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1951-08-03 第10回国会 参議院 農林委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月三日(金曜日)    午後一時二十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農林政策に関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれから委員会を開きます。  本日特に委員会を開きましたのは、農林大臣も代られまして、根本農林大臣が今回農林行政を担当されることになりましたので、この機会大臣抱負を伺い、併せて農林委員会が常日頃考えておる問題等もこの際申上げて、懇談的に当面の問題を協議したいというのが今日の委員会趣旨であります。その当面の問題の中には、大体問題が片附きましたけれども、二十五年の産米並びに麦価の問題、それからバツク・ペイの問題、それから二十六年の米麦価の問題、それから御承知肥料需給計画並びに燐鉱石補給金の廃止に伴う善後処置、更に農林関係昭和二十六年度補正予算、及び二十七年度本予算の問題、それから最近のまあ水害なり、稲作の状況等がありまして、問題は非常に多岐に亙るわけであります。なおそのほか委員会としては、先般皆様が各班それぞれ現地の農業の御調査を願いましたので、それに基いて各地の要望が一応取りまとめられておりますので、これらも御報告を願つたあと問題を整理して、政府に煩わすべき問題はそれぞれこの機会に懇談をいたしたいと思つて会議を開いたわけであります。取りあえず以上のような事情でありますので、最初根本大臣から当面の農業に関する御抱負を聞かして頂いて、それからあと委員会としての考えを懇談的に申上げて行つたらと、こう思うわけであります。  それでは最初農林大臣一つお話を承わりたいと思います。
  3. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この席上で御挨拶するのは甚だ勝手なようでございますが、先般の内閣改造に当りまして、不肖私が農林行政を担当することに相成りました。  御承知のように、現在の日本行政経済方面において、幾多問題があるのでありまするが、そのうち農林行政は最も困難な問題を多く持つておる問題であるのでございます。特に講和前後を通じまして、日本食糧政策というものが非常に大きな問題を含んで来ると考えております。特に従来はガリオア・フアンド主食輸入がなされておりました関係上、この主食輸入に伴うところの外貨の問題は、それほどシリアスな問題ではなかつたのでありますが、一九五二会計年度は、殆んどこれはコマーシャル・べースで買わなければならないという趨勢が非常に強くなつて来たのであります。アメリカ会計年度においては、一応対日援助資金は計上しておるらしくも聞くのでありますが、併しこれを従来のようにガリオア・フアンドとして、日本主食輸入にこれを充当してくれるかどうかは、全然これはわかつておりません。そういう観点からいたしますれば、どうしてもこれはコマーシャルベースで、従つてドルを以て買わなければならん。大体われわれの想像の現在の計算によりますると、二十七年度においては約三億ドルの外貨が必要ではなかろうか、かように思つております。而もこれから人口増殖その他を併せて行きますというと、将来六、七年後になりまするというと、大よそ主食だけで六億ドルの外貨を使わなければならんと考えますというと、日本自立経済上、外貨バランスの面から見ましても、相当の問題を包蔵しておるわけでございます。なお国際情勢は、今一応安定の兆もあるのでありまするが、併しこれはなかなか複雑な世界情勢でございまするので、若しこの現在の国際政局が安定を欠くということになりますれば、現在の我が国状況から見れば、食糧問題は非常に深刻な問題になる、こういう観点からしまして、すでに政府におきましては、自立三カ年計画を立てているのでありますが、その基礎になりましたのが、御承知のように自由党の政務調査会で、十カ年計画に基くところの食糧自給計画なるものを立てておるのでありますが、それを基本として立てるつもりであります。こういうような情勢からいたしまして、当面の問題の一番の眼目は食糧増産という点に集中いたしたいと思います。この観点からいたしまして、問題になりますところの農業漁業、畜産、水産、こういう方面においてどうしてもその生産基盤である土地改良なり、或いは技術の改良、災害の防除、こういうような生産手段に対するところの相当の投資をいたさなければ、この増産の目的を達成することができない、こういう観点からいたしまして、すでに皆様がたの手によつて立法されました農林漁業融資特別会計を、更にこれは一般会計からの資金繰入れを増大いたしまして、非常に要望されておりまするように低利、長期の資金相当拡大して、先ずその一助といたしたい、かように考えております。  その次には、先ほども委員長から御指摘されましたが、肥料補給金の撤廃に伴う肥料の値上りの問題、或いは又肥料をアジアの諸国において非常に渇望している。而もこれが貿易の対象として非常に有利である。こういう観点からメーカーはできるだけこれを輸出したい。こういう関係からして生産が増強しておりまするけれども輸出と国内の消費割当てる振合の問題で常に問題になつているのであります。なお農家所得が一年一回か、二回か、非常に限られた時期に収入がある。そういう観点からして、肥料獲得の問題が資金面と相絡みまして、かなり複雑な問題を包蔵しておるのであります。この肥料価格安定と需給調整は是非ともこれはいたしたい。こういう考えで、現在政府といたしましては臨時国会におきまして、補正予算におきまして肥料需給特別会計を設置いたしたい。これに基きまして需給調整価格調整をかねて実施いたしたい。かように思つておる次第でございます。  その次には、日本農業復興は、他の産業より逸早くその回復を示したのでありまするが、現在は我々の調査並びに安本の統計によりましても、全体としての農業生産が戦前をやや超した程度と、こう見ておりまするが、それにもかかわらず、一番恐れているのは工芸作物養蚕関係でございます。而も養蚕農家経済に寄与する度合が非常に多い。更に又外貨獲得の面においても非常に有利でございまするが、これが割合に進展の度が伸びないのは、市価が安定しないためである。こういう関係がありまして、これもすでに参議院農林委員会のかたがたの非常な努力で、今の市価安定なるものを制定するまあ案まで立てられましたが、遂に先年の国会ではこれは成立の運びに至らなかつた、提出することも困難であつた。こういう観点からして、臨時国会特別会計に基く市価安定法を是非とも成立せしめたい。かように考えている次第であります。  その次には林政との関係もあるのでございますが、最近の災害状況を見ますというと、やはり戦時並びに戦後の濫伐、過伐、而もそれがいわゆる山の麓を濫伐したというために起る災害が非常に多いようでございます。私先般東北地方、特に秋田方面を見て参りましたが、普通でありまするならば、百六十ミリ程度の降雨では災害にならないというようなところが非常に大きな損害を受けている。而もそれが山林砂防が行われていないために、にわかに土砂がばらつと来たために潅漑用水路を破壊した、こういうのが非常に多いようであります。これは主として山が荒れたという原因に基くのでありますが、併しながら他面におきましては、日本自立経済上一番材料としての石炭の増産をするのに、どうしても坑木の必要、化繊の原料としてのパルプ増産のための木材需要、或いは建築資材としての用材、こういうものに対する資材要求相当ございます。これを調整しなければならないということで、すでに先般の国会においては森林法制定を見たわけでございまするが、この森林法制定だけでは、この相対立した要求を調整することは非常に困難でございます。その点の問題については、どうしてもこれは奥地林道を開発いたしまして、すでに伐期を越えてすでに立腐れするという山も相当あるのでございまして、これを適当に切開いて、一方においては需要を満たしつつ、他面におきましては災害を防止する、こういう観点におきまして、現在農林省といたしましては、これも又補正予算中心とする臨時国会におきまして、林道経費を大幅に増額いたしたい、かように考えておる次第でございます。  その次には家畜導入の問題、これはすでに農林委員会から常に強く叫ばれておりましたのですが、非常にこれに対する予算が少く、農家経済を安定させるという意味におきましても、又国民の食生活における蛋白資源を確保する、こういう観点、或いは又農家自給肥料を確保してやる、こういう観点からいたしましても、家畜導入が非常に大きな問題だと存じています。併しこれには相当資金が要りまして、現在の農家所得状況では、自己資金だけでこれの増殖をやるというとは甚だ困難なのでございます。家畜導入資金経費についても相当省としては要求し、皆様の賛同を得てこれを成立せしめたい、かように考えております。  その次には現在の日本農村振興基盤は、何と申しましても農業協同組合の健全なる発達である、かように我我は信じております。併しながらこの農業協同組合は、今までの傾向を見ますというと、経済上の変遷或いは又経営よろしきを得なかつた点もあると思いますが、かなり赤字に苦しんでおる。このまま放置しておきますれば、折角農村再建増産基盤であり、又同時に民主化基盤である協同組合相当危機に直面する。こういうことで農業協同組合再建整備法を立法化したのでありますが、更にこれを一段と強化いたしたいと考えております。  その次は農業共済の問題でございまして、これにつきましては、全農民が非常に強く要望しておる点でございまするが、而もこれも実際の運用をいたして見ますというと、相当府県連合会において赤字を出しているのでございます。従つて経営は非常に困難になつて来ておるのでありまして、この共済制度整備強化ということが非常に重大な問題と存じております。ところがこの問題につきましては、料率改訂という問題が共に解決されなければなかなか困難な問題がございまするので、料率改訂を含むことを前提といたしまして、これに対する政府の基金の借入を是非実現したい、かように思つて事務当局をして検討せしめておる状況であります。  その次に、水産問題には、これ又いろいろ漁区の問題その他たくさんございまするが、当面の問題といたしまして、漁業証券資金化の問題でございます。これにつきましては、法制上は相当の長期間に亘つて償還するような形になつておりまするけれども、現在漁民資金に非常に枯渇している。而も又漁業権設定に伴うところの許可権の金も出さなければならん、こういう観点からいたしまして、是非この漁業証券短期に国で買上償還によつて資金漁業家に確保したい、かように考えております。これについてはいろいろ意見がございまして、漁業証券担保金融でよろしいという御意見もあるようでありますが、併し漁業証券担保金融をいたすとすれば非常に利子で参ります。同時に又相当叩かれる、どうしてもこれは現金化してやるときには、折角証券をなるべく有利に漁民にこれは資金化してやるのが我々の務めだと思います。それで買上証券をできるだけ短期にこれは実行いたしたい、こう考えておる次第でございます。  大体当面の問題として、さようなことを予算化いたし、続いてこれが二十七年度の予算編成に当りましても、現在主たる重点として考えているのはそのような問題で、そのほか広汎なる問題がございまするが、今補正予算中心とする、国会に我々が提出いたしたいと思つている予算並びに法案の概略だけを申上げた次第であります。  なお皆さんがたのいろいろの御趣旨或いは御意見を拝聴いたしまして、できるだけ速かに日本農業振興政策を樹立いたしたいと存じておる次第であります。今後参議院農林委員会皆さんがたから格別な御鞭撻、御指導、御協力を得たいと思う次第であります。よろしくお願いいたします。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今農林大臣から、農政全般についてかなり広汎に御意見の御開陳があつたわけですが、大体当農林委員会でタツチしたような問題に殆んど触れられたわけでありまするけれども、問題はいろいろまだ内在しておると思いますので、この機会にそれぞれ御意見の御発表を願いたいと思います。
