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1951-07-17 第10回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月十七日(火曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件)   —————————————
  2. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今より電力問題に関する特別委員会を開会いたします。  本日は午前及び午後に亘つて委員会を開きますが、午前の委員会では公益事業委員会を除く関係官庁から電気料金改訂に関する意見を聴取いたします。  先ず最初物価庁から電気料金改訂に関する意見並びに料金改訂が諸物価に与える影響について御説明を願います。
  3. 川上為治

    説明員川上為治君) 先般私どもの方としまして各種の電気料金の値上に関しまする公聴会におきまして、物価庁としまして初めて大体値上の率としましてはどれくらいがいいかということを発表いたしたわけであります。即ち全国平均しましては会社案としましては、支払料金に対しまして即ち実際の現在支払つておりまする料金に対しまして六割四分の値上げ、それから標準料金に対しましては八割七分程度値上りになりまするが、それに対しまして物価庁としましては、実際支払料金に対しましては大体二割程度が適当である、それから標準料金に対しましては四割程度が適当であるという点を述べたわけであります。即ち全国の各会社のものを平均しまして支払料金に対しましては六割四分ということになつておりますが、私どもの方としましてはそれに対しましては大体二割程度、それから標準料金については会社側の案は八割七分程度になると思うのでありますが、私の方としましてはそれに対しまして四割程度ということを公聴会におきまして発表いたしたわけであります。  でここでちよつと御了承を得ておかなければなりません点は、この数字につきましてややもすれば各方面におきまして非常な誤解があるようであります。現に今朝の或る新聞におきましても非常な誤解で書いてあるようであります。で非常にごちやごちやしますので、標準料金に対しまして幾ら、又支払料金に対しまして幾らという点につきましては、やはり数字はつきりさしておかなければいかんのじやないかというふうに考えられます。先ほど申上げましたように、私どもの方としましては、標準料金に対しましては大体四割程度支払料金に対しましては、即ち現在実際払つておる料金、それを全国平均しましたもの、それに対しましては大体二割程度ということを言つておるわけであります。何か物価庁が六割六分、而も二割に相当するものが六割六分というものを前に出したというような話がありますが、そういうことは私どもの方としましては誰も申上げておりません。私はこの委員会におきましても、再々物価庁としてはどれくらいが適当であるかということを問われた点に対しまして、私どもの方としましてはまだ何もはつきりきまつておりません、いろいろ計算をしておりますが、近いうちにこれを発表いたしますということを申上げておいたのでありまして、どこへ行きましても六割六分とか六割幾らというような発表を私の方でしたことはありませんし、又実際支払料金の六割という実に大きなばかげた数字を私の方で言うはずはないのであります。私の方としましては朝から晩まで殆んど数字々々で暮しております、従つてそういう間違つたことを言うはずはないと思つております。ただあとで申上げますが、私どもの方としましては償却については定額法最初からずつと主張しておりましたが、実はいろいろその計算の途中におきまして、仮に定率法とつた場合はどうなるかという点について計算をしてみるというと、実際支払料金に対しまして定率法をとると三割八分程度、それから標準料金に対しましては六割二分程度ということになるわけなんです。それが誤解をされて恐らく喧伝されたのではないかというふうに考えられます。私の方から会社に対しまして何ら六割幾らというものを指示したようなことはありません。くどくど申上げましたが、数字について誤解があると大変なことでありますので、私の方としましては公けのはつきりした意見として、実際これは支払料金に対して二割程度、それから標準料金に対しましては四割程度ということをはつきり申上げる次第であります。これは安本長官了承を私ども受けまして公聴会におきまして初めて発表したものであります。  そこで支払料金に対しまして、大体二割程度標準料金に対しまして四割程度にどういうわけで会社案をその程度削減できるかという問題でありますが、先ずこれは極めて簡単に申上げたいと思いますが、やはり大きな問題といたしましては、人件費の問題、それから石炭費の問題、それから修繕費の問題それから減価償却、この四つが殆んど大部分を占めておるのでありますが、人件費につきましては細かくここで申上げることは避けますけれども、私ども従来価格形成に当りまして、こういうものは原価の中には入れないという考えであるものが入つておるのであります。例えば賞与をこの原価の中に組むとかこういうものにつきましては、私どもの方としましては料金算定の中には入れないのでありまして、これは企業努力でやるべきだというような考えを持つております。これはあらゆる価格を作りますときにはそういうような考えで行つておりまして、賞与なんかも今まで料金なり或いは価格の中に入れたことは殆んどないと思つております。  それから基準外賃金にしましても会社におきましては二五%と見ておりますが、私どもの方としましては、これは過大過ぎる一七%でいいのじやなかろうか、それから一般厚生費退職手当の引当、こういうものにつきましても、両方合せまして会社の方としましては一七・五%を組んでおります。私の方としましては、従来の価格形成の経験から見まして大体七%程度が適当じやないだろうかというふうに考えておりますし、それから法定厚生費の内訳につきましても、もう少し検討してみないというと、或いは会社負担に帰すべからざるものがこの中に入つているのじやないかというような気持もいたすわけであります。その他従業員の数につきましても或いは或る程度もつと削減余地があるんじやないか、会社の方では昨年の十二月の数字をそのままとつておるようでありますが、その後或る程度減つたのじやないかと考えられまするし、又更にもつと削減余地があるんじやないかというようなふうに考えまして、この人件費につきましても相当削減余地があると私ども考えておるわけであります。  それからロス率の問題につきまして、会社の案としましては二七・三%をとつております。ところが公益事業委員会の方で公けにこれは発表されたと思うのですが、二五・七%まで持つて行くんだということをおつしやつておりますが、であればやはり料金としましては二五・七%というものをとるべきじやないかというふうに私ども考えております。  それから石炭費及び石炭量につきましては、この石炭量会社案としましては六百五十七万トンを予定しております。これは最近又非常に問題になつておるようでありますが、私どもの方としましては、やはり料金の中に組みますときは、少くとも大体実現性に殆んど近い数字をとるべきじやないだろうかというふうに考えまして、やはりこれは石炭協会或いは安本生産局、その他ともいろいろ私どもの方は実情を聴いたのでありまするが、大体五百五十万程度が最も妥当な数字ではないだろうかというふうに考えまして、私のほうは五百五十万トンという数字石炭消費量と見ているのであります。それから石炭代につきましては、私の方で最近の石炭価格をいろいろ調べてみますと、それから今後或る程度値上りということも予想いたしまして計算しますと、六千百カロリーで四千五百円程度というふうに私の方は見ておるわけであります。それに対しまして会社の方としましては、五千九百カロリーに対しまして四千五百八十五円という数字をとつておりますが、その間に私どもの方から見ますれば、少くとも二、三百円は切下げる余地があるのじやないかというようなふうに考えておるわけであります。これもこの前ちよつと新聞に私ども申上げましたことが誤解されて発表されておるのですが、それは私の申上げたのが言葉が足りなかつたせいじやないかと考えておるのでありますけれども東京で千円程度切下げられるのじやないかということを私申上げたように書いてありますが、それは実は間違つております。私の申上げたのは、私ども計算してみますというと、六千百カロリーが大体四千五百円程度というふうに考えてみますと、五千九百カロリーが四千五百八十五円というのは高過ぎるというふうに私は申上げたのでありまして、東京計算ではたしか五千五百円というのを出しておりましたが、カロリーはつきりしませんけれども五千五百円というものを出しておりますが、この五千五百円というのは千円切下げるという意味ではないのでありまして、これはカロリーと対比して考えなければなりませんので、これも或る程度切下げられるのじやないかということを申上げたわけであります。石炭は最近におきまして非常に強気でありますけれども、併しどの程度果して上つて来るかということもはつきりした想定はできませんし、又石炭価格が大巾に上りますということは、私どもの方としましては非常に重大問題となりますので、やはり私どもとしましては六千百カロリーの四千五百円程度というものがまあ現在においては、或る程度の見通しをつけても妥当な数字ではないかというように考えておるわけであります。  それから修繕費につきましては、会社案としましては全国二百十億というものを出しております。私の方としましては、現在の料金の中に織込んでおる修繕費が八十七億ありますけれども、この八十七億の中には特別回収費が四十数億入つておりまして残りが一般修繕費ということになつております。普通ならばこの特別回収費はすべて償却その他の資金勘定の方で見るべきだというふうに私は考えておりますが、従つて修繕費としてはこういうものは入れるべきではないのでありますけれども、当時償却が非常に小さかつた、又金融的ないろいろの関係を受けまして一般修繕費以外に特別回収費というものを四十数億認めまして、八十何億というものを現在の料金の中に組んでおるわけであります。併し一般修繕費として四十億程度というものが果して妥当であるかどうかはその後のいろいろな資材値上り状況等考えまして、又昨年の実績が大体百億足らずというふうに私どもの方はふんでおりますので、それを考えますというと大体この二百十億に対しまして百三十六億か七億程度が最も妥当な数字ではないかというふうに考えております。この数字計算につきましては、私どもの方としましてはいろいろ資材のその後の値上り計算いたしまして出したわけであります。その資材類が今後更に非常に上るからもつと大巾に組んで置くべきだというようなことを或いはおつしやる方があるかも知れませんけれども、これは今ちよつと申上げますが、日本のいろいろな生産資材アメリカ等に比べまして非常に高くなつております。現在の鉄の価格或いはその他の生産資材がこれ以上非常に飛躍的に上るということは、私どもとしましては、やはり日本インフレ抑制その他の方面から見まして非常に重大な問題ではないかというようなふうに考えますし、又そういうふうに非常に上るということを上るか上らないかわからないものを上るという予想の下に非常に大巾な修繕費を見ることはどうかと考えられますので、大体百三十六、七億というものが適当な数字ではないかというふうに私ども考えておるのであります。  それから減価償却費につきましては、これは会社案としましては再評価を限度一杯にしまして、而も償却方法といたしましては定率法をとつております。従つて二百五十一億ぐらいになつておりますが、私どもの方としましては一番初めに私申上げましたように、物価庁としましてはどこまでも公共事業料金につきましては定額法でやるべきだ、定率法でやるべきじやないという考えを持つておりますし、且つ又料金が非常に上つては各方面に対しまして影響が非常に大きいということを考えまして、私どもとしましては再評価を仮に一応一〇〇%としましても、その方法につきましては定額法で行くべきだというふうに考えまして、百四億ぐらいを私の方は考えているわけであります。  主なものにつきましてはこういうものでありますが、そういたしますというと、先ほど申上げましたように、実際支払料金に対しましては二〇%程度標準料金に対しましては四〇%程度ということになるわけであります。なぜ程度ということを言つてはつきりした数字を出さないかという点に御不審があるかも知れませんが、実はこれ以外に自家発動員というのがこれは相当大きな問題として考えられると思うのですが、例えば特に九州方面におきましては、自家発補償をするかしないか、補償すればそれだけ電力料が余計殖えて来るのじやないかということをおつしやつている方面も大分ありますので、この問題につきまして若し自家発補償を二十億程度しますというと、今の二〇%程度というのが二%或いは三%足らず殖えるのではなやかというようなふうにも考えますので、この自家発補償をどうするかという点については、実は安本内部におきましていろいろまだ検討をしておりまして、私どもの方としましてははつきりした態度ができておりませんので、一応二割程度ということを私の方では申上げているわけであります。以上会社の案につきましては私どもはつきりした考え方を申上げたわけであります。各方面に数学的にいろいろ誤解を出しておりますので、今ここで弁明をしたわけであります。  そこでこれが各産業或いは一般民生に対しましてどういうような影響があるかという点につきまして簡単に述べさして頂きます。お手許電気料金改訂製品価格又は原価に及ぼす影響調というのをお配りしてありますが、実はこの電気料金の値上が各産業に対しましてどういう影響があるかということは非常にまちまちでありまして、或いは倍になるものもあり、或いは六、七割になるものもあり、或いは三倍近くなるものもあり、実にそれは千姿万態だと私どもの方では考えております。というのは割当の如何によるのでありまして、割当の問題、それから超過料金をどの程度つておるか、それからサープラスというような非常に安い料金でどの程度そういう電力を使つているかということによつて、それぞれの工場なり或いは事業者によつて非常に電気料金の値上の影響というのは違うと私どもの方では考えているわけであります。従つて全般的にどの程度影響しますということのはつきりした数字はなかなか出ないわけであります。従つてどもの方としましては一定の工場を選びまして、その工場は特に電力を余計に使用して電気料金を上げることによつて影響が非常に大きいというようなものについてのみを一応調べたわけであります。それは例えば硫安でありますが、硫安につきましても電解法ガス法があり、それから石灰窒素電気銑、電鉄、水道苛性ソーダアルミニウム、銅、亜鉛石炭、パルプ、洋紙というようなものにつきまして、一応それぞれ各地区の代表的な工場を選びまして、その工場から詳細に資料を聴取いたしましてとつたわけであります。即ちこれは二枚目の所に書いてありますが、昨年の十月から今年の三月までにその工場において標準料金電力いくらもらいましたか、そうしてそれに対しましていくら電力料金をお払いになりましたか、それから超過料金の方をいくらお使いになりましたか、又それに対しましていくら超過料金をお払いになりましたか、それから又サープラスを使つておりますならばその特殊料金電力量いくら使いましたか、それに対しましてサープラス料金いくら払いましたかというような点を細かく分析しまして調査いたしたわけであります。それに対しましてその実績と、この生産者価格、これは公がありますものは公をとりましたし、公のない場合におきましてはそのときの市場価格平均市場価格をとつております。それに対しまして昨年の十月から三月までに、果してそのコストの中に、即ち石炭なら石炭一トンの中に石炭の値段がいくらでそれに対しまして電力料金いくら支払いになりましたか、その割合をとつたわけであります。それに対しまして私どもの方としましては、物価庁の案としましては、先ほど申上げましたように標準料金を四割程度と申上げましたが、これは厳密に言いますと四割一分でありますが、四割一分というものを、それぞれの地域差は現在のままにしておいて、それに乗じましてそれから追加料金につきましては、一応現在の八円とか七円とか、九州におきましては五円いくらでありますが、そういうものを据置きとしまして計算をしております。それから会社案につきましては、会社のほうから提出されましたものはそのまま出しているわけであります。そういうようなことにしまして計算をいたしますというと、お手許にありますように、例えば硫安電解法について東部地区のものを見ますというと、この工場の名前はこれは私の方はわかつておりますけれども発表しないことに一応しておきますが、生産者価格が一万九千百三十三円に対しまして、その期間に払いました平均電力料金が千六百九十四円、それはこの生産者価格に対しまして八・八%となるわけであります。これをずつと下の方を見ますと、例えば硫安電解法でも中部では大体一割八分、それから石灰窒素東北で一一・四、中部で一一・四、九州で実に大きくて二八・〇、それから電気銑がこれは補給金を三月まで付けておりましたので補給金を抜いた数字にいたしますと括弧書きの中が正しい数字になりますので、例えば東北におきましては八・七、北陸におきましては七・一ですか、ということになつておりますし、それから水道におきましては東京が九・九ですか、その次の東京地区とありますが、これはたしか神奈川の或る都市と思いましたが二六・六、関西で一二・三というようなことになつておりますし、それから苛性ソーダ、これは関西で一一%、中国で一二%、四国で一〇%となつております。それからアルミニウムにつきましても四国が一〇・八%、まあそういうことになつております。  それからその次の物価庁試案ということが先ほど申しましたように、標準料金に対しましては四割程度、四割一分、それから支払料金に対しましては二割程度ということでありますが、これも値上率がそれぞれ地域差関係、或いはどの程度標準料金としてもらい、又超過料金電力料はどの程度もらつておるということによつて又非常に違つて来るわけでありますが、大体値上りがそこに書いてあります程度なつて来るわけであります。  これがこの生産者価格に対しましてどの程度になりますかというと、その次の「Aに対し」というところに書いてありますが、例えば石灰窒素では一一・六%やはり九州方面上つて来る。それから水道にしましても先ほど申しました神奈川県の某都市のものが八・三%も上つて来るということになつております。物価庁の案にしましても現在の地域差をそのままにして置き、割当も大体先ほど申上げました昨年の十月から三月までの割当と大して変らないというようなふうに見ますと、こういうような数字が出て来ます。会社案にしますと非常にそれが大きくなるわけでありまして、大体倍或いは倍以上ということになつて参ります。例えば水道につきましては関西地区は一一一という数字が出て来ますし、又石灰窒素につきましての中部におきましては一一五というようなことになつております。硫安につきましても東部の九三、中部の一一四というような値上率なつております。こういうふうに会社案にしますと相当幅広い値上りなつて来るわけでありまして、私どもの方としまして果してこれがこれだけ上げましても各事業体の方で吸収ができればいいのでありますけれども吸収ができないということになりますれば、勢い一般物価が非常に上つて来るということに相成るかと考えられるのであります。物価庁としましては二割程度上げました際は、極力できるだけ現在の価格の中に、それぞれの価格の中で吸収してもらいたいというような強い気持を実は持つております。併しながら物によりましては、或いはどうしても吸収できないという物も出て来るのじやないかというふうに考えておりますが、原則としましては極力吸収をして頂きたいというような気持を持つております。  と申上げますのは、これはこの前の新経済政策に対しまして、司令部の方からもやはりインフレーシヨンの抑制ということに対しまして非常に強く要望をされておるのでありますが、日本のいろいろな物資価格アメリカのオフィシャル・プライスを比較いたしますと、殆んど生産財につきましては主なるものは殆んど高いというようなことになつております。例えば石炭につきましても相当高くあります。その他銑鉄、鋼材、銅、亜鉛アルミ、セメント、コークスにしましても、中にはアメリカの倍、それ以上高いものもありますし、五割或いは六割程度高いものはたくさんあるわけでありまして、又昨年の事変以来日本価格値上りアメリカよりも非常に高い指数となつております。従いましてこれ以上こういう資材が上りますことは非常に私どもの方としましては、重大な問題ではないかと考えておりますので、従つて電気料金もやはりこの際は極力低位にとどめて置いて、こういう物資値上りを防止するように努めなくちやいけないのじやないかというふうに物価庁としては考えているわけであります。  それから一般生計費に対しまする影響につきましては、これは昨年の四月から今年三月までの一年間におきます家庭用電力料金につきましての総理庁統計局の調べでありまするが、これは全都市のものを調べたのでありますけれども、一世帯四・七七人といたしまして一カ月の平均支出額が一万二千二百七十一円、これに対しまして電気料金超過料金標準料金も両方含めまして百六十三円六十三銭という数字なつております。これが即ち一・三三%を占めているわけであります。これが若し私どもの今回の値上り率で行きまするというと、大体それに〇・四三%程度影響するのじやないかというふうに考えております。会社のほうにおきましては一・六%更に殖えるというふうに一応計算になるかと考えられております。勿論この中には電気料金が直接上つた分だけではなくて、その他の生計費関係物資のはね返りを見まして今申上げましたように物価庁案としまして行きますと〇・四三、会社案で行きますと一・六%、この電燈料金だけの直接の影響から言いますというと、会社案の方で行きますと〇・六二、物価庁案で行きますと〇・二〇ということになるものと考えられます。併しながら昨年の平均額百六十三円程度支払つておりましても、これに対しまして今申上げました率程度上りましても、国民所得物価の上昇に対しましてそれほどついて来ておりません現状から行けば、やはりちよつとした値上りにしましても国民生活に及ぼす影響は相当大きいと私どもの方では考えておりますので、これ又一般産業と同じように極力低目にすべきじやないかというふうに考えております。併しながら電気料金そのものを絶対に引上げては困るのだというような説には物価庁としましては与しないのでありまして、どうしても或る程度値上げは止むを得ない、でなければ電源の開発も促進されないというふうに考えておりますので、それは現状においては大体支払料金の二割程度が尤も妥当な線ではないだろうか、というふうに私どもの方では考えているわけであります。
  4. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 川上物価庁第三部長の御発言に対しまして御質問がありましたら。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今の御説明の中で私は非常に疑問に思う点がありますので、総括的にお伺いいたしておきたいと思います。その第一は只今川上第三部長の御説明の中で特に強調せられた点は、いろいろとすでに発表せられた物価庁態度というものに誤解があるので、この際長官の了承の下に公聴会で、聴聞会で述べた点についてはつきりといたしておきたいという、こういうことが言われたのであります。すでに私がこの写しを入手しているのでありますが、物価庁の作業せられた、例えば電気料金改訂試案二十六年四月二十日物価庁という署名の入つた印刷物の写し、或いは二十六年五月二十日物価庁という署名の入つた電気料金改訂試案説明書という写し、更に二十六年四月二十七日物価庁物三動と書いたのに、生計費中に占める電気料金の割合全都市というもの、或いは二十六年四月二十七日物三動という署名で生計費中に占める生産価格及び電気料金の占める割合というようないろいろな資料を持つているのであります。その中の数字を検討いたしてみますると、先ず結果から申しますと、改訂試案、この中で只今頂きました新らしい電気料金改訂試案と比較いたしますると、試案の中で数字の違つておりますのは石炭費減価償却費だけであります。そうしてあと人件費修繕費、固定資産税、支払利息、購入電力料、利潤、これだけの数字は今日御説明を願いました物価庁意見というのと全く同じであります。そうして特にこのたび数字的に修正された石炭費、これは前の四月二十六日にサインをせられたという署名の文書の数字は三百二十四億四千五百万円になつております。それが二百四十七億五千万円に今度は変つておるわけであります。それから減価償却費は二百五十三億五千九百万円という原案が百四億二千八百万円ということになつております。これが違うだけであります。そうして説明書の内容を見ますると、例えば従来人の数は十三万六千人が妥当であるというような工合に意見で述べられておりますが、五月二十日の物価庁説明書であるといわれるものにつきましては、やはり十三万六千人ということになつております。これは数字が合つているわけであります。それから石炭費におきましては、事業者用が六百十六万、委託が百五万合計七百二十一万トンというのが予定されております。単価は四千五百円でありますから今日お示しになつたのと同じであります。この数量が六百十六万だというのが五百五十万トンが適当であるといわれております。又償却する場合は、これはその原文を読みますと、減価償却物価形成上は定額法によることが妥当であると認められるが、電源開発の緊急性及び金融事情等を勘案して、電気事業に限り定率法による償却を認めることにした、こういう工合に出ております。それから原価二百五十三億五千九百万円、修繕費は今お示しになつた百三十六億六千九百万円と全く同じであります。こういう工合に考えてみまして、当時の試案では標準料金だけについて、今日の新聞は一六六%と書いてありますがあれは間違いでありまして、この数字は四月十六日の物価庁のサインなるものにつきましては一六二%ということになつております。数字がそう書いてあります。それから支払料金については一三八%ということになつております。こういうものを私ども承知いたしておりますので、只今川上第三部長がお話になりました点は、最近になつ物価庁が、今日御説明なつたような方針に部内を統一されて発表になつたのか。最初、五月の初旬においては只今どもが写しとして入手しておりますような考えをお持ちになつておつたのか、その点を一つ明らかにしておきたいと思います。
  6. 川上為治

    説明員川上為治君) 私どもの方としましては、先ほども申上げましたように、はつきり物価庁の見解として出しておりますのは私が先ほど申上げましたあれだけであります。それ以外に物価庁料金値上率がこの程度がよろしいということを公けに出したことは一遍もありません。今お話になりましたその数字につきましては、仮に定率法で行つた場合はどの程度になるか。当時石炭につきましてはもつと余計組まなければならんというような空気も大分ありましたので、仮に七百二十万トン程度組むということにすればどうなるかという数字を出したのでありまして、その数字、それはひいては大体六割二分ということになるわけでありますが、その六割二分の案につきましては安本物価庁の内部において何ら決定を見ておりません。併しながら一応定率法で行けばこうなる、それから又石炭を七百万トンも即ち一ぱいに焚けばこの程度になるという数字でありまして、私どもの方としましてはそれは公けにきまつている何らの数字でもございません。ただ一応その試案としてこの比較対照の関係からできておる数字でございます。  なお定額法で行くべきか、定率法で行くべきかという問題につきましては、安本の内部におきましていろいろな意見があつたのでありますが、物価庁としましては最初から終始定額法で行くべきだ、それは公共事業料金はどこまでも定額法主義で行くべきだというような考えを持つておりましたのでずつと定額法を主張して参つております。今申上げましたように安本におきまして大臣の了承を得まして、はつきり物価庁安本態度としまして出しました数字は先ほど申上げました数字でありまして、その前にいろいろな試案がありましたが、それは計算をいろいろするために、こうすればこうなる、こうすればこうなるという数字を出したに過ぎないのでありまして、それがいろいろ誤解を招いておるのじやないかというふうに考えております。その誤解につきましては私どもの方でも相当責任があることと考えております。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと私が先ほど指摘をいたしました、四月の下旬から五月の下旬に亘つてこれは非公式でありましようけれどもそうおつしやつたわけでありますが、それによつて発表せられた数字というものはそういう事実がなかつたということを御否定になるのではなくて、そういうような作業を非公式に行なつたことがある、こういうようにお認めになるのでありますか。
  8. 川上為治

    説明員川上為治君) 作業としましては先ほど申上げましたようにそういう案につきましても作業をやつておりますし、又それ以外の案につきましてもいろいろ作業は物価庁としてはやつておりまして、それが果して一般民生なり或いは各産業に対しましてどういう影響があるかについてもいろいろ作業はやりましたが、結局最終的に物価庁としましてはやはり定額法で行くべきだ、それから石炭も現実の問題として実際そんなに余計入らんじやないだろうかというようなことを考えまして、それからその後のいろいろな価格の上昇工合、見通し等を考えまして、やはり先ほど申上げました定額法で行つて二割程度という案を最終的に決定しておるわけであります。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますとですね、まあ四月、五月の上旬に亘つての作業はやつたということをお認めになつたわけですが、そうするとその作業と只今説明なつたのと比較いたしますと、値上に関係する項目が九項目あるわけでありますが、九項目のうちで石炭減価償却費を引きましたあとの七項目というものは完全に同じなわけです。数字的にこれは作業の数字が全然違つておりません。又説明の内容についてもそう大して変化がありません。一致しておると私は見るわけであります。  そこで物価庁としては当時の考えについて石炭費の問題と減価償却費の問題については、国会でもいろいろ論議になりましたし、或いは又世論においても石炭の確保、数量等が問題になりましたので、その後新らしい観点に立つてこの二項目だけは工合が悪い、石炭費減価償却費というものは工合が悪い、こういうような結論を得られて原案に対して修正をせられた、こういう工合に私は考えたいのでありますが、如何でございますか。
  10. 川上為治

