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政府委員(
高橋衛君) 現在なお九百七十八億の
滞納金額に上
つております。件数がたしか七百万件以上に上
つております。この尨大な
滞納金額並びに件数を
整理するためには、現在局署を通じまして、一万八千人の人間をここに従事せしめておるのでありますが、なかなかそれだけの
職員を以てしては急速にこれを
整理することは非常に困難であります。併しながらその
徴収の方法をうまく指導するということによりまして、能率を
相当上げることができるのでありまして、そういうふうな見地からいたしまして、先般
国税徴収法につきましても、いろいろ新しい
制度を含めたところの
提案をいたしておる次第でございます。今回の
国税徴収法の
改正によりまして、
徴収の
仕事自体は
相当複雑に
なつて参りまするが、あれによ
つてそれぞれの
滞納の性格に応じて、それぞれ適当な措置がとれる、こういうところから或る
程度これが
整理を促進し得るのじやないかというふうに
考えておる次第であります。なおこれも昨年秋頃から開始いたしました
一つの試みでありまするが、アメリカの
制度であるところの、インターナル・コントロール・システムというのを
滞納整理の方法として試験的にや
つて見ておるのであります。全国で三十二の税務署を選び出しまして、これについてこの
制度をや
つて見ているのでありますが、そういうふうな新らしい工夫によ
つて、この
整理が
人数を増すことなく、又経費を増すことなしに、
滞納者の実情に合
つたところの
整理が漸次促進されて行くことになりはしないかというふうに
考えておるのであります。実は
昭和二十四年度等におきましては、
相当勇敢に不納欠損ということによ
つて滞納の
整理が或る
程度行われたのでありますが、これはすでに納付せられたところの正直な
かた等との公平の問題においても
相当考えるべき点がございます。又それに関連いたしまして、不正の行われる
機会もあ
つたりいたしますので、二十五年度からは不納欠損の処分に付するということは、できるだけこれは避けまして、そうして新らしく
国税徴収法に認めておりますところの
滞納処分の停止処分という
方向に持
つて行き、そうして納税者に訴えまして、できるだけ民主的にと申しますか、円滑に
滞納の
整理が行われるというふうな
方向に持
つて行きたいと
考えておるのであります。
従つて又極めて短
期間にこの大きな
滞納の
整理をするということは
相当に困難であると
考えております。併しながら少くとも二十六年度中においては
相当大きな
整理ができて、二十七年度においては、まあ大体平常の状態と思われるものよりも幾らか
滞納が多いという
程度までは
是非処理をいたしたいということで、そういうふうな計画の下に
仕事の進行を図
つておる次第であります。なおこの
滞納になる原因は、賦課の面において
滞納になるような階級により多く課税せられ、そうでない納めやすい階級に
調査が徹底していないのではないかという御質問のようでありますが、との点は租税の
行政にありましては、最も生命とするところは公平ということでありますので、私どもといたしましても、どこに重点を指向するかということは最も慎重に
考えまして、最も真剣に
考えておる問題でございまして、そういうことがないようにということを専ら念願しているのであります。そして
昭和二十五年度の申告所得税の
調査並びに申告の指導等に関しましては、実は従来の方針を全然抛擲いたしまして、何とかして更生決定のできるだけ少いところの
税務行政をや
つて行きたいということを
考えまして、先ずその前提としては
調査の徹底ということを非常に努力いたしたのであります。その
調査に基きまして、納税者によくお話をして、そうして
調査しました
程度の申告をして頂くということをお願いいたしたのであります。その結果非常に納税者の御協力を得まして、
只今までの成績では昨年とは比較にならんくらいよく申告を出して頂いているようであります。昨年は更正決定は実は四百十八億円という更正決定をいたしたのでございますが、今年は多くても昨年の十分の一以下の更正決定で済ませたという、又それが可能であるという現在見通しを持
つておるのでありますが、そういうふうにいたしますると、自然課税自体において、納得を以て申告して頂けるのでございますから、今後新らしい
滞納はそう大きく出ることはないのじやないかというふうな期待を持
つておる次第であります。なお
調査の困難な、又悪質な脱税につきましては、御
承知の通り
査察部がございまして、これが
相当仕事も馴れて参りましたし、能率も上げて参りましたので、積極的に大口の、又そういうふうな脱税のある向きについてどんどん摘発をいたしまして、これが脱税の防止に当
つているような次第であります。