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1951-06-15 第10回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月十五日(金曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件)   —————————————
  2. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今から電力問題に関する特別委員会を開会いたします。当委員会は、先般来伝えられておりまする電気料金改訂案国民生活及び産業に及ぼす影響を憂慮いたしまして、閉会中にもかかわらず、特に継続調査をいたしておるのであります。一昨日及び昨日は、全国の電力会社の幹部に御出席を願つて詳細に改訂案の内容を調査したのでありますが、本日は需用者側調査いたすために、主要産業を代表して、ここに出席願つた次第であります。当委員会としましては、電気事業者需用者双方から十分に御意見を拝聽いたしまして、よき解決へと導きたい考えでありますから、本日の参考人各位におかれましては、忌憚のない御意見をお聞かせ下さるようにお願いいたします。なお皆様の御意見の開陳が終つてから、委員諸君からの質疑もあると考えますので、時間の関係上一人の発言時間は二十分以内にお願いいたします。先ず第一に軽金属協会会長安田幾久男君に御発言を願います。
  3. 安田幾久男

    参考人安田幾久男君) 私は御紹介にあずかりました安田であります。電力料金値上げの問題は我々産業人といたしましては、一昨年の十二月電力料金値上げがございまして、その電力料金値上げペースは一昨年の四月計算されたものであつて、一昨年丁度たまたま冬の電気が非常に水が多くて、日本発送電の利益が相当つたので、値上げはその筋から停止されておりました。それが十二月あり、昨年は値上げはありません。こういう関係労務費資材、その他の値上りは十分我々としては納得行く点があるのでありますが、今回の値上げはそれ以上に根本思想において余りに大幅な値上げを急激に行うというところに我々産業界としては誠にどうすることもできないというような立場に追込まれる工場が多くあるのであります。そもそも日本産業が根が生えようとするのを根をゆすぶられて生えることができないということが過去三年間続いております。これは皆様承知のドツジ・ラインによつて三百六十円ベースがきまつて、今までいろいろな高いレートであつたものも合理化しなければならん、竹馬の足を取るために日本産業を整理して、そして昨年朝鮮事変が起るまで非常に困つてつた。そこへ又シヤウプ勧告によつて税金が高くなつた。若し朝鮮事変がなかつたら、昨年の秋は潰れる会社がたくさんあつたろうと我々は考えておつたのであります。ここに来て又電気料金の大幅な変化によつて、非常に産業界打撃が起る。漸く産業がかつこうがつこうとするときにいつもゆすぶられて、根をおろすということができないのが現状であつた。このことを十分議員諸君におかれましては御了解願いたいということを、先ず申上げたいのであります。  次に電気料金算定という問題と、電気料、いわゆるレギユラトリー・ボディーの考えている根本において、我々は意見の違う点を、先般いわゆる料金査定基準の聽問会において、私が陳情いたしました点を再びここで申上げるようになりますが、これが根本でありますから、いろいろと内容的な條項について皆さんにお話がございます。私の考えている三つのポイントについて皆さんに申上げたいと思います。  先ず第一に電気料金基準というものは、もうすでに皆さん御存じ通り新聞にも発表されておりますが、これがすべて天井に行つているいわゆる基準というものは私はスケールだと考えております。電気会社から出て来た料金算定する物差であると考えているのであります。併しそれがスケールであらずしてマキシマム・リミツトを與えている。一例を挙げれば、評価も一〇〇%してよろしい、それから償却定率で行く、これより高いものは何がございますか。この点を十分に一つ考え願いたい。最高を行つているものが基準である。一体何がそうするとスケールで計るかということになりますと、いわゆる出されたものの最高範囲においたら、これをレギュラトリ・ボディーにおいては許可するということに相成る次第でございます。となりますとマキシマムを行くのが、これは人情であります。我々が漏れ承わるところによると、九社の出しておられます電気料金の案というものは、大体最高を行つているように承わつておりますが、との点十分に御検討を願いたいというふうに考えております。又その最高範囲において、あの基準の文句をよく読んで見ますと、これに対してアジヤストする余裕がありません。いわゆる神聖且つ有効なる場合においては、必ずこれを認めざるを得ないということになつているのは、我々として誠に遺憾であります。この点いわゆる政策料金を作ることもできない。例えば農村の農事用電力のためには、政策的にいろいろ今までやつております、こういうこともできない。又産業の種類によりまして、今までもかくあるべき歴史的な情況、経済的な情況によつていろいろと料金が変つております。これを手加減をすることもできないのはこの基準案でございます。  次にこの基準案によりますと、原価主義である。勿論これは物を売買する場合には、原価主義でやるのは当然でありますが、併し世の中の商売というのは、一方で儲けて一方で損をするという場合もあります。又今までのお得意先との行きがかり上いろいろと関係がございます。ここで画然たる原価主義でやるということに電気がなつたのは、何十年このかた電気仕事をしておりますが今が初めてでございます。その原価主義のために、相当打撃をこうむる会社工場があるということを御認識願いたいのであります。勿論原価主義結構です、それこそ百八十度、三百大十度の回転をしたがために、表面上は六割か七割の値上げの率と言つておりますが、実際は三倍或いはそれ以上の値上げになるのがあるのであります。これはいわゆる原価主義によるストリクトーのやりかたである。それが果して原価であるかどうかということも非常に疑問なのであります。又原価主義とは言いますが、この根本基準において、原価を出す最も大事な要素である、いわゆる発生電力の見方というものはこの基準に載つておりません。ただ支出面だけを基準に、運転費は何を入れろ何を入れろということが書いてありますが、その発生電力というものは一番大事だ、いわゆる八年間の平均電力で以てこれを見るか、或いはその九掛にしたものを発生電力と見るかうこれは本当基準じやないかと思うのです。ただ減価償却をどうしろとか、收入の面ばかりでなく最も大事なこの基準を落しておいて原価主義とはこれ何事であるか。又石炭を焚くのも六百五十万トン焚くと申しておりますが、果して現在の日本設備で六百五十万トンになるか、これを基準一つとして載つけて考えなければならんというのに落ちておる。それで以て物差で計ろうとするのが我々にはどうしても解せない。この点を十分御監視願いたいというのが第二であります。  第三にいわゆる料金だけの問題でなく、料金制度というものが大事なんであります。いわゆる電気アロケーシヨン、これと料金というものは車の両輪のごときものであつて料金だけをどうするとか、料金には何を入れろとか、償却はどうするとか言つて料金アロケーシヨンというものを無視しては、何ら料金そのものの全体が崩れて来るのであります。それに料金制度を載せないで料金だけの基準によつて考えになり、現在もアロケーシヨンをやめてしまつて、もうやろうというのが電力会社のお考えのようでございますが、現在物が足りない。この電気の足りない情況においてアロケーシヨンをやめて、果して完全に運営ができますか。結局電気が足りなければ、どんどん大口電力食つて、いわゆる産業こま切れができるのじやないかと私は心配するのであります。かるが故にいわゆる電力制度というものを十分に検討して頂かなければいかん。この点も杜撰な情況において今後の電力料金をお考えになつておるようでございます。  以上のような情況でございますので、我々といたしましては、少くとも一番先に申上げた程度料金値上げ考え得るが、大幅の値上げ産業界に及ぼす影響が非常に多いから、これは十分愼重にお考え願いたい。その値上げを現在の割合のレート、各産業別に支拂つておる料金ベースについて、そのペースを崩さない範囲において何割かの値上げであるべきであるということだけを強調いたしたいのであります。  それからもう一言附加えさして頂きたいのでありますが、我々の面ばかり言つては何ですが、私は電力会社公益事業であるという根本におきまして、議員皆様にお願いしたいのは、いわゆる鉄道税金が、固定資産税がないとか、いろいろな税金的な恩恵を受けておる、この公益事業に対しても税金的な恩恵というものを十分に一つ考えて欲しい。いわゆる固定資産税のごときものを電気事業から取るということは、少し公益事業としての名だけ與えて実は與えていないじやないか。これは国会でも考えて欲しい。それから又新らしい産業は国が保護して法人税を何年間か免除されるというようなことはございます。これも新らしい産業ではございませんが、ここでスタートする電気事業に対して法人税を少くとも三年間ぐらいは、免除するような方法も議員かたがたにおいて御考慮願いたいというふうに考えておる次第でございます。それからもう一つはこの電力料金議会というものとがどういう関係になつておるか、我々もよく存じておりませんが、たばこの値上げ鉄道料金値上げ、これは議会協賛を得なければならんということになつておるのでございますが、公益事業に対しては協賛という言葉でなくても、何とか一つここに十分国民の声をジヤツジメントするというのがこの議会であるというふうに考えておるのでありますが、電気事業だけはどうも公益事業根本精神からしてこれのジヤツジメントをジヤステイフアイするというところまで行きたいのでありますが、何かそういうふうな方向に向けるようにして頂きたい。と申上げますことは、今日の新聞で或いは事実であるかどうか知りませんが、聽聞会において非常ないろいろの面において反対がありましたが、ただ一項か二項を差加えて提出して、それを通してもらうというようなことが今日の新聞に出ております。新聞ですから果して本当か嘘か知りませんが、こういうことになりますと、聽聞会というものは誠に意義のないことになるのでございますからして、この点議会において十分に御研究願つて、我々の声を現わせるというような方向に持つてつて頂きたいというように考える次第でございます。終り。
  4. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は日本石炭協会会長福永年久君に御発言願います。
  5. 福永年久