    説明員川上為治君) 修正をしましたということになりますと、実はそういうことではなくて定率法で行けばこうなる、それから又石炭を七百数十万トンと見ればこうなるという計算と、定額法で行けばこうなる、又石炭を現実に実際五百五十万トン焚くものとすればこの程度になるということでありまして、修正ということではないのであります。私の方としましてはどこまでもそういう案も一方作り、こういう定額法の案も作つてそれぞれその比較対照をしていろいろ検討中でありましたという以外にないのじやないかというふうに考えております。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ大体二項目だけになつたので話は簡単でありますが、この作業のときの説明書には私は仮定でなくして一つの意思が入つておるということを先ほど申上げた。例えばもう一度繰返して申上げますけれども減価償却につきましては物価形成上は定額法によることが妥当と認められるが、電源開発の緊急性及び金融事情等より勘案して電気事業に限り定率法による償却を認めることにした、こういう工合にはつきり書かれておるわけであります。石炭の方におきましても現行料金制度による標準料金及び追加料金の二本建制度を廃止して、料金の一本建制をとり、適当割当電力以上の使用に対しては罰金を徴収することに改めたい、従つてこれに要する石炭の数量は前記供給量より算定すると共に、石炭費は四月現在における実績推定炭価と炭価値上りの強気を想定して約五%程度値上りを見込むことにした、こういうようなはつきり意思が入つておりまして、事業用は六百十六万トン、単価は四千五百円、消費率は〇・八六、こういう工合に書かれておるわけであります。従いまして私は只今の御説明の点でいささかまだ納得し得ない点があるわけであります。この点をもう少し御説明願いたい。
  12. 川上為治

    説明員川上為治君) 今の点につきましては、それは物価庁としての決定を見ておりません。即ち物価庁の決定は最後的に物価庁長官であります安本の長官のお許しを得なければなりませんし、又物価庁次長その他の上層部の意見はつきりなければならんのですが、その今お読みになりましたものにつきましては、物価庁としてのそういう最後的な手続を経て作つておりません。従いまして、その案につきましては、事務当局としてそういう案を作つたことがあるということは先ほど申上げました通りでありまして、その後私どもの方としましては、一方においては定額法で行くべきだという強い意見物価庁の内部では大多数が占めておりましたので、そういう点をいろいろ検討し合いまして、そうして先ほど申上げましたように、やはり定額法で行つて石炭も本当に焚く、入手できる程度で行くべきだということにきまつたわけでございます。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、まあ率直にわかりやすく申しますと、物価庁の事務当局におきましては四月の下旬かち五月の初めにかけて作業をせられて、これぐらいのところで妥当であるという考えの下に進められておつたものが、物価庁の最高首脳部において意見の相違が生じ、そうしてこれによつて石炭費減価償却費とは、正式に本日御説明がありましたような工合に決定をせられた、こういうことに了解していいわけですか。
  14. 川上為治

    説明員川上為治君) まあ大体そういう御了解をされればいいと思うのですが、少しやはり違いますのは、そういう案も事務的には一応作つており、それから一方定額法で行つた計算の案も作つていて、それがどういうようなふうに各産業なり各方面影響するかということを一面においてはいろいろ作つておりまして、すべて作業の案でありまして、決して外部に公表さるべき性質のものではなかつたということを申上げておきたいと思います。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 公表の点は私は別に聞こうとは思つておらないのであります。ただ電気料金の値上に対する基本的な物価庁態度というものがそういう工合であつたということを私は伺えばいいわけであります。  それから更にそういうことになりますると、実際の支払額が二〇%が適当であるということを先ほどたびたび強調せられたのでありますが、この二〇%という数字は私の聞くところによりますると、自由党の政調会におきまして二〇%が妥当であるということを決定せられておるのであります。従つて、この二〇%ということは私は偶然にそういう数字が一致したのかどうか存じませんけれども、その辺の関係を一つあなたの方から御説明を願いたいのであります。
  16. 川上為治

    説明員川上為治君) 物価庁事務当局としましては、別に自由党のほうからお話があつて二〇%にしたというわけでは毛頭ないのでありまして、それは別に私の方とは関係はありません。私の方としましては定額法で行き、且つ又石炭の量を五百五十万トンと押えればそういう計算になるというわけでありまして、自由党の御意見と私の方とは必ずしも同じではないのであります。
  17. 小野義夫

    ○小野義夫君 栗山君の発言に関連して。私は自由党の本部の電力委員会の小委員でありまして、電力問題に対しては目下審議中に属するのでありますが、大勢はこれはまだ確定ではございません、全部の委員の総会によつてきまるのでありますが、小委員会といたしましては一・五、一割五分程度の値上を出そうとするものではないかということにだんだん結論がつきつつあるのであります。その点申上げまして今の物価庁案とは何ら関係なきことをこの際表明しておきます。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 了解いたしました。ただその二割という自由党の政調会の案が一月ほど前に決定されたというので新聞に報道されたことだけはお認めを願つておきたいと思います。  それから又川上第三部長が、事務当局案は四月の下旬から五月の上旬の作業の通りであつたけれども、最高首脳部との話がつかないので、最後の態度としては話がつかないというわけでありません、最高首脳部が決定をされたのではない、事務当局の案であつたけれども、今日最高首脳部の認めたものは本日説明したこれである、こういうことを言われたわけであります。その間のことはお聞き及びのことで大体私がこれ以上申上げなくても御想像がつくのではないかと思います。
  19. 川上為治

    説明員川上為治君) ちよつとやはり誤解があるのじやないかと思うのでありますが、当時におきまして、事務局のこれは下の方でいろいろ計算をしました一つの案としてそういう案もありそれから定額法の案もあつた。そういうものをいろいろ検討して、それがおのおのどういう影響を及ぼすかということをいろいろ調べていたのであつて、事務局の案として当時それがそういうふうにきまつていて、それが上の方でひつくり返つたということではないのでありまして、そういう案もあり、こういう案もあり、ああいう案もあつて、それをいろいろ作業の基本としていろいろ検討をしておりましたということを申上げて置きます。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 それではこういう案というのは今私が読上げた案であろうと思いますが、ああいう案というのを一つ御説明願いたいと思います。
  21. 川上為治

    説明員川上為治君) それは七百二十万トン石炭を焚くのを仮に六百五十万トン焚いたらばどうなるかという案も検討をいたしました。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど電気料金改訂製品価格又は原価に及ぼす影響調べというのを詳しく御説明頂いたのでありますが、その中で私は今度の電気料金改訂の点は非常に疑問に思つておる点が二点あるわけであります。一つは、電力のアロケーシヨンがどういうことでなつたのか知りませんけれども最初は全然今度の電気料金制度においてはしないというようなことが公益事業委員会方面から伝えられておつたのでありますが、それがこの前のこの参議院の電力委員会を開きました当時におきましては、三十キロワット以上の大口にのみアロケーシヨンを許す、こういうようなふうに大分変つて来るように聞いておつたのであります。それがその後更に事態が広まりまして、五十キロワツト以上の電力につきましては従前通りのアロケーシヨンを許すことになつたのであります。ところがここでやかましい料金原価計算をしましても、アロケーシヨンの幅にも伸縮性を持つわけでありますから、従つて大口電力の需要に対しましての料金の実際の支払高というものは、アロケーシヨンの操作によつてどうにでもなると思うのでありますが、現に一昨年の料金改訂その後今日までの間において、相当多数の特定の事業においては、アロヶーシヨンのために料金の値上が行われていない、或いは引下になつておる事業すらあるのであります。そういうような工合にアロケーシヨンが五十キロワツト以上の大口需要にも許されるごとになり、そうして而も総平均において二割の値上をするということになりますと、物価庁の案によりましても、その値上は必然的に家庭用電力、業務用の電力五十キロワツト未満の電力に非常に重みがかかつて来ると思うのでありますが、その点どういうふうな工合にお考えになりますか。
  23. 川上為治

    説明員川上為治君) アロケーシヨンの問題と実際支払料金の問題は非常に密接不可分な関係があるのでありまして、アロケーシヨンを変更することによつて支払料金が非常に上る場合もありましようし、或いは低くなるというようなこともあるのでありますが、その点につきましては只今おつしやつた通りでありまして、私の方としましては、五百五十万トンというふうに抑えました石炭は、これは全部アロケーシヨンの方にぶち込んでもらいたい、それ以上出来ました場合においてはこれは場合によつては追加割当まで行くか、或いはその次の渇水等を控えまして、そうして単価料金で徴収するというふうな方法で行くとか、そういうふうに考えなくちやならない。少くともこの総括原価の方から行きましては、少くとも五百五十万トンまで行くということにすれば、五百五十万トン分は全部割当の方へぶち込んでもらいたいというような考えでおるわけでありまして、従つて実際の支払料金におきましても、私どもの方としましては、私どもの方の案よりもそれほど変えてもらつては困る、そういうふうにアロケーシヨンの方をやつてもらいたいというような考えでおるわけであります。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 今川上さんのおつしやつた五百五十万トンを全部アロケーシヨンにぶち込んでしまうことができるのですか。この今の改訂試案の方を拝見しますと、五百五十万トン全部焚く計画によつて販売電力量は二百七十六億キロワツト・アワーとなる、そうして而もそこに標準電力の単価と追加料金を含んだ単価とが書いてある。従つて五百五十万トンの中には追加料金、いわゆる火力料金の分も入つておるわけではありませんか。
  25. 川上為治

    説明員川上為治君) 私どもの方の一応の計算としましては、五百五十万トンは全部割当の方へぶち込む、標準料金の方でやるというふうに計算をしております。若し五百五十万トンを仮に四百万トン程度標準料金の方にしまして、残りを火力料金の方へ入れるというようなことになりますれば、今の四割程度標準料金の値上というものが、四割よりも或いは三割五分とか三割六分とかいうように、標準料金の方は少くなつて来るということに相成るわけであります。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 非常におかしいので、実際電気料金の問題は結局定価表の問題ではないわけであります。アロケーシヨンを残しますならば、アロケーシヨンの操作によつて支払料金というものは大体に変化さし得ることはあなたたもよく御存じのはずですね。従つて五百五十万トンの石炭が全部アロケーシヨンのうち、いわゆる標準料金の見返りとして含んでおるということをおつしやつておるのですけれども、今度各事業会社が出した認可申請書を御覧になれば直ぐわかると思いますけれども、五百五十万トン、水を入れて二百七十六億キロワツト・アワーの販売電力量計算されておる、これはもう発生電力量としては最大限。そうして最大限だということをあなたが御指摘になるならば、私は更に追及したいのですが、何故六百五十七万トンを五百五十万トンに切られたか、これは六百五十七万トンは出ないということを前提としてしぼられたのか。本当なら六百五十万トンも七百万トンも焚きたいのだけれども、今日の石炭事情では五百五十万トンより出ないということによつて五百五十万トンに切られたのか。それによつて料金計算をする場合に、今度の単価料金の内容を御覧になればわかりますけれども、全部家庭用、業務用の電力は五十キロワツト未満の電力なつて、而も五十キロワツト以上の大口は従前通りのアロケーシヨンになつておりますけれども、それは全部アロケーシヨンの範囲でやるとは書いてない。あなたがおつしやつた五百五十万トン全部をアロケーシヨンにぶち込むということは根本的にあなたのお考えになることが間違いだと思うのですが如何ですか。
  27. 川上為治

    説明員川上為治君) 会社の方の案としましては、実際焚くのは六百万トンなり、そうかも知れませんが、アロケーシヨンの方、標準料金の方としましては、或いは三百万トンとかいうようなことになつておるかと思うのですが、私の方としましては少くとも五百五十万トンについてはこれを割当ての方へぶち込んでもらいたいという気持を持つておるわけでありまして、そういう考え方から作つておりまして、極力超過料金は取つてもらいたくない、超過料金は極力少くしてもらいたい、なるべく限度一杯に割当てをしてもらいたいというような気持から、五百五十万トンというのを割当ての方に皆ぶち込むという考え方で案を作つております。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますると、ただこの会社の経営は支出だけではいけないので、収入見込みがなければいけないわけである。従つて二百七十六億キロワツト・アワーを業種別にどういう工合に割当てて、どういうふうな収入を挙げるかというようなデータをお出し願わなければ私どもはどうも審議するわけに行かないと思いますが、如何ですか。
  29. 川上為治

    説明員川上為治君) 総括収入につきましては、支払に間に合うように、五百五十万トンを標準料金の方で払つても間に合うように私の方では一応作つてございます。なお又業種別にどういうようなふうにこれを割当てるか、収入がどの程度つて来るかというものについては今日は出しておりませんが、これは私の方としましてもいろいろ更に研究を今しておりますので、できましたらそのとき差上げたいと思つております。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから私は、一昨年の十二月に電力料金のまあ画期的な制度の改革を担当せられた物価庁のあなた方が、この関係は非常によく御承知だと思うのですが、今おつしやつたように、五百五十万トン全部をアロケーシヨンに入れることができればこれは甚だ結構な話です。現在石炭電力用炭には六百五十万トンくらいを必要とするというのに、五百五十万トンより入手できないという最大限の石炭の量、これを全部アロケーシヨンに入れるということになれば非常に結構な話です。結構な話だけれどもそういうことは実際上私は恐らく不可能に近いことだと思う。勿論五十キロワツト以上の電力にアロケーシヨンを残すということができれば、電気料金制度は崩れてしまうという形で認められたわけでありますが、そういうことになつた魂胆というものは、成るべくアロケーシヨンを電力側に多くとつて、そうして料金値上りを防ごうという御意思があつたことも私は承知しております。おりますけれどもそういうことがあつた場合には、これは当然アロケーシヨンの中へは電燈及び小口電力は入らんのであります。昨年の実績においても、従量電燈の中で超過料金支払の数は三五%を占めておつたことはあなた御承知だと思う。従量電燈の中で三五%は超過料金を納めております。業務用電力も然り、そういう工合に実際納めておるわけです。動力用の五十キロワツト以上は或いは枠の操作で全部標準料金で納めることができるかも知れませんけれども決してなかなかそうは行かない。従つてそういうことはなかなか不可能であると考えると同時に、若しもあなたが今五百五十万トンと織込んで、二百七十六億キロワツトアワーを全部アロケーシヨンの枠の中に押込めるという主張をせられるならば、この試案の下にある一キロワツトアワー当りの単価、並びにその倍率が四〇%、二〇%という計算をどうしてお出しになつた。これは一本だけでいいじやありませんか。標準料金、アロケーシヨンで全部行かれるならば、標準料金支払に対して単価はこれだけ、値上率はこれだけになる、いわゆる実際支払率だけに私はなるのじやないかと思います。
  31. 川上為治

    説明員川上為治君) 五百五十万トン、アロケーシヨンの中に実際問題として突込めないかという問題ですが、私の方としましては極力、できる限り超過料金を取るということはやめて欲しいという根本的な気持を持つておりますので、少くとも石炭を確実に大体これだけ入手できるならば、それは全部アロケーシヨンの方へ一つぶち込んでもらいたいという考えを持つてこれは作つてございます。  それから要するにそういうことであれば今の標準料金に対して幾ら、それから又実際支払料金に対して幾らという数字は一本にして出すべきじやないかというようなお話なんですが、それは昨年の実績に対しまして今私が申上げましたような我々の方の計算で行つたものが大体どれくらいアツプになるかというと、支払料金に対しまして二割程度、それから標準料金に対しましては四割程度ということになるということを申上げたに過ぎないのであります。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 どうも私頭が悪いのでよくわかりませんが、結局今言われたように希望的な、五百五十万トンアロケーシヨンに入れたいということも希望せられるということもだんだん違つて来たようでありますけれども、僕はそれは恐らく不可能なことだと思います。そういう不可能なことをここでやりまして、そして国民大衆に全部、石炭は全部標準料金で見込むのだというようなことを宣伝するのは如何かと思いますので、この点もう少し私は保留しておきたいと思います。
  33. 奥むめお

    ○奥むめお君 物価庁に。公共事業令ができます去年の秋でございますね、この前の電燈料値上の問題なんかは物価庁が一番おやりになつたわけでございますが、この事業令ができますということは非常な物価庁としてもその職権の剥奪でもあるし、又産業の面に及ぼしますことを考えても、民生の問題から考えましても非常に重大な問題で、今日この紛糾というものは公共事業令の出たということに帰すると言えると思うのでございますが、あの当時安本長官なんか御存じないはずないし、物価庁も御存じないはずないと思うのでございますが、そのときにあなた方は了解を求めるために、又その立場を主張するためにどういうお骨折なすつたでございましようか。
  34. 川上為治

    説明員川上為治君) 非常にむずかしい御質問ですが、公共事業令ができましたのはやはりこの再編成の関係がありまして、これが中心になりまして出たのじやないかと考えておりますが、この電気料金の所管の問題につきましては、公共事業令が出ましても、私どもの方としましては、物価統制令の存在する限りにおいては物価庁が一元的に統括すべきだというふうに、法律論的にも実際問題としても考えておりましたし、又当時この法案を作りましたかたがたとは、私どもの方は十分その間は相談しておりまして、大体共管で行こうじやないかという話合になつていたのでありまして、その後いろいろな事情がありまして、関係方面のメモが最後に出まして、そうして権限は無効になつたということに相成つたわけでありますけれども、それにしましても全般的な価格政策の関係から、私どもは非常に至大な関係を持つておりまするので、公益事業委員会と私どもの方は十分に連絡をとつてやることに現在においてもしております。公聴会において物価庁意見を出しましたが、これはやはり公聴会においてはつきり物価庁意見を出しておいた方がよかろうという公益事業委員会並びに関係方面意見もありましたので、私どもの方ははつきり意見を申述べましたのであります。まだ公益事業委員会とも私どもの方ははつきり、じやこの線で行こうということはきまつておりませんが、物価庁の方としてはこういう意見を持つておるということを各方面に申述べただけでございます。
  35. 奥むめお

    ○奥むめお君 先ほど栗山さんからも御質問が出ましたのに関連して重ねてお伺いしたいと思いますのは、丁度新聞物価庁案として六割妥当ということが出ましたのを、先ほど川上第三部長物価庁としてはいろいろ試算はしてみたけれども、それは物価庁の案ではなかつたとおつしやつておりますが、これは報道関係のかたからあの時分の事情をお伺いしない限りは私どもはつきりわからないと思うのですが、丁度新聞に出ましたあの当時、私主婦連合会の代表として副会長と一しよに実はお訪ねしたのでございます。そして電気関係のかたも第三部長さんもおいでにならず、熊田次長さんのお部屋で、おいでにならないということになつて、熊田さんとだけお会いして帰つたのですけれども、そのときに一体電気料というものはどこできめるのだ、私こういう質問から申上げたのでございます。そうしたら実は物価庁だと思うけれども、どうも公益事業委員会ができてあちらに取られそうなんだというお話でございまして、そんななまなかな態度で随分物価庁としては弱いじやないかということで、時間もないので詳しい事情は申上げられませんけれども、一つ是非電気料金の問題については物価庁が今まで通りの国民生活の安定の面から大いに強く主張をして貰わなければいけないということを是非やつて下さいと言つて固くお頼みしてお話して帰つて、次には六割というのは一体どういう、会社が七割案を出しておるのに物価庁が六割案とは大変に近いじやないか、六割も上つたらあと便乗値上も考えなければならないし、国民から言えば非常な消費者の犠牲を予想しなければならないのですから、絶対に私どもとしてはこれは困るのですが、なぜ六割案なんという甘いものをお考えなつておるか、これを私は伺つたのであります。そのときに或いは熊田さんは詳しいことを御承知なかつたかも知れないけれども物価庁として数字にとつて見るとこの程度なら止むを得ないと思うのだということをおつしやつておりましたのでございますが、私どもはそれに対しましても是非考えて貰わなくちや困るということを念を押して帰つたのでございますが、日附は今日覚えておりませんが、たまたま栗山さんからご質問が出ましたので私その当時の事情を申上げて物価庁が改悪なさつたなら大いにここでもつと、つつついて行かなければいけないけれども、改善されて二割案という御意見でもございますから、私ども大変結構だと思つて、六割が二割になつ程度なら非常に結構だと思いますから是非、この問題について深く追及しようとも思いませんけれども、そういう事情もあつたということをここでお含み頂きまして、そして私どもからいえば公益事業委員会に対して、公共事業会に対する物価庁態度がもつとなすべきことがあつたのじやないかと思う。又もう一つ附加えて申上げれば、経済安定委員会として私ども公益事業委員会に要望書を持つて行きましたときに、全然物価庁の立場を認めていないのでございます。会いました代表の人が松永さんでございましたけれども物価庁が、役人がなぜえらいと思うのだ、国民の皆と消費者と一しよに意見を出したかつたら出したらいいじやないか、法令をよく見たらわかる、ちつとも物価庁はどうするという特別な立場は書いてないじやないかという、こういう意見でございました。私どもこういうことを思い出しまして、物価庁としてはせめて今度の料金裁定に対しては、一番強力に消費者の味方として活動して貰わなければならない立場でいらつしやいますから、ここで重ねてお願しておきたいと思うのでございます。
  36. 山川良一

    ○山川良一君 料金算定の基準になる電力の発電量、これは一応石炭を調整されましたのでその分は修正されたと思いますが、水力の方は初めの各電力会社が出した案をそのままとつておられますか。
  37. 川上為治

    説明員川上為治君) 水力の発電量につきましては、各会社のほうから出しましたものをいろいろ安本或いは公益事業委員会方面とも検討しまして、大体このままということを聞いて私の方は作つております。
  38. 山川良一

    ○山川良一君 それでは一言お尋ねいたしますが、七月の五日に公益委員会の事務局で作りました或る表を基礎にして見ますというと、第一四半期の出水量を一〇〇としまして、実際の第一四半期の実績はどうなつておるかと言いますと、一〇五%出水しておるわけです。ところが出力の方は初めの査定の一〇〇に対して一一一%電気が出ておるということになつております、そうすると一割一分だけ水力が余計出ておる。これも相当電力会社が儲かつておるのではないかと思いますけれどもそれは一応さしおきまして、五%だけ水量が殖えたにかかわらず一割一分出力が殖えておることは、初め電力会社が作つた水量をそのままにおきましても出力を非常に下めに見ておる、数字で申しますと六%だけ下めに見ておる。電力の単価から言いますと、水力の料金だけはそれだけ高くなつておるのではないかと私は考えるのであります。私は、先ほど総合的に二割くらいの値上が妥当であろうと言われましたけれども、それに更に水力の点はそれだけ切下げてもいいのじやないかと思うのであります。これはまだお聞きになつておらんかも知れませんけれども、七月五日に電力事務局で作つた想定の実績の表がここにあるのであります。その点如何でございましようか。
  39. 川上為治

    説明員川上為治君) 水力がどの程度実際出るか、又それをこの料金の基礎としてどの程度組むべきかというのは非常にむずかしいのでありまして、実はその量の査定につきましては、物価庁は殆んど何ら権威を持つておりません。従つて安本或いは公益事業委員会の従来言つておりましたものを、そのまま私の方としましては一応とつておるわけであります。その点若し今後非常に変つた見通しを公益事業委員会なり或いは安本通産局の方で作りますならば、私の方としましては又それによつてそれを基本として作り変えなくちやならんと考えます。
  40. 山川良一

    ○山川良一君 今の水量に対する出力の見込が少かつたのではないかという、六%くらい下めに見ておるようだということは、これは第一四半期だけの実績からいうとそういう結論が出るのであります。その点をもう一つ御検討頂きまして、更に値上の率を低くし得るのじやないかと思いますので御検討願います。
  41. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 物価庁にお尋ねしますが、物価庁が二割が妥当だと言われるその理由につきましてはだんだん伺つたのですが、物価庁としてはそれでは二割が妥当であるということになつて、若し二割値上ということに結論ができ上つた場合に、公益事業委員会の裁定ができ上つた場合に、現在物価庁が主宰する物価体系というものはどういうように変る予想ですか、変らんのでありますか。この辺をお伺いします。
  42. 川上為治

    説明員川上為治君) 先ほど各産業一般生計に及ぼす影響で私申上げましたが、大体二割程度ということであるならば極力各産業の方に吸収してもらいたい、どうしてもできないものについては或る程度値上をするのも止むを得ないというような考えを持つておりまして、例えば鉄関係とか、或いはソーダ関係とかその他の方面におきましても、大体二割程度であるならば吸収できるものが相当私はあるのじやないかというふうに考えております。なおこの問題につきましては私の方としましては、それではどのものを吸収できなかつた場合はどれだけ上げるという案はまだできておりません。
  43. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ところがまあ六割上るか四割上るか、或いは二割になるかわからないのでありますが、仮に二割と物価庁が希望裁定的なものを出しておる。これに対しても早くも各産業別、或いは各方面におきましての電気料金の上るのを程度の如何にかかわらず相当待ちかまえておるし、事実はやこの物価体型に織り込んでいろいろの自由価格の上においても現われておるわけでありますが、そこで問題は電気料金改訂されてから、あとから物価庁がそれについて一般物価体系、即ち物価統制令による物価をいじくり廻さんならぬということは、一体先ほど奥さんからお話がありましたように、総理庁の外局にある公益事業委員会、総理の管轄にある安本長官、こうした二つの総理大臣の主管下にあるこれらの機関が、電気料金改訂物価庁安本が引きずられておるこういう姿は、大体物価体系を築く安本並びに物価庁としては正しい状態と考えるのかどうか。これが日本安本或いは物価庁といつたような総合計画を立てる役所としては止むを得ないというような意味合のお話がありましたが、一体これでやつて行けると考えるのかどうか、この辺を承わつて置きたいと思います。
  44. 川上為治

