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1951-03-20 第10回国会 参議院 農林委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)    午後一時五十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員永井純一郎君辞任につき、そ の補欠として三輪貞治君を議長におい て指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農林政策に関する調査の件  (蚕糸対策に関する件) ○積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法案  (衆議院提出) ○競馬法の一部を改正する法律案(衆  議院送付) ○農業委員会法案内閣送付) ○農業協同組合法の一部を改正する法  律案池田宇右衞門君外五名発議)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日の議題は最初に農業災害補償法の一部を改正する法律案といたしますが、本件につきましては、先の委員会で特別の御意見もなければ採決に入りたい旨申上げ御了承を得たわけですが、なお格別の御意見がございましたらこの機会にお願いすることにいたします。……御質疑もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは御異議がないものと認めます。  討論に入りますが、御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは採決を行います。農業災害補償法の一部を改正する法律案原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致原案通り可決決定いたしました。なお前例によつて諸般手続委員長に御一任をお願いいたします。なお参例によりまして賛成のかたの御署名を順次お願いいたします。   多数意見者署名     西山 龜七  片柳 眞吉     岩男 仁藏 池田宇右衞門     白波瀬米吉  瀧井治三郎     宮本 邦彦  江田 三郎     小林 孝平  三橋八次郎     三輪 貞治  赤澤 與仁     溝口 三郎
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは次に他の日程がございますが、政府委員出席ちよつと遅れますので、変更いたしまして、蚕糸業振興に対する申入の件をお諮りいたします。この件につきましては、先般来小委員のかたがたが御会同願いまして、小委員会の一応の草案ができましたのでこれを御報告願います。
  7. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それでは私から、皆さん承知通りでありますけれども御報告申上げます。  実は蚕糸業は、戦前には桑園が七十一万町歩養蚕戸数は二百十六万戸、それから繭の最大生産量は一億六百五十万貫もとれまして、そうして五十六万俵の輸出を見ておつたのであります。その当時は大体日本の総輸出額の四四%七というような数字を示しておつたのであります。ところが戦争のために平和産業であるということと、食糧関係で強制的に、而も補助金まで出して桑を抜いてしまつて、そうして戦後には僅かに十七万町歩程度桑園減つてしまつたのであります。昭和二十二年の繭の生産額は千四百万貫というような、実に見る影もないような蚕糸業になつたのでありますが、その後自立経済を推進しなければならんという建前から、蚕糸業は相当一般関心を持たれておつたのでありますが、併しながら依然として食糧事情関係や何かで今日まで増産を見ることができずに参つたのでありますが、併し昨年のような僅かに十五、六万俵ぐらいな生糸生産でありますけれども、併し日本輸出金額の大体一割程度生糸のいわゆる金で外貨が獲得されておるような現状であります。漸く今日食糧事情も或る程度緩和されましたし、又自立経済を推進する上においては何としても現在は輸入輸入ということがやかましく言われているけれども、昨今のように一朝ドルが少し減つて来ると又非常に輸出が叫ばれるのはこれは当然でありまして、何としても輸出ということが日本のいわゆる自立経済の上から考えられなければならん。又一面農村のほうにおいても最近のようなふうに農作物闇価格が殆んど姿を消した今日では、現金収入を何で求めるかと言えば、結局全国亘つて、而も確実な現金収入の途は、或る程度養蚕を取入れた農村経営に移らなければならんような現状になつておりますけれども、併し政府の本年の予算を見ましても、又今日予算委員会において、或いは農林委員会において殆んど蚕糸というものは取上げられていない。これでは甚だどういう考えであるかわからないような現状にあるのでありますから、それでこの際に何としても先ずどの程度まで……、戦前のようなふうに、もうそのときの価格に任して、農家自由意思によつて勝手に非常に殖えたり減つたりということを放任するというようなことでは戦後の農村経営としてはいかんのだから、或る程度までの見込を立ててここに一般農作物との関係も考慮して、いわゆるどれくらいにすべきであるかという目標はつきり立てなければならんのじやないかというようなふうに考えるので、昭和二十一年の八月に一応の五カ年計画を立てたのでありますけれども、それはもうまるで反故のようになつてしまつておるのであります。今日の段階では昨年の状態においても約二十七カ国に生糸輸出されておる。生糸は殆んど日本の独占的な生産物建前にあるのであります。なお最近は非常に輸出が殖えておるのでありますから、この際にはつきりした具体的な目標を、而も蚕屋だけが立てたのでなしにすべての立場から見ました、いわゆる蚕屋が一人で立てたというようなものでない、本当に国としてこうあるべきであるというような一つ目標を定めて行くべきである、こういうふうに考えて、第一の問題は申入をしたい。  それから第二番目の問題は、御承知通りに、近頃の物価上つたとか下つたとか言いますけれども、一般物価動きというものは一割とか或いは三割、或いは今後高くなると言うても……まあそういうような動きを以て非常に高い、安い言うておりますが生糸、の現状を見ますと、昨年の六月の春繭の出廻り時期には十一、二万円の生糸が、八月の月には二十万円になり、又本年の二月に至つては三十万円以上の価格を示したというような状態であります。だからそのああいう単価の高いものが三倍の価格、五、六カ月の間に三倍の価格というようなことは実にこれは無関心で置くわけには行かないような現状であるのであります。そうしてそのことはやがてそういう逆の面を考えざるを得ないのでありますから、この際にどうしても蚕糸というものに対して或る程度養蚕家、或いは製糸家、この業に携わつておる者が安心して行けるという一つの国策が立てられるべきであると思うのであります。で、これをどうしてもこの際に立てなければならん。それに対して実は戦時中にできた蚕糸統制会社、或いはそのあとを受けた蚕糸業会なるものが、いわゆる解散を命せられた。こういう二つの団体の清算に当つて価格差益金を八十一億ほど納めまして、そうしてなお残つた清算剰余金が現在蚕糸業会のほうでは十二億八千万円金がある。この金はどこに帰属するかと言えば、これは政府が取るものでもないし、又どこがどうするということもない。結局煎じ詰めたら、僅か二千万円で蚕糸業会出資によつてできた。それに対してまあいわゆる権利はそこにあるということになつておるのでありますが、それでそういう僅か二千万円に対して十二億もの金をどうするというようなことに対しては、この際どうしてもこれを一般出資者の了解を得て、そうして今後どうしても作らなければならんという一つの何と申しますか、資金としてこれを確保すべきである。なお蚕糸統制会社のほうはこれは糸価安定積立金として一億ほどの金があるのであります。それを合せますと丁度十三億八千万円ほどある。先ず以てこれを一つの今後そういう蚕糸対策を作るときの引当てにこの際是非してもらいたい。これももう閉鎖機関のほうはすでにすべてのものが全部処理が済みまして、このものの処理だけが残つておる。これをぐずぐずしておつたら結局これは処分を余儀なくされるということになるのでありますから、この際に皆さんと共に、政府としてどうしてもこれを一つ確保するということに考えてもらいたい。  第二番の問題は、よく申します通りに、養蚕を今後推し進めて行くには、どうしても今後の蚕糸業というものは少くも三十万俵乃至は四十万俵程度までに私は持つて行くべきである、こういうふうに実は考える。それに持つて行くには何としても一番大事なことに、養蚕指導奨励です。殊に実際を見ますと、戦前に反当り十六貫くらい取つてつたものが、昨年の実際を見ると、まだ十一貫より取つていない。どうしてもこれはもつと反当り収穫を殖やすことを考えなければならん。これはやはり指導者の責任だ。第二の問題としては今後、戦時中からは養蚕がそういうふうに廃つてつたために、殆んど桑園肥料を使わずに無肥料のような桑蚕を飼つてつたために養蚕違作率は低かつた。ところが今後いわゆる配合肥料を使うようになると養蚕違作率は非常に高くなる。これを救済するのもやはり第一線の指導者である。この指導者をどうしてもこの際に拡充強化して行かなければならんと思うのでありますが、二十六年度の予算を見ますと、普通農事に比較しまして僅かに五分の一である。こういうことでは同じ国庫から支出するものが一方は五分の一で、一方は非常に優遇されておるということではいかんので、どうしてもこれは普通農事と同額の国庫の支出を早急にしてもらいたい。こういう三つの点をこの際に是非申入をいたしまして、政府に要望したい、こういうことの趣旨でありますから、どうかよろしくお願いします。
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今の、白波瀬さんの御報告にあつたように、この小委員会決定されたようでありますが、右に基いての申入案文専門員から朗読いたします。
  9. 安楽城敏男

