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1951-03-21 第10回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十一日(水曜日)    午後一時二十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電気事業編成実施方針に関する  件)   —————————————
  2. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今から委員会を開会いたします。  本委員会は今日まで九回に亘つて電気事業編成実施に関して審議を重ねて参りました。そのゆえんのものは、我が国の電気事業が再編成後において経済自立に役立つよう円滑たる運営を熱望するからであります。然るに公益事業委員会の三月一日の指令案の決定に対しましては、事業者も、投資者も、消費者も、労働組合も、人事株式比率等の問題に関し、種々議論が鬪わされておる実情であります。私はかくのごとき有様で果して日本の電気事業運営の将来が我々の期待するような円滑な運営が行われ得るかどうかについて、非常な不安を感ぜざるを得ないのであります。特に事業運営は人の和を以て尊しとすると松本公益事業委員会委員長も御答弁されておるのでありますが、委員会の今日までの経過から考えますと、必ずしもそうではないように考えられます。本日は特に人事問題に関し証人として新井章治君、名取利作君、村上巧兒君藤田進君の諸君に証言をお願いすることにして御出席をお願いしております。又株式比率の問題は、日発十七万株主にとつて重大問題であるばかりではなく、憲法上の疑義もあるように考えますので、特に専門家である太田哲三西川義朗の両君に御出席をお願いして証言をして頂くことにいたしました。  証人のかたに御証言を願う前に、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第二條により宣誓をして頂かなければなりませんが、宣誓に入ります前に、証人に念のために申上げます。これから宣誓を行なつて証言をして頂くのでありますが、若し虚僞証言を陳述したときは、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律第六條によりまして三カ月以上十年以下の懲役に処する罰則があります。又正当の理由なくして宣誓若しくは証言を拒んだときは、同法第七條によりまして一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金に処せられることになつております。但し、同法第四條により、「民事訴訟法第二百八十條(第三号の場合を除く。)及び第二百八十一條(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定該当する場合に限り、宣言又は証言」を拒むことができます。なお、念のために民事訴訟法第二百八十條、第二百八十一條該当の箇所を読上げます。   第二百八十條 証言カ証人ハ左ニ掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ處罰招ク虞アル事項ニ關スルトキハ證人ハ證言拒ムコトヲ得證書カ此等ノ者ノ恥辱ニ歸スヘキ事項ニ關スルトキ亦同ジ   一 證人配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ證人ト此等親族關係アリタル者   二 證人ノ後見人又ハ證人ノ後見ヲ受クル者  次に民事訴訟法第二百八十一條該当部分を読上げます。   第二百八十一條 左ノ場合ニ於テハ證人ハ證言拒ムコトヲ得   二 醫師歯科醫師、薬剤師、藥種商、産婆、辯護士、辯理士、辯護人、公證人、宗教又ハ祷祀ノ職ニル者ハ此等ノ職二在リタル者カ職務知リタル事實ニシテ黙秘スヘキモノニ付訊問受クルトキ   前項ノ規定ハ證人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合二八之ヲ適用セス  以上であります。なお、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律、第五條により、「証人公務員である場合又は公務員であつた場合(国務大臣以外の国会議員を除く。)その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、」委員会は証書を求めることができないことになつておりますから一言申上げておきます。  それでは証人のかたに順次御宣誓を求めます。証人新井章治君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 新井 章治
  3. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宣誓書署名捺印を号願います。……証人名取和作君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 名取 和作
  4. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宣誓書署名捺印を求めます。……証人村上巧兒君宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人村上 巧兒
  5. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宣誓書署名捺印を求めます。……証人太田哲三君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 太田 哲三
  6. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宣誓書署名捺印を求めます。……証人西川義朗君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書   良心従つて事実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 西川 義朗
  7. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宣誓書署名捺印を求めます。……証人藤田進宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人藤田  進
  8. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宣誓書署名捺印を求めます。……なお、証人のおかたに御注意いたしておきますが、証人の御発言はその証言を求められた範囲を越してはならないことになつておりますから申添えておきます。  これより議事に入ります。最初人事問題に関して証言を求めます。新井章治君、証言内容会長就任に関する交渉経過、一、交渉相手方日時交渉内容。二、就任を拒絶された理由新井章治君。
  9. 新井章治

    証人新井章治君) 甚だ恐れ入りますが、もう一度今の質問事項をおつしやつて頂きたいと思います。
  10. 西田隆男

    委員長西田隆男君) あなたが新電力会社会長就任方交渉を受けられたその交渉経過、そのうちで特にあなたに交渉された交渉相手方、それから日にち、時間、その交渉内容、それから就任をあなたが拒絶されたということでありますから、その就任を拒絶された理由……。
  11. 新井章治

    証人新井章治君) わかりました。公益事業委員会から私は会長就任を正式に求められたとは存じておりません。少し経過を細かに申上げることが必要だと存じます。私の年来の友人吉見靜一という人があります。これは私の友人であると同時に公益事業委員会委員でありまする河上弘一君とも最も親しい間柄であつたのであります。又委員長松本博士とも昵懇の間柄であるということを承わつておりました。その吉見靜一君がいつでありましたか、日時は忘れましたが、私のところへやつて参りまして、再編成で新会社がいよいよできることになつたが、それについて何かお前は、新井希望がありはしないか。若しお前に希望があるならば自分は斡旋の労を取りたい。こういうお話がありました。それで私はそれに対しまして、その当時別にそういう問題について考えたことはありません、まだその問題について自分考えたことなしということをお答えいたしました。それでその話は終りましたのであります。それからどのくらいたちましたか、およそ一週間か十日たつたあとだと存じますが、又吉見靜一がやつて参りまして、今度は松本委員長意向自分承知して参つたのであるが、お前、新井とそれからして関東配電社長をいたしております高井亮太郎、この二人で手を組んで新会社仕事をやつてもらえないか、それはお前が会長となり、高井社長として仕事を協力してやつてもらいたいんだ、やつて見てはどうか、こういうお話でした。それは重ねて申します、松本委員長意向もあるんだ、こういうお話でありました。それから私は自分としては今この前に君から話をされたときに、そういう問題について考えていないということをお話しておいたんだが、今においてもやはり同様である、別にその問題について改めて考えたことはないのである。併し自分としては多年電気事業で生活して来ておる人間であるのである、又電気事業のために生活して来たのでありまするから、電気事業について関心を持たんというわけには参りません。若し電気事業が私を必要とするということでありましたならば、私は一身の安逸を貧つておられん。その前には裸になつて飛出さねばならんこともあると思う。併しそういう場合におきましても何か飾りものにされて、安楽椅子に腰を掛けて楽をしておれということであつては私は出るわけには参らん。私を真に必要とするならば、私に責任を持たして、責任のある仕事に働かせなければならないと思う。そういう場合が若しあつたとすれば自分地位とかいうようなことについて別に考えておるわけではない、これは進んでやらなければならんと考えておるということをお話いたしました。それでそのときの話は終りまして、その後別段何も話はありません。会長になることを断つたという御質問でありますが、これは吉見氏の第一回の会見のときに自分を斡旋したいのだというお話もありましたし、次の二度目の会見のときにも松本委員長意向もそうだと附加えたことはありましたけれども、松本氏の特に使いだということは無論承わつておりません。従つて私の答弁松本氏に伝えてくれということを頼んだのではありません。それは吉見君に対して私がお答えしたというのに過ぎないのであります。そういうことに相成つております。
  12. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 証人に対する御質問は一応人事問題の証人証言が終了してからしたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 御証言が済みました御着席されて結構です。  村上巧兒君発言を求めます。その発言内容は、あなたの会長就任に関する交渉経過、そのうち特にあなたに交渉された交渉相手方、それから日にち、時間、その交渉内容、あなたも就任を拒絶されておりますし、殊にあなたは小坂日発総裁に対して私信を書いております。その私信はあなたの了解を求めたということで小坂日発総裁は当委員会の席上で御朗読になつておりますので、あなたのお出しになつた私信をもう一回私から朗読しまして、そうしてあなたの証言を求めます。概要でありますが、こういうふうな意味合いのお手紙が来ております。「二十三日委員長病気引籠中の由にて、委員長代理松永安左エ門氏に会見せり、席上松永氏より新創立九州電力会社取締役会長就任されたき旨申出あり。その時の話、「会長就任してもみずから社務に当る必要はない。君は一切を佐藤君(社長)に任せて、ただ上置になつておればよい。別府自宅に常住して、ときどき会社へ顔を出す程度でよい。竹岡四国電力の会長を内諾したが、これにも四国に行かずとも東京の伜のところにでもおればよいと申された次第だ。是非承諾して貰いたい」と言う、至つて気楽な話につき、一応先輩友人意見を求める必要もあり、即答を避けて一旦辞去。正午より二、三の知己と会見の結果、最も重視さるるは新会社役員人事につき、この人選には会長として当然発言権を與えられ、社長協議して役員選定のことを條件として受諾に決し、午後四時過ぎ安川君同道、松永委員長代理を約束の通り落合の自邸に訪問し、右受諾並びにその條件として人事協議にあずかりたき旨回答したるところ、松永氏は人事はすべて佐藤社長の発案を了承して、すでに決定し、印刷に附したるにつき、もはや協議余地なし。すべて一任の上で、ただ上置会長受諾してもらいたしとのことにつき、それでは到底受諾しがたし。遺憾ながら御辞退する旨を回答せり。」、こういう意味合い私信をあなたは小坂日発総裁に出しておられます。それから当委員会においてその書簡を小坂自発総裁が読まれたのに対して、あなたの相手方になつておりまする、ここに見えておる松永委員はこういう御答弁をしておられます。「村上氏の手紙について、只今会長人事に関係することができないから、自分会長を辞したというお手紙があつたようでありますが、果してそうでありますれば、これは確かに村上君の思い違いであつたということをはつきり申上げることができるのであります。そうしてこれは今日村上君がいないのに、欠席裁判的に手紙を否認する意味でありませんので、両回とも安川五郎君が一緒でありますから、適当のときに安川君にそのはつきりした根本の間違いをお正しを願いたいと思います。それにつきまして村上君の参られて話されたこと、私が話したこと、簡單に筋だけ申上げます。御承知通り二十三日までに経理人事をきめることになりましたけれども、経理のほうは大体話がつきそうになつて来ております。尤もつかん点もたくさんありますけれども、これはどうも両者でそうきめてもらうよりほかない。さて又人事はだんだん遅れて来ましたから、二十三日に人事を決定する、両者申合せを決定するということは到底困難になつて、御承知通りこれは二十八日まで延期し、三月一日に裁定を発表した次第でありますが、その間三、四日も遅れた間の成り行きについて、今日、今申上げる必要もありませんが、二十二日頃はどうしても日発さんと両方の間にきめなければならんというので、頻りに人事の交流を図りまして、どういう人がどこが適当であるというふうなことで、できる限りの努力をして、もう日もありませんから、やや成案を得つあつたのであります。ところが九州にこの会長制度を置きたいという考え方がだんだん二十日頃から濃厚になつて参りましたので、九州は、会長を願いたいというような人も、追放関係でなかなかその行かないというふうなこともだんだん発見しまして、それから委員長からも、他の委員からも、九州は單独で行くか、やはり会長を置くかというようなことで会議をしました結果、やはり何とか置くことに一応しようじやないか。いや遅れたりといえども一つ村上君に来てもらおう。それについて安川君に一遍相談して、安川君は地方の元老であるから、安川君の意見に基いて、結局たしか委員長名前安川君が電報を打つて頂いたと思います。で丁度到着されたのは二十三日であつたと思います。で、三日というのは、今日は二十八日にきまりましたから、何でもありませんけれども、非常に切迫して、我々としてぎりぎりの時でありました。丁度その日に見えまして、私も暫らく村上君と会わなかつたのでありますが、あの上へ上られるのに破をひいて、非常に痛々しい姿で安川君と一緒に見えた。その当時委員長はお帰りであつたか、或いは御病気で御欠席であつたか、よく記憶しませんけれども、たしかその後も村上君が来たことも御報告したと記憶しますから、委員会おいでであつたと思う。で、取りあえずお留守でありますから、安川君と共に村上君にお目にかかつた。で会長が怠けてもよろしい、養生してよろしいと言うことは、その会長人事を、お前盡さんでもいいというような意味になつておるのが要点でありますけれども、それが違いの一つのポイントでありますから、はつきり申上げておけば、その人事というのは一体どういうふうにきまりましたかということを村上君が言いますから、人事は、君をお招きするのが大変遅れて、こちらもいろいろやつて見たけれども、いい智恵も出ないし、どうしても君にやはり会長をやつてもらいたいと思う。そういうふうに殆んどだんだん決定しておつたところだから、君はともかくいわゆる老人態度をとれ、大人の態度をとつて、このきまりかねている、我々の困つておる上に乗つかつてもらいたいという話をしました。その前後に来たときの最初の挨拶に、自分神経痛別府の湯に入つて、まあここに安川君から電報も来たし、出て来たのであるけれども、実に足も痛く、苦しい思いをしているという話でしたから、そうであろう、もうお互いに年取つて、そういうことはあるけれども、この際君は一応受けてこの難局を解決してくれと、そうすると当分君は、実際は五月からなんだから、その間別府の湯につかり、体を休めてよかろう。それから、のみならず、それが癒らんにしても、老人老人らしい役目があるから、会長といつても必ずしもそう毎日働かなくてもいいことは、旧来の例によつても君は御承知通り竹岡君のごときも多分君の友人だが、君より年上だと思うけれども、これも非常に迷惑がつておるけれども、まあともかくこういうときになつて皆で出て、時局に貢献せにやならんのでお奨めしたわけで、これは昨日、君より早く来たために、遅れ馳せながら四国人事を御相談する時間があつた。それで今日は、もう如何にも遅れて今日は決定せにやならん予定の日であるので、君に、これから人をどうする、こうするという、差替えのできないようになつているという話をしたのであります。人事は即ちそれでありますが、そうしたら村上君の言うように、そうか、それは困つたな、私はいろいろそういうことについても考えもあつたのたが、それがむずかしいということになれば、まあ考えて見にやならんから、一応一つつて考えたい。それから安川君にもよく、大変村上君に来てもらうのが遅れたために、そういうことも相談することもできないのは残念だが、君からもよく話して誤解のないように、又御立服のないようによく話してくれ、それで大分身体の工合も悪いようだからということで、通産省の官邸を送り出したのであります。それからお約束して三時に見えるのが、私の宅に二十三日の四時頃、安川君と同じく又おいでになりました。今度は私の奬める時間も過ぎました。村上君も又自分が病躯そのほかのことを訴える時間もなく、又その必要もなかつたので、端的に村上君の質問がありました。そのことは、もはや自分が来て、今日の書の、午前の話の通りに、人事を動かすことができないというならば、僕はどうもその上にただ乗つかるという会長ならばお断りしようかと思う、何とかそれを考え余地があるのか。で、今日晝申上げた通りに、如何にも時が遅れたのだから、そのことを今御相談するとか、或いは人を差替えるということは今日殆んど不可能になつておるのであるが、どうかそういうことを言わないで、それで君は会長をお引受け下さると、我々非常に仕合せに思うのである。安川君、君からも一つお奬めを願いたい。で安川君は、村上君どうするという話でありましたが、いや、安川君、自分はそれならば考えを飜す考えはないから、やはり大体お受けせんことにするというのでありましたから、そのまま、もう少し君話して行き給えと言いましたけれども、そのときは割合に早く、第二回はお帰りになりました。それが私の、人事で、会長になつた後に会社人事発言権がないとか何とかいうような、何ら話の節にまで行つていないときであります。要するに新会社創立重役社長は誰がよかろう、誰はよかろう、日発からどんな人が入ろうというので、漸く多少の組合せがややできておる、その日の人事の問題でありましたことをはつきり申上げまして、村上君の手紙人事というのが、会長になつた後の人事である、それを松永は、会長の、今はさよう意味じやないというようなことのために、松本委員長の言われた、新定款による会長人事権がない」云々というような御答弁松永委員は本委員会でされております。この二つのことをよく御了承の上で、只今申上げました御証言をお願いします。
  14. 村上巧兒

    証人村上巧兒君) お尋ねによつて返事申上げます。  大体私の小坂総裁宛の書面は事実その通りと御承知願います。繰返して申しますと、丁度二月二十一日の午後十一時四十分頃電報が参りました。その電文には松本公益事業委員長の要請により至急上京されたし、安川五郎という電報でございます。私はこの問題には一向初めから少しも触れておりません。福岡、北九州東京先輩友人がいろいろ好意を寄せておるという話は聞きましたが、手紙一本出しておりません。全く藪から棒の電報であります。実はこうした電報委員長名前が用いられるのが普通と思いましたが、或いは安川君が紹介人ということで身分の名前でやつたのかも知れません。とにかくそういう電報ならば上京したがよかろう。それで翌日早朝に立ちまして二十三日の午前九時に東京に着きました。それから安川君を訪問しまして事情を聞きますと、自分公益事業委員長に頼まれて電報を打つた。それじや君一緒に行つてもらいたいというので、安川君と二人で十一時少し前に通産大臣公館松本委員長を訪問したわけであります。ところが、その日松本委員長は御病気でお休みになつてつた。それではというので、委員長代理松永さんにお目にかかつたようなわけであります。そうしますと、今大体お話がありました通り九州電力会長になつてもらいたい。併し仕事はもうすべて佐藤に委せて置けば一向差支えないと思う。ときどき仕事を見ておるんでたくさんだから、別府に住まつてもらつても一向構わず、軽い気持で上置になつてもらいたい。なお人事は先日来佐藤社長が原案を作つて日発との交渉終つて成案を得ておる。これも一つそのまま鵜呑みにしてもらうよりほかないというお話でありました。で私東京におります先輩友人にもまだ会いませんが、自分ももう一度考える必要があるというので、十二時頃……、それでは晝から三時過ぎくらいに御返事をいたそうと、私のほうの返事をその時分に申上げたいというので公館を出たわけです。そのときに松永さんが体が悪くて、今から医者へ行つて家へ帰つて寝るのだが、済まんが、返事落合町の自宅に来てもらいたいという話がありましたので、それで一応引取りまして、二、三の友人とも話合いをしまして、従来の経過を聞きました。結論としては、仕事はとにかく佐藤社長練達堪能の士であるからいいとして、一番根本の問題は、発足して第一の重役陣というものが実に重いものである。これについては意見を相当に吐かしてもらいたい。それをなお佐藤社長協議をし、意見を述べたいということを一つ主張しようというので、又安川五郎君と帯同して午後四時過ぎ頃に落合のお宅のほうに伺つたわけであります。そうしますと、そのときの話は、丁度お休みで寝室におられたのを起きて来られまして、午前前中の話と同じように、仕事のほうは佐藤社長に任してもらえばよろしい。それとは別に人事の問題だけは一つ自分意見を聞いてもらいたい、そうしてできれば希望を附して協議をさしてもらいたいという話を條件にして、承諾しようという話をしましたところ、松永氏は午前中にも言つた通り、そういう意思は全くない、人一人差替える余地もない。すでに印刷に付する準備ができておる。多分明朝発表される。今更差替えるというような余地は全くない。これを鵜呑みにして、そのままなつてもらいたいということだつたが、とにかく責任地位に着くについては一番大事なもの、一番重視しておるものは人事だ。人事言つて重役陣人事自分意見を少しも容れられないというならば、真暗闇だからそれは御免こうむる。それならば折角の話だが、全長は御辞退いたそうという返事をいたしたわけであります。それが事実のところであります。なお新聞によりますと、私は諾否の返事をするときに、麻生太賀吉君にも話があつたというのは私の想像であろうというような記事がありましたが、これは辞退した後の話で、深く関係する要もないんですが、そのときの話に、私からそこまで困難な人事であり、又時間もないならば、九州はむしろ会長なしでやつたらどうだ。社長一本で行つたらいいという話をしましたところ、松永氏はそれはさようには参らん、会長は実は麻生太賀吉君に交渉するために、行方を探しておるのだという話がありました。それで手廻しの早い話に小々私驚きました。そうしてこの際私が受諾すれば会長が二人できるという感じがしました。(笑声)今病床におられるのを無理やりに起ち直つて話をされる、それこそ本当に痛ましい姿である。用件は済みましたし、あと時間もたちましたので、かたがたそれじやおいとまいたそうというので、別れたのであります。その時、午前の話と午後の話と多少調子が違うように思いましたが、帰りの自動車で安川君第五郎君が私に申すには、どうも誠に今日は嫌なことになつたが、誤解を避けるために声明書を出したらどうかという話でありました。併し、私は別に松永氏に対して喧嘩をするわけでも、紛争を起す考えもない、さような真似は自分はやらないというので安川君と別れたのであります。それが事実の通りであります。それから今お話になりましたが、五月一日以後の人事云々という話がありまして、別に差止めた覚えはないという話ですが、私の申しますのは五月一日以後の人事などという問題ではないのでありまして、殊に社員の信賞必罰というようなことは問題にはならんと思います。ただ私が人事人事というのは第一回の重役陣を選定する、自分意見を吐きたい、早く言うと九州区電力については九州方面では非常な関心を持つておる。是非然るべき軍役陣を入れて安心をしたいという一般の空気なのであります。その人選だけは、自分会長になつた以上は多少の意見を加えたい、この一点だけであります。ほかに人事というのは第一回の重役陣の選定について意見を申上げたいということを申上げたのであります。さように御承知願いたいと思います。
  15. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は証人名坂和作君に発言を許しますが、名取さんにお答えして頂きたいことは、日発側から第三者の役員推薦の中にあなたのお名前が入つておる。従つて日発側とあなたとの間にどういう交渉をされたのか、その日にち交渉内容についてお答え願いたいのと、もう一つは、当委員会における私の質問に対して松本委員長はこういう御答弁をしておられる。「その書いてあります人の中の或る人のごときは、わざわざその人の令息を私のところによこしまして電話で交渉があつた。その際に或いは承諾したかのように誤解されては困るから、若し取締役にされても決して就任しないということを言いに来たのだということを令息を遣わして言われた人もおる。」こういうふうに松本委員長は御答弁をしております。従つてあなたが実際に御令息をして松本さんにお断りにやられたのか、やられたとすればその理由はどういう理由でやられたのか、こういう点についてお聞きしたい。
  16. 名取和作

