○平林太一君 只今討論なさいまして、各党各派の代表の御
意見の御開陳がありましたのでありますが、私も只今御
意見に賛意を表するものであります。その
意味におきまして昭和二十六年度における
日本放送協会の
予算全体に対しましては、これを承認することに賛意を表したいと思います。
この
機会にただ希望を述べて、この希望を附して賛意を表するということは、事を荒立
つて申すのではありませんが、以下若干の希望を申述べるのであります。これは当然これを運営する
日本放送協会におきまして十分にこれを念頭に置かれて二十六年度の
放送事業の
使命の成果を収められることを希望ずるのであります。
第一に申上げたいと思いますことは、昨年度の
予算に
比較いたしまして十六億数千万円の
予算の増加を見ておりますことは、申すまでもなく
全国一千万の
聽取者によりまして聽取料の値上げを受諾いたしました結果、この
予算を執行するという前提の下にこの
予算を出されたのでありまするが、これに対しましては
放送協会といたしましては単に他の関連いたしまする、例えば新聞等を例に挙げておるようでありますが、数回の引上げを行
なつた、併し
放送協会の聽取料は依然としてそのままであ
つたというような過去のことが
理由にな
つておりまするが、これは
協会といたしましては、新聞紙のごときは御
承知の
通り日々の人的な構成というものは、むしろ
放送協会よりも新聞社のほうが多いくらいに私は見ておるのであります。ところで新聞のごときは数倍、数十倍、或いは数百倍するであろうと想像せられるところの新聞用紙というものに対しまして、或いはこれに附帯して使用いたしますインクでありますとか、そういう
相当の物資のいわゆる
消費というものは厖大なものであると想像するのであります。然るに
日本放送協会におきましては、全く一定設備の下に、而もその設備は一度作れば大体恒久的な設備だと認められるものであ
つて、これに伴うものとしては人の動きということによ
つて、その
程度において運営されておる。これが今回新用紙の七十円乃至八十円と
比較いたしましても、やや接近するであろうというような五十円の値上げが断行せられましたことは、又それを私自身として承認いたすということは、非常な
協会に対しまして深く期待するところでありまするが故に、これに賛意を表するということを
協会の当事者は深く留意を願いたいのであります。従いましてさよな
意味におきまして、今後この
予算の執行に当りましては、そのことを常に念頭に置かれまして、いやしくもそれだけの増加強いたしまた
予算を以ちまして、その
予算だけの成果を収めるということにおいては、他の事柄と
比較いたしまして、甚だ私はこの点は各個の責任を重んぜられまして、数倍に上る成果を収めて、
全国一千万
聽取者、更に又その
聴取料の値上げによりまして、内容の
改善ができましたことによりまして、更に増大する
聴取者の魅力が得られるようなことにする深い考慮は拂われまして、その
予算の執行に当られたいということをこの際希望を附して申上げて置きます。
更に申上げたいと存じますることは、要するにこれらの運営につきましても
考えられますことは、いわゆるこれを大きく申しまするならば、私は国家の運命を決するものは法律
制度ではない。いわゆる国家の隆替、興亡を決するところの鍵を持
つておりまするのは、何としても、その
国民の持
つております性格及び
国民の持
つておりますところの習癖、習慣というものが、一番その結果を裏付けるのでありまして、決して法律
制度にのみこれは依存すべきではなく、いい法律
制度ができたからその国家が繁栄するということはない。それを運用する人によ
つて、その人の持
つておる性格乃至習慣というものによ
つて国を盛んならしめるのである。従いまして、
日本放送協会におきましては全く私はいろいろな
機械にのみ依存したり、或いは
予算が多く
なつたからそれで自然にできるというのではなくして、
放送協会全員の諸君が大いにそれらの持
つておりまする性格、或いは立派な習慣というものを十分にその性格、風格において発揮さられまして、そうしてこれに対しまする事業の成果を収められることを希望いたします。
なお申上げて置きたいことは、聽取料に対しまして、二カ月を三カ月に今回は延長いたしております。そういう結果におきまして、これに対する
経費が二億五千万円であります。この点が実は何らかの措置によりまして、二億五千万円を何か今日計画をいたしておりまするなかからいわゆる除外し、或いは外してまでもそれを処理しなければならないと私は思
つておるものでありまするが、諸般の内容を検討いたしました結果、今回は原案に賛意を表するのでありまするが、それに対しまするいわゆる埋合せというものを
協会は大いに、
一つ考えい頂きたい。いわゆる三カ月の
聴取料を
聴取者が納めるということについて、
相当地方におきましては
聴取者がしばしばの場合におきまして困難な事柄に遭遇することが想像されるのであります。でありますから、かような場合には速かに今回の三カ月徴収に対しましては、いわゆる末端の現業徴収員に対しまして、徴収当事者に対しまして何らかの
一つ指示を與えて、
聽取者に対しての徴収に当
つて円満なる徴収の
方法を考究せられるように願いたい。今日までややもいたしますれば、いわゆる一回参りましてその徴収が、三カ月
聴取料金が非常にその場合差支えるというようなときにも、何か官庁的な
一つの権力を以ちまして、次の日に参ればよろしいものを、その日にどうでも徴収しなければならないというような行為が行われておると想像されるのでありまするが、この点は今までの三カ月百円の聽取料と
比較しても、三カ月今回は百五十円になりますから、かような場合におきましては十分に
聴取者に対しまして深い尊敬と謙虚の態度を以ちまして、
聽取者のその聽取に対しまする支拂いに対しまする都合というものを十分に尊重しまして、そうして都合の悪い場合には、翌日なり翌々日というように穏やかにその
方法を考究せられるようなことを何らかの指示、指令を以て現地にさような措置を講ぜられたいということを以ちまして、この徴収の問題に対して賛意を表するのであります。
第三は御
承知のように
放送協会の
放送に対しまする諸般の事柄を思うのでありまするが、やや中央に偏する傾きがあるのではないかということ、中央集中になる虞れがあるのではないかという点を思うのでありますが、
全国百幾つかあると承わ
つておりまするが、地方
放送局の持
つておりまする特殊の地方
事情というものを十分に
放送事業の目的のために、大いに地方の
放送というものを尊重するような
方向を示されたい。今日まで世界の
文化社会のいわゆる音楽でありますとか、或いは文学というものを見ましても、これらの学界に属しまするところの先覚者であるとか遠大な人材というものは、大概地方から出ているということを申上げたい。決していわゆる一世に貢献をなした、風靡したような偉大な音楽家、偉大な文学者、偉大な芸術家というものは、山川藪沢の中から出て来た。いわゆる絢爛豪華な都市の殿堂から出ていない。地方の中から一世を指導するような、そういう大自然と相接近したようなところに人物が出ているということが
考えられる。かような場合におきましては、何といたしましても地方
放送局というものがこれらの自然を十分に取結ぶことを
放送協会は大いに
考えられたい。東京の
NHKというような中央
放送局にのみそういうような音楽、文芸或いは文学という
放送協会の持ちまする
放送資材というものを集中或いは求めることも当然でありまするが、この際は特に中央偏在的な面を除きまして、そうして地方の高いいわゆる
文化国家としての水準を高めて行くことに十分な力を注がれたい。それは
日本放送協会が公共
放送として我が国にただ
一つしかないということに、私は深い責任を持
つてもらいたい。又非常にこれに対しまする関心と期待を持ちまするが故にこういうことを申上げる次第であります。
以上の事柄を希望條件といたしまして、二十六年度
予算全体に対しまして、各党代表の各位を共に一応承認することに賛意を表するものでります。