    専門員安楽城敏男君) 昭和二十六年三月二十日、参議院農林委員会周東経済安定本部長官廣川農林大臣池田大蔵大臣各宛、蚕糸業振興に対する申入、これは案になつております。   蚕糸業農業経営及び国民経済上重要な地歩を占め、生糸及び絹製品は戦後もなお輸出の大宗として国家経済に大きな貢献をなしている。  最近生糸及び綿製品の需要は急速に復活の機運にあり、これに即応することが我が国経済復興に寄与するところ大なるに鑑み、政府蚕糸業振興のため速かに次の事項を実現せられたい。   一、内外の諸情勢と食糧事情を勘案し、衆議に諮つて急速に将来の蚕糸業に関する目標を定め、これに基いて諸般施策を総合的に推進すること。   二、昭和二十五年における糸価の高騰は誠に異常なものがあつて、その様相はあたかも戦前のそれを繰返しているごとき情況なるに鑑み、蚕糸業の安定に関する方策を立て、速かにその実施を図る必要に迫られているので、この際日本茶系統制株式会社及び日本蚕糸業会清算剰余金を最も有効に活用するよう措置すること。   三、養蚕農家技術指導を担当している養蚕指導員待遇改善と身分の安定について一般農業指導員に準ずる取扱をなすようこれに必要な措置を講ずること。   四、右一、二及び三について速かに政府の方針を擁立し、今三月中にその結果を当委員会報告せられたいこと。以上。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今朗読しました案文を御決定願つて、それぞれの所管大臣申入をすることを御決定願いたいと思いますが、この草案通り決定することに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは決定をしたことにいたしまして、これをそれぞれ関係大臣に伝えることにいたします。なお本日蚕糸局青柳糸政課長も列席されておりますので、この当委員会趣旨を御了承願つてここに明示されておりますように三月中とありますが、成るべく早い機会にこれの対策について当委員会宛報告願いたいと思います。   —————————————
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは次に積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法案審議に入りますが、この件については先日の質疑はもう大部分尽されておるように思いますけれども、なお御意見のあるかたは丁度衆議院から松浦さんも御出席になつておりますので、この機会にお述べ願いたいと思います。
  13. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 本案につきましては、すでに委員長只今報告通り質疑は尽されておるから、直ちに御決定あらんことをお願いいたします。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと一つ質問しますが、この積雪寒冷地帯はどこどこだということは、対策審議会ができてからきめるようになつておりますが、大体提案者考えておられるのは、積雪寒冷地帯というのは、例えば東北だけでなしに、中国地方なんかの中国山脈寄りの奥地、こういうようなところもそれに該当するようにお考えになつておるのですかどうですか。
  15. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) 区域の設定につきましては、法文の第二条に明示いたしておる通りでございます。この法律提案者としましては、あらかじめこの区域を想定することは多少越権的な行為ではないかとも考えられるので、すべてはこの法文通り審議会に委任いたしたい、そういう考えを持つております。ただ大ざつぱに、これは非常に恵まれない積雪寒冷單作地帯と申しますのは、南北に細長い日本のことでございますので、北日本並び裏日本のほうがこれに該当するのではないか、こういう漠たることしかないわけでございます。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 積雪寒冷が甚だしく、且つその地域内における農地利用率が低くて農業生産力が劣つている道府県区域、こうなつておるのですが、これがはつきり、伺いますが積雪寒冷と、そうして農地利用率が低くて農業生産力が劣つているというこの三つ条件が全部揃つたところを言うのですか、その一部分だけでもいいのですか。
  17. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) 大体お説のように、これは三つ立地条件を具備したものこれを指すことに考えております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 そうしますと、例えば東北地方における、農地利用率が低くて、農業生産力が劣つている、寒冷ではあるけれども積雪は余りない地帯もあるわけですが、そういうところは入らないことになりますか。
  19. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) これは農林大臣道府県単位にこれを区域として指定することになりますので、その県内のことで、たとえ指定を受けましても、これに該当しないものはその県内において除かれるのではないか、そういうふうに思つております。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 道府県単位にするということになると、先ほどちよつと触れましたが、例えば中国地方中国山脈寄りなんかは、部分的にでありますけれども、はつきりこれに該当する地区があるわけで、そういうものが道府県単位にしたときには外されるのではないかというような気がするのですが、同じく積雪寒冷地帯ということになれば、全国的にただ単に北日本、或いは裏日本だけでなしに、そういうところに明らかに積雪寒冷甚だしく、且つ農地利用率等々の条件に当てはまつておれば指定されるものと思いますが、そういう御意向なんですか。
  21. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) 衆議院質疑応答の中にも大体同じような御質問があつたようでございますが、これは我々としてはこの衆議院のその質問を見ましても、その解釈を拡げたい、拡げるべきである、そういう御主張はあつたわけでございますが、我々としましてはどの県を指定するということは到底言いかねると思います。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 どの県ということを言つておるのではないのでして、提案者の意図されるものが北日本及び裏日本だということにちよつと先ほど言われましたが、そうでなしに、この法案を率直に読むというと、必ずしも裏日本及び北日本でなくとも、これに該当するところが表日本の西のほうにもある、ただそういうときに、それが極めて限られた少部分だというので、道府県というものを単位考えられるときにはオミツトされる虞れがあるのではないか、そうすると、少し変なことになりはしないかということを申上げたので、これは私は具体的にどの県ということを申上げるのではなしに、そういう原則についてのお尋ねであります。
  23. 松浦東介

    衆議院議員松浦東介君) 三つ立地条件を具備したもので、又或いは積雪とか、或いは寒冷とか、或いは農地利用率とか、或いは農業生産力というようなものにつきましては、それぞれ農林省その他に一つの資料があると思うのでありますが、そういうものを提示いたしまして、審議会では衆智を集めて審議することに相成るだろうと思いますが、私どもはこの三つ立地条件さえ具備すれば必ずしもどこ、或いは北日本とか、或いは裏日本とか、いう、そういう限定はいたすわけはないのである、こういうふうに思つております。
  24. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言はございませんか……それでは御質疑もないようでありますので、討論に入つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。賛否を明らかにしてお述べを願います。
  26. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私はこの法案には全面的に賛成をいたしますが、ただ特にこれは提案者に御要望いたすのでありますが、農業振興計画を実施するために必要な経費予算に計上する、こうなつておりますが、この点につきまして我々も勿論協力いたしますが、特に提案者におきまして今後政府側と極力折衝して頂きたい。特にこの前の質問でも私申上げたわけでありますが、国の財政の許す範囲、こうなつておりますが、従来の早場米奨励金等を減額したその経過を十分一つ尊重いたしまして、極力必要な経費を多く予算に計上して頂きますよう提案者に今後の御折衝を希望いたします。
  27. 小林孝平

    小林孝平君 先般の質疑の際にも申上げました通り、この法案早場米奨励金の振替えであるというような誤解を一部に与えておりますから、我々は飽くまでも早場米奨励金早場米奨励金として要求する。この法案に基いての事業はこの事業として別個に予算を組むとして、政府は積極的に施策を行うという意味におきまして、この法案賛成をいたします。
  28. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 私はこの法律案に全面的に賛成するものであります。ただとの前にも私申上げましたように、国内の食糧増産を図りまして自給度を高める、こういうような意味におきましては、果してこの東北地帯に投資したほうがいいか、或いは西日本の暖い地方に投資したほうがよろしいかというようなことになりますると、例えて見ますると、排水事業などの関係からいたしましても、四国九州などにおきましては、排水するとその翌年から二毛作ができる。気候の制約を受けないで直ちに増産になるという一面もあるわけであります。なお又この法律案におきましては積雪寒冷というようなことを農業障害の二大要素に掲げられておりますが、四国九州におきましてはこの二つ要素こそは東北地方より軽いのでありますが、それに代るべき農業を妨げます気候的要素も存在しておりまして、農家の苦衷というものは必ずしも寒冷地のものに劣らん事情があるのでありまして、そういうような事情なども将来この法律を十分に敷衍して活用して頂くというようなことをお願い申上げたいのでございます。いずれにいたしましても、レベル以下の気象的関係によりまして農業経営をやつておるものを速急に救い上げまして食糧増産に加担させるということは極めていいことであります。又この法律が成立した上におきましては、政府のほうといたしましても予算を十分計上いたしまして、農業経営に、この地帯農家を一日も早く安心立命させまして、そうして増産に励むように特にこの予算を十分に出して、この仕事の成果を早めるということを要望いたしまして賛成するものであります。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 これに賛成するのでありますが、先ほどちよつと質問の中で申述べましたように積雪寒冷が甚だしくして、そうして農地利用率が低いというどころは必ずしも北日本及び裏日本だけでなしに全国的に、広汎な面積はないですけれども、やはり点在しているわけですし、而もそういうところはこの府県内においては、やはり全国的に見て北日本及び東北が遅れておるように、その府県内では非常に遅れた形の経営なり或いは経済状態にあるわけなんですから、この地域指定されるときに、そういう点を十分に考慮されるように希望して賛成いたします。
  30. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 私は江田さんの希望事項と大同小異でありますが、実は具体的に食糧増産という大きい観点から見たときに、ひとり積雪寒冷地帯に重点的にこれをやるということはどうであろうということは、この前質問をして政務次官の意見を聞いたのであります。九州四国など暖国の増産を阻害するいろいろな要素があるのであります。財政的な援助があれば相当増産ができるということは必至であります。そこで恐らく将来そういう地帯ではこれに類するような立法を提案することと思うのでありますが、そういうときには一つ皆御協力を願いたいという要望事項を出しまして賛成いたします。
  31. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 別に御発言もなければ討論は終局したものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより採決を行います。  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法案原案通り賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立
  33. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。従つて全会一致を以て原案通り可決をいたしました。なお前例によつて諸般手続委員長に御一任をお願いいたします。なお賛成のかたの御署名を順次お願いいたします。   多数意見者署名     西山 龜七  片柳 眞吉     岩男 仁藏 池田宇右衞門     白波瀬米吉  瀧井治三郎     宮本 邦彦  江田 三郎     小林 孝平  三橋八次郎     三輪 貞治  赤澤 與仁     溝口 三郎   —————————————
  34. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に衆議院議員小笠原八十美君外七名のかたの御提案にかかる競馬法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の説明を求めます。
  35. 川端佳夫