    参考人福永年久君) 少し詳細に亘るかと思いますけれども所見を述べさせて頂きます。元来公定価格決定というものについての、先ず所見を申述べたいと思います。統制が漸次廃止されるところの現下におきまして、公定価格を存置するゆえんは、その物資民生及び全産業に絶対に必要で、而も量的に不足しておつて、その価格影響が極めて重大であるからであると私は思うのであります。従つてその決定或いは改訂に対しましては、真に公正、合理的でなくちやならない。電気事業が、地域的な独占企業であり、又電気料金物価政策根本となるべきものであることは申すまでもないことであると存じますが、日米経済協力の具体的な進屋に伴いまして、インフレ抑制が最も緊要である以上電気料金も又最も愼重決定せられるべきものであるのでありまして、單にその一般物価或いは外国のそれとの対比のごときもので妥当性を云々すべきものではないと思うのであります。  次に電気料金構成要素合理性について所見を申上げます。去る六月十一日、公益委員会におきまして催されました聽聞会でいろいろの所見の発表も承わつた次第でございまするが、各需用者或いは利害関係者意見を十分に総合し、その需用者双方の納得する構成であつて欲しいと考えるのでございますが、先ず電力会社が先ずみずから本当に徹底的な事業合理化をせられておるかどうかということに大きな疑問を持つておるのであります。次に需用者一般輿論を尊重せられて定められたところの算定基準によらなければならない、又そうして欲しいと考えます。仕事公益事業であり、基礎産業である電気料金は、この基準によつて定められるべきでありまするが、ここに又一考を要することは、物価政策上更に慎重な修正を要するのではないかと、その点を織込んだ考え方をして頂きたいと考えるのであります。又料金算定基準なるものが需用者別に、需用種別に適正に採択されたいといたしましても、料金制度が適正でなければ実際に公平な実質料金とはならないと考えるものであります。即ちここに従来のように一つ割当制度が伴いますと、その割当率の適正、不適正によつて料金にはそれぞれ需用家に幸不幸を及ぼすことが大であると考えるのであります。事業合理化についての所見を申します。私ども企業並びに一般国民かたがたもそうであろうと考えますことは、ここに電力は、電力事業が再編成されました、又再編成せられるということにつきましては、これが本当に合理的な、又我々の生活本当に好結果をもたらすことであろうということを国民一般が期待しておるところでございます。従いまして、先ほど申しましたように、合理化本当に徹底的にできておるか、或いはでき得るかということの基準の上で、こうした先般いろいろ案として出ましたように基準なり、又発表せられておりますような電気料金案というものが考えられたのかどうかということに大きな疑問を持つておる次第であります。次にこの電気料金算定の中に最も大きく我々に響いて参ります資産評価の問題であります。その今回発表せられておりまするような電力会社値上案の最大の、そのうちの要素は、資産の再評価と、再評価比率減価償却率の取り方であると、最もそれが大きな要素ではないかと考えるのでありますが、案によりますると、大体先ほどの御所見もありましたように、法定上の一〇〇%までに再評価せられ、而も定率法によるということに漏れ承わつておるのでありますが、一般産業は果してそうでもない、これは法定の六〇%くらいじやないかと考えまするが、これを一般には定額法によつておられたと思います。殊に私ども石炭業界におきましては、さような情況でございます。又先般から一つの試案として出ております物価庁案に対比して見ましても、仮に十〇〇%再評価されましても、これを定額法によつたならば、私どもの計算するところによりますと、そのまま人件費なり、石炭費なり、そういうものをそのまま採択いたしましたとしましても、現在の水力火力平均料金に対しまして一二〇%くらいの値上り済むのじやないかという計算を試みております。電気事業が独占的な公益事業であり、最も危険の少い安全なところの、安定したところの事業であるかと考えますると、一般産業の安定を見てから、徐ろにこの電気料金というものが段階的に、実際に必要があつたとしても段階的に料金値上げをして頂きたいのであります。突然に大幅な、非常な大幅な値上げをされることは、我々産業界にとりましても非常に打撃をこうむることでありますことは、一般に言われておる通りでございます。  次に私どもの、あの案によつて想像しまするところによりますと、電源開発資金のことであります。電力は御承知通り食糧、衣料、石炭鉄鋼等と共に民生に最も絶対に必要なものであります。全産業一つ食糧でもございます。国家的にも自給のほかない、産業の発展に伴つて開発本当に必要であると思います。併しながらその資金の獲得はその企業が安定したものであり、適正に合理化された、適当な利潤と認められる料金でさえあれば、これは内外の信用を得て容易であると思いますが、再編成が発電送電の一貫、企業合理化によつて一段と有利になるべきことが、元の旧配電会社の主張であつたように考えております。私どもはいろいろ各方面か総合しての各方面の御意見を、或いは発表された案を見まして、考えますときには、例えば安本の案でありましても、二十六年度の資金計画が六百億円である。そのうちにいろいろございますが、或いは見返資金とか、社債とか、そうして自己資金の二百億というものが織込まれておるように考えますが、この電源開発を急速に開発せしむるならば、これは従来の日発、即ち政府の施策の誤りを償うために、国家的に長期低利の、或いは融資策をとるべきであつて、これを料金のうちに織込んで、料金でこれを賄つて行こうとすることは妥当でないというふうに、私ども考えております。次に営業費のことでございますが、日本電力の九〇%は水を主としておるようでございますが、その水を利用するところの、降水による水力予想というものが最も重大であるのであります。この予想本当に科学的に決定して或いは定期的に計画との過不足を調整するというようなこと、このことが、先ほど御所見もございましたように、この水と火というものの、どういうふうにその料金をきめる基準にすべきかと、その点がこの基準案に漏れておることもありまして、これは不合理ではないか、不都合ではないかということは同感でございます。  なお損失軽減とか擅用防止、或いはサービス改善費用は初めからこれを料金に織込むことになつておるように考えておりまするが、これは不当であつて、これらは供給力増加原価の引下げとか、或いは質的な改善の目的である以上当然資産に計上せられるものであると私ども考えておるのであります。なお又修繕費について申しまするならば修繕費限界も今回きめられました耐用年数改訂に際して明確になつて参りましたので、従来の実績は如何であつたかということはここに疑問はございまするけれども、この定められたところの限界によつて改善すべきではないかと思うのでございます。  先ほど申しました料金制度のことについて所見を申述べます。料金需用種別負担電力会社が各需用種別負担の特性と或いは態様によつておのおの電気供給に要する原価基礎とすべきでありまするが、公益上の最も重要なる基礎物資であるから物価政策基本をなすことを十分に考慮して、特に産業界混乱を来たさないように愼重にこの料金制度について検討を遂げて頂きたいと思うのでございます。ところがこの料金改訂公益委員会考えておらるるかに推察されますごとく、單に電力会社経理改善健全化、即ち原価にプラスの報酬といつたような、よく言われます。原価主義に偏しておるのではないかと、私ども原価を元とすべきことには一〇〇%の同感を持つておるものでありますけれども、その原価なるものの要素そのもの本当に、真に公正な、或いは合理化された納得の行く原価であるかどうかということに疑問を持つのでありまして、この点その原価であると同時に一般物価との関連を考えて、そうして日本経済、即ち全産業復興というところの真の公益的な観点からこの料金を定められるということに非常なる危惧を持つておる次第でございます。もう少ししやべらして頂きますと、現行制度は御承知のように二段構え料金制でありまするが、これは火力料金制によつて発電意欲向上使用制限との需給調整相当の効果を挙げておりますけれども割当制度を伴つておりますので、割当率の適否は実質料金の不公正を招来するような嫌いがないではないかと、この点不明瞭に存じます。で私どもは相成るべくは究極においては、而もできるだけ早く單一料金制に改めて頂きたいのだと、こう考えるのであります。尤も現行方式のいわゆる二段構え料金制度を一挙に單一料金制に改めることが産業界に一時的にせよ混乱を来たす虞れがなきにしもあらずと考えますので、差当り現行方式を踏襲するといたしましても近い機会に單一料金に改めて頂くことを要望するものであります。而も單一料金につきましては常時電力に対して、事業種別、ことの割当制を廃止をする。  電力会社自己の職員、即ち電力供給独占的責任を真に自覚いたしまして、本当に良心的に火力発電、十分に火力発電をいたしまして、更に自家用火力発電所の能力を最大限に活用すべく、その増加経費電力料金原価に織込んで、そうして、委託発電をすると、そうして、それによつて一層この電力供給力を増大して双方融通を徹底上、損失軽減を実施し、負荷率及び力率の割引をますます拡大して、負荷改善図つて、或いはメートル制というような制度増加して、壇用を防止するならば相当電源をここに拡充することができると考えております。料金制のうちに單一料金制特別措置ということを講じて頂きたい。これは、現在標準料金割当及び余剰電力範囲内で電力を原料として必需物資等を生産するところの産業に特別の措置が必要であると考えるのであります。又電熱利用抑制もこれは最も民生の安定、或いは生活向上の点から、電熱利用のますます増大することは望ましい、ことでありまするけれども、不足しておる現状におきましては、或いはこの一部の抑制も必要ではないかと考えます。ところが禁止的超過料金制につい申上げますと、例えば私どものような坑内保安を保たなければならんといつたようなところ、私ども操業を中止し得ざるところの企業で、而も、そのコスト高需用者或いは利用者に転嫁し得ざるものにつきましては、特別な措置が必要でございます。どうしてもその電力保安上に必要であります。石炭鉱業につきましては、この点を御考慮に入れて頂きたいと考えます。需用電力料金、即ち基本料金制度を改変して行くべき必要はないか、設備補償であるからこれを廃止して最低料金制度と改めることも考えられるべきであると思います。  最後にこの電力使用量的地域間の融通を当分の間はやはり施行すべきであつて、当分は料金地域差調整が必要ではないか、というようなふうに考えておるわけでございます。特に石炭鉱業に及ぼすところの影響というものは、相当に大なるものがありまして、一例で申しますると、これは全部を総合しておるものではございませんけれども、例えば一地区電力会社の発表されております案によりまして、一、二の例をとりましても、御参考までに申上げまするならば、従来の案によりますると、従来の料金によつたものよりも、或る某地区電力料金は、石炭の値段一トン当り電力料金電力代というものを申上げますると、少きは百四十円から多きは百八十円乃至百九十円、およそ二百円程度増加するところもあるのでございます。或いは五〇%とか、或いは六割七分の料金値上げだというようなことが伝えられておりますけれども、この石炭に及ぼしますところの影響が、或いは場所によりましては約二倍にもなるのでございます。さような次第でございますのみならず、産業食糧でありまする石炭価格にそうした影響を及ぼしますことは、延いては関連しておりますところの各産業にも勿論及ぼしますし、それがはね返つてこの石炭工業に使いますところの資材方面、或いは運賃方面等等に及びまして、そのはね返りが又石炭に及んで参りますと、それが一般産業食糧である石炭なりその他のものに及んで参りますことを考えますときには、更に悪循環を来たして、果して適当なるところの復興を来たし得るような低炭価でやり得るかということが考えられますので、大いにこれを憂慮する次第でございます。としましても、電力料金値上げは種々伝えられておりますように、私どもも或る程度の必要があるのじやないかと考えますけれども、真に合理的であり、又需用家一般民生本当に納得する公正な良心的な値上げであつて欲しいものであると考えておるのであります。いろいろ申述べましたけれども、要するに現在考えられておるようなことは、一つ企業のみの健全経営ということに重点が置かれて、国民一般産業なり、国民一般民生安定のほうに本当公益的な考え方が織込まれておるかということに疑問を持つておることを申し上げて所見を終ります。
  6. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は東京急行電鉄社長鈴木幸七君に御発言を願います。
  7. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) 私鉄の立場から意見を申述べます。先ず第一に私鉄経営の現状電力料金値上げ影響について申述べます。電鉄における経理の現状は各会社により多少の相違はありますが、全国を平均して大体人件費が五〇%、諸経費二五%で、残り二五%が電気料金と補修費となつておるのであります。ところが昭和二十四年十二月の電気料金改正前は、電気料金は大体支出の五%で、補修費、いわゆる修繕費が二〇%程度であつたものが、電気料金値上げ後は電気代が八%乃至九%となりまして、補修費が大幅の圧迫を受けることになつたのであります。極力経営の合理化を図り、辛うじてその一八%乃至一九%を補修費に向けて何とか切抜けて来たのでありますが、朝鮮事変以来補修の主材料たる銅、鉄の値上りは著しく、同一の費額を以てなし得る作業の量は二分の二以下に低下したのであります。一方賃金ベース・アップは社会一般の情勢に従わざるを得ないので、線路、車両等の修理も全く意にまかせず、何時不測の大事故を惹起するやも測り難い憂慮すべき状態となつて来たので、不本意ながら鉄道運賃の値上方を当局に陳情するの止むなきに至つたのであります。勿論各社とも経営の合理化企業努力によりまして、極力値上率を少くして、一般社会に及ぼす影響を小さくするよう努力しておることは言うまでもないところであります。然るに今回電気料金の大幅の値上げが実現すれば、鉄道運賃も止むを得ず更に大幅の値上げを余儀なくされることになるので、この意味からしても電気鉄道の運転用電気料金は最小限度の値上げにとどむるよう御配慮を願いたいのであります。電気事業公益事業であるから料金算定につきましては社会政策的要素が織込まるべきであり、私鉄も電気事業と同じく公益事業であるために運賃の統制を受けていることは御承知通りであります。この運賃には多分に社会政策的要素が織込まれているのであります。即ち貨物については、生活必需物資その他には高率の割引かせられ、又旅客につきましても通勤、通学、定期に対し遥かに原価を割つた大幅の割引がなされておるのであります。当社の例について見ましても、通学定期のごとき最高は実に九割一分の割引率で、僅かに普通運賃の九%、即ち一カ月の定期が僅かに三日分の普通運賃にしか相当しないであります。而もこの定期利用客は全旅客の六〇%に達しております。通勤特においては実に七〇乃至八〇%に達するのであります。私鉄の車両、変電所、乗務員等は、いずれもこの数時間の通勤輸送を確保するため最大なものを準備しなければならんので、これに莫大な資金と費用とを投じているもので、定期運賃の高度の割引のごときは、今回の電気料金算定基準に示されたごとき考え方を以てしても夢想だも及ばないところであります。同じ政府が同じ公益事業である電気事業と鉄軌道事業に対してかかる異なつた政策をともれることは、我々として納得できないところであります。この点特に御考慮の上私鉄等公益事業電力料金は定期運賃におけると同様大幅の割引を認めるか、さもなくば私鉄の定期運賃に対し根本的再検討を加えられるようお願いしたいのであります。電気事業者はいま少しく企業努力をなすべきである。今回各電力会社が提出いたしました料金改正案を見るに、いずれも算定基準に許された最大限度までを計算に入れて算定しているので、その間企業努力或いは経営合理化の跡が余り見られないのは、誠に奇異の感を抱かしめるものであります。独占事業であり、特別の保護を受けている事業であることをよくお考えになつて、最大の企業努力と周到なる経営の合理化により全面的に電気料金の値上率を低下すべきであると考えるのであります。  最後に附加えて申上げたいことは、御承知通り電鉄ではその直流側で電気的に全線が接続されており、全変電所が一つとなつて負荷を持つておるのであります。これは他の産業にはない電鉄特有なものであります。従来この特異性が認められて、全体を一本として特別大口丙の適用を受けていたのでありますが、このたびの電力会社の案によりますと各変電所ごとに契約を考えるため、私鉄の大部分が大口乙の適用を受け、現在より高率の料金の適用を受けることとなり、この影響相当大きなものであります。元来鉄道は定められたダイヤによつて運転しておりますので、金融の負荷の合計は常に一定であり、従つて電源に対する負荷は総合的に考えるべきであります。特に給電電圧が変動する場合は、それに従つて甲の変電所から乙の変電所に負荷が移動するものでありますから、基準料金の対象となる最大負荷も全線の総合負荷をとるべきであつて、若し個々の変電所の最大をとるものとすれば、電力会社の責任に属する負担まで電鉄側が負担することとなるのであります。又前述の通りの理由で電鉄においては会社一本の負荷として需用種別の大口丙の適用を受けるものと考えたのであります。  以上を以て陳述を終ります。
  8. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は日本化学工業協会副会長池田亀三郎君に御発言願います。
  9. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 私の団体は四十五団体の化学工業の傘下団体を特つております。化学工業は御承知通り最も電気には関係が深いのでございまして、特に私どもはこの電気料金につきましては重大な関心を持つたわけであります。私は経済復興会議の時分からこの電力開発は第一優先とすべきであるという意見を持つておりました。又この間の自立経済審議会のときも電力委員といたしましてあれに参加いたしましたのですが、その当時から適正な値上げは早いほうがいい、とこう思つてつたことを御承知つて、私の意見をお聞き取り願いたいと思います。  先ず基本意見から申上げますが、これは第一としましては、他産業への影響を十分に考慮いたしまして、産業界混乱を来たさない程度に、この際一気に一律に適正な値上げをいたしまして、更に今後の電源開発の進展に伴いまして、段階的に更に値上げするのがよろしかろうとこう思います。それから第二は割当制の廃止と料金値上げ、種別料金調整、これを一気に同時に行うということは、これは無謀も甚だしいと思いまして絶対に反対いたすものであります。第三には追つて合理化を十分にいたしまして、そうしてこれを天下に声明いたしまして、その合理化された将来を予想いたしまして、値上げ調整をいたすべきだ、こう考えるのであります。  ここで一つ御注意申上げたいと思いますのは、あの算定の内容を伺いますと、開発費或いは資本支出で当然あるべきものが経費支弁になりましたり、或いは擅用防止等の費用はこれは絶対に資本支出で計算してはいけないということを申上げたいのであります。この三点につきまして簡單に補足して申上げたいと思います。  電力は敗戦以来私ども国民に残されました唯一の資源だと思います。而もこれは全産業基礎になるものであります。そこで電力は株主のものでもない、これは需用者のものでもない。要するに全国民のものだというふうな公共的な見地から電力問題は考うべきだ、こう考えるのであります。従つて今回の電力料金算定基準を見ましても、他産業への影響に対する感覚が極めて薄弱ではないかと思います。それから又この公益事業委員会の視野が狭い、いわゆる狹少であるということを痛感いたします。而も責任感に極めて欠けている、従つて合理化等は殆んど考えられていないというふうな結論になつたのであります。従つて日本経済界の現状を十分に把握いたしまして、インフレーシヨンを抑圧する根本といたしまして愼重に考慮し、先に申上げましたように一律に、将来建設が進むに従いましてコストが上りましたときに段階的に更に値上げをいたしますことが適当かと考えます。第二点でございますけれども現状におきますと鉱工品の生産は著しく伸びております。あの自立経済審議会で予定いたしましたより遥かに伸びておるのでありますけれども、更に今後日米経済協力等を考えますと、一層この生産が伸びなくちやならないのでありますけれども、一番懸念されますのはこの電力のネックでございます。そこで自立経済審議会当時から電力の拡充を主張いたしました私どもといたしましては、政府にこの確固たるこれに対する対策が何も行われなかつたということが、今日の行詰りを来たしたのでありまして、極めて遺憾とする点でございます。そういう点からいたしまして先ほどからもお話が出ましたけれども、この不足の電力割当廃止をするというくらい間違つたことはないのじやないかと思いまして、これは絶対に反対いたしたいのであります。而もその割当制度権限、これは公益事業委員会に與えられておりますけれども、果してこれがいいのかどうかということは、国策に副いますように今後法的に更に検討を要するのではないかと私ども考えておるのであります。それで差当り割当につきましては関係官民の意向を迅速に的確にこの電力施策に及ぼしますような何か特別の措置を講じてもらいたい、こう考える次第であります。第三の料金引上げ、この一番要素になりますものは償却費であります。この点は前々からだんだんとお話もございましたので、私からは重ねて申上げませんけれども、これは一番そのうちでも資本支出なるものと経費支弁なるものとを混同しないはつきりしたここに物差を作るということを附加えて申上げたいのであります。なお今度の算定基準を見ますと、極言かも知れませんが、原価を上げるに役立つものは何でも利用した、悪用したと言つてもいいかも知れません、そういう傾向がないでもないと思います。従つて無理のない程度料金値上げ範囲、で再評価考え、又この定率をやめまして、定額にすべきだ、とこう考えるのであります。而も大体を考えますと、やはり事業の経理の健全化というものに余り偏し過ぎたということは、先ほど申しました視野が極めて狹少であるということを申上げた理由であります。若し仮にこれを無理に通しまして至要産業に致命的な打撃を與えて、国民の生活を圧迫した場合に、国民の怨嗟の的となつた場合に、果してこれによつて増資或いは社債の募集そのほか借入金或いは外資導入ということができるかどうかということを私は頗る疑うものであります。殊に政府所有資金の使用ということに一番疑問を持つものであります。なおあの資金供給面から見ますと、二百億の社内保留、そのほか百五十億の社債借入金と二百五十億の見返資金、こういうような内容になつておりますが、この点は時間がありますれば、あとに触れることにいたしまして残しますけれども安田さんからも指摘されておりましたが、一番あれで問題になりますのは、予想使用量の算定を少くしまして、そうして石炭は六百五十万トン確保というふうなことを認つておりますが、これは水を少く見て、石炭を高く見れば、当然コストの上るのは当然であります。この辺の算定基準が少しも謳われておりません。これが私ども一番附加えて申上げます点でございます。  次は種別料金調整でございますが、大体公益事業委員会でまだ決定されませんのに、各電気会社のあの値上率が発表されたということに、私は先ず疑問を持つものであります。殆んど同じように取高限度の再評価をいたしまして、そうしてこの安率法でやるように説明をされておりますが、こういう点から考えますと、何だか公益事業委員会は、電気事業委員会のような感じもしないでもないのであります。甚だ変な言い廻しでございますが、そういう感じも実は私は受けたのであります。結局議員皆さんにも大分産業に御関係のあるかたもあるでしようが、自分の産業について一々計算して見ますとわかりますが、ただ表面上五割、六割、七割となつておりますけれども、この種別料金のマジックと言つてもいいかも知れませんが、それによつてその結果は何倍となることは、これはなおあとで硫安なり石灰窒素のかたからも事例を挙げられると思います。私もここに持つておりますけれども、大体三割値上げが約十割、五割値上げが二倍、大体こんな見当になります。仮に今超過料金を使いませんでも、大体におきまして三・二倍から少し使いますとやはり三・五倍から四倍くらいになる、こういうふうな事例があるのであります。私は甚だ言葉が悪いのでありますけれども、言いますと、誠にあの計算は複雑怪奇でありまして、ちよつと見てもわかりません。言うと、これはマジックという言葉も使いましたわけでございますが、とにかく今言つたように、産業界に及ぼす影響は甚大でございまして、恐らくこれがこのまま通るといつたようなことは絶対ないと思いますが、仮に通つたといたしますと、産業界にどんな混乱を来たすかということは想像に余りある次第でございます。そこで私は、是非この際今後ともこの電力会社の会計はガラス箱の中に入れまして、需用者を含む特別の何かここに調査機構を作ることが適当じやないか。これには予算の議決も待たなければならんかも知れませんのですけれども、そういうことを痛感するものであります。それから含理化もちつともできていないということを申しました。これはそう申上げても私はいいと思います。実際曾つて電力会社を経営なさつたかたで今私どもの会員であるかたの会社でやつてもらつたのでありますけれども、大体従業員は労働基準法の影響も受けたことは確かに受けておりますけれども、これらは二割か二割五分くらいだろうと思います。大体三倍くらいに人員は殖えておるということを申しております。この間ああいつた九分割のあとで、重役陣のためにああいつたごたごたをやつたということは、本当に天下に醜態をさらしたと言うても過言ではないと思います。機構から言いましても、東京電力が十六部六十四課、中部が十一部三十八課、関西が十八部五十八課、これがずつと前にこの電力経営をされたかたからいうと、どんな感じを受けるかよくわかると思います。この点だけでも経営合理化ということにつきましてどれだけの関心を持たれかということに、私大きな疑いを持つわけであります。  結論といたしまして申上げたいことは、先だつて公益事業委員会聽聞会におきましては、三十八人陳述人がござがました。そのうち官庁関係、これは御承知通りでありまして、安本も、農林省も、運輸省も、通産省も、物価庁、六人でございましたが、全部反対でありました。それから又利害関係人といたしましては三十二人でございまして、そのうち賛成されたのは四人だけ、これは全部電力会社のかたの代表だけであります。そのほかの二十八人は、全部反対であります。電産も反対しておつたのであります。こういうふうな聽聞会の結果をどう公益事業委員会が裁定なさるか私はわかりませんが、若しこれを押切つたと仮にしたならば、これはすべて合法的です。最高限度に再評価する、定率法でやるということも、合法的であります。合法的であればよいということになれば、裁判所があればいいので、公益事業委員会は要らないという結論にもなるかと思います。そういう点を考えまして、これは多少新聞を見ますと変るかのように思いますけれども、結果によりますと、その及ぼす影響がどうかということを考えますと、本当に憂慮に堪えないのでございます。私は今日のこの公聽会がどういう性質のものかよくわかりません。それから公益事業委員会と国会というものとの関係も私は承知いたしませんですけれども、前の聽聞会といい、今日のこの公聽会といつて、どういうふうに国会でお取上げ下さるか。私は国民の代表たる議員皆様がどうか一つ公益事業委員会を、私益事業委員会、或いは電気事業委員会というふうな汚名なく、立派な公益事業委員会としての役目を果させますように、この国会においても十分御考慮願いたいと思います。
  10. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は電気化学協会会長永井清次君に御発言を願います。
  11. 永井清次

    参考人(永井清次君) この電気料金値上げが各方面に及ぼす影響を顧慮せられて、議会閉会中であるにもかかわらずこのような会をお持ち下さいましたことに対して、満腔の敬意を表する次第であります。私は電気化学協会の会長をいたしておりまするが、あらかじめ申上げておきたいことは、電気化学協会というのは、まあ御案内でありましようが、学界と電気化学工業の事業者とがタイアップしまして運営をしておる会でありまして、いわばニユートラルの性格を持つておるのでありまするから、その言や即ち中正である、適正であると、かようにあらかじめ御承知おきを願いたいと思います。そこで私は先ず結論から先に申上げたいと思うのであります。これを條項的に申上げます。一、今回の電力料金改訂は、二十七年三月までの暫定的なものとすること。二、総括原価に織込まれる原価増加は、次の範囲に止めること。イ、再評価倍率は六〇%程度とし、五つ定額法による減価償却を行うこと。ロ、石炭費は六百万トン程度を予定し、これに相当する火力発電は必ず実行すべきものとすること。ハ、人件費その他は現行実績によること。(註)中労委においても、給與改訂営業費合理化によつて捻出し得るものと結論をしておる。三、料金体系は現行体系をそのまま踏襲し、且つ現行料金に値上率を一律に適用したものとすること。勿論現行割当制度も続行すること。四、電気料金の本格的改訂は、電気事業新編成の実が挙つた後、企業合理化の実績を参酌して実施すること。五、以上の方法に基き、料金総合値上率は二〇%程度とすること。  こういうふうに先ず結論から先に申上げておきたいと思います。そこでなお続いて少しく申上げたいと思いまするが、産業、中にも電気化学工業は、立地條件に非常に重きをおいて工場の建設などをしておることは、これは言うまでもないことで、御案内の通りであります。即ち電気の安く質のよい豊富なものを以て安い製品を作ろうというので、山の奥まで行つて工場を建設して、苦労をして仕事をしておる。この同じ趣旨を以て、進んでは、例の自家発電を造つて、そうして仕事をしておるということも、御案内の通りであります。そういうところはたくさんあるわけなのであります。この自家発正が、昭和十三年の暮の議会で以て、例の国家目的、即ち戦争目的のために、生木を裂くように取上げられてしまつて今日に至つておる。その自家発電がまだ復元をされておらない。その後自由競争になつた今日でも復元されておらないさえあるのに、その自家発電を持つてつた会社に対して、安いどころではない、却つて非常に高い、二倍も三倍も、その以上もするような値上りした電気を当てがおうとすることは、全くこれは言語同断、沙汰の限りと申上げたいのであります。こういうふうにいたしまして、電気を原料としておりまする電気化学工業、こういうようなものはこういうようにしまするというと、殆んどもう非常な打撃をこう評りまして、その影響は実に恐るべきものがあると思うのであります。例えばあとでここに硫安協会のかたもおられますから、簡單に申上げますけれども、例を硫安にとりましても、今十貫目入一俵が御案内のごとくに七百七十円内外しておるのでありまするが、そうしてこれを五円、十円を上げるのでもこれは食糧に直結しておる大変なあれだからして自粛してもらわなければ困るといつて非常にやかましい。一方原料はどんどん上つてつて硫安の生産費は非常に高くなつているのに対して、売ろうとする値段は自粛を要求されておるし、いわば統制を受けておるというような状態にあるのであります。そういう硫安が若し今回のごとく電気料金値上りになれば驚くなかれ一俵について二百円以上も値上げしなければならんということになるのでありまして、それでは一体農村はどうなるか、農村に及ぼす悪影響は実に驚くべきもの、戰慓すべきものがあるのではないか。これは農産物の騰貴を来たしてやがて賃金の上昇を促すゆえんであることは申すまでもないことでありまして、即ち恐るべき悪循環が始まり、インフレは果てしもなく続くということになるのであります。單なる一例でありますが、詳しいことは又協会のほうから勿論申述べことだろうと考えますが、單なるこれは一例でありまして、これはすべての製品につきまして私は同じようなことが言われるのではないかと思うのであります。そうしまするというと、インフレは高進して又例の日米経済協力もできなくなる。いわゆるマーケット声明の線から外れる結果になる。又我が国の経済の自立に大きな役割を持つている輸出ということもできなくなる。こういうような国内態勢、経済態勢になつた場合に、そういうところへどうして一体外資が入るかいうことを、又今申上げたような状態ですべての物価が高くなるというようなことを考えましても、かたがた以て今回の料金値上げの最大の狙いとする電力電源開発をして、そうして電気の絶対量を殖やそうというその電力会社の狙いそのものも外れてしまうということになるのではないかと考えるのでありまして、即ち一般消費者が、或いは産業、特に大産業が非常な打撃をこうむるだけではなくして、電気事業者そのものも倒れる、いわゆる共倒れになつてしまうという結果に陥るのではないかと考えられるのであります。でありまするからしてやはり物事は理想的には行かない。次善、三善が実際世の中に行われているのが世の中の常である。殊にいわんや全体を考えて理想に近付こうとして急ぐのはいいんですが、お話のごとく電気会社のみの理想に走られる、一方的にその理想に向つて急ぐということは、必ずやほうぼうに欠陥が起つてやがて御自身も困るという結果になる。これは火を見るよりも明らかであろうと思います。そこで私どもが、即ちこの協会の会員のかたがたのお話を聞きましても皆会社としましては今日はどこでも合理化第一である。合理化をやらなければ世界経済の中に立つて産業の経営はできない。合理化第一である。で設備改善をこうしたい、こういう修繕もやりたい、いろいろ考えましてもその中のほんの一部しかできないのは、これは今日の日本の経済状態の下において実相であるわけであります。我慢しにくいところも我慢してやらざるを得ないわけであります。そのような筆法で以て例えば再評価のごときも先ほどからお話のあるごとくに産業会社としては平均して六〇%の町評価をいたしております。且つ定額法で以て償却をしておるわけなんであります。こういうような理想、精神を以てこの電気会社料金値上げに対処したならば、恐らく二〇%くらいの値上げで済むのではないかということは冒頭で申上げた通りであります。でありますから、願わくばまあ料金を何ほどか上げるということにつきましては私どもとしてもあえて反対を唱えるものではないのでありますが、段階的に徐々に上げて頂く、而もこれを業種別に差別を設けないで一律に上げる。業種別に差別を設けることはあの基準にありました不平等を来たさないようにということに合うようでありまするけれども、それはいろいろその形の末に囚われて一望裾を見る、実際は非常なる悪平等を来たすゆえんであると固くこれは信じて疑わないのであります。  なお最後に附言して申上げたいことは、今の一律に上げて頂きたいということと関連しておるのでありまするが、家庭の電気、電燈さへ安ければ家庭生活は楽になる、こう思われたら大変なこれは間違いでありまして、錯覚でありまして、電燈は安くても産業製品、例えばアルミニユームで造つた鍋釜が高くなり、或いは肥料で作つた食糧が高くなつたならば、どつちがウエイトが重いと、どつちが家庭生活上悪影響があるか、どつちが家庭生活としては困るかということをお考えになれば、これはもうすべてのことがわかられるのではないか。こういうことを実は電気会社によくお考えを願いたかつたのであります。併し参議院の諸公におかれましては、今申上げましたようなここは百も三百も先刻御承知でありますので、これ以上駄弁を弄しませんが、ただ御諮問がありましたので以上申上げたような次第であります。どうかこれだけの意味をお汲み取り下さいまして、只今池田副会長からお話があつたように然るべく取計らいをお願い申上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
  12. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は日本硫安工業協会常務理事鬼頭忠一君に御発言を願います。
  13. 鬼頭忠一

