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1951-06-13 第10回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月十三日(水曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 六月八日委員野田俊作君辞任につき、 その補欠として奥むめお君を議長にお いて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件)   —————————————
  2. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今から電力問題に関する特別委員会を開会いたします。  午前中はかねて懸案となつておりました九地区別電力会社の二十五年度収支実績及び電気料金改訂案に対する総括的説明公益事業委員会側から聽取いたしまして、午後は各会社側から個別に改訂案内容についての御説明を承わつて調査を継続する予定であります。  先ず予定調査に入る前に一昨日公益事業委員会で行われました料金算定基準案に対する聽聞会の結果、算定基準案修正されるかどうかについて松本委員長の御意見を伺いたいと考えます。
  3. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 一昨日料金算定基準に関する聽聞会をいたしました。約三十一人の人の意見開陳がありました。相当我々の考えを変えるほうがよいのではないかと思うような示唆を與えられた点が少くなかつたのであります。只今これらの諸点について十分に考査しております。多少の変更を加えることになろうと思つております。併しまだ如何なる点において、どういう変更を加えるかということについては十分にきまつた意見はないの外ありまして、ここで申し上げるだけのことはございません。ただ私一個の私見だけを申述べれば、ある基準案には、実は公の利益公共福祉というようなものを基準にする、或いはこれを本旨としてやるというようなことを書いておらないのであります。これは決してそういうものを無視する考えではないのであります。電気料金をきめることは、公益事業委員会の重大な仕事でありまして、公益有業委員会仕事につきましては、御承知のようた公共事業会の第一條に、電気事業の健全な発達を図り且つ同時に電気使用者の権益を確保するということによつて公共福祉に副わなければならんということを書いております。基準案自体には、そういうことを書かんでもこれは当然のこととして書いておりませんのですが、この点について相当多数の人から指摘されたのであります。これは当然のことではありますが、当然のことをやはり書いておくほうがよいのではないかということを私は考えております。それからその他細かい点はいろいろまだございまするが、これについては單純な私見でありまして、まだ委員会において公にこう変えようということをきめたということにはなつておりませんから申上げることは省いておきます。ただ申上げたいことは、非常にこう細かく規則基準を定めろ、どうも余り漠然としておるという議論はありましたが、この点に対しては、私の私見としてはやはり余り細かく書かんほうがいいだろう。何となればあの基準によつて料金変更します際には、必ず聽聞会があるのである、個々の事件についての聽聞会がありまして、これによつてすべての公衆その他利害関係者意見が聞けるの下ありますから、規則自身余り細かいことを書きますと、却つて多くの人の意見に従うようなことができなくたる。そのために規則を先ず変えなければならんというようなことも起らないとも保し難いのであります。これは余り細かい所まで入らんほうがいいのではなかろうかと私は考えております。そんなようなことで只今各自委員はいろいろの私見は持つておりまするが、まだ委員会としてこう変えようということをきめたというほどのものはまだございません。各関係者意見を聞いておるわけであります。若しこの委員会におきまして、あの基準案に対する改正の御意見が伺えれば非常に幸いと思つております。そんなような状態であるということを申上げておきます。
  4. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 私から一言聞きますが、料金基準確定される御予定の日はいつ頃の御予定でありますか。
  5. 松本烝治

    説明員松本烝治君) まだそのことについてしつかり申上げかねるのは、御承知のようにほうぼうの意見を聞かなければきめ得ないのであります。ほうぼうの意見がどうであるかということはまだ一向わかりません。実は私もその意味において今日十一時少し前にここを失礼しまして、或る方面意見を聞きに参らなければならんという状態にあるのであります。そんなようなことで確定がいつできるかわかりませんが、できるだけ早くしたい。できるだけ早くして、そうしてこの基準の効力をできるだけ早く発生せしめ、正式に各社から料金改正についての申請をさせるということが早くできることを希望しております。従つてこの基準案確定はできるだけ早くしたいというだけの考えを持つております。或いは二、三日中に若しできれば確定したいと思つております。
  6. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今、一昨日の公益事業委員会の開かれた聽聞会の結果について松本委員長から基準案修正も多少やらねばなるまいと考えておる、個別的な問題については委員会としてまだ公式な会議を開いてないから意見発表はできないから、国会で若し御意見があるならば、できるだけその御意思に副いたいというような非常に国会に対する尊重された御意見発表がありました。従つて二、三日中に決定をしたいという御意向でもありますので、委員諸君のほうで若しこの算定基準案について御意見がありましたら、松本委員長のおられます間活撥に御発言を願います。
  7. 山川良一

    山川良一君 今の細かくきめるかどうかという問題でございますね。それをみんなが細かくきめて頂きたいというのは、非常に解釈に幅のある基準でありますと、電力会社のほうから基準解釈上間違いないという案を出して来ました場合に、基準に合う以上、それが相当大きなものになつて基準に合うということで委員のかたでそれを抑えられるわけに行かないだろう。ですからまあいろいろな点に詳細に規定しておかんと基準が漠として、解釈の幅が広ければ、まあ一口に言えばとんでもない料金ができ上りやしないかということを心配しておるので、細かくきめて頂きたいということが根本になつておるのじやないかと、私どもそういうふうに想像、聞いてもおりますが、みんなの意見を聞きました場合におきまして、その点どういうふうにお考えになりますか。
  8. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 私ども考えでは、法令余り細かくなるというと常に差障りが生ずる。これは近頃の法令がしばしば相当細か過ぎるようなものが出るようであります。その結果非常に困つたことができて、直ちに出したものを又改正するというようなことがありますので、これは法令が細かければ細かいほど疑問が多くなる。却つて法令は大きいところで締めておく。そうして解釈によつてこれを順次確定して行くということがよいというように私は考えております。先ほども申しましたように、料金改訂をいたします際には、必ず聽聞会を開いて、そうして一般意見を徴して、これに従つてつて行くつもりである。又法律上これは必要になつております。そうなりますと、余り細かいことにいたしますと、細かいことに表面は合うようであるが、実質を言うと却つてどうであろう、妙なものもできかねない。むしろある応用的な意義を持つたような荒つぽい基準をきめておいて、それによつて出て来たもののほうが却つて適正なる判断を下すのに都合がいいんじやなかろうかというように考えております。これは併し私の私見であります。まだ委員会できめておることではありません。
  9. 山川良一

    山川良一君 私の申上げる点は、その聽聞会等でお聞きになりましても、それが基準に合つているか合つていないかというだけが修正し得る幅であつて基準に合つている以上、まあ解釈如何ようでも解釈できる場合に、最大限度解釈をして作つたものが基準に合つている以上、それは認められないわけには行かないだろうと考えますが、その点はどうですか。
  10. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 基準に合つとるかどうかということは、例えばまあ民法の言葉で申せば、公の秩序、善良の風俗という言葉で、こういう言葉は非常に含蓄の広いものであります。これがそれに合つているか合つておらんかということについては、各個の場合に非常に違つた解釈が生じ得るのです。併しながらその時勢に応じて解釈変つて来ております。現に変つて来ております。却つてそういう広い言葉を以てしたほうが各個の場合において適正なる判断ができる。これは余り細かく数学にまで入るようなことに書きますと、却つて特定の場合においてこれに適合しない。止むを得ず規則を先ず変えて、而して後に処分をしなければならんというようなことが生ずる虞れがあろうと思うのであります。聞くところによりますと、公益事業委員会のたくさんありますアメリカなどにおきまして、こういう基準というものは殆んど成文のものはないそうです。これはたくさんの実例によつておのずから一つ慣習的の基準ができた、そういうように聞いております。まあそういうことまで若しだんだんにできて参れば、これは理想であろうとむしろ考えております。成るべく法文は簡單にして、そうして各個の場合に適正なる適用をして行くということに適当ならしむるようにしたいのが私の私見であります。
  11. 山川良一

    山川良一君 今の慣習と申しますか、実例によつてやられるならばそれは一つの結構な方法だと思います。私がよく申上げる拡充資金は、今までの、終戦後の日本のマル公にも織り込まれた場合はないと思いますが、そういう点は一つ慣習というか、それを認めずにまあやろうとしておられるように我々はそう聞いてもおるし、考えておるのです。ですから常に慣習によつてやるということについても、私は非常に疑問を持つておりますので、更に又これが漠然たる規則だと、電力会社主張基準に照らして間違いでないということになりますと、高い安いの問題ではなしに、基準に合うか合わんかという問題しか地方の公聽会では残る問題はないわけであります。併しやはり公益委員としても、電力会社主張そのもの基準に合つている以上、お前の解釈は間違いだとは言えないじやないか、そうすると止むを得ず基準に合つているということだけで、高い電力代を認めざるを得なくなるんじやないか、こう私自身も思います。皆のこの基準が漠としているということを心配する根本は、そこにございますように私は考えますので、もう一つ考え直しを願いたいと思います。  もう一つお尋ねいたしたいのは、物価庁その他で或る程度の、抽象的ではありましたが、希望意見が出ておりましたので、私は少くとも物価庁あたりで言つているくらいの内容のものは、これは基準案の中に人れられたほうがいいんじやないか、細かいことは申上げませんが、そういう方面意見を取入れて修正なさる御意向がありますかどうか。
  12. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 物価庁その他の各業者の言われたことのうちに相当取入れるべきことがありたように思う、そのことを取入れたいと私は考えております。
  13. 山川良一

    山川良一君 もう一つ先ほど申したことでございますが、このケネディさんの書簡にもありますが、施設拡張に必要なる資本を誘致することはできないという点はどうお考えになつておりますか。又私は如何なる形においても、例えば非常に多額に償却するようなことによつて生じた金が資本に廻るようなことになれば、償却をして又そうならんように切り下げて頂きたいと思うのでありますが。
  14. 松本烝治

    説明明員松本烝治君) この料金基準は、大体においていわゆる原価主義によつていたしたのでありまして、不必要なる償却をするというようなことによつて不必要なる料金を、不必要というのは原価を超えた料金を取る、これによつて全然新らしい施設をするのだというようなことにはならんようにしたい、そう考えております。
  15. 山川良一

    山川良一君 そうしますと、いろいろな原価の要素を加えて行きまして或るコストができて、それから収入ができるように構成されるわけでございますか。その場合に設備の拡張にでも廻すというようなことの絶対ないということを考えてよろしゆうございますか。
  16. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 今の原価主義を厳守して余計なものによつて全然新らしい財産を作つて行くというようなことにはならんように料金をきめて参りたい、そう考えております。
  17. 山川良一

    山川良一君 時間もございませんようですから一応これで打切つておきます。
  18. 結城安次

    結城安次君 今山川君から非常に詳しい基準を作れと言われたようでありますが、私は余り詳しいのを作るのはよくない、何となれば電力事業は活きておる仕事であります。その規則通りには行くものではない。例えばちやんと基準で以て何は幾ら幾らとはつきりきめられておつたならば、公益事業委員会ではこれを動かすことはできない。併し仕事は活きておる。電力会社だけが單にテン・パーセント利益というものを得る。世の中には五分、三分というのがある。この電力会社だけがおれは基準によつてやるのだから値下げするわけには行かんということがあつてはならんと思うのであります。できるだけこれは広く行くべぎものではないか。そこで仮に細かいことをずつときめてしまうと人間が機械的になつてしまう、少しも努力目標がないじやないかと思うのであります。むしろ悪い言葉かも知れませんが、料金なんかは申請を受けて、場合によつては腰だめで行く、これでなくてもいいのだということから努力させる、各経営者に努力させるということから考えますと、私はできるだけ幅を広く取つて置くほうがいいじやないか。若し細かく行つてしまうならば、公益事業委員会は極端にいえば、もう会社申請をそのまま呑まなくもやならんというような羽目になるとも限りませんので、私はできるだけ広く、而も国会意向も或る程度参酌して、又業界の意向は無論ですが、公聽会でも十分に意見を尊重するお考えがあるならば、できるだけ広く裁量するほうがいい。今度の料金をいろいろ拝見しておりますが、そろばんも合います。あの通り数字ははつきり行きますが、あれじや勿論努力する何はないのであります。ただ本当に毎日毎日その通りつていればいい、工夫も創意もないというようなことになりますので、私はできるだけ広く裁量の余地を残して置くほうがいいというふうに考えまするので、これは今御意見をお伺いしませんが、私はそう考えますから申上げて置きます。
  19. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 私の考えておる私見は、まさに今の結城君の言われた通りであります。時勢変遷伴つて或る程度変遷がありましても、これに適応してやつて行けるような規則をしたい。これは朝令暮改で始終変えなければならんということにしますと、却つて安定性を欠くので、むしろ基準は成るべく安定させて、そのためには少し広く書いて置くほうがいいんだろうというような考えでおります。これは私の私見であります。それからなお今数字についてのお話がございましたが、この数字は、これは單に電力会社があらかじめ出して来た数字に過ぎないのであります。まだ正式の申請はないのであります。併しこれは基準ができてから後に初めて正式の申請があることと思つております。この文字自体は、そういう工合でありますから、或いは各社においては公にこれを出している所があるかどうかは存じませんけれども、我々の役所ではこれはもうきめて、コンシダレーシヨンして、あらかじめ時間が少いから操作をしたいという意味で、どういうものを出すつもりかというつもりを徴したものに過ぎません。そのつもりでどうぞ一つ、我々としてはこれが公にならないことを希望しております。然るべき申請がいずれ出る、それに対して聽聞会を開いて、然るべく我々が決定をして参りたいというように考えております。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 今松本委員長が、各社が提出しているのは、極くプライベートなものであつて公益委員会はあずかり知らないところである、こういう工合におつしやつたのでございますが、実際に料金基準でございますね、基準内容的な各社調整というものについて、公益委員会は、全然何らのサゼツシヨンをも事業者に與えなかつたのか、與えたのかということをちよつとお聞きしておきます。
  21. 松本烝治

    説明員松本烝治君) 只今の御質問のしつかりした意味は解し得ませんが、公益事業委員会としては、何らきまつておらんことについて、きまつているかのごとくには示しておりません。併し事を急ぐために、こういうような大体考えであるが、それに基いて何か案を早くこしらえたらどうかというようなことの注意は與えたことがあるだろうとは思います。これは公益事業委員会として公に與えたと申すか、公益委員会一つのやはりこれも仕事でありましようから、そういうことを特に決議したわけではございませんが、我々全部がそういう考え注意を與えまして、それによつて会社が急いで案を作つたことと思つております。併しこの案自体が正式にまだ出たものでは勿論ないのでございます。或る程度の或いは修正を加えられるのではなかろうかとさえ思つております。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 私ども各社から出されたと称せられる案の数字的な検討をいたしますと、相当横の連絡がよくついておつて、而も調整ができていると思いますので、今委員長のあとからの御説明の中に、公式な委員会の決議を得ていないのでありましようが、相当指導をされておつたという跡が見えるように思うのでありまして、従つて今度の十一日の聽聞会等の結果によつて、若干内容修正が不可避であるとなりました場合には、この前この委員会でお聞きをいたしました料金改訂に至るコース、いわゆる八月一日に一応改訂をいたしたいという目標に対しての、いろいろなコースは若干変更が予想せられまするか。或いは予定の、この前御説明を頂きました八月一日ということに殆んど間違いがないのか、この点伺いたい。
  23. 松本烝治

    説明員松本烝治君) この点については、成るべく早くしたい、即ち八月一日に成るべくしたいものだと私ども考えておりますが、併しことによるともう少し延びることになる虞れがありやしないか、この点についてはしつかりした見込はまだつきかねております。それで私はお断り申上げておきましたが、ちよつと約束がありましてこれから退席をいたします。松永委員長代理から……。
  24. 椿繁夫

    椿繁夫君 私ちよつと遅れて出席いたしましたので、或いは委員長から御質問があつて公益委員会のほうからお答えがあつたかとも思うのですが、若し重複しておりましたらお許し頂きたいと思います。今朝何新聞でありましたか、聽聞会の結果公益委員会としては、料金を策定する場合の、その基準をつかみ出すのに重要な部分である資産評価評価法に基く一〇〇%の評価替えをこれは認めないのであつて、五〇%乃至六〇%程度固定資産の再評価を認めることになつた。従つて料金は大分当初考えられておつたものから、実際に出て来るものはもつと安くなるのだというような意味新聞記事を見たのですが、これは公益委員会として御発表なつたものかどうか、先ずお伺いをいたします。
  25. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今の椿君の御質問に対して、私が松本委員長質問して得た答弁内容をもう一回申上げます。私が聽聞会の結果、公益事業委員会としては暫定基準案修正する意思があるかどうかという質問をいたしますと、これに対して松本委員長から、聞くべき意見が多々あつたから修正しなければならんだろうと考えておるが、公益事業委員会としてはまだ決議したわけではないので、具体的にこういう点はこういうふうに修正をするということは、この際発表はいたしかねる、こういうふうに御答弁になつております。今椿君の言われました再評価パーセント問題等については何ら案を持つておりませんが、松本委員長のお言葉では修正する場合に、国会に若し御意見がありましたならば、当委員会等で御意見を述べて頂けば十分に尊重いたしたいという意味答弁がございました。一つ今後松永委員長代理に対して、そういう御意思であるならば、堂々と御意見一つ開陳を願いたい。
  26. 椿繁夫

    椿繁夫君 只今委員長の御報告を重ねて受けて恐縮に存じますが、従つて今朝の新聞に出ておりました、ものは、公益委員会として何らきまつたものではない、というふうに了解してよろしゆうございますか。
  27. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 松本委員長の御答弁では、公益委員会では会議を開いた結果、結論を出したのではないので、修正はしたいと考えておりますが、どういう点の修正をどういうふうにするかということは、この際まだ申上げかねるというお言葉ですから、あなたのおつしやつた通りに解していいと思います。
  28. 椿繁夫

    椿繁夫君 ちよつと希望いたしておきたいのですが、あの今朝の新聞記事のようなことが、前回も実は発表されておりまして、今度休会になつて関西のほうに帰つておりますと、当初の電力料金値上げ変つて、今度は三割五分になるそうだというようなことをちよつと聞きました。新聞に出ておつたらしいのです。それで又今朝こちらの新聞を見ますと、この五割か乃至六割ぐらいの資産評価評価法に基いて基準を五割か六割に押えることになつたので、従つて料金というものは、最初のものから見るとちよつと下つて来る、そういうものがずつと一般に流布される。この前は現行の料金の三割五分程度の値上りにとどまるというような記事が出たりしておりまして、国民はやはりこの新聞記事取扱方にもよりますが、そういうものが出ると、何かきまつたもののように考えられて、この公益事業委員会としても公正な見地で今後料金を策定されようとする場合ですね一つの既成事実というものがそういうことによつて作られて来ることにもなりますので、将来、今委員長から御報告のような程度委員会の審議の経過であるなら、軽々しうああいう新聞記事にならないように今後の御注意一つお願いして頂きたいと思います。
  29. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 椿君の御発言の要旨は、松永委員長代理もお聞きになつたと思いますが、今朝の新聞に掲載されておりますようなことを、公益事業委員会のほうでお話合いになつたのか、或いは新聞記者にそういうふうな報道をなされたというような事実があるかないか、これを一つ松永委員長代理から御答弁願いたいと思います。
  30. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 今朝の新聞を一、二枚は拝見しましたが、全部目を通しておりませんので、今椿委員お話のような記事を拝見しておりませんが、新聞記事につきましては御注意通り今後注意をいたしたいと思うのであります。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 この料金の問題は、算定基準の問題或いはこの内容に入りまして、実に複雑な問題でありますので、議事進行をどういう工合にお取運びになるか、いろいろ御意見もあろうと思いますが、私は先ず第一に、一番重要な問題としてお聞きをいたしておきたいと思いますのは、償却の問題でありますので、この点について公益委員会の御答弁を頂きたいと思います。今度の値上げの骨子をなしておるのは、言うまでもなく石炭代並び償却費修繕費というようなところが中心になつておるのはもう明らかになつたわけでありますが、償却の場合に、十一日の聽聞会における各界の代表の意見に徴せられましで、先ほど松本委員長修正をしなければならない点があろうということを言明されたということでありますが、その中心は、やはり償却にも関係すると思うのであります。そこで、今までこの委員会松永委員長代理は相当御熱心に、すでに償却については御意見発表せられたわけであります。そこで松永委員長代理といたしまして、十一日の聽聞会の結果、心境変化を来たされておるかどうかというところを伺いたいと思うのであります。第一点は、再評価限度一ぱいにしなければならんということを力説せられておりましたが、それについて一般の、他の産業と同じような程度にとどめるべきであるという工合心境変化をされておるかどうかということが第一点、それから第二点は、定率法定額法の問題でございますが、前回までは定率法を非常に御主張なさつておりましたが、これを捨てて定額法に代るような心境変化を来たしておられるかどうかという点が第二点、それから第三点は、安定本部の説明によりますと、定額法定率法との場合におきましては、定率法の場合には二百五十億円、定額法のときには百億円程度で足りるということが述べられておる。ところが実際に私どもがほかの方面から聞きますると、定額法にいたしました場合には定率法の約三〇%減くらいにとどまるのではなかろうかという説もあるようでありますが、定額法定率法の場合における償却費の実際の差等というものはどの程度にあるのか、この点御研究になつておるかどうか。以上三点をお聞きいたします。
  32. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 公聽会のありました算定基準の問題は、先刻私ども委員長から縷々説明いたしましたように、各種の点において示唆を受けた点がたくさんございます。その中には只今のような問題も、もとより含んでもおりまするし、又一部分それらを含まない問題もありましようと思つております。各自委員は、大体全部列席をして御意見を聞いたのでありまするが、今その各自の考え方も整理しておりまするので、委員長が具体的にお返事ができなかつたと同じく私どもにおいても、委員会の全体の意見としてまだ申上ぐべきときに達しておりませんのでありまするが、先刻山川氏と委員長との問には、細かくするがいいか、せないがいいかという問題について、委員長意見を申しましたように、只今栗山氏のお話の要点は、償却についてのお話が主にあつたかと思いますが、この償却については、十分なる償却をしなければならんということを松永公益委員はかねて言うておつたが、公聽会を開いた結果、償却は或る程度減らしてもいいという考えなつたのであるのではなかろうかという、若し御質問だといたしますれば、この点について、私個人の考えとしては、電気事業の発達及び公衆の福祉を確保する意味からいいましても、電気事業のごとく長期の固定資産をよく維持して行く、そうしてこれを国民のサービスに供するというようなものの償却を怠りがちであるという旧来の償却方法及びこれをないがしろにしておつて、それを以て原価を構成している料金というようなことは遂にどこかで破産の状態を来たして、そうしてその極国民に多大の迷惑をかけ、斯界の発達を妨げるという信念は微動もいたしておりません。ただ料金を組み直す場合は、その原則を堅く持して滅法界にこれを振廻さなきやならんものであるかどうかは、公聽会に参りましてよく他の産業との釣合或いはその状態によつてものを考慮して行く必要はあると存じておりますが、計算基準のことに関して開かれました公聽会に対する償却については、完全償却を私は未だ主張を今日曲げる考えは持つておりませんけれども、いずれ公益委員会でこの問題にも或いは触れる場合がありましたら、よく各委員意見と話合いをつけて行かんならんということは当然であります。大体簡単ながらその点についてのお話はそれで……。  それから第二に、もう一つ細かく御質問がありましたのは御尤もなことで、世間で定額の償却というものは非常に割合に軽いものである。それから定率法というものは割合に重いものである。そこで重い軽いということの結果のみ考えて、そうじて定額がいいのだ、そうすると料金も安くなるのだ、償却の完全不完全は別として定額がいいのだという世間の希望が果して本当であるかどうか、その辺についてお前がた何か調べたものがあれば多少でも意見を聞かしてくれという話は、これは別に先刻松本氏の言われたような公益委員会決定意見としてかれこれ申上げるという筋よりは、むしろ私どもや事務局がこのことについて常に研究しておりますので、世間必ずしも定額が安い、又それがいいんだ、定率は高い、又それは悪いのだというようなこと以外に、実際に即して多少の研究をした点がありまするので、それを少し専門に亘りまするけれども、場合によりましては事務当局から或いは御返事をさしていいと思いまするが、私の大体考えを概略申述べますると、再評価をするということが今回やはり基準をきめます場合の償却の前提となつておりますが、その再評価法によりまして耐用年数、或いは不要資産等を処理して割出された現在の再評価の方法は専門家でないとわからんくらいに複雑を極めておりまするが、大体定率法によつて償却されております。だから道理から行くとやはり定率法に基いて償却をしなければ再評価したということについての矛盾撞着を来たしまするから、定率でやるべきものであると考えておるのであります。然るにどういうわけだかいろいろ官庁の御事情もあつたのでしようが、大蔵省方面では償却を定額にきめておられる。然らばこの矛盾撞着はどういうふうにお考えになつておるかというので、実は算定基準では定額と書きましたけれども、どうしても定率でやらなければ筋が合わない。又必ずしも定率は世間で言うごとく高いものでもないという考え方を持つていまして、大蔵省の定める定額による償却算定基準を書きましたけれども公益事業委員会規則によつて、括弧、但書において、旧来再評価された資産についてはやはり定率を用いる考え方を以つて我々は算定基準といたしておるのであります。で、今後公聽会によつて変更するや否やは別論であります。大体そうなつております。そうなつておりまする趣意は、右申した通りでありますが、だんだんどうもその矛盾が余りに道理的に不思議であるものですから、大蔵省当局に聞込んで研究いたしました結果、実は私どもも少しぼんやりしておつたので、大蔵省は定額償却法について第二の変更を加えております。その変更を加えたもの、或る程度の年数を打切つて、そうして出発点を、再評価実行のときまでのやつを切り下げて、そうして定率を用いるということと、それを定額ですることとはやや同じような率になつております。そこで然らば定額を用いる場合はどうすればいいかということについて種々まだ検討いたしておりまするが、御承知通りに再評価一ぱいいたしましても、現在の発電所を作ります場合は十万円かかる、或いは十五万円かかるものが、約三万円くらいにすつかり耐用年数を切り下げて、現在の水力を再評価されることになつておるかと存じております。然るに火力のごときは、近来鉄類の暴騰によつて殆んどこれで以て一キロ十万円、水力と変らない状態の建設費を一キロに要しますが、それが再評価によつて三千円くらいに見積つてあります。で、かくのごとき古いものは定率でやつても大した大きな、償却は完全に行きましても、原価を暴騰せしめる状態にはならないのでありまするけれども、新たにこれから始めるつまり火力十万円、水力十万円というようなごときを、これを定率にやります場合は、かなり最初の、初年度に相当多額の償却を要する状態であります。これは先刻委員長も言われたように、でき得る限りさようなことは盛り込まないようにして需用者に多大の変化を與えないようにするためには、かくのごとく新規に行われるものに対しては、成るべく定額で徐々に会社の頭を軽くして行きたい、つまり年度割制度にして行きたいという考えを以ちまして、その分は定額法によりたいがと考えております。これも尤も委員会全体もう一度協議した後でありますればですけれども、今栗山氏の御質問によつて、私どものこれまでこの償却に対する定率、定額というものが、世間で言われるごとき問題じやなく、むしろ古きものは定額で行つても、定率で行つても、大蔵省のその後の査定によつて殆んど同一化しております。栗山氏の言われたように僅か三〇%違いであるか、或いは一五%くらいの違いであるか、只今明細に存じておりません。その係の人が今日参つておらんようであります。なお詳しく御説明する機会もあろうかと思つております。大体さようにして償却はできるだけ完全にしたい。併しながらそれが無用に原価に盛り込まれんようにできるだけ十分な注意を拂いたいと考えております。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 この償却の問題は、私は一番大きな責任が……最初出たのは安定本部のプライベートな計画ではあつたにいたしましても、とにかくそういう資料が出たことだけは事実なわけであります。定率法二百五十億、定額法で行けば百億というこの数字が国民に深く滲透いたしておるわけであります。ところがその後どういう筋からの情報か知りませんけれども、そうではない、そんなに大きな開きはないということが洩れて来ておるわけであります。従つて只今のところ、定額か、定率か、限度一ぱいか、或いは若干内輪に見るかというようなことが論争の中心になつておりますけれども、それは電気料金に成るべく影響を少くさせたいという考え方から出ておるわけであります。従つて定率法定額法と、実際電気事業のこの厖大な今までの投下資本、設備に対してやります場合に差等が大して理論的にない、計算上ないということになれば、何も好んで定率、定額と言つている必要はないわけです。又大幅にあれば大いに論争しなければならない。これは電気料金原価計算的にきめるという考え方からいたしましても当然なことであります。そこで僕は今日専門のかたがおいでになつていないという話でありますが、恐らくこれほど問題になつた点でありまするから、電気事業の投下設備に対して定率法で行いますいわゆる公益事業委員会が今まで力説をして来られた完全償却考えに立つて定率法をやります場合にどれだけ要るのか、又言われるところの定額法でやりまする場合には、それがどれくらいに減るのか、この点をこの席上で一つ明瞭にして頂きたい、まだ今までこの点を公式に明瞭にされたことはないわけでありますから、この点を緊急に明らかにして頂きたいということをお願いいたします。
  34. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 今栗山委員からのお話が出たのでありますが、先般再評価を仮に限度一ぱいいたしました場合の償却額がどうなるかという資料につきましては、当委員会に御提出いたしております地域別に所定の耐用年限を基準にいたしまして定率法を適用いたしますと、年額約二百五十億になつております。定額法、これも再評価額を基準にいたしまして、それぞれ法定の耐用年限を新らしくとりまして定御法でやりました場合には、百億を若干超える程度であります。こういう資料も御提出いたしておつたかと思いますが、いずれもこれは再評価後の資産基準にいたしまして法定の耐用年限で償却額を弾いた場合でありまして、これが定率法であれば残存命数内の償却と一致いたしまして適正償却になりますけれども定額法の場合でさような計算をいたしました場合は、適正償却額を耐用年限内に打立てられないということになるために、定率法が理論的にいいのじやないかということを考えておりますわけであります。先ほど松永委員から御説明になりましたような定額法でやりましても、所定の耐用年限内におきましても定額法償却する方法を大蔵省の税法の取扱で最近認めております。この場合では、各設備につきましてそれぞれ残存命数を計算いたしまして、その残存命数内に定額法によつて償却することを要綱の扱いでも認めたわけでございますが、この計算は結局定率法定額法で、先ほど申上げました数字との間に来るわけでございます。個々の設備につきましてそれぞれの耐用年限を調べて計算をしなければなりませんために、現在電気事業におきましてはさような計算をいたしておりません関係上、的確にその数字幾らになるかという点を申上げられない現状でございまして、現在さような場合で計算した場合にはどうなるかという基礎データについては、各社にそれぞれ耐用年限の調査をいたさせております。具体的な数字はどうなるかという点についてはまだ申上げられないわけであります。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 今中川経理長からお話のありましたように、一番大事な点でですね、而もその後いろいろ世論の動向によつて漸次明らかになつて来ておる点で、数字的なまだ検討ができていないということでありまして、これはこの委員会といたしましても、是非とも緊急に明らかにせられたいと思うのであります。大体いつ頃までにその点が明らかになし得るのかお伺いしておきたいと思います。これはあとで中川経理長のほうから一つ答弁を願いたいと思います。それから先ほど完全償却考え方は全然捨てない、こういうことを松永委員長代理はおつしやつたのでありますが、それも今言われたような定率法定額法を適用いたします場合の償却の絶対額の問題がまだ結論を得ていないわけでありますが、そういたしますとそういう状況下において、見通しとしてはまだ随分研究をする余地が残されておるということがわかるわけでありますが、そういう状況下において今まで力説をせられた再評価限度一ぱい、そして言われておるところの二百五十億の定率償却と、こういう今まであなたが考えておられた点が完全償却考えとして変らないものである、こういう工合に理解してよいわけでありますか、聽聞会の結果、いろいろな意見を参酌して公益委員会としては再考慮をする予定であるということを松本委員長も述べられたわけでありますが、併し各業者に暗示を與えられ、或いは又この委員会でいろいろ述べられた点は、恐らく松永委員長代理個人のお考えが相当強く述べられたと思うのであります。従つてこの席上におきましても、完全償却の今まで述べられたいろいろなご意見そのものが変らないということでありますれば、これは将来の公益委員会の態度決定にも非常な影響を及ぼすものでありますから、松永委員長代理個人のお考えをいま少し明確にいたしておきたい、こう考えるわけであります。
  36. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君の今の質問委員長は要約して申上げますが、松永委員長代理の今まで当委員会でお述べになつた御所論は、さつきの栗山君の質問に対する御答弁と大した変りはなかつたように私も承わりました。従つて松本委員長聽聞会の結果、料金基準案修正しなければなるまいというような御意見開陳があつておりましたし、且つ二三日中に急いでこの問題は決定をしたいという御答弁もあつたのであります。なおその上に国会として、この基準案修正を御希望であるならば、十分にその意見を参酌する、こういう御意見開陳があつておりましたので、栗山委員は、今のような質問をされたと思うのでありますが、第二点は、再評価を一ぱい一ぱいにするということを松永さんは公益事業委員会で御主張になるかどうかという点、第二点は償却定額法で行かないで、大蔵省と打合せられた結果、定率法定額法を併せ行うような意味合いで償却をされるかどうかという点、公益事業委員会公益事業委員会の実力者たる松永さんは、強力に主張されるかどうかという点を、栗山君が今質問されておると考えますので、そういう意味合で一つ松永さん御答弁を願います。
  37. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 栗山さんの御返事は考え方によりましては、非常に簡單にお返事のできてることであり、又一つの役所を構成いたしますのに、関係方面もありますので、その他所管庁の交渉も済みません際に、幾万幾万の償却主張する、一ぱい一ぱいの償却主張するということについて私ども公益委員会の決議、未だ定められざる場合に、何んと申しましようか、生意気なことをここで申上げるのもどんなものかと思います。ただ簡單に自分の所信を申述べますると、償却は必ずこれはやらなければならん。これは国民の財産と申しますか、その財産を維持或いはリプレイスする立場かち絶対必要なことであつて、計算基準はこれを若しも誤つたならば、由々しい大事を起すものであるということの所信だけは持つておりまするけれども、私、老人が幾ら頑張つてもいろいろな話合いもありますから、又公益委員会の皆さんの御意見とできるだけ歩調は合せて行きたいと、かように考えております。このくらいのところでお答えができましたら……。
  38. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、まあ私のほうから逆に割切つて率直にお尋ねをいたしますが、今までは少くとも限度一ぱいである、或いは完全定率法で行くのであるということをこの委員会でもお述べになつたわけでありますが、十一日の聽聞会の結果、そこまでも今日松永委員長代理はお触れにならないで、極めて抽象的に完全償却をいたしたいというところまで後退をせられたと私は解釈をし、而もそのことは少くとも償却の問題については、十一日の聽聞会の各公述者の意見を十二分に尊重せられて、あなた自身においても善処をする心がまえを持つておられる、こういう工合解釈してよろしうございますか。
  39. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 完全償却は一歩も後退しでおりません。そのほかのことについては、先刻来屡々老人の心境を申述べたことでありますからお察しを願いたいと思います。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういうことならばもう少し突込まなければならないのでありますが、それならば、完全償却という構想の具体的な目標をあなたはこの委員会で示されたわけなんです。この前……。従つてこの前この委員会で示された具体的な構想について全然変化をしていない、こういう工合にはつきりと一つ御証言を願いたいと思うのであります。
  41. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) その後大蔵省の査定方針等について事務当局で発見するところもありまするし、定率、定額いずれが完全償却に近いか、再評価はどの程度がその再評価の一ぱいの限度であるか、そのすべて総合的に申上げたのが完全償却でありまして、その後そういうことに徴しましてそれを程度をどこに持つて行くか、つまり左に伸ばすか右に伸ばすか、上に伸ばすか下に伸ばすか、空間の問題は何とでも数字的に同じ位置が、或いは同様の結果を来たし得ると思いますから、暫らく皆さんの意見を聞きまして、そうしてできるだけ完全償却主張したいと思うのであります。具体的のことをどうも今日は、関係方面意見もありましようし、委員会多数の又考え方もありますから、これ以上はこちらで申上げにくいことをお察しを願います。
  42. 栗山良夫