    衆議院議員川端佳夫君) 只今議題になりました衆議院議員小笠原八十英君外七名の提案にかかる競馬法の一部改正法案提案理由を御説明申上げます。  現在国営競馬は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜中京、京都、阪神、小倉及び宮崎の十二個所となつておりますが、諸種の事情により現実に使用に供せられているのは新潟横浜中京及び宮崎を除く八競馬場であつて原則として年三回以内を開催することができ、天災地変その他止むを得ない事由があつて、一競馬場において年三回開催することができないときは、その隣接競馬場において僅か年四回開催することができるようになつているのであります。然るに地方競馬においては全国を通じて七十八競馬場と一六九(都道府県四十六、指定市町村一二三)の開催主体があり、年間三百六十五日連続競馬を実施してもなお日足らざる情況にありまして、国営競馬に比し、地方競馬は実質的に競馬場ごと開催回数の増加がなされているのと同様であり、従つて国営競馬馬主地方競馬馬主に比し自己の馬を出走せしめる機会に乏しく、ために馬主経済も亦危機に瀕し、国営競馬繋養馬にして地方競馬へ移動するものが極めて多いのであります。かかる馬主経済危機国営競馬繋養馬地方競馬への滔々たる移動とは、従来我が国競馬最高水準として健全な進歩発達を遂げて来た国営競馬危機でもあります。且つ又地方競馬に多数の競走馬が流出するにおきましては、競走馬資源維持滋養という畜産上の観点からも甚だ憂慮に堪えないのでありまして、地方競馬における競走馬は明らかに酷使の傾向にあつて、僅か数カ月程度においてその馬体を消耗し、ために競馬重要機能の一たる種牡馬種牝馬たるべき優良馬生産地への還元ということは到底不可能であり、現在すでに戦前の五分の二に激減している軽種馬資源を更に急速に枯渇せしめ数年以内には国営たると地方たるとを問わず、競馬自体の壊滅を招来することは必至の趨勢であります。よつてこの危機打開の一策といたしましてこの際開催不能の国営競馬場の開催回数を他の競馬場において開催し、馬主経済の逼迫を緩和し併せて国庫収入の増加を図ると共に種牡馬種牝馬たるべき優良馬国営競馬において多数確保し、一定年齢到達後これを生産地に速かに還元し、軽種馬資源の維持涵養に資すると共に、健全なる競馬の存続を図ることが喫緊の要務であると認められますのと、且つ又国営競馬主団体の切なる要望の次第もありますので、至急これを実現せられたく、別紙競馬法改正案を提案いたしました次第であります。何とぞ慎重御審議の上速かに御賛同下さるよう御願いたします。
  36. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本件につきましては本日は提案理由を承わるだけにいたしまして、審議は後日に譲りたいと思います。   —————————————
  37. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に農業委員会法につきまして先般来の質疑を更に続行いたしたいと思います。
  38. 小林孝平

    小林孝平君 この農業委員会法では、十五人を選挙して委員を出しまして、五人を選任することになつておるのでありまするけれども、私はこの点が非常に問題があろうかと思うのであります。それは非常にむずかしい手続を履みまして、十五人を選挙して委員を選んでおるにもかかわらず、そのほか単にこれと別個に五人の選任委員があるということは不合理ではないかと思うのであります。この前の農業調整委員会におきましては最低十五人を選挙いたしまして、そのほかに三人の選任委員があつたのでありまするけれども、当時三人の選任委員を設置するということにいたしました理由は、まだ終戦後間もなくでありまして、一般に選挙ということに慣れない。それで選挙には、選挙をやつてまで委員に出たがらない人があるから、そういう人の中にも優秀な人があつて、是非委員に加えなければならんというような人を選任委員として三人加えるのだという理由の下に、この三人の選任委員ができたように記憶しておるのでありまするけれども、今終戦後すでに六年目でありまして、而もあらゆる事柄が選挙された人々によつて決定される、こういう時代に、選挙はいやだけれども、選挙されないで選任されたら、一つ出て来て意見を述べようというようなことば非常におかしい、こういうふうに私は考えておるのであります。特に十五人の選挙された委員に対して五人もそういう選任委員があるということは、私は一人でもおかしいと思うのですけれども、特に五人もいそういう委員を置かなければならないという理由が非常に不明確である。これは恐らく農業改良委員会関係の仕事を担当させるためにこういう人が必要であるというので、置かれたのであろうと思うのでありまするけれども、こういう点に考えて見ましても、この委員会というものはいろいろ非常に質の異なつた仕事を一つにまとめようとしたところに、こういう矛盾ができたのではないかと思うのであります。この点について一つ意見を承わりたいと思います。
  39. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 只今意見の中にもございましたように、従来は農業調整委員会、或いは農地委員会も選任委員は五名ということに相成つておるのでありますが、このたび立案いたします農業委員会というのは更にこの市町村における総合的な計画を立てるというふうな建前で、その仕事も広汎になつておるわけであります。更に又それについて是非ともさような計画を立てます場合に、出て頂かなけれりやならんというような人につきましても、或いは立候補はいたされないようなかたもあるように考えますので、やはり農業委員会のその目的を達成いたしますためには、従来よりも人数を若干殖やしまして、市町村における衆智を集めて、この具体的に立てます農業計画が地につき、又実行可能になるというふうにいたしたいという趣旨でこれを増加いたしたのであります。なお手続、選任のやりかについても、従来の農地委員会はこれは全員の同意ということに相成つておりますが、事実問題としてなかなか全員の同意が得られません実情でございまして、それを緩和いたしましたのでございます。
  40. 小林孝平

    小林孝平君 衆智を集めると言われるのでありまするけれども、衆智を集めるには選挙しない人が適当であるかどうかという点については、私非常に問題があろうと思うのでございます。例えば学術審議会のごとき、最も常識的に考えればそういう選挙を必要としない、選挙をしないでそういう中に加わればいいと思うような場合でも、そういう選任委員のごとき、それと類似の制度はない。そのほか私は他にこういう選任委員のごとき制度は例がないように考えておるのでありまするけれども、特に衆智を集めるために選任委員が必要であるという理由を承わりたいと思います。
  41. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは従来の農業調整委員会、及び農地委員会においても、すでに人数こそ若干減つておりますが、やはり選任委員というものを選びまして、それによつて、その決議が公正に、又妥当なところに落ちつくというふうな配慮をいたされておるわけであります。やはり農業計画を各般の面からこれを総合的に見て、実現可能性のある、又地についた結論を得るために、やはりこの委員会においてもさような人を入れることが私は必要であろう、ここの点は或いは御意見の相違に相成るかと存じますが、私どもとしてはさように考えます。
  42. 小林孝平

    小林孝平君 先ほども申上げましたように、農業調整委員会の三人の選任委員を置いた理由というのは、当時まだ選挙もそう頻繁に行われておらないので、この際特に選挙に慣れない人で優秀な人になつてもらうという意味で置かれたと、そう記憶しておるのであります。最近のようにあらゆる事柄が選挙されたかたがたによつて決定されるというような段階に来て、なお且つ選挙には出ないでそういうところに来て発言する、而もそれは選挙された人々と同一の資格において発言をするということは、非常に民主主義の原則に私は反すると、こういうふうに考えるのであつて、私はこれは農業委員会の問題のうち、最も重要な点であつて、単に意見の相違であるというようなことで片附けられない、こういうふうに考えておるものであります。
  43. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは先ほど申上げた議論を繰返すことに相成りますので、何でございますから、わざと申上げませんでしたが、私どもとしてはやはり農地関係の仕事、それから農業調整の仕事、それから農業改良の仕事、そういうふうに各般の仕事があるわけです。やはり市町村において現実にこういう人に出てもらわなければ計画が地につかないということもあろうかと思います。さような意味でやはり選任委員の規定はこれを存置するということが実情に即するというふうに考えております。
  44. 小林孝平