  5. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大臣にお伺いしますが、戦後農業政策についていろいろな方途が講ぜられて来ましたけれども、私どもがこれを振返つて大観して見たときに、いずれも特殊の症状に対する、例えば食糧不足応急策であるとか、或いは悪性インフレに対する処置であるとか、そういつた特殊症状に対する応急的なものが主であつたと私ども考えるのでありますが、近く講和締結を前にいたしまして、我が国独立国家の一員として、国際社会に列することができるという段階を目捷の間に控えまして、農林政策においてもこれを一転機にして、一つの恒久、できれば不動の農林政策が確立されべき時期であろうかと考えるのであります。そういつた観点からいたしまして、私は以下四、五の問題について大臣所見を伺いたいと思います。  その第一は、講和が予期のように成立するとすれば、その結果が我が国農業に如何なる影響を及ぼすと見通されるか。この見通しについて第一に大臣所見をお伺いいたします。  それから第二には、その見通しに基いて、今後我が国農業が如何なる方向に進んで行つたらよろしいか。農林行政最高指導者としての方向をそこらで明示する必要があろうかと考えるのであります。それを附加えたいと思います。  それから次には、その大臣の新らしい見解に基いて農業発達及び農家の安定のために如何なる政策を実行されようとしておられるか、その具体的の大綱について明示が願いたいと思います。  それから次に我が国独立国家として今後進んで行くためには、経済自立先決条件であることは言うまでもないわけでございますが、この経済自立のためには食糧自給基本条件であることは、これ又極めて明白なことでありますが、併し一方においては鉱工業振興することによつて食糧不足輸入によつて賄うという考えが我々にはかなり強く従来も響いて来ておるのでありまして、これらの問題についてこれはかなり日本農業をゆする基本的な問題だと考えるのでありますが、この点についての大臣所見を質します。  それから次は、先ほど抱負の一端が開陳されましたが、食糧自給のためには一体具体的にはどういう方途をこれから推進されようとするか。これが重要な問題について具体的に一つ御説明を願いたい。  次に食糧自給するという建前を堅持して参らなければならないと考えるのでありますが、そういつた関係から、食糧自給に大いに力を入れて頂くと同時に、一方においては食糧消費にもこれが規制と申しますか、合理化を進めなければ、日本の足りない食糧の賄いは容易ならざる状況であると考えるのでありますが、一方において食糧自給目度一つの基準にいたしましても、ここに食糧と避けられない問題として、日本人口包容力との問題に逢着して参るかと考えるのであります。そこでこの避けられない日本人口の問題、これも農林行政を推進して行くについては極めて重要な問題だと考えるのでありますが、この人口の過剰の問題について、これが対策なり処理についての大臣考え方一つお聞かせ願いたい。  それからその次には、巷間伝わるところによると、政令諮問委員会その他行政機構改革案として、農林省改廃統合等の問題がしばしば紙上に上つておりますが、言うまでもなく農林省として独立機構を整えましたのは、農林関係の諸先輩や或いは関係諸団体の実になみなみならざる努力の賜物であると考えるのでありますが、これはこの際軽々に取扱われるべき問題ではないと考えます。この問題について特に今農家が、或いは日本農業が未曾有の難局に逢着をしようとしているときに、こういう農林省改廃統合等の問題についての大臣所見、並びに勿論大臣としてはこれについては飽くまで本来の農林省の面目のためにも、これが育成強化のために闘つて頂けるものと私どもは信ずるのでありますが、これに対する新大臣としての決意を伺いたいのであります。  それから最後に、これは極めて小さな問題でありますが、従来我々が参議院農林委員会において、委員会総意の下にそのときどきの極めて重要な問題は申入れという形で、政府に対してしばしばそのときどきに行なつ来ているのでありますが、なかなかその申入れが我々が期待するごとくに実現されない憾みが多いのであります。その一例を申しますと、例えば去る第十国会においては、高度生産力培養等についての申入れを行なつておるが、これについての明確なまだ回答にも接しておらないごときものも一例であります。今後も事の緊急に応じて、委員会総意に基いての政府に対する申入れ等がなされることを我々は信ずるのであります、これらの取扱いについては、私ども飽くまでも誠意を以て、そうして事の緊急性に応じて敏速適切に一つその処理をされることを最後要望をいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 大臣にお答え願う前に、ちよつとこの機会に申して置きたいと思うのでありますが、只今飯島さんの御質問の中の、日本農業の将来に対する見通し、それから日本鉱工業振興によつて食糧輸入で賄うという考え方政府農業政策に対する考え方の中にあるのではないかというような疑問、こういう問題につきましては、実は本日御列席の、前の楠見農林委員長の時代から、当参議院農林委員会では、先ほど飯島さんの御指摘にあつたように、当面だけの農業の問題でなしに、永続的な日本農業基本的な方針というものを確立する必要があるということで、ずつと以前から継続してこの問題を取扱つて来ているわけであります。そこで今の飯島さんのお話の中にもあつたことでありますが、特に講和後の日本農業見通しでは、国際小麦協定に参加したあといろいろ事情が変つて来ると思うのでありますが、本年は五十万トンの割当でありますけれども、将来そのコマーシャルで来る部分と、それから協定価格で来る部分との値開き、それが日本農業に及ぼす問題、それからもう一つどもこの農林委員会でしよつ中農業、特に食糧自給度の向上ということをしばしば問題にしておるのでありますが、第十国会の本会議の際に吉田総理大臣が、そういう考え方軍国主義の残滓であるというような御発言をなさつておりますけれども、当委員会はそういう意味ではなしに、狭隘のアウタルキーではない意味で、日本のやはり食糧自給度を高めなければ、農業という意味でなしに、広い意味日本の国の自立経済もできない。そういう観点から、この問題を非常に大きくここで取扱つて来ておるわけでありますので、それらの点もお含みの上で一つお答えをお願いしたいと思います。
  7. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 只今飯島さんから御指摘なされました問題は、農業政策の一番の基本の問題でございまして、これにつきましては、すべてに対して明確な御答弁をいたしかねる点があると思います。見通しの問題とか、いろいろ問題もあるようでありまするが、ただ併し現在私が考えておる、又自分の見通しという問題を極く簡単に申上げます。  第一は、講和後の講和成立に伴いまして、日本農業に如何なる影響が来るであろうかということの見通しでございまするが、これはいろいろ複雑なケースもあると思いまするが、大局よりしますれば、先ほど一旦触れましたように、従来は日本食糧の非常に不足な点はアメリカ援助によつて相当部分解決されておつた、これが殆んど今後は日本外貨獲得した金で、コマーシャルベースで買わなければならないということが一番強く響いて来る問題だと、かように思つております。従いまして、これは第四の御質問でありまするところの自立経済前提条件としての食糧自給と、それから工業振興に基く外貨獲得に基くところの食糧輸入、この問題と相関連して参つて来るのでございまするが、食糧自給政策はどこまでもこれは遂行いたしますけれども、今にわかに短時日の間に、一、二年のうちに食糧自給を全うすることは困難だと思います。その意味におきまして、すぐに食糧自給ができない部分は、どうしてもこれは海外からの輸入に仰がなければならない部分があるのでございます。これについては先ほど委員長から御指摘なされました小麦協定の参加に基く割当量をできるだけ多くして参りたい。かように思つております。それから現在の世界食糧事情から申しますれば、かなり高いものを現在輸入しておるような恰好でございます。これは小麦協定に参加いたしましても、運賃その他の関係でかなり高いものが入つて来ておる。これを日本国民消費者にできるだけ安く配給するという意味において、補給金を付けておるわけでありますが、これは他面におきましては、日本生産者補給金によつて或る程度まで低米、低麦価政策をやつておるというような結果にもなり、而も一面におきましては、日本の財政が非常に窮屈なの  で、農業に対する補助助成というものも期待のほどはなかなか行かない、こういう観点からいたしますれば、どうしても私は農業所得を増す意味におきましては、できるだけ米麦価については現在の農業経営を維持することができるような適正なる価格を支持して行きたい、かように考えておるわけであります。  それから講和後に日本農業生産物相当程度輸出をいたしまして、これによつて外貨獲得する部面もかなり私は出て参るのではないか、これには先ほど申しました生糸の問題もその一つであり、それからお茶の問題もその通りでございますし、それから水産関係も同様に私は考えて行かなければならないと存じます。特に水産関係につきましては、従来マツカーサー・ラインによつて制約されておりまするところの漁区が今後は相当拡大されて行くものと私は考え、これに基きまして、日本漁業の飛躍的な進展を図りたいと思うのでありまするが、これは今の造船と相絡みまして、漁業進展のための資金裏付が当面の問題となつて参るわけでございます。これにつきましては、農林漁業融資特別会計の拡大という点も考えまするが、一面におきましては、開発銀行資金の増大により、開発銀行資金もこちらのほうに入れていいではないか、要求していいではないか、こういうふうに私は考えておるわけであります。  それから現在は一応世界政局は安定の兆がありまするけれども、併し国際情勢見通しは甚だ困難だと存じています。で、そのために若し平和秩序が紊れた場合における食糧に対する自給度を高めるという点からいたしますれば、麦作或いは米作のみならず、戦時中並びに戦後非常に奨励されましたが、今一応これが下火になつておるところの甘藷若しくはポテトーによる食糧の増加並びに家畜飼料としてこれを利用することによつて動物蛋白補給の工作という問題が特にこれはとられなければならないのではないか、かように思います。  それからもう一つ森林関係でございまするが、今後講和後、日米経済協力或いは国連協力等の形におきまして、朝鮮の復興のために相当程度木材需要が出て来ることについては、今もその兆があるようでありますけれども、現在においてすら日本木材が枯渇しておる今日、これを強く要請されてもなかなかお答えすることができない、こういうような状況にありまするので、でき得れば近い所から送つてやるという点もありますけれども、これにつきましては、今後の折衝でありまするが、アラスカなり、その他アメリカにおけるところの豊富なる森林資源を開発することに対し、日本林業者協力し得る途を開いて頂き、パルプ材或いはその他の問題を有利に交渉し  て、日本にそうした木材資源を入れて頂くというような方向も辿らなければならんではないか、かように考えております。