岡山等、この二十五年度の特別な扱いに抜けておる所は、一体今後どういうふうにお扱いになるのか。もうこれでそういう特殊扱いはしないのか、或いは別途方法を以て特殊扱いをして行くのか、何かの措置がないと非常に不公平なことになると思うのでありまして、そういう点につきましてどういう方針でおられるかということを政務次官お尋ねしたいと思います。
  8. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 説明員から……。
  9. 川名進一

    説明員川名進一君) 私からの細かい点だけについて御説明いたします。今御指摘改正前の法律附則にあります南海震災取扱でございますが、この時に高知和歌山徳島三重香川だけ載つておりますのは、実はあの当時の南海震災の直後の復旧事業予算といたしまして計上されたのは、この県だけ、これだけ二十五年度に予算が残つておりまして、愛媛その他につきましてはすでに終了しておつたために、この県が載つておらないわけでありまして、こういう特別な扱いを特別な災害のときに……今後特別な災害をどういうふうにするかということを、この法律を起案しました時にいろいろ問題になつたのでありますが、これはそのときの、その都度の問題として処理するように、こういつたよう大蔵省との話合になつてつたわけであります。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 そういう経過でなしに、今後一体これをどういうふうにして行かれるかということなんでありまして、二十五年度たまたまこの法律ができる頃には愛媛等地盤沈下は大して問題でなかつたかもわかりませんが、今日になつて見るというと、むしろ今までこれを適用された所以上の大きな地盤沈下を来しているわけです。若し災害というものは極めて限られた短時間のうちの大きな変化でなければ災害といわんという定義をとられるならば、これは別問題でありますけれども、先ほど申しましたように、政府安本長官なり、或いは建設大臣考えられる災害というものはそういうものでなしに、相当長時間に亘つて漸次條件が積重つて災害とみなす場合もあり得るということを言つておられるわけでありますから、そうなつて来ると、ここに特別の措置をしたのと均衡のとれた措置がなければならんわけです。そういうことを一体、この法律特例はこれで終るわけですが、今後この均衡をと葛ためにどういう措置をとられようとしているかということなんです。
  11. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 先ず原則的な定義の問題についてのお尋ねかと思いますが、南海震災のその後の情勢を検討して見ますると、お話のように当時には現われていなくても、その後、それらの影響によつて当然災害復旧とみなし得るところがだんだん出て参つておるのでありまして、それは調査の進むに従つて南海震災影響を受けたための災害とみなし得る点については、調査の結果、現に農林省でも取上げまして、これを災害復旧費として取扱つてつておるのであります。そこで今後の方針といたしましては、本改正柔に出しました率に従つて取扱つて参りたい、かような考えを持つておるわけであります。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 そうしますと、今度のこの改正案の率というものと、この二十五年度において措置をせられた南海震災関係地域とは相当率が違うわけでありますが、その点は果して……、その点を私は聞いているのでして、そういう点で均衡がとれるかどうかということです。若し災害定義が違うのだと言うことになれば別問題です。そうでない限りはここにとられた措置と対等な、同じような公平な措置が何らかの形でできなければならんと思うのでありまして、今すぐに私は法律を出して頂きたいとは申しませんけれども、そういうことについて政府のほうで考慮されるかどうかということなんです。
  13. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 只今お話は、特別の府県に対しての補助率扱いを別にさせることはどうかというお尋ねだと思うのでありますが、従来の災害復旧に関する取扱として国庫補助措置を講ずる場合に、府県財政情勢を考慮の上で或る一定限界を以て、財政の惡い府県に対しては特別な補助率を定めておつたのは、これは慣習的と申しまするか、そういうことに措置が講ぜられておつたという関係で別になつてつたのであります。今後の取扱いについては、二十五年度の暫定措置の結果、従来ああいつた所と不公平になるというお尋ねに対しましては、二十五年度においての施設としては、さような考え方があるかも存じませんが、今後におきましては、今回の改正取扱うので、不公平にはならないような扱いになると考えております。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 どうも少し私の言うことがよくわかつて頂けんのじやないかと思うのでありまして、これは災害を受けた都道府県財政能力や何かの問題を言つておるのではないのであります。例えば二十五年度の一つ附則による特例として、南海震災の起つた当時に取上げた五つの県については、例えば農地については十分の八・五乃至十分の七・五の率を適用されたわけなんであります。そうして今後これが元に戻る、こういうことになるというと、農地関係するものは十分の五になつて来るわけなんであります。併しながら南海震災ということが、重ねて申し度するけれども、災害というものが、極めて短期間に大きな條件変化を来たしたということでとるのだ。そういう定義であるなら、それならばこの通りに、二十五年度では十分の八・五を適用されましても、今後十分の五を起用されるということも私たちも文句のつけようがございません。併しながら政府の中で、すでに建設大臣安本長官は、災害というものに対してそういう定義をとつておられない。農林省だけ別な解釈をとられるなら別問題です。併し農林省も、安本なり或いは建設省と同じ解釈をとられるのならば、この漸進的に起きたところの愛媛和歌山等地盤沈下に対しては、二十五年度に特別な扱いをせられると同じ扱いが、今後とられないならば均衡がとれないのではないかということなんであります。
  15. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 只今提案をいたしておりまするのは、さような特別扱いの必要のないと申しまするか、一般的に取扱うべき災害復旧に関する法律でありまして、御指摘のありました高知その他の補助率荷いものについては、一応二十五年度で打切りまして、今後新たにさような措置を、補助率の変更をする必要のある府県に対する補助率を増す場合におきましては、別途法律案によつて取扱わなければならんことになると思います。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 今提案されているのは、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正するのですよ。どこの一部を改正してもいいわけなんで、たまたま改正案が出たから、我々としましては政府の落しているこういうことについて修正案を出してもいいわけなんでして、今のような御答弁では少し的を外れると思うのであります。私はくどく申しませんけれども、こういうことについて愛媛和歌山等地盤沈下南海震災による地盤沈下について今後考慮せられるかどうかということだけについてお答え願いたい。それ以上くどく言わんでもいいと思うのであります。
  17. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 今後の問題について、必要があれば補助率増額別途法律案を出すのでありまして、現に現在の取扱の上で、その他の補助率について考慮するかということに対する御希望は、十分尊重しまして研究を進めたいと思います。
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御質問はございませんか。
  19. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はこの法案直接ではありませんけれども、この法案に多分に関係のある問題で一つお尋ねいたしたいのであります。というのは昨年あたり災害を見ますというと、九州地方干拓堤塘などについては、もはやこの災害を受ける寸前にあるというようなものがたくさん見受けられたのであります。ところが実際問題として、農林省で今日扱つておられる災害は、実際に壊れなければ災害でないという見解をとつておられるのでございまして、災害を未然に防ぐことが災害を最も少なくする。技術的に見ても、実際上も、最善の方法だと思うのであります。ところが九州地方干拓提塘を見ますというと、もはや一部、先ほど江田議員からお話になりましたように、それは継常的に壊れて来たというような災害状態が目のあたりに見られるのであります。これは台風が起つて壊れたのなら災害なんだけれども、常時起らたければ、災害と言い得る災害じやない、かと思うのでございます。これは事前に防げば、一千万円のものが百万円で完全なものになるというような状態なんであります。ところが農林省の従来の予算を見ますというと、壊れたものにはたくさんな予算が行くけれども、壊れる寸前のものには殆んど予算がない。従つて壊れるのを待つているというような、これは意識的ではありませんけれども、そういう状態に放置されておるということなんであります。で二十六年度の予算には、災害堤塘予算が三千四百万円というようなものが予算に見えておるのでございますが、これは私こういう意味合いからでは、非常な、初めて組まれた予算として、新らしい方向に非常な進歩をしたものだということを痛感しておるのでございますが、併しながら私が現状を見ましたところの状態では、三千四百万円というものはこれは新らしい方向を示したというに過ぎないのであつて、何ら現状に基いた予算ではないということを私は考える次第でございます。従いまして農林省としては、今後こういう予算に対して積極的にもつとお考えになる意思があるかどうか。どういうような意味合いで以て三千四百万円というような、はした金といいますか小さい金を見られたのであるか、その点をお伺いしたいと思います。
  20. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) お説は御尤もでありまして、我々もさような災害防除施設重要性に対しては感じを持ち、且つ熱心にこの予防施設に対する予算増額研究も進め、且つ大蔵省折衝を進めて参つたのでありますが、御承知通り国家財政の都合で、農林省関係の仕事だけを挙げましても、非常に多額の経費を要し、且つ災害復旧については全体を通じて総額の増額がなかなか望まれなかつたというような、非常に遺憾な状態に参つておりまするので、その中からこれだけのものを割きまして、極めて必要な予防施設を要する土地に対する施設を行なつて参りたいと存じておるのでありますが、今後予算増額については十分の努力を続けたいと存じております。
  21. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今干拓堤塘の御質問を申上げたのですが、これに関連してもう一つ次官お尋ねいたしたいのでございますが、今度建設省所管になりますか干拓堤塘法案が現に建設委員会のほうで審議中だと承知いたしておるわけでありますが、この法案を見ますというと、干拓堤塘土地改良組合、或いは耕地整理組合水利組合というような団体所管のものは、農林省所管で今後維持管理或いは災害復旧等をやつて行くけれども、それ以外の海岸堤塘というものは建設省がこれを所管して行くというような方向法律案の原案が出来ておると思うのであります。私ども考えますというと、そういつた所管の問題でなくて、これはもつと本質的な問題じやないか。即ち農地のために必要があつて作られたところの堤塘であり、完全な農地保護堤塘ならば、これは農林省所管であるべきではないかというふうに考えられるわけなんでございます。建設省でそういうものを全部建設省所管であるというような観念を持つておる。そういう間違いが、今私が先に御質問申上げましたように厖大な海岸堤塘を持つておられる、そうして維持管理して行かなければならない責任を持つておられる農林省に、災害復旧事業を持ちながら、三千四百万円くらいの予算しか取れないという現状になつているのじやないか、こういう点について政務次官はそういつた堤塘は当然農林省でやるべきものか、或いはどこでやつて行つてもいいのか、どこでやつてもいいというお考えをお持ちになるかどうかその点について承わりたいのであります。
  22. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 私も実は昨年九州地方干拓地を見まして、特に熊本県の場合を目のあたり見ました感じから申しますると、お話のようにこの所管争いを従来からやつて続けて参つたということは甚だ遺憾であり、且つ農林省干拓堤塘というものが元来農林省所管堤塘を作つて来た経緯から考えますと、当然堤塘補強予防施設をもつと推進して行かなければならんということを痛感をいたしたのでありますが、御承知通りに従来の考え方から申しますると、海岸堤塘には相当の経費も要します。又従来の所管建設省所管で多くは経理されたという過渡的な情勢から考えますと、同じ政府内におきまして、いずれになりましようとも、その工事が早く完成することが望ましいことでありまして、現在としては建設省関係方面予算が非常に多くて、農林省のが貧弱であることは遺憾でありますけれども、経過上止むを得なかつたことであります。ただこの農地の保全の点から申しますると、御意見のような点がありますので、行政配分の問題と併せてこれらの問題は農林省といたしましては、一括したそういうふうな方針によるべきだということを指令して参つておるのであります。なおそれに関連を以ちまして、これの堤塘なり、海岸堤塘を補強し、増強して行く。維持管理を一層徹底せしめるということに対する別途の事務的の配分をはつきりし、且つ将来積極的にやるための何らかの措置を講ずるために、目下農林省内におきましては法案の準備も協議をいたしておるのでありまして、まだ成案を得るに至りませんが、さような点に対しては十分の検討を加えておるということの御了承を願いたいと思います。
  23. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今度新たに入りました「(原形復旧することが不可能な場合において当該農地等の従前の効用を復旧するために必要な施設をすることを含む。)」、こういう施設は大体どういうことを考えておられるのですか。大体どういう場合を……。
  24. 川名進一

