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1951-05-25 第10回国会 参議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)    午後二時十七分開会   —————————————   本日の会一議に付した事件 ○水産省設置法案木下辰雄君外八十  三名発議)   —————————————
  2. 楠瀬常猪

    ○理事(楠瀬常猪君) それでは只今から内閣委員会を開会いたします。本日は水産省設置法案を議題といたしまして、質疑をいたすことにいたします。政府のほうから池田大蔵大臣廣川農林大臣が御出席になつておりますから、御質疑を願います。
  3. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 この間お尋ねしたのを、提案者からお答えを得てからでなしと……。    〔理事楠瀬常猪君退席、委員長着席
  4. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 先般栗栖委員からの御質問事項について御答弁いたします。  水産省設置法法案の第七条の第九号及び第十号の点でありましたが、第一番は資金斡旋を行うことということについての問題を御説明いたします、昭和二十一年八月から昭和二十四年三月まで復興金融金庫事業を開始しておりましたときは、その融資審査等につきまして、農林省官房金融課係官と共に水産庁漁政課長並びに係官産業官庁として発言をし、又具体的事業について資金斡旋を行なつてつたのであります。昭和二十三年十二月、関東北「いわし」施網漁の不漁に対する対策といたしまして、日銀を通じ復興金融金庫の保証の下に漁業手形を発行することになりましたが、それによる転換資金融通斡旋いたしたのであります。そのほか個々場含農林中央金庫勧業銀行興業銀行等に対しまして、現在においても資金斡旋をしておるのであります。なお開発銀行の発足によりまして、融資斡旋事務を行うこととなつたものであります。第二番目の農林中央金庫の行う金融業務指導監督することはどうだという御質問に対しまして、お答えいたします。現在農林中央金庫大蔵農林大臣共管によつて運行されております、農林省におきましては、主として官房金融課がその事務をとつておりまするが、若し水産省が独立して設置されるということになりますれば、水産に関する範囲におきましては、水産省が行うこととなるのであります。現在同金庫に対しまして行なつておるところの事項を挙げて見ますると、次の通りであります。第一番目、役員は、理事長、副理事長、幹事及び評議員であります。その任命、農林水産集に関連する事業を営む法人等に対し余裕金短期貸付等をなす際の認可農林債券発行の際の認可定款変更認可剰余金処分認可、必要ありと認めるときの貸付又は割引の制限、監理官による監督検査報告徴収、こういうことをやつております。第三番目が漁村負債整理に関することでありますが、現在農林省金融課で行つておるものでありますが、水産省設置されることになりますれば、当然漁村に関するものは水産省所管となるのでありまして、主なる事項を挙げますると次の通りであります。先ず漁村負債整理資金特別融通及び損失補償法規定に基きまして、市町村又は農林中央金庫農村負債整理組会法に基いて負債整理組合又はこの事業を行う法人に対しまして融資をした場合に、政府融資機関がこうむつた損失を補償する。この場合においては主務大臣があらかじめ定めた損失決定基準に基きまして、農林金融改善特別融通損失審査会損失及びその価額を決定することになつております。臨時農村負債整理法に基きまして、市町村又は農林中央金融金庫等戦死傷者遺家族又は負債整理組合融資をした場合に、政府はこれを補償するものといたしております。主務大臣損失決定基準の策定を行い、これに基いて農林金融改善特別融通損失審査会損失及びその価額を決定することになつております。以上御答弁申上げました。
  5. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 今の何は私もよく知つておるのですが、私がお尋ねするのとは全然違つているのです。丁度大蔵大臣農林大臣おいででございますので、政府のお考えも併せて伺いませんと、この審議がむずかしいと思います。この一番初めの資金斡旋でありますが、法文の上に資金斡旋というものが現われておりますのは、これが初めてではないかと、こう思いますが、事実上の斡旋でなしに、資金斡旋政府がするということになりますと、それはどういう銀行とか、金融機関斡旋をされるのか。これは今までの金融行政の行き方から言えば、ちよつとコペルンクス的の変動になると思うのであります。大体戦時中にはこういうようなものもあつたのであります。平和のときにおいては金融機関エキスパートビジネスであつて、そうしてそのエキスパートビジネスであるが故に、政府のいろいろ今お話のような事務上の斡旋という意味ならば、大した問題もありませんけれども、個々金融自体斡旋なさるというようなことになると、いろいろ逸脱した問題とか、重大なる問題が起ると思うのであります。或いはすでにこの立案については、政府のほうもそういうような御意向があるのかどうか、併せて承わりたいと思うのであります。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今のところ政府におきまして、資金斡旋をやるというふうな建前にはいたしておりません。私も寡聞にして、この各省の所掌事務に関しまして、資金斡旋を行うという規定なるものは、私の記憶では初めてでございます。政府におきましては、財政資金におきまして資金計画を立てるということはいたしまするが、個々事務につきまして、役所所掌事務として斡旋するということは、規定上はいたしていないのを例といたしております。ただ我々金融関係のものといたしまして、具体的の問題、こういう資金はどうかというふうな具体的の問題で御相談にあずかることは、これはございますが、それは役所所掌事務としての斡旋ではないと考えております。
  7. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 そういたしますと、将来講和ができれば、金融機関とか、その他というものについての行政面、その他も相当変るのじやないかと思つております。そういう際に、大体先走りまして、この種のものをいたしましても、政府としては、この水産金融疏通のためには、大体よかろうというようなお考えを持つておいでになりますか、どうか、併せてお伺いします。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この資金斡旋を行うという意味如何ようにもとれますので、私はこの水産金融につきまして、大蔵大臣として農林中金方針として、こういうふうな方面に出したらいいだろう、即ち漁業手形の問題とか、或いは災害後の漁船の建造についての意見を述べる、こういうふうなことが、全般的な問題といたしましては、やることがあるのでありまするが、個々会社にどれだけの造船資金を出すということは、表向きには如何なものかと考えておるのであります。
  9. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 今の趣意はよくわかりました。その次に、水産省ができますと、今まで農林中金農林大臣と、大蔵大臣主務大臣であつたものでありますが、水産省ができますと、水産大臣、三大臣共管となると思うのであります。ところで、この農林中金法その他によりますと、只今では農林大臣大蔵大臣監督に属しておるわけでありまして、指導というような積極的趣意は入つておらんのであります。水産省水産大臣限つて監督のほかに、指導というような趣意が加わることになりますが、この辺について関係大臣の御意向を承わりたいと思つております。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これも又この監督という言葉意味でございまするが、今までの農林中央金庫に対しましての農林大蔵所管事務といたしましては、監督ということに相成るのでございます。監督という場合におきましては、指導という意味はあるかないかという問題でございまするが、私は監督という場合におきまして、或る程度指導的の意味も加わるのではないか、併しこれは指導のために監督するのじやございません。監督という場合におきましては、幾分指導という意味も加わるのじやないかぐらいに考えておりまするが、指導監督ということになりますると、ちよつと解釈のしようによりましては、今までの規定違つて大蔵大臣農林大臣農林中金に対しまする監督と、若しできましたとすれば、水産大臣農林中金に対する指導監督ということになりますから、問題が起つて来ると思います。
  11. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 農林大臣も御同様と思つてよろしうございますか。
  12. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 大蔵大臣意見と全く同意見であります。
  13. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 私は大体金融機関というものに対しては、個々のものを役所として指導するということは、国家総動員法に基く法令その他の場合の特殊な場合を、戦時中の場合を除きましては……、これもいろいろ問題がありますけれども、とにかくそういうものを除きましては、すべきでないのであつて一般金融に対する方針指示とか、こういういわゆる金融行政についての御指導、御指示というようなものは適当だと思うのであります。大蔵大臣のそこのとこのお考えは如何でございましようか。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど答えましたように、監督という意味のうちには指導という言葉も私は加わる場合もあると、こう申しておつたのであります。一体に政府一般金融業務に具体的にとやこう言うことは、私は原則としてよくないと思うのです。ただ特殊の金融機関につきましては、これはその設立の趣旨に鑑みまして、そういうことがあるのもこれは止むを得ないかという気持でおりますが、原則といたしましては、成るべく政府のほうでとやこう言わないのが本筋だと考えております。なお今頂いた資料によりますと、水産省設置法には、やはり指導監督ということを使つておるようであります。この点は私は監督だけだと思つておりましたが、監督だけで、指導も或る程度加わると思つておりましたら、そういう規定があるようでございますから、その意味におきまして訂正いたして置きます。
  15. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 それでは今の政府の御趣意と、この法案との扱い方もそこははつきりしたと思いますので……。今一点の問題なんですが、漁村負債というのは、これは水産委員長にお尋ねしなきやならんと思いますが、漁村自体地方公共団体負債整理意味でありますか。漁村におるところの漁業に従事する者の負債整理という意味でありますか。そこをはつきりして頂きたいと思いますが。
  16. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 負債というのは漁村漁業者負債意味であります。
  17. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 そうしますと、この負債整理について、この他の一般法その他が、例えば漁業会社であつた場合は、それが株式会社であつた場合には、会社整理というこの規定に従いますし、或いは個人の場合でも和議をするとか、その他の場合でも使いますが、そういうような適用は、全然この大臣が妨げるという意味でなしに、そういう法律の定めるところによつてするのについて、大臣が法の許す範囲においてこの負債に関して或いは指導する、助言する、そういうようなことをするという、こういう趣意に解して間違いないのでございましようか。