それからこれに対して如何なる方向を示すべきかということでありますが、これは只今申上げたことを総括すれば、おのずから出て来ることでありますが、根本的にはやはり自給度を高める、自給度を高めるためには、先ほど申しましたように金融措置或いは助成の措置を強力にやると共に、その基盤としての農協の整備強化を図る、こういうことに究極はなるのではないか、併しこの具体的な方策については、非常に広汎に、而も細部にわたつて農林、水産漁業、畜産、全面的にこれがいたされなければなりませんので、その詳細についていずれ機会を得まして、いろいろご相談を申上げたいと存じます。  第四の問題は、只今申上げたことで総括的に御了承して頂きたいと存じます。食糧自給のための具体策もおのずからそれに含まれているのでありますが、特に御指摘になりました食糧合理化の問題、これは非常に重大な問題だと存じます。従来米食のみに依存しておる日本国民といたしまして、米に対する嗜好度が非常に片寄つておる、そのために折角増産されたところの麦なり或いは「いも」類に対しても、これはなかなか国民の食卓にこれ供しようとしない、こういうあれがありまするので、できるだけ粉食を日本国民の嗜好に合うように加工するような方途を講ずると共に、又粉食を増すとすれば、どうしても添加菜としての或いはジヤム、バター、チーズというような問題が出て参りまして、これには是非畜産の振興考えたい。又魚の加工或いは冷蔵というような問題を強力に推進いたしまして、季節的に非常に安いものがどつと出るけれども、鮮度が落ちたために肥料になつてしまう。折角国民の食卓に上すべきものが食卓に上せない、こういう観点も出て参りますので、そうしたものについては加工、罐詰、或いは冷凍、冷蔵、こういうような措置を大いに講じたいと考えております。  その次に食糧の問題と人口包容力の問題でございまするが、終戦後非常に多くの人口が農村に殺到して参りまして、これが相当大きな問題になつたのでありますが、最近の情勢はやや農村から都会に人口が移りつつある、こういう傾向がございます。これは一面におきましては、戦後の食糧事情が非常に困つたときには、とにかくいなかに行けば食えるということで殺到したところの人々或いは引揚者の人々が、とにかく都市には住めないからというので戻つて来たのが、最近には一般産業の回復に伴うて漸次都会に来たという部面もございまするが、他面におきましては農村において相当経済的に窮窟になつたために農村におれなくなつたというような問題が大きな原因ではないかと考えております。そのために現在盛んに言われておる次三男の問題が再び戦前の人口問題と同じような様相を持つて、これが出て来ておるわけでございます。これが根本的解決はなかなかむずかしうございまして、単位生産量を増強する、或いは又開拓を増進する、或いは総合開発に基くところの未開発地を総合的に開発することによつて人口の包容度を多くするということもありまするけれども、現在の趨勢ではなかなかこれが困難であります。そこでこの人口問題は農村だけで解決することは非常に困難なのでございまして、やはり一般産業の繁栄と共に、この人口問題を解決して行かなければならないと思います。なお講和後におきましては、或いは南アメリカその他の移民の問題も出て来るのではないかと思います。これについては相手国の問題もありまするけれども、戦前におけるがごとき民族的な、それから軍国主義に対する恐怖に基くところの拒否的な態度が漸次緩和されるのではないかというような感じもあるのであります。実はこれは極く私的な話でございますが、先般デユーイ氏が参つたとき、私と約三時間ばかりいろいろと懇談いたしましたが、その際も東南アジアの開発のためにはアメリカ相当力を注ぎたい、併しアメリカからなかなか適当な技術者、労務者その他が行くことが困難である、これについてはアメリカ日本の技術者若しくは労務者と相提携して行くならば、この途が開けるのではないかと思うが、これについてはどういう方法をとつたほうがいいのだろうかというようなことまでデユーイ氏が話しております。或いは又現在カリフォルニアの農業労働者も非常に欠乏しておる現状である。併し移民ということはなかなか困難であるけれども、季節的な労働需要の途を開いたらどうかというような話もあるようであります。又アラスカの開発には森林と漁業、更には鉱工物生産の問題についても、資金、技術はあるけれども、なかなか労働者はアメリカから供給することができないというような問題もあるようでありまするので、従つてこういう問題についても、私は戦前とは違つた形において、善良にして且つ技術的な教養を持つた人が入るならば、或る程度までの海外に対する日本の移住若しくは出稼ぎという問題で途が開けるだろう、かように感じております。併し一面におきましては、日本人口増殖がこのままで、増産若しくは移民によつて解決するということがかなり困難な点もありますので、いわゆる産児制限の問題が叫ばれているようでありますが、これは原則として我我は産児制限によつて人口を或る程度縮小するということは非常に困難な問題だと思いますので、この点はなかなか明快なる方策が立てにくいのでございまして、皆さんからもいろいろと御指示を得まして、この難問題の解決に当りたいと存じます。  その次には政令諮問委員会行政機構の改革、若しくは簡素化の問題が出ているが、これに対して現在の農林省の機構を抜本的に統廃合するかということの問題でありますが、現在私としては抜本的な農林機構の統廃合をやるという結論に達しておりません。但し戦前の日本経済規模から比較しまするならば、戦後の日本の官庁機構が非常に厖大になつているということは否めない事実でありまして、これはどうしても簡素な姿にいたしまして簡易な制度を作るということは国民要望でもあり、又行政能率を高める上において必要でありますので、そういう観点からは検討いたしている次第でございます。  その次に参議院農林委員会において、或いは本会議において決議された申入事項に対する処置でございまするが、これは農林行政に関する問題が特に多いのでございまするが、これは国家の最高の機関であるところの御意見は十分に付度して実現いたしたいと存じております。但しこれが実現の方法について、どうしても予算裏付が必要なのでございまして、予算裏付なくして実行できない問題だけが取残されるような感じがいたしますので、これは全体の国家予算との関連におきまして、順を逐いまして誠意を以てその実現に当りたいと存ずる次第であります。甚だ簡単でございまするが、以上お答え申上げます。
  8. 江田三郎

    ○江田三郎君 只今農林大臣から非常に立派な政策を、而も該博な知識の裏付を以て述べて頂きまして、大変参考になつたんでありますが、従来、人は変つたから別問題でありますが、なかなか朗報ばかりが多くて、実のみのらない場合があつたのでございまして、一つそういうことのないようにお願いしたいと思うのでありますが、今おつしやつた中で、私特に一点お尋ねしたいのは、大臣経済自立の面から、或いは不幸にして平和な秩序が紊されたときの対策として、この二つの面から食糧自給度の向上ということを当面の政策の最重点にするというようにおつしやつたわけであります。而もその方策としましては、第一に米麦価経営の維持できる適正な価格にして行くということ、第二に金融及び助成の措置を強力にとつて行く、この二つのことをおつしやつたわけでありますが、そこでそれにつきまして、経営の維持できる適正な価格ということは、具体的にはどういうような価格意味するのかということをお尋ねしたいのでありまして、先だつての米価の決定に当りまして、米価審議会では、或いは新聞で見ますというと、政府のああいうものに対しまして、強い修正といいますか、反対といいますか、同意しがたいというような態度をとつておるのでありますが、我々が考えましても、昨年のパリテイ計算或いは特別加算等の方式よりも更に低められる方式によりまして、とても経営が維持できるとは思えないのでありまして、そういう点は一体大臣として経営の維持できる適正な価格という主張と、今度の米価の問題とをどういうような関連でお考えになつておるかということを先ず第一にお伺いしたいのであります。或いは価格の面で足らない点を金融なり、助成の面で付けて行くというようなお考えかも知れませんが、而もまあその一つの行き方として、農林漁業の融資の特別会計を拡大すると言われましたが、これは一つもう少し具体的に教えて頂きたいのでありまして、この特別会計を拡大するというのは、広川農林大臣の当時に努力されましたところの見返資金及び政府投資の六十億円のほかに、預金部資金の六十億円を出資する、このことを意味するのか、或いは更にもつと大きな枠を考えておられるのか、その点は一体どうなつておるのか、又それと関連いたしまして、現在の六十億円の枠というものは、前大臣のときには、これはよろしく上半期くらいに使つて行けばいいのだということを言われたわけでありますが、一体どの程度この金が出ておるかということなんであります。我々聞くところによりますというと、地方からの申請に対しまして、十分なる資金が出ていないように聞いておるのでありまして、そういうことは一体どう考えておられるかということ、更にこの金融なり助成の途を講ずると言われましたところで、そこに一つの大きな制約が出て来るのではないかということでありまして、その点私は先般の米価を決定するときに、マーカット氏の書簡が出ましたわけですが、このマーカット書簡というものを大臣はどういうようにお考えになつておるのか、これはただ米価を決定することに対する指示だけである、そういうようにお考えになつておるのか、或いはあの書簡の趣旨というものは、今後米価の決定だけでなしに、国家予算を組みます場合に、その予算の性格にああいうような書簡の趣旨を織り込めという意味にとつたらいいのか、どちらかということなんであります。若し特需物資なり、新特需物資を生産することが現在の日本の最大の務めであり、そうしてそのために米麦の値段だけでなしに、インフレを阻止しなければならんということが一番大きな問題だということになると、私はこれはただ米価決定のときの指針ということだけでなしに、今後国の予算を組む上において、この農林漁業等に対する金融及び助成に大きな変化が来るのではないかということを恐れておるわけでありますが、その点は一体どういうように受取つておられるかということであります。  更に先だつて私新聞で見ますというと、大臣の郷里の大曲におきまして、大臣は二十七年度から米の自由販売をするということをおつしやつておられたのでありまして、而もその新聞の記事によりますというと、講和後においては、治安関係その他において政府資金を要します面が非常に多くなるので、食管の特別会計のほうへ十分なインベントリーをすることができないからという理由を挙げておられたわけでありますが、若しそういうことになるというと、この米の自由販売というものは何を目標にしておるのか、私先ほど大臣が言われましたことと相当食い違つて来るのじやないかと思うのです。食糧増産ということを当面の最も重点的な政策考えろ、こうおつしやつておられまして、而も他面においては自由販売というものは、これは講和後の国家財政の治安関係その他における新らしい要請が出て来るために、このインベントリーを十分に行えない、こういうようなことが言われておりますというと、何かそこに食い違いがありはしないかと思うのであります。その点を一体どうお考えになつておるか、或いは米麦の自由販売ということで、今大臣が言われましたような、この食糧増産自給度の向上ということができるのかできないのか、若し自由販売にして食糧自給度の向上ができるならば非常に結構なことでありまして、その点に対して大臣がどういうようなお考えを持つておるかということをお伺いいたしまして、そのお答えによつてもう一遍お尋ねしたいと思うのであります。
