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1951-05-31 第10回国会 参議院 内閣・人事・地方行政・大蔵・農林・水産・運輸・建設・経済安定・予算連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月三十一日(木曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  委員氏名   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      楠瀬 常猪君    理事      溝淵 春次君    理事      梅津 錦一君            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            松平 勇雄君            山本 米治君            上條 愛一君            吉田 法晴君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            駒井 藤平君            東   隆君   人事委員    委員長     木下 源吾君    理事      加藤 武徳君    理事      伊藤 保平君    理事      千葉  信君           大野木秀次郎君            西川甚五郎君            森田 豊壽君            横尾  龍君            重盛 壽治君            森崎  隆君            小野  哲君            西田 天香君            紅露 みつ君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事      大矢半次郎君    理事      清澤 俊英君    理事      杉山 昌作君    理事      木内 四郎君            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            カニエ邦彦君            佐多 忠隆君            野溝  勝君            松永 義雄君            小林 政夫君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            鈴木 強平君            三好  始君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事      青山 正一君    理事      千田  正君            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君            佐藤 尚武君            櫻内 義雄君            細川 嘉六君            玉柳  實君   運輸委員    委員長     植竹 春彦君    理事      岡田 信次君    理事      高田  寛君            仁田 竹一君            山縣 勝見君            内村 清次君            金子 洋文君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君   建設委員    委員長     小林 英三君    理事      岩崎正三郎君    理事      赤木 正雄君    理事      小川 久義君            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君            久松 定武君            田方  進君            大山 郁夫君   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事      奥 むめお君            泉山 三六君            尾山 三郎君            中川 以良君            野田 卯一君            岡田 宗司君            川上 嘉市君            堂森 芳夫君            藤野 繁雄君            菊田 七平君            兼岩 傳一君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事      石坂 豊一君    理事      平岡 市三君    理事      佐多 忠隆君    理事      伊達源一郎君    理事      藤野 繁雄君    理事      櫻内 義雄君    理事      東   隆君    理事      木村禧八郎君    理事      岩間 正男君           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            泉山 三六君            小野 義夫君            岡崎 真一君            古池 信三君            白波瀬米吉君            野田 卯一君            一松 政二君            安井  謙君            山本 米治君            山縣 勝見君            荒木正三郎君            岩崎正三郎君            内村 清次君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            永井純一郎君            原  虎一君            山田 節男君            吉川末次郎君            飯島連次郎君            楠見 義男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            前田  穰君            菊田 七平君            鈴木 強平君            竹中 七郎君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○北海道開発法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————    〔河井彌八君委員長席に着く〕
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣人事地方行政大蔵農林水産建設、経済安定の連合委員会を開会いたします。  一言申上げておきますが、会期関係連合委員会は大体今明日両日で以て各委員からの御発言願つて、それで終了したいと一応考えております。その含みを以ちまして各位におかれまして御発言あることをお願いいたしておきます。木下水産委員長
  3. 木下辰雄

    木下辰雄君 昨日増田長官提案理由の御説明にありました通り北海道開発を強力にやる。政府みずから強力にやるという趣旨については、別に私は異存はありません。併しその間に道行政矛盾撞着、或いは複雑性を更に追加して、円滑な行政の携行を妨げるというような面がありましては甚だ遺憾に存ずるのであります。この問題について水産方面においてどうも私納得行かない問題があるのであります。昨日からこの問題について長官並びに次長に説明を願いましたが、まだ私は十分承服することができないのであります。北海道における水産は、北海道としては最も重要なる部面を占めておる産業でありまして、この消長は北海道開発に対しては重大な関係があると、かように存じております。それでこの開発局では主として公共事業に関するものをやる、漁港は公共事業ではありますけれども、これは道において実施する、かように説明があつたのであります。然るにその局において農林水産部がある、水産部は何をするかという質問に対しては、二十六年度は調査をする、水産に関する総合的の調査をするというような御答弁であつたのであります。ところが道の水産部においても、この水産の問題については、最も必要なる調査面については非常に重点を置いておる。で、農林水産部調査をし、道水産部調査をする、こうなれば私はそこに非常にダブる面がありはしないか、又その調査の結果につきましては、両調査が一致しない場合もあり得る、かように存ずる。そういう点をどういう工合にうまく調和するかという点について、私はなお疑問がありますので、増田長官の一つ御説明をお願いいたしたい。
  4. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 木下さんにお答え申上げます。水産関係について昨日から極めて御熱心な御質問かございまして、非常に敬服申上げておる次第でございます。そこで北海道水産は昔北洋漁業が許されておる頃は、全日本水産の半分以上を占める、こういう状況であつたのでございます。そこで御承知のごとく、北海道自治事務としての水産行政は、もとより、北海道庁の中にある、昔で言いましたならば、水産部課等において所管をいたしております。併しながら国政全体として農林省水産局において執行するところの事業前提としての水産開発計画というものは、北海道水産事務だけでなしに、全日本といつたような国家的立場において、北海道地域と申しましても、マツカサー・ラインのこちら側は、或いは北海道拠点としましての遠洋漁業等もあるわけであります。或いはトロール船その他もあるわけでありまして、これらの関係のことはむしろ農林省水産局で直轄して諸般の、例えば機船底曳網の許可、こういうこともいたしておりますことは、この方面に造詣の深い木下さんのよく御承知通りであります。そこでこれらの水産開発計画北海道総合開発計画一環をなし、而して北海道総合開発計画というものは、私が長官をいたしておりまする総理府の外局である北海道開発庁で策定いたすのであります。この策定いたす場合に、現地手足がなくてはいけない。それで今年皆さんの御議決になつた北海道総合開発計画樹立策定のための前提としての調査を、これが二千万円皆様がたが議決されております。この調査費を使いまして、北海道水産開発計画を我々が立てる次第であります。御承知のごとく今までは農林省水産局でやつておりました。又これからも漁業法その他の関係でもとよりやつて参ります。農林省水産行政計画執行についてまで責任があるわけであります。併しながら開発庁が去年できましてあとは、北海道総合開発計画開発庁で作る。そこでいわば資料なんかを取寄せる意味からも、農林省にある水産局からも資料を出してもらいまして、結局同じ国の中央政府機関である北海道開発庁の策定すべき総合開発計画一環である水産計画と、農林省が策定するであろう水産計画とは密接不離の一体をなさなければいけない。そこで相互協力をしなければいけない。而して今までのところ現地における手足というものは国の負担としてはないわけであります。いずれにいたしましても我々はこの二千万円の金を国費として皆様が初めて議決せられました。これは初めてであります。この初めて議決して下さつたこの調査費用を適正に使用いたしまして、立派な計画を作りたい。この調査をこの開発局をして、札幌に設けられるべき開発局をして行わしめたい、こういうわけでございます。もとより水産行政それ自体は道庁において農林省指揮監督を受けている、又農林省が直接やる部門も相当海面のことでございますから、北海道という地域的の土地というものを基礎といたします自治団体、この甚だ遠く離れた、昔で言いましたならば北洋漁業、今のマッカーサー・ラインがございましても、遠洋漁業はあるわけでございまして、而も拠点北海道である。こういうような情勢を、水産局を所管する農林大臣が直接執行する場合も又あるわけでございます。飽くまで水産開発計画北海道総合開発計画一環をなすべき水産開発計画を樹立策定する責務が、不肖私に開発庁長官としてあるわけであります。その手足となつて計画を作る前提から調査をしてもらう、こういう意味農業水産部でございまして、計画執行関係でございまして、農林省水産行政が直接北海道に対してやつておるのとは何ら関係はございません。執行自治事務であるならば北海道知事が行いまするし、又国が直接やる行政であるならば、水産局を主管する農林大臣が直接やるのであります。
  5. 木下辰雄

    木下辰雄君 この北海道総合開発計画というのは何でございますか、オホーツク海、べーリング海まで含まつた広い意味のものですか、或いは北海道行政管区内の開発でございますか、もう一遍はつきり、わかりませんので……。
  6. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私ども国政といつたような立場北海道総合開発計画を立てております。そこで自治行政担当区域と申しますと、恐らく北海道という自治団体は国の行政区域と同じであると思います。即ち千島を除きまするし、又今は占領下だから、本当は何と言いますかわかりませんけれども、要するに平時状態に帰りますと、領海の三海里とか或いは十二海里だとか国際法上の解釈はいろいろ異なりますが、要するに領海範囲内のことが自治団体範囲である、こう考えております。併しながら我々の樹立策定せんとする北海道総合開発計画は、国の行政区域、即ち遠洋漁業につきましても勿論入つておるわけでありまして、北海道知事さんの行政の対象以上に亘るものであります。こういうふうに考えておる次第であります。でありますから、郵政行政につきましても、電通行政につきましても、鉄道行政につきましても総合開発計画を作るつもりであります。
  7. 木下辰雄

    木下辰雄君 農林省のかたはおりませんか。一体この北海道開発計画というのは、北海道庁行政管区内の開発計画と今まで承知しておりました。開発庁がやる総合開発計画従つてその範囲内と私は思つておりましたが、べーリング海オホーツク海まで及ぶ、大きな遠洋漁業にまで及ぶということであれば、これは非常に違つて来る。これは必ずしも北海道の海ではなくて、日本出漁範囲であつて台湾沖千島沖ベーリング沖も同じであつて、これをごつちやにしてお考えのようですが……。
  8. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 我々の北海道開発庁というものは、北海道開発法というものを皆さん議決を経てやろうとする趣旨は、終戰後北海道というものは、終戰前と比べて比較にならないくらい重要性を加えておる。そこで北海道を中心としてこれが総合開発を行なつて北海道民四百三十万のためのみならず、八千万の同胞の生活の安定、向上を期さなくてはいけない。そこで重要なる国策として終戰後北海道開発ということに相成つた、こういうふうに考えておるのでございます。そこで国策という立場から諸般計画を立てたい。北海道知事の主管する自治行政区域開発だけをするというわけじやございません。開発庁国務大臣を以てこれに充つという言葉によつてもおわかりの通り、又開発計画の推進には各省大臣総理大臣の部下たる国務大臣という立場から、総理大臣国務大臣に対して上位に立つておることは木下さん御承知通りであります。国の国策として立てた総合開発計画の実施について各省大臣を推進する、こういうように法律に書いてある通りでありまして、自治行政区域にのみとどまるわけじや、ございません。ただ併しながら只今のところはベーリング沖とか或いは占守島とか、そういうような所の海面における漁業は禁止されておるわけでありまして、これ問題になりませんが、北海道拠点とする漁業であるならば、要するに水産開発計画を立てて見たい、折角勉強しておる次第でございます。
  9. 木下辰雄

    木下辰雄君 この水産問題は大きな問題でありまして、私ども衷心北海道水産の発達を要望しておるものであります。そういう意味において後刻田中知事がお見えになるそうでありますからして、その際まで私は質問を保留いたしておきます。
  10. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に地方行政小笠原二三男君の発言を願います。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 昨日来地方行政委員のかたから質問したのでありますが、それに関連して質問したいのでありますけれども地方財政委員会のかたが未だ出席がないようですから、一般的に長官にお伺いしておきたいのですが、実は過般の選挙中において吉田総理、或いは増田さんもその例から逃れるものではないのでありますが、政府閣僚かたがた政府與党の幹部のかたがたが、地方においての発言等において、地方首長政府與党と同一であることが、公共事業費配分、或いは事業の認証、或いは平衡交付金増額配分等に関して都合いい点かあるのじやないかと、私はまあぼんやり申しておきますが、いろいろそういうことを地方民に話をされたということが新聞記事、或いは現に我々においてもこれを聞いておるのでありまするが、こういう戰前の特権的な、或いは情実等を背景としたいろいろな政治支配ということが、日本を毒したという事実ははつきりお互いに認めるところであり、吉田総理などは特に憲兵政治の犠牲となつてつらい目にも会つた、こういう事実があるのになお巷間そういうことが平々然として言われ、又地方民もそうであるかという考えを持つような空気になつておるこの際において、この開発法というものが会期末に突如提案せられ、これは官房長官の話を聞きますと、前々から研究中のものであつたとは言いますけれども、事実としては、形としては突如会期末にこれが提案せられ、而も莫大な国費をかける。会期を五日も延長してこの法案を成立せしめなければならないということは、外見から見ると、何らかの党利党略的なものがあるのではないかという疑いを持ち得るのであつて、而もこのことは国会議員である私が持つばかりではなく、新聞等においても、或いは世間においても、そういう誤解を持たないとは言い切れない問題があるように思うのであります。ところがそれに加えて国際情勢から見て、北海道治安というような問題等もからんで、警察法改正法案が先頃から出ておる。こういう場合に地元北海道地域の住民の協力なくして治安維持確保もあり得ないでありましようし、而も同じ国の事業であるとは言いながら、地方かたがた協力なくして円滑なる遂行はなし得ないものであろうと考えるのでありますが、而もなお過般来我々聞くところによると、出先北海道公共団体、その執行機関等がこの改正案に反対をしておるというような中に、これを成立せしめようということは、よほど重要な緊急性を持つた法案であろうと私は考えるのでありまして、こうした一切の誤解を払拭し、而もこの改正法案を成立せしめなければならんというこの緊急性如何ということについて、或いは重複しておるかも知れませんけれども、先ず長官から伺つておきたいと思うのであります。
  12. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小笠原さんにお答え申します。私ども選挙のとき御指摘のような言葉を使用したことは、総理閣僚もないのであります。それからこの緊急性如何という御質問は御尤もな御質問でございます。これに対してお答え申上げます。私どもは昨日も申上げました通り、あの自治法改正のときに、従来は国の出先機関である北海道庁長官が、国の行政各省出先機関として、全責任を持つて現地において実施いたしておつたのであります。それからかねて自治事務をやつてつた北海道は、御承知通り内地と違いまして、自治を許されたのは比較的後年に属する次第であります。すべて概略的に申しますと、国の事業が八割、地方自治事務が二割、そういうような関係がございましたからこそ、国の出先機関である北海道庁長官内地では例えば大阪府と雖も知事とよんでおりましたが、北海道だけは長官という言葉使つてつて、尤も東京都が首都であるというわけで国家的色彩が非常に多いので、東京長官が設定されたのは七、八年以前のことでありますが、これは余談のことでありますが、とにかく自治団体首長というような意味よりも、国家機関出先機関であるという色彩が強いからこそ、北海道庁長官というものが儼然として存在いたしておりましたし、又親任官に次ぐ位置も與えられ、又国会において政府委員としてしよつちゆう皆さんの御鞭撻を受ける意味で、国会にも出席いたしておつた次第であります。そこで地方自治法改正のとき、自治事務を、事業分量から申しまして二割しか担当していないこの自治事務執行する首長公選知事でありますが、この公選知事に或る程度委任した、全然委任ではございません、或る程度委任したというのは、そもそも不勉強の結果であるという確信の下に、我々は北海道総合開発は大いに国家的事業として力を入れなければならん、こういうことを提唱いたしておりましたが、如何せんその頃は政局を担当しておりませんでした。昭和二十三年十月政局を担当するやいなや、私どもかねてそういうことを信念として考えておりましたから、昭和二十四年になりまするや、たしか二月だつたと思いますが、閣議決定を仰ぎまして、四月に北海道総合開発審議会内閣の中に設けた次第であります。一年間勉強されました結果の答申がございますが、その答申の主たる部分は、北海道総合開発事業は、国家的事業としてなさなければいけない、殊に終戰後はもういわゆる外地というものは失つたのであるから、国政の大部分を挙げて北海道開発に傾倒しなければならん、ついては北海道総合開発機構というものを整備充実せよ、北海道総合開発計画答申はございませんでしたが、北海道総合開発国家的行政機構整備充実せよという答申はあつたのであります。而もしばしばございました。そこでこの答申を具体化いたしまして、昨日も申上げましたが、我々はそのときにすでに国の出先機関答申趣旨従つて設けたかつたのでありますが、これは或いは恥かも知れませんけれども各省それぞれ意見がございまして、そうして先ず先ず総理府の中に北海道開発庁を設けるというところに落付いたのでございますが、ともかく開発庁ができまして後も、この北海道総合行政機構整備充実につきましては、今設けられておりまする、私が長官をしております開発庁で一生懸命勉強いたし、又法律上でき上つた北海道総合開発審議会においても勉強してくれたのでありまして、現在どうしても北海道開発局を作らなければならんという結論に到達いたしました。即ち緊急性はもう前々からあつたのでございます。但し選挙の前後にこういうものを出すということは、選挙の前は暫らく避けたほうがよろしいという、まあ私のこれは一つの分別から、まあどういう考えを抱くかたがあるかも知れませんし、いずれの党に対しても、どんな影響を與えるかも知れない。いずれの党からも故障が出るわけですから、そういうことも考えまして、利益だという人もあるし、不利益だという人もあるし、いろいろまちまちであつたのですが、利益にしろ、不利益にしろ、答申が幾ら従来あつたにせよ、これは地方議会の選挙直後に又引続いて国会はあるわけでありますから、その際出すということを事前において私は公に宣言をいたしたのであります。このことは社会党の水谷政策審議会長も先だつて明瞭に認めて下すつた次第でありまして、我々といたしましては、最も適当なる時期において出したと、こう確信いたしておりまして、又私自身を顧みましても、伝えられるごとくよくない意味の政治的行動をとつたということは少しも考えておりません。選挙前において私はいずれの党に対しましても、行政機構の整備ということは答申の線に従つていたしますということを明瞭に宣言をいたしましたのであります。この宣言をせよということは、実は本日は出られませんが、北海道総合開発審議会の本質上の会長である小川原政信君も殊に強く要求せられまして、私は一月並びに三月両回に亘つて北海道総合開発計画の機構の拡充整備をいたすつもりであるということだけは宣言いたしてある次第であります。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だんだんの御説明でありましたが、審議会の強い要望があつたか、なかつたかということは一先ずおきまして昨日からの御説明を伺つて見ますると、結局国の費用にかかるものは国でやるのがいいんだという大きな太い筋があつて北海道もそれから何ら除外されるものではないというふうに聞えて来るようでありますが、そこで先ずこれは前々からの話であつて北海道開発法が出るときから、この開発局のようなものを考えられたというようなことは、私も当時の委員会々議録等を見て、そうであろうと思われる節があるのでありますが、今の御答弁の中にそれがあつたのですが、第七国会におきまして増田長官は、これは赤木さんからの御質問に対して答えられておる中に、「事業を結局直接TVAのように営むことは、各省の事務当局の間においても意見の扞格もあり、各省の事務当局の微妙な経緯等は、練達なる又経験の深い赤木さんの御存じの通りでありまして、先ず先ず事業を実行することは止めておこう、併しながら計画だけはここで立てまして、」云々という答弁があるのであります。そこで今回開発局でやつて行けるということになつたのは、この各省間の意見の扞格があり、或いはその微妙な事務当局の経緯等が一切払拭せられて、そうして開発局を置いて、強力な遂行ができるという見通しが立つたのだろうと、こういうふうにも考えられるのであります。従つて私お伺いしますのは、その当時においてこういう事業開発局というもので総合して一本でやるということに、各省に如何なる意見の扞格があつたのであるか、それが克服されたとする理由はどこにあるのか、この点お伺いしたいと思うのであります。
  14. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小笠原さんの御質問は御尤もでございますが、実はその点はまだ解決されていない。そこで当時は、現地の機構と中央の機構と両方考えたのでありまして、赤木さんの御質問は中央の機構においても、例えば北海道開発庁が現在できております。この開発庁をTVAとする、そして現地執行機関を持てと、こういう御質問なんです。それで現地執行機関は実は現に総理府の役人がやつておるのであります。ただその上の指図を農林大臣建設大臣もするけれども知事もする、どうもその点が法律上不明瞭でありまするから、執行について国会責任を果し得る態勢にいたしたい。そこで今回国権の最高機関である国会に対しまして、北海道道民のみならず全国民皆様の総力を挙げて、国家的事業として北海道については国が直轄事業をいたしておるのでありますから、当然国民の代表者である国会皆様に対して当面責任を果し得る態勢で現地開発執行しなければならない。それが今回の改正法であります。併しながら開発庁長官である増田甲子七が、一切の北海道における農林行政水産行政或いは建設行政のうち、国の執行すべき部分を私が担当しておるわけでありません。そうなれば私がTVAの長官になるわけでありますが、まだ調査関係、企画樹立関係並びに企画を樹立したものを執行するようにして欲しいと言つて農林大臣建設大臣や運輸大臣を推進する立場範囲におけるまあ極く弱い立場のTVAといいますか、これは本当はTVAと言えないと思います。とにかくそういう状況でありまして、その間のまだ調節はできておりませんし、これは各省大臣が心から納得されない限りは、赤木さんの御質問がどうございましようとも、そこまではなかなか、これは官庁内部のことでございますが、行きにくいと思います。ただ現地においても現に執行いたしておりますその執行が、現在の態勢では、例えば北海道開発法がこれだけ問題になつて皆様御熱心に御討議下さるにもかかわらず、肝心の歳出面における最大の意味を持つておると称せられる本年度の予算面において、北海道開発費の執行振りについて、執行は一体どういうふうにしておるのかということを、知事さんを呼ぶ場合に参考人として呼ぶ、責任を負うのか負わないのかわからない。開発法すら皆様御熱心に御審議下さるにもかかわらず、予算面の歳出面における最大の意義を持つものは北海道開発費であると思うのであります。ところが執行面についての当面責任者は参考人として呼ぶに過ぎない。こういうような状況では、折角北海道道民のみならず全国八千万の皆様が納税をして下さつて、そして北海道開発のために金を出して下さるその行き方がさつぱり政府というような立場に立つておりませんから、政府では、ございませんから、政府でしたら国権の最高機関である皆様の直接指揮監督を受けます。皆様からお叱りを受けて、こういうふうにやれ、ああいうふうにやれという世話を我々はやはり受けることもできるが、ただ参考人に過ぎない。内地建設事業或いは直轄土地改良事業でしたら、農林大臣がここへ罷り越しまして、実はこれは悪うございました、皆様のお叱りを受けましたから改めますということはできますが、参考人として、而も国が大部分の力を入れて、北海道においては国の事業として国の予算を執行しているにもかかわらず、この執行振りについて皆様から世話を燒いて頂くことができない、これでは私共は申訳ない、こう思つて、今度の行政機構の改革を提出した次第であります。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の聞いているのは、政府側の主張をしたいということを聞いているのではなくて、その事実を聞いているわけなんですから、事実をお答え願えば結構なわけです。私の聞いているのは、この開発局という出先執行機関を一本に持つということで各省間の意見の一致を見た、将来においてもこの間摩擦が起きん、しつくり調整ができるということになつたのかどうかということを伺つているのであります。
  16. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 現地において開発局を設けまして、現に総理府所管の地方技官、地方事務官がやつている港湾建設、国道建設、直轄河川の改修及び直轄土地改良事業執行するものとして国の機関を設けるということについては、農林省建設省も運輸省も、事務当局の間におきましても、又各省間におきましても完全に意見が一致いたしております。将来もこの機関をして円滑裡にそれぞれの直轄事業を運営できると、こう思つている次第でございます。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 長官提案理由説明の中に、「従来のごとく知事に官吏を指揮監督せしめていたのではその責任の所在に明瞭を欠く嫌いがあるのみならず、」、これは先ほどの御説明でよくわかりました。「到底前記目的も達成することは至難でありますから、これを根本的に改めまして、」云々とありまするが、所府が金を出しているものであるから、政府責任を負いたい。この際非常に責任を負いたがつて、まあこの開発法の一部改正が出ているようでありまするが、この前記目的を達成するということが至難だということは、この開発事業の遂行が予定通り進捗しない。国がやるならばもつと能率的なもつと的確な開発拓殖ができると、こういうことだろうと思うのでありますが、それが知事ではできないということは、昨年の四月たしかこの開発法が施行せられてまだ満一年もならない今日におけるこの実績においてもう駄目であると認定されるものが多分あつたろうと思うのであつて、この文章を見ただけでは、知事にやらせておつては駄目だということは、責任問題は別といたしまして、事業の遂行の状況その内容等については一切わからんのであります。従つて北海道知事に過去一年近くやらせてみて駄目だという、この通りつてつたならばこの目的を達成することは至難だという事実を列挙して頂きたい。又そういうことが一応わかるような資料を私たち頂かないと、知事にやらせていかんということがどうも呑み込めない。私は責任問題、法制的な問題は一応長官の言うことも尤もな部分があるとは思いまするけれども地方財政法或いは施行令等において特殊な北海道立場を認めて、国の事業といえども全額国庫負担のようなものも北海道にいろいろ経費上のことを委せているのでありますから、これでやつて行けない、事業内容の遂行ができないという証拠が私は欲しいのであります。    〔委員長退席、内閣委員理事楠瀬常猪君委員長席に着く〕 それがないと、いいのか悪いのか私にはさつぱりわからん。この点一つ長官の御答弁をお願します。答弁如何によつて資料の提出を求めたいと思うのであります。
  18. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 今年は先日も申上げました通り公共事業は一割殖えただけであります。国の予算としてはその公共事業の枠のうちにおいて北海道は八割であります。そこで去年までと比べまして、今年は国家的事業として北海道に施すべき事業は非常に殖えております。例を取つて申上げてもよろしいのでありますが、例えば幾春別のダム建設は六十億ばかりかかる建設でございまするが、内地は然らばこういうダムの建設をどうしておるか。北上川において猿ケ石等のダムの建設をいたしております。このダムの建設は仙台にある国の出先機関である東北地方建設局において行なつております。岩手県知事も或いは宮城県知事もとてもそれはできないというわけで、是非国でやつて欲しいということは、むしろあればかりでなく、もつとやつて欲しいという希望があつて、今は北上川開発庁も、利根川開発庁北海道と全く奇異な現象でございますが、あべこべな現象が内地に出て、実は私どもは当惑しておるぐらいであります。今我々は国の直轄事業を国の出先機関である東北地建局でも或いは関東地建局でもやつておりますが、こればかりではまだいけない、もつとうんとやつて欲しい、自治事務ではとても駄目だということを、北海道よりも遥かに開発された内地の利根川水域、或いは北上川水域、熊野川水域等の府県民諸君が言つておるのです。而も理由は北海道と同じなんです。北海道に比べますと、未開発資源が北海道どころじやない、もつと未開発がひどいというようなことを言つておりますが、これは私はどうかと思いまするが、とにかく理由は非常に未開発であるから、国が今まで国の出先機関でやつておるものはまだ不足である、大いにやつて欲しい、これが利根川開発庁なり、北上川開発庁の思想であるのでありまして、私は北上川水域、或いは利根川の水域の府県民各位が、北海道よりも未開発の程度がひどいという言葉を言われておることは、これはどうかと思いまするが、理由を一つ小笠原さんどうぞお耳におとめを願いたい。理由は全く北海道におけると同じなんです。つまり未開発地域がひどい、だからしてこれはやつてくれ、北上川のごときは北海道以上である、これはどうかと思いまするが、理由は全く北海道と同じである。而うして北海道は国でやつちや困ると言うし、内地は国でやれと言う。私どもから見ますと、開発の程度は北海道よりも遥かに、利根川水域にしても、北上川水域にしても北海道よりも遥かに遅れておるといつても、私は北海道より開発されておると思つております。そういうかたがたがとにかく同じ理由の下に、国が今までの国の出先機関のやつておるだけではまだ不足だから、うんとやれといつておる。北海道では未開発の程度が岩手県よりは遥かに私はひどいと思つております。それが国の出先機関では困ると言つておる。全く矛盾撞着ということは、私にはとてもわかりません。要するに私はいろいろな弊害があると思つておりますのは、一番大きい弊害と申しますと、何もスキヤンダルとか、そういうことは私は何にも知りません。そういうことは申上げません。又ないと思つて確信いたしております。ただ皆様の所へ従来は北海道長官が参りまして、そうして北海道長官指揮監督する各省大臣もここへ参りまして、北海道における国の行政はどういうふうに執行しておるかということを皆様に申上げたのですが、あの昭和二十四年漫然地方自治をやるに過ぎない公選知事に任して以来は、参考人として呼ぶ、参考に来ますが、北海道では何をやつておりますか、こんなようなことでは国権の最高機関皆様に相済まない。我々の責任を負うということは、やはり八千万の信を繋ぐゆえんである。殊に終戰後の歳出部面は、北海道開発には、内地はどつちかというと先ず比較的にそう多くないのでありまするが、北海道は比格的に多い。そこで我々はどうしても皆様に対して御質問を受けても正式に政府委員なり或いは国務大臣として北海道においてはこういうふうにやつておりますが、お叱りを受けますならば又こういうふうにも直しますという態勢で北海道の国の直轄事業をやるべきである。これは社会党が政権を担当しても恐らくそういうことをされるでしよう、ということを私はこの間淺沼君に言つたのです。それはまあそういうことはあるかも知れん、併し時期がどうだということをおつしやつておりました。要するに理論的にはもう淺沼君も認めていらつしやるわけです。又鈴木義男君も衆議院において理論的にできるというようなことも言われておりました。殊に社会党の皆さんは民主政府の下において国家的事業として諸般行政を行うべしという主義政策に立つておる政党である。これほどの重点をおいた国家的事業はございません。それを自治事務をやつておる人にかたわらその八倍も大きい、四倍もの大きい事業をさせるということは元来無理でありますし、弊害と申上げれば、要するに我々は責任を負えない態勢において国の重大なる行政執行するということは弊害中の最大なるものである、こう考えておる次第でございます。又執行から申しましても、幾春別のダム建設等は、事業から申しますと、例えば関門トンネルをあけるといつたようなことです。これは山口県知事つて福岡県知事つてとてもできません。まあおれに指揮監督を任されては困るといつております。現に杉本君にもこの間こういう例を話した。地方知事会において何か決議をされたようでありますけれども北海道はこうだという話をしたら、それはまるつきり内地と同じになるのは当り前、それは当り前だろうというようなことを杉本君も言つておりまして、関門トンネルの開鑿のごときは山口県知事、福島県知事に任してもできない、どういうふうに技術官を指揮していいやらさつぱりわからん、こういうことを言われておつた次第でございます。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だんだんの御答弁で私が聞いていることじやなくて、それは長官の主張であるのでありまするが、私の県の例の北上川などの話も出て諄々説得されたわけでありますが、併しですね、利根川開発なり或いは北上川の開発法なりというものが大きな官庁を持つて国務大臣の一人くらいも置いて直轄事業としてやつて欲しいということは、何もそれは他意があるわけじやなくて、主たる目的というものは政治力がなければこういう事業の遂行ができないという長年の経験に鑑みて、この方法をとろうとするのであつて、十分なる国の公共事業費の補助その他のことがなされて、金さえ出て来るならば国務大臣のお節介にもならんし、或いは国自体の役人の言うことを聞かんでもそれぞれ優秀な者を頼んで自分で事業を遂行したいということは地方の者たちの真の声だろうと思うのです。ただそういうことをやるためには政治力が欲しいので、従つて政府與党にすがつたり、或いは国務大臣にすがつたりして自分の地域をうまくやりたい、他意はない、それだけのことなんです。併し又東北六県なり或いは関東の何県かが地方建設局を置いて直轄工事をやらせておるというようなことは、これは数府県に跨がり各数府県の特殊なる現実を持つておる自治団体の間に相跨がる、或いは総合的に勘案する部門もあつて、一つのそうした出先機関が東北六県を管轄し、それぞれの工事の遂行をするというようなことは、それは一通りの理由はあるでありましよう。併し北海道そのものは、数府県の連合体でもなければ、一つの大きな地理的な或いは行政單位としても一つのこれは地域なんです。そこにこの国と地方自治団体とがお互いに連絡、協調、協力し合つて仕事がなされ得るというそういう効率的な措置ができないものであろうとは私は考えない。そういう観点から私は質問しておるわけでありまして、それは数府県等に跨がるいろいろな複雑な問題のあるときには、国が一貫した考え方で事業を遂行するということもいいと思う。併しもう地方自治法ができて以来、暫定的であるとは言いながら、たつた一つの地方団体であるこの北海道庁或いは北海道知事というものと国とが協力して、この事業を遂行して行くという形にしたものが、先ほど責任がとれるとか、とれないとか言いましたが、監督指導その他の部面で法制的に不備な点をこれを除去する意思さえあるならば、もう少し円滑に国と地方とが抱き合つて事業を遂行することができるじやないか、特にこの治安上の問題で特殊な地位を占める北海道において、感情的であり理論的にものがわかつておらんと或いは言われるかも知らんけれども、大体この取上げるというような形に対して反対であるという地域住民の空気がある際において、十分なるその地方側との連絡協調なしに、こういう責任を負いたい負いたいということで法改正をするということについては、意見として私は遺憾であるという意見を持つているわけなんです。これは増田長官が盛んに意見を言うたので私も先ず意見を言うて置くわけでありまするが、そこで私の聞いておりますことは、そういう御意見ではないのであつて責任上の問題は別としまして、この地方の、北海道知事にこの仕事をやらせておつた過去一年足らずの実績において、事業の遂行が国でやるよりはまずいという点があるだろうと思うので、その点を指摘して欲しいと、こういうことを申上げておるのであります。この点は答弁がなかつたので又お伺いする次第であります。
  20. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小笠原さんの御質問御尤もでございます。そこで北海道においては反対意見があるということでございましたが、昨日も相馬委員に御答弁申上げました通り北海道を代表する北海道道会においては、道会議員九十三名ございまするが、そのうち六十名のいわゆる三派は北海の行政機構というものは、国の北海道開発法案の通りつて欲しい、そうしてあなたの今おつしやつた通り金をうんとよこして欲しい、金が問題である、今みたいに行政機構を整備充実してくれたならば今年も八割……、北海道選出の国会議員協力と相待ちまして公共事業費は一割殖えたに過ぎないにもかかわらず八割も殖えたのである。要するに北海道へどんどん金をおろして開発してもらうことが北海道民の幸福を増すゆえんであると、こういうことを、あなたのおつしやつた通りのことを言つて来ております。それであと私は弊害と申しますと、具体的な弊害はそれは申上げようと思えば幾らでもないわけではごございませんが、一番大きい弊害と申すべきものは、やはり憲法の上にあるところの、行政については、内閣国務大臣が連帶して国会に対してその執行について責任を負うと、私ども責任を負いたい負いたいと言つたらむしろ殊勝な考えを持つておると、こういうふうにほめて頂きたいと思うのであります。即ち国会が、我々が責任を糾弾したり叱咤督励したり指導しようと思つても、国会へ肝心の大きい国の直轄事業執行している者を呼び出す資格がない。これは国会の権威を侮辱するものではないかと皆様のほうからお叱りが実はあるべきである。そこで皆様のお叱りがある前に我々は責任を憲法の上から申しましても当然負うべきであると、こう申出ておる次第でございます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 時間が経過して来ますので他の委員に大変恐縮ですから技術的な部面を二、三お伺いして質問を終りたいのですが、同僚委員からことずかつておる点がありますので、委員長に私たち欠席中でもよろしいのでありますが、増田建設大臣には、昨日の吉川委員質問にあつたこの開発法或いは改正法案の実施に当つて、憲法上の住民投票を北海道民にやらせるということが当然ではないかという点について大臣の御答弁を得ておりませんので、いつか答弁して頂きたいということが一つであります。今時間が勿体ないので、後で申上げます。それからもう一つは、政府側はこの事業を直轄工事とし、出先機関を以て道庁の職員を引上げるということから、道庁側では人件費なり、機械設備或いは庁舎の設備、これに金がかかる、金がかかるようにされる、こういう法律が出るということは地方財政法第二十一條の違反であろうと思うのです。こういうことについても昨日吉川委員から御質問があつたのに、地方財政委員会は何ら意見を聞かされたこともない、研究したこともないので研究して答弁したいというようなことであつたようであります。従つて本日未だ地方財政委員会の出席を得ておりませんので、委員会の代表のかたに御答弁を、私おりませんでも願つて置くように委員長にお願いして置きたいと思うのであります。  そこで私はその取上げるという問題には、これは反対なのでありますけれども、併しながら多数の決するところどうなるかもわかりませんから、内容的な部面をお伺いいたしますが、昭和二十六年度の公共事業費北海道分が六十九億ある中に、四十九億というものが開発局の所管事業費となるのだというようなことですが、それに災害復旧公共事業費、それから北海道分十八億中、八億七千万円というものが開発局分になるとしますと、約五十九億円の金でありまするが、これは資料を頂いて一通り事業別にはわかるのでありますが、ただ問題となつておるのは、従来知事の指揮下に実施して来ておりました事業を、国のこの出先機関がやろうとするのであるから、この国の出先機関がやろうとする事業内容が何であるかということを知るということが、この法案の審議にとつては一つの前提條件になるように思うのであります。昨日同僚相馬委員からも質問がありまして、資料の点についていろいろ要求されておつたのでありまするが、この際私も資料の提出方について委員長からお取計らい願うようにお願いして置きたいのであります。それから一つは、各事業種別、いわゆる河川、砂防、山林或いは土地改良、開拓等という、こういう事業種別の事業、これはここに出ておるのですが、それを北海道のどういう個所にやつておるかという、この個所別の統計を出しで頂きたい。そしてその事業所在地の内容です、いわゆる規模、それから予算額或いは継続事業であるかどうかというような点、これは各官庁において公共事業に個々の認証、或いは公共事業費配分等をやつておるのでありましようから、こちらでお調べにあれば私はわかると思うのでありまして、ただこの統計的に農林省関係、土地改良費、事業費というものをずつと一括して出してあるのを、具体的にどことどこに施行しておるかというその規模と、その現地の予算額を出して頂きたいと思うのであります。そしてそれがその北海道自治団体のものと直轄のものとどう分れるかということを私見たいと思うのでありまして、それを出して頂きたい。それから二番目には、右の各事業について直接直轄工事を所管している、又所管しようとするこの事務所名、それからその事務所における人員の配置状況、現在の配置状況、国費の職員と地方費の職員とあるでありましようから、それを分けて配置の状況、それからその後細かいことですから、それだけお願いして置きたいと思うのであります。  それから技術的にたつた一つお伺いしたいのでありまするが、いろいろな事業のうちに開拓事業、それから道路事業について同じような事業を遂行しているのと、北海道におけるやり方と著しい性質の差異があるかどうかということを御説明願つて置きたいのであります。いろいろお尋ねしたい点がありまするが、これだけにいたします。先ほど増田長官が言われた内地でもこうやつているのだ、だから北海道でもこうやればいいんだというようなお話でありましたが、何から何まで北海道の現在やつている道路なり開拓の事業というようなものと、内地が直轄してやつているものと性質が同じであるのか、その違つている点が現実にあるのかという点を、技術的に御説明願いたい、こういうのであります。
  22. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 御要求の資料はすぐさま作りまして遅滞なく差上げます。  それから最後の御質問内地でやつておる開発建設公共事業と、北海道で行なつておる公共事業と性質が著しく違うかどうか、これは個所々々について又御覽願いたいと思いますが、一般的にお答えを申上げます。一般的の問題といたしましては、北海道のほうが国で手がけておるものが非常に多いのであります。どういうわけかと申しますと、未開発地域が極めて多いからであります。であるからして北海道には一般論として申しますと、国が直接大いに力を内地よりも入れておる。併しながら国会に対する答弁責任があるのやらないのやらわからない。国が大いに力を、特に内地と比べても質量共に違うにもかかわらず、国会に対しても、政府が直接施行できるのやらできないのやらさつぱりわからない、こういう状況であります。
  23. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 小笠原君に申上げます。両点に関する政府の答弁について、委員長が取計うことは承知いたしました。次は地方行政委員石川清一君に発言を許します。
  24. 石川清一

