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1951-05-30 第10回国会 参議院 内閣・地方行政・農林・水産・建設連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月三十日(水曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————  委員氏名   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      楠瀬 常猪君    理事      溝淵 春次君    理事      梅津 錦一君            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            松平 勇雄君            山本 米治君            カニエ邦彦君            上條 愛一君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            駒井 藤平君            東   隆君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋道太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            鈴木 強平君            三好  始君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事      青山 正一君    理事      千田  正君            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君            佐藤 尚武君            櫻内 義雄君            細川 嘉六君            玉柳  實君   建設委員    委員長     小林 英三君    理事      岩崎正三郎君    理事      赤木 正雄君    理事      小川 久義君            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君            久松 定武君            田方  進君            大山 郁夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○北海道開発法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔河井彌八君委員長席に着く〕
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣地方行政農林水産建設委員会連合委員会を開会いたします。  先ず以て諸君に申上げておきますが、この法律案につきましての審議期間が極めて短いので誠に遺憾でありまするが、これはいたし方ないと考えます。そこで只今申述べましたように連合委員会の数がたくさんあるのでありまするから、委員諸君にお願いいたしますことは、大体連合委員会を二日間開くということで、できるだけ簡單に且つ明瞭に委員諸君の御発言を願いたいということを希望申上げます。そこで本日の御発言順序は先ず増田国務大臣から提案理由説明をいたすことにしまして、その次に内閣委員以外の委員会方々から、できるならば代表的に御質疑を願いたいと存じます。而して御質疑順序は大体この席においでになりました早さによりまして、先ず水産委員長及び水産委員諸君、次に地方行政委員長並びに委員諸君、その次に建設委員会委員長並びに委員諸君、それから農林委員会委員長及び委員諸君という順序に取計らいたいと思います。御異議ありませんか。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今お話内閣委員会の一応議事進行上の打合であろうかと思うのでありますが、私たち連合審査をお願いする側から申しますと、大臣提案理由の御説明がありますならば、初めて聞きます問題でもありまするから、十分これについては或る程度の時間もとつて思考した上で質問しなければならない問題もあるのであつて、一応連合審査の目安を二日間とおきめになつたということについては何ら異論はないのでありまするけれども、大方の連合審査をお願いしている委員において質問が残つておるというような場合においては、再度この連合審査の時間的な関係というものは検討をして頂きたいということをお願いして、その程度のことでこの予定がきまつたものであると了解したいと思うのでありますが、一応委員長から御答弁を願いたいと思うのであります。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君の御要求に対しましてお答えいたします。委員長といたしましてはできるだけ委員諸君の御発言を尊重いたしまして十分に審議を盡されることを希望いたします。従いましてできるだけ時間等も励行いたしまして、今日のごとく一時間余も遅れるというようなことなしに、又夜分になりましても相当な審議を続けたいと考えております。そこでどうしても二日間で済まないということでありまするならば、これはなお残つておる時間等を考慮いたしまして適当に措置したいと考えます。併しながら何と申しましてもきまつた時間でありまするから、その範囲において可否はとにかくといたしまして、その審議についてはできるだけ充実した審議をしたい、こういう考えである、このことをお答えいたします。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について先ほど来の河井委員長の御発言は大体において了承しないではないのであります。ただお言葉の中に議会政治建前からいたしましてこの際一応申上げておかなければならんことがあると思うのであります。それは委員長は十分の審議を盡したいのであるけれども会期によつていたし方がないから、できるだけ簡單に話をしてくれというところのお言葉でありまするが、いたし方がないというところの言葉に現われているところの観念であります。言うまでもなく憲法国会は最高の政治機関でありまして、いたし方ないということは、みずから国会が自己の有しているところの貴重なる審議権を放棄するという感じを與えるのでありまして、政府がそもそもこのような重大なる法案を大体予定せられておつたところの二十八日という最初の会期終了の直前に国会に提出いたしました。それを衆議院の絶対過半数の與党の勢力を以て十分の審議を盡さないで、そうしてこれを可決いたしまして参議院に回して来たというそのこと自体が、これは憲法精神上重大なる問題であるということが、先ず参議院において検討されなければならんと思うのであります。そうして極く僅かの間において、これを衆議院がやつたと同様な態度において、衆議院の行過ぎや間違つたことをば牽制するという二院制建前において立つておるところの参議院が、そのことを最も重大なる政治問題として先ず基本的に私は肚の底において、この法案審議に臨まなければならんと思うのであります。そのような参議院におけるところの政府の、及び與党態度というものは、議会政治精神を没却し、議会の有するところの審議権を無視したところの一つのフアツシヨ的な精神においてそれが行われておるということが、この際最も参議院建前から嚴正に批判されなければならんと思うのであります。でありまするから、河井委員長先ほどのお言葉がどういう意味でありましたか……。我々は限定せられているのであるからいたし方がない、いたし方がないということはこれは私は重大な政治的意味を持つておると思うのでありまして、もう一度委員長がそういうお言葉をお使いになりましたところの真意がどこにあるかというところの御答弁を聞きたいと思います。
  6. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 吉川君にお答えいたします。いたし方がないという言葉使つたかも知れませんが、併し国会の議決を以ちまして会期を或る日数まできめられました以上は、そのきめられた日数範囲においてできるだけ審議盡すとこういう意味であります。而うし衆議院がどういう立派な審議をされたかどうか、或いは與党はどんな考えをしておるかというようなことは私には何らこれについては考えは持ちません。若しこの延ばされた日数、その程度で足りなければ、やはり国会は更に会期延長するか、或いは会期延長せずにこれまでにするかという結論におのずから達することと考えておるのであります。私委員長としての考えはそういうものでありまして、もう審議をいい加減にするとか何とかいうような気持ではないということをはつきり申上げておきます。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今お話で私も非常に不思議に思う点があるのでありまするが、私は議院運営委員会委員の一人として、常任委員長懇談会にも出て、この会期延長の問題に関して只今内閣委員長の御発言について聞いたのでありまするが、この際には水産省設置法並びにその施行法というものがあり、最近出て来た北海道開発法というものがあり、これも説明を未だ聞かんというような段階であつて、是非これを審査しなけりやならんということであるならば、どうしても今会期では間に合わんのであつて、この北海道開発法に関する審査には少くとも数日を要すると思うという御発言があつたのでありまして、その委員長の御発言が中心となつて自由党側から、この内閣委員長発言で数日という内容は五日であるというふうに了解をして、そうして五日の会期延長ということを動議とする、こういう御発言があつて、この自由党意見賛成して帰りましたが、五日と延長になつたのであつて、当時はこれは内閣委員長議案審査に関する常任委員長懇談会における御発言が重要な会期日数をきめる一つ理由となつてつたのでありまして、その委員長みずからが、国会がそうきめてしまつた以上はその中において審査終了とは申しませんけれども、或いは成立とは申しませんけれども、できるだけ審査終了したいというような意向もあるようでありまするが、そこで私お聞きしますのは、数日を要するということは、内閣委員会なり、或いは内閣委員会理事会に諮られて、こういう議院運営委員会お話になられたお話であるか、内閣常任委員長個人意見として御発言になられたのか、この点をお伺いしないと、何か他の機関によつてきめられて押しつけられたが故に、この五日間の間に何とかしなければならんというふうに、内閣委員長発言に聞えるので、これはおかしいと考える次第でありまして、内閣委員長が十分なる審査期間を欲しいという場合であるならば、そういうこともこれは或いは参議院において問うたかも知れん問題でありますから、一応伺つておきたいと思うのであります。
  8. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君にお答えいたします。過日の常任委員長懇談会において、現にそのとき委員会審査中の議案は何であるか、そうしてその審議状況はどうであるかということが問題となつたので、内閣委員長はその場合において水産省設置法ほか一件と、それから予備審査ではありまするけれどもすでに付託されているこの北海道開発法があるということを申述べました。そうしてこれらの審査をどういうふうに実行して行くかということは非常なむずかしい問題でありまするが、私に対してどのくらい審査日数を要するかという御質問がありましたから、私といたしましては何日ということの見当はつかないのである、そのことは申したつもりであります。要するに委員会におけるその審議状況によらなければはつきりしたことは申述べられないというその意味の下に、少くとも数日という言葉を申したので、その少くとも数日が、何か政府なり、或いはどこかからの委員長へのお話によつて、そうしてこれを五日であるというようなふうにお取りになりますることは、委員長といたしましては甚だ迷惑に感ずるのであります。従いまして只今申述べたように、若しどうしても会期が足りなければこれはその場合において会期をどうするという問題になると思うのであります。そこで私はこれ以上小笠原君が何か私に対して、どこかから何か影響のあるようなことでもあつたかのごときお言葉は私に対しては甚だ当らないのでありまして、その点につきましてはこれ以上申上げることはいたしません。(「時間がないよ」と呼ぶ者あり)  なおこの点につきましては私は委員会に諮つて、そうして何日かかるであろうというようなことはいたしたことはいたしません。ただ委員長としてどのくらいの見込があるかということを聞かれたので、そういうばつとした返事をいたしたに過ぎないのであります。このことを申します。
  9. 三輪貞治

    三輪貞治君 議事進行について、質問順序について先着順委員長委員質問することには異議がありませんが、その途中において他の委員におきましても非常に密接な関係を持つ疑義が生ずる場合も予想されるわけであります。その場合といえども、他の委員会委員長並びに委員諸君質疑中であるから、質疑ができないというような絶対的なものでありまするか、その点をお伺いいたします。
  10. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 三輪君にお答えいたします。それは絶対にそうだということでなくて行きたいと思います。
  11. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について、與党側委員方々から本論に早く入れというようなささやきも聞えるようでありますが、私はその本論に入る前に先に議事進行に関連いたしまして、委員長質問いたしました。本案を取扱うところの議事進行過程というものが政治的な大きな意味を持つということに私は非常に重点を置いて考えて行かなければならないとやはり考えておるのであります。それで同様の観点から、委員長に更にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、この法案は極めて重要性を持つところの法案であり、殊に我々地方行政委員建前からいたしますると、地方自治法規定地方自治精神との関連性において特に大きな意味を持つと考えておるのでありますが、このような重大なる性質を持つたところの法案審議に際しまして、あなたの委員長をしていらつしやる内閣委員会におきましては、国会法上の規定公聽会を聞いてそうして広く識者の言を聞き、又世論を尋ねて然る後に結論を出したいというような考え、これは私は常識的にこの際必要なことだと思うのでありますが、何か反対側及び賛成側の一人ずつだけの証人を喚問せられるということに内定しておられるように承わつておるのでありますが、私たち国民の前にどうしてもこれは公聽会を開くという過程がとられなければならないと考えているのでありますが、それについてのあなたの委員会における御議論或いはそういう話があつたかどうかというようなことについて具体的に詳しく一つ答弁が願いたいと思います。
  12. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 吉川君にお答えいたします。内閣委員会におきましては、梅津委員から公聽会を開くようにという御発議があつた、これに対しまして理事会を開いてきめようではないかということになつたのであります。で理事会を開いて協議いたしました結果は、会期も余り十分でないものでありますから、この際は賛成の側と反対の側、最も代表的な人を一人ずつ招いてそうしてその意見を聞こうではないか、で聞くということに一致いたしたのであります。その結果といたしまして、北海道知事田中君と、それから北海道開発審議会会長小川原君の出席を乞うことにいたしました。小川原君は都合が悪い、お差支えがあるということで、他の方即ち椎熊君に出席を願うということにきまつたのであります。これは委員長が專断できめたというわけではありません。理事会においてこれをきめたわけであります。このことを申上げます。(「異議なし」「大いに異議あり」と呼ぶ者あり)
  13. 千田正

    千田正君 先ほどから社会党のかたから議事進行についていろいろ御発言がありましたが、私はこの際、内閣委員会で先般三カ月もかかつて水産省設置法案を御審議なされたようでありまして、なお且つ継続審査ということに延ばされたようでありますが、北海道開発法の一部を改正する法律案只今我々の審議の議題に上つておるのであります。水産庁の問題さえも三カ月もかかつてなお審議ができない。まして北海道開発法の一部の改正法案なんというものはただここ二日や三日でやれるというようなことは、恐らく委員長内閣委員諸君考えておられないと、かように考えますので、直ちにこの連合委員会の運行に諮つて頂きたい、入つて頂きたい、かような動議を提出いたします。
  14. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 千田君の御意見は一応その通りに伺つておきます。委員会審議を進めることはこれは当然でありまするから、これから北海道開発庁長官増田君の本案提出理由について説明を求めます。
  15. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道開発法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の概略を御説明申上げます。  職後の我が国国民経済の復興と、人口問題の解決に寄與するため、北海道に存在する豊富な未開発資源を急速に開発すべく昨年五月第七国会において皆様の御賛同を得て、北海道開発法が成立いたしたのであります。この北海道開発法に基き、総合開発計画樹立機関として、北海道開発庁が総理府の外局として設置されたのであります。今回北海道開発を強力に推進するために北海道開発法の一部を改正せんとするものでありまして、その改正の要旨は、第一に北海道開発に関する公共事業費のうち、国が行うところの直轄事業は直接国が執行するようにいたしますため、現地に国の執行機関として北海道開発局を設けることにしたのであります。第二は、その執行機関は、北海道開発庁支分部局として設置することとし、且つ農林省運輸省及び建設省の各大臣は、それぞれの所掌事務についてその機関の長を直接指揮監督するものといたしました。  次にこれが改正理由を申上げます。北海道開発公共事業費一括開発庁に取りまとめてこれを計上し、然る後に農林省運輸省及び建設省に予算の移し替えをして執行いたしているのであります。右の直轄事業を執行するために、官吏たる地方事務官地方技官現地に約三千二百名配置いたしておりまして、この官吏の任免及び俸給の支給はすべて現に総理大臣の直接権限にあるのであります。戰後北海道我が国全体の立場において占むる地位並びにその特殊性に鑑み、先に政府は国策として北海道開発を行いますために、積極的な意欲と熱意をもつて北海道開発法の制定を図つたのでありまして、今後はますますその重要性を加えて行く段階にあると申さねばなりません。従つて、国費の直轄事業のごときはますますこれを増加拡充せねばならないのであります。北海道開発は、国家の総力を挙げて解決すべき問題であり、国民的事業として国はその計画から事業執行まで一貫して名実とも国民に対して責任を負うことが、全日本の再建はもとより北海道民の生活の飛躍的向上のため絶対に必要であります。かかる意味におきまして、従来のごとく知事官吏を指揮監督せしめていたのではその責任の所在に明瞭を欠く嫌いがあるのみならず、到底前記目的を達成することは至難でありますからこれを根本的に改めまして、直接政府国民に対する責任において執行することに変更したのであります。かかる措置によりまして、北海道開発局で所掌するものは公共事業のうち国の直轄事業のみを取扱うものでありますから、直轄事業以外の補助事業即ち公共団体本来の事業は従来の通り知事指揮監督下におくものであります。それによりまして官吏につきましても、事業の分離に伴いまして分離することは勿論であります。これが今回改正しようとする根本義でありまして、かかる措置により北海道開発に対しましては、国民代表者たる国会に対する責任を負い得る態勢において強力に推進する所存であります。  以上この改正法案につきまして、その提案理由内容の概要を御説明いたしました。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことをひとえに懇請申上げます。
  16. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより質疑に入ります。木下水産委員長
  17. 木下辰雄

