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1951-05-15 第10回国会 参議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十五日(火曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件行政機構の整備に関する調査の件  (海上保安庁現状に関する件) ○審議会等整理のための総理府設置  法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○派遣議員報告   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。先ず調査事件として海上保安庁現状について、海上保安庁長官から御説明願います。速記をとめて下さい。    午後一時四十八分速記中止    ——————————    午後二時八分速記開始
  3. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて……。次に審議会等整理のための総理府設置法の一部を改正する法律案議題といたします。
  4. 井上清一

    政府委員井上清一君) 只今議題となりました審議会等整理案提案理由を御説明申上げます。  政府におきましては、行政機構簡素化一環といたしまして、各種審議会整理する方針の下に、審議会権限緊要性等について検討いたしました結果、総理府設置法関係する審議会につきましては、身体障害者製作品購買審議会廃止し、従来閣議決定内閣設置されておりました失業対策審議会を法制化することといたしました。身体障害者製作品購買審議会は、身体障害者福祉法に基きまして、身体障害者製作品購買事務について調査審議する審議会でありますが、身体障害者福祉に関する事項調査審議のための機関といたしましては、別に同じく身体障害者福祉法に基く中央身体障害者福祉審議会厚生省附属機関として設置されておりますので、この際行政機構簡素化見地から、身体障害者製作品購買審議会権限中央身体障害者福祉審議会権限に含め、身体障害者製作品購買審議会廃止することといたした次第であります。なお身体障害者福祉法関係文につきましては、別途改正案を御審議願うことにいたしております。  次に、失業対策審議会は、昭和二十四年三月、当時の急迫した失業事情に対処するために失業対策閣僚会議に替えて急ぎ設置したものでありますが、我が国の失業問題の解決は、その根本対策たる雇用量の増大という見地から、財政、金融、産業、貿易等、各分野にわたる総合的施策を樹立する必要があるばかりでなく、失業者救済対策につきましても、一般社会保障的各種政策との総合的な調整を必要とする状況にありますので、これらの事項につき調査審議の任に当るべき本審議会は、今後当分の間存置することが是非とも必要であると認め、この際行政組織に関する原則に基き、その設置につき法律的根拠を与えようとするものであります。  何とぞ速かに御審議の上御賛成あらんことをお願い申上げます。
  5. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本案につきまして御質疑がありますれば、この際御発言願います。
  6. 梅津錦一

    梅津錦一君 今説明を頂いたのですが、今後当分の間存置することが是非とも必要であると認められておるようですが、当分の間というのは、一体どういう当分の間ですか。
  7. 井上清一

    政府委員井上清一君) 特にいつまでの間と切ることは、今から予測できないと思うのでありまするが、まあ現在のような失業問題が相当重要な問題であります限りにおいて存置して参りたいと、かように考えております。
  8. 梅津錦一

    梅津錦一君 私最近の失業者数字をよく知つておりませんが、大体顯在、完全失業者不完全失業者二つに分けまして、どのくらいですか、まあ数が集まつておるか。
  9. 井上清一

    政府委員井上清一君) 只今私手許に正確な数字を持つておりませんので、別の機会に正確なお答えを申上げたいと思います。潜在失業につきましては、実はいろいろの調査をやつておりますけれども、なかなか実態をつかむことが困難でありまして、先般来この失業対策審議会におきましても、潜在失業状態をもう少しはつきりさせたいということで、いろいろな角度から調査を進めております。なお又いわゆる顕在失業につきましては、昨年の秋以来、従来増加の趨勢にありましたこの失業者の数がやや減少又は横這いの状態を続けておりますことを申上げられると思います。
  10. 楠見義男

    ○楠見義男君 お配り頂きました参考資料を見ればよくわかることかも存じませんが、今までの失業対策審議会を改めて法律によつて、当分の間とは言いながら、やや恒久的な制度として置こうという御趣旨なんですが、そこでお伺いしたいことは、従来の失業対策審議会で、いろいろ議題なつたことが多いと思うのですが、それらのうちで、どういうようなことが実際の行政の上に反映したか、テイピカルな問題だけで結構ですが、参考のために伺つて置きたいと思います。
  11. 井上清一

    政府委員井上清一君) 昨年の丁度今から一年前ぐらいでございますが、日雇労働者の問題が非常に各地でやかましくなりました。日雇労働者に対する対策必要性が各方面で叫ばれておつたのであります。丁度そのとき失業対策審議会といたしましては、いろいろ各地におきまする状況調査し、又関係各省とも種々日雇労働者についての打合せもいたした結果、政府としては、日雇労働者に対する答申を出しました関係省におきまして、それは労働省でございますが、これらの答申を十分参酌いたしまして、昨年度におきまして、日雇労働者の経費を増加をいたしたのであります。第一四半期の分を第二四半期に繰上げまして支給し、第四四半期の分につきましては、補正予算において見たというようなことで、相当失業対策審議会意見を尊重いたしまして、政策の面にも現われたという具体的な例でございます。以上お答え申上げます。
  12. 梅津錦一

    梅津錦一君 日雇労働者賃金は、審議会で大体の目安が付いておるわけですか。最低というところで結構ですが。
  13. 井上清一

    政府委員井上清一君) 賃金につきましては、いろいろ調査を進めておりますが、実は昨年度の答申の主体は、もう少し失業対策費を殖やせ、相当日雇労働者のあぶれが多くて、治安の上から見ても、又、いろいろ労働問題が起る点から見ても、これじや不足だということで増額の要求が主なんであります。
  14. 梅津錦一

