○
政府委員(
藤田巖君) それでは
農業委員会法案につきまして、お配りをいたしております資料に基きまして、御説明申上げたいと考えております。お配りいたしております資料の中で、従来の
農業調整委員会、
農業改良委員会と今回の
農業委員会の
相違点という資料がございますので、これをお開き願いたいと思います。
この
農業委員会は、従来の
農業調整委員会、
農地委員会、
農業改良委員会と、この三つの
委員会を統合をいたしまして、新たに従来の
農地関係の仕事、それからそのほか農業の
総合計画、それから又
食確法の代りとなります法律に基いて米の
供出割当をいたします際の
諮問機関が、こういうふうな事務を所掌するわけでございますが、その構成は大体
農地委員会の従来の構成に似ているところが非常に多うございます。
それで先ず
市町村の
農業委員会から御説明を申上げますと、一、
市町村(地区)設置でありますが、これは第三条に書いてございますが、第三条の一項でございますが、aに「
市町村(
農地のない
市町村を除く。)に置く。」というふうに書いてあります。この
市町村に置くと言います意味は、これは
公共団体の機関として置く、こういうふうな意味でございます。
従つて地方自治法の百四十七条によつて、この
市町村農業委員会については、
公共団体の長がこれを統轄するというふうな
関係に入るわけであります。それからなおこれは
独立機関でございまして、
補助機関ではないのであります。この
書きかたについては対照して御覧頂きますとわかりますように、従来の
農業調整委員会、
農地委員会と同様でございます。それからの「その区域又は
農地面積の著しく大きい
市町村には、
都道府県知事の承認を受けて二以上置くことができる。」、この趣旨は、従来の
農業調整委員会、
農地委員会と大体共通でございます。それからCの「
農地面積の著しく小さい
市町村には、
都道府県知事の承認を受けて置かないことができる。その場合において
委員会の権限は
市町村長が行う。」、これは従来のものと対照して頂くとわかりますが、
市町村に
委員会を置かない場合の
委員会の権限は、これは
農業調整委員会については
市町村長が行うと相成つております。
農地委員会のほうでは権限は
隣接委員会が処理する、かように相成つておるのであります。今回はこの新らしい
農業委員会の性格、
目的等から考えまして、
委員会を置かない場合の権限は
市町村長が行うということにいたしましたほうがよろしかろう、こういうふうに考えたわけでございます。それから次は会長の問題でございますが、会長については、従来の
農業調整委員会、
農地委員会とも
委員の互選ということになつております。今回の
農業委員会法もやはりその建前を踏襲いたしております。これについては
市町村長が会長になるということにいたしたほうがよかろうという御意見もあるようでありますが、原案といたしましては、従来のやりかたを踏襲するということに考えております。それからbの「
委員会は、会長不適当と認めるときは、議決により解任することができる。」、こういう
規定があるわけであります。これは
農地委員会にそういう
規定がございます。
農業調整委員会にはございませんが、この
規定もやはり必要と認めまして置くことにいたしたわけであります。それから次は
選挙権、
被選挙権の
規定でございますが、これは「
成年者で一反歩(北海道は三反歩)以上の
経営主及び同居の親族又は
配偶者」と
規定いたしました。これは
農地委員会と同じように
規定いたしました。
農業調整委員会は次にありますように
経営主だけでございますが、
農地委員会のほうは
経営主及び同居の親族又は
配偶者ということに相成つております。
農地委員会の建前を踏襲いたしましたわけでございます。それから
階層選挙による
委員でございます。今回の
選挙については
階層別の
選挙をとる、そうして
立候補制をとるということに考えております。これは従来の
農地委員会の
考えかたと同じでありますが、ただ従来の
農地委員会は一号、二号、三号と、こういうふうな
委員の
仕分けになつておりますが、
農地改革が相当進みまして、
仕分けにつきましては、必ずしもこういうふうにやる必要がないと認めまして、一
号委員、二
号委員というふうに二つに分けたわけであります。一
号委員は「耕作の業務を営む者(その所有する面積が二反歩を越えるものを除く。)で左に掲げるもの。」、(a)、その「
