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政府委員(慶徳庄意君) お答えいたします。
電通省の職員の
企業に対する特殊的な事由からいたしまして特別俸給表を設定して欲しいという御要求に接しておりますことは、いわゆる官側のほうばかりでなく、組合側のほうからも要求を受けておりまして、目下事務的に
検討中でございます。私
どものほうの
考え方といたしましては、勿論経常的給與の特別俸給表の設定それ自体も必要であることを
考えておるのでございますが、所詮人事行政全般の問題といたしまして、
企業にふさわしいところのものにいわば切替えるというようか作業を必要とするのではないかというふうに
考えておりますので、経常的給與は勿論のこと、例えば現在の恩給の
制度或いは共済組合の
制度更に又結核対策の問題というような、人に関連する広汎な問題といたしまして目下研究を進めておるわけでございます。従いまして、
相当広汎な問題になりまするので、若干時間はかかるかも知れませんが、
人事院の現在
考えでおりまする
考え方の根本と、それに対する暫定措置の
考え方というような、基本的な
考え方と暫定的措置の
二つに分けまして一応
説明させて頂きたいというふうに存じます。
先ず経常的給與の特別俸給表の問題でありますが、御配付申上げてありまするところの資料によ
つても明瞭でありまするように、特に電通或いは郵政というような現業官庁におきまして頭打ちが非常に多いということは、否定することのできない事実でございます。これは私
どもも率直に認めておるわけでありまして、これはどういうところに誘因するかと申しますと、元来従来の我が国の人事行政なり給與行政なりのやり方が、いわば文治各省と申しますか、いわゆる
一般官庁組織のみを中心として
考えまして、
企業経営というような
方面に対する
考え方がもう殆んど、殆んどと申上げることは少し極端であるかも知れませんが、
比較的軽視されたようなすべての機構体系であ
つたというふうに率直に申上げてもあえて過言ではなかろうかと私
どもは
考えておるのであります。従いまして、経常的給與の問題につきましても、
企業にふさわしいところの給與体系の確立を図るという点につきましては、電通、郵政の
考え方と全く私
どもの
考え方は同じでございます。ただ問題はその方法論でございます。申すまでもなく今直ちにこれを実施するというようなことになりますると、いろいろな
関係がありまして、俄かにこれを今直ちに実施をするということにつきましては、若干の困難性があるのではなかろうかというふうに
考えます。従いまして、私
どものほうの
考えといたしましては、来たるべきいわゆるベース改訂の勧告、正確に申上げまするならば、国家公務員法第二十八條の規定に基く給與改訂の勧告の際、問題にな
つておりまするところの電通、郵政等現業職員の特別俸給表の問題、更に別途同じような特殊性を持
つておりまするところの教育公務員というような
方面のことを併せ
考えまして、ベース改訂の際に堂々と勧告をいたしたい、いわゆる特別俸給表を設定するという前提に立つところのべース改訂の勧告の際に、そういう内容を含めて勧告いたしたいというふうに
考えております。然らばそれまでの暫定的な措置はどういうふうの
考え方を以て進んでおるか、暫定措置について
ちよつと申上げて見たいと存じます。先ず暫定措置の第一点といたしましては、級別定数の改訂を
計画いたしております。事務的にはすでに具体案が成立いたしまして、
年度中途でございまするので、目下財政当局と折衝しつつございます。従いまして私のほうで
計画いたしておりまするところの級別定数が若し仮にその
通りきま
つたといたしまするならば、差当り問題にな
つておりまするところの頭打ちが、その大部分が解消されるであろうというふうに
考えております。更に又級別定数の内容のもう
一つの問題といたしましては、曾
つて郵政と電通が分れましたときに、電通は電通としての新らしい機構が確立されたのでありまするが、現在設けられておりまするところの級別定数の内容は、必ずしも新たに設置されました電通の組織機構とうまく一致していない点が