    小林孝平君 而もこの人数につきましては、この前の農業調整委員会の場合でも、三人の選任委員を置くということに対しましても、原案は四分の一だつたと思うのでありますけれども、非常にこれが民主主義の原則に反するというので、非常に反対があつた経過にも考えまして、私は更に三八から五人に引上げたという理由が非常に不明確であろうと考えております。なおこういうふうにこの選任委員を置くのは、改良委員会の仕事を担当させる必要上置かれたのだろうと思うのでありますけれども、そういう改良委員会の事務を担当させるために選任委員として選任された人が、他の供出の事務、或いは農地関係の事務の決議に参加するということは非常に不合理である。そういう人はむしろ特別の専門委員として参加すべきものであつて、この表決に加わるべきではないと私は考えるのでありまするけれども、これに対する御意見はどうですか。
  45. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 従来は農業調整委員会農地委員会、いずれもそれぞれ独立の委員会でございまして、それによつてつてつたのであります。それが今回は一つ委員会に統合されて、そうして従来の農地委員会及び農業調整委員会の仕事のほかに、更に改良委員会事業をやりまして、総合的にやるということになりましたので、私どもといたしましては決してこの委員の数が多いというふうには感じておりませんわけであります。更にこの農地関係の仕事にいたしましても、これはやはりそれぞれの立場から御意見も出て来ることであろうと考えますので、さような場合において他の視野からこれを批判し、公正な結論を下すというふうな意味の選任委」員というようなふうなものの存在、これも必要であろうと思うのであります。
  46. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 この法律案に対しまして、過日衆議院で修正が決定したように存ずるわけでございますが、これに対しまする政府の先ず御見解なり、御意見を承わりたい。
  47. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 政府といたしましては、先に階層別の建前を以て原案を作りましたので、それが実情に即して適当であるという見解を持つてつたのであります。併しながら国会において自由なる御批判の下にそれが修正されましたことについては、政府といたしましても、その修正の下に今後これを具体的に実現して行くということでやるほかはない、かように考えております。
  48. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 それから定員の問題に関しまする、国の財政的な予算の面に対しまする問題の附帯決議ですが……
  49. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは私どもも書記が一、二人になつておりますことは、私どもといたしましても当初予算要求の際には、極力二人は最小限度必要だということにやりました計画もあるわけでありまして、この決議の趣旨は全然同感でございます。従つて私どもといたしましても、今後とも速かにこれが実現をするように、政府といたしましても努力をいたしたいと考えております。
  50. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 都道府県農業委員会委員の数の問題であります。市町村の場合に十五人に、まあ学識経験者の五名は、小林さんの言われたような意見もあると思いますが、都道府県の場合に選出委員が十五名になつておりまするが、過去の割当の例から判断しますると、大体まあ各郡市の代表が大体選ばれておると思うのですが、そうすると十五人では各郡市から一名ずつ出ることができないという場合が私は相当にあるのじやないかと思うのでありますが、そういたしますと、供出関係では、或る郡なり或る市から委員が出ておらないということは相当私は問題があると思いますが、これを今少し殖やすというようなお考えがありますかどうか。
  51. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) この人数のきめ方は非常にむずかしいのでありますが、従来の経過を見ましても、余りにたくさんな人数でございますと、どうしてもその会議というものが、何と申しますか、円滑に行かないというようなことも従来あつたようであります。むしろ、割当の問題にいたしましても、一応できるだけ人数は少くしたほうがいいというような御意見すら私どもは拝聴いたしておつたのであります。従つて、その点も考慮をいたしましたが、やはり人数の点についてはむしろ十五人で、そのほかに選任委員が五人ということで、大体この程度で適当であろう。ただ割当をいたします場合には、これは食糧政府買入数量の指示に関する法律のほうで、いわゆる市町村農業委員会の代表者会議というものに諮問をいたしまして、従来郡の段階においては、恐らく代表者会議に諮問してきめるという、こういうふうに上から行くことに相成ろうと思います。さような見地で運用いたしますと支障なく行けるのじやないか。殊に又、今回の考え方が決議機関という考え方でなく、むしろ諮問機関というふうな考え方にもいたしておるわけでありまして、人数の点についてはその程度で大体行けるのじやないかというふうに考えております。
  52. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 今お話の郡単位以下では各町村の代表者会議で各町村から大体出て来られますから、郡内の町村別割当は大体私は行くと思うのでありますが、同じくそうできれば郡段階の各郡市から、一単位一名ぐらい出ませんと、これは過去の実例から見ましても、やはり相当に問題があるのじやないか。ですから、この辺は余り固定的な委員数にすることは、私は何も多いことを希望するものではありませんが、やはり私らは、こういつた各郡市から一人ぐらいは出るということのほうがむしろ円滑に運用がされるのじやないかというふうに考えますので質問したわけでありますが、更にその点についてお考え直すようなお気持がありますか。
  53. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) その点は当初もいろいろ研究いたしたのであります。又各府県につきましても一応何人ぐらいが適当であるかということを割当の責任者であるところの知事の意見等もいろいろ参酌をいたしたのでありますが、そういうふうなことからいたしまして、大体十五名程度で支障ないというような見当を付けました。従つて只今のところこれを直ちに直すという意思は持つておりませんが、今後その具体的な実情から非常にまずいというような節がございますれば、これは十分研究をいたしまして、足らないところは補なつて行きたいというふうに考えております。
  54. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その点は私更によく考えまして後ほどお伺いいたしたいと思います。  その次に、農業委員会の、特に農業改良関係の仕事に関連してでありますが、この委員会ではいろいろ農地の開発改良、保全、その他土地の生産条件の整理、或いは農業技術の改良、その他いろいろありますが、この場合に町村の予算等の関係でどういう方面に農業関係の助成をしたらよろしいか、これはまあ国なり県なり町村から来るいろいろの農業関係予算があると思うのですが、その予算の執行に対してこの委員会がどこのどういうところにどの程度予算をやつたらいいかというようなことについて市町村長に建議し、或いは答申することができまするかどうか。これはやはり農業改良普及事業と、その本来持ちまする農業関係との予算実施が相当関連を持つことが私は必要ではないかと思うのでありますが、そういうような予算の実施について相当な発言権がこれにありますかどうか。
  55. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) その点につきましては、私どもはいろいろと市町村に対して建議し、又意見を述べるということは当然できると考えております。
  56. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 この衆議院の附帯決議ですね。これは赤澤委員から質問されて農政局長から御答弁もあつたのでありますが、これは非常に大事なことですから、更に私から重ねて具体的に御質問申上げて見たいと思うのでありますが、実は二十六年度予算案における市町村農業委員会書記の給与に対する国庫補助は一、二人分となつているが、これを二人分とするという衆議院の附帯決議でありますが、これは私の所属している国民民主党が強く要求した問題でありますが、これがはつきりせんというと採決のときに私は大変迷うわけであります。この通り行けば私は賛成するのですが、若しこれが実際に相違してできないことになれば反対するつもりですから、特に念を入れて聞いて置きたい。これはつい二三日前の新聞に、廣川農林大臣池田大蔵大臣と、それから衆議院関係委員が協議したことが新聞に発表されております。廣川さんと、池田さんも善処する……善処じやあない、やるというような意味に私は新聞で見たのであります。今年の予算で八月末まではある、これはそうでしよう。そこで九月頃の臨時国会で補正としてあと足らんものを約五億ばかり出す。これは全体を通じて九億か十億になりましよう、一年の所要経費が……。そういうことをはつきり言われているというのでありますが、私はさつきこれは衆議院の我が党の農林委員と打合せたのですが、確かにそういう話であつたということを聞いたのでありますが、農政局長はこの間の事情をよく御存じでしたら一つ御発表願いたいと思います。
  57. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは廣川大臣が直接大蔵大臣の私邸にお出でになりましたときにその問題が出たのであります。私も丁度お供して参つておりましたのでわかつておりますが、この問題については大蔵大臣がその線に沿つて考慮するというふうにはつきりおつしやつておりましたですから、私どもとしては間違いないものと考えております。なおその点については本委員会等で大蔵大臣から直接聞いて頂ければその関係はつきりするだろうと思います。
  58. 小林孝平

    小林孝平君 この選任委員の五名は大体どういう人を予定されているのか、お伺いします。
  59. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 従来問題になつておりましたのは、例えば農業計画に具体的に非常に関係の深い協同組合の代表者、役員、或いは又予算にも関係を持ちますので、やはり市町村会及び県会の議長というような人がやはり現実に委員会に入つて委員として大いに参画をされて行くということが必要である。そういうようなかたたちが若しも立候補もされないでおるというような場合には、さような人を選任委員として選ぶことが適当であるというような意見が出ております。私どもも大体それに賛成するんであります。さような趣旨考えたいと思います。
  60. 小林孝平

    小林孝平君 私の言つておるのは、村における五人の選任委員を具体的にどういう人を予定しているかというこを伺つておるのであります。先ず協同組合の役員は……。
  61. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 協同組合の役員でございますとか、或いは市町村長ということもあろうかと考えております。それからそのほか改良事業関係の従来の公務員で非常に学識経験のあるかたも必要であろうと思つております。具体的にこの人とこの人とこの人とで五人だというふうには勘定はできません。さような人たちが若しも選挙によつて選ばれません場合には、それを選任委員として追加して行くということが考慮されております。
  62. 小林孝平

    小林孝平君 私はさつきからこの五人の選任委員というものが問題になつておる。是非加えなければならんということでございますので、具体的にどういう人間と……まあ十人くらいにしたいのだけれども、五人くらいで我慢するということかと思つていたら、今お伺いして見ると具体的には二人か三人しかないというのですから、どうもその点が不明確だ、もつと具体的に、この非常に不合理な五人というものを挙げておる以上は、具体的にこの人がいなければ困るというような人でなければ問題にならんのではないか。それから私は先日兼職禁止の規定に関して委員長にこの関係の係官をお呼び願つて質問をいたしたいと思つておりましたのですけれども、まだおいでにならんので、その点が不明確で、ちよつと今御質問するのには不適当であろうと思うのでありますけれども、私は今市町村長とおつしやいましたけれども、この農業調整委員会に市町村長とこの委員との兼職の規定の関係は不明確でありますから、ちよつとお尋ねしにくいのですけれども、市長村長がこの選任委員になるということは兼職禁止の規定の建前から少し矛盾しているのではないかというような考えがいたしておるのであります。これについては後刻研究いたしまして御質問いたします。いずれにいたしましても今お挙げになりました人数というものはどうも納得できない数であろうと、こういうふうに考えておるのであります。具体的に五人というのはどういう人間であるかということをお答え願いたいと思うのであります。
  63. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) ちよつと市町村長の話が出ましたが、この市町村の農業委員会委員は兼職禁止の規定はございません。ですから自由でございます。それから現在の農業調整委員会及び農業委員会でも同様でございます。市町村長も委員の中に入つております。何ら法律的には拘束いたしておりません。それから私は例示的に例えば農協の役員である、或いは市町村長と申しましたが、そのほかの農業団体の関係の代表者でありますとか、或いは又篤農家でございますとか、これはやはり村でその人が出てもらわなければ具体的にその計画ができないし、又実行可能な案ができないということは当然その村に入りますればわかることでございます。さような人たちを五人として選ぶというふうなことを考えております。
  64. 江田三郎