    栗山良夫君 今委員会或いは関係方面考え方もあるからということを前提にしてお話になりましたけれども、これは前からそういうことが私はあつたと思うのであります。そうしてありながら松永委員長代理は、今までの委員会で相当明瞭な形において御発言になりましたから、それで今日も御答弁が願える、そういうつもりで、私は御質問をいたしておるわけであります。そこでいろいろ話が抽象論になりましたから、これ以上御質問をしても無駄かと思いますが、ただ最後に償却の問題で一言だけ確めておきたいと思いますのは、同じ完全償却の理念の中でも、償却額の絶対額については相当軽減を、理論的にも大蔵省当局の考え方と併せ考えましてしなければならないような状況にあるように私は聞き取つたのでありますが、今までお述べになつてつたいわゆる二百五十億円というような絶対額から相当下るものである、まだ細かくその額の説明を伺いませんけれども、下るものである、そういう工合考えてよろしうございますか。
  43. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) そのことについて御返事はしかねます。
  44. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君の御質問の中で中川経理長に対する質問答弁があつておりませんから、中川経理長に答弁を求めます。それは大蔵省で御研究なすつた結果、数字を弾かれるのがいつまでにきまるかという……。
  45. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 恐らく各社の設備につきまして、帳簿に基いて全部欄べるというのは、今後三週間乃至三週間を要すると思います。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと今度の料金決定には間に合わないじやありませんか。
  47. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 委員会といたしまして、料金の最終の処分をいたしますまでには、当然そういう数字も参考として出します。いずれにいたしましても、委員会として把握いたしたい数字でございますから、十分間に合うつもりでございます。
  48. 栗山良夫

    栗山良夫君 参考としてとおつしやるのですが、償却額の料金改正以後の絶対額をきめるのにそれは必要じやないのですか。
  49. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 先ほどからお話のございましたように償却法としてはいろいろな方法があり、又その結果数字もいろいろと出て参ります。従つて今の残存年限内の定額法償却する場合に数字がどうなるかという点は、お話のように絶対額として必要でございますが、必ずしもその数字で行くか行かないかということについては、委員会としてもまだ何ら決定いたしておりませんので、最終処分をいたすまでには十分材料として整備いたしたいと、かように存じております。
  50. 栗山良夫

    栗山良夫君 この問題は又後ほどいろいろお聞きする機会もあろうと思いますから、私はこの程度で打切ります。  それから先ほど松本委員長もそれから松永委員長代理も、まだ料金基準というものが正式に決定をしていないのであるからして、各業者にその算定基準に基いて料金申請書を作るような指導をしたことはない、従いまして公式の申請書は出ていない、こういうことをおつしやつたのでありますが、併しそれは公式の話でありまして、内々には委員会のほうからそれぞれ各社に適当な指導調整をいたした、こういうことを言われておるのであります。従つて各社に指導調整をせられたのはどういう点を主にやられたか、その要点を一つお聞きしたいと思うのです。どういう点を指導調整せられたのか。
  51. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 各社に指導調整したという前提でのお話でありますが、指導調整というまでのことにはなつておりません。併しその後四月十六日でしたか、試案が出たのを拝見しますと、各社問に何割上げるというふうなことが主になつて、その主な理由としては、こちらでも申上げたと思いまするが、右炭費が非常に上つた償却を相当せんならん、これに二百何十億円、それからそれぞれこういうわけだというのが、例の七割三分ばかりの平均した案であります。でここにおいて五月一日に新会社ができたのであります。その後その出た案について首脳者のかたがたにいろいろのことでお集まりの席上、大体償却を完全にすることは当然である、すべて計数は最も合理的に出なければいかん、つまり竹馬主義ではいかん、旧来こうであつたからこうなくちやならんというのではいかん、これまでやつたものは不当に支出が出ておるというのならば、それは適当に削ることが必要である。自分のほうでこれだけ、お前のほうは不当な計算があるということは、未だ委員会は少数の人間で調査できない、君がたのほうでよくそういうことを調査して、そうして旧来の経費はこうであつたけれども、これはここまでは削れる、それに石炭費が幾ら余計かかる、人件費が幾らかかる、而も人間は少し余つても、今の時節柄人をむやみに切ることができんとすれば、それをできるだけ有能に働かすということについても相当の考慮を加えて、そうして人件費の総額も、物品の総額も、それぞれもう少し合理的な計算をお出しになることが必要である、これらのことは示唆いたしております。それから償却その他につきましては、私のほうで十分に調査をしなければならんと思いまするので、この耐用年数その他についても、今中川経理長が申したように、償却に対する耐用年数、そのほかについてもいま一度調べて出してくれ。併し再評価をしたいということは当然の状態であつて、又政府もそれを認めておるので、いつするかということは、九月或いは十月にはどうしても再評価して、そうして社債の限度を拡大して、やはり金融という方面に移らんと、五月一日において社債発行余力は僅かに四十三億でありまして、これは拡張工事、改善工事等に使う余裕はないのであります。どうしても資金面において、電力開発或いは改善工事等を考えるならば、再評価止むを得ない。然らばその再評価は再評価方式で行くよりほかにない。償却については再評価そのものにするという以外に、自分自身の耐用年数等もよく調べて、そうして只今申しましたように、完全償却について案を立てるべきである。役所のほうでも、公益委員会のほうでも、然らばどういうように考えるかというので、俗に申します原価主義を基礎として今度の基準法を出した次第であります。それは先刻松本委員長お話なつたように近く、ヒヤリングをした結果の決定は二三日のうちにもせねばならぬかと思うております。その基準の定めましたところによつてすべてのことを考慮して決定してかからなければいかん。この決定という言葉は少しヒヤリングした後じやないと使う言葉ではないかも知れませんが、栗山さんのお言葉を借りて言えば、各社状態の悪いでこぼこの点については一応訂正を認めております。それでもう二三日いたしますれば、各社のでこぼこなり、又私どもで少しく不合理でないかと思う点の話合いを求めております。多分ヒヤリングをいたします場合までには出揃うのではないかと考えております。これが各社に示唆したといえば示唆した点であります。お答えいたします。
  52. 栗山良夫

    栗山良夫君 指導調整せられた内容についても、非常に抽象的なお話でありますのでよくわかりませんけれども、私どもが今各社から出された資料の中で非常に奇怪に存じておりますのは、いわゆる先ほど申された合理的問題ということであります。果して各社が合理的に贅肉を切つて、そうして本当に事業の運営に打込めるような態勢をとつておるかどうかというところが一番中心になると思いますが、一番問題点になりますのは、一つの例を申上げますと、役員給與、理事給與、こういうものについても、非常に私は奇怪なものをここで見ておるのであります。例えばこの料金原価計算の中に入つておりまするものを見ますると、真実有効ということになつておりますが、真実有効でないものが相当あるように思うのであります。例えば四国配電のごときは、私の所に重役監査役の挨拶状が来ておりますが、総員十三名、然るにこの表では二十名になつておる。関東、東京電力は私の所へ来た挨拶状はやはり重役、監査役を入れまして十九名、この表に載つておる通りであります。そしてまだほかも調べておりませんけれども、恐らく相当に水ぶくれの重役の人数の所もこの表の中にはあろうかと思います。又その單価を見ましても、年額九十万円ということになつております。併しこれは曾つて日本発送電の総裁でも、月額十万円でありましたから年額百二十万円、そして非常勤の重役が非常に殖えておるのであります。そういう点から考えて見ますと、人数においても水ぶくれ、それから單価においても水ぶくれになつておると私は思う。それから更に重役を非常に減らす、こういうことになつておりまして、従つて理事給與というものが出ておりますが、理事の数も殆んど重役の数と同じだけ各社ともありまして、而もその單価は年額八十万円ということになつております。重役と十万円違うだけでありますということは、畢竟するに、役員、理事を入れて重役は相当な数で水ぶくれをしておるということが結論として言えるわけであります。こういうことで果して合理的に真実有効であるかと私ども疑わざるを得ない。そういう点はどうなつておるのか伺いたい。
  53. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 先ほど委員会が示唆したと言われた点について、松永委員から御答弁がございましたように、委員会は抽象的な方針を必要によつて示唆いたしただけでございまして、一切会社申請案なるものは、会社の発意において作成されたものでございます。従つて原価計算の部門におきましては、やや統一があるようでございますが、これは会社経営者会議の幹事会というものがございまして、そのこで各社が出しますについて、一応の相談をしたようでございます。従つて大体その相談に基いて、各社が計算をいたしたものであろうかと思います。まあ委員会として具体的な内容について、細かい指示をいたしたことは一切ございません。又委員会料金の認可に際しまして、かようないろいろな経緯について内容を十分審査して、処置いたすつもりでございます。資料としてお配りいたしましたものについては、委員会としては別に何心示唆したことはございません。
  54. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ちよつと委員諸君にお諮りしますが、さつき私が申しましたように、松本委員長も二、三日うちに料金算定基準決定したいという御意向のようですし、なお決定する前に国会としての考え方はどういう点にあるか、どういう点を修正したいと考えておるかというような点を御発表できれば、十分考えたい、こういうような松本委員長の御説明でありました。予定が、今日の午後も明日も公益事業委員会を呼んでの予定になつておりませんので、今日松永委員長代理のおられる際に、この問題についての委員諸君の御意見一つ述べて頂いて、この問題を先に片付けてしまいたいと思うのですが、そういような意味合いでの御発言一つ頂きたいと思います。
  55. 古池信三

    ○古池信三君 料金算定基準案に対しまして、一つ私の所見を申述べたいと存じます。先ほど松本委員長がおいでになりまする間ですとよかつたのですが、御都合によつてお帰りになりましたけれども松永委員長代理がおいでになりますから、申上げて見たいと存じます。それは料金算定基準というものの内容を、もつと細かいものに規定することがいいか、或いはこの程度でいいかということが一つのポイントになつてつたように思うのでありまするが、これについて松本委員長は、先ほどアメリカの例をとつて見ても、アメリカには余りこういう成文化したものはないようであるというお話でありました。つくづく私が考えまするのに、それはアメリカにおいてそういう成文がないということは、成文がなくても極く通正に料金がきめられておるから、アメリカの国民の間では異論がない。国民がこれを納得しておる。まあ言葉を換えて言えば、それによつて料金が具体的に極めて妥当なところにある、そういうふうに私は考えるのであります。そういうような場合でありますると、何も算定基準というような仰々しいものがなくとも、それで国民全体が納得すれば結構なことだと思うのであります。又我が国の例を見ましても、以前電気料金の届出制度のときには、これは別にそういうやかましい算定基準もなかつたと私は存じます。各社それぞれ適切なる料金をきめて政府に届出をすればそれでよかつた。その後昭和十年前後だと思いますが、電気料金の認可制度になつて、そのときに政府は何かをするのに一つ基準をやはり作らなくちやなるまいというので、料金の認可基準というものができたと承知しております。この当時の電気料金認可基準をきめられるに当つても、政府は独断ではなく、朝野のその道の学識経験の深い人を集めて審議会を作つて、それに諮つてきめられたと私は承知しておるのであります。併しそれも決してそう詳しいものではなかつたと思つておりまするが、そういうようなわけで、要するにこの料金そのものが具体的に世間で納得すればそれで問題はいいと思う。従つてこれを詳しくするか、或いは簡單にしておくかということは、要するに程度問題でなかろうかと私は考えます。松本委員長余り詳しくすると非常に融通がつきにくいというようなお話もあつたようでありますが、これも私は一概にその通りだとも申上げられんのであつて、それは昔の孔子様の時代であつたら法三章で足りるという時代もあつたかも知れませんが、併しこういうふうに社会生活が複雑になつて来ておりますと、自然やはり法制も複雑になつて来ておる。そこに必要性があつて生じたわけですから、必ずしも複雑になつていけないということも言えない、こう考えるのです。そこで今日は時間もありませんから、この算定基準について逐條的にどうこうということは私は申上げることを控えまするが、要するにその眼目は飽くまでも一つの方便でありまするから、この算定基準が目的ではないのでありまするから、これによつてでき上る具体的な料金の、本当に国民がよろしいといつて納得できるものができればそれでいい、かように私は考えます。そこで先ほど委員長がこういうようなことを話されておりました。只今委員長お見えになりませんから、甚だ確かめるわけにいかんことは遺憾ですが、一昨日でしたか聽聞会の席上において、三十名以上のかたからそれぞれ突込んだ御意見発表があつた。私はその席におりませんでしたから、どういう意見聽聞会において述べられたかということはつぶさにいたしておりません。いろいろ意見があつたが、併し公益事業委員会としては、少くとも委員長個人とせられては、かように考えておる、こういうふうな御答弁があつたのであります。私はそこに相当問題があるのじやないかと思うのであります。その後こういうこともお話がありました、この基準は簡單にしておいても、料金改正する場合には一々聽聞会を開いて意見を聞いてきめるのだから、簡單でもいいじやないか、こういうような御意見がございましたが、そこに私はいささか矛盾しておるところがありはせんかと思うのであります。というのは、一昨日三十数氏からいろいろ意見があつたけれども委員会としてはこういうふうに思つておるということになると、それは單に聽聞会意見は一応承わつておくというだけのことで、実際の決定委員会が独自の立場でやるのだというように取れんこともなかつたと思うのであります。それでは折角の聽聞会を何のために開いて意見を述べさせるのか、その意味が甚だわからんことになるのであります。でありますから聽聞会においてそれぞれ有識者が意見を述べたならば、やはり委員会としては虚心坦懐にその聽聞会における意見を聞いて、そうしてそれに従つて行かれるところに、初めて民主的な政治のあり方もあり、又聽聞会を設けたという意義もそこにあるのじやないかと思うのであります。聽聞会意見意見だ、自分たちはこう考えておるというのでやられたんでは、これはただ時間潰しのことだけであつて余り聽聞会意味というものはなくなつてしまう、その辺を私は非常に心配をしておるわけであります。なお聽聞会の席上では、政府の関係官庁からも意見が述べられたように承わつておりまするが、先般この電力特別委員会の席上において、安定本部総務長官が答えておられましだ中に、電気料金決定は、如何にも公益事業委員会においてなされるのであるが、併しこの問題は産業の面においても、或いは国民生活の上から言つても極めて重大なる意味を持つておるものであるからして、より高い見地から、国家的な見地から十分公益事業委員会とも相談をして行きたい、こういうことを述べられて、御同席になつておりました松永委員長代理もこの周東安定本部総務長官の意見には賛成をしておられたと私は伺つております。そういうようなその関係官庁の意見聽聞会において述べられたとするならば、その意見はやはり率直によくお聞き入れになつて、今後の方針を立てられることがそのときのお言葉の趣旨にも副い、又公益事業委員会としても成るほどと言つて世間から大いに敬意を表されるような役割を果されるのではないか、かように私は考える次第であります。それでもう一度言いますると、聽聞会における民間代表の意見、それから関係各官庁の意見、これを十分に取入れて、そうしてこの料金算定基準というものをよほど大幅に私は御修正になる必要がありやせんかと思うのであります。その際に條文を殖やすとか殖やさんとかとのうことは、これは第二段の問題であつて、要は衆智を集い、皆の意見をよく聞くということが私は必要じやないかと思うのであります。現在御承知のように毎日の新聞を見ましても、或いはいろいろの会合に出て意見を聞いて見ましても、この料金改正問題は非常に大きな問題になつておるのでありまして、これはもう委員会のほうでよく御承知通りと思います。かような値上げ問題が今非常にやかましく言われておるということは、そこに国民として何か満たされんものがある、不満があるということは、これはもう否定できないと思います。今までも再々料金改正があり、そういう際には値下げというよりもむしろ値上げの場合が多かつたのでありまするが、その当時は今日はどやかましく世間に騒がれておらんのであります。ということは、その時代の値上げというものは、やはりそのときに応じてそれぞれ万人から納得される具体性があつたからであると思うのであります。今こういうふうに騒がれておるということは……その辺をよく一つお汲取りを願いたい。それからもう一つ私は申上げておきたいことは、料金値上げ或いは算定基準内容について相当世間の誤解をまだ受けておられるのではないかという点であります。これは十分によく説明をされて、国民が納得すればそれで又いい面も出て来ると思うのでありまするから、もう少し積極的に説明の労をとられることが私は必要じやないかと思うのであります。例えば先ほどからいろいろ問題になつておりまする減価償却の方法につきましても、一概に定率法と言い或いは定額法と言いましても、一体その内容はどうなのか、その理論的な根拠はどうであるか、又金額にすれば年間どのくらいになるかということを一向明らかにされないで、ただ定率法で行くとか何とか言つておられますると、非常に世間の疑惑を招く。そういう疑惑を招いた結果如何に強力に事業委員会料金決定を強行されましても、これは国民は肚の中に決して満足しておらんのであります、一時は仮にそれによつてきめられたとしても、満足しておらんような料金をきめられたならば、必ずどこかに不満というものは爆発するに違いないのであります。これは私は政治家としても、或いは行政を担当しておられる公益事業委員会としても、決してとらるべき途ではなかろうと私は思います。それで今私が申上げましたように、この問題の主要なる点、減価償却の問題或いは資産評価の問題、これを如何にして再評価を一〇〇%せねばならんかという理由についてもつと親切に、もつと一般の専門でない人にもよくわかるように説明され、そうして国民の協力、納得を求められる方法を講ぜらるべきである、かように考えます。なおこういうことも一部には言われておるのであります。これは今回の料金値上げによつて、その減価償却費が将来の開発の資金になるのではないかということを言われておりますが、これについて、この前回委員会で私がお尋ねをしました際に松永委員長代理は、この減価償却費は飽くまでもリプレイスに要する費用であつて、とれを将来の開発に向けることはないし、又そのほか建設費は料金値上げによつて賄う意思はないということははつきりされましたので、私はそれによつて了承しましたけれども、併し今なお国民、世間の中にはそういうふうに考えられている面が相当多いのであります。これなんかは公益事業委員会の御努力が足りないということを私は端的に申上げたい。そうして如何にもこの値上げの理由がいろいろと述べられておるのでありまするが、そういうような場合にもただ値上げをしたいから電力会社値上げをする、それについて理窟をいろいろとむしろこじつけておるんではないかというような一つ考えも国民の一部にあるように私は思います。そういうような考えを国民に抱かせるということは、そもそもそこにおいて大きな誤りをやはり犯しておられるのではないか。こういろような公益事業としまして国民に疑惑を持たれたり或いはいろいろ肚を探られたりするようなことでは、これは将来決して円満な発達はできないということは、これは私が申さんでも松永委員長代理はよく御承知通りだと思うのであります。やはり国民と共に発達するのでなければ、国民と遊離して電気事業だけが発達するととはあり得ない、そういうようなことについて私は一つ松永委員長代理の率直な御所見を伺いたいと思います。
  56. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 私は古池さんの全般に亘りました御意見について誠に御同感であります。なお委員会が実際についての説明が足りないのじやないか云々ということも誠に事実そうかと思いまするが、その点につきまして業者自身の発意によつて、又責任においてよく自分たちの提出した案について責任を以てよく説明をするように公益事業委員会としてもお話をしておりまするが、これもなお不十分な点が多いだろうと思います。先刻松本委員長も今日はでき得るだけこの基準の問題について我々の委員会として考えるべき点があれば十分承わつて見たいということのお話があつたのであります。途中帰られましたけれども、私も同様の考え基準決定することも近いうちに決定せねばならんと思いますが、今日は私どものかれこれ弁明又は議論を申上げるよりは、皆さんの御意見を十分承わつて帰りまして、委員会にもこれを反映して十分検討して見たいと思います。どうぞその辺の御意見について十分お話を願いたいと思います。
  57. 古池信三

    ○古池信三君 もう一つお尋ねをいたしたいのですが、只今の御答弁の中に、公益事業委員会もこの説明については十分でなかつたかも知れんが、それぞれの各電力会社説明も十分でない、こういうようなお話がありましたが、誠にその通りであると存じますけれども電力会社説明或いは言われることと、そうして公益事業委員会の言われることとは、その立場が非常に違うのでありますから、国民の聞く場合の態度というものは非常に違つて来るわけです。申すまでもなく、この料金値上げに関して不平があれば、先ず第一番には電力会社に向けられることは当然でありまするけれども、併しながらそれが認可されたとなれば、やはり認可したところの官庁、即ち公益事業委員会に国民の不平不満が皆集まつて行くということも、よく一つあらかじめ御承知おきを願いたいということを申上げておきます。それで先ほどもちよつと私が触れましたが、今の減価償却費が非常に多くなるのでありますから、これについて国民は非常に関心を持つているわけです。それで定額法定率法一つ両方並べられまして、それぞれの電気事業に適用されるべき理論的な根拠、そうして具体的な数字というものを何か刷物にして、極あて近い時期にこの委員会にも御提出を願いたいと思います。ただ口答で説明を伺つているだけでは未だ十分とは言われませんので、書いだものにして一つお渡しを願いたい、こういうことをお願いをいたしておきます。そうしてなおこの減価償却費の使い方について、これはまあ金繰りにも関係して来ると思いますが、そのようにして年々電気料金として入つて来る収入の中の相当大きな分が減価償却費として出て来るわけでありますが、その減価償却費として積立てられるべき金は、現実には何に使おれているかということも、これははつきり示されるべき必要があると存じます。なおついでながら申上げておきますが、国民の間にはこういうふうな考えも一部にあるようであります。それは値上げというものを全然否定はできないだろう、これは資材その他の物価の変動もあるから或る程度は止むを得ないとしても、先ず第一にその程度が問題であるが、もう一つは、値上げのやり方です。この際一時に全部思い通りの額まで値上げをするか、或いはそれを打田かに分割して除々に、漸進的に値上げをして行くという方法も考えられますが、一時にやればどうしてもその影響が一時に来て、産業或いは国民生活の上に大きな影響をもたらすことは当然であります。これが何回かに分けられれば、その影響はだんだんに緩和されるということも考えられます。これはどちらがいいかということを申上げるのではない。そういう声も世間にありまするから、公益事業委員会はよくその辺のことを考えられまして、單に理論だとか、或いは目標だけを考慮されないで、実際面の影響ということを十分に一つ考えておやりを願いたいということを私は思うのでありまするが、只今私がお尋ねしたその定率法定額法の理論的根拠並びに具体的な適用の面を詳しく書面にして提出して頂けるかどうか。それから値上げを時期的に、一時にするか、或いは漸進的に値上げをして行くかというような方法についても十分に御研究、御考慮あるかどうかというようなこともお答えを願いたいと思います。
  58. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 第一の質問は中川経理長、後段のほうは松永委員長代理からお答えを願います。
  59. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 現在ございます資料につきましては至急求めて御提出いたしたいと存じます。それからまだ整理いたしておりませんものにつきましては、でき次第追加してお出しをしたいと思います。
  60. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 後段の値上げを一時にするか、或いは値上げを分けてやるかという問題について、まだ何番考えておりません、考えたことはありませんけれども、勿論各社の案も揃わず具体的の理由、影響等につきましての調査もまだ不十分でございますので、今日まだ御返事するまでにはなつておりません。
  61. 奥むめお

    奥むめお君 私も今その問題で聞きたいと思つていたのですが、新聞では何か一度にしてしまわないと会社の経理が立たないということを聞いたのですが、それではそういう考慮の余地があるのでありまして、二段階なり三段階にして値上げをすることもできるかも知らんと、こういうふうに考えてよろしいのですか、松永さん。
  62. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) そのことについて今丁度古池委員さんに御返事いたしましたように、算定基準の問題が漸く公聽会も済み、目下関係方面その他とも折衝いたして、それを大体考えまして、そうして次にその基準によつて償却がどういう点にやられるか、或いは今後経費として増大すべき各種のものがどういうふうに処理されて行くか。徒らにその資産の食潰しのようになつたり、そういうことにならない程度のことを先ず事業として考えて、次にはすべての土台をそこにきめ得ましたならば、各社からいよいよ料金案が出揃いました後にこれを検討しまして、これをどういうふうに段階的にするがいいかどうか。それから又公聽会その他を開きまして、そういう余地があるならば成るべく変化のできるだけ少いようにするのがこの取扱方としてまじめでありますから、このまじめな改訂をきめまするのは、恐くは料金決定につきまして公聽会を開きましたときに判然と公益委員会できめなければならん問題として考えておりまして、今日ちよつと御返事しにくい……。
  63. 奥むめお