    証人名取和作君) これは松本君の全くの間違いです。私は二十七日だと思いますが、小坂君から配電の取締役になつてくれと、玉川の同氏の宅においてその話を受けました。よろしいと言つて私快諾いたしました。そうしてそのときその席に日発のかたがたもおつて、これから名前のリストを持つて通産大臣委員会に出かける。それで私にそのことを承諾を求めて、私が快調すると、その先生方は出かけたのであります。そうして私は暫らく小坂君と話をして、そうして帰り遂についた。それで自動車の中で考えましたのに、私はこう思つた。皆配電側と日発側の人が膝を交えてお互いに一人一人、この人はどうこうと懇談をしてやられたと、こう考えておつた。それで私自動車の中で考うるのに、これは日発側の推挙した人をことごとく配電側で採るとも限らない、省かれる人も出るかも知れない。そうするというと、私など老年であるから一番省かれてもいいほうだから、和田笹輔といいまして電気協会の副会長で、私も多年親しくしておる人物で、識見、技倆優秀な人であります。それを小坂君に頼んで、その人もよろしいということになり、それだから若し人を省くような場合がありましたならば、私はもう強いてなりたくないから、そのときには虚名取を買わずに、実力のある和田を採つてくれるようにということを、私の子供を通産大臣邸における協議会にやつたのであります。小坂邸から丸ノ内に行くまでにそう考えて、丸ノ内で私の子供にそういうことを言い含めて、松本委員長の許に出したわけであります。それから私は、そのままずつと神戸に帰つたのであります。神戸に帰つてしまつたから、その通産大臣邸におけるその協議がどうなつたかわからなかつた。それが事実でございます。私は拒絶したとか、いやだとか、そんなことを言つたことはありません。
  17. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は藤田進君に御発言を願うのでありますが、御発言を願う前にあなたの御証言内容は、あなたが三月五日の当委員会において参考人として御意見を述べられました。その後三月十五日の当委員会において日発の小坂総裁から非常に人事問題に関する重要な参考人としての御意見の開陳がありました。あなたが三月五日に当委員会で御意見をお述べになつたときと相当の日数がたつておりますので、電力事業運営の面からいつて労働組合考え方というものは相当な重大な問題と、委員長考えておりますから、その後あなたがたのお考え方に若し御変化がなければ御証言の必要はありませんが、御変化があつておりますならば、その後の経過に基いて現在あなたがお考えになつておりまする要点を一つ証言を願いたいと思います。
  18. 藤田進

    証人藤田進君) 三月五日十時五十五分から開かれた当委員会で申上げたことが、更に事態といたしましては悪化いたしておりますので、いわば変化をいたしておりまするので、申上げたいと思います。  それはあの委員会の当日松永委員長代理は聽聞会等を通じて、あの不手際であつた人事を何分の是正をしたいという意味の御発言がありましたので、これにやはり或る程度の期待をかけて実は聽聞会に利害関係者として臨んでおるのでありまするが、この聽聞会も殆んどもう終幕になりつつありまして、大体北海道から中国あたりまで済んだわけでありますが、これらの聽聞会の経過を通じて更に悪化いたしましたというゆえんのものは、要するに三月五日当委員会における松永委員長代理の御発言がそのまま改善される方向ではないという予想を持たざるを得ない状態になつてつておること、これが私ども中央の役員は無論のことでありますが、たまたま重大なる関心を持つて全国から多数見えた傍聽者等によつてそういつた空気を把握されて、非常に不安がますます激化いたしまして、昨日松永氏に対しては東京地裁に刑事問題として告発するという下部機関の決定と、その実施が見えておるという実情になり、同時に、この聽聞会の空気等は、これは長々申上げませんが、第一あの聽聞会の形、即ち聽聞会に対する見解というものが、公益事業委員会におかれては、何だか悪人を呼出して、これに訊問をするがごとき態度であり、その席そのものを見ても、私もちよつと覗いて見ましたが、どこの国にも恐らくないであろうような、実に高台を造られて、そうして頭から訊問をするという態度が当初の日に出ています。今日の公益事業委員会並びに聽聞会のやり方も、おおむねアメリカ等でやつて来られた、そのいいところを取つて日本で具現されたというふうに我々は理解をしていたのでありますが、この聽聞会のそういつた席の造り方自身を見ても、これはワシントンの最高裁判所でさえ見られなかつたところの状態が出て来ている。而もこの聽聞会を通じて必ずしも改善をすると言われたところの言葉は期待できないということが結論的に申上げられるのでありまして、今日全国十二万の従業員は無論のこと、更に関東地区におきましては、特に電源地帯を担当いたしておりまする従業員は、非常なる不安の下に、この席で首脳者人事が押切られ、そうして今日の発表通りに参りますなれば、新会社についての進退を決しなければならんという極めて具体的なところまで参つております。なおそれに加えて、その後当国会の衆参両院の委員会を通じまして、関係者の御発言等総合いたしまするに、かなり今度の人事については、前後矛盾した……時期的にこれを証明いたしましても、例えば先ほどの新井さん、或いは村上さん、これらの実情を聞いて見ましても、かなり我々としては納得の行かない点ばかりでありまして、殊に二月二日を以ちまして、文書を以て二つの申入れをしまして、そういつた不明朗なことのないように、又労資間の極めて公正なる安定を保持するために、民主的に、そうして万人の納得するような人事を決定、裁定願いたいというこの申入れの線からも大きく外れまするし、又二月の十六日、更に文書を以て特に関東地区の人事について具体的な事例を挙げて松本公益事業委員長に提出いたしました。この書類等に徴しましても、更に今後の五月一日予定の新会社発足以後、或いはそれまで極めて重大なる状態におかれることを非常に遺憾に思つております。
  19. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今までで人事問題に関する四人の証人証言が終りました。四人の証人の御証言並びに政府側からは松永公益事業委員長代理、宮原委員、松田事務総長、中川経理長が御出席になつておりますので、逐次委員諸君の質疑を求めますが、その前に松永委員、宮原委員に一言委員長から申上げて置きます。それは本日の委員会におきましては、いわゆる法律の罰則を適用するというような非常に重要な証言証人から出ております。で、あなたがたがこれから御答弁なさることが、若し証人証言に関する問題である限り、あなたがたは政府委員証人ではありません。従つて法律的な意味における処罰は受けられないでも済むのでありますけれども、少くともあなたの御人格から考えまして、どうか証人と同じような罰則の適用を受けるものであるとして、証人に対してのあなたの御意見をお述べになる場合は、愼重な態度で御意見を述べて頂きたい。若し万一証人とあなたとの今日の答弁に食い違いがあるとするならば、少くとこの次には今度はあなたがたを証人として当委員会は喚問して、再び証言を坂らねばならんという重大な結果をもたらしますので、この点十分に御注意の上御発言を願いたいと思います。御質問がありましたら委員諸君の発言を許します。    〔証人名取和作発言の許可を求む〕
  20. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今までの御証言に関連のあることですか。
  21. 名取和作

    証人名取和作君) 補足したいことがありますので……、先刻私はこの人事問題について日発の人たちが小坂邸を立つて通産大臣邸に向つた。そのあとから私は出かけて行つて、子供に今申上げたようなことを含めて松本委員長に会いましたそのときに、私はすぐに神戸へ帰りましたから、こういうことを松木委員長に申し送つたということを、小坂総裁には通じませんでした。そのことを附加えておきます。
  22. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 最初簡單に証人のかた二、三に御質問申上げまして、あと松永委員に対して御質問申上げたいと思います。  今証言されました新井証人名取証人村上証人につきまして事実の陳述がありましたが、簡單に以下お答えを願いたいと思います。お年寄りのかたでもありますし、いきさつの問題はいろいろあると存じますが、当時及び現在を通じまして、新会社の役員になられる意図があつたのか、及び現在あるかないかということを簡單に一つお答えを願いたいと思います。新井証人からお答えを得たいと思います。形式的に断つたように公益委員会では言つておられる、新井証人からは断つた覚えがないと言つておられますが、実際の証人としての御気持は、新会社の首脳に就任される意図が過去及び現在を通じてあるのかないのかという点でございます。
  23. 新井章治

    証人新井章治君) 初めは私は別に新会社に関係するという考えは持つておらなかつた。それは吉見静一君から第一回の話を受けましたときに、そういう問題については未だ曾つて考えたことなし、こう答えておるのであります。併しその後のだんだん情勢を見まして、私はこのままではやはり電気事業の前途大いに憂慮に堪えないと考えまして、若し私が電気事業のために必要であるということであれば、これは身を挺して進み出なければならんと深く考えましたわけであります。そのことは二度目の、吉見静一君から私に高井君と手を携えて行かないかという話を受けましたときにも、はつきりと申述べておるのであります。若し必要ならば私は辞退するわけにいかん、というのは私は三十何年間この電気事業に従事しておるのであります。電気事業の前途がどうなつてもいいというわけには参りません。私の生涯の仕事である、そのためには若し電気事業が私を必要とするならば、私は必ず進み出なければならんと考えておつたのであります。その考えは今でも同様であります。
  24. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 次に名取証人に対しまして、現在同様な意味で新会社の幹部の就任の話がありましたならば、承認される意図があるかどうか。
  25. 名取和作

    証人名取和作君) 私は先刻申上げた通りに、そのときにおいても小坂君が申込んだ人が皆公益委員会で採用されまして、役員に選挙されれば、無論私はそのときでも受けたのであります。今日においては私はますますこれは自分で進んでも受けたいと思う。その理由は、先には、断つたときには、皆採られればよいが省くならば老人私を省いて、仕事に堪能な若い和田というのを採つてもらいたいと、こう言いましたが、今日このいろいろのことを見ますと、私のような老人で世の中のことを知つてつて、正しいことは正しいとして直言する人が、これは少々の仕事を知つておる人よりも私は必要だと思うのです。殊に私は東京電燈に若い時に七年おりました。東京電燈に事務上の新らしい知識を入れたというのは私ですよ。ただ私はちよつとそのときの幹部と折合が悪くてやめてしまいましたが……、それでありますから電気事業のことも知つておるし、今日においては私のほうが、何も求むるところがなく、名も利も求むるところがなく、正しいことを正しいとし、誤れることを誤りとして直言するものが、この電気界においては非常に必要だと思う。だから私は、今日では私から自分で運動してもなりたいと思います。どうか御推挙を願います。(笑声)
  26. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 最後は村上証人に、先ほどの証言で大体わかつておりますが、完全な上置きであつて仕事の面も、それから発足第一の重役陣の構成にも意見を述べられないような、完全な飾りものであるならば別であるが、特に発足第一の重役陣意見を述べられるということが前提になつておるようでありますが、この前提をそのまま容れる條件であるならば、現在でも会長就任の御意図がおありかどうか。
  27. 村上巧兒

    証人村上巧兒君) 無論意図はあります。当初上京のときもお断りのためというのは以ての外で、私は無論お受けをするつもりで上京したわけです。ただ先刻申したように会長という責任地位につく以上は、安心される重役陣が構成されるということは私の唯一の條件でありました。平常の事務なんという問題よりも、その点が自分の意図にかなうならば、喜んで就任するつもりでおりました、今日も同じくそういう考えでおるわけであります。
  28. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 今度松永委員に今の証言を前提としてお伺いしたいと思います。先ほどのお三人の証言で正式に役員就任を断つたのでない、ちよつと村上さんの場合は少し事情が違いますけれども、似たような意味の御証言があり、そうして現在のお考え方としても、やりたいというくらいな意図があられることははつきりとしたわけでありますが、先ほど委員長からもお話がありましたように、新井証人に対しましては断つた、公益委員会におきまして会長就任方を正式に断つたということになつておるそうでありますし、それから名取証人に対しましては、令息が出て断つたのだから、当然駄目だということになつておるそうでありますし、村上さんの場合におきましても、当然これはもう駄目だということになつておるように、過去の委員会におきまして松本委員長、並びに松永委員からたびたび繰返されたように思つております。従つてここで御質問申上げたいのですが、先ずその前提に、松永委員委員長代理という資格でいつもものを言つておられると思いますから、以後のことも一つ、松木委員長代理の資格でお答えを願いたいと思いますが、公益委員会におきまして、今のお三人のかた、新井章治氏に対しましては、これが就任を拒否したということ、同様な意味名取氏、村上氏というふうに委員会で決定されたのかどうか、つまり就任の意図ないものとして決定されたのかどうか、それはいつそういうふうに認定をされて、新会社の人選から名前が落されるようになつたのかということをお答え願いたいと思います。
  29. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 少し佐々木さんのお話のみについて御返事を申上げます……。
  30. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 何だかごたごたしているようですから、はつきりと補足いたします。先ず新井章治氏の問題につきまして、この前の委員会でもお話がありましたように、公益委員会の活動は公益委員会の決定によつてのみなされると思います。従いまして新井章治氏に対しまして会長或いは役員就任方を要請されるためには委員会で決定された後でなければならないということ、それがいつ決定されて新井章治氏に交渉されたか。そうして新井章治氏が断られたという認定をいつの委員会においてなされましたか。
  31. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 今、日にちはつきり記憶するために……、多分間違いなかろうかと思つております。日にちは二十八日であつたと思います。通産相官邸におきまして、殆んどすべてがきまりながらきまらない問題がありまして、二十七日の晩か、委員長みずから小坂君といろいろ御交渉になつてできるだけ一つまとめたい……。ちよつと御着席になつて、ゆつくり申しますから、あなたが立つているとどうも……。
  32. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 いや、簡單なお答えを願います。
  33. 西田隆男

    委員長西田隆男君) あなたこそ御老体ですからお坐りなさい。
  34. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) じや御免下さい。日にちはつきり申上げますが、二十八日の朝と思います。最後に社外の人名を持つて来られたときに我々は相談いたしまして、それに新井さんの名前があり、名取さんの名前があり、その外に和田君の名前とありましたときに、委員長初め委員のものが集つて、これはどうもお受けは困難だ、ひとり新井さんがいかん、名取さんがいかんという意味じやなく、壤之助という名取君の御令息が自分のところに来られて、親父は受けないのであるから、さよう御承知を願いたいというて来られたのはその一例であります。それから新井君は、自分は直接交渉はされていないけれども、人を介して御奮発願われんかということを一両度恐らく交渉をしたはずであるが、そのときもお受けする意思はなかつた。然るに今度は名前に出ているが、これもはつきりお受けになるということも思われない。そういうことで和田某という名前もあるけれども、これは名取さんの例などによつて見ると、本人が本当におきめになつているか、いないかはつきりしない場合もあり得るから、すでに最適としてここで両者まとまらん時分に、発表する場合のごとき、公益委員会責任も重大であるから、どうしてもこの新井さん、名取さんその他この社外の一人々々名前を書いてあるかたは、これを直ちに組入れることは困難であると思うが、諸君はどう思うかという、委員長から相談がありました。そのときは殆んど五人揃つてつたかと思いまするが、それは御尤もでありますというので、社外の名前のほうがはつきりしない場合はお断りするという大体の考えをそのとき告げたのであります。新井さんをお断りするとか、名取さんをお断りするとかいう意味の決定ではなかつた。それから暫らくしてから、暫らくしてでございましたか、更にどなたか委員長と、全体でございましたか、或いは二三人の者が、日発のかたともお目にかかつてそのお話を申上げで、あなたがたによく御承諾を得ておられるか、どうも承諾を得たつもりでありますというお話でありました。そのつもりでは今日の事態においては困る、だからどうもお断りするよりほかないじやないか、何となれば現に名取さんのようなはつきりしたここに例があるんだから、どうも止むを得んことと思つて処理してくれ、それから別室か何かにお引取りになつて御相談になつた結果、それでは止むを得ないことであるというふうなお話があつたと思います。それが委員会に初めてそうお書き出しになつた新井さん、名取さん或いは和田さん、或いは村上さんというお名前のかたを、そのとき加えることのできなかつた委員会の決定であります。
  35. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 前段のお答えがなかつたようでありますが、先ほど新井証人からの証言によりますと、吉見某氏を通じて新井氏に交渉があつたような、なかつたような恰好になつております。公益委員会自身から、それは公益委員会として交渉されたのですか、されなかつたということですか。
  36. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) お答えいたします。公益委員会から交渉しておりません。公益委員会の決議により交渉いたしておりません。
  37. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 それでは吉見某氏が行かれたのは、公益委員会の意図を体してでも何でもなくて、ただ行かれたということですか。
  38. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 多分極太委員長がすべての人事をサウンドされるときに、必要な重要な人物に向つて会社に御協力が願えるか云々ということはサウンドされたのでありましようと思います。その委員長のお働きは私ども一々決議をして委員長に働いてもらうということでありませんので、委員会の決定に基いておやりになつたというまでには発展して申上げることはできません。
  39. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 結構ですが、そうしますと会長就任交渉して、新井章治氏は会長就任を断られたということは事実がないというふうになりますですが、それでよろしうございますか。
  40. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) どうも私どもが二十八日に新井さんをお断りするときに、新井さんは自分が人を以て交渉したものをお受けにならなかつたというような意味お話はあつたと思います。思いますが、要は、その指定された人の名前の中にも、名取氏のごとく明らかに伜を遣されてお断りになつたという事実と連想して、私どもは委員会において、そのとき新井さんそのほかの名前を探ることは困難であるということを委員会として考え、而してこれを日発の森君その他に対してお話をした次第であります。
  41. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 何だか御答弁よくわかりませんが、要するに正式な交渉はされなかつた委員会としては交渉はされなかつたということでありますので、従つて会長を断られたということはないということになるわけですが、そのほかに別にありますか。
  42. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 別に何にもありません。
  43. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 そうしますと交渉をしたのでもないし、断られたのでもないというふうに了解いたします。
  44. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 只今松永委員の御答弁を補足したいと思います。人事を扱う上において委員会のとりました処置は、およそ自分たちが話合いをしたときに然るべき人を挙げて、それに対して内意を聞くという順序を取ることは人を推薦する場合に当然のことだと思います。従つて松本委員長が御自身の知合いを以て新井さんの御意図を伺つたということは、私どももそのときそのときに経過としては伺つております。今の御質問はいつ決定したかということであるために二十八日ということを申上げたのでありますが、その経過、歩みの中にはお受けにならないという事実を私は承わつております。而もそれは非常にはつきりお断りになつたというふうに聞いておりますけれども、これは松本委員長自身でそれをお聞取りになつたのでありますから、私が承わり損ないがあつたのじやいけませんから、今のようにどつちつかんことになつておるというお話に対しては、必ずしもそうでないという意味で補足した次第であります。
  45. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 只今の補足は補足として聞いておきますが、要するに公益委員会としては正式な交渉はされなかつたし、正式に拒絶はされなかつた。ただ内意を伺うということは当然あるべきことかと思います。内意を取る場合には、今新井証人が言われたように、現在でもやる意思があるということを言われておりますし、その当時でもあつた責任を持つて、飾り物でない本当の仕事をさせるならばしなければならないという決意を強く持つておられたということを、本人が御証言になつておるのでありますから、内意を酌むというふうな実質的な交渉であるならば、当然そういうふうな内意が公益委員会に反映しておらなければならなかつた。つまり形式的に終つたとか、或いはどうとかいうことじやなくて、実質的な仕事をやるのならば、当然やるという意思があられたことが反映しておらなければならなかつた。それにもかかわらず形式的に終つたというだだけが強調されて、そうして交渉したというほうのやつは何とか削られる。その辺に非常に微妙なと言いますか、むしろ悪く言えば作為的な交渉経過さえ感ぜられることを私は附加えておきます。それから二番目に、同様な意味になりますけれども、村上氏との関係につきまして松永委員に御質問申上げたいと思います。村上氏と交渉経過は先ほどから非常に詳しく両方から述べられておりますので、これを前提としてお伺いいたしますが、数回の本委員会におきまして今度の新らしい会社人事をきめる場合には、ともかくも先ず地区別に中心人物になる者をきめて、その中心人物になる人の意見を十分聞いて、その人の協力できるような態勢の経営者陣を作るのだ、こういう方式で以て人事が進められたということは、松本委員長自身がたびたび言うておられることでありますし、それから松永委員自身も言われましたし、それから小坂日発総裁の参考意見のときにもそういうようなことが言われておりましたが、そのような方法で選考されたということは、この席上におきましても松永委員は承認されると思いますが、御異議ありませんか。
  46. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) さようでございます。
  47. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 次にそういたしますと、村上氏を呼んで会長就任交渉をされたのは二十三日ということになつております。そうして二十三日に村上氏をお呼びになりましたときには、九州の新会社人事については殆んどきまつてつて村上氏の意見を容れる余地は全然なかつたというふうに言われておるのでありますが、その村上氏が二十三日に出て来て、意見を容れる余地がなくなるほどきまつたその人事は、誰を中心にしてその案を作成されましたか、つまり中心人物になるものを予定して、そうしてその中心人物になるものを中心に新らしい経営者陣を作るのだという方針であるわけでありますが、それを九州へ……二十三日に村上氏が呼ばれて行つたときにはもうすでにその案ができておつたということでありますが、その案を作るときに、誰を中心人物としてその九州の案をお作りになりましたか。
  48. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) お答えいたします。九州人事につきまして、大体に現配電社長佐藤君を中心として、日発その他組合せについて衝に当らせました。それで、九州にしてもどこにしても、大きなところは現配電会社が……。
  49. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 途中ですが、九州のところの面だけお答え願います。
  50. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) それに関連しますから申上げます。この配電、日発両者の競合によつて首脳部を作るということは、先刻首脳者を勇める一つの問題でありましたがために、九州においても、佐藤君以外になお相当な人があるべきことを予期しまして、一通り交渉等を委員会においても重ねました。併しこれは委員会の決定というよりは、むしろ委員長或いは各委員等が、こうしたがよかろう、ああしたがよかろうというので、九州には種々交渉を重ねたのであります。その経緯は長くなりますから省略させて頂きたいと思います。又記憶もはつきりしませんことでありますから、詳しいことは省略させて頂きたいと思います。どうしてもその首脳者を得することはだんだん困難でございます。で配電、日発両者競合して、二十三日までに人をきめなければならんというときまでには、その首脳者を未だ得ることができないために、配電の佐藤君を中心とし、又日発から書き出された十六日の書類を中心として、人事をその後進めたのであります。これを申上げます。
  51. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 要するに新らしい会社人事を作るのには中心人物を求めて云々という、この方式によつてやられる場合に、九州につきましては、現配電社長佐藤氏を中心に、その村上氏が見えるまでの案が作られたということですね。
  52. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) さようでございます。
  53. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 そういたしますと、新会社会長人事も掌握するところのものであり、従つて会長が新会社の中心人物になるのだという松本委員長会長説とは、完全に食い違つておるということを、少くとも九州人事につきましては認められますか。
  54. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) そう考えませんが、御質問のようには考えませんが……、先刻私が申上げただけのことですが……。
  55. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 中心人物をこしらえて、そうしてその中心人物に協力できる人間を作るのが今度の方式で以て、そうしてその中心人物は会長だというふうに、たびたびこの委員会において、松本委員長が述べられておるわけであります。ところが今松永委員がここで御説明になつた内容によりますと、二十三日以前の、つまり会長ができても動かすことのできない人事内容は、配電社長佐藤氏を中心にして作つたと現在言つておられる。そうすれば九州におけるその人事の中心は、当然佐藤配電社長でなければならんわけでしよう。そうしてあとから仮に村上氏としましても、これをおくとしますれば、村上氏を中心とした経営者陣ではなくて、佐藤氏を中心とした経営者陣の案であつた。こういうふうに考えざるを得ないわけでしよう。
  56. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の佐々木君の御質問に関連して私から松永委員長代理一つ補足的にお伺いしたい。佐々木君の今の御質問は、会長中心か社長中心かということが問題として取上げられておるようでありますが、私はそういう問題でなくて、もう一つの面から松永さんの御意見を承わりたい。それは松永委員長代理並びに公益事業委員会のメンバーの人々が、果して九州電力会社人事を決定する上において、又将来の電気事業運営の面において、村上巧兒君が絶対不可欠な人物である、だからどうしても就任してもらわなければならないというお考え方に基いて、村上君を呼ばれたのかどうかという点が一点、若しそういう考えでお呼びになつておるならば、今松永委員長代理が御答弁になつたように、それまではきまつていなかつたから止むを得ず佐藤社長を中心にして人事考えたのだ、かように御答弁になつておりますが、私さつき申上げましたように、村上巧兒君が絶対に九州電力会社に必要な人間である、是非これを会長にしなければならん。而も会長中心で行くという基本的な公益事業委員会考え方であるならば、佐藤君を中心にして考えられた人事に、なぜ多少の変更のできるゆとりをお持たせにならなかつたか、この二つの点を併せて御答弁願いたい。
  57. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 只今の佐々木君並びに委員長の御質問に対してお答えいたします。さかさまになるか存じませんが、村上君絶対必要であればこそお願いしたのでありまするが、前から村上君絶対必要なりとして、首脳者として考え人事を進めたのでありません。と申しまするのは、会長制度を置く、社長制度を置く場合といえども、首脳者は或いは年齢の関係、或いはその会社の代表と申しますか、或いは重要性と申しますか、関係によつては或いは会長を置かなくても済む場合もあるだろう、これは適用よろしきを得なければならんというので先刻から、これは他社に亘るかも知れませんが、東京のごとき、大阪のごとき、大きな主要都市においては、初めから日発及び各配電会社もその心を以て心として、我々もさような考え委員長初め動いたのでありますけれども、小さい会社……。
  58. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 九州に関する問題が出ておりますから、村上君に関する御答弁を願います。
  59. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) そういう会社は必ずしも会長を置かなくてもいいのじやないかという考えも一面にありました。それからなお併しそれにしても、適当な会長九州にも置くがいいというので、相当これも人事交渉を重ねましたが、最後やはり九州は、もうどこも会長を置けるようになつた今日においては、やつてもらうならやはり村上さんが年功者でもあるし、少し時が遅れて甚だ御迷惑だけれども、是非来てやつてもらおうというので、そのときにおいて村上氏においでを願つたのであります。同時にそのときすでに人事の差繰りが非常に遅れておりまして、この前も委員長から御注意があり、只今もありましたように、今少し私どもも丁寧に、又村上君もあのとき急いでお帰りでありましたが、第二回のときは……、いま少し落着いておつたら、もう少しいい智慧も出たのかと思いますが、何分そういう今日から言うと遺憾な点があります。
  60. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 私の質問に対しましても、今の委員長質問に対しましても、非常にこうあいまいな不誠意な答弁と思いますので、もう少しはつきりした御答弁を願つておきたいと思います。要するに二十三日以前、つまり村上氏を要請される以前は、飽くまでも九州の中心人物として佐藤社長を中心にしてやられたということは間違いないことであり、そうして佐藤社長を中心人物として作られたところの人事案は、村上会長が仮に就任されましても変更を許さないものであつたというふうに言われておるわけであります。この事情からして、こういうふうな事情があつても、松永委員、あなたは九州の新電力会社の中心は社長ではなくて会長であり、そうして新九州電力会社の中心人物は、佐藤氏ではなくて村上氏だというふうに、まだ言い切られますか。
  61. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私は村上君の人格、識見、経歴を承知しておりますから、私は今日も或いは二十三日の日も同様の心持でありますが、村上氏が会長になられたならば、必ずや村上氏が全部を燮理をして、たとえお体が悪くても、毎日御出席にならんでも、五月以後の人事が全部御燮理ができることを信じておりました。今日も信じております。
  62. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 これは主観の問題ではなくてはつきりと詭弁であると思います。松本委員長は、そうして松永委員も加えてこの委員会でたびたび、新らしい電力会社の経営者の中心に中心人物をこしらえて、その中心人物と和を持てるような恰好の経営者陣を作るのが人事の方針でありますとたびたび言われておる。そうしてその中心人物というのは、言われているような社長ではなくて、新らしい商法に基く会長なんであります。そうしてその会長人事を燮理するのだ、こういうふうにたびたび説明されておる。それであるにもかかわらず、今九州に起きておる事態は全く明瞭でありまして、会長にあとで予定された村上氏が見えたときには、すでに佐藤氏を中心とした人事案が作られておる。そうしてそれは変更不可能なものである、その上にただ会長上置きに置くというに過ぎないことは、松永氏自身もたびたび言われておる。それであるにかかわらず、松本委員長が言うところの会長制という問題は、まだそのような新らしい会長制の意味を持つておるというふうには考えられないのでありますが、少くとも九州人事につきましては、村上氏が中心人物ではなくて、飽くまでも佐藤氏が中心人物であり、そうして会長が中心ではなくて、社長が飽くまでも中心であるということは、これを以て私は証明されておると思います。従つて九州に関する質問は打切りますが、私大分長いこと質問しておりますので、同僚諸君に申訳ないと思いますので、あと別の意味で一、二点だけ松永委員に伺いまして、質問を打切りたいと思います。  今の御説明を通じましても、私は非常に不誠意な感じを受けてしようがないわけでありますが、去る十五日の委員会、この委員会におきまして、会長の性格につきまして、私は松永委員が三月十四日の衆議院の通産委員会における発言の中で、松本委員長が言うているような新らしい意味会長ではなくて、従来通り会長という意味なんだということを言つておられる、新聞に出ておるが、これは真か嘘かということを念を押しましたときに、それは嘘だ、新聞は嘘だ、そうして松本委員長が言うておる通りのことを私は言うたのだ、こういうふうに言われましたけれども、現在まだそのように感じておられますか。
  63. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) そう思つております。
  64. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 それではその当時の衆議院における速記の一部を提示いたします。会長の説明を松永委員が言われた中で、「会長社長以上に働くものであるかないかは、世間の常識が知つておる通りであります。」こういうふうに言われております。中を又省略いたしますが、しまいのほうで又、「私は会長制度についてはまだそう深いお話委員長から聞いておりませんが」、これは又あとで問題にいたします。「聞いておりませんが、私はやはり昔の会長のような気持で」云々、「議事をとつたりなんかするようなことを考えて今日もおりますが、」云々、こう言つております。つまり世間で言われておる前の会長、世間で言われておる会長であり、そうして昔の会長のような気持で、あなたが会長を云々と言われておることは、これを以て明らかであります。それであるにもかかわらず、松本委員長の言われる新会長というのと同じ意味であるということはどういう意味であるか、御説明願いたいと思います。
  65. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 多分十五日は松本委員長と私は共に出席して、そのとき私もその問題について答弁し、松木委員長もお聞きになつて、多分私のあとから御発言になつたと思いまするから、両方の速記録をよくお調べを願いたいと思います。私の申したことは、或いは言葉が足らん点もありましたろう。又法律的の言葉も使わなかつたかわかりませんが、私どもこの会長制度を置こうということをきめたときに、会長というものがこれまで非常に散漫な状態であるからして、会長は、社長会長両方ある場合は会長が総会を招集し、重役会を招集し、その議事に当り、そうして社務全体のことを燮理するというふうな考え方で、この社長会長制度を置こうという意味になつたのであります。或いはその時分に衆議院でも新商法についての質問もあつたかと思いまするが、そういうことに関係なく、社長というものを旧来ぼんやり考えたより少し強くして置こうじやないかということに我々同意しております。ただ松本さんと一緒に出て十五日に説明したときに、余りにも社長というものがあつてなきがごとき感じを與えたり、或いは会長というものはむやみに社長同様に働くというふうな感じのみ強く與えます場合は、場合によつては少し老年の会長を得ることが困難な場合もありますから、私はさよう意味において世間の常識に従つて、私は衆議院で申しましたように自分会長をしたことがあるが、会長で非常に働く人もある、或いは又社務を社長に任して、自分は悠々として会社の大局を操縦する人もある、要するにそれは職制如何にかかわらず、その人の人格の力で会長というのは十分職責が果せるもであり、社長も又喜んでその下に働けるものであるという意味を説明したのでありまするが、或いは言葉の足らん点もあろうかと思います。併し後に多分委員長もそんなことで私の話を補足して、或いは同様な御発言があつていることも記憶しております。これもお調べを願います。
  66. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 松永委員長代理委員長から言いますが、佐々木君が質問しておりますのは、三月の十四日の衆議院の通産委員会におけるあなたの御答弁と、十五日の当委員会におけるあなたの御答弁との間に食い違いがあるが、どつちが本当かということを佐々木君が質問しているのです。そのつもりでお答えを願います。
  67. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私は、衆議院のほうの何か御質問にあつたかと思いまして……。
  68. 西田隆男