    木下辰雄君 増田国務大臣にお伺いしますが、北海道開発法の第二条の第二項に「開発計画は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するための計画とし、その範囲については、政令で定める。」と相成つておりますが、この水面というのはどういう範囲でありますか、この水面についての御説明を願います。
  18. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 木下さんにお答え申上げます。北海道開発法の第二条の第二項の北海道における水面の解釈をせよという御質問に対してお答え申上げます。私どもはこの水面とは海水面並び河水面を指すものと考えております。
  19. 木下辰雄

    木下辰雄君 総合開発計画はもとより北海道で最も重要なる産業である水産に関する点もあると思いますが、その水産に対する総合計画範囲をお伺いしたいと思います。
  20. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道の全域につきましてこれが総合開発計画を樹立することを使命としているのが、現に私が長官をいたしておりまする北海道開発庁使命であり、又北海道開発法目的とするところでございます。
  21. 木下辰雄

    木下辰雄君 水産総合開発に現われる範囲を明瞭にお伺いいたします。
  22. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 水産の対象はもとより水面でございまして、先ほど御回答申上げました通り海水面河水面でございますが、もつと細かに申上げますと、湖沼水面ももとより河水面という意味におきまして包含をする次第でございます。そこで御承知のごとく海水面につきましては多少の制約がございまして、従来北海道と申しますと国の出先機関である北海道庁長官の国の行政区域というものは占守島まで及んでおつたのであります。併しながら今日は御承知のごとく千島の方面は除外されております。而してなおいわゆるマツカーサー・ラインというものがございまして、マツカーサー・ラインの外でなく内についての海水面、並びに河川、湖沼水面というふうに御了解願いたいのでございます。
  23. 木下辰雄

    木下辰雄君 只今長官の御説明によりますとこの法案には公共事業費に関するもののみとこうなつておりますが、この御説明によりますと、公共事業費のみならずあらゆる水産総合施策もお立てになるような御意見ですが、如何ですか。
  24. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お説の通りでございます。私ども開発庁として職責をどういうふうな範囲において担当しておるか、総合開発計画を樹立することであります。今回改正せんとする事柄は、この開発計画の全部ではございません。その開発計画は或いは地方自治団体がこれを執行する場合もございまするし、或いは運輸省が執行する場合もございます。或いは郵政省等が執行する場合もございます。そのうち国が直轄事業として北海道において現に実施しておる部分を、北海道開発局作つてこれを担当せしめよう、こういうわけでございまして、例えば水産総合開発計画或いは総合開発計画のうちに水産関係開発計画が勿論あることはあるりですし、又現に我々はそれを樹立策定すべく一生懸命勉強し調査をいたしておりまするが、その水産計画のうち只今どういうことをいたしておりますかというと、漁港の方面について或いは港湾の方面につきましても直轄事業が或る程度あるわけでございまして、この直轄事業開発局において実施せんとするものでございます。
  25. 木下辰雄

    木下辰雄君 北海道水産は日本の全水産の三分の一を占めておりまして非常な重要産業である。このうちで最も重要なる沿岸及び近海の漁業の総合計画は大体において漁業協同組合を通じて今までは道がやつてつたのであります。これは農林省水産庁の指導の下に、漁業権を中心として漁村関係或いは沿岸漁業関係は全部組合の範囲内として今まで立ててあつたわけであります。その際これはもとより道知事の管轄下にありましたが、今回その方面を切離して総合計画を立でるのであります。そこをもう少し明瞭にお願いいたしたい。
  26. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 只今申上げましたことを更に細説して御回答申上げます。水産計画は総合的の計画の一環として現に存在している開発庁でこれを樹立策定する次第でありますが、この水産計画はもとより漁港と北海道の捕鯨船等で港湾に入る捕鯨母船等もございます。そこで港の関係だけから申上げますと、水産計画の一部をなすところの港湾建設並びに漁港建設という事業があるわけであります。そのうち漁港の建設は国で補助費を多額に北海道に支出するのでございまして、現在は北海道という自治団体の自治行政として漁港の建設をいたしております。併しながら北海道には捕鯨母船等が入る港湾がたくさんございまして、單に貿易港としてのみならず捕鯨母船の入る港湾がございます。この港湾の建設は国の直轄事業として行なつておるのであります。その他水産行政或いは勧業行政と申しまするか、水産の奨励事務等は殆んどすべて自治事務として公選知事北海道知事がこれを執行いたしておる次第でございます。
  27. 木下辰雄

    木下辰雄君 漁港問題が出ましたが、漁港法によりますと、その第十七条で漁港の総合計画農林大臣が樹立する、そうして漁港審議会の議を経て内閣の承認を得て国会提案する、こうなつております。現在四百五十港の整備計画農林省の方から立案されて現在国会議案が出ている。その方と総合計画によるところの開発庁の漁港計画とどういう関係になりますか、その点をはつきりお答え願いたいと思います。
  28. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 漁港の総合開発計画北海道全体の総合開発計画の一環をなすものでございまして、かれこれ矛盾衝突はいたさないのでございます。要するに総合開発計画の一環であり、而して先般も御承知の手続を経た漁港建設計画が閣議を通過いたした次第でございます。
  29. 木下辰雄

    木下辰雄君 それでは農林省の立案したそうして国会が承認するこの漁港計画を、総合開発庁は無条件で受入れるという建前でございますかどうか。
  30. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 我々は総合開発計画の一環という立場からあの漁港計画の検討をさして頂いたわけでございます。そこで総合開発計画との関係において矛盾もなければ、調和ある関係に立つているという意味において、閣議で私は北海道開発庁長官というような立場を持つた国務大臣としてもあの漁港計画に賛同の意を表した次第であります。
  31. 木下辰雄

    木下辰雄君 大変しつこいようですが、漁港計画というものは漁港審議会という国が指名した九名の委員によつて決定する。こういうふうになつております。若しその審議会が決定したものと政府の案とが違つた場合においては、両案を国会に出してそうして国会の承認をどつちか求める。こうなつておりますが、審議会が立てたものについてこの開発庁は無条件で御賛成なつたものですか。或いは別途に立てて、そうしてそれと共に総合して何か御相談があつたのですか、その辺を一つはつきり伺いたい。
  32. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 木下さんにお答え申します。実は昨年北海道開発庁というものができまして、北海道開発庁使命は御承知のごとく北海道総合開発計画を樹立することが我々の担当しておる職責でございます。そこで今日まで総合開発計画はでき上つたかと申しますとまだでき上つておりません。折角立派な総合開発計画を樹立すべく本年度も皆様の議決によりまして二千万円の調査費が計上されております。これらの経常費を皆様の御意向に従つてこれを支出し立派な総合開発計画を作りたいと思つております。併しながら従来まだ決定版ではございませんがいろいろ北海道総合開発計画がございまして、私もあの漁港計画を拝見いたしましたが、我々の草案として持つておるところの北海道総合開発計画の一環としての水産開発計画に照しまして、何ら矛盾も撞着もない調和のとれた関係に立つている立派な漁港開発計画であると、こういうふうに私は認めまして、国務大臣として賛同の意を表した次第であります。
  33. 木下辰雄

    木下辰雄君 今本会議から私を呼びに来ましたので、委員長でありますので、質問もまだありますが後日に譲ります。
  34. 千田正

    千田正君 増田さんにお伺いしますが、この開発法の一部を改正する法律の第十二条の一号の公共事業費の点でありまするが、この公共事業費農林省或いは運輸省並びに建設省の所掌するものを総理庁においてこれを一括して予算を計上する。こういうことを書いておられますが、先ほど木下委員長の言うておりまする通り公共事業費におけるところの予算の編成並びに割当に関する問題につきましては、恐らく農林省即ち水産庁が主張するところの一つ水産の枠というものを決定して、それによつて或いは安本、大蔵省との折衝の下にこの公共事業費の割当が決定されるものと見まするが、この開発法の一部を改正する面からいいまするというと、あくまで北海道の問題は公共事業費その他について国の費用を要するものは総理庁において一括してこれを計上する。こういうような主張のように見えますので、その点は或る場合においては非常に矛盾するように考えるのであります。ということは日本の農林或いは水産という面におけるところの国の一つの枠というものを決定して予算を要求するのに対しまして、北海道一つの道としての開発庁が総理庁に直属する理由の下に、この予算獲得に対して押付けがましいところの予算の編成が行わるる杞憂を私は持つものであります。その点を明確にして頂きたいと思うのであります。
  35. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 千田さんにお答え申上げます。この改正せんとする十二条の第一号についての御質問に対してお答え申上げます。只今この第一号に関連いたしまして予算をどういうふうに使うのか、現在のように総理府直轄でやると他の省に対して押付けがましいことになりはせんかという御質問のようでございます。そういうふうに拝承いたしましてお答え申上げます。御承知のごとく本年度はすでに総理府において北海道開発費という予算が計上されております。その額はおよそ七十五億でございます。而してこれを執行せんとする場合にはどういうふうな執行をしておるか、建設省或いは農林省或いは運輸省に移し替をいたしまして、それから現地へこれを支出して執行しておるのでございます。我々が総理府所管の北海道開発費七十五億を計上せんとする際には、それぞれの直轄事業についで責任を持つておるところの、例えば水産関係で申しますと農林省、港湾関係で申しますと運輸省建設関係で申しますと建設省の言い分なり意見というものは十分に取入れまして、又現地意見をも十分取入れまして、総理府所管の開発費として組んであるわけでございまして、この額を組んだゆえんに押付けがましいことはないのでございまして、むしろ北海道関係の予算が非常に多額に殖えている。或いは千田さんの御質問は内地の関係が、北海道開発費が非常に殖えたから比較的に多く殖えない、その範囲内において押付けがましいことがあるのじやないか、或いはないかというふうな御質問というふうに実際的の問題に触れた我々の憂うる御質問だというふうに拝聽いたします。そこで建設関係だけについて申上げまするが、建設関係につきましては、事業量におきましても、絶対額におきましても日本全体の建設事業費というものは、昨年度に比べまして非常に殖えております。ところが北海道に対する殖え方は更にその比率というものは多額に殖えております。そこで去年より北海道が非常な高度の比率を以て増加いたしたから内地の事業分量なり予算面が減りはせんか、そうすると押付けたことになるというふうな、最も適切なる御質問というふうに私は拝承いたしましてお答えを申上げます。北海道の比率は成るほど非常に高度ではございます、予算の殖え方は非常に高度でございます。というのは政府が主として本年度の予算の支出面において力を入れておりまするのは北海道開発費であるからでございます。そこで内地の方がそのために去年よりも減つたかといえば去年よりも減つておりません。建設関係で申しますといずれの種目につきましても、事業分量におきましても、予算面におきましても各府県その他必要によつて、例えば青森県の直轄河川が改修が完了した、だから減つたというようなことはこれはございまするが、いやしくも事業の必要がある限り昨年度よりも減つたということはないのでございまして、開発庁が総理府を笠に着て建設省に対して押付けがましいことをするというようなことはいたさなかつた次第でございます。
  36. 千田正

    千田正君 重ねてお伺いしまするが、只今のお答えを頂きますると決して押付けがましいことではない、表面は私から考えますると成るほど予算の移し替えでありまするけれども、実際は北海道開発庁の独立した予算であると、さように了承してよろしゆうございますか。
  37. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 千田さんは北海道開発かと各省との関係に押付けがましいことがあつたのじやないか、こういうふうな御質問が、各建設省の所管が今度は内地に対して押付けがましいことがなかつたというふうでなしに、総理府所管の開発庁と各省との関係についてお聞きのようでございます。それでお答え申上げます。  総理府所管の北海道開発というふうに一本にしたのは、同じ公共事業であるからして本当は安本で一括すべきである。現在は公共事業費は御承知のごとく安本で一括しております。ところが北海道開発費はこれはいわゆる公共事業であつて公共事業でないものは何にもございません。然らば安本の公共事業費の中に一括して計上すべきではないか、こういう御意見であると私は信ずる次第であります。そこで実は安本に計上した場合も千田さんの御質問は従来からあるわけであります。安本は各省に押付けはせんか、又多少そういうような声がないでもございませんが、併し安本の長官国務大臣であり、又建設省長官国務大臣である、内閣においてかれこれ対等の立場で調節を取つております。そこで安本に計上せずして同じ公共事業費北海道関係だけは北海道開発庁に計上した理由はいかん、これについてお答え申上げます。我々は先ほど提案理由で申上げました通り北海道総合開発こそは戰争前よりも遥かに重点を置いて開発すべきである、これが八千万同胞の生活の安定、向上、即ち生きる道である、そこでどうしても北海道総合開発をしなくてはならない、そこで北海道開発法はなるほど公共事業ではございまするが、政府か、或いは国民代表者である国会の皆さんにおかれまして、特に力を入れて開発願いたいという意味からも予算を一本にした次第でありまして、むしろ各省は北海道関係の予算が殖えたというわけで喜んでいる次第でありまして、執行についてはもう各省支持して下さつております。予算の計上、即ち予算の要求は御承知のごとく、政府部内におきましても、歳入関係の官庁に対しまして歳出関係の官庁が要求をいたしまするが、この歳出関係開発庁が歳入関係の官庁、大蔵省に要求する場合にも、ただ北海道開発だけを使命として存在している開発庁であり又開発長官でありますから、一生懸命歳入官庁に要求をする、而もその要求が或る程度実を結びまして、昨年度は公共事業費は全体としては一割殖えただけでございまするが、北海道開発費はその一割殖えたという枠の中に存在している予算であるにもかかわらず八割殖えております。八〇%殖えております。従つて各省が北海道において執行する予算面も増額されましたから決して押付けがましいことはない、むしろ日本が終戰後において特に力を入れなくてはならんというその意義は予算面に立派に表現されたというふうに各省大臣からも御了解を願つている次第であります。
  38. 千田正