    説明員川名進一君) これは一つの例を申上げますと、例えば農地関係から申しますと、仮に井堰が災害にかかりまして、これを復旧する場合に、従来その原形復旧ということが大体の線になつておりましたために、その上下流の、例えば袖の護岸、そういつたものにつきましても余り強化をすることができなかつた。そういつた場合にこの上下流の袖の護岸を強化して置けば、次の災害のときには必らず大丈夫だというような見通しを持つてつても、この前の法律から申しますと、それができなかつたわけであります。従つてそういうようなことにつきまして、今後再び災害を繰返さない。こういつた趣旨で考えておるわけであります。その他いろいろ橋梁にしましても、護岸にしましても、いろいろな場合があると思いますが、一例を申しますと、そういつたことがあると思います。
  25. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そういうふうにいたしますと、例えばこの林道などというものはややともすると、非常に予算が少いものだから、当然わり積みとか、空積みとかのごとく、強固な工事の上に立てなければならん所も極めてあつさり安く上げるために非常な崩壊をする。そこで或る大切な所がやられた際にその復旧の際、根本的にやらなければならんという際には、当然この今までの、ただ單に泥であつた土場であつた所を、こういつた強固のものにするというものも含まれると解釈していいのですか。どうですか。
  26. 川名進一

    説明員川名進一君) そういつたような場合が非常に多くあると思いますが、この点はこの強化工事というものの限界が非常にむずかしいと思います。これはあのお示しの林道にしましても、河川の護岸にしましても、それを極く拡げて考えますと、非常に大きな予算も要るし、又非常に大きな計数になつて来ると思いますので、この点につきましてはなお林野庁、水産庁と相談いたしまして、細かい政令なり、通牒をいずれ作らなければならないと考えております。
  27. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御質問はございませんか……御質問がないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは、これより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別段御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めてこれより採決を行います。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立
  29. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決しました。  例によつて諸般の手続きは委員長に御一任を願います。なお多数意見者の御署名を願います。   多数意見名義名     片柳 眞吉  加賀  操     西山 龜七 池田宇右衞門     白波瀬米吉  瀧井治三郎     平沼彌太郎  鈴木 強平     岩男 仁藏  三浦 辰雄     飯島連次郎  三輪 貞治     三橋八次郎  江田 三郎     宮本 邦彦  赤澤 與仁     小林 孝平   —————————————
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に競馬法の  一部を改正する法律案議題にいたします。どうぞ質疑をお願いいたします。
  31. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 この前競馬場設置の時も私から御質問申上げたのですが、今度重ねてもう一度お答えを願いたいと思います。それは現実に国営競馬をやつている現状を見、又その道の人の御意見を拝聴しますというと、最近国営競馬の馬の資源、馬が非常に少くなつて困るということをよく言われておるのでございますが、今度回数が殖えますというと、一層その状態がひどくな、るのではないか。そういうことに関しまして、従来国営競馬というので以て高い水準と申しますか、本当の競馬らしい、いい競馬をやつてつたという意味で以て私ども国営競馬を承認しておるわけなんでございますが、そういつた方向が曲げられるのじやないか。実際にこの馬資源に対してどういうような方途で以てこの欠陷を補つて行かれるかということについて重ねて御質問申上げたいと思います。
  32. 川端佳夫