  9. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申上げます。先ず第一に、適正な米価ということも、これは非常に抽象的というか、観念的な表現ということでありましようが、私は米価の計算方法として、生産費方式、それから。パリテイ方式がありますが、いずれもこれは理窟のあるところでありますが、生産費につきましては、すでにいろいろ御議論があるように、これはどれを標準としてとるかということと、生産費の計算方式それ自身非常に問題があると存じます。そういう観点からして、現在はパリテイ方式をとつておるわけでありますが、パリテイの方式にいたしましても、実は九十何品目でいいのか、もつと拡大していいのか、これにいろいろ問題があると存じます。ただ私が先ほど申上げましたのは、再生産を可能にする米価だけは是非確保して参りたい、こういう気持でございます。その観点からして、現在一応承認されておるのは、パリテイ方式が一番現状においては妥当であるという観念の下に、パリティ方式をとつておる次第でございまして、その観点からいたしますれば、先般の米価議会でいろいろ問題になりましたバツク・ペイの問題は当然なすべきだということで、総司令部当局のいろいろご意見がありましたけれども政府はバツク・ペイは全面的にこれを実施するということにして予算措置ができたというわけでございます。  特別加算の問題について、これはいろいろの議論がございまして、パリテイ計算で吸収し得ない要素が米麦価にあるものだ、これを何とか政治的にカバーしてやろうというのが昨年の動きでありまして、それがたまたま一五%に落着いたのでありますが、当時はパリテイの指数が漸次上向線を辿つておるというようなこともありまして、而も私どもは米価の決定の時期が問題であつたので、一応一五%だけは確保してやろうという政治的な考えで付けたようであります。今回はパリテイ方式をとる限りにおいては、全面的にバツク・ペイする限りにおいては特別加算をやらなくていいのじやないか、こういう総司令部当局の御意見もありましたけれども、これは農民は従来の一五%というものは非常に強く印象付けられておる、これを全然特別加算をしないということは、如何にも政治道徳を破るというような観点から、国内政治問題としても是非この特別加算の問題は付けてほしいということで、その間いろいろの折衝の結果五%になつた次第でございます。  その次には農林漁業融資特別会計の貸出の実況或いは申込の実況についてのお話でありますが、これは事務当局をして後ほど御説明申上げさしたいと存じます。  それからマーカット覚書の解釈の問題でありますが、これはお説の通り米価だけでなく、日本予算編成に当つて一つの覚書とこれは解釈すべきだと考えております。  その次には秋田における私の談話の問題に絡みまして、二十七年度から全面的に米麦を自由にするかということの問題でありますが、これは新聞の表現はどういうふうになつておるか、私は一部より見ておりませんから、どういうようになつておるか存じませんが、当時の記者会見におきましては、自由党は従前から米の自由販売を主張しておる、この方針はもう新大臣になつてから変えるか変えないか、こういう問題が第一の設問でございます。これは政党政治である限りにおいて、党の公約した事項はこれは忠実に守らなければならない、従つて内閣は党の基本方針はこれは堅持して行くつもりだ。併しその時期又は方法については、特に食糧の問題は農村に及ぼす影響大なるのみならず、産業並びに一般消費者に対する影響が非常に甚大であるために、これを実現するための前提条件は研究中である。即ち米の出た場合、どうしてもこれは農民は資金関係からして長く持つておるわけに行かない、やはりどうしても売りたい。そういう場合に金融が付かないということは、どうしてもこれは叩かれる影響が強いのであります。そのためにどうしてもこれは金融措置ということが非常に大事である。又その金融問題を相絡みまして倉荷証券の問題も出て来るでしようし、或いは又平均売りをして農村の立場を有利にするという意味において、農業協同組合整備強化というものも問題があると思う。更に又輸入食糧との関係において需給調整並びに価格調整をしなければならない関係で、食管特別会計は依然として必要であろうと思う。各般の問題があるけれども、これは現在目下検討中である。かように私は申したのでありまして、二十七年度から完全に米の自由販売をするという私は談話をいたしてはいないのであります。  それから只今の江田さんの御質問の中に、食糧自給度を高めるということが、農業政策基本の問題として指摘されているが、自由販売ということによつて果して増産を促進し、従つて自給度を高めることができるかどうかということの問題のようでございまするが、私は先ほど一部触れましたように、現在の日本米麦価はいわば生活の一番の基本資材として、でき得るだけ消費者のためにというような観点が強く政策に打出されているような感じがするのであります。即ち低米麦価政策が従来、終戦以来ずつと続いて来たところの政策のように私は印象附けられております。そのために補給金の問題も出ているわけでございまして、実際上は国際価格より以上に安く米価も麦価も抑えられている現状であります。ところが他の産業におきましては殆んど統制が解け、従つて補給金が減らされたために、世界情勢並びに国内の経済情勢が敏感にこれに反映いたしまして、相当価格も高くなると共に、その変動も著しいのであります。従つて常に問題になる農産物価格鉱工業生産物の価格差という問題が非常に農村の重圧となつて来る。現在私の考え方からしまするならば、他の諸般の条件が具備せられまして統制が解除される場合におきましては、私は米麦価は現在のマル公よりは高くなる。それから又中間経費がここに問題がなくなるために消費者についてもそれほど大きく響かないで行くのではないか。これは従来非常に危ぶまれたところの漁業の問題にしろ野菜の問題にしろ、或いは石炭その他の問題についていろいろ議論があつたけれども、統制解除した結果は結局においては増産になつている、こういうふうな考えを持つている次第であります。特に日本の米と競争の立場にあると考えられる朝鮮、台湾は、現状並びに近き将来の状況を観測いたしましても、日本に安く入つて来るということは殆んど困難ではないか、又対ビルマ、仏印等におけるところの米も、これは現状から見て安く日本に入つて来るという可能性が非常に少い。それからカリフオルニアから来るところの米の問題も、これはそれほど多く入つては来ないし、現在の状況は若干或いは日本生産者価格よりも安いかも知らんけれども、これがぐつと値段が下つて日本の米価を圧迫する程度にはならない。かように観じますれば、私はむしろ統制を外すことによつて、大体において米価が現状においては有利になるように、かように考えております。  麦の問題については小麦協定の参加の問題その他がありまするが、大体において日本生産者価格よりは私は高くついておる。特に運賃の問題がございまするので、その点についても統制を外すことによつて現在の生産者価格を割る程度まで下つて来るとは、私は今のところは考えておりません。但しこの国際情勢の変化によつて相当価格の変動が大きく出て来るのじやないか。そういう場合においてはこれは若し直接統制をやめるといたしましても、食管特別会計を存置することによつて輸入は全面的に政府がこれを管理する。そうしてこれを適当な市場その他の動向、更に需給関係を見て払い下げ、或いは買取の制度によつて価格支持政策を実施いたしますれば、私は国家経済上も、又農民の経済にも寄与するところが多いではないか、こういうような考えを持つております。  それからインベントリー・フアイナンスとの関係の問題でございまするが、今後日本講和後になりますると、どうしてもいろいろと国際関係に加入する場合、外交使節団、或いは又日本が独立国として国連加入ということになりますれば、治安に関する独立国としての責任を全うするには、そうした経費も多くなるであろうということは御想像の通りだと思います。現在インベントリー・フアイナンスについてはすでに皆さんにおいては、委員会はもとよりのこと、本会議においても常に問題になりました。殊にこれは純然たる金融でいいのじやないか、それを一般会計から繰入れて、そうして積極政策をとらないというのは甚だいかんじやないか、こういうような議論もあるのでありまして、私もこれが健全なる、確実なる金融の途がつくとするならば、これはインベントリー・フアイナンスを廃止して、むしろ純然たる金融に持つてつたほうが、国家予算の堅実な、又積極的な施策ができるではないか、かような考えもいたしておる次第でございます。
  10. 江田三郎

    ○江田三郎君 今お答えの中で、私がお尋ねした中の、融資特別会計を拡大するというのはどういうような拡大の仕方だ、廣川農林大臣の言われておつたような新らしく六十億円の預金部資金のほうから廻すというあの構想で行かれるのか、或いは又別なのか、そのことはあとでお答え願いたいと思います。  それから今お答えになつた中で、第一はこの特別加算の問題でありますが、特別加算、まあこれはつけなくてもいいというような議論もあつたけれども、併し農民としては当てにしているのだから、それを出さんということになると非常な失望が大きい。従つて政治問題としてこれを放つておくわけに行かんからつけたのだ、こういうまあ御説明でございましたが、そうしますというと、一体特別加算というものは政治問題であつて、これは直接経営を維持できるかできんかということとは関係のないことというようにお考えになつておるわけです。少くとも我々の承知しますところでは、昨年のあの方式によりましても、昨年度農家としましては相当赤字を出しているように承知しているわけでありまして、それが更に昨年よりも不利な方式で米価が算定されるということになると、これは大臣も言われますところの、経営を維持できる適正な価格ということとは逆な方向に向いているように考えられるのでありまして、その点米価審議会におきましても、この五%というものを一〇%少々に修正するというようなことを考えておるのは、これは単に政治問題としていつておるのではなしに、私はやはり生産費というものを考慮し、経営を考慮してそういう主張が強くなされておると思うのでありますが、一体大臣としては米価審議会のそういう意見をそうはとられないで、やはりこれは単なる政治問題だ、こういうようにお考えになつておるのかどうかということを先ずお伺いしたいのです。  それからこの自由販売にした場合には値段は高くなるということをおつしやいましたが、而もその高くなつた場合にも消費者には余り影響を及ぼさないであろう、こういうことでございます。そうするというと現在のところ中間経費というものが相当これは大きく問題にしなければならんわけでありまして、今のどの程度高くなるという見通しは私よくわかりませんけれども、恐らく国際価格をいろいろ挙げておられましたからして、国際価格なみのことを考えておられるのじやないかと思います。又若しコンマーシャル・ベースで行けばいいのだというような、例えば日米経済協力のコンマーシヤル・ベースということを言われるならば、米麦価についても同じようなコンマーシヤル・ベースなり、或いは国際価格ということが言えるわけなんだから、そこまで引上げるということになると、現在の価格とは相当の開きが出て来るわけで、而もそれが消費者に対しても余り影響を及ぼさんでやれるということになるならば、今の中間経費というものは一体どうなるかということになると思うのです。