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1951-05-28 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十八日(月曜日)    午前十一時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○ニッケル製錬事業助成臨時措置法案  (内閣送付)   —————————————
  2. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは只今より委員会を開会いたします。  先ず最初ニッケル製錬事業助成臨時措置法案の審査をいたします。只今資源庁鉱山局長が出席になつておりますから、どうか御質疑をお願いいたしたいと存じます。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君 この前私が要求してありましたニツケル製錬の原価に対する政府側の説明を求めたいと思います。
  4. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 今資料をお配り申上げます。只今資料を配付申上げておるわけでございますが、前に私のほうの課長から御説明申上げましたごとく、実はニッケルの製錬費が、外国ニッケル値段等に比べましてなぜこのように高く付くだろうかということは、私どもとしても重大な関心を持ちまして調査いたしたわけでございます。大ずかみに申上げますと、世界の八割を供給いたしておりますカナダの場合は、鉱石の性質が違うということと、それから山元に製錬所があるというようなことから、日本のものと大きな違いが出て参るということが了解されますのです。又ニューカレドニアの石を使つておりまするフランスのものに比べまして、日本のが高いということにつきましては、大きな理由の一つは、鉱石品位のいいものは向うが先に押えて使つておる。日本が取得し得るものは品位の悪いものであるということが一つ。それから第二は、先方は山元に製錬所を持つておるということ、それに反しまして日本のそれは、原鉱石そのものを遠距離輸送しなければならないということが大きな違いであるということが言えるわけでございます。更に私どもとしましては、併しながらこの戦時中におきまする生産実績もあることでございまするので、その際におきまする原単位がどうなつておるかという、製錬に要しますコークス幾ら要るとか、或いは電力が幾つら要るとかいうような原単位を調査いたしまして、その原単位に対しまする最近における原材料費物価事情というものを考慮いたしまして、原価計算上の価格というものを推定して見るという方法があるわけでございまして、その方法を私どもとしても検討いたしたわけであります。只今お手許にお配り申上げてあります資料は、これは若干データは古うございますが、今年の初め頃の物価情勢によりまして、このほうの専門でございまする物価庁知慧を借りまし、物価庁検討して頂いて作り上げた資料でございますが、それによりまして、おおむねその製錬費が、輸入鉱石代が非常に高いということでございますけれども輸入鉱石代が高いということと、それから国内における製錬の原単位或いは物価情勢というものから見て百六十何万円かになつておるわけでありますが、さような数字が一応只今のところ出ておる数字でございます。これにつきましては、なおその後の物価情勢変化ということも考えねばいけませんし、又具体的には輸入鉱石代が幾ちになるかということは、商談が確定することによりまして、変化が起るわけでありまして、一応私どもがこの法案作成に当りまして、大体の見当を付けます資料としての数字だということに御了解頂きたいと思う次第でございます。
  5. 境野清雄

    境野清雄君 今のこの原価予想の表について、局長にもう一度もう少し細かく御説明願いたいと思うのですが。
  6. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 表が二通りございますが、この総括表といたしまして、ニツケル製錬原価予想という縦書の表がございますが、それとそれからニツケル製錬原価明細というものと二つお配り申上げてあるわけであります。その原価予想のほうの物品費が四十八万円、端数がついておりますけれども、そういうことに相成つておりますが、その明細が別紙のほうの明細によりますと、石灰石が一トンの生産に六百六十四キロ要る、それから螢石が七十一キロ要る、硅石が二百十二キロ要る、それから粉コークスが百二キロ、塊コークスが六百八キロ要るというような原単位がずつと挙げてあるわけであります。それからそれの金額というふうに詳細に出ておるわけであります。電力が百六十二に対しまして、これは二通り実は作つてありまして、処理鉱のあれと、電気ニツケルトン当りというのと鎔錬なら鎔錬が二段階になつておりますけれども電気ニツケルトン当り計算と二通り実は出してあるわけであります。結論は一番下の計のところにございます。結局石灰石が一万円、螢石が六万六千円、塊コークスが十九万円、硫化鉱が二万九千円、それから電気が三万二千円というようなことになりまして、四十八万円というふうに出ておるわけでございます。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 今のニッケル製錬原価の表がなかつたので質問したのですが、今のでわかりました。
  8. 小野義夫

    小野義夫君 これは今までの資料の中に原鉱品位一つも現われていないようですが、平均何%くらいの原鉱石になりますかね。
  9. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 平均三・五%の原鉱石が入るものという前提の下に……。
  10. 小野義夫

    小野義夫君 実収はどれぐらいになりますか。
  11. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 実収率八七%。
  12. 小野義夫

