○
梅津錦一君 修正案に対する
趣旨に弁明をいたします。
北海道開発法の一部を改正する
法律案の一部を次の
ように修正する。
附則第一項中「
昭和二十六年七月一日」を「
昭和二十七年四月一日」に改める。
こういう修正案でございます。
只今吉田君から同じ性格ということで
委員長申されましたが、かなり
内容の異な
つておるものであります。こういう
意味で、私は実施
期間に対する問題暗中心にして、
政府原案であるところの七月一日を来年の四月一日の年度切替えにし
ようという
意味であります。何故にこういう
ような修正動議を提出いたしましたかという
理由を申上げまするならば、およそ私は
発言の時間がありませんので、抑えられましたので、いろいろ
政府に対して疑義を質せば、私は短時間でこの
趣旨弁明が済んだのでありますけれども、私に與えられた持時間をここで流用いたしまして、二十分ほど私の
趣旨弁明をお聞き願いたいと思うのであります。
今回
政府から提出されました
北海道開発法の一部を改正する
法律案は、仔細に検討いたしますると、形式的には
法律の改正案に過ぎないということになるのであります。
〔
委員長退席、
理事楠瀬常猪君
委員長席に着く〕
実質的には単に
北海道総合開発事業の執行のその方式の変更にとどま
つてお
つて、一に
北海道における
行政機構の構造を根本的に変革し
ようと、こういうものであります。そもそも
北海道において開発計画の進展が自治体と共に現在まで発達して来たのでありまするけれども、今日におきましてもなお且つ依然として自治体による
北海道及び道内の市町村行政の重要部分は、開発計画の推進に待
つておるのであります。これを除外して
北海道における自治行政は全く成り立たない。而も開発計画の実施に基く移民の入殖に当
つては、増田長官が述べられておる
ように、道路、橋梁、土地改良等の基本的な建設
工事がなされなければならない。更にこれに並びまして、文化施設としての学校、或いは厚生施設としての療養所の設置、生活保護関係の費用等も更に考えられる。産業技術の指導は勿論でございまするが、それの指導奨励に対する費用の交付等万般の措置が必要でありまして、このことなくしては
北海道開発そのものの成果は期待し得られないのでございます。特に
北海道における移住当初の住民は、極めて担税力が弱く、これらの移住民に対する大半の保護施設は、
北海道及び市町村の費用を以て賄われていたのであるのであります。開道八十余年の間
北海道においては国策たる開発事業等その地域内における自治体制度の密接不可分の関係を断ち切ることなく、今日まで両者共に生成発展して来た歴史を持
つているのであります。
昭和二十二年地方自治法施行に伴い、従来の官選知事は身分上公選知事に変
つたのでありまするけれども、その事務の
範囲は殆んど変化がないのでありまするこれは今までの実情等に上
つて明らかである
通りであるのであります。
北海道開発事業は従来
通り北海道に一任して、他の一般行政と有機的、総合的に
運営せられて来たことは事実であるのであります。然るに今回
政府の提案された
北海道開発法一部
改正法案は前にも申上げました
ように、事実上この歴史と伝統ある一元的な開発方式を二元化して平行線においてこれをや
つて行こうとする大変革であるのであります。
北海道住民は勿論、関係自治体にと
つてもこれほど重大な問題はなく、又その影響するところは自治体にと
つて或いは住民にと
つて、極めて深刻なものがあるのであります。俗にローマは一朝にしてならずという言葉がありまする
ように、現在までの
北海道の歴史を考えまするというと、今日の開発の蔭には粒々辛苦いたしました開発の歴史が、開拓先人の労力と一元化して開発行政執行の結合をなして来たのであります。八十年の歴史と伝統が祕められているのでありまして、
従つて今議会において、
只今も木下議員がこの歴史を申され、或いは
若木君がこの実情について縷々
質疑応答をなされたのも、この現地における相関関係にあるところのこの住民と政治との問題であると思うのであります。その他の議員におきましても、
北海道の実情に関しまして重要な問題が昨日、今朝にかけて
審議されたのであります。然るに時をかさずいたしまして、一方的な
政府の
意思によりまして、この開発法の実施が強行されんとしておるのであります。
質問が再三ございました
ように、私といたしましてもこの実施に対しまする
期間の問題は、相当論議を盡されなければならないと思うのであります。
〔
理事楠瀬常猪君退席、
委員長着席〕
只今も
吉田法晴君から開発に関する実施は住民投票の結果においてなされなければならないという制約された修正案が出ましたと同じ
ように、私は七月一日のこの
法律案を来年の四月一日にし
ようとする、そのゆえんのものがここにあるわけであります。この
ように
政府は急激なる開発行政分離を強行することによ
つて挙げ得られるプラスの面は未だ具体的に示されていないのでありまするが、考えますれば今回の開発行政の機械的分離は却
つて私はマイナスの面を出すのではないかということを憂うるものであります。
即ちその第一点といたしましては、今回の出先機関設置に伴う行政費の増加についてであります。
政府は
機構の分割に伴
つて経費の増加は来たさない、
従つて地方負担の増加は到底考えられるものではないというのでありますが、如何なる
調査の根抵に基いてその
ようなことを言われるか、
地方行政調査委員会議のまだ
調査を見ておりませんので、その
結論すら出ておらないのであります。甚だこの点了解に苦しむものであります。常識的にも或いは役場を二つ作れば町村長も助役も収入役も必ず二重に必要になるわけであります。先ほど長官は同じ釜の飯を食りんだから、これは