    梅津錦一君 この点はですね、失業対策の問題と審議会の問題、直接関係すると思うのですが、そこまで各地における日雇労働者最低賃金とがまちまちであると、予算の範囲ということになりましようけれども、非常に低賃金で重労働をさせておると思うのであります。こういう点は政府が細かい調査をやつてもらえばよくわかると思うのですが、つい最近、二、三日前ですが、石垣積みを朝から晩までやつてる、これは日雇労働者失業対策からやつてる、その賃金が朝から晩まで働いて一日百八十円、非常に安いと思つた、これは……。
  15. 井上清一

    政府委員井上清一君) 実は日雇労働者賃金につきましても、労働省と協力いたしまして、いろいろの角度から調査を進めておる。ところが日雇労働者にもいろいろ種類がありまして、非常に健康な、而も労働力において十分なクラスもありますし、生活保護法を適用しなければならんといつような労働力の非常に低い部門もある、それで一律に失業対策事業としてやるのが適当であるかどうかという点において、而もなお同じような賃金を支払うということは、果していいかどうかというようなことについても調査を進める。先般有沢会長以下皆さんからなる小委員を作りまして、全国各地に参りまして、これについての調査を進めて、できるならば失業対策事業生活安定事業というものに分けてやつたらどうだろうかという意見も実はあるのでして、これはまだはつきりしたところまで行つておりませんが、そうした考え方をもう少し推し進めて行くならば、失業対策事業で生産的な事業、専らやはり保護救済的仕事は又これは保護救済を主眼としての仕事に振向けてもいいじやないか、そこに一つ生活保護法失業対策事業との間にもう一段階の政府事業を考えるべきじやないかということも実はいろいろ議論になつております。これらの点につきましては、十分今後検討を加えたいと思つております。
  16. 林屋亀次郎

    林屋亀次郎君 失業者の数というものは、何か具体的にそこにお持ちになつておりますか。
  17. 井上清一

    政府委員井上清一君) これは統計局調査によるものですが、労働力調査報告によります完全失業者は二十五年十二月末現在におきまして、三十六万ということに相成つております。
  18. 林屋亀次郎

    林屋亀次郎君 二十五年………。
  19. 井上清一

    政府委員井上清一君) 二十五年の十二月末現在、三十六万です。
  20. 林屋亀次郎

    林屋亀次郎君 内容別は……。
  21. 井上清一

    政府委員井上清一君) 職業別ですか。
  22. 林屋亀次郎

    林屋亀次郎君 職業別です。
  23. 井上清一

    政府委員井上清一君) 今の御質問につきましては、あとで詳細に御報告申上げたいと思います。
  24. 梅津錦一

    梅津錦一君 その調査のときに特に考えてもらいたいのは、どういうような調査をしたか、農家の例えば七反百姓ですか、そのうち子供が三人いると仮定して、一人で七反は耕作できるから、あとの二人は完全失業者になるわけですが、こういう者が失業者に入つておらなければ非常に調査がまずいと思います。百姓を手伝つておるわけですから、仕事がないのだから、実際においては今後七反百姓は三人で働くだけの耕作面積がないのですから、二人が完全失業者になるわけです。こういう点、一つ説明をお伺いしたいと思います。
  25. 井上清一

    政府委員井上清一君) 恐らくそうしたものは失業者の数の中に入つていないと思います。いわゆる私ども潜在失業と言つているものでございまして、その潜在失業というものの数というのは、それはいろいろの態様がございまして、実態というものはなかなか捕捉しにくいのでございます。都市に失業者が非常に多い、顕在失業者が非常に多いような場合には、いわゆる潜在失業も相当殖えておるわけです。それでこれらの昔からの統計も十分備わつておりませんことと、捕捉しにくい関係から、実は潜在失業調査というものは、これは日本においても遅れておりますと同時に、他の外国におきましても、これらの問題については遅れておるわけであります。それで他の外国のよるべきいろいろな資料、やり方、統計のとり方というようなものにつきましても、今失業対策審議会で鋭意研究をしておりまして、特に潜在失業のための小委員会を持つておりまして、いろいろな角度から一つ潜在失業日本潜在失業というものを特にはつきりつかんで、これに対する対策というものを非常に大きな失業対策一環として考えて行きたいということでやつておりますが、まだ実は結論が出ませんのは誠に遺憾でありますが、できるだけ早くこれらについての調査も進めたいと思つております。
  26. 梅津錦一

    梅津錦一君 非常にその完全失業者ですね、三十六万というのがどうも腑に落ちないのですが、こんな少数ではないと思うのです。政府のほう、或いはそうした審議会調査方式が、少くしよう、少くしようと考えれば、これは幾らでも少くできると思う。これはやつぱり正確な方程式作つて審議会今小委員会でやつておるそうですから、方程式をしつかり作つて実態はつきり出るようにして行かないと、どうも審議会が折角できても失業対策の本当のものがうまくできない、こういうことです。この点を成るべく正直に出すように、例えて見れば、農家の二男、三男は当然失業者に入る、それは土地があるから、これはちよこちよこつておるようなもので、その労働力は金に換算できるかというと、金に換算できていないのです。そういうような金に換算されない、例えば三人いる場合に、一人がうんと働けば二人の働く分はなくなるわけですから、怠けているわけです。怠けていなければ二人の働く場がない、こういうものは当然調査しなければならん、こういうようなところもよく調査を、十分外国調査報告なりを研究されて、一つ実態を明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  27. 井上清一