    小野義夫君 最後の総合実収がね。
  13. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) そうでございます。ちよつと……七六%です。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 昨日頂いたマル秘原価計算がありましたが、あれの各国の例が出ておりましたが、それの含有率をわかりましたらちよつと教えて頂きたいと思います。
  15. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) カナダの場合には、ニッケル四%、銅二%、鉄四〇%という品位のものでございます。それからフランスのニユーカレドニアのものがニツケル五%、それからあと鉄、マンガン若干入つておりますが、日本の場合がこの五%に相当いたしますものが三・五%で、あとの不純物はほぼ似たような数字になつておるわけであります。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 この法律の第二条の第三項に、指定申請がありましたときには一定基準を設けまして指定をしなければならんと、こういう工合になつておりますが、一定基準に適合した場合には全部認可されるのでありますか、どういう工合に……。    〔理事池信三君退席、委員長着席
  17. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この第二条の第三項に、認可いたします場合の基準が一から五まで実は書いてあるわけでありますが、これはいずれもこの法律に基きます認可をする場合、基本的な問題になるわけでございますが、各社から具体的にどのような計画が出て参るかという問題は、最終的にはこの法律が出まして、それに基きまして計画をお持ちの業者から提出されるということに相成るわけでございますが、ただこの助成が御承知のごとく最終の場合は国が補償するというような仕組みにも相成つておりまするので、計画認可をします場合には相当慎重を要するということでございますが、その要件が一から五に現わしておるわけであります。第一点におきまして、「供給がその需要に対し著しく過剰とならないこと。」という要件一つあるわけでございます。これは申請があつたとして、それをやたらに認めて行つて、結局不必要な認可を余計するということをし、そのために不必要な設備工事を行なつて、その結果それが積立金が溜まらないということから、国の損失補償額が余計殖えないようにということが第一の要件であるはずです。それから第二の点は、やはり同様な国家補償との関係から見まして、できるだけ安くできる設備というもののほうがよろしいという事情も考慮に入るわけであります。その点から設備工事費代がどの程度要るかという点につきまして、或る限度を設けるということが一つ要件になつておるわけであります。それから第三号に、その原価が或る程度べらぼうな値段じやないということの要件が調つてあるわけであります。私どもこの法案みそと申しまするか、只今国内ニッケルが出なくて非常に困つておるわけでありますが、輸入ニッケルよりは高いにいたしましても、現在の国内市価よりも安く供給できるのだということがこの法案みそ中心点としましての意味合を了解して頂けるという一つに考えておるわけでございます。その点からただ原価がべらぼうに幾らでもよろしいという意味ではないという意味を繭つておるわけであります。それから第四号に、事業開始予定時期が法律施行の日から一年以内という要件でございますが、これは将来のことはわからないことでございまするけれども余り工事期間が長くなると、今から技術研究をやつてというようなことになりますると、いつ工場ができ上るかわからないというような計画でございますると、この法案作成前提になつておりまする、こういう国際情勢が、現状のような状況が続きますならば、この法案意味があるわけであります。続かないということでは、この案を作る意味がないわけでございますから、そこらの点から、この急場凌ぎという意味でございますので、完成の時期というものに或る制限を置くことが妥当ではないかというふうに考えておるわけであります。それから第五点といたしまして、「事業適確に遂行するに足りる能力を有する法人であること。」という要件でございますが、「事業適確に遂行するに足りる能力」と一口に申しますれば、経営能力ということでございまするが、併しながらこのニツケルの製錬事業というものが、その製錬の技術というものが、ほかの鉛とか、亜鉛とか、銅とかいうような普遍性を持つていないことでもございますので、この経営能力の中にはその生産技術を持ち、又技術陣容を持つておるという要素を重く考える必要があるのではなかろうかというふうに考えておるわけです。この今お尋ねの点でございますが、かような一から五までの要件に合致します限り計画は承認せざるを得ないというのが、この法案の立て方になつておるわけであります。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、先ず最初に伺いますのは、ニツケル供給需要に対して著しく過剰とならないと、こういうことでありますが、只今どの程度がいわゆる認可最高限度数量になるわけでありますか。
  19. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この数字見方の問題といたしまして、私ども最近の国際情勢を、この法案が通りました以後、そのときにおいてもう一度考えなければならんかとも思つておりますが、一応の見当といたしまして考えなければならんと思つておりますのは、配付資料ニツケル最低限度年間必要量という表をお配ばり申上げておりますが、その中で実は私ども日本には一年間に千四百五十九トン要るという表をお出し申上げておるわけであります。これを作りました趣旨は、司令部側最小限これだけのものを確保して下さいというものを最小限に要求を出さなければ話になるまいということで、安定本部その他安定本部が各省と連絡をとつてまとめてくれた数字でございますが、この数字を考えます場合に若干問題があるわけであります。その一つは、これは最低数字であるということ、従つてこれより実際の国内有効需要というものはもう少しあるであろうというふうに見てもよろしかろうと思うわけであります。それからこの中に示しまする需要の中にニッケルと鉄との合金があるわけであります。例えばステンレスとか、特殊鋼とか、鋳鍛鋼とかいうようなものがあるわけであります。この需要につきましては、これは全部ではございませんけれども、その一部はいわゆるフエロニツケル輸入ニッケル鉱石原料といたしまして、鉄鉱石と一緒に電気炉その他で製錬してできまするフエロニツケルで作り得るという、まあ部分が或る程度あるわけであります。その事業は現在何ら行われておりませんけれども、その計画が一部にもございまするので、それがどの程度行われるであろうかということも考えまして、純メタルとしてはそれを差引いて考えなければならんということに相成ろうと思います。それからもう一つは、これは特需見方でございまするけれども特需の分といたしまして、将来、本年度は今のところ三百六十五トン輸入ができるという見込みに相成つておりまするが、これが明年度国の分に来るであろうか、来ないであろうかという数字、それを考慮いたしまして、最終的にこのメタルニツケル必要量というものをきめるというまあ作業をやらなければならんと考えまして、私ども只今のところすぐ結論を出しておるわけではございませんので、この表を作りましたのが昨年の暮頃、司令部に懇請するような関係から出ましたような事情もございますし、このほうの責任者でありまする安定本部ともう少し連絡をとつてみまして、この法律が通りましたならば、その関係を至急に、最近の情勢を織り込み、最も妥当と思われるところをつかみたいというふうに考えておるわけであります。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今この法律施行になりましたらば、すぐに認可申請をされる見込みがある法人名前、それからそのうちで指定は大体できるであろうという見込み法人名前、それを一つおつしやつて頂きたい。
