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1951-03-20 第10回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十日(火曜日)    午後二時三十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員吉田法晴君辞任につき、その 補欠として森下政一君を議長において 指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  本日の議題大蔵省設置法の一部を改正する法律案、これを議題といたします。前回に一応提案理由の御説明を承わつたのでありますが、更になお条文等につきまして、その細目を政府から御説明を煩わします。政府委員ではありませんが、文書課長村上一君から説明を求めます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないものと認めます。
  4. 村上一

    説明員村上一君) それでは私から全体につきまして、概略の説明をさせて頂きます。お手許にお配りしてございます資料の中で、一枚紙の大蔵省設置法の一部を改正する法律案要綱というものがございます。ここに大体の内容一つ書きにしてございますので、先ずこれを御覧頂きたいと思います。  今回の改正は極く事項的にも僅かな事柄でございまして、あと内容的にも根本的な改正というようなものはございません。そこに五つばかり挙げてございますが、第一番目に「主計局に国の会計事務職員研修を行わせること。」というのがございます。これはすでに予算に計上いたしまして、昭和二十四年度から実施しておる事柄でございます。内容会計事務関係いたします国の公務員、それから地方公共団体公務員、この数は約五万くらいに上るかと思いますが、いろいろ決算審査等に当りまして、会計検査院から毎年相当たくさんの批難事項を頂戴しておるような事情でございます。そこで会計のやりかた法律建前といつたようなものを、十分こういつた職員に徹底いたしたいというのが趣旨でございまして、とても五万に上る職員を一時にはなかなか実行できませんので、毎年二百か、三百というふうに人数を限りまして、各省、それから地方公共団体、そういつたところの職員を、いわば教育研修を行なつておるわけであります。ところがその事柄設置法といたしましては、実は漏れておりましたので、今回の機会にその文句を補つたということでございます。事柄はすでに二十四年度から予算成規に計上いたしまして、実施中のところでございます。  それから第二番目に「大蔵省所管税外収入管理事務主税局から大臣官房に移すこと。」というのがございます。これは将来の部局間の事務調整でございまして、外に対しては何ら関係のないところでございます。各省の例を見ますと、それぞれ税外収入は多少関係があり、それの徴収事務を御担当なつておりますが、その事務本省で言いますと、即ち大臣官房というようなところで担当されておるのが通例であります。ただ大蔵省には従来から御承知のように国税というものが所管行政の中に入つておりましたので、便宜上今までは国税企画事務担当いたしますところの主税局が行なつておりましたわけでございます。これを各省と同様に官房に移して、いわば本来の姿に返そうという内部調整でございます。  それから第三にあります「管財局に、内国税(従来は、財産税及び相続税のみ)に係る物納の動産の管理処分を行わせること。」、これも字句整理でございまして、所得税法によりまして、相続の場合の譲渡所得について物納という制度昭和二十五年のたしか法律七十三号という規定で、そういう制度が作られたわけでございます。従いまして、従来財産税とそれから相続税の場合のみを掲げておりましたのを、所得税法にも拡げる必要が起つたわけございまして、従いまして、表現内国税というふうに改めた次第でございます。これも実際に合わせまして修正をするわけでございます。  四は、「国税庁総務部を廃止し、次長及び徴収部を設けること。」、この点につきましては、なお国税庁長官が参つておりますので、長官から説明を申上げる予定にいたしておりますが、徴収関係事務を、相当責任者をはつきりいたしまして、つまり責任部長というものを置きまして、充実する必要があるという趣旨から、徴収部を新設いたしまして、これは国税庁本庁のことでございまして、御承知のように、各国税局が全国で十一局ございますが、そこにはすでに徴収部というものを置いております。ただ本庁のほうには従来徴収部というものがございませんで、総務部の中に徴収課という一課がございまして、それが相当巨額に上りますところの徴収事務総括をやつてつたわけでございます。この責任者を、はつきり部長を置きたいというのがこの趣旨でございます。そこで部が殖えるというようなことも如何かと存じまして、まあ身代りと申しますと語弊がございますが、総務部を廃止いたします。で、部の数といたしましては差引増減がないようにいたしまして、全体の総括という意味で新たに次長を置きたいという考えでございます。外局次長を置いております例は相当大きな職員を抱えておりますところには、すでに設置されておるようでございまして、例えば国家警察の場合或いは海上保安庁の場合等はすでに置かれております。国税庁も御承知のように六万以上に上る職員を擁しておりますところの相当大きな世帯でございまして、そういつた総括事務のために、長官を補佐しますところの次長を置きたいという趣旨でございます。それから第五、「国税庁監察官を六十人から百二十人に増員すること。」、これも新らしく増員するわけでございます。これは国税庁職員をみずから内部規律として取締つて不当行為不正行為犯罪行為等の起らないように、又起つた場合の措置を迅速にとるという意味国税庁監察官というものを置きまして、現在六十人おります。相当実績を挙げ得たと私ども考えております。これを更に人数を六十人ばかり増員いたしまして一層その実を収めたいと、かような趣旨でございます。そこでここに五つ掲げてございますが、一と三は全く実体を文章に表現したということでございます。二は大蔵省主税局大臣官房との間の事務調整でございます。四、五が新らしく組織を一部変更したいと、こういう問題でございます。  そこで条文のほうでございますが、大蔵省設置法の一部を改正する法律案というのがお手許に行つておると思いますが、この設置法は御承知のように、先ず大蔵省全体としての権限を最初のほうに掲げまして、その次に各部局間の所管事務をそれぞれ掲げておりまして、それから中央本省、それから外局の場合で言いますと、本庁地方出先機関との間の権限の分界を明確にする規定がございます。そこで或る一つ事項改正いたそうと思いますと、その事柄大蔵省権限というところと、それから部局間の権限規定しておる場合と、それから中央地方の区分を規定しておるところと、多い場合には三カ所、四カ所に規定が出て来るわけです。ちよつとこれを逐条説明申上げますと、却つてごたごたするかと存じますが、一応申しましようか。