    千田正君 一応お答えを頂きましたが、なおこれはほかの関係官庁は果してこういう北海道開発庁が出たために別に支障もなくスムースに行くかどうかということは、各関係官庁の長或いはその衝に当る人に一応聞いてみなければ我々は正確な判断を下すわけに行きませんから、この際それは次の機会に譲ります。  第十四条の農業水産部の設置の問題につきましては、これは先ほど説明のありました通りの国の直轄事業に関する点だけ農業水産部が取扱うというのでありますが、その点を明確にして頂きたいのであります。
  39. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答え申上げます。農業水産部を設けたのは只今提案理由の御説明のときにも申上げました通り農林関係におきましては、他の建設関係なり、港湾関係と同様に国で現に行なつている直轄事業を所管するだけであります。そこで主として農業関係の方が遥かに多いのであります。港湾関係も勿論ありますけれども、これは港湾部という方に移つております。そこでこの部制を四つ作りましたが、農業水産部のうちの農業関係の所管事務は国営開墾とか或いは国営土地改良、こういうようなことであることは千田さん御了解下さると思いますが、然らば水産部と書いたのはどういうわけであるか、水産関係においては港湾において直轄事業を営んでいることはわかるけれども水産関係と書いたのはどういうわけであるか、こういう御質疑が必ず起きると思います。  そこで水産関係はどういうことをするかといいますと、開発法本来の仕事である調査事務は、総合開発計画を樹立策定する前提として調査をいたさなくてはなりません。そこでこれにつきましては先ほど木下委員長にもお答え申上げました通り、いやしくも自治事務であろうとも、或いは遠洋漁業であろうとも一切水産総合計画というものは、北海道開発庁であるところの今担当している役所でこれを樹立策定するわけであります。そこで現地においても我々の手足となつて調査をしなければなりませんが、その水産関係開発計画を作るための調査をするというのがこの水産部、農業、水産部に仮に分けて考えてみますると、この水産関係の職員の主たる職責であるというふうに御了承を願いたいと思うのであります。
  40. 千田正

    千田正君 最後に簡單でありますが、そうすると直轄事業のいわゆる港湾の建設或いは改修並びに水産という名前を置いたのは、調査研究の第一の部門であるというふうに了解してよろしうございますか。
  41. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) さようでございます。
  42. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 千田君に伺いますが、あなたの御質疑はこれでよろしうございますか。木下委員長がまだ質疑があるといつて来られましたが。
  43. 千田正

    千田正君 恐らくはかの各部門のかたがたの御質問が非常にお待ちであると思いますから、水産関係は一応これで今日はしないことにいたしまして、或いは時間がありましたら更に木下委員長に続行してお願いしたいと思うておる次第であります。
  44. 河井彌八

    委員長河井彌八君) わかりました。それでは木下水産委員長が御出席になりましたならば、その際に木下委員長に前もつて質疑を願うことにいたします。次に……。
  45. 三輪貞治

    三輪貞治君 議事進行について、もう十二時も過ぎましたが質問も盡きないことでありますからこの辺で休憩を宣せられんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  46. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは休憩いたします。一時半に再開いたします。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後二時二分開会
  47. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 午前に引続きこれより連合委員会を開会いたします。
  48. 木下辰雄

    木下辰雄君 先の質問に引続き増田長官にお尋ねします。先に長官のお答えは農林省が漁港審議会にかけて、決定したあの漁港整備計画を最も適当であると認めたから、全面的にこれに賛同して大いにその成立を計つたというような御答弁でありましたが、若しそうだといたしましたならば、その農林省が立てる漁港の整備計画総合開発局が立てる漁港の総合計画とが矛盾するような場合が若しあつたならばどういうふうにするか、そういうことが稀にあり得ると思いますからそういう場合のお考えはどうですか。
  49. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 農林省が成規の手続に基いて閣議に提出いたしました漁港計画は、私が開発長官という立場、或いは建設大臣という立場の基礎をなす国務大臣という立場から拝見いたしました。私どもの担当事務等の点からも篤と拝見いたしました。そうしてこれは北海道総合開発計画の一環をなすものであり、而も矛盾も撞著もない、調和がとれた関係において立派にでき上つた漁港計画である、こういうふうに拝見いたして、私は賛同の意を表し、閣議決定を見た次第でございます。そこで若し北海道総合開発計画の一環である水産開発計画と、その漁港計画との間に矛盾撞著があつた場合一体どうするか、これは閣議へ、開発長官というのは当然皆様の議決にかかる北海道開発法規定されておりまする、即ち北海道開発庁長官国務大臣を以てこれに充つる、国務大臣以外の者はこれに充てるわけには行かないのであります。そこで閣議にかける場合において矛盾や撞著がないように調整ができるものである、こういうふうに考えておる次第でございます。
  50. 木下辰雄

    木下辰雄君 漁港の整備計画を閣議にかける場合においては最も権威ある漁港審議会の議を経た案であります。これは再び審議会にかけんければこれを変更するということは殆んど不可能な案だと私は思つております。その場合に若し北海道総合開発計画の一環としての漁港計画を若し開発庁でお立てになるということがあれば、あらかじめそれは案として漁港整備計画の方にお廻しになるようになさるか、或いは別に立てて両方突合わして矛盾がないならこれに賛成するというふうにおやりになりますか、その辺の関係がよくわかりませんので。
  51. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 実は木下さんの御質問なさるようなことは私も疑問を持つておりました。あの漁港計画が閣議に付議されたときは我々は北海道総合開発計画の樹立策定に当つておりましたが、そのうちでも水産開発計画については特に力を入れたいと思つて折角勉強中でございます。そこであの漁港開発計画と申しましても、第一類、第二類、第三類、第四類、木下さんのよく御存じの四類に分けまして、そうして現在あるところの漁港、又まだ漁港はないけれども将来設定せんとする漁港の名前を、仮称的な名前もずい分ございまするが、名前を書いてあるわけでございます、そこでこれらの漁港が北海道総合開発計画の一環である水産開発計画内容をなす漁港計画というようなものが、まあ草案としてできた場合に、もつと加えて欲しい、或いは減らして欲しいというような場合になつたならばどうするかということを農林大臣廣川君に質問いたしましたところが、これは漁港計画として一応書いたものであつて只今のところこれが最善だと思つているけれども北海道開発庁水産開発計画作つて、そうしてその中に漁港計画がございます、その漁港計画に照して見てもつと殖やして欲しい、減らして欲しいという場合には、相互の関係において連絡をとつて御注文に応じます、こういうような言葉で私に御返答に相成りましたから、私は大体北海道のことも或る程度存じ上げておりまするし、先ずあの程度の漁港ならば我々の折角今調査勉強中である漁港計画と少しも矛盾しない。要するに具体問題として我々が研究することが一番実際的でございまして、そういう見地からいたしまして、只今のところ少しも矛盾しておりませんが、将来矛盾があるというような場合には篤と相互に研究をいたしましよう、こういうことに相成つております。
  52. 木下辰雄

    木下辰雄君 農林大臣はお見えになつておりませんが水産長官がお見えになつておるようですから、水産長官にちよつとこの問題についてお伺いいたしたいと思いますが、漁港の整備計画を立てる場合において、一応その原案樹立の場合において開発庁に何か御相談がありますか、ありませんか。
  53. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) お答えをいたします。従来はこの漁港法によりまして漁港整備計画を立てます問題は、都道府県知事及び地元の意見を聞きまして、漁港審議会においてこれを諮問して来た、こういうことになつております。従つて北海道において総合開発計画というようなものがあることになつて参りますわけでございますが、やはりその方の関係とよくお互いに連絡をいたしまして進めて参りたいと思つております。
  54. 木下辰雄

    木下辰雄君 長官は。
  55. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 長官は今何か用事ができたと言つて席を外しました。
  56. 木下辰雄

    木下辰雄君 私は長官にちよつとお聞きしたいと思いますが。
  57. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 岡田次長はおります。
  58. 木下辰雄

    木下辰雄君 それでは岡田次長に伺いますが、この改正案の第十四条に北海道開発局に左の四部を置く、こう書いて建設部、農林水産部、港湾部、営繕部とこうありますが、一体漁港の修築事務はどの部で扱うのですか。
  59. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) お答えいたします。漁港の修築は開発予算では補助費に組んでございます。それで補助費は御承知のごとくに道の歳入に繰入れまして自治体の予算になり切るわけであります。これに自治体の予算を追加いたして執行予算になるわけです。従いましてこれは道の方でやるわけでありまして、現在のところは農業水産部では漁港の修築も現業はやらないのでございます。それで農業水産部で水産関係に関連いたしまして現実にやることは、漁港関係の調査、現実の問題は調査のみでございます。
  60. 木下辰雄

    木下辰雄君 それでは農林水産部の水産の方ではただ漁港に関する調査だけを担当なさるんですか。
  61. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) 二十六年度の予算といたしましてはさようなことに相成つております。
  62. 木下辰雄

    木下辰雄君 道の水産部におきましても漁港に関する調査をやつている、そうすると、この開発庁でもやるということになつた場合に、この調査の連絡その他は一体どういうふうになりますか。
  63. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) この責任建前は、道と開発局乃至開発庁とは別個でございますけれども、この漁港計画を立てるに当りましては、地元の道庁の意見というものは今後とも最も尊重をいたしまして計画をやつているわけであります。従いまして、この国の立場におきました漁港の調査計画はいたしますけれども、実際は密接なる関連を持ちながら現在もやつておるのでありますし、今後もやり得る自信を持つている次第でありまして、そう矛盾なく相協力態勢にそれぞれの分担に応じて考えている次第でございます。
  64. 木下辰雄

    木下辰雄君 ちよつと只今の御答弁では承服しかねますが、一体おのおのその部長がおつて独自の考えでやる場合が私は非常にあると思う。道庁も漁港を調査する、開発局も調査する、これは一つの非常に複雑な、ダブつているということは非常に無益ではないかこ思う。且つ又若し無益でなくて重複する場合があつたならば私はその漁港の整備に対して非常に支障を来すと思うのですが、それは一体誰が上におつて監督するのか。道の水産部は知事が監督している、この水産部は長官が監督しているとこうなれば、二重行政、二重調査に陷る弊がありはしないかと私は思うのですが、その辺の調整はどうされますか。
  65. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) お答えいたします。実際問題といたしまして、道といたしましては、漁港の修築の予算なんかの実際の国の補助の関係上これこれの希望があるというようなことは、独自の立場で調査いたしまして国へ持つて来るのが道といたしましても当然なことだと思うわけであります。それから又地元の意見を極力尊重いたしまして、国は独自の立場でこれを決定するとはいえ、尊重することが又実際間違わない方法と考えるわけであります。従つて又国は国の独自の立場で意見を立て大きな意味で調整総合とかいろいろまああるわけでありますが、おのずと建前その他も重複しない部面がおのおのあるわけであります。で精神的には協力いたしますけれども実際問題で一つ事を両方でやるというようなことにはならない運行になつておるわけであります。
  66. 木下辰雄

    木下辰雄君 ほかの府県においては水産部若しくは水産課が漁港の整備計画を立てる、そうして地元の要望その他すべてのものを調査した上で主務省に出して、主務省でこれを取りまとめて漁港整備計画を完了して審議会にかけるというのが今までの観念でありますが、矛盾しない部面もあるとおつしやいますけれども、同じところにおいて同じような水産部が二つあつた場合において、果してその間に何かの差障りができはせんか。これは往々今までの例においてもありますが、予算面において非常にロスがあるのみならず実行面においても非常に矛盾がありはしないか。一体どういうところにはつきり分野があるか、その分野がはつきりあればそれを一つお示し願いたい。
  67. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) 少し私の説明が不徹底なようでありまして、こちらは総合計画を立てる見地より漁港関係を見ているわけでありまして、従つて漁港と申しましても漁港そのものの修築の可否のほかに、背後施設をどういうようなものをこの地方はしたらよいか、道路も如何ように関連させたらよいかというような、さような漁港全体及び漁港が道路或いはその他とどう関連するかというような意味の調査に私らの方はなるわけでありまして、今の重複するというようなことは全然ない見込でおります。
  68. 木下辰雄

    木下辰雄君 それではまあ重複しないといたしまして、ほかの府県においてはそういうことは全部県当局がやつている、北海道が大きいから而も開発が非常に必要だからというような理由でありましようけれども北海道のみに別に二つに段階を分けてやる必要が果してあるのか、特にその必要があるというゆえんをお聞かせ願いたい。
  69. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) この開発庁と開発局と一応区別して申上げるとよろしいかと思いまするが、開発庁ではこの公共事業費のみでなしにいろいろ大きな広い範囲総合計画のプランをやつているわけであります。それがために開発庁にも現実に今二千万円予算をとつておりまするし、いわゆるぺ一パー・プランでなく実行に移す意味のプランが、例えば石狩流域の泥炭地の開発も約二、三百億かかりまするがそれも具体的にやつておりまするし、今度の二千万円を使いますのも、各方面の地域調査とか地下資源調査もやつているわけであります。さようなことをやるにつきまして、やはり現地機関開発局もその見地に即した調査をやらした方が便利といいまするかその必要があるわけであります。それでさような意味におきましてこの水産部でも調査をやるというのが一つ。それから現実の問題は、現業といたしましては漁港は道庁でやつておりまして大した仕事はないように思いますけれども北海道水産というものは非常に重要な意味合を持つておるわけでありまして、その重要なる北海道水産は、現実に執行する現業の予算が殆んどないといいましても、調査とかそういう総合プランの意味ではもう非常に重要なる部面を持つておりまして、今後将来におきましては或いは直轄でやるようなことが起きるのかも知れません上、さような意味におきましてやはり水産は一本名前におきましても入れましてその重要さを認識していると、又さような意味で今後運行するということにすべきが当然だと考えまして、農業水産部という名前にいたしまして力を入れておる次第でございます。
  70. 木下辰雄

    木下辰雄君 いろいろ御説明がありますけれども私としては承服しかねますが、分野があると先ほどおつしやいました、分野があればここまでは道庁がやり、ここから先は開発庁がやるという、ここの接着点が果してうまく行くか行かないかということも考えられる。又各府県のように一本でやつた方が非常に総合的になつて而も実効が上るということも私ども考えまして、そこに二つが分野を定めて果してうまく行くかということも非常に危惧を持つている。これは或いは意見の相違かも知れませんが、私はそれに対してはなお岡田次長にお尋ねしたいと思います。そうすると、水産部というものは殆んど一部の調査のみというわけですね。
  71. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) お答えいたします。二十六年度といたしましては現実はお説の通りでございます。
  72. 木下辰雄

    木下辰雄君 先にも言われましたが、一つの漁港を作るにも或いは道路或いは漁港施設いろいろな総合的施設が要るのです。それで開発庁がいろいろやつた方が便利のように伺いましたが、これは何も、どの府県でもそういうようにやつている。例えば一つの港を造るためには、県の事情をよく知つている県会議員或いは県知事というのが一番よく知つている、その人が予算を立ててそうして実地にやる、その前には十分な調査をしてやる。もとより一つの港を造る場合においては冷蔵庫も要るし或いは道路も要るし繋留場も要る、いろいろ総合計画がある。そういうことを総合してやるのが漁港でありまして、これを一番知つているのは道府県の知事だと思いますが、これを北海道に行つた局長が、局長というものは恐らく再々変るかも知れません、そういう人が果して北海道庁とうまく連絡して水産のために万全を盡し得るかどうか。北海道水産はあなたの言われるように非常に重要産業で、北海道の一番重要な産業は水産だと思う。その日本の殆んど三分の一を占めている水産が、このために不成績になつてマイナスの点ができるとすると、折角のあなた方のお考えむその目的を達せんのじやないかということを憂慮するのです。  私の質問はまだありますけれども長官がお見えになりませんから又長官がおいでのときに明白でももう少しお伺いしたいと思います。まだ委員中にはここにお見えになつていない委員もありますから、殊に連合委員会を強く主張した委員も今日は事故のために参つておりませんから、これはこの次に譲りまして、一応私はこれで以て委員会もありますから打切ります。
  73. 千田正