    衆議院議員川端佳夫君) お答え申上げます。大体この法案改正の目的もその点にあるのでありまして、現在国営競馬回数にも非常に制限を加えられておるような形でありまするから、疾走さす同数が非常に少いために馬主の経済に非常に影響をして来る。従つて馬地方競馬へ流しまして、そうして地方競馬では御承知のように年間殆んどやつておるというようなチヤンスに捲き込まれまして、酷使するというような傾向が非常に顕著になつておるわけであります。先ほどのお言葉のように、競馬らしい競馬というので、国営競馬というものは非常に競馬の中でもいわば品のよいものと党議的に考えられておりまするが、それは馬の使い方も相当計画的に使つて行く。従つて損耗の点も、国営競馬が非常に計画的に馬の使い方をやつて行かれるものでありますから、少い。それを正常な形でこの国営競馬を回転させたいというのがこの競馬法改正の狙いで、ございまして、抽象的でございまするが、そういう面も狙つておることを御了承願いたいと思います。
  33. 加賀操

    ○加賀操君 提案者にお尋ねいたしますが、この提案の根拠になつておりますのは、大体国営競馬が十二カ所ありますが、その中で実施していない競馬場のその回数を隣接の所へ譲る、こういう趣旨であろうと思います。が、根本になりますものは、現在のやつていない競馬場をこのまま置く、こういう前提でございますね。その場合提案者のほうでは、実施していない競馬場をどうしても置くのだ、置かなければならん、こういう理由に立たれておると思いますが、その点を最初にお伺いしたいと思います。どうして残して置いて、その回数を隣接の所へ持つて行かなければならないか。どうしても現在やつていない競馬場をそのままにしておいて、その回数をほかの所へ讓らなければならんか、こういう点を一つお伺いいたします。
  34. 川端佳夫

    衆議院議員川端佳夫君) 只今お尋ねでございまするが、現在やつておらない競馬場というのは、止むを得ない理由でやれないのでございまして、できるならば地域的にも開催したいということなんでございまするけれども、現在はいろいろな都合によりまして整備されておらないとか、或いはその他特殊な事故が起つたようなことでやらないために、ほかの隣設競馬場で一回だけやらざるを得たかつたという実績になつておるわけでございますから、今後これが整備されれば早晩又、今休んでおる競馬場もやるようになると思います。
  35. 加賀操

    ○加賀操君 農林省の事務当局にお尋ねしますが、やつていない競馬場の特殊の事情はこれを除きます。併し一般の場合に農林当局としては将来、近いうちにこの競馬場をやるという見通しが立ちますか立ちませんか、一つお伺いいたします。
  36. 井上綱雄

    説明員(井上綱雄君) 申上げます。只今つておりません所は、九州では宮崎、それから本土では新潟であります。あとは全部やつておるわけでありますが、宮崎につきましては馬の生産地でございますので、そういう趣旨から随分古い沿革で競馬場ができております。これはできればやりたいと存じますが、経済諸般の実情から著しく赤字が出ると考えるのであります。それでこの著しく赤字が出るということが現在の事情ではどうも適当でございませんので、馬の生産のほうと睨み合せまして、現在まだやる時期に達していない。こういうふうに考えております。新潟につきましては、何分にも馬の頭数が少いものでございますから、実はやりたいのでございますが、ここ一年ぐらいはまだ再開すれば全体に混乱が及ぶという考え方でございます。
  37. 加賀操

    ○加賀操君 事務当局にお尋ねしますが、これは計数の問題ですが、この開催していない競馬場の分を隣接の国営競馬場で代つて開催するということにしますと、大体今より国営競馬を何回余計やりまして、その収入はどれほど多くなるか、こういう問題でございます。
  38. 川端佳夫

    衆議院議員川端佳夫君) では私からお答え心たします。現在と申しますか、今まで大体十二競馬場で二十二回やつておりました。御承知のように一年に三回ずつ一競馬場でやりまするから、三十六回やれるということになつておりまするが、実績は二十二回、こういうふうになつております。今回の改正によりまして八回増加されるということになつておるわけでございます。なお、これによつて収入の関係、売上げの関係を併せて申上げますと、現在四十九億ばかり予算で見込まれておるのであります。その上に二十三億殖えるというような見込でございます。
  39. 加賀操

    ○加賀操君 収入の多くなることは、これはいいと思います。ただ私は事実上提案理由と少し変つた現状にあるのじやないかと思いますが、その一つは、いつも問題になるのですが、競馬が畜産の奨励になるかならんか、こういう点は非常に理窟を言えば幾らも言えますが、現在の馬産奨励においてどうかという議論が、特に本委員会で終始一貫出ておるのでございます。その点を提案者及び事務当局では実際にどうお考えになつているか、こういうわけであります。  もう一つ地方競馬の数が殖えるということは馬が殖えるということは私も認めます。併し国営競馬をこれ以上殖やす点において提案の理由に書いてありますように、競馬に用いまする馬を生産するものに返えすだけの余裕があるかどうか、こういう問題です。私の聞くところによりますと、今の回数でも本当に走らせるつもりであつたら、馬によると回数が多過ぎるという馬主もあるわけです。ですから提案理由に書いてありますようなことは実際にできるか、できんか、この二点をお伺いしたいと思います。
  40. 井上綱雄

    説明員(井上綱雄君) お答え申上げます。最初の点は競走馬が直接馬の改良になるかどうかということでございます。只今お示しのように、この委員会でもたびたびそういう御質問があつたようでありますが、同じような御回答を申上げると思いますが、御承知のように、現在走つております馬はサラブレツドとアングロ・アラブ、国営競馬におきましてそうでございますが、このアングロ・アラブのほうは相当にそのまま実用に使つておる地域が、相当に広汎にございまして、このほうは例えば九州で申しますと、南九州のほうは大体そういう系統のものが多いようでございます。それからこちらに参りまして、福島県或いはその他の地方でも相当これが使われておりまして、ずつと以前は日本の農馬はこの程度の足の早さがあり、馬格の小さいもののほうがよかつたのでありますが、戰争中山砲駄馬等を急に増産するために、いろいろ急激なことをやりましたので、それがそのまま農馬に使われて、現状が少し歪められておるのでありますけれども、農業のほうから申しますと、いろいろ説をなす人があるかも知れませんが、我々の見解ではアングロ・アラブのほうは相当に実用に適するものと、こういうふうに考えております。なお若干これに中間的な要素を加える必要は認められますが、相当に使えると考えております。ただサラブレツトにたりますと如何にも直接それが馬の改良に役立つかどうかという点で、相当古い沿革を持つて改良には使われておりますが、現状では差当りそうたくさん使う必要はないと思つております。率直に申上げましてこれがそのまま実用馬であるということは申上げにくいのでございますが、非常にいい馬ではありますけれども、生産費が高いために生産が惡いということになるのであります。改良上これを直接使うということは今のところございませんが、将来長く使うがいいかどうかということになりますとやはり問題があると思つております。大体前からこういうような説明を申上げておると思います。  それから第二の点でありますが、第二の点は現状でさえ馬が少いところへ更に開催日数を殖せばいよいよ困るのではないかというように承わりましたが、これは現在のところでは競馬を縮めて短い期間にどんどんやつて行くというのではお話通りになりますが、やはり我々といたしましてはこの法案通り改正になりますれば土曜、日曜、祭日ということを国営競馬におきましては飽くまで堅持をいたしましてウイークデーには大体やらない。そういうことになりますと、一応現在のままでもこれはやれないことはない。又そういうふうにすることによりまして、相当賞金の獲得の機会が多くなりますれば、漸次馬が国営競馬に殖えて参ることを予想いたしております。先ほどちよつとお話も出ましたのでありますが、地方競馬昭和二十六年度におきましてこの関東周辺、東京周辺でございまするが、三百六十五日の中で十七日より休む日がないといつたような急激な開催になるのでございますから、自然国営競馬は秩序ある競馬ができなくなるのであります。そういう現状から併せ考えますと、この改正をして頂きまするならば都合よく取運べるというように考えております。
  41. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ほかに御質問ございませんか。それでは御質問もないようでありますので、これより討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  別段御発言もないようでありますのでこれより本案の採決をいたしたいと思います。競馬法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立
  43. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて本案は原案通り可決いたしました。  なお前例によつて諸般の手続きは委員長に御一任願います。  なお多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     片柳 眞吉  西山 龜七    池田宇右衞門  白波瀬米吉     宮本 邦彦  平沼彌太郎     鈴木 強平  岩男 仁藏     三浦 辰雄  飯島連次郎     加賀  操  赤澤 與仁     三橋八次郎  小林 孝平     江田 三郎  瀧井治三郎     三輪 貞治   —————————————
  44. 小林孝平