    委員長西田隆男君) じや簡單に、どつちが本当かということをお答え願えればいいのです。
  69. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) どちらも両方私は矛盾していないと思います。
  70. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 これはもう幾ら言うても私はナンセンスだと思いますからやめますが、明らかに十五日の当委員会におきましては、そういう記事が出ているのならば、その新聞が間違いだということを言つておられるし、そしてその十四日の衆議院の速記を見ましたら、今のような記録がはつきりあるわけですから、だからどちらも正しいということはこれはあり得ないはずなんです。私は先ほどの九州の例に見るところの中心人物と、会長社長との関連から見ましても、松永委員の説明はむしろ虚僞の説明であるというふうに感ぜざるを得ないのであります。別の機会におきまして委員長がこれが虚僞であるかないかということを明確にこの委員会において調べられるように、明白にされるような方法をお考え願うことをお願いしておきたいと思います。  それから最後に一つだけ附加えて聞いておきたいと思いますが、この前の委員会におきまして、この公益委員会会議の模様がわかる資料を頂きたいと言いましたのに対して、それは一両日のうちにできるということで、公益委員会からこの委員会議決事項というのが配られております。私はこういう簡單な会議の模様のわかるものを要求したつもりはないのでありまして、それはその当時の会長制が論ぜられた中で、その会長制がどのように、いつどういう内容で論ぜられたかということが知りたいという意味でありましたから、当然にこの松本委員長もおわかりになつてつたのだろうと思います。それにもかかわらずこのような議決事項というものが出されて、会議録に代えられようとしておることに対して、甚だ遺憾の意を表したいと思います。改めて私は全部とは申しませんが、少くともこの二月の九日と書いてある。二月の九日に会長制を採用するという方針を決定する、こういうふうに書いてありますから、二月の九日の会議内容が十分にわかるところの会議録の提出を要求いたします。そうしてその中には、これは会議録を作成されるために私は念のために、むしろ申上げたいくらいのつもりでおるわけでありますけれども……、作成されるためにと言うと非常に妙なことになると思いますけれども、その中には松木委員長がこの会長制度の問題について言われたことが、当然にこの委員会で明らかになつておらなければならんはずでありますから、会長人事、その他のことを中心となつて決定する首長であるという方針が確定される内容が討議されておらなければならん。それは三月の三日の当委員会におきます速記録に、松木委員長自身が、会長会社の首長である、会長会社の全部の人事、その他のことを中心となつて決定する首長にならなければならないように考えまして、この会長制度を予想して、大体会長になるべき人という人物を物色した次第であります、というふうに答弁されておるところからも明らかでありますから、この二月九日の委員会の記録におきましては、このことが明らかになるような会議がなされておらなければならんと思いますから、それがわかるような意味会議録であること、それから従つてそういう会長制という問題と同時に、新らしい会社の中心人物を会長にするということが明らかでなければならない。そういう討議がなされておらなければならない。従いまして第三番目には、それは当然に新らしい会社全部についての話だろうと思いますので、それが明らかになつておるということの、新らしい会社全部についての会長制、及び中心人物イコール会長ということ、それが明らかになつておるような会議録をお願いしたいと思います。念のためにお尋ね申上げますが、松永委員長代理はそういう記録があると思いますが、それを提出して頂けますか。
  71. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 松田事務総長から御答弁しましようか。松田事務総長。
  72. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) その点につきましては、この前も私からお話いたしました、或いは衆議院のほうでお話したかと思いますが、この委員会の議決事項につきましてはこの公共事業令にもございますように、この記録をとつて、この内容につきましては、この規則その他については、すべてどういう規則を作つたかということが出ております。併しながらそのときにどういう関係でこうなつたかという議事録は、今までのところ作つてございません。それで今度三月六日に、ことに書いてございますように委員会の議事規則を作りまして、これから委員会の議事録というものを、あなたのおつしやる意味の議事録を作るということにしております。それまでは議事録を作つてございませんから、その点率直にお話して置きます。
  73. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 そういたしますと、二月九日に決定された内容というものは、記録によつては不明である、わからないということになりますか。
  74. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) いや、つまり議事録を取つてないということを申上げます。今お話の、誰がこう言われた、どう言われたとかいう意味の議事録、そういうものを作つてないと申上げたのです。
  75. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 要するに二月九日の会長制採用に対する委員会内容が、記録によつて明らかになりますか、明らかになりませんか。
  76. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) つまり私の申しますのは、ここに書いてありますこういう日にこういうものをしたということは、はつきりしておりますが、そのときに、さてどういう人がどういう主張をせられてどうなつたというような議事録は、これまで作つてございませんでしたということを申上げます。
  77. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 形式的に議事録の恰好を整えるか、或いは会議録の恰好を整えるか、或いは速記録の恰好を整えるか、それはどうでもよろしうございます。要するに、委員会でこういう方針がきめられたということを、たびたび松本委員長は言われておりますが、きめられたということは、要するに如何なる方法を問わず、記録によつて明らかにすることはできないというふう解してよろしうございますか。
  78. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) その点はここにはつきり書いてあります。これによつて、要するに私のほうでここに書いてありますようにまとめて出したのであります。
  79. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 ここに書いてあるのは、二月九日の欄を御覧になつて頂きたいと思います。「会長制(会社運営の主要な権限を会長に保有させるもの)を採用する方針を決定。」ということだけでありまして、この言葉だけから松本委員長が言うておられるような、会社の首長が社長ではなくて会長であるという意味がわからんわけです。これがわかるようなきめ方はどういうふうにしてせられたかということです。それからそういう会長を目して新しい会社の中心人物だというふうにして人選がされたのだと、しようとしたのだということを言われたのだが、それがどういうふうにしてきめられたかということもわからんわけです。だからその辺のことは要するに記録の上では不明だ、わからんということですか。
  80. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 今松田事務総長の言うておられますのは、記録はしてありません。三月何日からそういうこともだんだん記録せなければならんということを言われたのでありますが、佐々木さんのお問は、併し何かありはせんかにいうお問、こちらは何もそういう記録はありませんという御返事に帰着しておると思います。併しそれについて申上げたいのは、記録がなくとも、委員長も我々も、如何なるふうに会長制をきめたということは各自の記憶がありますから、又五人の者がそれぞれ相当討議を盡しておりますから、御必要がありますれば適当な機会に、どういう討議をしてどういうことによつてつたということを、御要求があれば委員長名前でも、或いは委員会名前を以てしても御返事は申上げますから、松田君に関する限り、松田君の御返事は適当な御返事であろうと思います。(笑声)
  81. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私松田事務総長に佐々木君の質問に関連してお問いしますが、今日配付になりました「委員会議決事項」という中の二月九日の分ですが、これは議決されたわけですか。
  82. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) 委員会で議決されました。
  83. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは松田事務総長にお尋ねしますが、公共事業令の第十九條にこういう條文が書いてあります。「委員会は、第十七條の規定による会議を開いて議決をしたときは、これを公表しなければならない。」こういう規定があります。「公表しなければならない。」という文章から考えまして、少くとも若しこれに対して疑義があつた場合は、更に今松永委員長代理が言われたように、私たちの記憶だとか、五人で話合いましたとかいうようなことでなくて、文書を以て当然公開できるだけの材料をお集めになつていなければならないことを第十九條は規定しておると私は法律によつて解釈しますが、松田事務総長はどういう御見解ですか。
  84. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) その点につきましては、先ほど申しましたように、三月六日に委員会の議事規則というものを今回新しく作りまして、それによつて議事録等も取るようにいたしたのでありますが、それまでは今の議決の結論を公表するということで足りると、かように考えておるわけであります。
  85. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私が申上げておりますのは、それはあなた自身が足りるというお考えを持つておられるだけで、発表を願わなければならん国民側から考えれば、それでは不満足なんです。従つて今あなたがお考えになつておるようなことを公益事業委員会委員並びに事務総長がお考えになつておるとするならば、第十九條の法律規定の解釈に誤りがあつた従つて公益事業委員会としてはそういう手落ちをしておつた。せねばならんことを今までやつていなかつたという結論になるわけなんですが、そうなつて差支えありませんか。
  86. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) その点につきましては今申上げましたように、従来議事規則を早く作りまして、その点の内容を記録するというような方法をとるほうがよかつたかと思います。それにつきましては只今申しましたように、三月六日に議事記録を作ることにいたしまして、それによつてお話のような点を今後整備して参るというとの方針を委員会で決定して頂いたわけであります。
  87. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それはおかしいですね。委員会で三月何日までは委員会の記録を作らんでもいいということを議決したのですか。
  88. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) 議決したのではございません。要するに三月六日に議事規則というものをはつきり作りまして、そうして今後そういつたような委員会お話のような議事録でございますね。そういうものを作るようにいたしたのであります。こういうことを申上げた次第であります。
  89. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねて申しますが、だから私が申上げておりますととは、公共事業令の第十九條の法律規定を、公益事業委員会は嚴守されていなかつたということになるが、それでよろしいのかと申上げておるのです。
  90. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) 嚴守していなかつたということは言えないと思います。
  91. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 嚴守しておられないでしよう。当然作らねばならんものを作つておられない。そうして結論だけ発表すればいいという、便宜的な考えかたを公益事業委員会が持つてつたとするならば、それは公益事業委員会のやはり手落ちであつたに間違いないう
  92. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) 少くとも従来そういう解釈でやつてつたのであります。
  93. 西田隆男

    委員長西田隆男君) そういう解釈であると、十九條の解釈が間違つてつたことになりはしませんか。これには、「議決したときは、これを公表しなければならない。」と書いてある。公表しなければならない以上、公表した結果、質問とか或いは疑義を持たれた場合においては、あなたがたは内閣の所属であるから、内閣総理大臣が内容を文書で出せということを言われた場合、こういう議事録がありますということを提出されなければならないはずだと思います。そういう関係に置かれておると思います。なかつたからいいようなものの、三月何日までの議事記録が取つてなかつたから止むを得ないということでは、十九條の解釈が正しいか正しくないかということの結論には私はならないと思います。
  94. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) ちよつと……。
  95. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私は松田事務総長に尋ねておるのですから、事務総長の答弁を求めます。
  96. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) 要するに結論的に申上げますというと、この十九條の「公表しなければならない。」というのは、委員会で議決をいたしました結論を、公表すればいいという工合に考えておつたわけでございます。
  97. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それが解釈の間違いじやないですかと申上げておるのです。勿論公表するのは議決を公表するのですが、公表された議決に疑義がある。どういう状態で議決されたのかということを調査するのに、何らの資料も準備しなくて、議決の結果だけを公表するということで、十九條の解釈は十分ですかと私はこう聞いておるのです。あなたが十分だとお言いになればそれでも結構だし、あとで問題になるだけですし、十分でなかつた公益事業委員会が早くきめねばならぬ規則をきめてなかつた、取らねばならぬ議事録を取つてなかつたということは、公益事業委員会の手落ちですとおつしやれば、それでもよろしいですし、二つのうちいずれか御答弁をお願いしたい。どつちか……。
  98. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私からちよつと……。
  99. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私は松田事務総長の答弁を求めているのですから、
  100. 松田太郎

    ○政府委員(松田太郎君) その点につきましては今申しましたように、この点を更にはつきりいたします必要がございますと思いまして、遅ればせでありますけれども、三月六日にそういう議事録を作るようにしたのであります。従いまして従来の点につきましても、そういう議事録を十分取つておかなかつたことは遺憾に存ずる次第であります。
  101. 西田隆男