    政府委員井上清一君) できるだけ一つ希望に副うように努力したいと思います。
  28. 梅津錦一

    梅津錦一君 今まで身体障害者協同組合、或いはそういうような授産所見たいなものを作つて、国が作つておる、或いは市が作つておる、町村が作つておるものもありましようけれども、そこで作られた品物は優先的にまあ官公庁では買うことになつておるわけですね。それがこの法律案で統合されると、どういうような形でそういうものが販売されるか、お聞きしたい。
  29. 井上清一

    政府委員井上清一君) 従来身体障害者製作品購買審議会身体障害者福祉法によつて、それらの身体障害者製作品に関する事務扱つてつたわけであります。ところが実際はどうも活溌には動いていなかつたのです。それで丁度この審議会整理に当りまして、有名無実の会を置いておくよりも、むしろ身体障害者福祉審議会というのが、身体障害者福祉法に基いて厚生省にありまして、これが活溌に動いておる。この審議会権限を強めまして、これで以て扱つてつたほうが、平素から身体障害者お世話をしておる厚生省所管塔もありますし、非常に円滑にも行くだろうし、うまく行くだろうというので、そちらのほうに含めることにいたしたのであります。ただ従来、総理府身体障害者製作品購買審議会というのがありましたが、各省関係があつて総理府に置いたほうがよかろうということで置いたわけでありますが、これは総理府あたりが中心になりまして、十分お世話をいたしまして、廃止によつて不都合の生ずることのないようにいたしますから、この点、御安心願いたいと思います。
  30. 梅津錦一

    梅津錦一君 そうすると、厚生省所管事項になつて、やはり厚生省内示のようなものを出して、結局身体障害者が結成しておる授産所系統で作られたものを官公庁においては優先的にこれを買取る、こういうようなものをやはり内示か何かすることになつておられますか。
  31. 井上清一

    政府委員井上清一君) そうでございます。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この審議会整理に関する法律案は、私はたくさん出ると思つてつたのですが、これだけしか出ないのですか。どうなつておるのですか。
  33. 井上清一

    政府委員井上清一君) 各省の全部を集めますと、十五、六件になると思います。それで大体関係方面との折衝も終りまして、関係方面の承認もありまして、不日御審議を願うことになるわけであります。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、一括してお出しを願わずに、個々に一件ずつ、そのたびに審議会等整理のための特別設置法一部改正という形で、十何回も出て来るわけですか。
  35. 井上清一

    政府委員井上清一君) 大体私ども方針といたしましては、全部一括と考えましたけれども、いろいろ不都合がございますので、各省別にまとめまして、一本の法律として御審議を願うということにいたしております。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今廃止をされようとする身体障害者製作品購買審議会というものの設立されてから今日までの経過、どういうことを実際やつて来られたかということについて御説明願いたい。
  37. 井上清一

    政府委員井上清一君) 実はこの委員会は殆んど動いておりませんで、委員の任命もできていなかつたというような状況でございまして、実際上の仕事はやつておりましたけれども、殆んど有名無実であつたということでございまして、殆んど仕事らしい仕事審議会としてはやつておりません。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そういうことであるとすると、政府としては非常に身体障害者のためのこういつた委員会作つて置いて、何もやつていないということは、政府としては怠慢ではないかということ、それからもう一つは、身体障害者に対して不親切ではないか、こういう二つの点について御見解を聞いて置きたいと思います。
  39. 井上清一

    政府委員井上清一君) 実際問題といたしまして、身体障害者製作品につきまして、いろいろ買上げるというようなことは、各府県において相当実はやつてもらつておりまして、中央においての製作品購買について、従来余りいろいろ問題がなかつたものでございますから、従つて審議会等もできることが実は延び延びになつておつたようなわけでございます。併し身体障害者福祉法の施行に関しましては、不都合のないように、それぞれ各府県のほうに通牒も出しておりまして、そうした具体的な事例が出て来た場合に処理をしようということになつておりまして、主として各府県のほうでやつてつてもらつたものでありますから、実は中央のほうで余り問題になる点がなかつたのであります。そのために法律にはございましたけれども、実際としては動いてなかつたということでありまして、ただこれができなかつたために不都合を生じた事例というようなことは、現在までのところはございませんのでございます。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、各地方都道府県においてやつておるがために、中央ではそこまでやらなくともよかつた、又やる事情には至らなかつたという説明でありますが、地方では身体障害者に対する方法としては、一体具体的にどういうようなことが行われておるかということについて御説明を一応願いたいと思います。
  41. 井上清一