    石川清一君 増田長官に御質問申上げますが、今までの質問をできるだけ要約いたしまして、重点的に質問を申上げたいと思いますが、今度の問題が論議されておるのは、開発局北海道の中に設けまして、従来の観念からいたします道知事機関委任としての仕事を分離するという形になつて参ると思うのでありまして、これは現地自治体の考え方と開発庁自体の考え方に食い違いがあると思うのでありますが、これは道の行政機構並びに道議会を通ずる団体委任の形式を取るか、それとも又原案のように分断をするか、それとも道知事機関委任として扱うか、この三つがこれをめぐる方式として考えられると存じております。私は地方行政委員でありますので、その地方行政委員立場から御質問を申上げたいと思います。即ち今日まで論議されました責任の所在を明確にするという理由に立ちまして、その時期が果して今日妥当であるかというのでありますが、その時期につきましては、昭和十八年に北海道の一、二級町村制が廃止され、或いは北海道の道会法が廃止されましたときに一応考えられる問題であつたと存じております。その次は北海道の拓殖二十カ年計画の終りました昭和二十一年、このときにも新たな計画を立てまして、北海道における開発行政をどういう形で処理するかということがやはり考えられるべきであり、考えられたと存じております。第三点が自治法の制定をされましたところの昭和二十二年でありまして、これは縷々開発長官が弁明をされておるところであります。更に四は北海道開発法に基きまして、北海道開発庁が設置されたときであります。更に五番目は地方財政法が作られ、地方公務員法或いは地方税法が実施されまして、特定の財源を與えられて道自体が全国一律的に法の上においても、財政的にも措置をされたとき。更に六は昭和二十六年度の予算案の編成されました昨年の七月、或いは上程されました十二月までの期間においてこの問題が論議研究されなければならん。更に第七番目が第二回目の地方団体の各選挙のときに当つてこれが明確にされなければならなかつた。このようにいわゆる北海道の開拓史の中から、又開発の現状から考えました場合には、この七つの点が当然考慮されなければならなかつたと存じております。併しその間常にその会議の速記録或いはその他の情報を聞きましても、委任機関として道治上扱つておりましたあれが適当である、妥当であるということが確認され続けてこの法案の提出されるまで続けて来た、こういうように存ぜられるのであります。  然らば将来この道開発の歴史の中から、そういう時期がないかと言いましたら、私は当然政府においてそういう点が考慮され、然る上において今日が当然すべきときだという結論がなされなければならんと存じておりましたが、その点について先ず……お伺いを続けますが、北海道開発は明治三十四年に十カ年計画が立てられ、更に昭和二年に二十カ年計画が立てられました。昭和二年には、即ち二月でしたか、閣議決定のときに一般会計の中で歳入と歳出を見合いまして、歳出は歳入の増を以てこれに当てるということが決定されて二十一年まで及んだと思いますが、今度の総合開発計画を立てられる開発庁は、五カ年或いは十カ年の計画を以て積極的な開発を推進するという意欲の上に立つてこれを遂行するだけの計画的な自信が若しあるとするならば、これがいつ発表されるかどうかという点をお伺いいたします。又その算定になりますところの公共事業費は、大体米価基準である昭和十年を一といたしますと、昭和十一年はその当時の公共事業費に比較いたしまして一四・三になつております。昭和十二年が一二・三、いわゆる公共事業費の中の占める比率がそれでありまして、太平洋戰争の最中の昭和十八年が公共事業費の一八%になつておりますが、それが終戰後の二十三年においては九・五となり、その後一〇、一一、昭和二十六年の今日の一二ですか、この程度になつておりますが、今度の開発計画は国の公共事業費のうちの何%を以て当てるという点を考えに置かれるのか、それとも第二期拓殖計画のような線に沿つて立てられるのか、それとも重点的な基本的な河川或いは道路、港湾というようなものを、特定の事業場を指定いたしまして、経済界の動向如何にかかわらず予算の増減をインフレその他デフレ等に合せまして組んで行くのか、この点をお伺いいたします。いわゆる積極的な開発はどういう形で行わなければならないかという点をお伺いいたします。
  25. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道について非常に御造詣の深い石川さんの御質疑には私敬服いたした次第でございます。そのうちの御質問に亘る部分についてお答え申上げます。先ず北海道総合開発計画はいよいよ第三次の段階になつておるのであるけれども、どういうふうに立てるつもりか。この北海道総合開発計画を立てるためにお説のごとく、昭和二十二年を以て第二次拓殖計画は終つております。もとより我々は遅滞なく立てなければならんと、こう考え北海道開発審議会を設け、更に開発庁を作りまして、開発庁の使命は、北海道総合開発計画を樹立策定するにあるのであります。只今折角一生懸命調査をいたしておりまするが、でき得る限り早くこれを作りたい。石川さん御承知のごとく私が北海道庁長官になつたときに第三次の開拓計画の時代にいよいよ入つたのであるからして、而も終戰後北海道の意義というものは質量ともに全く違い、重要性を加えておるからして、北海道総合開発計画を立てなければならんというわけで、北海道総合開発計画審議会を道に作りまして、あのときでき上つたのが基礎になつていわゆる十カ年計画、五カ年計画ができておりますが、あれも尊重いたしております。知事から提出されました意見書としての五カ年計画も尊重し、それから我々の基本的調査と相待ちまして、できるだけ早く立てたい。その時期は二十七年の一月一日であるというようなその時間の点までは正確にはお約束できかねますけれども、できるだけ早く立てるべく、又それを使命として存在しておるのが開発庁でございますから、一生懸命勉強をいたします。殊に二千万円の調査費皆様議決して下さいましたから、この調査費を有効に使いまして、あの昭和一十二年に行なつた十カ年計画以上に立派な総合開発計画を立てたい、こう思つております。それから大体あらましの総合開発計画は現在もあるわけでありまして、石川さん御承知通りであります。そこで今までのところ非常に公共事業全体に比べまして、昔はよかつたのでありますが、だんだん落ちて参りまして、終戰直後は九%というようなところになりました。日本全体の公共事業費の九%であります。九%としても羨ましいということを内地で言うかたがあります。即ち一割は北海道で以て行きますから一割は多過ぎるという説もありますが、我々は一割を以てしては到底我慢できません。そこで十二、十三、十四と殖やしまして昔と殆んど…本年度の日本公共事業費は御協力もございまして、お蔭様で非常に予算が殖えまして、一四%に相成つた次第であります。日本全体の公共事業費の一四%に相成つておる次第であります。  それから将来新らしく開発局を設置した場合に直轄事業はどういうものがあるか。我々は現在直轄事業としてやらなければならんものは、大規模の国道の建設或いは河川の建設、改良或いは港湾の建設或いは土地改良という規模の非常に大きいものだけを考えております。併しながら先ほど小笠原さんからも御質問ございましたが、北海道につきましては、実は小河川といえども内地においては府県でやつておるものでも北海道では直轄でやつて欲しい、全額国庫でやつて欲しいというわけで、これは余り声を大きくしては言えませんけれども北海道は未開発地域であるからして、内地では自治行政として府県の負担でやつておるらしいが、北海道は全額国庫負担で、河川にいたしましても、後で申上げますが、直轄河川の数は非常に多いのであります。或いは国土の建設にいたしましても、土地改良にいたしましても、内地ならば地元の負担があるにもかかわらず、北海道は地元の負担なんか全然ない。即ち直轄事業は非常に多いのでございます。そこで実は我々としては国費をできるだけ節約する意味で、減らしたいという立場をとつている役所もあります。これは歳入当局、いわゆる財政当局でありますが、これは恐らく直轄事業を減らして欲しいということを北海道の諸君が要求されることはないと思います。先ほど小笠原さんが言われましたが、できるだけ直轄事業を殖やして金をよこせ、そうしてどしどしやれ、こう必ず言われると私は思つております。  それからなお機構の改革の問題でありますが、機構は三つであり、只今政府提案にかかるような機構の考え方もあるし、それから北海道という自治団体に全然任せつきりの考えもある、機関委任の考えもある、御説の通りであります。そこで我々は現在の案が一番責任態勢を確立するゆえんである、こう考えて確信の下にお出ししておるわけであります。皆様に対して責任を負い得る態勢でやつて悪いということはどうしても考えられない次第でございます。皆様からお叱りを受け御指導を受ける機会を作りたいという、それじやいやだから勝手にやつて置けということは絶対にないと思つております。そこで自治団体に任せつきりの機関にしたらどうか、これは自治団体の費用を負担することになる。只今変熊的な現象として平衡交付金がございますが、これは飽くまで変態的現象でございまして、北海道自身で北海道開発をして下さい、これはとてもできるわけのものではありません。これは石川さんも全く地方自治団体に委任というものはあり得ないということを御力説下さると思います。平衡交付金というものは変態的現象で過渡的な現象なんですから、結局自治団体自身が自分の徴税その他の負担でやらなければならない、これでは北海道開発事業は従来の十分の一、十分の二になつてしまいます。全国民の要望に応え得ないことはもとより、北海道の四百三十万の人人がだんだん末細りになつてしまいますから、これは問題にはならない。それから第二の考え方の機関委任の考え方はどうか、これは現在やつておるわけです。これまで機関委任も石川さんのよく御承知通り、中央が執行指揮監督をするやら、知事執行指揮監督をするやら、少くとも総理府の所管の地方技官、地方事務官の俸給の上げ下げや、或いは任免黜捗等をいたしております知事はそういうことはいたすことがありません。或いは指図は或る程度するらしい。とにかく非常にわけのわからない状況でございまして、純然たる機関委任でも何でもない。そこで全くややこしい関係であるからして、而も国の機関が現在やつておることは事実でありますから、新らしく設けるわけでも何でもございません。国の機関である三千二百名の国家公務員の総理府の所管の役人がやつておる、国の役人がやつておるわけでありますから、あいまい模糊たる不明瞭なる関係に立つているのを明瞭にしよう、ただ機関委任を受けておる、或る程度の機関であるとして委任を受けておる知事さんが、自分の仕事を取られるのはいやだ、私どもは本当は、あなたにお願いしてやつておるのですから、今度は直接やつて、おれの荷物を背負つて頂いて有難う、あなたの本来の背負う荷物は二割であるのに、国の仕事を八割もおつかぶつてつて相済まなかつた、荷物は私が背負いますというと、それはいやでございますというのは少しおかしいと思います
  26. 石川清一

    石川清一君 只今のような御答弁を待つてつたのでありまして、国の税金でもこれは政府の私有財産でないのでありまして、この結果がいわゆる開発という国家投資によりまして、やはり国の経済の発展、或いはそこの住民の生活の安定ということになるのでありますが、公共団体と申しましても北海道公共団体は、その中に市町村も含んで、いわゆる開発の歴史的な公共団体の性格を一体になつてつておるのでありまして、特にいつも例に挙げる別海村を私見ましても、香川県より若干小さいというような一町村がありまして、この町村は六割近くが平地でありまして、一万二千余の人口を持ち、そこに小学校はたしか三十近いと考えております。こういうような町村を持つておる北海道は、如何に全額国費といえども団体委任の形式をとりまして、いわゆる全額国庫という、当然内地の府県においては町村で行う河川でも国が行い、或いは県が行うものでも国が行なつているという開拓の歴史的な関係、いわゆる文化の後進性を急速に取り戻すという考えに立つてなされる国家投資というものは、やはりそれは全額国庫、いわゆる国の出先機関をして開発さすよりも、北海道の正しい自治団体の育成のためには、やはり今までの全額国庫の負担の幅を拡げまして、いわゆる急速な内地並の自治法に盛られておるところの成育助成をするという意味で、そういう程度、そういうところのものが今度の改正の中でいわゆる団体委任という形で当然考えられるべきである、こういうように私は考えておるわけでありまして、こういう点が十分今度論議されるかどうか。今日までの政府説明の中ではないのでありまして、この点は昭和十八年に一、二級町村制と北海道会法の特別の制度が廃止せられましてからの北海道の町村の苦しい、いわゆる開発関係を中心にする苦しい財政、特に平衡交付金制度が布かれまして、北海道平衡交付金額は確かに山村、漁村では増額されました。併しそれが増額されたといつても、現在の町村における河川の改修、道路の改修並びに新築というものは、全額拓殖費と申しますか、開発費に仰がなければ、完全な町村における自治体の成長はできないというような点が、すでに増田大臣も御承知の点でありまして、これを全部国費によつて出先機関が行うということは、これはこの際当然考えられるべきである。ここに地方財政行政調査会議の結論が、單に道の機構の問題にとどまらず、その末端における公共団体としての市町村の自治体の完全な育成のためにも、当然考慮されなければならん問題でありますが、こういう点について昨日来の御説明の中には、それが私ははつきりしておらなかつた。いわゆる地方行政委員の現在の我々の考えからいたしましたら、いわゆる国の民主化の基盤は町村、公共団体の育成において初めてでき上るのでありまして、これをおろそかにしまして日本の民主化はあり得ないのでありますが、この点について十分今日までこの懇談と申しますか、現地開発局設置の中で道の市町村の長の代表者、或いは知事との間に緊密なる連繋、更にこの現地機関の設置後におけるところのいろいろな有機的な結合としての会議が持たれたかどうか、自主的に持たれたかどうか、今日まで持たれておつたかどうかという点をお伺いいたします。
  27. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 石川さんは非常に北海道に精通でもございまするし、又北海道開発のためにも、従来献身的に努力されたかたでありまして、北海道の事情に精通されておることはもとよりでございまするが、只今御指摘の、別海村を例にとりましたから、私も別海村の例について申上げます。別海村は成るほど単級複式学校が三十有余、ございまして、面積は香川県よりやや少いというだけであります。而してあの村に全額国庫補助をして、そうして村で事業をやらせればよろしいのじやないか、これは私は異議があるのであります。全額国庫は成るほど、建設委員のかたもここに見えていらつしやいますが、例えば災害復旧のごときは全額国庫をいたしました、去年……。そこで全額国庫を成るほどいたしましても、国の行うべき事業と、村の行うべき事業と、都道府県の行うべき事業とはおのずから性質が違いまして、結局災害で申しますと、十六万円の災害があつた。別海村の村道が決壊した。これは成るほど全額国庫でありまするが、これを国でやるという法律はありません。併し私の全額国庫というのは、全額国庫で以て、国庫負担でも何でもない。全額国庫の支出であります。全額国庫で支出してそうして行う国の事業なんでありまして、全額国庫負担となりますとどうしても自治事務になります。そこで自治事務は、成るほど北海道は比較的後進地域であるからして、全額国庫負担がよろしい、これは私も認めます。ただ全額国庫で支出でしたものはすべて村にやらせんならん、道にやらせんならんということはないのであります。内地において全額国庫支出をいたしませんでも、例えば国道一号線建設改修、或いは又箱根山の只今補修をいたしておりますが、これは関東地建という所でやつおる。神奈川地建ではとてもできんから、政府から補助をもらつたのつて困るというわけで私どもがやつておる次第であります。全額国庫支出は大事業であります、大規模な事業でありますから、結局国が国家全体の四つの島について調和ある関係において計画を立ててそうしてやるのでありまして、金をよこせば別海村の村長は適当に国道を作る、それじや困るのであります。要するに全額国庫負担をするというのは、石川さんには釈迦に説法でありまして、私申上げる必要はございませんが、自治事務としてやつておるところに全額国庫負担をしておる。殊に北海道は性質が違うからして、内地が三分の一の場合でも、全額持てという御要求は私はわかるのであります。そこで例えば漁港であります。漁港の建設というものは自治事務であります。北海道においても自治事務であります。そこで内地は三分の一補助するだけであります。或いはもつと大きい枠もあると思いますが、北海道はいいところ八割でいたしますから、たつた二割を道でもつて持つだけであります。併し道として、自治事務として漁港の建設をするだけであります。又災害につきましては、全国町村は全額国庫負担であります。国の直轄事業については、例えば近畿地建につきましては、或いはあの大阪の、防潮堤等を作りますのもみずから作るわけであります。例えば全額国庫負担でありましても、国のやる事業地方のやる事業とはあるわけであります。そこで北海道においては全額国庫負担をせよという御趣旨は災害の補助についても活かしてあります。御承知のごとく内地は三分の二、四分の三及び全額であります。災害の程度によつて違いますが、平均にいたしますと四分の三だそうであります。四分の三を私どもで持つ、地方で四分の一持つ。ところが北海道自治事務としてやつておる道路や河川や、或いは漁港等が災害を受けた場合において一体どれくらい持つか。先ず五分の四であります。天付け五分の四であります。それから又状況がひどければ全額である。こういうふうにあなたの御要求の線に非常に近いものをやつております。要するに先ほど小笠原君からおつしやつた通り北海道民諸君の要望は、うんと金を中央からおろせ、或いは機構がどうなるやら、何やらちよつと看板が変るだけでありまして、而も知事指揮監督ということをちよつと移すだけでありまして、御厄介になりましたが、今後は我々が国会に対して責任を負い得る態勢で、八千万国民の皆さんの出して下すつた納税もあるから立派に使いたい、これだけなのでありまして、農民を含む道民諸君は金をうんとおろして、内地には非常に相済まんけれども北海道内地から上つた税金としてどんどん出しておれたちのためにしてくれ、これが北海道民諸君の切実な要望でありまして、先だつて以来、北海道民諸君も大分東京に来られますが、私が話をしますと、そういうことなら一つうんとやつてくれ、こういうことでございます。
  28. 石川清一