  21. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 御承知のように、この法律は正式にはこの休会明けにお出し申上げたわけでありますが、私どもこの法律をまあ同趣旨の目的を達する助成措置というものを三月末、休会前の国会に出すつもりで準備を進めておりましたような事情もございまするので、内々あちらこちらから、この様子を聞いておるわけであります。正式にはこの法案がきまりまして、各業者として態度を決定されることと思うわけでありますけれども、私ども今まで聞いておりますところを申上げますと、そう実はたくさんございません。一つ別子鉱業が昔やつてつた一部の復旧によりましてやりたいという希望があるわけであります。それからもう一つ日本アルミがございます。これは昔アルミナ作つてつたアルミナ黒崎で作り、アルミニウムは台湾の花蓮港で作つてつた会社でございます。黒崎アルミナ製造設備が遊んでおるわけであります。それを転用いたしまして、湿式法によりましてやろうという計画でございます。ただ日本アルミはその技術自分のものとして実は持つておるわけではございませんが、昔この会社と資本的な繋がりのありました太平鉱業というその研究所におきまして、技術的にいろんな研究を進めておりますので、その技術によつてアルミナ遊休施設を転用し、一部整備してやりたいという計画のお申出を頂いておるわけであります。それからもう一つ、これは日本冶金から、最近ございまするので計画が出ておるわけでありますけれども、それは熔鉱炉、電炉の処理というものは非鉄金鉱精練の某社に頼み、電気分解は又別な某々社に頼むというような計画でお出しになつておるということを承知しておるわけであります。ただそれぞれ提携を必要とされる会社が最終的にどういう態度をとりますか、そこらの点はまだ少くとも現在におきましては、共同でやろうというふうにはきまつていないというふうには聞いておりまするけれども、これは法案が固まつてからのことになろうかと思うわけであります。又少くとも具体的に出るのは、今の別子日本アルミ、それに日本冶金鉱業が出るのではないか、まあそこらのところではなかろうかというふうに予測しておるわけであります。ただこのうちでどれをきめますかということは、法律が通りまして具体的な計画が出ましてから考うべきことになるわけでありまして、こりうち一つになるか、二つになるか、或いは三つになるかということは、私どもとしてはまだきめていないというような事情でございます。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 併し大体指定になるのは……もう新聞で見ますれば、別子鉱業のごときは操業の準備に入つた国会法案の見通しによつてつたということまでも伝えられておるのでありますから、大体わかつているのじやないかと思いますが、この三つのうちで確実に指定になる見込みのあるのはどれでありますか。
  23. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 別子鉱業は戦前におきましても最大の生産実績を収めていまするし、又現にその技術陣容もそのまま残つておるということでありますので、まあこの計画の具体的な内容につきましては、更に検討を要するものもあろうかと思いまするけれども、大体指定になるというふうに御了解願つて差支えないのじやなかろうかというふうに思つておるわけであります。それから若干の日本アルミにつきましては、これは私ども検討を進めておるわけであります。会社にも問題も投げかけておる点が実は一つ二つあるわけであります。これは併し法律ができないのに余計なことではないかというふうにお叱りを受けるかも知れませんが、私どもとして会社に再三申上げておりますことは、一つはこの太平鉱業技術というものがまだいわば試験的の段階でございまして、中間鉱業試験過程を経てないという問題があるわけです。それで三月の国会に時間もあろうから、大急ぎでその中間鉱業試験過程を進めるごとくやつて、私どもとして技術上に心配はないけれども、確信を持ち得るだけの努力を会社側としてもおやわ下さいということをお願いしておるのが一つであります。それから更に計画が、遊休ロータリー・キルンを二本使つてというような計画になつておりまするが、それは私どもとしてもまだ最終的に需給関係をどう判断するかということは先ほどから申上げておりませんわけで、まだ最終的な結論は、法案通つてから安定本部その他と相談してきめたいというふうに思つておりますけれども、二本を一本でやるという場合に原価計算その他にどういう影響があるか、そういう点の立て方もできるのか、できないのかという点も検討して下さいということを実はお願いしておるというのが現状であります。それから日本冶金につきましては、先ほど申上げましたように、あちらこちらの会社提携してという事情でございますが、私ども最近にその提携を予想しておられる会社名前を具体的にお聞きいたしましたので、そこへ問合わせいたしましたところ、自分のほうとしてはお断わりしておるのだというようなお話を頂きましたので、すぐに法律が通りまして、時間もそれはあろうかと思いまするけれども、具体的な内容はそういう前提がまとまつてからのことであろうというふうに了解いたしておるわけであります。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、今別子鉱業だけの生産量はどれだけあるわけですか。簡単で結構ですから……。
  25. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 三・五%に見まして、三・五%の原鉱石が入るとして、それを月百トンぐらいの処理能力のものとして考えたいというのが非公式に申出になつておる数字でございます。具体的にはフエロニッヶルの事業の再建の事情ということから見て、会社側としても再検討するということもあるのではなかろうかというふうに考えております。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、日本アルミのほうはどのくらいの予定になるが……。
  27. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 日本アルミは先ほどロータリー・キルン二本と申しましたが、その二本によりまして月産五十五トンというふうに考えております。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、仮に別子が百トン生産するとすると、千二百トン、それから日本アルミが五十五トンずつ生産しますと、これが幾らになりますか。
  29. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 年間六百六十トン。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 六百六十トン、そうすると、これだけでも千九百トン近いことになるわけであつて、先ほどあなたのお話最小限度千四百トンと、こういうことでありましたが、これによれば結局日本アルミのほうはもう過剰になつて指定にならないという結論が出て来ます。
  31. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 只今も私申上げましたように、計画が二本のキルンを使うということもございますし、二本そのままで六百六十トンとなりますと、いささか過剰ではなかろうかというような感じがするわけです。そこらの点で計画を一本の計画にするということは考えませんかということも、実は内々に御相談しておるという状況でございます。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つは、アメリカがどういう態度をとられるか知りませんけれどもアメリカのほうでは重要物資ではありますけれどもカナダが相当潤沢に生産が出ておるわけなんです。こういう単価の高いものを、日本生産過剰になるか、或いは必要最小限度までも製錬をするということになりますれば、結局国際割当会議によつて日本へ割安なニッケルを輸出をしなければならん、そういうような条件がだんだん薄れて来て、結局において我々はみずから好んで高いニッケル生産して、それで以て引当てて行かなければならん、こういうことになると思うのです。従つて昨日政務次官は、値段の安いアメリカニッケル輸入して、これによつて生産費を少しでも下げて、国際物価さや寄せをするのだということを縷々説明せられましたけれども、逆な現象が出て来るのじやありませんか。
  33. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この国内製錬によりますものが、値段が二百万とか、或いは二百二、三十万とかというふうに高くなるといたした場合に、輸入のものが高くなりはしないかという御疑問……。
  34. 栗山良夫