    委員長西田隆男君) まあその程度で我慢して置きましまう。
  102. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 今の問題は、三月六日の規則を決定されたということは、当時前のはこれでいかんから、これをきめられたと思うのですが、前の記録も何もないということをちつとも問題にしないのですから、三月六日にきめられる必要はないのです。そうすれば三月六日これをきめられたというのは、三月六日以前が大体おかしかつたということを前提にして行かないといかんと思います。これも率直に認められてもいいと思うのです。これは幾ら言いましても、今のようなことは、私は虚僞の説明という結論に陥らざるを得ない。それ以外の何ものでもないと思います。これでやめますが、今の記録の中で一つだけ伺つて置きたいと思います。二月九日会長制を採用ということになつておりますが、これは少なくとも皆新らしい九つの会社全部に採用することにきめたということでしようか。その辺が恐らくこの記録がないから思い違いだつたとか何とか言うから、私は記録を要求したんですが。
  103. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 会長制度ということは、九つに必ず会長を置かなければならんという意味できめてはありません。
  104. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 どことどこですか。
  105. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) どことどこということはありません。必要なところに置く。
  106. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 こういう馬鹿な話はないと思うのです。本来どことどこというのでなく、必要なところに置くと言うならば、今度は次々にきまると、従つて委員会で決定、議決しなければならん。それを何もせずに置いて、二月九日のときにきめておるから、会長制云々と言う。そうして必要なところから、勝手に委員会が、九州担当は九州と、勝手に置こうか置くまいかという考え、そういうべらぼうな委員会運営はないと思うのです。これは言いたいことはたくさんありますけれども、私だけ余り時間を取つては恐縮に思いますので、一応これで以て人事に関する問題は打切りたいと思います。
  107. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 どうも話を伺つておりますと、公益事業委員会の議事運営というものが、終戰後の新らしい委員会制度、特に国会の委員会運営は帝国議会当時と変つておるのでありますが、そういう精神をよく御勉強になつていないために、いろいろ紛糾を起しているものと私は考えるのです。私その問題は別といたしまして問題は非常に重要な段階にありますので、特に人事の問題として佐々木君の御質問に少し続きまして、二、三質問を試みたいと思います。  先ず最初に前回の委員会におきまして、同僚議員である古池君が、松本委員長人事決定の重要方針として、本委員会におきまして、和衷協同の精神ができないような人事をただ無理にこさえましたのでは、会社は到底健全なる事業をやつて参れませんから、こういう大方針を述べられたことについて、強力なる、委員会への善処を要望せられたのであります。この文句は和衷協同の精神ができないような人事と言われた、そこに重要性があるのでありまして立派な、個々の人を指しておられるのではないのであります。一つ会社の首脳者の、組織としての和衷協同のできる人事ということを指されておるのでありまして、ここに当然会社会長、或いは社長、更に取締役、全般の協同的な態勢を作らなければならんということに、三歳の童子といえども思いをいたすのであります。そこで最近の紛糾しておりまする日発と配電の人事につきまして、全般的に、全国的に見まして、再考慮の余地はないかということについて、縷々情を盡して古池君が質問されたのに対しまして、松本委員長は最後に、聽聞会の結果を見て善処をするということを約されたのであります。そうして而も聽聞会は御承知のようにだんだんと進みつつあるわけであります。大体公益委員会といたしましても、どこに人事の最も中心があるのかおわかりになつておると思うのであります。従つて前回の委員会に引続きまして、すでに事態は数段発展をいたしておるわけでございますから、ここで公益委員会が、過日松本委員長の御趣旨の線に沿いまして善処をせられようとしておりますところの中心は、全国的に見ましてどこにあるか。これを一つ御披露頂きたいと思うのであります。
  108. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 聽聞会は今日だけ休みましたが、まだ漸くなかばを終えまして、大きな問題となつておりまする日本発送電の異議申立のごとき重大なるものも残つております。九州も残つております。そういうことで、今この聽聞会の途中において、どういうふうに聽聞会を取入れてどうするということを、委員としてはまだ見定めをつけておりません。
  109. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは今日までにすでに終了をいたしました区域について、最も考慮を払わなければならんと考えておられる点がありましたか、全然なかつたか、公益委員会の仮指令案通りで差支えないと確信を持つておいでになるのか、その点を伺いたいと思います。
  110. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 栗山さんにお答えいたします。只今済んでおりますのが北海道、東北、関東、関西、中部、北陸の六カ地方が済んであります。これに対してよく聽聞し、又お尋ねもし、相当私ども初めわからん点もよくわかつた感じがいたしまするので、委員会を開きまして、まあ全部とは言わず、これまでにいたして一度委員会を開きたいと思うておりまするけれども、いろいろ差支があつて委員会を開くまでになつておりません。従いましてこれまでのことにつきましてのことにつきましても、委員会として或いは委員としても、ちよつとここにお答えはしかねます。
  111. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあ大体そういう御答弁だろうと思つてつたわけでありますが、実は前回私が或る予定会社の個個の人事について発言をいたしましたときに、松本委員長は、非常に困るということがございました。併し人事の問題を扱いますので、抽象論をやつてつたのでは問題にならない。やはり勢い個々にならざるを得ないと思うのであります。本日はすでに個々のことが随分取上げられ、応答がかわされたのでありますが、私は今松永委員長代理がおつしやつたように、結論が出ていないというお話でありまするので、更に関東ブロックの問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。  で先ず第一に松永委員長代理でも或いは宮原委員でも結構でございますが、先ほど新井さんの証言の中に、吉見氏を介して就任交渉があつたということにつきまして、公益事業委員会は、委員会としてさような決定をし交渉をいたしたことはない、こういう工合に言われたのであります。併し五人の委員会のどなたかがイニシアチーヴをとられまして、吉見氏を介して交渉にたつたのか、或いは吉見氏が僣越ながら個人として交渉をさせられたのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  112. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私どもの承知しておる範囲では、吉見氏ということをはつきりは存じませんが、松本委員長は、誰か使つて新井さんあたりの意向をお聞きになつた事実はあることを承知しております。
  113. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 更にその会見の結果、先ほど新井証言にありましたように、ただ飾り物では困る、相当電気事業に関心を持つておるので、実権を握り得るような役目があるならばやりたい、こういう意思表示をせられたということでありますが、こういうことが公益事業委員会に正式に伝達されておりまするか、或いは又、松本委員長或いは松永委員長代理、その他の委員のお耳に入つておりまするかどうか、これをお伺いいたします。
  114. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) お答えします。松木委員長のむしろ態度として、自分で御交渉なさつた、而も自分直接でなく人を使つて交渉になつた顛末について、一々御相談になつておりませんし、又時期も、首脳者をどうするということについては他にいろいろの説がその頃出ておりまして、そのことが、新井氏のみに対しての、我々多数の委員に御相談になつたということはありません。どなたかお聞きになつておるかたもあるかと思いますが、私は承わつておりません。
  115. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私から……。
  116. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 委員長、ちよつと。
  117. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君、ちよつと宮原さんから、今松永さんに代つて答弁いたしたいことがあるそうでありますから……。
  118. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 大体において松永委員長代理の言われた通り、一々我我聞いておりません。併し新井さんに御交渉になつたという、人を以てしたということは承わりました。そうしてその結果については、新井さんははつきりお答えになつたということを伺つたこともあります。その当時においての経過としてはそういうこともあつたのでありますが、新井さんのお答えになつたのは、委員長にお答えになつたのではないのでございましよう。ただ人を以て委員長意向を伝えたという先ほど新井さんからのお話があつたように、委員長意向は伝わつてつたと、それに対してお答えになつたというふうに承知しております。
  119. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 事、人事の問題であり、殊に全社の最高の枢機に参画し、会社運営する責任を持たれる人でありますから、当然にその以下の役員の人事に関與しなければ、事業運営責任を持てないことは当然であろうと思います。そこで当然就任の場合の一つ條件といたしまして、人事に対する関與権が出て来ることは、これはもう常識上当然であろうと思います。従つて仮に或る特定の個人に対して就任交渉をする場合に、その結果を審議されるどきには、その本人の意思というものをはつきり汲み入れて、そうして諾否の決定をしなければ、委員会としては非常な手落ちであろうと私は思うのであります。従いまして私はこれは繰返して何つて置きたいことは、公益委員の個人が、代理にそういうことを考えて、責任を持つて処理されたことでも結構でありましよう。或いは又、委員会としてやられたのでも結構でありましようが、新井氏の意中というものが、公益委員会就任の決定に対して十分に汲み入れらておつたかどうかという点であります。これはほかの九州の問題その他にも多々あろうと思いますが、従つて若し関東の、個別の問題で意を盡さなければ、私は全般的な問題として、更に話を進めても結構でございますが、一応その点を明確におつしやつて頂きたいと思うのであります。
  120. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 続きでございますから私から御返事申上げたいと思いますが、やはり人事については、只今お話のように非常にデリケートでございますから、成るべく事柄を内密に進めておるという、御本人との交渉はこれは性格上お認め頂けると思います。そこで、今の新井さんの問題については、恐らく委員長から私が承わつたことには、人を以て三回御慫慂になつた承知しております。そこでその間においては新井さんのお答えになつた意味はつきりどうであつたかわかりませんが、いわゆるその首脳部をきめて、その人によつて人事を行うということは、先刻もどなたかお話がありました通り、極めてよき滑り出しをするということで、調和が取れなければ困るので、如何に一個人が才能がよくあつても、人をまとめるととができないということでは困るというぐらいのことは、私どもの選考條件の常識になつております。従つて委員長から伺つたときには、どうしてもそういうことに関して強い主張がおありだから、折角やつたけれども諦めたというお言葉は私は聞いております。これは私だけかも知れない。委員会に出ないのは、そういうことがきまらない以上は、議決を要することになりませんから、出なかつというふうに御承知願います。
  121. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 宮原さんの只今おつしやつた、結論が出なければ委員会の問題にならんとおつしやつたのはおかしいので、委員会はただ結論だけを持ち寄つて決定されるのではなく、委員会においていろいろと審議をされるのが私は当然だろうと思いますが、この点は私の意見に亘りますから省きますが、そういたしますと、結局五人の委員のどなたかが、新井さんが就任交渉を受けられたのに対して、そういう新しい会社運営について実質的に関與し得る條件でなければならないと、こういうことが新井さんから強力に主張をされたことを織込んで、そうして新井さんとの交渉を打切られた。こういう工合に解釈してよろしうございますか。
  122. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 大体そうだと思つております。
  123. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと逆説が成立ちますことは、新井さんは会長就任交渉を受けられ、そうして而も会長就任條件として、会社運営について、これは人事の問題が入つているかどうかは、あとで新井さんにお聞きしたいと思うのでありますが、そういう重要な問題に対する関與権を與えられたいということを條件にして、会長就任の大体意思表示をせられた。これに対して公益委員会は退けられたわけでありますから、従つて会長というものは飾りものであつた、飾りものにするという御意向であつたという結論に逆になるわけでありますが、それでよろしうございますか。
  124. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) そういうロジックも成立つかもしれませんが、私どもの実感として申上げれば、そういうことまでの詳しいことについてのお話が当初になくて、その後会長論の出た時分に、大体においてそういう結論を持たれたということでお話をしたんだろうと思います。これは誠に遺憾ですけれども、だろうと申上げるよりその経過を知りませんので。
  125. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあはつきりと裁判所の決定のようにこの委員会はする必要はないのでありまして、私の質問並びにあなた方の御答弁によつて、賢明なる国民は適当にどちらが正鵠であつたかは判断をされると思いますので、この程度で私打切りたいと思いますが、更に続きまして新井さんにお伺いをいたしたいのでありますが、あなたが会社運営について、飾りものであつては引受けがたいと言われました意味は、例えば会長就任されました場合には、新発足の予定である会社の役員の人事に対しましても当然関與権を持ちたい、こういう御意向であつたのかどうか伺いたいのであります。
  126. 新井章治

    証人新井章治君) 私が吉見氏から話を受けましたときには、私が会長となつて高井亮太郎氏を社長として、そうしてやつてもらつたらどうかという松本委員長意向だということを承わつたのであります。それに対して、私は、別に会社の実権をこちらに渡さなければ困るというような、そういう強い意味で申したのではありませんが、そうして又そのときに、会長という者はどういう者であるかということについての説明等も何も伺つておりません。会長の性格というようなことだけでなしに、一切どういう構想で、今度どういう仕組のものを作るのだというようなことにつきましても何も伺つておりませんが、ただ私が承知したのは、今申上げることだけであります。即ちお前は会長になれ、高井亮太郎氏を社長にしろ「そうしてやつて行け、これだけの話であります。この数語に盡きるだけの話を承わつたのであります。それで私は会長ということになりますれば、従来の観念から、常識から言いまして、先ず上向きになつて手を拱いて楽をしていればよろしいように、私の経験からは考えられまするので、そういう地位では実は困る、やるのならやはり自分責任を持つて働くことができる地位でなければ困る、その内容について実は私は何も申したことはありませんが、即ち実権を納めなければいかん。人事に関する権限を渡さなければいかんとか、そういう意味のことを申したのではありません。ただその際に申したことは、今言つたように責任を持つて仕事のできることでなければ困る。その責任を持つて仕事のできるというのは、必ずしも地位によるのではない。私は或いは一兵卒でもよろしいということまでそのときに附言しております。そういう意味吉見氏には御返事をいたしましたのであります。
  127. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 非常にはつきりした御証言を頂いたわけでありまして、役員として、一兵卒でも構わない、仕事をやれるポストに置かれたいということでありまして、会長の性格があいまいであつた点もあろうかと思いますが、ただそこに一つ私として見逃すことのでき得ないのは、吉見氏から会長新井社長高井と、こういう一つの線が出されておるのであります。この会長新井社長高井、この線で関東の電力会社運営が大体できると、こういう工合に当時お考えになりましたでしようか。或いはそういう形ではまずいとお考えになりましたでしようか。この点には非常に微妙な問題でありますので、御答弁を頂くのに或いは不都合かと存じますが、できましたならば率直に一つ答弁を頂きたいと思うのであります。
  128. 新井章治

    証人新井章治君) 高井君を私が忌避しようという考えはその当時におきましても、今日におきましてもちつとも持つておりません。ただそのときに私が吉見君に返事をいたしましたのは、会長というようか閑職にあつて、ただ楽をして坐つておればいいんだというようなことでは、私が出る意味はないだろうと思う。そういう意味のことをお答えしたのであります。高井君と手を組むことが悪いとかいいとかいうことについて御返事をしたわけではありませんです。
  129. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これで大体話がだんだんはつきりして参りましたのは、高井氏を新井社長は、決して云々されていないということが明瞭になりまして、それで、而もただおつしやつたことは、会長という性格が極めて不明瞭であるので、できるならばはつきりと責任の持てる地位を與えられたい、それであるならば就任したいという意向であつたと、こういうことが伝えられたわけであります。そこで私は更に質問を続行いたしますのは、今日も電気事業の従業員が構成しておりまする電産の組合の委員長も重ねて意思表示をいたしておるのでありますが、高井社長がとにかくすでに昨日は別の件で告発をされた、或は前には不当労働行為で労働委員会に提訴になつた。そうしてこういう人が関東電力会社の最高実権の責任者として社長の椅子に坐られては困るということを強く意思表示をし、且つそういうことでありまするならば、相当強い動きもしようということが、今日も表明せられたのであります。従いまして過日の聽聞会の空気、或はその他最近まで展開されておるいろいろな運動或は世論等を参酌せられまして、少くとも関東における会長社長その他役員の問題について善処をせられる意思が、前回の委員会よりも更に強く出て参つていないのか、どうか、ここは新しい日本の電力機構を定めまする中心である東京地帶で、非常に国民的な関心を持つておる点なのでありまして、こういう点を一つ々々こういう公開の委員会の席上においてほぐして頂くことによつて、私は電力問題の紛糾しておるこれを、一つ々々なごやかに解決して行くよすがになろうかと思うのであります。最後まで突張り合いまして、そうして最後に蓋をあけて見れば何とかなるというような恰好では、これは水を一挙に滝へ落すようなものでありまして、徒らに激突を重ねるだけであります。なごやかに段を逐つて流して行きまするためには、一つ一つ私はほぐして頂かなければならん、一つの示唆を與えて行かなければならんと思うのであります。そういう意味におきまして、これくらい紛糾を重ねて…私率直に申上げますが、今度の電力問題の中で関東が一番問題になつておると思うのであります。そこで一つ一つそういつたような点をほぐされる御用意があるのかないのか、この点を一つつて置きたいと思います。
  130. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 栗山君のおつしやつたことは御尤もだと思います。
  131. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 賛成をして頂いたので、甚だ私も結構でありますが、その御意思が具体的に或る程度御発表願えないかということを申上げておるわけであります。即ち関東の人事問題につきまして、公益委員会が仮指令案をお出しになりましたが、これについて具体的に今中心になつておりまするようなポイントについて考慮を払われるということを、もう一度ここで確言を願えないか、こういうことを申上げておるわけであります。
  132. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) お答えを申上げたいと思います。申すまでもありませんが、その整備計画に関することは承認又は作成で、正式の意味における決定指令は公聽会その他をきめた後にあり得られることでありまするので、目下その公聽会に聞き、又我々もよりより修正すべき人事については相談を進めておりますることもあります。けれどもこれについて先刻申上げましたように、委員の寄合いも、最近は公聽会等のため或いは病気等のため甚だ人の集つて相談する機会も薄くあります。未だ今日の経過において栗山さんに御報告するまでになつておりません。
  133. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 前回の委員会におきまして松本委員長は、何とかしてこの紛糾した問題を円満裡に解決するために善処をしたいということを以ちまして、その善処の内容について私どもも或る程度了解をし得るような内容に亘つて発言をせられております。これは委員会の速記録を御覧になればよくわかりますが、さような発言をせられております。松永委員長代理も当時お見えになりましたから御承知だと思います。従いまして本日は、更に日にちも若干経過しておることであります。問題の解決をしなければならん日にちにだんだん近ずきつつあるわけでありますから、あの前回の内容よりもいま一歩進んだ具体的な御説明がなければ、問題を最後まで対立のままに置くことになるのではないか。私は公益委員会の皆さんがたの心中を察して、そうして一つ一つ問題を緩めて置く、そのほうが却つて賢明ではないかという助言を逆にしておるような恰好に発言がなつておるわけであります。従つて只今相談をよりより進めておると、こういう工合におつしやいましたが、一つその相談の内容をここで御発表頂けないかどうか、こう思うわけであります。
  134. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 栗山委員の御注意及び前に松木委員長が当委員会で御説明になつたことに徴しまして、よく御趣意のあるところも、又今日でき得ますれば、多少でも進行したことをお話したいと思いまするけれども、先刻からたびたび申しまするように、委戸長最近少しお体を悪くしておられまするし、又委員の一人も最近病気にかかつて十数日休んでおり、公聽会等を毎日開いておりまするため、交渉もそう思うようには捗つておりません。従つて御報告する段階に今日なつていないのは甚だ遺憾といたしまするが、この点は遺憾の意を表してお詑びをする次第であります。
  135. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これ以上お尋ねしても進まないようでありますから、私は更に一点だけ確認を是非ともして置いて頂きたいと思いますことは、ほかの地区のことは問題がありますけれども、今日私触れませんが、少くとも関東地区におきまして一番出だしから新井さんの問題、或いは高井さんの問題がこれは具体的に、而も個人が具体的に挙がつたばかりでなく、その反対の理由も賛成の理由も具体的に挙げられておるのでありますが、そういうことを公益委員会が内情をよく御承知になつておるかどうかということを、私ははつきり確言を願つて置きたいと思います。若しあとで、又よく知らなかつた、こういうことになりますると、松本委員長が善処を約束せられましたことが、知らなかつたことが前提になつて善処をしたのだということになりますると、問題は又紛糾をいたしますので、この問題は十分に実情を承知しておる、そういうふうにはつきりと御確言を願えるかどうか、この点は松永委員長代理並びに宮原委員お二人しか御出席になつておりませんが、少くともお二人からはつきりと伺つて置きたいと思うのであります
  136. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 新井氏に関して関東ブロックにおいて、お前がたが知つておらなければならんことがあるがというようなお話でありまするが、若し幸いにさような私どもの知らない点御承知であつたら教えて頂きたい。(笑声)それから今これに対して御返事したい点は、公益委員会におきましては、これは両者即ち日発とのお話合いで、新木榮吉君を首脳者としよう、このかたによつて発電のほうも配電のほうも人事を進めて来たのでありまして、仮決定指令は大体今日は新井さんを除けてあります。そうして新木氏を中心とした人事が大体の三月一日の仮決定指令となつております。これだけは御参考にも申上げて置きたい。(笑声)
  137. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 新木氏を中心とした人事が仮指令案の全貌であるということを私は承知をいたしておるのであります。その後問題が紛糾をいたしましたから、これをどういう工合に平和裡に解決するかという努力を、参議院の本委員会も熱心にいたしておるわけであります。従つてそのことについて私はお伺いをしておるわけであります。新井さんの問題は、はつきり新しい情勢をよくお呑み込みになつておるかどうかということは、会長に御就任交渉せられたのでありますけれども、御本人は必ずしも会長就任ということを断わつてはいらつしやらないということが明らかになつたということであります。それから新井高井というラインが交渉の中心になつてつたようでありますが、或いは新井さんが高井さんをいやだ、こういう工合におつしやつておると、公益委員会が御覧になつておるかも知れませんけれども、それは新井さんの今の証言では、高井さんを別に拒否するつもりはないのだということが、はつきりと本人から述べられたということであります。その他交渉の顛末において、若干新井さんの御意思というものが公益委員会に十分伝わつていない感がありましたが、それは本日ここで明らかになつたわけであります。そういうことを十分御確認になりますがということを私はお聞き申上げておるわけであります。新井さんに対してはそういうことを十分と御認識になり、そうしてそういうことを前提にして聽聞会のあとで更に考慮をしようという、その考慮の行動がとられるかどうかということを私は伺つておるわけであります。
  138. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 簡單にお答えいたしますと、只今考慮をしているということを申上げる段階に達しておりません。
  139. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私からもお答えをするようにという栗山委員からのお話がございましたから……。先刻栗山委員お話は、委員長委員会での言明もあるから、それらをよく知つておるかというお尋ねのようにも考えておりましたが、更に今別なような意味お話もあつたのでありますが要するにこの人事が極めて円滑に段落を見るようにということについて、非常に御苦心を委員会御自身においてもしていらつしやるという御厚意については、私今十分にこれを了得いたしました。  なお私どもは委員長から委員会において御言明になつた趣旨のことと反対のことはないはずであります。ただそれをよく聞いておらんようだという御懸念もありますが、この事柄を決定する場合、協議会というのは、十分にいろいろな事柄をあらゆる角度から検討いたしまして決定を見るべきことだと思いますから、万遺漏ないように種々の情報を手に入れて、折角好都合に参るようにしたいとは思つております。但し人事のこと悉く一方におけることのみが成立つわけには行かないのでありますから、なお又今後において、決定條項に関するいろいろの相談を経ておりませんから、ここでいろいろお求めになるような多少情報的なことを申上げることのできないことは誠に遺憾であります。十分に善処したいと思つております。
  140. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ちよつと御答弁がずれております。私の申上げておることは、本日ここでだんだんと明らかにたつて来だ事実というものを十分に御確認になるかどうかということを申上げておるわけであります。ただ馬の耳に念仏では困るのであります。そういうことでないということを一つ考えになるかどうか。  例えば高井さんの問題にいたしますならば、非常に紛糾しておると、ただ一言抽象的に申されることではなくて、具体的に不当労働行為の問題なり、或いは本日告発をされたとか、或いは前回私が申上げましたように、この問題が、再編成問題がかようにならない前に、旧配電会社の中だけの連絡会におきましても、関東配電独善的な主張をし行動をせられた。そうして旧配電会社の首脳着陣も非常にいろいろ困つた、こういう事例がたくさんあるわけであります。そういうような、いわば道徳的に見表して背信的な行為を各方面に展開される人が、関東配電の新らしい首脳部に坐られることは困るということが各方面の輿論に起きておる。そういうような具体的な事例をあなたがたがよく御承知になつておるかどうか、御承知になつておるということを、承知をいたしておるということを確認願いたいということを私は申上げておるわけでありまして、若し承知をしていないとか、或いは余りそういうことはよく知らなかつたということで、あとに適当に考慮したいということになつても、それが考慮にならなかつた、国民が考えておるような考慮にならなかつたということになりますと、これは電気事業が迷惑するだけでなくして、公益委員会委員の諸君にも御迷惑のかかるところでありますから、そういうことを私は重ねて申上げておるわけであります。
  141. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 只今栗山委員から高井君のお話が出ておりますが、このことについて何も知らなかつたとかということでは行くまいというお話でありましたが、高井君のことにつきましては、もとよりいろいろのことを承わつておる、のみならず公聽会におきまして関東の公聽会をいたしましたときに、十分各方面から高井君個人の人事も論じられております。それに対しまして反対の陳述等もありました。で、必ずしも一方を聞いて一方を非とする考えはありませんで、よくそういうことを聞いて、お前らは是非知らなければならんということについては、少くとも公聽会だけでもよく承わつておりまするから、私ども公聽会中といえども、或いは公聴会の終つた後といえども、各ブロックについての人事或いは所属というような問題、そのほかについて相談を進めて行かなければならないはずになつております。その詳しいことを、実は今日かれこれと申す段階になつておらんということを先刻から申上げているので、どうぞ御了承願います。
  142. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この問題は又これ以上議論いたしましても、話が進展いたさないようでありますが、私どもが一番只今心配をし、私どもとしてできる範囲において考慮をし善処をしようとしている方向を私は率直にお伝えいたしたつもりでおります。従いましてどうか……私どもお願いするわけではありませんけれども、今後委員会でいろいろと御意見を発表いたします場合には、そういうような問題の解決に一歩一歩前進をいたしまするように、もう少し具体的な内容の用意を願いましてそうして御出席を頂きたいと思うのであります。  それから最後にもう一点だけ伺いたいのは、先ほど村上巧兒君の御証言の中で、村上氏に九州電力会社会長就任交渉せられると同時に、一方におきましては麻生君に対して交渉が行われておつたと、極めて不愉快であるという意味お話があり、声明までもしたらどうかという気持があるということをおつしやつたのでありますが、これは先ほど是が非でも村上氏を九州会長にしたいということをあなたが御証言になつたわけでありまして、そういう点から考えまして非常に奇怪に存ずるのでありますが、これは一つあなたの名誉のためにもはつきりとして置いて頂きたいと、こう思うわけであります。果して村上氏の言われたことが真実であるか、或いは違うのか、その点を明らかにして置いて頂きたいと思うのであります。
  143. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 先刻村上氏のお話になつた意味は、私はかように解釈して、特にお取消し願うとかいう必要がないかのごとく考えたのでありまして、自分交渉を受けたときにはすでに麻生君にも交渉があつたかのごとく自分は聞いた云々というお話でありましたが、それはその言うた人の間違いか、或いは自分のお考え違いかで、事実は何ら麻生君と交渉しておりません。会長就任をお願いしたことはありません。又その後もお目にかかるときに、委員の一人などがお知り合いでありますから、どうも村上氏はお受けにならなかつた九州は場合によつちや止むを得ず社長のみで行かなければならないかもわからない。で君なんか一つ若いから奮発してはどうかというようなことは、或いは委員長も申されたかもわからんと思います。多分その後村上氏と私がお目にかかつた二十三日後、二、三日後に麻生氏と委員長は会われたかと思います。併しそれは私どもの聞くととろによれば、会長になれと言つてお奨めになつたのではなくして、困つたと、困つたが何かいい智慧はないか、君ら若い者が場合によつちや奮発せねばいかんなというお話をしたところが、かれこれという話合いは開きましたけれども、詳細は存じませんが、村上氏の前、或いは同日にしたということは、全く村上氏に伝えた人の間違いか、或いは村上氏がおれが就任しなかつたのは、麻生がそういうことがすでに始まつた後であつたからというお考えがあつたからとすれば、それは單なるお考え違いじやないかと思います。私はさよう考えております。
  144. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 村上さんにお尋ねいたしますが、只今松永委員長代理の説明がございましたが、あなたから、若しそういう事実がありましたならば、もう少し詳しく伺つて置きたいと思います。若しあなたの証言間違いでありますならば、一つ訂正を願つて置きたいと思います。
  145. 村上巧兒