    ○小林孝平君 私はこの際議事進行に関し動議を提出いたしたいと思います。’  食糧管理法の一部を改正する法律案につきましてはすでに数回に亘り慎重に審議をいたしたのでありまするが、現在におきましては大体各方面意見も明瞭でありますし、又この問題をめぐり全国の農家は非常に麦の統制が継続されるか、廃止されるかということで不安にかられておるのであります。こういう意味合から速かにこの問題を決定しなければなりませんし、又この問題を五月に持ち越しますれば農業協同組合方面では資金の手配その他の準備が必要でありまするのに、五月では手遅れとなる。こういうような関係から、どうしても三月中にこの結論を出す必要があると、こういうことになりますので、この際質疑を打切りまして明日中に討論採決されんことの動機を提出いたします。
  45. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと小林さんにお尋ねいたしますが、本日中に質疑を終了し、採決を明日と、こういうふうに考えてよろしうございますか。今直ちに質疑を終了するのですか。本日中に質疑を終了するのですか。
  46. 小林孝平

    ○小林孝平君 明日中に質疑を打切り、討論採決されんことを望みます。
  47. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の小林さんの御動議は食糧管理法の一部を改正する法律案を明日中に質疑を終了して委員会で採決することの動議でありますが、只今の小林君の動議に御賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者多数〕
  48. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 起立多数で只今の小林君の動議は成立いたしました。従つてこの法案食糧管理法の一部を改正する法律案についてなお御質疑がございましたら続行して頂いて、なお昨日岩男さんの動議に基く農業委員会法案をその後採決いたしたいと考えます。
  49. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 質疑は後廻しして採決を先におやりになるように……。    〔「賛成々々」と呼ぶ者あり〕
  50. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでも差支えございません。   —————————————
  51. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは御賛成が多いようでありますので、農業委員会法の採決に入りたいと思います。採決じやありません。討論であります。昨日で質疑は終了したものと認めますので、これより農業委員会法案及び農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案を一括議題として討論に入ることに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさように決定いたします。  それではこれより討論に入りますので、昨日の岩男さんの御動議は賛否おのおの各会派一名の代表で時間は十分程度ということでございました。それぞれ賛否を明らかにして御発言を願います。
  53. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は日本社会党所属委員を代表いたしまして、只今議題となつておりまする農業委員会法案及び同法施行に伴う関係法令整理法案に対しまして反対をいたす者であります。  本法案は従来行われて参りました農地調整法に基く農地改革のための農地委員会食糧管理法及び食糧確保臨時措置法に基く農業調整委員会並びに農業の技術面の改良事業を行うための知事の諮問に答えて助言をなすため農林次官通牒に基いて設けられました農業改良委員会、この三つの機関をやめまして農業委員会一本に統合せんとするところの法律案でございます。  御承知のように、前三つの各委員会の性格を見まするに、先ず農地委員会は連合軍の日本占領政策の根幹でありまするいわゆる農民解放令に基くものでありまして、過去長きに亘りまして日本農業の前進と農民の経済的安定を阻害して参りました封建的な地主制度の廃止を内容といたしました農地改革の議決並びに執行の機関であるのであります。一方農業調整委員会は戰後極度に逼迫をいたして参りまして国民最大の関心事と相成つておりました食糧の生産確保並びにこのための農民に対する事前側当、供出の仕事をなして参つたものであります。なお農業改良委員会は農業改良事業のための専門技術員、改良普及員その他試験研究に従事する主要なる技術旦の任命、異動、解任等、更には農業改良事業についての計画の設定並びに予算及びその執行に関することを取扱つてつたものであります。  以上述べましたように、この三つの委員会はそれぞれ重要であり、且つ性格が非常に兵つておるところの独立の機関であるのであります。ところが政府はこのたび予算が足りないという理由でこの三つをまとめまして、一つの農業委員会として書記も平均一・二名でこれらを全部行わせようというのであります。併しながらこれは誰が考えましても何もできないということは自明の理であります。ここに委員会を形骸的なものにいたしまして、政府並びに與党の諸君が最も嫌いでありますところの農地改革、食料統制というような仕事をうやむやにするというところの鎧がこの法律の衣の下にはつきりと見えるのであります。(「そうだね」と呼ぶ者あり)(笑声)勿論この政府の言を以てしますれば、農地改革も大部分終りました。食糧も安定したから麦も統制を外して自由にする。食糧の割当事務も従つて少くなる、こういうのでありますけれども、我々は決してさようには思わないのであります。政府のこの考え方こそとんでもない間違つた前提でありまして、非常に危険千万であると言わなければならんのであります。則ち農地改革のごとき、その仕事は終つたどころかこれからが本物の仕事と申さねばなりません。例えて言いまするならば、ただ單に川の中に一時的な川堰を作つたようなものでありまして、本当の永久的な工事はこれからであります。殊に最近現内閣を支柱といたしまして、非常にその力を盛り返して参りましたところの旧支配勢力の洪水に対するところの防壁といたしましては、ますますこれを強化拡充すべきが当然でありまして、今よりもこれを弱体化してその川堰さえも取外そうとするようなこの法律に対しましては絶対に我々は承服できないのであります。その上にまだ登記事務の多くも残されておりまするし、肝心な交換分合も一向に進んでいない。更には最も重大であると思われるところの山林、未墾地の解放等は多く将来の仕事として残されておるのであります。我々は山林の解放、全小作地の徹底的解放を含むところの第三次農地改革を主張いたしておりますけれども、それは暫らくおくといたしまして、現行法による改革においてすら旧地主、山地主等の反撃のために完了どころか後戻りの実情であることは少しく具限の士であるならば容易に首肯し得るところであります。なお又食糧割当事務と一緒に、而も同一の委員会で、たつた一人の誤記でやれる仕事の分量でも、性格でもないわけであります。  なお食糧割当事務のごときも不安定な食糧事情のままに、国内の自給策も完全でなく、而も海外食糧の見通しも五里霧中の中におきまして、選挙の時に公約をされておるかどうか知りませんけれども、その低劣なる自由販売の公約にこだわつてここに麦の統制を外して、或いは製粉業者、或いは米穀加工業者、こういうような諸君を儲けさせまして、自由党の選挙対策を物心両面から稼ごうというのでありまするから、あとで一層の食糧需給事情の惡化と混乱の中で、再び統制割当をやらなければならないということも予想されるのであります。又困難な仕事がたくさん残つておると思われるのであります。  更に農業改良委員会の仕事に至りましでは質的にもつと違うのでありまして、農業改良局の定めましたるところの委員会設置要綱というものをもう一回見て頂きますると、その機構、任務の中でこう書いてあるのであります。即ち農業改良事業に従事するところの職員は供出割当、配給等の行政事務を担当してはならないと規定してあるのであります。これは即ち供出割当の仕事と技術指導が両立しないこと、又させてはならないということを政府みずからが言明したというべきでありまして、その上に更に性質が根本的に異つて分量も多い農地委員会の仕事を統合しようということに至りましては全くナンセンスであります。又本法律案の第一條に掲げますところの目的を見ますと、「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄與する」云々とあるのでありまするが、これは全く農業改良委員会の仕事でおりまして、この條文を見ただけでも政府の言うところの三つの委員会の統合というものとは本質的にこれは違つておりまして、正に羊頭を掲げて狗肉を売るというものであると断ぜざるを得ないのであります。又そもそも農業生産力の発展とか、農業の合理化というものは、それはあに農業委員会のみたらず農業立法の一大基本目標でありまして、このような重要題目を心やすく使いながら、而も費用はたつた十八億しか出さない。はした金を支出しようとしておる。ここに法律の権威の失墜があるのではないかと思うのであります。私はここにもう一度申上げたいのでありまするが、一体政府は三つの委員会を合せて一本にして強くしようとするのか、弱くしようとするのか。もつと極言するならば、やる気かやらない気かと言わざるを得ないのであります。政府の真意は我々これをば察しますが、この整理統合に名をかりまして農業調整委員会が過去において持つておりましたところの議決権というものを剥奪して、食糧割当の民主的な取扱を問答無用の天降り割当にすり替えて、更に三機関の統合に藉口いたしまして農地改革の打切りを目指し、反動的地主制度の復活を図るものと断ぜざるを得ないのであります。現に政府の原案はその同調者の修正によりまして真意が暴露され、その修正案が原案として本委員会に回付されておるのでありまするが、それによりますと農業委員会の階層別の委員の選挙を拒否する修正をやつておりまするが、時間的にも、経済的にも余裕のないところの小作層、或いは零細農民の本委員会に対する進出は非常な制約を受けまして、同委員会における農地改革事業のウエイトは著しく減殺され、食糧供出、技術の指導等、これ又富農的な色彩を濃厚にするであろうことは明瞭であります。階級対立を避けまして、円満にその目的とする農業経営の合理化と農民の地位の向上を図ろうというのでありましようけれども、過去の農村において如何にこの円満と平和という美名が反勤労力のために有利な搾取と圧迫の温床となつたことを思いまするときに、我々はこれを額面通りに受取れないのであります。又予算についてこれを見ますと、たつた十八億で平均一二名の書記で一体何ができるというのでありましようか。農地改革、食糧供出等困難な仕事の中で訓練されて、とにかくもこの仕事を成し遂げて参りました書記こそ将来の新農村建設の有力な担い手でなければならんのであります。この有能な書記を将来の農業生産の拡大と農業改革に優遇活用して初めて最小限度の所期の目的は達成されるのであります。特に農地委員会の書記、農地委員会の従来為して参りました仕事を継続して参りまする詳記一名の残留任用は、絶対に必要不可欠のもので彫ると思うのであります。然るにこれらの人々をば弊履のごとく捨て去りまして、單なる機関の形骸のみ残すことは、まさに日本再建の後退を招くものであると断ぜざるを得ません。  日本社会党は以上述べました理由によりまして両法案並びにその修正案に絶対に反対の意を表明するものであります。
  54. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  55. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて。