    千田正君 午前中で私の質問は一応打切りましたが、そのときにこの公共事業費の問題につきまして、現業官庁であるところの水産長官に一応聞き質しておきたい点がありましたが、幸い午後から水産長官が見えておられますからその点一点だけを質問させて頂きたいと思います。  午前中に増田大臣からのお答えのうちに、第十二条の一号における公共事業費の分担の点につきましてお伺いいたしましたところが、これは今度の北海道開発法の一部を改正する法律案の中においては、少くとも殆んど、少くともでなく全部でありますが、国の直接事業農林省運輸省及び建設省の所管するものの実施に関するところの予算は一括して総理庁においてその予算の編成に当る、こういう御説明があつたわけであります。それに対しまして我々水産委員会の一人といたしまして質問いたしましたが、こうした今までの予算面におけるところの編成若しくは配分というような問題については、過去において相当いろいろな苦心があつたはずでありますので、今後更に北海道のみがこうした独立法的な予算の編成或いは配分についてのやり方をやつた場合において、農林省殊に水産を担当するところの水産庁においては、何ら差支えないかという私の質問に対しましては、何ら差支えないというお答えであつたのであります。併しながらこれはこの法律を作つた総理庁の考えからであつて、我々はやはり過去の苦心惨澹した予算編成或いは配分についての場合のことを考えまするときに、決してこれは簡單大臣同士の話合やその他によつて恰好がつく問題ではないと考えますので、特に水産長官が見えておられますから、北海道開発法の一部を改正する法律案のうちの第十二条の第一号にあるところの公共事業費の問題につきまして、この予算の配分に当り或いは編成に当つて、果して水産長官は独自の立場から日本の水産のための予算を獲得する場合に、総合的予算の編成に当る場合に、北海道だけが要求されて別個に予算を組替えられるということについて異存がないかどうかという点について、あなたに御質問申上げたいと思うのであります。御返答を承りたいと思います。
  74. 藤田巖

    政府委員(藤田巖君) お答えを申上げます。この十二条の公共事業費と申しますのは国の直轄事業でありまして、御承知通り北海道の漁港は現在補助事業でやつております。さような方針で考えておりますので、この漁港に関係いたしましては開発庁ではその修築事業は扱わないというふうに考えております。それで今後とも私どもといたしましては北海道水産開発のためには、どういたしましても基地の整備がこれは重要な問題であります。我々といたしましては勿論この総合開発計画のうちでも水産開発の問題は大きく取上げられることと考えております。むしろ私ども考え方といたしましては、水産がこの総合開発計画のうちに大きく取上げられて、そうしてあらゆる面においてこれが実現できるように支援をして頂けるものとかように期待いたしております。
  75. 千田正

    千田正君 重ねて質疑をいたします。先般安本で審議されましたところの国土開発法案内容の一環として、この北海道開発法が出て来ているものと私は了承しておりまするが、水産の総合的な計画をする場合において、北海道の問題は別に切離しても差支えないというふうに、例えば国の直轄の問題であるから何ら影響するところはなくてむしろ望ましいことであるという只今水産長官の御説明でありまするが、我々は従来から見るというと、必ずしも水産長官が言うような観点には立たないのであります。というのは内地におけるところの水産業に対する、或いは水産の設備に対するところの予算の振当に際してさえも十分に余裕のないところの現況において、果してこの問題が円満に水産庁と或いは北海道開発庁との中にうまく取り運べるかどうかという点に一応の杞憂を持つものでありまするが故に、先ほどから私は質問しているのでありますが、なお一応我々としましても愼重に検討いたしましてもう一度時間がありましたち質問さして頂きたいと思います。以上私の質問はこれで打切ります。
  76. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に地方行政委員会の委員吉川君に御質疑を願います。
  77. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先ず私は午前の審議におきまして、河井内閣常任委員会委員長議事進行に関しまして質問いたしました中に申上げました、この法案衆議院における取扱い方、政府の一提出時期、及びそれに衆議院の送付を受けた参議院審議進行がどのように行われるかということが最も重大なる政治的な意味を持つものであり、審議の前提として、そのことに対する国民を納得せしめるところの参議院としての二院制度の擁護の建前から、この明確なる政治的見解が示されことが審議の大前提として最も政治的に重大なものであるということを申したのでありますが、同様の考えの上に立ちまして引続き公聽会の設置のことについても質問いたしまして、委員長からそれぞれ私としては甚だ不満な内容でありましたがともかく御答弁がありまして不満であるという意を表明いたしておきますが、それと同じような趣旨に基きましてこの法案の今日に至る過程といいますか取扱方というようなことについて先ず私は質問いたしたいと思うのでありますが、増田長官国務大臣としての増田大臣、それから昨日我々の地方行政委員会では満場一致の議を経まして自治行政の面において、地方行政の面において重大なる関連性を持つているという立場から、その関係政府委員のそれぞれの答弁を求めまするために、地方行政調査委員会議の代表である政府委員、それから自治庁の代表の政府委員、及び地方財政委員会の代表の政府委員出席答弁を求めるというような意味で、本日この会場への出席を要望いたしておいたのでありますが、その運びになつておるかどうかということを先ず御答弁委員長から一つお願いいたします。
  78. 河井彌八

    ○査委員長河井彌八君) 吉川君にお答えいたします。増田長官は少し前に何か用事がありましてちよつとこの席を出て行きましたので暫らくたつてつてくるというふうのことでありました。そこで今政府側から出席せられていますのは、北海道開発庁次長岡田君、それから地方行政調査委員会議議長神戸正雄君、同じく事務局長大野連治君であります。
  79. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 よろしうございます。その範囲方々において質問いたすことにいたしまして、なお要求いたしておりまする政府委員出席を待ちまして更に後刻質問するとして留保いたしておきます。それで地方行政調査委員会議の代表者でいらつしやる神戸先生が御出席になつておるということでありますから、神戸先生にお伺いいたしたいと思うのでありますが、神戸さんおいでになるのですね……。それでは神戸博士にお伺いいたしますが、あなたの委員長をしていらつしやいまする地方行政調査委員会議におきましては、北海道における地方行政の問題につきまして、来月もう数日に迫つでおりまする六月に、それについての地方行政調査委員会議の勧告書を御発表になる運びになつているということを聞いているのでありますが、その通りでございますかどうかということを先ず御答弁をお願いいたしたいと思います。
  80. 神戸正雄

    政府委員(神戸正雄君) お答え申上げます。行政調査委員会議といたしましてはすでに昨年末に国、地方の間の行政再配分に関する一般的な勧告を提出いたした次第であります。引続きまして残つた問題、そのなかに北海道の行政に関する問題もありまして、爾来実態調査、各方面意見り聽取等をいたしつつありまして、場合によつて現地も一度調べてみたいということで、まだ結論には達しておりませんので、六月報告が出るというように伝えられているかも知れませんがはつきりしたことを申上げることはできませんので、てきるだけ早い機会に解決いたしまして勧告案を提出したいとは存じております。ただ六月というのは少し無理ではないかと思うのであります。なおよくよく調べなければならん問題もありますようですから、恐らく七、八月ごろまでに是非まとめたいと思いますが六月に提出するであろうということは少しむずかしかろうと思います。
  81. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 吉川君にちよつと申添えておきます。地方自治政務次官小野哲君も出席しております。
  82. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それでは重ねて神戸先生にお伺いいたしたいと思いますが、言うまでもなくあなたの御管掌になつております地方行政調査委員会議というものは、その構成につきまして特別の法律が作られたちよつと比類のないところの大規模の地方行政に対する調査の機関であります。それで先にシヤウプ使節団が税制改革の案を出すために日本へ参りまして、国の財政についても又地方の財政につきましてもいろいろと我々に多くの示唆を與えるところの調査報告書を出し、又結論として諸種の勧告をして参りました。その勧告に基きまして、地方財政及び地方税制は行政機構及び行政と不可分なものでありますから、その財政的な面の基本といたしましての日本の地方行政組織全般に対する再検討をするというために設けられた機関であります。最初は政府はその地方行政調査委員会議の委員の顔触れにつきましても大体選定をいたしまして、そうして内定をいたしたんでありまするが、その筋からこういうレベルの人間では駄目である、これは非常に大きな規模を持つた組織でなければならん、即ちこの大戰後設けられたアメリカにおける行政改革のためのフーバー委員会、前大統領であつたフーバー氏を委員長としたフーバー委員会に該当するような権威のあるものでなければならないというので、すつかり政府が内定いたしておりました委員の御破算がありまして、そうして今日神戸先生のごとき第一流の方々が集まられて、そうしてこの審議をやつて頂くことになつたのであります。その地方行政調査委員会議がどうした過程によつてできたかということ、及びそのために特別の法律が作られたこと、及びその委員の以外に日本におけるところの最も権威的な一切のエキスパートを動員いたしまして、そうして数十名の第一流の地方行政の專門家が專門員になりまして、今のような調査を続行いたしておるのであります。その一部といたしまして、北海道地方行政機構、国と北海道、道庁及び市町村との行政区分をどうするかということがその対象にされておるわけなのであります。で、このような動機とこのような機構とこのような目的を持つて設けられたところの最も権威ある大調査機関が、今神戸先生のお答えによりますると、北海道のことを大体来月で結論を出す予定であるけれどもまだ実地調査もしなければならないので少し遅れるかも知れない。こういうようなまあお答えなのでありますが、今そういう権威ある結論を出すための調査が進捗中であるにもかかわらず、それを無視してこの北海道地方行政機構を基本的に破壊する、或いは変革するようなこういう法案政府が出されるということは、地方行政調査委員会議の設置の精神に全く背反した横車を押す暴挙をむしろやられるものとまで私は考えていいじやないかと思うのでありますが、右についての神戸先生の御見解を先ず承りまして、なお引続いて自治庁の代表者の見解及び増田長官にもあとから伺いたいと思いますが、増田君が来られてから又もう一度聞いてもよろしうございます。又聞くつもりでおりますが、誰か代つてそれについて御答弁することができる方がありますならばその人、それから自治庁の誰かおりましたら即ち自治庁と、地方行政調査委員会議の代表者である神戸先生と、それから地方財政委員会委員長の野村さんが留守ですから誰かほかの方、小野さんは自治庁の岡野さんの代表、それから増田大臣の代りの人、それを一つ順次御答弁を願います。
  83. 神戸正雄

    政府委員(神戸正雄君) お答え申上げます。私ども使命は行政の再配分と、これに関連する財政の措置、更に附帶しまして、地方行政制度の問題につきまして能う限りの力を盡しまして勧告案を作成するという任務であると存じておりまする。従いまして、私どもといたしましては、全力を盡して完全に近い勧告案を作成することに全力を捧げている次第でありまして、その勧告案を待たずして只今政府が御計画になりましたことにつきましてはそれをかれこれ言うところの権限はないようでありまする。従いまして私は政府がこの新らしい原案を提出され議会が協賛されて実施になりますれば、それはそれといたしましてそれがどのようにきまりましようとも、私どもとしましては私どもの立場におきましてそれと同じになるか、違つた方向をとるか、それは今からはつきり申上げることもできませんが、いずれ政府の、従いまして国会の御議決になるものと食い違いましても、何らかの我々としての立場からの勧告案は提出したいと、こう存じております。あえてここに政治的に動くということは私どもの立場としては一切しないという態度をとつておることを申上げます。
  84. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の答弁に関連してちよつと聞いてよろしうございますか。
  85. 河井彌八

    委員長河井彌八君) どうぞ。
  86. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 神戸先生の御答弁を承りましたが、それまで先に私が質問いたしました意見に基いて、あなたの御主宰になつていらつしやるところの地方行政調査委員会議の、俗語で申しまするならば顔をつぶしたというようなことを政府がやつているということにつきましては、あなたは遺憾にお思いになつていらつしやるかどうかということを一つお伺いしたいと思います。それで満足していらつしやる、政府の処置はいいとお考えになつていらつしやるか。それでありますると私たちは第三者として見ておりますと、あなたの方の存在を全く無視したような行動に出て行こうという改正案を国会に提出しておるというような感が深いので、そういう私の感に対するあなたのお考えをもう一度一つ答弁を附加えてお願いいたします。
  87. 神戸正雄