    証人村上巧兒君) お答えいたします。只今松永氏は全然否定されましたが、実は先刻証言しました通り会長就任を辞退したあとで松永さん自身から話が私は出たと思います。それはもう紛糾して、お話しても時間がないから、九州会長制はやめたらどうかという話を松永氏にしましたら、それをどうもそういうふうに行かずに、麻生に交渉するというので、行方を探しておる松永氏自身から話があつたのを実は聞いておる。なおそれを一つ確実に証拠つけたのは、私が四時半頃でしたか、松永さんの屋敷を訪問した時分に、一台の自動車が門前にとまつていて、それから私どもは二階の室に通りました。その間にその車に乗つて或る人が帰つた。それを私が同伴した人が現に顔を見ておる。それは麻生君のところの東京支店長の齋藤君であつたという事実を聞きましたので、これは手廻しよく交渉して来られたのかと私は考えたのです。何も作意もなしに、それを誤解する余地もなしに、むしろ逆に聞いただけです。私はさように信じております。
  146. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私から今のお話の、村上証人の御証言に対して松永委員長代理に聞きますが、あなたの今おつしやいましたことと、村上証人のおつしやることは大変な違いがあるのです。あなたのおつしやつたことに全く間違いございませんか。
  147. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) さようでございます。
  148. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねて聞きますが、その後村上証人があなたの自宅を辞された後、今日に及ぶ期間において、麻生君に九州電力会社会長になることをあなたか、或いは又松本委員長か、或いは又他の委員からか御交渉になつたことはありますか、ありませんか。ありましたならば、その日にちをおつしやつて下さい。
  149. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私は別にしませんが、二十四、五日と思いますが、麻生君が委員長に会われて、そういう考えを、先刻申上げましたようなことを両氏で話されたことがあることは承知しております。
  150. 西田隆男

    委員長西田隆男君) そういうことは、あなたは松本委員長個人からお聞きになつたのですか。或いは公益事業委員会委員諸君のお集りになつておる席でお聞きになつたのですか。
  151. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 集つておるところで聞きました。
  152. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宮原委員お尋ねしますが、あなたお聞きになりましたか。
  153. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私はそういう席であつたかどうかはつきりしませんが、伝え聞いて、つまり村上さんが辞せられたから、あとをどうかしなければならんということの続きで、今現にあそこの配電会社の役員の一員である麻生さんあたりが一応の候補に入るべきではないかということを聞いております。
  154. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねてお尋ねしますが、麻生君は昔から、電力関係にはおじいさん時代から関係の深い人で、監査役をやつております。それが今度の仮指令案の中には、監査役でなくて取締役として発表になつておる。監査役であつたのを取締役に変えられた理由理由といえば窮屈ですが、公益事業委員会のほうで、なぜ監査役でなくして、これを取締役にされたか、これに対して若し理由がありましたらその理由を御説明下さい。
  155. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) それはやはり会長村上さんに辞退された、どうしても必要であろうということから……、その前後、委員会では適当に九州の名望家等について考えまして、麻生君を監査役から取締役にしております。併しそのことは、直ちに麻生君を会長に予定し、本人も承知されたというようなことまでには立至つておりません。
  156. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私がお尋ねしておりますのは、麻生君を会長に予定したことが、委員会で決定しておるとか、決定しておらないということではありません。村上証人の御証言によつて村上証人がお断りになつたあとで仮指令案の決定がなされておるので、今あなたがおつしやつたように、監査役から取締役にされた理由が、あなたのおつしやるような理由であれば大した理由にならない。併しながら村上証人が言うたことが若しあつたとするならば、麻生毅を或いは会長にするという意味において監査役の名前を変えて麻生君を取締役にされたという解釈が成立つのです。あなたは二十何日、二十何日と言われますが、私はそういう意味では……、監査役から取締役にされた理由はどうか、この理由を聞きたい。
  157. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 先刻申上げたのとほぼ同一な意味で、或いはどうもわからんと思いますが、麻生君をきめてそうしてしたというような意味じやなく、麻生君のごとき人が適当である。又本人に十分な交渉はしないけれども、場合によつてはなつてもらえるだろうという考え方が、委員長と会われたときもよほど濃厚になつてつた。我々もさように考えて、監査役の地位から取締役の地位に変えられたのであります。
  158. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 宮原委員の御見解を聞きます。
  159. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) すべてそういう村上さんの問題が済んでからであります。そうして恐らくあれは監査役に安川寛さんを予定したかと記憶しております。そこで監査役の関係もあり、麻生さんが取締役になつた。それは恐らく村上さんがお引受けにならんという前提を以て出発した。委員長代理のお会いになつたときのお話が、そういうふうに進んでおつたと思います。併しながらまだ只今松永委員の申した通り、麻生さんを会長にするという確約をして、麻生さんとして出発したわけでなく、又当時においてすべて役柄を指令することは委員会として差控えよう。結局五月一日の総会においての互選によつてきめよう。こういうふうに変つたのでありますから、今の村上さんのお話は、私どもから申せば、或る程度御推察の入つてつたことであつても、こちらが意識してそういうふうに進めたということはないと思います。
  160. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私の質問に対する御答弁としては安全でないだけでなく、不完全だと思うのですが、私の質問しているのは、監査役であつた麻生君をなぜ取締役にして仮指令案の決定発表をされたのか、理由があれば理由を承わりたい。こう私は質問しているのです。
  161. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 理由と申しますのは、あの場合にすべての人が五月一日で互選になるのですから、監査役ではありませんが、併しながら九州の配電会社におつた、役員の一員であるということが、たまたまこれを取締役にすべきだということになつたのです。
  162. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねてお尋ねします。新電力会社人事問題は三月一日仮指令案の発表になる前々から随分問題になつてつたことは御承知であろうと思うのですが、特に現内閣の総理大臣の女婿である麻生君、ただ麻生の名前があの中に出たというだけでも、あああれは総理側近だというふうに、国民大衆の殆んど大部分の人がそういうふうにしか理解しないような麻生君の名前が、特に監査役から取締坂に変えられた。且つ証人の言われたように、若しそういうことがあつたとするならば、ますます以て国民の疑惑を招くことであり、且つ吉田総理大臣にとつては非常に迷惑なことである。かように考えておるから、その間のいきさつを当委員会はつきりして置きたいと思つて質問をしておるので、公益事業委員会のほうでそういうことは何らお考えにならなかつた、或いは念頭にも浮ばぜられないときに、ああいう仮指令案の決定をされたかどうか、もう一度伺いたい。
  163. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 九州人事につきまして、佐藤君を中心として、むしろ会長はおらんでも行けるじやないかという初め頃の考えが、だんだん会長を置くべきであるというふうに、情勢によつていろいろ変化して来ました。私ども宮原君、松本委員長初め九州安川山気株式会社社長をしておられる安川寛という人が、若いけれども……。
  164. 西田隆男

    委員長西田隆男君) そのことはいいですから、今私が御質問したことを答弁して頂きたい。
  165. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) そのかたをお願いするというので、相当交渉をいたしましたが、どうしても自分は承認できないという話になつたものですから、今度どうしても元老である村上君を煩わしたい。村上君が又むずかしい、こういうことは先刻申した通りです。そこで今度は安川君が監査役の地位に入られる。それで麻生君が取締役の地位になられたというのは、若し会長がどうしても要る場合には、やはり麻生君にお願いしよう……。
  166. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それは又おかしいね。(笑声)今、これは取締役会の選任によつてきめるのだから、そんなことは考えてないというふうに御答弁なさつたんじやありませんか。
  167. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) そういう考えで、麻生君が重役であるものですから、監査役の重役では会長になるということは困難であります、互選によつても……。それでそういうためにしたのであり、且つ委員長もそのお考えがあつてお話になつておることも、先刻から申上げておる通りであります。そのことが、総理側近云々というようなことは何ら私ども考えもせず、又差障りもないことと今日も信じて、仮にお受けになつても差支えがないことと信じておる次第でありますから、村上君のお話に答えるために、その前後の関連を申上げたに過ぎないのであります。さよう御了承を願います。
  168. 古池信三

    ○古池信三君 時間の関係もあることと存じますから、簡單にお尋ねをいたしたいと思います。我が国の将来の運命に極めて重大なる影響を持つと考えられまする電気事業編成が問題にたりまして、すでに相当な年月を経たのであります。その間に分割することがいいか悪いかという問題について、国を挙げて非常か議論をされ、又いろいろな機関において論議されたことは申すまでもないのでありまするが、結局のところ、昨年ポツダム政令によつて再編の方針がはつきりきめられた。    〔委員長退席、理事結城安次君委員長席に着く〕 そこでこの方針がきまつた以上は、当事者である配電会社の側においても、又日本発送電会社の立場の側からいいましても、このポツダム政令の線に沿うて協力すべき画期的大事業であります。再編成を円満に成就しよう、かように考えられておつたと私は確信いたしております。現に先般当委員会におきましても、小坂日本発送電会社総裁は、協力をする意思をここにはつきり申しておられたのであります。然るにもかかわらず、今日この問題が非常に紛糾して参りまして、我々の委員会においても、かように証人のかたまでも煩わして、かような場面に際会するいうようなことに至つたことを、私は日本のために、又電気事業のために非常に遺憾とするものであります。私はこの人事の如何に重大なものであるかということにつきましては、先般の委員会において所見の一端を申述べました。又本日智頭に西田委員長からもさような発言がありましたので、煩を省く意味からここに繰返えすことは避けますが、併しながら、飽くまでも事業運営の枢機、中心は人事でなければならん。この人事が公正妥当に決定されないならば、決してこの事業はうまく行くものではないということを確信しております。然るに、先ほど来この人事に関連いたしまして新井さん、名取さん、村上さん、この三人の証人のかたから、具体的に御自身に関連する極めて詳細な又明快な御所見を我々は伺つたのであります。私はこのお三方が、現在の日本におきまして経済界におきまして、又電気事業界においても、その識見、力量、人格、いずれの点からいつても、今の日本の第一流の人物の中に入つておられるということを信じておるのであります。従つて本日これらのかたがたがこの公けの国会の席において、而も宣誓までなされて、御証言をなさつたことは、一点の僞りもない、誠に真実そのものであるということを私は考えます。そういたしますると、今まで再三この委員会において公益事業委員会側から、我々が説明を受け、或いは又御報告を頂いた事項と、本日の証人のかたの御証言と照し合わせて見るときに、その真実性において非常に隔つたものがあるということを私は今日認めるのであります。誠にこれは遺憾に堪えないと考えるであります。大体再編につきまして、この人事の問題をきめて行くのは、何と申しましても当事者両方の協議、合意によつて円満になすべきことは申すまでもないことであります。飽くまでも人事は愼重にやらねばならんということを私は思うのでありますが、而も先般やはりこの委員会において松永さんは今回の人事については不手際であつたということをお話になりました。無論これは時間の非常に少なかつたということもありましようし、又その間には雪が降つたというような事情もあつたかと存じますけれども(笑声)、併しながら今の公益事業委員のかたがたは、いずれも多年実業界においていわゆる千軍万馬のかたである。かような人事を取扱うということは昨今のことではないのであります。もう古くからかようなことについては熟練し、堪能なかたであると私は考えるのであります。かような立派なかたがどうしてこういう不手際なことをなされたか、只今証人のかたの御証言と、そうして公益事業委員のかたの御説明との食い違い等から考えて見ますると、この人事問題については、確かに慎重を欠いておられたということを私は言わざるを得ないのであります。その愼重を欠かれたという原因が、或いは故意であつたか、又過失であつたか、それは私はここでは問いません。併しながらかような手際の悪い人事で以てそのまま無理に抑えて行つて、果して円満な、うまい結果が出るかどうか、その点を私は非常に心配いたしておるのであります。五月一日から新らしい電力会社が発足するといたしますると、本日より四十日くらいしかあとはないのであります。その間にかくまでにこじれた問題がきれいさつぱりとして、そうして皆が満足し、公平な処置がなされて、新らしい会社が立派に生れるかどうかということにつきましては、私は非常な危惧の念を感ずるのであります。そこで私がお伺いいたしたいのは、この会社の設立をどうしてもあと四十日の間に、この短期間の間にやらねばならんかどうか。    〔理事結城安次君退席、委員長着席〕 ここで一月や二月は延しても、その間に十分関係者の了解を取られて、皆がそれならよろしいと、満足して行かれるようにされることが必要ではないかと思うのでありまするが、さようなお考えがあるかどうかということを私はお尋ねしたいのであります。即ち私の申上げまするのは、将来の日本の電気事業をよくして行くか悪くして行くかという境目であると思います。是非とも五月一日から発足せねばならん、そのためには皆が不満であり、かような紛糾したままでもいいから、要するに拙速主義と申しますか、そういうようなものでもいいから、何でもまとめ上げて、五月一日から押し出そうと、こうなさるのか、或いは将来長い電気事業考えれば、ここ一月や二月は大した問題ではありませんから、その間にすつかり練り直して、白紙に返して、初めからやり直して、それこそ皆が納得するような人事をおきめになつて明朗に出発なさる気持がないかということを私はお尋ねしたいのであります。  先ずこの点から御答弁をお願いいたします。
  169. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 只今の御質問に対しまして前回松永委員長も申されました通りいろいろ弁解或いは釈明する点も、多々委員会の受けております各種の攻撃に対してもないではありませんけれども、今さようなことに費すことは、ますます紛糾を重ねるのみであります。それで私どももやはり同様の考えで、でき得られるだけ、公聽会に臨みましても賛否両論のあるところを承わり、且つそれまでといえども、人事に関して了解を得られる方面については了解を得るべく、人を介して試みてはおります。未だ成案を得ておるわけではありません。まあ古池さんの御注意のように電気事業の将来に、五月一日から起る新出発は重大なることであることに鑑みまして、専心注意いたして働いておるわけであります。
  170. 古池信三

    ○古池信三君 私が伺いましたのは、この重大なる問題を、なぜ四十日の残る期間しかないのに、この間に是が非でもやらねばならんかどうかということであります。只今答弁がありましたけれども、その御答弁は少し私のお尋ねしたことに外れておるように思いますので、もう一度繰返して申上げたいと存じます。  それは大体日本の電気事業の全く画期的な再編成をやろうというのに、公益事業委員会ができましたのが昨年の十二月の半ば、実際の仕事にかかられましたのが本年の一月の上旬であつたと存じます。従つてこれだけの大事業をおやりになるのに三月やそこらの日子でやろうというのがそもそも無理だと思うのでありまして、もう少し時をかしてそうして打つべき手は打ち、十分納得すべきところも納得し合つて協力して行かなければ、それが将来に大きな禍根となつて残るであろうということを私は心配をするのであります。でありまするから、今まで五月一日ということは絶対に動かせないように考えられておつたのでありますけれども、併しながら、将来の長い十年、二十年或いは五十年という先のことを考えて見まするならば、只今ここで一月や二月延びるということは、そんなに大きな問題ではなかろうと思うのであります。  そこでこの四十日の間に、今までのお手並から考えますると、この紛糾したものをきれいにしてやられるということは、どうも我々想像できないのであります。従つてもう少し日をかして、その間に十分に完全を期せられたらどうか、かように思うのでありまするが故にお尋ねをしたのであります。もう一度お伺いをします。
  171. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 委員会におきましては、私も無論同様でありまするが、五月一日までには何とか御心配のないように片付くものと確信して進んでおります。(「それが心配だ」と呼ぶ者あり)
  172. 古池信三

    ○古池信三君 五月一日と言いましても、もうすぐ目の先であります。今こうして国会にまで証人に来て頂いて、かような問題をやらねばならんというような現状から見まして、この四十日の間に極めてすらすらと問題が解決して行こうということは、どうも我々常識から考えて非常にむつかしいのではないかと思うのであります。大体この問題は、初め私が伺つておるところでは、十月一日から発足するというようになつてつたと思います。それが急に五月一日というようなことに変更されたところにそもそも無理があるんではないか、これを十月一日なら十月一日からおやりになるということになれば、今からでもいろいろと私は工作をする方法がある。かように思いまするので、その点をお尋ねいたしたのでおります。どうしても五月一日でなければならんということについて御答弁をお願いいたします。
  173. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) いろいろ、この一月八日に出発し、二月八日に両会社の案を出しておるのであります。  それから二月二十三日までにそれを取りまとめて、仮指令を作るというふうにきめまして、それから公聽会を開き、一カ月間、総理の何を得ることにしておりましたが、二十三日は先刻から申すようにだんだん延びて、遂に二十八日になりましたけれども、公聽会等を切り詰めまして、順序は一通り進んでおります。これを今いろいろ変更しますることは困難であります。又変更しようと思うておりません。理由として申上げるよりも、むしろそれまでには必ず勉強いたしまして、(笑声)公益委としては働きまして、そこまで漕ぎつけて見たい確信を持つております。
  174. 古池信三

    ○古池信三君 今まで一月以来の順序についてお話がございましたが、それは飽くまで五月一日から発足するという前提で、而もその間のすべての事柄が円満にスムースに進むという前提の下に立てられたそれは日程であろうと思います。(「然り」と呼ぶ者あり)然るにかように紛糾してしまえば、物事の大前提がすつかり狂つてしまつたわけでありますから、かような事情激変の現在においては、大いに考え直されて、然るべきではないかということを申上げるのであります。成るほど五月一日から所定のように開始ができないということになれば、一応ちよつと考えると……公益事業委員会の非常な手落ちであり失敗であるかのごとく考えられるかもしれませんが、私は決してそうは思わないのであります。これは公益事業委員会の面子にも何も関係するものではない。むしろそれよりも、かような世間の声、国民の声をよくお聞き取りになつて、大乗的な立場からすつかり白紙に戻して、そうして新しく公平な施策を進めて行かれるならば、多少日にちは延びましても、そのほうが国民大衆は喜ぶのであり、満足するのであります。又公益事業委員会のかたがだに取つても、それは却つて皆様の識見の高いことを証明するものであり、公益事業委員会の名声をいよいよ挙げるものであると私は考えるので、決してそのために委員会が面子にかかわるということはないのでありまするから、是非皆様も、甚だ失礼な言い分でありますけれども、私はこの現在の事態を憂うるがために申上げるのであります。公益事業委員会委員のかたがたも、もはや齢古稀を越えられたかたが多いと承知しております。従つてこの際あとあとまでも、国民が成るほどあのときの公益事業委員会のかたがたは偉かつたと、皆心服するように、この際皆様の晩節を大いに一つ完たからしめて頂きたいということを、私はあえて要望いたすのであります。併しこの点につきましては只今委員長もおられませんから、松永委員長代理としても即答はむつかしいかとも存じます。併し成るべく私の要望に副うように是非御善処あらんことを切に希望いたします。  更に次にもう一つお伺いいたしたい点は、先ほど松永さんの御説明の中に、新しい事実があつたように存じますので、この点についてもう一度お伺いをいたしたいのであります。それは本日証人としてお見えになつておりまする新井章治さんは、関東の新町力会社重役の中から、何と言いますか、除外してはないと、いわば保留してあるというようなお答えにちよつと私は伺つたのでありますが、この点もう一度はつきりと一つお答えをお願いいたします。
  175. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 只今のは重役決定、指令におきましては、新井君は除外してあるということを申しております。
  176. 古池信三

    ○古池信三君 先ほど伺つたのは、私の或いは耳の間違いであつたかも知れませんが、(「除外したと言つたよ」と呼ぶ者あり)それと反対です。現在の指令書の中には載つてはいないけれども、除外してはないのであるというふうに私は聞いたのでありまするが、もう一度一つ
  177. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 除外してありますということを……申上げたかね。
  178. 古池信三