    政府委員井上清一君) 身体障害者に対する職業補導ということにつきましては、政府の指示によりまして、各府県で実際に即したいろいろな施設も持つております。又いろいろな補導をやつておるようなわけであります。例えば足の不自由な人に縫い物、着物の裁断とか、裁縫の仕事をやらす、或いは判を彫る仕事を教えるとか、時計の修繕について特別な技術をやるとか、それから目の悪い人につきましては、あんま、マッサージというような施設、或いは又耳の不自由な人にも同様でございますが、手の不自由な人につきましては、片手のない人には片手で以てできる仕事、例えばミシンなんかの仕事というようなものを、それぞれの身体障害者の体に応じた仕事を各府県において、それぞれ計画してやつておるわけでありまして、この身体障害者製作品購買審議会に持出される問題は、そうした各府県において身体障害者施設、或いは又組合とかというようなもので以て多量に生産いたしましたものを、できるだけ一つ政府のほうで買つてつて、そうして身体障害者のいささかでも生活の足しになるようにというようなことでできておるわけでございますが、現在まで実際問題としてそうたくさんの製品、作品というものが、政府においてお世話をしなければならんというほど、実はできて来ないわけでありまして、そうしたことでこの審議会が遅れておつたようなわけであります。少量の品物については、それぞれ各府県におきまして、身体障害者福祉法の精神に基きまして、官庁お世話をし、又官庁自体買上げるというようなことで措置をいたしておるようなわけであります。又身体障害者製作品をできるだけ世間に紹介して、身体障害者作品を、或いは不十分なものであるかも知れないけれども、できるだけ理解と同情を以て一つ世間で評価をしてもらおうということで、展覧会や何かの計画もやり、一昨年でございましたか、展覧会なんかも政府助成の下にやつたこともありますが、そうしたことでこの製作品購買なり、或いはその斡旋というような仕事につきましては、現在のところ支障を生じておるというような事例は私はないと確信いたします。
  42. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 昨年度、会計年度における、二十五年度における製作品買上げは、大体どのくらい買上げておるのですか。
  43. 井上清一

    政府委員井上清一君) いずれ後日調べまして、お答えをいたしたいと思います。
  44. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから現在の障害者の数が大体どれだけあるか、全国で……。
  45. 井上清一

    政府委員井上清一君) 正確な数は後ほど御報告申上げますが、たしか私は二十万と記憶いたしております。いろいろ程度の高いかた、或いは又そうでない極めて低い身体障害のかたと、全部含めまして、二十万人と私は記憶いたしております。
  46. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今説明を聞いておりますと、政府としては身体障害者のいろいろな技術的な指導とか、或いは又その他のことをやつておる。だから都道府県にやつてもらつておるだけで十分に行届いておるような印象を受けるのでありますが、併しながら我々が見ておりますと、実際は終戦五年にもなつてつて、まだ白い着物を着た軍人が街頭に立つて、ギターのようなものを弾いて見たり、歌つて見たり、或いは列車の中に箱を持つて、殆んど乞食同様に、物もらいのよう心歩いて来られるというような事実を未だに見るのでありますが、今のお話と非常にその点違うように感じるのです。それはどういうようなことか。これが本当に政府としてそこまで行届いているものなら、そういうような現象がないはずである。ところがそういつたのが殆んど辻々にも見受けられるというようなことでは、決して政府身体障害者に対する施策が万全に行われておるというようなことには考えられない、その点どうも今の御説明と実際とが違うように思うのです。どういうことですか。
  47. 井上清一

    政府委員井上清一君) 実はこれは厚生次官あたりからお答えするのが適当じやないかと思いますが、これは政府としてもいろいろ力を入れておりますけれども収容施設ども限りがありまして、なかなかそう全部入れるというわけにいかん、なかなか行届かない点もあろうかと思います。又、実際身体障害者に対する職業補導ということは、言うべくして極めて困難でありまして、職業補導はなかなか十分になし得ないというのがやはり現状だろうと思います。ところがこれは一つ今後の一般身体障害者に対するのみならず、戦傷者その他に対しましても、十分指導をしまして、できるならば一本立ちの人間として、立派に生活できるように仕上げるようにして行きたいというのが私どもの念願で、著々一つその方向でやつて行きたいと思つております。ただ身体障害者のいたしますところの仕事に対する賃金収入というものは、それはやはりそう高い金はとれません。或いは歌を歌うとか、或いは又汽車の中で金を募集するというようなことは比較的容易に金を得る途でありますために、どうもああした方面に出たがり勝ちなんでありますが、併し、まあそうした方面について補導十分一つども今後厚生当局を督励いたしまして、御希望に副うように努力して行きたいと思います。
  48. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから身体障害者のこういつた面で、失業対策の今度は審議会でやつて行くということになるようですが、失業対策をそれで以て行つて本当に効率的に動けるようになるかどうかという点でありますが、それも結局はただこれを廃止して失業対策で以て行くという名前だけに終るようなことになれば、それは意味がないと思うのです。その点政府の信念と言うか、一つお考えを質して置きたいと思います。
  49. 井上清一

    政府委員井上清一君) これは身体障害者製作品購買審議会失業対策ではございませんで、中央身体障害者福祉審議会というのが厚生省にあるのです。それで以て行くわけです。
  50. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 厚生省の今言われたそこで以て行くとしても、そこで今言つたような結果に又なりはしないかという点なんですが。
  51. 井上清一

    政府委員井上清一君) これはむしろ内閣お世話するよりも、身体障害者お世話しております厚生省が持つております身体障害者福祉審議会、広い意味の大きな問題を扱つておりますそこで以て扱つたほうが、一層密着した関係でありますからして、製作品購買に関しましても十分な御世話ができるのじやないか、又各官庁連絡その他については審議会のほうの、中央身体障害者福祉審議会のほうに、総理府からも人が出まして、連絡の任に当りたいと、こう思つておりますので、決して不都合を生ぜず、これまでよりもずつといい形にもあり、実際の働きもできるのじやないかと、かように考えております。
  52. 楠見義男