  18. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) お答えいたします。漁村の場合においては負債整理組合というものができまして、これは農漁村負債整理に関するものでありますが、漁村の場合には漁村負債整理組合を作りまして、そうして主として漁業協同組合員負債に対して主に適用しております。会社あたりに対してはやつてらんようであります。
  19. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 そうしますと、私は詰問する意味ではありませんが、この法文では非常に不備のように思われるのでありますが、漁村にあるところの協同組合だけではなしに、ほかのものも含まれるようにとれるのでありますが、そこで私は疑念を抱いたのでありますが、そういうような意味でないという趣意ならば、この委員会で別個に字句の問題を考えればいいということになりますが。
  20. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) たまたま漁業協同組合の傘下の漁業者や、沿岸漁業者が非常に負債をこうむりまして、農村もそうでありましたが、非常に疲弊困憊の極に陥つた時代があります。丁度その時代にそれを目標として負債整理組合というものが大体できまして、それを農林省のほうの主管として農林中央金庫から金を融通してやりましたので、その事務のこともここに書いてありまして、何もほかのことはやらんというわけじやありませんが、たまたまそういう組合がありましたために、それを作りましたために、それをやつたということを一つ例に出したわけであります
  21. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 今の点などについて、いろいろまだ御研究なりが済んでおらんようにも思われますが、両大臣も折角おいでになつたのでありますから、もう一言両大臣にお尋ねして置きたいと思いますが、この水産金融疏通ということは、これは大変大事なことであります。我々もこれが円満に国家の他の産業と一緒に連絡をとつて、そうして疏通されるということは、日本産業、殊に戦後の経済産業回復発達には非常に必要だと思うのであります。それでこういうような法案が仮に通過いたしました場合にも、政府におかれましては、両大臣の今御説明のような趣旨従つてこれが運営して行かれるかどうかという点をちよつとお尋ねして置きたいと思います。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はこの水産省設置というものは先般ちよつと耳にいたしたのでありまするが、まだ条文を全部読んでいないという状況でございます。これが通過した場合にどうするかというお話しでありまするが、私は通過した場合を実は考えたことがなかつたのであります。大蔵大臣としての考え方は、この敗戦後の行政機構をできるだけ簡素にしようという方針で今進んでおるのであります。従いまして水産事業赤大切だからと言つて、別に省を設けるということについては考えたことはございません。従いましてこれから篤と研究いたしたいと思うのであります。若しできた場合におきましては、法律従つて政府としてはできるだけ協力しなきやならんと思いますが、自分の今までの考え方只今申上げた通りであります、できるだけ現在の省でも簡素にしたいくらいの気持を私実は持つておるわけでありますが、通過した場合のことは今お答えする、何と言いますか、腹ずもりを持つておりません。
  23. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 私の質問はこれで結構であります。
  24. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 議員諸君に申上げますが、農林大臣はもう十分間くらいこの席にいることができるということですから、農林大臣に御質議がありますれば……。大蔵大臣も何かお急ぎですから、この際おられる限りにおいて御質議を願いたいと思います。それで若し尽きませんならば、更にもう一回御出席を求めるつもりでございますが。なお、農林大臣はもう時間が来ておると言われますから、それでは……。
  25. 楠見義男

    ○楠見義男君 私ちよつとだけ申上げたいと思いますが、如何ですか。
  26. 河井彌八

    委員長河井彌八君) よろしうございます。
  27. 楠見義男

    ○楠見義男君 農林大臣である廣川さん、行政管理庁長官である廣川さんに一つずつお聞きしたいのです。それは先ず農林大臣に御質問することは、先ほど栗栖さんの御質問の中にありました資金斡旋のことですが、大蔵大臣資金斡旋ということは初めてだとおつしやつていましたが、現在の実は水産庁設置法資金斡旋という文字が入つているのです。これは栗栖さんが御心配されているように、政府融資命令を出すとか、そういう意味ではないが、所掌事務について金融機関との結び付きを考えて、あらゆる、貸す貸さんは金融機関自主性に任せるという意味で私現在あるかと思うのですが、大蔵大臣は今お聞きのような御答弁でありましたけれども、実際の事務として農林大臣はどういうようにこれを取扱つておられるか、その点を先ず伺いたい。
  28. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) とらわれない意味において斡旋は現在でもいたしております。ただそれが命令の形式や、或いは又官庁の力を借りてということではなく、軽い意味においての斡旋はいたしております。
  29. 楠見義男

    ○楠見義男君 それからもう一つ行政管理庁長官としてお伺いするのですが、現在行政管理庁として行政機構全般についての御検討をしておられるように承わつておりまするが、簡単に一点たけ向いたいことは、この次の臨時国会にでも提案できるような程度に進行しておるかどうか、これだけお聞きして置きます。
  30. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) これは現在まで或る省の内部機構の改廃なり、或いは又部局の統合なり、そういつたようなものについては十分いつでも出せるような体制に置いております。併したびたび総理が国会でも言われましたことでもあり、又リツジウエイ将軍の声明にもありましたような点も考慮いたしませんと、非常に紛淆する場所もできておるようなわけでありますので、さような面を近いうちに大きく線を決定いたしまして、それと今までふるものとをよく調和を図りまして、この本来の日本の真に国民性に適するようにしたいという考えで私のほうでは着々進めておりますが、まだ大綱の点が本当にできませんので、その点は待つておるようなわけであります。
  31. 楠見義男

    ○楠見義男君 どうも有難うございました。
  32. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 いろいろ御質問をしたいわけでありますが、時間が余りおありにならんと思いますので、又必要によりまして、改めて御出席を願えれば結構だと思いますが、先ず今回の水産省設置法案が出ておるわけでありますが、提案理由の中を見ますというと、水産庁設置せられた当時、当時の農林大臣が、これは水産省設置前提であるという説明をしておられるとのことでありまするが、廣川農林大臣はやはりこの水産庁水産省設置前提役所であるというふうにお考えでおられるかどうか、お伺いしたいわけでありますが。
  33. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 最初水産庁ができたときに、そういつたようなことがあつたことは私記憶しておりませんが、現在私は特に水産省がなくとも、あの中でできるのじやないかという考えでやつておるようなわけであります。
  34. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 今回の水産省設置提案理由を見ますというと、水産行政弱体であるということを述べておられるのでありまするが、農林大臣のほうから見られて、現在の水産行政上の弱体と目すべき点はどんなものがありましようか。一つありましたらお漏らしを願いたいと思います。
  35. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 現在の水産庁は非常に優秀な官僚が揃つておりまするので、あえて弱体だとは私思つておりませんが、ただ閣内における発言政治力のない私でありまするから、その辺に或いは弱体の点があろうかと考えておるのであります。
  36. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 今回の水産省設置の案を見ますというと、現在の水産庁をそのまま昇格いたしまして、水産大臣を置くというような機構に相成つておるように見るのでありますが、つまり現在の水産庁長官大臣になつてこれが閣議に出ていろいろ発言をするという建前になつておられるわけでありまするが、これは私は今日までのこの水産庁行政の運営というものがやはり不信を買つておる、うまく十分の仕事ができないといつたような、無力であるといつたような点の一つの現われから、この水産省といつたような法案が出ておるのじやないかとさえ思うのですが、そこで政府のほうにおかれましても、いろいろとこの点には御心配にはなつておるとは思うのでありまするが、水産省を作らなくとも水産庁長官次官会議に列席をいたしまするとか、或いは又閣議農林大臣にくついて出まして、十分に一つ水産行政の利益について主張するといつたような、十分の一つ働きをさせるというようなことが最も必要ではないか。これは水産庁長官に任用さるるその人自体の問題もありますが、むしろそういう人のこの使い方という問題に大きな問題が伏在しておるのではないかと思うのでありますが、そういう点について如何ようにお考えになりましようか。
  37. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 閣議における発言力等については、或いは大臣等において弱い点があるかも知れませんが、併し現在の機構で、外部に対しても弱いということは感ぜられないのであります。ただ現在占領下にあつてマツカーサー・ライン、或いはこれはリツジウエイ・ラインですか、そのラインの中に閉じ込められておる現在においては、或いは思うに任せない点がありまするので、業界から見ますと、何か頼りない感じがいたすのかも知れません。併しこれも現在の場合においては仕方がありませんのでありまするが、さような点から非常に不服があるのではないかと思うのであります。ただ現在の水産庁のあり方によつて、この運用如何によつて、或いは又人を得るということによつて、みんなの不平をなくし、或いは又水産行政水産界のために貢献するような方法が私は他にあると考えております。
  38. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員諸君に申しますが、官房長官も又非常にお忙しいので、他に約束があるらしいので、この際若しあれば官房長官に対して簡単に御質疑をなすつて頂きたいのであります。