    参考人(鬼頭忠一君) 当特別委員会におかれましては、このたびの電気料金値上げの問題につきまして、それが国民経済並びに国民生活に及ぼす影響の重大性に思いをいたしまして、且つ又輿論の動向を早くから御洞察に相成られまして、連日この問題につきまして御検討を加えて頂いておられることに対しまして、我々は関係者といたしまして感謝の念に堪えない次第であります。硫安協会といたしましての本問題に対する意見は、かねてお手許に御覧を頂いております電気料金値上げ問題に関する意見書に大体盡きておるのでございます。御一読頂きますればそれで御理解頂けると思うのでありますが、一応その要点につきまして二、三の点を申上げて御参考に供したいと思います。硫安工業と農業政策との関係につきましても、永井さんからお話がありまして、すでに皆様もよく御承知頂いているところであるのでありますが、この硫安工業といたしましては、大口の電力使用者の中でも、或いは最も大口の使用者になるのではないかと思うのであります。いわば御案内の通り製法を大きく分けまして、電解法とガス法ということになつているのでありますが、ガス法におきましても、一トンにつきまして八百キロワット・アワー乃至千キロワット・アワーの電力を消費いたします。電解法におきましては約三千八百キロワット・アワーの電力を消費するのであります。従いまして仮に一円の値上げになりましても、そのキロワット・アワーをお掛けになれば、どれだけ上るかということがすぐおわかりになるわけであります。仮にガス法で申しますと、ガス法でできました硫安は、電力以外の原料であります。コークス、石炭の非常な値上りのために、ガス法の製造業者はすでに採算を割つているという状態であるのでありますが、たのたびの電力値上げが実現されました暁には、これは一応申上げておきますが、我々といたしましては、この電力会社の値上試案というものが再三変りまして、三遍も六遍も変つていると聞いているのでありますが、一応今申上げますものは、恐らく三回日頃の試案によつたものではないかと思われます、その点が明らかでございませんが、大体その中頃の案であります。それによりますというと、大体電力料金は硫安工業におきましては、三十割以上の値上げになります。即ち三倍以上の値上げになるのであります。従いましてガス法におきましては只今申上げましたように、現在非常な苦境に陷つているにかわからず、その上約、これは一叺十貫が標準になつておりますが、七十円以上のコスト増嵩を来たす結果になるのであります。電解法におきましては、先ほど永井さんが言われましたように、硫安一叺以上の二百円以上のコストが上るということになるのであります。先ほどもお話が出ましたように、硫安の価格は農業改策と直結している。言い換えれば米価と直結しております関係から、政治的にも非常にいろいろの制約を受けるのでありまして、極く僅かな数円の値上りが余儀なくされようといたしますような場合にも、肥料界の代表者は三大臣並んでおられるところに呼ばれまして、自粛のお願いを受ける。こういう状態にあるのでありまして、なかなかコストが相当かかつたからというので、容易に値上げができない状態に置かれているのでありますが、併し今回のように、こういう法外なコスト高というものに万一遭遇いたしますれば、これはどうも硫安業界といたしましては、全く手を上げざるを得ない。硫安工業を継続さしてやつて行くためには、それだけのものを上げざるを得ないということになる。それが辰村の経済に及ぼす影響、主要食糧に及ぼす影響、延いては国民生活に及ぼす影響ということは、これはもう申すまでもないと思うのであります。然らばどうしてこういうふうな法外な電力料金値上りが硫安工業に対して行われるようになるかと申しますと、これはこのたびの値上げ計画ということが軍に一時に大幅の値上げを一挙に行うということでなく、それだけでも大変なものでありますが、六割、七割というものを一遍に値上げをすりということもなかなか承服できんことであります、同時に制度根本的に変えてしまう、どさくさまぎれと申しましては言い過ぎかも知れませんが、大幅の値上げをする際に料金制度すべてを変えてしまう。これは従来安定本部において各産業に対して割当てておりました割当制度、それによりますれば、我々は一応それによつて生産ができる。それで足りない場合には高い料金を拂つてそうして足らんところを特別の料金による電力を使つてつて行くという方法がとられておつたわけであります。硫安工業におきましては、なかなかそういう高い料金のものを使うことができませんので、大体割当一ぱいで生産をしまして、それによつて漸く満たしておつた次第でありますが、今度の案によりますというと、いやでもおうでも総使用量の、これは電力会社によつて違うのでありますが、二割とか三割に当たるものは高い割当料金を使わなければ生産ができんというふうに組立てられておるのであります。それが電力会社によつて違うから、或るところは六円、或るところは七円という高い特別の超過料金を拂わなければなりません。こういうことになつておるのであります。所によりますと、東京電力は最近考えを変えられて、三割とかいうのを二%とか四%とかに下げたということでありますが、あとで申上げますが、それでもなお且つ非常に大きな値上りであることには変りないのでありますが、大体において、今のように制度が変つて行くというようなことが一つの大きな理由であります。その他いろいろとこういう大幅の値上げ、特に硫安工業等の十口使用者に対する法外な値上りを招来する原因等につきましては、先ほどそれぞれの代表者からお話がありましたからこの上重ねて申上げることは避けたいと思いますが、要するに我々の希望といたしましては、今回の値上げにつきましては、絶対に値上げ相成らんと今言つてみたところでしようがないのでありますから、合理的な適正な最小限度の値上りでありますならば、これはもう承服せざるを得んのではないかと思うのであります。それには本当に先ず以て電気事業合理化を図られて、その上に減価償却のごときも世間、並にやる方法も計画になるというようなこともやられて、或いは石炭本当に困つて、或いは手に入るだけの石炭を幾ら幾らであるということ計算されてそれが幾ら幾らになるからこれだけはどうしても組入れなければならんというふうにただ机の上でやるやり方でなしに、もう少し真剣に検討された結果の経費を見積られて、そうしてその上で、これだけのものは是非これは値上げをせんといかんのだということになりますれば、それは我々といえども止むを得んと思うのであります。それにいたしましても値上りというものは順次に順を追うてやつて頂きたい、かように思うでであります。先ほど三割案でしたか、四割案でしたかというお話があつたかも知れませんが、仮に四割値上げする必要があるときは二割ずつ上げるとか、一例を挙げれば……、そういうふうに一時に大きな変化を産業界に及ぼす、延いては国民生活にも重大な影響を及ぼして行くというやり方でなしに、できるだけ穏健な適当な方法でやつて頂きたい、かように我々は思うのであります。ここに意見書の中に書き上げましたこともいろいろと、例えば料金につきまして一から六まで書いてございます。割当につきましても一から四まで書いてございますが、煎じ詰めますれば只今申上げましたように今回は値上率をどれだけにするかということの検討に止めて、そうしてその制度についてはこれはゆつくりと一つ研究をして頂きたい、かように思うのであります。でありますから例えば二割に上るならば、皆二割に上げるということであるならば、いろいろ細か議論があるにいたしましても大体といたしましてこれは一応納得が行くのじやないかと思います。その際に原価主義であるとか、何とか主義であるというようなことを、これは皆原価割当によつてやるのだというようなむずかしいことを一遍に発言されて、これによつて料金を計算されますと、非常に大きな不公平ができ、非常に大きな変革が一挙にして行われるという不便もでき、憂うべき結果に相成ると思うのでありまして、その点につきましては皆様がたにおかれましても一つ十二分に御検討を頂きまして御善処を煩わしたいと思うのであります。なおこの機会におきまして皆様の御盡力をお願い申上げたい点は先ほどもお話が出たところでありますが、この公益事業委員会がこの重大なる決定権をただ一手に掌握しておるという現在の制度はこれは当然再検討せらるべきものではないかと思うのであります。先刻の公聽会を御覧になりましたかたはよくおわかりでありますが、公益事業委員会に対してそれぞれの政府が、政府というのも何でありますが、各官庁がそれぞれ我々と同じように意見を述べ、陳情をしておるというようなことは天下の奇観であります。而も国会の意見を尊重するというような一委員の言明によつて、ただ国会の意見をお聞きしただけで一時に何でも自分の思うとおりに、我々の信念は微動だもしておらんというようなことを言つて、御自分のお考えだけを通されるということになり得る制度というものはこれは当然許さるべきものではないと思うのであります。これは一つ十分に御検討を頂きたいと思うのであります。なお公益事業委員会の運営の方法はこれは料金決定に非常に大きな影響を持つものであります。細かいことになりまして甚だ恐縮でありますが、この間の聽聞会は規則聽聞というのだそうでありますが、規則聽聞におきましては公聽会を開く二十日前に聽聞会をこれこれの事項について開くということを官報に公告するということになつておる。今度は処分聽聞というのだそうでありまして、処分聽聞は値上案なるものを直接俎上に載せるわけでありますが、これは十四日前に公告をする、こういうことになつております。それでその公告を我々が受けて、先回でもこれは新聞で拝見しまして驚いてこれは大変な基準というものが飛び出して来たなと思つてつて見ますというと、これは諸君の意見を聞くことになつておる、こういうことであつたのでありますが、どういう手続で聞けばいいのか、我々も呼んでもらえるかということを聞きますと、そういうこと官報に載つている、いついつの官報に載つているということで我々調べて初めてこういう規則がこういうことによつて行われているというようなことを承知した次第であります。今度は皆さんの御盡力によりましてこれが非常な問題になつておりますので、従来のようなことはないかも知れませんが、併し我々といたしましては、例えば値上案の内容なるものも十分に説明を承わり、検討をさせて頂いてそうして意見を述べさしてもらうということにして頂きたいのであります。この間の聽聞会のときには基準案というものが新聞に出て、又官報を我々見て承知したのでありますが、それに対する説明というものは、説明書といたしまして我々の手許に届きました、のは土曜日の夕方であります。聽聞会は月曜日の十時から始まるのでありまして、或る出席者のごときはその朝やつと手に取つた、それを見て基準案というものはこういうものであるかということを初めて知つて、そうして聽聞会に乗り出す、ところが聽聞会へ行きましても、かねて提出してある聽聞会で述べようとする利害関係者意見の盛つてある趣意書、それを逸脱して発言してはいけないということになつておるのでありますが、そのときに気が付いたときには実はもう遅いのであります。そういうような不親切でなく、十分に我々が検討ができ、電力会社の意向も我々は十分に呑み込めて、そうして値上案決定に至るという順序を踏み得るように、一つそれには少くとも一カ月以上のそういう我々の研究期間といいますか、説明を聽取する期間、そういう期間を頂きたいのであります。我々は電力会社の経理状況がどういうふうになつておるか知らされておりません。それもできる範囲内において一応我々が承知でぎそうとしてそれに基いて適正なる値上げということがどこまで止むを得んのであるかういうことも、我々が考えることができますようなやり方にしておいて頂きたい、かように我々は念願するのであります。どうぞ皆さんがたにおかせられましても、それらの点につきましても、どうか何分の御配慮をお願いいたしまして、本当公益事業委員会なるものは、本当公益事業委員会らしい立場を発揮できますように何分の御考慮を頂きたい、かように存ずる次第であります。これで一応私の陳述は終ります。後刻御質問は対しまして又御説明を申上げたいと思います。
  14. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は日本鉄鋼連盟角力部会市川直雄君に御発言を願います。
  15. 市川直雄

    参考人(市川直雄君) 電力料金値上げに関する鉄鋼関係意見を申上げたいと思います。随分ごたごたした後に再編成を完了いたしました。電気事業発足のその第一歩といたしまして、この電力料金値上げを取上げました。各社はそれぞれ公益事業委員会に対し認可を申請されておるように聞いておるのでありますが、その主なる理由とするところは、電力料金一般の物価に比して安価に過ぎること、又最近における人件費とか、或いは石炭費或いは修繕費が高騰しておること、或いは資産の再評価により償却費の増大等を指摘して、大きな大幅な値上げを希望しておるように伝えられておるのであります。又電気事業経営の御苦労というものは我々もよくわかるのでありますが、我が国産業界は終戰後ここに五カ年十カ月連合国の御支援と国民の努力によりまして、漸く自立経済の第一歩を踏み出さんとしておるのであります。殊に日米経済協力に関するマーカット声明は日本の経済の方向を明示した指針でありまして、声明を解釈するのは人によつていろいろ解釈があるでありましようが、先ず自立経済の確立、デイス・インフレ政策の堅持、或いは企業合理化等、生産の拡大、国民生活の安定等に要約することができると思うのであります。かくのごとき重要なる時期に当りまして直ちに大幅な電力料金値上げを実施されましたならば、我が国経済の現状から見まして、直ちに物価の高騰を惹起して経済安定の上に不要な影響を與え、自立経済に暗影を投ずるものであつて、前途誠に寒心に堪えないものがあるのであります。殊に鉄鋼は大口需要者であつて、又重要産業の基盤としても製品の価額が関連各産業に及ぼす影響は甚大なるものがあるのであります。かるが故に今回言い伝えられておるところの電力料金大幅値上げには反対するものでありまして、この改訂当りましては参議院議員各位の愼重な御考慮をお願い申上げる次第であります。去る十一日のこの聽聞会、しばしば問題に出たのでありますが、聽聞会において我々鉄鋼関係では陳述の要旨を大体次のように申上げておいたのであります即ち減価償去は定額法を希望する。再評価は先ほど来よく申されました一般産業並とするということ。それから原価の配分と同時に電力量の配分に御考慮を願いたいということ。それから料金問題と割当問題とは密接不離の関係にあるから割当制度は今暫らく現行制度を希望する。こういうようなことを申上げておいたのでありますが、あの公聽会の空気から見まして、又基準案を見ますと、実際問題といたしましてこの原価計算主義がとられて、原価は全部料金に織込む、或いは又将来発展するために資金の獲得に非常に容易である、或いは配当或いは利息までもこの原価に織込んで、まあいわば電力会社としたら非常に楽な経営になる。或いはこれが実施されたならば非常に楽な経営になると思うのであります。資金の獲得ができ、利息も拂い、又配当もでき、而もかかつた費用は全部料金に織込むというのでありますから、言い換えるならば或いはむしろ電力事業の経営安定案であるというように我我は考えるのでありまして、もう少しあの中に電力企業自体が企業努力を、或いは合理化というようなものを織込んで頂きたいというように我々は切望しておるのであります。そういう点があの案にはどこを探しても見当らないというので非常に我々としては不満を抱いておるのであります。  次に鉄鋼関係電力事情について簡単に申上げたいと思うのであります。本年四月、五月の仮割当を見ますと、全国の全送電量に対しまして化学工業関係は肥料を含めてこれは一番多いのでありまして、約三三・六%の電力を消費しておるようであります。それから鉄鋼関係が一三・四%、勿論鉄鋼関係にはこのほかに機械関係として三七%の電力があるわけでありますが、この機械関係の六〇%が大体鉄鋼関係に含まれておりますかから、そのほうを合せまして、鉄鋼関係が約二五・六%の電力消費となつておるのであります。石炭関係が九・八%、私鉄関係が八・五%というように大体本年の四月、五月の仮割当はなつておるようであます。御参考までに二十五年度の鉄鋼電力の使用実績を申上げますと、御案内のごとく普通鋼二百五十万トン案というのが確立されておるのでありますが、実際生産量は三百四十二万トンになりまして、その使用電力量は約二七十億キロワツト・アワーという形になつております。勿論鉄鋼関係には自家発の関係もありますからして、買電がそのうちで約二十億キロワツト・アワーというのが買電になつております。二十六年度の生産計画は普通鋼四百万トン、これは皆さん承知のごとく西百万トン案に対しまして所要の電力量は三十二億九千六百万キロワツト・アワーであります。このうち先ほどのごとく自家発電を引きますと、買電としては二十六億三百万キロワツト・アワーというような形になつております。これをトン当り電力に直しますと、トン当り八百二十四キロワツト・アワーということになつておるのであります。而もこの二十六億キロワツト・アワー要る量に対しまして二十六年度の暫定割当を見ますと、十三仏六千八百万キロワツト・アワーという形になつておりまして、これは丁度買電の二十六億キロワツト・アワーに比較しますと、丁度半分ぐらいにしかなつていないのであります。勿論この四月、五月の暫定割当に対しては実際は一割ぐらい増加しておるのでありますから、多少これとは違つておるのであります。約半分の電力しかまあ割当てていない、その他の電気はどういう電気を賄つておるかと申しますと、これは特殊電気、或いは深夜間の電気、或いはこの超過電力等を以て補つておるのであります。大体鉄鋼関係におきましては非常にこの電気を消費するのに対しては都合のいい電気炉があるのでありまして、大体関東方面におきましても、或いは北陸方面におきましても特にこの電気炉が多いのでありますが、日本のごとき渇水期と豊水期の非常な差のある電力事情におきましては、この豊水期には非常にこの電気を消費し、渇水期には操業の一部を停止して、或いはそうした期間だけでなく、一日のうちにおきましても非常に電気の余つておる深夜間というものの電気を使つて、晝間或いは朝晩のラツシユ・アワー、こういうときには電気をできるだけ使わないようにする。こういうような電気の状態によりまして、鉄鋼業におきましては御案内のごとく電気炉でありまするからして、スイツチを入れて、或いはスイツチを切ることによりまして、じきにたやすくそういうことは調整できる産業でございます。非常に電力会社としましたならば、誠に電力安全弁のような役目を果すわけでありまして、非常に好都合な関係にあるわけであります。特にその電気関係におきまして使う電気というものが非常に多いのでありまして、北陸或いは新潟県というようなものを中心といたしましたこのフエロアロイ、合金鉄鋼業におきましても、二十六年度の生産関係を見ますと七万トンの生産計画を出しておるのでありますが、これに対して五億五百万キロワツト・アワー、それから電気関係に国内資源の砂鉄を使つた産業でありますが、電気関係におきまして、生産計画は十六万トンに対して三億八千四百万トンの電気、それから又電炉鋼には普通鋼或いは特殊鋼があるわけでありますが、普通鋼が二十六万トンの計画に対しまして八億四千万、特殊鋼十三万五千トンの計画に対しまして九億五千万、それから鑄鍛鋼が、これは非常に全国に散らばつておりまして割合に小口な電気の消費が非常に多いのでありますが、それにつきましても二十二万五千トンの計画に対して二億五千四百万、非常に実際生産するよりも少い電気割当があるわけであります。これは先ほど申しました通り、鉄鋼は余剰特配をくれるから少いアロケーシヨンを以てしても、夜間とか或いは特殊な不時の水の出たときにやればいいのではないかというような関係で、試に常時としては定まつた電気がもらえなくて非常なスクラツプの電気食つておるというような現状であります。而もこうした電気を大口に使用しながら、電気料金の面から行きますと、二十五年には鉄鍋電力を全部平均しまして一円四十四銭というような形になつております。二十六年度、最近におきましても全国鉄鋼を平均しまして一円五十七銭であります。地区によりまして非常に異なりまして、或る地区のごときは一円内外でありますが、或る地区のごときは二円、三円にも上つておるというような現状であります。而も鉄鋼の電力は先ほど申しました通り、生産費に占める割合というものが相当大きいのでありまして、殊にフエロアロイとか、電気炉とか電気銑とかの関係におきましては、電力料金原価構成比率が非常に大きいのでありまして、非常に製品の値上りを来たし、延いては関連産業石炭或いは鉄道とか或いは船舶とか或いは機械工業そのほか一般関連産業に及ぼす影響というものは誠に甚大なるものがあるというように我々は考えるのであります。かかる意味におきまして、一つ電力料金の大幅な値上げというものはひとり鉄鋼のみならず、一般産業に非常に大きな影響を及ぼすという観点から、鉄鋼業といたしましては、勿論電力料金値上げに真向から反対するものではありませんが、でき得る限り小きざみに、余り日本の経済に大きな変動を與えるようなことなく、徐々に上げて頂きたいというふうに願うのであります。  大体以上を以ちまして鉄鋼関係の陳述を終るのであります。なお座談会の席で申上げたいと思います。
  16. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次に電気化単工業常務取締役中山廉君の発言を求めます。
  17. 中山廉

