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1951-06-20 第10回国会 参議院 農林委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月二十日(水曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (米麦価等に関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより農林委員会を開きます。本日は御承知通り最近米価麦価の追払いの問題、それら特別加算額問題等が相当重要な段階に参つておりますので、この問題を中心に政府意見を聞き、併せて問題の所在検討して、今後の推進方を御協議願いたいと思うのでありますが、特に先般マーケツト経済科学局長から、日本インフレ傾向抑圧に関する特別の要望がありましたが、このインフレ傾向抑圧の問題は日米経済協力との観点から行われたものでありますけれども、直接には米価の問題に関して総司令部側意見を或る程度示唆したものだと解せられるのでありますが、いずれにいたしましても、この農民にとつては再生産を償うに足る米価決定並びに当面の追払金の問題等は極めて重要な問題でありますので、この問題につきまして、最初最近のこの問題に対する経緯について政府側から話を聞きまして、その後に皆様から御質疑を御展開願う、こういうことにいたしたい思います。なお農林大臣大蔵大臣安本長官等出席方を要望いたしましたが、本日は御承知通り知事会議がありまして、そのほうに皆出られておるようでありますので、或いは大臣出席されないのではないかと思うのでありますが、他の局長或いは長官等出席されておりますので、これによつて会議を進行して参りたいと思います。最初に……。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつとその前に三大臣の、公式にはどういう連絡があつたの一つ……。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 公式には委員部を通じて行なつたほか、私が秘書官のほうへそれぞれ電話を通じてやつたわけであります。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 向うからの返事は…。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 向うからの返事は今申上げた通り知事会議のため出席できない……。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 できないというのですか。
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 農林大臣はできる限り差繰るというわけです。  最初にそれでは食糧庁長官から最近の経緯説明して頂くことにいたします。
  9. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 大体の経過を申上げます。実は問題がまだいろいろこんがらがつておる最中でありまするので、大体の経過だけを申上げまして、今後の日本政区としてとるべき方向等については御勘弁をお願いいたしたいと思いますが、又それに関連いたしまして、いろいろ御注意を是非夢たいと思つております。日本政府が出しました案は、これは新聞等で出ておりますから、十分御承知だと思いますが、二十六年の五月末を二四〇のパリテイに見て、二十六年の九月を二五〇というふうに見ております。それから生産者価格に対する特別加算額は、現在の予算で織込んでおりまする金額石当り六百九十四円であります。これを加算するというふうにいたしております一この点はいろいろ議論はあるのでありまするけれども、少くとも六百九十四円というものは予算上織込んでもおりまするし、又この前提で以て消費者価格を取りきめますときには織込んでとつておるわけであります。パリテイの上昇ということを考えまして、絶対金額から申しますと、不足はいたしますけれども、観念的にはこの六百九十四円というものを消費者価格に織込んでもおりますので、この特別加算をいたしたいというふうに考えております。それから麦の対米価比は、五月末のパリテイ二四〇、それに米価は六百九十四円を加算したもの、それに対して小麦六四、裸六九、大麦が六七という比率決定いたしております。それから一面消費者価格改訂のほうでありますが、これは十月一日に改訂をするという想定の下にやつております。それからその算定方式といたしましては、リプレースド・コストによるということであります。そういたしますと、いろいろ現金バランスの上において赤字が出て参りまするが、そうしたものは砂糖の消費者価格或いは中間経費の節約或いは原材料払下収入の増加というようなものを見込みまして、それでもなお赤字になりまする分については、一般会計から食管特別会計に繰入れるという原則で弾いております。そうした原則で弾きますと、生産者価格は二十六年産米については、石当り裸で七千四百八十四円、大麦が千二百三十三円、小麦が千八百四十六円、裸が千九百九十一円、消費者価格のほうは値上率が総体として一九・四%、一般会計からの繰入れが大体三百五十億程度という計算になるわけであります。そうした大体各方面意見を十分取りまとめて、安定本部におかれまして十分に調査をとられて、この案を作つたのであります。その後司令部といたしましては、インフレの問題、今後における日米協力体制の確立の問題、それから農民の利益はパリテイを見ておればそれで大体バランスがとれていいはずだという意見の開陳、それから消費者価格を相当上げますことは、一般会計の上に影響するところが非常に大きい、従いましてそうした各種観点からいたしまして、日本政府の案は十分とは考えられんから、もう一度再考して出し直せという意味の話が実はあるわけであります。日本政府といたしまして、それをどう取扱うかが只今関係各省間、又関係大臣におかれまして、いろいろ苦慮いたしておるのであります。未だ結論は出ておりません。大体今までの経過は以上の通りであります。
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 念のために申上げておきますが、大蔵省からは主計局次長石原さん、それから安本からは物価庁の第一部長、第二部長出席されておりますから、お含みおき願います。
  11. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 司令部のほうの意向というものを、できれば今少し具体的にお話願えませんでしようか。
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 問題の所在をあれして、一つ……。それで御質疑願います。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 今の片柳さんの御質問ですが、司令部からどういう具体的のサジエツシヨンがあつたかということでなしに、あの書簡というものを日本政府は具体的にはどういうふうに解釈しておるのでしようか。
  14. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 具体的にどう解釈しておるかというお尋ね趣旨、実はよくはつきりいたしませんが、とにかく只今申しましたような各種観点から、十分もう一度検討をしてみろという意味だと解釈をいたしまして、検討しております。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 ここに司令部書簡はございませんか。
  16. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 司令部書簡只今つておりません。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 正確な文章を覚えておりませんが、予算範囲内において、更にその次の予算のどうとか、こうとかいうことがありましたが、あの言葉というものは、具体的にバツク・ペイなり或いは基本価格にあの言葉を当てはめると、どういうことになるのか、その日本政府解釈を、農林省或いは大蔵省安本、それぞれ違う解釈を持つておられるかも知れませんが、違う解釈なら違う解釈を、一応どう解釈しているのかということを御発表願いたいと思います。
  18. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 予算範囲内或いは何て書いてございましたか、予算外のもので必要なものも十分いろいろ検討した上という意味ではなかつたかと思います。その点は私ども絶対に予算範囲内でしか措置ができないのだという意味では私ども考えておりません。いろいろ各省間にも意見の違いということは、その点についてはないとは言えません。
  19. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今朝の新聞バツク・ペイの問題は予算範囲内で解決がついたというような書き方をしておるのですが、今長官からお話を承われると、そこまで行つてないようなお話ですが、あの新聞は嘘なんですか、どうなんですか。
  20. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) これは初めから私申上げておりますように、バツク・ペイだけを切離して一つ片付けてるくれというのが我々の主張つた。それが結局認められずして、一般の某本政策関連をしてきめるということで来ているわけですから、バツク・ペイだけ切離して、それはよろしいということには勿論なつておりません。ただいろいろの論点がありますけれどもバツク・ペイの点については比較的日本政府案等については容認をする傾向が強いのではなかろうかという一種の見込み、これも併しほかの全般の問題と関連して来ますので、それがきまらないときにはきまらない。新聞記事等に出ておりますのは、やはり一つの、端的に言えば憶測の記事である。併しそうした傾向は全然なきにしもあらずだというふうに考えております。
  21. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは大蔵省に聞きたいのですが、今後のバツク・ペイにしろ、麦と米の新米価決定にせよ、非常に二十六年度米麦に対する奨励金と言いますか、そういう額を単なる、仮にきめておつたような形で非常に今政府も迷惑をしているようでありまするし、一般生産者も非常な疑義を持つて心配しておりまするが、一刻も早く補正予算をして、こんなにして置くべきでないから、こうしなければならないということを連合国のほうに申出ておつたのか、そのまま黙つて僅かの予算を見て今までおつたのか、どういうのかお聞したい。
  22. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 補正予算の全体にきつましての検討は、従来からいろいろな問題が残つておりますので、いたしておるわけであります。それでは全体について司令部のほうに話合をいたしているかというお尋ねでございますれば、それはまだそういうような運びには至つておりません。ただ先ほど食管長官も申されましたが、三百五十億程度一般会計所要資金を要するのでありまするが、その金の問題につきましては、大蔵大臣が、従来からも国会お話をしておられまするように、八百億を上廻るような自然の増収が見込まれるというようなところから、そのうちで賄いが付くのじやないかというような立場お答えをいたしているわけであります。
  23. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 先ず第一に昨年産の米麦バツク・ペイですが、これが現在の段階で全然バツク・ペイがいけないのか、或いは予算範囲内であればよろしいか、これはまあ今年の米麦バツク・ペイにも関連すると思いますが、予算がとれておれば、その範囲内ならばよろしいということでありますか、これは今後の、今年の米麦のバツク・・ベイにも関連しますし、これはやがて来年度予算の編成の際にどの程度バツク・ペイ予算を見るべきかにも関連する問題でありますが、その辺はどういうようなことになつていますか、趣旨はいいが財源がなくて出せんのかどうか、それを先ずお伺いしておきたい。
  24. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  25. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて……。