  39. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 楠瀬さんのお話と、私が取り上げておるのとちよつと違うのでありますが、水産庁のほうには「水産庁所管に属する事業に関する資金のあつ旋に関する事務を処理すること。」と、「こう簡単にあるのでございます。ところがこちらのほうには字句から申しますと、「所掌事務に係る事業に関し、資金のあつ旋を行い、及び農林中央金庫の行う金融業務指導監督と」、こう出ておるために、どの意味が全く同じであるというならば、私は何も問題にするのじやないのですが、そこを一つはつきりお伺いしたいのであります。
  40. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 私が申上げましたのは、現在やつておる、農林省設置法に基いて斡旋して現在やつておる実情をお諾いたしたのであります。片方の水産省設置法の申にある字句はちよつと私まだわかりません。
  41. 梅津錦一

    梅津錦一君 この前の委員会のときも私問題にしたのですが、沿岸漁民が非常に貧乏しておる。そのために古い負債を返済することができない。返済することができないから、市中銀行から融資をしようとしておるわけですね。これはもうわかるのであります。そういう二面的な財政事情が起つておる漁民を、まあ農林大臣主務大臣として、こうした沿岸零細漁民に対する対策をどうお考えになつておるか。更に二点は、こういつた零細漁民漁業協同組合作つて、そうして資材なり、資金を集めようとだけしても、恐らく農林中金はこういう貧弱な協同組合には融資してくれないと、こういうふうに両面から窮地に追い込まれておる。これに対して主務大臣としてどんな対策を持つておられるか、それをお伺いしたい。
  42. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 実はその点に関して私前々から検討いたしておつたのでありますが、最初考えたのは、水産銀行の形でそれに国家資金を入れてそういう方面に流したいと思つていろいろ大蔵省とも折衝いたしたのですが、なかなかうまく参りません。次には水産特別会計というものを考えて、これによつてその筋或いは又大蔵省と折衝いたしておるのですが、これもまだ発表するまでに至つていないのであります。最後にこの農林水産金融機関の中にこれを入れて、そしてその中で何かできないかと思つて今これを折衝いたしておりますが、どつちにいたしましても、そういう方面金融を付けなければなりませんので、我々といたしましては懸命に今検討いたしておる最中であります。
  43. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 もう一つだけ農林大臣に伺いたいのです。水産省設置案参議院を通過をしたとしたら、農林大臣のお考えはどうかということについて、二月七日の参議院水産委員会速記をとめられて何か大臣お話なつたように思うのですが、どういうお話でありましたか。ちよつと速記をとめて結構でありますから……。
  44. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 私は多分これはあのときはこう申したと思つております。そういつたようなことが現実に現われた場合に考えるので、仮定じやなかなか言えないことじやなかつたろうかと思つております。
  45. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 それじや水産委員長にお尋ねしたいのですが、大蔵省及び政府当局の私の質問に対する趣意は大体はつきりして来ておると思うのでありますが、そこで水産庁のときに現われておる事務の処理という文字と、この水産省設置のときの意味とが全く同じであるという提案者の御趣意であるかどうか。そこをはつきり承わつて置きたいのであります。
  46. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 同じような意味において水産庁でやつておりますので、水産庁のものをこちらへ引用したに過ぎませんので、ただ農林省設置法には、明らかに金融事業指導監督を行うことと、こういうふうに農林省には書いてあります。それをこちらへ持つて来ただけでありまして、農林省が今度水産省なつた場合には、農林省と同じものを持つて来たほうがいいということで、こちらも意味は同じであります。書いてある意味は同じものと思つております。
  47. 栗栖赳夫

    栗栖赳夫君 それはわかりましたですが、そうしないと、若し別途な意味があるということになりますというと、これができても実際水産金融は却つて運用ができんということになるのでありまして、今言つておられますような趣意であるならば、これを省にしておやりになるというならば、私どものほうは非常に水産金融の運用はなお一段疏通するように振向けることもできるのではないか、こう思つておる次第であります。大体同じような意味であると、こう解釈してよろしうございますね。
  48. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) よろしうございます。
  49. 梅津錦一

    梅津錦一君 三大臣が帰られてしまうと、今日の仕事は大体発議者に対しての質問を展開するという以外に途はないし、できるなら懇談の形式で、将来この法案をどういうふうに持つて行くかについて打合せをしたいと、私はこう思うのですが、お諮り願いたいと思います。
  50. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  51. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  52. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 水産省設置のこの理由を拝見しますと、水産省設置のこの問題は最近に起つた問題ではないわけでありますが、これは長い間の問題で、従来この水産省設置に関する建議案でありますとか、或いは決議案とかというものが、何度もいわゆる両院を通過しておるということでありまするが、併し何が故に今日までそれが実現しなかつたかという、その理由を私は特に提案者のかたに先ずお尋ねしたいと思うのでありますが。
  53. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) それは私の考えを率直に申しますと、日本水産国であると、併しながら一般人も、それから政府当局水産に対する関心が非常に薄いと、それで或る少数の水産議員からそういう案が出ますと、もとより建議案とか、決議案とかは昔の国会においてはどんどん一瀉千里で決しておつたというようなことを私聞いておりました。それで通るが、通つても実現しないというのは、私は一般人並びにその当時の政府当局者に水産に対する理解が薄かつた結果ではないか、かように思います。それはやはり水産業者に罪がある。水産業者が結束して輿論を起すというだけの努力をしなかつたことは水産業者の罪であると思うのですけれども、何といつて漁業者は民度が低いのでありまして、業者みずから上京して猛運動するというようなことは、その当時は余りなかつたのであります。この頂漸く漁民も目をさましまして、そういうことをだんだん言い出したし、それから水産に理解ある委員も出られたし、政府としても水産に対するいろんな施策に対して前とは格段な関心を持ち出したということは事実であります。その当時のことはどうも甚だ要を得ませんが、さような次第で実現しなかつたと思うのであります。私はそう思つております。
  54. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 その実現しなかつた理由はまあ今御説明通りであろうとも思うのでありますが、何かその水産省設置機構の問題について、いろいろきまらない、決定しないというような点はなかつたんでしようか。
  55. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) そういうことは私なかつたろうと思いますが、水産庁ができるという際は、時の農林大臣和田博雄君の時代に言い出されまして、そして漸くまあ永江農林大臣の場合に実現したのであります。その際に、先に廣川氏が言われましたが、これは委員会においても、本会議においても、水産庁水産省設置前提であるということを繰返して申しております。速記録にもあると思います。それからその時分から水産省設置しようという意見は相当中央のほうにも擡頭して来たと、かように思つております。
  56. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 まあ今回の水産省設置案と非常な大きな関係があるというふうに私は思うのでありますが、アメリカのエドワード・アレン氏が水産省設置を主張しておるということでありますが、その主張しておる論拠はどんなものでありましようか。
  57. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 私再々エドワード・アレン氏ほか二名の使節団とはお会いしましたが、日本は今後発展すべきものは水産業以外に余りないじやないか、将来働く場面があいているのは水産業者に多いじやないか、そういう場合において、日本として、水産日本として水産省がないというのぱ実に不思議である、どうして作らないのかということを私は反問された。そういう場合で、エドワード・アレン氏の心情の全部は只今わかりませんけれども、大体日本を踏査した結果、日本は海の国である、アメリカと違つて海の国である。カナダでさえも水産省があるのに、日本水産省がないというのはどうも不思議だ、こう言つておりました。従つて勧告にもそういうことを言つております
  58. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 同様にカナダのメイヒユー漁業大臣日本水産省設置を説いたということでありますが、その理由と申しますか、論拠というものは御存じでありましようか。
  59. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) やはり私はエドワード・アレン氏と同じような理由だと承知しております。それも日本が強力な水産行政機構を持つて将来とも水産行政を運行したほうが、日本のためになるのじやないかということは言つております。
  60. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 伝えるところによりますると、この六月にアメリカから漁業使節が日本に来るというようなことを聞いたのでありますが、私は水産省設置といつたような問題を中心といたしまして、この使節にいろいろ意見を聞いて見るというようなことも必要ではないかと思うのでありますが、殊に講和を控えましてのこの水産業というものの、日本水産業のあり方、殊に国際的な諸問題との結び付きにおいてのあり方といつたような問題につきましても、適用すべき水産機構といつたような問題は極めて重大な問題だろうと思うのでありまして、特に私はこのアメリカから六月に来ると伝えられておりまする漁業使節の意見等も十分にお聞きになるといつたようなことも必要じやないかと思うのであります。水産省設置といつたような問題も、この漁業使節と十分一つ懇談をされた上で、これは日本側の独自の考えでいいことなんでありましようが、そういうような考えはないでありましようか。
  61. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) ちよつと速記を止めて下さい。