    奥むめお君 それではもう一つ、大口電力の立場のおかたは大口のほうは是非安くしてもらはなければ困るという立場がきつと強いと思うのでございますが、私どもから言いますと、家庭電力の面からどつちを値上げの算定のときに重く見るかということについて、国民として今非常に電気料金値上げに関心を持つのは、零細な家庭のたくさんの声の集積だと思うのでございますが、こういう問題は、家庭の声というものは数で行けば非常に多いけれども、併しばらばらに非常に弱いものである。何か現行の料金で見ると家庭の使う電力は少いのだけれども、その料金の総額は大口電力よりも非常にたくさん拂つている勘定になつている。こういう数字を私何かで二、三回見たと思うのでございますが、今度の料金をおきめになる場合には、是非消費者の、家庭電気料は安く押えるということに御助力を願いたいと思うのでございます。それは又一面からいいますと、公益事業委員会は世間では大口に電気を使う会社関係の人が公益委員会に入つているから、家庭の電気は結局犠牲になりはせんか、こういう声を私どもしばしば聞いておりますのでございますが、公益事業委員会でございますから、零細な消費者がお縋りして、そうしてきつと零細な家庭のために料金の査定に当つては、あそこの委員会が一番心配してくれるという信頼の持てるように、私ども是非お骨折りを願いたいと思うのでございます。お願いいたします。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 人の給料を云々して誠にけちなような話なんですが、先ほど栗山さんがちよつと触れられました役員の問題ですが、私たちがこの前役員をきめるときにいろいろこの委員会で問題にしたのは、役員の数が殖えるという数の問題ではなしに、役員が殖えれば従つてその費用も殖えるという点、それが電気料金に響いて来るというような、そういう心配があつたために役員の数を少くするという意見がたくさんここで出されたと思うのです。ところがその後見ておりますと役員は減つたようですが、役員待遇の理事が百三十六人も出て来て、結局総数におきましては、初め計画していた役員の数と余り変つていないと思うのです。而も二十五年度の表で見ますと、旧配電と日発の役員総数の給與が一億三千六百八十七万七千円となつております。
  65. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 須藤君にちよつと申上げますが、資料の説明を聞いてその問題を質問一つして頂きたいと思います。今算定基準のやつをやつておりますので、一応二十五年度からの実績の説明を聞きますから、それから後で俸給の問題をやつて頂きたいと思います。
  66. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは保留して、きます。
  67. 椿繁夫

    椿繁夫君 今奥委員から家庭電力の問題についてお願いがありましたが、私は同じような立場で、中小企業の料金が大口電力に比較して不当に高くなりはしないかというような心配を一部で持つておりますから……。
  68. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 椿君、そういう問題も資料の説明を聞いてして下さい、入つておりますから……。
  69. 椿繁夫

    椿繁夫君 これから今の基準に牽いて質問をしようと思つて前提を言つたのです。そういう不安がありますから、これは後ほどの資料の説明を伺つた場合に申上げることにいたしますが、私のお願いして御意見を承わりたいと思いますのは、関西のように、御承知の水力電源を持つていない地域におきましては、今度他の会社との供給契約が円滑に行くであろうかどうかという心配を非常に持つております。そういう点について心配はないのだというようなことをお聞かせ願いたいということが一つ、それからこれまでの電力料金の請求の場合でありますが、割当量を超過しました場合に、火力発電料金の請求を受けるわけでありますが、実際はどこまで水力の何をもらつてあとの部分、火力が実際どれだけ使われたかということについて需用家のほうは一向に相談も受けなければ、一方的に請求を受けるわけですね、そこで今度そういうような場合、水力を超過いたしました火力料金を各角力会社が需用家に請求をいたしました場合、成るほど幾らの石炭を幾ら使つて供給をしたためにこれだげの火力の料金を請求することができるのだということが、一体どこでお認めになつて需用家のほうに会社から請求をすることになるのか。こういう点が私はこの料金算定基準を議する場合に考慮しておかなければならん点ではなかろうかと思うのです。この間も、前回委員会でありましたか、栗山委員から御質問になりました際、案外に水力が発生したために、結局水の電気を使わしておいて電力会社は火力料金を徴収しておるというようなことが数字的にも明らかにされておりましたが、こういうことは実際に電力会社が石炭を幾ら焚いて、どれだけの火力発電を行なつたということを認めるところが欠けておつたために、こういうようなことになつておると思うのですが、今後公益事業委員会としては、成るほどその請求料金というものは無理のないものだというふうなことを、どこでどういう形で押えて行こうとなさるのか、そのことをちよつと伺いたいのであります。
  70. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の椿君の御質問ですが、御答弁のほうは資料の説明の中にすべて含まれておりますので、資料の御説明を一遍お聞きになつて、そして御答弁をして頂くことにいたします。料金算定基準の問題は非常に重要な問題なんで、これは又変更して一つ審議をすることにしまして今日は日程が狂つてしまつて、参考人も呼んでおりますしいたしますので……。
  71. 山川良一

    山川良一君 非常に簡單でよろしいから……。五月の十七日に基準の案をお作りになつてから、そのあとでケネデイ氏から、簡單に申しますと拡充貴金は料金に織込んではいけないというような意見が出ておりますが、そのことを基準の中に挿入される御意思がありますかありませんか。若しないとすればその根拠を一つお伺いしたいと思います。
  72. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) たびたびこの問題は山川さんから当委員会でも、或いは公聽会でもお述べになつたと思つております。又私どももかなり明快にそれはお答えしているつもりであります。
  73. 山川良一

    山川良一君 私が質問しているのは、基準案にお入れになる御意思があるかないかということです。
  74. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) どういうことですか。
  75. 山川良一

    山川良一君 私は、今の拡充資金を生み出すようなことは料金決定にしてはいけないということを基準の中にお入れになる御意思があるかないかということです。
  76. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 当然そういうものを基準の中に入れる考えはありません。そのことは三度お答えいたしております。
  77. 山川良一

    山川良一君 私の言うのは、基準の文句の中にそういう文句を入れる御意思がないかどうかということを伺つておるのです。
  78. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) ございません。
  79. 山川良一

    山川良一君 ありません……。
  80. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) ありません。
  81. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは次に二十工年度の九地区別経費実績並びに収入実績、同年度予算料金改訂案の料金表その他について中川経理長の説明を求めます。
  82. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 先ほどのお答えで誤解をされるといけませんので、ちよつと弁明したいと思います。ないという意味は無論御杞憂になるような必要はなし、基準として入れるべき性質でもないと思うので入れないというだけでありますが、委員長あたりも、皆さんの今日の御発言に徴して入れるほうがよかろうというので、多数の人がお認めになれば私は必ずしも入れて悪いと主張するという考えではありませんですから、どうぞその辺を御了解願つておきたいと思います。
  83. 山川良一

    山川良一君 私は極めて重要な点だと思いますので、是非お入れ願うようにお頼みいたします。
  84. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 帰りましてからよく申します。
  85. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) それでは御提出いたしました資料につきまして御説明いたします。この資料はいずれも実績につきましても、又料金改訂予想につきましても会社側数字をそのままのつけたものでございまして、委員会としての批評はまだ別段加えたものではないことをあらかじめお含みおきを願いたいと思います。  最初の二十五年度経費実績表という印刷物がございます。この表は配電側におきましては、配電側の二十五年度の決算の数字をそのまま取入れました。文日発側の経費につきましては、日発の決算数字を日発におきまして各地区別に分配いたしまして、その地区の実数として一応分割いたしました場合の想定値を挙げた次第でございましてその合計額は、各地区の二十五年度の経費実績として推算したものでございます。日発の支店の経費につきましては、この支店をそのままその地区の実績とみなしました。本店の経費につきましては、それぞれ支店に按分をいたしたわけでございますが、その按分の場合には、大体人件費につきましては、支店の役員の数とか、或いは支店の人件費の基準賃金の比率による、かような比率を用いまして按分いたしまして、又その他の経費につきましては、税金等につきましては本店の資産の比率その他を用いて一応按分したものでございます。この実績額につきましては、それぞれ決算の内容等につきまして、私どものほうも内容の監督をいたしておりますので、この経費実績も相当これから内容の審査をいたしまして、又それぞれの新料金のペースになりました原価計算と比較いたしますために詳細な内容分析をいたしたいと思つておりまするが、ここに出ましたものは会社のほうから提出されましたもので、生のままの数字でありますことを御承知頂きたいと思います。  それから次に料金の計算といたしまして、各社から一応現在までに出ております資料につきまして横に並べましたものをいろいろ出してございます。最初に料金の基になりました二十六年度需給対照表というものがございます。これは総括原価を配分するに当りましての基準となる需給の予想でございます。二十六年度需給対照表(会社申請分)とございますが、ここでは各新会社の地区別にそれぞれの供給力の想定、販売電力量の想定が掲げてございます。この数字は供給力につきましては、基本としては法規委員会で策定いたしました二十六年度の需給予想、需給計画でございますが、別途資料としてお配りいたしてありまする一冊の本になつております二十六年度の需給計画というものがございます。おおむねその数字を基礎にいたしまして各社で作成いたしたものでございます。水力発電所につきましては、従いまして過去九カ年の平均の数字が載つております。委員会策定の需給計画と違いまする地区といたしましては中国、四国、それに九州でございまして、それぞれ九カ年平均の実績によりまして、中国におきましては四・五%の想定、四国におきましては四%、九州におきましては三・二七%を見込んでおります。これらの地区におきましてかような数字を見ました基は、結局需給計画と総合送電率、即ちロスの点におきまして若干いずれも実際を勘案いたしまして委員会策定のものより数字変つておりますが、それらの結果のしわが或いは販売電力量に廻り、或いは供給力の豊水地帶に廻つておると見ておるものでございます。又火力発電所の会社、支店等の数字も大体において今回策定の需給計画に載つております。地帶間融通につきましては、これは委員会予定いたしました地帶間融通とは違いまして、地帶間の需給計画は、先般御説明いたしましたように、大体各社は二十五年度のその地区の実績と、委員会の策定しました二十六年度の予定計画との折半値を以て需給計画の基本数字といたしておりますので、その各社数字を基礎にいたしまして、この地帶間の数字を計上いたしております。  それから送電損失量につきましては、委員会策定のものとは違いまして、若干その地区の実際の想定値を幾分加味したものになつております。尤も実績よりはいずれも努力して引下げるという目標の下に数字は切詰められてはおりまするが、委員会策定の数字とは若干食違いがございます。全国平均で申上げますと委員会策定のロスとそれから擅用と申しまするか、その数字を加えましたものが約二六%になつておりまするが、会社申請分につきましては二六・七%という、ここに掲げられておるような数字になつております。  それから販売電力量につきましては、委員会の需給計画におきまして一応策定いたされたものがございまするが、これは標準電力量の割当計画を基準にいたしまして策定いたされまして、火力料金としていわゆる入ります分は一括して算定いたして見たわけでございまするが、これを各社申請案におきましては、それぞれの部門に入れまして、全体としての販売電力量を想定いたしたものでございます。そうしてその他の点からの誤差が或る程度各部門に需給計画の数字とは違つて出ておりまして、例えば大口電力の乙、丙等につきましては、若干委員会策定の数字より小さくなつております。或いは又地区におきましては委員会の推定数字よりは相当違つたものに出ておりますが、それぞれの地区の実情と申しまするか、会社の計画に従いまして予想を組替えてございます。  石灰の消費量につきましては、全体といたしまして六百五十九万トンという数字が載つておりますが、これは各社で出します分が、全国平均で六百二十二万トンになつておりましてその他が委託発電の分でございます。委員会策定の基準としては百十六万トンでございまするが、若干委託発電を殖やし、若干自社の火力発電を殖やした分がございますので、その分だけ殖えておりますが、なお石炭の消費率につきましては、ここには掲げられてはおりませんが、これもおおむね委員会策定の数字に則つて、それに委託発電分を加味したものできめられておるようでございます。石炭消費率につきましては、別途原価計算予想の中に掲げられてございますので、そのとき併せて御説明いたしたいと思います。  次に御参考までに需給計画で見ました総合損失率についてここに申上げておきたいと思います。北海道が二四・四%となつておりますが、需給計画におきましては二四・五%、それから東北の二四・四%は、需給計画におきましては二四・二%、東京の二五・六%の損失は、需給計画におきまして、は二五・八%、中部の二八・八%は、計画におきましては二六・九%、北陸の一八・八%は、計画におきましては一六・四%、関西の三一・二%は、計画では三〇・二%、中国の二八・五%は、計画では二六・二%、四国の二二%は、需給計画で二四・五%、九州の二六・二%は、計画では二四・六%、こういうことになつております。  それから次に二十六年度収支予想表という印刷物でございますが、これは各社で見ました二十六年の総括原価に該当するものでございまして、收入並びに支出双方が含まれております。この収支は各社の別途資料としてお出ししてあります料金案に即応いたしました収入でございまして、支出はそれを賄うべき総括原価であります。若干、全国合計におきまして十九億の赤字ということになつております。この支出の詳しい内容につきましては、別に印刷物で昭和二十六年度費月別経費説明書というのがございます。これは先ほどちよつと申上げましたように、各社が或る程度原価計算をいたしますについて、経営者会議等で名打間で或る程度の打合せをしたようでありますが、細目につきましてはいろいろ違つた点がございます。委員会といたしまして別段何も指導した筋合いではございませんことを附け加えて申上げます。この明細表を見て頂きますると、例えば役員給與、これが人員がそれぞれ掲げられておりまするが、現在の実費でこれを計上いたしました地区は東京でございます。東京と中国、中国は十二という数字でございます。東京と中国は実在員で計上し、その他の地区は定款の人員で計上しているのでございます。それから單価は各社経営者会議で協定した数字のようでございますが、東京だけは定款の人員数にこの協定人員を掛けて総額を出したものでありまして、それをここにあります十九人で割つて見ますと九十四万七千円という数字になつております。その金額は年額でございます。それから理事給與というのが、人員、單価がございますが、いずれも理事のほうは実員で計上されておるようであります。それから給料手当につきましては、人員は、自発の本社分の各地区分配については若干推定人員があるようでございますが、おおむね各社の実在人員に対しまして年間の減少を見まして、年平均人員を基準にして計上してあるようであります。基準賃金、それから冬営手当等いろいろございまするが、基準外の比率につきましても、基準外時間というのがございまして、括弧の中で基準外賃金の基準賃金に対する率が掲げてあります。北海道では二七・四%という数字がございますが、これも各社でいろいろ違つておるわけでございます。それから賞與につきましても、基準賃金の二カ月分という賞與を見込んでおるわけであります。それから振替人件費という小さい数字で書いた欄がございますが、建設費への振替でございまして、もともと建設関係の従事員は営業費関係には入らないのでございますが、営業費と建設費と両方が共通平均になつておるような分について、建設費額と営業費額との比率で按分すべき数字であります。按分しております地区は東京だけで、ここに掲げてありますように五%、中国につきましては三%の建設費への振替をいたしております。その他の地区については振替がしてないようでございます。それから法定厚生費、一般厚生費等、いずれも一定の率を以て計上したものであります。燃料費等につきましては、二十五年度の実績の一・五倍という数字が上つております。石炭費につきましては、それぞれの地区が炭価の本年度分の値上りを見込んだ数字がここに掲げられまして、全国平均といたしまして四千六百二十円になつております。数量、それから石炭の消費率が掲げられてございます。石炭の消費率は大体自社で焚きます分は、委員会で策定いたしました消費率を大体基準といたしております。委託発電分が加わりましたので、平均的には委員会のその点の数字より上廻つております。次に燃料費、油脂類費、これも一・五倍の値上りを各社とも見込んでおります。運炭灰捨費につきましては、各社でそれぞれ炭価が相当違つておりますが、これは各地区の発電所の機械化しているかいないかという度合で違う筋もあろうかと思います。さような点で具体的な数字が違つてつて来ておるものと思われます。委託集金費等につきましては、二割から二割五分程度の人件費並びに物件費の値上りを見込んでおります。需用者指導費、養成費、研究費等、いずれも実績を基準として値上げを見ておるわけであります。修繕費につきましては、各社の現状がまちまちでございまするが、これを一般修繕費と損失軽減工事、或いは特別な用途のものを取戻すというような修繕費計上と区分けして掲げられたものであります。それぞれ算出の基礎の概略をここへ記載いたしてございます。まだ私どもといたしましても十分この点についての吟味を進めておらない段階でございます。お読み頂きたいと思います。それから電球取換費、これは定額電燈の取換費用でございまして、いずれも実績或いは策定單価を基礎にいたしまして値上り等を見込んだ数字でございます。特別費と申しますのは、発電所にかかります税、水利使用料その他の地方税金でございまして、これも二十五年度の実績に対しまして二割から三割程度、四国のほうにおきましては六割、九州は七割五分という値上げを見ておるわけであります。国定資産税は再評価額に対し一・六%を計上いたしました。諸費につきましてはこれも実績を基準といたしまして二割から五割程度値上げをしております。それから次に参りまして購入電力料、これも一応実績を基準として或る程度購入電力料の値上りを見ておるわけであります。二割五分から倍額程度のものであります。減価償却でございますが、これは再評価をどういうふうに見てやつておるかという概略でございますが、例えば北海道につきましては再評価一〇〇%に対する定率法による償却価額、陳腐化資産を見込んでない。東北につきましては、同じでありまするが、陳腐化資産は一七・二%とございますが、これはミスプリントでございます。〇・四六%でございます。直して頂きたいと思います。東京は〇・一七%、中部が三・〇八%に相当する、これは尤も個々の設備を洗つておるようでございまして、具体的にここの送電線は全然使用する見込がないから再評価しないとか、或いは又それぞれの理由によりまして個々の設備別にそれを順次総額に対しての率を計上いたしておるわけであります。関西、中国、四国におきましては約一割という地域差を考慮した控除を行つております。諸税金、支拂利息、社債発行差金、償却につきましても三カ年で償却計算をいたしておりますものと、五カ年償却するものと二本建でございます。それから固定資産の除却費、これは固定資産の設備の撤去に伴う除却費の計上でございまして、これも実績そのままのもの、或いは実績そのものに設備を取換えるということで費用が必要というので減らしておる所もございます。雑損失、これも実績を基準にいたしておりまするが、二十五年度としては相当收益状況がよかつたために豊水利益等がありましたので、雑損失の計上を多くした地区もございますが、実績から見ますると下つた地区も又殖やしておる地区もあります。それから仮拂修繕費償却、これは特別回収として数年前資産計上で、火力発電所等の償却で七カ年均等償却で計上いたしております。それから法定準備金、これは配当金一割に対する法定準備金でございますが、配当金はいずれも現在の拂込資本金額に対する一割を計上いたしております。それから委託発電費は、それぞれの地区で石炭費を除きました分、石炭費は石炭費の中に入つておりますので、運転費を以てして計上しております。水力賦課金と申しますのは、地帯間の協定をしたものでありまして、これは各社問で大体協定した線を計上したものでありまして、常時に換算いたしました出力に対しまして三千五百円という、新たに、地区によりましてそれぞれの地区で特定電力等を控除し、或いは常時換算電力の二分の一乃至三分の一を、その地区の地域差で或る程度の分担を免除してもらう、これもいずれも各社間の協定で大体できた数字でございます。それから地帯間の受電電力量、これは融通契約に基くものでございます。以上で各社提出の原案の内容の御説明を申上げました。  次に具体的な料金案についてお手許にお配りいたしましたものにつきまして概略御説明申上げます。料金改訂案は、先ほどもございますが、会社として一応まとめました案でございまして、まだいろいろ、補正があるようでございますが、いわゆる正規に申請といたしまして聽聞会に出しますまでにはまだ訂正があるのでございますので、その点をお含み置き頂きたいと思います。供給部門別に表もできておりまして、最初に定額電燈というのがございます。定額電燈の適用は、大体取付燈数四燈以下小型機器は四アンペア以下ということに現行はなつておりまして、今度の條件につきましても、現在とこの点は同じでございます。使用料金、これは定額需用家につきまして、個々の需用家に対して一定額を取るいわゆる固定的な需要家料金と、ワツト数に応じた料金と二本建になつております。需用家料金のほうは、ここに掲げられたのは会社の一応の案でございます。現在の料金は別途印刷してお配りしてありますので、比較頂きますれば、この度合がおわかりかと思いますが、現行は、例えば北海道でございますが、早收料金で需用家料金二十円、これが全国現在均一でございます。現行二十円のものが北海道において三十六円、東京において二十七円、又地区で開きがございます。かような数字になつております。それから電燈及び小型機器の料金、この具体的なワツト数に応じた定額料金のほうは、供給期間で、夏期のほうは割高になつておるのでございます。この夏期料金と申します適用期間が入つておりますが、これは各地区とも現行の夏期の期間と同じ期間をとつております。これはワツト数の料金は、二十ワツトまで北海道は六十三円ということでございますが、これは現行料金と御比較頂きますればわかりますが、北海道では二十ワツトで三十六円、これも全国均一な現在の料金でございますが、四十ワツトまでが五十四円、六十ワツトまでが七十二円、百ワツトまでが百八円という全国均一料金でございますが、これは改訂案におきましては地区で相当違つております。関東が一番安く、北海道、九州あたりが一番高くなつておるようであります。なお現行料金の表のほうは遅收料金と申しまして、最初に所定の期限までに拂えばこれの一割引ということになつておりますので、電力料金表として別途お配りしてありますのは、普通の料金を書いてございまして、早期支拂の料金になつておりませんので、いずれも一割引いた数字と、ここにあります改訂案数字を御比較頂きたいと思います。街路燈は、現行はこういう制度はございませんが、各社が街路燈として地区によりまして一般使用料金に対して割引をしておる地区がございます。北海道、東北等につきまして現行料金の一割乃至三割引ということになつております。  それから冬期料金は以上の定額料金の費用の割増でありまして、この割増率がパーセンテージで以て掲げてあります。括弧内に現行の割増率を書いてあります。その地区が北海道、中部、関西、この三地区におきましては現行の割増率を引上げております。それから従量電燈という欄がございますが、最低料金は、北海道でございますと十キロワツト・アワーまで総額で二百円ということになつております。約倍の料金の引上げでございます。それから電力量料金として、次の三十キロワツト・アワーまで五円五十銭、現行におきましては三円三十銭、こういうことでございます。それから追加使用料金というものは、最初の最低料金十キロワツト・アワーと追加三十キロワツト・アワーと加えました四十キロワツト・アワー以上を越えると夏期料金ということでございまして、超過分が八円という数字になつております。これは北海道は現在においては火力料金は六円十銭でございますが、これが八円ということになつております。逆に東北のほうを見て頂きますと、超過料金が八円とございますが、これも現行と同じように、現行でも八円でございますが、追加料金につきましても、地区によつて現行料金を引上げた地区、引上げない地区とがございます。追加使用料金で引上げました地区は北海道、それから中部、関西、中国、九州、これらの地区は現行の料金を引上げております。四国も引上げております。逆に北陸におきましては、現行の火力料金は八円のものを超過料金は七円に引下げた地区もございます。なおこの従量電燈の制度で現行と変りました地区としては、東京が変つた案を出しております。ここにございますように、アンペア制度と言いまして、メーターのアンペアによつて逓減するような料金制をとつております。玉アンペアまでが基本料金として、百二十円以下、五十アンペアまで約千円になるようにとつておりまして、この基本料金をとるだけ電力量料金のほうは逆に低くなるわけでございます。需用家の容量の段階で逓減制をとり、同時に今までの最低料金制を基本料金制に直しておるのが東京地区でございます。  次に大口電燈の問題であります。大口電燈は六キロワツト以上の従量電燈需用家に適用になるものでございまして、これも大口のほうは現行制度におきましても、ここにございますように、基本料金又は需用料金と言つておりますが、基本料金を別途とりまして、あと電力量料金が付いておるものでございます。北海道の例を取つて見ますと、大口電燈は基本料金が一キロワツトについて三百円となつておりますが、現行は基本料金は百四十四円でございます。約倍額の基本料金の引上げになつております。電力量料金は六十キロワツト・アワーまで四円五十銭ということになつておりますが、現在におきましては、この大口電燈以上のものを、関係部門に亘りましていわゆる割当制といいますか、既往の実績で一定の量が自動的に割当になつておりまして、各需用家でその割当量が実績を基準にして違つておるのであります。その標準電力量が、現行料金でございますと、北海道の場合は三円二銭ということになつております。超過が、火力料が六円十銭というものが付いておりますが、いわゆる割当形式による標準電力量というものを全部壊しまして、一定の賦課率で六十キロワツト・アワーまでは四円五十銭、六十キロワツト・アワーを超えるものは火力料金として八円、こういうふうな仕組に、いわば割当を標準化しておるのであります。東北のように、その段階を三段階に刻んだものもございまするし、東北、北陸等はそうでございますが、その他の地区は一定の使用量以上のものは火力料金を出すというやり方をとつております。業務用電力、これは二十キロワツト以上の電燈、電力等を一緒に使つておりますビルデイング、大きい建物その他のものでございまして、これも基本料金制に現在なつておりまするが、又電力量料金のほうには割当制を現在とられておりまするが、これを標準化いたしまして、大口電燈と同じような仕組にいたしたわけでございます。それの倍率等は別途集約いたしました表がございますので、その節御説明申上げます。三枚目の小口電力、これは五十キロワツト未満の電力でございまして、いわゆる中小企業それから家庭等もございまするが、電力契約として小口のものでございます。これも現行の個別的な割当制を廃しまして、こういう一段乃至二段の標準使用量までの安い料金と、あとの火力料金の二段構えにしております。小口電力の場合でありますと、これは五十キロワツトから五百キロワツトまでの分でございまして、その区分につきましては、大体小口電力と同じようなものでございまするが、やはり段階を相当とつておるようでございます。変つておりますのが中部電力、これが標準料金の適用と標準料金量と段階の区分をやや細かくいたしておりまして、裏の紙の備考欄の最後に、その段階の区分がございます。五十キロワツトから五百キロワツトまでを一本の段階で行きませんで、二百キロワツトまではどうする、二百五十のときはどうするというような段階で標準を変えております。又夏と冬で標準使用量の区分を変えております。中部だけこういうふうなことでほかの地区と変つてお力ます。  大口電力乙、四枚目でございます。大口電力の乙と申しますのは、五百キロワツトから三千キロワツトまでの分でございます。これも現行は基本料金制ですが、電力量料金のほうは、先ほど申しましたように、個々の需用家で、既往の実績等によりまして標準電力量までの分がきまつておりまするが、いずれも契約キロワツト当りの賦課率と申しますか、使用量の標準の段階を刻んで電力料金を出しておるわけであります。ここでこの大口電力の乙からいろいろ現在の割当制度との関係が問題になつて来るわけでありまして、例えば東北におきましては、契約電力量の七〇%について九十五銭、冬は括弧内が六〇%でございますが、それから上を若干高くし、契約電力量を超過したものは火力料金として料金を出す、こういうような契約で、安い料金の段階をきめようという案を東北はとつておりまして、北海道とか、東京のこの案におきまするような一定の賦課率ですぐ高い料金が出るという行き方でございますと、現在の戸別割当になつておりまする実績と比べますと、相当賦課傘のいい、たくさん電気をキロワツト当り使つておりますものは火力料金がたくさん入る、又この標準量以下の消費者であるものは火力料金は入らないというような、現在との繋りの無理と言いますか、影響を顧慮いたしましたのが東北のほうの行き方でございまして、既往の実績等を参酌して一定の安い電力を使います段階を契約できめると、こういう行き方をとつております。それから中部につきましては、別表にありますような段階で、その標準の賦課率の分の変更を加えておるものが付いております。以下各地区の分は、大体東京と北海道の例に倣つておるわけであります。  それから大口電力の丙、この分は三千キロ以上でありまして、現在すべて供給規程でなく、個々の需用家は安本並びに公益委員会が毎月分の使用量をその都度割当てておるものでございます。この部門につきましても、供給規程化しようということで、各社の分はそれぞれ大口電力の乙に倣いました行き方で標準化をいたしまして、一定量までは比較的安い料金、それからそれを超えたものが中間の料金、或いは一足飛びに火力料金、又こういつた三段制をとりませんで、二段制で火力料金ということになつておりますが、平均の消費量の率は、小口分から比べますと、大口部門は比較的上へ上つて、一キロワツト当り三百キロとか或いは五百何十キロというふうに相当引上げられております。もともとこういう高い料金を出します段階をどうしで各社がきめたかと申しますと、大体この四つの平均的な標準的な使用量というようなところを睨みましてきめられておるのでございますが、このキロワツト当りの安い料金の段階をきめること如何で、現在の割当制によつて標準料金がきまつておるものと比べますると、個々の工場では現状に相当変化が出て来る部門があるわけでありまして、かような点については会社は現在更にもう少し調整をするとか、或いは一般需用とか、特殊電力というようなほかの比較的安い電気を引合せることによつて、現在との影響を適当に按配するということを申出てはおりますけれども、いろいろ問題の出る点でございます。それからなお追加使用電力量の限度というのが一番下の欄に掲げてございますが、これはこういつた料金制度の変更をとります関係上、非常な負荷率の高いものが超過使用料金が沢出入つて来て、現在に対して相当に影響を與えるという意味合いで、どんな場合でも追加使用量の限度は、例えば北海道でございますれば総使用量の二割以上は超えないようにする、安い料金に対して二割以上火力料金が超えないように限度をきめて、それ以上の分については普通料金による、こういうような意味合いで追加使用量の電力の限度というものを設けておるわけであります。東北は契約で行きますためにそういうものは要らない。東京が二〇%、中部が夏二〇冬三〇%、北陸はやはり三千キロワツト・アワー以上につきましては、個々に契約で行くという形をとつておりますので設けない。それから関西が一五%の二〇%、中国が一五%の二〇%、四国、九州、それぞれこういつた限度を設けております。  以上が大体の料金制度についての御説明でございまして、これらを集計いたしまして、値上げ度合がどういうふうになるかということを各社が出しております分をずうつと印刷して出しておりますが、新料金用途別値上率という印刷物がございますが、これによりまして部門別に各社が推算いたしました値上割合を現行料金による收入との比較で出しておるのでございまして、例えば定額電燈の普通電燈につきましては、北海道は定額電燈の普通電燈は七割八分、一・七八でございますが、倍率でございません、一・七八倍、即ち七割八分、それから東北が五割四分七厘、東京が三割八分、以下各地区それぞれまちまちでございます。こういうようになつております。それから街路燈は割引しておる地区がございますが、現在は普通電燈と同じでございます。倍率が違つて来ておるものがあるわけでございます。定額電燈部門としての小計でございます。それから従量電燈の倍率、これも比較的東京あたりが低くて、四国、九州は高くなつておる、大口電燈、臨時、燈それぞれ……、
  86. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今まで資料の説明がありましたが、須藤君からこの前のときに発言を求められておりましたが、役員給與の問題について。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ず最初ちよつと表について不審がありますのでお尋ねいたしますが、昭和二十六年度費目別経費説明表の中に中国の役員が二十名となつておりますが、もう一つの表になりますと、中国の役員の費用が千八十万円となつている。数が合わないのじやないですか。これはどちらが本当ですか。ちよつとお知らせ願いたい。
  88. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 中国は二十とありますのは誤記でありまして、十二が正当でございます。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十二が……。
  90. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 実人員は十二人というのでございます。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますと前の質問に戻りますが、この二十五年度の役員の表が一億三千五百八十七万七千円となつて、而も今度理事というものが多数出たために、やはり役員、理事の手当の総計が倍になつておるということになるのですが、これは私たちが最初委員会でいろいろ論議した現在の目的と非常に反したものがここに出て来ておると思うのです。僅か一億円くらいの金でありますが、こういうことは何のためになされたのか、その点一応伺つておきたいと思います。
  92. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 一応各社で現在の実在負を基準にいたしましてそれぞれの経費の予想を出したものでございまして、実績と比べますと、お尋ねのような数字になつておると思います。一応役員の給與のほうは昨年の実績一億三千万何がしに対しまして、二十六年度予想額が一億五千万という計上で大体見合う数字かと思いますが、理事のほうは、いわゆる理事というものは職員であるというふうに私ども解釈いたしております。従つて一般職員給與と一緒に引くるめてこれを見なくちやならんをのだと思つております。まだ別に査定についての意見は持つておりません。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたのほうではそういうふうに普通の職員というふうに見ておるようですが、新聞紙なりあらゆるものは、これは重役と見て、いわゆる仕事のない重役というふうな解釈を下しているようであります。そして我我も前の委員会の討論のいきさつから見ますと、重役を我々が減らした。それが今度理事という名目で重役待遇でこういうふうに殖えて来たというふうに判断せざるを得ないので、それでは我々の論議した目的が皆さんに容れられていない。ただ上つ面だけ、名目だけ変つて別の形でこういう状態になつて来たというふうに解釈される。非常に我々としては不満を感ずるわけなんですが、何故こういう理事制度を布かなければならなかつたか。どこにそういう目的があるのか伺つておきたい。
  94. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 詳細についての御返事はできませんが、今御質問の理事制度をどういうわけで布いたかということについては、当時の事情を知つておりますからお答えいたしますが、大体日本発送電を解散し、それから九つの新会社を作りますために日本発送電の重役或いは重役待遇、それから旧配電会社の重役というものを合せてこれを適当に新会社の人間に配置することにつきまして、相当目発及び旧配電会社の人たちの話合いがまとまりませんで、塗に委員会の裁定の止むなきに至つた事情は当時申上げておるかと思いますが、この資本の割合、或いは主張、面目ということをことごとく取入れて重役を作りますということは、会社の運営上決して良好な結果が乗るものじやないしと思いまして、委員会では三八三十日の本決定におきまして、ボード・デイレクターの制度、即ち執行する重役、それから重役会を形作る他の三者を交えた重役会議というものをおのずから別にしてここに新らしい運営に進むべきであり、且つこれによつて両方の言いがかり或いは主張というものを一応清算して重役の数を減少し、それから第三者の或いは金融方面、厚生方面を代表する人も重役会の会議に列席して、そうして日常の勤務を討議し、或いは監督する制度がいいということに決定しました結果、両方から持ち寄られた話の折合わない数につきまして、大幅に重役を削減しまして、そうしてそのうちの重役を以て社長、副社長或いは会長にし、並びに常務、重役にしました。そうして他の重役待遇云々という人は普通の社員同様の働きをするように理事の職責をとつたのであります。この理事のうちには会社の例えば営業部長を担当しておる人もありましようし、経理部次長になつた人もありまするが、旧来の重役がただ漫然としてやつたようなことを、実務を適当に理事に割当てたのであろうと思うております。理事の選任は各社の自由に任せましたから、各社からそれぞれ日発、旧配電の人のうちから理事を作り、それに職責を設けてそれぞれ仕事をしておるのが現状でございます。従つて将来整理の余地は十分あることと思うておりまするが、今日のところはそういう段階を経て漸く職制がきまつて、理事制度というものを確立したわけであります。一応その善悪は別としまして、これまでの経過だけは申上げて置きます。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますると前の日発と配電の重役を全部合計したものと、今度の百八十一人の役員と百三十六人の理事との合計との大体数においては同じだと……。
  96. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) そらではありませんで、旧配電会社の人で新会社に入つた重役以外に、理事にもならず取締役又は監査役にもならずにやめた人も相当数あります。その数は今記憶しませんが、相当数に上つております。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 多分合計においては今度のほうが数は減つておると思つておるのですが、而も数が減つてつて役員及び理事の手当は前よりも倍額になつておるということは、役員及び理事の待遇が前の倍以上の待遇になつているということが言えると思うのです。而もこの従業員の、職員の給與の点は、殆んど以前と変つていない。なぜ、職員の待遇を云々とやかましく言う役員たちが手盛りで自分たもの待遇だけ倍以上の待遇をしたか。又会社の合理的経営ということを言われておる。而も電気料金を上げると言つているときに、なぜ役員関係にのみそういう不合理な人事がなされておるのか、その点伺つて置きたいと思います。
  98. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 簡單にお答えをして置きますが、人間の数は大体に減つておると思います。それから給與をきめられるのは、従来日発、配電両方の重役並びに日発の理事待遇というものを合わせた給與を余りかけ離れないように願いたいという注文を出しております。それに成るべく準じてやつておられることと思いまするが、只今お話のように、そう甚だしきものはないかとは存じまするが、若しありましたら漸次整理されるものと信じております。暫らく時間をお貸し願います。
  99. 栗山良夫