  5. 河井彌八

    委員長河井彌八君) あなたの都合のよいように……。
  6. 村上一

    説明員村上一君) それでは恐縮でございますが、逐条のほうは又御質問がありましたときに説明さして頂くことにしまして、却つてごたごたするかと存じますので、全体的な御説明はこの程度にいたしたいと思います。
  7. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 何かこの際御質疑があれば願います。
  8. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今説明になつたこの五つの点だけでありますか、改正は……。
  9. 村上一

    説明員村上一君) 実質的に改正いたしますのは五つの点だけでございます。ただ例えば法文のほうを御覧頂きますと、例えば十二条第一項第八号中「漁業協同組合商工協同組合」とありますのを「水産業協同組合」に改めるというような修正はいたしております。これは実体に何ら関係がないのでございます。例えば漁業協同組合というものが、そつちのほうの法律水産業協同組合にすでに変つておるわけでございます。それから商工協同組合というものは信用協同組合という表現で包括的に読めるような実体がすでに別の法律ででき上つたのでございます。そういつた修正はこの機会にさして頂いておりますが、何らいわばそういう実体法を受けましての整理でありまして別段新規なことを考えて、これから改正いたそうというものはございません。
  10. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この一の「主計局に国の会計事務職員研修を行わせること。」ということは、これはすでに二十四年度から予算をとつてつておる。ただそれを今度字句の上において現わすだけだということですが、おやりになつておる実体は、具体的に言うとどういうことをやつておられるのですか。
  11. 村上一

    説明員村上一君) 予算金額はいろいろなものを入れまして八、九百万円に上つたかと記憶いたしております。そこでやります実体講習が主でございます。七月か、八月が比較的会計事務としてはいわば決算の済んだ閑な時期でございます。主計局自体もそういつた時期が比較的閑でございます。そこでそういつた時期を利用しまして、従来一カ月にしておりましたが、場合によりましては二カ月というような期間、二百人乃至三百人くらいの人数を集めまして、そうして例えば会法計でありますとか、或いは財政法でありますとか、そういつたような法律講習、それから実際の帳簿の付けかたというような会計実務のやりかた、或いはそれに関連します一般の商法でありますとか、憲法でありますとか、そういつた基本法規、そういつたものの講習をやるわけでございます。それからなお東京に上京して集まり得ます職員は、おのずから人数が限られますので別に通信講習的なものもやつております。それは然るべき担当者に委嘱いたしましてテキストを作りまして、これをそれぞれの各省或いは地方庁、そういつたところで選定して、選ばれた人に無料で送りまして、通信による講習というものをやつております。要するに実際に集めまして、或る期間短期学校式講習、それから通信による講習という二本建の講習をやつておるわけでございます。
  12. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 二十四年度中には大体どのくらいやられたのですか、講習は……。
  13. 村上一

    説明員村上一君) 二十五年度の予定を申上げて見ますと、二百人ずつの三カ月の講習を二回やる予定なつております。二百人が三カ月という講習を年度内に二回実施するということで予算を組んでおります。
  14. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これはただ国公務員だけでなくして、地方公務員もやるということなのかどうかということと、それから講習に来る人たち旅費とか、或いはそういう関係のものは大蔵省予算で賄うのですか、どういうことをしておるのですか。
  15. 村上一

    説明員村上一君) 建前は国の会計事務職員という建前でございます。ただやりましところ、地方公共団体のほうからも、自分のほうのもついでにやつてもらいたいという御要望も相当ありましたので、そういうかたは便宜御希望の向きに対しては一緒にやつております。併し人数の割合から申しますと、圧倒的に国の職員が大多数でございます。それから第二点の旅費の点は、例えば地方から上京なさるという場合には、それぞれの部局負担なつております。例えば通産省の出先九州通産局から来られる場合には九州通産局旅費その他は負担するという建前でやつております。
  16. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この第二の事項でありますが、これは従来主計局の何課でこういうことをやつてつたのですか、そうしてそのやつておる仕事の量というものは年間どのくらいあるものですか。
  17. 村上一

    説明員村上一君) 第二点でございますか。