  56. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。戰後日本の農村に対する政策を見ますというと、農地改革というものが非常な大きな力を持つて、そうして日本の農村の民主化と、それから日本の農村の発展、農業生産力、特にそういつた面を阻んでおるところの基礎的な條件が改善されたと、こういうことに対しては私ども国民ひとしくこの成果の大きかつたことを認めておるものでございます。  併しながら今日その農地改革の大部分の仕事は完了いたしました。これは私どもとしては何よりも喜ばしいことであり、又この事業に携つて専心努力せられた諸兄に対して深く敬意を表するものであります。  又もう一つ私ども忘れてならないことは、戰時中、又戰後私ども国民が非常に苦しみましたところの食糧の問題に対しまして、日本の国の食糧行政は世界でも稀な効果を発揮いたしまして、そうして今日のこの和やかな空気にまで持つて来られたこの食糧統制のあり方も、これも私ども非常な成果を得たものと認めざるを得ないのでありまして、これに対しても非常に私どもはその成果に対して感謝しておるものでございます。  併しながら私ども農業という産業、又農村という立場を深く反省いたして見ますときに、私どもが最も農村或いは農業政策において重大に考えなければならない問題は、農業生産の発展、農業技術面を基礎とするところの生産方面でなかつたかということでございます。これは戰時中又戰後という非常事態のためにそういつた面が多少軽視された趣きがないわけではないのでありまして、これは簡單なことでございますけれども、農林省機構内の分野を見ればはつきりわかつてつたのであります。そのために私どもはしばしば技術面から……、私は技術屋であります。はつきり申上げますれば技術面からもうちよつと日本の農業政策又は農村政策の面において生産技術の面を強く推し進めないことにおいては、日本の農業政策というものは発展することはできない。日本の農村がいつまでたつても発展することができないということをしばしば主張して参つたのであります。併しながら先ほど申しましたようにもつともと大きな農地改革であり、戰後の食糧問題というようなそういつた問題のために農業政策がそつちのほうに重点が置かれたということは、これは日本の戰争、又戰争による敗戰という特別非常事態のための政策であつたのであります。これは、政治は、そのときの時代々々の最も国民に直結いたしておりますところの問題から解決されねばならないところの必然的なあり方であつたと私は思うのであります。  併しながら今日は大体におきまして私どもの食生活も一応の安定の方向に参りました。それから又最も私ども根本的な日本農業政策の癌をなしておつたところの農地改革も殆んど終了に近くなつたのであります。ここにおいて私どもは最も平常事態にあるべき姿ということでもつて欲しておりますところの農業生産力の発展、それから又第一條にありますところの農業経営の合理化と農民の地位の向上と、こういつたような本来の姿の農業政策を私どもは望んでおつたのであります。その農業政策は私どもは今日の場合にもう少し考えるべきものがあつたのじやないか。過去の長い日本の明治以後の農業政策を見ますというと、大体昭和の初め頃まではむしろ今私が申しましたところの農業生産力の発展とこの方面にひた向きに農業政策は推し進められて来たように思うのであります。  併しながらその時代と今日とを比較いたしますというと、私どもは今日はもう一つ大きな面がここに加重されなければならないのじやないか。それは即ちものを総合的に考える、こういつた技術の面があるんじやないか、その総合的にものを考るというこの新らしい傾向、この傾向を推し進めるということは非常に大事なことじやないかと私思う。少くとも今日は日本の思想としてその方向にあつて歩まなければならないということは国民がひとしく認めるところだと思うのであります。  今回の農業委員会法案はそういつた方向において私ども承認せざるを得ない方向だろうと思うのであります。ただ先ほども三輪委員から言われたように全く性格の変つたものが三つ一緒になるということを言われたのでありますけれども、私どもはこの性格の変つた三つのものが農民或いは農村という立場から見たときに、決してこれは別々なものではない。はつきり一つのものである、一つのものであらなければならない今日は、思想的な方向に向つておるのであるということを深く信ずる者であります。ただ今も申しましたようにこの三つのものはおのおの発生の初期において違つた方向に、又違つた目的のためにおのおのばらばらな力で、力の強さも違つて、発足いたしたものであります。それが今日一緒になるという方向に持つて行かれた場合に、暫定的な措置として多少の矛盾は止むを得ないのじやなしかと思うのであります。この多少の矛盾は、私ども大きくこれを考えますときに、農業が或いは農村が、総合的に見てもつと大きな効果を狙つておるとき、その効果から見ますときには僅かな問題ではないか、これはむしろそういつた大きな目的を達成するために善意ある而も熟練された行政的な措置で以てこの矛盾は解消し得るものだと思うのであります。又解消されなければならないものだと私どもは思うわけでございます。技術の面から見ましても、実はこの法案には多少の私ども危惧の念がないわけでもありません。各村ごとの総合計画が果して日本の農業発展のためにとらるべきところの、ここの法案の目的に上つております土地の改良だとかこういつたような問題に対して、一村の総合計画が本当の総合計画であるかどうかというような面におきましても、多少の疑念がないわけではありません。併しながら私どもは常に良識ある、善意ある行政的な指導を目標とし、それに大きな期待をかけておるものであります。そういつた気持のないところに私どもの農業出産力の発展、又は農業経営の合理化、そして農民の地位の向上というようなものはあり得ないと私どもは思うのであります。従いましてそういつた全く何といいますか、人間の善意を無視したそういつた考え方を私どもは払拭いたしまして、そうして私ども日本農村のために日本農業の発展のために考えなければならないところの良識を中心にいたしまして考えましたときに、本法案はむしろ今日の時代としては出るのが遅過ぎた、もう少し早くこの方向法案が出てもよかつたのじやないかということをさえ考えるものでございます。本決案の一日も早く施行せられ、そうして日本農村の再建に寄與することを希望いたしまして賛成の意見といたします。
  57. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もないようでありますから……、岩男さん。
  58. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 ちよつと行きがかりがあるので……。只今上程されておりますところの二つの法案につきまして国民民主党を代表して賛成の意見を極めて簡單に申上げます。従来農村には農地委員会、農業調整委員会、それから改良委員会の三つの委員会があつたのでありますがこれを統合して一元的にして強力な委員会を作つて、もつと強力に農村建設といいますか、よりよい村作りをしようというこの法案の狙いには賛成であります。ただ私がこの問題について関心を持つてつたの政府提出の原案、この中におきまする予算を見ますと、書記の一・二人の定員でありますが、それでは政府の狙つておる強力な活動ができるかどうかこれを遺憾に思つてつたのでありますが、衆議院の我が党の関係者と緊密な連絡をとりまして、衆議院においてこの点については附帶條件として決議されて本院に送付されておるのであります。そこで昨日でありましたか、池田大蔵大臣、それから廣川農林大臣のおいでを願つて、この衆議院の附帶決議に対して実行する意思があるかどうか、この事業を確認しているのかどうかということを追求いたしたのでありますが、両大臣の昨日の回答によりまして私は満足いたしておるのであります。恐らく間違いがないと思つております。この衆議院の附帶決議は、極めて大事なことでありまして、市町村農業委員会計記一・二人と予定せられておるのを二人に増員し、これに必要なる経費平年額約九億円を増額すること、それから農業改良事業については部会を設けて運営することと、これをさつき申上げましたように、二人の大臣が確認せられたことに私は信頼を持つておるのであります。これを強く至急に実現することを條件といたしまして賛成をするものであります。
  59. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 本員はこの法案に対して賛成をするものでありますが、三つの委員会一つにして仕事を行うというのでありますが、法律の目的に書いてあります第一條が満足に行われますことを狙いにいたしておりますが、農村はこれから経済の大混乱期に直面いたしておるのであります。私は今までの三つの委員会よりは人数は減りますが、最もち村のためによき委員を選んで頂いて、そうしてこの目的を達成するように御努力を願わなければならん時期が来たというので賛成をいたしておりますが、そこでよく政府にお聞きを願い、即時お考えを願つて置かなければならんことは、所掌事項の中の第七條の自作農の創設維持であります。昨年からこのことを叫んでおりますが政府予算措置を講じておりません。本来ならこの法律予算措置を講じておらんから通さない、こういう法律でありまするが、今度はその方針を曲げていつそ通してそうして政府を鞭撻するほうがよいのじやないかという考えに変つたのでありまするが、先般大蔵大臣も何とか織込んでやるようにするとこういう話をいたしておりますが、土地解放によつて小作が自作になつたかたがた、又従来から自作でやつておられまするかたがた全部を挙げて農村の自作農の維持考えるのでなければ、私は日本のこれからの農村は、日に増して窮境に陷ることをはつきりすることができると心配いたしております。そこで政府は一刻も早く、この資金措置を講じまして、我々の委員会で農林、大蔵両相が、必ずその措置は講ずるとこういう言明をいたしましたが、言明だけではなくて、できるだけ早い機会に、金額は一挙に何十億という金額でなくてもよいと思いまするが、没落をしてしまつてからでは間に合いません。是非没落前にこれを食いとめるのには、自作農の維持資金が最も必要であり、私は第一條の目的とその維持さえできれば、全部の農家がとにかくやつて行けることになると思います。そのためにこれを強調し、政府に一到も早く措置してもらいますことを希望いたしまして賛成するものであります。
  60. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 私も緑風会の農林委員を代表いたしまして希望條件付賛成を述べたいと存ずるわけであります。両法律案の審議に際しまして、委員会の性格の点におきまして、又機構の点におきまして、又運用の点において、又経費の点におきまして、政府当局から御熱心なる御答弁を頂いたわけでございまするけれども、私の申しましたことについて十二分に了解する点までに至らなかつたことを甚だ遺憾に存じておるわけであります。ただ農林大臣が我々の意見を尊重いたしまして運用の妙を発揮いたしまして善処をするという言明をされたわけでありまするので、この際一応この言明に信頼をいたしまして賛成をすることにいたしまして、今後の推移を見ることにいたしたいと存ずるわけであります。つきましては條件といたしましては、先ほど岩男委員からお話がありましたように、衆議院におきまする附帯決議に基く條項を必ず履行して頂くということを條件といたしまするし、なお附加えまして、これを主管いたしまする農林省内の機構におきましても一元化する必要があるように考えられまするし、又府県委員会の定員の問題につきましての画一性の問題につきましても、今後政府において運用の妙を発掘する場合におきましては、当然考えられなければならない事柄であろうと考えまするので、この二点を要望いたしまして賛成をいたします。
  61. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言もないようでありますから討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。農業委員会法案並びに農業委員会法施行に伴う関係法令整理に関する法律案、以上一案を衆議院送付通り可決することを賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者多数〕
  62. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 起立多数であります。従つて右両案は衆議院送付通り可決されました。  なお前例によつて諸般の手続は委員長に御一任を願います。なお恒例によつて多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西山 龜七 池田宇右衞門     白波瀬米吉  宮本 邦彦     瀧井治三郎  平沼彌太郎     鈴木強平   岩男 仁藏     三浦辰雄   岡村文四郎     加賀 操   赤澤 與仁     飯島連次郎   —————————————
  63. 羽生三七