    説明員川上為治君) 電気料が非常に上りますことは、各産業に対しまして或いは一般国民生活に対しまして非常な影響がありますから、私どもの方としましては一般物価政策の観点から極力避けてもらいたい、併しながらそのために現在の料金ではどうしても電源開発なり、或いは補修なりそういうものができないということであれば、或る程度値上げも止むを得ないということでいろいろ研究をしました結果、私の方としましては大体支払料金の二割程度ならば止むを得ないという考えを公表したわけでありまして、先ほど申上げましたようにそういうことであれば各この方面価格に対しましての影響は最小限度に極力とどめ得るのじやないかというふうに考えまして、私の方としましては二割を出したのでありまして、物価庁電気料金が上ることによつてこの料金決定に非常に引きずられておるという、その辺よく私自身呑み込めませんが、私どもとしましてはそういう影響が極力ないように、而も一面においては電源開発もできるようにというような考え方から二割程度が妥当であるということを申上げたのであります。
  45. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私の申したことがまだおわかりにならないようですが、電気料金が御希望のように二割になるか何割になるかわからん、或いは四割にかるか六割になるかわからん場合に、二割の場合は一般物価に及ぼす影響は稀少であり、或いは例外的なことで何とか拾収できるという希望的な解釈並びに措置はわかります。私の聞かんとするところは、公益事業委員会電気料金物価庁におかまいなしにきめる、この結果及ぼす日本物価体系というものは一体電気料金に追従せなければならんじやないか、若し四割になつた、六割になつたならば物価体系構造の上の既定線を変更せなくちやならんじやないか。それでは日本物価体系、物価統制令というものは完全に総合的に維持できるかどうか、電気料金にすべてついて行かなければならんというような不見識なそういう物価統制、物価体系というものはあり得るのかどうか。ないのならそんなものはやめてしまつて、役所もやめてしまえば物価統制令も新たな角度で再検討をしなければならん。こういうことを私は終極に聞かんとする点であつて、だから物価体系というものの基本線は、電気料金がきまつてからあとからついて行くというような情ない姿の状態ではいかんじやないかということを言つておるのです。だからこれに対しての物価庁の見解は如何ということをお尋ねしておるわけです。
  46. 川上為治

    説明員川上為治君) 私の方としましてはあらゆる面から見まして大体二割程度がよろしいと考えておりますので、その考えでどこまでも公益事業委員会が最後的に決定をされますときはその程度できめてもらうように、あらゆる努力を払う以外にこれ以上申上げる手はないのではないかと考えます。
  47. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 その希望的な態度なり見解はわかるのでありますが、将来この問題は私は重大であろうと思うのであります。もとより電気料金を裁定或いは決定するについては、物価庁がこれを把握したいということはもとより我々もその気持はわかるし、当初そういうメモが来たから止むを得ないというような態度であるならばなぜこれを国会に出さなかつたか。役所にメモが来たから役所はそれに追従して行つてあとでその結果を国会に報告して、国会でどうにもこの処置のとりようがな  い羽目に陥つてしまつたということは、物価庁としては一半の責任があると私は思います。  そこで希望的に二割の値上ということはわかるのでありますが、希望的に行かなかつた場合、現在例えば今直ちに決定しなければならん米価の問題にしましても、或いは給与ベースの問題にしましても、その他各般の重要なる物価基準、あらゆる総合体系の価格面の改訂基準というものは、電気料金改訂のさじ加減如何によつてそれで物価庁が一々筆を直して行かなければならんというような状態というものは、一体これは物価体系を掌る物価庁の権威とし、又実際これらのことで行政事務が行えると考えておるのかどうか。そんな状態であつたならば根本的に建て直さなくちやいかんじやないかということを私は問うておるわけであります。もう一点その点だけお尋ねして置きます。
  48. 川上為治

    説明員川上為治君) 私非常に或いは自己満足的なことを言うかも知れませんが、或いは口はばつたいことを言うかも知れませんが、大体二割よりも非常に離れた線できまるというふうにはどうしても私には考えられないのでありまして、若しそういうふうに非常に高いところできまりまして、それが各産業その他の方面に非常に影響がありました場合におきましては、そういうふうに実際になりましたときにおきましては、私どもの方としましては物価体系につきましても十分又考え直さなくちやならんのじやないかというふうに考えております。
  49. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 只今のに関連をして一つお尋ねをしたいのでありますが、物価庁安本と、それから公益事業委員会どの関係について、先にこの委員会安本長官とそれから松永委員長代理と並べて伺いましたときに、松永さんにも或る程度相談をしてというお言葉であつたようでありますが、特に長官は法令諮問委員会その他で各種委員会等の存立そのものについても検討をされておるということだが、飽くまで全体の物価体系、或いは物価問題についての物価庁安本等の意見を無視されるようなことであるならば、公益事業委員会そのものの問題になるのではないかという、こういう御質問を私がいたしましたところが、長官は、松永さんとも相談して参るということだから、そういう御質問にお答えをすることは松永さんの言をこれは信用しないことだ、そういうことは考えたくない、という御答弁でございました。ところが只今頂きました資料の中にも、従来は電気料金は閣議決定で物価庁が指定しておつたが、公益事業委員会が独自の見解に基いて閣議にも諮ることなく、独自に認可する意向のようであると書いてございますし、それから只今の御説明の中にも同様のお言葉があつたと思うのであります。なお七月七日の読売新聞に出ておる松本委員長のこれは新聞記者に対する答えでありますけれども、決定前に関係官庁と打合せ或いは閣議に諮るかという質問に対して、とんでもない、その必要はないでしよう。閣議とか官庁とかに迷惑はおかけしません。飽くまで公益事業委員会の責任で決定しますということを言つておられる。それからこれは公式の話ではございませんけれども九州公聴会のあとに、会食の席上であるかどうかは知りませんけれども、松永委員長代理から非公式に、或いは四割、五割にきめるかも知らんというような意向を洩らされたかのように私どもは聞くのであります。これらの言動を総合しますというと、相談はもとよりのこと、意向についても十分これを取上げて電気料金を決定するという態度は見られんのであります。そういたしますと、先ほど申しましたような従来の物価庁の建前、或いは安本の言い分というものからいたしまして、今後どういう工合にやつて行かれるのか、態度、意向を承わりたいと思うのであります。只今のお言葉によると、二割程度に決定するということを考える以外に考えようがないというお話でありますけれども、事態は必ずしもそういうようには進んでおらん。少くとも公益事業委員会の意向は非公式でありますけれども、以上申したような調子でありますが、これに対して物価庁として今後どうされるか、どういう意向であるかということを承わつておきたい。
  50. 川上為治

    説明員川上為治君) どういうことが新聞に出ましたか、どういうことをおつしやつたか私のほうもよく知りませんが、私のほうに対しましては十分相談をして仲よくとにかくやろうということになつております。又現に私のほうとしましても、向うに連絡をし、又向うのほうも私のほうにいろいろ連絡をしておりますので、決して一方的に公益事業委員会で全然我々のほうの意見も無視して決定するということはないのじやないかというふうに私ども考えております。又この問題につきましては、我々の上司に対しましても、即ち安本の長官に対しましてもよくお話申上げてありますので、大臣のほうからもその点については十分公益事業委員会にもお話をされると私どものほうは考えております。
  51. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 今川上第三部長は、公益事業委員会は十分安本長官にも相談してやる。必ずしも公益事業委員会だけでやらない、こういうことを言つておられたが、そうしますと、この電力料金の裁定は公益事業委員会の責任においてでなく、政府もそれにタツチして、共同責任である。かような解釈を持つてよろしいか、お尋ねしておきたい。
  52. 川上為治

    説明員川上為治君) 法律的には、この前の委員会でもお話申上げましたように、公益事業委員会に権限があるのでありますから、公益事業委員会のみに権限があるのでありますから、法律的には向うが裁定するということになりますが、その間において政府と十分連絡をとるであろうということを申上げたわけであります。
  53. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それではそれに関連して、もう一点伺つておきたいと思うのでありますが、それは公益事業委員会として法的にはとにかく、実際的に相談し、そうして意見を考慮してきめて行かれるだろうという、これは希望と観測の御答弁でありますが、若し意向が十分に反映されなかつた場合、或いは数字が二割、或いは七割という数字が出ておりますけれども、そういつたところに関連しての意向が十分入れられなかつた、無視された場合にはどういうようにするかという点を一つ伺つておきたい。
  54. 川上為治

    説明員川上為治君) 無視された場合においてはどうするかというところまで私どものほうでは考えておらないのでありまして、私のほうとしましては、十分向うと相談し、私のほうの意見も十分聞いてくれるものと考えております。
  55. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今年の石炭の消費量の問題についてちよつと伺つておきたいのですが……。
  56. 山田節男

    ○山田節男君 ちよつと岩木君の関連質問を……。
  57. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは須藤君ちよつと待つて下さい。
  58. 山田節男

    ○山田節男君 さつきの岩木君の問題は重要なことだと思うのですが、それに対して川上第三部長は何ら話がない、で今も問題になつておりますように、公益事業委員会電力の値段をきめるという権限がある、その権限については第十国会のこの委員会で、松永委員長代理並びに物価庁の人も来ておつたと思いますが、非常に論争されたのでありますが、併し今ちよつと川上第三部長の話を聞くと、政府内、即ち公益事業委員会は飽くまで物価庁と誠意をもつて相談する、これは我々もこの委員会で聞いたのであります。ところがさつきの岩木君の言われることは、若し不幸にしてこれが四割、五割、物価庁は二割というけれども、若しこれが三割、或いは四割、五割になつた場合は、一体同じ政府の中の安本或いは物価庁公益事業委員会が対立した形になつて、而もこの公益事業委員会の特性、ポ勅というものに根本を置く特殊の性格があるだけに政府の価格政策というものが根本的に壊れる。これに対して政府はどういう責任をとるか。価格政策というものはなくなるんじやないか。私はこれは重要な岩木委員の質問だと思いますが、これに対して何ら明答がない、この際私はこの点を一つはつきりしてもらいたい。
  59. 川上為治

    説明員川上為治君) 若し二割程度でなくて非常に高い線で、而も我々の意見も全然無視して公益事業委員会できめた場合において、そのとき価格政策というものが何かなくなつて来るんじやないかというようなお話でありますが、若しそういうようなことに仮になつた場合におきましては、やはり私どもはそういう事態を基礎とした価格政策を考える以外に方法はないのであるというふうに考えております。
  60. 山田節男

    ○山田節男君 それは非常に私は敗北主義的な……、政府の態度は不愉快であります。というのは先ほど来吉田委員も言われた通りに、我々過去数カ月間どうも公益事業委員会の松永委員長代理の言動を見てみるというと、誠に何と申しますか、公益事業委員会のその特権を振廻したようなことになり、そういうような形にあつて而も政府の物価庁としては二割であります、こう言つておる、三分の一以下のことを言つておる。これは御承知のように電力はこれは生活の必需品であります、産業の根本的なこれはもう必要品であります。これが若し三割、四割、五割、六割と上つた場合にはこれは一般の生計指数が上るのみならず、今日の国民の急迫した状態において物価が更に上るのは当然であります。それから私はさつきの政府の価格政策というものから考え公益事業委員会は独自でやるけれども、政府の価格政策にこれは破綻を来すのじやないか、破綻を来します。そういう場合に一体どうするかということを私は、岩木委員もそういうことを聞いておられたと思う、その問いに対して敗北主義的なことを言われたのでは何にもならない、そういうようなことになればこの二割ということは単なるゼスチユアに過ぎない、誠に実に不愉快で、我々委員会に対してまじめでない、私は一部長に対してそういう政府の価格政策をどうするかという政治的な質問をしているのではない、一つの技術家として若しこれが万一四割、五割上つた場合に物価庁としては価格政策をどうするか、根本が壊れるのではないか、ここを聞いておる、この点に対してもう一度回答を煩わしたい。
  61. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の山田君の御発言に関連して私からあなたの答弁の要旨を一つお話したいと思います。山田君の言つておられることは、あなたの答弁に食違いがある、山田君が聞いておられるのは要するにあなたは電気料金物価庁考えるようでなくて、三割も五割も上つた場合には電気料金が三割、五割上がつたことを標準にして新らしく物価政策を考える、こういうあなたの御答弁、山田君の言われるのは、そういうふうになつた場合そんなことをやつたのでは物価政策も何もないじやないか、こういう御意見なんです。だからそこを履き違えないように一つ適切な御答弁を願います。
  62. 川上為治

    説明員川上為治君) 若し非常に高くなりましたときは、これは先ほども申上げましたように、一般生計指数、各産業に対する影響は非常に大きなものがありますので、私どもは、少くとも私としましてはあらゆる努力を払つて、そうしてこの大幅な値上を阻止する以外にないと考えております。
  63. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今のに関連して、先ほどから第三部長は口はばつたいかも知れないけれどもという前提をされて、二割以上に上げられることは考えられないというような自信たつぷりな御発言であります。誠に結構でありまするけれども、先ほどから吉田委員から或いは奥委員等からいろいろな資料を以てお話に相成りましたように、公益事業委員会が必ずしも物価庁というものを非常に重くこの電気料金改訂について御相談しようという肚は余りないのじやないかということが考えられるわけであります。なお又五月八日のメモランダムを見ましても、物価庁というものは聴聞会に出ても何ら特別な権限はないのだ、一般の発言者と同じであるというくらいにしか言われていないのです。そういう状態においてまあこういう結構な一つの案をお作りになりまして、而ももうすでに聴聞会は終つて、資料の整理等をされて、大方公益事業委員会のほうではもうきまりつつあるのではないか、又きまらなければもう遅いのです。だんだんきまりつつあるというような状態において、なお且つ二割以上の値上げ考えられないという自信を持つて言われる、その裏には何か物価庁から公益事業委員会に対して何らかの交渉をされて、その交渉の結果相当根拠のある一つの見通しを持たれてこういう御発言をされているのであるか、そうであるならば誠に結構なんです。その点を一つ率直に把握しなければ、ただ御希望的なそういう御意見であるというのならば、これは今までの公益事業委員会態度からするというと誠にどうも危なつかしいものに終るのではないかというような懸念がありますので、その点若し明らかにされますならば、交渉の結果からそういうようなことが自信を以て言われるようなことでありますならば結構でありますので、その点を一つお話し願いたい。
  64. 川上為治

    説明員川上為治君) 交渉の結果から私のほうは申上げておるのではないのでありまして、まだ大体どの程度できめるかという点につきましては、向うのほうと我々のほうとにおきましては十分な話合はまだついておりません。公聴会で各方面意見を聞いた上で両方で相談しようじやないかということになつております。ただ物価庁としまして、私どもとしましては大体この程度が最も妥当だと考えておりますので、先ほど申上げましたように非常に口はばつたいということを言いましたが、私のほうとしては大体この程度で最も妥当じやないかというふうに考えますので、或いは自分の考えを押し拡げたかも知れませんけれども、この程度できまるのじやないか、甘いとおつしやられればそうなるかも知れませんが、そういうふうに申上げたわけであります。
  65. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 少しお尋ねしたいことがあるのですが、その前に先ほど発言しました石炭の問題からちよつと伺つておきます。  会社のほうの予定では六百五十万トンという数字が出ておるのに対しまして、物価庁のほうで五百五十万トン、要するに百万トンの食違いがあるわけなんですが、これはどういう立場から物価庁は五百五十万トンという数を出されたのか、要するに焚こうと思つても焚く必要がないというのか、焚こうと思つて石炭が廻らないという立場から五百五十万トンという数を出されたのか、それとも朝鮮の停戦問題を考慮に入れられて、特需関係方面の電気使用量が少くなるから五百五十万トンでいいというのか、なお朝鮮問題をきつかけとして五百五十万トンを割るという状態が考えられるのか、その点を先ず第一にお聞きしたいと思います。
  66. 川上為治

    説明員川上為治君) 私のほうとしましては、昨年度の石炭の生産が大体四十万足らず、そこで五百万トン程度、これは四百九十何万トンですが、その程度電力会社のほうでは焚いております。本年度の生産につきましては、これは非常にむずかしいのですが、仮に四千五百万トンとしましても、最近におけるいろいろな各方面の生産状況からしまして、電力のほうへ配当されるものは大体五百五十万程度、その程度じやないだろうかということを各方面から聞いて、今申上げました数字とつたわけでございます。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最近の新聞を見ますと、各電力会社がGHQのほうにもつと石炭を廻して欲しいということを申出でている、そういうことが出ていたと思うのです。私はついこの間北海道のほうぼうを調査しましたとき、石炭のたくさんある北海道ですらも、電力会社はなかなか思うように石炭が廻つてない、そういう事情から考えまして、なかなか会社の思うような六百五十万トンという石炭が廻らないだろうと思うのであります。念のため今年度の四四半期の石炭の消費量というものは、もう実数が出ておると思いますので、参考まで伺つておきたい。予定では百二十七万七千五百トンというような数が出ておりますが、それに対してどれだけの実数が出ておるかおわかりでしたら承わりたい。
  68. 西田隆男

    委員長西田隆男君) わかつておりますか。
  69. 川上為治

    説明員川上為治君) 数字は持つておりません。
  70. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 須藤君、数字はわかつてないそうです。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうですが、それでは仕方ありません。  それから値上の問題でありますが、この前からずつと公聴会で参考人の御意見などを伺つておりますと、どうも二割、三割ということがほうぼうのかたがたから口に出るようであります。私の聞くところによると、公益委員会の事務局案としても定額法でやるならば二割、定率法でやると三割の値上げですむということが、公益委員会の事務局案としてできているということを漏れ聞いております。なお最近或る自由党のかたから耳にしたところによると、ついこの間自由党の総務会におきまして松永公益委員長代理の出席を求めていろいろ話され、自由党としては電気料金値上は反対の立場をとつているのだが、公益委員会では値上をするという建前で今度の問題を検討している。だから公益委員会としては値上をしないで行くという方法で絶対止むを得ない値上率考えてみたらどうだという意見が出たところが、松永委員長は最も最悪の場合は二割、三割の値上で済むのじやないだろうかということを言われたということを洩れ聞いている。それと物価庁のほうの二割、三割、又大口需用者の代表のかたが二割、三割ならば大体やつて行けるだろうと思いますというようなことをよく口にされているところを見ますと、どうも私たちの立場から七割というような額をふつかけて、そうして皆さんのほうから二割、三割というようなことを出して、大体二割、三割のところで世論を作つてしまつて、そうして会社との折衝の上或いは四割というようなところへ話を持つて行こうということが、もうすでに皆さんが業者、又政府、公益委員会とぐるになつて、一つの何といいますか、陰謀と言つちや悪いですが、そういうことを裏で計画しているのじやないか。そうしてそれを最後のどたん場に来て国民に押し付けるのではないだろうか、そういう気持が、私たちにぴんと来るわけなんです。こういうことを物価庁意見を聞いてみたところでおつしやらないと思うのですが、質問になるようでならない質問になるわけなんで、私もこういうことを質問するのはおかしいと思うのですが、どうも私たちにはそういうふうに受取れる。どうも不明瞭なことを申上げてなんですが、若しこれに対して御答弁ができるならばお答えして頂きたいと思います。
  72. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の須藤君の御意見に対しては、どなたも御答弁ができなかろうと思います。須藤君の御意見として一つ頭の中に入れておいて頂きたい。
  73. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは物価庁だけでなくて、或いは安定本部のかたにも御関係があろうかと思いますので、若しございましたら一緒に御答弁願いたい、と申しますのは、私はまあ社会党といたしまして、今度の値上に絶対反対している。なぜ反対するかと申しますと、電気事業の或る程度の運営をしますためには値上をしなければならんということはよくわかつております。わかつておりますけれども、それにもかかわらず絶対反対の態度をなぜとるかと申しますと、とにかく日本のこの特に朝鮮事変後の物価政策というものが政府の指導よろしきを得ずして根本的に崩れてしまつている。そうして石炭或いは鉄鉱その他日本のこの貧弱な薄い経済を何とか国民に行使させて行かなければならんというのにかかわらず何もかもどんどんどんどんと自由奔放の経営が許されて行つたために、そのはね返りが電気事業に来てしまつて従つてどもとしましてはどうしてももう一遍国全体の経済の再建ということを考えなければならん時期になつたのじやないか。こういうことが中心になつているわけなんです。そこで私は今度の値上の場合にすでに各地に廻つて或る程度聞いているのですが、各業界においては値上の反対をしつつ、実際の肚の中においてはこれを中心にして相当大幅な製品に対する便乗値上をしたいという空気が現われているようであります。例えば私の聞くところによつてみますと、パーマネントのごとき婦人に関係ある業種におきましては、料金が値上になりますれば、七割上がれば五〇円上げなくちやいかんということを言われている。ところがパーマネントは御承知の通り一キロワツトあれば一人十分できるのです。それが倍になつたところで火力料金で全部上がつたところで八円だけ上がるわけです。にもかかわらずそういうことを言つている。或いはこういうことはほかの企業にも全部影響があると思う。そこで物価庁なり安定本部にお聞きしたいことは、こういう何か産業の止むに止まれない値上げは最小限度に限られたものにしまして、各企業というものは全力を挙げて企業内で吸収してもらわなければならん、曾て政府はそういうような低物価政策を取られたときにはその点に強い指導をせられたことがあります。今後電気が上りますと交通も上ると言われ、瓦斯も水道も上ると言われ、いろいろなものが上ることになつて、家庭へも影響を及ぼすことになつて来るわけですが、切めて生産材、或いは消費材の便乗的な値上げを飽くまで抑えまして、それぞれの企業内で吸収しなければならんと思うのですが、そういう強力なる政策を当局として用意されておるかどうか、政府は用意されていないか、その点を伺いたい。
  74. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君、委員諸君にお諮りしますが、午後に公益事業委員会を招致してある委員会の開会時間の関係もありますし、今日は各省から御意見を聞くつもりで、各省から出席を得ておりますが、時間の関係上経済安定本部の料金改訂に対する御意見を聞いて、これに対する質疑だけで午前の委員会を終りたいと思いますので、只今の栗山君の御発言に対するお答えは経済安定本部の料金改訂に対する御意見を聞いた後に、御答弁を経済安定本部からして頂くということにいたしまして、そういうふうに一つ午前中の委員会をして終りたいと思いますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでは私の質問は説明を頂く中で述べて頂いても結構です。  それからもう一つこれは簡単で結構でございますが、アロケーシヨンが先ほど申上げましたように全部残ることになつたわけですが、このアロケーシヨンを運営されるには今後はどこが中心になりますか、その点を公益委員会、通産省並びに安定本部、その関係を伺つて置きたい。そうしませんと後で質問ができない。
  76. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは経済安定本部の産業局次長岩武照彦君の御発言を願います。電気料金改訂に関して所管官庁としての考え方、今栗山委員の質問されたことを御答弁できれば、その説明の経過の途中に御説明願いたいと思います。
  77. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 安定本部としましては、電気料金の問題につきまして次のように考えております。一つは電気事業の在来の料金では必要な石炭も十分に買えない。或いは修繕もなかなかうまく行かないというふうな償却の問題、石炭費の問題等について相当無理をされております。而も料金は比較的低位に抑えられておる、極端に申しますれば、電気事業を低く抑えて、その犠牲でほかの産業か栄えておる。而もほかの産業については公で積極的に価格抑制の措置しか講じられていない。従つて電気産業の犠牲においてほかの産業が栄えておるという方面なきにしもあらずというような観点から、或る程度料金値上はこの際止むを得んだろうと考えております。併し他方国民生活並びに産業に及ぼします影響もありますので、これは極力最低限に抑えるべきだろうというふうに考えております。その幅、率等につきましては専門の物価庁のほうで計算しております通りであります。我々それ以外に附加えたいことはありません。それから割当の問題でありますが、この問題は安定本部が介入しておりまする割当の権限としましては、現在は三千キロ以上の契約をしておりますいわゆる特定大口と称するものの業種別の割当しか持つておりません。この業種別の割当につきまして、各生産担当の官庁が個々の工場、事業場等についてそれぞれ割当をしまして、一応俗に仮枠と称しておりますそれをもう一遍地方の公益事業委員会の支局に流しまして、そこで個々の事情を審査しまして、若干の調整を加えて最後的な発券を毎月やつております。併しながら割当というような制度は実はほかにも残つております。御承知のように五十キロ以上の産業動力等については一律割当で、過去の前年度同期の実績というような一律的な標準でやつでおります。従つてそれを越えた分が超過割当なつております。そこで今栗山委員から割当制度を残すようにきまつたようであるがというお話でありましたが、実は割当制度を今回の料金改訂にからみ合せて存置するかどうかという問題につきましては、最終的な決定になつておりません。法規がありますから、或いはこの需給規則の改正される九月までは割当制度が残るかとも思いますが、考えて見ますと、この割当は実は使用量の割当という要素よりもむしろ安い料金で使える量の割当ということになつております。従つて総使用量を規制する方法は何も講ぜられていない。超過料金の金さえ出せば幾らでも使えるという制度になつております。いわば生産原価の調整といつた面が強く出ております。これが設けられました一昨年の十二月末当時の情勢におきましては、そういうような超過料金制度を設けることによつて、一面は電気事業者が厭がる石炭をペイできるようにして、他方需用家のほうも余計金を払うことによつて欲しいだけは使えるが、併しながら使用を節減して行くという需給調整の面も多分に持つておりましたが、最近のように非常に需用が殖えて来まして、もう豊水期でありながら制限をせざるを得ないという情勢になりますと、この制度がいいか悪いか、相当問題になるのじやないかというふうに考えております。もう一つは、先ほど公益事業委員会のほうできまりました料金の算定基準によりますと、総括原価という制度がありまして、これに電気事業の収支に入るすべての原価を入れることになつておりますが、ところが考えて見ますと、本来追加料金、或いは火力料金の幅に相当する石炭等は、これは需要があれば幾らでもこれは焚くという建前でありますから、そうしますと、あらかじめこれを原価に織込むということはなかなか見通しとしてはむずかしい。いわばあの高くなつ料金の部分だけそれに相応する特定な原価があるはずであるということになるわけでありますが、そうしますと総括原価のほかにもう一つの特殊原価というものがなければああいうふうな料金制度はむずかしいのじやないかということになりますと、総括原価しか認めない現在の算定基準の下では、或いは超過料金或いは追加料金という制度を設けるということ自身が問題ではないかと考えております。安定本部といたしましては、この際そういうふうな超過料金、火力料金といつた或る幅、或る限度の量から上は急に料金が上昇するというような制度はこの際採用するのはどうかという疑問を持つております。むしろ場合によりましては、総使用量を調整して行つて、本当の需給調整をするという方向に、今から渇水期に向いまするし、かたがた明年度なんかは相当需用が殖えると考えられますので、電気施設の保安上から言いましても、むしろ出たとこ勝負でやる制限とかいうような応急的なものよりも、恒常的に安心して使えるというような意味の電気の需給調整の方策が必要ではないかと思つております。まだ結論に達しておりませんが、そういう面から実は公益事業委員会に対しましてはこの点に対して疑問を提出しております。公聴会でもそういう意見を申述べております。ただこれに代る方法はどうしたらいいかという問題になりますが、これについてはいろいろな案が考えられておりますが、まだ結論に達しておりませんし、まだいろいろ在来の割当考え方で行けるのかどうかということも相当問題になりますので、実はまだ結論を申上げる段階になつておりません。
  78. 栗山良夫