    江田三郎君 この提案理由によりますというと、農業委員会に要する経費原則として国の負担にするということになつているのですが、ところが予算を見ますというと、先ほど岩男さんが言われた書記手当の問題は別にしましても、例えば旅費であるとか、事務費であるとか、こういうものも非常に従来に比べて減つて来るわけですが、減つて来るということは農業委員会になつて従来の三つ委員会があつた頃に比べまして事業がうんと減るということを前提としておられるのですか。どういう理由で旅費なり事務費なりがうんと減るわけですか。
  65. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これはその村々の事情で非常に違うと思います。例えば或る村は農地関係の仕事がまだたくさん残つておるというふうなこともあるであろうと思います。併しながら大体全体を通じて考えますと、たびたび御説明をいたしておりますように、農地改革も大部分は完了いたしております。全体として非常に分量が減つておる。最近供出関係の仕事にいたしましても従来の事前割当をいたしておりました当時よりも対象といたしまする作物が減つて来て、現在では米のみを対象とする、こういうふうなことに相成つております。従つてさような意味から全体的にはやはり従来の三つ委員会でやつておりましたような点ではその仕事は減つて参りておると考えます。それで私どもといたしましては、これはその村々で何をどういう仕事が忙がしいのかということはこれは事情がそれぞれ違うのであろうと思います。少くとも三つ委員会一つにいたしまして、やはり極力経費を節減してそして国の負担なり、或いは市町村の負担を軽からしめ、而もその経費を有効に使うということを考えて行くべきだろうという趣旨から先ほど申上げましたように予算は減つておるわけでございます。幸い決議の御趣旨もございますので、決議の趣旨が実現するように努力いたして参りたいと考えますが、さようにいたしますれば決して十分とは考えておりませんが、先ず最低限度何とか行けるものと、こう考えております。
  66. 江田三郎

    江田三郎君 村々によつて事情が違うということをおつしやつたんですが、そういうことから行きますと、村村で事情が変つて、やるべき事業が例えば農地改革あたりが、非常にやるべき仕事が残つておるかも知れませんということをおつしやいましたが、例えばそういう村に応じて国が予算を出されるのでありますか。
  67. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは予算といたしましては、平均一、二人となつておりますが、併しながら或る村においてはむしろ一人でいいということもあるでありましようし、或る村においては事業分量から二人要るということもありましようし、結局その市町村の農業委員会事業分量を睨み合せまして画一的にやる必要はないのでありまして、それらの市町村の農業委員会事業分量を睨み合せまして、各都道府県知事においてこれを配分する、かようなやり方をやるようになつております。
  68. 江田三郎

    江田三郎君 これは私は先ほど書記の人数だけでなしに、旅費及び事務費についてもお尋ねしたのでありまするが、そういうことになりますと、村村で農業委員会事業計画を立てて、それに応じた予算の配分を知事がやるということになるのでありますか。
  69. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 大体都道府県知事は或る村においてはそれは非常に仕事が多い、或いは或る村においては少いかということは大体都道府県知事は見当を付けておられることであろうと思います。従つてそういうふうな数字に従つて平均は一、二人でありまするが、実際においては事業分量に応じて配分して頂く、これは当然して頂いていいかと思います。
  70. 江田三郎

    江田三郎君 そういうようなことになりますときに、一体改良事業というようなものは、これはやれば切りのないことなんでして、いろいろな仕事があると思いますが、一体政府のほうでは、改良事業というものは、一つの村に平均してどのくらいの金がかかるというようにお考えになつておるか。旧来の改良委員会がやつてつたような仕事をするのにどのくらいの経費がかかるという見込なんですか。
  71. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 私は改良事業についての経費がどのくらいかかつているかということは、詳細は存じておりませんが、併し感じておりますのは、改良事業関係しては国からの補助は極めて僅かであります。従来でもあれはたしか百九十万円ぐらいしか出ておりません。現実は地方自治体の負担、その他からの負担に相成つておるだろうと存じます。今度私どもの考え方といたしましては、一つ農業委員会になりました場合のその経費の使い方というものについては、改良事業について相当重点を置きまして、従来よりも改良事業方面にもつと重点的に支出ができるようにいたして行きたい、かように考えております。
  72. 江田三郎

    江田三郎君 今おつしやいましたように、従来の改良事業は、地方の自治体において相当負担しておるであろうと考えておられる。事実はその通りでして、非常な大きな負担をしておるわけです。ところが今度原則として国の負担とするということになれば、従来地方の自治体が負担しておつた部分と、而も今あなたのおつしやるように、改良事業については相当積極的に考えなければならんとすると、相当にこれは書記の手当だけでなしに、給与だけでなしに旅費や事務費についても考えなければならんことになるわけです。そうしますというと、よほど農地改革なり、或いは調整関係経費がうんと減るということでなければ、而もなおそういうものを出すという余力は出て来ない計算になると思う。その点どういう工合にお考えになるか。
  73. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 四条の、国は毎年度予算の範囲内で農業委員会経費を負担すると、こう書きましたのは、これは本来ならば、農業委員会経費というものを、その性質によつて二つに分けまして、国家的な仕事の部分と、それから然らざる部分というものを分けて、そうして国家的な仕事の部分についてはそれを国が持つ、然らざるものについては、それは国が、その他の自治体で持ち、或いは又国がそれにできる限りの援助をする、こういうふうな建前に割切るのが私は筋だと思います。併しながら一度御説明したと思いますが、現在地方行政事務の再配分の問題がまだ懸案になつておりまして、如何なる仕事が国の事務なりや、如何なる事務が地方自治の事務なりや、又その根本方針が決定をいたしておりません。従つて決定をいたしておりませんので、これは将来それが決定いたしますならば、この点を更に割切つてはつきりいたして行きたいと思つておりますが、差当りは従来の考え方で、例えば農地改革のプロパーの仕事でありますとか、或いは供出関係の仕事、こういうふうなものはこれは国家的事務と考えております。さような部分について国が持つというふうな建前をとつたわけであります。併しながらその他の仕事についても当然これは本来あるわけでございますから、その他の部分につきましては、これは一つ地方自治体においても何らかこれに対する負担を希望いたしたい、かように考えております。それで気持といたしましては、農業委員会経費のうちでも、極力改良事業の方面に重点を置いて、その点を重視いたしまして使つて行くようにいたして行きたい。これは勿論一応予算の何と申しますか、配分であります、現実にそれがどう使われるかということになりますと、市町村においては、場合によれば渾然一体となつて使われることもあると思いますが、一応予算の配分の方針といたしましては、従来よりも改良事業方面に重点を置いて行く、こういうふうに考えております。
  74. 江田三郎