    栗山良夫君 輸入が高くなるのではなくて、折角安く日本ニッケルがないということによつて輸入が許可されておるものが、その数量がだんだんと減つて来る。そして結局この割高のものだけで特需も全部賄なつて行かなければならん、そういうことにだんだんなつて行きはしないかということを質問申上げておるわけです。
  35. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 特需につきましては、御承知のように本年度三百六十五トン入ると予想されておるわけでありますが、明年度幾らになるかということは、実はわからないことであります。併しながら、私どもこの前のマーケット声明のラインから推算いたしまして、特需関係のものが高い価格では日本が成り立つて行かないということも指摘しておるわけです。その面からも特需のものにつきましては、原料は或る程度輸入は面倒を見て頂けるのじやなかろうかというふうに私どもとしては考えておるのであります。その証拠ということもございませんが、供給はするが、その代り値段は財政法り特例々開いてでも高くならないようにしろというふうにしておるわけでございます。
  36. 栗山良夫

    栗山良夫君 その点は私よく承知しておるのですが、今の御答弁ではちよつと私納得しかねるので、これは一つ大臣からはつきりその点は明らかにして頂きたいと思います。今あなたに質問するのはちよつと無理だろうと思いますから、政策に関することでありますから、大臣のほうから御説明願いたい。而も今申上げておるように、これは決して関係筋からの示唆があつてこういうことをするということでなくて、今までの事情を伺つておれば、国内のほうから問題が起きて来ておるわけです。そうして而もどんどんこれをやればやるほど、成るほどニツケルはできるでしようけれども、高いニツケルができて来る。そうしてそのために折角安いニツケルが……、日本ニツケルがないということであるならば、そうして而も特需なり或いはその他の……マーカツト声明によれば、東南アジアの民需方面日本で造るということなんでありますから、そのために必要ということであれば、ニツケルをもう少し殖やしてやろう、そういうことが出て来なければならんはずです。そういうものがだんだんできないことになる。そうすると、この法律の一番狙いを極言して参りますと、結局日本の一部の資本家の利益のために国が補償をして、そうして生産をやらせる、こういうことに尽きてしまうことになると思うのです。それで迷惑するのは国民であり、又外国である、こういうことになるわけです。従つてこれは国の非常に大きな政策関係することでありますから、私は一つ徹底的にこの点明らかにして頂きたいと思います。大体事情お伺いいたしましたから結構です。それからその次ですが、この事業の大体収益率はどのくらいにお考えになつておるのですか。
  37. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この収益率をどの程度にするかという問題は、実は私ども物価庁にきめてもらいたいというつもりでおりますが、まだ正確な、大体の見当を付けたようなことは、資料ができ上つていない状況でございます。
  38. 栗山良夫

    栗山良夫君 これだけ国が保護をして事業をやらせるというときに、収益率の予想もないというのじや困るので、これは明らかに示してもらいたい。
  39. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 少し言葉が不十分でございましたけれども、ただ算定の気分といたしましては、私どもとしてはこの収益率は適正なものを認めてやらなければならんであろうが、併しそれはどつちかと言えば、点をからくきめるという趣旨で作るべきであるという気持でおるわけであります。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは役所のほうがそういう方針でおられても、やはり基準になるものすらはつきりまだ法案の説明でされないということになれば、これは業者の取締りなんかというものはなかなかできるものじやないので、その点ははつきりして頂いたほうがいい。それで重ねて質問いたしますが、大体住友にしても、日本アルミにしても、既設設備を若干使用されるようでありますが、そういう操業に当りまして、既設設備の評価というものはどういう工合に行われるのですか。
  41. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 既設設備そのものは会社として評価するかしないかということは、私どもとしてわかりませんが、この原価計算の対象としては、仮に現在転用し得る設備があるとして、それを評価することがあつたとしても、この法案で問題になりますのは、積立基準額を立てる際の前提になる建設費ということになります。それはこの法案に何ら影響を及ぼさない問題であるというふうに私ども了解いたしております。
  42. 栗山良夫