  26. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 デリケートな立場は了解いたしますが、そこで私たちはかねてから米価予算との関係一つ意見を持つておるわけでありますが、特に石原次長も御出席であるのでありますが、結局米価正式決定よりも早く翌年度予算がきまつてしまう、大体八月頃には大体の予算の、実際の目途は、輪郭は付いてしまうと思います。そうすると、その以後に米価審議会等を開きまして米価決定する、そうすると、今言つたようなバツク・ペイ問題等にいたしましても、相当予算の枠で非常に難儀を示すことにもなる、併し順序から見て行くと、むしろ政府で翌年度予算を編成するその前に、米価審議会等を開きまして、大体の見通し等をそこで慎重に意見を聞かれるということでないと、どうも予算米価決定とがギヤツプができるというような感じがする、そういうことを是非やつてもらいたいと私は思います。その辺をどんなようにお考えになりましようか。
  27. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 米価審議会の運営の問題につきましては、物価庁のほうからお答えを願つたらよろしいかと思います。バツク・ペイ食違い問題といたしましては、私もちよつと正確に数字を記憶いたしていないのでありますが、二十五年度実行におきましても若干の食違いが生じたかと思います。ただこの違いがそう大きなものでございませんと、実行上のやり繰りといたしまして、昨年もたしか司令部相談をいたしまして、やつたと思いますが、全体の傾向として大きな問題なしに実行上やれるものと思います。ただ本年度のように大きな開きが出て参りますると、御指摘のようになかなか実行上むずかしい。これはおつしやいまする通り米価決定方式にもよりますし、そのいずれの方式によるにいたしましても、値上りの見込みというものが実際どうなるかということによつて大きくなつて参る。そういう場合に、できるだけ今おつしやいまするように、予算が早くまとまりまするから、物価見通しについては、できるだけ正確の方法をとる必要があるかと思いますが、それらにつきましては、従来も農林省或いは安定本部司令部も加わりまして非常に努力をしておられたと思います。今後本年のようなことはないよう、できるだけ正確な見通しを付けなければならん。米価審議会のほうは、或いは御指摘の点は物価の問題ばかりじやなくて、決定方式自身についても同じかと思いますが、このほうは私どものほうの所管でありませんから、私からお答えすることを差控えます。
  28. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと私からお尋ねしたいのですが、これは問題の所在を明らかにする意味からでありますが、この問題について政府決定が促進されないということは、総司令部意向ということも相当あると思うのですけれども、総司令部側意見というものが決定的なのか、政府財政的な見通しの困難さの故に、これが早急に決定し難いのか、ウエートから言うと、どちらに重点があるのですか、これは大蔵省のほうにお伺いいたします。
  29. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 先ほど食管庁長官からお話しになりましたように、国内の問題といたしましては、三大臣一応結論を出しておりまするので、国内財政問題といたしましては、先ほど申上げましたように、自然増収のうちを以て三百五十億程度の繰入れは可能である見通しを立つております。従いまして、国内的の財政的の見通しという問題については、一応検討しまして、一応その結論が出ておる。
  30. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 先ほど安孫子長官お答えによりますると、一般会計から三百五十億、これは是非やつてもらいたいと思いまするが、これが通りますると、従来の食管会計独立採算制は一応これで原則が破られたということになりまするが、これはこの前も安本長官にも意見として申上げたのでありますが、例のインベントリー・フアイナンスの問題で、単価が上つて来れば、当然これは食糧証券発行高が前年度末以上に殖えることは当然なわけなんでありますが、従つて少くとも食糧証券発券高インベントリー・フアイナンスをするのじやなくて、具体的な手持数量といいまするか、少くとも単価上つた比率だけは、食糧証券発券の現在高が殖えても、私は理窟司令部にも通るのじやないかと思いますが、それが一応或る、程度緩和すれば、その方面のやりくりが楽になると思いますが、そういう方面については関係方面折衝をされておりまするかどうか、その点を一つお聞せか願いたいと思います。
  31. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  32. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。
  33. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その辺の事情もわからんことはないのでありますが、一応単にインベントリー・フアイナンスを全然いかんということでなく、単価が上つて来ればそれだけ、それに応じた分だけは、食糧証券発券高が殖えても、これは私は差支えないのじやないかと思います。高い単価ですぐ消費者から回収もできるわけでありますから、この辺は交渉に当つておりませんから、わかりませんが、それも私は単なるむちやな理窟を言うわけではないのでありまして、これも一つ実際の折衝のデリケートな関係もありましようから、出し方はいろいろ御意が要る思いますが、私は併し理論としては御主張をして頂きたいと思つております。それからもう一つは、これは生産者米価を上げて行くことは、反面で農村からの税収入が相当増加するということを考えるのでありますが、これをどういうふうに、どういう関連で見ておられますか。これは石原主計局次長から……。
  34. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 大蔵大臣国会お答えになつておられまするが、八百億のおおむね自然増収があるだろうということをいつておられるわけであります。そのうちにおきましても、そういうような計算を私実は主計局のほうの担当者でないものでありまするから、正確なお答えができないのでありまするが、そこら辺のところも考え合せて見ておられるのじやないかと思います。
  35. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それからこれはちよつとこまかい問題でありまするが、麦の対米比価の問題で、或る程度我々の主張を容れて頂きまして、裸麦大麦が若干比率上つたわけでありますが、これは私はどつちがいいかということはわかりませんが、私の過去の考え方で言いますると、小麦裸麦を同じ価格比率にしても、むしろ小麦のほうが不利だということを実は聞いたのでありますが、にもかかわらず、更に裸麦のほうが約五%対米比価が上つておる。勿論これは消費者実効価格なり嗜好の点から、こういう或る程度の格差を付けたと思うのでありますが、農業生産という生産者立場から見ると、どうも私の過去に聞いておつたことと逆行しておるような感じもしておるわけでありますが、それで生産者価格としてこれは差支えがないかどうか。それからもう一つは、これは先ほどお話があつたような六百九十四円という特別加算を加えての比率になつておるわけでありますが、この六百九十四円の特別加算が今後の折衝で動いた場合は、自動的に比率を上げる。要するに六百九十四円を加えた六四%なり、六九%をかけた絶対額を我々としては確保してみたいと思いますが、この二点につきまして、政府考え方を伺いたいのであります。
  36. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 小麦比率においてほかの作物よりも若干不利だ、同じにしておつて小麦増産の上から申しますと問題がありますのに、こう開いたのは問題じやないか、私もそういうふうに思います。その点は大体現在におきまする消費者嗜好というようなものを判に強く見まして、この比率をはじいております。小麦増産奨励上から申しますると若干問題があると思いますが、将来当局とも打合せをし、又石原次長がおられますけれども小麦増産につきましては、財政の面において相当見てもらいたいという考え方で、それによつて小麦の減産というようなことにはしたくない、財政法との関係においても一つ考えてみたいと思つております。これは今年はこういう率にきめましたけれども、やはり状況の変化によつて今後固定した考え方でなく、訂正して行きたいと考えております。それから六百九十四円の加算したものが少し動いた場合に、自動的に比率のほうも動いて絶対額を確保するようなことを考えておるかどうかという点は、只今のところそういうことは少しも考えておりません。
  37. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 今御答弁になりましたが、生産者価格としては、消費者嗜好というものは或る程度生産者価格に反映することはこれも考えられるかと思いますが、生産者価格になりますとやはり、生産の実態に即応した比率のほうが私はよろしいのじやないかと考えておりまして、更に御再考を願いたいと思います。それで今度数日間農政研究会関係地方を歩いて参つたのでありますが、問題は第一に米麦価格問題で、実は圧倒的な反対の、反対と言いますか、早急にはつきりしてもらいたいということ、それからバツク・ペイは勿論のこと、パリテイ計算である以上絶対の原則であるということと、それから一五%の特別加算も、これを決定された政府説明のごとく、米価ではないが、従来農家の所得になつてつたものを便宜米価に切換えたのでありますから、これは既得権として飽くまで御承知願いたいという寒気は全面的な雄気があつたのでありますが、そこでこれは是非それをやつてもらいたいと思いますが、仮にですが、この一五%の加算額政府の案によつてもすでに或る程度これは比率が落ちております。そうすると、従来奨励金等の名目で一五%の実際上の所得を得ておつたわけでありますが、仮に米価の面でこれが補償されないと、一五%が相当減つた場合には、その足らざる部分を他の方法農業方面に、農村方面にこれを出すということでありませんと、昨年の米価決定の際の政府考え方とも背馳をして来ると思うのですが、他の方法等をお考えになるべきだと思いますが、その辺に対する見解を伺いた、
  38. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 従来超過供出奨励金でありますとか、早場米奨励金が六十億とか三十億とか、その都度落ちました金、これはやはり農民所得になつてつたのであります。つまり価格という形において支払つてつたのであります。必ずしも価格として支払うことが適当でないという事態になりますれば、変えざるを得ないだろうと思います。併しながらやはり農業生産にそれが広い意味において大きく寄与しておつた金であります。一つ財政支出というような形におきまして、それが別の形においてやはり農業生産の向上ということに向けられるべきであるという主張、これは農林省といたしましては、従来ずつとやつておるわけであります。勿論この一五%が一〇%に日本政府案としてもなつたということと関連いたしまして、お話のような点は広い農業政策観点からいろいろと別の施策の面において、生産者生産の確保ということに使われることに我々は努力をいたさなければならんというふうに存じております。又そういう意味においてのお話合も、石原次長のほうから若干はいたしておるわけでありますが、それを突詰めての話をするほどの現在は段階でございません。方向といたしましては、そういうふうに考えております。
  39. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 最後に御質問をいたしたいと思いますのは、今度地方を歩きまして、農村の米なり、麦の価格を相当押えておるという感じを非常に持つております。ところが同時に電力料金を相当上げるということですけれども、どうもインフレを抑えると言いなるがら、農村米麦価を押えて電力料は何割も上げるということは、これは何としても農村としては理解ができないという実は非常に強い感じを持つておるわけであります。我々もそういう感じがしてならないのでありますが、そこでこれはちよつと問題が外れまするが、物価庁のかたもおいででありまするが、米のほうはいろいろと御苦心をされておりまするが、なかなか難航しておる、ところが電力のほらは何割という問題が、少くとも成る程度これは比率を下げられても相当これは値上となるようでありますが、そこで物価行政という点から見て行きますと、何かしらその間に不一致を感ずるのでありますが、これは現在の法制下では物価庁は全然電力料金問題にはタツチできないのでありますか、この点が第一点と、それから今日の新聞で見ますると、我々がお願いをしておりました燐鉱石補給金が大体きまつたというような報道がありまするが、その点を一つ承わるわたいと思います。
  40. 渡邊逸龜