或いはこの間の米価審議会におきましても、中間経費の検討のために特別な小委員会か何か作るような決議がなされておりましたが、大臣としてこの中間経費というものを、現在の統制方式を続けておる間においても中間経費をうんと大幅に合理化し、節減するための措置を講じられるのかどうかという点。  それから二十七年度から統制を自由販売にするというようなことは言つたんじやないと言われましたけれども、少くとも私が見ました四、五種類の新聞によりますというと、同じような記事、二十七年度から自由販売にするということだけでなしに、その理由附けというようなものも同じように挙つてつたわけでありまして、若しそういうようなはつきりしたことを言われないのに新聞にああ出るというと、どちらの責任か私知りませんけれども、そういうことはともかくといたしまして、いずれにいたしましても、米の自由販売をするということになつて来れば、今大臣の言われましたように、農家としましてそれによつて不利を受けないためには相当資金の用意がなければならんはずでありまして、私は今から、もうすでに二十七年度から自由販売をするにいたしましても、私は今言われたのでは遅いと思うのです。それよりももつと前に農業協同組合なりその他の方面からいたしまして、この販売資金というものの対策が講ぜられておらなければならんのでありますが、それを二十七年度から自由販売になるような新聞一記事が出たりいたしまして、それはそういうことを言つたんじやないと言われましたけれども、併しながら党の政策に対しては政党内閣であるからどこまでも忠実でなければならんということを一方においては言われる。而も講和が近いということが見通されておる。そうするというと、今後の国の政策につきまして、占領軍当局からのいろいろな束縛というものが全然なくなるということはございますまいけれども相当に変つて来るはずでありまして、あなたがたが党のほうでそういうことをはつきりときめられ、而もそれを正しいと考えておられるならば、党もそういうようなことを実現される機会が、講和後におきまして早い機会に来るのじやないかと思うのでありまして、その点は一体講和が来て、そうしてそういう牽制がなくなれば、その直後において行おうとするのであるかどうかということをもう少しはつきりとして頂きたいと思うのであります。政党内閣だから党の決定には従うのだということを一方において言われ、一方においてそういう二十七年度から自由販売にするということをはつきり言つたことはないと言われても、それではちよつと割り切れないようなことになると思うのでありまして、そういう点をもう少しはつきりして頂きたいと思います。  なお米価だけでなしに麦価のほうの問題でありますが、麦価について政府のほうでは対米価比率を大幅に下げられたわけでありますが、麦価についても大臣の今のお話によりますというと、自由販売にするというと値段が上がるであろうというような見通しを持つておられる。そういうときに麦価の対米価比率を而も大幅に切下げるというようなああいう措置は、一体どういうように合理付けられるのでありますか。その点をはつきりとして頂きたいと思うのであります。  ついでにもう一つお答え願いたいのは、先だつての米価審議会の決定事項というものに対しまして、大臣としてはどう扱われるか。これも又ついでに承わつておきたいと思います。
  11. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほどの御質問に対して答えを落したのですが、農林漁業融資特別会計の金額を増すことの内容についての御質問でございましたが、現在考えておりまするのは、大体百億程度増したい、こう思つて検討中であります。これは林野特別会計から相当の黒字を出して、それをも財源ともしたいと思います。なお又一般会計からの繰入れ、こういうことを内容とした考え方であります。併しこれはまだ大蔵省との折衝も完全にできておるわけでございませんので、これは我々農林省としての希望的な数字は百億を増加し、そうして合計百六十億程度ということを目標に今検討中でございます。  その次には特別加算の問題について、これは私が特別加算をする必要がないといつたような取り方でありまするが、そうではなく、総司令部当局との折衝の過程において、パリテイ計算をとつた以上は、これは特別加算というものは要らないじやないかと、こういう議論が非常に強かつた。併し我々としてはこれは只今申上げたように、農村にとつて一つ増産の刺戟にもなるし、又パリテイ計算に基くことで全部が吸収されるとも思われない点もある。でき得るだけ我々は生産者に有利な米価並びに麦価をきめたい、こういう観点において折衝いたしたのであります。ところが全体の、先ほど御質問にありましたマーカット覚書の内容が、御承知のように均衡財政の基礎の下に財政の確実なる裏付なくしてかようなるところの政策をとるべきではない。従つて食管特別会計は独立採算の原則に立つておるから、その意味においてこれはやるべきだ。従つて一般会計からインベントリー・フアイナンスに特に繰込れるということについてすら難点を示しておる。我々としましてはすでに新聞で御承知のように、生産者価格は八月一日から実施し、消費者価格は十月から実施し、米価の跳ね上りによるところの低額所得者の生活に及ぼすところの影響考えますれば、やはり補正予算裏付でこれをやりたい、こういうような意向でありましたが、これも遂に向うとの話が付きませんので、一挙に八月一日からということになつておる。こういう観点からも特別加算の問題が危い状況になりましたが、最後に至りまして総司令部当局も五%程度ならそれを了承するというような点になつたわけでございます。  それから今申された党の政策と内閣、特に農林大臣としての米麦の自由販売に対する意見でございまするが、党の基本政策である限り、その基本は守るという意味です。江田さんも社会党といたしまして、いろいろと公約された政策もございますわけですが、片山内閣において然らば公約したことを全部やつたかというと、なかなかこれは政府を担当しますと、順序を逐うてやらなければなりませんので、それはできないだろうと思います。但しこの基本の方針は変えない。併しこの基本の方針を現実に実行するためには立法上、又立法のために必要な具体的なその立法を可能ならしめるところの諸条件を具備しなければなりません。そうしてそれに裏付けたところの予算によつて初めて実行できるのでありましで、その意味において私は基本政策は堅持しつつも、これを具現するための手段並びにその手段を円滑ならしめるための諸条件の検討をいたし、それが具備されたとなりますれば、速かに党の基本政策を実現さしたい、かように思つておるわけでございます。  大体只今質問いろいろ広汎にありましたが、そういう点が主な問題だと思いまするが、もう一つ最後の米価審議会における申入れの問題でありまするが、米価審議会におけるところの申入れの一番の重点は、生産者価格はできるだけ高くしろ、消費者価格はできるだけ少くしろと、そうしてその差額は一般会計から繰入れるなり、或いは又減税に当てるべきところの経費をそれに当てて、二重価格制度をとつてやれ、そうして特別加算を一〇・二%にせよと、こういうような御意見でありましたが、併しこれはすでに現在の状況下においては、政府と総司令部とのいろいろの折衝の関係で、すぐにこれを実施することは困難であろうが、近き将来にこういうことを十分に尊重して、生産者価格を高くすることと、消費者価格をできるだけ下げるように努力したいというような話合いになりまして、我々もその努力はいたしまするけれども、二重価格制度を強く取上げることは困難だろうと、かように解釈いたしております。それから中間経費の問題でありまするが、自由販売にした場合において生産者価格相当上る可能性がある。消費者価格に及ぼす影響はそれほど大きくないということになりますれば、現在の中間経費は非常に不合理だというような結論にならんかというようなお説でありまするが、私は現在の直接統制並びに配給制度を持続しておる限り、中間経費は何らの欠点ないとまでは自信ありませんけれども、これは併し現在としては止むを得ないところの経費である、かように考えております。併し、由来この中間経費は非常に複雑な要素を含んでおるのみならず、特にこの運賃のプールをいたしておるために、これが北海道の山奥とか或いは都会地、その他いろいろの諸条件がありまするので、これには相当検討しなければならん点もあると思います。極力この中間経費の節約を考えておるわけであります。今回の米価算定に当りましても、相当程度この中間経費の節約を、本来ならば中間経費の増加が一般物価の上昇に伴いまして、相当中間経費を織り込まなければならなかつたのを、それをむしろ抑えておるような現状でありまして、中間経費については特段の考慮を払つて参るつもりであります。
  12. 江田三郎

    ○江田三郎君 ちよつともう一つ。この自由販売にするかどうかということについて私が申上げたのは、若し自由販売をされるということになると、生産農家としてそれによつて不利な条件に落されないためには、販売資金の対策というものが十分に確立されておらなければならんのです。従つてこれには相当政府自身が用意が要るだけでなしに、生産農家なり、生産農家の団体である農業協同組合、その他においても、相当長い間の用意がなければできない。従つて二十七年度から統制を自由販売にするというようなことが仮に行われるとしましても、もはや今からではその資金の用意は間に合わんような、それほど長い用意を要すると思うのです。従つてそういうことを、この不利な条件に陥らないためには、よほど前々から計画的に行なつて行かなければならんことであつて、それを唐突の間に突然持出すということは、非常な迷惑千万なことだと思うのです。そこで大臣としましては、今度のこの講和、我々はよくわかりませんが、政府におられるのでありますから、この講和後においてどういうような外交関係に置かれるということも御承知でしようし、或いは大臣はみずから農林省の機構なり国の予算のことも十分おわかりのことでありますからして、党の政策を実行するという建前から、恐らくそれに全力を注がれると思いますが、そういうことを実行するという建前で、今から用意されて行けば、二十七年度において自由販売ができるのかできないのか、やる意思があるのかないのか、そういうことははつきりとせられて行きませんというと、農家としましては非常な迷惑千万で、農家だけでなしに、これは消費者としましても非常な迷惑をこうむることなのでありまして、ああいうような新聞記事が出まして、多くの人は新聞の通りを受けているのでありますからして、この際そういうような意思がないのならばないということをはつきりして頂きたいし、やるのならばやるということをもう一遍この際確認願いたいのでありまして、用意の整い次第やるというのならば、およそいつ頃用意が整うかということは、政府の局におられれば見当はつくわけでありますからして、而も片山内閣云々というようなことを申されましたけれども、今度は講和条約が結ばれまして、日本政府のこのやらんとするところに対しまして、制約というものが非常にありましても、それは非常に小さい制約になつて来るのでありまして、条件というものが非常に違つておるのでありますから、その点をこの際はつきりとして頂きたいと思うのです。  それから中間経費の問題について、現在の中間経費については殆んど削る余地がないようにおつしやいましたが、それならば私は自由販売にしたところで、そう大幅な削減は不可能じやないかと思いまして、若しこれを戦争前の中間経費をお考えになつておるのでありましたならば、この米の絶対量が足らない今日と戦争前とは、消費者ということを全然頭に置かんのならばともかくといたしまして、或る程度大蔵大臣の説とは違いますけれども、貧乏人にも米を食わせるという政策をとられますならば、やはり中間経費というものは今とそう大して違わないと思う。違うことは違いましても、その違い方というものは大きな、戦前の中間経費に帰るというような状態は来ないと思うのでありまして、それをこの統制後において中間経費の節約、大きく節約できる……、相当大きくなければ、生産者価格がうんと上るのでありまして、而も消費者には迷惑かけないということでありましたならば、相当大きく中間経費というものが動いて来なければならんのでありまして、そういう点について私は大臣のお考え方が少し甘いのじやないかと思うのでありまして、実は私は先だつて大曲の発表の記事を、旅行中に読みましたところが、その土地の新聞から、こういうような電報が来たが、一体日本農民組合としてどう考えるかという質問がありましたので、まあ廣川さんなら何も知らんから勝手なことを言うだろうけれども、何をしたところで政調会長をやつてつた根本さんなら、そんな馬鹿なことを言わんだろうという、そういう発表をしたのでありましたが、案外そうでもないようでありまして、そのところをちよつとおかしく思つておるのです。