    ○楠見義男君 カニエ君いいですか。ちよつと速記をとめるようにして下さい。
  53. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  54. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて……。それでは只今法律案審議につきましては、つまり審議会等整理のための総理府設置法の一部を改正する法律案につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  55. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 最後に、派遣議員調査報告をこの際いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さようにいたします。  三月七日から十一日までの五日間、竹下委員と私は愛知県へ出ました。そして愛知県庁、名古屋管区経済局、名古屋特別調達局、專売公社名古屋地方局、中部地方建設局、国家地方警察愛知県本部、愛知県下各自治体警察を視察したのであります。それで細かいことはそれぞれの官庁について申上げますが、それは速記のほうへ讓つて置きまして、大体のことだけ申して置きます。  第一は、愛知県庁におきましては、今日国の行政事務地方への移讓の要望が特に高まつておることを認めました。それで政府においても行政機構簡素化についていろいろ検討を重ねておりまするので、先ず国の各出先機関の中で地方へ移讓することを可とするものはどんなものであるか。国の各出先機関行政事務運営について改善を要すと認められるものはどんな事柄があるか。又国の行政機構について地方庁として特に改善を要することを希望するものはどんなものであるかというような点から、愛知県庁においてそういう問題を調べたのであります。それから第二には、名古屋管区経済局におきましては、昨年の五月十日から今日まで、名古屋特別調達局の業務の調査と経理の監査とを実施して来ましたので、どれほどの業績を挙げて来たか。これらの調査や監査を行うに当つて行き過ぎと、その他やり方等につきましては遺憾の点がなかつたかどうか。これらの調査、監査を今後引続いて実施するに当りましては、現在の定員では不足することはないかどうか。又附随の問題といたしましては、昨年の朝鮮事変勃発以来、名古屋方面における綿糸布類、つまり繊維類の不当に価格の暴騰したことに対して、どういう措置を講じたかという観点から調査いたしたのであります。第三には、名古屋特別調達局におきましては、調達業務がほかの一般行政庁の業務と比較して如何なる特異性を持つておるか、又如何なる困難性がそれに伴つておるか。昨年五月十日以来、名古屋管区経済局が行なつて来た調査、監査の点に遺憾の点はなかつたかどうかということを調査いたしたのであります。第四には専売公社名古屋地方局におきましては、昭和二十四年六月一日から、機構改正によつて専売機構は官庁たる專売局が廃止されまして、公社として新たなる姿で発足することになつたのでありますが、專売收入の点、職員の事務能率の点等、今までの実績において従来より改善せられておるかどうか。又專売制度に関するこの機構改革を果して適当と認められるかどうかというような点から調査して参つたのであります。第五には、国家地方警察愛知県本部と愛知県下の自治体警察につきましては、国家地方警察と自治体警察との間に、警察事務の執行について如何なる連絡がとられておるか。自治体警察の警察力の弱体性はどんな状況であるか等の観点から調査したのであります。なおそのほかに中部地方建設局に参りましたが、そのとき局長は上京中で不在でありまして、十分な説明をする人がなかつたのでありまするから、まあいろいろ質疑はいたしましたが、これの報告はいたしません。省いて置きます。なおこの出張の機会に、小牧の飛行場、岐阜のキャンプ、進駐軍のキャンプ、名古屋港、中部日本重工業株式会社名古屋製作所の本部及び大江工場、それから日本陶器株式会社工場等へ参つて、主として名古屋特別調達局の需品、役務等の各種調達業務の実情を視察したのであります。大体そういうことをいたしましたのでありますが、例えば愛知県庁であるとか、名古屋管区経済局であるとか、名古屋の特別調達局であるとか、或いは日本專売公社の名古屋地方局であるとか、或いは国家地方警察、それから地方自治警察の状況等につきましては、これは報告書を速記録に掲載することにいたします。これで第一班としての私どもの実地調査報告を終ります。
  57. 梅津錦一