    栗山良夫君 私只今の御説明で今行なつております料金、それから今更改されようとしておる料金制度について非常な疑問を持つておられ、又これの改善の努力をせられておる点は私も全く賛成であります。全くその通りと思うのであります。従つてどうか成るべく早くアロケーシヨンを全部やめてしまう。先ほど川上さんが言われたように、五百五十万トン全部標準料金に入れてしまうということになれば、もうそれだけでアロケーシヨンの意味がなくなつてしまう。従つてそういうものを全部やめてしまつて電力の需給バランスが崩れておる面はもう一度ほかの方法で強力にやつて行く。そういう面で適当に早くやつて頂きたい。若しそれをやりませんと、非常に産業界のほうに不公平が出て参りまして、業者間に不公平が出て参りまして好ましくない現象が生ずるのではないかと考えられます。  そこで御質問をいたしたいのは、先ほど私の申上げました値上による各企業の内部におけるその影響を如何にして吸収させるかということについて、極めて簡単に御答弁を頂いたのでありますが、この点についてはもう一度御意見を伺つておきたいと思います。  それから第二点のアロケーシヨンの問題ははつきりした御信念を伺つたわけでありますけれども、これは早急に実現すれば結構でありますが、少くとも九月までは駄目なんだ。それから先もはつきりした制度の見通しが立たない限りは、これは産業界からも大きな反対があるだろう。産業界からも了解を得、そうして一般の理解を得るようにしまするためには、差し当り只今あるアロケーシヨンの適正な運営をしなければならんと思うのであります。そこでそれをやりまする方法として先ず考えなければならないことは、先ほど川上さんの言われたように、五百五十万トンの石炭全部をアロケーシヨンに収めるということになりますと、家庭用とか、業務用五十キロ未満のものに対しましては、そういうものに対してアロケーシヨンの枠を拡げる方法をどういうようにお考えなつておるか。これは非常にシヴイアにきまつておるわけであります。これは仮に五百五十万トン全部をアロケーシヨンの中に入れるといたしましても、今のままの制度で行きますと、五十キロ未満の動力、家庭用電力は全然影響がない。結局家庭用電力は非常に大きな値幅の値上りなつて、動力のほうが安くなるということになります。この矛盾をどうしても解決しなければなりません。  第三には動力の中において業種間に非常に不均衡がありますが、これは極端な話をすれば善意に解釈して役所と顔馴染みであるとか、或いはいろいろの繋がりのあるような消費者が極めて割当をうまく殖やしておるということは、これは過去の実例でもわかつておるので、これはそういうことになればこれも又いろいろな不公平を招来する因になる。如何にしてその点調整をされるのか。特に小口需用のアロケーシヨンの枠を殖やす点。これを先ず御説明頂きたい
  79. 岩武照彦

    説明員(岩武照彦君) 第一点の値上の各産業に及ぼす影響という御意見でございますが、これはこういうふうに考えております。根本的には先ほど川上部長から申上げた通りでありますが、現在積極的に価格抑制或いは価格統制といつた措置を講じておりまする商品乃至サービスは極めて少いのであります。硫安、或いは水道料金というようなものもありますが、その他は大体従価格なつております。従つてその価格は需給の関係できまるものと了承しております。この料金値上の部分だけ原価が殖えるわけでありますが、これを自分の商品の需給関係に応じて売値に加算して売るか、或いは高くすれば需用が減るので自分の企業内で吸収して合理化してカヴアーするかということは個々の商品、個々の企業で違うことと思います。而も物価庁計算等によりますと、そう大きな原価の差額というものは比較的少いわけであります。特に価格抑制を講じております若干の物資につきましては、或いは若干の考慮が払われますが、その他については恐らく現在のようなやや物価の中だるみ、需給関係のややゆるんでおるかに思われます現存では、恐らく各企業が自分の企業内の努力で吸収すべきではないかと考えております。価格電気料金値上げよりはむしろ一般の需給関係或いは海外物価影響等によつてきまるものと了承しておりますので、その点は料金だけに理由が来るというのは極めて特殊の物資或いはサービスしかないかと思つております。  それから第二点の割当に関連しました家庭電灯とか小口の動力等の問題でありますが、この点につきましては、実は先ほど私割当の件を申上げましたが、家庭の従量電灯等につきましては、これは個々の割当をする、或いは一率の割当をするということは先ず不可能でありますが、現在ありますような幅の料金制度を極めて例外的に設けざるを得ないであろう、ただその方法でありますが、従量電灯の冬なんかの料金にしまして、二十キロワツトまでが安い標準料金払い、これを超したのが追加料金と称する高い料金なつておりますが、恐らくこの枠が極めて窮屈であろう、もう五キロワツト乃至十キロワツト殖やさなければいかんだろうと考えております。ただこれはまだ具体的に委員会と交渉の話になつておりませんが、そういうことによつて一面は電力料金値上げによる影響を緩和し、他面はやはり家庭における消費の節減を図つて行かなければいけないと考えております。夏のほうは四十五キロワツトになつておりますので、これはむしろ普通では余るのでありますので、別段措置する必要はないと思つております。それから小口動力等でありますが、或いは業務用大口電灯等でありますが、これは実は一番むずかしい問題で、非常にこの電気の需用状況が波を打つております。単に季節的関係だけではなく、需給の関係或いはその需用個所の操業の関係等で非常に不安定でありますので、現在やつております前年同期という一率方法だけではとても適正に参りません。最近の操業状況等を考慮に入れる必要もありますのでこれに加えまして、一案としましては、最近における実績というようなものを加味した割当方式をとることも望ましいであろうと考えておりますので、その点につきましても今後委員会と折衝して考えて行きたいと思います。
  80. 栗山良夫

    栗山良夫君 アロケーシヨンの問題は、そういうような電灯等に対しましては枠を二十を二十五に殖やすというよりほかないと思います。ただ御承知のように販売電力料の二〇%程度のものは家庭用である。そうして収入は総収入の四〇%くらいを上げておるわけでありますから、これは家庭用原価が高いということは勿論ありますけれども、そういうことがありますので枠を広げられるときにはこれは均衡してどの産業にも拡げるべきものであります。従つてこの点は一つ現在のアロケーシヨンを指導されるときには忘れないで強力に一つ押してもらいたい。そうしませんと、定価表だけで国民は目を奪われておりますけれども、実際ポケットから金を払うときにとんでもないことになりますから、そういうようにお願いいたします。  それから物価に対する吸収力の問題でありますが、この点は若干私の納得できない点があります。例えばもう自由価格にしてしまつたものについては自由価格の操作によつて適当に吸収するということをおつしやつたのでありますが、中小企業だけなら私は問題を申しませんけれども、鉄にしても石炭にしても或いは人絹、スフ或いは最近の化学繊維のようなものに対しましても、その他いわゆる日本の生産材を作つておる基礎産業におきましては、これは或る意味において独占的な地位を持つておる、経済界において独占的な地位を持つておる。そういうところが自由になつておりますから、これに対して何とか企業内で需要供給の原則に則つたバランスがとれるであろうとお考えなつておれば、甚だ僭越だけれども私は過ちだと思う。基幹産業であり而も私的独占の力を非常に強く持つております基幹産業であります。これは誰も真似のできないような資本で経営しているので、そこから出て来るのをそう簡単に使用者側の協定で値段を調整するということはできないと思う。これはやはり国の指導力がなければできんと思うが、その点どういう工合にお考えか。
  81. 川上為治

    説明員川上為治君) 今お話しになつた基幹産業的なもの、即ち基礎的な物資、例えば鉄でありますとか、或いは銅とか亜鉛とか鉛とかそういう私的金属、或いは石灰窒素硫安、そういう肥料、或いはソーダ、こういうようなものにつきましては、実は価格統制を一応外してありますけれども、その大部分につきましてはサスペンシヨンの対象になつている。即ちやはり、若し非常に上りましたときは、特別な措置をとるぞという意味の勧告的な価格統制を一面においてはやつておりまして、それらの物資について建値を発表しますときは一々物価庁と相談をしておりますので、電気料金の十分吸収できるものを吸収できないとして建値を上げるような場合におきましては、私のほうではできる限りチエツクしようというような考えでおります。
  82. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど来物価庁安本公益事業委員会関係について大変論議がなされましたが、お座なりの希望なり観測がなされる程度で、責任のある答弁を聞くことができなかつたのであります。この問題はそういう段階でもございませんし、又今までのような御答弁で満足しているわけに参りません。或いは午後公益事業委員会のお話を聞くということになつておれば、別の機会でもいいですから重ねて一つ安本長官にも出て頂いて御意見を承わるようにお取計らいを願いたい。これは委員長にお願いをいたしておきます。  それから一点だけお尋ねをいたしたいのです。物価庁に……、産業については先ほど栗山委員から言われましたようなアロケーシヨンの拡大等を通じても従来相当有利にやつてつて、或いは又価格の面についても或いは吸収することもできるでしようし、転稼することもできると思うのです。一般の国民大衆……家庭用電力についてはこれはほかに吸収方法がないのであります。或いはいろいろ他産業値上りが転稼されて参るのも国民に……、或いは農業についてもそういうことが言い得ると思うのでありますが、それらの点について東京電燈の公聴会の際に川上さんがお話しになつた点はこれは極めて不十分でありますが、従来のこの問題について産業用の電力を先に融通するか、或いは家庭用電力を融通するかという問題は、各官庁の間でも多少意見の相違があつたかのように聞いているのであります。従来その点について物価庁は割合に家庭用電力の問題について考えて来てくれたのではないかと考えるのですが、これは新聞記事でありますから責任を以てどうこうと言えないかも知れませんけれども日本経済新聞の六月二十七日号には、物価庁では七月早々「現行より家庭料金を優遇せよ」という意見書を出す予定である、とこういうことが載つておるのでありますが、この家庭用電力優遇のために具体的にどういう措置、意見を持つておられますか。どういう意見書を出されておるのでありますか。或いはどういうふうにせられておりますか、その点ちよつと伺いたいと思います。
  83. 川上為治

    説明員川上為治君) これは私最初に申上げましたように、まだ各産業別にどういうようなふうに、この産業別と申しますか、種類別にどういうような料金にするかという点につきましては、まだ物価庁としては十分な検討なり或いは又最後的な決定がなされておりません。家庭に対しまする影響につきましては、これは勿論非常に重大でありまして、軽視できませんが、それかといつて産業のほうをそう又上げるということもなかなかこれは問題でありますので、その間の調整は十分考えて、家庭のほうも十分考えて私のほうとしてはやつて行きたいと思つております。
  84. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 重ねてそれでは一点伺いますが、二割程度の値上であるならば、産業についてはこれは吸収できるものもある、全部吸収できるとは言わなかつたけれども吸収できるものもあるというこういうお話です。なおその後の価格については只今御答弁がございましたが、一般国民生活特に勤労者、農民の場合でもそうですが、これを他に転嫁するというようなことはできない、従いまして例えば賃金の問題についても、人事院でも米価或いは電力値上りの帰趨を見て勧告を考えたいという意向なんですが、そうしますと、賃金の値上げということも当然出て参ると思うのですが、その点について物価庁はどういう工合に考えておりますか。
  85. 川上為治

    説明員川上為治君) 電気料金が仮に二割上りましたときに、電気料金だけが二割上りましても、最近の物価の状況におきましては、特に繊維類等におきましては相当値下りをいたしておるような関係がありますので、そういう点とも睨み合して、私どものほうといたしましては産業関係をどうするか、家庭用関係をどうするかという点をきめたいと考えております。
  86. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 吉田君のさつきの御要望は明日の午後に公益事業委員会を呼びます委員会に安定本部総務長官を呼ぶことにいたします。午前中の委員会はこれにて休憩いたします。    午後一時二十三分休憩    —————・—————    午後二時三十四分開会
  87. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは午前中に引続いて委員会を再開いたします。本日の委員会は、電力料金改訂に関しまして、聴聞会が十二日に終了いたしております。従つて電気料金改訂は、聴聞会終了後、その他の事情と睨合して公益事業委員会で決定されることになつております。十二日後本日まで数日間を経過しておりますので、公益事業委員会側としては、聴聞会の結果に基いてそれぞれお話合ができておると思いますので、本日は聴聞会の結果並びにその結果について公益事業委員会において協議されたことがあるならば、協議されたその結論、結論が出ていなければ松永委員長代理の御所論を先ず承わつて、その後質疑を継続したいと思います。松永委員長代理。
  88. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 聴聞会は十二日を以ちまして、九州、北海道を最後として終了いたしました。北海道の聴聞会に出ておりまする宮原委員は明後日東京に帰つて参ることになつております。東京において松田事務総長が同行され、北海道は平井技術長が同行しておりまして、詳しい報告書は、宮原委員の聴聞に関することはすでに委員長手許に出ております。  只今西田委員長殿の御質問によりますると、聴聞会終了後委員会が集つて、これについて評議をしたことがあるかないかという質問に対してお答えをいたします。実は、一昨晩夜行で遅く帰りまして、七時に帰りまして、昨朝役所のほうに出ますと共に、その筋からお呼出しがありまして、委員長始め私も参りまして、各委員並びに電気事業の九会社の社長、及び委員会の事務の人も併せて午前十時から午後五時半に至るまで、各種のその筋の指示がありまして、何ら昨日は会議、或いは打合せができませんでした。今朝は十時から例の火曜Hの会合で、再び委員並びに事務局の全部が出まして、各種の問題についていろいろお話があるのを承わりまして、而も十二時に終らずに一時五分に終了したような状態で、何ら委員長も私も、或いは他の委員も聴聞会についての打合せをしたり、或いは料金を決定することについての話合をする機会はまだ得ておりません。これを以て第一のお答えといたしておきます。  第二の御質問に、併し個人としても聴聞会を聴いて何か料金について感ずること、或いは考え直したこと等あれば率直に話をしたほうがよかろうというお話で、率直且つ簡単に申上げます。これは私の一人のことでありまするけれども、三カ所の聴聞会、四国は二回、中国も二回、二日間に亘つて九州は一回に亘つて関係官庁、通産省、或いは運輸省、物価庁、文部省その他の官庁それぞれ代表者をお寄こしになつて御陳述になりましたが、これは三カ所とも同じような御意見の陳述でありました。それから大口の需用家についての陳述は、主に価格差が地方につかんようにしてもらいたいというお話であります。それから中小の工業家は、大口需用家との間に不公平な取扱のないようにしてもらいたいという御希望がありました。それから家庭の主婦そのほかは、こんなに一ぱい署名をなすつたのをお持ちになつて、種々物価の高騰は家庭の生活を脅すのみならず、これが他の物価に反映して、家庭生活に責任を持つている主婦はますます苦しい位置に立つということの痛切なるお話がありまして、それを承わりました。そのほかいろいろ各種各様ありますほかに、農業方面電力が上るということは、非常に灌漑排水等について殊に困るというお話は最も私どもの心を打つものがあつたのであります。これを要しまするのに、各事業者の申分は、如何にも今のように会社の設備状態が荒廃して、これをちよつと修繕するにしても何千万円、何億万円というようなことでは、九つの会社が一つの会社でない限り、先ず地方の会社などで何も手も足も出ないというような状況で、思わずサービスに限るところがある。それで適当な料金には是非変えてもらつて、そうして設備を改善し、それから償却を完全にして、そうしてサービスをよくしなければ私どももやつて行けませんというような、これも熱心な、或いは数字を挙げ図表を提出されて、長くは一時間以上にも亘る御説明がありましたけれども、他の諸君の陳述の時間を妨げる虞れもありまするので、これを制して二度にも三度にも分けて、一般説明のあつたのに対する業者の御返事を承わるような態度を取つていろいろお話をしました。いずれも痛切でありまするが、大体に感ずるところは如何にも日本が衰えており、この衰えておるということがすべてに反映し合つており、僅かのことでも非常に神経に響き合つているということは、如何にも国の力が弱いということ、それから今一つは、かかる状態は何とかして早く施設の改善或いはロスの軽減、その他によつてサービスを早く完成させなければ、これは事業者の配当があるとかないとかという問題じやなくして、たちまち需用家諸君の停電故障になります。一軒の家でも停電故障で困るのは無論であります。化学工業品のごときはちよつと一分間停電しましても、その化学工業に非常な多額な損失がたちまち参ります。無論これは損害保障をなすべき性質のものでしようが、その基くところは、幾らけんかしても、要するに一方のほうでは適当に賄つてつて設備ができるようにし、一方では僅かでも賄われた金を有難いことにして、そうして熱心に設備の改良をして、お客のためにサービスをするという熱意に燃えない限りは何ともならんということを感じたのであります。従つて私は簡単に申しますると、これは需用家もそれから業者も共に自分を合理化し、共に自分を戒しめて、そうして相共に助け合つてこの日本の再建を図るのは、電気を中心とするよりほかにないものである。而も私ども公益委員会として、消費者と事業者の相仲に立つておりまする立場において、適正なる料金をきめ、適正なる償却をさして、そうして相信じ相愛して、両方とも相待つてこの電気事業の再建を図るにあらずんば、どうも石炭だけでもいかない、或いは鉄鉱だけでもいかない、やはりこれはもう国民の生活、工業の真髄となつているものは電気であるにきまつておりますから、これを産業家も或いは事業家も、又消費者も一般家庭も、相共に電気を愛して行くという立場に立たなければならん。それでなくて、料金において非常にはね返りがあるようなもの、或いは非常に違う突如とした市場の価格の変動の大きいもの、このものについては適当な是正を加えなければならんものであるということを感じたのでありまするが、これは私だけが公聴会で感じたのでないと思うのであります。恐らくは権利を主張する両方とも感じられたと思うのであります。これはよいことだと思うのでありますが、例えば各会社は、初めはえらい勢いで六割八分なければ私ども償却はできんと言つておる、熱烈に言うております。そう信じているのでしよう。ところが業者はそんなことでは困る、お前のほうはもう少し合理化すればどうかなるのじやないかというような御議論があると、だんだん業者も悟るところがあるだろうと思う。又業者のほうも電力会社の合理化をすればいいじやないかと言いながら、自分の言う片方に、俺のほうも少し合理化の余地があるなあということをしやべりながらお感じになつたろうと、私は高台の上で静かな、又やわらかい気分でこれを眺めて見ましたから、今回この公聴会の得るところは実に大きい。それは議論じやなくて人の和というものが得られるということの確信を得たのであります。和なくしては如何なる理窟も、如何なることも解決できないことは諸君の知つておられる通りであります。私は確かにこの和は回復したと思います。従いまして私どもも一日も早くこの紛争状態の料金問題というものはこれはいわば電気事業の枝葉末節であります。根本は電気事業を改良し、良質低廉な電力を供給するという目的にせなければなりませんが、これはなかなか前途遼遠ですが、先ず初め和を得ることよりほかにないということを思うのであります。これは今申したように原被両造の議論が和を得たばかりでなく、公益委員会で私も同じくその和に賛同して、私自身が世間で鬼だとか何とか言われる、実際鬼の角も折れました。(笑声)つまり公益委員会も和の気持になり、どちらも和の気持になれば私は公正な、そうして適当な料金というものが得られるものです。それでやつて見て又どうしても物価は上り、料金は足らんというた時分には皆様は決してそれを上げることに御反対なさらんということも私はわかります。又業者も自分を半年もかかつて合理化せずにおつてなお金が足らんから料金を上げてということは決して言わないということを信じます。それでそういう感じがもう非常に大事だと思うて、その感じは確かにつかんだと思います。併しこれは私はまだ委員の諸君に申上げてもおりませんが、当委員会においても非常に国民に代つて御心配になつて、何かむちやなことがありはせんかという御心配であり、又今日に至るまで地方からもどうぞ値上げはいいけれども料金を適正に皆が得心の行くようにするようにということを各地からお出でになつてお話になつております。まだ十分承わることもありませんが、もう全く私はそう思つております。これは委員長は私以上和に富んだかたであります。他の委員も同調されることと思つております。ただ余り疑心暗鬼でどうなるかわからんということは甚だしくよくないことと思いまするから、願わくば皆様の御賛同を得て速かに、できるだけ一日も早く適当な、穏当な料金を早く設定します。併しこの穏当であり、適当であるということは、原価計算の理窟から言うといろいろあるだろうと思います。不合理だとか、従つてまあ人によつては訴訟する人もありましよう。けれどもそれを一々気にしておつては国全体の和が保てませんから、多少の不完全はありましても、料金を適当に業者の言うたのを引下げて、引下げてという言葉を私ここに使うのは非常に不穏当でありますが、これは率直にということでありますから率直に申上げて、そうして需用者が心を一にして早くこの電源開発に邁進しない限りは、我が国を六等国、七等国に落すよりほかにないのであります。この所感だけを申上げて委員長の第二問にお答えいたします。
  89. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今松永委員長代理から聴聞会に臨んだ松永委員長代理の心境と申しますか、今まで当委員会でお述べになつておつたのとは大分違つたような新らしい哲学を持つてお帰りになつたように委員長は思います。その最も大なるものは、日本全体が貧乏であることをお認めになつたこと、従つてその次はその貧乏な国で国民生活と密接不可分の関係にある電力を愛するものは電力経営者だけでもなく、松永委員長代理だけでもなく、国民全体がこの電力を愛しておるんだ、又愛さなければならんという強い表現があつたようであります。私は委員長個人として誠に同感であります。従つて国民全体が今回の電気料金改訂案として九つの会社から出されましたあの案に対しては非常に心配をすると共に、将来どうなるであろうかという強い憂いを持つております。そこで当委員会においては第十国会以来電気料金改訂の問題について公益事業委員会と長い間折衝して参りました。その結果として大体において意見の一致した点が多かつたのですが、電気料金改訂の大きなフアクターである資産の再評価減価償却石炭の消費量並びに炭価の問題、修繕費中に占めておると言えば語弊がありますが、建設費勘定に振替えらるべきものを修繕費中に計上しておる等々、大きな電気料金改訂の内容になつておりますフアクターについては、残念ながら公益事業委員会と当参議院の電力委員会との意見は平行線を今日まで辿つて来ております。従つて以上述べました大きな三つのフアクターが当委員会公益事業委員会との間に聴聞会が終つて、今のおおらかな気持である松永委員長代理との間に協調が整いますならば、恐らく国民は電力を愛しておるが故に、又愛さなければならないが故に、喜んで電気料金改訂を受入れ得ると私は固く確信いたしております。従つて今まで松永哲学をお述べになつたようなことでなくて、今日は本当に当電力委員会と肚を割つて話合うという建前で、聴聞会終了後の会議は開かれてないというお話ですが、公益事業委員会の実力者であられる松永委員長代理の個人のお考えでも結構ですから、資産の再評価は今までと変つた方法をとるというお考え方をお持ちになつておられておるかどうか、修繕費中建設費勘定に振向けらるべきものはこれは建設費勘定のほうに振向けねばならんという考え方にお変りになつたかどうか、石炭六百五十万トンの消費はどの程度で実際に石炭の入手ができるとお考えなつておるか。なおこの前の委員会で私から特に御註文して置きました九電力会社石炭の買付の経過を御調査の結果、石炭価格が果して九電力会社からあの案の中に盛られておるような価格が適正であるとお考えなつたかどうか等々の問題について、松永委員長代理の公益事業委員会の決議ができていなければ個人の意見で結構ですから、そういう問題についてもう少し詳細に具体的に率直に御意見の御開陳を願いたいと思います。
  90. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) お許しを得まして坐りながら申上げます。  今の全体の問題について全体的に御返事を申上げますことは非常に困難でございます。と申しますのは、料金決定は大体この算定基準によつてやるべきであるということは法の命ずるところでありまして、これは一歩も動くことはできないものであります。ただこれを適用するに当つて評価をどうするか、それから再評価というものは法律的にきめられたものであるとすれば、これをどの限度に償却を見るか、それから次にそれは定率によるか定額によるか、定率と定額の差は半分であります。半分であるということは半分であります。値下げにおいてもその影響は免がれません。それから今一つは料金問題は別としましても、税金の問題が非常に困ります。税率を仮に半分にしますと税金は半分楽です。それは定額一ぱいよりも税金のほうが楽です。これはもう少し詳しく申すと、資産勘定で今年得られる再評価の利益でありますけれども、税金でありますけれども、事実はやはりこのマルの問題、これが十億違つても二十億違つても、今パイプ一本もとり替えることのできない会社にとつては大問題であります。もとよりそれは当議会においても電力を愛するがために、或いは大蔵省そのほかにもつと税金をまけてくれとか延べてくれとかいうことをお願いしなければならんときが来ましようけれども、これは未定のことであります。又無暗にそういうことの運動がましく電気会社が相当何千億の資産になつたものが一々ほうぼうでそういう運動がましいことを始めるということは、これは国民的の一つの恥辱であります。成るべく公益委員会などはそういうことは取上げたくないと思つておりますからして、やはり税金は払うものは払うと覚悟しなければなりませんが、そう立派なことを言うてみたところで、忽ち金はないのですから、これは何とか定額にしても定率にしても、税金がやはり少いような工面を考えなければ業者は附いて来ないだろうと思つております。そこで業者が附いて来ないことを、ただ公益委員会が定額でいいとか定率でいいとか言うて、金は俺が作つてやる。税金は下げてやると言うことを言い得られれば別ですが、それは言いたくもなし、言い得られることでもありません限りは、やはり値下げをする、七割の値下げをするといえば、やはり定率で行けば定率で下げる、然らずんば定額で下げる。そこに税金のあやもあります。だからしてこれはどうも私どもとしてそこまで命令的のことができないという事情でありますが、幸いに十六日から各社の社長も関係者も集まつておりますから、これは二、三日うちにそういう根本をきめ得ると思います。又きめ得る資格のある人がある。そういたしますと、あとは今御質問の石炭の問題等に入りますが、石炭の問題は私よりここにいる皆さんが大分お詳しいのでありますが、石炭が今より安くどうも買えそうに私どもは思いませんが、業者はなかなかそれを怖がつております。現に奨励金とか何とかいうようなことをしなければ買えないと言つてこぼしておりますが、この実情はむしろもう少し業者の話を聞かなければならんと思うのですが、同時に皆さんの御意見も聞かして頂ければ結構であります。  それから消費量の問題ですが、消費量の問題は先ず六百三十万トン、そのほかの使用を入れて六百五十万トンという線はどうも現在の必要に応じて止むを得ない。ちよつと速記を……。
  91. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  92. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記を始めて……。
  93. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 以上申上げましたようにいろいろやつておりますけれども、まだ的確の考え方に到着しておりませんから、これから皆さんの御質問なり、或いはごうすればいいじやないかという御注意に対してよく承わりまして、以前申述べました趣意によつて全力を注いで善処したいと思います。
  94. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今委員長代理の御意見を聞いておりますと、資産の再評価減価償却の問題は公益事業委員会が命令をするわけに行かんので、二、三日中に電力会社の首脳部が来ておるから、これと話合いの上に結論を出すというお答えです。石炭の問題はその筋の達しによつて六百五十万トンを減らすということはなかなか困難であろう、こういう御意見の開陳がありました。委員長だけ余りしやべり過ぎますので、委員諸君に若し御質問がありましたら御開陳を願いたい。
  95. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど委員長が質問された中で、修繕費の問題があつたと思いますが、これはどういうふうになつておりますか。
  96. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 修繕費の問題も公聴会でいろいろの議論を聞きましたが、この前こちらで承わつた議論も修繕費についてはよく考うべき余地があるというお話で目下考えております。すぐ御返事はできませんけれども、相当是正する考えであります。
  97. 栗山良夫