    石川清一君 北海道が特に河川法、或いは道路法、港湾法等によりまして特定の規定を設けられまして、内地より高い補助率をもらつておるのは、これは百も承知しております。併しこれは北海道の道民の個人の私有財産を減らしたり、特定の個人の財産収入が殖えるのではありません。これはどこまでも文化の後進性を急速に取り戻そうとするところの国の開発意欲がこうせしめたのでありまして、これは単に北海道の道民の喜びでなく、やはり国民的な立場において更に強められるべきであると私は信じております。併しここで問題になつて参りますのは、今日地方自治法が制定され、地方財政法が作られまして、北海道自治体の財政困難な面が、若し今度の現地機関の設定によりまして、今まで続けられておるところの有機的な結合、いわゆる一つの企画、一つの指導の上に立つてつたものが、別の観点に立ちましてそれらの構想に食い違いができ、或いは事業の実施にいろいろな齟齬といいますか、そういうようなものが急速にするために起きないかという心配でありますが、この点についてはすでに絶対心配がない、いわゆる負担の増加もしないという言明が随分なされておりました。併し今までの御説明の中で、私どもは非常に疑問を持つておるのは、今日まで北海道に投入されましたところの国家資本は、資本によるところの施設は、どこまでもこれは国のものであるという錯覚を持つておられるようでありますが、今日まで北海道に投入されておるところの国家の資本の中で、特に例を道庁の庁舎に取りましても、これは北海道の道庁という自治機構、当時の国の開拓使以来、道庁以来官選の知事を持ち、強い、強いといいますか、その大半は国費になつておりましたけれども、これは自治法が制定されまして、完全に国の中における自治体としての立場が明確になりましたときには、これは無償で自然的に北海道庁自体のものになるはずであります。これは單に一つの国の出先機関、権力機関を残すために作られたのではなくて、自然発生的であるべき自治体を国の急速な資本によりまして作つたのでありまして、結果的に見まして、これは北海道道民の負担においてなしたのだと、いわゆる文化の後進性を取り戻したのだという最後的な結論になるのでありまして、これは無償で大蔵省から長期間契約で貸すとかどうとかいう考えの中に、やはり国家主義的な権力的なものが私は潜んでおると伺われるのでありまして、こういうような点が土木現業所の場合、或いはそこが持つておりますところの建設資材、こういうようなものの分配といいますか、使用の時期或いは使用量に対する一つの配分と、こういうようなものが起きて来るのを私は心配をするのであります。これはどこまでも地方公共団体としての道庁は、或いは市町村は、正しい自治体の基盤として、いわゆる民主主義国家の基盤としてのその規模、或いはその施設を急速に作るために、国が投入されたものでありまして、結果的には地方自治体の市民の負担において作られたものであると同じことだ、こういうようなお考えを持つて、今度の開発局の設置を望まない限り、そこにはどうしても意見の衝突、見解の相違、或いは事業分量に対するとこうの考え方、時期に対するところのいろいろな何といいますか、検討のいろいろな角度に対する意見、こういうよりなものが非常に食い違つて参るのではないか、こういう点が非常に心配されるのでありまして、それが結果的において道民の負担増というようなことが起きることを心配しておるようであります。私も北海道の道民の一人として、政府がとるところの積極的な開発、急速に厖大な国費の投入に対して反対をするものではありません。併しながらそれはどこまでも過去八十年の歴史を持つ北海道の開拓がどこまでも北海道の道民の民生の安定、自治体の正しい育成成長という上に、正しい日本の民主的な建設があり、復興があるのだという考えを忘れ、いわゆる国家主義的な、いわゆる国家の権力的な考えに対する一つの反抗といいますか、正しい民衆の考え方というものが起きて来るのは、これは当然だと考えまして、この点についていわゆる今度の分断、分割と申しますか、いわゆるこれに対する一つの考え方を現地の事情を考え北海道開発の歴史を振返つて見まして、その中でいわゆる団体委任の中でこれは認めるべきものは取り、知事としての機関委任としての方式の中でいいものは十分取入れて、いわゆる長期的な、基本的な施設を重点的に国がとるというような点に対して話合いが十分にできておらなかつたという点を私は遺憾に存じておるのです。それでもう少し、考慮の余地が、いわゆる地方行政調査委員会議の結論や、更に利根川開発法をめぐるところの問題を通じて道州制がやはりいろいろ開発問題をめぐつて起きても参りましようし、又北海道の内部問題にいたしましても、現在北海道の国家地方警察は五つの方面隊を持つておりますし、又四つにするとか五つにするとかという分権論も起きております。これは当然行政事務の再分配と行政機構の再編成という広範囲な問題が論議されておるのでありまして、こういう点も十分お考えになり、検討された上で、現地における開発局の設置、そういうようなものを十分に検討された上で、最後的においては非常にスムースに行くというような形を私は地方行政委員立場から質問を申上げたのでありましたが、残念ながら今日警察法もまだかかつているし、これをどつちかにしろというのが社会党の肚でございます。まあ私の想像でございますが、こつちのほうも重大と見ておりまして、地方行政立場から考慮しなければならんと考えておりますので、御答弁を簡單に承わつて、又したいと思つております。
  29. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それじや簡單に御答弁申上げますが、どうも国の営造物だと権力的である、国家主義的であるという、石川さんのお話とも覚えないのでありますが、そうしますというと、我々は民主的な国家だと思つております。終戰後に新憲法ができたが、政府又この国会は民主的国会であり、民衆の代表者であり、公僕である、こういうふうに考えております。昔のような官僚政治時代とか或いは三権分立の時代と違いまして、国の営造物を持つておるということはこれは権力主義的でいかんということになりますと、小樽港や或いは鉄道や、或いは郵便、電信設備等も、これはすべて北海道という自治団体のものがなくてはいかん、こういうような声は内地にはございませんし、北海道では恐らくないと思います。そこで北海道庁はむしろこれはあべこべだ、内地と違いまして……。内地こそはお話のごとく長野県庁は長野県という自治団体の建物である、そこで北海道庁は国の行政が多かつたということ、或いは国の出先機関であるということも、長官という言葉によつてもおわかりの通りであります。そこで国の営造物たる道庁でありますが、これらは何んとかいたしまして、無償貸與の形式をとりたいと思います。無償譲渡ということになりますと、皆さん議決を得なければなりませんから、皆さんが無償譲渡にせよというようなことの強い御要望がございますれば、民主的な国会議決には民主的な政府は従いますから、無償譲渡ということもいたさないわけでもございません。将来考えたいと思います。
  30. 石川清一

    石川清一君 急ぎますので、少し民主的な答弁が頂けまして、もう一歩民主的になれば満足いたします。北海道庁行政機関の一つの施設として生れたのでありまして、港湾や鉄道の或いは駅と全然違うのでありまして、自治体の運営だけはやはり今のようにもう一歩一つ切り下げてもらわない限り、民主的などという誇りは持てないと私は考えております。急ぎますので……。
  31. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) それでは建設委員会の岩崎正三郎君の御発言を許します。
  32. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 議事進行について申上げます。建設委員会は三人ほど発言者がいるのですが、もう十二時四十分になりますから、この辺で一つ晝食にしてあとやつて頂きたいと思います。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  33. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) それじや休憩にいたしまして、午後は一時半に再会いたします。    午後零時三十八分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  34. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより休憩前に引続きまして連合委員会を開会いたします。  なおこの際諸君に申上げておきますが、予算委員会も又連合委員会に加わることに相成りました。休憩前に小笠原委員から、この法案の実施に当つては憲法第九十五條の住民投票を必要とするのではないかという質疑、それから第二には、この法案に規定せる開発庁執行機関とすることは地方財政法第二十一條に違反するのではないかという質疑があつたのであります。小笠原委員はここに御出席がありませんけれども、御出席なくとも政府から答弁を求むるということでありました。
  35. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) この北海道開発法の一部改正に関する法律が憲法九十五條に抵触するかどうかという小笠原委員の御質問に対してお答えを申上げます。我々はこの北海道開発法は憲法九十五條に抵触いたさないと考えておるのでございます。というのは、内地諸府県を国の行政区域とする国の直轄事業北海道においても行なつておるに過ぎないのでございまして、内地においては自治団体がやり、北海道においては国がやると、こういうわけではございません。北海道においても内地においても国の行政として国の直轄事業を行う。その事業というものを地方自治団体たる北海道に任してあるわけでも何でもございません。又いわゆる機関委任でもないのであります。機関委任、多少法律の條文をよく読んで見ますというと、そういう性質はございまするが、ただ役人の指揮監督を或る程度委任したらしい、併しながら農林省においても、建設省においても、この総理府の国家公務員を指揮監督しておる、事業執行についても指揮監督しておる、全く法律上極めてあいまいな関係にあるのであります。要するに機関委任といたしましても、地方公共団体のみの、一地方公共団体のみの利害に関する問題ではないのでございまして、日本国家全体に対して、国の行政として行なつておる部門に関する行政機構の改革の問題であるのに過ぎないのでございます。従つて憲法九十五條によつて住民投票を要する法律と思わないことは、元来一部改正の根抵をなす北海道開発法自身も住民投票をいたさなかつた次第で、ございまして、今回の一部改正も、住民投票をいたさなかつた北海道開発法の一部改正に過ぎません。従いましていろいろな意味から見まして我々は住民投票を要するという憲法九十五條には断じて抵触しないものであるという確信に立つておる次第でございます。
  36. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 第二問は、地方財政委員会の当局から御答弁を求むることになつております。それ故に質疑を続行いたします。
  37. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は初めに総論的に北海道開発計画についてお尋ね申したいと思います。先ず一番初めに、過去昭和二年から昭和二十一年の二カ年に亘りまして計画実施いたされました第二期北海道拓殖計画自体の実施の実際を研究して見ますると、これは北海道より徴税されました国税と北海道へ投入されました国費との差額を充当してこの開発をばいたして来たように思うのでございます。仮に今このような観点に立ちましてこのような計算によつて一つの数字を出しました場合に、これがどのような状況に相成り得るか、初めにお伺いいたしたいと存じます。即ち北海道において徴税されておる国税の額と北海道へ現在投入された国費との差額がどういうふうになつておるかということでございます。
  38. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三輪さんにお答え申上げます。我々は今三輪さんの御指摘の線、即ちこれは第二次拓殖計画を立てるに際してのその前提をなす閣議決定の線に沿つて北海道の拓殖折を北海道に支出すべきものと心得ております。併しながら他の委員からも御質問がございました通り、終戰直前までは、終戰後もそうでございましたが、外地に日本全体の目が向けられておつたというような関係があり、終戰直後はその惰性もございまして、遺憾ながら閣議決定の線に沿うた国の拓殖事業費をオーバーに北海道に支出して飛躍的に北海道開発を行うということができがたかつた次第でございます。これではいけないというわけで閣議決定趣旨にもございます通り、国が大いに北海道に力を入れなければいけないというわけで、北海道開発庁というものも内閣に設けられました開発審議会の答申に基いてできたのであります。あの際理想的な北海道総合開発機構を作るべしという御答申もございましたが、先ず去年の段階としてはあの程度になつたので、ございまして、着々我々は北海道総合開発、国家行政機構の整備、充実に努める必要が、全日本国民の要請に照らしてあるのでございまして開発庁ができて以来は、御承知の只今御指摘の閣議決定の線を早く満足させるように一生懸命努力をいたしておる次第でございます。
  39. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は簡單に私の質しました要点をお答え頂ければいいのでありまするが、遺憾ながら私の質問に対しての御答弁がないのであります。私は数字的にこれを求めておるのでありまして、二十カ年の第二期北海道拓殖計画の当初の目標というものが、人口六百万、農地百五十万町を殖やすという計画において実施されたにもかかわらず、戰時中いろいろな事情によりまして、その計画が実際には実績において人口三百万、農地七十五万町の増加という約半分の実績に終つておるのであります。先頃からだんだん増田長官が御答弁に相成りましたように、戰後非常に北海道重要性というものが認められて参りまして、なお又戰時中のそういつたようないろんな悪條件もなくなつたことでありまするから、更に重点的に北海道開発するのだというような御発言に相成つておる考え方からしますると、過去において踏襲された基本方針よりも更にそれに倍加したところの強い方針が根抵にある、かように我々考える次第でございます。併し私はその更に加わつたところのことを申しませんで、ただ過去において踏襲されて参りました北海道から徴収された国税と北海道に投入された国費との差額、これをば仮に今計算するといたしまして現在どうなつておるか、これは昨日から長官が申されましたいろいろな、本年度の計画になつておるところの、自由党が出しましたその数字と見合うものであるかということを私は知りたいために質問を申上げておるのでありますから、簡單にその計数をお答え頂ければ結構なのであります。
  40. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 只今申した通り閣議決定の線は皆様の御指摘の通りであります。併しながら閣議決定の線まで実は来ておりません。但しこういう見地からものを考えますと、北海道は歳出のほうが多いのであります。北海道に対する歳出のほうが。というのは、北海道で我々が納税を願つておる国税の総額と、それから北海道において行うところの公共事業費総額、災害復旧費或いは平衡交付金その他のものを、つまり補助事業費一切を加えて申しますと、国から支出される部分北海道から入る歳入と殆んど開きがなくなる、こういうことに相成つておるのであります。或いは歳出のほうが多少多い。今御指摘の点は計算いたしまして、後刻お答え申上げますから、暫らく御猶予を願いたいと思います。
  41. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 参考人がお揃いのようでありますから、参考人の御発言がありまして、それに対する質疑応答等が終りましたあとで私の質問を続行することにいたします。
  42. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  43. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。
  44. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでは今質問申上げました具体的な数字につきましては、後ほど御提出を願いまして更に検討することにいたしまして、第二番目に、北海道開発庁は企画機関といたしまして、開庁後すでに一年を経ておるのでございます。そこで企画庁としての北海道開発庁におきましては、すでに開発方策が一年間の間にでき上つておることと思うのでございまするが、如何なる資金計画と、如何なる目標で開発事業を推進するお考えでございまするが、資料によりまして資金計画、それから開発計画の詳細を御説明願いたいと存じます。
  45. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 先ず簡單に三輪さんにお答え申上げます。というのは、実は開発計画について申上げますと、これは非常に長時間に相成りよす。恐らく数時間が必要であると思います。そこで簡單に申上げまするが、北海道総合開発計画は、開発庁においてこれを樹立策定するということを法律によつて命ぜられておりまするが、そういう使命を担つて開発庁は生れましたが、この使命を果すべく只今一生懸命に調査をしております。而して昨年は調査費がろくにございませんでしたが、今年度は皆さんが二千万円の調査費を計上して頂きまして、これは即ち北海道総合開発計画を樹立策定するところの前提である調査費でございまして、皆様の御議決にかかる調査費を有効適切に使用いたしまして、立派な総合開発計画を樹立策定いたしたい、これが先ず簡單なお答えでございます。なお経過から申上げますと、非常に長時間になりますので、以上のことで御了承願いたいと思います。
  46. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そのような抽象的な御答弁を私は願つておるのではないのでありまして、北海道開発法第二條によるところの開発計画の実際をば資料を以て、勿論それは詳細を盡すということになりますると、これは当然この短い限られたる委員会において盡すところではないかと思いますが、一応私の質問を申上げておる趣旨が了解できまする範囲における資料の提出と御説明をお願い申上げます。
  47. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三輪さんの御要望のようなことは、実は内閣委員会でございまして、ここにガリ版で刷つたものがございますが、後刻配付いたしたいと思いますが、経過はこういうことになつております。先ずこれは私のことを申上げて何でございますが、終戰直後北海道長官を拝命し、赴任いたしました私といたしまして、北海道総合開発を特に力を入れる必要がある。そこで北海道開発審議会というものを北海道に設け、而も新らしく北海道を通ずるそのときの朝野の高度の学識経験者に御参集を願いまして、例えば北海道大学の教授陣等は全部参加して頂きまして、そうして今日の金で申しますると六千万円くらいの金を一カ年間で使いまして、そうして北海道総合開発計画を樹立策定いたしたのであります。これは計画書に載つております。その内容の概略を申せといえば概略を申上げまするが、ちよつと詳細に申すということになりますと、これは数時間かかるのであります。その内容は概略的に申上げますと、十カ年計画でございまして、当時の貨幣価値で、今日の貨幣価値ではどうなるかわかりませんが、十カ年五千億の金を投ずる。一カ年にいたしますと、平均五百億の金を投ずる、そうして水産農林、或いは鉱産、あらゆる資源を総合的に開発する。水産関係で申しますと、漁港はこういうふうにしたい、鉱産関係で申しますと、石炭はこういうふうにしたい、或いは水銀はこういうふうにしたい。農産関係で申しますと、米はこういうふうにしたい、じやがいもはこういうふうにしたい、或いは大麦はこういうふうにしたい、こういうような……。
  48. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 増田君に申上げますが、資料があれば資料を配つて頂きたいということです。
  49. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 実は資料は、それほど作つたものは、例えば北海道総合開発十カ年計画というものはそう余部はございません。それはここのところ中略で申上げますと、その次に北海道総合開発ということが是非とも必要であると私ども信じまして、二度目に我々が政局を担当するや否や、北海道開発審議会を作りました。この審議会は主として北海道総合開発、国家行政機構についての整備充実をせよという答申がございましたが、なおその他各種の答申があつたのでありまして、これも余部はございますればお手許にお渡ししたいと思います。それからその次に石狩水域の開発計画という答申もございまして、これは余部がございましたらお手許に御配付いたします。最後に北海道総合開発計画というものが、北海道知事から提出されたものがございます。これは皆様議決にかかる開発法の中に、北海道知事北海道開発について意見を具申することを得、という條文に基いて出したものであります。これは私の忖度するところで甚だ失礼でございまするが、その後あの当時行なつたような、総合的な科学的な調査を実地について行なつた結果でき上つたものであるかどうか、机上で作り上げたものであるかどうか、その点私は不明でございます。私どもがこれを拝見して、その結果の所見を申上げますと、まああつちの港も作つてくれ、こつちの港も作つてくれ、国道も直してくれ、あそこの河川も直してくれといつたいわゆる陳情要求書等の数字を合計されたものであるというふうな印象を私は持つております。
  50. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私の伺いましたのは、その今お述べになりました米はどういうふうにする、港はどういうふうにする、そのどういうふうにというのを聞いているのであります。そういつたような抽象的なことであるならば、これはむしろ開発方策というものは、こういうふうに作るべきだということをばお話になつているので、これは常識論であります。我々が聞いているのは、企画機関としての北海道開発庁が、どのような開発方策を一年間にお立てになつたかということを聞いているのです。でき得る限りの、そう委員会で御説明をし盡されないような詳細なものでなくても、厖大なものでなくてもようございますが、私の問うております趣旨がかないます程度のものを、資金計画開発計画を添えて御説明願いたい。又それによつての御説明でなければ意味がない。
  51. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) ここで御説明申上げますと非常に長時間になるのであります。例えば米の場合にいたしましても、米は霧の多い根釧原野でできるかどうか、霧をこういうふうに防げばできるということは私といたしましても恐らく三十分かかる。根釧原野で米を作る方法と申しますれば私にも所見がございます。併し最初申上げました通り北海道総合開発計画北海道開発法に則つて樹立策定するということは、すでに進行過程にある、而も会計年度は新らしく入つて二月目でございまして、皆様議決にかかる開発計画前提をなす調査費が二千万円、皆様議決して頂いたのであります。これを使いまして、科学的な調査を行い、そうして立派な計画を作る、やるからには……。すぐ半年ぐらいで作つてしまつて、あとは杜撰な計画でもそれを金科玉條として十カ年も二十カ年もこれを実施して欲しいといつても、これは非科学的であり不合理であるということは、皆さんもお認め願えると思います。そこで我々は、それ以上未熟なものがたくさんありますが、それでもよろしかつたら提出いたします。その未熟なものの内容の説明をすれば、これは非常に長時間かかります。私どもの頭がまだ固まつておりませんが、その固まらない頭で、例えば十勝平野におけるじやがいもはどういうふうにせよということで、私の愚見でございますが、この意見を申上げますると、やつぱり十勝平原の大麦、十勝平原のじやがいもの関係でも、一時間くらいはかかると、こう考えております。
  52. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 増田さんは、これは北海道長官の御経験があつて、その御抱負をお述べになるということになれば、これは非常に長くなると思うのです。我々はそういう増田さんの深い蘊蓄を傾けての御意見を伺おうとは思わない。すでに開発庁において採用されておるところの、決定されておるところの開発方策、これはそれが実際に行われるような資金計画の裏付けができておる、こういうものをお聞きしておるのであります。でなければあなたが非常にお詳しいからというので、あなたの御意見を伺つておるということになりますると、それは何も開発庁の決しておる開発方策と同じものにならない。私が何故こういうことを御質問申上げるかと申しますと、一体北海道開発庁が出発して一カ年でありますが、その使命であるところの開発方策が、実際できていないじやないか、そのできていないような状態において、更にその上に、進んでその実際の実施をば、執行機関をば、一手に総合するところの開発局というものは、一体今作らなければならんものであるかという、私はそういつたような判断をしたいために、実際に開庁後一年でできておる開発方策の具体案について、実施できる資金計画の裏付けのあるものの御提出と御説明願つておるのでありまして、あなたの深い蘊蓄を傾けての詳細なる御説明、御意見を承わつておるのではないのであります。
  53. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は皆さんにまだできていないと申上げますことはもうしばしばでございまするが、あなたは、すでに決定されておる、こうおつしやいまするが、事実の問題であります。事実は決定されておりません。要するに我々が、あなたがたが本年度から使つてよろしい、去年はろくな調査費がなかつたのです。本年度から使つてよろしいというこの二千万円の調査費を有効適切に使いまして、立派な総合開発計画を作るという、こういうわけであります。然らば決定されていないのにもかかわらず、本年度どうするかと、こういうような御質問に移るわけでありますが、我々が今回行政機構の一部修正をいたしまして、この修正をされた行政機構をば所管せしめようというのは、あなたがおつしやつたような総合開発計画をこれに行わしめる、よく皆さんがそういうことをおつしやつておられますが、そうではございません。たびたび申す通り、国が従来行つておる直轄事業を行うだけであります。従つてその背景をなす資金計画はすべて予算でございます。国費でございます。
  54. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 たびたびこの総合開発という言葉をお使いになるようでございますが、長官はこの総合開発という言葉をば、どのような範囲で、如何ように御解釈になつておるのでありまするか、その点をお聞きいたします。
  55. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 総合開発という言葉を私が使うのは、開発庁の使命は現地に設けんとする開発局とは違うのであります。開発庁の使命は、北海道開発法律に書いてございます通り総合開発計画を樹立し、これが施行について事務の調整推進に当ると、こういうことが書いてございまするから、私が総合開発計画と言う次第であります。
  56. 楠見義男

    ○楠見義男君 関連して伺いたいのですが……。
  57. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 三輪君よろしうございますか。
  58. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 またあとにいたします。
  59. 楠見義男

    ○楠見義男君 北海道開発法の第二條の北海道総合開発計画の問題で、今三輪君から御質問がありまして、先ほど増田大臣から内閣委員会でもそういうような話があつたということで、実は内閣委員会で私からその点について御質問申上げたのでありますが、事業の実施機関を今回の改正案で分けるに当つて、その前提であるところのものは、北海道開発法の第二條の北海道総合開発計画、これにあるんだ、即ち第二條によりますと、「北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業昭和二十六年度から」云々と、こうなつておるので、従つてすでに北海道総合開発計画というものはあるはずだと、こういうように私どもは理解し、従つて私はこの総合開発計画資料として御提出願いたい、こう申したのでありますが、今の質疑応答を伺つておりますと、北海道総合開発計画というものはないんだというように理解されるのでありますが、そういたしますと、この現行法の第二條は、どういうふうに我我は理解すべきであるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  60. 岡田包義