    政府委員(神戸正雄君) それはここで御答弁申上げる限りではないと申上げることが一番穏当のお答えだと思います。(笑声)それ以上どうぞお許し願いたいと思います。
  88. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私からもお答えをいたします。御承知のようにシヤウプの勧告が出まして、又地方行政調査委員会議におかれましても種々行政事務の再配分の問題について御検討が行われているということは、私も承知いたしておるわけであります。今回北海道開発法の一部改正法律案提案されるに至つたのでありますが、今朝来増田国務大臣からも説明をいたしておりますように、北海道総合開発計画を立てましてこれが実施を推進して行くということは現下喫緊の要務でもあるわけで、これらの点を考えましてこの法律案考えておりまするようなことも又一つの方法ではないか、かように私どもといたしましては考えておる次第でございます。ただ行政運営の点につきまして総合開発計画を立ててこれを実行して行きます場合において、行政運営の問題としては、できるだけこの間の調整を図ることによりまして円滑な運営が行われることが多分に期待をされているような次第でございます。
  89. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) 開発長官不在でありますから私がお答えいたします。今回の開発法一部改正の趣旨は、増田長官より御説明がありました通り北海道を大いに国策として開発しようということを意図いたしまして、その上で責任を明確にしようという一点に改正の要点の根本は先ず盡きるわけなんであります。で責任を明確化するということは行政委員会の大きな御趣旨にも決して反するものではないと確信をいたし、又この責任を明確化することこそ今後北海道開発を正しく大きくやる前提になるのであると確信いたしている次第でありまして、この点代つて申上げる次第であります。
  90. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 地方財政委員会からは誰か見えておりませんか。
  91. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 吉川君にお答えします。今地方財政委員会委員長及び事務局長に対して出席の要求をしておるので、まだここに見えておりません。
  92. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それでは増田長官及び地方財政委員会答弁は後ほど更に伺うことにいたしまして、今の開発庁の政府委員のかたや或いは小野政務次官の御答弁の中にもありましたように、北海道開発を行う、或いは北海直に対していわゆる総合開発的な手段によつての種々の意味においての経済開発、或いはそれには当然に文化、社会というような面についても考えられて行くだろうと思うのでありますが、いわゆる国土計画の下においての地方計画とでもいいますか、一個のリージヨナル・プラニングだと私は思うのでありますが、こういうことをやつて行くということにつきましては、増田長官がその必要を述べておりまする提案理由説明、その内容については誰も私は今日反対するものはないだろうと思うのであります。又当然にそれは地元の北海道の居住民の諸君も双手を挙げて歓迎することだろうと思うのでありますが、ただこれをやつて行くところのやり方についていろいろ地元の地方自治体と国との間その他のことについての摩擦があるのであつて、それを十分に明確にしたいということが、今日地元においていろいろなこの法案に対する反対の世論が起つておるところの理由であると私は考えておるのであります。そこで地元においては相当に強いところの反対の世論が今日挙がつておるということと照応いたしまして、この法案というものは特殊の地域において実施せられるところの法律の案なのでありますから、これは憲法の第九十五条の規定一つの地方公共団体のみに適用されるところの法律、特別の法律なのでありますから、この憲法規定に基きまして、私はその内容よりして当然に住民投票が憲法上必要なのじやないかと考えるのであります。或いはすでにこの北海道開発法という法律がそういう過程を経ないで国会だけで制定されているというように政府当局はお考えになつておるのかと思います。又恐らくそういう御答弁があるかと思うのでありますが、昨年の五月一日に制定せられました北海道開発法と今度出されておりますこの改正法律案とを照合いたしてみますと、前1のときには非常に大ざつぱな抽象的なことが規定されているだけでありまして、実際上の行政のことについてどういうことをやるのであるかというようなことは、今日出されているところの改正案を通じて初めてその内容が明確になつて来たと思われるのであります。でありまするから先のときには、それほどの居住民の諸君も今日ほど深い関心を持たなかつたのではないかと思うのであります。併しながらさてその内容がこのように明確になつて参りますと、これは昨年に比して初めてこういうことがやられるのであるかというようなことで非常にこの関心が高まつている。で而も長年の歴史を無視して地元の居住民の自治的機能から離れて、殆んど今まで居住民の手でやつて来たことを国が直接的にやるというようなことについて初めてわかつて来たと思うのであります。私はこの改正案の内容からいたしまして、どうしても憲法第九十五条の特別法、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」として憲法解釈上一般投票を必要なりとする見解をとりているのでありますが、右について国務大臣がおられないようでありますから、小野政務次官、なおやはり地方行政の組織に大きな関係があるのでありまするから、もう一度神戸博士、それからその他の政府委員諸君から引続いて御答弁願えるならば御答弁を、小野及び神戸両氏のあとに続いて一つ述べて頂きたいと思います。
  93. 小野哲

    政府委員(小野哲君) それでは先ず私からお答えいたしたいと思います。只今御指摘になりましたこの法律案の制定に当つて憲法第九十五条の規定の適用を必要とするや否や、この問題でございますが、北海道開発法が制定される場合における御審議の際にもさような御意見があつたように記憶いたしておるわけであります。今回の一部改正法律案を見ますると、北海道総合開発計画を立てまして、その出先機関であるところの北海道開発局を作りまして実行に移すと、こういうのが眼目のようであります。従いまして制度上から申しますと北海道という特定の地方公共団体のみに適用のある法律案であるというふうには受けとりにくいと私は考える次第でございます。
  94. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 おかしい。北海道だけの法律ではないのですか、これは。神戸先生の御答弁を願います。
  95. 神戸正雄

    政府委員(神戸正雄君) お答えいたします。只今の御質問一つの御見解ではありましようが、政府当局におきまして先刻小野政務次官の申すような解釈をとつておりますればそれで一つのお答えになると存じます。私どもといたしましては特別の見解を持つておりません。これは政府当局殊に自治庁において十分に研究してお答え申すべきものと存じます。
  96. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 まだほかにいますか。
  97. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) お答えいたします。今回の改正は、国の直轄事業官吏がやつている、その指揮を知事がやつておりますのを離して、官吏の指揮監督を直接国務大臣においてやろう、こういうのが要旨でありまして、初めから自治体の事務でなく国の事務であるわけであります。従つて自治体の権利義務には初めから関係がない、従いまして憲法九十五条の問題にはならない。かような見解を持つておるものでございます。
  98. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 小野政務次官の御答弁にありました総合開発は全国共通のものであつて従つてこの法律北海道だけに適用されるものでないという御答弁がありましたが、私は非常に奇怪に思うのであります。総合開発は横断的に全国的なことは言うまでもないのであります。併しながらこの法律は名からいたしましても北海道開発という名が付いているのでありますが、これを小野政務次官は全く無視した御答弁をしていらつしやると思うのでありますが、いわゆる国土総合開発ということと、その一部としての北海道開発ということをごつちやにしておられるようであります。即ちナシヨナル・プランニングとでも申しましようか、国土計画、その国土計画の一部としてのリージヨナル・プランニングであります。名がここに北海道と出ているのでありますが、この北海道という名はどのように御解釈になるのでありますか。私は明らかに憲法第九十五条によつて一般投票を要する一地域だけの私は特別法であると考えるのでありますが、もう一度小野政務次官から御答弁願います。
  99. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。吉川さんは総合開発計画ということのみに重点をおかれておるようでありますが、今御審議を願つておりますのは北海道総合開発計画の問題でありますので、従つて若し北海道という言葉を私が落しておりましても勿論北海道における総合開発計画の問題を申上げておると、かようにお聞取りを願いたいのであります。従つて北海道開発に関しまして、地方公共団体であるところの北海道にのみ適用があるかどうかという点につきましては、私の考え方といたしましては、これは北海道開発法の際にも申上げたと記憶するのでありますが、直接その地方公共団体の住民その他の権利義務に影響を及ぼすということの点から考えまして、この種法律案につきましては第九十五条の適用は必要はなかろう、こういうふうな考え方を持つておりますことを重ねて申上げておきたいと存じます。
  100. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これは憲法の問題でありますが、全く御答弁は私は間違つているという見解をとつているのでありまするが、これ以上は小野さんには質問いたしませんが、地方財政委員会委員長の野村さんがおいでになりましたから、先ほど質問いたしました事項について御答弁を願いたいと思います。必要があれば簡單に私野村さんを前にしてもう一度言つてもよろしうございますが。
  101. 河井彌八

    委員長河井彌八君) どうぞ。
  102. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 第一は地方行政調査委員会議という大仕掛な、アメリカのフーバー・コンミツシヨンに当る意図を以て作られた地方行政の全面的な改卓を大規模に調査研究するという国家機関が作られておることは野村さんもよく御承知のことと思います。それの主たる目的は、即ち直接都道府県及び市町村間の行政事務の再配分をするということ、丁度今ここに北海道開発法の一部を改正する法律案というものが以府から提出されておるのでありますか、その内容は今即ち北海道と国との行政事務の配分についてどのような配分をするかということにこれが該当する最も具体的な顯著な一つの大きな実例がここに出て来ているのであります。でありますから神戸博士の御答弁によりますと、大体六月に北海道に関するそうした事務再配分に関する結論としての勧告書を出す予定であつたが、実地検証などをする必要があつてここ暫らく遅れると、こうおつしやつているわけです。私たちは折角作つたそういう権威あるところの地方行政調査委員会議の勧告書が出るのを待つてそしてこれを検討するべきである、こういう案を提出するということについてもそれと照応してやるべきであると、このように考えているわけなんですが、その結論が出ないのを無視してこういう法案を出しているということは地方行政調査委員会議の存在を無視した考えで、面目を無視したものではないか、間違つているのではないか。こういうふうに思うわけですが、それについての地方行政調査委員会議は言うまでもなくシヤウプの税制改革の勧告書から出たのでありますが、あなたの委員会にも非常に大きな関係があるわけですからその委員会代表者としての御見解を承りたいということ。それから第二にはこれも今丁度あなたがお入りになつて来たときに質問応答いたしておりました、憲法九十五条の一般投票を要するところの法案であると我々は考えておるわけなんですが、それについてのあなたの御見解この二つを一つ承りたい。
  103. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 只今質問の点について、私折角の御質問でありますがお答えする材料を何にも持つておりません。と申しますのは、行政委員会議の勧告は果していつ行われるものか、又どういう状態にそれが進行しているかということをよく承知しておりません。従つてこの問題が地方行政委員会議においてどういうふうに取扱われるものであるかということを私が申上げる何らの材料もなければ、又判断もできんわけであります。又第二段の憲法の問題についても、私財政委員会としては法律上のそういうむずかしい問題をまだ研究しておりませんし篤と研究いたしたいと思います。ただこの問題につきまして私すべてを打明けて申しますれば、新聞においていろいろ報道せられ論議せられておりますが、果してこれが国会へ出るものかどうか。国会も余日は幾らもないときであるから相当これは愼量に扱われるものじやないかと見ております。財政委員会は地方の財政上の負担になることは国会へ提出せられる前にそれぞれの当局から詮議をされるものと思つておりましたが、今までのところは別に詮議を受けておりません。ただ申上げれば、岡田次長から簡單にこういう状態になつている、併し地方には別段負担をかけるようなことはないというようなお話を極めて簡單に又数日前承わつております。それと同時に又北海道知事さんからこういう問題が起つているのだがやはり北海道にも相当の経常費、臨時費において負担がかかるものだというお話がありました。私どもこの案の内容をよく説明を聞いて、そうして研究して行きたいと思つてつたところであります。それ以上は財政委員会としてははつきり申上げますが何も承知していないような状態であります。従つて或いはお叱りを受けるかも知れませんけれどもまだ何にも研究していないというのが事実であります。どうか御了承を願いたいと思います。
  104. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 野村さんの御答弁を承りましたが、まだ何も調べておらんという御答弁でありまして非常に失望いたしたということを申上げておきます。これはやはり地方行政の財政の面を分担せられるところのあなたの委員会として、殊に重要なるあなたの委員会の職能でありまする平衡交付金の問題とも重大なる関連性があるのでありますから、十分一つ御研究おきを願いたいと思うのであります。で、幸いにあなたの委員会には北海道通でありますところの札幌市長をしておりました上原六郎君も委員になつておるのでありますから、上原六郎君等と十分この法案を中心として御研究を願い、又この連合委員会は明日も開かれるのでありますから、研究の結果を一つひつさげて明日又臨席して御答弁を願いたいと思うのであります。  丁度この機会に特に私はあなたの明識に基くところの御答弁を要求いたしたいと思うのであります。それはあなたは朝日新聞の政治記者を長くしていらつしやいまして、大新聞である朝日新聞の編集局長もされておつた御経歴の方であるように承わつているのであります。これは我々が一番重大なる問題としてこの法案審議の前提として取上げておりまする問題は、こういう重大なるところの内容を盛つたところの法律案を閉会間際に吉田内閣国会に提出いたしまして、衆議院は殆んど十分なるところの審議をしておらん、又その時間もないのであります。当然に開くべきところの公聽会等も開かないでそうして與党の絶対過半数の威力を背景にこれを押通して来まして、そうして参議院に廻して来たんであります。ところが專らこのために五日の会期延長が行われたのでありますけれども、当然にこれは公聽会も開くべき問題であり、又いろいろな方面から審議するためにはとても五日くらいのタイムで以て審議を盡せるものではないのであります。つまらないところの法案に随分長い間その無駄な質問応答を繰返したり調査をしたりしまして、政府が本当に通したいと思つている政治的な意図がありますと、わざとこういう法律案をば自党の、與党の多数の威力を背景に会期の閉会間際に国会に出しまして、そうして十分な審議が盡し得ない間にこれを押通してしまうというところの手段は、これはいろいろな会議的な会議を備えている団体におきまして、理事者側がしばしばやりまする最も卑劣なるところのこれは旧式の政治手段なんです。それと同じことを、自由党の絶対過半数を以て国会審議権を無視したこういうことをやろうとしているのに対して、このときこそ参議院がその職能を発揮すべきときと私たち考えておるのであります。でありまするから我々は十分なる審議盡すために、徒らに政府の意を迎えて與党振りを発揮するようなことなく、自由党諸君も、自由党以外の公正な立場に立たれるところの緑風会やその他の会派の人々も十分この際参議院使命ここにありという精神に基いて、こんな迂闊な審議を短時日の間にして結論を出すというようなことをしないで、公聽会の必要があるのであるなら公聽会をやり、そうして審議未了になつたところで、何にもこれは焦眉の急を要するところのそれほどの緊急の法律でもないのでありますから、この次の国会ならこの次の国会で十分審議したらいい。ただそれについてのそういう政府の絶対過半数を頼むところの、国会審議権を無視したフアツシヨ的なやり方というものが、非常にこれは政治批判の国民の対象にならなければならんという意味で私はたびたびこれを申し、先ほど来これを大きく取上げているのでありますが、あなたの朝日新聞の編集局長をしておられた数十年の政治批判家としての立場を背景として、そうして必ずしもあなたの立場というものは、政府執行機関でありますけれども直系的な執行機関ではないのでありますから、あなたはアメリカへ先般来おいでになりまして三権分立以外の第四権である極めてフリーなコミツシヨンの委員長をしていらつしやるのでありますから、そういうフリーな立場で私が以上申上げましたことについてあなたの御見解をこの際披瀝して頂きたい。
  105. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 私は不省でありますが私には私の意見があります。併しここで私が私の意見を申上げることは委員会の性質から申上げまして、委員会は会議制でありまして、まだ先ほども申上げた通り委員会としては何らこの問題について意見を定めておりません。(「衆議院は通つたのですぞ、この法案は」と呼ぶ者あり)従つて私はここで私自身の意見を申上げることを遠慮さして頂きたいと思います。その点あしからず御了承を願います。(「了解しない」と呼ぶ者あり)
  106. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 なお質問事項は地方行政委員会の立場からも非常にたくさんあるのでありますが、国務大臣その他政府委員の顔もそろわないようでありますからその出席を待ちまして、後刻再質問いたすことを御了承を得まして、他の同僚の方々に暫らく質問を私の代り、代りというと甚だ失礼ですが、私はこれで一応休んでおきますからどうぞ。
  107. 三輪貞治

    三輪貞治君 今のに関連して、先刻の吉川委員の御質問に対する小野政務次官の御答弁誠に私了解に苦しむのでございます。即ち憲法第九十五条の「一の地方公共団体のみに適用される特別法」云々というのでありまするが、小野政務次官の御答弁を聞いておりますると、この法律によつて影響するところは北海道道民には直接の経費の負担もないし、又当然国の直轄の事業であつたものをその機関開発庁がやるのであつて何らこれは関係がないのだ、だから一つの地方公共団体のみに適用される特別法とは見られない、というような御解釈であつたようです。ところがこの第九十五条の一つの地方公共団体のみに適用されるというこの言葉はそういう利害関係があるとか、その地方団体の住民が直接負担するとかそういうことは判断の対象になつていないと思う。ただ一つの地方公共団体のみに適用されるのかどうか、北海道のみに適用されるかどうか、この北海道開発法の一部改正法律北海道以外の青森にも九州にも四国にも適用されかどうか、日本全国に対して適用されるかどうかということ、そうでなかつたならば明らかに一つの地方公共団体のみに適用される法律であつて、私はそういう解釈をして住民投票を行うことは何ら違法でない、当然のことである。その当然のことを曲げて解釈してそのように住民投票を避けんとする御意思はわからない。もう一回、その点を御答弁を願いたいと思います。
  108. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。先ほど吉川さんからも御質問があり、只今も御質問があつたわけでありまするが、私に対する見解をお求めになりました点で私から私の見解を申上げた次第で、更に私としては追加する必要はなかろうかと考えます。
  109. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に相馬君の御質疑を願います。
  110. 相馬助治