    参考人(中山廉君) 本日は副社長野村がお伺いいたしまして陳述いたすことになつておりましたところが、急に体が悪いということで私が代りまして一応お話を申上げます。  電力の大幅値上げ電気化学工業に致命的打撃を與えるということは、今まで各代表のかたから申された通りでありまして、それに対する要望も全く同感でございまして、繰返す必要はないと思うのであります。本日は私の会社の大牟田の工場についての御質問があつたのでありまして、その点につきまして少し述べさして頂きたいと思います。それは、今回の電気料金算定基準と申しますのは、すべて原価主義に一貫しております。これはすでに御承知通りでありまして、それは非常に困るのでありますから、政策料金ができるように何とか御配慮をお願いしたいということをお願いするのであります。そのことにつきまして何故にそういうふうに必要であるかということにつきまして少し御説明をさして頂きたいと思います。私のほうの大牟田工場は九州にありますが、御承知通り九州は火力地帯でありまして、この原価計算から行きますと、どうしても料金は非常に高くなります。同業者が非常に多い北陸、或いは東北に比して非常に高くなります。水力賦課金もありますが、非常に高くなる。そういうふうでありまして、仮に政策料金もなく、又料金制度が今内々発表せられたようなことでありますというと、仮に私のほうの大牟田工場で申上げますれば、大体平均では七割上ると申しますけれども、私のほうの工場だけで申しますと二・七倍、非常に上るのであります。現在一キロワツト一円三十銭が三円五十銭に値上りいたします。そういうふうでありまして、同業者の多い北陸との一キロワツト時の差が二円くらいになります。そうしますと石灰窒素一トン当り約三千キロ使いますから一トン六千円くらいの生産者価格になる。現在は売価が二万円前後でありますから、到底工場をやつて行くことができんというような情況に今置かれておるのであります。さようなふうでありますから、何とかしてこれを活かして頂きたい、というためには基準案基準の計算のみで行つたのではどうしてもできないから、ここに政治的な政策料金というようなことを考えて頂きたい。こういうふうに考えるのであります。殊に石灰窒素工場は関西、つまり米原よりも九州方面以西におきましては、たつた一つ工場でありまして、その能力は約六万トンでありまするが、九州と山口県附近の消費丘を言いますというと七、八万トンを農家が使う、その供給関係から行きましても、農業政策上から行きましても、この工場が何とかして存続しなければいかんじやないか、こういうふうに考えます。何とかしてこの工場が存続できますように政策料金制度をお考え頂くことをお願いたしまして、公述を終ります。
  18. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今で各参考人諸君の御意見の開陳を終ります。非常に重要な問題で、国民生活に密接不可分の関係がありますので、参考人諸君の御意見に対して委員諸君で若し御質疑があれば逐次御発言を願います。
  19. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちは今業者の皆さんのお話を伺つて、全く電気料金値上げが、今回のやり方がむちやだという点に関しましては同感するわけなんです。そうして又こういう値上げが若しされるならば、日本産業界に及ぼす影響は非常に大きい、非常な困難な状態が来るのではないか、という点におきましても全く同感をいたしまして、何とかしてこの電気料金値上げを食い止める方法がないかというふうに私たちは考えているわけなんでありますが、そういう立場から、私たちは前々から電力事業のようなものは国家で経営すべきものである、九分割することに対して最初から反対をしていたわけなんであります。必ず九分割するならば電気料金値上げというようなことは必ず来る。又電気料金値上げするために九分割するのではないかというふうに私たちは考えて、九分制に最初から反対をして来ましたが、それがああいうことになりました。その当時私たちが思つていた通り、九分割する前にはサービスをよくするために分割をするのだ、そういうようなことを言つていたにもかかわらず、分割をすると忽ち我々に電気料金値上げを先ず第一に押付けて来た。こういうふうなことで大変残念なことだと思うのでありますが、先ほど電気化学協会のかたがおつしやいました言葉の中で、私はちよつと腑に落ちない点があるので、伺いたいと思うのでありますが、家庭電気が安ければよいという考えでは国民生活は一向よくならない。即ち家庭に配給する電気代が安くなれば、大口電気が高くなるのだから、工業電気が高くなるから、即ちアルミの鍋や釜は値上りするから、だから家庭電気が安いというだけでは家庭生活はよくならないという御意見、これには非常に一般家庭の諸君の立場から考えたら危険なものの考え方が含まれていると、そういうふうに考えるわけです。それで私はお尋ねしたいんですが、果してアルミの製品の中で我々の生活に必要なものがどれだけの分母作られているかという点、それをお伺いしたいと思います。そうしてこういうものの考え方は別に間違つているとは思わないのです。併しこういうことを本当に理想的にやるならば、電気は国営でやるべきであり、そうして物の生産というものは計画生産でやるべきである。即ち社会主義的な生産を行わなかつたら、先ほどおつしやつたかたの理想というものは実現できない。それをこの資本主義的な生産の下において、ただ極く一部分だけを捉えて、こういう理窟を捏ねられても、結局これは何の理窟にも合わない無駄な理窟ではないか。そういうふうに私は思いましてお伺いするわけです。それはなぜかと申しますと、このものの考え方で行きますと、本日の朝の新聞にも出ていますように、大品語用者の電気代を七割から二割上げるということになると、これは日本産業は倒れてしまう。だからこれだけ上げる電気代をむしろ家庭電気のほうにしわ寄せして、家庭電気を高くしたらいいじやないかという意見がぼつぼつ出て来ていると思うのです。これはとんでもないことだと私は考えるわけなんです。大体これまでの電気料でも昨年度におきましても、生産コストは一キロ二円八十八銭くらいについておると思うのです。それを大体大口のかたはこれの約半額の値段で使つている。即ち生産コストの半額の料金で大口のかたは電気を使つている。そうして会社はこれをバランスをとるために、二円八十八銭でできた電気を家庭には五円余りの電気に売りつけている。而も家庭で使われる電気の分量は総量の約四分の一しか使つていないのであります。四分の一くらいの電気料で、そうして値段の上では約半分に近い値段を家庭が負担している。即ち去年におきましても我々家庭の電気使用者が肩に重い荷を負つてそれを大口の電気のほうへうんと融資して、そうして大口電気の利潤を上げさして行つた。そういうことに私はなつておると思うのです。今年度料金が若しもあの表のように改訂されたともしましても、恐らく電気のコストは五円か六円ぐらいだろうと思うのです。それがやはり大口には原価を、コストを割つた、それより下廻る電気代で大口のほうへ参りまして、そうして我々家庭電気には十円余りの、倍くらいの値段でやはりそれが家庭のほうにかかつて来る。そうしていつまでたつても我々は電気代に関しては自分たちが重い金を拂つて、生産コストの倍の値段を拂つて、それで大口電気の、要するに皆さんのほうへ安い電気を流しておるという、そういう結果になると思うのです。併し皆さんの立場から言えば、我々が思つたら安いという電気代も恐らく高くて今日の生産にも合わないとおつしやることに関しましても私も同感するわけなんでありますが、小口の電気の使用者と大口の電気の使用者の間の関係は、こういうことになつておると思うのです。而も大口電気のかたは総電気量の四分の三から使う。そうなれば減価償却の場合におきましても、設備の修繕にしましても四分の三のものを負担するのが当然ではないかと思うのです。ところが皆さん原価よりも下廻る電気料電気を使つておる皆さんから拂う金では修繕費も出ないし、減価償却も出ない。即ち四分の一の電気を使つておる家庭電気を使つておる人たちの力によつて、すべての電気会社減価償却もされるし、そうして修繕もされておるという、こういう不合理が今日の電気料金の中にあると、そういうふうに私は了解するわけです。而もそういう場合にあつて我々はむしろ総電気量をすべての人に、大口も小口も家庭電気と均等な値段で配給すべきではないかと、私はそういうふうに考えるわけです、むしろ。然るに今日皆さんのほうからむしろ家庭電気のほうへしわ寄せしてやつたらいいじやないかというような意見がぼつぼつ出て来るし、今後もそういう意見が出ることが非常に多いと思いますので、この際こういう不合理に対して皆さんがどういうように考えておるか、そういう点をはつきりと私は意見を伺つておきたいと思うのです。本日東京電力の安蔵さんがお見えになるということを聞きましたので、電力の責任者にもこれに関して意見を伺いたいと思つておりましたが、お見えにならないようでありますから、業者の皆さんからこの点に関しまして私ははつきり意見を伺つておきたいと思います。
  20. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の須藤君の御質問の相手である永井さんは止むを得ん用件のために退席せられまして、代りに北脇市太郎君が残つておられます。要するに須藤君の御質問の要点は、永井さんの御発言の中に、家庭に配給される電力料金、これが安くなればそれでよろしいのだという考え方は少し安価過ぎる。日本の実態から考えて、電力によつて生産される国民の生活必勝物資というものは非常に厖大なものであるから、あながち家庭の電力料金が安くなつたために家庭生活が楽になると考えることはまあ妥当でないというような御意見の開陳があつておりましたのに対しての御質問でありますから、そのおつもりでお代りの北脇さんのお答えを伺いたいと思います。
  21. 北脇市太郎

    参考人(北脇市太郎君) この御質問に対しましては、ここに本日御出席皆様にも関係しておる問題であると存じます。先ほど永井電気化学協会会長が一例として申上げましたことは、今日ただ家庭の電力料の値上げをすれば、アルミニユーム、つまり厨房用とか、或いは台所用具、或いは日用品に使つておるアルミが高くなるからして、或いは又化学肥料が値上りするからして農作物の値上りを来たして、自然に生活費が向上するからという先ほど委員長が言われましたような悪循環になつて、その影響が家庭の電力料の値上げをそのままにしておくよりももつと影響が激しい、こういう意味であつたと思うのであります。アルミニウムのような金属……、軽金属協会の安田さんがおられましたならばもつと適切な御説明ができると思うのでありますが、悪循環の意味であると思います。
  22. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 どうも私は少しあなたの御答弁では満足できないので、まだほかの会社の責任者もお見えになつておるようですから、そのかたから一つ日本化学協会の池田さんからでも一つこの点に関して伺いたいと思います。その前にちよつと申述べたいと思うのですが、それならばこれまでに、若しも会社が利潤が上つたときに、その利潤を国民に還元して、配当しておつたならば私はこういうことは言わないのです。利潤があるときは單なる限られた株主に利潤を配当して、そうして今度は電気が上つたら鍋釜が上るのだ、だから家庭電気が少々上つたほうが、家庭電気を上げて、会社電気値上げを抑えたほうが皆さん御利益ではありませんかという、こういう言い方はどうも納得できない、こう申上げておるのです。それならば、私たちが全部日本の、我々の家庭で今日日本に発生する電気を全部我々が負担しよう、その代り製品を我々に無償で配給するか、私はそこまでお尋ねしたいわけです。結論するというとそういうことになる。それは社会主義の生産機構であつてもできないことなんです。そのできないことをちよつぴり口実に先ほどのおかたは使つて、家庭電気値上げしたほうがいいのではないかというようなことを言われたから、私はこういうことを言わざるを得ないわけであります。この点に関しまして一つ池田さんの所信をお聞かせ願いたいと思います。
  23. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 須藤君は大分須藤君の信奉せられておる主義に対する御発言のように聞きますが、今日公述した参考人の中に、大口電力を安くして、家庭用電力を高くせよということを述べられたかたは一人もなかつたように私は記憶しております。ただ永井さんが家庭用の電力だけが安くなればそれで国民生活が楽になるのだという考え方は妥当でない、こういうような御意見であつたと思います。
  24. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは私弁明したいと思います。私が本当にお聞きしたいところは、昨年も今年もいわゆる家庭電力の人たちの力によつて、即ち高い電気代が拂われて、その電気代によつて会社減価償却なり修繕がなされていた、こういう不合理を大口電気の使用者のかたはどういうふうにお考えになりますかとい、点で結構なんであります。
  25. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは日本化学の他出亀三郎君にお答弁願います。
  26. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 私も伺つておりますが、先ほどから、家庭電力を上げて、それによつて大口電力を下げるという、主張は誰もしていないと思います。私の申上げましたのは、種別料金調整を延ばす、こういましたのは、原価主義政策も、それはよろしいかも知れません、併しこれは急にできるはずがないと思います。或いはアメリカでも大体そういう態勢になつております。恐らくこれが、若し原価主義で行つて、山の中に、仮に今電燈のない村落はないような方針で行つておりますが、これを一々原価主義で行くということになりますと、非常に高いものになりまして、むしろこの点から言いますと、平均して、数字は私わかりませんけれども、これが非常に割再になつて大口電力は安過ぎるということは言えないと思います。そこで私どもいろいろ論議した問題でありますけれども原価主義ということが今度の種別調整に出ておりますけれども、あれはちつとも私原価主義にはなつていないと思います。これを本当にやりますというと、私はそういうデータはないと思います。このデータをとろうとしますと、非常に長い間非常に手数をかけませんと私はできないのではないかと思います。そこで先ほど申上げましたように、十分なこういう研究もいたしまして、そうして適正な値上げをやつたらどうかということを、我々前々から自立経済審白議会の時分から早くお上げなさい、こう申上げておつたのであります。大体今の拂込資本は七十二億ですから、今年は値上げせんでも八百二十億くらいを狙つているから、一割上げますと八十二億の利益、電力会社は二割を上げても三十割の利益になるそうですから、このくらいのものは、殊にこの資本は殆んど全部増資はしておりませんから、貨幣価値の高いときの資本でございますから、これに対して極端に言つたら五割にしても十割にしても高率配当じやないと思います。これは当然すべきだと思いましたから、早くから、値上げをなさい、こう申しておつたのであります。それか一つもう一つ大口、小口でございますけれども、コストの計算が違うということは大口でどかつと何方キロもらつておりますと、こういうような同じ市町村でも、大都市ならまだまとまつておりますからよろしゆうございますけれども、各部落に電燈をやらないところはない方針だというのに、一々本当に計算しましたら安いのか高いのかコストから行つたら非常に疑問だと思う。恐らくその計算はできていないと思う。又これを作ろうとしたら相当長い間かかると思います。そこで私どもは一応ここで一律に上げまして、そういう今おつしやつたようなことは追つて十分研究した上でなさることが合理的であり、国民一般の納得が行くのじやないか、こう思うわけであります。
  27. 奥むめお

    ○奥むめお君 私ども皆さんの御意見と全く同様の立場で、今度の電力値上案基礎数字が、資産の再評価につきましても減価償却につきましても非常に十分な数字を持つてしようとしている点は、是非御一緒に抗議を申込んで、少しでも値上げを食い止めたいという気持は同様でございます。併し電力値上げに便乗して、関連産業の製品が高くなつて家庭が脅かされるようになつては大変だという意味では皆さんがたに……、又私どもの立場からこの値上げが家庭にも影響することがあるという、家庭電力を安くするよりもむしろ家庭で使う品物が関連していろいろ高くなることは、私は困るじやないかという先ほどの御発言に対しても神経を尖らしたわけでございます。又私鉄のほうの関係から、先ほど鈴木さんが公益事業で九割何ぼも割引しているくらいだから、大口の電力需用に対してはそれと同じように安くすべきだという御意見がございましたが、これに対しましても私どもは恐らくそういうふうにたくさんの公益関係電力を同じように安くする、大口を安くするというようなことになつたら、そのしわ寄せは家庭電力にやつぱり来るのじやないか。鈴木さんはそういうことに対してはどういうふうにお考えに……私どもからもつと、これは理窟になりますけれども申上げれば、今の私鉄は割引は九割二分であるとしましても人間を運んでいるのじやなくて、まるで物を運んでいる私鉄のような、こういう犠牲において経営を立てていらつしやると思うのでございますが、これも併せて一つ意見を伺わせて頂きたいと思います。
  28. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) 電力料金値上げについては、これは全般的に我々反対しているものであります。勿論私鉄の立場から申上げますれば、先ほど申したように、実際において通勤通学という面においては殆んどコストを割つて赤字の輸送をしているような状態であります。従いまして公共事業の私鉄の電力料に対しましては特別の料金を設定してもらいたいということを申すのであります。勿論パーセンテージから言いましても、元は收入面から言つて五%ぐらいのやつが、最近のあれになると九%ぐらいになつている。今度の値上げによりますと大体二〇%くらいになりますので、従いまして今の定期運賃のコストを割つているにその上に同じよう、これを値上げされましては、会社の経営が成立つて行かんというな見地から申した次第であります。
  29. 奥むめお

    ○奥むめお君 そのしわ寄せは……。
  30. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) しわ寄せということについては、我々はよそへやれというような考えは毛頭ございません。全般的に電力料金の値下げをしてもらいたいということでございます。或る程度値上げはよろしいが、今度の公益事業委員会でやられたような大幅の値上げは困る、こういうことでございます。
  31. 奥むめお