    説明員渡邊逸龜君) 電力料金権限問題につきましては、公共事業令ができました当初、電気料金決定につきましては、物価統制令でやるということにいたしまして、公共事業令を他法令に指定いたしておつたのでありますが、最近いよいよ電気料金引上げなければならない時期に立至りました際、関係方面から権限の所属につきましては、公益事業委員会であるということを申されましたので、物価庁のほうはその権限を下すことにいたしましたつ近く他法令の指定を外すようにいたしております。従いまして形式上は物価庁は何ら権限はないわけでございますが、電気料金引上げ国民経済生活に非常に大きな影響を持つておりますので、公共事業令だけではその点を十分に考慮に入れることができませんので、やはり物価庁も幾らかその料金決定については、その考え決定の際に反映するようにいたしたいと考えまして、その点公益事業委員会折衝いたして、大体実質的には相談をして物価庁意見も取入れた上で認可するようにしたいという公益事業委員会意見になつております。それから過燦酸石灰の原料である燐鉱石補給金につきましては、二十五肥料年度の春肥の分につきまして、従来の予算では若干不足に相成りましたので、約三億六千万円程度増加して他のほうからその燐鉱石に廻すということにつきまして、大蔵省関係方面の了解を得まして、この春肥に追加支給するということにいたしておる次第でございます。今後の秋肥については未決定であります。
  41. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと申上げておきますが、安孫子長官は二時半から総司令部に呼ばれておりますので、時間がありませんので、特に安孫子長官に関する質問を先にして頂きたいと思います。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 今日の委員会は大体米麦価の問題ということはきまつておるのでして、それに肝心の安孫子長官が二時半からおられんということになると、大臣が代理に来ておられたらいいのですが、役者がまるでおらんということになつてしまうと、委員会としても変なことになると思います。やはり安孫子長官が帰られるのならば、事務次官か誰か政府を代表する人が代りに来てもらわんと困ると思う。
  43. 羽生三七