    栗山良夫君 積立の基準額を作る前提となる建設費になるわけですから、結局それは廻り廻つて収益率にも影響し、先ず原価計算にも影響することになるわけであります。
  43. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この積立基準額の算定の前提としての建設費の中には、新たに資本を投じた額だけを考慮に入れるつもりであります。従いまして既存のものは考慮に入れないというつもりでございます。
  44. 栗山良夫

    栗山良夫君 その点は繰返し伺つておきますが、それで間違いありませんか。
  45. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) その方針に間違いございません。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういたしますと、若しと指定をされるときには、現在設備について国のほうで以て、その簿価なり或いはこれに見合うところの設備なりは厳重に監査されるわけですか。
  47. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 十分間違いの起らないように監査するつもりであります。
  48. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つ伺いますのは、住友は戰前に大分製錬を実際行われたという話でありますが、手持鉱石は現在どのくらいあるのですか。
  49. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 全然ないというふうに存じております。
  50. 栗山良夫

    栗山良夫君 その他戰争前に国内で製錬をやつて手持しておる所はありませんか……。では質問の御答弁に困られるといけませんから……。数日前の日本経済でありましたか、手持鉱石を二割とか三割混ぜているというようなことがちよつと記事になつてつたと思いますが、従いまして、私は手持鉱石がどの程度あるとか、それを明らかにしておかなければならんと思う。国内における手持鉱石です。と申しますることは、こういう多額のもので、今の説明を伺いますと、一トンで以て七十万円も予定が入つておるわけです。日本工場到着が……。従いまして、若しそういうようなことをおろそかにいたしまして、原価計算をするなり、或いは補償金をきめるということならば、これだけで以て、忽ちにして何億円というような金を特定の業者に便宜供与をすることになるわけであります。そういうことは私どもは厳重に慎しまなければならんと思う。従つて現在国内に戰争中に輸入をいたした鉱石がどの程度あるか、これを明らかにしておかなければいかんと思う。
  51. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 私も二、三日前の新聞を見たわけですが、今の手持鉱石幾らかあるという、それを混合したという話はありますが、別子鉱業の場合でなしに、日本冶金計画の場合に、そのような数字日本経済に載つてつたということを私記憶いたしております。
  52. 栗山良夫

    栗山良夫君 日本冶金に大体どれくらいありますか。
  53. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 手持の鉱石が、地下資源がどの程度あるかということは、私数字を正確に承知いたしておりません。ただ会社からお出しになりました計画書を拝見いたしたところによりますると、輸入鉱石を八〇%、それから自山鉱石を二〇%の率で作るというような計画だということを承知いたしております。
  54. 栗山良夫

    栗山良夫君 白山鉱石というが、それは日本の内地鉱石意味ですか。
  55. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) これは正確に申しますと、純ニッケル製造の計画ではございませんが、会社がお出しになりましたフエロニツケルの製造計画、その中に白山鉱石と申しますと大江山の鉱石、これは混の八%のニツケルを含んだ鉱石という意味です。
  56. 栗山良夫

    栗山良夫君 明らかにしておきたいことは、国内に戰争前に外国から輸入したニッケル鉱石というものの手持はあるのかないのか、この点を明らかにしておいて頂きたいと思う。
  57. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 正確なデータを持つておりませんので間違いがあるといけませんが、ただ御承知のごとく戰争の終いまで鉱石が入つたわけではありませんで、途中から鉱石が入らなくなりまして、あとはその手持を使いながら仕事をしておつたというような事情でございますので、それがなくなつて仕事がさつぱりなくなつたというのが大体の状況であつたというふうに承知いたしておりますので、恐らく鉱石としてはないのであろうというふうに私どもとして想像いたしておりますが、この点はなお正確な調査をいたしたわけではございませんので、この点……。
  58. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは一つ責任を以て調査をして報告をせられたいと思います。例えば鉱石が百トンあるとしますと、三トン五分、まあ三トンはできるわけでしよう。そうすると、二千百万円ということになるのですが、百トンの鉱石くらい知れたものですから、若しどこかにそういうようなものが相当あるということになりますと、これは陰へ隠れたものになるのでありまして、私はこういうところに今までいろいろな、国が介入して問題を扱いますると、好ましくない事件を起して来るのであつて、この点は仕事初めに当るわけでありますから、国としては責任を以てやらなければならんと思うのです。本来ならば今日などの答弁には、先ほど事業収益率の問題にいたしましても、或いは手持鉱石の問題にいたしましても、その他こういうような戰争前から繋がりの計画のあるものであり、又国が相当な補償をするものでありますからこういうところに重点を置いて、私は前以て調査をしなければ、研究をしておかれなければいけなかつたのではないか、こう考えるわけであります。この点は次回にでも一つはつきりとここで御答弁を願つておきたい。
  59. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ちよつと私のほうも、担当官の資料でございますが、ニツケル鉱石輸入杜絶で大体ないと見てよろしいというのが……。それからそのほかにニツケルの製造の原料となりますものにビルマでのスパイスというものがあるそうです。これは一部終戦当時残存いたしておりまして、略奪物件として連合軍に返還に相成つております。ニツケル類、特殊の金属類、南方等から輸入いたしましたものは略奪物件として処理が行われております。その際に鉱石はなし、ビルマスパイスはあるということで連合軍へ返還になつておるという状況であります。それからなお附加えて私申上げておきたいと思いますが、栗山さんのお尋ねの御趣旨というのは、私ども十分御趣旨はわかるわけであります。私ども運用ではこういうふうなことを考えておるのです。原料の異なるものによりまして販売価格というものを考えて行きたい。この大筋は、指定業者輸入鉱石を製錬処理いたしまして販売価格をきめるわけでありますが、併しながらその同じ製錬者が、いやしくもニツケルを造ります場合には、その原料として、例えば少くともビルマスパイス等もありましようし、或いは新たに輸入のスパイス等を原料とする場合もありましようし、或いは今申上げましたビルマのスパイスというのが連合軍から仮に払下げが行われまして、処理するということもあろうかと思うわけであります。その際には原料ごとに、その生産費というものは変るべき筋合のものであります。従いまして、販売価格をまちまちにするというわけには参らないと私は思いますが、その積立金というものは、まちまちにきめるという建前をとりまして、いやしくも業者が不当に得をするというようなことのない措置はとりたいという方針でおることを申上げておきます。
  60. 栗山良夫