    政府委員岡田包義君) 私より御答弁申上げます。北海道の総合計画は、この根本の大綱といたしましてはあるのであります。結論を先に申上げます。大綱におきましてはあるのであります。それをはつきりとここに地に着くようにする意味におきまして現在努力してやつておるのでありまして、その一部といたしましては、石狩水域開発計画は具体的に、地に着く意味の具体的に確定いたしまして、その初年度といたしまして二十六年度に予算を計上することはできます。対象は石狩水域の泥炭地五万町歩を対象にいたしました計画であります。それが一つ。それから只今の二千万円の具体的な調査費を二十六年度にもらいまして、それを大綱に従いまして地に着く計画を樹立する意図を以ちまして現在努力しておるのでありまして、その主なるものを申上げますれば、主なる地域を想定いたしまして地域総合計画の樹立、地下資源の調査というようなものを主なる項目にいたしまして具体的にやる計画になつておるわけであります。次にその前段の大綱はきまつていると申しますのは、歴史から言いますると今長官が言われました、増田長官北海道庁長官時代に北海道庁だけでこしらえました審議会の答申が当時の金で行きまして五千億、十カ年計画、その中味を申しますと金の上で最初に申しますると国費が二千五百億、民間資金或いは政府の財政資金、金融の財政資金のようなものを加えまして約二千五百億になる計算になつております。それから内容におきましては、究極におきまして北海道の目標は積極的に人口的に植え付けるという観念でありませんでで、人口が自然と殖えるような條件に持ち上げてそして人口が殖える、つまり経済力が殖えておのずと人口が殖えるという観念の下に計画いたしておりまして、現在四百万人のところを十年後には八百万人くらいには是非したいという具体的目標を立てております。それを究極の目標にいたしまして、例えば十カ年の間に土地改良を何町歩の目標でやる、或いは道路をどうやる、港湾をどのくらい作らなければならん、こういう大綱の方針をそれを基準にいたしまして、その後北海道の審議会及び開発庁附属の審議会において審議を経まして、そういうような大綱の面においては手続を経ましてできておるのであります。それで刷物も用意したしまとて差上げようと思うて大体できておるところであります。口頭で一言申上げる次第であります。
  61. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 まだこの問題並びに以下質問点を残しておりまするが、只今参考人が揃われたという御通告がございますから、参考人の御証言があつて、それは対する質疑応答が済んで続行することにいたします。   —————————————
  62. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本連合委員会は本日参考人として、田中北海道知事、椎熊北海道開発審議会委員、この御両君を煩わしまして北海道開発法の一部を改正する法律案について、御所見を伺うことになつておるのであります。それ故にこれから北海道知事田中君の御発言を願いまして、次に椎熊君の御発言を願うことにいたします。而して大体の時間は質疑応答を込めまして、それぞれ約一時間と考えておるのであります。諸君の御了承を願います。それでは直ちに田中北海道知事の御発言を願います。
  63. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 今回北海道開発法の一部を改正する法律案が政府から提案されまして、この委員会において審議されるに当りまして、私をお呼び出し頂きまして、意見を開陳する機会を與えて頂きましたことを心から感謝する次第でございまして、皆さん方の御高配に対して厚く御礼を申上げる次第であります。実はこの話にいろいろ入りますに先立ちまして、只今委員長さんから時間の点の御制約のお話があつたのであります。で私実は一昨日この点につきましてそのお話を承わりまして、お前の都合はどうかと言われました場合に、私はその時間では非常に短いというふうに感じましたので、午後の四時からの時間はよろしうございますが、時間につきましてはどうかもつと長い時間を與えて頂きたいということをお願い申してある次第でございます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そこで私只今皆さん方の御相談になつた時間の範囲内で許す限り私は話しますが、恐らくそれでは不十分でございますので、この問題の重要性に鑑みまして、その後におきましてもどうか私の意見を述べさして頂きたい。皆さん方にこの機会にあらかじめお願いを申上げる次第であります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  64. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 田中知事に申上げます。若干それでよろしうございます。(「了承」と呼ぶ者あり)
  65. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 実は今度の問題が起りますにつきましては、私選挙を終りまして後に、中央においてこのような検討が行われておるということの情報が入つて参りまして、実は私非常に驚きまして、いろいろ模様を調べさしたのであります。併しどうもはつきりしたことがなおわからない。而もそのうちに新聞紙上に、北海道における新聞にその情報が公表されまして、非常に道内に輿論が湧き立つてつております。私どもはこの問題につきまして、飽くまでも冷静に愼重に、感情的でなくこれを扱わなければならない、かような決意をいたしまして、この問題に対して更に愼重検討を加えて、いろいろこちらに参つて陳情しておる次第でございます。  北海道におきましては、五月の二十三日に道民大全が開かれております。この道民大会は各種の産業団体が主体でありまして、それに各種の組織労働者が加わりまして、総計約四千名の大会でございます。この大会が出先機関設置反対の決議をいたしております。或いは北海道におきまする北海道庁の、北海道知事の諮問機関として作られてあります北海道開発計画委員会がこれ又この問題については愼重に検討すべきである、こういうことの決議をいたして参つておる次第であります。又先般の二十五日の全国知事会議におきましては、地方自治確立の観点に立ちまして開発事業等に関する最近の出先機関設置については甚だ了解に苦しむということで、これらの措置について愼重な検討を加えられんことを声明されておることも御承知通りであります。而もこの問題は、政府においても極めて迅速に運ばれ、衆議院は御承知のように通過いたした次第であります。その間において私どもの意見は、正式に表明される機会というものは殆んど與えられていなかつたのであります。例えば二十三日に、例の北海道開発審議会が開催されておりますが、この席上における模様を私は出席して体験いたしましたが、要するに政府の手を離れておるのであつて、審議会自体の意見の結論が出ても、それが何ら取上げられるということの態勢になつていない。いわばこういうことがあつたという報告が殆んど重大であるがごとき感を受けたわけであります。そういうようなことで、私ども方面の輿論の力と相待つて、私自身はここにこの問題についてあらゆる観点からの私の加えた検討の結果を皆さんがたにお伝え申上げたいと存ずる次第でございます。実はこの問題につきまして増田開発庁長官、或いは衆議院における論議の速記録等からいろいろなことを私は調べて見ましたが、結論付けて見ますというと、国の行政は国がやるのがいいのだというような原則論が機械的に主張されておるというような印象を私は受けております。又本州並にするのだということも言われておりますが、この政府案によりますと、本州並ということではなしに、更にそれよりも遥かに後退した、地方自治の後退が現出するということも私は指摘できるのであります。或いは又諸種の議論の中におきまして、この際北海道の実態というものについてそれを基礎にするという行き方、考え方或いは又政治や行政の発足点であり或いは終局点である住民の生活というような諸問題について比較的閑却された印象を私は受けるのであります。又衆議院の論議にいたしましても、如何にも開発行政につきまして、北海道知事があやふやな権限で何ら法的にはつきりしていないのに、これをやつているに過ぎないのだ、こういう印象を與えるような発言が中に見えておりましたが、或いは北海道において国費の問題の扱いにつきまして、不法、不当の行為が行われておるというようなことが表現されたり、或いは私自身が共産党の公認であるという、事実ありもしないことが言われて、こんな者どもの言うことは聞く必要はないというような発言も実は衆議院の本会議に見えております。私はそこでこれらの諸問題につきまして、総体的な私の観点の中から一つ々々これらに対する私の所見を感情的でなしに公正に皆さんがたの御判断を頂くためにいろいろ申上げたいと存ずる次第であります。  そこで私はこの問題を検討する場合に、先ほど簡單に申上げましたように、国の行政は国でやるという原則論、或いは行政論議に重点がおかれて、その他の観点からする発言が殆んど政府側からなされておらないように感じております。私はこの開発行政というものを論ずる場合には、勿論行政自体を問題として論ずる必要性を認めるのであります。併し同時にこれが開発行政でございまするから、北海道総合開発というもの、つまり開発行政がその一部であるに過ぎないところの大きな北海道総合開発というものが、一体どういう形のどういう趣旨のものであるか、これを政府国策とされておるごとに対しましては、私に全面的に賛成でございまするが、この総合開発の観点から見た場合に、この開発行政の問題がどう扱わるべきものであるかというような問題、或いは新らしい憲法の精神に基くところの地方自治の進展という観点から立つて見た場合に、これが実態的にどういう影響を及ぼすかという具体的な影響をはつきりつかむというようなこと、或いは法律上の諸関係、例えて申しますると、これが地方自治体における負担が当然多くなつて参ることを後ほど申上げたいと思いまするが、そうなりますると、当然これは地方財政法の問題が起つて参ります。或いは又地方行政調査委員会議という問題、或いは又道路法、港湾法という法律との関連性の問題、そういうような法律関係の問題、或いはその開発機構を、出先機関を作ること自体によつて起るところのプラス・マイナスの論議、或いはここに持つて参る間における手続上の問題、つまり私は官選知事ではございません、公選された知事でありまするが、その私が責任を持つて実行しておる開発行政のこの大きな変動に対して、私に対して政府からの意見を求められたということは実はないのであります。そういうような手続上の諸問題、そういういろいろな観点から私は検討を進めたいと存ずる次第であります。そこでこの法案は、北海道開発行政の上におきましても、又北海道自治行政にとりましても画期的とも言うべき重要な変革をもたらすものであります。で、この問題につきまして話に入ります前提として、北海道開発の沿革と、新らしい時代に照応する総合開発の根本理念から先ず申上げたいと存じます。  北海道開発は、明治二年の開拓使設置以来、拓地植民政策を重点として強力に国策が推進されて、八十余年を経過し、その間種々の消長変遷がありましたが、国策の意図するところと道民意思が固く結合しまして、且又これを行政面から見ました場合は、国の行政自治行政とが緊密な連繋の下に一元的に総合的に実施し運営されて参りまして、僅か八十年の間に今日の成果を見るに至つたのでありまして、この輝やかしい発展の姿は全国民ひとしく認識するところと存ず次第でございます。而して戰後の北海道総合開発は、国家的に重要なる使命を達成すると共に、同時に又北方の広地帶の経済文化の後進性を克服して、住民福祉の増進と安寧を図り、又生活水準の向上を図るということをも併せてその基本目標とするわけでございます。従いまして総合開発の基本目標を遂行するためには、北海道に賦存するところの農、林、水、鉱等の豊富な未開発資源を有機的に開発する共に、これらの原始産業の振興を基盤とする高度の第二次産業を確立して、以て日本経済の復興に寄與し、なお併せて人口問題を解決する有力なる環境たらしめんとするのにあるのであります。と同時に、道民の生活文化の向上を図つて、更に又道及び市町村の自治体の根基を培つて国力の伸長、国運の進展に寄與するように総合的な開発の実を挙げなければならないことが強く要請されているのであります。従いまして当面の北海道総合開発のあり方は、総合開発と言いまするが、総合と申しましても單にいわば自然科学的な資源の有機的な総合に止まることなく、これをより深く、文化、科学的な、いわば住民文化との立体的な自治行政の面との総合にまで結合して、アメリカのTVAにおけるあのリリエンタール氏が言われておりますように、資源の開発は自然自体の立体性によつて支配されなければならないということと、民衆が開発に積極的に参加しなければならないという、この二つの北海道開発の場合におきましても基本理念としてこれを堅持すべきものでありまして、又これなくしては本当に北海道総合開発の正しい実現は期待することができないと私は考えている次第であります。そこでもう少しくこれを更に具体的な問題について私どもがどういうふうにやつているかということについて考えて見ますると、私は北海道のこれらの資源開発の問題につきまして、常にこれは日本の総合経済との関連を考え、又日本の総合経済の下における北海道経済の正しい位置づけというものの検討を行なつて、資源開発における今後の正しい推進を図つて行きたいと考えているわけであります。最近におきましては御承知通り、例えば金であるとか、硫黄であるとか、非鉄金属であるとか、そういうような生産が総体的に重要性を増大して、北海道の資源開発がそういう観点からも極めて重視されなければならないわけであります。ところがそういうような資源開発を図つて行き、更に又そこに人口を収容する場合に、私たちは常にこの北海道の経済の実態というものの調査をいたしております。そういう日本の大きな動きに関連して北海道の経済の実態がどういう実情にあるかというような調査をして、そして総合開発の進展の誤りなきを期したわけであります。例えば北海道の産業構造についてその特殊性を見まするというと、例の就業人口につきましては、第一次産業には五三%、それから第二次には二三%、第三次産業は二四%の就業人口の割合になるわであります。ところがそれに対する所得の形成を見ますと、二十三年度の調査によりますると、第一次産業が三一%、第二次産業が三六%、第三次産業が三二%に相成つております。従つて第一次産業についてみますると、就業人口が五三%であり、所得の形成する率が三一%である。従つて極めてこの形成率が第一次産業が悪い、その悪い形成率の第一次産業が就業人口ので五三%も占めておる、こういう実態が北海道の今後における原始産業の進展という面から言つて、ここに一つ道民の生活水準というものの低さを表明する一つの数字になるわけであります。こういうようなことで私どもはこの産業を進める場合には、資源の不足というだけでなしに、必ずそこに勤労するところの住民の生活水準の問題、或いは労働生産性の高い生活水準を如何にして引上げるかという問題、それらに亘つて我々の行政措置は勿論のこと、各種の対策を單に道のみでなく、あらゆる政治家、或いは経済人たちの、或いは報道人たちの協力の下に正しい合理的な推進を図つて行かなければならないと考えたのであります。そういうような経済の実相の調査とかいうようなものを基礎にいたしまして、北海道総合開発第一次五カ年計画を実は作り上げた次第であります。それを二月に中央の北海道開発庁に持込んでございます。これは北海道において道議会議員の満場の賛成によつてでき上つた計画でありまするが、これが政府に提出されております。私どもはその中において資源の開発或いは人口収容と同時に、それをより強力に合理的に進める上から見ても、極めて必要であるところの住民、生活、文化の問題を取上げて、従つて教育、文化、厚生面に亘るところの広範面の事項を対象としたところの総合開店計画の推進を図つて行きたいと考えておる次第であります。従つて北海道開発行政というものはいわばこれらの日本国策である北海道総合開発推進ということの中の一部を占める問題である。單に開発行政そのものを論ずるというだけでは不十分である。こういうような観点からしてこの総合開発開発行政というものを考えなければならない。そこでそのように考えて来まするというと、この住民の生活全体の問題との関連性が如何に深いかということがわかります。即ち自治行政開発行政というものが、そういう総合開発の我々の考え方を進める上からいつて極めて密接な関連を持たなければならないということも当然おわかり頂けると思うのであります。又事実におきましてその開発行政の諸問題は北海道においては地方自治行政面との関連が極めて深い、これは本州に比べて極めて深い。これは後ほど申上げたいと思いますが……。そういうような深い関係があり、それを総合的にやらなければ自治の進展も図り得ないし、総合開発もうまく行かないということを私どもは痛感いたしておるわけでありますが、只今は総合開発という観点に立つてその点について少しく触れた次第であります。そこで私は少しく附加えまするとこの二月に政府に提出いたしましたこのような総合的な観点に立つた北海道総合開発計画、この計画を早く政府においてお取上げを願つて、この北海道開発審議会においても、このような我々の提案したこの問題について、十分な検討を早く進めて頂くということを私どもはお願いしてやまない次第であります。そこへ以て来て私は突然この機構改革の論を開いたわけでございまして、私としてはこの私たちの総合開発計画という面の変動の中において、こういう問題も更に今後愼重検討さるべきではないかというふうに私は考えておる次第であります。  その次は地方自治確立という観点に立ちまして申上げたいと思います。地方自治の確立を期することは民主政治を培養する最も根幹的なものでございまして、新らしい憲法の條章におきましても、嚴として地方自治の本旨の達成を保障する旨が明らかに定められておる次第であります。北海道は開道以来八十年間、その前半約三十年の間は全くの官治行政でございましたが、開発の促進に連れまして住民の自治意識が高揚して、且つ自治経営の能力も具有するに至りまして、明治三十四年に地方自治の制度が北海道におきましても施行された次第であります。爾来五十年間官治行政自治行政とは全く一元的に総合的に運営されて来たのでございまして、地方自治法の施行によつてもいわゆる開発行政は道一本の態勢において実施されて今日に参つておる次第であります。このことは本道の自治開発によつて誕生し、育成されて来たのでありまするが、同時に開発行政も又地方住民の積極的な行政参加によつてこそよくこれが推進されてその効果を挙げ得べきものと信じておるわけでございます。開発行政を道から分離するということは北海道行政の実態に反しております。又地方自治の伸張を阻むものと存ずる次第であります。特に今回の北海道開発法改正法案は、道自治体の行政方式に対する大きな変革であります。これがために自治体の職員定数條例の改正、各種部局の設置規定、その他諸規則の改廃を余儀なくされると共に、行政の分離によつて当然行政費用の増嵩を来たし、地方住民の負担にも影響を及ぼすこととなるのでありまして、実態的には憲法第九十五條の、一つの公共団体のみに適用する特別法たる性質を持つものと考えておる次第でございます。今試みにこれらのこの法律案が成立をした場合に、若しもこれが成立をした場合に、これによつて改廃を余儀なくされる法令及び地方公共団体としての北海道の諾法規の主なるものを挙げて見ますると、こういうことに相成るわけであります。先ず地方自治法施行規程、第二、地方財政法施行令、第三、国庫負担地方職員に関する政令、第四、北海道道路令、第五、北海道庶務規程、第六、北海道支庁規則、第七、北海道職員定数條例、第八、北海道土木地方部局規程、第九、北海道土木地方部局臨時特例、第十、北海道庁工事施行規程、第十一、国道路線の道路及び附属物の区域及び供用開始、第十二、国道地方費道準地方費道の沿道の区域、その他私はここに二十一の番号まで用意してございます。そういうような広汎な諸規則、諸法規に変改を與えるほどの大きな問題であります。そこで地方自治の観点から一応以上申上げた次第でございまするが、それに関連して、先ず開発行政の運営方式について少しく申上げたいと思います。  先ほど申上げましたように、開発行政遂行の要素といたしましては、総合的一元的な運営の方式が今後も考慮せらるべきものでありまして、更に進めていえば、国と自治体と民間と、この三者の三位一体的な融合によつて初めて円満な遂行が期し得られるものでございまして、国が一方的に推し進めるよりも、現地におきまする行政の中心である自治体たる北海道及び市町村を活用して行うことが最も合理的な実施方式でありまして、北海道を中心として国、道、市町村、民間の協力方式をとるべきものと信ずる次第でございます。北海道も併しその発達に連れまして、又一面シヤウプ勧告の線に沿いまして、行政事務再配分の見地に鑑みて、北海道における開発行政と一般行政のあり方について、なかんずく国の開発行政が多年本道自治の育成的な役割を持ち、自然にその事務の中でも漸次自治体に同化して、いわゆる慣習的にも自治権化されて参つた面も非常に多いのでございまして、如何にして自治行政開発行政とが実態とマッチするような調和点を見出すかということが、北海道行政改定の中心課題でございまして、そのためには單に開発事業の面に立つのみでなくて、地方自治行政、財政、税制など、広汎な立場に立つてその解決がなさるべきものと存ずるのでございます。昨年の十二月の地方行政調査委員会議の第一回の一般的な勧告は、地方自治の充実強化を図り、国政の民主化を推進するという目的において行われております。その原則は、地方公共団体としては、これを承認すべきものと私ども考えておるのであります。而もこの原則におきましても、ただ單に国の事務は国が行うというのではございませんで、地方公共団体の区域内の事務は、できる限り地方公共団体の事務とするという基本方針から、実施的な事務は、府県の区域を超える事務で、府県においては有効に処理できないものに限つて国が行うべきものとされております。その上に、北海道につきましては、先に述べた開発行政との関連においてなお検討すべきものとして留保されて、目下真剣な検討が行われつつあります。その結論に近付きつつあることも承知いたしておる次第でございます。このときにおきまして、実際の担当者である北海道知事にはもとより、地方行政調査委員会議及び開発行政の分離によつて道費財政に相当の負担の増加を来たすことになる新たな制度改正について、地方財政委員会に何ら諮ることなく、一方的にこれが提案をなされておりますることは、その手続の上でも民主的でないばかりでなく、かかる重要な行政権の分離は、地方自治の本旨に反する、地方自治権の侵害でございます。又シヤウプ勧告の日本における問題は、依然として国の支配を減じ、地方団体の独立を増すことであるという、地方自治の新らしい方向に副わないものと存ぜられる次第でございます。  そこで、その次に、開発行政執行に関する権限と責任の明確化の問題を申上げたいと思います。政府の御説明によりまするというと、北海道開発行政北海道知事に対する委任事務であるかどうかも不明のままで、ただ單に開発関係の管理を指揮監督するという規定があるだけである。そして多額の国費を投ずる仕事について、行政権を持つ政府国会に対して責任を負えない形態であると説明されておりまするが、これは私どもに納得のできないことであります。委任事務であるかどうかということにつきまして、若しも法が不備でありまするならば、はつきりこれは委任するという規定を設ければいいだけのことであります。成るほど、開発関係官吏の人事権は、国家公務員法によつて知事の手から奪われて、おることは事実でございます。併しその他の面におきまして、知事に対する委任事務に間違いがないことは、地方自治法施行の際に、北海道長官の権限をそつくりそのまま継承したという事実が何よりも雄弁に物語つておるものでございまして、従つて開発事業を担任する土木部、開拓部、これは道の部であります。北海道の部であります。開発関係管理の基礎規定であるところの、地方自治法附則第八條では、官吏は本来道の職員であることが規定されている、又地方財政法施行令第七條におきましては、北海道開発事業北海道知事が行うものとすることが明らかにされております。又昭和二十二年六月の北海道開発に関する行政機構等に関する閣議決定で、北海道現地機構は北海道庁を利用するものとするとされていることによつても何ら疑念がなかつた従つて現実に主務大臣から知事に予算を令達されて、事業執行責任を負うているのであります。この事実は何人も否定し得ないと存ずるものであります。法令の上で積極的に委任するという規定を欠いているのは、要するに北海道庁時代においても藩制上北海道庁長官の権限を抱括的に拓地植民の事務を処理するというように規定しして、その具体的事項の権限を規定する開発行政の実体法が殆んどなかつたためであります。故に当時存在した実体法であるところの道路法、北海道道路令、河川法或いは北海道国有未開地処分法等におきましては、開発事務に関する長官の権限に関する具体的な規定があります。これが今日知事と読み替えられて北海道知事の権限となつている点からも、法的には北海道庁時代から引続き同一状態にあるという証明にほかならないのであります。  次に政府国会に対して責任を負い得ないという点につきましては、本事業執行に対しましては、地方自治法上主務大臣の監督が認められております。事実上におきましても知事が主務者の命に背いたことはないのでございます。従つて何ら支障なく行われておるのであります。憲法で行政権は内閣に属するとするとしても、これはただ究極において行政権が内閣に属するという原則を規定するものでありまして、内閣がすべての行政機関を直接に指揮監督しなければならんということではございません。現に外局であるところの委員会は殆んど権限としては内閣に独立して、又自治体、又その長に委任されておる国の事務は極めて莫大でありまして、今日自治体の事務の多くの部分が国の委任事務であるといつても過言ではないのであります。国の事務を国の機関がやるというのであるならば、なぜこれを改めないのであろうか。又少くとも地方自治法附則第八條に基く職業安定、保険等の事務に従事する官吏を国の機関になぜそれでは引上げないのか、その点誠に理解に苦しむわけであります。従いまして現在の実態に即して、法が不備であるならば補正する方向に行くべきものと考える次第であります。そうして又開発行政である公共事業の実施を北海道知事に任しておくのが不適当であると言われるのであるならば、地方自治法施行以来四年間余り、何が故にこのままに放置しておられたのでございましようか。それは要するに現在機構が適切であると認めたからにほかならなものではないだろうかと考える次第であります。さればこそ昭和二十二年六月の閣議決定におきましては、北海道現地機構は、北海道庁を利用するものとすることと明示して、又昨年北海道開発法制定の際におきましても、この精神を受継いでおることは当時の政府委員の答弁によつても窺えることと思う次第でございます。次に政府は本法案の実施によつて開発行政昭和二十二年の地方自治法施行直前の北海道庁長官時代の官治行政に復帰させるのであるというように私ども説明を聞いておりまするが、これは全く事事に反する御説明であると考えております。勿論北海道が人跡稀な未開の地であつた初期の時代におきましては、官治行政の行われたことは事実でありまするけれども開発の進展に連れて、明治三十四年に北海道地方費法及び北海道会法が施行されて、ここに北海道は府県同様の地方自治体としての形態をも備うるに至つたのでありまして、爾来五十年北海道行政は官治自治ともに北海道庁長官の下に北海道開発行政を中心として総合一体の関係において運営されて来ておるのであります。予算におきましても、戰時中におきましては国費北海道拓殖費は七千万円乃至八千万円であります。道費の予算も国費予算額とほぼ同程度のものでありまして、国の大規模な拓殖事業と併行して道費においてもこれに対応する、土木産業経済の費用を計上して、両々相俟つて開発の促進に努めて来たのであります。又北海道会は北海道庁長官自治行政を管理しておりましたので、事実上道自治体の面を通じ開発行政に参画して来たものであります。自治法の施行によつてそれがそつくり現在の北海道知事乃至は北海道に引継がれて来たものでありまして、本法案はこの長い歴史に大きな変革をもたらすものでありまして、全くこのために北海道行政体系を両断するような重要な内容を含んでおるのでございます。従いまして北海道庁長官時代の元に戻すということは、形式的な御所論でございまして、本質的には北海道行政を新たな形態に作り出すものであると申さなければならないのでございます。次に国費予算と道費予算との混淆使用について、大分問題にしておるかたがあるようでございます。この点につきましても、これは全く事実に反しておるのであります。現在の国費予算はその大部分公共事業費でございまして、昔の拓植予算の執行とは大いにその趣きを異にしております。実施に先立ちまして工事別、地区別に主務省を通じて経済安定本部の嚴密なる認証を受けるものでありまして、更に地区の変更、工事設計等の変更につきましても、その都度前記同様の認証変更手続を経なければ実施できないことになつております。又施工中、及び施工後におきましても当該工事の主務省のみならず、経済安定本部、大蔵省、会計検査院等から、技術面においても会計面においても特別嚴格なる実地監査を受けるものでありまするから、国費と道費との混淆は勿論のこと、令達予算につきましても、その移用若しくは流用等は到底できないわけでございます。この点については従来特別愼重に取扱つてつたのであります。従つて過去においても以上申上げたことに違背し、国に御迷惑をおかけしたような事実はないのでありまして、又今後においても決して御迷惑をかけることはないと存じておる次第でございます。  第四に経費の問題について申上げます。政府はこのことにつきましては分離後であつても、出先機関を作つた後であつても建物も貸すし機械も貸すのであるから、経費は増加しないのではないか、どうして増加するのかと言われております。そこで私はこの点を少し実態に基いてよく考えて見たいと思うのであります。先ほど申述べて来ましたように、北海道開発自治行政運営の実態と密接な関連を有しており、過去幾十年間一本立運営の妙味を発揮して最小限度の機構と最低の経費を持つて最も効率的に事業を遂行して来たのであります。今ここに北海道開発法改正によつて機構を分離して二元化するならば、それぞれの事業を実施するためにおのおのの系統に属する事業の企画、監督、運営面の機構を設けなければならないのは必然であります。現に今回の開発法改正案におきましても、開発局には局長官房と建設部、農業水産部、港湾部、営繕部の四部を置いて、その下に更に課を置かなければならないことは当然でございます。即ち局長、次長、部長、課長等を多数増置しなければならない。道のほうにおきまして土木部長、開拓部長以下各部長を道吏員として置かなければならないわけであります。又現地の土木現業所及び出張所におきましても、国と道との二本の系統に属する企画、監督、運営面において、所長、部長、課長以下機関構成の職員を二重に置かなければならないことは御了解頂けると信ずるのであります。かようにこれらの企画、監督、運営面の人員が相当増加するに伴つて、現場作業に従事する職員が減少することになる。この面の職員を増加させる必要が生ずることは当然でございます。更に北海道の土木事業は効率的な実施を図るために極めて周到且つ緻密な計画の下に、少数の人員で施行して来たのであります。例えば同一の地域において国の事業と道の事業とが起工されている場合、一人の地方技官に道費事務を嘱託し、或いは道の吏員に国の事務を委嘱し、二つの工事の監督を兼ね行わせ得ることであります。竣工検定の場合におきましても又同様でございます。更に土木現業所の会計課長は地方事務官であつても道吏員であつても、国費及び道費の支出事務を一人で担当している等、すべてこのような方法によつて人員の節約を図つて来たのであります。この場合道費においては、国費職員に対しても旅費等を適切に支給しておるのであります。その方法は拓植計画時代を通じて連綿として行なつてつたのでありまして、決してこと新しいことでないのは皆様がた御存じの通りであります。今二千七百余名に及ぶ土木部関係国費職員が、いわゆる時間外勤務協力による道費事業の消化量は、これを定員化するときは数百名に相当するものでありまして、以上を勘案するときは機構分離による定員増は、道が資料として提出した増員土木関係千百四十二人が我々は適切であると思うが、それについては十分なる御検討をお願いいたしたいのでありますが、とにかく職員の増加を要するということは確認して頂きたいのであります。即ち分離後道費事業執行については、土木関係は道費職員八百二十六名のみによつては、如何に運用の妙を盡し活用しても到底達成し得られないところでありまして、多数職員の増置を必至とする事情を重ねて御了解頂きたいのであります。次に分離に伴いまして、職員においてかかる増員を必要とする結果は、延いてこれを新たに収容する庁舎公宅その他の施設の早急設置を行わねば事業の遂行が不能となるのであります。けだしこの費用は現下の状況においては巨額に達する次第であります。又機械器具につきましても、現在までは工事施工時期等を総体的な計画に基いて相互に流通使用を可能ならしめて来たのであります。例えば浚渫船を使用する場合、港湾工事と、漁港工事を現在道知事一本で施行しているから、先に述べたようなことは可能であります。そうしてこの場合漁港で使用する場合に、浚渫船の運営費は当然道費で負担しております。併し港湾工事が開発局に、漁港工事が道知事に二本建に分れた場合、おのおの所管の事業進捗に熱心であればあるほど、他に貸付けすることが円滑に行われなくなることは当然であります。漁港工事の担当部においては、分離により機械器具購入費は八億六千八百余万円を要する旨の資料を提出しておるのであります。政府は現在のままでやれると言つたり、又相互に融道し合えばよいということを言つておりますが、仮に大きな機械は或る程度流通できたといたしましても、常時使用するトラックのごときものまでも、全面的に借りることは常識としては不可能でございます。世帶を二つに分けた場合に鍋、釜の果てまで毎日借りたり貸したりすることはやつていけないことは御承知頂けると思います。従つて物を持つておる、機械器具を持つておる政府の側におきまして、いろいろ実態に副わないところを議論されても、それは政府側にとつては何でもないことでありますけれども、機械器具を持たずして、これから買わなければならないという、持たない側の北海道におきましては、到底それで以ては済まされない実情にあるのであります。  以上申上げましたように、機構の分離によつて土木、開拓、企画等の部局を持ち、又全道数十カ所の土木現業所及び出張所に多数の職員を増置せねばならないことになり、又これらの収容施設及び機械器具等をも必ず設備しなければならない結果となることは必然であります。これらの経費を概算するときは、実に十数億円に達すると思われるのでありまして、分離に伴い経費負担は必ず増加すると確言し得るものであります。この十数億円の数字の内容につきましては、私のほうから印刷物を各議員のかたがたに差上げてある通りでございます。要はこの機構改革の問題は、その通り特に道にとつて多額な負担を伴うものでありまするから、机の上の議論で簡單に結論を出して参つては困るのであります。従来の慣行と、現地の実情と、工事の実態とをよく御理解の上、果して経費がかかるか、かからないか、かかるとすれば幾ばくを要するか等の諸点を先ず愼重に調査して頂きたいのであります。政府は経費がかからないといつておられますけれども、これは現地において十分調査を遂げられたかどうか、若しも私の申上げるように経費がかかるものといたしますると、当然地方財政法第二十一條の規定によつて地方財政委員会の意見を政府は求むべきであつた考えられるのであります。然るにこの手続を経られておらないのでありまするから、従つてこれは地方財政法に違背するところの違法の法案だと考えられるのであります。    〔「一時間経過した」「要点だけ簡單に」「重要な議案だ」と呼ぶ者あり〕
  66. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員諸君に申上げます。田中知事の詳細な御陳述を有難く思います。併しなお次に椎熊三郎君に御陳述を願うことになつておりまするので、椎熊君は他に御用事がありますから、田中知事発言を一時その程度にとどめておきまして、椎熊君の御発言を願うことにいたします。椎熊君。
  67. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) 今度政府が提案になりました北海道開発法の一部改正法案、すでに衆議院は多数を以て通過いたしましたが、当参議院におかれましては、総合的に多数の委員が連合して、最も愼重に御検討をいたしておられる態度に対しては、北海道民の一人として私は敬意を表します。この際衆議院議員たる私が当参議院に参りまして、一参考人として自分の意見を陳述することを許されましたことを光栄に存じます。私は北海道に生まれて、北海道に骨を埋めなければならん人間でございまして、事北海道に関する限り、全く私は骨身にこたえて、諸君の御発言を尊重しつ拜聽しておる次第なんでございます。そこで率直に、時間もございませんから私は成るべく簡單に申上げたいと思います。北海道公選知事であるところの田中君は、縷々詳細なる反対意見を陳述されました。私そばで伺つておりましたが、これは要するに、時間が一時間四十分の長時間に亘りましたが、反対の要点は何であつたか、第一点は北海道民の多くがこの改正法案に反対しておるということが田中知事の挙げられたる第一点であります。第二点は北海道総合開発計画が、この法案成立によつて紛淆を来たすということと、第三点は北海道自治権がそれによつて侵害せられる、そういうこと、第四点は、この改正法によつて北海道民の負担が過重せられる。この四つであつたように私は拜聽いたしました。これが田中君の言われるがごとく、全部その通りであるならば北海道に生まれた私は、この改正法案に賛成できない。田中君と同様に反対せざるを得ない。つまり私北海道民としてこの法案をつぶさに検討し、過去における北海道の開拓の状態をつぶさに調べて、現実の北海道の状況から見て、田中君の言われる只今の主張とは全く私は反対の意見を陳述せざるを得ない。従つて只今の以上申上げましたる四点に対して私の考えかたを御参考に供したいと思います。  田中君は北海道民の大多数が反対せられたという論拠として道民大会において反対の決議がとられたと言う。道民大会というものの内容を新聞で拜見いたしました。北海道会の情報によつて知りました。労働組合など多数集まつたそうですが、その数は四千数百名ということであります。数においてかなり大きな数でありまするが、四百三十万の人口、この労働組合一派の人人による道民大会なるものが果して道民の多数の意見を反映せしめたものであるかどうかに、私は必ずしも田中君の意見に賛成できない点があります。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は北海道民の意思を具体的に何によつて検討するか、そこで一人々々聞くわけに行かない。(「人民投票をやれ」と呼ぶ者あり)最も権威ある、今日許されたる方法としては、北海道道議会の意見である。(「自由投票だ」「その通り」と呼ぶ者あり)それはそういうこともありましようが、今急いでいるからそんなことはできない。私どもは率直に簡便には北海道道議会の意見というのは、知事があれほど自治権を主張せられる人でありまするから、それを尊重せねばならんのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)去る二十一日—二十六日の間知事不在中、平野副知事の下において北海道道会が開催せられました。副知事は極力本改正案の反対の決議を道会で決定してもらいたいということを熱心に要請せられました。二十一日から二十六日に至る一週間の会期中、遂に道会の多数の意見は知事の意見とは反対に、本案に反対するという議決ができなかつた。即ち本案に賛成という考え方である。従つて自治権を尊重する田中知事の主張を尊重するならば、道会における多数の意見というものが尊重せられねばならないということにおいて、北海道民の多くがこの改正案に反対しておるという論拠が薄弱であるということを私は述べたいのであります。(「その通り」「討論会でないぞ」と呼ぶ者あり)私は論争に来ておるのではないから疑問があるならあとで承わつて置きたい。(「落ちついて」と呼ぶ者あり)落ちついておりますよ。あなたがたのことではないから、自分の国のことです、命がけです、私は。  そこで第二の問題は、この法案通過によつて総合計画に紛淆を来たすと言う。これはどうしても私は考えが及ばない。総合計画というものは目下はどういうふうにしてでき上つておるのですか。諸君は曾つて社会党首班内閣の際に国土計画法案に賛成せられたかたがたでございます。そうしてそれが根拠となつて昨年の総合開発法ができた。そうして北海道総合開発というものは北海道自治体が自主的にやるという計画では断じてないのです。これは明治二年、田中知事が言われたごとく、芝増上寺に開拓使が設置せられました。黒田清隆が北海道に赴任せられて以来北海道の開拓というものは北海道民のみずからの負担による自治的の開発では北海道は今日の開拓はできなかつた。今日以後といえども四百三十万の貧弱なる北海道民の財政負担を以てしては北海道開発というものは断じてできない。私どもは多々ますます弁ずる北海道開拓の費用というものは日本国家の大きな政策として取上げられて、国費を厖大に投入することにおいてのみ所期の目的を達することができると私どもは希つておるのであります。それが今日始まつた問題ではない、八十年の歴史ことごとく然りであります。従つて北海道開発は八十年の昔から日本の一貫したる大きな計画であつたのでありまして、当時過去における内閣におきましては、北海道長官の人選というものは非常に地方行政官のうちでも重要なる人事であつたのであります。私どもは戰争前北海道民の要求としてこれを黒田開拓使長官時代のような権威ある政治力を持つ政治家によつて開拓をやつてもらいたいということから、北海道知事の親任制というものを陳情したことさえあります。そうして親任官の待遇を持つようなものをやつて、それで北海道の開拓をするというくらい北海道民は国の力に頼つたのであります。それなくしては開拓はできません。即ち開拓の根幹をなすものは何でございましようか、ことごとく地方自治体の財政などではできるものは一つもない。港湾の開発、道路の建設、農地の改革、森林行政、地下資源の開発、どうしてあの貧弱な北海道の実力を以て自治的の考え方で以てどうしてできましようか。即ち終戰後における国土開発法案は、このことによつて北海道、本州、九州、四国の四つの島国に追い込められたる日本総合開発というものはナンバーワンは北海道以外にないということ、当時官房長官は西尾末廣さんでございまして、その当時において北海道開発法案を作りたかつた関係方面は一部分たる北海道開発は許されない、全日本の開拓ということなら許すというので国土開発法案というものがOKをとつたのであります。併しながらその当時の内閣官房長官西尾末廣さんは、これはGHQの関係でそういう法案の体系となつているけれども、本当は北海道をナンバーワンとして取扱う、そのためには内閣は非常なる力を注ぐ、そういう大計画の下にできて、そうして遂にその計画が具現したのが去年成立いたしました北海道開発法であります。それ以来法律に基きまして、大体参議院から委員が出ておりましよう。衆議院ももとより出ております。北海道関係深き学識経験者等多数を以て審議会を構成しておりまして、この審議会の決定なくしては北海道総合開発計画というものは成立しない。この審議会はまさに内閣に直属している北海道開発庁の下にあつて、これは法律の規定に基くこの答申なくしては北海道開発計画というものが成立しない。従つて国の直轄事業として、いわゆる日本の重大なる国策として遂行せられます北海道開発計画というものは北海道議会の自主的に決定する問題じやない。もとより北海道知事北海道の開拓を念願しておられまするから自分の諮問機関として、自分の、この北海道の中にも審議会などと言うこちらと同一のまぎらわしい名前で同じ性質を持つておる委員会を持つておるということで、そうしてそれらの研究と答申は、内閣に対する答申諮問機関と同様だ。それにはもとより北海道の人々の考えですから内閣においてこれを尊重しなければならん点でございましよう。私は法律で認められたる北海道の開拓審議委員会の一委員でありまするが、この審議委員会といえども北海道知事の下に構成せられたる道議会等が協賛しておるところの開発計画というものを無視する態度に出でたることは一遍もない。ことごとく全部これは関連性があります。併しこの事業計画事業の遂行とは全く国の行政なんです。国の強力なる力を以て、厖大なる国事の力を以て北海道開発するのでなければ北海道というものは開発できないのです。思うに私今にして胸をつかれる思いをするのは明治十四年でございます。明治大帝陛下が北海道を巡幸遊ばされまして、北辺の地北海道の状態をつぶさに御覽遊ばされまして、北海道をお去りになるに当つて函館において残されたる重大なるお言葉がございます。それは北辺の地北海道の開拓は日本国将来のために重大なる問題であるから北海道から上る国の収入はすべてこれを北海道に還元せよと、こういう有難いお言葉があるのです。そのお言葉によつて感奮興起したる政府北海道民は初めて北海道拓殖計画なるものを合理的、科学的に研究し始めて今日に至つております。たまたま満州事変勃発後において国内政策に変革を来たされまして、北海道では極端なるものは北海道のごとき大事な土地はいつでも開拓せんとするならばできるから、これは満洲に力を注ぎ、大事な宝庫としてとつて置けという議論さえありまして、私どもはそれに反対ではありましたが、ともあれ戰争以来というものは北海道の開拓というものは閑却されておりまして、北海道の拓殖計画は半端なものになり終つたのであります。今や開拓法の実施を見て、私どもはここに全国家の総合的力と厖大なる国費を投じて、本当に北海道を開拓するものでなければいけないのであつて、これは全く国策の線に沿つていなければならん、一部は、北海道の矯激なる分子は、北海道独立論などというものを主張いたしまして、政府は干渉するな、金をよこすな、北海道は独立したいのだなどと不穏当な言辞などを弄するものなどがありまして、我々北海道道民の心胆を寒からしめております。(笑声)そこで私どもはそういう暴説には同感することはできません。まじめに北海道を本当に日本国のために開発せんとするならば、これは厖大な国費の力、そして国の権威により、国の行政においてやる以外にはない。そこで私はこの法案が出たことによつて、総合計画の紛淆を来たすという点は、あらゆる点から検討しても毫末もないということを、私は審査委員の一員として断言いたします。そうして紛淆を来たさないという事実は、過去の拓殖計画というものは、官選の北海道長官の手によつて内閣総理大臣監督の下にやつてつたからぴつたり行つて国費が自由に移入して行くという途が開かれておつたが、どうもこれは公選の知事になりますと、自治権の発展にはなりましようが、現在総理大臣の監督権、或いは指揮命令というものは直接に地方知事には及んでおりませんので、その点やや旧来の長官制度時代よりも、北海道開拓のためには、私は甚だこの開拓進展のためには今までの状態では面白くない、こういうことを、多数の北海道道民は考えている。我々はそれを主張して、去年開拓法案成立当時、すでにあの終戰後地方自治制確立の当時にこの制度を改めなければならなかつたものを、政府の怠慢と言いましようか、何と申しましようか、今日までこのことのなかつたことは、それだけ北海道の開拓を遅らせているのではないかと、むしろ私は心配している。今回の改正によつて、断じて総合開発の紛淆を来たすということは、ございません。  第三は、この法律制定のために北海道自治権が侵害されるか。諸君、自治権とは何ぞや(笑声)あなたがたに説法は申上げることはやめましよう、(笑声)住民の責任と負担とにおいて、権利が伸張して行くということなんです。この法律を実行したことによつて北海道道民の権利と義務は毫末も侵害されておりません。ただ公選知事たる田中君が今まで国家公務員四千八十七名をもみずからの指揮監督の下に置いたという手数がなくなつて、むしろそういうことにつきましては他のほうに精力を盡して、田中君はここでも言いました、厚生、文化、生活水準の向上、これなどはひとり北海道に限つたことではございません。全国どこの県でもこの問題を無視する知事知事たるの資格はない。特殊な北海道だけは無視していいというのではない。そこで国の直轄事業などに四千名からの人を指揮監督するという労苦が割かれるならばこそ、北海道住民の自治行政のために田中君が十二分の力をその方面に発揮せられることこそ、北海道住民に親切なことであつて、決して北海道自治権の侵害ではない(「その一通り」と呼ぶ者あり)そういうふうに私は考えます。(「参考意見にならない」と呼ぶ者あり)それから知事という官職の下にある知事の行動の枠が狭められるということが、地方自治体の自治権の侵害とは全く関係のないことだ。自治権とはその住民の権利義務のことだ、地方長官の権利勢力範囲のことではない。そういう意味において、この法案実施のためには、北海道の固有の自治権が毫末も私は侵害せられないと思います。  第四の点、この法案実施のために北海道の道民の負担が増額せられる。これは一体どういうことでございましようか。私は政府当局の説明によれば、厖大なる計画を立てて、厖大なる資金を、今年は約百億要るのです。公共事業費で七十億、正確には七十億四千万円であります。それから災害復旧費二十億、合せて約百億の金が要ります。私どもは当初この予算をきめる場合に、去年の十月からの問題、少くとも開発庁ができてから、我々の答申したところの計画を、忠実に遂行しなくても、今までの計画が中断しない、後退しないために……、拓殖計画というものは恒久性を持つておるのですから、ぶち切られたらそこで停頓するのじやなく、ぶち切られたら後退するのです。港湾の突堤をそこまで出す、次年度において金をやらなければそこで止まつておるばかりでなく、波で壊れて後退する。道路の修築もそうです。それですから私どもは開拓法案が出た以上は、今国家財政窮乏の折柄ではありまするが、北海道だけのことで御無理を申上げるのもどうかとは思いますけれども、今までやつた計画がせめて現状維持を一歩前進する程度、これが後退せざる程度の金だけは国庫が負担するの義務があるのじやないか。そこで大蔵大臣に折衝いたしましたところ、池田大蔵大臣は当初は四十億出すと言う、ところがだんだん交渉の結果、ぎりぎり結着で五十億出す、そんなことでは今言つた旧来の継続工事というものは後退してひそめられてしまう。そこで担当大臣であるところの増田建設大臣に迫りました。あなたは北海道の事情を知つておるじやないか、こういうことではいかんと、あらゆる折衝の結果、きまつたものは去年の十月の七十億四千万円、これは我々の要求した額より五十億足りない。これは我々の政治力の弱さでございましたろうが、北海道のために私は実に残念だと思います。それでもとにかく七十億四千万円の公共事業費を取ることができた。この予算を取るのについて田中君をあえてこの席上で攻撃するのでも、非難するのでもございませんけれども、そもそもこの北海道開発法案なるものが、去年国会を通過した際、参議院の状況は私には記憶にございませんが、衆議院におきましては社会党はこの法案に反対なんであります。従つて社会党員たる田中君は、これは反対だ、この案が通過した後に、参議院の選挙の際応援演説をしたが、この案に対して、北海道開発計画というものに公然と反対の演説をしておる。これは北海道の悲劇だと思います。北海道公選の知事であると言い條、私は北海道の血となり中心となる田中君が、国策の線と並行せざる考え方、マツチせざる考え方を持つて、逆に政府の施策を公然と反駁するという態度は何たることでございましようか。これは何も田中君個人のことでなくて、北海道四百二十万の悲劇だと思う。現に今回の選挙が終つた途端に田中君が出された文章に、(「討論じやないぞ」「意見、意見」を呼ぶ者あり)現内閣を罵倒されまして、我々はこの吉田内閣と反対の立場にあるもの……(「意見を述べろ、討論会じやないぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  68. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君に申上げます。御静粛に願います。
  69. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 議事進行について……、今日は参考人として意見を聞いておるのであつて、討論を聞いておるのじやないのですから、嚴重に注意して下さい。
  70. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君に申上げます。折角十分に御陳述になろうというのでありますからどうぞ……、討論という意味になるかどうか知りませんが、よくこの御陳述を御静聽願います。特にこの際は御静聽をお願いいたします。
  71. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) 大変不作法で委員諸君の感情を害した点がありますのは恐縮に堪えません。衆議院等では間々こういう大きな声を出しておりますので、つい習い性となつてこういうふうになりましたが、決して悪意は少しもございません。(笑声)そういうわけで、私はこの北海道開発法案成立以来、田中君はこの法案自体に反対して、この内閣の施策に反対である、そうして選挙後においては、吉田内閣を爆撃するという文字を使つておる。これでは私は北海道のために不幸だと思う。現に北海道知事たる田中君は、その職責上議長と共に審議会の委員である。昨年以来この法律が制定せられまして、本年本月の二十三日の審議会まで一度も出席したことはないのです。私は残念だと思う。田中君はそれほど北海道開発のために熱意を注がれるならば、中枢をなすこの計画を樹立する審議会に、部下などを派遣して、自分は来ないなどということは、それは北海道のために親切な行動だとは私は思われない。そういうことを、よくあなたがたは勘案して、北海道はどういうことで今動いているかということを十分御検討願いたい。そこでこの法案が通過すると、北海道民の負担が重くなるということはどういうことだ。私は先般この点も審議会で十分突つ込んで聞いて見た。驚くべきことを田中君が今言つておる。国の財産で買つた国の機械をただで借りて使つてつたりなんかして、大変便利だつたと言う。諸君、これは一体何のことなんです。いやしくも国会は国の予算を一銭一厘といえども非合法に使うことをこの席上で論議し、これを認めるということは、他は知りませんが、国会の論議としては、私はこれは許されないことだと思う。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういうことを若しやつておるならば、北海道のためにいいことだと思わない。而も今日以後においてこの法律が通過すればと、大臣は責任を持つて言明せられた。将来はこの機械器具の貸與関係等については内規を作つて北海道のために便宜を與えたいという所存である。明確な手続の上に北海道が利益することを研究して置くことは、北海道のために賛成である。事非合法と思われるようなものを、それが好都合であるからというので、隠密の間に不当と思われるような行為をあえて遂行するというがごときことは、国会の論争としては、私はこれを相手として戰うことはできないのであります。従つて若しそういうことのために北海道が金がかかることならば、正しき事のために北海道開発のためになる……苦しい北海道民のふところではありますが、合理的問題としてならば、納得の上では私どもは幾らでも金が出されるのではなかろうかと私は思います。而も今日北海道の道民の負担は限界に達しておると言われておる。然るに田中知事説明によると、これを遂行するには非常な人員の増加を来たさなければならない。内閣においては、国庫事業だからそういうことはないということを言明されておりますが、私は一応政府説明を信頼して置こうと思うが、北海道は我々の所ですから、なぜ北海道は八百人から増員しなければならないのか。戰前はあれよりも効果を挙げた拓殖計画事業においては、僅か二千人くらいの職員でやつていた。今日では職員一万人を超えているじやないか。私は今日の日本の国家の運営上非常に非能率的にたくさんの人を遺憾ながら抱きかかえておる点というものは、ひとり無駄ということで私は反対はできないのだろうと思う。狭い日本に八千万からの人口がいるので、一面これは社会政策的に、失業対策の一環ともなつておる向きもありましようから、必ずしも人員の多きを以て私は非難いたしませんけれども、少くとも北海道という所に曾つては二千人であつた、それが一万二千人からも、一万人から殖えておるという。これが若し事実であるとするならば、私は詳細な統計を持つておりませんからこのことは申せませんが、少くとも三、四倍の職員になつておるという。これは北海道民としては堪えがたきところで、どうか田中君の監督よろしきを得て、もつと科学的に、もつと能率的に、もつと清純なる行政が行われることを私は期待してやまないのでございます。  只今まで一時間四十分に亘る田中君の御演説は、陳述は、以上申上げた四点でありまして、あとまだ残つておるようでありますから、その問題は別の機会に私は申上げたいと思いますが、本日只今この席上で私は田中君の主張に基いて、それの反対意見を述べたのでございます。私はそれとは別個に、どうしてもこの開拓法案の一部改正を一刻も早く通過さしてもらいたいという一つの念願を持つております。それは丁度この内閣は今予算編成期を目の前に控えておる。この機を逸したのでは意味をなさん。そこでこの予算編成期を目前にして、北海道の機構を、本当に政府責任において一貫するような積極的の態勢を整えることができるような機構に改めて置いて、さてこうなつたから金をうんと出せと政府に我々はこれから迫らなければならない。そのためにはどうしても七月……内閣の予算は今から手をかけておるそうですが、大体コンクリートされて行くのは八月から九月の頃でございましよう。それまでの間に我々はこの北海道の開拓計画というものの根幹をきめで置いて、内閣の金を出しやすいように、国会の承認できやすいような体形に整えて、少くとも国会に対するこれらの重大なる費用の責任者は、堂々たる国務大臣がこの国会に参りまして、責任を帶びる立場において、使いこなしてもらわなければならない。北海道知事は、公選のああした人気のある知事ではありまするけれども、この重大なる会議に、一参考人として陳述しておるという程度である。この人を以て、こういう立場の人を以て、この莫大なる国策一環をこの人を中心に任して置くなんということは、私は国家の機構上からいつても面白くないじやないか。自治体の知事自治体のために全く独立の権利を持つて自治体のために親切に働いてもらいたいが、北海道のような未開発の地は、北海道自治体の力を以てしては遺憾ながら開拓ができません。内地府県のかたがたは或いは迷惑かも知れませんが、大きな国策的観点からいえば、全日本の莫大なる利益であるということを思うときに、国費を厖大に投入する、そのためには内閣国会に対して責任を負うことができるような機構を整備して置いて、国会がこれらの案を審議するに当つては、明朗に、そうして正しく積極性を持つた北海道開発計画というものを樹立したいというのが私の念願でございますので、時期はこの時期を逸したのでは又予算編成期には間に合いません。どうか編成の前に機構を整備して置いて、強力なる北海道民の意欲に基いて予算を莫大に取ることができるように、一つ御心配を願いたい。なお私ここにたくさんの電報を持つて来て参つておりますが、これは甚だこういうものをここで申上げることはなんでございますけれども、先般来北海道の町村長から私どもに、この案の成立反対の陳情電報が来ております。そうかなあと思つておりますと、忽ち二、三日前から、その反対をした理由をつぶさに書いた賛成電報が来ております。これは私一人ではございません。北海道出身の議員にはことごとくだろうと思います。この電文は長い電報でありますが、大体を読んで見ますと、実は支庁長からたつてこの法案に反対電報を打てとの嚴しい要請があつたので電報を打つたが、肚の中は賛成ですからどうか電文に囚われずに本案成立に盡力して下さい。(拍手)これは私一人じやありませんぞ。北海道出身の議員の皆さんのところに来ておる。これらの状況から、北海道の実相が如何なるところにあるかということをよくお考え願いたい。いやしくも北海道はいろいりな政党から代議士や参議院議員を送つておりますけれども、今日まで終戰後五カ年の間、事北海道に関する問題では、この問題以外に北海道の参議院議員、衆議院議員が意見を異にした試しはない。いつでも政党政派を超越して、北海道開拓のためには一致して、団結して、私どもは推進して参つた。たまたまこの問題のために一部の人々が反対の立場に立たなければならんということは、むしろ私は北海道のために悲しむべき現象だと存じます。どうか北海道をして日本開発の最大の目標という、日本のホープであるという点に御留意下さいまして、本当に多額の費用を以て北海道を立派に開拓してやろうという国策的観点に立つて、是非ともこの改正法案の御成立には御賛成を賜わりたいというのが私の衷情でございます。よろしく御了承を願います。(拍手)
  72. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 連合委員会を代表いたしまして椎熊三郎君にお礼を申上げます。この席上において若し多少でも不穏当にお感じになりましたようなお言葉が出たとお感じになりまするならばそれは御用捨を願いたいと存じます。
  73. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) 委員長にちよつと申上げますが、委員長から鄭重なる御挨拶を賜わつて恐縮に存じます。どういたしまして皆様方の御発言について不穏当など以ての外でございます。あなたがたの熱意ある御質疑に対しては満腔の敬意を表します。(拍手)
  74. 河井彌八