小作地の面積が
自作地の面積をこえるもの」、
つまり自分の経営する面積の中で
小作地面積が多い者、(b)の「一町歩以下の耕作を行い、その中二反歩以上の
小作地を有するもの」、
つまり二反歩以上の
小作地を持つておる者を一
号委員と考えたわけであります。それからその他の者を二
号委員というふうに区別をいたしました。それで大体の比率を申しますと、一
号委員に該当します
農家戸数は全体で九十五万二千戸でございます。全体の
農家戸数の一七・二%でございます。それからその他のものは四百五十八万三千戸でありまして、全体の
農家戸数の八二・八%というふうになつております。それで定数は一
号委員が五人、二二
委員が十人というふうにいたしました。これは
農業調整委員会が十五人でございます。
農地委員会はこれが一号、二号、三号で十人になつております。
改良委員会のほうは大体五人から十五人と相成つております。今度は
農業調整、
農業改革もいろいろ仕事を行うわけでありますから、定数については十五人というふうにいたしたわけであります。この定数の増減に関しまするところの
規定はあとに書いてありますが、これは置いてございません。それからその次の
階層選挙によらない
委員であります。これが新らしく今度加わりましたのでありまして、a「階層のいずれかの
有権者の数が、その階層の
委員の定数の十五倍以下のときは
階層選挙を行わない。」というような
規定を置いております。
つまり例えば一
号委員で考えますると、一
号委員は定数が五名でございます。その五名に対して、その層に属するところの
有権者の数がその
委員の五名の十五倍、
つまり七十五人、殊にこれは先ほど申しましたように、
経営主及び同居の親族又は
配偶者が入つております。だから七十五人以下のときには
階層選挙を行わない。そういうようなところについては、それは
階層選挙を特に行わないで全
層選挙でやるということに考えております。これに該当します大体町村の数でございますが、一
号委員のほうは問題になると思うのです。一
号委員の場合でそういうふうなことに該当いたしますものの数が町村全体一七・五%ぐらいであろうかと考えております。別途お出ししております資料に載つております。それから次は
選任委員の
規定であります。現在の
委員は、これは
選挙によつて選びます
委員でございますが、そのほかに
選任委員の
規定を置きまして、「
選挙委員のそれぞれ
過半数の推薦した者を
市町村長が選任することができるが、その数は五人以内とする。」というふうに考えております。これは
農業調整委員会のほうでは、
市町村長が
委員の
過半数の同意を得て五名以内選任すると相成つております。それから
農地委員会では、
都道府県知事が
委員の全員の同意を得て三省以内選任する。こういうふうに相成つております。で、従来のものとは若干
規定が変るわけでありますが、員数において五名にいたし、それから
階層別に全員ということになりますと、非常にこれはむずかしいことに相成りまするので、それぞれの階層の
過半数の推薦した者を
市町村長が選任するというふうに、従来のものとは若干異な
つた規定を置きましたわけであります。それから定数の増減については、これは
階層別選挙をいたしております
関係から、定数の増減についての
規定は置いてございません。次に
リコールの問題でございますが、この
リコールのやりかたが、
農業調整委員会と、
農地委員会と若干異なるのでありまして、区別しておりましたが、大体現行の
農地委員会の例によ
つてリコールをし得るというふうにいたしました。即ち
階層別全員の
リコールを、
有権者のそれぞれ二分の一の同意で
リコールする。各
階層別の全員の
リコールを、その階層に属する
有権者のそれぞれの二分の一の同意で
リコールする。こういうやりかたにいたしましたわけであります。但し全
層選挙のときは勿論この全員の
過半数、こういうことになることは当然であります。このほうが
リコールのやりかたが非常に簡単であるということを考えまして、
農地委員会の例をとつたわけであります。それから任期でありますが、任期は従来いずれも二年、こうなつておりますので、任期を二年といたしました。それから辞任については、大体従来の
農業調整委員会、
農地委員会と同じような趣旨で、正当な事由があるときは
委員会の同意を得て辞任し得るということにいたしました。それから解任の