    栗山良夫君 私次に質問しようと思つていたのですが、第六条の政令で定める額を超えてはならないということになるわけでありますが、この政令で定める額というのは、一体どの程度予定しておられるのか、これを伺いたいと思います。
  61. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この点は、大きくはお答えして御了解を得なければなりませんが、輸入鉱石代幾らになるかということで、大きく動きそうだという感じもするわけでありますが、只今来御説明申上げておりまする資料等を前提として考えました場合に、大ざつぱに考えまして、その生産費を約百七十万円というふうに考えました場合に、それから他方国内の市価というものが安くても二百五十万円、或いは三百五十万円というふうに考えました際に、私どもとしては、国内の市価よりも低い価格であるという料金を考えて行きたいと思いまするし、それから積立金は成るべく大目に積立をいたしまして、早目に目標額の基準額に到達することができることとし、そのことによりまして、国家財政による補償が成るべく遅れないようなふうにしたいということを考えておるわけであります。さような点から考えまして、この前提となりまする数字に大した狂いはないということでございまするならば、その販売価格は二百二、三十万円見当のところにきめたいというのが、只今までのデータによる見当数字というふうに御了解願いたいと思います。
  62. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はその市価の問題で非常に疑問を持つておるのですが、市価をいつのときを基準にしてきめるかということと、というのは、積立金の四カ年償却という限度にも、年数にも関係するのですが、市価というものは、物がなくなればなくなるほど、闇物資ですから高くなつて来るわけです。闇ではないでしようけれども、そういう性格を持つているわけです。従つて朝鮮事変が勃発してから、急ピッチにこのニッケルというものは上つて来たわけです。現在の価格で、これが市価であるということは、私は穏当を欠くと思うのですね。朝鮮事変後今日までどういうふうな状態に、足踏みを辿つてニツケル値段が来ておつたか、そういうことについて一遍話して頂きたいのであります。
  63. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この点は配付した資料価格の推移を示したものをお配り申上げているかと了解しているのですが、昨年の一月頃は三十万円、それから八月頃五十万円……。
  64. 栗山良夫