一つの釜の飯を食うんだから、この経費は変りはないのではないかということでありましたけれども、私は
一つの蒲団に二人は寝られないということを、こういうことを申上げられるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり、笑声)
政府の案によれば、この出先機関は局長官房、建設部等の五部を置くことにな
つているのでありまするが、かかる二次的
機構の膨脹は当然現場作業定員に影響を来たすのであります。私は定員法の問題に対しては非常に問題になると思うのであります。すでにこれだけの厖大な予算を持
つておる国の事業において、これだけの定員で、この定員が過重労働をしておるかいないかということは、もう現地に
行つて見なくも、恐らく過重な労働負担をや
つておるということを考えられるのであります。そもそも
政府はこういう点に対して十分なお考えがあるかどうか。国費は現場作業の実情に照してまだ
余裕があるとでも考えられておるかどうか、機械器具等にいたしましても指揮系統を分割し、作業実施を二元化いたしました場合、それぞれの作業にそれ相当の設備を必要とすることはわかり切
つていることでありまするので、
政府は現在のままでやれると言われたり、又相互に融通し合えばよいと言われたりするのでありまするが、
一つの世帯を二つに分けた場合は
只今申上げた
ように果して鍋釜の果までも借り貸しができるものであろうか、これは人情でありまするので、国家公務員、地方公務員との摩擦が、こうした面において過去においてもなされたということを私は十分用心をしなければならないと思うのであります。
北海道庁ではこの分割に伴
つて人件費の増加、現場事務所の設置、機械器具の設備等で経常費、臨時費を含めて十四億余円を必要とすると田中知事が申されているのでありますが、これに対して適切な考慮を欠いているのではないかということを考えます。而もこの二重
機構の設置に伴う多額の冗費の発生は、單に
北海道地方財政の問題であるばかりでなくして、国家的な見地からいたしましても現下財政多端の折から重大なる損失となるということを考えなければならんのであります。増田長官はときどき内地、内地ということを申されますが、私は
北海道も等しく内地であると考えているのであります。本州並びに九州、四国が内地であるということになりますれば、
北海道が外地ということになりまして、日本の領土ではない、こういうことに考えられるので、長官の内地という言葉のその裏の言葉が私には不思議に思われるのであります。この
ように未文化という言葉であれば、
北海道は非常に未文化な土地でありまし
ようけれども、未文化なるが故に外地ではないのでありまして、遠く徳川時代においてすでに日本の内地であ
つたのであります。
第二の
理由は、開発行政を分離することによ
つて行政執行が著しく非能率化することとなり、更に又この平行線の
立場を複雑化するということであるのであります。
北海道の開発は、
政府の
提案理由にもありまする
通り、日本経済の再建、人口問題の解決を目的とするというのでありまするが、その根抵は地域住民の生活文化向上に置かなければならんと確信するものでありまして、この文化向上は、特に
北海道の
ような未文化地域においては、この文化問題は当然第一義に置かれなければならないと思うのであります。文化、この施設に対しましては、道自体において道民を愛する上において、この意欲、意識というものは更に高揚されなければ文化の向上は期せられないというのは、文化歴史を見てもおわかりの
通りだと思うのであります。道路、河川、港湾等のこの開発の重要な基礎施設は、重要な開発事業の
一つでありまするが、このことは文化発展に対して場の重要な施設であり、
機構であり、基本であるのであります。真の総合開発は、自治行政と共に国の投資によるところの産業、文化、厚生等に対するところのこの補助、援助がなくしてはなされないのであります。効率的事業の実施を期待する
立場に立ちましては、これはやはり一元的な道民の協力がなされなければならない。
北海道と道民と国の出先機関であるところの開発局との相関関係において、連関関係において密接不離の関係が
行政機構にできてのみ、ここに道民の意欲が盛り上るのでありまして、この
法案審議に当りまして、どういうふうにこのことがなされておるか、一例を申上げますならば、
一つの公共土木事業をいたしまするのも、道民の無料奉仕という形において、最低賃金において労力奉仕がなされなければ、如何に多額の費用を出しても、この意欲のないところにはこの費用が完全に使われない、こういうところにおきましても、道と国との密接な関係が私は欲しいと思うのであります。こういうことを一々論議いたしまするというと、この
法案に対しましてすでに
政府の申されておる
ように、この実施に対する精細な、細密な実施計画はなされておらない。而もこれに対する施行的な
法律案という
ような大きなものは、まだ予定されておらない。然るに急遽七月一日からこれを実施し
ようとする、この無理を補うために、私はこの
法律に対しまして、七月から以降、この両者、国並びに道との
機構上の打合せ、並びにこれに対する行政面に対する
調査委員会議の勧告を待ちまして、そうしてここに一体とするところの
機構が完成された後に実施されたいという念願の下に、この実施
期間を七月一日から来年の四月一日に移しまして、この
期間において十分なる計画並びに行政上の諸点を解決してもらいたい、こういうことにおきまして、修正の動議を提出したわけであります。