    委員長河井彌八君) もうお帰りですか。
  75. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) 何か御質問があれば別ですが、向うから……。
  76. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今質疑の通告があります。木下人事委員長。
  77. 木下辰雄

    木下辰雄君 私質問を保留してあるのですが……。
  78. 河井彌八

    委員長河井彌八君) あなたは田中知事の済んだあとでお願いします。
  79. 木下源吾

    木下源吾君 今椎熊君からいろいろお話がありましたが、大した参考になつたとも私は感じておりませんので、ただ一、二点北海道から出ておつて、私ども反対の立場をとつているわけです。ところが反対の立場をとつているものは、北海道開発の資金を入れる面において反対しているかのごとく今お話になつているが、これは違うのであつて、金を入れるということの必要が国家的見地から、又北海道の要望からこれは入れられるべきものは入れられる、ただ私は知事にやつてはいけないとか、国はやらなければないとか、国がやるとするならば、どういう理由で、而もこの機会にやらなきやならんかということを我々今検討しているのであります。その点は椎熊君も一つ御了承になるだろうと思う。そこで一、二の点になりますが、何か北海道知事は非合法なことをやつている。これは問題が知事個人の利益のためではないと、北海道民のためにそういうことが或いはやつているかもわからんと思いますが、委員会個々としては非常に私は残念に思うので、若しもそういう事実があるとしても、道民の利益のためであるならば、あなたのおつしやる通りだ、道民のためには骨身を惜まずにやつておられるので、さようなことがあなたの口から聞かれるということは遺憾に思うのであります。併しそれはそれといたしまして、事実とするならば非合法があるということが事実とするならば、これを具体的に示して、そうして又それは知事にもそれをお伺いしたいと思つておるので、その点一体どういうわけで非合法であるか、その事実の具体的なものを一つあとでもよろしいからお話を願いたいと思います。
  80. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) それは大事なことですから、そのことをすぐ答えたいのですけれども……。
  81. 木下源吾

    木下源吾君 北海道総合開発の審議会でありますが、勿論これは開発審議会であるが、私は北海道総合開発という、いわゆる総合の審議を未だ曾つて聞いたことはない。これは……。そこで大切なることでありますから、ここで申上げて置かんならんが、私はこの審議会においては與党の諸君が大多数でありまして、できるだけ與党の諸君のおやりになることを、十分に手を伸ばしておやりになることを賛成して来ているのであつて、我々はこれに反対しているということは毫もないのである。この点も一つ田中知事が反対したと言われるが、若しもその反対したということがあつたならば、どういう点で反対したかということは又あとでこれはよくお聞きしたいのですが、我々としてはそれに反対したようなことはない。でき得るならば、もつと総合的な、部分的なこの開発、つまり直轄事業費というようなだけではなく、もつと住民の負担能力等をも考えて、いわゆる総合的な開発方策を立ててもらいたいという希望を我々は常に持つているのであるが、こういう点で若し誤解があるとするならば、これはあとの機会によく御懇談したいと思つているわけであります。以上のようなわけで、私ども考えといたしましては、この問題の根本は、やはり我々はあなたと一緒に北海道民というものを基盤においてそうしてこのやり方で日本のために貢献ができる、或いは一面において国会議員として国の費用というものをできるだけ少くして、成るべく効率的にやる方法をとつたらよい。こういうふうに考えておりますですから、そういう点について誤解のないように一つお願いしたい。ただ私からあなたにお願いしたいことは、これは選挙等のことをお話になりましたが、民主主義は選挙の結果によつて一体となつてつて行くのが私は北海道の利益になることではないかと思う。(「何だ質問じやなくて意見じやないか」その他発言する者多し)ただこの機会において田中君が出て来て我々と反対の意見が出て来たから反対しなければならんというような、若しもそういうような感情的たことがあるならば、そうでなくて我々北海道から出ておるものは、そういう建前ではなくして、皆さんにお願いして北海道の利益のためにやる。こういうように一つお考えを願いたい。一言申上げます。
  82. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) 重大な木下さんの御発言がございましたので、私はその点を明確にして置きたいと思います。非合法行為があつたかどうかという問題、これは先般も二十三日の審議会で私が強くそれを追及した点でございます。政府側の答弁によればさようなことは絶対にないという御答弁、そこで私は安心しておつた。たまたま本日田中君はこの席上で原稿文書を朗読しつ紛淆を来たすがごとき、例えば浚渫船の問題、道路工作の機械器具、そういうものを流用したという事実を述べたについて、これは容易ならんことである。そうすると、これは去年以来会計検査院等における調査、警告等は或いは根拠のないことでもなさそうだと思われるような節があつた点、そういうことはこういう席上で読上げて言うべき筋合いのものではないということは二十三日に了解済のことだと思つて私はそういう意味で、そういうことがあつてはならん、それですから、私はこういう言葉使つております。そういうことは当国会の対象になる議論じやない。不法を前提としての論議は国会としてはできないのだぞということを私は言つておるのであります。それから又木下さんが言われるように、木下さんもやはり北海道へ多額の国費が投入ざれることには賛成だとおつしやつた、それに社会党が反対したと言つておるのではない、北海道開発法という法案に反対した。現にそうでしよう。これは国会の事実の問題ですから否定することはできない。従つて社会党の人であるところの田中君は自分の演説の中においてすらこの法案反対の演説をしておる。只今上程になつておる改正法じやないのですよ。去年通過したところの北海道開発法には明らかに反対しておるのです。そのことを指摘したところで、金が北海道へ入ることを社会党が反対するなんということは私は断じて申上げておりません。従つて私は又選挙のことについて何か言つたようなことを言いますけれども、そうではない。私は旧来とも四年間田中君とは、非常にこの人を信頼していろいろ相談し合つておるのです。たまたまこの問題に対するお互いの政治的見解が違うだけであつて、個人田中君には何らの恩怨もございません。いわんや選挙の結果などは私は何とも思いません。而も私は自由党とは立場が違いまして、現に小樽の市長選挙には社会党と共に提携して小樽の市長を勝取つておる。(笑声)長官の場合では長官はこの人よりは他の人がよい、中立の人がよいという根拠に立つて市長も知事でも政党の党籍のない中立的人物がよいのだという私どもの終始一貫変らざる論拠に立つて私は、選挙の行動をしたので、選挙の結果にまで私どもが何で批評ができます。これは北海道民の大多数の協賛を得て立派に当選した立派な北海道知事でございます。その点は誤解のないように願います。
  83. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 岩崎正三郎君。簡單にお願いいたします。
  84. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 簡單に御質問申上げます。椎熊さんが北海道のために御盡力下さつて誠に御同慶の至りでございます。とにかく北海道もたくさん国費を投入して開発をしたいという念願からいろいろと問題が起きておると思うのであります。ところで北海道へ金を入れるということは、これは何も北海道長官から権限を減らしたから入つて来るわけでもない。それは北海道開発庁計画がすつかりできておる、こういう点においてこういうふうに金を入れるべきであるという予算面との総合においてこれは金が入るのであつて、それを如何にして実施するかという問題でございますが、この場合におきまして、先ほども増田大臣が言つたけれども、関東や東北が開発庁を作つて政府の力によつてつてもらいたいと言つていると大きな声で言われましたけれども、私は利根川の問題を指摘しておりますけれども、私はかようなことを言つておるのは止むを得ないから言つておるので、できるなら関東は関東州として大きなグループができるならばそれによつて我々はやりたい、民主的にやりたい。そうして国家の力を投入してやることが私は本当に民主的な政治ができると思う。幸いに北海道においては県はないのであります。北海道北海道という道を持つてつてこれは関東のように各県が分離しておるのではない。北海道というものはそういうような非常に恵まれた島にあるのだから、私は北海道の仕事は北海道の人によつてやらせるべきだ。金は政府から持つてつてもよろしい、金は中央から持つてつてもよろしい、そういうことをやるのはやはり自分の家の近所のことは自分の家の近所の人がよくわかるのである。又お互いの気持もわかるのである。特に北海道のごとく原始河川、原始道路においては、尚更我々はそういう地元の協力を余計に必要である。そういう意味からして関東においても私は止むを得ないからそういうことを言つておるので、できるならば、関東州として大きくできるならばそれによつてつたほうがいいのだ。それが民主的である。それが最も民意を上達するものである。幸いに北海道はそういう意味において民選知事ができておる。過去におけるところの官僚知事がやつたから、官選知事がやつたから、或いは開発長官がやつたから、そういう方法でやつておるのはいいけれども、今度は民選知事では駄目であるというのでは誠にあなたの考えは苦い考えであります。民選であるならば北海道のことはよくわかるのである。私の心持はそういう意味でありますから、その点をあなたにもう一遍聞きたいと思うのであります。
  85. 椎熊三郎