  62. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  63. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  64. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 先ほど廣川農林大臣に私からお尋ねしたわけでありますが、この水産省設置法案提出の理由の中にも書いてありますが、殊に実際界方面から、或いは水産行政にみずから当つおられる方面と、いろいろな方面から見方があるのですが、水産行政上の欠陥というものがいろいろあるのじやないか、従つて今回の水産省設置法案というようなものも提出されるということになつたわけでありますが、その水産行政上の弱体であるという点を貝体的に一つお示しを願いたいと思うのでありますが。
  65. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 先に農林大臣は、水産庁は立派な機構であつて、仕事もこれで十分やり得るということを申されましたが、これは大臣として当然のことであると思いますが、私はここが弱体である、ここが弱体でないとは言えませんが、全般について水産行政を非常に軽視しているということははつきり言えると思います。それは水産業が占めておる今日の地位、その産業としての生産価値、それに比較して、予算面において、又人事的の要素において非常に劣つております。それから又今日施設においても遥かに他の産業に比較して劣つております。一例を申しますると、農業のほうには災害補償制度がありまして、米、麦、家畜に対しては保険が付けてある。然るに漁業のほうにはどんな不漁でも、又魚貝が流されても、それに対して何らの保険制度がない。私ども数年来叫んでおりますが、実現しない。それからたまたま漁船保険法はありますけれども、これに対しても政府は一文の一般会計の繰入れもしない、農業のごときは年々四十六億も殖えておりますが、漁船保険に対しては今日まで、損したら他から借りて補填している、そうして漁船保険の儲けで以て返しているというような現状でありまして、この点においても非常に劣つております。それから漁業として最も必要なのは漁港でありますが、この漁港の整備、これがないために年々数百隻の船が港内において沈没している。特に一昨年のデラ台風のときには、全国で千二、三百隻の優秀漁船が港内において沈没している、銚子においても五十隻ぐらい沈没している、私も見て参りましたが、どの港でも傷んでいる。これは漁港修築が不完全なためであります。その漁港の修築費として幾ら出されたかというと、まるでお話にならん、七億五千万円出して、それで僅かな漁港を五年乃至六年計画で修築して、そのうちに又壊れるというので、いつまで経つても完全なものができないというのが現状でありまして、これを他の産業に比べますと、遥かに劣つた公共事業費の支出であります。それから又役所方面を見ましても、ちよつとこの前も申しましたが、どの官庁を見ましても、どの局を見ましても、相当な経費がかかつておる。農地局は水産庁よりも、人間においても殆んど十倍、経費においても先ず数倍、林野庁は人間も二万三千人おります。水産庁は千四百人、食糧庁あたりは二万九千人、そういう工合にして、人的にも物質的にも非常に優れている。すべてが差別待遇を受けているというのが現状であります。又その他申しますれば限りはありませんけれども、そういう状態では、私は現実に水産業発展はできないと、かように思うのであります。
  66. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 只今いろいろと御説明があつたわけでありますが、そうして災害の補償制度であるとか、保険制度、漁船保険或いは漁港の整備というような、いろいろの問題を伺つたのでありますが、伺つておりますと、まあ水産省設置法案というものは、今日の農林行政に対する不信とか、不満といつたようなものの現われであるのじやないかというふうにとれるわけであります。これは考え方にもよりましようが、水産省といつたような問題よりは、むしろ今日の農林行政というもの、の運営の仕方、働き方というものが悪いというふうにも見えるわけでありますが、そこらのところはどうお思いになりますか。
  67. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 私はそうは思いませんけれども、農林行政水産行政とは、すべての面において非常に違う。一方は陸の仕事であります。一方は海の仕事であります。資材面においても、その他の面においても殆んど問題にならん。それを一緒なところに置いておくというのが、すでに私は無理があると思う。今農林大臣も、水産に対してはよほど関心を持つてつておると、私どもとしてはこう思つております。どの大臣も決して水産に無関心じやないと思いますが、大体知識もなければ仕方がない、そのほうにどうしても向けない。日本では水産は重要資源でありまして、もとより農林は第一に重要な事業でありますからし  て、私は農林にこれだけの支出をしても、なお足らんと思つておる。併し水産はもつともつと余計やつてもらわなければならん面が多い。例えば今度の特別会計の六十四億なんかでも、六十四億のうちに水産は三億円しかない。こういう問題であります。で、林業は十九億円、そういう工合に非常に少い。すべてがです。そういう点を私は非常に遺憾に思つておる。
  68. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 私は専門のほうじやないのですから、よくわからんのでありますが、私は日本のこの漁業というものは、大別して二つの方面考えられると思う。一つはいわゆる大資本的な企業、これは捕鯨でありますとか、或いは「かに」工船を対象としておるわけで、林兼などとかいうものがあるじやないかと思う次第でありますが、これに対して問題なのは、極めて多数の零細漁業といつたものがあると思うのですが、勿論伺いますと、この水産行政というものは、その双方を対象としておるというような説明になるのでありましようが、併しこの水産省設置という問題がこれは知らず知らずに大資本家的企業という方面を対象として考えればこその水産省というような問題が起きて来るものじやないかと思うのですが、これは私の間違つた考えかどうか、一つお教えを願いたいと思うのですが、どんなものでしようか、お伺いします。
  69. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) この間から私が再々海外漁業とか、或いは漁業協約であるとか、或いは外国の領海における略奪漁業であるとかいうことを申しましたので、そういうようなものをやつておるのは、大体資本漁業じやないかというお話がありましたが、内海漁業の殆んど大半は協同組合の所属船であります。これはミツドウエイから殆んどアメリカの附近まで行つておる「まぐろ」、「かつお」の船漁、それから機船底曳漁船、こういうものの大部分は漁業協同組合の傘下にあるものであります。もとより太洋漁業日本水産、日魯漁業、そういう船も相当ありますけれども、今度の「まぐろ」、「かつお」なんというものは、大部分はこれは資本漁業じやありません。それで何も私は資本漁業の手先になつて水産省を作ろうということを申しておるわけじやありません。そういう海外漁業、それから国内漁業の整備、二つながら……先ほど私がここで申しましたのは、主として沿岸漁業に関することを申しましたが、両面から考えて、私どもはそういう水産行政が必要であろう。こういう結論であります。
  70. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 私は零細漁民の問題が、よく水産行政の上に出ておるのですが、この水産省という問題と引つかけて考えますと、やはり私としては心配があるわけであります。と申しますのは、今日零細漁民について問題はいろいろあると思いますが、何と申しましても、金融と協同施設といつたような点が大きな問題ではないかと思うのでありますが、殊にこういつた問題を考えながらも、漁業権制度の改革ということを考えて見ますというと、これは勿論漁業権の再配分といつたような画期的な事業なんでありますが、これは漁業権の再配分のやりつ放しでは、私はやはり零細漁民に非常に不利であろう、こう思うのです。丁度農地改革について、このやりつ放しが零細農民に或る意味で不利でありまするが、そのままの体裁でおりまするというと或る意味で不利であると同じように、私はやはりこの漁業権制度もよく考えて、いろいろの施設を講じてやらないと、零細漁民に不利ではないか、こういうふうに思うのであります。そこでこの漁民にとつての経営の強化といつたようなことを、どうしても考えなきやならんと思うのでありますが、そういう場合にはやはり協同施設という問題に結び付くだろうと思うのでありますが、協同施設というものに結び付くと同時に、私は水産の加工業といつた方面と結び付いて行かなければならん、こう思うのです。そうすると、加工業ということになりますと、農村に結び付くということが非常に多いのじやないか、こういうように思うわけです。そこでそういうふうに考えて参りますと、農山漁村を一体として行政の  対象として扱うというようなことが零細漁民農村のほうと結び付けて吸収するといつた点から言つていいのではないか。つまり天然資源の原始産業というものを二つの省に、農林省水産省というふうに、二つの省に分けるというよりも、むしろ一つの省の下にこれを取扱つて、原始産業として一貫的な取扱方をするほうが、つまり漁業と農業との結び付きを考えるほうが却つてよくはないか、省が別々になつて対立するというようなことが出て参りますと、又実際の日本の従来の役所の仕事のやり方を見ましても、往々にしてこの対立するといつたような実際の弊害もそこへ出て来るというようなことは、これは否みがたい点だろうと思う。むしろ一つの省の下にやはり総合して行くといつたようなことが実際の上でいいのじやないか、そういつた意味から言つても、水産行政というものも大きな意味農林省という中に一つの存在理由が、或る意味であつたのではないか。これを考えますというと、やはり水産行政方面であるからして、やはり別の省にしたがいいというような議論も主張も出ますけれども、そういつた実際の零細漁民というようなことから考えますと、一つ役所の中で総合的な、一つ行政的な運営ということをして行くほうがいいのじやないかということも考えるわけでありますが、これは実際問題として、私は何が故にこの水産省という問題を、大企業を対象にしてお考えになつておるのじやないかというように、極端にもむしろ言つておるので、この六十九万数千戸、七十万の漁民諸君が、この水産省設置についていろいろ署名をされたその気持はわかるのでありますが、本当に私はそういう点がわかつて署名をされているかどうか、むしろ私はこの水産の大きな方面を代表しておられるところの団体でありますとか、或いは会社といつたような面においてこそ、この水産省というものの必要なことは考えられても、零細漁民の諸君が果してそういうようなことまで考えられて、自分たちの利害というものを考えられまして本当にやられているか。私は少くともその零細漁民の立場を考えたいと思えばこそ、こういうようなお尋ねをしているわけでありますが、そういう点は如何なものでしようか。お答え願いたい。