相当あるのであります。卑近な例といたしまして申上げまするならば、地方における
電報局の例をとりますると、例えば局長が八級である、その下も八級であるというような所が、例示的に申上げまするならば随所にあるわけでございます。申上げるまでもなく、局長とその下の人とにおきましては職務の責任内容が違うことは今更申上げる必要もないのでありますが、それにかかわらず同じような
状態にな
つておるというようなことは、所詮給與自体は励みのある給與
制度であるべきでありまして、給與を通じまして勤労意欲の高揚を図りまして
企業にふさわしいところのものに持
つて行くという根本要件と不一致の点があるわけであります。かような点につきましても現在
計画しておりまするところの総別定数がそのまま実現いたしするならば、今代表的に申上げましたような問題につきましても当然解決されるものと
考えておるのであります。暫定措置の第二の問題といたしましては、いわゆる特別昇給でございます。従来の給與法におきましては、如何に功績が顯著であり、或いは又成績極めて優秀でありましても、一号俸以上の昇給は認められていなか
つたのでございます。幸いにして先般
改正されましたところの給與法におきましては、特に成績優秀な者につきましては昇給期間を短縮したい、或いは必要に応じまして三号俸以上の昇給をも認むるというような條項が設けられたのでございます。現在
人事院に設けられておりまするところの各省人事官を以て組織しておりまする人事官会議というものがあるのでありまするが、その中に又
一つの部会を設けまして給與
委員会という
制度がございます。その給與
委員会の
委員長は、郵政省の人事部長が
委員長にな
つておられます。そこで
只今申上げましたところの特別昇給の方法を目下研究中でございまして、
委員会としての結論を一応得ております。今は
人事院としての最後の決定版を御披露申上げるという段階に実はな
つておるのでございまするが、この特別昇給というような方法によりまして或る
程度暫定的に緩和される点があるのではなかろうか、かように
考えておるわけでございます。経常的給與の問題につきましては大体以上で終るのでありまするが、更に又新らしい恩給
制度につきましても、折角目下
検討中でございます。御
承知の
通りマイヤース勧告が行われたのでございまするが、專らマイヤース勧告を中心といたしまして
検討を加えておるのであります。勿論新らしい恩給
制度は、豈ひとり電通なり郵政のみに
関係する問題りではありませんで、国家公務員全体に関する問題ではありまするけれ
ども、特に郵政、電通のごとく雇傭人の期間が極めて長い職員というようなものにつきましては、この新らしい恩給
制度はもう非常に大きな影響を持つ問題であろうと
考えております。私のところに先日たしか電通のかたであ
つたかと思うのでありますが、切々涙の流れるような書面を頂戴いたしました。これは
只今申上げまするところの恩給
制度と電通、郵政の現業員に直接
関係を持つ問題でありまするので、極めて簡單に披露することをお許しを願いたいと存じます。内容といたしましては、或る下から叩き上げました工員でございます。その工員が、勤続三十数年の工員であるのでありますが、そのかたが、昔の
制度といたしましていわゆる高等官六等まで進みました、いわば電通なら電通における唯一の功労者であると自他共に任じておる。ところが従来の
制度の不備欠陷のために、御
承知の
通り恩給
制度は官吏になりましてからその在職期間十七年以上にならなければ恩給にありつけないのであります。刻苦勉励三十数年勤めまして、而も電通のいわば極めて大きな功績者であるにかかわらず、雇傭人の期間が非常に長うございましたので、漸く十七年すれすれ、というところで恩給にまあいわばありついた。ところが雇傭人時代の十数年というものは全然通算されておらない。その結果といたしまして、現在もら
つていまするところの恩給は年額僅かに五万そこそこである。もう殆んど食うに困
つておる。而も電通唯一の功労者である我輩に対してかくのごとき待遇は何ぞやという意味合いの書面でございます。まあこれは
一つの例でございまするが、恐らくや郵政、電通のごとく雇傭人の期間の極めて長いところにおきましては共済組合における年金も受けることもできない、更に成績優秀で官吏になりました場合においても、官吏にな