    ○奥むめお君 私どもそれに対して申上げればでございますね。同じ値上げがすべて丁度今の私鉄のように、もう一ぱい一ぱいに物を積むようにして私どもが運ばれて行つて、ようようとにかく目的地に達するというのと同じようなもので、値上げを食い止めることによつて電力が弱くて、暗い電気しかもらえないと同様のこういう犠牲を押付けられたのでは、私ども非常に困る。やはり同じような電力で明るく役に立たなければ困るわけなんでございますね。それをこの御同様の問題として考えてもらいたいと思うのでございますが、産業におきましては、電力料金というものは特殊の硫安とか、そのほか特殊なものは別といたしましても、今までもそれを織込んでしまえる程度電力であるものが多いのに、それに便乗して値を上げられる慮れが多分にあるのでございますね。殊に私ども家庭消費者というものは非常に数が多いのでございます。扱う……もらいます電力は非常に少いのですけれども、国家全体から言えば非常に数が多いわけです。先ほどからどなた様の発言にも国家の産業的な見地とか、いろいろ国家的な見地の御発言がございまして、私ども同様の気持でおりますけれども、併し数で非常に多い、細かく各家庭におきましてお金としては五十円であるかも知れない、百円しか上らないかも知れない。併しこの値上りというものは非常な精神的にも、思想的にも非常に影響することが多いと思うのでございます。皆さんがたのほうはそれはコストの中で勘定、ちやんと精算しておいでになれるものでございます。ですから私どもは合理的に考えまして家庭の電力を急激に値上げをしない、大幅の値上げをしないということで是非突張つて行かなければしようがないと思うのでございますが、産業方面皆様がたもこういう気持で私どもの立場を支持して下さつて、そうしてあなたがたのほうがせめて同じ割合で料金を勘定すると、こういうふうにはお考えになれないでございましようか。これはどなたでも、委員長にお任せしてよろしゆうございます。
  32. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 池田君御発言を願います。
  33. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) ちよつとお隣べの御質問と思つてぼんやりしておりましたので、見当違いかも知れませんが、御了承願います。私はどうしても電力を余計もらえんと物が上ると思います。生産が上らなければこれは当然物価が上るのは当り前ですから物を作らなければいけない。先刻から値上げに、私ども大幅の値上げに反対いた口ましたけれども、反対しまして、仮に定率法定額法に変えますと、百五十億ちがいます。百億と二十五十億で百五十億足りません。それから再評価を若し仮にフルにするのを半分にしますと、大体これが五十億ぐらいになりましようか。二百億という金がここにどこからか出て来なければならんという質問を受けるのじやないかと思います。それを立上りましたついでと言つちやおかしいのでありますが、申上げたいと思うのであります。一体このことはさつきも社会的にこう考えなくちやいかんというお話もましたが、結局はこれだと思います。これを一つ議会でもお取上げ下すつて、この二百億の金をどこから出すかという問題です。百五十億は社債、社内留保、それから二百五十億は見返資金、あと二百億は私ども減らして下げた收入源がどこから出るかという問題でございますが、これは一つ私は私見を持つておるのですけれども、これは余り言いますと私ども叱られますから、ちよつとはつきり言いにくいのでございますけれども、大体毎月社債が三十億から四十億ぐらいございます。それから増資が五十億ぐらいございましようか。それから一年に大体四十億としますと約五百億、それから六百億、千百億ぐらいの社債を出す見通しがございます。恐らく拂込資本総額は今年一ぱい出しますと三千億、昨年の暮が二千二百何十億、三千億ぐらいになるのじやないかと思います。曾つて銀行の増資取引先が随分株を持たされましたが、これはやはりこの電気需用者といたしましても、何とかしてこの建設資金の穴埋めはほかの方法で考える義務があるのじやないかと、私はこう思つておるのであります。ただ上げないということでもいつまででもこれは済まんと思いますから、どうせこれから新らしく拡充いたしますれば生産も殖えますから、その面からいうと結局コストが下りますけれども電力料金そのものから言いますと、新らしく殖えましたものは当然これは上りますから原価は上るだろうと思いますが、これは併し止むを得ないと思いますけれども、今こうして先ほど申上げました一カ月百億の増資、或いは社債で以て新らしくいろいろな事業をされましても、今のままで参りましたら結局どこか出ればどこか引込む、電力が足りませんから…、場合によれば成る工場はたくさん上るという結果になる。現在でも足りなくて非常に悪い姿の電力を不安がちにやつておりますから、これが電力さえ十分にあればもつと稼働率が殖えまして、雇用率が殖えまして、そうして生産を上げて物価を下げるということは、これはもうはつきりした事実であります。私はそういう大きな見地からいたしまして、一つ物価を下げることを考えまして、場合によつた電気のコストが上つても間接に家庭方面では物が安く買えるというふうになるほうが好ましいのじやないかと、こんなふうに考えておるものであります。そこで私はじや二百億をお前たちはどうするのかというのですが、すぐ需用者が全部これを負担しろと言つてもなかなかできませんですから、ここがつまり官民協力した何か大きな政府国会なりが手を打つて下さいまして、現在でも政府資金は二千億あると思います。この方面から仮に一割ここで優先して使わしてもらえば、二百億は容易に出て参ります。極端に言いますと、もう一つ考え方を言いますと、一カ月に百億の増資、及び社債を延ばせば百億の金は出るわけです。どこからか……。而も政府資金の二千億というものは、ここから二百億引出すということは、政府がそういう方針になつて電力に優先しまして、そうしてこれを出して拡充するのが日本国策の第一優先にしなければいかんという国論さえきまりますれば、これは当然できることだと、この点で丁度いい機会ですから一つお願いをしておきたいと思います。
  34. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 奥さんよろしうございますか。
  35. 奥むめお

    ○奥むめお君 私たち消費者のほうばかり申して時間をとつても……。
  36. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 須藤君と奥君の今の二つの御質問の要点が外れた御答弁を頂いたと考えておりますが、須藤君も奥君も料金の大幅値上げに対しては反対である。今日お見えになつておるかたはみんな反対のようでありますが……反対である。従つて電力事業合理化を先やれという御意見が非常に強く今日は述べられたように考えましたけれども事業者の今日参考人としての御意見をお述べになつたかたがたが自分たちのやつておる企業が、電力料金が上つた、その値上げの率を企業合理化によつて幾らぐらいまでは生産費が切詰められるけれども、これ以上はこうなるのだという真摯な御意見の開陳がなかつた点に対して、須藤君や奥君が質問されたと思います。これは私も非常に遺憾に感じております。この点を一つ今日お帰りになりましてよく御検討して頂きたいと考えております。それから今の日本の各種企業合理化の頂点に立つておるとは私考えておりません。従つてこのたび電力料金が五割上る、六割上ると仮定いたしましても、生産される価格の中にはその値上りがそのまま転嫁されるではないかという虞れを須藤君や奥君が持つておられる。国民全体も持つておると考えます。従つてあなたがたが電気料金値上げに対して若し反対されるならば、仮にこうなつた場合、我々は先ず企業努力でここまでは行けるが、これから先はどうしても行けんから、この程度値上げをして欲しいというような建設的な基盤に立つて意見の開陳が実は今日はお願いしたかつたのですが、そういう点が欠けておつたように考えますので、これは一つお帰りになつて検討願いたいと思います。
  37. 小野義夫

    ○小野義夫君 私の御質問申上げるのは簡單でございますが、その前に私どもの同僚の須藤委員、奥委員からお述べになつた杞憂と言いますか、情勢というものは、私ども同感であるのででありますが、併しその根本的な問題は、これは電力会社自体が社会政策的のお考えを持つかどうかということで、今日の御出席のかたにこの点をお尋ね申すということは或いは無理であるのではないか。又私ども考えておりますところは、配電のコストが非常に家庭電力にはかかるので、これの保全若しくは監督費というものが、莫大な費用を要するが故に、常に多額の経費がただの一本の針金によつて数万キロを使うところの需用とは、いわゆる配電コストというものと、最終末端の配電コストというものはおのずから違うのでありまして、この点に或いは両委員は一体家庭電力はいつも一方が六円とか八円というのに、一方が一円とか二円ということなので、非常に割高で、非常に産業界から莫大なしわ寄せが従来もあり、又かかる場合によつて一層しわ寄せが家庭の我々の大衆生活の上に来るのではないか、仮に来ないとしても、只今鈴木社長のおつしやるごとく、社会政策的にこういう公共事業というものは、経営の上に、今までも家庭電力が赤字になるということを主張しておるのでありますが、赤字になつてもやるべきではないかということは、これは一つ電力経営或いは公共事業者に対して委員長は強く我々の同僚委員の要望をやつて頂くことといたしまして、私はこれは数字というものは理窟であつて、数字を離れた感覚というものは非常に鋭敏なものであります。そこで私どもが今日伺いたいのは、大体原案は七割五分アツプということの原案が出ておるのでありますが、各業界のかたがたとして相当値上げはこれを認めざるを得ないということも縷々述べられておる。但しかかる大幅の値上げを一時に上げるということは、あらゆる産業並びに家庭生活影響があるからとおつしやるのでありますが。試みにこれはあえて私どもは責任を問うのではないのでありますけれども皆さんのほうの感覚で一体何割アツプならば我慢が行くかということを一つ各代表の諸君から一応承わりますれば、当参議院委員会におけるところの肚も……明日において我々は最終的な相談をしようと思つておるのであります。それの参考になる。先ほど永井さんは二割アップは承認するというお話が出たのでありますが、それで一つ順次各代表がたのどこまでは我慢ができるかということを一つ承わりたいと思います。
  38. 福永年久

    参考人福永年久君) 今の御質問の何割までならば我慢ができるかということにつきましては、いろいろ私、石炭協会でありますが、検討はいたしておりますが、責任のある代表としてではございますけれども、責任のある数字をここで申上げるまでには立ち至つておりません。おりませんから甚だ失礼ではありますけれども、私個人的に考えまするところだけをお答え申上げておきますが、さように御了解をお願いいたします。(「個人意見で結構です」と呼ぶ者あり)詳しい数字も勿論電力会社としてまだ出ておりませんで、このいわゆる基準案によつたと言われる基準案というものが制定されて、その基準案によつた電力料金というものが発表されておりませんので、その数字はわかりませんけれども、でも従来出ておりますような数字を見ましたときに、事実どれだけのものがそのうちで、その案の料金構成している内容要素がどういうものであるかということがわかつておりませんので、いろいろこれに対しての答弁はできませんけれども、若し皆様がたのほうにそういう数字でもおわかりで、ございましたら、又これによつて検討することもできましよう。ただ逆に私どものほうで、じや何ぼ上るかわからないけれども、何ぼまで上つたならば我慢できるかという御質問であつたろうと思いますが、で、考えて見ましたときに、これは本当に私だけの考えでありますけれども、一、二割ならば我慢できるところではないかと考えます。こういうふうに考えます。といいますのは、根拠は先ほど私は陳述の中に述べましたような数字から、私だけで考えておつたわけでございます。
  39. 奥むめお

    ○奥むめお君 ちよつとそれに関連して……。便乗して家庭に廻つて来る製品を上げないで、この値上げを向うが呑み込む程度値上げということに條件をつけてもらわないと、二割電力が上るから製品を皆二割上げるということになれば、私ども何にもならないのです。(「同感々々」と呼ぶ者あり)どうぞ委員長御採用願います。
  40. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ちよつと奥君に伺いますが、今の問題は各種産業企業合理化電力の状態が現在のような状態のままであつて、どこまでやつて行けるかという非常に大きな問題でございます。今お見えになつているかたがただけではちよつと御答弁できないと思いますが、そういう意味合いを含めての御答弁という意味合いと御了解を願いたいと思います。
  41. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) 附表としてお手許に差上げておきましたのですが、我々の私鉄業者から見ればこれも一つ値上げさしてもらつちや困るというような状態であります。というのはそこにお手許に差上げてありました大体人件費、動力費、補修費、経費という項で述べております。人件費はこれは企業合理化とか、いろいろあらゆる経営の合理化によつてできるだけ切詰めております。私が東急を引受けまして三年間ですが、大体において千人ぐらいの人を減らしておりまして、これは首切つたわけではありません。毎年一人も入れないという方針を取りましてその面の切詰めを断行したのであります。これ以上切詰め得ないという状態になつております。それから経費の面であります、借入金の利子も含めてこれは全然動かせないところであります。従いまして動力費と補修費と二つの問題にかかつて行くのでありますが、いわゆる動力費が上ればいわゆる修繕費を、この点を食つて行かなければならん状態なんです。というのは今の運賃率から申しまして大体七二・五倍の運賃でありまして、諸物価は大体百倍以上になつております。我々の使つておりますものは先ほども申上げましたように、銅、鉄、すべて高物価になつておるものばかりであります、車両から申しましても、もと三万円でできたが、今は千三、四百万円、レールにいたしましても三百倍、銅にいたしますればなお更上つております。枕木というようなものについては一円六十銭のものがやはり四百円以上もするというような状態でありますので、その価からしましても動力費が上つて行けば結局修繕費食つて行かなくちやならん。その他一方では物価騰貴で数量が非常に減つて来る、いわゆる修繕のほうに廻る数量が減つて行く。従いまして補修費を食うということは私鉄全体の運転に非常に危険な状態を及ぼしますので、私の考えといたしましては私鉄全体としては電力費は一つも上げて頂かんほうがよろしい、こういう結果になります。
  42. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 私はさつきも申しましたが、四十六団体持つておりますから、この団体を代表した意見なんということは結局申されません。私ただ個人といたしまして計算をしておりますが、無論ここで発表するまでにはなつておりません。私が自立経済審議会のときに、電力委員会考えたときには、あの当時では二割はよろしかろう、こう思いました。併し又これが更に新たに建設した分になりますと、これは相当に建設費が高くなりますから、又値上げしなければならんだろう、こう思つております。先に申し上げました二割上るということになりますと、配当も十分にして、従つて増資も社債も、あれで一応の建設資金はできるだろう、こう考えております。それよりは今もう少ししてもいいと思います。それが二割五分になるか、三割になるか、それは持つておりますけれどもちよつと申上げることを憚かります。二割以上はしてもよかろうかと……。
  43. 西田隆男

    委員長西田隆男君) あなたの御見当だけで結構ですから言つて下さい。決して責任を問うわけではありませんから……。
  44. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 僕の計算によりますと最高二割七、八分になるんです。但しこれはさつきから申しましたように、これは絶対條件がつくのでございます。割当制は今まで通り残して行く、それからすべての種別調整はしない、このままですつきりずつと行けばよろしい、こういうことなんであります。それからもう一つさつきも申上げましたけれども、この間の案のように、即ち一—三の渇水期から四—六の豊水期に移りますとき六%しか割当を殖やしておりません。公益事業委員会割当はこれはむちやです。これはなお内容の説明を聞きますと、従来三一%のロスを二六%にし、それから利用率八八%を九一%にしまして、更に石炭は六百五十万トン焚くということになりますと、相当電力供給量は殖えるわけなんです。昨年は三一%殖やして割当をした。今年はそういういい條件を加えましてなお六%しか殖やしていないのです。そこで私どもが安本に参りましたし、更に司令部に行つてケネデイー氏に話を聞いて参りました。この間の三十六億の含み資産も、その水の量を減らしたために……そこではつきりと図面も書きまして三時間半くらいねばつたのでありますが、よく聞いてくれまして、十月から見るとずつと数量を殖やしてくれました。今年の三月まで、二月にちよつと緊急停電がございましたけれども、無事に来た。今度四月になりますと当然豊水ですから三割やそこらは殖えるのは当然です。然るにロスは二六%、利用率は九一%にし、而も石炭は余計焚いて、そうして配給量を殖やしたのであります。冬は超過料金で取りますから電力会社は只儲けをする、それで三十六億の含み資産を生じた……、でこれは絶対條件附です、私が帰りましてから余計なことを言つたという二とになりますと大変なことになりますから、これは絶対條件として今申上げたわけでございます。
  45. 北脇市太郎

    参考人(北脇市太郎君) お手許に資料が廻つておるとは存じますが、先ほど電化協会長が料金総合値上率は二〇%程度とすると、こう申しましたが、それの前提といたしましては、再評価倍率は六〇%程度とし、なお定額法による減価償却を行う。それから人件費は現在通りということ、そうして電気業者の企業合理化の実績を参酌いたしまして、こういう表ができておるのです。一〇〇%再評価、それから八〇%再評価、六九%再評価、六四%再評価、六〇%再評価、こういうふうに評価率をきめまして、それから人件費とか修繕費石炭費減価償却費、固定資産税支拂利息、それから利潤その他、それから購入電力料、こういうふうに詳しく項目別に計算いたしまして、そういたしますというと、この販売電力量を二百八十九億キロワツト時とこういたします。そういたしますというと、キロワツト時の單価が三円二十七銭になるのです。そういたしますと二十五年一月から十二月平均実績の単価が、これは事業税加算額を除きまして、標準料金のみが二円四十二銭、それから追加料金を含めますと二円九十銭になるのです。そういたしますと、昨年二十五年度の標準料金と、今度の資産評価後の一キロワツト時の値段との比をとりますというと、標準料金に対する比率は一円三十二銭、それから二円九十銭に対する比率は一円十二銭、こういうふうになりますから、これに基きまして先ず料金総合値上率は二〇%程度とすべきである、こういうふうに出ておるのです。以上であります。
  46. 鬼頭忠一

    参考人(鬼頭忠一君) 硫安工業におきましては、実は終戦後経営者と労働者が一体となりまして、硫安工業復興会議というものを作りまして、政府と一体になりまして、ひたすら合理化に努めて参つたのでありますが、なかなか合理化にもおのずから限度がありますので、どこまでも無限にできるものではないのでありますから、最近におきましては増産によつて、そうしてコストの平均を下げるという点に大きな重点を置いて来つつあるわけであります。ところが現在硫安の製造能力は年産二百二十万トンであります。これは電力があり、硫化鉱があり、コークスありという物の必要量が整いますれば、即座にそれだけの生産ができるという数字であります。実際の何と申しますか、アクチユアル・キヤパシテイの現在生産しておりますのは年額約百七十五万トンでありますが、今御承知のように電力等の不足のためになかなか思うように増産ができないという状況にあるのであります。なお硫安の価額につきましては、到底普通の値段では引合わないというので、買うほうの側からいつてなかなか買えないというので補助金がついておつたのでありますが、これは昨年からなくなりまして、同時に……、つまり農家で硫安を買いますために、高い硫安を安く買うために補助金がついておつたのでありますが、それがなくなりまして農家の負担にそれだけなるということになつたのでありますが、その際に負担を実際するのは、農家でなくて、製造業者のほうが負担をせなければならんよとになつた。農家のほうは構わないというのでだんだん下げられたのであります。それで先ほど申しましたような、現在も一叺につきまして、七百八十円余りの時価になつておるのであります。これは特殊の事情で国内価格として扱われておるのであります。これは御案内の通り、硫安の価格は今フリーでありますが、実際は先ほど申上げましたように、いろいろの制約を受けておりましてなかなかコスト一ぱいの値段がとれない、それで最近はこの輸出を許して頂く、これは内地の需要には事欠かない、余つたものを輸出することを若干許されましで、そして輸出に対しては、これは国際価格でありますから相当な値段に、適当な値段に近い価格でもらえるわけであります。内地の価格に比べますというと、これは非常な高値になるわけであります。国際的にそれだけの値打のものを、非常に安く日本では作つておるという勘定になるのであります。そういう事情でありますので、硫安といたしましては従来もコストを割つた値段が出ておる会社がなかなか多いのであります。特にガス法におきましては、先ず明白に言いますと現在割つておる状態でありますので、これはこれ以上更に電力料の値上料を吸收せよと言われましても、これはまあ全く不可能であります。吸収はできない。電解法におきましては、これも今非常に電力の不足のために十分なる稼働をいたしておりませんので、能力が百といたしますれば大体六八%の操業をいたしております。これがフルに近い操業を許されるならば、そうすればコストがだんだん下つて参ります。併しそれにいたしましても電力値上げだけは十分硫安で吸收はなかなか難かしいとおもいますが、コスト一ぱいにこの何をいたしますれば、稼働をさしてもらえれば、或いは一割ぐらいは吸収できるかも知れん、全く私見でありますが、細かい計算をいたしておりませんから、或いはあるのじやないかというふうに感じるのであります。併し総括いたしましてなかなかそういうことが望まれないと思いますから、硫安といたしましてはなかなか吸收はできん、そうすると今でも従来のコスト高に対しましても、値段を上げたいというのでありますけれども、これはなかなかいろいろな事情で以つて、これも上らずに抑えられておるということもありますことも御了承願いたいと思います。これを以つてお答えといたします。
  47. 市川直雄