    ○古池信三君 これはあとで速記録を調べればわかることでありまして、私が聞違いでありましたならば、只今のことは取消します。それから、先ほど三人の証人のかたが、いずれも口を揃えて、将来の電気事業のために役に立つならば、大いに蹶起しよう、いろいろお話がここに明らかにされたのであります。そうしますると、公益事業委員会としては、この皆さんの御意見は十分尊重して今後考えられますか、どうですか、この点についてお話を願いたい。
  179. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 無論よく尊重して、私の、殊に先輩諸君の……。
  180. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 栗山君の質問に対する松永委員の御答弁につきまして、関連として簡単に一、二お願いしたいと思います。先ほど栗山君の質問に対する答弁の中で、関東地区の問題について、関東地区の人事は、新木氏を中心として作つたというのでありましたが、事実ですか。
  181. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) さようであります。
  182. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 新木氏への交渉は、新井氏への交渉のあとに行われたのだろうと思いますが、そうではないでしようか。
  183. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私はそのあと先は、私自身……、委員長が主に御交渉の先端をとつておやりになつております。新井氏に対することは、中に人を置いてお話になつたかのごとく聞いております。それから新木氏については、お知合いだと見えて、いろいろ会われた時分に、首脳の人が誰が欲しいというようなことで、一、二度お会いになつたときに、直接御交渉になつたかどうか知りませんけれども、そのお会いのたびに新木氏の心持をお取りになつて、私どもに委員長からお話になつたのはいつでありましたか、日が、大概わかると思いますが、無論新井君の話のあとではありますが、お話がありまして、それで私も新木さんと会うようにし、ほかの委員も会われて、そうして是非おいでを願いたいというようなことを、委員で話すばかりでなく、むしろ小坂日発総裁とも御相談になつて、新木氏のことが進んだものと存じております。
  184. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 今くどくど言われましたが、要するに新井氏との交渉のあとに、つまり新井氏のほうは工合が悪い断わつたという状況の下で新木氏に交渉された、こういうことだと思いますが。
  185. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 無論そうですな。
  186. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 そういたしますると、新井氏の場合には、ただ上置きになるのでは工合が悪いので、その前に人事案がきまつてつて、その上に上置きになるのでは工合が悪い。又公益委のほうで言わせるならば、実際にできておる関東の案をそのまま新井氏が呑み込むのでないと工合が悪い。つまり高井社長或いは新井会長という構想の下で呑み込むのでは工合が悪いという意味で、新井さんの交渉は打切られたのだと思います。そうしてそのあとに出て来た新木さんの場合には、新木さんを中心にして新しく人事案を作られた。これはロジックがちつとも合わんと思いますが、どういうことになりますか。
  187. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) お答えいたします。委員長新井氏に御交渉なさつた前後の事情は先刻からお聞きの通り、又新井さんのお答えによつても御承知通りでありますが、新木さんの話は、それは別に御承知を願いたいと思いまするが、新木氏については新木氏をお願いし、及び新木氏の御意見はよく尊重して、いろいろ人事等についてもゆつくり、数回、殆んど十数何の度を重ねて懇切に、委員長も或いは我々もお目にかかつて、新木氏の意のあるところを斟酌しまして、そうしてこれを日発の人繰りなどのときにも、十九日以来官邸に新木さんのお出でを願つて相談をしたような次第であります。
  188. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 要するに、そういたしますと、新井さんの場合には内容人事交渉をせずに打切つた新井さんの場合は関東の人事についての相談をせずに打切つた。そのあとで新木さんに交渉をした場合には、新木さんを中心にして内容人事をお考えになつた、こういうことになると思います。従いますれば初めから新井さんの場合にはやる意思がなくて、新木さんならば内容の相談をする、こういうことに了解をしてよろしうございますか。結果はそうならざるを得ないと思います。
  189. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) それはあなたのお考えでありますが……。
  190. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 考えじやないのです、事実を……。
  191. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私はそういうあれじやないのです。今事実を申上げた通り……。
  192. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 新井さんの場合には、これは先ほどの宮原委員お話にもありましたように、実質的な人事に関與されては困るから、これが條件になつておるらしいからというので断わられたはずです。そうでしよう。その後に新木氏と交渉ができたと、こう言われる。そうして新木氏を中心に人事が新らしく構成されたというわけですか。
  193. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私の発言にさようにあつたということを私は記憶しておりません。一応速記録を拝見しませんと……そう思つておりません。
  194. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 栗山君の質問に対して、逆説ではあるがということを前提として栗山君が言われた際に、そうだとこういうふうに言われました。これは速記録を見て頂けばわかると思います。実質的な人事條件として云々というのが入つております。要するに新井さんと交渉した場合には、当てがい扶持であるところの人事を呑まれそうにもないから、その交渉を打切つたというふうになつておるし、そうして新井さんが断わられたから、そのうちに新木さんに交渉したという経緯にならざるを得ない。そうしてその後に新木さんの場合には、人事内容を新木さんを中心にこしらえた。そういうことであるならば、公益委員としては、新井さんとは内容を相談する、つまり会長としても相談する意思がないが、新木氏ならば内容を相談する意思があつた、初めから……これはどういう行き違いか重大な問題だと思います。
  195. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私お答えしたいと思います。それは新木さんは電業界に関する知識において新井さんのごとく深いものでありませんから、結局委員会としては新木さんを是非懇請するという建前上、折角その他の人事に関する御相談を願うという前提が行つたわけであります。ですから新井さんの場合には、新井さんがお受けになれば云々ということを考えて故意に云々と断わるように仕向けたかのごとき御推測は少し度が過ぎると思います。少くとも事に当つたものは一向そういうことを考えておりません。
  196. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 新井さんに対する交渉の後に新木さんにやられたということは事実であり、そうして新井さんと公益委員との話が割れたことの原因は、人事の問題を中心としてといいますか、新井さんの言葉によれば責任ある云々という言葉で言われておりますが、責任ある云々という言葉は先ほど言いましたように、宮原さんの言葉によれば、実質的人事云々というように言われておるわけです。そうして恐らく新木さんは最初からの人事の当てがい扶持に乗られたのでしよう。だから新木さんならばいいというようなことになる、そうして松永さんの先ほどの栗山君の質問に対する答弁によれば、新木さんを中心人物にして関東の案を作つた。非常にこれは支離滅裂な答弁だと思います。
  197. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私がお答えいたします。さように推測的に御論断になれば……。
  198. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 推測じやない、事実がそういうことになる……。
  199. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 一応そういうことになるのでありましよう。つまり新井さんの場合には今の通り人を以て委員長が御交渉になつたということをたびたび申上げておりますが、その場合においてはおよそ周囲の形勢において、新井さん御自身が御承知の範囲において最も難点だろうと思う点についての御相談をしたのだろうと思います。然るに新木さんの場合には、全然そういう予備知識を持たない新木さんに対して、委員会がいろいろのことを申上げたのは、今おつしやる通り、こういう人事についての御相談をしたわけです。新木さんはそのために十分な熟考を重ねて後に御承諾になつたということが言えるわけです。
  200. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 甚だ支離滅裂な答弁で、これはあとに留保いたしますが、それであるならば逆に質問申上げます。九州の場合には、会長を予定された場合には、九州からわざわざ村上さんをお呼びになつて委員長名前でお呼びになつて委員長さんの名前で会つておられる。新木さんの場合には御同様委員会のメンバーに会つておられる、新井ざんの場合には何故第三者のようなわけのわからん人を通じてやられたのですか。
  201. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私は自分でやつたことでありませんから、その真僞はわかりません。併しそれにはこれを御説期するだけの材料を持たないからですけれども、併し、であるから……というその論理の推移は少しく前提拡充が不十分であるにかかわらず結論をお話になつたような気がいたします。それから九州の問題につきましては、あれは会長を置くことを得というのが原則であります。従つてものの経過からすれば、万一社長以外に得ることができない場合には、社長で行くことを別に防げないのでありますが、成るべく会長を置きたいという順序に推移したということはかねて申上げておることであります。
  202. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 いろいろ御答弁なさいますけれども、要するにほかの人の場合には、ちやんと委員会みずからその人に会つて交渉されているのにかかわらず、新井さんに対しては吉見某を通じて、それも交渉したのかせんのかわからんような状態においてやられておる。それを新井さんが断わつたということにして、別に新木さんと交渉されておる。新木さんの場合においては、新会社の中心人物として関東の人事全部を相談して初めからやり替えたというふうに答えられていますが、それは全く虚僞である。新木さんの場合には初めから高井社長を中心にして人事を定めることを大体承知されている。恐らく新註文としては堀越氏を副社長に持込みたいという程度であつたのだ。新井さんの場合には高井社長を承認されるのならば、或いは話を進めてみてもよい程度で内交渉がされ、それが思い通りになりそうにもないので、新井氏は会社就任を断わつたということにして本交渉に入られなかつたというのだと思う。従つて私はこの中に介在する極めて微妙な感じを受けるわけです。むしろ私は丁度九州における佐藤氏のごとく、新会社の中心人物が会長でも何でもなくて、現在の配電社長佐藤さんを中心人物にして案を作られたと同じ意味で、関東におきましては高井現配電社長を中心として作られた。そうして会長候補はその案を呑み込むものを人選された、こう言わざるを得ないと思います。答弁は要りませんから、委員長におきまして私が先ほど申上げたような意味におきまして、何ぼ開きましても虚僞の説明であり、支離滅裂の答弁であると思いますので、適当な時機におきまして、証人喚問その他の虚僞を言い得ない状態におきまして、この問題の内容を審議されんことを特に希望申上げます。
  203. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 佐々木君の発言に関連して私から聞きますが、今新井章治君と新木君の名前が出ましたが、新井君を会長にあなたがたがお考えになつたときには人事は変更できないというお答えであつたという答弁があつたようです。で新木氏を……。
  204. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それはさようには答弁いたしません。
  205. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記録を見ればわかります。で新木氏を会長にされましたときには、人事問題についてお話合いになつて新井さんが会長になられる当時考えておられた関東の電力会社重役になる人たちと、新木さんが引受けられることを承諾される場合に、役員の変更があつておりますか、おりませんか。この点を一つ
  206. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) ちよつと私から御答弁いたします。今のお話は私自身にとつて考えますと、いささかも虚僞答弁などいたしておらないつもりであります。従つて今の御説明は一応の推論としては成立ちますが、非常に前段において疑惑を持つた内在意識においての御推論だと私は申したい。ここで少しはつきりしたことをいささか証明になるかと思いますので……。新木さんは最初非常に懇請したに対してなかなか承知をされません。それから同時に自分としては、どういう……会長というようなことに対してはまるきり虚僞を言うのでは自分責任は持てない、こういうようなお話でありました。そこで場合によつて社長でもいいというようなお話があつたということを申上げたらば、その間どういう程度に新木さんの人事に関することがどの秘度に入つてつたかはおわかりだろうと思います。その後新木さんはどこかの機会において御答弁があつたと思いますが、友人などからいろいろ慫慂されて、曾つては君が主力であるのにかような社長として引受けることはいささかどうかと思う、むしろ会長として引受けられ、当時会長には人事権があつて、決して浮いたのではないんだということを御説明申上げたのであります。そこでそれらについてこの人事をさてどうするかという御相談に入つた、こういうことでありまして、必ずしもこちらが予定しておつてただ乗つてくれというようなことで、新木さん自身がかように軽卒にお動きになるような人ではございません、その辺を御承知願います。
  207. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今のあなたのお話を聞いておると、新木さんは会長でも社長でもよろしいと言われたから人事問題を話したんだというふうにも受取れるのですが……。
  208. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) そうではありません。そのときは、私の言葉が足りなかつたのでありますが、そうではございません。会長を御慫慂したときに、会長のごとき浮いたものは困るというお話があつて会長が浮いておらんと言われるなら私は一層私は社長をやつてもいいつもりだというお話があつた。その後に新木さん自身の御心境が変つて、これの日発社長との行き違いがあつて社長会長の問題はその辺にいわくがあつたということは、私は衆議院の予算委員会で御答弁申上げましたが……。
  209. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私が聞いておりますのは、新井さんを会長に予定しておつた場合の東京電力会社の役員の人事が新木さんを会長に予定され、或いは社長に予定されたか知りませんが、その場合に変更になつておりますかどうかということをお尋ねしております。
  210. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それはそういう意味にはまだ確定しておりません、何も。それから後に人事を……。
  211. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私からも……。
  212. 西田隆男

    委員長西田隆男君) あなた方が予定されておつた人事が変つておるかどうかということですよ。何にも予定されておりませんですか。
  213. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それは公益委員会のほうでは御協議が済んでからですけれども、勿論新木さんには変つております。
  214. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 変つておりますというのは、そこが問題になる点なんです。
  215. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 新らしく人が入つたということです。
  216. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 新らしく人が入つてつても、変更になつてつてもこの点が問題になるわけです。佐々木君が今言つておるのは、新井さんの場合には何でそうしないで置いて、新木さんには話して置いたかという結果から見ての……。
  217. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 御質問になつているのは、それから後に新木さんのことが出発しておる。
  218. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それならば、松田事務総長に聞きますが、そういうふうな問題が委員個々の間の考えであつたのか、或いは委員会において五人の委員出席してそういうことを取上げておつたのか、議事録がないとわからん。
  219. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それはサウンデイングしておる期間でありましたから、協議決定事項になる……。
  220. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 人事を決定する場合には委員会にかけられるのですか。
  221. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 決定するときはかけます。
  222. 西田隆男

    委員長西田隆男君) その点はその程度にして置きます。  それからもう一つ、佐々木君の質問に関連して聞きます。これは大きな問題ですから愼重にお答え願いたい。松永委員並びに宮原委員から本委員会において、人事問題については十分考慮いたします、なお人を介して了解を求められておるのか、了解工作をしているか、どう言われたか知らんが、いずれ了解を求めるという発言でありまして、これは非常に重大な発言でありまして、この基本的な考え方が公益事業委員会で三月一日に仮指令案として決定発表したことを了解を求めておられるのか、或いは当委員会、或いは衆議院の通産委員会並びに聽聞会等において聞かれたことを多少なりとも汲み入れることに了解を求められておるのか、このいずれの了解を人を介して求められておるかという点について一つまじめな気持で御答弁をお願いいたします。
  223. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) もとより衆議院の通産委員会の御意見等も承わり、ここの御意見等も承わり、又いろいろ談じ盡さなかつたために遺憾の点が個人々々の間にあります。それから又先刻申したように、公聽会の陳情、或いは賛否に鑑みましても考慮する点がだんだん出て参りました。松本委員長が前に言われましたように、できるだけ一寸でも前進していいほうに対処して行きたいということのために努力をいたしている次第であります。
  224. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねてお伺いいたします。今前進して行くという言葉がありましたが、非常に不明確な言葉なんで、この前進とは、あなた方が発表された案を当然この前進とお考えになつておるとも考えられます。私が質問いたしておりますのは、要するにあなた方が三月一日に決定発表された案について了解工作をしておられるのか、或いは新らしい観点から何らかそれに修正を加えるというのでは、御答弁ができかねるかわかりませんが、新らしい観点からあなた方がお考えになつている点について了解工作を求められておられるのか。
  225. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 簡單に言葉の点について申上げます。前進という意味は改善という意味に御了解を願います。
  226. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 改善、私はそういう答弁を求めておりません。あなた方が三月一日に仮指令案として決定発表された案を実行するために了解工作をしておられるのか、或いはそうでなく新たな観点において了解工作をしておられるのか、このどつちかを御答弁願いたいと思います。
  227. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) もとより三月一日に決定しましたことについてそれの改善に努力しているという意味であります。
  228. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 改善ということでなくて、もつとはつきり……では御答弁がしにくいと思うから私は抽象的な言葉を使つているんです。でははつきり申上げます。三月一日に仮指令案として決定発表された内容をそのまま実行に移すべく、移すために了解工作を行われているのか、或いはそれを変更しても差支えないという観点に立つて了解工作をしておられるのか、このいずれかということです。
  229. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 簡單にお答えします。程度の問題でありますが、根本の改良をする、或いは根本の修正を加えるという考えはありません。
  230. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねてお伺いいたします。今根本の修正をする意思はないという御答弁がありましたが、人事問題に関する仮指令案の決定の根本はどこにあるか、もう一回御答弁願います。どれを根本というか。
  231. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私どもの、三月一日に人事について決定しましたことについて、この前時間がないため、或いは雪の故障のため、或いは両者、即ち旧配電会社日発との間の協力が不十分であつたため、率直に三月一日の仮指令というものが、松本委員長の言葉を借りれば、甚だ不本意であつたというのであります。私は個々の質問に答えて、不出来と申上げる次第でありますので、その不出来な点は、不本意な点が時間の間にでき得られるだけ改善するについてあらゆる努力をしておりますので、三月一日の問題を、程度でありますけれども、それを大幅に修正するとか、改良をするとかということにはならずに、相当この再編成の目的を達せられることと信じております。
  232. 西田隆男

    委員長西田隆男君) もう少し具体的に、それでは御答弁をしにくいかと思いますので具体的にお尋ねいたします。今のあなたの根本的という問題に関連してですが、それではあなた方が現在お考えになつていること、了解工作を進めておられることは、役員の日発並びに配電及び第三者との、あの比率の問題を変えるというようなこともお考えになつているのか、或いはあなた方が言われる、いわゆる新聞力会社の中心人物というものにまでも何らか考慮を加えるという意味において、了解を求めておるのか。この二つの点について御答弁願います。
  233. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 一のお尋ねについて、比率の問題について考慮を加えておりません。それから第二の問題についてその議論のある個々の人事について適当なる修正をすべき必要がありと思うものは、その限度について日発当局と、或いは委員長みずから、或いは人を介してやつておられます。これはまあ委員長ばかりでなく、他の委員のかたもそれぞれ自分の信ずるところにおいてサウンデングしておられます。又委員会でこうしようという決定は何らありません。
  234. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 大分はつきりして来ましたので人事問題は時間の関係もありますし、この程度でとどめまして、次に株式比率の問題に関しまして専門家の立場から特に次の諸点について御証言を願いたいと思います。
  235. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 議事進行について。さつき私の申上げた希望は適当のときにお考え願えるでしようか。或いはこれは委員会で決定しなければなりませんから……、委員長やはりお考えになつておりますか。
  236. 西田隆男

    委員長西田隆男君) あとでお諮りして決定いたします。  株式問題に関しましては第一番に簿価基準は妥当であるかどうか。これは株価の基準は簿価基準が妥当であるか、再評価基準が妥当であるか。第二は貯蔵品の讓渡価額は時価によるべきか簿価によるべきか、こういう問題について証人証言を求めます。先ず第一に中央大学教授太田哲三君に御発言を願います。  それからちよつと委員諸君にお諮りしますが、人事関係の証人として見えておりますかたは御老人が多いようで、随分永くなつておりますので、株式の問題に入りますから、御退席を願いたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは人事問題に関する証人のかたがたは御希望に応じて退席しても結構でございますから。
  238. 太田哲三

    証人太田哲三君) 今御質問に預りました。お答えをいたしますけれども、私の証言は事実のあるなし、事実の証言ではなくて、私の意見を申上げるのでございますから、どうかその意味合においてお聽取りをお願いいたします。
  239. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 承知いたしました。
  240. 太田哲三

    証人太田哲三君) それでもう一度確かめるわけでございますが、三つございましたように思いましたが、それは第一は何でございましたか。
  241. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それは今度の配電と日発の合併と言つてはおかしいですが、再編成が行われます際に、すべてのものが簿価価格によつて、それを基準にして行われる、それが妥当であるかどうかという問題。その次は……。
  242. 太田哲三

    証人太田哲三君) それでよろしうございますが、第一は簿価が適当であるかどうか。第二は……。
  243. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 株価を基準にして株式の処理をせんとしているが、これは妥当かどうか。それから再評価の基準がいろいろ論じられているが、これは公益事業委員会と言えば語弊がありますが、日発、配電でもいいですが、それの考えておるような基準でよろしいのかという問題、その点は貯蔵品、清算費用その他に充当するために再評価をしているようですが、この讓渡価格は時価によるべきか、或いは簿価によるべきかというこの問題について……。
  244. 太田哲三

    証人太田哲三君) 委員長からもお話がございましたが、今度の合併ということはちよつと妙でございますが、非常に複雑した場合でございまして、これは私ども数回企業評価の問題にタッチいたしましたが、かなり特例であると考えております。  そこでお答えいたしますが、第一の簿価によつて合併比率と申しますか、株の割当をきめるというその基準に、両会社或いは九つの会社でございますか、簿価によつて合併するということは最も不合理な方法だと考えます。結論だけ先に申上げまして、理由はあとから申上げます。第二は株価を標準として割当をきめる、これも非常に不合理でありまして、従来そういうことはやつたことがございません。  第三は、再評価基準というのがやや実際に近いものではないか、こういうふうに考えます。  第四番目の、貯蔵品を、若し別個に計算して讓渡しをするならば、当然時価を以て讓渡さなければならんものであると、こう考えます。それが結論でございます。  その理由を若干申上げまして、なお御質問でもございますればそれにお答えしたいと、こう考えるのであります。  第一、簿価を用いて困ると申しまするのは、いろいろございまするが、第一各会社の簿価というものが、果して正当な簿価であるかどうかということについて深い研究をしなければならんということが一つございます。第二に、日発も配電も元電力会社であつたものが、分割して合併されたものでございますが、そのときの評価基準が、当時私も評価委員をやつておりましたが、評価基準が日発と配電会社とは違つておるのでありまして、違つた評価基準を基礎にして簿価の根本ができておるのであります。大体その後非常なインフレを来たしましたので、その後の追加の金額はよほど残つておるようでありますが、実態から申しますると、恐らくは六割乃至七割ぐらいはその昔の簿価のものが存在しておるのではないかと思うのでありますが、それが違つた基準によつて評価されて引継がれておるものを、今それなりに簿価のままで合併するということは、何かトリックのような、ひどい言葉で言えばちよつとペテンのような感じがするのでありまして、これは全く両者を改めて、同じ基礎の下に評価をし直さなければならんものだと考えるのであります。それから第三には、簿価は古いものは、先ほど申上げたような出資価格にきめられたのでございますが、その後にいわゆる増設されたものは、インフレ時代の非常に高い建設費になつておるのでありまして、その内容は非常に乱れております。それであればこそ先般も特別な法律を以ちまして、固定資産の再評価を全国に亘つて敢行したゆえんでありまして、それを無視して、今非常に古い、内容がまちまちである簿価を以て、評価基準にするということは、これは全く天下の笑いものであります。こんなことを強行するということは、甚だ意を得ないところと考えるのであります。第四番目は、これはこの前合併をいたしましたときも、評価委局員といたしましては建設費を相当重要に考えましたが、その際は建設費の内容を、個々の会社について研究いたしましたのであります。で、これは会社によりまして非常に放漫な会社もあるし、或いは非常に堅実な会社もある、而も日発というような、発電系統と配電系統とは状態も違つております。この場合に堅実に会計をやつたものが簿価によつて損をする、又それに応ずる多数の株主が損をするということは、これは国家全体の投資家階級の点から言つても、甚だ不当なことになるのではないか、いわゆる正直者が馬鹿を見るということを如実に現わすことは甚だ遺憾である、そういう点を以ちまして、簿価を用いることは絶対に反対であります。  第二に、採価の問題でありますが、採価というものは、これは企業評価としては最も適当なものだと言われておりますけれども、採価自身の性質が甚だ不安定のものでございまして、正確に会社の実際の客観価値を現わしていないのであります。いわば仕手関係と申しますか、仕手関係により、又は浮動株の売買されておる株の多少にもよりますけれども、これは必ずしも標準にならんと私は思うのであります。実際問題といたしまして、会社を支配するために株式を買おうというような場合になりますると、いわゆる市場価額の数倍に上つた実例を私ども持つておるのでありまして、曾つて東洋ソーダを三井化学が買いますときに、株で買いましたときに、時価四十円の株を七十円で買収をいたしました。それから東邦化学というものを三菱系の或る会社が買収いたしましたときも、時価七十円の相場であつたものを百五十円くらいの單価で買つておるのでありましてこの買収価額は大体実体価額に近いものであります。決して株の市場価額によるものではないと思うのであります。そういう事情からいたしまして、株価によつて標準を付けるということは非常に危險である。従来たびたび私ども評価委員をいたしましたが、株価は参考にはいたしますが、これを基準にし九例は未だないのであります。それから従つてこういう場合はどういう評価がいいかということになつて、私の積極論を申上げなければならんわけでありますが、それは御質問事項ではありませんので差控えまして、再評価額を基準にするということは、これは一番私どもの考えておる実体価値を基準にするというものに近いのでありまして、この三者の中では最も妥当な方法である。併しながらこれは飽くまでも再評価基準ということは、過大資本化をするという意味ではありませんで、これは株価割当の基準にいたしたい、そういうふうに考えておるのであります。これはもつと詳しく議論を申上げますれば、今度の合併は、日発自分の資産を投げ出す、ところがそれを従来配電会社として独立しておつたものが分け取りをするのでありまして、これは簿価で以て分け取りするということになりますれば、非常に変な問題になりますので、その点から見ましても、この実際の価額、時価、それを計算することができなければ、再評価を基準の一つに加えまして、それを適当に妥当な修正を加えたものを標準にしたことが、一番合理的ではないか、さよう考えるのであります。  それから第四に貯蔵品でございますが、今度のような場合に、貯蔵品を付けて合併をするという場合と、貯蔵品は全然外して、これは買取りの形式にする、二つのケースに私どもは際会しておるのでありますが、これを外して讓渡するというような場合は、殆んど例外なく時価を以て讓渡しておるのでありまして、これを原価によるということは、今まで聞いたことがないのでありまして、これは時価によるべきものであるということを信じておる次第であります。以上を以て私の意見の要旨だけ申上げたのでございます。
  245. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次に同一問題について、西川義朗君の発言を求めます。一橋大学助教授西川義朗君。
  246. 西川義朗