規定でございますが、これが従来とは若干異なつておりますが、「
市町村長は、会長が各階層の
委員のそれぞれ
過半数の同意を得て、
選任委員の解任を請求したときは、解任をしなければならない。」、かような
規定を主文にいたしました。それから解散でございますが、これは
農地委員会についての
規定と同様にいたしました。「
都道府県知事は、
農地についての権限において管理、執行が法令に違反するとき
都道府県委員会の意見を聞き
委員会の解散を命ずる。」ということにいたしたわけであります。御承知の通りこの
農業委員会は
農地関係の事務については、従来通りの
執行機関としての仕事も持ち、専属的な権能を持つておる部分もあるわけであります。
農業調整その他の部分については諮問的な権能を持つておるわけであります。かように執行的な専属的な権能を持つておる部分もございますので、その部分について
農地についての権限において管理、執行が法令に違反するというふうな場合の
解散命令の
規定を置いたわけであります。
それから次は
都道府県の
規定でございますが、これは会長は
市町村の
農業委員会と異なりまして、
都道府県知事といたしております。これは従来と同様でございます。
都道府県の団体においては、やはり
農業計画を立てる場合その他の場合でも、どういたしましてもその計画の立案に参画する者は地方庁の
関係部課長、これがやはり参画をいたして現実に案を立てて行くのでなければ、実行可能な具体的なものができない場合が多いわけであります。
従つてさような
事務局の扱いに相成りますから、会長と
事務局との
関係もございまして、会長は
都道府県知事というふうにいたしましたわけであります。それから
選挙権につきましては、これは
市町村委員会の
委員、これは従来と大体同じでございます。
市町村の
委員会の
委員が
選挙権を持つておる。それから
被選挙権は、これはやはり
市町村の場合と同様でございます。それから
選挙の方法は
階層別を考える。
市町村農業委員会の例によつての
階層別立候補制を考えております。それから定数は、これは一
号委員が五名、二
号委員が十名、合計十五名であります。これについては従来の
農地委員会よりも増加いたしております。
農業調整委員会よりは減る、丁度その中間に
委員の数が落着くのじやないかと考えます。それから解散の
規定につきましては、
農地委員会の
関係と同じような
規定を置きましたわけであります。それからなお
専門調査員の
規定、これは新らしく置きましたのでありますが、
総合計画を立てますような場合にやはり専門的に調査をし、これの
立案等に当るものが必要であろうかと思いますので、特にこの
専門調査員というものを
都道府県の
委員会の請求によ
つて知事が任命し得る、任命する。かような
規定を入れましたわけであります。
それから次は
地方委員会でございますが、これは従来は
農地委員会については
地方委員会の組織はございません。
農業調整委員会というのは、これは
地方委員会というのがあつたわけでございますが、今回はこれは系統的な、系統的と申しますか、
農業委員会としては
地方団体には置かないのでありますが、
市町村農業委員会の
代表者会議というふうな
規定を置きまして、
農地関係以外の事項、
つまり総合計画、
農業計画、こういうふうなものを立てます場合につきまして、或いは
食糧調整の供出の
関係の仕事につきまして、やはりこの郡の段階における一つの
会議体が必要であろうと考えるのであります。その意味で
都道府県知事は、
都道府県委員会の請求があつたときに、
市町村委員会が
委員会ごとに指名する
代表者を招集する。そうして会長及びこの
代表者によつてこれを組織し、
総合計画について必要を認めたものについて調査審議し、
都道府県委員会にその意見を答申するという事項を処理させようといたしたのであります。なおこの点については、
食確法に代るべき法規が現在食糧庁で立案中でございまして、近く
本国会に提案されると思いますが、その場合に、米の
事後割当についての
諮問機関といたしまして、上から下へだんだんに下します場合にも、この
代表者会議を使うというような
規定を、そちらの法律のほうに具体的に書いてございます。
従つてその法律が通ります際には、その法律を以てこの
農業委員会の
規定を修正いたしまして、いわゆる
事後供出割当についての
諮問機関的な