    栗山良夫君 この問題はもう少し掘り下げて系統的にお尊ねしたいと思うのですが、先ず第一に原価計算に織込む後負の数或いは給與という問題について、役員のほうでございますが、定款に定めた数をそのまま原価計算に入れるのが正しいのか、実在人員を入れるのが正しいのか、どうお考えになりますか、その点を伺います。
  100. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 定款に定めるというよりも、実在給料を以て定めらるべきものであると思うております。
  101. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、この北海道から九州まで全部頂きました表の中で、実在人員が何名であるか伺いたいと思います。
  102. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 事務局のほうにそれはございますが、今ここへ持つておりません。
  103. 栗山良夫

    栗山良夫君 あとで一つお願いいたします。それからこの給與のお話のほうですが、日発、配電会社の当時の役員の單価は大体どのくらいに公益委員会で認められておりましたか。
  104. 中川哲郎

    説明員(中川哲郎君) 今その詳細について全部持つて来ておりませんので、いずれ委員会におきまして十分調べましてお答えいたします。
  105. 栗山良夫

    栗山良夫君 ただ多い少いというようなことを議論したくはないのでありますが、勿論役員として十二分な活動のできるような給與を與えられるのは当然であるとは思いますけれども、少くとも会社運営の最も中心になるところが真実有効で公平でもない、或いは又こういうときに便乗して必要以上の内容を持つておるというようなことになりますれば、これは国民もなかなか了解しがたい点だろうと思いますから、この点は誠にお気の毒であるかも知れませんけれども公益委員会としては、こういうところをやはり絞つておいて頂く必要があるのじやなかろうかと思うのであります。それで仮に、私の所見に亘りますけれども、單価にいたしましても年九十万円ということになつております。併し役員は私が見るところでは、これは定款の数が相当多いと思うのであり曝す。その多い水増しされた数に、実在人員を超えた数に平均單価九十万円を掛けておるわけでありますが、非常勤の重役がたくさんあるわけであります。役員の中には非常勤の人が相当多いのでありますが、そういう人にも年額九十万円平均額に近いものを支給されるのか、そういう点も問題になるのであります。今までの日発当時は重役というものは全部常勤であります。一人も非常勤はございません。今度は非常勤の人が非常にたくさんおられます。そうして平均單価というものは今までよりも少くとも高くなつておることは、例えば私の見るところでは日発の前総裁は月額十万円、年額百二十方円、総裁がそのくらいでありますからして、恐らく理事のほうはずつと安かつたと思うのであります。これでも相当引上げられておる。そうして非常動のかたがその中にたくさん入つておられるということになりますれば、これはどうしても水増しと考えなければならんと思うのでありますが、この辺はもう少し明らかに是非して置いて頂きたいと思うのであります。それから理事のほうでありますが、非常勤の人が殖えて、それの代りに曾つて重役の人が理事になつてつておられるのでありますが、理事のほうの八十万円というのも、これは前から比べると相当上つておると思うのであります。平均給でありますから、この辺は公益委員会としてまだ十分検討をしていない、こういうお話でありまするが、是非とも一つ慎重な検討が願いたいということであります。  それから第二点として、私はこの役員の数がどれだけが適当であるかということは、何をベースに置いて考えるかは問題がありますけれども、ここで御覧のように、提出された資料について資本金、従業員、それから指導費、修繕費、特別費、諸費、発電総量、販売電力量、こういうもののいろんなエレメントで以て、会社のウエイトを全部私は百分率で出して見ました。そうすると大体北海道から九州まで含めまして、資本金の百分率にほぼ近い数になつております。殆んど動きません。例えば資本金で申しますと、北海道が四・六、東北一二・六、東京二〇・五、中部一〇・二、北陸五・一、関西二三・五、中国七・五、四国五・五、九州一〇・五、これで合計いたしまして一〇〇になりますが、殆んど今読み上げた数に各内容は殆んど変つておりません。にもかかわらず役員の数だけはこれは理事を合計しても同じでありますが、役員の数だけは各社とも全部一一・五%で殆んど同じであります。中国だけが資本金の七・五%に近い七%になつております。これは理事の数も含めて同じであります。ですからこの点を大いに一つ検討して頂かなければなりません。それでまさに小さい会社は頭でつかちと申して差支えないと私は思う。而も従業員の給料、或いは電力料金には地域差がありますけれども、この役員の給料だけは地域差がない、全国一律に同じ單価であります。こういう不明朗なことではよろしくないと思うのでありまして、この点を松永委員長代理一つ御所信を承わつて置きます。
  106. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 御尤もであります。大体公益事業に関係しますものは、もとよりフエアーレターンがなければならんわけであります。事業自身にも、その働く人にも……。けれども他の方面と違いまして、重役関係者はみずから己を薄くしてやるということが精神でなければ、公益事業を円満に運用することができませんから、これが普通の商売に比べまして、少くとも控え目であるということが、私個人として理想に考えております。又各会社にしてもその精神であろうと思つております。それから第二に社外重役、つまり月に一回か二回重役会に列する人は余り要らんじやないかという御説は御同感でありまして、アメリカあたりではワン・ドル・マンという人もあるそうであります。私どもも昔から言つておりましたが、実行はむしろ困難でしたが、今回はできるだけその実行を皆さんに促して見たいと思います。それから理事者の数等も相当将来整理されるものとも心得ますが、現在実際理事でよく働いている人が、このかたがたはむしろ相当給料を上げ、或いは賞與金も差上げて、そして活動意欲というものを損耗せんようにすることは、会長、社長あたり、或いは重役会の考うべきことと思つておりますから、この方面余り値切らないような考えで進みたいものと思つております。併し全体については、お話通りに頭でつかちの所も相当ありまするし、漸次に整理されるものと思つております。
  107. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君にお尋ねいたしますが、椿君から発言を保留せられておつたので、それを一つ松永さんのおいでのうちに答弁させて頂きたいと思います。
  108. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつと一言だけ附加えたいのですが、大体わかりましたが、問題は今度の料金の認可をされるときの内容として、今各社から出されておるものを、そのまま人数も單価も呑まれるということでは、私は工合が惡かろうと思うのであります。考え方としましては人数は幾ら多くても構わないかも知れません。併し大体私が出されました資料で統計をとつて見てもそういう結果が出るのでありますから、北海道は北海道なりに役員の給與、或いは理事の給與の総額は、大きな会社と大体恰好のとれるパーセンテージに総額を抑えて頂いて、総額の枠内で各理事或いは社長がどういう工合にお分けになろうとそれは自由でありますけれども、表に出た総額の役員の給與なり理事の給與は各社ともウエイトによつてバランスのとれるように是非ともやつてもらいたいと、こう考えますが、その点は如何でございましようか。
  109. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) その点は誠に御同感であります。できるだけお話通りにやつて参りたいと思つております。
  110. 椿繁夫

    椿繁夫君 先ほどちよつとお尋ねいたしましたが、特に関西のように電源の少い地域におきましては、新会社が発足して、今後他の地区の会社から供給を受けなければならんのでありまするが、供給契約が円滑に果して行くだろうかという心配を大口の需用家は持つております。そういう点につきまして不安ないように、一つどういう御方針であるかということを御説明頂きたいことが第一点であります。  それからこれまで水力の割当を受けまして、それを超過いたしました場合に、火力電力料の請求を日発から受けておりました。ところがこれは申上げるまでもなく、水力と火力の料金が甚だしく相違しておりますために、採算がとれないばかりでなしに、一年間の予想すらも立ち得ない。電力料金の請求は一方的になされておる。果してその請求料金というものが、火力と水力とがこのように区分されて請求されておるのだと、こういうふうに、一体どの機関がこれを認め、今後これまでの不合理を是正されるおつもりであるか、これが第二点であります。  それから交通事業の電力料の問題でありますが、例えば大阪市のような場合、この変電所は五百キロの契約、又別の変電所は三千キロの契約を持つているというようなのが十五カ所、十六カ所、大阪市電の場合を考えて見ましてもあるわけであります。そういう場合に一つの変電所ごとの契約としないで、これは一事業でありますから、この十三なり十五なりございますところの変電所の契約料金というものの総合、統一契約をしてやるようなことができないものであるか。化学工場にいたしましても、鉄鋼にいたしましても、大体工場が一カ所にかたまつておりますので、こういうふうに地方では三種の変つた料金契約がなされても理窟はございますけれども、都市交通のように一つの事業であつて、地域内に十数カ所の変電所を持つて別々の契約をしなければならんものであるか。これを総合統一契約のできるように御考慮を頂けないかどうかということを、それぞれ当局者が陳情しておるとは思いますが、こういう機会に一つ委員長代理から明らかにして頂けまするならば………、早速交通料金に響きますので……。
  111. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) さかさまになるかもわかりませんが、只今電車の問題についてのお尋ねでありますが、これは最近電力は不足であり、走行マイルは増加しながら電力の割当を制限しておりますために、甚だお困りになつておるということをたびたび又親しく私どもの技術部の者も私どももお目にかかつてつており、できるだけ改善の余地があれば只今お話のように総合的供給の方法を以てやりたいと考えております。併し又十分研究は立つておりませんが、何しろその走行マイルは殖えても供給する電力面の増設は少しも進んでおらんものですから、その間の困難、できにくいという事情はよく業者も御了解にはなつております。併し御希望の点をできるだけ緩和したいと思つて各社にその注意は促しております。  それから第二点の問題について、超過料金の問題につきましては、旧来の三千キロ以上のものについて割当があつて、直ちにこれを火力超過料金の八倍というような禁止的方法を各社は今とるような案は出ておりませんので、これをできるだけ段階式に火力を織込んで、一定の超過料金を甚だしきことに達しないように段階式に織込んでおりますことは先刻説明された通りであります。併し、これとても各社事情を異にしておりますがために、でき得られる限り相当統一的に無理のないようにしたいと思つて各社の試案に対しては再検討してもらうように頼んでおります。従いまして火力の織込量が不合理にならんように最も注意を、大口に限らず三十キロ、五十キロ以上の動力者に向つても同様な織込み方については是正を依頼しているわけであります。  それから初めのお尋ねの問題、将来大口電力というものをどういうふうに処理するかという問題につきましては、結局大口をどうする、或いは小口をどうする、或いは家庭用の生活に影響する問題をどうするということは、事が困難でありまするが、これは融通契約におきまして、地域間は火力、水力の配給を適正に再検討願いまして、最近漸くそれができました。それから融通のことにつきましても、できるだけ日曜、祭日等の節約をすることによつて、一部分に起る電力の契約、融通契約以上にも変化を起した場合には、できるだけ相互扶け合うことに話合いをきめて、目下着々その方針に進んでおります。要しまするに、絶対量の電力が少いために、各社とも難儀し、公益委員会もその取扱については厳重にやらしておりながら、各社ともなかなか苦しんでおるような事情であります。漸次横の連絡は改善されるけれども、縦に電力が増さざる限りは絶対量の不足に伴う各社の混雑は今後も免れがたいことと思うております。その辺は御了解願いたいと思います。
  112. 椿繁夫

    椿繁夫君 ちよつと重ねてお願いをしておきたいと思うのですが、電力の絶対量の不足であるためにそれぞれの需用家を満足させることができない、これは新たな電源の開発以外にないことは承知いたしておりますが、今度新会社が九つできて、そうして新らしい電力料金が定められて、この機会にこれまでよりも電源を持つていない地域が困ることのないようにだけは一つ保証して頂きたいということが、恐らく需用家全体のお願いでありますから、そのことを一つよく御指導を頂きたいと思います。  それから第二点の超過料金の点についてでありますが、先回の委員会でも明らかになりましたように、昨年度などは予想しておつたよりも水力が豊富であつた従つて割当てをしておるものよりも水力電気を余分に供給することができたのでありますが、一方火力の超過料金のほうは、そのために減らないで、やはり計画の通りのものが請求徴収をされておる。その結果は安い水の電気を使わせて、高い火力の料金を徴収しておるということが数字的には明らかになつて来たのであります。今度そういうことのないようにいえしまするために、一体九つの新らしい電力会社が、これだけのものは成るほど五千幾らという高い石炭を使つて発電をしたのである、従つてこの料金の請求は妥当なものであるということを一体誰が認めるのか。これまでのように、それは会社に任しておくという態度をとられたのでは誠に不安でありますから、この点についての方針を明示して頂きたい。これは重ねてお尋ねをいたす次第であります。  それから第三点の同一事業であつて、十数箇の変電所を持つて、それが別々の電力契約をしなければならんということの不合理、現実に副わないものであるということについてはお認めになつたようでありますから、これは重ねて申しませんが、一事業であつて十数個の発電所を持つておりますのは、電力のロスを省くためでもありますし、電蝕その他によつて地下施設に損害を與えないというようなことを目的として作つておるに過ぎないところでありますから、どうか統一的な総合契約ができますように、格段の一つ御盡力を頂きたいとお願いをいたしておきます。
  113. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 最後の地下施設云々につきましては、十分注意することになつております。近く公益事業の一種の規約を各会社に出すことにも、そういうことを織込んでおくつもりで考えております。なお昨年、一昨年に起つた渇水期において、実際渇水しないで水力発電をして、それで石炭料金を取つたことは不合理であるということにつきましては、その通りであります。併しこれはできる限り年間的の平均を以て、旧日発並びに旧配電はプール式にその金を積立てて処理しておつたということは、その後の経理の調査によつて明らかになつておりまするが、今後日発というものがなく、一つ会社がそれぞれ発電、配電をやる場合に、御杞憂のあるのは当然でありまして、又公益事業委員会としてもさようなことがあつてはならんのであります。この点電気料金基準案のうちにもその精神は織り込まれておりまするし、各社の今回の料金値上げにつきましても、冬期料金、夏期料金について適当に必要なる石炭費を織込んでおるものと認めておりまするけれども、その認めておるというのは、検査、調査が終つたという意味ではありませんけれども、その精神で段階式にしておることは、認められます。けれども、当然一キロといえども確実にどうするということは非常に困難な問題でありますから、年間を通じましてさようなことの害を、年間を通ずる計算において是正して行つて原価というものを過大ならしめぬような監督につきましては、算定基準法並びに今回の料金値上げに対して深い考慮を拂わなければならんと思つております。御注意の点を感謝いたします。
  114. 椿繁夫

    椿繁夫君 これはちよつと委員長に先ずお尋ねいたしますが、只今資料を頂いて中川経理長から御説明を頂きました。この資料について何か別の機会に意見を申述べることができますでしようか、御予定としてどうでしよう。
  115. 西田隆男

    委員長西田隆男君) お答えいたします。中川経理長から今日説明して頂いた各種の資料については、各社別に詳細にもう一回御説明があつて、質疑応答を繰返すことになつておりますから、この内容の詳細に亘つて本日の質疑は一時取りやめにしておいて頂きたいと思います。
  116. 椿繁夫

    椿繁夫君 それでは総括的な質疑はこの機会にやらなければならんということになりますか。
  117. 西田隆男

    委員長西田隆男君) いやそれは後日機会を作ることにしております。本日の午後と明日の午前、午後は各種の提出された資料についての各社内容を十分に承わり、そして質疑をする、こういう運びに大体計画をしておりますので、そのおつもりで御質問願いたいと思います。
  118. 椿繁夫

    椿繁夫君 そうしますと、各社別にこういうふうに資料を提出していらつしやつております分については、それでわかりましたが、新電力料金の策定について、国会として公益事業委員会にいろいろ申上げたいような、総括的な問題は只今つておかなければいけませんか。
  119. 西田隆男

    委員長西田隆男君) そうではありません。そういう機会を作ります。作ることになつております。
  120. 椿繁夫

    椿繁夫君 それではこの次の機会ということにして置きます。
  121. 西田隆男

    委員長西田隆男君) どうですか、大分長くなりましたので午後にして頂きたいと思いますが……。
  122. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちよつと委員長今のことで松永さんのいる間に一言だけ伺つて置きたいのであります……。
  123. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは須藤君。
  124. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 一言だけ伺つて置きます。新料金の値上率でありますが、定額燈の値上率とそれから大口の値上率が各地区によつていろいろ違つていると思います。早い話が東京におきますと、定額電燈は大体三割七分くらいの値上げになつております。よその地区へ行きますと、もつと七割くらい値上げになつておる地区もある。又あの大口などのほうの値上率は東京ですと、一九九というようになつておりますが、ほかでは又もつと多い所も少い所もあるというような、この地区々々によつてあの率が大変違つておるのですが、この定額電燈に対する値上げの率はどの程度にしろとか、或いは大口電力の値上率はど程度にしろとか、そういう指令は公益事業委員会から出されたんですかどうですか。各電力会社が自分たちの立場で勝手にこの率はきめたものでしようか、そこの点を一つつて置きたいと思います。
  125. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今の御質問の後半でお話なつたように、各地区の人々のお考えと御計算に基いて出ておりまして、公益事業委員会でまだこれを試案として取扱つておりまするから、さよう御承知を願います。
  126. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 午前中の委員会は暫時休憩いたします。午後は二時三十五分から再開いたします。    午後二時六分休憩    —————・—————    午後二時五十五分開会
  127. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今から委員会を再開いたします。  午前中の委員会において公益事業委員会側から料金改訂案の大綱について総括的な説明を聽取したのでありますが、只今から明日にかけまして、逐次各電力会社より改訂案内容について御説明を徴することといたします。申すまでもなく昨年の十一月公共事業会の公布に伴いまして、電気料金の政府決定という方式に終止符が打たれまして、今後は各会社がその責任において料金の認可を申請することとなつております。その最初の今回の改訂案が非常に高率なものとなつておりますので、国民諸君はひとしく電力料金が如何になるかという問題について心配をしておるのであります。他方電気事業経営に当つておられる、本日参考人としてお見えになつておりまするかたがたとしましては、それぞれ料金改訂を要する理由をお持ちのことと考えております。当委員会としましては、本日お見えの参考人のかたがたの御意見を十分にお聞かせを願いまして、国民の世論をも考慮して善処いたしたいと考えておるのであります。  次に時間の関係もありますので、参考人のかたがたの御説明は一社四十分程度とお願いをいたします。又各社共通の事項は重複を避けて頂きます。各社の特殊事情に重点を置いて用途別の値上率の決定事情、支出面においては重要費目別の算出根拠等についての御説明をお願いいたします。なお支出面については赤字を一応計上し、これを企業努力によつてなくするような考え方の会社と、企業努力を織り込んで収支の差を零としておる会社もあるようでありますが、それらの点につきましても明瞭に御説明を願います。第一に、東北電力株式会社社長内ヶ崎贇五郎君に御発言を求めます。
  128. 内ケ崎贇五郎