  13. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申上げます。  二十七年度からやるかやらんかはつきりせよと、こういうような非常に短兵急なる追及でございまするが、先ほど申しましたように現在これをなす場合におけるところの前提条件はこれこれである。これこれを具備することができるかどうかということを検討いたしまして、然る後に私はこれに対するはつきりした政府の態度を示して国会に諮りたいと思うのであります。現在は目下検討中であると言う以外にはこれはちよつと申上げかねる次第でございます。  なお中間経費の節約と、これが自由販売になつた場合におけるところの消費者価格に対する影響その他については、いろいろと見解の違いもあると思いまするが、私は先ほど御説明した通りの現在の心境でございます。    〔岡村文四郎君発言の許可を求む〕
  14. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと。この岡村さんの御質問が済んだあとで、ちよつと余り固くならんように懇談しようと思います。岡村さんの御質問が終つたあとで……。岡村さん。
  15. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 廣川農林大臣が御就任になつたときには、何も農政は知らんと、こういう知らん存ぜぬの一点張りで、まあいろいろ教えてもらつて聞いておつた、こういうふうであつたのでありますが、幸いに今度の農林大臣は農政通と称してもよいと思うかたでありまして、非常に心強く考えるのでありますが、今日のお話を承わつたことと、この間大曲で発表になりましたことを総合いたして考えて見ますると、日本農業政策、食料政策というものを余りに知り過ぎておつて、軽くお考えになつているような気分がしてしようがありません。そこで先ほどからいろいろとご質問があり、お答えがありましたが、現在の米麦の耕作農家は、今おきめになつておりますあの価格では絶対に生産費は償わんのであります。そこで我々が見るところでは、今の非常に混沌とした経済情勢の一般のしわ寄せを農家に持つてつて背負わそうとしているということをはつきり言えると思います。そこでこれを何らかの方法において避けなければならんと思つておりましたが、なかなか急にそういうわけには参りませんし、食糧政策の御抱負も承わりましたが、今までの農林大臣全部、又ほかの閣僚でも、日本食糧政策を軽視するとは誰も申してはおりません。そこでそれならどうするかと聞いて見ましても、なかなかとるべきものはありません。今お話を承わりますと、自由党では自由にする計画をお立てになつているそうでありますが、元来日本の農政は、官僚政治であつたがために、上のほうで農業政策をお立てになつて、下へ推し進めて行つておりますために、なかなかうまく参つておりません。今は官僚政治ではないとは言いまするが、やつぱしそうであります。大体日本の百姓は、下から案を立て、上に推し上げて予算措置をするような力を持つておりません。我々代表がやろうといたしましても、政府を握つておりませんために予算措置が不可能で、これ又できないことであります。そこでどういう打開をするかということでありまするが、だんだんこの春からいろんな面で農業の共済と申しましようか、援助と申しましようか。策を講じてもらつておりまするが、私はあとを思うて言つておりまして現在農家が立ち行かないことになりはしないかという疑義を非常に深くいたしております。大臣の御説明の秋田、山形を比較して考えて見ましても、山形よりは秋田のほうが非常に辛いようであります。そこでいろんな面にそうなつておりますが、これはあとから援助をしましても、いたちごつこをやる関係で、なかなか百姓は立つて行けません。そこで江田さんからの今の御質問がありましたが、米を自由販売にしたいということのお答えもありました。あらゆる面に準備の相当いるにもかかわらず、準備なしに、広川さんが言うのは、あれは放言で通りますが、今度の大臣のおつしやるのは放言で通りません。そこで非常に困る者は我々であります。どうぞ今後からは十分甘くお考えにならないでそうして発言をして頂きたいと思うのでありまするが、現在のところではこれは準備なしにやりますと、今の肥料の問題、或いは米、麦を除く雑穀その他の問題、これは準備なしにやるとああいう結果が出ると思います。そこで農村共済のことをお話になりましたが、少し大臣が軽く考えていると申上げましたことは、先ほど江田君から農林漁業特別融資のことがどうなつているかということをお聞きになりました。ところが大臣は事務家に答弁さすようなお話がありましたが、これは秋田のあなたが言われた、非常に農民が楽しみに待つているものであります。そこで今やつております六十億のこの金が、江田さんは下から来るか来んかと言われているというお話でありました。全くそうであります。そこですつかり集計を私は持つておりますが、三十一日の……、それはあなたの代りに言うわけには参りませんから言いません。そこで私は非常に四十億の見返資金の枠が取れなくて困つて、私は北海道へ帰るのをやめて、リードのところに行つて交渉をし、あらゆる面に働きかけました。そこで今週中にサインをしてくれると、こういうので月曜日に約束をしましたが、それは今週中じや困る、是非早いうちにせいというお話をしましたら、それじや今週中の成るたけ早い日に許可をする、こういうお話でありましたが、今日十七億の、実は先に農林省から電話が来たそうでありまするが、許可があつたと、こういうのであります。そこで私は軽いということを申上げましたことは、大臣が東北に御視察においでになつて、米の価格の統制廃止と、あの金融を真向に掲げてお話しになつておるにもかかわらず、今日の農林委員会に御出席願うことはわかつてつて、そのトータルくらいは御存じになつておるようじやないと、心配しておるには違いがないが、余りにも軽く考えられておつて、あなたの政策が全部実行されると思わない。こういうので実は質問をするわけでありまするが、どうも米の自由販売を御計画になりましても軽々しく発表にならないで、これには相当な、江田さんのお話のように準備が要ります。準備がなければ大変でありますから、準備が万端できたときに御発表を願う。それから又中途で今の肥料のような形になりますことを絶対にそうせんようにお願いをしたい。私は肥料の話はあとから承わりまするが、ああいうことでは非常に困る。高くも売らん安くも売らない、高くも買わん安くも買わん、こういうようなことでは誠にうまく、行かんと思いまするから、そういう政策を全面的にお考えになつて、決して今の農家が米価の二五〇であれば適当な価格であり、僅か五%ぐらい上げたので追付いた。これが生産費に間に合うと思つておること自体が大きな間違いであります。前の一五%を加算したときも今も同じであります。それは脇の価格相当に上つたからパリテイがにわかに上つたと同じことで、農家の手前は何も変つておりません。そういうことですから、前にはどうにか無理をしてこうしたが、今度は向うさんがそう言うから仕方ない、除くということは我々は絶対に腑に落ちんのでありますが、今後の政策はそういうのでなしに、十分にお考えになつてもらいたいということと、今特融資金あと百億というお話がありましたが、これは林野庁の特別会計といいますか、余分な金が五十億その他から出ると思いまするが、農林省のお考えになつておるように行くことに我々も努力をするし、やろうと思いまするが、なかなか簡単には行かんと思います。そこで講和になれば又模様が変つて参り、講和になればだんだん話が変つて参りますが、まだまだこの補正案をやる時分には講和条約の調印が終つても批准ができん時代だと思いまするから、是非それも十分にお確めになり、そうして違わないところを御発表になりませんと、廣川さんなみに我々は扱うわけには参りませんので、そのつもりで一ついろいろとお答え願います。
  16. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 只今岡村さんから十分準備してやれということでございます。それで先ほど申したように今準備検討中であると、慎重にかまえているつもりでございます。  それから融資特別会計の貸出並びに需要状況を報告せいと言われましたので、これは計数に関することでありますので、恐らくその具体的な内容個個について御質問なつたと思いましたので、正確を期する意味において事務当局から御説明申上げるということにいたす次第であります。  なおいろいろと激励並び御注意賜わりまして、十分に岡村さんの御忠言並びに激励を受けまして、今後努力したいと思います。さよう御了承を……。
  17. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではここで暫時休憩いたします。    午後三時九分休憩    —————・—————    午後三時四十一分開会
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは再開いたします。