    委員長羽生三七君) なおこの機会にかねて当委員会の懸案でありました電柱の敷地補償料に関する件で飯島議員から発言を求められており、只今田村電気通信大臣も出席されましたので、この問題に入ることにいたします。
  64. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 電柱敷地の補償料に関しましては、先般の農林委員会において私が施設局長に質疑を申しましたところ、その御回答を得て、その後二、三の折衝を遂げて今日に至つておるのでありますが、本日は特に大臣の御出席を求めて、本件に関する明快な御答弁を煩わしたいと考えまして、二、三の点で御質問を申上げたいと考えるのであります。電柱敷地の補償料の改訂に関しましては、田村電通大臣初め、関係御当局の皆様の御努力に対しましては深甚の敬意と感謝を捧げたいと考えます。この問題に関する該当者の要望はかねて御承知通りでありますが、要約いたしますと、左の四点であります。即ち第一は、補償料額を合理的に改訂してもらいたいということ、第二点、支払の方法を従来は請求を待つて支払うということになつておりましたのを、今度は改めて請求を待つことなしに積極的に支払うということ、それから第三点、右の支払は受取該当者から委任がある場合は、農業協同組合が一括して支払の請求をすることができる、こういうふうに改めてもらいたい。それから第四点既往の未支払分補償料をこの際請求を待たずして積極的に一括して支払つてもらいたい。以上が該当者からの要望の要約であります。而して電通省との取きめの如何は、国鉄その他全国の配電会社等との取きめに対しましても影響するところが非常に大きいのでありますので、関係方面からは非常に刮目をされておりますだけに、特に愼重を期して頂きたいのであります。  補償料額については、先般全国農村電柱敷地補償料対策協議会が設定をされまして、この要望は電柱一本について合計して百三十四円を要求しておるのであります。これに対しまして、電通省の今日までの見解を伺つたところによりますと、大体左の二点に要約ができると考えるのであります。即ち第一は補償料額に関しましては、電柱一本、これは支線もおのおの一本と計算をいたしますが、年額田面に建設してあるものについては二十七円、畑は十六円、宅地は十一円。第二は支払の方法でありますが、従来は請求を待つて支払つてつたのでありますが、今後は次の方法によつて請求を待つことなく積極的に支払うということ、即ち、現に電柱が存在する土地については各会計年度において支払をする。それから第二は新たに電柱を建設する場合には、本柱については十五年分、それからコンクリート及び鉄柱については五十年分、但し、年五分の利率で期間一年の復利で割引きをして得た現価格として計算をするわけでありますが、こういう計算方法による金額を前払をする。それから次には、時効及び遡及は従前の取扱によることとする。而して、支払の具体的方法はまだ決定をしておらない、こういうふうに了解をしておりますが、この了解に間違いはあるかどうか大臣にこれを先ずお答えを願いたい。
  65. 田村文吉