    江田三郎君 今の点をもう一遍重ねてお尋ねして置きますが、先ほど申されましたように、改良委員会の仕事については、従来地方自治体の負担が相当あつたと思われるということであり、そういうものを国が見てやらなければならんということをおつしやつたわけですから、当然の結論として、従来の地方自治体が負担しておつた部分については国が負担するということでしよう。それで、さつきお答えになつた事柄ですから念を押す必要はないと思いますけれども、もう一遍聞いて置きます。それから今おつしやつた将来どうなるかということは、これは別問題でしてこの提案の説明には、農業委員会において経費原則としてこれを国の負担とするという提案説明ができておるわけなんでしてその点は国の事務と考えられるものばかりでなく、地方公共団体の事務と考えられるものもあるけれども、政府としては、その従来の農地委員会、或いは農業調整委員会の例によつて農業委員会に要する経費原則として国の負担とするという提案説明をなさつておるわけですから、従つて改良事業が今までよりもその仕事の分量を減らすのでなしに、更に只今の御説明のように、積極的にやらなければならんとすれば、従来市町村の自治体が負担しておつた部分は当然これは国がカバーする、こういう先ほどの御答弁だつたと思いますが、もう一遍これを確認して置きたい。
  75. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 現在改良事業について自治体が持つております現実の経費そのものを国が全部見るということは、これは私はそこまでは申上げておらないのであります。それでただ建前といたしまして、やはり国家的な事務、さようなものについては国が見る。それから地方的な事務については地方自治体において見る、こういうふうに割切ることが正しい。併しながらそれはまだその根本方針がきまらん現実でありまするからして、差当りの問題といたしましては、従来国家的な事務と認められておりました部分、そういうふうなものについては従来通り国が持つて行きたい、こういうふうに考えております。ただ改良事業の問題につきましては、併しながらこれは、これが果して国の事務なりや、或いは地方自治体の事務なりやというような問題もあることであろうと思いますが、我々といたしましては、極力この農業委員会経費を合理的に使つて、改良事業方面を重視して使うことに考え、それによつて従来市町村が負担をいたしました部分は極力これが負担が軽くなるようにやつて参りたい、こういうことを思つております。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 ごまかさんようにして頂きたいと思います。これはこの提案説明というものは、大臣がこの委員会の席でなさつたのですよ。そうしてこの大臣がやつた中に、所掌事務につきましても、先に申上げました通り、国の事務と考えられるものばかりでなく、地方公共団体の事務と考えられるものもその所掌事務といたしておるのでありますが、政府といたしまして、行政事務及び財源の再配分について、まだ方針が確定いたしておりませんので、従来の農地委員会や、農業調整委員会の例によりまして、農業委員会に要する経費は、原則として、国の負担とすると、こう書いてあるのですよ。そういう説明をなさつたのですよ。それ以上に、あなたのほうから、まだ国の根本方針がきまつていないから、将来国の負担部分と、地方公共団体の負担部分とかをどうするということを聞く必要はないわけです。大臣が説明をなさつたことについて私はお聞きしているわけです。そうして改良事業というものを縮小してはならんという趣旨から行くと、当然従来地方自治体が負担しておつた改良事業に対する負担部分は国が負担しなければならん。こういう三段論法からお答えがはつきり出て来ると思う。若しそうでないと言われるのならば、従来改良事業委員会がやつてつた事業を更に縮小すべしということよりほかに解釈できん。これは三段論法ではつきりしているのです。論議ははつきりしているのですから、ごまかさずに答えて頂きたい。
  77. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 私は国家的事務又はそれに準ずるようなものについては、その基礎的なものは出す、基礎的なものは国が持つて行くということであります。従つて従来改良事業について、市町村が持つてつた経費を全部国が持つというふうなお話でありますが、これは現実の経費のそのままを国が必ず見るというふうなこともこれはできかねると考えます。で、やはり基準的な経費というふうなものについて、これを国が考え、更にその地方の実情によつて、要りますものについてはこれは財政上の事由からそうたくさんは出せませんので、やはり従来通り市町村においてこれを一部負担して頂くということも止むを得ないし、又それはお願いしたい、こういうふうに思つております。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 ごまかしばかり言われては困るのでありまして、先ほど申しましたように、地方公共団体の事務と考えられるものも、その所掌事務といたしておるのでありますが、従来の例に倣つて原則として国の負担とするということを説明をされておるわけなのです。そうして今改良事業について地方自治体というものがこれまで多くの負担をして来ておるということもあなたはお認めになつておるわけです。そうするというと、この提案説明に嘘がないならばそれだけのものは国が負担しなければならないということになるわけです。若しそれが嘘だというならば別問題、更に又一つ、従来やつてつた改良事業よりもつと改良事業の仕事を縮小せよというならばこれでもわかる、あなたのように従来やつてつた改良事業の仕事はもつと積極的にやらなければならんというようなことを言われておいて、今のような答えはどう弾いたつて一体出ないじやないですか。これはごまかさずにですね、はつきりとした論理として展開して御覧なさい。これは三段論法ですよ。いい加減な答弁ならよろしいですよ。
  79. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 御趣旨は従来農地委員会の費用はこのまま要る。それから農業調整委員会経費もそのまま要る、それから更に改良事業についての市町村の負担のものも自治体の負担のものもこのまま要る。皆要るということはこれは到底できないのでありまして、従つて一つの団体に統合される結果、又事業分量の縮小に応じて相当経費の節約もできるわけであります。その経費の節約によつてできる限り合理化することによつてこれを三つの仕事がうまく行くようにやつて行きたい。従つて原則的に持つて行くということには何も変りはございませんが、お話のように改良事業について従来の市町村、自治体の持つておるものは全部国が見よというふうなこととはちよつと違うかと思います。
  80. 江田三郎

    江田三郎君 それならこの、国の負担をするというのを訂正されたらどうですか。提案説明を訂正されたらどうですか。而も私が言うのは、従来やつてつた農地委員会の仕事、農業調整委員会の仕事も全部やる、農業改良委員会の仕事も全部やる、こういうようなことを全部加えるというのではない。改良専業に要する金が、先ほど申しましたような議論からして必要であるとすれば、片方の従来の農地委員会や、農業調整委員会の仕事に要しておつた費用はうんと削られる、要らなくなるというのでなければ、そろばんが合わんようになるが、そうであるかということを最初に質問したわけですよ。
  81. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは現実にどのくらい本当に要るかという問題になつて来なければならんのでありますが、我々といたしましては、財政上決してこれで満足だとは考えておりませんが、予算の過程によつてこういうふうになつておるわけであります。従つて今後予算の極力必要なものはこの方針によつてつて行く。而もその配分については先ほど申上げ、ましたように、考えて行くということで改良事業も支障なくやつて行くようにいたして行きたい、かように存じております。
  82. 江田三郎

    江田三郎君 今後はそういうふうにされるということであるが、少くとも本年度の予算におきましては、ここに提案説明したところの、原則として国の負担とするということは間違いであつて原則として国が一部負担せられますけれども、地方自治体も負担しろと、こう訂正をなさるのですか。
  83. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) これは原則として国が持つが、どうせそれで賄い切れないような農業委員会もあることだろうと思いますからして、かようなものについては、足りないところは一つ自治体においてもこの御負担を頂いて、農業委員会がともかく正常に運営のできるようにいたしたい、かようなことでございます。
  84. 江田三郎

    江田三郎君 私はこれは前に委員会でたしかお願いしたと思うのですが、従来の農業開発委員会なり、或いは審査委員会等で、市町村自治体で相当厳しく負担しておつたと思われるので、その見込について資料を出してもらいたいということをたしかお願いしたと思うのですが、この際こういう資料をもう一度お願いして置きます。これに基いて只今の点は更に改めて御質問したいと思うのですが、まだほかにありますが、あとでやります。
  85. 溝口三郎