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 ええ、そうです。
  19. 村上一

    説明員村上一君) 第二は主計局でありませんで、主税局でございます。主税局調査課でこれは担当しておりましたわけでございます。それを今度官房会計課に移そう、そういうわけでございます。事務の分量と申しますと、ちよつと数字的に申上げますことは困難でありますが、実体はこういうことでございます。つまり大蔵省出先といたしましては財務局というのがございます。それから税関というものがございます。それから国税庁という三つの系統があるわけでございます。そこでそれぞれの系統的出先機関で、それぞれ或る程度税外収入というものが入つて来るわけでございます。一番大きいのは財務局で扱つております国有財産の売払いという収入がございます。併しその他の手数料が入つて参りますというような場合は、各出先に皆あることでございます。金額の多少はありますが、そういつた税外収入が或いは予定した或いは予定せざるものが随時入つて参ります。それを取りまとめまして、つまり所管庁としての大蔵省税外収入全体をとりまとめまして、それを国庫大臣であるところの大蔵大臣、つまり具体的に申しますと主計局でございますが、そこで取りまとめて定期的に報告する必要があるのであります。これは大体年にたしか四回くらい、四半期ごとにやつておると思いますが、第一四半期は、財務局ではこれこれの事柄税外収入がこれだけ入つたという取りまとめを行いまして、報告をやつておるわけでございます。そう常時ずつと引続いて相当量仕事があるという問題でもございません。現実にこの事務を専管しておる職員は、現在では主税局に定員としては、四、五名程度のも、のを持つておる実情でございます。
  20. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 調査課では従来この仕事のみをやつてつたのではなくして、ほかの仕事をやつておられて、そのうちの或る係か何かでこの業務を担当されておつたのであるかどうかということと、それから各省大臣官房でこれを扱つておると言われたんですが、各省そういつた例外ないわゆる雑収入を扱うという量は、大蔵省の場合から見ると相当少ないのじやないか。だからその官房の一部分でそれはやつておるのじやないか。その点についてはおのずから大蔵省税外収入の場合と、各省の場合とは同じようにならないのじやないかという気持がするのですが、その点はどうでございましようか。
  21. 村上一

    説明員村上一君) これは調査課と申します課の一係でやつておる仕事でございます。調査課は本来税の企画立案に必要な一般的な調査をするのが本務でございます。これは附随的に係でやつておるわけでございます。それから税外収入金額、規模という問題になりますと、金額から申しますと、必ずしも大蔵省が一番多いということではございません。例えば特別調達庁で扱つておりますところの終戦処理収入というものは、例えば数十億は予算面におきましても上つております。金額的に見ましても、相当大蔵省以外の省でも多いものもございます。ただ国有財産売拡いの代金というようなものは、各省を通じて見ましても比較的金額の多いものだと存じます。そこで主税局に従来あつたことの理由でございますが、これはこういういきさつでございます。つまり只今国税庁という外局ができまして、国税企画面本省主税局担当し、それから徴税実施面国税庁という外局担当するように分れております。ところが分れる前は内局である主税局という局が企画面徴収総括と両方を併せてやつてつたのであります。そこで国税という非常に金額の大きいそういつた徴収事務担当しております関係上、便宜そこに税外収入そういつた取りまとめ事務というものも一緒にやつたらよかろう、こういう理由から、そこにあつたわけであります。そこで国税庁外局として分離いたします際に、本来ならばその事務会計に移すべきであつたと存じます。と申しますのは、主税局関係では国税庁系統とは成るほど直接関連がございますけれども、財務局という出先主税局は必ずしも直接の全体的な関係はございません。大臣官房という総括的な取りまとめを行う部局で扱つたほうが適当であると思います。実は国税庁ができた際にそういうことも考えて見ましたのでございますが、その場合は実際の担当者とか、便利というようなことから、実はそのままになつておつた次第でございます。
  22. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 次に四項の点でありますが、国税庁総務部をこれをやめて、次長及び徴収部を設けるということでありますが、総務部というものを廃止して徴収部にするということになると、従来やつておりました総務部仕事というものは全部徴収部に行つてしまうのかどうか。先ずこの点と、それから総務部も必要があれば総務部を置いて、徴収部も設けてもいいのじやないか。徴収ということと総務ということとは字句の上においてもかなり違うと思うのですが、その点一つ長官から納得の行くように御説明願いたいと思うのですが。
  23. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほど文書課長から御説明申上げました通り、最近税の滞納金額が非常に厖大になりまして、二十四年度から二十五年度に繰越になりました滞納金額が千二百五十八億円という数字になつたのであります。その後鋭意これが整理に努めました結果、相当減少はいたしたのでありますが、新らしく本年度分としても又新規の滞納が発生して参りましたので、一月末におきまして、九百七十八億円という滞納がなお存在しているという現状でございす。而してこの滞納整理に関しましては、地方部局としては、各国税局徴収部という一つ特別の部を置きまして、専らその任に当つているのでありますが、本庁といたしましては、単に一課を設けて、一課を以てそれが企画なり、又は推進なり、又は大口滞納整理に当らしめて参つたのでございますが、何分にも件数も非常に多くなりましたし、又各局間に跨がつて滞納をし、資産を有するというようなものの整理については、どうしでも本庁自体が或る程度具体的な指示をして行くというのでなければ整理の促進が図れませんので、従つてそういたしますのには相当職員の数を増しまして、本庁徴収関係機構を拡充する必要がある。