    栗山良夫君 わかりました。これはですね、今日本で或る程度ニツケルが入手される、例えばアメリカから輸入された三百六十五万トン、まあこの間百三十五万トンと決定しておるわけですが、そういうものが特需でなくして、一般に流れたといたしますれば、この二百五十万円乃至三百万円という値段は一遍に下るであろうと思うのです。結局日本ニッケルが全然ない、海外にあるということによつて、こういう値段が構成されておる。日本国内にある稀有金属と見合いながら、この値段が減れば減るほどどんどん上つて行くでしようが、そういうときに五月の最近時の値段をとつて、これが二百五十万円なり乃至三百万円ということよりも高くはしないが、成るべく近い値段できめる、そうして業者のほうの補償金に当てたいというのは余りにこれは業者の補助に偏しているのじやないかと思う。少くともこの辺で見れば、その政令できめる額というものはどんな常識で考えましても、格段の値上りをした二十五年度の一月からずつととつて行きますと、十一月若しくは十二月、この辺のところが私は限度でなければならんと思うのです。十一月が百五十万円になつておりますが、それから一躍二百五十万円に飛んでいる。或いは三百万円に飛んでいる。少くとも十一月くらいが限度として、そうきめなければ私は穏当を欠くと思う、そうしてなお且つ業者補償を四カ年までに積立を完了しなければならんということがあるならば、これはどこかに無理があると思う。結局ここで政務次官が大見栄を切られた、国内物価を下げると言われた精神と全く逆なことになる。特定の業者のためにそういうことが行われておる。私はそれはどうも理解いたしかねると思います。
  65. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この国内価格の推移を御覧頂く際に、実は私ども資料をお配り申上げてなかつたのが甚だ恐縮でございますけれども、丁度時期を同じくいたしまして、昨年の十二月の二十日現在であつたかと記憶いたしますが、当時の国内在庫量というものを実は調査いたしたわけであります。その数字によりますと、純メタル分ばかりではございません、純メタル分は、この地金なり或いは純メタルの板になつたようなものは約百トン見当つたと思いまするけれども、それの合金になりました材料、中間製品の材料というものが相当たくさんございます。そのうちの含有のニッケル分を推算いたして見ましたところ、千五百トンくらいなものがあつたことが判明いたしているわけであります。従いまして丁度今年一ぱいまでくらいは、数量的に考えますならば、我々が最低需要ということに推算いたしておりまするくらいのものは国内に在庫があるというのが現状でございます。ただ数字の中には中間製品、例えばステンレスが非常にこの計画に見ております割合よりも多くあるというような事情がございまして、それで放つといてよろしいということではございませんので、新たに地金を供給いたしまして、足らないところをつぎ込むというような操作が行われますならば、この暮頃までは何とか凌ぎが付くというようなことが判明いたしているわけでございます。そこらの背景を考えますと、全然なくなつたから、こうなつたという値段ではないというふうな見方も十分できるのではないかと考えております。
  66. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは丁度その級数的に逆勢を辿つて来ているわけでありまして、現在今年の年末まで手持があるという状態において三百万円、これが大体が輸入されないで消費を進めて行くと、そうして十一月まで行つて、もうこれであとつくんだということになれば、その値段は恐らくもつと上つて来る、それは必ずしも最後まで行かないで途中でストップするかも知れませんけれども、とにかくまだ上る、品物の量と比例して大体上つて行くわけです。従つて僕はそういうことでは今の価格の説明にはちよつと不十分じやないかと思うので、ただ最近の繊維の値下りなんかは、去年の朝鮮事変からの動きをずつと御覧になればよくわかることでありまして、そういうことでなくて伺いたいのは、今までとにかく特需用としても一トンも入つて来ない。こういうことの前提によつて、ここまで値段が煽られて来たと思うのですが、あなたは特需分としてそれが三百六十五トン、更に引続いて来年も再来年も特需が入つて来る、こういう状態であつたときには、現在の価格というものはもつと下るんじやないか、一トンも入らないといつて市況を煽つた当時よりも下ると思うのですが、その辺のお考えは如何ですか。
  67. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) お話のように、供給力が殖えますれば値段というものは下るというふうに推定しなければならない。これは私どもお尋ねの通りに実は感じておるわけであります。ただお断わり申上げたいと思いますのは、私どもこの積立金の金額を単位当りのものを成るべく多くしたいというふうに考えますのは、それは何も製錬業者の立場をよくしようということではないのでありまして、むしろ国の利益といいますか、相成るべくは国家財政の負担にならないようにしたいというのが主眼として考えておるわけであります。業者の立場から考えますならば、その金額は市価並になれば積立を完了するのに長期間を要するということになりまして、その間に変化がありますれば、おのずから補償をもらえるということで、いずれにしても同じことだろうかと思うのであります。ただ私どもとしましては、建設費もできるだけ安くさせ、積立金は若し市況の状況で許しますならば成るべく多目にし、国家財政の負担を成るべく軽減したいという気持で考えるということのほうがよろしいではないか、早く積立を完了いたしますれば、今度は積立基準額に相当するものは販売価格から下るということも可能なわけでありまして、その点からも消費者に無理をするという意味じやありませんけれども、消費者の納得し得る数字の許す限度で考えるという心持のほうがよろしいのではなかろうかというふうに考えておるのであります。
  68. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、この四年という年限は、そう固定的なものではなくて、今言つたようないろいろな議論の結果ですね。市価のきめ方如何によつて法律的に更に修正をしてもよいとお考えになつておりますか、修正の余地があるとお考えになつておりますか。
  69. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 四年間の修正と言いますと、ちよつと御趣旨がわかりかねるのでございますが。
  70. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつと言葉が足りない。あの四年間と申しますのは、まあ積立金を四年以内の事業工事しているときに、特別積立金の額からこれを補償するということになるわけでありまして、この目的としていることは四年以内にすぐ積立が完了するようにしたいというのが趣旨でありますから、従つてその積立の完了日のことを言つておるわけであります。
  71. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 私どもこの四年というのは、建設工事の期間も含めておるわけでございます。それ以降建設工事の期間を約一年と見ておりまする、一年以内と見ておりますると、まあ正味三年以内の工事ということになるわけでございます。三年間というのは実は或る程度安全をとつたつもりでございまするが、そこまで行かなくても積立てを完了し得るということになるのではなかろうかというふうに見ておるわけであります。
  72. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでその積立ての完了日をそれほどまでに縮めなくてもよくはないかということを私は申上げておるわけでございます。そういうような用意があなたのほうにおありであるかどうかということを伺つておるわけでございます。
  73. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 多少考えが違うということになるのかも知れませんが、私どもとしましては、この供給独占の価格になるというようなことで、消費者に無理に押しつけるという意味は毛頭持つておりませんが、併しながらこの法案の構成が、万一の場合国の損失補償というような組立てに相成つておりまするけれども、相成るべくは損失補償をしなくて済むような操作を考えると……、ということは、積立金事情の許す限り高目にしたい、併し消費者がこういうことがない場合に取得するであろう市価よりは安いものでなければならないという気持で考えておるというふうに思つておるわけであります。
  74. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは又一遍大臣が来られたとぎに私伺いたいと思うのですけれども、政務次官の、この前政令価格輸入品の政令価格をきめるときに力説をせられた言葉と、今の価格を成るべく高くきめたいという言葉とは、少くとも全く相矛盾する言葉なんです。これはどう考えても矛盾するのです。ということは、日本生産する物資は、特需品でありましようとも、或いは民需品でありましようとも、事輸出品に関する限りにおきましては、国際価格より高いので、これを下げなければならん、合理化をしなければならん、企業の合理化をやつてでも下げなければならんと、そういうことを言われた。そうして輸入品につきましては、船腹も自国船で持つようなところまで考えて、或いは企業だけの徹底した合理化も考えて競争に堪え得るようにしなければならん、こういうことを言われた。それで物価もそういうような工合にして下つて行くという考えが述べられたのでありますが、そういう考え方からするならば、市価が今高い、闇価格のようになつて相当高くなつている。その高いのに成るべく近くして高く設定をしたいというのと、アメリカからもらつた鉱石は成るべく安くして売つたほうが物価を下げるのに都合がいいという考えと、これは全く相矛盾する考え方で、私は只今の説明では了解しかねますので、これも大臣からはつきり伺いたいと思います。
  75. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 それに関連しておりますから、ニツケル鉱石国内のストツク調査を十二月の二十日におやりになつたということでしたね。
  76. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 十二月でございます。
  77. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そのときにはどのくらい在庫がございましたか。
  78. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) これはいろいろな製品の形で中間製品のような、例えばマツトとかいうような形で出ておりますので、その中の純ニツケル分をそれぞれの品物によりまして含有パーセントを推算いたしておるわけであります。それによりますと、含ニツケル分の合計が千五百五十九トンという数字であります。
  79. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 それは十二月の二十日ですか。
  80. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 十二月の二十日現在でございます。
  81. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ビルマから略奪をした、このニツケル鉱石処理を命ぜられましたのはいつでしようか、先ほどお話の中にありましたが。
  82. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 終戦直後スキヤツピンが出まして、略奪物件を政府に返還せよということでございまして、その比が正確でございませんが、二、三前に司令部のほうへ返還したということでございます。それからまだ日本側には払下げは行われていないのであります。
  83. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この頂いておりまする資料で、十月に国内価格が非常に上つておりますが、この価格変動、十月から十一月の価格変動のこんな大きな相違というものは、どういうところに原因を追究しておられますか。
  84. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) この価格数字につきましては、業界紙と申しますか、一流新聞ではございませんが、金属関係を主として扱つておる新聞紙等から抜萃いたして掲げましたような次第であります。そのときから急に上つたという事情、正確に分析したわけではございませんが、当時まだ本年度三百六十万トンの数字が入るということは、昨年の暮頃にはほぼ司令部にその用意があるという見当は我々付いたわけでありますけれども、十月頃には皆目……、その前からたびたび政府に交渉いたしておりましたけれども、入る目度が付かないで苦しんでおつたわけでありますから、さような情勢も反映したのではなかろうかという、まあ想像だけができるわけであります。正確な分析はいたしておりません。
  85. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) お諮りいたします……。
  86. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 委員長もう一言、日本国内におけるこのニツケル資源の買付が十月に大幅に行われたということを私は伺つておるのですが、当局はそういうことをお聞きになつておりますか。
  87. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ちよつとお尋ねの御趣旨が……。国内での買付けというのはどういう意味ですか。
  88. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 国内で或る方面で大幅の買付を行なつておる、十月に……。それとこの価格の変動とを私はこうマツチするような気がいたしますので、関係当局のそういうことについての調査の結果を伺つておるのです。
  89. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) お尋ねのような点私ども特に気付いた事項がございません。
  90. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 じや後ほど又……、留保します。
  91. 小松正雄