    梅津錦一君 第二班の報告を申上げます。主として東北方面の仙台地区を中心に国の出先機関を廻つて歩いて来たのでありますが、私と松平両委員並びに藤田專門員ほか二名を同伴いたしまして、三月六日の日に東京を出発して、七日から十日の日の予定でありましたが、一日殖しまして、十一日に亘る五日間、仙台地区所在の特別審査局東北支局、それから管区の経済局、それから管区特別調達局、警察予備隊、それから第二管区海上保安本部、これは余計でありましたが、特に一日延ばして、東北海区にある水産研究所を見てくれという水産研究所のほうからのたつての要望がありましたので、水産研究所を調査に行つたわけであります。なお「かき」の種ですか、種「かき」を輸出する丁度作業中でありましたので、野々島という松島湾にある支所、野々島支所へ参りまして、「かき」の養殖乃至輸出に対する状況を視察をいたしまして、宮城県庁を訪問しましたが、県庁における業務実態は所管外でありますので、特にそうした出先機関を中心に視察をして来たわけであります。以下順を逐うて調査内容を御報告申上げるのであります。  特別審査局東北支局は、昨年八月ポ政令即ち法務府設置法の一部を改正する政令第二六三号により、公職追放及び政党、協会その他の団体の結成禁止に関する覚書並びにその後に発せられた補足指令の命ずることを実施するために、全国九地区に設置された出先機関一つでありまして、予算定員は東北支局の四十九名に管内各県駐在官十五名を併せて六十四名であります。特審局は業務の性格上、職員の採用については特に思想関係等極めて愼重なる注意を要するために、多くは縁故関係等を通じて、安全確実なる者を採用するという建前をとつているので、職員の充員については相当の苦心があつたということであります。又特審局の業務は常時第一線的活動を必要としてをり、且つ暴力団体の解散等の場合は身辺の危険も少くないのであるにかかわらず、職員の待遇問題については国家地方警察、自治体警察等の特別職の職員と比較して、待遇の改善を考慮する必要があるという点を強調しておるのであります。なお現在事務官一人当りの月額旅費が僅々三、四千円程度では、事実第一線の事務を十分達成することは不可能であろうと思われるのであります。  公職追放者の監査業務は、県に委任して県の調査課で行なつているのでありますが、県は管内の各地事務所に要員を配置してこれに当つている、ただこれら職員の身分は知事の監督下にあるのではありますが、事務の運営については一切特審局の指揮監督を受けているという実情で、県の一般吏員との間に寒冷地手当とか、ベースアツプ等、いわゆる待遇問題の点で不満の声があるようであり、又県側としても、現行の制度には不満があるようであります。公職追放該当者の監査の行動については、その追放該当者が知事との個人関係等がある場合には、監査の実施の上に往々にして公正を欠く嫌いがあるということは、やむを得ないと称しているのであります。  仙台管区経済局は、昨年五月の機構改革即ち経済安定本部設置法の一部改正並びに経済調査庁法の一部改正によつて、昨年六月一日より仙台地方経済安定局、仙台地方物価局及び仙台管区経済調査庁の三者が一体となり、仙台管区経済局となつたものでありまして、総務課のほか、調整部、物価部、監査部、査察部の四部制をとつており、その下部機構としては管内各県に地方経済調査局を置いているのであります。現在職員数は本部職員が九十七名、各県にある地方経済調査局の職員が百六十三名、合計二百六十名であるが、業務多忙のため人員の不足を訴えている、現に職務上過労の結果数名の長期欠勤者を出している状況であります。今回の視察においては、主として経済調査庁系統の特別調達局業務の監査状況について説明を聴取したのでありますが、特調業務の調査結果については、昨年十一月以来、両機関関係官が相会して調査結果の具体的な事例について種々協議を試みた結果、特調側として改善すべき点を明らかにし、その実施に努力しているようであります。特別調達局の業務は漸次事務に習熟して来ていることと、近来事務処理の上に軍側から大分自主性を与えられて来ている関係もあつて、終戦直後の両三年当時と比較して著しく政善されて来ているものと思われるのであります。特調業務の監査結果についてこれを概観しますと、需品関係で非難される点は、何と言つても業者の選定方法がまだ一部特定業者に限られている傾向があつて、門戸開放、機会均等の主義が未だ徹底されていない憾みがあり、業者名簿が整備されておらず、納入実績のある特定の業者が選ばれるという傾きがあるようであります。従来支払が遅延しがちなため、小規模の業者は資金逼迫の関係もあつて漸次落伍して行き、自然大きな業者に独專される傾向があるようであり、又急速に軍の需要に応じ得るということが第一の必要條件となるために、勢い需品の価格がルーズになり、ひいては国費の濫費を招くという結果になる。三沢監督官事務所のごときは、或る特定の商社と一括契約を行なつているという事例もあつたようであります。又地方における需品契約は金額が五万円に制限されているにかかわらず、五万円を超過する場合は契約を幾つにも分割して形式を整えるということになり、制限額を設けているということも、ただ形式だけで有名無実の場合が多いようであります。  次に、工事関係では、土建業者が接待饗応に使用する金額が莫大なものであり、進駐軍関係の工事は軍側の厳重な監督、而も短期間に竣工を要する場合が多く、且つ調達局及び監督官事務所の監督又はその仲介を要する場合が多いために、これら関係者に対する土建業者の接待費、饗応費或は寄附、協力等の形で、監督官事務所の修増築、補助員、使用人等の給与、宿舎の斡旋等に投ずる経費が勢い工事費の見積の中に含まれることになるわけであります。土建業者の消費した雑費を調査したところによりますと、請負額の七・三%或は九・二%、営業費中に占めるその割合が一三%或は一九%にも上るという実情で、一般民間工事や公共事業の工事等とは比較にならぬものがあるようであります。