そう考えましたので、徴収部の独立をお願いしている次第でございます。丁度今までの総務部組織は、人事会計総務、広報、そのほかに徴収と、五課と相成つているのでありますが、そのうち徴収を除きましては、いわゆる管理監督に関するもののみであります。従つて徴収を独立いたしましたならば、あと管理監督の面のみでございますから、他の各省と同じように、特に総務部を置くということでなしに、長官官房として各課長が直接にそれぞれの仕事をやつて行くというふうにいたせばできるのじやないか、かように考えている次第であります。而して次長を置きます趣旨は、現在監督官監察官国税庁に置いておりますが、監督官及び監察官はいずれも長官直属の官吏でありまして、長官直属制度の下に、各局並びに各税務署の監督をいたしているのでありますが、相当監督官監察官仕事内容も重要でありますし、又それらの指揮監督をするということにつきましては、長官一人だけではなかなか至らない点もございまして、特に次長を置きまして、それらの人の監督に当らしめる。なお又今回徴収部を作りますと、直税部間税部調査査察部並び徴収部というのが徴税本来の仕事担当するそれぞれの部局になるのでありますが、各部間の調整連絡でありますとか、又は同じ課の面におきましても、国税調査査察連絡であるとかいう面にやはり相当大きな問題を生じて参つておりまするので、長官を助けて全体の連絡調整に当らしめる。そうして同時に監察官の直接の指示をするというような建前からいたしまして、次長制度を設けることを提案しでいる次第であります。
  24. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 次長の点でありますが、果して次長を置かねばならないというようなことがあるのかどうか、この点については恐らく今言われたように多くの仕事があるから、とても長官一人じや監督が行届かん、だからこの際次長を置く、先ほど課長説明によつてでも、これは他にもいろいろ置いているところも、大きい外局では置いているんだというような話もあつたのでありますが、前回の大きな機構改革のときに、次長を置くということについては、我々としては置かないという考えかたであつたのでありますが、このときに今置いているところのものは、どうも急激に大きな機構改革をやつたために、人のやり繰りで、差繰りでどうしてもこういう中間的なものを置かねば困るというような事情も考慮に入れて我々はこれを先ず諒とし、併しながら今後においては如何なるところといえども、よほどの特別の事情が認められん限りにおいては、次長制度というものは置かないのである。こういう考えかたで来ておつたと思うのです。そこで国税庁長官が忙がしいから次長ということでなくして、私は各部にやはり部長がいるのでありますから、殊更その中間の、原局責任者長官との間に次長を置くべき必要は更にないのじやないか、こう思うのですが、併しながらこれといえども、いや非常に事務量が多いのだから要ると言われれば、一応そういうことになるかも或いはわからないけれども、併し今長官が御説明になつた程度では置くべき必要があるということに考えられないのでありますが、是非置かねばならないのか、併し置かねばならないというそれだけ強い意思があるなればどういう理由で置かねばならないのかということを、もつと具体的に私たち委員が納得できるような御説明を願いたいと思うのです。
  25. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 一昨年国税庁設置いたします当時は、まだ早々の際でありましたので、国税庁においてどの程度仕事をするかということについて、必ずしも十分に研究ができていなかつたかと思われるのであります。その後実際に運用して見ますると、どうしても今少しく中央集権的に国税庁自体人数も増しまするし、又各局間、各署間の調査負担の公平を期するという面からいたしましても、どうしても本庁職員を増す必要があるというふうに考えまして、当初国税庁本庁職員の数は五百名程度であつたのであります。昨年の当初からそれを七百三十名といたしました。なお今後例えば事後審査制度でありますとか、ここで別途提案なつておりまするように、監察官の数を六十名を百二十名にするというふうなことのために、なお相当数今後増加して行く必要があると考えております。ただ第一線の陣容が急激に減少することは現実収入面に響く点もございますので、これは徐々に正規の方向に持つて行くよりほかに仕方がないと思うのでありますが、とにかくそういうふうな方向に行くことが行政の能率を上げ、又負担の公平を期する上において、是非とも必要であるというふうに私どもは考えておるのであります。而して先ほど文書課長からも御明申上げましたが、国税庁職員の総数六万二千になつております。例えば海上保安庁でありますとか、国警本部等職員の数よりも遙かに多いのでございます。而してそれに相応ずるように本部の仕事自体相当複雑であり、又非常に困難な仕事が多いのでございます。従いまして先ほど一例として申上げましたように、例えば監督官五十省、現在監察官は六十名でありますが、これらの個々の人がそれぞれの監督をいたしておる結果を聞き、又監督方法等を私直接指示をして参つておるのでありますが、如何にも十分に徹底しないところがある。又各部間の連絡調整につきましても、なかなか手が及ばない点がありますから、従つて全体として本当に統一のとれた仕事をし、又本当に民主的な税務行政を行うに必要なところの、強いところの指導力を持つ、こういう面に幾分懸念の点がございますので、この際是非とも次長設置して頂きまして、そうしてそれらについての御協力を願いたい、こいうふうに考える次第であります。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この次長の、いわゆる設置理由としては今御説明になつたことでは、どうも我々はこれを了承できないと思います。