    栗山良夫君 考えておられるというのですが、この委員会は公益委員会と違いますので、特に閉会中でもあるので、毎日開会しているわけにいかんわけです。従つてその研究をしておられる構想をやはり或る程度話して頂かないと私どもとしても何ら、修繕費を今まで是正すべき点につきまして主張して来た点がどういう工合に処理されるのか見通しすら立て得られない状況にあると思いますので、いま少し突込んで率直に一つお話を願いたいと思います。で特にこの前問題になつておりました点は、修繕費の額が非常に高過ぎるということが一つであります。而もその高過ぎる内容としては、企業の合理化を内部で行わなければなりませんが、その合理化の内容が各社の計画を見ますと非常にばらばらである。金額的にも或いは又その合理化をせんとする項目につきましても非常に区々である。そうして出て来た修繕費はおおむね各社のバランスがとられておらんので極めて不合理ではないか、こういうことを指摘しているのでありまして、そういう点についてどのような研究をされておるか。更に償却費と修繕費とが非常にダブつておる傾向がある。従つて償却費を十分に行うということであれば、修繕費は大幅に、社会通念上要求すべき程度に引下げるべきではないか、こういうことがこの委員会で強く主張されておるわけであります。この二点について今聴聞会の結果等も併わせて目下研究中と述べられましたが、この委員会の持つておる意見に同調せられて善処せられる決意になつておるかどうか、この辺のところをもう少し明らかに一つされたいと思います。
  98. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 只今栗山氏の言われたことは、聴聞会前において私も同感に考えておりました。委員会全体においてもその考えを述べまして、各社まちまちになつおる、合理化の後の合理化ということじやいかんので、やはり合理化の標準もきめる、或いは程度を大よそこのくらいまで行けるものだときめて、そうしてその不合理な点は料金に織込まんように、そうして各社まちまちなものについても相当の基準を以て、尤も土地によつて一様に参りませんけれども、その土地の特別な事情を除けば九社のうちで六社は同じような事情にありますから、その実際の事情によつてどういうふうに合わせるものか。そうすると平均九社を寄せると何%まだそういうものの整理する余地があるか、或いは一社についてどういうパーセンテージに処理する余地があるかどうか、聴聞会で聞いて帰つてそんなことを審議しても遅うございますから、前から事務局にお願いしてやつておりましたのが、ほぼもう私ども料金をきめる時分には大よその……尤も、これは正確ということは期しがたいと思いますが、大よその……標準は今栗山氏の言われたような線に沿うてできつつあるものと思いますから、まあ先刻申上げたような線で、そういうもののごときは、殊に皆の感情問題もありますので、十分注意してやつて行くつもりであります。具体的なことはまだ申上げられません。
  99. 栗山良夫

    栗山良夫君 今朝実は午前中に物価庁並びに安定本部のかたがたの意見も聴取したのでありますが、物価庁は四月の下旬から五月の上旬に抱いておられた値上げ案、事務当局が主として抱いていたわけでありますが、その構想と正式の聴聞会において発表された構想との違いを検討したわけでありますが、はつきり申上げまして再評価並びに償却の問題、それから石炭費の問題、修繕費の問題、この三つに尽きると思うのであります。この三つの修正によつて七割近くの値上げ標準料金で四割、実際の支払料金において二割程度にしぼることができるという意見の開陳があつたわけであります。従つて只今松永委員長代理がいろいろ述べられましたが、その中で重要な点は、料金の算定基準の枠を出るような決定はできないということをはつきり言われたわけであります。これは当然なことだと思いますので、そういう一つの拘束下においてあなたが先ほど述べられましたのは、相当大幅に国民の要望にも応え得るような工合に考えを述べられたのでありますが、従つて修繕費の問題、石炭の問題、再評価の問題を含めて研究されておる結果を、まだこの委員会は明日も行うわけでありますから、又あなたがたの述べられる内容について適当な釈明があれば、又我々も了承するのに吝かでありませんから、もう少し突込んだ、完成案でなくてかまわないのでありますから、詳しく明日の委員会でも一つお述べ願えないかと思うのであります。特に修繕費の問題とか或いは石炭の問題、再評価の問題等は、すべてこれは計数の問題であります。従つて観念的な抽象論ではないのでありますから、今日研究しておる結果が突然明日変異を起してまるで違つたものになるというようなことは考えられないのであります。恐らく長い間の研究の成果を近く結論されるわけでありましようが、そういう関係から作業の途中で我々は結構でありますから、その傾向を我々は聞きたいのであります。従つて明日の委員会において結構でありますから、更に突込んだ或る程度計数的な内容においてあなたがたのお考えをこの委員会で述べられたいと私は思うのであります。この点は、先ほどの御答弁では本日は発表せられる御用意がないようでありますが、委員長から明日の委員会の議事の予定とも睨合わせて公益委員会に一つ強く要望せられたいと、こう思うわけであります。
  100. 西田隆男

    委員長西田隆男君) この席で只今栗山君の御発言になつた点について松永さんに御相談しますが、今日この委員会の席上でアウト・ラインだけなりを御発表ができればして頂きたいし、それが今日はどうしても困難だというのであれば、明日の午後の委員会において今栗山君の言つた内容を計数的に御説明願えるかどうか。……それでは明日の四時には必ず松永さんが御出席になつて、今あなたのおつしやつた内容をできるだけ詳しく申上げるということですから、さよう御承知を願います。
  101. 栗山良夫

    栗山良夫君 そこで私は先般来強く主張しております点で、まだ資料を提出願つていない点があります。それは電源の開発工事並びに修繕工事に対しまして、各業者が必要とする資材原価計算の中に織込んだ金額で十分に調達できるのかどうかという点について疑問を持つておるわけであります。それは最近の傾向におきまして石炭にしても、セメントにしましても、鉄鋼にしましても或いはそれらを材料として生産される製品、機械にしましても、非常に窮迫しておるように私どもは見ておるわけであります。従つて各業者がそれぞれの努力によつて想定を出しておりまするものを全国的に統計を出しまして、そうして公益委員会として国内の生産量、そのうちから電気事業において確保し得る見込数量等を分けまして、完全に電源開発並びに修繕工事の工事費の裏付けである資材の見通しを立てておかなければならんと思うのであります。これは若しこれくらい国民の大きな批判の前に立つて電気料金値上げを行いまして、そうして実際に一カ年間実績をとつて見たところが、資材がなくて工事ができなかつたということになれば、これは大変なことになると思うのであります。そこでそういうような資料的な調製をお願いしてありましたが、二、三各社の作られた材料は来ておりますけれども、総合されたものはまだ公益委員会から提出がないわけであります。従つてこれも若し作業の途中ならば途中でもかまいません。鉄鋼、セメント、銅とかそういうような重要材料だけでもかまいませんから、一つその計数を発表せられたいと思うのであります。これはお願いであります。  それからもう一つ御質問申上げたいのは、大体電気料金値上げは八月一日を期して断行したいというので、今日まで予定のコースを進められておると思うのであります。今日の段階におきまして、すでに聴聞会も終つたことであります。期日もだんだん切迫して来たのでありますから、もつと明確に値上げを決定し、実行するまでのプログラムというものが御発表願えるものと私は信じておるわけであります。従つてその間におきましては、かねてあなたが安定本部の長官とこの委員会でお約束をしておりまするように、安定本部との打合せ、或いはその他の官庁、政府筋との打合せもあろうかと思いまするが、そういうようなことも含めまして、実際にどういうようなコースを辿つて、いつ最終決定をし、その結果事業所においていつから消費者に新らしい料金で収入の確保を図つて行くのか、その予定のコースを一つお話を願いたいと思います。
  102. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の栗山君の御発言の第一の点ですが、これは第十国会の再開劈頭に栗山君から資料の提出方を要請されて、政府から公益事業委員会のほうへ通達はしておるはずだと思うのです。若林事務官、今製作中であればいつ頃できますか。
  103. 若林義信

    説明員(若林義信君) 資材の問題ですか。
  104. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ええ。
  105. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) ちよつと私からお答えいたします。これは結局公益委員会としては、大きい案と中の案と小さい案とあるわけです。実際金がないと止むを得ず小さい案で行くよりしようがない。大きい案となると、幾らか外資みたいな色が付かないとできない。ところが今六百億万円案というのが施設の改善で二百五十億、それから見返資金がまあ二百五十億、それから自己資金百億ですから六百億、つまり三百五十億の工事資金、そのうち二百五十億は要る、張り変えること等で多少手持ちもあります。ありますが、無論足りないと思います。需用家の家の中に入つてやる仕事もあります。多少時間的に余裕を持つております。二百五十億で新開発をやるということは、非常に急がなければならんことになるわけです。そして急げば急ぐほど先の梯子に取付くに早いのです。これは資材を完全に揃えないでうかうか掛かるべき仕事でなくして、銅がどのくらい要る、鉄がどのくらい要る、セメントがどのくらい要る、労力はどのくらい要る、どういう状態、まあ労力のほうは問題はないのです。他の資材は、私のそのとき見た表では当然国内に非常な値段のはね返りをせんでも得られるものと見ております。その表は拝見しましたが、役所にあるはずでありますから、明日でもその分ならお届けします。併し電源開発というものはそんな小さいものでできるものではないので、是非御協力を得て年一割くらい増加する電力開発案を立てなければ、もうどうにもならない。すぐ困るにきまつておるのですが、そのことにつきましては、今度はどうしても構想を変えて、例えばセメントは自分でセメント工場を作り、シャベルとか何とかいう大きな機械は取りあえず西洋から輸入し、タービンなどでも大きなユニットのものは、場合によつてアメリカなり、イギリスのものを輸入してでも間に合せるという一つの思い切つた構想をとらないと、それは値段も大した変りはないのですが、第一に日本の技術が非常に、二十年も遅れておりますから、幾らか稽古のためにも、日本のすべての技術界の改革のためにも必要なことじやないか、その決心さえあれば大概六百億が千億、つまり千億時代のこともやり得るものかと思つておりますが、まだそれは要するに空論でありまして、詳しい資材は持ちません。六百億前後のものは、もうすでに一カ月前に見たことがありますから、その分でよろしかつたら早速届けます。
  106. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 電力開発の資材、今松永さんの言われた資料がありましたらどうぞ明日でも御提出願います。栗山君の発言の中には、電源開発の資材だけでなくて多額に計上されておると思われる修繕に使う資材、それの入手が果して確保できるかどうか。これに対する資料をずつと前要求があつたのですが、これがいつ頃までに提出できるかということですが、わかりませんか。
  107. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) それは少し時間がかかると思いますが……。
  108. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 時間がかかると言つても第十国会の終りからもう幾らたちますか、もう二カ月もたつて……。
  109. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) そう遅くならん時期に提出いたします。
  110. 西田隆男

    委員長西田隆男君) その資料をできるだけ早く願います。
  111. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体九州電力からの若い資材がありますが、全部業者から出ておりますし、これは六月の二十日の調書ですから、従つて私はできないというのはちよつとおかしいと思うんで、特に修繕費の中の鉄鋼、セメント、銅それから木材、これと更に合理化に関係のあります積算電力計の需要個数とか、労力とか、そういつたような主要資材だけを一つこれは緊急にでもまとめて出してもらいたい。これはできないというのは非常におかしいので、私がもう二月前から力説をしておる一番重要なことでありまして、役所の統計はすべてを洩らさないというので、実に克明に作られるのでありますが、私どもはそんなに枝葉末節の資材のことを言つておるのでないので、重点を見るのでありますから、さようにお願いしたい。それからもう一つは、今松永委員長代理は輸入の問題を言われましたが、私どもは輸入せられて非常に結構だと思いますが、そういうものも併せて総合材料としての計画の中へ入らなくちやいかんと思う。それからこの機会にもう一つ伺つておきたいのは、先ほど関係筋の要望もあつて石炭は六百五十万トンを確保しなければならんということを言われておりますが、これは先ほど物価庁なり、安定本部においてはやはり依然として五百五十万トンよりないと言われた。これは石炭を国家統制をしておるわけではありませんから、従つてない、あるで水掛論をやつておる間にどんどん渇水期が来て停電してしまうということにならないとは限らんわけです。それでこの前松永委員長代理は、そういう弊を避けるために、必要とあらば重油の輸入を仰いででも火力の発電は強行しなければならんということを言われた。私も或る程度賛成をしたわけでありますが、そういうようなこの前述べられたことはその後或る程度具体的に考慮し、或いは関係筋と折衝されておるのかどうか。昨日の七百五十万トン説の時にもそういつた重油の配慮について言及されておるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  112. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 重油につきまして、GHQなどは石炭があるはずだから余計のことを考えなくてもいいという意向です。ですからまあ石炭オンリーになつておりますが、併しサービスを各会社にお頼みしてやつてもらう以上は、やはり関係官庁としても第二、第三の心がまえをせんければなりませんから、今重油が参りましてもバーナーの設備などがないと、徒らに重油が来る、バーナーを今から作るというのでは問題になりませんから、今バーナーがある所を全部調べておる、調べた結果によりまして、少くとも石炭の補充のために重油さえ手に入れば直ちに火力に適用のできるバーナー設備があることを調査いたしてあります。そのために私が九州に参る時に大阪から宇部、九州全部の炭鉱の火力発電所を寺田と申します者に命じて調査させ、それが明日あたり参りますと確定的な報告ができると思います。その点は重油が手に入りさえすれば大丈夫だろう。それから重油の入る入らんということはこれは別の問題でありますから、僅かぐらいは何とかできるかと思いますが、これはどうも割合に私は知識がありません。まだ研究しなければならないと思います。
  113. 西田隆男

    委員長西田隆男君) これは松田事務総長に聞けばわかると思いますが、只今栗山委員のこれまでの質問に対して御答弁がありません。従つて公益事業委員会は今後料金決定に至るまでの予定があればその予定を松田事務総長に伺いたいと思います。
  114. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) 料金の決定につきましては、今後委員会としまして、十分先ほど松永委員長代理がお話になりましたように、各聴聞会の結果を持寄られまして慎重に検討なさいまして、そうしてその結果、委員会としましても関係方面とも勿論連絡をしなければならないと思いますが、その上で決定いたしますことでありまして、従つてできるだけ早くきめるものならきめなければならんということは勿論でありますが、そういつた関係筋等の点もございますので、然らば何日にこれが決定するかということは今申上げることはできないと思います。ただ実際法律的の問題としましては委員会として決定いたしまして、言い換えれば認可をいたしましてから十日間というものは各社の本店所在地においてこれを公示いたしまして、その上でその認可の効力が正式に発生するという段取りになつておることを附加えさして頂きます。
  115. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の松田事務総長の御答弁は甚だけつたいで、もうすでにこの前もつと具体的に七月の十八日頃に料金を決定し、業者に通告をし、十日間の予告期限を与えて八月一日から実施するということを述べられております。ほかの原因で延びることについて私どもはそれまでは追及しようとは思わないけれども公益事業委員会がみずから計画を立ててこれから歩まれようとするコースを今聞いておるのに、前回の時の話よりも更に問題があいまいになつてしまつておるということは私ども了解しかねるので、ただ公益事業委員会としての計画において、聴聞会の結果、例えば明日か明後日頃公益事業委員会のかたが寄られて、それについて官庁とどういうような折衝をし、又関係方面との交渉が順調に進んでいつ業者に通知をし、いつから実行するかということを話して頂きたいと思つて質問したのですが、今松田事務総長が話したのは私がよく知つておることであえて質問する必要はないのです。
  116. 西田隆男

    委員長西田隆男君) その日程はできておりませんか。
  117. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) まだできておりません。
  118. 西田隆男

    委員長西田隆男君) では至急お組みになるそうですから、明日でも御答弁ができるようにお願いします。
  119. 岡田信次

    ○岡田信次君 石炭の問題で二、三お尋ねいたしたいのですが、先ほど松永委員長代理が、関係方面から七百五十万トンの石炭を焚けと指示があつたということですが、恐らく関係筋としましても能率の悪いくたびれた火力発電所に無駄に石炭を焚けというのではなくて、日本の今日の情勢からどのくらいの電力が必要だという基礎があつたと思うのであります。大体今度の料金の算定基準の基礎によりますと、二百八十億なにがしキロワツトアワーと相成つております。これだけでは足りないからこれをもつと三百億なり、それ以上にするには七百五十万トンの石炭が必要だという話があつたのか、その点が第一と、それからもう一つは、大体昨年の石炭の消費と本年の予想とを比較いたしますと、百六十万トン余計石炭を見込んでおります。これを電力に換算いたしますと恐らく二十億キロワツトアワーになると思うのでありますが、然るに料金算定の基礎となつておりまする今年度の販売電力量と昨年度の実績と比べますと僅かに〇・五%しか殖えておらない。これは昨年は非常に豊水期であつたから水力を低く見積つておられるという関係であろうと思うのでありますが、本年度の第一四半期の実績を見ますと、水力は料金算定の基礎に対しまして一割以上の余計の電力が出ておる実績から見まして水力の見積りが非常に少いのじやないかと考えられますので、この点更にもう一つ、昨年度に対しまして今年度が水力発電所がどの程度増強整備できたかという三点をお伺いしたいと思います。
  120. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 只今の問題につきまして、私のほうの技術長平井君がおりますと明快にお答えするだろうと思つておりますが、御質問の要点を平井君より書面ででも、すぐ明日にでも差上げます。或いは差支えなければ明日平井君を以てお答えいたしたい、暫らくお待ち願えませんでしようか。
  121. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうすると昨日松永委員長代理初め各電力会社のかたがたはただ七百五十万トンの石炭を焚けということをへいといつて引下つて来ただけでございますか。
  122. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 七百何十万トンというのは、単にそういう話があつたにとどまりましたので、それはお受けしておりません。従つてやはり依然として事業者側六百三十万トン、事業者以外の各炭を入れて全体の六百五十万トンという線以上にはもう一歩も進めんつもりであります。
  123. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 岡田君の質問しておりますのは、あなた昨日司令部に行かれて、七百三十万トン石炭を焚けと言われた。現在あなたのほうで御計画を予定されておる水力の総発送量を超過して電力を発生さすために焚けと言われたのか、或いは現在の計画量だけを出すのに石炭を七百三十万トン焚けと言われたのかという質問です。
  124. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) その質問にお答えいたします。七百三十万トン焚くだけの設備はあるのだから、石炭は無理を言えば出て来ないことはないのだ、お前がたが甘いのだ、設備を改善して七百三十万トンとか五十万トンと言つておりますが、これはともかく焚いてでも需用に応じなければ駄目じやないかという話だけでありまして、それはそれきりになつております。やはり今の守つております線は六百五十万トンの線であります。
  125. 西田隆男

    委員長西田隆男君) よろしうございますか。第二、第三の点は平井部長から明日御答弁をするそうですからそれでよろしうございますか……。
  126. 岡田信次

    ○岡田信次君 ちよつと松永委員長代理のお話で納得できないのですが、ただ石炭を焚けということではなくて、これこれの電力が要るから石炭を焚けということだと思うのですが、そういう話じやなかつたのですか。
  127. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 無論そうです。電力を多く日本に供給せよという趣旨ですね。それはできませんよ。今の貧乏会社では。
  128. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうすると先ほど申上げたような二百八十一億の計画になつておる。それを三百億なり三百十億なりという具体的な数字のあれはなかつたわけですか。例えば多く出せばいいということ……。
  129. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) ちよつと速記をとめて下さい。
  130. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  131. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記を始めて。
  132. 山川良一

    ○山川良一君 今岡田委員から質問されたと同じことを言うわけですが、この第一四半期の実績、これは公益委員会の事務局の作られた資料によつてお尋ねしておるのですが、第一四半期の実績によりますと、今の水量は実績が五%殖えるにかかわらず、発電量は一割一分殖えておるという事実があります。で、水量の殖えるだけは当然殖えるのでありますが、それ以上殖えておるのは初めの電力を算定する基準になる発電量を出されるときに、少し低目に、数字で申しますと六%だけ、低目に見ておられるという事実が第一四半期に出ておるわけですが、これは将来のことであれば見様ということになるでありましようが、実績ですでに六%だけ見込違いがあつたという事実が出ておりましたので、第二四半期以降についても同じような事実になるのではないか。そうするとその水力量を全部計算して見ますというと、石炭の二百万トン相当量くらい殖えるわけです。それは私一応それだけ石炭を焚くのは結構だ思うのであります。でございますが、それだけ電力が余計出るのでありますから、従つてそれを分母にして算出した単価は現在各発電、電力会社で言われておるよりもちよつと低目になるはずだ、こう思うのであります。このことは又第一四半期の、而もお留守中にわかつた実績であるから、今御返事ができないかも知れませんが、御返事ができませんならば、そういう点を御修正になる御意思があるかどうか。
  133. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) その問題は実に重大な問題であり、同時にこれくらい掴えどころのない問題はないので、天道さん任せの話でありまして、結局煎じ詰めた結論は、雨が降らぬと思つて予定して来たのが降つたらどうする。降らなかつたと思つたのに降つたらどうする。降るだろうと思つたのに降らなかつたらどうするという、その結論です。始末を、事業者と供給者と如何に公平に処理するかということが電力の合理化に関する重大な問題である。僅かのことでありますけれども、やつぱり合理化ということを徹底させるためには必要なことであります。でありますからこれについてもいろいろ小さい智慧はありますけれども、この小さい智慧はだんだんそのうち上手になりましよう。それから実績の見方もだんだん上手になりましようが、今日発が一人でやつた自分のもののみによつて実績を云々することも困難だし、今年の五月になつてから僅かのものを実績と見るのも困難でありますから、大体今見たことを大よそ妥当なりと公益委員会では業者の申出を見ておりますが、今山川さんの御心配のような点は尤もであります。又合理化の一歩としてこれを何とか処理すべきものと思つて石炭の余つた場合、或いは雨がより余計降つた場合、これをどうするかということは、この場合に対する石炭準備金の年度を超過した方法をとつて、これを調節してなお且つ余るものが、何年かの後になりますならば、これは相当需用家に配分すべきものであると心得てその石炭準備規則を今制定中であります。もう大雑把にそういう大きな網で掬うて行くよりほかにないと思つております。併しそのほかに何か御名案があればどうぞお聞かせ願いたい。
  134. 山川良一