経済局の見解によれば、特別調達局関係の工事請負業者が、前述のごとき接待費、饗応費、寄附、協力等をしても、なお多額の利益を上げているというわけは、特調当局の積算の甘さと監督のルーズさから来ているということであります。又役務関係については、特調当局の責任である業者の選定、作業の取締、役務の検査、格付等が軍側の意向によつて左右され、制約されることが多いために、業者は巧みに軍側と直取引をして、特調当局を牽制し、不当の利益を獲得せんとする傾向があるということであります。  仙台特別調達局は、局長官房のほか五部(経理、契約、技術、促進、監督、管財)十八課に分れており、三月一日現在の職員数は事務官一九八名、技官一五九名、雇傭員三〇五名、合計六六二名であつて、定員より十六名少ないが、近く採用予定の者が十三名あるから、ほぼ定員一杯の職員数であるとのことであります。仙台特別調達局の管轄は東北六県及び新潟県であり、各県及び主要の地に計九カ所の監督官事務所があり、なかんずく三沢、八戸、山形の三監督官事務所は所管事務が大きい。又仙台特別調達局においても連合国軍人等、住宅公社の支部があつて、管内八カ所にすでに建設竣工を見た住宅があるが、現在利用されているものは僅かに総体の五分の二に過ぎないとのことであります。特別調達庁の事務は近来職員が事務に習熟して来ていることと、米軍側が特庁の業務運営に相当自主性を持たして来ているせいもあつて、概して業務の取扱振りが改善されて来ているものと認められるし、曾つて支払遅延の点で悪評があつたようでありますが、現在は支払事務改善のために、特に支払促進の係を設けて内外の連絡に努めているというふうで、支払の面は著しく改善されておるようであります。  次に、特別調達局の業務の監査は、現在五系統の検査を受けている、即ち(一)、進駐軍の検査、(二)、会計検査院の検査、(三)、財務局の検査、(四)、特別調達庁本庁の検査、(五)、経済調査庁の検査で、而も右の検査に立会う特別調達局の職員は概して主任級の幹部職員であるから、このため日常の業務に相当支障となる点があるようであります。今昭和二十五年度の受験状況を見ますと、会計検査院の検査は、仙台市における特別調達局を初め、出先七カ所に亘る検査を通じて、延べ百四十八日間、これに対し特調側の応接の関係者数は延べ二千二百三十二人であり、経済調査庁の検査は需品、工事、役務、解除物件を通じて、延検査日数百二十日、これに対する特調側の関係者は延べ九百三十五人であり、仙台財務局の検査は延日数二十日間、とれに対する特庁側関係者は百六十八人で、以上三者の検査に立会つた特庁側の関係官は延べ三千三百三十五入の多きに及んでいるのであります。  警察予備隊は、仙台市の東南約四十キロ、船岡町にある元陸軍火薬廠跡の建物に駐屯している。警察予備隊は千葉部隊長(二等警察正)の下に隊員約千名、米軍の将校少佐級が二名、アドヴアイザーとして常駐しており、その配下には同じく米軍下士官級の者数名がおつて、部隊の修練作業等を指導しているのであります。この米軍人と部隊員の間には多少意思の疎通しない面もあるようではありますが、千葉部隊長はカトリツク信者であり、人柄も温厚で、その間円満に調整をとつているように見受けられたのであります。警察予備隊の開設後日が浅いせいもあつて、船岡キャンプの諸施設は未だ整つていない感が深く、部隊訓練の敷地として近接の丘陵に沿うた沼沢地約四、五千坪の埋立てを終つて、目下地固めの工事中であつたのであります。たまたま昼食の時間に会い、一行は希望して部隊員と部隊員の食堂で会食する機会を得たのでありますが、食卓を共にした部隊員は約五、六十名で、いずれも下士官に相当する下級幹部の者で、食後自由懇談の形で隊員の希望、所感等を聞いたのでありますが、その一、二を御紹介しますと、一、新聞雑誌等その他読書室の設備が欲しいということ。一、娯楽室或いは映寫室等、いわゆるリクリエーシヨンの設備が欲しいということ。一、被服、靴下等は現在至つて粗末なものであるが、靴下のごとき消耗の甚だしいものは、もう少し支給をよくして欲しいということ、昨年九月から現在まで七カ月の間に配給を受けた靴下はたつた一定であつて、隊員は多く私費で購入して補給している状況であるとのことであります。又計理班長をしている一幹部隊員の言によると、部隊における大小各種施設等を行うについては、一々中央本部に上申して、その許認可を受けなければ処理し得ない制度になつているが、これは各駐屯部隊に割当てられている予算の範囲内で、現地調弁が容易にできるような便宜措置の途を開いて欲しいとのことであり、又部隊員の食事の献立はすべて中央本部よりの指令献立によつて調理しているという、食器類は皆簡素な金属性の器で衛生的にできのいるものと思われるが、隊員の主食(一般配給量の約六割増という)は麦飯で、その量は割に少量であると思われたこと、又副食物も馬鈴薯と生揚げの煮付が一皿であつて、カロリー計算の点はわからないが、極めて簡素な内容であると思われたのであります。  第二管区海上保安本部は塩釜に本部を置く、第二管区海上保安本部の管轄水域は東北六県の周辺即ち太平洋、日本海に亘つて約一千浬であつて、北海道の第一管区に次ぐ長い海岸線を有しているのであるが、日本全土から見れば、北海道と西日本という重要地区の中間にある関係で、不法入国等の悪質犯罪は少く、昭和二十三年本部の開設以来、不法入国を逮捕検挙したという事例はないということであります。同本部の定員は、現在陸上勤務者三百七十二名、海上勤務者三百七名で、合計六百七十九名であるが、業務の内容から陸上事務要員の不足を訴えているのであります。陸上本部職員の超過勤務は月平均実働六十時間を超えているのであるが、給与面は予算関係で二十時間分、金額にして九百円程度を支給しているに過ぎない現状であるとのことであります。海上保安業務の改善の点で管区本部の要望しているところは、(一)、定員の増員、(二)、東北地方沿岸の特異性に対する海難救助施設の強化、(三)、地方海難審判庁の設置、(四)、職員宿舎の設備、(五)、海上保安官に対する被服官給の改善等を挙げているのでありますが、特に海難救助施設の強化は優先的に考慮さるべきものと思われたのであります。