  71. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 漁業権証券の問題が出ましたが、私どもは漁業法を改正して、全部の漁業権も一先ず政府に買上げてもらつて、その代り百七十億という金を漁業権証券で渡す、そうしてその金は免許料、許可料で以て又再び政府に納めるという方式をとりまして、その金が一時に渡る漁業権証券を資金化して漁業制度の改革をやる、お説の通り或いは産業の共同経営、或いは産業の自営とか、或いは共同施設とか、共同加工であるとか、そういうものを漁業制度の改革として実行するための資金がいるのだということで、ああいうふうに改正をやりまして、今実行中でありますが、そういう点はもとより必要でありますが、もとよりその中には加工ということもこれは必要であります。で、冷蔵、製氷或いは加工というものが整備して、初めて漁価の成る程度の安定もできる、又市場に対する供給の調整もできるという点においては非常に必要であります。その加工が農村のほうにどんどん潤うからして、農林行政でいいじやないかというようなお話もありましたが、今ちよつと私、今はありませんが、各県を見てみますと、農林水産課とか、商工水産課とか、いろいろなものにくつ付けて水産をやつております。ですから商工のほうにも非常にくつ付きやすい、農林のほうにも非常にくつ付きやすいというのが今までの水産でありました。ところがそれではどこへ行つてもやはりまま子見たいな状態になるのです。それで水産は別にこの頃は水産課があり、水産部ができましたが、そういうふうに国家行政を見ても、水産省作つて、重要な産業である水産の画期的発達と、漁民の安定を図るというのが私どもの狙いでありまして、楠瀬さんも長い間地方長官もやつておられますし、又水産県のおかたでいらつしやるので、水産のことはよく御存じでしようから、その点は一つ十分にお考え頂きたいと思います。元来自由党は昔から非常に水産を理解する党でありまして、最近では水産省設置法に対して自由党の過半数は署名している。これは私何も零細漁民が人に強いられて署名したのと違つて、立派な国会議員が水産省設置法に署名をしておる以上、これは強いられたものじやないと思いまするそういう点もお考え願いたいと思います。
  72. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 私はつまり零細漁民が、殊に今後漁業権の問題、調整の問題等の関連におきまして、どうしても協同施設と結び付き、又水産加工業と結び付くというようなことから申して、殊に加工業ということになると、農村とますます関係ができて来る。そういうことになると、農山漁村を一体として行政をやる役所というほうが却つて能率が上るのではないかというように考えて、その点をお尋ねしたのでありますが、実際政治行政の見通しを、従来の経験から申しまして、その辺どうなんでしようか。
  73. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) そこは見解の相違ですけれども、私は今の通り考えております。
  74. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 水産言つてもまあ内水面の利用と言つたようなことがあるのだろうと思います。これがつまり淡水魚の増産ですけれども、この淡水魚の増産ということも、発電の水利とか、農業の水利といつたことに非常に密接な関係があるのですが、省や何かが若し分れますと、一体やれますかどうか。そういつた淡水魚の増産というようなことも大きな問題であると思いますが、これは提案者のほうよりも、農林省のほうから伺つたほうがいいと思いますが。
  75. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 農林省からの説明があるかも知れませんが、もとより水産省ができましても、水産庁の仕事をそのまま踏襲してこれを助長するというのでありますからして、やはり河川、湖沼も水産である以上は、同じ行政下に置いたほうが一元的にやれると思つております。又農業とはそういうような点においては非常に密接な関係があります。
  76. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 お答えがありましたが、そういつたような水産行政の実際の問題については、なお農林省のほうからお伺いしたいと思うわけですが、次にお伺いしたいのは、水産委員会でも過般来問題になつてつたのでありますが、食品市場の問題でありますが、食品市場、殊に中央卸売市場、こういつたような問題についても、これはどうしても総合的に行政をやる必要があるのではないかと私は思うのですが、又一番総合的に運営して行くといつたような必要もあろうと思うのです。殊に又資金の償還計画でありますとか、或いに手数料の問題、或いは集荷の問題、或いは交通のいろいろな施設といつたような問題を考えます場合に、つまり市場を運営して参ります場合に、却つて農林水産両省が分離しておるというようなことが、市場の建設とか、運営といつたようなことについて渋滞を来たしたり、不利を招くというようなことは一体ないでしようか、どうでしようか。これは特に本体的な立場からの質問なんでありますが、如何なものでしようか。
  77. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 現在中央卸売市場といたしまして、青果、水産物等を総合して中央市場を経営しておりますけれども、実際の取扱方ははつきり区別しております。これは或いは魚市場、青果市場、別に分けても何ら差支えないので、殊に神田市場あたりは全然これは青果ばかりの市場でありますし、築地は一部分が魚市場でありまして、一部分が青果市場でありまして、これは一緒にやつても、両大臣共管でも、或いは別に魚市場として、或いは青果市場としてやつても何ら差支えない。元は商工省がやつておりました。それを最近になつて農林省に移管されて現在農林省でやつております。
  78. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 誠にこれは実際の販売の場所は魚でありますとか、或いは青果というふうに分れ得るわけでありましようが、市場を総合的に運営して行く、或いは計画をして行くといつたような場合において、やはりこの資金の償還計画にいたしましても、こういつた大きな問題についてやはり総合的に考えて行かなければならんような問題ではないかと思うのですが、殊に中央卸売市場も、商工省というよりは農商務省で昔やつておつたというわけで、行政的にも総合されて、いろいろこの中央市場、食品市場の問題が扱われておつたというところにうま味があり、行政の便益があつたのではないか、こう思うのですがね。
  79. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) それはですね、今殆んど一緒におりましても全然別になつておる。手数料も違います。仲買人も、小売人も、卸売人も全然別でありまして、はつきりしておりまして、何もそれを総合してやらなければならんということはないと思います。殊に青果のほうは、今荒木という組合長が連合会を作つてつておりますが、この人の意見でも別にするのが至当だ。併し一緒にしてもよろしいというような意見を出しておりますが、私どももやはりそういう意見であります。何も一緒にやらんでもいい。現にそれは別です。殆んどはつきりしておりますが、手数料から、仲買人から、小売人から、卸売人から、全部別になつております。
  80. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 水産省設置案を拝見いたしますというと、現在の水産庁をそのまま昇格しようという案になつておるわけです。まあこれは今日経費多端の折柄という点に主点を置いて、こういう案をお組みになつたと思つて、決して御満足になつておるなんとは思わんのですが、如何なものですか。
  81. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) これはもう再々私が申しましたが、現在はお説通り経費多端の場合でありますし、又予算をとつて新たな機構で協讃を求めるということは、私どもは本当はそういたしたいけれども、事実上不可能と思いまして、このまま出しましたが、将来財政の許す範囲において順次是正して行きたいと、かように思つております。
  82. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 まあ財政が充実した場合に、いろいろと立派な案のほうへ持つて行きたい、そういうものを実現さして行きたいというお考えでありましたが、提案者のほうで、一応これならまあ大体立派なと申すか、一応の理想と申すか、そういつたような水産省の案というようなものはどんな構想を持つておられますか。おありでしたら一つそれを大体のところをお聞かせ願いたいと思うのですが。
  83. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) それは先般楠見委員が御質問になりましたので、私お答えしましたが、現在のところ私案はそれはありますけれども、どうせ大臣なつた人が、そのときの政府のいろいろな予算の組合せを勘案して、順次是正して行くということが至当かと思いまして、私は私案の提唱はいたしてなかつたのであります。
  84. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 この水産省設置案ですが、これは水産委員会を中心に発議をされたわけでありますが、衆議院のほうは自由党が時期尚早であると言つたとか、言わんとかいうようなことで、これを避けたのだろうと思います。避けて参議院に出ます用にいろいろ運動があつて、それによつていろいろお取上げになつたようでありますが、発議に当りまして、やはり時期尚早というような点については問題になつたのでありましようか、或いはならなかつたでありましようか、その辺のところはどうでありましようか。
  85. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) こういうことを御答弁していいか悪いかわかりませんけれども、これは最初衆議院から出してもらうというのが一般の業界の希望でありましたのですが、衆議院と再々折衝した結果、この際は衆議院から出してもらつたほうがいいということになりまして、参議院から提案したのであります。決して衆議院から尚早とか、何とかということは聞かなかつたのです。
  86. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 この水産省設置という問題は、これは極めて大きな重大な政府機構設置という問題になるわけでありますが、実際的に衆議院のほうを先議でやつてもらうというような必要はないでありましようか。その点は提案者のほうでお考えになつたのでしようか、如何なものでしようか。
  87. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 別に予算が伴いませんので、どつちから出してもいいと思つておりました。併し私どもは衆議院から出してもらうことを希望したのであります。又衆議院の水産委員会としても、そのつもりで折衝したと私は思つております。その際衆議院における自由党の有志者も相当多数、至急出すことについて御賛成をされたということも聞いております。併しどういうわけか、業界のほうでこの際は参議院から出してもらうということにしたから、是非出してもらいたいと言つて来られましたので、一応私が出すような形になつたのであります。どつちから出したつて私は別に差支えないと思つております。
  88. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 これは今までも御質問のすでにあつた問題だと思うのですが、現在の水産庁そのままの昇格であるということは、折角水産省というようなものを作る場合に、経費多端とは申しながら、残念なことにも思われるわけでありますが、そうまでして水産省の実現というものを一体急がれる必要があるのかどうか。無論急いでやらなければならん問題でしようが、そのままの昇格であつて、要するに大臣一人を作る。極端に申せばそういつたような問題でありますが、私はそういつた程度水産省で以て本当に水産行政に筋金を入れてやつて行けるかどうかということについて疑問を持つわけであります。その点はやつて行けるという見通しを提案者のほうではお持ちなんでありましようか。