    ○山川良一君 今のお答えはちよつと私がお尋ねしたことと違いますので、私は水量が五%殖えた場合に水力発電が五%殖えればその水量に対する発電量の見込方が正確であつたと思うのです。ところが水量は五%殖えて出力は一一%殖えているのです。ということは、初めの細かい数字で言いますと、単位水量あたりの発電量を低めに見ておつた。つまりもう六%ばかり余計見込んでよかつたはずだと、こういうわけなんです。併し水量は今の各発電会社電力会社が見込んでいる水量をそのままにして置いても発電量をもう六%ばかり上に見積るべきはずであつた、第一四半期の実績から見まして……。ですからそれと今お話しになりました雨が余計降つたらそれをどうするかという問題でありますけれども、それは従来論じ尽されておりますから申しませんが、実際発電量の見込方が六%ほど第一四半期の実績は低かつた。だからこの年度を通じましてこの水量に対する発電量を低く見てはいないか。だからそれは六%ぐらい上に、簡単に申しますと六%ぐらい殖やして計算していいのじやないか、こういうことです。
  135. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) そのことについてよく取調べて又御返事を申上げます。
  136. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 電力値上げを間近に控えてちよつと参考までに伺つておきたいと思います。ここに各電力会社から出して参つております最後案の値上率を見ますと、私が前々から心配しておりましたように、大口電気のほうが値上率が下げられると同時に家庭電気の値上率のほうが上つているように考えるわけなんです。で家庭電気が前々から高い理由をこれまで問い質しましたところが、それは送電線が高くかかるからどうしても値段が高くなる、そういうことが言われておりましたが、最近東京電力などにおきましては修繕費の中から電柱に対する費用、それを大幅に削除しているようでありますし、又たしか遠距離にある家庭に電気を引く場合は、引込線は全部その需用家の負担になつておつて、金を需用家から取つて施設をして、その施設は会社側の所有にしてしまつている、こういう状態でなされていると思うのですが、なお家庭電気の値上率を高くする理由がこういうことを考慮に入れてもなお家庭電気の値上率を高くする理由があるのでしようか、どうでしようか、ちよつと伺つておきたいと思います。
  137. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 御承知の通りに、電気事業ばかりでもありませんけれども、資本、殊に設備によつてその末端に営業する、電力のキロワツトアワーが行く所にかかりましては、どうしても家庭の電燈料とか電熱というものは種々手数がかかりましたり、いわゆる原価がだんだん高くなつておりまして、これを本当に開き直つた計算でやつたならば、家庭と末端のものは大口電力或いは発電所の近所にある肥料会社等に比べて甚だしく高くついているというのが原則でありまして、従来幾らか高い傾向にありますけれども、これがやはり一種の社会政策的意味でそう上げちやいかんというので、これまでとも幾らか抑えられたことは当然だろうと思いますし、従つて今度の改訂に当りましても、その筋などではそういうものについてもう少し合理的料金を算定すべきではないかという説はありますけれども日本の事情或いは家庭の現在の生活状態から考えますと、そう原価計算というようなものをむやみに振り廻すことも困難でございますが、今御指示のような意味におきまして、この現在各会社から出ておりまする値上案につきましても、お話のようなことは考慮に加えるつもりでありますけれども、これはどうしても根本の原価計算の立場から申しますと、幾らか高いものであるというふうなことを国民の一般の常識において了解して頂く機会が早くなりますほど、家庭電熱も復旧し、それから大口電力あたりの原価を引下げて、そうして工業の発達に寄与することができるであろうと思うておりまするから、要するに一般の御了解をまだまだ必要とするであろうと思うております。
  138. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この電気料金値上げの大きな理由になつているところは、減価償却の問題があると思うのですが、家庭電気は引込線など、それは多少長く線が要るかも知れませんが、減価償却の一番大きな問題となつている発電所、水力にしろ、火力にしろ、発電所の減価償却の問題になれば、多量に電気を使う大口電気使用者がそれを担負すべき問題じやないかと思うのです。ところが電気会社のかたたちは引込線とか電線の長く要るということを理由にして、家庭電気の値上率をしわ寄せするということは一般大衆から見ますれば、納得の行かないことで、今松永委員長代理がおつしやつたように、それは一般大衆は納得行けば問題はないと思うのですが、どうも納得の行かん点が多い、そういう点が非常に強いと思うのです。而も家庭電気は電圧が落ちて夕方になると新聞すらも見えないような電気をやはり同じ料金で払わされておる、いわゆる暴利を貧られておるというような際に、家庭電気は非常にたくさんの料金の負担をするということはどうも納得しがたい。だからこの点にはよほど委員長代理が考慮しないと国民の恨みを買うことになると思うのです。あなたの決心はなかなか強固で私は実は同時に尊敬している一人でありますが、こういう点を大いに考慮してかからんといけないと思うのです。  それからついこの間、私はこの点に関しまして、或る友人の家におりますと集金屋がやつて来た、集金屋に、この頃集金率はどうだと言つて尋ねますと、なかなか大変だ、而も金の集りにくいのは日雇人夫のようなその日暮しの人が集金が一番困難で六、七回或いは十回も行かなければ集めることができないのだ。従量電気を使つておる大体三百円見当の料金を払つてくれる所は比較的払いがいいのだが、電燈一燈、二燈、三燈くらいついている所はなかなか払つてもらえないと言つていました。そうして最近方々で不払同盟のような声が聞えますが、いつそ不払同盟をやつてくれれば私たちは楽になるのだ、そうでなかつたならば今日でも十回行かなかつたら払つてもらえない料金、これをば六倍、七倍に料金が上つたならば、恐らく回収不能になるだろう、そういうことを言つて集金屋さんが非常に心配しておりました。こういう点を一つ委員長代理の参考にして頂きたい、そういうように思います。それからなおお尋ねしたいことは、需用者指導費の問題でありますが、ついこの間大阪の新聞で見ますと、仙台の電力会社では公聴会の開かれます数日前に、各代表者を集めて宴会をやつた、そういうことが新聞の記事に出ておりました。これが即ち需用者指導費の本体ではないかと思うのです。ですかうこういう需用者指導費というような得体のわからないようなものは大いに削減すべきではないか、そういうふうに今日……なおこれにつきましては北海道へ私が参りましたときに、或る支店長がはつきりそれを言つておりました。需用者指導費というのはどういう点に使うのかと質問しましたところが、実は方々から電力の申込が多くて困る、それを断るのにただ電気が足りませんというだけでは断りにくいので、で一杯飲むことになります。需用者指導費というのはこういうふうに使われているのが実態でありますと答えておりました。ですからこういう費用は大いに削減すべきだ、そういうような意見を私は持つております。これに対しまして委員長代理のお考えを伺いたいと思います。なお公益委員会の事務局の案として定額法でやるならば二〇%、定率法で三〇%の値上げで済むという案を公益委員会の事務局でお持ちの様子を伺つておりますが、果してそういう案が公益委員会の事務局でできておるのかどうか、その点も伺いたいと思います。それからこれは午前中の委員会でも伺つたのですが、松本委員長が自由党の総務会に出られて、最悪の場合は二割、三割の値上げで行けるだろうというような意味のことをお答えになつているということを漏れ承つたのでありますが、それが事実であるかどうか、そういうことを私は伺いたいと思います。それから今年度の四分の一半期に実際に石炭をどのくらい使つているかどうか実数をお聞かせ願いたいと思います。
  139. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の須藤君の御発言中の第一の問題は、消費者に電力料金がなぜこうなるかということを了解を十分にさせろという意味合いの御意見のようですから、これは家庭用電力はなぜこうなるかというような題目で公益事業委員会側でガリ版にでも刷つて、そして委員諸君に配付を願いたい。あと第二、第三、第四、第五の問題については、松永委員長代理から御答弁を願います。
  140. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 事務局に関する問題がありましたが、それはちよつとわかりませんから………。
  141. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 最後の問題は松田事務総長から……。
  142. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) それから大体のお話は御尤もでありますから、できるだけ注意してやります。とかくよく了解し合えばむずかしくない問題が、了解が足らんところが非常に多いと思いますからその点十分これから注意します。
  143. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 金のない者は了解ができても払えないのです。その点をあなたがたに考慮してもらいたいというのです。金さえあれば了解しなくても払えるのですが。
  144. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) 第一に事務局のほうで、具体的に何割というような結論を出すような作業をしているんじやないかというお話でございますが、事務局としましては、この問題に関連しましていろいろ研究はいたしております。いろいろな場合を想定いたしまして研究いたしておりますが、然らばどういう線で決定すべきかということは何らきめておりません。これは当然先ほど申しましたように、委員会のほうで根本的な方針をおきめになりまして、それに基いて我々のほうは最後的の作業をしなければならないのであります。  第二に委員長が自由党の云々というお話でございましたが、その点については私よく存じておりません。そういう具体的なお話をなさるはずは私は絶対にないと考えております。  なお第四四半期の石炭量については、詳細の点は調べまして申上げますが、一般的に申しますと、第一四半期の石炭につきましては、相当やはり計画を上廻つて使つております。と申しますのは、一応例の六百三十万トンベースで大体第一四半期に考えておりましたものよりも約一四、五%くらい余計石炭を消費しているのであります。その数量につきまして詳しくこれは調査をいたしまして明日でも又お配りいたしたいと思います。
  145. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今いろいろな場合を想定していろいろな案を作られたとおつしやられましたが、そのいろいろな案を作られた中に、私が今申しました定額法なら二〇%、定率法ならば三〇%で済むという案もあつたわけなんですかどうでしようか。
  146. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) その点につきましては、いろいろ前提を異にするに従いまして結論も違つて参るのでありまして、従つてお話のような結論につきましても、前提の如何によつては出得る可能性は勿論あると思います。併しながら先ほど申しましたように、これについては何ら、研究をしているだけでありまして、結論としてはそれが正しいとか、それ以外に方法はないというような意味でのお話を申上げる段階には至つておりません。
  147. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうような案が立てられ得るような状態ならば、何故今日日本全国の国民から反対を受けながら、その考え、最も低い値上率で済む案をあなたたちは実行しようとしないのか、その点を私は伺いたいと思います。
  148. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) この点につきましては、かねて委員長或いは委員長代理からも委員会でお話になつておるかと思いますが、要するに委員会といたしましては、各社から出て参つております案をそのまま聴聞会にかけまして、そして聴聞会において各需用者側、言い換えれば利害関係者のほうの御意向を十分に伺いまして、そして一方的に偏せず、両者の意向を十分伺つた上で結論を出そうということになつておるのでありまして、従つて事前に委員会としてこういう点が結論が正しいとかいうことは申すべきでない。どこまでも両当事者の意向を十分承わつた上で結論を出そうということになつておりますので、今お話になりましたように、あらかじめこちらとしてどういう結論がいいからということにきめて聴聞会にかけるという方法をとつておらんのであります。
  149. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは場合によつては二割、三割を要するに私が申しました案も実行が可能だというふうに理解してもいいわけですか。そうして若しもそれを実行なさらずに電力会社言つておるような案をあなたたちが鵜呑みにしてそれを実現した場合に日本産業界に混乱の起つた場合はあなたたちが責任をとるという意味なんですか、どうでしようか。
  150. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) 私の申上げましたのは、要するに例えば先ほどお話がございましたような、再評価の問題等をどうするかというような点につきましてはいろいろな見方があると思います。併し、然らばどの程度評価をするとか、或いは定率、定額をどうするかというような点は、これは先ほど申しましたように聴聞会の後において委員会としてあらゆる点から御検討になつた上で我々のほうに作業を命ぜられることであります。従つていろいろな結論が、と申しますか、数字が仮に出ましても、それが正しいものであるかどうかということは、勿論委員会の根本方針に従つて我々としては決定しなくちやいかんのであります。
  151. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 松永委員長代理と同じように、私たちも日本産業の将来を非常に心配しているのです。ですから今日産業界の混乱とか国民生活の混乱をできるだけ小さく食いとめて行きたいという希望を十分持つております。そういう点からいろいろな案が立つ、それをどれを取つてもいいというようなやり方でなしに、最も混乱を小さくして国民生活に負担のかからないような方法はどういうところだ、もつと値上率を少く食いとめて、できれば値上げは絶対しないというような方針を立てて、そうして案を立てられるのがあなたたちの立場でないかと思うのであります。それをいろいろな案が立つ、それをどれをきめるともまだ何ともきまつていないというような、そんな頼りないことではどうも公益委員会として私たち信散することはできないようになると思いますがどうでしようか。その点責任のある立場をとつて頂きたい。そういうふうに考えるのです。
  152. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 答弁が要りますか。
  153. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それに対する考えを述べて頂きたいと思います。
  154. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) ともかく電力事業は金持の事業ばかりでなく、山中の一軒のあばら屋の小屋にも光を放ち、その人に幸福を与えるものでありますから、金持のものでもなければ貧乏人のものでもない、実に大事なお宝でありますから、これはどうぞ国民みずから守つて頂き、業者はその国民の奴隷……。奴隷と言うと失礼ですが、その番頭となつて大いに働くのでありまして、公益委員会は又皆様の番頭と申してちつとも恥かしいことはない。実際代理人となつてこれをよく監督して行きますが、何分とも先刻申上げたように国全体が弱つております。議論囂々としておりますから早く安定させまして、そうしておのずから考慮の余地を各人に持つて、そうして日本の再建にお互いに努力したいと思います。これ以外に何も考えありません。
  155. 小野義夫

    ○小野義夫君 私は松永委員長代理と同じ方向へ電力の現地調査に参つた一人でございます。即ち四国、中国、九州、その各地におきまして電力会社の経理内容並びに地方における一般大衆、大口需用者等の意見をそれぞれ懇談会を開いて参つたんでありまして、昨日当委員会におきまして大体御報告をいたしたような次第であります。でこれは話は聞き手によつて多少同じ言葉が強くも弱くもいろいろな意味に聞えるのでございまして、私の聞いたところを一応松永委員長代理に御報告かたがた一、二の御質問を申上げたいと思います。その前に当りまして松永委員長代理が今回現地に臨まれまして、そうして諸般の要望その他のことを現地にお聞きになりまして、劈頭におきまして委員長から質問せられました御答弁に、非常にこれは和を以つて第一とするのだ、議論をいろいろやれば果しもないが、要するにこれは国民全体の和に即するような和やかな点に持つて行くのが至当であるというお考えを述べられまして、私どもは半ば満足の意を持つてそのお言葉に信頼を払わんとするものであるのであります。然るに各地における要望の状態を御報告しますというと、甚だしきは絶対反対と主張するものがあります。又どの辺が妥当であつたかという質問に対して、三割五分アップくらいは止むを得ないのではないかという、これはむしろ最も電力会社に対して同情のある最高点と思われましたが、そういう議論もありました。ところでこの絶対反対の声が本当の声であるか、多少の値上りは止むを得んという声が本当の声であるかというと、私どもは多少の値上りは止むを得んという声のほうが本当の国民の公正なる声であると承わつて参つたのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)而してこれを段階的に如何なる段階をとるか、段階にしろという言葉は大いに含蓄がある言葉でありまして、或る程度の確定的のものに絶対せよということは、段階的にやれという議論とは全く反対であつて、段階論者の議論には相当幅のあるものであるように承わつたのであります。そこで先ほど松永委員長代理がおつしやるように、この問題は一気に決定することが必ずしも必要でない。そこで段階的に徐々に電力会社の合理化及び消費者の合理化と相睨合して段階的に前進すべきものであるという御議論、この前進には、十年先のことをいえば下のほうへ下つて行くということも予想せられるのでありますが、いずれにしても改善して行くべきであるという論議に対して、もはや御声明がありましたから、改めて御答弁を必要としないのでありますが、その過程におきまして政策料金をやつて欲しい。例えば四国の塩田のごときは日本の製塩の二分の一をやつているのに、電力料金が上ると非常にコストが上つて、これが一般家庭に及ぶから、こういうものに対して政策料金をやつて欲しい。又九州の一部には排水及び揚水に関して、その土地が今の米価若しくは上げんとするところの米価では収支を償わんような状態があるから、これに対して政策料金は可能であるかどうか。又或る種の、例えばカーバイトの会社は、これは高知県にもあれば九州にもありますが、これらの会社は何がしかこの過渡的において政策料金というようなものを加味するにあらざれば、事業の存在を危くするということを言われたのでありまして、この政策料金ということが各地において相当言われておりました。これについて実際実行性、可能性があるかどうかを御答弁が願いたい。  それから電源開発は国内資本或いは外国資本等によつて将来の電源開発については大いに我々は期待を持つておるのでありますが、その過程におきまして各地の自家用電気にして、水力電気にして今日電力会社に召し上げられておるところの発電所があるのでありますが、これらを返してくれ、返してもらわんければ事業が成り立たん。或いは事業が著るしく損に終るというようなことを強く要望せられ、議会にもそれらの陳情書が参つておるのでありますが、これに対して即時返還ができんとしても将来はどういうふうにせしむべきであるか。絶対的にそのことはもう許容しないのであるか。或いは相当の年限が経過してだんだん電源の開発が進むに連れて余裕ができて来たらば、或いはそういう工業に返してやるという考え方を持たれておるのであるか、どうでありますか。この二点につきまして、つまり段階的なるごとについては、これは説明を要しませんと思います。すでに初頭に承わつたのでありますが、自家用電気の返還について、現在並びに将来はどういうふうにしたいというお考えを持つておるかが第一点、それから第二点は政策料金が可能性を帯びておるかどうかということの第二点について御答弁が願いたい。
  156. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 政策料金の問題につきましては、再編成当時の意向、原則からは成るべくそういうことを考えるな、何となればその政策的のことは各種の無理が行われる、その無理はどこか力のない小さい消費者のほうにしわ寄せして行く虞れがある、だから政策に関することは毅然として電力委員会としては守るべきであるというのが最初から、一月、十二月の出発のときから私ども考えておりましたモツトーではあるのでありますけれども、世の中は必ずしもそう四角張つて行くものでもありますまいし、そのことが小需用者或いはいわゆる庶民階級にしわ寄せをせない限りにおいて、業者が産業の発達を助長し、或いは無理になつている特別の農業とか或いは利益困難であつても、なお且つ国家のために必要なものに対して政策的のことをせんならん場合をも含んで、一切そういうものは駄目だと言うほど、そう頑固じやないつもりであります。けれども、今政策料金をやるのだというふうな原則的なことは甚だ申上げかねる次第であります。  それから次に電源開発について、自家用電力につきましては、これは思い出しましても、二十四年の十一月、十二月、一月初めにかけまして、非常な運動が起りました。当時電気事業再編成審議会に私おりましたために、各種の大きな資本家の業者の運動を受けました。なかなか今日の値上げ反対くらいの生やさしいものじやないのです。本当に力のある、腕つぷしのあるかたが、もうえらい力を以て我々にお迫りになりました。而も五人委員会のうちには、そうお前は頑張らんでもいいじやないかというお説がありましたけれども、これは深く検討して、その実例を確かめざる限り、にわかにこれに賛同することは、電気事業の一般的発達に対して必ず悪い痕跡を残すという妙な見地から、五人の委員は幸いに一致しまして、そのうち一カ所、どこやら忘れましたが、小さい三千キロ、四千キロの発電所があり、全く今日無理に取上げて、そのままに行つているものもあります。これだけがどうにか考え余地があると思つて、そのほかは余り考え余地のないもの、全く考え余地のないもの、多少考えなければならんもの、考えてもその考え方が無理になるという虞れのあるものもあるという結論に到着いたしまして、事務当局からも詳しく調査さして、何でも十何カ所のうちに詳しい、その当時調査書ができております。爾来調査書は、根本は動いていないと思つております。公益委員会に、多分資源庁から引継いでおると思います。併し旅行しましたり、或いは現在の事情を聞きますと、なかなかそういう、小野さんの今お話のようなものが出ますが、私実際お困りのことも、電力の少いために誠にお気の毒であり、その当時の政府が随分暴力でやつたことも認められるのでありますけれども、一応今日、電源の非常に少くて、みんなが難儀している際に、その業者のみに返すというよりも、むしろそういう実力のある人は電気事業者と協力して、そして電源開発に力を尽して頂いて、それで十分なる電力ができる時分に、適当に又それを処理する、前に遡つて何割かを処理するというようなことが必ず来るものだとも思います。又、全く来ないものもあるのだろうと思う。まあそんな事情でありますから、暫らく各種の問題の片付くまでは、頭が全部混雑して、或いはそんな変なことをすると、国民の反感を招くことを恐れるのでありますから、暫らく自重したいと、公益委員会のみんなは相談をやつて考えている。まあ変化いたしますと又御返事、別にいたします。
  157. 小野義夫

    ○小野義夫君 然らばここに一つ或る会社が、今の現状値上げをしなければそれは事業的に成り立つのであるが、若し上げればその事業が、他の同種の仕事と太刀打ができないで、その仕事をやめなければならん。併し若しそれを、電源を返してくれればやれるのだという一点に押詰まつて来た場合において、これは公衆のためにその会社が犠牲になるということは、これは当然犠牲になるべきであろうけれども、これに対してはその企業自体が駄目になるのでありますから、国家としても大きな損失になるのであります。でありますから、電力会社一般に代つてその企業を買収若しくはこれに補償を与えて、暫らくの間休業なら休業を命ずるとか、適当なその経済的措置をとつて、そうしてやるべきが当然であつて、ただそれは止むを得ないのであると言つて見殺しにするということは、私は事業の全体面から見て決して公正なる経済政策ではない、こう考えるのであります。その点につきましては、これは公益事業委員が命ずるわけには行かない問題といたしましても、当該電力会社なるものは、その補償その他のことをやつても、当然大衆のためにこれは一律一体に行かなければならんということがあるならば、これはよほどその点について深く考慮を払つて頂きたいという要望を申上げまして、私の質問を打切ります。
  158. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 御意見として承わつておきます。
  159. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほど来各種の聴聞会に出られた感じ等お述べになりまして、大分俗論に耳を傾けられておられて、だんだん調和の崇高な精神に立つて料金改訂をしなければならんという御意見でありまして、誠に結構であるとは思うわけであります。ところが午前中物価庁のかたがたから御意見を伺いますと、物価庁においては、いろいろな紬かい数字はありますが、ともかく結論といたしまして、特に川上第三部長は、現在の情勢においては、実際支払料金の二〇%、標準料金の四〇%程度は妥当であるけれども、これ以上の料金改訂考えられない、こういうことを口を極めて言つておられるのであります。特に物価庁は、五月中旬にメモランダムが出る以前においては日本電気料金の最終決定権を持つておつたところの官庁でありまして、そこの責任部長が、かような自信に満ちた資料に基いて結論を出しておるのでありますが、これに対して公益事業委員会では如何ように物価庁のこの御意見を御採用になるところのお考えがありますかどうか。そうでありませんと、いろいろな諸般の情勢を考え計算を、作業をされておるところの物価庁の御努力が水泡に帰するわけであります。この点に関して松永委員長代理の御所見を伺いたいと思います。
  160. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) どうも物価庁がどう言うたかということは私ちよつと返事しにくいなあ……。(笑声)
  161. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは物価庁としてここに来て言つたわけでありますが、実は前の東京地区の聴聞会においてすでに陳述しておるところであろうと思いますし、又その他詳細なる資料が公益事業委員会に提出され、又その間折衝もされておることであると思うわけであります。幾らメモランダムによつて物価庁一般公述人と同じ立場以上の権限を持つてこの電気料金改訂に関与できないということになつておるといたしましても、先ほど申しましたように、あなたがたのおきめになるという権限が認められた以前においては、物価庁がこの料金をきめておつた。その物価庁がいろいろな情勢を判断して出された資料に対して、物価庁がこういつたということはどうも言えない、これは勿論法制的にはそうでありましよう。あなたがたが最終の決定権を持つておられる。併しながらこのたびこの場所におきましても、物価庁或いは安本当局とは十分連絡をとつてやるということを言われた場合もあります。又或る場合には必要に応じてというようなあいまいな態度もとられましたし、又その他の人々が直接公益事業委員会に行つて申上げた場合には、役人の言うことなんかどうもというようなこともあつたように聞きまするが、併しながらとにかく物価庁というものが日本のすべての物価の状態を睨み合せましてかような結論を下した以上は、これを尊重して頂かなければならんということは、これはあなたがさつきおつしやつたように、まあ奴隷という言一葉はおかしいでしようが、あなたはむしろ俗論というよりも、我々は国民の奴隷的な……、いや、それは言葉が過ぎるけれども、公僕でなければならんということをお感じになつて来ておりますから、そういつた国民生活全般についての考慮の上に、物価庁意見というものに対してお考えを述べられないということはちよつとどうもおかしいと思います。
  162. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ちよつと今三輪君のお話に関連して、私から三輪君の御発言になつた内容を、あなたの御答弁のしいいように要約しますから……。先ず第一に今日川上第三部長は、物価庁意見公益事業委員会によく連絡をとつてある。而も聴聞会に出て喋つただけじやないかという委員諸君の質問に対しては、無論これは公益事業委員会側から聴聞会においてそういう意見を述べたほうがよかろうという話があつたので、聴聞会で意見を述べたのだという御答弁がありました。この物価庁考え方については、事務局は事務局同士でよく連絡をとつております、こういう御答弁がありました。従つて安定本部総務長官に対しては、物価庁の所掌官庁としてよくお話をしてあるから、安定本部総務長官からも公益事業委員会とは連絡をとつておられるはずだ、こういう御答弁をしております。先ず第一に公益事業委員会側から物価庁に対して、聴聞会で物価庁の案を意見として述べたらよかろうということを言われたことがあるかないか、それから事務当局で物価庁意見に対して公益事業委員会側から聴聞会ではつまり意見を述べたほうがよかろうということを言われたことがあるかないかを一つ、それから事務局は事務局同士でよく物価庁の……、今三輪君の言われた、やはり聴聞会で物価庁が発表した意見について連絡が十分にとられておつたかどうかという点が第二点、第三点は、安定本部総務長官である周東国務大臣から、公益事業委員会側に対して何か意思表示がなされて、御協議があつたことがあるかないか、この三点について事務当局と松永委員長代理、どちらでも結構でございますから御答弁願いたい。
  163. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) 第一の点につきましては、御承知のように先般司令部のほうから出ました覚書におきましても、物価庁その他については当然聴聞会において意見を述べる権利があるということも載つております。それから又私のほうとしましても、この料金の引上げについて一般物価にどういうふうな影響を及ぼすか、特に一般産業の生産コストにどういうような影響が生ずるかというような点については、物価庁においてもいろいろ御研究をしておられるということでありますので、そういう点については特に聴聞会において意見を述べられたほうがいいのじやないかということは率直に申上げました。それから第二の事務局の問題につきましては、物価庁のほうのいろいろな考え方は、私のほうに物価庁のほうから事務的に連絡は受けております。それから第三の点につきましては、私直接安本長官から委員長に対してお話があつたかどうか知りませんけれども安本の事務当局を通じて委員長にそういうようなお話があつたと私は思つております。
  164. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の第二の点ですが、物価庁からそういう連絡はあつたということだけの御答弁でしたが、公益事業委員会の事務当局側としては、委員会の決定その他の問題は別として、物価庁意見に対して何らか御批判をなされて話合われたことがあるかないかについてもう一回お答え願いたいと思います。
  165. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) それにつきましては、大体物価庁のほうの意向を主としてこちらで伺いまして、そうして又それに対して、こちらにおいていろいろ疑問の点等については、向うの意向を伺うという程度でありまして、こちらからまだ積極的に事務局としての考え方というものは、先ほど申しますように、委員会が大体方針をきめられますと事務局が動くのでありますから、従つて今日までのところ、まだこちらの考え方がどうであるかというようなことはお話しておりません。向うの意向をこちらに伝えてもらつている。こうした形であります。
  166. 古池信三