つてから十七という条件が附いておりまするので、官吏に対する恩給ももらうことができないというような現在の
制度は、大きな不備欠陷があるのであります。私
どもといたしましては、このような不備欠陷を是正いたしまして官吏と雇傭人の差別待遇を完全に撤廃いたしまして、これを全部通算することといたしまして、官吏も雇傭人も全く同等の待遇をするというような新らしい恩給
制度の確立を目指して目下
検討を進めておるわけでございます。先ほど申上げましたごとく、これ自体は国家公務員全般に関する問題ではありまするけれ
ども、特に雇傭人の期間が長い現業庁における特殊性と結び付けて
考えまするときに、これは電通の
企業経営に効率的に寄與する面がけりだし極めて大きい点があるのではなかろうかというふうに
考えている次第でございます。
その次の結核対策の問題であります。結核対策の問題につきましても、勿論国公務員全般に関する問題でありまするので、これもひとり郵政なり電通のみに
関係あるわけではございません。併し電通なり郵政におきまして結核患者が非常に多いというこの事実と結び付けて
考えましたとき、更に又現在共済組合におけるところの專ら療養給付のために起
つて参りまするところの
赤字との
関係というような問題に結び付けて
考えましたときに、この結核対策が首尾よく、いわゆるあなた様の先ほど申された、花も実もあるという
お話でございましたが、花も実もあるということにでき上りました曉におきましては、
企業経営に寄與するところ極めて大きい点があるのではなかろうかというふうに思うのであります。従いまして現在の結核問題に対するやり方といたしまして、太平洋戦争中にできました次官会議決定官庁職員結核対策要項というような、まあいわば訳のわからないもので現在運営されておるのであります。従いましてその次官会議決定という陳腐なものに基きまして、一カ年間は俸給の金額を支給する、それを超えました場合には俸給を半減するというようなあいまい模糊としたやり方をと
つておるのであります。ところが一方教育公務員につきましては、教育公務員特例法によりまして二年間は休職といたしまするけれ
ども給與の全額を支給するという
制度にな
つておりまして、更に又今
国会において教育公務員特例法の
改正が
審議されておるようでありまするが、今の二年というやつは三年に延ばすとかというような問題で盛んにまあ論議されておるというようなことも伺
つております。もうすでにこのような処遇自体におきましても、教育公務員と
一般公務員との間においては大きな差があるわけであります。更に又現在の休暇
制度におきましても、極めて陳腐でございまして昔の
制度のままで運営しているわけでございまして、結核性疾病者に対するところの休暇
制度それ自体すらも極めてあいまいにな
つております。更に又健康管理の面につきましても不十分の点が
相当ございます。従いまして私
どもといたしましては、先ず健康管理の面、休暇
制度の面、それに対する給與の裏付の面というような一連の作業を完成いたしまして、先ず以て国家公務員から結核性疾病の撲滅を図るというような大きなラインに基きまして目下着々
検討を進めておるわけでございます。恐らく結核性患者の極めて多い……
企業の効率的
経営、運営を阻害しておりまするところの結核性疾病を、若し仮に
相当完全に近い
程度まで駆逐し得るといたしまするならば、今の特別俸給表の問題と併せましてその効果は極めていいものが出て来るのではないかというふうに
考えておる次第でございます。
只今申上げましたのが大体基本的な問題でありまするが、以上申上げましたように特別俸給表の問題や、或いは又新らしい恩給
制度の問題や、結核対策の問題、それは勿論共済組合の問題とも関連を持
つておると思います。これら全般の問題につきまして、今申上げましたような構想のものが完全に実を結ぶというようなことに最善の
努力を捧げておるのでありまするが、これらの諸
制度ができ上りました暁においては、勿論皆様方の御
審議を願うことになろうかと思うのでありまして、これらの点がより以上一日も早く実の結ばれるように御援助と御協力を願えますれば幸いと存ずる次第でございます。