    参考人(市川直雄君) 鉄鋼関係料金の点に関しましては、お手許に配付した書類がありますのですが、それを読んで見ますと、殊に鉄鋼は六百需用者であり、又重要産業の基盤としても製品の元をなしておる電力料金値上げに反対いたしますので、改訂に我々は愼重なる御考慮をお願い申上げる次第であります。こう申しましても誠にあいまい模糊としておるのでありますが、実際問題におきまして我々が使つております電力料金は、アロケーシヨンの問題に非常な、割当の問題に非常な大きな関連を持つのでありまして、割当を大きく頂けば多少の値上りは吸收できるのでありますが、割当を少く頂きまして、火力料金で残余のものはやれというようなことになりますと、非常に電力料金というものはもう現在でも下げてもらわなければならんというくらいな状態になるのでありまして、電力料金の問題はかかつてこの割当の如何にあるという形になるわけであります。ですからこの年間を通じ、或いは一期間を通じて公益委員会でその電力会社にどれだけの電気が出るかという決定が一番大事なものであります。これを過小評価してあとは火力料金でやる、こういうような考え方になりますと、幾らでも高くなつて、どうにもならんというような形になるわけであります。この恵み勘案してやらないと、どうしても何割で値上げは吸収できるか、できんかといいましても非常に困難な問題であります。殊に我々のごとくスクラツプの電気を使つておるというような業種におきましては、非常にこの決定は困難なのでありますが、従来の……。又もう少し申上げますと、実際この割当電気に一〇%、一割の火力料金を使いますと、電力料金は倍になります。一割の火力料金を使いますと、もう倍になりまして、ただ一割だけだからといつて一割余分に使いますと、倍くらいな料金になるわけであります。実際料金の問題と割当の問題は密接不離な関係にあつて、ちよつとここで申上げにくいのでありますが、大体におきまして我々が集まりましていろいろと考えましたところによりますと、まあ電気事業も或る程度までの値上げをしなければならんということもわかつて、又我々も経営の御苦労から察してですね、或る程度値上げは止むを得ないのじやないかというような形からいろいろと考えまして、鉄鋼業にしろ、これは全体の意見というわけでもないのですが、二割くらいな料金で是非やつてもらいたいというような考えを持つております。
  48. 中山廉

    参考人(中山廉君) 製品の売価が上らないので、現在の状態において、企業合理化によつて幾らまで電力料金を上げることができるかという御質問だろうと思います。これは私のほうは石灰窒素、カーバイドを作つております。又石灰協会の代表者は今日は御諮問になつていないようでありますが、恐らく今までに相当の努力をしていると私は考える。それで業者の中には現在でもやれんところがたくさんあるだろう。電力料金が上つて製品を上げないというようなことが果してできるかどうか。これは損ならば作らない。又カーバイドを石灰窒素に実際なしておるが、そんなところは或いは醋酸にする、幾らか利益のあるほうに転換しつつあるのであります。つまり製品が減つて来る、減つて来れば上るというような、どういうのですかね、つまり供給と需要とのつまり経済の原則に副つて必ず行くだろうと思います。統制されておりませんから……。そこでですね、値段を上げないでどこまで合理化ができるかということを一般的に言えと言われても、或る会社はできるし、或る会社はできないかも知れない、私はこう思います。そこで今日は、甚だ自分の大牟田工場のことを言つて、甚だ小さいことを申上げて相済まんですが、その御諮問もありましたかり、大牟田工場のことについて申上げます。現在大牟田工場は経営殆んど困難になつておる、それで九州における現状を御覧になればカーバイド工業でほかにやつておるのはすべて中止いたしました。鉄鋼工業も中止いたしました。これは自家発電を持つていないところは全部中止しました。まさに私たちの大牟田工場が今中止をするか、せんかの境目に来ておる。ここで申上げれのはどうかと思いますが、我々はそるじや何故そういうところに作つたかとおつしやるかも知れない。現在において九州で電化工業は、今後は恐らく自家発電を持たない限り起らないでありましよう。又現在において存立しないでありましよう。現実に二、三カ所はやめたのであります。私たちは何故そこに作つたか。それは自分で自立ができるようにしてやつた。ちやんと自家発電を持つて自立ができるようにしてやつた。それがまあ、日本発送電の御承知のあれで取られてしまつた、そういうことで経営が現在困難になつて来ている、私の会社は、ほかもそうでしようが、電化工業というものが自家発電を持つて初めてその工業は安定すると思います。そうでない以上はこの電力会社と、特別に地方的な例えば開発するからこの工場ができれば大きな電力を使うからこの発電所はできるのだというようなことで、この電力会社を相助け合つて相互扶助によつて大口電力というものはできて来た、こういうふうに考えます。そこでできたときにはこれは非常に助け合つた、今度電力不足になると、もうお前は要らない。こういうやり方はこの日本国民が……、道徳的から考えてもいかんと思う。そこでできるときたやつぱりまあ助け合つて来たならばまあまあお互いに生きて行こうじやないかというのが、これが人情じやないかと思う。そういう点から言つて單に大口電力をいじめるというと語弊がありますが、大口電力を生きるようにするために小品が高くなるということをただおつしやつても因縁を忘れたただ現実のみを見たやり方じやないかと、こういうふうに考えるのです。
  49. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 要点だけの御答弁を願います。
  50. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私数点質問を申上げたいのでありますが、只今参考人並びに委員の間に質疑応答の過程において二、三言及したい点もありますので、そういう点も併せて前にいたしたいと思います。先ず最初に私お尋ねをいたしたいことは、大口産業値上り率を下げて値上げの幅は大体一割乃至二割で行く、こういうことを強く述べられたのでありまして産業の立場かもいたしまするならば、御尤もだと思うのであります。又今日はそういうような主として基礎産業と申しますか、公益事業と申しますか、そういつたようなかたがた参考人としておいでになつておるのでありまして、必ずしも全産業かたがたの御意見を伺つたというわけではないのでありますが、大体私は理解をいたすのであります。併しここでお伺いをいたしたいのは、昨日も実はこの委員会で大分いろいろと質した点でありますが、先ず二十四年の十二月十三日にあの画期的な料金値上げが断行せられました当時国会におつきましても、いろいろと問題点を抽出いたしまして論議をいたしたのであり、私もまだはつきりと当時の私の考えを記憶いたしておるのでありますが、そのとき以来一カ年有半に亘つて行われましたところの当時の値上げ予想は三二・二%であつたのであります。ところがいろいろ異常豊水その他の関係石炭相当焚いたというような関係で、実際の総括原価は一キロワツト当りにいたしまして一・五九%の値上げであつた。いわゆる五九%の値上げであつたということが明らかになるのであります。三二・二%の予定でありましたのが五九%の値上りになつてつた、こういうことであります。ところが最近私どもが調べておりますると大口の電力の中には却つてこういうような値上げをいたしたにもかかわらず値上げ前よりも値下げになつてつておるというのが相当あるのであります。これはよくお聞き取りを願つておきたいことと思うのでありますが、下つておるのであります。今度電気事業が電燈から大口まで含めまして七割の値上げをする、そうして家庭用が三割八分、或いは大口工場は八割、こういうようなことを発表いたしましたときに大口工場のほうから、これは八割ではない、二倍半にも三倍にも上るのだと、こういうことをおつしやつておるのでありますが、それは結局実績から御計算をなすつたことだと思うのでありまして、結局値上げにならなかつた、値下げになつてつたのベースになつておるのであります。一般需要者から考えまするならばすでに昨年度は五割九分の値上げ負担し、そうして今度又三割幾ら上るわけでありますから一般消費者も相当値上げになるわけであります。そこでここに各工場全部大体わかつておりますから申上げてもよろしいのでありますが、金属工業、或いは化学工業、繊維工業、製紙工業、窯業というようなところが大体そう大して影響がない、或いは下つておる工業なのであります。そこでどうしてそういう現象が起きたかということを考えて見ましたところ、その最も大きな原因は昨年異常農水になりましたとき一応アロケーシヨンがありまして、家庭用の電燈或いは五百キロ未満の小さい工場に対しましてはあらかじめ決定をいたしました枠がそのまま異常豊水の如何にかかわらず修正されないで実行されたのでありますから、大口工場のほうに対しましては豊水の都度先ほど池田さんがおつしやつたように運動をせられて割当の枠が殖えたわけであります。そうして勢い料金がサム・アツプされたものがぐつと減つた、こういう現象が起きておるわけであります。それで私は本日おいでになつておる各会社の御契約の規模がどの程度の大きさのものでありまするのか、多数の工場の代表をしておられるのでありまするから一概には申されませんけれども、そういうようなことがとにかくありました。そうして今この値上げをいたしまして値上率を云々いたしまするときに過去一カ年関すでに値上げのために苦しんで来た人と、それから値上げ影響を全然受けない、或いは実質的に値下げのような状態になつてつた、こういう企業がはつきりと、雑然と入つておるということをあなたがたがお認めになつておるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  51. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) ちよつと私聞き取れませんでしたので……。
  52. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 質問の要点は、二十四年の料金改訂の後において改訂前の料金よりか下つたようなかつこうで電力を使つた工業が、化学工業、繊維工業、製紙工業等々にあつたが、そういうことをお認めになつておるかどうか、こういう質問でございます。
  53. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 私は只今のところ存じ上げておりません。
  54. 北脇市太郎

    参考人(北脇市太郎君) 私も同様に存じておりませんです。ちよつと立ちましたついでに発言することをお許し願いたいのですが、先ほど家庭用の電力、それから産業用の電力価格の問題がございました。それから合理化のお話も出たのでございますが、それに関係もございまするからして、一言ちよつと申添えさせて頂きたいのです。先ほど電気化学の中山常務からもお話がございましたように、自己発電を持つておられる会社の実績によりますと、発電原価は、今回再評価を実施いたしましても、一キロワツト時三十銭或いは四十銭くらいで発電できると、こういうような調査もあることをちよつと申上げておきます。
  55. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今私が申上げましたことについて、参考人のかたはお気付きになつていないようでありますが、これははつきりとそういう実績が出ておるのであります。従いましてそういうことを全然お考えなしに電気料金の議論を遊ばすことは、少し私は欠けておるところがあるのではないか。特に大口の需用家かたがたにつきましてはそういう点を、家庭用の電燈のことも問題になりましたが、十分含んでお考えを願わなければならんと思うのであります。特に原価構成の場合にはいろいろ成るほど家庭用電燈のほうが高いことは当然であります。又大口のほうが安いのは当然でありますけれども、それぞれの部門におけるところの生産原価というものは負担されなければならないのでありますが、私は先ほど来割当制を残せということが真剣に要望されましたが、これには私、反対の立場をとるのであります。丁度二十四年の十二月の料金改訂のときに私が国会において一番最初に発言をいたしましたのは、一たび期初めにおいて割当決定したときには異常豊水があつた場合には、その異常豊水によつて発電された電力量というものは増加割当をしてはいかんということを力説したのであります。そしてそれによつて得られた収入は全部渇水期に備えますために、渇水準備金というものを別途に積立をいたします。これは需用者の金でもない、又国の税金の引当にする金でもないのでありまして、消費者に還元を渇水期において行う、こういう意味において渇水準備金制度で積立てなければならんということを力説したのであります。ところが昨日驚くべきことが委員会で明らかになつたのであります。つまり一昨年以来の豊水期に当りまして誰が一番その豊水の利益にあずかつたかと申しますと、大口産業皆さんであつたということが明らかになつたのであります。それは家庭用なり小品、中くらいの工場に対しましては、先ほど申上げました通りに期初めに決定をいたしました割当が全部釘付にされて変更されていないわけであります。ところが異常豊水によつて出ました電力は、御運動によりまして大口の工場へ枠として緩められて行つたわけであります。従つてこれを逆に申しまするならば、水力で起きました電気火力料金一般家庭なり或いは中小企業において徴収をいたしまして、そして異常豊水で起きましたところの水力電気を大口工場標準料金で送り、大口工場料金を安くした、こういうことでないかということを私は追及いたしたのでありますが、結局そういうことを昨日は各事業者も認めたわけであります。これは速記に残つておりますからあとで御覧頂けばよろしうございますが、残つております。従いましてそういう観点からしてこの料金の問題は真剣にお考えを頂きたいと思うのであります。この点は私の意見でありまするが、どうか公正な立場に立ちまして今の割当の問題というものはそういう工合に軽々に扱えない。異常豊水によつて起きました利益というものは、これは国民全部に均霑して割戻しをされなければならんものであります。一部の大口産業だけにこれが割戻しをされるというようなことは、これは許されないことであると思うのであります。  そこで第二の質問でありますが、先ほど大口産業のいろいろな値上りによる物価の影響その他いろいろと言われたのでありますが、私は今度の料金の若し値上げが行われるといたしました場合に、大口産業がその値上げを吸收し得る力というものはどの程度にあるかということを考えているのであります。ところがここで問題になりますのは、私どもが最近の各社の業績をずつと調べておるのでありますが、たとへて申しますると、利益率等はパルプ工業等は五五%或いは三二%というようなものもあります。又紡績におきましては三〇%をきれるような利益率の会社はありません。それから化学繊維関係におきましては、東洋レーヨンが二二〇%、新生レーヨンは一二一%というような利益率であります。又製紙関係におきましても三〇%をきれるものはございません。鉄鋼業におきましては川崎が五六・七%、帝国製鉄三〇%、神戸鋳鉄が約一五%、こういうようなものであります。それからその他富士製鉄、日本製鋼、日本特殊鋼、小倉製鋼その他全部四〇%以上の利益率を収めておるのであります。従いましてこういうような高率の利益率を改め、そうして相当仕事が行われておりまする半面に一〇%、或いは一〇%をきるような企業もたくさんあるわけであります。まさに朝鮮事変以後日本の経済界の各企業の敢行状態というものは非常な波を打つておるわけであります。従つてこういうようなときに私は料金値上げの問題におきましても、一律に上げるとか下げるとかというようなことは、大きな国家的意味から申せば根本的に私は考えて見なければならん点があるのじやないか。先ほど東京急行の鈴木さんから熱心に御説明を聞かせて頂きましたが、私は電鉄の場合は御尤もであると思うのであります。従いまして先ほど政策的にやれ、国策的に考えなければならんということが力説をせられましたが、そういうことになりまするならば、今申上げましたような点ももつと突つこんで考えなければならん。そこで私は、先ほど池田さんも大分御主張になりましたから、こういうような日本経済の非常な波を打つておりますときに、そうして基幹産業であり、犠牲産業であり、国民のものであるところの電気を配分いたしますときに、大口産業としてのあり方をどういう工合に考えたらいいのであるか、今のような事情から一つお聞きいたしたいと思うのであります。
  56. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 池田亀三郎君。あなたが一番総括的に御存じでしようから……。
  57. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 先ほど利益率のことを申されましたが、これは或る面から御尤もだと思います。ただ資本構成と、それからその会社の借金なりよく御覧になりませんと……例えば全体としていつて十億の会社が百億の借金をしておつたら、十割の利益と申されましても、これは一割の利益しかないのであります。アメリカ人から見ればとんでもないことであつて、アメリカ人に言わせると、結局借金の金利と見ないというのです。私も間接に関係しておりまして、一種の仕事をするようなことに間接に御相談を受けておりますが、これは日本人の常識ではちよつとわからないことなのです。この点は一つそれも一緒にお考え願いませんと……。さつき私が申した、電力会社の総額七十二億の拂込に対しては、配当を六割にしても十割にしても余り問題でない、貨幣価値の高いときの株主だつたからと思います。その点を一つ御考慮願つてもいいのではないかと思います。それから割当制度の問題ですが、これは私も大体あなた同じような考えを持つておりますが、これはなかなか誰がやつても見通しかができません。全く科学的な見通しは非常に困難と思うのです。然るにさつき申しました今年の第一四半期と第二四半期、第四四半期と第一四半期との年度変りのときですけれども、過去の九年間の税金を見たからそれが正しいということはないと思います。明日の天気を申しますのに過去の九年間の天気を見て明日の天気は晴であるかどうかということを予想するのは当らない。明日の天気であつたら、今日の天気も昨日の天気も見たところが正しいのじやないか、私の主張はこういう主張なんです。なかなかこれは見通しがつかん。雨が降ろうというのも非常に重要なフアクターですけれども、そうともきまりませんから、今月予定より降りましたらそれだけは来月の割当に殖やしてやるべきじやないか、そうして割当すればいいのです。若し激つたときは、それはそれでいいのです。今月減つたら来月減らしておくのです。若し今のあなたのようなお話であつたとしますと、ここ五カ年くらいは異常豊水でしたか、えらいたくさん金が積むだろうと思う。それですからこれは非常に私はむずかしいことだと思います。それから気象が違いますので、九年間十年間長く見たから正しいのだということは絶対に言えないと思います。この点はいずれ科学的に大いに研究いたしませんと、はつきりどれがいいかということは断定はつきませんですけれども、今お話のことにつきましては、若し今月のそれよりも殖えたならば来月に割当てなければならん、減つたら仕方がありませんから超過料金を出します。需用者のほうはそれで私はいいのじやないか、こういうような私見をかねてから持つております。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私ども今の割当の問題は非常に料金と殆んど同じ重要性を持つておる問題であるから繰返して申上げますが、今月豊水が出た、そうして予定の石炭を焚かなかつたのが、来月渇水が来たから来月はそれを石炭で焚いて余計出す、御尤もであります。それでうまく行けばいいのでありますが、御承知のようにそういうことをやりますと、今申上げましたように大口産業のところへだけしか流れ得ないわけです。一般家庭の割当を均等に殖やすというなことは、殆んどこれは事務的にも技術的にも不可能です。家庭の一燈二燈ついておるところのメーターの需用家までも同じようなパーセンテージで殖やしてやつて行くということは不可能です。大口産業だけそういうことをやるのはいけないのでありまして、全部還元いたしますためには、やはり渇水豊水は年一年を波打つて行うわけであります。従つて九年間ということが正しいというわけではありませんが、一応ベースを九年間の平均をとつておきまして、それよりも今年度の出水状態がよかつたというときには、よかつた分だけは以上確かに収入が増になるわけでありますから、それだけを紐付に積立いたしまして、そうして明年に渇水が来たならば、そのときにその分だけの石炭を余計焚いてやる、こういう工合にいたして参らなければいかんということを、これはいろいろ考えた末に私どもも結論として持つておるわけです。従いましてどうか今の問題はそういうような非常に不安定な原料を、水というものを原料として電気を起しているのでありますが、従いまして発生して来るものも不安定である、而もその不安定のもので利益が出、損失が出たときには国民全部がこれを公平に負担をし、或いは利益にあずからなければなりませんので、そういう観点から物事を考えておるのであります。大口の皆様がたに対しまして大変失礼のようなことを申上げたのでありますが、大口のかたがただけでそういう利益をひとりで占められるということは、いささか当を得ないのじやないか、こういう私の立論から申上げておるわけであります。それから第三点にお伺いいたしたいことは、先ほど来の御証言を聞きますると、例えば農業用には政策料金を行わなければならん、又電鉄のようなところにも政策を行なつておるのであるからして、政策料金を行わなければならん。更に九州のほうにおきましては地域差料金を撤廃しなければならない、そうして豊富な電力をくれなければ困る、或いは電力融通をうまくやらなければいかん。今日九会社ができましてからあとは東京のほうは深夜電力を送つておりますが、関西のほうは電力がないために火力を焚いておるというような必然的に不利益な電力調整が現に行われておるのであります。そういうようなことのないように電力融通も円滑にいたさなければならん。又先ほど池田さんは二百億ばかりの金は別途に調達する方法があるのじやないか、国家資金を直接投入するような方法があるのじやないか、公益委員会は私的委員会のような感もあるからこれは民主的にしなければならんというようなことを力説されたのでありまして、私どもは全部いずれも大賛成であります。併し大賛成でありながら、どうして今日これができないかと申しますと、再編成の途上において今日できました会社を作るために努力をされた人々は、決してこういう考え方でなくて独立採算によつて公益事業という看板はありますけれども、独立採算において、私企業において、自己資金の調達によつてすべてのものを運営して行くような会社を作りたいということを宣伝されたわけであります。そうして信用を自己の力において確立をいたしまして、そうして国民に責任を持たせるような電源開発もやつて行きたい、これを熱心に唱えられました。私どもはこういう考え方は絶対にうまく行かない考え方、そうして事業の性格が違いますから、絶対不可能であるということを力説して参つたのでありまするが、残念ながら今日御公述を願いました参考人かたがたも、大抵前者の私企業で、そうして独立採算でやつて行こうという御意見に御賛成なさつたのだろうと思うのであります。全国の商工会議所を中心としたかたがたも全部これに御賛成になつたわけであります。そこで私どもが唱えておりましたような、もつと犠牲産業として公益事業として直接国家資本とも結び付きもできまして、そうして各産業に奉仕できるような事業形態にしたいという力説をして参りましたけれども、如何せん産業界かたがた、経済界のかたがたは私ども意見ではなくして、そうして今日の電気事業の運営の衝に当らんとするかたがたの御意見と同調せられまして、今日のような事業形態として発走いたしたわけであります。従つて私はたまたま今日は電気料金の問題について論争せられておりますけれども、その狙いは電気事業の今度できました九つの電力会社の持つ企業性格そのものに私は源が出ておると思うのです。従いまして私は大変問題が間口を拡げたようなかつこうになりましたけれども、今皆様がたが御力説をなさつておりますような工合に政策的にものを行なつて行く、電力も円滑に融通をする、地域差をなくするということでありますならば、これはやはり事業性格そのものをもう一遍考えて見るべきではないか、従つて公益事業委員会の性格も同様であります。従いましてそういうような点についてこの電力料金値上げの問題なり、そうして皆様がたが非常に御関心をお持ちになつております場合に、電気事業そのものの性格についてもお考え及びになつておるかどうか。このままで果してやつて行けるのかどうか、そういう点もどういう工合にお考えになつておるのか、一つ伺いたいと思うのであります。
  59. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君にお伺いいたしますが、今あなたのされた質問は今日の参考人かたがたに御答弁を求められても、今日今この席でどう考えておるかというような御意思の発表はできにくいと思いますが、ただあなたの御意見をそういうふうに開陳されただけで、あとお考え頂くということで、一つ御答弁のほうは取りやめにしたらどうでしよう。
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは今日お述べになつた意見は私全く同感なんです。そうして而も今のようなかつこうでスタートをし、今のような公益委員会があつて、そうしてやりましても決してうまく行かないということを確信いたしておりますものですから、従つて熱心に電気料金の問題をどうお考えになつているか、そこまで突つこんでお考えを頂いておるかどうか、その点をこれは私見でも結構でございますからお伺いしたいと思います。特に東京急行の鈴木さんなどは同じような性格を持つた事業をおやりになつているのですから、是非とも一つ意見をお伺いしたいと思います。
  61. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは切なる栗山君の要望ですから……。(笑声)鈴木さん。
  62. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) えらいむずかしい問題でございまして、私余り電気のほうの知識もございませんで、御答弁が的外れになるかも知れませんが、大体におきまして料金値上問題に関連いたしますが、企業合理化或いは経営の努力という点を我々から考えますればやつて行けるのじやないか。これはいいかどうかわかりませんけれども、いわゆる電産労働組合というものは非常に組合中でも強い組合であります。従いましてこれは日発配電会社両者が合併したようなもので、会社から言えば、二つの会社が合併されたと同じような状態じやないか。そういうことによつて人員の整理も大幅にできるのじやないか、こう考えるのであります。それらをやらずにこれらのことをやることが甚だ我々も遺憾に思つておる次第であります。大体そういう面が多々あるのじやないかと思いますので、その点だけお答えいたしておきます。
  63. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今人員整理のお話がありましたが、これは私は電気事業を弁護するわけでも何でもありませんけれども、只今の電気事業人件費は総経費のうちで二〇%ちよつとを超えている程度と思います。電力のほうは先ほどのお話のように四五%を超えている。こういうお話でありますが、その点は如何でありますか。
  64. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) その根源はわかりません。実際にどれくらいか人の会社ですからわかりませんが、我々の電鉄事業は従来大鉄収入のバランスから言うと、三三%くらいが丁度人件費に当つて経営が成り立つて行くという状態なのであります。併し今過渡的でありまして、こういう時世でありますので、大体四七、八%になつているような状態であります。併し電力会社の問題は私存じませんので、どういう割合でとつておりますかわかりませんのでその点だけはちよつとお答えしかねます。
  65. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つ、これは誰方でしたか、石炭を六百五十万トン予定しておるけれども、今日の状態ではそんなに手に入らないので、六百万トンくらいにしておいたらよろしくないかということをおつしやつたかたがあつたかと思います。私は昨日引この問題でやはり同じような考え方から大いに論争したのでありますが、仮に六百万トンで抑えて参りますと、今度は需給のバランスのほうでずつと電力の配給が少くなるわけでありますが、そういう点はどういう工合にお考えになりましようか。私はこの点もあなたと全く同じ考えで、六百五十万トンはとれない、六百万トンか或いは五百五十万トンくらいしかないというのだから、それだけを原価に織込んでおかなければおかしいじやないかということを力説したのでありますが、そうしたならば、或る業者は国内炭で六百五十万トン入手できないということでありますれば、あらゆる力を挙げて、輸入炭の努力をいたしてでも六百五十万トンは確保したい。そうして又火力発電所の全設備を動員して、ともかく計画した発電量は保持したい、こういうことを熱心に述べられたのでありますが、この二つの考え方をどちらをおとりになるかを伺つておきたいと思います。
  66. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今栗山君の御質問は永井さんの御発言に対してだと思います。永井さんの御発言は、今栗山君が言われたのとは少し違つて私聞いておりますが、例えば発生電力の総量を計算する場合に、火力六百五十万トン焚くという前提に基いて発生電力の総量を計算するのと、六百万トン、或いは五百五十万トン火力を焚くという見地から水力を殖やすごとによつて発生総量を考えるということにおいては、非常に差がつくので、六百五十万トンの石炭が現在人手困難な状態であるならば、六百万トン程度にしてやつたらよいと思うという程度の御意見の開陳がなされておつたと私は記憶しております。
  67. 永井清次