    ○相馬助治君 増田大臣がいられないので私は具体的なことについてこの際質問をしておきまして、基本的な問題については後ほど増田大臣に対して質疑を行いたいと思います。先ず第一に、こういう開発という言葉やその内容から考えて、これは当然後進地域に対する国家の投資であります。従つてこれは基本的な問題として現場から歓迎こそ受けるとも反対される筋合でないはずであります。ところが現に政府案に対しまして現地側から強い反対の声が上つておりますと共に、新聞その地に現われている世論から見ましても、これに対して反対の空気の強いことは政府側においてもよく了承していると思うのです。従つて現地側から強く反対されるその一つのポイントとして、この第十二条に示しておりまするところの事業担当の区分についてこれは妥当性を欠いているからであると私は思いまするが、この政府案中の事業担当の区分について改めて御見解を承わつておきたいと思います。  それから次は、小野政務次官に対してお尋ねします。こういう法律案が今後陸続としてこれに類似したものが出るということを一応予想いたしました場合に、これは極めて問題は重要であろうと思います。第一法体系の上からもこれはおかしなことでありまするし、地方自治の振興という線を日本の民主化のためにとりつつありまするところの今のコースにも逆行するものであろうと存じます。従いまして地方自治庁の責任者としてこの法律案に対して小野政務次官はいささかも矛盾を感じていないかどうか。当然感じていると思いまするがいるとするならば、それはどういう点に矛盾を感じているか、これらの点について承わつておきたいと思います。
  111. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) お答え申上げます。二十六年度の北海道開発庁の予算に計上いたしました金額は直轄事業の経費が五十九億、道庁及び道の市町村に入れまする補助金が二十九億、合計八十八億でありまするが、このうちこの補助金は現状のまま何ら手を触れないのであります。直轄事業の分のみを開発局で扱うことになるわけでありまして、この区分は二十六年度の予算に従つて直轄と補助と分けた次第でございます。
  112. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。只今相馬さんからいろいろの御意見がございましたが、御尤もなことだと私は考えます。北海道開発に関しまして今回この法律案が意図いたしておりまする点につきしても種々検討を加えて参つたのでありますが、北海道開発計画の策定並びにこれが実施の精神につきましては、この法律案の目途とするところの方法も又考え得るのではないか、併しながら実際行政運営に当りましては、この間において適切な調整を図つて行くことが極めて望ましい。かような見解を持つているわけでございまして、地方自治庁といたしましては、今後この種の問題につきましても十分に愼重な取扱をして参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  113. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今政府委員答弁で予算の面から区分を大体示されたようでありまするが、重ねてお尋ねしますが、公共事業費の支弁にかかる国の直轄の事業農林省運輸省及び建設省の所管しているものと、こういうことがこの法文に現われておりますが、具体的にはこれは何を指しているのですか。
  114. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) 申上げます。開発庁におきましては北海道開発公共事業費を一応総括的に計上いたしまして、然るのち建設省扱いの分は建設省に予算の移しを替えをする、農林省扱いの分は、農林省移し替えする。こういうように一旦開発庁に総合的に計上いたしますが、予算の移し替えをいたしておるのであります。それで建設省に予算の移し替えいたしましたものに関しては、建設大臣のみが開発局長を指揮監督する、農林省移し替えいたしましたもののうち、直轄事業については農林大臣のみが開発局長を指揮監督する、こういうふうな事柄でありまして、分け方はそれぞれ建設省農林省等の規則に従いまして分けておる次第でございます。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 この直轄事業という言葉が、具体的には実際に開発法を施行して行く場合にはどういう内容を持つのであるかということがやはり私には明快にならないのです。従つて補助的な意味で私は教えておいて頂きたいと存じます。それは直轄工事というのがございますね、道路であるとか、河川であるとか、それとここでいう直轄事業というのは、これはどこが違うのですか。
  116. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) お答えいたします。要するに、直轄事業と観念いたしておりますものは国の予算で国がこれを執行するもの、これを直轄事業と観念いたしておりまして、直轄工事、直轄事業と二色あるにいたしましても、これは同じものと観念いたしておる次第でございます。
  117. 相馬助治

    ○相馬助治君 直轄事業と、直轄工事とが同じものであるとあなたはおつしやつた、私はだからこれは問題だと言うのです。大体そうしますというと、今まで農林省であるとか、運輸省であるとか、建設省がやつていたこの直轄工事のヴオリウムが大きいから、そこでこの開発法の一部を改正してこういうことにやるのである、こういう解釈が成り立つわけなんです。いわゆる北海道という特殊な地域、北海道の持つ国内的な重要な意味云々というようなことで、本法案提案したとは言つておるけれども、実際の話は先ほど来必要といたしておりまするこの直轄工事のヴオリウムが大きいから、そこでこれを一つに集めて便宜上やるのである、これが本法案提案の主なる目的である、こういうふうにこれは私が認識して差支えございませんか。
  118. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) さようでございません。根本は責任の工事、現業の責任を明らかにするというのが根本の趣旨でございます。それで只今申しました北海道に投じます国費の直轄事業の五十九億と、大体北海道内の市町村に補助いたします金額二十九億というものは、二十六年度の予算で確定いたしておりまして、これは建設省農林省移し替えるのでありますけれども、この金額を増減、或いは河川の事業費を砂防に廻すとかということもこれはしてはならない、きちんときまつた経費になつているのでありまして、この点は予算が多いから、まとまつたからという趣旨でなく、專ら今回のは責任の所在を明らかにしよう、こういう趣旨と御了解を願いたいのでございます。
  119. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると、責任の所在を明らかにして北海道開発して日本の振興に寄與する、こういうふうに把握してよろしいわけですね。
  120. 岡田包義

    政府委員(岡田包義君) 大臣の御説明にも当初ありました通りでありまして、北海道開発は今後大いに国策としてやらなければならない、又政府としてはやる決心である。然らば事業のプランより実行に至るまで一貫いたしまして、政府名実とも責任が負える体制に至らなければならない、又これが当然である。さようなこのプランより実行に至りますまで全責任を負うてこそこの雄大なる北海道開発の国策が遂行もでき、国会に対しても又御協賛を願う方途になるのである、かような見地でございます。
  121. 相馬助治

    ○相馬助治君 当面の趣旨はよくわかりました。そこでお尋ねしたいのですが、今度は増田大臣にお尋ねいたしますが、本法が責任の所在を明らかにして北海道開発を有効にし、そうして国策として日本の発展に寄與せしめるようにするのである、こういうことになりますと、これはこの答えそのものにはいささかも矛盾がないのですが、裏をひつくり返しまするというと、今の知事なんかではこれはうまいわけに参らん、そういういわゆる地方自治否定の精神がちらちらしていることは、やはり皮肉でも何でもなくて否めないと思うのです。従つてこれらに対しての御見解をくどいようですが承わつておきたいことが一点と。もう一つ、こういう国が公共事業費を投じて種々なる工事をやるという場合にこれを能率的にやらしめなければならない、そういうことはわかります。そういたしますと、それと同じような建前をとつて政府では例えば四国開発法案というようなものでも予定しておつて、先ず四国も同じような立場から開発するというような考え方でもございますか、いわゆる北海道開発法の一部を改正して、こういうことの仕組にするというのは一つのテストとしてやるのであつて、逐次こういうようにやつて行くという肚でもあるのですか。誠におかしなことを尋ねておるようでありまするけれども、この点が明らかでないと私は次に聞いて参ることがぼやけるので念のために承わつておきたいと存じます。
  122. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 相馬さんにお答えを申上げます。国が直轄事業として現に行なつている部分を、開発局という国の出先機関作つてこれが執行に当らしめよう、ざつと申しますとこれだけのことでございます。そこで、そうするならば、即ち執行について皆さまが北海道開発予算を議決されますまで、開発予算は予算説明がございまして、例えば港湾につきましてもこういうふうな計画の下に小樽港を建設するのである、そこで皆さまの御了承を得てそうして予算は議決されます。即ち国会の意向を反映して小樽港を建設するわけでございまするが、小樽港の建設なら、建設という執行関係で、地方自治団体執行機関の長である知事がやつている、これが過去四年間の実際の状況でございます。そうすると中央政府は執行について責任があるのやら、ないのやら、指揮監督ができるのやらできないのやら、又知事が一体どの範囲まで国の直轄事業の執行の指揮監督をするのやらよくわからないのであります。はつきりわかつている点は只今の法規は実に不明瞭な法規でありまして、はつきりわかつている点はこれら国の直轄事業を執行する公務員は国家公務員であるということ、総理府の官吏であるということ、従つてどもがこの官吏の任免なり、俸給の上げ下げをすることだけのことはわかつております。併しながら地方自治団体執行機関の首長である知事も或る程度執行についての指揮監督をするらしいのでございまして、法規は極めて簡單でございまして非常に不明瞭であるということをまず以て御了承願いたいのであります。併して行政については憲法内閣国務大臣は連帯して行政の執行について国会に対して責任を負う、こう書いてございまするが、執行自体しているのやらしていないのやらわからない。そこでやり方が悪くても私どもが皆様に対して答弁責任があるのやらわからない。その行政は純然たる国の行政であります。そこでこれはあの地方自治を担当する田中敏文君の信任、不信任という問題ではないのであります。田中敏文君は有能達識の士である。でございますからあの御支持を道民諸君から受けたものと私は考えております。ただ問題は地方自治をやつているところのその執行機関の首長である知事に国の行政の執行について委せてよろしいかどうか。従来は相馬さん御承知のごとく、国の機関を、北海道庁長官が国の直轄事業をやつてつたのであります。北海道庁長官という言葉が、例えば内地は県知事という言葉でありました、公選知事の前でも。この言葉の区別によつても明瞭なんでございます。実に厖大な権限を與えられておつたのでありまして、長官の仕事は殆んど官治行政、国の行政が殆んどであつたのであります。例えば私が北海道庁長官に赴任した際地方自治団体である北海道の費用というものは三億五千万円ばかりでございました。然るに、これは昭和二十一年のことでございまするが、国の費用はどれくらいあるか、北海道全体が三億五千万円のときに十二億であつたのであります。これが即ちいわゆる北海道拓植費でございましてこの予算面から見ましても、事業分量から見ましても、北海道庁長官の仕事は国政の方が多いのであります。いわゆる普通に八割、二割といつております。この二割の地方自治事務を担当するところの知事が国政八割を担当して一体責任の所在が明瞭になるかどうか、甚だ私は大なる疑問を当時から実は持つておりました。大体北海道庁長官という資格が国の厖大な機関である。併して国政の大部分を北海道という国の行政区域において行なつてつた。これを地方自治を作るときに、漫然自治事務をやるに過ぎない執行機関の首長に或る程度委せたことが、本来我々の勉強が足りなかつた、こういうふうに考えざるを得ないのであります。私どもは決して道知事の信任、不信任という問題ではございません。例えば北海道庁長官というのは国の機関で、いつも国民の総意を反映するところの国会へ出ましてそうして答弁責任を皆様に対して持つてつた、必ず政府委員をいたしておつたものであります。又一年のうち半年は東京におつた。例えば朝鮮総督や台湾総督は殆んど半年、或いはそれ以上東京におつたことを私は記憶しておりまするが、これというのも国の事務が多いものでございますから、政府なり国会に触接する体制において国の行政事務を司らなくてはいかん、従つて東京におつた、こういうわけであります。予算獲得のためばかりではございません。常時議会出席いたしまして国の行政の執行について皆さんの御質問にお答えする、或いは信任、不信任を問われる、こういう体制にあつたのであります。公選知事になりまして政府委員というようなこともこれは法律上許されることではございませんし、ただ参考人として呼ばれるというようなことはこれはもとよりでございまするが、それで行政の執行について国権の最高機関である皆さんに答弁責任を果し得るかどうか、甚だ疑問であることは相馬さんも御肯定下さると思います。然るところ終戰後も戰争前の……、北海道長官という資格でこの国の行政が八割あつたのであります。兼ねて地方自治事務をやつてつたのであります。而も御承知のごとく北海道というのは自治団体になつたのは極く最近であります。昔は国の行政区域に過ぎない。府県は早くから自治団体でございましたが、北海道は国の行政区域、道庁長官というのは全くこれは政府一つ機関である。そこで市町村といえども北海道は任命市町村があつた。まあこういうくらいでございまして、地方自治法で漫然公選知事地方自治事務を担当するに過ぎない、この公選知事に委ねたということは勉強が足りなかつたと今更反省する次第でございます。我我は二十三年に政局を再び担当するや否やこの疑問はかねてから持つておりましたから、二十四年に直ちに北海道開発審議会というものを政府に設けましてその開発審議会が一年間勉強して下さいました結果、北海道総合開発機構はこれを再検討し直し、整備拡充することがより急務である、こういうような答申も出たわけでございます。そこで内地と北海道とは実は今度は変らないのであります。従来が内地よりまあ変つたのであります。この昭和二十二年四月から今日までが変つてつたのであります。むしろ二十二年三月以前は国の行政機構的の色彩が内地諸府県よりも強かつたんです。ところが二十二年四月以降は、今度はあべこべになりまして、内地諸府県よりは国の行政機構というものがまるきり色彩がどつかへぼやけてしまつた。即ち必要性から見ますと、戰争以前よりも戰争後は四つの島に限局されて我々は生活せざるを得ないのでございますから、そこで北海道の未開発資源を国の総力を挙げて開発しなかつたならば八千万同胞の要請に応え得ない。これはむしろ府県よりも従来から国の行政機構的な色彩が強い所であるからそれを倍加し三倍加しなければならないのに、あべこべに内地の府県よりも地方自治側に委せていた、今後は国が総力を挙げて執行に至るまで責任を負わなければならない、むしろ国がこの島を整備すべきときにまるきりあべこべになつてしまつた。プラスを大いに加えて行かなければならんときに内地に比べてマイナスの方に帰つて来た。そこで皆さんは北海道の国の行政の執行について文句を言おうとおつしやつても、国権の機関の中では最高の機関である皆さんが執行についてそれを督励遊ばそうといたしましても、参考人を招致する、参考に聞きますがというようなことでお聞きになるに過ぎない。こういうような体制になつたというのも国の機関ではなくなつたからでございます。  そこで我々は然らば内地と比べて特に国の行政機構は昔以上に強くするのか、絶対に強くするのではございません、内地並でございます。でありますから例えば高知県等四国の開発等について新らしくTVAというようなものを作る意思があるかということをこの北海道開発法に関連して御質問でございますが、御質問の趣旨は御尤もでございますけれども只今のところ北海道開発法改正というものは大体内地並にするだけであります。即ち前は内地よりももつと強い色彩だつた。国の行政機構的色彩が強かつた、今度は内地並にするだけであります。どういうことかと申しますと、例えば東北の国道の建設、直轄河川の改修のために東北地方建設局があります、これは河川や国道の改修建設という直轄事業をやつている役所であります。それから東北には港湾建設事務所というものがありまして或いは塩釜或いは小名浜というような所で重要港湾の建設をしております。福島県がやるわけでもなし宮城県がやるわけでもありません。運輸省が港湾建設事務所を作つて直接運輸大臣が監督してやつております。こういうようなものを北海道に作ろうと、これだけでございます。即ち小樽とか或いは函館というような港は小名浜や塩釜よりは遥かに大きい港であります。御承知のようにそれから土地改良にいたしましても、福島県に矢吹原の国営開墾といつたような厖大なる開墾事業農林省直轄事業として矢吹原開墾事業事務所を作つてつております。この開墾事務の上の役所は何かというと仙台にある東北農地局であります。然るに北海道の直営開墾と土地改良は、内地の例えば矢吹原は我々がびつくりするくらいの大きい開墾事業でありまするが、それと比較することが気の毒なくらい大規模な事業であります。まるきり金額においても事業分量においても比較にならんほど大きい。そこで北海道農地局といつたような性格のものを作つてこれら直轄事業をやろうというわけであります。従来は国の機関である北海道長官、人によつては実際上の総督だと言つておりましたが、この北海道長官、国の出先機関にやらしておつた。そこで今度若し内地なみにするならば農地局、港湾建設事務所、地方建設局という三つの役所を作るのが当然ということになります。そこで一時は実は北海道農地局、北海道港湾建設事務所、北海道地方建設局、こういうものを作ろうかという議もあつたのであります。これは閣僚の間においてもそういう議はありました。それが一番責任に対する対象を明確にするゆえんである、こういう議もありましたが、併し我々はこれらの三つの仕事は相互関連が深い、併しながら性質においては直轄事業という意味において同じ直轄事業である一つの役所を作つて、従来総理府の役人がやつてつたのでありますから、同じ役人に相互密接不離の連絡の下に調和ある関係において開発をしてこそいわゆる総合開発である。内地ならば三つの役所を作るところをそれでは役所をあまり、行政機構を簡素化というときにまずいし、又総合開発の妙味という見地からもこれはまずいし、今の性質から申すと三つあります農地局、建設事務所、地方建設局これを合せて一つにして北海道開発局と名を付けた次第であります。  将来或いはどういう性質に変るかも知れませんが、我々が現在考えておるところは国の直轄事業をやらせよう、これだけであります。地方自治の侵犯でも何でもないわけであります。殊に事業分量からお考え願いたいのでありまするが例えば道路であります、道路では私一生懸命予算の獲得に盡力いたしましたが、微力でありまして去年は五十億円、今年はその三割二分増の六十七億であります。公共事業全体から見れば御承知のごとく一割殖えただけでありまして、三割二分殖えても率はよろしいのでございますが、その六十七億五千万のうち十六億は北海道に使います。事務費等を除きまして大体において五十億が内地、東京都及び二府四十二県、即ち四十五都府県で五十億を使う。でありまするから一府県平均一億一千万円でありまして、非常に妙なコントラストでございまするが、岩手県の約四倍半が北海道であります。その岩手県は九千万円くらいしか使つておりません。その九千万のうち補助事業直轄事業がある、その直轄事業と国道建設という仕事が東北全体では一億までは行つていないのであります。又中国、四国全部の直轄公共事業を担当する意味におきまして広島地方建設局という役所があります。その広島の地方建設局でやつておるところの直轄の建設省関係直轄事業費の合計とそれから東北六県、即ち十五県の国の直轄事業費の合計は北海道で使うところの約十四億の直轄事業費の何分の一ということであります。十五県が直轄事業をやつておりますが、その合計が北海道の何分の一。こういうような厖大なる国の事業が適切妥当に執行されるためには、是非地方建設局が必要であるという意味なのであります。仙台にも広島にも地方建設局が置かれている、この四億か五億しか執行するに過ぎない所ですら地方建設局が置かれて国道を立派に建設しようというのであります。これを以て見ましても私はいつも言うておるのでございますが、本年度の予算の特色は歳入は減税の七百四十三億であります、歳出は北海道開発費の七十五億でございます。北海道選出の北海道議員各位が一生懸命私に御協力下さいましてその結果八〇%増、而もこの北海道開発というものは全体の公共事業費の枠の中にあるのであります。全体の公共事業費は御承知通り一割殖えただけであります。併し北海道開発は八〇%殖えております。この八〇%殖えたということによつてもおわかりの通り而も皆様が議決して下さつたのであります。歳出方面の本年度の予算の特色は北海道開発費であります。これだけ費用が殖えたのはどういうわけか。内地のかた、北海道のかた、ひつくるめて申上げますが、即ち国力を上げて北海道開発をしよう、国の仕事としてやるのだ、こういう意思表示であると私どもは信じて疑いません。果して然らば我々は計画を立てるだけであつて、ほかの小額の執行ですら国の事業、国の機関が執行して国会責任を負い得る態勢においてやるのは当り前ではないか、こういう御趣旨の下に広島にも、或いは仙台にも国の出先機関ができて、而も担当事務は地方自治事務でも何でもない国の直轄事業を担当するのである。北海道にも開発局を作りまして、中国、四国並びに仙台の地方建設局の何倍というような直轄事業をやつておる。国道につきましてだけ論じましてもこの直轄事業に担当させよう、こういうのでございまして、地方自治事務とは何ら関係がないということをどうぞ御了承願いたいと思います。  ただ併しながら地方自治事務として知事さんが公共事業をされております。その知事担当にかかる地方自治事務たる公共事業費もなかなか道の負担を以てしては完全に遂行できません。そこで我々は大いに補助費を出します。内地の諸府県に対する補助とはまるきり率が違つてよろしいのであります。これらの補助費は公共団体に支出いたしましてそうして公共団体担当にかかる自治事務であるところの公共事業を立派にやつてもらう、こういうことを開発長官として考えております。従来やつて参りましたし、又本年度の補助費のごときは飛躍的に増加されております。これらの補助事業によるいわゆる地方自治団体の自治事務である公共事業と今回開発局の所管せんとする公共事業とはまるきり性質が違う、要するに内地並になる。但したくさん役所を作るだけでは非能率になるし、相互連絡がとれないから一つの看板で開発局という名前で能率を上げて行こう、こういう趣旨であります。
  123. 相馬助治