    ○古池信三君 先ほどから同僚議員からいろいろと詳しい後質疑がありましたので、私は重複を避けまして、極く簡単に一つお伺いをいたしたいのであります。  それは公益事業委員会のこの問題に対する、或いは電気事業というものに対する根本的な心がまえについてお伺いをしたいと思うのであります。これは根本論でありますから、本来ならば公益事業委員の五人のかたに一々お伺いすべきかも知れません。或いは又松本委員長から代表してお答えを願うがいいかも知れませんけれども、松永委員長代理は世上においても伝うるがごとき、公益事業委員会において、特に電気事業に関しては実力を発揮しておられる委員であり、又松本委員長の代理という資格もお持ちになつているわけでありますから、本日は公益事業委員会を代表して一つ私は御答弁を願いたいと思うのであります。  それは先ほど冒頭にお話がありました中に、この間各所に手分けをして委員のかたが聴聞会に御出席になつて、松永委員長代理はそのうちで三カ所に御出席になつて、非常に得るところがあつたというお答えでございました。なおこれは公益事業委員会としては原告、被告の両者の意見をよく聞いたというようなお言葉があつたように思うのであります。法制の建前からいつて公益事業委員会というのは一つの裁定と申しますか、調整機関であるという意味合いから申せば、或いはどちらが原告か被告か知りませんが、それに超然たる第三者的な立場にあるというふうなお考えであるかとも思うのであります。併し私はここで申上げたいのは、電気事業というものは、一体どういう立場のものであるかということについてであります。無論電気事業の重大なことは私もよく心得ておりまするし、殊に我が日本といたしましては、終戦以来殊に資源の少い中で、先ずどうにか我が国の天然の資源と言えば第一に指を折るのは水力電源でありまするから、この乏しい中にもどうやらまだまだ開発の余地のあります水力電源は、うんとこれを開発して、そうして我が国の最も重要なる事業として発達さしてもらいたいということは、是非これはやつて頂かなければならん問題であります。その重要性については何ら我々としてもこれを推進するのに吝かでないのでありまするが、ただ電気事業というものは、一体何のために存在するかということを一つ私は考えて見たいと思うのであります。電気事業だけが立派に発達して行けばそれでよろしいのかどうかという問題になると思うのであります。成るほど電気というものは、国民生活の上に欠くべからざるものであり、又あらゆる産業の原動力として基礎的な力を持つているものであることは申すまでもありませんけれども、併し電気があつて初めて国民があり或いは産業があるのか、国民があり産業があつて、そのために電気というものが存在しておるのか、そこの本末を私は明らかにして頂きたい。この点を申上げたいのであります。私は卑見を申上げれば、要するに電気の発達とかいうことも人類の幸福のためにのみ私は存在し得る、存在の理由があると考えるのであります。産業の発達のためといつても、要するにその産業の発達は何かといえば、やはり人類の幸福のためだ、人類といえば、即ち我が国でいえば我々日本の国民の幸福のためにのみ電気は存在し得る。日本の国民の幸福に背馳するようなことがあるならば、これはもう電気というものは何らなくてもいいとさえ私は極論いたしたいと思うのであります。如何に電気が煌々として光つてつても、又電源が次から次と開発されたとしても、一方他の産業がどんどん衰滅し、国民生活が破滅いたしまするならば、何らそこに電気事業の価値はないと、私はかように考えるのであります。従来松永さんが我が国の電気事業の育ての親として非常な御功績があつたということは十分私も認め、又大いに敬意を表しておるのでありまするが、現在のお立場は、従来のごとく単なる電気事業経営家としての松永さんではなく、もつと大きく日本全体を達観して、重要なる職務を執行しておいでになる、そういう地位にあられる松永さんでありまするから、その辺のところをよく私は御了解をお願いしたいと思うのであります。世間の口の先にはとかくいろいろな批判がありまして、松永さんは長い間半世紀に亘つて電気事業を育てて来られたので、電気事業は非常に可愛いがつておられる。その気持はよくわかるが、併しながら今回の料金改訂問題等については、とかく電気事業が可愛さの余りに、電気事業ばかりを考え過ぎておられるのではないだろうか、もう少し他の産業の面とか国民生活の面を考えて欲しいものであるというような声がちらちら我々旅行いたしましても耳に入るのであります。勿論私としては松永さんほどの方でありますから、日本全般の産業なり或いは国民生活の隅々までお考の上で御処理なさるということは確信いたしますけれども、併しながらかような流言があるということは十分に一つ念頭に置いて頂きたい。飽くまでも電気は国民のためにサービスするものである。逆に国民が電気事業のためにサービスするようなことになることを私は非常に恐れるのであります。先ほど松永さんは、各地に出張されまして、結局国民全体の大きな調和の上に電気事業を愛しその発達を期せねばならんということを悟つて来たというお話がありました。誠に私は結構なことだと思うのでありまして、その意味から申しまするならば、今国内に澎湃として起つておりまする料金改訂に対する意見というものは十分に私は尊重しなければならん。かように確信をいたすのであります。で先ず第一に、一体電気事業そのものに対する根本的な認識は如何なものを持つておられますか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  167. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 只今古池さんから縷々電気事業の我が国における地位及びこれの開発に国民を挙げて努力すべきことは必要であるのであるが、公益事業委員会の者も又電気事業が、ひとり電気のみ発達すれば事足れりというようなことは本末顛倒である。国民への奉仕、国民の繁栄こそ電気事業の発達の対象である。且つ手段であると言つてもよいくらいなものである。松永は個人としても多年の経験、或いはもう一歩進んで言うと、多年の積弊より脱して、どうぞ電気の電気ということを言わずに、国民の電気として老後を間違いなく国家のために奉公してくれいという御忠言と承わる次第であります。  電気事業の性格から申しましても、公益事業委員会の性格から申しましても、これはひとり私がお受けするばかりでなく、恐らくは委員長並びに他の委員も共に御異議のないことと思うので、むしろ私は喜んで全部の委員に代つてお受けをいたす次第であります。全くお考えの通りでありますが、ただ本末顛倒というものが、ややもすれば誤りやすいもので、消費者と生産者というものは恰かも相対立したような感じを持ちます。でありますから、電気を消費する者は買い手であり、電気を製造する人は売り手である。安ければ何ぼでもよい。ただ何ぼでもよいという、一方は儲けさえすればよいという、而も事業者は独占権を与えられておる。その独占というものはむしろ国家的な特権である。それを忘れて、ややもすれば合理化することを忘れ、そうして私利私慾と申しますか、極端な言葉ですが、そんなことに亘つて、国民の利害幸福を忘れるようなことがあつてはならんと思うので、公益事業委員会も私どももいろいろとかくの非難を受けておりますが、これは大部分本当でございます。みずから不徳にして思わざる自分の過ちを犯しておりますけれども、今お話の通りによく反省しまして、今日反省するばかりではなく、明日も反省し、明後日も更に反省する、そうして反省し尽したところに本当の人間性が生れ、そうして電気もお互い人間も一如となつ日本国の再建、日本国の幸福のために私ども老後の残躯を投げ打ちたいと思うのみならず、今回電気の再編成に当られた九会社の経営者或いは労務者とも協力して国民のために努力されたいということを念願し、この料金問題などが決定しましたならば、重大なる警告を事業者に発するつもりでありますが、同時にお願いしたいのは、消費方面の警告であります。電気が如何に国民に密接であるということを国民自身みずから知らず、消費者みずから自分で上手に電気を使うことが利益であることを知らざることほど不幸なことはありませんから、この点は高所大所におられる国会の各位から普遍的に、消費者も製造業者に向つても、或いは私どもに向つても始終怠りなく警告を下されるよう懇願する次第であります。
  168. 古池信三

    ○古池信三君 只今電気事業の性格及び使命について、又これを監督されておる公益事業委員会としてのお立場についてはつきりしたお答えを頂いたのであります。その御答弁につきましては私は大体において満足いたすのでありまするが、どうか願わくば、只今の御言葉通り一つ実行にお示しを願いたいということをお願いいたします。  更に私は今のお言葉の中に、電気会社は売手であり国民は買手である、であるからそこに或いは利害の相反するようなことがあるのではないかというお話であり、国民としては電気は安いほうがいいのだという、こういうお説、これも一応は私御尤もたと思います。ただ私が先般調査のために大阪を中心として関西方面中部方面に参つたのでありまするが、そこで多くのかたがたにお会いして御意見を承わつた結果について見ますると、国民大衆は決して無理なことは私は要求されておらん、かように聞き取つて参つたのであります。勿論中にはこの際電気料金値上げは絶対に反対であるという主張をされたかたもありました。併しながら大体の趨勢から見ますると、先ず若干の値上りは止むを得ない、率を申すと或いは間違いを生じてはいけませんが、大体私の観測して参つたところでは二割乃至はせいぜい三割、この程度値上げならば先ず先ず止むを得ないはないか。それにしても一方電気事業自身の企業の合理化を当然前提として考えられなければならん。又サービスの改善は当然これは必要なことであるけれども、その上において更に値上げを止むを得ないとすれば二割乃至三割は先ず止むを得なかろう。こういう空気が多かつたのでありまするから、国民は決してただ安いほうがいいのだという、電気事業に対して全然無理解ではないということをよく一つお含み置き願いたい。そこで先ほどのお言葉の中に今度の料金値上げに対する国民の運動といいますか、声はまだまだ生やさしいというような御観察があつたようでありまするけれども、それは決してそうではないのであります。私が廻つて見ましただけを通じて申しましても、本当に真剣にこの値上げ問題については皆さんが議論をされておるということをよく一つ御認識をお願いしたい。そこでいよいよ全国各地の聴聞会も終つたことでありまするが、聴聞会において非常に多数のそれぞれの立場のかたから意見の開陳があつて、これを聞いて委員のかたはお帰りになつたわけであります。これらの聴聞会における発言は、単に原告、被告というような冷たい立場でなく、本当に国民が電気事業を愛し、又我々も国の復興ということを念願しつつ開陳された意見であるということをお考えになるならば、十分これに耳を傾け、その意見を尊重されるものと私は信じておりますけれども、これに対する松永委員長代理の御見解をお尋ねしたいと思います。
  169. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) お話の通りかと思います。いろいろ新聞或いは又一部の論評では、消費者のかたがたがなかなか電気事業の御了解が悪いというふうに業者のほうは思い込んで見たり、又消費の方向では、どうも実に横暴であると思うて見たり、両方の事情が誠に疏通していないことは事実であろうかと思います。殊に大勢の、八千万あれば七千万まではなかなか電気をそう研究しておるとかいうわけには参らんのであります。これがむやみに上つちや忽ち目の前に差し迫つた問題が多く出ますから、これに対して種々の議論があることは当然でありまするけれども、先刻申しましたように暫くそのものが納まり、一応適当なところから落着きますれば、お互いに又了解し合つて、電気を愛して自分のものとして、そうしてできるだけ公平に国民の間に分割する、そうしてこれをできるだけ早く発達さして、只今のような状態から一日も早く脱却して、いい電力を供給することのできるように念願する次第であります。お答えとしては不十分でありますけれども、一言申上げます。
  170. 古池信三

    ○古池信三君 最後に一つお尋ねをいたします。その前に先ほど政策料金の問題が出ました。それから料金値上げについては成るべく段階的にしたらどうかという問題も出たのであります。段階的にするということは、私ども賛成であり、又そういう意見も非常に多く我々聞いて来たということをここで申上げて御参考に供したい。政策料金の問題については、従来永い間或る程度行われて来た問題でありまして、そういう沿革的の理由もあり、これを今直ちに打ち切つてしまうということは、それぞれ関係方面には影響甚大なるものがあると思うのであります。従つて今後の御折衝によつてでき得る限り無理のない妥当な政策的な料金は或る程度残されたがよかろう、かように私は考えますので、この点も一つ進言をいたしたいと存じます。  そこで先ほど三輪委員からもちよつとお触れになつた問題について私から重ねてお尋ねをしたいのでありまするが、何と申しましても電気料金はあらゆる物価影響する大きな問題であります。法律的に言えば公益事業委員会が単独においてこれが認可をなさることができるであろうと思いまするけれども、かような国家的に重大なる影響を持つておりまする物価につきましては、是非おきめになる前には政府の物価庁なり或いは安定本部、そういう方面とよく打合せをせられた上で御決定を願いたいということを私は希望いたすのでありまするが、さような御意思がおありかどうかということをちよつと最後にお尋ねをして置きたいと思います。
  171. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) よく承わつて了解いたしております。
  172. 奥むめお

    ○奥むめお君 先ほどからいろいろ料金算定の基準につきまして、大きな問題に触れられたと思うのでございますが、私から見ますと、それに附加えて重大な問題が今まで触れられていないと思いますので、先ず料金値上げの問題につきまして、只今も各地方の聴聞会においでになつた空気では、一般の消費者として二割乃至三割くらいは止むを得ないじやないか、そういうふうに見て帰つたという御発言でございます。私自身も実は東原の或る新聞に私の意見としてたしか二割くらいは止むを得まいということを書いてあつたので、すぐ訂正を出さしておりますのでございます。これは電気料金値上げの問題に対しまして、東京の聴聞会の報告書を拝見しましても、おいでになつていらつしやるかたは大部分業者でいらつしやいます。業務用の電力を使つていらつしやるかたでございます。ほんの僅かに婦人が発言しておりますのが、家庭の電気需用者として値上げ反対の声を挙げておると思うのでございます。私の所属しております主婦連合会の原稿に、一割五分くらいなら止むを得ないとここに書いてあるのでございます。私自身こういう間違いのものを自分の責任を持つておる仕事に発表をしておりますのは、ちよつとこれはいろいろな事情がございまして、私の留守中にこういうようなことが出ておりまして、訂正したいと思つてつて、それが間に合わなかつたような事情でございますけれども、私は業者のほうのかたは、きつと二割、三割ぐらいは止むを得ないと、こういう発言をしていらつしやると、私はこう思います。ですから公益事業委員会に松永委員長代理がお帰りになりまして、参議院の電力特別委員会は、消費者大衆は二割乃至三割ぐらいは認めるだろうという、そういうお気持でお帰りになるということは、これは絶対に間違いであるということをば私ども訂正しなければならんと思います。殊に私ども消費者の立場から申しますと、公共事業会、このものが出たことがもうすでに家庭の電気需用者を犠牲にしている建前でこれはできているのです。電気料金値上げという問題が、殊に今度の最終改訂案を見ますと、もつと家庭にしわよせされている。そうすると零細な家庭が、先ほど松永委員長代理がおつしやいましたように、山の中の一軒家にまで及ぼすこの文明の電気云々という、私も非常に賛成のお言葉でございました。実際まあ憲法に保障されておりますが、健康にして文化的な最底生活のその線を確保するというのには、私は第一に電気を期待するのでございます。まあ同じ私ども住んでおりますこの日本の土地に、進駐軍の家庭を見ましたら、電気冷蔵庫もある、電気洗濯器もある、赤々と電気がついている。日本の国にいてなおあの生活ができるのだということを見ております。と、これが私どもの生活にもならなければ嘘だと私はいつもそう思うのでございますが、電気会社と早く協力して、そうして私どもの家庭生活もせめて人間並の文化に浴せられるように、女の生活がもつと便利に、知識的にも伸びて行かれるような生活をするのには電気に頼るほかないと思います。殊に今日森林法の改正もございまして、薪を焚いてはいけない、山の木を伐つてはいけないという厳しい枠もはめられて、いよいよ家庭燃料は、戦後電気コンロの便利なものをやつと覚えたときに取上げられたという形になつております。こういう中でなお薪や炭にさえも頼ることができないというときに、何とかしてこれは家庭へ電気を普及させなければならないのだと私ども、真剣にこの問題に取組んでおります。先ほど委員長は、大いに消費者が節電してくれなければ困るとおつしやつておりますが、節電はむしろ大きく使つている大口需用者のほうに節電の要が甚だ大きいのだと、私はこう言いたい。勿論我々も消費者の立場から大いに節電して協力したいと思います。併しこういう自分たちの希望、あこがれというものは、電気を持つて暮すことでありますけれども、併し今日電気料金を電源開発やその他電力をたくさん出すために値上げしなければならないとおつしやつても、なお私ども料金値上げは現在の場合絶対に困る。私はこう申上げたい。それは家庭の電気が殊に困る。金額としては或いは五割値が上つても五十円か百円であるかも知れません、一軒の家庭につきましては。併しその五十円か百円というものが、二千五百万の日本の世帯の全部に及ぶ金であるという面におきまして、これは思想的にも経済的にも非常に与える影響が大きいだけでなしに、今日の生活面を見ますと、実にでこぼこなんです。非常にいいところもあります。非常にいいところもございますけれども、悪い人は又非常にたくさん、数ではもうとても多いのでございます。この悪い人の非常に多いときに、少数の特需景気でいい人がいるということだけでも今日非常に不安定な状態だと思いますので、今の時期に電気料をお上げになることは絶対に私はいけないと申上げたいと思います。  なお二つには、私、委員長にお伺いしたいのは割当の問題でございます。公益事業委員会がもう早急におきめになるらしうございますが、伝えられるような案の通りに、家庭電力は又たくさんの超過料金を払わなければ使つて行かれないくらいの割当を続けてなさるつもりでございましようか。或いは改訂案をお考えなつていらつしやるのでございましようか、一つお伺いしたいと思います。
  173. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 第一の話は誠に御尤もですけれども、亭主の働き者はとかく浮気するというもので、どうもなかなか両立困難でありますから、多少はどうしても値上げを認めて頂いて、そうして産業の活躍をどうしても助けて頂かにやならんと思います。従つて家庭も潤おつて来るということになるのじやないかと思いますから、その辺のさじ加減はどうぞ御老練な奥さんにお願いしたいと思うので、私はあとの割当のことを一言申上げておきたいと思います。  割当問題はなかなか種々の関係が外部的に輻湊しておりまして、業者も非常な合理的な改革をやりたいと思うておるようでありますけれども、事実甚だ今日の場合実現困難でございます。私どももその筋と目下折衝をして、できるだけ割当を不公平ならしめぬように努力はいたしておりますから、どうぞ……。できるだけの努力はいたします。
  174. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私松永委員長代理にお尋ねする前にちよつと委員長にお尋ねしたい。それは当参議院の電力委員会は、公益委員会に対して電力料金改訂に関する何らかの態度を表示するかどうかということをお聞きしたいのですが、そういう用意がありますか。
  175. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 岩木君の御意見は、参議院電力特別委員会委員会としての意見表示をする考えかどうか、こういうことですか。
  176. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうです。
  177. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 毎日のこうやつて委員会を開いておりますのは、委員会の個々の委員は国民の代表として公益事業委員会側に御意見を述べておられますので、若し各委員諸君から発言された目的の達成ができる見通しがつけば、何も別に改つて参議院の電力委員会として公益事業委員会にまとめて委員会の決議、又申合せ等の申込をする予定はありませんが、若しそういう結果が出ないという見通しがつけば、委員諸君に改めてお諮りいたしまして、委員会としての態度を決定したいと委員長考えております。
  178. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 極めて慎重な御態度であることはよくわかりますが、元来我が参議院の電力委員会は、委員会としての態度を研究の結果きめて、そうして公益委員会に出すということの話合いではなかつたのですか。
  179. 西田隆男

    委員長西田隆男君) お答えいたします。さような話合いはしたことはありません。委員会において如何なる決議をいたしましても、それはただ委員会で決議をしたというだけで、特別な効力はないと私は考えております。若し決議でも委員会でするというならば、全会一致を以て本会議場において決議をして、採択された決議文を公益事業委員会に送ることのほうがより効果的である。それ以外に方法はないと考えておりますので、今までの委員会で公式に委員会としての態度をどうしようという話はありませんが、非公式に個々の委員、二、三の委員から話はあります。併し委員長は今さつき申上げたようなふうに考えております。
  180. 山田節男

    ○山田節男君 ちよつと今のに関連して。今の岩木君の言われることに関してですが、これは成るほど今委員長が言われるように、私もこの電気事業の再編成の問題を見て、特別委員会の委員をしておりますが、この委員会として結論を出して云々、これは成るほどそういうことはなかつた。殊に御承知のように電気事業の再編成の問題は、与党である自由党内閣でああいつたようなごたごたがあつた結果、遂にポ勅が出た。そうして生まれたのが公益事業委員会、これはこの公益事業委員会というものは、今朝の、物価庁或いは安本から見ても、全く治外法権的な立場になつておる。でありますから、これは甚だ私は松永委員長代理に対しては少し言葉が強いかも知れませんけれども、あの電力事業の再編成問題、とにかく銀座の電力局長と言われた松永さんが、今度は果せるかな公益事業委員会の而も委員長代理になつておられる。でありますから今日午後松永委員長代理から非常に悟りを開いたようなお話を聞きまして、これは確かに松永氏の一つの進歩です。思想の進歩というよりも道徳的な進歩であると私は思う。併しながらこれはずつとお話を聞いておりますというと、先ほど奥さんも言われたように、或いは小池さんも言われたように国民一般が不安を持つておる。それで而もこの公益事業委員会は法律的にいえば、政府の機関を離れておる、独立な決定機関というようなそういつたような事態が現われて来ておるのでありますからして、せめて最、高立法府の参議院としては、何かのこれはやはり意見をまとめて、この治外法権的な公益事業委員会に対して意見を出すということは私は極めて適切であると思う。成るほどこの当委員会は、厚田党というような自由主義経済から共産党の諸君もおられる、社会党もおる、又民主党もおりますから、おのおのこの根本問題については私は異論があると思います。併しながらこの電力の値上問題ということにつきまして、やはり特別委員会の委員の意見を尽せば、少くとも最大公約数のものが出るであろうと思う。その最大公約数をそういう治外法権的な、こういう妙な尨大な力を持つておるものに対して一つの忠告を与え、牽制して、そうしてやはりこの公益事業委員会のこの政令といいますか、政令の根本趣旨に合うようにする。舵をとつてやることは、これは私は絶対に必要であると思う。でありますから今委員長の言われたことは、成るほど電気事業再編成のときのこの特別委員会と、それから電力の値上問題を中心として来た今日の電力特別委員会とは、かなり私は性質と申しますか、任務が違つて来ておると思う。そういう見地から見まして、私は少くとも参議院としては最大公約数の各党の共通な意見を以て、そうして聴聞会なり或いは我々がここでいろいろ論議していること、こういうものを一にやはり国民のため、それから殊に勤労階級のため、又産業開発のため、こういう点から私はどうしても最大公約数的の参議院としての意見をぶつつげる必要はあると思う。でありますから事態が変つて来ておるのでありますから、今委員長のお言葉の通りでありますけれども、私は改めて又委員長から各委員にご意見見をお聞きになつて、今言われたような意思表示をすることが、殊に公益事業委員会のあの特殊性に鑑みて、私は本院としてする義務があると思う。一応各委員にお諮りを願つて、その上で私なお質問することができると思うのでありますが……。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  181. 栗山良夫

    栗山良夫君 今岩木君並びに山田君から御発言がありましたが、実は前回の委員会のときに、私はこの点に若干触れておりましたが、御了解してない向もあろうかと思いますので、参考のために私一言申述べる機会を頂きたいと思います。  それから又この委員会態度を決定いたしまする場合には、これは又政府委員或いは公益委員等の退席を願つて、これは委員会だけで決定をすべきものであると考えますので、その点も委員長のほうであらかじめお諮りを願いたいと思います。  実は前々回の委員会におきまして、その前相当長期に亘つて電力料金の研究をして来たのでありますが、当時各委員の発言の内容を一応整理をいたしまして、十数項目に亘つて公益委員会に一応この委員会から善処方を申入れようじやないかというようなことが懇談会で決定をいたしまして、そうしてその線に沿うて私どもは強い要求を公益委員会に申出たのであります。そのときに公益委員会のほうの態度を聞いたのでありますが、公益委員会といたしましては、委員会意見を尊重するのに吝でない、更に聴問会におきまして一般世論をできるだけ聞きまして、それによつて最後の決定案を作つて参りたい、こういう話であつたわけであります。私は今日午後の委員会の冒頭におきまして係数を織込んだ電気料金値上げの内容について細かく明日のこの委員会におきまして発表せられたいという工合に要望いたしましたのは、その前々回からの引続きを私は言つておるわけであります。従つて松永委員長代理が明日の委員会におきましてどういう係数を発表せられるか、十数項目に亘つてこの委員会が要望いたしました点をどの程度善処せられるか、或いは聴問会において世論が要望いたしました点をどの程度に織込まんとしておられるか、そういうところをつぶさにいたしまして、それから後においてこの委員会はどうするかということの態度を決定して遅くないと私は思うのであります。さように私は考えるものであります。
  182. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 山田君の御発言にお答えいたします。山田君の御意見は一応御尤もと思いますが、今栗山君が発言されましたように、委員長としましてはこの前懇談会できめられた十数項目について委員長委員会を代表いたしまして質問をいたしております。その中で特に併行線であつたのが、今日の劈頭に委員長が申しましたように、資産の再評価減価償却の問題、それから石炭の消費量と炭価の問題、修繕費の中の建設勘定をどうするかという問題、この三つの問題が併行線のまま残つておる。こういう問題については聴問会終了後に公益事業委員会としては答弁がしたいということで、そのまま継続して今度委員会を開いておるわけでありまして、その問題については松永委員長代理が明日係数的にできるだけ詳細に公益事業委員会考えかたをお答えをするということを言つておりますので、そのお答えを一応聞いて、なお質疑を繰返えす点があれば繰返えして、公益事業委員会の腹がどこにあるかという一つの結論をつかみませんと、委員会がどういうふうに意思表示をするかということが妥当ではないように思われますので、実はそういうふうに進みたいというつもりです。こういうふうに委員長考えておりますので、いずれ明日の委員会が終りましてから委員諸君に今後どうするかという問題についてお諮りしたいと思いますので、その節一つ皆さんの意見を聞いて、然るべく結論を出したいと考えております。そういう点で御了解願いたいと思います。
  183. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると今の委員長の言われた言葉によると、ただ公益事業委員会にこちらから十数項目の質問をして、その回答によつて態度をきめる、こうおつしやるのですが、私の申上げたのは、やはりこの特別委員会としては先ほど繰返して申上げたので、今詳しくは申上げませんが、私の申上げる本旨は、今のいろいろな情勢から見て、例えば勤労階級というものに対しては電気料金を上げちやいかん、或いは併し、上げるのはいいが、何割ならという程度の問題ならば妥当であろう。こういうもつと具体的に意思表示をされて、最大公約数的なものを委員会として、公益事業委員会に出すかどうか、ただこれを聞いているだけでは、これは国会における一つの恒久的な公聴会のようなものになつてしまつて、結論が出ないということになる。これは今日国民全般がこの問題について非常に不安を感じております。それに対して何かの意思を表示する必要がありはしないか。
  184. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私は山田君の言うように考えておりません。山田君の只今の御発言中に松永さんが大変道徳的に進歩されたというお言葉があつたように、だんだん公益事業委員会側も国民の代表たる国会の意のあるところを尊重して、そうして公益事業委員会としても誤りなきを期したいという方向に向つていることだけは間違いないと思う。ただそれが係数的にはつきりした数字が出てないという現在の段階である。若し八月一日からでも料金改訂するということになれば、少くとも明日までには結論を出さなければならんという考えかたで、実はこの委員会を招集したわけで国会側としての意思表示をするということが悪いということは考えておりません。さつきの十数項目というのも、質問ではなくて、私が代表質問をしたのです。実は公益事業委員会に対する要望事項として公益事業委員会の答弁を取つた。その中で今の三つの主なフアクターが併行線のままであつた。これは聴聞会終了後公益事業委員会で意思表示をするということで今日に至つておりますので、私は山田君の説は否定するのではありませんけれども、経過がそういう経過でありますから、明日の委員会を終りまして、そうして委員諸君に今後のどうするかという問題をお諮りしたいと思います。それで具体的な意思表示をするが是であるという結論に達しますれば、これは各委員とも各党に持ち帰つて党の意向を聞かなければならん……。
  185. 小野義夫