    委員長羽生三七君) その点につきまして、今農林大蔵の所在を探しておるのでありますが、今自由党本部におつたというのですが、その先がわからなくなつてしまつてどうしようもないのです。政務次官は郷里に帰つております。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 これは一つ事務局のほうで、政務次官は郷里に帰られたそうですが、事務次官はおられるのですから、連絡をしてもらいたい。なおその連絡の間に安孫子長官に少し質問しておきたいのですが、第一はバツク・ペイの問題ですが、これは筋道としては出すべきであるということは言われましたが、我々は一体このバツク・ペイということは第一に米価決定する、そうして供出をさすときの農民に対する一つの契約と思つておるのですが、そういうことについては食糧庁長官のほうではどう解釈しておられるか、従つてこれを出さぬということになると、契約の不履行というふうに解釈できると思うのですが。
  45. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 江田さんのおつしやる通りに私ども考えております。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 その次にお尋ねしたいのは、特別加算の六百九十四円というものを絶対金額で見て行くという考え方、これは従来の説明を聞いてみましても、特別加算の一五%が決定されたのは、過去における農民所得を維持する、こういう建前から決定された。たまたまその数字が一五%ということになるなら、その一五%が大事なのであつて、絶対金額は問題じやない。極端な場合を言えば、米価が仮に一万円、二万円にもなつた場合に、やはり六百九十四円でいいということについては、過去における農民所得を維持するということにはならんわけである。農民所得を維持するということは、逆な言葉で言えば、農民の購買力を維持するということにならねばならんはずなんで、それが一体絶対金額というような考え方に変つたというのは、これ又大きな政策の変更であるし、又考え方によれば、公約不履行だということになると思います。その点一体矛盾を感じておられるのかどうか。
  47. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 農業生産者がほかのいろいろな他産業に従事するものとの均衡において一五%を加算するということで六百九十四円というものを弾かれたことは事実であります。その場合に一五%というものの率が絶対的に他産業との均衡において動かすべからざるものであるかどうかという点については、私は若干違つた考え方を持つております。他産業との均衡において一五%というパーセントが絶対動かし得ない性質のものであるというふうには実は考えておりません。それから全般の状況を見まして、この際六百九十四円という金額を加えることが、やはり他産業との均衡においていいのだという結論農業生産としては出しておるわけであります。いろいろな資料を検討いたしましても、一五%でなければならんということは、これは私はないのではないかというふうに思つております。やはり一つのそのときの情勢というようなものを判断に入れて考えてよろしかろうかというふうに考えております。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 今決定経過考えた場合に、これは本委員会においても、いつの委員会だつたか忘れましたが、食糧庁長官は、過去における農民所得を維持するという見地から、たまたまその計算が過去三カ年間の実際的に支払つた国の奨励金等の平均から、こういう一五%になつたということなんで、過去における農民所得を維持するということなら、それが絶対金額でいいという答えはどこから突いたところで、これはちよつと常識を以て考えたら出て来ないと思う。重ねて言いますけれども所得ということはただ絶対金額の取得を言つているわけではなしに、飽くまでこれは購買力でなければならん。大体二十六年度予算を組むときに、この時制加算というようなことは、大蔵省のほうでは最初の想定指数によつて予算を組んだわけなんで、そのときには一体この金額は絶対金額として組んだのか、或いはそれは一五%だという、そういう意味で組んだのか、今まで我々が説明を聞いたところでは、これは絶対金額として組んだという説明は、今度の問題に笑き当るまでは曾つてなかつた、逆の説明があつた。そういう点一体どういうふうに考えておるか。
  49. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 勿論この一五%という率というような問題はあると思います。当時予算を編成いたします際には、昨年の米価決定するについて超過供出奨励金その他の支払実績というようなものを見まして、それが大体一五%ということでその金額を計上したのであります。それで先ほども申しましたように、それを今度は六百九十四円という絶対金額で抑えて行くということは、一つの公約違反ではないか、或いは他産業との均衡を破る結果にもなるのではないか、それによつて一応そういうことは言えるかと思いますが、私ども従来の早場米奨励金じやありませんが、長期奨励金等でも言つておりましたように、価格の面だけでそれを支払うということが、果していいかどうかという点も併せていろいろ検討して行く必要があるのじやないか、ほかのいろいろの農業生産の基準になるものに対するいろいろな財政投資の形において、それを支払ら金を支出するという形のほうがよりベターの場合もあり得る。それで六百九十四円というものを絶対金額で抑えまして、今度の価格算定の基礎といたしております。一五%の差額等につきましては、又別途の考え方を私どもとしては、生産者のほうに返るような形を一つ考えて行けば、それで問題はないというふうに思つております。先ほど申しましたように、一五%というものは必ずしも価格として絶対的なものじやないというふうに私は思つております。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 主計局次長の答えをちよつと後にしてもらつて長官が帰られるというから、もう少し聞いて置かなければならんと思うのですが、そういうことを言われるのは、それは非常にけしからんと思うのでありまして、それは今おつしやるように、必ずしも価格で見てできなければ、ほかの政府財政支出の国家投資というもので裏付ができればそれでいいわけですが、併しそういうことはあなたの、食糧長官のほうの仕事じやないことになるのだから、あなたのほうでそういう希望を持つておられたところで、なかなかそう簡単に行きはしないということは過去の経験でわかつていると思います。それは過去の経験で廣川大臣の公約でも当てにならんのだから、まして長官のほうでそういう公約をしてもらつても当てにならない。問題はやはり価格というものをもう少し価格として取上げなければならん。価格問題を他の農業政策のほうに逃げてしまうということは非常に卑怯だと思うのであります。併しこれはもつと時間があれば、もう少しやかましく言いたいのですけれども、その時間がありませんから、その辺でとめておきますけれども、今一つ、先ほど片柳さんのほうから御質問のありました食糧の在庫の単価なり、或いは数量なんか変つた場合の食糧証券の限度というものは当然変るべきではないか、これは誰が考えても当り前のことだと思うのでありますが、一体それがむずかしいことになるならば、最初食糧証券の限度をきめるときに何を根拠にしてきめたか。或いは価格というものと単価数量というものをおよその見通しを付けてきめられたと思う。その数量が変更すれば、当然食糧証券の限度は変らなければならん。それは常識ではつきり言えることです。これを若し困難だということでなければ、困難であるという理論が出て来ないと思うのですが、その点農林省のほうで本当に交渉したかどうか。初めから諦らめてかかつているのではないかという気さえするのでありまして、まさかそうでないと思いますけれども、そういう点について、これもちよつと大蔵省のほうと両方聞かなければならんのでどうも喧嘩の相棒の一方が逃げるということでちよつと困つてしまつたのですが……。(笑声)
  51. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 大蔵省とは何も喧嘩しているわけでもなく、まあ一緒にやつておるわけでございます。勿論今のような点は私ども再三財政のほうにもお話を申上げて、又物価庁にもお話を申上げて、司令部にも機会を得て話をしておるわけでありますが、遺憾ながら私どもまだ実現していないのでありまして、勿論日本政府の中で不一致ということはありません。
  52. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 長官お帰りになるというから……。今他の委員から御質問になつておりましたが、一五%を加算するという問題は、どこまでも価格という観念ではなくても行けると思つておるし、そう考えていなかつたというお話で、私も初めから、この非常に根拠の薄弱なものをまあパリテイ以外に認めてもらつてつたと思つているのですが、これをどこまでも継続しようとは考えておりませんが、併しそれは生産者の経済が補われさえすれば、それでよいのである。ところが今長官お話では何らか別の方法でこれを考えて見ることもあるし、そういうことも考えておるというお話ですが、私はそれは絶対不可能だと思うのです。長官としてお考えになるのは御尤もかも知らんが、その実現は不可能と思う。そこで問題は率直に申上げますが、現在の状態から考えますと、農家の使う農機具なんかはひどいそうですし、あらゆるものが高くなつておるのに、結局日本のあらゆる経済のしわ寄せを百姓に持つて行つてしまおうと、こういう考え方になることがどうも強いようで、我々は御承知のように麦の統制撤廃もいけないというのでやつて来たが、こんなにやつておると非常に生産者が、即ち百姓から我々委員はうらみを買う心配がある。そこで食糧庁のほうでも大蔵省のほうでも腹をきめて、米も麦も価格を十分にする。日本政府は立つて行かなくなる、こう思つておる。腹をきめなければならんことだし、我々はそうきめようと思うのですが一そういう腹をきめておられるかどうかをお聞きしたい。
  53. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 今のお話のような、米にも麦にもどこま零来れば外すという決意はいたしておりません。やはりもつと愼重に考えて行かなければならないと思つております。
  54. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それなら現在の状態で、この諸物価が高くなつて、農家に収入を多くするとインフレが高進するという御心配のようなことをよく聞きますが、私は決してそんな心配はなくて、農家のやつておることこそ、初めてそういうインフレの高進は下るのだ、これは米価を上げますと、いろいろな面に非常に関係があつて生産者価格ばかり上げるというのでなくて、賃金ペースにも関係がありましようし、あらゆる面に支障があることを慮れて、百姓にその罪を背負わせる形になるのは止むを得ないのでありますが、長い間非常に釣合わないパリテイ指数を出しておるものですから、その一五%というのはパリテイ指数が非常に低い、現在の食糧の生産者価格に合わないというのが因で、何とかならないかというので編出したのが一五%であつて、これはどんどん合致して行けばこんなことはなかつたと思う。今の長官のように、考えておりませんというのでは駄目で、そこまで腹をきめてやらなければいかんと思う。今何とかやかましいことを言つても……、そんなことは言わないで、米も麦も十分にする、仕方がないから、それをどんどん十分にして行つて大概のことは文句は言わない、そうすれば百姓も自由に売ればよいし、買う人も自由に買えはよい、我々も責任はない。このままで抑えて行くと、恐らく我々の希望、生産者の希望は非常に困難だと思う、困難すること、無理することはやめて自由にしたほうが、あなたがたも責任が楽でしようし、こんなにやられると全く抑えられて迷惑するのは国会議員だ。もう少し腹をきめて百姓に代つて役所のほうでやつてもらうのでなければいかんと思うのですが、どうです。一体そういうことを考えておりませんか。そんなふうな甘い考えではあらゆる面に支障がある。一つ腹をきめると割合にそうでないことでも収まると思う。だから財政支出のほうも御心配願つておるように、それもなかなかどうかわからんが、それが財政支出があるから、そうしようと言うのかも知れません。だがそんなことはやめて、これはいかん、こういう見通しを付けるのでなければいかんと思うのですが、何遍伺つてもこの見通しを付けないで現在のままで押して行つて、我々の希望する、生産者の希望する価格が出るかどうか、この点をお聞きしたい。まあ大臣のような質問をしても困ると思うのです。長官が前置きされて、余り正確に話をしてくれるなというお話つたのですが、何と言つて大臣よりあなたのほうが大番頭であるから、大番頭の話を大臣に話してもきまりませんから、それだけお聞きしたい。
  55. 安孫子藤吉