    ○参考人(内ケ崎贇五郎君) 私東北電力社長丙ケ崎でございます。よろしくお願いいたします。只今私のほうより電気料金値上げをお願いいたしておりまするが、その理由並びに方法について、大局的のことを私から御説明申上げて、そのあと営業部長から詳細御説明申上げて御了承を得たいと存じます。  御承知通り、今般新電力会社が九地区にできまして、我々その重責を担いました以上は、及ばずながら最善の努力を傾倒いたしまして、電気事業の発展を期したいと念願いたしております。つきましては、以下これから申上げる理由によりまして、どうしても電気料金値上げをお願いしなければ、我々の責任は十分に果し得ないと存ずるのであります。尤も我々といたしましては、経営の合理化を図りまして、できるだけ経費の節減に努力を傾倒することは勿論でありまするが、それ以上のことはどうしても料金値上げをお願いしなければ、どうしてもできないと、こういう状態でございます。それで値上げの理由でありまするが、第一は、修繕費を相当に増額いたさねばならんと考えております。御承知通り電気事業は戦時中に設備を非常に酷使いたしております。思うような修繕はどうしてもできませんかつた。それは金、資材が足りんかつたことは勿論でありまするが、もう一つは停電をする暇がなかつたのであります。戦争遂行のためには、停電などはできるだけ避けろ、機械は壊れても構わん、できるだけ出力を増強してやつてもらわなければ困る、こういう注文がありましたために、その修理やなんかは思うようにできなかつたのが事実でございます。終戦後も金と資材等のために、これ又思うように修理をやることができなかつたのであります。従いまして、このままで発電所、変電所送電線、配電線の運営を継続いたしますならば、日ならずしてこの設備は荒廃し盡し、その用をなさんことになる、かような状態になることを憂えておるわけでございます。つきましてはどうしてもこの程度のことをやらんければいかんというところから修繕費の増額をお願いいたしたのが一つの理由でございます。第二は、只今の設備が建設以後相当の年数を閲みしておりますが、御承知通りおのおのその壽命、ライフがございます。そのライフが到達いたしました場合には、新たにその機能を継続するためにその発電所、例えば水力発電所でございましたならば、四十五年の壽命が参りましたならば、ここに又新らしい発電所を作らなければ現有勢力を維持することができない。かようなためにはどうしても減価償却を相当に取らんければならん。従来の減価償却は勿論計上いたしておりまするが、現行料金に入つておりまする償却は非常に僅かなものであります。というのは、帳簿価格、最初の建設時代の帳簿価格、それに準拠した定率法によつて計上いたしておる関係上非常に少うございます。ところが例えば発電所の寿命が参りました際に、その発電所を継続運転するために新たに発電所を作るわけでありまするが、その際の建設費は御承知通り非常な物価騰貴でございまして、到底今のような償却費を以てしては、その積立金を以てしでは到底不可能でございます。それで我々といたしましては新たに建設するだけの金、新建設費、従来の発電所をそのまま継続するために必要な新建設を要するわけでありますからして、それに要する新建設の費用をどうしても料金に入れて頂きたいがように考えるわけであります。併しこれは相当の金額に上りますので、そこまで今お願いするつもりはないのでありまして、再評価法によりまして、定率法で計算することになつておりますが、再評価法の方法によりまして、再評価額を決定するわけでありまするが、その金額だけはせめてそれに相応したところの定率法による償却だけは確保して頂きたい。それがなければ先ほど申上げたような現有勢力を維持することができないということで、減価償却を相当に一つお願いしたい、かように考えておるわけであります。勿論これは修繕費と全然違いまして、修繕費のほうは日常の運転を継続するために必要な修理費であります。ところが償却のほうは只今申上げたように、ライフが来ましたときに、それを継続運転するために必要な、新建設をやるための費用でございます。全然別個のものでございます。第二の理由は、その減価償却費の増額でございます。  第三にお願いいたすことは、固定資産税、これは只今料金には算入いたされておりません。これも是非計上をお願いしなければいかんのであります。  それから次は人件費でありまするが、すでに現在の料金に織り込まれましたのは五千三百五十八円ベース、これだけが現行料金に入つておるだけで、只今では今年の一月から中央労働委員会の調停によりまして一万二百円ベースを支給しております。これも妥当なる給與でありまして、是非これは料金において確保せねばならんと考うる次第であります。その他の理由もございまするが、これは詳しいことは項目について御説明申上げることにして省略をいたしまするが、さような理由によりましてどうしても料金値上げをこの際一日も速やかにお願いしたい、かように存ずる次第であります。次にその方法でありまするが、私ども東北電力といたしましては、今後の大口産業の発展、これは日本の再建には欠くべからざることである。殊に東北地方といたしましては今後ますます電源の開発をやりまして、日本の再建の先駆となつて東北が進まなければいかんと我我は、少くとも私個人はさように考えておるわけでありまして、かような意味におきましてはどうしても大口の電力は成るべく安いものを豊富に提供いたしたい、かように念願いたしております。それが今度の料金値上げの方法にも現われておるつもりでございます。従来は安本の、只今公益委員会に移つておりまするが、割当がございまして、その割当を超過いたしますというと一拠に八円という高額の料金を頂戴しておりましたが、今回はそれを大幅に改正をいたしまして、最初は八十銭、次は一円五十銭ぐらい、それを超過いたした分につきましては六円を頂戴する、この六円という意味は、従来の八円に相当するのでありまするが、私どもといたしましてはできるだけ多くを送電いたしたいと考えておりまするが、遺憾ながら現在の設備を以てしましては皆さんの需用家の御要望に副うことは不可能でございます。設備の容量が少いためでございます。そのため或る限度を越しますれば、どうしても使つて頂くことをおやめ頂かねばいかんという状態にあるのであります。それでそのことをはつきり御認識頂くために、それを超過したものは六円という、相当に前よりは、現行よりは安いのでありまするが、相当に大幅な高い料金を頂戴する、かような方法を採用いたしたわけであります。  そのほか詳しいことはこれは営業部長から御説明いたしますが、できるだけ自分らの企業努力によりまして値上率は少くいたしまして、最小限度のことだけをお願いするというつもりで、私のほうの平均はお手許に差上げました書類は六四%の値上げ、かようなことに只今考えておる次第でございます。  以上理由並びに方法を御説明申上げたわけでございます。
  129. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は東北電力株式会社の営業部長の齋藤君に、提出されておりまする資料の説明を求めます。
  130. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 営業部長齋藤でございます。お手許に改訂電気料金説明資料というものが差上げてあると思います。それでこれはR・Fのほうに料金認可申請の案といたしまして提出いたしました申請書と説明資料から抜萃いたしたものでございます。過日参議院のほうから、こういう項目について説明書を出すようにという御指示がありましたので、その項目に従つて提出したのでございます。  第一表、昭和二十六年度電力需給対照表について御説明申上げます。東北の水力は全部で八十万キロ余でございますが。この水力発電所は低水面で過去の実績などを総合いたしまして、利用率が最近大分上つております。その利用率の上つたものを用いまして、低水面で四十五億の発電力がございます。これは一番上に載つております。それから火力発電所はございませんので、その他より余剰電力を買つている電気が千二百万ございます。それらを電源といたしまして、地帯間の融通といたしまして、東北が水力を主としておりますので、豊水の時期に関東方面及び中部方面に、事業者さんにいたしますと、東京電力さん、中部電力さんに電気を送ることになつております。その電気が、その下に書いてありますように、四億四千五百万、これだけの電力を東京電力さんにお送りいたします。中部電力さんには八千六百万の電気を送ります。それから火力発電所はございませんために、渇水期に東京電力さんのほうから電気を頂くことになつております。それから灌漑時期なとで、高田方面で或る時期においては中部電力さんのほうから電気を頂くことになつております。その電気が、東京電力さんのほうは年に一億二千八百万、中部電力さんのほうが千七百万ということになつておりまして、差引これらを総合いたしまして、年間に三億八千六百万の電気を東京及び中部のほうに流すことになります。これらを差引いたしますと、東北の電力といたしましては四十一億二千六百万だけの供給力が発電所であることになります。この発電力を需用家に透るわけですが、送電の損失並びに計算不能電力として下に出しております。定額電燈は晝間消して頂くことになつているのでありますが、どうも田舎のほうでは余り励行されていないというようなこと、それから擅用いわゆる盗電でありますが、そういうようなものがあるのでございますが、実際におきましては、再編成計画書を作りましたとき、この電気は約十二億あるのでございます。十二億のそういうようなロス若しくは擅用その他を抱えておつて、そのまま需用家にこれを転嫁するというようなことは許されない、許されないだろうというような考えから、殊に発送電と配電が一緒になつて、両方の設備を総合して送電の損失を削つて行こうというようなこと、及び送電連絡を付けまして、極力このロスを削つて行くというようなことと、擅用というようなものを極力減すというようなこと、それから需用家を指導いたしまして、晝間の定額電燈というようなものは極力消して頂こうというようなことをここに織り込みまして、この送電損失及び計算不能電力につきましては、実績の大体十二億から更に三億を削りまして、約九億何がしという数字をここに計上いたしております。このロス及び計算不能の電力を差引きまして、三十一億五千二百万の電気が実際需用家に供給するということになるわけであります。この電力の内訳を大きく分けて区分いたしますと、常時の電力と特殊の電力、特殊の電力と申しますのは、雨等が降りまして、急に電気が出たというような場合の電気でございます。常時のほうは計画的に電気を使つてもらうことにしてお送りをしているものでございます。常時の電気が電燈と電力のほうに分れるのでありますが、電燈のほうは五億九千八百万、電力のほうは二十五億一千万、約四対一くらいの割合でこれが需用家に渡るわけでございます。この需給のバランスを以て現在の需用にどういうふうに供給するかというのが次の二頁でございます。  次の頁の現行料金による昭和二十六年度收入予想、これは前の頁にちよつと書いてありますが、大体電燈の需用数において一〇%、小口七%、その下のほうに註として書いてある実績によります需用の増加を見込んでおります。需用増加の延数に対しまして、標準料金として電力量が幾ら行く、それから追加使用として幾ら行くというような数字が電燈及び従量電燈、大口電燈、大口、小口というふうに供給種別に分けて載せたのでございます。これに大体送るであろう、電力を想定いたしまして電力量をここに記載してございます。これに対しまして、去年の現行の料金ではじいたならば大体幾らの收入があるかというものを需用料金と標準料金と追加料金、これに分けてここに収入を掲げてございます。これで見ますと、電燈の合計は丁度真中頃よりちよつと上の所になりますが、一キロワツト・アワー五円五十六銭一厘、電燈合計という所でございます。これが大体需用家に行つているわけでございます。それから電力のほうに参りますと電力の合計という所で、一円五十銭八厘という数字で需用家に現在の料金だと渡ることになります。なお細かいところは省略さして頂きたいと思います。現在の料金でありますと、合計で七十一億七千六百万の収入になります。  それならば二十六年度の所要の原価をどう見たかというのが第三の昭和二十六年度総括原価表でございます。一番上が役員及び理事給與、これは電産ベースの給與を受けない人を一括して実はここにこういう名前で載せたのでございます。給料手当は電産の給與を受けている人数をここに載せたのでございます。基準賃金が一万三百九十九円になります。それから経営手当三百六十一円、これに想定した人数を掛けた人数で計算してあるのでございますが、この想定に当りましては、過去におきまして日発及び配電が自然の退職というようなことで人数が減つております。幾分補充しなければならんところを補充しても減つておるのでございます。この減つておることを見込みまして、人数は年間の平均人数で計上いたしてございます。なお組合専従者はこれから外してございます。この金額が約二十八億六千七百万になるわけであります。それから法定厚生費は基準賃金の一三・五%で二億六千四百万でございます。一般厚生費は基準賃金の七・五%で、一億四千七百万でございます。退職給與金は基準賃金をベースにして支拂われることになるのでございますが、その一〇%を見込みまして一億九千六百万でございます。それから油脂類費、これは発電所のいろいろ機械の運転や何かの関係で使う油類、変圧機の油類の費用でございます。次に燃料費でございますが、東北電力といたしましては、火力発電所はございませんが、佐渡におきまして、三菱から火力発電所で発電した電気を買つておりますので、その所要炭を計上し、渇水期に平方面で委託発電をするものも見込みまして、單価四千二百円で計上してございます。  それから一々時間もなさそうでございますから、以下大きい項目だけで説明をさせて頂きます。次の頁で、修繕費までは余り大きいものがございませんので、大きい修繕費について一応御説明したいと思います。修繕費につきましては、現在の工作物の現状を見まして、過般電気事業者が集りまして、保守用の資材の申請というようなことをいたすときに作つた基準を書いたわけでございます。その基準を用いまして、現在の單価ではじき込みますと、大体二十八億くらいの金額が出るのでございます。その金額を実はそのままここに載せてしまつて余り考え方が安易じやなかろうかというような考え方から、これを実は査定したのでございます。その結果につきましては、丁度それから五枚めくりますと、修繕費という印刷したところがございます。実際これだけ要るという計算をいたしましたのが、丁度一番初めの所要修繕費といたしまして二十八億二千六百万円、これを各設備別に割つて計上してございます。これにつきまして、原価に織り込みましたものは、その約八六%まで切りまして約二十四億四千六百万計上してございます。なお二十五年度の実績は、合計で十一億六千四百万実際に支拂われております。過去の修繕費は先ほど社長からもお話いたしましたように、十分なものではない、是非これだけの修繕をして、今後相当の年数を円滑に運転して、需給を円滑にして行き、更に電力の不足な折から、能率が下つて発電力が減るというようなことを防遏して、幾分でも能率よく運営し、需給の助けをして行きたいというようなことで、先ほど申上げました約三億の供給力の増加も、この修繕費に待つところが多いのでございます。  次に大きいのが減価償却でございます。これも二十四億四千二百万計上いたしてございます。この減価償却につきましては、先ほどの修繕費の次の頁でございます。次の頁に減価償却の明細表が出てございます。各設備を、発電設備を水力、火力、送電設備を鉄塔柱、木柱、用地その他ここに計上してあるように細分いたしまして、これに対する、承継資産に対する再評価額、それから次に現在工事しておるもので、今年度中に落成するものを十二分の何カ月というような、落成真空期を見込みまして、分数にして、現在工事中のもので落成するものが次の欄に書いてございます。それから五月一日に建設工事仮勘定に実際計上されておつても、一部分が動くというようなことで、減価償却の対象になる分が次の欄に挙げてございます。一番右の欄が償却の合計でございまして、二十四億四千二百万になるのでございます。なおこの基礎資料といたしまして、その次の頁に固定資産の帳簿価額と再評価の金額、これを日発の設備と、配電の設備に分けまして、帳簿価額とそれから再評価額を載せてございます。なおこの基礎になりますときに、どういう設備を陳腐化した設備と見たかというようなことが次の頁に出ております。これは大体火力発電所は全部再評価をいたしません。それから比較的小さい発電所は、現在運転しておるものは、もう再建設というようなことを考えないで、これは割合に原価が高く付くというような観点から、再評価をやめまして、簿価をそのまま計上しただけでございます。発電所は約三十八カ所を考えております。それから送電設備が九つ、変電設備が三つ、これだけは再評価の対象にいたさないで、帳簿価格をそのまま計上してございます。  それから次に大きいものといたしましては、支拂利息が出ておりますが、これはいろいろな資金繰りに裏付けされた利息で、市場の現在の利率によつて計上されております。  次に固定資産税は、陳腐化を除いて、承継資産を再評価法によつて評価するという建前から、六億三千九百万を計上しております。  次に水力火力調整金といたしまして、各社と協定いたしまして、東北といたしましては水力賦課金九億三千六百万支出するということになつておりますので、それを計上いたしました。なお地帯間の融通といたしまして、渇水期に東京電力さんのほうから受電する、又中部さんのほうから受電するというようなものも計上いたして、総計におきまして、百二十八億六千九百万の総括原価なつたのでございます。この総括原価から地帯間の収入がございます。それから夾雑、いわゆる工事料や何かで入つて来る金及び機具損料として、設備を貸付けておるものから入つて来る金というようなものと、一部火力の補給金が入りますので、これらを差引きますと、電燈電力で負担して頂く分が百十七億七千五百万になるのでございます。この百十七億七千五百万を電燈電力に割付けるのでございますが、この割付ける方法といたしましては原価計算をいたしたのでございます。原価計算につきましては細かいことは省略してここに載せてございませんが、その結果だけが後から三頁目に載つてございます。それで標準の原価の出し方は、下に備考として載せてございますが、支出、法定準備金、株式配当金……、百二十八億六千九百万から控除額としてその他収入、火力補給金、地帯間融通電力料、それから追加收入というものを差引きまして百十二億三千七百万、これだけを標準料金として割振つたのでございます。先ほど申上げました百十七億のものは、これと追加収入五億三千七百万、これを合計したものが先ほど申しました電燈電力の総括の原価になります。それでこの原価計算によりまして大体計算いたしました結果が、標準料金分としてここに載せてございまして、実際に今度割振つて需用家から頂こうという料金と対照してございます。大体におきましてこの原価に基いて総括原価をきめたということになるのでございます。それでこの総括原価、例えて申上げますならば大口電力の丙一円五十七銭の原価に当る、それを一円五十六銭、こういうことにいたしてありますが、この一円五十六銭をそれなら需用家から取るためにどういうふうな料率をきめたかというのが、いわゆる今度きめた料率でございます。その料率につきましてはその三頁ぐらい前から第五といたしまして、改訂料金表といたしましてここに載せてございます。それで現在の料金と新料金の單価の比較がここに出ておりますが、実際の單価の比較というものは余り意味のあるものではないかも知れません。これのいろいろ組み合わさつたもので、需用家の負担が幾ら変るかというのが実際の料金の値上り率となつで出て来るのであります。それでこの料率をきめますときの基本の考え方といたしましては、従来電力の割当ということがございまして、電力の割当をもらうと標準料金になります。これを超すと追加使用料金になりまして、これを小口の例にとりますならば、割当の電気は一円未満であります。ところが割当を超した電気は八円になるのであります。それで割当のもらいかたのまあ上手下手と言つてはどうか知りませんが、割当の如何が非常に料金に響いて参ります。そのために一般の需用家の負担という点に何か不均衡を来たしておる実情であります。そういうような点を考え合わせまして、今後割当はなくともいいだろうというような考え方で料率をきめました。それからもう一つ大口の電力料金は、先ほども社長から話がありましたように、成るべく上げないという方針できめたのであります。但し東北におきましてはこの前の三二・二%の料金値上げのとき、二十四年の十一月であります。このときに料金値上げ、値上ではございますが、大口電力は逆に値下りを来たしたのであります。そういうような実情などもございますので、その前の料金ども少し考えまして、率といたしましては幾分平均よりも大口に高くなりました。小口につきましては従つて率が幾分低くなつたのであります。併しこの單価から見ますと先ほど原価計算でも出て参りましたように、非常に大きく違つておりまして、電燈のほうは前の料金で行きますと五円五十六銭ぐらいのものが今度は八円四十九銭、一・五二八倍になりました。それから電力のほうにつきましては今の料金ですと一円五十銭八厘というものが二円六十二銭一厘という平均の値段になつております。なお一番問題のある大口の丙、三千キロ以上でございますが、この電気は従来八十八銭で売られたのであります。これを一円五十七銭四厘、大体一・七九倍というぐらいのところで押えてございます。時間も余りないようですから、いろいろ料率をきめるときに、特に大口について考慮した点を簡單に申上げたいと思います。で大口の需用は東北におきましては化学工業若しくは電炉工業というような需用で、キロワツト当り非常に多量な電気を使うというお客さんがあるかと思いますと、又一面割合電気を使なわい需用というものも又あるのでございます。それでこのお客さん、これらのかたがたに成るべく原価を公平に分担してもらいたい、こういうような考え、又割当がなくなるために急激に負担の変更がないようにというようなことを考慮いたしまして、東北におきましては大口乙、いわゆる五百キロ以上の需用、これにつきましては実績の賦課率を基準にして電力量を契約するということにいたしました。賦課率二〇%、三〇%、四〇%、五〇%、六〇%と、六〇%まできめまして、六〇%になるとキロワツト当り四百三十キロになります。この四百三十キロまでのランクをきめておきまして、お客さんの実績を押えまして、この実績が仮に五〇%と六〇%の間にあつたというような場合には上の六〇%までを契約電力にいたします。従つて平均真中にあるとすると五〇%ぐらい割当を殖やしたというような恰好になるのでございます。それでこの契約電力まではスタンダードの、いわゆる標準の料金で売るつもりでございます。ただこの標準の電力を売る場合に、夏は七〇%は第一段料金の八十銭、第二段階の残りの三〇%までの電気は一円五十銭ということにいたしました。冬には電力量が減るというような観点から六〇%までを第一段の料金、残りの四〇%までの電気は第二段の料金にいたしました。それからお客さんによつては四百三十キロ以上使つておるお客さんがあるのであります。そういうお客さんは東北におきましてはおおむねピークのときに、尖頭時に電気をへずつてもらうとか、夕方など荷が多くて電燈などかかるので、よく緊急制限される時間でありますが、そういうときには荷をへずつてもらつて、夜成るべく夜中にたくさん電気を使つてもらうというふうに、只今ロードを調整してもらつておるのであります。この調整ロードを使つておるのが実情でありますために、その実情を反映いたしまして、四百三十キロ以上の分につきましては、調整を條件として第一段の料金八十銭を適用する。私のほうといたしましては、電力の需給調整に協力してもらつて頂くと一緒に、需用家のほうには安い料金原価を引下げる方法をとつたのであります。なおその他の料金につきましては、標準料金を大抵第一段と第二段と料金を作つておりますが、この第一段と第二段を作つた考え方は、成るべく需要家に電気の合理的使用をして頂きたいということを常々考えておりまして、この合理化によつて生み出した電気を新らしいお客さんに幾らでも差上げたいというふうに考えておるのでありますが、そうするためには、合理化した場合幾らかでも多く金額が減るようにして上げたほうが実際にお客さんが御協力して頂けるだろうというように考えまして、料金は二段階料金を通用し、第三段階には先ほどもお話がありましたように使つてもらいたくない、できるだけみんなに迷惑がかかるからやめてもらいたいというような値段にいたしまして、一方無理に多く使われますと関東及び中部方面に差上げる電気に影響して参りますので、又これらの保障なども考え合せまして、幾分そろばんも取れるようにというようなことなどを考え合せまして、従来の八円一本の火力料金に相当するものを、電燈については八円、小口については七円、大口については六円というふうにロスを加味いたしまして想定したのであります。勿論これは火力料金ではございません。従つて石炭による調整はこれはないのであります。  時間のようでございますから大体とれで終りましてあとは御質問があればお答えいたします。
  131. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今東北電力株式会社の斎藤君からいろいろな基本的な考え方並びに資料について御説明がありました。御質問がありましたら逐次御発言を願います。
  132. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今東北電力からいろいろ御説明がございましたが、最も中心にお考えになつておりまするのは経費の中でも修繕費の点であつたのであります。従いましてこの点について二、三お尋ねを申したいのでありますが、先ず第一点は非常に修繕費が私は多く見込まれておると思うのでありますが、曾つて終戦後におきましてもすでに特別修繕費を以ちまして相当な修繕が行われておるのでありますが、そういうものが更に累加されてここに計上されておるようなことはないのかどうか、この点が明らかにせられたい点であります。  それから第二点は今度の料金算定基準におきましても、営業費は実績を基にして計算を行わなければならんということが書かれてありますが、昨年度の実績は十一億ほどでありました。それが二十四億を超えるような大幅な修繕費の増額が行われておるのでありますが、こういう工合にいたしますと、同じ調子で全国に亘りますれば、昨年度の実績が全国で百三十億ほどのものでありましたのが、今度は二百五十億に近くなつているのであります。こういう工合に理想的には、修繕を行うととは結構でありましようけれども、併しこの修繕を原価に織込むということになりますると、ここに問題が一つあるのでありまして、果して今日の日本の経済力或いは資材力を以ていたしまして、こういうような厖大な修繕工事が、六百億を予定しておる電源開発工事と併せて行うところのカを持つているかどうかということであります。工事能力にも限りがあるでありましようし、又資材の調達、製品の調達においても非常な難儀があろうと思うのであります。特に損失軽減工事におきましては、すでに皆様がたが経験せられた通りに電力制限機、或いはワツト・アワー・メーターの調達におきましてもなかなか希望の数量だけを完全に充足すること困難であつた事態は御承知通りであります。従いまして料金算定基準に過去の実績を考慮に入れて適正にしなければならんということは、料金に一旦織込みました以上は責任を以て設備の修繕を行うだけの程度のものでなければならない。徒らに数字の上に金額を殖やしまして、そうしてそれを料金に織込み、これを国民の多くの犠牲に供するというようなことがあつてはならんと思うのであります。そこで私が明かにせられたいのは、修繕費に関心を持たれたことは甚だ結構でありまするけれども、こういうような厖大な修繕費というものが果して実行し得るかどうか、工事能力の方面において、或いは又資材の調達の面においてこういうものはでき得るかどうかということを、これは一つ詳しく明かにして頂きたいと思うのであります。單に東北のみに限らず、全国的な問題ではありまするけれども、特に東北において御関心を持つて説明頂きましたので、この点を私は第一に御質問申上げるわけであります。
  133. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 実は修繕費というものには東北のほうには少し特殊的なものを見込みました。これは二億三千万程度でございます。それから一般電気のほうの修繕費のほうには、工作物の現状をここ数年間は、まあここ五年間くらいはこのくらいにやつて行かなければ事故率を減らして行くというようなこと、及び安定した電気を送つて行くというような点について責任が持てないというような観点から、修繕費基準を、この前業者で集まりまして、補修用資材をきめますときの基準によりまして計算したのでございます。それが二十八億になつたのでございます。それでただの特別修繕費などは土木のほうに入つておる、二億三千万円くらい入つておるというような点を考え、更に幾分償却との関連もありまして、初めに考え修繕費はこういうふうに考えたのでございます。電柱の建替につきましては、新らしく建替る建設費をここで考えまして、更に再評価した場合電柱に相当する減価償却というものがございます。その減価償却を食つて更に足りない分だけを幾分計上したというような点がございますので、これらの点を考え合せまして、もうちよつと償却との関連においてへずつてもよろしいというような観点から実は八六%に切つて二十四億を計上したのでございます。それでこの工事につきましては工事別の裏付けをして、これこれの工事を是非やりたいのだというようなことで工事の裏付は実はあるのでございます。更に去年の実績の低かつたという点でございますが、実は東北の東北配電の分は、この前の原価の織込みには四億八千万円くらい入つております。それに八億数千万円の実際修繕費を出しておるのであります。ところが発送電さんのほうは三億くらいしか出ていないのであります。というのは発送電さんのほうには大体において先年度は火力に重点を置かれたと聞いております。それで水力は少しくらい放つておいてもいいだろうというようなことで、修繕費が水力に廻らなかつたというような事実から、特に発電部門におきまして水力がなおざりにされておつたというようなことも考慮いたしまして、今年は是非これだけのものを改修して、例えて言いますならば水車のランナー、ライナーの減つたというようなこと、この程度つて行こうというようなこと、及び点検補修油濾しというようなこともいろいろ事故率から考えましてもつと励行しなくちやならんというようなことを加味いたしまして、仕事量を少し殖やしております。それと一緒に單価も実は鉄鋼なりその他電気に使うものは値上りを来たしておりますので、数量の増と單価の増という二方面から来まして、希望といたしましていろいろなことを考え合せた結果、二十四億だけ計上させて頂いてまた御批判を仰ぐことになつたわけでございます。
  134. 栗山良夫

    栗山良夫君 私の御質問いたしました点は、完全なる設備の管理、補修に任ずるという建前からいたしまして、各業者が理想的におやりになりたいということは一向問題にならないので、そうでなければならんと思うのでありまするが、そういうことが問題になりました場合に、先ほど修繕費の全国的な打合せに基く基準からスタートしたとおつしやつたのでありますが、そういうような基準というものが日本の今日の工業力なり或いは特殊な電気工事に対する労働力なり、そういつたようなものから完全な裏付がありまするかどうかということをお尋ねをいたしておるわけであります。そこまでも果して修繕費基準を定められるときに研究をされておつたのかどうか。ただ業者の理想的な希望として作られた基準でありまする場合には、そうしてそれを基準にして数金の原価の中へ織込みました場合、直ちにその負担は国民にかかるけれども、希望された工業力或いは労働力の裏付けがなかつた場合には、それだけ修繕費は実行されないわけでありますから、設備はよくならない、管理は維持されないということになるわけであります。そこのところは今度の料金改訂の最も私は重要なポイントでなかろうかと思うのでありまして、今御答弁を頂きました中でも、修繕費基準というものが、そういう工合に日本の全体の考えに立つてあなたのところはおやりになりたい、ほかの会社もやりたい、こういうことで全国が競り合いましたときには、必ず資材のしわ、労働力のしわというものが来るにきまつているのであります。そういうような全国的なしわの観点に立つて十二分に御検討になり、これだけの金で必ず目的を達成し得る、こういう工合にお考えになつておるのかどうかというその点を伺つて置きたいと申上げたわけであります。
  135. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 私からお答えいたしたほうがよかろうと思います。只今の御質問は御尤もと思います。ところが我々が修繕費として計上いたしましたものは、只今営業部長から御説明申上げたように、数量はどうしてもこの程度やらなければいかん。もう一つは物価の値上りも入つております。それでこの程度のことは我々といたしましては労働力におきましても、資材の点におきましても、十分に我々はやり得る確信を持つております。以上。
  136. 古池信三

    ○古池信三君 議事進行について…。先ほど委員長からのお話で、今日は三社から説明を聞くことになつております。
  137. 西田隆男

    委員長西田隆男君) そうです。
  138. 古池信三

    ○古池信三君 あと二社の説明が残つておりますが、私はそれぞれ四十分ずつやつて頂いても相当かかる。私も実は質問をしたいことがありますけれどども、一々そのたびに質問しておつたのではあとのほうがどうかと思いますので、一応皆さんの説明だけを終了されて、そうして最後に質問をするようにいたしたらどうかと思うのですが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 皆さんにお諮りしますが、各会社別の特色のある点については各会社別にやはり質問をして頂いて置いて、全般についての問題については総合的に質問をして頂いたほうが便宜かと心得て委員長は計らつておりますが、全部の御説明が済んで結構でしたらさよう計らいますが、どうですか。
  140. 小野義夫