    参考人(永井清次君) その通りであります。
  68. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君の今の質問に対しては、お答えのできる適当な人は北脇さんよりないから、北脇さんに御発言を願います。
  69. 北脇市太郎

    参考人(北脇市太郎君) この問題は、石炭の採掘量からいろいろ勘案しまして、大体六百万トン程度を予定すべきではないかということだろうと思います。
  70. 西田隆男

    委員長西田隆男君) よろしうございますか。
  71. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は率直に御質問申します。例えば六百五十万トンを公益委員会のほう、或いは事業者のほうは焚きたいと言つております。ところが安定本部のほうでは、五百万トンちよつとより見込はなかろうということを大体内々言つておるらしいのであります。ここ二、三日のうちにその話がつくということでありますが、百五十万トン仮に違うといたしますと、トン四千円といたしましても厖大な額であります。それだけ料金に全部影響するわけであります。そこで五百万トンでいいというならば、五百万トンの発電計画をしなければならん。その代り需給バランスはずつと絞られて来るわけであります。六百五十万トン無理に入れて、そして発電力はあるわけでありますから、火力発電所は動員できるわけでありますから、六百五十万トンを積極的に輸入炭まで入れて確保するというところの努力を事業者にさせるか、或いは五百万トンに逃げ込んで発生電力量を減らして原価を下げるか、こういう問題になるわけであります。これも一つの大きな考え方の問題であり、私どもも習いよいよ態度を決定しなければなりませんけれども、まだこの点については私個人もどちらをとるべきか判断に困つておるような情況でありますので、皆さんがたの御意見を伺いたい、こういうわけであります。
  72. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の栗山君の御質問なり御意見なりを要約しますと、電力の総量が減ることによつて電力料金がどうなるかという問題が前提として一つ抜けておるように考えます。栗山君の御質問は、電力の総量は減つても構わないのか、電力の総量を減らさないために、現在電力会社で見積つておる発生電力の総量を、他から石炭を輸入してでも焚いてその電力を発生して、それを産業家の皆様がお使いになることのほうが便利ではないかというふうな意味合いにとれますので、そういう意味合いでの御答弁を一つ願いたいということだろうと思います。
  73. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) それは料金関係から言いますと、できるだけ水を使つてつて石炭を少く焚けば、コストは安くなるのです。ところで石炭を成るべく余計焚くようなかつこうをして、そうして水の量を少く維持すればコストは高くなる、先ほども申しましたような点になると思います。そこでどちらがいいかという問題でありますが……。
  74. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 猜疑心を以てものを眺めたときは問題になりませんので、六百五十万トンはとにかく焚くという前提の下で一つ考え願いたいと思います。そして石炭のほうは、これはまあ監督の方法もありますし、去年でも、私ここに資料を持つておりますが、予定よりも二十五年度は三百十一億円の収入増があつたことも全部わかつております。従つて石炭をどれだけ多く焚いて、水が予定よりもどれだけ殖えたかということは全部わかつておりますから、そういうことはごまかしがないものとして議論を進めて頂きたい。
  75. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 要は、栗山君の御発言の内容をよく検討して見ますと、料金の問題というよりは、むしろ電力料金をきめる場合に原価主義をとるのがいいのか悪いのかというふうに私にはとれるのですが、原価主義料金をきめるとするならば、今栗山君の言われたようなことが問題になつて来るし、原価というものを料金考えないということになれば、これは政治的な問題であつて、別に論議しても結論は出ないと私は思うのですがね。
  76. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 原価関係するのです。それは例えば家庭用の電燈は一戸二十キロワット、夏は四十キロワットということでありますが、これを動かすことはできないわけであります。だから五百万トン焚こうと六百五十万トン焚こうと、その差額だけはどこに入つて来るかと申しますと、大口或いは小口の動力のほうの割当の釘付にされたものを除きますと、そのほかの部面、いわゆる一口に申しますと、大口のほうの電力に全部影響して来るわけであります。結局標準割当量の総額を殖やし得るか殖やし得ないかというような問題にも関係して来るわけでありまして、全然料金関係がないとは言えないわけであります。或る意味においては密接な関係を持つているわけであります。従いましてそれを申上げておるわけであります。
  77. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私には少しわかりかねるのでありますが、関係がなくはないでしようが、大口の料金火力を焚くことによつて高くなるから、高くなつてもいいか、或いは安くなるかということの御答弁を求められるならば、これはわかるのですけれども、今あなたのおつしやつたのは、答弁はどういう意味ですか。まあああいう質問があつたのですから、もう一遍池山さんから御答弁願います。
  78. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) これは私個人の意見でございますけれども石炭供給力につきましては、私も今日石炭協会のかたに会つてこれを聞いて来たのですが、六百五十万トンはやはり相当無理があるのじやないかと私は受取りました。そこで私どもは、六百五十万トンを約策したから高い石炭まで持つて来て焚いてもらうほうがいいかどうかということは、それは頗る疑問だと思います。併し私どもから言いますと、量的に殖やしてもらつて、コストは多少上りましても、大体において量の供給を殖やしてもらうほうが希望します。立つたついでにちよつとさつきの割当のことを一言だけ敷衍させて下さい。ちよつと私の言つたことを御理解なかつたように思います。これは小口のほうは、渇水でも影響はないのです。大口のほうは多いから割当ててもらつて、渇水であれば大口のほうは損をしても高い料金を拂う。その代りに逆になつたときは料金を安くしてもらう。あなたがたはその波がうまく平均して行くということですから、この点だけは一つ明日若し割当制度の存否について御議論なさるときに、非常に重大な問題ですから、これだけは御了解願いたいと思います。
  79. 古池信三

    ○古池信三君 大分時間も経過したようでありまするから、極く簡單に参考人のかたにお尋ねをいたしたいと存じます。簡單にお尋ねいたしますけれども、極めてお答えは困難だろうと思います。併し又極めて重大な問題であると思いますので、お尋ねをいたすのであります。先ほどからいろいろ料金問題について御意見を伺いましたが、まあ鈴木さんは別といたしまして、大体において或る程度料金値上げは止むを得なかろう、併し大幅の値上げはこの際はいけない、どうしても値上げをしなくちやならんにしても、階段的にやるべきではないか、こういうようなお話のように伺いました。我々国会議員といたしまして、国民全体を代表しておる立場から申しますると、特定の産業の利益を考えることは無論ありませんし、又電気事業の利益のみを考えるというようなことも勿論ないことで、すべて国家全体がどうすればよくなるか、国民の利益がどうすればよくなるかということを念願して、その基礎の上にお尋ねをいたすのであります。そこで先ほどもどなたがお話がありましたように、戦後日本に残されたる資源の中で最も大きな、殆んど日本としては有力なる唯一とも申すべき資源は電力である。この電力を開発して、今後我々の民生の上においても、或いは産業の上においても、寄與せしめねばならないという御意見、これはもう恐らく何人も異議のないところであろうと思うのであります。でありまするから私はこの際国民の生活に大きな影響をできるだけしないようにし、又それぞれの重要なる産業も余り重大な影響をこうむらないようにし、而も又一面においては電気事業それ自身も健全なる発達を企図しなければ、ただ需用家の立場だけを考えて供給者としての電気事業がそのために頭打ちになつて発展を阻害されるというようなことがあつても、これはやはり我々としてはとり得ないところだろうと思うのであります。極めて私は冷静且つ公平にものを考えるのでありますが、この料金値上げの問題を囲んで、非常に世論が今沸騰しておりまするが、大体において需用者、消費者の立場からの意見が非常に強く反映されております。これは勿論のことであると思いますが、一面においては又やはり電気事業という立場も或る程度の公正な同情を以て見てやるべきではないかと思うのであります。そこで先ほど料金値上げをできるだけ低くするという意味合いから皆様のお話の中に、或いは再評価の額を、率を一ぱいにやるということをやめて、何割かに縮めてやれば自然それによつて減価償却の額も少くなるわけであります。減価償却のやり方についても定率法によつて出せば相当多額になるというのが定額法を以てやれば少額になる。自然電気料金に及ぼす影響も幅が少くなるのじやないかという御説誠に私も御尤もだと思うのでありますが、そのほかに皆様のお話の中でもつと電気事業自身が合理化を図らなければならんというお話、私も誠にその点は御尤もなことだと考えるのであります。先ずみずからの事業の内容を合理化しないでおいて、極めてイージーゴーイングな料金値上げによつてカバーして行こうということは、これはいやしくも公益事業委員会の担当者としては考えるべきではない、かように私は存ずるのであります。そこで然らば、事業合理化は一体どこにその焦点があるかということになると思います。私は電気事業というような公益事業は、その経理の内容はもつと国民の前に明らかにされて、常にガラス張りの中でやるべき性質のものであろうと思うのであります。今ここで皆様からどうしたら電気事業合理化が徹底して行えるかという問題について実はお尋ねいたしたいと考えておるのであります。無論皆様には電気事業の衝に当つておられるわけではありませんから詳しい数字も持合せはないだろうと存じます。或いはそれを皆様にお尋ねするということは非常に無理なことであるということを私は重々承知しておるのであります。併しながら先ほど同僚の小野委員からもお話があつたように、一から十までずつと数字を並べなければ物事がわからないというものでもないと思います。或る程度感覚と言いますか、腰溜めということも相当時によつてはいい狙いをつけ得ることがあるのであります。まして本日御出席皆様は長年、それぞれの事業界において知識と長年の御経験をお持ちになつておられるのでありますから皆さんが御自身で今電気事業の経営に当つておられなくても、電気事業のあり方としてはもつとこういう点に力を入れて合理化を図つたらいいだろうという点にきつとお気付きになつておるだろうと思います。ただ皆さんはそれぞれのお立場からそれを心の中でお考えになつても口に出してお話になることを御遠慮になつておるんではないかと思うのであります。今の日本の立場からはあらゆる知識、あらゆる経験というものをすべてこれを集めまして物事を建設的に考えて行かなければならん時期であると思うのであります。單に批判をするだけではなくその批判の上において、然らばどうしたら電気事業がもつとよくなるか、そうして又その結果として電気料金も安くなつてお互いの産業にもいい影響をもたらす、国民生活もそれで楽になつて行くというふうに考えて行かなければ、ただ電気値上げはいけない、いけないというだけでも私はちよつとこれは建設的には余り進歩がないのじやないかと思うのであります。そういうような立場から私は簡單で結構でございますから、皆様の長年の御経験から割出された勘によつて、今の電気事業はもう少し合理化の点に力を入れたらよかろう、無論数字等についても資料をお持ちにならないと思いますから、詳しいことは必要ございませんけれども大体の腰溜めで結構でございます。この点をもう少し検討して見たらどうかというようなことを一つ意見として承わりたいのであります。成るべく皆さんから私は極く簡單のお答えで結構と思いますから伺えれば大変幸甚だと思います。
  80. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の古池君の御発言御尤もだと思います。どなたの参考人企業合理化をせよという御発言があつたと思います。一つ皆さんに簡單に御答弁願うこととして指名いたします。福永君。
  81. 福永年久

    参考人福永年久君) 只今の御質問の御趣旨私も大賛成、御尤もと思います。私が企業合理化して後に考えるべきじやないかと申上げましたのは、私たちは甚だ浅学非才、全く電気事業そのものをよく存じませんので、どういう経過であるかということは申上げかねますが、少くとも新発足しておりまして、そのときにすでに或いは合理化を図られておるという計画が成立つておるかどうかということに大きな疑問を持つておるであります。自分のところでかれこれやりますにつきましては、何か合理化をやるとすれば相当な日にちがかかつてつたのであります。従来発電或いは送電、或いは、配電をやられておりました状態から新らしい会社ができたからといつて一挙に合理化計画が進んで、それによつてこの電気料金値上げ考えなければ成立たん、そういうふうに考えられておること何かしら私はもやもやしたような疑問を持つておるのであります。私としてはどの点を指して合理化すべきものである、そういうようなものが残つておるというようなことは私はまだよくわかりませんので、甚だ答弁としては相済まん次第でありますが、的確にこれこれということを申し上げかねます。御了承願います。
  82. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) 先ほど申上げましたように人件費の面で相当の余力が出て来るのじやないか、こう申し上げましてまあ二〇%だということですが、これはパーセンテージとかその他の細かいことはわかりませんが、感によつて見ますれば、この間の十一日の公益事業委員会の公聽会におきまして、或る人の発言によりまして何か伝票をいじる人が前は一人でたくさんだつたのを、現に三人でやつておるということを聞いております。そういう一例から見ましても相当の余剰の人員がおるのじやないかと、こう考えます。もう一つは我々会社を受持ちまして、いろいろ考えて見ますと、例えば細かい点から申しますと、資材の面においてもそういう点があるのじやないか、殊に我々の会社の小さな会社におきましてもこれをいろいろ研究し、或いは倉庫等の整理をなして見ますれば、僅かに一週間か二週間の時日において発見した量におきましても、この会社自体で一億何千万という隠れたる物資が出て来たような例もありますので、東京電力のような大きな会社におきましては、なお更相当な大きな額に、いわゆる使えば使えるようなものもたくさん出て来るのじやないかと思います。そういう点についていわゆる企業合理化、或いは努力が足らんというようなことを申上げる次第であります。
  83. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 私さつき古くから東京電燈におつたかたの、その経営しておつた人の話をちよつと申上げましたが、大体三分の一くらいで済んでおつたということでございます。そこで今度の東電の役員につきましても会長さんが一人、社長さんが一人、副社長が二人、常務が二人、それから常勤取締が四人、非常勤取締六人、監査役四人、理事待遇が三十人、これはちよつと経営者から見ますれば、あのごたごたした理由はあるでしようが、今お隣の鈴木さんのお話があつた通り相当その辺で合理化の余地がありはしないかと思います。もう一つはこの間極く内々で経済調査庁の調査を見せて頂きましたが、それにはロスをさつき申しました三一%を二六%に減らす、この五%ということは非常に大きなことだと思うのです。それについて変圧器をどうするかということもございますけれども、盗電が相当あるのではないかと思います。それにはこの全体のロスは計算に出ますから送電ロスとそれから今の盗電ロスのカーブを作つてありました。それをこんなところで内緒で見せて頂いたので申上げられないかも知れませんが、そういうことなんです。私は身近に私のところでどうも電燈が消えて、ずつと調べて見たところが三五燈しかないものが八十五燈ついているのです。これらのロスということは非常に大きなロスですから、この間も私総司令部に参りましたときに、十%の供給量を増すためには一五%値上げをしなければならんということを言つておりましたが、それが六%すから八%の値上げをするということになるわけで、まあ一例として申上げました。
  84. 北脇市太郎