    説明員安孫子藤吉君) 何と言われましても、今のところそういう考えを持つております。
  56. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それじや安本一つお伺いします。現在の状態で、ほかのものの面を殆んど野放しではないが、私は特需の発註のあることが、日本の非常なあらゆる面に影響するので、その特需に対する発註をしたものの資材は、全部発註したところから材料を持つて来てやつてもらうのでなければ駄目だと思つておりまするが、それはどうなるかわかりませんが、農機具の値上りが非常に大きいことが生産者の非常な痛手であり、あらゆる面に非常に高いものを使つて生産をして、そうしてあらゆる面に抑えられたのでは百姓は成立つて行かんのですが、比較的に一番心配しなければならん安本ではどうお考えになつておりますか。
  57. 永野正二

    説明員(永野正二君) お話通り最近農業関係の資材、特に御指摘の農機具等の値上りが非常に著しいことは私ども承知いたしております。実は農機具等の原料になります生産資材のほうは、もつと早く、非常に物価指数として上つておりますが、その値上りが最近になりまして、漸やく農機具その他の二次製品の値上りとして出て参つたようであります。それらの値上りがパリテイ指数に響きまして、今問題になつております米価をどうきめるかという非常にむずかしい問題に打ち当つておるわけであります。我々といたしましては、これは政府全体の問題でありまして、特に私の立場で答弁申上げることも実際如何かと思うのでありますが、私の立場で申上げまするならば、今後農民の買いまする必要な資材というようなものは、価格の著しい騰貴を防ぐようにいろいろな方策を講じなければならない、そういうふうに考えておるのでございまして、その意味で先ほどの燐鉱石の問題というようなことも考えられておるわけでございます。
  58. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私が次に言おうとするところを御返事になつているわけなんですが、私は今のように食糧統制をして、あとはものは殆んど自由にされることは百姓いじめだから、百姓の使うものは大体において統制すべきであるということを一つお話しようと思つたのですが、そういうような今のお話を聞くと、このまま噂は困るから、農家の使うものは大体マル公なり、統制なりをして行くことが適当だろうという説明をされておりますが、今の説明では非常にそれが困難だと思うのです。そうすることが、だから安孫子長官お話のように、米も麦もどうしても今後も統制を続けて行くというお考えならば、安本のほうで農家の使いますものは、米と同様に必らずマル公をおきめになり、或いは何らかの方法で丁度パリテイに合うような生産資材を使わして、生産をするようにしなければならんと思いまするから、今のお話のように必らずそれが実現するように協力をされんことをお願い申上げると同時に、これは大蔵省もお聞きになつておるが、それでないと立つて行きませんから、そういうことに万事お仕組をされるようにお願いしておきます。
  59. 江田三郎

    江田三郎君 岡村さんから今そういうお話があつたわけなんですが、それならば一遍具体的な例として聞いておきたいのですが、例えば燐鉱石補給金を、本年の春だけでなしに、あとの処置は一体どうするのか、今のような御説明があれば、当然今後の予算年度においても同じような措置が講じられなければならないと思いますが、燐鉱石についてどういう措置がとられておりますか。
  60. 永野正二

    説明員(永野正二君) 補給金につきましては、政府の方針として全面規制という方針になつております。現在残つておりますのは、輸入食糧の補給金燐鉱石補給金だけでございます。この燐鉱石補給金を継続するかどうかということにつきましては、関係庁の間において折衝中でございまして、現在のところまだ決定までには至つておらない状況でございます。併しながら肥料問題につきましては、十分注意を払いまして、不当なる価格を以て農民が買わなければならんことがないようにいたしたい、かように考えております。
  61. 江田三郎

    江田三郎君 そうなると妙な空手形になつてしまうわけでして、今おつしやつたことを本当にやるならば、燐鉱石の問題はすぐに答えが出るわけです。或いは又農家に直接関係のある電気料金の問題でもお答えがすぐ出るはずです。そういうようなことは皆放つて置いて、そうして補給金のほうはだんだん減らす方針だというので、而もなお農家の所得が農産物の収入と見合うところの物価体系をきめる、一体どういうような方法でそういうことができるのか、それを明らかにして頂きたい。なお根本的にお尋ねしたいのは、一体現在のパリテイ方式によつて、我々はパリテイ方式によるということは、例えば工業製品の鋏状の格差の問題もあり、或いは又自家労賃の問題も、或いは公租公課の問題にしろ、到底このパリテイ方式では生産費を償い得ない、或いは他の産業との所得の均衡をとれないということを考えているわけですが、今の物価庁のるほうでは、このパリテイ方式ということについてどういうような考え方を持つておるか、そうしてたまたま昨年度一五%であつたところの特別加算というものを、今度のように一〇・幾らに切下げて、更にそれを大蔵省のほうでは、もう少し切下げてもいいのじやないかというようなことが新聞に伝えられていることに対しては、一体物価庁としてはどういう工合に考えておるか、根本的なお考えを聞きたい。
  62. 永野正二

    説明員(永野正二君) 米価なり麦価なり、統制しております農産物の価格をきめる場合におきましては、現在まではパリテイ指数というものを根本にしてやつてつたわけでありますが、このパリテイ計算方式につきまして、それ自体にまだいろいろ不完全な点があるということは、私どもも十分承知いたしております。これをより完全なものにするために、只今米価審議会の專門委員会という委員会がございまして、そこで学識経験者のいろいろな御意見がございます。その意見に基きまして、最も理想的な米麦価算定方式というものを研究中でございます。その結論を十分尊重いたしまして、もう少し完全な米麦価決定方式というものをきめて参りたい、こう考えておりますが、根本は私どもといたしましては、やはり農民所得と、それから農業と比較されるべき同じ勤労者という意味におきまして、都会の鉱工業の勤労者所得とのバランスをとつて参るということは、これは現行のパリテイ方式だけでは実現できませんので、その意味におきまして、そういうような考慮を何とかしてやつて参りたいということを物価庁としては考えております。
  63. 江田三郎

    江田三郎君 将来の方式について、所得パリテイというようなものを考慮に入れた方式をとられるということは、それはそれでいいわけですが、今おつしやつたところの当面した問題について、農家の買う品物を上げないような方策をとると言われるなら、今後の具体的な措置の、もう突き当つた例なんですが、今後の燐鉱石補給金の問題そして当面したところの電気料金の問題、これに対してどう農民立場考えてくれるのか、これは具体的な問直だから答えて頂きたい。而もこれは遠い問題ではなくて、今当面しているから、それがなしに、ただそういうようなことをするということだつたら何のことかわけがわからない。
  64. 渡邊逸龜

    説明員渡邊逸龜君) 隣鉱石の補給金につきましては、先ほど申上げましたように関係方面各省の間で研究いたしておりますが、何分にも大蔵省のほうの問題もありまして、物価庁考えだけでは実現できないということでございます。併し物価庁としては存続いたしたいという希望を持つておる次第でございます。それから電気料金につきましては、農事用電力について政策的な特別の料金を設定いたしたいと考えております。これは物価庁電気料金決定権限を持つておればできると私どもも信じております。大体できるのじやないかと思つておりましたが、公共事業令によつてやりますと、その点が非常に困難になるように想像されます。併しながらこの点につきましては、何らか方法を講じて、できるだけ農事用電力については特別な料金が設定できるように努力いたしております。
  65. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどちよつと食糧庁長官お尋ねした問題、同時に大蔵省のほうへもお尋ねした問題についてその続きをお答え願いたいと思うのですが、一体二十六年度予算を組むときに、六百九十四円という特別加算というものは、これは絶対金額として大蔵省考えて言つたのか、或いはこれは一五%に当る金額だとして考えて言つたのか、その点について大蔵省及び物価庁のほうではどう初めから考えているのか、それをお尋ねしたい。
  66. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 先ほど食糧庁長官から答えられました通り、一九五のパリテイを弾きまして、それの一五%で六百九十四円ということに到達したわけであります。
  67. 永野正二

    説明員(永野正二君) 物価庁としても同じ考えであります。
  68. 江田三郎

    江田三郎君 そういう答えから行きますと、当然これは一五%に当る六百九十四円と、こう解釈していいわけですね。
  69. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 繰返して申上げますが一九五に当りますものの一五%でございますから、そのパーセンテージの中に一五%が含まれております。
  70. 江田三郎