規定を追加をいたしますような準備で進んでおりますわけであります。
それから次は会議でございますが、会議は
階層選挙の
委員会にあつては各階層に属する
選挙された
在任委員の
過半数が、全
層選挙の
委員会にあつては
選挙された
在任委員の
過半数が出席しなければ成立しない。ここでは
在任委員というふうな
書きかたに直しております点が従来と変つております。従来は定数というふうになつております。今度は
在任委員の
過半数と、こういうふうに書きました点が若干変つております。それから議決の
関係は、これは
農地と同様でございます。
出席委員の
過半数で決する。
可否同数のときは会長がこれを裁決する、かようにいたしております。それから議事の参与の制限でございますが、これは若干但書の
規定が従来とちよつと異なつておりますが、その趣旨は大体同じような趣旨でございます。「
委員会の
委員は、自己又は同居の親族若しくはその
配偶者に関する事項については、その議事に参与することができない。但し、その結果第三十九条の
規定により
委員会の会議を開くことができなくなる場合において、
都道府県知事が
当該事項を処理させることを相当と認めたときは、この限りでない。」、かような
書きかたにいたしております。趣旨は大体従来と同じでございます。
それから
兼職禁止の
規定でございますが、これは
兼職禁止につきましては、
農地と大体同様と考えております。
市町村と
都道府県の
委員は兼ねることができない。それから
都道府県農業委員会の
委員は、
都道府県の議会の議員を兼ねることができない。それから
委員は
市町村又は
都道府県の議会その他の公職に立候補することができない。
都道府県の
農業委員会については、そういうふうな
兼職禁止の
規定がございます。その点は
農地と同様に考えております。
以上が大体従来の三
委員会と新らしく生れます
農業委員会との
相違点について御説明申上げたのでありまして、このほか
選挙に関する
規定が
公職選挙法の
規定に
関係して複雑になつておりますが、
選挙規定についてはこの説明は省略させて頂きます。
それからなおお配りをいたしております資料のうちで、「
農業委員会法(案)を三月中に成立させねばならぬ理由」という資料をお配りしてありますが、これが三月中に成立いたしませんと、法律的にも技術的にも非常に複雑な
関係が出て来て、あとで収拾が付かなくなるのではないかということを心配しておりますが、その点を一応御説明いたしまして、よく御考慮の上御審議を頂きたいと考えておりますが、それはちよつと読みながら御説明申上げます。「
農業委員会法(案)を三月中に成立させねばならぬ理由」というのが配付してありますが、「今回第十
通常国会に提案される
農業委員会法案は左の理由によつて、
是非共三月中に国会の審議を経るのみならず、法律として公布施行する必要がある。
一、同法案は従来の
農業調整委員会、
農地委員会、
農業改良委員会を統合して
農業委員会を設置しようとするものである。
農業委員会の成立は、
市町村では本年七月末、
都道府県では八月末と予定している。」これは大体
農業委員会法の附則の六項の
規定によりまして、最初に
選挙の期日をきめなければならんのであります。
農業委員会法の附則の六項でございますが、「第三項の
選挙の期日は、政令で定める。但し、その期日は、この法律の公布の日から起算して
市町村農業委員会にあつては五箇月、
都道府県農業委員会にあつては六箇月以内でなければならない。」、政令で定めるということに相成つておりますが、大体最初の
選挙期日といたしましては、私の考えとしては、
市町村の
農業委員会の
選挙日は七月の二十日、それから
都道府県農業委員会の
選挙日は八月二十一日、かように予定をいたしておりますわけであります。それで大体
市町村ではその
選挙によりまして、七月末には成立する、
都道府県では一月遅れまして、八月末に
農業委員会が成立する、こういうことになるわけでありますが、そうして
農業委員会が成立のときまでは過渡的には現在の
農業調整委員会、
農地委員会をそれぞれ存続させる。経過的には
農業計画及び
食糧供出の仕事は
農業調整委員会がやり、
農地関係は
農地委員会が処理する。こういうふうな意味合いでそれぞれ
経過規定を置いてあるわけであります。二、ところが、
農業調整委員会を設置する
根拠法規でございます