    参考人(北脇市太郎君) 私は根本精神を是非入れ替えてもらわなくちやならんだろうと思うのです。というのはこの電気事業におきましては電気料金は幾ら高くても売れると、こういうふうな観念において経営されているのではないかと思うのであります。これは私も伝え聞いたのですが、或る電気会社の代表者が再評価を限度一ぱいにするということはよくないとこう申したのに対しまして、一般会社は再評価を限度一ぱいまで実施できないのはその販売価格とか、それから営業政策に及ぼす影響を考慮してのことだと、つまり再評価一ぱいにすれば製品が高くて売れなくなる。ところが電気事業のほうは電気料金は幾ら高くても売れんことはない。こういうふうな観点では結局経営が放漫になつて公益事業としての実が挙らんじやないか、そういう点だけをちよつと、申述べておきたいと思います。
  85. 鬼頭忠一

    参考人(鬼頭忠一君) 私どもは十分なる材料を與えられておりませんので詳しいことは申上げかねるのでありますが、先ほどもお話が出ておりましたが、ロスの軽減のためにどれだけの努力をお示しになり、改善に力が拂われておりましたかということにつきましても、私ども十分聞かされておりません。それから擅用、盗用等の量も非常に多いという話も出ておりましたが、莫大なものがあると伝えられているのでありますが、それなんかもこれは私は技術関係でありませんからよくわかりませんのですが、この防止をするためには簡單な機械で以てできるそうであります。それらの点において十分なる研究がされ、努力が拂われているこいうことも聞かされておりません、私むしろ、品の悪いことを申上げるので速記をとめて頂きたいのですが……。
  86. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  87. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記を始めて。
  88. 鬼頭忠一

    参考人(鬼頭忠一君) 我々においてどれだけ努力が拂われておるかということを聞かしてもらいたいと思います。そうしませんと値上げの問題も我々にはぴんと納得できないのであります、その他人事にいたしましても、電力会社の部下の数が非常に殖えたということは一般の声でありますが、材料を持つておりませんから、どれが幾らに殖えておるかということもわかりませんが、先ほどお話にもありましたように、やはりこれは人事に対する労務管理というものが果して適正にまじめ言いましても、そうでない印象もすぐ我々のほうに湧きますような状態であると思うのであります。そういう点につきましても手近なところから、金の要らない設備改善、金の要る改善をしたいが金がない、料金を上げてやるということにすぐなる慮れがありますが、そういうようなところへ行かなくても、現下にできる合理化は一ぱいあるのじやないかと思います。それらにつきまして、我々に経理の内容、原価構成等が示されます。れば幾らか納得できるのじやないかと思います。従来合理化のために十分努力されたということを聞かされておりませんので、その点について遺憾の意を表しておきます。
  89. 市川直雄

    参考人(市川直雄君) 人件費の問題とかロスの問題、擅用電燈の防止の問題等先ほどからのお話私も同様に考えるのでありますが、私がここで申上げたいことは、電力調整の面において合理化を是非やつて頂きたいということであります。言い換えて見ますと、元日発配電会社があつた時代のことに遡つて考えますと、要するに豊水期の出た電気がことごとく使用先の末端まで使い盡されているか否かという問題が非常に大きな問題ではないかと思うのであります。例えば配電会社日発から電気をもらえない、日発からは配電会社電気を使わないという形が多かつたのであります。この点は日本電力は非常に少い現況でありますから、できた電力というものは挙げて産業方面に或いは一般の家庭の方面に廻して頂きたい。停電を一方においてはしながら、一方においては又電気を流しておるというような点が多々あるのでありまして、こういう点は今度日発と配電とが一緒になりましたから、非常に都合よく行くのじやないかと思うのでありますが、従来は非常にこの点が多くて、我々も電気が流れておりながら使うことができないというようなことが多々あつたのではないかと想像されます。それからもう一つお願いしたいのは人件費を非常に取りながら現在においては電力会社需用家先に対するサービスの点が非常に欠けておるのではないかというように考えるのであります。特に大口需用家においてはそうてもないのでありますが、一般家庭の方面におきましては非常に電力のサービスが足りないために、或いは超過電力料金を恐ろしく取られて困つておるというようなことが非常にあるし、思わんことで電気方面で、まるで叱られて、お顧客様でありながら非常に叱られて小さくなつている。電気を擅用したために何か、警察の奥さんだか死んだというような形にまで現われて来て、社会問題になつておるのでありますが、これは電力会社がもう少しサービスをよくして頂きたいというようなことは、これは人件費をかく莫大に取つた以上は当然できるのじやないかと思うのです。一般国民にもう少し電気の知識をよく普及徹底して頂いて、そうして頂けば、擅用電力の防止というようなことも或る程度までできるのじやないか。特に大口の産業の、我々の面におきましては、豊水期夜間等において無効放流、ダムからだあだあ水を流しているというような、或いは電気を無駄に流しておるというようなことのないように、連絡を密にして、使えばすぐ使えるという態勢になつておるわけです。そういう点を特に注意して頂きたいというように我々考えるのであります。
  90. 中山廉

    参考人(中山廉君) 私電気会社の内容について深く知りませんが、ただ勘で申しますと先ほども、二、三おつしやいましたが、会社ができてすぐ合理化ができて行くとは思えないという程度であります。ほかに具体的には存じません。
  91. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちよつと二点だけお尋ねをいたしたいと思います。先ほどから伺つておりますと、電力の絶対量が足りないのであるから、割当制度というものは存置して行くべきであろうという御意見が強調されました。私も同じ意見を持つておりますので、それに関連をしてちよつと参考人の御意見を承わりたいと思います。割当制度が存置されるということになりますると、水力を標準にして火力送電いたしました分が超過料金として請求されることになるわけでありますが、その際に従来の例を見ておりますると、異常豊水のありました際でも割当を変更することなく、高い火力料金で以て一方的に電力会社のほうから請求をいたしておりまして、需用家のほうからは何ら意見を述べる機関もありませんし、意見を聞いてもらうこともできなかつたように承知いたしております。割当制度を存置いたします場合そういう従来の不合理を如何にして是正し、電力会社からの請求の料金需用家側が得心して拂えるようにするために、どういうような機関を設置したらよろしいとお考えになりますか。これが一点であります。それからいま一つは昨日電力会社のほうで承わりますると、これは東京急行の鈴木さんに伺いたいのでありますが、交通事業の特殊性として自己資本で以て変電所を幾つかお持ちになつております。これは電力のロスを軽減すること、或いは電蝕その他によつて地下施設への影響などをお考えになつて、従来そういう施設をやつて来られたのでありますが、一つ企業体でありながら変電所別に供給契約というものが成立つております。一つ企業でありますから、これは統一して総合的な契約をするということのほうが交通事業会社としては得策であり、延いてはそれが一般大衆の交通料金軽減ということのほうにも役立つことになると思うのでありますが、昨年の電力会社からの証言によりますと、交通事業者のほうから只今のような変電所別の契約を要望されておりまするので、そのようにいたしております、こういう御証言が昨日ございましたが、東京急行さんはどういうようにこの問題についてお考えになつておりますか。以上二点についてお尋ねをいたします。
  92. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 第一点について池田亀三郎君に御答弁願います。
  93. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) 第一点につきまして先ほどからの割当でございますが、これは非常にむずかしいのですね。水の想定は今科学的にこれがよかろうという結論にはなかなか達しないと思うのです。そこでさつきから栗山先生からもお話があつたわけでありますけれども、私どもは十年の平均が正しいと思います。まあもつと近いほうがいいと思いますが、それでいたしまして若し余計出ましたら、それが継続するとしまして、そこへプラスにします。そうすると、プラスにすると安くなります。水力が殖えますから。併し若し水力がそれほど不幸にして水が出なかつたというときはそれは高くなりますけれども、これは私どもで拂う、反対のときは又儲ける、こういうふうなことが一番これはいいのじやないかと思います。そういたしませんと、五年も十年もの間にこれを調整して行くということはこれは私ども非常にむずかしい問題が起るのじやないかとこう思います。それからなお割当につきまして、今のお話でございますけれども、先ほどの私の陳述の中にございましたが、今は大枠は公益事業委員会がやりまして、下請けを安本がやるようになつております。今後こういうような状態が続きましたときには、或いは日米経済協力というような問題が起りますと、生産事業界もいろいろ変るろうと思います。そこでこれは一番産業政策のわかるところの安本がやるのが私は当然だと思います。そこで一応は法律できまつたら止むを得ません。先ほども国策に副う線で都合よく動けるような法的な根拠を考えて頂きたい。こう私はこの機会にお願いしたのでございましたけれども、これらの割当の方法として、一つまり関係官民の意向が敏速に的確に反映するような特別な措置をして頂きたいということを先ほども申上げましたのでございまして、それから料金のほうはやはりこれはガラス張りの中において、国民の納得のしやすいようにいたしますと、さつきから言われますような目で見てはいかんというようなことは絶対になくなる。ですから、それが望ましいのじやないかと思います。
  94. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 第二点の質問について鈴木さん御答弁願います。
  95. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) お答えいたします。それは古い時代の問題を持ち出して証言なすつたのじやないかと私はちよつと考えております。現在においては一本にやつて頂いております。それで先ほど私が公述をいたしましたときに附加えて申上げましたたが、そちらには書いてございませんけれども、更にお読み上げしましてもよろしいのでありますが、御承知通り電鉄ではその直流側で電気的に全線が接続されており、全変電所が一つとなつて負荷を持つておるのであります。これは他の産業にはない電鉄特有なものであります。従来この特異性が認められて、全体を一本として特別大口丙の適用をうけていたのでありますが、このたびの電力会社の案によりますと、各変電所ごとに契約を考えるため、私鉄の大部分が大口を乙の適用受け、現在より高率の料金の適用を受けることとなり、この影響相当大きなものであります。こういうことを申述べておきましたのですが、実際において現在一本でやつてもらつております。これを変電所ごとにやりますと、相当の高率料金に変えられるからこれは変えて頂きたいという趣旨をお述べいたしました。
  96. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 只今の料金策定の場合はガラス張りの中でやつて行くようにということで、私もそういうことを希望しておるわけでありますが、それを具体的にどういうふうに組織、或いは機関を作つて行けば、国会全体が納得をして料金の支拂ができるだろうかということについてお伺いをいたしたいのであります。それから東京急行さんの場合はよくわかりましたが、郡市交通の場合は、やはり東京急行さんでお考えになつて今御説明頂きましたようなことが、日本の私鉄全体でそういう契約が成立しておりますか。それとも又都市交通の場合はどういうふうになつておるかおわかりでございましたらちよつとお聞かせ頂きたいと思います。おわかりでなければ結構であります。
  97. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) それは恐らく公益事業委員会にそういう機関を置くのが本当だろうと思います。併しこれは恐らく用意がないのじやないかと思います。そうするとこれは飽くまでも次の機会に考えなくちやいかんだろうと思う。それでこれは各社を監査するわけでありますが、見るわけでありますが、その意味でも私は各会社に、今度は公認会計士ができましたから、これは需用家に味方になるような公認会計士を需用家側との納得においてきめるだろうと思います。これで監査もします。それによつてよくわかると思いますからそういう制度がいいのじやないかと思います。
  98. 鈴木幸七

    参考人(鈴木幸七君) お答えいたします。私は東京急行電鉄の社長個人として申上げているのではございません。私鉄経営者業界の意思によつていろいろ陳述をしておる次第でありまして、都市交通におきましても御同様でございます。
  99. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 割当の問題で先ほどの椿委員とそれから池田さんとの間の割当という言葉が若干私は食い違いが玉るような気がいたしますので、その点を明らかにしておきたいと思います。いわゆる只今やつております、いわゆる改訂前の割当と申しまするのは、これは家庭用の電燈或いは小口の動力は別であります。契約一キロワツトについて一月幾らというのでこれははつきり動かない割当をしておるわけです。ところがそれより大きくなりますと一キロワツトについて実績に基きまして、前年度の実績に基いて幾らという割当をしておるわけでございますが、これはしよつちゆう動いておるわけであります。今度は事業者のほうの計画を見ますると、大口まで全部含めて、そういう個々の割当をするようなことはやめて、契約の容量によつて動かない釘付の割当にしてしまう、こういう考えらしい。従つて割当というのは新らしい制度においても全部残るわけであります。全部残るわけですが、ただ今大口の皆さんがたが要求をしておられる割当というのは、そういう釘付けしてしまつた割当でなくて、結局火力料金を成るべく減らして標準料金割当を殖やすためにそのときどきに一つ交渉の余地を残すような意味の割当、いわゆる現行の割当制度を残すと、大口産業にだけ残すと、こういう要求です。従つて事業者が申請をしておるような割当制度でやればこれは全然裁量の余地はないということになる。それで大口産業だけにそういう自動的な割当を残すことになりますれば、これはその大口産業だけ標準料金の枠が殖えて割安の條件になる。こういうかつこうになる。そこのところは同じ割当という字を使いましても内容は大分違うわけでありますから私はその点を申上げたいと思うのであります。そうしてこれに関連して御質問申上げますが、そういうわけでありますから、今事業者が申請をしておる割当によりますると、今後はまあ業者等がそういうものには全然無関係であります。契約の容量によつてきまつてしまう。そこで今までは実績でありますから、或いは窯業であるとか或いは機械工業或いは電気工業等によつてそれぞれ一馬力を使いましても需要率が違いますから逕庭があつた。ところが今度はそれがなくて一応一馬力が全部同じ量が参りますので、或いは最近聞いたところによりますると、或る工場におきましては実績を離れて今度の新らしい割当になりますと非常にこれはたくさん割当が来る、所要量以上に来る。家は火力料金を見ないでもいいと非常に喜んでいる工場もある。それから逆にこういうふうになりますと実績で或る程度調整をしてもらつてつたのですけれども、それがなくなりましたために、今までの通り仕事をやろうと思つても非常な火力料金を支拂わなければならん、こういうような業態別に非常に不均衡が来る。こういうことで歎いている人もあります。従いまして私は割当の場合は今申上げましたような、そういう大口産業に対して特別の融通を特つような割当制度を残すということよりは、業態別に契約のキロワツトだけでなくてもう少し実績を加味するというか、電力の使用状態を加味したような割当を何とかして残すような方法を考えないと、非常な不公平が私は来るのじやないか、そういうことを考えておるわけであります。この点について皆さんがたでお気付きにすでになつた点がありまするかどうか。御意見が若しありましたならばお伺いをいたしたいと思います。このことは大きな三千キロとか或いは五百キロとかというような工場にはないのでありまして、恐らくその影響は五キロワツト以上のものは五十キロとか百キロとかいうような工場、或いは一馬力二馬力の工場にもありましよう。そういうところに主として現われて来る現象であろうと思います。この点について若し御意見がございましたならばお聞かせを願いたい。
  100. 山川良一

    ○山川良一君 ちよつと割当問題に関連がありますからお伺いをしますが、私はこの電力値上げ割当制度をどうするかという問題は非常に重要でありますので、まあいろいろな大、中、小、或いは家庭の、いろいろの需要家のかたの御意見を聞いておるのでありますが、その中で本当日本復興を念願しておられると、日頃からそういうふうに思つているかたの意見を総合しますと、いずれ大幅の値上げが、大幅というのは單に七割五分を指しているわけではありません。三割でも相当大幅と思いますから……。大幅の値上げと同時に料金制度の変更をやると非常な混乱が起る。例えば大牟田の電化工場では生産ができなくなるだろう。そうすると、まあ電化工場の製品については特に申しませんけれども、同ようなことがあちらこちらに起つて日本相当必要な生産品が生産不可能になり、或いは工場が潰れ、それをどうするかというようないろいろな問題で相当な困難が起きるであろうと考えられるから、今度の割当制度によつてもらつたほうが有利である側の人も一応今度は値上げだけを均等に割当してもらつて、そうして割当制度の不備な点は第二義的にやるべきであるという意見に殆んど一致しております。先に池田さんから現下の制度によつて原価の計算が容易ではない。又考え方がいろいろ混乱している。だからそういうことがきまるまではそう今の制度の変更をやるべきではないと思うというようなお考えが開陳されましたが、私はそのお考えに更に加えまして、だが私個人の意見ではありません。今申上げた点は……。皆様どうお考えになるか、それについての御意見を承わりまして、違つた意見がございましたらそのかたからも承わりたい、これは基本考えと思いますから……。
  101. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君の御質問にお答えのできるような参考人は今日は見えてないようです。
  102. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私もう一点簡單に申上げます。私が申上げることは、大口産業に弾力性のある現在と同じような割当制度を残すということでなくて、例えば繊維産業については契約一キロワツトについてどれだけ、それから鉄鋼業についてはどれだけ、電鉄についてはどれだけ、こういうような個々の業態別の契約容量に見合うような割当をしなければ非常に不公平になるのではないか。そうして又そういう工合に業態別に割当をしておきましてそして全部契約キロワツトにやつてしまえば、そのあともつと自由裁量によつて運動をした者が余計取るとか、運動をしなかつた者が取れないとか、そういうことがなくなつてしまうのじやなか、非常に公平になるのではないかいう、こういうことを私は御質問申上げております。
  103. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の栗山君の質問の内容であれば山川君の質問の内容と同一のものと思いますが……。
  104. 山川良一

    ○山川良一君 私は全部のことを言つておるわけです。それを含むわけです。
  105. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 御迷惑でしようが、他出亀三郎君もう一遍答弁して下さい。
  106. 池田亀三郎

    参考人(池田亀三郎君) これば私ははつきり産業のための割当ということですね、料金制度割当ということははつきり申上げておつたはずでございます。皆さんによく御了解を得ておると思つたのです。従つて今山川さんのおつしやる通り、今若し仮に化学繊維には負担力がこうだ、製鉄にはこうだというような料金はきめようと言つたつてこれは非常にむずかしい問題でふりまして、私は恐らくさつき申しましたように容易にきまるものではないと思います。そういう政策料金は……ですからこれは一応は混乱を来たさないように、今の割当制度というものは、これはさつき申しました一つ割当は、大きな、つまり産業のいわゆる統制です、統制する意味での……ですから私はさつきの公益事業委員会にだけ任してはどうかといつた意味でありまして、それから料金制度割当といつらものは今度のは例えば三千キロ以上のところは七百時間だけ使うものは三百時間は二円、それ以上は六円だ、八円だというような制限、これをさつきから申上げましたので、全然これは山川先生のおつしやることを私はさつきから申上げておつたのでございます。私ははつきりこの割当産業の生産に対する割当の面は、これは運動したらどうかということになりますから、それで私はもつとガラス張りの中に置いた……ただ公益事業委員会というものに、果して任していいかどうかということを疑問を持ちまして、法的な考慮が要るのじやないかということを申上げた次第であります。
  107. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今割当か何か料金と別に使用制限割当と二本建に只今の料金がなつておるように御解釈になつておるようでありますけれども、これは一昨年の料金値上げのときに国会で随分論争いたしまして、これが私どもも当時の通商産業電力局と、電気庁、資源庁と究明をした点でありまして、二十四年の十二月十三日からもう割当というものは電力制限的な割当は全部なくなつておりまして、電力の今行われております割当というのは料金と全く同じ状態、電力割当料金であります。そういうかつこうになつておるのでありますから、この点を一つ只今池田さんが若し別になつておると御解釈になつておりますれば、それは過ちでありますから、さよう御理解願いたいと思います。
  108. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 本日の委員会はこれにて散会いたします。参考人の諸君は長時間に亘つて熱心に御意見の開陳がございまして、誠に有難うございました。御礼を申上げます。    午後六時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 隆男君    理事            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            秋山俊一郎君            石坂 豊一君            石原幹市郎君            岡田 信次君            小野 義夫君            古池 信三君            島   清君            椿  繁夫君            奥 むめお君            山川 良一君            境野 清雄君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君   参考人    軽金属協会会長 安田幾久男君    日本石炭協会会    長       福永 年久君    東京急行電鉄株    式会社社長   鈴木 幸七君    日本化学工業協    会副会長    池田亀三郎君    電気化学    協会会長    永井 清次君    日本硫安工業協    会常務理事   鬼頭 忠一君    日本鉄鋼連盟電    力部会委員   市川 直雄君    電気化学工業株    式会社常務取締    役       中山  廉君    電気化学協会電    力委員長    北脇市太郎君