    ○小野義夫君 古池君の御意見に賛成です。共通する点があると思いますからそう願います。
  141. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは第二回目の東京電力株式会社社長安蔵彌輔君に御発言を願います。
  142. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 私東京電力の安蔵でございます。今日は皆様お忙がしい中を私どもをお呼び寄せになりまして、私どもに希望或いは意見を述べさして頂く機会を得ましたことを厚く感謝申上げます。最近値上げ問題が起りまして、全国一般に反対の声が挙つております。私ども九つの電力会社がこれを受けております。誠に孤軍奮闘の形でございます。併しながら私どもはできるだけ皆様方の御了解を得まして私どもの窮状を訴えまして、是非値上げを御容認願いたいと努力しておる次第でございます。只今でも毎日いろいろのところに呼び出されまして説明する機会を與えてもらつております。実は今日も四時から或るところにございますけれども、こちら様のようなところには是非私は最後までとどまりまして、十分の御理解を願いたいと念願する次第でございます。  私どもは先般再編成いたされまして東京電力を引受けたのでございまするが、まだ引受早々でございます。従いまして旧日発、旧発電とが十分に融和して、いわゆる能率的合理的経営には参つていないことは、誠に申訳ない次第でございます。併しながらこれは過去長い間お互いに論議された歴史のあるものでございまするから、これは暫時時間をおかし下さいますれば、私どもは十分に責任を持つて合理的能率的運営をする覚悟でございます。殊ご東京電力のごときは日本の代表的電力会社でございます。又近頃問題になりまする外債問題もございまする以上は、是非この会社は模範的に公明的に、どこから見ても非難のない会社に盛り上げたいと存ずる次第でございます。私は昔東京電燈に職を奉じた一技術者でございます。最近まで浪人しておりまして、先般招集を受けた者でございますが、只今東京電力に入りまして内部の様子を見ますというと、如何にも貧弱でございます。私どもが十年ほど前にやつたのとは全く様子が違つております。それは先ず電力の不足であります。私どもは公益事業の一員といたしまして、あらゆる要求に対しては責任そ持つて供給を確保する覚悟で今まではやつて来たのでございます。十分に施設をし十分に保守をいたしまして、御迷惑をかけないようにやつて来たのでございまするが、只今参りますというと、電源はよたよたでございます。能力一ぱい挙げております。只今のごとき豊水期におきましては、順番にとめまして手入れをする時期でございます。然るに到底今の状態ではそういう機会がございません。もう精一ぱい働いております。そうして只今のごとき機会には石炭なんかちつとも焚かないで順繰り順繰り直すべきにもかかわらず、火力を十数万キロ焚いておる次第でございます。従いまして手入れをするにもとめようもないのでございます。止むを得ず夜中とめております。御承知通り夜間になりますというと電気の需用が減りますので、この機会を利用して順繰りにとめて、短期間の間に全力を注いで、従業員諸君並びに請負の諸君が従事しておる次第でございます。誠に哀れな状態であります。私ども只今つておる電源だけでは足りませんで、隣接の区域から若干の電力を購入しております。然るに今申上げた通り火力をこの時期に焚いておるような始末であります。又隣接区域におきましては石炭の状態が悪いので、これの応援にも私どもは力を挙げておるような始末でございます。こんな状態では日本の産業、日本の国民に対しては申訳ないのでございます。一日も早く完全に十分なる供給をしたいと存じます。何分にもまだ需用申込の電力が数十万キロあります。申込を受けただけで送れないのでございます。私ども市中を歩くときに、随分最近はビルデイングが建つております。誠に立流なたくさん鉄材を使つた建物で、誠に喜ばしいのでございまするが、但し電気屋といたしましては実ははらはらしておる。あれができますというと数百キロの需用申込が必ずあるわけであります。電燈は私ども何にしても送らなければなりません。それだけいわゆるほかに行くべき電気が足りなくなるのではないかと日夜心配しておるような次第でございます。こんなわけですから、是非電源開発ということには皆様方の十分なる御援助を願いまして、開発ができるように是非々々お願いしたいと存じます。私ども技術屋といたしましては十分にこれを果し得ると思いまするが、何分にもお金の問題でございます。どうぞこのお金は、私どもがやつてる力では資本、社債、そんなものは極く僅かでございます。只今でも資本は十数億、これに対する社債発行限度も僅かなものでございます。どうしたつて国家資金、或いは外債をお願いしなければならないと存じます。どうぞ私ども微力の者でございますが、飽くまでこうやつて建設をやるつもりでございますから、どうぞ資金の方面におきましては皆様がたの力強い御援助を是非々々お願いしたいと、この席を以てお願い申上げます。私どもは私企業でございますが、飽くまで公益事業という使命を負わされております。又責任を完遂する覚悟は十分持つております。が、私どもの経営の收入というものは電力料金以外にないのでございます。従いましてこの電力料金も是非私どもが経営がうまく行くだけのもので結構でございます。お願いしたいと存ずるのでございます。従いまして先般値上げの問題も起りましたけれども、できるだけ安くしたいのが私どもの念願であります。決して決して高いことは望んでおりません。もうできるだけの経費を節約し、できるだけの合理化、能率、運転、あらゆる努力をいたしまして料金を下げるのに努力いたしますけれども、止むを得ずここに計上する額は御了解願いまして、私ども切にお願いをする次第でございます。  御承知通り電力料金は二十四年の十二月に政府が決定された料金でございます。その後私どもはこれの修繕維持には、或いは火力の石炭には、いずれも統制を外された、マル公の外された高いものを負わされております。收入はマル公に抑えられておる。支出はマル公を外したものでございます。これだけでも如何に困つておるかということがおわかりのことと存じます。私どもの事業はほかの製造工業と違いまして原料は水であります。水を加工するわけでございませんが、水を利用するだけでございます。無論火力発電所におきましては石炭を多量に使いますが、私ども会社は水力が主で、火力が約一割でございます。然るに私どもの設備といいますものは発電所、送電線、変電所、いわゆる建設費の固まりであります。これだけを補修し、これだけを維持し、これだけを運転するのが私ども電気圧の役目でございます。従いましてこれに加工するとかいう余地はちつともないのでございます。従いまして私どもはその建設の維持と償却に十分の力をいたしたいと思います。併し先ほども申上げました通り料金の値上りをできるだけ少くし、最小限度の維持並びに償却をお願いするのでございます。但し償却金はいわゆる税の、或る限度を超えますと税がかかります。誠に私ども痛いのでございますので、税のかからない範囲において償却をお認め願いたいということを思つております。只今までの記帳価格というものは非常に少のうございます。そうしてこれの償却は従来は定率だけでやつておりました。再評価を一〇〇%お許しを願つても、その評価は非常に少ないのでございます。例えて申上げますというと、水力発電所を建設いたしますというと一キロあたり十万円はかかると思います。火力発電所は七万円から十万円かかると思います。再評価した結果の価額は水力発電所では三万円、火力発電所では七千円でございます。無論これは長く使つた償却年限の年度を経た結果でございましよう、けれども、これに対して或いは定額、定率法という償却でございまするけれども、もともとの値段、再建設費の値段、即ち十万円に対して定率、定額ならば、これは議論は同じでございます。併しながら只今では再評価されたその僅かな金額をベースとして定率をお願いするのでございまして、その金額は非常に少いのでございます。私どもその点につきまして定率法をお願いしておるのでございます。只今料金値上げ申請をいたしましたが、これはほんの正式のものではございません。数日前に料金算定基準という規則公聽会にかけられまして、これが決定して、そうして最近の決定方法がきまつてからこの申請書を出して初めて御審議願うのでございまするが、私どもは一日も待つことができません。先ほども申しました非常な窮状でございまするから、一日も早く御審議願いましてその実現を期する、誠に情けない考えからこういう内容の仮申請書を出した次第でございます。この値上げ内容につきましては縷々細かく私ども調査部長から申上げまするが、大要は只今東北電力でお話しいたしました通り人件費の大規模なる増額、賃金ベースが変るということ、それから私どもといたしましては火力発電に多額の石炭を要します。この石炭の量とその炭価が著しく上りましたこと、私ども火力発電は只今では予定の三倍以上も焚いております。この消費は非常に大きなものでございます。併し供給の確保をするためには私どもはできるだけの火力発電をやつております。従いまして石炭は或いは予想以上に消費することがあると思いまするが、それは重々覚悟の上でございます。その次に著しいのは修繕費、先ほども申上げました通り能率の悪い修繕をやつております。夜だけとめるとか、或いは送電線にいたしましてもまとめて送電線を立て替えるならば、トラツクを利用し或いは自動車を利用し、機械設備を利用し同時に数本をやると非常に能率的に行くのでございまするが、修繕費の少いがために、もう極く極く危つかしい、倒れそうな、これがあつたために一般公衆に危険を及ぼすというものを一本ずつ建てておる。これにはどうしたつて能率のよい修理ということは不可能でございます。併し現在の実情止むを得ません。そんな状態で修理しておるような状態でございまするから、單価なり或いは全額が増加することは止むを得ないと存じておりまするが、決してこれで立派だというような点はちつともございません。極く極く最小限度であるということを御認識願いたいと存じます。  それから大きいのは償却金でございます。この償却金は先ほど申上げました通り定率法で最小限度のものをお願いしてございます。曽つて私は東京電燈にいたときには毎年四千万円の償却をいたしました。これは日発ができて昭和十五六年のことであります。まだまだ小さな規模でございます。只今東京電力が扱つておる大きなものと比較いたしまして、四千万円年にありました。只今の金額にいたしますと恐らく八十億ぐらいになるのではないかと存じますが、そういうふうなことで、いわゆる再建設と申しますか、古いものを置換えて見ましたようなわけなんでして、私どもは最小限度の償却をお願いいたしたいというのでここに計上いたした次第であります。  それから特に大きいのは水火調整金でございます。私どもは水力が大部分でございます。従いましてほかの地区における料金の差額が成るべく少いようにというので、これに対しましては常時電力一キロにつき三千四百円をあえて支出する次第でございます。無論私どもが焚く火力に対しては僅かながら火力補給金をもらう次第でございます。  以上ようなわけで、集計いたしますというと、收入に対してなお且つ十億円足りません。これはほかに持つて行くことはできませんので、先ほど申上げました社内の合理化或いは能率運転、石炭消費の節約ということに更に努力をいたしまして十数億円を節約し、その結果誠に申訳ない次第でございますそが、六割弱の値上をお願いするものでございます。詳細につきましては調査部長から申上げたいと存じます。
  143. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 東京電力の福田調査部長只今説明に補足すべき点があつたら、その補足と資料の重要な点についての御説明を願います。
  144. 福田勝治

    ○参考人(福田勝治君) 今提出いたしております資料につきまして重要な事項を説明させて頂きます。  先ず第一に原価のことでありますが、今社長から申上げました通り、いろいろな点において原価が増加しております。そのうちの主なるものにつきましてその理由を補足させて頂きます。先ず第一が先ほど東北電力からお話がありました修繕費でありますが、実は電気事業の設備が非常に荒廃いたしておりますことは大体御想像の通りでありますが、それをもう少し具体的な数で申上げますというと、旧関東配電の区域では配電線の数が約二千回線ございます。この二千回線の一回線当りの一カ年間の事故による停電の時間はどのくらいかということの統計を取つて参りますというと、昭和十七年頃は大体一カ年に四—五四時間。約五時間弱でありましたのが、昭和二十四年では実に五九・五時間、昭和二十五年では四七時間ということでありまして、大体一回線当りの事故停電時間数が約十倍を超過いたしておるような実情でありまして、配電一般電気設備が如何に荒廃しておるかは御想像つくと思うのでありますが、なお又御承知のように我々の区域の非常に大部分である都市は、すベて戦災をこうむつたといつてもいいわけでありまして、従つていろいろ都市の配電設備その他は非常に仮に類するような設備でありまして、如何に配電設備等の悪いかについて例を申上げますというと、こういう数字は如何かと思うのでありますが、一カ年間で我々の区域で一般の大衆並びに会社の職員が感電する数であります。一般の事故感電であります。これが昭和十六年当時は大体六十七件、昭和十七年も大体六十三件というような程度でありましたが、昭和二十四年では二百六十九件、昭和二十五年度では二百五十五件ということになつておりまして、いずれも四倍以上の感電事故が起つておるような次第であります。かくのようなことで大体電気設備が如何に従来の設備から見で荒廃しておるかということが御想像願えると思うのでありまして、従いまして我々はこの荒廃しておる設備を何とか早く常態に戻したい、こういうふうに考えておりまして、従来から特別改修等の特別な費用も頂きまして改修を急いでおるのでありますが、まだまだ不十分でありまして、今後におきましても相当の改修工事を、改修のために設備をしなければならんような実情であります。従いまして今町は修繕費として相当多額の修繕費を計上さして頂いたのであります。修繕費の内訳につきましては、資料で詳しく書いておりますが、その中で特に私らが考えておりまして、今回特別に考慮いたしましたものは、約二十億程度を普段考えておるノルマルの修繕費よりは多く計上しておるのでありまります。その二十億という金は一見非常に大きい金でありますが、併しこの内訳を御覧頂きますというと、内訳はずつと後のほうに出ておりますが、御想像願えますように、この二十億程度修繕費の総額のうち約十七億程度は配電設備に特別にかける修繕工事でありまして、この修繕工事の中で現在の都市の配電設備をもう少し常態に戻すためには、このぐらいの程度の改修工事を今後我々は約五カ年間継続しなければ大体ノルマルにならないと考えておるのでありまして、決してこの数字は今年一年だけで全部取返すことができるような数字ではないのでありまして、内容の細かいことの説明は省略さして頂きますが、このようなために今回我我といたしましては六十三億という修繕工事費を計上することにいたしました。これは従来の実績から見ますというとかなり大きな金額でありますが、内容を仔細に御検討願いますれば、決して多い工事費ではないのでありまして、資材の点から見ましても、或いは労務の点から見ましても十分に我々は消化できると考えておりますし、又是非消化しなければならんと考えておるのであります。なおこの修繕費はあとに申上げますロス軽減のための改修工事も含めてのことであります。これだけは断わつておきますが、いずれにしましても、修繕費としまして相当多額の修繕費の計上の止むなきに至りました。それでこの修繕費の増加のもう一つの理由は、ロスをできるだけ軽減したいと考えておるのでありまして、御承知のように我々の現在の設備に従来の実績では約三〇%ぐらいの電力損失があるのでありまして、こういうロスの多い状態では、後の増加する電力に対して応じ切ることができないので、どうしてもこのロスを軽減しなければならんということで、今回我々が考えましたのは、非常に馬力をかけることにいたしまして、損失率を二五・六%に減少するような計画を立てておるのであります。そうして需給対照表で、この申請書の説明書のずつとしまいのほうに出ております二十六年度の需給対照表というのがございますが、こういうものであります。これは発電電力並びにロスがどれだけあつて、結局販売電力が幾らかということの発電と需用との需給のバランスになつておりますが、今年度は発電電力の購入、融通電力等を受けまして、合計で九十億五千六百万キロワツト・アワーの電気を受けることになりました。これをロスを二五・六%にいたしまして、販売電力量六千七億三千九百万キロワツト・アワーを販売いたすことを二十六年度の計画といたしておるのであります。従いまして我々といたしましては、電力損失を、二五・六という数字のロスを今回の目安といたしまして、その線にまでどうしても電力損失を軽減しなければならんというようなことを考えましで、ロスの軽減対策をいろいろ行なつておるような次第であります。これが先ほど申しました二十億程度の増加という工事費の中に含まれております。その明細につきましても説明書にあります通り、例えば従来盗用が非常に多い、擅用が非常に多いという、まあこれはロスの中に入つておるそうでありますが、盗用が非常に多いために、今回は我々といたしましては、メートルを全部家の外に移そう。従来中につけてあるもの、屋内につけてあるものを、今後は家の外にメートルを移そうということで、計器を全部屋外に取付けるような方法を講じております。これは御承知のようにアメリカにおきましてもすべて計器は屋外につけておるのでありまして、これは盗用が防げるという、一つの盗用されることの防止というほかに、検針能率が非常に挙るのであります。従つてどうしてもそういうことを是非やりたいということで、皆さんも市内を御覧になりますとところどころメートルが家の外につけてあるのがちよちよいお目に触れることと思います。今後はそれを非常に大きくやりたいと考えております。又市内の配電設備の引込線でありますが、引込線はこれは家が戦災地域におきましてばらばらとできました。それがそのできる都度引込線をやつておるわけでありますので、引込線が非常に雑然としておるばかりでなく、電力損失が非常に大きくなつております。従いまして、この際成る計画で以て引込線をもつともつと根本的に改修しよう、手入れしよう、これは現在取付けてあります引込電線を使いましてやるのでありますが、引込線電線の追加その他も勿論あります。そういうことで引込線を根本的に計画的にやり直そうというようなことでロスとのセーブをやりたいというようなことが挙つておりまして、そういうような計画がかかり合いまして、先ほど申しましたように約二十億程度の増加の数に相成るのであります。これは決して従来やりておつたのとダブつておるわけではなく、又今後のそういう仕事でありますので、我我の手で十分に遂行できる工事費と考えております。  その次は石炭費の増加でありますが、先ほども説明いたしました通り、東京電力といたしましては来年度相当の石炭の増加があるのであります。これは去年は割合に豊水であつたために比較的水力がたくさん出たので、かなり予定よりも多くの電力の供給ができたのでありますが、今年度は必ずしも豊水が予想されないのでありまして、今年度私らのほうの発電所の出す水力につきましては、先ほど東北さんから話がありました通り、過去九カ年の平均の水があつたとして考えております。今年度は平水でもむしろこれを下廻るのではないかという予想さえもあるのであります。と申上げますと、大体非常に豊水である年と非常に渇水になる年との大体週期は、現在通読として十一年説が一般に信じられているのでありますが、御承知のように昭和十五年暮から昭和十六年にかけまして、つまり日本発送電ができました翌年は御承知のように非常に渇水でありまして、それから丁度今年は十一年目に相成るのであります。従つて本年度等はむしろ平水を下廻るのではないかとさえ予想されるのであります。現に五月は関東地区におきましては九カ年の平水が、或いは多少平水を下廻つておるような実情であります。従つて、今年度といたしましては、我々はこの平水で以て所要の電力の供給を確保しなければならんということに相成るのでありまして、そのためには先ほど申しました電力損失の軽減も一つの方法でありますが、もう一つは石炭をできるだけたくさんに焚くということであります。今回考えておりますのは、大体七十二万トン程度の石炭を焚くことにいたしております。二十五年度は、差上げました実績表を御覧になればわかりますように、四十二万八千トン程度の石炭を焚いたのでありますが、二十六年度は七十一万八千トン、約七十二万トンの石炭を焚くことにいたしております。この石炭はいろいろ御批判を頂くのであります。そんな多量の石炭は、現在の石炭の生産計画から見て相当疑義があるではないかという御批判も頂くのでありますが、我々としてはこれだけの石炭をどうしても確保しなければならんと考えておるばかりでなく、現に五月は、この七十一万八千トンという石炭の月割の表がここに表に出ております。二、三枚の紙の表に出ておりますが、五月は七十万トンのベースで以てキロワツト・アワーで約八百万キロワツト・アワー、トン数につきまして、大体五月は八千トンの石炭を焚く予想になつてつたのでありますが、実際は約二方七千トンほど焚いておりまして、約三倍ほどになつております。又六月もここにありますように、一カ月間に約一万一千トン程度の石炭を焚く予想になつてつたのでありますが、この十日までの間に、大体上十日間で約一万四千トシの石炭を焚いておるのでありますが、大体七十万トンベースになつておる。石炭の月々に予想しておりました数量の約三倍の石炭をこの五月並びに六月の十日までには焚いておるというような実情でありました。従いましてこの七十万トンという石炭については、決して我々としてはむしろこれ以上でなければならんものと思つておるのでありますが、まあかくのような次第でありまして、どうしてもこの七十万トンの石炭を確保したいと考える次第であります。  その次に石炭の單価でありますが、従来の料金に織込んでおりましたのは、大体三千何百円とかというような程度でありましたが、今回は五千五百円という單価の石炭にいたしておるのであります。この五千五百円という石炭は、非常に高いではないかというようなことの御批判を頂くのでありますが、現に我々が買つております石炭は五千七百円程度の石炭があるのであります。これは北海道炭或いは九州炭でありますが、六千カロリーで五千七百円の石炭を現に我々が買つておるのであります。且つ又この七月以降ではなお相当の値上わが予想されるのでありまして、従つて五千五百円という石炭の單価は決して非常に過大な見積りではないと考えておりまして、従つて今回石炭として我々は今年度の料金には約三十九億円の石炭費がかかることになつております。これが今回の料金一つの大きな値上りのファクターに相成ります。  その次は先ほどお語いたしました減価償却でありますが、減価償却のやりかた等につきましては、申請書のずつと終のほうにかなり細かい減価償却の計算が出ております。これを仔細に御覧願いますれば御了解が願えるのでありますが、大体のことを申上げますというと、我々は現在の再評価法で許されておる限度の再評価をいたすことにいたしたのであります。併しここで少し御説明を申上げたいのは、陳腐化ということについてでありますが、大体現在我々のこの再評価する場合には、建設年度に従つて倍率をかけて、それを現在までの経過年数に応じて定率法償却して、現在の再評価価額を算出いたしておりまして、それに使うべき定率というものは、これは大体陳腐化というようなことも当然考慮されたものであると思うのであります。ただ物理的な壽命だけではなくて、陳腐化ということも考慮された壽命であると考えておるのでありまして、ノーマルの状態の陳腐化は、この計算で当然陳腐化が考慮されておると思うのでありますが、なおそれ以上に我々は現在の設備の実情を見まして、特別に能率が悪くなつておるもの等につきましては、更にこの評価を減少したのであります。例えば東京にあります隅田火力の発電所におきましては、大体去年も隅田火力は焚いております。今年もまだ焚かなければならん実情にあると考える次第でありますが、この設備はかなり古い設備でありますので、大体我々はこの隅田火力については帳簿価額のままにいたしておこうということで、陳腐化という考えのために再評価はしていないのであります。なお文送電線につきましても、現在有効に使われていない送電線につきましてはやはりそういうことを考えております。又五十キロ、或いは百キロ程度の小さい水力につきましても、やはりそれは帳簿価額程度に大体とどめるというような方針にいたしまして、あの再評価法による再評価限度一ぱいと申上げますか、大体そういうことを考慮いたしまして、現実に有効である資産の再評価を行なつたような次第でありまして、その結果は帳簿価額の約六十億に対しまして、八百四十億程度の再評価価額に相成ります。この八百四十億という再評価価額は、先ほど社長がお話申上げました通り、現在この設備を再建設するのにはこれの三倍、或いはそれ以上を要することに相成るかと思います。従いまして我々はこの再評価したこの額に従つて減価償却金を算出したのでありますが、この算出は定率法で算出いたしました。この定率法についてもいろいろ御意見がありますが、我々はこの資産評価価額自体が現在の再建設から見まして非常に非常に低い値である。従つてそれだけの率で以て償却金を取つても、その償却金ではりプロダクシヨンができないというような現状でありますので、せめてその程度のものを償却金として計上いたしたいと考えるのであります。なお又その定率法につきましては、現在の資産を再評価したのが、結局定率法で以て賞却をして行つたものとして現在価値を出しているのだから、今後も定率法で当然償却して行くのが合理的ではないかというようなこと、並びに定率法でやりますことにいたしまして、今後の償却金の増加、建設資金、資産がだんだん殖えて行きますが、殖えて行くことによる償却金の増加ということは、定率法によるごとによつてむしろ少くなつて、結局電気料金の安定が得られるだろうというような見地から、我々は定率法で以て行つたのであります。その結果減価償却金といたしましては約五十七億の減価償却金が今回の料金に計上されておるような次第であります。  以上が非常に大きいフアクターでありますが、そのほかに給料、手当等におきまして先ほど説明いたしました通り一万二百円ベースで以て織込んでおります。人員は今後自然退職を予想いたしまして、毎月約六十人程度の自然退職があるものといたしまして、月の平均をとりまして人間の数は算出いたしております。この人の数につきましてはもつと考えてはどうかというようないろいろの御批判も頂きますが、御承知のように設備等どんどんと増すばかりでありまして、例えば東京電力の区域にいたしますというと、二十五年度で新らしい家が殖えたのが二十一万軒殖えておるのでありまして、この二十一万軒新らしい新設の家屋がある。この二十一万軒の増加に対しまして検針と集金だけで約四百人程度の増加を必要とするのでありますが、そういう点も考慮いたしまして、今後殖さない、自然退職があつても補充しないという線で今回計上いたしておりますことで、相当の人件費については十分考慮しておることを御了承願いたいと思うのであります。そのほかに多少費用がありますが、固定資産税としては約十億程度のものが出ております。でその内訳は詳しく説明が出ておりますので、概括を申上げますというと、二十六年度原価計算というのが四、五枚あとに出ておりますが、その下のほうに項目別の費用が出ておりまして、今私が申上げましたのはその主なるものであります。このうちで今申上げましたような費用を合計いたしますというと、一般の経費予算といたしましては二百八十五億七千万という経費が必要に相成るのであります。その第一頁、もう一つ上のほうを見て頂くと、そのほかに地帯間の融通電力、私らのほうは東北電力、中部電力、関西電力等から一カ年間に約九億キロワツト・アワーの電力を購入いたしますので、その電力代が約二十二億に相成ります。でこれを一投経費に加えますというと、約三百七億九千八百万円に相成るのでありまして、この三百七億九千八百万円から電力料金以外の収入を差引いたものが三百億二千八百万円ほどになりまして、これが現在の電気料金率による収入額百九十八億に比べまして一五一・七%に相成ります。併しこのほかにまだ水火調整金があるのでありまして、水火調整金は水力賦課金といたしまして三十七億七千七百万円の水力賦課金があります。これは水力一キロワツトについて年三千五百円であります。それから火力補給金は火力一キロワツト・アワーについて一円五十七銭の補給金を頂くわけでありまして、頂く総額は十一億七千三百万円、その火力補給金を差引きますというと、差引きました金にさつきの三百億二千八百万円を加えますというと、三百二十六億三千二百万円に相成ります。でこれは大体現在の料金率で勘定した収入から比較しますというと、六割四分八厘増の料金率でなければならんことに相成るのであります。従つて我々といたしましては、総括原価といたしましては三百二十六億三千二百万円を必要とするのでありますが、これは総括原価を計上いたしますときに相当いろいろの面において合理化を考えておりましたが、なおこれ以上何とか合理化しようということで、料率を弾くときにもいろいろ考慮いたしました。大体合理化を、更に約十一億ほどの合理化を出すことにいたしまして、現在の料率に、現在仮申請いたしております料金の料率で六十七億四千キロワツト・アワーの標準電力に対する収入を調べて見ますというと、三百十五億になりまして、値上り率は現状に比べまして五九二%ということに相成ります。我々といたしましてはできるだけ企業の合理化をやりまして、五九・二%の値上りで以て今後の経費の増加をカバーして行こうと考えておるような次第であります。この五九・二%の値上りをどこでどういうような工合に配分するかということにつきましては、先ほどお話がありました通り、個別的な個別原価を計算いたしまして、その原価によりまして配分をいたしたのでありまして個別原価の計算につきましては、申請書の資料に詳しく出ておりますが、一等最後の表を御覧願いますとわかりますように、大体特別高圧と高圧と低圧、電燈というふうに原価を配分いたしまして、その配分を今回我々が料率として弾いておるものとの比率を見て見ますというと、特別高圧及び高圧、つまり大口についてはこの原価配分された金額が百二十五億四千五百万円でありまして、それに対する現在の料金、今度考えました料金収入は百二十五億一千二百万円で、九九・四%、殆んど原価通りの收入ということに相成ります。低圧電力、つまり小口電力につきましては、配分された金額が四十五億一千八百万円でありまして、今回の料率による収入は四十四億三千七百万円で九八%であります。それから従量電燈と定額電燈は一〇七%というようなことに相成ります。つまり我々は今回の料率を弾きます場合には、原価配分をやりまして、その原価配分に応じて料率を決定いたしたような次第であります。その結果がどういう値上りになつたかにつきましては、申請計の数枚後のほうに比較が出ております。これは二十五年度の收入実績に対する比率と二十六年度の予想収入に対する比率と両方出ております。二十五年度の実際の收入実績に対する比率で申上げますというと、定額電燈については二三六、即ち三六%の値上、従量電燈については一四六で四六%の値上、大口電燈については一六二、六二%の値上、電燈計では一四〇でありまして四〇%の値上、それから小口電力は二二七%、それから大口電力甲としては一七〇%、大口乙は一六五%、大口丙が  一七二%、それから特殊電力が非常に大きいでありますが、三一一%、合計では一六〇という、六割という率に相成ります。  大体そういうことでありますが、ここで少し大口電力のことについてちよつと御説明をいたしますが、時間も甚だ経過いたしまして申訳ありませんが、大口電力については値上率が一般に特殊その他を考慮いたしましても、大体倍近くに相成るのでありまして、常時電力といたしましては倍近くになるのであります。我々といたしましてこの大口電力の値上げをカバーする一つの方法といたしまして現在考えておりますのは、普通の常時電力のほかに調整願う常時電力というような意味合いで、準常時電力というようなものを作りまして、その準常時の電力につきましてはいろいろ調整願う條件に応じまして大幅な割引をいたします。大体最高五〇%まで、半分の料率まで値引するというような考え方で以て大口電力の値上率については調整するような考えでおる次第であります。で、この点についてはなおいろいろ御質問がおりますれば営業課長も来ておりますので詳細に御説明ができると思います。甚だ時間が経過いたしましたので説明が不十分だつたかと思いますが、これで一応終らせて頂きます。
  145. 西田隆男