併しながら議論をここでいたしておりましても長くなりますので、又これは後ほどにいたしまして、先ずここで大きく考えられることは、総務部を廃して、そうして徴収部を置く、そうして従来総務部の一課であつたこの徴収の部分を大きく浮び出して、そうして人事、厚生、総務とかいうような仕事を今度大臣官房に移して行くということでありますが、これは徴収滞納額が余りにも大きい。今も御説明になつたように、二十四年度から二十五年度へ繰越される一千二百五十八億、その他その後においても九百七十八億というものがあるのだということで、これも結構だと思うのですが、果してこの程度で完全な徴収がうまくできる、やつて見るというような御自信があるのかどうかということと、それからもう一つは、徴収のできない困難な分野の徴収を、課税を大きくしておる、そうして肝心のとれやすいところではとつていないのじやないかというような懸念があると思うのですが、そういつた点はどうですか、そういうことはないと言われるのですか。その点先ず一つ聞きたいと思います。
  27. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 現在なお九百七十八億の滞納金額に上つております。件数がたしか七百万件以上に上つております。この尨大な滞納金額並びに件数を整理するためには、現在局署を通じまして、一万八千人の人間をここに従事せしめておるのでありますが、なかなかそれだけの職員を以てしては急速にこれを整理することは非常に困難であります。併しながらその徴収の方法をうまく指導するということによりまして、能率を相当上げることができるのでありまして、そういうふうな見地からいたしまして、先般国税徴収法につきましても、いろいろ新しい制度を含めたところの提案をいたしておる次第でございます。今回の国税徴収法の改正によりまして、徴収仕事自体相当複雑になつて参りまするが、あれによつてそれぞれの滞納の性格に応じて、それぞれ適当な措置がとれる、こういうところから或る程度これが整理を促進し得るのじやないかというふうに考えておる次第であります。なおこれも昨年秋頃から開始いたしました一つの試みでありまするが、アメリカの制度であるところの、インターナル・コントロール・システムというのを滞納整理の方法として試験的にやつて見ておるのであります。全国で三十二の税務署を選び出しまして、これについてこの制度をやつて見ているのでありますが、そういうふうな新らしい工夫によつて、この整理人数を増すことなく、又経費を増すことなしに、滞納者の実情に合つたところの整理が漸次促進されて行くことになりはしないかというふうに考えておるのであります。実は昭和二十四年度等におきましては、相当勇敢に不納欠損ということによつて滞納整理が或る程度行われたのでありますが、これはすでに納付せられたところの正直なかた等との公平の問題においても相当考えるべき点がございます。又それに関連いたしまして、不正の行われる機会もあつたりいたしますので、二十五年度からは不納欠損の処分に付するということは、できるだけこれは避けまして、そうして新らしく国税徴収法に認めておりますところの滞納処分の停止処分という方向に持つて行き、そうして納税者に訴えまして、できるだけ民主的にと申しますか、円滑に滞納整理が行われるというふうな方向に持つて行きたいと考えておるのであります。従つて又極めて短期間にこの大きな滞納整理をするということは相当に困難であると考えております。併しながら少くとも二十六年度中においては相当大きな整理ができて、二十七年度においては、まあ大体平常の状態と思われるものよりも幾らか滞納が多いという程度までは是非処理をいたしたいということで、そういうふうな計画の下に仕事の進行を図つておる次第であります。なおこの滞納になる原因は、賦課の面において滞納になるような階級により多く課税せられ、そうでない納めやすい階級に調査が徹底していないのではないかという御質問のようでありますが、との点は租税の行政にありましては、最も生命とするところは公平ということでありますので、私どもといたしましても、どこに重点を指向するかということは最も慎重に考えまして、最も真剣に考えておる問題でございまして、そういうことがないようにということを専ら念願しているのであります。そして昭和二十五年度の申告所得税の調査並びに申告の指導等に関しましては、実は従来の方針を全然抛擲いたしまして、何とかして更生決定のできるだけ少いところの税務行政をやつて行きたいということを考えまして、先ずその前提としては調査の徹底ということを非常に努力いたしたのであります。その調査に基きまして、納税者によくお話をして、そうして調査しました程度の申告をして頂くということをお願いいたしたのであります。その結果非常に納税者の御協力を得まして、只今までの成績では昨年とは比較にならんくらいよく申告を出して頂いているようであります。昨年は更正決定は実は四百十八億円という更正決定をいたしたのでございますが、今年は多くても昨年の十分の一以下の更正決定で済ませたという、又それが可能であるという現在見通しを持つておるのでありますが、そういうふうにいたしますると、自然課税自体において、納得を以て申告して頂けるのでございますから、今後新らしい滞納はそう大きく出ることはないのじやないかというふうな期待を持つておる次第であります。なお調査の困難な、又悪質な脱税につきましては、御承知の通り査察部がございまして、これが相当仕事も馴れて参りましたし、能率も上げて参りましたので、積極的に大口の、又そういうふうな脱税のある向きについてどんどん摘発をいたしまして、これが脱税の防止に当つているような次第であります。