    証人西川義朗君) 私も自分意見として述べさせて頂きたいと思います。先ず最初に結論を申上げます。  第一の簿価を基準とするのが正しいかどうか。正しくないと思います。第二の株価も同様であります。  それから第三の再評価これが若しこの三者しか考えないとするならば、これが最も妥当と考えます。ほかにないとは申しませんが、若しこの三者のうちどれかを選ぶというならば、再評価がとらるべきである、こう思います。それから第四の貯蔵品は、これはもう当然時価であつて然るべきだと思います。  その理由を簡單に申上げます。第一の簿価を基準とすることが正しくないという理由は、今太田先生からお話がありましたから、これ以上詳しく言う必要もないと思いますけれども、この問題が再編成の問題である、即ちそれは事業が一旦切れて、そうして新らしく事業ができ上る、こういう場合の評価であります。いわゆる評価にも、決算のための評価というのと、それからこういつた特殊な場合の評価というのとがありますが、その場合には、両方分けて我々は考えているのであります。そうして事業が切れる場合にはそのときの事業の既存の投資価値を測定して、そうしてその上で新らしい事業を作る場合ならば、新らしい事業にこれを、再投資する、そのときには再投資のその価額をどうするかということは別問題といたしまして、一応既存の投資価値を測定しなければならないという問題があるわけであります。その場合の基準といたしましては、簿価を基準にするということは、ナンセンスであります。その理由は今太田先生のおつしやつた通りでありまして、ナンセンスであります。時点を切つた以上は、そのときの時価によつて評価すべきが、最も客観的に妥当であると思います。  それから第二の株価でありますが、株価は、これも今太田先生がおつしやつた通りでありますが、特に実際問題として考えて見ますのに、日発の場合を考えて見ますのに、日発が解体されるということになれば、株価は当然下ります。当然下る。解体されるのに期待はないわけでありますから下ります。ですからこの株価を最近のものに求めるとするならば、それは自発の株主に非常に不利な條件を強制することになると思います。こういう理由を一点だけ附加えて置きます。  それから第三の再評価が最も望ましいという理由は、今第一の理由お話いたしましたときに申上げた通りであります。なお話は前後いたしますが、今私は日発の株主が不利な條件を強制せられるということを申しましたが、この再編成に当つてとられなければならない原則として特に強調しなければならない点は、再編成せられる会社、これが一つの場合ならば、こういう問題は考えなくてもいい。ところが幾つかの会社が再編成せられる場合には、それぞれの会社の株主の利害というものが公平に裁定されなければならないと思います。それは私はまだこの電気事業編成令を細かくは検討いたしておりませんけれども、例えば第四條の第四項に、「公益事業委員会は、前二項の規定により提出された意見に基き、株式の引受の比率を適正且つ公事に定めなければならない。」ということをこの第四條に謳つております。この適正且つ公平、アメリカの公益事業ではこれをフエア・ヴアリュー・プリンシプルと言つておりますが、これは具体的に言うならば、それは利害が公平に裁定されるということを言つておるというふうに我々は理解いたしております。ですからその意味で若しこの株式の引受比率に不公平があるというならば、それは誤まつたことであると思います。なお御質問があれば私の今の意見に対して裏付をほかのほうからでもいたしたいと思います。
  247. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今第二人の証言が終りました。証言に関連して御質問があれば逐次御発言を願います。
  248. 小川久義

    ○小川久義君 只今のお三人の証言は我々が考えておる通りでありまして公益事業委員会のほうのお考えが、今まで立てられたそれに対して善処するという約束がされておるのですが、かような証言に対しての考え方を承わりたい。
  249. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 何か御意見がありますか。
  250. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 別に……、私どもは申上げたいことはいろいろありますけれども、幸い中川経理部長が参つておりますから、根本のことを少し、委員会のとつた方針と違つたことだけを御説明申上げさせたいと思います。どうぞ暫らくお聞き願います。
  251. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その前にちよつと証人に私三、三質問したいと思います。
  252. 西田隆男

    委員長西田隆男君) どうぞ。
  253. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今太田さん、並びに西川さんの御証言は、非常にゼネラルなかつこうで御証言を願つたわけで、従いまして少くとも日発、配電共に今度同時に解散をして新会社を設立するわけでありますから、これはプラス・アルフアーの問題、日本発送電の株主が不利益をこうむりますることに対して救済としてのプラス・アルフアーの問題は別といたしまして、原則的だ日発、配電双方の株主の利益のことを考えます場合には、配電のほうのやはり新会社への讓渡の価値というものは、同様に再評価の問題を基準にして行わなければならん、こう思うのでございますが、この点は如何お考えになつておるのか。  それから第二点といたしまして、公益事業委員会は、公益事業委員会の方針を以ちまして、すでに皆さん方が御承知のような方法で合併比率をきめて、株式の割当をせられようとしておりますが、この中で一番問題になるのは私端株の問題であろうと思います。で端株の問題はプラス・アルフアーが問題になるのではなくして、いやこれも重要な問題でありましようが、更に重要なことは、会社の解散の場合に簿価に等しい五十円という金額を以ちまして、日発並びに配電会社の全株主に現金で還附するということは、これは非常な財産上の侵害であろうと私は思うのであります。少くとも端株だけでも時価で以て還附しなければ、これは投資家として権利を失つて行く株主に対して非常な問題であろうと思うのでありますが、この点如何お考えになりますか。伺いたいと思います。
  254. 太田哲三

    証人太田哲三君) お答えいたします。  先ず第一の点でございますが、日発と配電とを両方とも時価に近いものを査定いたしまして、それで比率をきめるというだけでございまして、その再評価をいたしますれば、莫大な大きなものになりますが、それをそんなに資本金にするという意味ではございません。それを圧縮いたしまして、それに適当の圧縮をする。この例は前にも日鉄の場合にもございました。時価に近いもので合併をいたしまして、それを一割か、二割圧縮いたしましたが、今度はもつと大幅に圧縮いたしましてもですな……ただこれは株主の利害関係を調節するためには、両方とも時価を基準にして比較をしなけりやならん、こういう意味合でございます。  それから第二の端株の問題でございますが、これは非常に私は重大だと考えております。これは殊に重大だと考えますのは同じ問題は配電会社のほうにもありまするし、自発のほうにも生ずると思います。と申しますのは、今度の新発足する会社は、株式額面が五百円になるように伺つておりますが、そういたしますと、十株以下の人はたとえ配電のほうでもやはり端株になるわけでございますが、更に日発になりますると、これを九つですか、八つですか、の会社に分けなきやならんことになりますから、端株が非常に殖えることになるのではないかと思います。それでこの端株に対して額面で償還するというようなことは、これはまあ先ほど質問されたかたからもお話がありましたように、株主権の重大な侵害になるのではないか、こういうふうに考えます。而もこれは多数の小株主の権利を侵害する問題になりまして、社会問題にもなることであるし、又将来授権資本制をこれから発達さして行くという場合に、こういう事例を残すということは甚だ遺憾なことと思います。それで曾つて再建整備法によりまして第二会社を作りましたような場合におきましても、かくのごとき失権するような株主に対しましては、新らしい会社の株の引受権を持たせるというようなこともあつたやに記憶しておりますが、何らかこれはただ金を返せばいい、額面だけ返せばいいというような観念は払拭しなければいかんものではないかと考えております。而も日発の株主の多数は、いわゆる投資株として現在の配当よりも将来の含みを考えて、そうしてその株を長く持つてつていたものでありますから、これを今の株価で額面だけ返せばいい、それは余りに経営者として得手勝手な立場を言つているのではないか、こういうふうに考えておるのであります。それで私として一つの案を若し申上げてもいいというお許しを……。よろしうございますか。
  255. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ええ、結構です。
  256. 太田哲三

    証人太田哲三君) 頂きますれば、何も五百円の株にいたしませんで、五十円の株にいたしたらどうであろうか、そうして合併、再編成ができましたあとで再評価をどうせいたしますから、その場合に株数を増加することなしに株式の額面を引上げるということにして、新商法の精神による五百円、又は千円の額面に引上げることは容易にできるのでありまして、今度の再編成では五十円の株式で以て再編成する、そうすることによつて端数株をできるだけ減らす、少くするということが株主権を擁護する上に非常に肝要なことではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  257. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 西川さんに一点だけお伺いしたいと思います。今年の企業会計という雑誌の三月号に「公益事業編成経理問題」という論文をお書きになつておりますが、その中に言われておることは、今も言われたことと御意見は変りないと存ずるのであります。その中で今言われたと同じ意味でこういう言葉を使つておられます。再編成根本問題たる既存の投資価値測定については、分割評価法が妥当であつて云々、という言葉が言われておると思います。この意味は、今度のような場合に一般論でなくて具体的なやつに当てはめて見ますと、この分割評価法というのを現在可能な分割評価法というふうに焼き直して見ますと、最初自発から主張しておつたところの、プラス・アルフアー云々の問題じやなくて、最初日発から主張しておつた実体価値の計算についての再評価方法、つまり再評価方法、つまり再評価法による再評価を基準として云々ということ、これと合致するのじやないかと思いますが、そういうふうに解してよろしうございますか。
  258. 西川義朗

    証人西川義朗君) 趣旨において合致いたしております。
  259. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 そういたしますと……。
  260. 西川義朗

    証人西川義朗君) ちよつと補足して置きたいと思いますが……。
  261. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 現在可能な方法としてとられる場合には今のような方法が一番妥当と、こういうふうに考えてよろしうございますか。
  262. 西川義朗

    証人西川義朗君) 今の、分割評価法のことを書きましたことにつきまして御質問がございましたが、分割評価法は、ここで私の分割評価法云々ということを書きましたのは、アメリカで戰後とられたところの公益事業における評価の方法であります。それは戰前と戰後の物価の開きを訂正する、そういう目的でこの方法がとられたのであります。つまり価値の尺度が非常に違つておる、その尺度の遅いを是正するためにとられたところの方法でありまして、その意味でこの再評価を行うというのは、同じくやはり価値の尺度の修正である。その意味において同じ趣旨だ、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  263. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 わかりました。それで先ほどの小川君の質問に関連すると思いますが、松永委員に併せて聞いて置きたいと思いますがよろしうございますか。
  264. 西田隆男

    委員長西田隆男君) どうぞ。
  265. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 只今太田西川両先生の御証言によりますと、簿価主義というのは最も工合が悪いし、株価を基準にするというのはこれは非常にむしろ不合理であるということが非常にはつきりと言われていると思います。それであるにもかかわらず、今度公益事業委員会で一番、非常に不合理であるという方法が私は非常に簡單にとられておるのじやないかと思いますが、非常に勇敢にこういう方法がとられたことについて、特段の何か理由があるのかどうか。特に私は伊藤委員の三月五日の本委員会におきまする発言の中でこういうことを言われておる。いわゆる簿価主義を以て合併するということが今度の、與えられました我々の任務の基礎でありますから云々、つまりこれはもう絶対動かすべからざるものだというふうな印象を與えられる発電がおつたと思います。それに対してと言いますか、こういうことが言われておるのに対して、而もこの前の委員会におきまして、何とかという日発株主の代表の人の言われた話の中に、関係当局の話が非常に細かくあのときに説明されておりまして、この伊藤委員の言われておる意味の裏が、何だかその辺の力が與つておるような印象を正面から否定しておる。つまり関係当局と面会されての話として正面から否定されておるような発言があつたと思います。そういうふうな状況であるにもかかわらず、非常に勇敢に一対一の簿価主義というのが行われた理由がどうしても私に納得が行かないのでありますが、一体これはどういう理由で、つまり相当詳しい検討がなされてやられたのかどうか、先ほどの小川君の御質問に併せて御答弁を願いたいと思います。
  266. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 繰返して同じようなことを言うようになるか知れませんが、委員会におきましては一月八日に出発して二月八日までの間、約三十日の間に人事の交流につきまして、或いは両社の解体後この財産の交換比率について十分なる討議を両方でするように、両社のほうにお願いしました。両社ではそれぞれ御交渉になつておるのであります。経理につきましてはそのほかプラス・アルファーの問題とか、解散費用の問題とかいうことが多々ありますので、両社で相当御研究になりました。ただこれによつて裁定をしたとか或いは御仲裁したとか言い逃れをするわけではありませんか、大体この問題は、遂に日発及び配電両社とも大体その比率については御一致を見まして、プラス・アルフアーについては多少の御了解残りがありましたけれども、遂にこれを十円と裁定する止むを得ないことになつたのは御承知通りです。そこでどういうわけで委員会も大体それでよかろうと思つたのか、或いは最初からさような指示方針を持つてつたかということにつきましては、相当研究をいたしたつもりでありまするから、その点について中川君からちよつと説明をしてもらいます。
  267. 中川哲郎