    溝口三郎君 今江田委員から経費の、点について御質問があつたのですが、私は別の意味から経費の点についてお伺いいたしたいと思います。従来農地委員会農業調整委員会、改良委員会、この三つの農民の団体がありまして、それぞれの目的を以て農地改革の事務、供出の事務、改良の事務というものを行なつてつた。この組織を簡素化し、そうして総合化して一つ農業委員会というものに一元化したのであります。それらの事業分量は当局の御説明では農地改革等は、今までは一年間に五十万町歩の売買をやつたのが、今度は五千町歩以下になつた。一応農地改革の仕事も済み、供出の事務も減つたから、〇・六人ずつの事務員を合せて一本のようなふうにして存置して行く。而もこの農業委員会の目的は、これは農業生産力の発展とか、農業経営の合理化を促進して、農民の地位の向上を図るようなことのために、将来諮問機関として、農地の開発、改良、保全と土地の生産条件の整備及び土地利用の高度化に関する事項等について諮問機関とする。これは、私は農地改革の以後における非常に大きな問題だと思うのであります。従来、農山漁村の経済更正計画というようなことが、全国の農山漁村に亘つて昭和七年以来計画を立てられ、そうして、その最も重要な事業等については特別助成の措置を講じ、又終戦直前においては、標準農村の設定を指定して、そうして農業の基礎を確立して行くという仕事等が農政の長い間一貫した仕事である。今度の農業委員会の目的も第一条としては、そういう高遠な目的があるのだろうと考えておりますが、農林省においては、年度計画で、全国の農山漁村に一つずつの立派な計画をこしらえてこれを実行に移して行くのだというような高遠な理想があるのかどうか。そういうような場合におきまして例えば農地改革の後、最も重要である交換分合等も金市町村に亘つて五カ年ぐらいで計画を立てたい。併しそれは反歩では僅かに三十円くらいの補助金、そんなことでは私は到底実行できないと思う。区画整理等においてもこれも一年に二、三万町ぐらいの予算でやつているが、何年ぐらいたつて全国的にこういう総合計画を立てるような見込を持つておられるかどうか。農地改革や、供出の事務が縮小したのでこの際、これらを合せて農業委員会のようなものをこしらえたのだというふうにもとれることは、江田委員から私は質問がありましたのに関連して御質問をいたすのでございますが、原則として農業委員会経費は国の負担にするのだ。その仕事のうちではどのくらいのウエイトがあるのか。執行機関としての事務がどのくらいであり、諮問機関としての事務はどのくらいであるのかというようなことは、立案なさる前に、当局においても計画はあると思う。例えば会議等に関しても、将来、農地の会議は何遍ぐらいやる、改良の会議は何遍ぐらいやる、そうして、計画を立てる会議はどのくらいやるというような、そういうような計画は、お持ちだと思うのでございますが、それによつて国の経費か、地方団体の経費かということは一応はわかるだろうと思います。その区分はわかつておるのかわかつていないのか。その区分がはつきりしないから、原則としてその全部の経費を国の負担にするのだ、これは会計経理の適正化ということについては、実はやかましく言われておることであり、国の経費地方団体の経費がそれぞれ区分してやるべきだ、この農業委員会においては、そういう区分も、方針もきまらんのですから、一応地方自治団体のやる仕事も国の経費として出すのだ、こういうような経費の出し方というのは私は実はほかにあんまりないのじやないかと思う。国の経費地方経費もごつちやにして使つて行くのだというようなことは、政府自身が会計経理の適正を乱して行くのだというような疑いさえも持たれるのではないかと思うのですが、そういう点について、なぜ方針もきまらんものを、方針がきまらないからというのでごつちやにして使うようになつたか、その経過をお伺いしたい。  もう一つは、一元化して従来の三つのおのおの異なつている事務をやつていたものを、人間も縮小してそうして将来の農業生産力の発展等のために各農村振興計画を立てて行くというような希望を持つてやられて行くのでございますが、これを実行に移す場合に、地方の団体のほうは〇・六人というようなものを、合せて一人前にしたようなことをやつておりますが、農林省のほうでは、差当りこういうような委員会のようなものについての所掌事務というものは、どこで、これをやられるようなお考えでありましようか。この内容におきましても、まだ農地改革の事務もあるし、改良委員会の事務、そうして土地改良等の事務についても農政局、改良局、農地局というように実はばらばらになつておる。従来の実績等から見ても地方のほうは一元化した、中央のほうは二分割も三分割もされておる。そうして一つ委員会に対して各方面からばらばらに指令が出るのじやないかと思う。何から手を着けていいのか、指令を出すところは自分のところだけを優先的にやれということになつて、その統制は適当に調整をとるのだという御答弁があるかも知れませんが、従来の実績から見てそういうことは大体不可能である。経済更正計画の樹立方針を決定したときには、経済更生部もできる、そうして標準農村の設定をするときには農政局のあらゆるエキスパートを集めて企画室のようなものをこしらえて、そこで一本にまとめて仕事をやつて来たのですが、そういうようなことなしに発足するということは、ただ委員会ができてそうしてその活動というものは殆んど動かないのじやないか。そういうことをお考えになつておるかどうか。もつと大きな問題で、農地事務局の問題がございまして、農地事務局は御承知通り農地改革をするために農地事務局ができた、そうしてその農地改革の事務はこれは先ほど申しましたように殆んど完了をされて、僅かに一年に五千町歩しかやつて行かない。農地事務局等の組織は、現在でもそのままになつておる。その中でやつておる大きな仕事は、只今は土地改良の仕事じやないかと考えておるのでございます。このできる当時にはいろいろのやりくりで、官房長というような大掛りな組織までこしらえたんだが、将来もそういうようなものを残して、地方の人は〇・六人ぐらいに首を切つてしまつて、農林省の中ではそのまま温存して置くのだというようなことが、私は農業委員会に対して何を将来本気になつてつて行くのだというようなことが、実はぼけておるのではないかというように考えられる。私は農地委員会のようなものはこれは本来の仕事がなくなつたのなら率先して農林省はそういうものは解体してよいのだ。特にその当時、終戦後、直営の開墾地事業、干拓事業という、ものができまして、そうしてそれに必要な事業所、これを全国に六カ所ぐらいこしらえた。それを農地改革の必要のために新潟の開拓事業所は、五、六十人の人たちが首に繩を引張つて金沢まで持つてつてしまつた。名古屋に開拓事業所があつたのを、これを農地改革の中心は京都だということで京都のほうへ引張つて行つちやつた。千葉県に干拓を中心とした直轄の事業をやつていたものを、そうして事務所も新らしくこしらえたりした直後に、みんな東京へ引張つて来たわけです。そういうことをやつて現在でも非常に開拓事業に対してはあらゆる不備不便を忍んでも農地事務局があるがために仕事のほうにも非常に大きく影響しておるのではないか。この農業委員会の発足するについて将来計画的に全国の農山漁村に立派な計画を立ててやつて行くのだ、そうしてその実行をするには地方も一応化する代りに農林省も組織を強化して、そうして農林省内部の事務を一元化して行くというようなはつきりした御方針を立てて行かれるのかどうか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  86. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと申上げますが、この只今溝口さんの御質問に対する農政局長の答弁を承わつた政府委員は都合によつて他へ出られますので、次の議事日程に移りたいと思いますので御了承をお願いいたしたいと思います。
  87. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) 只今溝口君のお話がございましたように、市町村との総合計画というものを計画的に立てさせ、これを市町村に立派なものを作つてその作つた基礎の上に全体の国としての計画を作り上げるということはこれは私どもも理想として考えておるところでありまして、さような方向に是非とも持つて参りたいというふうに思つております。それからこの委員会の所掌事務について御質問から外れた答弁をするかも知れんと思いますが、この関係の仕事は農政局、農地局及びこの農業改良局、この三つの局に跨がつておるのでありますが、やはり農業委員会の何と申しますか、全体のとりまとめの仕事と申しますものは、これは農政局でやつて参る。それから具体的の仕事大々については、勿論これは各原局において考えられることであろうと思いますが、そういうふうなものと連絡を密にいたしまして、食い違いのないようにして行きたいと思つております。更にこの下がそういうふうになつた場合の中央の行政機構の一元化というふうな点までお触れになりましたわけでありますが、この問題についでは只今直ちに、私はこの問題について一元化をするというお答えはちよつとまだできにくいかと考えておりますが、農林省の行政機構の改革案も今審議中でございます。こういうふうな点もよく睨み合せながら、一つの局に全部なつてしまうわけにもならないわけでありますが、何とかうまくそれが行くように仕組を、三つの局に分れましても、それをやつて行くようにいたしたいと考えております。それから又予算につきましても、この予算の配分についてばらばらになつて、それがそれぞれの分野から分取りになるというふうなことについても、私どもは懸念をいたしておりますので、これは大体予算については三局集まりまして、大体の予算のめどというものを三局協議の結果つけて行く、そうして現実にそれが市町村に流れました場合に、市町村の農業委員会においてこれをどう使つて行くかということは、これは具体的な問題になるだろうと思いますが、少くとも予算全体を一応どういうふうに分けるかということは、これは決定をいたしまして、それに基いて一つのところに非常に多く、或いは又一つのところに非常に少いというふうなことのないように処置して行きたいと思つております。  それから先ほどからいろいろ溝口さんから突込まれておるわけなんでありますが、この国の仕事と、それから地方の仕事、これをはつきり分けるということが、まだ再配分の根本がきまりませんので、さような経過的な措置といたしまして、やはり過渡的にはやはり従来の建前を一応踏襲するというようなことにいたしました結果、或いはごつちやになつてしまつておるのじやないかというふうなことがあるかと思います。それは将来必ずだんだんとその事務の再配分が行われました場合には、その点を明確にするようなことにいたして参りたいと思います。
  88. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと今の御答弁で、予算の分け方については三つ事業にどういう分け方をするかということは、三局協議で大体きめて行くのだということがありましたが、大体今度の予算はどういうような分け方を考えておられるかということを、やはり資料としてもこの次にお出し頂きたいと思います。   —————————————
  89. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に本院池田宇右衞門君外五名のかたの提出にかかわる農業協同組合法の一部を改正する法律案が当委員会に本付託になりましたので、提案者から提案理由の説明を求めることにいたします。
  90. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 只今より農業協同組合法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げたいと思います。  現下の農業協同組合の現状に鑑みまして、農業協同組合の事業の運営に弾力性を換え、且つ、組合員の意思を組合の業務に積極的に反映させる措置を講じ、農業協同組合の健全な発達を図る必要があります。  そこで組合経営の面につきましては、役員が本腰を入れて組合経営に没頭し得るようにするためにその任期を三年にまで延長し、市町村の農業協同組合については、役員を総会外において選挙できる途を開き、又医療施設については、組合員以外の者が組合員の事業の利用分量の五分の二までこれを利用できるように致しまして組合の経営が円滑に進み得るような措置を講じ、資金面では税金のかからない回転出資金制度を新たに採用しこれを事業運転資金として活用することにしたのであります。又組合が連合会を設立し、或いは連合会に加入し、又は脱退しようとする場合には、総会で特別議決をすることにし、組合員の意思を組合に十分反映し得るようにしたのであります。以上の措置に伴い、行政庁の監督権の整備を図り、役員の職務を行う者がないときは行政庁は役員選挙のための総会を招集し、又組合の設立認可後九十日以内に設立登記をしないものにつきましては認可の取消をなし得る権限を賦與することにしたのであります。  以上何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを御願いいたす次第であります。なお甚だ勝手なお願いでございますが、幸い御賛同が得られますならば、来る四月が官庁、五月が連合会の役員の解散期となつており、又農協の医療施設の員外利用分量を五分の二に拡大することができれば、厚生省の公的医療機関の指定が受けられることに話がついておりまして、その指定が三月末か、四月初めに行われる予定でありますので、この改正法案が三月中に成立すれば誠に好都合と存じますので、これを御了承頂きまして、格別の御配慮をお願い申上げます。この法案か立案に当りましては政府委員の参加をお願いしておりまするから、質疑当りましては政府委員からも答弁いたすことにいたしますから、御了解をお願いいたします。
  91. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは只今の案件につきまして、お話のように政府委員出席されておりますので、この資料等もありますから、これに基いて説明を承わることにいたします。農業協同組合課長の平木さんであります。
  92. 平木桂