    ○相馬助治君 長時間に亘つて縷々御説明でありましたが、その前半の方を要約いたしますと、今度提案したこの法律案はとうに出すべき法案であつたのに研究中であつたために遅れた、いわば地方自治法が施行されて第一回の知事が選ばれた直後、或いは直前にこういう法律案を本来ならば考えなければならなかつたのである、こういう意味答弁であると了解したのであります。ただ私どもが今日遺憾といたしまするのは、不幸にして第二回の民選知事の公選が終つた直後、我々の側からいたしますると突如として、あまりにも突如として本法案提案されたというこのことによつて、これは政治的含みがあるのではないかと一応考えられることも、その責任の一半は政府にある、こういうふうに思うのであります。今私はそれをせめようとするのではない。でありまするが、この四カ年間に亘つて知事の下において管轄されて来た経験に照してどういう支障があつたか。そのうちの極めて顯著なるものだけでもよろしいから一、二点御指摘頂くなり、或いは調査資料を以て我我に配るなりして頂きたいと思うのであります。それともう一つ先ほども私ちよつと申したのでありまするが、開発というのは要するに後進地域に対する国の投資であります。いわば内地の金を北海道の地区へ持つてつてたくさんに與えることであります。当然北海道現地からは双手を挙げて歓迎され、知事を初めとして感謝のための挨拶に本議会に駈けつけるということが当然でなければならん。ところが政府案に対して現地側は極めて詳細なる資料をも添えて根強く反対されております。そこで私は政府側に尋ねたいのは、本法案を用意するときに現地知事意見を聽取されたかどうか、されたとするならばその意見はどんなものであつたであろうかという点を先ず第一点として承わつておきたいと思うのであります。それからこの反対を受ける一つのポイントとして、先ほど政府委員質問はしたのでありまするが、改めて大臣に尋ねて念を入れておきたいと思いますのは、第十二条にありまするところの公共事業費の支弁にかかる国の直轄事業という、この内容の点についての具体的なる例示が明確にされていないところにあろうと思うのでありまするが、これらについての見解を承わつておきたいと、こう思います。  それから第三点は、仮に本法案が成立いたした場合を予想いたしまして、「その場合において政府はしばしば行政簡素化ということを言つております。そして又この公務員の数を成るべく減らすということが基本方針であると自由党吉田内閣はしばしば声明されておりますし、これは国民の歓迎するところであろうと思うのであります。ところが具体的な問題といたしまして、今まで北海道において国の事業とそれから道自身の事業との面において、国家公務員が地方公務員の仕事をも兼ねてやつていた。逆に地方公務員であつた者が国家公務員の仕事をも兼ねてやつていた。結果から申しますと同一の人間が二つの働きをも兼ねて而もスムースに行つていた。こういうことを考えますると本法案が成立いたしますれば相当数の人間を殖やさなければならない。大体殖やす方向として国自身も殖やさなくてはならないであろうし、もう一つは道自身が殖やさなくてはならないであろう。いわゆる当然道が担当しなければならない、担任官を置かなくちやならないところに国の費用をもらつている担当官がいてこれを兼攝していたという場合がたくさんあると聞いておりますが、そういたしますと道自身が今度はたくさん人を新たにかかえなければならない。こういう問題に対しまして、行政の簡素化を常に唱えつありまする吉田内閣におきましては、本法案提案に当つて如何なる御見解を持たれるか。且つ北海道自身が新たなる要員を必要といたしまする場合においては、平衡交付金或いはその他の方法によつて何らかの考慮がされるのであるかどうか、これが第三点としてお尋ねしたい点であります。  最後に一つお尋ねしたいことは、只今こうしてこの法律案がここで問題となつておりまして、これが実際に施行される場合を考えてみまするというと、地理的に見た北海道特殊性からいたしまして、本年一ぱいは機構いじりをやるのにやつとであろうと思います。そのうちに霜が降り、雪が降り、あられが降るというような工合で、いわば本年の事業というものが実質的には中断されるような運命というものが私には懸念されるのでありまするが、本法案が成立した場合におきまして、増田国務大臣といたしましては、これが実行上に当つて十分の御自信ありとは思いまするが念のために承わつておきたいと存じます。
  124. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は昭和二十二年の四月施行にかかる地方自治法は、先ほども申しました通り、漫然地方自治事務を担当する公選知事に対して従来から北海道の事務分量、予算等から見まして、その地方自治事務の数倍であるところの国政事務を委ねておつたということを認めておる点は今日も同じであります。然らば相馬さんの御指摘のごとく、すぐ改正すべきではないか、これも御尤もな御質問でございます。併しながら私どもはそのときはすでに実は野党でございました。そこで時の政府に対しましても北海道の行政機構を検討して欲しいという要望を私もいたしましたが、結局検討されたかどうか知りませんが実は結びませんでした。そこで二十三年の十月には我々は再び政局を担当いたした次第でありますが、私はそのときすでに北海道総合開発機構の設置の急務なる旨を力説いたしました。少し遅れましたけれども二十四年の三月の閣議決定を見たのであります。選挙直後閣議決定を見ました。そうして四月に政府の部内に北海道総合開発審議会というものを設けました。それから内地と北海道全部を含む国土総合開発審議会というものも政府部内に設けたのであります。そのとき論者或いは曰く、国土総合開発審議会があるからして北海道はその部会にしたらよろしい、こういうようなことを言う論者もございましたが、私は断固として反対しました。というのは予算面から見ましても歳出の方面の特色は北海道開発費であるというくらいに我々は力を入れております。その力を入れたのが具現化をこれは本年の予算の上においていたしておるのは、相馬さん御承知通りであります。そこで並列して置くべきである。国土総合開発審議会は北海道も包含するからよろしいという議論には賛成できかねる。北海道重要性というものは、他の開発程度の進んでおるところの三つの島と比較すべくもない、是非とも国が総力を挙げて国家的事業として北海道開発をしなくてはならないから、行政機構なり或いは開発をどういうふうにしたらよろしいかということを研究するところの開発審議会は、別個にこれを設置すべきであるという私の提唱が結局閣僚に容れられまして、昭和二十四年の三月の閣議決定を見ました。そこで国土総合開発審議会と並んで北海道総合開発審議会が設けられました。この審議会は一年間勉強して下さいまして、結局北海道総合開発のためには強力なる行政機関を整備拡充すべしという答申が政府に対して行われたのであります。これは本当は執行に至るまでやれという答申であつたのであります。併しながら私が微力にいたしまして、執行の方面までを規定内容とする北海道開発法提案ができませんでした。当時といたしましては私は涙を呑んで北海道総合開発計画の樹立並びに各省大臣に対して推進を図る機関として、北海道開発庁を設置するという内容を包含した北海道開発法提案し、皆様の議決を賜わつた次第であります。併し私は当時としてはあの程度でございましたが、私の乏しい経験からも、又北海道開発審議会の答申から見ましてもこれを以ては満足できない。もう当時すでに開発法を作るときに大分議があつたのであります。これは問題になつたのであります。去年の二月、三月の頃であります。併しながらあの程度で各省との関係もあり妥協せざるを得なかつた次第であります。併し繰返して申上げまするが、爾来どうしても北海道総合開発機構は整備拡充すべしという、あの答申の方向に向つて努力する必要がある。この私の信念は変らなかつた次第でありまして、去年の六月一日開発庁が設置されるや否やそのことを結局議題にして更に研究を続けて参つた次第でありまして、いつもこの議は開発庁においては、或いは内閣法律に基いて設けられておりまするところの北海道開発審議会においては議題になつてつた次第でございます。そこで大分時期は遅れましたけれども今回提案の運びになりましたが、選挙の前においてもすでにこのことは議題となつてつたのでありまして、私は公選知事となるべき人に対しましても、又田中君等はすでにこの問題が問題になつておるということは、これは北海道庁にある総理府の役人等からも出た問題でありますしよく御存じである。かたがた私は相当の範囲方々に対しまして、いずれ最も近い将来において国の北海道開発機構はあの総合開発審議会の答申に従つて整備充実するつもりであるということは、開発長官として公式宣言を申上げておる次第でございました。どうか時期の問題はこれで御了承を得たいと思つております。  それから更に道知事意見を聞いたかどうか。これは元来道知事にどの程度委任したかどうも法律が不明瞭でわかりませんが、或る程度地方技官地方事務官につまり国の官吏の指揮監督を委任してあることだけは認めざるを得ないのであります。そこで委任した仕事を御苦労様でございますと言つて取る分には、つまり肩の荷物を軽くしてあげるのですからこれはいやだということをおつしやることはない、こういうことを私は信じて疑いません。  更に道会の方向はどうか。道会の方向につきましては実は電報が参つておりまして、道に民主党、自由党の道会議員、並びに無所属でもそれらの系統の道会議員諸君合せて六十名でございますが、九十三名のうちでございますが、いずれもこれらのいわゆる三派は賛成である、決議をしてはおりません。これは事実を申上げなくてはなりませんから申上げまするが、決議をした事実はございませんが、賛成である旨の電報が参つておる次第でございます。  それから平衡交付金の問題について御質問一応御尤もでございまするからお答え申上げます。今、事業にいたしましても、或いは人員にいたしましても、截然として区別されて行われている次第でございまして、特にこれがために自治事務の費用が殖えるということはあり得ない次第でございます。そういうことはあり得ませんから平衡交付金という問題は起きないのでございます。但し建物等は、昨日も内閣委員会において申上げましたが、普通の府県庁の建物は府県という自治団体の所有物であります。ところが北海道庁の建物では昭和二十二年四月まで、北海道開拓使から始まつて昭和二十二年四月まで強力なる、内地とは比較にならんくらいな国の出先機関が国の行政をやつてつたということは相馬さん御承知通りでありまして、国費で作つた建物でございます。道庁の建物は国費の建物であるし国の営造物でございます。普通の府県庁の建物は府県公共団体の自治的の財産であります。こつちは国の営造物であります。又府県には土木出張所というものがありまして建物がございまするが、これは府県の建物であることは言うまでもないことでございまするが、北海道には例えば帯広土木現業所というようなものがございまするが、この現業所の建物はこれはすべて国の営造物でございます。そこでこの国の営造物の中に自治団体の仕事をするところの知事さん以下の役職員が借りて住んでいらつしやる、こういう形でございます。土木現業所についても又然りであります。そこでこの体制を急変したならば恐らく新らしく役所を作らなければなりません。私どもは公選知事になりましても道の知事のいる所はいわゆる赤煉瓦である、あの国の営造物の厖大なる建物は赤煉瓦という、あの建物に対する道民諸君の親愛なる感じをむやみに奪うべきではない。そこでこれらの営造物は国の営造物であつて府県庁とはまるつきり違うけれども無償で将来長期に亘つて貸與する、こういう形を大蔵大臣からもとつてもらうつもりにいたしておるのでありまして、少しも予算の増加ということはあり得ないのでございます。以上をもつてどうぞ御了承を願いたいと思います。
  125. 相馬助治