    ○小野義夫君 それは今休会中でありまして、いろいろ各党のかたがおりますが、全権を委任されて来ているかたもありましようけれども、これは党の意見でなければ、国会の大体の意思表示としては不適当であると思つて、私もやはり委員長最初考えのごとく、要はいろいろ各地を視察し、又各人が研究した結果を忌憚なく申上げているのでありますから、ここに一定の公約数的なものを出すということは、少くも一両目のことでは容易に可能性を持てないと思う。でありますからその点一つお考えの上に各委員にお諮りを願いたいと思います。
  186. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは松永委員長代理に対する質問がありましたら……。
  187. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 松永委員長は本日と明日も出席されますか。
  188. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 明日は午後四時に出席されます。
  189. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それで明日で大体質問は終りでありますか。
  190. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 終るか終らんかは委員会をやつてみなければわかりません。終らなければなお継続して委員会をやります。
  191. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それでは今日は極めて簡単に一つお尋ねいたしたいと思います。  新聞及びアメリカ通信によればOCI経済技術顧問団が日本電力開発のために七億ドルでありますかの資金を提供しようということで、公益事業委員会がその折衝に当つているように承わつておりますが、その金額及び内容を承わりたい。
  192. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 岩木さんにはつきりお答えしますが、その新聞の記事は全く公益委員会の関するところではございません。どこからそういう記事が出たかさえもつきとめておりません。OCIの連中は只見川、若しそれが済めば熊野のほうの視察をしてもらうために多分四人ばかりの人がこの二十一日に来まして、料金は忘れましたが、幾らか旅費その他を支払つて、まあ二カ月か幾日かのうちに調査を終えて帰えるだけであります。その外資のことについては世間でいろいろ言いますが、OCIは私の知つた範囲では全く関係ありません。
  193. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それでは次にお尋ねいたしたいのは、公益事業委員会又は九電力会社が外資の問題について只今どういう交渉をされて、その金額はどういう内容であるか承わりたい。
  194. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 外資のことについてはおぼろげながら夢のごとき考えを持つておりますけれども、どうも他人様の懐ではつきり何も構想を持ちません。
  195. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 各電力会社ではかなり具体的な話を非公式ながらしているのでありますが、公益事業委員会が全くおぼろげながらの希望的なような意味合いの、雲をつかむようなお話でありますが、これはもとより正式のお話はできないと思いますが、大体の構想というものはかなり進んでいるのではないか。例えば電源帰属の問題でも、目下折衝中と言いますが、事実は内定しているということは紛れもない事実であります。そういつたような振り合いなどから見て、こうした問題などについても大体の状態は、この電力料金をきめ、或いは電源開発資金の問題に関連する電力料金改訂に関連して重要問題と思いますので、大体の見通し、沿革等はこの際御披露願いたいと思います。
  196. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 何もありませんけれども、それではどうもあまり頼りないというお考えでありましようから、要するに私の実際の考えは、講和会議が調印されない限りは本当の国家的なアメリカの資本は入つて来ないものじやないかと思うております。御承知の通りに、講釈すると、中には或いは余計なことだとおつしやる方もあると思いますが、岩木さんの熱心な御質問に対して思わず老人の要らんことを申すかも知れませんが、御承知の通りブレトン・ウツヅ協約というものはたしか連合国十四カ国の協議により成立ち、アメリカが八割の資金を出している。そうして十四カ国が加入してそうして国際基金というものを設定しております。それに日本は加入することはできませんけれども、多分条約が調印できますれば、仮に全体の講和条約が完了せんでも、或いは十一月、十月頃その加入ができるかと思います。その機会に初めて殺到するのが国際銀行であります。これはブレトンウツヅ協約に基いた連盟国で、八割以上持つておるアメリカが更にその十倍のアメリカの国債と申しますか、まあ国債でしよう。国債を募集して、たしか八億万ドルと思います。八億万ドルだと思いまするからつまり八十億万ドルまでの資本を集める力があるのでありますが、これが多分国際銀行を通じてブレトンウツヅ協約に入つたもの及び国際銀行に入つて株を持つたもの、即ち日本ども何割かの……、何割と申しますか、或いは一割か八分かでしようが、それを持つたものはそれの必要に応じて資金が貸出されるということになつておるように承わります。従つて何が一番先に日本に投資されるかということになりますと、日本の一番貧血しておる状態は電力であります。而して最も豊富なる条件を備えておるのが又同時に日本電力であります。これに投資するのはアメリカとしても最も安心な途でありますから、第一に電力、船舶、鉱山というふうな投資があるものであるということを、先刻申したように夢のごとく考えておるだけでありまするけれども、これは日本国民は、余りそういうことを言うたりしたり、新聞に書いたりせんほうが、日本国民の独立の気魄からいつてもよかろうかと思うて、私どもも申さん次第でありますが、それ以外に今頃はやりの外資三千万ドル借る、千万ドル借るというなどは、電力の開発の上に何の足しにもなりません。少くとも一億ドル前後の金が五年なり七年なり継続して来るべき基礎ができないと、大きな日本の電源開発は困難である。それだけ申上げておきます。
  197. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この問題で私はもう少し松永委員長代理から具体的なお話を聞きたいと思いますけれども、暖簾に腕押しのような話になつて時間を無駄するのもどうかと思いますので、一応この話は打切ります。  次にお尋ねしたいのは、先ほど三輪委員からもちよつと触れたようでありますが、電力料金を裁定するについて政府に相談されますかされませんかということをお尋ねいたします。
  198. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 私どもは政府と思うておりますが、どこに……、大蔵省にですか。(笑声)
  199. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 あなたは政府と思召すなら一言私もお尋ねいたしたいのでありますが、これは総理大臣もおらないとちよつと工合が悪いのでありますが、政府部内で、あなたも政府部内であつて、総理府の外局として公益事業委員会という政府の一つの部内だとおつしやる意味だと解釈いたしますが、然らば安本の中においても特に物価庁、或いは通産省、或いは農林省、その他電力料金改訂について重大なる関係ある政府部内の諸機関がそれぞれ違つた意見、違つた態度をとつておる。こうした問題については、それでは裁定の最終決定権といいますか、強力決定権を持つておられる政府機関の公益事業委員会はどういう態度をとられますか。
  200. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の岩木君の発言は、あなたは政府の行政機関だとこう答弁されたので、それでは同じ行政機関内の安本物価庁意見がさまざまに分れておるが、最終決定権を持つておる公益事業委員会は、それではそういうものとどういうふうなことをやるのか。どういう態度をするのか。電力料金の決定の問題についてあなたは行政機関だという御答弁であつたが、それでは安本物価庁はいろいろ意見を述べておる。この意見に対して公益事業委員会としてはどういう態度をとるのか。こういうことです。
  201. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) そのほうは多年立法府におられる岩木さんのほうが私よりお詳しいので、ともかく料金を主管する、政府は公益事業委員会とぎまつております。今日の段階におきましては、よく関係官庁と連絡を取りまして最後の決定をするつもりでおりますから、その点はたびたびこちらで申上げております。
  202. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この関係官庁と連絡するという連絡の程度は、やはり電力料金を決定して、その後に及ぼす諸般の影響については、電力料金の問題については公益事業委員会が責任を持たんとする覚悟の意味であるかどうか。その辺の点を承わりたい。
  203. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 権利のあるところ常に義務が存しております。これを以てお答えといたします。(笑声)
  204. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それでは権利のあるところに義務があるとおつしやる通り全く私も同感でありますが、然らば電力料金改訂に伴つて電源開発等に関しましての義務のあるということはこれはよく了解されまするが、この改訂の次第によつて日本物価に大なる、或いは産業或いは国民生活、こうした方面に及ぼす影響は場合によつては重大なものが現われて来る。たとえこれが一割であつても二割であつても便乗的に値上げを企図せんとする方面が少くない。そういつた方面のいわゆる経済上波及するところの、及ぶところの経済上の義務も公益事業委員会が負われんとすることを意味するのかどうか、それをお伺いしたい。
  205. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ちよつと岩木君に聞きますが、あなたのおつしやるのは、電力料金が上がることによつて他の産業影響して物価が上るだろう。その物価が上つた場合に責任を公益事業委員会が持つのか。こういうことですか。
  206. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そうです。
  207. 西田隆男

    委員長西田隆男君) そういうことだそうです。答弁しますか。
  208. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 答弁のできん答弁がいろいろありますが、只今のようなものも答弁のできん答弁の一つであります。(笑声)
  209. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 まあそう言われるのであつたら私もやぼな質問はしたくないと思いますが、それじや電力料金の決定の権利があるから又それに伴う義務があるのだ。こういうことを言われるなら、それでそういつた問題が起つた責任は委員会が持つのかと私は聞いておる。ですから電力料金の決定という権利が厳然としてあることは、半面に又厳然たる義務があるという意味合いの松永委員長代理の御託宣は、よつて生ずる価格面或いは日本産業すべての部分に及ぼす影響に責任を持つのかということを聞いておるのです。それはあなたの責任のある答弁の限りでないというのであつたら、義務を心得ておるという言葉を余り広言する必要もないのじやないかと思います。
  210. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 岩木君の質問に対して松永委員長代理は極めてフエアな気持で御答弁をなさつたようでありますが、併し答弁が少し粗雑であつたように考えられますから丁寧に一つ……。
  211. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 誠にどうも、或いは答弁がお気に召さなかつたかと思います。言葉を換えて申上げないと、なかなか御答弁に対して混雑を来たしますから、私は頭が悪うございますから……、先日こちらで周東安本長官さんがおいでで私も一緒になつて話を聞きました。そのときに電力料金が上るということは無論物価影響する。併しこれは直ちにインフレーシヨンになるものであると思われん。インフレーシヨンの現象はいろいろあるという講釈がありまして、生産を相当強くするということは、或る意味においてインフレーシヨンを抑えるんである。単に消極的に物を上げる生産過程にあつて起る物価の騰貴を恐れておつてはいつまでも国力が伸展しない。従つて物価が安定しない。だから世のいわゆるインフレーシヨン論者が、この電力料が上ればすぐインフレーシヨンになるという議論は周東安本長官としてはちよつとも考えないというお話があり、それに対するそれは間違いだろうという御討議があつたかと思います。私はその全部を肯定するものではありませんけれども、今日の日本電力のように、まるで瀕死の状態にあるものを多少なりとも財政上の信用を与えてこれを復活するにあらずんば、むしろインフレーシヨンを助長するか、或いは妙なところに物価に変化を来たして、却つて国民の生活の安定を妨げる意味におきまして、私どもは責任を以ちまして或る程度電力料を上げる。これによつて物価に無論一、二の障りはありましても、国民全体の上からいつて、又電力事業全体の上からいつてこれは止むを得んことだと思うております。併し人間の判断というものは必ずしも完全じやありませんから、よく反省しまして、注意に注意を加えまして、適当なる電力料の決定をせんならんと思うておる次第でございます。責任は無論とりますから、責任を逃れる意味じやありませんから御了解願います。
  212. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 極めて慎重の上にも慎重を期して、まあ注意をしてやるということはよくわかつております、これは一見してよくわかつております。その前段にインフレ講釈、物価講釈、いろいろ貴重な御高見を拝聴いたしました。従つて電気料金改訂というものに対してよつて生ずる経済現象、こういつたものをも責任を持つ、雄大な松永委員長代理の御所見を拝承しました。よつて私が最初に質問申上げましたような電力料金改訂によつて生ずる経済状態の変化は公益事業委員会が責任を持つ、こういう高言と判断をいたしてよろしいかどうか、重ねてお伺いいたします。
  213. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 岩木君に私から御相談しますが、今あなたのおつしやつておるのは、公益事業委員会電力料金改訂に伴う責任を全部負うのかと、こういう御意見のようですが、これは松永委員長代理の言われておるように、物価庁とも安本とも十分連絡を取つて料金改訂をやりたいと、従つて物価の統制その他のものにおいては政府がやり、物価庁なり安本御自身がやるだろうということになれば、当面の面接の責任は公益事業委員会が負うであろうが、最終の責任は勿論吉田内閣が負うと、こういうことに結論はなると思うのですが、それで納得行かんでしようか。
  214. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それならそれで又質問の仕方があります。
  215. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それは一行政機関ですから、一行政機関の責任は結局最後には内閣に行くということが、これが常道ですね、松永委員長代理に御意見があつたら願います。
  216. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) ほかにございません。
  217. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私はこんな問題をここ一に交わして行くのは或いは皆さんお耳ざわりかも知れませんが、実際重要問題だろうと思います。将来日本のすべての行政機構の問題についてもこれは重要な問題であろうと思いますから、しつこく伺つておるわけです。今委員長が言われたようなことは常識判断と私は判断をいたしております。常識判断はそうであろうと思いますけれども、そこで私は電力料金を裁定することについては政府へ相談をする、或いはいろいろ意見高くということは電力料金裁定の最終責任者、最大責任者は、或いは絶対責任者は公益委であるという従来の行政機構の建前というものを、安本なり大蔵なり通産省が分担をする、その価格面、或いは経済面とか或いは徴税面においてよつて生ずるいろいろのものはそれぞれの政府機関の各省がやはり分担をすると、電力料金改訂で起る余波の現象というものは関係官庁が分担するという、こういう解釈をとつていいのかということを聞きたいと思います。
  218. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 一行政機関ならそうなりましようね。それがないとすれば行政機関じやないということですから、それは当然なると思います。松永さんほかに御意見あつたら……。
  219. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) いや、何もありません。
  220. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それじや委員長と私が渡り合つてもこれはどうも話にならんのですが、私は松永委員長代理にお尋ねしましたが、政府といつたつて公益事業委員会も政府の機関だ、こういうことなのであります。又委員長代理の御意思を忖度して西田委員長がこれを補足をいたしております。これを総合的に私の受取る解釈としましては、それじや閣議において決定するのかどうかお尋ねいたします。
  221. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 私は今日大事な、松本法学博士、(笑声)委員長が来ておらんので存じませんが、閣議に関係ないのだろうと思うのです、十中八九……。
  222. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それじや初め松永委員長代理に政府の一つの機関であつて、政府と相談する気かと尋ねましたところ、政府の機関だとこういうお話のように承わつておる。政府の機関なら総理大臣の下にある諸機関がこういう重大な問題をきめるのか、いわゆる閣議できめるべき筋合ではないかということを承わつておきたい。
  223. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 公益事業委員会は私はもう二年前からいろいろ関係して、法制上のことなどについてその当時の高等裁判所の三淵さんの御覧を聞いたり或いはいろいろの意見を聞いて、この公益委員会の権限について相当研究したつもりでおりますが、その後何らの変更になつておりませんから、その当時の研究、それから考えますと、閣議に参画し、それで自分の裁量、決定を閣議できめて、そうして総理大臣の決定を受けるということになつておらんようです。従いましてこの物価庁物価庁安本の一部でありますが、割当に関しまして安本だとか、或いは物価影響する意味において通産省などと連絡をとりまして、これは事務的にもとりましようし、或いは委員会自身が長官あたりと相談する場合もありましようし、なくてもいい場合もありましようし、その種々の手数はありましようが、結局一番大事なことは公聴会を開き、そうして或いは議会などに来て……、議会などと申すのは甚だ失言でありますが(笑声)、参議院並びに衆議院などに出まして、そうしてよく立法府の御意見を承わつて、そうして決定しました以上は、それが最後の決定になるものと全く信じております。と同時にその責任の重大なることも強く感じておりますから、成るべく過ちなきことを期しておりまするが、どうぞ明日参りますから、なお十分の御注意を下さらんことをお願いします。
  224. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私質問じやないのですが、前のに関してまだ二、三点お尋ねいたしたい点もありまするが、他の委員の御質問もあるようですし、又明日おいでになるそうですから明日に譲ります。
  225. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつと一言だけお伺いして、あと明日ここで御答弁を願うことの御準備に願いたいと思います。それは石炭六百五十万トンを今予定せられておりまするが、この六百五十万トンの石炭のうちで何トン分を標準料金の枠内において消費されようとしておるのか、その点わかりましたら伺いたいと思います。
  226. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 何ですか、もう一度、控えておきますから。
  227. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは質問ですよ、それからあとは御注文申上げます。六百五十万トンの消費予定石炭のうちで標準料金の枠内で焚こうとしておる炭は何トンと予定されておりますか。
  228. 松田太郎

    説明員(松田太郎君) 四百三十万トンと私は記憶しておりますが、なお詳細は調べまして明日正確な回答をしたいと思います。
  229. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでは私明日の委員会の資料に是非とも御用意を願いたいと思います。それは只今公益委員会で最終決定をされようとしておる料金の単価並びに料金の制度というものは、この委員会で前々回行いました当時とは非常に変革を来たしております。或る意味においては根本的な変革を来たしております。それは何かと申しますと、国民は電気料金の単価に眼を奪われておりますけれども、その割当方法が根本的に変つたということであります。即ち一番最初の原案においては、御承知のように全部割当をやめまして、そうしてすべて単価だけで行こうという肚がまえのようであつたのでありますが、この三千キロワツト以上についてアロケーシヨンを残すということで、更に前々回の委員会を閉じましてからあと私の知るところでは、五十キロワツト以上の動力に対しまして全部従前通りにアロケーシヨンを残すということになつたわけであります。そうしますと料金制度の根本はくずされたわけであります。先ほど奥議員から質問がありました、或いは須藤君からも質問がありましたが、結局そういうことを行いますと、枠の獲得に狂奔して、いわゆる産業電力のほうにアロケーシヨンが引けまして、一般家庭用、業務用電力五十キロワツト未満の小口電力は何らその恩典に浴するすべがない、そこに待ちかまえているのは、高額な火力料金だけであります。従つて先ほど国民の電力は、それはひとしく分けなければならんと松永委員長代理は言われましたけれども、今あなた方が決定されました料金制度そをのまま決定をいたしましたときに、非常に不公平な料金が出るわけであります。私は勿論動力料金電力料金と同一にしろという暴論を吐きません。それは勿論原価計算その他によつて差等があることは認めますけれども割当の操作によつてさような差等が出ることは厳に戒めなければならんと思うのであります。そこでそういうような割当をどうして残されたか、それを伺いたい。それからその割当制度をいいとお考えなつているのかどうか、若し悪いとお考えなつたならばいつやめられるか、それをはつきりと伺つておきたい。  第二点は今日午前中の委員会では物価庁川上第三部長が、石炭は公益委員会が六百五十万トン焚くと言つているけれども物価庁としては五百五十万トンが適当である。これが只今石炭事情の最高限度の入手可能数量である。従つてこの五百五十万トンを炭価に予定いたしまして、同時にその五百五十万トンは全部標準料金の枠に振り込んで参りたい、こういうことを熱心に力説しているのであります。このことは結局電気の割当をなくするという考え方、火力料金の調整を全部やめたいという考え方に帰一するわけなのであります。そこで今伺いますと、六百五十万トンのうち四百三十万トンを標準の枠内に入れる。こういうことでありますから、差引き二百二十万トンというのが火力料金バウンドに残るということになります。従つて私は明日資料をお出し願いたいのは、各業種別に販売電力量の中で、標準電力量として予定されておる消費電力量、販売電力量、それから火力料金の徴収を見越して割当てられる電力量の枠とがどういう工合になつておるか。その実数を是非とも知りたいと思うのであります。そうしてその実数をはつきりと国会であなたがたからお示しを願つて、一年あとのこの委員会において、その実績を検討いたしまして、若し五十キロワツト以上の動力に対しまして不当なアロケーシヨンの緩和か、そうして電力料金値上げ家庭用或いは五十キロワツト未満の農業用電力に過酷に臨み、産業用五十キロワツト以上の動力に対して理窟を越えた電気料金支払い緩和が行われたというようなことがありましたならば、私は公益委員会の責任を追及しなければならんと思うのであります。そういう意味におきまして、只今の二点につきましては一つ明確なる数字を明日お示しを願いたいと思うのであります。私は今繰返して申上げます、誤解が起るといけませんから繰返して申しておきますが、決して産業用の動力費を高くすることを要求しておるわけではありません。電力料金の単価を設定し、その影に隠れておる割当の操作を国民の知らないうちに公益委員会或いは安定本部或いは通産省と一定の業者の間に行われまして、そうして産業用動力が当然支払わなければならん、理論を越えて電気料の低廉を図るということは許さるべきでないということを力説しておるわけであります。丁度一昨年の十二月十三日に一律に約六割ばかりの値上げが行われたのでありますけれども、その中においてアロケーシヨンの操作によつて相当多数の大口産業のかたがたは電気料金値上げがなかつた、或いは中には値下げになつ工場すらあるのであります。そういうようなことは絶対にやつてはならんということを力説しておるわけであります。その点を明確に一つして頂きたいと思います。
  230. 西田隆男

    委員長西田隆男君) どうでしようか、できますか、明日までに……。
  231. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 今の後半の資料はむずかしいと思います。到底間に合わないと思います。
  232. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 後半の資料は間に合いそうもないということでありますが……。
  233. 栗山良夫

    栗山良夫君 業種別のは如何ですか。印刷でなくても結構でありますが……。
  234. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) ではまあ何とか……。
  235. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ちよつと委員諸君にお諮りいたします。九州各県の電力問題協議会の代表者から陳情さしてくれという要請がありますので、委員会終了後陳情をさしたいと思いますからお残りを願います。
  236. 山田節男

    ○山田節男君 さつき岩木君その他からの質問がありましたのに関係するのでありますが、この電力料金の最終決定権は公益事業委員会にある。これは公共事業会からいえばそういうふうに解釈できるのであります。併し今朝来政府各庁の意見を聞いたり、或いは聴問会を見ても、この電力値上げされるのか、或いはされないのか、若しされるとすればこれは一割、二割、三割というような工合でなくいたしまして、非常にこれは物価影響がある。ですからこれは吉田内閣の一つの試金石と申しますか、場合によつては生命にかかわる問題じやないかと思う。でありますから公共事業会からいえば、成るほど独自の立場で最終決定ができるでありましよう。併しながら今朝我々が物価庁からもらつた資料を見ましても、電気料金会社案に対する意見と申しますか、その最後にこういうことを言つておるのであります。この電気料金は従来閣議決定を経て物価庁から指定するのだが、公益事業委員会独自の見解に対して、閣議にも諮ることなく認可する意向のようである。併し問題の重要性から物価庁その他関係官庁と事前に十分連絡し、閣議にも諮つた上実施することが適当と考える。政府の一官庁である物価庁がこういうことを言つておる。でありますから先ほど来申上げましたように、これは電気料金を若し値上げされるとすれば、そのパーセンテージが如何にあろうとも、これは他の物価に重大な影響を及ぼすという政治的な重大な意味を持つておるのであります。でありますからして、今松永委員長代理のお話では閣議に諮らなくてもいいのだ。又今まで新聞等で松永委員長代理の言動等を見ておりますと、どうもおれのほうが勝手にできるのだという印象を国民が持つておるのであります。それだけにいよいよ最終段階に入つて電力料金公益事業委員会がきめなければならん、こういうような場合に、やはり松永委員長代理のおつしやるように、飽くまで独自の見解でやるのだ、或いはやるのか、或いはこの値上げ問題の、値上げということが日本価格政策プライス・ポリシーに対して重大な影響を持つておる。吉田内閣の命取りになるということを私は知るのであります。又日本の経済、国際価格から見て日本が非常に高いために輸出も思うように行かんというような、重大な政治的意味を持つておるのでありますからして、閣議に諮つて十分この政府との連絡をとつてやるのか、又独自でやるのか。法律的結論を一つ明白ここにおいでになるまでに委員長並びに他の委員とも十分一つ議を尽されて、結論を私どもにお示し願いたいということをお願い申上げます。
  237. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の山田君の発言はわかりましたですか。
  238. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) わかりましたけれども、お返事は別にありませんわ。先刻言うた通りです。
  239. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ただ公益事業委員会として閣僚を出してないから、閣僚でないから閣議には出ない。
  240. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) 出られない。
  241. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 結局物価庁なり安本長官なりを通じて公益事業委員会考え方はこうだということで、閣議には安本長官がかけるということはこれは考えられることでしよう。
  242. 松永安左ヱ門

    説明員(松永安左ヱ門君) それは向うの勝手ですね。
  243. 西田隆男

    委員長西田隆男君) あなたのほうで閣議で安本長官言つてくれということは。
  244. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると今の岩木委員の質問されておることに対して権利があり義務がある、そうすればこれは松永委員長のおつしやることは公益事業委員会の代表意見だろうと思う。若しそういうような非常に独得な考えを持つてやるのであるならば、これは先ほど岩木君の言われたように、これによつて一般物価賃金なんかも上げなくちやならんことになる、一万円ベースが一万一千円、一万五百円くらいになつて来る。そういつたような責任をもこれは公益事業委員会が負わなくちやそんなことはできないと思う。これは政治の意味でも、松永委員長代理或いはその他の委員がそんな気持ちを持つておられるとすれば、これは非常な私は何と申しますか、法理的にはどうだろうとも、政治道徳の関係は全く零だと思う。それこそ私は今まで私の伺つておつたように、松永さんは最も原始的な資本主義企業家に過ぎないということになる。公益事業委員会の委員とじて果して資格があるかどうか審査しなくちやならんことになつて来るのであります。少くともこの公益性を持つた事業委員会委員長代理として、そういうように閣議にも諮る必要がないのだということを固執されることになれば、私ども公益事業委員会、殊に代理の松永さんに対してはその精神、思想が健全であるかどうか、民主化日本において適当な公益事業委員であるかどうかということを再検討しなくちやならんことになつて来るのでありますから、これはもう一度一つ法律家の松本博士と他の委員とよく御相談になつて明答を煩したいのでありまするが、今の松永委員長代理の固執されるような若しお気持であるとすれば、これは重大な反民主的なやり方だと思う。この点を一つ十分御考慮に入れて頂いて、どうしてもやるのだとおつしやれば、これによつて生ずるすべての政治責任は吉田総理大臣よりおれが負うのだ、委員長よりも委員長代理のおれが負うのだ、これだけのことを言つてもらわなければ、我々はまじめに論議はできないことになる。
  245. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の山田君の御発言に対して松永さんもう一度一つよくお話合いを下さつて、明日御答弁を頂きます。私たちもまだ公共事業会を完全に消化し切つておりませんので、若し仮に今松永さんがお答えになつたようなことになれば、内閣総理大臣としては何らかの措置に出ることがあるかも知れないと思いますから、しなければならんと思うのですが、まだ詳細に研究いたしておりませんから、私も公共事業会を今晩研究いたしておきます。  本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後六時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 隆男君    理事            高橋進太郎君            栗山 良夫君            小林 孝平君            結城 安次君            水橋 藤作君    委員            石坂 豊一君            岡田 信次君            小野 義夫君            古池 信三君            椿  繁夫君            三輪 貞治君            山田 節男君            吉田 法晴君            奥 むめお君            溝口 三郎君            山川 良一君            岩木 哲夫君            境野 清雄君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       渡邊 一郎君   説明員    公益事業委員会    委員     松永安左ヱ門君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    事務局需給課課    長補佐     若林 義信君    経済安定本部産    業局次長    岩武 照彦君    物価庁第三部長 川上 為治君