    江田三郎君 それから先ほどこれもお尋ねしておつたわけですが、例の食糧証券の発行限度の問題について、大蔵省のほうでは食糧証券の現在の発行限度をきめるときに何を根拠にしてきめたのであるか、若しこれが在庫の数量なり、或いは単価を基礎にしてきめたということであるならば、その在庫の数量が動き、単価が動けば当然食糧証券の発行限度というものは動いて来なければならない。これはこれによつてインフレが起るとか何とかいうことではなくて、何ら今まで示されたところの土地政策等に抵触するものでないと思います。若しそうでなく単に腰溜めできめるという政策なら危険だと言わざるを得ないのであります。大体大蔵省のほうではこの食糧証券の発行限度というものは何を根拠にしてきめたのか、又その根拠というものと同時に食糧庁長官のほうは、この問題は非常に困難だということを言われておりましたが、大蔵省のほうでは今まで当つておられたかどうか。
  71. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 現在の食糧証券の法律によりまする限度額と、予算で御承知のように食糧拙劣は当該年度中に返還せられまする分と、年に属しまする分とがございます。従いまして歳入歳出において計上せられまする食糧証券の限度と申しまするか、額は、これは年度末におきまする持越しの食糧証券、今お尋ねの点は法律に謳つてありまする限度、これは年度中におきまする最高のピークを狙いました限度でございまして、これは毎年御承知のように法律を以ちまして改訂をいたしまして、たしか今千七十だつたかと思いますが、最高の限度を変えておるわけであります。併しそのほうはピークの話でありますので、お尋ねの点とは違うのでありますが、お尋ねの点の金額は千百八十億と私は記憶いたしまするが、その金額は昭和二十三年度におきまする食糧証券の残高をそのまま維持して来ておるわけであります。それは一体どういうわけかということでありまするが、御承知のように昭和二十四年度以来非常に厳格な意味におきまする均衡予算を組んでおるわけであります。均衡予算原則一つの適用といたしまして、政府のそういうようなと申しまするか、債務の増加はいたさない。御承知のように鉄道或いは通信におきまして、その後も債券発行をいたし、或いは林野の事業あたりでも発行いたしおりますが、これはことごとく見返資金乃至は預金部資金の引受けになつております。政府の資金以外のものを以ちまして債務を発行することはいたさないということは、一つの均衡予算の行き方であります。昭和二十四年度の追加予算を組みますときに、御承知のように百七十億の一般会計からの繰入を行いまして、昭和二十三年度におきまする今までの食糧証券の残高にこれを維持したわけであります。爾来昭和二十五年、二十六年と二年間引続きまして、御指摘のように米価上つたにかかりませず、年度末におきまする食糧証券の残高は、常にこれを一定の金額に驚いておるわけであります。その意味は今も申上げましたように、そういうような政府の債務が政府資金の引受以外の方法によりまして増加するということは少い、この場合には私が先ほど申上げましたように、昭和二十四年度補正予算におきまして現われました一つ方向のようであります。一般会計が国民の税金の負担におきまして、繰入れられるという方法もあるわけであります。併しながら昭和二十五年、二十六年の二年間の予算を以ちまして、政府としましては、そういうような一般会計の繰入を以て食糧証舞、いわゆるインベントリー・フアイナンス、即ち放つて置けば食糧証券が増加するという分を賄うという方法をとりませんで、この食糧管理特別会計の内部においてこれを解決する方式をとつたわけであります。丁度それが最近リプレースという言葉で呼ばれますところの当該年度におきまする新らしい生産者価格を基準といたしまして弾いて、消費者価格が大体それが今申上げたような食糧証券の残高を一定金額に維持しまするのに大体当りまするものでありまするが、最近はリプレース方式というようなことを申すわけであります。それも今申上げましたような原則、即ち食糧証券の発行額を殖やして、それによつて政府債務が増加をいたすということを避けようというところに出ておるわけであります。この方式というものの考え方一般のと申しまするか、財政政策の基本方針に属するわけでありますが、昨年の米価決定のときにおきましても、実は私どもその問題につきまして、同時に農林省或いは物価庁といろいろ相談をいたし、折衝いたし点たであります。又二十六年度米価決定の際におきましても、いろいろな紆余曲折がござまして、今日のような形になつております。その間いろいろ司令部とも議論はいたしておりますが、結論は今申上げたようなことになつておるわけであります。
  72. 江田三郎

    江田三郎君 今度の米価改訂に当つて、この間のマーケツト書簡によりますというと、納税者の負担というようなことをやはり取上げておるわけなんですが、これを三百五十億円というものを一般会計から補填するということをするから、そういうような問題が出て来るわけであります。若しこれを食糧証券、これは全部が食糧証券の発行限度によつて片が付くといろわけではありませんけれども食糧証券の発行限度を上げるということが一つのこの解決策にはなるわけなんですが、それが今のお話を聞きましても、どうも我我は納得できないのでして、なぜ一体見返に当るところの米なり麦というものがあり、而もそれは非常に短期間のうちに現金化するという正確な保障があり、而もその在庫の数量、そうして金高、それに応じたところの食糧証券の発行限度を以て行くということを、なぜそんなに均衡予算という建前から反対せられるのか、今の御説明では私どうしでも納得いかんのですが、或いは大蔵省なり、政府当局として、米価の問題の最後の切札にポケツトの中にこれを忍ばせておるというならまだ話がわかるのですが、そうでなしに今のようなことを肚からおつしやるとどうも合点が行かんのです。私だけでなしに恐らく片柳委員も合点が行かんのではないかと思います。一体こういうことは今まであなたがたのほうで適当に今おつしやつたような解釈をせられるだけでなしに、実際に関係当局とこの問題について今度の米価改訂をめぐつて交渉せられたことがあるのかどうか。その経過一つ聞かして頂きたいと思います。
  73. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 今の米価の問題につきましてのお尋ねでございますが、実はこの問題はいわゆるインヴエントリー・フアイナンスという言葉で呼ばれましで、予算の問題におきましても、この二、三年の間におきます最も大きい問題であります。ほかの例を挙げて申上げますれば、いささか小さいところでは、貴金属特別会計に累年二、三十億の金を一般会計から繰入れておるのも同様の趣旨でございます。農業保険の特別会計に重大災害が起りましたときのことを考えまして、この一、二年に十億を超える金を入れておりますのも同様の趣旨でございます。最も大きいものについて考えて見ますれば、本年度予算におきまして、予算委員会の最も大きな議論の対象となりました五百億の外国資金特別会計の繰入れ、いわゆるインヴエントリー・フアイナンスを二十四年度補正で百億にしておるのもすべて同じものであります。その趣旨は先ほど申上げましたように、全部インヴエントリー・フアイナンスということでございますので、おつしやいますように見合の米でありますとか、或いは外貨或いは金銀というような見合の商品があるわけでございます。おつしやるように貴金属であるとか、或いは外貨であるとか、非常に考えようによつてはお札よりももう少し値打があるというようなものもあるのであります。併しながら、そういうような見合のものがございましても、通貨がそれだけ政府の全体の収支の上に余計に出るということを避けて、政府財政の収支というものを全体を通じてとんとんにしようというのが、いわゆる均衡予算の狙いであります。この点は江田委員のお尋ねでありますが、米価の問題に限りませんで、外国資金特別会計の繰入れにつきましても、る司令部との間におきまして、いろいろ議論を非常にいたした点でありまして、毎年いたしておるわけであります。そこら辺の考え方はいろいろ議論もし、いろいろ考えまして、先ほど来申上げておりますような政策をとり、この二年に亘りまして、大きないをゆるインヴエントリー・フアイナンスを行なつて来ておるわけであります。それが一般会計であります。それに対しまして米価のほうは先ほど申上げましたように、昭和二十四年度に百七十億円を繰入れましたのが、いわゆる一般会計から行いますところのインヴエントリー・フアイナンスの最後でございます。爾後は米価のほうでその問題を解決いたす方法は、外国為替特別会計の場合におきましては、これは、一般会計、と申しますのは、外国為替を高く売るわけには参りませんので、このほうは自己金融の途を開いておるのであります。それから米の場合におきましては、先ほど来申上げておりますように、これと食糧管理特別会計の内部において解決いたしており、両者を通じまして、そういうようなインヴエントリー・フアイナンスというようなことのために債務の増加をしないということ、それによつて政府収支というものが放出超過になることを避けるということをこの二、三年とつてつておるのであります。
  74. 江田三郎

    江田三郎君 これはほかの問題と、食糧証券の問題とは実質というものが相当違うと思うのでございまして、何か一つ原則を立てて、その原則のためにきりきり舞をされておるのがあなたがたの考えではないかと思うのでございまして、そうではなく、やはり問題の実態に応じた解決の方法をとらなければならないのではないか。殊に今度の米価の問題につきまして、政府案による三百五十億円の一般会計からの補填をするということは、これは一体従来の食管特別会計の独立採算という点から見ると、これは大きな変更になるわけです。そういうような大きな変更がとれるのに、この食糧証券の問題について変更がとれないという理由は私はわからないのでして、そういう点をあえて納税者の負担を増加さすというふうに指摘される方向に、故意に政府当局が米価問題を練上げているのじやないかというような印象を受けるのでありますが、だから私がお尋ねしたのは、一体この問題について今度の米価改訂に当つて関係当局と農林省なり、大蔵省なりは、実際に折衝せられたことがあるのかどうかどいうこと、あれば、一体どういうかたが出ているか。
  75. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 先ほど食管長官からも申されましたように、三大臣の御決定になりまして以来、その内容につきましてのいろいろ話合をしておられるように私は承知しております。事務当局の側におきましても、決定につきまして、物価庁或いは農林省等のその決定につきましての説明は聴取いたしております。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 今度の米価改訂について、いわゆる政府案というものが出て来て、その中には一般会計からの補填といつたようなこともその他のことも一応新聞に出て来た。ところが食糧証券収支問題だけはまだ曾つて出たことがない。それはただ三大臣の中で話合をされたか知らんが、そこで怖いものにさわらないというふうな態度で話をされて、実際には向うに交渉をされていないのではないかというような印象を我々は新聞あたりから窺うわけでありますが、本当にそういうように農林省零そういう当り方をせられたのか、或いは大蔵省のほうでそういう当り方をされたのか、或いは農林省のほうは大蔵省に話をしただけで、独自の話合をされていないのか、その点答えができるなら、もう少しはつきりさして頂きたい。
  77. 山添利作