  89. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) この点について私二、三回御説明いたしたと思いますが、これはエドワード・アレン氏その他の使節団或いは関係方面その他の意向を参酌いたしまして、その上で立案した。というのは、吉田総理大臣がダレス特使に漁業のいろいろの問題について書面を出された。その書面は、漁業協定は講和後においてやる用意がある、それから一九四〇年当時の日本の漁船の行動範囲は、我々は知りませんが、それからブランク時代委員会作つてこうするというような非常に間然するところのない書面を出されたのです。それに対してダレス特使は自分も十分同意するというような御返事があつたということを私も聞いております併し……、ちよつと速記をとめて下さい。
  90. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  91. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて……。
  92. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 法案の中で私細かくなかなか読むのはむずかしいと思うのですが、あの法案を見ますと、第四条の水産省の権限の中に、「漁業に関する協定その他の取極を行うこと。」とあるのですが、これは水産省が直接に諸外国とのこの協定とか、取極を行うというようなこともこの中に含まれておるのですか、どうですか。
  93. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 大体その条約というものは外務省が主体となつて今までやつております。今後も又それが本格的になつて来る。併し協定というものは、条約とは私はこれは違つておると思うのです。通産省あたりの貿易に関する協定は通産省のほうでやるというようなことも書いてあります。その意味における、通産省の貿易協定と同じような意味における協定は当然水産省がやつてよろしいだろう。又条約の場合においては或いは随員とか、或いは別な意味において外務省と一緒になつて今までやつておりますが、そういう意味の協定であります。
  94. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 そうすると、漁業に関する協定の中に国際捕鯨協定なんかも入ると思いますが、これは水産省が直接にいろいろと外国と国際的に折衝なさるわけですね。
  95. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) あれはですね、国際漁業協定というのは、あれは国際条約でありまして、あれは表面は外務省がやつております。
  96. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 そうすると、漁業に関する協定その他の取極を行うというこの項目の中には、国際的な折衝、交渉をするときには水産省が直接おやりにならないのですか、なるのですか。もう一度はつきり御説明願いたい。
  97. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 国際的な漁業条約には水産省は直接当りません。それは外務省が当ります。
  98. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 これは水産庁のいろいろ用語、権限的な用語をそのままこちらへ移されたわけで、法律的の解釈等は当然きまつておるから、そういうふうなことになるのでしようが、そうするとこの十七「漁業に関する協定その他の取極を行うこと。」ということで今の点ははつきりしておるのですか、どうなんですか。
  99. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 漁業条約とは少し軽い意味において、例えば朝鮮と「さば」漁業の協定をするとか、或いは比島と漁業協定をするとかいうようなことは、これは水産省がやることになると思います。
  100. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 今の点は少しはつきりしない点がありますが、なお農林省なり、外務省なりのほうの政府委員に私一つ改めてお尋ねいたしたいと思つておるわけです。それから先ほど農林大臣にもお尋ねしたことですが、この点は提案者のほうからはどういうふうにお考えになるか、私からもお尋ねして置きたいのですが、水産省結構でありますが、水産省が万一できなくても、或いはできるまででも水産庁長官一つ次官会議に列席をするなり、或いは閣議にいわゆる陪席をして、そうして働く、十分に働いてもらうというようなことで、随分水産行政の上においてもしつくり行くのじやないかと思うのでありますが、そういう点の強い要望なりというものは一体業界方面においてもあるかどうか、その辺どうなのですか。
  101. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 水産庁長官次官会議に出るということは私も非常にいいことだと思つております。水産庁と同じ庁がまだほかに五つばかりあるので、皆その例に倣うと思うのであります。例になつて次官会議に列席して所管事項を大いにやるということはいいことだと思つております。併し大臣でないものが閣議に列席して自分の意見を主張するということは、これは余り効果はないのじやないかと思うのです。
  102. 楠瀬常猪

    楠瀬常猪君 私の提案者に対する質問は大体これで結構であります。あとは農林大臣、それから行政管理庁関係で残つておりますので、明日又政府のほうから御出席あれば、そのときに質問いたしたいと思います。
  103. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 大分質疑応答が重ねられたのでありますが、結局木下委員長の御意見をお聞きしておりますと、やはり実態においては現在の農林省所管としての水産に関する所管事務の構成の上におきまして、省とせなければならん理由が、これはまあ私はあとから委員にして頂きまして、非常にその知識が薄いのでありますが、それらの今日までの質疑応答の全体を総合しまして考えますと、むしろ今までの質疑応答の範囲ならば、水産省としての独立を考えるよりも、農林水産省というように、農林省で畜、水産業の改良発達をやるということ自体が、農林省という名称がその内容において畜産があり、水産があつて、而も水産は委員のかたがたの重ねられた質疑に現われたような国家的重要性があるという言葉のみに、その水産というものが隠れて、農林省という名称のために特に水産というものを路頭に出して、そうして一つの省を独立せしめなければならんという、そこに要請が出たことのようにも考えられるのでありまして、提案者にお聞きしたいと思いますることは、むしろ今までのような程度の内容を持つ水産省設置案であるといたしまするならば、農林水産省、名称の変更によつて、決して農林省というけれども、水産に関する問題を軽視しておるのではないというので、農林水産省というような名称の変更において新らしく一省を設けて大臣、次官その他、今日の状況におきましてできる限り経費を節減しなければならんときに、新らしく一省を設けて、内容は同じであるのに大臣と次官その他をこしらえるだけで終るというような行政機構の改革については、どうかと思われる節もありますので、むしろ農林水産省というように改めて、水産に関する水産省として独立したのちにおける運営によりまして目的を達することを、農林水産省という名称変更においてその目的を達するというようなことにはできないだろうかという感じが起きて来たのでありますが、その点に対する御意見をお聞かせ願いたい。
  104. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 今よりも農林水産省としたら幾らか水産が入つたように感じますけれども、それでもやはり内容は同じであります。一体自由党が水産省設置を率先して考えたのです。今度の運動の主体は自由党であります。一番たくさんの人が至急作れという署名をしておりますので、やはり水産省ということで私どもは行つたのです。農林水産省にせよという主張は今までなかつたのであります。それでただ単に農林水産をくつ付けて省にしても実態においては何にも変らない。今よりも幾らか親しみがあるというだけに過ぎないのではないかと思います。
  105. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 私の申上げておるのは、今までの自由党関係も相当賛成者があり、私あとから出た者でその牽連が薄いのでありますが、要するに今日の情勢において行政機構の改革、特に新らしい省を設置しようという、そういう場合においては全国民を納得せしむるに足るそこに内容を持つておらなければいかんと思うのでありますが、各党のかたがたが水産省設置はそれはよかろうという、私自体も又水産省が独立をして、時局の要請に応えるようにするのには、一農林省の外局としての水産庁というよりも、むしろ独立したる水産省としての存在があるごとによつて水産行政が円満に運営され、日本国家の発展に資するところがあるのだという見解にも、これに反対するのではございませんが、要するに内容が、一省とするに足る内容実態が伴わないのに名称のみを変更するということに対する国民的批判を受ける。そういつたことに対してその水産省設置か、水産省として独立することがいいという多くのかたがたの意見、我々もあえて反対するものではございませんが、それには全国民が納得するに足る水産省としての内容機構を持たなければいけないと思うのでありますが、今までの質疑応答の経過を見ますと、ただほんのその名称のみの変更であつて実態が伴わない。それを逆に経費が増大しないのだから、むしろ行政整理趣旨に反しない範囲における省の独立ができるのだからという一つ水産省を新らしく設置する理論構成を助成する理論となるかもわかりませんけれども、併しそれでは全国民の人々は納得するかどうかについて多くの意見があると思うのです。そこに水産省として独立せなければならんということについての理論がなければならんと思うのでありますが、今のお尋ねに対しては、委員長のお答えは大体今までと同巧異曲になると思いますから、更に方向を多少変えまして、この問題に対して水産庁自体、当局の御意見を十分お質しになつたのでございましようか。
  106. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 水産省に昇格することについては、私水産庁とも十分協議しまして、いろいろ意見も聞いた。もとより水産庁長官といへども、一応農林大臣の傘下でありますからして、私公然とは恐らく長官も賛成はすると言えなかつたろうと思う。併し大概私どもはいつでも相談してやつて来ましたからして、水産庁も十分了解しておるということははつきり申上げられます。
  107. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 水産庁は庁を省とせなければならんという理由水産委員長はお聞きになつたのか。
  108. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 水産庁から省にしなければならんという私は主張は聞きません。それはもう皆の意見でありましたので、水産庁からその意見は聞かなかつた。併し反対はしていない。