    ○小松正雄君 栗山委員或いは又椿委員の御質問で大体にわかりましたが、一、二お尋ねいたしたいと思います。先ず第一点は、このニツケルの製錬所に、ニツケル製錬所が製造しておりましたこの工場が終戦直後何カ所やつてつたかということが一つと、それから又二つには製錬するための鉄鉱石は、鉱石はあつたが、その他の物品がないために製造されずにストツプしておつたというようなことがないかということをお尋ね申したいと思います。
  92. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 戦前に鉱石処理によりまして生産をやつておりましたものは、お手許にこの資料といたしまして生産量数字、過去の生産量数字をお配り申上げておるかと思います。その中に出ておりまする今の別子鉱業、昔の住友新居浜におきましてやつております。それから日曹が二本木工場におきましてマットを作つております。それから古河電工が日光におきましてマツトの生産をやつてつたわけであります。それにスクラツプ製錬を三井鉱山が三池におきましてやつてつたという実績があるわけであります。この最後の欄にありまする志村化工というのは、これは終戦後スクラツプを原料といたしましてやつておるということでございます。この表を作りました以後におきましても、日本電池で終戦後スクラツプを原料といたしまして、電気分解をやつておるということを承知いたしております。
  93. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) お諮りいたします。時間も大分経過いたしましたから、委員会を散会いたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 深川榮左エ門

    ○委員長(深川榮左エ門君) それではこれで散会いたします。    午後一時七分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            小松 正雄君            椿  繁夫君            加藤 正人君            山川 良一君            境野 清雄君   政府委員    資源庁鉱山局長 徳永 久次君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君