    説明員(山添利作君) 当初は食糧証舞を殖やすというような考え方もありましたのでありますけれども、これは今の財政政策の基本線から見て、到底関係方面の了解も得られませんし、又本年の自然増収その他によつて、幸にこういう財源もあるわけですから、そういう方法にあえてよる必要もないというわけで、これは政府部内におきましても、研究の途上ではそういう話がありましたけれども、そういうことをやろうという結論に達したことはございません。従つて向うと交渉したことはございません。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 いや、交渉したことがないというならそれでいい、ただ若しそうであるならば、将来、例えばこの特別加算を六百九十四億円という絶対価格でいいとか、絶対金額でいいとか、或いは一五%という比率で行かなければならんのじやないかというような問題、或いはバツク・ペイ問題等等に当つて、今後何らかの新らしい解決の途を踏出さなければならときに、この問題をやつぱり政府としては考慮されるべきではないかということを私は希望しておきます。それからもう一言お伺いしたいのは、麦の対米価比率の問題なんですが、これについては当初政府のほうで言つておられたよりは、裸と大麦については修正されたわけですが、この対米価比率を出すのにこの修正というのは、政府説明を今まで我々が聞いたところによると、消費者実効価格という点から專ら出ていると思うが、こういう麦の価格決定するのに実効価格という考え方でいいのかどうか。これは先ほど片柳委員からも御指摘がありましたように、裸と小麦とを比べるというと、小麦のほうが生産費が高いということが厳然として存在している。更にその実効価格にしたところで、今のように米麦が統制……配給量が統制されているそういうときに出て来る実効価格というものは、戰前のようなまるで自由であつたときの実効価格というものとは、これは性質を異にしていると思う。それを統制下にある実効価格だけを以て対米価比率をきめられるということは、これは私は非常に危険だと思うのでありまして、これを自立経済という立場から考えてみましたところで、今後いつまでも手数百億の食糧職人代金を払うことは日本の経済を自立させるゆえんではない。何とかこれを増産して行かなければならんということがあるし、又この上政府の方針としても食糧の増産を盛んに叫んで来られて、特に麦等は適地でないものも作付を半ば強制されて来たが、もはやそういう必要はないのかどうか。強制でなくてもやはり農民に作らせなければならないか、自立経済の建前から或いは困難な国際情勢下にあつての食糧の自給度を増すという方面からして麦の増産を図つて行かなければならないということになれば、この決定に当つてただ消費者実効価格ということだけから割出すということは、これは非常な危険なるやり方ではないか。この点について一体どう考えておられるか。これは農林省だけでなくして物価庁のほうでもどういう根本的な考え方をしているか。麦はもう作らんでいいのか、これについてお尋ねしたい
  79. 羽生三七

    委員長羽生三七君) お答えの前に私からもちよつと若干意見に亘るかも知らんが、申上げておきたいと思いますが、実は今江田さんから御指摘になつた問題を根本的に追及して行くというと、まあドツジ・ラインの本質的の問題にも触れることでありますので、そういうことをここで、当委員会で深く論議しようとは思いませんが、併し今江田さんの御指摘になつた点を私たちが十分考慮しないというと、この前の当委員会で私申上げましたように、恐らくこの日米経済協力というものがもつと深刻な段階になつてつた場合を想像いたしますというと、恐らく米麦価については生産者の再生産を、農民の農業再生産を償い得ないような価格決定される危険性がある。それから逆に勤労者で言うならば労働時間の延長等も一部には企図されておると想像される節もあるので、大体まあ農民なり、勤労者の犠牲においてこの当面の経済対策というものが推進されるという危険性が非常に含まれておると思います。而も御承知のように仮に講和会議ができまして独立したところで、仮にまあ状況によつては中共との貿易もできない。アジアにおける貿易は極めて閉ざされた形で、アメリカとだけの経済協力で果して日本の自立経済ができるか、而もそういう疑問を我々感じる際に起つて来る問題が、只今の一番抵抗の弱いところに主たる犠牲が負わせられて、そして他の部面だけが、いわゆる日米協力経済という一応のルートに乗つて来る。こういう形で日本の経済が進行して行くという場合には、恐らく際限なしに、今度の問題を皮切りに、何か私どもはこの農業における発展性の前途が極めて暗いものであり、又同時に他面他の勤労者にも同様な形がやられるのではないかという基本的な問題にぶつかると思います。併しそういう問題を併せてここで論議しようとは思いませんが、今江田さんの御指摘になつたことは、例えば日本の自立経済を促進する上においても、少くともできる限り外国からの輸入食糧を減らして、そして日本の自立の基礎というものを築いて行かなければならん。そうする場合に一体麦なら麦の問題をどう考えるかということは、単に農業問題の基本的な問題であるばかりでなしに、甘木経済の将来性にまあ重大な関係があると考えるのであります。そういう意味で私どもは恐らく今日の農林委員会を御要求なさつた皆さんの御意見というものは、農民が再生産を償うに足る米価なり麦価なりを期待しての当委員会開会の御要求であつたと私は理解いたしておりますので、これにつきましては、勿論大臣出席されておらんので確たる御返答は困難だと思いますけれども、併し事務当局としてできる限り意を盡くして御答弁を願いたいと思うのであります。
  80. 山添利作

    説明員(山添利作君) 只今委員長から広汎なお話がございましたが、この点には触れないで、江田さんからの麦の価格の対米価比率、これは申すまでもなく、今まで小麦は八割一分幾らになつておりましたのを、六割四分とかいうように引下げたのでありますが、これはその事情はおわかりでありまするから、くどくどしく申すことはないと思いまするけれども、この麦の生産者価格引上げて、そうして消費者価格は低くして、そうしてその間の差を消費者米価の方にぶつかけるいわゆるプール方式で行つたらどうかと、こういう議論もございます。併し全体の方向といたしまして、食糧の統制におきましても、麦のごときは政府といたしましては価格支持制と申しますか、価格保証の方面に切替て行つたらどうかということを考えておるような事情でありまして、やはり全体としての食糧統制はありながら、その枠の中ではできるだけ自然な方向に持つて行というのがいいのじやないかというふうに考えておるわけであります。で対米価比率の問題は麦の値段というよりも、むしろ私の解釈によれば、要するに米が低く過ぎるのだということでありまして、その米が低く過ぎるというのは、これは自然価格という意味においてです、自然の価格という意味においてでありますが、それは低く過ぎる、それは今の国民経済全体の要求に即しての統制の必要から起ることだ、こういうふうに考えておるのでありまして、それでは今のような麦価のきめ方で以て麦の生産が非常に減つて行くかということにつきましては、必しもそうは考えておりません。勿論今年も、今年と言いますか、本年の麦の作付面積は昨年から比べますと約四%ばかり減つております。減つておりますのは、結局菜種が殖える。或いは「ゑんどう」が殖えるというような、他に有用な作物がございまして、そちらのほうに移つておるということが原因であろうかと思います。併しこれとても結局菜種にしましても、又「ゑんどう」にしましても、無用なものを作つておるわけではないので、農業生産全体を高めて行くということが農業政策、又国民経済から見ましても必要でありますから、そのことが直ちに以て麦の作付に非常な大影響を来たすというふうには考えておらないわけであります。むしろ対米価比率ということよりも、全体としての、全体というよりも実際の麦の価格が適正であるか否かというところに注意をすべきである。こういう考えであります。
  81. 江田三郎

    江田三郎君 どうもその答えは余り親切でないと思うのでありまして、非常に遺憾に思うのでありますが、麦を作らなくてもほかのものを作つて行けば、国民経済全体からしてみればいいじやないか、こう言われたところで、その中には今の日本の置かれた国際的地位、世界の情勢から考えて大きな国民経済的な立場から考えると、必しも必要でないものも作つたりするのだ、而もそういうものを作るということが非常に投機性を帯びて来て、それには農民として却つて農家経済を破綻さすという面も今まであつたわけでありまして、例えば油にしてみても、今度の値下りに直面するということを今になつて農民の人は慌てておるわけです。外のものを作つて全体としての生産総量と言いますか、生産価格というものが、そういうものが上つて来ればいいじやないかというだけでは、私は今我々がとらなければならん解決方針とは違うと思う。やはりもう少し食糧というものを大事に考えて行かなければならん、而もその食糧の生産というものが実際四%しか下つていないとすれば、将来もそう下るとは考えられないとおつしやいましたけれども、併しそれは非常に不親切な考え方だ、というのは、ただ農家としてはほかにすることがないから、ですから無理をして麦を作る、無理をして裏作を作るわけであります。而もそういうような無理をして作るということになつて来ると、今山添次官みずからもおつしやつたように、全体としての農産物価格が安過ぎるのだ、そういうときに無理をしてやつて行くと、だんだんと略奪農家になり、縮小生産になつて行くか、或いは又自分の命をすり減らすか、どちらか、それが堆積して将来大きな日本農業の破綻を来たすということは誰でも考えられるのでありまして、それに対してもう少し親切な、もつと温かみのある方策がなければならんのではないかと思いますが、どうもそういう点について何か問題を回避しておられるように私は思うのであります。
  82. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは、麦の値段にいたしましても、それから米価にいたしましても、まあ現在は統制という形でやつておりますが、仮に将来事情が変りましても、適当なる最低の価格は維持するという二とは、これはもう根本的にきまつておる方針でありまして、不親切だとおつしやいますけれども、我々といたしましては、農家の適正なる所得を維持するということにつきましては、絶えず最善の努力をいたしておるわけであります。
  83. 江田三郎