  109. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 今のお尋ねは現在の水産庁のままでは水産行政を円満に、而も今日の日本の情勢でそれを完璧を期して行うことができないから、その点は具体的に、こういう水産庁として農林省の外局にあるために受ける不利益はかくのごとき事項があるから、これを独立の省とせなければならんという、そういう何か水産庁の責任者から委員長はお聞きになつたことはあるでしようか。
  110. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) それは初代の水産庁長官でありました飯山太平君がつくづく述懐しておりました。飯山長官は業界から推薦して、そうしてときの農林大臣もこれを選定して水産庁長官に任命した。輿論に従つていろいろと水産行政の強化に尽力したことは事実であります。併し時の農林大臣と衝突しまして、遂に罷免されたというようなことがあつた。その当時どうしてもこれを水産省にせんと仕事ができないとつくづく述懐しておりました。
  111. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 なお今、日本の渉外関係を持つ漁業に関しては、やはりマッカーサー・ラインに関する漁業関係だと思うのでありますが、今までの委員長質疑者の質問応答を拝聴しておりますと、省の独立によりまして、非常に水産行政に対する日本の立場が確保され、よくなるということでありますが、それとは逆に、例えば南鮮もありますかもわかりませんが、北鮮、中華民国、オーストラリア、フイリツピン、その他の国々は、日本の再起について一番心配しておるのは、やはり武力を持つという問題と、水産行政に対しては、日本の非常に精巧を極めた航海術と、いわゆる漁獲に対する技術、こういつたことによつて、各海洋の魚族が日本の漁船によつて全滅されやせんかというようなことも心配されておる向きがあり、日本の漁区の拡張と、日本の漁船及び日本の漁夫の各方面に対する進出に対して、これを日本の再起のために、よくなるものとして喜んでくれておる面と、それからそれを非常に恐がつておる面とがあると思うのです。今これが水産庁になりましたのは、昭和二十三年、一局より水産庁となりました水産庁を、二年若しくは三年は経過しておりますが、これを独立の省として、今直ちにこれの実現を期するということには、このいわゆるマツカーサー。ライン侵犯に対する問題も、まだ結末が付いておらないときに、更に水産省として、積極的な体制を水産省設置によりまして、水産庁時代よりも、やはり基本的な理論としては、漁区の拡張をせねばならない、外交交渉によつてマツカーサー・ラインの拡張をせなければならんというようなことが、当然庁より省に昇格することによりまして、全世界にその感じを与えると思うのですが、そういうような感じを与えることが、講和を前にして日本のいわゆる再起、再建に対して好意を持つておるけれども、又一面日本の力を恐れておる国に対して、今日まで日本が独立国家として戦争に負けてないときも、一局下であつた水産行政水産省ということになることによつて、何か日本がこの海洋に対する侵略を示唆するような感じを与えやせんかということを憂うるのであります。その点に対しては如何でございましようか。
  112. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 水産庁水産省にすることによつて日本水産行政を強化する、それが各国に対して非常に脅威がありはしないかというようなお尋ねでございますが、私は先にもそれは詳しく申しましたが、むしろ私は内外の事情を検討して逆に考えております。昔は日本は非常に強い国でありまして、到るところ軍艦がありまして、その軍艦の勢いによつて日本の漁船はどんどん進んで行つて漁業協約を無視して、他国の沿岸まで入込んでやつたということについて、非常に他国の反感と脅威を招いた。それに鑑みまして司令部もいろいろ心配せられまして、資源枯渇防止法というような法律もできました。将来はどの国とも漁業協定を円満に作つて、そうして海外漁業、遠洋漁業に対する強力なる監督をするということを外国は期待しておりますし、日本もその通りつておるという関係でですね、一庁ではどうしてもそういう点についての水産行政としては弱体である、だから省まで作つて監督してくれるのだというようなことで、私は多少安心感も得る、と同時に、日本漁船を拿捕するとか、何とかいうことも減つて来る、円満な協定ができようというわけでございます。それから丸腰で世界の海洋を濶歩せなければならん。昔のようなことをやらない代りに、いろいろとまあ漁業上不安不便な点も出て来るだろうと思います。そういう点について日本行政が調節しておれば、そこを円満に解決し、又監督を厳重にするという能力が十分発揮できませんか、こうやつております。
  113. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 丁度水産庁農林省に対する関係は、海上保安庁が運輸省に対する関係と大体以通つておると思います。海上保安庁関係が特にマツカーサー・ラインの問題等について、海上保安庁関係の御意見水産委員会のほうでお聞きになつたことでございましようか。
  114. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 海上保安庁の防衛区域は、大体沿岸より五十マイル、現在拡張して百マイル以上になつておる、原則として保安庁の船は出られません。漁船の行動範囲は何千マイルでありますから、到底保安庁の船で日本の漁船を守るということは、沿岸ならともかくも、遠洋にはできません。こうした状態であります。そしてマツカーサー・ラインに対しては、別途に監視船が農林省にありまして、僅かですけれども、それを監視しておるというわけであります。その監視は日取の漁船がマツカーサー・ラインを侵さないように監視しておる、併し向うが拿捕して来る場合は、これは何も向うを防止するわけに行かない、何も武装していませんから。保安庁も同じピストルしかないから、これだつてよしんばマツカーサー・ライン保護に当つても、日本の漁船が法を侵してですね、マツカーサー・ラインを突破して、ほかの区域に入るということは今のところ不可能であります。
  115. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 いわゆるこの水産庁の監視船、これにもまあ多くの問題があると思うのですが、大体まあマツカーサー・ラインを越したかどうかということについて、越さないように監視しておるて。ところがその監視船というのは大体大きな日魯漁業ですか、何か大会社の船をチヤーターしておる、そうしてこの監視船の役割はラインを越さないように、本当を言えば内地のいわゆる保安警察に相当する役割を、本当は日本のためには果さなければならんと思うのですが、今まで現われておる事例は、大会社のほうはちやんと何月何日には監視船が出るということがわかつておる、中小の小さい一艘か、二艘しか持つておらないものは監視船がいつ来るかということがわからない。そこでその小さい一艘か、二艘、三艘くらい持つておるものが殆んどマツカーサー・ライン侵犯の事件に引つかかつておるのが百何件あるようですが、いわゆる監視船自体に対して、中小のいわゆる漁業家が不信を持つておると思う。で、それは曾つて委員長提案されておる水産省というものができて完全なものになれば、監視船というものも、いわゆる大きな船会社の船なんかを借りたり、それから便乗したりして監視しなくとも、国家の予算で独立せる監視船を国でこしらえてもらつて、そうして完全な監視ができるということにもなる。むしろ水産省設置の利益になるいい例にもなると思いますけれども、併し今日の状態で、その監視だけに一つの船を作るという国の予算はなかなか盛ることは困難だと思いますが、で、そのいわゆるマツカーサー・ラインを越しては処罰される。ところがそのマツカーサー・ラインのあの境に、日本漁民のいわゆる船会社の望む魚がおると、そうしてその波の高低その他によつて五カイリ、十カイリ、二十カイリのその速度によつてつて来る、そういう場合に、今までに起きた問題は大会社の場合は看過して、小会社の場合はこれを検挙しておる。水産庁の監視船を以てして、全く監視員はけしからんという議論が相当起きて、福岡で言えば裁判になつておる案件もあつて、そういう事件が含まれたやつがあるようでございますが、いずれにしても、このマッカーサー・ラインを越さずに、真面目にそれを守つておるというところに漁区の拡張ができるのだと、そこで一応検挙して整理したのだという当局のまあその当時の言明であつたと思うのですが、そこでいわゆる南鮮、北鮮、中国のいわゆる軍艦、向うの監視船に引つかかるという場合、水産庁から水産省に上るかどうかというような問題よりも、マツカーサー・ラインの拡大、拡張ということが、むしろ先議的、先決的問題であつて、そうして今日本漁業家の一番苦しんでおる点は、あの窮屈なラインに閉じ込められて、而も一マイル越しても拿捕される。船も体も捕えられて、それがいつ帰つて来るかわからないという状態に置かれているのが非常に苦痛なんでありまして、その場合にこれを解決することについて、庁から省にすることによつて有利に解決するようなことが考えられるのですか。
  116. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 戦前の日本の漁船は発達しておりました。当時総馬力が百四十万馬力だつたのです。今日は二百二十万ぐらいに殖えております、というのは、戦後において食糧の増産が非常に要求されまして、司令部の許可を得て船をどんどん作つた。そのために非常に船が殖えて、それぞれ同じ程度になり、そうしてマツカーサー・ラインの内側において舷々相摩すような状態であつた。そうして第一回の措置としてその三分の一を減したというのが実態でありますが、その後において、盛んに、頻繁にラインを越す船があるというのは、何と言つても八隻ぐらいの取締船で、厖大な海洋を守つている、とても守り切れるものではない。何も日魯漁業や、日本水産の船をチヤーターせんでも、官庁の船であつても、このぐらいの数では到底守り切れない。ところが漁業者は背に腹は貸らん、而して知らず知らずの間に、豈図らんやラインを突破していたということあります。無意識で五マイルや六マイル、七マイルは入つてしまうという事態もあります。併しそれでも船は相当おつて、快速なる、而もレーダーあたりを完全に持つた監視船が十分ありましたら、私はそれも可能だ、守れたならば、マツカーサー・ラインは拡張されておつたと思う。又監視船の行動範囲はマツカーサー・ラインより三十マイルも沖であります。そこまで監視船の行動範囲としてやつておる。私は監視船が相当数、とにかく全部監視する程度の船がおつたなら、私は恐らく拿捕されるようなことはなかつたと、そうすればマツカーサー・ラインは拡張されたと私は信じている。それは予算の関係その他において船が作れなかつた。殊にあなたの言われるようにチヤーターした監視船があります。それにはそういう弊害があつたかも知れない。そういうところで、まさかお前らは違反だが、捕まてんから突破してかまわんという、大目に見るくらいのことはあつたかも知れない。そういう関係で、マツカーサー・ラインの拡張がなかなかできない。これも特に私は水産行政弱体化した結果ではないかと、かように存じております。いつまで経つてもこの状態では、講和があるまではマツカーサー・ラインは拡張されんのではないか、こういうふうに観測されるのでは、あの非常に広い大洋において、全部十二隻あるけれども、あの辺では八隻しかない監視船がバラバラと行つている、而も港に帰らなければならん。いつもおるのじやない。ところがあのところに六百隻の船があつて、あちこちやつているのですから、それをなかなか監視するということは非常にむずかしい。そのことを一つ御了承願いたいと思います。