  19. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は三点ばかり大臣にお聞きをしたいのでありますが、第一点は、これはすでに政府の方針がきまつておると私は思いまするが、どうも徹底しないきらいがありますので、この際大臣からはつきり御答弁を頂きたいと思うのでありますが、それは今年の麦の買入れでありまして、これはまだ正式に割当は決定をしてはおらんようでありまするが、これも併し大体は下に下りておるようでありますが、割当以上に政府が無制限に買う方針のようでありまするが、これが農村にどうも徹底しておらないということで、関東地帯の農村を歩きましても、政府が無制限に買つてくれないという心配から、大麦あたりを一俵当り六百円とか八百円で売つておる、こういう実態でありまして、この方針を一つきまつておりますれば農村に徹底しますように、これは適当に一つ御措置をして頂きたい。これが第一。  それからそれに関連しまして、例の割当会議は、前の大臣のときに例の新麦価が決定しないで保留になつてつたのでありますが、これは決定をいたしましたので、この措置はどういうふうになりますか。この点を関連してお聞きをしたいのであります。  それから第二の点は、実は私は米価審議会で発言をいたしませんでありましたが、消費者のほうはともかく一八・五%上りますに関連いたしまして、これに相応するベースをアップする、給与を上げるという措置が関連して政府でも発表されておりますが、当初の政府案の一〇・二%の特別加算が、結果においては五%に落ちてしまつた。そうしますると、当初の政府案がこれがまあ非常に権威のあるものとしますれば、この一〇・二%が五%に落ちましたその差額の五・二%は、別途に適当な方法でこれは農村に出すべきではないかと思うのでありますが、消費者のほうは、消費者米価の引上げに関連して給与ベースをアツプする。併し生産者のほうは政府の原案がまあ折衝の結果五%に落ちても、その点については何ら言及されていない。何かしらこう片手落な感じがするわけでありまして、この減りました分を他の方法で出しまする御意図がありますかどうか。これはまあ是非出して頂きたいと思うのでありますが、どうも発表を見ますると、消費者だけのほうは考えて、生産者のほうは五%に減つてしまつたというだけのことでありまして、非常に農村でも片手落な感を持つておるようでありますが、この辺のお考え一つお示し願いたいと思います。  それから第三は、先ほど江田さん等から御質問がありました米の統制撤廃の問題でありまして、まあ本日はまだその問題を内容的に審議するのは勿論早いと存じまするから、内容の審議はその機会に譲りたいと存じまするが、ただ今度の新米価を見て参りますと、新大臣はいろいろの条件を研究して、それで時期をきめると、こういう御答弁でありましたが、まあ米をそういうような御方針でありますれば、この前の国会で問題になりました麦の統制撤廃も、むしろそれに先行するということがこれは政治的な常識としても言えると思いますが、そういう点は別といたしましても、今度の消費者価格を見て参りますと、旧価格でも実は相当のまあ消費者が負担になつておる。これはまあ大臣は自分の県でありますからよく御承知だと思いますが、秋田その他の生産県においては米の配給辞退が相当ある。こういう実態でありますに加えて、更に消費者米価が一割八分以上も上つて参るということになりますと、むしろこの価格政策の点から米の管理制度に次第に私はひびが入つて来るのではないか。麦を外す、この方面からも玄人筋は麦を外せば先ず米の管理制度は崩壊するだろう。もう一つ価格の点から見て参りますれば、今言つたような十キロ六百二十円の消費者米価では、これは何もそれを配給を受ける必要はないのでありまして、相当安い闇の米が入る現実でありますので、そうすると現在のような非常にこの憶病な二重価格政策で行きますと、もう研究する時期を待たないで、麦の統制撤廃の面からも、特にこの今度の価格政策の点からも、私は米の管理制度がすでにもうひびが入つて来るのじやないだろうか。こういうことを実は非常に心配するのでありまして、そうすると、いろいろな条件考えて、条件が具われば自由販売にする、こういうことのようでありますが、むしろ現行制度をやることによつて結果的に自由販売にせざるを得ないというような、結果論としてもそういうようなことになりはせんだろうか。こういうことを実は私は非常に心配をいたしておるが、そこで一部の意見としては、これはなかなか実施はむずかしいかと思いますが、生産地帯と消費地帯との消費者米価を二本建にするというような意見も一部には出ておるのであります。これは主として配給業者の方面意見でございますが、そういうようなことをお考えに今度の場合になりましたかどうか。更に言えば、私は今度の百五十七億程度の国庫の繰入れでは、これは私は今言つたような結局消費者の配給辞退が生産地では非常に起きて来るので、この点から私は管理制度が崩壊しはせんだろうか。こういう点につきまして、これはまだ私も深い研究はいたしておりませんが、その辺の大臣の感じなりお考えをお聞かせ願いたい。  もう一つそれから周東さんから、何かうまい案があればもつと価格制度は変えてもよろしいという御意見が米価審議会でありましたが、例えば一八・五%に消費者米価を上げますると、当然に官公吏の、公務員の給与ベースを上げなければならんのでありますが、仮にまあ千円のベース・アップをしましても、実は相当補正予算の変更になると思いますが、そうなつて来ると、ベースアップに要する国の支出と、それから百五十七億の一般会計からの繰入れとを関連して考えますると、もつと一般会計から繰入れをして、給与ベースの引上げのほうの予算を減らすということのほうがむしろいいのではないかというような実は感じを持つわけですが、この点がどんなような折衝経過なり、お考えでありまするか。これも今言つた点に関連して御答弁を頂きたいと思います。  それからもう一つは、先ほどこれは江田さんが御質問になりました点で、私も同じような実は感じであるわけでありますが、米の統制撤廃が、講和会議ができればいろんな国費が繁忙になり、国の支出が多くなるので、そこで或る程度米の管理制度に要する経費を節減をして行きたい。勿論これは冗費がありますれば節減するにやぶさかでないのでありますが、どうも農政の根本問題になると、私もやはり米の配給制度は一つの社会政策的な意味も多分に持つものと思います。農政問題でもあり、又民生問題でもあるわけであるのであります。従つてこの方面経費はやはり必要でありますれば当然これは出してよろしいと思うのであります。講和会議ができればほかの経費が頗る繁忙になるからこつちを減らすということは、どうも農政なり或いは民生問題を第二次的に考えておるというような一応の誤解を実は持つわけであります。やはり農政の基本問題であり、或いは国民生活の基本問題でありますれば、経費はこれは節減してよろしいと思いまするが、必要な制度に要する経費はこれは優先的に考えてもらいたいと思います。どうもほかのものが忙しくなるからこれを減らすのだというような感じが実はちよつとないでもないのであります。これは予算と私は同じ感じだと思いますが、この点も重ねて伺つておきたいと思います。
  20. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 片柳さんにお答え申上げます。  第一と第二は一つの関連した問題でございますが、実は昨日府県知事の代表としての安井東京都長官、それから農協関係のかたが二十人ばかり参りまして、その代表は黒田さんでございましたが、この前の知事会議並びに農協の代表のかたの会議の席上、米麦価の正式にきまらない限りこれは食管法に基くところの正式の割当は受諾しがたいということでありまして、一応その方針で、併し割当数量についてはお示ししておつたわけであります。それで今回米価審議会の御答申もありまして、それと関連してすでに八月一日に告示をしたのであります。これに基いて昨日私と会合いたしました。その際二つばかりの条件一つは今度の米価については我々は満足しかねる点があるのだ。それで総合的な農業政策によつて農業生産の維持ができるような措置を講じろということと、それから二十六年度産の米についてもパリテイ計算方式においてこれを続ける限りにおいては、若しバツクペイをする計算が出たらバツクペイをせよと、こういう条件で、この前提の下にそれでは我々はこの案を受諾しようと、こういうことになりまして、本日正式に割当をいたしました。それからこれに関連して本年度の麦の買入れについては無制限に買入れするようにせよということを言われまするが、これはこの前の知事会議でも私申上げたわけでありまして、現在の食管法が続いておる限り他に売ることができませんので、従つて当然にこれは政府が農民から買うということを命じておる次第でございます。若干この点について地方末端の農民のかたがたから非常に不安のようでありまするから、これは通牒でも出して各県に徹底させたいと思います。  それから第二番の問題は、消費者価格を一八・五%上げた、これに対する救済策としてベース・アップ並びに減税をやつておるようだ。ところが政府は当初強く司令部に要求したところの特別加算一〇・二%が五%になつた。その差額五・二%については救済策がないようだが、こういうことでありまするが、これを現在のところ予算的にすぐ米価に更に又この五%を次に要求するということも困難な情勢でございます。そこでこの問題については直接的な補償の政策にはなりませんけれども、減税についてはやはり先般相当程度の減税をいたしたけれども、まだ農村に対しては減税する必要がある、こういうような見方で減税で、この五%そのまま行くかどうか知りませんけれども、減税によつて相当程度これはカバーして行きたい、かように思つております。後は先ほども申上げましたいろいろの総合施策で生産費の低下を図る、逆に言えば増産の対策によつてそれをカバーして行く、かように思つております。  それから米の統制撤廃の問題は先ほどお話したような状況でありまして、これは御指摘のように片柳さんもこの点では非常に専門家でありまして、現状のままでかなりこれは相当統制が破れかけておる現状であります。その意味においても先ほど申したように、我我はこの米の直接統制を緩和すべき条件と、その時期については今検討中でございますので、一応案がまとまりますれば、正式に今度は皆さんにもいろいろとお諮りいたしたいと思います。かように思う次第であります。  それからその次には米の消費者価格の値上げとそれからベース・アップとの関係でございまするが、ベース・アップするとすると、相当の公務員に対する予算支出が多くなる。それだけの経費をむしろ一般経費から食管特別会計に繰入れて、いわば二重価格制によつて救済したほうが国家財政上いいのじやないかと、こういう御見解は米価審議会でも我々拝聴しておるわけでございまするが、併しこのベース・アップは米価の問題と離れて実は又問題になつておるのでございます。すでにこれは第十国会においても第九国会におきましても、皆さんからも強く指摘された問題でありまして、それでこれは総合してベース・アップの問題は考えなければならない。たまたまこのべース・アップに米価の問題が関連して、更にそれがプラスして考えられるという気持でございます。  それからもう一つは、これは片柳さんが今まで直接食糧管理庁長官若しくは農林次官として御承知のように、食管特別会計はどこまでも独立採算制であります。そこで二重価格制はやめるんだと、こういう基本方計で動いておる状況でございまして、我々としましてもドツジ方式を堅持して行くという立場からいたしますれば、これはできるだけ補給金なり、そういつたところのあれはなくして行きたいと、こういう観点からして今のところはやはりベース・アップに要するところの経費を以て二重価格制を作るという考えは現在はいたしておりません。  それから米の配給制度は一つの社会保障制度の一端として見るべきだと、こういう見解は確かに考えられる立場だと存じまするが、これについては非常にまあ立場を異にすれば議論があるところでございまして、まあ曾つては薪炭もこれは生活必需品である、それから衣料も生活必需品である、こういうことで、殆んどすべての生活必需品が全部全面的に配給制度をやつてつたのでございまするが、これは一応の理窟としては成るほどそうなりますけれども、実はその運営上幾多の困難な問題もございまして、実はこの特別会計においては常に赤字を出して来ておる。而も又他面におきましては、その間特殊なる弊害がございまして、いわゆる官吏の収賄とか、或いは又公団の収賄とか、或いは又中間経費の問題とか、いろいろの問題が、ございまして、むしろやはりこの問題は、非常急変の場合における措置としてはこういうことはありまするけれども、漸次経済が正常になりますれば、やはり現在の資本主義経済機構を奉ずる我々としては、資本主義的なマーケツトにおいて売買をし、その間における経済の自然の調整に主としてこれを任せる。而もそれが経済上非常に破局的な影響がある場合においては、むしろそれこそ政策において価格指示なり需給調整などの方策を講ずることが本当ではないか、こう思います。従いましてこれは三つ米の統制配給の問題と絡んで、いずれ又ゆつくり御意見を承わり、我々も所信を述べたいと思います。本日はこの程度一つ御了承を願いたいと思います。