    ○参考人(椎熊三郎君) 大変お答えしたいところを聞いて頂いて誠に結構でございます。大体あなたと私は同じ主張だと思うのです。何も今度のこの法案田中知事がいけないから法律改正して政府がやる、こういうのじやないのです。もともとこれが起つた原因はあれだけたくさんの金をやるのに運輸大臣、農林大臣建設大臣が直接四千八十七名の国家公務員を監督しつ責任を議会に明らかにすることができないような状態ではいけないというので、農林省では次官級の人を向うに派遣して、そうして農林省直轄でやろうというんです。運輸省は運輸省でもとより鉄道の運輸状態はもう運輸省直轄でやつているんですからその他の問題は附帶した事業もことごとくこの運輸省の直轄事業として独特の見解でやろう。建設省も又そうたというんです。そうすると遺憾ながら日本の官吏のいわゆる割拠主義なるものが運輸省は運輸省、農林省農林省だというようなことをやられたのではそれでは総合開発が紛淆を来たす。幸いに法律北海道開発法というものができてその全体の計画開発庁でやるということになつている。審議会の答申に基いてそれを決定するという如何にも民主的な方法ができているんですから、各省が偉そうな官吏を向うへやつて長官など眼中におかずに、勝手におれのほうはおれのほうでやるのだという中央官庁にある割拠主義的なことをやられたのでは北海道総合開発のために百害あつて一利ない。これは急遽そんなことをさせずに各省の意見を全部総理大臣直轄の下開発庁に総合して、全責任はその開発庁長官によつて責任を帶びて一貫したあれをやる。そうして殊に現内閣はそういうようなことになるなら更に多くの金を出したい。今のように、これはどうも私はこの政府の政治感覚としては私は同感できないんですが、北海道のために金をくれるというからこれは論じないで、辛抱しているところです。これをこういうふうに責任が明らかになるなら今よりもたくさん金をやるというんです、北海道に。そうなら私どもはもらつたほうがよろしい、国家のために……。それですから政府の金の出しやすいように政府責任の所在が明らかになるように、国会は予算を審議するに当つて計画の内容も、予算の内容にも嚴密な国会の眼識が届くような状態にして北海道開発してもらいたいというのが一刻も先を急いでこの法案を通過さしてもらいたいという私の念願でございます。
  86. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 重ねて椎熊君にお礼を申上げます。これで質疑の通告は終りました。そこで次に田中知事に御発言を願います。先刻御発言が中断されましたことは御不便であつたと恐縮に存じます。これからどうぞ。
  87. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 先ほどに続きまして又申上げたいと思います。実は私の申上げたことにつきまして丁度椎熊氏からいろいろ御発言がありましたが、私の今まで話したことで何か私のお話したことが徹底しない憾みがあつてはという心配から極く簡單に一応今までの話した諸点の中から椎熊氏のお話に関連することについて簡單に触れてから次の話の続行に入りたいと思います。(「簡單」と呼ぶ者あり)極く簡單に申上げますが、北海道開発法に基く北海道開発審議会の存在につきましてその重要な意味は椎熊氏からお話のあつた通りであります。先ほど私が出席もしないで極めて熱意がないことが如何にも道を代表して北海道知事の名において委員の一人にされた私としてこれが北海道開発の進展に暗影を残しては困りますので、特にその点に触れて申上げまするが、審議会につきましてはでき上つて以来非常に多忙のために出席できないことが多かつたのであります。その間において私は副知事をして出席せしめております。併し問題は開発審議会が実質的にその効果を現わすことのためには最大の協力をしております。その証拠には私先ほど来お話申上げましたが、二月に北海道総合開発に関する第一次五カ年計画政府に意見書として提出してございます。このような意見書がなければ只今の状態においては開発審議会が本来のその使命を図ることがなかなか困難な実体にございます。そういう意味において私ども北海道における各方面の意見を徴し、そのような形において実質的にはこの審議会の本来の使命を達成するために活動しておるということを先ず申上げて置きたいと存ずる次第であります。それから開発計画に反対した演説をした、或いは前の開発法の反対の演説を私が現地でやつたと仰せられましたが、この点は私には全然記憶はございません。私は開発に対する所見につきましては薄つぺらでございまするが本を出しておりまするし、或いはあらゆる機会に演説をして歩いておりますので、それらの記録もたくさんございますから、それらを以て私の一貫した思想は御理解頂けると存ずる次第であります。私はそのような考え方を選挙のときも公約をして歩いております。従つて私をして再び北海道知事をやらしめるということに相成りましたことにつきましては、これらの考え方に対して道民の支持を得たものと確信をいたしておる次第であります。(拍手)それから生活文化の確立を強調しておる。これはあらゆる自治体に共通であり、これをやらなければならないことは当然であるという椎熊氏の御発言、それは私も全く同感であります。私は決して北海道のみの問題とは考えておりません。併し北海道においてなぜ北海道民の生活文化確立ということを特に強調しなければならないかという一つの大きな原因があるのであります。それは私ども北海道の資源開発を国の発展のために極めて重大な問題と考えております。又年々百数十万増加する日本人の人口圧力が国民の生活水準の向上に対して極めて大きな影響を持つておる。そういう観点からしてこの日本の人口問題の解決のために北海道自身がこれに寄與しなければならない。これが総合開発の重大な第二点でありまするが、その観点についても私どもは強く主張して参つておるのであります。ところがこのような資源開発ということを一つ考えて見ましても、これはそういうようなところにおいて住民の生活文化の確立ということが図られないならば、結局その労働生産性の高い生活環境を作り上げないならば、この資源開発は決してうまく行かないのであります。北海道の経済実相を私ども調査しました結論におきましても、やはりこの生活水準の低さがはつきり出て参つております。工業の後進性がございます。こういうような後進性を打破して行かなければ、北海道開発はいわゆる国の国策として国民全体のためになり、正しい開発たり得ない。かように考えるが故に、私は特にその住民の生活文化確立ということを強調せざるを得ないということを御理解頂きたいと存ずる次第でございます。それから機械の問題につきまして、何か非合法、不当という点につきましてお話がありましたが、これは私の先ほど陳述した内容、これを御理解頂けると私は考えておる次第でありまするが、私は北海道のいわゆる拓地植民時代から今日の総合開発の遂行に至る間における実行されて来た一つの実態を率直に申上げております。而もこれらの国の機械を地方費で使う場合、その人件費或いはその他の費用というものは、この道の仕事をやる限りにおいては道費で負担を行なつて、合法的にこれをやつておるのであります。そういうふうにして一つの機械を最も有効適切に能率的に使つておる。従つてこれを今分ければ、当然これは官庁ができますると、必ずそのような機械を貸したり、やつたりすることはうまく行かない。こういう事実から言つても機械の経費がかかるということを申上げた次第でございまして、ここに非合法、不当というようなことは、この点に関してはないのでございまするから、その点はどうか御理解を深めて頂きたいとお願いを申上げる次第であります。まだまだございまするけれども、併し一応私の論旨に重大な関係のある諸点について以上申上げた次第であります。  そこで先ほどの話に続いて申上げたいと思います。第五番目であります。第五に開発関係出先機関を設置する必要性のあるなしについてでございます。北海道開発費は、開発途上にある北海道の負担能力を勘案して定められた財政的措置の特例によつて、国の全額負担若しくは高率補助となつておるものが計上されておるのであります。制度上におきましては何ら特別の制約を設けられておるものではないのであります。例えば都道府県知事が道路法に基き国の事務委任を受けて、道路管理者であるという、ところが制度の上におきまして、この点に関しましては道知事と都府県知事との問には何らの相違はないのでありまするが、経費の面におきましては道路管理者の統轄する公共団体が負担するという原則に対して、北海道には北海道道路令の特例がございまして、国が多額の負担をいたしておるということに相成つております。河川法、港湾法、漁港法における特例も同様でございます。故に今出先機関を置いて、北海道開発費を單に予算上の直轄事業と、補助事業に分割するとしますると、制度上一般に府県知事の委任事務とされておるものも、北海道に限つて出先機関に移ることになります。即ち地方自治体の権限に甚だしい制約を加えるという矛盾を生じます。更に道路法その他の関係法令に抵触することに相成るのであります。政府は本法案を以て東京都、大阪府並みにするかのように説明をされておりまするが、この点から見ましても事実と相違して参ると考える次第であります。  更に現在実施しておりまする北海道開発費支弁の事業の内容について見ましても、例えば道路につきましては国道改修維持、開拓道路の新設改良、腐朽木造橋の架け換え等が主なものであります。又河川におきましては部分的な切換え掘さく、堤防盛土、応急的な護岸工事等が主たるものでございまして、現在の組織を以て何らの支障もなく実施し得る程度のものであります。又北海道は一道一行政区域でございまするから、利根川のごとく関東八州に利害関係を持つというようなことはあり得ないのであります。これらの諸点からいたしまして、内地における地方建設局、或いは農地事務局の実施しておるような数府県に関連を持つ工事は全く北海道にはございません。又本州に見られるような大規模にして高度の技術を必要とする工事も現在は殆んどないのでございまするから、今急に特殊な実施機関を設置する必要性は認められないのでございます。私はこの機会に道路の問題につきまして、図面を以て簡單に御説明をいたしたいと思います。この資料皆さんがたのお手許に差上げてある資料でございまするが、この本州、内地における道路事業の内容の図表三がございます。これにおきまして、国道と府県道二つについて申上げますと、国道、府県道の中の全体の〇・四%の延長のものだけが地方建設局において担当いたしておるのであります。(「説明要らぬね」と呼ぶ者あり)都道府県におきましては、国道、府県道合せて、従つてそのうちの九九・六%の道路の仕事につき担当いたしておる、かように相成つております。ところがこれに対しまして、若し北海道において現在の改正法案が実施せられることに相成りますると、その数字が国の出先機関が、開発局が六割二分、北海道が三割八分、こういう比率に相成つて来るわけであります。従つて本州並みにするという観点から言いましても、非常にいわゆる自治関係の本州において扱つておる分野が出先機関のほうに移される、これが地方自治の後退を意味することになる一つの例証ともなるわけであります。それからもう一つ附加えて申上げたいのは、この建設省所管の地方建設局の延長に対する経費の関係を見るとわかりまするように、この中央の出先機関がやつております。仕事は、極めて大規模な高度の技術を要するというふうに相成つております。北海道における普遍的に存在しておるこれらの工事の内容は先ほど申上げたように、技術的にそのような高度のものではない、極めて簡單な仕事であるということがおわかり頂けると存ずる次第であります。  その次に第六番目は開拓行政出先機関の設置によつて端的にどういう影響を及ぼすかという一つの実例ですが、それの執行が総合性を欠いて複雑化を来たす、非能率になるという実情につきまして、その実例を開拓事業に例をとつて申上げたいと存じます。開拓事業はその予算の半額は他府県と同様な補助費でございます。地方自治行政色彩が極めて濃厚でございます。基本的な建設工事と申しましても、その大部分が助長行政の延長でございます。知事は今まで開拓地に横たわるいろいろな紛争を解決しながら、開拓用地を選定し、或いは他府県からの入植者を収容させて、その土地に適当した開墾工事を遂行し、学校、診療所を設け、零農を指導し、生活の安定を図るための援助をするというようにすべて一貫して行なつて来たのでございます。然るに今ここで排水を掘つたり農道をつけたりする一部の建設工事のみを切離して執行するということは、徒らに開発行政を二分して、二重行政の幣を招くだけで、益するところは私どもには認められないのであります。而も今回の改正案が現在内地が行なつている開拓方式よりも、更に複雑化するものであります故に住民の不便はこれに過ぎるものがないと考える次第であります。又計画の上におきましても開拓は道の一般行政である造林計画或いは道内農家の次三男の入植、増反計画等を併せ考えながら総合した土地の利用計画一環として樹立されなければならないのであります。一千町歩以上の団地は国が直接行う由でありますが、この一千町歩の団地のすぐかたわらに八百町歩、七百町歩の団地があるのでありますが、これらは又別個に    〔委員長退席、内閣委員理事楠瀬常猪君委員長席に着く〕 この計画調査検討を行う必要が生じ、これ又煩雑煩瑣を招く以外の何ものでもないのでありまして、かような開拓行政部分的な分離がなされなければならないという理由がどこにあるか、私としてはその理由の発見に苦しむものであります。この開拓の仕事が如何に複雑化するかということにつきましても、系統図を皆さんがたのお手許に差上げてございますが、現在はこのように一貫した方針でやつておりましたのが、改正案によつた場合はこのようにジグザグなコースを持つた行政執行がなされるということに相成ります。それに比べてむしろ他府県のほうがよりすつきりした形になつて行われておることは、この改正案によつた場合と比べて直ちにおわかり頂けると存ずる次第であります。  そこで第七番目に出先機関設置の時期の問題でございます。北海道は広大な未開地がある。厖大な資源が埋蔵されておるのでありますから、これらを急速に開発することは、焦眉の急務であることは何人も認めるところであります。これを開発するに、今まで北海道に投入されていたような僅少の予算では勿論どうにもならぬのであります。国策として推進するという観点からいたしましても、北海道開発庁におきましては、この際開発の基本的な計画を早急に策定すべきであります。特に石狩、勇払地帶、天北地帶、十勝、釧路地帶のごとき未開発地帶に対して然りであります。これらの開発には恐らく巨額の経費と最高水準の技術を要するものと思われまするが、このような大規模にして、計画的な工事、即ち北海道庁の現機構を以てしては、到底実施し得ないというほどの高度の技術を伴うような大開発事業を起されるというのであるならば、私はそのときは国の直営的現業機関を必要とする時代も私は参ると思うのであります。併しそのような計画は今日立てられておりません。従つて私はその時期まで出先機関の問題は、留保して然るべきであると考えておる次第であります。これを要しまするに、北海道は開道以来八十年間、国の施策のよろしきを得まして、又私どもの先輩の非常な辛苦の賜物によりまして、着々開発の実が挙げられて参りました。その間におきまして、地方自治の発達を培いまして、これと渾然融合して、生々脈々たる成長を遂げております。今や日本の復興のために、極めて重大なる使命を果さなければならないときに際会をいたしておる次第でございます。ところが、今突然今度の開発行政の分離政策をとられますことは、北海道行政の体系を根本的に崩すものでありまして、開道八十年に亘る北海道行政の歴史に画期的な変革をもたらす極めて重要なる問題でありまして、決してこれは軽々に措置すべき問題ではないと信ずる次第であります。私は北海道開発の問題は、超党派的なものと確信をし、又私自身といたしましても、この問題に対しては飽くまでもその立場については公正な態度を持して参つたつもりであります。私非常に、先ほど来長時間をお借りしまして理由を縷々申上げた次第でありまするが、どうかこの点に、種々の私の述べた理由につきまして十分御了解を頂きまして、私といたしましては、この設置は反対でありまするが、本法案の成立につきましては、どうか暫らくお見合せを願いまして、北海道開発の真のあり方について政府、それから私ども国会等におきまして十分に検討の機会を持つて、又與えて頂きまして、又私ども北海道におきまする輿論をお聞き下さいまして、又特に委員各位におかれましては、是非北海道現地の実情の視察を頂きまして、然る後にいろいろ御検討を頂きたいとお願いを申上げる次第であります。初め予定された時間に対して非常に長くなりまして、誠に申訳ございませんでしたが、以上を以ちまして一応私の陳述をいたしたいと思うことを申述べた次第であります。
  88. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 田中知事に申上げます。連合委員会を代表いたしまして、先ほど来縷々詳細なる御陳述について衷心よりお礼を申上げます。多大の参考になりましたことを附加えて衷心より重ねてお礼を申上げる次第であります。次に質疑の通告がございますので、発言を許しますが、木下辰雄君。
  89. 木下辰雄

    木下辰雄君 田中知事にお尋ねしたいと思います。水産業が北海道において最も重要なる産業の一つであるということは申すまでもないと思います。私ども北海道水産開発に多大の期待を実は持つております。現在の日本水産の生産が、二千五百億円といたしましたならば、北海道は恐らく七、八百万億円を生産いたしておる、かように存じております。そういう意味において、二、三の点について田中知事にお伺いしたい。それは北海道における開発審議会を通しまして、水産北海道総合開発一環として、水産開発を今までおやりになつてつたと思います。今回昨年北海道開発庁ができまして、昨日来増田長官並びに次長のお話では北海道長官行政範囲外のものでも水域に関する限り、又根拠地を北海道に持つておる限りは国家の見地から総合的な開発を立てるのだ。こういう御答弁がありました。それに対して北海道行政管区を支配しておられる知事として北海道に根拠する漁業に対しては全般的の御開発計画を立てられますかどうか、或いは又行政管区外の総合開発をやるかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  90. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 只今の御質問に対しまして申上げます。私は水産の問題にかかわらず北海道総合開発範囲といたしまして、單に地方自治体の行政の定められた範囲という限定した考え方の上に立つておらないのであります。と申しますのは、要するに資源開発にしても人口収容にしても或いは生活合理化確立の問題にしましても非常に広汎でございまして、従つてども日本の総合経済との関連を検討しながら日本の総合経済における北海迫の経済の位置付を行なつて、そうして北海道の産業構造その他の実体を調合し、そういう一つの実体の中から私たちは行政面のいろいろな施策を作り出し、或いは私の政策を作り出し、或いは北海道総合開発計画を作り出して参つております。従つてその間において申すまでもなく重大なる水産資源の開発並びに水産業の確立ということを私どもは取上げております。そういう形で私ども水産業を扱つておるということを先ず申上げたいと思います。そこで併し政府においてこれに対して又いろいろ独自の見解で調査をされるということでございますれば、それは別に私どもが何らこれを拒否する理由はないと思います。ただそういう立場を離れて私申上げまするならば、これらの調査につきましてどうか私どものやつておりまする調査或いはやらんとする調査について十分これを活用して頂きたい、かように考えておる次第でございます。
  91. 木下辰雄

    木下辰雄君 只今田中知事の御答弁よりますると、昨日の増田長官開発庁において総合的な水産調査をする、又計画を立てるということと、北海道庁がやつておることとは殆んど同じようであります。これは私は殆んどダブつた調査であると、かように信ぜざるを得ないのであります。わざわざ出先官憲を作る以上はそれだけプラスにならなくちやならん。今まで北海道庁がやつておる以上の、或いは北海道庁がやらないところをやつて初めて私は出先官憲の必要がある、かように存じております。    〔委員長代理楠瀬常猪君退席、委員長着席〕  それで今田中知事調査の問題をおつしやいましたが、それで田中知事に私はもう一つお伺い申上げたい。これは開発局において農林水産部というものがある。これに対しては水産のいろいろな問題について調査をするというお話がありました。それから北海道庁にも水産部があつてこれに対してもやはり調査をしておられる。この調査の面において私は矛盾することがありはしないか、ダブる点がありはしないかということを昨日お問いしましたが、只今の知事のお話では、総合的な調査開発局がやつても、それは一つも自分のほうでは差支えない、こうおつしやいましたが、その調査北海道庁でやつております調査とが違うような結果が起ることがあり得ると私は思う。そういう場合において、水産開発面において由々しき結果を来たしはしないか、或いは多少マイナスになるような部面が若しあつたならば、私は将来の北海道水産開発上甚だ憂うべき結果を来たしはしないか。こう思いますが、その点に対して田中知事の御見解を伺いたい。
  92. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 先ずそのいろいろな調査でございますが、先ほど私申上げましたように、北海道においては総合開発の問題を非常に広範囲考えております。自治行政の内容と非常に重なり合つております。従つて開発行政自治行政というものは、本当に渾然一体に絡み合して、私ども計画を立てて参つております。従つて総合開発の中においては、教育につきまして、或いは文化厚生施設の面までも入つて来るわけです。そこでそういうような計画を立てます場合に、私どもが一番強く主張しなければならんことは何であるかというと、実態というもの、から出発するということであります。従来の計画が頭の中ででつち上げて、そうして住民に押し付ける、こういうことが多かつたと思います。そういうことでは本当に住民の生活の欲求するところのものに応えることができない。そういう観点から私どもは飽くまでも、現実という実態から出発する。現実の調査というものを非常に重要視している。そのために北海道におきまして、私は特に開発計画委員会事務局を置いております。この事務局はそういう意味で広汎な調査をやつております。そのスタッフとしては、道庁内部の各部からも応援のスタッフが派遣されて強力な活動をしております。その結果が実はここにも持つてつておるのでありますが、このような報告書も実はたくさん出ておる、こういうことでございます。そこで今の調査の食い違いという点につきましては、これは併し若し調査をした場合に、調査は実はやる人間によつてその方法が変つて来ます。試験と同じでありまして、やる人間の頭によつて調査の仕方も違います。従いまして資料のいろいろな結論につきましては、両方でやつた場合に、まあ大体同じ結果が出るにいたしましても、食い違うことが全然ないとは、これは私は言い得ないと思います。併し食い違つた場合にどうするかというお話でございますが、それは要するに虚心坦懐に調査方法それ自体によつて検討し合つて、お互いに協力し合つて、一つの結論を見出す、こういう行き方しかないと私は考えております。それからもう一つ附加えて申したいことに、調査というものは勿論そういうふうで非常に重要な仕事でございます。併し調査をやるということになりますると、北海道においては実は開発庁におかれまして、政府側におきましては私はまだまだそれはむしろ範囲があるのじやないか。それは地下資源の問題であります。いわゆる行政の対象としては、行政事務としてはないけれども、地下資源の問題だつて非常に重大である。殊に今日の日本の社会経済情勢が、北海道における金や非鉄金属や、或いは硫黄に対する要望というものは非常に増大しておる。そういう観点から言つて、これらの北海道の地下資源の問題は極めて重大である。でありますから若しも調査をすることが開発の遂行のために必要であるとしたならば、私はやはり広汎な調査というものが必要である。それらに対して私どもは実は道費をかけ、或いは国費の力を待つて、実はそれらの広汎な調査、地下資源の開発調査の問題まで実は乗出して参つておる状態であります。従つて私はこの出先機関の設置において、調査ということを強調される気持はわからないではございませんけれども、もう少しく自治体で我々がやつておるということの実態につきまして、よく御調査の上で、無駄のない結論を出して頂くならば、私はまだ話は聞ける。尤も私は出先機関設置そのものを反対しておる立場に立つて言うことでございまするから、若しもそういう出先機関を設置するということを前提にして考えた場合でも、今の調査の面等においても、まだ北海道自治体がどういうことをやつておるかということにつきましても、もう少しく私どもの意見を聞いて欲しかつたというふうに私は率直に感ずる次第であります。
  93. 木下辰雄

    木下辰雄君 私は水産問題について專ら御質問いたしますが、調査ということは、私は計画の本だと思つております。調査によつて計画を立てるというのが順当であります。それで開発庁開発庁調査によつて総合計画を立てる。北海道庁北海道庁調査によつて立てる。こうなるだろうと思います。その場合に、調査の食い違つた場合には、互いに協調してやろうという田中知事のお考えは、非常にこれはいいと私は思いますが、併し事水産に関しては、大体この開発庁では調査はやれるが、水産問題については全部道庁にお任せになつておるようであります、漁港もその他のものも……。そういう場合においては、道庁の調査が基本になるか、或いは北海道全般の総合的開発一環としての開発庁調査が根本になるか、どれに従つて田中知事は実行されるお考えですか。それを一言お聞きしたい。
  94. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 開発庁出先機関において調査を実行するということを前提にしてのお質問でおると存ずる次第であります。私は若しできた場合に、どういう調査をされる、どういうふうにやるかということについては、実は私全然聞かれておらないのであります。従つて私は若しもできるという前提の御質問でありまするから、出先機関ができたとして、どういう調査をするかという具体的な内容をお聞きして、それによつてどもの態度をきめざるを得ない。但し私は飽くまでも良心的に、又建設的に私の行動を決定するという方針を常にとつておりまするから、決してセクト的な気分で排撃するというようなことは私はないと信じております次第であります。
  95. 木下辰雄

    木下辰雄君 私の言葉が足らなかつたかも知れませんが、この開発局農林水産部ができた、水産部は何をしますかという私の質問に対して、專ら水産調査をするというお答えがあつた。それは、その調査はやはり北海道全般の総合開発計画の土台としてされる調査と、私はかように信じますので、北海道全般の水産開発の基本になるこの開発部の調査を、道庁は道内の行政をやられる場合にそれを基本とされるか、或いはあなたの独自の調査を基本とされるかということについて、私は伺つたのであります。
  96. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 私どものほうで、すでに第一次五カ年計画を作り上げておる、そのために必要な調査をいたしましたし、更にこの調査は、まだまだ今までのやり方では不十分でありますから、なおこれを強化するという方法をとつております。而も私ども調査は、單に調査のための調査ではなしに、やはり飽くまでも一つの意図を持つた調査をしなければならん、つまり北海道水産業をどういうふうに持つて行くか、或いは調査と言いましても、たくさんございます。單に資源調査もございましよう。或いは漁村経済実態の調査の問題もございましよう。そういうような調査につきましても、いろいろ進めております。従つてどもは、自分たちの調査は單に調査のための調査でなしに、北海道総合開発の観点から、或いは北海道水産業の確立といういろいろな諸問題を解決するための調査をやつておるわけであります。従つて私たちの調査を私たちが信ずるというのは、これは当然の行き方であろうと考えておる次第であります。
  97. 木下辰雄

    木下辰雄君 これは実行して後でなければ、私ども何とも言われませんが、とにかく両方の機関が、出先機関が共に水産に対して調査し、その調査を土台として総合的な開発計画を立てられるというように伺わざるを得ないのであります。これは田中知事調査の場合でも十分協調して結論を出したいというお話がありますので、その前途については私非常に不安を持つておりまして、将来の水産開発上面白くない結果を来たしはしないかという私の杞憂は依然としてありますけれども、一応質問はこの程度で打切りたいと思います。
  98. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次の質疑の通告者佐多忠隆君に御発言を願います。
  99. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私の質問は非常に具体的な数字に亘つてつき合わしての問題になりますので、先ず資料の提出をお願いして、その上で、先ほど同僚委員から増田大臣のほうへの資料の提出要求もございますので、それが出た上で改めて両者をつき合わして田中知事にも併せて質問をすることを留保して置いて頂きたい。それでただ私はここでは田中知事に対する資料の提出だけを要求して置きたいと思います。
  100. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君に申上げますが、参考人の御出席を願いましたのは本日限りと御承知を願いたいのであります。できるだけそういうふうにして御質疑を願いとうございます。
  101. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 できるだけそういたしますが、ただ問題は両者の数字の問題になりまして、つき合わして見てかなり違つているところがあるのじやないかと思いますので、その上で更に質問をすることをお許しを願いたい。
  102. 河井彌八

    委員長河井彌八君) もう一度申上げます。連合委員会においての参考人の御出席は先ず本日に限ることになつております。でありますから更に又御出席をお願いしなければならんようなことになりますならば、もう一度相談をしてきめなければならんと思います。でありますから参考資料をお取りになりまして十分御研究になりました上は、委員会でなしに、直接に田中知事にお聞き下さつてはどうでしようか、御相談を申上げます。
  103. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは本来ならばこつちからの資料の要求なしに……、どうせそういう資料政府のほうで御用意になつて出してあつて然るべきものだつたと思うのです。それが今までに出されていなくて、ただこちらからの要求によつてこれから出て来るのでございますから、その上で問題になるのでありますので、どうしても改めて更に質問をすることをお許しを願わないと……。(「進行々々」と呼ぶ者あり)
  104. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君に申上げます。どうぞ資料の提出以外にこの際御質疑があればお願いします。
  105. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 第一に先ずそれでは資料の提出からお願いいたしますが、先ほど田中知事北海道としては北海道開発に関する総合的な一応の計画があるというようなお話でございますので、この点は政府のほうからも大綱、或いは石狩川の開発等については資料を出して頂くことになつておりますので、これと照応して検討しなければならないと思いますのでその資料をお出し願いたい。それから公共事業費の直轄事業と補助事業への区分の一応大綱的な資料政府のほうからはお出し願つたのですが、道のほうでこの区分をどういうふうにお考えになつておるか、その点の資料を一つお願いしたい。それに関連をいたしまして、定員の増減を附帶してお出しを願いたい。殊に特にお願いをしたいのは、増田大臣の御意見によりますと、普通の府県並みの範囲においては、自治を尊重しておるというようなお話でありますが、そういう府県並みに道にそれらの仕事をばやらす場合に、補助事業の費用がどういうようになると道のほうではお考えになるか。その点も特に詳しいものを御提出を願いたい。それから今の田中知事の御説明によりますと、開発庁出先機関を設置するために、経費が相当多額に増嵩をする、十数億に上ると思うというような御説明でございましたが、それをもう少し内容的に、どういう意味でどういう費目についてそういうふうな増嵩があるというふうにお考えになるのか。先ずその点を詳しく御説明を願いたい。
  106. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 実は諸種の資料の提出を求められましたが、これらの資料の中において、例えば定員の増減表というようなものの御要求もございました。実は私どもまだ政府のこのたびの改正案の定員の根拠というものにつきまして遺憾ながら私たちが十分それらについてまだ承知をいたしてない面があるのでございます。一応閣議決定した後におきまして、こういうことをやつておるといういわば事後報告程度の話は聞いております。そこで私どもこの点につきましては、実は一つ開発庁のほうにこれらの政府案の内容につきまして私どもといたしましてその資料を頂きまして、そうしてそれに対する見合い得るところの、つまり資料の整理の形式等もございまするから、それと見合い得るところの資料をできるだけ早く作らしめて、御要望にお応えいたしたいというふうに考えておる次第でありますので、どうぞ御了承願います。
  107. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういうことになるのじやないかと思つて先ほど更にもう一遍資料が出てからの御質問をお許し願いたいということを言つたわけですが、今田中知事の御説明のように、道のほうでは経費が負担増加になるということを言つておられる。それから私のほうではそういうことは毛頭ないと言つておられる。然るに国のほうで毛頭ないということを言われる具体的な資料がまだ出て来ていないのである。これは我々の同僚議員が要求をしておりますので、それの実際の調査に基いた具体的な資料は出て来ると思います。それが出て来た上でならば、今の田中知事のお話にもありますように、それとの見合いにおいて、道の意見なり数字がきまるというようなお話でございますので、この問題はこの開発法の判断においての一番重要な問題であろうと思いますので、地方財政法との関連において、最も重要な点であろうと思いますので、先ほど申しましたように、改めてその資料が出て来たときにもう一辺やることを是非お許しを願うように、若しここで直ちにおきめができなければ、あとで一つ御協議願いたい。
  108. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員長としてお答えいたします。若し北海道知事が本日中にその資料を提出されたならばその御質疑をお許ししようと思います。佐多君他に御質疑ありますか。
  109. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 北海道知事が本日中に提出されたらということは、更にその前提條件として、政府のほうがそれに必要な前提條件になるものをお出しになつたらということだと思いますが、それも併せて含んで……。
  110. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員長からお答えのしようがないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)なお佐多君御質疑ありますか。
  111. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、それが出てから……。
  112. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次の通告者楠見義男君の御質疑を願います。
  113. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は簡單に一点だけお伺いいたしたいと思います。  先ほどの委員長のお話では、田中知事の出席は本日限りだということでありますから、田中知事の出席せられておるときに、増田建設大臣と、それから地方自治庁ですかのほうのどなたか政府委員のおかたと、それから田中知事の御三人に御答弁を頂きたいと思うのであります。それは経費の点でありますが、先般の内閣委員会の際に、私から建設大臣に対して今新たに出先機関を設けるということになると、人員の増加或いは機構の改変に伴つて従来以上の経費がかかり、又設備その他の関係からも経費が相当厖大な額に上る経費がかかるように思われる、従つてその点についての御意見を伺つたのでありますが、そのときに建設大臣はそういつた増額ということは当然全然考えられない、即ちそのときには理論上は考えられないということを御答弁になつたのでありますが、併し、先ほどから田中知事の証言を伺つておりますと、機構の点において或いは事業を分離した場合における事務上の点において、或いは機械設備その他の点において相当の金額がかかり、具体的に機械については八億六千万円というような数字まで挙げての御証言があつたのでありますが、この機会にもう一度改めて建設大臣からこの点について御答弁を承わり、その答弁に対して田中知事はどういうふうにお考えになるか、田中知事の御意見を伺い、それから地方自治庁のほうのおかたには若し経費がかかるとすれば地方財政法の第二十一條のこの地方財政委員会の意見を求めなければならないというこの規定をどういうふうにお考えになるか、この三点、いやこの点を経費の増加の問題に関連して三者の御意見をこの機会にお伺いいたしたいと思います。先ず建設大臣の御意見を伺つて、それに対する御意見を知事から伺い、それから地方自治庁から伺いたいと思います。
  114. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道開発局の設置に伴つて国の費用が余計かかりはせんかという御質問にお答え申上げます。地方関係のことは更にその後にします。国の費用は余計かかりません。余計かかるはずがないのであります。皆さんがたの議決にかかる予算を執行するだけであります。定員におきましても、或いは事業費におきましても皆さんがたの議決した範囲においてやるのであります。ただ看板に鉋をかけて書換えるだけであります。それから地方費の関係はどうなつておるか。先ほど申したことは、田中参考人並びに椎熊参考人の参考の意見の矛盾によつて賢明なる楠見さんは御理解願つたと思う次第であります。
  115. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 私は先ほど経費の問題について申上げたことをここで再び繰返すというだけで私の意見がはつきりすると思います。とにかく建物或いは機械或いは人の問題につきまして具体的に私は先ほど縷々申上げた次第であります。とにかく北海道の現実がどうしても人が要る、そうしてさつき椎熊参考人から人口が非常に二千何人から一万何千人殖えた、こういう話をおつしやつたが、数字は殖えておりますが、行政の実体がそういう必要を生じて、そういうような経過を辿つてつたわけであります。そして今のこの問題につきましても、私は北海道自治体の現実の面から良心的に考えてどうしてもこれは要る、こういう意見を出したわけでありまして、従つて私といたしましては地方財政法の規定によつて、当然政府において、地方財政委員会の意見を徴しなければ地方財政法の違反である、従つて開発法の御検討の場合に是非その点を明確にされたいという強いお願いを申上げまして、私の答弁といたします。
  116. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からお答え申上げます。只今増田国務大臣から経費の負担の問題につきましては御答弁をいたしましたわけでありますが、地方財政法の取扱につきましては、政府としては、地方負担の問題がないという見地から地方財政委員会の意見を求めるに至らなかつたものと私は了解しておる次第でございます。なお地方財政につきまして地方の負担につきましては、これが負担がないであろうということを私どもとして期待をいたしておる次第であります。(「確信がありますか、期待ばかりでなく」)と呼ぶ者あり)
  117. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) もう一つ補足いたしたいのであります。実は政府のほうではしばしばかからないであろうという前提の下に発足されたということを言つております。従いまして私はその発足当時の私どもの意見を聞いてくれなかつた点の遺憾な点はありますが、今それを追及してもしようがないと思う。従いまして私は私どものほうからこの公開の席上におきましてはつきりこういうふうにかかりますということを申上げております。而もこれが少い金額ではないのであります。従つて地方自治体の運営の問題からいたしましても、極めて重大な問題を惹起いたします。そういう点からいたしまして、私どもの意見を政府におかれましても又再考されることを私は特にお願いし、又国会においても愼重に御検討頂きたい。かように考える次第であります。
  118. 楠見義男