  28. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今の長官の御趣旨はよくわかるのですが、民主的に納得の行く徴収をやるのだ、そのためには、今後機構もやはり拡充強化して、人も殖やしてやつて行くというお話でありますが、最近その問題に、やはりなつておるのは、そういつた面が大きく問題になつておるのではなかろうかと思いますのは、いわゆる統制の盛んな時代における各省職員ですれ、これを眺めて見ますと、割当の力を持つておる役所、経済者、通産、農林或いは又その他の役所が、役人がかなりいろいろな国民から非難を受けておつたですね、これは御承知の通りだと思うのです。ところが最近そういうものが、統制が徐々に撤廃され、そうしてなくなつて来ました、ところが、この頃ではどういう国民からの怨嗟の声があるかというと、国税庁の役人が末端では税のいわゆる決定に当つても公平を欠いている。或いは又一部の業者団体のボスと結託をして、そうしてまじめな正直な人たちに非常に公平を欠いた決定を行なつている。のみならず決定に当つて、その持つた権力というか、それを利用して、そうして業者から饗応に預かつている。或いは又非常に、特にそれらは悪質なものであつて、いいものにしても非常に扱いかたにおいては極めて不親切であり、不公平である点が多いというのが、これが最近における国民の怨嗟の声でなかろうか。私は今までの税金をとつておられる面において如何に不公平なことをやつているか、又長官が今言われました通り、そういうものは調査部とか、或いは査察官とかというものがあつて厳重に公平に調査し、査察しているのだとおつしやいますが、その調査をやる人間、査察をやる人間自体がすでにおかしなことをやるということになつたのじや、私は公平は期せられないと思う、こういう事実について、これはこの法律案には直接関連はいたしておりますが、私は過去二、三カ月かかつていろいろの地方の実態を調査して参りまして、資料等も実は持つております。そこでそれらについてここで一々御質問を申上げるということも何でありますから、この内閣委員会で後日これに関して御出席願つて、そういうことを一応質したいと、こう思つております。併しながら私たちはこの徴収が円満に行われ、納得の上で行われ、而もそれが公平にあらんことを願つているのです。ところが地方の実態を調査するとそうでない。非常に聞くに堪えられないようなことも聞くわけなのであります。具体的には差押行為等による現場の写真等を全部とつて私が持つておりますし、又いつどの役人がどこでどういうような饗応に預かつたか、ひどいのになると、飲んだ上で女子まで所望しているというような者もいるのではないか、こういうことについては内閣委員会としては官吏の綱紀の上から見ても、行政組織機構の観点から考えても、これは大いに関心を持つて実は考えているわけなんです。そこで先ずお尋ねしたいことは、今度税制が改革になりまして、そうして従来の国税庁仕事も非常にまあ税制の面から眺めますと、非常に簡単になつたと思うのですね。従つてその事務量についても、こういう滞納が多くて徴収等に困難な状況にあるから職員を増さなければならないという点もあるでしようけれども、併しその他の面については半面減少しているのではないか、言換えると、税制改革において非常に仕事の形態も簡単になるのじやないか、簡単になれば、それだけに組織の面においても 機構の面においても簡単にならねばならない、こう私らは思つておるわけです。ところが末端の局に行つて見ますと、今長官もおつしやつた通りに調査部というものがある。それから査察というところもある。それから監察官というものがあつて、そこへ持つて来て苦情処理というような仕事もある、一体税金をとるというために、こんなに同じようなものがなせたくさん要るであろうかということですね。これらについてどうも納得が行かないのです。そうして又長官はここで、いや監察局や査察部があつて監督官があつて監察官があつてということを言つておられますが、一般国民の考えかたからいたしましても、又数々どの議員からしても、簡単にこれを呑込めているはずはないと思うのです。なぜこんなに複雑なややこしい局をたくさん置いておるのか。そういう必要があれば、これを一つにまとめまして、そういうような苦情処理から一貫して、調査とか、査察とかいうようなものを一つにしてやる方法があるのじやないか。機構の中でもそういうことにされたらどうか、こういうように我々は考えておるのですが、その点についてはどうなんでしようか。これほど簡単になつて来たものが、これほど行政組織の上において複雑になつて来るということは了解が行かんのですよ、御説明を願いたいと思います。
  29. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 税務官吏に悪質な者が存在しまして、税務の威信に関すると申しますか、国民の信頼に背反するというような事件がたびたび発生いたしておりますことは、私としても遺憾に堪えないところであります。これらの対策といたしましては、従来のように自分の部下だからというので臭い物に蓋式のことは考えませんで、一昨年の行政整理以来すべてどんどん表に出して、これを処分し、それによつて全体を戒めまするし、同時に国民の信頼に答えるというような方法により、官紀の振粛を図つてつておる次第であります。監察官を昨年度設けましたが、この監察官に対して警察権を附与いたさせましたのも、その趣旨に出ずるのでありまして、今回この設置法一つ改正の重点になつておりますこの監察官を、六十人を百二十人に増員いたしたいと申しますのは、専らそういうような不正な官吏又は適当でないところの官吏を排除して行く、同時に指導監督に万全を期するという趣旨から、こういう提案を申上げておる次第であります。而して第二点の税の機関が、税法が簡単になつたの行政機関が非常に複雑に過ぎるというお話でありますが、これはそれぞれ理由のあることでございまして、例えば只今お話になりました査察部の調査課と申しますのは、法人では二百万円以上の資本金の法人、個人におきましては前年度八十万円以上の所得金額のあつた納税者というものをそれぞれ直接そこの主管としまして、そこで以て大口の納税者に対しては十分に調査が徹底するという方向でそれを考えておるのであります。従つてこれはそういうところに優秀な人物を集めまして、そうして大口滞納者を十分に調べ得るという態勢にすることによつて全体の能率を増進する次第でありまして、これによつて複雑には一応見えるかと思いますけれども、実質上はそれによつて能率を大いに増進したいと考えておるのであります。なお国税庁全体の提案といたしましては、予算上二十六年度は二十五年度に比較しまして、五百人の減員を見ておるのであります。而してその全体の能率を如何にして増進するかということが、私どもに与えられた課題であると思うのでありますが、そのためにはやはり本庁において、末端が迷わないように周密な計画を立てて、そうして指導して行くということが必要なのでございます。何と申しましても、全国五百三の税務署があるのでありまして、それがばらばらに、又不統一に動くということになりますと、単に税の負担の公平を期するという面から非常に遺憾な点が多いのみならず、又税務能率を上げるという面からいたしましても、非常に大きな欠陥を生することになるかと思うのであります。従いまして、できるだけ中央に集め、全体の負担の公平を図ると同時に、第一線の官吏が指導的に、又極めて能率的に動き得るようなふうに指導して行くということが、この際は非常に必要であるというふうに考えておる次第であります。