    江田三郎君 適正なる価格が維持できて、これで再生産が可能であるならば、我々として何も言う必要はないわけであります。併し誰が見たところで、これでは再生産ができんということであり、これは山添次官みずからそれをおつしやつたように、全体としての価格が安過ぎるのだということを認められるわけであります。将来支持価格制度ができたところで、そういうような価格が支持価格として出たところで、これでは何ら農家としては安定した経営にはなり得ないということははつきりしているわけであります。問題臓ただ農業というものが、その影響がすぐに今年の生産に現われて来る、来年の生産に現われて来ることなしに、ただ漸進的にだんだん積り重なつ行つて、これが大きな影響になつて現われて来るという形でありますから、こういうような経済界の非常に変動しているときには、問題を四つに正しく取組まんでも、一年や二年は運営できるという特殊性はあるけれども、そういうような問題の取上げ方では、私は将来非常な破綻を来たすのじやないかということを重ねて申上げたいのであります。なおそういう問題について物価庁のほうでは一体どう考えておられるか。
  84. 山添利作

    説明員(山添利作君) 先ほど私が申上げましたことにちよつと誤解ではないと思いますけれども、別の意味におとりになつておりますから、申上げておきますが、私が安過ぎると申しましたのは、自然の状況の、自然価格という意味から見るとという意味でありまして、米につきまして、現実に支払われまする米及び麦に関する価格がひどく割安で再生産を阻害している、こういうふうには申上げていないのであります。
  85. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと皆さんに申上げておきますが、政府委員の各位がそれぞれ用事があつて三時半ぐらいまでしか委員会に出席できないことになつておるのでありますが、これは只今我々がこの委員会で審議しておる問題についてのそれぞれの用件でありますので、これは私たちも止むを得ないと了承しておるわけであります。従つてそれまで御質問つて、各出席政府委員に期待いたすところは、どうか今日の当委員会の質疑によつて大体御了承願えたと思いますが、この米価麦価並びに追加払い等の問題については、農民の再生産に対する影響極めて重大で、当委員会としても非常な大きな関心を持つておりますので、今日の審議の過程にあつた各議員の意見を十分参酌されまして、まあ恐らくこの問題の決定は極めて近日と我々は想像いたしておりますが、最善の努力をされんことを希望しておくわけであります。山添次官はまだおられるようでありますから、どうぞ……。
  86. 江田三郎

    江田三郎君 時間がないのなら、今言つた問題、これは根本問題だから、すぐ答えてもらつたところでどうにもならんと思いますから、私はこの答えは今でなくてもいいと思います。又別の機会に根本的にやつて行きたいと思うのですが、ただ時間がないなら、一つだけはつきりしておいてもらいたいのは、先ほど燐鉱石補給金の問題について、次の予算年度において一体どうしてもらえるのかということをお尋ねしたときに、物価庁のほうでは、何とか継続できるように努めて努力をするという見解の発表が、御意見があつたわけですが、農材省なり、大蔵省のほうではその問題についてどう考えておられるか、更に当面した電力料金の値上げの問題について、農事用電力の問題について物価庁のほうでは何か適切な方式をとりたいという御見解の発表がありましたが、農材省のほうでも何かこの問題について具体的に措置をとられるかどうか。
  87. 山添利作

    説明員(山添利作君) 電力料の問題につきましては、具体的といいまするか、折衝いたしておりますが、これはどうしても農事用の電力について余り小細工でなしに、やはり政策料金というものを認めるということをやつてもらわないと、基本的には片付かないと思います。従つて農材省はそういう、無論主張をいたしておりまするが、物価庁その他の協力を得まして、是非そういう主張が貫徹できるように今後とも努力をいたしたい考えでおります。それから燐鉱石の問題でございますが、これは秋肥以後については根本策について別途研究するということになつております。
  88. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 燐鉱石補給金の問題、秋肥以後は未定でありまするので、まだ何もお答えできないのでありまするが、秋肥につきましては、燐鉱石補給金を目下のところ全然考えておりません。
  89. 江田三郎

    江田三郎君 だんだん主計局次長の答弁は池田大蔵大臣に似て来ておつて、あつけない答弁ばかりするのでありますが、もう少しよく考えてもらいたい。今日私はいろいろな問題について質問したいのですがただたまたま、我々がこの問題としておる問題に関係して、関係方面との折衝のために時間がないと言われるから、質問を打切りますけれども、ただ本日も教育会館におきまして、米麦の追払いの問題その他基本価格の問題、或いは燐鉱石なり、或いは電気料金なり、その他の問題について農民大会が開かれて、この麦秋の忙しいときに、誠に北海道から鹿児島まで、全国からの農民代表が集まつて、そうしてそれらの諸君はそれぞれ決議をし、各方面に運動しておるわけです。これは普通のものとは違うということを考えて頂きたい。片柳議員も先ほど言われたように、それぞれ休会中に各地を廻つて見て、米価問題についての農民考え方が真剣だということを言われた。ここで日米協力ということで変な措置をとられたならば、日本の将来に面白くないということを申上げたい。それだけに関係当局としても、よほど愼量な態度をとられんと甚だ遺憾な事態が起きやしないかということを申上げておきます。
  90. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは時間の関係上この程度にして、先ほど来の各議員の御要望を十分参酌の上御努力あらんことを政府委員各位に要望いたしておくわけであります。なお他の政府委員は退席されましても山添次官がおられますが、私一つこの問題をお聞きしておきたい。国際小麦協定の参加決定新聞に出ておる以上に、ここで別に承わつておくようなことはございませんか……。
  91. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 電力問題で今江田さんから御発言がありましたが、今度地方に行きまして、やや奇怪に感じたことは、公聴会の問題で特に申上げておきたいのですが、愛知県等でも近く農業関係者を招いて公聴会を聞く、それで聞いて見ますると、その場合にどういう意見を発表するか、予め要旨を書いて出せというのです。而も何か九通とか言つておりました。九通の公聽会における発言の要旨を予め出しなさ、更に何か附言してあつて会議の運行上必要があれば発言の途中において発言を中止するかも知れませんが、予め了承をして欲しい、こういう註文の下に公聴会を開くというのです。
  92. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 書面を出しておるところはどこが署名しておるの零すか。
  93. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 公益事業委員会です。それであとから私調べて書願を送つてもらうことにしましたが、何も政府委員に答弁を求めるのじやないのですが、自分の意見を自由勝手に言うべき公聽会で、予め自分の意見の要旨をとるということは、これはどうも非常におかしいという感じを持つておりますので、これは又別の機会に私申上げておきたいと思いますが、特に物価庁でもその点一つ、そういうことのあることを頭に入れておいて頂きたい。それからもう一つ、第二部長はおられないのですが、先の裸麦の対米比価を上げるというのは、どうも生産者価格としてはおかしい。それから最近実効価格によつてそれだけの格差を付けたと言いますが、実は正月前後はむしろ精麦に対する需要が強いのです。そういうフアクターも入つて、精麦の実効価格小麦に対して高いということは、対米比価を上げておらないのですが、小麦の数字だけが据置かれることは、生産者価格としてはやはり私はこれはおかしいと思う。事務次官もその点を頭に置かれて一つ……。
  94. 石原周夫

    説明員石原周夫君) 生産者価格としてはお説の通りですが、ともかく幾らかでも麦の値段を上げようと思いまして……。
  95. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            飯島連次郎君            三浦 辰雄君   説明員    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    農林事務次官  山添 利作君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    物価庁第一部長 渡邊 逸龜君    物価庁第二部長 永野 正二君