    ○楠見義男君 先般内閣委員会で私申上げたのは、国費関係においても、又地方関係においても相当の金額が増加するのではないかということをお伺いしたときに、増田大臣の言葉を借りて言えば、どこを押せばそういうふうに出るかわからない、即ち荒唐無稽の数字であるというような意味で申されたのでありますが、本日伺いますと、地方関係で相当巨額な金が要るということで、私はこれは重要な問題であるということでお伺いしているのであります。そこで国費関係については只今増田大臣から御答弁がありましたから了承いたしたのでありますが、併し地方自治庁のほうから御答弁になりましたところでは、どうもはつきりいたさないのでありますが、この地方財政法二十一條の規定に抵触するかどうかという、即ち違法であるかどうかという問題で極めて重大な問題であると思いますので、地方費においては金額の増加しだいだろうということでこの委員会には付議しなかつたという御答弁でありますが、どういう資料に基いて、どういう経過によつてそういう結論が出たか、その点をもう一度詳細にお伺いしたい。
  119. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 地方費のことは田中参考人と椎熊参考人との意見の食い違いによつて賢明なる楠見委員において御察知願いたいと申しましたが、まだ附加する必要があるように感じますからもう一遍私から附加いたします。只今田中参考人は従来国の公務員をして地方自治事務をやらしておつた。従来国の機械をして地方自治事務である公共事業をやらしておつた。だから殖える。これは表向きに言えないのです。だから私は内閣委員会においても、楠見内閣委員に対しても、又今日においてもそういうことは申しません。これは会計法規違反です。国の器具機械を地方公共団体その他のものに使わせる、これは会社に使わせたのと同じであります。或いは一個人の事業に使わしたと同じである。国の営造物、例えば国会の営造物を個人に使わせる、或いは北海道に使わせるということと同じでありまして、これは会計法規から言いますと、従来からも会計検査院から違法である、不当であるという指摘を受けております。そこでこういうふうな違法であることを現実にあるからしてこの事実を認めろと言つても、決算委員会等においで随分お叱りをこうむつているのであります。この点は我々は断じてないという建前で、又なからしめなくてはいけないのであります。従来この行政機構を昭和二十二年四月に漫然地方自治に委任した。それから我々は機構改革をしようと決意したのは一昨年からでございますが、その機構改革をしようという決意をしない前、即ち昭和二十三年においてもそういうことは指摘されているのであります。国の費用で買つたドレツジヤー、或いはエクスカベーターというような、ああいう機械を地方自治事業としてやつておる公共事業に漫然使わせる。こういうことは少くとも国会皆さんの意思を蹂躙しておる。会計法規に違反しておる。このことは極めて明瞭であります。單なる会計法規違反でありましたならば、会計検査院なんか無視してしまえということは言えるかも知れませんが、これ又重大な国家機関である国会の意思を蹂躙したことになる。国会が国の施行すべき事業としてそれぞれ器具機械を今年も建設関係で十五億も買つてよろしいということを議決されておるのでありまして、これは国の公共事業に使うのです。そこで従来やつてつたことは違法なことであります。これを大目に見てやるかどうかは別といたしまして、各府県におきましてそういうことをやつておることはないのです。そこでそのことだけはどうしても前提としてお考えを願いたい。然らば将来はどうするか。将来は我々は漫然この状態を続けて行くということは、これはもう会計法規上違反でありますから、その間所要の手続をとりまして、そうして国の公共事業で使わせて、余る器具機械がとにかく一カ月ぐらい休んでおる。そういうようなときに地方公共事業知事の施行すべき、道会の議決する予算で施行すべき地方公共事業に転用するというようなことは、無償でやれるように認めたいと思います。とにかくこれは全然理窟のための理窟で、反対せんがための反対を賢明なる田中参考人もいたしておるというのが我々の確信でございます。そうでないとこれは国会の意思を蹂躙するということになりますので、これは由々しきことである。こういうふうに考える次第であります。
  120. 楠見義男

    ○楠見義男君 折角賢明と言われたのですが、遺憾ながらまだ明瞭でないところがありますので、もう少しお伺いしたいのでありますが、私は田中参考人と椎熊氏の両方の意見を聞きまして、一層疑問が起つたのでありますが、それは人の問題で、椎熊君は如何にも若し道において新らしく人間が要るとすれば従来二千人でやつたのが一万二千人になつておるから、その中から転換をして廻せばいいじやないかというようなことが想像されるような御発言があつたのであります。そこで今地方自治庁のほうにお尋ねいたしたのもそういうことであれば、そういうようなことを検討した上で、この二十一條の規定に抵触しないという結論に達したのか。或いはどういう経過で他の材料に基いて結論がどうなつたのか。その経過をお伺いしたいと、こういうことなのでありまして、地方自治庁のほうからこれは御答弁を頂きたいと思います。
  121. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答えいたします。只今増田国務大臣から地方財政法の運用の問題については答弁がございましたので、更に詳しく附加える必要がなかろうかと存じますが、私どもといたしましても、地方負担の問題につきましては現状のままというふうな考え方の下に、その考え方の下に地方財政法に基きまして、政府としては地方財政委員会の意見を求める必要がない。かように考えていた次第でございます。
  122. 楠見義男

    ○楠見義男君 今御答弁になりました現状のままという意味は、現状のままだから、負担が殖えないであろうということであるのか。どういう資料に基いて現状のままという結果になつたのか。その点をお伺いいたします。
  123. 小野哲

    政府委員小野哲君) むしろこの点につきましては、当該担当の開発庁から意見を求めることに相成りますので、従つてその方面から御意見をお聽取り願うほうが適当ではないかと思います。
  124. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は地方財政法の関係であるので、当然地方自治庁としてはこの問題については重大な関心をお持ちになつて御検討されておることと承知いたしておりましたところ、只今政府委員からはお聞きのような御答弁でありますので、私はこれ以上この問題につきまして質問をいたしても無駄と思いますから取止めます。
  125. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 先ほど増田大臣から何か表向き言えないことを、不正をやつたような印象を與えるかのような御発言がありましたので、このことにつきまして私申上げるのであります。実はその点につきましては、今日の陳述の中に率直にその実態を申上げ、合法的にこれらの措置をして参つたということを申上げて置いた次第であります。その点をもう一度思い返して頂きたいとお願い申上げる次第であります。次に特に機械の問題についてさようなことに相成りましたが、人の問題についてそれがどうであるかということにつきましては、先ほど時間をかけて縷々申上げたような実態でございまして、これは絶対に間違いのない、この地方自治を守り、運営する責任者といたしまして、このようなことが今行われたならば、絶対にこの地方自治体の運営が非常に危殆に瀕するという危惧を感じてお願いを申上げておる次第でございます。御了解を頂きたいと思います。
  126. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の問題は非常に重要と思うんですが、道庁のほうでは先ほどから縷々決して非合法的な使い方ではない、人についても設備、機械器具についても非合法的な使い方でないということを言つておられる。ところが増田大臣のほうで、これが非合法的なやり方であつて、そういうことはないと信ずるし、或いは仮にあつてもそういうことは表向きに出せない性質のものだというふうに言つておられるんで、両方の考え方、言い方が全然食い違つておる。そこで私は更にお願いをしたいのは、その問題に対する考え方を一つ地方財政委員会委員長に御答弁を、御所見を願いたい。それからもう一つは会計検査院がそれにどういうふうにお考えになつておるのか、その点の御説明を願いたいと思います。
  127. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君に申上げます。地方財政委員会委員長及び事務局長は暫らくここにおられたのでありますが、もうお帰りになりました。だから他の機会にお聞きになることを希望いたします。なお会計検査院につきましては只今お話があつただけでありまして、あらかじめ出席等を要求してはおりません。そのことを申上げて置きます。
  128. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは明日その両者の御説明を願います。地方費の負担が増加になるかどうかという問題は今論争の余地がございますので、いずれほかのかたがたの御意見を聞いた上になお質問をするとして、国家自身の費用の負担でございますが、この今度の改正法によりますと、部を五つ置く、そうしてそれには次長、部長等々を置くということになつておりますので、これに関する定員の増加も起ると思うんですが、これらに関連しての費用の増加、国家自身の経費の増加というようなことはないのかどうか、これらの点の予算措置はどういうふうにお考えになつておるのか、その点を大臣にお聞きしたい。
  129. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 現在皆様議決にかかわる予算の範囲内において、即ち事務費におきましても、人件費におきましても、北海道に駐在する総理府地方事務官、地方技官を以てこれに当てる、これが開発局の事務官になるわけです。それから事務費は一地方技官宛に机が一個とか、或いはレターペーパーとかいう、何とかいうあの割当がございますから、その範囲内において皆様議決された事務費を使うだけでございます。
  130. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると開発庁に仮に開発局を設けられて、機構としては相当な拡充が行われたとしても、それに関連する経費の増加はないというふうなお考えでございますか。
  131. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 本年度に関する限りはございません。但し明年度あたり椎熊議員の言われるように、又北海道の全国会議員、或いは道会議員の要望の通り本年の百億を更に二百億とせよというような場合にはこれに伴う人件費、事務費等の増はございます。但し私ども吉田内閣としてはこういう方針でやつております。皆様に是非とも御了解を得たいと思つておりましたからこの機会において申上げまするが、これは吉田総理も言つておることでございます。去年見返資金によりまして建設省といたしましては七十億の河川改修、長大橋梁の建設、並びに国道の建設をいたしましたが、これに要する人件費等は殖やしておりません。人間は殖やしておらないのであります。そうして従来ありまするところの国の出先機関である、例えば東北地方建設局をして秋田県、山形県の境の吹浦附近の道路の建設をする。こういりふうにいたして参つた次第でございます。
  132. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると開発局を新らたに設置して人員増加になるにかかわらず、それに関連する経費は要らないというお言葉であれば、開発庁自身には開発局を設置しない前にすでにそういう余分なものを持つておられたのか、我々が審議して決定した中にそういうものをすでに含んでおられたのか。我々はそうでなくて、開発局を含まない開発庁自身の予算として審議し、決定したつもりでおる。その点はどういうふうになりますか。
  133. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これはいわゆる予算を伴わない法律案の改正でございまして、皆様議決にかかわる予算の範囲内において人員も事務費も増加せずに、我々は皆様議決にかかわる北海道においてなすべき国の直轄事業内地と同様施行せしめんとするものでございます。但し先ほども椎熊議員も言われましたが、私どもが去年見返資金が七十億殖えた、そうして顯著なる公共事業北海道はもとより全国において行いましたが、地方建設局の人間は殖やさずにやつたのであります。即ち地方建設局の役人に非常に勉強してもらつた。こういうような意味合いから我々もう少し納税者の負担を軽減するために行政機構簡素化なり、その他の余地があるという確信を持つておる次第であります。
  134. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それならば開発局を設置して、その方面についての人員の増加はあるけれども……(「進行々々」「人員の増加はないと言つてるじやないか」と呼ぶ者あり)だから開発局の人員の増加がないとすれば、総理府その他から移し替をするということを意味しておるのですか。
  135. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) さようでございます。
  136. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は質問が通告してありますから、追つて願いますが、今の問題についてだけ質問を許して頂きます。
  137. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 兼岩君に伺います。これは今は参考人の意見を開きまして、参考人に対する質疑をするというのが主な点でありますが、その意味においての質疑でありますか。
  138. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういう意味で二重に関連するから参考人の意見も聞きたいと思います。
  139. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 兼岩傳一君。
  140. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 増田大臣は、先ほどから田中知事が極めて明確に職員庁舎及び機械器具が必ず増加するということを言つておるにもかかわらず、そうでないと言つておられる。私はこの長い二十有余年の建設事業をやつて来たものだが、そういうことはあり得ない。一人格でやつていた工事を二つのもの、に分けて、そのために職員も殖えないし、庁舎も殖えないし、機械器具も殖えないということはあり得ない。そういうことはただ予算の範囲内で予算を消化するという、ただ極めて事務的な意味で消化するということはできるでしよう。それは例えば工事の代りに用地を買うとか、土地を余計買うとか、他の手段を加えて予算の消化という観点はどうにでもできるでしよう。併し実際合目的的な工事を執行するためには、一つの事業を一つの官庁がやつていたものが二つになれば、必然的に職員及び庁舎、機械器具は増加するということは当然だと思うのです。この点について建設大臣の私は明確な答弁が願いたいと思うのです。(「ダブつているね」と呼ぶ者あり)いや、ダブつてはいないですよ。明確な問題だ。
  141. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 兼岩さんにお答え申上げます。兼岩さんの御質問前提が私から見れば誤謬を含んでおります。というのは、同じ役所で大勢の人間が同じ仕事をしておるというけれども、併し同じ仕事をしていないのであります。例えば帶広現業所というものは総理府の私の部下がおりまして国の事務をやつておる。それから田中君の部下の北海道の吏員というものが、これもやはり技術員も事務員もおりましよう。官ではありません。私の部下は官であります。同じ帶広現業所で、今度は北海道庁という自治団体がやる。小規模な道路の建設であるとか、或いは河の改修ということはやります。併しながら仕事の範囲は截然として違うのであります。これを国の技官が或いは国の事務官が一方の仕事を堂々とやつてつたということは私は言えないのであります。或いはそういうことはやつてつても公然の秘密であります。裏ではやれるかも知れませんが、表では俺は国の費用で北海道自治行政の仕事をやつておるのだとか、俺は人の褌で毎日生きているのだということは言えないわけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  142. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは法律的に、三百的にそういうように割切つて行けばそういうことになりますが、現実の問題として、河川砂防、道路それから都市計画、水道等々において、今回国が直轄で二つに切取つてしまおうとしておられる部分が一つの自治体の指導下におれば、いろいろな便宜があつて、助け合つて、例えば機械一つを使うにしても空いているときには右から左へ左から右へということもできる。調査についても便宜がある。それは大きなものについていえば、あなたの言われるように整然たる直轄事業と道の事業ということになつておるでありましようが、併しそういうものは極端な例でありまして、その他の部分についていえば、人員においても調査においても機械器具においてもお互いに助け合つておることは明瞭な事実だと思うのです。それを会計法違反だというようなことは手続上の問題であつて、国の建設……、国費であれ道費であれこれはひとしく人民の税金なんで、そういうものを運用して、建設の目的を合理的に遂行して行く上において、一つの人格を二つに分けてやるならば、将来はどうあろうとも、この数年の間に事務をやつていたものが非常に不経済に人員、器具機械、調査において拡張されなければ、同一の事業が実行できないのは明瞭な事実だと思うのであります。これについて田中知事の意見を聞きたい。(「現に分れているのが明瞭なんだよ」と呼ぶ者あり)
  143. 田中敏文

    ○参考人(田中敏文君) 地方自治体が、先ほど申上げたように合法的に最も有効に最小限度の人間を以て国費地方費を使つて仕事をして来た。それは先ほど縷々申上げた通りでございまして、何か私のほうで国費の人間を地方の仕事に使つて、道費の負担と適当にうまくやつてつたというふうにしばしば言われて来ておるようでありますが、そういうことは絶対にないのであります。従つてこの経費をそういうやり方で、合法的に仕事を進めて来ております。従つて今この実態はそのような形でやつて来たために、今これを突然分けるということになりますると、先ほど申上げたように人も要るし、勿論経費も要る、こういうことになります。この事実を私申上げたのであります。従いまして先ほど来何回も同じことを繰返しているわけでございまするが、このようになりますにつきましては、これは実は何も私の時代に始まつたことではない。開拓行政いわゆる総合開発前のいわゆる拓地植民の時代からそのような形において最も有効にこのような行政が遂行されて来たのであります。たまたま二十二年に新らしい憲法ができた。従つて地方自治体の首長がいわゆる公選されることになつた。そこで国の仕事と地方の仕事の明確な区分化というようなことがいろいろ問題になつて来ました。従いましてこれらの問題はなお今後において各地においても尾を引く問題になる、現にそれらの問題が尾を引いておればこそ、例の地方行政調査委員会議というものが、わざわざ法律を作つて、その機関を作つて、国の事務と地方行政事務の再配分を検討するというような必要まで起つている。そういうことでございまするから、諸種の今までやつて来た経過から私はこのような結論になるということを先ほど来しばしば申上げました。そこでもう一言附加えて申上げたいのは、恐らくこれは法律が変つたのだから、世の中が変つたのだから、今度は、前は官選知事が両方やつたからいいので、お前は民選知事だから知事と国とは違うという議論も出て来る。そこでこれに対して私はこういうふうに考える。私はいわゆる行政も政治も住民の生活から出発し、又住民の生活に帰結しなければならない。かように考えて来まして、この問題は法制的にいろいろな変化があつた、変化があつたが住民に対してこれがマイナスになつてはならんはずであります。従いまして私どもは、これらは勿論合法的でなければならないが、そういう合法的にやりながら、今の最も少い人員で以て総合的に全体の仕事をやつて来た。これは私は住民のためにいいことだと考えている。そういう観点に立つてつて来たという事実に立つてこれを分ければ金がかかります。金がかかるということは、結局国民の負担を多くするということであります。そういう意味において金がかかりますから、一つ地方財政委員会等においても先ずその意見を徴され、法律的に地方財政法の違反になるというふうに私は主張して止まないのであります。
  144. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 質疑の御通告も済みましたし、その後に出ました御質疑も相当綿密に進んだと考えます。従いまして参考人の御意見を聞くことはこの程度にとどめて置きたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは今六時に近いのでありますが、一時間休憩いたしまして七時から再開いたします。そうして通告による質疑者の御質疑を願いたいと思います。一時間休憩いたします。    午後五時五十九分休憩    —————・—————    午後七時三十一分開会
  146. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 休憩前に引続いて連合委員会を開会いたします。北海道開発法の一部を改正する法律案につきまして質疑を続行いたします。
  147. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 参考人の発言を求める前にやつておりました、質問に続行いたしまして建設大臣に、開発庁長官にお尋ねいたしたいと存じます。いろいろと御説明或いは御質疑の中で、又先ほどの参考人の意見開陳等の中でもたびたび出て参りましたし、私も先ほど若干触れましたが、総合開発の問題でございます。この総合開発について果してこの開発庁の下に開発局を置いて、二元的にやることが果して総合開発の目的に副うかどうかということについて、いろいろと意見が分かれておるようでございます。先ほど田中参考人の発言を聞いておりますると、自然科学の面だけでなくして、文化科学との立体的な計画の下に行なうことが絶対に必要である、又立場を変えるならば、自治行政開発行政を分けてもらつては総合的な開発はできないのだ。そのことについては北海道の業態の特殊性を挙げられまして、いわゆる第一次産業が三一%を占め、第二次産業は三六%を占め、第三次産業は三三%であるにかかわらず、収容人口においては第一次産業は五三%を占めておるのであるから、産業文化の面との連繋なしには総合的な開発はできないというような、これはどこでもそうでございまするけれども、特に北海道における考え方をお述べになつたのでありまして、私も又大体において意見を同じくするのであります。そういうような考え方に立ちましてこの開発法の一部改正の中に盛られておる考え方をば見て参りますと、今回の措置によりまして果して総合開発の有機性が十分に保たれ、なおそれが包容されて行くだろうかということをば憂えるのであります。即ち国家的な大事業であるところの北海道開発の一元的な有機的な運営をばますます助長することにこの法案は役立たなければならないのでありますけれども、かように自治行政開発行政を画然と分けることによりまして、自治行政に属する産業、文化、厚生、教育等のあらゆる分野の発展向上を含むところの総合行政から離れて、果してこの総合開発の理念が具現して行くだろうかということであります。だんだん聞いておりますと、道は過去八十年に亘つて自治行政開発行政を一元的な総合的な運営をしたもののように考えられるのでありまして、今日において特にこれをば画然と分けることによりまして果してお狙いになつているところの総合開発の有機性が保たれて行くかどうか、この点について建設大臣の御所見を承わりたいのであります。
  148. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三輪さんにお答え申上げます。開発庁の中に開発局を設けて一元的に北海道総合開発をやつてよろしいかどうかという最初の御質問にお答え申上げます。私どもは一元的に北海道現地に設けんとする開発局において発合開発を所轄せしめようとは思つていないのであります。繰返して申上げます通り、国の直轄事業を所轄せしめる、これだけでございます。そこで我々つらつら考えて見まするに、自治法が制定されまして、北海道の予算面から見まして、これは開発の予算面でございます。開発関係の予算面から見まして、八割は国の出先機関である道庁長官がやつている、二割を地方自治という関係においてやつている。ところが公選知事というものは地方自治執行する首長であります。その二割しか予算面において事業分量において執行しない地方自治執行機関をして、その四億といつたような国の開発行政を行わしめてよろしいかどうか。私は少くとも本日の場面を御覧になつただけでも、皆様はよろしくないという結論を得られたと思う次第であります。内地の諸府県において国の直轄事業を行なつておる場合に、私どもがここへ出て参りまして、青森県においてはかくかくやつておりますが、お叱りを皆さんからこうむりましたからして皆さんの御指導の通りこういうふうにいたしますとこういうふうに私どもは申上げることができまするが、御承知通り国の行政を他の地方自治執行機関に比べて四倍もやつておるその北海道知事が先に参考人として出る。参考人に対して責任を糾弾するということはできるやらできないやらわからないのであります。地方自治法律を読んで見ますというと、国の行政をその執行機関の長に委ねた場合はその執行機関指揮監督できる。併しながら言うことを聞かなかつた場合は裁判所へ訴える、こういうような規定になつております。東北六県の出先の例えば猿ケ石、矢沢ダムというような所、あの矢沢ダムの建設の仕方が悪かつた、石の積み方が悪かつた、ちよつと直せと言うとすぐ建設大臣の部下が猿ケ石の工事事務所にやつてつて指揮できるのであります。いけなかつたら裁判所に訴える、国会責任を問い得るや否やも分からなかつたのであります。歳出面において非常にウエイトのかかつた北海道開発のことについて皆さんのお叱りを受けて、皆さんの御意向を現地において受けて責任ある処分はできない。悪かつたら裁判所に訴える、こういう仕掛でいいものでございましようかどうか。この点は皆さん本当に私は北海道重要性全日本立場において占める北海道の地位という点から、遅れたりといえども……遅れたことはけしからんということを社会党の諸君はおつしやいますけれども、その通りであります。遅れたのであります。遅れたけれども、今やつておる通りの改革をする、この機会においてよい方向へ向つて行くのでありますから、国政を監督するところの国権の最高機関である国会の監督の下において行政を行おう、それをあれだけの大事業を持つてこれをやつておるものを参考人として呼んで、参考人あなたにお聞きしますが、とこういうような状況で……これだけの大事業、国の直轄事業、而も中国、四国の建設局と東北の建設局の直轄事業のまだ四倍もあるのであります。例えば国道の建設、中国、四国の国道の建設につきましてここでお叱りをこうむるといたします。建設大臣として四国の道の作り方がどうも悪いぞ、隘路があつたり、広い道があつたり、ネツクがあつたり、しようがないじやないか、隘路がある場合、交通量はこれだけしかないじやないか、全体を通じてネックをとつてしまえ、八間幅の道路を作つて途中に三間幅の道路があると、三間幅の交通量しかできないじやないかというお叱りがあれば、はい承知いたしましたと言つてどもはすぐ直すことができます。知事に対しては指揮監督をすることもできます。聞かなかつた場合は裁判所に訴える。ところが日本の裁判所は御承知通りなかなか手数がかかりまして、裁判官は一生懸命やつて下さつておりますが、その判決を見るにはよほどスピーデイにやりましても一年二年とかかります。こういうような仕掛でよろしいのでございましようか。私はこれこそが一番の欠陷であると思います。皆さんこの理窟をおわかりになつたならば、一体増田がこんなものを……総合開発行政機構の整備充実をせよという答申は一昨年出ておる、その移し方が遅いじやないか、こういうふうに私に叱られて然るべきものじやないかと私は考えております。とにかく一元的というような言葉が戰時中よく言われましたが、地方自治を担当するに過ぎないものが一元的にあらゆるものをやつてよろしいものでございましようか。皆さん議決にかかる北海道開発法に基いて総合開発計画を樹立策定するのは、各省大臣をも督励しまして樹立策定するのは私であります。先ほど木下さんからもいろいろ御質問がございましたが、北海道自治を担当する道知事さんにも頼んで参考書を出させます。農林大臣にも頼んで参考書を出させます。そうして私が総合開発計画を作るのですから、総合開発計画が立派にできることが私は一番必要だと思つております。若しも総合開発計画を作つたならば一人のものがこれを執行せねばならんことはございません。鉄道の計画などでも北海道総合開発という意味で作るのでございます。ところがこの鉄道の開発現地開発局でやるわけではございません。現地の、何というのですか、今日機構が改革されてよくわかりませんが、現地の機構で申せば鉄道局がやる、鉄道局の上に加賀山君がおつて、それを監督するのは又運輸大臣である。それぞれ職域に従つて全体の総合計画の一部を執行する、而もその一部は全体との調和ある関係において執行する、こういうことによつていわゆる国が総力を挙げて北海道開発事業を行われるということになると思います。そうでなかつたならば田中君という一つの力を通じて、そういうネックを通じて北海道開発を行うのですから誠にまどろこしくて、私どもはこの三年間も田中君に出てくれと言つたつてなかなか出て来ないのです。一体指揮監督と書いてあれば、本当は毎日のごとく出て来なければならない。一年のうち半年は東京にいたんですから。北海道長官という国の出先機関で、そうしてああやれこうやれ、はいと言つて現地でやつてつたのであります。ところが出て来いと言つても、あの知事は参考人で政府委員でない、参考人たる知事の参考意見にもございました通り、自分は忙しかつたから副知事を出して置きました。こういうふうなことであります。それで本当に北海道に対して国が総力を挙げたと言い得ましようか。予算面から見ますと歳出が一番力を入れておるのは北海道開発局であります。歳入で一番力が入つておりますのは国の七百四十三億円の減税でございます。どうか皆様におかれましては政局を担当する意味において、国民の代表者として、国権の最高機関を構成されておりまする国権の最高機関が、国の行政について何ら私どもに鞭撻も指導も與える機会がない。参考人として、御参考に聞きますがというような状態で私は北海道開発行政ということをやつては絶対に国のためにならない、こう確信いたす次第であります。で社会党が政局を担当されましてもやはり国権の最高機関である国会において大多数の與党の下に政権を担当されましよう。そのときは必ず北海道についても責任を負われるわけでありますから、いやしくとも責任を負うからには参考人たる、そのときは自由党の知事か、或いはどこの知事が出るかわかりません。とにかくいずれの党からも出るわけであります。どこの党から出たところで社会党から出たところで参考人を呼ぶに過ぎない。すべて社会党政府としてもこの国の総力を挙げてという言葉が、ただ何といいますか、美辞麗句に過ぎない、観念的な言葉に過ぎなくなつてしまう。国の総力でも何でもない。ただ知事という地方自治を担当する、而も二割の仕事しかない。そういう隘路を通じて仕事をする、一元的に仕事をする。そういうようなことでは北海道のためにならないと思う次第でございますが、如何でございましよう。この点どうか皆さんにおかれましても虚心坦懐お考え願いますると非常に私は国のために幸甚であると思う次第でございます。
  149. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 参考人としてだけしか呼べないような立場にあるということをたびたび繰返されますが、参考人を呼ぶことになつたのもこの連合委員会の実は切なる願いによつて、相当これについては異論はあつたのでありますが、初めて参考人として出て頂いたわけで、実は政府において参考人としてさえもこの非常に大切な北海道関係を持つ法案の立案並びに通過せしめるに当りましても参考人としても呼ばれないような状況にあつたのをば、これは当事者であるところの知事さんに是非実情を聞かなければならないということで実は参考人として出て頂いたわけであります。又只今地方自治法においては国の委任事務を扱わせておるところの都道府県知事に対しましては、主務大臣が監督する権限があるけれども、それを聞かなかつた場合には裁判によるほかないのだということでございますけれども、これは又そういうことがある場合を予想してのことでありまして、北海道について、或いはその他の都道府県につきまして、そういうような主務大臣の監督をして、而もなおそういうことを聞かなかつた場合には裁判に訴えなければならなかつたような事例が一体あるでございましようか。その点一つ。
  150. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 地方自治法が制定施行されたのは昭和二十二年四月からであります。そこで今までどういう事務を委任しているかと申しますと、戸籍事務だとか、そういうようなことで、大規模の技術陣、事務陣を動員してやらんならん仕事を委託したのが北海道だけであります。内地では地方建設局長というのはすぐ建設大臣がいつも呼出せます。呼出せば出て来る、そうしてこうやれああやれと技術的面からの良心、事務的面の良心から出る指示はこれに従う。これは国の直轄事業でありますから、戸籍事務の委任とかそういうのとは違うのでございまして、従来裁判所に訴えたという例はまだございませんけれども、特に恐らくこれに地方自治庁に聞かれんとわかりませんが、私どもが見て以て遺憾とする事例はたくさんあります。新たにあれだけの事業をしているときに北海道開発審議会という皆様議決にかかる法律に基く審議会にすら欠席が……、今月二十三日の日に一遍出席されただけでありまして、あとは出席されない。副知事を出したということは、やはり我々があれだけの大事業を委託してあるのでありますから、これはどうかと思う点は椎熊さんと全然意見を同じうするのであります。又常識から考えましても少しおかしな話であるというふうに三論さんもお考え下さると私は信じて疑いません。
  151. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その点は監督のほうにも多少又不行届の点もそういう場合にあり得るのでありまして、監督を嚴密にやることによつてその憂いをば取除くということはできませんか。する余地は、ございませんか。
  152. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 我々は知事を通じて指揮監督するのでして、実際はいろいろな方法をやらないでもないのでございますけれども、而も例えば建設関係の工法を変更せよというようなことは、これはやはり知事でなくてはいけないのでありまするし、橋の位置なり、或いはダムの建設地点なりについての所見を異にするというような場合でも、これはやはり責任者は知事でありまするから、知事に来てもらわんことには話にならない。私は開発庁長官となつて以来一回会いましたけれども、昔は北海道庁長官というのは半年はおつて、そうして北海道で行なつておる直轄事業たる拓殖、開拓でございます、この拓殖、開拓については、農林大臣、これもなかなか関係が深いのであります。それから運輸大臣、建設大臣等には殆んどしよつちゆう接触する必要がありますし、国会の指導をいつも受ける必要がありますから、政府委員になつてつた政府委員になつてつたところで政府委員たる北海道庁長官が独立して責任を負つているのではありません。その政府委員の上官である運輸大臣なり、内閣総理大臣の直轄でございまして、ほかの知事とは違うのでございます。内閣総理大臣なり、又他の大臣が勿論北海道の直轄事業執行について責任を負う。その責任を負う立場で国の出先機関である北海道長官政府委員になつて、いつも皆さんから種々の御指導を受けておつたのであります。
  153. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほどから責任を国に負、そういう形に事業責任の所在がはつきりしないというようなことをたびたび昨日からも言われるのでありますが、私はこの責任を国に負うという考え方のほかに、責任をその地方自治体の住民に負うという一つの考え方が新たにあると思うのでございます。私は地方自治体の責任者が、その住民の前で、住民の責任を負つて仕事をして行く、これは最も身近でありますからして、絶えず住民監視の中にあるわけであります。国に責任を負うという形からだけの部分を、住民に責任を負うという形にしたのが、或る考え方から見たところの地方行政の強化拡充の、私は一つの見方ではないかと思うのでございます。そういたしますならば、全住民の責任を負うような形で行われていた仕事をば、逆に今度は国に対し、政府に対し責任を負うという形に又持ち返して来るということは、地方自治の一つの逆行ではないかという考えも成立つと思うのでありまするが、この点地方自治庁政務次官の御所見を伺います。
  154. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 自治長官からお答えする前に私から申上げます。この北海道の拓殖費は、開拓費は昔から拓殖費と呼んでおりましたが、名称の如何にかかわらず開拓費でございます。これは北海道会の決定は要らないのであります。北海道知事執行したのは、北海道の住民である自治体の構成員である四百三十万人の人の代表者である道会議員に対して道知事責任を負う。これは昔から今までどんな機構になりましても、皆様方が議決されたものを北海道会の予算なんかはまるきり通過せずに現地において執行しているのであります。この点は東北地建局長が建設省の予算を持つてつて使うと同じであります。北海道庁長官が向うへ国の予算を持つてつて使う。政府行政を道府県会にだけ負うというようなことが、一番地方々々としてよろしいということであれば国政はなくなつてしまう。国会なんか要らない。何のために存在するか。私は国政について皆様が我々に責任を糾弾するのが国会の存在の意義であると思うのであります。
  155. 小野哲