  30. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 税の徴収並びに負担の公平の問題でありますが、これはいろいろ議論があるのですが、この委員会でも先だつて終戦処理費の関係及び特調関係のものを一部調べまして、いろいろと調査をいたしたのでありますが、その他会計検査院の批難されておる事項が、これもかなり二十三年度決算においても六百件余りあるのですが、これらの批難になつておるものは、おおむね不当に利得をしておるというようなものが大体において多いのです、考えて見ますると……。これは労働者、勤労者の立場から言うなれば、抜け目なく収入に対しては税金をとられておるのです。ところが闇で儲けた人とか、或は又そういうスキヤンダルを起して、それによつて儲けておると、例えば二重煙突事件でやかましく言つているような、四千万円を殆んど詐欺のような形で国からとつておるというような、そういう金については税金が完全にとられていないと思うのです。徴収されてないと思うのです。その他何百、何千億に近い不当収入というものが会計検査院の批難事項の中に随分出て来ておる、調査いたしますと……。これらのものに対して正確にとつているかどうかという点には、遺憾ながら私は国税庁は正確にとつているものも中にはあるでしよう。併しとつていないものが大多数であるという考えを持つておるのですが、この点について十分にとつておるということをここで長官は言明されることができるかどうか。又これら過去の分についても調査をして、やはり取立てる、という意思があるかどうかという、先ずこの二点について承わりたいと思います。
  31. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 先ほどの御質問にも関連するのでありますが、成るほど税法は、シヤウプ勧告に基きまする新らしい税法によりまして、或る程度負担が軽減になつたのでありますが、税法の組織自体はより複雑になつて参つておるのであります。而して本来申告納税制度は大部分の納税者が正直であると、従つてその人に信頼して行くという建前で来ておるのでありますが、日本の現状は賦課課税の制度がそのまま残つておりまして、申告して頂くにつきましても、あらかじめ調査してお話をするというのでなければ、なかなか申告して頂けないというような状況でありまして、アメリカのように四%調査して、あとは全部納税者に任せて置いて、なお且つ申告が正確に出て来るという状況にはなつておらないのでございます。従つて又賦課課税制度と比較しますると、終戦前においては所得税につきましては、僅かに納税義務者の数は百万人程度であつたのでありますが、今回の新らしい税法では負担が軽減されても、千五、六百万の納税者の数になるのであります。従つて税務官吏の数は、そういう面から申しまして、非常に不足であると申しても差支えないと思うのであります。併しこういう際に税務官吏を徒らに増すということにも、なかなか全体の関係からいたしまして、如何であろうかと考えられまするし、又急に人間を入れましても、税務官吏としてすぐに能率を上げるということが困難なのであります。どうしても三年、五年の日子を経て、初めて或る程度の一人前の税務官吏になり得るという状況でありますので、私どもといたしましては、むしろ現在の税務官吏を一日も早く訓練いたしまして、能率を向上せしめまして、そうしてその欠を補いないたい、と同時に、又民主的な税務行政をやることによつて、国民の協力を得まして、そうして漸次調査をしないでもいい、本当に正直な人を見付けて行くということにしまして、内部の能率も上げて行きたいと考えておるのであります。而して実際所得があるにかかわらず、これが調査が十分にされないで漏れているものが相当あるのではないかという御意見でありますが、勿論そういうふうな税務の実態でありますから、全然漏れがないということは何人も断言できまいかと思うのであります。ただ申上げ得られますることは、二、三年前までは成るほど平均年齢も二十五歳未満でありまするし、経験年数も二年未満という者が大多数であつたのでありますが、その後新らしく採用した者はいずれも相当の年配の者或いは経理事務の経験のある者を厳重な試験によつて採用いたしておりまするし、そのまま勤続して参りました者も、厖大な税務講習所の組織によりまして、これによつて絶えず或いは一年間の講習或いは五十日の講習或いはそれ以下の短期間講習というものを繰返しいたしますし、又対象二万名の者に通信教育を実施いたします等のことによりまして、訓練に非常な力を注いで参つておりますので、能力も又能率も相当に増進して参つて来ておると思うのであります。現実に所得税並びに法人税の調査等におきましても、一年前と比較いたしまして、相当その点において改善の跡を見ておると考えておるのであります。実際に調査しました事績等を見ましても、改善の跡が顕著なのでございまして、漸次そういうふうな漏れているものは少くなつて来ておるというふうに考えております。なお査察に関連の問題でありますが、第三者通報制度等もございまするし、又国税庁といたしましては、昨年から初めて監察資料の収集という方法をとつておるのであります。この二十五年度内に約四十万程度の監察資料を収集しております。これを又相互に各組税者ごとに分類整理いたしまして、どの程度に漏れているか、申告しておるかという見当は付くのであります。そんなところからかれこれ考えまして、査察をするにいたしましても、又調査をするにいたしましても、そういうような点を資料を以て十分準備して調査にかかる。そういうふうに漸次漏れているものは激減していると考えております。而して最後の御質問の点でありますが、過去のものについてもどんどん追及するかというお話でありますが、これは時効にならない限り、私どもとしては脱税になつているものは追及して行くという考えかたをとつておるのであります。ただ査察等の場合におきましては、非常に古いものになりますと、証拠書類その他を焼いておりまして、非常に調査が困難であり、自然そういうものはなかなか的確に真相をつかみ得ないという場合もございまするが、併し考えかたといたしましては、古いものであつても追及して行くという考えかたで行く方針であります。