    ○国務大臣(田村文吉君) 只今飯島委員からお尋ねのございました電通省がこの問題についてどういう見解を持つて進んで来ておるかということについて各項目について御指示がありましたが、すべて御指示の通りに間違いありません。
  66. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に改訂補償料については電通省では大体次のように算定されておるのでありますが、即ち第一は補償料額は土地の占有補償と、労力の損失補償という二つに分けて計算の根拠を示しておられるわけであります。土地の占有補償は占有面積の土地に対する投下資本を補償する建前として、地方税法により評価される土地の価格の百分の五を基準とし、電柱一本当り年額田が二円、畑が一円とするということ、それから次には労力損失の補償は、電柱の存在によつてこうむる労力の損失は主として耕起及び代掻きの場合が主でありますが、電柱の支障に基く畜力による作業不能の地積を算定して、これを人力によつて耕起又は代掻きをすることとし、その際の人力の損失を基準として電柱一本当り年額田が二十五円、畑が十五円とする。右のように了解をしておりますが、間違いはありませんか。
  67. 田村文吉

    ○国務大臣(田村文吉君) 電通省で計算いたしました基礎はその数字によつておりますことに間違いありません。
  68. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 土地の占有補償を土地資本利子によつて算定するということについては従来の農業の慣例から考えまして、根本的な問題に触れて参りますので、このやり方を原則として、或いはこれを基準として認容するということについては若干反対の意見を持つておりますので、これは暫らく留保することとしたいと考えるのでありますが、又かかる種類の補償は対策協議会が要求する減収補償によるべきか、又は電通省のやり方のような土地占有補償によるべきか、ここにもまだ問題が残されておるのであります。併しこの問題に関する右のような根本的の問題の検討は暫らくおくといたしまして、この際は全く事務的にこれを処理する便宜上、一応電通省の見解に従つてやるのも一方法考えたのであります。こういう見地からいたしまして、この基本的考えの下に、去る三月の十七日から二十一日まで群馬県下において全国指導連及び全国農民連盟が共同して行なつた実測の結果は、別の資料のように電通省の算定のものとは測定の結果かなり計数に開きが出て参つたのであります。これに対しては、大臣はどういうふうにお考えになりますか。その御見解を伺いたい。
  69. 田村文吉

    ○国務大臣(田村文吉君) 折角群馬県で詳細に御調査になりました実例であるというお話でありますから、十分その結果につきましてはこれを検討させて頂きたい、こう考えております。
  70. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 全国の対策協議会から要求しておるのは、そのほかに防腐材が流れるために起る減収、それから鳥の害及び立替工事等によつて起る損害も、勿論相当にこれは補償してもらわなければならないのでありますが、最も重要な問題は、労力を損をするというこの補償であります。この点については特に愼重な考慮を払つて頂かなければならないのでありますが、電通省はここに鑑みまして、今回全国指導連並びに全国農民連盟が共同して行なつた実測の結果を十分尊重して、これに基いて今まで考えられて来た補償料額の改訂基準に再検討を加えて、新らしく改訂基準を算定し、この新らしく算定された基準による補償料額の支払を期し、極めて速かにこれに必要な予算の実現を一つ図られたいのでありますが、なおすでに予算措置が講ぜられている分については、速かに支払をして頂きたいのであります。これについての大臣の御見解を一つ……。
  71. 田村文吉

    ○国務大臣(田村文吉君) 改訂の基準につきましては、当省といたしましても相当研究いたしたのでありまするが、なお実例の結果を尊重いたしまして、更に専門家の御意見も聞き、最善を期するように検討することにつきましては、今後十分の努力をいたしたいと考えております。而してその結果によりましては、必要な措置をとらなければならないことが起ることも考慮して参りたい、こう考えております。
  72. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 最後に補償料金の支払と受取については、全国対策協議会の要望もありますので、農業協同組合が代行をしたいということに対する政府の御見解を一つ
  73. 田村文吉

    ○国務大臣(田村文吉君) 電気通信省といたしましても、委任状によりましてまとまつた場合には、一括支払をすることについては何ら異存はありません。具体的の実施方法につきましては、十分御要望も考えまして研究させて頂きたいと存ずるのであります。
  74. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 以上が大体質問の要旨でありますが、最後にこの問題に関しまして、全国の該当者が非常に刮目をしておりますだけに、一刻も速かに一層の努力と誠意を以てこれが解決に当られるよう併せてお願いをいたしまして、質問を終ります。   —————————————
  75. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは食糧管理法の一部を改正する法律案についてなお若干質問がありますので、これを続行することにいたします。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 この問題については、私はまだお尋ねしなければならん問題がたくさんあるわけでありまするが、今日はそのなかの一つだけをお尋ねして置きたいのであります。それは、この前の委員会におきまして、小林委員並びに私から四月—六月の外貨予算におけるところの食糧輸入代金が削除されるのではないか、こういう質問をいたしましたときに、政務次官は、そういうことはないということを言われたわけであります。そういうことがないということは、どうなるのかわからないという意味なのか。或いは絶対にさようなことが起らんということなのか、そういうことを重ねてお尋ねしましたが、そのときの答弁は要領を得ません。そこで私は問題を変えまして、若しさようなことが起つた場合には、食糧の輸入計画に政府の当初の計画通り行かない問題が出て来るのではないかと、こういう質問をいたしましたが、これに対しましても、そういうことはないのだから考える必要がないという答弁があつたように記憶しておるのであります。ところがこの問題につきまして、本日の新聞には、もつと、従来の報道よりは具体的な内容に亘つて報道されておるわけでありますが、なお政府のほうは、さようなことはないという見解を続けて表明されるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。これはこの前の答弁が政務次官でありますから、政務次官からお答え願いたい。
  77. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは先に政務次官からお答え願います。
  78. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 只今お尋ねは、現在のところ減額をするというような意見のあることは事実でありまするが、こちらといたしましてはさようなことは困るということで、目下強く主張をいたしておりまするので、前回申上げました事柄とは多少相違がありますが、さように御承知を願います。
  79. 江田三郎