    政府委員小野哲君) 増田国務大臣から大体お答えをいたしておりまするので、あまり附加えることはないかと思いますが、御指名によりまして私からも所見を申述べたいと思います。地方公共団体行政運営につきましては、勿論その行政の根本方針につきまして、当該地方議会においてこれを定めて、そして執行機関たる地方公共団体の長である知事がその執行の衝に当るということは、勿論お説の通りでございます。ただその事柄の性質、仕事の内容によりましては、或るものにつきましては国が直轄してやつて行かなければならないものもございますし、又地方公共団体としての固有の事務もありますれば、或いは機関委任等の事務の関係もありますので、一概には申すわけには参りませんけれども、只今申しましたように、地方公共団体行政運営につきましては、地方議会があり、又その執行機関としての知事がこれを行なつて行くということについては、お説のような考えができるかと思いますけれども、先ほど増田国務大臣から申しましたような事務の遂行に当りましては、これはおのずから又別な考え方をすべきではないか、かように考えております。
  156. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この改正法案の十二條第一項第一号に基きまして制定せられる政令の内容と、道路法の関係についてお尋ねをいたします。改正法案の第十二條第一項第一号に基く政令の内容は、北海道庁が我々に出しておりまする北海道開発法の一部を改正する法律案参考という参考書の二十一頁において明らかにされておるのでありまするが、これによりますと、道路、河川、港湾等の直轄事業執行は、すべて北海道開発局が担当することに解せられるのであります。この場合道路法との関連について伺いたいと思います。道路法第十七條におきましては「国道ハ府県知事、其ノ他ノ道路ハ其ノ路線ノ認定者ヲ以テ管理者トス但シ勅令ヲ以テ指定スル市二於テハ其ノ市内ノ国道及府県道ハ市長ヲ以テ管理者トス」こうありまするからして、府県知事は国の事務委任によつて道路管理者であることは明らかであると思うのであります。ところが同じく道路法の二十條によりまして「道路ノ新設、改築、修繕及維持ハ管理者之ヲ為スヘシ主務大臣必要アリト認ムルトキハ国道ノ新設又ハ改築ヲ為スコトヲ得此ノ場合二於テ道路管理者ノ権限ハ命令ノ定ムル所二依リ主務大臣之ヲ行フ」又道路法第六十條によりまして、「本法中府県、府県知事、府県庁又は府県道に関スル規定ハ北海道二付テハ道、道庁長官、道庁又ハ地方費道二関シ市、市長、市役所又ハ市道二関スル規定ハ北海道ニ付テハ区、区長、区役所又ハ区道ニ関シ郡役所ニ関スル規定ハ北海道ニ付テハ支庁、島ニ付テハ島庁ニ関シ之ヲ適用ス」こういうふうにありまするからして、私が先に申上げましたようなことは、北海道知事も又府県知事同様に何ら変るところはないと解釈されるのであります。そこで道路法第三十三條によりますると、「主トシテ軍事ノ目的ヲ有スル国道其ノ他主務大臣ノ指定スル国道ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ハ国庫ノ負担トス第二十條第二項ノ規定ニ依ル国道ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ニ付亦同シ前項ニ規定スルモノヲ除クノ外道路ニ関スル費用ハ管理者タル行政庁ノ統轄スル公共団体ノ負担トス但シ行政区劃ノ境界ニ係ル道路ニ関スル費用ノ負担ニ付テハ関係行政庁ノ協議ニ依ル協議調ハサルトキハ主務大臣之ヲ決定ス第二十條第二項ノ規定ニ依ル国道ノ新設又ハ改築ニ要スル費用ハ政令ノ定ムル所ニ依リ管理者タル行政庁の統轄する公共団体ヲシテ其の三分ノ一ヲ負担セシム」以下道路法第三十五條或いは道路法第六十一條、北海道道路令第五條、北海道道路令第八條等において、そのような規定がされておるのであります。そこで道路に関する費用は原則として道路管理者が統轄をするのでありまして、公共団体の負担でありまするが、北海道に関しましては費用負担に関する特例が認められておりまして、その内容は北海道道路令の今申しました第五條、八條によつて明らかにされておるのであります。その五條、八條を更に申上げて見ますと、「国道二関スル費用ハ当分ノ内国庫ノ負担トシ拓殖費ヨリ支弁ス準地方費道二関スル費用ハ地方費ノ負担トス 地方費道以下ノ道路ニシテ道庁長官拓殖ノ為必要ト認ムルモノニ関スル費用ハ当分ノ内期間ヲ定メ国庫ノ負担トシ拓殖費ヨリ支弁スルコトヲ得」とありますが、北海道道路令第八條には「地方費道以下ノ道路二関スル工事ニシテ道庁長官拓殖ノ為必要ト認ムルモノノ費用ニ対シテハ当分ノ内其ノ全部又ハ一部ヲ国庫ヨリ補助し拓殖費ヨリ支弁スルコトヲ得」こういうように相成つておるのであります。以上申上げたところによりましても明らかでありますように、北海道道路令は、開発途上にある北海道に対する財政援助のための特例でありまして、制度上の問題でないことは明らかであるわけであります。故に今若し北海道開発費に計上された道路事業費を、予算上の区分によりまして国の出先機関である開発庁に全額国費支弁の事業を所管せしめるといたしまするならば、ここに先ず国道以外の国費負担道路の管理権を主務大臣が行うこととなり、道路法第二十條に牴触するのではないかという疑問が、ここに一つ生じて来るのであります。第二番目に地方費道以下の工事を主務大臣が行うことになりまして、これ又道路法二十條、及び北海道道路令第八條に牴触することに相成ると思うのであります。若し政令において予算、及び事業配分を道路法に牴触しないように規定するといたしまするならば、法律案参考に頂いておりまする二十頁に示されておりまするところの、道路関係定員、開発局分十百三十人、地方事務官又は技官ゼロは不適当でありまして、改正法案附則三の修正を要するものだと思われるのであります。この問題は本改正案に関連する根本的なことでありまするから、はつきりと一つ御答弁をお願い申上げたいのであります。
  157. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 詳細な点はあと建設省の小林文書課長が説明員として参つておりまするから、御聽取願えると幸いだと思います。  大体のことについてお答え申します。道路の管理者は国道については都道府県知事であります。そこで一体従来どういうふうにしているかと言いますと、我々は何も道路行政をやろうというのじやないのです。例えば占用の許可だとか、ただ金のかかる、而も相当の技術陣が要るところの国道なり、或いは直轄河川……、本問題は国道でありますが、国道を作つて、そうしていわば社会的に見ますと差上げるのです、作つちや差上げ、作つちや差上げておるのです。それだけのことをいやだと言うのは一体おかしな話だと思うのです。立派な道路を作つて私によこして下さい、こういうのが当り前なものです。作つて差上けるだけなんです。そうしてあとは管理者に知事がなるのですから、これほど有難いことは知事から見てもないと思うのです。おれが作つた道路だからおれが管理すると言つて建設大臣や、北海道開発庁長官が威張つているわけじやないのです。我々は作つちや差上げ、作つちや差上げているのです。だからこの点は一般論として先ず常識的にお考え願いたいと思うのであります。管理者がどうだこうだということは問題ではない。例えば長野県は従来実は国道の改修を殆んど知事がやつておりましたが、ところが大分難工事がありまして、是非国がやつて欲しい。そこで我我は鳥居峠のトンネルというのを今度は建設事務所を作つて、そうして我々がやります。大変喜んでおります。これをいやだ、林社会党知事はやりたいなんて一つも言いません。どうかやつて下さい、どうせあのトンネル工事なり、道路なり、作れば管理者は林社会党知事になるのですから、これは有難い、是非一つ建設省の持つている技術陣を動員して急速に、而もそつのない、手を拔かない、税金を濫用しないところの立派な公共事業を作つて欲しい、もう各府県からこういう熱望なり、要望が山積しているのです。ところがおれがやるのだということをひとり北海道が言つておりまするが、全く私ども合点が行かないのであります。そこで例えば長野県で今度直轄事業としてやる條文の根拠はどこであるか、この二十條の第二項であります。「主務大臣必要アリト認ムルトキハ……、」お説のごとく管理者は改修も新設も維持も修繕もしなくてはいかん。そこで都道府県知事は管理者であるから、本来は自分で新築もし自分で改築もし、自分で勿論維持、修繕はせんければなりません。併しながらその中で新設と改築は、「主務大臣必要アリト認ムルトキハ」、積極的に建設大臣が必要ありと認定いたしますとそこへ力をやります。例えばあの関門の連絡の国道のトンネル、これもとても福岡県知事や山口県知事の手には負えません。そこで私たちにやつてくれといつておるのですからいやだなんて決して言えません。いやだなんて言うとけしからん、むしろ建設大臣は不信任だというくらいのものです。而してやつてくれというわけで我々やつて、できたものは誰に渡す。山口県と福岡県知事に、あれは半分の辺が山口県と福岡県の境でございましようから、管理者は山口県、福岡県の知事である。立派なトンネルを作つてくれた。これをおれが管理するのか、これは有難いことである。こういうことになる次第でございます。あと細かい点は、更に地方費道の点については説明員から申上げますが、ただ地方費道一般論として申し上げますると、北海道は非常に、自治団体自治団体とおつしやいますが、自治団体の財政能力は極めて貧弱なのであります。でありまするから府県道と同じような地方費道を国で作つてくれといつておる。そこで我々は全額で、内地皆さんには本当は申訳ないくらいのものなんですが、国が全額を出して作つて、そうして管理者は地方費道であるから知事さんに渡す。これが一体常識的に見て不妥当なことでございましようか。これは誠に結構ずくめのことである。内地の府県民諸君は全く羨望の対象にしております。それを管理者と書いてある、名前が地方費であるからおれがやるのだということになりますと、北海道庁長官という国の機関を通してできた道路令であります、それでありますから全額でこの北海道庁長官は国の出先機関だからそれが本当は貧弱なあの北海道の財政の能力、自治団体としての財政能力は極く貧弱であります。これが府県道と性質が同じであつても、地方費道という名前、府県道という言葉とは同じなのです。道道という言葉は何だかへんてこですから地方費道という、本来は建設、新設、改築ということまでみんな内地の諸府県民の皆さんの納税によつてつておる。これをおれはいやなのだ、今度はおれがやるのだというようなことになりますと、北海道の貧弱な財政で負担する。内地では半額を府県で負担するのですから、こんなふうなことにいずれ道路令を改めざるを得ない。今道路令がこういうことになつていますからということでございましたけれども、道路令ができたゆえんのものを是非御考慮願えれば非常に幸いでございます。
  158. 小林與三次

    説明員(小林與三次君) 今の大臣からの御答弁で大体御了承願つたと思うのでありまするが、道路につきましても引続いて工事を直轄事業としてやるのは、道路法に定むる手続に従つてやるのでありまして、道路法にたがうような手続では勿論やることは考えておりません。これにつきましては、もう御承知であろうと思いますが、国道の話は今まで出たのでありまするが、例えば去年あたり見返資金で府県道の工事を直轄で相当やつておるのでありますけれども、それも道路法による手続に従いましてやつておるのでありまして、北海道の場合も勿論道路法に準拠してやることは当然の次第でございます。なお北海道について、先ほど北海道における道路の特例につきまして縷縷御説明がありましたが、その通りでございまして、この場合は御承知通り従来から北海道は、先ほどから大臣しばしば説明しております通り、国の官吏がおり、国の仕事として北海道でやつておる、そういう事実を前提にして、北海道には全額国費のまま仕事をやるという建前をとつておるのであります。それでありますから、普通の場合と違いまして、いわゆる補助の形はとつておらないのであります。自治事務として本当にやるならば補助の形をとつて、道の予算に入れて、道の議会の議決によつて仕事をやる、こういう建前をおとりになるのが普通でありますけれども、この北海道に関しまする限りにおきましては、特別にそのために所用の人間を国の公務員として置いて、そうして予算も国費のまま執行する、こういう建前で北海道の道路法の特例ができておるわけでございます。それを今度はその工事の面につきましては、道路法の定める手続によつて、今度できます開発局という国の機関が国の機関の名において執行する、こういう手続をとることに相成ると思います。すべてが道路法に準拠してこの運用によつてやることに相成ります。
  159. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 政府委員にお伺いしますが、只今長官は我々は道路行政をやろうというのではない、作つてやろうというのだ、いやと言うのはおかしいじやないか、国の費用で作つてやるのに反対するのはおかしい、内地の諸県は羨望しておる。私はそういうことを聞いておるのではないのです。これは私は何も北海道のものでありませんから反対だとか、いやだとか、作つてくれちや困るとか言つているのではない。我々は北海道開発法の一部を改正する法律を審議しているのです。そこでこの法律が言われておる通りに施行されるとするならば、道路法に抵触するのではないかということを聞いておるのです。どうも長官の御発言を聞いておると、そういう細かい法律の末梢に囚われないで作つてあるからいいじやないかと考えられますから、逆にこれを裏返して考えると、抵触はするんだというふうに見るから、これは今御説明された政府委員のかたから承わりたいのですが、率直に道路法を改正すべきものではありませんか。若しこれをやつた場合はその点をお伺いしたいと思います。
  160. 小林與三次

    説明員(小林與三次君) 現行の道路法に従いまして、勿論違反せずに、道路法に違反して仕事をすることは考えるはずはありませんから、現行の道路法の運用によつて先ほど大臣も申しました通り、管理事務一切が国に来るのではありませんで、国の管理の一般の事務は、勿論道路管理者である知事なり市町村長なりが持つておることは明瞭であります。それでそのうち工事を、例えば国道ならば先ほど申上げました通り内地におけると同様に主務大臣が必要な国道の新設、改良、或いは補修については、国がやり得る、こういう明文がございます。その他の道路につきましては、管理者との話合いによりまして、その仕事を施行できる根拠が道路法にあるわけですから、それに基いて仕事をするわけでございます。勿論道路法に違反してこういう仕事をやろうということは、初めからこういう運用によつてやることになつております。
  161. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 運用によつてやると言われますけれども、はつきりこの道路法の二十條によつて考えられることは、主務大臣が管理者に代つて工事ができるのは、これは実際に主務大臣が必要と認めたところの国道の新設、改築に限られておるとはつきりこれは書いてあるんです。ところがこの法律によりまするというと、国道の新設改築のみならず、地方費道或いは準地方費道までも含めて、一括的にそこの直轄工事の執行はすべてこれを北海道開発局でやるということに書いてありますから、これは明らかに抵触すると私は思うんです。その点如何ですか。
  162. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 先ほどから申しました通り、国で行なつておる直轄事業というわけで、地方費道と名前がございましても、全額国庫を以て国の機関が現在まで行なつておるのであります。そこでいわゆる国道というものは主務大臣が直接認定してかかればよろしいのです。あとの予算面には国で直轄事業として全額やつておるものはすべて開発局所管に移しております。皆さん承知通り、それはやはりこれを道路法の中にある協議によつてつてくれと言われればやる、若しやつてくれないかと言われればどうなるか、こういう御質問をまあ端的になさる場合があると思います。まだそういう場合はないわけでありますが、そういう場合にはどうなるか、そんな違法なことはいたしません。そうなりまするというと、予算が未執行で残るのでございます。北海道はそれはもう知事に委任するとか委任しないとかいう問題で、何億の金が未執行で残るということになると、道民が窮するはこれより大なるはなし、道民が黙つていないと思います。
  163. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はどうもどんなに説明を聞いても、十二條第一項一号に基く政令の内容は明らかに道路法のほうで規定しておるところと違うと思うのでありますが、どうしても違えばそれは運用である、或いは協議であるとおつしやいますから、なかなかどうも水掛論になりますので、そういう法律に明らかに牴触するようなことまでも侵してやらなければならないという必要がどこにあるかということを、非常に私は疑問に思うわけであります。
  164. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 運用でやるのではございません。道路法の適用でやるのであります。飽くまでも合法非合法などという問題は絶対に起きません。絶対に合法でございます。    〔若木勝藏君発言の許可を求む〕
  165. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 若木君、どういうことですか。
  166. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今のに関連した質問なんですが……。
  167. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 関連事項だけについて御質疑を願います。
  168. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今の三輪委員質問は、私は非常に重大な質問であると考えるのであります。私もこの点について非常に疑問を持つてつたのでありますが、先ほどの建設大臣のお言葉を聞いておりますというと、どうも常職論で行こうでないかというふうなお話があつたようでありますが、併し今の御答弁では、いや、道路法に基いたその適用でやる、どこまでもそうである、運用でないというようなお話で、非常に矛盾があると思います。そこで私はこれはどうしてもそういう運用であるとか、或いは常識論でやるとかいうことでなしに、法律面からはつきりして置かなければならない問題だと思います。そこで先ず十二條のこの第一号の、公共事業費の支弁に係る国の直轄事業で云々とありますが、この国の直轄事業というふうなものについては、この道路のことに関してはどういうふうにお考えになられるか、その範囲を、まあ具体的に申上げますというと、国道のみに限られるのであるかどうか。この点について先ず承わりたいと思うのです。
  169. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 若木さんにお答え申上げます。常識論というものは、必ずこれは法律論とはあべこべになるものではございません。私が最初常識論としてお考え委員皆様に願いたいと言つたのは、つまり国が全額を持つて道路を建設するということが、いやだという人はないでしよう。つまり法律を離れているのです。むしろ常識論は法律論と同じです。そのことを言つたのです。而して平仄が合うものであります。必ず合います。合わなかつたら非常識論でございます。どうも若木さんは常識論というと、非合法なことでも常識だ常識だといつてごまかされると言われますが、これは御迷惑の至りであります。常識論で、常識で肯定されるようなことは必ず合法的のものであります。非合法を常識でまるめるということはありません。ただ有難く思うかいやと思うかという立場を常識で考えて、むずかしい技術を要するような道路の建設や河川の改修を国が全額でやり、そうして渡す。これはいやだという人はないでしようということを先ず前提として申上げたのであります。それは或いは新築或いは改築、これは本来は管理者がやるということを三輪さんが御指摘になつたと思います。併しながら、主務大臣が必要と認めるときは、国道の新築、改築も主務大臣がこれを直接行う。それから同じ二十四條には、私は法律論は少しも避けてはおりません。法律のごときは少しも避ける必要はないのであります。元来法律という方面を一生懸命修業して参つた者でありますから……。そこで二十四條というものの中の、国の直轄事業がいやだといえば、それまでで、皆さん議決で全額で道路を建設せよという意味議決されてありますから、いやだとおつしやればそれは予算の未執行になつてしまう。要するに全然合法でございます。
  170. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私の質問した点についてまだ御答弁がない点は国の直轄事業というふうなことがここで謳われておるのでありますが、道路に関してはこれは国道のみを指すか、この点をはつきりしてもらいたい。
  171. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 今のお答えで御了解願つたと思うのです。つまり国道については管理者が府県知事であり、而して管理者は原則として新築も改築も維持も修繕もしなくてはならん。その第二項に持つて来て、但しという意味を附加えてあるのは、主務大臣が必要と思えば自分で新築しても改築してもいい、これは国道であります。今度この国道以外の道路は、管理者と協議して、国にやつてくれと言えば国の直轄事業になる。我々はそういうふうな意味において予算の議決を経ておりますが、道路法上は更に協議をしなくてはなりません。協議がいやだと言えばどうなるか。つまり府県道と性質を同じうする地方費道は、結局国のほうはその予算が未執行になつてしまう。こういうことは恐らく常識的に考えても法律的に考えてもそういうことはあり得ないことですし、又あつて北海道道民のためにならない。負担も甚だしいものである。これは若木さんも御肯定下さると思います。
  172. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 どうもその点私の質問に対して大臣の御答弁は、はつきり私は掴めないのでありますが、それでは重ねて伺いますが、地方費道以下はこの直轄事業というふうな中に含まれると考えられるか、含まれないと考えられるか。
  173. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 地方でやつてくれという場合は含むのであります、つまり二十四條で。一体初めからどこの県でもやつてくれと言うから、それで主務大臣が認定するのであります。二十條の場合といえども二十四條の場合といえどもそうなんです。向うから頼んで来るからやるのでして、いやだ、おれのほうは自分の税金でやるなんということを言つている所は向うにやらせる。そうすると、その予算が残りますから、我々はあなたに関係の深い文教のほうに廻すとか、いろんな方面に幾らでも廻す。
  174. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 我々は国で作つてやることがいやであるとかいやでないとかということでなくて、誰がどういうふうな形でやるかということを今研究しているのです。いやだと言うはずはないのです。国で作つてもらつてそのようなことは誰も言わないのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)だからこれをどういう形で誰にやらせるかということを研究しているのでありますから、そういうことを言われるとちよつと困るのですが、私は同じような考え方でもう一つ疑点がある。これは港湾法との関係において、やはり同じような疑点がここに生れて来ているのでありまするが、私は建設委員であつて運輸委員でありませんから、運輸委員会もたしか合同委員会を申込んでおられますから、おられますか。
  175. 河井彌八

    委員長河井彌八君) あります。
  176. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 他日運輸委員のほうで御質問があるかと思いますけれども、関連しておりますから簡單にその適用法令等は省きまして申し上げますが、やはり同じような考え方に立ちまして、直轄工事を実施するには港湾管理者との事前の協議が必要なように港湾法で相成つております。ところが北海道開発費に計上されておる港湾工事費というものは、全部開発局が直轄施行することになつておりますから、この場合は港湾管理者と事前に協議がなければならんのであります。事前に協議なしにこういうことをされるということは、これは違法であります、と思いまするが、これも似たようなことでありますので、関連してどのようにお考えになりますか。
  177. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 細目は小林政府委員から御説明申上げますが、府県道についても更に附加いたします。内地の府県道でも実際やつてくれと言つて国の直轄事業でやつている場合が多々あります。尤も費用分担関係北海道ほどうまく行つてはおりません。これは内地自治団体で半分持ち、国が半分持ち、併し直轄事業でやつてくれ、自分の技術陣は貧弱だからやつて欲しい、こういう場合やります。或いはこれはその府県だけの直轄事業としてやる場合もあるし、或いは特定の会社が、技術陣がよろしいといつてやる場合がある。国の技術陣がよろしいからというような場合もあるのであります。第二十四條のこの規定によつて内地でもやつている場合があるのであります。港湾は港湾の管理者から頼まれてやる。而してこれは必ず頼まれます。おれのほうでやるからよろしい、おれのほうの税金でやるからよろしいなんということはないのであります。
  178. 小林與三次

    説明員(小林與三次君) 只今港湾の問題をお尋ねになりましたが、これは内地における港湾についての直轄工事と同様に、今お尋ねの通りの港湾法の手続に従つてやるわけでございます。
  179. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 事前の協議はなされたがどうかということを聞いておるのであります。事前の協議がなされなければ違法であろうと、かように言つているのであります。
  180. 小林與三次

    説明員(小林與三次君) これは現在におきましては、まだこの法律は適用になつておりませんから、勿論まだ協議が整つておりませんが、執行の場合は勿論、その手続を履みましてやるわけでございます。
  181. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 建設委員会ではまだ二名の通告者がございましたが、一名はよんどころない事情で帰郷いたしまして、明日も間に合わないかと思います。但し一名は急な用事で本日だけ出席できないのでありますから、明日他の委員会の前、或いは委員会の都合では途中でもよいのでございますが、更に建設委員会として発言を残しておるということで私の質問を本日は終りたいと思います。
  182. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 三輪君に申上げますが、たくさんの質疑者がおられますから、よく他の委員長とも協議いたしまして決定したいと思います。なお木下君に伺いますが、木下君は質疑を通告しておられますが、今日はなさるのですか、なさらんのですか。
  183. 木下源吾

    木下源吾君 私は先ほど参考人のかたに通告しておりましたので……。
  184. 河井彌八

    委員長河井彌八君) そうですが、それでは木下君の通告はもう済んだわけですね。
  185. 木下源吾

    木下源吾君 いや、それは人事委員会としての関係の事項は、他の人との話合いもまだついておりませんので、明日にお願いしたいと思つております。
  186. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではなお申上げますが、明日は質疑者が非常に多数になります。従いまして本日のごとく時間を十分取つての御質疑はむずかしいことがあるかも知れんと思いますからお含みを願つて置きます。なお兼岩傳一君がおられましたので委員長はこの次は兼岩君の御質疑の順番であるということを通告したのであります。兼岩君は直ちに退席せられましてこの席に出て来られませんので、この兼岩君の質疑に対しましてもなお明日他の委員長とも御相談いたしましてきめようと存じます。(「権利放棄」と呼ぶ者あり)  他に御質疑はありませんか。(「兼岩君は建設委員ではないでしよう」と呼ぶ者あり)何でもここに通告してあればそのかたがおる限りにおいて委員長発言を許そうと考えております。  他に御質疑のかたありますか……それでは本日は質疑がないと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後八時二十三分散会  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            溝淵 春次君            梅津 錦一君    委員            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            松平 勇雄君            山本 米治君            吉田 法晴君            若木 勝藏君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            駒井 藤平君            東   隆君   人事委員    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            森崎  隆君            小野  哲君   地方行政委員    理事      堀  末治君    委員            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            岩木 哲夫君            石川 清一君   大蔵委員    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君    委員            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            カニエ邦彦君            佐多 忠隆君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            江田 三郎君            門田 定藏君            三橋八次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            鈴木 強平君            三好  始君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事      千田  正君    委員      入交 太藏君   運輸委員    委員            内村 清次君            金子 洋文君            小酒井義男君            松浦 定義君   建設委員    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君   経済安定委員    理事      奥 むめお君    委員            岡田 宗司君            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            伊達源一郎君            佐多 忠隆君            藤野 繁雄君            東   隆君            木村禧八郎君    委員           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            岡崎 真一君            安井  謙君            山本 米治君            岩崎正三郎君            内村 清次君            山田 節男君            楠見 義男君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   国務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君   政府委員    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    北海道開発庁次    長       岡田 包義君    地方自治政務次    官       小野  哲君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君   説明員    建設大臣官房文    書課長     小林與三次君   参考人    北海道知事   田中 敏文君    北海道開発審議    会委員     椎熊 三郎