現に第二管区における海難救助の実績を見るに、昭和二十五年一カ年において、難破船の数は四百五十七隻、損害見積金額二億三千六百五十万円であつて、四百五十七隻の難破船中保安本部が救助に着手し得たものは僅かに十九隻であるとのことであります。これが対策としては、第一に海上保安本部の基地を増加すること、航路標識を整備すること及び現在配属されている老朽巡視船艇に換えて、相当な荒天にも長時間行動し得るような大型巡視船の増加配置が必要であり、又燈台の増設及び遭難船の捜索のために、航空機の使用が可能になれば格段の効果を挙げることができるであろうと称しているのであります。これは人命の救助と国家財産の喪失を防止する上に真に軽視し得ない重要な施策であると思われる。又民間の水難救済会のごときは、世相の変遷に会つて昔日の面影なく、微力なものとなつているということであります。海上保安庁資料によつて昭和二十五年一カ年間における日本の全水域に亘る海難発生救助件数を見ると、海難発生件数は計二千九百十三件(汽船千百三十件、機帆船千四百七十九件、帆盤三百四件)で、うち要救助件数は千四百五十三件となつているが、救助件数の方を見ると、その総数は八百七十七件(内訳海上保安庁救助百六十件、民間救助六百八十七件その他三十件)で、救助率は六〇%にとどまつているのであります。  塩釜にある第二管区海上保安本部を視察したついでを以て、同地にある水産庁の附属機関たる東北海区水産研究所を視察したのでありますが、この水産研究所は従来の農林省水産試験所が八海区に分散されて設けられたもので、東北海区水産研究所もその一つであるのであります。この水産研究所が実際発足したのは昨昭和二十五年度からであり、現在極めて小規模のものではあるが、所長初め水産関係の専門の学者が集まつており、現在この研究所が担当している主要課題は「さんま」と「かつを」の研究であります。近年我が国の沿岸漁業はいわしの不漁問題を初め水産界にさまざまな問題を生起しており、漁民の死活問題、国民の蛋白油脂給源としての水産漁獲物の問題がやかましく論議されているが、漁民の指導、水産業に関する諸施策の問題は、勿論飽くまでも科学的研究を基礎とすべきであることは申すまでもないのでありまして、それにしては現在のこの水産研究所の組織、経費等を見るに、如何にも不備不徹底なものがあると思われるのであります。東北海区水産研究所は、所長の下に資源部、増殖部、利用部の三部があり、八戸港に資源部の出先として支所があるのでありますが、通じて職員数は四十八人、経費は昭和二十六年度予算によれば千二百七十六万余円であり、人員、経費共に不足のために十分な研究ができず、漁民の要望に応えるには余りに貧弱な状況であつて、研究所の当局はいずれも專門家、学者であるために、ただ許された人員と経費の範囲内においてそれぞれ良心的に熱心に勉強しているようでありますが、人員経費共に現在の約七、八割見当は拡充してやる必要があるようであります。これは同水産研究所の調査研究による一見解でありますが、近年沿岸に来游する「まいわし」群が急激に減少して、殆んど絶滅に近い状態であると憂慮されているが、一方遥か沖合の「かつを」漁場には「かたくちいわし」の游泳が頗る多い事実から見ると、近来寒流勢力の発達につれて、「まいわし」の産卵区域が沖合に移り、沖合に多量に廻游しているということが想像されるので、従来の漁法を改め、沖合で漁獲し加工する「いわし」工船漁業なども新たに計画さるべきであるということであります。要するに終戦後我が国の水産業界は引揚者或いは他産業の失業者等を吸収して、その数においては一段と態勢強化の状、態にあるが、徒らに旧来の漁法、加工技術等の枠に閉じこもつて自縄自縛のままに放置すべきではなく、積極的にこの種研究所の科学的調査研究を推進せしめて、漁法技術の改善発展を図るべきであろうと思われるのであります。  時間の都合で、県庁訪問は極めて短時間佐々木知事、崎田副知事等と会談した程度でありまして、格別御報告するような案件はありません。現在宮城県庁として特に委讓を希望している出先機関としてはなく、県側の意向として話に出た一、二点を御紹介しますと、一、特別調達庁の下請業務はこれを完全に県の事務として県に任せるか、若しくは特別調達庁の直営事務として欲しいこと。これは県の渉外第二課約二百名の職員が終戦処理に関する特別調達庁の仕事を担当しており、管内四カ所の渉外管理事務所(職員百四十人)は知事の監督下にあつて、身分権は知事が持つているが、仕事の実体は特別調達庁の指揮下にあつて、主として役務関係仕事をしているので、県としてはむしろこれを特別調達局の直轄事務に移すようにするか、或いはこの仕事を全面的に県に移管して欲しいというのであります。  米の供出に関する府県別供出割当については、概して東北地区の各県割当は関東以西に比較して加重の感じがする、食糧事務所や統計調査事務所などは廃止されても別に支障はないというのであります。なお今回の視察に際して、それぞれ出先各機関から若干の資料を入手しておりますので、必要に応じ御覧を願いたいと存じます。  以上を以て報告を終ります。
  58. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 内閣委員会はこれを以て本日は散会いたします。    午後三時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            梅津 錦一君    委員            郡  祐一君            横尾  龍君            カニエ邦彦君            楠見 義男君            林屋亀次郎君   政府委員    内閣官房副長官 井上 清一君    行政管理庁管理    部長      中川  融君    海上保安庁長官 柳澤 米吉君   事務局側    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       藤田 友作君