食糧確保臨時措置法、これの
有効期限が三月末日に相成つております。
従つて三月中に
農業委員会が若しできなかつた場合どうなるかと申しますと、現在の
農業調整委員会というものは法的な根拠を
失つて爾後は存在しないということに相成るわけであります。
従つて同
委員会を経過的に存続させることは、法律上不可能に相成ると考えます。一度消えてしまつたものを、もう一度新らしく作るという手続きをとる以外に方法はない。又続いているうちに、この
移り変りの経過的な措置はとれますが、なくなつてしまつたあとでありますと、全部が御破算になりまして、新らしく作つて行くというふうな
法律構成になると非常に面倒になると考えます。それで
農業調整委員会が四月一日以降存続をしないということになりますと、次のような困難な問題が出て来るのじやないか。一つは
食糧供出の仕事でございます。これは米の
事後供出のみとなるにいたしましても、
事後供出についての諮問に応じて答申をするというふうな仕事がありますので、それまでの間に作付百面積或いは農家の
人口異動、
農地災害の
案情等には予め調査を行な
つて事後割当の資料を整備して置かなければならんわけでありますが、そういう仕事を担当するところの農民の
代表機関が一時なくなつてしまうという
関係に相成りまして、
食糧供出の諮問の仕事というものが完全にやれなくなるのではないかと思います。それから又
食糧増産興農運動の推進のためには、
食糧生産関係の
委員会の協力を要するというふうに考えております。が、それが
農業委員会ができるまでは、その部分の
監督機関というものがなくなつて来るということも考えられるわけであります。それから法案の附則の第十項では、
農業調整委員会の書記は引続いて
農業委員会の書記となるというふうに経過的な
規定が置いてあります。併し若しもそういうことができなくなりますと、書記は一応全部一遍退職をして、そうして新らしく又作るということに相成るわけでありますが、退職に関する手当は、現在の二十六年度
予算案に計上されておりますものは、これは御承知の〇・八人分でございます。
市町村でありますが……。そういうふうな
関係で、
農業委員会において書記全部が一応退職するということに相成りますと、予算の
退職手当では購えないという問題がそこに出て来ようかと思います。右の困難を避けようといたしますならば、別個に
農業調整委員会又はこれに代るべき機関の設置のための法律を作らなければならないということに相成るわけでございます。併しながらこれは従来の
農業調整委員会の仕事、
事務員も
相当供出関係は減少いたしておりますので、単独の
委員会を各
市町村、全部の
市町村にずつと置くということについての法制的の問題も出て来ましようし又財政的な問題といたしましても、少くとも十数億円の支出をしなければ、そういうものができないということに相成つて来ようかと考えます。それから次に
食確法の
有効期間の延長というようなことも考えられるのでありますけれども、この法律による
農業計画、いわゆる
事前割当はすでに本年は米も麦もやつておりません。そういうことをやつておらない今日、
食確法を延長するということは、法制的にも行政的にも意味がないことになると考えます。それから又
所要経費の点については、別にやはり予算の
関係に縛られるわけであります。現在認められている以上に予算がたくさんとれるということがきまりませんと困るわけでありますが、それについての
見通しについても非常に問題があるのじやないかと考えられるわけであります。以上の点が
農業調整委員会関係について予想されるのでありますが、次に
農地委員会について予想される問題でありますが、
農地委員会は、この
農業委員会法が成立をしなければどうなるかと申しますると、
農地調整法の
規定によつてこれは存続をしているわけでありますが、併しその
所掌事項でありますところの買収洩れ
農地の処理の問題、或いは
未墾地の買収の問題、それから
ポツダム政令による
農地の
強制譲渡、こういうふうな
事務量が、これは別に参考として次に掲げておりますように、非常に減つております。
農地改革がずつと進んで参りました
関係上、非常に減つておりますので、単独の
委員会として十数億の経費を支出するに相当なものであるかどうかということが非常に問題になるんじやないだろうか。少くとも財政上、単独の
委員会の形態に必要な
補助金支出等の
国庫負担の問題が、