    ○政府委員(中川哲郎君) それでは委員会考えた点につきまして申上げたいと思います。  先ほど来太田先生、西川先生から御意見を伺つたのでございます。私ども評価の理論といたしまして当然さようなことが筋合であろうと一応は考えております。現実の評価の問題に当りまして、委員会といたしましても事務局におきましてこの点十分検討をいたしたつもりでございます。  第一点といたしまして、簿価というものを原則にしました再編計画を委員会で承認いたしておるわけでございますが、これにつきまして若干申上げたいと存じます。設備の統合に際しまして、個別に既存設備の実質的な価値を検討するということは当然でございまして、できますれば精細にこういう点を検討することが一番妥当であるという点につきましては、私どもも勿論そうであろうとかように存じております。ただ実際問題といたしまして、電気事業は過去一回乃至二回に亘りまして相当な統合をいたして参つております。この際はいずれも適当な評価基準を設けまして、当時の出資価格というものを決定いたしたわけでございまして、一先ずそこで建設費の整理ということが一応いたされておるわけでございます。尤も先ほどお話のございましたような、或る程度の当時の配電部門の統合、或いは日発の送電部門の統合というような点におきまして、評価の基準に差異がございましたが、一応その当時のそれぞれの基準によつて評価決定を見たわけでございまして、爾後数年に亘りましてこの評価額を基準にして電気料金の原価計算等も行われて来たわけであります。それで電気事業が現在のように相当な規模に拡大して参つて、設備も古いものから新らしいものまで非常に殖えて参つたわけでございます。日発や配電のできます以前の、全国に数百という会社がありました当時、且つ又電気の供給もお互いに重複、或いは不行届きもございまして、競争が行われました当時におきましては実質的な資産の価値というものによつてその間の原価の高低を直し、それに適応したものが與えられるということが本筋でございまして、勢いさような場合の統合につきましては、決定いたしました実質価値を見るというようなのが至当だろうと存じますが、さような状態からいたしまして、まあ戰後非常に電力の供給力が減つて参りますし、且つ又現在の企業体におきましては、発送電部門という全国を一つの部門にいたしましたものと、九ブロックの配電部門と、こういうような設備を上下に分けましたような態勢に編成替えをいたして今日に至つたわけでございます。その上この間の收益というものにつきましては、いずれもそれぞれの建設費を中心にいたしまして、原価計算はされますが、更にこれを全体のプール計算によりまして、その間の收益の調整を行なつてつたという点からいたしますれば、收益力の点においても実質的には現在の価値においては差がないというのが結果的には出て参つて来ております。かような意味合におきまして大局的には現在の簿価並びにその收益力という点から見まして、株式比率の大体の見当は一対一で、現状に即した見当からいたしますれば、そう大きな誤差はないのではないか、こういうことが一つのまあ意見でございました。  それから再評価の理論につきましては、勿論現在再評価法が施行になつておりまして、電気事業もこれを受入れる態勢にございますので、日発側から出ました意見につきましても、一応検討を盡したわけでございます。実質価値が再評価によりまして、一応の尺度として適用されるという点につきましては、私どもも十分納得できるわけでございまするが、電気事業のまあ実態からいたしまして、この再評価の、再評価法によつて各発送電部門並びに配電部門の收益力の裏付ができるかという点につきましては、私ども現在の状態、現在のまあ電気料金のあり方、それに再評価の如何が直ちに国民の一般の最終の電気料金にも結び付くという意味合からいたしますると、相当この点については疑問がなきを得ない、かように感じたわけでございます。と申しますのは、再評価をいたすことによりまして、倍率は違い、且つその資産の評価額も日発、配電部門でそれぞれ差異がございまして、日発側の御意見によれば、配電一に対して日発の再評価の場合の限度額の比率は一・五四になるという、かような議論がせられておつたわけでございます。この点につきまして收益力の点から再評価の実質価値を見るという点におきまして、適切にこれを見まするならば、将来資本がその再評価の限度額に応じまして、資本の組入れができるというような点を考慮いたしますれば、むしろ資本が持ち得るべき現在についての倍率を見るほうが適当であろうという見地からいたしまするというと、配電一に対して日発の二・四乃至五という数になりまして、これは前回の日発株主から当委員会において意見の開陳がございました点でございます。でかような意味合で再評価額というものを考慮に入れまする場合に、資本の倍率がさように違うという前提を考えまする際、私どもとしてはやはりこれは既存の正気事業がつぶされて、新らしくでき上るということについては、相違はございませんが、同時に現在運営しております電気事業がそのままの形で国民と結び付いて運営されるという点に結び付きますると再評価額が直ちに資本の増加と結び付く、再評価によりまして、いわば資本の実体価値によりまして、株主の将来の利益が約束せられるという点につきましては、相当な問題があるのではないか、例えば、再評価の倍率自身も現在まだ未決定で勿論ございます。再評価は実施されておりませんから未決定でございますが、更にそれを資本との結び付きを見まするためには、資本に組入れが可能であるかどうかという点につきまして、先ほど申しましたような意味合で電気料金のあり方という点からして、相当この点については検討を要するのではないか。又日発の送配電部門とこの資本の組入れの差異も必ずしも同一であるということも保証できないのではないか。その意味合におきましては、例えば、日発というものは、さような発送電部門一般を運営いたしておりますが、再評価の限度額と資本との関係におきましては、何故、配電とさような差が出ておるかという点の一つとして、日発の社債の発行限度が三倍であり、配電は二倍である。或いは又、戰時中にいろいろな復金の融資その他によつて設備の拡充をせられた点もございまして、株主の利益とそれがすぐ結び付くものであるかどうかという点につきましても、研究を要するファクターがあると存じます。さようなことを考えますると、再評価の限度額につきまして收益力を認定するという点につきましては、非常なまだ未確定なファクターが多いのでございます。これが当事者間の話合いによりまして、再評価を一つのべースにして、引受比率をきめるということがまとまりますれば、別でございますが、まとまらん場合の方法といたしまして、かような不確定な收益力の問題を一応取上げまして、まあ委員会の案といたしまするにはまだこういう点については十分な実現性においての保証がない。かように考慮いたしたわけでございます。さような意味合におきまして、再評価の基準をそのまま今回の株式の引受比率にしても、これをとつて以てそれの基準とするという点については、委員会といたしましては、留保いたしたわけでございます。なお貯蔵品等につきましても時価を以てという話がございましたが、理論的にはさようなことだと思いますが、これ又、電気料金とあらゆる意味におきまして結び付く問題でありまして、現実の問題といたしましては、やはり簿価というものが貯蔵品につきましても、原則的には電気事業の簿価の場合、而も継続的な事業としてこれを運営させて行くためには、妥当なのではないかというふうに考慮いたしたのでございます。一応プラス・アルフアーの問題に関連いたしまして、これの評価増し等を最小限度におきまして承認しておりますが、これは例外的な扱いとして、さような扱いを止むを得ずいたしたのでございます。まあ委員会側といたしまして、一応この引受比率の問題にからみまして、考慮いたした点を申上げた次第であります。
  268. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 中川さんから今詳しい御説明を承わりましたけれども、大体内容的には、相当無理した説明で、余りポイントはないと思います。第一に、そう大した誤差はないと言われますが、そのあとで中川さん自身が認められましたように、今の再評価法を基準にした評価で行くならば、資産で一と一・七四、株にした場合は一と二・四五、これは相当な誤差ですよ。相当でかい誤差だと思う。(笑声)  それからその次に再評価法を基準とした場合には、電気料金のあり方を云云と言われますけれども、私はこれは、実質的には、詭弁だと思います。電気料金のあり方に直接響く何ものもない。三月五日の当委員会における伊藤委員の説明を読んで見ますと、あの説明は全然むちやくちやであつて、再評価基準によつて比率をきめるという問題と実際の再評価する問題とこれをごちやごちやに説明しておる。聞くほうでも、いい加減むちやくちやな話だと思つて聞いておれば、いいことにして、実際に比率をきめる内容の問題と、実際に再評価すれば数十倍に料金が上がるということを一緒に述べられるということは、余りにも不謹愼だと私は思う。それから今のもう一つ貯蔵品の問題につきましても、貯蔵品をそのまま時価で評価すれば或る程度料金に響くということは考えられますが、この場合におきましても、料金の問題とは僕は別個だと思う。若しそれが考えられるならばですよ、こんなにむちやくちやに、例えばそのときに必要な金何十億というものを、この貯蔵品のほうから生み出すということは、どこからも出て来ないと思う。そういう意味におきまして、まあ中川経理部長を責めるわけじやないので、相当無理な説明を要求せられておるのだろうと、むしろ御同情をいたすわけでありますが、従つて元の委員のほうに話を戻したいと思いますが、今言われたように、その内容について見ましてもこれは相当むちやくちやです。相当無理だ。そうして斯界の権威と目される太田先生その他からもはつきりとこれは天下の笑いものだとさえ言われる証言があるわけです。それにもかかわらず、先ほど何か話合いしたとか何とか言われますけれども、この早急な期間で、十分な検討がなされていないことは火を見るよりも明らかです。それが証拠には、若し十分な検討があるならば、その間の経緯及び計算或いはその他の方法は、もつと一般に知らされなければならなかつたのにもかかわらず、全然外には出ない。国家総動員的な方法で行つたがために、今公益委員会委員長であるところの松本委員長自身が真正面から反対された日発を作るときのあめ段階、サーベルががちやついてというあのときの段階でさえも、この再評価の問題につきましては、法律で明示した方法をとるために、非常に詳しい論議が行われて、この議会で非常に詳しく論議され、議論を鬪わされたことを御承知だと思います。それであるのにもかかわらず、天下の笑いごとだと言われるような問題が、全然こう闇雲みたいなことにきめられて行く。私はその理由がどうしても納得が行かない。特に今電気事業のあり方云云と言われましたけれども、この評価の問題の処理が、私どもは問題はないはずと思うのです。飽くまでこれは株主の利益を平等に守るか守らないかのことであるはずです。これ以外に料金問題はあろうはずはない。料金問題は、これは政府が決定するのです。だからその問題とは安全に別個です。それをそういうふうに言い逃れるのはおかしい。或るところで松永委員が、一対一で決定されない、つまり簿価でやられない、そういうことであるならば、何のために再編成をやつたかわからんという暴言を吐かれたことも漏れ承わつておる。恐らく否定されるでありましようけれども、その辺になりますというと、私はこのような決定がされることについて、非常に大きな疑惑を感ぜざるを得ないのです。これは理窟で云々ということではない、理窟を超越した、私はこの背景、背後にあるものの疑惑を相当強く感ぜざるを得ない。特に先ほど申上げましたように、三月五日の委員会におきまして、伊藤委員が言われておるところの、これはもう簿価を以て合併するということが、今度與えられました我々の任務の基礎でありまして云々というような言い方で言われ、これを裏返して見ますと、当局から言われたと、関係当局から言われたと、そのまま聞こえるような言葉を使われ、そうして私も間接に聞いておりますし、株主の代表の方が言われておりますように、そんなことは絶対にないと当局の方自身が言つておられる、どうも私はこれはおかし過ぎると、こういうふうに思うわけです。  で、繰返して問いますけれども、今中川さんはこの内容について言われましたが、内容じやない、何回ぐらいの会合で、どういう専門家を雇つて、どういうふうな見当でこの問題をきめられたか、或る場合には当事者が了解したから云々、それできめたんだと言われる、松本委員長松永氏自身も言われたと思うし、伊藤さん自身も言われております。或る場合には当事者である日発と配電がOKと言われたからきめたんだと言われる。或る場合には今のように初めからこれは動かすべからざるものだと言われる。そうして又或る場合にはこれは株価を以てしても似ておるものだからと言われ、そうして又或る場合には簿価以外には方法がないから、簿価以外の方法は時間的余裕もないし、いい方法がないからだと言われる。一体どれが本当なんですか。今話を聞けば、すぐでもできそうな方法がある。そうしてそれのほうが少くとも時価に近い、簿価よりも少くとも今の再評価の基準でやられたほうが現在の時価に近い、そうして中川さん自身が言われるように、本来理論的に言うならば、時価が正当だと言われるわけですから、時価にぴたつと合わなくても、時価に近いほうが正しいにきまつておる。一体、私は繰返して申上げますが、そういうようなところからどうしても納得行かないわけですが、どういう経緯でこういうふうに決定されたか、簡單に一つこれは松永委員長代理の御答弁を願いたいと思います。
  269. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 先刻申上げたことを繰返しませんけれども、大体この問題について、両者間の会議において、協定においてお認め願うことが、再編成令の大体趣意でありますから、一月八日に出発いたしまして三月の八日まで両者の首脳者及び計算の関係者が相寄つて十分御協議になり御計算になつたことは実際事実であります。次に私のほうの公益委員会としてこれを愼重に取扱います問題につきましては、事務局にこの両者会議内容を時々聞くように、又できるだけそれに対して公正なる指示を與えられる限り與えるように、そうして両者の話が接近するように、日にちも誠に少いことであるから、できるだけ正確に、又できるだけ早く、できるだけ株主の迷惑にならない、公正を期するようなことに盡力を願うというので又事務局も又これに協力しまして、両者協議にもたびたび参加しておられたことと存じております。次に公益委員会といたしましては、こういう専門のことになりますると、株主の利害が甚だしいばかりでなく、又編成後の新会社の成立のために、又この成立がよくできますることは一般社会に貢献する新会社の使命の上からも必要なことでありまするがために、私ども五人で研究するのでは足りませんので、その当時も陳弁したかとも思いまするが、二大保險会社のかた、三つの大銀行のかたがた、即ち五人の財政金融顧問を嘱託しまして、大体水曜日ごとに集まつて頂き、それからそれに幹事をくつ付けまして、幹事がそれを又まとめるようにいたしまして、集会は單に水曜日だけでありましたけれども、その間といえども各委員のかたはいろいろ研究を重ねられたことについては、御諮問もあり、或いはこちらから御相談にも出、そうして大体においてこの一対一が正当であろうというふうなことの結論に達したのであります。そのことは、次に公聽会におきましても参考ではありません、利害関係者として、株主として銀行家等の陳述もございます。私どもとしてはできるだけの手段を盡し、できるだけの方法によつて両者の話合いが余りに不当でない限りはこの両者の話合いを一応採用いたしまして、そうして一対一をきめたのであります。
  270. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 これも人事の問題と同じように、なんぼ繰返してもいい加減な答弁ですから、これで止めますけれども、今の何遍も何遍も云々というお話の中で、二月八日までかかつて何遍も会議したと言いますが、この会議録自身が言つているのは、一月二十三日に指定会社の引受ける新会社の株式の比率を一対一とする方針を決定と書いてあります。二月八日まででなくて、一月二十三日に決定ということになつておるのですから、それ以後の日数はこれに使われていないということは明らかです。余りいい加減な答弁はやめてもらいたいと思う。それから内容の中で折会社の成立をスムースに云々というお話がありましたけれども、新会社の成立をスムースに云々という問題とこの問題とは別個だ。この問題は新会社の成立云々ということではなくて、現在の日発の株主と現在の配電の株主の利益を守るか守らないかということで、新らしい会社がスムースにできるかできんかという問題は別個の問題です。その辺をごまかして答弁されるということは非常に私は遺憾に思うわけです。それからもう一つ、非常に丁寧なと言いますか、真劍な方法が講ぜられたかどうかという問に対しまして、経理顧問を置いて云々というお話がありましたけれども、これもいい加減なことです。これは三月三日の松本委員長自身の御答弁の中にありましたように、経理顧問が盛んにこれを検討したというのは、清算費用の問題と特別配当金、つまりプラス・アルフアーの内容の問題である。これを中心にいろいろなことをやられたということが答弁の中にある。一対一の問題はその前に決定したとなつておる、そうして動かさんことになつておる。そうして置いてプラス・アルフアーの内容でなくて一対一自身を非常な慎重な態度を以て検討されたということは、私はかりそめにも言えた義理ではないと思う。併しながら幾ら言つてみてもどうも処置ない問題でございますが、最後に私はこういうめちやくちやな状態に対して、少くとも先ほどの小川君の意見と共に、要請ずると共に意見をお伺いしたいのですが、この委員会においてこのように論ぜられ、それから同時に公聽会におきましてもいろいろな方面から論ぜられておるが、プラス・アルフアーの内容ではなくて、一対一という原則自身に対して検討を加えられる御意向があるか、委員会としては一対一の原則自身に対しても再考慮と言いますか、検討仕直しと言いますか、そういう虚心坦懐……態度を以て臨まれるかどうかということだけ聞いて置きたいと思います。
  271. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 只今虚心坦懐というお話がありましたが、余計な口であろうかと思いますが、虚心坦懐にお汲事を申上げます。一対一の比率の問題は十分各社でも協議され、やや一致され、事務当局でもこれを相当調査いたしまして、委員会におきましても相当研究を積みました。又顧問のかたの御意見等も聽取しております。今日公聽会においても又そういう意見については賛否の両論についてよく承わつております。今日までの結果において一対一を変更する意思は委員会においてはございません。ありません。
  272. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 これは非常に簡單に御答弁になつたと思いますけれども、それは委員会でそう決定されたのですか。
  273. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 委員会の決定した大体の議論でございます。殊に佐々木さんの御答弁について委員会を開いたわけじやありません。(笑声)
  274. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 私のお伺いしておりますのは、公聽会のあとで、つまり決定指令を出す際に一対一という原則を考慮するかどうか、これを再吟味するかどうかということです。つまり逆に言いますならば、決定指令案を作成してから決定指令を出す際に一対一の原則は考慮しないという委員会の決定がいつなされたか。
  275. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私どもは最初から一対一を変えようというような決議をしたこともなければ、一対一は両者の裁定もほぼ成立つて、今日は委員会でそれを特に取上げて論議し、又決定する機会もありませんし、又只今する考えもありません。
  276. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 私は重大な発言だと思う。委員会で決定すること以外にその方針を確定する方法はないはずです。決定指令案を出す際に決定指令案の前に検討されておるのは当然です。それだから一対一でやつておるのでしよう。そのあとに公聽会を行われておる。公聽会が行われたあとの意見を拘束するような決定を委員会でできるか。
  277. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私からお答えしたらいいかと思います。只今お話は、委員会がいつそれをきめたかということは、まだきめておりません。併しこれをきめるということは、一応は仮指令においてすでにきめた。公聽会においてそれを聞いた後に変えるということは、決定指令の前に我々が会議をして決定することでありまして、さよう考慮するか否やはそのときでなければわかりません。さように御承知願います。
  278. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 そういたしますと、宮原さんの御説明と松永さんの御説明とは完全に食い違つておる。宮原さんの御意見によりますと、考慮するかしないかはそのときでなければわからない、こういうことです。松永さんのは、考えない、きめない、変えないということでしよう。
  279. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) あなたの論理の進め方が松永氏をしてさような返事を余儀なくさしたと思います。それは今の場合にそういうことがあるとあなたがお考えになること自体が適当でないので、今までにそういう会議をしておらんということをはつきり申上げております。ですから今度公聽会等にものを聞いた後に何とか考えることをするかというお尋ね、それに対しては、そういうことをするつもりはないという意味は含めてありますが、委員会が決議したかどうかということは関連がないことです。
  280. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 委員会できめなくてするつもりがないということを言えますか。
  281. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それは、併し只今のあなたの御質問はつまり委員会できめないことを、君はそう言うかというお尋ねに松永氏が捲き込まれたわけです。併し松永氏の言う意味は、委員会がきめたことは例の仮指令案を出すときにきめたのであつて、それはきめたことに相違ありません。ただ併しそれをいろいろ聞いてなお且つ改める気持があるかないかということをお尋ねになつたのに対して、ありません、ありませんということは、委員会はきめたのかという御質問ですから、きめておりません。おりませんけれども、そういう御質問に対して心組を言うただけで、手続上が間違つておるということではないということを私から御答弁申したい。
  282. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 ありませんということを委員会できめずに、心組と言つても、委員は五人おるのでしよう。その心組をどういうふうに心組んだわけですか。そういうことはできんわけです。
  283. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) そういうことではございませんが、今の決定指令を出すのは三月三十日であるということを御承知下さい。今の段階においてはさようなことをまだきめておらんということが事実であります。
  284. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 ロジックが合わなくなるというと宮原さん妙な詭弁で途中から助け舟を出す。私は初めから宮原さんに聞いておるのではない。
  285. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) ですから委員長のお許しを得て……。
  286. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 大体話がおかしい。委員長はつきりして下さい。初めから疑問がある問題であるから、虚心坦懐に国会の意向を尊重するということは前にたびたび言つておられる。こういう意見を考慮する、公聽会に述べられる意見を聞かれた上でその上でこれはそうだと思うならば変える意思があるかどうかということなんでしよう。それを変える意思はない、聞きもせんうちから、公聽会にならんうちから変える意思がないと言うから、委員会できめたことでなければそういうことは言えないでしよう……。
  287. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それは松永氏の意見でありまして、委員会は事実にお  いて決議をしておりません。
  288. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 私は最初から個人的な意見は求めておりません。速記を見ておわかりになるように、委員長代理として委員会を代表するところに意見を求めております。
  289. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) それは理論の推移からでありますから、松永委員はお取消になると思います。
  290. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 松永委員長代理からお取消を願いたいと思います。
  291. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今佐々木君の質問答弁の中に、一対一の株式の此率の問題は、聽聞会を終了しても変えないというかのごとき御発言がありましたが、その問題は、宮原さんは、多分松永委員からお取消がありましようという御発言がありましたが、その点お取消になりますか。
  292. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 取消しましよう。
  293. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 佐々木君、これでいいですか。
  294. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 一応これで私の質問はやめますが、これで本委員会がお二人のお偉い委員によつて翻弄されておるかのごとき感じを抱くということを、端的に申上げまして、最初から繰返しておりますように、人事問題に関しまして私は国会の権威にかけてももつと真相が判明できるような方法で、そうして嘘を買うた場合には適当な処理ができるような方法で以後の審議が続けられるように委員長にお願いして、今日の質問を打切りたいと思います。
  295. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) 私から重ねてちよつと申上げたいと思います。大変陳弁のようでありますが……。
  296. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 おかしいから陳弁せにやならんだろう。
  297. 宮原清

    ○説明員(宮原清君) そういうことではないのであります。今委員会できめたかということを言われておりますが、今松永氏がきめたと言うたから、間違いである、きめておらんということを申上げるのであります。
  298. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私の今の佐々木君の質問に対して一言お尋ねしたいのでありますが、電気事業編成令の第四條の第四項をさつき読みましたが、松永委員長代理、或いは中川経理部長、或いは宮原委員から、当事者双方の意見が云々と言われておりますが、第四項によりますと、当事者双方の「意見に基き」ということでありまして、決して双方の意見が合致したからそのまま事業委員会は認めなければならないということにはなつておりませんから、その点御訂正願いたいのが一つと、もう一つは、後段の「株式の引受の比率を適正且つ公平に定めなければならない。」こういうふうに規定されております。それは松永委員長代理からでも、事務総長からでも、宮原委員からでも御答弁願いたいのは、三月一日に仮指令案が決定されましたときには、あなたがたは日発と配電双方の株主の利益が公平に守られておると考えて一対一と比率をきめたのか、それをお答え願いたいと思います。
  299. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 私からお答え申上げます。公平に、両方の話合いは比率に関する限り守られておると信じて、それを判断し採用したわけであります。
  300. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 比率に関する限りでなく、一対一という比率が、双方の株主の利益が公正に守られておるかどうかということであります。
  301. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) さように考えております。
  302. 西田隆男

    委員長西田隆男君) さようにお考えになつておりますか……それでは重えて御質問申上げますが、一対一の株式の比率というものが理論的にも、或いは多数の意見によつて双方の株主の利益が公平に守られていないという結論が出たときには、あなたがたはこの一対一という率をお変えになるのにやぶさかではありませんか。
  303. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) それはもとよりであります。
  304. 古池信三

    ○古池信三君 関連いたしまして一つお尋ねいたしたいのです。  法律問題でありますが、電気事業編成令の第三條第三項によりますと、指定会社から新会社に出資し、又は讓渡するものは電気工作物に限つております。そういたしますと、指定会社の保有しております貯蔵品は強いて出資或いは讓渡しなくてもいいというように解釈してよろしいのでしようか、お伺いいたします。
  305. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) これは当時の事務の取扱方について、中川君からちよつと御説明して下さい。
  306. 中川哲郎

    ○政府委員(中川哲郎君) 第三條の第三項に別表の区分に従つて出資又は譲渡する、別表の区分に重点があるように存じます。従つて貯蔵品は法律上その承継事務とはしないものだと思います。
  307. 古池信三

    ○古池信三君 只今の御答弁で当然法律的に強制的に新会社に出資或いは讓渡すべきものは電気工作物であつて面もそれは別表第三に定める区分に従つて出さなければならない。貯蔵品は、いやならば出さなくてもよろしいというふうに考えてよろしいのでありますね。
  308. 中川哲郎

    ○政府委員(中川哲郎君) ただ実際問題といたしまして、貯蔵品の大部分は工事材料品或いは石炭でございますので、電気事業の現実の実態問題としては新会社へ引継ぐのが当然妥当だと、かように考えております。
  309. 古池信三

    ○古池信三君 もとより私もさように存じます。今電気会社が持つておりまする石炭その他の貯蔵品を新会社に受け継がなければ新会社事業は円満には行かないだろうということは技術的な問題としてはよく了承いたしましたが、先ほど申しましたように、法律上の問題としては強制する規定はないと考えますので、その点を念のためにお伺いしたわけであります。それでよろしいのですか。
  310. 中川哲郎

    ○政府委員(中川哲郎君) さようでございます。
  311. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 小川君から再再発言を求められておりましたが、許しませんで御勘弁願います。許します、小川君。
  312. 小川久義

    ○小川久義君 やめます。
  313. 西田隆男

    委員長西田隆男君) どういうわけです。
  314. 小川久義

    ○小川久義君 この次にいたします。
  315. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 他に御発言ありませんか……委員長もよほど疲れましたので、一つお手柔かに願います。
  316. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほど松永委員長代理から株式の比率で一対一ということが妥当でないと現実に裏付けられた場合には改むるにやぶさかでないとおつしやつたのでありますが、公益委員会は次の点をどういうふうにお考えになつているかを重ねて御質問して置きたいと思います。私ども只今のところでは日発と配電だけの、九配電を一括したものの比率の論争になつておりますが、配電会社を個々に調べて見ますると、その資産内容は実に逕庭があると思います。それはすでに新会社の收益計画として出されました内容を見ましても、收益力は十分、電力料金を若干プール的なものを行いましてもなお且あるわけであります。そういう状態にありまするときに株主の利益を守るということだけを考えて見まする場合には、九配電会社ともそれぞれの資産内容の含みは違うわけであります。従つてそういうものを一対一の、片方を一としておしなべてこれを強制するといつうことはこれは株主として多分に異議があると思いますが、その点をどういう工合にお考えになつておりますか。
  317. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) お答えいたします。日本発送電、九会社間に対しまする比率の問題に対しましては前に申上げました次第であります。これを日発の株を、各九会社を一としてその薄価によつて資産を計上し、株式を発行します場合にはその各社の資産状態は必ずしも公平妥当でないものがあることを、だんだん各社の協議会において又話合いにおいて発見されたのであります。でこれを是正するために各社の間では、即ち配電会社の間で自分のところの貯蔵品はむやみに高いものについて、他のところは割合に安いものになつている。或るものは或いは資材の分担が多過ぎ、或るものは現金勘定が少過ぎるというような個々まちまちの凸凹は当然起るのであります。何となれば日発という一つのものを九つの箇所に分けます場合にその各個の会社は必ずしも公平な資産の分け方になるということは期しがたいのであります。ここにおいてできるだけ各社の間に、生れ落ちた後に難儀をしないように、話合いをしてもらいたいということを勧めたのであります。それからいま一つは、日発の株主も、これまで日発のみ持つておられたかたが、個々の九つの株のうちには、株をもらつてもその割合に不当に安いようなものをもらう、或いは株を多くもらい過ぎる場合があるというようなことも考えますと、もらつた日発株主が相当お苦しみになる、即ち御損をされることも当然予測されるのでありまするから、成るべく自発が九つの株をお持ちになる場合は、その九つが共にやや同じような力を持つたものを上げるほうが、日発株主のために最善なりと思いました。この二つの見地に基いて、これは日発側と御相談するというよりも、むしろ九会社のかたがたの御同意を求め御納得を得て、お互いの間に、お前のほうの借金はこつちのほうにとろう、その代りにお前のほうの株式の発行をこれくらい減らしてもよかろうというようなことは、将来株価の関係もありますし、日発の株主もできるだけ同じような、揃つたような株をお持ちになるように努力いたした事実はございます。この点に関しましては詳しいことは中川君から説明いたします。
  318. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 議事進行について……電力の再分割に関しまして新規会社に引継ぐ、こういう場合において株価の問題等、本日は証人を呼んで御説明を聞いて、それに対して質疑せられることは誠に私どもは結構なことと思うのであります。これに伴いまして更に公益委員諸君に質疑を交すということは、これは第二義的のことになるのでありまして、我々は本日それを予期して来ておらないのであります。又委員会のほうからも委員長が見えなくて代理が見えておるという程度のものでありまするから、代理さんに向つてどれだけ質疑応答しましても、その解決は容易でないと思います。質疑なさる佐々木さんその他のかたの権威ある御質疑に対しまして我々は誠に同意すべき点も甚だ多い、けれどもこれについては一旦委員会できめたことでありますから、一事不再理で訴訟によつてきめるよりほか方法はなかろうと私は解釈をとつて、先般も松本委員長に聞いたときはその訴訟の途はあるという、かようなわけでありまして、これを本日の限りある時間において質疑を盡そうということは到底不可能でありますから、本日は一時から熱心に証人意見を聞き、質疑を交されたことでありますから、幸いに今日は官祭の日で我我は休むつもりでおつたのを勉強しておるのですから、今日はこの程度で切上げて下さいまして、更に各種の重要なる質疑に対しては日を期して委員長において適当の時間を與えられて、委員諸君の満足行くように、又国民諸君の納得の行くようにどこまでも審議を盡して頂くことにしまして、本日はこの程度で散会せられんことの動議を提出いたします。
  319. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今石坂君から議事進行に関する御意見で今のような動議が出ましたから、栗山君も只今発言中なので、簡單に一つお願いしまして、そのあとで動議を採決することに御賛成を願います。
  320. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それでは株価の問題は次の機会に譲りますが、ただ一言申上げたいのは、再編成令の第一條には公共の利益のために再編成するということがはつきり書かれておりまして、これが中心であることは勿論でありますけれども、併し資産を処分いたしまする場合に飽くまでも便宜主義であつてはならんと思うのであります。従つて只今太田さん或いは西川さんからは学究の徒として貴重なる御意見を賜わつたのでありまして、恐らく経済問題として学界でも重要な問題になろうと思いますが、公益事業委員会のかたの御説明を伺いますると、どうも便宜主義が中心になつておるようであります。それで財政顧問団の助言を聞いたとおつしやいますけれども、それはやはり学究的でなくて一つ事業会社責任者の意見であつたろうと思います。そこでまだその点寡聞にして伺つておりませんが、公益事業委員会はこういう学理的にも相当研究しなければならん重要な問題につきまして、大学或いはその他学究の徒から、学者から然るべき意見を聽取されておるかどうかを伺いたいと思います。若しそういうことがありまするならば、その学者の名前一つ伺いたい、こう考えるわけであります。
  321. 松永安左エ門

    ○政府委員松永安左エ門君) 学者に対してあなたのお問いの意味のことはいたしておりません。
  322. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 石坂君の動議が出ておりますが、石坂溝の動機のように取計らつて差支えないですか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  323. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 石坂さんの動機の内容自身には私賛成いたします。同時に併しながらちよつと誤解があるのじやないかと思いますので、私質問の際に非常に長い時間取つて言うたことを恐縮に存じておりますが、この問題は先ほどの一事不再理で訴訟でなければ云云というお話がありますけれども、これは恐らく石坂委員の感違いではなかろうかと存じます。決定指令案が今出ておる際でありまして、決定するのは決定指令によつて決定するわけでありますから、その間にはいろいろな論議が盡され、そうしてそれのいいところがとられて決定案になるというふうに私ども存じておりますので、その点をそういうふうに御了解の上で動議に賛成いたしたいと思います。御了解をえたいと思います。
  324. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 一つ議事進行で発言した中について今佐々木君からの御注意がありました。御尤もであります。私は佐々木君の御意見従つて、大ざつぱに時間の制限を受けるために、生木を裂くようなやり方をしまして……資産を評価して、これで満足せよということはなかなか容易でない。この大きな日本一の事業、日本一の大きな会社に対する処置としてはこれは誠に杜撰なやり方であるということを考えるものであります。併しとれには松本委員長も仰せられた通り、相当の方法を盡したけれども、限りある時間で何とも仕方がない、又事務当局も晝夜兼行、寝食を忘れて御審査になつたことでありましようけれども、なおなお我々は佐々木君の御意見のごとく種々利害関係を有する者の目から見たならば満足できない点が多かろうと思いまする。それでありますから更に皆さんの委員諸君の納得行くように、又国民諸君も聞いて成るほどという点に達するまでこれは熱心に審議して差支えなかろうと思います。今日は一つこの程度でやめて頂きたいと思います。こういうように、只今一事不再理ということを申上げました。その件につきましては謹しんで御注意は拝承いたします。
  325. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後六時三十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 隆男君    理事            栗山 良夫君            小林 孝平君            結城 安次君            佐々木良作君            水橋 藤作君    委員            石坂 豊一君            石原幹市郎君            岡田 信次君            古池 信三君            三輪 貞治君            山田 節男君            野田 俊作君            小川 久義君            境野 清雄君            東   隆君            須藤 五郎君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左エ門君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    経理長     中川 哲郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君   説明員    公益事業委員会    委員      宮原  清君   証人            新井 章治君            名取 和作君            村上 巧兒君    中央大学教授  太田 哲三君    一橋大学助教授 西川 義朗君    電気産業労働組    合中央執行委員    長       藤田  進君