  117. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 これは水産庁のあれでむし返すようで何ですが、私の考えが間違つておるかもわかりませんが、今あそこに相次いで起きておる問題について、今の御意見ならば、更にこれを敷衍すれば、水産庁から水産省になれば、監視船もできれば、予算もできるだけ組んで、そうして完全なる監視船を配置して、そういう違反船の出ないようにしてそうして基本的にマツカーサー・ラインの拡張を図るということができるかもわからんという御意見、これも一応の御意見、御尤もの御意見一つだと思うのですが。
  118. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 敷衍しますが、それは最近講和ができると思いますが、マツカーサー・ラインがよしんば撤廃されても、漁業協定において何らかの協定がある。その場合の協定違反が今の状態ならばできて来て、遂に拿捕される。或いは協定破棄によつて日本の漁船を締出すという問題ができて、日本の食糧事情にひびが入る。そういう場合においても相当監視船も増加して、その他の無電装置の立派なるものがあるが、日本の海軍に代  つて、昔海軍がやつておりました通りつてやれば、私は協定は円満に履行される、而も外国の信用も得ると、そのためにはやはり水産省作つて強力に私は予算をとつて行かなければならんと思う。今のようなことだつたら一つも予算は殖えません。この間アメリカでは日本に向つて監視船の強化を要求しておる。殊に監視部を作れということを要求しておるのだが、一向埒があきません。そういう点においても私は強力な水産行政の必要を痛切に感じておるわけです。
  119. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 そこに私はちよつと水産委員長意見と違うところが出て来るのですが、講和会議までに水産庁を省にする、いわゆる海上警備を完璧にしてやると、これはまあ非常にいいことです。ところが何せ相手は、北鮮が出て来る、中共政権の船も軍艦も出て来るということで、警戒線を逸脱しておらない場合においても間違つてやられるような場合もあるかもわからない。そういう場合に、水産省大臣がおつて、そうして強力な監視船が配置されるということによつて日本が独立国家になるまでの態勢において、逆にそういう整備した態勢が結果において非常な大きな国際的な間違いを起して、講和会議の邪魔をするような結果を招来するような事態が起きやせんか。これは非常な杞憂であるもわかりませんが、あのマツカーサー・ラインにずつと、水産庁から水産省になり、今予算は余りとらんと言つておられるけれども、今委員長お話のごとくできれば、完全なる監視船が配置されて完璧を期する。その代り、日本はその線を守つておるけれども、向うさんは守るか守らんかわからん。ですからその場合に、まあ今の状態は監視船があつても、本当を言うたらそう完璧なものでない、非常に弱い監視船である。ところが強力な監視船ができて、元の海軍に準ずるような監視船のような態勢になつて来た場合において、北鮮軍艦や、南鮮の軍艦や或いは中共の軍艦と、そのライン上における衝突が起きないとは保障できないと思うのです。むしろそういつた点が逆に我々の頭にその講和会議の締結までは非常に心配する事態が起きるのではないかということを考えるのです。
  120. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 私は水産省ができたからといつて直ちに強力な監視網ができるとは、これは知りませんです。併し現在のように弱体なる監視網では講和会議にも非常に邪魔になるということを私は痛切に感じておるのです。何とかしなければならんということはわかつているのですが、それは今のところは日本は無防備ですからして、日本の安全保障はアメリカがやつておりますから、アメリカに依存するほかないが、水産省を作つたあとにおいて何も武装するのではないのです。日本の船を守るための監視網はどうしてもこれは作らなければいかん。将来それはどうなるか、ピストルを持たせるようになるか、それは私存じませんが、とにかく日本の船を監視する措置は、私は講和条約後において更に強力にやらんと、他国の信用はますます失墜するし、日本の漁獲の減退を来たすと思います。併し今武装監視船を作つて他国とやると、そんなことは私は毛頭考えておりません。今のところはアメリカが日本の安全を保障しているから、アメリカに依存するよりほかないので、日本の漁船を監視するのだ、将来協定を守るべく日本が監視しているのに、向うが拿捕するということになれば、これはやはり世界の問題になるだろうと思いますから、日本がそれと武力で以て戦う必要はないのじやないかと思います。
  121. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 私ども外交関係のことはわかりませんが、新聞その他で伝えるところによると、この夏から秋にかけて講和が締結されるという状態が大体看取されるのでありまして、講和の締結は日本の独立ということになるわけでございますから、今の私どもの杞憂が、今委員長の御見解のごとく別に心配は要らんのだ、むしろ庁より省にして置いたほうがすべての点においてよいのだという意見がそのまま取入れられて支障なく行く場合と、私が今杞憂しておることが偶然にも何かにぶつかるようなことがあつた場合には、日本として取返しが付かんと思いますので、むしろ講和会議の締結を……、我々としては確かに水産行政の完璧を期する上において省に昇格することは、これは殆んど異論がないと思うのですが、ただその時期の問題と予算の問題であると思うのです。むしろ講和会議前に庁を省に是非この際断行せなければならんという何か差迫つた事情がございましようか。
  122. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) それは先に楠瀬さんの御質問に対しまして、速記をとめてお答えしましたが、緊急に私ども水産省というものを作る態勢を作ることは、この省は通れば来年の三月頃実現しますけれども、日本水産省まで作るのだと、アーレン氏やメーヒユ一氏らいろいろな人の勧告に基いて日本水産省を作ることになつたのだということは、外国の希望に副うゆえんでありまして、決して封外的に悪い感情を持つことは私は全然ないと、かように信じております。日本に再々勧告しておりますから、ないと信じております。
  123. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 これは予算の上において余り現在の庁に対する予算と変りはないと言つておりますけれども、いやしくも省として国務大臣以下各機構ができることについては、やはり相当な経費の膨脹を来たすことにもなりまするし、やはり国の財政計画と、それから又水産行政に対する経済的な面における国家的な検討をして置く必要があると思いまするので、この委員会における質疑応答の参考として、なおこれは委員長にお願いするのでございますが、大蔵大臣、安本長官、それから廣川農林大臣は、先ほどおいでになつて極めて簡単であつたようでありますが、更に掘り下げて所管大臣として水産庁水産省に昇格することについての、もう少し突つこんだ質疑応答が交わされなければ、国の行政機構はそう簡単に変えるべきものではないと思いますので、もう一度廣川農林大臣意見も聞き、財政的には大蔵大臣機構的には安本長官、なおでき得れば水産庁のどなたか適当な長官若しくはそれに代る人に来て頂いて、それを担当しておる責任官庁としての新らしい省として昇格することの是非についての、一遍委員会としての質疑応答の途上におきまして、お聞きすることをして、最後の結論に入ることが、この問題を解決する上において必要なことではないかと思うのでございますが、それをお願いいたしたいと思います。
  124. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 今経費のことをおつしやいましたが、これは大臣は三つも四つも席が空いております。それから政務次官も、これは代議士であれば別に費用は殖えない。それから事務次官は水産庁長官がなりまするので、現在私どもの仕事としては一文も財政的には殖えないと思つております。それから先に大蔵大臣も、自分は今のところは水産省ができるとは思つておらなかつたが、併し万一できれば十分協力するということをここで答弁されております。経費の問題については、私は御心配ないと思います。
  125. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 私溝淵君に委員長として申上げて置きます。先刻農林大臣、それから行政管理庁長官、同じ廣川氏でありますが、出席されました。それからなお大蔵大臣出席されて、更に内閣官房長官出席したのです。それで委員諸君からいろいろ只今お話のような点について質疑がありました。併しまだここに出席している時間が十分でありませんでしたから……、本日はほかに参りましたが、明日は十時から委員会を開会しまして、出るということの約束がしてありまするから、それで御承知を願いたい。そのときにあなたは丁度御出席がなかつたのです。であるから、そういうつまり御要求が出たものと考えます。併しとにかく明日は委員会出席するという約束があるので、それを御承知願います。
  126. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 それですと委員長、明日一応……、今水産委員長の御意見では、予算は別に新らしくとらんのだし、新らしい国民の負担はないのだからという御意見でもありますが、併しいやしくも一省を新らしく作るという場合でございますから、やはり所管大臣の忌憚ない意見をお聞きして委員会の態度を決定すべきが当然であると思いますので、明日意見を聞いた上で、委員会のその後の進行を図つて頂くようにお願いしたらどうかと思います。
  127. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 溝淵君にお答えしますが、委員長はさように考えております。而して只今御要求の点の一部分は、或いは相当な部分は、それぞれの所管大臣から先刻説明があつたのです。それだけ申上げて置きます。
  128. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 誠に遅れて参りまして恐縮でありますが、明日その関係大臣の御意見をお聞きして、水産委員長の御意見を更にお聞きした上で、私どものこの案に対する態度をきめたいと思います。
  129. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本日はこの程度質疑をとどめたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  130. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは本日はこれで散会いたします。明日は午前十時から開会の予定であります。どうぞ御出席をお願いいたします。    午後四時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            梅津 錦一君    委員            郡  祐一君            松平 勇雄君            溝淵 春次君            上條 愛一君            楠見 義男君            栗栖 赳夫君            林屋亀次郎君   委員外議員    水産委員長   木下 辰雄君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    大蔵省主計局長 河野 一之君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林達  磨君