    委員長西田隆男君) では北海道電力株式会社会長藤波收君に発言を求めます。
  146. 藤波收

    ○参考人(藤波收君) 私は北海道電力の藤波收でございます。私は最近数年間電気事業を離れておりましたのでございまするが、最近になりまして北海道電力に就任をいたしましたような次第で、詳細のことについてはまだ通じておりませんので、その点は後ほど会社の他の者から御説明を申上げるごとにいたしまして、大綱につきましてお話を申上げたいと思います。  先ほどから東北電力の丙ケ崎社長並びに東京電力の安蔵社長からいろいろお話がありましたが、大体私の申上げたいようなことは殆んど共通でございますので、成るべく共通の点は重複を避けまして、北海道に特に関係のあるようなことを申上げてみたいと思います。先ほどの安蔵君などのお話の中にありました、例えば人件費の算出の仕方、修繕を常時やらなければならない、或いは償却をできるだけ法の許す限りにおいてやつて頂きたいといつたようなことにつきましては全く同じなのであります。  なお火力の石炭費の問題につきましても大体同じでありまするが、これは少しく私の場合は重点が加わつておると思います。御承知のように北海道は何と申しまするか、本州方面に比べまして、少くとも電気事業に関する限り幾らか張れておりまして、万事思うに任せない点があるのでございます。地域で申しますると、東北が一番広いのでありまするが、それに次いで北海道が広いのであります。東京電力の区域よりも地域においては広いのであります。人口は四国の人口ぐらいしかありません。面積は四国、九州を合せたものがあると思いますが、さようなわけでありまするから、広い地域に電力を供給いたしております。而もその電力は東京電力さんの五分の一、六分の一ぐらいの電力なのであります。それを広い地域に送電をいたしまして配電をいたしておるのであります。又、人家もまばらでございますから、メートルを検針するとか集金をいたしまするにつきましても、都会のような、都会もございまするけれども、大体において都会のようなわけに参りませんのでございます。然らば電源のほうはどうであるかと申しますると、御承知のように、北海道は非常に広い割合に山が高くないのであります。勾配がのろいのでございまして、その上に降雨量が本州方面等に比べまして遥かに少いのでございます。さようなわけでございまして、水力電気を発電いたしましても割高につくのであります。今までありまする水力の発電も割高であります。今後開発をいたしまする水力も割高になるのであります。火力発電につきましては水力に比べまして最近は非常に、昔は、昔はといいましても十数年前のことでありますが、先ず三分の一乃至は四分の一くらいで建設ができたのでありますが、今は殆ど水力に違わない、やや近いような建設費になつております。石炭も高くなつております。さようなわけでございまして、石炭のある北海道にいたしましても、火力ななかなかうまく行かないのであります。さようなわけでございまして、北海道のほうは電気事業の区域といたしまして、他の地方に比べまして優秀ではないのでございます。  そのために今回の料金値上を願うにつきましてもそういう意味で苦心が要るのであります。  今回仮に提出をいたしまして御審議を願つておりまするこの料金改正申請案につきましては七割五分の値上をお願いしておるのであります。これは東京電力さん等に比べましては遥かに多いものでございますけれども、大体ほかの同業者の値上の率に合せたものであります。ところがこれに合せまするには、北海道としましては相当苦心をいたしております。なお苦心をいたしておりまして、七割五分には出してございまするけれども、先ほどもちよつとお話が出ましたが、水力の賦課金、火力の補給金とかいうものによりまして、他の地域のかたのお助けを受けておるのでありまして、北海道のほうも水力の賦課金を出すことは出しますが、火力の補給金を頂くほうが多い勘定になつております。それによりまして値上率を合せまして、地域差を大きくしないようにやつておるわけであります。  今度出ました数字を見ましても、地域差は大きくなつていないと思います。さようなわけでございまして、細かい点では算定基準がどうなるか、これらにつきましてもまだ検討を加えなければならんかも知れませんが、大体においては、すでに企業の合理化等を相当に考えまして提案しておる次第でございます。  大体本年は昨年の供給量に比べまして一割足らず、九%と申上げたほうがいいかも知れませんが、増加供給する計画になつております。それに対しまして火力のキロワツト・アワーが全体の二割八分ほど入つております。これは前年度北海道で焚きました火力の割合よりは遥かに多いものであります。まだ新会社が始まりまして幾らも経ちませんけれども、最近の発電の状況を見ますると、大体電力量の増加はさような数字であります。而もこの部分は大体石炭によつて送電をいたしております。さような次第でございまして、この燃料費が北海道電力に與える影響は相当大きいものになつております。この表の中にあるのでございまするが、私は概数を申上げまするが、石炭費が十六億円くらいになつております。十六億円というのは、大体会社が小さいのでありまするから、他社の金額に比べては大きくありませんけれども、現在の料金で二十六年度の收入を先ほど申上げました約一割の電力量増加によりまして収入を概算して見当をつけてみますと、年額約三十六億くらいになるのであります。若し現在の料金でありましたらば、三十六億の収入があるところへ石炭費が十六億円になるという計算になるのであります。さようなわけでございまして、その他の点もございまするが、どうも料金を上げて頂かなければならんということを御了承願えるのじやないかと思うのであります。  それから修繕費のことでありますが、北海道の水力において一番大きいのが、余り大きいのがありませんけれども、一番大きいのが雨龍という発電所で五万キロであります。この水路は先年から完全でないのであります。ところが北海道では二、三年前電力の供給に支障がありまして、うまく行かなかつたために非常に北海道は電力事情が悪いということになつております。さような関係でもうすでに二、三年前、或いは数年前から修理にかかるべき地点がそのままになつております。次に二番目か三番目になるのでありますが、洞爺湖の発電所も又修理すべきものであります。さようなものが修理せられない形で残つておるのであります。今年はお蔭様で二、三年前よりは供給状態がよくなつておりますが、これは火力発電所の修理ができましたのと、新設或いは増設ができましたためにどうにかやつておりますが、この火力の設備も機械の部分を工場に送つて修繕をしたり、六月の初めには送りたいというような状態にありますが、今外すこともできないような状態であります。又ボイラーの修繕もいつかかつていいかといつたような状態でありまして、修理を要するものが小さい割合に多々あるのであります。さようなわけでございまして、料金の値上が成るべく早くお許しを願えまするならば、さような修繕も見通しをつけましてやれるのでありますが、何分世帯が小さいものでありまするから、余り冒險をしまして金が足りないということになつても困るのでありますが、様子を眺め眺めしているようなわけであります。供給設備が一ぱいになつておるとかというような話は、先ほど東京電力さんのお話なつたことと全く同様でありまして、さような点ではもう同じことを繰返すことはやめたいと思います。  さようなわけでありまして、相当の修繕費を要するし、又償却をすべき設備もたくさんあるのでありますけれども、先ほども申上げましたように、北海道では電力事情が悪かつたというために、北海道庁におかれましても、開発庁におかれましても、又民間におきましても電源の開発ということが特にやかましい問題になつております。私どももこれは当然であると思うのでありまするが、尤も電源の点は各地域とも速かに開発しなければならんということは当然でありますけれども、その点が北海道では特にやかましく言われております。ところが何しろ三億三千万円の資本会社でありまして、最近社債を発行しようとしておりまするが、社債の発行余力というものが限度に対しまして僅かに一億数千万円しかありません。今後電源の開発をいたすにつきましても、従来のように見返資金が十分得られない、殊に本年は見返資金が半分、自己資金が半分とかいうような考え方も出ておるようでございまするが、実際はこの春以来の物価の値上りによりまして、恐らく見返資金一、自己資金二というようなものになるだろうと思うのでありますが、要するに見返資金に頼ることはできない、会社の経理状態も十分でないということでありますると、外資を入れるということにつきましても到底中央部のようなわけには速かに行かないと思うのであります。結局会社の経営の基礎を堅実にしまして、これによりまして信用を得まして、開発の財源を求めるという以外には途が今のところないのであります。さようなわけでございまするから、どうか会社が立つて行きまして、開発に必要なる財源、社債なり借入金なり、又進んでは増資なりできるような形のところまで行くことをお許し願いたいと思うのであります。  その他の点は重複をするようでありまするから、私はこれで御説明を終りまして、社の者に詳細の御説明をさせたいと思います。
  147. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 次は北海道電力の提出資料について、その要点の説明を八木企画課長にお願いします。
  148. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) それでは北海道電力の料金変更申請に対しまして特に御了解願つておきたい主要点についてお話し申上げてみたいと存じます。  先ず第一頁の二十六年度の需給対照表でございますが、これの供給力につきましては過去九カ年間の平均出水をとつておりまして、利用率につきましては二十五年度の実績を上廻るものを採用いたしまして、その率は次の説明にございます九一・四%でございまして、これは二十五年度よりも一〇%ほどよくなつております。御承知かとも存じますが、北海道は過去におきまして需用に対する電源の拡充というふうなものが握れました関係上、非常に需給が困難を来しまして、その結果火力によつて急速にこの需給状態を改善しようというふうなこから火力の増強をいたしまして、それが本年に入りましてぼつぼつ活動するようになつたわけでございます。従いまして二十六年度の供給力の増加、約二十五年度に対しまして一〇%増加いたしておりますが、この大部分は火力発電の増強に待つものでございます。需用電力量につきましては、二十五年度の増加趨勢というふうなものを睨み合せまして、二十六年度を想定いたしましたが、その結果供給力と需用の間に若干の食い違いがございまして、それで二十五年度の実績の損失電力量は、これには計算不能のいわゆる擅用電力を含めまして、約二九%の実績になつておりますが、これを異常な努力を拂いまして、極力このいわゆる働かない電力の分を切捨てることにいたしまして、これは二四・五%想定いたしております。これは実際問題といたしましては非常に困難な数字でありますが、一応の努力の目標といたしまして、二四・五%の損失率を以て需給のバランスをとることにいたしたわけでございます。それで需給バランスはその程度にいたしまして、次は四頁の現行料金収入でございますが、これは現在のところ先ほど会長からお話申上げました通り三十六億程度になつておりまして、常時電力料一キロワツト当り二円八十八銭でございます。  次に改正料金につきましては、後ほど触れることにいたしまして、次の五頁の、この料金値上の根本をなす二十六年度の収支計算、この原価計算について主要な点をお話申上げます。この原価計算はこの註に謳つてございます通り、北海道といたしましては非常に収支面が苦しいものでございますから、率先いたしまして経営の合理化を強力に実施するというふうな前提を立てまして、その下にこの原価を弾いております。その例を経費の中の主要費目になつております給料手当について申上げまするならば、戦時中の十七年、いわゆる配電統制になりました十七年を基準にいたしまして、百万キロワツト・アワー発電当り四人の従業員がございましたものが、二十六年度では、その当時よりも下りまして、三・五人程度になつております。これは御承知のように基準法その他の條件から、相当発電所、いわゆる真夜作業の分もございますものですから、増加するのでございますが、十七年頃よりもむしろ下つた数字になつております。特に配電設備につきましては、北海道の広大な地域に農村電化を初めといたしまして拡張いたしまして、その結果昭和十七年を百といたしますと、昭和二十六年度はその半分、千基当り約六人を要しておりましたものが、昭和二十六年度では三人、半分の五〇%の人間で何とか固守して行こうというふうな形のものでございます。つまり設備は殖えず、需用はどんどん殖えて行くのにかかわらず、従業員の数は却つて現在よりも減少を見込んでいるわけでございます。従いましてこの点はあとで合理化したところを附加えてございますので、そのうちから述べることにいたしますが、この点では相当実際の必要人員をも顧みず圧縮したものを採用してございます。  その次に問題になりますのは石炭費でございますが、石炭費につきましては先ほど需給バランスのところでお話申上げました通り、供給力の増加を大部分火力発電に待つということになりましたために、非常な増加を来したわけでございます。この想定をきめましたものについて最近の実績を見ましても、遥かに想定よりも実績がはみ出ているというようなことになつております。石炭の單価は、北海道の場合は四千百七十円といたしてございます。これは実際購入いたします石炭の価格に岐線使用料とか貨車の降し賃その他のいろいろな雑費を加えたものでございますが、いわゆる一四半期の四月、五月に購入いたしております石炭の価格が大体もうこの程度に近いのでございまして、その程度の炭価を一応織込んでいるわけでございます。先ほど申上げましたように需給バランスが非常に窮屈でございますので、発電所の炭の撰択をやるというようなことは非常に困難なわけでございます。従いまして採算上というよりも、むしろ発電量の増加、発電量の量の増加を望むというようなことから比較的価格の高い、高カロリーの石炭を使用せざるを得ないのが実情でございます。でございますから現在の状態よりも冬期渇水に入りますと、そういつた石炭の銘柄の選択というようなことも問題でございまして、この値段ではかなり窮屈だと存ぜられるのでごいますが、一応この程度で努力することにいたしておるわけでございます。  次に大きな費目は修繕費でございますが、これは先ほど東北電力さん並びに東京電力さんから縷々御説明がありました通り、北海道におきましても現在の設備は非常に荒廃いたしておりまして、このままで参りますと冒頭にも申上げましたようにロスの軽減乃至は停電事故の防止短縮、そうやつたようなことが全然できないで、むしろ逆の方向に参りますので、この際は是非この程度修繕費をお認め願いたいものと存ずるわけであります。この一般修繕費は、大体アメリカの例をとわましても、一九三七年から五カ年くらいの割合に物価の安定した期間をとつて見ましても、建設費に対して大体一・二%程度修繕費を使つているようでございます。このことは我が国におきましても昭和二十三年度の料金改訂の際に、非常に設備の老朽化した、こういうようなものが問題になり、一部にお認め願いまして、比較的修繕を活溌にやつた期間がございますが、そのときの実績が約一億、再編成価格に直した、修繕費も設備費もどちらもいわゆる物価指数で置き替えたものでございますが、大体一・二三%ぐらいになつております。従いましてその当時のものを比較いたしますと、大体新規設備に対して一・二%程度のものが普通の状態考えられる修繕費でないかと存ぜられるわけでございます。その割合で出しますと、修繕費が北海道の場合は約十億でございますが、先ほど申上げましたように、極力修繕費を投じて効果を挙げるものを優先的にやろう。こういうような考え方から損失電力の減るような修繕工事を率先してやることにしておるわけでございます。最近の物価上昇はこの資料の十三頁に附けてございますが、いわゆる朝鮮動乱後の数字と、昨年の六月と、本年の四月のものを対比いたしますと、北海道電力で、いわゆる北海道で購入いたしております主要補修資材の値上率を見ますと、裸線では二三五%、二倍以上になつておるわけでございます。ボルト類は殆ど四倍になつております。その他のものについても大体二倍から三倍というふうに補修材料がいずれも相当の騰貴を示しておることを物語つておるわけでございます。従いましてこの程度修繕費は、恐らく昭和二十二年度の実績乃至はアメリカあたりの実績を見ましても、この程度修繕費をかけてもなお且つ実質的にはまだまだ及ばないのじやないかと思つておるわけでございますから、修繕費については特別にお認めを願つておきたいと存ずるわけでございます。  その次は減価償却でございますが、これは先ほどからお話がございましたものと全く同様でございまして、新規設備と対比いたしますと格段に低いものに、定率償却を織込んでおるわけでございます。  それからここに書いてございます固定資産税の約三億、こういつたものも過去の原価には織込まれておらないもの、そういうようなものを含みまして、更に水力賦課金につきましては、先ほど会長が申されましたように地域差の増大というようなものを大体現行程度にとどめるというふうな、各社の厚意ある御了解を得まして、水力賦課金については大体二分の一を対象にしております。火力の補給金については一円四十五銭の割合で補給金を頂く、そういうふうなことになりまして、一応七十一億の総括原価となつておるわけでございます。  その次に附いておりますのは、先ほど申上げました総括原価説明が六、七、八、九、十、十、頁と、それぞれ附いております。  十二頁は火力発電の二十五年度の実績と二十六年度の想定でございますが、恐らく今の状態で行きますと、需用が遥かに供給力を上廻つておる状態でございますので、可能というよりも、可能を上廻る供給力を確保しなければいけない実情からいたしまして、或いはこの量を上廻るのじやないかと思つておるわけでございます。  それから十四頁は修繕費の費目ごとの対比をいたしました。これは二十五年度の実績でございますが、二十五年度の実績は各社でも申されましたように、修繕したいところはたくさんございましても、それをやるだけの修繕費がございませんものですから、止むを得ずこの程度にとどめてあるということでございまして、その程度修繕費にいたしましても、最近の物価騰貴率を考えますと、相当なものになることがおわかり願えるのじやないかと思つておるわけでございますから、ここに計上いたしました十一億程度修繕費は、むしろ必要度を下廻るものでないかと思われるわけでございます。  それから十五頁に先ほど申上げました二十六年度の経営合理化の一覧表を附けてございます。一昨年の十二月に決定いたしました現在の料金原価をなしますものは、実績といたしましては二十三年度の実績を当然とつたわけでございまして、それをもとにしていろいろの勘案をして原価を算出しておりますが、その関係上ここでは一応二十三年度、その当時の実績をベースにいたして考えますと、人件費にいたしましては、殆ど現在額の半ぱに達するような六億近いものが節約していることになるわけでございます。それから大きなものは三番目の石炭費でございまして、とれも先ほど申上げましたが、二十三年度には一キロワツト・アワー当り一・二二三%消費いたしておりまして、これは火力な相当積極的に補修いたしました結果、二十五年度にはかなりよくなりまして、殆どもうこれ以上改善の余地がないところまで行つております。二十五年度の実績は〇・八一まで行つておりまして、北海道のいわゆる自家用火力などの実績を対比いたしますと、殆ど四分の一、極端なものになりますと五分の一、六分の一というふうに非常に消費率のいい、熱効率の高いものでございますが、これを更に改善することにいたしまして、〇・八一というふうなことにしているわけでございます。所内用の消費率も過去におきましては大体一〇%程度必要といたしましたが、これらの運転につきましても細心の注意を拂いまして、それを七・五%にすることにとどめておるわけでございます。そのほか損失軽減乃至は出力の増加、そういつた工事を優先的にやることにいたしますと共に、非稼働になつております電力を極力料金化に努める等の努力を拂いまして、いわゆる現行料金のベースになりました二十三年度実績対比では約十三億八千六百万円の努力をすることにいたしておるわけでございます。  次の十六頁は二十五年度の実績対比でございまして、主なるものは燃料費の増加、それから修繕費の増加並びに償却の増加になつておりまして、これは原価のところでお話申上げました理由によるわけでございます。  次の十七頁には改訂料金の一覧表でございますが、それにつきましては次に二十三頁に新旧料金の比較表が附いておりますから、それで申上げたほうがお話しやすいのじやないかと存じますので、二十三頁の新旧料金比較表についてお話申上げます。新しい料金につきましては、このあとに附いております需用種別の原価計算書をもとにいたしまして、つまり総括原価から電燈電力使用料によらない、いわゆる非稼動電力を料金化いたしましたものを外しまして、そのほかに北海道の場合は水火調整が約四億ございます。その分を外したもの、いわゆる電燈電力使用料で頂戴しなければいけないものが四億二千九百万円ございますが、その四億二千九百万円を需用種別に原価分析をいたしまして、それをもとにして新料金を作つたわけでございます。定額電燈におきましては、いわゆる需用家料金が今二十円であつたものが三十六円、大体一・八倍、以下右の肩に書いてありますような値上げ率になつているわけでございます。従量電燈は原価的に見まして、従来のものと対比して割合に値上率が低くてよろしいというふうなことが原価的にはつきり出て参りますので、この点は値上率が若干低くなつております。主な点について申上げますと、小口電燈も大体そういつた傾向を辿つておりまして、一・六七倍程度の値上率になつております。それから大口電力につきましては、これは原価的に見ますと比較的高く出て参りまして、総計いたしますと一・八五倍ぐらいになるわけでございますが、個々のものにつきますと、その間に更に相当な開きが出るわけでございます。  北海道の料金の立て方について特色のある点を申上げますと、いわゆる街路燈のような公共性のあるものについては二割引をいたしております。それから農事用電力のようなもの、灌漑排水、こういつたものにつきましてはいわゆる追加料金の高いレートのものは適用しない。そのほか大口工場のようなところでございまして、いわゆる負荷の調整に御協力願うというふうなものについては、その分に対して割引制度を考える。そのほか当然ではございましようが、いろいろ需給調整上御迷惑をおかけいたしましたものについては、それぞれ割引制度をとりまして、需給のバランスに御協力を願うことにいたしているわけでございます。  次に個別原価計算は、先ほど申上げましたのは非常に細かく書いてございますが、結論は三十九頁にございまして、需用種別ことの單価は特高電力、大体これは三千キロ以上のもの、それからいわゆる大口丙及び大口甲、これは五百キロ以上のものに当てはまるわけでございますが、一キロワツト・アワー当り三円十銭二厘八毛、高圧電力、これは大口甲に大体相当するわけでありますが三円九十九銭、小口電力は八円九十円銭二厘四毛、従量電燈は九円四十二銭五厘一毛、定額電燈が七円三十銭六厘三毛、平均いたしますと四円三十八銭三厘五毛、こういうようなことになつておりまして、これをもとにいたしまして需用種別ごとに展開いたしたわけでございます。  その次にこの料金改正が他の産業並びに一般生活上に及ぼす影響を、いわゆる二十五年度の使用実績をもとにして計算したものがございまして、四十二頁にはそれぞれ種別ごとに大体の値上率を書いてございます。定額電燈二十ワツトでございますと、冬期では八割二分の値上げになりまして、夏期では七割七分の値上げになります。以下そのように出ておりますが、大口丙のうち石炭につきましては一二一%、鉱山は一〇二%、これは冬期分でございまして、夏期にはそれより若干下つているということでございます。四十三頁は大口乙、丙のうち特定業種に及ぼす影響を一応ここで試算したものを掲げてございます。以下今度の料金改訂が各方面に及ぼす影響を一応当つて見ましたが、四十六頁にございますように、いわゆる料金水準を他の公共事業と比較いたしますと、ここに書いてあります二十六年五月というふうなことはこれはミスでございまして、改訂料金を適用した場合の率を表わしているわけでございます。つまり北海道の場合は、昭和十年を基準にいたしますと、従量電燈はこの案で値上げいたしましても五十七・八倍、小口電力は六十一・五倍、大口電力は九十四・六倍、こういうふうなことになつておりまして、他の公共事業と比較いたしましても遥かに低い水準になつているわけでございます。一般生計費の中に占める率におきましては大体二%から三%の間を前後することになりますが、これはいわゆる過去の基準が最近におきます使用料と対比いたしますと相当の変化を来しておりまして、これを定額電燈に例をとつてお話申上げますと、昭和十七年頃の定額電燈の一燈当りワツト数は二十六ワツト程度でございましたが、最近それは四十ワツト近く行つております。従量につきましても一燈当りの消費電力量が、その当時は二・五キロワツト・アワー程度のものが四・一キロワツト・アワー程度に相当増加しておりますので、使用電力旦の増加というふうなものを考えに入れますならば、この程度の影響というふうなものは、当時の影響というふうなものと対比いたしますと、更に五割以上これをやはり下つたものが実際の姿じやないかと思います。併し何にしましても料金値上げというふうなものはその影響がございますので、極力合理化に努めまして、料金水準を極力低いところに持つて行こうというふうなことからこの案が立てられておりますことを御了解願いたいと存ずるわけでございます。以上。
  149. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今までで三社の御説明が終りました。御質問がありましたら逐次御発言を求めます。
  150. 山川良一

    山川良一君 時間がありませんからお答えは頂かんでもいいかと思いますが、私は私の承わつた感じで申上げます。或いは当つておらん点がありましたら御勘弁願います。  修繕費が北海道のほうから何%が妥当であるというお話がありましたけれども、再評価した資産に比べてももう少し大きくなるような気がするのですが、これは私の見当違いだつたら又私自身訂正いたします。併しいろいろ修繕費内容等を承わつて見ますと、私はやはり設備拡張に類するものがこの中に相当入つておりはしないかという気がするのであります。それからもう一つ今まで修繕が遅れておつた分を急速にやるので、それを今年の料金でお前たち負担しろということのようでありますが、私どもは、私自身の例を言うとおかしいのですけれども、十五万人くらいの人を収容する社宅を持つでおるわけでございます。それを皆さんと同じように配電設備等を自分でやるわけでございますが、これはそうひどいことには現状なつていないのであります。そのことは甚だ申上げにくいわけでありますが、今まで極端にいうと、努力が足りなかつた点を今度一ぺんにやるから一ぺんに負担をしろというようなことで、我々としてはちよつと納得しかねるのでございます。それから償却の点も、内容を承わつて見ないと私ちよつと……成るほど成るべく余計償却をしたい、それで健全な状態に持つて行きたいということは御尤もでもありますし、私も余り影響がないようなことでそう行ければ非常に結構と思いますけれども、ほかの産業で、結局電力代を支拂う産業で法定の最高限度の償却もできないものが重要産業の中にも相当あると思います。そういうのは自分のほうの法定最高限度の償却もできずに、電力事業だけには自分のほうを犠牲にして最高限度の償却を負担しなければならないかどうかということについては一つ考え直しを願いたいと思います。それから修繕費とか償却費とか、発電、配電に直接関係のない経費が大体総経費の五割近く入つているように見受けますが、最も電力のほうでは水がただだという特殊の経費の構成上の事情がありますので、一概には申せませんけれども、少くともこの場合経費の負担ははつきり料金になるわけでありますが、品物の値段の申分以上が直接生産に関係のないような構成になつているものはほかの物価では、よほどこの條件の特別にいいところ以外には先ずないかと思うのでありまして、そういう点も、そういう観点からも一つ考え下さいまして、先ほど栗山委員から、どれだけの仕事ができるかという御質問がありました、その点私も六百億の設備拡充と併せまして私は恐らくできないのじやないかと思うものでありまして、簡單に結論付けるようでありますが、私ども仕事をいろいろやつていますが、物価の値上り等を見ましても、なかなか容易ではないように思うのであります。で、実際にできるかどうかわからんと我々が一応疑う数字を基礎にして電力代が構成されることは御賛成いたしがたいというような気がするのであります。  それからもう一つ、電力の値上りが、非常に値上り率が低いから相当上げていいのだという御主張があつちこつちにあるようでありますが、もともと原料の大部分の氷がただである以上、それから水運のような別に大して手を入れんでもそのまま電力が生産されるような特殊なものである以上、そういうものがほかの産業並は勿論のこと、それに非常に接近した値上げをするのはむしろおかしいので、私は今の姿が当然の姿ではないかというような気がするのでございます。そこに多少根本的に相反するようなことを申しげまたしけれども根本的には今のままでいいとは申しませんけれども、特に値上率が少ないから上げてもいいということは、もう少し具体的に経費の内等を御説明頂かんというと私ども納得しかねる、こう思うのであります。
  151. 栗山良夫

    栗山良夫君 私北海道電力のかたにちよつとお尋ねをいたします。二点ばかりあるのでありますが、一点は料金の値上率の各社の一覧表を見ますると、北海道、四国、九州だけに特別な現象が現われておる。それは行業種別の料金の総平均値、いわゆる北海道で申しますると一七五%、四国で申しますと一七〇%、九州も同じであります。それに対しまして定額電燈それから或いは従量燈も入りまするが、こういうものがこの三社だけは平均値よりも高くなり、ほかの会社は定額電燈のごときは低くしぼつてあります。関東などは一・五九に対して一・三八、中国一・七五に対して一・六八、ところが北海道などは一七五に対して定額電燈は一・七八であります。このことは動力が非常に少ないからそういうことが出るのかというので私調べて見まけると、販売電力量の動力と電燈の区分を見ますると、大体各社ともそう大して違いはないわけであります。総販売電力量のうちの二〇%ちよつと超える部分ぐらいが電燈量になつている。従つてこれを逆に申しますと、北海道、四国、九州においては今度の料金値上げにおいて定額或いは従量、この電燈の方面にほかの区域と違つて相当のウエイトがかかつている。こういうことが簡單に言えると思うのでありますが、この点如何ですか。
  152. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 御承知のように北海道は冬期が非常に長うございまして、その間どういたしましても点燈時間が長いわけでございます。従いまして定額電燈の場合はいわゆる單位当りの消費電力が多くなるわけでございますので、これも先ほど御説明申上げました個別原価的に調べますとこういうふうな率になるわけなのでございますが、それをいわゆる一燈当り二十ワツト、こういつたもので比較いたしますと確かに高いのでございますが、これを電力消費の実際のキロワツト・アワーから想定いたしますと、これは料金算定基準によつたものでございますが、それによつて計算いたしますと、全国平均が定額電燈の場合は九円二十九銭になりまして、北海道の場合は九円二十四銭、いわゆる全国平均値に近いものでございます。従いまして特に定額電燈を割高にしたというふうなことでなくて、個別原価計算からやりますとこういうふうな形になつて出て参りまして、而もその集計自体からいたしますと全国平均値であるわけでございますから、その点御了解を頂きたいと思うわけでございます。
  153. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは又四国、九州も同じ状況ですから、私ここではつきり全部がわかろうとは思いませんが、そういう傾向が出ておいて、北海道の電燈の需用者というのは、冬期の割当量はやはり十キロになつておるかと思いますが、非常に割当においてスイヴイアでああ、料金の率においてもスイヴイアであるということを一つ考えつておきたいと思います。  それからどの社でも結構でございますが、この計画書類に盛られておる電燈收入というのは早期割引料金の收入であるのか、或いは正常の収入であるのか、どちらが織込んであるのか、これを伺いたいと思います。
  154. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) これは早收料金で一応計算してございます。併し実際はいわゆる遅收料金に相当するものは実績に徴しましても殆んどないのでございまして、殆んど早收料金の適用を受けるわけでございます。従いましてとの料金算定につきましては、いわゆる早期収入で似て計上したわけでございます。極く僅かなものはございますが、これは一方におきまして先ほど申上げましたようにいろいろ電力抑制、いわゆる調整上の御協力と申上げましては大変失礼な言い方かも存じませんが、そういつた意味合いのマイナスの分もございますので、かたがた非常に僅かな実績であるというふうなことから、これに早期收入で以て計上してございます。
  155. 栗山良夫

    栗山良夫君 ほかの社は如何でございますか。
  156. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 東京電力も早收料金でございます。割引料金でございます。
  157. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほどこのいわゆる定価表をずつと御説明つたわけですが、そうしますと実際の定価表の料金は、早收料金、一割引の定価になつておるということでございますか。いわゆる収入の見込みは。収入の見込として早牧料金、一割引の料金で出してある、こういうふうにおつしやるならば、その倍率が出ておるわけですけれども、ずれ、食い違いが出る、少しおかしい点が出ると思いますが、その点はどういうようなことになりますか。
  158. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 私のほうの遅收料金ということは、早收料金、遅收料金、別々にございまして、別々に記載しております。それで過去の実績も殆んど早收料金でございます。早牧料金対早收料金の値上率で出ております。
  159. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 同様でございまして、先ほど申上げましたように実際遅收料金というようなものは殆んどございません。
  160. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと先ほど御説明を頂きました各業種別の單価でございますね、あれは全部早收料金ですか。
  161. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) ええ、早牧に対する、早收の倍率を出したものでございます。
  162. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、單価表です。例えば一キロワツト幾らとか、定額電燈は幾らというのです。それは早收料金ですか。
  163. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 單収料金とそれからいわゆる普通の割引前の料金と両方書いてございます。この値上げの倍率につきましては、実際のものが早收料金でございますので、新旧料金の比較表につきましてはいわゆるネツトのもので出してあるわけでございます。なおその前にありますものについては、いわゆる規定料金と早收のいわゆる割引料金と二本掲げてございますので御了承願います。
  164. 栗山良夫

    栗山良夫君 今伺つていることは大体わかりましたけれども、それならば早收料金というのはやめて、殆んど全部が早收であれば早收料金料金にされて、そうして極く稀な例外的に遅れて来る人に対しては遅滞料金で一割、外掛、内掛の別はありまするけれども、そいうふうにして取ることが必要じやありませんか。料金收入の殆んど全部が早收料金である場合に一割引といたしますというのでは、それは考え方ですけれども、どうなるのですか。
  165. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) お考えの点は御尤もなんで、そういつた行き方も考えられるのでございますが、従来の行き方をこの際は踏襲しているわけでございます。ただそれだけでございまして、今お話の点は十分考えられると思います。
  166. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは私が思いつやで御賞用したのじやなくて、東京都内の主婦の団体の人であり下すが、その人がこの前来られましていろいろ懇談をしておつたときに、非常にその点がわかりにくいので疑問にされておつたわけですが、私もよくわからないのですから然るべく返事をしておきましたが、大体今御説明をして頂いた点と合つておると思うのですが、もう少し、都民諸君に與える影響がありますので、例えば今度は七割五分上るのだ、上るのだけれども早期に納めるのだから一割引になる、こういうような考えをしておる人が相当あるのです。七割五分上がるのだが、早期に納めれば一割引だ、実際は安いのだ、こういうふうに解釈している人があるのですけれども、今伺うと全然違うのですから、それは少し私は悪い言葉で言えばごまかしになると思いますからその点を一つ。  それから修繕費の問題はこれはいろいろ論議しておつても結論が出ませんから、そこで私お伺いしたいのは、修繕費の中で一番問題になりますのは電柱でありますが、電柱を総施設費に対して年に立換率を何%くらいに各社ともお考えになつているかということを伺いたい。  それからそこに資料をお持ちでありまするならば、全国電力会社のそういう工合な計画によつてサム・アツプされた電柱の数は何本であるか。そして日本の電柱の生産数は何本であるか、これを伺いたい。  それからもう一つはワツト・アワー・メータの各社の新個数が何個で、そして日本の現在の生産能力が何個であるか。それから銅量がこの原価に織込まれておる工事を全部いたしまするために、電源開発にも必要でありますが何トン必要であるか。そして現在国内の銅の生産量が輸出するものを差引いた残りが一体何トンか、その辺を一つ伺いたい。
  167. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 私のところの電柱については吉末課長から御説明申上げますが、全体的のことはちよつとここではお答えしかねますから、これは時日をかして頂きたいと存じます。そういたしますというと統計を差上げたいと思います。
  168. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の数字は確かに無理なことをお願い申上げたわけですが、結局先ほどから私があの厖大な修繕費を計上しましても恐らく資材が伴わないであろうと、又工事能力が伴わないであろうということを申上げたのは、私自身の経験で、昭和八、九年頃の一番景気のよかつた時代に、相当な予算を取りましても、あの当時ですらなかなか物が調達できなかつた。特に今日のように資材関係が非常に跛行状態になつております。而も特需、新特需も加わろうというときにはなかなか困難であろうと思います。それですからあなたがたの御計画が当を得ていないというようなことを非難をいたすわけではありませんけれども、やはり計画の裏付けとしまして日本の国内にある重要資源、それとそれから原価計算の中へ織込みまするための、それにペイして行かなければならんところの資源の所要量、それは重要資源だけで結構でございますから一つ緊急に経営者会議でもお持ちになつて、こちらに見せて頂きたい、こう思うわけであります。
  169. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 今の御注文御尤と存じます。折角調べて御報告申上げます。
  170. 古池信三