    江田三郎君 これは本委員会が曾つて政府に対して食糧問題について中入れをいたしました際に、食糧問題については、愼重の上にも愼重を期して頂きたいということを申上げたことを政府のほうでもよく記憶しておられると思うであります。食糧がどうなるかということは、国民の大きな関心の的でありまして、仮にも新聞の一つの端にでも、その需給計画について影響を及ぼすような記事が出るということになると、国民としましてはそこに必要以上の揣摩臆測を逞しくして不安を増大しなければならんということもおわかりだと思うのであります。そこで私は先回の委員会のときにこの点についてお尋ねしたのに対して、甚だ誠意のない態度で問題を糊塗されようとしたことを非常に遺憾に思うのでありますが、事態が変つたと言われるならそれでよろしいが、それなら政府がそういうことのないように今なお折衝中だというのなら、そういうことになつては困るというので、そういうことがないようにというので折衝中なら、必ずやこの問題が新聞に伝えられるような方向で終局を告げるということになると、食糧の需給採算上、需給計画の上に影響があると思うでありますが、その際政府はその影響をどう見ておられるか。若しそういうようなものがきまつたとしたならば、これをどう善後措置つけようとざれるのか、その点を明らかにして頂きたい。
  80. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 経過の内容につきましては食糧庁長官から答えまして、併せてそれに関する見通しについても食糧庁長官のほうから答えてもらうことにいたします。
  81. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 四—六の外貨予算につきましてはお説のようにいろいろ問題がございまして、私どもといたしましては相当大量のものを入れたいという観点から、内部的にも折衝いたしております。大体それが相当数量に決定を見まして、関係方面とも折衝を続けておつたのでありますが、只今のところそれがなかなか実現が困難だというような状況になつておりますることは、只今政務次官からお話のあつた通りであります。この点は今後におきまする食糧需給の面にも大きな影響を持ちまするので、私どもといたしましては強くこの点は主張いたしまして、大体当初予定いたしたものを確保いたしたいというつもりでやつておるわけであります。若しこれが仮にできない場合に、主食の見通しの問題はそれだけ穴があくのではないかいう点になるわけでございまして、これは結局翌年度の問題になるかと思います。四—六で買付けましたものの実際の到着は、やはり六月も若干入りましようが、それから先の問題になりまするので、結局アメリカの会計年度でいえば、翌年度の問題、それから日本の会計年度で申しましてもまあ新会計年度の問題になるわけであります。この点については翌年度の需給計画といたしまして、私どもは三百二十万トン程度のものは少くとも輸入をしなければならんという大綱で以て、いろいろ只今作業を始め、又関係方面とも折衝をいたしておるわけであります。その実現がどうなるかということでありますが、四—六は御承知のように大体穀物の端境期になつております。従つて買付の時期といたしましては、余り適当な時期ではございません。それはもかかわらず、まあ需給上からどうしてもできるだけ手持ちを多くしたいという意味で、まあ強く要請しておるわけでありまして、この端境期を経過しまして、相当食糧が出廻り時期になりますれば、その間において又埋め合せもつくということになりまするので、翌年度の需給計画の輸入予定数量というものを決定いたしまするならば、それを四—六のみの外貨に頼つてどうこうするということじやなく、年間を通じての輸入問題を考えて見ますれば、その間の調整はできるものと思います。
  82. 江田三郎

    江田三郎君 どうも聞いておりまして、腑に落ちない問題が出て来るわけでありまして、明らかにこれが若し新聞に伝えられるような方向に行くと、穴があく、穴があくけれども、それは来年度の問題なんだ、七月以降の問題なんだというような答弁をされて、一体政府のほうの食糧需給計画というものは、麦の統制撤廃をしようというような問題は、六月までの計算だけで果して立つていいのかどうか。もつと我々は食糧については長期の見通しを持たなけれでならんと思うのであります。而も来年度において三百二十万トンを云々されますけれども、作業をしただけでは何もならんのでありまして、問題は予算の裏付ができなければならん。而もこの問題につきまして、先だつて委員会で片柳委員が質問されましたけれども、この七月以降のガリオアにおいては恐らく食糧輸入に望めないのではないかというような見解もあるわけであります。只今のに附加えてなおもう一つ申しますというと、長官の話を聞いておりますというと、四—六は端境期だからして、もつと時期がずれてから輸入ができるのではないかというような漠たる希望が述べられたようでありますけれども、これ又、我々が納得できないことである。そうして問題は今端境期だから買付けられないということでなくて、買付けができておるが予算の裏付けができないということなのであります。予算の裏付けという問題は今後いよいよ深刻になつて来るわけであります。特にガリオアの内容が変つて来ますならば、もつと深刻な問題が起るわけであります。そういうことについて、ただデスクプランで以て漠たる希望を持つて、食糧問題を立案施行されるということは国民としましては、大きな迷惑至極でありまして、そういう点につきまして、繰返して申しますけれども、参議院が、この当委員会政府に申入れましたところの食糧問題について愼重の上にも慎重を期さなければならんということは、單なる言葉だけではないということを十分にお考えになつて頂きたいと思います。どうせこれ以上質問したところで答えが得られませんから質問はこれでやめて置きますけれども、政府の態度を改めてもらいたいと思います。
  83. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) お答えは必要ないようでありましたけれども一言申上げますが、予算の裏付けがないということではありませんので、それだけのものを買付けるかどうかということについて折衝をしておるのであります。それが買付けるということにきまりますならば、予算のほうはやりくりはつきます。
  84. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 食糧管理法解釈につきましてこの際お聞きをしたいと思うのでありますが、実は昨日か一昨日の埼玉新聞の記事を見ますると、今問題になつておりまする食糧管理法の一部を改正する法律案が国会を通らない場合におきましては、食糧管理法の政令以下の規定を改正して、実際的には麦の統制を外し得るという研究をやつておるという記事を私見たわけであります。これは実は食糧管理法の第二條は現行法では米麦、甘藷、馬鈴薯、雑穀、その他政令で以て定める食糧というようになつておりまして、これを政府に売渡すべしというようになつておりますが、実は雑穀は法律改正しませんで、政令以下の改正で実際的には零になつて参ります。政府に売渡すべき数字は零ということになつてしまつておるのであります。この解釈通りまするならば、やはり米でも、法律はそのままにして置いて、政令以下で、法律の本旨を滅却できるということになるわけでありまして、これは私は解釈上の相当疑義があるかとも思いますが、まさか国会で否定されたものをやるというようなことはないと思いますが、現在でも政令以下の改正で本法第三條の米麦等の生産者は命令の定むるところによりその生産したる米麦等にして命令を以て定めるものは政府に売渡すべしというような規定がありますが、これはやはり政令以下でできるという解釈が正しいかどうか。この際念のために一つお伺いしたいと思います。
  85. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) まあ法文の形式的の解釈からいたしますれば疑問はあろうかと思いますが、それはできるというふうに考えております。ただものによりけり……と申しますと変でありますが、実際論に入りますると、麦も法文の改正をしないでやれるかどうかというようなことになりますると、これは国民の主食の大宗をなすものでありまするので、その辺を考えますれば、法律改正をやらないでやるということは勿論適当でもないし、そういうことはやるべきことでもないというふうに考えております。
  86. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            鈴木 強平君            三浦 辰雄君   衆議院議員    川端 佳夫君   国務大臣    電気通信大臣  田村 文吉君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    食糧庁長官   安孫子藤吉君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農地局災    害復旧課長   川名 進一君    農林省畜産局競    馬部長     井上 綱雄君