    ○相馬助治君 この法案の成立によつて、予算の増加はあり得ないというお話でございますが、私の調査したところではどうしても国側においても地方自治体側においてもこの人員を増加しなければならないというふうに認めているのでありますが、いずれこれは資料について調査いたした上で再びお尋ねしたいと思います。  これを機会に私は委員長一つお願いと申しまするか、申上げて御賛同を賜わりたいことがございます。お諮り願いたいことがございます。昨日の地方行政委員会におきまして満場一致を以ちまして、我々は特にこの法案に関して重要なる連関を持ちまする北海道知事出席を求めております。で内閣委員会においても田中知事を証人として喚問されているやに承わつておりまするが、その辺はどうなつておりまするか、お示し願いたいと同時に、只今大臣答弁にもありまするように、一応承わつておりますると至極御尤もでございまするが、本法案重要性に鑑みまして、片聞きでは話はうまく参りません。而もこのような重要なる法案衆議院においては公聽会も持たれずに可決されたということを聞いております。衆議院側を批判することは一切やめますが、ただ私どもは十分この北海道側の意見を聞いて、愼重審議しなければならない責任を持つておると思うのでありまして、この連合委員会において道知事意見を聞く方が正しいと存じます。従つてこの連合委員会に道知事出席を求めて、参考人としてその席に坐つて頂いて我々の質問を受けさせるように委員長においてお取計らいをお願いしたいと存じまするが、如何でございましようか。
  126. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 委員長議事進行について、只今の相馬委員の御意見でありますが、相馬委員が申されましたように、昨日地方行政委員会では特に田中北海道知事出席を求めまして、この法案についてその意見を是非この連合委員会で聞くようにということを満場一致できめたわけであります。それで委員長からの御要求もあつたと見えまして、田中知事はこの会場に見えておるのであります。でありまするから相馬委員が申しましたように、内閣委員会において反対派、賛成派、両側から一人ずつの証人を御召喚になつておりまして、そうしてその中に田中知事反対側の証人として臨席することになつておりますが、併しながらその内閣委員会には我々はまあ出席全然できないわけではありませんけれども、特に地方行政委員会の要求といたしましては、地方行政の面について田中知事意見を徴したいのであります。たまたま北海道地方行政のことについて、今増田長官から縷々お話があつたんでありますが、それで増田長官の今述べられたる北海道地方行政に関する面を中心として、今の増田長官の言を中心として、それに対する田中北海道知事意見をこの際引続いて我々は是非聞かして頂きたいと思つておりますので、さようにお取運びを願いたいと思つております。
  127. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今の御両君の御要求に対してお答えをいたします。内閣委員会におきましては参考人といたしまして田中北海道知事、それから椎熊君、このお二人の意見を聽くことになつております。只今の御発議は御尤もと考えます。併し手続といたしましては内閣委員会に諮りまとてそうしてこのことを決定したいと考えます。  ちよつと十分ばかり休憩をいたします。    午後四時二十一分休憩    —————・—————    午後五時十二分開会
  128. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより連合委員会を再開いたします。  休憩前に相馬君と吉川君より、この際田中北海道知事に対して説明を願い、又又議員諸君質疑をさせるようにというような御発言がありました。吉川君はこれに対しまして、付加えて更に椎熊君もということでありました。内閣委員会において、一応これは決定した事項に関係いたしまするから、直ちに内閣委員会を開きまして協議いたしました結果、明日午後一時半から、この田中知事とそれから椎熊君の御出席を願いまして、連合委員会において説明を請い、又これに対して質疑をするということならば極めて結構であるという結論に達しました。それ故に他の連合しておられる常任委員長にお諮りをいたしましたところがそれで結構であるということでありました。つきましてはその方針に従つて実行したいと思いまするから、さように御承知を願いとう存じます。なお御出席を願いまする田中知事及び椎熊君におかれましては、まだその時間に必ず御出席下さるかどうかはわかりません。田中知事は少し遅れるという見込であると承りました。それから椎熊君は只今お宅へ帰つている途中のようであります。そういうわけでありまするから、予期の時刻に御出席が願われるかどうかはちよつとわかりませんが、それらの点につきましての取計らいは委員長に御一任を願いたいと思いますが、如何でありますか。
  129. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について、只今委員長の御発言承りましたが、お言葉の中に、吉川委員田中知事発言を要求せられ、それに付加えて椎熊君の証言を要求せられたというお言葉があつたと記憶いたしておるのでありまするが、私は椎熊とかいう人がどこの人でどんな人だかも知りません。そんな言葉を出したことは絶対ないのでありますから、そうではないということをこの機会に申上げておきたいと思います。  大体委員長がおつしやいました趣旨は、田中知事の証言については明日に延ばしたいというお話であります。私がああいう動議を出しましたのは、増田前北海道長官でありますかが大分いろいろとお話がありましたので、それに付加えて増田長官発言に対する田中北海道知事意見を聞きたかつたのでありますが、併しいろいろ御審議の末明日にそれを延ばされたということについては、個人的に今河井委員長に明日でも私はよろしうございますとお答えしたのでありますが、併し先ほど来私の申しました動議に対しては、連合委員会に御出席の他の委員方々の中には、私と違う御意見を持つておいでになる方があるようでありますから、他に明日でいいという御決定に対しまして御異存がなければ、そのようにお取運びをお願いして結構だと存じております。
  130. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 吉川君に申上げます。証人といいますか、意見を持つている方においでを願うというその人につきまして、椎熊君云々と言いましたことは私の誤解であります。そのことははつきり申上げておきます。  それから明日午後一時半、若しくは二時、それから田中君及び椎熊君にこの席においでを願うということは、内閣委員会においてもこれを承認いたしますし、又なお他の委員長諸君にも大体御承認を得たのでありまするから、委員諸君におかれましてもどうぞこれについて御承認を願いたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではさように決しました。
  132. 相馬助治

    ○相馬助治君 先ほど私が増田国務大に種々なる点を質問申上げまして御答弁を頂いたのでありますが、それに連関いたしまして、是非とも具体的な資料を必要といたしまするので、次に申上げまするものを私は資料として要求したいと思います。どうぞ一つ委員長において政府側に御要求を願いたいと思います。一つ、十二条に示されておりまする直轄事業の具体的内容を、各省ごとに知り得る資料をお示し願いたいと思います。その場合におきまして、直轄事業内容において道路占用の許可であるとか、或いは提防敷地使用許可のような行政事務を含んでおりまする場合においては、含んでいない場合にはこの資料は要らないのですが、含んでおりまする場合におきましては開発局において分掌いたしまするところの行政事務をこれ又各省ごとに区分いたしまして、明細なる資料として頂戴いたしたいと存じます。以上委員長にお願いいたします。
  133. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について、私が先ほど増田長官の臨席を待ちまして質問いたしたいと申しまして、又その節他の政府委員質問いたしました憲法第九十五条との関連性、及び地方行政調査委員会議の北海道政に関する勧告との関係等についての質問続行もありまするし、なお地方行政委員の同僚の中でこの法案につきまして質問事項をいろいろ研究調査の末、用意しておられる方もいらつしやるのでありますが、今日はすでに午前から審議が行われましてすでに五時も過ぎているのであります。我々地方行政委員の者は今日実は五時から公的会合を持つことになつておりまするので、本日はこの程度審議を打切りまして散会して、明日改めて本日の連合委員会を続行せられるようにお取運び下さいますよう、地方行政委員会の委員長から申上げられるはずでありますが一理事といたしまして御要求いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  134. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員長から一言申上げます。先ず相馬君に申上げます。相馬君の御要求は政府に取次ぎますから御承知を願います。  次に議事進行について吉川君から動議がありました。委員長はできるだけ審議を進めたいという考えから、せめてもう一時間くらいは委員会を続行したいと考えております。若し吉川君が、或いは地方行政委員の方が御都合ができるならおとどまりを願いたい。できなければ他の委員諸君におかれまして更にこの質疑を続行せられることをお願いしたいと考えるのであります。(「賛成」「質疑続行」と呼ぶ者あり)  なお申上げて置きますが、明日は午前十時から開会いたしますが、今日はもう一時間程度委員会を続行するつもりであります。
  135. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について、私は本日の議事はこれを以て打切られたいという動議を提出したのでありますから採択に問われたいと思います。
  136. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 承知しました。議事は本日はごの程度で打切りたいという吉川君の動議賛成諸君の挙手を願います。    〔挙手者……〕
  137. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 少数であります。(「数えてくれ数えて」「しつかり数えろ」「多数じやないか」「事務局はちやんと数えたらいいじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)それでは反対のかたの挙手を願います。    〔挙手者……〕    〔「しつかり数えろ」「多数じやないか」「もう一回もう一回」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  138. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと休憩します。    午後五時二十七分休憩    —————・—————    午後五時二十八分開会
  139. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではこれから再開いたします。只今吉川君の動議につきまして採決をいたしましたが、少しく明瞭を欠きます。そこで採決の場合は定足数が必要であるということでありまするから、今この場合は定足数があるかないかわかりませんから、この院内におるところの委員諸君の参集を求めまして、そうしてはつきりした決を採る……(「定足数がなければ散会だ」と呼ぶ者あり)
  140. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 あなたが定足数を問題にして仰せになるならば、何を基準に定足数をお言いになりますか。本日は連合委員会でありますから、連合委員の総数というものは相当な数になります。ここの議場へ入るにも椅子がないくらいの数だろうと思います。その定数を基準としてあなたが仰せになるならば定数を欠いておるのでありますから流会せられるべきであります。その意味において本日は流会せられるように願います。
  141. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 吉川君並びに委員諸君に申上げます。定足数に関しまして委員部長から説明いたすことにいたします。
  142. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 御承知通り私から申上げるまでもございませんが、委員会の定足数の点につきましては議事を開き、採決する場合は半数を要するのであります。それで従来の慣例等におきましては、質疑等を続行して行く場合には各委員の御了解の下に定足数を余りやかましく言わずに続行して行くのが慣例でございます。但し始める場合その他につきましては嚴格に定足数があつて始めるということが例でありますが、いろいろな問題につきましてその委員会の意思決定をいたすような場合におきましては、委員部の事務員がかり集めをいたしまして定足数を揃えて委員会の意思を決定して行く前例に相成つております。
  143. 三輪貞治

    三輪貞治君 国会法四十九条に「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」とありますが、この連合委員会においては大体議決をしないのが私は建前だろうと思うのであります。併しながらたまたま議事進行についての動議が出ておつて、この動議を採決しなければならないという事態に直面しておつて、この場合は出席している者全体の意思がどうであるかということがこの動議の採否をきめるところの基準になる、私はかように考える。だからこの出席者だけで動議の採否を決しても決して違法でない、かように考えます。
  144. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今後そういう形式で委員会をやるというならできつこはない、だから大かたの意思がどこにあかるわかつたらそれでいいと思う、委員長責任としては。
  145. 相馬助治

    ○相馬助治君 どうです委員長、明日一生懸命にやるとして今日はこのへんで……。
  146. 郡祐一

    ○郡祐一君 一時間くらい勉強してもらおうじやないか、大事な法律をやつているときですから。
  147. 河井彌八

    委員長河井彌八君) もう少し待つて下さい。ちよつと委員諸君に申します。只今動議の採決等につきまして委員長において錯誤があつた点もあると考えます。本日は定足数が足りませんからこれを以て散会いたします。明日は午前十時から開きますからどうぞ必ず御出席を願います。    午後五時三十四分散会  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            溝淵 春次君            梅津 錦一君    委員            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            松平 勇雄君            山本 米治君            上條 愛一君            吉田 法晴君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            駒井 藤平君            東   隆君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            加賀  操君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君    委員            櫻内 義雄君   建設委員    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君   国務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君   政府委員    地方行政調査委    員会議議長   神戸 正雄君    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方行政委員会    事務局長    荻田  保君    北海道開発庁次    長       岡田 包義君    地方自治政務次    官       小野  哲君    水産長官   藤田  巖君   事務局側    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       藤田 友作君