見通しとしては困難になるのじやないだろうかということが懸念されるわけであります。
参考として、現在
農地改革のあとに残つております部分、
事業量でありますが、これは買収洩れの
農地が全国で三万町歩になつておる。それから買収洩れの牧野が三万町歩になつている。それから
強制譲渡発成見込が三万町歩、未
墾地買收見込が三万五千町歩、こういうふうな程度のものが予想されるのであります。二百万町歩に亘る
自作地がすでに設置をされ、三百万の
自作農家が設置されますことから見ますと、
農地改革はずつと大部分終了しております現状から申しますと、今後の問題としては、これは重点が若干変つて来るのじやないかと考えるのであります。問題はむしろ
農地改革による成果を確保して行く、そうして
創設自作農家の
維持育成を図つて行くということが問題の
主眼点になつて行くと考えるのでありますが、これを農民による自主的な
委員会の組織を作つて行くという必要は、これはもう是非必要である。何としても作らなければならんと思うわけでありますが、これを
委員会なしに
市町村長等を以て代えることは、これはできないと考えます。なお昭和二十三年の六月十四日附のGHQのデーヴイス氏のステートメント、二十五年九月五日附の
ウイリアムソン農業課長の
書簡等によりましても、
農民代表による
委員会設置ということを示唆されておるのであります。これは少くとも作らなければならん問題でありますが、先ほど申しましたような
関係で、
事業白その他の
関係からいたしまして、又
財源等の
関係からいたしまして、單独の
委員会を、
農地関係の
委員会を全面的に、少くとも
必要経費を
国庫負担として、これを持つというふうな構想でやれるかどうかという点については、実際上困難な問題が残されておると考えるわけであります。
六は
農業改良委員会でありますが、これは
農業委員会法が成立をいたしませんでも、元来法的の根拠のない次官通牒によつて出たものでありますから、これは存続することができると考えます。併しながらこれは法的な根拠を持たない
委員会でございますために、国の助成が殆んど行われておりませんわけであります。主として他の団体、或いは自治体だけで持つておるような
関係だろうと思います。それで二十六年度の予算といたしましても、全額で僅かに四十万円の補助金が計上されておるわけであります。
従つて現状のままでは極めて活動が困難にされたままで残るということになりはしないかと考えております。それから現在の
農業改良委員会は、
都道府県の機関として置かれておるに過ぎず、
市町村には農業改良の普及の協力組織がないということに相成るわけであります。技術の改良、普及の効果は、普及員の増員、これはほぼ
市町村当り平均一人ずつ設置されることに相成つておりますが、これにかかわらずやはり協力組織がございませんので、不十分なものと相成つておる。
従つて改良普及事業の末端までへの滲透徹底ということについては、なお欠けたものがあるわけでありまして、食糧の増産に大いに活躍をして頂きたいと考えておりますが、そういうふうな点について、やはり弱い組織で残るのじやないかというふうに思うのであります。それから次に二十六年度
予算案では、これを法案に即しまして、
農業委員会が一本になりましたことを前提といたしましての予算編成がなされておるわけであります。若しも三月中にこの法案が成立施行をされませんと、その予算はそのままでは婆ない。いろいろの仕事についてこれを又分けなければならん。ばらばらになるということになりますと、先ほど申しましたような
関係で、いずれもが成立たないというふうな状態に相成つて参ります。非常にまあ支離滅裂になる盧れが出て来やしないかと考えております。かような理由で、三月中に
農業委員会法を成立させ、そうしてこれを公布施行いたしまして、一応新たな農業行政の自主的な担当機関というものを確立して、三つの
委員会の統合による当面のぎごちなさというものは、これはあると思います。各
委員会それぞれの立場からいろいろ問題がございますので、当面はぎこちなく、又予算も非常に削減されておりますので、活動の点にも遺憾な点があろうかと考えますが、こういう問題はともかく一応
委員会を一つにまとめた上で、将来事態に順応した改善措置をとつて行く、こういうふうな切替をすることが一番やはり円滑に進んで行くゆえんではなかろうかというふうに感じておりますわけであります。