  32. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこでこの前に我々内閣委員会調査をいたしまして、どうも徴収が漏れているのではないか、又とつてつたとしても非常に少いのではないかというように思われるものを集録いたしまして、とりまとめまして、住所、氏名等を調査して置いてありますから、これについて二十二年度、二十三年度、二十四年度はどれだけ税を決定し、どれだけ徴収したかということを資料としてお出しを願いたいと存じます。併しながらこれも早急に仕事の都合上、すぐ出してもらいたいというわけではありませんが、できる限り早い期間に出して頂きたいと思います。なおここでそれらの住所、氏名を申上げておりますと時間がかかりますから、これはとりまとめて書いてあるものを、あなたのほうに出しますから、それによつてお答えを願つたら結構だと、こう思いますから、さよう委員長のほうから取計らつて頂きたいと思います。
  33. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 承知しました。お持ちになつておりますか……。それでは長官のほうに出して置きます。
  34. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それから第五の点でありますが、国税庁監察官を六十人から百二十人に増員すると、これは倍になるわけでありますが、併しながら、この倍にした人間を一体どういう工合に運用され、どうやつて使つて行くかという、その方法について先ずお聞きしたいと思います。
  35. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 従来本庁長官直属で六十人という監察官を配属しておつたのでありますが、そのほかに国税局総務部に監査課というものを別に置いておつたのであります。これは局長の部下として、局並びに署の職員の監査に当ることにいたしておつたのでありますが、この監査課の職員は、実は監察官と違いまして警察権を持つておらないのであります。而して如何にも相互の間に重複の関係がございますし、いろいろその間調整のとれないという関係もございますので、その監査課を全部廃止いたしまして、そうして監察官の数を二倍の百二十名にいたしました。そうしてこれを各局本庁にも勿論置きまするが、各局に派遣をいたしまして、そうしてその局の管内の責任を持つて人事の監察をいたすという考えを持つております。
  36. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで六十人くらいを増員することによつては、どうも不徹底じやないかという感じがするのですが、その点はどうなんですか。
  37. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 六十人と申しますと、大体職員五百名に対して一人ということになるのでありますが、勿論監察官がおるからと言つて、警察官が税務官吏の不正を摘発しないという制度のものでは全然ないのでございまして、従来の税務官吏に対する警察その他の機関があつたのに加えまして、百二十名にしたいと、こういう考えかたでございます。従つて大体この程度相当の実績を挙げ得るのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  38. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 監督官というのは、そうすると現在何名くらい置いておるのでありますか。
  39. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) 監督官は現在五十名でございます。この監督官は専ら仕事のやりかたについての指導監督をするのでございまして、本庁からいろいろな仕事のやりかたについて、たくさんの指示通達を出しておるのでございますが、その通り行われておるかどうか、又聞違つたことをやつておりはしないかという面の監督をするのが監督官仕事でございます。
  40. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員諸君に、この上なお御質疑がありますれば更に御発言願いますが、本日はこの程度において散会しては如何かと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは御異議ないと認めまして、これを以て散会いたします。    午後三時四十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            梅津 錦一君            尾山 三郎君    委員            郡  祐一君            カニエ邦彦君            竹下 豐次君            林屋亀次郎君   委員外議員            吉田 法晴君   政府委員    国税庁長官   高橋  衛君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    大蔵大臣官房文    書課長     村上  一君