  21. 三好始

    ○三好始君 米の自由販売についてはすでに二、三の委員のかたから触れられましたが、二十七年度から米の自由販売をしたいという大臣の秋田談話は、農民だけではなく、消費者にも相当問題を起しておると思うのであります。それが本日の御答弁によりまして、二十七年度から自由販売をするということは言明をしておらないと、こういう御説明がありましたけれども、本日の御説明では十分釈然としない気持が国民の間に残つておると思うのであります。大臣は自由販売についての党の政策は尊重する。併しそれを実現するための諸条件を含めねばならないので、それに努力したい。こういうような御説明であつたと思うのであります。そうしてその諸条件というのは何かと言いますと、大臣の説明では、金融の整備であるとか、或いは倉庫の充実であるとか、倉荷証券の発行の問題であるとか、或いは農業協同組合の強化と、こういう問題を挙げられたわけであります。併しながら大臣は専門家として十分御承知であると思うのですが、米の自由販売を決定するための重大な条件は、今大臣の御説明として私が例に挙げましたような、そういつた国内条件そのものよりは、むしろ日本生産される食糧輸入食糧を追加して、食糧の需給が釣り合つて行けるという、その輸入食糧の問題が大きな条件だと思うのであります。果して食糧輸入日本食糧不安を来さない程度に確実に安全に輸入できるものであるかどうか。この問題がむしろ第一の条件だと思うのであります。大臣は別な説明におきまして、平和の秩序が乱れたときを考えれば、いもの増産利用が大事な問題として考えられるという御説明もあつたのでありますが、そういうふうに今日の世界情勢からいつて世界平和が非常に不安な状態であるというお見通しを持つておられればおられるほど、私は自由販売を決断するまでに、食糧輸入見通しについて確固たる自信がなければ言えないことだと思うのであります。その辺の見通しをどういうふうに立てられておるかということをお伺いしたいのと、それから自由販売をやるには輸入食糧が確実に安全に見通されるといたしましても、それを政府において管理するということが同時に考えられる問題じやないかと思うのでありますが、輸入食糧の国家管理という問題についてどういう見解を持つておられるか。この二つの問題をお伺いいたしたいのであります。
  22. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 三好さんにお答えいたします。  今の輸入食糧の問題につきましては、私は先ほどもちよつと申しましたが、非常に大事な問題でございまして、これなくしては決して食生活の安定を期するわけには行きません。増産をいたしても、すぐに全部自給自足する程度にはなかなか参りません。そういう意味におきまして食管特別会計は、たとえ直接統制を外しても、需給調整をいたすという点と価格調整の点からいたしまても、輸入食糧政府でやる、こういうふうな構想でございます。従いまして輸入食糧の点をも考慮いたして、我々は直接統制を外す場合においても輸入食糧について十分に考慮して行くと、こういうわけでございます。
  23. 三好始

    ○三好始君 只今の御答弁では、輸入食糧については、たとえ米の自由販売を断行する時期が来ても国家管理をやつて行くというふうな御答弁と了解いたしたのでありますが、それで間違いありませんか。
  24. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 管理というのは、輸入並びにその放出については、食管特別会計で需給の関係価格関係を見てこれを買取り、輸入並びに放出の処置を講ずる、こういう意味における管理であります。
  25. 三好始

    ○三好始君 それと、輸入食糧見通しが果して確実に安全に入るものと考えられるかどうかについては、抽象的な大丈夫だろうという程度考え方では困ると思うのでありますが、その点について明日の委員会でも結構でありますから、専門的な角度から輸入食糧の今後の見通し、殊に量的な面に不安がないかどうかということについて数字的な詳しい御答弁が得られましたら幸いだと思うのであります。
  26. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 明日その資料を持つて参りましよう。
  27. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ついでにまあ明日お答え願う点で、これはもう事務のほうの関係のかたでも、どなたでも結構でありますが、先ほどの農林漁業資金関係で、御承知のように一般会計から二十億、見返資金から四十億、それからあとは預金部資金の運用六十億ということになつたわけですが、その辺もう少し詳しく今度の金融拡大措置についての、それの割り振りをもうちよつと明日詳しく願いたいと思います。  それから前農林大臣廣川君が、六十億は前半期に使い切つてくれろ、そうするともうあと六十億プラスするように大蔵大臣と話合いでしたいというように盛んに言われておつたわけですが、それらと関連して今の預金部資金のほうの関係が不明確な点がありますので、これも明確にして頂きたい。  それから今の三好さんの問題のお答えと、もう一つは御承知の第十国会で通つた単作地帯の振興措置法案、あれが何か臨時国会あたりで予算裏付を行うというようなことにまあ御努力下さつていると思うのでありますが、これについても若干の見通し等を承わりたいと思います。
  28. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この間の第十国会に通りました森林法の施行において、この間も地方を見て廻つたのでありますが、一つは先ほど力を非常に入れて頂く林道の問題は勿論でございますが、併せてどうしても利用の合理化を図らなきやいかんという声が非常に多いわけでございます。かねてあの審議の際にもいろいろと話題になりましたように、日本の今日の森林の調査機関に利用合理化の機関が全然ない。一カ所に集めようと思つたところが、それが進駐軍の関係でやる場所がないということから非常に行詰つているのは御承知のことだと思います。それで今度の補正に、せめてあるだけの機械を入れて研究に着手するだけの設備を立てられる覚悟があるかどうか、この点を一つ伺いたい。
  29. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 三浦さんにお答えいたします。  林道の問題はすでに御承知の通りでありまして、これはまだ予算の具体的な折衝に行かないから、我々の考えだけでございますが、大体二十八億程度補正予算林道の開発をしたいと、こういう農林省の現在の案でございます。  それから木材利用の合理化問題は、これは非常に大きな問題でございまして、これは各般に亘つておりまするので、而もこれの工業的な裏付をするためにはどうしても研究が完全でなければならん。そういうことで例の林業試験場の問題でございますとか、星製薬の例の建物の問題については、私も今大蔵大臣と盛んに折衝しております。相当程度理解して参つたようでありますけれども、是非補正予算でこれは実現したいと、かように思つておる次第でございます。
  30. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私は実は昨夕遅く、北九州のほうの坑木とパルプ状況を見て来たところであります。でますます林道なり今の研究機関の是非必要なことを痛感しておるわけでありますが、出て行く前の二十六日、安本の幹部会の様子を聞きますというと、林道関係さえもがどうも影が薄いようだということから、私は安本のほうに行つて森林法をああいうふうに励行して行くためには、ただ抑えるということだけが非常に響いて、そうして林道というような新らしい方面の開発がないと、政府自身が矛盾を感じて、そこにみずから森林法を励行しなくてもよろしい、励行できないというような環境に追い込むことが明らかなので、これは是非次の幹部会には話題にして、これを通してもらわなければ、政府自身が非常な矛盾を感ずるのではないかということを頼んで来たわけですが、どうか一つその点で一層踏張つて頂きたいと存じます。
  31. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ちよつとそういう事務当局の話がありましたので、それは非常な認識の誤りである。特に安本長官は治山治水の協会の会長をしておつて、そういうことは以てのほかではないか、これは今度の補正予算においてはいろいろ重点があつたようでありますけれども、現在においては最大の問題であるということは周東安本長官にも強く申入れておきましたし、なおこれは池田大藏大臣に強くその点を要請しておるつもりでございます。  それからもう一つ、これは造林の問題と関連いたしまするが、現在のところでいろいろ造林奨励をいたしましても、経済上間に合わんという観念が非常に強いのです。そこでこれは大きな問題はやはり資金の問題もありますが、税制が非常にこれは禍いしておるという考えからいたしまして、私は林業所得に対しては大幅の減税をしなければならない。それからもう一つは相続税の問題でございます。相続税の軽減とそれから分納の処置を講じなければ、折角の林がまだ伐期に達しないにもかかわらず今までは伐つてつた。今度はそれもできなくなつて来る。森林法制定でこれができなくなつて来るというと、事実上今度は山のままで物納しなければならない、こういうことになりますというと、造林するという観念がなくなつて来るということで、これは補正予算では到底むずかしゆうございますので、二十七年度予算編成に当りましては、林業に対する所得税並びに相続税については大幅の軽減をいたしたいというのが、我々の気持でございまして、これは税制審議会その他にも強く要請しておりまして、皆様の格別なる御支援でこれは実現したいと考えております。
  32. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 どうも時間の関係があるようですから、私は遠慮しておつたのですけれども只今大臣から進んで林業税制のお話を承わりまして、私は非常に感謝申上げるのであります。このことはすでに第十国会でも大蔵大臣、安本長官、時の廣川農林大臣、共に委員会の席上お約束ではあつたけれども、新大臣を迎えてなお私どもとしてもいろいろと研究しおります。お話の通りでありまして、まだお礼を申上げるのには早いかも知れませんが(笑声)その意気込についてはここに深甚の敬意と謝意を申上げておます。
  33. 羽生三七

    委員長羽生三七君) どうですか、今日はこの程度で……。では本日はこの程度で散会いたしまして、明日午前十時から残余の問題について審議をいたします。ではこれで散会いたします。    午後四時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   国務大臣    農 林 大 臣 根本龍太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君