    ○説明員(平木桂君) それでは便宜私から改正法案の要点につきまして御説明申上げます。  只今提案者より提案理由の御説明がございましたが、改正の要点は大体六つあるという御説明がございました。で、便宜この法律法案の順序に従いまして、改正法案の内容を少し詳細に御説明申上げたいと思うのであります。  お手許に法律案が配付されておると思いますが、当初にありまする第四条第二項を削る、これはすでに有名無実になつた規定を削除いたしたわけであります。つまりこの旧規定は、「地方公共団体は、組合に対して営業税を課することができない」という規定だつたわけでありますが、すでに今日営業税という税はございません。そこでこれを削除したわけであります。条文の整理であります。  次の第十条の改正規定、これは先ほど御説明もありました、特に医療施設につきましては、その性質上員外者の事業の利用の範囲を若干拡大する必要があるということから、一般事業につきましては組合員の利用分量の五分の一を限つて、組合員以外の者が利用し得るという建前を、五分の二にまで拡張したわけであります。その規定であります。  第十三条の次に一条加えることにいたしておりますが、この規定は新たに組合の運転資金を充実するために、先ほども説明のありました回転出資金という制度を取入れることにいたしたわけでありまして、組合員はその事業の円利用分量に応じまして、組合員が組合から、いわゆる特別配当を受ける場合があります、この特別配当として組合員に配当すべきものを一定期間、ここにありまする五カ年と限つてありますが、五カ年以内において組合に留保いたしまして、それを組合の事業資金として使つて参る、そうしてそれが五カ年後において逐次当初の配当を受くべき組合員に返還して行くという方法を採用することができるという措置をとつたわけであります。その規定であります。  次に第一十八条云々という規定は、これは定款の記載事項に関する規定であります。で二十八条の第一項に定款に記載すべき事項が列挙されておるわけでありますが、その次に一項を加えようといたすわけであります。この加える条文はその次にある規定でありまして、これは後ほど御説明いたしまする役員の選挙に関する規定の改正に伴いまして役員の選挙に関しましては、定款の上でこれこれのことは是非はつきりさせて行きたいと考えまする事項法律の上で明記したわけであります。その事項はここにあります通り、選挙期日、それから選挙に関する通知、候補者の推薦、選挙管理者、選挙立会人、投票、開票及び当選に関する事項、そうした事柄を定款の上で明確にこれを記載する必要があるということにいたしまして、と同時に、後ほど申します役員の選挙方法を若干緩和いたしまして、従来は総会において選挙するという建前になつておりましたが、総会外においても選挙することができるようにいたしましたために、その場合にはその旨を定款に明記するということにいたしたわけであります。  それから戻りまして、そういう規定を設けますが、従来の二項は三項になりますが、その中に若干の改正をいたしております。これは字句の修正でございまして、説明を要しないと思いますが、先ほど申しましたいわゆる回転出資金に関する新らしい規定が設けられましたために、それに関連して字句の修正をいたしておるわけであります。  次に三十条第三項の改正でございます。これは役員の選挙方法に関する規定でありまして、今申しましたように、従来総会のみにおいて役員の選挙をするということになつておりましたのを、単位組合の場合には総会外においても選挙をすることができるという、ことにいたしたわけであります。つまり適当な個所に投票場を設置いたしまして、それぞれ組合員がその投票場において、投票する方法によつて、役員の選挙ができるというようにいたしたわけであります。  なおそのような場合に、先ほど申しましたように、定款の記載事項におきまして、役員の選挙に関する特別な諸規定を設けることを必要とすることにいたしたわけでありますが、それに関連いたしましてこの役員選挙の規定のあとに三つの項目を加えております。その一つは役員の選挙におきましては選挙ごとに選挙管理者、投票所ごとに投票管理者、又開票所ごとに開票管理者を置くということを必要とする。又役員の選挙をしたときは選挙管理者は選挙録を、投票管理者は投票録を、開票管理者は開票録を作つて、それぞれこれに署名をすることにしております。更に総会外において役員の選挙を行います場合には、おのずから投票所が設けられるわけでありますが、その投票所は組合員の選挙権の適正な行使を妨げない場所に設けなければならないということ、これは当然のことでありますが、訓示規定を設けた次第でございます。  以上が選挙に関する規定の改正でありますが、次は役員の任期の規定に関する改正であります。即ち第三十一条の規定を改正いたしまして、従来は組合の役員の任期は原則として一年、定款を以て定めた場合は二年まで延長することができるようになつておりましたが、この規定によります任期は余りにも短か過ぎる場合がありますので、この任期を三年に延長することができるようにいたしたわけであります。三年以内において適宜定めることができるわけであります。但し三年にいたしますと、その場合には定款に特別の規定を設けてそれを排除いたせば別でありますが、そうでない限りは定数の三分の一ずつを毎年改選して行くということが必要であるというふうにいたしております。で尤もこの役員の任期と申しましても、組合の設立当時の役員の任期はこれは一年を超えない範囲内において創立総会においてきめるということになつております。これは従前の規定と変りありません。  次の第三十八条第二項第四号中の改正は字句の修正でありますが、回転出資金という規定が設けられましたが、この回転出資金はやはり一応出資金と考えられますので、その場合に特にこれを除く必要があるというので括弧をして註釈をいたしたわけであります。  次に四十一条の規定は、従来の法律規定によりますると、役員全員が欠けました場合に、役員以外に総会を招集する権限を持つ者がございませんために、新らしい役員を選挙するための総会を聞くことができないというような欠陥が存在しておりました。で、この欠陥を補いますために、役員の職務を行う者がないためにう事業に遅滞を生じ、それが損失の原因になるというような虞れがある場合には、これは行政庁が、一方的にはいたしませんが、組合員その他の利害関係人の請求があつた場合には、役員を選挙するための総会を招集して、役員の選挙をさせることができるというようにいたしたわけであります。これは特別な場合に組合員に大きな支障を生じさせないための救済措置であります。  次に四十六条の改正でございますが、四十六条は特別決議を必要とする事項を列記されておる条文であります。それに二つ事項が加えられております。その一つ農業協同組合連合会の設立当事者に、或いは又農業協同組合連合会に加入し、又は脱退する場合に、その連合会の会員たるべき農業協同組合の代表者たる役員個人の意思のみによつて事柄が決定されることは必ずしも民主的と言えない、飽くまでその組織者たる組合員の意思が十分にこの連合会の設立なり、或いは連合会への加入、連合会からの脱退の上に加わらなければならないという意味合におきまして、これを特別決議ということにいたしまして、更に次に一項を設けまして、その場合の決議はそれぞれの連合会の組織者たる組合の総会において投票によつてその可否が決定されなければならないということにいたしたわけであります。  次の四十六条の二でありますが、これは先般前回の改正におきまして連合会が合併しようといたします場合には、連合会の所属会員たる組合のそれぞれの総会においてこの合併に関する可否の決定をそれぞれの総会の投票によつて行わなければならないということにいたしたわけでありますが、事実上は両連合会の合併という実態を持ちながら、一つの連合会が解散することによりまして、他の連合会が事実上その連合会の一切の事業なり、財産を引継ぐということが行われる場合があります。吸収合併という手続をとらずに、片方が解散し、無関係に解散し、消滅し、事実上他の連合会がその連合会の事業、財産等を引継ぐというような措置が行われることがありますが、これはいわば先ほど申しました連合会の合併の場合に必要とされております手続を省略し、或いはそれを回避して組合員の総意を聞くことを怠るというための、いわば脱法的な措置としてそのようなことが行われますることが考えられますので、そのようなことのないことを期するためにこの規定を設けたわけでありまして、同じ地区において他の連合会が行つておる事業を新たに事実上実施をするというために定款を変更する場合には、やはり連合会の会員たる組合は、それぞれの総会において賛否の議決を経なければならないということにいたしたわけであります。あとそこに二、三字句の修正に関する条文がございまして、次に五十二条の二という規定といたしまして、現在五十二条の二という規定がございますが、五十二条と現在の五十二条の二の間に一つの条文を挿入したわけであります。これは先ほど申しました回転出資金に関する規定でありまして、回転出資金というものの性質を明確に規定しておるわけであります。先ほど申しましたように、回転出資金というものは、これは組合が組合員に配当すべきいわゆる特別配当、それを組合に留保しまして五年の間組合の自己資本としてこれを活用するための便宜を与えたものであります。そのような回転出資金はここにありますように、損失の填補に充ててなお残額のある場合には、その払込に充てた剰余金を生じた事業年度の次の事業年度の開始の日から起算して五年を経過したときにこれを払い戻しをしなければならない性質のものであります。併しながらその期間内に総会において払い戻すべき旨の議決をした場合には、或いは又組合員が脱退いたしました場合には、その議決又は脱退にかかる事業年度末に組合員又は脱退したものに払い戻さなければならないということにいたしております。  次に六十三条に次の一項を加えるという規定は、やはり行政監督上の必要から新たに、挿入したわけでありまして、これは組合が設立のために設立の認可申請をいたしまして、認可を受けながらその後の設立の具体的な手続を済みませず、つまり登記に至るまでの手続を進めないでいつまでも放置してしまうということが従来しばしば見かけられました。併しながらこれについて特別の措置をとり得ない状態にございましたので、認可はしたが認可後の組合がいつの間にかまあ幽霊になつてしまうというようなことが生じ得たわけであります。それを防止いたすために、若し設立認可をいたしましてから九十日を経過してもなお且つ設立の登記をしない、つまり設立が完了しない場合には行政庁がその設立の認可を取消すことができるということにいたしたわけであります。あとは条文の整理でございます。いろいろ新らしい条項が加わり、或いは改正が行われまして、それに伴つて条項の順序等が違つて参りましたので、それを整理した規定であります。以上でございます。
  93. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 本日はこの程度で散会したらどうでしよう。
  94. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本法案提案者の説明のような事情もありまして、即ち今月中に成るべく成立させてもらいたいという御要望でありますが、そういう事情でありますので、二十四日土曜日の午前頃委員会を開会するようにして、質疑を行なつて採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 従来農林省で定款例といいますか、定款例のようなものを示しておるのですが、それはもはや腹案としてお作りになつておると思いますから、提案者側からでも、或いは政府側からでもその定款例というものについての資料をお出しを願いたいと思います。
  96. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後四時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            溝口 三郎君   衆議院議員            松浦 東介君            川端 佳夫君   政府委員    農林省農政局長 藤田  巖君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農政局農    業協同組合部農   業協同組合課長  平木  桂君    農林省蚕糸局糸    政課長     青柳 確郎君