    ○古池信三君 いろいろお尋ねしたいのでありますが、時間の関係もありますので、簡單に一つ二つお尋ねしたいと思います。東京電力においては、先ほどのお話によりますと、主としてロスの軽減ということを目的に十七億八千万円ばかり特別な修繕費としてお考えになつているようであります。その結果としては、二五・六%くらいまでロスを減少させたいというお話であつた。先般公益事業委員会から伺いますと、全国平均が三一%だつた。それを二五%になさるわけですが、東北電力さんのお話では先ほど二一%にするのだということで、非常にその差が大きいのですが、勿論東京のほうは戦災をこうむつた地域が非常に厖大でありますから、そのためのロスというものは殖えていると思いますが、やはり東北のほうはこんなに少いものか、東京と東北との比較ですが、一つ伺いたいのですが……。
  171. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 他の場所は存じませんが、東京は比較的電源がたくさんございます。そのためにロスが相当多いと思います。私はこれは折角努力して五%ほどの節約をしたいと思います。これによつて浮く電力が相当ありますから、何をさておいてもやりたいと存じております。
  172. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 東北におきましては、比較的に電源に近いところで、東京電力さんに相当大きな、約四億に亘るような電力を発電所に近いし渡すということが一つございます。それから電源の近く、例えば昭和電工の鹿瀬というような発電所の近いところでまとまつて使つてしまつたというようなものも約五万キロ程度数字が入つて来る。それから高崎地区におきましては、発電所に工場が割合に近いというような関係がありますので、東京電力さんに比べますればロスが割合に少いという点があるわけであります。それからもう一つ私のほうでロスを減らして行くのにしわ寄せしたのであります。ロスを減らすには修繕等によつて、幾分でも発電所の改造によつて失われる電力を回収するというのがそのロス回收と共にその中に入つております。そういう関係で少くなつております。
  173. 古池信三

    ○古池信三君 もう一つお尋ねしますが、先ほど同僚の栗山委員からもお尋ねがあつたのですが、ワツト・アワー・メーターを今後附けるわけですね、今の御計画では大体従量需用家に対して今後何年間のうちにこの計画で行けば全部附けることができるかという問題です。それについてお考え一つ伺いたい。
  174. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 東北におきましては五燈以上の需用家は全部メーターにしてしまいました。ただ残つておりますのはいろいろな関係で再検定の遅れたメーターが非常に多いのでございます。これは五カ年計画で再検定を早く完了してしまいたいというのが修繕費の中に入つておりますが、詳細の数字は今ちよつとわかりかねます。
  175. 古池信三

    ○古池信三君 五カ年間以内に必ず全従量需用家には附けるというこういうお考えでございますね。
  176. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) いや、メーターは附いておるのでございます。五燈以上は。ただ附いているメーターが検定が切れておるものがあるのであります。それを直して行く。
  177. 古池信三

    ○古池信三君 それかな東京のほうは如何でございましようか。
  178. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 東京はこの表の昭和二十六年度建設工事計画明細表というのがございますが、これの配電設備というところにございますが、單相積算電力計を年十万個の取付けを計上しております。
  179. 古池信三

    ○古池信三君 年十万個ですと何年間に完了するおつもりですか。
  180. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) これは五燈以上の定額のお客さんを従量化して行こうというこういうあれですから、ちよつと今資料の持合せがございませんが、年十万個見当でそれを従量化して行こう、こういうことでございます。
  181. 古池信三

    ○古池信三君 私がお尋ねしたい趣旨は、成るべく早くメーターを、これをお附けになればいいのではないかというつもりでお尋ねしたのですが、それから東京電力さんの支拂利息十一億六千万ほどあるのですが、社債それから長期、短期の借入金内訳は大体の数でよろしゆうございますが、わかりますか。
  182. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) それはこの認可申請書という表がございます。この中の人件費から順にございまして、その終りのほうに支拂利息という項目がございます。この申請書の附属書類のほうの広いほうであります。
  183. 古池信三

    ○古池信三君 そうしますと簡單にいつて何ですか、社債が幾らで借入金幾らですか。
  184. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 社債が二十六年の五月一日現在に約二十一億であります。それから新規に借入れるものが八億二千万円、それから見返資金が新規に借入れるものが四十一億、長期、短期で大体四十九億の借入れでございますが、更に五十億借りる。
  185. 古池信三

    ○古池信三君 そういう、これから借入れるのは今後の建設の資金じやないのですか。
  186. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 建設資金でございますので、この中で配電線のごときものは既設設備として簡單に短時日に稼働いたしますので、それ以外に建設工事として残るものがいわゆる建設工事仮拂で残るものが大体四十一億、これは発電所の申請状態等から考えまして四十一億見当のものが残る、そこで四十一億のものは建設利息としてこれには計上してございません。
  187. 古池信三

    ○古池信三君 そうしますと今の四十一億というものを取去りますと、残つた、要するに現在の稼働しておる設備に対する資金ですね。
  188. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) はあ。
  189. 古池信三

    ○古池信三君 それの利息の分がこうこうこういうふうに挙つておるわけですから、それに対応する社債はどのくらいあるかということをお尋ねしたのですが、わかりませんか。
  190. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) それはやはりこの説明にございますが、見返資金によるものが大体二十二億残ります。それから自己資金によるものがこれが八千万円ばかり残る、それから二十六年度新規建設工事の中で見返資金によるものが三十五億残りまして、自己資金によるものが大体四億であります。この表に詳細に書いてございます。
  191. 古池信三

    ○古池信三君 そうしますと二十六年度の新設工事のために見返資金を借りるというのは全部配電設備なんですか。
  192. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 見返資金を借りましたのは、大体は発電設備でございます。
  193. 古池信三

    ○古池信三君 そうしますとその発電設備は二十六年度に完成するわけじやないのですから、自然建設仮勘定になるわけだと思うですね、そうなると現在の利息が少しこれでいいのかという疑問を持つわけです。殊に配電設備の中に、取替で行けばこれは償却費でやれるわけですし、それから今ちよつとお話の中にあつた自己資金に対する利息というのもおかしいように思うのですが、それはどういうふうに……。
  194. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 発電所に対するものは勿論建設工事で振替える分が残ります。それは建設工事、建設利息として一億六千万ばかりのものを建設費振替でそつちのほうへ残ります。そのほかのものは結局ここで見返資金四十一億、自己資金八十一億で百二十億ばかりの建設をいたします。そのほかに運転資金その他によりまして百四十五億の金が要る、その調達を社債八億二千万、見返資金四十一億その他五十億、それからこの建設工事の中には実は償却金でやるべきものがございます。その償却金でやるべきものこれが四十五億、そういうもので、結局二十六年度以降に残る発電所の建設はこういうものがございますから、それに対しては建設利息として、建設利息でこの経費の中から引いてもらいます。
  195. 古池信三

    ○古池信三君 どうもよくわからないのですが、今のお話では建設利息とするのは一億何千万円というような御説明であつたのですが、そうすると少し少な過ぎるのじやないですか、建設利息が……。
  196. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) それは四十一億のものが建設工事として残る、その利息の勘定をいたしますと、約一億七千万ばかりになるのです。これはつまり何といいますか、利息の勘定をべたに行くのではなくて、何か三角形的の勘定をいたしますので、一億六千万円、その利息の勘定はここにございませんが、七分五厘とか一割、それからあと見返資金を借りましても、初めから借りるのではなしに、工事が進むにつれて借りますから、従つて利息は二十億借りましても、二十億まるまる一年一年年にかかるわけでもありませんので、借りましたときは、最後は二十億借りましても、借りたときから順ぐりに利息がついて行きますので、四十億は建設利息に残りましても、四十億分の利息がそのまま建設資金になる、こういうわけでなしに、つまり累積の勘定で利息を勘定いたしますので、表面は少いようでございますが、とにかく真中で四十億なら四十億借りるという勘定が、順ぐりに工事につて最後は四十億借りるという、それで勘定いたしまして、少いようでありますが、少くはありません。
  197. 古池信三

    ○古池信三君 今の期の中途から借りるからということはよくわかるが、今の八十一億の自己資金というものについての時期ほどういう関係ですか。
  198. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) それは四十五億分が償却金であります。それから見返資金はこれは除きまして、その他のものが五十億ばかり金を借りる、こういうことで自己資金というとこれは表現が悪いのですが、自己資金ということは、つまり見返資金以外は日本内地で調達すると、こういう意味でありまして、自己資金というと実は表現が悪いのですが、内地で調達する分と見返り資金で調達する分と、こう分けてあります。
  199. 古池信三

    ○古池信三君 どうも私は驚いたことを承わつたのですが、内地の金融は自己資金というのはちよつと乱暴だと思いますが……、それは結構ですが、そうするとそれに対して支拂利息を計上するというのはちよつと理窟に合わんと思つたからお尋ねした次第です。
  200. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから只今承わつた三社とも大体同じと思いますが、例えば配電線の電柱の建替え等を修繕費でおやりになるということでありますが、これは配電所のランナーの取替えを修繕費でやるのとは意味が違いまして、配電所が電柱を取替えるのは設備の更新になつてしまうわけでありますが、そういうものは修繕工事でなくて建設費工事でやるべきものじやないかと思います。それから擅用防止用の、例えばリミツター或いはメーター等の取付けなんかもやはり建設費で行うべきものじやないかと思いますが、その点は如何でございますか。
  201. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 現在のところ、即ち過去におきましても非常に償却不足であり、修繕費も不足だつたわけでございまして、いわゆるそういつた木柱の取替えというふうなものは修繕が認められておるわけでございます。従いまして今の状態では止むを得ずそういつたものは経費に計上せざるを得ないわけでございます。なお北海道の場合は、極力いわゆる送電線一本の更新的なものは計上しておりませんで、中間的に少数ずつ取替える、そういつたものを経費に計上してございます。
  202. 栗山良夫

    栗山良夫君 そのメーター、リミツターなどは如何でございましようか。
  203. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) リミツターも同様な、木柱と同じような解釈でございまして、これの故障取替え、そういつたものはいわゆる修繕費に計上をしているわけでございます。
  204. 栗山良夫

    栗山良夫君 この点は委員会としても一つ御研究を願いたい。公益委員会との間に折衝して研究しなければならんと思いますが、配電線の木柱などはこれを一本建替えることによつて、これは完全に設備が更新するわけです。決して発電所のランナーの取替とか或いは電柱の取替とか、そういう部分的な取替とは意味が違うので、こういうものを、電柱の建替えを修繕費でやるとすれば、配電線の被覆が剥げたからという理由によつて取替えることはありません。従いましてそういうものを若し修繕費でやるならば償却は要らない。私はそう考えますので、この点は我々も大いに研究いたしますが、事業者のほうでも御研究願いたい。  それからもう一つ質問したいのはロスを非常に軽減しなければならんということが言われております。私ども大賛成でありますが、販売電力量から見ますると、定額電燈の消費電力量は大体各社とも総販売電力料の一割をちよつと超す程度になつているわけです。それで今日盗用電力の殆んど主力は定額電燈にあると、私は見ておるわけです。従つてこれを何とか征伐しなければならんわけですが、これについて各社はどういうような具体的な措置をとられるか、原価計算の中に織込んでおられるか。
  205. 吉松氏吉

    ○参考人(吉松氏吉君) 補助員に代つて説明させます。
  206. 和田懿

    ○参考人(和田懿君) 定額電燈の使用時間というものは、これは実にわからないものでございまして、皆さんのおつしやる通りでございます。その点につきましては公益事業委員会委員、それから当時の配電会社の専門家が集まりまして長い間研究をいたしました。大体の今出ておる構想というものは、各地区別の、例えば北海道なら札幌、東京電燈なら東京というようなところの日出、日没の時間を調べまして、深夜間、夜間というところの時間な先ず出したのでございます。それに霊燈の燈数によります需用率を考えまして、一燈の需用家は一〇〇%、二燈なら八〇%、三燈以上の需用家ですと六〇%、この率は仮に申上げましたので、今正確な数字ちよつと持合せてございません。それに冬になりますと積雪地区、北陸、東北、北海道というところは積雪がありまして、晝も相当点けるところがあるというので、積雪の割合によります使用時間の割増しをやつて一つ基準を作つておるわけでございます。その基準によりまして公益事業委員会が現在想定をやりますし、電力割当の基礎にも使つておるようであります。先ずこれ以上は日本ではちよつと今のところは進めがたい。なおそのほか不明確なものはロスと擅用がございまして、定額はそういうふうにしてきめました。又ロスの委員会を作りまして、それを一つずつきめて行き、最後にロス、擅用、定額の需用家、これが総体の供給力から実際点けたキロワツト・アワーを、従量分を差引きますと、その三つが残るわけでございます。その三つを研究しましてだんだん攻めて行つて、現在使われておるのが大体今申上げました定額使用時間ということでございます。勿論これに対しては定額の自粛需用及び従量化の促進によりまして、順次キロワツト・アワーを定額から狭めまして、ほかのほうに流して行こうと考えています。
  207. 栗山良夫

    栗山良夫君 私がお聞きしたいのはそういうことではなくて、只今盗用、いわゆる悪意の盗用ですね、作意的な、盗用、時間の若干延長という程度のものじやなくて、例えば電熱五百ワツト使うとか、そういつたものがタートル需用家においてメートルの正常取引に若干妨害を加えておるというようなのは割合に数の上から稀であつて、定額需用家において多く行われておるであろう。従つて本当に盗用を本気になつて防止するためには、そうして盗用電力を収入化するためには、定額需用家に対して適当な定額取引の措置をしなければならん。そういう措置を今度の原価計算の中の建設費、或いは修繕費関係にどういう工合に織込みになつておるかということをお聞きしておるわけです。
  208. 和田懿

    ○参考人(和田懿君) お答え申上げます。大体におきまして東京電力の場合は主力を従量化に注いでおります。それから今ここでその数字ははつきりいたしませんが、リミツターその他では配電設備の改良費その他の項一億一千八百三十万円という項が出ておりますが、ここに一部入つておるのであると考えます。
  209. 栗山良夫

    栗山良夫君 東北、北海道はどうですか。
  210. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 東北におきましては、比較的定額電燈は燈数の割合に料金が高いように聞いておるつもりでございます。電気を便利に使うために燈数を殖やして従量化して行くという方針で、壇用を削ることを考えております。なお別に需用家に対しましては、私のほうはリミツターという程度のものではなくて、三本入つたヒユーズやボツクスがあります。一本切れた場合は次に移るという工合で、三本全部切つてしまえば駄目でありますが、これは比較的單価は安いものでございますから、定額需用家に対しては比較的精度の高いリミツターで網を張るよりも、同じ価格で金額的に安い、そうして広く網を張つたほうがいいという考えで、三本ヒユーズで定額需用家の電熱その他のような大きな容量のものを使わないように処置いたしております。この経費につきましてはちよつと今修繕費に入つていないんじやなかろうかと思いますけれども、はつきりしたことはちよつとここでお答えいたしかねます。それから先ほどの取換えのことにつきまして、これは電柱の関係でありますが、電柱の関係は一番初めにこれは理論的に直したいというので、数字を組みましたときにはいわゆる二十八億の数字を出したのでございますが、このときには新らしく取換えるというような場合には新らしい工事費から償却相当分を食つたのでございます電柱分を……。そういうふうにして組み立てたのでございますが、その辺にいろいろ経理的な疑義があるというようなことで、もう少し減しても大丈夫であろうというようなことで、取換えの二億三千万円を減すときに一緒にそういうフアクターを加味して八六%に切つたのでございます。それから電柱に入つているのは、事故電柱が使えん電柱の一割を占めておる実情でございます。これは壽命が来て倒れたのではなくて、いろいろな事故で倒れる、若しくは使い得ないようなものでございますけれども、それだけは修繕費の中へ織込むことになつおります。
  211. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると修繕費二十八億を二十四億に削るのは合理化によつてやりたいと説明書に書いてありましたが、合理化じやないわけですね。
  212. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 全部が合理化というわけでなくて、一部そういうものを含んでいるのでございます。なおこの数字につきましては、これは案として出したのでございまして、いろいろのお話で実は十八日に提出するときになお再考したいという考えは持つております。
  213. 栗山良夫

    栗山良夫君 北海道の定額の場合を……。
  214. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 北海道の定額電燈の擅用につきましては、従量化に力な注ぎまして、その資金はエイドに求めております。それによつて従量化して擅用を減少しよう。なお定額電燈の抑制というようなことでなしに、いわゆる正常取引的な考えはいわゆるアンペア制度というようなもので需用家の便宜も図り、一方において擅用がなくなるというふうな方式も現在考えられているわけでございますが、現在の状況ではそれにふさわしいリミツターがまだはつきりいたしませんので、次回にそういつたものも織込んで定額の擅用をなくしたいというふうに存じております。
  215. 栗山良夫

    栗山良夫君 各社とも従量化の方針のようでありまして、私どもは結構だと思いますが、そうすると従量化の場合の燈数は現在五燈というお話でありますが、何燈まで下げられる予定ですか。
  216. 和田懿

    ○参考人(和田懿君) これは東京電力は現在先ず五燈以上は全部従量化するということに主力を注いでおります。それが終り次第順次引下げて行きたいと思つております。
  217. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 北海道も同様でございます。
  218. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 大体需用家のほうでは同じ支拂ならば燈数を殖やしてもやりたいという申込が非常に数多くなつておりますので、そういう需用家の希望を充し得れば燈数を下げてもやつて行きたいと考えております。
  219. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、これで私は質問を打切りますが、大体よくわかりましたので、先ほど安蔵社長に答弁をお引受けを願いましたいわゆる修繕費、改良費に対する資材的な所要量並びにそれの国内所要量との比較表を、重要資材並びにワツト・メーター、リミツター、柱上変圧器、銅線のような重要資材等に亘りまして一つ緊急に資料を提出して頂きたいと思います。只今金銭的な計画は伺つたわけでありますが、若し資材の引当てがこれに伴なわないということになりますれば、これは全面的に再検討しなければならん問題であろうと思いますので、その点を一つお願いいたして置きます。
  220. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 只今の御注文はかしこまりました。できるだけ早い期日において提出いたしたいと存じます。  委員長にお許しを願いたい。先ほど古池委員と私どもの社員と一、二問答がございましたが、その意味がはつきりしませんので、私がここで明らかにいたしたいと思います。私どもは金繰りをやるときに建設費といわず経常費といわず、ごつちやにして金繰りをいたしております。併しこの使途につきましては建設費幾ら、経常費は幾らというふうにはつきりしておりますから、建設費に対する金利は無論建設費に計上することは無論のことでございます。先ほど見返資金四十億で、その金利が一億何千万円、これは少いじやないか、御尤もの御質問だと存じます。これは建設工事は長期に亘つております。従いまして一時に金が出ません。毎月々々行きますから、その金利が例えば見返資金は年七分五厘でございますけれども、平均いたしますというとその二分の一、即ち三分七厘五毛となります。従いまして四十億に対する三分七厘五毛というのが一億何千万円、きちつと計算が合うと存じます。これで御了解願えると存じます。
  221. 山川良一

    山川良一君 東北、北海道にちよつと承りたいのですが、給與等の中には建設勘定に振り変るようなものは入つていないのでございますか。
  222. 斎藤恂一

    ○参考人(斎藤恂一君) 建設費のほうにつきましては、百七十七名を別途建設費から抜いて、建設工事関係の人は経費から切離しております。
  223. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 建設関係並びに組合専従者、こういつたものにつきましては除外してございます。これには計上してございません。
  224. 山川良一

    山川良一君 それは人員でどのくらいになりますか。
  225. 古池信三

    ○古池信三君 それでは私お調べ中にちよつと……只今安蔵さんから非常に御丁重な御答弁を頂いたのでありますが、よくわかりました。見返資金につきましても、一年を通じての利息ではなくて、期の途中々々からの利息であるということで、その辺はよくわかつたのでありますが、最初私が疑問としましたのは、自己資金の工事に対してその支拂利息が計上されておるというところに疑問を持つたわけでありますが、その辺は先ほどの問答によつて見返資金以外の国内の融資を自己資金と称するんだ、そういう定義をお話になりましたので、それで私も漸くわかりました。ただそれは私は普通の自己資金という場合はそういうものを称しておらんと了解しておつたからお尋ねしたわけであります。
  226. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 只今ども公益事業委員会へ行きまして外資を募集する場合、いわゆる新契約の場合には外資は幾ら、見返資金幾ら、見返資金に対して自己資金は幾らと、仮にこういう固定名称を使つております。その自己資金というのは内地に調達する資金ということにお互い了解しておりますから、ここに簡單に自己資金と書いだのであります。
  227. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 山川君の質問に対するお答えを八木さんからお願いします。
  228. 八木一麿

    ○参考人(八木一麿君) 両方合計いたしまして百七十六名でございます。
  229. 結城安次

    結城安次君 もう大体減価計算はほぼ同僚の質問でわかりましたが、問題となるのは人件費と修繕費及び償却費となると考えます。ちよつと安蔵社長にお伺いしたいのですが、東電の一番古い水力発電所はどこでございますか。
  230. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 私覚えているのは駒橋発電所ではなかろうかと存じます。
  231. 結城安次

    結城安次君 何年になりましようか。
  232. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) あれは明治四十三、四年じやないでしようかね。
  233. 結城安次

    結城安次君 それで今どれくらいの能率を出しておりますか。
  234. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) あれはたびたび修理をしております。
  235. 結城安次

    結城安次君 修理費は出しているのですから、今の価値です。
  236. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 今の出力ですか。ちよつと数字は覚えていませんが、一万何千キロだと思います。
  237. 結城安次

    結城安次君 重ねてお伺いいたしたいのは、駒橋ができたときは幾らつたろうが、或いはその後改良費として固定資産のうちに入れるものがありましたでしようが、それは別として、修繕費を出して今現に働いているのでしようが、どのくらいの出力がありましようか。あれはもとこしらえたときは幾らで、修繕費幾らということになりましようが、只今償却の関係はたしか火力が二割ぐらいで、水力は四十五年で大体九割償却するという建前で今度の償却費ができておるようですが、それは普通の場合ならば結構でしようが、今それを上げられちや困る。ほかの産業にも非常に影響する。殊に電燈では大衆に影響を及ぼすという場合相当考慮の余地があるのじやないかと思うので、そのどれくらいの値打が今ありや、年限と能率だけ今ちよつと。若し何ならあとでも結構ですから。
  238. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) なかなかむずかしい質問でございまして、どうも頭で概算を捻り出すことはできるが、それでは答弁にならないと思いますが、如何でございますか、概算でよろしいなら今頭で捻り出しまして申上げますが、その数字はどうも基礎がございませんのですが、それでよろしかつたら申上げますが。
  239. 結城安次

    結城安次君 今のあなたの感じで結構です。
  240. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 私どもが作つた火力発電所というのは、日発ができる前、昭和十三、四年のときに極力安くしてやつたのが一キロ百五十円もかかりませんでした。
  241. 結城安次

    結城安次君 私のは値段を聞いているのじやないのです。能率です。償却して行つて今の能率はどれくらいあるだろうかということを伺つておるのです。出力です。
  242. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 可能出力ですね。これは殆んど減つていないと思います。
  243. 結城安次

    結城安次君 火力は如何ですか。
  244. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 火力は十分の手入れをいたしますから、これも減つていないと思います。併しときどき償却による取換えはやつております。即ち日常の膏薬張りは経常費で出しております。併しながらときどき大きな修理をやりますが、これは固定資産でやつております。即ち償却費でやつております。例えば猪苗代の発電所はこれは最近でありましたからよく覚えております。この水車は大正三、四年頃にできた水車でございます。これが終戦後から壊れ始めました。その前にはランナーが減つたり何が減つたり、これは経常費で取換えております。併しながらいよいよこれがもう破裂する状態になりました。事実二台破裂しました。従業員のかたがたが非常に心配しまして、これはそつくり取換えましたが、これは普通経常費ではとても背負い切れません。例えば発電所を作つた当時は、一カ所の発電所は三百万円、四百万円ほどでできました。いざ取換えとなりますとそのくらいの金を要します。こんなことでありますから、私ども償却費を是非々々お願いいたしたい。併し駒橋の発電所は四十年経つてまだ運転しているじやないか、そういう場合もございますが、それは全体としての話であります。部分的には償却費で手入れをしております。御承知通り臼田発電所は鉄管のところが砂で以て減つております。これも膏薬張りをしております。これを取換えることこそいわゆる償却費でやりたいと思います。それで初めて発電能力が維持できると思います。
  245. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ほかに御質問ございませんか。
  246. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 一つ私、これは各電力会社説明を聞いた後に聞きたいと思いましたが、今日東京電力、東北、北海道、殆んど大部分の電力供給の会社でありますから、この場合に聞きたいのですが、もと電力の国家管理を期した当時においては、優秀なる電力を豊富低廉に供給するということが一つと、もう一つは鳴物入りで唱えられたのは農村電化ということであつたのです。当時我々はこれには非常に反対したのであるが、その農村電化という美名の下に非常に我々は抵抗力を持つことができなかつた。然るにその後の実施状態を見るというと、全くこれがよそへ行きまして、全く軍需工業に重きを置かれたようなことになつておりまするが、今日これを解体されて各九分割になつた曉において、只今唱えられておるところは七月に行われるところの電力料の値上げということに全く集中されておるようであります。これに伴つて皆さんの説明を聞くというと、いわゆる現状を改良して行くよりは、むしろ現状維持が困難である。その方面に金が要るから是非ともこれは会社の事情止むを得んことであるという御説明、この点は或いは給料の増額等について止むを得ないと思いますが、名会社において従来最も必要を感じておられる農村の電化等についてどういう計画ができておりまするか、各社において何か方法がありますれば一応承わつておきたいと存じます。
  247. 安蔵彌輔

    ○参考人(安蔵彌輔君) 豊富低廉というモツトーが日本発送電会社ができる当時に流布されたのでございますが、いろいろの事情がございましたと思いますが、とても豊富ということは期待できませんでした。而も低廉ということも当時はできませんでした。これはいろいろな事情がございます。併し只今になつてはやはりそういう豊富低廉ということは私ども電気屋としては常に念願しておるものでございまするが、如何にせん、先ほども申上げました通り豊富にするには電源の開発以外はございませんのです。而もこの電源の開発は僅かなものならばよろしうございますが、私ども会社といたしましても一年に十五万キロはどうしても必要と存じます。これに対するお金は三百億ぐらいは必要と存じます。而もこれが毎年でございます。今年も来年も、再来年も恐らく五ケ年間に千五百億ほどのお金が必要と存じます。而もこれは非常に長期の金でなければならん。先ほどもお話がありました通り、何十年かかつてこれを回収できるが、何十年もかかつて償還できるものでございますから、到底この金が私どもの微力では容易なことではできませんのです。従いまして豊富ということは暫くは期待できないと存じます。が、この点が残念でございまするから、どうぞ先ほども私が冒頭にお願いしました通り、皆様がたの御助力を願いまして、国家資金なり、いろいろの資金の御援助を願いたいと存じます。私どもも曽つては東京電燈時代におきまして外債を相当借入れたのでございます。その当時におきましては私どもの設備に対して西洋人が来て設備がいいか悪いか、或いは償却がいいか悪いか非常にやかましく調べられたのでございます。そうしてエソヂニアのサインがなければ会社利益配当ができないという非常にやかましい監視の下に外債が発行されたのでございますので、私どもは今後とも会社の経営はどこから見ても明るい透明なものにしたいと存ずるのでございます。最近公益事業委員会では会計規定に帳簿の記載の仕方を規定されております。そうしますとすぐに電力の原価幾らということが明瞭になると思います。又これは先ほど申上げました料金算出の基準と併せまして、料金決定するのに従来なかつたので、最も時宜に適した方法だと私どもは感謝をいたしております。又そうであるべきと存じます。これで豊富低廉に対するお答えは終つたと思います。  次に農村電化になります。これは戦時中に食糧の増産その他のためにずいぶん努めました。それで農村の電化がずいぶん普及されて、非常に感謝されました。私どもは相変らず農村に対しては力を盡したいと存じております。
  248. 西田隆男

    委員長西田隆男君) いろいろまだ御質問があると思いますが、時間も大分今日は遅くなりましたし、本日はこの程度にしたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは本日の委員会はこれで散会いたします。参考人の諸君は御苦労でございました。    午後六時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 隆男君    理事            栗山 良夫君            結城 安次君            水橋 藤作君    委員            秋山俊一郎君            石坂 豊一君            岡田 信次君            小野 義夫君            古池 信三君            島   清君            椿  繁夫君            山田 節男君            奥 むめお君            山川 良一君            境野 清雄君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       渡辺 一郎君   説明員    公益事業委員会    委員長     松本 烝治君    公益事業委員会    委員     松永安左ヱ門君    公益事業委員会    経理長     中川 哲郎君   参考人    東北電力株式会    社社長    内ケ崎贇五郎君    東北電力株式会    社営業部長   斎藤 恂一君    東京電力株式会    社社長     安蔵 彌輔君    東京電力株式会    社調査部長   福田 勝治君    北海道電力株式    会社会長    藤波  收君    北海道電力株式    会社企画課長  八木 一麿君    東京電力株式会    社料金課長   吉松 氏吉君    東京電力株式会    社営業課長   和田  懿君